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特表2023-549359ハロゲンリザーバを有する物品を含む物品、システム、及び方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-24
(54)【発明の名称】ハロゲンリザーバを有する物品を含む物品、システム、及び方法
(51)【国際特許分類】
   B01J 20/26 20060101AFI20231116BHJP
   B01J 20/30 20060101ALI20231116BHJP
   B01J 20/28 20060101ALI20231116BHJP
   B01D 53/50 20060101ALI20231116BHJP
   B01D 53/82 20060101ALI20231116BHJP
   B01D 53/64 20060101ALI20231116BHJP
   C08L 101/02 20060101ALI20231116BHJP
   C08L 27/16 20060101ALI20231116BHJP
   C08L 27/18 20060101ALI20231116BHJP
【FI】
B01J20/26 A ZAB
B01J20/30
B01J20/28 A
B01D53/50 100
B01D53/82
B01D53/64 100
C08L101/02
C08L27/16
C08L27/18
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023528232
(86)(22)【出願日】2021-11-12
(85)【翻訳文提出日】2023-07-06
(86)【国際出願番号】 US2021059116
(87)【国際公開番号】W WO2022104040
(87)【国際公開日】2022-05-19
(31)【優先権主張番号】63/113,047
(32)【優先日】2020-11-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】391028362
【氏名又は名称】ダブリュ.エル.ゴア アンド アソシエイツ,インコーポレイティド
【氏名又は名称原語表記】W.L. GORE & ASSOCIATES, INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100128495
【弁理士】
【氏名又は名称】出野 知
(74)【代理人】
【識別番号】100208225
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 修二郎
(74)【代理人】
【識別番号】100144417
【弁理士】
【氏名又は名称】堂垣 泰雄
(72)【発明者】
【氏名】フランズ シェリー
(72)【発明者】
【氏名】スティーブ ハードウィック
(72)【発明者】
【氏名】リサンドラ アロヨ ラミレズ
(72)【発明者】
【氏名】ウーウェ ブーシャー
(72)【発明者】
【氏名】ライアン ケナリー
【テーマコード(参考)】
4D002
4G066
4J002
【Fターム(参考)】
4D002AA02
4D002AA29
4D002AC01
4D002AC04
4D002AC10
4D002BA04
4D002CA07
4D002DA41
4D002DA53
4D002DA56
4D002DA70
4D002GA01
4D002GB02
4D002GB03
4D002GB20
4G066AA04B
4G066AB09B
4G066AB13B
4G066AB21B
4G066AC13B
4G066AC14B
4G066AC15B
4G066AC23B
4G066AC35B
4G066BA05
4G066BA09
4G066BA14
4G066BA36
4G066BA38
4G066CA23
4G066CA47
4G066DA02
4G066FA02
4G066FA21
4G066FA25
4G066FA37
4J002AA001
4J002BB031
4J002BD121
4J002BD141
4J002BD151
4J002BD161
4J002BG081
4J002CE001
4J002CF191
4J002DA016
4J002DJ016
4J002FD206
4J002GD02
(57)【要約】
多様な燃焼排ガス汚染物質を除去するための耐久性のある汚染制御システム、物品、及び方法。汚染制御システムは、ソーベントポリマー複合体(SPC)と、複数のハロゲンリザーバとを含む物品を含む。いくつかの場合には、ハロゲンリザーバはSPC内部に埋め込まれている。いくつかの場合には、ハロゲンリザーバのそれぞれが、各ハロゲンリザーバの平均重量を基準として5wt%~95wt%の少なくとも1種の透過制御材料と、各ハロゲンリザーバの平均重量を基準として5wt%~50%の少なくとも1種のハロゲン源とを有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ソーベントポリマー複合体(SPC)、及び
複数のハロゲンリザーバ
を含んでなる物品であって、
前記複数のハロゲンリザーバは前記SPC内部に埋め込まれており、かつ
前記複数のハロゲンリザーバの各ハロゲンリザーバが、
各ハロゲンリザーバの平均重量を基準として5wt%~95wt%の少なくとも1種の透過制御材料と、
各ハロゲンリザーバの平均重量を基準として5wt%~50wt%の少なくとも1種のハロゲン源と
を含むことを特徴とする、物品。
【請求項2】
前記SPCがポリマー材料を含む、請求項1に記載の物品。
【請求項3】
前記ポリマー材料が、ポリフルオロエチレンプロピレン(PFEP)、ポリペルフルオロアクリレート(PPFA)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、テトラフルオロエチレンとヘキサフルオロプロピレンとフッ化ビニリデンとのターポリマー(THV)、ポリクロロフルオロエチレン(PCFE)、ポリ(エチレン-コ-テトラフルオロエチレン)(ETFE)、超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)、ポリエチレン、ポリパラキシリレン(PPX)、ポリ乳酸(PLLA)、ポリエチレン(PE)、延伸ポリエチレン(ePE)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)、又はこれらの任意の組み合わせの少なくとも1つを含む、請求項2に記載の物品。
【請求項4】
前記ポリマー材料がPVDFを含む、請求項2に記載の物品。
【請求項5】
前記PVDFはPVDFホモポリマーである、請求項4に記載の物品。
【請求項6】
前記PVDFがPVDFコポリマーである、請求項4に記載の物品。
【請求項7】
前記PVDFコポリマーが、PVDFとヘキサフルオロプロピレン(HFP)とのコポリマーである、請求項6に記載の物品。
【請求項8】
前記ポリマー材料がPTFEを含む、請求項3に記載の物品。
【請求項9】
前記ポリマー材料がePTFEを含む、請求項3に記載の物品。
【請求項10】
前記ポリマー材料がフィブリル及びノードを含み、前記ポリマー材料は、フィブリル及びノードの間にボイドが形成されるように、伸張させると多孔性になる、請求項2から9のいずれか1項に記載の物品。
【請求項11】
前記少なくとも1種のハロゲン源が、少なくとも金属ハロゲン化物、ハロゲン化アンモニウム、元素ハロゲン、又はこれらの任意の組み合わせを含む、請求項1から10のいずれか1項に記載の物品。
【請求項12】
前記少なくとも1種のハロゲン源が、少なくとも塩化ナトリウム、塩化カリウム、臭化ナトリウム、臭化カリウム、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化カリウム、又はこれらの任意の組み合わせを含む、請求項1から10のいずれか1項に記載の物品。
【請求項13】
前記少なくとも1種のハロゲン源が少なくともハロゲン化アンモニウムを含む、請求項1から10のいずれか1項に記載の物品。
【請求項14】
前記少なくとも1種のハロゲン源が、少なくともテトラメチルアンモニウムヨージド、テトラブチルアンモニウムヨージド、テトラエチルアンモニウムヨージド、テトラプロピルアンモニウムヨージド、テトラメチルアンモニウムブロミド、テトラエチルアンモニウムブロミド、テトラプロピルアンモニウムブロミド、テトラブチルアンモニウムブロミド、テトラブチルアンモニウムトリヨージド、テトラブチルアンモニウムトリブロミド、テトラメチルアンモニウムクロリド、テトラエチルアンモニウムクロリド、テトラプロピルアンモニウムクロリド、テトラブチルアンモニウムクロリド、又はこれらの任意の組み合わせを含む、請求項1から10のいずれか1項に記載の物品。
【請求項15】
前記少なくとも1種のハロゲン源が少なくとも元素ハロゲンを含む、請求項1から10のいずれか1項に記載の物品。
【請求項16】
前記元素ハロゲンが、元素ヨウ素(I)、元素塩素(Cl)、元素臭素(Br)のうちの少なくとも1種である、請求項15に記載の物品。
【請求項17】
前記少なくとも1種のハロゲン源がテトラブチルアンモニウムヨージド(TBAI)を含む、請求項1から10のいずれか1項に記載の物品。
【請求項18】
前記少なくとも1種のハロゲン源がヨウ化カリウム(KI)を含む、請求項1から10のいずれか1項に記載の物品。
【請求項19】
前記少なくとも1種のハロゲン源が少なくとも1種のハロゲン化ホスホニウムを含む、請求項1から10のいずれか1項に記載の物品。
【請求項20】
前記少なくとも1種のハロゲン化ホスホニウムが、テトラブチルホスホニウムヨージド(TBPI)、エチルトリフェニルホスホニウムトリヨージド(ETPPI)、テトラブチルホスホニウムブロミド(TBPBr)、エチルトリフェニルホスホニウムブロミド(ETPPBr)、エチルトリフェニルホスホニウムヨージド(ETPPI)、又はこれらの任意の組み合わせを含む、請求項19に記載の物品。
【請求項21】
前記少なくとも1種のハロゲン化ホスホニウムがETPPIである、請求項20に記載の物品。
【請求項22】
少なくとも90日の期間にわたって前記物品の少なくとも1つの表面上を燃焼排ガス流が流される条件下で、前記物品が、1日当たり前記物品中の総ハロゲンの2%を超えない、物品からの総ハロゲンの放出速度をもたらすのに十分な量の複数のハロゲンリザーバを含み、
前記燃焼排ガス流が少なくとも20℃の温度と、少なくとも95%の相対湿度とを有し、そして
前記ガス流が、少なくとも1ppmの濃度の少なくとも1種のSO化合物と、前記燃焼排ガス流の少なくとも1μg/mの濃度の水銀蒸気とを含む、請求項1から21のいずれか1項に記載の物品。
【請求項23】
前記複数のハロゲンリザーバの少なくとも1つがカプセル化ビードの形態を成しており、
前記カプセル化ビードが、
コアと、
前記少なくとも1つのハロゲン源であって、前記少なくとも1つのハロゲン源が少なくとも前記コアの表面上に存在する、前記少なくとも1つのハロゲン源と、
前記透過制御材料であって、前記透過制御材料が前記コアをカプセル化している、前記透過制御材料と
を含む、請求項1から22のいずれか1項に記載の物品。
【請求項24】
前記コアが活性炭を含む、請求項23に記載の物品。
【請求項25】
前記複数のハロゲンリザーバの少なくとも1つがリザーバ粒子の形態を成しており、
前記リザーバ粒子が、
前記透過制御材料であって、前記透過制御材料が透過制御粒子の形態を成している、前記透過制御材料と、
前記少なくとも1つのハロゲン源であって、前記少なくとも1つのハロゲン源が少なくとも前記透過制御粒子の表面上に存在する、前記少なくとも1つのハロゲン源と
を含む、請求項1から24のいずれか1項に記載の物品。
【請求項26】
前記透過制御材料がポリスチレン、架橋ポリスチレン-ジビニルベンゼン(PS-DVB)、又はこれらの組み合わせを含む、請求項25に記載の物品。
【請求項27】
前記リザーバ粒子が第2透過制御材料をさらに含み、前記第2透過制御材料が、前記透過制御粒子の表面上の前記少なくとも1種のハロゲン源を取り囲む、請求項25又は26に記載の物品。
【請求項28】
前記複数のハロゲンリザーバが複数のリザーバクラスタの形態を成しており、前記リザーバクラスタのそれぞれが、
前記少なくとも1種のハロゲン源と、
前記透過制御材料と
を含む、請求項1から22のいずれか1項に記載の物品。
【請求項29】
前記複数のリザーバクラスタが、SPC全体にわたって埋め込まれた複数のハロゲンリザーバ片の形態を成している、請求項28に記載の物品。
【請求項30】
前記複数のリザーバクラスタが、SPCと混合された複数のハロゲンリザーバ凝集物の形態を成している、請求項28に記載の物品。
【請求項31】
前記十分な量の複数のハロゲンリザーバが、前記物品の総重量に基づいて5重量%~75重量%の複数のハロゲンリザーバである、請求項22に記載の物品。
【請求項32】
前記十分な量の複数のハロゲンリザーバが、前記物品の総重量に基づいて5重量%~50重量%の複数のハロゲンリザーバである、請求項22に記載の物品。
【請求項33】
少なくとも90日の期間にわたって前記物品の少なくとも1つの表面上を燃焼排ガス流が流される条件下で、前記物品が、1日当たり前記物品中の総ハロゲンの0.5%を超えない、物品からの総ハロゲンの放出速度をもたらすのに十分な量の複数のハロゲンリザーバを含み、
前記燃焼排ガス流が少なくとも50℃の温度と、少なくとも95%の相対湿度とを有し、そして
前記ガス流が、少なくとも20ppmの濃度の少なくとも1種のSO化合物と、前記燃焼排ガス流の少なくとも1μg/mの濃度の水銀蒸気とを含む、
請求項1から32のいずれか1項に記載の物品。
【請求項34】
ソーベントポリマー複合体(SPC)を得、そして
複数のハロゲンリザーバを得、
ここで前記複数のハロゲンリザーバの各リザーバは、
各ハロゲンリザーバの平均重量を基準として5wt%~95wt%の少なくとも1種の透過制御材料と、
各ハロゲンリザーバの平均重量を基準として5wt%~50%の少なくとも1種のハロゲン源と
を含み、そして
前記SPC内部に埋め込まれた前記複数のハロゲンリザーバを有する物品を形成する
ことを含む、方法。
【請求項35】
前記複数のハロゲンリザーバの少なくとも1つがカプセル化ビードの形態を成し、前記方法が、
コアを形成する少なくとも1つの粒子を得、
前記少なくとも1つの粒子の表面上へ前記少なくとも1種のハロゲン源を堆積し、そして
前記少なくとも1種の透過制御材料で前記コアをカプセル化することにより、前記カプセル化ビードを形成する
ことによって、前記カプセル化ビードを形成する
ことをさらに含む、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記少なくとも1種のハロゲン源が前記少なくとも1つの粒子の表面上へ、溶液として堆積される、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記少なくとも1種のハロゲン源が前記少なくとも1つの粒子の表面上へ、気相で堆積される、請求項35に記載の方法。
【請求項38】
前記少なくとも1つの粒子が炭素粒子である、請求項35から37のいずれか1項に記載の物品。
【請求項39】
前記複数のハロゲンリザーバの少なくとも1つがリザーバ粒子の形態を成しており、
前記リザーバ粒子が、
前記少なくとも1種の透過制御材料を透過制御粒子の形態で得、そして
前記透過制御粒子の表面上へ少なくとも1種のハロゲン源を堆積する
ことにより形成される、請求項35に記載の方法。
【請求項40】
前記方法が、
前記透過制御粒子の表面上へ前記少なくとも1種のハロゲン源を堆積したあと、前記リザーバ粒子の少なくとも一部上に第2透過制御材料を堆積することにより、前記少なくとも1種のハロゲン源を取り囲む第2透過制御層を形成する
ことをさらに含む、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記複数のハロゲンリザーバが複数のリザーバクラスタの形態を成しており、前記方法が、
複数の粒子を少なくとも1種のハロゲン源及び少なくとも1種の透過制御材料と混合することにより、混合物を形成し、
前記混合物をフィルム又は部品になるように形成し、
前記フィルム又は部品をハロゲンリザーバ片になるように形成し、そして
前記ハロゲンリザーバ片を前記SPC内へ埋め込む
ことによって、前記複数のリザーバクラスタのそれぞれを形成する
ことをさらに含む、請求項34に記載の方法。
【請求項42】
前記複数のハロゲンリザーバが複数のリザーバクラスタの形態を成しており、前記方法が、
SPC凝集物を得、
複数の粒子を少なくとも1種のハロゲン源及び少なくとも1種の透過制御材料と混合することにより、リザーバ凝集物を形成し、そして
前記SPC凝集物を前記リザーバ凝集物と混合することにより、前記物品を形成する
ことによって、前記複数のリザーバクラスタのそれぞれを形成する
ことをさらに含む、請求項34に記載の方法。
【請求項43】
前記物品を接触させるように燃焼排ガス流を流すことをさらに含み、前記燃焼排ガス流が少なくとも50℃の温度と、少なくとも95%の相対湿度とを有し、前記燃焼排ガス流が、少なくとも20ppmの濃度の少なくとも1種のSO化合物と、前記燃焼排ガス流の総体積を基準として少なくとも1μg/mの濃度の水銀蒸気とを含み、前記物品中の総ハロゲンの放出速度が1日当たり前記物品中の総ハロゲンに対して0.5%を超えない、請求項34から42のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、“ARTICLES COMPRISING A PLURALITY HALOGEN RESERVOIRS, SYSTEMS AND METHODS INCLUDING THE SAME(複数のハロゲンリザーバを含む物品、これを含むシステム及び方法)”と題する2020年11月12日付けで出願された米国仮特許出願第63/113,047号の優先権及び利益を主張する。この全体は参照することにより本明細書中に援用される。
【0002】
本開示は、ガス流から化合物及び微粒子物質を除去する汚染制御システム及び方法の分野に関する。
【背景技術】
【0003】
石炭火力発電所、都市ごみ焼却炉、及び石油精製プラントは、多量の燃焼排ガスを発生させる。燃焼排ガスは、多種多様な、そして相当な量の環境汚染物質、例えば硫黄酸化物(SO及びSO)、窒素酸化物(NO、NO)、水銀(Hg)蒸気、及び粒子状物質(PM)を含有している。米国内では、燃焼する石炭だけで、約2700万トンのSO、及び45トンのHgを毎年発生させている。このように、硫黄酸化物、水銀蒸気、及び微粒子状物質を工業用燃焼排ガス、例えば石炭火力発電プラント燃焼排ガスから除去するための制御システム及び方法を改善する必要がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
いくつかの実施態様では、多様な燃焼排ガス汚染物質を同時に除去し得る改善型の耐久性のある汚染制御システムが提供される。これらの汚染物質の一例としては、SO、Hg蒸気、及びPM2.5(直径が2.5マイクロメートル以下の粒子状物質)が挙げられる。いくつかの実施態様は、二次汚染物質を発生させないシンプルな汚染制御システムを含み得る。いくつかの実施態様では、汚染制御システムが長期間にわたって所要量のハロゲン源を提供し得る。具体的には、燃焼排ガス処理装置が、より耐久性があり且つより長持ちするハロゲン源を、ソーベントポリマー複合体基材と組み合わせて含んでよい。いくつかの実施態様では、ソーベントポリマー複合体基材は、処理プロセスに際して発生した溶液で浸出されることはない。
【0005】
本開示のいくつかの実施態様は、ハロゲン源とSPCとを含み得る層状構造を有する物品に関する。いくつかの実施態様では、本明細書中に記載された物品はハロゲンリザーバからの少なくとも1種のハロゲン源の遅延放出を可能にする。ハロゲンリザーバは本明細書中に記載された物品の一部を形成し得る。
【0006】
いくつかの実施態様では、物品は燃焼排ガス処理装置を含む。いくつかの実施態様では、物品は燃焼排ガス処理装置である。いくつかの実施態様では、物品は燃焼排ガス処理装置の一部である。
【0007】
いくつかの実施態様では、物品は第1SPC層と、第2SPC層と、ハロゲンリザーバとを含み、ハロゲンリザーバが第1SPC層と第2SPC層との間に配置されている。
【0008】
いくつかの実施態様では、物品は少なくとも1種の透過制御材料を含むか、又はさらに含む。
【0009】
物品のいくつかの実施態様では、前記少なくとも1種の透過制御材料が、少なくとも1つの透過制御層の形態を成しており、前記少なくとも1つの透過制御層が、前記第1SPC層と前記ハロゲンリザーバとの間に、前記第2SPC層と前記ハロゲンリザーバとの間に、又はその両方に配置されている。すなわち、物品のいくつかの実施態様では、前記少なくとも1つの透過制御層が、少なくとも1つの透過制御層の形態を成しており、前記少なくとも1つの透過制御層が、前記第1SPC層と前記ハロゲンリザーバとの間に、そしてまた前記第2SPC層と前記ハロゲンリザーバとの間に配置されている。
【0010】
物品のいくつかの実施態様では、前記少なくとも1つの透過制御層が、前記少なくとも1種の透過制御材料から成る第1層であって、前記第1層が前記第1SPC層と前記ハロゲンリザーバとの間に配置されている、第1層と、前記少なくとも1種の透過制御材料から成る第2層であって、前記第2層が前記第2SPC層と前記ハロゲンリザーバとの間に配置されている、第2層と、を含む。
【0011】
いくつかの実施態様では、物品が、ソーベントポリマー複合体(SPC)と、複数のハロゲンリザーバであって、前記複数のハロゲンリザーバが前記SPC内部に埋め込まれており、前記複数のハロゲンリザーバの各ハロゲンリザーバが、各ハロゲンリザーバの平均重量を基準として5wt%~95wt%の少なくとも1種の透過制御材料と、各ハロゲンリザーバの平均重量を基準として5wt%~50wt%の少なくとも1種のハロゲン源とを含む、複数のハロゲンリザーバとを含む。
【0012】
物品のいくつかの実施態様では、前記SPCがポリマー材料を含む。
【0013】
物品のいくつかの実施態様では、前記ポリマー材料が、ポリフルオロエチレンプロピレン(PFEP)、ポリペルフルオロアクリレート(PPFA)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、テトラフルオロエチレンとヘキサフルオロプロピレンとフッ化ビニリデンとのターポリマー(THV)、ポリクロロフルオロエチレン(PCFE)、ポリ(エチレン-コ-テトラフルオロエチレン)(ETFE)、超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)、ポリパラキシリレン(PPX)、ポリ乳酸(PLLA)、ポリエチレン(PE)、延伸ポリエチレン(ePE)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)、又はこれらの任意の組み合わせの少なくとも1つを含む。
【0014】
物品のいくつかの実施態様では、前記ポリマー材料がPVDFを含む。
【0015】
物品のいくつかの実施態様では、前記PVDFはPVDFホモポリマーである。
【0016】
物品のいくつかの実施態様では、前記PVDFがPVDFコポリマーである。
【0017】
物品のいくつかの実施態様では、前記PVDFコポリマーが、PVDFとヘキサフルオロプロピレン(HFP)とのコポリマーである。
【0018】
物品のいくつかの実施態様では、前記ポリマー材料がPTFEを含む。
【0019】
物品のいくつかの実施態様では、前記ポリマー材料がePTFEを含む。
【0020】
物品のいくつかの実施態様では、前記ポリマー材料がフィブリル及びノードを含み、前記ポリマー材料は、フィブリル及びノードの間にボイドが形成されるように、伸張させると多孔性になる。
【0021】
物品のいくつかの実施態様では、前記少なくとも1種のハロゲン源が、少なくとも金属ハロゲン化物、ハロゲン化アンモニウム、元素ハロゲン、又はこれらの任意の組み合わせを含む。
【0022】
物品のいくつかの実施態様では、前記少なくとも1種のハロゲン源が少なくとも塩化ナトリウム、塩化カリウム、臭化ナトリウム、臭化カリウム、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化カリウム、又はこれらの任意の組み合わせを含む。
【0023】
物品のいくつかの実施態様では、前記少なくとも1種のハロゲン源が少なくともハロゲン化アンモニウムを含む。
【0024】
物品のいくつかの実施態様では、前記少なくとも1種のハロゲン源が少なくともテトラメチルアンモニウムヨージド、テトラブチルアンモニウムヨージド、テトラエチルアンモニウムヨージド、テトラプロピルアンモニウムヨージド、テトラメチルアンモニウムブロミド、テトラエチルアンモニウムブロミド、テトラプロピルアンモニウムブロミド、テトラブチルアンモニウムブロミド、テトラブチルアンモニウムトリヨージド、テトラブチルアンモニウムトリブロミド、テトラメチルアンモニウムクロリド、テトラエチルアンモニウムクロリド、テトラプロピルアンモニウムクロリド、テトラブチルアンモニウムクロリド、又はこれらの任意の組み合わせを含む。
【0025】
物品のいくつかの実施態様では、前記少なくとも1種のハロゲン源が少なくとも元素ハロゲンを含む。
【0026】
物品のいくつかの実施態様では、前記元素ハロゲンが、元素ヨウ素(I)、元素塩素(Cl)、元素臭素(Br)のうちの少なくとも1種である。
【0027】
物品のいくつかの実施態様では、前記少なくとも1種のハロゲン源がテトラブチルアンモニウムヨージド(TBAI)を含む。
【0028】
物品のいくつかの実施態様では、前記少なくとも1種のハロゲン源がヨウ化カリウム(KI)を含む。
【0029】
物品のいくつかの実施態様では、前記少なくとも1種のハロゲン源が少なくとも1種のハロゲン化ホスホニウムを含む。
【0030】
物品のいくつかの実施態様では、前記少なくとも1種のハロゲン化ホスホニウムが、テトラブチルホスホニウムヨージド(TBPI)、エチルトリフェニルホスホニウムトリヨージド(ETPPI)、テトラブチルホスホニウムブロミド(TBPBr)、エチルトリフェニルホスホニウムブロミド(ETPPBr)、エチルトリフェニルホスホニウムヨージド(ETPPI)、又はこれらの任意の組み合わせを含む。いくつかの実施態様では、前記少なくとも1種のハロゲン化ホスホニウムが、テトラブチルホスホニウムヨージド(TBPI)、エチルトリフェニルホスホニウムトリヨージド(ETPPI)、テトラブチルホスホニウムブロミド(TBPBr)、エチルトリフェニルホスホニウムブロミド(ETPPBr)、エチルトリフェニルホスホニウムヨージド(ETPPI)、又はこれらの任意の組み合わせから成る群から選択される。
【0031】
物品のいくつかの実施態様では、前記少なくとも1種のハロゲン化ホスホニウムがETPPIである。
【0032】
物品のいくつかの実施態様では、少なくとも90日の期間にわたって前記物品の少なくとも1つの表面上を燃焼排ガス流が流される条件下で、前記物品が、1日当たり前記物品中の総ハロゲンの0.5%を超えない、物品からの総ハロゲンの放出速度をもたらすのに十分な量の複数のハロゲンリザーバを含み、前記燃焼排ガス流が少なくとも50℃の温度と、少なくとも95%の相対湿度とを有し、そして前記ガス流が、少なくとも20ppmの濃度の少なくとも1種のSO化合物と、前記燃焼排ガス流の少なくとも1μg/mの濃度の水銀蒸気とを含む。
【0033】
物品のいくつかの実施態様では、少なくとも90日の期間にわたって前記物品の少なくとも1つの表面上を燃焼排ガス流が流される条件下で、前記物品が、1日当たり前記物品中の総ハロゲンの2%を超えない、物品からの総ハロゲンの放出速度をもたらすのに十分な量の複数のハロゲンリザーバを含み、前記燃焼排ガス流が少なくとも20℃の温度と、少なくとも95%の相対湿度とを有し、そして前記ガス流が、少なくとも1ppmの濃度の少なくとも1種のSO化合物と、前記燃焼排ガス流の少なくとも1μg/mの濃度の水銀蒸気とを含む。
【0034】
物品のいくつかの実施態様では、前記複数のハロゲンリザーバの少なくとも1つがカプセル化ビードの形態を成しており、前記カプセル化ビードが、コアと、前記少なくとも1つのハロゲン源であって、前記少なくとも1つのハロゲン源が少なくとも前記コアの表面上に存在する、前記少なくとも1つのハロゲン源と、前記透過制御材料であって、前記透過制御材料が前記コアをカプセル化している、前記透過制御材料とを含む。
【0035】
物品のいくつかの実施態様では、前記コアが活性炭を含む。
【0036】
物品のいくつかの実施態様では、前記複数のハロゲンリザーバの少なくとも1つがリザーバ粒子の形態を成しており、前記リザーバ粒子が、前記透過制御材料であって、前記透過制御材料が透過制御粒子の形態を成している、前記透過制御材料と、前記少なくとも1つのハロゲン源であって、前記少なくとも1つのハロゲン源が少なくとも前記透過制御粒子の表面上に存在する、前記少なくとも1つのハロゲン源とを含む。
【0037】
物品のいくつかの実施態様では、前記透過制御材料がポリスチレン、架橋ポリスチレン-ジビニルベンゼン(PS-DVB)、又はこれらの組み合わせを含む。
【0038】
物品のいくつかの実施態様では、前記リザーバ粒子が第2透過制御材料をさらに含み、前記第2透過制御材料が、前記透過制御粒子の表面上の前記少なくとも1種のハロゲン源を取り囲む。
【0039】
物品のいくつかの実施態様では、前記複数のハロゲンリザーバが複数のリザーバクラスタの形態を成しており、前記リザーバクラスタのそれぞれが、前記少なくとも1種のハロゲン源と、前記透過制御材料とを含む。
【0040】
物品のいくつかの実施態様では、前記複数のリザーバクラスタが、SPC全体にわたって埋め込まれた複数のハロゲンリザーバ片の形態を成している。
【0041】
物品のいくつかの実施態様では、前記複数のリザーバクラスタが、SPCと混合された複数のハロゲンリザーバ凝集物の形態を成している。
【0042】
物品のいくつかの実施態様では、前記十分な量の複数のハロゲンリザーバが、前記物品の総重量に基づいて5重量%~75重量%の複数のハロゲンリザーバである。
【0043】
物品のいくつかの実施態様では、前記十分な量の複数のハロゲンリザーバが、前記物品の総重量に基づいて5重量%~50重量%の複数のハロゲンリザーバである。
【0044】
いくつかの実施態様では、ソーベントポリマー複合体(SPC)を得、そして複数のハロゲンリザーバを得、前記複数のハロゲンリザーバの各リザーバが、各ハロゲンリザーバの平均重量を基準として5wt%~95wt%の少なくとも1種の透過制御材料と、各ハロゲンリザーバの平均重量を基準として5wt%~50%の少なくとも1種のハロゲン源とを含み、そして前記SPC内部に埋め込まれた前記複数のハロゲンリザーバを有する物品を形成することを含む。
【0045】
方法のいくつかの実施態様では、前記複数のハロゲンリザーバの少なくとも1つがカプセル化ビードの形態をなし、前記方法が、コアを形成する少なくとも1つの粒子を得、前記少なくとも1つの粒子の表面上へ前記少なくとも1種のハロゲン源を堆積し、そして前記少なくとも1種の透過制御材料で前記コアをカプセル化することにより、前記カプセル化ビードを形成することによって、前記カプセル化ビードを形成することをさらに含む。
【0046】
方法のいくつかの実施態様では、前記少なくとも1種のハロゲン源が前記少なくとも1つの粒子の表面上へ、溶液として堆積される。
【0047】
方法のいくつかの実施態様では、前記少なくとも1種のハロゲン源が前記少なくとも1つの粒子の表面上へ、気相で堆積される。
【0048】
方法のいくつかの実施態様では、前記少なくとも1つの粒子が炭素粒子である。
【0049】
方法のいくつかの実施態様では、前記複数のハロゲンリザーバの少なくとも1つがリザーバ粒子の形態を成しており、前記リザーバ粒子が、前記少なくとも1種の透過制御材料を透過制御粒子の形態で得、そして前記透過制御粒子の表面上へ少なくとも1種のハロゲン源を堆積することにより形成される。
【0050】
前記方法が、前記透過制御粒子の表面上へ前記少なくとも1種のハロゲン源を堆積したあと、前記リザーバ粒子の少なくとも一部上に第2透過制御材料を堆積することにより、前記少なくとも1種のハロゲン源を取り囲む第2透過制御層を形成することをさらに含む。
【0051】
方法のいくつかの実施態様では、前記複数のハロゲンリザーバが複数のリザーバクラスタの形態を成しており、前記方法が、複数の粒子を少なくとも1種のハロゲン源及び少なくとも1種の透過制御材料と混合することにより、混合物を形成し、前記混合物をフィルム又は部分になるように形成し、前記フィルム又は部分をハロゲンリザーバ片になるように形成し、そして前記ハロゲンリザーバ片を前記SPC内へ埋め込むことによって、前記複数のリザーバクラスタのそれぞれを形成することをさらに含む。
【0052】
方法のいくつかの実施態様では、前記複数のハロゲンリザーバが複数のリザーバクラスタの形態を成しており、前記方法が、SPC凝集物を得、複数の粒子を少なくとも1種のハロゲン源及び少なくとも1種の透過制御材料と混合することにより、リザーバ凝集物を形成し、そして前記SPC凝集物を前記リザーバ凝集物と混合することにより、前記物品を形成することによって、前記複数のリザーバクラスタのそれぞれを形成することをさらに含む。
【0053】
いくつかの実施態様では、方法は、前記物品を接触させるように燃焼排ガス流を流すことをさらに含み、前記燃焼排ガス流が少なくとも50℃の温度と、少なくとも95%の相対湿度とを有し、前記燃焼排ガス流が、少なくとも20ppmの濃度の少なくとも1種のSO化合物と、前記燃焼排ガス流の総体積を基準として少なくとも1μg/mの濃度の水銀蒸気とを含み、前記物品中の総ハロゲンの放出速度が1日当たり前記物品中の総ハロゲンの0.5%を超えない。
【図面の簡単な説明】
【0054】
添付の図面を参照しながら、本開示のいくつかの実施態様を一例として説明する。
ここで図面を詳細に具体的に参照するが、強調されるのは、図示の実施態様が一例にすぎず、本開示の実施態様を例示的に論じるためにあることである。
これに関しては、図面とともに為される説明によって、本開示の実施態様をどのように実施し得るかが当業者には明らかになる。
【0055】
図1A図1Aは、本明細書中に記載されたソーベントポリマー複合体(SPC)の非限定的実施態様を示す断面図である。
【0056】
図1B図1Bは、本明細書中に記載されたソーベントポリマー複合体(SPC)の付加的な非限定的実施態様を示す図である。
【0057】
図2図2A~2Fは、開示のいくつかの実施態様に基づく、ソーベントポリマー複合体(SPC)中に組み込まれた透過制御材料によってカプセル化されたハロゲンリザーバの非限定的実施態様を示す図である。
【0058】
図3A図3Aは、開示のいくつかの非限定的実施態様に基づく、塗膜付きヨウ素充填粒子の形態を成す複数のハロゲンリザーバ粒子を示す電子画像である。
【0059】
図3B図3Bは、開示のいくつかの非限定的実施態様に基づく、塗膜付きヨウ素充填粒子の形態を成す複数のリザーバ粒子を含むソーベントポリマー複合体(SPC)を示す電子画像である。
【0060】
図4図4及び4Bは、開示のいくつかの非限定的実施態様に基づく、1つ又は2つ以上のハロゲンリザーバ粒子が埋め込まれたソーベントポリマー複合体(SPC)を示す電子画像である。
【0061】
図5A図5Aは、本開示のいくつかの非限定的実施態様に基づくカプセル化ビードを示す図である。
【0062】
図5B図5Bは、開示のいくつかの非限定的実施態様に基づくカプセル化ビードの集合を示す電子画像である。
【0063】
図6図6A及び図6Bは、開示のいくつかの非限定的実施態様に基づくハロゲンリザーバクラスタを示す一連の写真である。
【0064】
図7図7は、開示のいくつかの非限定的実施態様に基づくいくつかの試料の、時間に対する相対ヨウ素含量を示すグラフである。
【0065】
図8図8は、開示のいくつかの非限定的実施態様に基づくいくつかの試料の、時間に対する相対ヨウ素含量を示すグラフである。
【0066】
図9図9は、いくつかの比較試料に基づく、時間に対する相対ヨウ素含量を示すグラフである。
【0067】
図10図10は、いくつかの比較試料に基づく、時間に対する相対ヨウ素含量を示すグラフである。
【0068】
図11図11は、本明細書中に記載された物品のいずれかを有する汚染制御システムの非限定的実施態様を示す図である。
【0069】
図12図12は、本明細書中に記載された物品の非限定的実施態様上を流れる燃焼排ガスの非限定的実施態様を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0070】
開示された利益及び改善点の中で、添付の図面と関連させて為される以下の説明から、本開示の他の対象及び利点が明らかになる。本開示の詳細な実施態様が本明細書に開示されるが、しかし言うまでもなく、開示された実施態様は、種々の形態で具体化され得る開示内容の一例にすぎない。加えて、本開示の種々の実施態様に関連して提供される実施例のそれぞれも、例示的なものであって、限定的ではない。
【0071】
明細書及び特許請求の範囲の全体を通して、下記用語は、文脈が他の意味を明白に指示しない限り、ここに明確に関連する意味を成す。ここに使用される「1実施態様では」、「実施態様では」、及び「いくつかの実施態様では」という言い回しは、同じ実施態様を必ずしも意味するものではないが、しかしそれもあり得る。さらに、ここに使用される「別の実施態様では」及び「いくつかの他の実施態様では」という言い回しは異なる実施態様を必ずしも意味するものではないが、しかしそれもあり得る。本開示のすべての実施態様は、本開示の範囲又は思想を逸脱することなしに、組み合わせ得るように意図される。
【0072】
本明細書中に使用される「between(間に(で))」という用語は、他のエレメントに直接に隣接して配置される必要は必ずしもない。一般には、この用語は、何かが2つ又は3つ以上の他のものによってサンドイッチされている形態を意味する。同時に「between」という用語は、2つの対向するものに直接に隣接する何かを表すこともできる。したがって、本明細書中に開示された実施態様のうちのいずれか1つ又は2つ以上において、2つの他の構造エレメント間に配置される具体的な構造構成部分は、
前記2つの他の構造エレメントの両方の間に直接に配置することができ、これにより、特定の構造構成部分が前記2つの他の構造エレメントの両方と直接に接触しているか、
前記2つの他の構造エレメントのうちの一方だけに直接に隣接して配置することができ、これにより、特定の構造構成部分が前記2つの他の構造エレメントのうちの一方とだけ直接に接触しているか、
前記2つの他の構造エレメントのうちの一方だけに間接的に隣接して配置することができ、これにより、特定の構造構成部分が前記2つの他の構造エレメントのうちの一方とだけ直接には接触しておらず、また前記特定の構造構成部分と、前記2つの他の構造エレメントのうちの前記一方とを並置する別のエレメントが存在するか、
前記2つの他の構造エレメントの両方の間に間接的に隣接して配置することができ、これにより、特定の構造構成部分が前記2つの他の構造エレメントの両方と直接には接触しておらず、そしてこれらの間に他のフィーチャを配置することができ、又は
これらの任意の組み合わせで配置することができる。
【0073】
本明細書中に使用される「~に基づいて(based on)」という用語は、文脈が他の意味を明白に指示しない限り、排他的ではなく、記載されていない付加的なファクタに基づくことを許す。加えて、明細書全体を通して、「a」、「an」及び「the」の意味は複数の言及を含む。「内(in)」の意味は「中(in)」及び「上(on)」を含む。
【0074】
本明細書中に引用されるすべての以前の特許明細書及び刊行物は、これらの全体を参照することにより援用される。
【0075】
ソーベントポリマー複合体(SPC)は、燃焼排ガス流から望ましくない成分を除去する上で特に効果的であることが判っている。このような望ましくない成分の一例としては、少なくとも1種のSO化合物及び水銀蒸気が挙げられる。
【0076】
少なくとも1種のハロゲン源を使用すると、SPCの除去効率を高めることができる。しかしながら、いくつかの事例では、前記少なくとも1種のハロゲン源は、SPC(及びこれを含むシステム、例えば固定床吸収システム)が多年にわたって作業し続けるのを可能にするのに十分な耐久性がないことがある。いくつかの事例では、このことが生じる理由は、前記少なくとも1種のハロゲン源を添加すると、ハロゲン源がソーベントから放出し得ることにある。
【0077】
したがって、本開示のいくつかの実施態様は、複数のハロゲンリザーバが少なくとも1種のハロゲン源が時間とともに放出されるのを可能にする、模範的解決手段を提供する。複数のハロゲンリザーバはSPC(及びこれを含むシステム、例えば固定床吸収システム)が、複数のハロゲンリザーバを含まないSPCと比較してより長い期間にわたって作業する(例えば稼働状態にある)のを可能にする。
【0078】
本明細書中に使用される「ソーベント(sorbent)」は、吸収、吸着、又はこれらの組み合わせのうちの少なくとも1つによって、別の物質の分子を収集する特性を有する物質を意味する。ソーベントポリマー複合体のソーベント材料は、活性炭、石炭由来炭素、褐炭由来炭素、木材由来炭素、ヤシ由来炭素、シリカゲル、ゼオライト、又はこれらの任意の組み合わせのうちの少なくとも1種を含む。
【0079】
本明細書中に使用される「複合体」という用語は、異なる物理的又は化学的特性を有する2種又は3種以上の成分材料を含む材料であって、2種又は3種以上の成分材料を合体させた結果として、個々の成分とは異なる特徴を有する材料をもたらす材料を意味する。
【0080】
本明細書中に使用される「ソーベントポリマー複合体(sorbent polymer composite(SPC))」は、ソーベントとポリマーとを含む複合体である。実施態様において、ソーベントポリマー複合体は、ポリマーの微細構造内へ組み込まれたソーベント粒子を含んでよい。
【0081】
ソーベントポリマー複合体材料はハロゲン源をさらに含む。いくつかの実施態様では、ハロゲン源は任意の適宜の技術によって、ソーベントポリマー複合体材料内へ組み込まれてよい。この技術の一例としては、インバイビング、含浸、吸着、混合、振りかけ(sprinkling)、噴霧、浸漬、塗装、塗布、イオン交換、又はその他の形でハロゲン源をソーベントポリマー複合体へ被着することが挙げられる。いくつかの実施態様では、ハロゲン源はソーベントポリマー複合体材料内部、例えばソーベントポリマー複合体材料の任意の孔内部に配置されてよい。いくつかの実施態様では、ハロゲン源は溶液で提供されてよい。溶液は、システム動作条件下で、ソーベントポリマー複合体材料とその場で接触してよい。ソーベントポリマー複合体のハロゲン源は、ハロゲン塩、元素ハロゲン、又はこれらの任意の組み合わせである。いくつかの実施態様では、ハロゲン源は、塩化ナトリウム、塩化カリウム、臭化ナトリウム、臭化カリウム、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化カリウム、テトラメチルアンモニウムヨージド、テトラブチルアンモニウムヨージド、テトラエチルアンモニウムヨージド、テトラプロピルアンモニウムヨージド、テトラメチルアンモニウムブロミド、テトラエチルアンモニウムブロミド、テトラプロピルアンモニウムブロミド、テトラブチルアンモニウムブロミド、テトラメチルアンモニウムクロリド、テトラエチルアンモニウムクロリド、テトラプロピルアンモニウムクロリド、テトラブチルアンモニウムクロリド、元素ヨウ素(I2)、元素塩素(Cl2)、元素臭素(Br2)、又はこれらの任意の組み合わせのうちの少なくとも1種から選択される。本明細書中に記載されたソーベントポリマー複合体の付加的な形態、及び本明細書中に記載されたハロゲン源の付加的な例が、Hardwick他の米国特許第9,827,551(1368)号明細書、及びLu他の米国特許第7,442,352号明細書に述べられている。これらの明細書のそれぞれは全体を参照することにより本明細書中に援用される。
【0082】
本明細書中に使用される「リザーバ」という用語は、少なくとも1種の材料を収納する貯蔵場所を意味する。貯蔵場所は、所定の期間にわたって少なくとも1種の材料を放出するように形成されている。いくつかの非限定的な実施態様では、貯蔵場所は透過制御材料を含んでよい。
【0083】
本明細書中に記載された「ハロゲンリザーバ」という用語は、少なくとも1つのハロゲン源を含むリザーバを意味する。リザーバにおいて、前記少なくとも1種のハロゲン源は、所定の期間にわたって貯蔵場所から放出されるように形成されている。
【0084】
本明細書中に使用される「埋め込まれる」は、第1材料が第2材料全体にわたって分配されることを意味する。
【0085】
本明細書中に使用される「透過制御材料」という用語は、透過制御層が存在しない状態で物質が放出された場合よりも低速でリザーバから1種又は2種以上の物質を放出するように形成された材料を意味する。
【0086】
本明細書中に使用される「ハロゲン源」という用語は、少なくとも1種のハロゲン化物イオン又は元素ハロゲンを含む任意の化合物を意味する。燃焼排ガス処理装置のハロゲン源は、テトラブチルアンモニウムヨージド、テトラブチルアンモニウムトリヨージド、テトラブチルアンモニウムトリブロミド、又はテトラブチルアンモニウムブロミドから選択される。別の実施態様では、ハロゲン源は、式N(R1R2R3R4)Xを有する化合物であり、式中、Nは窒素であり、X=I,Br,I ,BrI ,Br,Br であり、そしてR1,R2,R3及びR4は、炭素原子数約1~約18の炭化水素から成る群から選択され、前記炭化水素は、例えば線状又は分枝状アルキルを含む、単純なアルキルであってよい。ハロゲン源は三ハロゲン化物を含んでよく、三ハロゲン化物は、酸化剤の存在における酸処理によって、そのハロゲン化物前駆体から形成される。さらなる実施態様では、ハロゲン源は三ハロゲン化物であり、三ハロゲン化物は、酸化剤の存在における酸処理によって、そのハロゲン化物前駆体から形成され、酸化剤は、過酸化水素、アルカリ金属過硫酸塩、アルカリ金属一過硫酸塩、ヨウ素酸カリウム、一過硫酸カリウム、酸素、鉄(III)塩、硝酸鉄(III)、硫酸鉄(III)、酸化鉄(III)、及びこれらの組み合わせから成る群から選択される。
【0087】
本明細書中に使用される「各ハロゲンリザーバの平均重量」は、特定の物品中の複数のハロゲンリザーバのそれぞれの重量を合計し、次いで結果としての重量の和を、物品の総重量で割り算することにより計算される。
【0088】
本明細書中に使用される「総ハロゲンの放出速度」は、物品から、物品が存在する外部環境内への、前記少なくとも1種のハロゲン源の放出速度である。いくつかの非限定的実施態様では、外部環境は燃焼排ガス流であってよい。いくつかの実施態様では、前記少なくとも1種のハロゲン源は専らソーベントポリマー複合体(SPC)から、外部環境内へ放出される。これらの実施態様では、「総ハロゲンの放出速度」は、ソーベントポリマー複合体(SPC)から外部環境内への放出速度である。いくつかの実施態様では、前記少なくとも1種のハロゲン源は専ら複数のハロゲンリザーバから、外部環境内へ放出される。これらの実施態様では、「総ハロゲンの放出速度」は、複数のソーベントポリマー複合体(SPC)から外部環境内への放出速度である。いくつかの実施態様では、前記少なくとも1種のハロゲン源は、ソーベントポリマー複合体(SPC)と複数のハロゲンリザーバとの組み合わせから外部環境内へ放出される。これらの実施態様では、「総ハロゲンの放出速度」は複合放出速度であって、ソーベントポリマー複合体(SPC)と複数のハロゲンリザーバとの両方からの前記少なくとも1種のハロゲン源の放出を考慮に入れた、複合放出速度である。いくつかの実施態様では、物品は複数のハロゲン源を含む。これらの実施態様では、「総ハロゲンの放出速度」は複合放出速度であって、物品中の複数のハロゲン源のすべての放出を考慮に入れた、複合放出速度である。放出速度の判定については下でさらに説明する。
【0089】
本明細書中に使用される「燃焼排ガス流」という用語は、燃焼プロセス(例えば石炭燃焼プロセス)の少なくとも1種の副生成物を含むガス状混合物を意味する。いくつかの実施態様では、燃焼排ガス流は全体的に燃焼プロセスの副生成物から成ってよい。いくつかの実施態様では、燃焼排ガス流は、燃焼プロセスから生じた濃度に対して高い濃度の少なくとも1種のガスを含んでよい。例えば、1つの非限定的な例では、燃焼排ガス流には「スクラビング(scrubbing)プロセス」を施してよい。スクラビングプロセス中には、燃焼排ガス流に水蒸気が添加されてよい。したがって、いくつかのこのような実施態様では、燃焼排ガス流は、燃焼に起因する初期水蒸気濃度に対して高められた濃度の水蒸気を含んでよい。同様に、いくつかの実施態様では、燃焼排ガス流は、燃焼プロセスから出力された少なくとも1種のガスの初期濃度に対して低い濃度の少なくとも1種のガスを含んでよい。このことは例えば、燃焼後に少なくとも1種のガスの少なくとも一部を除去することにより生じ得る。いくつかの実施態様では、燃焼排ガス流が、複数の燃焼プロセスの副生成物の組み合わせであるガス状混合物の形態を成してよい。
【0090】
本明細書中に使用される「SO化合物」という用語は、硫黄の任意の酸化物を意味する。SO化合物は具体的には、周知の環境汚染物質であるガス状の硫黄酸化物を意味することがある。SO化合物の非限定的例は二酸化硫黄(SO)及び三酸化硫黄(SO)を含む。SO化合物の付加的な非限定的例は、一酸化硫黄(SO)、一酸化二硫黄(SO)、及び二酸化二硫黄(S)を含む。
【0091】
本明細書中に使用される「水銀蒸気」という用語は、水銀を含むガス状化合物を意味する。水銀蒸気の非限定的例は、元素水銀蒸気及び酸化水銀蒸気を含む。
【0092】
本明細書中に使用される「酸化水銀蒸気」という用語は、水銀を正原子価状態で含む蒸気相水銀化合物と定義される。酸化水銀蒸気の非限定的例はハロゲン化第一水銀、及びハロゲン化第二水銀を含む。
【0093】
ハロゲンリザーバの形態を記すために種々の用語が本明細書中に使用されている。これらの形態は物質の局所的体積、すなわちハロゲンの局所的体積又はハロゲンの局所的濃度を概ね表す。カプセル化ビード、粒子、クラスタ、凝集物、及びストリークという用語はすべて、体積測定的に局在化されたハロゲン群の種々の形態を表す。一例としては、ビードはほぼ球形であってよく、均一に平滑な外面、又は不均一に平滑な(すなわち凹凸のある)外面を有する。ビードは形状又は形態が規則的又は不規則であってよい。別の例としては、粒子は不規則な形状、サイズ、又はその両方を有することができる。粒子及び片は均一に球形ではなく、あるいは概ね均一に平滑な表面を有する。粒子及び片は何かの内部に不規則に分配することができる。いくつかの実施態様では、体積測定的に局在化されたハロゲンの特定の形態を、これらの形のうちのいずれか1つ又は2つ以上であるものとして記述することができる。
【0094】
本明細書中に使用される「カプセル化ビード」という用語は、コアと、コアを取り囲む少なくとも1種のカプセル材とを含むビードの形態を成すハロゲンリザーバを意味する。少なくともコアの表面上に、少なくとも1種のハロゲン源が存在する。コアは炭素、例えば活性炭を含んでよい。いくつかの実施態様では、前記少なくとも1種のカプセル材は透過制御材料を含んでよい。
【0095】
本明細書中に使用される「リザーバ粒子」という用語は、粒子の形態を成すハロゲンリザーバを意味する。いくつかの実施態様では、「リザーバ粒子」は、本明細書中に記載されたような少なくとも1種の透過制御材料と、少なくとも1種のハロゲン源とを含んでよい。「リザーバ粒子」のいくつかの非限定的な例としては、リザーバ片、リザーバ凝集物、ヨウ素充填ビード、及びカプセル化ビードのいくつかの実施態様を含む。リザーバ片の少なくとも1つの具体的な非限定的例が、実施例1に詳述されている。リザーバ凝集物の少なくとも1つの具体的な非限定的例が、実施例1に詳述されている。カプセル化ビードの少なくとも1つの具体的な非限定的例が、実施例2に詳述されている。ヨウ素充填ビードの少なくとも1つの具体的な非限定的例が、実施例3に詳述されている。
【0096】
本明細書中に使用される「リザーバクラスタ」という用語は、ストリークの形態又は不規則形状の群の形態を成すハロゲンリザーバのクラスタを意味する。
【0097】
本明細書中に使用される「リザーバ凝集物」は、リザーバクラスタの集合又は塊である。いくつかの実施態様では、各「リザーバ凝集物」(すなわちリザーバクラスタのそれぞれの集合又は塊)は、少なくとも1つの特定のSPC領域内部に局在化されてよい。
【0098】
本明細書中に使用される「凝集混合物」は、当該混合物の成分が互いにクラスタ化された混合物を意味する。
【0099】
本明細書中に使用される「炭素粒子」は、炭素を含む任意の粒子を意味する。
【0100】
本明細書中に使用される「多孔性炭素粒子」は、孔を有する炭素粒子を意味し、孔を有しない炭素粒子を含まない。すなわち、多孔性炭素粒子は「非多孔性」炭素粒子を除外する。
【0101】
本明細書中に使用される「透過制御粒子」という用語は、粒子の形態を成す少なくとも1種の透過制御材料を意味する。
【0102】
本開示のいくつかの実施態様は、ソーベントポリマー複合体(SPC)と、複数のハロゲンリザーバとを含む物品に関連する。
【0103】
いくつかの実施態様では、ソーベントポリマー複合体(SPC)は、付加的な非フッ素化モノマーを含む又は含まない少なくとも1種のフルオロモノマーを含有する1種又は2種以上のホモポリマー、コポリマー、又はターポリマーを含むことができる。
【0104】
いくつかの実施態様では、ソーベントポリマー複合体(SPC)のポリマー材料は、ポリフルオロエチレンプロピレン(PFEP)、ポリペルフルオロアクリレート(PPFA)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、テトラフルオロエチレンとヘキサフルオロプロピレンとフッ化ビニリデンとのターポリマー(THV)、ポリクロロフルオロエチレン(PCFE)、ポリ(エチレン-コ-テトラフルオロエチレン)(ETFE)、超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)、ポリパラキシリレン(PPX)、ポリ乳酸(PLLA)、ポリエチレン(PE)、延伸ポリエチレン(ePE)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)、又はこれらの任意の組み合わせの少なくとも1つを含むことができる。
【0105】
いくつかの実施態様では、ソーベントポリマー複合体(SPC)のポリマー材料はポリフッ化ビニリデン(PVDF)を含むことができる。いくつかの実施態様では、PVDFはPVDFホモポリマーであってよい。いくつかの実施態様では、PVDFはPVDFコポリマーであってよい。いくつかの実施態様では、PVDFコポリマーは、PVDFとヘキサフルオロプロピレン(HFP)とのコポリマーである。本開示のいくつかの実施態様に適したPVDFホモポリマー又はコポリマーの非限定的な商業的例は、それぞれがArkema 社から商業的に入手可能なKynar Flex(登録商標)及びKynar Superflex(登録商標)を含むがこれに限定されるものではない。
【0106】
いくつかの実施態様では、ソーベントポリマー複合体(SPC)のポリマー材料は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を含むことができる。いくつかの実施態様では、ポリマーは延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)である。いくつかの実施態様では、ポリマーの構造は、伸張させると多孔性になり得るので、ポリマーのフィブリル及びノードの間にボイドを形成することができる。
【0107】
いくつかの実施態様では、ソーベントポリマー複合体(SPC)の厚さは、0.2mm~2mm、0.4mm~2mm、0.8mm~2mm、1.2mm~2mm、又は1.6mm~2mmである。いくつかの実施態様では、ソーベントポリマー複合体(SPC)の厚さは、0.2mm~1.6mm、0.2mm~1.2mm、0.2mm~0.8mm、又は0.2mm~0.4mmである。いくつかの実施態様では、ソーベントポリマー複合体(SPC)の厚さは、0.4mm~1.6mm、又は0.8mm~1.2mmである。いくつかの実施態様では、ソーベントポリマー複合体(SPC)の厚さは、断面走査電子顕微鏡法を用いて測定することができる。
【0108】
いくつかの実施態様では、ソーベントポリマー複合体(SPC)のポリマーの表面エネルギーは1cm当たり31ダイン未満、1cm当たり30ダイン未満、1cm当たり25ダイン未満、1cm当たり20ダイン未満、又は1cm当たり15ダイン未満である。
【0109】
いくつかの実施態様では、ソーベントポリマー複合体(SPC)のポリマーの表面エネルギーは、1cm当たり15ダイン~1cm当たり31ダイン、1cm当たり20ダイン~1cm当たり31ダイン、1cm当たり25ダイン~1cm当たり31ダイン、1cm当たり30ダイン~1cm当たり31ダイン、1cm当たり15ダイン~1cm当たり30ダイン、1cm当たり15ダイン~1cm当たり25ダイン、又は1cm当たり15ダイン~1cm当たり20ダインである。
【0110】
いくつかの実施態様では、ソーベントポリマー複合体(SPC)のポリマーの表面エネルギーは、1cm当たり20ダイン~1cm当たり25ダインである。
【0111】
いくつかの実施態様では、SPCはソーベントを含む。いくつかの実施態様では、SPCのソーベントは活性炭を含む。いくつかの実施態様では、ソーベントは、石炭、褐炭、木材、ヤシガラ、別の炭素質材料、又はこれらの任意の組み合わせに由来する活性炭を含む。いくつかの実施態様では、ソーベントはシリカゲル、ゼオライト、又はこれらの任意の組み合わせを含むことができる。
【0112】
いくつかの実施態様では、ソーベントポリマー複合体(SPC)のソーベントの表面積は、400m/g超、600m/g超、800m/g超、1000m/g超、1200m/g超、1400m/g超、1600m/g超、1800m/g、又は2000m/g超である。
【0113】
いくつかの実施態様では、ソーベントポリマー複合体(SPC)のソーベントの表面積は、400m/g~2000m/g、600m/g~2000m/g、800m/g~2000m/g、1000m/g~2000m/g、1200m/g~2000m/g、1400m/g~2000m/g、1600m/g~2000m/g、又は1800m/g~2000m/gである。
【0114】
いくつかの実施態様では、ソーベントポリマー複合体(SPC)のソーベントの表面積は、400m/g~1800m/g、400m/g~1600m/g、400m/g~1400m/g、400m/g~1200m/g、400m/g~1000m/g、400m/g~800m/g、又は400m/g~600m/gである。
【0115】
いくつかの実施態様では、ソーベントポリマー複合体(SPC)のソーベントの表面積は、600m/g~1800m/g、800m/g~1600m/g、又は1000m/g~1400m/gである。
【0116】
いくつかの実施態様では、ソーベントポリマー複合体(SPC)の前記少なくとも1種のハロゲン源が、金属ハロゲン化物、ハロゲン化アンモニウム、元素ハロゲン、又はこれらの任意の組み合わせを含む。いくつかの実施態様では、ソーベントポリマー複合体(SPC)の前記少なくとも1種のハロゲン源は金属ハロゲン化物を含む。いくつかの実施態様では、ソーベントポリマー複合体(SPC)の前記少なくとも1種のハロゲン源は、塩化ナトリウム、塩化カリウム、臭化ナトリウム、臭化カリウム、ヨウ化ナトリウム、又はヨウ化カリウムのうちの少なくとも1種から選択される。いくつかの実施態様では、ソーベントポリマー複合体(SPC)の前記少なくとも1種のハロゲン源は、ハロゲン化アンモニウムを含む。いくつかの実施態様では、ソーベントポリマー複合体(SPC)の前記少なくとも1種のハロゲン源は、テトラメチルアンモニウムヨージド、テトラブチルアンモニウムヨージド、テトラエチルアンモニウムヨージド、テトラプロピルアンモニウムヨージド、テトラメチルアンモニウムブロミド、テトラエチルアンモニウムブロミド、テトラプロピルアンモニウムブロミド、テトラブチルアンモニウムブロミド、テトラブチルアンモニウムトリヨージド、テトラブチルアンモニウムトリブロミド、テトラメチルアンモニウムクロリド、テトラエチルアンモニウムクロリド、テトラプロピルアンモニウムクロリド、又はテトラブチルアンモニウムクロリドのうちの少なくとも1種から選択される。いくつかの実施態様では、ソーベントポリマー複合体(SPC)の前記少なくとも1種のハロゲン源は、元素ハロゲンを含む。いくつかの実施態様では、ソーベントポリマー複合体(SPC)の前記少なくとも1種のハロゲン源は、元素ヨウ素(I)、元素塩素(Cl)、元素臭素(Br)のうちの少なくとも1種から選択される。
【0117】
いくつかの実施態様では、ソーベントポリマー複合体(SPC)の前記少なくとも1種のハロゲン源は、元素ヨウ素(I)である。いくつかの実施態様では、ソーベントポリマー複合体(SPC)の前記少なくとも1種のハロゲン源は、テトラブチルアンモニウムヨージド(TBAI)である。いくつかの実施態様では、ソーベントポリマー複合体(SPC)の前記少なくとも1種のハロゲン源は、ヨウ化カリウム(KI)である。
【0118】
いくつかの実施態様では、ソーベントポリマー複合体(SPC)の前記少なくとも1種のハロゲン源は、少なくとも1種のハロゲン化ホスホニウムを含む。
【0119】
いくつかの実施態様では、前記少なくとも1種のハロゲン化ホスホニウムは、テトラブチルホスホニウムヨージド(TBPI)、エチルトリフェニルホスホニウムトリヨージド(ETPPI)、テトラブチルホスホニウムブロミド(TBPBr)、エチルトリフェニルホスホニウムブロミド(ETPPBr)、エチルトリフェニルホスホニウムヨージド(ETPPI)、又はこれらの任意の組み合わせを含む。いくつかの実施態様では、前記少なくとも1種のハロゲン化ホスホニウムは、テトラブチルホスホニウムヨージド(TBPI)、エチルトリフェニルホスホニウムトリヨージド(ETPPI)、テトラブチルホスホニウムブロミド(TBPBr)、エチルトリフェニルホスホニウムブロミド(ETPPBr)、エチルトリフェニルホスホニウムヨージド(ETPPI)、又はこれらの任意の組み合わせから成る群から選択される。
【0120】
いくつかの実施態様では、前記少なくとも1種のハロゲン化ホスホニウムは、テトラブチルホスホニウムヨージド(TBPI)、エチルトリフェニルホスホニウムトリヨージド(ETPPI)、テトラブチルホスホニウムブロミド(TBPBr)、エチルトリフェニルホスホニウムブロミド(ETPPBr)、又はこれらの任意の組み合わせを含む。いくつかの実施態様では、前記少なくとも1種のハロゲン化ホスホニウムは、テトラブチルホスホニウムヨージド(TBPI)、エチルトリフェニルホスホニウムトリヨージド(ETPPI)、テトラブチルホスホニウムブロミド(TBPBr)、エチルトリフェニルホスホニウムブロミド(ETPPBr)、又はこれらの任意の組み合わせから成る群から選択される。
【0121】
いくつかの実施態様では、前記少なくとも1種のハロゲン化ホスホニウムは、エチルトリフェニルホスホニウムヨージド(ETPPI)である。
【0122】
いくつかの実施態様では、前記少なくとも1種のハロゲン源は任意の適宜の技術によって、ソーベントポリマー複合体(SPC)内へ組み込まれてよい。この技術の一例としては、インバイビング、含浸、吸着、混合、振りかけ(sprinkling)、噴霧、浸漬、塗装、塗布、イオン交換、又はその他の形で前記少なくとも1種のハロゲン源をソーベントポリマー複合体(SPC)へ被着することが挙げられる。いくつかの実施態様では、少なくとも1種のハロゲン源はソーベントポリマー複合体(SPC)内部、例えばソーベントポリマー複合体(SPC)の任意の孔内部に配置されてよい。いくつかの実施態様では、少なくとも1種のハロゲン源は溶液で提供されてよい。溶液は、システム動作条件下で、ソーベントポリマー複合体(SPC)とその場で接触してよい。
【0123】
図1Aは、本明細書中に記載されたソーベントポリマー複合体(SPC)100の非限定的実施態様を示す断面図である。この非限定的実施態様では、ソーベントポリマー複合体(SPC)100は、ポリマー101を部分的又は完全に覆うソーベント102を含む。この非限定的実施態様では、(本明細書に記載された)少なくとも1種のハロゲン源103が、ソーベント102の部分を部分的又は完全に覆うことができる。いくつかの実施態様では、前記少なくとも1種のハロゲン源103は、ソーベント102の孔内へインバイビングされてよい。
【0124】
図1Bは、本明細書中に記載されたソーベントポリマー複合体(SPC)100の付加的な非限定的実施態様を示している。図示のように、ソーベントポリマー複合体(SPC)100は、ソーベント粒子206を含んでよい。ソーベント粒子206は、ポリマーの微細構造205内へ組み込まれている。いくつかの実施態様では、粒子206は活性炭粒子であってよい。いくつかの実施態様では、ポリマーの微細構造205はフィブリルを含んでよい。いくつかの実施態様では、ポリマーは延伸PTFEであってよい。
【0125】
いくつかの実施態様では、複数のハロゲンリザーバの各ハロゲンリザーバはソーベントポリマー複合体(SPC)内部に埋め込まれている。図2A~2Fは、本開示の非限定的実施態様に基づく、ソーベントポリマー複合体(SPC)内へ組み込まれたハロゲンリザーバを単純化して示す図である。図2A~2Fの非限定的実施態様では、物品200はソーベントポリマー複合体(SPC)201を含んでよく、そしてソーベントポリマー複合体(SPC)201内部に埋め込まれた複数のハロゲンリザーバ202をさらに含んでよい。さらに示されているように、複数のハロゲンリザーバ202は、本明細書に記載されているような少なくとも1種のハロゲン源203と少なくとも1種の透過制御材料204とを含んでよい。図2A~2Fにさらに示されているように、複数のハロゲンリザーバ202は複数のハロゲンリザーバクラスタの形態をなしてよい。
【0126】
例えば、図2Aに示された非限定的実施態様に示されているように、複数のリザーバクラスタの形態の複数のハロゲンリザーバ202は、例えば実施例1にさらに記載されるようなハロゲンリザーバフィルム又は部分から成る「方形リザーバ片」の形態を成してよい。
例えば、図2Bに示された非限定的実施態様に示されているように、複数のリザーバクラスタの形態の複数のハロゲンリザーバ202は、「楕円形リザーバ片」の形態を成してよい。
例えば、図2Cに示された非限定的実施態様に示されているように、複数のリザーバクラスタの形態の複数のハロゲンリザーバ202は、「不規則リザーバ片」の形態を成してよい。
例えば、図2Dに示された非限定的実施態様に示されているように、複数のリザーバクラスタの形態の複数のハロゲンリザーバ202は、「結節状リザーバ片」の形態を成してよい。
【0127】
図2Eに示された非限定的実施態様に示されているように、本開示のいくつかの実施態様に基づく物品200はSPC201を含んでよい。SPC201は、SPC201内部に埋め込まれた複数のハロゲンリザーバ202をさらに含んでよい。さらに示されるように、複数のハロゲンリザーバ202は、本明細書中に記載された少なくとも1種のハロゲン源203と少なくとも1種の透過制御材料204との混合物を含んでよい。さらに記載するように、複数のハロゲンリザーバ202は複数のリザーバクラスタの形態を成してよい。
【0128】
いくつかの実施態様では、リザーバクラスタは融合することにより、図6Bの非限定的例におけるようなストリークの形態を成してよい。
【0129】
いくつかの実施態様では、図2Eの非限定的実施態様に示されているように、複数のリザーバ凝集物の形態を成す複数のハロゲンリザーバ202は、物品の全厚を包含してよい。いくつかの実施態様では、複数のリザーバ凝集物の厚さはSPC201の厚さに等しくてよい。
【0130】
図2Fに示された非限定的実施態様に示されているように、複数のリザーバ凝集物の形態の複数のハロゲンリザーバ202は、「円形リザーバ粒子」の形態を成してよい。
【0131】
いくつかの実施態様では、リザーバクラスタは0.1mm~100mmの少なくとも1つの寸法を有している。例えば、いくつかの実施態様では、前記少なくとも1つの寸法は長さ、幅、高さ、少なくとも1つの半径、周長、弧長、輪郭長、又はこれらの任意の組み合わせを意味してよい。
【0132】
いくつかの実施態様では、リザーバクラスタは、少なくとも1つの寸法が0.1mm、少なくとも1つの寸法が0.2mm、少なくとも1つの寸法が0.3mm、少なくとも1つの寸法が0.4mm、少なくとも1つの寸法が0.5mm、少なくとも1つの寸法が0.6mm、少なくとも1つの寸法が0.7mm、少なくとも1つの寸法が0.8mm、少なくとも1つの寸法が0.9mm、少なくとも1つの寸法が1mm、少なくとも1つの寸法が5mm、少なくとも1つの寸法が10mm、少なくとも1つの寸法が15mm、少なくとも1つの寸法が20mm、少なくとも1つの寸法が25mm、少なくとも1つの寸法が30mm、少なくとも1つの寸法が35mm、少なくとも1つの寸法が40mm、少なくとも1つの寸法が45mm、少なくとも1つの寸法が50mm、少なくとも1つの寸法が55mm、少なくとも1つの寸法が60mm、少なくとも1つの寸法が65mm、少なくとも1つの寸法が70mm、少なくとも1つの寸法が75mm、少なくとも1つの寸法が80mm、少なくとも1つの寸法が85mm、少なくとも1つの寸法が90mm、少なくとも1つの寸法が95mm、又は少なくとも1つの寸法が100mmである。
【0133】
いくつかの実施態様では、リザーバクラスタは、少なくとも1つの寸法が0.2mm~100mm、0.3mm~100mm、0.4mm~100mm、0.5mm~100mm、0.6mm~100mm、0.7mm~100mm、0.8mm~100mm、0.9mm~100mm、1mm~100mm、5mm~100mm、10mm~100mm、15mm~100mm、20mm~100mm、25mm~100mm、30mm~100mm、35mm~100mm、40mm~100mm、45mm~100mm、50mm~100mm、55mm~100mm、60mm~100mm、65mm~100mm、70mm~100mm、75mm~100mm、80mm~100mm、85mm~100mm、90mm~100mm、又は95mm~100mmである。
【0134】
いくつかの実施態様では、リザーバクラスタは、少なくとも1つの寸法が0.1mm~95mm、0.1mm~90mm、0.1mm~85mm、0.1mm~80mm、0.1mm~75mm、0.1mm~70mm、0.1mm~65mm、0.1mm~60mm、0.1mm~55mm、0.1mm~50mm、0.1mm~45mm、0.1mm~40mm、0.1mm~35mm、0.1mm~30mm、0.1mm~25mm、0.1mm~20mm、0.1mm~15mm、0.1mm~10mm、0.1mm~5mm、0.1mm~1mmである。いくつかの実施態様では、少なくとも1つの寸法が0.1mm~0.9mm、0.1mm~0.8mm、0.1mm~0.7mm、0.1mm~0.6mm、0.1mm~0.5mm、0.1mm~0.4mm、0.1mm~0.3mm、又は0.1mm~0.2mmである。
【0135】
いくつかの実施態様では、複数のハロゲンリザーバの各ハロゲンリザーバは、少なくとも1種の透過制御材料を含む。いくつかの実施態様では、透過制御材料は、ポリカーボネート(PC)、エチルセルロース(EC)、ポリスチレン(PS)、ポリスチレン-ジビニルベンゼン(PS-DVB)、少なくとも1種のポリオレフィン、少なくとも1種のポリフッ化ビニリデン(PVDF)ホモポリマー又はコポリマー、又はこれらの任意の組み合わせを含む。
【0136】
いくつかの実施態様では、PVDFコポリマーはPVDFとヘキサフルオロプロピレン(HFP)とのコポリマーである。本開示のいくつかの実施態様に適したPVDFホモポリマー又はコポリマーの非限定的な商業的例は、それぞれがArkema 社から商業的に入手可能なKynar Flex(登録商標)及びKynar Superflex(登録商標)を含むがこれに限定されるものではない。
【0137】
いくつかの実施態様では、透過制御材料はポリエチレンワックスを含む。いくつかの実施態様では、透過制御材料はポリプロピレンワックスを含む。
【0138】
いくつかの実施態様では、複数のハロゲンリザーバの各ハロゲンリザーバは、各ハロゲンリザーバの平均重量を基準として5wt%~95wt%の少なくとも1種の透過制御材料を含む。
【0139】
いくつかの実施態様では、複数のハロゲンリザーバの各ハロゲンリザーバは、各ハロゲンリザーバの平均重量を基準として、5wt%の少なくとも1種の透過制御材料を含む。いくつかの実施態様では、複数のハロゲンリザーバの各ハロゲンリザーバは、各ハロゲンリザーバの平均重量を基準として、10wt%の少なくとも1種の透過制御材料、15wt%の少なくとも1種の透過制御材料、20wt%の少なくとも1種の透過制御材料、25wt%の少なくとも1種の透過制御材料、30wt%の少なくとも1種の透過制御材料、35wt%の少なくとも1種の透過制御材料、40wt%の少なくとも1種の透過制御材料、45wt%の少なくとも1種の透過制御材料、50wt%の少なくとも1種の透過制御材料、55wt%の少なくとも1種の透過制御材料、60wt%の少なくとも1種の透過制御材料、65wt%の少なくとも1種の透過制御材料、70wt%の少なくとも1種の透過制御材料、75wt%の少なくとも1種の透過制御材料、80wt%の少なくとも1種の透過制御材料、85wt%の少なくとも1種の透過制御材料、90wt%の少なくとも1種の透過制御材料、又は95wt%の少なくとも1種の透過制御材料を含む。
【0140】
いくつかの実施態様では、複数のハロゲンリザーバの各ハロゲンリザーバは、各ハロゲンリザーバの平均重量を基準として、10wt%~95wt%の少なくとも1種の透過制御材料、15wt%~95wt%の少なくとも1種の透過制御材料、20wt%~95wt%の少なくとも1種の透過制御材料、25wt%~95wt%の少なくとも1種の透過制御材料、30wt%~95wt%の少なくとも1種の透過制御材料、35wt%~95wt%の少なくとも1種の透過制御材料、40wt%~95wt%の少なくとも1種の透過制御材料、45wt%~95wt%の少なくとも1種の透過制御材料、50wt%~95wt%の少なくとも1種の透過制御材料、55wt%~95wt%の少なくとも1種の透過制御材料、60wt%~95wt%の少なくとも1種の透過制御材料、65wt%~95wtの少なくとも1種の透過制御材料、70wt%~95wt%の少なくとも1種の透過制御材料、75wt%~95wtの少なくとも1種の透過制御材料、80wt%~95wt%の少なくとも1種の透過制御材料、85wt%~95wt%の少なくとも1種の透過制御材料、又は90wt%~95wt%の少なくとも1種の透過制御材料を含む。
【0141】
いくつかの実施態様では、複数のハロゲンリザーバの各ハロゲンリザーバは、各ハロゲンリザーバの平均重量を基準として、5wt%~10wt%の少なくとも1種の透過制御材料、5wt%~15wt%の少なくとも1種の透過制御材料、5wt%~20wt%の少なくとも1種の透過制御材料、5wt%~25wt%の少なくとも1種の透過制御材料、5wt%~30wt%の少なくとも1種の透過制御材料、5wt%~35wt%の少なくとも1種の透過制御材料、5wt%~40wt%の少なくとも1種の透過制御材料、5wt%~45wt%の少なくとも1種の透過制御材料、5wt%~50wt%の少なくとも1種の透過制御材料、5wt%~55wt%の少なくとも1種の透過制御材料、5wt%~60wt%の少なくとも1種の透過制御材料、5wt%~65wt%の少なくとも1種の透過制御材料、5wt%~70wt%の少なくとも1種の透過制御材料、5wt%~75wt%の少なくとも1種の透過制御材料、5wt%~80wt%の少なくとも1種の透過制御材料、5wt%~85wt%の少なくとも1種の透過制御材料、又は5wt%~90wt%の少なくとも1種の透過制御材料を含む。
【0142】
いくつかの実施態様では、複数のハロゲンリザーバの各ハロゲンリザーバは、各ハロゲンリザーバの平均重量を基準として、少なくとも1種のハロゲン源を含む。いくつかの実施態様では、複数のハロゲンリザーバの各ハロゲンリザーバは、各ハロゲンリザーバの平均重量を基準として、5wt%~50wt%の少なくとも1種のハロゲン源を含む。
【0143】
いくつかの実施態様では、複数のハロゲンリザーバの各ハロゲンリザーバは、各ハロゲンリザーバの平均重量を基準として、5wt%の少なくとも1種のハロゲン源、10wt%の少なくとも1種のハロゲン源、15wt%の少なくとも1種のハロゲン源、20wt%の少なくとも1種のハロゲン源、25wt%の少なくとも1種のハロゲン源、30wt%の少なくとも1種のハロゲン源、35wt%の少なくとも1種のハロゲン源、40wt%の少なくとも1種のハロゲン源、45wt%の少なくとも1種のハロゲン源、又は50wt%の少なくとも1種のハロゲン源を含む。
【0144】
いくつかの実施態様では、複数のハロゲンリザーバの各ハロゲンリザーバは、各ハロゲンリザーバの平均重量を基準として、10wt%~50wt%の少なくとも1種のハロゲン源を含む。いくつかの実施態様では、複数のハロゲンリザーバの各ハロゲンリザーバは、各ハロゲンリザーバの平均重量を基準として、15wt%~50wt%、20wt%~50wt%、25wt%~50wt、30wt%~50wt%、35wt%~50wt%、40wt%~50wt%、又は45wt%~50wt%の少なくとも1種のハロゲン源を含む。
【0145】
いくつかの実施態様では、複数のハロゲンリザーバの各ハロゲンリザーバは、各ハロゲンリザーバの平均重量を基準として、5wt%~45wt%の少なくとも1種のハロゲン源を含む。いくつかの実施態様では、複数のハロゲンリザーバの各ハロゲンリザーバは、各ハロゲンリザーバの平均重量を基準として、5wt%~40wt%の少なくとも1種のハロゲン源、5wt%~35wt%の少なくとも1種のハロゲン源、5wt%~30wt%の少なくとも1種のハロゲン源、5wt%~25wt%の少なくとも1種のハロゲン源、5wt%~20wt%の少なくとも1種のハロゲン源、5wt%~15wt%の少なくとも1種のハロゲン源、5wt%~10wt%の少なくとも1種のハロゲン源を含む。
【0146】
いくつかの実施態様では、複数のハロゲンリザーバの前記少なくとも1種のハロゲン源は、本明細書中に記載されたいかなるハロゲン源であってもよい。いくつかの実施態様では、複数のハロゲンリザーバの前記少なくとも1種のハロゲン源は、ソーベントポリマー複合体(SPC)の前記少なくとも1種のハロゲン源と同じである。いくつかの実施態様では、複数のハロゲンリザーバの前記少なくとも1種のハロゲン源は、ソーベントポリマー複合体(SPC)の前記少なくとも1種のハロゲン源とは異なる。
【0147】
いくつかの実施態様では、少なくとも90日の期間にわたって物品の少なくとも1つの表面上を燃焼排ガス流が流される条件下で、物品が、1日当たり物品中の総ハロゲンの特定の量を超えない、物品からの総ハロゲンの放出速度をもたらすのに十分な量の複数のハロゲンリザーバを含む。
【0148】
本明細書中に記載されているように、1日当たりの%は、SPCの重さに対するのではなく、その時点に存在する総ハロゲン含量に対する(初期含量に対するのではない)ハロゲンの量を意味する。いくつかの実施態様では、本明細書中でさらに論じるように、例えば図7~10Aに示されているように、ヨウ素含量(又は放出速度)の減少は指数関数的である(すなわちこの減少は指数関数的減衰であると記すことができる)。したがって、この挙動を表すために、定数「k」を使用することができる。「k」は「放出速度定数」、「減衰定数」、又は「指数関数的減衰定数」と呼ぶことができる。
【0149】
いくつかの実施態様では、少なくとも90日の期間にわたって物品の少なくとも1つの表面上を燃焼排ガス流が流れたときに、物品からの総ハロゲンの放出速度は、1日当たり総ハロゲンの0.1%を超えない、1日当たり総ハロゲンの0.2%を超えない、1日当たり総ハロゲンの0.3%を超えない、1日当たり総ハロゲンの0.4%を超えない、1日当たり総ハロゲンの0.5%を超えない、1日当たり総ハロゲンの0.6%を超えない、1日当たり総ハロゲンの0.7%を超えない、1日当たり総ハロゲンの0.8%を超えない、1日当たり総ハロゲンの0.9%を超えない、1日当たり総ハロゲンの1%を超えない、1日当たり総ハロゲンの1.5%を超えない、1日当たり総ハロゲンの2%を超えない、1日当たり総ハロゲンの2.5%を超えない、1日当たり総ハロゲンの3%を超えない、1日当たり総ハロゲンの4%を超えない、1日当たり総ハロゲンの5%を超えない。
【0150】
いくつかの実施態様では、少なくとも90日の期間にわたって物品の少なくとも1つの表面上を燃焼排ガス流が流れたときに、物品からの総ハロゲンの放出速度は、1日当たり総ハロゲンの0.1~2%である。いくつかの実施態様では、少なくとも90日の期間にわたって物品の少なくとも1つの表面上を燃焼排ガス流が流れたときに、物品からの総ハロゲンの放出速度は、1日当たり総ハロゲンの0.2%~2%、1日当たり総ハロゲンの0.3%~2%、1日当たり総ハロゲンの0.4%~2%、1日当たり総ハロゲンの0.5%~2%、1日当たり総ハロゲンの0.6%~2%、1日当たり総ハロゲンの0.7%~2%、1日当たり総ハロゲンの0.8%~1%、1日当たり総ハロゲンの0.9%~2%、1日当たり総ハロゲンの1%~2%、又は1日当たり総ハロゲンの1.5%~2%である。
【0151】
いくつかの実施態様では、少なくとも90日の期間にわたって物品の少なくとも1つの表面上を燃焼排ガス流が流れたときに、物品からの総ハロゲンの放出速度は、1日当たり総ハロゲンの0.1%~1.5%である。いくつかの実施態様では、少なくとも90日の期間にわたって物品の少なくとも1つの表面上を燃焼排ガス流が流れたときに、物品からの総ハロゲンの放出速度は、1日当たり総ハロゲンの0.1%~1%、1日当たり総ハロゲンの0.1%~0.9%、1日当たり総ハロゲンの0.1%~0.8%、1日当たり総ハロゲンの0.1%~0.7%、1日当たり総ハロゲンの0.1%~0.6%、1日当たり総ハロゲンの0.1%~0.5%、1日当たり総ハロゲンの0.1%~0.4%、1日当たり総ハロゲンの0.1%~0.3%、1日当たり総ハロゲンの0.1%~0.2%である。
【0152】
いくつかの実施態様では、少なくとも90日の期間にわたって物品の少なくとも1つの表面上を燃焼排ガス流が流れたときに、物品からの総ハロゲンの放出速度は、1日当たり総ハロゲンの0.2%~0.9%である。いくつかの実施態様では、少なくとも90日の期間にわたって物品の少なくとも1つの表面上を燃焼排ガス流が流れたときに、物品からの総ハロゲンの放出速度は、1日当たり総ハロゲンの0.3%~0.8%、1日当たり総ハロゲンの0.4%~0.7%、又は1日当たり総ハロゲンの0.5%~0.6%である。
【0153】
いくつかの実施態様では、ガス流は少なくとも20℃の温度と、少なくとも95%の相対湿度とを有する。いくつかの実施態様では、ガス流は、少なくとも1ppmの濃度の少なくとも1種のSO化合物と、前記燃焼排ガス流の少なくとも1μg/mの濃度の水銀蒸気とを含む。
【0154】
いくつかの実施態様では、ガス流は少なくとも50℃の温度と、少なくとも95%の相対湿度とを有する。いくつかの実施態様では、ガス流は、少なくとも20ppmの濃度の少なくとも1種のSO化合物と、前記燃焼排ガス流の少なくとも1μg/mの濃度の水銀蒸気とを含む。
【0155】
いくつかの実施態様では、燃焼排ガス流の温度は、20℃超、30℃超、40℃超、50℃超、60℃超、60℃超、70℃超、75℃超、80℃超、85℃超、又は90℃超である。
【0156】
いくつかの実施態様では、燃焼排ガス流の温度は、20℃未満、30℃未満、40℃未満、50℃未満、60℃未満、70℃未満、75℃未満、80℃未満、85℃、又は90℃未満である。
【0157】
いくつかの実施態様では、燃焼排ガス流の温度は、20℃~80℃、30℃~80℃、40℃~80℃、50℃~80℃、60℃~80℃、又は70℃~80℃である。
【0158】
いくつかの実施態様では、燃焼排ガス流の温度は、20℃~70℃、20℃~60℃、20℃~50℃、20℃~40℃、又は20℃~30℃である。
【0159】
いくつかの実施態様では、燃焼排ガス流の温度は、30℃~70℃又は40℃~60℃である。
【0160】
いくつかの実施態様では、燃焼排ガス流の温度は、50℃~70℃、60℃~70℃、55℃~70℃、又は55℃~60℃である。
【0161】
いくつかの実施態様では、燃焼排ガス流の温度は、65℃~70℃、70℃~75℃、75℃~80℃、80℃~85℃又は85℃~90℃である。
【0162】
いくつかの実施態様では、燃焼排ガス流の温度は、65℃~90℃、70℃~90℃、75℃~90℃、80℃~90℃、又は85℃~90℃である。
【0163】
いくつかの実施態様では、燃焼排ガス流の温度は、65℃~75℃、65℃~80℃、65℃~85℃、又は65℃~90℃である。
【0164】
いくつかの実施態様では、燃焼排ガス流の相対湿度は、少なくとも95%である。いくつかの実施態様では、燃焼排ガス流の相対湿度は、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%である。いくつかの実施態様では、燃焼排ガス流の相対湿度は、100%である。
【0165】
いくつかの実施態様では、燃焼排ガス流の相対湿度は、95%~100%である。 いくつかの実施態様では、燃焼排ガス流の相対湿度は、96%~100%、97%~100%、98%~100%、又は99%~100%である。
【0166】
いくつかの実施態様では、燃焼排ガス流の相対湿度は、95%~96%、95%~97%、95%~98%、95%~99%、又は95%~100%である。
【0167】
いくつかの実施態様では、燃焼排ガス流は少なくとも1種のSO化合物を含まない。いくつかの実施態様では、燃焼排ガス流は、少なくとも1ppm、少なくとも5ppm、少なくとも10ppm、少なくとも20ppm、少なくとも25ppm、少なくとも30ppm、少なくとも35ppm、少なくとも40ppm、少なくとも45ppm、少なくとも50ppm、少なくとも100ppm、少なくとも500ppm、又は少なくとも1000ppmの濃度で少なくとも1種のSO化合物を含む。
【0168】
いくつかの実施態様では、燃焼排ガス流は、少なくとも1ppm~200ppm、5ppm~200ppm、10ppm~200ppm、50ppm~200ppm、又は100ppm~200ppmの濃度で少なくとも1種のSO化合物を含む。
【0169】
いくつかの実施態様では、燃焼排ガス流は、20ppm~100ppm、25ppm~100ppm、30ppm~100ppm、35ppm~100ppm、40ppm~100ppm、45ppm~100ppm、50ppm~100ppm、55ppm~100ppm、60ppm~100ppm、65ppm~100ppm、70ppm~100ppm、75ppm~100ppm、80ppm~100ppm、85ppm~100ppm、90ppm~100ppm、又は95ppm~100ppmの濃度で少なくとも1種のSO化合物を含む。
【0170】
いくつかの実施態様では、燃焼排ガス流は、20ppm~25ppm、20ppm~30ppm、20ppm~35ppm、20ppm~40ppm、20ppm~45ppm、20ppm~50ppm、20ppm~55ppm、20ppm~60ppm、20ppm~65ppm、20ppm~70ppm、20ppm~75ppm、20ppm~80ppm、20ppm~85ppm、20ppm~90ppm、20ppm~95ppm、又は20ppm~100ppmの濃度で少なくとも1種のSO化合物を含む。
【0171】
いくつかの実施態様では、燃焼排ガス流は、1ppm~90ppm、1ppm~80ppm、1ppm~70ppm、1ppm~90ppm、1ppm~90ppm、1ppm~60ppm、1ppm~50ppm、1ppm~40ppm、1ppm~30ppm、1ppm~20ppm、1ppm~10ppm、又は1ppm~5ppmの濃度で少なくとも1種のSO化合物を含む。
【0172】
いくつかの実施態様では、燃焼排ガス流は水銀蒸気を含まない。いくつかの実施態様では、燃焼排ガス流は、燃焼排ガス流の少なくとも1μg/m、燃焼排ガス流の少なくとも2μg/m、燃焼排ガス流の少なくとも3μg/m、燃焼排ガス流の少なくとも4μg/m、燃焼排ガス流の少なくとも5μg/m、燃焼排ガス流の少なくとも6μg/m、燃焼排ガス流の少なくとも7μg/m、燃焼排ガス流の少なくとも8μg/m、燃焼排ガス流の少なくとも9μg/m、燃焼排ガス流の少なくとも10μg/m、燃焼排ガス流の少なくとも15μg/m、燃焼排ガス流の少なくとも20μg/m、又は燃焼排ガス流の少なくとも50μg/mの濃度で水銀蒸気を含む。
【0173】
いくつかの実施態様では、燃焼排ガス流は、燃焼排ガス流の1μg/m~50μg/mの濃度で水銀蒸気を含む。いくつかの実施態様では、燃焼排ガス流は、燃焼排ガス流の5μg/m~50μg/m、燃焼排ガス流の10μg/m~50μg/m、燃焼排ガス流の20μg/m~50μg/m、又は燃焼排ガス流の40μg/m~50μg/mの濃度で水銀蒸気を含む。
【0174】
いくつかの実施態様では、燃焼排ガス流は、燃焼排ガス流の1μg/m~10μg/mの濃度で水銀蒸気を含む。いくつかの実施態様では、燃焼排ガス流は、燃焼排ガス流の2μg/m~10μg/m、燃焼排ガス流の3μg/m~10μg/m、燃焼排ガス流の4μg/m~10μg/m、燃焼排ガス流の5μg/m~10μg/m、燃焼排ガス流の6μg/m~10μg/m、燃焼排ガス流の7μg/m~10μg/m、燃焼排ガス流の8μg/m~10μg/m、燃焼排ガス流の9μg/m~10μg/mの濃度で水銀蒸気を含む。
【0175】
いくつかの実施態様では、燃焼排ガス流は、燃焼排ガス流の1μg/m~2μg/m、燃焼排ガス流の1μg/m~3μg/m、燃焼排ガス流の1μg/m~4μg/m、燃焼排ガス流の1μg/m~5μg/m、燃焼排ガス流の1μg/m~6μg/m、燃焼排ガス流の1μg/m~7μg/m、燃焼排ガス流の1μg/m~8μg/m、又は燃焼排ガス流の1μg/m~9μg/mの濃度で水銀蒸気を含む。
【0176】
いくつかの実施態様では、燃焼排ガス流は、少なくとも100日の期間にわたって、物品の少なくとも1つの表面上を流される。いくつかの実施態様では、燃焼排ガス流は、少なくとも200日、少なくとも300日、少なくとも400日、少なくとも500日、少なくとも600日、少なくとも700日、少なくとも800日、少なくとも900日、少なくとも1,000日、少なくとも2,000日、少なくとも3,000日、少なくとも4,000日、又は少なくとも5,000日の期間にわたって、物品の少なくとも1つの表面上を流される。
【0177】
いくつかの実施態様では、燃焼排ガス流は、100日~10,000日の期間にわたって物品の少なくとも1つの表面上を流される。いくつかの実施態様では、燃焼排ガス流は、500日~10,000日の期間にわたって、1,000日~10,000日の期間にわたって、又は5,000日~10,000日の期間にわたって、物品の少なくとも1つの表面上を流される。
【0178】
いくつかの実施態様では、燃焼排ガス流は、100日~5,000日の期間にわたって、100日~1,000日の期間にわたって、又は100日~500日の期間にわたって、物品の少なくとも1つの表面上を流される。
【0179】
いくつかの実施態様では、燃焼排ガス流は、500日~10,000日の期間にわたって、又は1,000日~5,000日の期間にわたって、物品の少なくとも1つの表面上を流される。
【0180】
いくつかの実施態様では、複数のハロゲンリザーバの少なくとも1つがリザーバ粒子の形態を成しており、リザーバ粒子が第1透過制御材料と少なくとも1種のハロゲン源とを含み、第1透過制御材料が透過制御粒子の形態を成しており、そして前記少なくとも1種のハロゲン源が少なくとも前記透過制御粒子の表面上に存在する。
【0181】
いくつかの実施態様では、リザーバ粒子が第2透過制御材料をさらに含み、第2透過制御材料が、透過制御粒子の表面上の前記少なくとも1種のハロゲン源を取り囲む。いくつかの実施態様では、第1透過制御材料と第2透過制御材料とは、同じ材料を含む。いくつかの実施態様では、第1透過制御材料と第2透過制御材料とは、異なる材料を含む。
【0182】
いくつかの実施態様では、複数のハロゲンリザーバが複数のリザーバクラスタの形態を成しており、各リザーバクラスタが、少なくとも1種のハロゲン源と透過制御材料との混合物を含む。
【0183】
図3Aは、開示のいくつかの非限定的実施態様に基づくハロゲンリザーバ粒子301の集合302を示す電子画像である。図3Bは、図3Aのハロゲンリザーバ粒子を含むソーベントポリマー複合体(SPC)303の断面を示す電子画像である。ハロゲンリザーバ粒子305は透過制御材料304とともに、開示のいくつかの非限定的実施態様に基づくソーベントポリマー複合体(SPC)303内部に埋め込まれている。
【0184】
図4Aは、開示のいくつかの非限定的実施態様に基づくSPC430内部に埋め込まれたハロゲンリザーバ粒子の形態を成す1つのハロゲンリザーバ410を含むソーベントポリマー複合体(SPC)430の断面を示す、物品400の拡大電子画像である。
【0185】
図4Bは、SPC430内部に埋め込まれたリザーバ粒子410を含むハロゲンリザーバを含むソーベントポリマー複合体(SPC)430の断面を示す、物品400の1実施態様の拡大電子画像である。
【0186】
いくつかの実施態様では、複数のハロゲンリザーバの少なくとも1つがカプセル化ビードの形態を成しており、カプセル化ビードはコアを含む。いくつかの実施態様では、前記少なくとも1つのハロゲン源が少なくともコアの表面上に存在し、透過制御材料がカプセル化ビードを形成するコアをカプセル化する。
【0187】
コアはいかなる材料を含んでもよい。例えば、いくつかの実施態様では、コアは炭素、石炭、褐炭、木材、ヤシガラ、別の炭素質材料に由来する活性炭、シリカゲル、ゼオライト、又はこれらの任意の組み合わせを含んでよい。
【0188】
いくつかの実施態様では、コアは少なくとも1つの炭素粒子を含む。いくつかの実施態様では、前記少なくとも1つの炭素粒子は、本明細書中に挙げられた任意のタイプの炭素粒子を含んでもよい。いくつかの実施態様では、コアは少なくとも1つの炭素粒子又は複数の炭素粒子を含む。
【0189】
いくつかの実施態様では、前記少なくとも1つの炭素粒子又は複数の炭素粒子は活性炭を含む。いくつかの実施態様では、活性炭は、カプセル化ビードの25wt%~50wt%の量でカプセル化ビード内に組み込まれている。
【0190】
いくつかの実施態様では、カプセル化ビード内に組み込まれる活性炭は、カプセル化ビードの25wt%、カプセル化ビードの30wt%、カプセル化ビードの35wt%、カプセル化ビードの40wt%、カプセル化ビードの45wt%、カプセル化ビードの50wt%の量で存在する。
【0191】
いくつかの実施態様では、カプセル化ビード内に組み込まれる活性炭は、カプセル化ビードの25wt%~30wt%、25wt%~35wt%、25wt%~40wt%、25wt%~45wt%の量で存在する。
【0192】
いくつかの実施態様では、カプセル化ビード内に組み込まれる活性炭は、カプセル化ビードの30wt%~50wt%、35wt%~50wt%、40wt%~50wt%、45wt%~50wt%の量で存在する。
【0193】
いくつかの実施態様では、カプセル化ビードは少なくとも1種の透過制御材料を含む。いくつかの実施態様では、カプセル化ビードの透過制御材料は、少なくとも1種のポリビニリデン(PVDF)ホモポリマー又はコポリマー、少なくとも1種のポリオレフィン、ポリカーボネート(PC)、ポリスチレン(PS)、エチルセルロース(EC)、又はこれらの任意の組み合わせを含む。
【0194】
いくつかの実施態様では、カプセル化ビードの透過制御材料は、ポリエチレンワックスを含む。いくつかの実施態様では、カプセル化ビードの透過制御材料はポリプロピレンワックスを含む。
【0195】
いくつかの実施態様では、カプセル化ビードは少なくとも1種のハロゲン源を含み、前記少なくとも1種のハロゲン源は、少なくとも1つの炭素粒子の表面上に少なくとも存在する。
【0196】
いくつかの実施態様では、カプセル化ビードのサイズ範囲は20ミクロン~500ミクロンである。いくつかの実施態様では、ハロゲンの放出速度は、カプセル化ビードのサイズの減少にともなって増大する。いくつかの実施態様では、カプセル化ビードのサイズ範囲は25ミクロン~50ミクロンである。
【0197】
いくつかの実施態様では、カプセル化ビードは20ミクロンのサイズ、25ミクロンのサイズ、30ミクロンのサイズ、35ミクロンのサイズ、40ミクロンのサイズ、45ミクロンのサイズ、50ミクロンのサイズ、100ミクロンのサイズ、150ミクロンのサイズ、200ミクロンのサイズ、250ミクロンのサイズ、300ミクロンのサイズ、350ミクロンのサイズ、400ミクロンのサイズ、450ミクロンのサイズ、500ミクロンのサイズを含む。
【0198】
いくつかの実施態様では、カプセル化ビードは20ミクロン~25ミクロンのサイズ範囲、20ミクロン~25ミクロンのサイズ範囲、20ミクロン~30ミクロンのサイズ範囲、20ミクロン~35ミクロンのサイズ範囲、20ミクロン~40ミクロンのサイズ範囲、20ミクロン~45ミクロンのサイズ範囲、20ミクロン~50ミクロンのサイズ範囲、20ミクロン~100ミクロンのサイズ範囲、20ミクロン~150ミクロンのサイズ範囲、20ミクロン~200ミクロンのサイズ範囲、20ミクロン~250ミクロンのサイズ範囲、20ミクロン~300ミクロンのサイズ範囲、20ミクロン~350ミクロンのサイズ範囲、20ミクロン~400ミクロンのサイズ範囲、20ミクロン~450ミクロンのサイズ範囲、20ミクロン~500ミクロンのサイズ範囲を含む。
【0199】
いくつかの実施態様では、カプセル化ビードのサイズ範囲は、25ミクロン~500ミクロンである。いくつかの実施態様では、カプセル化ビードのサイズ範囲は、35ミクロン~500ミクロン、40ミクロン~500ミクロン、45ミクロン~500ミクロン、50ミクロン~500ミクロン、100ミクロン~500ミクロン、150ミクロン~500ミクロン、200ミクロン~500ミクロン、250ミクロン~500ミクロン、300ミクロン~500ミクロン、350ミクロン~500ミクロン、400ミクロン~500ミクロン、又は450ミクロン~500ミクロンである。
【0200】
いくつかの実施態様では、カプセル化ビードは、当業者に知られた任意の方法によって調製されてよい。いくつかの実施態様では、カプセル化ビードは、噴霧乾燥、噴霧、噴霧凝固、共押出、塗布、又はコアセルベーションによって調製されてよい。
【0201】
いくつかの実施態様では、カプセル化ビードは、噴霧乾燥によって調製されてよい。いくつかの実施態様では、噴霧乾燥プロセスは、ハロゲン源及び透過制御材料の溶液中に炭素粒子を懸濁させ、懸濁液を噴霧ノズルを通してエアロゾル化し、溶媒を蒸発させ、これによりカプセル化ビードを生成し、そしてカプセル化ビード集合を収集することを含む。いくつかの実施態様では、前記少なくとも1種のハロゲン源は溶液中に溶解されるか、又は活性炭上で前吸着されてよい。
【0202】
いくつかの実施態様では、噴霧乾燥のために使用される溶媒は任意の低沸点溶媒であってよい。
【0203】
いくつかの実施態様では、噴霧乾燥のために使用される溶媒の沸点は100℃未満であってよい。いくつかの実施態様では、噴霧乾燥のために使用される溶媒の沸点は75℃未満であってよい。いくつかの実施態様では、噴霧乾燥のために使用される溶媒の沸点は50℃未満であってよい。
【0204】
いくつかの実施態様では、噴霧乾燥のために使用される溶媒の沸点は50℃~100℃であってよい。いくつかの実施態様では、噴霧乾燥のために使用される溶媒の沸点は75℃~100℃であってよい。いくつかの実施態様では、噴霧乾燥のために使用される溶媒の沸点は50℃~75℃であってよい。
【0205】
いくつかの実施態様では、噴霧乾燥のために使用される溶媒は、所期透過制御材料に必要な溶解度を有する任意の溶媒であってよい。
【0206】
いくつかの実施態様では、噴霧乾燥のために使用される溶媒は、所期透過制御材料に対する溶解度が少なくとも5wt%である任意の溶媒であってよい。いくつかの実施態様では、噴霧乾燥のために使用される溶媒は、所期透過制御材料に対する溶解度が少なくとも25wt%、少なくとも50wt%、又は少なくとも75wt%である任意の溶媒であってよい。
【0207】
いくつかの実施態様では、噴霧乾燥のために使用される溶媒は、少なくとも1種のハロゲン源に対して非反応性である任意の溶媒であってよい。
【0208】
いくつかの実施態様では、溶媒は塩化メチレン(DCM)、テトラヒドロフラン(THF)、酢酸エチル(EtOAc)、アセトン、トルエン、又はこれらの任意の組み合わせであってよい。
【0209】
いくつかの実施態様では、カプセル化ビードは噴霧凝固を用いて調製されてよい。いくつかの実施態様では、前記少なくとも1種のハロゲン源は、炭素粒子上へ前吸着されてよい。いくつかの実施態様では、炭素粒子は活性炭である。いくつかの実施態様では、炭素粒子上へ前吸着される少なくとも1種のハロゲン源を溶融済みのワックス中に混合し、ノズルを通してエアロゾル化し、冷却時に固化し、続いてカプセル化ビードを収集することができる。
【0210】
いくつかの実施態様では、カプセル化ビードは、ソーベントポリマー複合体(SPC)の製造のために採用される任意のプロセスを用いて、ソーベントポリマー複合体(SPC)中へ組み込むことができる。
【0211】
いくつかの実施態様では、ソーベントポリマー複合体(SPC)中のカプセル化ビード含量は、5wt%、10wt%、20wt%、又は25wt%を含む。
【0212】
いくつかの実施態様では、ソーベントポリマー複合体(SPC)中のカプセル化ビード含量は、10wt%~30wt%の範囲を含む。いくつかの実施態様では、ソーベントポリマー複合体(SPC)中のカプセル化ビード含量は、15wt%~30wt%、20wt%~30wt%、又は25wt%~30wt%の範囲を含む。
【0213】
いくつかの実施態様では、ソーベントポリマー複合体(SPC)中のカプセル化ビード含量は、10wt%~25wt%、10wt%~20wt%、又は10wt%~15wt%の範囲を含む。
【0214】
いくつかの実施態様では、ソーベントポリマー複合体(SPC)中のカプセル化ビード含量は、ソーベントポリマー複合体(SPC)中の所期総ハロゲン源含量、及びカプセル化ビード中の総ハロゲン源含量に応じて決定されてよい。いくつかの実施態様では、カプセル化ビードは1wt%~50wt%の少なくとも1種のハロゲン源の含量を含む。
【0215】
いくつかの実施態様では、カプセル化ビードは、少なくとも1wt%、少なくとも5wt%、少なくとも10wt%、少なくとも15wt%、少なくとも20wt%、少なくとも25wt%、少なくとも30wt%、少なくとも35wt%、少なくとも40wt%、又は少なくとも45wt%、又は少なくとも50wt%の少なくとも1種のハロゲン源の含量を含む。
【0216】
いくつかの実施態様では、カプセル化ビードは、5wt%~50wt%、10wt%~50wt%、15wt%~50wt%、20wt%~50wt%、25wt%~50wt%、30wt%~50wt%、35wt%~50wt%、40wt%~50wt%、45wt%~50wt%の少なくとも1種のハロゲン源の含量を含む。
【0217】
いくつかの実施態様では、カプセル化ビードは、1wt%~5wt%、1wt%~10wt%、1wt%~15wt%、1wt%~20wt%、1wt%~25wt%、1wt%~30wt%、1wt%~35wt%、1wt%~40wt%、1wt%~45wt%の少なくとも1種のハロゲン源の含量を含む。
【0218】
図5Aは、本開示のいくつかの非限定的実施態様に基づくカプセル化ビード500の形態を成すハロゲンリザーバを示す図である。図示のように、カプセル化ビード500はコア501を含む。いくつかの実施態様では、コア501は少なくとも1つの粒子、一例としては少なくとも1つの炭素粒子を含む。いくつかの実施態様では、少なくとも1種のハロゲン源(図示せず)が、少なくともコア501の表面上に存在する。いくつかの実施態様では、カプセル化ビード500は少なくとも1種の透過制御材料502をさらに含む。いくつかの実施態様では、透過制御材料502はコア501をカプセル化する。
【0219】
図5Bは、開示のいくつかの非限定的実施態様に基づくカプセル化ビード510の集合を示す電子画像である。
【0220】
いくつかの実施態様では、複数のリザーバクラスタは、ソーベントポリマー複合体(SPC)全体にわたって埋め込まれた複数の不連続フィルムの形態を成している。
【0221】
図6A及び図6Bは、ソーベントポリマー複合体(SPC)内へ組み込まれたハロゲンリザーバの種々の実施形態を示す2つの写真のセットである。図6Aは、開示のいくつかの非限定的実施態様に基づく、ソーベントポリマー複合体(SPC)610内部に埋め込まれたハロゲンリザーバ凝集物から成るハロゲンリザーバクラスタ620を含む物品600を示す表面写真である。図6Bは、開示のいくつかの非限定的実施態様に基づく、ソーベントポリマー複合体(SPC)610内部に埋め込まれたハロゲンリザーバ620を含む物品600を示す表面写真である。図示のように、ハロゲンリザーバクラスタ620は、図6Bに示されたストリークのような局在化領域の形態を成してよい。いくつかの実施態様では、局在化領域は、ハロゲンリザーバの凝集混合物を作り、そしてソーベントポリマー複合体(SPC)610全体にわたって凝集混合物を埋め込むことによって形成されてよい。
【0222】
いくつかの実施態様では、物品は、少なくとも90日の期間にわたって物品の少なくとも1つの表面上を燃焼排ガス流が流されたときに、1日当たり総ハロゲンの0.5%を超えない、物品からの総ハロゲンの放出速度をもたらすのに十分な、複数のハロゲンリザーバの量を含み、燃焼排ガス流は少なくとも20℃の温度と、少なくとも95%の相対湿度とを有し、そして燃焼排ガス流は、少なくとも1ppmの濃度の少なくとも1種のSO化合物と、燃焼排ガス流の少なくとも1μg/mの濃度の水銀蒸気とを含む。
【0223】
いくつかの実施態様では、物品は、少なくとも90日の期間にわたって物品の少なくとも1つの表面上を燃焼排ガス流が流されたときに、1日当たり総ハロゲンの2%を超えない、物品からの総ハロゲンの放出速度をもたらすのに十分な、複数のハロゲンリザーバの量を含み、燃焼排ガス流は少なくとも50℃の温度と、少なくとも95%の相対湿度とを有し、そして燃焼排ガス流は、少なくとも20ppmの濃度の少なくとも1種のSO化合物と、燃焼排ガス流の少なくとも1μg/mの濃度の水銀蒸気とを含む。
【0224】
いくつかの実施態様では、物品中の複数のハロゲンリザーバの十分な量は、物品の総重量を基準として、5wt%~50wt%の複数のハロゲンリザーバである。いくつかの実施態様では、物品中の複数のハロゲンリザーバの十分な量は、物品の総重量を基準として、少なくとも5wt%、少なくとも10wt%、少なくとも15wt%、少なくとも20wt%、少なくとも25wt%、少なくとも30wt%、少なくとも35wt%、少なくとも40wt%、少なくとも45wt%、又は少なくとも50wt%の複数のハロゲンリザーバである。
【0225】
いくつかの実施態様では、物品中の複数のハロゲンリザーバの十分な量は、物品の総重量を基準として、10wt%~50wt%の複数のハロゲンリザーバである。いくつかの実施態様では、物品中の複数のハロゲンリザーバの十分な量は、物品の総重量を基準として、15wt%~50wt%、20wt%~50wt%、25wt%~50wt%、30wt%~50wt%、35wt%~50wt%、40wt%~50wt%、又は45wt%~50wt%の複数のハロゲンリザーバである。
【0226】
いくつかの実施態様では、物品中の複数のハロゲンリザーバの十分な量は、物品の総重量を基準として、5wt%~45wt%、5wt%~40wt%、5wt%~35wt%、5wt%~30wt%、5wt%~25wt%、5wt%~20wt%、5wt%~15wt%、又は5wt%~10wt%の複数のハロゲンリザーバである。
【0227】
本開示のいくつかの方法は、ソーベントポリマー複合体(SPC)と複数のハロゲンリザーバとを含む物品を得る方法に関する。
【0228】
いくつかの実施態様では、複数のハロゲンリザーバはSPC内部に埋め込まれる。
【0229】
いくつかの実施態様では、複数のハロゲンリザーバの各ハロゲンリザーバが、各ハロゲンリザーバの平均重量を基準として5wt%~95wt%の少なくとも1種の透過制御材料と、各ハロゲンリザーバの平均重量を基準として5wt%~50%の少なくとも1種のハロゲン源とを含む。
【0230】
いくつかのこのような実施態様は、少なくとも90日の期間にわたって物品の少なくとも1つの表面上を燃焼排ガス流が流れるようにすることに関し、ガス流が少なくとも20℃の温度と、少なくとも95%の相対湿度とを有し、そしてガス流が、少なくとも1ppmの濃度の少なくとも1種のSO化合物と、燃焼排ガス流の総体積を基準として少なくとも1μg/mの濃度の水銀蒸気とを含む。
【0231】
いくつかの実施態様では、物品中の総ハロゲンの放出速度が、流動工程中に1日当たり前記物品中の総ハロゲンの0.5%を超えない。いくつかの実施態様では、物品中の総ハロゲンの放出速度が流動工程中に、1日当たり前記物品中の総ハロゲンの0.6%を超えず、1日当たり前記物品中の総ハロゲンの0.7%を超えず、1日当たり前記物品中の総ハロゲンの0.8%を超えず、1日当たり前記物品中の総ハロゲンの0.9%を超えず、1日当たり前記物品中の総ハロゲンの1%を超えず、1日当たり前記物品中の総ハロゲンの1.5%を超えず、1日当たり前記物品中の総ハロゲン2%を超えない。
【0232】
いくつかの実施態様では、上記のように、前記複数のハロゲンリザーバの少なくとも1つが、カプセル化ビードの形態を成している。いくつかのこのような実施態様では、カプセル化ビードは、コアを形成するように少なくとも1つの粒子を得、少なくとも前記少なくとも1つの粒子の表面上へ前記少なくとも1種のハロゲン源を堆積し、そして前記少なくとも1種の透過制御材料で前記コアをカプセル化することにより、前記カプセル化ビードを形成することによって、形成される。いくつかの実施態様では、コアの前記少なくとも1つの粒子は少なくとも1つの炭素粒子を含む。
【0233】
いくつかの実施態様では、前記少なくとも1種のハロゲン源は、少なくともコアの表面上へ溶液として堆積される。いくつかの実施態様では、前記少なくとも1種のハロゲン源は、少なくともコアの少なくとも1つの炭素粒子の表面上へ溶液として堆積される。
【0234】
いくつかの実施態様では、前記少なくとも1種のハロゲン源は、少なくともコアの表面上へ気相で堆積される。いくつかの実施態様では、前記少なくとも1種のハロゲン源は、少なくともコアの少なくとも1つの炭素粒子の表面上へ気相で堆積される。
【0235】
いくつかの実施態様では、上記のように、複数のハロゲンリザーバの少なくとも1つが、リザーバ粒子の形態を成している。いくつかの実施態様では、リザーバ粒子は、透過制御材料を透過制御粒子の形態で得、そして少なくとも透過制御粒子の表面上へ少なくとも1種のハロゲン源を堆積することにより形成される。
【0236】
いくつかの実施態様では、方法は、少なくとも前記透過制御粒子の表面上へ前記少なくとも1種のハロゲン源を堆積したあと、リザーバ粒子の少なくとも一部上に第2透過制御材料を堆積することにより、前記少なくとも1種のハロゲン源を取り囲む第2透過制御層を形成することをさらに含む。いくつかの実施態様では、第1透過制御材料と第2透過制御材料とは、同じ材料を含む。いくつかの実施態様では、第1透過制御材料と第2透過制御材料とは、異なる材料を含む。
【0237】
いくつかの実施態様では、複数のハロゲンリザーバは複数のリザーバクラスタの形態を成しており、複数のリザーバクラスタのそれぞれは、混合物を形成するように、複数の炭素粒子を少なくとも1種のハロゲン源及び少なくとも1種の透過制御材料と混合し、そして混合物をSPC内へ埋め込むことにより形成される。
【0238】
いくつかの実施態様では、方法は、凝集混合物を形成するように混合物を凝集し、そして凝集混合物をSPC中に埋め込むことをさらに含む。
【0239】
いくつかの実施態様では、方法は、凝集混合物を複数の不連続フィルムになるように形成し、そして不連続フィルムをSPC全体にわたって埋め込むことを含むことをさらに含む。
【0240】
本開示のいくつかの実施態様は、本明細書中に開示された模範的物品及び/又は物品の実施態様のいずれかを含むシステムに関する。いくつかの実施態様では、システムは、ガス流の通過のために形成された通路を含む。いくつかの実施態様では、物品は通路内部に収納されている。いくつかの実施態様では、物品の少なくとも一部は燃焼排ガスと接触するように配置されている。
【0241】
図11は、本明細書に記載された物品の少なくとも1つを有する汚染制御システム1100の非限定的な実施態様を示す。汚染制御システム1100のいくつかの非限定的な用途は、種々の大気汚染物質排出基準に準拠するように大気汚染物質排出を制御することを目的とし得る。汚染制御システム1100は、産業燃焼排ガスからの元素水銀及び酸化気相水銀を捕捉するように形成することができる。汚染制御システム1100は不連続な積み重ね可能なモジュール1102を含むことができる。これらのモジュールは粒子収集システムの下流側に設けることができる。いくつかの実施態様では、モジュール1102は、本明細書中に記載された物品1104(図11に拡大部分図で示されている)の1つ又は2つ以上の実施態様を有するように形成することができる。
【0242】
いくつかの実施態様では、システムは、複数の通路内に形成されたいくつかの物品を含むことができる。このような実施態様では、ガス流がSPCの少なくとも一部と直接に接触するが、しかしリザーバと直接には接触しないように、ガス流は通路間を流れることができる。いくつかの実施態様では、装置の複数の通路は、反応物質、例えばガス状成分がシステムの1つ又は2つ以上の表面上を流れるのを容易にし、そして少なくとも1種の液状生成物の排出を容易にすることができる。
【0243】
本明細書中に記載された例を含むシステムの非限定的な模範的ジオメトリは、Stark他の米国特許第9,381,459号明細書に見出すことができる。前記明細書はあらゆる目的で全体を参照することにより、本明細書中に援用される。
【0244】
図5は、本明細書中に記載された物品1202の非限定的実施態様上を流れる燃焼排ガス流を示す概略図1200である。物品1202は、燃焼排ガス流が(例えば物品1202の材料上を、又は材料を通って)流過するのに伴って、燃焼排ガス流からの元素水銀及び酸化水銀の両方を捕捉することができる。水銀は化学吸着を介して、物品1202の材料内部で固定的に結合することができる。SOも吸着且つ/又は吸収し、そして(SO酸化触媒を介して)触媒することにより液体硫酸にすることができる。液体硫酸は液滴1204を形成し、物品1202から駆出することができる。液滴1204は物品1202の表面に作用する重力を介して、下方へ向かって流れることができる。
【0245】
物品の種々の実施例及び比較例を試験して、本明細書中にも記載された、具体化されたシステム及びプロセス内に組み入れられた物品の実施態様の改善された特性を示した。その結果を以下に詳述する。
【0246】
試験法
【0247】
模擬燃焼排ガス流耐久性試験
【0248】
模擬燃焼排ガス流耐久性試験は実験室試験である。燃焼排ガス流に対する模擬暴露のための模範的試験を、下記のものを含む装置を使用して実施した。すなわち、
(1)質量流コントローラによって調整される空気の供給部、
(2)質量流コントローラを通して調整される1%二酸化硫黄/窒素混合物を含有するガスシリンダによって供給されるSO源、
(3)バイパスを備えた12mm辺長の三角形試料セル。これを65℃に維持された炉内に配置するとともに、
(4)MH-070透過管加湿器(米国ニュージャージー州在PermaPure)を使用して高い相対湿度80%超を維持する。300ppm/mのSO及び湿度90%を含有する模擬燃焼排ガス流に、上記装置内で、約3ヶ月の期間にわたって1標準リットル/分で、試料を晒した。試料の総ハロゲン(ヨウ素)含量を蛍光X線(「XRF」)によって経時的にwt%で測定した。試料の総ハロゲン含量は総ヨウ素含量として判定した。このように、ハロゲン含量及び放出速度の議論は、試料のヨウ素含量及び総ヨウ素(総ハロゲン)の放出速度に基づく。相対ヨウ素含量は、式C_ヨウ素/C_ヨウ素_0にしたがって経時的に追跡した。ここでC_ヨウ素/C_ヨウ素_0は、物品中の初期総ヨウ素含量に対する、所定の時点での物品中の総ヨウ素含量である。式C_ヨウ素 / C_ヨウ素_0 = exp(-k*時間)にしたがって、指数放出速度(減衰)関数を用いて相対ヨウ素含量を追跡することにより、総ハロゲンの放出速度を分析した。ここで、C_ヨウ素は経時的にそれぞれの試料中で測定された総ヨウ素含量であり、C_ヨウ素_0は、初期総ヨウ素含量であり、そしてkは%/日の単位を有するヨウ素放出速度(定数減衰)定数である。総放出速度は、k*C_ヨウ素に等しく、そして相対放出速度はk * C_ヨウ素/C_ヨウ素_0に等しい。
【0249】
総放出速度は、放出速度定数(例えば0.5%/日)を物品中の総ハロゲンで掛け算した値に等しい。換言すれば、物品からの総ハロゲンの放出速度は、この例では、1日当たり物品中の総ハロゲンの0.5%である。相対放出速度と放出速度定数とは、同じ単位(%/日)を有するが、しかし相対ヨウ素含量によって値が異なる。
【0250】
ヨウ素含量を、式C_ヨウ素 =C_ヨウ素_0 * exp(-k*時間)にしたがって経時的に追跡することもあった。ここで、C_ヨウ素は物品中のヨウ素含量であり、C_ヨウ素_0は、初期総ヨウ素含量であり、そしてkは%/日の単位を有する上記のものと同じヨウ素放出速度(減衰)定数である。指数関数的放出速度(減衰)モデルは、長時間にわたるハロゲン源の消耗を推定するために使用した。
【0251】
燃焼排ガス流耐久性試験
【0252】
燃焼排ガス流耐久性試験は実地試験である。石炭火力発電所の脱硫吸収装置から下流側の湿潤燃焼排ガス流のスリップストリームに、(本開示の物品を示す)SPC試料を晒すことにより、実際の燃焼排ガス流に暴露する模範的試験を実施した。試料を2種の形態で燃焼排ガス流に晒した。
【0253】
第1形態の場合、当該シートを横切る妨害されない流れを可能にするように、ロッド上に支持された、6枚の3.5” x 12”(8.89cm x 30.48cm)SP積層シートを、3.5” x 3.5” x 40”(8.89cm x 8.89cm x 101cm)絶縁試料固定具内へ組み込んだ。ほぼ80ACFM(1分当たりの実際立方フィート)(137m/hr)の燃焼排ガス流をファンにより一連の管を通して試料固定具内へ引き込むことにより、試料を暴露した。
【0254】
第2形態の場合、1.25” x 12”(3.175cm x 30.48cm)SPC積層ストリップをフレーム固定具2’ x 2’ x 1’(61cm x 61cm x 30cm)上に取り付ける一方、ストリップの上部及び底部を、100ストリップまで保持可能なフレームのレールに沿って所定の位置に固定した。これらのレールを2インチ(50mm)だけ分離することにより、フレームを横切る妨害されない流れを提供した。フレームを2.1’ x 2.1’ x 8’(0.66m x 0.66m x 2.4m)絶縁Pilot Tower Unit内へ挿入した。ほぼ2880ACFM(4860m/hr)の燃焼排ガス流をファンによって引き込むことにより、試料を暴露した。本開示に基づく試料を第1形態又は第2形態又はその両方で試験した。両形態において、流量及び圧力差を試料固定具全体にわたってモニタリングした。性質上、スリップストリーム燃焼排ガス流の組成は高度に可変であったが、しかし燃焼排ガス流の典型的な組成は、水銀濃度が2μg/m、SO濃度が20~40ppm、O濃度が6%、NO濃度が200ppmであり、そして相対湿度が>95%であった。スリップストリーム燃焼排ガス流の温度は50~55℃であった。1ヶ月にほぼ1回(30日毎に)、試料を採取し、そして試料の総ハロゲン(ヨウ素)含量(wt%)を蛍光X線(「XRF」)によって分析した。開示の試料の総ハロゲン含量は総ヨウ素含量として判定した。このように、ハロゲン含量及び放出速度の議論は、試料のヨウ素含量及び総ヨウ素(総ハロゲン)の放出速度に基づく。各試料の総ヨウ素含量は、初期ヨウ素含量に対するヨウ素含量(「相対ヨウ素含量」)に換算し、そして下記表において記載されているように、経時的に追跡した。総ハロゲンの放出速度は、本発明の実施例によって分析されるヨウ素の放出速度に相当する。下記式にしたがって、指数放出速度(減衰)関数を用いて相対ヨウ素含量を追跡することにより、総ハロゲンの放出速度を分析した。式C_ヨウ素 / C_ヨウ素_0 = exp(-k*時間)。ここで、C_ヨウ素はそれぞれの試料中の総ヨウ素含量であり、C_ヨウ素_0は、初期総ヨウ素含量であり、そしてkはヨウ素放出速度(含量減衰)定数である。総放出速度は、k*C_ヨウ素に等しく、そして相対放出速度はk C_ヨウ素/C_ヨウ素_0に等しい。指数関数的放出速度(減衰)モデルは、長時間にわたるハロゲン源の消耗を推定するために使用した。
【0255】
実施例1
【0256】
ヨウ素充填炭素
【0257】
ヨウ素充填炭素。25%のヨウ素(I)と75%の活性炭(Norit PAC20BF、米国テキサス州在Cabot Inc.)とを混合することにより、炭素上のヨウ素を調製した。混合物を4~6時間にわたって密閉ガラス容器内で60℃まで加熱した。その結果、活性炭のヨウ素充填率はほぼ25重量%となった。
【0258】
ヨウ素充填炭素1B。水中に溶解されたヨウ化カリウム(KI)の過飽和溶液を調製し、活性炭(NUCHAR SA-20米国サウスカロライナ州在Ingevit)を、75% KI溶液:25%炭素の比で添加し、そしてほぼ10分間にわたって90℃で撹拌することによって、ヨウ素充填炭素を調製した。次いで、炭素をPTFEシート上に広げ、そして120℃の炉内で24時間にわたって乾燥させた。
【0259】
ハロゲンリザーバ片
【0260】
ハロゲンリザーバ片1A。12%のヨウ素充填炭素1Aと、18%のPVDF(Kynar Superflex 2501-20 米国ペンシルベニア州在Arkema Inc.)と、70%のテトラヒドロフラン(THF)溶媒とを使用して、ハロゲンリザーバスラリーを調製した(I-炭素:PVDF=1:1.5)。次いで、スロットダイ塗布ヘッドによって、スラリーを剥離ライナーに被着することにより、ハロゲンリザーバフィルムを形成した。乾燥後のフィルム厚は6ミル(0.1524mm)であった。次いで、オフィス用ペーパーシュレッダーFellowes Micro-Cut 16Ms Microshred Shredder(品番4922002、米国イリノイ州Fellowes, Inc.)を使用して、ハロゲンリザーバフィルム(例えば薄い平らな構造)を切断することにより、より小さな明確に定義された片にした。細断片は方形形状を有するとともに、その平均サイズはほぼ4mm x 13mm(0.156 x 0.5インチ)であった。
【0261】
ハロゲンリザーバ片1B。米国特許第7,791,861号明細書において教示された一般的な乾燥ブレンド法を用いて、そして110℃でのカレンダー処理工程を用いて、ヨウ素充填炭素1AとPVDF粉末(Kynar Superflex 2501-20 米国ペンシルベニア州在Arkema Inc.)との混合物を添着炭33%とPVDF66%との比で調製することにより、0.75mm(30mil)厚の半連続的なフィルム又は薄い平らな構造を製造した。次いで、オフィス用ペーパーシュレッダーFellowes Micro-Cut 16Ms Microshred Shredder(品番4922002、米国イリノイ州Fellowes, Inc.)を使用して、ハロゲンリザーバフィルム(例えば薄い平らな構造)を切断することにより、より小さな明確に定義された片にした。細断片は方形形状を有するとともに、その平均サイズはほぼ4mm x 13mm(0.156 x 0.5インチ)であった。
【0262】
ハロゲンリザーバ片1C。米国特許第7,791,861号明細書において教示された一般的な乾燥ブレンド法を用いて、そして110℃でのカレンダー処理工程を用いて、ヨウ素充填炭素1BとPVDF粉末(Kynar Superflex 2501-20 米国ペンシルベニア州在Arkema Inc.)との混合物を添着炭40%とPVDF60%との比で調製することにより、0.75mm(30mil)厚の半連続的なフィルム又は薄い平らな構造を製造した。次いで、オフィス用ペーパーシュレッダーFellowes Micro-Cut 16Ms Microshred Shredder(品番4922002、米国イリノイ州Fellowes, Inc.)を使用して、ハロゲンリザーバフィルム(例えば薄い平らな構造)を切断することにより、より小さな明確に定義された片にした。細断片は方形形状を有するとともに、その平均サイズはほぼ4mm x 13mm(0.156 x 0.5インチ)であった。
【0263】
ハロゲンリザーバ片1D。40%のKI(ヨウ化カリウム)と、10%の活性炭(NUCHAR SA-20米国サウスカロライナ州在Ingevit)と、50%の透過制御材料PVDF(Kynar Flex 2751-00、米国ペンシルベニア州在Arkema Inc.)とから成るハロゲンリザーバ材料を実験室条件下で作成し、そして米国特許第7,791,861号明細書において教示された一般的な乾燥ブレンド法を用いて、そして材料が溶融する110℃でのカレンダー処理工程を用いて、ハロゲンリザーバ材料を調製することにより、3mm厚のハロゲンリザーバ部分を製造した。次いで、オフィス用ペーパーシュレッダーFellowes Micro-Cut 16Ms Microshred Shredder(品番4922002、米国イリノイ州Fellowes, Inc.)を使用して、ハロゲンリザーバフィルム(例えば薄い平らな構造)を切断することにより、より小さな明確に定義された片にした。細断片は方形形状を有するとともに、その平均サイズはほぼ4mm x 13mm(0.156 x 0.5インチ)であった。
【0264】
ハロゲンリザーバ片1E。31%のKI(ヨウ化カリウム)と、6%の活性炭(NUCHAR SA-20米国サウスカロライナ州在Ingevit)と、52%の透過制御材料PVDF(Kynar Flex 2751-00、米国ペンシルベニア州在Arkema Inc.)とから成るハロゲンリザーバ材料を実験室条件下で作成し、そして米国特許第7,791,861号明細書において教示された一般的な乾燥ブレンド法を用いて、そして室温でのカレンダー処理工程を用いて、ハロゲンリザーバ材料を調製することにより、2mm厚のハロゲンリザーバ部分を製造した。次いでこれらのハロゲンリザーバ部分を手で千切ることによって、ほぼ2cm x 2cmから残留粉末に至るまでの種々のサイズにした。
【0265】
ハロゲンリザーバ片1F。29%のTBAIと、14%の活性炭(Norit PAC20BF、米国テキサス州在Cabot Inc.)と、9%のPTFEと、48%の透過制御材料PVDF(Kynar Flex 2751-00、米国ペンシルベニア州在Arkema Inc.)とから成るハロゲンリザーバ材料を実験室条件下で作成し、そして米国特許第7,791,861号明細書において教示された一般的な乾燥ブレンド法を用いて、そして室温でのカレンダー処理工程を用いて、ハロゲンリザーバ材料を調製することにより、2mm厚のハロゲンリザーバ部分を製造した。次いで、オフィス用ペーパーシュレッダーFellowes 18-Sheet Cross-Cut 99Ci Powershred Commercial Shredder(品番3229901、米国イリノイ州Fellowes, Inc.)を使用して、これらのハロゲンリザーバ部分を切断することにより、より小さな明確に定義された片にした。細断片は方形形状を有するとともに、その平均サイズはほぼ4mm x 38mm(0.156 x 1.5インチ)であった。
【0266】
ハロゲンリザーバ片1G。27%のTBAIと、14%の活性炭(Norit PAC20BF、米国テキサス州在Cabot Inc.)と、14%のPTFEと、45%の透過制御材料PVDF(Kynar Flex 2751-00、米国ペンシルベニア州在Arkema Inc.)とから成るハロゲンリザーバ材料を実験室条件下で作成し、そして米国特許第7,791,861号明細書において教示された一般的な乾燥ブレンド法を用いて、そして室温でのカレンダー処理工程を用いて、ハロゲンリザーバ材料を調製することにより、2mm厚のハロゲンリザーバ部分を製造した。次いで、オフィス用ペーパーシュレッダーFellowes 18-Sheet Cross-Cut 99Ci Powershred Commercial Shredder(品番3229901、米国イリノイ州Fellowes, Inc.)を使用して、これらのハロゲンリザーバ部分を切断することにより、より小さな片にした。細断片は方形形状を有するとともに、その公称サイズはほぼ4mm x 38mm(0.156 x 1.5インチ)であった。
【0267】
ハロゲンリザーバ片1H。20%のTBAIと、20%の活性炭(Norit PAC20BF、米国テキサス州在Cabot Inc.)と、20%のPTFEと、40%の透過制御材料PVDF(Kynar Flex 2751-00、米国ペンシルベニア州在Arkema Inc.)とから成るハロゲンリザーバ材料を実験室条件下で作成し、そして米国特許第7,791,861号明細書において教示された一般的な乾燥ブレンド法を用いて、そして室温でのカレンダー処理工程を用いて、ハロゲンリザーバ材料を調製することにより、2mm厚のハロゲンリザーバ部分を製造した。次いで、オフィス用ペーパーシュレッダーFellowes 18-Sheet Cross-Cut 99Ci Powershred Commercial Shredder(品番3229901、米国イリノイ州Fellowes, Inc.)を使用して、これらのハロゲンリザーバ部分を切断することにより、より小さな片にした。細断片は方形形状を有するとともに、その公称サイズはほぼ4mm x 38mm(0.156 x 1.5インチ)であった。
【0268】
ハロゲンリザーバ片1I。20%のTBAIと、10%の活性炭(Norit PAC20BF、米国テキサス州在Cabot Inc.)と、50%のPTFEと、20%の透過制御材料PVDF(Kynar Flex 2751-00、米国ペンシルベニア州在Arkema Inc.)とから成るハロゲンリザーバ材料を実験室条件下で作成し、そして米国特許第7,791,861号明細書において教示された一般的な乾燥ブレンド法を用いて、そして室温でのカレンダー処理工程を用いて、ハロゲンリザーバ材料を調製することにより、2mm厚のハロゲンリザーバ部分を製造した。次いで、オフィス用ペーパーシュレッダーFellowes 18-Sheet Cross-Cut 99Ci Powershred Commercial Shredder(品番3229901、米国イリノイ州Fellowes, Inc.)を使用して、これらのハロゲンリザーバ部分を切断することにより、より小さな片にした。細断片は方形形状を有するとともに、その公称サイズはほぼ4mm x 38mm(0.156 x 1.5インチ)であった。
【0269】
ハロゲンリザーバ片1J。10%のTBAIと、5%の活性炭(Norit PAC20BF、米国テキサス州在Cabot Inc.)と、5%のPTFEと、80%の透過制御材料PVDF(Kynar Flex 2751-00、米国ペンシルベニア州在Arkema Inc.)とから成るハロゲンリザーバ材料を実験室条件下で作成し、そして米国特許第7,791,861号明細書において教示された一般的な乾燥ブレンド法を用いて、そして室温でのカレンダー処理工程を用いて、ハロゲンリザーバ材料を調製することにより、2mm厚のハロゲンリザーバ部分を製造した。次いで、オフィス用ペーパーシュレッダーFellowes 18-Sheet Cross-Cut 99Ci Powershred Commercial Shredder(品番3229901、米国イリノイ州Fellowes, Inc.)を使用して、これらのハロゲンリザーバ部分を切断することにより、より小さな片にした。細断片は方形形状を有するとともに、その公称サイズはほぼ4mm x 38mm(0.156 x 1.5インチ)であった。
【0270】
ハロゲンリザーバ凝集物
【0271】
ハロゲンリザーバ凝集物1A。8%のTBAIと、5%の活性炭(Norit PAC20BF、米国テキサス州在Cabot Inc.)と、23%のPTFEと、17%の透過制御材料PVDF(Kynar Flex 2751-00、米国ペンシルベニア州在Arkema Inc.)とから成るハロゲンリザーバ前駆体凝集物を実験室条件下で作成し、そして米国特許第7,791,861号明細書において教示された一般的な乾燥ブレンド法を用いてハロゲンリザーバ前駆体を調製することにより、緩い凝集物を製造した。
【0272】
ハロゲンリザーバ凝集物1B。10%のTBAIと、10%の活性炭(Norit PAC20BF、米国テキサス州在Cabot Inc.)と、15%のPTFEと、65%の透過制御材料PVDF(Kynar Flex 2751-00、米国ペンシルベニア州在Arkema Inc.)とから成るハロゲンリザーバ前駆体凝集物を実験室条件下で作成し、そして米国特許第7,791,861号明細書において教示された一般的な乾燥ブレンド法を用いてハロゲンリザーバ前駆体凝集物を調製することにより、緩い凝集物を製造した。
【0273】
ソーベントポリマー複合体(SPC)凝集物
【0274】
SPC凝集物1A。67%の活性炭(Norit PAC20BF、米国テキサス州在Cabot Inc.)と、33%のPTFEとから成る前駆体凝集物を実験室条件下で作成し、そして米国特許第7,791,861号明細書において教示された一般的な乾燥ブレンド法を用いて前駆体凝集物を調製することにより、緩い凝集物を製造した。
【0275】
SPC凝集物1B。64%の活性炭(Norit PAC20BF、米国テキサス州在Cabot Inc.)と、31%のPTFEと、5%の硫黄とから成る前駆体凝集物を実験室条件下で作成し、そして米国特許第7,791,861号明細書において教示された一般的な乾燥ブレンド法を用いて前駆体凝集物を調製することにより、緩い凝集物を製造した。
【0276】
SPC凝集物1C。70%の活性炭(Norit PAC20BF、米国テキサス州在Cabot Inc.)と、30%のPTFEとから成る前駆体凝集物を実験室条件下で作成し、そして米国特許第7,791,861号明細書において教示された一般的な乾燥ブレンド法を用いて前駆体凝集物を調製することにより、緩い凝集物を製造した。
【0277】
SPC凝集物1D。76%の活性炭(Norit PAC20BF、米国テキサス州在Cabot Inc.)と、24%のPTFEとから成る前駆体凝集物を実験室条件下で作成し、そして米国特許第7,791,861号明細書において教示された一般的な乾燥ブレンド法を用いて前駆体凝集物を調製することにより、緩い凝集物を製造した。
【0278】
SPC凝集物1E。63%の活性炭(Norit PAC20BF、米国テキサス州在Cabot Inc.)と、27%のPTFEと、4%のTBAIと、4%の硫黄と、2%のPVDF粉末(Kynar Flex 2751-00、米国ペンシルベニア州在Arkema Inc.)とから成る前駆体凝集物を実験室条件下で作成し、そして米国特許第7,791,861号明細書において教示された一般的な乾燥ブレンド法を用いて前駆体凝集物を調製することにより、緩い凝集物を製造した。
【0279】
SPC凝集物1F。68%の活性炭(Norit PAC20BF、米国テキサス州在Cabot Inc.)と、29%のPTFEと、3%のPVDF(Kynar Flex 2751-00、米国ペンシルベニア州在Arkema Inc.)とから成る前駆体凝集物を実験室条件下で作成し、そして米国特許第7,791,861号明細書において教示された一般的な乾燥ブレンド法を用いて前駆体凝集物を調製することにより、緩い凝集物を製造した。
【0280】
SPC凝集物1G。62%の活性炭(Norit PAC20BF、米国テキサス州在Cabot Inc.)と、27%のPTFEと、4%の硫黄と、4%のTBAIと、3%のPVDF(Kynar Flex 2751-00、米国ペンシルベニア州在Arkema Inc.)とから成る前駆体凝集物を実験室条件下で作成し、そして米国特許第7,791,861号明細書において教示された一般的な乾燥ブレンド法を用いて前駆体凝集物を調製することにより、緩い凝集物を製造した。
【0281】
SPC凝集物1H。64%の活性炭(Norit PAC20BF、米国テキサス州在Cabot Inc.)と、27%のPTFEと、4%の硫黄(Sigma Aldrich)と、4%のTBAIとから成る前駆体凝集物を実験室条件下で作成し、そして米国特許第7,791,861号明細書において教示された一般的な乾燥ブレンド法を用いて前駆体凝集物を調製することにより、緩い凝集物を製造した。
【0282】
試料1A-ハロゲンリザーバ片1Aを有するSPCを含む物品。SPC凝集物1Aをハロゲンリザーバ片1Aと、SPC凝集物83%とハロゲンリザーバ片17%との比で手で静かに混合することにより、十分に分配された混合物を形成した。米国特許第7,791,861号明細書において教示された一般的な乾燥ブレンド法を用いて、そして110℃でのカレンダー処理工程を用いて混合物を調製することにより、ほぼ0.9mm厚のソーベントポリマー複合体(SPC)を製造した。
【0283】
試料1B-ハロゲンリザーバ片1Bを有するSPCを含む物品。SPC凝集物1Bを閉鎖容器内でハロゲンリザーバ片1Bと一緒に、SPC凝集物80%とハロゲンリザーバ片20%との比で緩やかに反転させることにより、十分に分配された混合物を形成した。次いで、米国特許第7,791,861号明細書において教示された一般的な乾燥ブレンド法を用いて、そして140℃でのカレンダー処理工程を用いて混合物を調製することにより、ほぼ1mm厚のソーベントポリマー複合体(SPC)を製造した。
【0284】
試料1C-ハロゲンリザーバ片1Bを有するSPCを含む物品。SPC凝集物1Bを閉鎖容器内でハロゲンリザーバ片1Cと一緒に、SPC凝集物80%とハロゲンリザーバ片20%との比で緩やかに反転させることにより、十分に分配された混合物を形成した。次いで、米国特許第7,791,861号明細書において教示された一般的な乾燥ブレンド法を用いて、そして140℃でのカレンダー処理工程を用いて混合物を調製することにより、ほぼ1mm厚のソーベントポリマー複合体(SPC)を製造した。
【0285】
試料1D-ハロゲンリザーバ片1Dを有するSPCを含む物品。SPC凝集物1Cを閉鎖容器内でハロゲンリザーバ片1Dと一緒に緩やかに反転させることにより、十分に分配された混合物を形成した。次いで、米国特許第7,791,861号明細書において教示された一般的な乾燥ブレンド法を用いて、そして145℃でのカレンダー処理工程を用いて混合物を調製することにより、ほぼ0.5mm厚のソーベントポリマー複合体(SPC)を製造した。
【0286】
試料1E-ハロゲンリザーバ片1Eを有するSPCを含む物品。SPC凝集物1Cを閉鎖容器内でハロゲンリザーバ片1Eと一緒に、SPC凝集物70%とハロゲンリザーバ片30%との比で緩やかに反転させることにより、十分に分配された混合物を形成した。次いで、米国特許第7,791,861号明細書において教示された一般的な乾燥ブレンド法を用いて、そして145℃でのカレンダー処理工程を用いて混合物を調製することにより、ほぼ1.2mm厚のソーベントポリマー複合体(SPC)を製造した。
【0287】
試料1F-ハロゲンリザーバ片1Fを有するSPCを含む物品。SPC凝集物1Dを閉鎖容器内でハロゲンリザーバ片1Fと一緒に、SPC凝集物67%とハロゲンリザーバ片33%との比で緩やかに反転させることにより、十分に分配された混合物を形成した。次いで、米国特許第7,791,861号明細書において教示された一般的な乾燥ブレンド法を用いて、そして145℃でのカレンダー処理工程を用いて混合物を調製することにより、ほぼ1.1mm厚のソーベントポリマー複合体(SPC)を製造した。
【0288】
試料1G-ハロゲン凝集物1Aを有するSPCを含む物品。SPC凝集物1Eを閉鎖容器内でハロゲンリザーバ凝集物1Aと一緒に、SPC凝集物50%とハロゲンリザーバ凝集物50%との比で緩やかに反転させることにより、十分に分配された混合物を形成した。次いで、米国特許第7,791,861号明細書において教示された一般的な乾燥ブレンド法を用いて、そして145℃でのカレンダー処理工程を用いて混合物を調製することにより、ほぼ1.1mm(44ミル)厚のソーベントポリマー複合体(SPC)を製造した。
【0289】
試料1H-ハロゲンリザーバ片1Hを有するSPCを含む物品。SPC凝集物1Eをハロゲンリザーバ片1Hと、SPC凝集物67%とハロゲンリザーバ片33%との比で手で静かに混合することにより、十分に分配された混合物を形成した。米国特許第7,791,861号明細書において教示された一般的な乾燥ブレンド法を用いて、そして145℃でのカレンダー処理工程を用いて混合物を調製することにより、ほぼ1mm厚のソーベントポリマー複合体(SPC)を製造した。
【0290】
試料1I-ハロゲンリザーバ片1Fを有するSPCを含む物品。SPC凝集物1Dを閉鎖容器内でハロゲンリザーバ片1Fと一緒に、SPC凝集物67%とハロゲンリザーバ片33%との比で緩やかに反転させることにより、十分に分配された混合物を形成した。次いで、米国特許第7,791,861号明細書において教示された一般的な乾燥ブレンド法を用いて、そして145℃でのカレンダー処理工程を用いて混合物を調製することにより、ほぼ1.1mm(44ミル)厚のソーベントポリマー複合体(SPC)を製造した。
【0291】
試料1J-ハロゲンリザーバ片1Gを有するSPCを含む物品。SPC凝集物1Fを閉鎖容器内でハロゲンリザーバ片1Gと一緒に、SPC凝集物67%とハロゲンリザーバ片33%との比で緩やかに反転させることにより、十分に分配された混合物を形成した。次いで、米国特許第7,791,861号明細書において教示された一般的な乾燥ブレンド法を用いて、そして145℃でのカレンダー処理工程を用いて混合物を調製することにより、ほぼ1mm(40ミル)厚のソーベントポリマー複合体(SPC)を製造した。
【0292】
試料1K-ハロゲンリザーバ片1Hを有するSPCを含む物品。SPC凝集物1Cを閉鎖容器内でハロゲンリザーバ片1Hと一緒に、SPC凝集物67%とハロゲンリザーバ片33%との比で緩やかに反転させることにより、十分に分配された混合物を形成した。次いで、米国特許第7,791,861号明細書において教示された一般的な乾燥ブレンド法を用いて、そして145℃でのカレンダー処理工程を用いて混合物を調製することにより、ほぼ0.9mm厚のソーベントポリマー複合体(SPC)を製造した。
【0293】
試料1L-ハロゲンリザーバ片1Iを有するSPCを含む物品。SPC凝集物1Cを閉鎖容器内でハロゲンリザーバ片1Iと一緒に、SPC凝集物67%とハロゲンリザーバ片33%との比で緩やかに反転させることにより、十分に分配された混合物を形成した。次いで、米国特許第7,791,861号明細書において教示された一般的な乾燥ブレンド法を用いて、そして145℃でのカレンダー処理工程を用いて混合物を調製することにより、ほぼ1mm厚のソーベントポリマー複合体(SPC)を製造した。
【0294】
試料1M-ハロゲンリザーバ凝集物1Bを有するSPCを含む物品。SPC凝集物1Gを閉鎖容器内でハロゲンリザーバ凝集物1Bと一緒に、SPC凝集物33%とハロゲンリザーバ凝集物67%との比でほぼ10回転だけ緩やかに反転させることにより、十分に分配された混合物を形成した。次いで、米国特許第7,791,861号明細書において教示された一般的な乾燥ブレンド法を用いて、そして145℃でのカレンダー処理工程を用いて混合物を調製することにより、ほぼ1mm(40ミル)厚のソーベントポリマー複合体(SPC)を製造した。
【0295】
試料1N-ハロゲンリザーバ片1Jから成るリザーバ複合体を含む物品。SPC凝集物1Hを閉鎖容器内でハロゲンリザーバ凝集物1Cと一緒に、SPC凝集物67%とハロゲンリザーバ凝集物33%との比で緩やかに反転させることにより、十分に分配された混合物を形成した。次いで、米国特許第7,791,861号明細書において教示された一般的な乾燥ブレンド法を用いて、そして145℃でのカレンダー処理工程を用いて混合物を調製することにより、ほぼ1mm厚のソーベントポリマー複合体(SPC)を製造した。
【0296】
燃焼排ガス流耐久性試験。試料1A,1G及び1I~1Lを上記燃焼排ガス耐久試験に際して搭載し、そして総ヨウ素含量を経時的に測定した。総ヨウ素含量を、表1及び図7に記載されているような相対ヨウ素含量に換算した。放出速度定数(ヨウ素含量減衰定数k)は、試料1Aでは0.17%/日であり、試料1Iでは0.17%/日であり、試料1Jでは0.34%/日であり、試料1Gでは0.38%/日であり、試料1Kでは0.23%/日であり、そして試料1Lでは0.42%/日であった。
【0297】
【表1】
【0298】
(それぞれの破線によって図7に示された)指数関数的放出速度モデルを使用して、燃焼排ガス流耐久性データを外挿すると、試料1J,1G,及び1Lが90%の消耗(水平線Lによって示されている)に接近する前に示すヨウ素放出は2年間(約550~700日)に近い。試料1A,1I,及び1Kの外挿は、90%の消耗に達する前に十分に3年(1095日)超のヨウ素放出を示す。
【0299】
実施例2
【0300】
カプセル化ビード(図5
【0301】
ヨウ素-PVDF-活性炭(1:2:1)カプセル化ビード2A。回転ディスク霧化プロセスを用いて試料を調製した。40グラム(g)のPVDF(Kynar Flex 2751-00、米国ペンシルベニア州在Arkema Inc.)を1695グラムのテトラヒドロフラン(THF)中に溶解した。20gの活性炭(Norit PAC20BF、米国テキサス州在Cabot Inc.)と、20グラムのヨウ素(I)とを混合することにより、均一な懸濁液を形成した。次いで、懸濁液をほぼ100~120g/minで7.6cm直径のディスク上へ注いだ。ディスクをほぼ7000rpmで回転させ、ほぼ29℃まで加熱された0.1立方メートル円錐底部タンク内へスラリーを霧化した。空気は乾燥済み粉末を収集のためにサイクロンを通して搬送した。53.4gのカプセル化ビードを回収した。結果として生じたビードの公称粒径は20~30ミクロンであった。結果として生じたビードの一部を蛍光X線(「XRF」)分析によって分析し、そしてほぼ20.7wt%のヨウ素を含有することが示された。このような結果は、ヨウ素を有する活性炭の製剤が、噴霧乾燥プロセス中に仕上げ済みカプセル化ビード内にヨウ素を保持することを示した。
【0302】
ヨウ素-PVDF-活性炭(1:1:2)カプセル化ビード2B。回転ディスク霧化プロセスを用いて試料を調製した。143グラム(g)のPVDF(Kynar Flex 2751-00、米国ペンシルベニア州在Arkema Inc.)を2500グラムのテトラヒドロフラン(THF)中に溶解した。143gのヨウ素(I)を溶液中に溶解し、続いて286グラムの活性炭(Norit PAC20BF、米国テキサス州在Cabot Inc.)を溶液中に溶解することにより、均一な懸濁液を形成した。次いで、懸濁液をほぼ100~120g/minで7.6cm直径のディスク上へ注いだ。ディスクをほぼ7000rpmで回転させ、ほぼ29℃まで加熱された0.1立方メートル円錐底部タンク内へスラリーを霧化した。空気が乾燥済み粉末を収集のためにサイクロンを通して搬送した。212μm篩を通して篩過した後、544gのマイクロカプセル化ビードを回収した。結果として生じたビードの公称粒径は20~30ミクロンであった。結果として生じたビードの一部を蛍光X線(「XRF」)分析によって分析し、そしてほぼ26.4wt%のヨウ素を含有することが示された。上記レシピによれば、この混合物中の最大ヨウ素含量は理論上25wt%となる。活性炭とポリマーとの比を2:1まで増大させることにより、製剤に添加されたヨウ素の事実上すべてを、仕上げ済みカプセル化ビード中へ組み込むことができた。
【0303】
ヨウ素-PVDF-活性炭(1:2:1)カプセル化ビード2C。回転ディスク霧化プロセスを用いて試料を調製した。20グラム(g)のポリカーボネート(カタログ#954, MW 36,000,米国ニューヨーク州在Scientific Polymer Products, Inc)を250グラムの塩化メチレン(DCM)中に溶解した。10gのヨウ素(I)を溶液中に溶解し、続いて10グラムの活性炭(Norit PAC20BF、米国テキサス州在Cabot Inc.)を溶液中に溶解することにより、均一な懸濁液を形成した。次いで、懸濁液をほぼ100~120g/minで7.6cm直径のディスク上へ注いだ。ディスクをほぼ7000rpmで回転させ、ほぼ40℃まで加熱された0.1立方メートル円錐底部タンク内へスラリーを霧化した。空気が乾燥済み粉末を収集のためにサイクロンを通して搬送した。212μm篩を通して篩過した後、33.2gのカプセル化ビードを回収した。結果として生じたビードの公称粒径は20~30ミクロンであった。結果として生じたビードの一部を蛍光X線(「XRF」)分析によって分析し、そしてほぼ21.3wt%のヨウ素を含有することが示された。上記レシピによれば、この混合物中の最大ヨウ素含量は理論上25wt%となる。
【0304】
ヨウ素-エチルセルロース-活性炭(1:2:1)カプセル化ビード2D。回転ディスク霧化プロセスを用いて試料を調製した。20グラム(g)のエチルセルロース(Ethocel Standard 4, 米国デラウェア州在DuPont de Nemours)を330gのメタノール(MeOH)中に溶解した。10gのヨウ素(I)を溶液中に溶解し、続いて10gの活性炭(Norit PAC20BF、米国テキサス州在Cabot Inc.)を溶液中に溶解することにより、均一な懸濁液を形成した。次いで、懸濁液をほぼ100~120g/minで7.6インチ直径のディスク上へ注いだ。ディスクをほぼ7000rpmで回転させ、ほぼ29℃まで加熱された0.1立方メートル円錐底部タンク内へスラリーを霧化した。空気が乾燥済み粉末を収集のためにサイクロンを通して搬送した。212μm篩を通して篩過した後、36グラムのカプセル化ビードを回収した。結果として生じたビードの公称粒径は20~30ミクロンであった。結果として生じたビードの一部を蛍光X線(「XRF」)分析によって分析し、そしてほぼ23.3wt%のヨウ素を含有することが示された。上記レシピによれば、この混合物中の最大ヨウ素含量は理論上25wt%となる。
【0305】
カプセル化ビード試料2A~2Cのソーベントポリマー複合体。67%の活性炭(Norit PAC20BF、米国テキサス州在Cabot Inc.)と、22%のPTFEと、11%のカプセル化ビードとから成るソーベントポリマー複合体を実験室条件下で作成し、そして米国特許第7,791,861号明細書において教示された一般的な乾燥ブレンド法を用いてソーベントポリマー複合体を調製することにより複合体試料を形成した。表2にまとめたように、実施例2B~2Dにそれぞれ記載されたカプセル化ビードを使用して、ソーベントポリマー複合体(SPC)試料2A~2Cを製剤した。SPC試料の一部を蛍光X線(「XRF」)分析によって分析することにより、ヨウ素が処理中に保持されることを保証した。結果を表2に示す。
【0306】
【表2】
【0307】
実地試験のために十分な剛性を提供するために、ほぼ170℃及び概ね60~80psigのローラ圧でベルトラミネータ内で2ミルPVDFフィルム(SOLEF PVDF 9009,米国デラウェア州在Solvay Specialty Polymers, LLC)を使用して、各材料から成る2つの3.5” x 12”ストリップを積層した。
【0308】
燃焼排ガス流耐久性試験。試料2A-I,2A-II,2B、及び2Cを上記燃焼排ガス耐久試験に際して搭載し、そして総ヨウ素含量を経時的に測定した。総ヨウ素含量を、表3に記載されているような、初期ヨウ素含量に対するヨウ素含量に換算した。
【0309】
ハロゲン放出速度定数k(ヨウ素減衰速度)は、表3及び図8に示されているように、試料2A-Iでは0.58%/日であり、試料2A-IIでは0.49%/日であり、試料2Bでは0.75%/日であり、そして、試料2Cでは0.76%/日であると判定された。(それぞれの破線によって図8に示された)指数関数的放出速度モデルを使用して、燃焼排ガス流耐久性データを外挿すると、試料2A-Iは約450日で90%のヨウ素消耗に達し、試料2A-IIは約400日で90%のヨウ素消耗に達するのに対して、試料2B及び試料2Cは約300日後に90%のヨウ素消耗に達した。
【表3】
【0310】
実施例3
【0311】
ヨウ素充填リザーバ粒子
【0312】
ヨウ素充填リザーバ粒子3A。20%のヨウ素を80%のポリスチレン(PS)ビード(Poly-Fil Micro Beads, 部品番号PFMB, 米国コネチカット州 Fairfield Processing Corp.)と、ヨウ素とビードとを混合するように1時間にわたって数回混合容器を振って混合することにより、ヨウ素充填ポリスチレン粒子を調製した。次いで混合物を密閉容器内で20時間にわたって、80℃まで加熱した。試料の一部を蛍光X線(「XRF」)分析によって分析し、そしてほぼ20.2wt%のヨウ素を含有することが示された。
【0313】
ヨウ素充填リザーバ粒子3B。架橋ポリスチレン-ジビニルベンゼン(PS-DVB)ビード(Amberlite XAD4, 米国ミズーリ州Sigma-Aldrich)をガラスベーキング皿内に分散させ、そして完全に乾燥するまで120℃の炉内に入れた。次いで、乾燥済みビードをヨウ素と75%と25%との比で、1時間にわたって数回混合容器を振ることによって混合した。次いで混合物を密閉容器内で16時間にわたって、80℃まで加熱した。試料の一部を蛍光X線(「XRF」)分析によって分析し、そしてほぼ24.3wt%のヨウ素を含有することが示された。
【0314】
ヨウ素充填リザーバ粒子3B。架橋架橋ポリスチレン-ジビニルベンゼン(PS-DVB)ビード(Amberlite XAD4, 米国ミズーリ州Sigma-Aldrich)を複数回洗浄することにより、水銀除去性能に影響を及ぼし得る不純物を除去した。500mLの脱イオン水及び200グラムのPS-DVBビードを1000mLビーカーに加え、次いで真空濾過した。この洗浄処置を3回繰り返した。次いで洗浄済みビードをガラスベーキング皿内に分散させ、そして完全に乾燥するまで120℃の炉内に入れた。次いで、乾燥済みビードをヨウ素と75%と25%との比で、1時間にわたって数回混合容器を振ることによって混合した。次いで混合物を密閉容器内で16時間にわたって、80℃まで加熱した。試料の一部を蛍光X線(「XRF」)分析によって分析し、そしてほぼ24.5wt%のヨウ素を含有することが示された。
【0315】
透過制御材料
【0316】
溶液3A。テトラヒドロフラン(THF)溶媒中の1.5wt%のPVDF(Kynar Superflex 2501-20 米国ペンシルベニア州在Arkema Inc.)から成る溶液を調製した。
【0317】
溶液3B。アセトン(ACE)溶媒中の4.0wt%のPVDF(Kynar Superflex 2501-20 米国ペンシルベニア州在Arkema Inc.)から成る溶液を調製した。
【0318】
透過制御材料を有するヨウ素充填粒子
【0319】
塗膜付きリザーバ粒子3A。当業者に知られた任意の方法によって、粒子にポリマー層を添加することができる。1つのこのようなプロセスは流動床塗布である。底部スプレーを備えた1Lチャンバを使用する実験室規模の流動床コーターであるFluid Air Feasibility Processorを使用して、ヨウ素充填リザーバ粒子3Bに溶液3Aを塗布した。ユニットに先ず100gのヨウ素充填ビード3Bを装入した。流動床コーターの入口温度を35℃に設定した。その結果出口温度は25.3~29.1℃となり、生成物温度は24.8~28.1℃であった。入口空気流量を25~30標準立方フィート毎時(SCFH)に、霧化空気を12psigに、そしてフィルタ圧を98psigに設定した。ほぼ20%のPVDFが充填されるまでの連続的な塗布運転において、透過制御材料溶液3Aを霧化ノズル内へ2.5g/minでポンプ供給した。
【0320】
塗膜付きリザーバ粒子3B。底部スプレーを備えた1Lチャンバを使用する実験室規模の流動床コーターであるFluid Air Feasibility Processorを使用して、ヨウ素充填リザーバ粒子3Cに溶液3Bを塗布した。ユニットに先ず75gのヨウ素充填ビード3Bを装入した。流動床コーターの入口温度を45℃に設定した。その結果出口温度は36.6~38.3℃となり、生成物温度は39.1~40.2℃であった。入口空気流量を26~28SCFHに、霧化空気を12psigに、そしてフィルタ圧を95psigに設定した。ほぼ50%のPVDFが充填されるまでの連続的な塗布運転において、透過制御材料溶液3Aを霧化ノズル内へ2.1g/minでポンプ供給した。
【0321】
ブルナウアー-エメット-テラー(BET)表面積
Brunauer-Emmett-Teller (BET) surface area
【0322】
透過制御材料塗膜の被覆率を保証するために、粒子の比表面積を窒素吸着によって測定した(BET)。ヨウ素化PS-DVB粒子のBET表面積は、透過制御材料塗膜の被覆率の増大に伴って減少する。塗膜なしの粒子ではBET表面積が631.4m/gであったのに対して、塗膜付きリザーバ粒子3Bでは、BET表面積は8.8m/gと測定された。表面積の低減は、塗膜付きリザーバ粒子3Bが透過制御材料で十分に覆われていることを実証した。
【0323】
ヨウ素安定性試験
【0324】
60℃の炉内部の熱に3ヶ月にわたって試料を晒すことによって、ヨウ素充填・塗膜付き粒子の安定性を試験した。ヨウ素充填・塗膜付き粒子試料をバイアルに入れ、次いでキャップで閉じた。バイアルはまた活性炭を含むことにより、失われたヨウ素を捕捉した。試験前後のヨウ素充填・塗膜付き粒子のヨウ素含量をXRFによって判定した。3か月後(94~97日)、ヨウ素損失パーセントは、ヨウ素充填リザーバ粒子3Bでは13.9%であり、塗膜付きリザーバ粒子3Aでは6.9%であり、そして塗膜付きリザーバ粒子3Bでは2.1%であった。
【0325】
リザーバ粒子を有する試料
【0326】
試料3A-ヨウ素充填リザーバ粒子3Aを有するSPCを含む物品。65部の活性炭(Norit PAC20BF、米国テキサス州在Cabot Inc.)と、20部のPTFEと、5部のヨウ素充填リザーバ粒子3Aとから成るソーベントポリマー複合体(SPC)を実験室条件下で作成し、そして米国特許第7,791,861号明細書において教示された一般的な乾燥ブレンド法を用いてソーベントポリマー複合体(SPC)を調製することにより、複合体試料を形成した。試料の一部を蛍光X線(「XRF」)分析によって分析し、そしてほぼ1.11wt%のヨウ素を含有することが示された。
【0327】
試料3B-ヨウ素充填リザーバ粒子3Bを有するSPCを含む物品。65部の活性炭(Norit PAC20BF、米国テキサス州在Cabot Inc.)と、20部のPTFEと、15部のヨウ素充填リザーバ粒子3Bとから成るソーベントポリマー複合体(SPC)を実験室条件下で作成し、そして米国特許第7,791,861号明細書において教示された一般的な乾燥ブレンド法を用いてソーベントポリマー複合体(SPC)を調製することにより、複合体試料を形成した。試料の一部を蛍光X線(「XRF」)分析によって分析し、そしてほぼ3.75wt%のヨウ素を含有することが示された。
【0328】
試料3C-塗膜付きリザーバ粒子3Aを有するSPCを含む物品。65部の活性炭(Norit PAC20BF、米国テキサス州在Cabot Inc.)と、20部のPTFEと、15部の塗膜付きリザーバ粒子3Aとから成るソーベントポリマー複合体(SPC)を実験室条件下で作成し、そして米国特許第7,791,861号明細書において教示された一般的な乾燥ブレンド法を用いてソーベントポリマー複合体(SPC)を調製することにより、複合体試料を形成した。試料の一部を蛍光X線(「XRF」)分析によって分析し、そしてほぼ2.429wt%のヨウ素を含有することが示された。
【0329】
試料3D-塗膜付きリザーバ粒子3Bを有するSPCを含む物品。65部の活性炭(Norit PAC20BF、米国テキサス州在Cabot Inc.)と、20部のPTFEと、15部の塗膜付きリザーバ粒子3Bとから成るソーベントポリマー複合体(SPC)を実験室条件下で作成し、そして米国特許第7,791,861号明細書において教示された一般的な乾燥ブレンド法を用いてソーベントポリマー複合体(SPC)を調製することにより、複合体試料を形成した。試料の一部を蛍光X線(「XRF」)分析によって分析し、そしてほぼ1.18%のヨウ素を含有することが示された。
【0330】
走査電子顕微鏡写真。試料3Cの走査電子顕微鏡写真(SEM)画像が図3Bに示されている。図3Bは、SPC材料303内に埋め込まれた2つの塗膜付きリザーバ粒子305を断面で示している。粒子305は無傷であり、PVDF透過制御材料塗膜がSPC内への形成後に可視であることを観察し得る。
【0331】
試料3E-ヨウ素充填リザーバ粒子3Bを有する積層SPCを含む物品。試料3Bから成る2つのSPC層を、36~40psig圧及び185℃を用いてベルトラミネータ上に敷き、そして積層した。試料の一部を蛍光X線(「XRF」)分析によって分析し、そしてほぼ3.74wt%のヨウ素を含有することが示された。
【0332】
模擬燃焼排ガス流耐久性試験。試料3Eの3つの試料を、1ヶ月の期間にわたって前記模擬燃焼排ガス流に晒した。試験の前後のヨウ素含量を蛍光X線(「XRF」)分析によって測定する。3つの試料は、それぞれ0.24,0.47及び0.64の相対ヨウ素含量をこの試験にわたって示した。
【0333】
燃焼排ガス流耐久性試験。試料3Eのデータを表5にまとめる。表5は、燃焼排ガス流条件下で燃焼排ガス耐久性を試験した後の、ヨウ素化ビードを有するSPCの相対ヨウ素含量を示す。
【0334】
【表4】
【0335】
比較例1
【0336】
SPC比較試料4A。40%の活性炭(NUCHAR SA-20米国サウスカロライナ州在Ingevit)と、50%のPTFEと、ハロゲン源としての3%のヨウ化カリウム(KI)と、7%の硫黄とから成るソーベントポリマー複合体(SPC)を実験室条件下で作成し、そして米国特許第7,791,861号明細書において教示された一般的な乾燥ブレンド法を用いて、ソーベントポリマー複合体(SPC)を調製することにより、複合体試料を形成した。次いで複合体試料を米国特許第3,953,566号明細書の教示内容にしたがって一軸延伸した。
【0337】
SPC比較試料4B。50%の活性炭(NUCHAR SA-20米国サウスカロライナ州在Ingevit)と、39%のPTFEと、ハロゲン源としての6%のテトラブチルアンモニウムヨージド(TBAI)と、5%の硫黄とから成るソーベントポリマー複合体(SPC)を実験室条件下で作成し、そして米国特許第7,791,861号明細書において教示された一般的な乾燥ブレンド法を用いて、ソーベントポリマー複合体(SPC)を調製することにより、複合体試料を形成した。
【0338】
模擬燃焼排ガス流耐久性試験。燃焼排ガス流耐久性試験に際して、SPC比較試料4A及び4Bを搭載し、表6に記載されているように相対ヨウ素含量を経時的に追跡した。ハロゲン放出速度定数(ヨウ素含量減衰定数k)は、図9に示されているように、SPC比較試料4Aでは17.7%/日であり、そしてSPC比較試料4Bでは16.3%/日であると判定された。図9は、14日間の期間にわたって測定された相対ヨウ素含量を示す。それぞれの破線によって図9にも示された指数関数的放出速度(減衰)モデルを使用して、燃焼排ガス流耐久性データを外挿すると、SPC比較試料4A及び4Bが90%の消耗(水平線Lによって示されている)に接近する前に示したヨウ素放出は僅か約15日間であった。
【0339】
【表5】
【0340】
燃焼排ガス流耐久性試験。燃焼排ガス流耐久性試験に際してSPC比較試料4A及び4Bを搭載した。表7に記載されているように相対ヨウ素含量を経時的に追跡した。ハロゲン放出速度定数(ヨウ素含量減衰定数k)は、SPC比較試料4Aでは15%/日であり、そしてSPC比較試料4Bでは9.0%/日であると判定された。表7及び図10に示されているように、比較試料4A及び4Bは10日未満で90%のヨウ素消耗(水平線Lによって示されている)に達する。図10の相対ヨウ素含量は、それぞれ24日及び51日にわたって測定された。
【0341】
【表6】
【0342】
態様
【0343】
種々の態様を以下に記載する。理解すべきなのは、下記態様に挙げた特徴のいずれか1つ又は2つ以上を、いずれか1つ又は2つ以上の他の態様と組み合わせ得ることである。
態様1
ソーベントポリマー複合体(SPC)、及び
複数のハロゲンリザーバ
を含んでなる物品であって、
前記複数のハロゲンリザーバは前記SPC内部に埋め込まれており、かつ
前記複数のハロゲンリザーバの各ハロゲンリザーバが、
各ハロゲンリザーバの平均重量を基準として5wt%~95wt%の少なくとも1種の透過制御材料と、
各ハロゲンリザーバの平均重量を基準として5wt%~50wt%の少なくとも1種のハロゲン源と
を含むことを特徴とする、物品。
態様2
前記SPCがポリマー材料を含む、態様1の物品。
態様3
前記ポリマー材料が、ポリフルオロエチレンプロピレン(PFEP)、ポリペルフルオロアクリレート(PPFA)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、テトラフルオロエチレンとヘキサフルオロプロピレンとフッ化ビニリデンとのターポリマー(THV)、ポリクロロフルオロエチレン(PCFE)、ポリ(エチレン-コ-テトラフルオロエチレン)(ETFE)、超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)、ポリエチレン、ポリパラキシリレン(PPX)、ポリ乳酸(PLLA)、ポリエチレン(PE)、延伸ポリエチレン(ePE)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)、又はこれらの任意の組み合わせの少なくとも1つを含む、態様2の物品。
態様4
前記ポリマー材料がPVDFを含む、態様2の物品。
態様5
前記PVDFはPVDFホモポリマーである、態様4の物品。
態様6
前記PVDFがPVDFコポリマーである、態様4の物品。
態様7
前記PVDFコポリマーが、PVDFとヘキサフルオロプロピレン(HFP)とのコポリマーである、態様6の物品。
態様8
前記ポリマー材料がPTFEを含む、態様3の物品。
態様9
前記ポリマー材料がePTFEを含む、態様3の物品。
態様10
前記ポリマー材料がフィブリル及びノードを含み、前記ポリマー材料は、フィブリル及びノードの間にボイドが形成されるように、伸張させると多孔性になる、態様2から9のいずれかの物品。
態様11
前記少なくとも1種のハロゲン源が、少なくとも金属ハロゲン化物、ハロゲン化アンモニウム、元素ハロゲン、又はこれらの任意の組み合わせを含む、態様1から10のいずれかの物品。
態様12
前記少なくとも1種のハロゲン源が少なくとも塩化ナトリウム、塩化カリウム、臭化ナトリウム、臭化カリウム、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化カリウム、又はこれらの任意の組み合わせを含む、態様1から10のいずれかの物品。
態様13
前記少なくとも1種のハロゲン源が少なくともハロゲン化アンモニウムを含む、態様1から10のいずれの物品。
態様14
前記少なくとも1種のハロゲン源が少なくともテトラメチルアンモニウムヨージド、テトラブチルアンモニウムヨージド、テトラエチルアンモニウムヨージド、テトラプロピルアンモニウムヨージド、テトラメチルアンモニウムブロミド、テトラエチルアンモニウムブロミド、テトラプロピルアンモニウムブロミド、テトラブチルアンモニウムブロミド、テトラブチルアンモニウムトリヨージド、テトラブチルアンモニウムトリブロミド、テトラブチルアンモニウムトリクロリド、テトラメチルアンモニウムクロリド、テトラエチルアンモニウムクロリド、テトラプロピルアンモニウムクロリド、テトラブチルアンモニウムクロリド、又はこれらの任意の組み合わせを含む、態様1から10のいずれかの物品。
態様15
前記少なくとも1種のハロゲン源が少なくとも元素ハロゲンを含む、態様1から10のいずれかの物品。
態様16
前記元素ハロゲンが、元素ヨウ素(I)、元素塩素(Cl)、元素臭素(Br)のうちの少なくとも1種である、態様15の物品。
態様17
前記少なくとも1種のハロゲン源がテトラブチルアンモニウムヨージド(TBAI)を含む、態様1から10のいずれかの物品。
態様18
前記少なくとも1種のハロゲン源がヨウ化カリウム(KI)を含む、態様1から10のいずれかの物品。
態様19
前記少なくとも1種のハロゲン源が少なくとも1種のハロゲン化ホスホニウムを含む、態様1から10のいずれかの物品。
態様20
前記少なくとも1種のハロゲン化ホスホニウムが、テトラブチルホスホニウムヨージド(TBPI)、エチルトリフェニルホスホニウムトリヨージド(ETPPI)、テトラブチルホスホニウムブロミド(TBPBr)、エチルトリフェニルホスホニウムブロミド(ETPPBr)、エチルトリフェニルホスホニウムヨージド(ETPPI)、又はこれらの任意の組み合わせを含む、態様19の物品。いくつかの実施態様では、前記少なくとも1種のハロゲン化ホスホニウムが、テトラブチルホスホニウムヨージド(TBPI)、エチルトリフェニルホスホニウムトリヨージド(ETPPI)、テトラブチルホスホニウムブロミド(TBPBr)、エチルトリフェニルホスホニウムブロミド(ETPPBr)、エチルトリフェニルホスホニウムヨージド(ETPPI)、又はこれらの任意の組み合わせから成る群から選択される。
態様21
前記少なくとも1種のハロゲン化ホスホニウムがETPPIである、態様20の物品。
態様22
少なくとも90日の期間にわたって前記物品の少なくとも1つの表面上を燃焼排ガス流が流される条件下で、前記物品が、1日当たり前記物品中の総ハロゲンに対して2%を超えない、物品からの総ハロゲンの放出速度をもたらすのに十分な量の複数のハロゲンリザーバを含み、
前記燃焼排ガス流が少なくとも20℃の温度と、少なくとも95%の相対湿度とを有し、そして
前記ガス流が、少なくとも1ppmの濃度の少なくとも1種のSO化合物と、前記燃焼排ガス流の少なくとも1μg/mの濃度の水銀蒸気とを含む、
態様1から21のいずれかの物品。
態様23
前記複数のハロゲンリザーバの少なくとも1つがカプセル化ビードの形態を成しており、
前記カプセル化ビードが、
コアと、
前記少なくとも1つのハロゲン源であって、前記少なくとも1つのハロゲン源が少なくとも前記コアの表面上に存在する、前記少なくとも1つのハロゲン源と、
前記透過制御材料であって、前記透過制御材料が前記コアをカプセル化している、前記透過制御材料と
を含む、態様1から22の物品。
態様24
前記コアが活性炭を含む、態様23の物品。
態様25
前記複数のハロゲンリザーバの少なくとも1つがリザーバ粒子の形態を成しており、
前記リザーバ粒子が、
前記透過制御材料であって、前記透過制御材料が透過制御粒子の形態を成している、前記透過制御材料と、
前記少なくとも1つのハロゲン源であって、前記少なくとも1つのハロゲン源が少なくとも前記透過制御粒子の表面上に存在する、前記少なくとも1つのハロゲン源と
を含む、態様1から24のいずれかの物品。
態様26
前記透過制御材料がポリスチレン、架橋ポリスチレン-ジビニルベンゼン(PS-DVB)、又はこれらの組み合わせを含む、態様25の物品。
態様27
前記リザーバ粒子が第2透過制御材料をさらに含み、前記第2透過制御材料が、前記透過制御粒子の表面上の前記少なくとも1種のハロゲン源を取り囲む、態様25又は26の物品。
態様28
前記複数のハロゲンリザーバが複数のリザーバクラスタの形態を成しており、前記リザーバクラスタのそれぞれが、
前記少なくとも1種のハロゲン源と、
前記透過制御材料と
を含む、態様1から22のいずれかの物品。
態様29
前記複数のリザーバクラスタが、SPC全体にわたって埋め込まれた複数のハロゲンリザーバ片の形態を成している、態様28の物品。
態様30
前記複数のリザーバクラスタが、SPCと混合された複数のハロゲンリザーバ凝集物の形態を成している、態様28の物品。
態様31
前記十分な量の複数のハロゲンリザーバが、前記物品の総重量に基づいて5重量%~75重量%の複数のハロゲンリザーバである、態様22の物品。
態様32
前記十分な量の複数のハロゲンリザーバが、前記物品の総重量に基づいて5重量%~50重量%の複数のハロゲンリザーバである、態様22の物品。
態様33
少なくとも90日の期間にわたって前記物品の少なくとも1つの表面上を燃焼排ガス流が流される条件下で、前記物品が、1日当たり前記物品中の総ハロゲンの0.5%を超えない、物品からの総ハロゲンの放出速度をもたらすのに十分な量の複数のハロゲンリザーバを含み、
前記燃焼排ガス流が少なくとも50℃の温度と、少なくとも95%の相対湿度とを有し、そして
前記ガス流が、少なくとも20ppmの濃度の少なくとも1種のSO化合物と、前記燃焼排ガス流の少なくとも1μg/mの濃度の水銀蒸気とを含む、態様1から32のいずれかの物品。
態様34
ソーベントポリマー複合体(SPC)を得、そして
複数のハロゲンリザーバを得、
ここで前記複数のハロゲンリザーバの各リザーバは、
各ハロゲンリザーバの平均重量を基準として5wt%~95wt%の少なくとも1種の透過制御材料と、
各ハロゲンリザーバの平均重量を基準として5wt%~50%の少なくとも1種のハロゲン源と
を含み、そして
前記SPC内部に埋め込まれた前記複数のハロゲンリザーバを有する物品を形成する
ことを含む、方法。
態様35
前記複数のハロゲンリザーバの少なくとも1つがカプセル化ビードの形態を成し、前記方法が、
コアを形成する少なくとも1つの粒子を得、
前記少なくとも1つの粒子の表面上へ前記少なくとも1種のハロゲン源を堆積し、そして
前記少なくとも1種の透過制御材料で前記コアをカプセル化することにより、前記カプセル化ビードを形成する
ことによって、前記カプセル化ビードを形成する
ことをさらに含む、態様34の方法。
態様36
前記少なくとも1種のハロゲン源が前記少なくとも1つの粒子の表面上へ、溶液として堆積される、態様35の方法。
態様37
前記少なくとも1種のハロゲン源が前記少なくとも1つの粒子の表面上へ、気相で堆積される、態様35の方法。
態様38
前記少なくとも1つの粒子が炭素粒子である、態様35から37のいずれかの物品。
態様39
前記複数のハロゲンリザーバの少なくとも1つがリザーバ粒子の形態を成しており、
前記リザーバ粒子が、
前記少なくとも1種の透過制御材料を透過制御粒子の形態で得、そして
前記透過制御粒子の表面上へ少なくとも1種のハロゲン源を堆積する
ことにより形成される、
態様35の方法。
態様40
前記方法が、
前記透過制御粒子の表面上へ前記少なくとも1種のハロゲン源を堆積したあと、前記リザーバ粒子の少なくとも一部上に第2透過制御材料を堆積することにより、前記少なくとも1種のハロゲン源を取り囲む第2透過制御層を形成する
ことをさらに含む、態様39の方法。
態様41
前記複数のハロゲンリザーバが複数のリザーバクラスタの形態を成しており、前記方法が、
複数の粒子を少なくとも1種のハロゲン源及び少なくとも1種の透過制御材料と混合することにより、混合物を形成し、
前記混合物をフィルム又は部品になるように形成し、
前記フィルム又は部品をハロゲンリザーバ片になるように形成し、そして
前記ハロゲンリザーバ片を前記SPC内へ埋め込む
ことによって、前記複数のリザーバクラスタのそれぞれを形成する
ことをさらに含む、態様34の方法。
態様42
前記複数のハロゲンリザーバが複数のリザーバクラスタの形態を成しており、前記方法が、
SPC凝集物を得、
複数の粒子を少なくとも1種のハロゲン源及び少なくとも1種の透過制御材料と混合することにより、リザーバ凝集物を形成し、そして
前記SPC凝集物を前記リザーバ凝集物と混合することにより、前記物品を形成する
ことによって、前記複数のリザーバクラスタのそれぞれを形成する
ことをさらに含む、態様34の方法。
態様43
前記物品を接触させるように燃焼排ガス流を流すことをさらに含み、前記燃焼排ガス流が少なくとも50℃の温度と、少なくとも95%の相対湿度とを有し、前記燃焼排ガス流が、少なくとも20ppmの濃度の少なくとも1種のSO化合物と、前記燃焼排ガス流の総体積を基準として少なくとも1μg/mの濃度の水銀蒸気とを含み、前記物品中の総ハロゲンの放出速度が1日当たり前記物品中の総ハロゲンの0.5%を超えない、態様34から42のいずれかの方法。
【0344】
理解すべきなのは、本開示の範囲を逸脱することなしに、細部にわたって、特に採用された構成材料、及び部分の形状、サイズ、及び配置に関して変更を加え得ることである。本明細書及び記載された実施態様は一例であって、開示の真の範囲及び思想は、以下の請求項によって示される。
図1A
図1B
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図2F
図3A
図3B
図4A
図4B
図5A
図5B
図6A
図6B
図7
図8
図9
図10
図11
図12
【国際調査報告】