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特表2023-549325無菌サンプリングおよび液体付加のためのシステムおよび方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-24
(54)【発明の名称】無菌サンプリングおよび液体付加のためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   C12M 1/26 20060101AFI20231116BHJP
   C12M 1/00 20060101ALI20231116BHJP
   G01N 1/00 20060101ALI20231116BHJP
【FI】
C12M1/26
C12M1/00 D
G01N1/00 101K
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023526119
(86)(22)【出願日】2021-10-27
(85)【翻訳文提出日】2023-04-27
(86)【国際出願番号】 EP2021079802
(87)【国際公開番号】W WO2022106165
(87)【国際公開日】2022-05-27
(31)【優先権主張番号】16/951,280
(32)【優先日】2020-11-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】598041463
【氏名又は名称】グローバル・ライフ・サイエンシズ・ソリューションズ・ユーエスエー・エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100154922
【弁理士】
【氏名又は名称】崔 允辰
(74)【代理人】
【識別番号】100207158
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 研二
(72)【発明者】
【氏名】マーク・アール・ティミンズ
(72)【発明者】
【氏名】マシュー・シャーマン
(72)【発明者】
【氏名】ヤッサー・アリ
(72)【発明者】
【氏名】マーク・ピカルド
(72)【発明者】
【氏名】キース・ベノワ
【テーマコード(参考)】
2G052
4B029
【Fターム(参考)】
2G052AA36
2G052AC23
2G052AD29
2G052CA20
2G052CA32
2G052GA29
2G052JA08
4B029AA02
4B029AA09
4B029BB01
4B029CC01
4B029GB02
4B029HA05
(57)【要約】
サンプリングシステムは、サンプル源への流体接続用に構成された目盛り付きサンプリングチャンバと、サンプリングチャンバとの流体接続用に構成されたポンプデバイスと、ポンプデバイスとサンプリングチャンバとの中間の無菌エアフィルタとを含み、ポンプデバイスが、サンプル源からサンプリングチャンバに一定量の流体を引き込むように選択的に動作可能である、サンプリングシステム。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
サンプル源への流体接続用に構成された目盛り付きサンプリングチャンバと、
前記サンプリングチャンバとの流体接続用に構成されたポンプデバイスと、
前記ポンプデバイスと前記サンプリングチャンバとの中間にある無菌エアフィルタと、
を含んでなるサンプリングシステムであって、
前記ポンプデバイスは、流体量が前記ポンプデバイスに接触することなく、前記サンプル源から前記サンプリングチャンバに一定量の流体を引き込むように選択的に動作可能であることを特徴とする、サンプリングシステム。
【請求項2】
前記サンプリングチャンバは、入口を出口から分離するバッフルを含み、前記入口では流体が前記サンプリングチャンバに入り、前記出口では、ポンプが前記サンプリングチャンバから空気を引き込む、請求項1に記載のサンプリングシステム。
【請求項3】
前記サンプリングチャンバと前記サンプル源との中間にある第1のバルブであって、前記サンプル源から前記サンプリングチャンバへの流体の一方向の流れを可能にする第1のバルブをさらに含む、請求項1または2に記載のサンプリングシステム。
【請求項4】
前記サンプリングチャンバは、前記サンプリングチャンバの底部に隣接する位置で前記サンプル源の流体接続用に構成され、さらに、
前記サンプリングチャンバは、前記サンプリングチャンバの上部に隣接する位置で前記ポンプデバイスの流体接続用に構成されている、請求項1~3のいずれか一項に記載のサンプリングシステム。
【請求項5】
前記サンプリングチャンバと前記サンプル源の中間にある第1のバルブと、
前記第1のバルブを介して前記サンプリングチャンバに流体接続されたサンプル収集ラインと、
をさらに含み、
前記第1のバルブは、前記サンプル源および/または前記サンプル収集ラインを選択的に前記サンプリングチャンバと流体連通させるように動作可能である、請求項1~4のいずれか一項に記載のサンプリングシステム。
【請求項6】
前記第1のバルブは、前記ポンプデバイスが動作可能である一定量の流体を前記サンプリングチャンバに引き込むように、前記サンプリングチャンバが前記サンプル源と流体連通する第1の位置に移動可能であり、さらに、
前記第1のバルブは、前記サンプリングチャンバ内の一定量の流体が前記サンプリングチャンバから前記サンプル収集ラインを通って流れるように、前記サンプリングチャンバが前記サンプル収集ラインと流体連通する第2の位置に移動可能である、請求項5に記載のサンプリングシステム。
【請求項7】
前記ポンプデバイスがシリンジである、請求項1~6のいずれか一項に記載のサンプリングシステム。
【請求項8】
前記ポンプデバイスが自動ポンプである、請求項1~7のいずれか一項に記載のサンプリングシステム。
【請求項9】
前記サンプル収集ラインと流体連通するレセプタクルをさらに含む、請求項5に記載のサンプリングシステム。
【請求項10】
前記レセプタクルがバキュテナー(vacutainer)である、請求項8に記載のサンプリングシステム。
【請求項11】
前記サンプル源は、細胞培養容器または循環ループのいずれかである、請求項1~10のいずれか一項に記載のサンプリングシステム。
【請求項12】
入口ポートを介して媒体源に流体接続し、出口ポートを介して前記細胞培養容器または循環ループに流体接続するように構成された第2のチャンバと、
前記第2のチャンバと流体接続するように構成された第2のポンプデバイスと、
前記第2のチャンバと前記媒体源との中間にある第1のバルブであって、前記媒体源から前記第2のチャンバへの一方向の流れを可能にする第1のバルブと、
前記第2のチャンバと前記細胞培養容器または循環ループとの中間にある第2のバルブであって、第2のチャンバから前記細胞培養容器または循環ループへの一方向の流れを可能にする第2のバルブと、
をさらに含み、
前記第2のポンプデバイスは、前記媒体源から前記第2のチャンバに一定量の流体を引き込み、前記第2のチャンバから前記細胞培養容器または循環ループに一定量の流体を押し込むように選択的に動作可能である、請求項11に記載のサンプリングシステム。
【請求項13】
サンプリングチャンバをサンプル源に接続するステップと、
ポンプを作動させて、流体量がポンプに接触することなく、バルブを介して前記サンプル源から一定量の流体を前記サンプリングチャンバに引き込むステップと、
を含んでなるサンプリング方法であって、
前記バルブは、前記サンプリングチャンバから前記サンプル源への流体の逆流を防ぐように構成されていることを特徴とする、サンプリング方法。
【請求項14】
前記バルブが逆止バルブまたは活栓(stopcocks)のいずれかである、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記ポンプを作動させて一定量の流体を前記サンプリングチャンバに引き込むステップは、出口を介して前記サンプリングチャンバから空気を排出することを含み、
前記出口が無菌エアフィルタで構成されている、請求項13または14に記載の方法。
【請求項16】
前記ポンプがシリンジであり、
前記サンプリングチャンバには目盛りが付いている、請求項13~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
サンプリングラインを前記サンプリングチャンバと流体連通させるために第2のバルブを開くステップと、
前記サンプリングチャンバから前記サンプリングラインに一定量の液体を流すステップと、
をさらに含む、請求項13~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記サンプリングチャンバから前記サンプリングラインに一定量の流体を流すステップは、無菌エアフィルタを介して前記サンプリングチャンバに空気を押し込んで、前記サンプリングチャンバから一定量の流体を移動させることを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
細胞培養容器と、
第1の流体を前記細胞培養容器に付加するための第1のアセンブリであって、
第1のチャンバ内の入口ポートを介して前記第1の流体の供給源への流体接続用、且つ、第1のチャンバ内の出口ポートを介して前記細胞培養容器への流体接続用に構成された第1のチャンバと、
前記第1のチャンバとの流体接続用に構成された第1のポンプデバイスと、
前記第1のチャンバと前記供給源との中間にある第1のバルブであって、前記供給源から前記第1のチャンバへの一方向の流れを可能にする第1のバルブと、
前記第1のチャンバと前記細胞培養容器との中間にある第2のバルブであって、前記第1のチャンバから前記細胞培養容器への一方向の流れを可能にする第2のバルブと、
を備え、前記第1のポンプデバイスが、前記供給源から前記第1のチャンバ内にある前記第1の流体の一定量を引き込み、前記第1のチャンバから前記細胞培養容器内にある一定量の流体を押し出すように選択的に動作可能である、第1のアセンブリと、
前記細胞培養容器から第2の流体を除去するための第2のアセンブリであって、
第2のチャンバ内の入口ポートを介して前記細胞培養容器への流体接続用、且つ、第2のチャンバ内の出口ポートを介して収集容器への流体接続用に構成された第2のチャンバと、
前記第2のチャンバとの流体接続用に構成された第2のポンプデバイスと、
前記細胞培養容器と前記第2のチャンバとの中間にある第3のバルブであって、前記細胞培養容器から前記第2のチャンバへの一方向の流れを可能にする第3のバルブと、
前記第2のチャンバと前記収集容器との中間にある第4のバルブであって、前記第2のチャンバから前記収集容器への一方向の流れを可能にする第4のバルブと、
を備え、前記第2のポンプデバイスが、前記細胞培養容器から前記第2のチャンバに第2の流体の一定量を引き込み、前記第2のチャンバから前記収集容器に一定量の流体を押し出すように選択的に動作可能である、第2のアセンブリと、
を含んでなることを特徴とする、バイオプロセシングシステム。
【請求項20】
前記第1のポンプデバイスおよび前記第2のポンプデバイスはシリンジであり、
前記第1のチャンバおよび前記第2のチャンバには目盛りが付いている、請求項19に記載のバイオプロセシングシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、一般に無菌サンプリングに関し、より具体的には、機能的に閉鎖された方法でバイオリアクター内の細胞培養物に/から所定量の流体または細胞を追加または除去する(サンプリングを含む)ためのシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
通常、細胞培養プロセス(cell culture process)では、増殖媒体(growth media)を使用して細胞に栄養を与え、細胞分泌産物(cell-secreted products)を運び去る。増殖媒体は、例えば、培養容器からの細胞分泌タンパク質(cell-secreted proteins)の回収、および/または、細胞の増殖などの他の目的のために、生物細胞のインビトロ(試験管)培養(in vitro culture)用の培養容器(culture vessel)に連続的または断続的に提供される。さらに、増殖媒体は、適切なチュービングを使用して形成された流路を介して培養容器に提供される。多くの場合、このチュービングは閉鎖システムとして存在し、閉鎖システムには、新鮮な増殖媒体の導入による定期的または連続的な増殖媒体の補充が含まれる。
【0003】
多くの場合、細胞培養プロセスを監視することが望ましい。さらに、細胞培養容器内および/または流路内の1つまたは複数の点で増殖媒体を監視することは、細胞培養プロセスを監視および/または制御する効果的な方法である。典型的には、細胞培養プロセスのモニタリングは、培養容器にセンサーを設置すること、並びに、分析のために、増殖媒体の一部または培養容器からの細胞および培養媒体の混合物を有するサンプルを定期的に引き出すことによって行われる。したがって、例えば、栄養成分、細胞分泌タンパク質、細胞分泌代謝産物などの1つまたは複数のプロセス条件を監視するために、培養容器を通過する前、通過中、および通過した後の増殖媒体の分析は、培養容器内の生存細胞の数、細胞による栄養消費速度、産物分泌速度、細胞増殖速度、細胞増殖のプロセス、細胞の細分化の有無などのうちの1つまたは複数に関する重要な情報を提供し得る。そのような情報は、閉鎖系を監視するため、および/または、細胞培養プロセスを最適化するために、プロセス条件、増殖媒体の組成などの変更を必要とし得る変化を示すために使用され得る。
【0004】
さらに、細胞培養プロセスは無菌条件下で実施する必要があり、無菌条件が存在しないと細胞が汚染され、それによって回収された生成物の汚染および/または細胞生存率の損失が生じ得る。結果として、細胞培養システムとそのコンポーネント部品は、プロセスの開始前にシステムのそれぞれの部分または全体が滅菌され、滅菌培養媒体と汚染されていない種細胞ストックとを使用して、無菌条件下で開始および維持されることがよくある。
【0005】
しかしながら、サンプリング中、培養媒体またはサンプル(試料)のサンプリングが、事前に確立された無菌システムへの汚染物質の導入を防止する方法で実行されることを確実にする必要がある。このサンプルの無菌回収を達成するための従来の技術は、精巧で、費用がかかり、時間もかかる。さらに、サンプルを無菌的に取り出すための従来の技術は、培養容器の無菌性を損なう可能性がある。例として、いくつかの既存のシステムでは、培養容器であろうと、培養容器へのまたは培養容器からの流路であろうと、サンプルが引き出される領域には、チュービングまたは他の適切な構造の短いセグメントの形などのサンプルポートが設けられる。そして、このサンプルポートを介してシステムにアクセスし、所望の量のサンプルを取り出す。さらに、細胞と増殖媒体との混合物である生物学的接種材料(biological inoculum)の一部は、培養容器内で行われている細胞培養プロセスを監視するために、異なる時点で培養容器から引き出される。
【0006】
それぞれのサンプリング事例では、培養容器からサンプルの一部を引き出す必要がある。様々なチューブがポートに取り付けられるか、または異なるサンプリング事例のために時間内の異なる事例で培養容器のポートを通過する。チューブ内または培養容器とチューブとの間の接続部に漏れや汚染があると、培養容器に汚染物質が混入する可能性がある。さらに、すべてのサンプリング事例には、使用者が培養容器に直接的または間接的にある種のチュービングまたはデバイスを取り付けることを伴い、それによって接種材料(inoculum)の汚染のリスクが高まる。例として、培養容器から引き出されたサンプルを収集するために、プラスチックのサンプリングバッグまたはシリンジ(注射器)がチューブに取り付けられ得る。サンプリングバッグ/シリンジを培養容器に結合することにより、汚染物質が混入するリスクが高まることに加えて、サンプリング後にサンプルの一部がチューブ内に残る可能性もある。そして、この残留サンプルは、次のサンプリング事例に不注意に持ち越され、それによって、次のサンプリング事例で得られるサンプルの純度を危険にさらし得る。さらに、それぞれのサンプリング事例は、接種材料の汚染の可能性を高める。
【0007】
したがって、課題は、培養を汚染するリスクを最小限に抑えるために、機能的に閉鎖された方法において、(例えば、オフラインQC用のサンプリングなど)使い捨てバイオリアクターまたは他の容器から繰り返し除去することである。別の現行のサンプリングプロセスには、バイオリアクター容器のスワブ可能ルアーポート(swabable Luer port)に接続された使い捨てシリンジが含まれる。しかしながら、(汚染を予防するために使用前後にアルコールで拭く必要がある)ルアーは大気にさらされているため、シリンジも同じ理由で、ポートもルアーも閉じているとは見なされず、そしてプランジャが誤ってバレル(barrel)から完全に取り外される危険性がある。さらに、このアプローチを使用すると、液体が容器に押し戻されるリスクを伴い、その結果汚染のリスクがさらに高まる。
【0008】
これらの制限に対処するための最近の取り組みでは、活栓付きマニホールド(stop-cocked manifold)を使用して汚染のリスクを軽減し、活栓(stopcocks)を使用して流れを(手動で)管理し、市販のバキュテナー(commercial vacutainers)を使用して流れが容器に向かって内側に戻るのではなく外側に流れるようにする。しかしながら、このような活栓は、オープン(開放)ステップを介して接続する必要がある。この設計概念の制限は、収集するボリューム(量)を正確に制御できないことである(すなわち、容器から引き出される量は、利用可能なバキュテナーチューブ(vacutainer tube)の容量の増分である必要があり、その最小値は2mLである)。
【0009】
上記に鑑みて、機能的に閉鎖された方法で流体容器に、または流体容器から既知の量の流体を追加または除去するためのシステムおよび方法が必要とされている。
【発明の概要】
【0010】
一実施形態では、サンプリングシステムが提供される。サンプリングシステムは、サンプル源への流体接続用に構成された目盛り付きサンプリングチャンバと、サンプリングチャンバとの流体接続用に構成されたポンプデバイスと、ポンプデバイスとサンプリングチャンバとの中間にある無菌エアフィルタとを備え、ポンプデバイスが、流体量がポンプデバイスに接触することなく、サンプル源からサンプリングチャンバに一定量の流体を引き込むように選択的に動作可能である。
【0011】
本発明の別の実施形態では、サンプリング方法が提供される。この方法は、サンプリングチャンバをサンプル源に接続するステップと、流体量がポンプに接触することなく、バルブを介してサンプル源から一定量の流体をサンプリングチャンバに引き込むステップとを含み、バルブは、サンプリングチャンバからサンプル源への流体の逆流を防ぐように構成されている。
【0012】
さらに別の実施形態では、バイオプロセシングシステムが提供される。バイオプロセシングシステムは、細胞培養容器と、細胞培養容器に第1の流体を付加するための第1のアセンブリとを含む。第1のアセンブリは、第1のチャンバ内の入口ポートを介して第1の流体の供給源への流体接続用、且つ、第1のチャンバ内の出口ポートを介して細胞培養容器への流体接続用に構成された第1のチャンバと、第1のチャンバとの流体接続用に構成された第1のポンプデバイスと、第1のチャンバと供給源との中間にある第1のバルブであって、供給源から第1のチャンバへの一方向の流れを可能にする第1のバルブと、第1のチャンバと細胞培養容器との中間にある第2のバルブであって、第1のチャンバから細胞培養容器への一方向の流れを可能にする第2のバルブと、を含む。第1のポンプデバイスは、供給源から第1のチャンバ内にある第1の流体の一定量を引き込み、第1のチャンバから細胞培養容器内にある一定量の流体を押し出すように選択的に動作可能である。バイオプロセシングシステムは、細胞培養容器から第2の流体を除去するための第2のアセンブリも含む。第2のアセンブリは、第2のチャンバ内の入口ポートを介して細胞培養容器への流体接続用、且つ、第2のチャンバ内の出口ポートを介して収集容器への流体接続用に構成された第2のチャンバと、第2のチャンバとの流体接続用に構成された第2のポンプデバイスと、細胞培養容器と第2のチャンバとの中間にある第3のバルブであって、細胞培養容器から第2のチャンバへの一方向の流れを可能にする第3のバルブと、第2のチャンバと収集容器との中間にある第4のバルブであって、第2のチャンバから収集容器への一方向の流れを可能にする第4のバルブと、を含む。第2のポンプデバイスが、細胞培養容器から第2のチャンバに第2の流体の一定量を引き込み、第2のチャンバから収集容器に一定量の流体を押し出すように選択的に動作可能である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
本発明は、添付の図面を参照して、非限定的な実施形態の以下の説明を読むことにより、よりよく理解されるであろう。
【0014】
図1】本発明の一実施形態による、サンプル源から1つまたは複数のサンプルを無菌的に引き出すように構成された例示的なサンプリングアセンブリの概略図である。
図2】本発明の別の実施形態による、例示的なバイオプロセシングアセンブリの概略図である。
図3】本発明の別の実施形態によるバイオプロセシングシステム用の例示的なサンプリングアセンブリの概略図である。
図4】サンプリング操作を示す、本発明の一実施形態による例示的なサンプリングアセンブリの概略図である。
図5】フラッシング操作(flushing operation)を示す、図4のサンプリングアセンブリの概略図である。
図6】本発明の別の実施形態による例示的なサンプリングアセンブリの概略図である。
図7図6のアセンブリの目盛り付きサンプリングチャンバの一部の拡大詳細図である。
図8図6のアセンブリの目盛り付きサンプリングチャンバの一部の別の拡大詳細図である。
図9】サンプリング操作を示す、本発明の一実施形態による例示的なサンプリングアセンブリの概略図である。
図10】フラッシング操作を示す、図9のサンプリングアセンブリの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の例示的な実施形態を詳細に参照し、その例を添付の図面に示す。可能な限り、図面全体で使用される同様の参照文字は、同じまたは類似の部品を指す。
【0016】
本発明の実施形態は、機能的に閉鎖された方法で流体容器に、或いは、流体容器から既知の容量の流体を付加または除去するためのポンプデバイスおよび関連する方法に関する。特に、本発明の実施形態は、目盛り付きチャンバ(graduated chamber)、活栓(stopcocks)、逆止バルブ(check valves)、無菌フィルタ、および、無菌溶接可能なチューブ(sterile-weldable tubing)を中心とするが、他の同様または同等の実施形態に一般化可能である。最も単純な形態では、ポンプデバイスは手動で操作することができるが、本発明の実施形態を根本的に変更することなく操作を自動化することができる。
【0017】
したがって、本明細書に開示される本発明の実施形態は、無菌溶接可能なチューブを利用して接続を行うことによって、先行技術の課題に対処し(しかしながら、この態様は、自己ワイピングコネクタ(self-wiping connectors)などの無菌接続の他の手段に一般化可能である)、そして、無菌フィルタの外側のシリンジをポンプとして使用して、バイオリアクターまたは培養容器から液体を引き出し、サンプル収集容器またはレセプタクルに押し込む。或いは、一実施形態では、目盛り付きチャンバ自体を収集容器として使用することができる。本明細書に記載の発明は、一方向のみの流体の流れを確保するために、活栓(手動または電気機械的に作動しなければならない)、逆止バルブ、またはピンチバルブ(介入を必要としない)のいずれかを可能にする。
【0018】
以下に開示するように、最も単純な実施形態は、流体が最初に収集され(使用者がどのくらいの量のサンプルが引き出されるかを視覚的に測定および制御できるように段階的に変化する)、流体が収集容器に排出される目盛付きチャンバを含む。本発明のより広い側面から逸脱することなく、シリンジ動作を自動化し、サンプル容量を(眼球ではなく)そのように計量することができると考えられる。
【0019】
この概念は、密閉容器内への流体の押し込みと、前記容器からの流体の除去の両方に適用され得る。実際の唯一の違いは、流れの方向または逆止バルブの向きである。密閉容器が細胞培養チャンバである一実施形態では、このような一対の装置を使用して、手動、半手動、または自動で前記容器に出入りする(すなわち、バランスの取れた同時かつ継続的な新鮮な媒体の追加と使用済み媒体の除去)効果的な灌流が実施され得る。
【0020】
本明細書で使用される語句「生物学的サンプル」は、1つより多くの生物、細胞、および/またはウイルスに由来する、或いは、それらに対応する、任意の粒子、物質、抽出物、混合物、および/または集合体を指す。理解されるように、自動細胞管理システムで培養され得る細胞には、動物細胞、昆虫細胞、細菌、酵母、哺乳動物細胞、ヒト細胞、トランスジェニック細胞(transgenic cells)、遺伝子操作細胞(genetically engineered cells)、形質転換細胞(transformed cells)、細胞株(cell lines)、植物細胞、足場依存性細胞(anchorage-dependent cells)、足場非依存性細胞(anchorage-independent cells)、および、その他のインビトロ(in vitro)で培養可能な細胞を含むがこれらに限定されない1つまたは複数の細胞型が含まれる。生物学的サンプルはまた、流体(例えば、水)、緩衝液(buffer)、培養栄養素(culture nutrients)、塩、他の試薬(reagents)、染料(dyes)などの分析を容易にする追加の成分を含む。したがって、生物学的サンプルは、増殖媒体および/または別の適切な流体媒体に配置された1つまたは複数の細胞を含み得る。
【0021】
本明細書で使用する「無菌」または「無菌環境」という用語は、意図しない微生物が実質的に存在しない環境を指す。
【0022】
さらに、本明細書で使用される用語「サンプル源」は、医薬品、抗体、ワクチンなどの物質の生産、または有機廃棄物の生物変換のために、制御された条件下でバクテリアや酵母などの生物を増殖させるための、大型発酵チャンバ、バイオリアクター、バイオリアクター容器および/または培養容器など、制御された条件下で細菌または酵母などの生物を増殖させるための任意の適切な装置を指す。さらに、「サンプル源」という用語は、微生物、動物、昆虫、および植物細胞の好気性培養および嫌気性培養の両方のための容器を含み、したがって発酵槽(fermenter)を包含する。
【0023】
さらに、本明細書で使用される「細胞培養(cell culture)」は、細胞、組織、またはそれらの産物の増殖、維持、分化、トランスフェクション(transfection)、または増殖(propagation)を伴う。
【0024】
また、本明細書で使用される用語「生物学的接種材料(biological inoculum)」は、細胞培養、増殖媒体に懸濁された細胞、懸濁細胞、細胞凝集体(cell aggregates)、ビーズ(beads)に付着して増殖媒体に懸濁された細胞などを指す。さらに、用語「生物学的接種材料」はまた、哺乳動物細胞型(例えば、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)、ヒト胚性腎臓(HEK)、ヒト胚性幹細胞(hESC)、主ヒト細胞(primary human cells)、T細胞など)、昆虫細胞型、植物細胞型、微生物細胞型などの様々な細胞型を指す。
【0025】
さらに、本明細書で使用される、語句「増殖媒体」または「増殖媒体」は、生細胞(または組織内の生細胞)を維持し、それらの増殖を支持するための栄養素(例えば、ビタミン、アミノ酸、必須栄養素、塩など)および特性(例えば、浸透圧、緩衝)を提供するために使用される液体溶液を指すために使用される。市販の組織増殖媒体は、当業者に知られている。本明細書で使用される用語「細胞増殖媒体」は、細胞培養を形成する際に培養細胞とインキュベート(incubated)された組織増殖媒体を意味し、より好ましくは、培養細胞によって分泌、排泄、または放出される物質、或いは、組織増殖媒体の存在下で細胞を培養することから生じる他の組成的および/または物理的変化をさらに含む組織増殖媒体を指す。
【0026】
さらに、本明細書で使用される「サンプリング事例」という用語は、所与の事例においてサンプル源からサンプルを引き出す事象を指すために使用され得る。
【0027】
さらに、本明細書で使用される「無菌サンプリング」という用語は、サンプル源または関連構成要素への汚染または外部不純物の侵入を防止しながらサンプリングすることを指す。
【0028】
また、本明細書で使用される用語「チュービング(tubing)」は、サンプリング導管、回収導管、および1つまたは複数のサブ導管のうちの1つまたは複数の少なくとも一部を指し得る。
【0029】
本明細書で使用される用語「流体連通」は、流体が一方の構成要素から他方の構成要素に流れることを可能にし得る2つの構成要素間の関係を指す。
【0030】
図1は、サンプル源12からの1つまたは複数のサンプルの無菌サンプリングのために構成されたサンプリングアセンブリ10(本明細書ではサンプリングシステム10とも呼ばれる)を示している。サンプリングアセンブリ10は、それに関連するポート16を有するサンプル源12を含む必要がないことに留意されたい。特定の実施形態では、サンプル源12は、細胞拡大および細胞増殖などの細胞培養用に構成された適切な培養容器であってもよいが、これらに限定されない。さらに、サンプル源12は、生物学的接種材料を収容するように構成され得る。いくつかの実施形態では、無菌サンプリングを実行して、サンプル源12で発生する細胞培養プロセスを監視することができる。所与の時間に実行されるサンプリングは、サンプリング事例と呼ぶことができる。一実施形態では、サンプリングアセンブリ10を使用して、時間効率が良く無菌的な方法で、複数のサンプリング事例が実行され得る。
【0031】
図1に示すように、サンプリングアセンブリ10(本明細書ではサンプリングシステム10とも呼ばれる)は、サンプル源12のポート16への接続を介するなど、サンプル源12への流体接続のために構成された目盛り付きサンプリングチャンバ14と、サンプリングチャンバ14への流体接続のために構成されたシリンジ18などのポンプデバイスとを含む。サンプリングチャンバ14のサイズは、実施される特定の用途またはサンプリング操作に従って選択され、適切なサイズのチャンバを利用することにより、より少ないまたはより多い収集量も想定されるが、約0~5mL、または約1~3mLの範囲であり得る。特に、特定のプロセスを実行するために、サンプリングチャンバ14の容積は数十または数百ミリリットルになり得ることが企図される。目盛り付きチャンバ14は、その定義により、使用者がサンプリングチャンバ14内に含まれる流体の量を見ることを可能にする複数の目盛りまたはマーキングを有する。一実施形態では、サンプリングアセンブリ10は、目盛り付きサンプリングチャンバ14とサンプル源12との中間にある第1の三方バルブ20を含み、以下に詳細に説明するように、目盛り付きサンプリングチャンバ14は、チューブ24を介してバルブ20に接続されたサンプル源12および/またはレセプタクル22と流体連通状態に選択的に配置され得る。一実施形態では、レセプタクル22はバキュテナー収集チューブであり、チューブ24は溶接可能なPVCまたは同様の材料の長さである。サンプリングアセンブリ10は、目盛り付きチャンバ14が、三方バルブ28の二次ポート28を介して、シリンジ18および/または別の装置と流体連通状態に選択的に配置され得るように、目盛り付きサンプリングチャンバ14とシリンジ18との中間に第2の三方バルブ26をさらに含む。
【0032】
図1はシリンジ16の使用を示しているが、他の手動、半自動、または自動ポンプデバイス(例えば電動ポンプ)もまた、本発明のより広い態様から逸脱することなく利用され得る。一実施形態では、バルブ20、26は、ピンチバルブまたは活栓であってもよいが、構成要素間に複数の流路を提供するように構成された、当技術分野で知られている他のタイプのバルブも利用することができる。バルブ20、26は、手動で制御するか、またはアクチュエータを介して自動的に制御され得ることが想定される。
【0033】
さらに図1を参照すると、サンプリングアセンブリ10は、バルブ26とシリンジ18との間の流路に配置された無菌エアフィルタ30と、ポート28に関連付けられた(例えば、補助装置(図示せず)を、ポート28を介してピンチバルブ26に接続する流路内の)無菌エアフィルタ32も含む。
【0034】
サンプリングアセンブリ10がサンプル源12に予め接続されていない実施形態では、流体接続が最初に行われる。具体的には、サンプリングアセンブリ10は、例えば熱溶接または他の無菌接続手段によって、位置13でポート16に接続される。サンプリング操作中の使用において、第1のバルブ20は、サンプル源12を目盛り付きサンプリングチャンバ14と流体連通させる位置に制御され、第2のバルブ26は、(ポート34を介して)シリンジ18を流体連通させる位置に制御される。そして、シリンジ18を利用して、所望の量の流体をサンプル源12から目盛り付きサンプリングチャンバ14に引き込むか引き入れる。上述したように、チャンバ14の目盛りは、所望の量の流体がチャンバ14に引き込まれたときを容易に確認するために利用される。引き込まれた流体が多すぎる場合は、余分な流体をサンプル源12に押し戻し得る。或いは、サンプル源12からのみ流体を除去できるように、位置13に一方向バルブが実装され得る。流体がサンプル源12に再び入ることがないようにすることにより、汚染のリスクが低減される。
【0035】
所望の量の流体がチャンバ14内に存在すると、バルブ26が制御されて、ポート28がチャンバ14と流体連通するようになり、バルブ20が作動してサンプル源12をチャンバから流体的に隔離し、次に、レセプタクル22をチャンバ14と流体連通させる。レセプタクル22がバキュテナー(vacutainer)である場合、レセプタクル22とチャンバ14との間の流体接続を可能にする際に、レセプタクル22内の真空環境は、チャンバ14内の流体をチューブ24およびレセプタクル22に引き込み、無菌エアフィルタ32およびバルブ26のポート28を通って取り込まれた空気で置換する。そのような場合、レセプタクル22は、チャンバ14およびチューブ24を完全に空にするのに十分な大きさであることが想定される。一実施形態では、チューブ24は、サンプリングおよび分析のために容易にアクセスできる場所にレセプタクル22を好都合に配置するのに十分な長さになるように選択され得る。
【0036】
チャンバ14に引き込まれた流体の量を決定するために、目盛り付きマーキングを使用して目視で確認することに加えて、他の実施形態では、チャンバ14の充填容積は、自動化された光学検出方法および/または重量によって確認され得る。
【0037】
一実施形態では、レセプタクル22はバキュテナーである必要はない。そのような実施形態では、バルブ26を介してチャンバ14に流体接続されたシリンジまたは他のポンプデバイスを利用して、チャンバ14内に存在する一定量の流体をチャンバ14からレセプタクル22に押し出し得る。特に、例えばシリンジ18によってポート28、34のいずれかを介して注入される空気を利用して、容器22までずっと一定量の流体を押し出すことができる。空気が無菌フィルタ30を通ってチャンバ14に入り、チューブ24を通るように押し込むことができ、これにより、チャンバ14内に残っている流体が容器22に確実に入る。別の例では、同じシリンジ18(または別のシリンジ18)を無菌フィルタ30から取り外し、引き抜いた状態(すなわち、プランジャを引き戻した状態)で無菌フィルタ32に取り付けられ得る。そして、バルブ26を制御して、ポート28をチャンバ14と流体連通させる。次に、シリンジは、空気が滅菌フィルタ32を通過してチャンバ14に入り、チューブ24を通過するように押すことができる。シリンジ18は、取り外されたとき、シリンジ18内の空気の容量が、サンプル源12から取り出されたサンプルの容量に加えられたチューブ24の容量と同じかそれ以上になるような距離までプランジャが引き戻され、さらにサンプル全体がレセプタクル22に渡されることを確実にするように、無菌フィルタ30、32に容易に取り付けおよび取り外し可能であることに留意されたい。すべての場合において、無菌エアフィルタ30、32の存在は、システム10に入る空気が無菌であることを保証する。サンプルがレセプタクル22内に収集されると、レセプタクル22は滅菌溶接され、さらなるサンプル収集のために別のレセプタクルと交換され得る。
【0038】
一実施形態では、別のサンプル収集レセプタクルを接続する前に、必要に応じて、パージステップ(purge step)を実行して、チャンバ14およびチューブ24はきれいにされ得る。このパージステップは、様々な方法で実施され得る。一実施形態では、保持チャンバ14、バルブ通路、および/またはチューブ24をさらなるサンプル収集の前に洗い流し得るように、チューブ24を介してバルブ20のポート36に廃液フラッシュレセプタクル(図示せず)が接続され得る。同様のパージ(purge)またはフラッシング(洗い流し)プロセスが、図4および図5に関連して以下に開示される。
【0039】
別の実施形態では、無菌エアフィルタ30、32のうちの1つを介して空気をチャンバ14に引き込み、チャンバ14およびチューブ24を通過させることができるように、別のバキュテナーがチューブ24に接続され得る。さらに別の実施形態では、生理食塩水または他の流体のシリンジをバルブ26のポート28、34の1つに接続し、作動させてチャンバ14を無菌生理食塩水で満たし得る。そして、チューブ24に接続されたバキュテナーを、上述したものと同様の方法で利用して、生理食塩水をチャンバ14からチューブ24を介してバキュテナー内に吸引することができる。バキュテナーを使用しない場合、無菌空気をバルブ26から注入して、生理食塩水をチャンバ14からライン24経由でパージ容器に押し込み得る。バルブ26に接続されたシリンジは、チャンバ14と流体連通しており、その結果、チャンバ14はサンプル源12と流体連通している。次に、シリンジを利用して、流体をバルブ20の内部に押し込み、重力によってサンプル源12に戻し得る。一実施形態では、目盛り付きチャンバ14の垂直配向は、測定および空にするのに役立つ。いくつかの実施形態では、逆止バルブをバルブ20の内側に配置して、流体が不注意にサンプル源12に押し戻されるのを防止し得ると考えられる。
【0040】
上記に関連して、一実施形態では、第2のバルブ26は、単一のポートを優先して省略され得る。使用者は、サンプル源12からチャンバ14内に流体を吸引するためにシリンジ18を使用した後、シリンジ18を単に緩めて、無菌エアフィルタを通して空気を入れることができる。
【0041】
ここで図2を参照すると、本発明の別の実施形態によるバイオプロセシングアセンブリ100(本明細書ではバイオプロセシングシステム100またはサンプリングアセンブリ100とも呼ばれる)が示されている。バイオプロセシングアセンブリ100は、例えば、細胞の集団を含む静的培養容器であり得る培養容器110を含む。図示されたように、容器110は、2つのチュービングテール(tubing tails)112、114(例えば、容器110の両端に接続される)と、チュービングテール112、114にそれぞれ溶接された2つの手動シリンジポンプアセンブリ116、118とを含む。手動シリンジポンプアセンブリ116、118は、一般に、図1に関連して上述したものと構成が類似している。特に、手動シリンジポンプアセンブリ116、118はそれぞれ、チャンバ120内の流体の量を視覚的に決定するための複数の目盛りを有する目盛り付きチャンバ120、120´を含む。ポンプアセンブリ116、118のそれぞれは、チャンバ120、120´の上端に流体接続するように構成された手動シリンジ122、122´などのポンプデバイスも含む。無菌エアフィルタ124、124´は、チャンバ120、120´とシリンジ122、122´との中間に配置される。一実施形態では、無菌エアフィルタ124、124´は、チャンバ120、120´に恒久的に取り付けられる。他の実施形態では、無菌エアフィルタ124、124´は、ルアーテーパー(luer taper)を介してシリンジ122、122´に接続され得る。
【0042】
第1のシリンジポンプアセンブリ116および第2のシリンジポンプアセンブリ118の目盛付きチャンバ120、120´は、チュービングテール112、114をそれぞれ介して容器110と流体連通している。一実施形態では、逆止バルブ126、128は、それぞれ容器110とシリンジポンプアセンブリ116、118のチャンバ120、120´との間の流体経路に沿って(すなわち、チュービングテール112、114に沿って)配置され、矢印によって示されるように、そこを通る流体の一方向の流れのみを可能にする。
【0043】
図2にさらに示されるように、バイオプロセシングアセンブリ100は、チューブ132を介して第1のシリンジポンプアセンブリ116の目盛り付きチャンバ120に流体接続されたソースリザーバ130と、チューブ136を介して第2のシリンジポンプアセンブリ118の目盛り付きチャンバ120´に流体接続された廃棄物リザーバ134をさらに含み得る。以下で議論されるように、ソースリザーバ130は、例えば、新鮮な媒体、コーティング溶液、ウイルスなど、バイオプロセシング操作で使用するための様々な流体を含み得る。図示されたように、両方のチューブ路132、136には、矢印で示されるように(例えば、流体ソース130から第1のシリンジポンプアセンブリ116のチャンバ120へ、および第2のシリンジポンプアセンブリ118のチャンバ120から廃棄物リザーバ134へ)流体の一方向の流れだけを可能にする逆止バルブ138、140が取り付けられ得る。一実施形態では、アセンブリ100の様々な構成要素は、チューブの長さに沿って示されるように、選択可能な無菌溶接点142で流体的に相互接続され得る。
【0044】
理解されるように、シリンジポンプアセンブリ116(およびそのシリンジ122)は、ソースリザーバ130から容器110への流体の無菌移送を可能にし、シリンジポンプアセンブリ118(およびそのシリンジ122´)は、容器110から廃棄物容器134または他の下流のバッグまたは容器への流体の無菌移送を可能にする。特に、シリンジポンプアセンブリ116は、図1に関連して上述したのと同様の方法で利用され、ソースリザーバ130からチューブ132を介して第1のシリンジポンプアセンブリ116の目盛り付き収集チャンバ120に流体を引き込み得る。上述したように、チャンバ120上の目盛りにより、使用者は、チャンバに引き込まれる流体の量を正確に制御することができる。次に、同じまたは異なるシリンジまたはポンプを使用して、無菌エアフィルタ124に空気を押し込み、それにより、チューブ112を介してチャンバ120内の流体を容器110に押し込むことができる。一実施形態では、流体は、重力によって第1のシリンジポンプアセンブリ116のチャンバ120から容器110に移動し得る。シリンジポンプアセンブリ118は、容器100から流体を引き出し、シリンジ122´の作動によってチューブ114を介してチャンバ120´内に流体を移動させるために、同様の方法で動作させることができ、次に、無菌エアフィルタ124´を介してチャンバ120´に空気を押し込み、チューブ136を介してチャンバ120´から廃棄物容器134に流体を移動させる。一実施形態では、流体は、それぞれを相対的な高さに配置して重力流を誘導することにより、重力下で第2のシリンジポンプ118のチャンバ120から廃棄物容器134に移動し得る。図1に関連して説明した実施形態と同様に、シリンジ122、122´は、シリンジ122、122´内の空気の量が、チャンバ120、120´内の一定量の流体に加えられたチューブ112、136の容量と同じかそれよりも大きくなり、さらに、サンプル全体がレセプタクル22に渡されることを確実にするように、滅菌フィルタ124、124´に容易に取り付けられ、取り外され、取り外したときにプランジャをある距離まで引き戻し得るようになっている。
【0045】
したがって、図2に示される本発明のアセンブリ100は、灌流などの様々なバイオプロセシング操作を実行するために利用され得る。手動シリンジポンプが使用される場合、そのような灌流は散発的なパルス灌流(選択された間隔で実行される)であると想定される。例えば、アセンブリ100を使用して、手動パルス灌流は、約0.5L/日(例えば、1日あたり5×100mLの容量を必要とする)の速度で実行され得る。しかしながら、灌流は、手動シリンジの代わりに機械式ポンプを使用して、自動的に連続的またはパルス的に実施され得ると想定される。特に、図2は手動シリンジの使用を示しているが、他の手動、半自動、または自動ポンプデバイス(例えば電動ポンプ)もまた、本発明のより広い態様から逸脱することなく利用され得る。
【0046】
図1の実施形態と同様に、シリンジポンプアセンブリ116、118のシリンジ122、122´は、シリンジポンプアセンブリ116、118それぞれの目盛り付きチャンバ120、120´に流体を引き込むための真空、または流体を追い出す正圧を生成する手段としてのみ機能する。したがって、この構成では、シリンジ122、122´が流体経路の一部ではないので、汚染の心配はない(すなわち、それらは、ソースリザーバ130、培養容器110、または廃棄物容器134に出入りする流体と決して接触しない)。したがって、本明細書に開示される実施形態のいずれにおいても、シリンジポンプおよびその構成要素は、バイオプロセス流体と決して接触しないため、無菌である必要さえない。このようにして、アセンブリ100は、既存のシステムおよび方法を使用して解決されなかった無菌性および汚染の問題を未然に防ぐ、完全に閉鎖された手動培養システムを提供する。
【0047】
図2に示されるアセンブリ100の構成に加えて、アセンブリ100は、シリンジポンプアセンブリ116、118と同様のポンプデバイス、またはサンプルを無菌的に吸引するための図1に関連して上述されたポンプデバイスを含み得ることがさらに企図され、或いは、容器110に少量の追加を行う。このように、アセンブリ100は、流体の試験(例えば、細胞密度の決定)のために容器110からサンプルを抜き出し、および/または容器に個別の容積を追加する(例えば、試薬の付加)ように、利用され得る。
【0048】
ここで図3を参照すると、本発明の別の実施形態による再循環ループに関連する無菌サンプリングアセンブリ200が示されている。サンプリングアセンブリ200は、例えば、細胞の集団を収容する静的培養容器の形態のバイオリアクター容器210と、容器210から流体を受け取るために容器210の出口219に流体接続された第1の端部213を有する再循環ループ212(例えば、チューブから形成され、流体を循環させるためのポンプPを有する)と、流体を容器210に戻すための入口217で容器210に流体接続された第2の端部215(容器210の入口および出口は、流体の流れの方向性に応じて逆にされ得ることに留意されたい)とを含む。サンプリングアセンブリ200は、再循環ループ212に流体接続された手動シリンジポンプアセンブリ116をさらに含む。一実施形態では、手動シリンジポンプアセンブリ116は、図2の手動シリンジポンプアセンブリ116、118と類似または同一であり、同様の参照番号は同様の部品を示す。オプションの逆止バルブ218を有する、ある長さのチューブ216は、チャンバ120を再循環ループ212に接続するのに役立つ。一実施形態では、シリンジポンプアセンブリ116は、無菌コネクタ214を介して再循環ループ212に流体接続される。無菌コネクタ214は、例えば、再利用可能な無菌コネクタであってもよい。一実施形態では、無菌コネクタ214の再利用可能な半分214Aは、(容器210および再循環ループを含む)キットの一部で、一方、使い捨て嵌合部分214Bは、(チャンバ120、チューブ216、および逆止バルブ218を含む手動シリンジポンプアセンブリ116を備えた)サンプリングアクセサリの一部であり得る。
【0049】
使用中、細胞は容器210内に存在するが、サンプリング行動のために、ループ212を通って再循環され、例えば、蠕動ポンプであり得るポンプPを作動させることによって均一性を確保する。次に、前述した方法でシリンジポンプアセンブリ116を使用して、再循環流体からサンプルを手動で引き出すことができる。上述したように、手動シリンジポンプアセンブリ116は、再利用可能な無菌または無菌コネクタ214を介して無菌的にループ212に接続する。サンプルを収集するために、使用者は、最初にシリンジポンプアセンブリ116を、コネクタ214を介して再循環ループ212に接続する。次に、シリンジ122の手動操作により、サンプルはチューブ216を通って逆止バルブ218を通過し、目盛り付きチャンバ120に引き込まれる。正確な量が抽出され、必要な量のサンプルを抽出する手段が提供される。やはり上述したように、シリンジ122は中間無菌エアフィルタ124を介してチャンバ120に取り付けられ、非無菌空気がシステムに誤って逆流するリスクを軽減する。このリスクは、チュービングライン216に沿って逆止バルブ218を含めることによってさらに低減され得る。しかしながら、逆止バルブ218を省略すると、図1に関連して上述した方法で、ループ212への無菌バックフラッシュが可能になる。チャンバ120内のサンプルを回収するために、チューブ216は、切断または別のデバイス(例えば、レセプタクル22)への交差溶接(cross-welding)のいずれかによって開かれる。
【0050】
サンプルが吸引されると、シリンジポンプアセンブリ116は、例えばチューブ216を熱圧着することによって、再循環ループ212から切り離され得る。再循環ループ212内の残りの流体(および細胞)を容器210に戻すために、再循環ループ212内に分岐(図示せず)が実装され得る。一例によれば、入口/出口217、219でポンプの上流に分岐が配置され得る。ポンプPが作動すると、空気が再循環ループ212を介してポンプで送り込まれ、液体が容器210にフラッシュバックされるように、分岐は、その端部に取り付けられた無菌エアフィルタを有し得る。再循環ループ212が再び使用される(例えば、容器210からの流体で満たされる)とき、空気が再循環ループ212に引き込まれないように、分岐上のバルブ(図示せず)が作動され得る。別の例によれば、容器210は、無菌エアフィルタ(図示せず)に取り付けられたベントポートを含み得る。流体が容器210内にフラッシュバックされる場合、容器は、入口217および出口219の一方が他方に対して持ち上げられ、入口217および出口219のうちの1つは、容器のヘッドスペース内の空気にさらされるように揺動され得る。この構成では、ポンプPは、通気口を介して、入口217および出口219のうちの1つを介して、並びに、再循環ループ212を介して空気が容器210に引き込まれ、これにより流体を容器210にフラッシュバックするように作動させ得る。
【0051】
図3は手動シリンジの使用を示しているが、他の手動、半自動、または自動ポンプデバイス(例えば電動ポンプ)もまた、本発明のより広い観点から逸脱することなく、本明細書に開示されるサンプリング操作を実行するために利用され得る。
【0052】
さらに、図3のシステム200は単一のコネクタ214の使用を開示しているが、複数のサンプルを取り出すために、再循環ループ212に沿って複数のコネクタ214が実装され得ることが想定される。
【0053】
図4および図5を参照すると、本発明の一実施形態によるバイオプロセシングシステムで使用するためのサンプリングアセンブリ300が示されている。サンプリングアセンブリ300は、図1~3に関連して上述したシリンジポンプと同様であり、例えば、流体(例えば、細胞培養物)を含む使い捨てバイオリアクター310などのバイオ処理容器を含む。サンプリングアセンブリ300は、使い捨てバイオリアクター310に流体的に接続された目盛り付きチャンバ312と、目盛り付きチャンバ312に流体的に接続されたシリンジ314とを含む。無菌エアフィルタ316は、前述した目的のために、シリンジ314と目盛り付きチャンバ312との間に配置される。サンプリングアセンブリ300は、図1に関連して上述した方法で動作可能であり、使い捨てバイオリアクター310から目盛り付きチャンバ312にサンプルを引き込む。
【0054】
図4および図5に示されるように、一実施形態では、使い捨てバイオリアクター310または他の流体ソース(例えば、再循環ループ212)は、使い捨てバイオリアクター310およびチャンバ312の両方から延在するチュービングテールの自由端の溶接接合部315において、チャンバ312の一端(すなわち、頂部または底部)で、チャンバ312に流体接続され、その一方、シリンジ314は、チャンバ312の反対側の一端(すなわち、底部または頂部)でチャンバ312に流体接続される。図1の実施形態と同様に、チャンバ312は、例えば熱溶接または他の無菌接続手段によって、位置313で使い捨てバイオリアクター310に接続され得る。さらに、一方向バルブ(図示せず)をチャンバ312と使い捨てバイオリアクター310との間の流体接続に配置して、流体が一方向(すなわち、チャンバ312の方向)にのみ移動することを保証し得る。図4を特に参照すると、サンプルを引き出すために、チャンバは、流体がバイオリアクター容器310からチャンバ310の底部に引き込まれる(シリンジ314がチャンバ312の頂部から空気を引き出す)ように配向される。このプロセスは、チャンバ310上のマーキングによって使用者に視覚的に示されるように、所望の量の流体がチャンバ310内に存在するまで実行される。サンプルが収集されると、使い捨てバイオリアクター310は、例えば熱圧着によってチャンバ312から分離される。次に、チューブまたはクロス溶接が回収容器(例えば、レセプタクル22)に対し開き、シリンジ314のプランジャを押すことによって、チャンバ312内のサンプルは回収され得る。特に図5を参照すると、サンプルを引き込むとき、サンプルはチャンバ312の底部に沈み、シリンジ314を押し下げてチューブを介して空気を押し戻すことができ、残留流体が使い捨てバイオリアクター310に確実に戻されるようにする。具体的には、チャンバ310および流れラインをパージまたはフラッシュするために(図1の説明で想定されたプロセスなど)、一実施形態では、サンプリングアセンブリ300(図4から)が反転され、シリンジと、バイオリアクター容器310のチャンバへの接続点の垂直下方に位置するチャンバ310への接続が逆にされる。次に、シリンジ314を押し下げる。空気は、目盛り付きチャンバ310内の流体を介して泡立ち、流れライン/チュービングをバイオリアクター容器310に戻し、それによってラインをパージする。
【0055】
ここで図6を参照すると、本発明の別の実施形態によるサンプリングアセンブリ400が示されている。サンプリングアセンブリ400は、図4および図5のサンプリングアセンブリ300と同様であり、同様の参照番号は同じ部品を示す。しかしながら、シリンジ314およびバイオリアクター容器310または他の流体源(例えば、再循環ループ212)はその両端で目盛り付きチャンバ312に接続されるのではなく、シリンジ314およびバイオリアクター容器310は両方とも(チャンバ312の両側の)上端部分に流体接続される。このような実施形態では、目盛り付きチャンバ312は、チャンバ312の頂部からチャンバ312の内部領域内に下向きに延在するバッフル410またはディバイダを含む。
【0056】
使用中、バイオリアクター容器310からサンプルを引き出すために、シリンジ314を上述した方法で使用して、流体を目盛り付きチャンバ312に引き込む。流体は、ポート420を通ってチャンバ312を満たし、頂部ポート接続からバイオリアクター容器310に入り、したがって重力によって底部に集まる。バッフル410は、流体がシリンジ314を横切って真っ直ぐに引き寄せられるのを防止する働きをする。流れラインをパージまたはフラッシュするために、シリンジ314を押し下げて、無菌エアフィルタ316およびポート430を介して、目盛り付きチャンバ312内に空気を押し込む。空気はバッフル410の周りを循環し、流体を通って(流体がバッフルまで延びる場合)、ラインを下ってバイオリアクター容器310に戻る。
【0057】
図7および図8を参照すると、一実施形態では、バイオリアクター容器310およびシリンジ314へのポート接続420、430はそれぞれ、目盛り付きチャンバ312の頂部に受容されるように構成された、目盛り付きチャンバ312のキャップ440に統合され得る。この点において、図7および図8に示すように、目盛り付きチャンバ312は、目盛り付きチャンバ312へのキャップ440の取り外し可能な結合のためにキャップ440と摩擦係合するように設計された、チャンバ312のネックに取り付けられたゴム栓442を含む。図7および図8には摩擦嵌めが示されているが、本発明のより広範な態様から逸脱することなく、ねじ込み係合、バヨネットマウント(bayonet mount)などの解放可能な接続の他の手段が利用され得ることも考えられる。想定されるように、この構成により、収集されたサンプルにアクセスするためにキャップ440を取り外すことができる(図1に開示されているように、キャップを別の収集容器に押し込む必要はない)。
【0058】
ここで図9および図10を参照すると、本発明の一実施形態によるバイオプロセシングシステムで使用するためのサンプリングアセンブリ500が示されている。サンプリングアセンブリ500は、上述したものと同様であり、例えば、流体(例えば、細胞培養物)を収容する使い捨てバイオリアクター510などのバイオ処理容器を含む。サンプリングアセンブリ500は、使い捨てバイオリアクター510に流体接続された目盛り付きチャンバ512と、目盛り付きチャンバ512に流体接続されたシリンジ514とを含む。無菌エアフィルタ516は、前述された目的のために、シリンジ514と目盛り付きチャンバ312との間に配置される。図9に示されるように、バイオリアクター容器510は、その一端で目盛り付きチャンバ512に流体接続され、シリンジ514は、第1のチュービングライン518を介して目盛り付きチャンバ512の同じ端部に流体接続され、第2のチュービングライン520を介して目盛り付きチャンバの反対側の端部に流体接続される。図示されたように、第1のチュービングライン518は、バイオリアクター容器510からの流出のみを可能にする逆止バルブ522を含み、第2のチュービングライン520は、バイオリアクター容器510への流入のみを可能にする逆止バルブ524を含む。
【0059】
特に図9を参照すると、バイオリアクター容器510からサンプルを得るために、使用者はシリンジ514を使用して、前述した方法で流体をサンプリングチャンバ512に引き込む。図9に示されるように、液体はチャンバの底部から満たされる。図10を参照すると、ラインをフラッシュまたはパージするために、サンプリングアセンブリ500は、図4および図5に関連して上述した方法と同様に反転される。次に、シリンジ514を押し下げて、無菌エアフィルタ516および第2のチュービング520を介してチャンバ512に空気を押し込む。逆止バルブ522、524は、空気を外部バイパス経路に(すなわち、ライン520を介して)押し下げ、流体を越えて、ラインを一掃してバイオリアクター容器510に戻す。
【0060】
図4~10の実施形態のいずれも、図1~3のアセンブリ/システムに組み込むことができると考えられる。さらに、図1~3と同様に、図4~10の実施形態はシリンジの使用を示しているが、本発明のより広い側面から逸脱することなく、他の手動、半自動、または自動ポンプデバイス(例えば電動ポンプ)を利用して、本明細書に開示されるサンプリングおよびパージ操作を実行することもできる。
【0061】
上述したように、本発明の実施形態は、機能的に閉じた方法で流体容器に、または流体容器から既知の量の流体を追加または除去するためのポンプデバイスおよび関連する方法に関する。本明細書で説明する本発明の実施形態は非常に単純であり、完全に手動で、或いは、半自動または完全自動で展開され得る。さらに、本明細書に開示される本発明の実施形態は、反復可能かつ正確な方法で、サンプルを収集するか、またはほぼ任意の量を追加する能力を提供する。
【0062】
本発明の実施形態は、概して、機能的に閉じた方法で流体容器に、或いは、流体容器から既知の量の流体を追加または除去するためのポンプデバイスおよび関連する方法に関するが、本発明はこの点に関して限定されるものではなく、本明細書で開示される発明概念は、特定の既存のシステムおよびデバイスに適用され、その機能を改善し得ると考えられる。例えば、Cytiva社からのSefiaおよびSepax装置のメインチャンバは(遠心分離も可能な)本質的にシリンジバレル(syringe barrel)であり、本明細書に開示される発明の実施形態においてシリンジとして利用され得る。さらに、細胞培養チャンバの繰り返しサンプリングのために、本発明のデバイスのバリエーション(適切な容量の)は、真の使い捨て方式(汚染リスクを最大限に低減するために、サンプルごとに新しいデバイス)または培養期間中の繰り返しのいずれかで使用され得る。後者のシナリオでは、図1に関連して上記で開示したプロセスを使用するなどして、それぞれのサンプリング行動の後に残留物のラインをフラッシュする機能が必要になる。
【0063】
一実施形態では、サンプリングシステムが提供される。サンプリングシステムは、サンプル源への流体接続のために構成された目盛り付きサンプリングチャンバ、サンプリングチャンバとの流体接続のために構成されたポンプデバイス、およびポンプデバイスとサンプリングチャンバとの中間の無菌エアフィルタを含み、ポンプデバイスは、サンプル源からサンプリングチャンバに一定量の流体を引き込むように選択的に動作可能である。一実施形態では、サンプリングチャンバは、ポンプがサンプリングチャンバから空気を引き込む出口から、流体がサンプリングチャンバに入る入口を分離するバッフルを含む。一実施形態では、システムは、サンプリングチャンバとサンプル源との中間にある第1のバルブを含み、第1のバルブは、サンプル源からサンプリングチャンバへの流体の一方向の流れを可能にする。一実施形態では、サンプリングチャンバは、サンプリングチャンバの底部に隣接する位置でサンプル源に流体接続するように構成され、サンプリングチャンバは、サンプリングチャンバの頂部に隣接する位置でポンプデバイスに流体接続するように構成される。一実施形態では、システムはまた、サンプリングチャンバとサンプル源との中間にある第1のバルブと、第1のバルブを介してサンプリングチャンバに流体接続されたサンプル収集ラインとを含み、第1のバルブは、サンプル源および/またはサンプル収集ラインを選択的にサンプリングチャンバと流体連通させるように動作可能である。一実施形態では、第1の値は、サンプリングチャンバがサンプル源と流体連通する第1の位置に移動可能であり、その結果、ポンプデバイスはサンプリングチャンバ内に一定量の流体を引き込みように動作可能であり、第1のバルブは、サンプリングチャンバがサンプルラインと流体連通する第2の位置に移動可能であり、その結果、サンプリングチャンバ内の流体量がサンプリングチャンバからサンプル収集ラインを通って流れ得る。一実施形態では、ポンプデバイスはシリンジである。一実施形態では、ポンプデバイスは自動ポンプである。一実施形態では、システムは、サンプル収集ラインと流体連通するレセプタクルを含む。一実施形態では、レセプタクルはバキュテナーである。一実施形態では、サンプル源は、細胞培養容器または循環ループのうちの1つである。一実施形態では、システムは、入口ポートを介して媒体源に流体接続するように構成された第2のチャンバであって、出口ポートを介して細胞培養容器または循環ループに流体接続するように構成された第2のチャンバと、第2のチャンバと共に流体接続するように構成された第2のポンプデバイスと、第2のチャンバと媒体源との中間にある第1のバルブであって、媒体源から第2のチャンバへの一方向の流れを可能にする第1のバルブと、第2のチャンバと細胞培養容器または循環ループとの中間にある第2のバルブであって、第2のチャンバから細胞培養容器または循環ループへの一方向の流れを可能にする第2のバルブと、をさらに含む。第2のポンプデバイスは、媒体源から第2のチャンバに一定量の流体を引き込み、第2のチャンバから細胞培養容器または循環ループに一定量の流体を押し込むように選択的に動作可能である。
【0064】
本発明の別の実施形態では、サンプリング方法が提供される。この方法は、サンプリングチャンバをサンプル源に接続するステップと、ポンプを作動させてサンプル源からバルブを介して一定量の流体をサンプリングチャンバに引き込むステップとを含み、バルブは、サンプリングチャンバからサンプル源への流体の逆流を防ぐように構成されている。一実施形態では、バルブは逆止バルブまたは活栓のうちの1つである。一実施形態では、ポンプを作動させて一定量の流体をサンプリングチャンバに引き込むステップは、出口を通してサンプリングチャンバから空気を排出するステップを含み、出口は無菌エアフィルタと共に構成される。一実施形態では、ポンプはシリンジであり、サンプリングチャンバは目盛り付きマーキングを有する。一実施形態では、この方法は、第2のバルブを開いてサンプリングラインをサンプリングチャンバと流体連通させるステップと、サンプリングチャンバからサンプリングラインに一定量の流体を流すステップとを含み得る。一実施形態では、サンプリングチャンバからサンプリングラインに一定量の流体を流すステップは、無菌エアフィルタを介してサンプリングチャンバに空気を押し込んで、一定量の流体をサンプリングチャンバから移動させるステップを含む。
【0065】
さらに別の実施形態では、バイオプロセシングシステムが提供される。バイオプロセシングシステムは、細胞培養容器と、細胞培養容器に第1の流体を加えるための第1のアセンブリとを含む。第1のアセンブリは、第1のチャンバ内の入口ポートを介して第1の流体の供給源に流体接続するように構成された第1のチャンバであって、第1のチャンバ内の出口ポートを介して細胞培養容器に流体接続するように構成された第1のチャンバと、第1のチャンバと共に流体接続するように構成された第1のポンプデバイスと、第1のチャンバと供給源との中間にある第1のバルブであって、供給源から第1のチャンバへの一方向の流れを可能にする第1のバルブと、第1のチャンバと細胞培養物との中間にある第2のバルブであって、第1のチャンバから細胞培養容器への一方向の流れを可能にする第2のバルブと、を含む。第2のポンプデバイスは、供給源から第1のチャンバに第1の流体の一定量を引き込み、第1のチャンバから細胞培養容器に一定量の流体を押し出すように選択的に動作可能である。バイオプロセシングシステムは、細胞培養容器から第2の流体を除去するための第2のアセンブリも含む。第2のアセンブリは、第2のチャンバの入口ポートを介して細胞培養容器に流体接続するように構成された第2のチャンバであって、第2のチャンバの出口ポートを介して収集容器に流体接続するように構成された第2のチャンバと、第2のチャンバと共に流体接続するように構成された第2のポンプデバイスと、細胞培養容器と第2のチャンバとの中間にある第3のバルブであって、細胞培養容器から第2のチャンバへの一方向の流れを可能にする第3のバルブと、第2のチャンバと収集容器との中間にある第4のバルブであって、第2のチャンバから収集容器への一方向の流れを可能にする第4のバルブと、を含む。第2のポンプデバイスは、細胞培養容器から第2のチャンバに第2の流体の一定量を引き込み、第2のチャンバから収集容器に一定量の流体を押し出すように選択的に動作可能である。一実施形態では、第1のポンプおよび第2のポンプはシリンジであり、第1のチャンバおよび第2のチャンバは目盛り付きマーキングを有する。
【0066】
本明細書で使用される場合、単数形で列挙され、単語「a」または「an」で始まる要素またはステップは、そのような除外が明示的に述べられていない限り、複数の前記要素またはステップを除外しないと理解されるべきである。さらに、本発明の「一実施形態」への言及は、列挙された特徴を組み込む追加の実施形態の存在を排除するものとして解釈されることを意図していない。さらに、反対に明示的に述べられていない限り、特定の特性を有する要素または複数の要素を「備える」、「含む」、または「有する」実施形態は、その特性を持たない追加の要素を含み得る。
【0067】
この明細書による説明は、実施例を使用して、ベストモードを含む本発明のいくつかの実施形態を開示するとともに、当業者が、任意のデバイスまたはシステムを作成および使用し、任意の組み込まれた方法の実施を含む本発明の実施形態を実施できるようにする。本発明の特許可能な範囲は、特許請求の範囲によって規定され、当業者に想起される他の例をも含み得る。そのような他の例は、特許請求の範囲の文言通りの記載と異ならない構成要素を有する場合、或いは、それらが、請求項の文言通りの記載と実質的に相違しない同等の構成要素を含む場合、特許請求の範囲内にあることを意図している。
【符号の説明】
【0068】
10 サンプリングアセンブリ、サンプリングシステム
12 サンプル源
13 位置
14 サンプリングチャンバ
16、28、34 ポート
18 シリンジ18
20 第1の三方バルブ
22 レセプタクル
24 チューブ、ライン
26 第2の三方バルブ、ピンチバルブ
30、32 エアフィルタ
100、200、300、400、500 バイオプロセシングアセンブリ、バイオプロセシングシステム
110、210 培養容器
112、114 チュービングテール
116、118 手動シリンジポンプアセンブリ
120、120´ チャンバ
122、122´ 手動シリンジ
124、124´ 無菌エアフィルタ
126、128、138、140 逆止バルブ
130 ソースリザーバ
132、136 チューブ
134 廃棄物容器
142 無菌溶接点
212 再循環ループ
213 第1の端部
214 無菌コネクタ
215 第2の端部
216 チューブ
217 入口
218 逆止バルブ
219 出口
310 バイオリアクター
312 目盛り付きチャンバ
313 位置
314 シリンジ
315 溶接接合部
316 無菌エアフィルタ
410 バッフル
420、430 ポート
440 キャップ
442 ゴム栓
510 バイオリアクター
512 目盛り付きチャンバ
514 シリンジ
518 第1のチュービングライン
520 第2のチュービングライン
522、524 逆止バルブ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【国際調査報告】