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特表2023-549526中空石英円筒体を製作するための装置および方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-27
(54)【発明の名称】中空石英円筒体を製作するための装置および方法
(51)【国際特許分類】
   C03B 20/00 20060101AFI20231117BHJP
   C03B 8/00 20060101ALI20231117BHJP
   F27B 7/34 20060101ALI20231117BHJP
   F27B 7/06 20060101ALI20231117BHJP
   F27D 11/08 20060101ALI20231117BHJP
【FI】
C03B20/00 E
C03B20/00 K
C03B8/00 B
C03B20/00 A
F27B7/34
F27B7/06
F27D11/08 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023528608
(86)(22)【出願日】2021-11-16
(85)【翻訳文提出日】2023-06-05
(86)【国際出願番号】 US2021059582
(87)【国際公開番号】W WO2022104284
(87)【国際公開日】2022-05-19
(31)【優先権主張番号】63/114,009
(32)【優先日】2020-11-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521281988
【氏名又は名称】モメンティブ パフォーマンス マテリアルズ クオーツ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Momentive Performance Materials Quartz,Inc.
【住所又は居所原語表記】22557 Lunn Rd.Strongsville,OH 44149 USA
(74)【代理人】
【識別番号】100087642
【弁理士】
【氏名又は名称】古谷 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100082946
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 昭広
(74)【代理人】
【識別番号】100195693
【弁理士】
【氏名又は名称】細井 玲
(72)【発明者】
【氏名】プルス,ユージーン
(72)【発明者】
【氏名】アルグレン,フレデリック
(72)【発明者】
【氏名】コーウィン,ダグラス
(72)【発明者】
【氏名】プラテ,ミヒャエル
(72)【発明者】
【氏名】ケルヒャー,セオドア
【テーマコード(参考)】
4G014
4K061
4K063
【Fターム(参考)】
4G014AG00
4G014AH00
4K061AA09
4K061BA09
4K061DA05
4K061FA13
4K061GA03
4K063AA04
4K063AA18
4K063BA06
4K063CA01
4K063FA53
(57)【要約】
本開示は、雰囲気制御を用いて気泡を低減しながら中空石英円筒体を製作することに関する。一例の水平回転アーク炉(100)は、ハウジング(104)、支持体(106)及び回転ユニオン(120)を含む。ハウジングはシリカ粒子、及びプラズマアークを生成する電極を受容するように構成された内部を画定し、内部に流体接続される、ハウジングの外面上の複数の第1のポート(102)及び第1のポートに流体結合された供給パイプ(124)を含む。支持体(106)はハウジング(104)に回転運動を提供するための駆動システム(118)にハウジング(104)を機械結合する。回転ユニオン(120)はハウジング(104)に結合され、真空供給部に流体接続するための第2のポート(122)を含む。第2のポート(122)は供給パイプ(124)を介して第1のポート(102)に流体接続される。水平回転アーク炉(100)は、ハウジングが回転している際に第1のポート(102)を介してハウジング(104)の内部に真空を加えるように構成される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水平回転アーク炉であって、
石英本体またはセラミック本体を形成するための粒子、及びプラズマアークを生成する電極を受容するように構成された内部を画定するハウジングであって、そのハウジングが、前記内部に流体接続される、前記ハウジングの外面上の複数の第1のポート及び前記第1のポートに流体結合された供給パイプを含む、ハウジングと、
前記ハウジングに回転運動を提供するための駆動システムに前記ハウジングを機械結合する支持体と、
前記ハウジングに結合された回転ユニオンとを含み、前記回転ユニオンは、真空供給部に流体接続するための第2のポートを含み、前記第2のポートは前記供給パイプを介して前記第1のポートの少なくとも幾つかに流体接続され、
前記水平回転アーク炉は、前記ハウジングが回転している際に、前記第1のポートを介して前記ハウジングの内部に真空を加えるように構成されている、水平回転アーク炉。
【請求項2】
前記複数の第1のポートは、第1のポートの第1の組および第1のポートの第2の組を含み、
前記供給パイプは、供給パイプの第1の組および供給パイプの第2の組を含み、
前記回転ユニオンが第1の回転ユニオンであり、
前記水平回転アーク炉は、前記第1の回転ユニオンに対向して前記ハウジングに結合された第2の回転ユニオンを更に含み、前記第2の回転ユニオンは、ガス供給部に流体接続するための第3のポートを含み、前記第3のポートは、前記供給パイプの第2の組を介して前記第1のポートの第2の組に流体接続され、前記第2のポートは、前記供給パイプの第1の組を介して前記第1のポートの第1の組に流体接続される、請求項1に記載の水平回転アーク炉。
【請求項3】
前記ガス供給部は高拡散性ガスを供給する、請求項2に記載の水平回転アーク炉。
【請求項4】
前記高拡散性ガスは、ヘリウムと酸素の混合物であり、その混合物は少なくとも80重量%のヘリウムである、請求項3に記載の水平回転アーク炉。
【請求項5】
前記ガス供給部は、前記真空供給部が前記第1のポートの第1の組に真空を加えているのと同時に、前記第1のポートの第2の組に高拡散性ガスを供給するように構成される、請求項2に記載の水平回転アーク炉。
【請求項6】
前記ハウジングの各端部に結合された軸方向延長部を更に含み、前記軸方向延長部は前記ハウジングと共に回転し、
少なくとも1つの軸方向延長部は、前記回転ユニオンに流体結合され、前記回転ユニオンを前記供給パイプに流体結合するように構成され、
前記回転ユニオンは、前記真空源と前記少なくとも1つの軸方向延長部との間にシールを提供する、請求項1~5の何れか1項に記載の水平回転アーク炉。
【請求項7】
前記ハウジングは、前記粒子および前記電極が受容される筒体を含み、前記軸方向延長部は、前記筒体から離れるように半径方向に延びており、前記少なくとも1つの軸方向延長部は、回転力を前記ハウジングに提供するために、前記支持体の1つ内の前記駆動システムと連係して機能できるように接続する、請求項6に記載の水平回転アーク炉。
【請求項8】
前記ハウジングは、前記粒子および前記電極が受容される筒体を含み、前記第1のポートは、前記筒体の回転を容易にするように釣り合いの取れた状態を維持しながら、前記筒体の内部に真空を供給するために前記筒体の回りに間隔を置いて配置されている、請求項1に記載の水平回転アーク炉。
【請求項9】
前記第1のポートはそれぞれ、前記ハウジングから真空引きすること又は前記高拡散性ガスが前記ハウジングに導入されること、及び前記粒子が前記第1のポートに入ることを防止することを可能にするのに十分なプラグを含む、請求項1に記載の水平回転アーク炉。
【請求項10】
前記プラグは、シリカ粒子が前記第1のポートに入ることを防止しながら、前記ハウジングから真空引きすることを可能にするのに十分な多孔率を有する多孔性材料から形成される、請求項9に記載の水平回転アーク炉。
【請求項11】
シリカガラス本体を形成するための方法であって、
水平回転アーク炉の中空筒体の内部へシリカ粒子を供給し、
前記中空筒体を回転させながら、
前記シリカ粒子の少なくとも一部を前記シリカガラス本体へと溶解するために熱を提供し、
前記中空筒体上の1つ又は複数のポートの第1の組を介して、前記中空筒体の内壁と前記シリカガラス本体の外壁との間に真空を加えること、を含む、方法。
【請求項12】
前記中空筒体を回転させながら、前記中空筒体上の1つ又は複数のポートの第2の組を介して、筒体の内部にプロセスガスを供給することを更に含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記真空を加えること及び前記プロセスガスを供給することが、同時に行われる、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記プロセスガスが高拡散性ガスである、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記プロセスガスが、ヘリウムと酸素の混合物であり、その混合物は少なくとも80重量%のヘリウムである、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記中空筒体を回転させながら、第1の時間に前記中空筒体上の1つ又は複数のポートの第2の組を介して筒体の内部にプロセスガスを供給することを更に含み、前記真空を加えることが第2の時間に行われ、前記第2の時間が前記第1の時間の後に生じる、請求項12に記載の方法。
【請求項17】
前記中空筒体を回転させながら、第3の時間に前記1つ又は複数のポートの第2の組を介して筒体の内部に処理後ガスを供給することを更に含み、前記第3の時間が前記第1の時間の後である、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
石英本体またはセラミック本体を形成する方法であって、
請求項1~10の何れか1項に記載の水平回転アーク炉に石英またはセラミックの粒子を供給し、
前記ハウジングを回転させている間に、
前記粒子の少なくとも一部を前記石英本体または前記セラミック本体へと溶解するために熱を提供し、
前記ハウジング上の複数の第1のポートを介して、前記ハウジングの内壁と前記石英本体または前記セラミック本体の外壁との間に真空を加えること、を含む、方法。
【請求項19】
前記粒子が石英粒子であり、前記方法が石英本体を形成することを含む、請求項18に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2020年11月16日に出願され、「Systems and Method for Producing Hollow Quartz Cylinders」と題する米国仮特許出願第63/114009号の優先権を主張しており、当該米国仮特許出願は、参照により全体として本明細書に組み込まれる。
【0002】
技術分野
本発明は概して、石英中空円筒体の製造に関し、より具体的には、雰囲気制御を用いて気泡を低減しながら石英中空円筒体を製作することに関する。
【背景技術】
【0003】
背景
時として「溶融水晶(溶融石英)」又は「石英ガラス」と言われる、シリカ(SiO)ガラスの中空円筒体は、半導体ウェハー処理に使用される。半導体材料は、マスキング、堆積およびエッチングのような幾つかの処理工程中に、当該円筒体の内部に配置される。例えば、エッチング処理の侵略的性質に起因して、エッチングチャンバの材料は、信頼できるウェハー処理を促進するために過酷な環境に耐えるように選択される。従って、エッチングチャンバの最も内側の構成要素は一般に、石英ガラスから製作される。純粋石英ガラスのエッチングは理論的には、ケイ素および酸素種のみの遊離という結果になる。これらは、ウェハーの組成、それ故に半導体特性を変更する場合がある遷移金属および他の元素と比べて、ウェハーにそれほど有害ではない。
【0004】
中空石英円筒体を製作するための多数の方法が存在する。幾つかの例には、コアを形成するためのドリル開けが後続する噴射溶融、型および中子を通じた直接的な引き抜き、現存する円筒体の熱的リフローなどが含まれる。円筒体を形成する更に別の方法は、回転炉を通してである。この方法において、一般に、砂が回転炉チャンバへ噴射される。砂は、遠心力によって回転炉チャンバの内面に保持される。次いで、電極がチャンバへ導入される。電極間の電気プラズマアークが熱を供給して、石英を溶解する。砂は、砂の内側層(即ち、熱源に最も近い砂)から半径方向に溶融する。次いで、中空円筒体は冷まされる。これら方法は一般に、石英円筒体を形成するのに適しているが、円筒体は、それらの意図された用途に十分でない濃度において、気泡、包有物などのような不純物が依然として出現する場合がある。
【0005】
概要
本開示は、雰囲気制御を用いて気泡を低減しながら、中空石英円筒体を製作することに関係する。回転アーク炉内の雰囲気を制御するために、回転アーク炉の筒体は、筒体の外側に、多孔性プラグを備えるポートを含む。内面が溶解した後の砂粒間の空間で真空引きされ得るように、当該ポートは、マニフォールドに流体接続される。幾つかの例において、ポートの2つ以上の組がそれぞれ、2つ以上のマニフォールドに流体接続されて、その結果、真空が当該ポートの幾つかに加えられることができ、高拡散性ガス(例えば、ヘリウム、水素、それらの混合物など)が他のポートへ導入され得る。高拡散性ガスの流れは、気泡を生じるガス種の真空ポートへの流れを促進する場合がある。装置およびシステムは、気泡形成をまねくガスが溶解前に砂床から排気され得るシステムを提供する。中空石英円筒体を製作するためのこのシステム及び方法は、石英材料を溶解しながら生成される気泡を低減することにより、エッチング工程のような半導体ウェハー処理の応用形態に使用され得る石英材料の製作を容易にする。
【0006】
装置およびシステムは、石英が形成される筒体内の雰囲気および状態(条件)の制御を可能にする。円筒石英管を形成するための従来のシステムは、雰囲気の制御を行うことはできなかった。従来のシステムにおいて、ひとたびシステムがシールされれば、砂床内の雰囲気は不変であった。本装置およびシステムは、真空が加えられ得る及び/又はプロセスガスが導入され得る、回転する筒体上の一連のポートを介して雰囲気を制御することを可能にする。このように、処理中に、気泡の生成を防止する、又は気泡サイズの低減という結果になる、及び/又は気泡がガラスから漏れ出ることを促す状態が、筒体内に生じることができる。
【0007】
一態様において、水平回転アーク炉が提供され、その水平回転アーク炉は、石英本体またはセラミック本体を形成するための粒子、及びプラズマアークを生成する電極を受容するように構成された内部を画定するハウジングであって、そのハウジングが、前記内部に流体接続される、前記ハウジングの外面上の複数の第1のポート及び前記第1のポートに流体結合された供給パイプを含む、ハウジングと;前記ハウジングに回転運動を提供するための駆動システムに前記ハウジングを機械結合する支持体と;前記ハウジングに結合された回転ユニオンとを含み、前記回転ユニオンは、真空供給部に流体接続するための第2のポートを含み、前記第2のポートは前記供給パイプを介して前記第1のポートの少なくとも幾つかに流体接続され、前記水平回転アーク炉は、前記ハウジングが回転している際に、前記第1のポートを介して前記ハウジングの内部に真空を加えるように構成されている。
【0008】
一実施形態において、前記複数の第1のポートは、第1のポートの第1の組および第1のポートの第2の組を含み、前記供給パイプは、供給パイプの第1の組および供給パイプの第2の組を含み、前記回転ユニオンが第1の回転ユニオンであり、前記水平回転アーク炉は、前記第1の回転ユニオンに対向して前記ハウジングに結合された第2の回転ユニオンを更に含み、前記第2の回転ユニオンは、ガス供給部に流体接続するための第3のポートを含み、前記第3のポートは、前記供給パイプの第2の組を介して前記第1のポートの第2の組に流体接続され、前記第2のポートは、前記供給パイプの第1の組を介して前記第1のポートの第1の組に流体接続される。
【0009】
一実施形態において、前記ガス供給部は高拡散性ガスを供給する。
【0010】
一実施形態において、前記高拡散性ガスは、ヘリウムと酸素の混合物であり、その混合物は少なくとも80重量%のヘリウムである。
【0011】
一実施形態において、前記ガス供給部は、前記真空供給部が前記第1のポートの第1の組に真空を加えているのと同時に、前記第1のポートの第2の組に高拡散性ガスを供給するように構成される。
【0012】
前述の実施形態の何れかによる一実施形態において、水平回転アーク炉は、前記ハウジングの各端部に結合された軸方向延長部を更に含み、前記軸方向延長部は前記ハウジングと共に回転し、少なくとも1つの軸方向延長部は、前記回転ユニオンに流体結合され、前記回転ユニオンを前記供給パイプに流体結合するように構成され、前記回転ユニオンは、真空源と前記少なくとも1つの軸方向延長部との間にシールを提供する。
【0013】
一実施形態において、前記ハウジングは、前記粒子および前記電極が受容される筒体を含み、前記軸方向延長部は、前記筒体から離れるように半径方向に延びており、前記少なくとも1つの軸方向延長部は、回転力を前記ハウジングに提供するために、前記支持体の1つ内の前記駆動システムと連係して機能できるように接続する。
【0014】
一実施形態において、前記ハウジングは、前記粒子および前記電極が受容される筒体を含み、前記第1のポートは、前記筒体の回転を容易にするように釣り合いの取れた状態を維持しながら、前記筒体の内部に真空を供給するために前記筒体の回りに間隔を置いて配置されている。
【0015】
前述の実施形態の何れかによる一実施形態において、前記第1のポートはそれぞれ、前記ハウジングから真空引きすること又は前記高拡散性ガスが前記ハウジングに導入されること、及び前記粒子が前記第1のポートに入ることを防止することを可能にするのに十分なプラグを含む。
【0016】
一実施形態において、前記プラグは、シリカ粒子が前記第1のポートに入ることを防止しながら、前記ハウジングから真空引きすることを可能にするのに十分な多孔率を有する多孔性材料から形成される。
【0017】
別の態様において、石英本体またはセラミック本体を形成する方法が提供され、その方法は、前述の実施形態の何れかに記載された水平回転アーク炉に石英またはセラミックの粒子を供給し;前記ハウジングを回転させている間に:前記粒子の少なくとも一部を前記石英本体または前記セラミック本体へと溶解するために熱を提供し;前記ハウジング上の複数の第1のポートを介して、前記ハウジングの内壁と前記石英本体または前記セラミック本体の外壁との間に真空を加えることを含む。
【0018】
一実施形態において、前記粒子が石英粒子であり、前記方法が石英本体を形成することを含む。
【0019】
別の態様において、シリカガラス本体を形成するための方法が提供され、その方法は、水平回転アーク炉の中空筒体の内部へシリカ粒子を供給し;前記中空筒体を回転させながら:前記シリカ粒子の少なくとも一部を前記シリカガラス本体へと溶解するために熱を提供し;前記中空筒体上の1つ又は複数のポートの第1の組を介して、前記中空筒体の内壁と前記シリカガラス本体の外壁との間に真空を加えることを含む。
【0020】
一実施形態において、方法は、前記中空筒体を回転させながら、前記中空筒体上の1つ又は複数のポートの第2の組を介して、筒体の内部にプロセスガスを供給することを含む。
【0021】
一実施形態において、前記真空を加えること及び前記プロセスガスを供給することが、同時に行われる。
【0022】
一実施形態において、前記プロセスガスが高拡散性ガスである。
【0023】
一実施形態において、前記プロセスガスが、ヘリウムと酸素の混合物であり、その混合物は少なくとも80重量%のヘリウムである。
【0024】
一実施形態において、方法は、前記中空筒体を回転させながら、第1の時間に前記中空筒体上の1つ又は複数のポートの第2の組を介して筒体の内部にプロセスガスを供給することを更に含み、前記真空を加えることが第2の時間に行われ、前記第2の時間が前記第1の時間の後に生じる。
【0025】
一実施形態において、方法は、前記中空筒体を回転させながら、第3の時間に前記1つ又は複数のポートの第2の組を介して筒体の内部に処理後ガスを供給することを更に含み、前記第3の時間が前記第1の時間の後である。
【0026】
本開示の動作(操作)は、以下の図面に関連してなされる以下の詳細な説明を参照することによって、より良く理解され得る。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本開示の教示による、ポートを備える回転アーク炉の斜視図である。
【0028】
図2】本開示の教示による、回転アーク炉アセンブリの斜視図である。
【0029】
詳細な説明
さて、本開示の例示的な実施形態に詳細に言及し、それらの例が添付図面に示される。理解されるべきは、他の実施形態が利用される場合があり、構造的および機能的変更が、本開示の個々の範囲から逸脱せずに行われる場合がある。更に、様々な実施形態の特徴は、本開示の範囲から逸脱せずに、組み合わされる又は変更される場合がある。そのため、以下の説明は、単なる例示のために提供されており、例示された実施形態になされる場合がある且つ本開示の思想および範囲内に依然としてある場合がある様々な変更態様および変形態様を、多少なりとも制限しない。
【0030】
本明細書で使用される限り、単語「例」および「例示的な」は、実例または例示を意味する。単語「例」または「例示的な」は、必須の手段または好適な態様または実施形態を示さない。単語「または」は、文脈上他の意味を示唆しない限り、排他的ではなくて包括的であることが意図されている。一例として、語句「AがBまたはCを利用する」は、任意の包括的置換(例えば、AはBを利用する;AはCを利用する;又はAはB及びCの双方を利用する)を含む。別の事項として、冠詞「a」及び「an」は一般に、文脈上他の意味を示唆しない限り、「1つ又は複数」を意味することが意図されている。
【0031】
マイクロチップ製作のための半導体ウェハー処理は、数ある工程の中でも、マスキング、堆積およびエッチングのような、逐次の且つ繰り返される工程を必要とする。エッチング工程において、エッチングが行われるウェハー及びチャンバは、侵食環境(例えば、反応性イオンエッチング及びプラズマエッチングなどの環境)にさらされる。エッチングチャンバの最も内側の構成要素は、エッチングがケイ素および酸素種のみの遊離という結果になるように、石英ガラスから製作される。これらは、ウェハーの組成、それ故にウェハーの半導体特性を変更する遷移金属および他の元素と比べて、ウェハーにそれほど有害ではない。エッチングに適するように、石英の成分は、(i)できる限り化学的に純粋である(50重量百分率(ppmw)未満の総不純物を有する)、及び(ii)バルク欠陥(例えば、異物の包有物および気泡など)の非常に低い濃度を有するべきである。エッチング雰囲気にさらされた際の係るバルク欠陥は、石英ガラス粒子を発生させる不均質なエッチングの原因となる可能性がある。エッチングチャンバ内での遊離した粒状物質は、ウェハー上のゲートを阻止する及び導電性バイアを破壊する場合がある、又はウェハーを不純物元素で汚染する場合がある。
【0032】
後述されるように、回転アーク炉の筒体内の雰囲気を制御することにより、石英中空円筒体における気泡を低減するためのシステム及び方法が説明される。回転アーク炉内の雰囲気を制御するために、当該炉の筒体は、筒体の外側に多孔性プラグを有するポートを含む。当該ポートは、砂床の内面が溶解した後に砂粒間の空間で真空引きされ得るように、マニホールドに流体接続される。幾つかの例において、2つ以上の組のポートが、2つ以上のマニホールドにそれぞれ流体接続される。幾つかの係る例において、真空は、一組のポートに加えられ、ヘリウム又は水素などのような高拡散性ガスが他の組のポートへ導入される。これは、砂を溶解する前、砂を溶解中、及び/又は砂の溶解後に、溶解されていない珪砂の内部の雰囲気を操作および/または変更することを容易にする。高拡散性ガスの流れは、気泡を生じるガス種の真空ポートへの流れを促進し、従って、気泡が、溶解している砂床から退去する。幾つかの例において、ポートは、筒体の内側に対して面一であり、砂をポートに入れずに、ガスが流れる及び/又は真空がかけられることを可能にする膜またはフィルタを含む。ポートは、筒体の回転を容易にするために釣り合いの取れた方法で、筒体上に分布される。
【0033】
図1及び図2は、砂床(例えば、シリカ粒子)内のガスを制御することを容易にするためのポート102を備える回転アーク炉100の斜視図である。図示された例において、回転アーク炉100は、水平回転アーク炉であり、この場合、シリカが、中空石英円筒体へと融解される。回転アーク炉100はプラズマアーク加熱を用いるように示されるが、抵抗加熱などのような、他の適切な加熱方法が使用される場合がある。回転アーク炉100は、支持体106により支持されたハウジング104を含む。図示された例において、回転アーク炉100は、支持体106を介して、機械ベッド108上に取付けられる。
【0034】
ハウジング104は、中空筒体110及び加熱炉フランジ112を含む。筒体110は、筒体110の回転を容易にするように釣り合いの取れた状態を維持しながら、筒体110の内部に真空および/または高拡散性ガスを供給するように筒体110の回りに間隔を置いて配置されたポート102を含む。幾つかの例において、ポート102は、筒体110の内側と面一である。ポート102はそれぞれ、筒体から真空引きされる又は高拡散性ガスが筒体内に導入されることを可能にするのに十分なプラグを含む場合があり、この場合、プラグは、プロセス中にシリカ粒子がポート102に入ることを阻止する又は防止する。プラグは、ガスの流れ、及びシリカ粒子が筒から逃れる及びポートを詰まらせることの防止に関してこれら目的を満たすのに十分な多孔率を有する多孔性材料から形成され得る。プラグ用の材料は、特に制限されず、要望通りに選択され得る。一実施形態において、プラグは、耐火材料、合金、鋼鉄、又はステンレス鋼から作成される。幾つかの例において、ポート102は、ガスの、筒体110の内部(例えば、筒体110の内部と溶解した中空石英円筒体との間の空間)への導入を容易にする。
【0035】
加熱炉フランジ112のそれぞれは、フランジ本体113、筒体110を支持する耐火物114、支持体106の対応する1つ内の駆動システム118と連係して機能するように接続する軸方向延長部116を含む。各耐火物114は、筒体110の内部へと半径方向に延びる。図示された例において、耐火物114の外径は、筒体110の内径に適合するように構成される。各耐火物114は、電極119及び/又はシリカ粒子が導入され得る、水平中心軸に沿った孔を画定する。軸方向延長部116は、筒体110から離れるように半径方向に延びて、支持体106の対応する1つ内の駆動システム118と連係して機能するように接続し、回転力をハウジング104へ提供する。軸方向延長部116は、電極119及び/又はシリカ粒子に対して筒体110の内部に対するアクセスを提供するために、個々の耐火物114により画定された孔と同軸である孔を画定する。
【0036】
軸方向延長部116のそれぞれは、静止したガス供給部および/または真空源と回転する軸方向延長部116との間にシールを提供する回転ユニオン120に結合される。回転ユニオン120は、供給ポート122を含む。幾つかの例において、一方の回転ユニオン116は、真空源に流体結合される場合があり、他方の回転ユニオン116は、1つ又は複数のガス供給部に流体結合される場合がある。軸方向延長部116は、対応する回転ユニオン120に流体結合され、軸方向延長部116をフランジ本体113に流体結合する供給パイプ124に、回転ユニオン120を流体結合するように構成される。フランジ本体113は、供給パイプ124に対応する通路を画定し、フランジ本体113が、対応する軸方向延長部116及び対応する回転ユニオン120を介して、真空源および/または1つ又は複数のガス供給部に流体接続されるようになっている。フランジ本体113に画定された通路は、ポート102に流体結合されて、真空および/またはガスを筒体110の内部へ供給する。そのような方法で、ハウジング104が回転している間に、真空が、中空石英円筒体へと形成されている溶融したシリカの半径方向外側に加えられることができ、溶融したシリカ内に生じる何からの気泡が、溶融したシリカの半径方向外側を介して出るように促される。
【0037】
図2は、アセンブリハウジング200内の回転アーク炉100を示す。供給システム(例えば、圧送式システムなど)が、シリカ粒子をホッパー202から、供給管204を介して、回転アーク炉100の内部へ輸送する。アークシステム206は、回転アーク炉100の内部に電極119を提供する。動作中、プラズマアークが電極119間に確立されて、シリカ粒子を溶解した石英へと溶解するための熱を提供する。図示された例において、ホッパー202及びアークシステム206は、軌道210上で移動可能なプラットフォーム208上にある。プラットフォーム208及び軌道210は、供給管204又は電極119が回転アーク炉100の内部にあるか否か入れ換えるように移動するように構成される。幾つかの例において、1つ又は複数のプラットフォーム208は、供給管204又は電極119が回転アーク炉100の内部にあるか否か入れ換えるように、軌道に垂直に移動する。
【0038】
動作中、シリカ粒子は、回転する筒体110の内部へ(例えば、ホッパー202及び供給管204などを介して)導入される。電極119が、筒体110の内部へ導入される。幾つかの例において、高拡散性ガス(例えば、ヘリウム、水素、少なくとも80重量パーセントのヘリウムであるヘリウムと酸素の混合物など)が、ポート102を介して筒体110の内部へ導入される(場合によっては、「プロセスガス」と呼ばれる)。ハウジング104が回転し、シリカ粒子が筒体110の内壁に保持される。アークが電極119間で生成される。次いで、電極119は、それらの間のプラズマアークと共に、それらの動作位置に別々に移動する。アークは、シリカ粒子を加熱し、徐々にシリカ粒子を溶融(溶解)した状態へ変える。アークに最も近いシリカ粒子の層が最初に溶融し、融液の先頭が徐々に、筒体110の内壁の方へ、外方に延びていく。石英の内面が溶解した後、残りの砂層において、真空引きされる。溶融されていないシリカ粒子の薄い層が、溶融したシリカと筒体110の内壁との間に残り、それは処理の残りの全体にわたって溶融されていない状態のままである。幾つかの例において、高拡散性ガス(場合によっては、「処理後ガス」と呼ばれる)が筒体110の内部へ導入されので、幾つかのポート102が真空を加えており、幾つかのポート102が処理後ガスを供給している。幾つかの例において、処理後ガスは、プロセスガスとは異なるガス又はガスの混合物である場合がある。係る例において、高拡散性ガスの流れは、気泡を生じさせるガス種の真空ポートへの流れを促進することができる。
【0039】
理解されるように、システムは、異なる長さの筒を可能にする又は異なる長さの筒に適応することができる。図2の図示された例において、アセンブリハウジング200は、調整可能な壁212を含む。調整可能な壁212及び対応する支持体106は、異なる長さ及び/又は異なるポート構成の中空筒体110に対応するように水平方向に調整され得る。そのような方法で、1つの長さの1つの中空筒体110が取り外されて、異なる長さの中空筒体110と取り替えることができる。
【0040】
ポートを含む筒体を有する装置は、システム内の雰囲気の制御を可能にする。シリカガラスの円筒体の製作において、システムに加えられる真空、及び/又はポートを介してシステムを通り抜けるプロセスガスの流れに関する様々なプロセス条件は、特定の目的または意図された用途の望み通りに選択され得る。本システム及び装置は、筒体の両端を含む、回転する筒体の長さに沿って異なる場所で同時に真空引きすることを可能にする。一実施形態において、システムは、システム内の真空引き及びプロセスガスのシステムへの導入を同時に行うように構成される。別の実施形態において、プロセスガス(単数または複数)の導入および真空引きは、別々の時間で生じる。
【0041】
また、装置およびシステムは、選択された時間において、異なるプロセスガスを導入することも可能にする。一実施形態において、ヘリウムが、選択された時間期間にわたってプロセスガスとして導入され、ひとたびシリカがガラス質になり始めれば、ヘリウムの流れが停止され、アルゴンがシステムへ導入される。また、理解されるように、様々なポートを備えるシステムは、例えばポートを介した個々のガスの流量を制御することにより、望み通りの比率でプロセスガスの混合物を導入することを可能にする。
【0042】
筒体に設けられるポートの数は一般に制限されず、特定の目的のために又は筒内に特定の条件または特性を提供するために望み通りに選択され得る。ポートの数は、システム内の雰囲気が如何にして制御され得るかに影響を及ぼす場合がある。より大きい数のポートは、筒内の雰囲気を制御/生成する際に、より多くの選択肢を可能にする。例えば、ポートの数および場所は、真空が何処に加えられるか、又はプロセスガスが筒内の何処に導入されるかに寄与する。例えば、単位面積当たりのポートの数を増やすことにより、特定レベルの真空が、筒体およびシリカ床の長さにわたって加えられることが可能になる場合がある。
【0043】
一実施形態において、長さの第1の半分に沿ったポートは、システムに真空を加えるために接続され、筒体の長さの第2の半分に沿ったポートは、プロセスガスを供給するために接続される。ガスの圧力または流量は、望み通りに制御され得る。
【0044】
本明細書で説明された装置および方法は、以下に制限されないが、半導体産業を含む様々な用途に有用な筒を形成するのに適している。装置およびシステムは、選択された厚さからなる石英ガラス円筒体を作成するために利用され得る。実施形態において、石英円筒体は、約1cm~約10cmの厚さ、及び約15cm~約50cmの外径を有することができる。
【0045】
プロセスに利用される出発供給原料のタイプと特性は、特定の目的または意図された用途に望み通りに選択され得る。石英円筒体を作成するために、出発原料は、シリカ(SiO)砂である。本実施形態のガラス組成に使用されるシリカ(SiO)は、合成砂、天然砂、又はそれらの混合物であることができる。一実施形態において、ガラス組成におけるSiOの量は、約82%から約99.9999%の範囲にわたる。別の実施形態において、ガラス組成におけるSiOの量は以下の範囲にわたる、即ち約92%から約99.9999%、約96重量%から約99.9999重量%、約97重量%から約99.9999重量%、約98重量%から約99重量%さえでもある。ここで、本明細書および特許請求の範囲の他の場所と同じく、範囲は、新たな範囲および指定されていない範囲を作り出すために組み合わされ得る。また、供給材料は、再生または割れたガラス材料(カレットとしても知られ及びカレットと呼ばれる)も含む場合がある。
【0046】
更に、装置およびシステムは石英円筒体を作成することに関して説明されたが、理解されるように、装置およびシステムは、以下に限定されないが、セラミック材料またはガラスセラミック材料を含む他の材料からなる円筒体を作成するために適合され且つ利用され得る。セラミック材料は、アルミナ、ジルコニア、酸化バリウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素、窒化ホウ素、酸化ベリリウム、チタニア、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、それらの2つ以上の組み合わせなどを含むことができる。ガラスセラミック材料は、セラミック粒子とシリカ粒子の混合物を含む場合がある。
【0047】
本発明の実施形態は、添付図面に示され且つ上述の詳細な説明で説明されたが、理解されるべきは、本開示は、開示された実施形態だけに制限されず、本明細書で説明された本開示は、以下の特許請求の範囲の範囲から逸脱せずに、多数の再構成、変更、及び置き換えを行うことができる。以下の特許請求の範囲は、全ての変更態様および代案が特許請求の範囲の範囲内またはそれらの等価物の範囲内にある限り、それらを含むことを意図されている。
図1
図2
【国際調査報告】