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特表2023-549305ペロブスカイト層、ペロブスカイト層の製造方法、ペロブスカイト層付き太陽電池及びペロブスカイト層付き太陽電池モジュール
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-24
(54)【発明の名称】ペロブスカイト層、ペロブスカイト層の製造方法、ペロブスカイト層付き太陽電池及びペロブスカイト層付き太陽電池モジュール
(51)【国際特許分類】
   H10K 30/50 20230101AFI20231116BHJP
   C01G 21/00 20060101ALI20231116BHJP
   H10K 30/40 20230101ALI20231116BHJP
   H10K 85/50 20230101ALI20231116BHJP
   H10K 71/60 20230101ALI20231116BHJP
   H10K 71/12 20230101ALI20231116BHJP
【FI】
H10K30/50
C01G21/00
H10K30/40
H10K85/50
H10K71/60
H10K71/12
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023520492
(86)(22)【出願日】2021-10-13
(85)【翻訳文提出日】2023-04-04
(86)【国際出願番号】 CN2021123523
(87)【国際公開番号】W WO2022111096
(87)【国際公開日】2022-06-02
(31)【優先権主張番号】202011343679.6
(32)【優先日】2020-11-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522400560
【氏名又は名称】隆基緑能科技股▲フン▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】LONGI GREEN ENERGY TECHNOLOGY CO., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】解 俊杰
(72)【発明者】
【氏名】徐 ▲チェン▼
(72)【発明者】
【氏名】李 子峰
(72)【発明者】
【氏名】呉 兆
(72)【発明者】
【氏名】▲ジン▼ 金玲
【テーマコード(参考)】
3K107
5F251
【Fターム(参考)】
3K107DD57
3K107EE68
5F251AA11
5F251CB24
5F251CB29
5F251XA32
5F251XA61
(57)【要約】
本願はペロブスカイト層、ペロブスカイト層の製造方法、ペロブスカイト層付き太陽電池及びペロブスカイト層付き太陽電池モジュールを開示し、太陽光発電の技術分野に関し、基板を完全に被覆することができ、かつ、欠陥が少ないペロブスカイト層を製造する。該ペロブスカイト層の製造方法は、基板を提供するステップと、基板上にペロブスカイト種結晶を形成するステップと、ペロブスカイト種結晶をペロブスカイト溶液に浸漬するステップと、ペロブスカイト種結晶の作用によって、ペロブスカイト種結晶をペロブスカイトフィルムに成長させるステップと、ペロブスカイトフィルムをアニーリング処理して、ペロブスカイト層を形成するステップと、を含む。本願によるペロブスカイト層及びその製造方法は太陽電池の製造に用いられる。
【選択図】図12
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を提供するステップと、
前記基板上にペロブスカイト種結晶を形成するステップと、
前記ペロブスカイト種結晶をペロブスカイト溶液に浸漬して、ペロブスカイトフィルムを成長させるステップと、
前記ペロブスカイトフィルムをアニーリング処理して、ペロブスカイト層を形成するステップと、を含むことを特徴とするペロブスカイト層の製造方法。
【請求項2】
前記ペロブスカイト種結晶をペロブスカイトフィルムに成長させる過程において、ペロブスカイト溶液でのペロブスカイト材料の溶解度を低下させることによって、ペロブスカイト溶液からのペロブスカイト材料の析出を促進し、ペロブスカイト種結晶の成長のためのペロブスカイト材料を供給することを特徴とする請求項1に記載のペロブスカイト層の製造方法。
【請求項3】
降温によってペロブスカイト材料の溶解度を低下させることを特徴とする請求項2に記載のペロブスカイト層の製造方法。
【請求項4】
前記降温の降温速度は0.1℃/h~10℃/hであり、及び/又は、
前記降温前に、前記ペロブスカイト溶液の初期温度は100℃~150℃であることを特徴とする請求項3に記載のペロブスカイト層の製造方法。
【請求項5】
前記ペロブスカイト種結晶をペロブスカイトフィルムに成長させる過程において、溶剤揮発を加速することによってペロブスカイト溶液からのペロブスカイト材料の析出を促進し、ペロブスカイト種結晶の成長のためのペロブスカイト材料を供給することを特徴とする請求項1又は2に記載のペロブスカイト層の製造方法。
【請求項6】
加熱によって溶剤揮発を加速し、
前記ペロブスカイト溶液の初期温度は20℃~30℃であり、
前記ペロブスカイト種結晶をペロブスカイトフィルムに成長させる過程において、加熱温度が40℃~100℃であることを特徴とする請求項5に記載のペロブスカイト層の製造方法。
【請求項7】
前記ペロブスカイト種結晶をペロブスカイト溶液に浸漬するときに、前記ペロブスカイト溶液は飽和溶液であることを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載のペロブスカイト層の製造方法。
【請求項8】
前記ペロブスカイト種結晶は前記基板上に離散的に分布していることを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載のペロブスカイト太陽電池の製造方法。
【請求項9】
前記ペロブスカイト種結晶の前記基板での被覆率は10%~50%であり、前記ペロブスカイト種結晶の粒子径は10nm~200nmであることを特徴とする請求項8に記載のペロブスカイト層の製造方法。
【請求項10】
前記基板上にペロブスカイト種結晶を形成するステップは、
前記基板上にペロブスカイト前駆溶液を塗布して、前記ペロブスカイト前駆溶液の溶剤を揮発させ、ペロブスカイト種結晶中間体を形成するステップと、
前記ペロブスカイト種結晶中間体をアニーリング処理して、ペロブスカイト種結晶を形成するステップと、を含むことを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載のペロブスカイト層の製造方法。
【請求項11】
前記ペロブスカイト種結晶の一般式はABXであり、
前記ペロブスカイト前駆溶液はAX前駆体とBX前駆体を含み、Xはハロゲン元素であり、
前記ペロブスカイト種結晶は有機無機ハイブリッド材料であり、AX前駆体とBX前駆体との物質量比が(2~15):1であり、又は、前記ペロブスカイト種結晶は全無機材料であり、AX前駆体とBX前駆体との物質量比が(0.95~1.05):1であることを特徴とする請求項10に記載のペロブスカイト層の製造方法。
【請求項12】
前記ペロブスカイト前駆溶液の濃度は0.1mol/L以下であり、及び/又は、
前記ペロブスカイト種結晶を形成するアニーリング処理の時間は1min~30minであることを特徴とする請求項11に記載のペロブスカイト層の製造方法。
【請求項13】
前記ペロブスカイト種結晶は有機無機ハイブリッド材料であり、前記ペロブスカイト種結晶を形成するアニーリング処理の温度は60℃~130℃であり、又は、
前記ペロブスカイト種結晶は全無機材料であり、前記ペロブスカイト種結晶を形成するアニーリング処理の温度は120℃~220℃であることを特徴とする請求項12に記載のペロブスカイト層の製造方法。
【請求項14】
前記ペロブスカイト種結晶のペロブスカイト成分と前記ペロブスカイト溶液のペロブスカイト成分が同じであることを特徴とする請求項1に記載のペロブスカイト層の製造方法。
【請求項15】
ペロブスカイト種結晶とペロブスカイトフィルムを含み、
前記ペロブスカイト種結晶と前記ペロブスカイトフィルムとの間に第1界面を含み、前記第1界面は高分解能走査型電子顕微鏡又は電子顕微鏡により観察可能であることを特徴とするペロブスカイト層。
【請求項16】
前記ペロブスカイト種結晶と前記ペロブスカイトフィルムとの間に含まれる前記第1界面は構造移行層をさらに含み、前記構造移行層の格子パラメータは第1順序に従って変化し、前記構造移行層の原子配列方式は第2順序に従って変化し、前記第1順序は前記ペロブスカイト種結晶から離れる方向に沿って初期パラメータから初期パラメータよりも大きい第2パラメータに変わってから初期パラメータに変わる順序であり、前記第2順序は前記ペロブスカイト種結晶から離れる方向に沿って秩序ありから秩序無しに変わってから秩序ありに変わる順序であることを特徴とする請求項15に記載のペロブスカイト層。
【請求項17】
前記構造移行層の厚さは0.5nm以上5nm以下であることを特徴とする請求項17に記載のペロブスカイト層。
【請求項18】
請求項14~16のいずれか1項に記載のペロブスカイト層を含むことを特徴とするペロブスカイト太陽電池。
【請求項19】
請求項17に記載のペロブスカイト太陽電池を含むことを特徴とするペロブスカイト層付き太陽電池モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は太陽光発電の技術分野に関し、特にペロブスカイト層、ペロブスカイト層の製造方法、ペロブスカイト層付き太陽電池及びペロブスカイト層付き太陽電池モジュールに関する。
<関連出願の相互参照>
【0002】
本願は2020年11月25日に中国特許庁に提出された、出願番号が202011343679.6、発明の名称が「ペロブスカイト層、ペロブスカイト層の製造方法、ペロブスカイト層付き太陽電池及びペロブスカイト層付き太陽電池モジュール」である中国特許出願の優先権を主張しており、その全ての内容は引用により本願に組み込まれている。
【背景技術】
【0003】
ペロブスカイト太陽電池を製造する過程では、通常、湿式化学法でペロブスカイト層を製造する。ペロブスカイト層を製造する際には、基板上にペロブスカイト前駆溶液を塗布した後に、ベークなどの手段を用いて溶質を結晶化して析出させてペロブスカイト層を形成するのが一般的である。
【0004】
従来技術では、形成されたペロブスカイト層は基板を完全に被覆することができない場合が多く、割れ、大きな粒界、孔などの欠陥が多く存在し、ペロブスカイト電池の性能に深刻な影響を与える。従来技術では、貧溶媒の方法、2段階成膜の方法により、ペロブスカイトフィルムの結晶化過程における割れ、大きな粒界、孔などの欠陥を緩和することができるが、結晶化及び結晶粒成長の過程において、ペロブスカイト溶質の拡散速度は比較的に遅く、ペロブスカイト種結晶の周囲に補充することができないことによる欠陥は依然として存在する。また、ペロブスカイト層を貧溶媒法、2段階法などの方法で製造する場合、制御が難しく、環境、雰囲気などの要素に対する要求が高く、また現在使用されている貧溶媒は毒性が大きい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本願の目的は、基板を完全に被覆し、かつ欠陥が少ないペロブスカイト層を製造できるペロブスカイト層、ペロブスカイト層の製造方法、ペロブスカイト層付き太陽電池及びペロブスカイト層付き太陽電池モジュールを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1態様では、本願はペロブスカイト層の製造方法を提供する。該ペロブスカイト層の製造方法は、基板を提供するステップと、基板上にペロブスカイト種結晶を形成するステップと、前記ペロブスカイト種結晶をペロブスカイト溶液に浸漬して、ペロブスカイトフィルムを成長させるステップと、ペロブスカイトフィルムをアニーリング処理して、ペロブスカイト層を形成するステップと、を含む。
【0007】
上記の技術的解決手段を採用する場合、ペロブスカイト種結晶を形成する過程と、ペロブスカイト種結晶をペロブスカイトフィルムに成長させる過程とを2つのステップに分けて行う。まず、基板上にペロブスカイト種結晶を形成し、次に、ペロブスカイト種結晶をペロブスカイト溶液に浸漬してペロブスカイトフィルムを成長させる。以上に基づいて、ペロブスカイト種結晶を形成する過程を独立して制御することができ、これによって、結晶粒サイズが大きく基板全体に分布しているペロブスカイト種結晶を形成することができる。結晶粒サイズが大きく基板全体に分布しているこれらのペロブスカイト種結晶の作用によって、基板全体を被覆するペロブスカイトフィルムを成長させ、ペロブスカイトフィルムの欠陥を減少させることができる。この場合、このペロブスカイトフィルムをアニーリング処理することで、基板全体を被覆しかつ欠陥が少ないペロブスカイト層を形成することができ、これにより、ペロブスカイト層の変換効率を高め、漏電のリスクを低減させることができる。
【0008】
いくつかの可能な実施形態では、上記のペロブスカイト種結晶をペロブスカイトフィルムに成長させる過程においては、ペロブスカイト溶液でのペロブスカイト材料の溶解度を低下させることによって、ペロブスカイト溶液からのペロブスカイト材料の析出を促進し、ペロブスカイト種結晶の成長のためのペロブスカイト材料を供給する。ペロブスカイト溶液でのペロブスカイト材料の溶解度の低下に伴い、ペロブスカイト溶液中のペロブスカイト溶質は略飽和状態又は飽和状態になり、ペロブスカイト溶質がペロブスカイト溶液から析出されやすくなる。この場合、ペロブスカイト溶質は素早く拡散してペロブスカイト種結晶の周囲に輸送され、ペロブスカイト種結晶の周囲で結晶が析出されることにより消費されたペロブスカイト溶質をタイムリーに補充することができる。これに基づいて、一方では、ペロブスカイト溶質がタイムリーに補されるため、ペロブスカイトフィルムを成長する過程において晶界や孔などの欠陥を減少させ、ペロブスカイトフィルムの緻密度を向上させることができる。他方では、ペロブスカイト溶質がペロブスカイト種結晶の周囲に素早く輸送され得るので、ペロブスカイト種結晶を迅速に成長させ、ペロブスカイトフィルムの成長速度を速めることができ、それによって、生産効率を高め、生産時間を節約することができる。
【0009】
いくつかの可能な実施形態では、降温によってペロブスカイト材料の溶解度を低下させる。一方では、このような降温方式は実施されやすく、プロセスの難度を低減させることができる。他方では、温度を調整することにより、ペロブスカイト材料の溶解度を低下させる過程を容易に調整することができ、ペロブスカイト材料の溶解度を低下させる過程に大きな制御性を持たせる。
【0010】
いくつかの可能な実施形態では、上記の降温の降温速度は0.1℃/h~10℃/hである。この場合、ペロブスカイト材料の溶解度の低下速度が適切であり、ペロブスカイトフィルムの成長速度を速めるとともに、ペロブスカイトフィルムの品質を確保することができる。ペロブスカイト結晶の成長速度が速すぎることにより欠陥が多くなるという問題を回避できるだけでなく、ペロブスカイト結晶の成長速度が遅れすぎることにより生産効率が低下するという問題を回避できる。
【0011】
いくつかの可能な実施形態では、上記の降温前に、ペロブスカイト溶液の初期温度は100℃~150℃である。この場合、ペロブスカイト溶液の初期温度が高いので、降温操作が実施されやすく、しかも、降温コストが低い。
【0012】
いくつかの可能な実施形態では、上記のペロブスカイト種結晶をペロブスカイトフィルムに成長させる過程において、溶剤揮発を加速することによってペロブスカイト溶液からのペロブスカイト材料の析出を促進し、ペロブスカイト種結晶の成長のためのペロブスカイト材料を供給する。溶剤揮発を加速することによって、ペロブスカイト溶液中のペロブスカイト材料は略飽和状態又は飽和状態になり、ペロブスカイト種結晶をペロブスカイトフィルムに成長させる過程における晶界や孔などの欠陥の発生をさらに減少させ、ペロブスカイトフィルムの緻密度を向上させて成長速度を速めることができる。
【0013】
いくつかの可能な実施形態では、加熱によって溶剤揮発を加速する。この場合、加熱温度を制御することによって、溶剤の揮発速度を簡便に調整し、ペロブスカイトフィルムの成長速度を調整することができる。
【0014】
いくつかの可能な実施形態では、上記のペロブスカイト溶液の初期温度は20℃~30℃であり、ペロブスカイト種結晶をペロブスカイトフィルムに成長させる過程において、加熱温度が40℃~100℃である。この場合、ペロブスカイト溶液の初期温度が低く、ペロブスカイト溶液の製造が容易であり、また、より高温に加熱する場合、コストが低い。また、加熱温度と初期温度との温度差が適切であるため、ペロブスカイトフィルムの成長速度を速めるとともに、ペロブスカイトフィルムの品質を確保することができる。
【0015】
いくつかの可能な実施形態では、上記のペロブスカイト種結晶をペロブスカイト溶液に浸漬するときに、ペロブスカイト溶液は飽和溶液である。飽和状態のペロブスカイト溶液では、ペロブスカイト材料がペロブスカイト溶液からより析出されやすくなり、ペロブスカイト種結晶の作用によって、ペロブスカイト種結晶の表面で素早く析出され、ペロブスカイト種結晶の成長が促進され、欠陥が少なく緻密度が高いペロブスカイトフィルムが形成される。
【0016】
いくつかの可能な実施形態では、上記のペロブスカイト種結晶は基板上に離散的に分布している。この場合、基板上に離散的に分布している複数のペロブスカイト種結晶は、ペロブスカイトフィルムが成長するための複数の成長点として、絶えずに成長して、連続的なペロブスカイトフィルムになる。この過程においては、ペロブスカイト種結晶が離散的に分布していることによって、ペロブスカイト種結晶同士が重なって被覆することによりペロブスカイトフィルム結晶粒が小さすぎるという問題を回避し、均一なペロブスカイトフィルムを形成し、基板全体に被覆することができる。
【0017】
いくつかの可能な実施形態では、上記のペロブスカイト種結晶の基板での被覆率は10%~50%であり、ペロブスカイト種結晶の粒子径は10nm~200nmである。一方では、粒子径が10nm~200nmのペロブスカイト種結晶は、サイズが適切であり、ペロブスカイト種結晶の結晶粒サイズが大きすぎる場合に内部欠陥が多いという問題を回避することができる。他方では、ペロブスカイト種結晶が上記の粒子径を有する場合、被覆率が10%~50%であると、基板上に分布しているペロブスカイト種結晶の間隔及び数が適切である。これらのペロブスカイト種結晶の作用によって、結晶粒サイズが大きくかつ晶界などの欠陥が少ないペロブスカイトフィルムを効率的に形成することができる。この場合、ペロブスカイト種結晶間の間隔が小さすぎる(被覆率が高すぎる)ことによりペロブスカイトフィルムの結晶粒サイズが小さく、晶界が多いという問題を回避できるとともに、ペロブスカイト種結晶間の間隔が大きすぎる(被覆率が低すぎる)ことによりペロブスカイトフィルムの成長速度が遅いという問題を回避できる。
【0018】
いくつかの可能な実施形態では、基板上にペロブスカイト種結晶を形成するステップは、
基板上にペロブスカイト前駆溶液を塗布して、ペロブスカイト前駆溶液の溶剤を揮発させ、ペロブスカイト種結晶中間体を形成するステップと、
ペロブスカイト種結晶中間体をアニーリング処理して、ペロブスカイト種結晶を形成するステップと、を含む。
【0019】
いくつかの可能な実施形態では、上記のペロブスカイト前駆溶液の濃度は0.1mol/L以下である。この場合、ペロブスカイト前駆溶液中の大量の溶剤は、結晶化して析出されたペロブスカイト種結晶を分離し、離散的に分布しているペロブスカイト種結晶を形成することができ、これによって、上記の被覆率を有しかつ離散的に分布しているペロブスカイト種結晶を形成することができる。ペロブスカイト前駆溶液の濃度を調整することにより、ペロブスカイト種結晶の分散の度合及び被覆率を調整することができる。
【0020】
いくつかの可能な実施形態では、上記のペロブスカイト種結晶を形成するアニーリング処理の時間は1min~30minである。アニーリング時間がこの範囲である場合、アニーリングして形成したペロブスカイト種結晶の結晶粒サイズが適切である。また、この範囲のアニーリング時間では、アニーリング時間が長すぎることによりペロブスカイト種結晶が成長しすぎるという問題を回避でき、さらにペロブスカイト種結晶の内部欠陥を減少させる。
【0021】
いくつかの可能な実施形態では、上記のペロブスカイト種結晶の一般式はABXであり、ペロブスカイト前駆溶液はAX前駆体とBX前駆体を含み、Xはハロゲン元素であり、A及びBはカチオンであり、前記ペロブスカイト種結晶は有機無機ハイブリッド材料であり、AX前駆体とBX前駆体との物質量比が(2~15):1であり、上記の前駆体の配合比によれば、アニーリング後に、離散的に分布しておりかつ上記の被覆率を有するペロブスカイト種結晶をアニーリングにより形成することができる。これに基づいて、AX前駆体とBX前駆体との物質量比を調整することで、ペロブスカイト種結晶の被覆率を調整することができる。前記ペロブスカイト種結晶は全無機材料であってもよく、AX前駆体とBX前駆体との物質量比が(0.95~1.05):1であり、この場合、前駆体濃度によってペロブスカイト種結晶の被覆率を調整することができる。
【0022】
いくつかの可能な実施形態では、ペロブスカイト種結晶は有機無機ハイブリッド材料であり、ペロブスカイト種結晶を形成するアニーリング処理の温度は60℃~130℃である。ペロブスカイト種結晶中間体をアニーリング処理して、ペロブスカイト種結晶を形成する過程において、アニーリング処理における高温はまた有機ハロゲン化物を揮発させることができる。AXが有機ハロゲン化物である場合、ペロブスカイト種結晶を形成した後に過量となったAX前駆体を容易に除去できることが分かる。
【0023】
いくつかの可能な実施形態では、ペロブスカイト種結晶は全無機材料であり、アニーリング処理の温度は120℃~220℃である。
【0024】
第2態様では、本願は、ペロブスカイト種結晶とペロブスカイトフィルムを含み、ペロブスカイト種結晶とペロブスカイトフィルムとの間に第1界面を含み、第1界面は高分解能走査型電子顕微鏡又は電子顕微鏡により観察可能な界面であるペロブスカイト層を更に提供する。ペロブスカイト種結晶とペロブスカイトフィルムとの間には高分解能走査型電子顕微鏡又は電子顕微鏡により観察可能な第1界面が形成されているため。
【0025】
いくつかの可能な実施形態では、上記のペロブスカイト種結晶とペロブスカイトフィルムとの間に形成された第1界面は構造移行層をさらに含み、構造移行層の格子パラメータは第1順序に従って変化し、構造移行層の原子配列方式は第2順序に従って変化し、第1順序はペロブスカイト種結晶から離れる方向に沿って初期パラメータから初期パラメータよりも大きい第2パラメータに変わってから初期パラメータに変わる順序であり、第2順序はペロブスカイト種結晶から離れる方向に沿って秩序ありから秩序無しに変わってから秩序ありに変わる順序である。構造移行層の格子パラメータが第1順序に従って変化し、構造移行層の原子配列方式が第2順序に従って変化するので、欠陥の濃度もペロブスカイト種結晶から離れる方向に沿って初期濃度から初期濃度よりも大きい第2濃度に変わってから初期濃度に変わる順序に従って変化し、これにより、ペロブスカイトフィルムを形成する過程におけるペロブスカイト種結晶の変化がより緩やかになり、形成された第1界面の欠陥が減少し、直接変化によるペロブスカイトフィルムの急激な変化が回避される。
【0026】
いくつかの可能な実施形態では、上記の構造移行層の厚さは0.5nm以上5nm以下であり、これによって、ペロブスカイト種結晶とペロブスカイトフィルムにおいて「緩やかなに移行する」のような効果が得られる。
【0027】
第3態様では、本願はペロブスカイト層付き太陽電池を提供する。該ペロブスカイト層ペロブスカイト層付き太陽電池は第1態様又は第2態様の何れかの実施形態に記載のペロブスカイト層を含む。
【0028】
第3態様によるペロブスカイト層の有益な効果は第1態様又は第2態様の何れかの実施形態に記載のペロブスカイト層の有益な効果を参照すればよく、ここでは、これ以上説明しない。
【0029】
第4態様では、本願は第3態様に記載のペロブスカイト層付き太陽電池を含むペロブスカイト層付き太陽電池モジュールを提供する。
【0030】
第4態様によるペロブスカイト層付き太陽電池モジュールの有益な効果は第1態様又は第2態様の何れかの実施形態に記載のペロブスカイト層の有益な効果を参照すればよく、ここでは、これ以上説明しない。
【図面の簡単な説明】
【0031】
ここで説明する図面は本願をさらに理解するために提供されるものであり、本願の一部を構成し、本願の例示的な実施例及びこれらの説明は本願を解釈するものであり、本願を不当に限定するものではない。
図1-3】従来技術におけるペロブスカイト層の製造プロセスの概略図である。
図4-11】本願の実施例に係るペロブスカイト層の製造方法の各段階の状態の概略図である。
図12】本願の実施例に係るペロブスカイト層の構造概略図である。
図13】本願の実施例に係る別のペロブスカイト層の構造概略図である。
図14】本願の実施例に係る図13のA部の部分拡大概略図である。
図15】本願の実施例に係る、AXが有機ハロゲン化物であって、かつ過量である場合にアニーリング処理によりペロブスカイト種結晶を形成する概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本願の実施例の技術的解決手段を明確に説明するために、本願の実施例では、「第1」、「第2」などの用語を用いて機能及び作用がほぼ同じである同一の項目又は類似の項目を区別する。当業者が理解できるように、「第1」、「第2」などの用語は数及び実行順番を限定するものではなく、しかも、「第1」、「第2」などの用語は必ずしも異なるものであるとは限らない。
【0033】
ペロブスカイト太陽電池は10数年の発展を経て、そのエネルギー光電変換効率がすでに結晶シリコン太陽電池のレベルに近づいている。ペロブスカイト太陽電池は高い変換効率、簡単なデバイス構造、湿式化学法を主とする製造プロセスなど多くの利点を持つため、最も実用化される次世代太陽電池となった。
【0034】
現在、ペロブスカイト電池のペロブスカイト層は主に湿式化学法によって製造される。ペロブスカイト層の主な製造過程においては、1段階法か2段階かにかかわらず、図1に示すように、電子輸送層12を有する基板11上に予めペロブスカイト前駆溶液を予め塗布してペロブスカイト前駆溶液層13を形成するステップと、図2に示すように、次に、直接ベーク、貧溶媒結晶化、真空フラッシュなどの手段によって、ペロブスカイト前駆溶液層13中の溶剤を揮発させ、溶質(ペロブスカイト材料)を結晶化して析出させ、ペロブスカイトフィルムを形成するステップと、ペロブスカイトフィルムをアニーリング処理して、ペロブスカイト層142を形成するステップと、が含まれる。
【0035】
ペロブスカイト層の上記の製造過程においては、図1に示すように、電子輸送層12を有する基板11上にペロブスカイト前駆溶液層13を塗布した後に、溶剤の揮発に伴い、ペロブスカイト前駆溶液層13と電子輸送層12との接触した部分には極めて小さなペロブスカイト結晶粒が優先的に析出され、これらの結晶粒はペロブスカイトフィルムのペロブスカイト種結晶141となる。
【0036】
図3に示すように、ペロブスカイト種結晶141が形成されると、その周囲のペロブスカイト溶質の濃度が低下し、低濃度領域131が形成される。該低濃度領域131内においては、ペロブスカイト溶質の濃度がペロブスカイト前駆溶液層13中のペロブスカイト溶質の濃度よりも低い。ペロブスカイト前駆溶液層13中のペロブスカイト溶質は濃度差により駆動されて、低濃度領域131へ拡散、輸送される。ペロブスカイト前駆溶液層13中の溶剤の揮発はこのような拡散、輸送と同時に持続的に行われる。ペロブスカイト前駆溶液層13の溶剤の揮発により、ペロブスカイト前駆溶液層13と低濃度領域131との濃度差が大きくなり、ペロブスカイト種結晶141の成長が促進される。このようなメカニズムによって、ペロブスカイト前駆溶液層13中の溶質はペロブスカイト種結晶141の表面へ絶えずに輸送され、ペロブスカイト種結晶141は徐々に大きくなり、最終的には、電子輸送層12上にペロブスカイトフィルムが形成される。
【0037】
結晶化及び結晶粒の成長において、ペロブスカイト溶質は拡散速度が遅いので、ペロブスカイト種結晶141の周囲にタイムリーに補充できないことによる欠陥に対しては、本願の実施例はペロブスカイト層を提供する。該ペロブスカイト層は基板21を完全に被覆できるだけではなく、フィルムの品質が高く、欠陥が少ない。さらに、ペロブスカイト層24は製造にかかる時間が短く、成長速度が速く、作動効率が高い。該ペロブスカイト層は有機無機ハイブリッドペロブスカイト層であってもよいし、無機ペロブスカイト層であってもよいし、有機ペロブスカイト層であってもよい。具体的には、該ペロブスカイト層は鉛フリーペロブスカイト層やダブルペロブスカイト層であってもよい。
【0038】
本願の実施例は上記のペロブスカイト層の製造方法を更に提供する。図4図11には、本願の実施例に係るペロブスカイト太陽電池の製造方法の各段階の状態の概略図が示されている。図4図11に示すように、本願の実施例に係るペロブスカイト層の製造方法は以下に示される。
【0039】
図4に示すように、基板21を提供する。該基板21は導電基板である。具体的には、該基板21はスズドープ酸化インジウム(ITO)透明導電ガラス、亜鉛ドープ酸化インジウム(IZO)透明導電ガラス、タングステンドープ酸化インジウム(IWO)透明導電ガラス、チタンドープ酸化インジウム(ITIO)透明導電ガラス、フッ素ドープ酸化スズ(FTO)透明導電ガラス、アルミニウムドープ酸化亜鉛(AZO)透明導電ガラスのうちのいずれかであってもよい。実際の適用では、上記の基板21は調達することにより取得してもよいし、マグネトロンスパッタリングなどのプロセスにより自己製造されたものであってもよい。
【0040】
後続の操作において基板21の加工処理を容易にするために、基板21を洗浄してもよい。
【0041】
図5に示すように、基板21上に電子輸送層22を形成する。電子輸送層22の材質はSnO、TiO、[6,6]-フェニル-C61-イソメチルブチレート(PCBM)のうちのいずれかであってもよいが、これらに限定されるものではない。電子輸送層22の厚さは50nm~100nmであってもよい。電子輸送層22の製造プロセスはスピンコート、蒸着などであってもよいが、これらに限定されるものではない。
【0042】
図6に示すように、電子輸送層22を有する基板21上にペロブスカイト種結晶23を形成する。ペロブスカイト種結晶23を形成するステップは、主として以下のステップを含む。
【0043】
基板21上にペロブスカイト前駆溶液を塗布して、ペロブスカイト前駆溶液の溶剤を揮発させ、ペロブスカイト種結晶中間体231を形成する。ペロブスカイト種結晶中間体231をアニーリング処理して、ペロブスカイト種結晶23を形成する。
【0044】
上記のペロブスカイト種結晶23は基板21上に離散的に分布している。複数のペロブスカイト種結晶23の粒子は基板21全体に分布しており、かつ、ペロブスカイト種結晶23は互いに所定の間隔を有し、重なって被覆する場合がない。この場合、基板21上に離散的に分布している複数のペロブスカイト種結晶23は、ペロブスカイトフィルムが成長するための複数の成長点となり、絶えずに成長して連続的なペロブスカイトフィルムを形成する。このような過程においては、離散的に分布しているペロブスカイト種結晶23は、ペロブスカイト種結晶23が互いに重なって被覆することによりペロブスカイトフィルムの結晶粒が小さすぎるという問題を回避し、均一なペロブスカイトフィルムを形成して、基板21を完全に被覆することができる。
【0045】
上記のペロブスカイト種結晶23の基板21での被覆率は10%~50%であってもよく、ペロブスカイト種結晶23の粒子径は10nm~200nmであってもよい。一方では、粒子径が10nm~200nmのペロブスカイト種結晶23は、サイズが適切であり、ペロブスカイト種結晶23の結晶粒のサイズが大きすぎる場合に内部欠陥が多いという問題を回避することができるとともに、ペロブスカイト種結晶23の結晶粒サイズが小さすぎる場合、その後のペロブスカイトフィルムの成長速度が遅いという問題も回避できる。他方では、ペロブスカイト種結晶23が上記の粒子径を有する場合、被覆率が10%~50%であると、基板21上に分布しているペロブスカイト種結晶23の間隔及び数が適切である。これらのペロブスカイト種結晶23の作用によって、結晶粒サイズが大きくかつ晶界などの欠陥が少ないペロブスカイトフィルムを効率的に形成することができる。この場合、ペロブスカイト種結晶23間の間隔が小さすぎる(被覆率が高すぎる)ことによりペロブスカイトフィルムの結晶粒サイズが小さく、晶界が多いという問題を解決できるとともに、ペロブスカイト種結晶23間の間隔が大きすぎる(被覆率が低すぎる)ことによりペロブスカイトフィルムの成長速度が遅いという問題を回避できる。
【0046】
一例として、ペロブスカイト種結晶23の基板21での被覆率は10%、18%、20%、25%、30%、34%、40%、45%、50%などであってもよい。ペロブスカイト種結晶23の粒子径は10nm、20nm、50nm、70nm、90nm、100nm、120nm、150nm、175nm、185nm、190nm、200nmなどであってもよい。
【0047】
実際の適用では、ペロブスカイト前駆溶液の濃度を調整することにより、上記のペロブスカイト種結晶23を得ることができる。具体的には、ペロブスカイト前駆溶液の濃度は0.1mol/L以下であってもよい。通常、ペロブスカイト層を製造するペロブスカイト前駆溶液の濃度は0.5mol/L~1.5mol/Lであり、本願の実施例では、ペロブスカイト前駆溶液の濃度は通常使用される濃度よりもはるかに低い。大量の溶剤により結晶化して析出されたペロブスカイト種結晶23を分離し、離散的に分布しているペロブスカイト種結晶23を形成することにより、上記の被覆率を有しかつ離散的に分布しているペロブスカイト種結晶23を形成することができる。この場合、ペロブスカイト前駆溶液の濃度を調整することにより、ペロブスカイト種結晶23の分散程度及び被覆率を調整することができる。ペロブスカイト前駆溶液の濃度が低いほど、ペロブスカイト種結晶23の被覆率が小さくなり、ペロブスカイト種結晶23の分散度が高くなる。
【0048】
一例として、ペロブスカイト前駆溶液の濃度は0.1mol/L、0.09mol/L、0.08mol/L、0.07mol/L、0.06mol/L、0.05mol/L、0.04mol/L、0.03mol/L、0.02mol/L、0.01mol/Lなどであってもよい。被覆率の良いペロブスカイト種結晶23を得るために、ペロブスカイト前駆溶液の濃度は0.02mol/L~0.05mol/Lの間であってもよい。
【0049】
実際の適用では、ペロブスカイト前駆溶液の配合比を調整することによって、上記のペロブスカイト種結晶23を取得することもできる。ペロブスカイト材料の一般式はABXであり、ペロブスカイト前駆溶液はAX前駆体とBX前駆体を含み、Xはハロゲン元素であり、A及びBはカチオンである。ペロブスカイト材料は有機無機ハイブリッド材料であってもよく、AX前駆体とBX前駆体との物質量比が(2~15):1であってもよい。ペロブスカイト層の製造に使用されるペロブスカイト前駆溶液では、AX前駆体とBX前駆体との物質量比は通常1:1であり、不動態化欠陥を考慮して、前駆体の一方を過量にしても、AX:BXの比は(0.9~1.1):1の間である。本願の実施例では、図15に示すように、AX前駆体の物質量が大きいので、ペロブスカイト前駆溶液の溶剤を揮発してペロブスカイト種結晶中間体231を形成した後に、AX前駆体が多く残留される。これらの過剰なAX前駆体は複数のペロブスカイト種結晶中間体231を分離することで、アニーリングの後に、離散的分布しておりかつ上記の被覆率を有するペロブスカイト種結晶23を形成することができる。これに基づいて、AX前駆体とBX前駆体との物質量比を調整することによって、ペロブスカイト種結晶23の被覆率を調整することができる。AX前駆体の物質量がBXの物質量に対して大きいほど、ペロブスカイト種結晶23の被覆率が低くなり、ペロブスカイト種結晶23の分散度が高くなる。ペロブスカイト材料が全無機材料である場合、AX前駆体とBX前駆体との物質量比は(0.95~1.05):1であってもよく、このような場合、前駆体の濃度によってペロブスカイト種結晶の被覆率を調整することができる。
【0050】
一例として、上記のAX前駆体とBX前駆体との物質量比は2:1、3:1、5:1、7:1、9:1、10:1、11:1、12.5:1、13:1、13.4:1、15:1などであってもよい。被覆率が適切なペロブスカイト種結晶23を得るために、AX前駆体とBX前駆体との物質量比は(5~10):1であってもよい。
【0051】
上記のペロブスカイト前駆溶液を塗布する方法はブレードコート、スピンコート、ドロップコート、インクジェット、輪転グラビアコート、スプレーコート及びロールコートのうちのいずれかであってもよい。ペロブスカイト前駆溶液の溶剤を揮発させる方法は自然揮発、ベークによる揮発、真空フラッシュ、貧溶媒による結晶化加速の方式であってもよいが、これらに限定されるものではなく、ペロブスカイト前駆溶液の溶剤を揮発できればよい。
【0052】
上記のアニーリング処理の時間は1min~30minであってもよい。例えば、アニーリング時間は1min、10min、12min、17min、20min、25min、28min、30minなどであってもよい。この場合、アニーリングして形成したペロブスカイト種結晶23の結晶粒サイズが適切である。さらに、この範囲のアニーリング時間では、アニーリング時間が長すぎることによりペロブスカイト種結晶23が成長しすぎるという問題を回避でき、さらにペロブスカイト種結晶23の内部欠陥を減少させる。
【0053】
上記のアニーリング処理の温度はペロブスカイト種結晶に応じて設定されてもよい。ペロブスカイト種結晶23が散在している非連続的な小結晶粒であるので、ペロブスカイト種結晶23を形成するアニーリング温度はペロブスカイトフィルムを形成するときのアニーリング温度よりも20℃~50℃低くするべきである。ペロブスカイト種結晶が全無機材料である場合、アニーリング処理の温度は120℃~220℃であってもよい。この場合、アニーリング処理の後に形成されたペロブスカイト種結晶23の欠陥が少ないことを確保しつつ、化学量論的ミスマッチやペロブスカイト種結晶23の分解を回避できる。好ましくは、アニーリング処理の温度は160℃~200℃であってもよい。例えば、ペロブスカイト種結晶が全無機材料である場合、アニーリング処理の温度は120℃、130℃、150℃、160℃、170℃、180℃、190℃、200℃、210℃、220℃などであってもよい。
【0054】
ペロブスカイト種結晶が有機無機ハイブリッドペロブスカイト材料であり、つまりAXが有機ハロゲン化物である場合、アニーリング処理の温度は60℃~130℃であってもよい。好ましくは、アニーリング処理の温度は90℃~110℃であってもよい。例えば、ペロブスカイト種結晶が有機無機材料である場合、アニーリング処理の温度は60℃、70℃、80℃、90℃、95℃、100℃、108℃、110℃、120℃、130℃などであってもよい。
【0055】
図7に示すように、ペロブスカイト種結晶23をペロブスカイト溶液30に浸漬する。該ペロブスカイト溶液30はペロブスカイト材料を溶解したものであってもよく、ペロブスカイト前駆溶液であってもよい。図8に示すように、ペロブスカイト種結晶23の作用によって、ペロブスカイト種結晶23をペロブスカイトフィルムに成長させ、ペロブスカイトフィルムをアニーリング処理して、ペロブスカイト層24を形成する。
【0056】
ペロブスカイトフィルムの割れ、晶界、孔などの欠陥を減少させるために、上記のペロブスカイト種結晶23をペロブスカイトフィルムに成長させる過程において、ペロブスカイト材料の溶解度を低下させることができる。ペロブスカイト溶液30でのペロブスカイト材料の溶解度の低下に伴い、ペロブスカイト溶液30中のペロブスカイト溶質は略飽和状態又は飽和状態になり、ペロブスカイト溶質がペロブスカイト溶液30から析出されやすくなる。この場合、ペロブスカイト溶質は素早く拡散してペロブスカイト種結晶23の周囲に輸送され、ペロブスカイト種結晶23の周囲で結晶が析出されることにより消費されたペロブスカイト溶質をタイムリーに補充することができる。これに基づいて、一方では、ペロブスカイト溶質がタイムリーに補充されるため、ペロブスカイトフィルムを成長する過程において晶界や孔などの欠陥を減少させ、ペロブスカイトフィルムの緻密度を向上させることができる。他方では、ペロブスカイト溶質がペロブスカイト種結晶23の周囲に素早く輸送されるので、ペロブスカイト種結晶23を迅速に成長させ、ペロブスカイトフィルムの成長速度を速めることができ、それによって、生産効率を高め、生産時間を節約することができる。
【0057】
ペロブスカイト材料の溶解度を低下させる方式はさまざまである。例えば、圧力を低下させる。また、例えば、降温する。降温によってペロブスカイト材料の溶解度を低下させる場合、一方では、この降温は実施されやすく、プロセスの難度が低減する。他方では、温度を調整することによって、ペロブスカイト材料溶解度を低下させる過程を容易に調整することができ、これによって、ペロブスカイト材料の溶解度を低下させる過程に大きな制御性を持たせる。
【0058】
降温の速度はペロブスカイト溶液30でのペロブスカイト材料の溶解度の低下速度と正の相関があり、一方、ペロブスカイト材料の溶解度の低下速度はペロブスカイトフィルムの成長速度と正の相関がある。これに基づいて、上記の降温の速度は0.1℃/h~10℃/hであってもよい。この場合、ペロブスカイト材料の溶解度の低下速度は適切であり、ペロブスカイトフィルムの成長速度を速めるとともに、ペロブスカイトフィルムの品質を確保することができる。これによって、ペロブスカイト結晶の成長速度が速すぎることにより欠陥が多すぎるという問題を回避できるだけでなく、ペロブスカイト結晶の成長速度が遅れすぎることにより生産効率が低下するという問題を回避できる。
【0059】
一例として、降温の速度は0.1℃/h、0.5℃/h、1℃/h、3℃/h、4.5℃/h、5℃/h、6.2℃/h、7℃/h、8.2℃/h、9℃/h、10℃/hなどであってもよい。
【0060】
上記の降温前に、ペロブスカイト溶液30の初期温度は100℃~150℃であってもよい。例えば、ペロブスカイト溶液30の初期温度は100℃、110℃、121℃、135℃、146℃、150℃、160℃、180℃、192℃、200℃などであってもよい。この場合、ペロブスカイト溶液30の初期温度が高いので、降温操作が実施されやすく、しかも、降温コストが低い。ペロブスカイト種結晶23を有する基板21をペロブスカイト溶液30に浸漬する前に、系全体の初期温度を一定にするために、基板21を初期温度に予熱してもよい。このようなペロブスカイトフィルム成長方式によれば、ペロブスカイト溶液30を調製する際には、まず、溶剤を初期温度に加熱し、次に、撹拌しながらペロブスカイト溶質を加えてもよい。ペロブスカイト溶液30の溶剤はN,N-ジメチルホルムアミド(DMF、沸点153℃)、ジメチルスルホキシド(DMSO、沸点189℃)、N-メチルピロリドン(NMP、沸点202℃)、γ-ブチロラクトン(沸点204℃)のうちの1種又は複数種の組み合わせであってもよい。初期温度が高いと、溶解度が高いペロブスカイト溶液30を得ることができ、また、常に溶剤の沸点より低い。
【0061】
ペロブスカイトフィルムの割れ、晶界、孔などの欠陥を減少させるために、上記のペロブスカイト種結晶23をペロブスカイトフィルムに成長させる過程において、溶剤揮発を加速することによってペロブスカイト材料の飽和度を高めることができる。溶剤揮発を加速することによって、ペロブスカイト溶液30中のペロブスカイト溶質を略飽和状態又は飽和状態にし、ペロブスカイト種結晶23をペロブスカイトフィルムに成長させる過程における晶界や孔などの欠陥を減少させ、ペロブスカイトフィルムの緻密度を向上させ、成長速度を速めることができる。
【0062】
具体的には、加熱によって溶剤揮発を加速することができる。この場合、加熱温度を制御することによって、溶剤揮発の速度を簡便に調整し、ペロブスカイトフィルムの成長速度を調整することができる。
【0063】
上記のペロブスカイト溶液30の初期温度は20℃~30℃であってもよく、ペロブスカイト種結晶23をペロブスカイトフィルムに成長させる過程中において加熱温度は40℃~100℃であってもよい。好ましくは、加熱温度は50℃~70℃であってもよい。この場合、ペロブスカイト溶液30の初期温度が低く、ペロブスカイト溶液30の製造が容易であり、また、より高温に加熱する場合、コストが低い。また、加熱温度と初期温度との温差が適切であるため、ペロブスカイトフィルムの成長速度を速めるとともに、ペロブスカイトフィルムの品質を確保することができる。一例として、ペロブスカイト溶液30の初期温度は20℃、21.5℃、22℃、23℃、24.5℃、25.1℃、26℃、27℃、28℃、29℃、30℃などであってもよい。加熱温度は40℃、50℃、60℃、70℃、80℃、90℃、100℃などであってもよい。これに基づいて、ペロブスカイト溶液30は室温で調製されてもよい。ペロブスカイト種結晶23を有する基板21をペロブスカイト溶液30に浸漬した後に、ペロブスカイト溶液30を加熱することで、溶剤揮発を加速することができる。
【0064】
上記のペロブスカイトフィルムを成長させるのに使用されるペロブスカイト溶液30は、不飽和溶液であってもよく、飽和溶液であってもよい。飽和溶液を用いてペロブスカイトフィルムを成長させる場合、上記のペロブスカイト種結晶23をペロブスカイト溶液30に浸漬するときに、ペロブスカイト溶液30は飽和溶液であり、また、ペロブスカイトフィルムを成長させる過程にわたってペロブスカイト溶液30は飽和状態のままである。飽和状態のペロブスカイト溶液30では、ペロブスカイト材料がペロブスカイト溶液30からより析出されやすくなり、ペロブスカイト種結晶23の作用によって、ペロブスカイト種結晶23の表面で素早く析出され、ペロブスカイト種結晶23の成長が促進され、欠陥が少なく緻密度が高いペロブスカイトフィルムが形成される。
【0065】
ペロブスカイト溶液30が飽和溶液である場合、ペロブスカイトフィルムを成長させる動力は溶液の過飽和度に由来する。ペロブスカイト溶液30が過飽和状態である場合、ペロブスカイト溶液30中の溶質は熱力学的に析出する傾向がある。ペロブスカイト種結晶23が存在する場合、ペロブスカイト溶質はペロブスカイト種結晶23の作用によってペロブスカイト種結晶23の表面で素早く析出され、ペロブスカイト種結晶23の成長が促進され、ペロブスカイトフィルムが形成される。
【0066】
飽和ペロブスカイト溶液30を調製する際には、撹拌しながら、溶剤に所定量のペロブスカイト溶質を加えた後に、溶質が完全に溶解するまで撹拌し、次に、溶質を再び加え、30min撹拌していても溶質が溶解しないまでこのように繰り返すと、飽和ペロブスカイト溶液30を完成する。
【0067】
なお、ペロブスカイトフィルムの成長過程において、基板21の側辺や裏面にもペロブスカイト溶質が析出する可能性がある。このような場合、ペロブスカイトフィルムを成長させる前に、基板21の側面や裏面を被覆してもよいし、ペロブスカイトフィルムを成長させた後に、アセトニトリルとDMFとの混合溶剤又は他の極性溶剤で拭き取ってもよい。
【0068】
図9に示すように、ペロブスカイト層24上に正孔輸送層25を形成する。該正孔輸送層25の材質は2,2’,7,7’-テトラキス[N,N-ビス(4-メトキシフェニル)アミノ]-9,9’-スピロビフルオレン(Spiro-OMeTAD)、(ポリ[ビス(4-フェニル)(2,4,6-トリメチルフェニル)アミン](PTAA)、2,2’,7,7’-テトラキス(ジ-p-トリルアミノ)スピロ-9,9’-ビフルオレン(Spiro-TTB)などであってもよい。正孔輸送層25を形成するプロセスはスピンコート、スプレーコート、マグネトロンスパッタリングプロセス、熱蒸着成膜のプロセスのいずれかであってもよいが、これらに限定されるものではない。ただし、上記のペロブスカイト太陽電池の製造において、まず、電子輸送層22を製造し、次に、ペロブスカイト層24と正孔輸送層25を製造する。いくつかのペロブスカイト層では、まず、正孔輸送層25を製造し、次に、ペロブスカイト層24と電子輸送層22を製造してもよい。
【0069】
図10に示すように、正孔輸送層25上に透明導電層26を形成し、該透明導電層26の材質はスズドープ酸化インジウム(ITO)、亜鉛ドープ酸化インジウム(IZO)、タングステンドープ酸化インジウム(IWO)、チタンドープ酸化インジウム(ITIO)、フッ素ドープ酸化スズ(FTO)、アルミニウムドープ酸化亜鉛(AZO)のうちの1種又は複数種であってもよい。透明導電層26を形成するプロセスはマグネトロンスパッタリングプロセス、熱蒸着プロセスなどであってもよい。ただし、いくつかのペロブスカイト層では、該透明導電層26は省略されていてもよい。
【0070】
図11に示すように、透明導電層26上に電極27を製造する。具体的には、電極27の材質は銀、銅など、導電性に優れた金属であってもよい。電極27を製造するプロセスはスクリーン印刷、蒸着、スパッタリングなどであってもよい。
【0071】
上記の製造方法に基づいて、本願の実施例では、ペロブスカイト種結晶23を形成する過程とペロブスカイト種結晶23をペロブスカイトフィルムに成長させる過程とを2つのステップに分けて行う。まず、基板21上にペロブスカイト種結晶23を形成し、次に、ペロブスカイト種結晶23をペロブスカイト溶液30に浸漬し、ペロブスカイト種結晶23の作用によって、ペロブスカイト種結晶23をペロブスカイトフィルムに成長させる。これに基づいて、ペロブスカイト種結晶23を形成する過程を独立して調整することで、結晶粒サイズが大きく基板21全体に分布しているペロブスカイト種結晶23を形成することができる。結晶粒サイズが大きく基板21全体に分布しているこれらのペロブスカイト種結晶23の作用によって、基板21全体に被覆されるペロブスカイトフィルムを成長させ、ペロブスカイトフィルムの欠陥を減少させることができる。この場合、このようなペロブスカイトフィルムはアニーリング処理を経ると、基板21全体に被覆され欠陥が少ないペロブスカイト層24となり、ペロブスカイト層の変換効率がさらに高まり、漏電のリスクが低減する。
【0072】
本願の実施例に係るペロブスカイト層の製造方法で製造されたペロブスカイト-太陽電池の性能を検証するために、以下、複数の実施例を比較することにより説明する。
【0073】
<実施例1>
本実施例に係るペロブスカイト層の製造方法は、具体的には、以下のとおりである。
【0074】
第1ステップ、清潔なFTO導電ガラスを提供する。
【0075】
第2ステップ、スピンコートプロセスによって材質がSnOであって厚さが100nmである電子輸送層をFTO導電ガラス上に形成する。
【0076】
第3ステップ、FAI 1032mg、PbI2 461mgをDMF 20mlに溶解し、60℃で2h加熱撹拌し、透明なペロブスカイト前駆溶液を得る。ここでは、FAI:PbI2(モル比)=6:1であり、溶液濃度が0.05mol/Lである。該ペロブスカイト前駆溶液を電子輸送層上にスピンコートし、スピンコート速度が3000rpm、スピンコート時間が30sである。スピンコート終了後に、100℃で10min~20minアニーリング処理し、溶剤と過量のFAIを揮発させて、離散的に分布しているFAPbI種結晶を電子輸送層上に形成する。
【0077】
第4ステップ、DMF 50mlをビーカーにて加熱して120℃で保温し、FAPbIペロブスカイト0.6gを加えて完全に溶解し、溶液が澄明になると、FAPbIペロブスカイト0.6gをさらに加えて溶解する。ペロブスカイトが溶解できなくなるまで上記の溶解過程を繰り返して、FAPbIペロブスカイトのDMF飽和溶液を得る。
【0078】
ペロブスカイト種結晶を有する基板を120℃に予熱した後に、上記の120℃のFAPbIペロブスカイトのDMF飽和溶液に浸漬する。ビーカーを密閉後に、120℃に予熱した精密オーブンに入れる。プログラムを設定して、ペロブスカイト飽和溶液を5℃/hの速度で室温に下げる。ペロブスカイトフィルムの成長厚さはペロブスカイト飽和溶液の降温幅により制御され、120℃から室温に下げる過程において、溶解度の差によって析出されるペロブスカイト溶質の量は電子輸送層上に堆積されるペロブスカイトの量にほぼ等しい。降温過程において、ペロブスカイト飽和溶液中の溶質は過飽和度により駆動されて、析出する傾向がある。ペロブスカイト種結晶の作用によって、ペロブスカイト種結晶の表面で結晶化し、ペロブスカイト種結晶が徐々に成長し、高品質で完全なFAPbIペロブスカイトフィルムが形成される。
【0079】
第5ステップ、スピンコートプロセスによって50nm厚であって材質がSpiro-OMeTADである正孔輸送層をペロブスカイト層に形成する。
【0080】
第6ステップ、熱蒸着プロセスによって厚さが100nmであって材質がFTOである透明導電層を正孔輸送層上に形成する。
【0081】
第7ステップ、蒸着プロセスによって透明導電層上に銀電極を形成する。
【0082】
<実施例2>
本実施例に係るペロブスカイト層の製造方法は実施例1に記載のペロブスカイト層の製造方法とほぼ同じであるが、相違するのは、次の点である。
【0083】
第3ステップ、FAI 688mg、PbI2 461mgをDMF 20mlに添加し、60℃で2h加熱撹拌し、透明なペロブスカイト前駆溶液を得る。ここでは、FAI:PbI2(モル比)=4:1であり、溶液濃度が0.05 mol/Lである。ペロブスカイト前駆溶液を電子輸送層上にスピンコートし、スピンコート速度が3000rpm、スピンコート時間が30sである。スピンコート終了後に、105℃で10min~20minアニーリング処理し、溶剤及び過量のFAIを揮発させて、電子輸送層上にFAPbI種結晶を得る。
【0084】
第4ステップ、室温(約25℃)でγ-ブチロラクトン50mlをビーカーに入れて、FAPbIペロブスカイト0.6gを加えて完全に溶解し、溶液が澄明になると、FAPbIペロブスカイト0.6gをさらに加えて溶解する。ペロブスカイトが溶解できなくなるまで上記の溶解過程を繰り返し、FAPbIペロブスカイトのγ-ブチロラクトン飽和溶液を得る。γ-ブチロラクトンの沸点が高いため、γ-ブチロラクトン溶剤の揮発速度が遅く、フィルムの成長速度が遅く、より高品質のペロブスカイトフィルムが得られる。
【0085】
FAPbI種結晶を有する基板を、上記のFAPbIペロブスカイトのγ-ブチロラクトン飽和溶液に浸漬し、ビーカーを開口状態にする。系全体(ビーカー)を温度が厳しく制御された環境に置いて、10℃/hの昇温速度で室温から60℃に加熱して6h~12h保温する。この過程において、飽和溶液中の溶剤が絶えずに揮発され、ペロブスカイト種結晶が徐々に成長し、最終的には、高品質FAPbIペロブスカイトフィルムが得られる。
【0086】
<実施例3>
本実施例に係るペロブスカイト層の製造方法は実施例1に記載のペロブスカイト層の製造方法とほぼ同じであるが、相違するのは、次の点である。
【0087】
第3ステップ、CsI 259.8mg、PbI2 461mgをDMF 50mlに添加し、80℃で2h撹拌し、透明で澄明なペロブスカイト前駆溶液を得る。ここでは、CsI:PbI2(モル比)=1.05:1であり、ペロブスカイト濃度が0.02 mol/Lである。上記のペロブスカイト前駆溶液を電子輸送層上にスピンコートし、スピンコート速度が4000rpm、スピンコート時間が45sである。スピンコート終了後に、160℃で10min~30minアニーリング処理し、電子輸送層上にCsPbI3種結晶を得る。
【0088】
DMSO 50mlをビーカーに入れて130℃に加熱して保温し、CsPbI3ペロブスカイト0.6gを加えて完全に溶解し、溶液が澄明になると、CsPbI3ペロブスカイト0.6gをさらに加えて溶解する。ペロブスカイトが溶解できなくなるまで上記の溶解過程を繰り返し、CsPbI3ペロブスカイトのDMSO飽和溶液を得る。
【0089】
CsPbI3種結晶を有する基板を130℃に予熱し、次に、130℃で保温しているCsPbI3ペロブスカイトのDMSO飽和溶液に浸漬する。ビーカーを密閉させ、130℃に予熱した精密オーブンに入れる。プログラムを設定して、系全体を6℃/hの速度で室温に下げる。降温過程において、飽和溶液中の溶質は過飽和により駆動されて、析出傾向がある。種結晶の作用によって、ペロブスカイト種結晶の表面で緩やかに結晶化し、ペロブスカイト種結晶が徐々に成長し、高品質で完全なCsPbI3ペロブスカイトフィルムが形成される。
【0090】
<実施例4>
本実施例に係るペロブスカイト層の製造方法は実施例1に記載のペロブスカイト層の製造方法とほぼ同じであるが、相違するのは、次の点である。
【0091】
第3ステップ、CsI 259.8mg、PbI2 461mgをDMF 50mlに添加し、80℃で2h撹拌し、透明で澄明なペロブスカイト前駆溶液を得る。ここでは、CsI:PbI2(モル比)=1:1であり、ペロブスカイト濃度が0.02mol/Lである。上記のペロブスカイト前駆溶液を電子輸送層上にスピンコートし、スピンコート速度が4000rpm、スピンコート時間が45sである。スピンコート終了後に、160℃で10~30minアニーリング加熱し、電子輸送層上にCsPbI3種結晶を得る。
【0092】
室温でγ-ブチロラクトン50mlをビーカーに入れて、CsPbI3ペロブスカイト0.6gを加えて完全に溶解し、溶液が澄明になると、CsPbI3ペロブスカイト0.6gをさらに加えて溶解する。ペロブスカイトが溶解できなくなるまで上記の溶解過程を繰り返し、CsPbI3ペロブスカイトのγ-ブチロラクトン飽和溶液を得る。
【0093】
CsPbI3種結晶を有する基板を上記のCsPbI3ペロブスカイトのγ-ブチロラクトン飽和溶液に浸漬し、ビーカーを開口状態にする。系全体を温度が厳しく制御された環境に入れて、10℃/hの昇温速度で室温から70℃に加熱して8~16h保温し、ペロブスカイト飽和溶液中の溶剤を絶えずに揮発させ、ペロブスカイト種結晶を徐々に成長させ、最終的には、CsPbI3ペロブスカイトフィルムを得る。
【0094】
<実施例5>
本実施例に係るペロブスカイト層の製造方法は実施例1に記載のペロブスカイト層の製造方法とほぼ同じであるが、相違するのは、次の点である。
【0095】
第4ステップ、DMF 50mlをビーカーにて加熱して120℃で保温し、FAPbIペロブスカイト3gを加えて完全に溶解し、溶液が澄明になると、FAPbIペロブスカイトのDMF不飽和溶液を得る。
【0096】
実施例1~実施例5で製造されたペロブスカイト層の微細構造を観察した結果、実施例1~実施例5で製造されたペロブスカイト層では、ペロブスカイト層の割れ、晶界や孔が少なく、緻密度が高いことを見出した。
【0097】
ここでは、各実施例を参照して本願を説明したが、実施により保護を求める本願のプロセスにおいて、当業者は、図面、開示内容、及び添付の特許請求の範囲に基づいて、開示される実施例の他の変化を理解して実現することができる。
【0098】
<実施例6>
図12に示すように、第2態様では、本願は、上記の実施例の何れかに記載のペロブスカイト層の製造方法で製造されてもよく、ペロブスカイト種結晶とペロブスカイトフィルムを含み、ペロブスカイト種結晶とペロブスカイトフィルムとの間に第1界面を含み、第1界面は高分解能走査型電子顕微鏡又は電子顕微鏡により観察可能な界面であるペロブスカイト層を更に提供する。ペロブスカイト種結晶とペロブスカイトフィルムとの間には高分解能走査型電子顕微鏡又は電子顕微鏡により観察可能な第1界面が形成されているため。
【0099】
図13及び図14に示すように、いくつかの可能な実施形態では、上記のペロブスカイト種結晶とペロブスカイトフィルムとの間に形成された第1界面は構造移行層であり、構造移行層の格子パラメータは第1順序に従って変化し、構造移行層の原子配列方式は第2順序に従って変化し、第1順序はペロブスカイト種結晶から離れる方向に沿って初期パラメータから初期パラメータよりも大きい第2パラメータに変わってから初期パラメータに変わる順序であり、第2順序はペロブスカイト種結晶から離れる方向に沿って秩序ありから秩序無しに変わってから秩序ありに変わる順序である。構造移行層の格子パラメータが第1順序に従って変化し、構造移行層の原子配列方式が第2順序に従って変化するので、欠陥の濃度もペロブスカイト種結晶から離れる方向に沿って初期濃度から初期濃度よりも大きい第2濃度に変わってから初期濃度に変わる順序に従って変化し、これにより、ペロブスカイトフィルムを形成する過程におけるペロブスカイト種結晶の変化がより緩やかになり、形成された第1界面の欠陥が減少し、直接変化によるペロブスカイトフィルムの急激な変化が回避される。
【0100】
いくつかの可能な実施形態では、構造移行層の厚さは所定の値の原子層の厚さよりも大きく、通常、10原子層だけの厚さであり、上記の構造移行層233の厚さは0.5nm以上5nm以下である。これによって、ペロブスカイト種結晶23とペロブスカイトフィルム24において「緩やかに移行する」のような効果が得られる。
【0101】
なお、本願では、「一例として」又は「例えば」などの用語は例示、検証又は説明として使用される。本願において「一例として」又は「例えば」として説明される実施例又は設計態様はいずれも、他の実施例又は設計態様よりも好ましい又はより優位性があるものとして理解すべきではない。詳細には、「一例として」又は「例えば」などの使用は具体的に関連概念を示すことを意図している。
【0102】
本願では、「少なくとも1つ」とは1つ又は複数を指し、「複数」とは2つ又は2つ以上を指す。「及び/又は」は、関連対象の関連関係を説明するものであり、3種類の関係が存在し得ることを示し、例えば、A及び/又はBは、Aが単独して存在する場合、AとBが同時に存在する場合、Bが単独して存在する場合を表し、ここでは、AとBは単数形又は複数形であってもよい。符号「/」は通常、前後の関連対象が「OR」の関係を持つことを示す。「以下の少なくとも1種(1つ)」又は類似の表現は、これらのもののうちの任意の組み合わせを指し、1種(1つ)又は複数種(複数)の任意の組み合わせを表す。例えば、a、b又はcのうちの少なくとも1種(1つ)とは、a、b、c、aとbの組み合わせ、aとcの組み合わせ、bとcの組み合わせ、又はa、b及びcの組み合わせを表してもよく、ここでは、a、b、cは1つであってもよく、複数であってもよい。
【0103】
本願は具体的な特徴及びその実施例を参照して説明されたが、明らかに、本願の趣旨及び範囲を逸脱することなく、本願についてさまざまな修正や組み合わせが可能である。このような場合、本明細書及び図面は添付の特許請求の範囲により定められた本願の例示的な説明であり、また、本願の範囲内の任意かつ全ての修正、変化、組み合わせ又は同等物をカバーする。明らかに、当業者は、本願の趣旨及び範囲を逸脱することなく、本願について様々な変化や変形を行うことができる。このようにして、本願のこれらの修正及び変形が本願の請求項及びその同等技術の範囲内であれば、本願はこれらの変化や変形も含むことを意図している。
【符号の説明】
【0104】
図1図3では、11-基板、12-電子輸送層、13-ペロブスカイト前駆溶液層、131-低濃度領域、141-ペロブスカイト種結晶、142-ペロブスカイト層。
図4図14では、21-基板、22-電子輸送層、23-ペロブスカイト種結晶、230-AX前駆体、231-ペロブスカイト種結晶中間体、232-第1界面、233-構造移行層、24-ペロブスカイト層、25-正孔輸送層、26-透明導電層、27-電極、30-ペロブスカイト溶液。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
【手続補正書】
【提出日】2023-04-04
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0024
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0024】
第2態様では、本願は、ペロブスカイト種結晶とペロブスカイトフィルムを含み、ペロブスカイト種結晶とペロブスカイトフィルムとの間に第1界面を含み、第1界面は高分解能走査型電子顕微鏡より観察可能な界面であるペロブスカイト層を更に提供する。ペロブスカイト種結晶とペロブスカイトフィルムとの間には高分解能走査型電子顕微鏡より観察可能な第1界面が形成されているため。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0098
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0098】
12に示すように、第2態様では、本願は、上記の実施例の何れかに記載のペロブスカイト層の製造方法で製造されてもよく、ペロブスカイト種結晶とペロブスカイトフィルムを含み、ペロブスカイト種結晶とペロブスカイトフィルムとの間に第1界面を含み、第1界面は高分解能走査型電子顕微鏡より観察可能な界面であるペロブスカイト層を更に提供する。ペロブスカイト種結晶とペロブスカイトフィルムとの間には高分解能走査型電子顕微鏡より観察可能な第1界面が形成されているため。
【手続補正3】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を提供するステップと、
前記基板上にペロブスカイト種結晶を形成するステップと、
前記ペロブスカイト種結晶をペロブスカイト溶液に浸漬して、ペロブスカイトフィルムを成長させるステップと、
前記ペロブスカイトフィルムをアニーリング処理して、ペロブスカイト層を形成するステップと、を含むことを特徴とするペロブスカイト層の製造方法。
【請求項2】
前記ペロブスカイト種結晶をペロブスカイトフィルムに成長させる過程において、ペロブスカイト溶液でのペロブスカイト材料の溶解度を低下させることによって、ペロブスカイト溶液からのペロブスカイト材料の析出を促進し、ペロブスカイト種結晶の成長のためのペロブスカイト材料を供給することを特徴とする請求項1に記載のペロブスカイト層の製造方法。
【請求項3】
降温によってペロブスカイト材料の溶解度を低下させることを特徴とする請求項2に記載のペロブスカイト層の製造方法。
【請求項4】
前記降温の降温速度は0.1℃/h~10℃/hであり、及び/又は、
前記降温前に、前記ペロブスカイト溶液の初期温度は100℃~150℃であることを特徴とする請求項3に記載のペロブスカイト層の製造方法。
【請求項5】
前記ペロブスカイト種結晶をペロブスカイトフィルムに成長させる過程において、溶剤揮発を加速することによってペロブスカイト溶液からのペロブスカイト材料の析出を促進し、ペロブスカイト種結晶の成長のためのペロブスカイト材料を供給することを特徴とする請求項1又は2に記載のペロブスカイト層の製造方法。
【請求項6】
加熱によって溶剤揮発を加速し、
前記ペロブスカイト溶液の初期温度は20℃~30℃であり、
前記ペロブスカイト種結晶をペロブスカイトフィルムに成長させる過程において、加熱温度が40℃~100℃であることを特徴とする請求項5に記載のペロブスカイト層の製造方法。
【請求項7】
前記ペロブスカイト種結晶をペロブスカイト溶液に浸漬するときに、前記ペロブスカイト溶液は飽和溶液であることを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載のペロブスカイト層の製造方法。
【請求項8】
前記ペロブスカイト種結晶は前記基板上に離散的に分布していることを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載のペロブスカイト太陽電池の製造方法。
【請求項9】
前記ペロブスカイト種結晶の前記基板での被覆率は10%~50%であり、前記ペロブスカイト種結晶の粒子径は10nm~200nmであることを特徴とする請求項8に記載のペロブスカイト層の製造方法。
【請求項10】
前記基板上にペロブスカイト種結晶を形成するステップは、
前記基板上にペロブスカイト前駆溶液を塗布して、前記ペロブスカイト前駆溶液の溶剤を揮発させ、ペロブスカイト種結晶中間体を形成するステップと、
前記ペロブスカイト種結晶中間体をアニーリング処理して、ペロブスカイト種結晶を形成するステップと、を含むことを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載のペロブスカイト層の製造方法。
【請求項11】
前記ペロブスカイト種結晶の一般式はABXであり、
前記ペロブスカイト前駆溶液はAX前駆体とBX前駆体を含み、Xはハロゲン元素であり、
前記ペロブスカイト種結晶は有機無機ハイブリッド材料であり、AX前駆体とBX前駆体との物質量比が(2~15):1であり、又は、前記ペロブスカイト種結晶は全無機材料であり、AX前駆体とBX前駆体との物質量比が(0.95~1.05):1であることを特徴とする請求項10に記載のペロブスカイト層の製造方法。
【請求項12】
前記ペロブスカイト前駆溶液の濃度は0.1mol/L以下であり、及び/又は、
前記ペロブスカイト種結晶を形成するアニーリング処理の時間は1min~30minであることを特徴とする請求項11に記載のペロブスカイト層の製造方法。
【請求項13】
前記ペロブスカイト種結晶は有機無機ハイブリッド材料であり、前記ペロブスカイト種結晶を形成するアニーリング処理の温度は60℃~130℃であり、又は、
前記ペロブスカイト種結晶は全無機材料であり、前記ペロブスカイト種結晶を形成するアニーリング処理の温度は120℃~220℃であることを特徴とする請求項12に記載のペロブスカイト層の製造方法。
【請求項14】
前記ペロブスカイト種結晶のペロブスカイト成分と前記ペロブスカイト溶液のペロブスカイト成分が同じであることを特徴とする請求項1に記載のペロブスカイト層の製造方法。
【請求項15】
ペロブスカイト種結晶とペロブスカイトフィルムを含み、
前記ペロブスカイト種結晶と前記ペロブスカイトフィルムとの間に第1界面を含み、前記第1界面は高分解能走査型電子顕微鏡より観察可能であることを特徴とするペロブスカイト層。
【請求項16】
前記ペロブスカイト種結晶と前記ペロブスカイトフィルムとの間に含まれる前記第1界面は構造移行層をさらに含み、前記構造移行層の格子パラメータは第1順序に従って変化し、前記構造移行層の原子配列方式は第2順序に従って変化し、前記第1順序は前記ペロブスカイト種結晶から離れる方向に沿って初期パラメータから初期パラメータよりも大きい第2パラメータに変わってから初期パラメータに変わる順序であり、前記第2順序は前記ペロブスカイト種結晶から離れる方向に沿って秩序ありから秩序無しに変わってから秩序ありに変わる順序であることを特徴とする請求項15に記載のペロブスカイト層。
【請求項17】
前記構造移行層の厚さは0.5nm以上5nm以下であることを特徴とする請求項16に記載のペロブスカイト層。
【請求項18】
請求項15~17のいずれか1項に記載のペロブスカイト層を含むことを特徴とするペロブスカイト太陽電池。
【請求項19】
請求項18に記載のペロブスカイト太陽電池を含むことを特徴とするペロブスカイト層付き太陽電池モジュール。
【国際調査報告】