(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-27
(54)【発明の名称】眼の状態を処置するための薬理剤
(51)【国際特許分類】
A61K 31/166 20060101AFI20231117BHJP
A61K 31/277 20060101ALI20231117BHJP
A61K 31/495 20060101ALI20231117BHJP
A61K 31/662 20060101ALI20231117BHJP
A61K 31/661 20060101ALI20231117BHJP
C07D 295/108 20060101ALI20231117BHJP
C07D 413/04 20060101ALI20231117BHJP
A61P 27/12 20060101ALI20231117BHJP
A61P 27/10 20060101ALI20231117BHJP
A61P 27/02 20060101ALI20231117BHJP
A61K 31/12 20060101ALI20231117BHJP
A61K 31/4439 20060101ALI20231117BHJP
C07F 9/38 20060101ALI20231117BHJP
【FI】
A61K31/166
A61K31/277
A61K31/495
A61K31/662
A61K31/661
C07D295/108 CSP
C07D413/04
A61P27/12
A61P27/10
A61P27/02
A61K31/12
A61K31/4439
C07F9/38 D
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023528761
(86)(22)【出願日】2021-11-15
(85)【翻訳文提出日】2023-07-14
(86)【国際出願番号】 US2021072405
(87)【国際公開番号】W WO2022104383
(87)【国際公開日】2022-05-19
(32)【優先日】2020-11-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-06-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】520061480
【氏名又は名称】プレックス ファーマスーティカルズ,インク
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100187540
【氏名又は名称】國枝 由紀子
(72)【発明者】
【氏名】シンハ,サントシュ・シー
(72)【発明者】
【氏名】プラサド,スリドハー・ゴビンダ
(72)【発明者】
【氏名】ピーターマン,マーシャル・シー
【テーマコード(参考)】
4C063
4C086
4C206
4H050
【Fターム(参考)】
4C063AA01
4C063BB01
4C063CC58
4C063DD12
4C063EE01
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086BC50
4C086BC71
4C086DA34
4C086MA01
4C086MA02
4C086MA04
4C086MA17
4C086MA58
4C086MA65
4C086NA14
4C086NA15
4C086ZA33
4C206AA01
4C206AA02
4C206AA03
4C206CB14
4C206GA07
4C206GA23
4C206HA13
4C206KA01
4C206MA01
4C206MA02
4C206MA04
4C206MA37
4C206MA78
4C206MA85
4C206NA14
4C206ZA33
4H050AA01
4H050AA03
4H050AB20
(57)【要約】
老眼、白内障、トランスサイレチン(TTR)関連性アミロイドーシス、近視、または眼に関連する他の状態もしくは障害からなる群から選択される状態に関連する症状を処置する、予防する、その発生を低減する、その進行を減速する、または前記症状を低減する、改善する、もしくは軽減するのに有用な化合物であって、COMT阻害剤およびそのプロドラッグを含む、化合物、ならびにこれらの化合物を使用する方法が提供される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
老眼、白内障、トランスサイレチン(TTR)関連性アミロイドーシス、近視、または眼に関連する他の状態もしくは障害からなる群から選択される状態に関連する症状を処置する、予防する、その発生を低減する、その進行を減速する、または前記症状を低減する、改善する、もしくは軽減することを必要とする対象における、その方法であって、
必要とする対象に、式(I)の化合物
【化1】
(式中、
- R
1aおよびR
1bは、同じであるか、または異なっており、R
1aおよびR
1bのそれぞれは、水素、(C
1~C
3)アルキル、ハロ(C
1~C
3)アルキル、(C
3~C
6)シクロアルキル、ハロ(C
3~C
6)シクロアルキル、R
9C=O、
【化2】
からなる群から独立して選択され、
- R
2は、水素、NO
2および(C
1~C
6)アルキルからなる群から選択され、
- R
3およびR
4は、同じであるか、または異なっており、R
3およびR
4のそれぞれは、水素、(C
1~C
6)アルキル、ハロ(C
1~C
6)アルキル、(C
3~C
6)シクロアルキルおよびハロ(C
3~C
6)シクロアルキルからなる群から独立して選択され、
- R
5は、
【化3】
からなる群から選択され、
- R
6a、R
6b、R
7は、同じであるか、または異なっており、それぞれ独立して、水素または(C
1~C
6)アルキルであり、
- R
8は、水素、(C
1~C
6)アルキル、アリールおよび
【化4】
からなる群から選択され、
- R
9は、(C
1~C
6)アルキル、ハロ(C
1~C
6)アルキル、(C
3~C
6)シクロアルキル、ハロ(C
3~C
6)シクロアルキル、アリールおよびハロアリールからなる群から選択され、
- R
10aおよびR
10bは、同じであるか、または異なっており、R
10aおよびR
10bのそれぞれは、ハロゲンであり、
- R
11、R
12、R
13、R
14、R
15、R
16、R
17、R
18、R
19、R
20、R
21、R
23、R
26およびR
27は、同じであるか、または異なっており、それぞれは、水素、分岐状または直鎖状(C
1~C
6)アルキル、ハロ(C
1~C
6)アルキル、(C
3~C
6)シクロアルキルおよびハロ(C
3~C
6)シクロアルキルからなる群から独立して選択され、
- R
22は、CH
3またはCF
3であり、
- R
24およびR
25は、同じであるか、または異なっており、R
24およびR
25のそれぞれは、水素、(C
1~C
3)アルキル、ハロ(C
1~C
3)アルキル、(C
3~C
6)シクロアルキル、ハロ(C
3~C
6)シクロアルキル、R
9C=O、
【化5】
からなる群から独立して選択され、
- R
C、R
D、R
EおよびR
Fは、それぞれ、同じであるか、または異なっており、それぞれは、水素、(C
1~C
6)アルキル、ハロ(C
1~C
6)アルキル、(C
3~C
6)シクロアルキル、ハロ(C
3~C
6)シクロアルキルおよびヒドロキシルからなる群から独立して選択され、
- Xは、C
1 アルキル、Oまたは直接結合であり、
- mおよびzは、それぞれ独立して、0~3の数であり、
- nおよびpは、それぞれ独立して、0~10の数であり、
- qは、1~10の数である)
またはその溶媒和物もしくは薬学的に許容される塩を投与するステップを含む方法。
【請求項2】
R
1aおよびR
1bは、同じであるか、または異なっており、R
1aおよびR
1bは、それぞれ、水素、(C
1~C
3)アルキル、ハロ(C
1~C
3)アルキル、(C
3~C
6)シクロアルキル、ハロ(C
3~C
6)シクロアルキル、R
9C=O
【化6】
からなる群から独立して選択される、前記請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項3】
R
1aおよびR
1bは、同じであるか、または異なっており、R
1aおよびR
1bのそれぞれは、水素、
【化7】
からなる群から独立して選択される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
R
1aおよびR
1bの一方は水素であり、他方は
【化8】
である、請求項1から3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
(a)R
5が、
【化9】
である場合、R
1a、R
1b、R
24およびR
25のうちの少なくとも1つは、水素ではなく、
(b)R
5が、
【化10】
ではない場合、R
1aおよびR
1bの少なくとも1つは、水素ではない、
請求項1から4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
R
2が、NO
2である、請求項1から5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
状態が、老眼、白内障またはトランスサイレチン(TTR)関連性アミロイドーシスである、請求項1から5のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
状態が、高度の非病的近視、病的近視、仮性近視、形態覚遮断近視(FDM)または水晶体誘導近視(LIM)である、請求項1から5のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
式(I)の化合物
【化11】
(式中、
- R
1aおよびR
1bは、同じであるか、または異なっており、R
1aおよびR
1bは、それぞれ、水素、(C
1~C
3)アルキル、ハロ(C
1~C
3)アルキル、(C
3~C
6)シクロアルキル、ハロ(C
3~C
6)シクロアルキル、R
9C=O、
【化12】
からなる群から独立して選択され、
- R
2は、水素、NO
2および(C
1~C
6)アルキルからなる群から選択され、
- R
3およびR
4は、同じであるか、または異なっており、R
3およびR
4のそれぞれは、水素、(C
1~C
6)アルキル、ハロ(C
1~C
6)アルキル、(C
3~C
6)シクロアルキルおよびハロ(C
3~C
6)シクロアルキルからなる群から独立して選択され、
- R
5は、
【化13】
からなる群から選択され、
- R
6a、R
6b、R
7は、同じであるか、または異なっており、それぞれ独立して、水素または(C
1~C
6)アルキルであり、
- R
8は、水素、(C
1~C
6)アルキル、アリールおよび
【化14】
からなる群から選択され、
- R
9は、(C
1~C
6)アルキル、ハロ(C
1~C
6)アルキル、(C
3~C
6)シクロアルキル、ハロ(C
3~C
6)シクロアルキル、アリールおよびハロアリールからなる群から選択され、
- R
10aおよびR
10bは、同じであるか、または異なっており、R
10aおよびR
10bのそれぞれは、ハロゲンであり、
- R
11、R
12、R
13、R
14、R
15、R
16、R
17、R
18、R
19、R
20、R
21、R
23、R
26およびR
27は、同じであるか、または異なっており、それぞれは、水素、分岐状または直鎖状(C
1~C
6)アルキル、ハロ(C
1~C
6)アルキル、(C
3~C
6)シクロアルキルおよびハロ(C
3~C
6)シクロアルキルからなる群から独立して選択され、
- R
22は、CH
3またはCF
3であり、
- R
24およびR
25は、同じであるか、または異なっており、R
24およびR
25のそれぞれは、水素、(C
1~C
3)アルキル、ハロ(C
1~C
3)アルキル、(C
3~C
6)シクロアルキル、ハロ(C
3~C
6)シクロアルキル、R
9C=O、
【化15】
からなる群から独立して選択され、
- R
C、R
D、R
EおよびR
Fは、それぞれ、同じであるか、または異なっており、それぞれは、水素、(C
1~C
6)アルキル、ハロ(C
1~C
6)アルキル、(C
3~C
6)シクロアルキル、ハロ(C
3~C
6)シクロアルキルおよびヒドロキシルからなる群から独立して選択され、
- Xは、C
1 アルキル、Oまたは直接結合であり、
- mおよびzは、それぞれ独立して、0~3の数であり、
- nおよびpは、それぞれ独立して、0~10の数であり、
- qは、1~10の数であり、
(a)R
5が、
【化16】
である場合、R
1a、R
1b、R
24およびR
25のうちの少なくとも1つは、水素ではなく、
(b)R
5が、
【化17】
ではない場合、R
1aおよびR
1bの少なくとも1つは、水素ではない)
またはその溶媒和物もしくは薬学的に許容される塩。
【請求項10】
R
1aおよびR
1bが、同じであるか、または異なっており、R
1aおよびR
1bのそれぞれは、水素、(C
1~C
3)アルキル、ハロ(C
1~C
3)アルキル、(C
3~C
6)シクロアルキル、ハロ(C
3~C
6)シクロアルキル、R
9C=O、
【化18】
からなる群から独立して選択される、請求項9に記載の化合物。
【請求項11】
R
1aおよびR
1bが、同じであるか、または異なっており、R
1aおよびR
1bのそれぞれは、水素、
【化19】
からなる群から独立して選択される、請求項9または10に記載の化合物。
【請求項12】
R
1aおよびR
1bの一方は水素であり、他方は
【化20】
である、請求項9、10または11に記載の化合物。
【請求項13】
老眼、白内障、トランスサイレチン(TTR)関連性アミロイドーシス、近視、または眼に関連する他の状態もしくは障害からなる群から選択される状態に関連する症状を処置する、予防する、その発生を低減する、その進行を減速する、または上記の症状を低減する、改善する、もしくは軽減することを必要とする対象における、その方法であって、
前記必要とする対象に、式(II)の化合物
【化21】
(式中、
- R
AおよびR
Bは、同じであるか、または異なっており、R
AおよびR
Bのそれぞれは、水素、R
GC=O、
【化22】
からなる群から独立して選択され、
- R
C、R
D、R
EおよびR
Fは、それぞれ、同じであるか、または異なっており、それぞれは、水素、分岐状または直鎖状(C
1~C
6)アルキル、ハロ(C
1~C
6)アルキル、(C
3~C
6)シクロアルキル、ハロ(C
3~C
6)シクロアルキルおよびヒドロキシルからなる群から独立して選択され、
- R
Gは、分岐状または直鎖状(C
1~C
6)アルキル;ハロ(C
1~C
6)アルキル;(C
3~C
6)シクロアルキル;ハロ(C
3~C
6)シクロアルキル;アリール;ハロアリールからなる群から選択され、
- R
HおよびR
Jは、それぞれ、同じであるか、または異なっており、独立して、分岐状または直鎖状(C
1~C
6)アルキルであり、
- R
Kは、分岐状もしくは直鎖状(C
1~C
6)アルキル、アリールまたは
【化23】
であり、
- Xは、C、Oまたは直接結合であり、
- nは、0~10の数であり、
- pは、0~10の数であり、
- qは、1~10の数である)
またはその溶媒和物もしくは薬学的に許容される塩を投与するステップを含む方法。
【請求項14】
R
AおよびR
Bは、同じであるか、または異なっており、R
AおよびR
Bのそれぞれは、水素、
【化24】
からなる群から独立して選択される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
R
AおよびR
Bの一方だけが水素である、請求項13または14に記載の方法。
【請求項16】
状態が、老眼、白内障またはトランスサイレチン(TTR)関連性アミロイドーシスである、請求項13から15のいずれかに記載の方法。
【請求項17】
状態が、高度の非病的近視、病的近視、仮性近視、形態覚遮断近視(FDM)または水晶体誘導近視(LIM)である、請求項13から15のいずれかに記載の方法。
【請求項18】
式(II)の化合物
【化25】
(式中、
- R
AおよびR
Bは、同じであるか、または異なっており、R
AおよびR
Bのそれぞれは、水素、R
GC=O、
【化26】
からなる群から独立して選択され、
- R
C、R
D、R
EおよびR
Fは、それぞれ、同じであるか、または異なっており、それぞれは、水素、分岐状または直鎖状(C
1~C
6)アルキル、ハロ(C
1~C
6)アルキル、(C
3~C
6)シクロアルキル、ハロ(C
3~C
6)シクロアルキルおよびヒドロキシルからなる群から独立して選択され、
- R
Gは、分岐状または直鎖状(C
1~C
6)アルキル;ハロ(C
1~C
6)アルキル;(C
3~C
6)シクロアルキル;ハロ(C
3~C
6)シクロアルキル;アリール;ハロアリールからなる群から選択され、
- R
HおよびR
Jは、それぞれ、同じであるか、または異なっており、独立して、分岐状または直鎖状(C
1~C
6)アルキルであり、
- R
Kは、分岐状または直鎖状(C
1~C
6)アルキル、アリールまたは
【化27】
であり、
- Xは、C、Oまたは直接結合であり、
- nは、0~10の数であり、
- pは、0~10の数であり、
- qは、1~10の数であり、
R
AおよびR
Bの少なくとも1つは、水素ではない)
またはその溶媒和物もしくは薬学的に許容される塩。
【請求項19】
R
AおよびR
Bが、同じであるか、または異なっており、R
AおよびR
Bのそれぞれは、水素、
【化28】
からなる群から独立して選択される、請求項18に記載の化合物。
【請求項20】
R
AおよびR
Bが、同じであるか、または異なっており、R
AおよびR
Bのそれぞれが、水素、
【化29】
からなる群から独立して選択される、請求項18または19に記載の化合物。
【請求項21】
R
AおよびR
Bが、同じであるか、または異なっており、R
AおよびR
Bのそれぞれは、水素、
【化30】
からなる群から独立して選択される、請求項18、19または20に記載の化合物。
【請求項22】
老眼、白内障、トランスサイレチン(TTR)関連性アミロイドーシス、近視、または眼に関連する他の状態もしくは障害からなる群から選択される状態に関連する症状を処置する、予防する、その発生を低減する、その進行を減速する、または前記症状を低減する、改善する、もしくは軽減することを必要とする対象における、その方法であって、
式(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VII)、(VIII)もしくは(IX)の化合物またはそれらの溶媒もしくは塩:
【化31】
を、対象に投与するステップを含む方法。
【請求項23】
状態が、老眼、白内障またはトランスサイレチン(TTR)関連性アミロイドーシスである、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
状態が、高度の非病的近視、病的近視、仮性近視、形態覚遮断近視(FDM)または水晶体誘導近視(LIM)である、請求項22に記載の方法。
【請求項25】
式(III)の化合物またはその塩である、請求項22から24のいずれかに記載の方法。
【請求項26】
式(IIIa)、(IVa)、(Va)、(VIa)、(VIIa)、(VIIIa)もしくは(IXa)の化合物、またはそれらの溶媒もしくは塩:
【化32】
(式中、Z
1、Z
2、Z
3およびZ
4が、同じであるか、または異なっており、Z
1、Z
2、Z
3およびZ
4のそれぞれが、水素、(C
1~C
3)アルキル、ハロ(C
1~C
3)アルキル、(C
3~C
6)シクロアルキル、ハロ(C
3~C
6)シクロアルキル、R
9C=O、
【化33】
からなる群から独立して選択され、
- R
6a、R
6b、R
7は、同じであるか、または異なっており、それぞれ独立して、水素または(C
1~C
6)アルキルであり、
- R
8は、水素、(C
1~C
6)アルキル、アリールおよび
【化34】
からなる群から選択され、
- R
9は、(C
1~C
6)アルキル、ハロ(C
1~C
6)アルキル、(C
3~C
6)シクロアルキル、ハロ(C
3~C
6)シクロアルキル、アリールおよびハロアリールからなる群から選択され、
- Xは、C
1-アルキル、Oまたは直接結合であり、
- mは、0~3の数であり、
- nおよびpは、それぞれ独立して、0~10の数であり、
- qは、1~10の数であり、
Z
1およびZ
2の少なくとも1つは、水素ではない)。
【請求項27】
式(IIIa)(式中、Z
1およびZ
2の一方は水素であり、他方は、
【化35】
からなる群から選択される)である、請求項26に記載の化合物。
【請求項28】
Z
2が水素である、請求項26または27に記載の化合物。
【請求項29】
Z
1またはZ
2が、
【化36】
である、請求項26から28のいずれかに記載の化合物。
【請求項30】
Z
1またはZ
2の一方、および他方が、
【化37】
である、請求項26から28のいずれかに記載の化合物。
【請求項31】
以下:
【化38】
からなる群から選択される化合物、またはその塩もしくは溶媒和物。
【請求項32】
老眼、白内障、トランスサイレチン(TTR)関連性アミロイドーシス、近視、または眼に関連する他の状態もしくは障害からなる群から選択される状態に関連する症状を処置する、予防する、その発生を低減する、その進行を減速する、または前記症状を低減する、改善する、もしくは軽減することを必要とする対象における、その方法であって、
請求項26から31のいずれかに記載の化合物を対象に投与するステップ
を含む方法。
【請求項33】
状態が、老眼、白内障またはトランスサイレチン(TTR)関連性アミロイドーシスである、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
状態が、高度の非病的近視、病的近視、仮性近視、形態覚遮断近視(FDM)または水晶体誘導近視(LIM)である、請求項32に記載の方法。
【請求項35】
請求項9から12、18から21および26から31のいずれか一項に記載の化合物、ならびに1種または複数の薬学的に許容される賦形剤を含む、医薬組成物。
【請求項36】
追加剤をさらに含む、請求項9から12、18から21および26から31のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項37】
追加剤が、COMT阻害剤、MAOI阻害剤、アトロピン、L-dopa、カルビドーパおよび非ステロイド系抗炎症剤からなる群から選択される、請求項36に記載の医薬組成物。
【請求項38】
追加剤を投与するステップをさらに含む、請求項1から8、13から17、22から25のいずれかに記載の方法。
【請求項39】
追加剤が、COMT阻害剤、MAOI阻害剤、アトロピン、L-dopa、カルビドーパおよび非ステロイド系抗炎症剤からなる群から選択される、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
老眼、白内障、トランスサイレチン(TTR)関連性アミロイドーシス、近視、または眼に関連する他の状態もしくは障害からなる群から選択される状態に関連する症状を処置する、予防する、その発生を低減する、その進行を減速する、または前記症状を低減する、改善する、もしくは軽減する方法であって、対象に、請求項9から12、18から21および26から31のいずれか一項に記載の化合物、ならびにアトロピン、L-Dopaおよびカルビドーパのうちの1つまたは複数を投与するステップを含む方法。
【請求項41】
近視に関連する症状を処置する、予防する、その発生を低減する、その進行を減速する、または前記症状を低減する、改善する、もしくは軽減することを必要とする対象における、それらの方法であって、対象に、9から12、18から21および26から31のいずれかに記載の化合物、アトロピン、ならびに場合によりL-Dopaおよび/またはカルビドーパを投与するステップを含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
[0001]本出願は、それらの各々の全体が参照により組み込まれている、2020年11月13日出願の米国仮特許出願第63/113,691号および2021年6月28日出願の米国仮特許出願第63/215,818号への優先権を主張する。
【背景技術】
【0002】
[0002]近視または近眼は、眼の屈折力とその軸長との間の不適合に起因する屈折障害である。この不適合は、発達期の間の、および青年期に入る際の眼の過度の伸長の結果であり、これによって、遠くの物体の焦点面が網膜上ではなく網膜より前に収まり、画像が不鮮明に見えるようになる。近視は、現在では、世界中で視覚障害および弱視の主な原因として認識されている(Holden,B.A.ら、2015年)。過去の50年間にわたり、近視の割合が劇的に増加しており、一部の人は、世界中の人口の半分が、2050年までに、近眼に罹患する恐れがあるという予測を見積もっている。近視罹患率の急速な増加は、東南アジアの教育先進地域において最も顕著である(Morgan,I.G.ら、2012)。
【0003】
[0003]近視の有病率の増加は2つの主要な難題を課す。第1の難題は、集団の大きな割合に対して、関連性屈折異常に対する光学的矯正または他の矯正を実現する必要性があることである。第2の、おそらくさらに一層大きな難題は、強度の近視の有病率の増加、およびそれに関連する視力を脅かす病理学的変化に起因することである(Morgan,I.G.ら、2017年)。屈折異常の矯正は、眼の過度の伸長に対処するものではないので、これらの病理変化の進行を予防することはなく、病理変化の可能性が、近視の重症度に伴い増加する。このような病態には、網膜剥離、近視性黄斑変性およびブドウ膜種を含む脈絡網膜変化、ならびに緑内障および白内障などの他の視力を脅かす状態のリスクの増大が含まれる(Ohno-Matsui,K.、2017年)。米国国立眼科研究所は、米国単独での屈折障害の処置のための年間費用は、2010年には140億ドル弱であり、増加中と推定しており(Rein、D.B.、2013年)、これは、生産性の低下などのかなりの間接費用は含んでいない。
【0004】
[0004]2010年には、近視と強度近視が、それぞれ、世界人口の27%(18億9,300万人)および2.8%(1億7,000万人)が罹患すると推定されている。発表された研究によれば、近視の有病率は、東アジアにおいて最も高く、中国、日本、韓国およびシンガポールでの有病率は、ほぼ50%であり、オーストラリア、欧州および南北アメリカではそれより低い(Holden Bら、2016年)。近視性黄斑変性症(MMD)は、近視を有する患者における視覚障害の最も一般的な原因となっており、病理的近視を有するヒトの10%が、MMD(脈絡膜血管新生による)を発症し、このMMDは、症例の30%が両側性である(Ohno-Matsui Kら、2003年)。
【0005】
[0005]動物検討により、網膜に起因する経路による視覚刺激に応答して、眼成長が局所的に調節されており、網膜伝達物質であるドーパミンが重要な役割を果たしていることが実証された(Feldkaemper,M.およびSchaeffel,F.、2004年)。ドーパミン放出は、光、および視覚入力の時空的特性によって強く影響を受け、ドーパミン作動系の調節異常が実験近視の発症に大きく関係している。具体的には、複数の種において、実験近視を発症している間に、網膜のドーパミン合成および放出が大幅に下方調節されることが示されている(Iuvone,P.M.ら、1989年;Bergen,M.A.ら、2016年)一方、ドーパミンの作用を模倣するドーパミンアゴニストの薬理学的投与により、実験近視の発症が阻害されることが示されている(Feldkaemper,M.およびSchaeffel,F.、2013年)。さらに、ウサギにおける外因性ドーパミンの硝子体内投与およびモルモットにおけるその前駆体であるレボドーパ(L-DOPA)の全身投与により、実験近視の発症が阻害される一方、網膜特異的チロシンヒドロキシラーゼノックアウトマウス、および6-ヒドロキシドーパミンにより処置し、これによって網膜からドーパミン作動性ニューロンを大幅に減少させたマウスは、屈折率の近視シフトを示す(Wu,X.H.ら、2016年)。最後に、明るい光への曝露、または通常の視力の短期間曝露が、ヒヨコにおける実験近視、具体的には形態覚遮断近視(FDM)の発症を阻止する機構の根底に、ドーパミン作動活性があるように思われる(McCarthy,C.S.ら、2007年)。
【0006】
[0006]眼の成長の調節におけるドーパミンの潜在的な役割は、複数の種において実験近視の発症中に観察される網膜のドーパミン合成および放出の有意な下方調節と一緒になって、ドーパミンレベルの維持および/または向上により眼の成長が潜在的に阻止され、したがって、近視の進行が予防されることを示唆する。これらの研究の裏付けとして、ニワトリにおいて、ドーパミンに変換されるL-Dopaの硝子体内投与により、実験近視の発症が阻害されることが示されている(Kate Thomsonら、2019年)。不運なことに、L-Dopaの投与には、いくつかの副作用が伴う。L-Dopaとその代謝産物の一部とは、酸化促進特性を有することが示されており、酸化ストレスは、パーキンソン病の病因を増大させることが示されている(Mao Jら、2010年)。遊離ラジカルが、眼における構造タンパク質の制御を担うタンパク質へのさらに損傷を引き起こす恐れがあるという事実が理由で、L-Dopaによる遊離ラジカル形成の促進は、近視に対する処置としてその可能性に直接、影響を及ぼすと思われる。L-Dopa、およびその代謝産物の一部(ドーパ/ドーパミン、およびキノンなど)は、黒質ニューロンにとって有毒であることも示されている。L-Dopaの毒性作用により、近視の処置に使用することは制限されている。
【0007】
[0007]世界保健機関(WHO)によれば、白内障は世界中で、特に低所得国および中所得国において、失明の主要原因(51%)となっている。本千年期初頭まで遡るデータにより、アフリカでは失明の30~60%、および東南アジアでは60~80%が白内障に起因していることが示された。米国では、白内障を有するヒトの現在の数は、2,570万人を超えると推定されている。失明防止協会の研究からの予測では、その数は、2032年までに3,850万人まで、および2050年までに4,560万人まで増加すると推定されている。白内障は、眼内への光の通過を遮断または変化させる眼の水晶体の濁りである。白内障は、通常、両眼に形成するが、同じ速度ではない。白内障は、ゆっくりともしくは急速に発症するか、またはある時点まで進行し、次に、それ以上悪化し得ない。加齢に加えて、他の要因が白内障を形成させることがある。眼の感染、一部の医薬(ステロイドなど)、喫煙、怪我、外傷、または高熱もしくは放射線への曝露が、白内障を引き起こすことがある。不可視太陽光(UVまたは紫外光と呼ばれる)への過度の曝露、および糖尿病または代謝障害などの様々な疾患もまた、白内障形成の一因となることがある。
【0008】
[0008]現在、利用可能な処置は、高い公衆衛生負荷を伴う、水晶体の外科的摘出および眼内レンズとの交換である。白内障手術は、一般に安全であると考えられているが、以下の深刻な合併症が存在する:(i)米国では、白内障手術を有した患者の30~50%が、2年以内に後部水晶体嚢の混濁を発症し、レーザー処置が必要になる;(ii)0.8%が網膜剥離を有する;(iii)0.6~1.3%が、角膜浮腫が理由で入院するか、または角膜移植が必要となる;および(iv)約1%が眼内炎を呈する。さらに、世界の発展途上地域および低開発地域の多くの僻地ならびに貧困地域では、主に眼科医療を受けられないことが原因で、人々は依然として白内障が原因で失明している。
【0009】
[0009]老眼は眼の調節能力の喪失であり、近くの物体に焦点を合わせることができなくなる。老眼は、45歳を超えるすべての人に罹患し、生活の質に重大な悪影響を及ぼす。現在の老眼処置には、(i)近距離および遠距離視力を改善する一助となるデバイスを利用するが、自然な調節過程の回復には何ら役に立たず、デバイスの継続的使用が必要となる、非侵襲的手法、ならびに(ii)視力の低下、退行作用、不同視、角膜拡張およびかすみを含む主要な合併症を伴う侵襲的外科手技が含まれる。最も重要なことに、これらの方法のいずれも、老眼を反転させることはできない。さらに、老眼の発症の予防または遅延のどちらかを行うことができる、処置選択肢は存在しない。
【0010】
[0010]眼の水晶体の硬直、および水晶体嚢の弾力性、眼の水晶体の寸法、小帯結合部の寸法の変化、および毛様筋(CM)収縮はすべて、老眼の寄与因子であることが提唱されている。しかし、ヒトおよび非ヒト霊長類の検討により、CM機能は、老眼の発生後も、十分に正常であることが示唆されている。対照的に、ヒトの水晶体は、調節力の喪失と直接相関して、加齢と共に硬直が増大する。調節力の喪失は、可撓性ポリマーから作製された眼内水晶体を移植することによって回復され得、水晶体の可撓性の修復が調節を回復するのに十分であることを示唆している。したがって、水晶体の硬化を予防または反転させることができる薬理剤は、老眼の新規な非侵襲的処置に対する有望な道筋を提供すると思われる。
【0011】
[0011]分子レベルでは、クリスタリンとして知られるタンパク質が、眼の水晶体の混濁と硬直に主要な役割を果たしている。水晶体のクリスタリンは、3種のアイソフォーム、α、β、γを含んでおり、眼の水晶体タンパク質含有量の90%を占める。ATP非依存性シャペロンおよび低熱ショックタンパク質(sHsp)ファミリーのメンバーであるαクリスタリン(AC)は、クリスタリンタンパク質含有量の40%を構成する。αクリスタリンは、2つのサブユニットである、αA-クリスタリン(AAC)およびαB-クリスタリン(ABC)のヘテロオリゴマーとして存在しており、その発現は、眼の水晶体に主に限定される。αクリスタリンは、部分的に折りたたまれていない水晶体タンパク質中の露出した立体構造的特徴を認識してそれらを互いに隔離し、これによって、そうでない場合に様々な加齢に伴う視覚障害をもたらす、凝集しやすい種の集団を減少させる。
【0012】
[0012]複数の検討により、ヒトの水晶体の硬直およびAC機能との関連性が確立されている。動的機械分析測定により、特に、水晶体核において、年齢と共に水晶体の硬直が大幅に増大することが示されており、この場合、弾力性が500分の1~1000分の1に低下が観察されている。大部分のACが40~50歳までに高分子量(HMW)凝集体に取り込まれた状態になるので、このような水晶体の硬直の増大は、加齢に関連する遊離ACシャペロン濃度の低下と相関する。おそらく、存在する可溶性ACのレベルが低く、変性タンパク質をシャペロンするには十分ではないので、可溶性ACのHMW凝集体へのこのような変換は、水晶体の硬直の大幅な増大を伴う。遊離ACシャペロンの年齢関連性低下が、水晶体の硬直の原因であることは、可溶性ACのHMW凝集体への年齢関連性変換を模倣するため、ヒトの水晶体に加熱を施し、水晶体の硬直の増大が観察された実験によって裏付けられている。同様に、精製した可溶性ACは、UV照射に曝露すると、シャペロン様活性の喪失を伴って、HMW凝集体を形成する。HMW凝集体は、システインのスルフヒドリル基(-SH)の酸化に起因する、分子間架橋、特にS-S結合によって形成される。このジスルフィド架橋HMW凝集体の形成は、水晶体の硬直の増大および調節幅の喪失の主要寄与因子と考えられる。
【0013】
[0013]老眼は、世界の失明の主な原因である年齢関連性核(ARN)白内障の最も初期に観察可能な症状であることが示唆されている。
[0014]老眼で失われた眼の調節能力を保護して、回復することができる非侵襲性処置が必要であること、およびHMW AC凝集体の形成が老眼および白内障の根底にある主要な原因因子であることを考慮すると、HMW AC凝集体の形成を選択的に遅延および/または反転させることができる、薬理剤の開発が必要とされている。近視の処置として使用される場合のL-Dopaの有害な副作用を克服するために、本開示は、網膜に局所送達され得る、安全かつ有効な低分子阻害剤を使用して、その代謝を担う酵素を阻害することによって、内因性ドーパミンの分解を阻止することである、代替手法を提供する。2種の酵素、すなわちカテコール-O-メチルトランスフェラーゼ(COMT)およびモノアミンオキシダーゼ(MAO)がドーパミンの代謝不活性化に関与することが知られている(
図1)(Axelrod,J.およびTomchick、R.、1958年;Tosini,GおよびIuvone,P.M.、2014年)。
【0014】
[0015]COMTは、メチル供与体としてS-アデノシルメチオニンを使用し、カテコールアミンのO-メチル化を触媒する。ドーパミンの不活化におけるこれらの酵素の役割は、よく認められている。MAOはアミンを酸化的に脱アミノ化する。COMT RNA発現が、ヒトの網膜において検出されるという観察(https://www.proteinatlas.org/ENSG00000093010-COMT/tissue)と合わせて、これらの2種の酵素がアルビノウサギの眼組織に発現していることを考慮すると(Waltman,SおよびM Sears、1964年)、これらの酵素の一方または両方を阻害することは、近視の処置に役立つ可能性がある。
【0015】
[0016]COMTの安全かつ強力な阻害剤がいくつか知られている。これらには、ニテカポン(IC50 300nm、MW265.2Da)、エンタカポン(IC50 151nm、MW305.3Da)、トルカポン(IC50 773nm、MW273.2Da)、ネビカポン(IC50 3.7nm、MW273.2Da)、オピカポン(Ki 1nm、MW413.2Da)、BIA3-335(Ki 6nm、MW439.4Da)および二官能性阻害剤(IC50 300nm、MW346.3Da)が含まれる。ここで、IC50は、COMT酵素の活性の50%阻害をもたらす、阻害剤の濃度のことである。
【0016】
[0017]ヒトACC(hAAC)のHMW凝集体の形成および/または溶解を阻害することができる低分子脱凝集酵素(SMD)を特定するための合理的な構造活性関係に基づく手法が、本明細書において提供される。この手法に基づいて、いくつかのSMDが特定された。これらのSMDは、老眼の処置および管理、ならびに白内障の処置および/または進行の減速に有用であると考えられる。白内障は、年齢関連性白内障(核硬化性白内障、皮質性白内障および後嚢下白内障)、先天性白内障、家族性白内障、続発性白内障、外傷性白内障、煙関連白内障および放射線白内障とすることができる。
【発明の概要】
【0017】
[0018]本明細書において議論されている参照文献はすべて、それらの全体が参照により組み込まれている。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】[0019]ドーパミンの合成および代謝を示す図である。酵素であるCOMTおよびMAOが、ドーパミンの代謝に関与する酵素である。
【
図2】[0020]実施例4に記載されている、ウシ水晶体抽出物のUVC/H
2O
2誘導性凝集に関連するデータを示す図である。
【
図3】[0021]実施例5に関連するデータを示すグラフである。
【
図4】実施例5に関連するデータを示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
[0022]本開示は、COMT阻害剤およびそのプロドラッグを使用する、眼の状態の処置に有用な化合物、ならびに方法に関する。COMTの阻害剤およびプロドラッグは、眼の状態の処置および/または管理のため、単独で(単剤療法)、またはモノアミンオキシダーゼの阻害剤と組み合わせて使用され得る。さらに、COMT阻害剤は、L-Dopaおよび/またはカルビドーパと組み合わせて使用され得る。さらに、COMT阻害剤はまた、アトロピンと組み合わせて使用され得る。一部の態様では、COMT阻害剤は、L-Dopa、カルビドーパおよびアトロピンのうちの1つまたは複数と組み合わせて使用され得る。眼の状態を処置するための、COMT阻害剤およびそのプロドラッグの使用が、本明細書に記載されている。これらの化合物は、以下の手法:(i)局所;(ii)硝子体内;(iii)全身;(iv)デバイスとして製剤化;(v)ナノ粒子;(vi)ゲルとして製剤化;(vi)デバイス(ガラスおよび/またはコンタクトレンズなど)上へのコーティングのうちの1つまたは組合せを使用して送達されてもよい。
【0020】
[0023]本開示は、式(I)の化合物およびこれらの化合物:
【0021】
【0022】
(式中、
- R1aおよびR1bは、同じであるか、または異なっており、R1aおよびR1bのそれぞれは、水素、(C1~C3)アルキル、ハロ(C1~C3)アルキル、(C3~C6)シクロアルキル、ハロ(C3~C6)シクロアルキル、R9C=O,
【0023】
【0024】
からなる群から独立して選択され、
- R2は、水素、NO2および(C1~C6)アルキルからなる群から選択され、
- R3およびR4は、同じであるか、または異なっており、R3およびR4のそれぞれは、水素、(C1~C6)アルキル、ハロ(C1~C6)アルキル、(C3~C6)シクロアルキルおよびハロ(C3~C6)シクロアルキルからなる群から独立して選択され、
- R5は、
【0025】
【0026】
からなる群から選択され、
- R6a、R6b、R7は、同じであるか、または異なっており、それぞれ独立して、水素または(C1~C6)アルキルであり、
- R8は、水素、(C1~C6)アルキル、アリールおよび
【0027】
【0028】
からなる群から選択され、
- R9は、(C1~C6)アルキル、ハロ(C1~C6)アルキル、(C3~C6)シクロアルキル、ハロ(C3~C6)シクロアルキル、アリールおよびハロアリールからなる群から選択され、
- R10aおよびR10bは、同じであるか、または異なっており、R10aおよびR10bのそれぞれが、ハロゲンであり、
- R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R18、R19、R20、R21、R23、R26およびR27は、同じであるか、または異なっており、それぞれは、水素、分岐状または直鎖状(C1~C6)アルキル、ハロ(C1~C6)アルキル、(C3~C6)シクロアルキルおよびハロ(C3~C6)シクロアルキルからなる群から独立して選択され、
- R22は、CH3またはCF3であり、
- R24およびR25は、同じであるか、または異なっており、R24およびR25のそれぞれは、水素、(C1~C3)アルキル、ハロ(C1~C3)アルキル、(C3~C6)シクロアルキル、ハロ(C3~C6)シクロアルキル、R9C=O、
【0029】
【0030】
からなる群から独立して選択され、
- RC、RD、REおよびRFは、それぞれ、同じであるか、または異なっており、それぞれは、水素、(C1~C6)アルキル、ハロ(C1~C6)アルキル、(C3~C6)シクロアルキル、ハロ(C3~C6)シクロアルキルおよびヒドロキシルからなる群から独立して選択され、
- Xは、C1-アルキル、Oまたは直接結合であり、
- mおよびzは、それぞれ独立して、0~3の数、または0~3以内の数の任意の範囲であり、
- nおよびpは、それぞれ独立して、0~10の数、または0~10以内の数の任意の範囲であり、
- qは、1~10の数、または1~10以内の数の任意の範囲である)
またはその溶媒和物もしくは薬学的に許容される塩を使用する方法を提供する。
【0031】
[0024]一部の態様では、R1aおよびR1bの少なくとも1つは、水素ではない。一部の態様では、R1aおよびR1bの少なくとも1つは、水素である。一部の態様では、R1aおよびR1bのどちらも、水素ではない。一部の態様では、R1bは、水素である。一部の態様では、R1aおよびR1bは、同じである。一部の態様では、R1aおよびR1bは、異なる。
【0032】
[0025]一部の態様では、R2は、NO2である。一部の態様では、R2は、NO2であり、R1bは、水素であり、R1aは、水素ではない。
[0026]一部の態様では、nおよびpは、それぞれ独立して、0~5または0~4または0~3または0~2または0~1の数である。
【0033】
[0027]一部の態様では、本化合物は、式(I)の化合物であり、(a)R5が、
【0034】
【0035】
である場合、R1a、R1b、R24およびR25のうちの少なくとも1つは、水素ではなく、
(b)R5が、
【0036】
【0037】
ではない場合、R1aおよびR1bの少なくとも1つは、水素ではない。
[0028]一部の態様では、R1aおよびR1bは、同じであるか、または異なっており、R1aおよびR1bのそれぞれは、水素、(C1~C3)アルキル、ハロ(C1~C3)アルキル、(C3~C6)シクロアルキル、ハロ(C3~C6)シクロアルキル、R9C=O、
【0038】
【0039】
からなる群から独立して選択される。一部の実施形態では、R6a、R6bおよびR7は、それぞれ独立して、水素、(C1~C6)アルキル、(C1~C5)アルキル、(C1~C4)アルキル、(C1~C3)アルキル、(C1~C2)アルキルまたは(C1)アルキルである。
【0040】
[0029]一部の態様では、R1aおよびR1bは、同じであるか、または異なっており、R1aおよびR1bのそれぞれは、水素、(C1~C3)アルキル、ハロ(C1~C3)アルキル、(C3~C6)シクロアルキル、ハロ(C3~C6)シクロアルキル、R9C=O、
【0041】
【0042】
からなる群から独立して選択される。
[0030]一部の態様では、R1aおよびR1bの一方は、水素であり、他方は、
【0043】
【0044】
である。
[0031]一部の態様では、R5は、
【0045】
【0046】
であり、R11およびR12の一方またはどちらも、C2H5またはCH3である。一部の態様では、R11およびR12の一方は、C2H5またはCH3であり、他方は水素である。
【0047】
[0032]一部の態様では、R5は、
【0048】
【0049】
であり、R13およびR14の一方またはどちらも、C2H5またはCH3である。
[0033]一部の態様では、R5は、
【0050】
【0051】
であり、R4、R15、R16、R17、R18、R19、R20、R21、R23、R26およびR27のうちの1つまたは複数は、水素である。一部の態様では、nは、0~3の数である。
【0052】
[0034]一部の態様では、R5は、
【0053】
【0054】
であり、R4、R15、R16、R17、R18、R19、R20、R21、R23、R26およびR27のうちの1つまたは複数は、水素である。
[0035]一部の態様では、R5は、
【0055】
【0056】
であり、R4、R15、R16、R17、R18、R19、R20、R21、R23、R26およびR27のうちの1つまたは複数は、水素である。一部の態様では、mは、0~3の数である。
【0057】
[0036]一部の態様では、R5は、
【0058】
【0059】
であり、R4、R15、R16、R17、R18、R19、R20、R21、R23、R26およびR27のうちの1つまたは複数は、水素である。一部の態様では、zは、0~5または0~3の数である。
【0060】
[0037]一部の態様では、Xは、直接結合またはC1-アルキルである。一部の態様では、nおよびpは、それぞれ独立して、0または1である。一部の態様では、R6aおよびR6bは、同じである。一部の態様では、RHおよびRJは、それぞれ独立して、(C1~C3)アルキルである。
【0061】
[0038]一部の態様では、R1aおよびR1bの少なくとも1つは、
【0062】
【0063】
であり、他方は水素である。一部の態様では、R1aおよびR1bのそれぞれは、独立して、
【0064】
【0065】
である。
[0039]一部の態様では、R1aおよびR1bの一方または両方が、水素ではない場合、本化合物は、R1aおよびR1bの両方が水素である化合物を反応させて、R1aおよびR1bの一方または両方が水素ではない化合物を得るステップを含む方法によって得られる。
【0066】
[0040]本開示は、式(II)の化合物:
【0067】
【0068】
(式中、
- RAおよびRBは、同じであるか、または異なっており、RAおよびRBのそれぞれは、水素、RGC=O、
【0069】
【0070】
からなる群から独立して選択され、
- RC、RD、REおよびRFは、それぞれ、同じであるか、または異なっており、それぞれは、水素、分岐状または直鎖状(C1~C6)アルキル、ハロ(C1~C6)アルキル、(C3~C6)シクロアルキル、ハロ(C3~C6)シクロアルキルおよびヒドロキシルからなる群から独立して選択され、
- RGは、分岐状または直鎖状(C1~C6)アルキル;ハロ(C1~C6)アルキル;(C3~C6)シクロアルキル;ハロ(C3~C6)シクロアルキル;アリール;ハロアリールからなる群から選択され、
- RHおよびRJは、それぞれ、同じであるか、または異なっており、独立して、分岐状または直鎖状(C1~C6)アルキルであり、
- RKは、分岐状または直鎖状(C1~C6)アルキル、アリールまたは
【0071】
【0072】
であり、
- Xは、C1-アルキル、Oまたは直接結合であり、
- nは、0~10の数、または0~10以内の数の任意の範囲であり、
- pは、0~10の数、または0~10以内の数の任意の範囲であり、
- qは、1~10の数、または0~10以内の数の任意の範囲である)
またはその溶媒和物もしくは薬学的に許容される塩を提供する。
【0073】
[0041]一部の態様では、nおよびpは、それぞれ独立して、0~5または0~4または0~3または0~2または0~1の数である。
[0042]一部の態様では、本化合物は、RAおよびRBの少なくとも1つは、水素ではない、式(II)の化合物である。一部の態様では、RAおよびRBのどちらも、水素ではない。一部の態様では、RBは、水素である。一部の態様では、RAおよびRBは、同じである。一部の態様では、RAおよびRBは、異なる。
【0074】
[0043]一部の態様では、RAおよびRBは、同じであるか、または異なっており、RAおよびRBのそれぞれは、水素、
【0075】
【0076】
からなる群から独立して選択される。
[0044]一部の態様では、Xは、直接結合またはC1-アルキルである。一部の態様では、nおよびpは、それぞれ独立して、0または1である。一部の態様では、RHおよびRJは、同じである。一部の態様では、RHおよびRJは、それぞれ独立して、(C1~C3)アルキルである。
【0077】
[0045]一部の態様では、RAおよびRBの一方または両方が、水素ではない場合、本化合物は、RAおよびRBの両方が水素である化合物を反応させて、RAおよびRB 1bの一方またはどちらも水素ではない化合物を得るステップを含む方法によって得られる。一部の態様では、RAおよびRBの少なくとも1つは、
【0078】
【0079】
であり、他方は水素である。一部の態様では、RAおよびRBのそれぞれは、独立して、
【0080】
【0081】
である。
[0046]本開示は、式(IIa)、(IIb)、(IIc)、(IId)、(IIe)、(IIf)および(IIg)の化合物またはそれらの溶媒和物もしくは塩:
【0082】
【0083】
【0084】
を提供する。
[0047]本開示は、式(IIIa)、(IVa)、(Va)、(VIa)、(VIIa)、(VIIIa)または(IXa)の化合物、またはそれらの溶媒もしくは塩:
【0085】
【0086】
【0087】
(式中、Z1、Z2、Z3およびZ4のそれぞれは、同じであるか、または異なっており、Z1、Z2、Z3およびZ4のそれぞれは、水素、(C1~C3)アルキル、ハロ(C1~C3)アルキル、(C3~C6)シクロアルキル、ハロ(C3~C6)シクロアルキル、R9C=O、
【0088】
【0089】
からなる群から独立して選択され、
- R6a、R6b、R7は、同じであるか、または異なっており、それぞれ独立して、水素または(C1~C6)アルキルであり、
- R8は、水素、(C1~C6)アルキル、アリールおよび
【0090】
【0091】
からなる群から選択され、
- R9は、(C1~C6)アルキル、ハロ(C1~C6)アルキル、(C3~C6)シクロアルキル、ハロ(C3~C6)シクロアルキル、アリールおよびハロアリールからなる群から選択され、
- Xは、C1-アルキル、Oまたは直接結合であり、
-mは、0~3の数であり、
- nおよびpは、それぞれ独立して、0~10の数であり、
- qは、1~10の数である)を提供する。
【0092】
[0048]一部の態様では、Z1およびZ2の少なくとも1つは、水素ではない。一部の態様では、Z1およびZ2の少なくとも1つは、水素である。一部の態様では、Z1およびZ2の両方が、水素ではない。一部の態様では、Z2は、水素である。一部の態様では、Z2は、同じである。一部の態様では、Z1およびZ2は、異なる。
【0093】
[0049]一部の態様では、Z1およびZ2は、以下:
[0050]
【0094】
【0095】
からなる群からそれぞれ独立して選択される。
[0051]一部の態様では、Z1およびZ2の一方は水素であり、他方は
【0096】
【0097】
からなる群から選択される。
[0052]一部の態様では、nおよびpは、それぞれ独立して、0~5または0~4または0~3または0~2または0~1の数である。
【0098】
[0053]一部の態様では、本化合物が、式(IXa)の化合である場合、Z1、Z2、Z3およびZ4のうちの少なくとも1つは、水素ではない。一部の態様では、Z1、Z2、Z3およびZ4のうちの少なくとも1つは、水素である。一部の態様では、Z1、Z2、Z3およびZ4のうちの1つ、2つまたは3つが、水素である。一部の態様では、Z1、Z2、Z3およびZ4のいずれも、水素ではない。一部の態様では、Z1、Z2、Z3およびZ4のうちの1つ、2つ、3つまたは4つが、同じである。一部の態様では、Z1、Z2、Z3およびZ4のうちの1つ、2つ、3つまたは4つが、異なる。
【0099】
[0054]一部の態様では、式(IIIa)、(IVa)、(Va)、(VIa)、(VIIa)、(VIIIa)もしくは(IXa)の化合物、または溶媒もしくは塩は、それぞれ、式(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VII)、(VIII)もしくは(IX)の化合物:
【0100】
【0101】
またはそれらの溶媒もしくは塩の反応によって得られる。一部の態様では、式(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VII)、(VIII)または(IX)の化合物は、それぞれ、式(IIIa)、(IVa)、(Va)、(VIa)、(VIIa)、(VIIIa)または(IXa)の化合物を調製する出発原料として使用され得る。本化合物は、以下のいずれかに記載されている通りに得ることができるか、または以下に記載されている出発化合物を使用して得ることができ、それらの全体が参照によりそれぞれ組み込まれる:カナダ特許第2,342,634号;Learmonthら、Synthesis and biological evaluation of a novel series of “ortho-nitrated” inhibitors of catechol-O-methyltransferase. J Med Chem.2005年12月15日;48巻(25号):8070~8頁;Backstromら、Synthesis of some novel potent and selective catechol O-methyltransferase inhibitors.J Med Chem.1989年4月;32巻(4号):841~6頁;Maら Structure-based drug design of catechol-O-methyltransferase inhibitors for CNS disorders.Br J Clin Pharmacol.2014;77巻(3号):410~420頁;およびBaileyら、Synthesis and evaluation of bifunctional nitrocatechol inhibitors of pig liver catechol-O-methyltransferase.Bioorg Med Chem.2005年10月15日;13巻(20号):5740~9頁。
【0102】
[0055]一部の態様では、プロドラッグである本開示の化合物は、代表的なスキームである、以下に示されているものなどの方法によって作製することができる。-OH基と反応させるために使用される出発原料および試薬は、単なる例であり、それぞれは、所望の最終生成物に基づいて、適宜、選択されてもよい。
【0103】
【0104】
[0056]本開示は、以下の化合物またはその塩もしくは溶媒和物:
【0105】
【0106】
を提供する。本開示は、上記の化合物および薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物を提供する。本開示はまた、投与を必要とする対象への投与を含む、上記の化合物を使用する方法を提供する。
【0107】
[0057]本開示は、本開示における化合物のいずれか、またはその塩の溶媒、および薬学的に許容される賦形剤を含む、医薬組成物を提供する。一部の態様では、本医薬組成物は、式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VII)、(VIII)、(IX)、(IIa)、(IIb)、(IIc)、(IId)、(IIe)、(IIf)、(IIg)、(IIIa)、(IVa)、(Va)、(VIa)、(VIIa)、(VIIIa)または(IXa)の化合物を含む。一部の態様では、本医薬組成物は、1種または複数の追加剤をさらに含み、本明細書において議論されている方法は、1種または複数の追加剤の共投与を提供する。一部の態様では、追加剤は、以下に限定されないが、老眼、白内障、トランスサイレチン(TTR)関連性アミロイドーシスおよび近視、ならびにCOMT阻害剤またはCOMTに対して阻害作用を有する化合物の投与から利益を受けると思われる任意の他の状態を含む、眼に関連する状態または障害に関連する症状を処置する、予防する、その発生を低減する、その進行を減速する、または上記の症状を低減する、改善する、もしくは軽減するのに好適な化合物である。一部の態様では、追加剤は、モノアミンオキシダーゼ阻害剤(MAOI)である。MAOIの例には、以下に限定されないが、イソカルボキサジド、セレギリン、モクロベミド、ラサギリン、クロルジリン、ベンモキシン、エキノプシジン、メバナジン、メトラリンドール、パラジリン、フェネルジンおよびトラニルシクロプラミンが含まれる。一部の態様では、COMT阻害剤、またはCOMTに対する追加の作用を有する化合物、または追加剤は、L-Dopaおよび/またはカルビドーパである。一部の態様では、追加剤は、COMT阻害剤、またはさらにCOMT阻害剤、またはCOMTに阻害作用を有する任意の化合物である。一部の態様では、追加剤は、ニテカルポン、エンタカポン、ネビカポン、トルカポン、BIA3-3335(1-(3,4-ジヒドロキシ-5-ニトロフェニル)-3-{4-[3-(トリフルオロメチル)フェニル]-1-ピペラジニル}-1-プロパノン二塩酸塩)、またはN,N’-(プロパン-1,3-ジイル)ビス(3,4-ジヒドロキシベンズアミド)などの二官能性阻害剤化合物である。一部の態様では、追加剤は、アトロピンである。一部の態様では、追加剤は、非ステロイド系抗炎症剤である。
【0108】
[0058]一部の態様では、本開示は、式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VII)、(VIII)、(IX)、(IIa)、(IIb)、(IIc)、(IId)、(IIe)、(IIf)、(IIg)、(IIIa)、(IVa)、(Va)、(VIa)、(VIIa)、(VIIIa)、(IXa)の化合物;アトロピン;および1種または複数の薬学的に許容される賦形剤を含む、医薬組成物を提供する。一部の態様では、追加剤は、プロドラッグ形態にあるか、またはプロドラッグ形態にない。
【0109】
[0059]本開示は、老眼、白内障、トランスサイレチン(TTR)関連性アミロイドーシス、近視からなる群から選択される状態、または眼に関連する他の状態もしくは障害に関連する症状を処置する、予防する、その発生を低減する、その進行を減速する、または上記の症状を低減する、改善する、もしくは軽減することを必要とする対象における、それらの方法であって、対象に、本開示におけるいずれかの化合物、またはその塩の溶媒を投与するステップを含む方法を提供する。一部の態様では、本開示は、老眼、白内障、トランスサイレチン(TTR)関連性アミロイドーシス、近視からなる群から選択される状態、または眼に関連する他の状態もしくは障害に関連する症状を処置する、予防する、その発生を低減する、その進行を減速する、または上記の症状を低減する、改善する、もしくは軽減することを必要とする対象における、それらの方法であって、対象に、式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VII)、(VIII)、(IX)、(IIa)、(IIb)、(IIc)、(IId)、(IIe)、(IIf)、(IIg)、(IIIa)、(IVa)、(Va)、(VIa)、(VIIa)、(VIIIa)、(IXa)の化合物のいずれか、またはその溶媒もしくは塩を投与するステップを含む方法を提供する。一部の態様では、本開示は、ヒトα-A-クリスタリンの高分子量凝集体の形成を低減するもしくは阻害する、または上記の凝集体を溶解する方法、あるいはヒトα-A-クリスタリンに関連する状態、ならびに以下に限定されないが、トランスサイレチン(TTR)関連性アミロイドーシス、プリオン、クロイツフェルトヤコブ、ゲルストマン・ストロイスラー・シャインカー病および眼瞼癒着-外胚葉異形成-口唇裂/口蓋裂症候群を含む状態に関連する症状を処置する、予防する、またはその発生を低減する、または上記の症状を低減する、改善するもしくは軽減する方法であって、有効量の本開示の化合物のいずれかを投与するステップを含む方法を提供する。
【0110】
[0060]一部の態様では、近視は、以下に限定されないが、高度の非病的近視、病的近視、仮性近視、形態覚遮断近視(deprived myopia)(FDM)および水晶体誘導近視(LIM)を含む。
【0111】
[0061]一部の態様では、本化合物は、単剤療法として、または追加剤と共に投与されてもよい。一部の態様では、本開示は、本開示の化合物および追加剤を投与する方法、ならびに本開示の化合物、追加剤および1種または複数の薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物を投与する方法を提供する。一部の態様では、本開示は、以下に限定されないが、近視を含む、眼の状態に関連する症状を処置する、予防する、その発生を低減する、その進行を減速する、または上記の症状を低減する、改善する、もしくは軽減することを必要とする対象における、それらの方法であって、対象に、本開示の化合物のいずれか、および以下に限定されないが、アトロピンを含む1種または複数の追加剤を投与するステップを含む方法を提供する。一部の態様では、1種または複数の追加剤との共投与は、相乗効果をもたらすことがある。一部の態様では、アトロピンとの共投与は、相乗効果をもたらすことがある。
【0112】
[0062]一部の態様では、本開示は、状態に関連する症状を処置する、予防する、その発生を低減する、その進行を減速する、または上記の症状を低減する、改善する、もしくは軽減することを必要とする対象における、それらの方法であって、対象に、COMT阻害剤、またはCOMTに対する阻害作用を有する任意の化合物を投与するステップを含む方法を提供する。一部の態様では、状態は、眼の状態である。一部の態様では、眼の状態は、以下に限定されないが、高度の非病的近視、病的近視、仮性近視、形態覚遮断近視(FDM)および水晶体誘導近視(LIM)を含む、近視である。一部の態様では、眼の状態は、老眼、白内障、トランスサイレチン(TTR)関連性アミロイドーシスである。一部の態様では、状態は、ヒトα-A-クリスタリンに関連する状態、ならびに以下に限定されないが:トランスサイレチン(TTR)関連性アミロイドーシス、プリオン、クロイツフェルトヤコブ、ゲルストマン・ストロイスラー・シャインカー病および眼瞼癒着-外胚葉異形成-口唇裂/口蓋裂症候群を含む状態である。
【0113】
[0063]一部の態様では、COMT阻害剤、またはCOMTに対する阻害作用を有する化合物は、プロドラッグであっても、プロドラッグでなくてもよい。一部の態様では、本開示は、状態に関連する症状を処置する、予防する、その発生を低減する、その進行を減速する、または上記の症状を低減する、改善する、もしくは軽減することを必要とする対象における、それらの方法であって、対象に、COMT阻害剤、またはCOMTに対する阻害作用を有する任意の化合物、および1種または複数の薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物を投与するステップを含む方法を提供する。
【0114】
[0064]一部の態様では、本開示は、状態に関連する症状を処置する、予防する、その発生を低減する、その進行を減速する、または上記の症状を低減する、改善する、もしくは軽減することを必要とする対象における、それらの方法であって、対象に、L-dopaおよび/もしくはカルビドーパ、またはL-dopaおよび/もしくはカルビドーパならびにより多くの薬学的に許容される賦形剤の1種を含む医薬組成物を投与するステップを含む方法を提供する。一部の態様では、状態は、以下に限定されないが、老眼、白内障、トランスサイレチン(TTR)関連性アミロイドーシスおよび近視を含む、眼の状態である。一部の態様では、状態は、ヒトα-A-クリスタリンに関連する状態、および以下に限定されないが:トランスサイレチン(TTR)関連性アミロイドーシス、プリオン、クロイツフェルトヤコブ、ゲルストマン・ストロイスラー・シャインカー病および眼瞼癒着-外胚葉異形成-口唇裂/口蓋裂症候群を含む状態である。
【0115】
[0065]一部の態様では、本開示は、以下に限定されないが、老眼、白内障、トランスサイレチン(TTR)関連性アミロイドーシスおよび近視を含む眼の状態などの状態に関連する症状を処置する、予防する、その発生を低減する、その進行を減速する、または上記の症状を低減する、改善する、もしくは軽減することを必要とする対象における、それらの方法であって、対象に、式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VII)、(VIII)、(IX)、(IIa)、(IIb)、(IIc)、(IId)、(IIe)、(IIf)、(IIg)、(IIIa)、(IVa)、(Va)、(VIa)、(VIIa)、(VIIIa)、(IXa)の化合物;およびアトロピンを投与するステップを含む方法を提供する。一部の態様では、本開示は、以下に限定されないが、近視を含む、眼の状態に関連する症状を処置する、予防する、その発生を低減する、その進行を減速する、または上記の症状を低減する、改善する、もしくは軽減することを必要とする対象における、それらの方法であって、対象に、式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VII)、(VIII)、(IX)、(IIa)、(IIb)、(IIc)、(IId)、(IIe)、(IIf)、(IIg)、(IIIa)、(IVa)、(Va)、(VIa)、(VIIa)、(VIIIa)、(IXa)の化合物;アトロピン;および1種または複数の薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物を投与するステップを含む方法を提供する。一部の態様では、状態は、近視である。
【0116】
[0066]一部の態様では、本開示は、本開示の化合物のいずれか、ならびにアトロピン、L-Dopaおよびカルビドーパのうちの1つまたは複数を投与する方法を提供する。一部の態様では、本開示は、本開示の化合物のいずれか、アトロピン、ならびに場合により、L-Dopaおよび/またはカルビドーパを投与する方法を提供する。一部の態様では、本開示は、本開示の化合物、1種または複数の薬学的に許容される賦形剤(exciepint)を含む医薬組成物であって、アトロピン、L-Dopaおよびカルビドーパのうちの1つまたは複数をさらに含む、医薬組成物を提供する。一部の態様では、本開示は、本開示の化合物、アトロピン、1種または複数の薬学的に許容される賦形剤、ならびに場合により、L-Dopaおよび/またはカルビドーパを含む医薬組成物を提供する。一部の態様では、アトロピン、L-Dopaおよび/またはカルビドーパのうちの1つまたは複数の組合せ物は、相乗効果をもたらす。一部の態様では、現在、特許請求されている発明の化合物のいずれか、ならびにアトロピン、L-Dopaおよび/またはカルビドーパのうちの1つまたは複数の組合せ物は、相乗効果をもたらす。一部の態様では、式(IVa)、(Va)、(VIa)、(VIIa)、(VIIIa)、(IXa)の化合物と、アトロピン、L-Dopaおよび/またはカルビドーパのうちの1つまたは複数の組合せ物は、相乗効果をもたらす。
【0117】
[0067]一部の態様では、本開示の化合物は、老眼、白内障、トランスサイレチン(TTR)関連性アミロイドーシス、近視、または眼に関連する他の状態もしくは障害からなる群から選択される状態に関連する症状を処置する、予防する、その発生を低減する、その進行を減速する、または上記の症状を低減する、改善する、もしくは軽減するのに有効な量で投与される。一部の態様では、医薬組成物は、本開示の化合物を有効量で含む。
【0118】
[0068]一部の態様では、本開示の化合物は、以下に限定されないが、経口、鼻腔、鼻内、筋肉内、静脈内、皮下、直腸内、舌下、鞘内、経皮、眼内、吸入または他の局所を含む、任意の投与経路により投与されてもよい。一部の態様では、本開示の化合物は、眼内に、または眼に局所的に投与される。一部の態様では、本医薬組成物は、本開示の化合物、および眼への投与に好適な1種または複数の薬学的に許容される賦形剤を含む、眼科用溶液剤または懸濁液である。一部の態様では、ヒトα-A-クリスタリンの高分子量凝集体の形成を低減もしくは阻害するため、または上記の凝集体を溶解するため、あるいはヒトα-A-クリスタリンに関連する状態に関連する症状を処置するため、予防するため、またはその発生を低減するため、または上記の症状を低減するため、改善するためもしくは軽減するために有効な量。一部の態様では、状態は、以下に限定されないが:トランスサイレチン(TTR)関連性アミロイドーシス、プリオン、クロイツフェルトヤコブ、ゲルストマン・ストロイスラー・シャインカー病および眼瞼癒着-外胚葉異形成-口唇裂/口蓋裂症候群を含む。
【0119】
[0069]本明細書に記載されている化合物を眼に送達するために使用される方法は、以下に限定されないが、(i)局所、(ii)(iii)結膜下、(iv)硝子体内、(V)全身性、(vi)デバイスに好適な製剤を使用するデバイスの使用、(vii)ナノ粒子として、(vii)好適な製剤を含むゲルとして、(viii)デバイス(コンタクトレンズなど)上へのコーティングを含む。
【0120】
[0070]局所投与に関すると、このような投与は、点眼剤を使用して、通常、行われる。眼表面への接触時間は短いが、特定の製剤、例えば、ゲル剤、ゲル化製剤、軟膏剤および挿入剤(insert)を使用して延長され得る。通常、薬物組成物を含有する溶液の基本性質は、水性であり、したがって、溶液の粘度を増大させるよう設計されている作用剤が使用されてもよい。このような作用剤には、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボポール、ポリビニルアルコールなどが含まれる。
【0121】
[0071]従来的な結膜下注射が、ブドウ膜に高レベルの薬物を送達するために使用されてきた。この投与様式は、後眼部に、放出制御製剤中の薬物を送達し、手術後の治癒過程を誘導するために使用され得る。
【0122】
[0072]硝子体内投与に関すると、硝子体への直接薬物投与は、硝子体および網膜への一層直接的な接近という利点をもたらす。しかし、RPE(網膜色素上皮)障壁による妨害のために、硝子体から脈絡膜への送達は、一層、複雑である。低分子は、硝子体内に迅速に拡散することができるが、大型分子、特に、正に荷電したものの移動度は、制限される。眼内注射に好適な注射可能な組成物は、通常、眼への持続送達を可能にし得る、薬物の溶液または微粒子懸濁液を含む。製剤は、通常、水性であり、以下に限定されないが、ポリビニルアルコール、Tween80、solutel、cremophoreおよびシクロデキストリンなどの、可溶化増強剤を一般に含んでもよい。これらの可溶化増強剤は、組み合わせて使用されてもよい。製剤は、通常、3~8のpH範囲にあり、これは、硝子体内向け製剤にとって許容されると考えられている。許容されるpHを達成するため、緩衝系が時として使用される。これらには、以下に限定されないが、クエン酸塩およびリン酸塩をベースとする緩衝系を含む。硝子体内向け製剤の張度が調節されて、通常、250~360mOsm/kgと思われる、望ましい範囲内に維持され得る。張度の調節は、例えば、塩化ナトリウムの添加によって達成され得る。通常、硝子体内向け製剤は、単回使用のための滅菌製造によって生成される。保存される製剤、例えば、ベンゾイルアルコールなどの防腐剤を含有する製剤が、使用され得る。本発明の組成物中の活性剤の用量は、状態の性質および程度、患者の年齢および状態、ならびに当業者に公知の他の因子に依存するであろう。投与は、さらに投与を伴わない単回注射として、または多回注射としてのどちらかとすることができる。
【0123】
[0073]全身投与に関すると、後眼部の治療のため、および前部のための局所治療を補うための全身性投薬を必要とする。大部分の局所投薬は、後眼部の眼球後部にまで浸透しないので、後眼部は、常に、全身療法を必要とし、眼窩組織が全身的に処置される。
【0124】
[0074]一部の態様では、本開示は、有効量の本明細書に記載されている化合物を含む組成物の投与を必要とする眼の状態を処置する方法であって、該化合物が、プロドラッグ形態で存在するか、またはプロドラッグ形態に変換される、方法を提供する。プロドラッグ製剤は、薬物の標準製剤よりも良好に角膜に浸透することが可能な、薬物分子(例えば、それらは、より親油性である)の薬理学的に不活性な誘導体を使用する。Brian G.Shortによる総説、Toxicologic Pathology、36巻:49~62頁、2008を参照されたい。この総説、およびそれらに引用されている参照文献に記載されている通り、プロドラッグは、角膜内において、または角膜への浸透後に、活性な親化合物に化学的または酵素的のどちらかで代謝される。眼組織中で特定されている酵素系は、エステラーゼ、ケトンレダクターゼおよびステロイド6β-ヒドロキシラーゼを含む。
【0125】
[0075]大部分のプロドラッグは、抗ウイルスプロドラッグであるガンシクロビルおよびアシクロビルなどの局所施用によって慣用的に送達されるが、ガンシクロビルはまた、注射によって、または非生分解性レザーバーとして硝子体内に送達されてきた。角膜内の非天然酵素系との薬物の送達は、変換酵素シトシンデアミナーゼを含有する細胞への結膜下移植の後に投与される、5-フルオロウラシルのプロドラッグである、局所5-フツロシトシン(fturocytosine)により達成されてきた。前部への角膜浸透の増大は、薬物製剤への透過性増強剤の添加により実現され得る。界面活性剤、胆汁酸、キレート剤および防腐剤のすべてが使用されてきた。親油性薬物と錯体を形成する、親水性外側表面および親油性内側表面を有する、円筒形オリゴヌクレオチドであるシクロデキストリンが、一層よく知られている透過性増強剤である。それらは、化学安定性および生体利用率を増大し、局所刺激を減少し、それらは、コルチコステロイド、コロランフェニコール(choloramphenicol)、ジクロフェナク、シクロスポリンおよびスルホンアミド炭酸脱水酵素阻害剤と共に使用されてきた。本発明は、プロドラッグとして合成される低分子阻害剤を含み、こうして、これらの低分子阻害剤は、角膜を透過するより優れた能力を有する。
【0126】
[0076]用語「ハロ」または「ハロゲン」とは、本明細書において使用する場合、フッ素(フルオロ、-F)、塩素(クロロ、-Cl)、臭素(ブロモ、-Br)およびヨウ素(ヨード、-I)から選択される原子を指す。
【0127】
[0077]単独で、または例えば、「ハロアルキル」などのより大きな部分の一部として使用される用語「アルキル」は、別段の指定がない限り、1~10個の炭素原子を有する、置換または無置換の一価の直鎖もしくは分岐状の飽和炭化水素ラジカルを意味し、例えば、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、see-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、n-ヘキシル、n-ヘプチル、n-オクチル、n-ノニル、n-デシルなどを含む。「一価」は、1つの点において、分子の残りに結合していることを意味する。
【0128】
[0078]単独で、またはより大きな部分の一部として使用される用語「シクロアルキル」とは、別段の指定がない限り、3~10個の炭素環原子を有する、本明細書に記載されている、置換または無置換の環系、飽和の環式脂肪族性の単環式、二環式または三環式環系を指す。単環式シクロアルキル基には、限定されず、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロペンテニル、シクロヘキシル、シクロヘキセニル、シクロヘプチル、シクロヘプテニルおよびシクロオクチルが含まれる。二環式シクロアルキル基には、例えば、デカリンなど、別のシクロアルキル基に縮合したシクロアルキル基、またはテトラヒドロナフタレニル、インダニル、5,6,7,8-テトラヒドロキノリンおよび5,6,7,8-テトラヒドロイソキノリンなど、1つの基(例えば、フェニル)またはヘテロアリール基に縮合したシクロアルキル基を含む。三環式環系の例は、アダマンタンである。二環式シクロアルキル基の結合点は、シクロアルキル部分、またはアリール基(例えば、フェニル)、または安定構造をもたらすヘテロアリール基上の拘束部とすることができることが理解されよう。指定される場合、シロアルキル(cyloalkyl)上の任意選択の置換基は、任意の置換可能な位置に存在することができ、例えば、シクロアルキルが結合している位置を含むことがさらに理解されよう。
【0129】
[0079]用語「ヘテロシクリル」は、N、OおよびSから独立して選択される1~4個のヘテロ原子を含有する、置換または無置換の4、5、6および7員の飽和または部分不飽和な複素環式環を意味する。用語「複素環」、「ヘテロシクリル」、「ヘテロシクリル環」、「複素環式基」、「複素環式部分」および「複素環式ラジカル」は、互換的に使用されてもよい。ヘテロシクリル環は、安定構造をもたらす、任意のヘテロ原子または炭素原子において、そのペンダント基に結合し得る。このような飽和または部分不飽和な複素環式ラジカルの例には、非限定的に、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチエニル、テラヒドロピラニル(terahydropyranyl)、ピロリジニル、ピロリドニル、ピペリジニル、オキセタニル、オキサゾリジニル、ピペラジニル、ジオキサニル、ジオキソラニル、モルホリニル、ジヒドロフラニル、ジヒドロピラニル、ジヒドロピリジニル、テトラヒドロピリジニル、ジヒドロピリミジニルおよびテトラヒドロピリミジニルが含まれる。ヘテロシルイル(heterocylyl)基は、単環式または二環式であってもよい。別段の指定がない限り、二環式ヘテロシドイル(heterocydyl)基は、例えば、クロンムニル(chronmnyl)、2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキシオイル(dioxioyl)、テトラヒドロナフチリジオイル(tetrahydronaphthyridioyl)、インドリノニル(indolinonyl)、ジヒドロピロロトリアゾリル(dihydropyrrolotriazolyl)、イミダゾピンミジニル(imidazopynmidinyl)、キノリノニル(quinolinonyl)、ジオキサスピロデカニルなどの、別の不飽和複素環式ラジカルまたは芳香族環もしくはヘテロアリール環に縮合した、例えば、不飽和または飽和複素環式ラジカルを含む。二環式ヘテロシドイル基のための結合点は、安定構造をもたらすヘテロシクリル基または芳香族環上に存在し得ることが理解されよう。指定される場合、ヘテロシクリル基上の任意選択の置換基は、任意の置換可能な位置に存在することができ、例えば、ヘテロシクリルが結合している位置を含むことがやはり理解されよう。
【0130】
[0080]単独で、または「ヘテロアリールアルキル」、「ヘテロアリールアルコキシ」または「ヘテロアリールアミノアルキル」のようなより大きな部分の一部として使用される用語「ヘテロアリール」は、N、OおよびSから選択される1~4個のヘテロ原子を含有する置換または無置換の5~10員芳香族ラジカルを指し、例えば、チエニル、フラニル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、オキサジアゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、チアジアゾリル、ピリジル、ピリダジオイル(pyridazioyl)、ピリミジニル、ピラジニル、インドリジニル プリニル、ナフチリジニルおよびプテリジニルを含む。用語「ヘテロアリール」は、用語「ヘテロアリール環」、「ヘテロアリール基」または「複素芳香族」と互換的に使用され得る。用語「ヘテロアリール」および「ヘテロアリ(heteroar-)」はまた、本明細書において使用する場合、複素芳香族環が、1つまたは複数のアリール環に縮合している基を含み、この場合、ラジカルまたは結合点は、複素芳香族環上に存在する。非限定例には、インドリル、インダゾリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾチアゾリル、キノリル、キヌゾリニルおよびキノキサリニルが含まれる(indude)。ヘテロアリール基は、単環式または二環式とすることができる。指定される場合、ヘテロアリール基上の任意選択の置換基は、任意の置換可能な位置に存在することができ、例えば、ヘテロアリールが結合している位置を含むことが理解されよう。本明細書において使用する場合、単独(done)で、または他の用語と連携して使用される用語「アリール」は、環炭素原子しか含有しない6~14員の芳香族環を指す。アリール環は、単環式、二環式または三環式であってもよい。非限定例には、フェニル、ナフチルまたはアントラセニルなどが含まれる。指定される場合、アリール基上の任意選択の置換基は、任意の置換可能な位置に存在してもよいことがやはり理解されよう。アリール基は、無置換であってもよく、または一置換であってもよく、または二置換であってもよい。
【0131】
[0081]本明細書において使用する場合、用語「対象」および「患者」は、互換的に使用され得、処置を必要とする哺乳動物、例えば、コンパニオン動物(例えば、イヌ、ネコ(eat)など)、家畜(例えば、ウシ、ブタ、ウマ、ヒツジ、ヤギなど)および実験動物(例えば、ラット、マウス、モルモットなど)を意味する。通常、対象は、処置を必要とするヒトである。
【0132】
[0082]本開示の化合物は、薬学的に許容される塩の形態で存在してもよい。医薬での使用の場合、本発明の化合物の塩とは、非毒性の「薬学的に許容される塩」を指す。
[0083]本明細書において開示されている任意の構造に関して、化合物の範囲はまた、形成されることがある互変異性体のいずれも含む。特に示さない限り、化合物を言う場合、図示されている構造の化学実体または化学名の薬学的に許容される塩、プロドラッグ、互変異性体、代替固体形態、非共有結合性複合体およびそれらの組合せを含むよう、幅広く考えられるべきである。
【0133】
[0084]薬学的に許容される塩は、動物またはヒトへの投与に好適な、親化合物の任意の塩である。薬学的に許容される塩は、酸、別の塩、または酸もしくは塩に変換されるプロドラッグの投与の結果として、インビボで形成することができる任意の塩も指す。塩は、1種または複数の対応する対イオンと会合した、共役酸または塩基などの、化合物の1種または複数のイオン性形態を含む。塩は、1種または複数の脱プロトン化された酸性基(例えば、カルボン酸)、1種もしくは複数のプロトン化された塩基性基(例えば、アミン)もしくは両方(例えば、双性イオン)から形成することができるか、またはこれらを組み込むことができる。薬学的に許容される塩形態は、薬学的に許容される酸性/陰イオン性塩または塩基性/陽イオン性塩を含む。薬学的に許容される塩基性/陽イオン性塩(sate)には、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、ジエタノールアミン、ロメチル-D-グルネアムルン(romethyl-D-glneamlne)、L-リシン、L-アルギニン、アンモニウム、エタノールアミン、ピペラジンおよびトリエタノールアミンの塩が含まれる。
【0134】
[0085]薬学的に許容される酸性/陰イオン性塩には、例えば、酢酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、炭酸水素塩、酒石酸水素塩、炭酸塩、クエン酸塩、二塩酸塩、グルコン酸塩、グルタミン酸塩、グリコリルアルサニル酸塩、ヘキシルレゾルシン酸塩、臭化水素酸塩、塩酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メシル酸塩、硝酸塩、サリチル酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩およびトシル酸塩が含まれる。
【0135】
[0086]プロドラッグとは、投与後に治療的に活性な化合物に変換される化合物のことである。例えば、変換は、生物学的不安定性基の除去によって起こることがある。プロドラッグの調製は、当分野で周知である。例えば、Richard B.Silverman、Organic Chemistry of Drug Design and Drug Action、第2版、Elsevier Academic Press:Amsterdam、2004、496~557頁における章の「Prodrugs and Drug Delivery Systems」は、主題についてさらに詳細を提示する。
【0136】
[0087]互変異性体とは、互いに速い平衡にある異性体のことである。例えば、互変異性体は、プロトン、水素原子またはヒドリドイオンの移動により関係付けられ得る。
[0088]立体化学が明示的に図示されていない場合、構造は、両方が純粋な、または任意の可能な混合物中の、あらゆる可能な立体異性体を含むことが意図される。
代替固体形態は、本明細書に記載されている手順の実施に起因し得るもの以外の異なる固体形態のことである。例えば、代替固体形態は、多形、異なる種類のアモルファス固体形態、ガラスなどであってもよい。
【0137】
[0089]非共有結合性複合体とは、化合物と追加の化学種との間の共有結合性相互作用を含まない、化合物と1種または複数の追加の化学種との間で形成することができる複合体のことである。非共有結合性複合体は、化合物と追加の化学種との間で特定の比を有することがあるか、または有さないことがある。実施例は、溶媒和物、水和物、電荷移動錯体などを含み得る。
【0138】
[0090]値の範囲が開示されている場合、および表記「n1~n2(from n1...to n2)」または「n1~n2(n1...to n2)」(n1およびn2が数字である)が使用される場合、別段の指定がない限り、この表記は、それらの数自体およびそれらの間の範囲を含むことが意図されている。この範囲は、その端の値の間およびこの値を含む、整数であってもよく、または連続していてもよい。例として、範囲「3~11員のシクロアルキル」は、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個または11個の環原子を有するシクロアルキルを含むことが意図されている。「0個の炭素原子」という文脈において、nが、0に設定されている場合、結合または存在しないことを示すことが意図されている。
【実施例】
【0139】
実施例1
[0091]カテコール-O-メチルトランスフェラーゼ(COMT)の阻害
[0092]既に公知ではない場合、化合物が、COMTの阻害剤として作用する能力は、蛍光偏光アッセイ(Graves,T.L.ら、2008年)を使用して決定される。化合物は、S-アデノシルホモシステイン(SAH)の生成を阻害する能力に基づいたアッセイにおいて活性を示す。1μM未満のIC50を示すいずれの化合物も、COMT阻害剤と見なす。IC50値を決定するため、DMSO中の化合物の10mM保存溶液を使用して、該化合物の10点の3倍希釈シリーズを調製する。化合物の適切な希釈液1μLをアッセイ用ウェル(黒色96ウェル、丸底、ポリスチレン製プレート、Corning Inc.、Corning(NY、Costar#3792)製)にプレート培養する。組換え酵素をアッセイ用緩衝液(100mMのNa2HPO4(pH7.4)、1mMのDTT、0.005% Tween-20)中に希釈し、希釈化合物1μLを含有するアッセイ用ウェルに、35μLの希釈酵素を加える。アッセイにおける酵素の最終的な量は、利用したCOMTの調製に応じて、1~6ngの間で様々である。COMTおよび化合物は、室温で約2時間、事前インキュベートする。8μMのS-アデノシルメチオニン(SAM)(USB Corporation、Cleveland、OH、#US10601)、16μMのドーパミン(Sigma-Aldrich、St.Louis、MO、#H8502)および40mMのMgCl2を含有するアッセイ用緩衝液中で調製した、8Xミックス5μLを添加することによって、酵素反応を開始する。室温において25分間のインキュベート後、反応を250mMのEDTA(pH8.2)5μLでクエンチする。S-アデノシル-L-システイン(SAC)TAMRAトレーサー(2mM、AnaSpec(Fremont、CA)製)の1:80000希釈液、および抗S-アデノシル-L-ホモシステイン抗体(マウスモノクローナル、IMX Homocysteine Reagent Pack、Abbott Laboratories(Abbott Park、IL、#7D29-20)製)の1:20希釈液を含有する、予め形成した複合体20μLをアッセイ用緩衝液B(Na2HPO4 pH7.2)中で調製した。上で議論したSAH抗体/SAC TAMRAトレーサー複合体を、光から保護しながら、30分間、室温で予め形成した。クエンチした反応ミックス40μlに事前形成した複合体20μLを添加すると、それぞれ、1:60および1:240000となるSAH抗体およびSAC TAMRAミックスの最終希釈液が得られた。室温で2.5時間、インキュベートした後に、光から保護しながら、蛍光偏光度を、530nmの励起および595nmの発光を使用して、Tecan Safire2プレートリーダーを使用して測定した(Tecan US(Durham、NC))。標準プロトコールを使用して滴定曲線およびIC50値を計算した。
【0140】
実施例2
[0093]プロドラッグを作製する一般スキーム
[0094]本明細書に記載されているプロドラッグは、以下の一般スキームによって調製する。
【0141】
【0142】
上記のスキームにおいて、OH基と反応させるために使用される出発化合物1および試薬は、単なる例であり、それぞれは、所望の最終生成物に基づいて、適宜、選択されてもよい。一部の態様では、nは、1~10の数である。
【0143】
実施例3
[0095]近視ヒヨコモデルにおけるCAP4196の効力の評価
[0096]35年前よりも前に開発された近視ヒヨコモデルは、現在、近視に関する主要モデルの1つである。このモデルの主な利点には、(1)眼が比較的大きい(8~14mm)、(2)1日あたり、約100μmという急速な眼の成長がある、(3)網膜の画像の質および焦点による屈折状態の感度制御が高い、(4)優れた光学特性(2.0mmの瞳孔で回折が制限される)、(5)順応性に優れる(約17D)、(6)視力の高さ(7サイクル/度)、(7)硝子体内注射により薬物送達が容易である、(8)懐きやすく協調的な性格、ならびに(9)安価で飼育が容易であることを含む。
【0144】
[0097]強膜成長、軸伸長および近視の尺度として、強膜プロテオグリカン合成に及ぼす作用に関して、ヒヨコで3種の化合物であるクインピロール、CAP4196およびL-DOPA(以下の構造を参照されたい)を試験する。
【0145】
【0146】
[0098]10~13匹のヒヨコを以下の各条件(括弧内に提示されているサンプルサイズ)に関して試験する。
群1:正常(n=13)、ビヒクル(n=13)、クインピロール(n=13)
群2:ビヒクル(n=13)、低用量のCAP4196(n=13)、高用量のCAP4196(n=13)
群3:ビヒクル(n=10)、L-DOPA(n=10)、L-DOPA+低用量のCAP4196(n=10)、L-DOPA+高用量のCAP4196(n=10)。
【0147】
注射した化合物およびビヒクルの量は、以下に示されている通りである。
クインピロール(n=13):20μlの注射中に10ナノモル
L-DOPA:20μlの注射中に7.5mM
CAP4196:20μlの注射中に低用量0.75mM
CAP4196:20μlの注射中に高用量2.25mM
クインピロール用のビヒクル:生理食塩水(20μl、0.75%NaClw/v)(クインピロール用のビヒクル)
L-DOPAおよびCAP4196用のビヒクル:1×リン酸緩衝生理食塩水(PBS)中の0.1%w/vアスコルビン酸
L-DOPAおよびCAP4196用のビヒクル:リン酸緩衝生理食塩水
[0099]形態覚遮断近視は、半透明の遮蔽物を適用することによって、4~5日齢のヒヨコの右眼に誘発させる。ヒヨコに、合計で5日間、毎日、形態覚遮断した眼に化合物またはビヒクル(20μl/眼)の硝子体内注射を投与する。さらに、正常なヒヨコの群には、硝子体内注射に関連する変化に関する対照のため、その右眼にビヒクルの硝子体内注射を投与する(「正常」、n=13)。処置期間の終了時に、ヒヨコを犠牲にして、器官の培養物においてその強膜を35SO4により標識し、新たに合成されたグリコサミノグリカンのCPC沈殿によって強膜プロテオグリカン合成を測定する。シンチレーション計数を使用して放射活性を測定し、放射活性量を、対応のあるt-検定によってすべての動物の群の右眼と左眼との間で、およびANOVAを使用する異なる群間での比較(CPMとして)を行う。動物は、Oklahoma University Health Science Center(OUHSC)の動物施設において飼育する。
【0148】
実施例4
[0100]CAP1160によるウシ水晶体抽出物のUVC/H
2O
2誘導性凝集の予防
[0101]
図4に示されている通り(7分間の曝露を含む)、CAP1160は、ウシ水晶体抽出物のUVC/H
2O
2誘導性凝集を予防する。CAP1160の構造は、
【0149】
【0150】
である。
実施例5
[0102]近視ヒヨコ(Check)モデルにおけるCAP4719の効力の評価
[0103]強膜成長、軸伸長および近視の尺度として、強膜プロテオグリカン合成に及ぼす作用に関して、ヒヨコで3種の化合物(クインピロール、CAP4719およびL-DOPA)を試験した。CAP4719は、以下の構造:
【0151】
【0152】
を有する。
[0104]以下の条件(括弧内にサンプルサイズ)の各々に関して15匹のヒヨコのサンプルサイズを試験する:
群1:正常(n=15)、ビヒクル(n=15)、クインピロール(n=15)[ポジティブ対照]
群2:ビヒクル(n=15)、低用量のCAP4719(n=15)、高用量のCAP4719(n=15)
群3:ビヒクル(n=15)、L-DOPA(n=15)、L-DOPA+低用量のCAP4719(n=15)、L-DOPA+高用量のCAP4719(n=15)。
【0153】
生理食塩水(20μl、0.75%NaClw/v)(クインピロール用のビヒクル)
1×リン酸緩衝生理食塩水(PBS)中の0.1%w/vアスコルビン酸(L-DOPAおよびCAP4719用のビヒクル)
クインピロール(n=15)、20μlの注射中に10ナノモル
20μlの注射中に7.5mMのL-DOPA
20μlの注射中に低用量の0.75mM CAP4719
20μlの注射中に高用量の2.25mM CAP4719
[0105]形態覚遮断近視は、半透明の遮蔽物を適用することによって、4~5日齢のヒヨコの右眼に誘発させる。ヒヨコに合計で7日間、毎日、形態覚遮断した眼に化合物またはビヒクル(20μl/眼)の硝子体内注射を投与する。さらに、正常なヒヨコの群には、硝子体内注射に関連する変化に関する対照のため、その右眼にビヒクルの硝子体内注射を投与する(「正常」、n=15)。処置期間の終了時に、ヒヨコを犠牲にして、器官の培養物においてその強膜を35SO4により標識し、新たに合成されたグリコサミノグリカンのCPC沈殿によって強膜プロテオグリカン合成を測定する。シンチレーション計数を使用して放射活性を測定し、放射活性量を、対応のあるt-検定によってすべての動物の群の右眼と左眼との間で、およびANOVAを使用する異なる群間での比較(CPMとして)を行う。動物は、承認された動物施設において飼育し、実験手順のすべてを、施設により承認を受けたIACUCプロトコール下で行う。
【0154】
[0106]さらに、液体クロマトグラフィー質量分析法(LC/MS)によって、ドーパミン、代謝産物(HVAおよびDOPAC)およびCAP4719のレベルを定量するための分析方法を使用して、さらなる評価に組織を使用する。
【0155】
[0107]結果
[0108]右眼にゴーグルを装着し(近視)、高用量、低用量のCAP4719化合物またはそのビヒクルのいずれかを注射した。プロテオグリカン合成は、最後の用量の4時間後に、グリコサミノグリカンに組み込まれた35SO4の量(cpm)として測定した。右眼は、プロテオグリカン合成の割合が一層高いことが予測される。プロテオグリカン合成の割合が一層高いことは、近眼の発達率が増大していることに関連している。高用量および低用量の化合物の施用は、プロテオグリカン合成の増大を完全に遮断しなかったが、左(対照)眼よりも割合が高いことは、CAP4719処置された眼では、ビヒクルと比較すると一層、低いように思われる。処置した眼の右眼におけるプロテオグリカン合成の割合がより低いことにより、ビヒクル処置した眼と比較して、伸長率が一層緩徐になる(および、近視の程度がより低い)ことが予想されると思われる。結果が、
図3および
図4に示されている。
【0156】
[0109]参考文献
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[0110]他の等価物
[0111]本明細書に開示されている特徴はすべて、任意の組合せで組み合わされてもよい。本明細書において開示されている各特徴は、同じ目的、等価目的または類似目的を果たす代替特徴によって置き換えられてもよい。したがって、特に明示的に記されていない限り、開示されている各特長は、一般的な一連の等価な特徴または類似の特徴の単なる例に過ぎない。
【0157】
[0112]上記の記載から、当業者は、本発明の必須特徴を容易に確認することができ、その趣旨および範囲から逸脱することなく、本発明の様々な変更および修正を行い、様々な使用および条件に本発明を適合させることができる。したがって、他の実施形態もまた、以下の特許請求の範囲内にある。
【国際調査報告】