(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-24
(54)【発明の名称】抗ヒスタミン活性化合物を含む口内分散性粉末組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 45/00 20060101AFI20231116BHJP
A61P 11/02 20060101ALI20231116BHJP
A61P 37/08 20060101ALI20231116BHJP
A61K 9/14 20060101ALI20231116BHJP
A61K 47/12 20060101ALI20231116BHJP
A61K 47/26 20060101ALI20231116BHJP
A61K 47/38 20060101ALI20231116BHJP
A61K 47/36 20060101ALI20231116BHJP
A61K 47/02 20060101ALI20231116BHJP
A61K 47/04 20060101ALI20231116BHJP
A61K 47/20 20060101ALI20231116BHJP
A61K 47/34 20170101ALI20231116BHJP
A61K 31/454 20060101ALI20231116BHJP
A61K 31/495 20060101ALI20231116BHJP
A61K 31/4545 20060101ALI20231116BHJP
A61K 31/445 20060101ALI20231116BHJP
【FI】
A61K45/00
A61P11/02
A61P37/08
A61K9/14
A61K47/12
A61K47/26
A61K47/38
A61K47/36
A61K47/02
A61K47/04
A61K47/20
A61K47/34
A61K31/454
A61K31/495
A61K31/4545
A61K31/445
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023528454
(86)(22)【出願日】2021-09-22
(85)【翻訳文提出日】2023-05-31
(86)【国際出願番号】 IB2021058632
(87)【国際公開番号】W WO2022106923
(87)【国際公開日】2022-05-27
(32)【優先日】2020-11-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522021572
【氏名又は名称】バイオファーマ・シナジーズ,エス.エル.
【氏名又は名称原語表記】BIOPHARMA SYNERGIES, S. L.
(74)【代理人】
【識別番号】100106448
【氏名又は名称】中嶋 伸介
(72)【発明者】
【氏名】フランセスク・アヘル・プイグ
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
4C086
【Fターム(参考)】
4C076AA29
4C076BB01
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4C076DD27
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4C084AA17
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4C086BC27
4C086BC39
4C086BC50
4C086GA07
4C086GA08
(57)【要約】
本発明は、抗ヒスタミン活性化合物と、クエン酸ナトリウム、クエン酸及びスクラロースの相乗的3成分混合物とを含む口内分散性粉末組成物に関する。それはまた、そのような口内分散性粉末組成物を含むスティック状包装物及び錠剤、並びにアレルギー疾患の治療におけるそれらの使用に関する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
口内分散性粉末組成物であって、
a)薬理学的有効量の抗ヒスタミン活性化合物又はその薬学的に許容可能な塩;
b)クエン酸ナトリウム、クエン酸及びスクラロースからなる3成分混合物;並びに
c)1つ以上のさらなる賦形剤
を含み、比a):b)が1:2~1:75であることを特徴とする、前記口内分散性粉末組成物。
【請求項2】
前記抗ヒスタミン活性化合物は、アクリバスチン、アザタジン、アゼラスチン、ビラスチン、ブロムフェニラミン、カルビノキサミン、セチリジン、クロルフェニラミン、クレマスチン、デスロラタジン、デクスブロムフェニラミン、デクスクロルフェニラミン、ジフェニルヒドラミン、ジフェニルピラリン、ドキシラミン、エバスチン、フェキソフェナジン、レボセチリジン、ロラタジン、オロパタジン、プロメタジン、ピリラミン、ルパタジン、トリペレナミン、トリプロリジン、又はそれらの塩、及びそれらの混合物からなる群から選択されることを特徴とする、請求項1に記載の口内分散性粉末組成物。
【請求項3】
前記抗ヒスタミン活性化合物:3成分混合物の比は、1:5~1:75、好ましくは1:6~1:70、好ましくは1:7~1:65、より好ましくは1:12.5~1:60であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の口内分散性粉末組成物。
【請求項4】
前記クエン酸ナトリウムの含有量は、前記3成分混合物の総重量に対して50重量%~85重量%、好ましくは55重量%~75重量%、より好ましくは60重量%~70重量%であることを特徴とする、請求項1~3のいずれか1項に記載の口内分散性粉末組成物。
【請求項5】
前記クエン酸の含有量は、前記3成分混合物の総重量に対して10重量%~45重量%、好ましくは15重量%~35重量%、より好ましくは20重量%~30重量%であることを特徴とする、請求項1~4のいずれか1項に記載の口内分散性粉末組成物。
【請求項6】
前記スクラロースの含有量は、前記3成分混合物の総重量に対して5重量%~40重量%、好ましくは10重量%~30重量%、より好ましくは15重量%~25重量%であることを特徴とする、請求項1~5のいずれか1項に記載の口内分散性粉末組成物。
【請求項7】
前記1つ以上のさらなる賦形剤は、希釈剤、潤滑剤、滑剤、香料、甘味料、酸味料、アルカリ化剤、緩衝剤、抗酸化剤、及びこれらの混合物から選択されることを特徴とする、請求項1~6のいずれか1項に記載の口内分散性粉末組成物。
【請求項8】
前記希釈剤は、マンニトール、ソルビトール、キシリトール、イソマルト、エリスリトール、粉末セルロース、微結晶性セルロース、ケイ化微結晶性セルロース、デンプン、リン酸カルシウム、乳酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、及びこれらの混合物から選択されることを特徴とする、請求項7に記載の口内分散性粉末組成物。
【請求項9】
前記潤滑剤は、タルク、安息香酸ナトリウム、フマル酸ステアリルナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、ベヘン酸グリセリル、ステアリン酸、モノステアリン酸グリセリル、ポロキサマー、ポリエチレングリコール、及びこれらの混合物からなる群から選択されることを特徴とする、請求項7に記載の口内分散性粉末組成物。
【請求項10】
前記滑剤は、コロイダル二酸化ケイ素、リン酸三カルシウム、疎水性コロイダルシリカ、ケイ酸マグネシウム、三ケイ酸マグネシウム、二酸化ケイ素、タルク、及びこれらの混合物からなる群から選択されることを特徴とする、請求項7に記載の口内分散性粉末組成物。
【請求項11】
前記香料は、オレンジ、バナナ、ストロベリー、チェリー、ワイルドチェリー、レモン、カルダモン、アニス、ペパーミント、メントール、バニリン、及びエチルバニリン、並びにこれらの混合物から選択されることを特徴とする、請求項7に記載の口内分散性粉末組成物。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか1項に記載の口内分散性粉末を含む、スティック状包装物。
【請求項13】
請求項1~11のいずれか1項に記載の口内分散性粉末を含む、錠剤。
【請求項14】
アレルギー疾患の治療に使用するための、請求項1~11のいずれか1項に記載の口内分散性粉末組成物、請求項12に記載のスティック状包装物、又は請求項13に記載の錠剤。
【請求項15】
季節性アレルギー性鼻炎、持続性アレルギー性鼻炎、季節性アレルギー性鼻結膜炎、持続性アレルギー性鼻結膜炎、じんましん、慢性突発性じんましん、及びアレルギー性皮膚炎から選ばれるアレルギー疾患の治療に使用するための、請求項14に記載の口内分散性粉末組成物、スティック状包装物又は錠剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抗ヒスタミン活性化合物を有効成分として含み、口内分散性粉末としてスティック状包装物(stick packs)の形態に分包(dose)される医薬組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ヒスタミンは、アミノ酸のヒスチジンの脱炭酸から得られる生理活性内在性物質である。ヒトでは、ヒスチジンは、H1~H4で示されるGタンパク質結合型受容体に結合することによって基本的に効力を発揮し、それは直接又は間接の微小血管の拡張及び血管透過性の増大と、鼻、目、呼吸器及び皮膚の特異的受容体の活性化として、特徴的なアレルギー徴候と症状を引き起こすことで明白になる。
【0003】
抗ヒスタミン性化合物は、受容体部位でヒスタミンと拮抗する化合物であり、花粉症、じんましん、結膜炎、及び虫刺され等のアレルギーの兆候を緩和するためにたびたび使用される。
【0004】
経口投与が、アレルギー反応に苦しんでいる患者にとって好ましい投与経路である。
【0005】
口内分散性製剤は、従来の錠剤を服用したくない患者、吐き気や嘔吐がある患者、並びに嚥下障害がある患者にとっての代替的選択肢である。
【0006】
医薬製剤の薬学的活性成分に関してよくある問題は、特許文献1:US-A-2006/198885に開示されるように、これらが呈する不快な苦味である。
【0007】
従来技術には、抗ヒスタミン活性剤の苦味をマスキングするための様々なアプローチ:イオン交換樹脂との複合体の使用、サイクロデキストリンとの組み合わせ、ポリマー被覆の使用、特定の呈味マスキング化合物の使用や発泡性組成物の使用が開示されている。
【0008】
例えば特許文献2:WO-A-00/18365には、活性成分、例えばロラタジンが、その呈味をマスクするために被覆され得る速溶解性口腔消耗性フィルムが開示されている。活性成分の被覆は、特許文献3:WO-A-2004/066925でも提案され、前記被覆は、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタル酸塩、メタクリル共重合体、脂質化合物、脂溶性化合物、ポリエチレングリコールベヘン酸塩、パルミトステアリン酸グリセロール、ステアリン酸グリセロール、パルミチン酸セチル、グリセリンマクロゴールビーズワックス(glyceric macrogol beeswaxes)、グリセリン、ステアリン酸PEG-32、パルミトステアリン酸PEG-32、及びそれらの混合物から選択される。別の解決策が特許文献4:WO-A-2008/019854で提案され、活性成分、例えばロラタジンを含有する少なくとも1種の粒子を含む経口投与用医薬組成物であって、前記粒子は、a)前記粒子の活性成分及び任意に適当なアジュバントを含有するコア、及びb)前記コアに塗布されるより多数の被覆層を含み、1より多い被覆層が存在する場合、(i)水でゲルを形成可能な少なくとも1種のポリマー、(ii)水でゲル形成不能な少なくとも1種のポリマー、(iii)二酸化炭素を放出可能な少なくとも1種の化合物、及び(iv)任意の追加アジュバントを含有する、前記組成物を開示する。特許文献5:WO-A-2011/132167にフェキソフェナジンのホットメルト被覆が開示され、それは活性剤の苦味を有効にマスクする。前記被覆は、好ましくない呈味をマスクし得るが、前記被覆の厚みと組成が適切に制御されないと、錠剤の崩壊と溶解の特性に影響を及ぼす。さらに、被覆操作は、高度に制御され、かつコスト高なプロセスである。
【0009】
特許文献6:WO-A-01/70194では、速溶解性口腔消耗性フィルム中に存在する活性成分、例えばロラタジンの呈味をマスクするためにイオン交換樹脂の使用が提案される。陽イオン交換樹脂とのデスロラタジン複合体を含む樹脂酸塩が特許文献7:IN-A-02796DE2005で開示されている。特許文献8:CN-A-104306338には、デスロラタジンとアクリル酸樹脂との間の包接化合物が開示され、これは呈味を著しく改善する。
【0010】
特許文献9:WO-A-02/074238には、薬学的に許容可能な担体及び、グリシルリチンと複合化された活性剤(例えば、ロラタジン)を持った組成物が開示されている。
【0011】
特許文献10:CN-A-1031127012では、エバスチンのホットメルト固体分散体を前記活性剤の呈味を改善するために結合剤中に含む錠剤が開示されている。
【0012】
特許文献11:WO-A-99/01133及び特許文献12:WO-A-2010/028101では、セチリジンを含む錠剤が開示され、ここで前記活性剤は、サイクロデキストリンとの複合体の形態を取る。サイクロデキストリンはまた、特許文献13:WO-A-2015/144830に開示された組成物中のレボセチリジンの呈味マスキング剤として使用される。特許文献14:WO-A-2011/110939では、活性成分、例えばセチリジンやレボセチリジン等のサイクロデキストリン包接体に、それらの苦味をマスクするためにさらにポリオールを含む。
【0013】
特許文献15:WO-A-2006/058022には、スクラロース、ショ糖、サッカリン又はそれらの塩、フルクトース、デキストロース、コーンシロップ、アスパルテーム、アセスルファムK、キシリトール、ソルビトール、エリスリトール、グリシルリチン酸アンモニウム、タウマチン、ネオテーム、マンニトール、メントール、ユーカリ油、樟脳、天然香味料、人工香味料、並びにこれらの組合せからなる群から選択される呈味マスキング剤を含む抗ヒスタミン組成物が開示されている。
【0014】
特許文献16:WO-A-2011/146030には、デスロラタジンの苦味をマスクするために発泡性薬剤組成物の使用が開示されている。同様に、特許文献17:WO-A-11/146032には、レボセチリジンを含む発泡性処方物が開示されている。
【0015】
特許文献18:US-A-2013/0217697には、セチリジン用呈味マスキング剤が開示され、これは、1種以上の無機及び/又は有機塩並びに2種以上の単環モノテルペンを1種以上の甘味料とともに含む。
【0016】
特許文献19:WO-A-2013/058496では、薬学的活性成分(例えばセチリジン等)、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム及びケイ酸カルシウムからなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物並びに薬学的に許容可能な担体を含む混合物の湿式造粒によって呈味のマスクされた処方物が調製される。
【0017】
特許文献20:WO-A-2019/219143には、活性成分の呈味をマスキングするための経口錠剤が開示され、前記錠剤は、粒子の集団及び味覚を隠した活性成分(例えばセチリジン、ロラタジンやデスロラタジン等)を含み、前記粒子の集団は、直接圧縮性(DC)及び間接圧縮性(非DC)の糖アルコール粒子を含み、前記非DC粒子は、複数の離散した非DC領域を錠剤に提供し、そして非DC領域は、錠剤の咀嚼の際に、少なくとも部分的に活性成分の呈味マスキング誘導を生じる。
【0018】
特許文献21:WO-A-2004/019885では異なるアプローチが開示され、リボース又はデオキシリボース糖部位、あるいはリボース又はデオキシリボース及びイオン化リン酸塩の誘導体に結合したプリン又はピリミジン基若しくはその誘導体を含む化合物が、苦い活性成分の苦味の知覚を減じ又は排除するために使用される。
【0019】
特許文献22:WO-A-2019/150388では別のアプローチが開示され、経口的に消費又は投与される一定の物質又は製品、例えばロラタジン、デスロラタジンやセチリジン等の好ましくない呈味をマスキングするためにフラクトオリゴ糖及びグルコースオキシダーゼを使用する。
【0020】
特許文献23:IN-A-00674DE1999には、薬剤粒子の被覆、薬剤粒子の不活性基剤への埋め込みあるいは複合化によってセチリジンの呈味のマスキングを行い得ることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0021】
【特許文献1】US-A-2006/198885
【特許文献2】WO-A-00/18365
【特許文献3】WO-A-2004/066925
【特許文献4】WO-A-2008/019854
【特許文献5】WO-A-2011/132167
【特許文献6】WO-A-01/70194
【特許文献7】IN-A-02796DE2005
【特許文献8】CN-A-104306338
【特許文献9】WO-A-02/074238
【特許文献10】CN-A-1031127012
【特許文献11】WO-A-99/01133
【特許文献12】WO-A-2010/028101
【特許文献13】WO-A-2015/144830
【特許文献14】WO-A-2011/110939
【特許文献15】WO-A-2006/058022
【特許文献16】WO-A-2011/146030
【特許文献17】WO-A-11/146032
【特許文献18】US-A-2013/0217697
【特許文献19】WO-A-2013/058496
【特許文献20】WO-A-2019/219143
【特許文献21】WO-A-2004/019885
【特許文献22】WO-A-2019/150388
【特許文献23】IN-A-00674DE1999
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0022】
当該技術分野で利用可能な様々な提案にもかかわらず、味がマスキングされ、患者による受け入れやすさの程度が高い、抗ヒスタミン活性化合物を含む新規な経口医薬組成物に対する需要が依然として存在している。
【課題を解決するための手段】
【0023】
本発明の目的は、口内分散性粉末組成物である。
【0024】
上記口内分散性粉末組成物を含むスティック状包装物もまた、本発明の一部である。
【0025】
上記口内分散性粉末組成物を含む錠剤もまた、本発明の一部である。
【0026】
アレルギー疾患の治療に使用するための上記口内分散性粉末組成物もまた、本発明の一部である。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】
図1は、3成分系の挙動を説明するための等式を得るために、クエン酸ナトリウム、クエン酸及びスクラロースの10個の特定の組み合わせを試験するための混合図(mixture diagram)を示す。図中、X1はクエン酸ナトリウムを表し、X2はクエン酸を表し、そしてX3はスクラロースを表す。
【
図2】
図2は、薬学的有効成分としてのビラスチンと、クエン酸ナトリウム(X1)、クエン酸(X2)、及びスクラロース(X3)の相乗的3成分混合物とを含有する口内分散性粉末の、受け入れやすさの程度に対応する等値線(isolines)を示す。
【
図3】
図3は、薬学的有効成分としてのレボセチリジンと、クエン酸ナトリウム(X1)、クエン酸(X2)、及びスクラロース(X3)の相乗的3成分混合物とを含有する口内分散性粉末の、受け入れやすさの程度に対応する等値線を示す。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明の目的は、口内分散性粉末組成物であって、
a)薬理学的有効量の抗ヒスタミン活性化合物又はその薬学的に許容可能な塩、
b)クエン酸ナトリウム、クエン酸及びスクラロースからなる3成分混合物、並びに
c)1つ以上のさらなる賦形剤
を含み、比a):b)が1:2~1:75であることを特徴とする、前記口内分散性粉末組成物である。
【0029】
一実施態様では、前記口内分散性粉末組成物は、顆粒化されない。
【0030】
一実施態様では、前記口内分散性粉末組成物は、発泡性ではない。好ましい実施態様では、前記口内分散性粉末組成物は、発泡性ではない。
【0031】
本発明者等は、直接的な混合によって、最適な流れ特性を有し、抗ヒスタミン活性化合物の苦味をマスキングし、また製剤の患者による優れた受け入れやすさを示す口内分散性粉末を開発した。苦味のマスキングは驚くべきことに、クエン酸、クエン酸ナトリウム及びスクラロースの相乗効果によって生み出された。この口内分散性製剤は口腔内で迅速に(15秒未満で)溶解し、口内に製品残留物を残さず、投与後に水を飲む必要がない。さらに、本発明の口内分散性粉末は、室温での長期保管後であっても、驚くほど最適な流れ特性を示す。
【0032】
本発明の口内分散性粉末によってアレルギー疾患患者の治療コンプライアンスを改善でき、また製造コストを削減できる。さらに、上記製剤は、糖尿病及び乳糖不耐症に好適である。
【0033】
本発明の文脈では、口内分散性粉末は、薬学的有効成分及び賦形剤が粉末形状となっており、口腔内で迅速に分散される及び/又は溶解する、医薬組成物である。「迅速に(rapidly)」は、30秒未満、好ましくは20秒未満、より好ましくは15秒未満を意味する。
【0034】
本発明の文脈では、用語「抗ヒスタミン活性化合物」は、抗ヒスタミン活性化合物及びその薬学的に許容可能な塩の両方を指す。
【0035】
本説明及び特許請求の範囲では、単数形「ある(a、an)」及び「前記(the)」は、文脈的にそうでないことが明らかでない限り、複数の指示対象を含む。前置詞「…の間(between)」によって、又は用語「・・・から・・・まで(from・・・to・・・)」によって定義される範囲は、該範囲の両端も含む。用語「約(about)」は、±10%、好ましくは±5%の偏差を指す。パーセンテージは、そうでないことが明記されていない限り、重量%で表される。
【0036】
抗ヒスタミン活性化合物
本発明の口内分散性粉末の有効成分は、抗ヒスタミン活性化合物又はその薬学的に許容可能な塩である。
【0037】
本明細書中で使用される場合、用語「薬学的に許容可能な塩」は、例えば酢酸塩、アジピン酸塩、アントラニル酸塩、アスコルビン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、重硫酸塩、重酒石酸塩、カンファースルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ギ酸塩、フマル酸塩、フロ酸塩、ガラクツロン酸塩、ゲンチジン酸塩、グルコン酸塩、グルクロン酸塩、グルタミン酸塩、グリコール酸塩、臭化水素酸塩、塩酸塩、ヨウ化水素酸塩、イセチオン酸、イソニコチン酸塩、乳酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、マンデル酸塩、メシル酸塩、ムチン酸塩、硝酸塩、パモ酸塩、パントテン酸塩、フェニル酢酸塩、リン酸塩、プロピオン酸塩、サッカリン酸塩、サリチル酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、スルファニル酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、p‐トルエンスルホン酸塩といった、薬理学的に許容可能なアニオンから調製される塩、及びこれらの水和物を指す。好ましくは、薬学的に許容可能な塩は、塩酸塩、フマル酸塩、及びこれらの水和物から選択される。
【0038】
抗ヒスタミン活性化合物は、アレルギーの治療に使用される薬学活性成分であり、例えばアクリバスチン、アザタジン、アゼラスチン、ビラスチン、ブロムフェニラミン、カルビノキサミン、セチリジン、クロルフェニラミン、クレマスチン、デスロラタジン、デクスブロムフェニラミン、デクスクロルフェニラミン、ジフェニルヒドラミン、ジフェニルピラリン、ドキシラミン、エバスチン、フェキソフェナジン、レボセチリジン、ロラタジン、オロパタジン、プロメタジン、ピリラミン、ルパタジン、トリペレナミン、トリプロリジン等の抗ヒスタミン類である。
【0039】
前記抗ヒスタミン活性化合物は、好ましくはアクリバスチン、アザタジン、アゼラスチン、ビラスチン、ブロムフェニラミン、カルビノキサミン、セチリジン、クロルフェニラミン、クレマスチン、デスロラタジン、デクスブロムフェニラミン、デクスクロルフェニラミン、ジフェニルヒドラミン、ジフェニルピラリン、ドキシラミン、エバスチン、フェキソフェナジン、レボセチリジン、ロラタジン、オロパタジン、プロメタジン、ピリラミン、ルパタジン、トリペレナミン、トリプロリジン、又はそれらの塩、及びそれらの混合物から選択され;より好ましくはデスロラタジン、ロラタジン、セチリジン、レボセチリジン、ルパタジン、ビラスチン、エバスチン、又はそれらの塩、及びそれらの混合物から選択される。
【0040】
一実施態様では、前記抗ヒスタミン活性化合物は、好ましくはデスロラタジン及びロラタジン又はそれらの塩の群から選択される。
【0041】
別の実施態様では、前記抗ヒスタミン活性化合物は、好ましくはセチリジン及びレボセチリジン又はそれらの塩の群から選択される。
【0042】
別の実施態様では、前記抗ヒスタミン活性化合物は、ルパタジン又はそれらの塩である。
【0043】
別の実施態様では、前記抗ヒスタミン活性化合物は、ビラスチン又はそれらの塩である。
【0044】
別の実施態様では、前記抗ヒスタミン活性化合物は、エバスチン又はそれらの塩である。
【0045】
各抗ヒスタミン活性化合物の薬理学的有効量は、当業者には公知である。錠剤の形態の市販薬用製品では、推奨される抗ヒスタミン活性化合物用量は、例えばレボセチリジン2塩酸塩及びデスロラタジンでは5mg、ルパタジン、セチリジン2塩酸塩及びロラタジンでは10mg、エバスチン及びビラスチンでは10mg又は20mgである。
【0046】
抗ヒスタミン活性化合物及びその薬学的に許容可能な塩は、市販の薬学的有効成分、例えばSigma-Aldrich社を介して(エバスチン、ビラスチン、ルパタジン、セチリジン、レボセチリジン、ロラタジン、デスロラタジン)であるか、又は従来技術、例えば、EP-A-134124(エバスチン)、ビラスチン(EP-A-0818454)、ルパタジン(ES-A-2042421)、セチリジン(EP-A-0058146)、ロラタジン(US4282233)で既に開示されているプロセスに従って調製できる。
【0047】
本発明の口内分散性粉末中の抗ヒスタミン活性化合物の含有量は、口内分散性粉末組成物の総重量に対して、通常、0.05重量%~10重量%、好ましくは0.1重量%~5重量%である。製剤中に抗ヒスタミン活性化合物の薬学的に許容可能な塩を使用する場合は、それに応じて上記量が補正される。
【0048】
3成分混合物
本発明の口内分散性粉末は、クエン酸ナトリウム、クエン酸及びスクラロースからなる相乗的3成分混合物を含む。好ましくは、本発明の口内分散性粉末は、クエン酸ナトリウム無水物、クエン酸無水物及びスクラロースの3成分混合物を含む。
【0049】
上記相乗的3成分混合物は、本発明の口内分散性粉末中に、1:2~1:75、好ましくは1:5~1:75、好ましくは1:6~1:70、より好ましくは1:7~1:65、さらにより好ましくは1:12.5~1:60の抗ヒスタミン活性化合物:3成分混合物の比で処方される。ある好ましい実施形態では、上記比は、約1:12.5、約1:25、約1:30、約1:50及び約1:60からなる群から選択される。
【0050】
クエン酸ナトリウムは、二水和物又は無水物のいずれかとして医薬製剤中に使用される。これは主にpHを調整するための緩衝剤として使用される。
【0051】
クエン酸は、一水和物又は無水物のいずれかとして医薬製剤中に使用される。これは主にpHを調整するための緩衝剤として使用される。
【0052】
本発明の組成物中では、クエン酸ナトリウムは、好ましくは無水物であり、また、クエン酸は、好ましくは無水物である。
【0053】
スクラロースは、医薬品用途において甘味料として使用される。スクラロースはショ糖のおよそ300~1000倍の甘味を有し、後味を有さない。スクラロースには栄養価がなく、非う蝕原性であり、う歯を発生させず、また血糖反応を引き起こさない。
【0054】
3成分混合物中では、クエン酸ナトリウムの含有量は、3成分組成物の総重量に対して50重量%~85重量%、好ましくは55重量%~75重量%、より好ましくは60重量%~70重量%である。
【0055】
3成分混合物中では、クエン酸の含有量は、3成分混合物の総重量に対して10重量%~45重量%、好ましくは15重量%~35重量%、より好ましくは20重量%~30重量%である。
【0056】
上記3成分混合物中では、スクラロースの含有量は、3成分混合物の総重量に対して5重量%~40重量%、好ましくは10重量%~30重量%、より好ましくは15重量%~25重量%である。
【0057】
3成分混合物中のクエン酸ナトリウム、クエン酸及びスクラロースの量は、100%となるように組み合わされる。水和物形態のクエン酸ナトリウム及び/又はクエン酸を使用する場合は、上記量はそれに応じて補正される。
【0058】
3成分組成物の好ましい実施形態は:55重量%~75重量%のクエン酸ナトリウム、15重量%~35重量%のクエン酸、及び10重量%~30重量%のスクラロース;より好ましくは58重量%~70重量%のクエン酸ナトリウム、18重量%~30重量%のクエン酸、及び13重量%~25重量%のスクラロース;より好ましくは60重量%~65重量%のクエン酸ナトリウム、20重量%~25重量%のクエン酸、及び15重量%~20重量%のスクラロースを含み、3成分組成物中のクエン酸ナトリウム、クエン酸及びスクラロースの量は、100%となるように組み合わされる。
【0059】
口内分散性粉末組成物中の3成分混合物の含有量は、口内分散性粉末組成物の総重量に対して5重量%~20重量%、好ましくは7重量%~18重量%、より好ましくは10重量%~15重量%、より好ましくは11重量%~12重量%である。
【0060】
驚くべきことに、上記3成分混合物は、1:2~1:75、好ましくは1:5~1:75、より好ましくは1:6~1:70、さらに好ましくは1:7~1:65、さらにより好ましくは1:12.5~1:60である、抗ヒスタミン活性化合物と3成分混合物との間の幅広い比にわたって、抗ヒスタミン活性化合物の苦味をマスキングできる。実施例で示されているように、ビラスチン及びエバスチンに関して約1:12.5、ロラタジン及びルパタジンに関して約1:25、セチリジンに関して約1:30、デスロラタジンに関して約1:50、そしてレボセチリジンに関して約1:60という抗ヒスタミン活性化合物:3成分混合物の比が例示された。
【0061】
他の賦形剤
本発明の口内分散性粉末は一般に、さらなる賦形剤、例えば希釈剤、潤滑剤、滑剤、香料、甘味料、酸味料、アルカリ化剤、緩衝剤、抗酸化剤、及びこれらの混合物を含んでよい。
【0062】
本発明の口内分散性粉末の調製に使用するために好適な賦形剤は、例えばHandbook of pharmaceutical excipients、R.C. Rowe, P.J. Sheskey及びM.E. Quinn、編者、Pharmaceutical Press、6版、2009に記載されている。
【0063】
本発明の口内分散性粉末中で通常使用されるさらなる賦形剤は、希釈剤、潤滑剤、滑剤、香料、及びこれらの混合物を含む群から選択される。
【0064】
ある好ましい実施形態では、口内分散性粉末は、希釈剤、潤滑剤、滑剤、香料、及びこれらの混合物を含む群から選択される1つ以上のさらなる賦形剤を含む。
【0065】
好適な希釈剤は、例えばマンニトール、ソルビトール、キシリトール、イソマルト、エリスリトール、粉末セルロース、微結晶性セルロース、ケイ化微結晶性セルロース、デンプン、リン酸カルシウム、乳酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、及びこれらの混合物を含んでよく、希釈剤は、好ましくはマンニトールである。好ましい一実施形態では、上記組成物は乳糖を含まない。
【0066】
マンニトールは、医薬製剤に使用される。マンニトールは主に希釈剤として使用され、吸湿性がないため湿気に敏感な有効成分と共に使用できることから、特に価値がある。マンニトールは一般に、負の溶解熱、甘味、及び口内に冷感を与える「口当たり(mouth feel)」を理由として、チュアブル錠剤製剤の製造時に賦形剤として使用される。またマンニトールは、迅速な分散性を有する経口剤形中の希釈剤としても使用される。マンニトールは経口投与された場合、消化管からは略吸収されず、糖尿病患者に好適である。マンニトールはメイラード反応を起こさない。マンニトールはカロリーが低く、また非う蝕原性である。
【0067】
一般に希釈剤は、口内分散性粉末組成物の総重量に対して65重量%~95重量%、好ましくは75重量%~90重量%、より好ましくは80重量%~89重量%、さらに好ましくは85重量%~88重量%の量で存在する。
【0068】
口内分散性粉末は、さらに潤滑剤を含んでよく、この潤滑剤は通常、タルク、安息香酸ナトリウム、フマル酸ステアリルナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、ベヘン酸グリセリル、ステアリン酸、モノステアリン酸グリセリル、ポロキサマー、ポリエチレングリコール、及びこれらの混合物からなる群から選択され、好ましくは上記潤滑剤は、フマル酸ステアリルナトリウムである。
【0069】
フマル酸ステアリルナトリウムは、医薬組成物中で潤滑剤として使用される。フマル酸ステアリルナトリウムは純粋な形態で供給され、化学的な非適合性を原因として、純度が比較的低いステアリン酸塩タイプの潤滑剤が好適でない場合に価値がある。フマル酸ステアリルナトリウムはステアリン酸マグネシウム又はステアリン酸よりも疎水性が低く、ステアリン酸マグネシウムよりも溶解に対する遅延効果が低い。
【0070】
一般に、潤滑剤は、口内分散性粉末組成物の総重量に対して0.05重量%~10重量%、好ましくは0.1重量%~5重量%、より好ましくは0.2重量%~2.5重量%、より好ましくは0.4重量%~1重量%、より好ましくは0.45重量%~0.75重量%、さらに好ましくは約0.5重量%の量で存在する。
【0071】
口内分散性粉末は、さらに滑剤を含んでよく、この滑剤は通常、コロイダル二酸化ケイ素、リン酸三カルシウム、疎水性コロイダルシリカ、ケイ酸マグネシウム、三ケイ酸マグネシウム、二酸化ケイ素、タルク、及びこれらの混合物からなる群から選択される。好ましい滑剤はコロイダル二酸化ケイ素である。
【0072】
コロイダル二酸化ケイ素は、医薬製剤に使用される。コロイダル二酸化ケイ素は、その小さな粒径及び大きな比表面積により、乾燥粉末の流れ特性を改善するために利用される望ましい流れ特性を有する。
【0073】
一般に滑剤は、口内分散性粉末組成物の総重量に対して0.05重量%~10重量%、好ましくは0.1重量%~5重量%、より好ましくは0.2重量%~2.5重量%、より好ましくは0.4重量%~1重量%、より好ましくは0.45重量%~0.75重量%、さらに好ましくは約0.5重量%の量で存在する。
【0074】
口内分散性粉末は、さらに香料を含んでよく、上記香料は通常、オレンジ、バナナ、ストロベリー、チェリー、ワイルドチェリー、レモン及びこれらの混合物等のフルーツフレーバー、並びにカルダモン、アニス、ペパーミント、メントール、バニリン、及びエチルバニリン等の他のフレーバー、並びにこれらの混合物から選択される。上記香料は、好ましくはペパーミントフレーバーである。
【0075】
一般に上記香料の含有量は、口内分散性粉末組成物の総重量に対して0.05重量%~5.0重量%である。
【0076】
いくつかの実施形態では、口内分散性粉末は甘味料を含んでよく、この甘味料は通常、サッカリンナトリウム、ネオヘスペリジンジヒドロカルコン、アセスルファムカリウム、アスパルテーム、及びこれらの混合物からなる群から選択される。好ましくは上記組成物は、ショ糖を含まず、従って糖尿病に好適である。
【0077】
一般に甘味料は、口内分散性粉末組成物の総重量に対して、通常、0.1重量%~5重量%の量で存在する。
【0078】
いくつかの実施形態では、口内分散性粉末は酸味料を含んでよく、この酸味料は通常、フマル酸、マレイン酸、リンゴ酸、酒石酸、及びこれらの混合物からなる群から選択される。
【0079】
一般に、上記酸味料の含有量は、口内分散性粉末組成物の総重量に対して0.1重量%~2.0重量%である。
【0080】
いくつかの実施形態では、口内分散性粉末はアルカリ化剤を含んでよく、このアルカリ化剤は通常、重炭酸カリウム、クエン酸カリウム、重炭酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、及びこれらの混合物からなる群から選択される。一般に、上記アルカリ化剤は口内分散性粉末組成物の総重量に対して、通常、1重量%~40重量%の量で存在する。
【0081】
いくつかの実施形態では、口内分散性粉末は緩衝剤を含んでよく、この緩衝剤は通常、二塩基性リン酸ナトリウム、グリシン、メチオニン、及びこれらの混合物からなる群から選択される。
【0082】
一般に、緩衝剤の含有量は、口内分散性粉末組成物の総重量に対して1重量%~40重量%である。
【0083】
いくつかの実施形態では、上記口内分散性粉末は抗酸化剤を含んでよく、この抗酸化剤は、通常、アスコルビン酸、エリソルビン酸、アスコルビン酸ナトリウム、及びこれらの混合物からなる群から選択される。
【0084】
一般に、上記抗酸化剤は、口内分散性粉末組成物の総重量に対して、通常、0.1重量%~5重量%の量で存在する。
【0085】
製造方法
前記口内分散性粉末の調製方法は、成分の直接混合であり、これは工業生産にとって極めて魅力的である。上記方法は一般に、0.5mm~1mmメッシュのふるいに上記成分を通すステップ;及び例えば自由流動性の粉末に適したV型ミキサーの中で混合を行うステップを含む。混合時間は、均質な混合物を得るための通常の慣行に従って調整され、上記混合物はスティック状包装物として分包される。
【0086】
薬学技術における当業者に公知の従来の混合手順は、当該技術分野の参考書籍、例えばAulton’s Pharmaceutics. The design and manufacture of medicines、M.E. Aulton及びK.M.G.Taylor、編者、Churchill Livingstone Elsevier、4版、2013、又はRemington: The Science and Practice of Pharmacy、D. Limmer編、Lippincott Williams & Wilkins、2000に開示されている。
【0087】
スティック状包装物
本発明の口内分散性粉末を含むスティック状包装物も、本発明の一部を形成する。
【0088】
スティック状包装物は、特定のバリア及び密封特性を付与するために通常は積層構造を有する、包装の形態である。スティック状包装物は、単回用量の投与に使用される。スティック状包装物は、医薬組成物や例えば砂糖等の食品を内包するという一般的な用途を有する。スティック状包装物の製造に通常採用される材料は、アルミニウム、紙、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、プロピレン、及びこれらの組み合わせである。
【0089】
スティック状包装物は、薬理学的有効量の、抗ヒスタミン活性化合物を含む口内分散性粉末組成物を、1用量含む。スティック状包装物は好ましくは、4.2mgのレボセチリジン(5mgのレボセチリジン2塩酸塩と等価)、5mgのデスロラタジン、10mgのロラタジン、10mgのルパタジン(12.8mgのルパタジンフマル酸塩と等価)、8.4mgのセチリジン(10mgのセチリジン2塩酸塩と等価)、20mgのエバスチン又は20mgのビラスチン、若しくはこれらの薬学的に許容可能な塩を含む量の、口内分散性粉末組成物を含む。
【0090】
スティック状包装物は、通常、1g~10g、好ましくは1.5g~5g、より好ましくは1.9g~3g、さらに好ましくは約2.2gの量の口内分散性粉末組成物を含む。好ましくはスティック状包装物は、4.2mgのレボセチリジン(5mgのレボセチリジン2塩酸と等価)、5mgのデスロラタジン、10mgのロラタジン、10mgのルパタジン(12.8mgのルパタジンフマル酸塩と等価)、8.4mgのセチリジン2塩酸塩(10mgのセチリジン2塩酸塩と等価)、又は20mgのエバスチン又は20mgのビラスチン、若しくはその薬学的に許容可能な塩を含む。
【0091】
成分の直接混合によって得られる口内分散性粉末製剤は、抗ヒスタミン活性化合物の苦味の優れたマスキングを提供し、製剤は患者にとって極めて受け入れやすくなる。
【0092】
抗ヒスタミン活性化合物の直接混合によって得られる口内分散性粉末、及び直接混合によって得られる口内分散性粉末組成物を含むスティック状包装物は、市販されていない。
【0093】
成分の直接混合により、有効成分を口腔内で直接露出させ、口腔内での有効成分の溶解速度及び吸収率を向上させ、薬剤の迅速な効果を促進できる。薬剤の迅速な効果は、極めて重要な属性であり、患者及び医師の両方から評価される。
【0094】
本発明では、スティック状包装物による包装形態は、実用的であり、堅固であり、輸送及び個別使用が容易であることを理由として選択されており、従ってこれは現代的でアクティブなライフスタイルによく適合する。患者はスティック状包装物を常に携帯できるため、アレルギー疾患発作が発生した場合、アレルギー疾患発作の発症直後に、水を飲む必要なしに薬剤を服用でき、抗ヒスタミン活性化合物の効力を向上させる。直接混合プロセスは医薬産業において広く使用されている製造プロセスとして使用されているため、本発明の口内分散性粉末組成物は産業上の用途を有し、さらには実施例に示されているように、上記製剤は、欧州薬局方現行版による最適な流動特性を示すため、上記製剤は産業レベルに規模を拡張でき、従って機器を用いてスティック状包装物包装フォーマットへと分包できる。
【0095】
実施例に示されているように、本発明の口内分散性粉末組成物は、幅広い組成にわたる全ての抗ヒスタミン活性化合物に関して、患者による高いレベルの受け入れやすさを示す。
【0096】
一実施態様では、前記口内分散性粉末組成物は、錠剤に圧縮可能である。
【0097】
使用
アレルギー疾患の治療に使用するための本発明の口内分散性粉末組成物及びスティック状包装物もまた、本発明の一部を形成する。
【0098】
好ましい実施態様では、本発明の口内分散性粉末組成物及びスティック状包装物は、季節性アレルギー性鼻炎、持続性アレルギー性鼻炎、季節性アレルギー性鼻結膜炎、持続性アレルギー性鼻結膜炎、じんましん、慢性突発性じんましん、及びアレルギー性皮膚炎から選択されるアレルギー疾患の治療用である。
【0099】
本発明は以下の実施形態を含む:
1.口内分散性粉末組成物であって、
a)薬理学的有効量の抗ヒスタミン活性化合物又はその薬学的に許容可能な塩;
b)クエン酸ナトリウム、クエン酸及びスクラロースからなる3成分混合物;並びに
c)1つ以上のさらなる賦形剤
を含み、比a):b)が1:2~1:75であることを特徴とする、前記口内分散性粉末組成物。
【0100】
2.前記抗ヒスタミン活性化合物は、アクリバスチン、アザタジン、アゼラスチン、ビラスチン、ブロムフェニラミン、カルビノキサミン、セチリジン、クロルフェニラミン、クレマスチン、デスロラタジン、デクスブロムフェニラミン、デクスクロルフェニラミン、ジフェニルヒドラミン、ジフェニルピラリン、ドキシラミン、エバスチン、フェキソフェナジン、レボセチリジン、ロラタジン、オロパタジン、プロメタジン、ピリラミン、ルパタジン、トリペレナミン、トリプロリジン、又はそれらの塩、及びそれらの混合物からなる群から選択されることを特徴とする、実施形態1に記載の口内分散性粉末組成物。
【0101】
3.前記抗ヒスタミン活性化合物は、デスロラタジン、ロラタジン、セチリジン、レボセチリジン、ルパタジン、ビラスチン、エバスチン、又はそれらの塩、及びそれらの混合物から選択されることを特徴とする、実施形態2に記載の口内分散性粉末組成物。
【0102】
4.前記抗ヒスタミン活性化合物は、デスロラタジン及びロラタジン又はそれらの塩の群から選択されることを特徴とする、実施形態3に記載の口内分散性粉末組成物。
【0103】
5.前記抗ヒスタミン活性化合物は、セチリジン及びレボセチリジン又はそれらの塩の群から選択されることを特徴とする、実施形態3に記載の口内分散性粉末組成物。
【0104】
6.前記抗ヒスタミン活性化合物は、ルパタジン又はそれらの塩であることを特徴とする、実施形態3に記載の口内分散性粉末組成物。
【0105】
7.前記抗ヒスタミン活性化合物は、ビラスチン又はそれらの塩を特徴とする、実施形態3に記載の口内分散性粉末組成物。
【0106】
8.前記抗ヒスタミン活性化合物は、エバスチン又はそれらの塩であることを特徴とする、実施形態3に記載の口内分散性粉末組成物。
【0107】
9.前記抗ヒスタミン活性化合物:3成分混合物の比は、1:5~1:75、好ましくは1:6~1:70、好ましくは1:7~1:65、より好ましくは1:12.5~1:60であることを特徴とする、実施形態1~3のいずれか一つに記載の口内分散性粉末組成物。
【0108】
10.前記抗ヒスタミン活性化合物:3成分混合物の比は、約1:12.5、約1:25、約1:30、約1:50、及び約1:60からなる群から選択されることを特徴とする、実施形態9に記載の口内分散性粉末組成物。
【0109】
11.前記クエン酸ナトリウムは無水物であり、またクエン酸は無水物あることを特徴とする、実施形態1~10のいずれか1つに記載の口内分散性粉末組成物。
【0110】
12.前記クエン酸ナトリウムの含有量は、上記3成分組成物の総重量に対して50重量%~85重量%、好ましくは55重量%~75重量%、より好ましくは60重量%~70重量%であることを特徴とする、実施形態1~11のいずれか1つに記載の口内分散性粉末組成物。
【0111】
13.前記クエン酸の含有量は、上記3成分組成物の総重量に対して10重量%~45重量%、好ましくは15重量%~35重量%、より好ましくは20重量%~30重量%であることを特徴とする、実施形態1~12のいずれか1つに記載の口内分散性粉末組成物。
【0112】
14.前記スクラロースの含有量は、上記3成分組成物の総重量に対して5重量%~40重量%、好ましくは10重量%~30重量%、より好ましくは15重量%~25重量%であることを特徴とする、実施形態1~13のいずれか1つに記載の口内分散性粉末組成物。
【0113】
15.上記3成分組成物は、55重量%~75重量%のクエン酸ナトリウム、15重量%~35重量%のクエン酸、及び10重量%~30重量%のスクラロース;好ましくは58重量%~70重量%のクエン酸ナトリウム、18重量%~30重量%のクエン酸、及び13重量%~25重量%のスクラロース;より好ましくは60重量%~65重量%のクエン酸ナトリウム、20重量%~25重量%のクエン酸、及び15重量%~20重量%のスクラロースを含み、上記3成分組成物中のクエン酸ナトリウム、クエン酸及びスクラロースの量は、100%となるように組み合わされることを特徴とする、実施形態1~14のいずれか1つに記載の口内分散性粉末組成物。
【0114】
16.上記3成分混合物の含有量は、上記口内分散性粉末組成物の総重量に対して5重量%~20重量%、好ましくは7重量%~18重量%、より好ましくは10重量%~15重量%、より好ましくは11%~12重量%であることを特徴とする、実施形態1~15のいずれか1つに記載の口内分散性粉末組成物。
【0115】
17.前記1つ以上のさらなる賦形剤は、希釈剤、潤滑剤、滑剤、香料、甘味料、酸味料、アルカリ化剤、緩衝剤、抗酸化剤、及びこれらの混合物から選択されることを特徴とする、実施形態1~16のいずれか1つに記載の口内分散性粉末組成物。
【0116】
18.上記希釈剤は、マンニトール、ソルビトール、キシリトール、イソマルト、エリスリトール、粉末セルロース、微結晶性セルロース、ケイ化微結晶性セルロース、デンプン、リン酸カルシウム、乳酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、及びこれらの混合物から選択されることを特徴とする、実施形態17に記載の口内分散性粉末組成物。
【0117】
19.上記希釈剤はマンニトールであることを特徴とする、実施形態18に記載の口内分散性粉末組成物。
【0118】
20.上記希釈剤は、上記口内分散性粉末組成物の総重量に対して65重量%~95重量%、好ましくは75重量%~90重量%、より好ましくは80重量%~89重量%、さらに好ましくは85重量%~88重量%の量で存在することを特徴とする、実施形態18又は19に記載の口内分散性粉末組成物。
【0119】
21.上記潤滑剤は、タルク、安息香酸ナトリウム、フマル酸ステアリルナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、ベヘン酸グリセリル、ステアリン酸、モノステアリン酸グリセリル、ポロキサマー、ポリエチレングリコール、及びこれらの混合物からなる群から選択されることを特徴とする、実施形態17に記載の口内分散性粉末組成物。
【0120】
22.上記潤滑剤は、フマル酸ステアリルナトリウムであることを特徴とする、実施形態21に記載の口内分散性粉末組成物。
【0121】
23.上記潤滑剤は、上記口内分散性粉末組成物の総重量に対して0.05重量%~10重量%、好ましくは0.1重量%~5重量%、より好ましくは0.2重量%~2.5重量%、より好ましくは0.4重量%~1重量%、より好ましくは0.45重量%~0.75重量%、さらに好ましくは約0.5重量%の量で存在することを特徴とする、実施形態21又は22に記載の口内分散性粉末組成物。
【0122】
24.上記滑剤は、コロイダル二酸化ケイ素、リン酸三カルシウム、疎水性コロイダルシリカ、ケイ酸マグネシウム、三ケイ酸マグネシウム、二酸化ケイ素、タルク、及びこれらの混合物からなる群から選択されることを特徴とする、実施形態17に記載の口内分散性粉末組成物。
【0123】
25.上記滑剤は、コロイダル二酸化ケイ素であることを特徴とする、実施形態24に記載の口内分散性粉末組成物。
【0124】
26.上記滑剤は、上記口内分散性粉末組成物の総重量に対して0.05重量%~10重量%、好ましくは0.1重量%~5重量%、より好ましくは0.2重量%~2.5重量%、より好ましくは0.4重量%~1重量%、より好ましくは0.45重量%~0.75重量%、さらに好ましくは約0.5重量%の量で存在することを特徴とする、実施形態24又は25に記載の口内分散性粉末組成物。
【0125】
27.上記香料は、オレンジ、バナナ、ストロベリー、チェリー、ワイルドチェリー、レモン、カルダモン、アニス、ペパーミント、メントール、バニリン及びエチルバニリン、並びにこれらの混合物から選択されることを特徴とする、実施形態17に記載の口内分散性粉末組成物。
【0126】
28.上記香料は、ペパーミントフレーバーであることを特徴とする、実施形態27に記載の口内分散性粉末組成物。
【0127】
29.上記香料の含有量は、上記口内分散性粉末組成物の総重量に対して0.05重量%~5.0重量%であることを特徴とする、実施形態27又は28に記載の口内分散性粉末組成物。
【0128】
30.実施形態1~29のいずれかに記載の口内分散性粉末を含む、スティック状包装物。
【0129】
31.上記スティック状包装物は、薬理学的有効量の、抗ヒスタミン活性化合物を含む上記口内分散性粉末組成物を、1用量含むことを特徴とする、実施形態30に記載のスティック状包装物。
【0130】
32.上記スティック状包装物は、4.2mgのレボセチリジン、5mgのデスロラタジン、10mgのロラタジン、10mgのルパタジン、8.4mgのセチリジン、20mgのエバスチン又は20mgのビラスチン、若しくはこれらの薬学的に許容可能な塩を含むことを特徴とする、実施形態31に記載のスティック状包装物。
【0131】
33.上記スティック状包装物は、1g~10g、好ましくは1.5g~5g、より好ましくは1.9g~3g、さらに好ましくは約2.2gの量の上記口内分散性粉末組成物を含むことを特徴とする、実施形態30~32のいずれか1つに記載のスティック状包装物。
【0132】
34.実施形態1~29のいずれかに記載の口内分散性粉末を含む、錠剤。
【0133】
35.アレルギー疾患の治療に使用するための、実施形態1~29のいずれか一つに記載の口内分散性粉末組成物、実施形態30~33のいずれか一つに記載のスティック状包装物又は実施形態34に記載の錠剤。
【0134】
36.季節性アレルギー性鼻炎、持続性アレルギー性鼻炎、季節性アレルギー性鼻結膜炎、持続性アレルギー性鼻結膜炎、じんましん、慢性突発性じんましん、及びアレルギー性皮膚炎から選択されるアレルギー疾患の治療に使用するための、実施形態35に記載の口内分散性粉末組成物、スティック状包装物又は錠剤。
【0135】
以下の実施例では、例示を目的として本発明の様々な実施形態が提供される。これらの実施形態は非限定的なものであることを理解されたい。
【実施例】
【0136】
実施例1~10:抗ヒスタミン活性化合物を含む口内分散性粉末
抗ヒスタミン活性化合物を有効成分として含む口内分散性粉末を、ある混合物の設計(
図1を参照)に従って調製した。この方法は公知であり、例えばJ. Cornell、Experiments with Mixtures、第3版、John Wiley & Sons、2002に開示されている。実験の設計のマトリックスを表Iに示す。
【0137】
【0138】
mgを単位として表されるこれらの粉末の3成分混合物の特定の組成を表IIに示す。
【0139】
【0140】
【0141】
前記3成分混合物に加えて、各組成物は、表IIIに示すように、以下の成分(mg)を含有した。
【0142】
【0143】
これらの全ての実施例では、組成物の総量は2200mgであり、組成物中の3成分混合物の含有率は11.36重量%である。
【0144】
これらの実施例では、有効成分:3成分混合物の比は、1:12.5、すなわち、20mgのビラスチンと250mgの3成分混合物とである。
【0145】
口内分散性粉末を調製するためのプロセスは、以下のステップを含んでいた:
1)(1mmメッシュのふるいに通されたクエン酸無水物を例外として)成分を0.5mmメッシュのふるいに通し、これらを以下の順でV型ミキサーに投入するステップ:クエン酸ナトリウム無水物、スクラロース、香料、有効成分(ビラスチン)、コロイダル二酸化ケイ素、マンニトール、及びクエン酸無水物。
2)V型ミキサー内で、約20rpmで約15分間混合するステップ。
3)フマル酸ステアリルナトリウムを0.5mmメッシュのふるいに通し、これをV型ミキサーに投入するステップ。
4)V型ミキサー内で、約20rpmで約5分間混合するステップ。
5)製品をスティック状包装物に分包するステップ(スティック1個あたり2200mg)。
【0146】
粉末は口腔内で迅速に溶解し、口内に製品残留物を残さないことも確認された。
【0147】
実施例11~20:レボセチリジンを含む口内分散性粉末
有効成分としてレボセチリジンを含む口内分散性粉末をある混合物の設計(
図1を参照)及び上の表Iに示されているマトリックスに従って調製した。
【0148】
3成分混合物のmgで示される実施例11~20の特定的組成物は、実施例1~10について表IIで示されるのと同様である。
【0149】
前記3成分混合物に加えて、各組成物は、表IVに示すように、以下の成分(mg)を含有した。
【0150】
【0151】
これらの全ての実施例では、組成物の総量は2200mgであり、組成物中の3成分混合物の含有率は11.36重量%である。
【0152】
これらの実施例では、有効成分:3成分混合物の比は1:60、すなわち4.2mgのレボセチリジン(5mgのレボセチリジン2塩酸塩に相当)と250mgの3成分混合物である。
【0153】
口内分散性粉末を調製するためのプロセスは、上の実施例1~10において開示されているプロセスと同様である。
【0154】
粉末は口腔内で迅速に溶解し、口内に製品残留物を残さないことも確認された。
【0155】
実施例21及び22:ロラタジン又はセチリジンを含む口内分散性粉末
上の実施例1~10において開示されているものと同様のプロセスに従って、有効成分としてロラタジン又はセチリジンを含む口内分散性粉末を、表VIにmgを単位として表されている組成に従って調製した。
【0156】
【0157】
この実施例では、ロラタジン:3成分混合物の比は、1:25、すなわち、10mgの活性化合物と250mgの相乗的混合物とであり、セリチジン:3成分混合物の比は、1:30、すなわち、8.4mgのセチリジン(10mgのセチリジン2塩酸塩に相当)と250mgの3成分混合物とであり、組成物の総量は2200mgであり、組成物中の3成分混合物の含有率は11.36重量%であった。
【0158】
粉末は口腔内で迅速に溶解し、口内に製品残留物を残さないことも確認された。
【0159】
実施例23:ルパタジンを含む口内分散性粉末
上の実施例1~10において開示されているものと同様のプロセスに従って、有効成分としてルパタジンを含む口内分散性粉末を、表VIIにmgを単位として表されている組成に従って調製した。
【0160】
【0161】
この実施例では、活性成分:3成分混合物の比は、1:25、すなわち、10mgのルパタジン(12.8mgのルパタジンフマル酸塩に相当)と250mgの相乗的混合物とであり、組成物の総量は2200mgであり、組成物中の3成分混合物の含有率は11.36重量%である。
【0162】
粉末は口腔内で迅速に溶解し、口内に製品残留物を残さないことも確認された。
【0163】
実施例24:デスロラタジンを含む口内分散性粉末
上の実施例1~10において開示されているものと同様のプロセスに従って、有効成分としてデスロラタジンを含む口内分散性粉末を、表VIIIにmgを単位として表されている組成に従って調製した。
【0164】
【0165】
この実施例では、活性成分:3成分混合物の比は、1:50、すなわち、5mgのデスロラタジンと250mgの相乗的混合物とであり、組成物の総量は2200mgであり、組成物中の3成分混合物の含有率は11.36重量%である。
【0166】
粉末は口腔内で迅速に溶解し、口内に製品残留物を残さないことも確認された。
【0167】
実施例25:エバスチンを含む口内分散性粉末
上の実施例1~10において開示されているものと同様のプロセスに従って、有効成分としてエバスチンを含む口内分散性粉末を、表IXにmgを単位として表されている組成に従って調製した。
【0168】
【0169】
この実施例では、活性成分:3成分混合物の比は、1:12.5、すなわち、20mgのエバスチンと250mgの相乗的混合物とであり、組成物の総量は2200mgであり、組成物中の3成分混合物の含有率は11.36重量%である。
【0170】
粉末は口腔内で迅速に溶解し、口内に製品残留物を残さないことも確認された。
【0171】
実施例26:抗ヒスタミン活性化合物を含む口内分散性粉末の試験
a)官能試験
スティック状包装物に分包された口内分散性粉末製剤の官能試験を、5人の健康なボランティアで実施した。
【0172】
患者による製剤の受け入れやすさを評価する方法は、製剤の呈味(酸味、甘味、又は塩味)に関する1~5のスコア(ここで1は受け入れられない味に対応し、5は優れた味に対応する)と、製剤の苦味を評価するための1~5の別のスコア(ここで1は受け入れられない苦味に対応し、5は有効成分の苦味のマスキングに関する優れた能力に対応する)を確立することからなっていた。製剤の味に関する値と、有効成分の苦味をマスキングする能力を表す値とを乗算すると、患者による製剤の受け入れやすさの程度である値が得られる。
【0173】
得られた結果は、上記製剤が抗ヒスタミン活性化合物の苦味をマスキングし、患者による製剤の優れた受け入れやすさをもたらし、また口内分散性製剤の投与後に水を飲む必要がないことを示している。表Xは、本発明によるいくつかの口内分散性粉末製剤の結果を示す。
【0174】
【0175】
図2及び3は、ある混合物設計に従って調製された、それぞれビラスチン及びレボセチリジンを含む口内分散性粉末の、受け入れやすさの程度の等値線を、相乗的3成分混合物の組成に対して示す。
【0176】
前記3成分混合物は、患者による製剤の受け入れやすさに関して相乗効果を提供することを観察できる。さらに、この特殊3次モデルは、混合物の受け入れやすさの挙動を統計的に有意な方法で記述した。
【0177】
実施例7、17、21~25に従って調製され、スティック状包装物に分包された口内分散性粉末の、頬側口腔内での溶解速度の試験を、5人の健康なボランティアで実施した。その結果は、これらの製剤が頬側口腔内で極めて迅速な溶解(約10秒)を示し、口内に製品のいずれの残留物を残さないことを示し、これらの製剤は試験実施者のパネルに良好に受け入れられた。
【0178】
b)物理パラメータ
製剤の流動性:安息角(°)、圧縮率(%)及びハウスナー比を評価するために、以下のガレヌスパラメータ(galenic parameters)を測定した。表XIに示されているように、欧州薬局方現行版の方法論を使用した。
【0179】
【0180】
表XIIは、本発明に従ういくつかの口内分散性粉末の結果を示す。
【0181】
【0182】
上記結果は、これらの製剤が最適な流動特性を有することを示し、上記流動特性は、室温で6か月間保管した後であっても維持された。
【手続補正書】
【提出日】2022-03-14
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
口内分散性粉末組成物であって、
a)薬理学的有効量の抗ヒスタミン活性化合物又はその薬学的に許容可能な塩;
b)クエン酸ナトリウム、クエン酸及びスクラロースからなる3成分混合物;並びに
c)1つ以上のさらなる賦形剤
を含み、比a):b)が1:2~1:75であ
り、
前記3成分混合物は、55重量%~75重量%のクエン酸ナトリウム、15重量%~35重量%のクエン酸、及び10重量%~30重量%のスクラロースを含み、3成分混合物中のクエン酸ナトリウム、クエン酸及びスクラロースの量は、100%となるように組み合わされる、そして
前記口内分散性粉末組成物中の3成分混合物の含有量は、口内分散性粉末組成物の総重量に対して5重量%~20重量%であることを特徴とする、前記口内分散性粉末組成物。
【請求項2】
前記抗ヒスタミン活性化合物は、アクリバスチン、アザタジン、アゼラスチン、ビラスチン、ブロムフェニラミン、カルビノキサミン、セチリジン、クロルフェニラミン、クレマスチン、デスロラタジン、デクスブロムフェニラミン、デクスクロルフェニラミン、ジフェニルヒドラミン、ジフェニルピラリン、ドキシラミン、エバスチン、フェキソフェナジン、レボセチリジン、ロラタジン、オロパタジン、プロメタジン、ピリラミン、ルパタジン、トリペレナミン、トリプロリジン、又はそれらの塩、及びそれらの混合物からなる群から選択されることを特徴とする、請求項1に記載の口内分散性粉末組成物。
【請求項3】
前記抗ヒスタミン活性化合物:3成分混合物の比は、1:5~1:75、好ましくは1:6~1:70、好ましくは1:7~1:65、より好ましくは1:12.5~1:60であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の口内分散性粉末組成物。
【請求項4】
前記1つ以上のさらなる賦形剤は、希釈剤、潤滑剤、滑剤、香料、甘味料、酸味料、アルカリ化剤、緩衝剤、抗酸化剤、及びこれらの混合物から選択されることを特徴とする、請求項1~
3のいずれか1項に記載の口内分散性粉末組成物。
【請求項5】
前記希釈剤は、マンニトール、ソルビトール、キシリトール、イソマルト、エリスリトール、粉末セルロース、微結晶性セルロース、ケイ化微結晶性セルロース、デンプン、リン酸カルシウム、乳酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、及びこれらの混合物から選択されることを特徴とする、請求項
4に記載の口内分散性粉末組成物。
【請求項6】
前記潤滑剤は、タルク、安息香酸ナトリウム、フマル酸ステアリルナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、ベヘン酸グリセリル、ステアリン酸、モノステアリン酸グリセリル、ポロキサマー、ポリエチレングリコール、及びこれらの混合物からなる群から選択されることを特徴とする、請求項
4に記載の口内分散性粉末組成物。
【請求項7】
前記滑剤は、コロイダル二酸化ケイ素、リン酸三カルシウム、疎水性コロイダルシリカ、ケイ酸マグネシウム、三ケイ酸マグネシウム、二酸化ケイ素、タルク、及びこれらの混合物からなる群から選択されることを特徴とする、請求項
4に記載の口内分散性粉末組成物。
【請求項8】
前記香料は、オレンジ、バナナ、ストロベリー、チェリー、ワイルドチェリー、レモン、カルダモン、アニス、ペパーミント、メントール、バニリン、及びエチルバニリン、並びにこれらの混合物から選択されることを特徴とする、請求項
4に記載の口内分散性粉末組成物。
【請求項9】
請求項1~
8のいずれか1項に記載の口内分散性粉末を含む、スティック状包装物。
【請求項10】
請求項1~
8のいずれか1項に記載の口内分散性粉末を含む、錠剤。
【請求項11】
アレルギー疾患の治療に使用するための、請求項1~
8のいずれか1項に記載の口内分散性粉末組成物、請求項
9に記載のスティック状包装物、又は請求項
10に記載の錠剤。
【請求項12】
季節性アレルギー性鼻炎、持続性アレルギー性鼻炎、季節性アレルギー性鼻結膜炎、持続性アレルギー性鼻結膜炎、じんましん、慢性突発性じんましん、及びアレルギー性皮膚炎から選ばれるアレルギー疾患の治療に使用するための、請求項
11に記載の口内分散性粉末組成物、スティック状包装物又は錠剤。
【国際調査報告】