IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ オソン メディカル イノベーション ファウンデーションの特許一覧

特表2023-549376温度センサ、温度センサを含むウェアラブルデバイス、及び温度センサを用いた深部温度測定方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-24
(54)【発明の名称】温度センサ、温度センサを含むウェアラブルデバイス、及び温度センサを用いた深部温度測定方法
(51)【国際特許分類】
   G01K 13/20 20210101AFI20231116BHJP
   A61B 5/01 20060101ALI20231116BHJP
【FI】
G01K13/20 341Z
G01K13/20 361C
A61B5/01 100
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023528375
(86)(22)【出願日】2021-09-23
(85)【翻訳文提出日】2023-05-12
(86)【国際出願番号】 KR2021012978
(87)【国際公開番号】W WO2022108084
(87)【国際公開日】2022-05-27
(31)【優先権主張番号】10-2020-0154217
(32)【優先日】2020-11-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519361461
【氏名又は名称】オソン メディカル イノベーション ファウンデーション
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】弁理士法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】イ,スンギ ラグ
(72)【発明者】
【氏名】ホン,スン ジュン
(72)【発明者】
【氏名】パク,ビョン ジュン
(72)【発明者】
【氏名】キム,ビョン ユァン
(72)【発明者】
【氏名】イ,ミン スク
【テーマコード(参考)】
4C117
【Fターム(参考)】
4C117XB01
4C117XC11
4C117XE13
4C117XE15
4C117XE17
4C117XE23
4C117XE37
(57)【要約】
温度センサ、温度センサを含むウェアラブルデバイス、及び温度センサを用いた深部温度測定方法において、前記温度センサは、感知ユニットと、基板部とを含む。前記感知ユニットは、ベース部、前記ベース部上に実装され、被検者の身体と接触して温度を感知する測定部、及び前記測定部を覆う蓋体部を有する。前記基板部は、前記感知ユニットが実装される。この場合、前記基板部上には、前記感知ユニットが実装される第1の領域の周辺に沿って、複数のスリットが形成される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベース部、前記ベース部上に実装され、被検者の身体と接触して温度を感知する測定部、及び前記測定部を覆う蓋体部を有する感知ユニットと、
前記感知ユニットが実装される基板部と、を含み、
前記基板部上には、前記感知ユニットが実装される第1の領域の周辺に沿って、複数のスリットが形成されることを特徴とする温度センサ。
【請求項2】
更に、前記感知ユニットは、前記ベース部から前記測定部の反対側に延在し、前記基板部を貫通して、前記基板部と電気的に連結される端子部を有することを特徴とする請求項1に記載の温度センサ。
【請求項3】
前記蓋体部は、前記測定部のうち、身体に向かう部分を除いた部分を全て覆い、
前記身体に向かう部分に露出した前記測定部が前記身体と接触して、温度を感知することを特徴とする請求項1に記載の温度センサ。
【請求項4】
前記蓋体部は、周辺温度データを測定する測定センサを含むことを特徴とする請求項3に記載の温度センサ。
【請求項5】
前記スリットは、前記第1の領域と所定の距離離隔し、
前記スリットのそれぞれは、所定の距離互いに離隔して形成されることを特徴とする請求項1に記載の温度センサ。
【請求項6】
前記スリット間の隔離距離は、前記スリットのそれぞれが形成される長さよりも小さいことを特徴とする請求項5に記載の温度センサ。
【請求項7】
請求項1に記載の温度センサと、
被検者の他の生体信号を測定する生体信号測定部と、
前記温度センサ及び前記生体信号測定部の測定結果を外部に表示する表示部と、
前記温度センサ、前記生体信号測定部、及び前記表示部が内部に位置するケースと、を含むことを特徴とするウェアラブルデバイス。
【請求項8】
前記温度センサの測定部は、前記ケースの外側に露出して、被検者の身体と接触することを特徴とする請求項7に記載のウェアラブルデバイス。
【請求項9】
請求項1に記載の温度センサと、
被検者の他の生体信号を測定する生体信号測定部を有する生体信号測定モジュールと、
前記生体信号測定モジュールの反対側に位置し、外部と通信を行う通信モジュールと、
前記生体信号測定モジュール及び前記通信モジュールを互いに連結する連結部と、を含み、
前記温度センサは、前記生体信号測定モジュール又は前記連結部の内部に位置することを特徴とするウェアラブルデバイス。
【請求項10】
前記連結部は、柔軟構造体であり、
前記温度センサの測定部は、前記連結部の外側に露出するか、前記生体信号測定モジュールの外側に露出して、被検者の身体と接触することを特徴とする請求項9に記載のウェアラブルデバイス。
【請求項11】
更に、前記生体信号測定モジュールの下部に付着して、被検者の身体と接触する第1の電極と、
前記通信モジュールの下部に付着して、被検者の身体と接触する第2の電極とを含むことを特徴とする請求項9に記載のウェアラブルデバイス。
【請求項12】
請求項1に記載の温度センサを用いた深部温度測定方法であって、
周辺温度データを取得するステップと、
前記温度センサを用いて、深部体温データを取得するステップと、
前記周辺温度データを基に、前記深部体温データを補正するステップと、を含むことを特徴とする深部温度測定方法。
【請求項13】
前記深部体温データを補正するステップにおいて、
前記周辺温度データと前記深部体温データとを比較して、
第1の温度条件を満たす場合、前記深部体温データは、補正を行わず、被検者の深部温度と見なし、
第2の温度条件を満たす場合、前記深部体温データを補正して、被検者の深部温度を導出することを特徴とする請求項12に記載の深部温度測定方法。
【請求項14】
前記第1の温度条件は、前記周辺温度データが24℃乃至26℃であり、
前記第2の温度条件は、前記周辺温度データが24℃より小さく又は26℃より大きいことを特徴とする請求項13に記載の深部温度測定方法。
【請求項15】
前記深部体温データを補正する場合、
=T+T×C 式(1)
ここで、Tは、補正された深部体温、Tは、測定された深部体温、Tは、測定された周辺温度、Cは、補正係数であり、
前記式(1)を用いて、前記深部体温データを補正することを特徴とする請求項13に記載の深部温度測定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、温度センサ、温度センサを含むウェアラブルデバイス、及び温度センサを用いた深部温度測定方法に関し、より詳しくは、バンド型又はパッチ型に身体に付着可能に製作されるウェアラブルデバイスに適用して、周辺温度を考えた身体の深部温度を効率よく測定することができる、温度センサ、温度センサを含むウェアラブルデバイス、及び温度センサを用いた深部温度測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、感染病の拡散と個人健康に対する管理の重要性が強調される状況で、ヘルスケアに関わる様々な種類の製品が開発されている。
【0003】
特に、ウェアラブルヘルスケアに関する製品が開発されることにつれ、様々な使用者の生体信号、例えば、心電図、酸素飽和度、体温、脈拍、血圧、活動量などに対する情報を取得し、これを分析及びモニタリングして、患者に合う健康管理モニタリングを行うか、医療サービスの提供において、データベースとして活用するなどの活用性が増加している。
【0004】
このようなウェアラブルヘルスケアに関する製品の場合、最も重要なことは、使用者の生体信号を正確に測定することであるが、特に、使用者の生体信号のうち、最も重要なことは、使用者の体温、特に、深部体温に関する情報である。
【0005】
このような深部体温の測定に関して、大韓民国公開特許第10-2020-0061579号、又は、第10-2020-0061580号などでは、使用者の耳に進入して、深部体温を測定する深部体温測定器に関する技術を開示しているが、複雑な構造のため、製作が容易でなく、ウェアラブルデバイスへの具現が難しく、使用者の使用性が低下するなどの問題がある。
【0006】
関連する先行技術としては、大韓民国公開特許第10-2020-0061579号、及び同公報第10-2020-0061580号がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の技術的課題は、このようなことから着眼したものであって、本発明の目的は、バンド型又はパッチ型に身体に付着可能に製作されるウェアラブルデバイスに適用されて、周辺温度を考えた身体の深部温度を効率よく測定することができる温度センサを提供することである。
【0008】
また、本発明の他の目的は、前記温度センサを含むウェアラブルデバイスを提供することである。
【0009】
更に、本発明の他の目的は、前記温度センサを用いた深部温度測定方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記した本発明の目的を実現するための一実施形態に係る温度センサは、感知ユニットと、基板部とを含む。前記感知ユニットは、ベース部、前記ベース部上に実装され、被検者の身体と接触して温度を感知する測定部、及び前記測定部を覆う蓋体部を有する。前記基板部は、前記感知ユニットが実装される。この場合、前記基板部上には、前記感知ユニットが実装される第1の領域の周辺に沿って、複数のスリットが形成される。
【0011】
更に、前記感知ユニットは、前記ベース部から前記測定部の反対側に延在し、前記基板部を貫通して、前記基板部と電気的に連結される端子部を有する。
【0012】
前記蓋体部は、前記測定部のうち、身体に向かう部分を除いた部分を全て覆い、前記身体に向かう部分に露出した前記測定部が前記身体と接触して、温度を感知する。
【0013】
前記蓋体部は、周辺温度データを測定する測定センサを含む。
【0014】
前記スリットは、前記第1の領域と所定の距離離隔し、前記スリットのそれぞれは、所定の距離互いに離隔して形成される。
【0015】
前記スリット間の隔離距離は、前記スリットのそれぞれが形成される長さよりも小さい。
【0016】
前記した本発明の目的を実現するための他の一実施形態に係るウェアラブルデバイスは、前記温度センサと、生体信号測定部と、表示部と、ケースとを含む。前記生体信号測定部は、被検者の他の生体信号を測定する。前記表示部は、前記温度センサ及び前記生体信号測定部の測定結果を外部に表示する。前記ケースは、前記温度センサ、前記生体信号測定部、及び前記表示部が内部に位置する。
【0017】
前記温度センサの測定部は、前記ケースの外側に露出して、被検者の身体と接触する。
【0018】
前記した本発明の目的を実現するための他の一実施形態に係るウェアラブルデバイスは、前記温度センサと、生体信号測定モジュールと、通信モジュールと、連結部とを含む。前記 生体信号測定モジュールは、被検者の他の生体信号を測定する。前記通信モジュールは、前記生体信号測定モジュールの反対側に位置し、外部と通信を行う。前記連結部は、前記生体信号測定モジュール及び前記通信モジュールを互いに連結する。前記温度センサは、前記生体信号測定モジュール又は前記連結部の内部に位置する。
【0019】
前記連結部は、柔軟構造体であり、前記温度センサの測定部は、前記連結部の外側に露出するか、前記生体信号測定モジュールの外側に露出して、被検者の身体と接触する。
【0020】
更に、前記生体信号測定モジュールの下部に付着して、被検者の身体と接触する第1の電極と、前記通信モジュールの下部に付着して、被検者の身体と接触する第2の電極とを含む。
【0021】
前記した本発明の目的を実現するための他の一実施形態に係る深部温度測定方法は、前記温度センサを用いた深部温度を測定するもので、周辺温度データを取得するステップと、前記温度センサを用いて、深部体温データを取得するステップと、前記周辺温度データを基に、前記深部体温データを補正するステップとを含む。
【0022】
前記深部体温データを補正するステップにおいて、前記周辺温度データと前記深部体温データとを比較して、第1の温度条件を満たす場合、前記深部体温データは、補正を行わず、被検者の深部温度と見なし、第2の温度条件を満たす場合、前記深部体温データを補正して、被検者の深部温度を導出する。
【0023】
前記第1の温度条件は、前記周辺温度データが24℃乃至26℃であり、前記第2の温度条件は、前記周辺温度データが24℃より小さく又は26℃より大きい。
【0024】
前記深部体温データを補正する場合、
【0025】
=T+T×C 式(1)
【0026】
ここで、Tは、補正された深部体温、Tは、測定された深部体温、Tは、測定された周辺温度、Cは、補正係数であり、前記式(1)を用いて、前記深部体温データを補正する。
【発明の効果】
【0027】
本発明によると、感知ユニットの測定部が動作するためには、測定部は、基板部上に実装されなければならないが、基板部を介して、様々な素子から発生する熱が前記測定部に提供され、これにより、実際、被検者の温度感知結果の正確度が低いことがある。
【0028】
これに、本実施形態の場合、基板部上に、複数のスリットを形成し、前記感知ユニットが実装される第1の領域を孤立(isolation)させ、これにより、基板部による熱伝達を最小化し、これにより、測定部による測定結果の正確性を向上することができる。
【0029】
この場合、測定部も、身体に向かう部分だけが露出し、蓋体部により、他の部分は覆われるので、より正確な身体温度の感知を行うことができる。
【0030】
また、温度センサは、バンド型又はパッチ型のウェアラブルデバイスに適用され、特に、パッチ型ウェアラブルデバイスに適用される場合、被検者の身体との接触性を向上するために、前記温度センサは、柔軟構造体である連結部上に実装される。
【0031】
さらには、ウェアラブルデバイスの場合、温度、すなわち、体温情報の他にも、様々な身体情報を取得することができ、生体情報の取得は、身体と接触する電極を用いることができる。
【0032】
特に、深部体温の測定時、周辺環境温度による測定結果の不正確性増加を最小化するために、周辺温度を考えて測定された深部体温を補正し、これにより、更に正確な深部体温を導出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1図1a及び図1bは、本発明の一実施形態に係る温度センサを示す断面図及び平面図である。
【0034】
図2図2a~2cは、図1aにおける温度センサを含むバンド型ウェアラブルデバイスを示す斜視図、底面図、及び断面図である。
【0035】
図3図3a及び3bは、図1aにおける温度センサを含むパッチ型ウェアラブルデバイスを示す斜視図及び断面図である。
【0036】
図4図1aにおける温度センサを用いた深部温度測定方法を示すフローチャートである。
図5図4における深部温度測定方法をより詳しく示すフローチャートである。
【0037】
<符号の説明>
【0038】
1:温度センサ
10:感知ユニット
【0039】
20:基板部
21:スリット
【0040】
22:ギャップ部
30:バンド型ウェアラブルデバイス
33:生体信号測定部
【0041】
40:パッチ型ウェアラブルデバイス
【0042】
41:生体信号測定モジュール
43:通信モジュール
【0043】
44:連結部
45,46:電極
【発明を実施するための形態】
【0044】
本発明は、様々な変更を加えることができ、様々な形態を有することができるところ、実施例を、本文で詳細に説明しようとする。しかし、これは、本発明を特定の開示形態に限定しようとすることではなく、本発明の思想及び技術範囲に含まれる全ての変更、均等物乃至代替物を含むことと理解されるべきである。各図面を説明することに当たり、類似した図面符号を、類似した構成要素に対して使用する。第1、第2などの用語は、様々な構成要素を説明することに使用され得るが、前記構成要素を前記用語により限定してはいけない。
【0045】
前記用語は、1つの構成要素を、他の構成要素から区別する目的としてのみ使用される。本出願で使用された用語は、単に、特定の実施例を説明するために使われており、本発明を限定しようとする意図ではない。単数の表現は、文脈上明らかに異なることを意味しない限り、複数の表現を含む。
【0046】
本出願において、「含む」又は「なる」などの用語は、明細書上に記載された特徴、数字、ステップ、動作、構成要素、部品、又はこれらを組み合わせたものが存在することを指定しようとすることであり、1つ又はその以上の他の特徴や数字、ステップ、動作、構成要素、部品、又はこれらを組み合わせたものの存在又は付加可能性を予め排除しないことと理解されるべきである。
【0047】
異なって定義しない限り、技術的又は科学的な用語を含めて、ここで使用される全ての用語は、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者によって、一般的に理解されるものと同一の意味を持っている。一般的に使用される辞書に定義されているような用語は、関連技術の文脈上有する意味と一致する意味を有することと解析されるべきであり、本出願において明らかに定義しない限り、理想的又は過度に形式的な意味として解析されない。
【0048】
以下、添付の図面を参照して、本発明の好適な実施形態をより詳細に説明する。
【0049】
図1a及び図1bは、本発明の一実施形態に係る温度センサを示す断面図及び平面図である。
【0050】
図1a及び図1bに示しているように、本実施形態による温度センサ1は、感知ユニット10と、基板部20とを含む。
【0051】
前記感知ユニット10は、測定部11と、蓋体部12と、ベース部13と、端子部14とを含み、前記基板部20上に実装される。
【0052】
前記基板部20は、図示していないが、前記感知ユニット10が実装されることの他に、様々な素子が実装可能であり、前記感知ユニット10及び前記素子の間の電気的な配線が形成されることができる。
【0053】
この場合、前記基板部20は、例えば、PCB(printed circuit board)、又は、FPCB(flexible printed circuit board)である。
【0054】
前記ベース部13は、前記基板部20上に位置し、前記ベース部13の一側、例えば、下部側には、前記端子部14が延設される。
【0055】
前記端子部14は、前記基板部20上に形成された所定の開口部を貫通し、前記基板部20と電気的に連結される。
【0056】
この場合、前記基板部20に連結される前記端子部14の数は、限定されず、図1bに示しているように、4つである。
【0057】
一方、前記ベース部13において、前記端子部14が延在する側の反対側、例えば、上部側には、前記測定部11が位置することになる。
【0058】
前記測定部11は、被検者の身体と直接接触して、身体の温度、すなわち、体温を測定するセンサであり、体温を測定することに足り、センサの種類は、制限されない。
【0059】
一方、前記測定部11で測定される体温は、身体表面の温度ではなく、深部体温であり、このため、前記測定部11は、深部の温度を測定可能なセンサである。
【0060】
この場合、前記測定部11は、図1aに示しているように、上面だけが外部に露出し、その他の側面は、全て前記蓋体部12により覆われる。
【0061】
すなわち、前記蓋体部12は、前記測定部11をカプセルで抱き込む形態に覆い、前記測定部11は、露出した上面だけが、被検者の身体と直接接触することになる。
【0062】
この場合、前記蓋体部12は、断熱素材であり得る。
【0063】
以上のように、前記測定部11が被検者の身体と接触する部分を除き、前記蓋体部12により覆われるので、外部から伝達される熱による影響を最小化し、被検者の身体の温度をより正確に測定することができる。
【0064】
一方、前記蓋体部12は、測定センサ(図示せず)を含み、このような前記蓋体部12の測定センサにより、周辺温度データを取得することができる。すなわち、被検者の身体と接触して、深部体温を測定することの他に、周辺温度データも同時に取得することができる。
【0065】
一方、本実施形態において、前記基板部20は、図1bに示しているように、前記ベース部13を含む前記感知ユニット10が実装される第1の領域(A)の周辺に、複数のスリット21が形成される。
【0066】
前記スリット21は、前記基板部20を貫通して形成される開口部であり、前記スリット21が前記基板部20を貫通して形成されることにつれ、前記感知ユニット10は、前記基板部20上に、いわゆる孤立化(isolation)して位置する。
【0067】
この場合、前記感知ユニット10のベース部13が円状に形成される場合であると、前記スリット21は、前記円状の第1の領域(A)の周辺に沿って、複数形成され、それぞれのスリット21は、前記第1の領域(A)と一定の距離離隔して形成される。
【0068】
また、前記スリット21のそれぞれも、隣接したスリットと所定の間隔、すなわち、ギャップ部22を設けて形成される。
【0069】
例えば、図示しているように、4つのスリット21が形成されるとすると、前記それぞれのスリット21は、約90度を形成する円周状スリットであり、全体として、前記第1の領域(A)の周辺を覆う円状スリットを構成し、90度の位置毎に前記ギャップ部22が形成されて、互いに離隔した構造を有する。
【0070】
前記感知ユニット10の場合、前記基板部20から電源を提供されるか、所定の電気信号を通じて、駆動が制御されるべきであるので、前記基板部20上のその他の素子と電気的に連結されなければならない。
【0071】
本実施形態の場合、前記ギャップ部22を通じて、前記感知ユニット10の動作などのための電気的な連結を維持し、前記電気的な連結のための最小の構成を除いた前記感知ユニット10の周辺領域は、全て開口したスリット21で形成する。
【0072】
一般に、前記基板部20の場合、様々な素子が実装され、前記素子から発生する熱が伝達されることがあるので、前記基板部20から伝達される熱は、前記感知ユニット10へも伝達される。かくして、前記感知ユニット10は、実際に身体から伝達される熱の他に、前記基板部20から伝達される熱によっても、感知結果が変わることになる。
【0073】
これに、前記感知ユニット10の周辺に前記スリット21を形成することで、前記基板部20から伝達される熱を遮断することができ、これにより、前記感知ユニット10で測定される熱に、前記身体から伝達される熱以外の他の因子が含まれることを最小化する。
【0074】
かくして、本実施形態による前記温度センサ1による体温測定結果の正確性は、更に向上することになる。
【0075】
図2a、図2b及び図2cは、図1aにおける温度センサを含むバンド型ウェアラブルデバイスを示す斜視図、底面図、及び断面図である。
【0076】
図2a乃至図2cに示しているように、本実施形態における前記バンド型ウェアラブルデバイス30(以下、ウェアラブルデバイスともいう)は、図1a及び図1bで説明した前記温度センサ1の他に、ケース35と、バンド部36と、表示部31と、電源部32と、生体信号測定部33とを含む。
【0077】
前記温度センサ1は、前述したことと同様であるので、細部構成に関する重複する説明は、省略する。
【0078】
前記ケース35は、図示しているように、前記表示部31が形成される前面部と、前記温度センサ1、前記電源部32、及び前記生体信号測定部33が形成される後面部とから構成され、その形状が制限されない。
【0079】
この場合、前記温度センサ1、前記電源部32、及び前記生体信号測定部33が形成される後面部は、被検者の手首などのような身体に直接接触する面であり、これにより、前記前面部は、外部に向かい、前記前面部に形成される前記表示部31により、使用者は、前記温度センサ1及び前記生体信号測定部33を通じて測定された結果を確認することができる。
【0080】
前記バンド部36は、前記ケース35の両側に連結され、被検者の手首に前記ケース35を固定する。
【0081】
以上のように、前記ウェアラブルデバイス30は、バンド型に製作されて、被検者の手首などに固定することができる。
【0082】
前記電源部32は、前記温度センサ1、前記生体信号測定部33、及び前記表示部31に電源を提供する。
【0083】
この場合、前記温度センサ1は、図示しているように、前記測定部11のうち、外部に露出した部分が下部に向かうように、前記ケース35に固定され、これにより、前記露出した部分を通じて、被検者の身体の温度、すなわち、体温を測定する。
【0084】
一方、前記生体信号測定部33は、前記温度センサ1により測定される被検者の体温を除いた、被検者のその他の生体情報を測定することができる。
【0085】
例えば、前記生体信号測定部33は、被検者の酸素飽和度、脈拍、血圧、心電図などを測定することができ、この場合、前記生体信号測定部33の種類や構造は、制限されない。
【0086】
以上のように、前記温度センサ1は、バンド型ウェアラブルデバイス30に設けられ、特に、前記温度センサ1のうち、前記測定部11の露出した部分が身体に向かうように配置されることで、被検者の身体の温度を測定することができる。
【0087】
図3a及び図3bは、図1aにおける温度センサを含むパッチ型ウェアラブルデバイスを示す斜視図及び断面図である。
【0088】
図3a及び図3bに示しているように、本実施形態における前記パッチ型ウェアラブルデバイス40(以下、ウェアラブルデバイスともいう)は、図1a及び図1bで説明した前記温度センサ1の他に、生体信号測定モジュール41と、通信モジュール43と、連結部44と、第1及び第2の電極45、46とを含む。
【0089】
この場合、前記温度センサ1は、前述したことと同様であるので、細部構成に関する重複説明は、省略する。
【0090】
前記生体信号測定モジュール41は、図示しているように、フラット形状の四角ブロック構造で形成され、内部には、生体信号測定部42が位置することになる。
【0091】
この場合、前記生体信号測定部42は、図2cで説明した前記生体信号測定部33と実質的に同一である。
【0092】
また、図示していないが、前記生体信号測定モジュール41上には、前記生体信号測定部42の他に、様々な生体信号測定が可能な素子が複合的に設けられて、1つのモジュールを構成することもできる。
【0093】
前記通信モジュール43は、前記生体信号測定モジュール41の反対側に、前記生体信号測定モジュール41と所定の距離離隔して位置し、データの転送及び受信のための様々な通信素子が内部に設けられる。
【0094】
かくして、前記通信モジュール43を通じて、前記生体信号測定モジュール41及び前記温度センサ1を通じて測定された情報が、外部に提供される。
【0095】
前記連結部44は、一端が前記生体信号測定モジュール41に連結され、他端が前記通信モジュール43に連結されて、前記生体信号測定モジュール41と前記通信モジュール43を互いに連結させる。
【0096】
この場合、前記連結部44の内部には、前記温度センサ1が設けられ、前記温度センサ1において、前記測定部11のうち、外部と露出する部分が下部に向かうように固定される。
【0097】
かくして、前記連結部44の下面に前記測定部11が露出し、前記連結部44の下面が被検者の身体に接触することで、前記測定部11を通じて体温を測定することができる。
【0098】
この場合、前記連結部44は、柔軟な構造体で形成されることで、容易に曲げ又は撓み、これにより、様々な表面形状を有する被検者の身体のどこにも自然に位置して、体温を測定することができる。
【0099】
これとは異なり、前記温度センサ1は、前記連結部44の内部ではなく、前記生体信号測定モジュール41の内部に、前記生体信号測定部42と隣接するように位置することもできる。これにより、前記温度センサ1が前記連結部44上に位置して、前記連結部44の柔軟性構造の構造変更で損傷することを最小化することもできる。
【0100】
一方、前記生体信号測定モジュール41の下面には、すなわち、被検者の身体に向かう面には、第1の電極45が付着し、前記通信モジュール43の下面、すなわち、被検者の身体に向かう面には、第2の電極46が付着する。
【0101】
前記第1の電極45及び前記第2の電極46は、生体信号を測定するための電極であり、身体に直接接触するように付着し、前記測定される電気的信号は、前記生体信号測定モジュール41の生体信号測定部42に提供される。
【0102】
かくして、前記生体信号測定部42では、前記電極45、46から提供される電気的信号を基に、被検者の様々な生体情報を取得することができる。
【0103】
この場合、取得される生体情報としては、心電図などのような電気的信号を通じて取得される情報であり、さらには、酸素飽和度、脈拍、血圧などの様々な生体情報も含まれる。
【0104】
一方、前記第1及び第2の電極45、46は、被検者の身体に直接付着可能なパッチ形態であり、これにより、本実施形態における前記ウェアラブルデバイス40は、パッチ型で被検者の特定位置に直接付着して、体温はもちろん、様々な生体情報を取得することができる。
【0105】
図4は、図1aにおける温度センサを用いた深部温度測定方法を示すフローチャートであり、図5は、図4における深部温度測定方法をより詳しく示すフローチャートである。
【0106】
図4及び図5に示しているように、図1a及び図1bで説明した前記温度センサ1を用いた被検者の深部温度を測定する場合、まず、周辺温度データを取得する(ステップS10)。
【0107】
この場合、図1a及び図1bでは、別に説明していないが、前記温度センサ1には、被検者の身体と直接接触して、被検者の身体温度、すなわち、体温を測定する前記測定部11の他に、周辺温度を測定するための別の温度センサが設けられる。
【0108】
この場合、前記温度センサは、前述したように、前記蓋体部12が含む測定センサであり、これにより、周辺温度を測定することができる。
【0109】
これとは異なり、このような温度センサは、図1a及び図1bで説明した前記温度センサ1の前記基板部20上に別の素子として設けられ、これとは異なり、図2a乃至図2cで説明した前記バンド型ウェアラブルデバイス30の前記ケース35内に、別の素子として設けられこともでき、図3a及び図3bで説明した前記パッチ型ウェアラブルデバイス40の前記生体信号測定モジュール41又は前記連結部44内に、別の素子として設けられることもできる。
【0110】
より具体的に、前記周辺温度データを取得するステップ(ステップS10)では、前記説明した別の温度センサを通じて、単位時間当りの周辺温度の変化量を測定し(ステップS11)、このように測定された前記周辺温度の変化量の結果を基に、周辺温度が熱平衡状態であるか否かを判断して(ステップS12)、周辺温度を測定するか否かを判断する。
【0111】
一方、前記熱平衡状態であるか否かは、別の制御部(図示せず)を通じて判断することができ、前記周辺温度の変化量が所定の範囲内に所定の時間持続する場合、熱平衡状態と判断する。
【0112】
かくして、前記周辺温度が熱平衡状態と判断される場合(ステップS12)、前記説明した別の温度センサにより、周辺温度(T)を測定する(ステップS13)。
【0113】
この後、前記温度センサ1を通じて、深部体温データを取得する(ステップS20)。
【0114】
より具体的に、前記温度センサ1において、身体に接触する前記測定部11を通じて、被検者の身体の温度、すなわち、体温を測定し、このように測定された前記体温は、前記深部体温データ(T)となる。
【0115】
この後、前記周辺温度を基に、深部体温データを補正する(ステップS30)。
【0116】
より具体的に、前記取得された周辺温度(T)が所定の条件を満たすか否かを判断し(ステップS31)、前記周辺温度の範囲を基に、前記深部体温データを補正する(ステップS32及びステップS33)。
【0117】
すなわち、前記周辺温度(T)が第1の温度条件、すなわち24℃乃至26℃の場合、前記深部体温データ(T)に対して、別の補正を行わず、前記取得された深部体温データ(T)をそのまま、補正された深部体温(T)と見なす。
【0118】
これとは異なり、前記周辺温度(T)が第2の温度条件、すなわち24℃より小さいか、26℃より大きい場合、前記深部体温データ(T)に対して、下記式(1)を用いて、補正を行う。
【0119】
=T+T×C 式(1)
【0120】
ここで、Tは、補正された深部体温、Tは、測定された深部体温、Tは、測定された周辺温度、Cは、補正係数である。
【0121】
一方、前記補正係数(C)は、別のルックアップテーブル(look-up-table)により既設定された係数であり、例えば表1でのように、予め設定されることができる。
【0122】
すなわち、前記補正係数(C)は、前記測定された周辺温度(T)の情報を基に、下記のように予め設定された係数であり、これにより、前記式(1)を演算することで、最終的に補正された深部体温データ(T)を取得することができる(ステップS32)。
【0123】
以上のように、前記温度センサ1を通じて体温を測定することにおいて、周辺温度情報を同時に取得し、これを基に測定された深部体温を補正して、より正確な深部体温情報を取得することができる。
【0124】
[表1]
【0125】
本発明の実施形態によると、感知ユニットの測定部が動作するためには、測定部は、基板部上に実装されなければならず、基板部を通じて様々な素子から発生する熱が前記測定部に提供され、これにより、実際被検者の温度感知結果の正確度が低いことがある。
【0126】
これに、本実施形態の場合、基板部上に、複数のスリットを形成し、前記感知ユニットが実装される第1の領域を孤立させ、これにより、基板部を通じた熱伝達を最小化し、これにより測定部を通じた測定結果の正確性を向上することができる。
【0127】
この場合、測定部も、身体に向かう部分だけが露出し、蓋体部により他の部分は覆われるので、より正確な身体温度の感知を行うことができる。
【0128】
また、温度センサは、バンド型又はパッチ型ウェアラブルデバイスに適用可能であり、特に、パッチ型ウェアラブルデバイスに適用される場合、被検者の身体との接触性を向上するために、前記温度センサは、柔軟構造体である連結部上に実装される。
【0129】
さらに、ウェアラブルデバイスの場合、温度、すなわち、体温情報の他にも、様々な身体情報を取得することができ、生体情報の取得は、身体と接触する電極を利用することができる。
【0130】
特に、深部体温の測定に際して、周辺環境温度による測定結果の不正確性増加を最小化するために、周辺温度を考えて、測定された深部体温を補正し、これにより、更に正確な深部体温を導出することができる。
【0131】
前記では、本発明の好適な実施形態を参照して説明したが、当該技術分野における熟練した当業者は、下記の特許請求の範囲に記載された本発明の思想及び領域から逸脱しない範囲内で、本発明を様々に修正及び変更できることを理解するだろう。
図1a
図1b
図2a
図2b
図2c
図3a
図3b
図4
図5
【国際調査報告】