(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-27
(54)【発明の名称】活性薬剤の制御された放出を有するパッケージングシステム
(51)【国際特許分類】
B32B 27/18 20060101AFI20231117BHJP
B32B 27/32 20060101ALI20231117BHJP
B32B 27/30 20060101ALI20231117BHJP
B65D 65/40 20060101ALI20231117BHJP
【FI】
B32B27/18 F
B32B27/32 Z
B32B27/30 102
B65D65/40 D
B65D65/40 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023529020
(86)(22)【出願日】2021-11-17
(85)【翻訳文提出日】2023-06-28
(86)【国際出願番号】 US2021072474
(87)【国際公開番号】W WO2022109572
(87)【国際公開日】2022-05-27
(32)【優先日】2020-11-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521195892
【氏名又は名称】ソーフレッシュ, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ベリアス, ウィリアム ピー.
(72)【発明者】
【氏名】トーマス, トビー アール.
(72)【発明者】
【氏名】ドブレスキ, デイビッド ブイ.
【テーマコード(参考)】
3E086
4F100
【Fターム(参考)】
3E086AB01
3E086AB02
3E086AC07
3E086AD01
3E086AD05
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3E086BA04
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3E086BB15
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3E086BB74
3E086CA01
3E086CA05
3E086CA22
3E086DA08
4F100AK04A
4F100AK04C
4F100AK07A
4F100AK21B
4F100AK63A
4F100AK63C
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4F100AL07C
4F100BA02
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4F100CA04B
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4F100GB16
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4F100JB05B
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4F100YY00A
4F100YY00B
4F100YY00C
(57)【要約】
製品(例えば、食品)を貯蔵するために適したパッケージングシステムが、本明細書で提供される。上記パッケージングシステムは、パッケージングシステムの製造を過ぎているが、それらの機能的使用と同時に起こる時点において(例えば、食品パッケージング工程において)、活性薬剤の制御された放出を提供する多層フィルム構造体から作製される。上記多層フィルム構造体は、湿度に対して感受性である組成を有し、これは、上記構造体を、バリアから、多層フィルム構造体内に装填された活性薬剤の伝達物質へと変換する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
湿度誘発製品を貯蔵するためのパッケージングシステムであって、前記システムは、
前記湿度誘発製品の周りに内部空間を提供するように構成された少なくとも2つの多層フィルム構造体であって、ここで各多層フィルム構造体は、独立して、以下:
コア構造層であって、ここで前記コア構造層は、任意の湿度および/または温度において前記活性薬剤に透過性である物質を含むコア構造層;ならびに
バリア活性化層であって、ここで前記バリア活性化層のうちの少なくともいくつかは、前記コア構造層と接触している水分感受性層であるバリア活性化層、
を含む多層フィルム構造体,ならびに
活性薬剤であって、ここで前記活性薬剤は、液体形態にある少なくとも1種の揮発性化合物を含み、前記活性薬剤は、各多層フィルム構造体内の隣接するコア構造層間の界面において分配される、活性薬剤、
を含み;
ここで前記内部空間に存在する前記湿度誘発製品がない場合、前記活性薬剤は、前記内部空間へと実質的に透過せず;
ここで前記多層フィルム構造体は、前記湿度誘発製品が前記内部空間に存在する場合に、前記活性薬剤の前記内部空間への放出を制御するために切除の存在を必要とせず;
ここで(i)前記内部空間が少なくとも60% 相対湿度の水分レベルを有する場合、または(ii)前記内部空間が、前記システムの外部を取り囲む周囲湿度より高い相対湿度を有する場合、または(i)および(ii)の両方である場合、前記活性薬剤と前記内部空間との間の前記バリア活性化層は、経時的に、前記活性薬剤に対するそれらのバリア特性を失い、それによって、前記活性薬剤を前記内部空間へと放出する、
システム。
【請求項2】
前記活性薬剤は、ピルビン酸エチルを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記コア構造層は、独立して、ポリエチレンもしくはポリプロピレン、またはこれらの組み合わせを含む、請求項1または2に記載のシステム。
【請求項4】
前記水分感受性層は、独立して、エチレンビニルアルコールもしくはポリビニルアルコール、またはこれらの組み合わせを含む、請求項1~3のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項5】
前記水分感受性層は、ポリビニルアルコールを含み、ここで前記ポリビニルアルコールは、1種またはこれより多くの親水性物質で可塑化される、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記1種またはこれより多くの親水性物質は、グリセロールまたは水を含む、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記水分感受性層は、エチレンビニルアルコールを含み、ここで前記エチレンビニルアルコールは、20モル%~40モル%の間のエチレンを含む、請求項4に記載のシステム。
【請求項8】
前記活性薬剤は、ピルビン酸エチルを含み、
前記コア構造層は、独立して、ポリエチレンを含み、
前記水分感受性層は、独立して、エチレンビニルアルコールもしくはポリビニルアルコール、またはこれらの組み合わせを含む、
請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記製品を保持するトレイであって、ここで前記多層フィルム構造体は、前記トレイおよび前記製品の周りを包むトレイ、
をさらに含む、請求項1~8のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項10】
前記製品を保持する容器であって、ここで前記多層フィルム構造体は、前記容器に対する蓋を形成する容器、
をさらに含む、請求項1~8のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項11】
前記容器は、剛性の容器である、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記システムは、パウチである、請求項1~8のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項13】
前記多層フィルム構造体の前記最も外側のバリア活性化層および前記最も内側のバリア活性化層は、両親媒性相溶化剤層である、請求項1~12のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項14】
前記多層フィルム構造体の前記最も外側のバリア活性化層および前記最も内側のバリア活性化層は、任意の湿度および/または温度において前記活性薬剤に対して透過性の物質を含むさらなる層である、請求項1~12のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項15】
前記多層フィルム構造体の前記最も外側のバリア活性化層および前記最も内側のバリア活性化層は、ポリエチレンを含む、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
(i)前記最も外側のバリア活性化層は、0.00001インチ~0.001インチの間の平均厚みを有するか、または(ii)前記最も内側のバリア活性化層は、0.00025インチ~0.003インチの間の平均厚みを有するか、または(i)および(ii)の両方である、請求項14または15に記載のシステム。
【請求項17】
前記最も外側のバリア活性化層は、0.00001インチ~0.001インチの間の平均厚みを有し、前記最も内側のバリア活性化層は、0.00025インチ~0.003インチの間の平均厚みを有する、請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
前記さらなる層および前記コア構造層は、実質的に同じ平均厚みを有する、請求項14~17のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項19】
前記バリア活性化層のうちの少なくともいくつかの他のものは、コア構造層と水分感受性層との間に配置された両親媒性相溶化剤層であり、その結果、前記コア構造層は前記水分感受性層に接着する、請求項1~18のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項20】
前記バリア活性化層のうちの少なくともいくつかの他のものは、コア構造層と水分感受性層との間および/または水分感受性層と前記さらなる層との間に配置された両親媒性相溶化剤層であり、その結果、前記コア構造層は前記水分感受性層に接着する、および/または前記水分感受性層はさらなる層に接着する、請求項14~19のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項21】
前記両親媒性相溶化剤層は、無水マレイン酸コポリマーを含む、請求項13、19および20のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項22】
前記両親媒性相溶化剤層は、任意の湿度および/または温度において前記活性薬剤に対して透過性の物質をさらに含む、請求項21に記載のシステム。
【請求項23】
前記両親媒性相溶化剤層は、独立して、無水マレイン酸コポリマーおよびポリエチレンのブレンドを含む、請求項13および19~22のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項24】
前記両親媒性相溶化剤層は、1ミクロン~10ミクロンの間の平均厚みを有する、請求項13および19~23のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項25】
前記水分感受性層は、0.5ミクロン~25ミクロンの間の平均厚みを有する、前述の請求項のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項26】
合わされた前記バリア活性化層の平均厚みは、前記システムの全体の平均厚みの少なくとも1%である、前述の請求項のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項27】
前記コア構造層の各々は、5ミクロン~75ミクロンの間の平均厚みを有する、前述の請求項のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項28】
前記水分感受性層は、ナノマーを含む、前述の請求項のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項29】
ナノマーは、板状構造を有する、請求項28に記載のシステム。
【請求項30】
前記前記ナノマーのうちの少なくともいくらかは、モンモリロナイト無機クレイである、請求項28または29に記載のシステム。
【請求項31】
前記ナノマーのうちの少なくともいくらかは、プレコートされる、請求項28~30のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項32】
前記システムの外部を取り囲む平均周囲湿度は、50%~70%の間である、前述の請求項のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項33】
前記活性薬剤は、活性薬剤が前記システムの外部の周囲に放出される移動速度より大きい移動速度において、前記システムの前記内部空間に放出される、請求項32に記載のシステム。
【請求項34】
前記活性薬剤と前記内部空間との間の前記バリア活性化層は、経時的に、前記活性薬剤に対するそれらのバリア特性を失い、それによって、前記内部空間の相対湿度が前記システムの外部を取り囲む周囲湿度より10%高いかまたはこれより高い場合に、前記活性薬剤を前記内部空間へと放出する、前述の請求項のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項35】
前記活性薬剤は、少なくとも0.001g 活性薬剤/平方メートル/日の移動速度において前記システムの前記内部空間に放出される、前述の請求項のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項36】
前記活性薬剤は、0.001g~10g 活性薬剤/平方メートル/日の間の移動速度において前記システムの前記内部空間に放出される、請求項35に記載のシステム。
【請求項37】
前記活性薬剤は、前記内部空間が少なくとも60% 相対湿度の水分レベルを有する場合、最初の10日間で、0.1g/m
2/日~10g/m
2/日の間の平均速度において前記内部空間に放出される、請求項35または36に記載のシステム。
【請求項38】
前記活性薬剤は、前記内部空間が少なくとも99% 相対湿度の水分レベルを有する場合、最初の10日間で、1mg/m
2/日~5mg/m
2/日の間の平均速度において前記内部空間に放出される、請求項35~38のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項39】
前記ポリエチレンは、直鎖状低密度ポリエチレンである、前述の請求項のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項40】
前記多層フィルム構造体は、ブローフィルムプロセスによって製造される、前述の請求項のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項41】
前記製品は、食品である、前述の請求項のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項42】
前記食品は、パン類、チーズまたは食肉である、請求項41に記載のシステム。
【請求項43】
前記食品は、パン一塊である、請求項41に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本出願は、2020年11月18日出願の米国仮出願第63/115,510号(その全開示は、その全体において本明細書に参考として援用される)に基づく優先権および利益を主張する。
【0002】
分野
本開示は一般に、パッケージング材料、およびより具体的には、湿度誘発製品(例えば、食品)を貯蔵するためのパッケージングシステムに関する。上記パッケージングシステムは、湿度誘発製品の存在下で、上記システムの内部空間に向かって放出し始める活性薬剤を含む多層フィルム構造体から作製される。
【背景技術】
【0003】
背景
ポリマーフィルム(例えば、ポリエチレンまたはポリプロピレンフィルム)は、一般的なパッケージング材料である。それらはしばしば、種々の目的のために、他のポリマー物質とともに多層フィルムへと同時押し出しされる。1つのこのような目的は、食品を保存するために使用され得るパッケージング材料を作製することである。食品の1タイプは、赤色筋の食肉であり、これはしばしば、低酸素下で保存される。他のポリマーフィルムは、水分に感受性の食品または水分を保持することが必要とされる食品(例えば、焼成品(baked goods))を貯蔵し得る、水分の透過を低減するように設計される。別のクラスのフィルムは、生鮮食品の貯蔵寿命を延ばし得る抗微生物添加剤が装填され得る。このクラスのパッケージング材料は、生産から使用の間の期間に効力を失うことなく、適切な時間で抗微生物添加剤を分与するためにさらなる要件を有する。
【0004】
貯蔵寿命を延ばす1つの方法は、抗微生物特性を有する揮発性の有機液体にポリマーフィルム基材を含浸することである。上記抗微生物剤は、パッケージされた食品空間へと揮発して、微生物(例えば、細菌および糸状菌)の増殖を防止する。しかし、当該分野で所望されていることは、フィルムリザーバー中に上記揮発性の有機液体を、使用時(例えば、食品のパッケージング工程)まで留まらせることである。
【0005】
特に、この、本開示が対処しようとする1つの技術的課題は、パッケージング材料中の揮発性の有機液体の制御された放出である。揮発性の有機液体の放出が適切に制御されない場合、揮発性の有機液体は、パッケージング設備へと放出および蓄積され得、これは、健康被害を呈し、上記パッケージングシステムからの揮発性の有機液体の早すぎる喪失は、上記パッケージングシステムの全体的な有効性を減少させ得る。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
簡単な要旨
いくつかの局面において、湿度誘発製品を貯蔵するためのパッケージングシステムが提供される。本明細書で記載されるパッケージングシステムは、上記システムに存在する活性薬剤の放出を制御するように選択および設計された物質の組み合わせを使用することによって、上記の技術的課題を解決する。上記活性薬剤の放出は、水分レベルおよび/または相対湿度に基づく。例えば、上記パッケージングシステムの内部空間がある特定の水分レベルを有するか、または上記内部空間が上記システムの外部を取り囲む周囲湿度より高い相対湿度を有する場合、活性薬剤は、上記内部空間へと制御された様式で放出される。
【0007】
いくつかの実施形態において、上記パッケージングシステムは、少なくとも2つの多層フィルム構造体を含む。いくつかの実施形態において、上記パッケージングシステムは、活性薬剤を含む。いくつかの実施形態において、上記多層フィルム構造体は、上記湿度誘発製品の周りに内部空間を提供するように構成される。例えば、上記パッケージングシステムは、パウチの形態にあり得る。
【0008】
いくつかの実施形態において、各多層フィルム構造体は、独立して、コア構造層を含む。いくつかの実施形態において、上記コア構造層は、任意の湿度および/または温度において上記活性薬剤に対して透過性である物質を含む。いくつかの実施形態において、各多層フィルム構造体は、独立して、バリア活性化層を含む。いくつかの実施形態において、上記バリア活性化層のうちの少なくともいくつかは、上記コア構造層と接触している水分感受性層である。いくつかの実施形態において、各多層フィルム構造体は、独立して、活性薬剤を含む。いくつかの実施形態において、上記活性薬剤は、液体形態にある少なくとも1種の揮発性化合物を含む。いくつかの実施形態において、上記活性薬剤は、各多層フィルム構造体内の隣接するコア構造層間の界面において分配される。いくつかの実施形態において、上記内部空間に存在する上記湿度誘発製品がない場合、上記活性薬剤は、上記内部空間へと実質的に透過しない。いくつかの実施形態において、上記多層フィルム構造体は、上記湿度誘発製品が上記内部空間に存在する場合に、上記活性薬剤の上記内部空間への放出を制御するために切除(ablations)の存在を必要としない。いくつかの実施形態において、(i)上記内部空間が少なくとも60% 相対湿度の水分レベルを有する場合、または(ii)上記内部空間が、上記システムの外部を取り囲む周囲湿度より高い相対湿度を有する場合、または(i)および(ii)の両方である場合、上記活性薬剤と上記内部空間との間の上記バリア活性化層は、経時的に、上記活性薬剤に対するそれらのバリア特性を失い、それによって、上記活性薬剤を上記内部空間へと放出する。
【0009】
いくつかの実施形態において、上記活性薬剤は、ピルビン酸エチルを含む。いくつかの実施形態において、上記コア構造層は、独立して、ポリエチレンもしくはポリプロピレン、またはこれらの組み合わせを含む。いくつかの実施形態において、上記水分感受性層は、独立して、エチレンビニルアルコールもしくはポリビニルアルコール、またはこれらの組み合わせを含む。いくつかの実施形態において、上記水分感受性層は、ポリビニルアルコールを含み、ここで上記ポリビニルアルコールは、1種またはこれより多くの親水性物質で可塑化される。いくつかの実施形態において、上記1種またはこれより多くの親水性物質は、グリセロールまたは水を含む。いくつかの実施形態において、上記水分感受性層は、エチレンビニルアルコールを含み、ここで上記エチレンビニルアルコールは、20モル%~40モル%の間のエチレンを含む。
【0010】
いくつかの実施形態において、上記活性薬剤は、ピルビン酸エチルを含む。いくつかの実施形態において、上記コア構造層は、独立して、ポリエチレンを含む。いくつかの実施形態において、上記水分感受性層は、独立して、エチレンビニルアルコールもしくはポリビニルアルコール、またはこれらの組み合わせを含む。
【0011】
いくつかの実施形態において、上記システムは、上記製品を保持するトレイをさらに含む。いくつかの実施形態において、上記多層フィルム構造体は、上記トレイおよび上記製品の周りを包む。いくつかの実施形態において、上記システムは、上記製品を保持する容器であって、ここで上記多層フィルム構造体は、上記容器に対する蓋を形成する容器をさらに含む。いくつかの実施形態において、上記容器は、剛性の容器である。いくつかの実施形態において、上記システムは、パウチである。いくつかの実施形態において、
【0012】
いくつかの実施形態において、上記多層フィルム構造体の上記最も外側のバリア活性化層および上記最も内側のバリア活性化層は、両親媒性相溶化剤層である。いくつかの実施形態において、上記多層フィルム構造体の上記最も外側のバリア活性化層および上記最も内側のバリア活性化層は、任意の湿度および/または温度において上記活性薬剤に対して透過性の物質を含むさらなる層である。いくつかの実施形態において、上記多層フィルム構造体の上記最も外側のバリア活性化層および上記最も内側のバリア活性化層は、ポリエチレンを含む。いくつかの実施形態において、(i)上記最も外側のバリア活性化層は、0.00001インチ~0.001インチの間の平均厚みを有するか、または(ii)上記最も内側のバリア活性化層は、0.00025インチ~0.003インチの間の平均厚みを有するか、または(i)および(ii)の両方である。いくつかの実施形態において、上記最も外側のバリア活性化層は、0.00001インチ~0.001インチの間の平均厚みを有し、上記最も内側のバリア活性化層は、0.00025インチ~0.003インチの間の平均厚みを有する。いくつかの実施形態において、上記さらなる層および上記コア構造層は、実質的に同じ平均厚みを有する。
【0013】
いくつかの実施形態において、上記バリア活性化層のうちの少なくともいくつかの他のものは、コア構造層と水分感受性層との間に配置された両親媒性相溶化剤層であり、その結果、上記コア構造層は上記水分感受性層に接着する。いくつかの実施形態において、上記バリア活性化層のうちの少なくともいくつかの他のものは、コア構造層と水分感受性層との間、および/または水分感受性層と上記さらなる層との間に配置された両親媒性相溶化剤層であり、その結果、上記コア構造層は、上記水分感受性層に接着する、および/または上記水分感受性層はさらなる層に接着する。いくつかの実施形態において、上記両親媒性相溶化剤層は、無水マレイン酸コポリマーを含む。いくつかの実施形態において、上記両親媒性相溶化剤層は、任意の湿度および/または温度において上記活性薬剤に対して透過性である物質をさらに含む。いくつかの実施形態において、上記両親媒性相溶化剤層は、独立して、無水マレイン酸コポリマーおよびポリエチレンのブレンドを含む。いくつかの実施形態において、上記両親媒性相溶化剤層は、1ミクロン~10ミクロンの間の平均厚みを有する。
【0014】
いくつかの実施形態において、上記水分感受性層は、0.5ミクロン~25ミクロンの間の平均厚みを有する。いくつかの実施形態において、合わされた上記バリア活性化層の平均厚みは、上記システムの全体の平均厚みの少なくとも1%である、前述の請求項のいずれか1項に記載のシステム。いくつかの実施形態において、上記コア構造層は、5ミクロン~75ミクロンの間の平均厚みを有する。
【0015】
いくつかの実施形態において、上記水分感受性層は、ナノマーを含む、前述の請求項のいずれか1項に記載のシステム。いくつかの実施形態において、ナノマーは、板状構造を有する。いくつかの実施形態において、上記ナノマーのうちの少なくともいくらかは、モンモリロナイト無機クレイである。いくつかの実施形態において、上記ナノマーのうちの少なくともいくらかは、プレコートされる。
【0016】
いくつかの実施形態において、上記システムの外部を取り囲む平均周囲湿度は、50%~70%の間である。いくつかの実施形態において、上記活性薬剤は、活性薬剤が上記システムの外部の周囲に放出される移動速度より大きい移動速度において、上記システムの内部空間に放出される。いくつかの実施形態において、上記活性薬剤と上記内部空間との間の上記バリア活性化層は、経時的に、上記活性薬剤に対するそれらのバリア特性を失い、それによって、上記内部空間の相対湿度が上記システムの外部を取り囲む周囲湿度より10%高いかまたはこれより高い場合に、上記活性薬剤を上記内部空間に放出する。いくつかの実施形態において、上記活性薬剤は、少なくとも0.001g 活性薬剤/平方メートル/日の移動速度において上記システムの内部空間に放出される。いくつかの実施形態において、上記活性薬剤は、0.001g~10g 活性薬剤/平方メートル/日の間の移動速度において上記システムの内部空間に放出される。いくつかの実施形態において、上記活性薬剤は、上記内部空間が少なくとも60% 相対湿度の水分レベルを有する場合、最初の10日間で、0.1g/m2/日~10g/m2/日の間の平均速度において上記内部空間に放出される。いくつかの実施形態において、上記活性薬剤は、上記内部空間が少なくとも99% 相対湿度の水分レベルを有する場合、最初の10日間で、1mg/m2/日~5mg/m2/日の間の平均速度において上記内部空間に放出される。
【0017】
いくつかの実施形態において、上記ポリエチレンは、直鎖状低密度ポリエチレンである。いくつかの実施形態において、上記多層フィルム構造体は、ブローフィルムプロセスによって製造される。いくつかの実施形態において、上記製品は、食品である。いくつかの実施形態において、上記食品は、パン類、チーズまたは食肉である。いくつかの実施形態において、上記食品は、パン一塊である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図面の説明
本出願は、添付の図面とともに理解される場合に、以下の説明に言及することによって最良に理解され得る。添付の図面において、類似のパーツは、類似の番号によって言及され得る。
【0019】
【
図1】
図1、2Aおよび2Bは、食品を貯蔵するための例示的なパッケージングパウチを示す。その示されるパッケージングパウチは、種々の例示的な多層フィルム構造体から作製される。図中に示される層の厚みがスケールどおりでないことは、理解されるべきである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
詳細な説明
以下の説明は、例示的な組成物、システム、方法、パラメーターなどを示す。しかし、このような説明が、本開示の範囲に対する限定として意図されるのではなく、代わりに、例示的な実施形態の説明として提供されることは認識されるべきである。
【0021】
エチレンビニルアルコール(EVOH)およびポリビニルアルコール(PVOH)は、揮発性有機液体物質に対する公知のバリア物質である。これらのポリマーは、酸素に対する透過性を低減するために、パッケージングフィルム中でしばしば使用される。それらはまた、水分に対する抵抗性が非常に不十分であることが公知であり、このことは、それらが機能的特性を喪失することを引き起こす。本明細書で記載されるパッケージングシステムは、EVOHおよび/またはPVOHを、多層フィルム構造体内のポリマーフィルムの水分活性化層として使用する。より具体的には、EVOHおよび/またはPVOHが、本明細書で記載されるパッケージングシステムにおいて使用される場合、それらは、上記パッケージの内部からの水分を吸収し得、湿度誘発製品(例えば、食品)の存在下でバリア特性を失い得る。
【0022】
本明細書で記載されるパッケージングシステムは、上記パッケージングシステムの製造を過ぎているが、それらの機能的使用と同時に起こる時点において、活性薬剤のプログラムされた放出を提供する。本明細書中のパッケージングシステムの多層フィルム構造体は、湿度に対して感受性である組成を有し、これは、上記構造体を、バリアから、上記活性薬剤の伝達物質へと変換する。
【0023】
いくつかの局面において、パッケージングシステム中に貯蔵された製品の貯蔵寿命を延ばすために、抗微生物特性を有する活性薬剤を装填した少なくとも1つの多層フィルム構造体を含むパッケージングシステムが提供される。いくつかの実施形態において、上記活性薬剤が装填された2つの多層フィルム構造体を含むパッケージングシステムが提供される。上記多層フィルム構造体は、上記パッケージングシステム中に貯蔵された製品の周りに内部空間を提供する。
【0024】
例えば、ある特定の実施形態において、上記パッケージングシステムは、パウチである。いくつかのバリエーションでは、上記パウチの側面のうちの少なくとも一部はシールされ、上記パウチの側面のうちの少なくとも一部は、上記パウチへの製品の挿入を可能にするためにシールされない。ある特定のバリエーションでは、上記パウチのうちの少なくとも一部は、本明細書で記載される多層フィルム構造体から作製され、上記パウチのうちの残りの部分は、他の物質から作製される。
【0025】
他の実施形態において、上記パッケージングシステムはまた、上記製品を保持するトレイを含み、上記多層フィルム構造体は、上記トレイおよび上記製品の周りを包む。さらに他の実施形態において、上記パッケージングシステムはまた、上記製品を保持する容器を含み、上記多層フィルム構造体は、上記容器に対する蓋を形成する。いくつかのバリエーションでは、上記容器は、剛性の容器である。
【0026】
上記パッケージングシステムが湿度誘発製品を保持する場合、上記パッケージングシステムの内部における水分レベルは増大する。上記多層フィルム構造体中に装填された活性薬剤は、以下の場合に、上記パッケージングシステムの内部に向かって放出される:
(i)上記パッケージングシステムの内部空間における水分レベルが、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、もしくは少なくとも95% 相対湿度、または60%~100%の間、70%~100%の間、80%~100%の間、85%~100%の間、90%~100%の間、95%~100%の間、もしくは95%~99%の間の相対湿度に達する;あるいは
(ii)上記パッケージングシステムの内部における相対湿度が、上記パッケージングシステムの外部を取り囲む周囲湿度より高い;あるいは
(iii)上記パッケージングシステムの内部における相対湿度が、上記パッケージングシステムの外部を取り囲む周囲湿度より少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、もしくは少なくとも50%高い、あるいは
(i)~(iii)の任意の組み合わせ。
【0027】
本明細書で記載されるパッケージングシステムは、湿度誘発製品(例えば、食品)を貯蔵するために使用され得る。適切な食品としては、例えば、ベーカリー製品(bakery products)、チーズ製品または食肉製品が挙げられ得る。1つのバリエーションでは、上記製品は、パンであり、またはより具体的には、パン一塊である。
【0028】
上記パッケージングシステム(上記多層フィルム構造体を含む)、ならびに上記パッケージングシステムの使用およびこれを生成するための製造プロセスは、以下でさらに詳細に記載される。
【0029】
多層フィルム構造体
いくつかの局面において、コア構造層およびバリア活性化層を含む多層フィルム構造体が提供される。一般には、上記コア構造層は、引張り強さを提供するために、または厚みのために存在する。上記コア構造層がもたらす1つの主な特性は、透明性である。上記バリア活性化層は、接着剤、バリア、伝達および/または表面特性層であり得る機能的層である。表面特性としては、例えば、スリップレベル(slip level)および表面エネルギーおよびアンチブロッキング(anti-block)が挙げられる。
【0030】
いくつかの実施形態において、上記活性薬剤は、各多層フィルム構造体内の隣接するコア構造層の間の界面において分配される。いくつかの実施形態において、上記パッケージングシステムは、上記コア/構造/伝達/接着層が上記活性薬剤に接して配置され、上記機能的/バリア/伝達層が上記活性薬剤から遠くに配置されるように設計される。
【0031】
上記パッケージングシステムを取り囲む状態が変化する(例えば、上記パッケージングシステムの内部空間における水分レベルが増大する)場合、上記活性薬剤は蒸発し、蒸気形態において上記パッケージングシステムの内部空間に向かって拡散する。本明細書で記載されるパッケージングシステムは、上記パッケージングシステムの内部空間へと上記活性薬剤を放出するために、多数の層にわたる切除を必要としない。
【0032】
コア構造層
コア構造層は、上記パッケージングシステムに強度を与える。いくつかの実施形態において、上記コア構造層は、任意の湿度および/または温度において上記活性薬剤に対して透過性である物質を含む。いくつかの実施形態において、上記コア構造層は、ポリオレフィンを含む。ある特定の実施形態において、上記コア構造層は、ポリエチレンを含む。いくつかのバリエーションでは、上記ポリエチレンは、低密度ポリエチレン(LDPE)もしくは直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、またはこれらの組み合わせである。1つのバリエーションでは、上記ポリエチレンは、LLDPEである。
【0033】
バリア活性化層
上記バリア活性化層は、上記多層フィルム構造体における活性薬剤の制御された放出に寄与する種々のタイプの層を含む。いくつかの実施形態において、上記バリア活性化層のうちの少なくともいくつかは、水分感受性の機能的層である。経時的に、水分は、これらの層が上記活性薬剤に対するそれらのバリア特性を失うことを引き起こし、それによって、上記活性薬剤がこれらの層を経て拡散することを可能にする。ある特定の実施形態において、上記水分感受性の機能的層は、上記コア構造層と接触しているが、液体形態にある上記活性薬剤から分離されている(または接触した状態にない)。ある特定のバリエーションでは、上記水分感受性の機能的層は、独立して、エチレンビニルアルコール(EVOH)、ポリビニルアルコール(PVOH)、デンプン、酢酸セルロース、ポリエステル、ナイロン(例えば、ナイロン6またはナイロン6/6)、またはこれらの任意の組み合わせを含む。1つのバリエーションでは、上記水分感受性の機能的層は、EVOHを含む。
【0034】
いくつかの実施形態において、上記水分感受性層は、ポリビニルアルコールを含む。いくつかの実施形態において、上記ポリビニルアルコールは、1種またはこれより多くの親水性物質で可塑化される。いくつかの実施形態において、上記1種またはこれより多くの親水性物質は、グリセロールまたは水を含む。
【0035】
いくつかの実施形態において、上記水分感受性層は、エチレンビニルアルコールを含む。いくつかの実施形態において、上記エチレンビニルアルコールは、1モル%~50モル%;5モル%~50モル%;10モル%~40モル%;15モル%~40モル%;20モル%~40モル%;20モル%~35モル%;25モル%~35モル%;または25モル%~30モル%の間のエチレンを含む。
【0036】
ある特定の実施形態において、上記バリア活性化層は、両親媒性相溶化剤層をさらに含み得る。いくつかのバリエーションでは、上記両親媒性相溶化剤層は、コア構造層と水分感受性の機能的層との間に配置される。上記両親媒性相溶化剤層は、上記コア構造層と上記水分感受性の機能的層との間の界面において接着を作り出す、ならびに上記活性薬剤に関する水分感受性の機能的層の透過性を変化させるという両方の点から、上記コア構造層を上記水分感受性の機能的層とより適合性にすることを助ける。ある特定のバリエーションでは、上記両親媒性相溶化剤層は、無水マレイン酸コポリマー、および必要に応じて、任意の湿度および/または温度において上記活性薬剤に対して透過性である物質を含む。例えば、1つのバリエーションでは、上記両親媒性相溶化剤層は、無水マレイン酸コポリマーおよびポリエチレンのブレンドを含む。
【0037】
さらに他の実施形態において、上記バリア活性化層は、上記多層フィルム構造体の上記最も外側のバリア活性化層および上記最も内側のバリア活性化層として、任意の湿度および/または温度において上記活性薬剤に対して透過性の物質を含む薄い層をさらに含み得る。
【0038】
いくつかの実施形態において、上記多層フィルム構造体の上記最も外側のバリア活性化層および上記最も内側のバリア活性化層は、任意の湿度および/または温度において上記活性薬剤に対して透過性の物質を含むさらなる層である。いくつかの実施形態において、上記多層フィルム構造体の上記最も外側のバリア活性化層および上記最も内側のバリア活性化層は、ポリエチレンを含む。いくつかの実施形態において、(i)上記最も外側のバリア活性化層は、0.00001インチ~0.001インチの間の平均厚みを有するか、または(ii)上記最も内側のバリア活性化層は、0.00025インチ~0.003インチの間の平均厚みを有するか、または(i)および(ii)の両方である。いくつかの実施形態において、上記最も外側のバリア活性化層は、0.00001インチ~0.001インチの間の平均厚みを有し、上記最も内側のバリア活性化層は、0.00025インチ~0.003インチの間の平均厚みを有する。
【0039】
いくつかの実施形態において、上記最も外側のバリア活性化層は、0.1μm~100μmの間;1μm~100μmの間;5μm~50μmの間;10μm~50μmの間;10μm~40μmの間;15μm~35μmの間;または20μm~30μmの間の平均厚みを有する。
【0040】
いくつかの実施形態において、上記さらなる層および上記コア構造層は、実質的に同じ平均厚みを有する。いくつかの実施形態において、上記さらなる層および上記コア構造層が実質的に同じ平均厚みを有する場合、上記フィルムの巻き付きが低減され得る。
【0041】
いくつかの実施形態において、上記バリア活性化層のうちの少なくともいくつかの他のものは、コア構造層と水分感受性層との間に配置された両親媒性相溶化剤層であり、その結果、上記コア構造層は、上記水分感受性層に接着する。いくつかの実施形態において、上記バリア活性化層のうちの少なくともいくつかの他のものは、水分感受性層と上記さらなる層との間に配置された両親媒性相溶化剤層である、その結果、上記水分感受性層は、さらなる層に接着する。いくつかの実施形態において、上記バリア活性化層のうちの少なくともいくつかの他のものは、コア構造層と水分感受性層との間および/または水分感受性層と上記さらなる層との間に配置された両親媒性相溶化剤層であり、その結果、上記コア構造層は上記水分感受性層に接着する、および/または上記水分感受性層はさらなる層に接着する。
【0042】
いくつかの実施形態において、上記両親媒性相溶化剤層は、無水マレイン酸コポリマーを含む。いくつかの実施形態において、上記両親媒性相溶化剤層は、任意の湿度および/または温度において上記活性薬剤に対して透過性である物質をさらに含む。いくつかの実施形態において、上記両親媒性相溶化剤層は、独立して、無水マレイン酸コポリマーおよびポリエチレンのブレンドを含む。いくつかの実施形態において、上記両親媒性相溶化剤層は、1ミクロン~10ミクロンの間の平均厚みを有する。
【0043】
いくつかの実施形態において、上記水分感受性層は、0.5ミクロン~25ミクロンの間の平均厚みを有する。いくつかの実施形態において、合わされた上記バリア活性化層の平均厚みは、上記システムの全体の平均厚みの少なくとも1%である。いくつかの実施形態において、上記水分感受性層は、0.1ミクロン~100ミクロンの間;0.1ミクロン~50ミクロンの間;0.5ミクロン~25ミクロンの間;0.5ミクロン~10ミクロンの間;または1ミクロンの間5ミクロンの間の平均厚みを有する。
【0044】
いくつかの実施形態において、上記コア構造層の各々は、5ミクロン~75ミクロンの間の平均厚みを有する。いくつかの実施形態において、上記コア構造層の各々は、1ミクロン~500ミクロンの間;1ミクロン~100ミクロンの間;5ミクロン~100ミクロンの間;5ミクロン~75ミクロンの間;10ミクロン~75ミクロンの間;または10ミクロン~50ミクロンの間の平均厚みを有する。
【0045】
いくつかの実施形態において、上記水分感受性層は、ナノマーを含む。いくつかの実施形態において、上記ナノマーは、板状構造を有する。いくつかの実施形態において、上記ナノマーのうちの少なくともいくらかは、モンモリロナイト無機クレイである。いくつかの実施形態において、上記ナノマーのうちの少なくともいくらかは、プレコートされる。
【0046】
活性薬剤
いくつかの実施形態において、上記活性薬剤は、液体形態にある少なくとも1種の揮発性化合物を含む。いくつかのバリエーションでは、上記活性薬剤は、揮発性の有機液体(OVL)または揮発性の有機化合物(VOC)を含む。いくつかのバリエーションでは、本明細書で記載されるパッケージングシステムにおいて使用される活性薬剤は、種々の真菌、細菌、および/または昆虫の増殖を阻害する。いくつかのバリエーションでは、本明細書で記載されるパッケージングシステムにおいて使用される活性薬剤は、ヒトの飲食(human consumption)に適している。
【0047】
ある特定の実施形態において、本明細書で記載されるパッケージングシステムにおける使用に適した活性薬剤は、以下の特性のうちの1またはこれより多くのものを有する: (i)室温での蒸気圧;(ii)200℃未満の沸点;(iii)上記コア構造層に関して記載される物質(例えば、ポリエチレンまたは他のポリオレフィン)を経て容易に拡散し得る;および(iv)上記水分感受性の機能的層に関して記載される物質(例えば、EVOHおよびPVOH)を経て容易に拡散し得ない。
【0048】
いくつかのバリエーションでは、上記活性薬剤は、アルキルピルベート、カルバクロール、チモール、オイゲノール、レモングラスオイル、シナモン精油、オレガノ精油、またはシンナムアルデヒドを含む。いくつかのバリエーションでは、上記アルキルピルベートは、C1-10アルキルピルベートである。いくつかのバリエーションでは、上記アルキルピルベートは、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、またはピルビン酸プロピルである。1つのバリエーションでは、上記活性薬剤は、ピルビン酸エチルを含む。
【0049】
いくつかの実施形態において、本明細書で記載される活性薬剤の任意の組み合わせが、本明細書中のパッケージングシステムへと組み込まれ得る。
【0050】
図1を参照すると、例示的なパッケージングシステム1000は、パウチとして示される。パウチ1000は、内部空間1002において製品1010を取り囲む、2つの多層フィルム構造体1100および1200を有する。適切な湿度誘発製品としては、例えば、食品が挙げられ得る。各多層フィルム構造体は、2つの多層部分構造体から作製され、活性薬剤は、その2つの多層部分構造体の間で分配された状態である。例えば、上記パウチの多層フィルム構造体1100に関して、活性薬剤1120は、多層部分構造体1102と1104との間で、具体的には、コア構造層1130と1132との間で、液体形態において分配される。活性薬剤1120は、
図1において「OVL」または揮発性の有機液体といわれる。活性薬剤1120は、本明細書で記載されるとおりの任意の適切な薬剤を含み得る。
【0051】
水分感受性の機能的層1140および1142は、それぞれ、コア構造層1130および1132と接触した状態にあるバリア活性化層である。同様に、上記パウチの多層フィルム構造体1200に関して、活性薬剤1220は、多層部分構造体1202と1204との間で、および具体的には、コア構造層1230と1232との間で、液体形態において分配される。水分感受性の機能的層1240および1242は、それぞれ、コア構造層1230および1232と接触しているバリア活性化層である。
【0052】
再び
図1を参照すると、層1140および1240は、パウチ1000の最も内側の層である;層1142および1242は、パウチ1000の最も外側の層である。
【0053】
製品1010は、湿度誘発製品(例えば、食品)である。
図1に示されるとおりのパウチ1000の内側に配置される場合、内部空間1002の水分レベルは増大し、それによって、上記パウチの内側の相対湿度は増大する。上記パウチの内側の相対湿度が、上記パウチの外側の周囲湿度より高い場合、活性薬剤1120および1220は、上記パウチの外部に向かって拡散する活性薬剤の移動速度より大きい移動速度において、内部空間1002に向かって拡散する。
【0054】
上記内部空間に向かう上記活性薬剤の移動は、
図1において矢印によって示される。上記パウチの外部に向かう上記活性薬剤の任意の潜在的な移動は、図中に示されておらず、いくつかのバリエーションでは、(上記内部空間に向かう上記活性薬剤の移動より)比較的低いか、または無視できる程度であるはずである。
図1を参照すると、多層フィルム構造体1100に関して、活性薬剤1120が内側多層部分構造体1102を経て拡散する移動速度は、活性薬剤1120が外側多層部分構造体1104を経て拡散する移動(これは、ある特定の条件では無視できる程度である)より大きい。同様に、多層フィルム構造体1200に関して、活性薬剤1220が内側多層部分構造体1202を経て拡散する移動速度は、活性薬剤1220が外側多層部分構造体1204を経て拡散する移動(これは、ある特定の条件では無視できる程度である)より大きい。結果として、パウチ1000の内側の相対湿度が増大する場合、パーセンテージOVLは、上記活性薬剤が上記パウチ内部に向かって拡散するにつれて増大する。
【0055】
図1は、各多層部分構造体(例えば、1102、1104、1202および1204)を、単一のコア構造層および単一の水分感受性の機能的層を有するとして記載する一方で、他のバリエーションでは、上記多層フィルム構造体は、複数のコア構造層および/または複数の水分感受性の機能的層を有し得ることが理解されるべきである。例えば、1つのバリエーションでは、多層フィルム構造体は、1~20の間、1~15の間、1~10の間のコア構造層;または2、3、4、5、6、7、8、9、もしくは10のコア構造層を有し得る。
【0056】
上記活性薬剤、コア構造層および上記バリア活性化層に関して本明細書で記載される任意の適切な物質が、使用され得る。例えば、パッケージングシステム1000の1つの例示的な実施形態において、活性薬剤1120は、ピルビン酸エチルを含み;コア構造層1130、1132、1230、および1232は、LLDPEを含み;水分感受性の機能的層1140、1142、1240、および1242は、EVOHを含む。
【0057】
他の例示的なパッケージングシステムでは、上記多層フィルム構造体は、上記多層フィルム構造体内に分配された上記活性薬剤の放出を制御するために、さらなるタイプのバリア活性化層を含み得る。いくつかの実施形態において、このようなさらなるバリア活性化層は、両親媒性相溶化剤層である。
【0058】
図2Aを参照すると、例示的なパッケージングシステム2000は、パウチとして示される。パウチ2000は、内部空間2002において製品2010を取り囲む、2つの多層フィルム構造体2100および2200を有する。各多層フィルム構造体は、2つの多層部分構造体から作製され、活性薬剤は、その2つの多層部分構造体の間で分配された状態である。例えば、上記パウチの多層フィルム構造体2100に関して、活性薬剤2120は、多層部分構造体2102と2104との間で、および具体的には、コア構造層2130と2132との間で、液体形態において分配される。活性薬剤2120は、もういちど繰り返すが、「OVL」または揮発性の有機液体といわれる。活性薬剤2120は、本明細書で記載されるとおりの任意の適切な薬剤を含み得る。
【0059】
バリア活性化層は、水分感受性の機能的層2140および2142、両親媒性相溶化剤層2150、2160、2152および2162を含む。上記両親媒性相溶化剤層は、コア構造層と水分感受性の機能的層との間に配置され、その結果、上記コア構造層は、上記水分感受性の機能的層に接着する。多層フィルム構造体2100に関する例証によれば、両親媒性相溶化剤層2150は、コア構造層2130と水分感受性の機能的層2140との間に配置され、これは、層2130および2140を接着させるか、または少なくとも部分的に接着させる。
【0060】
再び
図2Aを参照すると、両親媒性相溶化剤層2160および2260は、パウチ2000の最も内側の層である;層2162および2262は、パウチ2000の最も外側の層である。
【0061】
製品1010は、湿度誘発製品(例えば、食品)である。製品2010が、
図2Aに示されるように、パウチ2000の内側に配置される場合、内部空間2002の水分レベルは増大し、それによって、上記パウチの内側の相対湿度は増大する。上記パウチの内側の相対湿度が、上記パウチの外側の周囲湿度より高い場合、活性薬剤2120および2220は、上記パウチの外部に向かって拡散する活性薬剤の移動速度より大きい移動速度において、内部空間2002に向かって拡散する。
【0062】
上記内部空間に向かう上記活性薬剤の移動は、
図2Aにおいて矢印によって示される。上記パウチの外部に向かう上記活性薬剤の任意の潜在的な移動は、図中に示されておらず、いくつかのバリエーションでは、(上記内部空間に向かう上記活性薬剤の移動より)比較的低いか、または無視できる程度であるはずである。
図2Aを参照すると、多層フィルム構造体2100に関して、活性薬剤2120が内側多層部分構造体2102を経て拡散する移動速度は、活性薬剤2120が外側多層部分構造体2104を経て拡散する移動(これは、ある特定の条件では無視できる程度である)より大きい。同様に、多層フィルム構造体2200に関して、活性薬剤2220が内側多層部分構造体2202を経て拡散する移動速度は、活性薬剤2220が外側多層部分構造体2204を経て拡散する移動(これは、ある特定の条件では無視できる程度である)より大きい。結果として、パウチ2000の内側の相対湿度が増大する場合、パーセンテージOVLは、上記活性薬剤が上記パウチ内部に向かって拡散するにつれて増大する。
【0063】
図2Aは、各多層部分構造体(例えば、2102、2104、2202および2204)を、単一のコア構造層、単一の水分感受性の機能的層、および水分感受性の機能的層のいずれの側面にも単一の両親媒性相溶化剤層を有するとして記載する一方で、他のバリエーションでは、上記多層フィルム構造体が、複数のコア構造層、複数の水分感受性の機能的層、および/または上記水分感受性の機能的層のいずれの側面にも複数の両親媒性相溶化剤層を有し得ることが理解されるべきである。例えば、1つのバリエーションでは、多層フィルム構造体は、1~20の間、1~15の間、1~10の間のコア構造層;または2、3、4、5、6、7、8、9、もしくは10のコア構造層を有し得る。
【0064】
上記活性薬剤、コア構造層および上記バリア活性化層に関して本明細書で記載される任意の適切な物質が、使用され得る。例えば、パッケージングシステム2000の1つの例示的な実施形態において、活性薬剤2120は、ピルビン酸エチルを含み;コア構造層2130、2132、2230、および2232は、LLDPEを含み;水分感受性の機能的層2140、2142、2240、および2242は、EVOHを含み;両親媒性相溶化剤層2150、2160、2152および2162は、無水マレイン酸コポリマー、または無水マレイン酸コポリマーおよびポリエチレンのブレンドを含む。
【0065】
上記多層フィルム構造体が、全体的に無水マレイン酸コポリマーから作製される両親媒性相溶化剤層を含むある特定のバリエーションでは、このような層は、1ミクロン~25ミクロンの間、2ミクロン~25ミクロンの間、2ミクロン~15ミクロンの間、2ミクロン~10ミクロンの間、または1ミクロン~5ミクロンの間の平均厚みを有する。
【0066】
上記多層フィルム構造体が無水マレイン酸コポリマーおよびポリエチレンのブレンドから作製される両親媒性相溶化剤層を含む他のバリエーションでは、上記両親媒性相溶化剤層は、99.99:0.01~0.01:99.99の間のポリエチレン 対 無水マレイン酸コポリマーの平均重量比を有する。このようなブレンドされた層は、水分が通過して移動する経路を作り出すのみならず、上記コア構造層および上記機能的層が互いに接着するための適切な接着をも提供する。
【0067】
他の実施形態において、上記多層フィルム構造体は、最も外側の層および最も内側の層(各々、任意の湿度および/または温度において上記活性薬剤に対して透過性である物質を含む)を有する。これらの層は、代表的には、旧来のフィルムと類似の表面特性(例えば、スリップおよびアンチブロッキング)を提供するする薄い層である。上記最も外側のおよび最も内側の層の厚みは、内部からの上記機能的層の水和に基づいて、上記活性薬剤の透過速度を決定することに寄与する。前述のうちのいくつかのバリエーションでは、上記最も外側の層は、0.00001インチ~0.001インチの間である、および/または上記最も内側の層は、0.00025インチ~0.003インチの間である。
【0068】
図2Bを参照すると、別の例示的なパッケージングシステム2001が、パウチとして示される。パウチ2001は、各多層部分構造体2103および2105が(多層フィルム構造体2100に関する)ならびに2203および2205(多層フィルム構造体2200に関する)が、さらなるバリア活性化層を有することを除いて、パウチ2000と類似の構成を共有する。具体的には、パウチ2001は、上記パウチの最も内側の層としてさらなるバリア活性化層2170および2270を、ならびに上記パウチの最も外側の層として2172および2272を有する。
図2A中のパウチ2000に関して本明細書で記載される他のバリエーションのうちのいずれも、
図2B中のパウチ2001にあてはまる。
【0069】
上記内部空間に向かう上記活性薬剤の移動は、
図2Bにおいて矢印によって示される。上記パウチの外部に向かう上記活性薬剤の任意の潜在的な移動は、図中に示されておらず、いくつかのバリエーションでは、(上記内部空間に向かう上記活性薬剤の移動より)比較的低いか、または無視できる程度であるはずである。
図2Bを参照すると、多層フィルム構造体2100に関して、活性薬剤2120が内側多層部分構造体2103を経て拡散する移動速度は、活性薬剤2120が外側多層部分構造体2105を経て拡散する移動(これは、ある特定の条件では無視できる程度である)より大きい。同様に、多層フィルム構造体2200に関して、活性薬剤2220が内側多層部分構造体2203を経て拡散する移動速度は、活性薬剤2220が外側多層部分構造体2205を経て拡散する移動(これは、ある特定の条件では無視できる程度である)より大きい。結果として、パウチ2000の内側の相対湿度が増大する場合、パーセンテージOVLは、上記活性薬剤が上記パウチ内部に向かって拡散するにつれて増大する。
【0070】
上記活性薬剤、コア構造層および上記バリア活性化層に関して本明細書で記載される任意の適切な物質が、使用され得る。例えば、パッケージングシステム2001の1つの例示的な実施形態において、活性薬剤2120は、ピルビン酸エチルを含み;コア構造層2130、2132、2230、および2232は、LLDPEを含み;水分感受性の機能的層2140、2142、2240、および2242は、EVOHを含み;両親媒性相溶化剤層2150、2160、2152および2162は、無水マレイン酸コポリマー、または無水マレイン酸コポリマーおよびポリエチレンのブレンドを含み;さらなるバリア活性化層2170、2172、2270および2272は、ポリエチレンを含む。
【0071】
本明細書で企図されるパッケージングパウチは、1もしくはこれより多くのまたは異なる特徴を含み得ることが理解されるべきである。例えば、
図1、2Aおよび2Bは、パウチの2つの側面(その両方が多層フィルム構造体から作製されるもの)を示すが、他のバリエーションでは、上記パウチの2つの側面のうちの1つが、他の適切なポリマーおよび他の物質から作製され得る。
図1における例示的なパウチ1000を使用して、この点を例証すると、パウチ1000は、多層フィルム構造体1100が、示されるとおりの多層部分構造体1102および1104から作製されるように改変され得るが、多層フィルム構造体1200は、他の適切なパッケージング材料で置き換えられる。
【0072】
本明細書で記載されるパッケージングシステム(
図1、2Aおよび2Bに示される例示的なパッケージングシステムを含む)のうちのいくつかの実施形態において、上記活性薬剤は、少なくとも0.001g 活性薬剤/平方メートル/日;または0.001g~10g 活性薬剤/平方メートル/日の間の移動速度において、上記パッケージングシステムの内部に拡散する。
【0073】
いくつかの実施形態において、上記活性薬剤は、上記内部空間が少なくとも60% 相対湿度の水分レベルを有する場合、最初の10日間で、0.1g/m2/日~10g/m2/日の間の平均速度において上記内部空間に放出される。いくつかの実施形態において、上記活性薬剤は、上記内部空間が少なくとも60%;少なくとも70%;少なくとも80%;少なくとも90%;少なくとも95%;または少なくとも99% 相対湿度の水分レベルを有する場合、最初の10日間で、0.1g/m2/日~10g/m2/日の間;0.5g/m2/日~7.5g/m2/日の間;1g/m2/日~5g/m2/日の間;2g/m2/日~4g/m2/日の間;または2.5g/m2/日~3.5g/m2/日の間の平均速度において上記内部空間に放出される。いくつかの実施形態において、上記活性薬剤は、上記内部空間が少なくとも99% 相対湿度の水分レベルを有する場合、最初の10日間で、1mg/m2/日~5mg/m2/日の平均速度において上記内部空間に放出される。
【0074】
いくつかの実施形態において、上記活性薬剤と上記内部空間との間の上記バリア活性化層は、経時的に、上記活性薬剤に対するそれらのバリア特性を失い、それによって、上記内部空間の相対湿度が上記システムの外部を取り囲む周囲湿度より10%高いかまたはこれより高い場合に、上記内部空間に上記活性薬剤を放出する。
【0075】
適用に依存して、必要な性能を提供する各層の最適な厚みが存在する。パッケージングフィルムは、旧来から、水分および酸素透過性、ならびに食品を保持および保護する機械的性能に対処してきた。本明細書で記載されるパッケージングシステムは、適切な時間において(例えば、上記パッケージングシステムの製造であるが、食品パッケージング工程におけるようなそれらの機能的使用と同時に起こる)活性薬剤の放出を活性化し、上記活性薬剤を適切な速度において移動させる追加のさらなる変数を有する。
【0076】
一般に、上記湿度誘発製品に向かう上記活性薬剤の透過性の増大は、上記製品を取り囲む雰囲気への上記活性薬剤の迅速な分与を可能にするが、雰囲気への活性薬剤の喪失をも増大させる。本明細書で記載されるパッケージングシステムのうちのいくつかのバリエーションでは、ポリエチレン/無水マレイン酸コポリマーブレンド層中のポリエチレンの濃度を低減することによって、上記湿度誘発製品から上記機能的層(例えば、EVOHおよび/またはPVOH)への水分の移動が増大し、上記製品に向かう活性薬剤の移動が増大する。大気湿度は通常は低く、このことから、最も外側のバリア活性化層が吸収する水分を少なくさせ、活性薬剤に対するそのバリア特性が保存される。
【0077】
別のバリエーションでは、上記湿度誘発製品に向かう上記活性薬剤の透過性を低減すると、上記製品を取り囲む雰囲気への上記活性薬剤のゆっくりとした分与が可能になり、雰囲気への活性薬剤の喪失が低減される。これは、上記コア構造層(例えば、LDPEまたはLLDPE)間に堆積される活性薬剤の量の低減を可能にし、上記パッケージング材料の潜在的コストを低減する。
【0078】
いくつかの実施形態において、上記内部空間に存在する湿度誘発製品がない場合、上記活性薬剤は、上記内部空間へと実質的に透過しない。いくつかの実施形態において、上記多層フィルム構造体は、上記湿度誘発製品が上記内部空間に存在する場合、上記内部空間への上記活性薬剤の放出を制御するために切除の存在を必要としない。
【0079】
いくつかの実施形態において、(i)上記内部空間が少なくとも60% 相対湿度の水分レベルを有する場合、または(ii)上記内部空間が上記システムの外部を取り囲む周囲湿度より高い相対湿度を有する場合、または(i)および(ii)の両方である場合、上記活性薬剤と上記内部空間との間の上記バリア活性化層は、経時的に、上記活性薬剤に対するそれらのバリア特性を失い、それによって、上記活性薬剤を上記内部空間へと放出する。
【0080】
パッケージングシステム
いくつかの局面において、湿度誘発製品を貯蔵するためのパッケージングシステムが、本明細書で記載される。いくつかの実施形態において、上記システムは、1またはこれより多くの多層フィルム構造体を含む。いくつかの実施形態において、上記システムは、上記湿度誘発製品の周りに内部空間を提供するように構成された少なくとも2つの多層フィルム構造体を含む。いくつかの実施形態において、上記少なくとも2つの多層フィルム構造体は、単一の多層化構造物に由来する。いくつかの実施形態において、上記少なくとも2つの多層フィルム構造体は、単一の多層化構造物をそれ自体の上に折り重ねることによって形成される。いくつかの実施形態において、上記少なくとも2つの多層フィルム構造体は、同一または対称的な少なくとも2つの多層化構造物に由来する。いくつかの実施形態において、上記少なくとも2つの多層フィルム構造体は、異なるまたは非対称性の少なくとも2つの多層化構造物に由来する。
【0081】
製造方法
いくつかの局面において、本明細書で記載されるパッケージングシステム(
図1、2Aおよび2Bに示される例示的なパッケージングシステムを含む)は、適切なブローフィルム製造プロセスによって生成され得る。例えば、いくつかの実施形態において、多層ブローフィルム押し出しラインは、少なくとも1つのコア構造層および気泡の外側に向かって配向されるバリア層を有する多層フィルムを製造するために使用される。上記バリア層は、MAH/PEの層で上記コア層に接着され得る。上記気泡を萎ませ、活性薬剤は、その萎んだ層の間の界面に導入される。上記フィルムは、v折り機(v-folder)およびサイドウェルドおよび切断モジュールを含む標準的なバッグ機械を使用して、バッグへと変換される。その得られたパッケージングシステムは、任意の適切な製品(例えば、食品)が詰められ得、シールまたは縛られる(例えば、ツイストタイで)。
列挙される実施形態
1. 湿度誘発製品を貯蔵するためのパッケージングシステムであって、前記システムは、
前記湿度誘発製品の周りに内部空間を提供するように構成された少なくとも2つの多層フィルム構造体であって、ここで各多層フィルム構造体は、独立して、以下:
コア構造層であって、ここで前記コア構造層は、任意の湿度および/または温度において前記活性薬剤に対して透過性である物質を含むコア構造層;ならびに
バリア活性化層であって、ここで前記バリア活性化層のうちの少なくともいくつかは、前記構造層と接触している水分感受性層であるバリア活性化層、
を含む多層フィルム構造体,ならびに
活性薬剤であって、ここで前記活性薬剤は、液体形態にある少なくとも1種の揮発性化合物を含み、前記活性薬剤は、2つの多層フィルム構造体の間で、前記多層フィルム構造体における隣接するコア構造層の間の界面において分配される、活性薬剤、
を含み;
ここで(i)前記内部空間が少なくとも60% 相対湿度の水分レベルを有する場合、または(ii)前記内部空間が、前記システムの外部を取り囲む周囲湿度より高い相対湿度を有する場合、または(i)および(ii)の両方である場合、前記活性薬剤と前記内部空間との間の前記バリア活性化層は、経時的に、前記活性薬剤に対するそれらのバリア特性を失い、それによって、前記活性薬剤を前記内部空間へと放出する、
システム。
2. 前記活性薬剤は、ピルビン酸エチルを含む、実施形態1に記載のシステム。
3. 前記コア構造層は、独立して、ポリエチレンもしくはポリプロピレン、またはこれらの組み合わせを含む、実施形態1または2に記載のシステム。
4. 前記水分感受性層は、独立して、エチレンビニルアルコールもしくはポリビニルアルコール、またはこれらの組み合わせを含む、実施形態1~3のいずれか1つに記載のシステム。
5. 前記活性薬剤は、ピルビン酸エチルを含み、
前記コア構造層は、独立して、ポリエチレンを含み、
前記水分感受性層は、独立して、エチレンビニルアルコールもしくはポリビニルアルコール、またはこれらの組み合わせを含む、
実施形態1に記載のシステム。
6. 前記製品を保持するトレイであって、ここで前記多層フィルム構造体は、前記トレイおよび前記製品の周りを包む、トレイ、
をさらに含む、実施形態1~5のいずれか1つに記載のシステム。
7. 前記製品を保持する容器であって、ここで前記多層フィルム構造体は、前記容器に対する蓋を形成する、容器、
をさらに含む、実施形態1~5のいずれか1つに記載のシステム。
8. 前記容器は、剛性の容器である、実施形態7に記載のシステム。
9. 前記システムは、パウチである、実施形態1~5のいずれか1つに記載のシステム。
10. 前記バリア活性化層のうちの少なくともいくつかの他のものは、コア構造層と水分感受性層との間に配置された両親媒性相溶化剤層であり、その結果、前記コア構造層は、前記水分感受性層に接着する、実施形態1~9のいずれか1つに記載のシステム。
11. 前記両親媒性相溶化剤層は、無水マレイン酸コポリマーを含む、実施形態10に記載のシステム。
12. 前記両親媒性相溶化剤層は、任意の湿度および/または温度において前記活性薬剤に対して透過性である物質をさらに含む、実施形態11に記載のシステム。
13. 前記両親媒性相溶化剤層は、独立して、無水マレイン酸コポリマーおよびポリエチレンのブレンドを含む、実施形態10~12に記載のシステム。
14. 前記両親媒性相溶化剤層は、1ミクロン~10ミクロンの間の平均厚みを有する、実施形態10~13のいずれか1つに記載のシステム。
15. 前記多層フィルム構造体の前記最も外側のバリア活性化層および前記最も内側のバリア活性化層は、両親媒性相溶化剤層である、実施形態10~14のいずれか1つに記載のシステム。
16. 前記多層フィルム構造体の前記最も外側のバリア活性化層および前記最も内側のバリア活性化層は、任意の湿度および/または温度において前記活性薬剤に対して透過性の物質を含むさらなる層である、実施形態10~14のいずれか1つに記載のシステム。
17. 前記多層フィルム構造体の前記最も外側のバリア活性化層および前記最も内側のバリア活性化層は、ポリエチレンを含む、実施形態16に記載のシステム。
18. (i)前記最も外側のバリア活性化層は、0.00001インチ~0.001インチの間の平均厚みを有するか、または(ii)前記最も内側のバリア活性化層は、0.00025インチ~0.003インチの間の平均厚みを有するか、または(i)および(ii)の両方である、実施形態16または17に記載のシステム。
19. 前記最も外側のバリア活性化層は、0.00001インチ~0.001インチの間の平均厚みを有し、前記最も内側のバリア活性化層は、0.00025インチ~0.003インチの間の平均厚みを有する、実施形態18に記載のシステム。
20. 前記水分感受性層は、0.5ミクロン~25ミクロンの間の平均厚みを有する、実施形態1~19のいずれか1つに記載のシステム。
21. 合わされた前記バリア活性化層の平均厚みは、前記システムの全体の平均厚みの少なくとも1%である、実施形態1~20のいずれか1つに記載のシステム。
22. 前記コア構造層の各々は、5ミクロン~75ミクロンの間の平均厚みを有する、実施形態1~21のいずれか1つに記載のシステム。
23. 前記両親媒性相溶化剤層、隣接する前記水分感受性層、隣接するコア構造層の平均厚みの比は、1:1:15~1:1:20の間である、実施形態10~22のいずれか1つに記載のシステム。
24. 前記システムの外部を取り囲む平均周囲湿度は、50%~70%の間である、前述の実施形態のいずれか1つに記載のシステム。
25. 前記活性薬剤は、活性薬剤が前記システムの外部の周囲に放出される移動速度より大きい移動速度において、前記システムの前記内部空間に放出される、実施形態24に記載のシステム。
26. 前記活性薬剤は、少なくとも0.001g 活性薬剤/平方メートル/日の移動速度において前記システムの前記内部空間に放出される、前述の実施形態のいずれか1つに記載のシステム。
27. 前記活性薬剤は、0.001g~10g 活性薬剤/平方メートル/日の間の移動速度において前記システムの前記内部空間に放出される、実施形態26に記載のシステム。
28. 前記ポリエチレンは、直鎖状低密度ポリエチレンである、前述の実施形態のいずれか1つに記載のシステム。
29. 前記多層フィルム構造体は、ブローフィルムプロセスによって製造される、前述の実施形態のいずれか1つに記載のシステム。
30. 前記製品は、食品である、前述の実施形態のいずれか1つに記載のシステム。
31. 前記食品は、パン類、チーズまたは食肉である、実施形態30に記載のシステム。
32. 前記食品は、パン一塊である、実施形態30に記載のシステム。
【実施例】
【0082】
実施例
以下の実施例は、例証に過ぎず、本開示のいかなる局面をも如何様にも限定しないことが意味される。
【0083】
実施例1A
LLDPE/接着剤/EVOHフィルムが、80% 相対湿度を超える水分レベルに供された場合に、ピルビン酸エチルを伝達し得ることを示すために、試験を行った。試験されるフィルムは、いったんバッグがシールされる(またはツイストタイで縛られると)、そのバリア特性を失うことが観察された。そのバッグがいったんシールされた(またはツイストタイで縛られた)後の内部の相対湿度は、約90~97%であった。
【0084】
実施例1B
さらなる試行および観察から、上記パッケージングシステムのある特定のバリエーションがEVOHの表面にLLDPE(または他のタイプのPE)を適用することに関わるという観察がもたらされた。そのポリエチレンフィルムは、水分の移動(拡散)を可能にするが、その速度を顕著に低減した。
【0085】
実施例1C
また、MAH/PEブレンド層の頂部にLLDPE(または他のPE)の薄い膜を有する構造体に対して試験を行った。これは、表面特性(例えば、スリップおよびアンチブロッキング)を提供する。外側のPE層の厚みは、パウチの内部からのEVOHの水和に基づいて、ピルビン酸エチルの透過速度を変化させる。
【0086】
実施例2
この実施例に記載される方法論は、加湿条件下で、種々のフィルムタイプによる揮発性の有機液体(VOL)の放出を試験する。多数の小さなチャンバを、灯心現象式水分蒸発器(wicking moisture evaporator)のためのチャンバ中の領域を含む空気入り口および出口とともに準備した。一定流の空気ポンプを、上記チャンバ全ての空気入り口にとりつけ、出口を大気へと繋げた。灯心現象式蒸発器に水を添加した後、空気ポンプを開始し、本発明者らは、湿度センサーを使用して、各チャンバ中の内部湿度を測定した。その湿度は、何日間も一定に99%を測定した。
【0087】
各フィルムタイプを用いて、小さな3インチ×3インチのパウチを、3辺を熱溶着することによって準備し、風袋重量を確立した。上記パウチの4つめの辺を経て、測定された量のOVLを挿入した。上記パウチの4つめの辺をシールして、既知量のOVLを有する枕状のものを作製した。上記パウチを、0日目に上記チャンバのうちの1つに挿入した。上記パウチの重量を、元のパウチの風袋重量に近いレベルで重量が安定するまで1日に1回測定した。
【0088】
フィルムを、
図1におけるフィルム構造を示すためにLLDPE/接着剤/EVOHの層構造で製造した。パウチを上記のように構築し、一方を、湿度60%(これを、灯心現象式蒸発器を含めないことによって達成した)に制御されたチャンバの中に置いた。他方のパウチを、湿度を99%で維持したチャンバの中に置いた。以下のプロットにおいて観察されるように、高い方の湿度のチャンバの中のパウチは、実験の開始後15日目でOVLを全て失った。60% 湿度のチャンバの中のパウチは、OVLをほぼ何も失わなかった。以下の表1は、LLPDE/EVOHフィルムに関して、99% 湿度および60% 湿度においてフィルムパウチからのOVL重量喪失の結果を提供する。
表1.
【表1】
【0089】
実施例3
この実施例では、2つのフィルムタイプを製造した:
図1に示されるシステムに従うフィルム1;および
図2Bに示されるシステムに従うフィルム2。両方のフィルムを上記のように準備し、99% 湿度のチャンバの中に何日間も閉じ込め、その間にそれらの重量喪失を記録した。フィルム1は、0.35グラムのOVLを10日間で失った一方で、フィルム2は、0.35グラムのOVLを18日間で失った。以下の表2および表3の結果を参照のこと。
表2.
【表2】
表3.
【表3】
【0090】
これらの結果は、EVOHの頂部にあるLLDPEの膜が、EVOHのバリアに対する湿度の影響を遅らせることによって、OVLの放出を遅らせることを示す。
【国際調査報告】