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特表2023-549435検査装置、その製造方法および使用方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-24
(54)【発明の名称】検査装置、その製造方法および使用方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/1473 20060101AFI20231116BHJP
【FI】
A61B5/1473
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023547926
(86)(22)【出願日】2021-10-14
(85)【翻訳文提出日】2023-05-16
(86)【国際出願番号】 GB2021052659
(87)【国際公開番号】W WO2022079436
(87)【国際公開日】2022-04-21
(31)【優先権主張番号】2016324.2
(32)【優先日】2020-10-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523141183
【氏名又は名称】ソフトセル メディカル リミテッド
【氏名又は名称原語表記】SOFTCELL MEDICAL LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】マッキントッシュ、カースティ
(72)【発明者】
【氏名】メンナ、フランチェスコ
【テーマコード(参考)】
4C038
【Fターム(参考)】
4C038KK08
4C038KL01
4C038KL09
4C038KY09
(57)【要約】
本発明は、軟組織、体液または骨のpHの検査に使用するためのプローブ装置(1)ならびにその製造方法およびその使用方法に関する。プローブは、先端検知部品(2)と、先端検知部品内のセンサ電極(16)の一端で終端するセンサ信号線(10)を収容するためのスリーブ部品(3)と、スリーブ部品に設けられた絶縁部品(4,5,6,7,9)とを含み、絶縁部品は、複数の絶縁層で形成された層構造を有する。プローブは、プローブの動作パラメータおよび軟組織、体液または骨の健康に関するリアルタイムデータを提供し、生理学的画像または病理学的画像を作成するために用いることができる。本発明は、さらに、プローブ装置を形成する方法およびその性能を検査する方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軟組織、体液または骨のpHの検査に使用するためのプローブ装置であって、
先端検知部品と、
前記先端検知部品内でセンサ電極の一端で終端するセンサ信号線を収容するためのスリーブ部品と、
前記スリーブ部品に設けられた絶縁部品と
を備え、
前記絶縁部品は、複数の絶縁層で形成された層構造を有する、プローブ装置。
【請求項2】
前記スリーブ部品は、前記先端検知部品に連結された毛細管部品の形態をとる、請求項1に記載のプローブ装置。
【請求項3】
前記絶縁部品は、前記スリーブ部品内に設けられた内部絶縁部品を含む、請求項1又は2に記載のプローブ装置。
【請求項4】
前記絶縁部品は、前記スリーブ部品の周囲に設けられた外部絶縁部品を含む、請求項1乃至3のいずれか一項に記載のプローブ装置。
【請求項5】
前記絶縁層は、異なる材料から形成される、請求項1乃至4のいずれか一項に記載のプローブ装置。
【請求項6】
前記絶縁層はプラスチック材料から選択される、請求項1乃至5のいずれか一項に記載のプローブ装置。
【請求項7】
前記絶縁層は、エポキシ材料、LDPE、LLDPE共押出接着樹脂、またはブロック共重合体のうちの1つ以上から選択される、請求項1乃至6のいずれか一項に記載のプローブ装置。
【請求項8】
前記絶縁層のうちの1つ以上に結合材が設けられている、請求項1乃至7のいずれか一項に記載のプローブ装置。
【請求項9】
前記結合材に1つ以上のエアポケットが設けられている、請求項8に記載のプローブ装置。
【請求項10】
前記スリーブ部品は、一対の同心内管が内部に延びる毛細ガラス管を備える、請求項1乃至9のいずれか一項に記載のプローブ装置。
【請求項11】
前記一対の内管はGRILAMID(登録商標)から形成される、請求項10に記載のプローブ装置。
【請求項12】
前記毛細ガラス管および前記内管の周囲に延びる中間管であって、前記内管が前記毛細ガラス管から突出している、中間管と、前記中間管の周囲に延びるプローブ主チューブと、前記プローブ主チューブの周囲に延びる外側ブッシングとをさらに備える、請求項10又は11に記載のプローブ装置。
【請求項13】
前記中間管はGRILAMID(登録商標)から形成される、請求項12に記載のプローブ装置。
【請求項14】
前記プローブ主チューブはPEBAX(登録商標)から形成される、請求項12又は13に記載のプローブ装置。
【請求項15】
前記外側ブッシングはPEBAX(登録商標)から形成される、請求項12乃至14のいずれか一項に記載のプローブ装置。
【請求項16】
前記先端検知部品が、pH感受性ガラスを800~1000℃に加熱することによって形成されたガラス球を含む、請求項1乃至15のいずれか一項に記載のプローブ装置。
【請求項17】
前記ガラス球のインピーダンスは2GΩより小さい、請求項16に記載のプローブ装置。
【請求項18】
前記ガラス球は少なくとも3ヶ月間エージングされる、請求項16又は17に記載のプローブ装置。
【請求項19】
前記ガラス球と前記絶縁スリーブ部品のインピーダンスの比は1:5~1:9の範囲内にある、請求項1乃至18のいずれか一項に記載のプローブ装置。
【請求項20】
軟組織、体液または骨のpHの検査に使用するためのシステムであって、請求項1乃至19のいずれか一項に記載の1つまたは複数のプローブ装置と、モニタ装置とを備え、前記モニタ装置は、前記プローブ装置の動作パラメータと、軟組織、体液または骨の健康状態もしくは疾患状態または傷害の重症度とに関するリアルタイムデータを提供すべく、前記1つまたは複数のプローブ装置のそれぞれとやり取りする、システム。
【請求項21】
前記モニタ装置は、前記プローブ装置のそれぞれに対する複数の接続部を有する、請求項20に記載のシステム。
【請求項22】
前記モニタ装置は、該モニタ装置に連結される各プローブ装置に周期的に応答指令信号を送る、請求項21に記載のシステム。
【請求項23】
個体由来の軟組織、体液または骨のpHをモニタリングする方法であって、
軟組織、体液または骨のそれぞれ異なる位置に請求項1乃至18のいずれか一項に記載の複数のpHプローブ装置のそれぞれを挿入することと、
前記複数のpHプローブ装置の出力をモニタリングすることと、
前記個体の生理学的または病理学的画像を作成すべく、前記出力を比較することとを含む
方法。
【請求項24】
前記出力は、前記位置の基準値と比較される、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記複数のプローブ装置は、比較のために、一方が問題を有し、他方が健康である2つの手足の位置または2つの軟組織の位置に接続される、請求項23又は24に記載の方法。
【請求項26】
前記軟組織の位置に対する前記基準値は異なる、請求項24に記載の方法。
【請求項27】
毛細管に連結されたガラス球を有するpHプローブ装置を形成する方法であって、
0.15mm~0.5mmの壁厚を実現可能とする粘度を有するように、800~1000℃の範囲内にガラスを加熱することによってpH感受性ガラス球を形成することを含む方法。
【請求項28】
毛細管に連結されたガラス球を有するpHプローブ装置を形成する方法であって、
前記毛細管に複数の絶縁材料層を設けることを含む方法。
【請求項29】
一対の同心内管が、前記毛細管内に延びるように形成される、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記毛細ガラス管及び前記内管の周囲に延びる中間管であって、前記内管が前記毛細ガラス管から突出している、中間管と、前記中間管の周囲に延びるプローブ主チューブと、前記プローブ主チューブの周囲に延びる外側ブッシングとをさらに備える、請求項28又は29に記載の方法。
【請求項31】
生体の軟組織、体液または骨のpHを測定するためのセンサであって、
一端に形成されたセンサチップを有するとともに、球形のガラス球と該ガラス球から延びる円筒状のガラス毛細管とを含むセンサ本体であって、基準緩衝液を含む内部空洞を有するように形成されたセンサ本体と、
前記毛細管の周囲に形成された絶縁構造であって、該絶縁構造が、
第1材料から形成される1つまたは複数の内管であって、前記毛細管の全長の範囲内で軸方向に配置される内管と、前記1つまたは複数の内管内に軸方向に配置されるセンサワイヤであって、前記ガラス球の中央部分内に延びている第1端部および前記毛細管を超えて延びている第2端部を有する、センサワイヤと、
前記1つまたは複数の内管と重なる前記毛細管の終点を含むとともに、前記毛細管および前記1つまたは複数の内管を覆う中間管と、
前記中間管を超えて延びるとともに前記中間管を覆って形成されるプローブ主チューブであって、前記センサワイヤを覆う、プローブ主チューブと
を含む絶縁構造と、
前記絶縁構造の前記プローブ主チューブを覆う外側ブッシングと
を含むセンサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、pHプローブ装置の形態の検査装置、その製造方法およびその使用方法に関する。より詳細には、本発明は、軟組織の健康または状態、体液の組成の評価と、プローブ挿入技術の改善による骨の健康または状態の評価とに使用するためのこのような装置に関する。
【背景技術】
【0002】
組織および体液のpHを検査およびモニタリングするための様々な機器が一般に知られている。本出願人は、これらには、読み取り精度および読み取りの安定性に問題があることを見出したため、改良されたpHセンサを考案し、それを特許文献1に開示した。特許文献1は、筋肉、脂肪などの軟組織、または心臓、肺、腎臓、肝臓、膵臓、腸、皮膚、脳などの他の臓器と、消化管壁層または、血液、脳脊髄液、尿、腹膜液、関節液、硝子体液、消化管内容物などの体液とに挿入されるように適合されたpHセンサに関する。
【0003】
本出願人の先の出願の装置は、先行機器よりも進歩したものであったが、本出願人は、さらなる改善を目指して、装置の態様、その製造方法および使用方法を開発した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2013/186513号
【発明の概要】
【0005】
本発明の主題の革新的な一態様によれば、先端検知部品と、連結された先端検知部品内でセンサ電極の一端で終端するセンサ信号線を収容するためのスリーブ部品と、スリーブ部品に設けられ、複数の絶縁層で形成された層構造を有する絶縁部品と、を含む、軟組織、体液または骨のpHの検査に使用するためのプローブ装置が提供される。
【0006】
これに関連して、絶縁部品は、スリーブ部品に先端検知部品に対する絶縁効果をもたらすことを目的とするものである。絶縁部品は、好ましくは、この点で先端検知部品を覆っていない。
【0007】
プローブ装置は、以下の任意選択の特徴の1つまたは複数を含んでもよい。
好ましくは、絶縁部品は、スリーブ部品内に設けられた内部絶縁部品を含む。
好ましくは、スリーブ部品の周囲に外部絶縁部品が設けられる。
【0008】
絶縁部品の複数の層は、したがって、スリーブ部品の壁の両側に1つまたは複数の層として形成されてもよい。
いくつかの好ましい実施態様では、複数の絶縁層は、異なる材料で形成されてもよい。あるいは、特定の実施態様では、いくつかの複数の絶縁層は、同じ材料で形成されてもよい。
【0009】
好ましくは、絶縁層は、プラスチック材料から選択されてもよい。
好ましくは、絶縁層は、絶縁性を有するLDPE、LLDPE共押出接着性樹脂、ブロック共重合体、またはセラミックスの1つまたは複数から選択されてもよい。
【0010】
好ましくは、絶縁層の1つまたは複数に、接着剤などの結合材を設けていてもよい。
好ましい実施態様では、絶縁層の一部は、接着剤の形態の結合材によって隔離されていてもよい。適切な接着剤は、エポキシ、アクリレート、シアノアクリレート、シリコーンおよびウレタンを含んでもよい。
【0011】
好ましい実施態様では、結合材は、エポキシ材料を含む。さらに、適切な結合材は、好ましくは、シアノアクリレート接着剤であってもよい。
さらに、特定の実施態様では、結合材は、前記絶縁部品の表面の間および前記スリーブ部品の表面の間または前記絶縁部品の表面の間もしくは前記スリーブ部品の表面の間に設けられる。
【0012】
結合材には、好ましくは、絶縁効果を高めるために、エアポケットまたはガス空隙が設けられる。これは、製造時に、隣接するプローブ部品間の界面に結合材を添着(under‐loading)することで、空隙を有する層を形成することにより実現してもよい。
【0013】
好ましい実施態様では、絶縁層は、スリーブ部品に直接設けられない。好ましくは、絶縁層の1つまたは複数が結合材によってスリーブ部品に連結される。このようにして、絶縁効果を高めるエアポケットを形成することができる。結合成分、たとえばエポキシ接着剤自体も絶縁効果をもたらす。
【0014】
好ましくは、スリーブ部品は、先端検知部品に連結された毛細ガラス管を含む。
好ましくは、一対の同心内管が毛細ガラス管内に延びている。
内管は、任意選択で、先端検知部品まで延びていてもよく、任意選択で、毛細ガラス管の先端を超えて延びていてもよい。
【0015】
したがって、絶縁部品は、スリーブ部品の周囲および内部の両方に絶縁性を持たせてもよい。これに関連して、外部絶縁部品は、スリーブ部品の周囲に設けられた1つまたは複数の絶縁層の形態を取ってもよく、同時に、内部絶縁部品は、スリーブ部品内に設けられた1つまたは複数の絶縁層を含んでもよい。
【0016】
したがって、センサ信号線は、先端検知部品に対して外部環境から絶縁することができ、信号線は、大略的にガラス管の形をしたスリーブ部品の内側から絶縁することができる。このように、スリーブ部品の内部に1つまたは複数の絶縁層を設けることによって、別のレベルの絶縁性、すなわちセンサに取り付けられたワイヤとスリーブ部品の内側との間の絶縁性がもたらされる。スリーブ部品は、本質的に、結合材で封止された内側および外側の絶縁層によって囲まれるか、または隔離されているため、これによってセンサとスリーブ部品との間の絶縁性が高められる。これに関連して、スリーブ部品が封入されている絶縁層(内部および外部)の端部を封じるために結合材が使用される場合、封入が好ましい可能性がある。
【0017】
これに関連して、絶縁性部品は、好ましくは、スリーブ部品に沿って延びているが、先端検知部品を超えて延びてはいない。
さらに好ましくは、中間管は、スリーブ部品および、スリーブ部品から突出している内管の周囲に延びていてもよい。この点で、中間管は、スリーブ部品を超えて延びていてもよい。このようにして、信号線がスリーブ部品に当接するリスクが回避される。センサワイヤがスリーブ部品から出るとき、ワイヤの位置は接着プラグによって中心化されており、それによって、センサワイヤがスリーブ部品に直接接触するリスクがさらに低下する。
【0018】
好ましくは、プローブの主チューブは、中間管の周囲に延びていてもよく、外側ブッシングは主チューブの周囲に延びている。
好ましくは、一対の内管はGRILAMID(登録商標)から形成される。
【0019】
好ましくは、中間管はGRILAMID(登録商標)から形成される。
好ましくは、プローブの主チューブはPEBAX(登録商標)から形成される。
外側ブッシングは、好ましくはPEBAX(登録商標)から形成される。
【0020】
好ましくは、先端検知部品は、球のガラス壁の厚さが0.15mm~0.4mmの間に形成されることを可能にする理想的な粘度を実現するためにpH感応ガラスを800~1000℃に加熱することによって形成されたガラス球を含む。
【0021】
好ましくは、球のガラス壁の厚さは、0.2mm以下に形成される。
好ましくは、ここでガラス球のインピーダンスは2GΩより小さい。
好ましくは、ガラス球は少なくとも3ヶ月間エージングされるが、化学エッチング法を用いてエージングプロセスを加速させてもよい。インピーダンス検査は、エージングプロセス中にセンサユニットの絶縁性が維持されていることを示す。
【0022】
好ましくは、ガラス球と絶縁スリーブ部品のインピーダンスの比は1:5~1:9の範囲にある。
好ましい実施態様では、プローブ装置は、製造時にプローブ装置で実施された完全較正の詳細が記憶されているメモリ記憶装置を含む。製造時の完全較正は、プローブ装置の検量線または勾配をプロットするために、少なくとも2つの緩衝液を用いてプローブ装置を較正することを含む。これに関連して、使用時に、較正の詳細に容易にアクセスして該詳細を確認することができる。たとえば、検量線がドリフトしている場合、適切な調整を行うことができ、または、ドリフトが許容範囲外の場合、そのプローブ装置を使用には不適切であると指定してもよい。
【0023】
本発明のさらなる態様によれば、プローブの動作パラメータおよび、軟組織、体液または骨の健康に関するリアルタイムデータを提供すべく、上記で定義した1つまたは複数のプローブ装置と、1つまたは複数のプローブ装置のそれぞれとやり取りするモニタ装置と、を有する、軟組織、体液または骨のpHの検査に使用するためのシステムが提供される。
【0024】
モニタは、好ましくは、プローブの性能を検査し、必要に応じてプローブ装置を不合格とし、必要に応じて読み取り値のドリフトを補正し、それによってプローブ装置を効果的にゼロ調整する機能を有する。
【0025】
好ましくは、データは、モニタ装置に記録および保存することができ、そこでダウンロードおよび分析することができる。
好ましくは、モニタ装置は、それぞれのプローブ装置に対する複数の接続部を有する。好ましくは、固有のプローブデータは、各プローブ装置のコネクタに組み込まれたスタティックメモリを有するメモリ記録装置によって保持される。メモリは、好ましくは、電源が切断された後でもその内容を保持する不揮発性メモリの形式を取る。このデータには、プローブ装置の製造時に実施されたプローブ装置の較正データを含んでもよい。較正データは、好ましくは、少なくとも2つの緩衝液を用いてpH曲線を作成したプローブ装置の完全較正に関する。
【0026】
モニタ装置は、好ましくは、それに連結される各プローブ装置に周期的に応答指令信号を送る。これは、1秒毎であってもよいが、別の適切な時間間隔を使用してもよい。
好ましくは、初期起動時に、各プローブ装置は、測定パラメータの安定性を確認するために、測定パラメータの複数の連続読み取りを必要とするシーケンスで応答指令信号を送る。好ましくは、測定パラメータはpHである。これに関連して、モニタ装置は、好ましくは、mV信号を測定した後に、その数値をpH値に変換する。
【0027】
本発明のさらなる態様によれば、異なる軟組織、体液または骨の位置に上記で定義した複数のpHプローブ装置を挿入することと、前記複数のpHプローブ装置の出力をモニタリングすることと、前記出力を比較して、前記個体の生理学的または病理学的画像を作成することと、を含む、個体由来の軟組織、体液または骨のpHをモニタリングする方法が提供される。これに関連して、個体はヒトまたは動物を含む。本方法は、たとえば、腫瘍(良性または悪性)、膿瘍、血腫、漿液腫または神経節などの病理学的病変をモニタリングするために使用してもよい。
【0028】
好ましくは、出力は、前記位置の基準値と比較される。これに関連して、基準値は、たとえば書物の値または、損傷した手足と損傷していない手足との比較、健康な臓器もしくは臓器の一部と不健康なものとの比較にすることができる。
【0029】
これに関連して、この方法は、たとえば一方の脚と他方の脚、一方の筋群と他方の筋群、一方の腎臓と他方の腎臓、または、たとえば心臓、脳、肝臓、筋肉の異なる血管によって供給され得る同じ器官の異なる部分の比較に使用することができる。さらに、この方法は、体液(たとえば、新たに生成されて腎臓の集尿系(collecting system)に入る尿)のpHを比較することができる。このように、この方法は、たとえば、腎臓が、他方の腎臓または公知の基準値と比較してどの程度機能しているかを確認するために使用することができる。
【0030】
本発明のさらなる態様によれば、毛細管に連結されたガラス球を有するpHプローブ装置を形成する方法であって、ガラスを800~1000℃に加熱することによってガラス球を形成することを含む方法が提供される。
【0031】
このようにして、ガラスは、形成される球のガラス壁の厚さを0.2mm以下にすることを可能にする粘度を実現することができる。
本発明のさらなる態様によれば、毛細管に連結されたガラス球を有するpHプローブ装置を形成する方法であって、前記毛細管に複数の絶縁材料層を設けることを含む方法が提供される。
【0032】
好ましくは、複数の絶縁材料層は異なる絶縁プラスチックを含む。
このような層は、前記毛細管の周囲および内部または周囲もしくは内部に設けられてもよい。
【0033】
好ましくは、絶縁材料層は、接着剤、たとえばエポキシ材料などの結合材によって離間されるか、または隔離される。このような結合材は、好ましくはそれ自体が絶縁機能を有していてもよい。
【0034】
好ましくは、一対の同心内管が、前記毛細管内に延びるように形成される。好ましくは、毛細管の先端および2つの内管は、エポキシ接着剤で先端が封止されて、信号線のみがプローブチューブの内腔に出る封止絶縁ユニットを作成する。
【0035】
封止ユニットは、信号線と毛細管の両方の絶縁性を高める。
中間管は、好ましくは、毛細ガラス管および、毛細ガラス管から突出する内管の周囲に延びるように形成される。
【0036】
プローブ主チューブは、中間管の周囲に延びるように設けられてもよく、外側ブッシングは、プローブ主チューブの周囲に延びていてもよい。
本発明のさらなる態様によれば、一端に形成されたセンサチップを有するセンサ本体であって、球形のガラス球および、ガラス球から延びている円筒状のガラス毛細管を含むセンサ本体において、基準緩衝液を含む内部空洞を含むように形成されるセンサ本体と、毛細管の周囲に形成される絶縁構造であって、該絶縁構造が、第1材料から形成される1つまたは複数の内管であって、毛細管の全長の範囲内で軸方向に配置される内管と、ガラス球の中央部分に延びている第1端部および毛細管を超えて延びている第2端部を有する、1つまたは複数の内管内に軸方向に配置されるセンサワイヤと、1つまたは複数の内管と重なる毛細管の終点を含む、毛細管および1つまたは複数の内管を覆う中間管と、中間管を超えて延びるとともに中間管を覆って形成されるプローブ主チューブであって、絶縁されたセンサワイヤを覆う、プローブ主チューブと、を含む絶縁構造と、絶縁構造のプローブ主チューブを覆う外側ブッシングと、を含む、生体の軟組織、体液または骨のpHを測定するためのセンサが提供される。
【0037】
本出願に記載された主題の特別な利点には、改善され一貫した読み取りの精度および安定性を提供することを目的とするプローブ装置が挙げられる。このプローブ装置は、滅菌された使用可能な状態の形態であり、較正の必要性を排除すると同時に、臨床的に意味のある誤差を回避するために使用前に実施されるドリフト検査および、必要に応じて使用前にドリフトの微調整を実施する能力も可能にする。
【0038】
モニタの観点から、本装置は、現在、他のpHモニタリングシステムには存在しない様々なアラートを提供する。本装置は複数のチャンネルを有するため、たとえば、このモニタを同時に使用して、患者の複数の部位をモニタリングすることができる。各プローブの使用期間および機能は、他のプローブから独立している。
【0039】
また、本システムは、工場で較正済みという利点を有する。使用直前の較正には時間がかかり、かつ、誤った較正につながって望ましくない臨床結果をもたらし得る緩衝液の混交および混在または混交もしくは混在などのエラーのリスクがないわけではない。
【0040】
本発明のさらなる態様によれば、純粋にプローブ装置単独のインピーダンス検査に基づいて、上記で定義したプローブ装置の性能を検査するための方法が提供される。これに関連して、プローブの性質およびその製造方法の結果として、このようなプローブ装置は、pHドリフト検査の必要性をなくすことができ、それによって、使用時の性能検査が簡素化され、迅速化される。
【0041】
関連技術分野の当業者には明らかなように、本発明の様々な態様は、単独で、または他の態様の1つもしくは複数と組み合わせて実施することができる。本発明の様々な態様は、任意選択で、本発明の他の態様の任意選択の特徴の1つまたは複数と組み合わせて提供することができる。また、1つの態様に関連して記載された任意選択の特徴は、通常は、本発明の異なる態様において、単独で、または他の特徴と一緒に組み合わせることができる。本明細書に記載されている任意の主題は、本明細書における任意の他の主題と組み合わせて、新規な組み合わせを形成することができる。
【0042】
次に、本発明の様々な態様を、添付の図面を参照して詳細に説明する。本発明のさらに他の態様、特徴、および利点は、いくつかの例示的な態様および実施態様を示す図面を含むその説明全体から容易に明らかになる。本発明はまた、他の異なる実施例および態様が可能であり、そのいくつかの詳細は、すべて本発明の範囲から逸脱することなく様々な点で変更することができる。したがって、本明細書の各実施例は、広い適用を有すると理解されるべきであり、本発明を実施する1つの可能な方法を例示することを意図しており、特許請求の範囲を含む本開示の範囲が、その実施例に限定されることを示唆する意図はない。さらに、本明細書で用いられる用語および表現は、もっぱら説明目的で使用され、範囲を限定するものとして解釈すべきではない。特に、別途記載のない限り、本明細書に含まれる寸法および数値は、請求される主題の可能な一態様を例示する例として提示され、記載された特定の寸法または数値に本開示を限定するものではない。本開示におけるすべての数値は、「約」で修飾されているものとして理解される。本明細書に記載の要素または任意の他の構成要素のすべての単数形は複数形を含み、その逆もまた同様であると理解される。
【0043】
「含んでいる(including)」、「含んでいる(comprising)」、「有している(having)」、「含んでいる(containing)」、または「含んでいる(involving)」などの言葉と、それらの変形は、広範であることを意図しており、その後に記載された主題、等価物、および記載されていないさらなる主題を含み、他の添加剤、成分、整数またはステップを排除することを意図するものではない。同様に、用語「含んでいる(comprising)」は、該当する法的目的において用語「含んでいる(including)」または「含んでいる(containing)」と同義であるとみなされる。したがって、明細書および特許請求の範囲の全体を通じて、文脈上他の意味に解する必要がある場合を除き、用語「含む(comprise)」、または「含む(comprises)」もしくは「含んでいる(comprising)」などのその変形は、記載された整数または整数群を含むことを意味するが、任意の他の整数または整数群の排除を意味するものではないことは理解されるであろう。
【0044】
文書、行為、材料、機器、物品などに関するあらゆる議論は、本発明の文脈を提供する目的でのみ本明細書に含まれる。これらの事項の一部または全部が、従来技術の基礎の一部を形成すること、または本発明に関連する分野における共通の一般知識であることを示唆または表明するものではない。
【0045】
本開示において、移行句「含む(comprising)」に組成物、要素または要素群が先行するときは常に、移行句「本質的に~からなる(consisting essentially of)」、「からなる(consisting)」、「からなる群から選択される(selected from the group of consisting of)」、「含む(including)」に同じ要素または要素群が先行するか、または「それらが(is)」組成物、要素または要素群の記載に先行することが企図され、逆もまた同様であることが理解される。本開示において、言葉「通常は」または「任意選択で」は、特定の実施例には存在するが他の実施例からは本発明の範囲から逸脱することなく省略可能な、本発明の任意選択のまたは本質的ではない特徴を示すことが企図されることが理解される。
【0046】
上部および下部ならびに「上」、「下」などの方向といった方向および位置の記述への言及は、記載された実施例の文脈において図面に示された特徴の向きを示すと当業者によって解釈され、本発明をその用語の文字通りの解釈に限定するものと解釈すべきではなく、代わりに当業者が理解するように解釈すべきである。
【0047】
次に、本発明の実施形態を、添付図面を参照して、例として以下に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0048】
図1】本発明によるプローブのチップを通る縦断面図である。
図2図1のプローブを通るX‐X部軸方向断面図である。
図3】本発明による、プローブに接続されたモニタを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0049】
プローブの構造および製造方法
図1に示すように、pHセンサプローブ1は、大略的に、ガラス毛細管3に接続されたガラス球2を含む。ガラス球は、先端検知部品と、センサ電極16の一端で終端するセンサ信号線10を収容するためのスリーブを備える毛細管とを備える。本実施形態ではガラスに関して説明されているが、適切な場合には、他の適切な材料が使用されてもよい。
【0050】
ガラス球2は、1.6~1.8mmの範囲の直径を有する。好ましい実施態様では、ガラス球2は実質的に1.8mmの最大径を有してもよい。これに関連して、ガラス球は、ガラス球のpH感応特性を維持し、ガラス球の絶縁性を向上させるために、全体的な球形、一定の壁厚、壁の薄さ、対称性およびガラス毛細管への限定された接続部を含む高い公差で製造される。より詳しく以下で説明するように、微細加工プロセスの一部として、ガラス球2は、接合部14を形成するガラス毛細管3に接続される。
【0051】
pHセンサ1、ガラス球2およびガラス毛細管3の寸法は、たとえば小児科もしくは新生児適用の要件または大動物/小動物の要件に合わせて、適切に減少させるとともに調整または減少させるかもしくは調整してもよい。
【0052】
好ましくは、ガラス球2の壁厚は、実質的に0.15mm~0.5mm、より好ましくは0.2mmである。pHセンサプローブ1の別の用途では、ガラス球に異なる好ましい壁厚を必要とする場合があることは理解されるであろう。ガラス毛細管3の直径は、好ましくは1.8mmであり、好ましい壁厚は0.08~0.12mmの範囲にある。好ましくは、ガラス毛細管の壁厚は、実質的に0.1mmである。これに関連して、大略的に、毛細管の外径は、ガラス球の直径と同じかそれより小さいことが望ましい。
【0053】
これに関連して、ガラス球の直径は、任意の外側のスリーブまたはブッシングを含む毛細管の最外径と同様か、好ましくはわずかに小さい。このようにして、ガラス球は挿入時および除去時に保護される。
【0054】
これに関連して、ガラス球2は、極めて高温、すなわち800~1000℃の範囲への加熱後に高精度の吹き込みによって形成される。この方法では、ガラスは比較的流動性であり、すなわち最小限の材料を使用して各球を作成することを実現するための所望の壁厚を可能にする好ましい粘度を有する。これに関連して、ガラス球の吹き入れ(insufflation)は、製造方法のこの部分が非常に繊細な低圧プロセスを含むように、好ましくは0.5ATM(50662.5Pa)の圧縮空気を用いて行われる。
【0055】
ガラス球2のガラスが薄いほど、pHの変化、すなわち異なるpH環境に置かれたときの応答速度がより迅速になる。さらに、ガラス球の形状が一定であればあるほど、壁厚も一定となり、これによっても、球のより大きな表面積が周囲のpHの変化に応答するため、応答速度が向上する。
【0056】
球に使用されるガラスの種類は、CLR社製のpH感応ガラスであり、したがって水素イオンに対して高感度である。接合部14におけるガラス球2とガラス毛細管3との接続部は、ガラス球2のpH感応特性を維持し、ガラス球の絶縁性を向上させるために対称的かつ限定的である。
【0057】
ガラス球2は、石英ガラスなどの比較的大きいインピーダンスを有するガラス材料から形成されるガラス毛細管3のステムに対して、非常に小さいインピーダンスを有する構造をもたらす技術およびガラス材料の両方を用いて形成される。
【0058】
好ましくは、ガラス球のインピーダンスは2GΩよりも小さく、ガラス毛細管のインピーダンスは10GΩより大きい。いくつかの実施態様では、ガラス球のインピーダンスは、好ましくは1.0~2.5GΩの範囲にある。
【0059】
好ましい実施態様では、ガラス球2のインピーダンスとガラス毛細管3のインピーダンスとの比は1:5~1:9の範囲にある。
ガラス毛細管は、好ましくは、非常に高い耐熱性を示す石英ガラスから形成される。石英ガラスは、1200~1600℃で軟化を始める。800~1000℃では、ガラス球を加熱するための火炎温度は、pH感応ガラスをかなり溶融した状態にするのに十分な高さであるが、ガラス毛細管を溶融するには十分ではない。したがって、接触している2種類のガラスの間には、明確/鋭利な移行部が存在する。この鋭利な境界は、ガラス球の絶縁性を維持するのに役立つ。
【0060】
製造プロセス中、ガラス球2とガラス毛細管3との間の接続部または接合部14は、均一な溶着を確実にするために様々な段階で検査される。このような検査は、球の吹き込みの後、センサユニットの組み立て後、および最終的なプローブの組み立ての完了後に行われてもよい。
【0061】
ガラス球2は、さらに、プローブの安定性を高めるためにエージングされる。エージングプロセスは、ガラス毛細管3がガラス球2に最初に取り付けられたときに開始される。エージングプロセスは、最大で3ヶ月以上かかる場合があり、好ましくは最低限3ヶ月であり、有効な最大値はない。ガラスの孔のサイズは、自然なエージングであれ、何らかの方法で加速されたエージングであれ、エージングによって、より一貫したサイズになる。この点で、ガラスは半透膜として機能する。
【0062】
エージングは自然なエージングであってもよく、または、(たとえば化学的方法を用いて)加速させることもできる。これには、5%フッ酸(フッ化水素酸)を用いてもよい。
最終的には、ガラス球2の全表面積が周囲のpHの変化に応答するため、ガラス球2のガラスの孔のサイズが一定になり、プローブの読み取りの安定性が向上し、pHの変化に対する応答性および読み取り精度が最適化される。
【0063】
ガラス球と毛細管とを組み合わせた構造のインピーダンス検査は、ガラス球のインピーダンスが2GΩより小さく維持され、それによって毛細管のインピーダンスと比較してガラス球のインピーダンスが相対的に低いものとなるように、エージングプロセス中にセンサユニットの絶縁性が維持されていることを確認するために用いられる。
【0064】
上記のように、ガラス球2は、接合部14において毛細ガラス管3に取り付けられている。さらなる製造ステップにおいて、2つの内管4、5が形成され、ガラス毛細管3に挿入されるように寸法決めされる。これに関連して、かつ図1に示すように、2つの内側管または内管4および5は、毛管部品の残部を形成するように機能する。内管4、5は、毛細ガラス管3とガラス球2との接続点14までセンサプローブを絶縁する。また、内管4、5は、信号線10が毛細ガラス管3の壁と接触しないことを確実にするために、毛細ガラス管3の終点17を超えて延びている。
【0065】
内管4、5は、それらがいずれも毛細ガラス管3の内部に延びるように配置される。好ましくは、内管4、5は、ガラス球2がガラス毛細管3に接続される接合部14までガラス毛細管3の内部で完全に延びる。
【0066】
内管4、5は、好ましくは、いずれもポリアミドのGRILAMID(登録商標)で作られる。これに関連して、GRILAMID(登録商標)には、高い可撓性および絶縁性の利点がある。別の適切な材料には、同様な特性を有するポリマー/プラスチックと、金属、セラミックス、および炭素材料を含む他の材料とが含まれてもよい。単一の内管を設けることも選択肢の1つであるが、本実施形態では、絶縁効果を高めるために、一対のこのような同心内管4、5が設けられる。
【0067】
したがって、内管4、5はガラス毛細管3に対する内部絶縁部品を備える。この点で、内部絶縁部品は、(たとえばRF干渉に対する)シールドと、比較的繊細なガラス毛細管3の強度とを提供する。内部絶縁部品は、さらに、信号線と毛細管との直接接触を防止する。
【0068】
結合材(たとえば、エポキシなどの接着剤)は、全体的な絶縁性を向上させ、各部品を一緒に固定するために、好ましくは、管4、5などの、ガラス毛細管3内の内層の間に設けられる。製造中、接着剤は、好ましくは、ガラス毛細管3内、たとえば内管4、5の対向面に添着される。このようにして、接着剤中にエアポケットが自然に形成され、このようなエアポケットは、全体的な絶縁効果を高めるため好ましい。これに関連して、内管は毛細管に直接適用されず、毛細管には結合材で連結される。
【0069】
これに関連して、上記のように、結合材は、ガラス毛細管の内層4、5の間に設けられてもよいが、このような結合材は、毛管部品または絶縁部品の任意の対向面の間に同様に設けられてもよい。
【0070】
さらに、上記のエアポケットは、内管4、5の間の接着剤内に形成することができるが、それによって絶縁効果を高めるために提供されるところならばどこでも、1つまたは複数の空気/ガスポケットまたは気泡を結合材内に設けてもよいことは理解されるであろう。
【0071】
適切な結合材は、エポキシ、アクリレート、シアノアクリレート、シリコーンおよびウレタンを含んでもよい。このような材料の1つは、シアノアクリレート接着剤であってもよい。
【0072】
さらなる好ましい実施態様では、エポキシ材料が使用される。
図2に示すように、製造時に、銀線10の形の信号線10は、銀線10のチップが、球形のガラス球2の中心にあるセンサ電極16で終端するまで内管4、5に挿入される。この点で、電極16は、ワイヤ10の一部を単にそれ自体の上に折り畳んで設けてもよいし、または、感度を高めるために、増加した表面積を呈する配置を有する専用素子を設けることもできる。
【0073】
次に、ガラス球2、ガラス毛細管3、および内管4、5の内部空洞に既知のpHの技術緩衝液12で充填する。好ましい実施態様では、緩衝液12はpH7.0である。
内管4、5は、好ましくは、緩衝液12の任意の漏れを防止するために、銀線10の周囲に完全封止を提供する、たとえばエポキシのプラグ11で一端が封止される。銀線10の残りの部分は、プローブ主チューブ7内まで延び、そこで、プローブチューブの長さ全体に延び、図3に示すモニタ20内への接続に適した適切な電気コネクタ18で終端する絶縁された銀線に溶接/半田付けされる。
【0074】
これに関連して、内管4、5は、ガラス毛細管3から外に延びているように図示されているが、内管の先端は、プラグ11が、内管4、5だけでなくガラス毛細管3も封止するために使用することができるように、ガラス毛細管の先端17に対して、図示されているよりも接近していてもよい。
【0075】
再び図1に示すように、中間管6は、ガラス球2と毛細管3との接続部からのセンサプローブ1、信号線10および2つの内部絶縁管4、5のすべてを覆っている。また、中間管6は、ガラス毛細管3と内管4、5との間のさらなる封止を提供し、センサプローブ1の全体的強度および剛性を向上させる。また、中間管6は、プローブ主チューブ7をセンサプローブ1に確実に付着させるための高強度の接着面を提供し、それによってセンサプローブ1がプローブ主チューブ7から分離するのをさらに防止する。
【0076】
別の適切な材料を使用してもよいが、中間管6は、好ましくは、軽量のポリマーエラストマーであるポリアミドのGRILAMID(登録商標)で作られる。
プローブ主チューブ7は、好ましくは、PEBAX(登録商標)からも作られる。好ましい例では、プローブ主チューブ7は、ガラス球2および毛細管3の接続部14から1.60~1.65m延び、毛細管3、管4、5、中間管6を含んでもよい。プローブ主チューブ7、およびひいては完全に覆われて絶縁されたワイヤ10は、図3に示すモニタ20まで延びる。プローブ主チューブは、臨床上の必要性に応じてより長くても短くてもよい。
【0077】
また、センサプローブ1は、プローブ主チューブ7の外面の周囲に形成および成形または形成もしくは成形される外側ブッシング9を含む。外側ブッシング9は、好ましくは実質的に1cmの長さで、センサプローブ1へのプローブ主チューブ7の結合を支持する。外側ブッシング9は、好ましくはPEBAX(登録商標)で作られるが、他の適切な生体適合性材料を使用してもよい。
【0078】
シアノアクリレート接着剤(樹脂)は、好ましくはセンサの封止に使用され、全体的な絶縁性を向上させるために、好ましくは2つの内側絶縁管4および5の間にも設けられる。接着剤はまた、2つの内管の外側とガラス毛細管の内側との間に設けられる。
【0079】
この点で、接着剤などの結合材は、外側ブッシング9から内管4までの1つまたは複数の層の間に設けられてもよい。この点で、接着剤は、外側ブッシング9から内管までのすべての層の間に設けられてもよい。接着剤は、エポキシまたは適切な代替物であってもよい。
【0080】
結合材は、好ましくは、最内層から最外層までのすべての層の間に存在する。結合材は、好ましくは、管状材料の間に毛管作用を用いて接着剤を引き込んで挿入される。
滅菌された綿糸8または別の適切な部品は、外側ブッシング9の近位部に直接隣接した小さい穿孔を通してプラスチックプローブチューブを出る。pH7.00技術緩衝液12がガラス球内に備えられる。これは、たとえば、51302047[メトラー・トレド社(Mettler Toledo)]緩衝液[pH7.00]であってもよい。
【0081】
綿糸8は、プローブシース内から、および使用されるまでプローブチップが保管されているFriscolytから、Friscolyt13に浸される。綿糸8は、導電性の塩橋として機能する。プローブ主チューブ7内には、基準電極23が設けられている。
【0082】
上記のように、また図1および図2に示すように、センサプローブ1は、いくつかの層(好ましくは異なるプラスチック)で形成される絶縁性を有し、その一部または全部は、好ましくは、接着性樹脂/流体が充填された空間(たとえばエアポケットもしくは気泡)または、「タマネギの皮」のように適用されたゲルなどの液体の層によってそれら自身が隔離される。絶縁効果は非常に効果的なため、絶縁プロセスの完了後は、検出可能なインピーダンス減少領域はガラス球2のみである。内部絶縁管および結合材の配置のさらなる利点は、ガラスセンサ球内にあるpH7.0基準緩衝液が毛細管ガラスと接触していないため、化学的相互作用または電気接続が理論的に不可能なことである。
【0083】
これに関連して、内部絶縁性部品は、内管4、5およびそれらの間の任意の接着材、エアポケットまたは他の材料などの、ガラス毛細管3の内部に備えられる絶縁性を有し、外部の絶縁性部品は、中間管6、プローブ主チューブ7および外側ブッシング9、ならびにそれらの間に設けられた任意の接着材、エアポケットまたは他の材料などの、ガラス毛細管3の外部の部品を含む。
【0084】
内部絶縁性部品および外部絶縁性部品、ならびにガラス毛細管と、任意の接着材、それらの間に設けられるエアポケットまたは他の材料は、プローブチップ外部の環境からセンサワイヤを絶縁することに寄与する。
【0085】
毛細管内に絶縁層を挿入することによって、別のレベルの絶縁性、すなわちガラスセンサに取り付けられた配線、緩衝液および毛細ガラス管の内側の間の絶縁性が生じることによってセンサと毛細ガラス管との間の絶縁性が最大化される。なぜなら、毛細ガラス管は、本質的に、エポキシ接着剤で封止された絶縁性部品の内側および外側絶縁層によって、囲まれるか、または隔離されているからである。
【0086】
前述のように、センサプローブ1は、製造時にセンサプローブに実施された完全較正の詳細が記憶されたコネクタ18に設けられたメモリ記録装置21、たとえばメモリPCBを含む。製造時の完全較正は、プローブ装置の検量線または勾配をプロットするために、少なくとも2つの緩衝液を用いたセンサプローブの較正を含む。これに関連して、使用時に、較正の詳細に容易にアクセスして該詳細を確認することができる。たとえば、検量線がドリフトしている場合、適切な調整を行うことができ、または、ドリフトが許容範囲外の場合、センサプローブ1を使用には不適切であると指定してもよい。
【0087】
これに関連して、絶縁性が正しく機能しているか確認するために、工場での製造時に、またはプローブが完全に組み立てられた後、使用の直前に、インピーダンス検査を実施してもよい。
【0088】
図3は、本発明のモニタ20に接続された上記のようなpHセンサプローブ1を含む本発明のシステムを示す。モニタ20は、1つまたは複数の専用pHセンサプローブとやり取りするように構成され、それによって1つまたは複数のチャネルのpHモニタリングシステムを構築する。
【0089】
pHセンサプローブ1とモニタ20とのやり取りは、(以下の非網羅的リストにおいて)以下を含んでもよい。
個別のプローブ較正、固有のプローブ番号、製造日および事前に設定された保存期間を含む、あらかじめ(工場で)設定されたプローブ固有のデータをモニタに転送する。
【0090】
あらかじめ設定された較正データにより、モニタは、プローブに固有のプロパティに一致するパラメータを設定することが可能になる。
事前に設定された許容基準を性能が下回っている場合は、プローブの不動化によるプローブ性能/品質/安全性検査を行う。
【0091】
必要に応じたドリフト調整(ゼロ調整)。
プローブの即時不動化を伴うプローブの保存期間切れ機能。
プローブの即時不動化を伴うプローブの再利用試行機能。
【0092】
プローブ外れアラート(視覚および聴覚による)。
プローブの使用時間超過アラート(視覚および聴覚による)。
臨床的に意味のあるpHレベルの総合的なアラート(視覚および聴覚による)。
【0093】
ドリフト検査に基づくpHプローブ性能の補正。
特定のアラートの監視:
電池残量低下アラート。
【0094】
すでに使用されているpHプローブの検出および排除(単回使用pHプローブ)。
特性が不合格のpHプローブの検出と排除。
除去アラート。
【0095】
アクティブ無効化。
モニタは、好ましくは、最大4つまでのプローブからのデータを同時に収容し、記録することができる。
【0096】
プローブの接続および切断は、モニタに取り付けられている他のプローブの動作を妨げることなく単独で行うことができる。
モニタのグラフィック表示では、「信号」色システムを使用して、臨床医が関心を持つ任意のpHレベルを強調してもよい。この配色は、各プローブのその場での絶対pH値の表示と、各プローブの経時的なpHのトレンド表示とに使用される。
【0097】
検査
各pHセンサプローブ1およびプローブ部品または各pHセンサプローブ1もしくはプローブ部品は、好ましくは、その性能特性を最適化し、プローブの絶縁性の品質が維持されることを確実にするために、組み立て前、組み立て中、組み立て後にインピーダンス検査を行う。
【0098】
これに関連して、各プローブを完全に組み立てる前に、各ガラス球2(毛細管に接続された)のインピーダンスを検査して、インピーダンスが2GΩ未満であることを確認する。
【0099】
組み立て前に、センサプローブ1の各一次部品(raw component)のインピーダンスを検査する。インピーダンス検査は、pHセンサプローブ1の組み立て時および組み立て完了後にも実施される。インピーダンスの要件を満たしていないプローブは廃棄される。このようにして、ガラス毛細管3(ステム)に取り付けられたガラス球2のインピーダンスと、最終的なpHセンサプローブ1のインピーダンスとの比較を行うことができる。
【0100】
pHセンサプローブ1の完全な組み立て後、読み取りの安定性が実現されるまで、間隔をおいてpH性能検査を繰り返す。性能の安定性は、ガラス球が最適にエージングされたときに実現されるガラス球2の安定性と一致する。
【0101】
pHセンサプローブ1の完全な組み立て後、pHセンサプローブ1の絶縁性が最適に機能し続けていることを示す望ましい範囲内にインピーダンスが留まっていることを確認するために検査を行うことができる。満足なインピーダンスと、pHセンサプローブ1の製造に用いられるガラス球2の適切なエージング時間とを組み合わせることによって、プローブ全体の性能が維持されることが示される。製造後、ガラスセンサのエージングによって、pHの読み取りは安定化し、読み取りのドリフトは無視できる程度となる。エージングによるガラスセンサの性能に関する知識と、インピーダンスを検査することにより、ガラスセンサがなお適切に絶縁されていることを確認することとを組み合わせることによって、状況によっては、pHドリフト検査を行う必要性を完全に取り除くことが可能になる。したがって、使用の直前に、状況によっては、プローブの機能性能検査として、完全に組み立てられたプローブ内に収容されたセンサのインピーダンスを(独立して)使用することが可能である。
【0102】
プローブの用途
本発明のpHセンサプローブ1およびシステムは、生体内(in‐vivo)または生体外(ex‐vivo)での任意の生体組織(ヒトおよび他の動物)の相対的な「健康」または「状態」をモニタリングするために使用してもよく、または、プローブを挿入することができるように十分に大きい実際に瀕死の組織または壊死組織を、回復不能な傷害を与えないという条件でモニタリングするために使用してもよい。
【0103】
pHセンサプローブ1およびシステムは、外傷の影響だけでなく、多数の急性の医学的問題/疾患についてのリアルタイム情報を提供することができる。
また、pHセンサプローブ1は、たとえば異なる治療法の効果を観察すること、たとえばCOVID-19などのウイルスの進行またはその治療法をモニタリングすることを臨床医に可能にすることができる。pHセンサプローブ1およびモニタリングシステムは、最終的には、様々な臓器特異的および一般的な身体状態を評価するために使用されることが期待される。
【0104】
さらなる適用において、pHプローブ装置およびシステムは、たとえば死亡時刻を解明するための法医学ツールとして壊死組織/器官/体液に使用してもよい。
以上、いくつかの実施態様について詳細に説明してきたが、他の変更も可能である。たとえば、絶縁層の正確な数および詳細は、要件に応じて変更可能である。
【0105】
さらに、様々な製造ステップを説明してきたが、同じ発明に到達するため、または望ましい結果を実現するために、これらの製造ステップを、この正確な順序またはシーケンスで実行することは、必ずしも必要ではないことが理解されるであろう。したがって、他の実施態様は、以下の特許請求の範囲の範囲内にある。
図1
図2
図3
【国際調査報告】