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特表2023-549510露出環境に設置可能な繊維状マット面を有する露出電極マイナスイオン装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-27
(54)【発明の名称】露出環境に設置可能な繊維状マット面を有する露出電極マイナスイオン装置
(51)【国際特許分類】
   H01T 23/00 20060101AFI20231117BHJP
【FI】
H01T23/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023528510
(86)(22)【出願日】2021-10-12
(85)【翻訳文提出日】2023-07-11
(86)【国際出願番号】 SG2021050615
(87)【国際公開番号】W WO2022103327
(87)【国際公開日】2022-05-19
(31)【優先権主張番号】10202011322W
(32)【優先日】2020-11-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SG
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522080535
【氏名又は名称】ゼロ2.5 バイオテック プライベート リミテッド
【氏名又は名称原語表記】ZERO2.5 BIOTECH PTE. LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】リー, ケン ナム
(72)【発明者】
【氏名】アルジュナン, シャービン クマール エス/オー エヌ
(72)【発明者】
【氏名】スティーブン, スウェイン
(72)【発明者】
【氏名】フォン, へアン チュアン
(57)【要約】
スタンドアロン又はマイナスイオンパネルシステム50の一部として露出環境56に設置された露出電極マイナスイオン装置である。各装置は、(a)負電圧生成器22Bを含む電子機器モジュール22と、(b)負電圧生成器22Bに電気接続された個々の繊維の撚り合わせから成るマット面11を含む露出電極10と、を備える。マット面11は、最大容量性電流放電を容量性電流放電検出閾値未満に制限する最小平均抵抗RMINを有する。負電圧生成器22Bは、一組の電気的パラメータにおいて、電源21から負電圧源23を生成するように構成されている。一組の電気的パラメータは、最大プリセット負電圧VMAXと、直流検出閾値以下に設定された最大動作電流と、を含む。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)入力ポート、負電圧生成器、及び出力ポートを含む電子機器モジュールであり、
(i)前記入力ポートが、電源を電気的に受電し、前記電源を前記負電圧生成器へと電気的に送るように構成され、
(ii)前記負電圧生成器が、
(1)前記電源から負電圧源を生成することと、
(2)一組の電気的パラメータにおいて、前記負電圧源を前記出力ポートに出力することと、
を行うように構成され、
(iii)前記一組の電気的パラメータが、
(1)最大プリセット負電圧VMAXと、
(2)直流検出閾値以下に設定された最大動作電流と、
を含む、電子機器モジュールと、
(b)個々の繊維の撚り合わせから成るマット面を含む露出電極であり、
(i)前記露出電極の前記マット面が、1つ又は複数の電気接続点において、前記電子機器モジュールの前記出力ポートに直接又は間接的に電気接続され、
(ii)前記マット面が、前記電子機器モジュールの前記出力ポートと直径が20ミリメートルの研磨ステンレス鋼球を先端に備えた測定プローブとの間の放電イベント中の測定において、最小平均抵抗RMINを有し、
【数1】

であり、ITHは、容量性電流放電検出閾値である、露出電極と、
を備えた、露出電極マイナスイオン装置。
【請求項2】
前記マット面が、平坦形状で、最大表面積AMAXを有し、
【数2】

であり、QTHは、電荷放電検出閾値であり、εは、自由空間の誘電率である、請求項1に記載の露出電極マイナスイオン装置。
【請求項3】
前記マット面が、球面形状で、最大半径rMAXを有し、
【数3】

であり、QTHは、電荷放電検出閾値であり、εは、自由空間の誘電率である、請求項1に記載の露出電極マイナスイオン装置。
【請求項4】
前記電荷放電検出閾値が、0.4μCである、請求項2又は3に記載の露出電極マイナスイオン装置。
【請求項5】
前記直流検出閾値が、2.0mAである、請求項1に記載の露出電極マイナスイオン装置。
【請求項6】
前記容量性電流放電検出閾値が、2.0mAである、請求項1に記載の露出電極マイナスイオン装置。
【請求項7】
前記最小平均抵抗RMINが、10MΩ~40MΩの範囲である、請求項1に記載の露出電極マイナスイオン装置。
【請求項8】
前記個々の繊維の撚り合わせが、ココナッツコイア繊維、ヒヤシンス繊維、ジュート繊維、アバカ繊維、バナナ繊維、パイナップル繊維、及びイラクサ繊維のうちの少なくとも1つで構成された、請求項1に記載の露出電極マイナスイオン装置。
【請求項9】
前記個々の繊維の撚り合わせが、
(a)0.1mm~0.5mmの範囲の平均直径と、
(b)0.15m~0.28mの範囲の平均長さと、
を有する難燃性のココナッツコイア繊維で構成された、請求項1に記載の露出電極マイナスイオン装置。
【請求項10】
前記個々の繊維の撚り合わせが、吸湿性である、請求項1に記載の露出電極マイナスイオン装置。
【請求項11】
前記露出電極の前記マット面が、
(a)球状基部若しくは円筒状基部に巻き付けられた個々の繊維の撚り合わせ線、
(b)吊りロープ、並びに
(c)矩形状マット、
のうちの少なくとも1つである、請求項1に記載の露出電極マイナスイオン装置。
【請求項12】
前記最大プリセット負電圧VMAXが、-18kV~-22kVの範囲である、請求項1に記載の露出電極マイナスイオン装置。
【請求項13】
前記電子機器モジュールが、前記露出電極に組み込まれた、請求項1に記載の露出電極マイナスイオン装置。
【請求項14】
(a)前記露出電極が、導電性基部を含み、
(b)個々の繊維の撚り合わせから成る前記マット面が、前記導電性基部上に設置され、
(c)前記導電性基部が、1つ又は複数の電気接続点において、前記電子機器モジュールの前記出力ポートに電気接続された、請求項1に記載の露出電極マイナスイオン装置。
【請求項15】
(a)前記露出電極が、絶縁外周及び絶縁面を含み、
(b)前記導電性基部が、前記マット面と前記絶縁面との間に配置された、請求項13に記載の露出電極マイナスイオン装置。
【請求項16】
前記導電性基部が、カーボン注入エラストマを含む、請求項13に記載の露出電極マイナスイオン装置。
【請求項17】
露出環境に設置された請求項1~16のいずれか一項に記載の露出電極マイナスイオン装置を2つ以上備えたマイナスイオンパネルシステム。
【請求項18】
前記マイナスイオンパネルシステムにおける前記露出電極マイナスイオン装置の前記マット面がそれぞれ、
(a)前記露出環境の壁、天井、又は床上の格子配置、
(b)前記露出環境における一群の球又は円筒、及び
(c)前記露出環境における一組の個々のパネル設置部、
のうちの少なくとも1つにて構成された、請求項17に記載のマイナスイオンパネルシステム。
【請求項19】
各露出電極マイナスイオン装置の前記電源が、局所的なソーラーパネルによって生成される、請求項17に記載のマイナスイオンパネルシステム。
【請求項20】
前記マイナスイオンパネルシステムが、ゲートウェイ、ネットワーク、及びオフサイトサーバをさらに備え、前記マイナスイオンパネルシステムにおける前記露出電極マイナスイオン装置の各電子機器モジュールが、前記ゲートウェイ及び前記ネットワークを通じて前記オフサイトサーバとデータ通信するインターネット・オブ・シングスモジュールをさらに含む、請求項17に記載のマイナスイオンパネルシステム。
【請求項21】
(a)前記オフサイトサーバが、前記マイナスイオンパネルシステムにおける各露出電極マイナスイオン装置に対する最新の一組の電気的パラメータを格納するように構成されたパラメータ設定モジュールをさらに備え、
(b)各露出電極マイナスイオン装置の前記インターネット・オブ・シングスモジュールが、前記ゲートウェイ及び前記ネットワークを介した前記オフサイトサーバの前記パラメータ設定モジュールに対する有線又は無線のデータ通信を行うように構成され、
(c)前記パラメータ設定モジュールが、前記露出電極マイナスイオン装置に対する前記最新の一組の電気的パラメータを各露出電極マイナスイオン装置に送るように構成され、
(d)各露出電極マイナスイオン装置が、前記パラメータ設定モジュールから前記露出電極マイナスイオン装置の前記インターネット・オブ・シングスモジュールを介して、前記露出電極マイナスイオン装置に対する前記最新の一組の電気的パラメータを受信するように構成された、請求項20に記載のマイナスイオンパネルシステム。
【請求項22】
(a)前記オフサイトサーバが、センサ記録モジュールをさらに備え、
(b)当該マイナスイオンパネルシステムが複数のセンサをさらに備え、前記複数のセンサは、前記露出環境に設置され、前記ゲートウェイ及び前記ネットワークを介して前記オフサイトサーバの前記センサ記録モジュールとそれぞれデータ通信し、
(c)前記センサが、
(i)温度センサ、
(ii)湿度センサ、
(iii)運動センサ、及び
(iv)マイナスイオン濃度センサ、
のうちの少なくとも1つを含む、請求項20に記載のマイナスイオンパネルシステム。
【請求項23】
(a)前記オフサイトサーバが、分析モジュールをさらに備え、
(b)前記分析モジュールが、
(i)前記センサ記録モジュールに格納された選択センサデータの履歴、及び
(ii)前記マイナスイオンパネルシステムにおける各露出電極マイナスイオン装置に対する前記最新の一組の電気的パラメータの概要、
のうちの少なくとも一方を詳述したシステムレポートを作成するように構成された、請求項20に記載のマイナスイオンパネルシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、マイナスイオン装置に関する。より詳細に、本開示は、露出環境に設置可能な繊維状マット面を有する露出電極マイナスイオン装置に関する。
【背景技術】
【0002】
マイナスイオン(NAI)は100年以上前に発見され、空気清浄に広く利用されている。NAIが存在することで、心理学的健康が増進され、アレルギー症状が緩和されると考えられる。NAIエミッタは、コロナ放電を生じさせるため、最大プリセット負電圧の範囲が-2kV~-80kVの負電圧源を採用する。必須ではないものの、いくつかのNAIエミッタの設計においては、低周波の交流電流又は交流パルス特性を負電圧源に含む。
【0003】
コロナ放電は、高電圧を印加した電極の周囲の空気の電離によって生じる放電である。コロナ放電は、空気が電気絶縁破壊となることで導電性になり、負電荷が電極から空気中に連続して漏れ出す局所的な領域を表す。NAIには、O、O 、O 、CO 、CO 、HCO 、NO 、及びNO を含み得る。コロナ放電は、電界(電位勾配)の強度が空気の絶縁耐力を超える電極上の箇所で発生する。
【0004】
オゾンイオン(O )は、不要なNAI種と考えられる。コロナ放電によって紫外線放射が生じると、オゾン生成が増える。オゾン生成は、電極の電界強度を制限することによって最小限に抑えることができる。電界強度は、電極の最大プリセット負電圧を-20kV前後に下げること及び/又は電極の先端の鋭さを抑えることによって制限可能である。ただし、これらのステップによって、電極によるNAIの生成も少なくなる。また、水の存在によってオゾンの放出を最小限に抑えることも可能である。水は、オゾンと反応して、短寿命のOH-ラジカルを生成するためである。
【0005】
安全上の理由から、初期のNAIエミッタでは、NAI電極を絶縁ハウジング内に収めていた。これら初期のNAIエミッタは、ハウジングの外側にNAIを吹き出して、アパート空間又はオフィス空間等の露出環境に導入するための電動ファンを具備することが多かった。より最近では、観葉植物の葉を露出電極として採用するNAIエミッタも導入されている。
【0006】
観葉植物を露出電極として使用することは、美観上は好ましいが、ユーザに感電の可能性をもたらし得る。植物、特に、多肉植物は、水分を多く含むため、有効な導電体となる。感電は、生命を脅かすものではないものの、ユーザを驚かせ、露出電極を使用する任意のNAIエミッタ製品に対するユーザの信頼性を低下させる可能性がある。
【0007】
2017年8月22日付けの「Stimulating device for enhancing release of negative air ions by a plant,and plant-based negative air ion producing device」という名称の米国特許第9,736,993号(以下、「’993」)に記載の通り、この感電の危険性は、ユーザの接近を検知する近接センサの使用により軽減可能である。’993考案の露出電極にユーザが接近すると、装置の電子機器が負電圧源の出力を停止させ、露出電極上の容量性電荷を取り除く。このように、’993考案のユーザは、観葉植物の葉に触れた場合でも感電しない。
【0008】
電流又は電荷放電に対する知覚及び/又は反応(以下、「検出」と総称する)については、「Effects of current on human beings and livestock」という名称の、国際電気標準会議(IEC)の規格番号IEC60479の第1部及び第2部に記載されている。IEC60479参照文献には、一般則として、直流よりも交流に対して人体の導電性が高いことが記載されている。15~100Hzの範囲の周波数の場合は0.5mAの交流が検出閾値又はその近傍である一方、直流は、2.0mA前後まで検出閾値に近づかない。
【0009】
キャパシタンスC及び電圧Vのキャパシタの蓄積電荷が抵抗Rの抵抗器で放電される場合、最大(又は、ピーク)放電電流はV/Rに等しい。放電電流は、e-t/RCの割合で減衰する。時定数RC(τとも称する)は、回路抵抗(オーム)及び回路キャパシタンス(ファラド)の積に等しい。放電開始からRCの時点で、キャパシタの電圧(及び、抵抗器を流れる電流)は、その最大値のおよそ37%に過ぎない。3RCの時点で、電圧及び電流は、それぞれの最大値のおよそ5%に過ぎない。
【0010】
RCの値が大きくなると、電圧の変化率が小さくなるため、RCの値が大きい場合には、容量性電流放電が、より直流に近い形で人体に影響を及ぼす傾向にある。このため、容量性電流放電をより高い抵抗に通すと、この容量性電流放電の人体への影響は、(交流ではなく)直流に近くなる。抵抗が高いことから、容量性電流放電検出閾値は、直流電流検出閾値と略同等(例えば、上述の通り、およそ2.0mA前後)である。より保守的な閾値の選択として、0.5mAの交流検出閾値も考えられる。
【0011】
上述の通り、最大容量性電流放電は、キャパシタとグランドとの間の全抵抗で最大容量性電圧を除したものに等しい。電気がキャパシタから、露出電極及び人体を通過するためである。本開示における計算では、人体の電気抵抗を無視することができる。人体の抵抗が100kΩ以下である一方、本開示に論じる露出電極の抵抗が1.5MΩより大きな抵抗を含むためである。例えば、露出電極の最大電圧が-20kVで、露出電極の抵抗が15MΩの場合、露出電極を通じたユーザへの最大容量性電流放電は、およそ1.3mAとなる(2.0mAの直流検出閾値を下回る)。露出電極の抵抗と露出電極の最大電圧とを整合させることによって、適正なV/R比を設定することができる。
【0012】
また、IEC60479文献には、露出電極からの電荷放電が0.4μC以下の場合、露出電極に触れているユーザにおいて、露出電極の(キャパシタンスに蓄積された電荷の放電による)電荷放電が検出され得ないことも論じられている。キャパシタの蓄積電荷は、キャパシタの電圧にキャパシタのキャパシタンスを乗じたものに等しい。露出電極のキャパシタンスと露出電極の充電電圧とを整合させることによって、適正なV・C積を設定することができる。例えば、最大電圧を低くすることによって、露出電極のキャパシタンスを大きくすることができる。電荷放電を考慮する場合は、露出電極の抵抗を考慮する必要がない(露出電極から放電される全電荷だけを考慮するためである)。ただし、キャパシタンスが形状の関数であることから、露出電極の幾何学的寸法が重要な役割を果たす。単一の帯電円板の自己キャパシタンスは、8εである。単一の帯電球の自己キャパシタンスは、4εである。このため、所与の最大プリセット負電圧の場合、露出電極の電荷放電による最大電荷移動は、(円板電極であるか球電極であるかに関わらず)露出電極の幾何学的サイズを制限することにより調整可能である。
【0013】
IEC60479文献に詳述されている通り、電流又は電荷放電の検出閾値は、電極と接触する身体の面積(接触面積)、接触の条件(例えば、乾燥、湿潤、圧力、温度)、さらに個人の生理学的特性等、複数のパラメータによって決まる。検出閾値は、すべての人に同じではなく、また、すべての動作条件に同じでもない。人は、環境又は消費者製品に関する経験の繰り返しにより、当該環境において又は当該消費者製品から、そうでない場合には検出可能な電流又は電荷放電を無視するようになる場合がある。
【0014】
既存の消費者電子製品に対するIEC60479文献の知見の適用については、ACM Transactions on Computer-Human Interaction,Vol.25,No.3,Article 19によって2018年6月に公開されたMICHINARI KONOらによる「Design Guideline for Developing Safe Systems that Apply Electricity to the Human Body」(以下、「Kono論文」)に見られる。Kono論文は、消費者電子製品の電子機器及びその外部ユーザインターフェースの設計を介して、わずかな電荷及び電流を人体に印加する20以上の例を提供する。例示的な用途としては、スマートフォンのタッチスクリーンの容量性ユーザインターフェースディスプレイが挙げられる。上掲の消費者電子製品それぞれについて、わずかな電荷及び電流は通常、人の検出レベルを下回る(例えば、Kono論文のページ19:12の表1参照)。
【0015】
Kono論文に記載の消費者電子機器と同様に、露出電極を備えたNAIエミッタは、IEC60479文献の教示内容に従うことで利益が得られる。’993が感電の問題に対処する一方、その解決手段は、NAIエミッタの電源をオフにするとともに、露出電極を接地することである。’993考案は、ユーザの通行が多いエリアに配置された露出電極に対しては非実用的である。近接センサがほぼ連続的にNAIエミッタを停止させる可能性が高いためである。また、使用頻度が高い通行エリアの居住者が’993考案に慣れていない場合、その居住者は、’993考案に対する経験不足から、(例えば、近接センサの検知角度の外側で露出電極に触れる場合等)検出可能な感電に意図せず直面する可能性もある。
【0016】
したがって、露出電極に触れる距離内のユーザの場所にもユーザの挙動にも関わらず、露出環境において連続動作し続けられる露出電極を備えたNAIエミッタが求められている。
【発明の概要】
【0017】
本発明は、その最も一般的な形態において、スタンドアロン又はマイナスイオンパネルシステム50の一部として露出環境56に設置された露出電極マイナスイオン装置である。各装置は、(a)負電圧生成器22Bを含む電子機器モジュール22と、(b)負電圧生成器22Bに電気接続された個々の繊維の撚り合わせから成るマット面11を含む露出電極10と、を備える。マット面11は、最大容量性電流放電を容量性電流放電検出閾値未満に制限する最小平均抵抗RMINを有する。負電圧生成器22Bは、一組の電気的パラメータにおいて、電源21から負電圧源23を生成するように構成されている。一組の電気的パラメータは、最大プリセット負電圧VMAXと、直流検出閾値以下に設定された最大動作電流と、を含む。
【0018】
より詳細に、本発明の第1の実施形態は、(a)入力ポート、負電圧生成器、及び出力ポートを含む電子機器モジュールと、(b)個々の繊維の撚り合わせから成るマット面を含む露出電極と、を備えた露出電極マイナスイオン装置である。入力ポートは、電源を電気的に受電し、電源を負電圧生成器へと電気的に送るように構成されている。負電圧生成器は、(1)電源から負電圧源を生成することと、(2)一組の電気的パラメータにおいて、負電圧源を出力ポートに出力することと、を行うように構成されている。一組の電気的パラメータは、(1)最大プリセット負電圧VMAXと、(2)直流検出閾値以下に設定された最大動作電流と、を含む。露出電極のマット面は、1つ又は複数の電気接続点において、電子機器モジュールの出力ポートに直接又は間接的に電気接続されている。
【0019】
本発明の第1の実施形態において、マット面は、電子機器モジュールの出力ポートと直径が20ミリメートルの研磨ステンレス鋼球を先端に備えた測定プローブとの間の放電イベント中の測定において、最小平均抵抗RMINを有し、
【数1】

であり、ITHは、容量性電流放電検出閾値である。
【0020】
本発明の第2の実施形態は、本発明の第1の実施形態及び本発明の第1の実施形態の代替実施形態の装置を2つ以上備えたマイナスイオンパネルシステムである。
【0021】
本発明の第2の実施形態の代替実施形態において、このシステムにおける装置のマット面はそれぞれ、(a)露出環境の壁、天井、又は床上の格子配置、(b)露出環境における一群の球又は円筒、及び(c)露出環境における一組の個々のパネル設置部のうちの少なくとも1つにて構成されている。なお、本発明の使用は、この代替実施形態に記載の構成に限定されない。マット面の構成の非限定的な例として、(a)屋外では、樹木、屋根付き歩道、バス待合所、街灯柱、街路上公共物、及び広告パネルへの設置、(b)屋内では、個室の壁、ランプシェード、サンシェード、及び家具側板への設置が挙げられる。
【0022】
本発明の第2の実施形態の代替実施形態において、このシステムは、ゲートウェイ、ネットワーク、及びオフサイトサーバをさらに備え、このシステムにおける装置の各電子機器モジュールは、ゲートウェイ及びネットワークを通じてオフサイトサーバとデータ通信するIoT(インターネット・オブ・シングス)モジュールをさらに含む。
【0023】
本明細書においては、図面を参照しつつ、本開示の実施形態を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の一実施形態における統合電子機器モジュール及び導電性基部を備えた露出電極を表したブロック図である。
図2】本発明の一実施形態における電子機器モジュールから導電性基部への負電圧源の出力を表したブロック図である。
図3】所与の電圧における単一の帯電円板の最大許容表面積に関する式の導出を表した一連の式を一覧化した図である。
図4】所与の電圧における単一の帯電球の最大許容半径に関する式の導出を表した一連の式を一覧化した図である。
図5】本発明の一実施形態におけるマイナスイオンパネルシステムを表したブロック図である。
図6】様々な円筒状サンプルの試験に関するテストデータ収集箇所を特定した図である。
図7A】様々な前処理を伴うココナッツコイアの円筒状サンプルに関するテストデータ収集値を記載したチャートである。
図7B】様々な前処理を伴うココナッツコイアの円筒状サンプルに関するテストデータ収集値を記載したチャートである。
図7C】様々な前処理を伴うココナッツコイアの円筒状サンプルに関するテストデータ収集値を記載したチャートである。
図8】様々な円形状サンプルの試験に関するテストデータ収集箇所を特定した図である。
図9】様々な種類の繊維編組の円形状サンプルに関するテストデータ収集値を記載したチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下の詳細な説明においては、本明細書の一部を構成する添付の図面を参照する。詳細な説明、図面、及び特許請求の範囲に記載の例示的な実施形態は、何ら限定を意図しない。本明細書に提示の主題の思想からも範囲からも逸脱することなく、他の実施形態を利用可能であるとともに他の変更も可能である。別段の指定のない限り、本明細書において使用する用語「備える(comprising、comprise)」及び「含む(including、include)」並びにそれぞれの文法的異形は、「オープン」又は「包括的」な表現を表す意図があるため、列挙した要素を含むのみならず、列挙していない付加的な要素を含むことも可能である。本明細書における使用の通り、「サーバ」のソフトウェア及びハードウェアは、単一のスタンドアロンコンピュータ、スタンドアロンサーバ、複数の専用サーバ、並びに/又はより大きなサーバネットワーク上で動作する仮想サーバ及び/若しくはクラウドベースサービスにおいて実装可能である。
【0026】
図1は、本発明の一実施形態における統合電子機器モジュール22及び導電性基部12を備えた露出電極10を表したブロック図である。導電性基部12は、マット面11と絶縁面14との間に配置されている。マット面11は、個々の繊維の撚り合わせで構成されている。図1に示すように、個々の繊維の撚り合わせの近位端は、導電性基部12の内側に埋め込まれている。個々の繊維の撚り合わせの遠位端は、マット面11に向かって延びている(個々の繊維の撚り合わせと電子機器モジュール22との間の代替的な電気接続手段の例については以下参照)。露出電極10は、絶縁外周15を含む。電子機器モジュール22は、電源21に電気接続されている。電子機器モジュール22は、導電性基部12を貫通する電気接続点13のリベットに電気接続されている。
【0027】
図1においては、マット面11との考え得るユーザ接触を伸ばした指16で示している。マット面11は、電子機器モジュール22の出力ポート22Cと直径が20ミリメートルの研磨ステンレス鋼球を先端に備えた測定プローブとの間の放電イベント中の測定において、最小平均抵抗RMINを有し、
【数2】
【0028】
であり、ITHは、容量性電流放電検出閾値である。
【0029】
式1において、最大プリセット負電圧VMAXが-20kVで、容量性電流放電検出閾値が2mAの場合、最小平均抵抗RMINは、10MΩと計算されることになる。最大プリセット負電圧VMAXの値が-40kV、-60kV、及び-80kVの場合、容量性電流放電検出閾値が2mAの場合は、最小平均抵抗RMINの計算結果がそれぞれ、20MΩ、30MΩ、及び40MΩとなる。-20kVが最大プリセット負電圧VMAXの最適な電圧のうちの1つであり、-80kVが最大プリセット負電圧VMAXの可能性が最も高い電圧のうちの1つであることから、容量性電流放電検出閾値が2mAの場合、最小平均抵抗RMINの好ましい範囲は、10MΩ~40MΩである。
【0030】
低電圧露出電極マイナスイオン装置のいくつかの実施形態の場合は、より低い最大プリセット負電圧VMAXが-3kV~-20kVの範囲において設定され得る結果、容量性電流放電検出閾値が2mAの場合、最小平均抵抗RMINの許容範囲は、1.5MΩ~10MΩとなる。最大プリセット負電圧VMAXの現実的に最も低い値は、およそ-3kVである。この電圧閾値を下回ると、コロナ放電がほとんど生じないためである。最大プリセット負電圧VMAXが-7kV及び-20kVの場合に取得された実験データについては、図8及び図9を参照されたい。
【0031】
最大プリセット負電圧VMAXの電圧値が高くなると、露出電極10の設計において、さらに大きな沿面距離及び隙間距離が必要となる。このため、最大プリセット負電圧VMAXの値が高くなると、露出電極10の基本機能を変えることなく、より嵩張る設計が必要となる。多くの屋内設備では、沿面距離及び隙間距離の実用的な制限から、上限としておよそ-40kVが好ましい。
【0032】
最大プリセット負電圧VMAXの上記値それぞれについて、本発明は、式1により、露出電極マイナスイオン装置がマット面11の最小平均抵抗RMINに対して最大プリセット電圧VMAXの範囲を適正に組み合わせる場合、如何なる放電によるユーザの不快感をも防止する。
【0033】
ほとんどの状況においては、容量性電流放電がより直流に近い形で人体に影響を及ぼす傾向がある一方、一部のユーザによる容量性電流放電の検出は、ユーザによる交流の検出により近いと考えられる。15~100Hzの範囲の周波数の交流の場合は0.5mAの交流が検出閾値又はその近傍である一方、直流は、2.0mA前後まで検出閾値に近づかない。このため、ユーザの保護を増強するには、容量性電流放電検出閾値を0.5mAに設定することも可能である。0.5mAの容量性電流放電検出閾値を使用すると、最小平均抵抗RMINが4倍高くなるはずである。例えば、式1において、最大プリセット負電圧VMAXの値が-3kV、-20kV、及び-40kVの場合、容量性電流放電検出閾値が0.5mAを使用する場合は、最小平均抵抗RMINの計算結果がそれぞれ、6MΩ、40MΩ、及び80MΩとなる。
【0034】
上記式1における定義の通り、最小平均抵抗RMINは、放電イベント(感電と称する場合もある)中に測定される。放電イベントは、マット面11から伸ばした指16等への急激な放電であり、十分に高い電界によって、通常は絶縁状態の空気中に電離した導電性チャネルが形成されるときに発生する。放電イベント中の最小平均抵抗RMINの測定は、動作状態における本発明の意図する技術的利益を最も再現する。例えば、放電イベント以外での抵抗の測定では、測定プローブにより測定される抵抗が放電イベント中よりもはるかに高くなってしまう。
【0035】
所与の電圧について、球を先端に備えた測定プローブでは、先端の鋭い測定プローブよりも小さな電界が生成される。最小平均抵抗RMINの測定に用いられる測定プローブは、直径が20ミリメートルの研磨ステンレス鋼球を先端に備えることにより、ユーザが伸ばした指16でマット面11に触れる状況を最もよく近似する。実際のところ、この球としては、M5ねじで測定プローブの本体に取り付けられたステンレス鋼マシンボールノブが可能である。
【0036】
最小平均抵抗RMINは、マット面11の変動によってマット面11の様々な箇所での抵抗測定結果が高くなったり低くなったりする可能性があることから、「平均」抵抗である。矩形マット面11の最小平均抵抗RMINとしては、例えばマット面11上の3行3列の正方形格子の9箇所で測定される抵抗のうち、5番目に高い抵抗も可能である。球形マット面11の最小平均抵抗RMINとしては、例えば電気接続点13の反対の球の極における第1の点並びに球の赤道に沿った0°、90°、180°、及び270°の追加4点で測定される抵抗のうち、3番目に高い抵抗も可能である(電気接続点13及び第1の点が球の軸を規定する)。
【0037】
図1に示すように、電気接続点13は、導電性基部12を貫通する導電性リベットを採用する。導電性基部12は、当該導電性基部12の様々な箇所において、それぞれが電気配線によって電子機器モジュール22に接続された複数の導電性リベットが貫通し得る。また、1つ又は複数の電気接続点13においては、導電性ねじ、平面電極、導電性エポキシ、電気配線、又はこれらの組み合わせ等、他の電気接続手段を採用することも可能である。
【0038】
図1に示すように、個々の繊維の撚り合わせの近位端は、導電性基部12内に埋め込まれている。ただし、導電性基部12上への個々の繊維の撚り合わせの設置には、他の方法(導電性エポキシ、熱処理、織り込み、又は機械的圧力等)も可能である。個々の繊維の撚り合わせから成るマット面11は、導電性基部12への永久的な取り付けも可能であるし、交換式も可能である。
【0039】
図1に示すように、電子機器モジュール22は、露出電極10に組み込まれている。ただし、電子機器モジュール22は、露出電極10の外側に設置することも可能である。例えば、露出電極10としては、1つ又は複数の装置を収容する設置ブラケット上の適所にスナップインする交換式ユニットも可能であり、設置ブラケットが(1つ又は複数の)電子機器モジュール22を含む。また、複数の露出電極10が単一の電子機器モジュール22の異なる出力ポート22Cに至る可能性もある。
【0040】
図1に示すように、露出電極10が導電性基部12を含み、負電圧源23は、出力ポート22Cから、電気接続点13において導電性基部12を通過し、個々の繊維の撚り合わせから成るマット面11に至る。ただし、本発明の他の実施形態においては、導電性基部12が露出電極10に含まれない。負電圧源23は、出力ポート22Cから、1つ又は複数の電気接続点13において、個々の繊維の撚り合わせから成るマット面11に至る。本実施形態において、1つ又は複数の電気接続点13における個々の繊維の撚り合わせは、負電圧源23をマット面11全体に広げる導電体として作用する。
【0041】
図2は、本発明の一実施形態における電子機器モジュール22の出力ポート22Cから露出電極10の導電性基部12への負電圧源23の出力を表したブロック図である。電子機器モジュール22は、電源21に電気接続された入力ポート22Aと、露出電極10(図示せず)の導電性基部12に電気接続された出力ポート22Cと、を含む。電子機器モジュール22は、最大プリセット負電圧VMAXを有する負電圧源23を生成するように構成された負電圧生成器22Bを含む。
【0042】
図2に示すように、電子機器モジュール22は、無線通信機能を有するIoTモジュール22Dを含む。また、IoTモジュール22Dは、電源21のワイヤ接続を通じた有線電力線通信を採用することも可能である。マイナスイオンパネルシステム50におけるIoTモジュール22Dの使用に関する詳細については、以下の図5に関する記述を参照されたい。
【0043】
図2に示すように、負電圧源23は、電子機器モジュール22の出力ポート22Cから導電性基部12に至る。ただし、本発明の他の実施形態においては、導電性基部12が含まれない。負電圧源23は、出力ポート22Cから、1つ又は複数の電気接続点13において、個々の繊維の撚り合わせから成るマット面11に至る。本実施形態において、1つ又は複数の電気接続点13における個々の繊維の撚り合わせは、負電圧源23をマット面11全体に広げる導電体として作用する。
【0044】
図3は、本発明の一実施形態における、所与の電圧における単一の帯電円板の最大許容表面積AMAXに関する式の導出を表した一連の式3-00を一覧化している。本発明の代替実施形態においては、最大プリセット負電圧を所与として、露出電極10の最大キャパシタンスを制限することにより、ユーザによる感電の検出をなくすことができる。キャパシタンスは、キャパシタの形状の関数である。図3の式3aにより、単一の帯電円板は、自己キャパシタンス8εを有する。露出電極10(矩形状パネル等)の平坦なマット面11の自己キャパシタンスは、同一表面積の単一の帯電円板の自己キャパシタンスにより略近似可能である。
【0045】
IEC60479文献に記載の通り、人の電荷放電検出閾値は、0.4μCである。キャパシタの最大電荷は、そのキャパシタンスにキャパシタの電圧(ここでは、最大プリセット負電圧VMAX)を乗じたものである。VMAXは、実験データから、NAIを効率的に生成するため、およそ-20kV(例えば、-18kV~-22kVの範囲)であるのが好ましい。VMAXを-20kVすると、電荷放電検出閾値QTHが0.4μCの場合,図3の式2により,矩形状パネルの概算キャパシタンスを20pFに制限する必要がある。図3の式において導出される通り、単一の帯電円板の最大表面積AMAXは、式3b~3dにより表される。
【0046】
式3cを採用することにより、円板状パネルの最大表面積AMAXは、0.25平方メートルとなる。例えば、円板状パネルに蓄積される最大電荷を-20kVのVMAXで0.4μC(人の電荷放電検出閾値)に制限するには、パネルの表面積をおよそ0.25平方メートルに制限することによって、キャパシタンスを20pFに制限する必要がある。なお、式3dによれば、最大表面積はVMAX -2に比例する。VMAXが2倍の-40kVである場合は、円板状パネルのマット面11の最大表面積の最大表面を75%(例えば、上記例の場合は、0.25平方メートルから0.0625平方メートルに)減少させる必要がある。円板状パネルの自己キャパシタンスに関する式3cの計算は、矩形状パネルのマット面11又は平面形状のその他任意のマット面11の最大表面積AMAXの概算に使用可能である。例えば、本開示及び特許請求の範囲における使用の通り、最大表面積AMAXは、(円板状であるか矩形状であるかに関わらず)如何なる種類の平面の最大表面積の概算にも使用される。
【0047】
図4は、本発明の一実施形態における、所与の電圧における単一の帯電球の最大許容半径に関する式の導出を表した一連の式4-00を一覧化している。図3に関して上述した矩形状パネルの形状の場合と同様に、所与の最大プリセット負電圧において、球状露出電極10のキャパシタンスを制限することにより、ユーザによる感電の検出をなくすことができる。球状露出電極10の自己キャパシタンスは、単一の帯電球の自己キャパシタンスにより略近似可能である。図4の式4aにより、単一の帯電球は、自己キャパシタンス4εを有する。
【0048】
MAXを-20kV、電荷放電検出閾値を0.4μCとすると、露出電極10のキャパシタンスは、図4の式2により、20pFに制限する必要がある。図4の式において導出される通り、単一の帯電球の最大半径は、式4bにより表される。式4bを採用することにより、球状電極の最大半径を0.56メートルと略近似することによって、キャパシタンスを20pFに制限することができる。なお、式4bによれば、球の最大半径はVMAX -1に比例する。VMAXが2倍の-40kVである場合は、球状パネルの最大半径が50%減少して、およそ0.28メートルになる。
【0049】
図5は、本発明の一実施形態におけるマイナスイオンパネルシステム50を表したブロック図である。システム50は、露出環境56において4行4列の露出電極10(項目1A~1D、2A~2D、3A~3D、及び4A~4D参照)を備えた壁上の格子配置51を含む。格子配置51は、電源21に電気接続されている。図5は、人が存在する露出環境56を示している。露出環境56においては、人が露出電極10のマット面11から分離されてもいなければ、露出電極10のマット面11への接触が防止されてもいない。
【0050】
また、図5に示すように、露出環境56には、当該露出環境56に設置された複数のセンサ52との無線データ通信機能を有するゲートウェイ53を含む。図5には示していないものの、ゲートウェイ53は、無線又は有線電力線通信によって、各装置のIoTモジュール22Dにも接続可能である。ゲートウェイ53は、システム50のネットワーク54とデータ通信状態にあり、ネットワーク54は、オフサイトサーバ55に接続されている。オフサイトサーバ55は、パラメータ設定モジュール55A、センサ記録モジュール55B、及び分析モジュール55Cを含む。
【0051】
図6は、様々な円筒状サンプル61の試験に関するテストデータ収集箇所を特定した図6-00を含む。テストデータは、図6-00に示すように、床と平行なx-y平面における45°、90°、及び135°の特定の角度において、円筒状サンプル61の外側中心62から1メートル又は2メートルで様々に収集されたものである。
【0052】
図7A図7Cは、円筒状ポールに巻き付けられ、電圧パルス源に電気接続された個々の繊維の撚り合わせから成る様々な円筒状サンプル61に関して実験的に収集されたテストデータ値を記載したチャート(7A-00、7B-00、及び7C-00)である。チャート(7A-00、7B-00、及び7C-00)にまとめたテストデータは、およそ10秒間のサンプル時間にわたる平均的なマイナスイオン測定値を表す。チャートのテストデータは、1立方センチメートル当たり1,000個のマイナスイオン(1,000NAI/cm)の単位で与えられる。
【0053】
図7Aのチャート7A-00は、図6図6-00に示すように、円筒状サンプル61の外側中心62から1メートル及び2メートルで取得した試験データを与える。図7Bのチャート7B-00及び図7Cのチャート7C-00は、図6図6-00に示すように、円筒状サンプル61の外側中心62から1メートルで取得した試験データを与える。テストデータ収集中の周囲のNAIは、約130NAI/cmであった。このテストデータは、およそ10秒間のサンプル時間にわたる平均的なマイナスイオン放出測定値を表す。一組の負電圧パルスの最大プリセット負電圧は、-20kVとした。
【0054】
図7Aのチャート7A-00は、難燃剤での処理も撥水剤での処理も施されていない円筒形のココナッツコイアサンプルのテストデータを与える。図7Bのチャート7B-00は、難燃剤で処理された円筒形のココナッツコイアサンプルのテストデータを与える。図7Cのチャート7C-00は、撥水剤で処理された円筒形のココナッツコイアサンプルのテストデータを与える。
【0055】
図7Aのチャート7A-00は、円筒状サンプル61の外側中心62からの距離の関数として、NAI濃度の減少を示している。3つのチャート(7A-00、7B-00、及び7C-00)のテストデータの比較により示されることとして、(i)ココナッツコイア繊維のNAI放出は、未処理、難燃剤処理、及び撥水剤処理のココナッツコイアについてほぼ同じであり、(ii)湿潤であるか乾燥であるかに関わらず、ココナッツコイア繊維の放出は、ほぼ同じNAI濃度となる。
【0056】
図8は、床と平行なx-y平面における円形サンプル81の試験に関するテストデータ収集箇所を特定した図8-00を含む。円形サンプル81は、電圧パルス源に電気接続されるものとした。様々な繊維編組の円形サンプル81は、(i)長さが約20センチメートルで、(ii)球状ボール82の赤道エリアに巻き付け及び取り付けられたものとした。図8-00に示すように、(i)特定の角度90°、180°、及び270°で編組から5cmの半径方向距離で、(ii)床と平行なx-y平面においてテストデータを収集した。
【0057】
図9のチャート9-00は、様々な種類の繊維編組の円形サンプル81に関して実験的に収集されたテストデータ値を記載している。各繊維編組の長さは、約20センチメートルとした。チャート9-00にまとめたテストデータは、繊維編組の円形サンプルそれぞれの表面から5センチメートルの半径方向距離でのおよそ10秒間のサンプル時間にわたる平均的なマイナスイオン放出測定値を表す。チャートのテストデータは、1立方センチメートル当たり1,000個のマイナスイオン(1,000NAI/cm)の単位で与えられる。テストデータ収集中の周囲のNAIは、約130NAI/cmであった。テストデータは、一組の負電圧パルスの最大プリセット負電圧を-20kV及び別途-7kVとして取得した。サンプル編組は、ココナッツコイア、イラクサ(粗目)、イラクサ(細目)、パイナップル、バナナ、ジュット、アバカ、及びヒヤシンスの繊維を含むものとした。
【0058】
チャート9-00に記載の通り、テストデータは、最大プリセット負電圧を-20kVに設定すると、-7kVと比較してNAI放出が大幅に改善されることを記載している。また、テストデータは、x-y平面において試験を行った各角度に沿ってNAI放出が大略一定であったことも実証している。全体としては、ココナッツコイア及び粗目イラクサの編組がその他の繊維種よりも良好なテスト結果となった。これは、ココナッツコイア等の天然繊維の硬質又は毛皮状の性質によって、広い表面積にわたる高いNAI放出効果がもたらされるものと理論付けられる。個々の繊維の表面凹凸及び鋭い端点によって、高曲率の幾何学的形状の箇所が多数提供され、コロナ放電を別個に促進する多数の電界極大値がもたらされるためである。
【0059】
本発明の第1の実施形態は、(a)入力ポート22A、負電圧生成器22B、及び出力ポート22Cを含む電子機器モジュール22と、(b)個々の繊維の撚り合わせから成るマット面11を含む露出電極10と、を備えた露出電極10のマイナスイオン装置である。入力ポート22Aは、電源21を電気的に受電し、電源21を負電圧生成器22Bへと電気的に送るように構成されている。負電圧生成器22Bは、(1)電源21から負電圧源を生成することと、(2)一組の電気的パラメータにおいて、負電圧源を出力ポート22Cに出力することと、を行うように構成されている。一組の電気的パラメータは、(1)最大プリセット負電圧VMAXと、(2)直流検出閾値以下に設定された最大動作電流と、を含む。露出電極10のマット面11は、1つ又は複数の電気接続点13において、電子機器モジュール22の出力ポート22Cに直接又は間接的に電気接続されている。マット面11は、電子機器モジュール22の出力ポート22Cと直径が20ミリメートルの研磨ステンレス鋼球を先端に備えた測定プローブとの間の放電イベント中の測定において、最小平均抵抗RMINを有し、
【数3】

であり、ITHは、容量性電流放電検出閾値である。
【0060】
本発明の第1の実施形態の代替実施形態において、マット面11は、平坦形状で、最大表面積AMAXを有し、
【数4】

であり、QTHは、電荷放電検出閾値であり、εは、自由空間の誘電率である。
電荷放電検出閾値としては、0.4μCが可能である。
【0061】
本発明の第1の実施形態の代替実施形態において、マット面11は、球面形状で、最大半径rMAXを有し、
【数5】

であり、QTHは、電荷放電検出閾値であり、εは、自由空間の誘電率である。
電荷放電検出閾値としては、0.4μCが可能である。
【0062】
本発明の第1の実施形態の代替実施形態において、直流検出閾値は、2.0mAである。
【0063】
本発明の第1の実施形態の代替実施形態において、容量性電流放電検出閾値は、2.0mAである。
【0064】
本発明の第1の実施形態の代替実施形態において、最小平均抵抗RMINは、10MΩ~40MΩの範囲である。なお、本発明は、本代替実施形態が指定する最小平均抵抗RMINの範囲に限定されず、最小平均抵抗RMINの全範囲は、1.5MΩ~80MΩである。
【0065】
本発明の第1の実施形態の代替実施形態において、個々の繊維の撚り合わせは、ココナッツコイア繊維、ヒヤシンス繊維、ジュート繊維、アバカ繊維、バナナ繊維、パイナップル繊維、及びイラクサ繊維のうちの少なくとも1つで構成されている。なお、本発明は、本代替実施形態において一覧化した天然繊維に限定されず、代替的な天然繊維を本発明に使用することも可能であるし、また、人工ポリマー繊維を本発明に使用することも可能である。
【0066】
本発明の第1の実施形態の代替実施形態において、個々の繊維の撚り合わせは、(a)0.1mm~0.5mmの範囲の平均直径と、(b)0.15m~0.28mの範囲の平均長さと、を有する難燃性のココナッツコイア繊維で構成されている。
【0067】
本発明の第1の実施形態の代替実施形態において、個々の繊維の撚り合わせは、吸湿性である。天然繊維の吸湿性は、天然繊維の含有水分が当該繊維の主要な導電性物質であることから、天然繊維の重要な特性である。水分を含まない天然繊維は、その抵抗が過度に高くなってしまうため、NAI生成に適さない。植物繊維の主成分は、吸湿性の降順に、ヘミセルロース、セルロース、及びリグニンである。これら3つの成分の比率が異なる繊維を選択することにより、特定の湿度に対して露出電極10の繊維状マット面11のバルク抵抗率を調節可能となる。
【0068】
また、吸湿性の繊維には、水がオゾンと反応して短寿命のOHラジカルを生成するため、オゾンの放出を抑え得るという利点もある。天然繊維は、吸湿性のレベルが高い。特定の人工ポリマー繊維も同様に吸湿性である。吸湿性の人工ポリマー繊維には、ナイロン、ABS、ポリカーボネート、セルロース、及びポリ(メチルメタクリレート)を含む。人工ポリマー繊維は、被覆によって吸湿性を高めることも可能である(例えば、2001年6月18日に付与された「Synthetic fiber with improved hygroscopicity」という名称の日本特許第3177719B2号参照)。
【0069】
本発明の第1の実施形態の代替実施形態において、露出電極10のマット面11は、(a)球状基部若しくは円筒状基部に巻き付けられた個々の繊維の撚り合わせ線、(b)吊りロープ、並びに(c)矩形状マットのうちの少なくとも1つである。
【0070】
本発明の第1の実施形態の代替実施形態において、最大プリセット負電圧VMAXは、-18kV~-22kVの範囲である。この範囲の最大プリセット負電圧を使用することには、マイナスイオンの効果的な生成を維持しつつ、オゾンイオンの生成を抑えられるという利点がある。なお、本発明は、本代替実施形態が指定する最大プリセット負電圧の範囲に限定されず、最大プリセット負電圧VMAXの全範囲は、-3kV~80kVである。
【0071】
本発明の第1の実施形態の代替実施形態において、電子機器モジュール22は、露出電極10に組み込まれている。
【0072】
本発明の第1の実施形態の代替実施形態において、(a)露出電極10は、導電性基部12を含み、(b)個々の繊維の撚り合わせから成るマット面11は、導電性基部12上に設置されて、(c)導電性基部12は、1つ又は複数の電気接続点13において、電子機器モジュール22の出力ポート22Cに電気接続されている。本実施形態は、代替として、(a)露出電極10が、絶縁外周15及び絶縁面14を含み、(b)導電性基部12が、マット面11と絶縁面14との間に配置されるように構成可能である。また、本実施形態は、代替として、導電性基部12が、カーボン注入エラストマを含むように構成可能である。
【0073】
本発明の第2の実施形態は、本発明の第1の実施形態及び/又は本発明の第1の実施形態の代替実施形態の装置を2つ以上備えたマイナスイオンパネルシステム50である。
【0074】
本発明の第2の実施形態の代替実施形態において、システム50における装置のマット面11はそれぞれ、(a)露出環境56の壁、天井、若しくは床上の格子配置51、(b)露出環境56における一群の球若しくは円筒、並びに(c)露出環境56における一組の個々のパネル設置部のうちの少なくとも1つにて構成されている。なお、本発明の使用は、この代替実施形態に記載の構成に限定されない。マット面11の構成の非限定的な例として、(a)屋外では、樹木、屋根付き歩道、バス待合所、街灯柱、街路上公共物、及び広告パネルへの設置、(b)屋内では、個室の壁、ランプシェード、サンシェード、及び家具側板への設置が挙げられる。
【0075】
本発明の第2の実施形態の代替実施形態において、各装置の電源21は、局所的なソーラーパネルによって生成される。
【0076】
本発明の第2の実施形態の代替実施形態において、システム50は、ゲートウェイ53、ネットワーク54、及びオフサイトサーバ55をさらに備え、システム50における装置の各電子機器モジュール22は、ゲートウェイ53及びネットワーク54を通じてオフサイトサーバ55とデータ通信するIoTモジュール22Dをさらに含む。本実施形態は、代替として、(a)オフサイトサーバ55が、システム50における各装置に対する最新の一組の電気的パラメータを格納するように構成されたパラメータ設定モジュール55Aをさらに備え、(b)各装置のIoTモジュール22Dが、ゲートウェイ53及びネットワーク54を介したオフサイトサーバ55のパラメータ設定モジュール55Aに対する有線又は無線のデータ通信を行うように構成され、(c)パラメータ設定モジュール55Aが、装置に対する最新の一組の電気的パラメータを各装置に送るように構成され、(d)各装置が、パラメータ設定モジュール55Aから当該装置のIoTモジュール22Dを介して、当該装置に対する最新の一組の電気的パラメータを受信するように構成されるように構成可能である。本実施形態は、代替として、(a)オフサイトサーバ55が、センサ記録モジュール55Bをさらに備え、(b)システム50が、露出環境56に設置され、ゲートウェイ53及びネットワーク54を介してオフサイトサーバ55のセンサ記録モジュール55Bとそれぞれデータ通信する複数のセンサ52をさらに備え、(c)センサ52が、温度センサ52、湿度センサ52、運動センサ52、及びマイナスイオン濃度センサ52のうちの少なくとも1つを含むように構成可能である。本実施形態は、代替として、(a)オフサイトサーバ55が、分析モジュール55Cをさらに備え、(b)分析モジュール55Cが、(i)センサ記録モジュール55Bに格納された選択センサ52のデータの履歴、及び、(ii)システム50における各装置に対する最新の一組の電気的パラメータの概要のうちの少なくとも一方を詳述したシステム50のレポートを作成するように構成されるように構成可能である。
【0077】
本発明の主要な技術的解決手段は、電流レベル及び/又は電荷放電レベルを検出閾値未満に維持することである。最大動作電流は、電子機器モジュール22によって、直流検出閾値以下に設定される。最大容量性電流放電は、(i)露出電極10のマット面11全体において少なくとも最小平均抵抗RMINを維持する高抵抗の個々の繊維の撚り合わせのマット面11上での使用及び(ii)マット面11の最小平均抵抗RMINと整合される最大プリセット負電圧によって、容量性電流放電検出閾値以下に維持される。また、代替実施形態においては、最大表面積AMAXの制限によって平坦な露出電極10のキャパシタンスを制限すること、又は、最大半径rMAXによって球状露出電極10のキャパシタンスを制限することによって、最大電荷放電を電荷放電検出閾値以下に維持することも可能である。
【0078】
これらの電流及び電荷放電特性の制限の結果、露出環境56においてユーザが触れても、電流又は電荷放電による身体的苦痛及び/又は不快感のない露出電極10を備えた露出電極10マイナスイオン装置となる。この設計は、装置がスタンドアロンの消費者製品であるか、2つ以上の装置がシステム50において使用されるかに関わらず、露出環境56における露出電極マイナスイオン装置の継続的で安全な動作を可能にする。露出電極10は、例えばプライベート又はパブリック空間内の人通りが多いエリアの壁又は天井に格子配列51で設置可能である。’993考案とは異なり、露出電極10の近傍にユーザが存在することで負電圧源を停止させたり、露出電極10上の容量性電荷を取り除いたりする必要はない。
【0079】
本発明の付加的な技術的解決手段には、ファンを用いない静音動作と、露出電極10の露出環境56へのシームレスな融合と、を含む。本発明は、格子配置51の個々のパネルを壁又は天井に無制限に設置することにより、NAIを分散して持続的に生成可能とする。
【0080】
天然繊維の審美的特性によって、露出電極10を露出環境56へ融合させる能力がさらに促進される。消費者は、様々な色及びサイズのパネルの選択によって、空間の雰囲気を演出することができる。また、天然繊維のマット面11は、観葉植物と異なり、触れても静電気が発生せず、定期的な水やりも不要である。本発明の好ましい材料であるココナッツコイアは、湿潤又は乾燥のいずれを問わず、また、処理済み又は未処理のいずれを問わず、高いNAI放出性能(図7及び図9参照)を有する低コストの再生可能農業副産物である。
【0081】
露出環境56に設置されたセンサ52及び任意選択としてのIoTモジュール22Dを各電子機器モジュール22に含むことにより、システム50のリモート管理を付加的に提供可能となる。センサ52には、温度センサ、湿度センサ、及びマイナスイオン濃度センサを含み得る。このように、露出環境56におけるセンサ52からのフィードバックの使用により、オフサイトサーバ55を介して、装置の電気的パラメータを最適化することができる。
【0082】
また、本発明のマット面11は、特に-18kV~-22kVの好ましい電圧範囲に関して、低オゾン放出のNAI設計を可能にする。マット面11は、多数の個々の繊維の撚り合わせを有する。各繊維は、その長さに沿う粗い縁部及び鋭い遠位端を有するため、局所的な電極として作用する多数の箇所を生成する。マット面11の全体に複数の局所的な電極を備えることにより、高いNAI放出レベルを維持しつつ、最大プリセット負電圧を抑えることができる。
【0083】
天然繊維の吸湿性は、天然繊維の含有水分が当該繊維の主要な導電性物質であることから、好適なNAI生成のための天然繊維の十分な導電性を可能にする。水分を含まない天然繊維は、その抵抗が過度に高くなってしまうため、NAI生成に適さない。また、天然繊維の本質的な吸湿特性により、放出電極で利用可能な水の量が増えることから、天然繊維の使用によってオゾンの生成も抑えられる可能性が高い。水がオゾンと反応することで短寿命のOHラジカルが生成されるとともに、このプロセスにおいて、オゾン濃度も低下する。
【0084】
以上、本明細書においては、種々態様及び実施形態を開示してきたが、上記開示内容に目を通した当業者には、本発明の思想及び範囲から逸脱することなく、本発明の他の様々な改良及び適応も明らかとなるであろうし、このようなすべての改良及び適用もまた、添付の特許請求の範囲に含まれることが意図されることが明らかとなるであろう。本明細書に開示の種々態様及び実施形態は、例示を目的としたものであって、何ら限定を意図するものでもなく、本発明の真の範囲及び思想は添付の特許請求の範囲により示される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図7C
図8
図9
【国際調査報告】