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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-27
(54)【発明の名称】ホルムアルデヒド捕捉配合物
(51)【国際特許分類】
   D06M 15/356 20060101AFI20231117BHJP
   D04H 1/4218 20120101ALI20231117BHJP
   D06M 13/513 20060101ALI20231117BHJP
   D06M 11/45 20060101ALI20231117BHJP
   C08L 39/02 20060101ALI20231117BHJP
   E04F 13/07 20060101ALI20231117BHJP
   E04F 13/18 20060101ALI20231117BHJP
【FI】
D06M15/356
D04H1/4218
D06M13/513
D06M11/45
C08L39/02
E04F13/07 B
E04F13/07 C
E04F13/18 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023529935
(86)(22)【出願日】2021-11-17
(85)【翻訳文提出日】2023-06-26
(86)【国際出願番号】 IB2021060647
(87)【国際公開番号】W WO2022107012
(87)【国際公開日】2022-05-27
(31)【優先権主張番号】20208236.8
(32)【優先日】2020-11-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】507220187
【氏名又は名称】オウェンス コーニング インテレクチュアル キャピタル リミテッド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100123766
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 七重
(72)【発明者】
【氏名】ルイヨン カミーユ
(72)【発明者】
【氏名】ドサンジャン カール アラン ドミニク フェルナン
(72)【発明者】
【氏名】コスマン マルク
(72)【発明者】
【氏名】ヘール ポール アー
【テーマコード(参考)】
2E110
4J002
4L031
4L033
4L047
【Fターム(参考)】
2E110AA02
2E110AA64
2E110AB03
2E110AB04
2E110AB12
2E110AB23
2E110BA12
2E110BB04
2E110EA09
2E110GA24X
2E110GA28W
2E110GA32W
2E110GA33X
2E110GA33Y
2E110GA34X
2E110GA42W
2E110GA42X
2E110GB42X
2E110GB42Y
2E110GB49X
2E110GB62X
2E110GB62Y
4J002BJ00W
4J002CP03X
4J002DE147
4J002DE226
4J002EW157
4J002FD137
4J002FD206
4J002GD02
4L031AA24
4L031AB34
4L031BA08
4L031DA16
4L033AA09
4L033AB07
4L033AC10
4L033AC15
4L033BA96
4L033CA11
4L047AA05
4L047AA29
4L047CC10
(57)【要約】
本発明は、改善されたホルムアルデヒド捕捉配合物、並びにベール並びに天井タイル、断熱ボード、特に、フェノール断熱ボードなどのボード、並びに木製パネル及び木製ボードなどのパネル及びボードを含める建造品におけるその使用、並びに建造品からのホルムアルデヒド放出を減らすための方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)ポリビニルアミン若しくはそのコポリマー及び/又は第一級アミン官能化シランである、ホルムアルデヒド捕捉剤(乾燥質量1~90質量%)、
(b)結合剤及び/又は架橋剤(乾燥質量60質量%以下)、並びに
(c)消泡剤(乾燥質量0.5質量%未満)、
並びに
(d)塩基(乾燥質量50質量%以下)、
(e)難燃剤(乾燥質量96質量%以下)、及び
(f)撥剤(乾燥質量2質量%未満)
のうちの少なくとも1種を含む、ホルムアルデヒド捕捉配合物。
【請求項2】
塩基(乾燥質量50質量%以下)を含む、請求項1に記載のホルムアルデヒド捕捉配合物。
【請求項3】
乾燥質量0.5~25質量%の範囲の塩基を含む、請求項2に記載のホルムアルデヒド捕捉配合物。
【請求項4】
(A)分散剤、
(B)粘度調整剤、及び
(C)ポリリン酸ナトリウム塩(NaPO3n
のうちの少なくとも1種を追加で含んでもよい、請求項1~3のいずれか1項に記載のホルムアルデヒド捕捉配合物。
【請求項5】
顔料を追加で含む、請求項1~4のいずれか1項に記載のホルムアルデヒド捕捉配合物。
【請求項6】
水性配合物である、請求項1~5のいずれか1項に記載のホルムアルデヒド捕捉配合物。
【請求項7】
難燃剤が、アルミニウム三水和物(ATH)難燃剤及びリン窒素(P-N)難燃剤からなる群から選択される、請求項1~6のいずれか1項に記載のホルムアルデヒド捕捉配合物。
【請求項8】
ポリビニルアミンである、ホルムアルデヒド捕捉剤(乾燥質量1~50質量%)、
結合剤及び/又は架橋剤(乾燥質量20質量%以下)、
消泡剤(乾燥質量0.5質量%未満)、
リン-窒素難燃剤である、難燃剤(乾燥質量50~96質量%)、並びに
撥剤(乾燥質量2質量%未満)
を含む、請求項1~7のいずれか1項に記載のホルムアルデヒド捕捉配合物。
【請求項9】
ポリビニルアミンである、ホルムアルデヒド捕捉剤(乾燥質量1~50質量%)、
結合剤及び/又は架橋剤(乾燥質量20質量%以下)、並びに
消泡剤(乾燥質量0.5質量%未満)、
並びに
塩基(乾燥質量12.5質量%以下)、
アルミニウム三水和物難燃剤である、難燃剤(乾燥質量50~96質量%)、並びに
撥剤(乾燥質量2質量%未満)
のうちの少なくとも1種を含む、請求項1~7のいずれか1項に記載のホルムアルデヒド捕捉配合物。
【請求項10】
ポリビニルアミンである、ホルムアルデヒド捕捉剤(乾燥質量10~90質量%)、
結合剤及び/又は架橋剤(乾燥質量50質量%以下)、
消泡剤(乾燥質量0.5質量%未満)、並びに
塩基(乾燥質量25質量%以下)
を含む、請求項1~7のいずれか1項に記載のホルムアルデヒド捕捉配合物。
【請求項11】
ポリビニルアミン(PVAm)が、50000~800000g/molの範囲の質量平均分子量(Mw)を有する、請求項1~10のいずれか1項に記載のホルムアルデヒド捕捉配合物。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか1項に記載のホルムアルデヒド捕捉配合物で被覆された又はそれを含有する、不織布ベール。
【請求項13】
アミノシランで被覆され又はそれを含有する、不織布ベール。
【請求項14】
ガラス繊維不織布ベールである、請求項12又は13に記載の不織布ベール。
【請求項15】
少なくとも1つの表面に、請求項12~14のいずれか1項に記載の不織布ベールを有する、建造品。
【請求項16】
ガラスウール、ロックウール、ストーンウール、及びミネラルウールからなる群から選択されるウールで作製される、請求項15に記載の建造品。
【請求項17】
天井タイル、壁パネル、断熱ボード、及び木質パネルからなる群から選択される、請求項15又は16に記載の建造品。
【請求項18】
建造品からのホルムアルデヒド放出を減らす方法であって、請求項12~14のいずれか1項に記載の不織布ベールを、建造品の少なくとも1つの外面に取り付けるステップを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、改善されたホルムアルデヒド捕捉配合物、及びその使用に関する。特定の使用は、ベール(特に、不織布ベール)並びに天井タイル、断熱ボード、特に、フェノール断熱ボードなどのボード、並びに木質パネル、織布、織物などのパネル及びボードを含める建造品において、並びに他の基材の上、又はそれに塗布されることを含める。建造品からのホルムアルデヒド放出を減らす方法もまた開示される。
【背景技術】
【0002】
ホルムアルデヒドは、高い潜在的毒性を有し、ヒトの肌、気道、又は目の炎症などのアレルギー反応及び他の健康問題を引き起こし得る刺激物である。文献「WHO Guidelines for Indoor Air Quality: Selected Pollutants」(World Health Organization, 2010,ISBN 978 92 890 0213 4,pp.103-156)は、ホルムアルデヒドの健康への影響を更に詳述する。Golden,R.(Crit Rev Toxicol. 2011 Sep; 41(8): 672-721; doi: 10.3109/10408444.2011.573467; PMID: 21635194)は、ホルムアルデヒドの屋内空気中暴露制限の勧告を提供する。
放出基準は、フランスの法律Decret n°2011-321(2011年3月25日に発行)などの様々な国内法令によって設定される。フランスにおける放出分類は、the JOURNAL OFFICIEL DE LA REPUBLIQUE FRANCAISE,JORF no 0111,13 May 2011,NOR: DEVL1104875A at Annex I.D - the "Arrete etiquetage 2011")において定められる。VOC(揮発性有機化合物)放出の分類「A+」は、28日間のホルムアルデヒド放出10μg/m3未満の要件を含める。VOC放出の分類「A」は、28日間のホルムアルデヒド放出60μg/m3以下の要件を含める。
【0003】
それ故に、建造品からのホルムアルデヒド放出は、健康上のリスクを最小化し、基準に従うために、制御され/減らされねばならない。故に、建造品からのホルムアルデヒド放出の減少は重要である。
(i)いずれかの新規の、又は改善された、ホルムアルデヒド捕捉剤又はホルムアルデヒド捕捉組成物(すなわち、配合物)が、製造環境において含められる、さらなる環境上の懸念又は健康上及び安全上の懸念をそれ自体表さないこと、(ii)それらが、既存の建造品の製造手順及び製造工程条件に対応し、したがって、既存の建造品の製造手順及び製造工程条件を修正する必要なく、ホルムアルデヒド捕捉剤又はホルムアルデヒド捕捉組成物(すなわち、配合物)の変更を行うことができることもまた極めて望ましい。
特開2009-274409号公報に、難燃剤及びホルムアルデヒド捕捉剤を含む表面仕上げ材(facer material)が開示される。
CN106346568Aには、難燃性複合材尿素-ホルムアルデヒド樹脂が開示される。
Ghani,A.et al(June 2018, Building and Environment 142, doi: 10.1016/j.buildenv.2018.06.020)には、ホルムアルデヒド捕捉剤であるアミンの添加によって、尿素ホルムアルデヒド結合パーティクルボードのホルムアルデヒド放出を減らすことが開示される。
【0004】
国際公開第2006/007168号には、表面仕上げ配合物に含浸させた繊維質ベールが開示される。
CA2657108(=国際公開第2008/012113号)には、周囲の空気中のホルムアルデヒド含有率を下げるための、ポリアミンを含む木材の使用が開示される。
米国特許出願公開第2010/0190021号(米国特許第8460761号)には、ポリアミンを用いた処理によって、木質材料のホルムアルデヒド放出を減らす方法が開示される。
他の文献には、EP3415475(米国特許出願公開第2010282996号)、米国特許第3702798号、米国特許第10035913号、国際公開第2006104455号、及び国際公開第2019133463号が挙げられる。
本発明は、先行技術の不利な点の1つ又は複数を克服し、改善されたホルムアルデヒド捕捉配合物を提供することを求める。
【発明の概要】
【0005】
本発明によれば、
(a)ポリビニルアミン若しくはそのコポリマー及び/又は第一級アミン官能化シランである、ホルムアルデヒド捕捉剤(乾燥質量1~90質量%)、
(b)結合剤及び/又は架橋剤(乾燥質量0~60質量%)、
(c)消泡剤(乾燥質量0.5質量%未満)、
(d)塩基(乾燥質量0~50質量%)、
(e)難燃剤(乾燥質量0~96質量%)、並びに
(f)撥剤(乾燥質量2質量%未満)
を含む、ホルムアルデヒド捕捉配合物が提供される。
【0006】
特に、ホルムアルデヒド捕捉剤は、ポリビニルアミンであってもよい。
ポリビニルアミンは、純粋なポリビニルアミン以外の形態で存在してもよい。例えば、コポリマー、例えば、ポリビニルアミン-ポリビニルアルコール(PVAm-PVOH)コポリマーの形態で存在してもよい。
特有の実施形態(以下)から分かるように、(a)ホルムアルデヒド捕捉剤、(b)結合剤及び/又は架橋剤、並びに(c)消泡剤は、本発明の全ての実施形態(実施形態1~7及び実施形態9)において存在する。したがって、結合剤及び/又は架橋剤は、60%以下の分量で存在し得る。したがって、結合剤及び/又は架橋剤の分量は、0%よりも多く、且つ60%以下であり得る。
【0007】
同様に、消泡剤は、全ての実施形態において0.5%未満の分量で存在する。したがって、消泡剤の分量は、0%よりも多く、且つ0.5%未満であるものとして表され得る。
特有の実施形態から分かるように、塩基、難燃剤、及び撥剤はそれぞれ、1つ又は複数の実施形態で存在しない。したがって、配合物は、
(d)塩基(乾燥質量50質量%以下)、
(e)難燃剤(乾燥質量96質量%以下)、及び
(f)撥剤(乾燥質量2質量%未満)
のうちの少なくとも1種を含むことができる。
特定の実施形態において、配合物は、塩基(乾燥質量50質量%以下)を含む。
ある特定の実施形態において、(d)、(e)、及び(f)のうちの2種が存在する。したがって、ある特定の実施形態において、配合物は、
(d)塩基(乾燥質量50質量%以下)、
(e)難燃剤(乾燥質量96質量%以下)、及び
(f)撥剤(乾燥質量2質量%未満)
のうちの少なくとも2種を含む。
【0008】
特定の実施形態において、配合物は、塩基及び難燃剤の両方を含む。
ある特定の実施形態において、(d)、(e)、及び(f)の3種全てが存在する。したがって、配合物は、
(d)塩基(乾燥質量50質量%以下)、
(e)ある特定の実施形態において、難燃剤(乾燥質量96質量%以下)、及び
(f)撥剤(乾燥質量2質量%未満)
の3種全てを含む。
配合物は、
(A)分散剤、
(B)粘度調整剤、及び
(C)ポリリン酸ナトリウム塩(NaPO3n
のうちの1種又は複数を追加で含んでもよい。
【0009】
ある特定の実施形態において、配合物は、分散剤(乾燥質量3質量%未満)を含む。
ある特定の実施形態において、配合物は、粘度調整剤(乾燥質量3質量%未満)を含む。
ある特定の実施形態において、配合物は、ポリリン酸ナトリウム塩(NaPO3n(乾燥質量10質量%未満)を含む。
ある特定の実施形態において、配合物は、追加で顔料を含む。特定の実施形態において、配合物は、乾燥質量5質量%未満の顔料を含む。顔料は、例えば、配合物のその後の加工/使用からの熱の影響からもたらされる変色を隠し、又は覆うのに特に有用であり得る。例えば、ある特定の実施形態において、黒色顔料を使用して、配合物の、後の加熱からもたらされる変色を隠す。
【0010】
以下の実施例に詳述するように、本発明の配合物は、ホルムアルデヒド捕捉を実現するのに特に良い。
ホルムアルデヒド捕捉配合物は、典型的には水性配合物である。
特定のホルムアルデヒド捕捉配合物は、
リン-窒素(P-N)難燃剤配合物を含む。この配合物は、実施例1で使用される配合物を含む。この配合物は、
- ポリビニルアミンである、ホルムアルデヒド捕捉剤(乾燥質量1~50質量%)、
・結合剤及び/又は架橋剤(乾燥質量0~20質量%)、
・消泡剤(乾燥質量0.5質量%未満)、
・リン-窒素難燃剤である、難燃剤(乾燥質量50~96質量%)、並びに
・撥剤(乾燥質量2質量%未満)
を含む。
上記のように、(a)ホルムアルデヒド捕捉剤、(b)結合剤及び/又は架橋剤、並びに(c)消泡剤は、全ての実施形態において存在する。したがって、このP-N難燃剤配合物の場合において、結合剤及び/又は架橋剤は、20%以下の分量で存在し得る。したがって、結合剤及び/又は架橋剤の分量は、0%よりも多く、且つ20%以下であってもよい。同様に、消泡剤は、0.5%未満の分量で存在する。したがって、消泡剤の量は、0%よりも多く、且つ0.5%未満であるものとして表され得る。
【0011】
実施例1から分かるように、結合剤及び/又は架橋剤は存在し、すなわち、結合剤及び/又は架橋剤の量は、20%以下であるものとして表され得る。したがって、0%よりも多く、且つ20%以下である、結合剤及び/又は架橋剤が存在する。
P-N難燃剤配合物の、ある特定の実施形態において、結合剤及び/又は架橋剤の量は、15%以下(すなわち、0%よりも多く、且つ15%以下)である。P-N難燃剤配合物の、ある特定の実施形態において、結合剤及び/又は架橋剤の量は10%以下である。P-N難燃剤配合物の、ある特定の実施形態において、結合剤及び/又は架橋剤の量は8.0%以下である。
実施例1において、塩基は存在しない。
下記のように、ある特定の実施形態において、塩基はまた、特に凝集を防ぐために含まれる。
【0012】
ATH(アルミニウム三水和物)難燃剤配合物 - この配合物は、実施例2~6(以下)で使用される配合物を含める。この配合物は、
- ポリビニルアミンである、ホルムアルデヒド捕捉剤(乾燥質量1~50質量%)、
・結合剤及び/又は架橋剤(乾燥質量0~20質量%)、
・消泡剤(乾燥質量0.5質量%未満)、
・塩基(乾燥質量0~12.5質量%)、
・アルミニウム三水和物難燃剤である、難燃剤(乾燥質量50~96質量%)、並びに
・撥剤(乾燥質量2質量%未満)
を含む。
配合物のpHは、9.5~10.5の間であってもよい。
配合物が塩基を含む、ある特定の実施形態において、ホルムアルデヒド捕捉剤対塩基の乾燥質量比は、1:1~2:1の範囲である。
【0013】
上記のように、(a)ホルムアルデヒド捕捉剤、(b)結合剤及び/又は架橋剤、並びに(c)消泡剤は、全ての実施形態において存在する。したがって、ATH難燃剤配合物の場合において、結合剤及び/又は架橋剤は、20%以下の分量で存在し得る。したがって、結合剤及び/又は架橋剤の分量は、0%よりも多く、且つ20%以下であってもよい。同様に、消泡剤は、0.5%未満の分量で存在する。したがって、消泡剤の分量は、0%よりも多く、且つ0.5%未満であるものとして表され得る。
実施例2~6のそれぞれにおいて、結合剤及び/又は架橋剤は存在し、すなわち、0%よりも多く、且つ20%以下である、結合剤及び/又は架橋剤が存在する。
実施例2~6のそれぞれにおいて、塩基は存在し、難燃剤も同様である。したがって、ある特定の実施形態において、塩基及び難燃剤の両方が存在する。したがって、ある特定の実施形態において、塩基の量は、12.5%以下の量、すなわち、0%よりも多く、且つ12.5%以下であるものとして表され得る。上記のように、難燃剤の量は、50~96%の範囲であるものとして表され得る。
【0014】
撥剤は、実施例3、実施例4、又は実施例6において存在しない。したがって、撥剤は、ATH配合物において任意である。
PVAm-アクリル配合物 - この配合物は、実施例7で使用される配合物を含む。この配合物は、
- ポリビニルアミンである、ホルムアルデヒド捕捉剤(乾燥質量10~90質量%)、
・結合剤及び/又は架橋剤(乾燥質量0~50質量%)、
・消泡剤(乾燥質量0.5質量%未満)、並びに
・塩基(乾燥質量0~25質量%)
を含む。
上記のように、(a)ホルムアルデヒド捕捉剤、(b)結合剤及び/又は架橋剤、並びに(c)消泡剤は、全ての実施形態において存在する。したがって、PVAm-アクリル配合物の場合において、結合剤及び/又は架橋剤は、50%以下の分量で存在し得る。したがって、結合剤及び/又は架橋剤の分量は、0%よりも多く、且つ50%以下であってもよい。同様に、消泡剤は、0.5%未満の分量で存在する。したがって、消泡剤の分量は、0%よりも多く、且つ0.5%未満であるものとして表され得る。
【0015】
実施例7から分かるように、結合剤及び/又は架橋剤は存在し、すなわち、結合剤及び/又は架橋剤の量は、50%以下であるものとして表され得る。
実施例7において、塩基は存在し、すなわち、塩基の量は、25%以下であるものとして表され得る。
したがって、ホルムアルデヒド捕捉剤としてポリビニルアミンを含む実施形態は、追加で、塩基を含むことができる。ホルムアルデヒド捕捉剤としてポリビニルアミンを含む、ある特定の実施形態において、それらは、25%以下の量の塩基を含む。
【0016】
ホルムアルデヒド捕捉剤
典型的には、ポリビニルアミン(PVAm)は、50000~800000g/mol、200000~600000g/mol、より典型的には300000~500000g/mol、より典型的にはおよそ400000g/molの範囲の質量平均分子量(Mw)を有する。
ある特定の実施形態において、ポリビニルアミンの乾燥質量パーセントは、1~60%、より典型的には1~45%の範囲である。ある特定の実施形態において、ポリビニルアミンの乾燥質量パーセントは、1~30%の範囲である。他の実施形態において、ポリビニルアミンの乾燥質量パーセントは、5~30%の範囲である。他の実施形態において、ポリビニルアミンの乾燥質量パーセントは、1~15%の範囲である。ある特定の実施形態において、ポリビニルアミンの乾燥質量パーセントは、2~11%の範囲である。一部の実施形態において、ポリビニルアミンの乾燥質量パーセントは、2.5~7%の範囲である。一部の実施形態において、ポリビニルアミンの乾燥質量パーセントは、3~5%の範囲である。
【0017】
難燃剤を含む実施形態において、難燃剤及びホルムアルデヒド捕捉剤の全乾燥質量パーセントは、少なくとも50%であってもよい。ある特定の実施形態において、難燃剤及びホルムアルデヒド捕捉剤の全乾燥質量パーセントは、少なくとも60%である。他の実施形態において、難燃剤及びホルムアルデヒド捕捉剤の全乾燥質量パーセントは、少なくとも70%である。さらなる実施形態において、難燃剤及びホルムアルデヒド捕捉剤の全乾燥質量パーセントは、少なくとも80%である。ある特定の実施形態において、難燃剤及びホルムアルデヒド捕捉剤の全乾燥質量パーセントは、少なくとも90%である。他の実施形態において、難燃剤及びホルムアルデヒド捕捉剤の全乾燥質量パーセントは、少なくとも95%である。ある特定の実施形態において、難燃剤及びホルムアルデヒド捕捉剤の全乾燥質量パーセントは、少なくとも96%である。
【0018】
難燃剤を含む実施形態において、難燃剤対ホルムアルデヒド捕捉剤の乾燥質量比は、少なくとも2:1であってもよい。難燃剤対ホルムアルデヒド捕捉剤の乾燥質量比は、少なくとも3:1であってもよい。難燃剤対ホルムアルデヒド捕捉剤の乾燥質量比は、少なくとも4:1であってもよい。難燃剤対ホルムアルデヒド捕捉剤の乾燥質量比は、少なくとも5:1であってもよい。難燃剤対ホルムアルデヒド捕捉剤の乾燥質量比は、少なくとも10:1であってもよい。難燃剤対ホルムアルデヒド捕捉剤の乾燥質量比は、少なくとも15:1であってもよい。難燃剤対ホルムアルデヒド捕捉剤の乾燥質量比は、少なくとも20:1であってもよい。難燃剤対ホルムアルデヒド捕捉剤の乾燥質量比は、少なくとも25:1であってもよい。
配合物中のホルムアルデヒド捕捉剤の乾燥質量パーセントは、配合物が目的とする用途、特に、配合物が、上で、中で、又は共に使用される、例えば、塗布される、又は中で使用される製品に応じて有意に変わり得る。
【0019】
結合剤及び/又は架橋剤
結合剤には、スチレンアクリル酸エステルコポリマー、アクリル酸、エチレン-酢酸ビニル(EVA)、ポリビニルアルコール(PVOH/PVA)、ポリウレタン(PU)、ポリエステル、ポリビニルピロリドン(PVP)、及びデンプン誘導体などが挙げられる。水系のポリマーエマルジョン又はポリマー溶液又は両方の混合物が特に好ましい。例示的な結合剤は、シラノール官能基を有するスチレンアクリル酸エステルコポリマーの水性分散液である。
好適な架橋剤には、ブロックイソシアネート架橋剤、例えば、水系ブロックドポリイソシアネートが挙げられる。
ある特定の実施形態において、結合剤及び/又は架橋剤は結合剤の形態であり、結合剤の乾燥質量パーセントは1~60%の範囲である。ある特定のこうした実施形態において、結合剤の乾燥質量パーセントは、1~40%の範囲である。他のこうした実施形態において、結合剤のパーセントは、5~35%の範囲である。
代替的な実施形態において、結合剤及び/又は架橋剤は架橋剤の形態であり、架橋剤の乾燥質量パーセントは、1~10%の範囲である。ある特定のこうした実施形態において、架橋剤の乾燥質量パーセントは、2~9%の範囲である。他のこうした実施形態において、架橋剤の乾燥質量パーセントは、3~8%の範囲である。他のこうした実施形態において、架橋剤の乾燥質量パーセントは、4~7%の範囲である。さらなる実施形態において、架橋剤の乾燥質量パーセントは、5~6%の範囲である。
【0020】
一部の実施形態において、結合剤及び架橋剤の両方が存在する。ある特定の実施形態において、結合剤及び架橋剤の全乾燥質量パーセントは、1~15%、より典型的には3~12%、より典型的には5~9%の範囲である。ある特定のこうした実施形態において、結合剤対架橋剤の乾燥質量比は、2:1~20:1の範囲である。ある特定の実施形態において、結合剤対架橋剤の乾燥質量比は、5:1~15:1の範囲である。他の実施形態において、結合剤対架橋剤の乾燥質量比は、8:1~12:1の範囲である。特定の実施形態において、結合剤対架橋剤の乾燥質量比は、およそ10:1である。
結合剤及び/又は架橋剤の上記の記述及び以下の、様々な特有の実施形態から分かるように、結合剤及び/又は架橋剤は、全ての実施形態において存在する。したがって、結合剤及び/又は架橋剤の範囲は、60%以下であるものとして表され得る。
(i)結合剤、(ii)架橋剤、及び(iii)結合剤+架橋剤の組合せの、上記の任意の範囲から分かるように、全体の範囲を、結合剤及び/又は架橋剤が少なくとも1%であるものとして表すことができ、すなわち、結合剤及び/又は架橋剤は、1~60%の範囲で存在する。
【0021】
消泡剤
消泡剤は、当技術分野で周知である。好適な消泡剤には(それに限定されないが)、ポリジメチルシロキサン(PDMS)の油及びエマルジョンに基づいたものが挙げられる。
ある特定の実施形態において、0.1%未満の消泡剤が存在する。ある特定の実施形態において、0.05%以下の消泡剤が存在する。ある特定の実施形態において、消泡剤の量は、0.01%以上及び0.1%未満である。ある特定の実施形態において、消泡剤の量は、0.01%以上及び0.05%以下であり、ある特定の実施形態において、0.01%~0.02%の間の消泡剤が存在する。
【0022】
塩基
好適な塩基は、当業者に容易に明らかであり、(それに限定されないが)Ca(OH)2、NaOH、KOH、Na2CO3、Mg(OH)2、及びNa3PO4を含む。特定の好ましい塩基は、炭酸ナトリウム(Na2CO3)である。
ある特定の実施形態において、塩基の乾燥質量パーセントは、0~25%の範囲である。したがって、塩基を含む実施形態において、塩基は、25%以下の量で存在することができる。他の実施形態において、塩基の乾燥質量パーセントは、0.5~25%の範囲である。他の実施形態において、塩基の乾燥質量パーセントは、1~20%の範囲である。他の実施形態において、塩基の乾燥質量パーセントは、1.5~15%の範囲である。
塩基を含む実施形態において、ポリビニルアミン対塩基の乾燥質量比は、1:3~3:1の範囲であってもよい。ポリビニルアミン対塩基の乾燥質量比は、1:2~2:1の範囲であってもよい。ポリビニルアミン対塩基の乾燥質量比は、1:1~2:1の範囲であってもよい。
塩基は、凝集を防ぐのに特に有用である。凝集は望ましくない影響を有し得るので、凝集を減らし、最小化し、又は避けることが望ましい。特に、フィルターが、製造工程の一部として使用される場合、例えば、凝集は目詰まりフィルターをもたらすことがある。同様に、凝集は、最終製品において、望ましくない質感の影響/塊をもたらし得る。
【0023】
特に、凝集は、カルボン酸基及び/又はトリアルコキシシラン基と反応し/カルボン酸基及び/又はトリアルコキシシラン基に対し親和性を有するホルムアルデヒド捕捉剤から生じ得る。例えば、カルボン酸基は、配合物中で使用される成分(例えば、ATH難燃剤又はP-N難燃剤)中に存在する分散剤中のポリカルボン酸ナトリウム(sodium polycarboxylic acid)及びクエン酸として存在することができる。
いずれの塩基も含まない、実施例1の配合物(以下)について行われたさらなる実験は、実施例1の配合物が凝集する傾向があることを示した。追加の実験(詳述せず)によれば、塩基(Na2CO3の形態)の、実施例1で使用された配合物への添加は、凝集が生じるのを防いだ。
同様に、トリアルコキシシランを含み、塩基を含まない配合物に関する、追加の実験により、凝集が生じ得ることが見出された。配合物中に塩基を組み込んだ、追加の実験により、凝集が防がれた。
凝集は、実施例2~7又は実施例9の配合物では認められなかった。
したがって、ある特定の実施形態において、配合物は塩基を含む。
したがって、配合物がカルボン酸/ポリカルボン酸を含む実施形態において、配合物は、塩基を含むことができる。同様に、配合物がトリアルコキシシランを含む実施形態において、配合物は、塩基を含むことができる。
特に、塩基は、起こり得る凝集を回避するために、配合物中に存在することができる。
【0024】
難燃剤
好適な難燃剤には、(それに限定されないが)アルミニウム三水和物(ATH)難燃剤及びリン窒素(P-N)難燃剤が挙げられる。
撥剤
撥剤である、撥水剤及び/又は撥油剤。好適な撥剤には、(それに限定されないが)フッ化炭素及びパーフルオロアルキル官能化アクリレートが挙げられる。
分散剤
好適な分散剤には、(それに限定されないが)ポリカルボン酸分散剤、特に、塩溶液、例えば、ポリカルボン酸のナトリウム塩溶液分散剤が挙げられる。
添加剤
特に、添加剤は、ポリリン酸ナトリウム塩(NaPO3nを含むことができる。
使用
本発明のホルムアルデヒド捕捉配合物は、ベール(特に、不織布ベール)並びに天井タイル、断熱ボード、特に、フェノール断熱ボードなどのボード、並びに木質パネル、織布、織物などのパネル及びボードを含める建造品において(例えば、それに塗布される、又はそれに含有される)、並びに他の基材の上、又はそれに塗布されることにおいて使用され得る。
ベール
本発明によれば、本発明によるホルムアルデヒド捕捉配合物で被覆された、又はそれを含有する不織布ベールも提供される。
【0025】
本発明によれば、アミノシラン又はアミノ前駆体基官能化シランで被覆された、又はそれを含有する不織布ベールも提供される。以下の実施例に示されるように、アミノシランは、有効なホルムアルデヒド捕捉剤である。アミノシランは、例えば、アミノシラン及び水を含むホルムアルデヒド捕捉配合物の形態であってもよい。典型的には、アミノシランは、第一級アミノシラン、すなわち、第一級アミン官能化シランである。例示的なアミノシランは、ガンマ-アミノプロピルトリエトキシシラン(H2NCH2CH2CH2Si(OCH2CH33)である。
建造品用の不織布ベールは、当技術分野で周知であり、典型的には、混ぜ合わさった、ランダムに配向した強化用繊維を含む。ベールの繊維成分は、金属繊維、セラミック繊維、鉱物繊維、ガラス繊維、炭素繊維、グラファイト繊維、アラミド、ポリエステル、ポリアクリル酸、ポリアミド、ポリアクリロニトリルなどのポリマー繊維、天然繊維、及びその組合せのいずれかであってもよい。特に、ベールの繊維成分は、ガラス繊維であってもよい。ベールは、繊維20~130g/m2を含むことができる。
【0026】
ベールは、ホルムアルデヒド捕捉剤を最高で40g/m2まで含むことができる。ベールは、ホルムアルデヒド捕捉剤0.5~20g/m2を含むことができる。ベールは、ホルムアルデヒド捕捉剤1~15g/m2を含むことができる。ベールは、ホルムアルデヒド捕捉剤2~10g/m2を含むことができる。ベールは、ホルムアルデヒド捕捉剤3~6g/m2を含むことができる。以下の実施例に詳述されるように、ホルムアルデヒド捕捉剤のこれらの分量を用いて、優れた結果が実現された。
特に、ベールは、ホルムアルデヒド捕捉配合物5~250g/m2を含むことができ、そのうちの0.5~20g/m2はホルムアルデヒド捕捉剤である。
【0027】
建造品
本発明によれば、少なくとも1つの表面に、本発明による不織布ベールを有する建造品も提供される。例示的な建造品には、天井タイル、壁パネル、断熱ボード、石膏ボード、及び木質パネルが挙げられる。特に、建造品は、前面及び背面のうちの少なくとも一方に、本発明による不織布ベールを有することができる。建造品は、ガラスウール、ロックウール、ストーンウール、又はミネラルウールなどのウールで作製され得る。木質パネルを含める製品には、それに限定されないが、床タイル及び家具が挙げられる。天井タイルには、それに限定されないが、ウェットフェルトボード(wet felt board)が挙げられる。
【0028】
天井タイルの場合において、天井タイルは、その前面及び背面のうちの少なくとも一方に、本発明による不織布ベールを有することができる。天井タイルは、ホルムアルデヒド放出結合剤を含有することができる。天井タイルは、ウールで作製され得る。ウールは、ガラスウール、ロックウール、ストーンウール、又はミネラルウールであってもよい。
壁パネルの場合において、壁パネルは、その前面及び背面のうちの少なくとも一方に、本発明による不織布ベールを有することができる。壁パネルは、ホルムアルデヒド放出結合剤を含有することができる。天井タイルは、ウールで作製され得る。ウールは、ガラスウール、ロックウール、ストーンウール、又はミネラルウールであってもよい。
断熱ボードの場合において、断熱ボードは、その前面及び背面のうちの少なくとも一方に、本発明による不織布ベールを有することができる。断熱ボードは、フェノール発泡ボード又はミネラルウールボードであってもよい。
木質パネル(WBP)の場合において、木質パネルは、その前面及び背面のうちの少なくとも一方に、又は積層物に含有された、本発明による不織布ベールを有することができる。
【0029】
建造品が木質パネルである場合、ホルムアルデヒド捕捉配合物中のホルムアルデヒド捕捉剤の乾燥質量パーセントは、10~40%の範囲であってもよい。ある特定のこうした実施形態において、ホルムアルデヒド捕捉配合物中のホルムアルデヒド捕捉剤の乾燥質量パーセントは、15~35%の範囲である。他のこうした実施形態において、ホルムアルデヒド捕捉配合物中のホルムアルデヒド捕捉剤の乾燥質量パーセントは、20~30%の範囲である。配合物が難燃剤も含む、ある特定のこうした実施形態において、難燃剤対ホルムアルデヒド捕捉剤の乾燥質量比は、5:1~2:1の範囲であり得る。
建造品が天井タイル又は壁パネルである場合、ホルムアルデヒド捕捉配合物中のホルムアルデヒド捕捉剤の乾燥質量パーセントは、2~11%の範囲であってもよい。ある特定のこうした実施形態において、ホルムアルデヒド捕捉配合物中のホルムアルデヒド捕捉剤の乾燥質量パーセントは、3~6%の範囲であってもよい。配合物が難燃剤も含む、ある特定のこうした実施形態において、難燃剤対ホルムアルデヒド捕捉剤の乾燥質量比は、少なくとも10:1であってもよい。ある特定のこうした実施形態において、難燃剤対ホルムアルデヒド捕捉剤の乾燥質量比は、少なくとも15:1である。ある特定のこうした実施形態において、難燃剤対ホルムアルデヒド捕捉剤の乾燥質量比は、少なくとも20:1である。他のこうした実施形態において、難燃剤対ホルムアルデヒド捕捉剤の乾燥質量比は、少なくとも25:1である。
【0030】
建造品が、フェノール断熱ボードなどの断熱ボードである場合、ホルムアルデヒド捕捉剤の乾燥質量パーセントは、1~20%の範囲であってもよい。ある特定の実施形態において、ホルムアルデヒド捕捉剤の乾燥質量パーセントは、5~15%の範囲である。特定の実施形態において、ホルムアルデヒド捕捉剤の乾燥質量パーセントは、7.5~12.5%の範囲である。配合物が難燃剤も含む、ある特定のこうした実施形態において、難燃剤対ホルムアルデヒド捕捉剤の乾燥質量比は、2:1~10:1の範囲であってもよい。ある特定のこうした実施形態において、難燃剤対ホルムアルデヒド捕捉剤の乾燥質量比は、3:1~9:1の範囲である。ある特定のこうした実施形態において、難燃剤対ホルムアルデヒド捕捉剤の乾燥質量比は、4:1~8:1の範囲である。
【0031】
本発明によれば、建造品からのホルムアルデヒド放出を減らす方法であって、その方法が、本発明による不織布ベールを、建造品の少なくとも1つの外面に取り付けるステップを含む、方法もまた提供される。
少なくとも1つの外面は、製品の少なくとも1つの主な表面、例えば、前面又は前面及び裏面の両方であってもよい。建造品の例は、タイル(例えば、天井タイル)並びにパネル及びボード(例えば、壁パネル、天井パネル、及び断熱ボード)である。
本明細書において成分の包含を特定するのに使用される、用語「含むこと(comprising)」は、さらなる成分が存在しない実施形態も含める。
本発明の実施形態は、ここで、例によってのみ記載される。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本明細書全体を通して使用される質量%値は、全乾燥質量に基づく。
以下の例において、本発明によるホルムアルデヒド捕捉配合物及び建造品は、優れた結果を示す。
【実施例
【0033】
(実施例1)
本実施例において、木質パネル(WBP)をホルムアルデヒド放出源として使用した。パネルの裏側及び縁端部を、(裏側が、代わりに捕捉ベールで覆われた「WBP+配合表1/×25g2側面」を除いて)非放出アルミニウムテープで覆った。放出表面は、51Lチャンバーにおいて約0.06m2であった。ホルムアルデヒド濃度(μg/m3)は、天井積載率(Ceiling loading factor)を考慮したヨーロッパの標準の部屋における目安として与えられる。
捕捉ベールで使用された「配合表1」捕捉剤配合物は以下の通りであった。
【表1】

【0034】
試料
木質パネル(WBP):表面仕上げなし(unfaced)木製パネル
WBP+NSベール:木製パネル+表面に塗布された1非捕捉ベール
WBP+配合表1/×12g:木製パネル+1捕捉ベール(12g/m2付加、PVAm3.3g/m2を意味する)
WBP+配合表1/×25g:木製パネル+1捕捉ベール(25.7g/m2付加、PVAm7.1g/m2を意味する)
WBP+配合表1/×25g2側面:木製パネル+前側の1捕捉ベール+裏側の1捕捉ベール(2×25.7g/m2付加、PVAm2×7.1g/m2を意味する)、放出表面=0.12m2
結果:
【表2】

【0035】
結果によれば、配合表1WBPパネルのそれぞれは、表面仕上げなし/未処理の木製パネル及び非捕捉ベールよりもホルムアルデヒド放出を有意に減らした。特に、WBP+配合表1/×25g2側面の製品が優れた結果を実現した。
さらなる試験によれば、WBP+配合表1/×25g2側面の製品は、28日目で10μg/m3未満のホルムアルデヒド放出を有した。
【0036】
(実施例2及び実施例3)
本実施例において、木質パネルをホルムアルデヒド放出源として使用した。パネルの裏側及び縁端部を、非放出アルミニウムテープで覆った。放出表面は、51Lチャンバーにおいて約0.06m2であった。ホルムアルデヒド濃度(μg/m3)は、天井積載率を考慮したヨーロッパの標準の部屋における目安として与えられる。
捕捉ベールで使用された「配合表2」捕捉剤配合物(実施例2)は以下の通りであった。
【表3】


捕捉ベールで使用された「配合表3」捕捉剤配合物(実施例3)は以下の通りであった。
【表4】

【0037】
試料:
木質パネル(WBP):表面仕上げなし木製パネル
WBP+A:木製パネル+表面に塗布された1捕捉ベール(配合表2、45g/m2付加、PVAm4.9g/m2を意味する)
WBP+B:木製パネル+表面に塗布された1捕捉ベール(配合表3、45g/m2付加、PVAm4.9g/m2を意味する)
WBP+NSベール:木製パネル+表面に塗布された1非捕捉ベール
結果:
【表5】

【0038】
結果によれば、配合表2及び配合表3の配合物を使用したベールを有するパネルは、表面仕上げなし/未処理の木製パネル及び非捕捉ベール(NSベール)と比較してホルムアルデヒド放出を極めて有意に減らした。
特に、配合表2及び配合表3の配合物を使用したベールを有するパネルからのホルムアルデヒド放出を定量化することができず、放出率が経時的に減少するので、28日後、28日目のホルムアルデヒド放出は、10μg/m3未満になると結論づけることができる。
【0039】
(実施例4)
本実施例において、ホルムアルデヒド捕捉剤配合物は以下の通りである。
【表6】


これに関して、捕捉剤(すなわち、配合物)は以下の通りベールに添加される。
【表7】

【0040】
(実施例5)
本実施例において、ホルムアルデヒド捕捉剤配合物は以下の通りである。
【表8】


これに関して、捕捉剤(すなわち、配合物)は以下の通りベールに添加される。
【表9】

【0041】
(実施例6)
本実施例において、ホルムアルデヒド捕捉剤配合物は以下の通りである。
【表10】


これに関して、捕捉剤(すなわち、配合物)は以下の通りベールに添加される。
【表11】

【0042】
(実施例7)
【表12】


これに関して、捕捉剤(すなわち、配合物)は以下の通りベールに添加される。
【表13】

【0043】
例8(参照例)
本実施例において、木質パネルをホルムアルデヒド放出源として使用した。パネルの後ろ(裏)側及び縁端部は、非放出アルミニウムテープで覆われた。放出表面は51Lチャンバーにおいて約0.06m2であった。ホルムアルデヒド濃度(μg/m3)は、天井積載率を考慮したヨーロッパの標準の部屋における目安として与えられる。
捕捉ベールで使用された「配合表4」捕捉剤配合物は以下の通りであった。
【表14】


水は、塗布方法に好適な組成物(すなわち、配合物)になるように添加され、乾燥付加を必要とした。
【0044】
試料:
木質パネル(WBP):表面仕上げなし木製パネル
WBP+配合表4:木製パネル+1捕捉ベール(純粋な捕捉剤、9g/m2付加、捕捉剤9g/m2を意味する)
結果:
【表15】


結果によれば、アミノシランを使用したベールを有するパネルは、参照WBPと比較して良好な結果を実現した。これは、アミノシランが、ホルムアルデヒド捕捉剤として使用するのに好適であることを示唆する。
【0045】
(実施例9)
本実施例において、ホルムアルデヒド捕捉剤配合物は以下の通りである。
【表16】

【0046】
改善されたホルムアルデヒド捕捉結果は、参照WBPと比較して得られた。
記載された本発明の実施形態への様々な変更及び変形は、本発明の範囲及び趣旨を逸脱することなく、当業者に明らかになる。本発明は、特有の実施形態と関連付けて記載されてきたが、特許請求の範囲に記載の本発明は、こうした特有の実施形態に過度に限定されるべきではないと理解されたい。確かに、当業者に明らかな、記載された、本発明を実施する態様の様々な変更は、本発明の範囲内にあるものと意図される。
【国際調査報告】