(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-27
(54)【発明の名称】圧電音響トランスデューサを試験するための方法
(51)【国際特許分類】
A61M 5/142 20060101AFI20231117BHJP
【FI】
A61M5/142 530
A61M5/142 522
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023529915
(86)(22)【出願日】2021-11-16
(85)【翻訳文提出日】2023-06-21
(86)【国際出願番号】 US2021059463
(87)【国際公開番号】W WO2022108905
(87)【国際公開日】2022-05-27
(32)【優先日】2020-11-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】595117091
【氏名又は名称】ベクトン・ディキンソン・アンド・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】BECTON, DICKINSON AND COMPANY
【住所又は居所原語表記】1 BECTON DRIVE, FRANKLIN LAKES, NEW JERSEY 07417-1880, UNITED STATES OF AMERICA
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】スティーブ ビギン
(72)【発明者】
【氏名】モーリス カーティン
(72)【発明者】
【氏名】シモン オライリー
【テーマコード(参考)】
4C066
【Fターム(参考)】
4C066BB01
4C066CC01
4C066DD12
4C066FF04
4C066QQ51
4C066QQ78
(57)【要約】
薬物送達デバイスを試験するための方法は、圧電トランスデューサ、マイクロコントローラ、および直流電源を含み、圧電トランスデューサが動作状態および非動作状態を有する。方法は、駆動信号を薬物送達デバイスの圧電トランスデューサに提供する工程、作動電圧値または作動電流値を決定する工程、および作動電圧値または作動電流値をベースライン値と比較して、圧電トランスデューサが動作状態または非動作状態にあるかどうかを決定する工程を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧電トランスデューサ、マイクロコントローラ、および直流電源を含み、前記圧電トランスデューサが動作状態および非動作状態を有する、薬物送達デバイスを試験するための方法であって、前記方法は、
前記薬物送達デバイスの前記圧電トランスデューサに駆動信号を提供する工程、
作動電圧値または作動電流値を決定する工程、および
前記作動電圧値または前記作動電流値をベースライン値と比較して、前記圧電トランスデューサが前記動作状態または前記非動作状態にあるかどうかを決定する工程、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記作動電圧値または前記作動電流値は、所定の期間中に測定された複数の値の平均から決定されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記作動電圧値または前記作動電流値は、所定の期間中に測定された複数の値のサブセットから決定されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
曲線あてはめは、前記作動電圧値または前記作動電流値を決定するために使用されることを特徴とする請求項2または請求項3に記載の方法。
【請求項5】
フーリエ変換および高速フーリエ変換のうちの少なくとも1つは、前記作動電圧値または前記作動電流値を決定するために使用されることを特徴とする請求項2から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記作動電圧値または前記作動電流値を決定するために使用される信号は、10msを超える時間にわたって計算されることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記作動電圧値または前記作動電流値を決定するために使用される信号は、1msを超える時間にわたって計算されることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記作動電圧値は、前記駆動信号が前記圧電トランスデューサに提供されるときの前記直流電源の電圧周波数を含み、前記ベースライン値は、前記駆動信号が前記圧電トランスデューサに提供され前記圧電トランスデューサが前記動作状態にあるときの前記直流電源の知られている電圧周波数を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記作動電圧値は、前記駆動信号が前記圧電トランスデューサに提供されるときの最大電圧降下値の周波数を含み、前記ベースライン値は、 前記駆動信号が前記圧電トランスデューサに提供され前記圧電トランスデューサが前記動作状態にあるときの最大電圧降下値の知られている周波数を含むことを特徴とする請求項1または請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記作動電圧値は、前記駆動信号が前記圧電トランスデューサに提供されるときの前記直流電源の最小および最大電圧を含み、前記ベースライン値は、前記駆動信号が前記圧電トランスデューサに提供され前記圧電トランスデューサが前記動作状態にあるときの知られている最小および最大電圧を含むことを特徴とする請求項1、8および9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記圧電トランスデューサは、前記作動電圧値が前記ベースライン値の所定の範囲内にあるときに、前記動作状態にあると決定されることを特徴とする請求項1および8から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記圧電トランスデューサは、前記動作状態で作動され、前記非動作状態で作動されないことを特徴とする請求項1および8から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記作動電圧値を前記決定する工程は、前記直流電源の端子で電圧を測定する工程を含むことを特徴とする請求項1および8から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記直流電源は、電池を含むことを特徴とする請求項1および8から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
圧電トランスデューサ、マイクロコントローラ、および直流電源を含み、前記圧電トランスデューサが動作状態および非動作状態を有する、薬物送達デバイスを試験するためのコンピュータ実装方法であって、前記方法は、
前記薬物送達デバイスの前記圧電トランスデューサに駆動信号を提供する工程と、
作動電圧値を決定する工程と、
少なくとも1つのプロセッサを用いて、前記作動電圧値をベースライン電圧値と比較することによって、前記圧電トランスデューサが前記動作状態または前記非動作状態にあるかどうかを決定する工程と、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項16】
前記作動電圧値は、前記駆動信号が前記圧電トランスデューサに提供されるときの前記直流電源の電圧周波数を含み、前記ベースライン電圧値は、前記駆動信号が前記圧電トランスデューサに提供され前記圧電トランスデューサが前記動作状態にあるときの前記直流電源の知られている電圧周波数を含むことを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記作動電圧値は、前記駆動信号が前記圧電トランスデューサに提供されるときの最大電圧降下値の周波数を含み、前記ベースライン電圧値は、前記駆動信号が前記圧電トランスデューサに提供され前記圧電トランスデューサが前記動作状態にあるときの最大電圧降下値の知られている周波数を含むことを特徴とする請求項15または16に記載の方法。
【請求項18】
前記作動電圧値は、前記駆動信号が前記圧電トランスデューサに提供されるときの前記直流電源の最小および最大電圧を含み、前記ベースライン電圧値は、前記駆動信号が前記圧電トランスデューサに提供され前記圧電トランスデューサが前記動作状態にあるときの知られている最小および最大電圧を含むことを特徴とする請求項15から17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
直流電源と、
カニューレと、
流体を受容するように構成されたリザーバと、
前記リザーバから前記カニューレに流体を送達するように構成されたポンプと、
圧電トランスデューサが可聴音を生み出す動作状態と前記圧電トランスデューサが可聴音を生み出さない非動作状態とを有する前記圧電トランスデューサと、
駆動信号を前記圧電トランスデューサに提供し、
作動電圧値または作動電流値を決定し、および
少なくとも1つのプロセッサを用いて、前記作動電圧値または前記作動電流値をベースライン値と比較することによって、前記圧電トランスデューサが前記動作状態または前記非動作状態にあるかどうかを決定する
ようにプログラムまたは構成された前記少なくとも1つのプロセッサを含むマイクロコントローラと、
を含むことを特徴とする薬物送達デバイス。
【請求項20】
前記作動電圧値は、前記駆動信号が前記圧電トランスデューサに提供されるときの前記直流電源の電圧周波数を含み、前記ベースライン値は、前記駆動信号が前記圧電トランスデューサに提供され前記圧電トランスデューサが前記動作状態にあるときの前記直流電源の知られている電圧周波数を含むことを特徴とする請求項19に記載のデバイス。
【請求項21】
前記作動電圧値は、前記駆動信号が前記圧電トランスデューサに提供されるときの最大電圧降下値の周波数を含み、前記ベースライン値は、前記駆動信号が前記圧電トランスデューサに提供され前記圧電トランスデューサが前記動作状態にあるときの最大電圧降下値の知られている周波数を含むことを特徴とする請求項19または請求項20に記載のデバイス。
【請求項22】
前記作動電圧値は、前記駆動信号が前記圧電トランスデューサに提供されるときの前記直流電源の最小および最大電圧を含み、前記ベースライン電圧値は、前記駆動信号が前記圧電トランスデューサに提供され前記圧電トランスデューサが前記動作状態にあるときの知られている最小および最大電圧を含むことを特徴とする請求項19から21のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項23】
圧電トランスデューサ、マイクロコントローラ、および直流電源を含み、前記圧電トランスデューサが動作状態および非動作状態を有する、薬物送達デバイスを試験するためのコンピュータプログラム製品であって、前記コンピュータプログラム製品は、前記マイクロコントローラによって実行されたときに,前記マイクロコントローラに、
駆動信号を前記圧電トランスデューサに提供し、
作動電圧値または作動電流値を決定し、および
前記作動電圧値または前記作動電流値をベースライン値と比較することによって、前記圧電トランスデューサが前記動作状態または前記非動作状態にあるかどうかを決定する
ようにさせるプログラム命令を含む少なくとも1つの非一時的コンピュータ可読媒体を含む、コンピュータプログラム製品。
【請求項24】
前記作動電圧値は、前記駆動信号が前記圧電トランスデューサに提供されるときの前記直流電源の電圧周波数を含み、前記ベースライン値は、前記駆動信号が前記圧電トランスデューサに提供され前記圧電トランスデューサが前記動作状態にあるときの前記直流電源の知られている電圧周波数を含むことを特徴とする請求項23に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項25】
前記作動電圧値は、 前記駆動信号が前記圧電トランスデューサに提供されるときの最大電圧降下値の周波数を含み、前記ベースライン値は、前記駆動信号が前記圧電トランスデューサに提供され前記圧電トランスデューサが前記動作状態にあるときの最大電圧降下値の知られている周波数を含むことを特徴とする請求項23または請求項24に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項26】
前記作動電圧値は、前記駆動信号が前記圧電トランスデューサに提供されるときの前記直流電源の最小および最大電圧を含み、前記ベースライン値は、前記駆動信号が前記圧電トランスデューサに提供され前記圧電トランスデューサが前記動作状態にあるときの知られている最小および最大電圧を含むことを特徴
とする請求項23から25のいずれか一項に記載のコンピュータプログラム製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、「圧電音響トランスデューサを試験するための方法」と題された2020年11月17日に出願された米国仮出願第63/114,879号の優先権を主張し、これは、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、薬物送達デバイスのための圧電音響トランスデューサを試験するための方法に関する。
【背景技術】
【0003】
自動インジェクタのような装着型(Wearable)医療デバイスは、臨床施設から離れた場所でおよび/または患者の衣類の下で離散的に装着されている間に、患者に治療を提供する利点を有する。装着型医療デバイスは、患者の皮膚に適用され、装着型医療デバイスを患者皮膚に適用した後、例えば27時間の遅延の後、所定の時間期間内に、医薬組成物(pharmaceutical composition)の用量(a dose)を自動的に送達するように構成され得る。デバイスが医薬組成物を患者に送達した後、患者は、その後、デバイスを取り外して廃棄してもよい。
【0004】
装着型医療デバイスは、薬物送達が開始または完了されたとき、または誤動作が検出された場合のような、デバイスの状態を示すための可聴、触覚、または視覚的インジケータを有し得る。圧電トランスデューサは、装着型医療デバイスの可聴および/または触覚インジケータを提供するために使用される。装着型医療デバイスのためのインジケータは、医療デバイスの機能の重要な役割を果たすため、インジケータの機能は、医療デバイスの製造中に試験される。可聴インジケータを試験するための1つの解決策は、マイクを使用して可聴インジケータの機能をテストすることであり、これは、製造または試験環境の外部ノイズレベルに応じて制限を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第10,449,292号明細書
【発明の概要】
【0006】
1つの態様または実施形態において、圧電トランスデューサ、マイクロコントローラ、および直流電源(DC power source)を含み、圧電トランスデューサが動作状態(operative state)および非動作状態(inoperative state)を有する、薬物送達デバイスを試験するための方法は、薬物送達デバイスの圧電トランスデューサに駆動信号を提供する工程、作動電圧値または作動電流値を決定する工程、および作動電圧値または作動電流値をベースライン値と比較して、圧電トランスデューサが動作状態または非動作状態にあるかどうかを決定する工程を含む。
【0007】
作動電圧値または作動電流値は、所定の期間中に測定された複数の値の平均から決定されてもよい。作動電圧値または作動電流値は、所定の期間中に測定された複数の値のサブセットから決定されてもよい。曲線あてはめ(curve fitting)は、作動電圧値または作動電流値を決定するために使用されてもよい。フーリエ変換および高速フーリエ変換のうちの少なくとも1つは、作動電圧値または作動電流値を決定するために使用されてもよい。作動電圧値または作動電流値を決定するために使用される信号は、10msを超える時間にわたって計算されてもよい。作動電圧値または作動電流値を決定するために使用される信号は、1msを超える時間にわたって計算されてもよい。
【0008】
作動電圧値は、駆動信号が圧電トランスデューサに提供されるときの直流電源の電圧周波数であってもよく、ベースライン値は、駆動信号が圧電トランスデューサに提供され圧電トランスデューサが動作状態にあるときの直流電源の知られている電圧周波数であってもよい。作動電圧値は、駆動信号が圧電トランスデューサに提供されるときの最大電圧降下値の周波数であってもよく、ベースライン値は、駆動信号が圧電トランスデューサに提供され圧電トランスデューサが動作状態にあるときの最大電圧降下値の知られている周波数であってもよい。
【0009】
作動電圧値は、駆動信号が圧電トランスデューサに提供されるときの直流電源の最小および最大電圧であってもよく、ベースライン値は、駆動信号が圧電トランスデューサに提供され圧電トランスデューサが動作状態にあるときの知られている最小および最大電圧であってもよい。
【0010】
圧電トランスデューサは、作動電圧値がベースライン値の所定の範囲内にあるときに、動作状態にあると決定されてもよい。圧電トランスデューサは、動作状態において作動されてもよく、非動作状態において作動されなくてもよい。作動電圧値の決定は、直流電源の端子(terminals)における電圧または圧電トランスデューサの端子における電圧の測定を含んでいてもよい。直流電源は、電池であってもよい。
【0011】
さらなる態様または実施形態において、圧電トランスデューサ、マイクロコントローラ、および直流電源を含み、圧電トランスデューサが動作状態および非動作状態を有する薬物送達デバイスを試験するためのコンピュータ実装方法(computer-implemented method)は、薬物送達デバイスの圧電トランスデューサに駆動信号を提供する工程、作動電圧値または作動電流値を決定する工程、および少なくとも1つのプロセッサを用いて、作動電圧値をベースライン電圧値と比較することによって、圧電トランスデューサが動作状態または非動作状態にあるかどうかを決定する工程を含む。
【0012】
さらなる態様または実施形態において、薬物送達デバイスは、直流電源、カニューレ、流体を受容するように構成されたリザーバ、リザーバからカニューレに流体を送達するように構成されたポンプ、圧電トランスデューサが可聴音を生み出す動作状態と圧電トランスデューサが可聴音を生み出さない非動作状態とを有する圧電トランスデューサ、および、駆動信号を圧電トランスデューサに提供し、作動電圧値を決定し、および、少なくとも1つのプロセッサを用いて、作動電圧値または作動電流値をベースライン値と比較することによって、圧電トランスデューサが動作状態または非動作状態にあるかどうかを決定するようにプログラムまたは構成された少なくとも1つのプロセッサを含むマイクロコントローラ、を含む。
【0013】
さらなる態様または実施形態において、薬物送達デバイスを試験するためのコンピュータプログラム製品は、圧電トランスデューサ、マイクロコントローラ、および直流電源を含み、圧電トランスデューサが動作状態および非動作状態を有し、コンピュータプログラム製品は、マイクロコントローラによって実行されたときに、マイクロコントローラに、駆動信号を圧電トランスデューサに提供し、作動電圧値または作動電流値を決定し、および作動電圧値または作動電流値をベースライン値と比較することによって圧電トランスデューサが動作状態または非動作状態にあるかどうかを決定するようにさせる、プログラム命令を含む少なくとも1つの非一時的コンピュータ可読媒体(non-transitory computer-readable medium )を含む。
【図面の簡単な説明】
【0014】
本開示の上記および他の特徴および利点ならびにそれらを達成する方法は、添付図面と併せて本開示の実施形態の以下の説明を参照することによって、より明らかになり、および開示自体はよりよく理解されるであろう。
【
図1】本願の1つの態様または実施形態による薬剤送達デバイスの斜視図である。
【
図2】トップカバーが取り外された状態の、
図1の薬物送達デバイスの斜視図である。
【
図3】
図1の薬物送達デバイスの部分斜視図である。
【
図5】本願の1つの態様または実施形態による
図1の薬物送達デバイスの圧電トランスデューサ回路の概略図である。
【
図6A】薬物送達デバイスが作動させられ(activated)、圧電トランスデューサ回路が非作動(inactive)であるときの、
図1の薬物送達デバイスの電源および圧電トランスデューサの電圧対時間のグラフである。
【
図7A】薬物送達デバイスが作動させられ、圧電トランスデューサ回路が作動させられ、および圧電トランスデューサが切断されたときの、
図1の薬物送達デバイスの電源および圧電トランスデューサの電圧対時間のグラフである。
【
図8A】薬物送達デバイスが作動させられ、圧電トランスデューサ回路が作動させられ、および圧電トランスデューサが接続されたときの、
図1の薬物送達デバイスの電源および圧電トランスデューサの電圧対時間のグラフである。
【
図9】圧電トランスデューサが接続された状態の電圧および圧電トランスデューサが接続されていない状態の電圧を示す、
図1の薬物送達デバイスの電源の電圧対時間のグラフである。
【
図10】最大電圧降下の周波数を示す、
図1の薬物送達デバイスの電源の電圧対時間のグラフである。
【
図11】圧電トランスデューサが接続された状態の電圧と圧電トランスデューサが接続されていない状態の電圧との比較を示す、
図1の薬物送達デバイスの電源の電圧対時間のグラフである。
【
図12】圧電トランスデューサが接続された状態の電源の電圧周波数と圧電トランスデューサの250Hz周波数との比較を示す、
図1の薬物送達デバイスの電源の電圧対時間のグラフである。
【
図13】圧電トランスデューサが接続された状態の電源の電圧周波数と圧電トランスデューサの500Hz周波数との比較を示す、
図1の薬物送達デバイスの電源の電圧対時間のグラフである。
【
図14】圧電トランスデューサが接続された状態の電源の電圧周波数と and a 圧電トランスデューサの750Hz周波数との比較を示す、
図1の薬物送達デバイスの電源の電圧対時間のグラフである。
【
図15】本願の1つの態様または実施形態による薬物送達デバイスを試験するための方法の概略図である。
【
図16】圧電トランスデューサが接続された状態の電圧を示す、
図1の薬物送達デバイスの電源の電圧対サンプル番号のグラフである。
【
図17】圧電トランスデューサが接続されていない状態の電圧を示す、
図1の薬物送達デバイスの電源の電圧対サンプル番号のグラフである。
【0015】
対応する参照符号は、いくつかの図を通して対応する部分を示す。本明細書に提示される例示は、本開示の例示的な実施形態を示しており、およびそのような例示は、いかなる形でも本開示の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【発明を実施するための形態】
【0016】
「左」、「右」、「内側(inner)」、「外側(outer)」、「上(above)」、「下(below)」等のような空間的または方向的な用語は、本発明が様々な代替的な配向を想定し得るので、限定的と見なされるべきではない。
【0017】
本明細書および特許請求の範囲で使用される全ての数字は、用語「約(about)」によって全ての例で修正されるものとして理解されるべきである。「約」によって、記載された値のプラスまたはマイナス10パーセントの範囲が意味される。本明細書および特許請求の範囲において使用される際に、「a」、「an」、および「the」の単数形は、文脈が明らかに他のことを指示しない限り、複数の指示対象を含む。用語「第1の」、「第2の」等は、任意の特定の順序または時間的配列(chronology)を指すことを意図するものではなく、その代わりに異なる条件、特性、または要素を指す。「少なくとも」とは、「より大きいまたは等しい」ことを意味する。
【0018】
本明細書で使用される際に、「少なくとも1つの」は、「1つまたは複数の」と同義である。例えば、語句「A、B、およびCのうちの少なくとも1つ」は、A、B、もしくはCのうちの任意の1つ、またはA、B、もしくはCのうちの任意の2つ以上の任意の組み合わせを意味する。例えば、「A、B、およびCのうちの少なくとも1つ」は、1つまたは複数のA単独、または1つまたは複数のB単独、または1つまたは複数のC単独、または1つまたは複数のAおよび1つまたは複数のB、または1つまたは複数のAおよび1つまたは複数のC、または1つまたは複数のBおよび1つまたは複数のC、または1つまたは複数のA、BおよびC全てを含む。
【0019】
本明細書で使用される際に、用語「プロセッサ」は、データを処理するように構成された1つまたは複数の電子デバイスを指し得る。プロセッサは、いくつかの例において、プロセッサ、ディスプレイ、メモリ、入力デバイス、ネットワークインタフェースおよび/または同種のもののようなデータを受信、処理、および出力するために必要なコンポーネントを含み得る。プロセッサは、モバイルデバイスであってもよい。プロセッサはまた、デスクトップコンピュータまたは他の形態の非モバイルコンピュータであってもよい。
【0020】
図1から
図4を参照して、薬物送達デバイス10は、リザーバ12、電源14、挿入機構16、制御電子機器18、カバー20、およびベース22を含む。1つの態様または実施形態において、薬物送達デバイス10は、インスリンまたは骨髄刺激剤送達デバイスのような装着型自動インジェクタである。薬物送達デバイス10は、患者の皮膚上に据え付けられ、リザーバ12から患者に医薬組成物を注入するようにトリガされてもよい。薬物送達デバイス10は、医薬組成物で事前充填されてもよく、または患者または医療専門家によって使用前に医薬組成物で充填されてもよい。
【0021】
薬物送達デバイス10は、医薬組成物、例えば任意の所望の薬剤の用量を、遅い制御された注入速度で皮下注入によって患者の体内に送達するように構成される。薬物送達デバイス10によって達成される送達のための例示的な時間持続時間は、約5分から約60分の範囲であってもよい、この例示的な範囲に限定されない。薬物送達デバイス10によって送達される医薬組成物の例示的な体積(volumes)は、約0.1ミリリットルから約10ミリリットルの範囲であってもよいが、この例示的な範囲に限定されない。患者に送達される医薬組成物の体積は、調整されてもよい。
【0022】
再び
図1から
図4を参照して、1つの態様または実施形態において、電源14は、1つまたは複数の電池を含む直流電源である。制御電子機器18は、薬物送達デバイス10の作動を制御する、マイクロコントローラ24、センシング電子機器26、ポンプおよびバルブコントローラ28、センシング電子機器30、および展開(deployments)電子機器32を含む。薬物送達デバイス10は、リザーバ12、リザーバ12用のボリュームセンサ34、リザーバ充填ポート(fill port)36、ならびに、ポンプおよびバルブアクチュエータ40ならびにポンプおよびバルブ機構42を含む計測(metering)サブシステム38をふくむ流体工学(fluidics)サブシステムを含む。流体工学(fluidic)サブシステムは、閉塞センサ44、展開アクチュエータ(deploy actuator)46、および患者の皮膚内に挿入するためのカニューレ48をさらに含んでいてもよい。1つの態様または実施形態において、挿入機構16は、薬物送達デバイス10内に完全に位置付けられた格納位置(retracted position)からカニューレ48が薬物送達デバイス10の外側に延在する伸長位置(extended position)にカニューレ48を移動させるように構成される。薬物送達デバイス10は、Pizzocheroらに対する特許文献1において議論されたのと同様の方法で動作してもよい。
【0023】
図3および
図5を参照して、薬物送達デバイス10はまた、薬物送達デバイス10の状態に関してユーザに可聴および/または触覚表示を提供するように構成された圧電トランスデューサ50を含む。1つの態様または実施形態において、圧電トランスデューサ50は、1つまたは複数のばね接点60を介して制御電子機器18に接続される。圧電トランスデューサ50は、例えばマイクロコントローラ24のような信号生成システム信号が供給されるときに、圧電トランスデューサ50が作動され、可聴音、動き、および/または振動を生成する動作状態と、圧電トランスデューサ50が作動されず、可聴音、動き、および/または振動を生成しない非動作状態とを有する。
【0024】
図6Aから
図15を参照して、本願の1つの態様または実施形態によれば、薬物送達デバイス10を試験するための方法は、駆動信号を薬物送達デバイス10の圧電トランスデューサ50に提供する工程72と、作動電圧値を測定する工程74と、作動電圧値をベースライン電圧値と比較して、圧電トランスデューサ50が動作状態または非動作状態にあるかどうかを決定する工程76と、を含む。作動電圧値が、ベースライン値の5%以内のような、ベースライン値の所定の範囲内にある場合、圧電トランスデューサ50は、動作状態にあると決定され、合格した試験状態78を有する。作動電圧値が、ベースライン値の5%以内のような、ベースライン値の所定の範囲内にない場合、圧電トランスデューサ50は、非動作状態にあると決定され、失敗した試験状態80を有する。失敗した試験の1つの考えられる原因は、圧電トランスデューサ50のばね接点60と制御電子機器18との間の不十分な接触である。本願の方法は、薬物送達デバイス10の自己試験を可能にして、圧電トランスデューサ50が、専用の回路またはハードウェアを必要とせず、別個のデータの取り扱い、データ処理、およびトレーサビリティを必要とせずに適切に接続され動作するかどうかを決定する。本願の方法70は、なんら追加の装置を必要とせず、周囲の騒音に感受性がない。さらに、本願の方法70は、以下に詳述されるように、電源14からの電圧読み取り値を利用し、これは、典型的には、電源14のレベルを検出するためにマイクロコントローラ24によって既に監視されている。したがって、本願の方法70は、電子コンポーネント間のさらなる接続を必要としない。
【0025】
図6Aから
図14を参照して、1つの態様または実施形態において、作動電圧値は、電圧駆動信号が圧電トランスデューサ50に提供されるときの直流電源14の電圧周波数であり、ベースライン値は、駆動信号が圧電トランスデューサ50に提供され、圧電トランスデューサ50が動作状態にあるときの直流電源14の知られている電圧周波数である。より具体的には、作動電圧値は、駆動信号が圧電トランスデューサ50に提供されるときの最大電圧降下値の周波数であり、ベースライン値は、駆動信号が圧電トランスデューサ50に提供され圧電トランスデューサ50が作動状態にあるときの最大電圧降下値の知られている周波数である。1つの態様または実施形態において、駆動信号は、所定の周波数の方形波(square wave)である。さらなる態様または実施形態において、作動電圧値は、駆動信号が圧電トランスデューサ50に提供されるときの直流電源14の最小および最大電圧であり、ベースライン値は、駆動信号が圧電トランスデューサ50に提供され圧電トランスデューサ50が動作状態にあるときの知られている最小および最大電圧である。さらなる態様または実施形態では、動作周波数は、第2のより低い周波数にわたって変調されてもよく、本質的に、試験手順の一部としてトランスデューサ作動回路をオンおよびオフにする。電圧値は、圧電トランスデューサ50に直接的または間接的に接続された選択された位置で測定された作動電圧および非作動電圧間の差から計算されてもよい。基準値および測定値は、電圧または電流であってもよい。
【0026】
図6Aおよび
図6Bに示されるように、薬物送達デバイス10が作動されまたは起動(awake)した状態、および駆動信号が提供されていない状態において、電源端子で測定された電源14の電圧の電圧は、1.505Vと1.525Vとの間で振動し、一方、駆動信号は1.5Vで一定のままである。
図7Aおよび
図7Bに示されるように、薬物送達デバイス10が作動されまたは起動し、駆動信号が提供され、圧電トランスデューサ50が切断された状態において、電源端子で測定された電源14の電圧は、
図6Aおよび
図6Bから約0.12Vのシフトである1.425Vから1.455Vの間で振動し、駆動信号は、1.358V~1.61Vの間で振動する。以下でより詳細に説明するように、最大電圧降下値の高周波スパイクは、駆動信号電圧と電源電圧とが等しいときに発生する。
図8Aおよび
図8Bに示されるように、薬物送達デバイス10が作動されまたは起動し、駆動信号が提供され、圧電トランスデューサ50が接続された状態において、電源端子で測定された電源14の電圧は1.41V~1.455Vの間で振動し、駆動信号は1.358V~1.61Vの間で振動する。
図7Aおよび
図7Bの状態と比較して、
図8Aおよび
図8Bの状態において、電圧分布は、約5mVだけシフトしている。したがって、圧電トランスデューサ50が正しく接続電圧され動作状態にある電圧ときに、電源の最小および最大電圧を知られている最小および最大電圧と比較することによって、圧電トランスデューサ50の動作状態が決定され得る。また、
図8Aに示されるように、最大電圧降下値の高周波スパイクのパターンまたは高調波は、
図7Aのパターンと比較して異なり、これは、以下でさらに詳細に論じられる。パターンは、高速フーリエ変換(FFT)を使用して時間ドメインまたは周波数ドメイン内の信号のいずれかを分析することによって観察され得る。
【0027】
図9を参照して、約0.15Vの電圧降下は、駆動信号作動の開始時に発生し、これは、圧電トランスデューサ50が接続された状態、および圧電トランスデューサ50が切断された状態において、発生する。0.15Vの電圧降下は、0.005秒にわたって発生する。しかしながら、
図9に示されるように、圧電トランスデューサ50が接続されたときに、電源14の電圧は、差は約0.02Vの、わずかに低いレベルで回復する。さらなる態様または実施形態において、圧電トランスデューサ50の動作状態を決定するために薬物送達デバイス10を試験する方法70は、駆動信号を最初に提供した後の電圧回復値を比較する工程を含む。
【0028】
図10を参照して、圧電トランスデューサ50が接続され2.9kHzで動作している間に、反転された電源14が示される。電源14の最大電圧降下値またはスパイクの周波数は、圧電トランスデューサ50が適切に接続されているときのみ発生する駆動信号の周波数に対応する。したがって、電源14の最大電圧降下値の周波数を駆動信号の所与の周波数の最大電圧降下値の知られている周波数と比較することによって、圧電トランスデューサ50の動作状態は決定され得る。換言すると、電源14の最大電圧降下値の周波数が、圧電トランスデューサ50が正しく接続されているときの最大電圧降下値の知られている周波数と一致すると、圧電トランスデューサ50は、動作状態にあると決定され得る。電源14の最大電圧降下値の周波数が、圧電トランスデューサ50が正しく接続されているときの最大電圧降下値の知られている周波数と一致しない場合、圧電トランスデューサ50は非動作状態にあると決定され得る。最大電圧降下値のスパイクまたは周波数が存在するが、適切に接続された圧電トランスデューサ50の知られている値と一致しない場合、駆動信号が機能しているという決定もまた行われ得る。
【0029】
図11を参照して、電源14の電圧の比較は、駆動信号が提供され圧電トランスデューサ50が切断された状態、および圧電トランスデューサ50が接続された状態で示される。上で論じられたように、最大電圧降下値の周波数は、圧電トランスデューサ50が適切に接続されているときの駆動信号の周波数でのみ発生する。
【0030】
図12から
図14に示されるように、250Hz(
図12)、500Hz(
図13)、および750Hz(
図14)における駆動信号の周波数での最大電圧降下値が示される。最大電圧降下値の周波数は、圧電トランスデューサ50が駆動信号の様々な周波数にわたって適切に接続されているときに、駆動信号の周波数で発生する。
【0031】
1つの態様または実施形態において、電圧は、電源14からさらに離れて、電力が圧電トランスデューサ50に供給される場所のより近くで測定される。別の態様または実施形態において、作動電圧値を測定する代わりに、作動電流値が測定され、圧電トランスデューサ50が動作状態または不動作状態にあるかどうかを決定するために利用される。作動電流値は、上述されるように、作動電圧値と同じ方法で利用され、圧電トランスデューサ50が動作状態または不動作状態にあるかどうかを決定する。作動電流値は、抵抗器(resistor)にわたる電圧降下を測定することによって計算されてもよいが、作動電流値を測定するための他の適切な構成が利用されてもよい。
【0032】
図16および
図17を参照して、さらなる態様または実施形態において、薬物送達デバイス10を試験するための方法70は、1秒間5Hzの速度でオン/オフパターンで圧電トランスデューサ50を作動させる工程、第2のオン/オフシーケンスの開始時に電池電圧を記録する工程、7つのオン/オフ期間中に120Hzのサンプリング周波数で12の電圧値サンプルを記録する工程、オン/オフ電圧値の平均を計算および記憶する工程、7つの記録されたオン/オフ期間中に全てのデータポイントにラインを適合させるために最小二乗法(least squares method)を使用する工程、7つの平均値ポイントから適合されたラインまでの垂直距離を計算する工程、距離の最小値を戻す工程、および距離の最小値が1.5未満であるかどうかを決定する工程を含む。1つの態様または実施形態において、距離の最小値が1.5未満である場合、圧電トランスデューサ50は、接続されていないと決定される。1つの態様または実施形態において、最終記録電圧値が2V未満である場合、薬物送達デバイス10は失敗する(fail)と決定される。1つの態様または実施形態において、12の電圧値サンプルが記録されるのではなく、2つ以上の電圧値サンプルが記録される。1つの態様または実施形態において、7つのオン/オフ期間中に電圧値を記録するのではなく、電圧値は、2つ以上のオン/オフ期間にわたって記録される。さらに、120Hzのサンプリング周波数が論じられているが、他の適切なサンプリング周波数が利用されてもよい。
【0033】
本発明は、最も実用的でおよび好ましい実施形態であると現在考えられているものに基づいて例示の目的のために詳細に説明されたが、そのような詳細は単にその目的のためであり、および、本発明は、開示された実施形態に限定されないが、逆に、添付の特許請求の範囲の精神および範囲内にある修正および同等の構成(equivalent arrangements)を包含することが意図されていることを理解されたい。例えば、本発明は、可能な限り、任意の実施形態の1つまたは複数の特徴が、他の任意の実施形態の1つまたは複数の特徴と組み合わせられ得ることを企図していることを理解されたい。
【国際調査報告】