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特表2023-5494773次元プリント炭素結合複合品の製造方法
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  • 特表-3次元プリント炭素結合複合品の製造方法 図1
  • 特表-3次元プリント炭素結合複合品の製造方法 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-27
(54)【発明の名称】3次元プリント炭素結合複合品の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 64/314 20170101AFI20231117BHJP
   C08J 5/24 20060101ALI20231117BHJP
   B29C 64/112 20170101ALI20231117BHJP
   B33Y 10/00 20150101ALI20231117BHJP
   B33Y 70/00 20200101ALI20231117BHJP
   B29C 64/264 20170101ALI20231117BHJP
   B29C 64/295 20170101ALI20231117BHJP
   C08F 290/14 20060101ALI20231117BHJP
【FI】
B29C64/314
C08J5/24 CER
C08J5/24 CFC
B29C64/112
B33Y10/00
B33Y70/00
B29C64/264
B29C64/295
C08F290/14
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023524476
(86)(22)【出願日】2021-10-20
(85)【翻訳文提出日】2023-06-15
(86)【国際出願番号】 US2021055779
(87)【国際公開番号】W WO2022087085
(87)【国際公開日】2022-04-28
(31)【優先権主張番号】63/094,805
(32)【優先日】2020-10-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505005522
【氏名又は名称】アルケマ フランス
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100108903
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 和広
(74)【代理人】
【識別番号】100123593
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 宣夫
(74)【代理人】
【識別番号】100208225
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 修二郎
(74)【代理人】
【識別番号】100217179
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 智史
(72)【発明者】
【氏名】テイラー ビー.アルバラド
(72)【発明者】
【氏名】ブロック アダム ジャーナー
(72)【発明者】
【氏名】シーン ヌネズ
(72)【発明者】
【氏名】アンドリュー ジョン オーバビー
(72)【発明者】
【氏名】ジェレミア アール.スミス
(72)【発明者】
【氏名】カイル スノー
(72)【発明者】
【氏名】ライアン シー.ストケット
(72)【発明者】
【氏名】ネイサン アンドリュー ストランバーグ
(72)【発明者】
【氏名】ウィリアム ウォルフ
【テーマコード(参考)】
4F072
4F213
4J127
【Fターム(参考)】
4F072AA07
4F072AD09
4F072AD55
4F072AE02
4F072AK03
4F072AK20
4F213AA39
4F213AA43
4F213AA44
4F213AB04
4F213AB11
4F213AB16
4F213AB18
4F213AB24
4F213AB25
4F213WA25
4F213WB01
4F213WL03
4F213WL12
4F213WL23
4F213WL24
4F213WL25
4F213WL43
4F213WL55
4F213WW02
4F213WW06
4J127AA06
4J127BB041
4J127BB081
4J127BB221
4J127BC031
4J127BC131
4J127BD191
4J127BG051
4J127BG101
4J127BG121
4J127CB151
4J127CB281
4J127CB341
4J127CC031
4J127CC091
4J127CC121
4J127CC291
4J127DA52
4J127EA03
4J127EA13
4J127FA06
(57)【要約】
3次元炭素結合複合品を積層造形する方法が開示されている。該方法は、プリントヘッドから硬化性組成物を吐出するステップを含み得る。硬化性組成物は、a)(メタ)アクリレートオリゴマー、エポキシ官能化化合物、オキセタン官能化化合物およびそれらの混合物からなる群から選択された、0.4~1.6のH/Catomic ratioを有する少なくとも1つの芳香族化学線硬化性構成要素と;b)少なくとも1つの化学線硬化性モノマーを含む少なくとも1つの希釈剤と;を含み得る。硬化性組成物は同様に、c)補強材と;d)光開始剤と;を含み得る。該方法はさらに、吐出中に硬化性組成物を照射して、硬化性組成物を少なくとも部分的に化学線硬化させ、3次元炭素結合複合品のプリフォームを形成するステップを含み得る。該方法は同様に、プリフォームを熱分解して3次元プリント炭素結合複合品を形成するステップを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
積層造形システムを用いた3次元プリント炭素結合複合品の製造方法であって、
プリントヘッドから硬化性組成物を吐出するステップであり、前記硬化性組成物が、
a)(メタ)アクリレートオリゴマー、エポキシ官能化化合物、オキセタン官能化化合物およびそれらの混合物からなる群から選択された、0.4~1.6のH/Catomic ratioを有する少なくとも1種の芳香族化学線硬化性構成要素と;
b)少なくとも1つの化学線硬化性モノマーを含む少なくとも1つの希釈剤と;
c)補強材と;
d)光開始剤と;
を含んでいる、ステップと;
前記吐出中に前記硬化性組成物を照射して、前記硬化性組成物を少なくとも部分的に化学線硬化させ、前記3次元プリント炭素結合複合品のプリフォームを形成するステップと;
を含む方法。
【請求項2】
前記プリフォームを熱分解して前記3次元プリント炭素結合複合品を形成するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記硬化性組成物が、前記硬化性組成物の照射ステップに先立って25℃で多くとも60,000mPa・sの粘度を有している、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記a)が、0.7~1.4のH/Catomic ratioを有する芳香族化学線硬化性構成要素を含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記b)が、少なくとも1という芳香族含有量を有する少なくとも1つの化学線硬化性モノマーを含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記硬化性組成物が、400℃で3時間保持した後に熱重量分析によって測定した場合に、化学線硬化後の前記a)、前記b)および前記d)の重量に基づいて、熱分解後に18重量%超のチャー、詳細には少なくとも20重量%のチャー、より詳細には22.5重量%超、さらにより詳細には25重量%超のチャーを創出する、請求項2~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記a)が、(メタ)アクリル化エポキシノボラック樹脂を含む、請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記a)および前記b)の前記組合せが、0.4~1.6の正味H/Catomic ratioを有する、請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記a)が、一分子あたり少なくとも1つの(メタ)アクリレート基を含む少なくとも1つの芳香族化学線硬化性構成要素を含む、請求項1~8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記a)が、一分子あたり少なくとも2つの(メタ)アクリレート基を含む少なくとも1つの芳香族化学線硬化性構成要素を含む、請求項1~9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記a)が、一分子あたり少なくとも1つのエポキシ基および/または少なくとも1つのオキセタン基を含む少なくとも1つの芳香族化学線硬化性構成要素を含む、請求項1~10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記a)が、一分子あたり少なくとも1つのエポキシ基および/または少なくとも1つのオキセタン基を含み、かつ一分子あたり少なくとも1つの(メタ)アクリレート基をさらに含む、少なくとも1つの芳香族化学線硬化性構成要素を含んでいる、請求項1~11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記a)が:
一分子あたり少なくとも1つのエポキシ基および/または少なくとも1つのオキセタン基を含む第1の芳香族化学線硬化性構成要素と;
一分子あたり少なくとも1つの(メタ)アクリレート基を含む第2の芳香族化学線硬化性構成要素と;
を含む、請求項1~12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記b)が、一分子あたり少なくとも1つの(メタ)アクリレート基を含む少なくとも1つの化学線硬化性モノマーを含む、請求項1~13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記b)が、一分子あたり少なくとも2つの(メタ)アクリレート基を含む少なくとも1つの化学線硬化性モノマーを含む、請求項1~14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記b)が、一分子あたり少なくとも1つのエポキシ基および/または少なくとも1つのオキセタン基を含む少なくとも1つの化学線硬化性モノマーを含む、請求項1~15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
前記b)が、一分子あたり少なくとも1つのエポキシ基および/または少なくとも1つのオキセタン基を含み、かつ一分子あたり少なくとも1つの(メタ)アクリレート基をさらに含む、少なくとも1つの化学線硬化性モノマーを含んでいる、請求項1~16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
前記b)が:
一分子あたり少なくとも1つのエポキシ基および/または少なくとも1つのオキセタン基を含む第1の化学線硬化性モノマーと;
一分子あたり少なくとも1つの(メタ)アクリレート基を含む第2の化学線硬化性モノマーと;
を含む、請求項1~17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
前記c)が、炭素繊維を含む、請求項1~18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
前記c)が、連続繊維を含む、請求項1~19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
前記c)が、前記硬化性組成物の少なくとも0.5重量%の量で存在する粒子を含む、請求項1~20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
前記c)が、繊維を含み、前記硬化性組成物の少なくとも0.5重量%の量で存在する、請求項1~21のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
前記補強材が、不透明であり;
前記硬化性組成物が、少なくとも1つの紫外線透明性補強材をさらに含んでいる、
請求項1~22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
前記硬化性組成物が、少なくとも1つの熱開始剤、詳細にはアゾ化合物、または過酸化物、より詳細にはアゾニトリルまたは有機過酸化物をさらに含んでいる、請求項1~23のいずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
前記a)が、(メタ)アクリル化エポキシノボラック樹脂であり;
前記b)が、エトキシ化ビスフェノールAジアクリレート、2-フェノキシエチルアクリレート、tert-ブチルシクロヘキシルアクリレート、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート、トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリアクリレート、モノまたはポリオキシエチレンp-クミルフェニルエーテルアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレートおよびその混合物からなる群の中から選択され;
前記d)が、ホスフィンオキシドであり;
前記硬化性組成物が、少なくとも1つの熱開始剤をさらに含む;
請求項1~24のいずれか1項に記載の方法。
【請求項26】
タールピッチ、石油製品、非官能化ノボラック、カルボア、ピッチ、亜炭、タール、クレオソート、およびそれらの混合物からなる群の中から選択された少なくとも1つの非硬化性チャー形成成分をさらに含む、請求項1~25のいずれか1項に記載の方法。
【請求項27】
リグニンである少なくとも1つの非硬化性チャー形成成分をさらに含む、請求項1~25のいずれか1項に記載の方法。
【請求項28】
前記硬化性組成物の照射ステップが、前記プリフォーム中の前記硬化性組成物を熱分解する、請求項1~27のいずれか1項に記載の方法。
【請求項29】
前記プリフォームを液体および気体のうちの少なくとも1つで高密度化するステップをさらに含む、請求項1~28のいずれか1項に記載の方法。
【請求項30】
前記液体および前記気体のうちの前記少なくとも1つが、前記硬化性組成物である、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記プリフォームを加熱して、前記液体および前記気体のうちの前記少なくとも1つを熱分解するステップをさらに含む、請求項29または30に記載の方法。
【請求項32】
前記3次元プリント炭素結合複合品内の少なくとも閾値多孔性が達成されるまで、前記高密度化ステップおよび前記加熱ステップを反復するステップをさらに含む、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記高密度化ステップが、前記液体および前記気体のうちの前記少なくとも1つを、前記プリントヘッドにオンボードで位置設定された供給源から前記プリフォーム内に誘導するステップを含んでいる、請求項29~32のいずれか1項に記載の方法。
【請求項34】
前記加熱ステップが、前記プリントヘッドにオンボードで位置設定された加熱器から前記プリフォーム内に熱を誘導するステップを含んでいる、請求項31~33のいずれか1項に記載の方法。
【請求項35】
前記照射ステップが、前記プリントヘッドにオンボードで位置設定された硬化エンハンサーから前記プリフォーム内に硬化エネルギーを誘導するステップを含んでいる、請求項1~34のいずれか1項に記載の方法。
【請求項36】
前記吐出ステップ、前記照射ステップ、前記高密度化ステップおよび前記加熱ステップが、同時に完了させられる、請求項31~35のいずれか1項に記載の方法。
【請求項37】
前記吐出ステップ、前記照射ステップ、前記高密度化ステップおよび前記加熱ステップが、異なる場所で完了させられる、請求項31~36のいずれか1項に記載の方法。
【請求項38】
3次元プリント炭素結合複合品の製造方法であって、
プリントヘッドから25℃で多くとも60,000mPa・sの粘度を有する硬化性組成物を吐出するステップであり、前記硬化性組成物が、
a)(メタ)アクリレートオリゴマー、エポキシ官能化化合物、オキセタン官能化化合物およびそれらの混合物からなる群から選択された、0.4~1.6のH/Catomic ratioを有する少なくとも1つの芳香族化学線硬化性構成要素と;
b)少なくとも1つの化学線硬化性モノマーを含む少なくとも1つの希釈剤と;
c)炭素補強材およびセラミック補強材のうちの少なくとも1つと;
d)光開始剤と;
を含んでいる、ステップと;
前記吐出ステップ中に前記硬化性組成物に対して前記プリントヘッドにオンボードで組付けられた硬化エンハンサーから硬化エネルギーを誘導して、前記硬化性組成物を少なくとも部分的に硬化させ、前記3次元プリント炭素結合複合品のプリフォームを形成するステップと;
前記吐出ステップ中に前記プリントヘッド上に組付けられた加熱器で前記プリフォームを加熱して、前記プリフォーム内の前記硬化性組成物を熱分解するステップであって、前記硬化性組成物が、400℃で3時間保持した後に熱重量分析によって測定した場合に、化学線硬化後の前記a)、前記b)および前記d)の重量に基づいて、前記加熱後に18重量%超のチャーを創出するステップと;
を含む方法。
【請求項39】
前記加熱ステップ後に液体および気体のうちの少なくとも1つで前記プリフォームを高密度化するステップと;
前記プリフォームを加熱して、前記液体および前記気体のうちの前記少なくとも1つを熱分解するステップと;
をさらに含む、請求項38に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、参照により本明細書にその内容が明示的に組込まれている、2020年10月21日出願の米国仮特許出願第63/094,805号に基づくものであり、そこからの優先権の利益を主張する。
【0002】
本開示は概して、組成物から複合構造を積層造形するためのシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0003】
複合材は、多数の異なる成分から作られた材料であり、一緒にした場合に個別の成分の同じ特性よりも高く増強された特性を有する材料である。例えば、複合材料は、その複合材料を製造するために使用される構成材料に比べて、より軽量、より高い強度、剛性、硬度、靭性、耐熱性などを有し得る。複合材の1つの例示的利用分野は、重量、強度および耐久性が重要な考慮事項である高温環境内における利用分野である。これには、飛行体または宇宙飛行体のエンジン、熱シールドおよびロケットノズルなどの航空宇宙利用分野;燃料棒断熱材などの原子炉の利用分野;および他の利用分野が含まれる可能性がある。
【0004】
高温環境においては、多数のタイプの複合材を使用することができる。これらのタイプには、なかでも、炭素結合繊維複合材(CBFC)、例えば炭素結合炭素および炭素結合セラミック複合材;およびセラミックマトリクス複合材(CMC)、例えばセラミック結合炭素およびセラミック結合セラミック複合材が含まれる。これらのタイプの複合材は多くのメリットを提供し得るものの、それらの製造は、困難で、時間がかかり、費用のかかるものであり得る。したがって、それらの使用は、現在限定的である。
【0005】
例えば、CBFCまたはCMC構成要素を作製するための典型的な製造プロセスには、繊維の異方性性能を促進する材料を用いる第1の繊維(炭素またはセラミック繊維)のコーティングステップが含まれる。コーティング済み繊維は、その後、変哲の無い形状、及び所望される構成要素の意図された最終的サイズよりも著しく大きいサイズの両方を有する金型内に手で横たえられるか、またはマンドレルに巻き付けられる。繊維はその後、樹脂で飽和され、金型、繊維および樹脂はオーブン内に入れられ、樹脂が炭素またはセラミックへと熱分解する温度まで加熱される。熱分解ステップは、結果として得られる構造の内部に空洞を創出し、これらの空洞をその後より多くの樹脂で充填する必要がある。金型は再びオーブン内に入れられ、加熱され、結果として得られる構造の多孔性が意図された利用分野のために充分低いものとなるまで、プロセスが反復される。この時点で、一般的形状の複合材料ブロックが製造され、次にこれを減算機械加工して所望されるネットシェイプにする必要がある。複合材料(詳細にはCMC)が硬質であるために、機械加工は困難であり得る。
【0006】
CBFCおよびCMCは、一定の利用分野では高い性能を示すものの、それらを製造するためのプロセスは、労働力、時間そして材料を消耗するものである。このため、これらの複合構成要素は高価なものとなり、それらの利用分野は限定される。開示される積層造形システムおよび方法は、先行技術のこれらのおよび他の問題に対処するように独自に構成されたものである。
【発明の概要】
【0007】
一態様において、本開示は、積層造形システムを用いて3次元プリント炭素結合複合品の製造方法を対象としている。該方法は、プリントヘッドから硬化性組成物を吐出するステップを含み得る。硬化性組成物は、a)(メタ)アクリレートオリゴマー、エポキシ官能化化合物、オキセタン官能化化合物およびそれらの混合物からなる群から選択された、0.4~1.6のH/Catomic ratioを有する少なくとも1種の芳香族化学線硬化性構成要素と;b)少なくとも1つの化学線硬化性モノマーを含む少なくとも1つの希釈剤とを含み得る。硬化性組成物は同様に、c)補強材と;d)光開始剤と;を含み得る。該方法はさらに、吐出中に硬化性組成物を照射して、硬化性組成物を少なくとも部分的に化学線硬化させ、3次元炭素結合複合品のプリフォームを形成するステップを含み得る。
【0008】
一態様において、該方法は、プリフォームを熱分解して3次元プリント炭素結合複合品を形成するステップをさらに含む。
【0009】
一態様において、硬化性組成物は、硬化性組成物の照射ステップに先立って25℃で多くとも60,000mPa・sの粘度を有している。
【0010】
一態様において、a)は、0.7~1.4のH/Catomic ratioを有する少なくとも1種の芳香族化学線硬化性構成要素を含む。
【0011】
一態様において、b)は、少なくとも1という芳香族含有量を有する化学線硬化性モノマーを含む。
【0012】
一態様において、硬化性組成物は、400℃で3時間保持した後に熱重量分析によって測定した場合に、化学線硬化後のa)、b)およびd)の重量に基づいて、熱分解後に少なくとも18重量%のチャー、詳細には少なくとも20重量%のチャー、より詳細には22.5重量%超のチャー、さらにより詳細には25重量%超のチャーを創出する。
【0013】
一態様において、a)は(メタ)アクリル化エポキシノボラック樹脂を含む。
【0014】
一態様において、a)およびb)の組合せは、0.4~1.6の正味H/Catomic ratioを有する。
【0015】
一態様において、a)は、一分子あたり少なくとも1つの(メタ)アクリレート基を含む少なくとも1つの芳香族化学線硬化性構成要素を含む。
【0016】
一態様において、a)は、一分子あたり少なくとも2つの(メタ)アクリレート基を含む少なくとも1つの芳香族化学線硬化性構成要素を含む。
【0017】
一態様において、a)は、一分子あたり少なくとも1つのエポキシ基を含む少なくとも1つの芳香族化学線硬化性構成要素を含む。
【0018】
一態様において、a)は、一分子あたり少なくとも1つのエポキシ基および一分子あたり少なくとも1つの(メタ)アクリレート基を含む少なくとも1種の芳香族化学線硬化性構成要素を含む。
【0019】
一態様において、a)は、一分子あたり少なくとも1つのエポキシ基を含む第1の化合物と;一分子あたり少なくとも1つの(メタ)アクリレート基を含む第2の化合物と;を含む。
【0020】
一態様において、b)は、一分子あたり少なくとも1つの(メタ)アクリレート基を含む少なくとも1つの化学線硬化性モノマーを含む。
【0021】
一態様において、b)は、一分子あたり少なくとも2つの(メタ)アクリレート基を含む少なくとも1つの化学線硬化性モノマーを含む。
【0022】
一態様において、b)は、一分子あたり少なくとも1つのエポキシ基を含む少なくとも1つの化学線硬化性モノマーを含む。
【0023】
一態様において、b)は、一分子あたり少なくとも1つのエポキシ基および一分子あたり少なくとも1つの(メタ)アクリレート基を含む少なくとも1つの化学線硬化性モノマーを含む。
【0024】
一態様において、b)は、一分子あたり少なくとも1つのエポキシ基を含む第1の化合物モノマーと;一分子あたり少なくとも1つの(メタ)アクリレート基を含む第2の化合物モノマーと;を含む。
【0025】
一態様において、c)は、炭素繊維を含む。
【0026】
一態様において、c)は、連続繊維を含む。
【0027】
一態様において、c)は、硬化性組成物の少なくとも0.5重量%の量で存在する粒子を含む。
【0028】
一態様において、c)は繊維を含み、硬化性組成物の少なくとも0.5重量%の量で存在する。
【0029】
一態様において、補強材は不透明であり、硬化性組成物は、少なくとも1つの紫外線透明性補強材をさらに含む。
【0030】
一態様において、硬化性組成物は、少なくとも1つの熱開始剤、詳細にはアゾ化合物、または過酸化物、より詳細にはアゾニトリルまたは有機過酸化物をさらに含んでいる。
【0031】
一態様において、a)は(メタ)アクリル化エポキシノボラック樹脂であり;b)は、エトキシ化ビスフェノールAジアクリレート(詳細にはエトキシ化3ビスフェノールAジアクリレート)、2-フェノキシエチルアクリレート、tert-ブチルシクロヘキシルアクリレート、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート、トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリアクリレート、モノまたはポリオキシエチレンp-クミルフェニルエーテルアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレートおよびその混合物からなる群の中から選択され;d)は、ホスフィンオキシドであり;硬化性組成物は、少なくとも1つの熱開始剤をさらに含む。
【0032】
一態様において、硬化性組成物は、タールピッチ、石油製品、非官能化ノボラック、カルボア、ピッチ、亜炭、タール、クレオソート、およびそれらの混合物からなる群の中から選択された少なくとも1つの非硬化性チャー形成成分をさらに含む。
【0033】
一態様において、硬化性組成物は、リグニンである少なくとも1つの非硬化性チャー形成成分をさらに含む。
【0034】
一態様において、硬化性組成物の照射ステップは、プリフォーム中の硬化性組成物を熱分解する。
【0035】
一態様において、該方法は、プリフォームを液体および気体のうちの少なくとも1つで高密度化するステップをさらに含む。
【0036】
一態様において、液体および気体のうちの少なくとも1つは硬化性組成物である。
【0037】
一態様において、該方法は、プリフォームを加熱して、液体および気体のうちの少なくとも1つを熱分解するステップをさらに含む。
【0038】
一態様において、該方法は、3次元プリント炭素結合複合品内の少なくとも閾値多孔性が達成されるまで、高密度化ステップおよび加熱ステップを反復するステップをさらに含む。
【0039】
一態様において、高密度化ステップは、液体および気体のうちの少なくとも1つを、プリントヘッドにオンボードで位置設定された供給源からプリフォーム内に誘導するステップを含んでいる。
【0040】
一態様において、加熱ステップは、プリントヘッドにオンボードで位置設定された加熱器からプリフォーム内に熱を誘導するステップを含んでいる。
【0041】
一態様において、照射ステップは、プリントヘッドにオンボードで位置設定された硬化エンハンサーからプリフォーム内に硬化エネルギーを誘導するステップを含んでいる。
【0042】
一態様において、吐出ステップ、照射ステップ、高密度化ステップおよび加熱ステップは、同時に完了させられる。
【0043】
一態様において、吐出ステップ、照射ステップ、高密度化ステップおよび加熱ステップは、異なる場所で完了させられる。
【0044】
一態様において、本開示は、3次元プリント炭素結合複合品の別の製造方法を対象としている。この方法は、プリントヘッドから25℃で多くとも60,000mPa・sの粘度を有する硬化性組成物を吐出するステップを含み得る。硬化性組成物は、a)(メタ)アクリレートオリゴマー、エポキシ官能化化合物、オキセタン官能化化合物およびそれらの混合物からなる群から選択された、0.4~1.6のH/Catomic ratioを有する少なくとも1種の芳香族化学線硬化性構成要素と;b)少なくとも1つの化学線硬化性モノマーを含む少なくとも1つの希釈剤と;c)炭素補強材およびセラミック補強材のうちの少なくとも1つと;d)光開始剤と;を含み得る。該方法は、吐出ステップ中に硬化性組成物に対してプリントヘッドにオンボードで組付けられた硬化エンハンサーから硬化エネルギーを誘導して、硬化性組成物を少なくとも部分的に硬化させ、3次元プリント炭素結合複合品のプリフォームを形成するステップをさらに含み得る。該方法は同様に、吐出ステップ中にプリントヘッドにオンボードで組付けられた加熱器でプリフォームを加熱して、プリフォーム内の硬化性組成物を熱分解するステップであって、硬化性組成物が、400℃で3時間保持した後に熱重量分析によって測定した場合に、化学線硬化後のa)、b)およびd)の重量に基づいて、加熱後に18重量%超のチャーを創出するステップをも含み得る。
【0045】
一態様において、該方法は、加熱ステップ後に液体および気体のうちの少なくとも1つでプリフォームを高密度化するステップと;プリフォームを加熱して、液体および気体のうちの少なくとも1つを熱分解するステップと;を含む。
【図面の簡単な説明】
【0046】
図1図1は、開示されている例示的製造システムの概略図である。
図2図2は、図1の製造システムによって完了させることのできる製造プロセスの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0047】
図1は、(例えばネットシェイプを達成するのに実質的な減算機械加工を必要とすることなく)所望されるネットまたはニアネットシェイプを有する複合構造(例えばタービン翼、ロケットノズル、熱シールド、核燃料棒断熱材など)12を製造するために使用可能な例示的積層造形システム(「システム」)10を例示している。システム10は、支持体14および1つ以上の被着ヘッド(「ヘッド」)16を含む。ヘッド16は、支持体14に結合されかつ支持体14によって移動可能であり得る。図1の開示された実施形態において、支持体14は、構造12の製造中、多数の方向にヘッド16を移動させる能力を有するロボットアームである。支持体14は、代替的には、構造12の製造中多数の方向にヘッド16を移動させる能力を同様に有しているガントリー(例えば天井橋または単柱ガントリー)またはハイブリッドガントリー/アームを具現することができる。支持体14は、6軸に沿ったまたはそれを中心とする移動の能力を有するものとして示されているが、支持体14は異なる形で(例えばより多くのまたはより少ない軸に沿ってまたはそれらを中心として)ヘッド16を移動させる能力を有し得るということが企図されている。いくつかの実施形態においては、駆動機構が、ヘッド16を支持体14に機械的に結合し、ヘッド16の一部分を移動させかつ/またはヘッドに電力または材料を供給するべく協働する構成要素を含み得る。
【0048】
各ヘッド16は、樹脂組成物(図中Cとして示されている「組成物」)を収容するかまたは他の形で格納するように構成されてよい。組成物は、固体または半固体状態へと硬化可能であり(例えば後続する処理の間、構造12のグリーン形状を保持するのに充分な硬化性を有し)かつ/またはエネルギー(例えば光、放射線、熱、圧力、化学触媒、振動、磁場など)の適用を介して炭素またはセラミックへと熱分解可能である、あらゆるタイプの液体(例えば懸濁液または溶液)を含むことができる。例示的組成物としては、熱硬化性樹脂(例えばフェノール類、フラン、(メタ)アクリレート、エポキシなど)、ピッチ、セラミック前駆体(例えば、SiC、Si、BN、AIN、SiOC、SiCN、BCNなど)その他が含まれる。
【0049】
一実施形態において、ヘッド16内部の組成物を、対応する導管(図示せず)を介してヘッド16に対し流体結合されている外部装置(例えば押出し機、ポンプなど、図示せず)によって加圧することができる。しかしながら、別の実施形態においては、類似のタイプの装置によって、完全にヘッド16の内部で、圧力を生成することができる。さらに他の実施形態においては、組成物をヘッド16内におよび/またはヘッド16を通して重力フィードすることができる。例えば、組成物を、ヘッド16内にフィードし、1つ以上の補強材(図1中にRとして示されている)と共にヘッド16から押し出すかまたは引き出すことができる。いくつかの事例においては、尚早な硬化を阻止するかまたは他の形で吐出後の所望の硬化速度を得るために、ヘッド16内部の組成物を、低温かつ/または暗所に保つ必要があるかもしれない。他の事例では、同様の理由から、組成物を温かくかつ/または照明を当てた状態に保つ必要があるかもしれない。いずれの状況下、および他の状況下でも、ヘッド16は、これらのニーズに備えるように特別に構成(例えば断熱、温度制御、遮蔽など)されていてよい。
【0050】
いくつかの利用分野において、1つ以上の添加剤を、ヘッド16の上流側および/または内部の場所で組成物に混合することができる。これらの添加剤は、構造12の特性を増強するように選択され得る。例えば、添加剤は、構造12の熱的動作範囲を増大させる成分(例えばB、Zrなど)、構造12の磁気特性を増大させる成分(例えばFe、Co、Niなど)、熱分解の作用を増大させる成分(例えば鉄系材料)、および/または構造12の触媒特性を増大させる成分(例えばCu、Pd、Ptなど)を含むことができる。
【0051】
組成物(すなわち、何らかの添加剤を伴う、または伴わないもの)を用いて、連続補強材および不連続補強材を含めた、構造12の機械的特性を増強させる任意の数の補強材をコーティングすることができる。本開示のためには、連続補強材は、長さ(L)を直径(d)で除したものとして定義されるアスペクト比(V)(例えばV=L/d)が、10、100、1000、100,000、1,000,000さらにはそれ以上であるものとみなされてよい。不連続補強材は、連続補強材のものよりも低いアスペクト比を有する補強材を含み得る。
【0052】
補強材は、組成物と共に構造12の複合部分(例えば壁)を作り上げる材料の粉末、粒子、チョップド繊維、アンチョップド繊維、トウ、ブレイド、ロービング、ファブリック、ニット、マット、ソックス、シート、チューブなどの形で供給され得る。補強材は、(例えば1つ以上のスプールまたはホッパ(図示せず)から供給されて)、ヘッド16の内部に保管されるかまたは他の形でヘッド16を通過させられてよい。多数の補強材が同時に使用される場合、補強材は同じ材料のものであり、同じサイジングおよび断面寸法および形状を有していても、あるいは異なるサイジングおよび/または断面寸法および形状を有する異なる材料であってもよい。サイジングは、例えば、プラズマを用いた補強材の処理または酸(例えば硝酸)を用いた処理を含むことができ、あるいは他の形で、補強材に対する組成物の接着を増強するための作用物質(例えばジアルデヒド、エポキシ、ビニルおよび/または別の官能基)で表面官能化され得る。「補強材」なる用語は、ヘッド16から吐出される組成物中に少なくとも部分的に包み込まれている構造的および非構造的(例えば機能的)の両タイプの材料を包含するように意図されている。
【0053】
補強材は、硬化エネルギーに対して不透明(例えば部分的または完全に不透明)、硬化エネルギーに対して透明(例えば部分的または完全に透明)、および/または不透明材料および透明材料の混合物であり得る。補強材材料には、例えば、炭素繊維、グラファイト繊維、グラフェン繊維、レゾルシノールホルムアルデヒドブレンド、アスベスト繊維、ケブラー(登録商標)繊維、ポリベンズイミダゾール繊維、ポリスルホラミド繊維、ガラス繊維、ポリ(フェニレンオキシド)繊維、植物性繊維、木質繊維、鉱物繊維、プラスチック繊維、金属ワイヤー、光学チューブ、アラミド繊維、ポリアクリロニトリル、レーヨン、石油ピッチ、天然ピッチ、リソール、カーボンナノチューブ、炭素煤、クレオソート、SiC、ホウ素、WC、ブチルゴム、窒化ホウ素、ヒュームドシリカ、ナノクレイ、炭化ケイ素、窒化ホウ素、酸化ジルコニウム、二酸化チタン、白亜、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、ケイ酸塩(例えば、タルク、雲母またはカオリン、シリカ、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムなど)、有機補強材(例えばポリマー粉末、ポリマー繊維など)およびそれらの混合物が含まれ得る。
【0054】
一実施例において、組成物は、炭素前駆体(例えば炭素に熱分解可能)であり、炭素補強材、炭素および非炭素補強材の混合物、セラミック補強材および/またはセラミックおよび非セラミック補強材をコーティングするために使用され得る。別の実施例では、組成物は、セラミック前駆体であり、炭素補強材、炭素および非炭素補強材の混合物、セラミック補強材、および/またはセラミックおよび非セラミック補強材の混合物をコーティングするために使用され得る。以下でより詳細に説明するように、非炭素および/または非セラミック補強材は、組成物による炭素および/またはセラミック補強材の飽和を増強する導管を創出する目的の炭素および/またはセラミック補強材と選択的に併用可能である。
【0055】
補強材がヘッド16の内部にある間、補強材がヘッド16内へと通過している間、および/または補強材がヘッド16から吐出されている間、補強材は組成物に曝露され得る(例えば組成物で少なくとも部分的にコーティングされかつ/または内部的に濡らされ得る)。組成物、乾燥(例えば未含浸)補強材、および/またはすでに組成物に曝露された補強材(予備含浸補強材)は、当業者には明白なあらゆる方法で、ヘッド16内に輸送され得る。いくつかの実施形態において、組成物が連続補強材をコーティングする前および/または後に、不連続補強材(例えば粉末、ナノ粒子またはチューブ、チョップド繊維など)を、組成物および/または添加剤と混合させることができる。
【0056】
1つ以上の硬化エンハンサー(例えば光源、放射線源、超音波エミッタ、マイクロ波発生器、磁場発生器、加熱器、触媒ディスペンサーなど)18をヘッド16の近位に(例えば内部、上、および/または隣接して)組付け、ヘッド16から補強材と共に吐出されるにつれての組成物の硬化に影響を及ぼす(例えばその開始、増強、完了または他の形で促進する)ように構成することができる。各硬化エンハンサー18は、吐出材料の1つ以上の部分を硬化エネルギー(例えば電磁放射線、振動、熱、化学触媒など)に選択的に曝露するべく、独立してかつ/または協働して制御可能である。エネルギーは、ヘッド16から吐出されるにつれて、組成物内で反応が起こるのをトリガし、反応の速度を増大させ、組成物を焼結させ、組成物を熱分解させ、組成物を硬化させ、組成物を剛化し、または他の形で組成物を部分的または完全に硬化させ、かつ/または炭化させることができる。硬化エンハンサー18により生成されるエネルギーの量は、構造12がヘッド16から既定の長さを超えて軸方向に成長する前に、組成物を少なくとも部分的に硬化させるのに充分なものであり得る。一実施形態において、構造12は、軸方向の成長長さが組成物でコーティングされた補強材の外径に等しくなる前に、その形状を保持するのに充分なだけ硬化される。
【0057】
組成物および/または補強材は、1つ以上の異なる動作モードを介してヘッド16から吐出され得る。第1の動作モードでは、組成物および/または補強材は、ヘッド16が支持体14によって移動させられるにつれてヘッド16から押出され(例えば圧力および/または機械的力の下で押され)て、構造12の特徴部を創出する。第2の動作モードでは、少なくとも補強材(例えば連続的補強材)はヘッド16から引っ張られ、こうして吐出中に引張応力が創出されることになる。この動作モードでは、組成物は補強材に密着し、これにより同様に補強材と共にヘッド16から引っ張られ得る。付加的にまたは代替的に、組成物は、引っ張られた補強材と共に圧力下でヘッド16から吐出され得る。組成物が補強材と共にヘッド16から引っ張られている第2の動作モードにおいては、結果としての補強材内の張力は、同様に支持されていない構造12のより長い長さがより真直ぐな軌道を有することも可能にする一方で、組成物の硬化後の構造12の強度を(例えば補強材を整列させること、座屈を阻止することなどによって)増大させることができる。すなわち、補強材中の張力は、(重力に対抗するモーメントを創出することによって直接的および/または間接的に)重力に対抗して作用することができる。いくつかの実施形態において、張力は同様に、補強材に組成物を含浸させる一助となることもできる(例えば圧力ベースの含浸の利用分野において)。
【0058】
補強材は、ヘッド16が支持体14によりアンカー(例えばプリントヘッド、構造12の特徴部など)から離れるように移動させられる結果として、ヘッド16から引っ張られ得る。詳細には、構造形成の始めにおいて、組成物が含浸された補強材の一定長をヘッド16から引っ張りかつ/または押し、アンカー上に被着させ、硬化させ、こうして吐出された材料がアンカーに接着するかまたは他の形で結合されるようにすることができる。その後、ヘッド16をアンカーから離れるように移動させることができ、相対的移動により補強材をヘッド16から引っ張ることができる。必要ならばヘッド16を通した補強材の移動を、内部フィードメカニズム(図示せず)を介して支援できるということを指摘しておくべきである。しかしながら、ヘッド16からの補強材の吐出速度は、主として、補強材内に張力が創出されることになるようなヘッド16とアンカーの間の相対的移動の結果であり得る。ヘッド16がアンカーから離れるように移動させられる代りにあるいはそれに加えて、アンカーをヘッド16から離れるように移動させることができるということを指摘しておくべきである。
【0059】
図1を見れば分かるように、ヘッド16は、なかでも、出口22と、この出口22の上流側に位置設定された組成物タンク24とを含むことができる。この実施例においては、出口22は、概して円形、管状、または矩形の横断面を有する複合材料を吐出するように構成された単一チャネルノズルである。しかしながら、ヘッド16の構成により、出口22を、異なる形状(例えば平坦なまたはシート様の横断面、多重トラック横断面など)を有する複合材料を吐出する別の出口(図示せず)と交換することが可能である。繊維、管、および/または他の補強材は、組成物タンク24を通過し、吐出前に組成物で濡らされる(例えば少なくとも部分的にコーティングされる、内部が濡らされる、および/または完全に飽和させられる)ことができる。当該技術分野において公知のあらゆるタイプの濡らしメカニズム(例えば図示されている浴、インジェクター、圧力ベースのアプリケーターなど)を組成物タンク24と結び付けることができる。
【0060】
一実施例において、コンパクター32が、(例えば、材料吐出中ヘッド16の正常な走行方向との関係において)出口22を追跡し、出口22から吐出される材料全体にわたり移動して(例えば転動かつ/または摺動して)材料を突き固める。出口22のノズルまたはコンパクター32のいずれかが、硬化エンハンサー18により曝露された場合に硬化に先立ちおよび/または硬化中に所望の場所において組成物で濡らされた補強材を貼付するためのヘッド16の工具中心点(TCP)として機能し得る、ということが企図されている。同様に、いくつかの実施形態において、ノズルおよび/またはコンパクター32を削除できるということも企図されている。最後に、ヘッド16のTCPは必ずしもノズルまたはコンパクター32と結び付けられる必要はなく、これらの場所とは別個である硬化エネルギー曝露の場所であってよい、ということが企図されている。TCPは同様に、いくつかの利用分野においてスイッチの場所であってもよい。
【0061】
1つ以上のコントローラー23が具備され、支持体14およびヘッド16の1つ以上の構成要素と通信可能に結合され得る。各コントローラー23は、システム10の動作を制御するように特別にプログラミングされる単一のプロセッサまたは多数のプロセッサを具現し得る。コントローラー23はさらに、例えば設計限界、性能特性、動作命令、工具経路およびシステム10の構成要素の対応するパラメータなどのデータを記憶するためのメモリを含むか、またはそれと結び付けられていてよい。電源回路、信号条件付け回路、ソレノイド駆動回路、通信回路および他の適切な回路を含めた他のさまざまな公知の回路をコントローラー23と結び付けることができる。さらに、コントローラー23は、有線および/または無線伝送を介してシステム10の他の構成要素と通信する能力を有し得る。
【0062】
1つ以上のマップが、コントローラー23のメモリ内に記憶されるかまたは他の形でコントローラーによってアクセス可能であり、構造12の製造中に使用され得る。これらのマップの各々は、ルックアップテーブル、グラフおよび/または等式の形をしたデータコレクションを含み得る。開示されている実施形態において、マップは、構造12の所望の幾何形状(例えばサイズ、形状、材料組成、性能パラメータおよび/または輪郭)を生成するために必要とされるヘッド16の移動を決定し、かつ移動と連携して硬化エンハンサー18および/または他の関連する構成要素の動作を調節するために、コントローラー23によって使用され得る。
【0063】
一実施形態において、システム10によってCBFCまたはCMCとして構造12を製造することができる。図2に示されているように、このプロセスには、多数のステップが関与し得るが、上述の従来のハンドレイアッププロセスよりもステップの数は少ない。第1のステップ(図2に最左画像として図示)において、複合材料は、ヘッド16から吐出されて、3次元プリフォーム12a(例えばセラミックまたは炭素前駆体組成物中で少なくとも部分的にコーティングされかつ/またはそれにより内部が濡らされている炭素およびセラミック繊維のプリフォーム)を生成することができる。プリフォーム12aは、構造12の所望されるネットシェイプまたはニアネットシェイプを得るため、金型26内で、ビルドプラットフォーム上で、および/またはフリースペース内で(例えば金型またはプラットフォーム無しで)製造され得る。例えば、組成物で濡らされた連続補強材を、金型26の表面に、ビルドプラットフォームの表面に、または任意の所望される場所および配向で設置またはプレファブリケートされた既存のアンカーに対して、接着させることができる。その後、この表面またはアンカーとの関係において支持体14により(図1参照)ヘッド16を移動させて、こうして複合材料をヘッド16から引っ張り、所望の輪郭に沿って設置するようにすることができる。材料がヘッド16から吐出されるにつれて、組成物は、硬化エンハンサー18からのエネルギーに対する曝露によって少なくとも部分的に硬化され得る(例えばその形状、場所および/または配向を保持するのに充分剛化され得る)。いくつかの実施形態において、組成物(例えばチクソトロピー樹脂)は、吐出後に充分厚くなり、エンハンサー18により硬化させる必要なくその形状を保持することができる可能性がある。これらの実施形態において、初期硬化ステップは、所望される場合、削除可能である。
【0064】
プリフォーム12aが製造された後、プリフォーム12aを選択的に高密度化することができる。プリフォーム12aが金型26の内部で製造される実施形態においては、高密度化材料(例えば炭素またはセラミック前駆体)を、(例えば図2の中央画像に示されている対応する供給源28によって)液体および/または気体として金型26内に導入することができる。高密度化材料は、所望される通りに、プリフォーム12aを製造するために当初使用された組成物と同じであっても、異なる組成物であってもよい。高密度化材料は、先に吐出された材料に接着し、その中および/またはそれらの間の空洞を充填することができる。プリフォーム12aがビルドプラットフォーム上またはフリースペース内で製造される場合、プリフォーム12aは、同じ場所で高密度化されるか、または高密度化に先立ち金型26内にまたは特別に準備された高密度化チャンバ(図示せず)内に移送され得る。プリフォーム12aの空洞および空間内への高密度化材料の浸透を増強するために、熱および/または圧力を利用することができる。
【0065】
所望される場合、プリフォーム12aの製造中にインサイチュで、第1段階の高密度化を行なってよい、ということが企図されている。例えば、ヘッド16から吐出され硬化エンハンサー18によって硬化されているプリフォーム12aの部分に向かって高密度化材料を前進させるため、後続場所(例えば硬化エンハンサー18および/またはコンパクター32の下流側)でヘッド16に対して供給源28を作動的に連結することができる。以下でより詳細に説明されるように、こうして、構造12の製造における1つ以上のステップを排除することができる。この実施形態においては、ヘッド16の内部で補強材に対して最初に適用される組成物を、直後の高密度化ステップの間、補強材の形状を保持するのに必要とされる最少量のみにすることが可能である。
【0066】
高密度化材料の適用後、プリフォーム12aは、熱分解され得る(図2の右側画像に図示)。すなわちプリフォーム12aおよび追加された高密度化材料(またはヘッド内に適用された組成物を伴うプリフォーム12aのみ)を、高密度化材料および/またはヘッド内適用組成物をチャーへと炭化させる高温(例えば約400~3000℃、例えば400~500℃または500~1500℃の温度)に曝露することができる。一例において、高温は、専用加熱装置30により生成される。一利用分野では、加熱装置30は、ヘッド16にオフボードで(例えば専用チャンバ内に)位置設定された構成要素である。別の利用分野においては、加熱装置30が、供給源28の下流側の場所でヘッド16に対して作動的に連結され、プリフォーム12aの製造中にインサイチェで高密度化材料を熱分解するように構成される。変形実施形態において、硬化エンハンサー18の1つ以上は、所望される場合、加熱装置の代りにまたは加熱装置に加えて高密度化材料を硬化すると同時に熱分解するように機能し得る。すなわち、プリフォーム12aの形状を保持するために組成物を硬化させるプロセスは、さらに、組成物を少なくとも部分的に熱分解することができると考えられる。
【0067】
何らかの理論により束縛されることは望まないものの、熱分解に起因する炭化には、組成物の重合および成長が含まれる可能性があり、その結果としてプリフォーム12aの所望される炭素富化がもたらされる。制御された環境内(例えば酸素の不在下)で行なった場合には、熱分解を増強することができるということを指摘しておくべきである。したがって、加熱装置30がヘッド16にオフボードでチャンバの内部に位置設定されている上述の実施形態において、チャンバから酸素を排出し、かつ/または不活性ガス(例えばアルゴン、ヘリウム、窒素など)を充填することができる。代替的には、ヘッド16に加熱装置30が組付けられている場合、オンボードソースからの不活性ガスの流れは、吐出材料全体にわたり誘導され得る。
【0068】
加熱装置30がヘッド16にオフボードで位置設定されている場合、プリフォーム12aの構造の全てが完成した時点で初めて熱分解が発生するかまたは、プリフォーム12aの選択部分(例えば各層)が完成するにつれて周期的に熱分解が発生し得る。これらのシナリオのいずれにおいても、プリフォーム12aの製造を、チャンバの内部でまたは外部で行なうことが可能である。製造がチャンバの外部で行なわれる場合、プリフォーム12aは、各選択部分が吐出され硬化された後でチャンバ内へ選択的に移送され、その後、各々の熱分解事象の後チャンバから移送し戻され得る。
【0069】
熱分解は、高密度化材料の最初の適用の前または後で完了し得ることが企図されている。すなわち、加熱装置30および/または硬化エンハンサー18は、高密度化材料の最初の適用に先立ち、プリフォーム12aの構造を共に保持する組成物を少なくとも部分的に炭化するかまたは燃焼除去するために、コントローラー23によって選択的に活動化され得る。このことは、特にプリフォーム12aを共に保持する組成物が高密度化材料と異なる場合に、構造12を製造するプロセスにおいて必要とされるステップの数を削減する一助となり得る。
【0070】
(例えば高密度化材料を伴ってか伴わずに)プリフォーム12aが加熱されるにつれて、結び付けられた組成物および/または高密度化材料は、収縮するか、亀裂を発生させるかまたは他の形で多孔性になる。構造12に所望の密度を提供するためには、材料適用と熱分解の多数のサイクルが必要とされる。任意の数のこれらのサイクルを実装することができる。
【0071】
高密度化はプリフォーム12a内の多孔性を削減する一助となり得るものの、このことは、対応する細孔および空洞へのアクセスが利用可能である場合にのみ言えることである。したがって、いくつかの利用分野においては、熱分解の後プリフォーム12aの内部に捕捉される望ましくない揮発性物質を防止および/または削減するために、開示された組成物の内部に、1つ以上の作用物質を任意に含めることが可能である。このような作用物質の非限定的例としては、可塑剤、例えばエチレンビス(ステアリン酸アミド)、ステアリン酸、オレイン酸、ありとあらゆるグリコールおよびそれらの混合物が含まれる。他の非限定的例としては、アボカド油、アーモンド油、オリーブ油、カカオ油、牛脂、ゴマ油、小麦胚芽油、サフラワー油、シアバター、タートル油、柿油、杏仁油、ヒマシ油、グレープ油、マカデミアナッツ油、例えばミンク油、卵黄油、フクロウ、パーム油、ローズヒップ油、水素化油;ロウ、例えばオレンジルフィ油、カルナウバロウ、キャンデリラロウ、鯨ロウ、ホホバ油、モンタンロウ、ミツロウ、ラノリン、ラノリン炭化水素、例えば流動パラフィン、ペトロラタム、パラフィン、セレシン、マイクロクリスタリンワックス、スクワラン;ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、ベヘン酸、ウンデシレン酸、オキシステアリン酸、リノール酸、ラノリン脂肪酸、高級脂肪、例えば合成脂肪酸、高級アルコール、例えばラウリルアルコール、セチルアルコール、セトステアリルアルコール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール、ベヘニルアルコール、ラノリンアルコール、水素化ラノリンアルコール、オクチルドデカノールおよびイソステアリルアルコール;ステロール類、例えばコレステロール、ジヒドロコレステロールおよびフィトステロール;リノール酸エステル、ミリスチン酸イソプロピル、ラノリン脂肪酸イソプロピル、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸ミリスチル、ミリスチン酸セチル、ミリスチン酸オクチルドデシル、オレイン酸デシル、オレイン酸オクチルドデシル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、イソオクタン酸セチル、パルミチン酸セチル、トリミリスチングリセロール、トリ(カプリル/カプリン酸)脂肪酸エステル(catty acid esters)、例えば、グリセロール、ジオレイン酸プロピレングリコール、トリイソステアリン酸グリセロール、トリイソオクタン酸グリセロール、乳酸セチル、乳酸ミリスチル、リンゴ酸ジイソステアリル;多価アルコール、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、1,2-ブチレングリコール、1,3-ブチレングリコール、テトラメチレングリコール、2,3-ブチレングリコール、ペンタメチレングリコール、2-ブテン-1,4-ジオール、ヘキシレングリコール、オクチレングリコールおよび同様のアルコール;三価アルコール、例えばグリセリン、トリメチロールプロパン、1,2,6ヘキサンテトリオール;四価アルコール、例えばペンタエリスリトール;五価アルコール、例えばキシリトール;六価アルコール、例えばソルビトールおよびマンニトール;多価アルコール、例えばジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、テトラエチレングリコール、ジグリセリン、ポリエチレングリコール、トリグリセリン、テトラグリセリンおよびポリグリセリンコポリマー;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノ2-メチルヘキシルエーテル、エチレングリコールイソアミルエーテル、エチレングリコールベンジルエーテル、エチレンジグリコールイソプロピルエーテル、エチレングリコール二価アルコールアルキルエーテル、例えばチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル;ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールブチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、トリエチレングリコールエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールイソプロピルエーテル、ジプロピレングリコール、二価アルコールアルキルエーテル、例えばジメチルエーテル、例えばジプロピレングリコールエチルエーテル、ジプロピレングリコールブチルエーテル;エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノフェニルエチルアセテート、エチレングリコールジアゼベート、エチレングリコールジスクシネート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノ二価アルコールエーテルエステル、例えばフェニルエーテルアセテート;グリセリンモノアルキルエーテル、例えばキシルアルコール、セラルキルアルコール、バチルアルコール、ソルビトール、マルチトール、マルトトリオース、マンニトール、スクロース、エリスリトール、グルコース、フルクトース、デンプン分解糖、マルトース、キシリトール、デンプン分解糖還元アルコール、グリコリド、テトラヒドロフルフリルアルコール、POEテトラヒドロフルフリルアルコール、POPブチルエーテル、POP/POEブチルエーテル、トリポリオキシプロピレングリセロールエーテル、POPグリセリンエーテル、POP、グリセロールエーテルリン酸およびPOP/POEペンタエリトールエテル、が含まれる。
【0072】
コストおよび効率のためには、最小回数の熱分解ステップを行なった後に、プリフォーム12aの内部にチャーの形で存在する炭素の量を最大限にすることが望ましい。したがって、いくつかの利用分野においては、組成物および/または組成物/補強材複合材料はさらに、1つ以上の非硬化性チャー形成成分を含むことができる。これらの成分は、タールピッチ、石油製品、非官能化ノボラック、カルボア、リグニン、ピッチ、亜炭、タール、クレオソートおよび/またはそれらの混合物からなる群から選択され得る。付加的にまたは代替的に、組成物および/または組成物/補強材複合材料は、熱分解ステップを行なった後にプリフォーム12a内に残留するチャーを形成するかまたはその量を増大させることに寄与する非反応性添加剤を含み得る。非反応性添加剤の非限定的例は、炭素フェルト、繊維形態の絶縁体、黒鉛添加剤、アクリロニトリルブタジエンゴム(BNR)、エチレンプロピレンジエンモノマーゴム(EPDM)などである。
【0073】
本明細書中で開示された組成物中には、熱分解ステップ中に複合材に対し可撓性を付与するために、エラストマを任意に含めることができる。増強された可撓性は、プリフォーム12aから漏出できない揮発性物質を膨張させることによって引き起こされる残留応力を削減する一助となり得る。可撓性は同様に、構造12の硬化および/または熱分解および後続する冷却に起因する熱勾配によってひき起こされる残留応力を削減する一助ともなり得る。このような添加剤の非限定的例としては、溶解したまたは微粒子状のアクリロニトリルブタジエンゴム(BNR)およびエチレンプロピレンジエンモノマーゴム(EPDM)が含まれる。
【0074】
構造12内の所望される密度がひとたび達成されると、製造プロセスを完了することができる。すなわち、構造12は、機械加工を必要とすることなく、所望される形状およびサイズを有することができる。しかしながら、いくつかの事例においては、構造12のサイズを意図的に大きめにすることができ、所望のサイズおよび/またはサイズを要求される許容誤差内で精確に達成するために、軽い機械加工が有用であり得る。
【産業上の利用可能性】
【0075】
任意の所望される横断面形状、長さ、密度、強度または他の所望される性能パラメータを有する複合構造を製造するために、開示された方法によって、開示されたシステムを使用することができる。複合構造は、同じまたは異なるタイプ、直径、形状、構成(configurations)および構成(consists)の任意の数の異なる補強材と、任意の数およびタイプの異なる構成要素とを含み得る。開示されたシステムは、CBFC、CMCおよび他の高温複合材料の製造に、特に応用可能であり得る。ここで、システム10の動作の概要について説明する。
【0076】
製造事象の開始時点で、製造すべき所望の構造12に関する情報が、システム10内(例えば、支持体14、ヘッド16、硬化エンハンサー18、供給源28および/または加熱装置30の動作調節を担うコントローラー23内)にロードされ得る。この情報には、なかでも、サイズ(例えば直径、壁厚、長さなど)、輪郭(例えば軌道)、表面特徴部(例えば尾根部のサイズ、場所、厚み、長さ、フランジのサイズ、場所、厚み、長さなど)、連結幾何形状(例えばカップリング、ティー、スプライスなどの場所およびサイズ)、場所特異的な組成規定、場所特異的な補強材規定、所望される硬化速度、硬化の場所、硬化パラメータ、所望される熱分解速度、熱分解の場所、熱分解パラメータ、添加剤の仕様、充填材の仕様などが含まれる。この情報は、代替的にまたは付加的に、所望される場合には製造事象中の異なる時点で、周期的にかつ/または連続的にシステム10内にロードさえてよいということを指摘しておくべきである。
【0077】
構成要素情報に基づいて、1つ以上の異なる(例えば異なるサイズ、形状、数および/またはタイプの)補強材、組成物、添加剤および/または充填材を選択的にシステム10内部に設置し、タンク24内に供給しかつ/または供給源28内に誘導することができる。例えば、炭素および/またはセラミック繊維のトウをヘッドの出口22内に通すことができ、炭素および/またはセラミック前駆体組成物が組成物タンク24および/または供給源28を充填することができる。このとき、コントローラー23が、タンク24の内部の濡らしメカニズム、供給源28のオンボードおよび/またはオフボード式実施形態、硬化エンハンサー18、支持体14および/または加熱装置30のオンボードおよび/またはオフボード実施形態を選択的に活動化させ、こうしてヘッド16内を通る連続的補強材は、組成物および/または異なる高密度化材料で適切にコーティングされかつ/またはそれらにより内部的に濡らされ、ヘッド16から引っ張られ、硬化されてプリフォーム12aの形状を形成し、高密度化しおよび/または熱分解されることになる。
【0078】
1つの具体的実施例(以下に示すEX-1)において、ヘッド16内に導かれ補強材と共に吐出される組成物には、(メタ)アクリル化ノボラックが、ホルムアルデヒド-フェノールタイプのノボラックから誘導されたオリゴマーとして含まれる。組成物は、化学線(例えば紫外線)放射による硬化能力を有し、後続する熱分解中高い炭素収率を提供することができる。本開示に関しては、化学線は、組成物内で光化学反応を開始する能力を有する光とみなされる。
【0079】
例示的組成物には同様に、同じく化学線での硬化能力を有する反応性希釈モノマーを含み得る。これらの反応性希釈モノマーは、積層造形プロセスに好適な1つ以上の範囲内に組成物の粘度を維持することができる。例えば、硬化性組成物は、25℃で60,000mPa・s未満の粘度を有することが望ましいかもしれない。例えば、硬化性組成物は、Brookfield粘度計、DV-II型を使用し、27のスピンドル(スピンドル速度は粘度に応じて典型的に20~200rpmで変動)を用いて測定した場合に、25℃で多くとも120,000mPa・s、多くとも100,000mPa・s、多くとも90,000mPa・s、多くとも80,000mPa・s、多くとも70,000mPa・s、多くとも65,000mPa・s、多くとも60,000mPa・s、多くとも55,000mPa・s、多くとも50,000mPa・s、多くとも45,000mPa・s、多くとも40,000mPa・s、多くとも35,000mPa・s、多くとも30,000mPa・s、多くとも25,000mPa・sまたは多くとも20,000mPa・sの粘度を有することができる。
【0080】
EX-1は、
a)(メタ)アクリレートオリゴマー、エポキシ官能化化合物、オキセタン官能化化合物およびそれらの混合物からなる群から選択された、0.4~1.6のH/Catomic ratioを有する少なくとも1種の芳香族化学線硬化性構成要素と;
b)少なくとも1つの化学線硬化性モノマーを含む少なくとも1つの希釈剤と;
c)少なくとも部分的に不透明な補強材と;
d)光開始剤と;
を含む硬化性組成物である。
【0081】
EX-1の組成物は、好ましくは、化学線硬化後(すなわち熱分解前)のa)、b)およびd)の重量に基づいて400℃に3時間保持した後に熱重量分析(TGA)によって測定した場合に、熱分解から18重量%超のチャーを創出するように開発されてきた。いくつかの利用分野においては、TGA装置が、a)、b)およびd)の化学線硬化された組合せを熱分解するため、ならびに、補強材を除いたチャーの重量%を測定するために役立ち得る、ということを理解すべきである。例えば、組成物は、400℃で3時間保持した後TGAにより測定した場合に、化学線硬化後のa)、b)およびd)の重量に基づいて、熱分解から20重量%超、または22.5重量%超、または25重量%超、または30重量%超、または35重量%超、または40重量%超、または45重量%超、または50重量%超のチャーを創出することができる。測定されたチャーの量には、補強材は含まれない。したがって、TGA装置によって測定された熱分解後のチャーの重量%は、TGA装置内での熱分解の前の、c)の量を除いた硬化された組成物の総重量に基づくものであり得る。
【0082】
一利用分野において、チャーの重量%の測定は以下のように実施される。少量の化学線硬化された組成物(補強材無しの10~30mgの樹脂)のチャーの重量%は、(例えば、TA計器Q50TGAを用いて)測定可能である。このとき熱分解のために、以下の加熱手順を使用することができる:すなわち、5℃/分の温度上昇率で室温から300℃までの温度上昇、1℃/分の温度上昇率で300℃~400℃までの温度上昇、3時間400℃での保持、1℃/分で400℃から500℃までの温度上昇、3時間500℃での保持、そして最後に500℃から1000℃までの温度上昇、その後熱分解は終了する。40~60mL/分の窒素連続流が、加熱手順全体にわたり不活性パージガスとして使用可能である。このとき、残留材料重量の百分率を熱分解の開始時点で記録した少量の重量で除したものとして、所与の温度でのチャーの重量%を決定することができる。好ましくは、報告されたチャー重量%の値は、400℃で3時間の保持期間かまたは500℃で3時間の保持期間のいずれかの終了時点で残留する重量%と解釈される。
【0083】
チャー重量%に関しては、それが、炭素結合炭素または炭素結合セラミックの複合材の形になる組成物のみ(すなわち補強材の重量を含まない)の最初の熱分解の後に存在するチャーの量を表わすものと理解すべきである。上述のように、さらに完全なプロセスには、チャー形成材料での高密度化および熱分解とその後の反復サイクルが関与し得る。
【0084】
水素/炭素原子比率(H/Catomic ratio)および原子含有量(AC)が、組成物中の樹脂原料と、炭素結合複合材中の高収率炭化のための犠牲材料として役立つそれらの能力との間の構造-特性関係を確立するための構造記述子である、ということを指摘しておかなければならない。
【0085】
H/Catomic ratioは、所与の分子中の水素原子の数を同じ分子中の炭素原子の数で除したものとして定義される。H/Catomic ratioは、分子中のヘテロ原子(例えば、O、S、N、P)を考慮しない。本開示の目的では、H/Catomic ratioは、未反応の化学線硬化性構成要素、モノマーおよび添加剤を評価するために使用可能である。H/Catomic ratioの値が低い方がより理想的であり得、H/Catomic ratioは理論的に黒鉛について0に近づく傾向にある。したがって、H/Catomic ratioを組成物の芳香族性に関連付けることができる、ということが理解され得る。
【0086】
化合物の混合物のH/Catomic ratioは、混合物の重量平均H/Catomic ratioに対応する。n個の化合物を含む混合物について、混合物の平均H/Catomic ratioを以下の等式により計算することができる:
【数1】
なお式中、wは、混合物中の化合物iの質量分率(化合物iの質量を混合物の総質量で除したもの)であり;H/Cは化合物iのH/Catomic ratioである。
【0087】
芳香族含有量(AC)は、未反応の化学線硬化性構成要素、モノマーおよび添加剤を説明するために使用される。AC値は、本開示に関しては、一分子あたりの芳香族環の平均数であるものと理解することができる。従来の意味合いにおける芳香族は、ベンゼンに代表される化学的性質を有するものとしてIUPACにより、定義されている。本開示中で使用されるACは、任意の構成(例えば単環式、縮合環、多環式、架橋型)、および任意の単一の置換または置換の組合せ(オルト、メタ、パラなど)で単一のまたは多数のベンゼン環を含有する化学線硬化されたモノマー、構成要素または添加剤として意図されている。本開示は、ベンゼン環含有量を他のベンゼン環に限定せず、さらに、単一の化学線硬化性モノマー、構成要素または添加剤内でヘテロ環、炭素環、エポキシ環およびオキセタン環と縮合されたベンゼン環の構成も含んでいる。例えば、別の環と縮合したベンゼン環がこの定義に含まれると考えられる。例えば、アクリル基で官能化された7-ヒドロキシクマリンが、本開示において有用である芳香族種の当該定義の中に入ると思われる。
【0088】
化合物混合物の芳香族含有量(AC)値は、混合物の重量平均AC値に対応する。n個の化合物を含む混合物について、混合物の重量平均AC値は、以下の等式により計算可能である:
【数2】
なお式中、wは混合物中の化合物iの質量分率(化合物iの質量を混合物の総質量で除したもの)であり;
ACは、化合物iのAC値である。
【0089】
本明細書中で使用されている通り、(メタ)アクリル化物質は、それらが縮合反応において(メタ)アクリル酸(またはエステル)と水酸基の反応によって形成され得る場合に、「モノマー」(すなわち上述のEX-1中のb))と呼ぶことができる。(メタ)アクリル化物質は、それらがエポキシ化合物、イソシアネートなどに対する付加反応によって形成され得る場合には、「オリゴマー」(すなわち上述のEX-1中のa))と呼ぶことができる。したがって、ポリエチレングリコールジアクリレートおよびエトキシ化ビスフェノールAジアクリレートは、エチレンオキシド反復単位を有していてもモノマーとなり、一方、ビスフェノールAジグリシジルエーテルジアクリレートは、反復単位を全く有していなくてもオリゴマーである。
【0090】
例示的組成物において、(メタ)アクリレートオリゴマー、エポキシ官能化化合物およびそれらの混合物からなる群の中から選択されたa)とb)との組合せは、0.4~1.6のH/Catomic ratioを有し得る。例えば、例示的組成物中でa)とb)を合わせたもののH/Catomic ratio(すなわちa)とb)の正味H/Catomic ratio)は、0.5~1.5、0.6~1.3、0.7~1.4、0.8~1.3、0.9~1.2、1.0~1.1であり得る。例えば、a)およびb)は各々、0.4~1.6の正味H/Catomic ratioを有することができる。例えば、a)のH/Catomic ratioは、0.5~1.5、0.6~1.3、0.7~1.4、0.8~1.3、0.9~1.2、1.0~1.1であり得;さらにb)のH/Catomic ratioは0.5~1.5、0.6~1.3、0.7~1.4、0.8~1.3、0.9~1.2、1.0~1.1であり得る。
【0091】
一実施形態によると、組成物は、a)として(メタ)アクリル化エポキシノボラック樹脂を含むことができる。組成物は、同様に、b)として少なくとも1つの化学線硬化性モノマー希釈剤を含むことができる。b)は、エトキシ化ビスフェノールAジアクリレート(詳細にはエトキシ化3ビスフェノールAジアクリレート)、2-フェノキシエチルアクリレート、tert-ブチルシクロヘキシルアクリレート、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート、トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリアクリレート、モノまたはポリオキシエチレンp-クミルフェニルエーテルアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、およびこれらの混合物からなる群の中から選択され得る。組成物はさらに、d)としてホスフィンオキシド、詳細にはフェニルビス(2,4,6-トリメチルベンゾリル)ホスフィンオキシドを含み得る。
【0092】
別の実施形態によると、a)は、(メタ)アクリル化フェノール系エポキシノボラックである。さらなる実施形態によると、a)は、好ましくはフェノール/ホルムアルデヒド系アクリル化エポキシノボラック樹脂である。これらの実施形態のいずれにおいても、b)は、a)およびb)の全体的組成物中の重量で、35重量%の2-フェノキシエチルアクリレートおよび10重量%のトリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリアクリレートであり得る。この実施形態において、c)は連続補強材であってよい。
【0093】
a)は、少なくとも1種の芳香族化学線硬化性構成要素を含むか、これらからなるかまたはこれらから本質的になる。a)は、芳香族化学線硬化性構成要素を含むか、これらからなるかまたはこれらから本質的になってもよい。
【0094】
a)は、(メタ)アクリレートオリゴマー、エポキシ官能化化合物、オキセタン官能化化合物およびそれらの混合物からなる群の中から選択された少なくとも1種の芳香族化学線硬化性構成要素を含むか、これらからなるかまたはこれらから本質的になる。
【0095】
a)は、少なくとも1つの(メタ)アクリレート基、詳細には少なくとも2つの(メタ)アクリレート基を含む少なくとも1種の芳香族化学線硬化性構成要素を含むか、これらからなるかまたはこれらから本質的になってもよい。a)は、少なくとも1つのアクリレート基、詳細には少なくとも2つのアクリレート基を含む少なくとも1種の芳香族化学線硬化性構成要素を含むか、これらからなるかまたはこれらから本質的になってもよい。a)は、少なくとも2つの(メタ)アクリレート基、詳細には3つ以上の(メタ)アクリレート基を含む少なくとも1つの芳香族(メタ)アクリレートオリゴマーを含むか、これらからなるかまたはこれらから本質的になってもよい。a)は、少なくとも2つのアクリレート基、詳細には3つ以上のアクリレート基を含む少なくとも1つの芳香族(メタ)アクリレートオリゴマーを含むか、これらからなるかまたはこれらから本質的になってもよい。
【0096】
a)は、少なくとも1つの(メタ)アクリル化芳香族エポキシ樹脂を含むか、これらからなるかまたはこれらから本質的になってもよい。本明細書中で使用する「(メタ)アクリル化芳香族エポキシ樹脂」なる用語は、少なくとも1つの芳香族エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸の反応生成物を意味する。本明細書中で使用される「芳香族エポキシ樹脂」なる用語は、少なくとも1つのエポキシ基、詳細には少なくとも2つのエポキシ基、より詳細には3つ以上のエポキシ基を含む芳香族化合物を意味する。a)は、少なくとも1つの(メタ)アクリル化芳香族グリシジルエーテル樹脂を含むか、これらからなるかまたはこれらから本質的になってもよい。本明細書中で使用される「(メタ)アクリル化芳香族グリシジルエーテル樹脂なる用語は、少なくとも1つの芳香族グリシジルエーテル樹脂と(メタ)アクリル酸の反応生成物を意味する。本明細書中で使用される「芳香族グリシジルエーテル樹脂」なる用語は、少なくとも1つのグリシジルエーテル基、詳細には少なくとも2つのグリシジルエーテルを含む芳香族化合物を意味する。本明細書中で使用される「グリシジルエーテル基」なる用語は、以下の式(I):
【化1】
の基を意味する。
【0097】
a)は、(メタ)アクリル化エポキシノボラック樹脂、(メタ)アクリル化ビスフェノール系ジグリシジルエーテルおよびそれらの混合物からなる群の中から選択された少なくとも1つの(メタ)アクリル化芳香族グリシジルエーテル樹脂を含むか、これらからなるかまたはこれらから本質的になってもよい。
【0098】
一実施形態において、a)は、少なくとも1つの(メタ)アクリル化エポキシノボラック樹脂を含むか、これらからなるかまたはこれらから本質的になってもよい。(メタ)アクリル化エポキシノボラック樹脂は、1~15、詳細には2~10の(メタ)アクリレート基の平均数を有し得る。(メタ)アクリル化エポキシノボラック樹脂を得るために使用されるエポキシノボラック樹脂は、フェノール系エポキシノボラック樹脂、ビスフェノール系エポキシノボラック樹脂、またはクレゾール系エポキシノボラック樹脂、より詳細には、フェノール系エポキシノボラック樹脂であり得る。
【0099】
エポキシノボラック樹脂は、以下の式(II)
【化2】
で表わされ得る。なお式中:
Arは、芳香族リンカー、詳細にはフェニレン、トリレン、または任意に置換されたジフェニルメタン2価ラジカルであり;
yは、0~50である。
【0100】
一実施形態において、a)は、少なくとも1つの(メタ)アクリル化ビスフェノール系ジグリシジルエーテルを含むか、これらからなるかまたはこれらから本質的になってもよい。(メタ)アクリル化ビスフェノール系ジグリシジルエーテルを得るために使用されるビスフェノール系ジグリシジルエーテルは、以下の式(III):
【化3】
で表わされ得る。なお式中:
Arは、式(IV):
【化4】
のリンカーであり、式中:
Lは、リンカーであり:
およびRは、独立して、アルキル、シクロアルキル、アリールおよびハロゲン原子から選択され;
bおよびcは、独立して0~4であり;
zは、0~50である。
【0101】
詳細には、Lは、-CR-、-C(=O)-、-SO-、-SO-、-C(=CCl)-および-CR-Ph-CR-結合の中から選択されたリンカーであり得る;なお式中:
およびRは、独立してH、アルキル、シクロアルキル、アリール、ハロアルキル、ペルフルオロアルキルの中から選択されるか、またはRおよびRは、それらが付着している炭素原子と共に環を形成することができ、R、R、RおよびRは、独立してH、アルキル、シクロアルキル、アリール、ハロアルキルおよびペルフルオロアルキルから選択され;
Phは、アルキル、シクロアルキル、アリールおよびハロゲン原子の中から選択された1つ以上の基で任意に置換されたフェニレンである。
【0102】
より詳細には、Arは、OH基無しのビスフェノールの残基であり得る。ArがOH基無しのビスフェノールの残基である式(III)にしたがった化合物を、ビスフェノール系ジエポキシエーテル、好ましくはビスフェノール系ジグリシジルエーテルと呼ぶことができる。好適なビスフェノールの例は、ビスフェノールA、ビスフェノールAP、ビスフェノールAF、ビスフェノールB、ビスフェノールBP、ビスフェノールC、ビスフェノールC2、ビスフェノールF、ビスフェノールG、ビスフェノールM、ビスフェノールS、ビスフェノールP、ビスフェノールPH、ビスフェノールTMC、ビスフェノール-Z、ジニトロビスフェノールA、テトラブロモビスフェノールAおよびそれらの組合せである。
【0103】
いくつかの実施形態において、EX-1中のa)のH/Catomic ratioは、約0.4~1.6であり得る。例えば、H/Catomic ratioは0.7~1.4であり得る。a)は、0.4~1.6、0.5~1.5、0.6~1.4、0.7~1.4、0.8~1.3、0.9~1.2または1.0~1.1のH/Catomic ratioを有する少なくとも1種の芳香族化学線硬化性構成要素を含む。a)が芳香族化学線硬化性構成要素の混合物を含む場合、a)の重量平均H/Catomic ratioは、0.4~1.6、0.5~1.5、0.6~1.4、0.7~1.4、0.8~1.3、0.9~1.2または1.0~1.1であり得る。
【0104】
a)は、少なくとも1のACを有し得る。例えば、ACは、少なくとも1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3、3.1、3.2、3.3、3.4、3.5、3.6、3.7、3.8、3.9、4、4.1、4.2、4.3、4.4、4.5、4.6、4.7、4.8、4.9、5、65.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5、であるかまたは、一分子あたり平均で少なくとも10個の芳香族環を有することができる。a)は、少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9または少なくとも10のAC値を有する少なくとも1種の芳香族化学線硬化性構成要素を含み得る。a)が、芳香族化学線硬化性構成要素の混合物を含む場合、a)の重量平均AC値は、少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9または少なくとも10であり得る。
【0105】
a)は、少なくとも1つのフェノール部分(すなわち、少なくとも1つの芳香族環に直接結合された酸素)を含むことができる。フェノール部分は、1未満のホルムアルデヒド;フェノールのモル比を有するフェノールホルムアルデヒド樹脂の主鎖を含み得る。少なくとも1つの(メタ)アクリレート基で修飾されたノボラック樹脂が、フェノール部分を含有するこのような構造の非限定的例である。本明細書中で使用されている少なくとも1つの(メタ)アクリレート基で修飾されたノボラック樹脂は、非限定的に例えばビスフェノール系、ビスフェノールA系またはクレゾール系のフェノール類などのヒドロキシル芳香族構造に基づくものであり得る。
【0106】
一実施形態によると、EX-1のa)は、好ましくは(メタ)アクリル化フェノール系エポキシノボラック樹脂である。さらなる実施形態によると、a)は、アクリル化フェノール/ホルムアルデヒド系エポキシノボラック樹脂である。
【0107】
他の実施形態によると、a)は、組成物中のa)およびb)の総重量に基づき5~95重量%で組成物中に存在し得る。例えば、a)は、組成物中のa)とb)の総重量に基づき、10~90重量%、15~85重量%、20~80重量%、25~75重量%、30~70重量%、35~65重量%、または40~60重量%で存在し得る。
【0108】
a)は、一分子あたり少なくとも1つの(メタ)アクリレート基を含み得る。本明細書中で使用されている「(メタ)アクリレート」なる用語は、メタクリレート基とアクリレート基のいずれかまたは両方を包含するものとして理解される。当該技術分野において公知の通り、(メタ)アクリレート基は、フリーラジカルを生成する光開始剤の存在下で、化学線で硬化する能力を有する。a)は、一分子あたり少なくとも1つのアクリレート基、少なくとも2つの(メタ)アクリレート基、または少なくとも2つのアクリレート基を含み得る。
【0109】
EX-1のa)上の化学線硬化性基としては、エポキシ基および/またはオキセタン基も同様に企図されている。例えば、a)は、一分子あたり少なくとも1つのエポキシ基および/または少なくとも1つのオキセタン基を含み得る。このような基は、カチオン生成光開始剤の存在下で化学線により硬化する能力を有し得る。a)は、一分子あたり少なくとも1つのエポキシ基および/または少なくとも1つのオキセタン基を含む少なくとも1種の芳香族化学線硬化性構成要素を含むか、これらからなるかまたはこれらから本質的になってもよい。a)は、一分子あたり少なくとも1つのエポキシ基および/または少なくとも1つのオキセタン基、および一分子あたり少なくとも1つの(メタ)アクリレート基を含み得る。a)は、一分子あたり少なくとも1つのエポキシ基および/または少なくとも1つのオキセタン基を含みかつ一分子あたり少なくとも1つの(メタ)アクリレート基をさらに含む少なくとも1種の芳香族化学線硬化性構成要素を含むか、これらからなるかまたはこれらから本質的になってもよい。a)は、一分子あたり少なくとも1つのエポキシ基および/または少なくとも1つのオキセタン基を含有する第1の化合物、および一分子あたり少なくとも1つの(メタ)アクリレート基を含有する第2の化合物を含み得る。構成要素a)は、一分子あたり少なくとも1つのエポキシ基および/または少なくとも1つのオキセタン基を含む第1の芳香族化学線硬化性構成要素と、一分子あたり少なくとも1つの(メタ)アクリレート基を含む第2の芳香族化学線硬化性構成要素を含むか、これらからなるかまたはこれらから本質的になってもよい。
【0110】
a)は、さらに、化学線により硬化する能力を有する他のエチレン不飽和官能基を含み得る。(メタ)アクリレート基に加えてまたはその代替として、ビニル化合物、スチレン化合物またはマロン酸エステルなどの非限定的例が、本開示のいくつかの実施形態にしたがって企図されている。
【0111】
好適な芳香族化学線硬化性オリゴマーの非限定的な詳細な例は、以下の構造などの(メタ)アクリル化ノボラックオリゴマーである:
【化5】
【0112】
(メタ)アクリル化ノボラックオリゴマーは、1~15、詳細には2~10の平均(メタ)アクリレート基数を有し得る。
【0113】
EX-1中のa)に好適な他の非限定的例としては、リグニン、ピッチ、亜炭、タール、クレオソートならびにこれらのいずれかまたは全ての混合物の(メタ)アクリレートエステルが含まれ得る。a)に好適なエポキシ(メタ)アクリレートの非限定的例としては、エポキシ樹脂(グリシジルエーテルまたはエステル)とアクリルまたはメタクリル酸またはその混合物との反応生成物が含まれる。エポキシ(メタ)アクリレートは、詳細には、アクリルまたはメタクリル酸またはその混合物と、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、ビスフェノールSジグリシジルエーテル、臭素化ビスフェノールAジグリシジルエーテル、臭素化ビスフェノールFジグリシジルエーテル、臭素化ビスフェノールSジグリシジルエーテル、エポキシノボラック樹脂、およびこれらの混合物との反応生成物の中から選択され得る。
【0114】
EX-1のa)として使用するのに好適なエポキシ官能化化合物(すなわちカチオン開始重合可能な化合物)には、非限定的にビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、ビスフェノールSジグリシジルエーテル、臭素化ビスフェノールAジグリシジルエーテル、臭素化ビスフェノールFジグリシジルエーテル、臭素化ビスフェノールSジグリシジルエーテルおよびこれらの混合物が含まれる。
【0115】
EX-1のa)として使用するのに好適なオキセタン官能化化合物(すなわちカチオン開始重合可能な化合物)には、非限定的に1,4-ビス[(3-エチル-3-オキセタニルメトキシ)メチル]ベンゼン、4,4-ビス(3-エチル-3-オキセタニル)メトキシメチル]ビフェニルおよびその混合物が含まれる。
【0116】
EX-1のb)は、少なくとも1つの化学線硬化性モノマーを含むか、これらからなるかまたはこれらから本質的になる。b)は、化学線硬化性モノマーの混合物を含むか、これらからなるかまたはこれらから本質的になってもよい。b)はa)と明確に異なるものである。
【0117】
b)は、一分子あたり少なくとも1つの(メタ)アクリレート基を有する少なくとも1つの化学線硬化性モノマーを含むか、これらからなるかまたはこれらから本質的になってもよい。b)は、一分子あたり少なくとも1つのアクリレート基を有する少なくとも1つの化学線硬化性モノマーを含むか、これらからなるかまたはこれらから本質的になってもよい。b)は、一分子あたり少なくとも2つの(メタ)アクリレート基を有する少なくとも1つの化学線硬化性モノマーを含むか、これらからなるかまたはこれらから本質的になってもよい。b)は、一分子あたり少なくとも2つのアクリレート基を有する少なくとも1つの化学線硬化性モノマーを含むか、これらからなるかまたはこれらから本質的になってもよい。b)は、一分子あたり3、4、5または6個の(メタ)アクリレート基を有する少なくとも1つの化学線硬化性モノマーを含むか、これらからなるかまたはこれらから本質的になってもよい。
【0118】
実施例1のb)は、一分子あたり少なくとも1つの(メタ)アクリレート基を含み得る。本明細書中で使用されている「(メタ)アクリレート」なる用語は、メタクリレート基とアクリレート基のいずれかまたは両方を包含するものとして理解される。当該技術分野において公知の通り、(メタ)アクリレート基は、フリーラジカルを生成する光開始剤の存在下で、化学線で硬化する能力を有する。b)は、一分子あたり少なくとも1つのアクリレート基、少なくとも2つの(メタ)アクリレート基、または少なくとも2つのアクリレート基を含み得る。b)は芳香族であり得る。b)は、一分子あたり3、4、5または6個の(メタ)アクリレート基を含み得る。
【0119】
いくつかの実施形態において、EX-1のb)のH/Catomic ratioは、約0.4~1.6であり得る。例えば、b)のH/Catomic ratioは0.7~1.4であり得る。例えばb)のH/Catomic ratioは、0.5~1.5、0.6~1.3、0.7~1.4、0.8~1.3、0.9~1.2または1.0~1.1であり得る。b)は、0.4~1.6、0.5~1.5、0.6~1.4、0.7~1.4、0.8~1.3、0.9~1.2または1.0~1.1のH/Catomic ratioを有する少なくとも1つの化学線硬化性モノマーを含み得る。b)が化学線硬化性モノマーの混合物を含む場合、b)の重量平均H/Catomic ratioは、0.4~1.6、0.5~1.5、0.6~1.4、0.7~1.4、0.8~1.3、0.9~1.2または1.0~1.1であり得る。
【0120】
b)は、少なくとも1のACを有し得る。例えば、b)のACは、少なくとも1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3、3.1、3.2、3.3、3.4、3.5、3.6、3.7、3.8、3.9、4、4.1、4.2、4.3、4.4、4.5、4.6、4.7、4.8、4.9、5、65.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5であるかまたは、一分子あたり平均で少なくとも10個の芳香族環を有することができる。b)は、少なくとも1または少なくとも2のAC値を有する少なくとも1つの化学線硬化性モノマーを含み得る。b)が、化学線硬化性モノマーの混合物を含む場合、b)の重量平均AC値は、少なくとも0.30、少なくとも0.35、少なくとも0.40、少なくとも0.45、少なくとも0.50、少なくとも0.55、少なくとも0.60、少なくとも0.65、少なくとも0.70、少なくとも0.75、少なくとも0.80、少なくとも0.85、少なくとも0.90、少なくとも1.0、少なくとも1.1、少なくとも1.2、少なくとも1.3、少なくとも1.4、少なくとも1.5、少なくとも1.6、少なくとも1.7、少なくとも1.8、少なくとも1.9または少なくとも2.0であり得る。
【0121】
一実施形態によると、b)は、エトキシ化ビスフェノールAジアクリレート、2-フェノキシエチルアクリレート、tert-ブチルシクロヘキシルアクリレート、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート、トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリアクリレート、モノまたはポリオキシエチレンp-クミルフェニルエーテルアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、およびそれらの混合物からなる群の中から選択された少なくとも1つの化学線硬化性モノマーを含むか、これらからなるかまたはこれらから本質的になってもよい。
【0122】
一実施形態によると、EX-1のb)は、エトキシ化ビスフェノールAジアクリレート(詳細にはエトキシ化3ビスフェノールAジアクリレート)、2-フェノキシエチルアクリレート、tert-ブチルシクロヘキシルアクリレート、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート、トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリアクリレート、モノまたはポリオキシエチレンp-クミルフェニルエーテルアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレートおよびこれらの混合物からなる群の中から選択され得る。
【0123】
b)は、組成物中のa)およびb)の総重量に基づき5~95重量%で化学線硬化性組成物中に存在し得る。例えば、b)は、組成物中のa)とb)の総重量に基づき、10~90重量%、15~85重量%、20~80重量%、25~75重量%、30~70重量%、35~65重量%、または40~60重量%で存在し得る。
【0124】
b)は、少なくとも1つの芳香族化学線硬化性モノマーを含むか、これらからなるかまたはこれらから本質的になってもよい。好ましくは、b)は、少なくとも1つの芳香族化学線硬化性モノマーおよび任意には1つ以上の非芳香族化学線硬化性モノマーを含むか、これらからなるかまたはこれらから本質的になってもよい。少なくとも1つの芳香族化学線硬化性モノマーは、エトキシ化ビスフェノールAジアクリレート、2-フェノキシエチルアクリレート、モノまたはポリオキシエチレンp-クミルフェニルエーテルアクリレート、およびこれらの混合物からなる群の中から選択され得る。任意の非芳香族化学線硬化性モノマーは、環状モノマー、すなわち、少なくとも1つの非芳香族環を含むモノマーであり得る。任意の非芳香族化学線硬化性モノマーは、tert-ブチルシクロヘキシルアクリレート、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート、トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリアクリレート、およびそれらの混合物からなる群の中から選択され得る。詳細には、b)中の芳香族化学線硬化性モノマーの総重量は、b)の総重量に基づいて20~100%、25~95%、30~90%、35~85%、40~80%、45~75%、50~70%であり得る。より詳細には、b)中の非芳香族化学線硬化性モノマーの総重量は、b)の総重量に基づいて0~80%、5~75%、10~70%、15~65%、20~60%、25~55%、30~50%であり得る。
【0125】
一実施形態によると、b)は、a)とb)の全組成中の重量で、35重量%の2-フェノキシエチルアクリレートおよび10重量%のトリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリアクリレートであり得る。例えば、bは、好ましくは、a)とb)の全組成中の重量で、10~60重量%、15~55重量%、20~50重量%、25~45重量%、または30~40重量%の2-フェノキシエチルアクリレートおよび1~20、1~19、3~18、4~17、5~16、6~15、7~14、8~13、9~12または9~11重量%のトリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリアクリレートであり得る。
【0126】
EX-1のb)上の化学線硬化性基としては、エポキシ基および/またはオキセタン基も同様に企図されている。例えば、b)は、一分子あたり少なくとも1つのエポキシ基および/または少なくとも1つのオキセタン基を含み得る。このような基は、カチオン生成光開始剤の存在下で化学線により硬化する能力を有し得る。b)は、一分子あたり少なくとも1つのエポキシ基および/または少なくとも1つのオキセタン基を含む少なくとも1つの化学線硬化性モノマーを含むか、これらからなるかまたはこれらから本質的になってもよい。b)は、一分子あたり少なくとも1つのエポキシ基および/または少なくとも1つのオキセタン基、および一分子あたり少なくとも1つの(メタ)アクリレート基を含み得る。b)は、一分子あたり少なくとも1つのエポキシ基および/または少なくとも1つのオキセタン基を含みかつ一分子あたり少なくとも1つの(メタ)アクリレート基をさらに含む少なくとも1つの化学線硬化性モノマーを含むか、これらからなるかまたはこれらから本質的になってもよい。b)は、一分子あたり少なくとも1つのエポキシ基および/または少なくとも1つのオキセタン基を含有する第1の化合物、および一分子あたり少なくとも1つの(メタ)アクリレート基を含有する第2の化合物を含み得る。b)は、一分子あたり少なくとも1つのエポキシ基および/または少なくとも1つのオキセタン基を含む第1の化学線硬化性モノマーと、一分子あたり少なくとも1つの(メタ)アクリレート基を含む第2の化学線硬化性モノマーを含むか、これらからなるかまたはこれらから本質的になってもよい。
【0127】
EX-1のb)は、さらに、化学線により硬化する能力を有する他のエチレン不飽和官能基を含み得る。(メタ)アクリレート基に加えてまたはその代替として、ビニル化合物、スチレン化合物またはマロン酸エステルなどの非限定的例が、本開示のいくつかの実施形態にしたがって企図されている。b)は、さらに(メタ)アクリレート基に加えてまたはその代替として、ビニル、ビニル芳香族、スチレンまたはマロン酸エステルなどの他のエチレン不飽和官能基を含み得る。
【0128】
好適なb)の非限定的な例は、以下の通りである:トリメチロールプロパントリアクリレート、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート、トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリアクリレート、モノ-またはポリオキシエチレンp-クミルフェニルエーテルアクリレート、エトキシ化ビスフェノールAジアクリレート(詳細にはエトキシ化3ビスフェノールAジアクリレート)、2-フェノキシエチルアクリレート、4-tert-ブチルシクロヘキシルアクリレート、フッ素系アクリレート、9,9ビスフェニルフッ素系アクリレート、9,9-ビスフェニルグリシジルジアクリレート、9,9-ビスフェノジ(メタ)アクリレート、アントラセン(メタ)アクリレート、クミル(メタ)アクリレート、p-クミルフェニル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、べンジル(メタ)アクリレート、 アクリル化ビスフェノール(メタ)アクリレート、クマリン(メタ)アクリレート、サリシレート(メタ)アクリレート、ホモサレート(メタ)アクリレート、無水フタル酸(メタ)アクリレート、(メタ)アクリレートレゾルシノール、およびこれらの混合物。
【0129】
EX-1のb)のための好適なモノマー(メタ)アクリレート官能化化合物の代表的な、ただし非限定的な例には、以下のものが含まれる:1,3-ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、長鎖脂肪族ジ(メタ)アクリレート(例えば概して式HC=CRC(=O)-O-(CH-O-C(=O)CR’=CHに対応するもの、なお式中、RおよびR’は独立してHまたはメチルであり、mは8~24の整数である)、アルコキシ化(例えばエトキシ化、プロポキシ化)ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、アルコキシ化(例えばエトキシ化、プロポキシ化)ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ドデシルジ(メタ)アクリレート、シクロヘキサンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、アルコキシ化(例えばエトキシ化、プロポキシ化)ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、アルコキシ化(例えばエトキシ化、プロポキシ化)ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、アルコキシ化(例えば、エトキシ化、プロポキシ化)トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、アルコキシ化(例えばエトキシ化、プロポキシ化)グリセリルトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、2(2-エトキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレート、2-フェノキシエチル(メタ)アクリレート、3,3,5-トリメチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、アルコキシ化ラウリル(メタ)アクリレート、アルコキシ化フェノール(メタ)アクリレート、アルコキシ化テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、カプロラクトン(メタ)アクリレート、環状トリメチロールプロパンホルマル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタジエニル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールメチルエーテル(メタ)アクリレート、アルコキシ化(例えばエトキシ化、プロポキシ化)ノニルフェノール(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、オクチルデシル(メタ)アクリレート(ステアリル(メタ)アクリレートとしても知られている)、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールエチルエーテル(メタ)アクリレート、t-ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタジエンジ(メタ)アクリレート、フェノキシエタノール(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、テトラデシル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、ベヘニル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールエチルエーテル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールブチルエーテル(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールメチルエーテル(メタ)アクリレート、ドデカンジオールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ/ヘキサ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、アルコキシ化(例えばエトキシ化、プロポキシ化)ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、アルコキシ化(例えばエトキシ化、プロポキシ化)グリセリルトリ(メタ)アクリレート、およびトリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、レゾルシノールの(メタ)アクリレート、フェノールの(メタ)アクリレート、グアウアコールの(メタ)アクリレート、キシレノールの(メタ)アクリレート、クレオソールの(メタ)アクリレートおよびこれらの組み合わせ。
【0130】
以下の化合物は、本開示の組成物中で使用するのに好適なモノ(メタ)アクリレート官能化モノマーの具体例である:メチル(メタ)アクリレート;エチル(メタ)アクリレート;n-プロピル(メタ)アクリレート;n-ブチル(メタ)アクリレート;イソブチル(メタ)アクリレート;n-へキシル(メタ)アクリレート;2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート;n-オクチル(メタ)アクリレート;イソオクチル(メタ)アクリレート;n-デシル(メタ)アクリレート;n-ドデシル(メタ)アクリレート;トリデシル(メタ)アクリレート;テトラデシル(メタ)アクリレート;ヘキサデシル(メタ)アクリレート; 2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート;2-および3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート;2-メトキシエチル(メタ)アクリレート;2-エトキシエチル(メタ)アクリレート;2-および3-エトキシプロピル(メタ)アクリレート;テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート;アルコキシ化テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート;2-(2-エトキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレート;シクロヘキシル(メタ)アクリレート;グリシジル(メタ)アクリレート;イソデシル(メタ)アクリレート;ラウリル(メタ)アクリレート;アルコキシ化フェノール(メタ)アクリレート;アルコキシ化ノニルフェノール(メタ)アクリレート;環状トリメチロールプロパンホルマル(メタ)アクリレート;イソボルニル(メタ)アクリレート;トリシクロデカンメタノール(メタ)アクリレート;tert-ブチルシクロヘキサノール(メタ)アクリレート;トリメチルシクロヘキサノール(メタ)アクリレート;ジエチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート;ジエチレングリコールモノエチルエーテル(メタ)アクリレート;ジエチレングリコールモノブチルエーテル(メタ)アクリレート;トリエチレングリコールモノエチルエーテル(メタ)アクリレート;エトキシ化ラウリル(メタ)アクリレート;メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート;ヒドロキシルエチルブチルウレタン(メタ)アクリレート;3-(2-ヒドロキシアルキル)オキサゾリジノン(メタ)アクリレート;およびこれらの組合せ。
【0131】
一分子あたり2つ以上の(メタ)アクリレート基を含有する例示的(メタ)アクリレート官能化モノマーとしては、エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート;トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート;エチレングリコールジ(メタ)アクリレート;テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート;ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート;1,4-ブタンジオールジアクリレート;1,4-ブタンジオールジメタクリルレート;ジエチレングリコールジアクリレート;ジエチレングリコールジメタクリレート、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート;1,6-ヘキサンジオールジメタクリレート;ネオペンチルグリコールジアクリレート;ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート;ポリエチレングリコール(600)ジメタクリレート(ここで600とはポリエチレングリコール部分のおおよその平均分子量を意味する);ポリエチレングリコール(200)ジアクリレート;1,12-ドデカンジオールジメタクリレート;テトラエチレングリコールジアクリレート;トリエチレングリコールジアクリレート、1,3-ブチレングリコールジメタクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ポリブタジエンジアクリレート;メチルペンタンジオールジアクリレート;ポリエチレングリコール(400)ジアクリレート;エトキシ化2ビスフェノールAジメタクリレート;エトキシ化3ビスフェノールAジメタクリレート;エトキシ化3ビスフェノールAジアクリレート;シクロヘキサンジメタノールジメタクリレート;シクロヘキサンジメタノールジアクリレート;エトキシ化10ビスフェノールAジメタクリレート(ここで、「エトキシ化」に続く数字は、一分子あたりのオキシアルキレン部分の平均数である);ジプロピレングリコールジアクリレート;エトキシ化4ビスフェノールAジメタクリレート;エトキシ化6ビスフェノールAジメタクリレート;エトキシ化8ビスフェノールAジメタクリレート;アルコキシ化ヘキサンジオールジアクリレート;アルコキシ化シクロヘキサンジメタノールジアクリレート;ドデカンジアクリレート;エトキシ化4ビスフェノールAジアクリレート;エトキシ化10ビスフェノールAジアクリレート;ポリエチレングリコール(400)ジメタクリレート;ポリプロピレングリコール(400)ジメタクリレート;金属ジアクリレート;修飾金属ジアクリレート;金属ジメタクリレート;ポリエチレングリコール(1000)ジメタクリレート;メタクリル化ポリブタジエン;プロポキシ化2ネオペンチルグリコールジアクリレート;エトキシ化30ビスフェノールAジメタクリレート;エトキシ化30ビスフェノールAジアクリレート;アルコキシ化ネオペンチルグリコールジアクリレート;ポリエチレングリコールジメタクリレート;1,3-ブチレングリコールジアクリレート;エトキシ化2ビスフェノールAジメタクリレート;ジプロピレングリコールジアクリレート;エトキシ化4ビスフェノールAジアクリレート;ポリエチレングリコール(600)ジアクリレート;ポリエチレングリコール(1000)ジメタクリレート;プロポキシ化ネオペンチルグリコールジアクリレート、例えばプロポキシ化2ネオペンチルグリコールジアクレート;アルコキシ化脂肪族アルコールのジアクリレート;トリメチロールプロパントリメタクリレート;トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリアクリレート;エトキシ化20トリメチロールプロパントリアクリレート;ペンタエリスリトールトリアクリルレート;エトキシ化3トリメチロールプロパントリアクリレート;プロポキシ化3トリメチロールプロパントリアクリレート;エトキシ化6トリメチロールプロパントリアクリレート;プロポキシ化6トリメチロールプロパントリアクリレート;エトキシ化9トリメチロールプロパントリアクリレート;アルコキシ化3官能性アクリレートエステル;3官能性メタクリレートエステル;3官能性アクリレートエステル;プロポキシ化3グリセリルトリアクリレート;プロポキシ化5.5グリセリルトリアクリレート;エトキシ化15トリメチロールプロパントリアクリレート;3官能性リン酸エステル;3官能性アクリル酸エステル;ペンタエリスリトールテトラアクリレート;ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート;エトキシ化4ペンタエリスリトールテトラアクリレート;ペンタエリスリトールポリオキシエチレンテトラアクリレート;ペンタエリスリトールペンタアクリレート;およびペンタアクリレートエステルが含まれ得る。
【0132】
EX-1のb)として使用可能な好適なエポキシ官能化化学線硬化性物質には、例えば、3,4-エポキシシクロヘキシルメチル-3’,4’-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル-5,5-スピロ-3,4-エポキシ)シクロヘキサン-1,4-ジオキサン、ビス(3,4-エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、ビニルシクロヘキセンオキシド、4-ビニルエポキシシクロヘキサン、ビス(3,4-エポキシ-6-メチルシクロヘキシルメチル)アジペート、3,4-エポキシ-6-メチルシクロヘキシル-3’,4’-エポキシ-6’-メチルシクロヘキサンカルボキシレート、メチレンビス(3,4-エポキシシクロヘキサン)、ジシクロペンタジエンジエポキシド、エチレングリコールのジ(3,4-エポキシシクロヘキシルメチル)エーテル、エチレンビス(3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート)、エポキシヘキサヒドロジオクチルフタレート、エポキシヘキサヒドロ-ジ-2-エチルヘキシルフタレート、1,4-ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、グリセロールトリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、エチレングリコール、プロピレングリコールおよびグリセロールなどの脂肪族多価アルコールに1つ以上のアルキレンオキシドを添加して得られるポリエーテルポリオールのポリグリシジルエーテル、脂肪族長鎖二塩基酸のジグリジルエステル、脂肪族高級アルコールのモノグリシジルエーテル、アルキレンオキシドを添加して得られるフェノール、クレゾール、ブチルフェノールあるいはポリエーテルアルコールのモノグリシジルエーテル、高級脂肪酸のグリシジルエステル、エポキシ化大豆油、エポキシブチルステアリン酸、エポキシオクチルステアリン酸、エポキシ化アマニ油、エポキシ化ポリブタジエンなどが含まれる。
【0133】
EX-1のb)中で使用できるカチオン重合可能な有機物質の他の例としては、オキセタン、例えば3-エチル-3-オキセタンメタノール、トリメチレンオキサイド、3,3-ジメチルオキセタン、3,3-ジクロルメチルオキセタン、3-エチル-3-フェノキスメチルオキセタン、ビス(3-エチル-3-メチルオキシ)ブタン;オキソラン、例えばテトラヒドロフラン2,3-ジメチルテトラヒドロフランおよびそれらの混合物が含まれる。
【0134】
他の化学線硬化性モノマーを、EX-1のb)の中に含めることができる。非限定的な例は、例えばα-メチルスチレン、2-メチルスチレン、3-メチルスチレン、4-メチルスチレン、4-プロピルスチレン、4-t-ブチルスチレン、4-シクロヘキシルスチレン、4-ドデシルスチレン、2,4-ジメチルスチレン、2,4-ジイソプロピルスチレン、2,4,6-トリメチルスチレン、2-エチル-4-ベンジルスチレン、4-(フェニルブチル)スチレン、1-ビニルナフタレン、2-ビニルナフタレン、ビニルアントラセン、N,N-ジエチル-4-アミノエチルスチレン、ビニルピリジン、4-メトキシスチレン、モノクロロスチレン、ジクロロスチレン、ジビニルベンゼンおよびこれらの組み合わせである。
【0135】
上述のように、一部の補強材は、硬化エンハンサー18からのエネルギーに対して不透明、透明または半透明であってよい。2つ以上の補強材の混合物は、いくつかの不透明の補強材、いくつかの透明な補強材および/またはいくつかの部分的に透明な補強材を有する実施形態を含めて、本開示の範囲内に入る。
【0136】
一つの利用分野において、EX-1のc)は、不連続補強材(例えば粒子)を含んでいてよく、硬化および熱分解の前に組成物の少なくとも0.50重量%の量で存在し得る。例えば、組成物は、少なくとも0.6重量%、0.7重量%、0.8重量%、0.9重量%、1重量%、1.5重量%、2重量%、3重量%、4重量%、5重量%、6重量%、7重量%、8重量%、9重量%、10重量%、20重量%、30重量%、40重量%、50重量%、60重量%、70重量%、80重量%、または少なくとも90重量%の粒子を含み得る。例えば、組成物は、最高1重量%の粒子を含み得る。
【0137】
別の利用分野において、EX-1のc)は、硬化および熱分解の前に硬化性組成物の少なくとも0.50重量%の量で、不連続補強材(例えば繊維)を含み得る。例えば、化学線硬化性組成物は、少なくとも1重量%、2重量%、3重量%、4重量%、5重量%、6重量%、7重量%、8重量%、9重量%、10重量%、20重量%、30重量%、40重量%、50重量%、60重量%、70重量%、80重量%または少なくとも90重量%の繊維を含み得る。
【0138】
別の利用分野において、EX-1のc)は、硬化および熱分解の前に、組成物の少なくとも0.50重量%の量で、連続補強材(例えば繊維)を含み得る。例えば、組成物は、少なくとも1重量%、2重量%、3重量%、4重量%、5重量%、6重量%、7重量%、8重量%、9重量%、10重量%、20重量%、30重量%、40重量%、50重量%、60重量%、70重量%、80重量%または少なくとも90重量%の連続繊維を含み得る。
【0139】
別の利用分野において、EX-1のc)は、硬化および熱分解の前に、硬化性組成物の少なくとも0.50重量%の量で連続炭素繊維を含み得る。例えば組成物は、少なくとも1重量%、2重量%、3重量%、4重量%、5重量%、6重量%、7重量%、8重量%、9重量%、10重量%、20重量%、30重量%、40重量%、50重量%、60重量%、70重量%、80重量%または少なくとも90重量%の連続炭素繊維を含み得る。
【0140】
本開示のいくつかの実施形態において、本明細書中に記載の組成物は、少なくとも1つの光開始剤(すなわちEX-1のd))を含むことができ、放射エネルギー(可視光および/または紫外線)により硬化可能である。光開始剤は、放射線(例えば化学線)に曝露した時点で硬化性組成物内に存在する重合化有機物質の反応および硬化を開始させる種を形成するあらゆるタイプの物質とみなされ得る。好適な光開始剤には、フリーラジカル光開始剤のみ、カチオン光開始剤のみ、またはラジカル光開始剤とカチオン光開始剤の両方の組合せが含まれる。
【0141】
フリーラジカル重合開始剤は、照射された場合にフリーラジカルを形成する物質である。光開始剤は、ホスフィンオキシド、詳細には、モノまたはジアシルホスフィンオキシドであり得る。ジアシルホスフィンオキシドの非限定的な例としては、フェニルビス(2、4、6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド)が含まれる。好適なアシルホスフィンオキシドの非限定的な例には、非限定的に、2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニル-ホスフィンオキシド、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-(2,4-ビス-ペンチルオキシフェニル)ホスフィンオキシドおよび2,4,6-トリメチル-ベンゾイルエトキシフェニルホスフィンオキシドおよびその組み合わせが含まれる。
【0142】
組成物が、(メタ)アクリレート官能基などの重合可能な(反応性)エチレン不飽和官能基を伴う有機物質を含有する場合、フリーラジカル光開始剤を使用することができる。本開示の組成物中で使用するのに好適な非限定的タイプのフリーラジカル光開始剤には、例えばベンゾイン、ベンゾインエーテル、アセトフェノン、ベンジル、ベンジルケタール、アントラキノン、ホスフィンオキシド、α-ヒドロキシケトン、フェニルグリオキシレート、α-アミノケトン、ベンゾフェノン、チオキサントン、キサントン、アクリジン誘導体、フェナゼン誘導体、キノキサリン誘導体およびトリアジン化合物が含まれる。好適なフリーラジカル光開始剤の例としては、非限定的に2-メチルアントラキノン、2-エチルアントラキノン、2-クロロアントラキノン、2-ベンジアントラキノン、2-t-ブチルアントラキノン、1,2-ベンゾ-9,10-アントラキノン、ベンジル、ベンゾイン、ベンゾインエーテル、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、アルファ-メチルベンゾイン、アルファ-フェニルベンゾイン、ミヒラーズケトン、アセトフェノン、例えば2,2-ジアルコキシベンゾフェノンおよび1-ヒドロキシフェニルケトン、ベンゾフェノン、4,4’-ビス-(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、アセトフェノン、2,2-ジエチルオキシアセトフェノン、ジエチルオキシアセトフェノン、2-イソプロピルチオキサントン、チオキサントン、ジエチルチオキサントン、1,5-アセトナフチレン、エチル-p-ジメチルアミノベンゾエート、ベンジルケトン、α-ヒドロキシケト、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、ベンジルジメチルケタール、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタノン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルフォリノプロパノン-1,2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-プロパノン、オリゴマーα-ヒドロキシケトン、ベンゾイルホスフィンオキシド、フェニルビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド、エチル-4-ジメチルアミノベンゾエート、エチル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィネート、アニソイン、アントラキノン、アントラキノン-2-スルホン酸、ナトリウム塩1水和物、(ベンゼン)トリカルボニルクロム、ベンジル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾフェノン/1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、50/50ブレンド、3,3’,4,4’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、4-ベンゾイルビフェニル、2-ベンジル-2-(ジメチルアミノ)-4’-モルフォリノブチロフェノン、4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’-ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、カンフォルキノン、2-クロロチオキサンテン-9-オン、ジベンゾスベレノン、4,4’-ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン、4-(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’-ジメチルベンジル、2,5-ジメチルベンゾフェノン、3,4-ジメチルベンゾフェノン、ジフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド/2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオフェノン、50/50ブレンド、4’-エトキシアセトフェノン、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホフィンオキシド、フェニルビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド、フェロセン、3’-ヒドロキシアセトフェノン、4’-ヒドロキシアセトフェノン、3-ヒドロキシベンゾフェノン、4-ヒドロキシベンゾフェノン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオフェノン、2-メチルベンゾフェノン、3-メチルベンゾフェノン、メチルベンゾイルホルメート、2-メチル-4’-(メチルチオ)-2-モルフォリノプロピオフェノン、フェナントレンキノン、4’-フェノキシアセトフェノン、(クメン)シクロペンタジエニル鉄(ii)ヘキサフルオロホスフェート、9,10-ジエトキシおよび9,10-ジブトキシアントラセン、2-エチル-9,10-ジメトキシアントラセン、チオキサンテン-9-オンおよびこれらの組み合わせが含まれる。
【0143】
好適なカチオン光開始剤には、化学線などの放射線に曝露された時点で、開示されている組成物中でモノマーそして(存在する場合には)オリゴマー重合有機物質の反応を開始させるカチオン(例えばブレンステッドまたはルイス酸)を形成するあらゆるタイプの光開始剤が含まれる。例えば、カチオン光開始剤は、カチオン部分とアニオン部分が含まれ得る。光開始剤分子のカチオン部分は、紫外線の吸収を担い、一方アニオン部分は紫外線吸収後に強酸となり得る。好適なカチオン光開始剤には、例えば、弱い求核度のアニオンを伴うオニウム塩、例えばハロニウム塩、ヨードニウム塩(例えば、ビス(4-t-ブチルフェニル)ヨードニウムパーフルオロ-1-ブタンスルホン酸塩などのジアリールヨードニウム塩)またはスルホニウム塩(例えば、トリアリールスルホニウムヘキサフルオロアンチモン酸塩などのトリアリールスルホニウム塩);スルホキソニウム塩;およびジアゾニウム塩が含まれる。メタロセン塩は、別のタイプの好適なカチオン光開始剤である。
【0144】
組成物中の光開始剤の量は、他の因子のなかでも、選択された特定の光開始剤、組成物中に存在する重合有機物質の量およびタイプ(モノマーおよびオリゴマー)、使用される放射線源および放射条件に応じて、適宜変動し得る。しかしながら、典型的には、光開始剤の量は、補強材を除いた硬化性組成物の総重量に基づいて0.05~5重量%、例えば0.1~2重量%であり得る。いくつかの実施形態によると、光開始剤の典型的な濃度は、補強材を除いた組成物の総重量に基づいて最高約15重量%であり得る。例えば、組成物は、補強材を除いた組成物の総重量に基づいて、合計0.1~10重量%の光開始剤を含み得る。
【0145】
いくつかの実施形態において、本明細書中に記載の開示された組成物はさらに(例えば光開始剤に追加して)、加熱された時点であるいは促進剤の存在下で分解し、したがって同様に化学的に(すなわち放射線に対する組成物の曝露に加えて)硬化可能である少なくとも1つのフリーラジカル開始剤を含む。少なくとも1つのフリーラジカル開始剤は、本明細書中では、熱開始剤と呼ばれる。熱開始剤は、例えば過酸化物またはアゾ化合物、詳細には有機過酸化物またはアゾニトリルを含む。この目的での好適な過酸化物には、少なくとも1つのペルオキシ(-O-O-)部分を含有するあらゆる化合物、詳細にはあらゆる有機化合物、例えば、ジアルキル、ジアリールおよびアリール/アルキルペルオキシド、ヒドロペルオキシド、ペルカーボネート、ペルエステル、過酸、アシルペルオキシドなどが含まれる。アゾニトリルの一例は、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)である。促進剤は、例えば少なくとも1つの第3級アミンおよび/またはM含有塩(例えば、鉄、コバルト、マンガン、バナジウムなどの遷移M含有塩のカルボン酸塩)に基づく1つ以上の他の還元剤を含み得る。促進剤は、組成物を加熱する必要なく組成物の硬化を達成することができるように、活性フリーラジカル種を生成するべく、室温または周囲温度で熱開始剤の分解を助長させるように選択され得る。他の実施形態においては、いかなる促進剤も存在せず、組成物は、熱開始剤の分解をひき起こし、それにより組成物中に存在する重合可能な化合物の硬化を開始させるフリーラジカル種を生成するのに有効な温度まで加熱される。理論により束縛されることは望まないものの、いくつかの実施形態によると、光誘発重合により提供される発熱が、このような化学的(熱)フリーラジカル開始剤を分解するのに充分な熱を提供し得る。
【0146】
本開示の組成物中の熱開始剤濃度は、他の考えられる因子の中でも、選択された特定の化合物、組成物中に存在する重合可能な化合物のタイプ、使用される硬化条件および所望される硬化速度に応じて、望み通りに変動させることができる。しかしながら、典型的には、組成物は、補強材を除いた組成物の総重量に基づいて0.05~5重量%、(例えば0.1~2重量%であり得る)の熱開始剤を含み得る。いくつかの実施形態によると、熱開始剤の典型的な濃度は、補強材を除いた組成物の総重量に基づいて最高約15重量%であり得る。例えば、組成物は、補強材を除いた組成物の総重量に基づいて合計0.1~10重量%の熱開始剤を含み得る。
【0147】
これらの組成物はさらに、フリーラジカルおよび/またはカチオンを生成するために単に紫外線開始のみに頼るのではなく、2元開始剤システムを含むことができる。光開始剤および熱開始剤の両方で構成された2元開始システムは、紫外線不透明補強材とは反対の側で熱開始剤を開始させるために、表面で紫外線開始から生成された重合発熱を利用する。このように生成された熱は、前面重合プロセスにおいて、ヘッド16から吐出された複合材料の深さ内へさらに伝搬し続けることができる。好適な熱開始剤の非限定的な例は、アゾニトリル、例えばアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)である。過酸化物も同様に、好適な熱開始剤であり、例えば、Arkema社からLuperox(登録商標)A98またはLuperox LP(登録商標)が入手可能である。過酸化ジクミルが、別の非限定的な例である。
【実施例
【0148】
以下で提供されている表1および2は、実験室環境内で調製された組成物の例示的試料を示している。表中に示されているように、EX-1のa)、b)およびd)をまず混合することによって、試料を調製した。チャーが補強材を含まないことから、試料のために、いかなる補強材も使用しなかった。その後、各試料について、未硬化の組成物の液滴を、ガラスプレート上で、紫外線フラッドランプ下に置き、30~60秒間、紫外線曝露によって硬化させた。その後、試料をプレートから取出し、切断してTGAサンプルパンに嵌め込んだ。TGA分析を用いて、熱分解すると同時に硬化済み組成物が提供したチャーの量を測定した。
【0149】
硬化済みの各試料(補強材無しの10~30mgの組成物)のチャーの重量%を、TA Instruments Q50 TGAを用いて以下の加熱手順により測定した:5℃/分の温度上昇率で室温から300℃までの温度上昇、1℃/分で300℃から400℃までの温度上昇、400℃で3時間の保持、1℃/分で400℃から500℃までの温度上昇、500℃で3時間の保持、そして最後に500℃から1000℃までの温度上昇。加熱手順全体を通して不活性パージガスとして、40~60mL/分の窒素の連続流を使用した。所与の温度におけるチャーの重量%を、開始時点で記録した重量で除した残留材料重量の百分率として決定した。400℃で3時間保持した後、各試料のチャーの重量%を報告した。
【0150】
開示された組成物が硬化および熱分解後に提供するチャーの重量%は、(TGAからの灰重量)/(硬化後で(TGAによる)熱分解の前の試料の重量-充填材の重量)*100として報告される。したがって、開示された組成物が硬化および熱分解後に提供するチャーの重量%には、チャーに寄与する試料中の他のあらゆる添加剤が含まれることになる。
【表1】
【表2】
【0151】
本明細書中で開示されている硬化性組成物は、積層造形を介してプリフォーム12aをその最終的またはほぼ最終的な形状(グリーン複合材)で形成し、それと同時に、熱分解後の構造12の最終的炭素含有量の有意な部分に寄与するために、極めて適したものである。したがって、この組成物は、さらなる高密度化および熱分解ステップの必要性も削減しながら、費用効果性が高く、時間節約にもなる初期製造ステップを可能にする。これは、プロセス効率の全体的上昇に寄与し得る。
【0152】
開示されたシステムは、高温での利用分野において使用可能な複合構造を製造するために使用され得る。該システムは、局在化された形でネットまたはニアネットシェイプに合わせて構造を製造することができ、これにより高価な資源および時間の節約も可能にする。
【0153】
本発明は以下の項目に関する。
項目1. 積層造形システムを用いた3次元プリント炭素結合複合品の製造方法において:
プリントヘッドから硬化性組成物を吐出するステップであって、硬化性組成物が:
a)(メタ)アクリレートオリゴマー、エポキシ官能化化合物およびそれらの混合物からなる群から選択された、0.4~1.6のH/Catomic ratioを有する少なくとも1種の芳香族化学線硬化性構成要素と;
b)少なくとも1つの化学線硬化性モノマーを含む少なくとも1つの希釈剤と;
c)補強材と;
d)光開始剤と;
を含んでいる、ステップと;
吐出中に硬化性組成物を照射して、硬化性組成物を少なくとも部分的に化学線硬化させ、3次元プリント炭素結合複合品のプリフォームを形成するステップと;
を含む方法。
項目2. プリフォームを熱分解して3次元プリント炭素結合複合品を形成するステップをさらに含み、硬化性組成物が、化学線硬化後のa)、b)およびd)の重量に基づいて、400℃で3時間保持した後熱重量分析によって測定した場合に、熱分解後に18重量%超のチャーを創出する、項目1に記載の方法。
項目3. 硬化性組成物が、硬化性組成物の照射ステップに先立って25℃で多くとも60,000mPa・sの粘度を有している、項目2に記載の方法。
項目4. a)が、0.7~1.4のH/Catomic ratioを有する、項目2に記載の方法。
項目5. b)が、少なくとも1という芳香族含有量を有する、項目2に記載の方法。
項目6. 硬化性組成物が、化学線硬化後のa)、b)およびd)の重量に基づいて、400℃で3時間保持した後に熱重量分析によって測定した場合に、熱分解後に少なくとも20重量%のチャーを創出する、項目2に記載の方法。
項目7. 硬化性組成物が、400℃で3時間保持した後に熱重量分析によって測定した場合に、化学線硬化後のa)、b)およびd)の重量に基づいて、熱分解後に少なくとも22.5重量%超のチャーを創出する、項目2に記載の方法。
項目8. 硬化性組成物が、化学線硬化後のa)、b)およびd)の重量に基づいて、400℃で3時間保持した後に熱重量分析によって測定した場合に、熱分解後に少なくとも25重量%超のチャーを創出する、項目2に記載の方法。
項目9. a)が(メタ)アクリル化ノボラック脂を含む、項目2に記載の方法。
項目10. a)およびb)の組合せが、0.4~1.6の正味H/Catomic ratioを有する、項目2に記載の方法。
項目11. a)が、一分子あたり少なくとも1つの(メタ)アクリレート基を含む、項目2に記載の方法。
項目12. a)が、一分子あたり少なくとも2つの(メタ)アクリレート基を含む、項目2に記載の方法。
項目13. a)が、一分子あたり少なくとも1つのエポキシ基を含む、項目2に記載の方法。
項目14. a)が、一分子あたり少なくとも1つのエポキシ基および一分子あたり少なくとも1つの(メタ)アクリレート基を含む、項目2に記載の方法。
項目15. a)が:
一分子あたり少なくとも1つのエポキシ基を含む第1の化合物と;
一分子あたり少なくとも1つの(メタ)アクリレート基を含む第2の化合物と;
を含む、項目2に記載の方法。
項目16. b)が、一分子あたり少なくとも1つの(メタ)アクリレート基を含む、項目2に記載の方法。
項目17. b)が、一分子あたり少なくとも2つの(メタ)アクリレート基を含む、項目2に記載の方法。
項目18. b)が、一分子あたり少なくとも1つのエポキシ基を含む、項目2に記載の方法。
項目19. b)が、一分子あたり少なくとも1つのエポキシ基および一分子あたり少なくとも1つの(メタ)アクリレート基を含む、項目2に記載の方法。
項目20. b)が、
一分子あたり少なくとも1つのエポキシ基を含む第1の化合物と;
一分子あたり少なくとも1つの(メタ)アクリレート基を含む第2の化合物と;
を含む、項目2に記載の方法。
項目21. c)が、炭素繊維を含む、項目2に記載の方法。
項目22. c)が、連続繊維を含む、項目2に記載の方法。
項目23. c)が、硬化性組成物の少なくとも0.5重量%の量で存在する粒子を含む、項目2に記載の方法。
項目24. c)が、繊維を含み、硬化性組成物の少なくとも0.5重量%の量で存在する、項目2に記載の方法。
項目25. 補強材が、不透明であり;
硬化性組成物が、少なくとも1つの紫外線透明性補強材をさらに含んでいる、
項目2に記載の方法。
項目26. 硬化性組成物が、少なくとも1つの熱開始剤をさらに含んでいる、項目2に記載の方法。
項目27 a)が、(メタ)アクリル化エポキシノボラック樹脂であり;
b)が、エトキシ化3ビスフェノールAジアクリレート、2-フェノキシエチルアクリレート、tert-ブチルシクロヘキシルアクリレート、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート、トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリアクリレート、ポリオキシエチレンp-クミルフェニルエーテルアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレートおよびその混合物からなる群の中から選択され;
d)が、フェニルビス(2,4,6-トリメチルベンゾリル)ホスフィンオキシドであり;
硬化性組成物が、アゾビスイソブチロニトリルを含む少なくとも1つの熱開始剤をさらに含む、項目1に記載の方法。
項目28. タールピッチ、石油製品、非官能化ノボラック、カルボアおよびそれらの混合物からなる群の中から選択された少なくとも1つの非硬化性チャー形成成分をさらに含む、項目1に記載の方法。
項目29. 硬化性組成物の照射ステップが、プリフォーム中の硬化性組成物を熱分解する、項目1に記載の方法。
項目30. プリフォームを液体および気体のうちの少なくとも1つで高密度化するステップをさらに含む、項目1に記載の方法。
項目31. 液体および気体のうちの少なくとも1つが、硬化性組成物である、項目30に記載の方法。
項目32. プリフォームを加熱して、液体および気体のうちの少なくとも1つを熱分解するステップをさらに含む、項目30に記載の方法。
項目33. 3次元プリント炭素結合複合品内の少なくとも閾値多孔性が達成されるまで、高密度化ステップおよび加熱ステップを反復するステップをさらに含む、項目32に記載の方法。
項目34. 高密度化ステップが、液体および気体のうちの少なくとも1つを、プリントヘッドにオンボードで位置設定された供給源からプリフォーム内に誘導するステップを含んでいる、項目30に記載の方法。
項目35. 加熱ステップが、プリントヘッドにオンボードで位置設定された加熱器からプリフォーム内に熱を誘導するステップを含んでいる、項目34に記載の方法。
項目36. 照射ステップが、プリントヘッドにオンボードで位置設定された硬化エンハンサーからプリフォーム内に硬化エネルギーを誘導するステップを含んでいる、項目35に記載の方法。
項目37. 吐出ステップ、照射ステップ、高密度化ステップおよび加熱ステップが同時に完了させられる、項目36に記載の方法。
項目38. 吐出ステップ、照射ステップ、高密度化ステップおよび加熱ステップが異なる場所で完了させられる、項目37に記載の方法。
項目39. 3次元プリント炭素結合複合品の製造方法において:
プリントヘッドから25℃で多くとも60,000mPa・sの粘度を有する硬化性組成物を吐出するステップであって、硬化性組成物が:
a)(メタ)アクリレートオリゴマー、エポキシ官能化化合物およびそれらの混合物からなる群から選択された、0.4~1.6のH/Catomic ratioを有する少なくとも1つの芳香族化学線硬化性構成要素と;
b)少なくとも1つの化学線硬化性モノマーを含む少なくとも1つの希釈剤と;
c)炭素補強材およびセラミック補強材のうちの少なくとも1つと;
d)光開始剤と;
を含んでいる、ステップと;
吐出ステップ中に硬化性組成物に対してプリントヘッド上に組付けられた硬化エンハンサーから硬化エネルギーを誘導して、硬化性組成物を少なくとも部分的に硬化させ、3次元プリント炭素結合複合品のプリフォームを形成するステップと;
吐出ステップ中にプリントヘッドにオンボードで組付けられた加熱器でプリフォームを加熱して、プリフォーム内の硬化性組成物を熱分解するステップであって、硬化性組成物が、400℃で3時間保持した後に熱重量分析によって測定した場合に、化学線硬化後のa)、b)およびd)の重量に基づいて、加熱後に18重量%超のチャーを創出するステップと;
を含む方法。
項目40. 加熱ステップ後に液体および気体のうちの少なくとも1つでプリフォームを高密度化するステップと;
プリフォームを加熱して、液体および気体のうちの少なくとも1つを熱分解するステップと;
をさらに含む、項目30に記載の方法。
【0154】
当業者には、開示されたシステムおよび方法に対してさまざまな修正および変更を加えることができるということが明らかになるものである。開示されたシステムおよび方法の仕様および実践を考慮することにより、当業者には、他の実施形態も明らかになるものである。例えば、おそらく効率は劣ると思われるものの、プリフォームを別個に製造し、その後局所的に遮へいされた環境内でプリフォームを局所的に高密度化/熱分解するために、別個のヘッドを使用することもできる。明細書および実施例は、単なる例とみなされ、真の範囲は、以下の特許請求の範囲およびその等価物によって標示される、ということが意図されている。
図1
図2
【国際調査報告】