(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-27
(54)【発明の名称】ビデオウォールディスプレイの動画像キャプチャにおける軸外色補正
(51)【国際特許分類】
G09G 5/02 20060101AFI20231117BHJP
G09G 5/36 20060101ALI20231117BHJP
G09G 5/00 20060101ALI20231117BHJP
H04N 9/30 20060101ALI20231117BHJP
H04N 9/64 20230101ALI20231117BHJP
【FI】
G09G5/02 B
G09G5/36 400
G09G5/00 550X
G09G5/00 550C
G09G5/00 510V
G09G5/00 555D
G09G5/00 X
H04N9/30
H04N9/64 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023524314
(86)(22)【出願日】2021-10-21
(85)【翻訳文提出日】2023-06-15
(86)【国際出願番号】 US2021056123
(87)【国際公開番号】W WO2022087322
(87)【国際公開日】2022-04-28
(32)【優先日】2020-10-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522402450
【氏名又は名称】エイチツーヴィアール ホールドコ,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】H2VR HoldCo,Inc.
【住所又は居所原語表記】340 S.Lemon Avenue, Walnut, CA 91789 United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100136319
【氏名又は名称】北原 宏修
(74)【代理人】
【識別番号】100143498
【氏名又は名称】中西 健
(72)【発明者】
【氏名】ジェレミー ホックマン
(72)【発明者】
【氏名】クリストファー エス. バーン
【テーマコード(参考)】
5C060
5C066
5C182
【Fターム(参考)】
5C060EA10
5C060JA19
5C066AA01
5C066BA20
5C066CA05
5C066CA17
5C066EB01
5C066EC01
5C066GA01
5C182AA02
5C182AC43
5C182BA14
5C182BB04
5C182BB05
5C182BC01
5C182BC26
5C182CA21
5C182CC25
5C182DA70
(57)【要約】
ビデオウォールディスプレイの動画像キャプチャにおける軸外色補正の開示されるシステムおよび方法は、特定のLEDタイルまたはビデオウォールの色性能を測定することと、これらの軸外測定値の特性を記憶するためのデータベースを提供して色補正において使用することとを含む。データベースは、ビデオレンダリングエンジンと直接的または間接的に関連付けられる色補正エンジンによってアクセス可能であり、それにより、ディスプレイに対するカメラの視野角および視野におけるリアルタイム情報と組み合わせたとき、色補正機能が、カメラの視野内のディスプレイ部分のレンダリングに組み込まれ得て、キャプチャ画像における軸外色変化/歪みが低減または排除される。
【選択図】
図3B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ビデオディスプレイの動画像キャプチャにおける軸外色補正システムであって、
複数の視野角におけるビデオディスプレイの軸外色均一性特性を含むデータベースと、
前記データベースから前記軸外色均一性特性を受け取ると共に、前記ビデオディスプレイに示されるビデオストリームに色均一性補正層を適用するように構成される補正エンジンとを備え、
前記色均一性補正層が、最新の画像キャプチャ角度および視野に対する受け取った前記軸外色均一性特性に基づくことによって、軸外画像キャプチャによるキャプチャ画像における色歪みが低減または除去される、
システム。
【請求項2】
カメラ追尾システムからの入力に基づいて、ビデオディスプレイに対する画像キャプチャ装置の前記最新の角度および視野を決定するように構成されるFOVレゾルバをさらに備える、
請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
少なくとも前記データベースと前記補正エンジンとの間の通信を制御するアプリケーションプログラミングインターフェースをさらに備える、
請求項1または2に記載のシステム。
【請求項4】
前記補正エンジンは、受け取った前記軸外色均一性特性および色補正機能に基づいて前記色均一性補正層を生成するようにさらに構成される、
請求項1、2または3に記載のシステム。
【請求項5】
前記データベースは、反転機能または色正規化機能の少なくとも1つを含む複数の異なる色補正機能を生成するための前記補正エンジンにおいて実行可能な命令を含み、
前記色補正機能は、ユーザ選択可能である、
請求項1から4のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項6】
前記色補正機能のユーザ選択のために構成されるユーザインターフェースをさらに備える、
請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
LEDタイルのアレイから構成されるLEDビデオディスプレイウォールと、
複数の前記LEDタイルに関連付けられると共に、ビデオ信号を前記タイルの画素に送るように構成されるタイル制御装置とをさらに備え、
前記補正エンジンは、複数の前記タイル制御装置に配置される、
請求項1または2に記載のシステム。
【請求項8】
前記LEDビデオディスプレイウォールは、多面LEDビデオディスプレイを備える、
請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記FOVレゾルバと通信するカメラ追尾システムをさらに備える、
請求項7に記載のシステム。
【請求項10】
前記ビデオディスプレイの前記軸外色均一性特性は、前記ビデオディスプレイのディスプレイ表面にわたって複数の視野角で取得される分光放射計読取値を備える、
請求項1から9のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項11】
前記データベースと通信する分光放射計をさらに備える、
請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記補正エンジンは、LEDタイルから構成されるLEDディスプレイウォールの複数のタイル制御装置に配置されるように構成される、
請求項1から11のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項13】
前記補正エンジンは、前記ディスプレイに示すための前記ビデオを提供するビデオ処理レンダリングエンジンに配置されるように構成される、
請求項1から12のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項14】
前記補正エンジンは、
前記キャプチャ装置の視野にわたって前記ディスプレイの相対色利得レベルを生成し、
前記視野にわたる前記相対色利得レベルと、0度視野角基準における色利得レベルとの比較に基づいて、正規化機能として前記色補正機能を生成し、
前記正規化機能に基づいて、前記視野にわたる補正色値を計算するようにさらに構成される、
請求項1から13のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項15】
前記データベースは、前記色補正エンジンに対して、前記相対色利得レベルおよび前記色補正機能を生成させると共にそれに基づいて前記補正色値を計算させるように、プロセッサによって実行可能な命令を含む、
請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
ビデオディスプレイの動画像キャプチャにおける軸外色補正システムであって、
複数の視野角におけるビデオディスプレイの軸外色均一性特性を含むデータベースと、
カメラ追尾システムからの入力に基づいて、ビデオディスプレイに対する画像キャプチャ装置の最新の角度および視野を決定するように構成されるFOVレゾルバと、
前記データベースから前記軸外色均一性特性を受け取ると共に、前記ビデオディスプレイに示されるビデオストリームに色均一性補正層を適用するように構成される補正エンジンとを備え、
前記色均一性補正層は、最新の画像キャプチャ角度および視野に対する受け取った前記軸外色均一性特性に基づいており、
前記補正エンジンが、色補正機能および受け取った前記軸外色均一性特性に基づいて前記色均一性補正層を生成するようにさらに構成されることによって、軸外画像キャプチャによるキャプチャ画像における色歪みが低減または除去され、
少なくとも前記データベースと前記補正エンジンとの間の通信を制御するアプリケーションプログラミングインターフェースをさらに備える
システム。
【請求項17】
ビデオディスプレイの動画像キャプチャにおける軸外色補正方法であって、
前記方法は、
複数の視野角におけるビデオディスプレイの軸外色均一性特性を取り出すことと、
前記ビデオディスプレイに対する画像キャプチャ装置の最新の視野角および視野を決定することと、
決定した前記視野角および視野に対応する前記軸外色均一性特性にアクセスすることと、
取り出した前記軸外色均一性特性と、決定した前記視野角および視野とに少なくとも基づいて、決定した前記視野内の前記ディスプレイに示されるビデオストリームのための色均一性補正層を生成することと、
前記ビデオディスプレイに前記ビデオを表示することに関連する処理制御装置に前記色均一性補正層を通信することとを備える、
方法。
【請求項18】
前記処理制御装置において前記色補正層を前記ビデオストリームに適用することによって、前記最新の視野角および視野に対応する色補正ビデオストリームを生成することをさらに備える、
請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記色均一性補正層を適用する前記処理制御装置は、ビデオディスプレイシステムの少なくとも1つのレンダリングエンジンを備える、
請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記色均一性補正層を適用する前記処理制御装置は、ビデオディスプレイを形成する複数のタイルの個々のタイルプロセッサを備える、
請求項17に記載の方法。
【請求項21】
前記色均一性補正層を適用する前記処理制御装置は、ビデオプロセッサを備える、
請求項17に記載の方法。
【請求項22】
ビデオストリームは、クラウドベースのビデオコンテンツを備え、
前記色均一性補正層を適用する前記処理制御装置は、クラウドベースの処理システムを備える、
請求項17に記載の方法。
【請求項23】
前記軸外色均一性特性を取り出すことは、複数の異なるビデオディスプレイ装置の軸外色均一性特性を含むデータベースから前記特性を取り出すことを備える、
請求項17から22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
取り出される前記記憶済の軸外色均一性特性をユーザが選択することをさらに備える、
請求項17から23のいずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
前記色均一性補正層への命令を実行するプロセッサによってアクセス可能なローカルキャッシュに、取り出した前記軸外色均一性特性を記憶することをさらに備える、
請求項17から24のいずれか1項に記載の方法。
【請求項26】
色均一性補正層を生成することは、前記最新の視野角および視野に対する前記軸外色均一性特性と、0度視野角における基準地点の色均一性特性との比較に基づいて、色補正機能を生成することを備える、
請求項17から25のいずれか1項に記載の方法。
【請求項27】
前記色補正層を適用することは、前記色補正層を用いて、前記最新の視野で前記最新の視野角において表示されるビデオデータの色座標を修正し、表示するための補正色座標を生成することを備える、
請求項18から26のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願データ
本出願は、2020年10月21日に出願された「ビデオウォールディスプレイの動画像キャプチャの軸外色補正(Off-Axis Color Correction for Dynamic Image Capture of Video Wall Display)」という名称の米国仮特許出願第63/094,747号の優先権の利益を主張し、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
開示の分野
本開示は、一般に、LEDビデオディスプレイおよび動画像キャプチャの分野に関する。特に、本開示は、ビデオウォールディスプレイの動画像キャプチャにおける軸外色補正に関する。
【背景技術】
【0003】
LEDディスプレイタイルのアレイから構成されると共に動画像を表示するビデオウォールは、映画セットおよび放送ビデオシーンの背景として使用される頻度が増加している。一例として、映画セットでは、緑色スクリーンの前で俳優が演技してCGI技術によって後から背景が追加されるのではなく、俳優は、所望の背景シーンを動的に表示するビデオウォールの前で演技し、背景シーンは、カメラによって俳優とともにキャプチャされる。別の例では、放送ビデオの場合、ニュース放送において、発表者はビデオウォールの前に配置され、ビデオカメラは、発表者と発表者の背後のビデオウォールに表示される画像の両方をキャプチャする。この技術を使用して、シーンをキャプチャするカメラは、ビデオウォールの前の実演またはパフォーマンスだけでなく、実演の後ろのビデオウォールに同時に表示される画像もキャプチャしている。したがって、ビデオウォール上の表示は、カメラによってキャプチャされるシーンのアクティブで変化する部分である。ビデオカメラは、ビデオディスプレイウォールに表示されるシーンを実際にキャプチャしているので、ビデオカメラによってキャプチャされた画像においてキャプチャされた画像の品質に悪影響を及ぼすアーチファクトまたは他の歪みが現れないように克服すべき多くの課題がある。
【0004】
克服すべき1つの問題は、カメラが様々な視野角でLED画素アレイによって生成された画像をキャプチャするときに生じる色の歪みまたは変化である。LEDタイルは、垂直から軸を外して見たときに異なる色性能を有する。これは、画素構造の物理的性質に加えて、ダイオード配列によるものである。いくつかの画素は、垂直線上に配列されたRGB副画素色成分を有するが、他の画素は、三角形上に配列され得る。副画素色構成要素の内部配列は、特に部品がますます小型化されるにつれて、電子的または製造上の制約のために製造業者ごとに異なる。単一の画素の不均一性に加えて、複数のLEDが回路基板上に配置されてディスプレイパネルが構成されるとき、隣接する画素の物理的構造は、互いに遮蔽し、画素の特定部分が完全に視認されることを阻止することが可能である。これらの変化の全ては、異なる視野角において異なる外観をもたらす。視野角に応じて、変化は、軽微なものから劇的なものになり得る。
図6A~Bおよび
図7A~Bは、これらの変形例の簡単な例を示す。(
図6Aおよび6B、ならびに、
図7Aおよび7Bは同じデータおよび情報を表し、AおよびBの図の間の唯一の違いは、Aが白黒で示されてBがフルカラーで示されていることであることに留意されたい。これらの2つの他の点で同一の組み合わせは、特許庁システムによる電子出願または保存の結果として起こり得る品質または内容の損失を防ぐためにのみ提示されている。)
【0005】
図6A~Bおよび
図7A~Bに見られるように、異なる角度から見られるディスプレイの均一性の欠如は、平らな白地または視野角にかかわらず「同じ」色または色合いを維持しなければならない企業ロゴなどの重要なコンテンツにとっては全く魅力的でない可能性がある。標準または所望の色(この場合、標準光源D65を提示する何も表示されない画面)からの変化量は、垂直視野角(位置2)からの変化量に基づいて変化し得る。
図6AおよびBは、位置1、2および3の間に示される唯一の変化が水平軸に沿っているという点で、簡略化された描写を提示することに留意されたい。同じ種類の色変化は、ディスプレイ中心線の上下に垂直方向に視野角がずれた場合も同様に発生する。また、位置1、2および3について示される細部は、各位置における固定視野にわたる視野を表す。
【0006】
図7Aおよび
図7Bは、
図6Aおよび
図6Bに示される位置1、2および3についてのより小さい視野角の細部の拡大図である。-70°の水平視野角および0°の垂直視野角に対応する位置1で見ると、視野内の画面の領域は、左側において顕著にピンク色であり、中心で青色に遷移し、明るいピンク色に戻る。+40°の水平視野角および0°の垂直視野角に対応する位置3で見ると、視野内の画面の領域は、左側で再び顕著なピンクの色合いになるが、中央では白に近い色合いに遷移し、次いで左側に向かって再びピンク色になる。位置3での外観は、視野角が0度から外れることが少ないため、位置1での外観よりも変化が少ない。位置2は、0度の視野角で直接見たときに現れるD65光源を示す。
図6A~Bおよび
図7A~Bに提示される画像は、均一なD65光源の単純なディスプレイに基づいている。実際には、ディスプレイウォールが、複雑な色の変化および動きを有する画像を提示するとき、色の歪みは、LEDタイルおよびビデオウォールの物理的構成に依存して、ある視野角において非常に劇的になり得る。これは、
図9に示されるような3次元LEDボリュームなどの多面ディスプレイの交差部に特に当てはまる。
【0007】
LED画素製造業者は、通常、個々の画素の角度にわたる色変化を説明するための特性データを提供する。これらの測定値の図/グラフは、白色点均一性または赤色/緑色/青色均一性の形態であり得る。
図8は、1つのそのような特性図の例を提示する。そのような測定値は、通常、部品製造業者によって提供され、これらの部品の仕様が統合者に提供される。しかしながら、完全に組み立てられたディスプレイパネルのためのそのようなデータをディスプレイまたはLEDタイル製造業者が提供することは一般的ではない。さらに、統合された製品レベルでそのような測定を行うための業界標準はない。これは、ディスプレイ製造業者および部品製造業者が通常は同じ主体ではないため、ディスプレイ製造業者がこれらの特性を改善することに対する制御を有さない(したがって、動機を有さない)という事実に起因し得る。したがって、特定のビデオウォール構成における視野角にわたって色がどのように変化するかを理解すること、および、その変化を補償して上述のような画像キャプチャシナリオにおいて改善された画質を提供するための手段が必要とされている。
【0008】
したがって、大規模な後処理色およびアーチファクト補正を必要とすることなく、改善された画像キャプチャを提供する技術的解決策が、当技術分野において依然として必要とされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
一実施形態では、ビデオディスプレイの動画像キャプチャにおける軸外色補正システムは、データベースおよび補正エンジンを備え得て、カメラ視野レゾルバを代替的にさらに備え得る。データベースは、複数の視野角におけるビデオディスプレイの軸外色均一性特性を少なくとも含む。補正エンジンは、データベースから軸外色均一性特性を受け取ると共にビデオディスプレイに示されるビデオストリームに色均一性補正層を適用するように構成される。色均一性補正層は、最新の画像キャプチャ角度および視野に対する受け取った軸外色均一性特性に基づいており、これにより、軸外画像キャプチャによるキャプチャ画像における色歪みが低減または除去される。最新の画像キャプチャ角度および視野は、FOVレゾルバによって決定され得て、FOVレゾルバは、カメラ追尾システムからの入力に基づいて、ビデオディスプレイに対する画像キャプチャ装置の最新の角度および視野を決定するように構成される。
【0010】
別の実施形態では、ビデオディスプレイの動画像キャプチャにおける軸外色補正システムは、複数の視野角におけるビデオディスプレイの軸外色均一性特性を含むデータベースと、カメラ追尾システムからの入力に基づいてビデオディスプレイに対する画像キャプチャ装置の最新の角度および視野を決定するように構成されるFOVレゾルバと、補正エンジンと、少なくともデータベースと補正エンジンとの間の通信を制御するアプリケーションプログラミングインターフェースとを備える。補正エンジンは、データベースから軸外色均一性特性を受け取ると共にビデオディスプレイに示されるビデオストリームに色均一性補正層を適用するように構成される。色均一性補正層は、最新の画像キャプチャ角度および視野に対する受け取った軸外色均一性特性に基づき得る。補正エンジンは、色補正機能および受け取った軸外色均一性特性に基づいて色均一性補正層を生成するようにさらに構成され得る。このようにして、軸外画像キャプチャによるキャプチャ画像の歪みが低減または除去される。
【0011】
さらに別の代替実施形態では、ビデオディスプレイの動画像キャプチャにおける軸外色補正方法は、複数の視野角におけるビデオディスプレイの軸外色均一性特性を取り出すステップと、ビデオディスプレイに対する画像キャプチャ装置の最新の視野角および視野を決定するステップと、決定した視野角および視野に対応する軸外色均一性特性にアクセスするステップと、取り出した軸外色均一性特性と、決定した視野角および視野とに少なくとも基づいて、決定した視野内のディスプレイに示されるビデオストリームのための色均一性補正層を生成するステップとを備える。このようにして生成された色均一性補正層は、任意選択的に、ビデオディスプレイにビデオを表示することに関連する処理制御装置に通信され得る。また、開示される方法は、処理制御装置において色補正層をビデオストリームに適用することによって、最新の視野角および視野に対応する色補正ビデオストリームを生成することをさらに備え得る。
【0012】
様々な代替形態では、色均一性補正層を適用する処理制御装置は、ビデオディスプレイシステムの少なくとも1つのレンダリングエンジン、ビデオディスプレイを形成する複数のタイルの個々のタイル制御装置、1つ以上のビデオプロセッサ、または、クラウドもしくはネットワークベースの処理システムのうちの任意の1つ以上を備え得る。クラウドベース/記憶されたビデオコンテンツがビデオソースとして使用される場合、色補正エンジンの処理をクラウドベースの処理システムに配置することが望ましい場合がある。
【図面の簡単な説明】
【0013】
本開示を説明するために、図面は、本開示の1つ以上の実施形態の態様を示す。しかし、本開示は、図面に示される正確な配置および手段に限定されないことを理解されたい。
【
図1】
図1は、本開示によるビデオウォールディスプレイの動画像キャプチャにおける軸外色補正システムの概略図である。
【
図1A】
図1Aは、分光放射計によって測定されたLEDビデオウォールの相対色利得レベルに対して水平角度をプロットした図解例である。
図1Aは、
図1および
図2に含まれる対応するプロットにおいて示されるものと同じデータを示す。
【
図2】
図2は、全てのディスプレイタイルが同じ平面に存在しない多面ビデオディスプレイの概略斜視図である。
【
図3A】
図3Aは、レンダリングエンジンにおいて実行される色補正を伴う本開示によるビデオウォールディスプレイの動画像キャプチャにおける軸外色補正システムの実施形態を示すブロック図である。
【
図3B】
図3Bは、LEDタイル制御装置において実行される色補正を伴う本開示によるビデオウォールディスプレイの動画像キャプチャにおける軸外色補正の代替の実施形態を示すブロック図である。
【
図3C】
図3Cは、本開示によるビデオウォールディスプレイの動画像キャプチャにおける軸外色補正のさらなる代替の実施形態を示すブロック図である。
【
図4】
図4は、本開示による軸外色補正処理の実施形態を示すフローチャートである。
【
図5】
図5は、本開示のシステムおよび方法において利用され得る演算装置の例を示すブロック図である
【
図6A】
図6Aは、LEDビデオウォールの軸外視から生じ得る色の歪みの単純な例を示し、その例を白黒で示す。
【
図6B】
図6Bは、LEDビデオウォールの軸外視から生じ得る色の歪みの単純な例を示し、その例を色で示す。
【
図7A】
図7Aは、
図6Aの位置1、2および3で見られる画面部分の詳細図を示し、その例を白黒で示す。
【
図7B】
図7Bは、
図6Bの位置1、2および3で見られる画面部分の詳細図を示し、その例を色で示す。
【
図8】
図8は、LEDカラー画素製造業者の色特性図の一例である。
【
図9】
図9は、背景シーンの仮想表示のための3次元LEDボリュームを使用する映画セットの静止画像であり、特に天井および壁などの角度の付いたディスプレイ面の接合縁部に沿った軸外画像キャプチャによって生じ得る色の歪みを示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
従来技術の短所に対処するビデオウォールディスプレイの動画像キャプチャにおける軸外色補正システムおよび方法の例が、
図1~
図5に示され、以下でさらに説明される。一般的なレベルでは、そのような方法は、特定のLEDタイルまたはビデオウォールの色性能を測定することと、これらの軸外測定値の特性を記憶するためのデータベースを提供して色補正に使用することとを含む。データベースは、ビデオウォール画像レンダリング装置によってアクセス可能であり、それにより、ディスプレイに対するカメラの視野角および視野におけるリアルタイム情報と組み合わせたとき、色補正機能が、カメラの視野内のディスプレイ部分のレンダリングに組み込まれ得て、キャプチャ画像における軸外色変化/歪みが低減または排除される。このようにして、ディスプレイタイル性能のためのメタデータが読み戻され得て、リアルタイムの変更がコンテンツに対して計算的に行われ得て、その結果、最新のカメラ角度からディスプレイが均一に見える。色補正機能は、特定のレンダリングエンジンのソフトウェアに直接組み込まれ得るか、様々な異なる製造業者のビデオウォール制御装置またはレンダリングエンジンとの通信および実装を容易にするAPIを介して提供され得る。さらなる代替例では、色補正は、表示される画像ではなくビデオキャプチャに組み込まれ得る。
【0015】
図1の例に示されるように、カメラ12は、ディスプレイの前に発表者(P)を伴う背景ディスプレイ14を含むシーンをキャプチャしている。ディスプレイ14は、任意の市販のまたは特注のLEDビデオウォールディスプレイであり得る。ディスプレイ14に対するカメラ12の位置および視野は、水平方向および垂直方向の両方に変化し得る。簡潔にするために、水平方向における唯一の変化が、
図1に示されると共に本明細書で詳細に説明される。垂直視野角の変化に基づく補正は、水平視野角補正と全く同じ方法で行われ得て、垂直および水平補正は、本明細書に提供される教示に基づいて当業者によって組み合わされ得る。考慮される別のパラメータは、ディスプレイに対するカメラのズームまたは物理的位置に基づいて変化し得るカメラ12の視野である。
図1に示されるように、角度Aは、ディスプレイ14の中心線に対するカメラ12の変化する視野角を表し、角度Bは、カメラ12の変化する視野を表す。
【0016】
画像制御およびレンダリングシステム16は、有線または無線通信リンク18(通信リンク1)を介してディスプレイ14と通信する。イーサネット(登録商標)通信は、通信リンク1のための共通の通信モードであるが、ディスプレイのビデオ品質要求に適した任意の通信プロトコルが使用され得る。また、制御システム16は、有線または無線通信リンク20(通信リンク2)を介して、カメラ12自体またはカメラ(図示せず)の周辺の他の位置決めシステムと通信し、変化する視野角Aおよび変化する視野Bに関するリアルタイム情報を受け取る。本明細書に記載されるシステムおよび方法は、ディスプレイの表面のカメラ視野領域を入力として利用し、どの画素が色補正を必要とするかが決定されることに留意されたい。視野領域の決定は、カメラにおける少なくとも物理的なカメラ位置、向きおよび視野角設定の入力を必要とする。本明細書で別段の指定がない限り、「視野」は、LED/ビデオディスプレイ技術において頻繁に使用される用語として、ディスプレイの表面における視野領域を指す。
【0017】
図1および
図1Aに示される水平色均一性特性14’は、色メタデータの形態であり、ディスプレイの面にわたって様々な視野角で各原色について放出される光の相対量を表す。ディスプレイは、通常、正面(0度)が所望の白色点(例えば、標準光源D65)で均一に見えるように較正される。なお、ここでは、0度仰角の水平特性のみが示される。視野角にわたる色変化を表す色均一性特性14’は、相対色利得レベルに対する水平視野角として本開示の図にプロットされる(例えば、
図1A参照)。色温度値に対する視野角、Lxy色度に対する視野角、または、XYZ色度に対する視野角などのこれらに限定されない同じ色変化情報の他の表現が、当業者によって使用され得る。
【0018】
本明細書に開示される実施形態は、カメラが3次元LEDボリュームにおけるシーンをキャプチャしているときに色補正を行う上で特に有用であり、例えば、映画およびビデオ制作における仮想背景としてしばしば現に使用されている。3次元LEDボリュームは、ディスプレイのいくつかの表面が他の表面に対して角度を有する多面ディスプレイの形態である(完全に平面または緩やかに湾曲したディスプレイではない)。
図2は、多面間の交差部15で形成される角度にわたる視野(FOV)をキャプチャするカメラ12を有する簡略化された多面ディスプレイ14Aを概略的に示す。多面ディスプレイのウォールは互いに角度が付けられているので、ウォールの1つの有効角度は、分光放射計によって測定されるメタデータが多面交差部15を横切って不連続になることをもたらす。メタデータが不連続であるという事実は、不均一性の緩やかな勾配はないが多面交差部15の間に確かな縁があることを意味する。ディスプレイのメディアコンテンツとして平坦な白色ビデオフィールドを用いることにより、FOVにおいては、1つのLEDウォールが青みがかった白色であり、他のウォールが赤みがかった白色であり、中央に確かな縁があるように見えることがある。これを補正するには、正確な画素毎のメタデータ、ならびに、副画素レベルに正確なカメラ追尾および位置データが必要であるため、手動調整色調整およびビデオ後処理の組み合わせなどの従来技術による色補正は、平面ディスプレイよりも著しく困難になる。
【0019】
図3Aに示されるように、分光放射計22が使用され得て、可能な視野角の全範囲にわたってディスプレイ14の色変化を特徴付ける測定値14’が生成される。この特性14’は、軸外均一性特性としてデータベース24にディスプレイメタデータとして記憶される。一代替形態では、そのような測定は、単一のLEDタイルについて行われ得て、次いで、それらのタイルから構成されるディスプレイ全体についての完全なディスプレイ特性は、ディスプレイにおけるタイルの数に基づいて外挿され得る。別の代替例では、ディスプレイ全体が測定され得る。一実施形態では、データベース24は、様々な異なるLEDタイルの軸外均一性特性についてメタデータを記憶し、ユーザは、最新のタイルおよびディスプレイサイズを選択し得て、最新のディスプレイ構成のための正しいメタデータにアクセスする。いくつかの実施形態では、メタデータ14’は、ディスプレイにわたって連続的にキャプチャされ、次いで、特定の角度増分(例えば、10度増分)で水平視野角(H)および垂直視野角(V)を測定すると共に次いで増分間で必要に応じてデータを外挿することによって、適切な視野に外挿される。
【0020】
様々な実施形態では、レンダリングエンジン26は、データベース24から軸外均一性特性を受け取り得て、その情報を使用してカメラ視野における色補正を提供する。レンダリングエンジン26は、当業者によって理解されるように、ビデオ入力信号(I)を受け取り、ディスプレイ14へのビデオ出力(O)を生成する。従来のレンダリングソフトウェア28に加えて、レンダリングエンジン26は、視野(FOV)レゾルバ30および色補正エンジン32を含み、以下でより詳細に説明するように、ビデオ出力(O)の色補正を生成する。また、完全なLEDビデオウォールディスプレイシステムはビデオプロセッサを含み、ビデオプロセッサは、レンダリングエンジンを含み得るか、レンダリングエンジンとビデオプロセッサ27などのディスプレイとの間に構成され得る。
図3Aに示される例では、API34は、補正エンジンとデータベースとの間の通信を容易にするものとして示されている。一実施形態では、補正エンジン32は、最初にAPI34を介してデータベース24から全ての必要な均一性情報を取り出し、それをローカルキャッシュメモリに記憶し、その結果、補正エンジン32は、カメラ追尾データが変化するときにAPIを介してデータを絶えず取り出す必要なしに、必要に応じてデータの一部を利用し得る。代替的に、他の実施形態では、レゾルバ30および補正エンジン32は、互いにおよびデータベース24と方向を通信し得る。さらなる代替形態では、補正エンジン32の色補正機能は、レンダリングエンジンまたは他のシステム制御に直接組み込まれ得る。
図3A~
図3Cにおける破線の接続部は、代替の通信またはデータ経路を示し、破線の囲み部は、全体的なビデオウォールディスプレイシステムの必要な部分であり得るが、本開示の軸外色補正システムの実施形態に任意的に含まれる代替の構成要素を示すことに留意されたい。当業者によって理解されるように、補正エンジン32は、システムビデオプロセッサの一部として構成され得て、システムビデオプロセッサは、制御装置16などのシステム制御装置全体から分離され得るか、その中に包まれ得る。
【0021】
また、レンダリングエンジン26は、レゾルバ30を介して、カメラ12に対する位置(例えば、x、y、z座標)、角度(A)および視野(B)についてリアルタイム情報を受け取る。ディスプレイが固定されていないシステムでは、ディスプレイ14の位置に関する情報(例えば、x、y、z座標)もまた提供され、その結果、ディスプレイに対するカメラの相対的な水平および垂直角度(H、V)を含み得るディスプレイに対するカメラの位置が、レゾルバ30によって決定される。カメラおよびディスプレイ位置は、内部位置センサによってまたは外部装置によって生成され得る。多くのビデオウォールディスプレイシステム、特にビデオ制作セットのための3次元LEDボリュームとして構成されるものは、レゾルバ30に対する入力を提供し得る洗練されたカメラ追尾システム12Aを既に含む。代替的に、既存のカメラ追尾システム自体が必要な角度および視野情報を生成するシステムでは、カメラ追尾システムの出力は、補正エンジン32への入力として使用され得て、その場合、レゾルバ30は、別の機能構成要素として必要とされない。そして、レゾルバ30(またはカメラ追尾システム)で決定されたカメラ角度および視野情報は、この例ではAPIを介して、メタデータデータベースから軸外均一性特性の正しい区分を取り出すために使用される。最新のカメラビューに対応するデータベースから取り出されたメタデータ区分を使用して、補正エンジン32は、最新の視野におけるディスプレイ部分に伝えられる画像データに対して均一性補正層14’’を決定して適用する。
【0022】
図3Aに示される例では、メタデータ14’の区分J、KおよびLは、データベース24から(API34を介して)レンダリングエンジン26によって取り出される仮想視野区分を表す。これらの区分が補正エンジン32に伝えられると、補正エンジンが、適切な視野およびディスプレイ位置/角度において均一性補正層を適用し、カメラがディスプレイをわたって追尾するときにカメラによってキャプチャされたディスプレイ部分が補正される。いくつかの実施形態では、均一性補正層は、反転区分J’、K’およびL’によって表されるメタデータ区分を反転させるための(水平視軸について
図1Aに示されるよう)反転色機能などの色補正機能を備え、最新の視野における提供された画像に適切な色補正が適用される。他の色補正機能、例えば、色正規化機能が使用され得る。色補正機能の種類にかかわらず、さらなるオプションでは、複数の色補正機能は、例えばデータベース24に記憶され得て、ビデオ処理システムユーザインターフェース(図示せず)を介してユーザによって選択可能であり得る。代替的にまたは追加的に、データベース24は、補正エンジンにおけるプロセッサまたは補正エンジンと通信するプロセッサで実行するための命令を含み得て、この命令により、補正エンジンによってまたは補正エンジンの特定の色補正機能が生成される。このようにして生成された色補正機能もまた、ユーザ選択可能であり得る。
【0023】
代替の実施形態では、
図3Bに示されるように、色補正エンジン32は、ディスプレイ14の個々のタイル制御装置に配置され得る。当技術分野でよく理解されるように、LEDディスプレイウォールは、LEDタイル40のアレイで構成される。各タイルは、PCBなどの基板上にLED画素アレイを搭載し、タイル制御装置42(通常、PCBの背面に搭載される)は、そのタイルに送られたビデオパケットを受け取り、他の機能の中で、ビデオ情報を適切な画素に送り、表示される画像を生成する。タイル制御装置42は、本明細書の他の箇所に記載されるような演算装置を備え得る。この実施形態では、補正エンジン32、レゾルバ30、API34およびデータベース24の機能および相互作用は、実質的に上述の通りである。この例では、ビデオプロセッサ27は、レンダリングエンジン26とディスプレイ14との間のビデオデータストリームにおいて配置されるが、上述のように他の方法で構成または配置され得る。しかし、この実施形態では、機能性の多くは、例えばクラウド44または他の適切なネットワークに配置されるネットワーク化された演算解決策を介して提供され得る。インターネットに接続されたシステムでは、補正エンジン32は、既存のLEDディスプレイシステムのタイル制御装置およびSaaSモデルを介して提供される色補正にアップロードされ得る。そのような実施形態では、ユーザインターフェース46は、クラウドまたはネットワークベースのアプリケーションシステム44への通信リンク48を別々に備え得て、ユーザ制御、入力および色補正機能選択を容易にする。通信リンク48は、必要に応じて、無線または有線の通信リンクであり得る。いくつかの例では、ユーザインターフェース46は、ウェブサイトまたは携帯装置で実行されるソフトウェアアプリケーションを備え得る。
【0024】
さらなる代替の実施形態では、
図3Cに示されるように、補正エンジン32は、データベース24、リゾルバ30および任意選択でAPI34も含むクラウドまたはネットワークベースのシステム44Aの一部であり得る。ユーザインターフェース46は、上述のように、通信リンク48を介してシステム44Aとのユーザ相互作用を再び可能にする。任意の実施形態について本明細書に記載されるデータベース24は、一体式記憶装置である必要はないことに留意されたい。分散/クラウドベースの記憶装置は、演算技術においてよく理解されているように利用され得る。さらなる代替実施形態では、クラウドソースビデオコンテンツ48は、システム44Aなどのクラウドベースまたはネットワークベースのシステムにおける補正層の適用のために、補正エンジン32を介して送られ得る。この場合、システム44Aからの出力は、色補正ビデオコンテンツを含み得る。
【0025】
本開示による例示的な処理は、
図4における例示的な処理フロー50を参照してさらに説明される。そこに示されるように、特定のLEDタイルまたはディスプレイの色均一性特性は、任意の時点(52A)で測定され得るか他の方法で決定され得て、次いで、ステップ52でデータベース24に記憶され得る。実際には、異なる製造業者による多くの異なるタイルタイプの色均一性特性がデータベースに記憶されることが考えられ、その結果、システムが、適切な記憶されたタイルデータを自動的に検出し得て要求し得るか、代わりに、ユーザが、記憶されたタイルのメニューから最新のディスプレイに対応するタイル種類を選択し得る。ディスプレイの色均一性特性は、ステップ54で補正エンジン32によって取り出され、任意選択でローカルメモリキャッシュに記憶される。また、補正エンジン32は、ステップ56において、最新のカメラ視野(FOV)の識別を受け取る。FOV情報は、任意のステップ56AにおいてFOVレゾルバ30によって決定され得るか、既存のカメラ追尾システム(例えば、
図3Aにおけるカメラ追尾システム12A)などの他のソースから代替的に受け取られ得る。指定された補正機能を使用して、補正エンジン32は、ステップ58において、最新のカメラFOVのための補正層を生成する。次に、補正エンジン32は、ステップ60において、最新のカメラFOVのビデオデータに補正層を適用し、補正ビデオストリームを生成し、補正ビデオストリームが、ステップ62においてディスプレイに表示される。カメラが首を振って撮影またはディスプレイを追尾すると、処理は、ステップ60で最新の補正層を適用することからステップ56で次の最新のカメラ視野を識別することへと連続的にループする。
図4で概説される様々なステップは、図に提示される正確な順序で実行される必要はないことに留意されたい。当業者は、本明細書に含まれる教示に基づいて代替的な順序を導出し得る。
【0026】
図4のステップ58および60に要約されるような補正層を生成するための補正機能の決定および補正層の適用は、水平視野角のみに沿った補正に基づく以下の簡略化された例によってさらに例示され得る。この例では、
図1Aを参照すると、視野に対する色補正層を生成するための色補正機能として色正規化機能を使用する色補正の処理は、数学的に次のように表現され得る。
[1] [Rg
*,Gg
*,Bg
*]×[R,G,B]=[R
*,G
*,B
*]
および
[2] [X/Rg,Y/Gg,Z/Bg]=[Rg
*,Gg
*,Bg
*]
[Rg
*,Gg
*,Bg
*]は補正層である。
[R,B,G]は、FOVに対する入力ビデオ信号色座標である。
[R
*,B
*,G
*]は、FOVに表示される補正色座標である。
[X,Y,Z]は、0度視野角における基準相対色利得であり、例えば
図1Aにおける基準(R)である。
[Rg,Gg,Bg]は、FOVにおける相対色利得である。
[X/Rg,Y/Gg,Z/Bg]は補正機能である。
【0027】
再び
図1Aを参照すると、例示的な地点(E)、視野角-αにおける相対色利得は、
[3] [Rg,Gg,Bg]=[0.70,1.15,0.95]
である。基準地点(R)における基準色利得は、
[4] [X,Y,Z] =[1.00,1.00,1.00]
である。したがって、補正機能値は、
[5] [1.00/0.70,1.00/1.15,1.00 /0.95]
である。そして、上記の式[2]による補正層は、以下のように行列として示される。
[6] [1.43,0.87,1.05]
例示的な地点(E)で発せられる真の色を、以下の座標を有する淡青色として仮定する。
[7] [R,G,B] =[102,178,240]
次いで、補正色座標は、発光色を淡青色からわずかに紫色の色合いを有する色にシフトし、以下の座標で視野角-αを補正する。
[8] [R
*,G
*,B
*] =[145.86,154.86,252.00]
([9]検査合計:[1.43,0.87,1.05]×[0.70,1.15,0.95] =[1.00,1.00,1.00])
【0028】
上述の例および
図1Aにおける相対色利得レベルの表現は、説明を容易にすると共に省略するために非常に簡略化されていることに留意されたい。例えば、例(E)に対する色補正の計算は、単一の名目上の角度における色補正のみを扱う。名目上の角度がカメラ角度を表す場合、FOV角度は、同様に補正されるべきである名目上の角度の各側で変化する相対色利得の範囲を含む。加えて、この例および
図1Aは、ただ水平視軸における変化の単純化された問題のみを扱う。実際には、同じ機能が、垂直視野角全体にわたっても決定されるべきである。しかし、簡略化されているが、この例は、当業者が任意の視野角でカメラ視野全体にわたって補正を外挿することを可能にするために必要な情報および方法論のすべてを示す。
【0029】
本明細書で説明するシステムおよび方法は、1つ以上の演算装置を使用して実装され得て、別段の指示がない限り、プロセッサ、メモリ、記憶装置および通信バスの標準演算構成要素、ならびに、必要に応じて高解像度グラフィックスレンダリングハードウェアおよびソフトウェアを含み得る。そのような構成要素は、本開示の教示に基づいて当業者によって構成およびプログラムされ得る。本明細書で説明するシステムおよび方法を実装するソフトウェアプログラミングは、コンピュータプログラム製品として非一時的コンピュータ可読媒体に存在し得る。また、演算装置は、クラウドベースの演算実施形態、および、ネットワークにわたって分散される要素を有する演算システムを一般的に含む。
【0030】
いくつかの実施形態では、システム制御装置16、タイル制御装置42、レンダリングエンジン26、レゾルバ30または補正エンジン32で生じるような制御機能は、例えば、1つ以上の演算装置として実行され得るか、単一または複数の演算装置で集合的に実行され得る。
図5はそのような演算装置の一例を示し、演算装置100は、1つ以上のプロセッサ102、メモリ104、記憶装置106、メモリ104と高速拡張ポート110とを接続する高速インターフェース108、および、低速バス114と記憶装置106とを接続する低速インターフェース112を含む。構成要素102、104、106、108、110および112の各々は、構成要素を接続する矢印によって
図5に示されるように、様々なバスまたは他の適切な接続を使用して相互接続される。プロセッサ102が、メモリ104または記憶装置106に記憶された命令を含む演算装置100内で実行するための命令を処理し得て、グラフィカル情報が、ディスプレイ120を有するGUI118を介して、または、高速インターフェース108に結合された外部ユーザインターフェース装置に表示される。当業者によって理解されるように、特定の説明される機能、例えばレンダリングエンジン26の機能は、別個のGUIまたはディスプレイを必要としない場合がある。他の実装形態では、複数のプロセッサおよび/または複数のバスは、必要に応じて、複数のメモリおよびメモリの種類とともに使用され得る。また、複数の演算装置100は、(例えば、サーババンク、ブレードサーバのグループまたはマルチプロセッサシステムのような)必要な動作の一部を提供する各装置と接続され得る。
【0031】
メモリ104は、演算装置100内に情報を記憶する。一実装形態では、メモリ104はコンピュータ可読媒体である。一実装形態では、メモリ104は揮発性メモリユニットである。別の実装形態では、メモリ104は不揮発性メモリユニットである。
【0032】
記憶装置106は、演算装置100に大容量記憶を提供することができ、タイミング制御、タイムスライスサイズ、および/または、静的色彩度および上述のタイミングなどの情報を含み得る。一実装形態では、記憶装置106はコンピュータ可読媒体である。様々な異なる実装形態では、記憶装置106は、フロッピーディスク装置、ハードディスク装置、光ディスク装置、または、テープ装置、フラッシュメモリまたは他の同様のソリッドステートメモリ装置、もしくは、記憶装置エリアネットワーク内の装置または他の構成を含む装置のアレイであり得る。一実装形態では、コンピュータプログラム製品は、情報伝達体に有形に盛り込まれる。コンピュータプログラム製品は、実行されると、上述のような1つ以上の方法を実行する命令を含む。情報伝達体は、メモリ104、記憶装置106またはプロセッサ102におけるメモリなどのコンピュータ可読または機械可読媒体である。
【0033】
高速インターフェース108は、演算装置100の帯域幅集約型動作を管理し、一方、低速インターフェース112は、より低い帯域幅集約型動作を管理する。このような務めの割当ては、例示に過ぎない。一実装形態では、高速インターフェース108は、(例えば、グラフィックスプロセッサまたはアクセラレータを介して)メモリ104、ディスプレイ120、および、様々な拡張カード(図示せず)を受け入れ得る高速拡張ポート110に結合される。この実装形態では、低速インターフェース112は、記憶装置106および低速拡張ポート114に結合される。様々な通信ポート(例えば、USB、ブルートゥース(登録商標)、イーサネット(登録商標)、ワイヤレスイーサネット(登録商標))を含み得る低速拡張ポートは、GUI118の一部として、または、例えばネットワークアダプタを介して、キーボード、ポインティング装置、スキャナ、もしくは、スイッチやルータなどのネットワーク装置などのさらなる外部ユーザインターフェースとして、1つ以上の入力/出力装置に結合され得る。
【0034】
本明細書で説明されるシステムおよび技術の様々な実装形態は、デジタル電子回路、集積回路、特別に設計されるASIC(特定用途向け集積回路)、コンピュータハードウェア、ファームウェア、ソフトウェアおよび/またはそれらの組合せで実現され得る。これらの様々な実装形態は、少なくとも1つのプログラム可能なプロセッサを含むプログラム可能なシステムで実行可能および/または解釈可能な1つ以上のコンピュータプログラムにおける実装形態を含み得て、これは、専用または汎用であり得て、記憶装置システム、少なくとも1つの入力装置および少なくとも1つの出力装置からデータおよび命令を受け取ると共にそれらにデータおよび命令を送信するように結合される。
【0035】
これらのコンピュータプログラム(プログラム、ソフトウェア、ソフトウェアアプリケーションまたはコードとしても知られる)は、プログラム可能なプロセッサの機械命令を含み、高レベル手続き型および/またはオブジェクト指向プログラミング言語で、および/または、アセンブリ/機械言語で実装され得る。本明細書で使用されるとき、用語「機械可読媒体」「コンピュータ可読媒体」は、機械可読信号として機械命令を受け取る機械可読媒体を含むプログラム可能なプロセッサに機械命令および/またはデータを提供するために使用される任意のコンピュータプログラム製品、機器および/または装置(例えば、磁気ディスク、光ディスク、メモリ、プログラム可能な論理装置(PLD))を指す。用語「機械可読信号」は、機械命令および/またはデータをプログラム可能なプロセッサに提供するために使用される任意の信号を指す。
【0036】
ユーザとの相互作用を提供するために、本明細書で説明されるシステムおよび技術は、ビデオディスプレイ14とは別個のディスプレイ装置を有するコンピュータ上で実装され得る。LEDディスプレイは現在最も一般的であるが、より古いディスプレイ技術(例えば、CRT(陰極線管)またはLCD(液晶ディスプレイ)モニタ)が使用され得る。他のインターフェース装置は、キーボードおよびポインティング装置(例えば、マウスまたはトラックボール)を含み得て、それによってユーザは、コンピュータに入力を与え得る。他の種類の装置が使用され得て、ユーザとの相互作用も提供され、例えば、ユーザに提供されるフィードバックは、任意の形態の感覚フィードバック(例えば、視覚フィードバック、聴覚フィードバックまたは触覚フィードバック)になり得て、ユーザからの入力は、音響、音声、または触覚入力を含む任意の形態で受け取られ得る。
【0037】
本明細書で説明されるシステムおよび技術は、(例えば、データサーバのような)バックエンド構成要素を含むか、ミドルウェア構成要素(例えば、アプリケーションサーバ)を含むか、フロントエンド構成要素(例えば、本明細書で説明されるシステムおよび技術の実装とユーザが相互作用し得るグラフィカルユーザインターフェースまたはウェブブラウザを有するクライアントコンピュータ)を含む演算システム、または、そのようなバックエンド、ミドルウェアまたはフロントエンド構成要素の任意の組合せにおいて実装され得る。システムの構成要素は、有線または無線デジタルデータ通信(例えば、通信ネットワーク)の任意の形態または媒体によって相互接続され得る。通信ネットワークの例は、ローカルエリアネットワーク(「LAN」)、ワイドエリアネットワーク(「WAN」)およびインターネットを含む。
【0038】
演算システムは、クライアントおよびサーバを含み得る。クライアントおよびサーバは、一般的に互いに離れており、典型的には通信ネットワークを介して相互作用する。クライアントとサーバの関係は、それぞれのコンピュータ上で実行すると共に互いにクライアント-サーバ関係を有するコンピュータプログラムの利点によって生じる。また、本明細書で説明される処理能力および性能は、クラウドベースまたは他のネットワークベース処理モジュールとして実装され得て、また、サービス(「SaaS」)モデルとしてソフトウェアを使用して実装され得る。
【0039】
このように説明されるシステムおよび方法を使用して、
図6A~Bおよび
図7A~Bに示されるような視野角を伴う色変化、ならびに、
図9に見られるような歪みおよびアーチファクトは、カメラ角度および視野に対していつでも低減または除去され得る。したがって、開示されるシステムおよび方法は、動的LEDウォール背景を使用するライブ放送システムの品質および柔軟性を向上させるために、ならびに、動的LEDウォール背景を同様に使用する映画セットシステムの後処理画像補正の時間および費用を低減させるために使用され得る。
【0040】
以上が、本開示の例示的な実施形態の詳細な説明である。本明細書および本明細書に添付される特許請求の範囲では、「X、YおよびZの少なくとも1つ」および「X、YおよびZの1つ以上」という語句で使用されるような接続用語は、特に明記または別段の指示がない限り、接続リスト中の各項目が接続リスト中の他のすべての項目を除外する任意の数で、または、接続リスト中の任意のまたはすべての他の項目と組み合わせた任意の数で存在し得て、そのそれぞれも任意の数で存在し得ることを意味することに留意されたい。この一般的な規則を適用すると、接続リストがX、YおよびZから構成される前述の例における接続語句は、「1つ以上のX、1つ以上のY、1つ以上のZ、1つ以上のXおよび1つ以上のY、1つ以上のYおよび1つ以上のZ、1つ以上のXおよび1つ以上のZ、ならびに、1つ以上のX、1つ以上のYおよび1つ以上のZ」のそれぞれを含む。
【0041】
本開示の趣旨および範囲から逸脱することなく、様々な修正および追加が行われ得る。上述の様々な実施形態のそれぞれの特徴は、他の説明された実施形態の特徴と必要に応じて組み合わされ得て、関連する新たな実施形態において多数の特徴の組み合わせを提供する。さらに、上記ではいくつかの別個の実施形態が説明されているが、本明細書で説明したことは、本開示の原理の適用を単に例示するものである。さらに、本明細書の特定の方法は、特定の順序で実行されるものとして図示および/または説明され得るが、順序付けは、本開示の態様を達成するために通常技量内で非常に可変である。したがって、この説明は、例としてのみ解釈されることを意図し、本開示の範囲を限定することを意図しない。
【0042】
代表的な実施形態が、上で開示されて添付の図面の中で示してきた。本開示の趣旨および範囲から逸脱することなく、本明細書に具体的に開示されるものに様々な変更、省略および追加が行われ得ることが当業者には理解されよう。
【国際調査報告】