(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-24
(54)【発明の名称】正負電圧チャージポンプ回路、チップ及び通信端末
(51)【国際特許分類】
H02M 3/07 20060101AFI20231116BHJP
【FI】
H02M3/07
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023529972
(86)(22)【出願日】2021-11-15
(85)【翻訳文提出日】2023-07-18
(86)【国際出願番号】 CN2021130586
(87)【国際公開番号】W WO2022100728
(87)【国際公開日】2022-05-19
(31)【優先権主張番号】202011276436.5
(32)【優先日】2020-11-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523180159
【氏名又は名称】上海唯捷創芯電子技術有限公司
【氏名又は名称原語表記】SHANGHAI VANCHIP TECHNOLOGIES CO.,LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100179969
【氏名又は名称】駒井 慎二
(72)【発明者】
【氏名】王 永壽
(72)【発明者】
【氏名】陳 成
(72)【発明者】
【氏名】李 春領
(72)【発明者】
【氏名】林 昇
【テーマコード(参考)】
5H730
【Fターム(参考)】
5H730AA14
5H730AS01
5H730AS04
5H730BB02
5H730BB57
5H730BB82
5H730DD04
5H730FD01
5H730FD11
5H730FG01
(57)【要約】
【課題】正負電圧チャージポンプ回路、チップ及び通信端末を提供する。
【解決手段】正負電圧チャージポンプ回路は、クロック発生モジュールと、正電圧チャージポンプモジュールと、過渡増強モジュール及び負電圧チャージポンプモジュールを含む。正電圧チャージポンプモジュールにより、クロック発生モジュールから出力されるクロック信号に基づいて正電圧を生成するとともに、過渡増強モジュールによって該正電圧及び給電電圧をサンプリングして電流に変換した後に比較し、比較結果に基づいて、負電圧チャージポンプモジュールに切り替え可能な入力電圧を供給する。負電圧チャージポンプモジュールは、クロック発生モジュールから出力されるクロック信号に基づいて、負電圧を迅速に且つ確実に確立するとともに、負電圧チャージポンプモジュールが負電圧を生成する速度及び効率を向上できるだけでなく、異なる負圧の要求を柔軟に実現できる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
正負電圧チャージポンプ回路において、
クロック発生モジュールと、正電圧チャージポンプモジュールと、過渡増強モジュール及び負電圧チャージポンプモジュールを含み、
前記クロック発生モジュールの出力端は前記正電圧チャージポンプモジュール及び前記負電圧チャージポンプモジュールの入力端に接続され、前記正電圧チャージポンプモジュールの出力端は前記過渡増強モジュールの入力端に接続され、前記過渡増強モジュールの出力端は前記負電圧チャージポンプモジュールの入力電源端に接続され、前記クロック発生モジュールと、前記正電圧チャージポンプモジュール及び前記過渡増強モジュールの電源端はいずれも給電電圧に接続され、
前記正電圧チャージポンプモジュールは、前記クロック発生モジュールから出力されるクロック信号に基づいて正電圧を生成し、前記正電圧と前記給電電圧は、入力電圧源として前記過渡増強モジュールによってサンプリングされて電流に変換された後に比較され、比較結果に基づいて、前記負電圧チャージポンプモジュールは前記クロック発生モジュールから出力されるクロック信号に基づいて負電圧を発生させるように、切り替え可能な入力電圧を前記負電圧チャージポンプモジュールに供給することを特徴とする正負電圧チャージポンプ回路。
【請求項2】
前記正電圧チャージポンプモジュールは、第1のクロック変換ユニット及び少なくとも1つの正電圧チャージポンプユニットを含み、
前記第1のクロック変換ユニットの入力端は前記クロック発生モジュールの出力端に接続され、前記第1のクロック変換ユニットの出力端は、各前記正電圧チャージポンプユニットの入力端に接続されることを特徴とする請求項1に記載の正負電圧チャージポンプ回路。
【請求項3】
前記第1のクロック変換ユニットは、第1のインバータと、第2のインバータと、第3のインバータと、第4のインバータと、第5のインバータと、第1のNANDゲート及び第2のNANDゲートを含み、
前記第1のインバータの入力端は前記クロック発生モジュールの出力端と前記第2のNANDゲートの1つの入力端に接続され、前記第1のインバータの出力端は前記第1のNANDゲートの1つの入力端に接続され、前記第1のNANDゲートの出力端は前記第2のインバータの入力端に接続され、前記第2のインバータの出力端は第1の出力端と前記第3のインバータの入力端に接続され、前記第3のインバータの出力端は前記第2のNANDゲートの他の入力端と第2の出力端に接続され、前記第2のNANDゲートの出力端は前記第4のインバータの入力端に接続され、前記第4のインバータの出力端は第4の出力端と前記第5のインバータの入力端に接続され、前記第5のインバータの出力端は前記第1のNANDゲートの他の入力端と第3の出力端に接続されることを特徴とする請求項2に記載の正負電圧チャージポンプ回路。
【請求項4】
複数の前記正電圧チャージポンプユニットを使用する場合、2番目の正電圧チャージポンプユニットから開始し、各前記正電圧チャージポンプユニットの入力電圧は、その前の正電圧チャージポンプユニットの正圧出力端に接続されることを特徴とする請求項2に記載の正負電圧チャージポンプ回路。
【請求項5】
前記正電圧チャージポンプユニットは、第1のNMOSトランジスタと、第2のNMOSトランジスタと、第1のPMOSトランジスタと、第2のPMOSトランジスタと、第3のNMOSトランジスタと、第4のNMOSトランジスタと、第3のPMOSトランジスタと、第4のPMOSトランジスタと、第1のコンデンサと、第2のコンデンサ及び第3のコンデンサを含み、
前記第1のNMOSトランジスタのゲートは第1のクロック変換ユニットの第4の出力端に接続され、前記第1のNMOSトランジスタ及び前記第2のNMOSトランジスタのソースはそれぞれ接地し、前記第1のNMOSトランジスタのドレインは、前記第2のコンデンサの一端及び前記第1のPMOSトランジスタのドレインにそれぞれ接続され、前記第1のPMOSトランジスタのゲートは前記第1のクロック変換ユニットの第2の出力端に接続され、前記第2のNMOSトランジスタのゲートは前記第1のクロック変換ユニットの第1の出力端に接続され、前記第2のNMOSトランジスタのドレインは、前記第1のコンデンサの一端及び前記第2のPMOSトランジスタのドレインにそれぞれ接続され、前記第2のPMOSトランジスタのゲートは前記第1のクロック変換ユニットの第3の出力端に接続され、前記第2のPMOSトランジスタと、前記第1のPMOSトランジスタと、前記第3のNMOSトランジスタ及び前記第4のNMOSトランジスタのソースは、いずれも入力電圧に接続され、前記第4のNMOSトランジスタのゲートは、前記第3のNMOSトランジスタのドレインと、前記第1のコンデンサの他端と、前記第4のPMOSトランジスタのゲート及び前記第3のPMOSトランジスタのドレインにそれぞれ接続され、前記第3のNMOSトランジスタのゲートは、前記第4のNMOSトランジスタのドレインと、前記第2のコンデンサの他端と、前記第3のPMOSトランジスタのゲート及び前記第4のPMOSトランジスタのドレインにそれぞれ接続され、前記第3のPMOSトランジスタ及び前記第4のPMOSトランジスタのソースは、いずれも前記第3のコンデンサの一端と正圧出力端に接続され、前記第3のコンデンサの他端は接地されることを特徴とする請求項4に記載の正負電圧チャージポンプ回路。
【請求項6】
前記過渡増強モジュールは、電圧サンプリング比較ユニット及び電圧切替えユニットを含み、
前記電圧サンプリング比較ユニットの入力端は前記正電圧チャージポンプユニットの正圧出力端及び給電電圧に接続され、前記電圧サンプリング比較ユニットの出力端は前記電圧切替えユニットの入力端に接続されることを特徴とする請求項5に記載の正負電圧チャージポンプ回路。
【請求項7】
前記電圧サンプリング比較ユニットは、第1の抵抗と、第5のNMOSトランジスタと、第6のNMOSトランジスタと、第7のNMOSトランジスタと、第8のNMOSトランジスタと、第5のPMOSトランジスタと、第6のPMOSトランジスタと、第2の抵抗と、第3の抵抗と、第4のコンデンサを含み、
前記第1の抵抗の一端と、前記第5のPMOSトランジスタ及び前記第6のPMOSトランジスタのソースは、それぞれ給電電圧に接続され、前記第1の抵抗の他端は、前記第5のNMOSトランジスタのドレイン及びゲートと、前記第6のNMOSトランジスタのゲートにそれぞれ接続され、前記第6のNMOSトランジスタのドレインは、前記第5のPMOSトランジスタのドレイン及びゲートと、前記第6のPMOSトランジスタのゲートにそれぞれ接続され、前記第6のPMOSトランジスタのドレインは、前記第4のコンデンサの一端及び前記第3の抵抗の一端と、前記第7のNMOSトランジスタのドレイン及び前記電圧切替えユニットにそれぞれ接続され、前記第7のNMOSトランジスタのゲートは、前記第8のNMOSトランジスタのゲートとドレイン及び前記第2の抵抗の一端にそれぞれ接続され、前記第2の抵抗の他端は前記正電圧チャージポンプユニットの正圧出力端に接続され、前記第8のNMOSトランジスタ及び前記第7のNMOSトランジスタのソースと、前記第3の抵抗及び前記第4のコンデンサの他端と、前記第6のNMOSトランジスタ及び前記第5のNMOSトランジスタのソースは、いずれも接地されることを特徴とする請求項6に記載の正負電圧チャージポンプ回路。
【請求項8】
前記電圧切替えユニットは、ヒステリシスインバータと、論理レベル変換サブユニット及びスイッチサブユニットを含み、
前記ヒステリシスインバータの入力端は前記電圧サンプリング比較ユニットの出力端に接続され、前記ヒステリシスインバータの出力端は前記論理レベル変換サブユニットの入力端に接続され、前記論理レベル変換サブユニットの出力端は前記スイッチサブユニットの入力端に接続されることを特徴とする請求項6に記載の正負電圧チャージポンプ回路。
【請求項9】
前記論理レベル変換サブユニットは、第6のインバータと、第7のインバータと、第12のNMOSトランジスタと、第13のNMOSトランジスタと、第14のNMOSトランジスタと、第15のNMOSトランジスタと、第16のNMOSトランジスタと、第17のNMOSトランジスタと、第18のNMOSトランジスタと、第10のPMOSトランジスタと、第11のPMOSトランジスタと、第12のPMOSトランジスタと、第13のPMOSトランジスタと、第14のPMOSトランジスタと、第15のPMOSトランジスタと、第5のコンデンサと、第6のコンデンサと、第3のNANDゲートと、第4のNANDゲートと、XORゲート及び複数のデジタル遅延ユニットを含み、
前記第6のインバータの入力端は前記ヒステリシスインバータの出力端に接続され、前記第6のインバータの出力端は前記第7のインバータの入力端と、前記第13のNMOSトランジスタのゲートに接続され、前記第7のインバータの出力端は前記スイッチサブユニットの1つの入力端と、前記第14のNMOSトランジスタのゲートに接続され、Xノードは、前記ヒステリシスインバータの出力端と、第1のデジタル遅延ユニットの入力端と、前記XORゲートの1つの入力端にそれぞれ接続され、前記第1のデジタル遅延ユニットの出力端から最後のデジタル遅延ユニットの入力端との間に複数のデジタル遅延ユニットが直列に接続され、最後のデジタル遅延ユニットの出力端は前記XORゲートの他の入力端に接続され、前記XORゲートの出力端は、前記第18のNMOSトランジスタ及び前記第17のNMOSトランジスタのゲートと、前記第14のPMOSトランジスタ及び前記第15のPMOSトランジスタのゲートにそれぞれ接続され、前記第15のPMOSトランジスタのドレインは前記第6のコンデンサの一端と、前記第18のNMOSトランジスタのドレインに接続され、前記第18のNMOSトランジスタのソースは前記第14のNMOSトランジスタのドレインに接続され、前記第6のコンデンサの他端は前記第15のNMOSトランジスタのソースと、前記第3のNANDゲートの1つの入力端と、前記第10のPMOSトランジスタのドレインに接続され、前記第15のNMOSトランジスタのドレインは前記第16のNMOSトランジスタのドレインに接続され、前記第16のNMOSトランジスタのソースは前記第11のPMOSトランジスタのドレインと、前記第5のコンデンサの一端及び前記第4のNANDゲートの1つの入力端に接続され、前記第5のコンデンサの他端は、前記第14のPMOSトランジスタのドレインと、前記第17のNMOSトランジスタのドレインにそれぞれ接続され、前記第17のNMOSトランジスタのソースは前記第13のNMOSトランジスタのドレインに接続され、前記第12のNMOSトランジスタのゲートは前記第5のNMOSトランジスタのドレインに接続され、前記第12のNMOSトランジスタのドレインは、前記第13のPMOSトランジスタのドレイン及びゲートと、前記第16のNMOSトランジスタ及び前記第15のNMOSトランジスタのゲートにそれぞれ接続され、前記第13のPMOSトランジスタのソースは、前記第12のPMOSトランジスタのドレイン及びゲートと、前記第11のPMOSトランジスタ及び前記第10のPMOSトランジスタのゲートにそれぞれ接続され、前記第12のPMOSトランジスタと、前記第11のPMOSトランジスタと、前記第10のPMOSトランジスタのソース及び前記第15のNMOSトランジスタと、前記第16のNMOSトランジスタのドレインは、いずれも前記正電圧チャージポンプユニットの正圧出力端に接続され、前記第14のNMOSトランジスタと、前記第13のNMOSトランジスタ及び前記第12のNMOSトランジスタのソースはそれぞれ接地され、前記第14のPMOSトランジスタ及び前記第15のPMOSトランジスタのソースは、それぞれ所在電圧ドメインの負のレール電圧に接続され、前記第3のNANDゲートの他の入力端は前記第4のNANDゲートの出力端と、前記スイッチサブユニットの他の入力端に接続され、前記第3のNANDゲートの出力端は前記第4のNANDゲートの他の入力端に接続されることを特徴とする請求項8に記載の正負電圧チャージポンプ回路。
【請求項10】
前記スイッチサブユニットは、第16のPMOSトランジスタ及び第17のPMOSトランジスタを含み、
前記第16のPMOSトランジスタのゲートは前記第4のNANDゲートの出力端に接続され、前記第16のPMOSトランジスタのソースは前記正電圧チャージポンプユニットの正圧出力端に接続され、前記第17のPMOSトランジスタのゲートは前記第7のインバータの出力端に接続され、前記第17のPMOSトランジスタのソースは給電電圧に接続され、前記第17のPMOSトランジスタ及び前記第16のPMOSトランジスタのドレインは、前記スイッチサブユニットの出力端とすることを特徴とする請求項9に記載の正負電圧チャージポンプ回路。
【請求項11】
前記負電圧チャージポンプモジュールは、第2のクロック変換ユニット及び負電圧チャージポンプユニットを含み、
前記第2のクロック変換ユニットの入力端は前記クロック発生モジュールの出力端に接続され、前記第2のクロック変換ユニットの出力端は前記負電圧チャージポンプユニットの入力端に接続され、前記負電圧チャージポンプユニットの入力端は前記電圧切替えユニットの出力端に接続されることを特徴とする請求項10に記載の正負電圧チャージポンプ回路。
【請求項12】
前記第2のクロック変換ユニットは、第8のインバータと、第9のインバータと、第10のインバータと、第11のインバータと、第12のインバータと、第5のNANDゲート及び第6のNANDゲートを含み、
前記第8のインバータの入力端は前記クロック発生モジュールの出力端及び前記第6のNANDゲートの1つの入力端に接続され、前記第8のインバータの出力端は前記第5のNANDゲートの1つの入力端に接続され、前記第5のNANDゲートの出力端は前記第9のインバータの入力端に接続され、前記第9のインバータの出力端は第5の出力端及び前記第10のインバータの入力端に接続され、前記第10のインバータの出力端は前記第6のNANDゲートの他の入力端及び第6の出力端に接続され、前記第6のNANDゲートの出力端は前記第11のインバータの入力端に接続され、前記第11のインバータの出力端は第8の出力端及び前記第12のインバータの入力端に接続され、前記第12のインバータの出力端は前記第5のNANDゲートの他の入力端及び第7の出力端に接続されることを特徴とする請求項11に記載の正負電圧チャージポンプ回路。
【請求項13】
前記負電圧チャージポンプユニットは、第18のPMOSトランジスタと、第19のPMOSトランジスタと、第19のNMOSトランジスタと、第20のNMOSトランジスタと、第20のPMOSトランジスタと、第21のPMOSトランジスタと、第21のNMOSトランジスタと、第22のNMOSトランジスタと、第7のコンデンサと、第8のコンデンサ及び第9のコンデンサを含み、
前記第18のPMOSトランジスタのゲートは前記第2のクロック変換ユニットの第8の出力端に接続され、前記第18のPMOSトランジスタ及び前記第19のPMOSトランジスタのドレインは、それぞれ前記電圧切替えユニットの出力電圧に接続され、前記第18のPMOSトランジスタのソースは、前記第8のコンデンサの一端及び前記第19のNMOSトランジスタのソースにそれぞれ接続され、前記第19のNMOSトランジスタのゲートは前記第2のクロック変換ユニットの第6の出力端に接続され、前記第19のPMOSトランジスタのゲートは前記第2のクロック変換ユニットの第5の出力端に接続され、前記第19のPMOSトランジスタのソースは、前記第7のコンデンサの一端及び前記第20のNMOSトランジスタのソースにそれぞれ接続され、前記第20のNMOSトランジスタのゲートは前記第2のクロック変換ユニットの第7の出力端に接続され、前記第19のNMOSトランジスタと、前記第20のNMOSトランジスタと、前記第20のPMOSトランジスタ及び前記第21のPMOSトランジスタのドレインはそれぞれ接地され、前記第21のPMOSトランジスタのゲートは、前記第20のPMOSトランジスタのソースと、前記第7のコンデンサの他端と、前記第22のNMOSトランジスタのゲート及び前記第21のNMOSトランジスタのソースにそれぞれ接続され、前記第20のPMOSトランジスタのゲートは、前記第21のPMOSトランジスタのソースと、前記第8のコンデンサの他端と、前記第21のNMOSトランジスタのゲート及び前記第22のNMOSトランジスタのソースにそれぞれ接続され、前記第21のNMOSトランジスタ及び前記第22のNMOSトランジスタのドレインは、それぞれ前記第9のコンデンサの一端及び負圧出力端に接続され、前記第9のコンデンサの他端は接地されることを特徴とする請求項12に記載の正負電圧チャージポンプ回路。
【請求項14】
請求項1~13のいずれか1項に記載の正負電圧チャージポンプ回路を含むことを特徴とする集積回路チップ。
【請求項15】
請求項1~13のいずれか1項に記載の正負電圧チャージポンプ回路を含むことを特徴とする通信端末。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、正負電圧チャージポンプ回路に関すると共に、該正負電圧チャージポンプ回路を含む集積回路チップ及び対応する通信端末に関し、アナログ集積回路の技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
集積回路の高集積化、ディープサブミクロン限界に向けたプロセスノードの進化、及びチップの適用環境の多様化に伴い、チャージポンプ回路は、様々な集積回路製品の基本的なモジュール回路として広く応用されている。チャージポンプ回路の主な機能は、システムに入力電源電圧の正のレールよりも高い正電圧源と、入力電源電圧の負のレールよりも低い負電圧源を供給し、システム設計の仕様をより良く満たすことである。正電源の高電圧チャージポンプ回路は既に多くの応用シーンに存在しているが、システムの仕様要求が増加し続けるにつれて、より多くの電子システムの内部に正方向の高電圧と負方向の高電圧を同時に生成させて、安定した信頼性の高い動作が必要である。したがって、安定した信頼性を提供し、入力電源の正のレールよりも高く、且つ入力電源の負のレールよりも低い電圧を同時に発生させるチャージポンプ回路の設計の必要性が益々高まっている。
【0003】
特許番号がZL200810142157.2である中国特許には、非対称クロスカップリング単辺カスケード接続チャージポンプ構造に基づいて、セレクタにより正高圧又は負高圧を出力するように作動する、正負高圧のチャージポンプ回路が公開されている。しかし、該回路は、正電源電圧と負電源電圧を同時に出力することができない。また、特許番号がZL201610004368.4である特許には、3相分周器を用いて固定パルス列を実現した3つのクロック信号により、コンデンサの充放電を制御して正負電圧源の出力を実現する正負電圧源を生成するチャージポンプ回路が公開されている。この回路は、正及び負電圧源出力を実現できるが、その出力電圧源の絶対値がいずれも入力電圧源より低いため、実用的な用途が非常に限定される。
【発明の概要】
【0004】
本発明が解決しようとする第一の技術的課題は、正負電圧チャージポンプ回路を提供することである。
【0005】
本発明が解決しようとするその他の技術的課題は、正負電圧チャージポンプ回路が含まれるチップ及び対応する通信端末を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、本発明は以下の技術的解決策を用いる。
本発明の実施例による第1の態様では、クロック発生モジュールと、正電圧チャージポンプモジュールと、過渡増強モジュール及び負電圧チャージポンプモジュールを含む正負電圧チャージポンプ回路を提供する。前記クロック発生モジュールの出力端は前記正電圧チャージポンプモジュール及び前記負電圧チャージポンプモジュールの入力端に接続され、前記正電圧チャージポンプモジュールの出力端は前記過渡増強モジュールの入力端に接続される。前記過渡増強モジュールの出力端は前記負電圧チャージポンプモジュールの入力電源端に接続され、前記クロック発生モジュールと、前記正電圧チャージポンプモジュール及び前記過渡増強モジュールの電源端はいずれも給電電圧に接続される。
【0007】
前記正電圧チャージポンプモジュールは、前記クロック発生モジュールから出力されるクロック信号に基づいて正電圧を生成し、前記正電圧と前記給電電圧は、入力電圧源として前記過渡増強モジュールによってサンプリングされて電流に変換された後に比較される。比較結果に基づいて、前記負電圧チャージポンプモジュールは前記クロック発生モジュールから出力されるクロック信号に基づいて負電圧を発生させるように、切り替え可能な入力電圧を前記負電圧チャージポンプモジュールに供給する。
【0008】
好ましくは、前記正電圧チャージポンプモジュールは、第1のクロック変換ユニット及び少なくとも1つの正電圧チャージポンプユニットを含む。前記第1のクロック変換ユニットの入力端は前記クロック発生モジュールの出力端に接続され、前記第1のクロック変換ユニットの出力端は、各前記正電圧チャージポンプユニットの入力端に接続される。
【0009】
好ましくは、前記第1のクロック変換ユニットは、第1のインバータと、第2のインバータと、第3のインバータと、第4のインバータと、第5のインバータと、第1のNANDゲート及び第2のNANDゲートを含む。前記第1のインバータの入力端は前記クロック発生モジュールの出力端と前記第2のNANDゲートの1つの入力端に接続され、前記第1のインバータの出力端は前記第1のNANDゲートの1つの入力端に接続される。前記第1のNANDゲートの出力端は前記第2のインバータの入力端に接続され、前記第2のインバータの出力端は第1の出力端と前記第3のインバータの入力端に接続される。前記第3のインバータの出力端は前記第2のNANDゲートの他の入力端と第2の出力端に接続され、前記第2のNANDゲートの出力端は前記第4のインバータの入力端に接続される。前記第4のインバータの出力端は第4の出力端と前記第5のインバータの入力端に接続され、前記第5のインバータの出力端は前記第1のNANDゲートの他の入力端と第3の出力端に接続される。
【0010】
好ましくは、複数の前記正電圧チャージポンプユニットを使用する場合、2番目の正電圧チャージポンプユニットから開始し、各正電圧チャージポンプユニットの入力電圧は、その前の正電圧チャージポンプユニットの正圧出力端に接続される。
【0011】
好ましくは、前記正電圧チャージポンプユニットは、第1のNMOSトランジスタと、第2のNMOSトランジスタと、第1のPMOSトランジスタと、第2のPMOSトランジスタと、第3のNMOSトランジスタと、第4のNMOSトランジスタと、第3のPMOSトランジスタと、第4のPMOSトランジスタと、第1のコンデンサと、第2のコンデンサ及び第3のコンデンサを含む。前記第1のNMOSトランジスタのゲートは第1のクロック変換ユニットの第4の出力端に接続され、前記第1のNMOSトランジスタ及び前記第2のNMOSトランジスタのソースはそれぞれ接地される。前記第1のNMOSトランジスタのドレインは、前記第2のコンデンサの一端及び前記第1のPMOSトランジスタのドレインにそれぞれ接続され、前記第1のPMOSトランジスタのゲートは前記第1のクロック変換ユニットの第2の出力端に接続される。前記第2のNMOSトランジスタのゲートは前記第1のクロック変換ユニットの第1の出力端に接続され、前記第2のNMOSトランジスタのドレインは、前記第1のコンデンサの一端及び前記第2のPMOSトランジスタのドレインにそれぞれ接続される。前記第2のPMOSトランジスタのゲートは前記第1のクロック変換ユニットの第3の出力端に接続され、前記第2のPMOSトランジスタと、前記第1のPMOSトランジスタと、前記第3のNMOSトランジスタ及び前記第4のNMOSトランジスタのソースは、いずれも入力電圧に接続される。前記第4のNMOSトランジスタのゲートは、前記第3のNMOSトランジスタのドレインと、前記第1のコンデンサの他端と、前記第4のPMOSトランジスタのゲート及び前記第3のPMOSトランジスタのドレインにそれぞれ接続され、前記第3のNMOSトランジスタのゲートは、前記第4のNMOSトランジスタのドレインと、前記第2のコンデンサの他端と、前記第3のPMOSトランジスタのゲート及び前記第4のPMOSトランジスタのドレインにそれぞれ接続される。前記第3のPMOSトランジスタ及び前記第4のPMOSトランジスタのソースは、いずれも前記第3のコンデンサの一端と正圧出力端に接続され、前記第3のコンデンサの他端は接地される。
【0012】
好ましくは、前記過渡増強モジュールは、電圧サンプリング比較ユニット及び電圧切替えユニットを含む。前記電圧サンプリング比較ユニットの入力端は前記正電圧チャージポンプユニットの正圧出力端及び給電電圧に接続され、前記電圧サンプリング比較ユニットの出力端は前記電圧切替えユニットの入力端に接続される。
【0013】
好ましくは、前記電圧サンプリング比較ユニットは、第1の抵抗と、第5のNMOSトランジスタと、第6のNMOSトランジスタと、第7のNMOSトランジスタと、第8のNMOSトランジスタと、第5のPMOSトランジスタと、第6のPMOSトランジスタと、第2の抵抗と、第3の抵抗と、第4のコンデンサを含む。前記第1の抵抗の一端と、前記第5のPMOSトランジスタ及び前記第6のPMOSトランジスタのソースは、それぞれ給電電圧に接続され、前記第1の抵抗の他端は、前記第5のNMOSトランジスタのドレイン及びゲートと、前記第6のNMOSトランジスタのゲートにそれぞれ接続される。前記第6のNMOSトランジスタのドレインは、前記第5のPMOSトランジスタのドレイン及びゲートと、前記第6のPMOSトランジスタのゲートにそれぞれ接続され、前記第6のPMOSトランジスタのドレインは、前記第4のコンデンサの一端及び前記第3の抵抗の一端と、前記第7のNMOSトランジスタのドレイン及び前記電圧切替えユニットにそれぞれ接続される。前記第7のNMOSトランジスタのゲートは、前記第8のNMOSトランジスタのゲートとドレイン及び前記第2の抵抗の一端にそれぞれ接続され、前記第2の抵抗の他端は前記正電圧チャージポンプユニットの正圧出力端に接続される。前記第8のNMOSトランジスタ及び前記第7のNMOSトランジスタのソースと、前記第3の抵抗及び前記第4のコンデンサの他端と、前記第6のNMOSトランジスタ及び前記第5のNMOSトランジスタのソースは、いずれも接地される。
【0014】
好ましくは、前記電圧切替えユニットは、ヒステリシスインバータと、論理レベル変換サブユニット及びスイッチサブユニットを含む。前記ヒステリシスインバータの入力端は前記電圧サンプリング比較ユニットの出力端に接続され、前記ヒステリシスインバータの出力端は前記論理レベル変換サブユニットの入力端に接続され、前記論理レベル変換サブユニットの出力端は前記スイッチサブユニットの入力端に接続される。
【0015】
好ましくは、前記論理レベル変換サブユニットは、第6のインバータと、第7のインバータと、第12のNMOSトランジスタと、第13のNMOSトランジスタと、第14のNMOSトランジスタと、第15のNMOSトランジスタと、第16のNMOSトランジスタと、第17のNMOSトランジスタと、第18のNMOSトランジスタと、第10のPMOSトランジスタと、第11のPMOSトランジスタと、第12のPMOSトランジスタと、第13のPMOSトランジスタと、第14のPMOSトランジスタと、第15のPMOSトランジスタと、第5のコンデンサと、第6のコンデンサと、第3のNANDゲートと、第4のNANDゲートと、XORゲート及び複数のデジタル遅延ユニットを含む。前記第6のインバータの入力端は前記ヒステリシスインバータの出力端に接続され、前記第6のインバータの出力端は前記第7のインバータの入力端と、前記第13のNMOSトランジスタのゲートに接続される。前記第7のインバータの出力端は前記スイッチサブユニットの1つの入力端と、前記第14のNMOSトランジスタのゲートに接続され、Xノードは、前記ヒステリシスインバータの出力端と、第1のデジタル遅延ユニットの入力端と、前記XORゲートの1つの入力端にそれぞれ接続される。前記第1のデジタル遅延ユニットの出力端から最後のデジタル遅延ユニットの入力端との間に複数のデジタル遅延ユニットが直列に接続され、最後のデジタル遅延ユニットの出力端は前記XORゲートの他の入力端に接続される。前記XORゲートの出力端は、前記第18のNMOSトランジスタ及び前記第17のNMOSトランジスタのゲートと、前記第14のPMOSトランジスタ及び前記第15のPMOSトランジスタのゲートにそれぞれ接続され、前記第15のPMOSトランジスタのドレインは前記第6のコンデンサの一端と、前記第18のNMOSトランジスタのドレインに接続される。前記第18のNMOSトランジスタのソースは前記第14のNMOSトランジスタのドレインに接続され、前記第6のコンデンサの他端は前記第15のNMOSトランジスタのソースと、前記第3のNANDゲートの1つの入力端と、前記第10のPMOSトランジスタのドレインに接続される。前記第15のNMOSトランジスタのドレインは前記第16のNMOSトランジスタのドレインに接続され、前記第16のNMOSトランジスタのソースは前記第11のPMOSトランジスタのドレインと、前記第5のコンデンサの一端及び前記第4のNANDゲートの1つの入力端に接続される。前記第5のコンデンサの他端は、前記第14のPMOSトランジスタのドレインと、前記第17のNMOSトランジスタのドレインにそれぞれ接続され、前記第17のNMOSトランジスタのソースは前記第13のNMOSトランジスタのドレインに接続される。前記第12のNMOSトランジスタのゲートは前記第5のNMOSトランジスタのドレインに接続され、前記第12のNMOSトランジスタのドレインは、前記第13のPMOSトランジスタのドレイン及びゲートと、前記第16のNMOSトランジスタ及び前記第15のNMOSトランジスタのゲートにそれぞれ接続される。前記第13のPMOSトランジスタのソースは、前記第12のPMOSトランジスタのドレイン及びゲートと、前記第11のPMOSトランジスタ及び前記第10のPMOSトランジスタのゲートにそれぞれ接続され、前記第12のPMOSトランジスタと、前記第11のPMOSトランジスタと、前記第10のPMOSトランジスタのソース及び前記第15のNMOSトランジスタと、前記第16のNMOSトランジスタのドレインは、いずれも前記正電圧チャージポンプユニットの正圧出力端に接続される。前記第14のNMOSトランジスタと、前記第13のNMOSトランジスタ及び前記第12のNMOSトランジスタのソースはそれぞれ接地され、前記第14のPMOSトランジスタ及び前記第15のPMOSトランジスタのソースは、それぞれ所在電圧ドメインの負のレール電圧に接続される。前記第3のNANDゲートの他の入力端は前記第4のNANDゲートの出力端と、前記スイッチサブユニットの他の入力端までに接続され、前記第3のNANDゲートの出力端は前記第4のNANDゲートの他の入力端に接続される。
【0016】
好ましくは、前記スイッチサブユニットは、第16のPMOSトランジスタ及び第17のPMOSトランジスタを含む。前記第16のPMOSトランジスタのゲートは前記第4のNANDゲートの出力端に接続され、前記第16のPMOSトランジスタのソースは前記正電圧チャージポンプユニットの正圧出力端に接続される。前記第17のPMOSトランジスタのゲートは前記第7のインバータの出力端に接続され、前記第17のPMOSトランジスタのソースは給電電圧に接続される。前記第17のPMOSトランジスタ及び前記第16のPMOSトランジスタのドレインは、前記スイッチサブユニットの出力端とする。
【0017】
好ましくは、前記負電圧チャージポンプモジュールは、第2のクロック変換ユニット及び負電圧チャージポンプユニットを含む。前記第2のクロック変換ユニットの入力端は前記クロック発生モジュールの出力端に接続され、前記第2のクロック変換ユニットの出力端は前記負電圧チャージポンプユニットの入力端に接続され、前記負電圧チャージポンプユニットの入力端は前記電圧切替えユニットの出力端に接続される。
【0018】
好ましくは、前記第2のクロック変換ユニットは、第8のインバータと、第9のインバータと、第10のインバータと、第11のインバータと、第12のインバータと、第5のNANDゲート及び第6のNANDゲートを含む。前記第8のインバータの入力端は前記クロック発生モジュールの出力端及び前記第6のNANDゲートの1つの入力端に接続され、前記第8のインバータの出力端は前記第5のNANDゲートの1つの入力端に接続される。前記第5のNANDゲートの出力端は前記第9のインバータの入力端に接続され、前記第9のインバータの出力端は第5の出力端と前記第10のインバータの入力端に接続される。前記第10のインバータの出力端は前記第6のNANDゲートの他の入力端及び第6の出力端に接続され、前記第6のNANDゲートの出力端は前記第11のインバータの入力端に接続される。前記第11のインバータの出力端は第8の出力端及び前記第12のインバータの入力端に接続され、前記第12のインバータの出力端は前記第5のNANDゲートの他の入力端及び第7の出力端に接続される。
【0019】
好ましくは、前記負電圧チャージポンプユニットは、第18のPMOSトランジスタと、第19のPMOSトランジスタと、第19のNMOSトランジスタと、第20のNMOSトランジスタと、第20のPMOSトランジスタと、第21のPMOSトランジスタと、第21のNMOSトランジスタと、第22のNMOSトランジスタと、第7のコンデンサと、第8のコンデンサ及び第9のコンデンサを含む。前記第18のPMOSトランジスタのゲートは前記第2のクロック変換ユニットの第8の出力端に接続され、前記第18のPMOSトランジスタ及び前記第19のPMOSトランジスタのドレインは、それぞれ前記電圧切替えユニットの出力電圧に接続され、前記第18のPMOSトランジスタのソースは、前記第8のコンデンサの一端及び前記第19のNMOSトランジスタのソースにそれぞれ接続され、前記第19のNMOSトランジスタのゲートは前記第2のクロック変換ユニットの第6の出力端に接続される。前記第19のPMOSトランジスタのゲートは前記第2のクロック変換ユニットの第5の出力端に接続され、前記第19のPMOSトランジスタのソースは、前記第7のコンデンサの一端及び前記第20のNMOSトランジスタのソースにそれぞれ接続される。前記第20のNMOSトランジスタのゲートは前記第2のクロック変換ユニットの第7の出力端に接続され、前記第19のNMOSトランジスタと、前記第20のNMOSトランジスタと、前記第20のPMOSトランジスタ及び前記第21のPMOSトランジスタのドレインはそれぞれ接地される。前記第21のPMOSトランジスタのゲートは、前記第20のPMOSトランジスタのソースと、前記第7のコンデンサの他端と、前記第22のNMOSトランジスタのゲート及び前記第21のNMOSトランジスタのソースにそれぞれ接続され、前記第20のPMOSトランジスタのゲートは、前記第21のPMOSトランジスタのソースと、前記第8のコンデンサの他端と、前記第21のNMOSトランジスタのゲート及び前記第22のNMOSトランジスタのソースにそれぞれ接続される。前記第21のNMOSトランジスタ及び前記第22のNMOSトランジスタのドレインは、前記第9のコンデンサの一端及び負圧出力端にそれぞれ接続され、前記第9のコンデンサの他端は接地される。
【0020】
本発明の実施例による第2の態様では、上記正負電圧チャージポンプ回路を含む集積回路チップを提供する。
本発明の実施例による第3の態様では、上記正負電圧チャージポンプ回路を含む通信端末を提供する。
【発明の効果】
【0021】
本発明の実施例によって提供される正負電圧チャージポンプ回路は、正電圧チャージポンプモジュールにより、クロック発生モジュールから出力されるクロック信号に基づいて正電圧を生成するとともに、過渡増強モジュールによって該正電圧及び給電電圧をサンプリングして電流に変換した後に比較し、比較結果に基づいて、負電圧チャージポンプモジュールに切り替え可能な入力電圧を供給する。負電圧チャージポンプモジュールは、クロック発生モジュールから出力されるクロック信号に基づいて、負電圧を迅速且つ確実に確立するとともに、負電圧チャージポンプモジュールが負電圧を生成する速度及び効率を向上させることができるだけでなく、異なる負圧の要求を柔軟に実現することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明の実施例によって提供される正負電圧チャージポンプ回路の概略ブロック図である。
【
図2】本発明の実施例によって提供される正負電圧チャージポンプ回路における正電圧チャージポンプモジュールの回路の概略図である。
【
図3】本発明の実施例によって提供される正負電圧チャージポンプ回路における過渡増強モジュールの回路の概略図である。
【
図4】本発明の実施例によって提供される正負電圧チャージポンプ回路における負圧チャージポンプモジュールの回路の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面及び具体的な実施例を参照しながら、本発明の技術内容をさらに詳細に説明する。
【0024】
入力電源電圧の正のレールよりも高い正電圧と、入力電源電圧の負のレールよりも低い負電圧の出力を同時に安定かつ確実に実現し、出力される負電圧を柔軟かつ速やかに確立できるようにするために、
図1に示すように、本発明の実施例によって提供される正負電圧チャージポンプ回路は、クロック発生モジュール100と、正電圧チャージポンプモジュール101と、過渡増強モジュール102及び負電圧チャージポンプモジュール103を含む。クロック発生モジュール100の出力端は正電圧チャージポンプモジュール101及び負電圧チャージポンプモジュール103の入力端に接続され、正電圧チャージポンプモジュール101の出力端は過渡増強モジュール102の入力端に接続される。過渡増強モジュール102の出力端は負電圧チャージポンプモジュール103の入力電源端に接続され、クロック発生モジュール100と、正電圧チャージポンプモジュール101及び過渡増強モジュール102の電源端は、いずれも給電電圧VDDに接続される。
【0025】
正電圧チャージポンプモジュール101は、クロック発生モジュール100から出力されるクロックに基づいて正電圧を生成し、該正電圧及び給電電圧は、入力電圧源として過渡増強モジュール102によってサンプリングされて電流に変換された後に比較される。比較結果に基づいて、負電圧チャージポンプモジュール103が、クロック発生モジュール100から出力されるクロック信号に基づいて負電圧出力を生成するように、負電圧チャージポンプモジュール103に切り替え可能な入力電圧を供給する。
【0026】
クロック発生モジュール100は、クロック信号を生成するために用いられる。該クロック発生モジュール100は、任意の構造の発振器を利用して実現することができる。その主要な目的は、正電圧チャージポンプモジュール101及び負電圧チャージポンプモジュール103に一定の周波数のクロック信号を供給することである。
【0027】
図2に示すように、正電圧チャージポンプモジュール101は、第1のクロック変換ユニット201及び少なくとも1つの正電圧チャージポンプユニット202を含む。第1のクロック変換ユニット201の入力端はクロック発生モジュール100の出力端に接続され、第1のクロック変換ユニット201の出力端は各正電圧チャージポンプユニット202の入力端に接続される。
【0028】
第1のクロック変換ユニット201は、クロック発生モジュール100から出力されるクロック信号を変換し、2つの相補的な非オーバーラップ・クロック信号を生成するために用いられる。
図2に示すように、第1のクロック変換ユニット201は、第1のインバータINV1と、第2のインバータINV2と、第3のインバータINV3と、第4のインバータINV4と、第5のインバータINV5と、第1のNANDゲートNAND1及び第2のNANDゲートNAND2を含む。第1のインバータINV1の入力端は、クロック発生モジュール100の出力端及び第2のNANDゲートNAND2の1つの入力端に接続され、第1のインバータINV1の出力端は第1のNANDゲートNAND1の1つの入力端に接続される。第1のNANDゲートNAND1の出力端は第2のインバータINV2の入力端に接続され、第2のインバータINV2の出力端は第1の出力端及び第3のインバータINV3の入力端に接続される。第3のインバータINV3の出力端は第2のNANDゲートNAND2の他の入力端及び第2の出力端に接続され、第2のNANDゲートNAND2の出力端は第4のインバータINV4の入力端に接続される。第4のインバータINV4の出力端は第4の出力端及び第5のインバータINV5の入力端に接続され、第5のインバータINV5の出力端は第1のNANDゲートNAND1の他の入力端及び第3の出力端に接続される。
【0029】
第1のクロック変換ユニット201は、クロック発生モジュール100から出力されるクロック信号CLKを受信し、該クロック信号CLKをインバータINV1~INV5及び2入力NANDゲートNAND1とNAND2によって、2つの非オーバーラップ・クロック信号、すなわち、第1の非オーバーラップ・クロック信号であるCLK_iとCLK_b、及び第2の非オーバーラップ・クロック信号であるCLK_ifとCLK_bfに変換される。第1のクロック変換ユニット201は、クロック信号CLKを2つの非オーバーラップ・クロック信号に変換することは、従来技術であり、ここでは詳細に説明しない。
【0030】
また、第1のクロック変換ユニット201の電圧ドメインと受信されたクロック信号CLKの電圧ドメインが異なる場合、該第1のクロック変換ユニット201は、レベル変換機能を完了する必要がある。例えば、クロック信号CLKの電圧ドメインが給電電圧VDDと接地電圧VSSである場合、ここでは、給電電圧VDDは入力信号電圧の正のレールであり、VSSは入力信号電圧の負のレールであることから、第1のクロック変換ユニット201は、クロック信号CLKの振幅を、所望の変換目標電圧の正のレール値VDDi及び接地電圧VSSの電圧ドメインに変換する必要がある。
【0031】
図2に示すように、正電圧チャージポンプユニット202は、第1のNMOSトランジスタMN0と、第2のNMOSトランジスタMN1と、第1のPMOSトランジスタMP0と、第2のPMOSトランジスタMP1と、第3のNMOSトランジスタMN2と、第4のNMOSトランジスタMN3と、第3のPMOSトランジスタMP2と、第4のPMOSトランジスタMP3と、第1のコンデンサCF1と、第2のコンデンサCF2及び第3のコンデンサCholdを含む。第1のNMOSトランジスタMN0のゲートは第1のクロック変換ユニット201の第4の出力端に接続され、第1のNMOSトランジスタMN0及び第2のNMOSトランジスタMN1のソースは、いずれも接地される。第1のNMOSトランジスタMN0のドレインは、第2のコンデンサCF2の一端と第1のPMOSトランジスタMP0のドレインにそれぞれ接続され、第1のPMOSトランジスタMP0のゲートは第1のクロック変換ユニット201の第2の出力端に接続される。第2のNMOSトランジスタMN1のゲートは第1のクロック変換ユニット201の第1の出力端に接続され、第2のNMOSトランジスタMN1のドレインは、第1のコンデンサCF1の一端と第2のPMOSトランジスタMP1のドレインにそれぞれ接続される。第2のPMOSトランジスタMP1のゲートは第1のクロック変換ユニット201の第3の出力端に接続され、第2のPMOSトランジスタMP1と、第1のPMOSトランジスタMP0と、第3のNMOSトランジスタMN2及び第4のNMOSトランジスタMN3のソースは、いずれも入力電圧Vinに接続される。第4のNMOSトランジスタMN3のゲートは、第3のNMOSトランジスタMN2ドレインと、第1のコンデンサCF1の他端と、第4のPMOSトランジスタMP3のゲート及び第3のPMOSトランジスタMP2のドレインにそれぞれ接続され、第3のNMOSトランジスタMN2のゲートは、第4のNMOSトランジスタMN3ドレインと、第2のコンデンサCF2の他端と、第3のPMOSトランジスタMP2のゲート及び第4のPMOSトランジスタMP3のドレインにそれぞれ接続される。第3のPMOSトランジスタMP2及び第4のPMOSトランジスタMP3のソースは、それぞれ第3のコンデンサCholdの一端と正圧出力端VDDHに接続され、第3のコンデンサCholdの他端は接地される。
【0032】
ここで、第1のNMOSトランジスタMN0と、第2のNMOSトランジスタMN1と、第1のPMOSトランジスタMP0と、第2のPMOSトランジスタMP1は、それぞれスイッチ・トランジスタであり、第3のNMOSトランジスタMN2と、第4のNMOSトランジスタMN3と、第3のPMOSトランジスタMP2と、第4のPMOSトランジスタMP3は、それぞれ伝送トランジスタである。第1のクロック変換ユニット201から出力される2つの相補的な非オーバーラップ・クロック信号によって、第1のNMOSトランジスタMN0と、第2のNMOSトランジスタMN1と、第1のPMOSトランジスタMP0と、第2のPMOSトランジスタMP1のオンとオフを制御することによって、第1のコンデンサCF1と第2のコンデンサCF2を逐次、充放電する。また、第3のNMOSトランジスタMN2と、第4のNMOSトランジスタMN3と、第3のPMOSトランジスタMP2と、第4のPMOSトランジスタMP3をオンとオフにすることによって、第1のコンデンサCF1と第2のコンデンサCF2の電荷を第3のコンデンサCholdに伝送し、正電圧の出力を実現する。ここで、第1のコンデンサCF1と第2のコンデンサCF2の容量値は等しく、入力電圧Vinは最大で給電電圧VDDと等しい。
【0033】
具体的には、入力電圧Vinは最大で給電電圧VDDと等しい場合を例として、非オーバーラップ・クロック信号CLK_iが高レベルである場合、即ち、第1のクロック変換ユニット201に給電電圧VDDを供給する場合、非オーバーラップ・クロック信号CLK_bは低レベルである。即ち、第1のクロック変換ユニット201に接地電圧VSSを供給するとともに、非オーバーラップ・クロック信号CLK_if及びCLK_bfのレベルは、それぞれ給電電圧VDDと接地電圧VSSである。この時、第1のNMOSトランジスタMN0及び第2のPMOSトランジスタMP1がオン状態になり、第1のPMOSトランジスタMP0及び第2のNMOSトランジスタMN1がオフ状態になることによって、第1のコンデンサCF1の両端をそれぞれ給電電圧VDDに接続させ、第4のNMOSトランジスタMN3にゲート電圧の2倍の給電電圧VDDを供給することを実現する。第4のNMOSトランジスタMN3のソース電圧はVDDであり、第4のNMOSトランジスタMN3をオン状態にさせ、第3のPMOSトランジスタMP2のゲート電圧は給電電圧VDDであり、第3のPMOSトランジスタMP2をオン状態にさせ、第1のコンデンサCF1におけるすべての電荷を第3のPMOSトランジスタMP2によって第3のコンデンサCholdに伝送、即ち、第3のコンデンサCholdを充電することで、正電圧の出力を実現する。一方、第3のNMOSトランジスタMN2のゲート電圧及びソース電圧は、いずれも給電電圧VDDであり、第3のNMOSトランジスタMN2を遮断状態にさせ、第4のPMOSトランジスタMP3も同様に遮断状態になる。また、第2のコンデンサCF2の一端が給電電圧VDDに接続され、他端が接地電圧VSSに接続され、第2のコンデンサCF2への充電が実現される。
【0034】
同様に、非オーバーラップ・クロック信号CLK_iが低レベルである場合、即ち、第1のクロック変換ユニット201に接地電圧VSSを供給する場合、非オーバーラップ・クロック信号CLK_bは高レベルである。即ち、第1のクロック変換ユニット201に給電電圧VDDを供給すると共に、非オーバーラップ・クロック信号CLK_ifとCLK_bfのレベルは、それぞれ接地電圧VSS及び給電電圧VDDである。この時、第2のNMOSトランジスタMN1及び第1のPMOSトランジスタMP0はオン状態になり、第1のNMOSトランジスタMN0及び第2のPMOSトランジスタMP1はオフ状態になることによって、第2のコンデンサCF2の両端がそれぞれ給電電圧VDDに接続され、第3のNMOSトランジスタMN2にゲート電圧の2倍の給電電圧VDDを供給することを実現する。第3のNMOSトランジスタMN2のソース電圧はVDDであり、第3のNMOSトランジスタMN2をオン状態にさせ、第4のPMOSトランジスタMP3のゲート電圧は給電電圧VDDであり、第4のPMOSトランジスタMP3をオン状態にさせ、第2のコンデンサCF2における全ての電荷を第4のPMOSトランジスタMP3によって第3のコンデンサCholdに伝送し、即ち、第3のコンデンサCholdを充電することによって、正電圧の出力を実現する。一方、第4のNMOSトランジスタMN3のゲート電圧及びソース電圧はいずれも給電電圧VDDであり、第4のNMOSトランジスタMN3を遮断状態にさせ、第3のPMOSトランジスタMP2も同様に遮断状態にする。また、第1のコンデンサCF1の一端は給電電圧VDDに接続させ、他端は接地電圧VSSに接続させることによって、第1のコンデンサCF1を充電する。数サイクル後、第1のコンデンサCF1及び第2のコンデンサCF2における電荷をシフトすることによって、正圧出力端VDDHが最終的に2倍の給電電圧VDDを出力する。
【0035】
なお、非オーバーラップ・クロック信号CLK_if及びCLK_bfは、それぞれ非オーバーラップ・クロック信号CLK_i及びCLK_bの位相が進んだ非オーバーラップ・クロック信号に対応し、そして、非オーバーラップ・クロック信号CLK_ifと非オーバーラップ・クロック信号CLK_iは、同相の非オーバーラップ・クロック信号であり、非オーバーラップ・クロック信号CLK_bfと非オーバーラップ・クロック信号CLK_bは同相の非オーバーラップ・クロック信号である。非オーバーラップ・クロック信号CLK_if及びCLK_bfにより、正電圧チャージポンプユニット202におけるPMOSトランジスタとNMOSトランジスタが同時にオンになる問題を回避することができる。
【0036】
また、正電圧チャージポンプユニット202の正圧出力端VDDHがより高い正電圧を出力する必要がある場合、複数の正電圧チャージポンプユニット202をカスケード接続する。即ち、2番目の正電圧チャージポンプユニット202を除いて、各正電圧チャージポンプユニット202の入力電圧Vinは、その1つ前の正電圧チャージポンプユニット202の正圧出力端VDDHに接続することができる。
【0037】
図3に示すように、過渡増強モジュール102は、電圧サンプリング比較ユニット301及び電圧切替えユニット302を含む。電圧サンプリング比較ユニット301の入力端は、正電圧チャージポンプユニット202の正圧出力端VDDH及び給電電圧VDDに接続され、電圧サンプリング比較ユニット301の出力端は、電圧切替えユニット302の入力端に接続される。電圧サンプリング比較ユニット301によって正電圧チャージポンプユニット202から出力される正電圧及び給電電圧VDDをサンプリングし、該正電圧と給電電圧VDDとを相応する電流に転換した後、比較することによって、ノードVDETが検出信号の状態を出力する。電圧切替えユニット302は、検出信号の状態に対して必要なレベル変換処理を行った後、スイッチを制御して電圧を切替えることで、負電圧チャージポンプモジュール103に切り替え可能な入力電圧を供給し、さらに負電圧チャージポンプモジュール103が負電圧を生成する速度および効率を向上させる。
【0038】
図3に示すように、電圧サンプリング比較ユニット301は、第1の抵抗R1と、第5のNMOSトランジスタMN4と、第6のNMOSトランジスタMN5と、第7のNMOSトランジスタMN6と、第8のNMOSトランジスタMN7と、第5のPMOSトランジスタMP4と、第6のPMOSトランジスタMP5と、第2の抵抗R2と、第3の抵抗R3と、第4のコンデンサC1を含む。第1の抵抗R1の一端と、第5のPMOSトランジスタMP4及び第6のPMOSトランジスタMP5のソースはそれぞれ給電電圧VDDに接続され、第1の抵抗R1の他端は、第5のNMOSトランジスタMN4のドレイン及びゲートと、第6のNMOSトランジスタMN5のゲートにそれぞれ接続される。第6のNMOSトランジスタMN5のドレインは、第5のPMOSトランジスタMP4のドレイン及びゲートと、第6のPMOSトランジスタMP5のゲートにそれぞれ接続される。第6のPMOSトランジスタMP5のドレインは、第4のコンデンサC1の一端及び第3の抵抗R3の一端と、第7のNMOSトランジスタMN6のドレイン及び電圧切替えユニット302にそれぞれ接続され、第7のNMOSトランジスタMN6のゲートは、第8のNMOSトランジスタMN7のゲートとドレイン、及び第2の抵抗R2の一端にそれぞれ接続される。第2の抵抗R2の他端は正電圧チャージポンプユニット202の正圧出力端VDDHに接続され、第8のNMOSトランジスタMN7及び第7のNMOSトランジスタMN6のソースと、第3の抵抗R3及び第4のコンデンサC1の他端と、第6のNMOSトランジスタMN5及び第5のNMOSトランジスタMN4のソースは、いずれも接地される。
【0039】
電圧サンプリング比較ユニット301の作動原理を説明する。第2の抵抗R2及び第8のNMOSトランジスタMN7により正電圧チャージポンプユニット202の正圧出力端VDDHの出力電圧をサンプリングし、該正電圧を対応する電流に変換し、該電流は第7のNMOSトランジスタMN6を経て予め設定された比率で複製される。第1の抵抗R1及び第5のNMOSトランジスタMN4により給電電圧VDDをサンプリングし、該給電電圧VDDを対応する電流に変換する。該電流は、第6のNMOSトランジスタMN5と、第5のPMOSトランジスタMP4及び第6のPMOSトランジスタMP5を順次に経て予め設定された比率で複製される。ここで、正電圧チャージポンプユニット202の正圧出力端VDDHから出力される正電圧及び給電電圧VDDは、サンプリングされて対応する電流に転換される。該電流は予め設定された比率で、第8のNMOSトランジスタMN7のドレインと第6のPMOSトランジスタMP5のドレインに対応して複製される。それぞれが以下のように表示される。
【数1】
【数2】
【0040】
上式において、R1は第1の抵抗であり、R2は第2の抵抗であり、β0=μnCoxW0/L0、β3=μnCoxW3/L3、μnは電子移動度である。Coxはゲート酸化層容量であり、W0/L0は第5のNMOSトランジスタMN4の幅さと長さの比であり、W3/L3は、8番目のNMOS管MN7の幅と長さの比である。VDDHは正電圧チャージポンプユニットの正圧出力端VDDHから出力される正電圧であり、VDDは給電電圧であり、VTは、回路設計の閾値電圧である。
【0041】
正電圧チャージポンプユニット202の正圧出力端VDDHから出力される正電圧が給電電圧VDDに等しい場合、第6のPMOSトランジスタMP5における電流は第7のNMOSトランジスタMN6における電流よりも大きい。よって、ノードVDETから出力される検出信号の状態は、給電電圧VDDの高レベルに接近し、正電圧チャージポンプユニット202の正圧出力端VDDHから出力される正電圧が徐々に増大するに伴い、ID7電流も増加する。正電圧チャージポンプユニット202の正圧出力端VDDHから出力される正電圧が、回路設計の閾値電圧を超えるか、目標の安定状態(例えば、給電電圧VDDの2倍)に達する場合、第7のNMOSトランジスタMN6における電流は、第6のPMOSトランジスタMP5における電流よりもはるかに大きい。ノードVDETから出力される検出信号の状態は、高レベルの給電電圧VDDから低レベルの接地電圧VSSへ遷移して出力される。よって、正電圧チャージポンプユニット202の正圧出力端VDDHから出力される正電圧を動的に検出する。正電圧チャージポンプユニット202の正圧出力端VDDHから出力される正電圧が、予定値まで上昇又は降下すると、電圧サンプリング比較ユニット301から出力される検出信号の状態は1回反転する。
【0042】
図3に示すように、電圧切替えユニット302は、ヒステリシスインバータ3020と、論理レベル変換サブユニット3021及びスイッチサブユニット3022を含む。ヒステリシスインバータ3020の入力端は、電圧サンプリング比較ユニット301の出力端に接続され、ヒステリシスインバータ3020の出力端は論理レベル変換サブユニット3021の入力端に接続され、論理レベル変換サブユニット3021の出力端はスイッチサブユニット3022の入力端に接続される。
【0043】
図3に示すように、ヒステリシスインバータ3020は、第9のNMOSトランジスタMN8と、第10のNMOSトランジスタMN9と、第11のNMOSトランジスタMN10と、第7のPMOSトランジスタMP6と、第8のPMOSトランジスタMP7と、第9のPMOSトランジスタMP8を含む。第9のNMOSトランジスタMN8と、第10のNMOSトランジスタMN9と、第7のPMOSトランジスタMP6と、第8のPMOSトランジスタMP7のゲートは、共に接続されてヒステリシスインバータ3020の入力端として、サンプリング比較ユニット301のノードVDETに接続することによって電圧サンプリング比較ユニット301から出力される検出信号の状態を受信する。第9のNMOSトランジスタMN8のドレイン及び第10のNMOSトランジスタMN9のソースは、それぞれ第9のPMOSトランジスタMP8のドレインに接続され、第10のNMOSトランジスタMN9のドレイン及び第8のPMOSトランジスタMP7のドレインと、第9のPMOSトランジスタMP8及び第11のNMOSトランジスタMN10のゲートは、ヒステリシスインバータ3020の出力端として相互に接続される。第8のPMOSトランジスタMP7のソース及び第7のPMOSトランジスタMP6のドレインは、それぞれ第11のNMOSトランジスタMN10のドレインに接続され、第7のPMOSトランジスタMP6及び第9のPMOSトランジスタMP8のソースは、それぞれ給電電圧VDDに接続され、第9のNMOSトランジスタMN8及び第11のNMOSトランジスタMN10のソースは接地される。
【0044】
ヒステリシスインバータ3020の作動電圧ドメインは、給電電圧VDD及び接地電圧VSSである。ヒステリシスインバータ3020の主な作用は、電圧サンプリング比較ユニット301から出力される検出信号の状態を整形し、検出信号の状態を反転した論理レベルを得ると共に、一定のヒステリシス機能を実現することによって、給電電圧VDD及び検出信号の状態にグリッチレベルが発生することを防止し、回路をより安全且つ確実に作動させる。
【0045】
図3に示すように、論理レベル変換サブユニット3021は、第6のインバータINV6と、第7のインバータINV7と、第12のNMOSトランジスタMN11と、第13のNMOSトランジスタMN12と、第14のNMOSトランジスタMN13と、第15のNMOSトランジスタMN14と、第16のNMOSトランジスタMN15と、第17のNMOSトランジスタMN16と、第18のNMOSトランジスタMN17と、第10のPMOSトランジスタMP9と、第11のPMOSトランジスタMP10と、第12のPMOSトランジスタMP11と、第13のPMOSトランジスタMP12と、第14のPMOSトランジスタMP13と、第15のPMOSトランジスタMP14と、第5のコンデンサC2と、第6のコンデンサC3と、第3のNANDゲートNAND3と、第4のNANDゲートNAND4と、デジタル遅延ユニットD1~D4及びXORゲートXOR1を含む。論理レベル変換サブユニット3021の各部の接続関係は以下とおりである。第6のインバータINV6の入力端は、ヒステリシスインバータ3020の出力端に接続され、第6のインバータINV6の出力端は、第7のインバータINV7の入力端と、第13のNMOSトランジスタMN12のゲートにそれぞれ接続される。第7のインバータINV7の出力端は、スイッチサブユニット3022の1つの入力端と、第14のNMOSトランジスタMN13のゲートにそれぞれ接続される。Xノードは、ヒステリシスインバータ3020の出力端と、第1のデジタル遅延ユニットD1の入力端と、XORゲートXOR1の1つの入力端にそれぞれ接続され、第1のデジタル遅延ユニットD1の出力端と第4のデジタル遅延ユニットD4の入力端との間には、第2のデジタル遅延ユニットD2及び第3のデジタル遅延ユニットD3が直列に接続され、第4のデジタル遅延ユニットD4の出力端はXORゲートXOR1の他の入力端に接続される。XORゲートXOR1の出力端は、第18のNMOSトランジスタMN17及び第17のNMOSトランジスタMN16のゲートと、第14のPMOSトランジスタMP13及び第15のPMOSトランジスタMP14のゲートにそれぞれ接続され、第15のPMOSトランジスタMP14のドレインは、第6のコンデンサC3の一端と、第18のNMOSトランジスタMN17のドレインにそれぞれ接続される。第18のNMOSトランジスタMN17のソースは第14のNMOSトランジスタMN13のドレインに接続され、第6のコンデンサC3の他端は、第15のNMOSトランジスタMN14のソースと、第3のNANDゲートNAND3の1つの入力端と、第10のPMOSトランジスタMP9のドレインにそれぞれ接続される。第15のNMOSトランジスタMN14のドレインは、第16のNMOSトランジスタMN15のドレインに接続され、第16のNMOSトランジスタMN15のソースは、第11のPMOSトランジスタMP10のドレインと、第5のコンデンサC2の一端及び第4のNANDゲートNAND4の1つの入力端にそれぞれ接続され、第5のコンデンサC2の他端は、第14のPMOSトランジスタMP13のドレインと、第17のNMOSトランジスタMN16のドレインにそれぞれ接続される。第17のNMOSトランジスタMN16のソースは第13のNMOSトランジスタMN12のドレインに接続され、第12のNMOSトランジスタMN11のゲートは第5のNMOSトランジスタMN4のドレインに接続される。第12のNMOSトランジスタMN11のドレインは、第13のPMOSトランジスタMP12のドレイン及びゲートと、第16のNMOSトランジスタMN15及び第15のNMOSトランジスタMN14のゲートにそれぞれ接続され、第13のPMOSトランジスタMP12のソースは、第12のPMOSトランジスタMP11のドレイン及びゲートと、第11のPMOSトランジスタMP10及び第10のPMOSトランジスタMP9のゲートにそれぞれ接続される。第12のPMOSトランジスタMP11と、第11のPMOSトランジスタMP10と、第10のPMOSトランジスタMP9のソース及び第15のNMOSトランジスタMN14と、第16のNMOSトランジスタMN15のドレインは、いずれも正電圧チャージポンプユニット202の正圧出力端VDDHに接続される。第14のNMOSトランジスタMN13と、第13のNMOSトランジスタMN12及び第12のNMOSトランジスタMN11のソースはそれぞれ接地され、第14のPMOSトランジスタMP13及び第15のPMOSトランジスタMP14のソースは、それぞれ所在電圧ドメインの負のレール電圧VDDLに接続される。第3のNANDゲートNAND3の他の入力端は、第4のNANDゲートNAND4の出力端と、スイッチサブユニット3022の他の入力端にそれぞれ接続され、第3のNANDゲートNAND3の出力端は第4のNANDゲートNAND4の他の入力端に接続される。
【0046】
図3に示すように、スイッチサブユニット3022は、第16のPMOSトランジスタMP15及び第17のPMOSトランジスタMP16を含む。第16のPMOSトランジスタMP15のゲートは、第4のNANDゲートNAND4の出力端に接続するために、スイッチサブユニット3022の他の入力端として用いられる。第16のPMOSトランジスタMP15のソースは、正電圧チャージポンプユニット202の正圧出力端VDDHに接続され、第17のPMOSトランジスタMP16のゲートは、第7のインバータINV7の出力端に接続するために、スイッチサブユニット3022の1つの入力端として用いられる。第17のPMOSトランジスタMP16のソースは、給電電圧VDDに接続され、第17のPMOSトランジスタMP16及び第16のPMOSトランジスタMP15のドレインは、負電圧チャージポンプモジュール103に切り替え可能な入力電圧を供給する電圧VDD_negを出力するために、スイッチサブユニット3022の出力端として用いられる。
【0047】
なお、第3のNANDゲートNAND3と第4のNANDゲートNAND4が作動する電圧ドメインは、正電圧チャージポンプユニット202の正圧出力端VDDHから出力される正電圧(所在電圧ドメインの正のレール電圧値)及び所在電圧ドメインの負のレール電圧VDDLである。本発明の実施例において、所在電圧ドメインの負のレールの電圧VDDLは、給電電圧VDDに設定されている。電圧サンプリング比較ユニット301から出力される検出信号の状態は、高レベルの給電電圧VDDと低レベルの接地電圧VSSの電圧ドメインから高レベルの正電圧チャージポンプユニット202の正圧出力端VDDHから出力される正電圧と低レベルの給電電圧VDDの電圧ドメインに転換した後、スイッチ・トランジスタである第16のPMOSトランジスタMP15及び第17のPMOSトランジスタMP16のゲート電圧を制御することにより、過渡増強モジュール102の出力電圧VDD_negを選択する。また、第12のNMOSトランジスタMN11は予め設定された比率で電圧サンプリング比較ユニット301における第5のNMOSトランジスタMN4の電流を複製することにより、第12のPMOSトランジスタMP11が第13のPMOSトランジスタMP12に接続される。第13のPMOSトランジスタMP12は、ダイオード方式で接続され、第10のPMOSトランジスタMP9と、第11のPMOSトランジスタMP10及び第12のPMOSトランジスタMP11は比例ミラー電流源である。第13のPMOSトランジスタMP12は、第16のNMOSトランジスタMN15及び第15のNMOSトランジスタMN14に静的ゲート電圧を供給し、狭パルス信号RSTによって、第14のPMOSトランジスタMP13と、第15のPMOSトランジスタMP14と、第17のNMOSトランジスタMN16と、第18のNMOSトランジスタMN17のゲート電圧を制御することで、第5のコンデンサC2と、第6のコンデンサC3をプリチャージする。第5のコンデンサC2と、第6のコンデンサC3の容量値は等しく、2つのコンデンサ電荷を初期化し、デジタル遅延ユニットD1~D4及びXORゲートXOR1によりXノードから出力される信号を論理合成した後、1つの狭パルス信号RSTを生成し、該信号RSTを利用して、ノードVDETから出力される検出信号のレベルを変換する。
【0048】
電圧切替えユニット302の作動原理を理解するために、以下、電圧サンプリング比較ユニット301と併せて電圧切替えユニット302の作動原理を詳細に説明する。ここで、過渡増強モジュール102の作動は、回路に通電してから、正電圧チャージポンプモジュール101が作動を開始する。正電圧チャージポンプユニット202の正圧出力端VDDHから出力される正電圧は給電電圧VDDから徐々に増大するが、目標電圧に達していない過程において、ノードVDETから出力される検出信号の状態は、給電電圧VDDに近い高レベルである。第6のインバータINV6及び第7のインバータINV7を経た後、第13のNMOSトランジスタMN12及び第14のNMOSトランジスタMN13のゲート電圧は、それぞれ給電電圧VDD及び接地電圧VSSであり、第13のNMOSトランジスタMN12はオン状態になり、第14のNMOSトランジスタMN13は遮断状態になる。この時、スイッチ・トランジスタである第17のPMOSトランジスタMP16に供給されるゲート電圧XLは接地電圧VSSであり、よって、第17のPMOSトランジスタMP16はオン状態になる。
【0049】
ノードVDETから出力される検出信号の状態がジャンプした場合、ヒステリシスインバータ3020を経て整形された後、Xノードから出力される信号の状態もジャンプする。該出力信号は、デジタル時間遅延ユニットD1~D4及びXORゲートXOR1の組合せ論理を経た後、高レベルが給電電圧VDDである狭パルス信号RSTを生成し、信号RSTによりノードVDETから出力される検出信号のレベルを変換する。
【0050】
給電電圧が正常に通電された後、ノードVDETから出力される検出信号は、接地電圧VSSから給電電圧VDDにジャンプし、Xノード電圧は、給電電圧VDDから接地電圧VSSにジャンプする。デジタル時間遅延ユニットD1~D4及びXORゲートXOR1からなる組合せ論理サブユニットを経た後、高レベルが給電電圧VDDである狭パルス信号RSTを生成する。狭パルス信号RSTのレベルが接地電圧VSSである場合、第14のPMOSトランジスタMP13及び第15のPMOSトランジスタMP14はオンになり、第17のNMOSトランジスタMN16及び第18のNMOSトランジスタMN17は遮断状態になる。この場合、第5のコンデンサC2及び第6のコンデンサC3の極板A及びBは、給電電圧VDDまでプリチャージされる。同時に、第5のコンデンサC2及び第6のコンデンサC3の極板C及びDは、正電圧チャージポンプユニット202の正圧出力端VDDHから出力される正電圧と等しくなるまで、第10のPMOSトランジスタMP9及び第11のPMOSトランジスタMP10により充電される。
【0051】
狭パルス信号RSTが給電電圧VDDである場合、第14のPMOSトランジスタMP13及び第15のPMOSトランジスタMP14は遮断状態になり、第17のNMOSトランジスタMN16及び第18のNMOSトランジスタMN17はオンになる。第13のNMOSトランジスタMN12はオンになり、第14のNMOSトランジスタMN13は遮断状態になるため、第5のコンデンサC2の極板Aの電圧は、接地電圧VSSになるまで迅速に引き下げられ、第5のコンデンサC2の極板Cの電圧も迅速に降下する。第5のコンデンサC2の極板Cの電圧が一定の幅値に低下した場合、第16のNMOSトランジスタMN15がオンになり、第5のコンデンサC2の極板Cの電圧が引き上げられる。第16のNMOSトランジスタMN15が遮断された後、第14のNMOSトランジスタMN13により、第5のコンデンサC2の極板Cの電圧が、正電圧チャージポンプユニット202の正圧出力端VDDHから出力される正電圧と等しくなり、正電圧チャージポンプユニット202の正圧出力端VDDHから出力される正電圧と等しくなるまで充電する。この過程において、第14のNMOSトランジスタMN13が遮断の状態にあるため、第6のコンデンサの両端の電圧は変化しない。
【0052】
狭パルス信号RSTが再度、接地電圧VSSになった場合、第14のPMOSトランジスタMP13及び第15のPMOSトランジスタMP14は再度オンになり、第17のNMOSトランジスタMN16及び第18のNMOSトランジスタMN17が遮断され、第5のコンデンサC2及び第6のコンデンサC3は再度、プリチャージの状態になり、狭パルス信号RSTの次の狭パルスのトリガを待つ。
【0053】
上述の過程において、第6のコンデンサC3の極板Dの電圧は、全過程において変化せず、依然として正電圧チャージポンプユニット202の正圧出力端VDDHから出力される正電圧と等しい。第5のコンデンサC2の極板Cの電圧は最初に低下した後、正電圧チャージポンプユニット202の正圧出力端VDDHから出力される正電圧と等しくなるまで上昇し、第5のコンデンサC2の極板Cの電圧が給電電圧VDDの電圧に近づくと、第4のNANDゲートNAND4から出力される電圧XHが、正電圧チャージポンプユニット202の正圧出力端VDDHから出力される正電圧と等しくなるまで引き上げられ、スイッチ・トランジスタの第16のPMOSトランジスタMP15は遮断状態になる。第17のPMOSトランジスタMP16がオンになり、第16のPMOSトランジスタMP15が遮断状態になるため、その状態で電圧切替えユニット302の出力電圧VDD_negは、給電電圧VDDと等しい。
【0054】
正電圧チャージポンプユニット202の正圧出力端VDDHから出力される正電圧が、確立し又は目標電圧に達した後、ノードVDETから出力される検出信号は、高レベルの給電電圧VDDから低レベルの接地電圧VSSにジャンプする場合、第13のNMOSトランジスタMN12及び第14のNMOSトランジスタMN13のゲート電圧は、それぞれ接地電圧VSS及び給電電圧VDDである。よって、第14のNMOSトランジスタMN13はオン状態になり、第13のNMOSトランジスタMN12は遮断状態になる。したがって、第17のPMOSトランジスタMP16は遮断状態にある。同時に、Xノード電圧は接地電圧VSSから給電電圧VDDにジャンプし、デジタル遅延ユニットD1~D4及びXORゲートXOR1からなる組合せ論理サブユニットを経た後、高レベルが給電電圧VDDである狭パルス信号RSTを生成する。即ち、有効な検出パルスにより、第6のコンデンサC3の極板Dの電圧が最初に降下し、その後上昇する。一方、第5のコンデンサC2の2つの極板電圧が変更せず、したがって、第3のNANDゲートNAND3から出力される電圧は、確立し、あるいは目標電圧に達した正電圧チャージポンプユニット202の正圧出力端VDDHから出力される正電圧と等しい。第4のNANDゲートNAND4から出力される電圧は低レベルの給電電圧VDDであり、よって、第4のNANDゲートNAND4から出力される電圧XHは給電電圧VDDである。この時、第16のPMOSトランジスタMP15はオン状態にある。第17のPMOSトランジスタMP16が遮断し、第16のPMOSトランジスタMP15がオンなるため、その状態で電圧切替えユニット302の出力電圧VDD_negは、確立するか、あるいは目標電圧に達した正電圧チャージポンプユニット202の正圧出力端VDDHから出力される正電圧と等しい。
【0055】
負電圧チャージポンプモジュール103は、クロック発生モジュール100から生成されるクロック信号及び過渡増強モジュール102が供給するクロック振幅電圧VDD_negに基づいて、負電圧出力を生成する。
図4に示すように、負電圧チャージポンプモジュール103は、第2のクロック変換ユニット401及び負電圧チャージポンプユニット402を含む。第2のクロック変換ユニット401の入力端はクロック発生モジュール100の出力端に接続され、第2のクロック変換ユニット401の出力端は負電圧チャージポンプユニット402の入力端に接続され、負電圧チャージポンプユニット402の入力端は電圧切替えユニット302の出力端に接続される。
【0056】
第2のクロック変換ユニット401は、クロック発生モジュール100から出力されるクロック信号を変換し、2つの相補的な非オーバーラップ・クロック信号を生成するために用いられる。
図4に示すように、第2のクロック変換ユニット401は、第8のインバータINV8と、第9のインバータINV9と、第10のインバータINV10と、第11のインバータINV11と、第12のインバータINV12と、第5のNANDゲートNAND5及び第6のNANDゲートNAND6を含む。第8のインバータINV8の入力端はクロック発生モジュール100の出力端及び第6のNANDゲートNAND6の1つの入力端に接続され、第8のインバータINV8の出力端は第5のNANDゲートNAND5の1つの入力端に接続される。第5のNANDゲートNAND5の出力端は第9のインバータINV9の入力端に接続され、第9のインバータINV9の出力端は第5の出力端及び第10のインバータINV10の入力端に接続される。第10のインバータINV10の出力端は第6のNANDゲートNAND6の他の入力端及び第6の出力端に接続され、第6のNANDゲートNAND6の出力端は第11のインバータINV11の入力端に接続される。第11のインバータINV11の出力端は第8の出力端及び第12のインバータINV12の入力端に接続され、第12のインバータINV12の出力端は第5のNANDゲートNAND5の他の入力端及び第7の出力端に接続される。
【0057】
第2のクロック変換ユニット401は、クロック発生モジュール100から出力されるクロック信号CLKを受信すると共に、該クロック信号CLKを、インバータINV8~INV12及び2入力NANDゲートNAND5とNAND6により、2つの非オーバーラップ・クロック信号に変換する。ここで、第1の非オーバーラップ・クロック信号はCLK_i’及びCLK_b’であり、第2の非オーバーラップ・クロック信号はCLK_if’及びCLK_bf’である。ここで、2つの入力NANDゲートNAND5及びNAND6の作動電圧ドメインは、電圧切替えユニット302の出力電圧VDD_neg及び接地電圧VSSである。第2のクロック変換ユニット401によりクロック信号CLKを2つの非オーバーラップ・クロック信号に変換することは、従来技術であるため、ここでは詳細に説明しない。
【0058】
図4に示すように、負電圧チャージポンプユニット402は、第18のPMOSトランジスタMP17と、第19のPMOSトランジスタMP18と、第19のNMOSトランジスタMN18と、第20のNMOSトランジスタMN19と、第20のPMOSトランジスタMP19と、第21のPMOSトランジスタMP20と、第21のNMOSトランジスタMN20と、第22のNMOSトランジスタMN21と、第7のコンデンサCF3と、第8のコンデンサCF4及び第9のコンデンサChold1を含む。第18のPMOSトランジスタMP17のゲートは第2のクロック変換ユニット401の第8の出力端に接続され、第18のPMOSトランジスタMP17及び第19のPMOSトランジスタMP18のドレインは、それぞれ電圧切替えユニット302の出力電圧VDD_negに接続される。第18のPMOSトランジスタMP17のソースは、第8のコンデンサCF4の一端と第19のNMOSトランジスタMN18のソースにそれぞれ接続され、第19のNMOSトランジスタMN18のゲートは、第2のクロック変換ユニット401の第6の出力端に接続される。第19のPMOSトランジスタMP18のゲートは、第2のクロック変換ユニット401の第5の出力端に接続され、第19のPMOSトランジスタMP18のソースは、第7のコンデンサCF3の一端と第20のNMOSトランジスタMN19のソースにそれぞれ接続され、第20のNMOSトランジスタMN19のゲートは、第2のクロック変換ユニット401の第7の出力端に接続される。第19のNMOSトランジスタMN18と、第20のNMOSトランジスタMN19と、第20のPMOSトランジスタMP19及び第21のPMOSトランジスタMP20のドレインはそれぞれ接地される。第21のPMOSトランジスタMP20のゲートは、第20のPMOSトランジスタMP19のソースと、第7のコンデンサCF3の他端と、第22のNMOSトランジスタMN21のゲート及び第21のNMOSトランジスタMN20のソースにそれぞれ接続され、第20のPMOSトランジスタMP19のゲートは、第21のPMOSトランジスタMP20のソースと、第8のコンデンサCF4の他端と、第21のNMOSトランジスタMN20のゲート及び第22のNMOSトランジスタMN21のソースにそれぞれ接続される。第21のNMOSトランジスタMN20及び第22のNMOSトランジスタMN21のドレインは、いずれも第9のコンデンサChold1及び負圧出力端VSSHに接続され、第9のコンデンサChold1の他端は接地される。
【0059】
正負電圧チャージポンプ回路が作動を開始する場合、正電圧チャージポンプユニット202及び負電圧チャージポンプユニット402は同時に作動する。正負電圧チャージポンプ回路の電圧ドメインの正のレール電圧が給電電圧VDDであり、負のレールの電圧が接地電圧VSSであると、正電圧チャージポンプユニット202から生成される電圧は、迅速に目標電圧に確立される。この過程において、過渡増強モジュール102は、給電電圧VDD及び正電圧チャージポンプユニット202の正圧出力端VDDHから出力される正電圧をサンプリングし、サンプリングされた正電圧チャージポンプユニット202の正電圧が目標値に達しないと、給電電圧VDDは負電圧チャージポンプユニット402の入力電圧として機能し、非オーバーラップ・クロック信号CLK_i’が高レベルである場合、非オーバーラップ・クロック信号CLK_b’は低レベルであり、同時に、非オーバーラップ・クロック信号CLK_if’及びCLK_bf’のレベルは、それぞれ給電電圧VDD及び接地電圧VSSである。この時、第18のPMOSトランジスタMP17及び第20のNMOSトランジスタMN19がオン状態にあり、第19のNMOSトランジスタMN18及び第19のNMOSトランジスタMN18はオフ状態にある。よって、第7のコンデンサCF3の両端は、給電電圧VDDに接続され、第21のPMOSトランジスタMP20に接地電圧VSS-給電電圧VDDであるゲート電圧を供給する。第21のPMOSトランジスタMP20のソース電圧はVDDであり、第21のPMOSトランジスタMP20がオン状態にあり、第21のNMOSトランジスタMN20のゲート電圧は給電電圧VDDであり、第21のNMOSトランジスタMN20がオン状態であり、第7のコンデンサCF3における全ての電荷を第21のNMOSトランジスタMN20により第9のコンデンサChold1に伝送する。即ち、第9のコンデンサChold1を充電することで、負電圧を出力し、該負電圧はVSSH=VSS-VDD_neg、即ち、過渡増強モジュール102によってサンプリングされた正電圧チャージポンプユニット202の正電圧が目標値に達しない場合、過渡増強モジュール102が負電圧チャージポンプユニット402に供給する電圧VDD_negは給電電圧VDDである。この時、負電圧チャージポンプユニット402から生成される負電圧VSSHは接地電圧VSS-給電電圧VDDである。一方、第20のPMOSトランジスタMP19及び第22のNMOSトランジスタMN21は遮断状態にあると共に、第8のコンデンサCF4の一端は給電電圧VDDに接続され、他端は接地電圧VSSに接続され、第8のコンデンサCF4を充電する。
【0060】
正電圧チャージポンプユニット202の正電圧が目標値に達した後、正電圧チャージポンプユニット202の正電圧は負電圧チャージポンプユニット402の入力電圧として作用する。この時、非オーバーラップ・クロック信号により、第19のPMOSトランジスタMP18及び第19のNMOSトランジスタMN18がオン状態になり、第18のPMOSトランジスタMP17及び第20のNMOSトランジスタMN19が遮断状態になり、第20のPMOSトランジスタMP19及び第22のNMOSトランジスタMN21がオン状態になり、第21のPMOSトランジスタMP20及び第21のNMOSトランジスタMN20が遮断状態になるように制御することによって、第8のコンデンサCF4における全ての電荷を第22のNMOSトランジスタMN21により第9のコンデンサChold1に伝送する。即ち、第9のコンデンサChold1を充電し、負電圧出力を実現する。該負電圧はVSSH=VSS-VDD_neg、即ち、過渡増強モジュール102によってサンプリングされた正電圧チャージポンプユニット202の正電圧が目標値に達すると、過渡増強モジュール102が負電圧チャージポンプユニット402に供給する電圧VDD_negは正電圧チャージポンプユニット202の正電圧である。この時、負電圧チャージポンプユニット402によって生成される負電圧VSSHは、接地電圧VSS-正電圧チャージポンプユニット202の正電圧である。
【0061】
したがって、正電圧チャージポンプユニット202の出力電圧が確立された後、負電圧チャージポンプユニット402は、正電圧チャージポンプユニット202から電流を抽出し、自己の負圧確立を完了する。これにより、正電圧チャージポンプユニット202から出力される電圧の確立時間が負電圧チャージポンプユニット402の作動の影響を受けず、これと同時に、正電圧を確立する過程において、負電圧チャージポンプユニット402は、接地電圧VSS-給電電圧VDDの電圧に早期に確立され、正電圧チャージポンプユニット202から出力される電圧が安定状態に達した後、該電圧を利用して負電圧の生成を完成し、それによって、負電圧チャージポンプユニット402の負電圧の確立時間を早めることが分かる。
【0062】
なお、非オーバーラップ・クロック信号CLK_if’及びCLK_bf’は、それぞれ非オーバーラップ・クロック信号CLK_i’及びCLK_b’の位相が進んだクロック信号に対応し、また、クロック信号CLK_if’及びCLK_i’は同相であり、クロック信号CLK_bf’及びCLK_b’は同相のクロック信号である。非オーバーラップ・クロック信号CLK_if’及びCLK_bf’により、負電圧チャージポンプユニット402におけるPMOSトランジスタとNMOSトランジスタが同時にオンなる問題を回避することができる。
【0063】
なお、本発明の実施例によって提供される正負電圧チャージポンプ回路は、集積回路チップに利用してもよい。該集積回路チップにおける正負電圧チャージポンプ回路の具体的な構造については、ここで詳細に説明しない。
【0064】
上述した正負電圧チャージポンプ回路は、アナログ集積回路の重要な構成要素として、通信端末に利用することもできる。ここで言及する通信端末とは、モバイル環境で利用でき、携帯電話、ノートパソコン、タブレットパソコン、車載パソコンなどを備えるGSM、EDGE、TD_SCDMA、TDD_LTE、FDD_LTEなどの各種通信規格をサポートできるコンピュータ機器である。また、本発明で提供される技術的解決策は、通信基地局などの他のアナログ集積回路アプリケーションにも適用可能である。
【0065】
本発明の実施例によって提供される正負電圧チャージポンプ回路は、正電圧チャージポンプモジュールにより正電圧を生成するとともに、過渡増強モジュールによって該正電圧及び給電電圧をサンプリングして電流に変換した後に比較し、比較結果に基づいて、負電圧チャージポンプモジュールに切り替え可能な入力電圧を供給する。負電圧チャージポンプモジュールは、クロック発生モジュールから出力されるクロック信号に基づいて、負電圧を迅速且つ確実に確立するとともに、負電圧チャージポンプモジュールが負電圧を生成する速度及び効率を向上させることができるだけでなく、異なる負圧の要求を柔軟に実現することもできる。
【0066】
以上、本発明により提供される正負電圧チャージポンプ回路と、チップ及び通信端末を詳細に説明した。当業者であれば、本発明の実質的な内容を逸脱することなく、それに対してなされた如何なる明白な変更は、いずれも本発明の特許権の保護範囲に属する。
【国際調査報告】