IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ インベンテイオ・アクテイエンゲゼルシヤフトの特許一覧

特表2023-549458公共および非公共の建物区域にサーブするためのエレベータ設備
<>
  • 特表-公共および非公共の建物区域にサーブするためのエレベータ設備 図1
  • 特表-公共および非公共の建物区域にサーブするためのエレベータ設備 図2
  • 特表-公共および非公共の建物区域にサーブするためのエレベータ設備 図3
  • 特表-公共および非公共の建物区域にサーブするためのエレベータ設備 図4
  • 特表-公共および非公共の建物区域にサーブするためのエレベータ設備 図5
  • 特表-公共および非公共の建物区域にサーブするためのエレベータ設備 図6
  • 特表-公共および非公共の建物区域にサーブするためのエレベータ設備 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-27
(54)【発明の名称】公共および非公共の建物区域にサーブするためのエレベータ設備
(51)【国際特許分類】
   B66B 1/16 20060101AFI20231117BHJP
   B66B 3/00 20060101ALI20231117BHJP
   B66B 13/14 20060101ALI20231117BHJP
【FI】
B66B1/16 F
B66B3/00 Q
B66B13/14 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023524363
(86)(22)【出願日】2021-10-05
(85)【翻訳文提出日】2023-06-02
(86)【国際出願番号】 EP2021077328
(87)【国際公開番号】W WO2022084018
(87)【国際公開日】2022-04-28
(31)【優先権主張番号】20203012.8
(32)【優先日】2020-10-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.QRコード
(71)【出願人】
【識別番号】390040729
【氏名又は名称】インベンテイオ・アクテイエンゲゼルシヤフト
【氏名又は名称原語表記】INVENTIO AKTIENGESELLSCHAFT
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フィンシ,ルーカス
【テーマコード(参考)】
3F303
3F307
3F502
【Fターム(参考)】
3F303DC08
3F303DC25
3F307EA44
3F502HA08
3F502HB14
3F502JA21
(57)【要約】
エレベータ設備(1)は、エレベータかご(10)を有し、エレベータかご(10)は、エレベータ制御部(13)による制御下で建物(2)のフロア(L0、L、L1、Ln)間でエレベータシャフト(18)内を移動されることができ、第1のかご壁(10d)に第1のかごドア(10a)および第2のかご壁(10c)に第2のかごドア(10b)の、2つのかごドア(10a、10b)を有する。シャフトドアの第1のグループ(6、6a)は、建物(2)の公共区域(Zp1、Zp2)に配置され、シャフトドアの第2のグループ(7、7a)は、建物(2)の非公共区域(Zs1、Zs2)に配置される。エレベータ制御部(13)は、公共区域(Zp1、Zp2)がサーブされる第1の動作モードを有する;したがって、公共区域(Zp1、Zp2)のかごドア(10a)およびシャフトドア(6)のみが作動される。第2の動作モードでは、非公共区域(Zs1、Zs2)にサービスが提供され、したがって、非公共区域(Zs1、Zs2)のかごドア(10b)およびシャフトドア(7、7a)のみが作動される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エレベータ制御部(13)と、
エレベータ制御部(13)による制御下で建物(2)のフロア(L0、L、L1、Ln)間でエレベータシャフト(18)内を移動可能であり、第1のキャビン壁(10d)に第1のかごドア(10a)および第2のキャビン壁(10c)に第2のかごドア(10b)の、2つのかごドア(10a、10b)を有する、少なくとも1つのエレベータかご(10)と、
エレベータシャフト(18)をフロア(L0、L、L1、Ln)から分離するいくつかのシャフトドア(6、6a、7、7a)であって、シャフトドアの第1のグループ(6、6a)が建物(2)の公共区域(Zp1、Zp2)に配置され、シャフトドアの第2のグループ(7、7a)が建物(2)の非公共区域(Zs1、Zs2)に配置される、いくつかのシャフトドア(6、6a、7、7a)とを備え、
エレベータ制御部(13)が、
- 第1の動作モードであって、エレベータ制御部(13)がそれに従ってエレベータかご(10)をフロア(L、L0)間で移動させて公共区域(Zp1、Zp2)にサーブするように構成され、サーブされるフロア(L、L0)で、エレベータ制御部(13)がかごドア(10a)の開放を制御し、それは、サーブされるフロア(L、L0)で、そこの公共区域(Zp1、Zp2)に配置されたシャフトドア(6)の開放を開始する、第1の動作モードと、
- 第2の動作モードであって、エレベータ制御部(13)がそれに従って、非公共区域(Zs1、Zs2)にサーブするために、エレベータかご(10)をフロア(L、Ln)間で移動させるように構成され、サーブされるフロア(L、Ln)でエレベータ制御部(13)がかごドア(10b)の開放を制御し、それは、サーブされるフロア(L、Ln)で、そこの非公共区域(Zs1、Zs2)に配置されたシャフトドア(7、7a)の開放を開始する、第2の動作モードとを含む、
エレベータ設備(1)。
【請求項2】
エレベータ制御部(13)に通信可能に接続され、エレベータかご(10)内に乗客(P)が存在するかどうかを示すステータス信号を生成するように構成された監視デバイス(24)をさらに備え、エレベータ制御部(13)は、監視デバイス(24)によって生成されたステータス信号が、エレベータかご(10)内に乗客(P)が存在しないことを示すときに、第1の動作モードと第2の動作モードとの間で変化するだけであるように構成された、請求項1に記載のエレベータ設備(1)。
【請求項3】
エレベータかご(10)内に情報ユニット(25)をさらに備え、情報ユニット(25)は、エレベータ制御部(13)に通信可能に接続され、エレベータ制御部(13)による制御下で、乗客(P)にエレベータかご(10)から降りるように要求する通知、特に視聴覚通知を生成するように構成された、請求項1または2に記載のエレベータ設備(1)。
【請求項4】
エレベータのグループ(E1~E4)が存在し、エレベータ(E1)が少なくとも1つのエレベータかご(10)を備え、グループにおける他のエレベータ(E2~E4)が、第1のかごドアおよび第2のかごドア(10a、10b)を備えるエレベータかご(10)をそれぞれ有し、エレベータ(E1~E4)が、建物(2)内に一列に互いに隣接して配置される、請求項1から3のいずれか一項に記載のエレベータシステム(1)。
【請求項5】
エレベータのグループ(E1~E4)が存在し、エレベータ(E1)が少なくとも1つのエレベータかご(10)を備え、グループにおける他のエレベータ(E2~E4)が、エレベータかご(10)をそれぞれ有し、エレベータ(E1~E4)が、建物(2)内に互いに隣接して配置され、少なくとも1つのエレベータかご(10)またはさらなるエレベータかご(10)が第1のかごドアおよび第2のかごドア(10a、10b)を有し、その結果、グループ内の少なくとも1つのエレベータ(E1~E4)が1つのかごドアのみを備えるエレベータかごを有する、請求項1から3のいずれか一項に記載のエレベータシステム(1)。
【請求項6】
エレベータのグループ(E1~E4)が存在し、エレベータ(E1)が少なくとも1つのエレベータかご(10)を備え、エレベータサブグループはそのグループのエレベータ(E2~E4)を備え、その各々が単一のかごドア(10b)を備えるエレベータかご(10)を有し、アクセス制御フロア(L)上で少なくとも1つのエレベータかご(10)の第2のかごドア(10b)およびエレベータサブグループの単一のかごドア(10b)が第1の非公共区域(Zs1)上へ開放されるように、エレベータ(E1~E4)が建物(2)内に配置される、請求項1から3のいずれか一項に記載のエレベータ設備(1)。
【請求項7】
エレベータ設備(1)が、エレベータ制御部(13)と、エレベータ制御部(13)による制御下で建物(2)のフロア(L0、L、L1、Ln)間でエレベータシャフト(18)内を移動可能であり、第1のかご壁(10d)に第1のかごドア(10a)および第2のかご壁(10c)に第2のかごドア(10b)を有する、少なくとも1つのエレベータかご(10)と、エレベータシャフト(18)をフロア(L0、L、L1、Ln)から分離するいくつかのシャフトドア(6a、6b、7)であって、シャフトドアの第1のグループ(6、6a)が建物(2)の公共区域(Zp1、Zp2)に配置され、シャフトドアの第2のグループ(7、7a)が建物(2)の非公共区域(Zs1、Zs2)に配置される、いくつかのシャフトドア(6a、6b、7)とを備え、方法が、
第1の動作モードまたは第2の動作モードに従ってエレベータ制御デバイス(13)を動作させることを含み、
第1の動作モードでは、エレベータかご(10)が、エレベータ制御部(13)による制御下で、公共区域(Zp1、Zp2)にサーブするためにフロア(L、L0)間で移動され、エレベータ制御部(13)は、サーブされるフロア(L、L0)上のかごドア(10a)の開放を制御し、サーブされるフロア(L、L0)上の前記かごドアは、そこの公共区域(Zp1、Zp2)に配置されたシャフトドア(6)の開放を開始し、
第2の動作モードでは、エレベータかご(10)が、エレベータ制御部(13)による制御下で、非公共区域(Zs1、Zs2)にサーブするためにフロア(L、Ln)間で移動され、エレベータ制御部(13)は、サーブされるフロア(L、Ln)上のかごドア(10a)の開放を制御し、サーブされるフロア(L、Ln)上の前記かごドアは、そこの非公共区域(Zs1、Zs2)に配置されたシャフトドア(7、7a)の開放を開始する、請求項1から6のいずれか一項に記載のエレベータ設備(1)を動作させるための方法。
【請求項8】
エレベータ制御部(13)に通信可能に接続され、乗客(P)がエレベータかご(10)内に存在するかどうかを示す監視デバイス(24)によって生成されたステータス信号を評価することをさらに含み、エレベータ制御部(13)は、監視デバイス(24)によって生成されたステータス信号が、エレベータかご(10)内に乗客(P)が存在しないことを示すときに、第1の動作モードと第2の動作モードとの間で変化するだけであるように構成される、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
エレベータかご(10)内の情報ユニット(25)による通知、特に視聴覚通知の生成をさらに含み、情報ユニット(25)は、エレベータ制御部(13)に通信可能に接続され、通知は、乗客(P)にエレベータかご(10)から降りるように要求する、請求項7または8に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で説明する技術は、一般に、建物内のエレベータシステムに関する。本技術の例示的な実施形態は、特に、アクセス制御機能を有するエレベータ設備およびそのようなエレベータ設備を動作させるための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
建物へのアクセスまたは建物内のアクセス制限区域へのアクセスは、様々な方法で制御されることができる。例えば、アクセス制御システムで使用される技術、例えば鍵、アクセスコード(PIN、光コード(バーコード、QRコード、カラーコード)に応じて、アクセス制御システムは物理的障壁(例えば、ドア、障壁、またはロック)のロックを解除し、ユーザが有効なクレデンシャルを有する場合には物理的障壁をユーザに解放することができる。欧州特許第2588399号明細書から、アクセス制御機能がエレベータ設備と併せて行われることもできることが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】欧州特許第2588399号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の手法は、建物またはそのアクセス制限区域へのアクセスを制御するが、建物内の追加の制御機能に対する要件が、それによって建物またはそのインフラストラクチャの複雑な変更をもたらすことなく存在することがあり得る。したがって、これらの要件を完全にまたは少なくとも部分的に満たす技術が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書で説明する技術の一態様は、エレベータ制御部、少なくとも1つのエレベータかご、およびいくつかのシャフトドアを有するエレベータ設備に関する。エレベータかごは、エレベータ制御部によって建物のフロア間でエレベータシャフト内を移動されることができ、第1のかご壁に第1のかごドアおよび第2のかご壁に第2のかごドアの2つのかごドアを有する。シャフトドアは、エレベータシャフトをフロアから分離し、シャフトドアの第1のグループは建物の公共区域に配置され、シャフトドアの第2のグループは建物の非公共区域に配置される。エレベータ制御部は、第1の動作モードおよび第2の動作モードを有する。第1の動作モードでは、エレベータ制御部は、エレベータかごをフロア間で移動させ、公共区域にサーブするように構成される。サーブされるフロアで、エレベータ制御部はかごドアの開放を制御し、かごドアは、サーブされるフロアで、そこの公共区域に配置されたシャフトドアの開放を引き起こす。第2の動作モードでは、エレベータ制御部は、非公共区域にサーブするために、エレベータかごをフロア間で移動させるように構成される。サーブされるフロアで、エレベータ制御部はかごドアの開放を制御し、かごドアは、サーブされるフロアで、そこの非公共区域に配置されたシャフトドアの開放を引き起こす。
【0006】
本明細書で説明する技術の別の態様は、エレベータ設備を動作させるための方法に関する。この場合、エレベータ設備は、前の段落で説明したように構成される。本方法は、第1の動作モードまたは第2の動作モードに従ってエレベータ制御部を動作させることを含む。第1の動作モードでは、エレベータかごは、公共区域にサーブするためにエレベータ制御部によって制御された方法でフロア間を移動され、サーブされるフロアで、エレベータ制御部は、かごドアの解放を制御し、かごドアは、サーブされるフロアで、そこの公共区域に配置されたシャフトドアの開放を引き起こす。第2の動作モードでは、エレベータかごは、非公共区域にサーブするためにエレベータ制御部によって制御された方法でフロア間を移動され、サーブされるフロア上のエレベータ制御部は、かごドアの解放を制御し、それは、サーブされるフロアで、そこの非公共区域に配置されたシャフトドアの開放を引き起こす。
【0007】
本明細書で説明する技術は、従来技術の代替であるアクセス制御機能をエレベータ設備に装備することを可能にする。エレベータ制御部は、第1の動作モードおよび第2の動作モードを有し、これら2つの動作モード間で切り替わることができる。第1の動作モードでは、エレベータ制御部は、公共区域を有するフロアから及び公共区域を有するフロアへのみエレベータかごを移動させ、第2の動作モードでは、エレベータ制御部は、非公共区域を有するフロアから及び非公共区域を有するフロアへのみエレベータかごを移動させる。このようにして、アクセス制御フロアとして機能するフロアが建物内に定義され得、例えば、企業の受付エリアやホテルの受付が位置することができる。例えば、建物の公共区域を介して建物に入り、そこでエレベータ呼び出しを入力する乗客は、最初は、エレベータ設備によって、特にアクセス制御フロア上の別の公共建物区域にのみ輸送されることができる。受付エリアまたは受付で検出された後、乗客は、アクセス制御フロア上の非公共区域から建物内の所望の利用フロアに搬送されるために、アクセス制御フロア上の非公共区域に入ることができる。
【0008】
本明細書で説明する技術はまた、公共区域を有するフロアのみにサーブする追加のシャトルエレベータを必要とせずに、前述の方法でアクセス制御フロアがサーブされることを可能にする。具体的には、2つの動作モードによって、同じエレベータ(したがって、例えば、同じエレベータシャフトも)が、公共区域を有するフロア間の移動だけでなく、非公共区域を有するフロア間の移動にも使用されることが可能になる。シャトルエレベータが不要であるため、建物内のエレベータ設備に必要なスペースがより少なくて済む。それで、例えば、より小さい設置面積で建物を計画および構築することができ、または、もはや不要となった空間が異なる用途に利用可能になる。エレベータ設備のより小さい空間要件により、例えば、建築家は、建物の計画および設計においてより多くの自由度を有することができる。
【0009】
例示的な一実施形態では、アクセス制御機能は、監視デバイスによって生成されたステータス信号がエレベータかご内に乗客が存在しないことを示すときにのみ、2つの動作モード間の切り替えが可能であるという事実によってサポートされる。言い換えれば、例示的な一実施形態では、動作モードの変更前に、エレベータかごが空であるかどうかを確認することができる。例示的な一実施形態では、監視デバイスは、エレベータかご内に配置される。
【0010】
例示的な一実施形態では、エレベータ制御部に通信可能に接続された情報ユニットが、エレベータかご内に配置される。エレベータ制御部によって制御された情報ユニットは、例えばエレベータかごが行先フロアに到着し、エレベータ制御部が動作モードを変更しなければならないときに、乗客にエレベータかごから降りるように促す通知、特に視聴覚通知を生成する。
【0011】
例示的な一実施形態では、情報ユニットは、公共区域を有するフロア、特にアクセス制御フロアのみがサーブされることを乗客に知らせる通知を生成する。このような通知は、例えば、乗客が公共区域からエレベータかごに入ったときに行われる。通知はまた、乗客に受付に行くように知らせるまたは要求することもできる。
【0012】
エレベータかご内の乗客の通知に加えて、またはその代わりとして、例示的な一実施形態では、乗客の通知は、フロアの公共区域内で既に行われてもよい。乗客に通知する前述の可能性により、乗客は、エレベータ設備を使用する際、および建物内で彼ら自身の位置を知る際に支援される。
【0013】
本明細書で説明する技術は、単一のエレベータを備えるエレベータ設備に限定されない。また、エレベータグループまたはいくつかのエレベータグループと併せて使用されることもできる。例示的な一実施形態では、エレベータ設備はエレベータのグループを備え、このエレベータグループにおける1つのエレベータは少なくとも1つのエレベータかごを備え、このグループにおける他のエレベータは、第1のかごドアおよび第2のかごドアを備えるエレベータかごをそれぞれ有する。したがって、この例示的な実施形態では、各エレベータかごは、2つのかご壁にかごドアをそれぞれ有する。例示的な一実施形態では、建物内のエレベータグループのエレベータは、一列に互いに隣接して配置される。
【0014】
例示的な一実施形態では、エレベータグループのすべてのエレベータかごがそのような2つのかごドアを装備するわけではない。本明細書で説明する技術は、この点に関して設計の自由度を可能にし、それによって、本技術によって提供されるアクセス制御機能を制限することなくコスト削減を可能にする。
【0015】
エレベータグループにおいて、エレベータの配置は、前述の一列の配置に限定されない。例示的な一実施形態では、エレベータサブグループは、各々が単一のかごドアを備えたエレベータかごを有するエレベータを有する。エレベータグループの残りの部分(1つ以上のエレベータ)では、各エレベータかごは2つのかごドアを有する。エレベータグループのエレベータは、アクセス制御フロア上で少なくとも1つのエレベータかごの第2のかごドアおよびエレベータサブグループの単一のかごドアが第1の非公共区域上へ開放されるように、建物内に配置される。したがって、非公共区域は、エレベータサブグループとエレベータグループの残りの部分との間の空間内に位置する。
【0016】
改善された技術の様々な態様は、図面と併せて例示的な実施形態を参照して以下により詳細に説明される。各図において、同一要素には同一符号を付している。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】複数のフロアを有する建物における例示的な状況および例示的なエレベータ設備の概略図である。
図2】4つのエレベータを備えた例示的なエレベータ設備を有する概略的に示された建物の側面図である。
図3】アクセス制御フロアのレベルにある図2によるエレベータ設備の平面図である。
図4】アクセス制御フロアのレベルにある、さらなる例示的な実施形態によるエレベータ設備の平面図である。
図5】エレベータ設備を動作させるための方法の第1の例示的な実施形態の例示的な図である。
図6】エレベータ設備を動作させるための方法の第2の例示的な実施形態の例示的な図である。
図7】エレベータ設備を動作させるための方法の第3の例示的な実施形態の例示的な図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1は、エレベータ設備1によってサーブされる複数のフロアL0、L、Lnを有する建物2内の例示的な状況の概略図である。本明細書で説明する技術の例示的な一実施形態によれば、建物内部のアクセス制御は、フロアL上で実行される;以下では、フロアLはアクセス制御フロアLとも呼ばれる。図1に示される状況では、建物2は、アクセス制御フロアLの下に少なくとも1つのフロアL0を有し、アクセス制御フロアLの上にいくつかのフロアLnを有する。特定の目的のために1つ以上のフロアLnを使用するために、人は、例えばフロアL0で建物2に入ることができる。以下では、フロアL0をアクセスフロアL0とも称し、フロアLnを利用フロアLnとも称する。当業者であれば、「アクセス制御フロア」、「アクセスフロア」、および「利用フロア」という呼称は一例であり、フロアL0、L、Lnのより良い区別のために本明細書で選択されたものであることを認識するであろう。当業者はまた、フロアL0、L、Lnの配置および/または編成が建物2に合わせて調整され、それに応じて図1に示されているものとは異なるように構成され得ることを認識するであろう。
【0019】
エレベータ設備1の説明のために、図1には、エレベータ制御部13、駆動機械14、懸架手段16(例えば、スチールケーブルまたはフラットベルト)、および懸架手段16に懸架され、エレベータ制御部13による制御下でシャフト18内で移動可能なエレベータかご10(以降、かご10とも称される)、ならびにいくつかのエレベータ動作デバイス4のみが示されている。当業者は、エレベータシステム1が、グループ制御部によって制御される1つ以上のシャフト18内に複数の乗りかご10を備えることもできることを認識するであろう。(図1に示される)牽引エレベータの代わりに、エレベータシステム1は、1つ以上の油圧エレベータを有することもできる。
【0020】
図1に示されるエレベータかご10は、第1のキャビン壁10dに第1のかごドア10aを有し、第2のかご壁10cに第2のキャビンドア10bを有する。図示される例示的な実施形態では、エレベータ制御部13に通信可能に接続された監視デバイス24および情報デバイス25が、かご10内に配置されている。監視デバイス24は、乗客Pがエレベータかご10内に存在するかどうかを示すステータス信号を生成するように構成される。監視デバイス24は、例えば、関連する画像処理デバイスを有するビデオカメラを備えることができる;これにより、乗客Pの存在が検出されることができる。当業者は、エレベータ設備1が自律的に移動可能なオブジェクト(ロボット)または別のオブジェクトを輸送するために使用されることもできることを認識するであろう;したがって、「乗客」という用語は、そのようなオブジェクトも含む。
【0021】
図1はまた、エレベータシャフト18をフロアL0、L、Lnから分離するいくつかのシャフトドア6a、6b、7、7aを示す。例示的な一実施形態では、シャフトドア6a、6b、7、7aは、エレベータかご10がフロアL0、L、Lnに位置するときにかごドア10a、10bの一方に結合されることによって開閉され、それによってかごドア10a、10bによって動かされ得る。図1の例示的な実施形態では、アクセス制御フロアLでは、第1のシャフトドア6が建物2の第1の公共区域Zp1に配置され、第2のシャフトドア7が建物2の第1の非公共区域Zs1に配置される。アクセスフロアL0には、第3のシャフトドア6aが建物の第2の公共区域Zp2に配置されている。利用フロアLnには、第4のシャフトドア7aが第2の非公共区域Zs2に配置されている。当業者は、さらなる公共区域および非公共区域Zp、Zsが建物内に設けられ得ることを認識するであろう。
【0022】
通信ネットワーク22は、エレベータ動作デバイス4をエレベータ制御部13に接続し、したがってエレベータ制御部13とエレベータ動作デバイス4との間の通信を可能にする。この通信のために、エレベータ動作デバイス4およびエレベータ制御部13は、通信ネットワーク22に直接的または間接的に接続されてもよい。通信ネットワーク22は、通信バスシステム、個々のデータ線、またはそれらの組み合わせを備えることができる。通信ネットワーク22の実装に応じて、個々のアドレスおよび/または識別子がエレベータ制御部13および各エレベータ動作デバイス4に割り振られることができ、その結果、例えば、エレベータ制御部13は、ターゲット化された方法で所望のエレベータ動作デバイス4にメッセージを送信することができる。通信は、有線通信のためのプロトコル、例えばイーサネットプロトコルに従って行うことができる。一実施形態では、エレベータ動作デバイス4には、通信ネットワーク22を介して電気エネルギーが供給される(PoE)。エレベータ動作デバイス4がかご10内に配置される場合、例示的な一実施形態では、通信のため、およびエレベータ動作デバイス4にエネルギーを供給するために通信線20が使用される。
【0023】
図1に示される状況において、およびエレベータ設備1およびその動作モードの例示的な実施形態によれば、エレベータ設備1を使用する建物2における制御機能が提供される。簡潔に要約すると、例として、本明細書で説明する技術によるエレベータ設備1には2つの動作モードが設けられている。第1の動作モードでは、エレベータ制御部13は、エレベータかご10をフロアL、L0間で移動させ、公共区域Zp1、Zp2にサーブする。サーブされるフロアL、L0の一方で、エレベータ制御部13はかごドア10a、10bの開放を制御し、これが、サーブされるフロアL、L0で、そこの公共区域Zp1、Zp2に配置されたシャフトドア6、6aの開放を引き起こす。第2の動作モードでは、エレベータ制御部13は、エレベータかご10をフロアL、Ln間で移動させて非公共区域Zs1、Zs2にサーブする。この場合、エレベータ制御部13は、サーブされるフロアL、Lnの一方でかごドア10a、10bの開放を制御し、これが、サーブされるフロアL、Lnで、そこの非公共区域Zp1、Zp2に配置されたシャフトドア7、7aの開放を引き起こす。本説明の他の箇所で述べられているように、動作モードは、エレベータかご10が空であるときにのみ変更される。
【0024】
例示的な一実施形態によれば、乗客Pが、エレベータを利用することによりアクセスフロアL0上の公共区域Zp2から利用フロアLn、さらにそこの非公共区域Zs2に移動することを望む場合、エレベータかご10は、それらを最初にアクセス制御フロアLに輸送する。エレベータ設備1は、この目的のために、第1の動作モードにあり、エレベータかご10は、公共区域Zp1、Zp2を有するフロアL0、Lから及び公共区域Zp1、Zp2を有するフロアL0、Lへのみ移動する。乗客Pがアクセス制御フロアLで乗りかご10から降りて公共区域Zp1に入ると、乗客Pはそこで検出される(例えば、見られる、認識される、挨拶される、および/または登録される)ことができる。この例示的な実施形態では、そのときエレベータかご10は空であり、第1の動作モードから第2の動作モードへの変更を行うことができる。第2の動作モードでは、エレベータかご10は、非公共区域Zs1、Zs2を有するフロアL0、Lnから及び非公共区域Zs1、Zs2を有するフロアL0、Lnへのみ移動される。それで、この例示的な実施形態における乗客Pが、アクセス制御フロアL上で公共区域Zp1から非公共区域Zp1に入る場合、所望の利用フロアLnに輸送されるためにそこから乗りかご10に入ることができる。
【0025】
アクセス制御フロアLは、例えば、企業の受付エリアまたはホテルの受付を備えることができ、一方、企業の部屋またはホテルの部屋は、少なくとも1つの利用フロアLnに位置する。企業またはホテルでは、すべての乗客Pが、そこで職員によって登録されるために、既知である/登録されているもしくは知られていないかにかかわらず、または定期的にもしくは初めて建物2内にいるかにかかわらず、受付エリアまたは受付デスクを通過しなければならないことが規定され得る。したがって、アクセス制御フロアLの受付エリアまたは受付デスクまたはそれらのスタッフは、建物2におけるアクセス制御機能の実装に貢献する。
【0026】
エレベータ設備1は、建物2のタイプおよびサイズならびにその輸送要件に応じて構成されることができる。エレベータ設備1の様々な実施形態が、図2図3、および図4に示されている。図2は、2つのかごドア10a、10bを備えたエレベータかご10を各々が有する4つのエレベータE1、E2、E3、E4のグループを有する例示的なエレベータ設備1を備える概略的に示された建物2の側面図を示す。図示される例示的な実施形態では、エレベータE1~E4は、フロアL0、L、L1、L2、Lnにサーブする。アクセス制御フロアLでは、各エレベータE1~E4について、公共区域Zp1から及び公共区域Zp1へのアクセス、および非公共区域Zs1から及び非公共区域Zs1へのアクセスがそこで可能であることが示されている。アクセスフロアL0では、各エレベータE1~E4について、公共区域Zp2から及び公共区域Zp2へのアクセスがそこで可能であることが示されている。利用フロアL1~Lnでは、非公共区域Zs、Zs2から及び非公共区域Zs、Zs2へのみアクセスが可能である。
【0027】
別の例示的な実施形態では、グループのすべてのエレベータE1~E4が2つのかごドア10a、10bを有するわけではない。例えば、エレベータE1およびE2は各々、2つのかごドア10a、10bを有することができ、一方、エレベータE3およびE4は各々、1つのかごドア10a、10bのみを有する。この場合、エレベータE3およびE4は、フロアL、L1、L2、Lnのみにサーブし、一方、エレベータE1およびE2は、先の例示的な実施形態と同様に、すべてのフロアL0、L、L1、L2、Lnにサーブする。当業者は、一般に、グループ内のすべてのエレベータE1~E4がそれぞれ2つのかごドアを有する必要はないことを認識するであろう。なお、図2において、この例示的な実施形態では、アクセスフロアL0において、エレベータE3、E4の場合には、公共区域用の斜線つきのエリアが省略され得る。
【0028】
図3は、アクセス制御フロアLのレベルにある図2によるエレベータ設備1の平面図を示す。エレベータ設備1は、エレベータE1~E4のグループを備える。エレベータE1は、少なくとも1つのエレベータかご10(図1)を備え、このグループにおける他のエレベータE2~E4は、第1のかごドア10aおよび第2のかごドア10bを備えるエレベータかご10をそれぞれ有する。この平面図では、エレベータE1~E4は、互いに隣接して(本質的に互いに隣接して一列に)配置されている。乗客Pの視点から、エレベータE1~E4は同様に一列に互いに隣接して配置されている。アクセス制御フロアLで、かごドア10aは(公共区域Zp1に対応する)フロアドア6に結合され、かごドア10bは(非公共区域Zs1に対応する)フロアドア7に結合される。矢印26は、アクセス制御フロアL上で可能な移動方向を示している。動作モードに応じて、乗客Pは、エレベータE1~E4を公共区域Zp1または非公共区域Zs1の方向に降りるか、またはそこからエレベータE1~E4に入ることができる。
【0029】
図4は、アクセス制御フロアLのレベルにある、さらなる例示的な実施形態によるエレベータ設備1の平面図を示す。エレベータ設備1は、エレベータE1~E4のグループを備える。エレベータE1は、少なくとも1つのエレベータかご10(図1)を備える。エレベータサブグループは、このグループのエレベータE2~E4を備え、その各々が単一のかごドア10bを備えるエレベータかご10を有する。エレベータE1~E4は、アクセス制御フロアL上で、少なくとも1つのエレベータかご10の第2のかごドア10bおよびエレベータサブグループの単一のかごドア10bが第1の非公共区域Zs1上へ開放されるように、建物2内に配置される。
【0030】
図示される例示的な実施形態では、エレベータE1およびE2は互いに隣接して配置され、それぞれエレベータかご10およびキャブドア10a、10bを有する。アクセス制御フロアLで、各エレベータE1、E2について、かごドア10aは(公共区域Zp1に対応する)フロアドア6に結合され得、かごドア10bは(非公共区域Zs1に対応する)フロアドア7に結合され得る。エレベータE3およびE4もまた、この平面図において互いに隣接して配置され、各々がエレベータかご10を有する;一方、これらのエレベータかご10の各々は、アクセス制御フロアL上で(非公共区域Zs1に対応する)フロアドア7に結合されることができる1つのかごドア10bのみを有する。図4では、エレベータE1、E2がエレベータE3、E4に対向して配置されており、エレベータE1、E2とエレベータE3、E4との間に非公共区域Zs1が位置していることが分かる。
【0031】
図4の例示的な実施形態では、エレベータE1、E2のみが、公共区域Zp1内の乗客Pの視点から知覚可能である。矢印28は、アクセス制御フロアL上で可能な移動方向を示している。動作モードに応じて、乗客Pは、エレベータE1およびE2を公共区域Zp1または非公共区域Zs1の方向に降りるか、またはそこから入ることができる;一方、エレベータE3、E3は、非公共区域Zs1の方向に降りるまたは入るしかできない。
【0032】
エレベータ設備1は、例えば、昇降制御部や行先呼び制御部を装備することができる。当業者は、他のエレベータ制御部、例えば、モバイルデバイスを有する制御部または前述の制御部の混合形態も可能であることを認識するであろう。エレベータ設備1が昇降制御部を装備する場合、エレベータ動作デバイス4がフロアL、L0、Lnに配置され、そのエレベータ動作デバイス4において乗客Pは所望の進行方向を入力することができる。エントリフロアは、進行方向(すなわち、エレベータ呼び出し)が入力されたエレベータ動作デバイス4の場所から決定される。次いで、所望の行先フロアが、乗りかご10内で、そこに配設されたエレベータ動作デバイスで入力される(図1には示されていない)。通信線20は、(かご側の)エレベータ動作デバイスをエレベータ制御部13に接続する。エレベータ設備1が行先呼び制御部を装備する場合、エレベータ動作デバイス4は、乗客Pが所望の行先フロアを入力することができるフロアL、L0、Lnに配置される;乗客Pによって行先フロアが入力された(すなわち、行先呼びの入力)後は、エントリフロアおよび行先フロアに関する情報が利用可能となる。エントリフロアは、行先フロアが入力されたエレベータ動作デバイス6の場所によって規定される。行先呼び制御デバイス12は、入力された行先呼びにエレベータかご10を割り当て、エレベータ制御デバイス8は、行先呼びに応じて、割り当てられたエレベータかご10の移動を制御する。
【0033】
上述したエレベータ設備1の基本的なシステム構成要素およびそれらの機能を理解した上で、図5図6、および図7を参照して、エレベータ設備1を動作させる例示的な方法を以下に説明する。エレベータ設備1は、図1に示されるように構成されることができる;複数のエレベータE1~E4が、図2または図3に示されるように配置されることができる。方法は、例示的なフローチャートおよびそれによって実行されるステップによって示されている。当業者であれば、これらのステップへの分割は一例であり、これらのステップのうちの1つ以上が1つ以上のサブステップに分割されることができ、あるいはいくつかのステップが1つのステップに組み合わせられることができることを認識するであろう。
【0034】
図5は、エレベータ設備1を動作させるための方法の第1の例示的な実施形態のフローチャートの例示的な図である。本方法は、ステップS1で始まり、ステップS8で終了する。ステップS2において、エレベータ設備1のエレベータ制御部13は、第1の動作モードまたは第2の動作モードに従って動作する。動作は、ステップS3における決定によって示される2つの動作モードのうちの1つに従って行うことができる。動作が第1の動作モードに従って行われるべきである場合、方法は、「1」の分岐に沿って、第1の動作モードが動作モードとして指定されるステップS4に進む。動作が第2の動作モードに従って行われるべきである場合、方法は、「2」の分岐に沿って、第2の動作モードが動作モードとして指定されるステップS6に進む。
【0035】
ステップS4で第1の動作モードが指定された場合、エレベータ制御部13は、ステップS5において、エレベータかご10がフロアL、L0間を移動され、公共区域Zp1、Zp2がサーブされるように、それを制御する。これはまた、エレベータ制御部13が、公共区域Zp1、Zp2を有するフロアL、L0から及び公共区域Zp1、Zp2を有するフロアL、L0へのエレベータ呼び出しのみを動作または実行のために受け入れることを意味する。サーブされるフロアL、L0で、エレベータ制御部13はかごドア10aの開放を制御し、前記かごドアは、サーブされるフロアL、L0で、そこの公共区域Zp1、Zp2に配置されたシャフトドア6、6aの開放を開始する。本説明の他の箇所で述べられているように、かごドア10aは、サーブされるフロアL、L0上で対応するシャフトドア6を伴う。
【0036】
ステップS6で第2の動作モードが指定された場合、エレベータ制御部13は、ステップS7において、エレベータかご10がフロアL、Ln間を移動され、非公共区域Zs1、Zs2がサーブされるように制御する。これはまた、エレベータ制御部13が、非公共区域Zs1、Zs2を有するフロアL、Lnから及び非公共区域Zs1、Zs2を有するフロアL、Lnへのエレベータ呼び出しのみを動作または実行のために受け入れることを意味する。サーブされるフロアL、Lnで、エレベータ制御部13はかごドア10bの開放を制御し、前記かごドアは、サーブされるフロアL、Lnで、そこの非公共区域Zs1、Zs2に配置されたシャフトドア7、7aの開放を開始する。かごドア10bもまた、サーブされるフロアL、L0上で対応するシャフトドア7、7aを伴う。
【0037】
図5の例示的な実施形態では、方法はステップS5またはステップS7の後のステップS8で終了する。
【0038】
図6は、エレベータ設備1を動作させるための方法の第2の例示的な実施形態のフローチャートの例示的な図である。本方法は、ステップA1で始まり、ステップA16で終了する。本例示的な実施形態の説明は、図1に示されるエレベータかご10が空であり、これが監視デバイス24によって検出され、エレベータ呼び出しがサーブされない状況に基づき;ステップA2は、この状況を表す。
【0039】
ステップA3において、乗客Pのエレベータ呼び出しが受信される。エレベータ呼び出しは、行先呼びであってもよく、または進行方向を示してもよい。
【0040】
ステップA4では、エントリフロアが決定される。エントリフロアは、乗客Pがエレベータ呼び出しを入力するエレベータ動作デバイス4が配置されるフロアL、L0、Lnから導かれる。乗客Pは、公共区域Zpにいてもよいし、非公共区域Zsにいてもよい。ステップA4では、乗客Pが位置し、乗客Pがそこからエレベータかご10に入らなければならない区域のタイプ(Zp、Zs)も決定される。したがって、区域タイプの決定はまた、エレベータドア10a、10bのどちらがエントリフロアで開放されるべきかを含む。乗客Pによって使用されるエレベータ動作デバイス4も同様に、2つの区域Zp、Zsのいずれかにおいて配置されることができる。したがって、例示的な一実施形態では、区域のタイプはこのエレベータ呼び出しに対して決定されることができる。
【0041】
ステップA5では、区域が公共区域Zp1、Zp2であるかどうかが確認される。該当する場合、方法はYESの分岐に沿ってステップA6に進む。一方、区域が非公共区域Zs1、Zs2である場合、方法はNOの分岐に沿ってステップA11に進む。
【0042】
ステップA6では、エレベータ制御部13に対して第1の動作モードが指定される。エレベータかご10は空であるため(ステップA2)、本明細書で説明する技術によれば、一方の動作モードからもう一方の動作モードに切り替わることが可能である。
【0043】
ステップA6に続くステップA7では、第1の動作モードに従ってエレベータ呼び出しが処理される。第1の動作モードでは、エレベータ制御部13は、公共区域Zp1、Zp2を有するフロアL、L0から及び公共区域Zp1、Zp2を有するフロアL、L0へのエレベータ呼び出しのみを受け入れ、公共区域Zp1、Zp2へのドアのみが開放される(図5のステップS5も参照されたい)。
【0044】
ステップA8では、(第1の動作モードで処理されることができる)乗客Pのエレベータ呼び出し、および他の乗客からの存在するすべての可能なエレベータ呼び出しが処理される。したがって、エレベータかご10は空でなければならない。
【0045】
ステップA9では、エレベータかご10が空であるかどうかが確認される。この目的のために、監視デバイス24の信号が評価される。エレベータかご10が空である場合、方法はYESの分岐に沿ってステップA16に進み、そこで方法は終了するか、またはステップA1の開始に戻る。
【0046】
エレベータかご10が空でない場合、方法はNOの分岐に沿ってステップA10に進む。ステップA10では、例えば、とりわけ、エレベータの不正使用があることを建物の職員に通知する、および/またはエレベータかご10内の情報ユニット25をアクティブ化して、乗客にエレベータかご10から降りるように要求する視聴覚的通知を生成するアラームが生成される。
【0047】
ステップA10でアラームが生成された後、本方法は、ステップA9でエレベータかご10が空であるかどうかを再び確認するために、事前指定された期間待機することができる。このクエリは、エレベータかご10が空になるまで維持されることができる。
【0048】
上述のステップA5では、非公共区域Zs1、Zs2に関する場合、方法はNOの分岐に沿ってステップA11に進む。ステップA11では、エレベータ制御部13に対して第2の動作モードが指定される。エレベータかご10は空であるため(ステップA2)、本明細書で説明する技術によれば、一方の動作モードからもう一方の動作モードに切り替わることが可能である。
【0049】
ステップA12では、第2の動作モードに従ってエレベータ呼び出しが処理される。この動作モードでは、エレベータ制御部13は、非公共区域Zs1、Zs2を有するフロアL、Lnから及び非公共区域Zs1、Zs2を有するフロアL、Lnへのエレベータ呼び出しのみを受け入れ、非公共区域Zs1、Zs2へのドアのみが開放される(図5のステップS7も参照されたい)。
【0050】
この分岐A13~A15の残りのステップは、ステップA8~A10に関連して説明したように実行される。特に、これらのステップA8~A10およびA13~A15は、動作モードがもう一方の動作モードに切り替わる(ステップA2、A6およびA11を参照)前に、エレベータかご10が空であることを確実にする。
【0051】
図7は、エレベータ設備1を動作させるための方法の第3の例示的な実施形態の例示的な図である。本方法は、ステップB1から開始してループを通過し、この例示的な実施形態ではステップB2に戻る。
【0052】
ステップB2では、エレベータかご10が空であるかどうかが確認される。この目的のために、監視デバイス24の信号が評価される。エレベータかご10が空である場合、方法はYESの分岐に沿ってステップB3に進み、ステップB3では、動作モードが第1の動作モードまたは第2の動作モードであり得ると判定される。一方、エレベータかご10が空でない場合、方法は、NOの分岐に沿ってステップB4に進み、そこでエレベータ制御部13の現在の動作モードが保持される。エレベータかご10は空ではないので、本明細書で説明する技術によれば、(ステップB2の実行時の)動作モードを変更することはできない。
【0053】
ステップB3およびB4の後にステップB5が続く。ステップB5では、両方の動作モードが可能なステップB3(第1または第2の動作モードのいずれか)またはステップB4(現在の動作モードが保持される)で指定された動作モードに従って、少なくとも1つのエレベータ呼び出しが存在するかどうかが確認される。そのようなエレベータ呼び出しが存在する場合、方法は、YESの分岐に沿ってステップB6に進み、そうでない場合、NOの分岐に沿ってステップB9に進む。
【0054】
ステップB6では、エレベータ制御部13がエレベータかご10の必要な次の停止を計画するために、存在するエレベータ呼び出しが分析される。ここでは、サーブされるフロアと、エレベータ呼び出しおよび動作モードに応じてサーブされるフロアでの停止において開放されなければならないかごドア10a、10bとが選択される。
【0055】
ステップB7では、エレベータ呼び出しに対してステップB6で選択された停止に応じて動作モードが設定される。動作モードは、第1の動作モードまたは第2の動作モードに設定されることができる。ここでは2つのケースがある:動作モードが既に設定されている場合(すなわち、第1の動作モードまたは第2の動作モードに)は、エレベータ呼び出しは動作モードと確実に一致し、動作モードが維持される。一方、言い換えれば、(ステップB3による)動作モードが依然として選択され得る場合は、ステップB7において、公共区域Zpのみ(第1の動作モード)または非公共区域Zs(第2の動作モード)のいずれかに関係するエレベータ呼び出しに従って、動作モードが決定される。
【0056】
ステップB8では、停止するために、サーブされるフロアにエレベータかご10が移動される。ここで、ステップB6で選択されたかごドア10a、10bが解放され再び閉じられ、かごドア10a、10bによってフロアドア6、6a、7、7aが一緒に移動される。したがって、エレベータ呼び出しが応答され、方法はステップB2に戻る。
【0057】
ステップB9では、ステップB5において、ステップB3またはB4で定義された動作モードに従ってさらなるエレベータ呼び出しが存在しないことが確認されると、異なる動作モードを必要とするさらなるエレベータ呼び出しが存在するかどうかの確認を必要とするさらなるエレベータ呼び出しが存在するかどうかが確認される。そのようなエレベータ呼び出しが存在しない場合、方法は、NOの分岐に沿ってステップB2に戻り、そうでない場合、YESの分岐に沿ってステップB10に進む。
【0058】
ステップB10では、図6のステップA10に関連して説明したようにアラームが生成される。加えて、かごドア10a、10bおよび対応するフロアドア6、6a、7、7aは、エレベータかご10が空になるまで開放されたままになる。エレベータかご10が空である場合、アラームが終了されることができる。次いで、プロセスは、ステップB2に戻る。
【0059】
例示的な一実施形態では、図1に示される状況に基づいて、乗客Pは、(行先呼びデバイスとして示されている)エレベータ動作デバイス4でエレベータ呼び出しを入力する。エレベータかご10が乗車可能な状態、すなわち、シャフトドア6bおよびかごドア10aが開放された状態になると、乗客Pがかご10に入る。例示的な一実施形態では、かご10内に配置された情報ユニット25は乗客Pに、かご10がアクセス制御フロアLに向けて進行し、そこから出なければならないことを通知する。キャビン10がアクセス制御フロアLにあるとき、乗客Pは、開放されたかごドア10aおよび開放されたシャフトドア6aを通過して第1の公共区域Zp1に入る。次いで、監視デバイス24は、かご10が空であるかどうかを確認する。乗客Pは、職員による検出の後、所望の利用フロアLnへの移動を開始するために、アクセス制御フロアL上の第1の非公共区域Zs1に入る。そこに配置されたエレベータ動作デバイス4で、乗客Pは所望の利用フロアLnを入力する(行先呼び出し)。監視デバイス24による確認により、かご10が空であることが明らかになった場合、エレベータ制御部13は第2の動作モードに切り替わる。エレベータかご10が乗車可能、すなわち、シャフトドア7およびかごドア10bが開放されると、乗客Pがかご10に入り、所望の利用フロアLnまで輸送される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【国際調査報告】