(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-24
(54)【発明の名称】新規なネコヘルペスウイルスワクチン
(51)【国際特許分類】
A61K 35/763 20150101AFI20231116BHJP
A61K 39/245 20060101ALI20231116BHJP
A61P 31/22 20060101ALI20231116BHJP
C12N 15/38 20060101ALI20231116BHJP
C12N 15/869 20060101ALI20231116BHJP
【FI】
A61K35/763
A61K39/245
A61P31/22
C12N15/38 ZNA
C12N15/869 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023528382
(86)(22)【出願日】2021-11-11
(85)【翻訳文提出日】2023-05-12
(86)【国際出願番号】 IB2021000814
(87)【国際公開番号】W WO2022101679
(87)【国際公開日】2022-05-19
(32)【優先日】2020-11-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505258715
【氏名又は名称】ベーリンガー インゲルハイム フェトメディカ ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】Boehringer Ingelheim Vetmedica GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100123766
【氏名又は名称】松田 七重
(72)【発明者】
【氏名】ヴィーシェク カリー アン
(72)【発明者】
【氏名】マンデル ロバート バリー
(72)【発明者】
【氏名】メバション テショメ
(72)【発明者】
【氏名】コウクントラ ラメシュ
(72)【発明者】
【氏名】ヴォーン エリック マーティン
【テーマコード(参考)】
4C085
4C087
【Fターム(参考)】
4C085AA03
4C085BA78
4C085BB23
4C085CC08
4C085DD62
4C085GG03
4C085GG04
4C085GG05
4C085GG08
4C085GG10
4C087AA01
4C087AA02
4C087BC83
4C087CA12
4C087MA52
4C087MA55
4C087MA59
4C087MA66
4C087NA14
4C087ZB33
(57)【要約】
本発明は、ORF70(US4)及び/又はORF1/3に挿入された、ネコヘルペスウイルス(FHV)抗原コード配列を含むEHV(ウマヘルペスウイルス)に関する。また、本発明は、ネコ科動物を免疫する方法に関し、前記方法は、本発明の免疫原性組成物を前記ネコ科動物に投与することを含む。さらに、本発明は、ネコヘルペスウイルスによるネコ科動物の臨床徴候を治療又は予防するための方法に関する。
【選択図】 なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ORF70(US4)及び/又はORF1/3に挿入された、ネコヘルペスウイルス(FHV)抗原コード配列を含む、EHV(ウマヘルペスウイルス)。
【請求項2】
ORF70(US4)に挿入された単一のネコヘルペスウイルス(FHV)抗原コード配列、及び/又はORF1/3に挿入された単一のネコヘルペスウイルス(FHV)抗原コード配列を含む、EHV(ウマヘルペスウイルス)。
【請求項3】
FHV抗原コード配列が、1400個以下のアミノ酸をコードする、請求項1又は2に記載のEHV。
【請求項4】
FHV抗原コード配列が、1つの、FHV抗原コード配列である、請求項1又は3に記載のEHV。
【請求項5】
FHV抗原コード配列が、糖タンパク質コード配列又はその断片である、請求項1~4のいずれか1項に記載のEHV。
【請求項6】
FHV抗原コード配列が、FHV gD(糖タンパク質D)コード配列若しくはその断片、及び/又はFHV gB(糖タンパク質B)コード配列若しくはその断片、及び/又はFHV gC(糖タンパク質C)コード配列若しくはその断片である、請求項1~5のいずれか1項に記載のEHV。
【請求項7】
FHV抗原コード配列が、gD、gB又はgCコード配列であり、前記gD、gB又はgCコード配列が、配列番号:1、配列番号:2、若しくは配列番号:3で示されるアミノ酸配列、又は前記アミノ酸配列と少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも93%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、少なくとも99.6%、少なくとも99.7%、少なくとも99.8%、少なくとも99.9%、少なくとも99.95%、少なくとも99.98%若しくは少なくとも99.99%の配列同一性を有する配列、又は少なくとも100個、少なくとも200個、少なくとも300個若しくは少なくとも350個の連続アミノ酸を有する前記アミノ酸配列の断片、をコードする核酸配列からなるか、或いは前記核酸配列を含む、請求項1~6のいずれか1項に記載のEHV。
【請求項8】
FHV抗原コード配列が、配列番号:4、配列番号:5、配列番号:6、配列番号:7、配列番号:8、若しくは配列番号:9で示される核酸配列、又は前記核酸配列と少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも93%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、少なくとも99.6%、少なくとも99.7%、少なくとも99.8%、少なくとも99.9%、少なくとも99.95%、少なくとも99.98%若しくは少なくとも99.99%の配列同一性を有する配列、又は少なくとも300個、少なくとも600個、少なくとも900個若しくは少なくとも1050個の連続核酸を有する前記核酸配列の断片からなるgD、gB又はgCであるか、或いは前記核酸配列、前記配列又は前記核酸配列の断片を含むgD、gB又はgCである、請求項1~7のいずれか1項に記載のEHV。
【請求項9】
EHVが、弱毒化されている、及び/又は組換えられている、請求項1~8のいずれか1項に記載のEHV。
【請求項10】
EHVベクターが、EHV-1及び/又はRacH若しくはRacH SEである、請求項1~9のいずれか1項に記載のEHV。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか1項に記載のEHVを含む、免疫原性組成物、ワクチン又はDIVAワクチン。
【請求項12】
医薬上許容される担体を更に含む、請求項11に記載の免疫原性組成物、ワクチン又はDIVAワクチン。
【請求項13】
ネコ科動物を免疫するための方法であって、請求項11又は12に記載の免疫原性組成物、ワクチン又はDIVAワクチンを前記ネコ科動物に投与することを含む、前記方法。
【請求項14】
未免疫対照群のネコ科動物と比べて、FHVによるネコ科動物の臨床徴候を治療又は予防するための方法であって、治療上有効量の請求項11又は12に記載の免疫原性組成物、ワクチン又はDIVAワクチンを前記ネコ科動物に投与することを含む、前記方法。
【請求項15】
未免疫対照群のネコ科動物と比べて、FHVによるネコ科動物の呼吸器疾患を治療又は予防するための方法であって、治療上有効量の請求項11又は12に記載の免疫原性組成物、ワクチン又はDIVAワクチンを前記ネコ科動物に投与することを含む、前記方法。
【請求項16】
免疫原性組成物、ワクチン又はDIVAワクチンが、2回以上投与される、請求項13~15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
前記免疫原性組成物、ワクチン又はDIVAワクチンが、筋肉内、皮内、皮下、経口、又は経鼻で投与される、請求項13~16のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
A.本発明の分野
本発明は、ネコヘルペスウイルスワクチンの分野に関する。
【背景技術】
【0002】
B.背景及び関連技術の説明
ネコヘルペスウイルス(FHV)
FHVは、ネコのネコ科動物ウイルス性鼻気管炎の病原体であり、この疾患は、世界中で見られる。ネコヘルペスウイルスは、鼻炎、発熱、くしゃみ、眼脂と鼻汁、結膜炎(目の周りの粘膜とまぶたの裏の炎症)、角膜の炎症(角膜炎)、及び嗜眠を伴う上気道感染症を引き起こす。
FHVの改変された生ワクチン及び不活化ワクチンが開発されている。
しかしながら、一般的に、改変された生ワクチンの株は、接種された動物の疾患及び病原体の他の動物への伝播可能性をもたらす病原性状態に復帰するおそれがある。
不活化ワクチンは、一般的に、低レベルの免疫しか誘発しない(細胞性免疫に対する刺激がないか、又は弱い刺激しかない)。
これに対して、ベクターワクチンにより、FHVの中和抗体もFHVに対する細胞性免疫も誘発することができる。
別の問題は、ワクチンの製造のためのFHV培養がネコ科動物の腎臓細胞株で行われるという事実によって生じる。しかしながら、前記細胞の残存成分を含むワクチンは、ネコに、慢性腎臓病又は他の疾患を引き起こす自己抗体を産生させるおそれがある。したがって、ネコ科動物由来の細胞株での培養が行われていないFHVワクチンのニーズがある。
【0003】
自己抗体のこの問題は、Lappin et al 2005 (AJVR, Vol 66, No. 3)、Whittemore et al 2010 (J Vet Intern Med;24:306-313)及びSongaksorn et al 2019 (Vet Sci. 2019 Nov;20(6):e73)などの文献に既に議論されている。これらの文献は、ネコ科動物の腎臓由来(Crandell feline kidney)(CRFK)細胞株を使用してネコ科動物のウイルス、例えば、ネコヘルペスウイルス1(FHV-1)、カリシウイルス、及び汎白血球減少症ウイルスを増殖すること、並びにワクチンの製造中に、あらゆるCRFK細胞のタンパク質又は他の細胞構成物を取り除くことが不可能であろうことを述べている。結果として、定期的なワクチン接種の過程で、ネコは、CRFK細胞のタンパク質に曝され、かかるタンパク質に対する免疫応答が起こる。Lappin et al 2005及びWhittemore et al 2010に示されている研究結果は、CRFK細胞で増殖させたウイルスを含むワクチンの投与により、ネコにおいて、腎臓組織に対する自己抗体などの抗体が誘導されることを説明している。
さらに、現在投与されているFHVの弱毒生ワクチン又は不活化ワクチンを使用すると、特定の動物がFHV分野のウイルスの保菌者であるか否か、又はその動物がワクチン接種を受けたか否かを判断することは不可能である。したがって、改変された生ワクチンも不活化ワクチンも、ワクチン接種を受けた動物と感染した動物とを区別する(DIVA)診断のための固有の特徴を欠いている。したがって、FHVのDIVAワクチンのニーズがある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
上述した理由のために、新たなネコヘルペスウイルスワクチンのニーズがある。
【発明を実施するための形態】
【0005】
発明の詳細な説明
本発明の観点を説明する前に、本明細書及びその添付の特許請求の範囲において使用されているように、単数形の「1(a、an)」及び「該、前記(the)」は、文脈において特に明確に示されていない限り、複数形を含むことを留意すべきである。したがって、例えば、「抗原」への言及は、複数の抗原を含み、「ウイルス」への言及は、1種以上のウイルス、及び当業者に知られているウイルスの同等物等を指す。特に定義されていない限り、本明細書に使用されているすべての技術用語及び科学用語は、本発明の属する分野の当業者に一般的に理解されている意味と同じ意味を有する。本発明の実施又は試験には、本明細書に記載の方法及び材料と同様又は同等の、あらゆる方法及び材料を使用することができるが、ここでは、好ましい方法、装置及び材料について説明する。本明細書において言及されているすべての刊行物は、本発明との関連で使用することができる、前記刊行物中に報告されている細胞株、ベクター及び方法について説明及び開示する目的で、参照により本明細書に含まれる。本明細書におけるいかなる内容も、本発明が、先行発明によるこのような開示に先行する権利を有しないことを認めるものとして解釈されるべきではない。
【0006】
本発明は、先行技術に内在する課題を解決し、技術水準における明らかな進歩を提供する。一般的に、本発明は、ORF70(US4)及び/又はORF1/3に挿入された、ネコヘルペスウイルス(FHV)抗原コード配列を含むEHV(ウマヘルペスウイルス)を提供する。
また、本発明は、ORF70(US4)に挿入された単一のネコヘルペスウイルス(FHV)抗原コード配列、及び/又はORF1/3に挿入された単一のネコヘルペスウイルス(FHV)抗原コード配列を含むEHV(ウマヘルペスウイルス)を提供する。
さらに、本発明は、1400個以下のアミノ酸をコードする、ネコヘルペスウイルス(FHV)抗原コード配列を含むEHV(ウマヘルペスウイルス)であって、前記FHV抗原コード配列が、ORF70(US4)及び/又はORF1/3に挿入された、前記EHVを提供する。
【0007】
有利なことには、本発明により提供される実験データは、ネコヘルペスウイルス(FHV)抗原を、ORF70(US4)及び/又はORF1/3挿入部位を使用してEHVに挿入すると、該抗原がうまく発現されることを開示している。したがって、ORF70(US4)及び/又はORF1/3挿入部位を使用する場合のEHVは、FHV抗原を発現することに適している。
【0008】
「EHV」という用語は、ウマヘルペスウイルス又はウマの病原体であるウマアルファヘルペスウイルス(Equid Alphaherpesvirus、Equine abortion virus)を意味し、ヘルペスウイルス目のヘルペスウイルス科のアルファヘルペスウイルス亜科のバリセロウイルス属に属する。
「ORF70」又は「US4」という用語は、当業者によく知られており、国際公開2018/054837号公報などの先行技術に既に記載されている、EHV内の挿入部位を定義する。ORF70への挿入は、DNA断片が、ウマヘルペスウイルス1型のオープンリーディングフレーム70をコードする位置で、ゲノムDNAに挿入し、orf70遺伝子産物である糖タンパク質Gの発現を停止させたことを意味する。しかしながら、好ましくは、ORF71は、機能を残しているか、又はインタクトである。
「ORF1/3」という用語は、当業者によく知られており、国際公開2018/054837号公報又はSaid et al. 2013 (Virus Research 173: 371-376)などの先行技術に既に記載されている、EHV内の別の挿入部位を定義する。この挿入部位を使用すると、ORF1/ORF2に影響を与え、したがって、この挿入部位は、ORF1/ORF2挿入部位とも称される。最初は、この挿入部位は偶然に同定された。この挿入部位は、ワクチン株EHV-1 RacHの弱毒化処置中の継代による偶発的な欠失によって、90%のORF1及び全ORF2を含む1283bpの断片が失われたことから見出された。
【0009】
一般的に、「オープンリーディングフレーム」又は「ORF」は、翻訳開始シグナル又は開始コドン(例えば、ATG又はAUG)と終止コドンとを含み、ポリペプチド配列に翻訳される可能性がある、ある長さの核酸配列(DNA又はRNA)を指す。
本明細書において使用される「抗原」は、宿主において、抗原若しくはその免疫学的な活性成分を含有する、目的の免疫学的組成物又はワクチンに対して免疫学的応答を誘発する成分を指すが、これらに限定されない。「抗原」という用語は、全長タンパク質、及びその、1つ以上のエピトープを含むか、又はからなるペプチド断片を包含する。また、「抗原コード配列」という用語は、抗原をコードする配列に関する。好ましくは、抗原コード配列は、cDNA配列又はDNA配列などの核酸配列である。しかしながら、「核酸配列」という用語は、本明細書の別の箇所に定義されている。
「ネコヘルペスウイルス」又は「FHV」という用語は、当業者によく知られている。FHVは、ネコにおけるネコ科動物ウイルス性鼻気管炎の病原体であり、上気道感染症を引き起こす。FHVは、ヘルペスウイルス科のアルファヘルペスウイルス亜科に属する。いくつかのFHVの全ゲノムは既に配列決定された(例えば、野生型株C-27、その配列が公衆に利用可能である(ACCN:FJ478159))。好ましくは、FHVは、FHV-1である。
【0010】
挿入部位
本発明のEHVのある特定の観点において、ネコヘルペスウイルス(FHV)抗原コード配列は、ORF70(US4)に挿入される。
本発明のEHVの別の特定の観点において、ネコヘルペスウイルス(FHV)抗原コード配列は、ORF1/3に挿入される。
本発明のEHVの別の特定の観点において、ネコヘルペスウイルス(FHV)抗原コード配列は、ORF70(US4)及びORF1/3に挿入される。
ネコヘルペスウイルス(FHV)抗原の長さ
本発明のEHVの別の特定の観点において、FHV抗原コード配列は、1400個以下のアミノ酸をコードする。
有利なことには、本発明により提供される実験データは、ネコヘルペスウイルス(FHV)抗原を、ORF70(US4)及び/又はORF1/3挿入部位を使用してEHVに挿入すると、該抗原がうまく発現されることを開示している。
本発明のEHVの別の特定の観点において、FHV抗原コード配列は、1200個以下のアミノ酸をコードする。
本発明のEHVの別の特定の観点において、FHV抗原コード配列は、1000個以下のアミノ酸をコードする。
本発明のEHVの別の特定の観点において、FHV抗原コード配列は、200~1200個のアミノ酸をコードする。
本発明のEHVの別の特定の観点において、FHV抗原コード配列は、200~1000個のアミノ酸をコードする。
【0011】
「タンパク質」、「アミノ酸」及び「ポリペプチド」という用語は、交換可能に使用される。「タンパク質」という用語は、天然に存在するアミノ酸及びその誘導体からなるアミノ酸の配列を指す。天然に存在するアミノ酸は、この分野においてよく知られており、生化学の標準教科書に記載されている。アミノ酸配列内で、アミノ酸は、ペプチド結合によってつながっている。また、アミノ酸配列の両端は、カルボキシル末端(C末端)及びアミノ末端(N末端)と称される。「タンパク質」という用語は、本質的に精製されたタンパク質又は他のタンパク質を更に含むタンパク質製剤を包含する。また、この用語は、タンパク質断片にも関する。さらに、この用語は、化学修飾されたタンパク質を含む。このような修飾は、人為的な修飾であってもよく、天然に起こる修飾(例えば、リン酸化、グリコシル化、ミリスチル化など)であってもよい。
本発明のEHVの別の特定の観点において、FHV抗原コード配列は、4200個以下の核酸を含む。
本発明のEHVの別の特定の観点において、FHV抗原コード配列は、3600個以下の核酸を含む。
本発明のEHVの別の特定の観点において、FHV抗原コード配列は、3000個以下の核酸を含む。
本発明のEHVの別の特定の観点において、FHV抗原コード配列は、600~3600個の核酸をコードする。
本発明のEHVの別の特定の観点において、FHV抗原コード配列は、600~3000個の核酸をコードする。
【0012】
「核酸」、又は「核酸配列」、又は「ヌクレオチド配列」という用語は、DNA分子、RNA分子、cDNA分子又はこれらの誘導体を含むポリヌクレオチドを指す。この用語は、一本鎖ポリヌクレオチド及び二本鎖ポリヌクレオチドを包含する。本発明の核酸は、単離されたポリヌクレオチド(すなわち、その自然な状態からの単離)及び遺伝子改変された形態を包含する。さらに、化学修飾されたポリヌクレオチドも含まれ、グリコシル化若しくはメチル化ポリヌクレオチドなどの天然に存在する修飾ポリヌクレオチド、又はビオチン化ポリヌクレオチドなどの人為的に修飾されたポリヌクレオチドが挙げられる。また、「核酸」及び「ポリヌクレオチド」という用語は、交換可能であり、任意の核酸を指す。「核酸」及び「ポリヌクレオチド」という用語はまた、5種の生物学的に存在する塩基(アデニン、グアニン、チミン、シトシン及びウラシル)以外の塩基からなる核酸を特に含む。
【0013】
抗原、並びにgD、gB及びgCの定義
本発明のEHVの別の特定の観点において、FHV抗原コード配列は、1つの、FHV抗原コード配列である。
本発明のEHVの別の特定の観点において、FHV抗原コード配列は、単一のFHV抗原コード配列である。
本発明のEHVの別の特定の観点において、FHV抗原コード配列は、2つ以上のFHV抗原コード配列ではない。
有利なことには、本発明により提供される実験データは、ネコヘルペスウイルス(FHV)抗原を、ORF70(US4)及び/又はORF1/3挿入部位を使用してEHVに挿入すると、該抗原がうまく発現されることを開示している。これは、ORF1/3部位に挿入されたF2Aを挟んだgDとgBに比べて、挿入部位当たり1つのFHV抗原のみが挿入された場合、発現がより優れていることを示している(実施例6、表5、7及び8に示されている)。
好ましくは、FHV抗原は、糖タンパク質である。ヘルペスウイルス抗原は、ネコヘルペスウイルス由来の糖タンパク質B(gB)、糖タンパク質C(gC)又は糖タンパク質D(gD)抗原であってもよい。
本発明のEHVの別の特定の観点において、FHV抗原コード配列は、糖タンパク質コード配列又はその断片である。
本発明のEHVの別の特定の観点において、FHV抗原コード配列は、FHV gD(糖タンパク質D)コード配列若しくはその断片、及び/又はFHV gB(糖タンパク質B)コード配列若しくはその断片、及び/又はFHV gC(糖タンパク質C)コード配列若しくはその断片である。
【0014】
ヘルペスウイルス糖タンパク質D(gD)は、FHV-1(ネコヘルペスウイルス-1)の進入にとって不可欠であり、宿主細胞との相互作用(受容体への結合)に関与している。gDタンパク質は、ネコ科動物の赤血球細胞に対する赤血球凝集活性を有する。ヘルペスウイルス糖タンパク質B(gB)は、FHVの進入にとって不可欠であり、融合プロセスに関与している。両糖タンパク質は、中和抗体を誘導することができる。ヘルペスウイルス糖タンパク質C(gC)は、ヘパリン硫酸との相互作用による細胞へのウイルス付着に関与している。糖タンパク質gCも、中和抗体を誘導することができる。
本発明のEHVの別の特定の観点において、前記FHV抗原コード配列は、FHV gDコード配列又はその断片である。
本発明のEHVの別の特定の観点において、前記FHV抗原コード配列は、FHV gBコード配列又はその断片である。
本発明のEHVの別の特定の観点において、前記FHV抗原コード配列は、FHV gCコード配列又はその断片である。
【0015】
糖タンパク質の断片
本発明のEHVの別の特定の観点において、糖タンパク質コード配列の前記断片は、少なくとも100個、少なくとも150個、少なくとも200個、少なくとも300個、少なくとも350個、少なくとも400個、少なくとも500個、少なくとも600個、少なくとも700個、又は少なくとも800個のアミノ酸をコードする。
本発明のEHVの別の特定の観点において、糖タンパク質コード配列の前記断片は、少なくとも300個、少なくとも450個、少なくとも600個、少なくとも900個、少なくとも1050個、少なくとも1200個、少なくとも1500個、少なくとも1800個、少なくとも2100個、又は少なくとも2400個の核酸を含む。
本発明のEHVの別の特定の観点において、糖タンパク質コード配列の前記断片は、少なくとも100個、少なくとも200個、少なくとも300個、又は少なくとも350個のアミノ酸をコードする。
本発明のEHVの別の特定の観点において、糖タンパク質コード配列の前記断片は、少なくとも300個、少なくとも600個、少なくとも900個、又は少なくとも1050個の核酸を含む。
本発明のEHVの別の特定の観点において、FHV gDコード配列の前記断片は、少なくとも100個、少なくとも200個、少なくとも250個、少なくとも300個、又は少なくとも350個のアミノ酸をコードする。
本発明のEHVの別の特定の観点において、FHV gDコード配列の前記断片は、少なくとも300個、600個、750個、900個、又は1050個の核酸を含む。
本発明のEHVの別の特定の観点において、FHV gBコード配列の前記断片は、少なくとも100個、少なくとも150個、少なくとも200個、少なくとも300個、少なくとも400個、少なくとも500個、少なくとも600個、少なくとも700個、又は少なくとも800個のアミノ酸をコードする。
本発明のEHVの別の特定の観点において、FHV gBコード配列の前記断片は、少なくとも300個、少なくとも450個、少なくとも600個、少なくとも900個、少なくとも1200個、少なくとも1500個、少なくとも1800個、少なくとも2100個、又は少なくとも2400個の核酸を含む。
本発明のEHVの別の特定の観点において、FHV gCコード配列の前記断片は、少なくとも100個、少なくとも150個、少なくとも200個、少なくとも300個、少なくとも400個、又は少なくとも500個のアミノ酸をコードする。
本発明のEHVの別の特定の観点において、FHV gCコード配列の前記断片は、少なくとも300個、少なくとも450個、少なくとも600個、少なくとも900個、少なくとも1200個、又は少なくとも1500個の核酸を含む。
【0016】
配列によるgB、gC及びgDの定義
本発明のEHVの別の特定の観点において、前記FHV抗原コード配列は、野生型ネコヘルペスウイルス株C-27(ACCN:FJ478159)に基づく、FHV gDコード配列、及び/又はFHV gBコード配列、及び/又はFHV gCコード配列である。
本発明のEHVの別の特定の観点において、前記FHV抗原コード配列は、FHV gDコード配列であり、前記FHV gDコード配列は、AAB30980.1に示されるアミノ酸配列、又は前記アミノ酸配列と少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも93%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、少なくとも99.6%、少なくとも99.7%、少なくとも99.8%、少なくとも99.9%、少なくとも99.95%、少なくとも99.98%若しくは少なくとも99.99%の配列同一性を有する配列、又は少なくとも100個、少なくとも200個、少なくとも300個若しくは少なくとも350個の連続アミノ酸を有する前記アミノ酸配列の断片、をコードする核酸配列からなるか、或いは含む。
【0017】
「同一性」又は「配列同一性」という用語は、この分野において知られており、2つ以上のポリペプチド配列又は2つ以上のポリヌクレオチド配列、すなわち、参照配列と、該参照配列と比較される所定の配列との間の関係を指す。配列同一性は、配列の鎖(strings)間の一致によって決定される、最高の配列類似性を生じるように配列のアラインメントを最適に行った後に、所定の配列を参照配列と比較することによって決定される。このようなアラインメントによって、配列同一性は位置ごとに確認され、例えば、ある位置でのヌクレオチド又はアミノ酸残基が同一である場合、配列は、その特定の位置で「同一」である。次に、このような位置同一性の総数を、参照配列のヌクレオチド又は残基の総数で割り、配列同一性の%を与える。配列同一性は、既知の方法で容易に算出することができる。既知の方法として、Computational Molecular Biology, Lesk, A. N., ed., Oxford University Press, New York (1988)、Biocomputing: Informatics and Genome Projects, Smith, D.W., ed., Academic Press, New York (1993)、Computer Analysis of Sequence Data, Part I, Griffin, A.M., and Griffin, H. G., eds., Humana Press, New Jersey (1994)、Sequence Analysis in Molecular Biology, von Heinge, G., Academic Press (1987)、Sequence Analysis Primer, Gribskov, M. and Devereux, J., eds., M. Stockton Press, New York (1991)、及びCarillo, H., and Lipman, D., SIAM J. Applied Math., 48: 1073 (1988)に記載のものが挙げられるが、これらに限定されない。これらの教示は、参照として本明細書に含まれる。配列同一性を決定する好ましい方法は、試験した配列間の最大の一致を与えるように設計されている。配列同一性を決定する方法は、所定の配列間の配列同一性を決定する、公衆に利用可能なコンピュータープログラムに体系化されている(codified)。このようなプログラムの例として、GCGプログラムパッケージ(Devereux, J., et al., Nucleic Acids Research, 12(1):387 (1984))、BLASTP、BLASTN及びFASTA(Altschul, S. F. et al., J. Molec. Biol., 215:403-410 (1990))が挙げられるが、これらに限定されない。BLASTXプログラムは、NCBI及び他の供給元から公衆に利用可能である(BLAST Manual, Altschul, S. et al., NCVI NLM NIH Bethesda, MD 20894, Altschul, S. F. et al., J. Molec. Biol., 215:403-410 (1990)、これらの教示は、参照として本明細書に含まれる)。これらのプログラムは、所定の配列と参照配列との間に最高レベルの配列同一性をもたらすように、デフォルトのギャップ重みを使用して配列を最適にアラインメントする。例として、参照ヌクレオチド配列と少なくとも、例えば85%、好ましくは90%、さらにより好ましくは95%の「配列同一性」を有するヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチドによる場合、所定のポリヌクレオチド配列が、参照ヌクレオチド配列の各100ヌクレオチド当たり15個まで、好ましくは10個まで、さらにより好ましくは5個までの点変異を含み得ることを除いて、該所定のポリヌクレオチドのヌクレオチド配列が参照配列と同一であることを意図している。言い換えれば、参照ヌクレオチド配列に対して少なくとも85%、好ましくは90%、さらにより好ましくは95%の同一性を有するヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチドでは、参照配列のヌクレオチドの15%まで、好ましくは10%まで、さらにより好ましくは5%までが、欠失若しくは別のヌクレオチドで置換され得るか、又は参照配列の総ヌクレオチドの15%まで、好ましくは10%まで、さらにより好ましくは5%までのヌクレオチド数が、参照配列に挿入されていてもよい。参照配列のこれらの変異は、参照ヌクレオチド配列の5’若しくは3’末端位置、又は両末端位置の間の任意の位置で起こることができ、参照配列内のヌクレオチド間に個別に散在するか、又は参照配列内の1つ以上の隣接基(contiguous group)に散在する。同様に、参照アミノ酸配列と少なくとも、例えば85%、好ましくは90%、さらにより好ましくは95%配列同一性を有する所定のアミノ酸配列を有するポリペプチドによる場合、所定のポリペプチド配列が、参照アミノ酸配列の各100アミノ酸当たり15個まで、好ましくは10個まで、さらにより好ましくは5個までのアミノ酸変化を含み得ることを除いて、ポリペプチドの所定のアミノ酸配列が参照配列と同一であることを意図している。言い換えれば、参照アミノ酸配列と少なくとも85%、好ましくは90%、さらにより好ましくは95%の配列同一性を有する所定のポリペプチド配列を得るために、参照配列のアミノ酸残基の15%まで、好ましくは10%まで、さらにより好ましくは5%までが、欠失若しくは別のアミノ酸で置換され得るか、又は参照配列のアミノ酸残基の総数の15%まで、好ましくは10%まで、さらにより好ましくは5%までのアミノ酸数が、参照配列に挿入されていてもよい。参照配列のこれらの変化は、参照アミノ酸配列のアミノ若しくはカルボキシ末端位置、又は両末端位置の間の任意の位置で起こることができ、参照配列内の残基の間に個別に散在するか、又は参照配列内の1つ以上の隣接基に散在する。好ましくは、同一でない残基の位置は、保存的なアミノ酸置換によって異なる。しかしながら、配列同一性を決定するとき、保存的な置換は、一致として含まれない。
【0018】
本明細書において、「同一性」、「配列同一性」及び「同一性の%」という用語は、交換可能に使用される。本発明の目的のために、ここで、2つのアミノ酸配列又は2つの核酸配列の同一性の%を決定するために、配列を、最適な比較目的のためにアラインメントすることが定義されている(例えば、第2のアミノ酸配列又は核酸配列との最適なアラインメントのために、ギャップを第1のアミノ酸配列又は核酸配列に導入することができる)。次に、対応するアミノ酸又はヌクレオチド位置でのアミノ酸残基又はヌクレオチド残基を比較する。第1の配列のある位置が、第2の配列の対応する位置と同じアミノ酸残基又はヌクレオチド残基で占められている場合、分子は、その位置で同一である。両配列間の同一性の%は、配列が共有している同一の位置の数の関数である(すなわち、同一性の%=同一の位置の数/位置の総数(すなわち、重なっている位置)×100)。好ましくは、両配列の長さが同じである。
【0019】
配列比較は、比較される両配列の全長にわたって、又は両配列の断片にわたって行うことができる。典型的には、比較は、比較される両配列の全長にわたって行われるであろう。しかしながら、配列同一性は、例えば、20、50、100又はそれ以上の隣接するアミノ酸残基の領域にわたって行うことができる。
当業者は、2つの配列間の相同性を決定するために、異なるコンピュータープログラムを利用できるという事実を認識しているであろう。例えば、2つの配列間の配列比較及び同一性の%の決定は、数学的アルゴリズムを用いて達成することができる。好ましい実施形態において、2つのアミノ酸又は核酸配列間の同一性の%は、Accelrys GCGソフトウェアパッケージ(http://www.accelrys.com/products/gcg/で入手可能)のGAPプログラムに組み込まれている、Needleman及びWunsch(J. Mol. Biol. (48): 444-453 (1970))によるアルゴリズムを用いて、Blosum62マトリックス又はPAM250マトリックスのいずれか、並びに16、14、12、10、8、6又は4のギャップ重み、及び1、2、3、4、5又は6の長さ重みを使用して決定される。当業者は、これらすべての異なるパラメーターが、わずかに異なる結果をもたらすものの、異なるアルゴリズムを使用する場合、2つの配列の全体的な同一性%が、著しく変化しないことを理解するであろう。
【0020】
本発明のタンパク質配列又は核酸配列は、公共データベースに対して検索を行うための「問い合わせ(query)配列」として更に使用することができる(例えば、他のファミリーメンバー又は関連配列を同定するための検索)。このような検索は、Altschul, et al. (1990) J. Mol. Biol. 215:403-10のBLASTN及びBLASTPプログラム(バージョン2.0)を使用して、行うことができる。BLASTタンパク質検索は、BLASTPプログラム(スコア=50、ワード長=3)で行われ、本発明のタンパク質分子と相同のアミノ酸配列を得ることができる。比較目的ためのギャップ付きアラインメントを得るために、Altschul et al. (1997) Nucleic Acids Res. 25(17): 3389-3402に記載されているように、ギャップ付きBLASTを利用することができる。BLAST及びギャップ付きBLASTプログラムを利用するとき、それぞれのプログラム(例えば、BLASTP及びBLASTN)のデフォルトパラメーターを使用することができる。アメリカ国立生物工学情報センター(National Center for Biotechnology Information)のホームページhttp://www.ncbi.nlm.nih.gov/を参照されたい。
本明細書において使用する場合、「配列番号:Xの配列と同一」という用語は、「配列番号:Xの長さにわたって配列番号:Xの配列と同一」という用語、又は「配列番号:Xの全長にわたって配列番号:Xの配列と同一」という用語のいずれかに等しいことを特に理解されたい。この文脈において、「X」は、1~24から選ばれる任意の整数であり、「配列番号:X」は、本明細書に言及されている配列番号のいずれかを表す。
【0021】
本発明のEHVの別の特定の観点において、前記FHV抗原コード配列は、FHV gBコード配列であり、前記FHV gBコード配列は、AAB28559.3に示されるアミノ酸配列、又は前記アミノ酸配列と少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも93%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、少なくとも99.6%、少なくとも99.7%、少なくとも99.8%、少なくとも99.9%、少なくとも99.95%、少なくとも99.98%若しくは少なくとも99.99%の配列同一性を有する配列、又は少なくとも100個、少なくとも150個、少なくとも200個、少なくとも300個、少なくとも400個、少なくとも500個、少なくとも600個、少なくとも700個若しくは少なくとも800個の連続アミノ酸を有する前記アミノ酸配列の断片、をコードする核酸配列からなるか、或いは含む。
本発明のEHVの別の特定の観点において、FHV抗原コード配列は、糖タンパク質コード配列であり、前記糖タンパク質コード配列は、配列番号:1、配列番号:2、若しくは配列番号:3で示されるアミノ酸配列、又は前記アミノ酸配列と少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも93%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、少なくとも99.6%、少なくとも99.7%、少なくとも99.8%、少なくとも99.9%、少なくとも99.95%、少なくとも99.98%若しくは少なくとも99.99%の配列同一性を有する配列、又は少なくとも100個、少なくとも200個、少なくとも300個若しくは少なくとも350個の連続アミノ酸を有する前記アミノ酸配列の断片、をコードする核酸配列からなるか、或いは含む。
本発明のEHVの別の特定の観点において、FHV抗原コード配列は、gD、gB又はgCコード配列であり、前記gD、gB又はgCコード配列は、配列番号:1、配列番号:2、若しくは配列番号:3で示されるアミノ酸配列、又は前記アミノ酸配列と少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも93%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、少なくとも99.6%、少なくとも99.7%、少なくとも99.8%、少なくとも99.9%、少なくとも99.95%、少なくとも99.98%若しくは少なくとも99.99%の配列同一性を有する配列、又は少なくとも100個、少なくとも200個、少なくとも300個若しくは少なくとも350個の連続アミノ酸を有する前記アミノ酸配列の断片、をコードする核酸配列からなるか、或いは含む。
【0022】
本発明のEHVの別の特定の観点において、FHV抗原コード配列は、配列番号:4、配列番号:5、配列番号:6、配列番号:7、配列番号:8、若しくは配列番号:9で示される核酸配列、又は前記核酸配列と少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも93%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、少なくとも99.6%、少なくとも99.7%、少なくとも99.8%、少なくとも99.9%、少なくとも99.95%、少なくとも99.98%若しくは少なくとも99.99%の配列同一性を有する配列、又は少なくとも300個、少なくとも600個、少なくとも900個若しくは少なくとも1050個の連続核酸を有する前記核酸配列の断片からなるか、或いは含む糖タンパク質である。
本発明のEHVの別の特定の観点において、FHV抗原コード配列は、配列番号:4、配列番号:5、配列番号:6、配列番号:7、配列番号:8、若しくは配列番号:9で示される核酸配列、又は前記核酸配列と少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも93%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、少なくとも99.6%、少なくとも99.7%、少なくとも99.8%、少なくとも99.9%、少なくとも99.95%、少なくとも99.98%若しくは少なくとも99.99%の配列同一性を有する配列、又は少なくとも300個、少なくとも600個、少なくとも900個若しくは少なくとも1050個の連続核酸を有する前記核酸配列の断片からなるか、或いは含むgD、gB又はgCである。
【0023】
本発明のEHVの別の特定の観点において、前記gDコード配列は、配列番号:1で示されるアミノ酸配列、又は前記アミノ酸配列と少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも93%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、少なくとも99.6%、少なくとも99.7%、少なくとも99.8%、少なくとも99.9%、少なくとも99.95%、少なくとも99.98%若しくは少なくとも99.99%の配列同一性を有する配列、又は少なくとも100個、少なくとも200個、少なくとも300個若しくは少なくとも350個の連続アミノ酸を有する前記アミノ酸配列の断片、をコードする核酸配列からなるか、或いは含む。
本発明のEHVの別の特定の観点において、前記gDコード配列は、配列番号:1で示されるアミノ酸配列、又は前記アミノ酸配列と少なくとも90%、少なくとも93%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、少なくとも99.6%、少なくとも99.7%、少なくとも99.8%、少なくとも99.9%、少なくとも99.95%、少なくとも99.98%若しくは少なくとも99.99%の配列同一性を有する配列、をコードする核酸配列からなるか、或いは含む。
【0024】
本発明のEHVの別の特定の観点において、前記gBコード配列は、配列番号:2で示されるアミノ酸配列、又は前記アミノ酸配列と少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも93%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、99.5%、少なくとも99.6%、少なくとも99.7%、少なくとも99.8%、少なくとも99.9%、少なくとも99.95%、少なくとも99.98%若しくは少なくとも99.99%の配列同一性を有する配列、又は少なくとも100個、少なくとも150個、少なくとも200個、少なくとも300個、少なくとも400個、少なくとも500個、少なくとも600個、少なくとも700個若しくは少なくとも800個の連続アミノ酸を有する前記アミノ酸配列の断片、をコードする核酸配列からなるか、或いは含む。
本発明のEHVの別の特定の観点において、前記gBコード配列は、配列番号:2で示されるアミノ酸配列、又は前記アミノ酸配列と少なくとも90%、少なくとも93%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、少なくとも99.6%、少なくとも99.7%、少なくとも99.8%、少なくとも99.9%、少なくとも99.95%、少なくとも99.98%若しくは少なくとも99.99%の配列同一性を有する配列、をコードする核酸配列からなるか、或いは含む。
【0025】
本発明のEHVの別の特定の観点において、前記gCコード配列は、配列番号:3で示されるアミノ酸配列、又は前記アミノ酸配列と少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも93%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、少なくとも99.6%、少なくとも99.7%、少なくとも99.8%、少なくとも99.9%、少なくとも99.95%、少なくとも99.98%若しくは少なくとも99.99%の配列同一性を有する配列、又は少なくとも100個、少なくとも150個、少なくとも200個、少なくとも300個、少なくとも400個若しくは少なくとも500個の連続アミノ酸を有する前記アミノ酸配列の断片、をコードする核酸配列からなるか、或いは含む。
本発明のEHVの別の特定の観点において、前記gCコード配列は、配列番号:3で示されるアミノ酸配列、又は前記アミノ酸配列と少なくとも90%、少なくとも93%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、少なくとも99.6%、少なくとも99.7%、少なくとも99.8%、少なくとも99.9%、少なくとも99.95%、少なくとも99.98%若しくは少なくとも99.99%の配列同一性を有する配列、をコードする核酸配列からなるか、或いは含む。
【0026】
本発明のEHVの別の特定の観点において、前記gDコード配列は、配列番号:4、若しくは配列番号:5で示される核酸配列、又は前記核酸配列と少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも93%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、少なくとも99.6%、少なくとも99.7%、少なくとも99.8%、少なくとも99.9%、少なくとも99.95%、少なくとも99.98%若しくは少なくとも99.99%の配列同一性を有する配列、又は少なくとも300個、少なくとも600個、少なくとも900個若しくは少なくとも1050個の連続核酸を有する前記核酸配列の断片からなるか、或いは含む。
本発明のEHVの別の特定の観点において、前記gDコード配列は、配列番号:4、若しくは配列番号:5で示される核酸配列、又は前記核酸配列と少なくとも90%、少なくとも93%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、少なくとも99.6%、少なくとも99.7%、少なくとも99.8%、少なくとも99.9%、少なくとも99.95%、少なくとも99.98%若しくは少なくとも99.99%の配列同一性を有する配列からなるか、或いは含む。
【0027】
本発明のEHVの別の特定の観点において、前記gBコード配列は、配列番号:6、若しくは配列番号:7で示される核酸配列、又は前記核酸配列と少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも93%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、少なくとも99.6%、少なくとも99.7%、少なくとも99.8%、少なくとも99.9%、少なくとも99.95%、少なくとも99.98%若しくは少なくとも99.99%の配列同一性を有する配列、又は少なくとも300個、少なくとも450個、少なくとも600個、少なくとも900個、少なくとも1200個、少なくとも1500個、少なくとも1800個、少なくとも2100若しくは少なくとも2400個の連続核酸を有する前記核酸配列の断片からなるか、或いは含む。
本発明のEHVの別の特定の観点において、前記gBコード配列は、配列番号:6、若しくは配列番号:7で示される核酸配列、又は前記核酸配列と少なくとも90%、少なくとも93%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、少なくとも99.6%、少なくとも99.7%、少なくとも99.8%、少なくとも99.9%、少なくとも99.95%、少なくとも99.98%若しくは少なくとも99.99%の配列同一性を有する配列からなるか、或いは含む。
【0028】
本発明のEHVの別の特定の観点において、前記gCコード配列は、配列番号:8、若しくは配列番号:9で示される核酸配列、又は前記核酸配列と少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも93%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、少なくとも99.6%、少なくとも99.7%、少なくとも99.8%、少なくとも99.9%、少なくとも99.95%、少なくとも99.98%若しくは少なくとも99.99%の配列同一性を有する配列、又は少なくとも300個、少なくとも450個、少なくとも600個、少なくとも900個、少なくとも1200個若しくは少なくとも1500個の連続核酸を有する前記核酸配列の断片からなるか、或いは含む。
本発明のEHVの別の特定の観点において、前記gCコード配列は、配列番号:8、若しくは配列番号:9で示される核酸配列、又は前記核酸配列と少なくとも90%、少なくとも93%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、少なくとも99.6%、少なくとも99.7%、少なくとも99.8%、少なくとも99.9%、少なくとも99.95%、少なくとも99.98%若しくは少なくとも99.99%の配列同一性を有する配列からなるか、或いは含む。
【0029】
EHV
本発明のEHVの別の特定の観点において、EHVは、ベクターである。
本発明のEHVの別の特定の観点において、EHVは、EHVベクターである。
本発明のEHVの別の特定の観点において、EHVは、弱毒化されている。
「弱毒化(されている、された)(attenuated)」という用語は、単離された野生型と比べて、病原性が低下した病原体を指す。本発明において、「弱毒化」は、「非病原性」と同義である。本発明において、弱毒化ウイルスは、感染症の臨床徴候を引き起こさないが、標的動物内の免疫応答を誘導することができるように、病原性が低減されたものである。しかしながら、弱毒化ウイルスは、弱毒化されていないウイルス又は病原体に感染し、かつ前記弱毒化ウイルスを受けていない動物の「対照群」と比較して、弱毒化ウイルス、特にEHV-1 RacHウイルスベクターに感染した動物における臨床徴候の発生率又は重症度が低下することを意味することもある。この文脈において、「軽減(する、した)、低下(する、した)、減少(する、した)(reduce/reduced)」という用語は、上記で定義した対照群と比較して、少なくとも10%、好ましくは25%、さらにより好ましくは50%、なおさらより好ましくは60%、さらにより好ましくは70%、なおさらより好ましくは80%、さらにより好ましくは90%、最も好ましくは100%の低下を意味する。
【0030】
本発明のEHVの別の特定の観点において、EHVは、遺伝子操作されている。
「遺伝子操作(されている、された)」という用語は、「逆遺伝学」アプローチを使用することにより変異されたEHVを指す。好ましくは、本発明のEHVは、遺伝子操作されている。しかしながら、「逆遺伝学」技術は、当業者によく知られている。
本発明のEHVの別の特定の観点において、EHVは、組換えされている。
本明細書において使用される「組換え(されている、された)(recombinant)」という用語は、対応するウイルスゲノム又は核酸配列において天然に存在しない任意の改変を有するウイルスゲノム又は核酸配列に関する。例えば、人為的に(例えば、人間の介入によって)導入された挿入、欠失、逆位、再配置又は点変異を含む場合、ウイルスゲノム又は核酸配列は、「組換えされている」と考えられる。したがって、前記ウイルスゲノム又は核酸配列は、自然界で関連するウイルスゲノム又は核酸配列の全部又は一部と関連していない。「組換えウイルス」という用語は、遺伝子改変されたウイルスを包含する。また、異種配列、又は外因性抗原コード配列などの外因性配列(例えば、ネコ科動物抗原コード配列)を含むウイルスは、組換えウイルスである。組換えウイルスという用語及び天然に存在しないウイルスという用語は、交換可能に使用される。
【0031】
本発明のEHVの別の特定の観点において、EHVは、EHV-1、EHV-3、EHV-4、EHV-8及びEHV-9からなる群より選ばれる。
今までに、ウマヘルペスウイルスの8つの異なる種が同定され、5つはアルファヘルペスウイルス亜科に属し(EHV-1、EHV-3、EHV-4、EHV-8及びEHV-9)、3つはガンマヘルペスウイルス亜科に属する。
本発明のEHVの別の特定の観点において、EHVは、EHV-1である。
「EHV-1」という用語は、当業者によく知られているが、EHV-1の非限定的な参照配列として、例えば、野生型EHV-1株ab4(Genbankアクセッション番号AY665713.1)、又はRacH(Hubert 1996. Journal of Veterinary Medicine, Series B, 43: 1-14.)が挙げられるであろう。
本発明のEHVの別の特定の観点において、EHVは、RacH又はRacH SEである。
EHV-1に対する2つの承認された改変された生ワクチン(MLV)は、現在、米国及び欧州のそれぞれにおいて利用可能である(Rhinomune○(商標、ベーリンガーインゲルハイム)及びPrevaccinol○(商標、MSD)。両ワクチンは、弱毒化のためにブタ上皮細胞で256回の継代を行った(Ma et al. 2013. Vet Microbiol. 167(1-2):123-34)、古典的に弱毒化されたEHV-1 RacH株を含む。弱毒化の機序は、分子レベルで調べられている。また、RacHは、非常に安全なワクチン株であり、なぜならワクチン接種動物での継代により、病原性復帰の可能性があるとしても非常に低いからである。
【0032】
ORF70挿入部位
本発明のEHVの別の特定の観点において、ORF70(US4)への挿入は、ORF70(US4)における部分欠失、トランケーション、置換又は改変により特徴付けられ、US5(ORF71)は機能を維持する。
好ましくは、挿入により、ORF70の5’の801塩基対の欠失をもたらし、3’末端の残りの423bpがインタクトであるが、orf70遺伝子産物である糖タンパク質Gの発現を停止させる。
本発明のEHVの別の特定の観点において、ORF70への挿入は、野生型EHV-1株ab4(Genbankアクセッション番号AY665713.1)のORF70内のおおよそ801bp欠失という欠失により特徴付けられ、それによって、野生型ab4のゲノム配列において欠失した部分は、ヌクレオチド127681と128482との間(配列番号:10)に位置するか、又は配列番号:10と少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%の配列同一性を有する配列である。
【0033】
本発明のEHVの別の特定の観点において、ORF70挿入部位は、野生型EHV-1株ab4(Genbankアクセッション番号AY665713.1)のORF70内の理論上の801bp欠失を包含する。欠失した部分は、野生型ab4(Genbankアクセッション番号AY665713.1)のゲノム配列のヌクレオチド127681と128482との間(配列番号:10)に位置する。
本発明のEHVの別の特定の観点において、ORF70(US4)への挿入は、RacHのORF70(US4)内のおおよそ801bp部分の欠失(配列番号:11)、又は配列番号:11と少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%の配列同一性を有する配列の欠失により特徴付けられる。
本発明のEHVの別の特定の観点において、EHVは、配列番号:12、配列番号:13、配列番号:14、配列番号:15、配列番号:16、及び配列番号:17からなる群より選ばれる少なくとも1つの隣接領域、並びに前記隣接領域と少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%の配列同一性を有する配列を含む。
【0034】
本発明において、「隣接領域」は、FHV抗原コード配列を含む発現カセットの、EHV-1ゲノムへの組換えを指示する。これらの隣接領域は、EHV-1に天然に存在する。隣接領域は、国際公開2018/054837号公報に既に記載されている。
本発明のEHVの別の特定の観点において、EHVは、(i)配列番号:12、配列番号:14、及び配列番号:16からなる群より選ばれる少なくとも1つのUS4左隣接領域と、(ii)配列番号:13、配列番号:15、及び配列番号:17からなる群より選ばれる少なくとも1つのUS4右隣接領域とを含む。
【0035】
プロモーター配列及び調節配列
本発明のEHVの別の特定の観点において、ネコヘルペスウイルス(FHV)抗原コード配列は、プロモーター配列に作動可能に連結されている。
本発明のEHVの別の特定の観点において、gDコード配列及び/又はgBコード配列は、プロモーター配列に作動可能に連結されている。
本明細書において使用する場合、「プロモーター」又は「プロモーター配列」という用語は、RNAポリメラーゼの結合を許し、遺伝子の転写を指示するヌクレオチド配列を意味する。典型的には、プロモーターは、遺伝子の転写開始部位に近い、遺伝子の5’非翻訳領域に位置する。転写の開始において機能するプロモーター内の配列エレメントは、多くの場合、コンセンサスヌクレオチド配列により特徴付けられる。プロモーターの例として、細菌、酵母、植物、ウイルス、及び哺乳動物(ウマ、ブタ、ウシ及びヒトが挙げられる)などの動物、鳥類又は昆虫に由来するプロモーターが挙げられるが、これらに限定されない。プロモーターは、誘導性、抑制性、及び/又は構成的であってもよい。誘導性プロモーターは、温度変化などの培養条件での何らかの変化に応じて、そのプロモーターの制御下で、DNAからの転写レベルの増加を開始する(Ptashne, 2014. The Journal of Biological Chemistry Vol. 289, 9, 5417-5435)。当業者によく知られているプロモーターの例として、例えば、SV40ラージT、HCMV及びMCMV前初期遺伝子1、ヒト伸長因子αプロモーター、バキュロウイルスのポリヘドリンプロモーターが挙げられる。
【0036】
本明細書において使用する場合、「作動可能に連結されている」という用語は、調節エレメントと核酸配列(例えば、遺伝子又は抗原コード配列)との間の繋がりを説明することに使用されている。典型的には、核酸配列は、1つ以上の調節エレメント(例えば、構成的又は誘導性プロモーター、組織特異性調節エレメント、及びエンハンサーが挙げられるが、これらに限定されない)の制御下に置かれる。核酸配列、遺伝子又はコーディング領域は、調節エレメントに「作動可能に連結されている」か、又は調節エレメントに「作動的に連結されている」か、又は調節エレメントに「作動可能的に関連している」と称され、遺伝子又はコーティング領域が調節エレメントによって制御又は影響されることを意味する。例えば、プロモーターがコーティング配列の転写又は発現に影響を与える場合、プロモーターは、コーティング配列に作動可能に連結されている。連結は、この技術分野において既知の組換え方法、例えば、適切な制限部位若しくは平滑末端でのライゲーションにより、又は融合PCR法(fusion PCR methodology)を使用することにより達成される。適切な制限部位が存在しない場合、合成オリゴヌクレオチドリンカー又はアダプターを、従来の慣行に従って使用することができる。
【0037】
本発明のEHVの別の特定の観点において、プロモーター配列は、以下からなる群より選ばれる:SV40ラージT、HCMV及びMCMV前初期遺伝子1、ヒト伸長因子αプロモーター、バキュロウイルスのポリヘドリンプロモーター、p430(配列番号:18)、又は配列番号:18と少なくとも90%、少なくとも93%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、少なくとも99.6%、少なくとも99.7%、少なくとも99.8%、少なくとも99.9%、少なくとも99.95%、少なくとも99.98%若しくは少なくとも99.99%の配列同一性を有する配列、又は配列番号:18の少なくとも350個の隣接ヌクレオチドの断片からなるか、或いは含むプロモーター、p455(配列番号:19)、又は配列番号:19と少なくとも90%、少なくとも93%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、少なくとも99.6%、少なくとも99.7%、少なくとも99.8%、少なくとも99.9%、99.95%、少なくとも99.98%若しくは少なくとも99.99%の配列同一性を有する配列、又は配列番号:19の少なくとも350個の隣接ヌクレオチドの断片からなるか、或いは含むプロモーター、及び切り詰めたFHV-1 gBプロモーター(配列番号:24)、又は配列番号:24と少なくとも90%、少なくとも93%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、少なくとも99.6%、少なくとも99.7%、少なくとも99.8%、少なくとも99.9%、少なくとも99.95%、少なくとも99.98%若しくは少なくとも99.99%の配列同一性を有する配列、又は配列番号:24の少なくとも300個の隣接ヌクレオチドの断片からなるか、或いは含むプロモーター。
【0038】
本発明のEHVの別の特定の観点において、プロモーター配列は、p430(配列番号:18)、又は配列番号:18と少なくとも95%の配列同一性を有する配列、又は配列番号:18の少なくとも400個の隣接ヌクレオチドの断片からなるか、或いは含むプロモーターである。
本発明のEHVの別の特定の観点において、プロモーター配列は、p455(配列番号:19)、又は配列番号:19と少なくとも95%の配列同一性を有する配列、又は配列番号:19の少なくとも400個の隣接ヌクレオチドの断片からなるか、或いは含むプロモーターである。
EHVの上述した内容のいずれにおいて、前記プロモーター配列は、切り詰めたFHV-1 gBプロモーター(配列番号:24)、又は配列番号:24と少なくとも95%の配列同一性を有する配列、又は配列番号:24の少なくとも350個の隣接ヌクレオチドの断片からなるか、或いは含むプロモーターである。
本発明のEHVの別の特定の観点において、EHVは、1種以上の更なる調節配列、例えば、終結シグナル、ポリアデニル化シグナル、又はIRESのような調節エレメントを含む。
【0039】
「終結シグナル」若しくは「ターミネーター」、又は「ポリアデニル化シグナル」若しくは「ポリA」、又は「転写終結部位」若しくは「転写終結エレメント」は、真核生物mRNAの3’末端の特定部位での切断、及び切断された3’末端への約100~200アデニンヌクレオチドの配列(ポリAテール)の転写後組み込みをもたらし、したがってRNAポリメラーゼに転写を終結させるシグナル配列である。ポリアデニル化シグナルは、切断部位の約10~30ヌクレオチド上流に配列AATAAA及び下流に位置する配列を含む。様々なポリアデニル化エレメントが知られており、例えば、tkポリA、SV40後期及び初期ポリA、BGHポリA(例えば、米国特許第5,122,458号に記載されている)、又はハムスター成長ホルモンポリA(国際公開第2010010107号公報)が挙げられる。
本発明のEHVの別の特定の観点において、EHVは、ポリアデニル化シグナルを含む。
本発明のEHVの別の特定の観点において、EHVは、ポリアデニル化シグナルBGHpAを含む。
【0040】
「配列内リボソーム進入部位」又は「IRES」は、IRESの5’側遺伝子に依存しない翻訳開始を機能的に促進し、細胞内の単一の転写物から2つのシストロン(オープンリーディングフレーム)に翻訳されることを可能にする配列を記載する。真核細胞の中に、転写物の2番目以降のオープンリーディングフレームに作動可能に連結されているIRESを有するポリシストロン性転写物は、その下流のオープンリーディングフレームの逐次翻訳を可能にし、同じ転写物によってコードされる2つ以上のポリペプチドを生成する。IRESは、長さが変動してもよく、様々な由来、例えば、脳心筋炎ウイルス(EMCV)、ピコルナウイルス(例えば、口蹄疫ウイルス、FMDV若しくはポリオウイルス(PV))、又はC型肝炎ウイルス(HCV)由来のものであってもよい。様々なIRES配列及びそれらのベクター構築での使用が説明されており、この技術分野においてよく知られている。
【0041】
本発明のEHVの別の特定の観点において、EHVは、IRESエレメントを含む。
本発明のEHVの別の特定の観点において、IRESエレメントを挟んだ2つのFHVコード配列は、1つの挿入部位に挿入される。
本発明のEHVの別の特定の観点において、IRES及びgBを有するFHV gDは、ORF1/3部位に挿入される。
本発明のEHVの別の特定の観点において、EHVは、F2Aペプチドなどの2Aペプチドを含まない。
「2a」又は「2aペプチド」という用語は、2a及び「2a様」と記載される短いオリゴペプチド配列を意味し、リボソームスキッピングと定義されるプロセスによるタンパク質間の、翻訳と同時に行う切断(co-translational cleavage)を媒介することができるリンカーとして機能する。このような2a及び「2a様」配列(ピコルナウイルス科及び他のウイルス、又は細胞性配列由来)は、複数の遺伝子配列を、単一の遺伝子に連結し(concatenate)、同じ細胞内のそれらの共発現を確実にするのに使用することができる。
【0042】
特定の構築物
本発明のEHVの別の特定の観点において、FHV gDコード配列又はその断片は、ORF1/3に挿入されており、FHV gBコード配列又はその断片は、ORF70に挿入されている。
本発明のEHVの別の特定の観点において、
i)FHV gDコード配列は、配列番号:1で示されるアミノ酸配列、又は前記アミノ酸配列と少なくとも90%、少なくとも93%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、少なくとも99.6%、少なくとも99.7%、少なくとも99.8%、少なくとも99.9%、少なくとも99.95%、少なくとも99.98%若しくは少なくとも99.99%の配列同一性を有する配列、又は少なくとも100個、少なくとも200個、少なくとも300個若しくは少なくとも350個の連続アミノ酸を有する前記アミノ酸配列の断片、をコードする核酸配列からなるか、或いは含み、ORF1/3に挿入されており、及び
ii)FHV gBコード配列は、配列番号:2で示されるアミノ酸配列、又は前記アミノ酸配列と少なくとも90%、少なくとも93%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、少なくとも99.6%、少なくとも99.7%、少なくとも99.8%、99.9%、少なくとも99.95%、少なくとも99.98%若しくは少なくとも99.99%の配列同一性を有する配列、又は少なくとも100個、少なくとも150個、少なくとも200個、少なくとも300個、少なくとも400個、少なくとも500個、少なくとも600個、少なくとも700個若しくは少なくとも800個の連続アミノ酸を有する前記アミノ酸配列の断片、をコードする核酸配列からなるか、或いは含み、ORF70に挿入されている。
【0043】
免疫原性組成物又はワクチン
本発明は、本明細書に記載のEHVを含む免疫原性組成物を提供する。
「免疫原性組成物」という用語は、少なくとも1種の抗原を含み、投与された免疫原性組成物に対して、宿主内の免疫学的応答を誘発する組成物を指す。このような免疫学的応答は、本発明の免疫原性組成物に対する細胞性免疫応答及び/又は抗体媒介性免疫応答であり得る。好ましくは、免疫原性組成物は、免疫応答を誘導し、より好ましくはFHV感染症の1種以上の臨床徴候に対する防御免疫を付与する。宿主はまた、「対象」と記載される。好ましくは、本明細書に記載又は言及される任意の宿主又は対象は、ネコ科動物又はネコである。
通常、「免疫学的応答」は、以下の1つ以上の作用が挙げられるが、これらに限定されない:本発明の免疫原性組成物に含まれる1種以上の抗原に対して特異的である、抗体、B細胞、ヘルパーT細胞、サプレッサーT細胞、及び/若しくは細胞傷害性T細胞、及び/若しくはガンマ・デルタT細胞の産生又は活性化。好ましくは、宿主は、防御的な免疫学的応答又は治療的な応答を示すであろう。
「防御的な(protective)免疫学的応答」又は「防御(protective)免疫」は、感染した宿主が通常示す臨床徴候の軽減若しくは欠如のどちらか、より速い回復期間、及び/又は感染した宿主の組織、体液若しくは排泄物内の病原体力価の減少又は感染力を有する期間の短縮によって示されるであろう。
【0044】
新たな感染に対する抵抗力が強化される、及び/又は疾患の臨床重症度が軽減されるような、宿主が防御的な免疫学的応答を表す場合において、免疫原性組成物は、「ワクチン」と説明される。
また、本発明は、本明細書に記載のEHVを含むワクチンを提供する。
さらに、本発明は、本明細書に記載のEHVを含むDIVAワクチンを提供する。
「DIVA(differentiation between infected and vaccinated animals(感染した動物とワクチン接種を受けた動物との間の区別))」という用語は、自然に感染した動物とワクチン接種を受けた動物とを区別するために使用できるワクチンを指す。
本発明の免疫原性組成物、ワクチン又はDIVAワクチンの別の特定の観点において、免疫原性組成物、ワクチン又はDIVAワクチンは、二価性である。
本発明の免疫原性組成物、ワクチン又はDIVAワクチンの別の特定の観点において、免疫原性組成物、ワクチン又はDIVAワクチンは、多価性である。
本発明の免疫原性組成物、ワクチン又はDIVAワクチンの別の特定の観点において、免疫原性組成物、ワクチン又はDIVAワクチンは、医薬上許容される担体を更に含む。
「医薬上許容される担体」という用語は、ありとあらゆる溶媒、分散媒、コーティング、安定化剤、希釈剤、保存剤、抗菌剤及び抗真菌剤、等張剤、吸着遅延剤、アジュバント、免疫賦活剤、並びにこれらの組み合わせを含む。
【0045】
「希釈剤」としては、水、生理食塩水、ブドウ糖(dextrose)、エタノール、グリセロール等を挙げることができる。等張剤としては、とりわけ塩化ナトリウム、ブドウ糖、マンニトール、ソルビトール、及びラクトースなどを挙げることができる。安定化剤としては、中でも、アルブミン、及びエチレンジアミン四酢酸のアルカリ塩が挙げられる。
本発明の免疫原性組成物、ワクチン又はDIVAワクチンの別の特定の観点において、前記医薬上許容される担体は、注射用水(aqua ad injectionem)、細胞培養培地又は再懸濁緩衝液である。
本発明の免疫原性組成物、ワクチン又はDIVAワクチンの別の特定の観点において、前記再懸濁緩衝液は、生理的な溶液又はリン酸緩衝食塩水である。
本発明の免疫原性組成物、ワクチン又はDIVAワクチンの別の特定の観点において、免疫原性組成物、ワクチン又はDIVAワクチンは、EHVの1x104~1x109のTCID50、好ましくは1x104~1x108のTCID50、さらにより好ましくは1x104~1x107のTCID50を含む。
【0046】
キット
組成物は、必要に応じて、有効成分を含む剤形の1単位以上を含み得る、パック又はディスペンサ装置の中に存在してもよい。パックは、例えば、金属又はプラスチックホイルから構成され得る(例えば、ブリスターパック)。パック又はディスペンサ装置に、投与、好ましくは動物への投与、特にネコ科動物(好ましくはネコ)への投与についての指示書を添付してもよい。このような容器に、医薬品又は生物学的製剤の製造、使用又は販売を規制している政府機関が定めた形式の注意事項を添付してもよく、該注意事項は、動物への投与についての製造、使用又は販売に関する政府機関による承認を反映している。
さらに、本発明は、本明細書に記載の免疫原性組成物、ワクチン又はDIVAワクチンを含むキットを提供する。
本明細書のキットの別の特定の観点において、キットは、ネコ科動物の疾患の治療及び/又は予防についての指示書を更に含む。
本明細書のキットの別の特定の観点において、キットは、FHVの治療及び/又は予防についての指示書を更に含む。
本明細書のキットの別の特定の観点において、キットは、ワクチンを動物又はネコ科動物に投与できるディスペンサを更に含む。
【0047】
治療方法
本発明は、本明細書に記載の免疫原性組成物、ワクチン又はDIVAワクチンをネコ科動物に投与することを含む、免疫方法を提供する。
本発明は、ネコ科動物の免疫方法であって、本明細書に記載の免疫原性組成物、ワクチン又はDIVAワクチンを前記ネコ科動物に投与することを含む前記方法を提供する。
好ましくは、免疫化は、集団内の特定のネコヘルペスウイルス感染症の発生率の減少をもたらすか、又は特定のネコヘルペスウイルス感染症に起因するか又は関連する臨床徴候の重症度の低減をもたらす。
また、本明細書で提供される免疫原性組成物によるネコ科動物の免疫化は、ネコヘルペスウイルス感染によるネコ科動物の感染症の予防をもたらす。さらにより好ましくは、免疫化は、ネコヘルペスウイルス感染症に対して、効果的で、持続性の免疫学的応答をもたらす。前記期間は、2か月より長く、好ましくは3か月より長く、より好ましくは4か月より長く、より好ましくは5か月より長く、より好ましくは6か月より長く持続すると理解されるであろう。免疫化は、免疫されたすべての動物に効果があるとは限らないことを理解されたい。しかしながら、動物の群の大部分が効果的に免疫された期間が必要である。
【0048】
好ましくは、通常、すなわち、免疫されていない場合において、ネコ科動物の群は、通常ネコヘルペスウイルス感染症に起因するか又は関連する臨床徴候を発症すると想定される。ネコ科動物の群が効果的に免疫されたか否かは、当業者であれば困難なく決定することができる。好ましくは、動物の所定の群の少なくとも33%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、さらにより好ましくは少なくとも95%、最も好ましくは100%において、免疫されていないか、又は本発明より前に利用可能な免疫原性組成物で免疫されたが、その後特定のネコヘルペスウイルスに感染したネコ科動物と比べて、臨床徴候の、発生率又は重症度の少なくとも10%、より好ましくは少なくとも20%、なおさらより好ましくは少なくとも30%、さらにより好ましくは少なくとも40%、なおさらより好ましくは少なくとも50%、さらにより好ましくは少なくとも60%、なおさらより好ましくは少なくとも70%、さらにより好ましくは少なくとも80%、なおさらより好ましくは少なくとも90%、なおさらより好ましくは少なくとも95%、最も好ましくは100%が低減した場合、免疫化は有効である。
【0049】
本発明は、FHVによるネコ科動物の臨床徴候を治療又は予防するための方法であって、治療上有効量の本明細書に記載の免疫原性組成物、ワクチン又はDIVAワクチンを前記ネコ科動物に投与することを含む、前記方法を提供する。
本発明は、未免疫対照群のネコ科動物と比べて、FHVによるネコ科動物の臨床徴候を治療又は予防するための方法であって、治療上有効量の本明細書に記載の免疫原性組成物、ワクチン又はDIVAワクチンを前記ネコ科動物に投与することを含む、前記方法を提供する。
有利なことには、本発明により提供される実験データは、本明細書で提供される免疫原性組成物をネコ科動物に投与したときの、前記免疫原性組成物の安全性及び効力を開示する。実際、本明細書で提供される免疫原性組成物によるワクチン接種を受けたネコ科動物は、ワクチン接種を受けていないネコ科動物と比べて、チャレンジウイルス感染後、鼻炎、眼脂又は結膜炎の軽減など、疾患に伴う臨床徴候が軽減した。
好ましくは、処置されていない(免疫されていない)が、その後特定のネコヘルペスウイルスに感染したネコ科動物と比べて、臨床徴候は、少なくとも50%、さらにより好ましくは少なくとも60%、なおさらより好ましくは少なくとも70%、さらにより好ましくは少なくとも80%、さらにより好ましくは少なくとも90%、なおさらより好ましくは少なくとも95%、最も好ましくは100%減少した。
【0050】
「治療及び/又は予防」という用語は、群内の特定のネコヘルペスウイルス感染症の発生率の低下、又は特定のネコヘルペスウイルス感染症に起因するか又は関連する臨床徴候の重症度の低下を指す。したがって、「治療及び/又は予防」という用語はまた、群内の特定のネコヘルペスウイルスに感染した動物の数の減少(=特定のネコヘルペスウイルス感染症の発生率の低下)を指すか、又は本明細書で提供される免疫原性組成物を受けていない動物の群と比べて、本明細書に記載の免疫原性組成物の有効量を受けた動物の群における、FHV感染症に通常関連するか又は起因とする臨床徴候の重症度の低下を指す。
「治療及び/又は予防」は、一般に、有効量の本発明の免疫原性組成物の投与を必要とする動物若しくは動物の群、又はこのような治療/予防から利益を受けることができる動物若しくは動物の群への、有効量の本発明の免疫原性組成物の投与を含む。「治療」という用語は、群内のある動物又は少なくともいくつかの動物が、一旦このようなFHVに既に感染した場合(前記動物は、前記FHV感染症に起因するか又は関連するくつかの臨床徴候が既に示している)の、有効量の免疫原性組成物の投与を指す。「予防」という用語は、FHVによるあらゆる感染の前の動物への投与、又は少なくともこの動物が、若しくは群内のどの動物も、前記FHVに起因するか又は関連するいかなる臨床徴候が出ていない場合の投与を指す。「予防」及び「予防する」という用語は、本願において交換可能に使用される。
【0051】
本明細書において使用される「臨床徴候」という用語は、FHVに感染した動物の徴候を指す。このような臨床徴候の例として、呼吸促迫、鼻炎、微熱、うつ状態及び食欲不振が挙げられるが、これらに限定されない。しかしながら、臨床徴候は、生きている動物から直接に観察可能な臨床徴候も挙げられるが、これらに限定されない。生きている動物から直接に観察可能な臨床徴候の例としては、鼻汁と眼脂、結膜炎、嗜眠、咳、喘鳴、動悸(thumping)、体温上昇、体重減少、脱水症、跛行、るい痩(wasting)、皮膚の蒼白、発育不全(unthriftiness)等が挙げられる。
本明細書において使用する場合、「有効量」という用語は、組成物の文脈では、動物における感染症若しくは付随する疾患の発生率を低下させるか、又はその重症度を低減させる、免疫応答を誘導できる免疫原性組成物の用量を意味する。このような有効量によれば、集団内の特定のネコヘルペスウイルス感染症の発生率を低減できるか、又は特定のネコヘルペスウイルス感染症の臨床徴候の重症度を低下できる。特に、有効量は、用量当たりコロニー形成単位(CFU)を指す。或いは、療法の文脈では、「有効量」という用語は、疾患若しくは障害、若しくは1種以上のその症状の重症度又は持続期間を軽減若しくは改善させるために、疾患若しくは障害の進行を防ぐために、疾患若しくは障害の退行を引き起こすために、疾患若しくは障害に伴う1種以上の症状の再発、発展、発症、若しくは進行を防ぐために、又は別の療法若しくは治療剤による予防若しくは治療を増強若しくは改善させるために十分である療法の用量を指す。
【0052】
本発明は、FHVによるネコ科動物の呼吸器疾患を治療又は予防するための方法であって、治療上有効量の本明細書に記載の免疫原性組成物、ワクチン又はDIVAワクチンを前記ネコ科動物に投与することを含む、前記方法を提供する。
本発明は、未免疫対照群のネコ科動物と比べて、FHVによるネコ科動物の呼吸器疾患を治療又は予防するための方法であって、本明細書に記載の治療上有効量の免疫原性組成物、ワクチン又はDIVAワクチンを前記ネコ科動物に投与することを含む、前記方法を提供する。
「呼吸器疾患」という用語は、呼吸器系の感染症を指し、眼脂と鼻汁、結膜炎、鼻炎、くしゃみ、咳及び発熱などの臨床徴候を包含する。
好ましくは、未免疫対照群のネコ科動物と同種の、その後特定のネコヘルペスウイルスで感染したネコ科動物と比べて、呼吸器疾患は、少なくとも50%、さらにより好ましくは少なくとも60%、なおさらより好ましくは少なくとも70%、さらにより好ましくは少なくとも80%、さらにより好ましくは少なくとも90%、なおさらより好ましくは少なくとも95%、最も好ましくは100%減少する。
【0053】
本発明は、ネコ科動物のFHVの排出を減少させるための方法であって、本明細書に記載の治療上有効量の免疫原性組成物、ワクチン又はDIVAワクチンを前記ネコ科動物に投与することを含む、前記方法を提供する。
本発明は、未免疫対照群のネコ科動物と比べて、ネコ科動物のFHVの排出を減少させるための方法であって、本明細書に記載の治療上有効量の免疫原性組成物、ワクチン又はDIVAワクチンを前記ネコ科動物に投与することを含む、前記方法を提供する。
「排出」という用語は、鼻汁又は眼脂などの分泌物を指し、また、咳又はくしゃみによって発生するエアロゾルを指す。したがって、排出は、鼻若しくは目を綿棒でウイルス力価を、又は肺内のウイルス力価を検査することによって決定することができる。「排出」という用語は、感受性動物(すなわち、歩哨動物)へのウイルスの移行を更に包含する。ウイルス排出をどの方法で測定するかについは、当業者の通常知識である。
「減少(させる、した)」という用語は、処置されていない(免疫されていない)が、その後特定のネコヘルペスウイルスに感染したネコ科動物と比べて、排出が、少なくとも10%、より好ましくは少なくとも20%、なおさらより好ましくは少なくとも30%、さらにより好ましくは少なくとも40%、なおさらより好ましくは少なくとも50%、さらにより好ましくは少なくとも60%、なおさらより好ましくは少なくとも70%、さらにより好ましくは少なくとも80%、さらにより好ましくは少なくとも90%、なおさらより好ましくは少なくとも95%、最も好ましくは100%減少したことを意味する。
【0054】
EP型式
本発明は、ネコ科動物を免疫するための方法に使用するための本明細書に記載の免疫原性組成物、ワクチン又はDIVAワクチンであって、前記方法が、治療上有効量の前記免疫原性組成物、ワクチン又はDIVAワクチンを前記ネコ科動物に投与することを含む、前記免疫原性組成物、ワクチン又はDIVAワクチンを提供する。
本発明は、FHVによるネコ科動物の臨床徴候を治療又は予防するための方法に使用するための本明細書に記載の免疫原性組成物、ワクチン又はDIVAワクチンであって、前記方法が、治療上有効量の前記免疫原性組成物、ワクチン又はDIVAワクチンを前記ネコ科動物に投与することを含む、前記免疫原性組成物、ワクチン又はDIVAワクチンを提供する。
本発明は、FHVによるネコ科動物の呼吸器疾患を治療又は予防するための方法に使用するための本明細書に記載の免疫原性組成物、ワクチン又はDIVAワクチンであって、前記方法が、治療上有効量の前記免疫原性組成物、ワクチン又はDIVAワクチンを前記ネコ科動物に投与することを含む、前記免疫原性組成物、ワクチン又はDIVAワクチンを提供する。
本発明は、ネコ科動物のFHVの排出を減少させるための方法に使用するための本明細書に記載の免疫原性組成物、ワクチン又はDIVAワクチンであって、前記方法が、治療上有効量の前記免疫原性組成物、ワクチン又はDIVAワクチンを前記ネコ科動物に投与することを含む、前記免疫原性組成物、ワクチン又はDIVAワクチンを提供する。
【0055】
本発明の方法又は使用の別の特定の観点において、ネコ科動物は、チーター、ピューマ、ジャガー、ヒョウ、ライオン、オオヤマネコ、トラ、ネコ及びイエネコからなる群より選ばれる。
本発明の方法又は使用の別の特定の観点において、ネコ科動物は、ネコ又はイエネコである。
しかしながら、免疫原性組成物は、ネコ科動物に2回以上投与することができ、1回目の投与量は、2回目(ブースター)の投与量の投与前に投与する。
本発明の方法又は使用の別の特定の観点において、免疫原性組成物、ワクチン又はDIVAワクチンは、2回以上投与される。
本発明の方法又は使用の別の特定の観点において、免疫原性組成物、ワクチン又はDIVAワクチンは、2回投与される。
実施例に示すように、本明細書で提供される免疫原性組成物は、2回投与後、効果があることが証明されている。
1回目及び2回目の投与計画に加えて、代わりの実施形態は、その後の投与量を更に含む。例えば、この観点において、3回目、4回目又は5回目の投与量が投与されてもよい。好ましくは、その後の3回目、4回目又は5回目の投与計画は、1回目の投与量と同量で投与され、これらの投薬間の区間(time frame)は、後述する1回目と2回目の投薬間の時間と一致する。本発明のある観点において、ネコ科動物は、ネコである。
好ましくは、投与量は、約0.25mL~2.5mL、より好ましくは約0.25mL~1.5mL、さらにより好ましくは約0.5mL~1mLの総容量を有する。
【0056】
本発明の方法又は使用の別の特定の観点において、免疫原性組成物、ワクチン又はDIVAワクチンは、4、5又は6週齢以上のネコ科動物に投与される。
本発明の方法又は使用の別の特定の観点において、免疫原性組成物、ワクチン又はDIVAワクチンは、6週齢以上のネコ科動物に投与される。
本発明の方法又は使用の別の特定の観点において、免疫原性組成物、ワクチン又はDIVAワクチンは、4週齢~25週齢内のネコ科動物に初めて投与される。
本発明の方法又は使用の別の特定の観点において、免疫原性組成物、ワクチン又はDIVAワクチンは、6週齢~20週齢内のネコ科動物に初めて投与される。
本発明の方法又は使用の別の特定の観点において、免疫原性組成物、ワクチン又はDIVAワクチンの1回目の投与量は、4、5又は6週齢以上のネコ科動物に投与され、2回目の投与量は、2~8週間後に投与される。
本発明の方法又は使用の別の特定の観点において、免疫原性組成物、ワクチン又はDIVAワクチンの1回目の投与量は、6週齢以上のネコ科動物に投与され、2回目の投与量は、2~8週間後に投与される。
本発明の方法又は使用の別の特定の観点において、2回目(ブースター)のワクチン接種後、更なるワクチン接種が、年1回で行われる(年1回のブースター接種)。
【0057】
免疫原性組成物、ワクチン又はDIVAワクチンは、好ましくは局所投与又は全身投与する。従来使用されている適切な投与経路として、経口投与又は非経口投与、例えば、鼻腔内投与、静脈内投与、筋肉内投与、腹腔内投与、皮下投与、及び吸入が挙げられる。しかしながら、化合物の性質及び作用機序に応じて、免疫原性組成物、ワクチン又はDIVAワクチンは、他の投与経路により投与されてもよい。しかしながら、最も好ましいのは、免疫原性組成物、ワクチン又はDIVAワクチンが、筋肉内、皮下又は鼻腔内で投与される。
本発明の方法又は使用の別の特定の観点において、前記免疫原性組成物、ワクチン又はDIVAワクチンは、筋肉内、皮内、皮下、経口又は経鼻で投与される。
本発明の方法又は使用の別の特定の観点において、免疫原性組成物、ワクチン又はDIVAワクチンは、1mL当たり1x104~1x1010のTCID50のEHVを含む。
本発明の方法又は使用の別の特定の観点において、免疫原性組成物、ワクチン又はDIVAワクチンは、1mL当たり1x106~1x109のTCID50のEHVを含む。
本発明の方法又は使用の別の特定の観点において、免疫原性組成物、ワクチン又はDIVAワクチンの1投与量は、1mL当たり1x104~1x1010のTCID50のEHVを含む。
本発明の方法又は使用の別の特定の観点において、免疫原性組成物、ワクチン又はDIVAワクチンの1投与量は、1mL当たり1x106~1x109のTCID50のEHVを含む。
【0058】
本発明の方法又は使用の別の特定の観点において、前記方法により、ネコ科動物と同種の未免疫対照群と比べて、体重減少の低下、肺内のウイルス量の低下、ウイルス血症の減少、肺病変の減少、呼吸器病変及び肺胞上皮病変の減少、眼脂の減少、結膜炎の減少、鼻炎の減少、ウイルス排出の減少及び/又は短縮、直腸温の減少、臨床症状(特に、呼吸器の症状)の減少、抗FHVウイルス抗体の(中和)誘導の増大、FHVに対するT細胞への刺激の増大、FHVウイルスに対するB細胞への刺激の増大、及び肺内の炎症性サイトカイン(例えば、IL1β)の減少、又はこれらの組み合わせからなる群より選ばれる有効性評価基準(efficacy parameter)の改善をもたらす。
【0059】
「ウイルス量(virus load)」という用語は、当業者によく知られている。「ウイルス量」という用語は、本明細書における「ウイルス力価」という用語と交換可能に使用される。ウイルス量又はウイルス力価は、活動性ウイルス感染症の重症度の尺度であり、当業者に既知の方法で判定することができる。判定は、ウイルスタンパク質の検出(例えば、ウイルスタンパク質と結合する抗体により)及び更なる検出、又は、代わりに、RT-PCRなどの増幅方法によるウイルス核酸の検出に基づくことができる。核酸の増幅方法による、血漿中のウイルスRNAと関連するビリオンのモニタリングは、レトロウイルス性疾患の状態及び進行の評価、及び予防的又は治療的介入の有効性の評価のために、広く使用されているパラメーターである。例示的に、ウイルス量又はウイルス力価は、関与する体液中のウイルスの生存量(例えば、血漿1ミリリットル当たりRNAのコピー数)を推定することにより算出することができる。好ましくは、「ウイルス量」又は「ウイルス力価」という用語は、ウイルス調製物の容積当たりの感染単位の尺度である。ウイルス力価は、生物学的手順のエンドポイントであり、並行して行った特定の割合の試験が効果を示す希釈度として定義される(Reed and Muench, 1938)。具体的には、1ミリリットル当たりの50%組織培養感染量(TCID50/mL)は、その希釈度で並行して接種した細胞培養物の数の50%が感染するウイルス調製物の希釈度を示す。
本発明の方法又は使用の別の特定の観点において、免疫原性組成物、ワクチン又はDIVAワクチンは、FHVによる同種及び/又は異種チャレンジから保護する。
実験は、FHV抗原を持つEHVワクチン(ワクチン株C-27)が、異種EHVワクチン(SGE株、FVR 96-13と命名)から保護することを示している。
【0060】
EHVの全体像
本発明は、ORF1/3に挿入されたFHV gDコード配列又はその断片、及びORF70に挿入されたFHV gBコード配列又はその断片を含むEHV(ウマヘルペスウイルス)を提供する。
本発明は、EHV(ウマヘルペスウイルス)を提供し、前記EHVが、
i)ORF1/3に挿入されたFHV gDコード配列であり、配列番号:1で示されるアミノ酸配列、又は前記アミノ酸配列と少なくとも90%、少なくとも93%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、少なくとも99.6%、少なくとも99.7%、少なくとも99.8%、少なくとも99.9%、少なくとも99.95%、少なくとも99.98%若しくは少なくとも99.99%の配列同一性を有する配列、又は少なくとも100個、少なくとも200個、少なくとも300個若しくは少なくとも350個の連続アミノ酸を有する前記アミノ酸配列の断片、をコードする核酸配列からなるか、或いは含む、前記FHV gDコード配列と、
ii)ORF70に挿入されたFHV gBコード配列であり、配列番号:5で示されるアミノ酸配列、又は前記アミノ酸配列と少なくとも90%、少なくとも93%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、少なくとも99.6%、少なくとも99.7%、少なくとも99.8%、少なくとも99.9%、少なくとも99.95%、少なくとも99.98%若しくは少なくとも99.99%の配列同一性を有する配列、又は少なくとも100個、少なくとも150個、少なくとも200個、少なくとも300個、少なくとも400個、少なくとも500個、少なくとも600個、少なくとも700個若しくは少なくとも800個の連続アミノ酸を有する前記アミノ酸配列の断片、をコードする核酸配列からなるか、或いは含む、前記FHV gBコード配列とを含む。
【0061】
本発明は、EHV(ウマヘルペスウイルス)であって、配列番号:1で示されるアミノ酸配列、又は前記アミノ酸配列と少なくとも95%配列同一性を有する配列をコードする核酸配列からなるか、或いは含む、ORF1/3に挿入されたFHV gDコード配列と、配列番号:2で示されるアミノ酸配列、又は前記アミノ酸配列と少なくとも95%配列同一性配列を有する配列をコードする核酸配列からなるか、或いは含む、ORF70に挿入されたFHV gBコード配列とを含む、前記EHVを提供する。
本発明は、EHV(ウマヘルペスウイルス)を含む免疫原性組成物、ワクチン又はDIVAワクチンを提供し、前記EHVが、
i)ORF1/3に挿入されたFHV gDコード配列であり、配列番号:1で示されるアミノ酸配列、又は前記アミノ酸配列と少なくとも90%、少なくとも93%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、少なくとも99.6%、少なくとも99.7%、少なくとも99.8%、少なくとも99.9%、少なくとも99.95%、少なくとも99.98%若しくは少なくとも99.99%の配列同一性を有する配列、又は少なくとも100個、少なくとも200個、少なくとも300個若しくは少なくとも350個の連続アミノ酸を有する前記アミノ酸配列の断片、をコードする核酸配列からなるか、或いは含む、前記FHV gDコード配列と、
ii)ORF70に挿入されたFHV gBコード配列であり、配列番号:2で示されるアミノ酸配列、又は前記アミノ酸配列と少なくとも90%、少なくとも93%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、少なくとも99.6%、少なくとも99.7%、少なくとも99.8%、少なくとも99.9%、少なくとも99.95%、少なくとも99.98%若しくは少なくとも99.99%の配列同一性を有する配列、又は少なくとも100個、少なくとも150個、少なくとも200個、少なくとも300個、少なくとも400個、少なくとも500個、少なくとも600個、少なくとも700個若しくは少なくとも800個の連続アミノ酸を有する前記アミノ酸配列の断片、をコードする核酸配列からなるか、或いは含む、前記FHV gBコード配列とを含む。
【0062】
本発明は、治療用の、本明細書に記載のEHV、免疫原性組成物、ワクチン又はDIVAワクチンを更に提供する。
本発明は、免疫原又はワクチンとしての使用のための、本明細書に記載のEHV、免疫原性組成物、ワクチン又はDIVAワクチンを更に提供する。
本発明は、医薬としての使用のための、本明細書に記載のEHV、免疫原性組成物、ワクチン又はDIVAワクチンを更に提供する。
本発明は、医薬の製造のための、本明細書に記載のEHV、免疫原性組成物、ワクチン又はDIVAワクチンを更に提供する。
本発明は、ネコ科動物のFHV感染症の治療及び/又は予防のための、本明細書に記載のEHV、免疫原性組成物、ワクチン又はDIVAワクチンの使用を更に提供する。
【0063】
製造方法
本発明は、ORF70(US4)及び/又はORF1/3に挿入されたネコヘルペスウイルス(FHV)抗原コード配列を含む、EHV(ウマヘルペスウイルス)を調製する方法を更に提供し、前記方法が、
i)EHVを提供することと、
ii)FHV抗原コード配列を提供することと、
iii)工程ii)から得られた前記FHV抗原コード配列を、工程i)のEHVのORF70(US4)及び/又はORF1/3挿入部位に挿入することと、
iv)ORF70(US4)及び/又はORF1/3に挿入されたFHV抗原コード配列を含む、前記EHVを得ることとを含む。
本発明は、ORF70(US4)及び/又はORF1/3に挿入されたネコヘルペスウイルス(FHV)抗原コード配列を含む、EHV(ウマヘルペスウイルス)を調製する方法を更に提供し、前記方法が、
i)EHVを提供することと、
ii)FHV gD、gB又はgCコード配列であって、配列番号:1、配列番号:2、若しくは配列番号:3で示されるアミノ酸配列、又は前記アミノ酸配列と少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも93%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、少なくとも99.6%、少なくとも99.7%、少なくとも99.8%、少なくとも99.9%、少なくとも99.95%、少なくとも99.98%若しくは少なくとも99.99%の配列同一性を有する配列、又は少なくとも100個、少なくとも200個、少なくとも300個若しくは少なくとも350個の連続アミノ酸を有する前記アミノ酸配列の断片、をコードする核酸配列からなるか、或いは含む、前記FHV gD、gB又はgCコード配列を提供することと、
iii)工程ii)から得られた前記FHV gD、gB又はgCコード配列を、工程i)のEHVのORF70(US4)及び/又はORF1/3挿入部位に挿入することと、
iv)ORF70(US4)及び/又はORF1/3に挿入されたFHV gD、gB又はgCコード配列を含む前記EHVを得ることとを含む。
【0064】
「得る」という用語は、FHV抗原コード配列を有する前記EHVの収集、単離、精製並びに/又は製剤化(例えば、仕上げ、不活化及び/若しくはブレンド)を含む。
「収集」という用語は、形質移入又は感染させた細胞、細菌又は細胞株から、FHV抗原コード配列を有する前記EHVを集めるか、又は回収することを指す。この技術分野において知られている任意の従来方法、例えば、任意の分離方法を使用することができる。この技術分野においてよく知られている方法は、遠心分離又はろ過(例えば、ある一定の孔径を有する半透膜を使用するろ過)を含む。
「単離」という用語は、FHV抗原コード配列を有する前記EHVの単離工程を含む。形質移入又は感染された細胞、細菌又は細胞株からの単離方法は、当業者に知られている。これらの方法は、物理的及び/又は化学的方法を含み、凍結融解サイクル、超音波処理等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0065】
FHV抗原コード配列を有する前記EHVを単離物から「精製」する方法は、当業者に知られており、例えば、Protein purification methods - a practical approach(E.L.V. Harris and S. Angel, eds., IRL Press at Oxford University Press)に記載の方法による。これらの方法は、遠心分離及び/又はろ過、沈殿、サイズ排除(ゲルろ過)クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、金属キレートクロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、共有結合型クロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー等による分離が挙げられるが、これらに限定されない。ベクターは、精製された純粋な形態で、或いは他の細胞物質若しくは培地等を含まないか、又は実質的に含まずに得ることができる。前記単離及び/又は精製の後、抗原は、汚染のない絶対的に純粋な形態まで、少なくとも80%、好ましくは80%~90%、より好ましくは90%~97%、最も好ましくは97%以上の純度を示す。
更なる観点に基づいて、本明細書において使用される「得る」はまた、最終製剤化プロセスの一部としての更なる仕上げ工程、例えば、緩衝剤の添加工程、不活化工程、中和工程等を含んでもよい。
本発明の、ORF70(US4)及び/又はORF1/3に挿入されたFHV抗原コード配列を含むEHVを調製する方法の別の特定の観点において、EHVは、弱毒化されている。
本発明の、ORF70(US4)及び/又はORF1/3に挿入されたFHV抗原コード配列を含むEHVを調製する方法の別の特定の観点において、EHVは、RacH又はRacH SEである。
【0066】
DIVA
DIVAワクチンは、迅速かつ効果的な投与を容易にし、(疾患に関連する)フィールドウイルスに感染した動物とワクチン接種を受けた動物との間の識別を可能にする。
本発明の免疫原性組成物、ワクチン又はDIVAワクチンは、いかなるFHV gG抗原コード配列を含まない。
これに対して、動物が、野生型ネコヘルペスウイルスに感染した後、又は改変された生ワクチンを受けた後、若しくは全ウイルス不活化ワクチンを受けた後、感染した動物/ワクチン接種を受けた動物は、FHV gGに対する特異的抗体を産生する/有する。しかしながら、本発明の免疫原性組成物によるワクチン接種を受けた動物では、このようなFHV gGに対する特異的抗体を検出することができない。
本発明の免疫原性組成物、ワクチン又はDIVAワクチンは、EHV、並びにEHV gDコード配列及びEHV gCコード配列をそれぞれ含む。そのため、本発明の免疫原性組成物によるワクチン接種を受けた動物では、EHV gD及び/又はEHV gCに対する抗体などのEHVに対する特異的抗体を検出することができる。
これに対して、動物が、野生型ネコヘルペスウイルスに感染した後、又は改変された生ワクチンを受けた後、若しくは全ウイルス不活化ワクチンを受けた後、動物は、EHV gD及び/又はEHV gCに対する抗体などのEHV特異的抗体に対して陰性であろう。一方、本発明の免疫原性組成物によるワクチン接種を受けた動物では、このようなEHV gD及びEHV gCに対する特異的抗体を検出することができる。
【0067】
例示的な免疫試験及び/又はゲノム解析試験により、本発明の免疫原性組成物によるワクチン接種を受けた動物は、野生型ネコヘルペスウイルスに感染した動物、又は改変された生ワクチンを受けた動物若しくは全ウイルス不活化ワクチンを受けた動物と区別することができ、なぜなら、a)本発明の免疫原性組成物によるワクチン接種を受けた動物は、FHV gD及び任意のFHV gDコード配列のそれぞれに対して、いかなる特異的抗体を有しないか、或いはb)本発明の免疫原性組成物によるワクチン接種を受けた動物は、EHV gD及び/又はEHV gC、並びにEHV gDコード配列及び/又はEHV gCコード配列のそれぞれに対して、特異的抗体を有するからである。
「免疫試験」及び「ゲノム解析試験」という用語は、本発明の免疫原性組成物によるワクチン接種を受けた動物とFHVに感染した動物とを区別するための根拠である。
【0068】
免疫試験の例として、任意の酵素免疫学的又は免疫化学的検出方法、例えば、ELISA(酵素結合免疫吸着検定法)、EIA(酵素イムノアッセイ)、RIA(ラジオイムノアッセイ)、サンドイッチ酵素免疫試験、蛍光抗体試験(FAT)、電気化学発光サンドイッチイムノアッセイ(ECLIA)、解離-増強ランタニド蛍光イムノアッセイ(DELFIA)若しくは固相免疫試験、免疫蛍光試験(IFT)、免疫組織染色、ウエスタンブロット解析、又は当業者が利用可能なあらゆる他の適切な方法が挙げられる。使用するアッセイに応じて、抗原又は抗体は、酵素、フルオロフォア又は放射性同位体によって標識することができる。例えば、Coligan et al. Current Protocols in Immunology, John Wiley & Sons Inc., New York, N.Y. (1994)、及びFrye et al., Oncogen 4: 1153-1157, 1987を参照されたい。
「ゲノム解析試験」という用語は、ポリメラーゼ及び特定のオリゴヌクレオチドをプライマーとして使用する、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)法、逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)法、リアルタイムPCR(r-PCR)法又はリアルタイム逆転写PCR(rRT-PCR)法、Templex-PCR法、核酸配列ベース増幅(NASBA)法、等温増幅法に基づくゲノム解析法を指す。上述した増幅方法は、この技術分野においてよく知られている。
【0069】
本発明は、本明細書に記載の免疫原性組成物、ワクチン又はDIVAワクチンによるワクチン接種を受けたネコ科動物とFHVに感染したネコ科動物とを区別する方法を提供し、前記方法が、
a)ネコ科動物から試料を得ることと、
b)免疫試験、細胞培養に基づくアッセイ及び/又はゲノム解析試験で、前記試料を分析することとを含む。
有利なことには、本願の実験は、試料のこのような分析がどのように行われたかを既に説明している。実施例3及び4は、gD及びgBの発現(免疫試験)を測定するためのIFA(免疫蛍光アッセイ)を説明している。実施例4及び5では、FHV SN及びEHV SNのアッセイの読み取りが、細胞培養に基づくアッセイ、CPE(細胞変性効果(Cytopathic effect or cytopathogenic effect))アッセイに基づく。
【0070】
また、Maes 2012(ISRN Veterinary Science. (2-3):495830)は、FHV感染症を診断する色々な方法をレビューする。組織ホモジネート又は綿棒(スワブ(swab))にあるFHV又はウイルス成分を証明するための最も一般的な検査室診断法として、直接蛍光抗体(FA)試験、ウイルス単離(VI)、及びPCRが挙げられる。直接蛍光抗体試験は、結膜又は角膜組織に対して行われる。ウイルス単離(VI)又はPCRは、口腔鼻及び結膜の綿棒の抽出物を試料として使用する。VIは、感染性ウイルスを検出し、検査室診断のゴールドスタンダードとなっている。しかしながら、複数のPCRアッセイが、FHVの検出にも使用されることが記載されている。
【0071】
「試料」という用語は、体液の試料、分離された細胞の試料、又は組織若しくは臓器から得られた試料を指す。体液の試料は、よく知られている技術により得ることができ、好ましくは血液、血漿、血清又は尿の試料、より好ましくは血液、血漿又は血清の試料が挙げられる。組織若しくは臓器の試料は、例えば、生検により、任意の組織若しくは臓器から得ることができる。分離された細胞は、遠心分離又は細胞選別などの分離技術により、体液又は組織若しくは臓器から得ることができる。しかしながら、「試料」という用語は、中咽頭、結膜又は鼻のスワブも包含する。
「得られた」という用語は、当業者に知られている単離及び/又は精製工程、好ましくは沈殿、カラム等を使用することを含んでもよい。
【0072】
本発明の区別方法のある特定の観点において、免疫試験は、試料がFHV gGを特異的に認識する抗体を含むか否かを検査することを含む。
本発明の区別方法の別の特定の観点において、FHV gGを特異的に認識する抗体が検出された場合、ネコ科動物は、FHVに感染している。
本発明の区別方法の別の特定の観点において、ゲノム解析試験は、試料がFHV gGコード配列を含むか否かを検査することを含む。
本発明の区別方法の別の特定の観点において、FHV gGコード配列が検出された場合、ネコ科動物は、FHVに感染している。
本発明の区別方法の別の特定の観点において、免疫試験は、試料がEHV gD及び/又はEHV gCを特異的に認識する抗体を含むか否かを検査することを含む。
本発明の区別方法の別の特定の観点において、EHV gD及び/又はEHV gCを特異的に認識する抗体が検出された場合、ネコ科動物は、本明細書に記載の免疫原性組成物、ワクチン又はDIVAワクチンによるワクチン接種を受けている。
本発明の区別方法の別の特定の観点において、ゲノム解析試験は、試料がEHV gD及び/又はEHV gCコード配列を含むか否かを検査することを含む。
本発明の区別方法の別の特定の観点において、EHV gD及び/又はEHV gCコード配列が検出された場合、ネコ科動物は、本明細書に記載の免疫原性組成物、ワクチン又はDIVAワクチンによるワクチン接種を受けている。
【0073】
本発明の区別方法の別の特定の観点において、免疫試験は、EIA(酵素イムノアッセイ)若しくはELISA(酵素結合免疫吸着検定法)であるか、又はゲノム解析試験は、PCR(ポリメラーゼ連鎖反応)、RT-PCR(逆転写ポリメラーゼ連鎖反応)又はリアルタイムPCR(ポリメラーゼ連鎖反応)である。
本発明の区別方法の別の特定の観点において、ネコ科動物は、ネコである。
本発明の区別方法の別の特定の観点において、試料は、血清試料である。
本発明の区別方法の別の特定の観点において、ELISAは、間接ELISA、サンドイッチELISA、競合ELISA又はブロッキングELISAである。
したがって、試験は、例えば、FHV gG(或いは、EHV gD及び/又はEHV gC)エピトープを有するウェルが、マイクロウェルアッセイプレートに架橋されることを含み得る。前記架橋は、好ましくはアンカータンパク質(例えば、ポリ-L-リジンなど)を介して行われる。FHV gG(或いはEHV gD及び/又はEHV gC)エピトープを得るための発現系は、当業者によく知られている。或いは、前記FHV gG(或いは、EHV gD及び/又はEHV gC)エピトープは、化学的に合成されたものであってもよい。
【0074】
本発明のワクチンによるワクチン接種を受けただけの動物は、FHV gGエピトープに対して抗体を産生しなかった。しかしながら、このような動物は、EHV gD及び/又はEHV gCに対して抗体を産生した。その結果は、FHV gGエピトープでコーティングされたウェルに結合する抗体はない。しかしながら、このようなワクチン接種を受けた動物は、EHV gD及び/又はEHV gCに対して抗体を産生した。したがって、ウェルがEHV gD及び/又はEHV gCエピトープでコーティングされた場合、抗体は、このようなエピトープと結合し、陽性の検出シグナルを与えるであろう。
しかしながら、異なるELISA技術は、当業者によく知られている。ELISAは、Wensvoort G. et al., 1988 (Vet. Microbiol. 17(2): 129-140)、Robiolo B. et al., 2010 (J. Virol. Methods. 166(1 -2): 21-27)、及びColijn, E.O. et al., 1997 (Vet. Microbiology 59: 15-25)によって例示的に記載されている。
【0075】
好ましくは、FHVに感染した動物、改変された生ワクチンによるワクチン接種を受けた動物、又は全ウイルス不活化ワクチンによるワクチン接種を受けた動物と、本発明のワクチンのみによるワクチン接種を受けた動物たちとを区別するための試験は、上記で定義される試料から得られた細胞からRNAを単離し、逆転写酵素、及びその後にcDNAを増幅することによって提供される。FHV gGについての特異的プライマーを使用して、PCRを行うことができる。そのような場合には、陽性のPCRシグナルがある場合、ネコ科動物は、FHVに感染している。しかしながら、FHV gGの特異的配列を増幅できない場合、ネコ科動物は、FHVに感染していないが、本発明のワクチンによるワクチン接種を受けた可能性がある。EHV gD及び/又はEHV gCについての特異的プライマーを使用して、PCRを行うことができる。そのような場合には、陽性のPCRシグナルがある場合、ネコ科動物は、本発明のワクチンによるワクチン接種を受けている。
本発明の区別方法の別の特定の観点において、ゲノム解析試験は、PCR(ポリメラーゼ連鎖反応)、RT-PCR(逆転写ポリメラーゼ連鎖反応)又はリアルタイムPCR(ポリメラーゼ連鎖反応)である。
本発明の区別方法の別の特定の観点において、細胞培養に基づくアッセイは、CPE(細胞変性効果)アッセイである。
しかしながら、「細胞培養に基づくアッセイ」又は「CPEアッセイ」の技術は、当業者によく知られている。
【0076】
開示
本開示は、ORF70(US4)及び/又はORF1/3に挿入された、ネコヘルペスウイルス(FHV)抗原コード配列を含む、EHV(ウマヘルペスウイルス)を更に含む。
本開示は、ORF70(US4)に挿入された単一のネコヘルペスウイルス(FHV)抗原コード配列、及び/又はORF1/3に挿入された単一のネコヘルペスウイルス(FHV)抗原コード配列を含む、EHV(ウマヘルペスウイルス)を更に含む。
本開示は、ORF70(US4)及び/又はORF1/3に挿入された、1400個以下のアミノ酸をコードするネコヘルペスウイルス(FHV)抗原コード配列を含む、EHV(ウマヘルペスウイルス)を更に含む。
EHVの上記開示のいずれかにおいて、前記ネコヘルペスウイルス(FHV)抗原コード配列は、ORF70(US4)に挿入されている。
EHVの上記開示のいずれかにおいて、前記ネコヘルペスウイルス(FHV)抗原コード配列は、ORF1/3に挿入されている。
EHVの上記開示のいずれかにおいて、前記ネコヘルペスウイルス(FHV)抗原コード配列は、ORF70(US4)及びORF1/3に挿入されている。
【0077】
EHVの上記開示のいずれかにおいて、前記FHV抗原コード配列は、1400個以下のアミノ酸をコードする。
EHVの上記開示のいずれかにおいて、前記FHV抗原コード配列は、1200個以下のアミノ酸をコードする。
EHVの上記開示のいずれかにおいて、前記FHV抗原コード配列は、1000個以下のアミノ酸をコードする。
EHVの上記開示のいずれかにおいて、前記FHV抗原コード配列は、200~1200個のアミノ酸をコードする。
EHVの上記開示のいずれかにおいて、前記FHV抗原コード配列は、200~1000個のアミノ酸をコードする。
EHVの上記開示のいずれかにおいて、前記FHV抗原コード配列は、4200個以下の核酸を含む。
EHVの上記開示のいずれかにおいて、前記FHV抗原コード配列は、3600個以下の核酸を含む。
EHVの上記開示のいずれかにおいて、前記FHV抗原コード配列は、3000個以下の核酸を含む。
EHVの上記開示のいずれかにおいて、前記FHV抗原コード配列は、600~3600個の核酸をコードする。
EHVの上記開示のいずれかにおいて、前記FHV抗原コード配列は、600~3000個の核酸をコードする。
【0078】
EHVの上記開示のいずれかにおいて、前記FHV抗原コード配列は、1つのFHV抗原コード配列である。
EHVの上記開示のいずれかにおいて、前記FHV抗原コード配列は、単一のFHV抗原コード配列である。
EHVの上記開示のいずれかにおいて、前記FHV抗原コード配列は、2つ以上のFHV抗原コード配列ではない。
EHVの上記開示のいずれかにおいて、前記FHV抗原コード配列は、糖タンパク質コード配列又はその断片である。
EHVの上記開示のいずれかにおいて、前記FHV抗原コード配列は、FHV gD(糖タンパク質D)コード配列若しくはその断片、及び/又はFHV gB(糖タンパク質B)コード配列若しくはその断片、及び/又はFHV gC(糖タンパク質C)コード配列若しくはその断片である。
EHVの上記開示のいずれかにおいて、前記FHV抗原コード配列は、FHV gDコード配列又はその断片である。
EHVの上記開示のいずれかにおいて、前記FHV抗原コード配列は、FHV gBコード配列又はその断片である。
EHVの上記開示のいずれかにおいて、前記FHV抗原コード配列は、FHV gCコード配列又はその断片である。
【0079】
EHVの上記開示のいずれかにおいて、糖タンパク質コード配列の前記断片は、少なくとも100個、少なくとも150個、少なくとも200個、少なくとも300個、少なくとも350個、少なくとも400個、少なくとも500個、少なくとも600個、少なくとも700個、又は少なくとも800個のアミノ酸をコードする。
EHVの上記開示のいずれかにおいて、糖タンパク質コード配列の前記断片は、少なくとも300個、少なくとも450個、少なくとも600個、少なくとも900個、少なくとも1050個、少なくとも1200個、少なくとも1500個、少なくとも1800個、少なくとも2100個、又は少なくとも2400個の核酸を含む。
EHVの上記開示のいずれかにおいて、糖タンパク質コード配列の前記断片は、少なくとも100個、少なくとも200個、少なくとも300個、又は少なくとも350個のアミノ酸をコードする。
EHVの上記開示のいずれかにおいて、糖タンパク質コード配列の前記断片は、少なくとも300個、少なくとも600個、少なくとも900個、又は少なくとも1050個の核酸を含む。
EHVの上記開示のいずれかにおいて、FHV gDコード配列の前記断片は、少なくとも100個、少なくとも200個、少なくとも250個、少なくとも300個、又は少なくとも350個のアミノ酸をコードする。
EHVの上記開示のいずれかにおいて、FHV gDコード配列の前記断片は、少なくとも300個、600個、750個、900個、又は1050個の核酸を含む。
【0080】
EHVの上記開示のいずれかにおいて、FHV gBコード配列の前記断片は、少なくとも100個、少なくとも150個、少なくとも200個、少なくとも300個、少なくとも400個、少なくとも500個、少なくとも600個、少なくとも700個、又は少なくとも800個のアミノ酸をコードする。
EHVの上記開示のいずれかにおいて、FHV gBコード配列の前記断片は、少なくとも300個、少なくとも450個、少なくとも600個、少なくとも900個、少なくとも1200個、少なくとも1500個、少なくとも1800個、少なくとも2100個、又は少なくとも2400個の核酸を含む。
EHVの上記開示のいずれかにおいて、FHV gCコード配列の前記断片は、少なくとも100個、少なくとも150個、少なくとも200個、少なくとも300個、少なくとも400個、又は少なくとも500個のアミノ酸をコードする。
EHVの上記開示のいずれかにおいて、FHV gCコード配列の前記断片は、少なくとも300個、少なくとも450個、少なくとも600個、少なくとも900個、少なくとも1200個、又は少なくとも1500個の核酸を含む。
EHVの上記開示のいずれかにおいて、前記FHV抗原コード配列は、野生型ネコヘルペスウイルス株C-27(ACCN:FJ478159)に基づく、FHV gDコード配列、及び/又はFHV gBコード配列、及び/又はFHV gCコード配列である。
【0081】
EHVの上記開示のいずれかにおいて、前記FHV抗原コード配列は、FHV gDコード配列であり、前記FHV gDコード配列は、AAB30980.1に示されるアミノ酸配列、又は前記アミノ酸配列と少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも93%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、少なくとも99.6%、少なくとも99.7%、少なくとも99.8%、少なくとも99.9%、少なくとも99.95%、少なくとも99.98%若しくは少なくとも99.99%の配列同一性を有する配列、又は少なくとも100個、少なくとも200個、少なくとも300個若しくは少なくとも350個の連続アミノ酸を有する前記アミノ酸配列の断片、をコードする核酸配列からなるか、或いは含む。
EHVの上記開示のいずれかにおいて、前記FHV抗原コード配列は、FHV gBコード配列であり、前記FHV gBコード配列は、AAB28559.3に示されるアミノ酸配列、又は前記アミノ酸配列と少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも93%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、少なくとも99.6%、少なくとも99.7%、少なくとも99.8%、少なくとも99.9%、少なくとも99.95%、少なくとも99.98%若しくは少なくとも99.99%の配列同一性を有する配列、又は少なくとも100個、少なくとも150個、少なくとも200個、少なくとも300個、少なくとも400個、少なくとも500個、少なくとも600個、少なくとも700個若しくは少なくとも800個の連続アミノ酸を有する前記アミノ酸配列の断片、をコードする核酸配列からなるか、或いは含む。
【0082】
EHVの上記開示のいずれかにおいて、前記FHV抗原コード配列は、糖タンパク質コード配列であり、前記糖タンパク質コード配列は、配列番号:1、配列番号:2、若しくは配列番号:3で示されるアミノ酸配列、又は前記アミノ酸配列と少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも93%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、少なくとも99.6%、少なくとも99.7%、少なくとも99.8%、少なくとも99.9%、少なくとも99.95%、少なくとも99.98%若しくは少なくとも99.99%の配列同一性を有する配列、又は少なくとも100個、少なくとも200個、少なくとも300個若しくは少なくとも350個の連続アミノ酸を有する前記アミノ酸配列の断片、をコードする核酸配列からなるか、或いは含む。
EHVの上記開示のいずれかにおいて、前記FHV抗原コード配列は、gD、gB又はgCコード配列であり、前記gD、gB又はgCコード配列は、配列番号:1、配列番号:2、若しくは配列番号:3で示されるアミノ酸配列、又は前記アミノ酸配列と少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも93%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、少なくとも99.6%、少なくとも99.7%、少なくとも99.8%、少なくとも99.9%、少なくとも99.95%、少なくとも99.98%若しくは少なくとも99.99%の配列同一性を有する配列、又は少なくとも100個、少なくとも200個、少なくとも300個若しくは少なくとも350個の連続アミノ酸を有する前記アミノ酸配列の断片、をコードする核酸配列からなるか、或いは含む。
【0083】
EHVの上記開示のいずれかにおいて、前記FHV抗原コード配列は、配列番号:4、配列番号:5、配列番号:6、配列番号:7、配列番号:8、若しくは配列番号:9で示される核酸配列、又は前記核酸配列と少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも93%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、少なくとも99.6%、少なくとも99.7%、少なくとも99.8%、少なくとも99.9%、少なくとも99.95%、少なくとも99.98%若しくは少なくとも99.99%の配列同一性を有する配列、又は少なくとも300個、少なくとも600個、少なくとも900個若しくは少なくとも1050個の連続核酸を有する前記核酸配列の断片からなるか、或いは含む糖タンパク質である。
EHVの上記開示のいずれかにおいて、前記FHV抗原コード配列は、配列番号:4、配列番号:5、配列番号:6、配列番号:7、配列番号:8、若しくは配列番号:9で示される核酸配列、又は前記核酸配列と少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも93%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、少なくとも99.6%、少なくとも99.7%、少なくとも99.8%、少なくとも99.9%、少なくとも99.95%、少なくとも99.98%若しくは少なくとも99.99%の配列同一性を有する配列、又は少なくとも300個、少なくとも600個、少なくとも900個若しくは少なくとも1050個の連続核酸を有する前記核酸配列の断片からなるか、或いは含むgD、gB又はgCである。
【0084】
EHVの上記開示のいずれかにおいて、前記gDコード配列は、配列番号:1で示されるアミノ酸配列、又は前記アミノ酸配列と少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも93%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、少なくとも99.6%、少なくとも99.7%、少なくとも99.8%、少なくとも99.9%、少なくとも99.95%、少なくとも99.98%若しくは少なくとも99.99%の配列同一性を有する配列、又は少なくとも100個、少なくとも200個、少なくとも300個若しくは少なくとも350個の連続アミノ酸を有する前記アミノ酸配列の断片、をコードする核酸配列からなるか、或いは含む。
EHVの上記開示のいずれかにおいて、前記gDコード配列は、配列番号:1で示されるアミノ酸配列、又は前記アミノ酸配列と少なくとも90%、少なくとも93%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、少なくとも99.6%、少なくとも99.7%、少なくとも99.8%、少なくとも99.9%、少なくとも99.95%、少なくとも99.98%若しくは少なくとも99.99%の配列同一性を有する配列、をコードする核酸配列からなるか、或いは含む。
【0085】
EHVの上記開示のいずれかにおいて、前記gBコード配列は、配列番号:2で示されるアミノ酸配列、又は前記アミノ酸配列と少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも93%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、99.5%、少なくとも99.6%、少なくとも99.7%、少なくとも99.8%、少なくとも99.9%、少なくとも99.95%、少なくとも99.98%若しくは少なくとも99.99%の配列同一性を有する配列、又は少なくとも100個、少なくとも150個、少なくとも200個、少なくとも300個、少なくとも400個、少なくとも500個、少なくとも600個、少なくとも700個若しくは少なくとも800個の連続アミノ酸を有する前記アミノ酸配列の断片、をコードする核酸配列からなるか、或いは含む。
EHVの上記開示のいずれかにおいて、前記gBコード配列は、配列番号:2で示されるアミノ酸配列、又は前記アミノ酸配列と少なくとも90%、少なくとも93%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、少なくとも99.6%、少なくとも99.7%、少なくとも99.8%、少なくとも99.9%、少なくとも99.95%、少なくとも99.98%若しくは少なくとも99.99%の配列同一性を有する配列、をコードする核酸配列からなるか、或いは含む。
【0086】
EHVの上記開示のいずれかにおいて、前記gCコード配列は、配列番号:3で示されるアミノ酸配列、又は前記アミノ酸配列と少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも93%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、少なくとも99.6%、少なくとも99.7%、少なくとも99.8%、少なくとも99.9%、少なくとも99.95%、少なくとも99.98%若しくは少なくとも99.99%の配列同一性を有する配列、又は少なくとも100個、少なくとも150個、少なくとも200個、少なくとも300個、少なくとも400個若しくは少なくとも500個の連続アミノ酸を有する前記アミノ酸配列の断片、をコードする核酸配列からなるか、或いは含む。
EHVの上記開示のいずれかにおいて、前記gCコード配列は、配列番号:3で示されるアミノ酸配列、又は前記アミノ酸配列と少なくとも90%、少なくとも93%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、少なくとも99.6%、少なくとも99.7%、少なくとも99.8%、少なくとも99.9%、少なくとも99.95%、少なくとも99.98%若しくは少なくとも99.99%の配列同一性を有する配列、をコードする核酸配列からなるか、或いは含む。
【0087】
EHVの上記開示のいずれかにおいて、前記gDコード配列は、配列番号:4若しくは配列番号:5で示される核酸配列、又は前記核酸配列と少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも93%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、少なくとも99.6%、少なくとも99.7%、少なくとも99.8%、少なくとも99.9%、少なくとも99.95%、少なくとも99.98%若しくは少なくとも99.99%の配列同一性を有する配列、又は少なくとも300個、少なくとも600個、少なくとも900個若しくは少なくとも1050個の連続核酸を有する前記核酸配列の断片からなるか、或いは含む。
EHVの上記開示のいずれかにおいて、前記gDコード配列は、配列番号:4若しくは配列番号:5で示される核酸配列、又は前記核酸配列と少なくとも90%、少なくとも93%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、少なくとも99.6%、少なくとも99.7%、少なくとも99.8%、少なくとも99.9%、少なくとも99.95%、少なくとも99.98%若しくは少なくとも99.99%の配列同一性を有する配列からなるか、或いは含む。
【0088】
EHVの上記開示のいずれかにおいて、前記gBコード配列は、配列番号:6若しくは配列番号:7で示される核酸配列、又は前記核酸配列と少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも93%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、少なくとも99.6%、少なくとも99.7%、少なくとも99.8%、少なくとも99.9%、少なくとも99.95%、少なくとも99.98%若しくは少なくとも99.99%の配列同一性を有する配列、又は少なくとも300個、少なくとも450個、少なくとも600個、少なくとも900個、少なくとも1200個、少なくとも1500個、少なくとも1800個、少なくとも2100個若しくは少なくとも2400個の連続核酸を有する前記核酸配列の断片からなるか、或いは含む。
EHVの上記開示のいずれかにおいて、前記gBコード配列は、配列番号:6若しくは配列番号:7で示される核酸配列、又は前記核酸配列と少なくとも90%、少なくとも93%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、少なくとも99.6%、少なくとも99.7%、少なくとも99.8%、少なくとも99.9%、少なくとも99.95%、少なくとも99.98%若しくは少なくとも99.99%の配列同一性を有する配列からなるか、或いは含む。
【0089】
EHVの上記開示のいずれかにおいて、前記gCコード配列は、配列番号:8若しくは配列番号:9で示される核酸配列、又は前記核酸配列と少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも93%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、少なくとも99.6%、少なくとも99.7%、少なくとも99.8%、少なくとも99.9%、少なくとも99.95%、少なくとも99.98%若しくは少なくとも99.99%の配列同一性を有する配列、又は少なくとも300個、少なくとも450個、少なくとも600個、少なくとも900個、少なくとも1200個若しくは少なくとも1500個の連続核酸を有する前記核酸配列の断片からなるか、或いは含む。
EHVの上記開示のいずれかにおいて、前記gCコード配列は、配列番号:8若しくは配列番号:9で示される核酸配列、又は前記核酸配列と少なくとも少なくとも90%、少なくとも93%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、少なくとも99.6%、少なくとも99.7%、少なくとも99.8%、少なくとも99.9%、少なくとも99.95%、少なくとも99.98%若しくは少なくとも99.99%の配列同一性を有する配列からなるか、或いは含む。
【0090】
EHVの上記開示のいずれかにおいて、前記EHVは、ベクターである。
EHVの上記開示のいずれかにおいて、前記EHVは、EHVベクターである。
EHVの上記開示のいずれかにおいて、前記EHVは、弱毒化されている。
EHVの上記開示のいずれかにおいて、前記EHVは、遺伝子操作されている。
EHVの上記開示のいずれかにおいて、前記EHVは、組換えされている。
EHVの上記開示のいずれかにおいて、前記EHVは、EHV-1、EHV-3、EHV-4、EHV-8及びEHV-9からなる群より選ばれる。
EHVの上記開示のいずれかにおいて、前記EHVは、EHV-1である。
EHVの上記開示のいずれかにおいて、前記EHVは、RacH又はRacH SEである。
EHVの上記開示のいずれかにおいて、前記ORF70(US4)への挿入は、ORF70(US4)における部分欠失、トランケーション、置換又は改変により特徴付けられ、US5(ORF71)は機能を維持する。
【0091】
EHVの上記開示のいずれかにおいて、前記ORF70への挿入は、野生型EHV-1株ab4(Genbankアクセッション番号AY665713.1)のORF70内のおおよそ801bp欠失という欠失により特徴付けられ、それによって、野生型ab4のゲノム配列において欠失した部分は、ヌクレオチド127681と128482の間(配列番号:10)に位置するか、又は配列番号:10と少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%の配列同一性を有する配列である。
EHVの上記開示のいずれかにおいて、前記ORF70(US4)への挿入は、RacHのORF70(US4)内のおおよそ801bp欠失という欠失(配列番号:11)、又は配列番号:11と少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%の配列同一性を有する配列により特徴付けられる。
【0092】
EHVの上記開示のいずれかにおいて、前記EHVは、配列番号:12、配列番号:13、配列番号:14、配列番号:15、配列番号:16、及び配列番号:17からなる群より選ばれる少なくとも1つの隣接領域、並びに前記隣接領域と少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%の配列同一性を有する配列を含む。
EHVの上記開示のいずれかにおいて、前記EHVは、(i)配列番号:12、配列番号:14、及び配列番号:16からなる群より選ばれる少なくとも1つのUS4左隣接領域と、(ii)配列番号:13、配列番号:15、及び配列番号:17からなる群より選ばれる少なくとも1つのUS4右隣接領域とを含む。
EHVの上記開示のいずれかにおいて、前記ネコヘルペスウイルス(FHV)抗原コード配列は、プロモーター配列に作動可能に連結されている。
EHVの上記開示のいずれかにおいて、前記gDコード配列及び/又はgBコード配列は、プロモーター配列に作動可能に連結されている。
【0093】
EHVの上記開示のいずれかにおいて、前記プロモーター配列は、以下からなる群より選ばれる:SV40ラージT、HCMV及びMCMV前初期遺伝子1、ヒト伸長因子αプロモーター、バキュロウイルスのポリヘドリンプロモーター、p430(配列番号:18)、又は配列番号:18と少なくとも90%、少なくとも93%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、少なくとも99.6%、少なくとも99.7%、少なくとも99.8%、少なくとも99.9%、少なくとも99.95%、少なくとも99.98%若しくは少なくとも99.99%の配列同一性を有する配列、又は配列番号:18の少なくとも350個の隣接ヌクレオチドの断片からなるか、或いは含むプロモーター、p455(配列番号:19)、又は配列番号:19と少なくとも90%、少なくとも93%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、少なくとも99.6%、少なくとも99.7%、少なくとも99.8%、少なくとも99.9%、99.95%、少なくとも99.98%若しくは少なくとも99.99%の配列同一性を有する配列、又は配列番号:19の少なくとも350個の隣接ヌクレオチドの断片からなるか、或いは含むプロモーター、及び切り詰めたFHV-1 gBプロモーター(配列番号:24)、又は配列番号:24と少なくとも90%、少なくとも93%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、少なくとも99.6%、少なくとも99.7%、少なくとも99.8%、少なくとも99.9%、少なくとも99.95%、少なくとも99.98%若しくは少なくとも99.99%の配列同一性を有する配列、又は配列番号:24の少なくとも300個の隣接ヌクレオチドからなるか、或いは含むプロモーター。
EHVの上記開示のいずれかにおいて、前記プロモーター配列は、p430(配列番号:18)、又は配列番号:18と少なくとも95%の配列同一性を有する配列、又は配列番号:18の少なくとも400個の隣接ヌクレオチドからなるか、或いは含むプロモーターである。
【0094】
EHVの上記開示のいずれかにおいて、 前記プロモーター配列は、p455(配列番号:19)、又は配列番号:19と少なくとも95%の配列同一性を有する配列、又は配列番号:19の少なくとも400個の隣接ヌクレオチドからなるか、或いは含むプロモーターである。
EHVの上記開示のいずれかにおいて、前記EHVは、切り詰めたFHV-1 gBプロモーター(配列番号:24)、又は配列番号:24と少なくとも95%の配列同一性を有する配列、又は配列番号:24の少なくとも350個の隣接ヌクレオチドからなるか、或いは含むプロモーターである。
EHVの上記開示のいずれかにおいて、前記EHVは、1種以上の更なる調節配列、例えば、終結シグナル、ポリアデニル化シグナル、又はIRESのような調節エレメントを含む。
EHVの上記開示のいずれかにおいて、前記EHVは、ポリアデニル化シグナルを含む。
EHVの上記開示のいずれかにおいて、前記EHVは、ポリアデニル化シグナルBGHpAを含む。
EHVの上記開示のいずれかにおいて、前記EHVは、IRESエレメントを含む。
EHVの上記開示のいずれかにおいて、IRESエレメントを挟んだ2つのFHVコード配列は、1つの挿入部位に挿入される。
EHVの上記開示のいずれかにおいて、IRES及びgBを有するFHV gDは、ORF1/3部位に挿入される。
EHVの上記開示のいずれかにおいて、前記EHVは、F2Aペプチドなどの2Aペプチドを含まない。
EHVの上記開示のいずれかにおいて、前記FHV gDコード配列又はその断片は、ORF1/3に挿入されており、前記FHV gBコード配列又はその断片は、ORF70に挿入されている。
【0095】
EHVの上記開示のいずれかにおいて、
i)FHV gDコード配列は、配列番号:1で示されるアミノ酸配列、又は前記アミノ酸配列と少なくとも90%、少なくとも93%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、少なくとも99.6%、少なくとも99.7%、少なくとも99.8%、少なくとも99.9%、少なくとも99.95%、少なくとも99.98%若しくは少なくとも99.99%の配列同一性を有する配列、又は少なくとも100個、少なくとも200個、少なくとも300個若しくは少なくとも350個の連続アミノ酸を有する前記アミノ酸配列の断片、をコードする核酸配列からなるか、或いは含み、ORF1/3に挿入されており、及び
ii)FHV gBコード配列は、配列番号:2で示されるアミノ酸配列、又は前記アミノ酸配列と少なくとも90%、少なくとも93%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、少なくとも99.6%、少なくとも99.7%、少なくとも99.8%、99.9%、少なくとも99.95%、少なくとも99.98%若しくは少なくとも99.99%の配列同一性を有する配列、又は少なくとも100個、少なくとも150個、少なくとも200個、少なくとも300個、少なくとも400個、少なくとも500個、少なくとも600個、少なくとも700個若しくは少なくとも800個の連続アミノ酸を有する前記アミノ酸配列の断片、をコードする核酸配列からなるか、或いは含み、ORF70に挿入されている。
【0096】
本開示は、本開示のEHVを含む免疫原性組成物を更に含む。
本開示は、本開示のEHVを含むワクチンを更に含む。
本開示は、本開示のEHVを含むDIVAワクチンを更に含む。
免疫原性組成物、ワクチン又はDIVAワクチンの上記開示のいずれかにおいて、前記免疫原性組成物、ワクチン又はDIVAワクチンは、二価性である。
免疫原性組成物、ワクチン又はDIVAワクチンの上記開示のいずれかにおいて、前記免疫原性組成物、ワクチン又はDIVAワクチンは、多価性である。
免疫原性組成物、ワクチン又はDIVAワクチンの上記開示のいずれかにおいて、前記免疫原性組成物、ワクチン又はDIVAワクチンは、医薬上許容される担体を更に含む。
免疫原性組成物、ワクチン又はDIVAワクチンの上記開示のいずれかにおいて、前記医薬上許容される担体は、注射用水、細胞培養培地又は再懸濁緩衝液である。
免疫原性組成物、ワクチン又はDIVAワクチンの上記開示のいずれかにおいて、前記再懸濁緩衝液は、生理的な溶液又はリン酸緩衝食塩水である。
免疫原性組成物、ワクチン又はDIVAワクチンの上記開示のいずれかにおいて、前記免疫原性組成物、ワクチン又はDIVAワクチンは、EHVの1x104~1x109のTCID50、好ましくは1x104~1x108のTCID50、さらにより好ましくは1x104~1x107のTCID50を含む。
【0097】
本開示は、本開示の免疫原性組成物、ワクチン又はDIVAワクチンを含むキットを更に含む。
キットの上記開示のいずれかにおいて、前記キットは、ネコ科動物の疾患の治療及び/又は予防についての指示書を更に含む。
キットの上記開示のいずれかにおいて、前記キットは、FHVの治療及び/又は予防についての指示書を更に含む。
キットの上記開示のいずれかにおいて、前記キットは、ワクチンを動物又はネコ科動物に投与できるディスペンサを更に含む。
本開示は、本開示の免疫原性組成物、ワクチン又はDIVAワクチンをネコ科動物に投与することを含む、免疫方法を更に含む。
本開示は、ネコ科動物の免疫方法であって、本開示の免疫原性組成物、ワクチン又はDIVAワクチンを前記ネコ科動物に投与することを含む、前記方法を更に含む。
【0098】
本開示は、FHVによるネコ科動物の臨床徴候を治療又は予防するための方法であって、治療上有効量の本開示の免疫原性組成物、ワクチン又はDIVAワクチンを前記ネコ科動物に投与することを含む、前記方法を更に含む。
本開示は、未免疫対照群のネコ科動物と比べて、FHVによるネコ科動物の臨床徴候を治療又は予防するための方法であって、治療上有効量の本開示の免疫原性組成物、ワクチン又はDIVAワクチンを前記ネコ科動物に投与することを含む、前記方法を更に含む。
本開示は、FHVによるネコ科動物の呼吸器疾患を治療又は予防するための方法であって、治療上有効量の本開示の免疫原性組成物、ワクチン又はDIVAワクチンをネコ科動物に投与することを含む、前記方法を更に含む。
本開示は、未免疫対照群のネコ科動物と比べて、FHVによるネコ科動物の呼吸器疾患を治療又は予防するための方法であって、治療上有効量の本開示の免疫原性組成物、ワクチン又はDIVAワクチンを前記ネコ科動物に投与することを含む、前記方法を更に含む。
本開示は、ネコ科動物のFHVの排出を減少させるための方法であって、治療上有効量の本開示の免疫原性組成物、ワクチン又はDIVAワクチンをネコ科動物に投与することを含む、前記方法を更に含む。
本開示は、未免疫対照群のネコ科動物と比べて、ネコ科動物のFHVの排出を減少させるための方法であって、治療上有効量の本明細書に記載の免疫原性組成物、ワクチン又はDIVAワクチンを前記ネコ科動物に投与することを含む、前記方法を更に含む。
【0099】
本開示は、ネコ科動物を免疫するための方法に使用するための本開示の免疫原性組成物、ワクチン又はDIVAワクチンであって、前記方法が、治療上有効量の前記免疫原性組成物、ワクチン又はDIVAワクチンを前記ネコ科動物に投与することを含む、前記免疫原性組成物、ワクチン又はDIVAワクチンを更に含む。
本開示は、FHVによるネコ科動物の臨床徴候を治療又は予防するための方法に使用するための本開示の免疫原性組成物、ワクチン又はDIVAワクチンであって、前記方法が、治療上有効量の前記免疫原性組成物、ワクチン又はDIVAワクチンをネコ科動物に投与することを含む、前記免疫原性組成物、ワクチン又はDIVAワクチンを更に含む。
本開示は、FHVによるネコ科動物の呼吸器疾患を治療又は予防するための方法に使用するための本開示の免疫原性組成物、ワクチン又はDIVAワクチンであって、前記方法が、治療上有効量の前記免疫原性組成物、ワクチン又はDIVAワクチンをネコ科動物に投与することを含む、前記免疫原性組成物、ワクチン又はDIVAワクチンを更に含む。
本開示は、ネコ科動物のFHVの排出を減少させるための方法に使用するための本開示の免疫原性組成物、ワクチン又はDIVAワクチンであって、前記方法が、治療上有効量の前記免疫原性組成物、ワクチン又はDIVAワクチンをネコ科動物に投与することを含む、前記免疫原性組成物、ワクチン又はDIVAワクチンを更に含む。
【0100】
方法又は使用の上記開示のいずれかにおいて、前記ネコ科動物は、チーター、ピューマ、ジャガー、ヒョウ、ライオン、オオヤマネコ、トラ、ネコ及びイエネコからなる群より選ばれる。
方法又は使用の上記開示のいずれかにおいて、前記ネコ科動物は、ネコ又はイエネコである。
方法又は使用の上記開示のいずれかにおいて、前記免疫原性組成物、ワクチン又はDIVAワクチンは、2回以上投与される。
方法又は使用の上記開示のいずれかにおいて、前記免疫原性組成物、ワクチン又はDIVAワクチンは、2回投与される。
方法又は使用の上記開示のいずれかにおいて、前記免疫原性組成物、ワクチン又はDIVAワクチンは、4、5又は6週齢以上のネコ科動物に投与される。
方法又は使用の上記開示のいずれかにおいて、前記免疫原性組成物、ワクチン又はDIVAワクチンは、6週齢以上のネコ科動物に投与される。
方法又は使用の上記開示のいずれかにおいて、前記免疫原性組成物、ワクチン又はDIVAワクチンは、4週齢~25週齢内のネコ科動物に初めて投与される。
方法又は使用の上記開示のいずれかにおいて、前記免疫原性組成物、ワクチン又はDIVAワクチンは、6週齢~20週齢内のネコ科動物に初めて投与される。
【0101】
方法又は使用の上記開示のいずれかにおいて、前記免疫原性組成物、ワクチン又はDIVAワクチンの1回目の投与量は、4、5又は6週齢以上のネコ科動物に投与され、2回目の投与量は、2~8週間後に投与される。
方法又は使用の上記開示のいずれかにおいて、前記免疫原性組成物、ワクチン又はDIVAワクチンの1回目の投与量は、6週齢以上のネコ科動物に投与され、2回目の投与量は、2~8週間後に投与される。
方法又は使用の上記開示のいずれかにおいて、2回目(ブースター)のワクチン接種後、更なるワクチン接種は、年1回で行われる(年1回のブースター接種)。
方法又は使用の上記開示のいずれかにおいて、前記免疫原性組成物、ワクチン又はDIVAワクチンは、筋肉内、皮内、皮下、経口又は経鼻で投与される。
方法又は使用の上記開示のいずれかにおいて、前記免疫原性組成物、ワクチン又はDIVAワクチンは、1mL当たり1x104~1x1010のTCID50のEHVを含む
方法又は使用の上記開示のいずれかにおいて、前記免疫原性組成物、ワクチン又はDIVAワクチンは、1mL当たり1x106~1x109のTCID50のEHVを含む。
方法又は使用の上記開示のいずれかにおいて、前記免疫原性組成物、ワクチン又はDIVAワクチンの1投与量は、1mL当たり1x104~1x1010のTCID50のEHVを含む。
方法又は使用の上記開示のいずれかにおいて、前記免疫原性組成物、ワクチン又はDIVAワクチンの1投与量は、1mL当たり1x106~1x109のTCID50のEHVを含む。
【0102】
方法又は使用の上記開示のいずれかにおいて、前記方法により、ネコ科動物と同種の未免疫対照群と比べて、体重減少の低下、肺内のウイルス量の低下、ウイルス血症の減少、肺病変、呼吸器病変及び肺胞上皮病変の減少、眼脂の減少、結膜炎の減少、鼻炎の減少、ウイルス排出の減少及び/又は短縮、直腸温の減少、臨床症状(特に、呼吸器の症状)の減少、抗FHVウイルス抗体の(中和)誘導の増大、FHVに対するT細胞への刺激の増大、FHVウイルスに対するB細胞への刺激の増大、及び肺内の炎症性サイトカイン(例えば、IL1β)の減少、又はこれらの組み合わせからなる群より選ばれる有効性評価基準の改善をもたらす。
方法又は使用の上記開示のいずれかにおいて、前記免疫原性組成物、ワクチン又はDIVAワクチンは、FHVによる同種及び/又は異種チャレンジから保護する。
本開示は、ORF1/3に挿入されたFHV gDコード配列又はその断片、及びORF70に挿入されたFHV gBコード配列又はその断片を含む、EHV(ウマヘルペスウイルス)を更に含む。
本開示は、ORF1/3に挿入されたFHV gDコード配列又はその断片、及びORF70に挿入されたFHV gBコード配列又はその断片を含む、EHV(ウマヘルペスウイルス)を更に含む。
【0103】
本開示は、EHV(ウマヘルペスウイルス)を更に含み、前記EHVが、
i)ORF1/3に挿入されたFHV gDコード配列であって、配列番号:1で示されるアミノ酸配列、又は前記アミノ酸配列と少なくとも90%、少なくとも93%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、少なくとも99.6%、少なくとも99.7%、少なくとも99.8%、少なくとも99.9%、少なくとも99.95%、少なくとも99.98%若しくは少なくとも99.99%の配列同一性を有する配列、又は少なくとも100個、少なくとも200個、少なくとも300個若しくは少なくとも350個の連続アミノ酸を有する前記アミノ酸配列の断片、をコードする核酸配列からなるか、或いは含む、前記FHV gDコード配列と、
ii)ORF70に挿入されたFHV gBコード配列であって、配列番号:2で示されるアミノ酸配列、又は前記アミノ酸配列と少なくとも90%、少なくとも93%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、少なくとも99.6%、少なくとも99.7%、少なくとも99.8%、少なくとも99.9%、少なくとも99.95%、少なくとも99.98%若しくは少なくとも99.99%の配列同一性を有する配列、又は少なくとも100個、少なくとも150個、少なくとも200個、少なくとも300個、少なくとも400個、少なくとも500個、少なくとも600個、少なくとも700個若しくは少なくとも800個の連続アミノ酸を有する前記アミノ酸配列の断片、をコードする核酸配列からなるか、或いは含む、前記FHV gBコード配列とを含む。
【0104】
本開示は、EHV(ウマヘルペスウイルス)を更に含み、前記EHVが、配列番号:1で示されるアミノ酸配列、又は前記アミノ酸配列と少なくとも95%の配列同一性を有する配列をコードする核酸配列からなるか、或いは含む、ORF1/3に挿入されたFHV gDコード配列と、配列番号:2で示されるアミノ酸配列、又は前記アミノ酸配列と少なくとも95%の配列同一性を有する配列をコードする核酸配列からなるか、或いは含む、ORF70に挿入されたFHV gBコード配列とを含む。
本開示は、EHV(ウマヘルペスウイルス)を含む免疫原性組成物、ワクチン又はDIVAワクチンを更に含み、前記EHVが、
i)ORF1/3に挿入されたFHV gDコード配列であって、配列番号:1で示されるアミノ酸配列、又は前記アミノ酸配列と少なくとも90%、少なくとも93%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、少なくとも99.6%、少なくとも99.7%、少なくとも99.8%、少なくとも99.9%、少なくとも99.95%、少なくとも99.98%若しくは少なくとも99.99%の配列同一性を有する配列、又は少なくとも100個、少なくとも200個、少なくとも300個若しくは少なくとも350個の連続アミノ酸を有する前記アミノ酸配列の断片、をコードする核酸配列からなるか、或いは含む、前記FHV gDコード配列と、
ii)ORF70に挿入されたFHV gBコード配列であって、配列番号:2で示されるアミノ酸配列、又は前記アミノ酸配列と少なくとも90%、少なくとも93%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、少なくとも99.6%、少なくとも99.7%、少なくとも99.8%、少なくとも99.9%、少なくとも99.95%、少なくとも99.98%若しくは少なくとも99.99%の配列同一性を有する配列、又は少なくとも100個、少なくとも150個、少なくとも200個、少なくとも300個、少なくとも400個、少なくとも500個、少なくとも600個、少なくとも700個若しくは少なくとも800個の連続アミノ酸を有する前記アミノ酸配列の断片、をコードする核酸配列からなるか、或いは含む、前記FHV gBコード配列とを含む。
【0105】
本開示は、治療用の、本開示のEHV、免疫原性組成物、ワクチン又はDIVAワクチンを更に含む。
本開示は、免疫原又はワクチンとしての使用のための、本開示のEHV、免疫原性組成物、ワクチン又はDIVAワクチンを更に含む。
本開示は、医薬としての使用のための、本開示のEHV、免疫原性組成物、ワクチン又はDIVAワクチンを更に含む。
本開示は、医薬の製造のための、本開示のEHV、免疫原性組成物、ワクチン又はDIVAワクチンを更に含む。
本開示は、ネコ科動物のFHV感染症の治療及び/又は予防のための、本開示のEHV、免疫原性組成物、ワクチン又はDIVAワクチンの使用を更に含む。
本開示は、ORF70(US4)及び/又はORF1/3に挿入されたネコヘルペスウイルス(FHV)抗原コード配列を含む、EHV(ウマヘルペスウイルス)を調製する方法を更に含み、前記方法が、
i)EHVを提供することと、
ii)FHV抗原コード配列を提供することと、
iii)工程ii)から得られた前記FHV抗原コード配列を、工程i)のEHVのORF70(US4)及び/又はORF1/3挿入部位に挿入することと、
iv)ORF70(US4)及び/又はORF1/3に挿入されたFHV抗原コード配列を含む、前記EHVを得ることとを含む。
【0106】
本開示は、ORF70(US4)及び/又はORF1/3に挿入されたネコヘルペスウイルス(FHV)抗原コード配列を含む、EHV(ウマヘルペスウイルス)を調製する方法を更に含み、前記方法が、
i)EHVを提供することと、
ii)FHV gD、gB又はgCコード配列であって、配列番号:1、配列番号:2、若しくは配列番号:3で示されるアミノ酸配列、又は前記アミノ酸配列と少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも93%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、少なくとも99.6%、少なくとも99.7%、少なくとも99.8%、少なくとも99.9%、少なくとも99.95%、少なくとも99.98%若しくは少なくとも99.99%の配列同一性を有する配列、又は少なくとも100個、少なくとも200個、少なくとも300個若しくは少なくとも350個の連続アミノ酸を有する前記アミノ酸配列の断片、をコードする核酸配列からなるか、或いは含む、前記FHV gD、gB又はgCコード配列を提供することと、
iii)工程ii)から得られた前記FHV gD、gB又はgCコード配列を、工程i)のEHVのORF70(US4)及び/又はORF1/3挿入部位に挿入することと、
iv)ORF70(US4)及び/又はORF1/3に挿入されたFHV gD、gB又はgCコード配列を含む前記EHVを得ることとを含む。
【0107】
EHVを調製する方法の上記開示のいずれかにおいて、前記EHVは、弱毒化されている。
EHVを調製する方法の上記開示のいずれかにおいて、前記EHVは、RacH又はRacH SEである。
本開示は、本開示の免疫原性組成物、ワクチン又はDIVAワクチンによるワクチン接種を受けたネコ科動物とFHVに感染したネコ科動物とを区別する方法を更に含み、前記方法が、
a)ネコ科動物から試料を得ることと、
b)免疫試験、細胞培養に基づくアッセイ及び/又はゲノム解析試験で、前記試料を分析することとを含む。
区別方法の上記開示のいずれかにおいて、前記免疫試験は、試料がFHV gGを特異的に認識する抗体を含むか否かを検査することを含む。
区別方法の上記開示のいずれかにおいて、FHV gGを特異的に認識する抗体が検出された場合、前記ネコ科動物は、FHVに感染している。
区別方法の上記開示のいずれかにおいて、前記ゲノム解析試験は、試料がFHV gGコード配列を含むか否かを検査することを含む。
区別方法の上記開示のいずれかにおいて、FHV gGコード配列が検出された場合、前記ネコ科動物は、FHVに感染している。
【0108】
区別方法の上記開示のいずれかにおいて、前記免疫試験は、試料が、EHV gD及び/又はEHV gCを特異的に認識する抗体を含むか否かを検査することを含む。
区別方法の上記開示のいずれかにおいて、EHV gD及び/又はEHV gCを特異的に認識する抗体が検出された場合、前記ネコ科動物は、本開示の免疫原性組成物、ワクチン又はDIVAワクチンによるワクチン接種を受けている。
区別方法の上記開示のいずれかにおいて、前記ゲノム解析試験は、試料が、EHV gD及び/又はEHV gCコード配列を含むか否かを検査することを含む。
区別方法の上記開示のいずれかにおいて、EHV gD及び/又はEHV gCコード配列が検出された場合、前記ネコ科動物は、本開示の免疫原性組成物、ワクチン又はDIVAワクチンによるワクチン接種を受けている。
区別方法の上記開示のいずれかにおいて、前記免疫試験は、EIA(酵素イムノアッセイ)若しくはELISA(酵素結合免疫吸着検定法)であるか、又は前記ゲノム解析試験は、PCR(ポリメラーゼ連鎖反応)、RT-PCR(逆転写ポリメラーゼ連鎖反応)又はリアルタイムPCR(ポリメラーゼ連鎖反応)である。
区別方法の上記開示のいずれかにおいて、前記ネコ科動物は、ネコである。
区別方法の上記開示のいずれかにおいて、前記試料は、血清試料である。
区別方法の上記開示のいずれかにおいて、前記ELISAは、間接ELISA、サンドイッチELISA、競合ELISA又はブロッキングELISAである。
区別方法の上記開示のいずれかにおいて、前記ゲノム解析試験は、PCR(ポリメラーゼ連鎖反応)、RT-PCR(逆転写ポリメラーゼ連鎖反応)又はリアルタイムPCR(ポリメラーゼ連鎖反応)である。
区別方法の上記開示のいずれかにおいて、前記細胞培養に基づくアッセイは、CPE(細胞変性効果)アッセイである。
以下の図面は、本明細書の一部であり、本発明のいくつかの観点を更に裏付けるために含まれる。これらの図面のうちの1つ以上を、本明細書に示される特定の実施形態についての詳細な説明と組み合わせて参照することにより、本発明をより理解できる。
【図面の簡単な説明】
【0109】
【
図1】p1_3-p430-FHVgD(co)の模式図
【
図3】rEHV-1-p430-FHVgD(co)-p455-FHVgB(co)の模式図
【
図4】p1_3-p430-FHVgD(co)F2AgB(co)の模式図
【
図5】rEHV-1-p430-FHVgD(co)F2AgB(co)の模式図
【
図7】rEHV-1-p430-FHVgDの模式図
【
図8】rEHV-1-p455-FHVgB(n)の模式図
【
図10】rEHV-1-p430-FHVgD(co)-pFHgB-FHVgB(n)の模式図
【
図11】p1_3-p430-FHVgD(co)IRESgB(n)の模式図
【
図12】rEHV-1-p430-FHVgD(co)IRESgB(n)の模式図
【
図13】処置群の幾何平均抗体価を使用したブタ血清学試験によるFHV-1のSN結果
【
図14】処置群の幾何平均抗体価を使用したブタ血清学試験によるEHV-1のSN結果
【
図15】中等度から重度の徴候が2日以上続いたネコの、ネコ科動物チャレンジ試験における臨床徴候の結果(スコア>1)
【
図16】ネコ科動物チャレンジ試験における群別の平均体重(kg)
【
図17】ネコ科動物チャレンジ試験における、ワクチン接種群のみの平均EHV-1のSN抗体価の幾何平均及び個々の動物のEHV-1のSN抗体価(×=群内の個々の動物の50%エンドポイント抗体価)
【
図18】ネコ科動物チャレンジ試験における、群1及び2についての、FVRのSN抗体価の群の幾何平均及び個々の動物のFVRのSN抗体価(×=群1の動物の個体値;黒丸=群2の動物の個体値)
【0110】
配列の概要
本発明における以下の配列を、ここで詳細に説明し、開示する。
糖タンパク質:
配列番号:1 株C-27から得られたFHVgDアミノ酸配列
配列番号:2 株C-27から得られたFHVgBアミノ酸配列
配列番号:3 株C-27から得られたFHVgCアミノ酸配列
配列番号:4 FHV-1株C-27から得られた、コドン最適化FHVgDヌクレオチド配列
配列番号:5 FHV-1株C-27から得られた、ネイティブFHVgDヌクレオチド配列
配列番号:6 FHV-1株C-27から得られた、コドン最適化FHVgBヌクレオチド配列
配列番号:7 株C-27から得られた、ネイティブFHVgBヌクレオチド配列
配列番号:8 FHV-1株C-27から得られた、コドン最適化FHVgCヌクレオチド配列
配列番号:9 株C-27から得られた、ネイティブFHVgCヌクレオチド配列
【0111】
ORF70挿入部位:
配列番号:10 野生型EHV-1株ab4(Genbankアクセッション番号AY665713.1)のORF70内の801bp欠失
配列番号:11 RacHのORF70(US4)内の801bp部分
配列番号:12 US4左隣接領域(417bp)
配列番号:13 US4右隣接領域(431bp)
配列番号:14 US4左隣接領域(417bp)
配列番号:15 US4右隣接領域(431bp)
配列番号:16 US4左隣接領域(283bp)
配列番号:17 US4右隣接領域(144bp)
プロモーター:
配列番号:18 p430プロモーター
配列番号:19 p455プロモーター
配列番号:24 切り詰めたFHV-1 gBプロモーター
プライマー
配列番号:20~配列番号:23 プライマー
【実施例】
【0112】
以下の実施例は、本発明の好ましい実施形態を裏付けるために含まれる。当業者には、以下の実施例に開示されている技術は、本発明の実施において良好に機能することが本発明者らによって発見された代表的な技術であり、したがって本発明の実施のための好ましい態様を構成すると考えるとできることを理解されたい。しかしながら、当業者は、本開示に照らして、開示されている特定の実施形態に多くの変更を行うことができ、それでもなお、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく同様又は類似の結果を得ることができることを理解するべきである。
【0113】
実施例1:
ORF1/3挿入部位にFHV-1糖タンパク質Dを有し、かつORF70挿入部位にFHV-1糖タンパク質Bを有する、組換えEHV-1(rEHV-1-p430-FHVgD(co)-p455-FHVgB(co))の生成
合成のコドン最適化FHVgDコード配列(配列番号:4)を、制限エンドヌクレアーゼで消化し、同じ制限エンドヌクレアーゼで消化された、mCMVプロモーター及びEHV-1のORF1/3相同組換えのための隣接領域(flanks)を含む、p1_3-mCMV(Dorsch-Hasler et al. 1985に記載のマウスCMVプロモーター)ベクターにライゲートし、p1_3-mCMV-FHVgD(co)を得た。MluI制限エンドヌクレアーゼ及びEcoRI制限エンドヌクレアーゼを使用して、EHV-4のgG430プロモーターp430(配列番号:18)をpgG430-MCS1ベクターから切り取り、p1_3-mCMV-FHVgD(co)にライゲートし、p1_3-p430-FHVgD(co)(
図1)を得た。合成のコドン最適化FHVgBコード配列(配列番号:6)を、FseI制限エンドヌクレアーゼ及びKpnI制限エンドヌクレアーゼで消化し、同じ制限エンドヌクレアーゼで消化された、EHV-4の主要カプシドタンパク質(MCP)プロモーターp455(配列番号:19)及びEHV-1のORF70相同組換えのための隣接領域を含む、p455シャトルベクターにクローニングし、p455-FHVgB(co)(
図2)を得た。2つの異なる挿入部位にある2種のFHV-1抗原を有する組換えEHV-1ウイルスを生成するために、RED組換え系を使用し、コドン最適化FHV-1gD 及びコドン最適化FHV-1 gBの発現カセットのそれぞれを、ORF1/3挿入部位及びORF70挿入部位に挿入し、rEHV-1-p430-FHVgD(co)-p455-FHVgB(co)(
図3)を生成した。カナマイシン選択後、rEHV-1-p430-FHVgD(co)-p455-FHVgB(co) BAC DNAをA1-ST細胞に形質移入して、組換えウイルス-rEHV-1-p430-FHVgD(co)-p455-FHVgB(co)をレスキューした。
【0114】
実施例2:
ORF1/3挿入部位にFHV-1糖タンパク質D及びBを有する組換えEHV-1(rEHV-1-p430-FHVgD(co)F2AgB(co))の生成
p1_3-mCMV-FHVgD(co)に対し、プライマーであるF2Aオリゴ(表1;配列番号:20)及びFHVgD-F(表1;配列番号:21)で、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を行い、FHV gD(co)コード配列の3’末端の270bpと、終止コドンのボイドと、コドン最適化口蹄疫ウイルス(FMDV)2Aペプチド配列(F2A)と、FHV gB(co)コード配列の5’末端の23bpとを含む347bp断片を増幅した。
表1:p1_3-mCMV-FHVgD(co)F2AgB(co)の構築のためのプライマー
【0115】
プライマーであるFHVgB-F(表1;配列番号:22)及び3’-FHVgB-R(表1;配列番号:23)で第2のPCRを行い、p455-FHVgB(co)から得られた完全なFHV gB(co)コード配列(長さ2,487bp)を増幅した。その後、オーバーラップ伸長PCR(OE-PCR)により両PCR断片を連結し、5’末端にXbaI部位を有し、かつ3’末端にSalI部位を有する断片を生成した。融合コード配列を、XbaI制限エンドヌクレアーゼ及びSalI制限エンドヌクレアーゼで消化し、XbaI制限部位及びSalI制限部位を介してp1_3-mCMV-FHVgD(co)のマルチクローニングサイト1(MCS1)にクローニングし、p1_3-mCMV-FHVgD(co)F2AgB(co)を得た。MluI制限エンドヌクレアーゼ及びEcoRI制限エンドヌクレアーゼを使用して、EHV-4のgG430プロモーターを、pgG430-MCS1ベクターから切り取り、同じ制限エンドヌクレアーゼで消化されたp1_3-mCMV-FHVgD(co)F2AgB(co)にライゲートし、p1_3-p430-FHVgD(co)F2AgB(co)(
図4)を得た。RED組換え系(Tischer et al. 2006. Biotechnol. Tech. 40, 191-197)を使用したen passant変異誘発により、コドン最適化FHV-1 gD及びコドン最適化FHV-1 gBの発現カセットを、ORF1/3挿入部位に挿入し、F2A切断部位によって連結し、rEHV-1-p430-FHVgD(co)F2AgB(co)(
図5)を生成した。カナマイシン選択後、rEHV-1-p430-FHVgD(co)F2AgB(co) BAC DNAをA1-ST細胞に形質移入して、組換えウイルス-rEHV-1-p430-FHVgD(co)F2AgB(co)をレスキューした。
【0116】
実施例3:
ORF1/3挿入部位にコドン最適化FHV-1糖タンパク質Dを有する組換えEHV-1(rEHV-1-p430-FHVgD(co))、又はORF70挿入部位にネイティブFHV-1糖タンパク質Bを有する組換えEHV-1(rEHV-1-p455-FHVgB(n))の生成
合成のネイティブFHVgBコード配列(配列番号:7)を、NcoI制限エンドヌクレアーゼ及びKpnI制限エンドヌクレアーゼで消化し、同じ制限エンドヌクレアーゼで消化されたp455プラスミドにクローニングし、p455-FHVgB(n)(
図6)を得た。RED組換え系(Tischer et al. 2006. Biotechnol. Tech. 40, 191-197)を使用したen passant変異誘発により、p1_3-FHVgD(co)から得られたコドン最適化FHV-1 gDをORF1/3挿入部位に挿入し(国際公開第2018/054837号公報に例示的に記載)、rEHV-1-p430-FHVgD(co)(
図7)のBAC DNAを生成し、続いてA1-ST細胞に形質移入して、rEHV-1-p430-FHVgD(co)ウイルスをレスキューした。同様に、en passant変異誘発を使用して、p455-FHVgB(n)から得られたネイティブFHV-1 gBをORF70挿入部位に挿入し(国際公開第2018/054837号公報に例示的に記載)、rEHV-1-p455-FHVgB(n)(
図8)の BAC DNAを生成し、続いてA1-ST細胞に形質移入して、rEHV-1-p455-FHVgB(n)ウイルスをレスキューした。
【0117】
実施例4:
p430プロモーターを有するORF1/3挿入部位にコドン最適化FHV-1糖タンパク質Dを有し、かつネイティブFHV-1 gBプロモーターを有するORF70挿入部位にネイティブFHV-1糖タンパク質Bを有する組換えEHV-1(rEHV-1-p430-FHVgD(co)-pFHgB-FHVgB(n))の生成、並びにORF1/3挿入部位にFHV-1糖タンパク質D及び糖タンパク質Bを有する組換えEHV-1(rEHV-1-p430-FHVgD(co)IRESgB(n))の生成
Bsu36I制限エンドヌクレアーゼ及びSalI制限エンドヌクレアーゼでの消化により生成したFHV gB(配列番号:24)についてのネイティブプロモーターを含む合成の671bp断片を、同じ制限エンドヌクレアーゼで消化されたp455-FHVgB(n)にライゲートし、pFHgB-FHVgB(n)(
図9)を得た。RED組換え系(Tischer et al. 2006. Biotechnol. Tech. 40, 191-197)を使用したen passant変異誘発により、p1_3-p430-FHVgD(co)から得られたコドン最適化FHV-1 gDをORF1/3挿入部位に挿入し(国際公開第2018/054837号公報に例示的に記載)、続いてRED組換えを行い、ネイティブFHV-1 gBプロモーターで駆動するネイティブFHV-1 gBをORF70挿入部位に挿入し(国際公開第2018/054837号公報に例示的に記載)、rEHV-1-p430-FHVgD(co)-pFHgB-FHVgB(n)(
図10)のBAC DNAを生成した。このBAC DNAをA1-ST細胞に形質移入し、rEHV-1-p430-FHVgD(co)-pFHgB-FHVgB(n)ウイルスをレスキューした。コドン最適化FHV-1 gDの3’末端と、EMCV IRESと、ネイティブFHV-1 gBコード配列とを含む合成の3,687bp断片を、PacI制限エンドヌクレアーゼ及びXbaI制限エンドヌクレアーゼで消化し、同じ制限エンドヌクレアーゼで消化されたp1_3-p430-FHVgD(co)にライゲートし、p1_3-p430-FHVgD(co)IRESgB(n)(
図11)を得た。RED組換え系(Tischer et al. 2006. Biotechnol. Tech. 40, 191-197)を使用したen passant変異誘発により、コドン最適化FHV-1 gD発現カセット及びネイティブFHV-1 gB発現カセットをORF1/3挿入部位に挿入し、EMCV IRESによって連結し、rEHV-1-p430-FHVgD(co)IRESgB(n)(
図12)のBAC DNAを生成した。このBAC DNAをA1-ST細胞に形質移入し、rEHV-1-p430-FHVgD(co)IRESgB(n)ウイルスをレスキューした。
【0118】
実施例5:
FHV-1糖タンパク質D及び/又は糖タンパク質Bを発現する組換えEHV-1ウイルス
rEHV-1-p430-FHVgD(co)-p455-FHVgB(co)及びrEHV-1-p430-FHVgD(co)F2AgB(co)を含むA1-ST細胞に対して限界希釈を行い、ウイルス由来のGFPマーカーを取り除いて、ウイルスのクローン集団を得た。次世代(NextGen)シーケンシングにより、EHV-1 RacHバクミドの骨格への発現カセットの正しい挿入を検証した。免疫蛍光アッセイ(IFA)により、感染した細胞における導入遺伝子の発現を分析した。A1-ST細胞におけるTCID50/mLとして決定されるピーク力価は、親のウイルスrEHV-1 RacHの力価と同じ範囲内であり、導入遺伝子の発現がウイルスの複製に悪影響を与えなかったことを示している(表示なし)。
【0119】
rEHV-1 FHVgD/FHVgBウイルスのインビトロ特性評価-IFA
組換えウイルスは、親のEHV-1 RacH株と比較して、プラークのサイズ、増殖の速度(growth kinetics)又は力価に顕著な差がなかった。EHV-1 RacH、FHV-1株F2、rEHV-p430-FHVgD(co)-p455-FHVgB(co)及びrEHV-p430-FHVgD(co)F2AgB(co)に感染したA1-ST細胞のIFAにより、rEHV-p430-FHVgD(co)-p455-FHVgB(co)ウイルス及びrEHV-p430-FHVgD(co)F2AgB(co)ウイルスによるFHVgD及びFHVgBの発現を評価した。マウス抗FHVgDモノクローナル抗体クローン215C1M、マウス抗FHVgBモノクローナル抗体クローン218E4S、ネコ抗FVR血清及びマウス抗EHV-1モノクローナル抗体クローン16H9(すべて、ベーリンガーインゲルハイムが所有)で細胞を染色した。Alexa Fluor594ヤギ抗マウスIgG(ライフテクノロジーズ、カールスバッド、CA)をモノクローナル一次抗体の二次抗体として使用し、FITC結合型ヤギ抗ネコIgG(Jackson ImmunoResearch、ウェスト・グロー、PA)をネコ抗FVR血清の二次抗体として使用した。予想通り、FHVgD及びFHVgBの発現は、組換えウイルスに感染したA1-ST細胞にしか検出されなかった(表2)。rEHV-p430-FHVgD(co)F2AgB(co)に感染した細胞におけるFHV gD発現の染色は、rEHV-p430-FHVgD(co)-p455-FHVgB(co)に感染した細胞におけるFHV gD発現の染色より弱かった。rEHV-p430-FHVgD(co)及びrEHV-p455-FHVgB(n)に感染したA1-ST細胞のIFAにより、rEHV-p430-FHVgD(co)ウイルス及びrEHV-p455-FHVgB(n)ウイルスによるFHVgD及びFHVgBの発現を評価した。マウス抗FHVgDモノクローナル抗体クローン215C1M(ベーリンガーインゲルハイムの所有)、マウス抗FHVgBモノクローナル抗体クローン218E4S(ベーリンガーインゲルハイムの所有)、及びすぐに使用できるFITCコンジュゲート抗EHV-1ヤギポリクローナル抗血清(FITC-conjugated anti-EHV-1 ready to use caprine polyclonal antiserum)(VMRD、プルマン、WA)で細胞を染色した。Alexa Fluor594ヤギ抗マウスIgG(ライフテクノロジーズ、カールスバッド、CA)をモノクローナル一次抗体の二次抗体として使用した。予想通り、FHV gDの発現は、rEHV-1-p430-FHVgD(co)に感染したA1-ST細胞にしか検出されず、FHV gBの発現は、rEHV-1-p455-FHVgB(n)に感染したA1-ST細胞にしか検出されなかった(表2)。
【0120】
表2:A1-ST細胞におけるFHV gD及びFHV gBの発現-IFA結果
N=陰性;W+=弱い染色;+=平均的な染色
実施例4の結論:
FHV gD抗原及びFHV gB抗原を含む構築物は、両タンパク質の発現を示した。FHV gD一価構築物は、FHV gDの発現を示し、FHV gB一価構築物は、FHV gBの発現を示した。
【0121】
実施例6:
FHV-1 gD及びgBをin vivoで発現する組換えEHV-1ベクターワクチンのブタにおける試験
FHV-1 gD及びFHV-1 gBを発現する組換えEHV-1ワクチンの血清学的反応を評価するために、ブタにおいて血清学試験を行った。おおよそ6~7週齢の、合計8匹のブタを無作為に3つの処置群に分けた(表3)。
表3:ブタ血清学試験の設計
【0122】
処置は、2種の実験用ワクチンであるrEHV-p430-FHVgD(co)-p455-FHVgB(co)(群1;ブタ3匹、力価:8.02 TCID
50/mL)及びrEHV-p430-FHVgD(co)F2AgB(co)(群2;ブタ3匹、力価:8.30 TCID
50/mL)、並びに陰性対照としての非FHV抗原を有する組換えEHV-1ウイルス(群3;ブタ2匹、力価:7.80 TCID
50/mL)から構成された。0日目に、適切なワクチンの2mL筋肉内(IM)及び2mL鼻腔内(IN)投与量をブタに投与した。14日目に、適切なワクチンの2mL IM 及び2mL INのブースター投与をすべての動物に受けさせた。試験スケジュールについては、表4を参照されたい。
表4:ブタ血清学試験のイベンドのスケジュール
【0123】
【0124】
【0125】
さらに、FHVgD特異的抗体及びFHVgB特異的抗体の存在を示すために、FHVgD抗体を確認するためのHIを行い、FHVgD特異的抗体及びFHVgB特異的抗体を確認するためのIFAを行った。
HI(赤血球凝集抑制)アッセイ
FHV gDは、ネコ科動物RBCの赤血球凝集を引き起こすことが知られている(Maeda et al. 1998. J Vet Med Sci;60:881-888)ため、FHVgD特異的抗体の存在を検査するために、被験血清試料に対してHIアッセイを行った。赤血球凝集の抗原は、rEHV-p430-FHVgD(co)-p455-FHVgB(co)に感染させて、0.1%CHAPSで溶解させたA1-ST細胞から得られたFHVgDであった。D14でのブースター接種後、rEHV-p430-FHVgD(co)-p455-FHVgB(co)を接種したブタは、rEHV-p430-FHVgD(co)F2AgB(co)を接種したブタよりも2倍から4倍高いHI抗体価を示し、より高い濃度の、FHVgDに対する特異的抗体を示した(表7)。群3の動物から得られた血清は、試験全体を通して、HI活性を示さなかった。
【0126】
表7:ブタ血清学試験によるFHV-1のHI結果
IFA(免疫蛍光アッセイ)
FHVgD特異的抗体及びFHVgB特異的抗体の被験血清を検査するために、シャトルベクターであるp1_3-p430-FHVgD(co)及びp455-FHVgB(co)のそれぞれをA1-ST細胞に形質移入した。第3のセットの細胞は、陰性の細胞対照として使用するために、形質移入しなかった。表8は、このアッセイの結果を示す。
表8:ブタ血清学試験の血清IFA結果
N=陰性;W+=弱い染色;+=平均的な染色;S+=強い染色
【0127】
群1のブタから観察されたHI抗体価を補足するものとして、これらの同じ血清試料は、FHV gDシャトルベクターを形質移入した細胞においても強いIFA染色を示し、D14での2回目のワクチン接種後に更に強いIFA染色を示すことが明らかになった。これに対して、同じ群1の血清は、FHV gBシャトルベクターを形質移入した細胞を、弱く染色しただけであった。群2のブタから得られた血清は、gDに対して低いHI抗体価を有した。同じ群2の血清試料は、FHV gDシャトルベクターを形質移入した細胞を適度に染色することが分かった。群1のブタから得られた血清で観察された抗gBのIFA反応と同様、群2のブタから得られた血清試料は、染色が点状であったが、FHV gBシャトルベクターを形質移入した細胞を、弱く染色したことだけであった。関連性のないrEHV-1ウイルスを接種した、群3のブタから得られた血清試料は、FHV gDシャトルベクター又はFHV gBシャトルベクターのいずれかを形質移入した細胞において、陰性又は弱い非点状染色(バックグラウンド染色に起因する強度)しか示さなかった。群3のブタから観察されたバックグラウンド染色を、群1及び群2のブタの、陰性のIFA反応性の全体的なベースラインとみなした。
実施例5の結論:
まとめると、両構築物が機能し、FHV-1の血清中和抗体、HI抗体価及びIFA染色を示した。
【0128】
実施例7:
FHV-1 gD及びgBをin vivoで発現する組換えEHV-1ベクターワクチンのネコにおける試験
FHV-1 gD及びFHV-1 gBを発現する組換えEHV-1ワクチンの血清学的反応を評価するために、標的種であるネコにおいてチャレンジ試験を行った。
0日目に、おおよそ7~9週齢の、合計10匹のネコを無作為に2つの処置群に分けた(表9)。
表9:ネコチャレンジ試験の設計
【0129】
処置は、44日目に、ネコ鼻気管炎ウイルス(FVR)96-13としても知られているネコヘルペスウイルス1型(CVB BUA No.2019020、力価:6.50 TCID50/mL)でチャレンジした群1の対照ネコ5匹、及び0日目と21日目に、rEHV-p430-FHVgD(co)-p455-FHVgB(co)(力価:7.86 TCID50/mL)で皮下接種され、続いて44日目に、FVR 96-13(CVB BUA No.2019020、力価:6.50 TCID50/mL)でチャレンジした群2のネコ5匹から構成された。0日目に、群2のネコに対し、0.5mL投与量のワクチンを皮下投与した後、試験の21日目に同じ量及び投与経路でブースター接種を行った。44日目に、試験のすべてのネコに対し、鼻腔内経路と中咽頭経路との間で、1mLのチャレンジウイルスを等量で投与してチャレンジした。試験スケジュールについては、表10を参照されたい。
【0130】
【0131】
一次変数は、疾患の臨床徴候であり、二次変数は、発熱、体重減少及び血清学である。一次変数の許容基準は、症例定義を満たすために、ワクチン接種を受けていない対照において、チャレンジ後の2日以上の臨床徴候があることと、>80%の対照が、成功したチャレンジについての症例定義を満たすこととを含む。二次変数の許容基準は、ワクチン接種を受けていない対照と比べて、ワクチン接種を受けた動物の発熱の低下と、ネコが、ワクチン接種前に血清陰性のままであり、ワクチン接種後にセロコンバージョンを示し、かつ対照ネコが、チャレンジまで血清陰性のままでなければならないこととを含む。チャレンジの後に臨床観察を毎日行った。試験前、チャレンジ前、及び試験終了時に、ネコの体重を測って、体重減少を判定した。すべてのネコで、直腸温は、ベースラインとしてチャレンジ前に2回、チャレンジ後の最初の7日間は毎日測定した。その後、39.5℃を超えたネコで、回復まで直腸温を測定した。ネコ科動物の呼吸器パネルPCRを使用したスクリーニングのために、チャレンジ前に採取したスワブをすべて、ジョージア大学アテネ獣医学診断研究室(University Georgia Athens Veterinary Diagnostic Laboratory、UGA VDL)に提出した。CPEに基づく読み取りを使用して、血清中和のFHV-1及びEHV-1抗体価について、試験から得られた血清試料を検査した。対照群のすべてのネコは、中等度から重度の臨床徴候が2日以上続いた(
図11)。鼻炎は、すべての群の中で認められる最も一般的な臨床徴候であった。ワクチン接種群では、目の徴候及び結膜炎が観察されなかった。群1の5匹の動物のうちの4匹は、他の臨床徴候、例えば、聞こえるラ音(audible rales)、口呼吸、及びくしゃみに起因する鼻出血(blood on nostrils)を示した。ワクチン接種を受けた動物のいずれにも、このような所見を示さなかった。ワクチン接種を受けたネコでは、局所的又は全身的な有害事象が認められなかった。対照ネコの体重がチャレンジ後に低下した一方で、ワクチン接種群は、同じ体重を維持したか、又は体重がわずかに増加した(
図12)。対照群の3匹のネコは、チャレンジ後の4日目に発熱した一方で、ワクチン接種を受けた動物のいずれも発熱しなかった(データは示していない)。ワクチン接種を受けた動物はすべて、1回目のワクチン接種後にEHV-1の血清中和抗体価を獲得し(develop)、2回目のワクチン接種後にブースター反応が見られた(
図13)。チャレンジ対照群は、試験期間を通してEHV-1の中和抗体に対して血清陰性であった(データは示していない)。ワクチン接種を受けた動物はすべて、2回目のワクチン接種後にFHV-1血清中和抗体価を獲得した(
図14)。チャレンジ後(55日目)のワクチン接種を受けた動物の血清中和抗体価におけるスパイク(spike)によって示されているように、ワクチン接種により、中和抗体応答の良好なプライミングが誘導された。
【0132】
実施例6の結論:
全体として、ワクチン接種を受けていない対照動物と比べて、rEHV-p430-FHVgD(co)-p455-FHVgB(co)によるワクチン接種により、疾患の臨床徴候の重症度及び持続期間の軽減をもたらした。さらに、チャレンジの後、rEHV-p430-FHVgD(co)-p455-FHVgB(co)によるワクチン接種を受けた動物は、より高いFHV-1の血清中和抗体価を有し、陽性のワクチン効果を示した。
【配列表】
【国際調査報告】