(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-27
(54)【発明の名称】検査装置の複数のチャンバ間の反応を進行するためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
G01N 1/10 20060101AFI20231117BHJP
G01N 1/28 20060101ALI20231117BHJP
G01N 33/50 20060101ALI20231117BHJP
G01N 33/53 20060101ALI20231117BHJP
C12M 1/30 20060101ALI20231117BHJP
【FI】
G01N1/10 N
G01N1/28 J
G01N33/50 G
G01N33/53 M
C12M1/30
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023527737
(86)(22)【出願日】2021-11-12
(85)【翻訳文提出日】2023-06-21
(86)【国際出願番号】 US2021059207
(87)【国際公開番号】W WO2022104112
(87)【国際公開日】2022-05-19
(32)【優先日】2020-11-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-12-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-12-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-05-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-10-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】507044516
【氏名又は名称】プレジデント アンド フェローズ オブ ハーバード カレッジ
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シャウス トーマス イー
(72)【発明者】
【氏名】イン ペン
【テーマコード(参考)】
2G045
2G052
4B029
【Fターム(参考)】
2G045CB07
2G045DA13
2G045DA14
2G045FB02
2G045HA07
2G045JA07
2G052AA29
2G052AB20
2G052AD06
2G052AD26
2G052AD46
2G052BA14
2G052BA19
2G052CA03
2G052EA08
2G052ED06
4B029AA09
4B029AA23
4B029BB01
4B029CC01
4B029GB02
4B029GB04
4B029GB05
4B029HA01
4B029HA06
(57)【要約】
検査装置は、細長い部材と管アセンブリを含む。管アセンブリは、第1の端部と第2の端部を有する。管アセンブリは、細長い部材を第2の端部で受け入れるように構成される。管アセンブリは、第1のチャンバ及び第2のチャンバを含んだ複数のチャンバを含む。第1のチャンバと第2のチャンバは、膜によって分離される。管アセンブリは、管アセンブリの第2の端部に配置されたばねを更に含む。管アセンブリは、ばねリテーナであって、ロック位置にあるときにばねが減圧するのを防ぎ、ロック解除位置にあるときにばねが減圧できるように構成されたばねリテーナを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置であって、
細長い部材と、
第1の端部及び第2の端部を有して、前記細長い部材を前記第2の端部で受け入れるように構成される管アセンブリと、を備え、
前記管アセンブリが、
膜によって分離されている第1のチャンバと第2のチャンバとを含んだ、複数のチャンバと、
前記管アセンブリの前記第2の端部に配置されるばねと、
ロック位置にあるときに前記ばねが減圧するのを防止し、ロック解除位置にあるときに前記ばねが減圧するのを可能にするように構成された、ばねリテーナと、
を含む、
装置。
【請求項2】
前記管アセンブリは、キー開口部であって、前記ばねリテーナが前記ロック位置にあるときに前記ばねリテーナの一部分を受け入れるためのキー開口部を更に含む、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記管アセンブリの長手方向軸と前記キー開口部の軸は直交する、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記ばねリテーナの前記一部分を前記キー開口部から取り外すことは、前記ばねリテーナを前記ロック解除位置に配置する、請求項2又は3に記載の装置。
【請求項5】
前記ばねリテーナの形状は、前記ばねリテーナの前記一部分が前記キー開口部から取り外されるときに変形される、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記ばねは、前記ロック解除位置にあるときに、前記管アセンブリの前記第1の端部に向かって前記ばねリテーナを押圧するように構成される、請求項1~5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記細長い部材は、前記ばねリテーナが前記管アセンブリの前記第1の端部に向かって押圧されるにつれて、前記管アセンブリの前記第1の端部に向かって移動する、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記細長い部材は、前記ばねリテーナが前記管アセンブリの前記第1の端部に向かって押圧されることに応じて、前記第1のチャンバを前記第2のチャンバから分離している前記膜を穿孔する、請求項6又は7に記載の装置。
【請求項9】
前記ばねリテーナは中空で実質的に円筒形であり、前記管アセンブリの内側半径よりも小さい内側半径を有する、請求項2~8のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
前記細長い部材は、前記細長い部材の長さに沿って変化する断面積を有する、請求項1~9のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
前記ばねリテーナは、前記管アセンブリの前記第2の端部に受け入れられたときに、前記細長い部材を前記管アセンブリ内に固定するように更に構成される、請求項1~10のいずれか一項に記載の装置。
【請求項12】
前記細長い部材は、前記細長い部材が前記管アセンブリから取り外されるのを防ぐように構成されたフラップを含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の装置。
【請求項13】
前記第1のチャンバは第1の試薬を含み、前記第2のチャンバは前記第1の試薬とは異なる第2の試薬を含む、請求項1~12のいずれか一項に記載の装置。
【請求項14】
前記細長い部材は注射器又は綿棒である、請求項1~13のいずれか一項に記載の装置。
【請求項15】
前記ばねリテーナは、前記ロック位置から前記ロック解除位置にソレノイドを使用して移行される、請求項1~14のいずれか一項に記載の装置。
【請求項16】
前記ばねは、圧縮ガス装置又は機械的ばねを含む、請求項1~15のいずれか一項に記載の装置。
【請求項17】
前記複数のチャンバは直列に配置され、前記複数のチャンバは、前記第1のチャンバ及び前記第2のチャンバから分離された少なくとも第3のチャンバを更に含む、請求項1~16のいずれか一項に記載の装置。
【請求項18】
複数のサンプルを処理するための、請求項1~17のいずれか一項に記載の複数の装置を含むアセンブリであって、前記複数の装置がアレイ状に配置され、前記複数のサンプルを並列又は直列に処理するように構成された、アセンブリ。
【請求項19】
化学反応を行うための方法であって、
綿棒を、検査装置の第1のチャンバであって、第1の流体混合物を含む第1のチャンバに挿入するステップと、
前記検査装置の第1のばねチャンバ内に配置された第1のばねを減圧するステップであって、前記第1のばねの減圧により、前記第1のチャンバ内の前記流体混合物が前記検査装置の前記第1のばねチャンバに流入され、前記流体混合物が、前記第1のばねチャンバに向かう途中でシリカによって濾過されるステップと、
前記検査装置の第2のばねチャンバ内に配置された第2のばねを減圧するステップであって、前記第2のばねの減圧により、前記検査装置の前記第2のばねチャンバ内の第2の流体が第2のチャンバに向かう途中でシリカによって濾過されるステップと、
を含む、方法。
【請求項20】
前記第1のばねを減圧することで真空圧が引き起こされ、一方、前記第2のばねを減圧することで陽圧が引き起こされる、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記第1及び前記第2のばねが同時に減圧される、請求項19又は請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記第1のばねが減圧された後で、前記第2のばねが減圧される、請求項19に記載の方法。
【請求項23】
前記綿棒は生体サンプルを含む、請求項19~22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記生体サンプルは、唾液、粘液、又は鼻水を含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記第1の流体混合物は抽出緩衝液を含む、請求項19~24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記抽出緩衝液は核酸抽出緩衝液を含む、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記第1のチャンバ内で生じる化学反応は核酸抽出である、請求項19~26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記第2の流体混合物は溶出緩衝液又は増幅緩衝液を含む、請求項19~27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
前記第2のチャンバは核酸増幅試薬を含む、請求項19~28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
前記核酸増幅試薬は等温核酸増幅試薬である、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記核酸増幅試薬は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)試薬、リコンビナーゼポリメラーゼ増幅(RPA)試薬、ループ介在等温増幅(LAMP)試薬、ローリングサークル増幅(RCA)試薬、又は鎖置換増幅(SDA)試薬を含む、請求項29又は請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記核酸増幅試薬は凍結乾燥される、請求項29~31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
前記第2のチャンバ内で生じる化学反応は核酸増幅反応である、請求項19~32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
前記核酸増幅反応は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、リコンビナーゼポリメラーゼ増幅(RPA)、又はループ介在等温増幅(LAMP)である、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記第2のチャンバは、検出可能なシグナルを生成することができるレポータ分子を含む核酸プローブを含み、前記核酸プローブは、前記核酸増幅からのアンプリコンに実質的に相補的なヌクレオチド配列を含む、請求項19~34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
前記第2のチャンバはエキソヌクレアーゼを含む、請求項19~35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
前記エキソヌクレアーゼは、5’→3’方向のエキソヌクレアーゼ活性を有する二本鎖特異的エキソヌクレアーゼである、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
化学反応を行うための方法であって、
細長い部材の一端を管アセンブリの第2の端部に挿入することで、前記細長い部材の前記一端が前記管アセンブリの第1のチャンバ内に延びるステップと、
前記管アセンブリの前記第2の端部に配置されるばねを、前記管アセンブリのばねリテーナのロック解除によって減圧するステップと、
前記管アセンブリの前記第1のチャンバを前記管アセンブリの第2のチャンバから分離する膜を穿孔することで、前記細長い部材の前記一端が前記管アセンブリの前記第2のチャンバ内に延びるステップと、
を含む、方法。
【請求項39】
前記細長い部材の前記一端は生体サンプルを含む、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記生体サンプルは唾液又は鼻水を含む、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記管アセンブリの前記第1のチャンバは、前記細長い部材の前記一端と相互作用する第1の流体混合物を含み、前記第1の流体混合物は抽出緩衝液を含む、請求項38~40のいずれか一項に記載の方法。
【請求項42】
前記抽出緩衝液は核酸抽出緩衝液を含む、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記管アセンブリの前記第1のチャンバ内で生じる化学反応は核酸抽出である、請求項38~42のいずれか一項に記載の方法。
【請求項44】
前記管アセンブリの前記第2のチャンバは第2の流体混合物を含み、前記第2の流体混合物は溶出緩衝液又は増幅緩衝液を含む、請求項38~43のいずれか一項に記載の方法。
【請求項45】
前記管アセンブリの前記第2のチャンバは核酸増幅試薬を含む、請求項38~44のいずれか一項に記載の方法。
【請求項46】
前記核酸増幅試薬は等温核酸増幅試薬である、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記核酸増幅試薬は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)試薬、リコンビナーゼポリメラーゼ増幅(RPA)試薬、ループ介在等温増幅(LAMP)試薬、ローリングサークル増幅(RCA)試薬、又は鎖置換増幅(SDA)試薬を含む、請求項45又は請求項46に記載の方法。
【請求項48】
前記核酸増幅試薬は凍結乾燥される、請求項45~47のいずれか一項に記載の方法。
【請求項49】
前記第2のチャンバ内で生じる化学反応は核酸増幅反応である、請求項38~48のいずれか一項に記載の方法。
【請求項50】
前記核酸増幅反応は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、リコンビナーゼポリメラーゼ増幅(RPA)、又はループ介在等温増幅(LAMP)である、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
前記第2のチャンバは、検出可能なシグナルを生成することができるレポータ分子を含んだ核酸プローブを含み、前記核酸プローブは、前記核酸増幅からのアンプリコンに実質的に相補的なヌクレオチド配列を含む、請求項38~50のいずれか一項に記載の方法。
【請求項52】
前記第2のチャンバはエキソヌクレアーゼを含む、請求項38~51のいずれか一項に記載の方法。
【請求項53】
前記エキソヌクレアーゼは、5’→3’方向のエキソヌクレアーゼ活性を有する二本鎖特異的エキソヌクレアーゼである、請求項52に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2020年11月12日に出願された米国仮特許出願第63/112,751号、2020年12月14日に出願された米国仮特許出願第63/124,919号、2020年12月17日に出願された米国仮特許出願第63/126,701号、2021年5月20日に出願された米国仮特許出願第63/191,205号、2021年10月21日に出願された米国仮特許出願第63/270,350号に対する優先権及び利益を主張し、これらのそれぞれは、参照によりその全体が本明細書に援用される。
【0002】
連邦政府による資金提供を受けた研究の記載
本発明は、米国国立衛生研究所(National Institutes of Health)によって付与されたGM133052のもと、政府による支援を受けてなされた。政府は、本発明において一定の権利を有する。
【0003】
本開示は、一般的に、サンプルに対して検査を実施するための装置及び方法に関する。特に、本開示は、細長い部材の少なくとも一部分を検査装置の第1のチャンバと第2のチャンバとの間に前進させる複数のチャンバを有する検査装置に関する。
【背景技術】
【0004】
大規模検査を必要とするパンデミック又はエピデミック(例えば、COVID-19パンデミック)は、集中型検査インフラストラクチャに基づく検査リソースに負担をかけており、例えば、少数の検査ラボ又はセンターが検査結果を一般の人々に提供することに関与している場合などがある。検査の民主化又は分散化は、集中型インフラストラクチャに関連する障害が取り除かれることによって、効率を大幅に向上させ得る。例えば、検査結果は、より分散化された検査環境において、より迅速に人々に提供され得る。しかし、このような分散型検査には、検査プロセスに精通していない可能性のある一般大衆が使用できる材料と機器を必要とする。従って、本開示は、様々な用途のためのエラー防止検査機器に関する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国出願公開第2014/0004548号明細書
【特許文献2】国際公開第2019/204147号
【特許文献3】米国出願公開第2014/0120544号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示のいくつかの実装によれば、検査用の装置が提供される。この装置は、細長い部材と管アセンブリを含む。管アセンブリは、第1の端部及び第2の端部を有する。管アセンブリは、細長い部材を第2の端部で受け入れるように構成される。管アセンブリは、第1のチャンバ及び第2のチャンバを含んだ複数のチャンバを含む。第1のチャンバと第2のチャンバは膜によって分離される。管アセンブリは、管アセンブリの第2の端部に配置されたばねを更に含む。管アセンブリは、ばねリテーナであって、ロック位置にあるときにばねが減圧するのを防止し、かつロック解除位置にあるときにばねが減圧することができるように構成されたばねリテーナを更に含む。
【0007】
本開示のいくつかの実装によれば、化学反応を行う方法が提供される。この方法は、(a)細長い部材の一端を管アセンブリの第2の端部に挿入することで、細長い部材の一端が管アセンブリの第1のチャンバ内に延在することと、(b)管アセンブリの第2の端部に配置されたばねを、管アセンブリのばねリテーナのロック解除によって減圧することと、(c)管アセンブリの第1のチャンバを管アセンブリの第2のチャンバから分離する膜を、穿孔することで、細長い部材の一端が管アセンブリの第2のチャンバ内に延在することと、を含む。
【0008】
本開示のいくつかの実装によれば、化学反応を行う方法が提供される。この方法は、(a)検査装置の第1のチャンバに綿棒を挿入することであって、第1のチャンバは第1の流体混合物を含んでいることと、(b)検査装置の第1のばねチャンバに配置された第1のばねを減圧し、第1のばねの減圧により、第1のチャンバ内の流体混合物が検査装置の第1のばねチャンバに流入され、流体混合物が第1のばねチャンバへ向かう途中でシリカによって濾過されることと、(c)検査装置の第2のばねチャンバ内に配置された第2のばねを減圧し、第2のばねの減圧により、検査装置の第2のばねチャンバ内の第2の流体が、第2のチャンバに向かう途中でシリカによって濾過されることと、を含む。
【0009】
上記の概要は、本開示の各実装又はすべての態様を表すことを意図したものではない。 本開示の追加の特徴及び利益は、以下に示す詳細な説明及び図から明らかである。
【0010】
本特許又は出願書類は、カラーで作成された少なくとも1つの図面を含む。カラー図面(複数可)を含む本特許又は特許出願公開のコピーは、要求し必要な手数料の支払いに応じて、特許商標庁(the Office)によって提供される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本開示のいくつかの実装による、例示的な検査装置を示す。
【
図2】本開示のいくつかの実装による、
図1の検査装置の分解図を示す。
【
図3】本開示のいくつかの実装による、
図1の検査装置の分解図の断面を示す。
【
図4】本開示のいくつかの実装による、
図1の検査装置の第1の構成における断面を示す。
【
図5】本開示のいくつかの実装による、
図1の検査装置の第2の構成における断面を示す。
【
図6-1】本開示のいくつかの実装による、第2の例示的な検査装置の断面を示す。
【
図6-2】本開示のいくつかの実装による、第3の例示的な検査装置の断面を示す。
【
図6-3】本開示のいくつかの実装による、第4の例示的な検査装置の断面を示す。
【
図6-4】本開示のいくつかの実装による、第5の例示的な検査装置の断面を示す。
【
図7】本開示のいくつかの実装による、検査を行うためのプロセスを示す。
【
図8A】本開示のいくつかの実装による、第1の例示的な電子デバイスの断面を示す。
【
図8B】本開示のいくつかの実装による、第2の例示的な電子デバイスの断面を示す。
【
図9】本開示のいくつかの実装による、電子デバイスの例示的なモジュール式アセンブリを示す。
【
図10】本開示のいくつかの実装による、第6の例示的な検査装置を示す。
【
図11】本開示のいくつかの実装による、
図10の第6の検査装置の断面を示す。
【
図12A】本開示のいくつかの実装による、第7の例示的な検査装置の断面を示す。
【
図12B】本開示のいくつかの実装による、第7の検査装置の第1の位置における断面を示す。
【
図12C】本開示のいくつかの実装による、第7の検査装置の第2の位置における断面を示す。
【
図12D】本開示のいくつかの実装による、第7の検査装置の第3の位置における断面を示す。
【
図12E】本開示のいくつかの実装による、第7の例示的な検査装置の第4の位置における断面を示す。
【
図13】本開示のいくつかの実装による、第8の例示的な検査装置の断面を示す。
【
図13-1】本開示のいくつかの実装による、第9の例示的な検査装置の部分の断面を示す。
【
図14】本開示のいくつかの実装による、第10の例示的な検査装置の断面を示す。
【
図15】本開示のいくつかの実装による、例示的な検査装置を用いるためのステップを示す。
【0012】
本開示は、様々な修正及び代替の形態が可能であるが、その特定の実装及び実施形態が、例として図面に示され、本明細書で詳細に説明される。しかし、本開示が、開示される特定の形態に限定されることを意図するものではなく、添付の特許請求の範囲によって規定される本開示の趣旨及び範囲内に在るすべての修正、同等物及び代替物を包括するものであることを理解されたい。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本開示の実施形態は、複数の連続するコンパートメント又はチャンバを、異なる試薬、温度、又は他の要件によるかどうかにかかわらず必要とする生化学反応を進行させる簡単で安価なシステム及び方法を提供する。いくつかの実装では、位置エネルギーを蓄積するための機構が記載され、これは簡単な機械的起動装置によって解放されて、チャンバ間の流体移動をもたらし得る。例えば、位置エネルギーは、ユーザが圧縮したばね、又は事前に圧縮されたばねとして蓄えられ、ソレノイドがばねエネルギーの解放を起動し、シリンジ機構によって第1のチャンバから第2のチャンバへの流体の移動を強制する。
【0014】
様々な実施形態は、添付の図を参照して記載されており、同様の参照番号は図全体を通して使用され、同様又は同等の要素を示す。図は、必ずしも一定の縮尺で描かれているわけではなく、単に本開示の態様及び特徴を説明するために提供される。多数の具体的な詳細、関係、及び方法が記載されて、本開示の特定の態様及び特徴の完全な理解を提供するが、関連技術の当業者は、これらの態様及び特徴が、1つ以上の特定の詳細なしで、他の関係、又は他の方法を用いて実用され得ることを認識するであろう。いくつかの例では、よく知られている構造又は操作は、説明のために詳細には示されていない。本明細書に開示される様々な実施形態は、図示された行為又はイベントの順序によって必ずしも限定されるものではなく、一部の行為は異なる順序で、及び/又は他の行為若しくはイベントと同時に起きる場合がある。更に、図示された行為又はイベントのすべてが、本開示の特定の態様及び特徴を実装するために必ずしも必要であるとは限らない。
【0015】
本発明の詳細な説明のために、特に否定しない限り、適切な場合、単数形は複数形を含み、その逆も同様である。「含む」という言葉は、「限定なしに含む」を意味する。更に、近似の言葉、例えば「約」、「ほとんど」、「実質的に」、「概ね」などは、本明細書では、「で」、「近く」、「ほぼ」、「3~5%以内」、「許容可能な製造公差の範囲内」、又はそれらの任意の論理的組み合わせを意味するのに用いられ得る。同様に、「垂直」又は「水平」という用語は、それぞれ、垂直方向又は水平方向の「3~5%以内」を更に含むことを意図する。加えて、方向の言葉、例えば「上部」、「下部」、「左」、「右」、「上」、「下」などは、参照図に示されるような、参照されるオブジェクト(複数可)又は要素(複数可)から、例えばオブジェクト(複数可)又は要素(複数可)について一般に使用される位置から文脈的に理解されるような、あるいは本明細書に別段の記載があるような、同等の方向に関連することを意図している。
【0016】
図1は、本開示のいくつかの実装による検査装置100を示す。検査装置100は、検査装置の1つのチャンバから検査装置の別のチャンバへと反応を進めることを可能にし得る。検査装置100は、安価な使い捨て装置とすることができる。検査装置100は、細長い部材102と、第1の端部112及び第2の端部110を有する管アセンブリ104とを含み得る。細長い部材102は、綿棒、注射器などであり得る。細長い部材102は、第2の端部110で管アセンブリ104に挿入されるように構成される。
図1では、管アセンブリ104は、検査装置100の事前に組み立てられた部分として示される。
【0017】
図2は、本開示のいくつかの実装による、検査装置100の構成要素の分解図を示す。特に、
図2は、
図1の事前に組み立てられた管アセンブリ104の異なる部分を示す。管アセンブリ104は、第1の円筒部材202、ばね204、ばねリテーナ206、第1のチャンバ407(
図4)を画定する第1のチャンバケーシング208、及び第2のチャンバ409(
図4)を画定する第2のチャンバケーシング210を含む。
図3は、本開示のいくつかの実装による、検査装置100の分解図の断面を示す。細長い部材102、第1の円筒部材202、ばねリテーナ206、第1のチャンバケーシング208、及び第2のチャンバケーシング210のそれぞれは、プラスチック又は他の材料で作製され得る。材料の例には、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ナイロン、3Dプリント材料などが含まれる。いくつかの実装では、応力下にあるか、又は機械的クリープを受ける構成要素(例えば、ばねリテーナ206)は金属であり得る。金属の例には、鋼、アルミニウムなどが含まれる。ばね204は、いくつかの実装では、通常、鋼ばねである。
【0018】
第1の円筒部材202は中空構造であり、第1の円筒部材202の側壁に沿ってキー開口部212を含み得る。キー開口部212は、第1の円筒部材202の穴であり得る。キー開口部212の軸は、第1の円筒部材202の縦軸に直交し得る。単一のキー開口部212が管アセンブリ104に対して示されるが、いくつかの実装では、複数のキー開口部が、例えば第1の円筒部材202の側壁に沿って連続して設けられ得る。キー開口部212は、キャッチを設け、管アセンブリ104が
図1に示されるように事前に組み立てられるとき、突出部316又は、ばねリテーナ206の他の部分を受けることができる。ばねリテーナ206は、中空で実質的に円筒形であり、管アセンブリ104の第1の円筒部材202の内側半径より小さい内側半径を有し得る。ばねリテーナ206は、第1の円筒部材202の中空構造内に適合し得る。
【0019】
ばねリテーナ206の突起316が第1の円筒部材202のキー開口部212を貫通していない場合、ばねリテーナ206はロック解除され、中空の第1の円筒部材202内を自由に移動する。ばね204は、ばねリテーナ206を押圧して、ばねリテーナ206を第1の円筒部材202の縦軸に沿って移動させ得る。ばねリテーナ206の突起316が第1の円筒部材202のキー開口部212を貫通している場合、ばねリテーナ206はロックされ、したがって第1の円筒部材202に対してその位置を維持する。
【0020】
ばね204は、ばねリテーナ206がロック位置にあるとき、ばねリテーナ206を動かすことができない。いくつかの実装では、ばね204は、ばねリテーナ206がロック位置にあるとき、圧縮され、位置エネルギーを蓄積する。すなわち、ばねリテーナ206は、ロック位置にあるときには、ばね204が減圧するのを防止し、ロック解除位置にあるときには、ばね204が減圧して、ばねリテーナ206を第1の円筒部材202に沿って長手方向に動かすことを可能にする。
【0021】
ロック位置にあり、管アセンブリ104に沿って移動しないばねリテーナ206、又はロック解除位置にあり、管アセンブリ104に沿って移動できるばねリテーナ206は、細長い部材102の位置に影響を与え得る。細長い部材102は、管アセンブリ104の第2の端部110に挿入される。細長い部材102は、先端部308及びハンドル端部302を有し得る。細長い部材102の先端部308は、管アセンブリ104の第2の端部110に挿入される。ハンドル端部302は、ユーザが細長い部材102を手動で取り扱い、細長い部材102を管アセンブリ104内に配置することを容易にする。
【0022】
細長い部材102は、先端部308とハンドル端部302との間に複数のセクションを含むように構成され得る。いくつかの実装では、細長い部材102は、一定の半径を有する円筒セクション314、変化する半径を有するフレアセクション304であって、半径が、円筒セクション314から離れて延びるにつれて、フレアセクション304の長さにわたって増加するフレアセクション304、及び1つ以上のフラップ306を有して、細長い部材102が、一旦、挿入されると管アセンブリ104から外れるのを防止する、ストッパセクション312を含む。
【0023】
いくつかの実装では、細長い部材102は、隆起部310を更に含む。隆起部310を使用して、Oリングを細長い部材102に固定でき、その結果、細長い部材102の先端部308が管アセンブリ104の第2の端部110に挿入されると、Oリングは第1のチャンバケーシング208と細長い部材102との間に締り嵌めを形成し得る。いくつかの実装では、Oリングは、統合されたシールとして、より簡単な製造プロセス(例えば、熱可塑性エラストマ(TPE)又は類似のものを使用する「2ショット」プロセス)を有する構成要素で置換され得る。いくつかの実装では、細長い部材102は、第1のチャンバケーシング208と密着するように構成され、それにより、液体が第1のチャンバに注入されるときに、液体は、ほとんど損失されない。
【0024】
図4は、本開示のいくつかの実装による、検査装置100の第1の構成における断面を示す。管アセンブリ104は、
図4では事前に組み立てられる。管アセンブリ104の構築において、第1の円筒部材202は、第2のチャンバケーシング210に取り付けられた第1のチャンバケーシング208に取り付けられる。ばねリテーナ206は、ロック位置にあり、その結果、ばねリテーナ206の突起316が第1の円筒部材202のキー開口部212を貫通する。ばね204は圧縮され、管アセンブリ104の第2の端部110に配置される。圧縮されたばね204は、ばねリテーナ206を押圧するが、突起316は、ばねリテーナ206が管アセンブリ104の第2の端部110から離れるのを防止する。
【0025】
第1の構成では、細長い部材102は管アセンブリ104に挿入されることで、細長い部材102の先端部308が第1のチャンバケーシング208によって画定される第1のチャンバ407内に配置される。シール402又は膜は、第1のチャンバケーシング208によって画定される第1のチャンバ407の容積と第2のチャンバケーシング210によって画定される第2のチャンバ409の容積とを分離するために設けられる。第1の構成では、シール402は、細長い部材102の先端部308によって破られない。いくつかの実装では、シールは、第1のチャンバケーシング208に、細長い部材102の先端部308がシールを穿孔して第1のチャンバ407に入るように、設けられ得る。
【0026】
第1の構成では、細長い部材102は、ばねリテーナ206によって管アセンブリ104に更に押し込まれることが防止される。細長い部材102の部分406aにおける細長い部材102の半径は、ばねリテーナ206の内側半径に相当するか、それよりも大きく、その結果、細長い部材102を管アセンブリ104内に押し込むと、部分406aで細長い部材102とばねリテーナ206との間に干渉が引き起こされ、その結果、細長い部材102はばねリテーナ206に対してそれ以上通過できない。干渉はここでは一例として提供されているが、他の機械的代替手段を使用して、細長い部材102をばねリテーナ206に結合し得る。いくつかの実装では、細長い部材102の部分406aの代わりに、細長い部材102の部分406bが、ばねリテーナ206の内側半径に相当するかそれよりも大きい半径を設けられ得て、その結果、細長い部材102を管アセンブリ104に押し込むことで、細長い部材102がばねリテーナ206に対して更に押圧されるのを防止する干渉が生じる。いくつかの実装では、部分406a及び406bの両方が細長い部材102に設けられる。細長い部材102がばねリテーナ206に対して更に押圧されるのを防止する干渉を引き起こす他の代替手段も、同様に使用され得る。例えば、細長い部材102に沿って半径を変化させて干渉を引き起こす代わりに、ばねリテーナ206の内側半径が一端で減少され得て、細長い部材102の部分406aが、減少された内側半径よりも一端で大きくなる。
【0027】
細長い部材102とばねリテーナ206との間の干渉は、細長い部材102の先端部308が管アセンブリ104の第1の端部112に向かって更に移動するのを防止するが、フラップ306は、管アセンブリ104からの細長い部材102の取り外しを防止する。フラップ306は、細長い部材102を管アセンブリ104から取り外そうとする場合に、ばねリテーナ206に引っ掛かるように構成される。これは、細長い部材102の取り外しを防止するのみでなく、細長い部材102をばねリテーナ206と共に前方に駆動するのにも役立つ。フラップ(複数可)306の特定の実装は、幾つもの方法で行うことができ、示される3Dプリント構成、フラップで又はその近くで分離される2成分射出成形可能なアセンブリを(製造の目的、又は同じ一方向のキャッチを誘発するためにフラップ機構をばねリテーナ206内に移動するため)含む。第1のチャンバケーシング208は、フレア部分404を含み、ばねリテーナ206が解放されてロック解除位置に置かれたときに、フラップ306が円筒部材202を更に下方に動かすのを可能にする。
【0028】
図5は、本開示のいくつかの実装による、検査装置100の第2の構成における断面を示す。第2の構成では、ばねリテーナ206はロック解除位置にあり、その結果、突起316はキー開口部212をもはや貫通しない。したがって、ばね204は、ばねリテーナ206を管アセンブリ104の長手方向軸に沿って、管アセンブリ104の第1の端部112に向かって押圧し得る。ばねリテーナ206は、細長い部材102の部分406a(
図4)で細長い部材102に結合されるため、細長い部材102は、ばねリテーナ206と同様の距離に、管アセンブリ104の長手方向軸に沿って変位される。いくつかの実装では、製造公差により、細長い部材102は部分406aから外れ得るが、フラップ306はばねリテーナ206と係合し、細長い部材102をばねリテーナ206と同様の距離に、管アセンブリ104の長手方向軸に沿って変位させる。いくつかの実装では、細長い部材102の部分406b(
図4)は、ばねリテーナ206の内側半径よりも大きな半径を有し、部分406bは、細長い部材102がばねリテーナ206と同様の距離に変位されると、ばねリテーナ206と係合する。
【0029】
細長い部材102を管アセンブリ104の長手方向軸に沿って、管アセンブリ104の第1の端部112に向かって変位させることで、細長い部材102の先端部308が、第1のチャンバ407(
図4)の容積と第2のチャンバ409の容積を分離するシール402を穿孔する。いくつかの実装では、シール402を穿孔して第1のチャンバと第2のチャンバの両方の容積を組み合わせると、試薬が両方のチャンバ間で混合される。いくつかの実装では、ソレノイドを使用してばねリテーナ206の突出部316を押圧し、突出部316をキー開口部212から除去して、
図4に示す第1の構成から
図5に示す第2の構成への移行を引き起こす。ばねリテーナ206は、突出部316が押圧されるときに変形され得て、その結果、突出部316を含むばねリテーナ206の少なくとも一部分は、細長い部材102と滑合するばねリテーナ206の一部分と比べて変形した断面を有する。
【0030】
いくつかの実装では、検査装置100は、一度のみ使用される使い捨ての多室装置であり、相互汚染を防ぐ。第1の構成から第2の構成への移行を起動するソレノイドは、電子回路によって制御される再利用可能なデバイスの一部とすることができ、反応進行のタイミング(及び加熱又は蛍光分析などの他の機能)が制御される。ばね204は管アセンブリ104内にあるように設けられるが、いくつかの実装では、ばね204は、単に、機械的エネルギーを提供する機構であり、細長い部材102を管アセンブリ104に沿って制御可能に前進させ得る。すなわち、ばね204は、ソレノイドを収容する再利用可能なデバイスの一部となり得る。例えば、ばね204は、空気圧又は圧縮ガス、あるいは位置エネルギー形成の他の機構、あるいは単純な電磁石の使用を含み得る。
【0031】
第1の構成及び第2の構成は、それぞれ
図4及び
図5に示されるが、本開示のいくつかの実装は、2つより多くのチャンバを備えた検査装置を含む。このような検査装置は、積み重ねられて、設けられた2つより多いチャンバの間で流体を移動させることができ、例えば、最初のトリガでチャンバ1からチャンバ2に、次に2番目のトリガでチャンバ2からチャンバ3に、次に3番目のトリガでチャンバ3からチャンバ4に、などである。複数のチャンバは、シール(例えば、シール402)によって分離され得る。いくつかの実装では、第1の円筒部材202には、複数のキー開口部(例えば、キー開口部212)を設けることができ、その結果、ばねリテーナ206は、連続する各トリガの後に、管アセンブリ104の第1の端部112に向かって連続するキー開口部へのロック解除とロックの間で移行される。
【0032】
いくつかの実装では、連続する各チャンバは、隣接するチャンバとは異なる試薬を含み得る。例えば、第1のチャンバは第1の試薬を含み得て、第2のチャンバは第2の試薬を含み得る。第1の試薬は第2の試薬と異なっていてもよい。同様に、第2のチャンバ及び第3のチャンバは、異なる試薬を有し得て、その結果、第2のチャンバ内の第2の試薬は第3のチャンバ内の第3の試薬と異なる。いくつかの実装では、第3の試薬は第1の試薬と同じである。いくつかの実装では、異なる試薬を有する代わりに、各チャンバは異なる温度に保たれる。いくつかの実装では、異なる温度の組み合わせが異なるチャンバで使用され得る。
【0033】
図6-1は、本開示のいくつかの実装による、検査装置600の断面を示す。検査装置600は、細長い部材602及び管アセンブリ604を含む。管アセンブリ604は、第1のチャンバケーシング606の少なくとも一部分が第1のチャンバ607を画定する第1のチャンバケーシング606と、また第2のチャンバ609を画定する第2のチャンバケーシング608を含む。
図6において、第1のチャンバケーシング606は、連続部分であり、第1のチャンバケーシング208(
図4)と第1の円筒部材202(
図4)との結合部分と同様の機能を提供する。管アセンブリ604は、キー開口部612及びシール616を含み、それらはキー開口部212(
図4)及びシール402(
図4)と同様である。検査装置600は第1の構成で示され、細長い部材602の先端部614が第1のチャンバ607内に位置し、シール616を穿孔していない。管アセンブリ604はキャップ610を含み得る。キャップ610は、細長い部材602を挿入する前に取り外され得て、又は、いくつかの実装では、キャップ610は、管アセンブリ604に挿入されるときに細長い部材602によって穿孔され得る膜を含む。
【0034】
図6-2、
図6-3、及び
図6-4は、それぞれ、本開示のいくつかの実装による、検査装置620、640、及び660の断面を示す。検査装置620及び640は、第1の構成で示され、細長い部材622(642)の先端部634(654)が検査装置620(640)の第1のチャンバ627(647)内に配置されている。検査装置620(640)の第2のチャンバ629(649)は依然として密封され、第1のチャンバ627(647)から分離される。第1のチャンバ627(647)は、第1のチャンバケーシング625(645)によって画定される。検査装置660は、第2の構成で示され、細長い部材662の先端部675が検査装置660の第2のチャンバ669内に配置されている。
【0035】
図4の検査装置100では、ロック位置にあるときに、ばね204がばねリテーナ206の一端部分の小さな部分のみを圧迫するように、ばねリテーナ206が配置される。
図6-2~
図6-4では、検査装置620、640、及び660は、ばねリテーナ631、651、及び671を有し、それらは、ばね633、653、及び673が、それぞれ、ばねリテーナ631、651、及び671の実質的に全体を圧迫するように配置される。ロック位置にあるときは、ばねリテーナ631、651、及び671は、ばね633、653、及び673によって圧迫され、それは突起632、652、及び672がばねリテーナ631、651、及び671の移動を防止するためであり、ばね633、653、及び673の力は、ばねリテーナ631、651、及び671の全体又は実質的に全体を通して伝達される。
【0036】
検査装置620及び640と比べると、検査装置660は第2の構成で示される。検査装置660は、第1のキー開口部674及び第2のキー開口部670を含む。第1のキー開口部674は、キー開口部212(
図4)と同様であり、第1の構成にあるとき、突出部672は、ばねリテーナ671が検査装置660の第2のチャンバ669に向かう方向に移動するのを防ぎ得る。第2のキー開口部670は任意であり、第2の代替手段として設配けられて、第2の構成にあるときに、ばねリテーナ671が第2のチャンバ669に向かって更に移動するのを防ぐ。
【0037】
図6-4は、第2の構成の検査装置660を示し、先端部675が第2のチャンバ669内に位置するときに細長い部材662が更に動くことを防止するための複数の安全装置を備える。例えば、細長い部材662の形状とインタフェースする第1のチャンバケーシング665の形状は、更なる動きを防止し得て、第1のチャンバケーシング665に当接するばねリテーナ671は、更なる動きを防止し得る、などである。
【0038】
検査装置620、640、660の管アセンブリ624、644、及び664はそれぞれ、フランジ623、643、及び663を備えた第1の円筒部材626、646、及び666を有する。フランジ623、643、及び663は、管アセンブリ624、644、及び664がホルダ内に垂直方向に位置するのを補助し得て、フランジ623、643、及び663は、管アセンブリ624、644、及び664とホルダとの間の接触点となる。更に、第2のチャンバケーシング628、648、及び668は、異なる形状を有し、例えば、
図4の第2のチャンバケーシング210と比較すると、より薄い。管アセンブリ620及び660は、光学読み取りに適し得て、管アセンブリ640は研究所標準の「650μl」管に使用され得る。
【0039】
図7は、本開示のいくつかの実装による、検査を実施するためのプロセスを示す。ステップ702は、電子デバイス710を示し、視覚インジケータ及び/又はボタン716と、管アセンブリ712を受け入れるためのレセプタクル714とを有する。管アセンブリ712は、
図1の管アセンブリ104と類似又は同じであり得る。ステップ704は、電子デバイス710に挿入された管アセンブリ712を示す。ステップ706は、被験者718を示し、サンプルを集める綿棒720を有している。綿棒720は、
図1の細長い部材102と類似又は同じである。ステップ708は、集められたサンプルの検査を行うために管アセンブリ712に挿入される綿棒720を示す。いくつかの実装では、サンプルは、検査を必要とする対象、例えばヒト被験者から得られた生体サンプルである。生体サンプルは、唾液、鼻水、粘液などの体液であり得る。生体サンプルは、被験者からの細胞又は遺伝物質(例えば、核酸)、細菌、ウイルス、真菌、あるいはそれらの組み合わせを含み得る。
【0040】
図8Aは、本開示のいくつかの実装による、第1の電子デバイス800の断面を示す。第1の電子デバイス800は、マイクロプロセッサ802、1つ以上のヒータ(例えば、95℃のヒータ、60℃のヒータなど)、及び蛍光光度計806(例えば、3色蛍光光度計)を含み得る。1つ以上のヒータは、第1のヒータ804a、第2のヒータ804b、又は追加のヒータを含み得る。マイクロプロセッサ802は、視覚インジケータを蛍光光度計806によって提供された結果に基づいて解釈し、提供するように構成される。いくつかの実装では、第1の電子デバイス800は、2室の管アセンブリ(例えば、
図4の管アセンブリ104)のために設計され得る。第1のチャンバ(例えば、
図4の第1のチャンバ407)が設置され得て、その結果、第1の電子デバイス800の第1のヒータ804aが第1のチャンバを第1の温度(例えば、95℃)に維持し、第1の電子デバイス800の第2のヒータ804bが第2のチャンバ(例えば、
図4の第2のチャンバ409)を第2の温度(例えば、60℃)に維持する。
【0041】
図8Bは、本開示のいくつかの実装による、第2の電子デバイス801の断面を示す。第2の電子デバイス801は、第1の電子デバイス800と同様であるが、第2の電子デバイス801は、ソレノイド810を含み、ソレノイド810を用いて突出部(例えば、
図4の突出部316)を取り外し、細長い部材(例えば、
図4の細長い部材102)前進させて、検査アセンブリの2つのチャンバを分離する膜を穿孔させる。第1の電子デバイス800(
図8A)は、オペレータが細長い部材を手動で前進させる必要がある管アセンブリとともに使用され得て、一方、第2の電子デバイス801(
図8B)は、ソレノイドによるばねリテーナの取り外しを行う管アセンブリ(例えば、
図4の管アセンブリ104)とともに使用され得る。マイクロプロセッサ802を用いて、第2の電子デバイス801内のソレノイド810のタイミングを調整でき、細長い部材を前進させるより正確なタイミングを合わせ得る。
図9は、本開示のいくつかの実装による、電子デバイスのモジュール式アセンブリを示す。一例では、大規模検査のために、電子デバイス(例えば、電子デバイス800又は801)は、
図9に示すように配置され得る。
【0042】
図10は、本開示のいくつかの実装による、検査装置1000を示す。検査装置1000は、細長い部材1002及び管アセンブリ1004を含む。
図11は、本開示のいくつかの実装による、検査装置1000の断面を示す。細長い部材1002は、押しボタン1010を含み、オペレータ又はユーザが細長い部材1002を管アセンブリ1004内に押し込むことを容易にする。細長い部材1002は、複数の一方向戻り止めを更に含み、細長い部材1002が管アセンブリ1004内に押し込まれる際に、様々な点1012で管アセンブリ1004にクリップ留めし得る。いくつかの実装では、クリック音は、細長い部材1002が管アセンブリ1004内に押し込まれ時に生成される。クリック音は、人間が認知可能な指標をオペレータに提供し得て、それは細長い部材1002が管アセンブリ1004の第1のチャンバ、管アセンブリ1004の第2のチャンバ、管アセンブリ1004の第3のチャンバなどに配置されていることを示す。人間が認知可能な指標により、ユーザは、反応の進行に応じて細長い部材1002をどの程度押し込むべきかを知ることができる。いくつかの実装では、細長い部材1002は、戻り止めに到達すると、次の戻り止めに到達するために細長い部材1002を押すためのより大きな力が必要となるような形状にされる。この力フィードバックを用いて、オペレータ又はユーザに、細長い部材1002が管アセンブリ1004内にどの程度押し込まれたかを示し得る。手動押し込み検査装置1000は、
図8Aの電子デバイス800とともに使用され得て、一方、
図4の検査装置100は、
図8Bの電子デバイス801とともに使用され得る。
図11はまた、第1のヒータ804a及び第2のヒータ804bがどのように管アセンブリ1004と係合するかを示す。
【0043】
図10及び
図11は、人間による押し込みの文脈で説明されるが、他の押し込み機構を使用してもよい。例えば、ばねなどの外部機構から加えられる力を使用して、細長い部材1002を管アセンブリ1004内に押し込み得る。いくつかの実装では、外部機構には、ギア付きモータ、サーバ、空気圧ピストンなどを含み得る。
【0044】
図12Aは、本開示のいくつかの実装による、検査装置1200の断面を示す。
図12B~
図12Eは、検査装置1200の異なる位置を示す。検査装置1200は、管アセンブリ1204及び細長い部材1202を含む。細長い部材1202は、押しボタン1201及びばね1203を含む。管アセンブリ1204は、第1のチャンバを画定する第1のチャンバケーシング1208と、第2のチャンバを画定する第2のチャンバケーシング1210とを含む。第1のチャンバケーシング1208はまた、ソレノイドによって変形されて起動し得る薄い部分1207を含む。
図12Bでは、管アセンブリ1204と細長い部材1202は分離される。
図12Cでは、管アセンブリ1204は、細長い部材1202が第1のチャンバケーシング1208のリテーナ部分1206に捕捉されるまで、細長部材1202を受け入れる。リテーナ部分1206は、細長い部材1202が第1のチャンバを越えて進むのを防止する。
【0045】
図12Dでは、押しボタン1201を更に下方に押すと、ばね1203が圧縮される一方で、細長い部材1202は依然として第1のチャンバ内に留まる。押しボタン1201は、管アセンブリ1204の戻り止めに捕捉され、圧縮ばね1203は圧縮されたままとなる。
図12Eでは、ソレノイドを使用して第1のチャンバケーシング1208の薄い部分1207を変形させることができ、その結果、挟み込み効果によってリテーナ部分1206の押し広げを生じさせる。このような押し広げにより、
図12Eに示すように、ばね1203は細長い部材1202を第2のチャンバ内に前進させることができる。
図12Dと
図12Eを比べると、ばね1203は、
図12Dでは圧縮され、
図12Eでは減圧される。
【0046】
図13は、本開示のいくつかの実装による、検査装置1300の断面を示す。検査装置1300は、サンプル収集において挿入される綿棒1301、及び抽出チャンバ1302を含む。綿棒1301は、サンプルを含有する先端部1304を含む。サンプル及び収集チャンバ1302は、「洗濯板」形状1303を含み得ることで、綿棒1301の先端部1304がサンプル及び収集チャンバ1302に挿入されるとき、洗濯板形状1303は、先端部1304を変形させて揉み出し、サンプルが、サンプル及び収集チャンバ1302内に存在する抽出緩衝液中に放たれるのを補助し得る。洗濯板形状1303は、ユーザを、最適なサンプル抽出のための、綿棒1301の更なる操作から解放する。サンプル及び収集チャンバ1302内に存在する抽出緩衝液は、核酸抽出緩衝液を含み得る。核酸抽出緩衝液は、綿棒1301の先端部1304上のサンプルからの核酸抽出をもたらす化学反応を促進し得る。
【0047】
検査装置1300は、ばね及びばねリテーナが中空管状部材内に設けられている点で検査装置100(
図4)と同様である。検査装置1300は、第1の中空管状部材1307内に設けられた第1のばね1305を含み、第1のばねリテーナ1306によって
図13では圧縮された状態で示される。第1のばねリテーナ1306は、第1の円筒部材202に関して
図4で上述したのと同様の方法で、第1の中空管状部材1307内で動作する。第1のばねリテーナ1306が解放されると、第1のばね1305が減圧し、第1のばねリテーナ1306を押し、第1の中空管状部材1307内の、第1のばね1305が存在するチャンバ内に真空を作り出す。チャンバ内に真空を生成すると、サンプル及び収集チャンバ1302内のサンプルと抽出緩衝液の混合物に引っ張りを引き起こす。すなわち、サンプル及び収集チャンバ1302内のより高い圧力(例えば、大気圧)が、生成された真空によりサンプルと抽出緩衝液の混合物を押す。サンプルと抽出緩衝液の混合物は、サンプル及び収集チャンバ1302から、逆止弁として機能する可撓性ボール1308を通って流れる。サンプルと抽出緩衝液の混合物は更にフリット(及び/又はフィルタ)1312を通って流れる。真空を生成するという文脈で説明されるが、第1のばね1305の解放は、中空管部材1307内に真空、又はいくつかの実装では陽圧を生成し得る。
【0048】
フリット(及び/又はフィルタ)1312は、サンプルと抽出緩衝液の混合物から粒子を濾過するためのシリカ精製ビーズを保持し得て、これは混合物が、生成された真空によってフリット(及び/又はフィルタ)1312を通って案内されるためである。検査装置1300は、第2のばね1309及び第2のばねリテーナ1310を備えた第2の管状部材1311を更に含む。第2のばね1309及び第2のばねリテーナ1310は、第2の管状部材1311内に存在する流体を、フリット(及び/又はフィルタ)1312内に設けられたシリカビーズを通して押し出す(又は注入する)ことを容易にする。可撓性ボール1308は、逆止弁として機能し、押し出された(又は注入された)流体がサンプル及び収集チャンバ1302に入るのを防止する。洗浄後/濃縮反応チャンバ1313は、検査装置1300内に設けられ、流体を集める。
【0049】
図13の構成要素は、異なる向き、サイズ、及び形状で接続され、異なる方向の流れが発生する場合がある。
図13は、ばね/ソレノイドシステムを使用して、シリカビーズ又は他のフィルタの通過及び溶出を自動化し、唾液又は鼻水などのサンプルを洗浄及び/又は濃縮することを示す。
【0050】
図13-1は、
図13の検査装置1300の一態様を示す。第1のチャンバ1350は、綿棒(例えば、
図13の綿棒1301)を浸す緩衝液を含む。緩衝液は、第1のチャンバ1350から毛細管1363b、1363e、1363fを介して廃棄チャンバ1352に放出される。廃棄チャンバ1352に向かう途中、緩衝液は位置1362でシリカを通過する。シリカは、緩衝液が通過する際に目的の粒子を濾過する。次に、ばね1360は、ストッパ1356を押すばねリテーナ1358を起動させることにより解放される。ばねリテーナ1358は、本開示のいくつかの実装によれば、例えばソレノイドによって解放され得る。ストッパ1356は、チャンバ1354内に含有される流体を押す。いくつかの実装では、流体は増幅緩衝液であり、ストッパ1356は増幅緩衝液をチャンバ1354から毛細管1363a、1363cを介して下部チャンバ1364に押し出す。増幅緩衝液もまた、下部チャンバ1364に向かう途中で位置1362を通過し、したがって、それもまたプロセスにおいて濾過される。毛細管1363a~fの直径は小さいため、流体の移動は廃棄チャンバ1352又はチャンバ1354のいずれかで生成される陰圧及び陽圧によって案内される。重力のみでは、狭い毛細管1363a~fを流体が容易に通って移動することが期待されないためである。
【0051】
図13-1では、いくつかの実装において、廃棄チャンバ1352は、ばね及びばねリテーナ構成を含み、毛細管1363e、1363f、及び1363bを通して緩衝液を導くための陰圧を生成し得る。更に、ばね1360は、解放されると、陽圧を生成し得て、増幅緩衝液をチャンバ1354から毛細管1363a、1363fを通って下部チャンバ1364内に押し出す。ばね1360は、解放されると、毛細管1363dを介して陰圧を生成し、陽圧を補助する。
図13を使用して、対照的に、第1の中空管部材1307は、第1の中空管部材1307内にサンプル及び抽出緩衝液を引き込むための陰圧を生成するために使用される第1のばね1305を備えた廃棄チャンバとして機能し得る。第2のばね1309を使用して、第2の中空管部材1311内に陽圧を生成し、増幅緩衝液を洗浄後/濃縮反応チャンバ1313に押し出し得る。
【0052】
図14は、本開示のいくつかの実装による、検査装置1400の断面を示す。検査装置1400は、
図13の検査装置1300と同様に動作する。綿棒1401は、サンプル収集及び抽出チャンバ1402に挿入され、それは綿棒揉み出しを自動化するための洗濯板形状を有し得る。第1の起動ばね1405を使用して、フリット及び/又はフィルタ1412に含まれるシリカビーズを通してサンプルを真空にし得る。フリット及び/又はフィルタ1412は、シリカ精製ビーズを保持するために設けられる。第2のばね1409を使用して、溶出/反応緩衝液をフリット及び/又はフィルタ1412内のビーズを通して増幅チャンバ1413内に押し出し得る。可撓性ボール1408は、逆止弁として動作するために設けられ得る。増幅チャンバ1413は、洗浄後の濃縮反応チャンバとして機能する。
図14の検査装置1400は、
図13の検査装置と比べると、1つの円筒形設計に含まれる。
【0053】
構成要素は、異なる向き、サイズ、及び形状で接続され、異なる方向の流れが発生し得る。
図13と同様に、
図14は、ばね/ソレノイドシステムを使用して、シリカビーズ又は他のフィルタの通過及び溶出を自動化し、唾液又は鼻水などのサンプルを洗浄及び/又は濃縮することを示す。
【0054】
図15は、本開示のいくつかの実装による、検査装置1500を使用するためのステップを示す。検査装置1500は、
図14の検査装置1400と同様であり、同様に動作する。
図15の挿入図(A)は、綿棒が溶出される第1のステップを示し、
図15の挿入図(B)は、第1のバネが作動する第2のステップを示し、
図15の挿入図(C)は、サンプルが供給される第3のステップを示し、
図15の挿入図(D)は、第2のばねが作動する第4のステップを示し、
図15の挿入図(E)は、サンプルが溶出される第5のステップを示す。
【0055】
図15の挿入図(A)では、綿棒1501は、検査装置1500の第1のチャンバ内の抽出緩衝液1502に挿入される。凍結乾燥ペレット1503は、図示のように検査装置1500の第2のチャンバに供給される。綿棒1501は、抽出緩衝液1502に所定の時間浸漬される。検査装置1500は、複数のばねチャンバを含む。
図15では、検査装置1500は、2つのばねチャンバ(第1のばね1505aを有する第1のばねチャンバ1504aと、第2のばね1505bを有する第2のばねチャンバ1504b)を含む。ばねチャンバ1504a及び1504bは、それぞれ、ばねリテーナ1506a及び1506bを含み、ばねチャンバ1504a、bのばね1505a、bを事前に圧縮された状態に維持する。ばねリテーナ1506a、bは、
図4に関連して上述したばねリテーナと類似又は同じである。フィルタ1507もまた、検査装置1500に含まれる。
【0056】
図15の挿入図(B)では、第1のばね1505aが作動される。第1のばね1505aは、本開示のいくつかの実装によれば、ばねリテーナの解放に関連して上述したのと同様の方法で作動される。第1のばね1505aは、作動されると、真空圧を生じ、流体(例えば、抽出緩衝液1502)を検査装置1500の第1のチャンバから第1のばねチャンバ1504a内に引き込む。流体流の経路は矢印1508で示され、解放されたときの第1のばね1505aは
図15の挿入図(C)に示される通りである。第1のばねチャンバ1504aに引き込まれた流体は、フィルタ1507を通過することで、綿棒1501からの対象となる粒子が保持され、したがって、第1のばねチャンバ1504a内に生じた流体1509は廃液となる。
【0057】
図15の挿入図(D)では、第2のばね1505bが作動される。第2のばね1505bは、本開示のいくつかの実装によれば、ばねリテーナの解放に関連して上述したのと同様の方法で作動される。第2のばね1505bは、作動されると、第2の流体1510を第2のばねチャンバ1504bから凍結乾燥ペレット1503を有する第2のチャンバ内に押し出す。第2の流体1510は、溶出又は増幅緩衝液であり得る。
図15の挿入図(E)は、両方のばね1505a、bが作動された後の第1及び第2の流体の位置を示す。混合物1511は、凍結乾燥ペレット1503を含む。
【0058】
図13、
図14、及び
図15では、増幅緩衝液として記載されているが、押し出される流体は溶出緩衝液であり得る。増幅緩衝液は、等温核酸増幅試薬を含む核酸増幅試薬であり得る。核酸増幅試薬には、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)試薬、リコンビナーゼポリメラーゼ増幅(RPA)試薬、ループ介在等温増幅(LAMP)試薬、ローリングサークル増幅(RCA)試薬、又は鎖置換増幅(SDA)試薬が含まれ得る。
【0059】
いくつかの実装では、核酸増幅試薬は凍結乾燥される。いくつかの実装では、第2のチャンバ(例えば、
図15の挿入図(E)の第2のチャンバ内の混合物1511)内で生じる化学反応は、核酸増幅反応である。核酸増幅反応は、PCR、RPA、LAMPなどであり得る。いくつかの実装では、第2のチャンバは、検出可能なシグナルを生成することができるレポータ分子を含んだ核酸プローブを含む。核酸プローブは、核酸増幅からのアンプリコンに実質的に相補的なヌクレオチド配列を含み得る。第2のチャンバはエキソヌクレアーゼを含み得る。エキソヌクレアーゼは、5’→3’方向のエキソヌクレアーゼ活性を有する二本鎖特異的エキソヌクレアーゼであり得る。
【0060】
図13、
図14、及び
図15では、サンプルは、ステップを経て、第2のチャンバ(例えば、
図15の下部チャンバ)内に処理されたサンプルを得る。サンプルを第1の/中間のチャンバ内で単に加熱するのではなく、研究所標準の「シリカベースのRNA/DNA精製」スキームを採用して不純物を除去する。いくつかの実装では、タンパク質、糖、細胞破片、及び緩衝液成分などの非核酸不純物の90%~99%以上が除去される。最終的な核酸濃度は、元の濃度よりも低くても、同じでも、又は高くてもよく、精製及び/又は濃度変更の両方が可能である。このスキームには、(i)サンプルをより大きな容量の緩衝液と第1のチャンバ内で混合すること、(ii)サンプル/緩衝液がシリカペレットを通過し、ピストン/ばねによって引かれて廃棄チャンバに入るときに核酸を結合すること、及び(iii)第2のばねを使用して、溶出緩衝液をシリカを通して下部反応チャンバに送り込むことを伴う。
【0061】
いくつかの実装では、システムは、単一の管内に対向するばねを備えて構成され、管内の流体の押し出し、引き込みを可能にし得る。いくつかの実装では、対向するばねにより、綿棒は管内の1つのチャンバから別のチャンバへ前進又は後退できる。複数のばねリテーナは、これらの実装において使用され、ピストン又は綿棒を以前の位置に戻すことが可能になり得る。
【0062】
図13~
図15は、例として増幅緩衝液と増幅反応を使用する。本明細書で使用される場合、「増幅」は、核酸配列の追加のコピー、すなわち、例えばアンプリコン又は増幅産物の生成として定義される。核酸配列を増幅する方法には、限定するものではないが、等温増幅、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、及び様々なPCR、例えばcDNA末端の急速増幅(RACE)、リガーゼ連鎖反応(LCR)、マルチプレックスRT-PCR、免疫PCR、SSIPA、リアルタイムRT-qPCR、及びナノ流体デジタルPCRを含む。
【0063】
等温増幅の非限定的な例としては、リコンビナーゼポリメラーゼ増幅(RPA)、ループ介在等温増幅(LAMP)、ヘリカーゼ依存性等温DNA増幅(HDA)、ローリングサークル増幅(RCA)、核酸配列ベースの増幅(NASBA)、鎖置換増幅(SDA)、ニッキング酵素増幅反応(NEAR)、及びポリメラーゼスパイラル反応(PSR)が挙げられる。例えば、Yanらの「Isothermal amplified detection of DNA and RNA」2014年3月、Molecular BioSystems10(5)、DOI:10.1039/c3mb70304eを参照し、その内容全体は参照により本明細書に援用される。
【0064】
いくつかの実装では、サンプルは、対象、ウイルス、細菌などから抽出された核酸分子(例えば、RNA又はDNA)を含む。本明細書で使用されるRNAは、任意の既知のタイプのRNAであり得る。例えば、RNAには、メッセンジャRNA、mRNA前駆体、リボソームRNA、シグナル認識粒子RNA、トランスファRNA、トランスファメッセンジャRNA、核内低分子RNA、核小体低分子RNA、SmY RNA、カハール小体特異的低分子RNA、ガイドRNA、リボヌクレアーゼP、リボヌクレアーゼMRP、Y RNA、テロメラーゼRNA要素、スプライスリーダRNA、アンチセンスRNA、シス天然アンチセンス転写産物、CRISPR RNA、長鎖非コードRNA、マイクロRNA、Piwi相互作用RNA、低分子干渉RNA、短鎖ヘアピンRNA、トランス作用性siRNA、リピート関連siRNA、7SK RNA、エンハンサRNA、寄生RNA、タイプ、レトロトランスポゾン、ウイルスゲノム(ウイルスRNAなど)、ウイロイド、サテライトRNA、又はヴォールトRNAを含む。本明細書で使用されるDNAには、ゲノムDNA、ミトコンドリアDNA、ウイルスDNA、相補的DNA(cDNA)、一本鎖DNA、二本鎖DNA、環状DNAなどが含まれ得る。
【0065】
いくつかの実装では、ウイルスゲノムは、グループIII(すなわち、二本鎖RNA(dsRNA))ウイルスであるRNAウイルスから抽出される。いくつかの実装では、グループIII RNAウイルスは、アマルガウイルス科、ビルナウイルス科、クリソウイルス科、シストウイルス科、エンドルナウイルス科、ヒポウイルス科、メガビルナウイルス科、パルティティウイルス科、ピコビルナウイルス科、レオウイルス科(例えば、ロタウイルス)、トチウイルス科、クアドリウイルス科からなる群から選択されるウイルス科に属する。いくつかの実装では、グループIII RNAウイルスは、ボティビルナウイルス属に属する。いくつかの実装では、グループIII RNAウイルスは、白カビ腐敗病(Botrytis porri)RNAウイルス1、テンサイヨコバイ(Circulifer tenellus)ウイルス1、Colletotrichum camelliae filamentousウイルス1、ウリ科黄化関連 (Cucurbit yellows associated)ウイルス、Sclerotinia sclerotiorum debilitation-associatedウイルス、及びSpissistilus festinusウイルス1からなる群から選択される未分類の種である。
【0066】
いくつかの実装では、ウイルスゲノムは、グループIV(すなわち、一本鎖陽方向鎖(ssRNA))ウイルスであるRNAウイルスから抽出される。いくつかの実装では、グループIV RNAウイルスは、ニドウイルス目、ピコルナウイルス目、及びチモウイルス目からなる群から選択されるウイルス目に属する。いくつかの実装では、グループIV RNAウイルスは、アルテリウイルス科、コロナウイルス科(例えば、コロナウイルス、SARS-CoV)、メソニウイルス科、ロニウイルス科、ジシストロウイルス科、イフラウイルス科、Marnaviridae科、ピコルナウイルス科(例えば、ポリオウイルス、ライノウイルス(風邪ウイルス)、A型肝炎ウイルス)、セコウイルス科(例、サブコモウイルス科)、アルファフレキシウイルス科、ベータフレキシウイルス科、ガンマフレキシウイルス科、ティモウイルス科、アルファテトラウイルス科、Alvernaviridae科、アストロウイルス科、バルナウイルス科、ベニウイルス科、ブロモウイルス科、カリシウイルス科(ノーウォークウイルスなど)、カルモテトラウイルス科、クロステロウイルス科、フラビウイルス科(例えば、黄熱ウイルス、ウエストナイルウイルス、C型肝炎ウイルス、デング熱ウイルス、ジカウイルス)、フサリウイルス科、ヘペウイルス科、ハイポウイルス科、レビウイルス科、ルテオウイルス科(例えば、オオムギ黄矮ウイルス)、ポリシピウイルス科、ナルナウイルス科、ノダウイルス科、ペルムトテトラウイルス科、ポティウイルス科、サルスロウイルス科、スタトウイルス科、トガウイルス科(例えば、風疹ウイルス、ロスリバーウイルス、シンドビスウイルス、チクングニアウイルス)、トンブスウイルス科、及びビルガウイルス科からなる群から選択されたウイルス科に属する。いくつかの実装では、グループIV RNAウイルスは、Bacillariornavirus、ディシピウイルス、ラビルナウイルス、セキウイルス、Blunervirus、シレウイルス、ハイグレウイルス、イダエオウイルス、ネーゲウイルス、オウルミアウイルス、ポレモウイルス、Sinaivirus、及びソベモウイルスからなる群から選択されるウイルス属に属する。いくつかの実装では、グループIV RNAウイルスは、エンドウヒゲナガアブラムシ(Acyrthosiphon pisum)ウイルス、Bastrovirus、ブラックフォード(Blackford)ウイルス、ブルーベリー壊死輪斑(Blueberry necrotic ring blotch)ウイルス、Cadicistrovirus、チャラオーストラリス(Chara australis) ウイルス、エクストラスモール(Extra small) ウイルス、ゴジベリー萎黄病(Goji berry chlorosis)ウイルス、Hepelivirus、荊門ダニ(Jingmen tick)ウイルス、Le Blancウイルス、Nedicistrovirus、タバコカスミカメ(Nesidiocoris tenuis) ウイルス1、Niflavirus、黄褐色クレージーアリ(Nylanderia fulva) ウイルス1、Orsayウイルス、ホネクイハナムシ(Osedax japonicus) RNAウイルス1、Picalivirus、ヒマワリのべと病(Plasmopara halstedii)ウイルス、白紋羽病フザリウイルス1(Rosellinia necatrix fusarivirus1)、Santeuilウイルス、Secalivirus、ヒアリウイルス3(Solenopsis invicta virus 3)、Wuhan large pig roundwormウイルスからなる群から選択される未分類の種である。いくつかの実装では、グループIV RNAウイルスは、サルスロウイルス科、Albetovirus属、Aumaivirus属、Papanivirus属、Virtovirus属、及び慢性蜂麻痺(Chronic bee paralysis)ウイルスからなる群から選択されるサテライトウイルスである。
【0067】
いくつかの実装では、ウイルスゲノムは、グループV(すなわち、一本鎖マイナス鎖RNA)ウイルスであるRNAウイルスから抽出される。いくつかの実装では、グループV RNAウイルスは、ネガルナウイルス門、ハプロウイルス亜門、及びポリプロウイルス亜門からなる群から選択されるウイルス門又は亜門に属する。いくつかの実装では、グループV RNAウイルスは、Chunqiuviricetes、エリオウイルス綱、インストウイルス綱、Milneviricetes、モンウイルス綱、及びYunchangviricetesからなる群から選択されるウイルスクラスに属する。いくつかの実装では、グループV RNAウイルスは、アーティキュラウイルス目、ブニヤウイルス目、Goujianvirales、Jingchuvirales、モノネガウイルス目、Muvirales、及びSerpentoviralesからなる群から選択されるウイルス目に属する。いくつかの実装では、グループV RNAウイルスは、アムヌーンウイルス科(例えば、Taastrupウイルス)、アレナウイルス科(例えば、ラッサウイルス)、アスピウイルス科、ボルナウイルス科(例えば、ボルナ病ウイルス)、Chuviridae、 クルリウイルス科、Feraviridae、フィロウイルス科(例、エボラウイルス、マールブルグウイルス)、フィモウイルス科、ハンタウイルス科、Jonviridae、Mymonaviridae、ナイロウイルス科、ニヤミウイルス科、オルトミクソウイルス科(例えば、インフルエンザウイルス)、パラミクソウイルス科(例えば、麻疹ウイルス、ムンプスウイルス、ニパウイルス、ヘンドラウイルス、及びNDV)、ペリブニヤウイルス科、Phasmaviridae、Phenuiviridae、ニューモウイルス科(例えば、RSV及びメタニューモウイルス)、Qinviridae科、ラブドウイルス科(例えば、狂犬病ウイルス)、Sunviridae、トスポウイルス科、及びYueviridaeからなる群から選択されたウイルス科に属する。いくつかの実装では、グループV RNAウイルスは、Anphevirus、Arlivirus、Chengtivirus、Crustavirus、Tilapineviridae、Wastrivirus、及びデルタウイルス(例えば、D型肝炎ウイルス)からなる群から選択されるウイルス属に属する。
【0068】
いくつかの実装では、ウイルスゲノムは、グループVI RNAウイルスであるRNAウイルスから抽出され、それはウイルスにコードされた逆転写酵素を含む。いくつかの実装では、グループVI RNAウイルスは、ウイルス目のオルテルウイルス目に属する。いくつかの実装では、グループVI RNAウイルスは、Belpaoviridae、カリモウイルス科、メタウイルス科、シュードウイルス科、レトロウイルス科(例えば、レトロウイルス、例えば、HIV)、オルソレトロウイルス亜科、及びスプマレトロウイルス亜科からなる群から選択されるウイルス科又は亜科に属する。いくつかの実装では、グループVI RNAウイルスは、アルファレトロウイルス(例えば、鳥白血病ウイルス、ラウス肉腫ウイルス)、ベータレトロウイルス(例えば、マウス乳腺腫瘍ウイルス)、ボビスプーマウイルス(例えば、ウシフォーミウイルス)、デルタレトロウイルス(例えば、ウシ白血病ウイルス、ヒトTリンパ球指向性ウイルス)、イプシロンレトロウイルス(例えば、スケトウダラ皮膚肉腫ウイルス)、Equispumavirus(例えば、ウマフォーミウイルス)、Felispumavirus(例えば、ネコフォーミウイルス)、ガンマレトロウイルス(例えば、マウス白血病ウイルス、ネコ白血病ウイルス)、レンチウイルス(例、ヒト免疫不全ウイルス1、サル免疫不全ウイルス、ネコ免疫不全ウイルス)、プロシミイスプーマウイルス(例えば、Brown greater galago prosimianフォーミウイルス)、及びシミイスプーマウイルス(例えば、Eastern chimpanzee simianフォーミウイルス)からなる群から選択されたウイルスゲノムに属する。
【0069】
いくつかの実装では、ウイルスゲノムは、インフルエンザウイルス、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、及び重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)から選択されるRNAウイルスから抽出される。いくつかの実装では、RNAウイルスはインフルエンザウイルスである。いくつかの実装では、RNAウイルスは免疫不全ウイルス(HIV)である。いくつかの実装では、RNAウイルスは、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)である。
【0070】
いくつかの実装では、ウイルスRNAは、DNAゲノムを有するウイルス、すなわちDNAウイルスによって産生されるRNA分子である。非限定的な例として、DNAウイルスは、グループI(dsDNA)ウイルス、グループII(ssDNA)ウイルス、又はグループVII(dsDNA-RT)ウイルスである。
【0071】
開示された実施形態は、1つ以上の実装に関して図示され、説明されてきたが、本明細書及び添付図面の熟読と理解により、同等の変更及び修正が当業者には想起され、又は周知であろう。更に、本発明の特定の特徴は、いくつかの実装のうちの1つのみに関して開示されている場合があるが、そのような特徴は、任意の所与の用途、又は特定の用途にとっても望ましく、有利であるように、別の実装の1つ以上の他の特徴と組み合わせることができる。
【0072】
以下の請求項1~53のいずれか1項以上からの1つ以上の要素、態様、又はステップ、あるいはそれらの任意の部分は、別の請求項1~53のいずれか1項以上、又はそれらの組み合わせからの、1つ以上の要素、態様、又はステップ、あるいはそれらの任意の部分と組み合わせられて、本開示の1つ以上の追加の実装及び/又は請求項を形成し得る。
【0073】
本開示の様々な実施形態を上で説明してきたが、それらは例としてのみ提示されたものであり、限定するものではないことを理解されたい。開示された実施形態に対する多くの変更は、本開示の趣旨又は範囲から逸脱することなく、本明細書の開示に従って行うことができる。したがって、本開示の幅及び範囲は、上述の実施形態のいずれによっても限定されるべきではない。むしろ、本開示の範囲は、以下の特許請求の範囲及びその同等物に従って定義されるべきである。
【国際調査報告】