(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-27
(54)【発明の名称】薬剤送達装置の圧力管理のためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
A61M 5/142 20060101AFI20231117BHJP
A61M 5/172 20060101ALI20231117BHJP
【FI】
A61M5/142 522
A61M5/172
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023529908
(86)(22)【出願日】2021-11-16
(85)【翻訳文提出日】2023-07-06
(86)【国際出願番号】 US2021059461
(87)【国際公開番号】W WO2022108903
(87)【国際公開日】2022-05-27
(32)【優先日】2020-11-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】595117091
【氏名又は名称】ベクトン・ディキンソン・アンド・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】BECTON, DICKINSON AND COMPANY
【住所又は居所原語表記】1 BECTON DRIVE, FRANKLIN LAKES, NEW JERSEY 07417-1880, UNITED STATES OF AMERICA
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】スティーブ ビギン
(72)【発明者】
【氏名】マイケル ヤーガー
(72)【発明者】
【氏名】シモン オライリー
【テーマコード(参考)】
4C066
【Fターム(参考)】
4C066BB01
4C066CC01
4C066DD11
4C066QQ25
4C066QQ35
4C066QQ41
4C066QQ58
4C066QQ85
4C066QQ92
(57)【要約】
薬剤送達装置は、電源、流体を受け入れるように構成されるリザーバ、リザーバと流体連通する流体ライン、リザーバから流体ラインへ流体を送達するように構成されるポンプ、および、ポンプに供給される電力レベルを制限するように構成される電力制限サブシステムを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源と、
流体を受け入れるように構成されるリザーバと、
前記リザーバと流体連通する流体ラインと、
前記リザーバから前記流体ラインへ流体を送達するように構成されるポンプと、
前記ポンプに供給される電力を制限するように構成される電力制限サブシステムと、
を備える、薬剤送達装置。
【請求項2】
前記電力制限サブシステムは、電流制限サブシステムを備える、
請求項1に記載の薬剤送達装置。
【請求項3】
前記電流制限サブシステムは、トランジスタまたはオプアンプを備える、
請求項2に記載の薬剤送達装置。
【請求項4】
マイクロコントローラをさらに備え、前記電力制限サブシステムは、前記ポンプに供給される前記電力を変調するように構成される前記マイクロコントローラを備える、
請求項1に記載の薬剤送達装置。
【請求項5】
前記電力は、電流のレベルを変調または制御することによって制御される、
請求項4に記載の薬剤送達装置。
【請求項6】
前記電力は、電圧のレベルを変調または制御することによって制御される、
請求項4に記載の薬剤送達装置。
【請求項7】
前記電力制限サブシステムは、活性化モードおよび非活性化モードを有する、
請求項1乃至6のいずれか1項に記載の薬剤送達装置。
【請求項8】
電子回路、リザーバ、ポンプ、流体ライン、および電源を備える薬剤送達装置の圧力管理の方法であって、
第1の電力レベルで前記ポンプを介して前記流体ラインを通じて流体を送達することと、
前記流体ライン内の圧力を検出することと、
前記流体ライン内の前記圧力が高圧閾値レベルを超えるかどうかを決定することと、
所定の状態が満たされるまで、第2の電力レベルで前記ポンプを介して前記流体ラインを通じて流体を送達することであって、前記第2の電力レベルは、前記第1の電力レベルより低い、ことと、
前記所定の状態が満たされた後、前記第1の電力レベルで前記流体ラインを通じて前記流体の送達を再開することと、
を備える方法。
【請求項9】
前記所定の状態は、前記流体ライン内の所定の圧力レベルを備える、
請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記第2の電力レベルは、電流制限サブシステムを介して提供される、
請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記電流制限サブシステムは、トランジスタまたはオプアンプを備える、
請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記第2の電力レベルは、前記ポンプに供給される電圧を変調することによって提供される、
請求項8に記載の方法。
【請求項13】
前記流体ライン内の前記圧力は、前記ポンプの作動中の前記薬剤送達装置の電流を測定することによって検出される、
請求項8乃至12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記薬剤送達装置の前記電流を測定することは、前記ポンプの作動サイクル中のピーク電流値から基準電流値を減じてストローク電流値を決定することを備える、
請求項13に記載の方法。
【請求項15】
マイクロコントローラ、リザーバ、ポンプ、流体ライン、および電源を備える薬剤送達装置の圧力管理の方法のためのコンピュータプログラム製品であって、前記マイクロコントローラによって実行されたとき、前記薬剤送達装置に、
第1の電力レベルで前記ポンプを介して前記流体ラインを通じて流体を送達することと、
前記流体ライン内の圧力を検出することと、
前記流体ライン内の前記圧力が高圧閾値レベルを超えるかどうかを決定することと、
所定の状態が満たされるまで、第2の電力レベルで前記ポンプを介して前記流体ラインを通じて流体を送達することであって、前記第2の電力レベルは、前記第1の電力レベルより低い、ことと、
前記所定の状態が満たされた後、前記第1の電力レベルで前記流体ラインを通じて前記流体の送達を再開することと、
を行わせるプログラム命令を含む少なくとも1つの非一時的なコンピュータ可読媒体を備える、コンピュータプログラム製品。
【請求項16】
前記所定の状態は、前記流体ライン内の所定の圧力レベルを備える、
請求項15に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項17】
前記少なくとも1つの非一時的なコンピュータ可読媒体はさらに、前記マイクロコントローラによって実行されたとき、前記マイクロコントローラに、
前記ポンプに供給される電圧を変調して前記第2の電力レベルを提供すること、
を行わせるプログラム命令を含む、
請求項15に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項18】
前記少なくとも1つの非一時的なコンピュータ可読媒体はさらに、前記マイクロコントローラによって実行されたとき、前記薬剤送達装置に、
前記ポンプの作動中の前記薬剤送達装置の電流を測定して前記流体ライン内の前記圧力を検出すること、
を行わせるプログラム命令を含む、
請求項15に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項19】
前記薬剤送達装置の前記電流を測定することは、前記ポンプの作動サイクル中のピーク電流値から基準電流値を減じてストローク電流値を決定することを備える、
請求項18に記載のコンピュータプログラム製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、薬剤送達装置の圧力管理のための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
本出願は、2020年11月17日に出願された「System and Method for Pressure Management for a Drug Delivery Device」と題する米国特許仮出願第63/114,905号明細書に対する優先権を主張し、その開示全体が参照によりここに組み込まれる。
【0003】
自動注射器などのウェアラブル医療装置は、臨床施設から離れた場所で、および/または、個々に患者の衣類の下で身に着けながら、患者に療法を提供する利点を有する。ウェアラブル医療装置は、患者の皮膚に適用され、ウェアラブル医療装置を患者の皮膚に適用した後、所定の時間期間内、例えば27時間の遅延の後に、医薬組成物の用量を自動的に送達するように構成されることが可能である。装置が患者へ医薬組成物を送達した後、患者は、続いて、装置を取り除き、廃棄し得る。
【0004】
ある状況下では、液体が注射される媒体に起因して、装置を出る流体の流れが損なわれ、これは、装置の流体ラインの圧力の上昇を引き起こし得る。圧力がある閾値を越えた場合、流体経路の完全性が損なわれ、装置内で漏れが生じ、医薬品の全用量を送達することに失敗し得る。装置内の流体の漏れはまた、流体と装置との接触による汚染の懸念の可能性と同様に、装置へのダメージやその後のシステム障害を引き起こし得る。
【0005】
ヒトの皮下組織は、様々な種類の細胞、細胞外マトリックス(ECM)成分、微細構造、および、細胞やECMの巨視的配置で構成される。それらの要素は、組織の力学的特性に寄与している。組織はまた、リンパ系や血管を含むことがあり、流体吸収や保持性質が内在している。これらの特性は、個人間、体内の位置、および時間の経過により、注射部位における流体の注入に対する抵抗の程度が変化し得る。装置からの所定の送達流量率に対して組織の抵抗が高すぎるか、吸収率が低すぎる場合、圧力は、蓄積し、流体ラインや他の構成要素が損なわれ得る閾値を超えるバルブに達し得る。
【発明の概要】
【0006】
1つの態様または実施形態では、薬剤送達装置は、電源、流体を受け入れるように構成されるリザーバ、前記リザーバと流体連通する流体ライン、前記リザーバから前記流体ラインへ流体を送達するように構成されるポンプ、および、前記ポンプへ供給される電力レベルを制限するように構成される電力制限サブシステムを含む。
【0007】
前記電力制限サブシステムは、電流制限サブシステムであり得る。前記電流制限サブシステムは、PNPトランジスタまたはNPNトランジスタを含み得る。前記薬剤送達装置は、マイクロコントローラをさらに含むことができ、前記電力制限サブシステムは、前記ポンプに供給される電圧を変調するように構成される前記マイクロコントローラを含み得る。前記電力制限サブシステムは、活性化モードおよび非活性化モードを有する。
【0008】
さらなる態様または実施形態では、マイクロコントローラ、リザーバ、ポンプ、流体ライン、および電源を含む薬剤送達装置の圧力管理の方法は、第1の電力レベルで前記ポンプを介して前記流体ラインを通じて流体を送達することと、前記流体ライン内の圧力を検出することと、前記流体ライン内の前記圧力が高圧閾値レベルを超えるかどうかを決定することと、所定の状態が満たされるまで、第2の電力レベルで前記ポンプを介して前記流体ラインを通じて流体を送達することであって、前記第2の電力レベルは前記第1の電力レベルより低い、ことと、前記所定の状態が満たされた後、前記第1の電力レベルで前記流体ラインを通じて前記流体の送達を再開することと、を含む。
【0009】
前記所定の状態は、前記流体ライン内の所定の圧力レベルであり得る。前記第2の電力レベルは、電流制限サブシステムを介して提供され得る。前記電流制限サブシステムは、バイポーラトランジスタ、MOSFETトランジスタ、またはCMOSトランジスタなどのトランジスタ、オプアンプ、または他のアクティブ回路を含み得る。前記第2の電力レベルは、前記ポンプに供給される電圧を変調することによって提供され得る。前記流体ライン内の前記圧力は、前記ポンプの作動中の前記薬剤送達装置の電流を測定することによって検出され得る。前記薬剤送達装置の前記電流を測定することは、前記ポンプの作動サイクル中のピーク電流値から基準電流値を減じてストローク電流値を決定することを含み得る。前記電力は、電流のレベルを変調または制御することによって、または、電圧のレベルを変調または制御することによって制御され得る。
【0010】
さらなる態様または実施形態では、マイクロコントローラ、リザーバ、ポンプ、流体ライン、および電源を含む薬剤送達装置の圧力管理の方法のためのコンピュータプログラム製品であって、前記コンピュータプログラム製品は、前記マイクロコントローラによって実行されたとき、前記薬剤送達装置に、第1の電力レベルで前記ポンプを介して前記流体ラインを通じて流体を送達することと、前記流体ライン内の圧力を検出することと、前記流体ライン内の前記圧力が高圧閾値レベルを超えるかどうかを決定することと、所定の状態が満たされるまで、第2の電力レベルで前記ポンプを介して前記流体ラインを通じて流体を送達することであって、前記第2の電力レベルは前記第1の電力レベルより低い、ことと、前記所定の状態が満たされた後、前記第1の電力レベルで前記流体ラインを通じて前記流体の送達を再開することと、を行わせるプログラム命令を含む少なくとも1つの非一時的なコンピュータ可読媒体を含む。
【図面の簡単な説明】
【0011】
本開示の上述のおよび他の特徴および利点、ならびにそれらを達成する方法は、より明らかになり、且つ開示自体は、添付の図面と併せた以下の開示の実施形態の説明を参照することによって、よりよく理解されるであろう。ここで、
【0012】
【
図1】
図1は、本出願の第1の態様または実施形態による薬剤送達装置の斜視図である。
【
図2】
図2は、上蓋を取り除いた、
図1の薬剤送達装置の斜視図である。
【
図4】
図4は、本出願の第1の態様または実施形態による0psiの圧力状態を示す、
図1の薬剤送達装置の電流対時間のグラフである。
【
図5】
図5は、本出願の第1の態様または実施形態による40psiの圧力状態を示す、
図1の薬剤送達装置の電流対時間のグラフである。
【
図6】
図6は、本出願の第1の態様または実施形態による電流制限回路の概略図である。
【
図7】
図7は、本出願の第2の態様または実施形態による電流制限回路の概略図である。
【
図8】
図8は、本出願の第3の態様または実施形態による電流制限回路の概略図である。
【
図9】
図9は、本出願のさらなる態様または実施形態による電力を変調する方法の概略図である。
【
図10A】
図10Aは、本出願の第1の態様または実施形態による流体経路圧力を決定する方法を示す、
図1の薬剤送達装置の電流対時間のグラフである。
【
図11】
図11は、本出願の第1の態様または実施形態による薬剤送達装置の電力管理の方法の概略図である。
【0013】
対応する参照符号は、いくつかの図を通して対応する部分を示している。本明細書に記載される例示は、本開示の例示的な実施形態を示しているものであり、そのような例示は、本開示の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【発明を実施するための形態】
【0014】
「左」、「右」、「内側」、「外側」、「上」、「下」などの空間的または方向的な用語は、本発明が様々な代替的な方向を想定することが可能であるため、限定するものと考えられるべきではない。
【0015】
本明細書および特許請求の範囲で使用される全ての数値は、全ての場合において「約」という用語によって修飾されていると理解すべきである。「約」は、記載された値のプラスまたはマイナス10パーセントの範囲を意味する。本明細書および特許請求の範囲で使用される場合、「a」、「an」および「the」の単数形は、文脈から明らかにそうでないと指示されない限り、複数の参照語を含む。用語「第1」、「第2」などは、特定の序列または順序を指すことを意図しておらず、代わりに、異なる条件、特性、または要素を指す。「少なくとも」は、「~以上」を意味する。
【0016】
図1から
図3を参照すると、薬剤送達装置10は、リザーバ12、電源14、挿入機構16、制御電子装置18、カバー20、およびベース22を含む。1つの態様または実施形態では、薬剤送達装置10は、インスリンまたは骨髄刺激剤送達装置などのウェアラブル自動注射器である。薬剤送達装置10は、患者の皮膚に取り付けられ、リザーバ12から患者へ医薬組成物を注射するように動作され得る。薬剤送達装置10は、医薬組成物が予め充填されることができ、または、使用前に患者または医療プロフェッショナルによって医薬組成物が充填され得る。
【0017】
薬剤送達装置10は、医薬組成物、例えば、任意の所望の薬剤の用量を、ゆっくり、制御された注射割合で皮下注射することによって患者の体へ送達するように構成される。薬剤送達装置10により達成される送達のための例示的な時間持続期間は、約5分から約60分の範囲であり得るが、この例示的な範囲に限定されない。薬剤送達装置10によって送達される例示的な医薬組成物の容量は、約0.1ミリリットルから約10ミリリットルの範囲であり得るが、この例示的な範囲に限定されない。患者へ送達される医薬組成物の容量は、調整され得る。
【0018】
図1から
図3を再び参照すると、1つの態様または実施形態では、電源14は、1つまたは複数のバッテリーを含む直流電源である。制御電子装置18は、マイクロコントローラ24、センシング電子装置26、ポンプおよびバルブコントローラ28、センシング電子装置30、および、展開電子装置32を含み、これらは、薬剤送達装置10の作動を制御する。薬剤送達装置10は、リザーバ12、リザーバ12のための容量センサ34、リザーバ充填ポート36、および、ポンプおよびバルブアクチュエータ40ならびにポンプおよびバルブ機構42を含む測定システム38、を含む流体サブシステムを含む。流体サブシステムは、さらに、オクルージョンセンサ44、展開アクチュエータ46、患者の皮膚へ挿入するためのカニューレ48、および、リザーバ12およびカニューレ48と流体連通する流体ライン50を含み得る。1つの態様または実施形態では、挿入機構16は、装置10内に完全に位置された格納ポジションから、カニューレ48が装置10の外側へ延びる拡張ポジションへ、カニューレ48を移動するように構成される。薬剤送達装置10は、参照により本明細書に組み込まれるPizzocheroらの米国特許第10,449,292号で論じられるのと同じ方法で動作し得る。
【0019】
図4および
図5を参照すると、流体ライン50内の圧力と、ポンプおよびバルブ機構42を前方へ押し出すのに必要な電流との関係が示される。ポンプおよびバルブ機構42は、吸引サイクル、および、
図4および
図5に示されるような投薬サイクルを有する。
図4に示されるように、1.95mAの電流で、流体ライン50内の圧力は、およそ0psiと推定されることが可能である。
図5に示されるように、7.61mAの電流で、流体ライン50内の圧力は、およそ40psiと推定されることが可能である。電流と流体ライン50内の圧力との相関は、流体ライン50内の圧力を測定するための圧力センサを使用するテストを介して決定され得る。
【0020】
図6から
図9を参照すると、1つの態様または実施形態では、薬剤送達装置10は、ポンプおよびバルブ機構42に供給される電力レベルを制限するように構成される電力制限サブシステム52を含む。
図6から
図8に示されるように、電力制限サブシステム52は、電流制限サブシステム54であり得る。電流制限サブシステム54は、ポンプおよびバルブ機構42に供給される電流を制限または上限を定めるように構成される。電流制限サブシステム54は、PNPトランジスタ(
図6)および/またはNPNトランジスタ(
図7および
図8)を利用し得る。さらなる態様または実施形態では、電力制限サブシステム52は、マイクロコントローラ24がポンプおよびバルブ機構42に供給される電圧を変調することによって提供される。
図9に示されるように、パルス幅変調を使用することによって、ポンプおよびバルブ機構42に供給される電力は、変調されることが可能である。例えば、時間の期間にわたって狭いパルスを使用することは、時間の期間にわたってより広いパルスを使用することよりも、より低い平均電圧という結果になるだろう。信号を変調したパルス幅は、コンデンサなどの専用回路を使用することによって平滑化されることができ、または、アクチュエータ自体によって形成される負荷によって平滑化され得る。
【0021】
1つの態様または実施形態では、電力制限サブシステム52は、ポンプおよびバルブ機構42に供給される電力レベルを必要に応じて変化させることができるよう調整可能なように構成される。1つの態様または実施形態では、電力制限サブシステム52は、供給される電力レベルが制限される活性化モード、および、供給される電力レベルが制限されない非活性化モードを有する。活性化モードおよび非活性化モードは、追加の回路を介して、および/または、マイクロコントローラ24を介する制御によって、提供され得る。
【0022】
図11を参照すると、1つの態様または実施形態では、薬剤送達装置10の圧力管理の方法70は、第1の電力レベルでポンプおよびバルブ機構42を介して流体ライン50を通じて流体を送達すること72と、流体ライン50内の圧力を検出すること74と、流体ライン50内の圧力が高圧閾値レベルを超えるかどうかを決定すること76と、所定の状態が満たされるまで、第2の電力レベルでポンプおよびバルブ機構42を介して流体ライン50を通じて流体を送達することであって、第2の電力レベルは第1の電力レベルよりも低いこと78、および、所定の状態が満たされた後、第1の電力レベルで流体ライン50を通じて流体の送達を再開すること80、を含む。1つの態様または実施形態では、所定の状態は、流体ライン内の所定の圧力レベルである。第2の電力レベルは、前述した電流制限サブシステム54を介して提供され得る。第2の電力レベルはまた、前述した、ポンプに供給される電圧を変調することによって提供され得る。
【0023】
図10Aから
図10Cを参照すると、1つの態様または実施形態では、流体ライン50内の圧力は、ポンプおよびバルブ機構42の作動中の薬剤送達装置10の電流を測定することによって検出される。1つの態様または実施形態では、電流は、抵抗を横切る電圧降下を測定することによって測定される。薬剤送達装置10の電流を測定することは、ストローク電流値88を決定するために、ポンプおよびバルブ機構42の作動サイクル中のピーク電流値86から基準電流値または基線電流値84を減じることを含むが、他の適切な電流検出構成が利用され得る。ストローク電流値88は、ポンプおよびバルブ機構42の特定の作動サイクルに対する流体ライン50の下流圧力を推定するために利用される。例えば、ストローク電流値88は、ストローク電流値88を使用して正確に流体ライン50の圧力レベルを推定することが可能であるように、テストまたはベンチマークを通じて様々な下流圧力レベルに対応させることが可能である。
【0024】
本発明は、現在最も実用的かつ好ましい実施形態であると考えられる実施形態に基づいて説明の目的のために詳細に説明されたが、そのような詳細はその目的のためのものに過ぎず、本発明は開示された実施形態に限定されず、反対に、添付された特許請求の範囲の精神および範囲内の変更されたものおよび同等の構成物をカバーすることが意図されていることが理解されるべきである。例えば、本発明が、可能な範囲で、任意の実施形態の1つまたは複数の特徴が、任意の他の実施形態の1つまたは複数の特徴と組み合わされることが可能であることを企図していることが理解されるべきである。
【国際調査報告】