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特表2023-549489家具キャビネットに対して相対的に可動に支持された家具部分を動かすための家具駆動装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-27
(54)【発明の名称】家具キャビネットに対して相対的に可動に支持された家具部分を動かすための家具駆動装置
(51)【国際特許分類】
   E05F 1/12 20060101AFI20231117BHJP
   E05D 3/16 20060101ALI20231117BHJP
【FI】
E05F1/12
E05D3/16
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023528249
(86)(22)【出願日】2021-11-05
(85)【翻訳文提出日】2023-06-22
(86)【国際出願番号】 AT2021060410
(87)【国際公開番号】W WO2022099334
(87)【国際公開日】2022-05-19
(31)【優先権主張番号】A50979/2020
(32)【優先日】2020-11-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AT
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.トルクス
(71)【出願人】
【識別番号】597140501
【氏名又は名称】ユリウス ブルーム ゲー・エム・ベー・ハー
【氏名又は名称原語表記】Julius Blum GmbH
【住所又は居所原語表記】Industriestrasse 1, 6973 Hoechst, Austria
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】アーミン バルトライヒ
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンダー ズィーモン フローガウス
(72)【発明者】
【氏名】アンドレアス ホルツアプフェル
(72)【発明者】
【氏名】ドミニク ハグズピール
(72)【発明者】
【氏名】ペーター ガーベル
【テーマコード(参考)】
2E050
【Fターム(参考)】
2E050AA03
2E050AA04
2E050BA04
2E050CA04
2E050EA00
2E050EB00
(57)【要約】
家具キャビネット(2)に対して相対的に可動に支持された家具部分(3)を動かすための家具駆動装置(4)であって:家具キャビネット(2)に取り付けるための支持体(9)、支持体(9)に配置された、可動の家具部分(3)を動かすための、少なくとも1つの可動に支持された作動アーム(5a,5b,5c,5d,5e)を備えた作動アームアセンブリ(5)、作動アームアセンブリ(5)に力を負荷するためのばね装置(10)であって、このばね装置(10)は、少なくとも1つの作用個所(18)を介して作動アームアセンブリ(5)に接続されているばね装置(10)、ばね装置(10)の力を作動アームアセンブリ(5)に伝達するための伝達機構(35)、回転可能に支持された少なくとも1つの調節エレメント(19a)を備えた調節装置(19)であって、調節エレメント(19a)の回転により、作動アームアセンブリ(5)に対する少なくとも1つの作用個所(18)の相対位置が調節可能である調節装置(19)、を有しており、家具駆動装置(4)は、少なくとも1つの過負荷保護装置(33)を有していて、過負荷保護装置は、所定のトルク未満のトルクで調節エレメント(19a)が回転させられる際には、調節エレメント(19a)を伝達機構(35)に連結し、所定のトルクを上回るトルクで調節エレメント(19a)が回転させられる際には、調節エレメント(19a)を伝達機構(35)から分離する、家具駆動装置(4)。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
家具キャビネット(2)に対して相対的に可動に支持された家具部分(3)を動かすための家具駆動装置(4)であって、
家具キャビネット(2)に取り付けるための支持体(9)と、
前記支持体(9)に配置された、前記可動の家具部分(3)を動かすための、少なくとも1つの可動に支持された作動アーム(5a,5b,5c,5d,5e)を備えた作動アームアセンブリ(5)と、
前記作動アームアセンブリ(5)に力を負荷するためのばね装置(10)であって、前記ばね装置(10)は、少なくとも1つの作用個所(18)を介して前記作動アームアセンブリ(5)に接続されているばね装置(10)と、
前記ばね装置(10)の力を前記作動アームアセンブリ(5)に伝達するための伝達機構(35)と、
回転可能に支持された少なくとも1つの調節エレメント(19a)を備えた調節装置(19)であって、前記調節エレメント(19a)の回転により、前記作動アームアセンブリ(5)に対する前記少なくとも1つの作用個所(18)の相対位置が調節可能である調節装置(19)と、
を備え、
前記家具駆動装置(4)は、少なくとも1つの過負荷保護装置(33)を有していて、前記過負荷保護装置は、所定のトルク未満のトルクで前記調節エレメント(19a)が回転させられる際には、前記調節エレメント(19a)を前記伝達機構(35)に連結し、所定のトルクを上回るトルクで前記調節エレメント(19a)が回転させられる際には、前記調節エレメント(19a)を前記伝達機構(35)から分離することを特徴とする、家具駆動装置(4)。
【請求項2】
前記過負荷保護装置(33)は、少なくとも1つの回転可能に支持された軸(28)を有しており、好ましくは、
前記過負荷保護装置(33)は、少なくとも1つのばねエレメント(34)、好ましくは圧縮ばねを有しており、前記回転可能に支持された軸(28)と、前記調節エレメント(19a)とは、前記ばねエレメント(34)の力によって互いに押し付け可能であって、かつ/または
前記少なくとも1つの回転可能に支持された軸(28)は、前記調節エレメント(19a)によって駆動可能であって、前記調節エレメント(19a)は、所定のトルク未満のトルクで前記調節エレメント(19a)が回転させられる際には前記軸(28)に連結していて、所定のトルクを上回るトルクで前記調節エレメント(19a)が回転させられる際には前記軸(28)から分離されており、かつ/または
前記少なくとも1つの回転可能な軸(28)は長手方向(L3)を有しており、前記軸(28)は、所定のトルクを上回るトルクで前記調節エレメント(19a)が回転させられる際には、前記軸(28)の前記長手方向(L3)で、前記ばねエレメント(34)の力に抗して変位可能であり、かつ/または
前記少なくとも1つの回転可能な軸(28)は、前記調節エレメント(19a)の第2の歯列(37a)と噛み合うことができる第1の歯列(37b)を有している、
請求項1記載の家具駆動装置(4)。
【請求項3】
前記過負荷保護装置(33)は、
前記調節エレメント(19a)に配置された少なくとも1つの歯列(37a)、好ましくは端面歯列を有しており、かつ/または
開口(34a)を有した少なくとも1つのばねエレメント(34)を有しており、前記少なくとも1つのばねエレメント(34)と前記調節エレメント(19a)とは、前記少なくとも1つのばねエレメント(34)の前記開口(34a)を介して前記調節エレメント(19a)にアクセス可能であるように、互いに配置されており、かつ/または
少なくとも1つの支持装置(29)を有していて、前記支持装置内にまたは前記支持装置上に、前記調節エレメント(19a)および/または場合によっては設けられている回転可能な軸(28)が、回転可能に支持されている、
請求項1または2記載の家具駆動装置(4)。
【請求項4】
前記家具駆動装置(4)は、長手方向(L)を有した少なくとも1つのねじ山区分(17)を有しており、前記ばね装置(10)の前記作用個所(18)は、回転軸線(R)を中心とした前記調節エレメント(19a)の回転により前記ねじ山区分(17)に沿って調節可能である、請求項1から3までのいずれか1項記載の家具駆動装置(4)。
【請求項5】
前記調節エレメント(19a)の前記回転軸線(R)と前記ねじ山区分(17)の前記長手方向(L)とは、互いに角度をなしており、前記調節エレメント(19a)の前記回転軸線(R)と前記ねじ山区分(17)の前記長手方向(L)とが互いになす角度は、前記作動アームアセンブリ(5)の運動の際に変更可能である、請求項4記載の家具駆動装置(4)。
【請求項6】
前記家具駆動装置(4)は、前記調節エレメント(19a)の回転運動を、前記ねじ山区分(17)の回転運動へと伝達するための、角度運動可動な少なくとも1つの連結装置(25)を有している、請求項4または5記載の家具駆動装置(4)。
【請求項7】
前記角度運動可動な連結装置(25)は、少なくとも1つの弾性的な部材、好ましくは、ベローズ、ゴム成形エレメント、コイルばねカップリング、および/または少なくとも1つの伝動装置、好ましくは傘歯車伝動装置、および/またはジョイント、好ましくはユニバーサルジョイントまたはカルダンジョイントを有している、請求項6記載の家具駆動装置(4)。
【請求項8】
前記調節装置(19)の前記調節エレメント(19a)は、前記家具駆動装置(4)が組み付けられた状態で、前記可動の家具部分(3)に面していて、前記支持体(9)の前方領域に配置されている、請求項1から7までのいずれか1項記載の家具駆動装置(4)。
【請求項9】
前記ばね装置(10)は、第1の端部領域で前記支持体(9)に支持されていて、第2の端部領域で前記作用個所(18)に支持されている、請求項1から8までのいずれか1項記載の家具駆動装置。
【請求項10】
前記ばね装置(10)は少なくとも1つのコイルばね、好ましくは少なくとも1つの圧縮ばねを有している、請求項1から9までのいずれか1項記載の家具駆動装置。
【請求項11】
前記家具駆動装置(4)の前記支持体(9)は、家具板(6)に組み付けられた状態で、少なくとも所定の領域で、好ましくは実質的に完全に、前記家具板(6)の内側に収容されるように形成されている、請求項1から10までのいずれか1項記載の家具駆動装置。
【請求項12】
前記支持体(9)は実質的に長方形状に形成されており、好ましくは、前記支持体(9)の長さ(L1)の、前記支持体(9)の高さ(H1)に対する比は、1:0.7よりも大きく、好ましくは1:0.5よりも大きいことが想定されている、請求項1から11までのいずれか1項記載の家具駆動装置。
【請求項13】
前記作用個所(18)は、前記支持体(9)に旋回可能に支持された、前記家具駆動装置(4)の中間レバー(16)に作用する、請求項1から12までのいずれか1項記載の家具駆動装置。
【請求項14】
前記作動アームアセンブリ(5)は、第1のジョイント軸(26)を中心として旋回可能な第1の作動アーム(5a)と、第2のジョイント軸(27)を中心として旋回可能に支持された少なくとも1つの第2の作動アーム(5b)とを有しており、前記第1のジョイント軸(26)と前記第2のジョイント軸(27)とは、前記支持体(9)の長手方向(L2)で互いに離間されて位置していて、前記第2のジョイント軸(27)は、前記第1のジョイント軸(26)よりも、前記支持体(9)の前側の領域に配置されており、前記中間レバー(16)は、スラストレバー(24)を介して、前記第2の作動アーム(5b)に直接、接続されている、請求項13記載の家具駆動装置。
【請求項15】
前記調節装置(19)の前記調節エレメント(19a)は、工具、好ましくは、ねじドライバのための受容装置(39)を有している、請求項1から14までのいずれか1項記載の家具駆動装置。
【請求項16】
家具キャビネット(2)と、前記家具キャビネット(2)に対して相対的に可動に支持された家具部分(3)と、前記可動の家具部分(3)を動かすための、請求項1から15までのいずれか1項記載の少なくとも1つの家具駆動装置(4)と、を備えた家具(1)。
【請求項17】
前記家具キャビネット(2)は、支持体(9)を取り付けるための家具板(6)を有しており、前記家具駆動装置(4)の前記支持体(9)は少なくとも所定の領域で、好ましくは実質的に完全に、前記家具板(6)の凹部(11)の内側に収容されている、請求項16記載の家具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、家具キャビネットに対して相対的に可動に支持された家具部分を動かすための家具駆動装置であって、
-家具キャビネットに取り付けるための支持体、
-支持体に配置された、可動の家具部分を動かすための、少なくとも1つの可動に支持された作動アームを備えた作動アームアセンブリ、
-作動アームアセンブリに力を負荷するためのばね装置であって、ばね装置は、少なくとも1つの作用個所を介して作動アームアセンブリに接続されているばね装置、
-ばね装置の力を作動アームアセンブリに伝達するための伝達機構、
-回転可能に支持された少なくとも1つの調節エレメントを備えた調節装置であって、調節エレメントの回転により、作動アームアセンブリに対する少なくとも1つの作用個所の相対位置が調節可能である調節装置
を備えた家具駆動装置に関する。
【0002】
さらに本発明は、家具キャビネットと、家具キャビネットに対して相対的に可動に支持された家具部分と、可動の家具部分を動かすための記載する形式の家具駆動装置とを備えた家具に関する。
【0003】
このような家具駆動装置の支持体は、通常、家具キャビネットの側壁内にまたは側壁表面に取り付けられており、家具駆動装置の作動アームアセンブリは、少なくとも1つのばね装置によって予荷重をかけられていて、組み付けられた状態で可動の家具部分と接続されている。
【0004】
欧州特許出願公開第3708753号明細書には、家具フラップを動かすための、冒頭で述べた形式ではない家具駆動装置が示されており、この場合、家具フラップの重量を補償するためのコイルばねが設けられている。対応支持部の調節により、このコイルばねは、様々に圧縮可能であり、これによりコイルばねの力は、家具フラップの様々な重量に適合可能である。さらに、家具駆動装置は、トルク制限装置を有しているので、端部ストッパで対応支持部が引っかかることが阻止される。工具によってドライバエレメントを回転させることにより、対応支持部は調節可能である。トルク制限装置は、ドライバエレメントの第1の回転方向でトルクを制限するので、対応支持部が端部ストッパに引っかかることはない。これに対し、ドライバエレメントの第2の回転方向では、トルクは完全に伝達される。
【0005】
中国特許出願公開第106175199号明細書には、家具駆動装置が示されており、この場合、ばね装置の力は、ダブルアーム式の変向レバーを介して、家具フラップを動かすための作動アームに伝達可能である。
【0006】
国際公開第2018/192819号には、上位概念の特徴を備えた家具駆動装置が開示されている。家具駆動装置のケーシングの前方の端部領域には、回転可能な工具受容部が設けられており、この場合、工具によって工具受容部を回転させることにより、スピンドルナットをスピンドルに沿って動かすことができる。スピンドルナットには、ばねパッケージが支持されていて、作動アームアセンブリに作用する、ばねパッケージの力は、スピンドルに沿ってスピンドルナットを調節可能に支持することにより、変更することができる。
【0007】
作動アームアセンブリに加えられるばね装置の力を調節するための、家具駆動装置の調節装置は、通常、回転工具、例えばねじドライバによって操作される。熟練ではないかつ/または運動技能の劣った組付け作業者の場合、-高いトルクで回転工具を回転させることにより-ばね装置の作用個所が終端位置へと押し付けられ、大きな力をかけることによりそこで引っかかってしまうおそれがある。このような引っかかりは、しばしば解消するのが困難であり、家具駆動装置の構成部分の損傷は避けられない。
【0008】
調節距離が長い場合、組付け作業者は、調節装置を充電式ドライバによって操作する傾向もあり、これにより家具駆動装置の損傷の危険はさらに高くなる。
【0009】
本発明の課題は、上述した欠点を回避する冒頭で述べた形式の家具駆動装置を提供することである。
【0010】
この課題は、本発明によれば、特許請求項1の特徴により解決される。本発明のさらなる有利な実施例は、従属請求項に規定されている。
【0011】
本発明によれば、家具駆動装置は、少なくとも1つの過負荷保護装置を有していて、過負荷保護装置は、所定のトルク未満のトルクで調節エレメントが回転させられる際には、調節エレメントを伝達機構に連結し、所定のトルクを上回るトルクで調節エレメントが回転させられる際には、調節エレメントを伝達機構から分離することが想定されている。
【0012】
提案された過負荷保護装置により、特に使用者による誤操作の場合に、調節装置の損傷のない操作が可能である。調節エレメントに加えられる所定のトルクを上回った場合には、過負荷保護装置によって、調節エレメントと、ばね装置の作用個所とが互いに分離される。
【0013】
本発明の可能な実施例によれば、過負荷保護装置は、
-少なくとも1つのばねエレメント、好ましくは圧縮ばねを有しており、回転可能に支持された軸と、調節エレメントとは、ばねエレメントの力によって互いに押し付け可能であって、かつ/または
-調節エレメントに配置された少なくとも1つの歯列、好ましくは端面歯列を有しており、かつ/または
-回転可能に支持され、調節エレメントによって駆動可能な少なくとも1つの軸を有しており、調節エレメントは、所定のトルク未満のトルクで調節エレメントが回転させられる際には軸に連結していて、所定のトルクを上回るトルクで調節エレメントが回転させられる際には軸から分離されており、かつ/または
-長手方向を有した少なくとも1つの回転可能な軸を有しており、この軸は、所定のトルクを上回るトルクで調節エレメントが回転させられる際には、軸の長手方向で、ばねエレメントの力に抗して変位可能であり、かつ/または
-調節エレメントの第2の歯列と噛み合うことができる第1の歯列を備えた少なくとも1つの回転可能な軸を有しており、かつ/または
-開口を有した少なくとも1つのばねエレメントを有しており、この場合、少なくとも1つのばねエレメントと調節エレメントとは、少なくとも1つのばねエレメントの開口を介して調節エレメントにアクセス可能であるように、互いに配置されており、かつ/または
-少なくとも1つの支持装置を有していて、支持装置内にまたは支持装置上に、調節エレメントおよび/または場合によっては設けられている回転可能な軸が、回転可能に支持されている。
【0014】
ばね装置とは別個の、少なくとも1つの軸に力を負荷するためのばねエレメントによって、過負荷保護装置のトリガ力の規定、ひいては切替動作の規定が可能である。
【0015】
本発明のさらなる詳細および利点は、以下の図面の説明につき説明する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1a】可動の家具部分を有した家具を示す斜視図である。
図1b】可動の家具部分を有した家具を示す分解図である。
図2a】家具駆動装置の斜視図である。
図2b】家具駆動装置の別の斜視図である。
図3a】閉鎖位置にある家具駆動装置を示す図である。
図3b】開放位置にある家具駆動装置を示す図である。
図4a】家具駆動装置を示す斜視図である。
図4b図4aの拡大詳細図である。
図5a】作用個所に作用する調節装置を示す図である。
図5b】作用個所に作用する調節装置を示す図である。
図5c】作用個所に作用する調節装置を示す図である。
図5d】作用個所に作用する調節装置を示す図である。
図6a】僅かに変更された実施形態における、作用個所に作用する調節装置を示す斜視図である。
図6b図6aの拡大詳細図である。
【0017】
図1aは、家具1の斜視図を示していて、この家具は、家具キャビネット2と、家具キャビネット2に対して相対的に可動に支持された家具部分3と、可動の家具部分3を動かすための少なくとも1つの家具駆動装置4とを有している。家具1は、側壁の形態の家具板6と、上面7と、下面8とを有している。家具部分3は、図示した実施例では、家具キャビネット2に対して相対的に持ち上げ可能な家具フラップ3aとして形成されている。
【0018】
図示した実施例では、家具駆動装置4は、少なくとも部分的に、好ましくは実質的に完全に、家具キャビネット2の家具板6内に組み込まれている。勿論、家具駆動装置4は、家具板6の壁厚の外側にも配置可能である。
【0019】
可動の家具部分3は、家具キャビネット2を隠す閉鎖位置と、家具キャビネット2に対して相対的に持ち上げられた開放位置との間で可動に支持されている。
【0020】
勿論、家具駆動装置4を、水平に延在する家具板、すなわち、例えば上面7内に、下面8内に、かつ/または上面7と下面8との間に配置された棚板内に、組み込むこともできる。このような場合、可動の家具部分3は、組付け位置で垂直に延在する軸を中心として、家具キャビネット2に対して相対的に旋回可能に支持されている。
【0021】
家具駆動装置4は、可動の家具部分3を動かすための作動アームアセンブリ5と、作動アームアセンブリ5に力を負荷するための少なくとも1つのばね装置10(図1b)とを有している。
【0022】
図1bは、家具1を分解状態で示しており、可動の家具部分3を動かすための、好ましくは同一に形成された2つの家具駆動装置4が設けられている。家具駆動装置4は、家具キャビネット2に取り付けるべきそれぞれ1つの支持体9を有している。
【0023】
1つの実施例によれば、支持体9は、組付け状態で、少なくとも所定の領域で、好ましくは実質的に完全に、家具板6として形成された側壁の凹部11の内側に収容されていることが想定されていてよい。支持体9は、組み付けられた状態で、家具板6の端面6aと実質的に同一平面をなしていてよい。
【0024】
凹部11は、例えば、袋孔として形成されており、組付けの際に、支持体9を前方から(すなわち、家具板6の細い端面6aを起点として)、家具板6のポケット状の凹部11へと挿入することができる。
【0025】
支持体9の前方の端部領域にはカバー12が設けられており、作動アームアセンブリ5の、可動に支持された少なくとも1つの作動アーム5a,5b,5c,5d,5e(図2a)が、相対位置において、カバー12を通してガイド可能である。
【0026】
図2aは、家具駆動装置4を斜視図で示しており、支持体9は、面状に形成されていて家具キャビネット2に当接可能な少なくとも1つのケーシング壁9aを有している。ケーシング壁9aには、旋回可能な支持部分14が設けられていて、この支持部分は、支持体9に定置のジョイント軸13を中心として旋回可能に支持されている。ばね装置10は、すなわち、第1の端部領域で、定置のジョイント軸13で支持可能である。ばね装置10は、少なくとも1つのコイルばねを、好ましくは少なくとも1つの圧縮ばね、または代替的にガス圧縮ばねを含んでいてよい。
【0027】
家具駆動装置4は、ばね装置10の力を作動アームアセンブリ5に伝達するための伝達機構35を有している。
【0028】
図示した実施例では、ばね装置10の第2の端部領域は押圧部材20に作用していて、押圧部材は、調節可能な作用個所18を介して、好ましくは定置のジョイント軸15を中心として旋回可能な中間レバー16に枢着的に接続されている。
【0029】
調節装置19によって、作動アームアセンブリ5に対するばね装置10の力を調節することができる。調節装置19は、回転軸線(R)を中心として回転可能な調節エレメント19aを有しており、ばね装置10の作用個所18の位置は、作動アームアセンブリ5に対して相対的に、好ましくはねじ山区分17に沿って、回転軸線(R)を中心とした調節エレメント19aの回転により調節可能である。
【0030】
ねじ山区分17は、長手方向(L)を有している。ねじ山区分17の長手方向(L)と調節エレメント19aの回転軸線(R)とが互いになす角度は、作動アームアセンブリ5の運動の際に変更可能である。角度運動可能な連結装置25によって、調節エレメント19aの回転運動をねじ山区分17に伝達することができ、これにより、ねじ山区分17は回転運動させられ、これにより作用個所18は、ねじ山区分17に沿って移動させられる。
【0031】
角度運動可能な連結装置25は、少なくとも1つの弾性的な部材、好ましくは、ベローズ、ゴム成形エレメント、コイルばねカップリング、および/または少なくとも1つの伝動装置、好ましくは傘歯車伝動装置、および/またはジョイント、好ましくはユニバーサルジョイントまたはカルダンジョイントを有していてよい。
【0032】
好ましくは、調節装置19の調節エレメント19aは、家具駆動装置4が組み付けられた状態で、可動の家具部分3に面していて、支持体9の前方領域に配置されていることが想定されている。これにより、調節エレメント19aを、工具によって、前方から容易に操作することができる。
【0033】
図示した実施例では、調節エレメント19aによって駆動可能な、ねじ山区分17を駆動するための少なくとも1つの軸28が設けられており、少なくとも1つの軸28は、ガイド30、好ましくは長孔内で、またはガイド30、好ましくは長孔に沿って、支持体9に対して相対的に変位可能に支持されている。これにより、角度運動可能な連結装置25によって生じさせられる、家具駆動装置4の構成部分の補償運動を、少なくとも部分的に補償することができる。
【0034】
軸28は、支持装置29内にまたは支持装置29上に配置されており、ガイド30は、支持装置29上に配置されていて、支持体9に定置に支持されたピン32は、支持装置29のガイド30に係合している。補償運動の際に、支持装置29は、不動のピン32に対して相対的に可動である。
【0035】
作動アームアセンブリ5は、可動の家具部分3を動かすための、少なくとも1つの、好ましくは複数の作動アーム5a,5b,5c,5d,5eを含む。可動の家具部分3には、金具部材21が取り付けられていて、この場合、金具部材21は少なくとも1つのまたは複数の取付個所22を有していて、作動アームアセンブリ5の作動アーム5eに取外し可能にロック可能である。図2aには、作動アーム5eと金具部材21との間のロック状態が示されている。
【0036】
ケーシング壁9aの前方の端部にはカバー12が設けられていて、このカバーは少なくとも側方で突出するフランジ12aを有している。図示した実施例では、フランジ12aは実質的にリング状に形成されていて、家具板6の端面6aに当接可能な、支持体9のための奥行き方向ストッパを形成している。
【0037】
図2bは、図2aの家具駆動装置4を示しており、この場合、支持体9は第2のケーシング壁9bによって閉鎖されている。第1のケーシング壁9aと第2のケーシング壁9bとはそれぞれ面状に、家具キャビネット2に当接するように形成されていて、実質的に直方体状の支持体9を一緒に形成している。ケーシング壁9a,9bは、間隔を置いて互いに平行に位置していて、この場合、ケーシング壁9a,9bの間には前側の開口23が形成されている。この開口23の領域にカバー12が配置されていて、調節装置19を操作するための工具の通過を可能にしている。
【0038】
図3aは、支持体9を備えた家具駆動装置4を側面図で示している。ねじ山区分17は、中間レバー16に配置されていて、この中間レバーは、支持体9に定置に配置されたジョイント軸15を中心として旋回可能に支持されている。示された図面では、ばね装置10の作用個所18が、中間レバー16のジョイント軸15に隣接する領域に位置しているので、ばね装置10は、作動アームアセンブリ5に最小のトルクを加える。中間レバー16のジョイント軸15とばね装置10の作用個所18との間の仮想の接続線は、相対的に短いレバーアームを形成しており、これにより最小のトルクが作動アームアセンブリ5に作用する。
【0039】
調節装置19の調節エレメント19aの回転軸線(R)と、ねじ山区分17の長手方向(L)とは、互いに角度をなしていて、この角度は、作動アームアセンブリ5の運動時に変更可能である。家具駆動装置4の図示した閉鎖位置では、-回転軸線(R)と長手方向(L)との角度運動可能な配置に基づき-作動アームアセンブリ5の作動アーム5a~5eが、ばね装置10および調節装置19と共に、極めてコンパクトな位置を互いに占めているので、この構造の利点が図3aに基づきよくわかる。
【0040】
調節エレメント19aと、回転可能なねじ山区分17とは、すなわち、作動アームアセンブリ5の運動の際に、互いに相対的に角度運動可能であるように支持されており、これにより、ばね装置10の力の調節のための調節装置19と、作動アームアセンブリ5とは、互いに異なる位置を占めることができる。家具駆動装置4の構成部分は、これにより互いに内外に重なるように配置することができ、したがって互いに密に配置することができる。これにより、家具駆動装置4をよりコンパクトに構成することができ、ねじ山区分17におけるばね装置10の調節距離を拡大することができ、家具駆動装置4のより高い出力範囲をカバーすることができる。
【0041】
支持体9は、実質的に長方形状に形成されていてよく、好ましくは、支持体9の長さ(L1)の、支持体9の高さ(H1)に対する比は、1:0.7よりも大きく、好ましくは1:0.5よりも大きい。このような寸法設定により、支持体9の高さ(H1)を減じることができる。これにより、家具板6の凹部11(図1b)の高さも小さく寸法設定することができ、凹部11の製作の手間は僅かとなり、家具板6の脆弱化も少ない。
【0042】
図3bは、ばね装置10の力調節が最小である、図3aの家具駆動装置4を示しており、作動アーム5a~5eを備えた作動アームアセンブリ5は開放位置に位置している。調節エレメント19aの回転軸線(R)とねじ山区分17の長手方向(L)とが互いになしている角度は、図3aに示された閉鎖位置に対して小さくなっている。
【0043】
作動アームアセンブリ5は、第1のジョイント軸26を中心として旋回可能な第1の作動アーム5aと、第2のジョイント軸27を中心として旋回可能に支持された少なくとも1つの第2の作動アーム5bとを有している。第1のジョイント軸26と第2のジョイント軸27とは、支持体9の長手方向(L2)で互いに離間されて位置しており、第2のジョイント軸27は、第1のジョイント軸26よりも、支持体9の前側の領域に配置されている。
【0044】
中間レバー16は、好ましくは円弧状に形成されたスラストレバー24を介して第2の(前側の)作動アーム5bに直接、接続されている。すなわち、第1の作動アーム5aは、ジョイント軸を介してスラストレバー24に直接接続されているのではなく、スラストレバー24の内側で摺動可能にガイドされる。このことは、図2aに良好に示されている。これにより、ばね装置10から作動アームアセンブリ5内への改善された直接的な力の導入が可能である。
【0045】
図4aは、家具駆動装置4を斜視図で示しており、この場合、家具駆動装置4は、調節装置19の調節エレメント19aと、ばね装置10の作用個所18との間の最大のトルクを制限するための過負荷保護装置33を有している。
【0046】
過負荷保護装置33は、所定のトルク未満のトルクで調節エレメント19aが回転させられる際には、この調節エレメント19aを伝達機構35に連結し、所定のトルクを上回るトルクで調節エレメント19aが回転させられる際には、調節エレメント19aを伝達機構35から分離するように構成されている。
【0047】
図示した実施例では、過負荷保護装置33は、例えば圧縮ばねの形態の少なくとも1つのばねエレメント34を有している。軸28は、ばねエレメント34の力により、調節装置19の調節エレメント19aに対して押し付け可能である。好ましくは、軸28は、ばねエレメント34の力により、軸28の軸方向で、調節装置19の調節エレメント19aに対して押し付け可能であることが想定されている。
【0048】
好ましくは、調節エレメント19aの回転軸線(R)と、少なくとも1つの軸28の長手方向(L3)とは互いに同軸に延在していることが想定されている。
【0049】
調節エレメント19aと軸28とは、協働する歯列37a,37b(図5a~図5d)を介して回転可能に互いに連結されていてよい。所定のトルク未満のトルクで調節エレメント19aが回転させられる際には、この調節エレメント19aは軸28に連結されている。所定のトルクを上回るトルクで調節エレメント19aが回転させられる際には、この調節エレメント19aは伝達機構35から分離されている。すなわち、調節エレメント19aに加えられるトルクが超過した場合は、ばねエレメント34が圧縮され、この場合、調節エレメント19aと軸28とが互いに分離可能である。
【0050】
図4bには、図4aの取り囲んだ領域が拡大されて示されている。少なくとも1つの回転可能な緊締エレメント31aを備えた取付け装置31によって、家具駆動装置4の支持体9は、家具板6の凹部11(図1b)の内側で挟まれて位置固定可能である。
【0051】
図5aは、ばね装置10の作用個所18の位置を調節するための調節装置19の斜視図を示している。回転可能な調節エレメント19aは、工具、好ましくはねじドライバのための受容装置39(図6b)を有していてよく、作用個所18は、工具によって受容装置39を回転させることにより、好ましくはねじ山区分17に沿って調節可能である。
【0052】
調節エレメント19aおよび/または軸28は、支持装置29に回転可能に支持されている。支持装置29は、既に記載したガイド30を有しており、このガイド内には、支持体9のピン32が遊びをもってガイドされている。
【0053】
本発明の可能な実施例によれば、過負荷保護装置33は、
-少なくとも1つのばねエレメント34、好ましくは圧縮ばねを有しており、回転可能に支持された軸28と、調節エレメント19aとは、ばねエレメント34の力によって互いに押し付け可能であって、かつ/または
-調節エレメント19aに配置された少なくとも1つの歯列37a、好ましくは端面歯列を有しており、かつ/または
-回転可能に支持され、調節エレメント19aによって駆動可能な少なくとも1つの軸28を有しており、調節エレメント19aは、所定のトルク未満のトルクで調節エレメント19aが回転させられる際には軸28に連結していて、所定のトルクを上回るトルクで調節エレメント19aが回転させられる際には軸28から分離されており、かつ/または
-長手方向(L3)を有した少なくとも1つの回転可能な軸28を有しており、この軸28は、所定のトルクを上回るトルクで調節エレメント19aが回転させられる際には、軸(28)の長手方向(L3)で、ばねエレメント(34)の力に抗して変位可能であり、かつ/または
-調節エレメント19aの第2の歯列37aと噛み合うことができる第1の歯列37bを備えた少なくとも1つの回転可能な軸28を有しており、
-少なくとも1つの支持装置29を有していて、この支持装置29内にまたはこの支持装置29上に、調節エレメント19aおよび/または場合によっては設けられている回転可能な軸28が、回転可能に支持されている。
【0054】
軸28は、例えば、協働する歯列38a,38bを介して、好ましくは、傘歯車伝動装置を介して、好ましくはねじ山区分17を介して、作用個所18に連結されていてよい。
【0055】
図5bは、調節エレメント19aと軸28との間の連結状態を示しており、この場合、協働する歯列37a,37bは互いに噛み合っている。これは、所定のトルク未満のトルクで調節エレメント19aが回転させられる場合である。
【0056】
図5cは、所定のトルクを上回るトルクで調節エレメント19aが回転させられるときの過負荷の場合を示している。臨界的なトルクの超過時には、調節エレメント19aと軸28とが互いに相対的に回転させられて、この場合、調節エレメント19aと軸28とは、協働する歯列37a,37bによって互いに軸方向で離間させられて、ばねエレメント34は圧縮される。これにより、軸28は、調節エレメント19aの回転運動から分離可能である。
【0057】
図5dには、図5cの円で取り囲んだ領域が拡大図で示されており、この場合、調節エレメント19aの歯列37aと軸28の歯列37bとは互いに噛み合っていない。この状態は、過負荷の場合に相当し、この場合、軸28は、調節エレメント19aの回転運動から分離されている。
【0058】
図6aには、僅かに変更された実施形態における、作用個所18に作用する調節装置19が示されている。調節エレメント19aと軸28とは、支持装置29の内側に回転可能に収容されていて、圧縮ばねの形態のばねエレメント34の力によって、互いに押し付けられている。
【0059】
ばねエレメント34は開口34aを形成しており、この場合、ばねエレメント34と調節エレメント19aとは、ばねエレメント34の開口34aを介して調節エレメント19aにアクセス可能であるように、互いに配置されている。
【0060】
調節エレメント19aに加えられるトルクが超過した場合は、ばねエレメント34の力を克服した後、歯列37a,37bの互いの噛合いは解消され、この場合、ばねエレメント34は圧縮される。調節エレメント19aが再び、所定のトルク未満のトルクで回転させられると、調節エレメント19aは、ばねエレメント34の力により、再び軸28に回転可能に連結される。
【0061】
図6bには、図6aで取り囲んだ領域が拡大図で示されている。調節装置19の調節エレメント19aは、工具、好ましくはねじドライバまたは充電式ドライバのための受容装置39を有している。
【0062】
受容装置39は、例えば、十字スリット形状(例えば、ポジドライヴプロフィール)、四角形プロフィール、六角形プロフィール、または六角星形(例えば、トルクスプロフィール)を有していてよく、この場合、工具と調節エレメント19aとの間でトルクを伝達するための確実な形状接続が形成され得る。
【0063】
家具駆動装置4は、作動アームアセンブリ5の運動を減衰するために、少なくとも1つの減衰装置を、例えば液圧式のピストンシリンダユニットを有していてよい。これにより、閉鎖終端位置および/または開放終端位置に向かう可動の家具部分3の運動が減衰され得る。
図1a
図1b
図2a
図2b
図3a
図3b
図4a
図4b
図5a
図5b
図5c
図5d
図6a
図6b
【国際調査報告】