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特表2023-549347屠殺された動物からリーフラードを取り除くための装置及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-24
(54)【発明の名称】屠殺された動物からリーフラードを取り除くための装置及び方法
(51)【国際特許分類】
   A22B 5/00 20060101AFI20231116BHJP
【FI】
A22B5/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023527756
(86)(22)【出願日】2021-11-16
(85)【翻訳文提出日】2023-07-07
(86)【国際出願番号】 EP2021081767
(87)【国際公開番号】W WO2022106383
(87)【国際公開日】2022-05-27
(31)【優先権主張番号】20208088.3
(32)【優先日】2020-11-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522373323
【氏名又は名称】マレル・レッド・ミート・ベスローテン・フェンノートシャップ
【氏名又は名称原語表記】Marel Red Meat B.V.
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100184343
【弁理士】
【氏名又は名称】川崎 茂雄
(72)【発明者】
【氏名】コステル,ニールス アントニオ ウィリアム
(72)【発明者】
【氏名】ティッヘロフェン,レオナルドゥス ヨーゼヒュス アントニウス
(57)【要約】
動物屠殺体からリーフラードを取り除くための工具であって、工具はリーフラードを周囲に巻き取るためのマンドレルを有しており、マンドレルは、リーフラードの一部に係合する丸い開口を有する吸引キャビティと、マンドレルの内側に位置しており吸引キャビティへ空気を吸引し吸引キャビティから空気を吹き出す第1空気装置とを有してもよく、またマンドレルはマンドレルの周囲に巻き付けられたリーフラードを解放し押し出すための少なくとも1つの押出装置と、押出装置の内側及び/又は前方に位置しておりマンドレルの周囲に巻き付けられたリーフラードの下方に向かわされることになる少なくとも1つの押出要素とを有してもよい。工具は動物屠殺体からリーフラードを解放し又は取り除くための方法に使用されてもよい。工具は動物屠殺体からリーフラードを自動的に解放し又は取り除くためのシステムの一部であってもよく、システムはロボットアーム、特定システム、及び制御システムを有してもよい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
動物屠殺体の少なくとも一部からリーフラード(21)を解放し又は取り除くための工具(1)であって、前記工具は、周囲にリーフラードを巻き取るように構成された巻き取りマンドレル(2)を有しており、前記マンドレル(2)は、
前記マンドレル(1)の内側に位置しており、前記マンドレル(2)の外表面に配置された丸い開口(6)を有しており、前記リーフラード(21)の一部に係合するように構成されている、吸引キャビティ(5)と、
前記マンドレル(2)の内側に位置しており、前記吸引キャビティ(5)への空気の吸引と前記吸引キャビティ(5)からの空気の吹き出しとを前記丸い開口(6)を介して交互に行い、前記リーフラード(21)の係合部の前記吸引キャビティ(5)への引き込みと前記リーフラード(21)の前記係合部の前記吸引キャビティ(5)からの吹き飛ばしとをそれぞれ行う、少なくとも1つの第1空気装置(16)と
を有している、工具(1)。
【請求項2】
前記マンドレル(2)の周囲に巻き付けられたリーフラード(21)を解放して押し出すように構成された少なくとも1つの押出装置(7)と、
前記押出装置(7)の内側及び/又は前方に位置しており、前記マンドレル(2)の周囲に巻き付けられたリーフラード(21)の下方に向かうように構成された、少なくとも1つの押出要素(11)と
をさらに有している、
請求項1に記載の工具(1)。
【請求項3】
動物屠殺体の少なくとも一部からリーフラード(21)を解放し又は取り除くための工具(1)であって、前記工具(1)は周囲にリーフラード(21)を巻き取るように構成された巻き取りマンドレル(2)を有しており、前記工具(1)は、
前記マンドレル(2)の周囲に巻き付けられたリーフラード(21)を解放して押し出すように構成された少なくとも1つの押出装置(7)、及び/又は
前記押出装置(7)の内側及び/又は前方に位置しており、前記マンドレル(2)の周囲に巻き付けられたリーフラード(21)の下方に向かうように構成された、少なくとも1つの押出要素(11)
をさらに有している、工具(1)。
【請求項4】
前記マンドレル(2)の内側に位置しており、前記マンドレル(2)の外表面に配置された丸い開口(6)を有しており、前記リーフラード(21)の一部に係合するように構成されている、吸引キャビティ(5)、及び/又は
前記マンドレル(2)の内側に位置しており、前記吸引キャビティ(5)への空気の吸引と前記吸引キャビティ(5)からの空気の吹き出しとを前記丸い開口(6)を介して交互に行い、前記リーフラード(21)の前記係合部の前記吸引キャビティ(5)への引き込みと前記リーフラード(21)の前記係合部の前記吸引キャビティ(5)からの吹き飛ばしとをそれぞれ行う、少なくとも1つの第1空気装置(16)
をさらに有する、
請求項3に記載の工具(1)。
【請求項5】
前記吸引キャビティ(5)に位置しており、前記吸引キャビティ(5)に吸引された前記リーフラードの少なくとも一部を把持することができる、クランプ機構(18)をさらに有する、
請求項1,2,4-5のいずれか1つに記載の工具(1)。
【請求項6】
前記マンドレル(2)は、前記マンドレル(2)の基端(3)に向かう方向において前記吸引キャビティの前記開口(6)に隣接した前記表面の内側に向かう湾曲(13)を有している、
請求項1~5のいずれか1つに記載の工具(1)。
【請求項7】
前記マンドレル(2)は、前記内側への湾曲(13)の位置の反対側に前記表面のたわみ(14)を有している、
請求項6に記載の工具(1)。
【請求項8】
前記マンドレル(2)はその外表面において前記リーフラード(21)に係合するように構成されたスパイク等の係合部材(10)を有している、
請求項1~7のいずれか1つに記載の工具(1)。
【請求項9】
前記マンドレル(2)は、前記吸引キャビティ(5)の前記開口(6)の中心線から約90°離れてそれぞれ位置する少なくとも2つのレール凹部(12)等、前記マンドレル(2)の長さに沿って位置する少なくとも1つのレール凹部(12)を有しており、前記中心線は前記マンドレル(2)の基端(3)から前記前端(4)までの中心線に平行である、
請求項1~8のいずれか1つに記載の工具(1)。
【請求項10】
前記少なくとも1つの押出要素(11)が、前記少なくとも1つのレール凹部(12)に少なくとも部分的に位置しており、前記マンドレル(2)の周囲に巻き付けられたリーフラード(21)の下方に侵入され及び/又は該リーフラード(21)上で押動するように構成されており、任意で前記押出要素(11)が、前記マンドレル(2)の前記前端(4)に向かう方向において前記マンドレルの表面に向かって傾斜している、
請求項2~9のいずれか1つに記載の工具(1)。
【請求項11】
動物屠殺体の少なくとも一部からリーフラード(21)を自動的に解放し又は取り除くためのシステムであって、前記システムは、
a)請求項1~10のいずれか1つに記載の少なくとも1つの工具(1)を有する、少なくとも1つのロボットアームと、
b)動物屠殺体の一部の位置及び/又は動物屠殺体の一部から取り除かれることになるリーフラードの位置を特定するように構成された、特定システムと、
c)動物の位置、動物部分の位置、及び/又は動物屠殺体の少なくとも一部に接続されたリーフラードの位置を受信して処理するように構成された、処理システムと、
d)少なくとも前記処理システムと前記少なくとも1つのロボットとに通信している制御システムであって、リーフラードを解放し又は取り除くための前記工具(1)を有する前記少なくとも1つのロボットアームを制御して、
a.動物屠殺体の少なくとも一部の腹壁に位置するリーフラードに係合し、
b.前記リーフラードが前記マンドレルの周囲に巻き付けられてそれによって前記リーフラードの主要部を前記腹壁から解放し又は前記リーフラードを前記屠殺体の前記腹壁から取り除くように前記マンドレルを巻き、
c.前記リーフラードから前記工具(1)を取り除いて前記リーフラードを小さな部分によって前記腹壁に接続されたままにし、又は前記解放されたリーフラードを堆積領域に向かわせる
ように構成された、制御システムと
を有している、システム。
【請求項12】
少なくとも1つの工具(1)をそれぞれ有する少なくとも2つのロボットアーム、及び/又は、2つの工具(1)をそれぞれ有する少なくとも1つのロボットアームを有し、前記ロボットアームが、前記制御システムによって制御されて前記マンドレル(2)を類似した方向又は左右反対の方向に駆動して、リーフラードを、類似した動物部分から、又は1頭の動物からの2つの半分の屠殺体等、動物からの左右半分の屠殺体部分からである、2つの半分の屠殺体から取り除く、
請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
動物屠殺体の少なくとも一部からリーフラードを請求項1~10のいずれか1つに記載の工具(1)で解放し又は取り除くための方法であって、該方法は、
a)前記マンドレル(2)を動物屠殺体の少なくとも一部に位置するリーフラード(21)の一端部に接触させるステップと、
b)前記マンドレル(2)を巻き、同時に、前記リーフラードの少なくとも主要部分又は全体部分が前記マンドレル(2)の周囲に巻き取られるまで、前記リーフラードが前記屠殺体部分から解放されて前記マンドレル(2)の周囲に巻き付けられるように、前記マンドレル(2)を前記リーフラード(21)に沿って移動させるステップと
c)前記マンドレル(2)と前記周囲に巻き付けられたリーフラードとの係合を外すステップと
を有している、方法。
【請求項14】
前記ステップa)の間に、前記リーフラードを前記マンドレルに対して、小さなリーフラード部分を前記マンドレル(2)の前記吸引キャビティ(5)に吸引し及び/又は小さなリーフラード部分を前記マンドレル(2)の前記吸引キャビティ(5)においてクランプする等、吸引及び/又はクランプによって固定する、
請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記ステップc)の間に、前記マンドレル(2)から周囲に巻き付けられたリーフラードを押出し、前記押出装置(7)が前記マンドレル(2)の基端(3)から前記マンドレル(2)の前端(4)へ向かわされて、前記押出装置(7)が前記リーフラード(21)上で押動し、任意で前記少なくとも1つの押出要素(11)が前記押出装置(7)と一緒に前記マンドレル(2)の基端(3)から前記マンドレル(2)の前端(4)へ向かわされて、それによって前記マンドレル(2)の周囲に巻き付けられた前記リーフラード(21)の持ち上げ工程を実行する、
請求項13又は14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、屠殺された動物又はその一部、例えば予め腹腔が開いた豚から、腹部脂肪又はリーフラード(脂肪)の層を解放し又は取り除くための装置、方法及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
多くの屠殺場では、豚などの動物を屠殺した後の工程は、屠殺体を開き、腸を取り除き、さらに例えば屠殺体を半分に切断する前に、リーフラードとも呼ばれる腹部脂肪層を取り除くことを含む。リーフラードの取り除きは当初手作業で行われていたが、集約的かつ繰り返しの作業であった。US5,997,394(Jarvis)及びEP1029454A1(BVS)に記載されているような手持ち式装置、及びUS5,785,588(Stork)に記載されているような機械制御装置は、それぞれ、作業者の作業負荷を段階的に軽減することに貢献してきた。
【0003】
より具体的には、US5,785,588は、腹腔が予め開かれている屠殺された動物又はその一部、例えば豚から腹部脂肪又はリーフ脂肪の層を取り除くための装置を記載しており、この装置は、腹部脂肪又はリーフ脂肪の層を腹壁から引き剥がすための引張装置に加えて、該層を把持するための把持要素を有しており、この把持要素は少なくとも1つの吸引開口を含んでいる。好ましくは、引張要素は、吸引開口を備えた回転駆動可能な巻き取りマンドレルを含んでおり、巻き取りマンドレルは、回転駆動中に吸引開口によって把持された腹部脂肪又はリーフ脂肪の層を巻き取るために案内される。
【0004】
しかし、説明された装置は、屠殺場数の増大において屠殺体及びその部分を扱うロボットを含むことによってより自動的になった今日の生産における要件を満たさない。解決すべき問題は、例えば、リーフラードを解放し又は取り除く速度、取り除きの質、例えば、腹壁にどれだけのラードが残っているか、リーフラードが屠殺体の腹壁から取り除かれるときにどのように扱われるか、リーフラードを除去装置から分離することの困難さ、さらに、例えば、装置に対するリーフラードの強固な固定を提供しないことによって、装置が工程で失敗するリスクを低減するためにより安定した装置を製造することである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的として、上述した問題の1つ又は複数を克服する、工具の形態の装置、システム、及び方法を提供することであるとみられてもよい。本発明のさらなる目的は、先行技術に対する代替案を提供することであってもよい。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の目的は、動物屠殺体の少なくとも一部からリーフラードを解放する又は取り除くための工具に関し、この工具は、周囲にリーフラードを巻き取るように構成された巻き取りマンドレルを備え、このマンドレルは、
マンドレルの内側にあり、マンドレルの外表面に配置された丸い開口を有しており、リーフラードの一部に係合するように構成されている、吸引キャビティと、
マンドレルの内側に位置しており、吸引キャビティへの空気の吸引と吸引キャビティからの空気の吹き出しとを交互に行い、リーフラードの係合部の吸引キャビティへの引き込みとリーフラードの係合部の吸引キャビティからの吹き飛ばしとをそれぞれ行うための、少なくとも1つの第1空気装置と
を有している。
【0007】
巻き取りマンドレルによって、作動中のマンドレルがそれ自体の長手方向中心軸の周りに回転可能であり、屠殺され開腹された動物、例えば半分の屠殺体の腹壁に位置するリーフラードの端部に係合するときにこのリーフラードが回転するマンドレルの周りに巻き取られる、つまり巻かれることを意味する。
【0008】
マンドレルは、マンドレルの内側に吸引キャビティを有し、マンドレルの外表面に配置された開口により、マンドレル内に空気を吸引することを可能とし、それによって吸引キャビティ内の容積及び開口の前方に圧力をかけて引き込み作用を形成し、その結果、マンドレルに近い及び/又はマンドレルに接触しているリーフラードが、マンドレルに巻き取られる前及び/又は巻き取られる時に、マンドレルに向かって引き寄せられ及び/又はマンドレルによって強固に保持される。
【0009】
吸引キャビティの開口は、円又は楕円などの円形であってもよい。吸引キャビティの丸い開口は、例えば直線状であり角ばったエッジを有する吸引キャビティに関して起こり得るようなエッジにリーフラードが引っ掛かることがないという利点を有する。
【0010】
吸引キャビティの開口を形成する境界又は端がわずかに突出していてもよく、この結果、マンドレルがリーフラードに係合するとき、より優れた接触がリーフラードと確立される。
【0011】
マンドレルの内側に位置する少なくとも1つの第1空気装置は、基端から吸引キャビティまでのマンドレルの内側部分に位置する少なくとも1つのチューブであってもよく、マンドレルの基端の外側に位置するコンプレッサ/ポンプに接続されてもよい。このコンプレッサは、吸引キャビティを通して空気を吸引することによって第1空気装置を真空にできる。吸引キャビティを通した空気の吸引は、マンドレルがリーフラードに係合する前及び/又は係合するとき等に実行されてもよく、マンドレルの周囲にリーフラードを巻き取る工程の少なくとも一部の間に真空も得られてもよい。コンプレッサは第1空気装置に空気を吹き込んでもよく、この空気はキャビティ開口を通して吸引キャビティから押し出されて、開口の周囲に圧力が高まったゾーンを形成でき、その結果、マンドレルからリーフラードのマンドレル係合部を吹き飛ばすことができる。これにより、圧縮空気は、リーフラードを吸引キャビティから解放するのに役立ち、また、リーフラードとマンドレルとの間に持上げ効果も提供し、この場合、マンドレルの周囲のリーフラードが風船のように膨らんでもよく、この結果、リーフラードがマンドレルから非常に容易に外れて固着効果は見られない。
【0012】
工具は、
マンドレルの周囲に巻き付けられたリーフラードを解放して押し出すように構成された少なくとも1つの押出装置、及び/又は
押出装置の内側及び/又は前方に位置しており、マンドレルの周囲に巻き付けられたリーフラードの下方に向かわされるように構成された少なくとも1つの押出要素
をさらに有している。
【0013】
押出装置は、マンドレルの周囲に巻き付けられたリーフラードが押し出されるときにマンドレルの基端からマンドレルの前端に向かって押動可能なリング状の装置であってもよい。この利点は、除去前にリーフラードを繰り出すか又は重力によってリーフラードをマンドレルから離すのと比較して、押動効果によってリーフラードをマンドレルから迅速に取り除くことが容易になることである。ピストンは、マンドレルの基端に位置して、押出装置に接続され、動物屠殺体からリーフラードを解放し又は取り除く行程において、リーフラードを解放し又は取り除くための工具とピストンとを制御する制御システムによって制御されてもよい。
【0014】
少なくとも1つの押出要素は、マンドレルに関連して、例えば押出装置の内側及び/又は前方に位置してもよい。少なくとも1つの押出要素が第1リングに接続されてもよく、押出要素と共にこの第1リングがリング状の押出装置を形成する第2リングの内側に位置してもよい。マンドレルの周囲に巻き付けられたリーフラードがマンドレルから押し出されることになるとき、少なくとも1つの押出要素がマンドレルの基端から前端に向かって移動させられてもよい。少なくとも1つの押出要素と共に押出装置が1つのユニットとしてマンドレルの周囲に巻き付けられたリーフラード上で押動するようにマンドレルの基端からマンドレルの前端に向かって移動させられてもよい。少なくとも1つの押出要素は、マンドレルに最も近い領域に突出する等、如何なる形態であってもよく、これにより、マンドレルの周囲に巻き付けられたリーフラードの下方に向かわせることができ、リーフラードをマンドレルから押し出すときの工程を改善する。
【0015】
本発明の第2の側面は、上述の問題を解決する別の可能性に関する。この側面は、動物屠殺体の少なくとも一部からリーフラードを取り除くための工具に関し、この工具は、リーフラードを巻き付けるように構成された巻き取りマンドレルを有しており、この工具は、
マンドレルの周囲に巻き付けられたリーフラードを解放して押し出すように構成された少なくとも1つの押出装置と、
押出装置の内側に位置しており、マンドレルの周囲に巻き付けられたリーフラードの下方に向かわされるように構成された少なくとも1つの押出要素と
をさらに有している。
【0016】
本発明の第2の側面として説明される工具は、
マンドレルの内側に位置しており、マンドレルの外表面に配置された円形の開口を有しており、リーフラードの一部に係合するように構成されている、吸引キャビティ、及び/又は
マンドレルの内側に位置しており、吸引キャビティへの空気の吸引と吸引キャビティからの空気の吹き出しを交互に行い、リーフラードの係合部の吸引キャビティへの引き込みと、リーフラードの係合部の吸引キャビティからの吹き飛ばしとをそれぞれ行うための、少なくとも1つの第1空気装置
をさらに有している。
【0017】
第1及び第2の側面の特徴は、構造及び機能において類似していてもよく、それぞれ以下に説明される本発明の1つ又は複数の特徴と組み合わされてもよい。
【0018】
本発明の第1及び第2の側面の両方に関して、工具は、外側リングであるか又は外側リングに連結されている少なくとも1つの押出装置を含んでいてもよく、少なくとも1つの押出要素は、内側リングに連結されており、外側リングの内側でスライド又は回転できる。この利点は、押出要素をマンドレルに密着して配置して巻き取り及び繰り出し時にマンドレルと一緒に回転させることができ、なおかつ、押出装置がマンドレルの基端からマンドレルの前端に向かって反対方向に向かわされるときに押出要素が押出装置と一緒に移動するように押出要素を押出装置に連結できることである。そのため、押出作業を開始する前にマンドレルの回転を停止させる必要がない。さらに、押出装置と押出要素との間のしっかりとした接続は、リーフラードが、マンドレルの基端の間違った側ではなく、マンドレルの周囲の領域に位置し、マンドレルと押出装置との間に挟まれないこと、を確かにもする。
【0019】
工具は、吸引キャビティ内に位置しており、吸引キャビティ内に吸引されたリーフラードの少なくとも一部を把持できるクランプ機構をさらに含んでもよい。クランプ機構は、リング状であってもよく、又は、吸引キャビティの開口と同様の形態を有していてもよく、吸引キャビティの内側、好ましくは吸引キャビティの開口に近接して位置してもよい。クランプ機構は、把持が実行されない開位置から、吸引キャビティに吸引されたリーフラードの把持が実行され得る閉位置までの、直線移動等の移動によって機能してもよい。このようなクランプ機構の利点は、マンドレルの周囲にリーフラードを巻き付けて屠殺体の腹壁からリーフラードを引き裂く間の、リーフラードの確実な保持である。クランプ機構はまた、リーフラードが予め決められた場所、例えばリーフラードが腹壁から取り除かれる場所の近くに場合により位置する回収容器に送られるまで、マンドレルにリーフラードを固定してもよい。
【0020】
クランプ機構は機械的に又は空気によって制御されてもよい。空気によって制御されるとき、圧力チャンバが吸引キャビティ内のクランプ機構の下方に配置されてもよい。圧力チャンバを空気で満たすことによって、クランプ機構は吸引口に向かって押動されて吸引キャビティを閉塞し、圧力チャンバが空であるときに、クランプ機構は吸引口に向かってもはや押動されず、クランプ機構は吸引キャビティの開位置に戻る。
【0021】
工具のマンドレルは、より大きな基部外周とより小さな前部外周とを有する全体的に円錐形の形状を有してもよく、吸引キャビティは、マンドレルの前側4分の1の部分など、マンドレルの基端よりもマンドレルの前端側に配置される。マンドレルの前端は自由部分であり、マンドレルの基端は、工具がロボットアーム及びコンプレッサ/ポンプなどの保持及び制御部分と接続される可能性がある部分である。マンドレルの円錐形の利点は、マンドレルの周囲に巻き付けられたリーフラードを、前端のより小さな寸法のためにマンドレルから押し出すことができることである。
【0022】
マンドレルは、吸引キャビティの開口にマンドレルの基部に向かう方向において隣り合う表面の内側への湾曲を有してもよい。このような内側への湾曲の長さ、深さ、位置は、工具が使用されることになる動物屠殺体の腹壁及びその肋骨の形及び大きさに合わせて設計されてもよい。リーフラードをマンドレルに巻き付ける工程の少なくとも一部の間で、内側への湾曲は腹壁の解剖学的特徴に沿ってもよい。内側への湾曲の利点は、マンドレルとマンドレルの周囲に巻き付けられているリーフラードとの間のより密な接触である。接触が密であるほど、接触がよくなり、それによってリーフラードがマンドレルの周囲に巻き付けられないリスクが減少する。
【0023】
マンドレルには、内側への湾曲の位置とは反対側に表面のたわみを有してもよい。このようなたわみは、工具が使用されることになる動物屠殺体の腹壁及びその肋骨の形や大きさに合わせて設計されてもよい。たわみは、マンドレルの周囲にリーフラードを巻き付ける工程の少なくとも一部の間に、腹壁の解剖学的特徴に沿ってもよい。たわみの利点は、マンドレルとマンドレルの周囲に巻き付けられるリーフラードと間のより密な接触である。接触が密であるほど、接触がよくなり、それによってリーフラードがマンドレルの周囲に巻き付けられないリスクが減少する。
【0024】
マンドレルは、外表面に、リーフラードと係合するように構成されたスパイク等の係合部材を有してもよい。係合部材は、マンドレル表面上に多かれ少なかれランダムに位置してもよく、又はマンドレルの長さに沿った列などのパターンで位置してもよい。係合部材はそれぞれ先が尖っていてもよく、全体として直線状であってもよく、例えばマンドレルの前端に向けて曲がった先端など、曲がってもよい。係合部材の利点は、動物屠殺体から取り除くためにマンドレルとリーフラードとの間のより強固なグリップが形成されることである。先端をマンドレルの前端に向けて曲げることの利点は、マンドレルの周囲に巻き付けられたリーフラードが例えばマンドレルから押し出される等マンドレルから取り除かれるようになるとき、この場合にこの作業がより容易になることである。
【0025】
マンドレルは、係合部材間の開口及び/又は係合部材の先端部の開口など、表面の開口をさらに有してもよい。これらの開口は、マンドレルに巻き付けられることになるリーフラードにマンドレルが接触する前及び接触している間に、空気が外部から係合部材に吸引されるように、空気装置に接続されてもよい。吸引は、マンドレルの周囲にリーフラードを巻き付ける間の少なくとも一部の時間に続けることができる。この機能において、係合部材の利点は、マンドレルとリーフラードとの間のグリップが増大するので、リーフラードがマンドレルに巻き付けられないリスクが減少することである。開口はさらに、リーフラードがマンドレルから取り外されることになる工程で、マンドレルの内側から開口の外へ空気が吹き出すように使用されてもよい。これにより、マンドレルの周囲に巻き付けられたリーフラードはわずかに持ち上げられ、例えば、押出装置及び/又は押出要素がリーフラードを解放して押動するように使用されるとき、取り外しが非常に容易になる。
【0026】
マンドレルはまた、マンドレルの長さに沿って位置する少なくとも1つのレール凹部を有してもよい。レール凹部は、底部と底部の各縁部に沿った側部とを有するマンドレル表面の一部内の凹部又はレーンであってもよい。レール凹部の底部は、マンドレルの表面全体と実質的に平行であってもよく、これにより、側部の高さは、レール凹部の長さに沿って実質的に等しくてもよい。しかしながら、レール凹部の底部は、マンドレルの長手方向軸に実質的に平行であってもよく、これにより、レール凹部の側部の高さは、マンドレルの基端からマンドレルの前端に向かって減少してもよい。好ましくは、レール凹部は、押出要素をマンドレルに沿って案内し、例えば、押出要素がマンドレルの周囲に巻き付けられたリーフラードの下方に向けられる能力を高めるためのものである。マンドレルは、少なくとも2つの凹部を有してもよく、これらはそれぞれ、吸引キャビティ開口の中心線から約90度離間していてもよく、中心線は、マンドレルの基端から前端までの中心線又は中心軸に平行である。これにより、マンドレルは、マンドレルの両側部に、例えば吸引キャビティに対して左右反対であるレール凹部を有してもよい。レール凹部の利点は、押出要素がマンドレルの周囲に巻き付けられたリーフラードの下方に容易に向かわされ、押出要素の位置がマンドレルからリーフラードを押し出す間に安定することである。
【0027】
少なくとも1つの押出要素は、少なくとも1つのレール凹部内に少なくとも部分的に位置してもよく、マンドレルの周囲に巻き付けられたリーフラードの下方に入り込むように及び/又はマンドレルの周囲に巻き付けられたリーフラード上で押動するように構成されていてもよい。このような押出要素は、マンドレルの前端に向かう方向においてマンドレル表面に向かって傾斜していてもよい。これにより、押出要素は、マンドレルの基端側に位置する端部ではより高く、マンドレルの前端側に位置する端部ではより低くてもよい。押出要素の傾斜は、例えば約45度であってもよい。傾斜した押出要素の利点は、押出要素がマンドレルの周囲に巻き付けられたリーフラードの下方に容易に向けられることである。この利点は、上述したように傾斜した押出要素がレール凹部内に配置されているときにさらに増大する。
【0028】
レール凹部の底部がマンドレルのレール凹部の表面全体と実質的に平行である場合、少なくとも1つのレール凹部が、好ましくは、内側への湾曲及びたわみの一方又は両方が存在する場合に、内側への湾曲及びたわみのない領域においてマンドレル表面に沿って位置してもよい。
【0029】
マンドレルの表面は、マンドレルをその長さに沿って二等分に分け、また吸引キャビティの吸引口を二等分に分ける平面を中心に実質的に対称であってもよい。
【0030】
本発明のさらなる側面は、動物屠殺体の少なくとも一部からリーフラードを自動的に解放し又は取り除くためのシステムに関し、このシステムは、
本明細書に記載の少なくとも1つのツールを含む少なくとも1つのロボットアームと、
動物屠殺体の一部の位置及び/又は動物屠殺体の一部から取り除かれ又は部分的に取り除かれることになるリーフラードの位置を識別するように構成された識別システムと、
少なくとも動物の位置、動物の部分の位置、及び/又は動物屠殺体の少なくとも一部に接続されたリーフラードの位置の情報を受信して処理するように構成された処理システムと、
少なくとも処理システム及び少なくとも1つのロボットアームと通信する制御システムであって、該制御システムが、リーフラードを解放する又は取り除くための工具を有する少なくとも1つのロボットアームを制御して、
動物屠殺体の少なくとも一部の腹壁に位置するリーフラードに係合させ、
リーフラードがマンドレルの周囲に巻き付けられるようにマンドレルを巻き、これによって、リーフラードの主要部分を腹壁から解放し又はリーフラードを屠殺体の腹壁から取り除き、
工具をリーフラードから取り外して、リーフラードを腹壁のごく一部に接続したままとし、又は解放したリーフラードを予め決められた領域に向かわせる、
制御システムと
を有してもよい。
【0031】
システムは自動ロボットシステムであってもよく、その各構成要素は、好ましくは屠殺場で機能するのに適している。屠殺場では、開腹と内臓除去後の屠殺体又は屠殺体の半分が、オーバーヘッドコンベヤに後脚で吊るされ、頭を下にして搬送される工程にさらに向かわせられてもよい。腹壁にあるリーフラードは、本明細書に記載されたシステムを使用することによって等、頭を下にした姿勢で吊り下がっている半分の屠殺体から解放され又は取り除かれてもよい。
【0032】
少なくとも1つのロボットアームは、少なくとも3つの自由度を有し、処理システムによって受信された情報に基づいて制御システムによって個別に制御可能なロボットアームであってもよい。
【0033】
識別システムは、動物屠殺体の一部の位置及び/又は動物屠殺体の一部から取り除かれる又は部分的に取り除かれるリーフラードの位置を識別するために配置された例えば多数のカメラである視覚システムを有してもよい。識別システムはまた、マンドレルをマンドレルに巻かれたリーフラードから適切に取り外し、予め定められている場合にはリーフラードを腹壁に付着したままにするか又はリーフラードを所定の場所に配送するか制御可能であってもよい。
【0034】
プロセッサ等の処理システムは、好ましくは、少なくとも動物の位置、動物の部分の位置、及び/又は動物屠殺体の少なくとも一部に接続されたリーフラードの位置の、例えば識別システムから受信した複数の情報を受信して処理するように構成されており、処理システムは、好ましくは、工具のマンドレルをリーフラードに接続するための最も最適な解決策を決定し、リーフラードをマンドレルの周囲に巻き付ける解決策を決定するとともにマンドレルをリーフラードから解放することに関連して、これらの情報を処理可能である。
【0035】
コントローラ等の制御システムは、少なくとも処理システムと通信していることが好ましい。しかしながら、処理システムと制御システムは、両方の機能を有する単一のシステムであってもよい。制御システムは、処理システムによって決定された最適な解決策に従って少なくとも1つのロボットアームを制御する。制御システムは、少なくとも1つのロボットアームを制御して、動物屠殺体の腹壁からリーフラードを解放し又は取り除くための本明細書に記載の方法を実行する。
【0036】
システムは少なくとも2つのロボットアームを有してもよく、各ロボットアームは本明細書に記載されるような少なくとも1つの工具を有する。ロボットアームは、制御システムによって制御されて、1頭の動物から採取された2つの屠殺体等、例えば動物からの左右半分の屠殺体である例えば2つの半分の屠殺体からリーフラードを解放し又は取り除くようにマンドレルを少なくとも部分的に左右反対方向に駆動する。例えば1頭の動物からの2つの半分の屠殺体上で作業する2つのロボットアームが同時に左右対称の工程で作業してもよいが、他方のロボットアームの工具が他方の半分の屠殺体のリーフラードに係合する前に、一方のロボットアームがこのロボットアームの工具がリーフラードに係合するように工程をリードしてもよい。
【0037】
本システムでは、少なくとも1つのロボットアームがそれぞれ本明細書に記載されたタイプの2つの工具を有してもよい。
【0038】
本発明の他の側面は、本明細書に記載されるような工具を使用して、動物屠殺体の少なくとも一部からリーフラードを解放し又は取り除くための方法に関し、この方法は、
a) 工具のマンドレルを、動物屠殺体の少なくとも一部に位置するリーフラードの一端部に接触させ、
b) リーフラードが屠殺体部分から解放されてマンドレルの周囲に巻き付けられるように、リーフラードの少なくとも主要部分又はリーフラードの全体部分がマンドレルの周囲に巻き付けられるまで、マンドレルを巻くと同時にマンドレルをリーフラードに沿って移動させ、
c) マンドレルと周囲に巻き付けられたリーフラードとの係合を外す、
工程を少なくとも含む。
【0039】
本方法は、好ましくは、動物屠殺体の少なくとも一部からリーフラードを解放し又は取り除くための自動化方法である。このような自動化方法では、本方法が本明細書に記載されているようなシステムによって実行されてもよい。
【0040】
この方法では、リーフラードは解放されて腹壁に接続されたままにされてもよい。リーフラードと腹壁との間の接続は、例えば所定の時間までリーフラードが接続された状態を保つように可能な限り少なくしてもよく、この場合リーフラードは例えば手で取り除かれる等取り除かれてもよい。リーフラードを腹壁に接続したままにしておく利点は、獣医師が屠殺体を管理することになるときにリーフラードが検査中の屠殺体からのものであることに疑いがないことである。腹壁に付着したリーフラードは、検査後に取り除かれ得る。
【0041】
動物屠殺体の少なくとも一部に位置するリーフラードの一端部に工具のマンドレルを接触させるとき、これは、後脚で吊り下がっている半分の屠殺体のリーフラードの下端においてであってもよい。
【0042】
本方法では、工具のマンドレルが、動物屠殺体の少なくとも一部に位置するリーフラードの一端部に接触させられる。好ましくは、この接触と係合は、屠殺体から取り除かれる前に、横隔膜に近いリーフラードの端部で実行され、この端部ではリーフラードは尖っていてもよい。マンドレルがリーフラードに接触している前に、このリーフラードの端部を腹壁から切り離す必要はない。
【0043】
マンドレルを巻くと同時にマンドレルをリーフラードに沿って移動させる間に、リーフラードが屠殺体部分の腹壁から解放されて、リーフラードの少なくとも主要部分又は全体部分がマンドレルの周囲に巻き付けられるまで、リーフラードがマンドレルの周囲に巻きつけられる。それ故、リーフラードが屠殺体に残されることになる場合、リーフラードの主要部分がマンドレルの周囲に巻き付けられる。リーフラードが屠殺体から取り除かれることになる場合、リーフラード全体がマンドレルの周囲に巻き付けられるか、又は少なくともリーフラード全体が腹壁から解放されてリーフラードを腹壁から取り除くことができるようにすることが好ましい。
【0044】
例えば後脚で吊り下がった半分の屠殺体からリーフラードを解放し又は取り除くとき、マンドレルがリーフラードに係合するリーフラードの傾斜端から工具を上方に移動させてもよい。マンドレルの位置は、例えば、マンドレルがリーフラードと係合する開始位置で、マンドレルの前端が下方を向いているときに、水平に対して約45度の角度であってもよい。この角度は、巻取り工程の間に小さくなることがあり、例えば、停止位置で水平に対して40~15°であってもよく、マンドレルの前端が依然として下方を向いており、ここでは、マンドレルがその周囲に巻き付けられたリーフラードと共に又は該リーフラードなしに屠殺体から取り除かれることになる。リーフラードに沿ってマンドレルを移動させることが、リーフラードにある程度の応力を与え、腹壁からリーフラードを解放させるが、リーフラードを腹壁から解放させる主な力はマンドレルの巻き取りによってもたらされる。
【0045】
マンドレルと周囲に巻き付けられたリーフラードとの係合を外すことは、2つの可能性を含んでもよい。マンドレルは、マンドレルの周囲に巻き付けられたリーフラードから取り外され得るが、これは例えばリーフラードが係合解除後に腹壁に接続されたままになっている場合である。代替的に、リーフラードがマンドレルから取り外され得るが、これは例えば、リーフラードが腹壁から取り外されて予め選択された場所など他の場所に位置する場合である。
【0046】
この方法は、ステップa)の間に、リーフラードをマンドレルに吸引によって固定すること、及び/又は小さなリーフラード部分をマンドレルの吸引キャビティに吸引するなど把持すること、及び/又は小さなリーフラード部分をマンドレルの吸引キャビティに把持することを、有してもよい。吸引は、第1空気装置及び/又は第2空気装置を使用して空気を吸引することによって引き起こされる。第1空気装置内の真空によって引き起こされる力は、リーフラードの一部を吸引キャビティに向けて引き及び/又は吸引キャビティ内に引き込むことができる。リーフラードの一部が吸引キャビティ内にあるとき、第2空気装置はクランプ機構を作動させ、これを、リーフラードを吸引キャビティ内に把持する閉位置に進入させて、これによってマンドレルとリーフラードとの間に強固な接続を形成できる。
【0047】
本方法は、ステップc)の係合解除の間に、リーフラードをクランプ機構から解放するなど、リーフラードを内側から解放するように吸引キャビティに空気を吹き込むことを有してもよい。吸引キャビティへの空気の吹き込みは、第1空気装置を使用して空気を吹き込むことによって実行されてもよい。リフトオフ工程が、リーフラードの下方、すなわちマンドレルの表面と周囲に巻き付けられたリーフラードとの間に空気が向けられる場合にも実行されてもよい。このリフト用空気は、第1空気装置を使用して向けられる空気であってもよい。
【0048】
係合部材間のマンドレル表面に開口が存在し、及び/又は係合部材の先端部に開口が位置する場合、リフトオフ工程はさらに強化される可能性があり、ここに、空気がこのような開口を通って吹き出されて、リフトオフ工程を増大させてもよく、又は空気によるリーフラードのリフトオフのための唯一の工程であってもよい。第3空気装置が、マンドレルの内側に位置しており、開口を通して空気を吹き出すことを可能にしてもよい。このような第3空気装置は、外部からマンドレル内に空気を吸引するためにも使用されてもよく、開口を使用してリーフラードとマンドレルとの間の接続を増大させる。
【0049】
本方法は、ステップc)の間に、マンドレルから周囲に巻き付けられたリーフラードを押し出すことをさらに含んでもよく、この場合、押出装置は、マンドレルの基端からマンドレルの前端へ向かわされ、押出装置は、リーフラード上を押動している。リーフラードが腹部に接続されたままとなる場合、マンドレルは工具全体等この押出工程の間に移動しなくてもよく、又はリーフラードを押動しているときの押出装置の前進方向に対して反対方向に向けられてもよい。リーフラードが腹壁から取り除かれる場合、押出装置が前方すなわちマンドレルの基端からマンドレルの前端に向かって向けられる前及び/又はその間に、工具を所定の位置に向かって移動させてもよい。押出装置は、前方移動が終了するときにマンドレルの基端に戻される。
【0050】
本方法は、ステップd)の間に、マンドレルから周囲に巻き付けられたリーフラードを押し出すことをさらに有してもよく、少なくとも1つの押出要素が、押出装置とともにマンドレルの基端からマンドレルの前端へ向かわされ、マンドレルの周囲に巻き付けられたリーフラードの持ち上げ工程を実行する。押出要素は、好ましくは傾斜したデザインを有しており、この場合、押出装置と押出要素とが前方すなわちマンドレルの基端からマンドレルの前端へ向かっているとき、小さな先行する部分の寸法をマンドレルの周囲に巻き付けられたリーフラードの下方に向かわせることができる。傾斜した押出要素は、前方に向かうにつれて、周囲に巻き付けられたリーフラードのさらに下方に向かい、それにより、押出装置がリーフラードに対してより大きな力で押動し、且つ、リーフラードが押出装置とマンドレルとの間に嵌まり込まないように、リーフラードをマンドレルから持ち上げる。
【0051】
本方法は、動物屠殺体の少なくとも一部からリーフラードを解放し又は取り除くために、本明細書の他の箇所に記載のシステムによって実行される自動化方法であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0052】
図1】リーフラードを取り除き又は解放するための工具の第1の斜視図である。
図2】リーフラードを取り除き又は解放するための工具の第2の斜視図である。
図3】リーフラードを取り除き又は解放するための工具の第3の斜視図である。
図4】リーフラードを取り除き又は解放するための工具の正面からの斜視図である。
図5】リーフラードを取り除き又は解放するための工具を通る長手断面であって、クランプ機構が閉位置にある場合を示す。
図6】リーフラードを取り除き又は解放するための工具を通る長手断面の一部拡大図であって、クランプ機構が開位置にある場合を示す。
図7】クランプ機構が開位置にあるときに吸引キャビティに吸引されたリーフラードの位置を示す。
図8】リーフラードとの係合時の工具の可能性のある位置を示している。
【発明を実施するための形態】
【0053】
図1はリーフラードを取り除き又は解放するための工具1を示している。基端3と前端4とを有する長手方向のマンドレル2は、開口6を有する吸引キャビティ5を有する。開口の内側にはクランプ機構18が位置している。マンドレルの基端3には、マンドレル2を取り囲むように押出装置7が配置されている。押出装置7を基端3から前端4へ向かわせることができるピストン8の一部が図示されている。マンドレル2の表面9は、係合部材10と共に図示されている。マンドレル2は、基端3における外周が前端4よりも大きい円錐形である。係合部材10は、斜めであり、マンドレル2の前端4に向かって尖っている先端を有する、先が尖ったスパイクとして図示されている。押出要素15のリング状部分の内側の押出要素11の位置も図示されている。
【0054】
図2は、リーフラードを取り除き又は解放するための工具の第2の側面図を示している。工具1は、図1の位置に関連するときに側方から見られている。マンドレル2には、開口6を有する吸引キャビティ5が見られ、開口はクランプ機構18によって閉じられている。基端3には押出装置7が位置している。押出装置7の内側には押出要素11があり、押出要素11の一部が、吸引口6が位置していない領域にマンドレル2の基端3から前端4まで位置するレール凹部12内に位置している。ピストン8は、押出装置7と押出要素11とをマンドレル2の基端3からマンドレル2の前端4に向かって向かわせることができ、ここでは、傾斜した押出要素11がマンドレル2の周囲に巻き付けられたリーフラード(図示せず)の下方に向けられ得るように、押出要素11がレール凹部12内でレール凹部12によって案内される。また、吸引キャビティ5の開口6の近くに位置している、マンドレル2の内側への湾曲13も図示されている。内側への湾曲13は、開口6の長手方向において、マンドレル2の基端3側に位置する。マンドレル2の反対側であり内側への湾曲13のちょうど反対には、たわみ14が図示されている。また、吸引開口6が全体的に先細の(テーパー状)デザインで図示されたマンドレル2の全体的な境界からわずかに突出していることが図示されている。
【0055】
図3はリーフラードを取り除き又は解放するための工具の第3の側面図を示している。特徴は、図1及び図2に関連して説明した通りである。この図では、押出装置7と押出要素11に焦点が当てられている。押出装置7は、押出要素11のリング状部分15を取り囲んでいる。押出要素11のリング状部分15は、マンドレル2の回転中にリング状の押出装置7の内側で回転できる。これにより、マンドレル2の回転中、押出装置77のリング状部分15がマンドレル2と一緒に回転する一方で、押出装置7の押出要素11は回転しない。
【0056】
図4はリーフラードを取り除き又は解放するための工具の正面図を示している。図示されているものは、マンドレル2の前端4であって、この点からマンドレル2の基端3に向かって見たものである。2つのレール凹部12が、マンドレル2の各長手方向側部上の互いに反対側であって、吸引キャビティ(図示せず)の開口6の領域の外側に図示されている。係合部材10が、図示されており、先細りマンドレル2の長手方向に沿って列をなして位置している。レール凹部12には押出要素11が位置しており、押出装置7のリング状部分15及び押出要素11がマンドレル2の基端を取り囲んでおり、押出装置7、押出要素11、及びリング状部分15が基端3から前端4へ向かって再度戻ることができるように、押出装置7のリング状部分15及び押出要素11が一緒にピストン8によって制御される。
【0057】
図5はリーフラードを取り除き又は解放するための工具1の一部を通る長手方向断面を示している。マンドレル2の内側には、基端3から吸引キャビティ5まで位置する第1空気装置16と第2空気装置17が見られる。第1空気装置16は、リーフラードを吸引キャビティ5に吸引し、リーフラードを吸引キャビティ5から吹き出すように制御される。第2空気装置17はクランプ機構18の機能を制御するが、クランク機構18は閉位置に示されている。空気制御は、第2空気装置17を使用して空気を吸引キャビティ5に向けて圧力チャンバ26に案内して、吸引キャビティ5の内側に位置するクランプ機構18を吸引キャビティ5の開口6に向かわせ、これによってクランプ機構18を閉位置に至らせることによって実行される。第2空気装置17の吸引による空気は、クランプ機構18を開位置に至らせるために使用されてもよく、又は圧力チャンバに向かう空気流が停止させられる。
【0058】
図6はリーフラードを取り除き又は解放するための工具を通る長手方向断面の一部の拡大図を示している。特徴は図5に関連して説明した通りである。この図では、クランプ機構18は開位置にあり、ここではクランプ機構18の上部が吸引口6から離間しているので、リーフラードを吸引キャビティ5内に吸引することが可能にする。圧力チャンバ26は、第2空気装置17を使用して圧力チャンバ26に向かう空気がないので、「小さい」又はその開始位置にある。
【0059】
図7は、クランプ機構18が吸引口6から離間している開位置の吸引キャビティ5を図示しており、リーフラード21の一部が吸引キャビティ内に吸引されている様子が図示されている。リーフラード21がこの位置にある状態でクランプ機構18が吸引口6に向かわされると、リーフラード21が吸引キャビティ5の内側にクランプされる。第2空気装置17を使用して空気が圧力チャンバ26に案内される前の、開始位置にある圧力チャンバ26も示されている。
【0060】
図8はリーフラードとの係合時の工具の可能性のある位置を示している。図は、脊柱23を有する腹壁19、一部がリーフラード21の後方に位置する肋骨24、切り開かれた腹壁20、及び腹壁19に位置するリーフラード21を含む動物屠殺体の一部を示している。この図は、後脚で吊り下がっているつまり頭を下にした豚屠殺体の一部を模擬したものであってもよい。本明細書で説明されるような工具1は、工具1の前端が部分的に地面を指した状態で、リーフラード21に向けられている。吸引キャビティの開口6は、点線で図示されており、リーフラード21の方に向けられた側部で工具1に位置していることを示している。開口6は、リーフラード21の尖った端部22においてリーフラード21に係合しており、この端部22は後脚に吊り下がっている屠殺体部分についてのリーフラード21の下部である。矢印25は、リーフラード21をマンドレルの周囲に巻き付けるための工具1のマンドレルの曲げ方向を示している。
【0061】
本発明の精神及び範囲内での様々な変更及び改変が、この詳細な説明から当業者には明らかであるので、詳細な説明及び具体的な実施例は、本発明の実施形態を示しながら、例示のためにのみ与えられていることを理解されたい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【国際調査報告】