(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-27
(54)【発明の名称】アンジオテンシノーゲン発現を調節するための化合物及び方法
(51)【国際特許分類】
C12N 15/113 20100101AFI20231117BHJP
A61P 9/00 20060101ALI20231117BHJP
A61P 9/12 20060101ALI20231117BHJP
A61P 9/10 20060101ALI20231117BHJP
A61P 1/16 20060101ALI20231117BHJP
A61P 3/00 20060101ALI20231117BHJP
A61P 3/04 20060101ALI20231117BHJP
A61K 31/7088 20060101ALI20231117BHJP
A61P 13/12 20060101ALI20231117BHJP
A61K 47/54 20170101ALI20231117BHJP
A61K 9/08 20060101ALI20231117BHJP
A61K 47/04 20060101ALI20231117BHJP
C07H 21/04 20060101ALI20231117BHJP
【FI】
C12N15/113 120Z
C12N15/113 ZNA
A61P9/00
A61P9/12
A61P9/10
A61P1/16
A61P3/00
A61P3/04
A61K31/7088
A61P13/12
A61K47/54
A61K9/08
A61K47/04
C07H21/04 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023529940
(86)(22)【出願日】2021-11-18
(85)【翻訳文提出日】2023-06-22
(86)【国際出願番号】 US2021059896
(87)【国際公開番号】W WO2022109139
(87)【国際公開日】2022-05-27
(32)【優先日】2020-11-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-08-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】595104323
【氏名又は名称】アイオーニス ファーマシューティカルズ, インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】Ionis Pharmaceuticals,Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100163784
【氏名又は名称】武田 健志
(72)【発明者】
【氏名】ムリック,アダム
(72)【発明者】
【氏名】フレアー,スーザン・エム
【テーマコード(参考)】
4C057
4C076
4C086
【Fターム(参考)】
4C057AA17
4C057BB01
4C057BB02
4C057DD03
4C057MM01
4C057MM05
4C076AA12
4C076AA95
4C076BB15
4C076BB16
4C076CC11
4C076CC16
4C076CC17
4C076CC21
4C076CC41
4C076DD26Z
4C076EE59
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086EA16
4C086MA01
4C086MA04
4C086MA66
4C086NA14
4C086ZA36
4C086ZA42
4C086ZA45
4C086ZA70
4C086ZA75
4C086ZA81
4C086ZC21
(57)【要約】
細胞または対象におけるAGT RNAの量または活性を低減するため、及びある特定の例では、細胞または対象におけるAGTの量を低減するための化合物、方法、及び薬学的組成物が提供される。かかる化合物、方法、及び薬学的組成物は、心血管疾患の少なくとも1つの症状または特徴を改善するのに有用である。かかる化合物及び薬学的組成物は、RAAS経路関連疾患または障害の少なくとも1つの症状または特徴を改善するのに有用である。かかる症状及び特徴には、高血圧症、慢性腎疾患、脳卒中、心筋梗塞、心不全、弁膜性心疾患、血管の動脈瘤、末梢動脈疾患、及び臓器損傷が含まれる。かかる心血管疾患には、高血圧症、抵抗性高血圧症、マルファン症候群、及び心不全が含まれる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
14~30個の結合されたヌクレオシドからなり、配列番号12~15の核酸塩基配列のうちのいずれかの少なくとも14個、少なくとも15個、または少なくとも16個の連続する核酸塩基を含む核酸塩基配列を有する、修飾されたオリゴヌクレオチドを含む、オリゴマー化合物であって、前記修飾されたオリゴヌクレオチドが、修飾された糖部分及び修飾されたヌクレオシド間結合から選択される少なくとも1つの修飾を含む、前記オリゴマー化合物。
【請求項2】
14~30個の結合されたヌクレオシドからなり、
配列番号1の核酸塩基2046~2061の等長部分、
配列番号1の核酸塩基2271~2286の等長部分、
配列番号1の核酸塩基2272~2287の等長部分、
に相補的な少なくとも14個、少なくとも15個、または少なくとも16個の連続する核酸塩基を含む核酸塩基配列を有する、修飾されたオリゴヌクレオチドを含む、オリゴマー化合物であって、前記修飾されたオリゴヌクレオチドが、修飾された糖部分及び修飾されたヌクレオシド間結合から選択される少なくとも1つの修飾を含む、前記オリゴマー化合物。
【請求項3】
16個の結合されたヌクレオシドからなり、配列番号12の核酸塩基配列を含む核酸塩基配列を有する、修飾されたオリゴヌクレオチドを含む、オリゴマー化合物であって、前記修飾されたオリゴヌクレオチドが、修飾された糖部分及び修飾されたヌクレオシド間結合から選択される少なくとも1つの修飾を含む、前記オリゴマー化合物。
【請求項4】
16個の結合されたヌクレオシドからなり、配列番号13の核酸塩基配列を含む核酸塩基配列を有する、修飾されたオリゴヌクレオチドを含む、オリゴマー化合物であって、前記修飾されたオリゴヌクレオチドが、修飾された糖部分及び修飾されたヌクレオシド間結合から選択される少なくとも1つの修飾を含む、前記オリゴマー化合物。
【請求項5】
16個の結合されたヌクレオシドからなり、配列番号14の核酸塩基配列を含む核酸塩基配列を有する、修飾されたオリゴヌクレオチドを含む、オリゴマー化合物であって、前記修飾されたオリゴヌクレオチドが、修飾された糖部分及び修飾されたヌクレオシド間結合から選択される少なくとも1つの修飾を含む、前記オリゴマー化合物。
【請求項6】
16個の結合されたヌクレオシドからなり、配列番号15の核酸塩基配列を含む核酸塩基配列を有する、修飾されたオリゴヌクレオチドを含む、オリゴマー化合物であって、前記修飾されたオリゴヌクレオチドが、修飾された糖部分及び修飾されたヌクレオシド間結合から選択される少なくとも1つの修飾を含む、前記オリゴマー化合物。
【請求項7】
前記修飾されたオリゴヌクレオチドが、前記修飾されたオリゴヌクレオチドの核酸塩基配列全体にわたって測定された場合に、任意の配列番号1または配列番号2の核酸塩基配列と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または100%相補的である核酸塩基配列を有する、請求項1~6のいずれかに記載のオリゴマー化合物。
【請求項8】
前記修飾されたオリゴヌクレオチドが、少なくとも1つの二環式糖部分を含む、請求項1~7のいずれかに記載のオリゴマー化合物。
【請求項9】
前記二環式糖部分が、4’-2’架橋を有し、前記4’-2’架橋が、-CH
2-O-及び-CH(CH
3)-O-から選択される、請求項8に記載のオリゴマー化合物。
【請求項10】
前記修飾されたオリゴヌクレオチドが、少なくとも1つの非二環式の修飾された糖部分を含む、請求項1~9のいずれかに記載のオリゴマー化合物。
【請求項11】
前記非二環式の修飾された糖部分が、2’-MOE糖部分または2’-OMe糖部分である、請求項10に記載のオリゴマー化合物。
【請求項12】
前記修飾されたオリゴヌクレオチドが、少なくとも1つの糖サロゲートを含む、請求項1~11のいずれかに記載のオリゴマー化合物。
【請求項13】
前記糖サロゲートが、モルホリノ、修飾されたモルホリノ、PNA、THP、及びF-HNAのうちのいずれかである、請求項12に記載のオリゴマー化合物。
【請求項14】
前記修飾されたオリゴヌクレオチドが、ギャップマーである、請求項1~13のいずれかに記載のオリゴマー化合物。
【請求項15】
前記修飾されたオリゴヌクレオチドが、
1~6個の結合された5’領域ヌクレオシドからなる5’領域と、
6~10個の結合された中央領域ヌクレオシドからなる中央領域と、
1~6個の結合された3’領域ヌクレオシドからなる3’領域と、
を含む、糖モチーフを有し、
前記5’領域ヌクレオシドの各々及び前記3’領域ヌクレオシドの各々が、修飾された糖部分を含み、前記中央領域ヌクレオシドのうちの少なくとも6個が、2’-β-D-デオキシリボシル糖部分を含む、請求項14に記載のオリゴマー化合物。
【請求項16】
前記修飾されたオリゴヌクレオチドが、
1~6個の結合された5’領域ヌクレオシドからなる5’領域と、
6~10個の結合された中央領域ヌクレオシドからなる中央領域と、
1~6個の結合された3’領域ヌクレオシドからなる3’領域と、
を含む、糖モチーフを有し、
前記5’領域ヌクレオシドの各々及び前記3’領域ヌクレオシドの各々が、修飾された糖部分を含み、前記中央領域ヌクレオシドの各々が、2’-デオキシリボシル糖部分を含む、請求項14に記載のオリゴマー化合物。
【請求項17】
前記修飾されたオリゴヌクレオチドが、
3個の結合された5’領域ヌクレオシドからなる5’領域と、
10個の結合された中央領域ヌクレオシドからなる中央領域と、
3個の結合された3’領域ヌクレオシドからなる3’領域と、
を含む、糖モチーフを有し、
前記5’領域ヌクレオシドの各々及び前記3’領域ヌクレオシドの各々が、2’-MOE修飾された糖部分またはcEt修飾された糖部分を含み、前記中央領域ヌクレオシドの各々が、2’-β-D-デオキシリボシル糖部分を含む、請求項14に記載のオリゴマー化合物。
【請求項18】
前記修飾されたオリゴヌクレオチドが、
3個の結合された5’領域ヌクレオシドからなる5’領域と、
10個の結合された中央領域ヌクレオシドからなる中央領域と、
43個の結合された3’領域ヌクレオシドからなる3’領域と、
を含む、糖モチーフを有し、
前記5’領域ヌクレオシドの各々及び前記3’領域ヌクレオシドの各々が、2’-MOE修飾された糖部分またはcEt修飾された糖部分を含み、前記中央領域ヌクレオシドのうちの少なくとも6個が、2’-β-D-デオキシリボシル糖部分を含む、請求項14に記載のオリゴマー化合物。
【請求項19】
前記修飾されたオリゴヌクレオチドが、eekddddddddddkke、ekkddddddddddkke、kkkdyddddddddkkk、kkkddydddddddkkk、kkkdddyddddddkkk、kkkddddddddddkkk、またはeeeeeddddddddddeeeeeから選択される糖モチーフ(5’から3’)を有し、「e」が、2’-MOE糖部分を表し、「k」が、cEt糖部分を表し、「d」が、2’-β-D-デオキシリボシル糖部分を表し、「y」が、2’-OMe糖部分を表す、請求項1~18のいずれかに記載のオリゴマー化合物。
【請求項20】
前記修飾されたオリゴヌクレオチドが、少なくとも1つの修飾されたヌクレオシド間結合を含む、請求項1~19のいずれかに記載のオリゴマー化合物。
【請求項21】
前記修飾されたオリゴヌクレオチドの各ヌクレオシド間結合が、修飾されたヌクレオシド間結合である、請求項20に記載のオリゴマー化合物。
【請求項22】
少なくとも1つのヌクレオシド間結合が、ホスホロチオエートヌクレオシド間結合である、請求項20または21に記載のオリゴマー化合物。
【請求項23】
前記修飾されたオリゴヌクレオチドが、少なくとも1つのホスホジエステルヌクレオシド間結合を含む、請求項20及び22のいずれかに記載のオリゴマー化合物。
【請求項24】
各ヌクレオシド間結合が、ホスホジエステルヌクレオシド間結合またはホスホロチオエートヌクレオシド間結合のいずれかである、請求項20、22、及び23のいずれかに記載のオリゴマー化合物。
【請求項25】
各ヌクレオシド間結合が、ホスホロチオエートヌクレオシド間結合である、請求項21に記載のオリゴマー化合物。
【請求項26】
前記修飾されたオリゴヌクレオチドが、soossssssssssosのヌクレオシド間結合モチーフを有し、
sが、ホスホロチオエートヌクレオシド間結合であり、
oが、ホスホジエステルヌクレオシド間結合である、
請求項1~20または22~24のいずれかに記載のオリゴマー化合物。
【請求項27】
前記修飾されたオリゴヌクレオチドが、少なくとも1つの修飾された核酸塩基を含む、請求項1~26のいずれかに記載のオリゴマー化合物。
【請求項28】
前記修飾された核酸塩基が、5-メチルシトシンである、請求項27に記載のオリゴマー化合物。
【請求項29】
前記修飾されたオリゴヌクレオチドが、14~30、14~22、14~20、14~18、14~20、15~17、15~25、または16~20個の結合されたヌクレオシドからなる、請求項1~28のいずれかに記載のオリゴマー化合物。
【請求項30】
前記修飾されたオリゴヌクレオチドが、16個の結合されたヌクレオシドからなる、請求項1~28のいずれかに記載のオリゴマー化合物。
【請求項31】
コンジュゲート基を含む、請求項1~30のいずれかに記載のオリゴマー化合物。
【請求項32】
前記コンジュゲート基が、1~3個のGalNAcリガンドを含むGalNAcクラスターを含む、請求項31に記載のオリゴマー化合物。
【請求項33】
前記コンジュゲート基が、単結合からなるコンジュゲートリンカーを含む、請求項31及び32のいずれか1項に記載のオリゴマー化合物。
【請求項34】
前記コンジュゲート基が、切断可能なリンカーを含む、請求項31~33のいずれか1項に記載のオリゴマー化合物。
【請求項35】
前記コンジュゲート基が、1~3個のリンカーヌクレオシドを含むコンジュゲートリンカーを含む、請求項31~34のいずれか1項に記載のオリゴマー化合物。
【請求項36】
前記コンジュゲート基が、前記修飾されたオリゴヌクレオチドの5’-ヌクレオシドで前記修飾されたオリゴヌクレオチドに結合されている、請求項31~35のいずれか1項に記載のオリゴマー化合物。
【請求項37】
前記コンジュゲート基が、前記修飾されたオリゴヌクレオチドの3’-ヌクレオシドで前記修飾されたオリゴヌクレオチドに結合されている、請求項31~35のいずれか1項に記載のオリゴマー化合物。
【請求項38】
前記オリゴマー化合物が、一本鎖オリゴマー化合物である、請求項1~37のいずれかに記載のオリゴマー化合物。
【請求項39】
前記修飾されたオリゴヌクレオチドからなる、請求項1~30のいずれかに記載のオリゴマー化合物。
【請求項40】
以下の化学構造:
【化1】
(配列番号12)に従う、オリゴマー化合物、またはその塩。
【請求項41】
以下の化学構造:
【化2】
(配列番号12)に従う、オリゴマー化合物。
【請求項42】
以下の化学構造:
【化3】
(配列番号13)に従う、オリゴマー化合物、またはその塩。
【請求項43】
以下の化学構造:
【化4】
(配列番号13)に従う、オリゴマー化合物。
【請求項44】
以下の化学構造:
【化5】
(配列番号14)に従う、オリゴマー化合物、またはその塩。
【請求項45】
以下の化学構造:
【化6】
(配列番号14)に従う、オリゴマー化合物。
【請求項46】
以下の化学構造:
【化7】
(配列番号15)に従う、オリゴマー化合物、またはその塩。
【請求項47】
以下の化学構造:
【化8】
(配列番号15)に従う、オリゴマー化合物。
【請求項48】
ナトリウム塩またはカリウム塩である、請求項40、42、44、及び47のいずれかに記載のオリゴマー化合物。
【請求項49】
以下の化学表記法:
mC
esG
eo
mC
koT
dsG
dsA
dsT
dsT
dsT
dsG
dsT
ds
mC
ds
mC
dsG
koG
ksG
e(配列番号12)に従う修飾されたオリゴヌクレオチドを含む、オリゴマー化合物であって、式中、
Aが、アデニン核酸塩基であり、
mCが、5-メチルシトシン核酸塩基であり、
Gが、グアニン核酸塩基であり、
Tが、チミン核酸塩基であり、
eが、2’-β-D-MOE糖部分であり、
kが、cEt糖部分であり、
dが、2’-β-D-デオキシリボシル糖部分であり、
sが、ホスホロチオエートヌクレオシド間結合であり、
oが、ホスホジエステルヌクレオシド間結合である、
前記オリゴマー化合物。
【請求項50】
以下の化学表記法:T
es
mC
koG
koG
dsT
dsT
dsG
dsG
dsA
dsA
dsT
dsT
ds
mC
dsT
koT
ksT
e(配列番号13)に従う修飾されたオリゴヌクレオチドを含む、オリゴマー化合物であって、式中、
Aが、アデニン核酸塩基であり、
mCが、5-メチルシトシン核酸塩基であり、
Gが、グアニン核酸塩基であり、
Tが、チミン核酸塩基であり、
eが、2’-β-D-MOE糖部分であり、
kが、cEt糖部分であり、
dが、2’-β-D-デオキシリボシル糖部分であり、
sが、ホスホロチオエートヌクレオシド間結合であり、
oが、ホスホジエステルヌクレオシド間結合である、
前記オリゴマー化合物。
【請求項51】
以下の化学表記法:G
ksT
ks
mC
ksG
dsG
ysT
dsT
dsG
dsG
dsA
dsA
dsT
dsT
ds
mC
ksT
ksT
k(配列番号15)に従う修飾されたオリゴヌクレオチドを含む、オリゴマー化合物であって、式中、
Aが、アデニン核酸塩基であり、
mCが、5-メチルシトシン核酸塩基であり、
Gが、グアニン核酸塩基であり、
Tが、チミン核酸塩基であり、
kが、cEt糖部分であり、
dが、2‘-β-D-デオキシリボシル糖部分であり、
yが、2‘-OMeリボース糖部分であり、
sが、ホスホロチオエートヌクレオシド間結合である、
前記オリゴマー化合物。
【請求項52】
以下の化学表記法:T
ks
mC
koG
koG
dsU
ysT
dsG
dsG
dsA
dsA
dsT
dsT
ds
mC
dsT
koT
ksT
k(配列番号14)に従う修飾されたオリゴヌクレオチドを含む、オリゴマー化合物であって、式中、
Aが、アデニン核酸塩基であり、
mCが、5-メチルシトシン核酸塩基であり、
Gが、グアニン核酸塩基であり、
Tが、チミン核酸塩基であり、
Uが、ウラシル核酸塩基であり、
kが、cEt糖部分であり、
dが、2’-β-D-デオキシリボシル糖部分であり、
yが、2’-OMeリボース糖部分であり、
sが、ホスホロチオエートヌクレオシド間結合であり、
oが、ホスホジエステルヌクレオシド間結合である、
前記オリゴマー化合物。
【請求項53】
コンジュゲート基に共有結合した前記修飾されたオリゴヌクレオチドを含む、請求項49~52のいずれかに記載のオリゴマー化合物。
【請求項54】
請求項1~53のいずれかに記載のオリゴマー化合物を含む、オリゴマー二本鎖。
【請求項55】
請求項1~53のいずれかに記載のオリゴマー化合物もしくは請求項54に記載のオリゴマー二本鎖を含むか、またはそれらからなる、アンチセンス化合物。
【請求項56】
請求項40~53のいずれかに記載のオリゴマー化合物のキラル的に濃縮された集団であって、前記集団が、特定の立体化学的配置を有する少なくとも1つの特定のホスホロチオエートヌクレオシド間結合を含む化合物について濃縮されている、前記キラル的に濃縮された集団。
【請求項57】
前記集団が、(Sp)配置を有する少なくとも1つの特定のホスホロチオエートヌクレオシド間結合を含む化合物について濃縮されている、請求項56に記載のキラル的に濃縮された集団。
【請求項58】
前記集団が、(Rp)配置を有する少なくとも1つの特定のホスホロチオエートヌクレオシド間結合を含む化合物について濃縮されている、請求項56に記載のキラル的に濃縮された集団。
【請求項59】
前記集団が、各ホスホロチオエートヌクレオシド間結合において特定の独立して選択される立体化学的配置を有する化合物について濃縮されている、請求項56に記載のキラル的に濃縮された集団。
【請求項60】
前記集団が、各ホスホロチオエートヌクレオシド間結合において(Sp)配置を有する化合物について、または各ホスホロチオエートヌクレオシド間結合において(Rp)配置を有する修飾されたオリゴヌクレオチドについて濃縮されている、請求項56に記載のキラル的に濃縮された集団。
【請求項61】
前記集団が、1つの特定のホスホロチオエートヌクレオシド間結合において(Rp)配置を有し、かつ残りのホスホロチオエートヌクレオシド間結合の各々において(Sp)配置を有する化合物について濃縮されている、請求項56に記載のキラル的に濃縮された集団。
【請求項62】
前記集団が、5’から3’の方向に、Sp配置、Sp配置、及びRp配置で少なくとも3個の連続するホスホロチオエートヌクレオシド間結合を有する化合物について濃縮されている、請求項56に記載のキラル的に濃縮された集団。
【請求項63】
前記オリゴマー化合物の全てのホスホロチオエートヌクレオシド間結合が、ステレオランダムである、請求項40~53のいずれかに記載のオリゴマー化合物の集団。
【請求項64】
請求項1~53のいずれかに記載のオリゴマー化合物、請求項54に記載のオリゴマー二本鎖、請求項55に記載のアンチセンス化合物、または請求項56~63のいずれかに記載の集団と、薬学的に許容される担体または希釈剤と、を含む、薬学的組成物。
【請求項65】
請求項64に記載の薬学的組成物を個体に投与することを含む、方法。
【請求項66】
RAAS経路に関連する疾患を治療する方法であって、前記RAAS経路に関連する疾患を有するかまたはそれを有する危険性のある個体に、治療有効量の、請求項64に記載の薬学的組成物を投与し、それにより、前記RAAS経路に関連する前記疾患を治療することを含む、前記方法。
【請求項67】
前記疾患が、心血管疾患である、請求項66に記載の方法。
【請求項68】
前記疾患が、高血圧症、抵抗性高血圧症、マルファン症候群、心不全、腎臓病、肥満、メタボリックシンドローム、NASH、及びNAFLDから選択される、請求項66及び67のいずれかに記載の方法。
【請求項69】
前記疾患の少なくとも1つの症状または特徴が、改善される、請求項66~68のいずれかに記載の方法。
【請求項70】
前記症状または特徴が、高血圧症、高血圧性緊急症(すなわち、悪性高血圧症)、脳卒中、子癇前症、血管の動脈瘤、腹部動脈瘤、末梢動脈疾患、臓器損傷、または肺動脈高血圧症のうちのいずれかである、請求項69に記載の方法。
【請求項71】
前記薬学的組成物が、全身に投与される、請求項65~70のいずれかに記載の方法。
【請求項72】
前記薬学的組成物が、皮下または筋肉内に投与される、請求項65~71のいずれかに記載の方法。
【請求項73】
細胞内でのAGT発現を低減するための、請求項1~53のいずれかに記載のオリゴマー化合物、請求項54に記載のオリゴマー二本鎖、請求項55に記載のアンチセンス化合物、または請求項56~63のいずれかに記載の集団の、使用。
【請求項74】
AGT RNAのレベルが、低減する、請求項73に記載の使用。
【請求項75】
AGTタンパク質のレベルが、低減する、請求項73に記載の使用。
【請求項76】
以下の化学構造:
【化9】
(配列番号12)に従う、オリゴマー化合物、またはその塩。
【請求項77】
ナトリウム塩またはカリウム塩である、請求項76に記載のオリゴマー化合物。
【請求項78】
以下の化学構造:
【化10】
(配列番号12)に従う、オリゴマー化合物。
【請求項79】
以下の化学表記法:
mC
esG
eo
mC
koT
dsG
dsA
dsT
dsT
dsT
dsG
dsT
ds
mC
ds
mC
dsG
koG
ksG
e(配列番号12)に従う修飾されたオリゴヌクレオチドを含む、オリゴマー化合物であって、式中、
Aが、アデニン核酸塩基であり、
mCが、5-メチルシトシン核酸塩基であり、
Gが、グアニン核酸塩基であり、
Tが、チミン核酸塩基であり、
eが、2’-β-D-MOE糖部分であり、
kが、cEt糖部分であり、
dが、2’-β-D-デオキシリボシル糖部分であり、
sが、ホスホロチオエートヌクレオシド間結合であり、
oが、ホスホジエステルヌクレオシド間結合である、
前記オリゴマー化合物。
【請求項80】
コンジュゲート基に共有結合した前記修飾されたオリゴヌクレオチドを含む、請求項79に記載のオリゴマー化合物。
【請求項81】
前記オリゴマー化合物の全てのホスホロチオエートヌクレオシド間結合が、ステレオランダムである、請求項76に記載のオリゴマー化合物の集団。
【請求項82】
請求項76に記載のオリゴマー化合物と、薬学的に許容される担体または希釈剤と、を含む、薬学的組成物。
【請求項83】
前記薬学的に許容される希釈剤が、水またはPBSである、請求項82に記載の薬学的組成物。
【請求項84】
請求項81に記載の集団と、薬学的に許容される担体または希釈剤と、を含む、薬学的組成物。
【請求項85】
前記オリゴマー化合物の全てのホスホロチオエートヌクレオシド間結合が、ステレオランダムである、請求項77に記載のオリゴマー化合物の集団。
【請求項86】
請求項77に記載のオリゴマー化合物と、薬学的に許容される担体または希釈剤と、を含む、薬学的組成物。
【請求項87】
前記薬学的に許容される希釈剤が、水またはPBSである、請求項86に記載の薬学的組成物。
【請求項88】
請求項85に記載の集団と、薬学的に許容される担体または希釈剤と、を含む、薬学的組成物。
【請求項89】
前記オリゴマー化合物の全てのホスホロチオエートヌクレオシド間結合が、ステレオランダムである、請求項78に記載のオリゴマー化合物の集団。
【請求項90】
請求項78に記載のオリゴマー化合物と、薬学的に許容される担体または希釈剤と、を含む、薬学的組成物。
【請求項91】
前記薬学的に許容される希釈剤が、水またはPBSである、請求項90に記載の薬学的組成物。
【請求項92】
請求項89に記載の集団と、薬学的に許容される担体または希釈剤と、を含む、薬学的組成物。
【請求項93】
前記オリゴマー化合物の全てのホスホロチオエートヌクレオシド間結合が、ステレオランダムである、請求項79に記載のオリゴマー化合物の集団。
【請求項94】
請求項79に記載のオリゴマー化合物と、薬学的に許容される担体または希釈剤と、を含む、薬学的組成物。
【請求項95】
前記薬学的に許容される希釈剤が、水またはPBSである、請求項94に記載の薬学的組成物。
【請求項96】
請求項93に記載の集団と、薬学的に許容される担体または希釈剤と、を含む、薬学的組成物。
【請求項97】
前記オリゴマー化合物の全てのホスホロチオエートヌクレオシド間結合が、ステレオランダムである、請求項80に記載のオリゴマー化合物の集団。
【請求項98】
請求項80に記載のオリゴマー化合物と、薬学的に許容される担体または希釈剤と、を含む、薬学的組成物。
【請求項99】
前記薬学的に許容される希釈剤が、水またはPBSである、請求項98に記載の薬学的組成物。
【請求項100】
請求項97に記載の集団と、薬学的に許容される担体または希釈剤と、を含む、薬学的組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
配列表
本出願は、電子形式で配列表とともに出願されている。配列表は、サイズが32KBである、2021年11月3日に作成されたBIOL0393WOSEQ_ST25.txtのファイル名で提供される。この配列表の電子形式の情報は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
細胞または対象におけるアンジオテンシノーゲンRNAの量または活性を低減するため、及びある特定の例では、細胞または対象におけるアンジオテンシノーゲン(AGT)の量を低減するための化合物、方法、及び薬学的組成物が、提供される。かかる化合物及び薬学的組成物は、RAAS経路関連疾患または障害の少なくとも1つの症状または特徴を改善するのに有用である。かかる疾患及び障害としては、高血圧症、高血圧性緊急症(すなわち、悪性高血圧症)、抵抗性高血圧症、腎臓病(例えば、慢性腎臓病、多嚢胞性腎臓病)、子癇前症、マルファン症候群、脳卒中、心臓疾患(例えば、心筋梗塞、心不全、うっ血性心不全、弁膜性心疾患)、血管の動脈瘤、腹部動脈瘤、末梢動脈疾患、臓器損傷、肺動脈高血圧症、肥満、メタボリックシンドローム、NASH、NAFLD、ならびに他のRAAS関連疾患、障害及び/または状態、あるいはその症状が挙げられる。
【背景技術】
【0003】
別名SERPINA8またはANHUであるアンジオテンシノーゲン(AGT)は、セルピンファミリーのメンバーであり、レニン-アンジオテンシン-アルドステロン系(RAAS)の構成要素である。それは、主に肝臓で産生され、循環中に放出され、レニンがそれをアンジオテンシンIに変換する。アンジオテンシンIは、その後、アンジオテンシン変換酵素(ACE)によってアンジオテンシンIIに変換される。アンジオテンシンIIは、血管収縮を引き起こし、血圧を上昇させ得る、ペプチドホルモンである。アンジオテンシンIIはまた、副腎皮質からのホルモンアルドステロンの分泌を刺激する。アルドステロンは、腎臓にナトリウム及び水の再吸収を増加させ、体内の体液量を増加させ、血圧を上昇させ得る。RAAS経路の刺激または活動の過剰は、高血圧につながり得る。慢性的な高血圧は、高血圧症として知られている。高血圧症の対象の高血圧は、血液を血管を通して循環させるために、心臓の働きを強くする必要がある。
【0004】
高血圧症は、依然として、心血管疾患及び脳卒中による世界的な死亡及び障害の主要な原因となっている。広範な研究と複数の効果的な治療法が存在するにもかかわらず、高血圧症は、依然として、米国において重要な公衆衛生上の課題となっている(Sigmund et al.,Hypertension 2020,75:902-917)。現在、高血圧治療薬として承認されている治療法には限界があり、全高血圧患者のかなりの部分が十分な血圧コントロールを達成できていない。例えば、レニン-アンジオテンシン系(RAS)経路の一部を標的とするACE阻害剤及びアンジオテンシン受容体遮断剤(ARB)などの薬物は、RAAS経路を阻害する能力に制限がある(Nobakht et al.,Nat Rev Nephrol,2011,7:356-359)。さらに、ACE阻害剤などのある特定の降圧剤は、患者の腎機能を低下させる可能性があるため、腎疾患を有する高血圧患者には禁忌である。
【0005】
したがって、RAAS経路を阻害し、高血圧症を治療するための代替治療法を見つける必要がある。したがって、そのような疾患を治療するための化合物、方法、及び薬学的組成物を提供することが、本明細書の目的である。
【発明の概要】
【0006】
AGT RNAの量または活性を低減し、ある特定の実施形態では、細胞または対象におけるAGTタンパク質の発現を低減するための化合物、方法、及び薬学的組成物が、本明細書に提供される。ある特定の実施形態では、対象は、心血管疾患を有する。ある特定の実施形態では、対象は、高血圧症を有する。ある特定の実施形態では、対象は、抵抗性高血圧症を有する。ある特定の実施形態では、対象は、マルファン症候群を有する。ある特定の実施形態では、対象は、腎臓病を有する。ある特定の実施形態では、AGT RNAの量または活性を低減するのに有用な化合物は、オリゴマー化合物である。ある特定の実施形態では、AGT RNAの量または活性を低減するのに有用な化合物は、修飾されたオリゴヌクレオチドである。ある特定の実施形態では、AGTタンパク質の発現を低減するのに有用な化合物は、オリゴマー化合物である。ある特定の実施形態では、AGTタンパク質の発現を低減するのに有用な化合物は、修飾されたオリゴヌクレオチドである。
【0007】
RAAS経路関連疾患または適応の少なくとも1つの症状または特徴を改善するのに有用な方法もまた、提供される。ある特定の実施形態では、疾患は、高血圧症である。ある特定の実施形態では、疾患は、抵抗性高血圧症である。ある特定の実施形態では、疾患は、マルファン症候群である。ある特定の実施形態では、適応は、心不全である。ある特定の実施形態では、症状または特徴としては、高血圧症、高血圧性緊急症(すなわち、悪性高血圧症)、子癇前症、脳卒中、心臓疾患(例えば、心筋梗塞、心不全、うっ血性心不全、弁状心疾患)、血管の動脈瘤、腹部動脈瘤、臓器損傷、肺動脈高血圧症、肥満、ならびにその他のRAAS経路関連疾患、障害、及び/または状態、あるいはその症状が挙げられる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
前述の概要及び以下の詳細な説明はいずれも、例示的かつ説明的であるにすぎず、制限するものではないことを理解されたい。本明細書では、単数形の使用は、別途明確な定めのない限り、複数形を含む。本明細書で使用される場合、「または」の使用は、別途定めのない限り、「及び/または」を意味する。さらに、「含むこと」という用語、ならびに「含む」及び「含まれる」などの他の形態の使用は、限定するものではない。また、「要素」または「成分」などの用語は、別途明確に記述されない限り、1つのユニットを含む要素及び成分、ならびに2つ以上のサブユニットを含む要素及び成分の両方を包含する。
【0009】
本明細書で使用される項の見出しは、構成的目的のためのみであり、記載される主題を限定するものと解釈されるべきではない。これらに限定されないが、特許、特許出願、論説、書物、論文、ならびにGenBank、ENSEMBL、及びNCBI参考配列記録を含む、この出願に列挙される全ての書類、または書類の部分は、本明細書で考察される書類の部分、ならびにそれらの全体が参照により本明細書に明確に組み込まれる。
【0010】
定義
具体的な定義が提供されない限り、本明細書に記載される分析化学、有機合成化学、ならびに医薬品及び創薬化学に関連して使用される命名法、ならびにそれらの手順及び技法は、当該技術分野で周知のものであり、一般に使用されているものである。許容される場合、本開示全体において参照される全ての特許、出願、公開された出願、ならびに他の出版物及び他のデータは、参照によりそれらの全体が本明細書に援用される。
【0011】
別段の指示がない限り、下記の用語は、以下の意味である。
【0012】
定義
本明細書で使用される場合、「2’-デオキシヌクレオシド」とは、2’-H(H)デオキシフラノシル糖部分を含むヌクレオシドを意味する。ある特定の実施形態では、2’-デオキシヌクレオシドは、2’-β-D-デオキシヌクレオシドであり、天然に存在するデオキシリボ核酸(DNA)にみられるようなβ-D立体配置を有する2’-β-D-デオキシリボシル糖部分を含む。ある特定の実施形態では、2’-デオキシヌクレオシドは、修飾核酸塩基を含んでもよく、またはRNA核酸塩基(ウラシル)を含んでもよい。
【0013】
本明細書で使用される場合、「2’-MOE」とは、フラノシル糖部分の2’-OH基の代わりの2’-OCH2CH2OCH3基を意味する。「2’-MOE糖部分」とは、フラノシル糖部分の2’-OH基の代わりに2’-OCH2CH2OCH3基を有する糖部分を意味する。別段の指示がない限り、2’-MOE糖部分は、β-D-リボシル配置にある。「MOE」は、O-メトキシエチルを意味する。
【0014】
本明細書で使用される場合、「2’-MOEヌクレオシド」とは、2’-MOE糖部分を含むヌクレオシドを意味する。
【0015】
本明細書で使用される場合、「2’-OMe」とは、フラノシル糖部分の2’-OH基の代わりの2’-OCH3基を意味する。本明細書で使用される場合、「2’-O-メチル糖部分」または「2’-OMe糖部分」とは、フラノシル糖部分の2’-OH基の代わりに2’-OCH3基を有する糖部分を意味する。別段の指示がない限り、2’-OMe糖部分は、β-D-リボシル配置にある。
【0016】
本明細書で使用される場合、「2’-OMeヌクレオシド」とは、2’-OMe糖部分を含むヌクレオシドを意味する。
【0017】
本明細書で使用される場合、「2’-置換ヌクレオシド」とは、2’-置換糖部分を含むヌクレオシドを意味する。糖部分に関して本明細書で使用する場合、「2’-置換」とは、HまたはOH以外の少なくとも1つの2’-置換基を含む糖部分を意味する。
【0018】
本明細書で使用される場合、「5-メチルシトシン」とは、5位に結合されたメチル基で修飾されたシトシンを意味する。5-メチルシトシンは修飾された核酸塩基である。
【0019】
本明細書で使用される場合、「約」とは、値の±10%以内を意味する。例えば、「化合物がAGTの約70%の阻害をもたらした」と記載されている場合、それは、AGTレベルが63%から77%の範囲内で阻害されていることを暗示する。
【0020】
本明細書で使用される場合、「投与すること」は、医薬剤を対象に提供することを意味する。
【0021】
本明細書で使用される場合、「アンジオテンシノーゲン」及び「AGT」は、本明細書で同義に使用される。アンジオテンシノーゲンは、SERPINA8及びANHUとしても知られている。
【0022】
本明細書で使用される場合、「降圧剤」は、血圧を低下させることができる薬物を指す。かかる薬物の例には、RAAS阻害剤、利尿薬、カルシウムチャネル遮断剤、アドレナリン受容体アンタゴニスト、アドレナリンアゴニスト、及び血管拡張薬が含まれるが、これらに限定されない。一例では、降圧剤カプトプリルは、本明細書に記載のAGT化合物と組み合わせて使用して、RAAS経路関連疾患、障害及び/または状態を有するか、またはそれを有する危険性がある動物を治療することができる。
【0023】
本明細書で使用される場合、「アンチセンス活性」とは、アンチセンス化合物のその標的核酸へのハイブリダイゼーションに起因し得る任意の検出可能な及び/または測定可能な変化を意味する。ある特定の実施形態では、アンチセンス活性は、標的核酸またはかかる標的核酸によってコードされるタンパク質の量または発現の、アンチセンス化合物の不在下での標的核酸レベルまたは標的タンパク質レベルと比較した低減である。
【0024】
本明細書で使用される場合、「アンチセンス化合物」とは、少なくとも1つのアンチセンス活性を達成することができるオリゴマー化合物またはオリゴマー二本鎖を意味する。
【0025】
本明細書で使用される場合、治療に関する「改善」は、治療がない場合の同じ症状と比較して、少なくとも1つの症状に改善がみられることを意味する。ある特定の実施形態では、改善は、症状の重症度もしくは頻度の低下、または症状の発症の遅延もしくは重症度もしくは頻度の進行の速度低下である。指標の進行または重症度は、主観的尺度または客観的尺度によって決定され得、これらは当業者に既知である。
【0026】
本明細書で使用される場合、「血圧」とは、血管の壁に対する循環系内の血液の圧力を指す。血圧は、動物において主に心臓の鼓動によるものである。各心拍の間、血圧は、最大(収縮期)血圧(SBP)と最小(拡張期)血圧(DBP)との間で変化する。平均動脈圧(MAP)は、心拍サイクル中の平均動脈圧である。血圧は、血圧計測器(すなわち、血圧計)によって測定することができる。安静時の正常血圧は、収縮期120mmHg未満及び拡張期80mmHg未満であり、一般に、収縮期血圧(上の血圧)/拡張期血圧(下の血圧)mmHgとして表される。
【0027】
本明細書で使用される場合、「二環式ヌクレオシド」または「BNA」とは、二環式糖部分を含むヌクレオシドを意味する。
【0028】
本明細書で使用される場合、「二環式糖」または「二環式糖部分」とは、2つの環を含む修飾された糖部分を意味し、第2の環は、第1の環において原子のうち2つを連結する架橋を介して形成され、それにより、二環式構造を形成する。ある特定の実施形態では、二環式糖部分の第1の環は、フラノシル部分である。ある特定の実施形態では、フラノシル糖部分は、リボシル部分である。ある特定の実施形態では、二環式糖部分は、フラノシル部分を含まない。
【0029】
本明細書で使用される場合、「cEt」とは、リボシル糖部分の2’OH基の代わりの4’から2’への架橋を意味し、架橋は、4’-CH(CH3)-O-2’の式を有し、架橋のメチル基は、S配置にある。「cEt糖部分」は、リボシル糖部分の2’OH基の代わりに4’から2’への架橋を有する二環式糖部分であり、架橋は、4’-CH(CH3)-O-2’の式を有し、架橋のメチル基は、S配置にある。「cEt」は、拘束されたエチルを意味する。
【0030】
本明細書で使用される場合、「cEtヌクレオシド」とは、cEt糖部分を含むヌクレオシドを意味する。
【0031】
本明細書で使用される場合、「切断可能な部分」とは、生理学的条件下、例えば、細胞、対象、動物、またはヒト内で切断される原子の結合または群を意味する。
【0032】
本明細書で使用される場合、オリゴヌクレオチドに関連する「相補的」とは、オリゴヌクレオチドの核酸塩基配列と別の核酸が反対の方向に整列されている場合に、オリゴヌクレオチドまたはその1つ以上の部分の核酸塩基と、別の核酸またはその1つ以上の部分の核酸塩基の少なくとも70%が、互いに水素結合することができることを意味する。本明細書で使用される場合、「相補的な核酸塩基」は、互いに水素結合を形成し得る核酸塩基を意味する。相補的核酸塩基対は、アデニン(A)とチミン(T)、アデニン(A)とウラシル(U)、シトシン(C)とグアニン(G)、及び5-メチルシトシン(mC)とグアニン(G)を含む。相補的なオリゴヌクレオチド及び/または標的核酸同士は、それぞれのヌクレオシドにおいて核酸塩基の相補性を有する必要はない。むしろ、いくつかのミスマッチが許容される。本明細書で使用される場合、オリゴヌクレオチドまたはその一部に関連する「完全に相補的」または「100%相補的」とは、オリゴヌクレオチドまたはその一部が、2つのオリゴヌクレオチドのうちの短い方の各核酸塩基で、またはオリゴヌクレオチドが同じ長さである場合、各ヌクレオシドで、別のオリゴヌクレオチドまたは標的核酸と相補的であることを意味する。
【0033】
本明細書で使用する場合、「コンジュゲート基」とは、オリゴヌクレオチドに直接的または間接的に結合した原子団を意味する。コンジュゲート基は、コンジュゲート部分、及びコンジュゲート部分をオリゴヌクレオチドに結合させるコンジュゲートリンカーを含む。
【0034】
本明細書で使用される場合、「コンジュゲートリンカー」とは、コンジュゲート部分をオリゴヌクレオチドに連結する単結合または少なくとも1つの結合を含む原子団を意味する。
【0035】
本明細書で使用される場合、「コンジュゲート部分」とは、コンジュゲートリンカーを介してオリゴヌクレオチドに結合している原子団を意味する。
【0036】
本明細書で使用される場合、オリゴヌクレオチドの文脈における「連続する」とは、互いに直接隣接するヌクレオシド、核酸塩基、糖部分、またはヌクレオシド間結合を指す。例えば、「連続した核酸塩基」とは、配列において互いに直接隣接する核酸塩基を意味する。
【0037】
本明細書で使用される場合、「キラル濃縮集団」とは、同一の分子式を有する複数の分子であって、特定のキラル中心で特定の立体化学配置を含む集団内の分子の数またはパーセンテージが、特定のキラル中心がステレオランダムである場合に集団内の同じ特定のキラル中心で同じ特定の立体化学配置を含むことが予想される分子の数またはパーセンテージよりも大きいものを意味する。各分子内に複数のキラル中心を有する分子のキラル濃縮集団は、1つ以上のステレオランダムなキラル中心を含み得る。ある特定の実施形態では、分子は、修飾されたオリゴヌクレオチドである。ある特定の実施形態では、分子は、修飾されたオリゴヌクレオチドを含む化合物である。
【0038】
本明細書で使用される場合、ヌクレオシド間結合に関して「キラル的に制御された」とは、その結合のキラリティが特定の立体化学的配置について濃縮されていることを意味する。
【0039】
本明細書で使用される場合、「デオキシ領域」とは、5~12個の連続したヌクレオチドの領域を意味し、ヌクレオシドのうちの少なくとも70%は、2’-β-D-デオキシヌクレオシドである。ある特定の実施形態では、各ヌクレオシドは、2’-β-D-デオキシヌクレオシド、二環式ヌクレオシド、及び2’-置換ヌクレオシドから選択される。ある特定の実施形態では、デオキシ領域は、RNaseH活性を補助する。ある特定の実施形態では、デオキシ領域は、ギャップマーのギャップまたは内部領域である。
【0040】
本明細書で使用される場合、「ギャップマー」とは、RNaseH切断を支援する複数のヌクレオシドを有する内部領域が、1個以上のヌクレオシドを有する外部領域の間に位置する修飾されたオリゴヌクレオチドであって、内部領域を構成するヌクレオシドが外部領域を構成するヌクレオシドまたは複数のヌクレオシドとは化学的に異なっているものを意味する。内部領域は、「ギャップ」と称される場合があり、外部領域は、「ウイング」と称される場合がある。内部領域は、デオキシ領域である。内部領域またはギャップの位置は、内部領域のヌクレオシドの順番を指し、内部領域の5’末端から計数される。別段の指示がない限り、「ギャップマー」は糖モチーフを意味する。ある特定の実施形態では、ギャップの各ヌクレオシドは、2’-β-D-デオキシヌクレオシドである。ある特定の実施形態では、ギャップは、ギャップの1、2、3、4、または5位に1個の2’-置換ヌクレオシドを含み、ギャップのヌクレオシドの残りは2’-β-D-デオキシヌクレオシドである。本明細書で使用される場合、「MOEギャップマー」は、2’-β-D-デオキシヌクレオシドを含むギャップ及び2’-MOEヌクレオシドを含むウイングを有するギャップマーを示す。本明細書で使用される場合、「混合ウイングギャップマー」という用語は、少なくとも2つの異なる糖修飾を含む修飾ヌクレオシドを含むウイングを有するギャップマーを指す。別段の指示がない限り、ギャップマーは、1個以上の修飾ヌクレオシド間結合及び/または修飾核酸塩基を含み得、そのような修飾は、必ずしも糖修飾のギャップマーパターンに従うとは限らない。
【0041】
本明細書で使用される場合、「ホットスポット領域」とは、標的核酸の量または活性のオリゴマー化合物媒介性の減少を生じやすい標的核酸上の核酸塩基の範囲である。
【0042】
本明細書で使用される場合、「ハイブリダイゼーション」とは、相補的オリゴヌクレオチド及び/または核酸の対合またはアニーリングを意味する。特定のメカニズムに限定されないが、ハイブリダイゼーションの最も一般定なメカニズムは、相補的核酸塩基の間のワトソン・クリック、フーグスティーン、または逆フーグスティーン水素結合であり得る水素結合を伴う。
【0043】
本明細書で使用される場合、「高血圧症」または「HTN」は、動物の血圧が上昇する慢性の医学的状態を指す。血圧が高くなると、血液を血管に循環させるために心臓の働きが活発になる。高血圧は、130/80mmHg(ステージ1)または140/90mmHg(ステージ2)以上で持続的に存在すると言われている。高血圧症は、一次性(本態性)または二次性に分類される。原発性高血圧症には、明確な原因はなく、遺伝学、食事、運動不足、及び肥満に関連していると考えられている。二次性高血圧症は、別の病状によって引き起こされる。高血圧症は、平均余命の短縮、慢性腎臓病、脳卒中、心筋梗塞、心不全、血管の動脈瘤(例えば、大動脈瘤)、末梢動脈疾患、臓器損傷(例えば、心臓肥大または肥大)、ならびに他の心血管疾患、障害、及び/または状態、あるいはその症状の主要な危険因子である。降圧剤、食事の変化、及びライフスタイルの変化は、高血圧症を低減し、高血圧症に関連する疾患、障害、及び/または状態を低減し得る。高血圧症は、薬物介入に対して非抵抗性(すなわち、市販の薬物療法によって制御可能)であり得るか、または薬物介入に対して抵抗性であり得る。
【0044】
本明細書で使用される場合、「ヌクレオシド間結合」という用語は、オリゴヌクレオチド中の連続するヌクレオシド間の共有結合である。本明細書で使用される場合、「修飾ヌクレオシド間結合」とは、ホスホジエステルヌクレオシド間結合以外の任意のヌクレオシド間結合を意味する。「ホスホロチオエートヌクレオシド間結合」とは、ホスホジエステルヌクレオシド間結合の非架橋酸素原子の1つが硫黄原子で置換された修飾ヌクレオシド間結合である。
【0045】
本明細書で使用される場合、「リンカーヌクレオシド」とは、オリゴヌクレオチドをコンジュゲート部分に直接または間接的のいずれかで結合するヌクレオシドを意味する。リンカーヌクレオシドは、オリゴマー化合物のコンジュゲートリンカー内に位置する。リンカーヌクレオシドは、それらがオリゴヌクレオチドと連続していても、オリゴマー化合物のオリゴヌクレオチド部分の一部とはみなされない。
【0046】
本明細書で使用される場合、「非二環式の修飾された糖部分」は、第2の環を形成するための糖の2つの原子間に架橋を形成しない、置換基などの修飾を含む修飾された糖部分を意味する。
【0047】
本明細書で使用される場合、「ミスマッチ」または「非相補的」とは、第1及び第2のオリゴヌクレオチドが整列されている場合に、第2のオリゴヌクレオチドまたは標的核酸の対応する核酸塩基と相補的でない第1のオリゴヌクレオチドの核酸塩基を意味する。
【0048】
本明細書で使用される場合、「モチーフ」は、オリゴヌクレオチドにおける修飾されていない及び/または修飾された糖部分、核酸塩基、及び/またはヌクレオシド間結合のパターンを意味する。
【0049】
本明細書で使用されるとき、「核酸塩基」とは、未修飾核酸塩基または修飾核酸塩基を意味する。本明細書で使用される場合、「非修飾核酸塩基」は、アデニン(A)、チミン(T)、シトシン(C)、ウラシル(U)、またはグアニン(G)である。本明細書で使用される場合、「修飾核酸塩基」とは、少なくとも1つの非修飾核酸塩基と対合することができる、非修飾A、T、C、U、またはG以外の原子団である。「5-メチルシトシン」は、修飾核酸塩基である。ユニバーサル塩基とは、5種類の非修飾核酸塩基の任意の1つと対合できる核酸塩基である。本明細書で使用される場合、「核酸塩基配列」とは、任意の糖またはヌクレオシド間結合修飾とは無関係の標的核酸またはオリゴヌクレオチドにおける連続する核酸塩基の順番を意味する。
【0050】
本明細書で使用される場合、「ヌクレオシド」は、核酸塩基及び糖部分を含む化合物または化合物の断片を意味する。核酸塩基及び糖部分は、各々独立して、未修飾であるかまたは修飾されている。本明細書で使用される場合、「修飾ヌクレオシド」とは、修飾された核酸塩基及び/または修飾された糖部分を含むヌクレオシドを意味する。修飾されたヌクレオシドには、核酸塩基を欠いた脱塩基ヌクレオシドが含まれる。「結合されたヌクレオシド」とは、連続した配列に連結された(すなわち、結合されたヌクレオシド間にさらなるヌクレオシドが存在しない)ヌクレオシドである。
【0051】
本明細書で使用される場合、「オリゴマー化合物」とは、オリゴヌクレオチド、及び任意に、コンジュゲート基または末端基などの1つ以上の追加の特徴を意味する。オリゴマー化合物は、第1のオリゴマー化合物と相補的な第2のオリゴマー化合物と対になっていてもよく、または対になっていなくてもよい。「一本鎖オリゴマー化合物」は、不対オリゴマー化合物である。「オリゴマー二本鎖」という用語は、相補的核酸塩基配列を有する2つのオリゴマー化合物によって形成される二本鎖を意味する。オリゴマー二本鎖の各オリゴマー化合物は、「二本鎖オリゴマー化合物」と呼ぶ場合がある。
【0052】
本明細書で使用される場合、「オリゴヌクレオチド」とは、ヌクレオシド間結合を介して連結されている結合されたヌクレオシドの鎖を意味し、ヌクレオシド及びヌクレオシド間結合は各々、修飾されていても修飾されていなくてもよい。別段の指示がない限り、オリゴヌクレオチドは、8~50個の結合されたヌクレオシドからなる。本明細書で使用される場合、「修飾されたオリゴヌクレオチド」とは、少なくとも1つのヌクレオシドまたはヌクレオシド間結合が修飾されているオリゴヌクレオチドを意味する。本明細書で使用される場合、「修飾されていないオリゴヌクレオチド」とは、いかなるヌクレオシド修飾またはヌクレオシド間修飾を含まないオリゴヌクレオチドを意味する。
【0053】
本明細書で使用される場合、「臓器損傷」または「末端臓器損傷」は、心臓(例えば、心筋肥大、心機能低下、及び/または心不全)、腎臓(例えば、アルブミン尿素、タンパク質尿素、腎機能低下、及び/または腎不全)、眼(例えば、高血圧網膜症)、脳(例えば、脳卒中)などの循環器系によって栄養を供給される主要な臓器に生じる損傷を指す。臓器は、動物において高血圧によって損傷を受け得る。ある特定の実施形態では、心臓損傷は、心臓肥大をもたらす線維症、心細胞肥大、及び/または筋肥大である。
【0054】
本明細書で使用される場合、「薬学的に許容される担体または希釈剤」とは、対象に投与することにおいて使用するのに好適な任意の物質を意味する。ある特定のそのような担体は、薬学的組成物を、例えば、対象による経口摂取のための丸剤、錠剤、糖衣錠、カプセル剤、液剤、ゲル、シロップ、スラリー、懸濁液、及びトローチ剤として製剤化することを可能にする。ある特定の実施形態では、薬学的に許容される担体または希釈剤は、滅菌水、滅菌生理食塩水、滅菌緩衝液、または滅菌人工脳脊髄液である。
【0055】
本明細書で使用される場合、「薬学的に許容される塩」とは、化合物の生理学的及び薬学的に許容される塩を意味する。薬学的に許容される塩は、親化合物の望ましい生物学的活性を保持し、望ましくない毒物学的影響を親化合物に与えない。
【0056】
本明細書で使用される場合、「薬学的組成物」とは、対象に投与するのに好適な物質の混合物を意味する。例えば、薬学的組成物は、オリゴマー化合物及び滅菌水溶液を含むことができる。ある特定の実施形態では、薬学的組成物は、ある特定の細胞株での自由取り込みアッセイにおいて活性を示す。
【0057】
本明細書で使用される場合、「プロドラッグ」とは、対象またはその細胞内で異なる形態に変換される体外の形態である治療剤を意味する。一般的に、対象内におけるプロドラッグの変換は、細胞または組織に存在する酵素(例えば、内因性酵素またはウイルス酵素)または化学物質の作用によって、及び/または生理学的条件によって促進される。
【0058】
本明細書で使用される場合、「量または活性を低減する」とは、未処理の試料または対照試料における転写発現または活性に対する転写発現または活性の低減または遮断を指し、必ずしも転写発現または活性の全排除を示すわけではない。
【0059】
本明細書で使用される場合、「レニン-アンジオテンシン-アルドステロン系」、「レニン-アンジオテンシン-アルドステロン系経路」、「RAAS経路」、または「RAAS」とは、前駆体成分(アンジオテンシノーゲン)が、レニン及び酵素アンジオテンシン変換酵素(ACE)などの様々な酵素によって、アンジオテンシンI及びアンジオテンシンIIなどの下流成分に変換される多成分酵素経路を指す。アンジオテンシンIは、経路におけるステロイドアルドステロンの分泌を刺激する。RAAS経路は、血圧及び体液バランスを調節する。
【0060】
本明細書で使用される場合、「レニン-アンジオテンシン系」または「RAS」または「RAS経路」は、RAAS経路の一部を指す。この経路の様々な成分は、成分の産生を遮断するためにアゴニストまたはアンタゴニストによって標的化されている。例えば、レニン阻害剤、ACE阻害剤、アンジオテンシン受容体遮断剤(ARB)などは、RAS経路を阻害または遮断するように開発されている。しかしながら、様々なRAS経路成分を標的とする市販の療法は、様々なメカニズムまたは有害作用のために、RAS経路を完全に阻害または遮断するのに有効ではなかった(Nobakht et al.,Nat Rev Nephrol,2011,7:356-359)。
【0061】
本明細書で使用される場合、「RAAS関連疾患、障害、及び/または状態」または「RAAS経路関連疾患、障害、及び/または状態」は、動物におけるRAASに関連する任意の疾患、障害、または状態を指す。RAAS関連疾患、障害、及び/または状態の例としては、平均余命の短縮、高血圧症(例えば、非抵抗性高血圧症、抵抗性高血圧症)、腎臓病(例えば、慢性腎臓病、多嚢胞性腎臓病)、脳卒中、心臓病(例えば、心筋梗塞、心不全、弁膜性心疾患)、血管の動脈瘤(例えば、大動脈瘤)、末梢動脈疾患、臓器損傷(例えば、心臓損傷または肥大)、組織線維症及び他の心血管疾患、障害及び/または状態、あるいはその症状が挙げられる。ある特定の実施形態では、RAAS関連疾患、障害、及び/または状態は、高血圧症を含まない。
【0062】
本明細書で使用される場合、「抵抗性高血圧症」または「RHTN」は、a)最大耐容量で投与される異なる薬物クラスからの3つ以上の降圧剤の同時使用にもかかわらず、治療の目的を上回る血圧(典型的には130/80mmHg以上)、またはb)制御を達成するために異なるクラスの少なくとも4つの降圧剤を投与した後にのみ治療の目的以下で制御される血圧のいずれかとして定義される。
【0063】
本明細書で使用される場合、「RNA」とは、RNA転写産物を意味し、別段の定めがない限り、pre-mRNA及び成熟mRNAを含む。
【0064】
本明細書で使用される場合、「RNAi化合物」とは、少なくとも部分的にRISCまたはAgo2を介して、標的核酸及び/または標的核酸によってコードされるタンパク質を調節するように作用する、アンチセンス化合物を意味する。RNAi化合物には、これらに限定されるものではないが、二本鎖siRNA、一本鎖RNA(ssRNA)、及びmicroRNA模倣体を含むmicroRNAが含まれる。ある特定の実施形態では、RNAi化合物は、標的核酸の量、活性、及び/またはスプライシングを調節する。RNAi化合物なる用語は、RNaseHを介して作用するアンチセンス化合物は除外する。
【0065】
オリゴヌクレオチドに関して本明細書で使用する場合、「自己相補的」とは、それ自体に対して少なくとも部分的にハイブリダイズするオリゴヌクレオチドを意味する。
【0066】
本明細書で使用される場合、「標準インビトロアッセイ」とは、実施例に記載されるアッセイ及びその合理的な変形を意味する。
【0067】
本明細書で使用される場合、「標準インビボアッセイ」とは、実施例に記載されるアッセイ及びその合理的な変形を意味する。
【0068】
本明細書で使用される場合、同一の分子式の分子の集団の文脈における「ステレオランダムキラル中心」とは、ランダム立体化学的配置を有するキラル中心を意味する。例えば、ステレオランダムキラル中心を含む分子の集団において、ステレオランダムキラル中心の(S)配置を有する分子の数は、ステレオランダムキラル中心の(R)配置を有する分子の数と同じであり得るが、必ずしも同じであるとは限らない。キラル中心の立体化学的配置は、立体化学的配置を制御するように設計されていない合成法の結果である場合にはランダムであるとみなされる。ある特定の実施形態では、ステレオランダムなキラル中心は、ステレオランダムなホスホロチオエートヌクレオシド間結合である。
【0069】
本明細書で使用される場合、「対象」とは、ヒトまたは非ヒト動物を意味する。
【0070】
本明細書で使用される場合、「糖部分」とは、非修飾された糖部分または修飾された糖部分を意味する。本明細書で使用される場合、「修飾されていない糖部分」とは、RNAに見出されるような2’-OH(H)β-D-リボシル部分(「修飾されていないRNA糖部分」)、またはDNAにみられるような2’-H(H)β-D-デオキシリボシル糖部分(「修飾されていないDNA糖部分」)を意味する。修飾されていない糖部分は1’、3’、及び4’位のそれぞれに1個の水素、3’位に1個の酸素、5’位に2個の水素を有する。本明細書で使用される場合、「修飾された糖部分」または「修飾された糖」とは、修飾されたフラノシル糖部分または糖サロゲートを意味する。
【0071】
本明細書で使用される場合、「糖サロゲート」とは、核酸塩基を、オリゴヌクレオチドにおけるヌクレオシド間結合、コンジュゲート基、または末端基などの別の基に結合し得るフラノシル部分以外を有する修飾された糖部分を意味する。糖サロゲートを含む修飾されたヌクレオシドは、オリゴヌクレオチド内で1つ以上の位置に抱合され得、そのようなオリゴヌクレオチドは、相補的オリゴマー化合物または標的核酸にハイブリダイズすることができる。
【0072】
本明細書で使用される場合、「症状」または「特徴」とは、疾患または障害の存在または程度を示す任意の身体的特徴または検査結果を意味する。ある特定の実施形態では、症状は、対象またはその対象を診察または検査する医療専門家に明らかである。ある特定の実施形態では、特徴は、死後検査を含むがこれに限定されない侵襲的診断検査により明らかである。
【0073】
本明細書で使用される場合、「標的核酸」及び「標的RNA」とは、これに作用するようにアンチセンス化合物が設計されている核酸を意味する。
【0074】
本明細書で使用される場合、「標的領域」とは、これとハイブリダイズするようにオリゴマー化合物が設計されている標的核酸の一部を意味する。
【0075】
本明細書で使用される場合、「末端基」とは、オリゴヌクレオチドの末端に共有結合した化学基または原子団を意味する。
【0076】
本明細書で使用される場合、「治療有効量」とは、対象に治療効果を提供する医薬剤の量を意味する。例えば、治療有効量は、疾患の症状を改善する。
【0077】
特定の実施形態
本開示は、以下の非限定的な番号付けされた実施形態を提供するものである。
【0078】
実施形態1:14~30個の結合されたヌクレオシドからなり、配列番号12~15の核酸塩基配列のうちのいずれかの少なくとも14個、少なくとも15個、または16個の連続する核酸塩基を含む核酸塩基配列を有する、修飾されたオリゴヌクレオチドを含む、オリゴマー化合物であって、修飾されたオリゴヌクレオチドが、修飾された糖部分及び修飾されたヌクレオシド間結合から選択される少なくとも1つの修飾を含む、オリゴマー化合物。
【0079】
実施形態2:14~30個の結合されたヌクレオシドからなり、
配列番号1の核酸塩基2046~2061の等長部分、
配列番号1の核酸塩基2271~2286の等長部分、
配列番号1の核酸塩基2272~2287の等長部分、
に相補的な少なくとも14個、少なくとも15個、または少なくとも16個の連続する核酸塩基を含む核酸塩基配列を有する、修飾されたオリゴヌクレオチドを含む、オリゴマー化合物であって、修飾されたオリゴヌクレオチドが、修飾された糖部分及び修飾されたヌクレオシド間結合から選択される少なくとも1つの修飾を含む、オリゴマー化合物。
【0080】
実施形態3:16個の結合されたヌクレオシドからなり、配列番号12の核酸塩基配列を含む核酸塩基配列を有する、修飾されたオリゴヌクレオチドを含む、オリゴマー化合物であって、修飾されたオリゴヌクレオチドが、修飾された糖部分及び修飾されたヌクレオシド間結合から選択される少なくとも1つの修飾を含む、オリゴマー化合物。
【0081】
実施形態4:16個の結合されたヌクレオシドからなり、配列番号13の核酸塩基配列を含む核酸塩基配列を有する、修飾されたオリゴヌクレオチドを含む、オリゴマー化合物であって、修飾されたオリゴヌクレオチドが、修飾された糖部分及び修飾されたヌクレオシド間結合から選択される少なくとも1つの修飾を含む、オリゴマー化合物。
【0082】
実施形態5:16個の結合されたヌクレオシドからなり、配列番号14の核酸塩基配列を含む核酸塩基配列を有する、修飾されたオリゴヌクレオチドを含む、オリゴマー化合物であって、修飾されたオリゴヌクレオチドが、修飾された糖部分及び修飾されたヌクレオシド間結合から選択される少なくとも1つの修飾を含む、オリゴマー化合物。
【0083】
実施形態6:16個の結合されたヌクレオシドからなり、配列番号15の核酸塩基配列を含む核酸塩基配列を有する、修飾されたオリゴヌクレオチドを含む、オリゴマー化合物であって、修飾されたオリゴヌクレオチドが、修飾された糖部分及び修飾されたヌクレオシド間結合から選択される少なくとも1つの修飾を含む、オリゴマー化合物。
【0084】
実施形態7:修飾されたオリゴヌクレオチドが、修飾されたオリゴヌクレオチドの核酸塩基配列全体にわたって測定された場合に、任意の配列番号1または配列番号2の核酸塩基配列と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または100%相補的である核酸塩基配列を有する、実施形態1~6のいずれかに記載のオリゴマー化合物。
【0085】
実施形態8:修飾されたオリゴヌクレオチドが、少なくとも1つの二環式糖部分を含む、実施形態1~7に記載のいずれかのオリゴマー化合物。
【0086】
実施形態9:二環式糖部分が、4’-2’架橋を有し、4’-2’架橋が、-CH2-O-及び-CH(CH3)-O-から選択される、実施形態8に記載のオリゴマー化合物。
【0087】
実施形態10:修飾されたオリゴヌクレオチドが、少なくとも1つの非二環式の修飾された糖部分を含む、実施形態1~9のいずれかに記載のオリゴマー化合物。
【0088】
実施形態11:非二環式の修飾された糖部分が、2’-MOE糖部分または2’-OMe糖部分である、実施形態10に記載のオリゴマー化合物。
【0089】
実施形態12:修飾されたオリゴヌクレオチドが、少なくとも1つの糖サロゲートを含む、実施形態1~11のいずれかに記載のオリゴマー化合物。
【0090】
実施形態13:糖サロゲートが、モルホリノ、修飾されたモルホリノ、PNA、THP、及びF-HNAのいずれかである、実施形態12に記載のオリゴマー化合物。
【0091】
実施形態14:修飾されたオリゴヌクレオチドが、ギャップマーである、実施形態1~13のいずれかに記載のオリゴマー化合物。
【0092】
実施形態15:修飾されたオリゴヌクレオチドが、
1~6個の結合された5’領域ヌクレオシドからなる5’領域と、
6~10個の結合された中央領域ヌクレオシドからなる中央領域と、
1~6個の結合された3’領域ヌクレオシドからなる3’領域と、
を含む、糖モチーフを有し、
5’領域ヌクレオシドの各々及び3’領域ヌクレオシドの各々が、修飾された糖部分を含み、中央領域ヌクレオシドのうちの少なくとも6個が、2’-β-D-デオキシリボシル糖部分を含む、実施形態14に記載のオリゴマー化合物。
【0093】
実施形態16:修飾されたオリゴヌクレオチドが、
1~6個の結合された5’領域ヌクレオシドからなる5’領域と、
6~10個の結合された中央領域ヌクレオシドからなる中央領域と、
1~6個の結合された3’領域ヌクレオシドからなる3’領域と、
を含む、糖モチーフを有し、
5’領域ヌクレオシドの各々及び3’領域ヌクレオシドの各々が、修飾された糖部分を含み、中央領域ヌクレオシドの各々が、2’-デオキシリボシル糖部分を含む、実施形態14に記載のオリゴマー化合物。
【0094】
実施形態17:修飾されたオリゴヌクレオチドが、
3個の結合された5’領域ヌクレオシドからなる5’領域と、
10個の結合された中央領域ヌクレオシドからなる中央領域と、
3個の結合された3’領域ヌクレオシドからなる3’領域と、
を含む、糖モチーフを有し、
5’領域ヌクレオシドの各々及び3’領域ヌクレオシドの各々が、2’-MOE糖部分またはcEt修飾された糖部分を含み、中央領域ヌクレオシドの各々が、2’-β-D-デオキシリボシル糖部分を含む、実施形態14に記載のオリゴマー化合物。
【0095】
実施形態18:修飾されたオリゴヌクレオチドが、
3個の結合された5’領域ヌクレオシドからなる5’領域と、
10個の結合された中央領域ヌクレオシドからなる中央領域と、
3個の結合された3’領域ヌクレオシドからなる3’領域と、
を含む、糖モチーフを有し、
5’領域ヌクレオシドの各々及び3’領域ヌクレオシドの各々が、2’-MOE修飾された糖部分またはcEt修飾された糖部分を含み、中央領域ヌクレオシドのうちの少なくとも6個が、2’-β-D-デオキシリボシル糖部分を含む、実施形態14に記載のオリゴマー化合物。
【0096】
実施形態19:修飾されたオリゴヌクレオチドが、eekddddddddddkke、ekkddddddddddkke、kkkdyddddddddkkk、kkkddydddddddkkk、kkkdddyddddddkkk、kkkddddddddddkkk、またはeeeeeddddddddddeeeeeから選択される糖モチーフ(5’から3’)を有し、「e」が、2’-MOE糖部分を表し、「k」が、cEt糖部分を表し、「d」が、2’-β-D-デオキシリボシル糖部分を表し、「y」が、2’-OMe糖部分を表す、実施形態1~18のいずれかに記載のオリゴマー化合物。
【0097】
実施形態20:修飾されたオリゴヌクレオチドが、少なくとも1つの修飾されたヌクレオシド間結合を含む、実施形態1~19のいずれかに記載のオリゴマー化合物。
【0098】
実施形態21:修飾オリゴヌクレオチドの各ヌクレオシド間結合が、修飾ヌクレオシド間結合である、実施形態20に記載のオリゴマー化合物。
【0099】
実施形態22:少なくとも1つのヌクレオシド間結合が、ホスホロチオエートヌクレオシド間結合である、実施形態20または実施形態21に記載のオリゴマー化合物。
【0100】
実施形態23:修飾されたオリゴヌクレオチドが、少なくとも1つのホスホジエステルヌクレオシド間結合を含む、実施形態20及び22のいずれかに記載のオリゴマー化合物。
【0101】
実施形態24:各ヌクレオシド間結合が、ホスホジエステルヌクレオシド間結合またはホスホロチオエートヌクレオシド間結合のいずれかである、実施形態20、22、及び23のいずれかに記載のオリゴマー化合物。
【0102】
実施形態25:各ヌクレオシド間結合が、ホスホロチオエートヌクレオシド間結合である、実施形態21に記載のオリゴマー化合物。
【0103】
実施形態26:修飾されたオリゴヌクレオチドが、soossssssssssosのヌクレオシド間結合モチーフを有し、式中、
sが、ホスホロチオエートヌクレオシド間結合であり、oが、ホスホジエステルヌクレオシド間結合である、実施形態1~20または22~24のいずれかに記載のオリゴマー化合物。
【0104】
実施形態27:修飾されたオリゴヌクレオチドが、少なくとも1つの修飾された核酸塩基を含む、実施形態1~26のいずれかに記載のオリゴマー化合物。
【0105】
実施形態28:修飾された核酸塩基が、5-メチルシトシンである、実施形態27に記載のオリゴマー化合物。
【0106】
実施形態29:修飾されたオリゴヌクレオチドが、12~30、12~22、12~20、14~18、14~20、15~17、15~25、または16~20個の結合されたヌクレオシドからなる、実施形態1~28のいずれかに記載のオリゴマー化合物。
【0107】
実施形態30:修飾されたオリゴヌクレオチドが、16個の結合されたヌクレオシドからなる、実施形態1~28のいずれかに記載のオリゴマー化合物。
【0108】
実施形態31:コンジュゲート基を含む、実施形態1~30のいずれかに記載のオリゴマー化合物。
【0109】
実施形態32:コンジュゲート基が、1~3個のGalNAcリガンドを含むGalNAcクラスターを含む、実施形態31に記載のオリゴマー化合物。
【0110】
実施形態33:コンジュゲート基が、単結合からなるコンジュゲートリンカーを含む、実施形態31及び32のいずれか1つに記載のオリゴマー化合物。
【0111】
実施形態34:コンジュゲート基が、切断可能なリンカーを含む、実施形態31~33のいずれか1つに記載のオリゴマー化合物。
【0112】
実施形態35:コンジュゲート基が、1~3個のリンカーヌクレオシドを含むコンジュゲートリンカーを含む、実施形態31~34のいずれか1つに記載のオリゴマー化合物。
【0113】
実施形態36:コンジュゲート基が、修飾されたオリゴヌクレオチドの5’末端で、修飾されたオリゴヌクレオチドに結合されている、実施形態31~35のいずれか1つに記載のオリゴマー化合物。
【0114】
実施形態37:コンジュゲート基が、修飾されたオリゴヌクレオチドの3’末端で、修飾されたオリゴヌクレオチドに結合されている、実施形態31~35のいずれか1つに記載のオリゴマー化合物。
【0115】
実施形態38:オリゴマー化合物が、一本鎖オリゴマー化合物である、実施形態1~37のいずれかに記載のオリゴマー化合物。
【0116】
実施形態39:修飾されたオリゴヌクレオチドからなる、実施形態1~30または38のいずれかに記載のオリゴマー化合物。
【0117】
実施形態40:実施形態1~37のいずれかに記載のオリゴマー化合物を含む、オリゴマー二本鎖。
【0118】
実施形態41:実施形態1~39のいずれかに記載のオリゴマー化合物または実施形態40に記載のオリゴマー二本鎖を含むか、またはそれらからなる、アンチセンス化合物。
【0119】
実施形態42:実施形態1~39のいずれかに記載のオリゴマー化合物または実施形態40に記載のオリゴマー二本鎖と、薬学的に許容される担体または希釈剤と、を含む、薬学的組成物。
【0120】
実施形態43:以下の化学構造:
【0121】
【0122】
(配列番号12)に従う、化合物、またはその塩。
【0123】
実施形態44:以下の化学構造:
【0124】
【0125】
(配列番号12)に従う、化合物。
【0126】
実施形態45:以下の化学構造:
【0127】
【0128】
(配列番号13)に従う、化合物、またはその塩。
【0129】
実施形態46:以下の化学構造:
【0130】
【0131】
(配列番号13)に従う、化合物。
【0132】
実施形態47:以下の化学構造:
【0133】
【0134】
(配列番号14)に従う、化合物、またはその塩。
【0135】
実施形態48:以下の化学構造:
【0136】
【0137】
(配列番号14)に従う、化合物。
【0138】
実施形態49:以下の化学構造:
【0139】
【0140】
(配列番号15)に従う、化合物、またはその塩。
【0141】
実施形態50:以下の化学構造:
【0142】
【0143】
(配列番号15)に従う、化合物。
【0144】
実施形態51:化学構造のナトリウム塩またはカリウム塩である、実施形態43、45、47、及び49のいずれかに記載の修飾されたオリゴヌクレオチド。
【0145】
実施形態52:実施形態43~51のいずれかに記載の修飾されたオリゴヌクレオチドと、薬学的に許容される担体または希釈剤と、を含む、薬学的組成物。
【0146】
実施形態53:以下の化学表記法:mCesGeo
mCkoTdsGdsAdsTdsTdsTdsGdsTds
mCds
mCdsGkoGksGe(配列番号12)に従う修飾されたオリゴヌクレオチドを含む、化合物であって、式中、
Aが、アデニン核酸塩基であり、
mCが、5-メチルシトシン核酸塩基であり、
Gが、グアニン核酸塩基であり、
Tが、チミン核酸塩基であり、
eが、2’-β-D-MOE糖部分であり、
kが、cEt糖部分であり、
dが、2’-β-D-デオキシリボシル糖部分であり、
sが、ホスホロチオエートヌクレオシド間結合であり、
oが、ホスホジエステルヌクレオシド間結合である、化合物。
【0147】
実施形態54:以下の化学表記法:Tes
mCkoGkoGdsTdsTdsGdsGdsAdsAdsTdsTds
mCdsTkoTksTe(配列番号13)に従う修飾されたオリゴヌクレオチドを含む、化合物であって、式中、
Aが、アデニン核酸塩基であり、
mCが、5-メチルシトシン核酸塩基であり、
Gが、グアニン核酸塩基であり、
Tが、チミン核酸塩基であり、
eが、2’-β-D-MOE糖部分であり、
kが、cEt糖部分であり、
dが、2’-β-D-デオキシリボシル糖部分であり、
sが、ホスホロチオエートヌクレオシド間結合であり、
oが、ホスホジエステルヌクレオシド間結合である、化合物。
【0148】
実施形態55:以下の化学表記法:GksTks
mCksGdsGysTdsTdsGdsGdsAdsAdsTdsTds
mCksTksTk(配列番号15)に従う修飾されたオリゴヌクレオチドを含む、化合物であって、式中、
Aが、アデニン核酸塩基であり、
mCが、5-メチルシトシン核酸塩基であり、
Gが、グアニン核酸塩基であり、
Tが、チミン核酸塩基であり、
kが、cEt糖部分であり、
dが、2’-β-D-デオキシリボシル糖部分であり、
yが、2’-OMeリボース糖部分であり、
sが、ホスホロチオエートヌクレオシド間結合である、化合物。
【0149】
実施形態56:以下の化学表記法:Tks
mCkoGkoGdsUysTdsGdsGdsAdsAdsTdsTds
mCdsTkoTksTk(配列番号14)に従う修飾されたオリゴヌクレオチドを含む、化合物であって、式中、
Aが、アデニン核酸塩基であり、
mCが、5-メチルシトシン核酸塩基であり、
Gが、グアニン核酸塩基であり、
Tが、チミン核酸塩基であり、
Uが、ウラシル核酸塩基であり、
kが、cEt糖部分であり、
dが、2’-β-D-デオキシリボシル糖部分であり、
yが、2’-OMeリボース糖部分であり、
sが、ホスホロチオエートヌクレオシド間結合であり、
oが、ホスホジエステルヌクレオシド間結合である、化合物。
【0150】
実施形態57:コンジュゲート基に共有結合した修飾されたオリゴヌクレオチドを含む、実施形態53~56のいずれかに記載の化合物。
【0151】
実施形態58:実施形態53~56のいずれかに記載の薬学的組成物、及び薬学的に許容される希釈剤または担体。
【0152】
実施形態59:実施形態53~56のいずれかに記載の修飾されたオリゴヌクレオチドのキラル的に濃縮された集団であって、集団が、特定の立体化学的配置を有する少なくとも1つの特定のホスホロチオエートヌクレオシド間結合を含む修飾されたオリゴヌクレオチドについて濃縮されている、キラル的に濃縮された集団。
【0153】
実施形態60:集団が、(Sp)配置を有する少なくとも1つの特定のホスホロチオエートヌクレオシド間結合を含む修飾されたオリゴヌクレオチドについて濃縮されている、実施形態59に記載のキラル的に濃縮された集団。
【0154】
実施形態61:集団が、(Rp)配置を有する少なくとも1つの特定のホスホロチオエートヌクレオシド間結合を含む修飾されたオリゴヌクレオチドについて濃縮されている、実施形態59に記載のキラル的に濃縮された集団。
【0155】
実施形態62:集団が、各ホスホロチオエートヌクレオシド間結合において特定の独立して選択される立体化学的配置を有する修飾されたオリゴヌクレオチドについて濃縮されている、実施形態59に記載のキラル的に濃縮された集団。
【0156】
実施形態63:集団が、各ホスホロチオエートヌクレオシド間結合において(Sp)配置を有する修飾されたオリゴヌクレオチドについて、または各ホスホロチオエートヌクレオシド間結合において(Rp)配置を有する修飾されたオリゴヌクレオチドについて濃縮されている、実施形態59に記載のキラル的に濃縮された集団。
【0157】
実施形態64:集団が、1つの特定のホスホロチオエートヌクレオシド間結合において(Rp)配置を有し、かつ残りのホスホロチオエートヌクレオシド間結合の各々において(Sp)配置を有する修飾されたオリゴヌクレオチドについて濃縮されている、実施形態59に記載のキラル的に濃縮された集団。
【0158】
実施形態65:集団が、5’から3’の方向に、Sp配置、Sp配置、及びRp配置で少なくとも3個の連続するホスホロチオエートヌクレオシド間結合を有する修飾されたオリゴヌクレオチドについて濃縮されている、実施形態59に記載のキラル的に濃縮された集団。
【0159】
実施形態66:実施形態59~65のいずれかに記載の修飾されたオリゴヌクレオチドの集団であって、修飾されたオリゴヌクレオチドのホスホロチオエートヌクレオシド間結合の全てが、ステレオランダムである、集団。
【0160】
実施形態67:任意の先行実施形態に記載の薬学的組成物を個体に投与することを含む、方法。
【0161】
実施形態68:RAAS経路に関連する疾患を治療する方法であって、RAAS経路に関連する疾患を有するかまたはそれを有する危険性のある個体に、治療有効量の、いずれかの前述の実施形態に記載の薬学的組成物を投与し、それにより、RAAS経路に関連する疾患を治療することを含む、方法。
【0162】
実施形態69:疾患が、心血管疾患である、実施形態68に記載の方法。
【0163】
実施形態70:疾患が、高血圧症、抵抗性高血圧症、マルファン症候群、心不全、腎臓病、肥満、メタボリックシンドローム、NASH、及びNAFLDから選択される、実施形態68及び69のいずれかに記載の方法。
【0164】
実施形態71:疾患の少なくとも1つの症状または特徴が、改善される、実施形態68~70のいずれかに記載の方法。
【0165】
実施形態72:症状または特徴が、高血圧症、高血圧緊急事態(すなわち、悪性高血圧症)、脳卒中、子癇前症、血管の動脈瘤、腹部動脈瘤、末梢動脈疾患、臓器損傷、または肺動脈高血圧症のうちのいずれかである、実施形態71に記載の方法。
【0166】
実施形態73:薬学的組成物が、全身に投与される、実施形態67~72のいずれかに記載の方法。
【0167】
実施形態74:薬学的組成物が、皮下または筋肉内のうちのいずれかに投与される、実施形態73のいずれかに記載の方法。
【0168】
実施形態75:細胞内のAGT発現を低減させるための、実施形態1~37のいずれかに記載のオリゴマー化合物または実施形態40に記載のオリゴマー二本鎖の使用。
【0169】
実施形態76:AGT RNAのレベルが、低減する、実施形態75に記載の使用。
【0170】
実施形態77:AGTタンパク質のレベルが、低減する、実施形態75に記載の使用。
【0171】
実施形態78.14~30個の結合されたヌクレオシドからなり、配列番号12~15の核酸塩基配列のうちのいずれかの少なくとも14個、少なくとも15個、または少なくとも16個の連続する核酸塩基を含む核酸塩基配列を有する、修飾されたオリゴヌクレオチドを含む、オリゴマー化合物であって、修飾されたオリゴヌクレオチドが、修飾された糖部分及び修飾されたヌクレオシド間結合から選択される少なくとも1つの修飾を含む、オリゴマー化合物。
【0172】
実施形態79.14~30個の結合されたヌクレオシドからなり、
a.配列番号1の核酸塩基2046~2061の等長部分、
b.配列番号1の核酸塩基2271~2286の等長部分、
c.配列番号1の核酸塩基2272~2287の等長部分、
に相補的な少なくとも14個、少なくとも15個、または少なくとも16個の連続する核酸塩基を含む核酸塩基配列を有する、修飾されたオリゴヌクレオチドを含む、オリゴマー化合物であって、修飾されたオリゴヌクレオチドが、修飾された糖部分及び修飾されたヌクレオシド間結合から選択される少なくとも1つの修飾を含む、オリゴマー化合物。
【0173】
実施形態80.16個の結合されたヌクレオシドからなり、配列番号12の核酸塩基配列を含む核酸塩基配列を有する、修飾されたオリゴヌクレオチドを含む、オリゴマー化合物であって、修飾されたオリゴヌクレオチドが、修飾された糖部分及び修飾されたヌクレオシド間結合から選択される少なくとも1つの修飾を含む、オリゴマー化合物。
【0174】
実施形態81.16個の結合されたヌクレオシドからなり、配列番号13の核酸塩基配列を含む核酸塩基配列を有する、修飾されたオリゴヌクレオチドを含む、オリゴマー化合物であって、修飾されたオリゴヌクレオチドが、修飾された糖部分及び修飾されたヌクレオシド間結合から選択される少なくとも1つの修飾を含む、オリゴマー化合物。
【0175】
実施形態82.16個の結合されたヌクレオシドからなり、配列番号14の核酸塩基配列を含む核酸塩基配列を有する、修飾されたオリゴヌクレオチドを含む、オリゴマー化合物であって、修飾されたオリゴヌクレオチドが、修飾された糖部分及び修飾されたヌクレオシド間結合から選択される少なくとも1つの修飾を含む、オリゴマー化合物。
【0176】
実施形態83.16個の結合されたヌクレオシドからなり、配列番号15の核酸塩基配列を含む核酸塩基配列を有する、修飾されたオリゴヌクレオチドを含む、オリゴマー化合物であって、修飾されたオリゴヌクレオチドが、修飾された糖部分及び修飾されたヌクレオシド間結合から選択される少なくとも1つの修飾を含む、オリゴマー化合物。
【0177】
実施形態84.修飾されたオリゴヌクレオチドが、修飾されたオリゴヌクレオチドの核酸塩基配列全体にわたって測定された場合に、任意の配列番号1または配列番号2の核酸塩基配列と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または100%相補的である核酸塩基配列を有する、実施形態78~83のいずれかに記載のオリゴマー化合物。
【0178】
実施形態85.修飾されたオリゴヌクレオチドが、少なくとも1つの二環式糖部分を含む、実施形態78~84に記載のいずれかのオリゴマー化合物。
【0179】
実施形態86.二環式糖部分が、4’-2’架橋を有し、4’-2’架橋が、-CH2-O-及び-CH(CH3)-O-から選択される、実施形態85に記載のオリゴマー化合物。
【0180】
実施形態87.修飾されたオリゴヌクレオチドが、少なくとも1つの非二環式の修飾された糖部分を含む、実施形態78~86のいずれかに記載のオリゴマー化合物。
【0181】
実施形態88.非二環式の修飾された糖部分が、2’-MOE糖部分または2’-OMe糖部分である、実施形態87に記載のオリゴマー化合物。
【0182】
実施形態89.修飾されたオリゴヌクレオチドが、少なくとも1つの糖サロゲートを含む、実施形態78~88のいずれかに記載のオリゴマー化合物。
【0183】
実施形態90.糖サロゲートが、モルホリノ、修飾されたモルホリノ、PNA、THP、及びF-HNAのいずれかである、実施形態89に記載のオリゴマー化合物。
【0184】
実施形態91.修飾されたオリゴヌクレオチドが、ギャップマーである、実施形態78~90のいずれかに記載のオリゴマー化合物。
【0185】
実施形態92.修飾されたオリゴヌクレオチドが、
1~6個の結合された5’領域ヌクレオシドからなる5’領域と、
6~10個の結合された中央領域ヌクレオシドからなる中央領域と、
1~6個の結合された3’領域ヌクレオシドからなる3’領域と、
を含む、糖モチーフを有し、
5’領域ヌクレオシドの各々及び3’領域ヌクレオシドの各々が、修飾された糖部分を含み、中央領域ヌクレオシドのうちの少なくとも6個が、2’-β-D-デオキシリボシル糖部分を含む、実施形態78~91のいずれかに記載のオリゴマー化合物。
【0186】
実施形態93.修飾されたオリゴヌクレオチドが、
1~6個の結合された5’領域ヌクレオシドからなる5’領域と、
6~10個の結合された中央領域ヌクレオシドからなる中央領域と、
1~6個の結合された3’領域ヌクレオシドからなる3’領域と、
を含む、糖モチーフを有し、
5’領域ヌクレオシドの各々及び3’領域ヌクレオシドの各々が、修飾された糖部分を含み、中央領域ヌクレオシドの各々が、2’-デオキシリボシル糖部分を含む、実施形態78~91のいずれかに記載のオリゴマー化合物。
【0187】
実施形態94.修飾されたオリゴヌクレオチドが、
3個の結合された5’領域ヌクレオシドからなる5’領域と、
10個の結合された中央領域ヌクレオシドからなる中央領域と、
3個の結合された3’領域ヌクレオシドからなる3’領域と、
を含む、糖モチーフを有し、
5’領域ヌクレオシドの各々及び3’領域ヌクレオシドの各々が、2’-MOE糖部分またはcEt糖部分を含み、中央領域ヌクレオシドの各々が、2’-β-D-デオキシリボシル糖部分を含む、実施形態78~91のいずれかに記載のオリゴマー化合物。
【0188】
実施形態95.修飾されたオリゴヌクレオチドが、
3個の結合された5’領域ヌクレオシドからなる5’領域と、
10個の結合された中央領域ヌクレオシドからなる中央領域と、
43個の結合された3’領域ヌクレオシドからなる3’領域と、
を含む、糖モチーフを有し、
5’領域ヌクレオシドの各々及び3’領域ヌクレオシドの各々が、2’-MOE糖部分またはcEt糖部分を含み、中央領域ヌクレオシドのうちの少なくとも6個が、2’-β-D-デオキシリボシル糖部分を含む、実施形態78~91のいずれかに記載のオリゴマー化合物。
【0189】
実施形態96.修飾されたオリゴヌクレオチドが、eekddddddddddkke、ekkddddddddddkke、kkkdyddddddddkkk、kkkddydddddddkkk、kkkdddyddddddkkk、kkkddddddddddkkk、またはeeeeeddddddddddeeeeeから選択される糖モチーフ(5’から3’)を有し、「e」が、2’-MOE糖部分を表し、「k」が、cEt糖部分を表し、「d」が、2’-β-D-デオキシリボシル糖部分を表し、「y」が、2’-OMe糖部分を表す、実施形態78~95のいずれかに記載のオリゴマー化合物。
【0190】
実施形態97.修飾されたオリゴヌクレオチドが、少なくとも1つの修飾されたヌクレオシド間結合を含む、実施形態78~96のいずれかに記載のオリゴマー化合物。
【0191】
実施形態98.修飾オリゴヌクレオチドの各ヌクレオシド間結合が、修飾ヌクレオシド間結合である、実施形態97に記載のオリゴマー化合物。
【0192】
実施形態99.少なくとも1つのヌクレオシド間結合が、ホスホロチオエートヌクレオシド間結合である、実施形態97または実施形態98に記載のオリゴマー化合物。
【0193】
実施形態100.修飾されたオリゴヌクレオチドが、少なくとも1つのホスホジエステルヌクレオシド間結合を含む、実施形態97及び実施形態99のいずれかに記載のオリゴマー化合物。
【0194】
実施形態101.各ヌクレオシド間結合が、ホスホジエステルヌクレオシド間結合またはホスホロチオエートヌクレオシド間結合のいずれかである、実施形態97、99、及び100のいずれかに記載のオリゴマー化合物。
【0195】
実施形態102.各ヌクレオシド間結合が、ホスホロチオエートヌクレオシド間結合である、実施形態98に記載のオリゴマー化合物。
【0196】
実施形態103.修飾されたオリゴヌクレオチドが、soossssssssssosのヌクレオシド間結合モチーフを有し、式中、
sが、ホスホロチオエートヌクレオシド間結合であり、
oが、ホスホジエステルヌクレオシド間結合である、
実施形態78~97、または99~101のいずれかに記載のオリゴマー化合物。
【0197】
実施形態104.修飾されたオリゴヌクレオチドが、少なくとも1つの修飾された核酸塩基を含む、実施形態78~103のいずれかに記載のオリゴマー化合物。
【0198】
実施形態105.修飾された核酸塩基が、5-メチルシトシンである、実施形態104に記載のオリゴマー化合物。
【0199】
実施形態106.修飾されたオリゴヌクレオチドが、14~30、14~22、14~20、14~18、14~20、15~17、15~25、または16~20個の結合されたヌクレオシドからなる、実施形態78~105のいずれかに記載のオリゴマー化合物。
【0200】
実施形態107.修飾されたオリゴヌクレオチドが、16個の結合されたヌクレオシドからなる、実施形態78~106のいずれかに記載のオリゴマー化合物。
【0201】
実施形態108.コンジュゲート基を含む、実施形態78~107のいずれかに記載のオリゴマー化合物。
【0202】
実施形態109.コンジュゲート基が、1~3個のGalNAcリガンドを含むGalNAcクラスターを含む、実施形態108に記載のオリゴマー化合物。
【0203】
実施形態110.コンジュゲート基が、単結合からなるコンジュゲートリンカーを含む、実施形態108及び109のいずれか1つに記載のオリゴマー化合物。
【0204】
実施形態111.コンジュゲート基が、切断可能なリンカーを含む、実施形態108~110のいずれか1つに記載のオリゴマー化合物。
【0205】
実施形態112.コンジュゲート基が、1~3個のリンカーヌクレオシドを含むコンジュゲートリンカーを含む、実施形態108~111のいずれか1つに記載のオリゴマー化合物。
【0206】
実施形態113.コンジュゲート基が、修飾されたオリゴヌクレオチドの5’-ヌクレオシドで、修飾されたオリゴヌクレオチドに結合している、実施形態108~112のいずれか1つに記載のオリゴマー化合物。
【0207】
実施形態114.コンジュゲート基が、修飾されたオリゴヌクレオチドの3’-ヌクレオシドで、修飾されたオリゴヌクレオチドに結合している、実施形態108~113のいずれか1つに記載のオリゴマー化合物。
【0208】
実施形態115.オリゴマー化合物が、一本鎖オリゴマー化合物である、実施形態78~114のいずれかに記載のオリゴマー化合物。
【0209】
実施形態116.修飾されたオリゴヌクレオチドからなる、実施形態78~107または115のいずれかに記載のオリゴマー化合物。
【0210】
実施形態117.以下の化学構造:
【0211】
【0212】
(配列番号12)に従う、オリゴマー化合物、またはその塩。
【0213】
実施形態118.以下の化学構造:
【0214】
【0215】
(配列番号12)に従う、オリゴマー化合物。
【0216】
実施形態119.以下の化学構造:
【0217】
【0218】
(配列番号13)に従う、オリゴマー化合物、またはその塩。
【0219】
実施形態120.以下の化学構造:
【0220】
【0221】
(配列番号13)に従う、オリゴマー化合物。
【0222】
実施形態121.以下の化学構造:
【0223】
【0224】
(配列番号14)に従う、オリゴマー化合物、またはその塩。
【0225】
実施形態122.以下の化学構造:
【0226】
【0227】
(配列番号14)に従う、オリゴマー化合物。
【0228】
実施形態123.以下の化学構造:
【0229】
【0230】
(配列番号15)に従う、オリゴマー化合物、またはその塩。
【0231】
実施形態124.以下の化学構造:
【0232】
【0233】
(配列番号15)に従う、オリゴマー化合物。
【0234】
実施形態125.ナトリウム塩またはカリウム塩である、実施形態117、119、121、または123のいずれかに記載のオリゴマー化合物。
【0235】
実施形態126.以下の化学表記法:mCesGeo
mCkoTdsGdsAdsTdsTdsTdsGdsTds
mCds
mCdsGkoGksGe(配列番号12)に従う修飾されたオリゴヌクレオチドを含む、オリゴマー化合物であって、式中、
Aが、アデニン核酸塩基であり、
mCが、5-メチルシトシン核酸塩基であり、
Gが、グアニン核酸塩基であり、
Tが、チミン核酸塩基であり、
eが、2’-β-D-MOE糖部分であり、
kが、cEt糖部分であり、
dが、2’-β-D-デオキシリボシル糖部分であり、
sが、ホスホロチオエートヌクレオシド間結合であり、
oが、ホスホジエステルヌクレオシド間結合である、オリゴマー化合物。
【0236】
実施形態127.以下の化学表記法:Tes
mCkoGkoGdsTdsTdsGdsGdsAdsAdsTdsTds
mCdsTkoTksTe(配列番号13)に従う修飾されたオリゴヌクレオチドを含む、オリゴマー化合物であって、式中、
Aが、アデニン核酸塩基であり、
mCが、5-メチルシトシン核酸塩基であり、
Gが、グアニン核酸塩基であり、
Tが、チミン核酸塩基であり、
eが、2’-β-D-MOE糖部分であり、
kが、cEt糖部分であり、
dが、2’-β-D-デオキシリボシル糖部分であり、
sが、ホスホロチオエートヌクレオシド間結合であり、
oが、ホスホジエステルヌクレオシド間結合である、オリゴマー化合物。
【0237】
実施形態128.以下の化学表記法:GksTks
mCksGdsGysTdsTdsGdsGdsAdsAdsTdsTds
mCksTksTk(配列番号15)に従う修飾されたオリゴヌクレオチドを含む、オリゴマー化合物であって、式中、
Aが、アデニン核酸塩基であり、
mCが、5-メチルシトシン核酸塩基であり、
Gが、グアニン核酸塩基であり、
Tが、チミン核酸塩基であり、
kが、cEt糖部分であり、
dが、2’-β-D-デオキシリボシル糖部分であり、
yが、2’-OMeリボース糖部分であり、
sが、ホスホロチオエートヌクレオシド間結合である、オリゴマー化合物。
【0238】
実施形態129.以下の化学表記法:Tks
mCkoGkoGdsUysTdsGdsGdsAdsAdsTdsTds
mCdsTkoTksTk(配列番号14)に従う修飾されたオリゴヌクレオチドを含む、オリゴマー化合物であって、式中、
Aが、アデニン核酸塩基であり、
mCが、5-メチルシトシン核酸塩基であり、
Gが、グアニン核酸塩基であり、
Tが、チミン核酸塩基であり、
Uが、ウラシル核酸塩基であり、
kが、cEt糖部分であり、
dが、2’-β-D-デオキシリボシル糖部分であり、
yが、2’-OMeリボース糖部分であり、
sが、ホスホロチオエートヌクレオシド間結合であり、
oが、ホスホジエステルヌクレオシド間結合である、オリゴマー化合物。
【0239】
実施形態130.コンジュゲート基に共有結合した修飾されたオリゴヌクレオチドを含む、実施形態126~129のいずれかに記載のオリゴマー化合物。
【0240】
実施形態131.実施形態78~130のいずれかに記載のオリゴマー化合物を含む、オリゴマー二本鎖。
【0241】
実施形態132.実施形態78~130のいずれかに記載のオリゴマー化合物または実施形態131に記載のオリゴマー二本鎖を含むか、またはそれらからなる、アンチセンス化合物。
【0242】
実施形態133.実施形態117~130のいずれかに記載のオリゴヌクレオチド化合物のキラル的に濃縮された集団であって、集団が、特定の立体化学的配置を有する少なくとも1つの特定のホスホロチオエートヌクレオシド間結合を含む化合物について濃縮されている、キラル的に濃縮された集団。
【0243】
実施形態134.集団が、(Sp)配置を有する少なくとも1つの特定のホスホロチオエートヌクレオシド間結合を含む化合物について濃縮されている、実施形態133に記載のキラル的に濃縮された集団。
【0244】
実施形態135.集団が、(Rp)配置を有する少なくとも1つの特定のホスホロチオエートヌクレオシド間結合を含む化合物について濃縮されている、実施形態133に記載のキラル的に濃縮された集団。
【0245】
実施形態136.集団が、各ホスホロチオエートヌクレオシド間結合において特定の独立して選択される立体化学的配置を有する化合物について濃縮されている、実施形態133に記載のキラル的に濃縮された集団。
【0246】
実施形態137.集団が、各ホスホロチオエートヌクレオシド間結合において(Sp)配置を有する化合物について、または各ホスホロチオエートヌクレオシド間結合において(Rp)配置を有する修飾されたオリゴヌクレオチドについて濃縮されている、実施形態133に記載のキラル的に濃縮された集団。
【0247】
実施形態138.集団が、1つの特定のホスホロチオエートヌクレオシド間結合において(Rp)配置を有し、かつ残りのホスホロチオエートヌクレオシド間結合の各々において(Sp)配置を有する化合物について濃縮されている、実施形態133に記載のキラル的に濃縮された集団。
【0248】
実施形態139.集団が、5’から3’の方向に、Sp配置、Sp配置、及びRp配置で少なくとも3個の連続するホスホロチオエートヌクレオシド間結合を有する化合物について濃縮されている、実施形態133に記載のキラル的に濃縮された集団。
【0249】
実施形態140.オリゴマー化合物の全てのホスホロチオエートヌクレオシド間結合が、ステレオランダムである、実施形態117~130のいずれかに記載のオリゴマー化合物の集団。
【0250】
実施形態141.実施形態78~130のいずれかに記載のオリゴマー化合物、実施形態131に記載のオリゴマー二本鎖、実施形態132に記載のアンチセンス化合物、または実施形態133~140のいずれかに記載の集団と、薬学的に許容される担体または希釈剤と、を含む、薬学的組成物。
【0251】
実施形態142.実施形態141に記載の薬学的組成物を個体に投与することを含む、方法。
【0252】
実施形態143.RAAS経路に関連する疾患を治療する方法であって、RAAS経路に関連する疾患を有するか、またはそれを有する危険性のある個体に、治療有効量の実施形態142に記載の薬学的組成物を投与し、それにより、RAAS経路に関連する疾患を治療することを含む、方法。
【0253】
実施形態144.疾患が、心血管疾患である、実施形態143に記載の方法。
【0254】
実施形態145.疾患が、高血圧症、抵抗性高血圧症、マルファン症候群、心不全、腎臓病、肥満、メタボリックシンドローム、NASH、及びNAFLDから選択される、実施形態143及び144のいずれかに記載の方法。
【0255】
実施形態146.疾患の少なくとも1つの症状または特徴が、改善される、実施形態143~145のいずれかに記載の方法。
【0256】
実施形態147.症状または特徴が、高血圧症、高血圧緊急事態(すなわち、悪性高血圧症)、脳卒中、子癇前症、血管の動脈瘤、腹部動脈瘤、末梢動脈疾患、臓器損傷、または肺動脈高血圧症のうちのいずれかである、実施形態146に記載の方法。
【0257】
実施形態148.薬学的組成物が、全身に投与される、実施形態142~147のいずれかに記載の方法。
【0258】
実施形態149.薬学的組成物が、皮下または筋肉内に投与される、実施形態142~148のいずれかに記載の方法。
【0259】
実施形態150.細胞内でのAGT発現を低減するための、実施形態78~130のいずれかに記載のオリゴマー化合物、実施形態131に記載のオリゴマー二本鎖、実施形態132に記載のアンチセンス化合物、または実施形態133~140のいずれかに記載の集団の使用。
【0260】
実施形態151.AGT RNAのレベルが、低減する、実施形態150に記載の使用。
【0261】
実施形態152.AGTタンパク質のレベルが、低減する、実施形態150に記載の使用。
【0262】
I.ある特定のオリゴヌクレオチド
ある特定の実施形態では、連結ヌクレオシドからなるオリゴヌクレオチドを含むオリゴマー化合物が、本明細書に提供される。オリゴヌクレオチドは、修飾されていないオリゴヌクレオチド(RNAまたはDNA)であってもよく、または修飾されたオリゴヌクレオチドであってもよい。修飾されたオリゴヌクレオチドは、修飾されていないRNAまたはDNAに対して少なくとも1つの修飾を含む。すなわち、修飾されたオリゴヌクレオチドは、少なくとも1つの修飾されたヌクレオシド(修飾された糖部分及び/または修飾された核酸塩基を含む)及び/または少なくとも1つの修飾されたヌクレオシド間結合を含む。
【0263】
A.ある特定の修飾されたヌクレオシド
修飾ヌクレオシドは、修飾された糖部分もしくは修飾された核酸塩基、または修飾された糖部分及び修飾された核酸塩基の両方を含む。
【0264】
1.ある特定の糖部分
ある特定の実施形態では、修飾された糖部分は、非二環式の修飾された糖部分である。ある特定の実施形態では、修飾された糖部分は、二環式または三環式糖部分である。ある特定の実施形態では、修飾された糖部分は、糖サロゲートである。そのような糖サロゲートは、修飾された糖部分の他の種類のものに対応する1つ以上の置換を含み得る。
【0265】
ある特定の実施形態では、修飾された糖部分は、1つ以上の置換基を有するフラノシル環を含む非二環式の修飾された糖部分であり、その置換基はいずれも、フラノシル環の2つの原子を架橋して二環式構造を形成しない。かかる非架橋置換基は、2’、4’、及び/または5’位の置換基を含むがこれらに限定されない、フラノシルの任意の位置にあってよい。ある特定の実施形態では、非二環式の修飾された糖部分の1つ以上の非架橋置換基は分枝している。非二環式の修飾された糖部分に好適な2’-置換基の例には、2’-F、2’-OCH3(「OMe」または「O-メチル」)、及び2’-O(CH2)2OCH3(「MOE」または「O-メトキシエチル」)が含まれるが、これらに限定されない。ある特定の実施形態では、2’-置換基は、ハロ、アリル、アミノ、アジド、SH、CN、OCN、CF3、OCF3、O-C1-C10アルコキシ、O-C1-C10置換アルコキシ、O-C1-C10アルキル、O-C1-C10置換アルキル、S-アルキル、N(Rm)-アルキル、O-アルケニル、S-アルケニル、N(Rm)-アルケニル、O-アルキニル、S-アルキニル、N(Rm)-アルキニル、O-アルキレニル-O-アルキル、アルキニル、アルカリール、アラルキル、O-アルカリール、O-アラルキル、O(CH2)2SCH3、O(CH2)2ON(Rm)(Rn)、またはOCH2C(=O)-N(Rm)(Rn)の中から選択され、各Rm及びRnは独立して、H、アミノ保護基、または置換もしくは非置換C1-C10アルキルであり、2’-置換基は、Cook et al.,U.S.6,531,584、Cook et al.,U.S.5,859,221、及びCook et al.,U.S.6,005,087に記載されている。これらの2’-置換基のある特定の実施形態は、ヒドロキシル、アミノ、アルコキシ、カルボキシ、ベンジル、フェニル、ニトロ(NO2)、チオール、チオアルコキシ、チオアルキル、ハロゲン、アルキル、アリール、アルケニル、及びアルキニルから独立して選択される1つ以上の置換基でさらに置換され得る。非二環式の修飾された糖部分に好適な4’-置換基の例には、これらに限定されないが、アルコキシ(例えば、メトキシ)、アルキル、及びManoharan et al.,WO2015/106128に記載されるものが挙げられる。非二環式の修飾された糖部分に好適な5’-置換基の例には、5’-メチル(RまたはS)、5’-ビニル、及び5’-メトキシが含まれる。ある特定の実施形態では、非二環式の修飾された糖部分は、2つ以上の非架橋糖置換基、例えば、2’-F-5’-メチル糖部分、ならびにMigawa et al.,WO2008/101157及びRajeev et al.,US2013/0203836に記載される修飾された糖部分及び修飾されたヌクレオシドを含む。
【0266】
ある特定の実施形態では、2’-置換非二環式の修飾されたヌクレオシドは、F、NH2、N3、OCF3、OCH3、O(CH2)3NH2、CH2CH=CH2、OCH2CH=CH2、OCH2CH2OCH3、O(CH2)2SCH3、O(CH2)2ON(Rm)(Rn)、O(CH2)2O(CH2)2N(CH3)2、及びN-置換アセトアミド(OCH2C(=O)-N(Rm)(Rn))から選択される非架橋2’-置換基を含む糖部分を含み、式中、各Rm及びRnは独立して、H、アミノ保護基、または置換もしくは非置換C1-C10アルキルである。
【0267】
ある特定の実施形態では、2’-置換非二環式の修飾されたヌクレオシドは、F、OCF3、OCH3、OCH2CH2OCH3、O(CH2)2SCH3、O(CH2)2ON(CH3)2、O(CH2)2O(CH2)2N(CH3)2、及びOCH2C(=O)-N(H)CH3(「NMA」)から選択される非架橋2’-置換基を含む糖部分を含む。
【0268】
ある特定の実施形態では、2’-置換非二環式の修飾されたヌクレオシドは、F、OCH3、及びOCH2CH2OCH3から選択される非架橋2’-置換基を含む糖部分を含む。
【0269】
ある特定の実施形態では、修飾されたフラノシル糖部分及びそのような修飾されたフラノシル糖部分を組み込むヌクレオシドは、異性体配置によってさらに定義される。例えば、2’-デオキシフラノシル糖部分は、天然に存在するβ-D-デオキシリボシル配置以外の7つの異性体配置であってもよい。かかる修飾された糖部分は、例えば、参照により本明細書に組み込まれるWO2019/157531に記載されている。2’-修飾された糖部分は、2’-デオキシフラノシル糖部分と比較して、2’-位置で追加の立体中心を有する;したがって、かかる糖部分は、合計で16個の可能な異性体構成を有する。本明細書に記載される2’-修飾された糖部分は、別段の定めがない限り、β-D-リボシル異性体配置にある。
【0270】
ある特定の修飾された糖部分は、第2の環を形成して二環式糖部分をもたらすフラノシル環の2つの原子を架橋する置換基を含む。ある特定のかかる実施形態では、二環式糖部分は、4’位と2’位のフラノース環原子間の架橋を含む。そのような4’から2’への架橋糖置換基の例には、4’-CH2-2’、4’-(CH2)2-2’、4’-(CH2)3-2’、4’-CH2-O-2’(「LNA」)、4’-CH2-S-2’、4’-(CH2)2-O-2’(「ENA」)、4’-CH(CH3)-O-2’(「拘束エチル」または「cEt」と称される)、4’-CH2-O-CH2-2’、4’-CH2-N(R)-2’、4’-CH(CH2OCH3)-O-2’(「拘束MOE」または「cMOE」)及びその類似体(例えば、Seth et al.,U.S.7,399,845、Bhat et al.,U.S.7,569,686、Swayze et al.,U.S.7,741,457、及びSwayze et al.,U.S.8,022,193を参照のこと)、4’-C(CH3)(CH3)-O-2’及びその類似体(例えば、Seth et al.,U.S.8,278,283を参照のこと)、4’-CH2-N(OCH3)-2’及びその類似体(例えば、Prakash et al.,U.S.8,278,425)、4’-CH2-O-N(CH3)-2’(例えば、Allerson et al.,U.S.7,696,345及びAllerson et al.,U.S.8,124,745を参照のこと)、4’-CH2-C(H)(CH3)-2’(例えば、Zhou,et al.,J.Org.Chem.,2009,74,118-134を参照のこと)、4’-CH2-C(=CH2)-2’及びその類似体(例えば、Seth et al.,U.S.8,278,426を参照のこと)、4’-C(RaRb)-N(R)-O-2’、4’-C(RaRb)-O-N(R)-2’、4’-CH2-O-N(R)-2’、ならびに4’-CH2-N(R)-O-2’(式中、各R、Ra、及びRbは独立して、H、保護基、またはC1-C12アルキルである)(例えば、Imanishi et al.,U.S.7,427,672を参照のこと)が含まれるが、これらに限定されない。
【0271】
ある特定の実施形態では、そのような4’~2’架橋は独立して、-[C(Ra)(Rb)]n-、-[C(Ra)(Rb)]n-O-、-C(Ra)=C(Rb)-、-C(Ra)=N-、-C(=NRa)-、-C(=O)-、-C(=S)-、-O-、-Si(Ra)2-、-S(=O)x-、及び-N(Ra)-から独立して選択される1~4個の結合された基を含み、
式中、
xは、0、1、または2であり、
nは、1、2、3、または4であり、
各Ra及びRbは独立して、H、保護基、ヒドロキシル、C1-C12アルキル、置換C1-C12アルキル、C2-C12アルケニル、置換C2-C12アルケニル、C2-C12アルキニル、置換C2-C12アルキニル、C5-C20アリール、置換C5-C20アリール、複素環ラジカル、置換複素環ラジカル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、C5-C7脂環式ラジカル、置換C5-C7脂環式ラジカル、ハロゲン、OJ1、NJ1J2、SJ1、N3、COOJ1、アシル(C(=O)-H)、置換アシル、CN、スルホニル(S(=O)2-J1)、またはスルホキシル(S(=O)-J1)であり、
各J1及びJ2は独立して、H、C1-C12アルキル、置換C1-C12アルキル、C2-C12アルケニル、置換C2-C12アルケニル、C2-C12アルキニル、置換C2-C12アルキニル、C5-C20アリール、置換C5-C20アリール、アシル(C(=O)-H)、置換アシル、複素環ラジカル、置換複素環ラジカル、C1-C12アミノアルキル、置換C1-C12アミノアルキル、または保護基である。
【0272】
さらなる二環式糖部分は、当該技術分野で既知であり、例えば、Freier et al.,Nucleic Acids Research,1997,25(22),4429-4443、Albaek et al.,J.Org.Chem.,2006,71,7731-7740、Singh et al.,Chem.Commun.,1998,4,455-456、Koshkin et al.,Tetrahedron,1998,54,3607-3630、Kumar et al.,Bioorg.Med.Chem.Lett.,1998,8,2219-2222、Singh et al.,J.Org.Chem.,1998,63,10035-10039、Srivastava et al.,J.Am.Chem.Soc.,2007,129,8362-8379、Wengel et a.,U.S.7,053,207、Imanishi et al.,U.S.6,268,490、Imanishi et al.U.S.6,770,748、Imanishi et al.,U.S.RE44,779、Wengel et al.,U.S.6,794,499、Wengel et al.,U.S.6,670,461、Wengel et al.,U.S.7,034,133、Wengel et al.,U.S.8,080,644、Wengel et al.,U.S.8,034,909、Wengel et al.,U.S.8,153,365、Wengel et al.,U.S.7,572,582、Ramasamy et al.,U.S.6,525,191、Torsten et al.,WO2004/106356、Wengel et al.,WO1999/014226、Seth et al.,WO2007/134181、Seth et al.,U.S.7,547,684、Seth et al.,U.S.7,666,854、Seth et al.,U.S.8,088,746、Seth et al.,U.S.7,750,131、Seth et al.,U.S.8,030,467、Seth et al.,U.S.8,268,980、Seth et al.,U.S.8,546,556、Seth et al.,U.S.8,530,640、Migawa et al.,U.S.9,012,421、Seth et al.,U.S.8,501,805、ならびに米国特許公開第US2008/0039618号(Allerson et al.)及び同第US2015/0191727号(Migawa et al.)を参照されたい。
【0273】
ある特定の実施形態では、二環式糖部分及びかかる二環式糖部分を組み込むヌクレオシドは、異性体配置によってさらに定義される。例えば、LNAヌクレオシド(本明細書に記載される)は、α-L配置またはβ-D配置にあり得る。
【0274】
【0275】
α-L-メチレンオキシ(4’-CH2-O-2’)またはα-L-LNA二環式ヌクレオシドは、アンチセンス活性を示したオリゴヌクレオチドに組み込まれている(Frieden et al.,Nucleic Acids Research,2003,21,6365-6372)。本明細書において、二環式ヌクレオシドの一般的説明は、両方の異性体配置を含む。特定の二環式ヌクレオシド(例えばLNAまたはcEt)の位置が、本明細書における例示的な実施形態において同定されるとき、それらは、特に指定がない限り、β-D配置にある。
【0276】
ある特定の実施形態では、修飾された糖部分は、1つ以上の非架橋糖置換基及び1つ以上の架橋糖置換基(例えば、5’-置換及び4’-2’架橋糖)を含む。
【0277】
ある特定の実施形態では、修飾された糖部分は、糖サロゲートである。ある特定のかかる実施形態では、糖部分の酸素原子は、例えば、硫黄、炭素、または窒素原子で置き換えられる。ある特定のかかる実施形態では、かかる修飾された糖部分はまた、本明細書に記載されるような架橋及び/または非架橋置換基も含む。例えば、ある特定の糖サロゲートは、4’-硫黄原子ならびに2’位での置換(例えば、Bhat et al.,U.S.7,875,733及びBhat et al.,U.S.7,939,677を参照のこと)及び/または5’位での置換を含む。
【0278】
ある特定の実施形態では、糖サロゲートは、5個の原子以外を有する環を含む。例えば、ある特定の実施形態では、糖サロゲートは、6員のテトラヒドロピラン(「THP」)を含む。かかるテトラヒドロピランは、さらに修飾または置換されてもよい。そのような修飾されたテトラヒドロピランを含むヌクレオシドは、これらに限定されないが、ヘキシトール核酸(「HNA」)、アニトール核酸(「ANA」)、マンニトール核酸(「MNA」)(例えば、Leumann,CJ.Bioorg.&Med.Chem.2002,10,841-854を参照のこと)、フルオロHNA:
【0279】
【0280】
(「F-HNA」、例えば、Swayze et al.,U.S.8,088,904、Swayze et al.,U.S.8,440,803、Swayze et al.,U.S.8,796,437、及びSwayze et al.,U.S.9,005,906を参照のこと;F-HNAはまた、F-THPまたは3’-フルオロテトラヒドロピランとも称され得る)、及び以下の式を有する追加の修飾されたTHP化合物を含むヌクレオシドを含み、
【0281】
【0282】
式中、独立して、修飾されたTHPヌクレオシドの各々について、
Bxは、核酸塩基部分であり、
T3及びT4は各々独立して、修飾されたTHPヌクレオシドをオリゴヌクレオチドの残りに結合するヌクレオシド間結合基であるか、またはT3及びT4の一方は、修飾されたTHPヌクレオシドをオリゴヌクレオチドの残りに結合するヌクレオシド間結合基であり、T3及びT4の他方は、H、ヒドロキシル保護基、結合されたコンジュゲート基、または5’もしくは3’-末端基であり、
q1、q2、q3、q4、q5、q6、及びq7は各々独立して、H、C1-C6アルキル、置換C1-C6アルキル、C2-C6アルケニル、置換C2-C6アルケニル、C2-C6アルキニル、または置換C2-C6アルキニルであり、
R1及びR2のそれぞれは独立して、水素、ハロゲン、置換または非置換アルコキシ、NJ1J2、SJ1、N3、OC(=X)J1、OC(=X)NJ1J2、NJ3C(=X)NJ1J2、及びCNの中から選択され、Xは、O、S、またはNJ1であり、各J1、J2、及びJ3は独立して、HまたはC1-C6アルキルである。
【0283】
ある特定の実施形態では、修飾されたTHPヌクレオシドが提供され、q1、q2、q3、q4、q5、q6、及びq7は、Hである。ある特定の実施形態では、q1、q2、q3、q4、q5、q6、及びq7のうちの少なくとも1つは、H以外である。ある特定の実施形態では、q1、q2、q3、q4、q5、q6、及びq7のうちの少なくとも1つは、メチルである。ある特定の実施形態では、修飾されたTHPヌクレオシドが提供され、R1及びR2のうちの1つは、Fである。ある特定の実施形態では、R1は、Fであり、R2は、Hであり、ある特定の実施形態では、R1は、メトキシであり、R2は、Hであり、ある特定の実施形態では、R1は、メトキシエトキシであり、R2は、Hである。
【0284】
ある特定の実施形態では、糖サロゲートは、5個よりも多くの原子及び1個よりも多くのヘテロ原子を有する環を含む。例えば、モルホリノ糖部分を含むヌクレオシド及びオリゴヌクレオチドにおけるそれらの使用が報告されている(例えば、Braasch et al.,Biochemistry,2002、41,4503-4510及びSummerton et al.,U.S.5,698,685、Summerton et al.,U.S.5,166,315、Summerton et al.,U.S.5,185,444、ならびにSummerton et al.,U.S.5,034,506を参照のこと)。本明細書で使用する場合、「モルホリノ」なる用語は、構造:
【0285】
【0286】
を有する糖サロゲートを意味する。
【0287】
ある特定の実施形態では、モルホリノは、例えば、上記のモルホリノ構造から種々の置換基を付加するかまたは変更することによって、修飾されてもよい。かかる糖サロゲートは、本明細書では「修飾されたモルホリノ」と呼ばれる。
【0288】
ある特定の実施形態では、糖サロゲートは、非環式部分を含む。そのような非環式糖サロゲートを含むヌクレオシド及びオリゴヌクレオチドの例には、ペプチド核酸(「PNA」)、非環式ブチル核酸(例えば、Kumar et al.,Org.Biomol.Chem.,2013,11,5853-5865を参照のこと)、ならびにManoharan et al.,WO2011/133876に記載されるヌクレオシド及びオリゴヌクレオチドが含まれるが、これらに限定されない。
【0289】
修飾ヌクレオシドに使用され得る多くの他の二環式糖及び三環式糖ならびに糖サロゲート環系は、当該技術分野で既知である。
【0290】
2.ある特定の修飾核酸塩基
ある特定の実施形態では、修飾されたオリゴヌクレオチドは、修飾されていない核酸塩基を含む1つ以上のヌクレオシドを含む。ある特定の実施形態では、修飾されたオリゴヌクレオチドは、修飾された核酸塩基を含む1つ以上のヌクレオシドを含む。ある特定の実施形態では、修飾されたオリゴヌクレオチドは、脱塩基ヌクレオシドと称される、核酸塩基を含まない1つ以上のヌクレオシドを含む。
【0291】
ある特定の実施形態では、修飾された核酸塩基は、5-置換ピリミジン、6-アザピリミジン、アルキルまたはアルキニル置換ピリミジン、アルキル置換プリン、ならびにN-2、N-6、及びO-6置換プリンから選択される。ある特定の実施形態では、修飾された核酸塩基は、2-アミノプロピルアデニン、5-ヒドロキシメチルシトシン、キサンチン、ヒポキサンチン、2-アミノアデニン、6-N-メチルグアニン、6-N-メチルアデニン、2-プロピルアデニン、2-チオウラシル、2-チオチミン及び2-チオシトシン、5-プロピニル(-C≡C-CH3)ウラシル、5-プロピニルシトシン、6-アゾウラシル、6-アゾシトシン、6-アゾチミン、5-リボシルウラシル(シュードウラシル)、4-チオウラシル、8-ハロ、8-アミノ、8-チオール、8-チオアルキル、8-ヒドロキシル、8-アザ及び他の8-置換プリン、5-ハロ、特に5-ブロモ、5-トリフルオロメチル、5-ハロウラシル、及び5-ハロシトシン、7-メチルグアニン、7-メチルアデニン、2-F-アデニン、2-アミノアデニン、7-デアザグアニン、7-デアザアデニン、3-デアザグアニン、3-デアザアデニン、6-N-ベンゾイルアデニン、2-N-イソブチリルグアニン、4-N-ベンゾイルシトシン、4-N-ベンゾイルウラシル、5-メチル4-N-ベンゾイルシトシン、5-メチル4-N-ベンゾイルウラシル、ユニバーサル塩基、疎水性塩基、無差別塩基、サイズ拡張された塩基、ならびにフッ素化塩基から選択される。さらなる修飾された核酸塩基には、1,3-ジアザフェノキサジン-2-オン、1,3-ジアザフェノチアジン-2-オン、及び9-(2-アミノエトキシ)-1,3-ジアザフェノキサジン-2-オン(G-クランプ)などの三環式ピリミジンが含まれる。修飾された核酸塩基は、プリンまたはピリミジン塩基が他の複素環、例えば、7-デアザ-アデニン、7-デアザグアノシン、2-アミノピリジン、及び2-ピリドンで置き換えられるものも含み得る。さらなる核酸塩基は、Merigan et al.,U.S.3,687,808に開示されるもの、The Concise Encyclopedia Of Polymer Science And Engineering,Kroschwitz,J.I.,Ed.,John Wiley&Sons,1990,858-859、Englisch et al.,Angewandte Chemie,International Edition,1991,30,613、Sanghvi,Y.S.,Chapter15,Antisense Research and Applications,Crooke,S.T.and Lebleu,B.,Eds.,CRC Press,1993,273-288に開示されるもの、及びChapters 6 and 15,Antisense Drug Technology,Crooke S.T.,Ed.,CRC Press,2008,163-166及び442-443に開示されるものを含む。
【0292】
上記の修飾された核酸塩基、ならびに他の修飾された核酸塩基のある特定の調製を教示する出版物には、Manoharan et al.,US2003/0158403、Manoharan et al.,US2003/0175906、Dinh et al.,U.S.4,845,205、Spielvogel et al.,U.S.5,130,302、Rogers et al.,U.S.5,134,066、Bischofberger et al.,U.S.5,175,273、Urdea et al.,U.S.5,367,066、Benner et al.,U.S.5,432,272、Matteucci et al.,U.S.5,434,257、Gmeiner et al.,U.S.5,457,187、Cook et al.,U.S.5,459,255、Froehler et al.,U.S.5,484,908、Matteucci et al.,U.S.5,502,177、Hawkins et al.,U.S.5,525,711、Haralambidis et al.,U.S.5,552,540、Cook et al.,U.S.5,587,469、Froehler et al.,U.S.5,594,121、Switzer et al.,U.S.5,596,091、Cook et al.,U.S.5,614,617、Froehler et al.,U.S.5,645,985、Cook et al.,U.S.5,681,941、Cook et al.,U.S.5,811,534、Cook et al.,U.S.5,750,692、Cook et al.,U.S.5,948,903、Cook et al.,U.S.5,587,470、Cook et al.,U.S.5,457,191、Matteucci et al.,U.S.5,763,588、Froehler et al.,U.S.5,830,653、Cook et al.,U.S.5,808,027、Cook et al.,6,166,199、及びMatteucci et al.,U.S.6,005,096が含まれるが、これらに限定されない。
【0293】
3.ある特定の修飾されたヌクレオシド間結合
ある特定の実施形態では、修飾されたオリゴヌクレオチドのヌクレオシドは、任意のヌクレオシド間結合を使用して一緒に結合されてもよい。ヌクレオシド間連結基の2つの主要なクラスは、リン原子の存否によって定義される。代表的なリン含有ヌクレオシド間結合には、ホスホジエステル結合(「P(O2)=O」)(修飾されていないまたは天然型結合とも称される)を含むホスホジエステル、ホスホトリエステル、メチルホスホネート、ホスホルアミデート、ホスホロチオエート(「P(O2)=S」)、及びホスホロジチオエート(「HS-P=S」)が含まれるが、これらに限定されない。代表的な非リン含有ヌクレオシド間結合基には、メチレンメチルイミノ(-CH2-N(CH3)-O-CH2-)、チオジエステル、チオノカルバメート(-O-C(=O)(NH)-S-)、シロキサン(-O-SiH2-O-)、及びN,N’-ジメチルヒドラジン(-CH2-N(CH3)-N(CH3)-)が含まれるが、これらに限定されない。修飾されたヌクレオシド間結合は、天然型ホスホジエステルヌクレオシド間結合と比較して、オリゴヌクレオチドのヌクレアーゼ耐性を改変、典型的には増加するために使用され得る。ある特定の実施形態では、キラル原子を有するヌクレオシド間結合が、ラセミ混合物として、または別個のエナンチオマーとして調製され得る。リン含有及びリン非含有ヌクレオシド間結合の調製方法は、当業者に周知である。
【0294】
キラル中心を有する代表的なヌクレオシド間結合には、アルキルホスホネート及びホスホロチオエートが含まれるが、これらに限定されない。キラル中心を有するヌクレオシド間結合を含む修飾されたオリゴヌクレオチドは、ステレオランダムヌクレオシド間結合を含む修飾されたオリゴヌクレオチドの集団として、または特定の立体化学的配置にあるホスホロチオエートヌクレオシド間結合を含む修飾されたオリゴヌクレオチドの集団として調製され得る。ある特定の実施形態では、修飾されたオリゴヌクレオチドの集団は、ホスホロチオエートヌクレオシド間結合を含み、全てのホスホロチオエートヌクレオシド間結合は、ステレオランダムである。そのような修飾されたオリゴヌクレオチドは、各ホスホロチオエートヌクレオシド間結合の立体化学的配置のランダム選択をもたらす合成方法を使用して生成され得る。それにもかかわらず、当業者によって十分に理解されるように、各個々のオリゴヌクレオチド分子の各個々のホスホロチオエートは、定義される立体配置を有する。ある特定の実施形態では、修飾されたオリゴヌクレオチドの集団は、特定の独立して選択される立体化学的配置にある1つ以上の特定のホスホロチオエートヌクレオシド間結合を含む修飾されたオリゴヌクレオチドが濃縮されている。ある特定の実施形態では、特定のホスホロチオエートヌクレオシド間結合の特定の配置は、集団中の少なくとも65%の分子に存在する。ある特定の実施形態では、特定のホスホロチオエートヌクレオシド間結合の特定の配置は、集団中の少なくとも70%の分子に存在する。ある特定の実施形態では、特定のホスホロチオエートヌクレオシド間結合の特定の配置は、集団中の少なくとも80%の分子に存在する。ある特定の実施形態では、特定のホスホロチオエートヌクレオシド間結合の特定の配置は、集団中の少なくとも90%の分子に存在する。ある特定の実施形態では、特定のホスホロチオエートヌクレオシド間結合の特定の配置は、集団中の少なくとも99%の分子に存在する。修飾されたオリゴヌクレオチドのかかるキラル的に濃縮された集団は、当該技術分野で既知の合成方法、例えば、Oka et al.,JACS125,8307(2003)、Wan et al.Nuc.Acid.Res.42,13456(2014)、及びWO2017/015555に記載される方法を使用して生成され得る。ある特定の実施形態では、修飾されたオリゴヌクレオチドの集団は、(Sp)配置にある少なくとも1つの示されるホスホロチオエートを有する修飾されたオリゴヌクレオチドが濃縮されている。ある特定の実施形態では、修飾されたオリゴヌクレオチドの集団は、(Rp)配置にある少なくとも1つのホスホロチオエートを有する修飾されたオリゴヌクレオチドについて濃縮されている。ある特定の実施形態では、(Rp)及び/または(Sp)ホスホロチオエートを含む修飾されたオリゴヌクレオチドは、それぞれ、以下の式のうちの1つ以上を含み、式中、「B」は、核酸塩基を示す。
【0295】
【0296】
別段の指示がない限り、本明細書に記載される修飾されたオリゴヌクレオチドのキラルヌクレオシド間結合は、ステレオランダムであり得るか、または特定の立体化学的配置にあり得る。
【0297】
中性ヌクレオシド間結合には、ホスホトリエステル、メチルホスホネート、MMI(3’-CH2-N(CH3)-O-5’)、アミド-3(3’-CH2-C(=O)-N(H)-5’)、アミド-4(3’-CH2-N(H)-C(=O)-5’)、ホルムアセタール(3’-O-CH2-O-5’)、メトキシプロピル(MOP)、及びチオホルムアセタール(3’-S-CH2-O-5’)が含まれるが、これらに限定されない。さらなる中性ヌクレオシド間結合には、シロキサン(ジアルキルシロキサン)、カルボキシレートエステル、カルボキサミド、スルフィド、スルホネートエステル、及びアミドを含む非イオン結合が含まれる(例えば、Carbohydrate Modifications in Antisense Research、Y.S.Sanghvi and P.D.Cook,Eds.,ACS Symposium Series580、Chapters 3 and 4,40-65を参照のこと)。さらなる中性ヌクレオシド間結合には、混合N、O、S、及びCH2構成要素部分を含む非イオン結合が含まれる。
【0298】
B.ある特定のモチーフ
ある特定の実施形態では、修飾されたオリゴヌクレオチドは、修飾された糖部分を含む1つ以上の修飾されたヌクレオシドを含む。ある特定の実施形態では、修飾されたオリゴヌクレオチドは、修飾された核酸塩基を含有する1つ以上の修飾されたヌクレオシドを含む。ある特定の実施形態では、修飾されたオリゴヌクレオチドは、1つ以上の修飾されたヌクレオシド間結合を含む。かかる実施形態では、修飾されたオリゴヌクレオチドの修飾された、修飾されていない、及び異なって修飾された糖部分、核酸塩基、及び/またはヌクレオシド間結合は、パターンまたはモチーフを定義する。ある特定の実施形態では、糖部分、核酸塩基、及びヌクレオシド間結合のパターンは各々、互いに独立している。故に、修飾されたオリゴヌクレオチドは、その糖モチーフ、核酸塩基モチーフ、及び/またはヌクレオシド間結合モチーフにより説明され得る(本明細書で使用される場合、核酸塩基モチーフは、核酸塩基の配列に依存しない核酸塩基に対する修飾を説明する)。
【0299】
1.ある特定の糖モチーフ
ある特定の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、定義されたパターンまたは糖モチーフでオリゴヌクレオチドまたはその部分に沿って配置された1種類以上の修飾された糖及び/または修飾されていない糖部分を含む。ある特定の例では、そのような糖モチーフは、本明細書で論じられる糖修飾のうちのいずれかを含むが、これらに限定されない。
【0300】
ある特定の実施形態では、修飾されたオリゴヌクレオチドは、2つの外部領域または「ウイング」及び中央もしくは内部領域または「ギャップ」によって定義されるギャップマーモチーフを有する。ギャップマーモチーフの3個の領域(5’-ウイング、ギャップ、及び3’-ウイング)は、ヌクレオシドの連続した配列を形成し、ウイングのそれぞれのヌクレオシドの糖部分の少なくとも一部は、ギャップのヌクレオシドの糖部分の少なくとも一部と異なっている。具体的に述べると、少なくとも、各ウイングの、ギャップに最も近いヌクレオシド(5’-ウイングの最も3’側のヌクレオシド及び3’-ウイングの最も5’側のヌクレオシド)の糖部分は、隣接するギャップヌクレオシドの糖部分とは異なり、故に、ウイングとギャップとの間の境界(すなわち、ウイング/ギャップ連結部)を画定する。ある特定の実施形態では、ギャップ内の糖部分は、互いに同じである。ある特定の実施形態では、ギャップは、ギャップの1つ以上の他のヌクレオシドの糖部分とは異なる糖部分を有する1つ以上のヌクレオシドを含む。ある特定の実施形態では、2つのウイングの糖モチーフは、互いに同じである(対称ギャップマー)。ある特定の実施形態では、5’-ウイングの糖モチーフは、3’-ウイングの糖モチーフと異なる(非対称性糖ギャップマー)。
【0301】
ある特定の実施形態では、ギャップマーのウイングは、1~6個のヌクレオシドを含む。ある特定の実施形態では、ギャップマーの各ウイングの各ヌクレオシドは、修飾された糖部分を含む。ある特定の実施形態では、ギャップマーの各ウイングの少なくとも1個のヌクレオシドは、修飾された糖部分を含む。ある特定の実施形態では、ギャップマーの各ウイングの少なくとも2個のヌクレオシドは、修飾された糖部分を含む。ある特定の実施形態では、ギャップマーの各ウイングの少なくとも3個のヌクレオシドは、修飾された糖部分を含む。ある特定の実施形態では、ギャップマーの各ウイングの少なくとも4個のヌクレオシドは、修飾された糖部分を含む。ある特定の実施形態では、ギャップマーの各ウイングの少なくとも5個のヌクレオシドは、修飾された糖部分を含む。
【0302】
ある特定の実施形態では、ギャップマーのギャップは、7~12個のヌクレオシドを含む。ある特定の実施形態では、ギャップマーのギャップの少なくとも6個のヌクレオシドは、2’-β-D-デオキシリボシル糖部分を含む。ある特定の実施形態では、ギャップマーのギャップの各ヌクレオシドは、2’-デオキシリボシル糖部分を含む。ある特定の実施形態では、ギャップマーのギャップの各ヌクレオシドは、2’-β-D-デオキシリボシル糖部分を含む。ある特定の実施形態では、ギャップマーのギャップの少なくとも1個のヌクレオシドは、修飾された糖部分を含む。ある特定の実施形態では、ギャップマーのギャップの少なくとも1個のヌクレオシドは、2’-OMe糖部分を含む。
【0303】
ある特定の実施形態では、ギャップマーは、デオキシギャップマーである。ある特定の実施形態では、各ウイング/ギャップ接合部のギャップ側のヌクレオシドは、2’-デオキシリボシル糖部分を含み、各ウイング/ギャップ接合部のウイング側のヌクレオシドは、修飾された糖部分を含む。ある特定の実施形態では、ギャップマーのギャップの少なくとも6個のヌクレオシドは、2’-β-D-デオキシリボシル糖部分を含む。ある特定の実施形態では、ギャップの各ヌクレオシドは、2’-デオキシリボシル糖部分を含む。ある特定の実施形態では、ギャップマーの各ウイングの各ヌクレオシドは、修飾された糖部分を含む。ある特定の実施形態では、ギャップの1個のヌクレオシドは、修飾された糖部分を含み、ギャップの各残りのヌクレオシドは、2’-デオキシリボシル糖部分を含む。
【0304】
ある特定の実施形態では、修飾されたオリゴヌクレオチドは、完全に修飾された糖モチーフを有する部分を含むか、またはそれからなる。かかる実施形態では、修飾されたオリゴヌクレオチドの完全に修飾された部分の各ヌクレオシドは、修飾された糖部分を含む。ある特定の実施形態では、修飾されたオリゴヌクレオチド全体の各ヌクレオシドは、修飾された糖部分を含む。特定の実施形態では、修飾されたオリゴヌクレオチドは、完全に修飾された糖モチーフを有する部分を含むか、またはそれからなり、完全に修飾された部分内の各ヌクレオシドは、本明細書で一様に修飾された糖モチーフと呼ばれる同じ修飾された糖部分を含む。ある特定の実施形態では、完全に修飾されたオリゴヌクレオチドは、一様に修飾されたオリゴヌクレオチドである。ある特定の実施形態では、均一に修飾されたオリゴヌクレオチドの各ヌクレオシドは、同じ2’-修飾を含む。
【0305】
本明細書において、ギャップマーの3つの領域の長さ(ヌクレオシドの数)は、表記法[5’-ウイングにおけるヌクレオシドの数]-[ギャップにおけるヌクレオシドの数]-[3’-ウイングにおけるヌクレオシドの数]を使用して提供され得る。したがって、5-10-5ギャップマーは、各ウイングにおける5個の結合されたヌクレオシド及びギャップにおける10個の結合されたヌクレオシドからなる。そのような命名法の後に特定の修飾が続く場合、その修飾は、各ウイングの各糖部分における修飾であり、ギャップヌクレオシドは、2’-β-D-デオキシリボシル糖部分で構成される。したがって、5-10-5MOEギャップマーは、5’-ウイングの5個の結合された2’-MOEヌクレオシド、ギャップの10個の結合された2’-β-D-デオキシヌクレオシド、及び3’-ウイングの5個の結合された2’-MOEヌクレオシドで構成される。3-10-3cEtギャップマーは、5’-ウイングの3個の結合されたcEtヌクレオシド、ギャップの10個の結合された2’-β-D-デオキシヌクレオシド、及び3’-ウイングの3個の結合されたcEtヌクレオシドで構成される。5-8-5ギャップマーは、5’-ウイングにおける修飾された糖部分を含む5個の結合されたヌクレオシド、ギャップにおける8個の結合された2’-デオキシヌクレオシド、及び3’-ウイングにおける修飾された糖部分を含む5個の結合されたヌクレオシドからなる。混合型ウイングギャップマーは、5’及び/または3’ウイング内に少なくとも2個の異なる修飾糖を有する。5-8-5または5-8-4混合型ウイングギャップマーは、5’-及び/または3’-ウイングにおいて少なくとも2つの異なる修飾された糖部分を有する。
【0306】
ある特定の実施形態では、修飾されたオリゴヌクレオチドは、5-10-5MOEギャップマーである。ある特定の実施形態では、修飾されたオリゴヌクレオチドは、4-10-6MOEギャップマーである。ある特定の実施形態では、修飾されたオリゴヌクレオチドは、6-10-4MOEギャップマーである。ある特定の実施形態では、修飾されたオリゴヌクレオチドは、5-8-5MOEギャップマーである。ある特定の実施形態では、修飾されたオリゴヌクレオチドは、X-Y-Z MOEギャップマーであり、X及びZは、1、2、3、4、5、または6個の連結した2’-MOEヌクレオシドから独立して選択され、Yは、7、8、9、10、または11個の連結したデオキシヌクレオシドである。
【0307】
ある特定の実施形態では、修飾されたオリゴヌクレオチドは、以下(5’から3’)から選択される糖モチーフ:meeemddddddddddmmmmmを有し、「d」は、2’-デオキシリボシル糖部分を表し、「e」は、2’-MOE糖部分を表し、「m」は、2’-OMe糖部分を表す。
【0308】
2.ある特定の核酸塩基モチーフ
ある特定の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、定義されたパターンまたはモチーフでオリゴヌクレオチドまたはその一部に沿って配置された修飾された及び/または修飾されていない核酸塩基を含む。ある特定の実施形態では、各核酸塩基は、修飾されている。ある特定の実施形態では、核酸塩基のうちのいずれも修飾されていない。ある特定の実施形態では、各プリンまたは各ピリミジンが、修飾されている。ある特定の実施形態では、各アデニンが、修飾されている。ある特定の実施形態では、各グアニンが、修飾されている。ある特定の実施形態では、各チミンが、修飾されている。ある特定の実施形態では、各ウラシルが、修飾されている。ある特定の実施形態では、各シトシンが、修飾されている。ある特定の実施形態では、修飾されたオリゴヌクレオチドのシトシン核酸塩基のうちのいくつかまたは全ては、5-メチルシトシンである。ある特定の実施形態では、シトシン核酸塩基の全ては、5-メチルシトシンであり、修飾されたオリゴヌクレオチドの他の核酸塩基の全ては、修飾されていない核酸塩基である。
【0309】
ある特定の実施形態では、修飾されたオリゴヌクレオチドは、修飾された核酸塩基のブロックを含む。ある特定のかかる実施形態では、ブロックは、オリゴヌクレオチドの3’末端にある。ある特定の実施形態では、ブロックは、オリゴヌクレオチドの3’末端から3ヌクレオシド以内にある。ある特定の実施形態では、ブロックは、オリゴヌクレオチドの5’末端にある。ある特定の実施形態では、ブロックは、オリゴヌクレオチドの5’末端から3ヌクレオシド以内にある。
【0310】
ある特定の実施形態では、ギャップマーモチーフを有するオリゴヌクレオチドは、修飾された核酸塩基を含むヌクレオシドを含む。ある特定のかかる実施形態では、修飾された核酸塩基を含む1つのヌクレオシドは、ギャップマーモチーフを有するオリゴヌクレオチドの中心ギャップにある。ある特定のかかる実施形態では、ヌクレオシドの糖部分は、2’-デオキシリボシル糖部分である。ある特定の実施形態では、修飾された核酸塩基は、2-チオピリミジン及び5-プロピンピリミジンから選択される。
【0311】
3.ある特定のヌクレオシド間結合モチーフ
ある特定の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、定義されたパターンまたはモチーフでオリゴヌクレオチドまたはその部分に沿って配置された修飾された及び/または修飾されていないヌクレオシド間結合を含む。ある特定の実施形態では、各ヌクレオシド間結合基は、ホスホジエステルヌクレオシド間結合(P(O2)=O)である。ある特定の実施形態では、修飾されたオリゴヌクレオチドの各ヌクレオシド間結合基は、ホスホロチオエートヌクレオシド間結合(P(O2)=S)である。ある特定の実施形態では、修飾されたオリゴヌクレオチドの各ヌクレオシド間結合は、ホスホロチオエートヌクレオシド間結合及びホスホジエステルヌクレオシド間結合から独立して選択される。ある特定の実施形態では、各ホスホロチオエートヌクレオシド間結合は独立して、ステレオランダムホスホロチオエート、(Sp)ホスホロチオエート、及び(Rp)ホスホロチオエートから選択される。ある特定の実施形態では、修飾されたオリゴヌクレオチドの糖モチーフは、ギャップマーであり、ギャップ内のヌクレオシド間結合は全て修飾されている。ある特定のかかる実施形態では、ウイング内のヌクレオシド間結合のいくつかまたは全ては、修飾されていないホスホジエステルヌクレオシド間結合である。ある特定の実施形態では、末端ヌクレオシド間結合は、修飾されている。ある特定の実施形態では、修飾されたオリゴヌクレオチドの糖モチーフは、ギャップマーであり、ヌクレオシド間結合モチーフは、少なくとも1つのウイングにおいて少なくとも1つのホスホジエステルヌクレオシド間結合を含み、少なくとも1つのホスホジエステルヌクレオシド間結合は、末端ヌクレオシド間結合ではなく、残りのヌクレオシド間結合は、ホスホロチオエートヌクレオシド間結合である。ある特定のかかる実施形態では、ホスホロチオエートのヌクレオシド間結合は全て、ステレオランダムである。ある特定の実施形態では、ウイングにおける全てのホスホロチオエートヌクレオシド間結合は、(Sp)ホスホロチオエートであり、ギャップは、少なくとも1つのSp、Sp、Rpモチーフを含む。ある特定の実施形態では、修飾されたオリゴヌクレオチドの集団は、そのようなヌクレオシド間結合モチーフを含む修飾されたオリゴヌクレオチドが濃縮されている。
【0312】
ある特定の実施形態では、ヌクレオシド間結合の全ては、ホスホジエステルヌクレオシド間結合またはホスホロチオエートヌクレオシド間結合のいずれかであり、キラルモチーフは、(5’から3’):Sp-o-o-o-Sp-Sp-Sp-Rp-Sp-Sp-Rp-Sp-Sp-Sp-Sp-Sp-Sp-Sp-SpまたはSp-o-o-o-Sp-Sp-Sp-Rp-Sp-Sp-Sp-Sp-Sp-Sp-Sp-Sp-Sp-Sp-Spであり、各「Sp」は、(Sp)ホスホロチオエートヌクレオシド間結合を表し、各「Rp」は、Rpヌクレオシド間結合であり、各「o」は、ホスホジエステルヌクレオシド間結合を表す。ある特定の実施形態では、修飾されたオリゴヌクレオチドの集団は、そのようなヌクレオシド間結合モチーフを含む修飾されたオリゴヌクレオチドが濃縮されている。
【0313】
ある特定の実施形態では、修飾されたオリゴヌクレオチドは、sooosssssssssssoossのヌクレオシド間結合モチーフを有し、各「s」は、ホスホロチオエートヌクレオシド間結合を表し、各「o」は、ホスホジエステルヌクレオシド間結合を表す。ある特定の実施形態では、修飾されたオリゴヌクレオチドは、(5’から3’):sooooossssssssssossのヌクレオシド間結合モチーフを有し、各「s」は、ホスホロチオエートヌクレオシド間結合を表し、各「o」は、ホスホジエステルヌクレオシド間結合を表す。ある特定の実施形態では、修飾されたオリゴヌクレオチドは、(5’から3’):soooossssssssssoossのヌクレオシド間結合モチーフを有し、各「s」は、ホスホロチオエートヌクレオシド間結合を表し、各「o」は、ホスホジエステルヌクレオシド間結合を表す。ある特定の実施形態では、修飾されたオリゴヌクレオチドは、(5’から3’):sooosssssssssoossのヌクレオシド間結合モチーフを有し、各「s」は、ホスホロチオエートヌクレオシド間結合を表し、各「o」は、ホスホジエステルヌクレオシド間結合を表す。ある特定の実施形態では、修飾されたオリゴヌクレオチドは、(5’から3’):sooossssssssssooossのヌクレオシド間結合モチーフを有し、各「s」は、ホスホロチオエートヌクレオシド間結合を表し、各「o」は、ホスホジエステルヌクレオシド間結合を表す。ある特定の実施形態では、修飾されたオリゴヌクレオチドは、(5’から3’):sooosssssssssssssssのヌクレオシド間結合モチーフを有し、各「s」は、ホスホロチオエートヌクレオシド間結合を表し、各「o」は、ホスホジエステルヌクレオシド間結合を表す。
【0314】
C.ある特定の全長
オリゴヌクレオチドの長さを、活性を排除することなく増加または減少させることが可能である。例えば、Woolf et al.Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:7305-7309,1992)では、13~25核酸塩基長の一連のオリゴヌクレオチドを、卵母細胞注射モデルにおいて標的核酸の切断を誘導するそれらの能力について試験した。オリゴヌクレオチドの末端付近に8個または11個のミスマッチ塩基を有する25核酸塩基長のオリゴヌクレオチドは、ミスマッチを含まないオリゴヌクレオチドよりも低い程度ではあるが、標的核酸の特異的切断を誘導することができた。同様に、標的特異的切断は、1つまたは3つのミスマッチを有するものを含む13個の核酸塩基のオリゴヌクレオチドを使用して達成された。
【0315】
ある特定の実施形態では、オリゴヌクレオチド(修飾されたオリゴヌクレオチドを含む)は、様々な長さ範囲のうちのいずれかを有し得る。ある特定の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、X~Y個の結合されたヌクレオシドからなり、但し、Xは、その範囲の最小数のヌクレオシドを表し、Yは、その範囲の最大数のヌクレオシドを表す。ある特定のかかる実施形態では、X及びYは各々独立して、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、及び50から選択されるが、但し、XがY以下であることを条件とする。例えば、ある特定の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、12~13、12~14、12~15、12~16、12~17、12~18、12~19、12~20、12~21、12~22、12~23、12~24、12~25、12~26、12~27、12~28、12~29、12~30、13~14、13~15、13~16、13~17、13~18、13~19、13~20、13~21、13~22、13~23、13~24、13~25、13~26、13~27、13~28、13~29、13~30、14~15、14~16、14~17、14~18、14~19、14~20、14~21、14~22、14~23、14~24、14~25、14~26、14~27、14~28、14~29、14~30、15~16、15~17、15~18、15~19、15~20、15~21、15~22、15~23、15~24、15~25、15~26、15~27、15~28、15~29、15~30、16~17、16~18、16~19、16~20、16~21、16~22、16~23、16~24、16~25、16~26、16~27、16~28、16~29、16~30、17~18、17~19、17~20、17~21、17~22、17~23、17~24、17~25、17~26、17~27、17~28、17~29、17~30、18~19、18~20、18~21、18~22、18~23、18~24、18~25、18~26、18~27、18~28、18~29、18~30、19~20、19~21、19~22、19~23、19~24、19~25、19~26、19~29、19~28、19~29、19~30、20~21、20~22、20~23、20~24、20~25、20~26、20~27、20~28、20~29、20~30、21~22、21~23、21~24、21~25、21~26、21~27、21~28、21~29、21~30、22~23、22~24、22~25、22~26、22~27、22~28、22~29、22~30、23~24、23~25、23~26、23~27、23~28、23~29、23~30、24~25、24~26、24~27、24~28、24~29、24~30、25~26、25~27、25~28、25~29、25~30、26~27、26~28、26~29、26~30、27~28、27~29、27~30、28~29、28~30、または29~30個の結合されたヌクレオシドからなる。
【0316】
D.ある特定の修飾されたオリゴヌクレオチド
ある特定の実施形態では、上記の修飾(糖、核酸塩基、ヌクレオシド間結合)は、修飾されたオリゴヌクレオチドに組み込まれる。ある特定の実施形態では、修飾されたオリゴヌクレオチドは、それらの修飾モチーフ及び全長によって特徴付けられる。ある特定の実施形態では、そのようなパラメータは、それぞれ、互いに独立している。故に、別段の指示がない限り、ギャップマー糖モチーフを有するオリゴヌクレオチドの各ヌクレオシド間結合は、修飾されていても、または未修飾であってもよく、糖修飾のギャップマー修飾パターンに従う場合も、従わない場合もある。例えば、糖ギャップマーのウイング領域内のヌクレオシド間結合は、互いに同じかまたは異なっていてよく、糖モチーフのギャップ領域のヌクレオシド間結合と同じかまたは異なっていてよい。同様に、かかる糖ギャップマーオリゴヌクレオチドは、糖修飾のギャップマーパターンとは無関係に1個以上の修飾核酸塩基を含み得る。別段の指示がない限り、いずれの修飾も、核酸塩基配列とは独立している。
【0317】
E.修飾されたオリゴヌクレオチドのある特定の集団
集団の修飾されたオリゴヌクレオチドが全て同じ分子式を有する修飾されたオリゴヌクレオチドの集団は、ステレオランダム集団またはキラル的に濃縮された集団であり得る。全ての修飾されたオリゴヌクレオチドのキラル中心は全て、ステレオランダム集団においてステレオランダムである。キラル的に濃縮された集団において、少なくとも1つの特定のキラル中心は、集団の修飾されたオリゴヌクレオチドにおいてステレオランダムではない。ある特定の実施形態では、キラル的に濃縮された集団の修飾されたオリゴヌクレオチドは、β-Dリボシル糖部分で濃縮されており、ホスホロチオエートヌクレオシド間結合の全ては、ステレオランダムである。ある特定の実施形態では、キラル的に濃縮された集団の修飾されたオリゴヌクレオチドは、β-Dリボシル糖部分、及び特定の立体化学的配置にある少なくとも1つの、特定のホスホロチオエートヌクレオシド間結合の両方で濃縮されている。
【0318】
F.核酸塩基配列
ある特定の実施形態では、オリゴヌクレオチド(修飾されていないまたは修飾されたオリゴヌクレオチド)は、それらの核酸塩基配列によってさらに説明される。ある特定の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、第2のオリゴヌクレオチドまたは標的核酸などの同定されている参照核酸に相補的な核酸塩基配列を有する。ある特定のかかる実施形態では、オリゴヌクレオチドの一部は、第2のオリゴヌクレオチドまたは標的核酸などの同定されている参照核酸に相補的な核酸塩基配列を有する。ある特定の実施形態では、オリゴヌクレオチドの一部または全長の核酸塩基配列は、第2のオリゴヌクレオチドまたは標的核酸などの核酸と、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または100%相補的である。
【0319】
II.ある特定のオリゴマー化合物
ある特定の実施形態では、オリゴヌクレオチド(修飾されたまたは修飾されていない)、ならびに任意に1つ以上のコンジュゲート基及び/または末端基からなるオリゴマー化合物が、本明細書に提供される。コンジュゲート基は、1つ以上のコンジュゲート部分及びコンジュゲート部分をオリゴヌクレオチドに結合するコンジュゲートリンカーからなる。コンジュゲート基は、オリゴヌクレオチドのどちらかの末端もしくは両端及び/または任意の内部位置に結合させてもよい。ある特定の実施形態では、コンジュゲート基は、修飾されたオリゴヌクレオチドのヌクレオシドの2’位に結合される。ある特定の実施形態では、オリゴヌクレオチドのどちらかの末端または両端に結合されたコンジュゲート基は、末端基である。ある特定のかかる実施形態では、コンジュゲート基または末端基は、オリゴヌクレオチドの3’末端及び/または5’末端に結合される。ある特定のかかる実施形態では、コンジュゲート基(または末端基)は、オリゴヌクレオチドの3’末端に結合される。ある特定の実施形態では、コンジュゲート基は、オリゴヌクレオチドの3’末端付近に結合される。ある特定の実施形態では、コンジュゲート基(または末端基)は、オリゴヌクレオチドの5’末端に結合される。ある特定の実施形態では、コンジュゲート基は、オリゴヌクレオチドの5’末端付近に結合される。
【0320】
末端基の例には、コンジュゲート基、キャッピング基、ホスフェート部分、保護基、脱塩基ヌクレオシド、修飾されたまたは修飾されていないヌクレオシド、及び独立して修飾されたまたは修飾されていない2つ以上のヌクレオシドが挙げられるが、これらに限定されない。
【0321】
A.ある特定のコンジュゲート基
ある特定の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、1つ以上のコンジュゲート基に共有結合している。ある特定の実施形態では、コンジュゲート基は、これらに限定されるものではないが、薬力学的特性、薬物動態学的特性、安定特性、結合特性、吸収特性、組織分布特性、細胞分布特性、細胞取り込み特性、電荷特性及びクリアランス特性を含む結合オリゴヌクレオチドの1つ以上の特性を改変する。ある特定の実施形態では、コンジュゲート基は、結合オリゴヌクレオチドに新たな特性、例えばオリゴヌクレオチドの検出を可能にする蛍光団またはレポーター基を付与する。ある特定のコンジュゲート基及びコンジュゲート部分は、以前に説明されており、例えば、コレステロール部分(Letsinger et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,1989,86,6553-6556)、コール酸(Manoharan et al.,Bioorg.Med.Chem.Lett.,1994,4,1053-1060)、チオエーテル、例えば、ヘキシル-S-トリチルチオール(Manoharan et al.,Ann.N.Y.Acad.Sci.,1992,660,306-309、Manoharan et al.,Bioorg.Med.Chem.Lett.,1993,3,2765-2770)、チオコレステロール(Oberhauser et al.,Nucl.Acids Res.,1992,20、533-538)、脂肪族鎖、例えば、ド-デカン-ジオールまたはウンデシル残基(Saison-Behmoaras et al.,EMBO J.,1991,10,1111-1118、Kabanov et al.,FEBS Lett.,1990,259,327-330、Svinarchuk et al.,Biochimie,1993,75,49-54)、リン脂質、例えば、ジ-ヘキサデシル-rac-グリセロールまたはトリエチル-アンモニウム1,2-ジ-O-ヘキサデシル-rac-グリセロ-3-H-ホスホネート(Manoharan et al.,Tetrahedron Lett.,1995,36,3651-3654、Shea et al.,Nucl.Acids Res.,1990,18,3777-3783)、ポリアミンまたはポリエチレングリコール鎖(Manoharan et al.,Nucleosides&Nucleotides,1995,14,969-973)、またはアダマンタン酢酸パルミチル部分(Mishra et al.,Biochim.Biophys.Acta,1995,1264,229-237)、オクタデシルアミンまたはヘキシルアミノ-カルボニル-オキシコレステロール部分(Crooke et al.,J.Pharmacol.Exp.Ther.,1996,277,923-937)、トコフェロール基(Nishina et al.,Molecular Therapy Nucleic Acids,2015,4,e220、及びNishina et al.,Molecular Therapy,2008,16,734-740)、またはGalNAcクラスター(例えば、WO2014/179620)である。
【0322】
1.コンジュゲート部分
コンジュゲート部分には、インターカレーター、レポーター分子、ポリアミン、ポリアミド、ペプチド、炭水化物、ビタミン部分、ポリエチレングリコール、チオエーテル、ポリエーテル、コレステロール、チオコレステロール、コール酸部分、葉酸、脂質、親油基、リン脂質、ビオチン、フェナジン、フェナントリジン、アントラキノン、アダマンタン、アクリジン、フルオレセイン、ローダミン、クマリン、フルオロフォア、及び色素が含まれるが、これらに限定されない。
【0323】
ある特定の実施形態では、コンジュゲート部分は、活性薬原薬、例えば、アスピリン、ワルファリン、フェニルブタゾン、イブプロフェン、スプロフェン、フェンブフェン、ケトプロフェン、(S)-(+)-プラノプロフェン、カルプロフェン、ダンシルサルコシン、2,3,5-トリヨード安息香酸、フィンゴリモド、フルフェナム酸、フォリン酸、ベンゾチアジアジド、クロロチアジド、ジアゼピン、インドメタシン、バルビツレート、セファロスポリン、サルファ薬、抗糖尿病薬、抗菌薬、または抗生物質を含む。
【0324】
2.コンジュゲートリンカー
コンジュゲート部分は、コンジュゲートリンカーを介してオリゴヌクレオチドに結合している。ある特定のオリゴマー化合物では、コンジュゲートリンカーは、単一の化学結合である(すなわち、コンジュゲート部分は、単結合を介してオリゴヌクレオチドに直接結合している)。ある特定のオリゴマー化合物では、コンジュゲート部分は、コンジュゲートリンカーを構成するサブユニットである、1つ以上のコンジュゲートリンカー部分を含むより複雑なコンジュゲートリンカーを介してオリゴヌクレオチドに結合される。ある特定の実施形態では、コンジュゲートリンカーは、ヒドロカルビル鎖などの鎖構造、またはエチレングリコール、ヌクレオシド、もしくはアミノ酸単位などの繰り返し単位のオリゴマーを含む。
【0325】
ある特定の実施形態では、コンジュゲートリンカーは、アルキル、アミノ、オキソ、アミド、ジスルフィド、ポリエチレングリコール、エーテル、チオエーテル、及びヒドロキシルアミノから選択される1つ以上の基を含む。ある特定のかかる実施形態では、コンジュゲートリンカーは、アルキル基、アミノ基、オキソ基、アミド基、及びエーテル基から選択される基を含む。ある特定の実施形態では、コンジュゲートリンカーは、アルキル及びアミド基から選択される基を含む。ある特定の実施形態では、コンジュゲートリンカーは、アルキル及びエーテル基から選択される基を含む。ある特定の実施形態では、コンジュゲートリンカーは、少なくとも1つのリン部分を含む。ある特定の実施形態では、コンジュゲートリンカーは、少なくとも1つのリン酸基を含む。ある特定の実施形態では、コンジュゲートリンカーは、少なくとも1つの中性連結基を含む。
【0326】
ある特定の実施形態では、上述のコンジュゲートリンカーを含めたコンジュゲートリンカーは、二官能性連結部分、例えば、コンジュゲート基を本明細書に提供されるオリゴヌクレオチドなどの親化合物に結合させるのに有用であることが当該技術分野で知られているものである。一般に、二官能性結合部分には少なくとも2つの官能基が含まれる。官能基のうち一方は、親化合物の特定の部位に結合するように選択され、他方はコンジュゲート基に結合するように選択される。二官能性結合部分に使用される官能基の例としては、これらに限定されるものではないが、求核性基と反応するための求電子基及び求電子基と反応するための求核性基が挙げられる。ある特定の実施形態では、二官能性連結部分は、アミノ、ヒドロキシル、カルボン酸、チオール、アルキル、アルケニル、及びアルキニルから選択される1つ以上の基を含む。
【0327】
コンジュゲートリンカーの例としては、ピロリジン、8-アミノ-3,6-ジオキサオクタン酸(ADO)、スクシンイミジル4-(N-マレイミドメチル)シクロヘキサン-1-カルボキシレート(SMCC)、及び6-アミノヘキサン酸(AHEXまたはAHA)が挙げられるが、これらに限定されない。他のコンジュゲートリンカーには、置換もしくは非置換C1-C10アルキル、置換もしくは非置換C2-C10アルケニル、または置換もしくは非置換C2-C10アルキニルが含まれ、好ましい置換基の非限定的一覧には、ヒドロキシル、アミノ、アルコキシ、カルボキシ、ベンジル、フェニル、ニトロ、チオール、チオアルコキシ、ハロゲン、アルキル、アリール、アルケニル、及びアルキニルが含まれるが、これらに限定されない。
【0328】
ある特定の実施形態では、コンジュゲートリンカーは、1~10個のリンカーヌクレオシドを含む。ある特定の実施形態では、コンジュゲートリンカーは、2~5個のリンカーヌクレオシドを含む。ある特定の実施形態では、コンジュゲートリンカーは、ちょうど3個のリンカーヌクレオシドを含む。ある特定の実施形態では、コンジュゲートリンカーは、TCAモチーフを含む。ある特定の実施形態では、かかるリンカーヌクレオシドは、修飾されたヌクレオシドである。ある特定の実施形態では、かかるリンカーヌクレオシドは、修飾された糖部分を含む。ある特定の実施形態では、リンカーヌクレオシドは、修飾されていない。ある特定の実施形態では、リンカーヌクレオシドは、プリン、置換プリン、ピリミジン、または置換ピリミジンから選択される、任意選択で保護される複素環式塩基を含む。ある特定の実施形態では、切断可能な部分は、ウラシル、チミン、シトシン、4-N-ベンゾイルシトシン、5-メチルシトシン、4-N-ベンゾイル-5-メチルシトシン、アデニン、6-N-ベンゾイルアデニン、グアニン、及び2-N-イソブチリルグアニンから選択されるヌクレオシドである。リンカーヌクレオシドは、標的組織に到達した後、オリゴマー化合物から切断されることが一般的に望ましい。したがって、リンカーヌクレオシドは典型的には、切断可能な結合を介して互いにかつオリゴマー化合物の残部に連結される。ある特定の実施形態では、そのような切断可能な結合は、ホスホジエステル結合である。
【0329】
本明細書において、リンカーヌクレオシドは、オリゴヌクレオチドの一部であるとはみなされない。したがって、オリゴマー化合物が、特定の数または範囲の結合されたヌクレオシド及び/または参照核酸との特定のパーセントの相補性からなるオリゴヌクレオチドを含み、かつオリゴマー化合物が、リンカーヌクレオシドを含むコンジュゲートリンカーを含むコンジュゲート基も含むような実施形態では、これらのリンカーヌクレオシドは、オリゴヌクレオチドの長さにカウントされず、参照核酸に対するオリゴヌクレオチドの相補性パーセントを決定するうえで用いられない。例えば、オリゴマー化合物は、(1)8~30個のヌクレオシドからなる修飾されたオリゴヌクレオチドと、(2)修飾されたオリゴヌクレオチドのヌクレオシドと連続する1~10個のリンカーヌクレオシドを含むコンジュゲート基と、を含み得る。そのようなオリゴマー化合物における連続する結合されたヌクレオシドの総数は、30個を超える。あるいは、オリゴマー化合物は、8~30個のヌクレオシドからなり、かつコンジュゲート基が存在しない修飾されたオリゴヌクレオチドを含み得る。そのようなオリゴマー化合物における連続する結合されたヌクレオシドの総数は、30個以下である。別段の指示がない限り、コンジュゲートリンカーは、10個以下のリンカーヌクレオシドを含む。ある特定の実施形態では、コンジュゲートリンカーは、5個以下のリンカーヌクレオシドを含む。ある特定の実施形態では、コンジュゲートリンカーは、3個以下のリンカーヌクレオシドを含む。ある特定の実施形態では、コンジュゲートリンカーは、2個以下のリンカーヌクレオシドを含む。ある特定の実施形態では、コンジュゲートリンカーは、1個以下のリンカーヌクレオシドを含む。
【0330】
ある特定の実施形態では、コンジュゲート基がオリゴヌクレオチドから切断されることが望ましい。例えば、特定の状況において、特定のコンジュゲート部分を含むオリゴマー化合物は、特定の細胞型により取り込まれやすいが、オリゴマー化合物が取り込まれた後、コンジュゲート基が切断されて、非コンジュゲートまたは親オリゴヌクレオチドが放出されることが望ましい。したがって、ある特定のコンジュゲートリンカーは、1つ以上の切断可能な部分を含み得る。ある特定の実施形態では、切断可能な部分は、切断可能な結合である。ある特定の実施形態では、切断可能な部分は、少なくとも1つの切断可能な結合を含む原子団である。ある特定の実施形態では、切断可能な部分は、1つ、2つ、3つ、4つ、または4つよりも多くの切断可能な結合を有する原子団を含む。ある特定の実施形態では、切断可能な部分は、リソソームなどの細胞または細胞内コンパートメントの内側で選択的に切断される。ある特定の実施形態では、切断可能な部分は、ヌクレアーゼなどの内在性酵素によって選択的に切断される。
【0331】
ある特定の実施形態では、切断可能な結合は、アミド、エステル、エーテル、ホスホジエステルの一方もしくは両方のエステル、リン酸エステル、カルバメート、またはジスルフィドの中から選択される。ある特定の実施形態では、切断可能な結合は、ホスホジエステルの一方または両方のエステルである。ある特定の実施形態では、切断可能な部分は、リン酸またはホスホジエステルを含む。ある特定の実施形態では、切断可能な部分は、オリゴヌクレオチドとコンジュゲート部分またはコンジュゲート基との間のリン酸またはホスホジエステル結合である。
【0332】
ある特定の実施形態では、切断可能な部分は、1つ以上のリンカーヌクレオシドを含むか、またはそれからなる。ある特定のかかる実施形態では、1つ以上のリンカーヌクレオシドは、切断可能な結合によって、互いに及び/またはオリゴマー化合物の残りに結合される。ある特定の実施形態では、そのような切断可能な結合は、修飾されていないホスホジエステル結合である。ある特定の実施形態では、切断可能な部分は、ホスホジエステルヌクレオシド間結合によってオリゴヌクレオチドの3’または5’末端ヌクレオシドのいずれかに結合しており、かつリン酸またはホスホロチオエートヌクレオシド間結合によってコンジュゲートリンカーまたはコンジュゲート部分の残りの部分に共有結合している2’-デオキシリボヌクレオシドである。ある特定のかかる実施形態では、切断可能な部分は、2’-デオキシアデノシンである。
【0333】
3.細胞標的化部分
ある特定の実施形態では、コンジュゲート基は、細胞標的化部分を含む。ある特定の実施形態では、コンジュゲート基は、下記の一般式を有し、
【0334】
【0335】
式中、nは、1~約3であり、mは、nが1である場合に0であり、mは、nが2以上である場合に1であり、jは、1または0であり、kは、1または0である。
【0336】
ある特定の実施形態では、nは、1であり、jは、1であり、kは、0である。ある特定の実施形態では、nは、1であり、jは、0であり、kは、1である。ある特定の実施形態では、nは、1であり、jは、1であり、kは、1である。ある特定の実施形態では、nは、2であり、jは、1であり、kは、0である。ある特定の実施形態では、nは、2であり、jは、0であり、kは、1である。ある特定の実施形態では、nは、2であり、jは、1であり、kは、1である。ある特定の実施形態では、nは、3であり、jは、1であり、kは、0である。ある特定の実施形態では、nは、3であり、jは、0であり、kは、1である。ある特定の実施形態では、nは、3であり、jは、1であり、kは、1である。
【0337】
ある特定の実施形態では、コンジュゲート基は、少なくとも1つのテザーリガンドを有する細胞標的化部分を含む。ある特定の実施形態では、細胞標的化部分は、分岐基に共有結合する2つのテザーリガンドを含む。ある特定の実施形態では、細胞標的化部分は、分岐基に共有結合された3つのテザーリガンドを含む。
【0338】
B.ある特定の末端基
ある特定の実施形態では、オリゴマー化合物は、1つ以上の末端基を含む。ある特定のかかる実施形態では、オリゴマー化合物は、安定化された5’-ホスフェートを含む。安定化された5’-ホスフェートには、5’-ビニルホスホネートを含むがこれらに限定されない5’-ホスホネートが含まれるが、これらに限定されない。ある特定の実施形態では、末端基は、1つ以上の脱塩基ヌクレオシド及び/または逆ヌクレオシドを含む。ある特定の実施形態では、末端基は、1つ以上の2’結合ヌクレオシドを含む。ある特定のかかる実施形態では、2’結合ヌクレオシドは、脱塩基ヌクレオシドである。
【0339】
III.オリゴマー二本鎖
ある特定の実施形態では、本明細書に記載されるオリゴマー化合物は、標的核酸の配列と相補的な核酸塩基配列を有するオリゴヌクレオチドを含む。ある特定の実施形態では、オリゴマー化合物は第2のオリゴマー化合物と対合してオリゴマー二重鎖を形成する。かかるオリゴマー二重鎖は、標的核酸に相補的な部分を有する第1のオリゴマー化合物と、第1のオリゴマー化合物に相補的な部分を有する第2のオリゴマー化合物とを含む。ある特定の実施形態では、オリゴマー二重鎖の第1のオリゴマー化合物は、(1)修飾されたまたは修飾されていないオリゴヌクレオチド及び場合によりコンジュゲート基と、(2)第2の修飾されたまたは修飾されていないオリゴヌクレオチド及び場合によりコンジュゲート基と、を含むか、またはそれらからなる。オリゴマー二本鎖の一方または両方のオリゴマー化合物は、コンジュゲート基を含み得る。オリゴマー二本鎖の各オリゴマー化合物のオリゴヌクレオチドは、非相補的な突出ヌクレオシドを含み得る。
【0340】
IV.アンチセンス活性
ある特定の実施形態では、オリゴマー化合物及びオリゴマー二本鎖は、標的核酸にハイブリダイズすることで少なくとも1つのアンチセンス活性を与えることができる。かかるオリゴマー化合物及びオリゴマー二重鎖は、アンチセンス化合物である。ある特定の実施形態では、アンチセンス化合物は、それらが標準細胞アッセイにおいて標的核酸の量または活性を25%以上低減する場合に、アンチセンス活性を有する。ある特定の実施形態では、アンチセンス化合物は、1つ以上の標的核酸に選択的に作用する。かかるアンチセンス化合物は、1つ以上の標的核酸にハイブリダイズして1つ以上の所望のアンチセンス活性を与え、かつ1つ以上の非標的核酸にはハイブリダイズしないか、または重大な望ましくないアンチセンス活性をもたらすような形で1つ以上の非標的核酸にハイブリダイズしない核酸塩基配列を含む。
【0341】
ある特定のアンチセンス活性では、標的核酸へのアンチセンス化合物のハイブリダイゼーションは、標的核酸を切断するタンパク質の動員をもたらす。例えば、ある特定のアンチセンス化合物は、RNaseHを介した標的核酸の切断をもたらす。RNaseHは、RNA:DNA二重鎖のRNA鎖を切断する細胞性エンドヌクレアーゼである。かかるRNA:DNA二重鎖のDNAは、非修飾DNAである必要はない。ある特定の実施形態では、本明細書において、RNaseH活性を誘発するうえで十分に「DNA様」のアンチセンス化合物を記載する。ある特定の実施形態では、ギャップマーのギャップ内の1つ以上の非DNA様ヌクレオシドが許容される。
【0342】
ある特定のアンチセンス活性では、アンチセンス化合物またはアンチセンス化合物の部分は、RNA誘導サイレンシング複合体(RISC)に取り込まれ、最終的に標的核酸の切断をもたらす。例えば、ある特定のアンチセンス化合物は、アルゴノートによる標的核酸の切断をもたらす。RISCに取り込まれたアンチセンス化合物は、RNAi化合物である。RNAi化合物は、二本鎖(siRNA)または一本鎖(ssRNA)の場合がある。
【0343】
ある特定の実施形態では、アンチセンス化合物の標的核酸へのハイブリダイゼーションは、その標的核酸を切断するタンパク質の動員をもたらさない。ある特定の実施形態では、アンチセンス化合物の標的核酸へのハイブリダイゼーションは、標的核酸のスプライシングの変化をもたらす。ある特定の実施形態では、標的核酸へのアンチセンス化合物のハイブリダイゼーションは、標的核酸とタンパク質または他の核酸との結合相互作用の阻害をもたらす。ある特定の実施形態では、アンチセンス化合物の標的核酸へのハイブリダイゼーションは、標的核酸の翻訳の変化をもたらす。
【0344】
アンチセンス活性は、直接的または間接的に観察することができる。ある特定の実施形態では、アンチセンス活性の観察または検出は、標的核酸もしくはかかる標的核酸によってコードされるタンパク質の量の変化、核酸もしくはタンパク質のスプライス変異体の比の変化、及び/または細胞もしくは対象の表現型の変化の観察または検出を行う。
【0345】
V.ある特定の標的核酸
ある特定の実施形態では、オリゴマー化合物は、標的核酸と相補的な部分を含むオリゴヌクレオチドを含むか、またはそれからなる。ある特定の実施形態では、標的核酸は、内因性RNA分子である。ある特定の実施形態では、標的核酸は、タンパク質をコードする。ある特定のかかる実施形態では、標的核酸は、イントロン、エクソン、及び非翻訳領域を含む成熟mRNA及びpre-mRNAから選択される。ある特定の実施形態では、標的核酸は、成熟mRNAである。ある特定の実施形態では、標的核酸は、pre-mRNAである。ある特定の実施形態では、標的領域は、完全にイントロン内にある。ある特定の実施形態では、標的領域は、イントロン/エクソン接合部にまたがる。ある特定の実施形態では、標的領域は、少なくとも50%がイントロン内にある。
【0346】
A.標的核酸との相補性/ミスマッチ
活性を消失させることなくミスマッチ塩基を導入することが可能である。例えば、Gautschi et al(J.Natl.Cancer Inst.93:463-471,March 2001)は、bcl-2mRNAとの100%相補性を有し、bcl-xL mRNAに対して3つのミスマッチを有するオリゴヌクレオチドの、インビトロ及びインビボでbcl-2及びbcl-xLの両方の発現を低減させる能力を実証した。さらに、このオリゴヌクレオチドはインビボで強力な抗腫瘍活性も示した。Maher and Dolnick(Nuc.Acid.Res.16:3341-3358,1988)は、一連のタンデム14核酸塩基オリゴヌクレオチド、ならびに、それぞれ、タンデムオリゴヌクレオチドの2つまたは3つの配列から構成される28及び42核酸塩基オリゴヌクレオチドを、ウサギ網赤血球アッセイにおいてヒトDHFRの翻訳を停止するそれらの能力について試験した。3つの14核酸塩基オリゴヌクレオチドの各々は単独で、28または42核酸塩基オリゴヌクレオチドよりも適度なレベルではあるが、翻訳を阻害することができた。
【0347】
ある特定の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、オリゴヌクレオチドの全長にわたって標的核酸に相補的である。ある特定の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、標的核酸と99%、95%、90%、85%、または80%相補的である。ある特定の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、オリゴヌクレオチドの長さ全体にわたって標的核酸と少なくとも80%相補的であり、標的核酸と100%または完全に相補的な部分を含む。ある特定の実施形態では、完全相補性の部分は、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、または24核酸塩基長である。
【0348】
ある特定の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、標的核酸に対して1つ以上のミスマッチな核酸塩基を含む。ある特定の実施形態では、標的に対するアンチセンス活性は、かかるミスマッチによって低減されるが、非標的に対する活性は、より大きな量で低減される。したがって、ある特定の実施形態では、オリゴヌクレオチドの選択性が改善される。ある特定の実施形態では、ミスマッチは、ギャップマーモチーフを有するオリゴヌクレオチド内に特異的に位置付けられる。ある特定の実施形態では、ミスマッチは、ギャップ領域の5’末端からの位置1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、または11にある。ある特定の実施形態では、ミスマッチは、5’ウイング領域または3’ウイング領域の5’末端からの位置1、2、3、4、5、または6にある。
【0349】
B.AGT
ある特定の実施形態では、オリゴマー化合物は、標的核酸と相補的なオリゴヌクレオチドを含むか、またはそれからなり、標的核酸は、AGT核酸である。ある特定の実施形態では、AGT核酸は、配列番号1(GENBANK受託番号NM_000029.3)または配列番号2(ヌクレオチド230700001~230718000が切断されたGENBANK受託番号NC_000001.11の相補体)に示される配列を有する。
【0350】
ある特定の実施形態では、細胞を配列番号1及び2のうちのいずれかと相補的なオリゴマー化合物と接触させることにより、AGT RNAの量が低減され、ある特定の実施形態では、AGTタンパク質の量が低減される。ある特定の実施形態では、オリゴマー化合物は、修飾されたオリゴヌクレオチドからなる。ある特定の実施形態では、細胞を配列番号1及び2のうちのいずれかと相補的なオリゴマー化合物と接触させることにより、細胞内のAGT RNAの量が低減され、ある特定の実施形態では、細胞内のAGTタンパク質の量が低減される。ある特定の実施形態では、細胞は、インビトロである。ある特定の実施形態では、細胞は、対象内にある。ある特定の実施形態では、オリゴマー化合物は、修飾されたオリゴヌクレオチドからなる。ある特定の実施形態では、対象内の細胞を配列番号1及び2のうちのいずれかと相補的なオリゴマー化合物と接触させることにより、心血管疾患の1つ以上の症状または特徴が改善される。ある特定の実施形態では、疾患は、高血圧症である。ある特定の実施形態では、疾患は、抵抗性高血圧症である。ある特定の実施形態では、疾患は、マルファン症候群である。ある特定の実施形態では、疾患は、心不全である。ある特定の実施形態では、症状または特徴は、高血圧症、慢性腎臓病、脳卒中、心筋梗塞、心不全、弁膜心疾患、血管の動脈瘤、末梢動脈疾患、及び臓器損傷から選択される。
【0351】
ある特定の実施形態では、配列番号1及び2のうちのいずれかと相補的なオリゴマー化合物は、標準細胞アッセイに従って投与されたときに、インビトロで検出可能な量のAGT RNAを少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、または少なくとも90%低減させることができる。ある特定の実施形態では、配列番号1または2と相補的なオリゴマー化合物は、標準的なインビトロアッセイに従って投与されたとき、インビトロでのAGTの量を少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、または少なくとも90%減少させることができる。ある特定の実施形態では、配列番号1または配列番号2と相補的なオリゴマー化合物は、対象における検出可能な量のAGT RNAを少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、または少なくとも90%低減させることができる。
【0352】
VI.ある特定のコンジュゲートされた化合物
ある特定の実施形態では、本明細書に記載されるオリゴマー化合物は、オリゴヌクレオチド(修飾されたまたは修飾されていない)、ならびに任意に1つ以上のコンジュゲート基及び/または末端基を含むか、またはそれからなる。コンジュゲート基は、1つ以上のコンジュゲート部分及びコンジュゲート部分をオリゴヌクレオチドに結合するコンジュゲートリンカーからなる。コンジュゲート基は、オリゴヌクレオチドのどちらかの末端もしくは両端及び/または任意の内部位置に結合され得る。ある特定の実施形態では、コンジュゲート基は、修飾されたオリゴヌクレオチドのヌクレオシドの2’位に結合される。ある特定の実施形態では、オリゴヌクレオチドのどちらかの末端または両端に結合されたコンジュゲート基は、末端基である。ある特定のかかる実施形態では、コンジュゲート基または末端基は、オリゴヌクレオチドの3’末端及び/または5’末端に結合される。ある特定のかかる実施形態では、コンジュゲート基(または末端基)は、オリゴヌクレオチドの3’末端に結合される。ある特定の実施形態では、コンジュゲート基は、オリゴヌクレオチドの3’末端付近に結合される。ある特定の実施形態では、コンジュゲート基(または末端基)は、オリゴヌクレオチドの5’末端に結合される。ある特定の実施形態では、コンジュゲート基は、オリゴヌクレオチドの5’末端付近に結合される。
【0353】
ある特定の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、修飾されている。ある特定の実施形態では、化合物のオリゴヌクレオチドは、標的核酸に相補的である核酸塩基配列を有する。ある特定の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、メッセンジャーRNA(mRNA)に相補的である。ある特定の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、pre-mRNAと相補的である。ある特定の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、センス転写物に相補的である。
【0354】
末端基の例としては、コンジュゲート基、キャッピング基、リン酸部分、保護基、修飾されたまたは修飾されていないヌクレオシド、及び独立して修飾されたまたは修飾されていない2つ以上のヌクレオシドが挙げられるが、これらに限定されない。
ある特定の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、1つ以上のコンジュゲート基に共有結合している。ある特定の実施形態では、コンジュゲート基は、薬力学的特性、薬物動態学的特性、安定特性、結合特性、吸収特性、組織分布特性、細胞分布特性、細胞取り込み特性、電荷特性及びクリアランス特性を含むが、これらに限定されるものではない、結合オリゴヌクレオチドの1つ以上の特性を改変する。ある特定の実施形態では、コンジュゲート基は、結合オリゴヌクレオチドに新たな特性、例えばオリゴヌクレオチドの検出を可能にする蛍光団またはレポーター基を付与する。ある特定のコンジュゲート基及びコンジュゲート部分は、以前に説明されており、例えば、コレステロール部分(Letsinger et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,1989,86,6553-6556)、コール酸(Manoharan et al.,Bioorg.Med.Chem.Lett.,1994,4,1053-1060)、チオエーテル、例えば、ヘキシル-S-トリチルチオール(Manoharan et al.,Ann.N.Y. Acad.Sci.,1992,660,306-309、Manoharan et al.,Bioorg.Med.Chem.Lett.,1993,3,2765-2770)、チオコレステロール(Oberhauser et al.,Nucl.Acids Res.,1992,20、533-538)、脂肪族鎖、例えば、ド-デカン-ジオールまたはウンデシル残基(Saison-Behmoaras et al.,EMBO J.,1991,10,1111-1118、Kabanov et al.,FEBS Lett.,1990,259,327-330、Svinarchuk et al.,Biochimie,1993,75,49-54)、リン脂質、例えば、ジ-ヘキサデシル-rac-グリセロールまたはトリエチル-アンモニウム1,2-ジ-O-ヘキサデシル-rac-グリセロ-3-H-ホスホネート(Manoharan et al.,Tetrahedron Lett.,1995,36,3651-3654、Shea et al.,Nucl.Acids Res.,1990,18,3777-3783)、ポリアミンまたはポリエチレングリコール鎖(Manoharan et al.,Nucleosides&Nucleotides,1995,14,969-973)、またはアダマンタン酢酸パルミチル部分(Mishra et al.,Biochim.Biophys.Acta,1995,1264,229-237)、オクタデシルアミンまたはヘキシルアミノ-カルボニル-オキシコレステロール部分(Crooke et al.,J.Pharmacol.Exp.Ther.,1996,277,923-937)、トコフェロール基(Nishina et al.,Molecular Therapy Nucleic Acids,2015,4,e220、及びNishina et al.,Molecular Therapy,2008,16,734-740)、またはGalNAcクラスター(例えば、WO2014/179620)である。
【0355】
1.コンジュゲート部分
コンジュゲート部分には、限定されないが、インターカレーター、レポーター分子、ポリアミン、ポリアミド、ペプチド、炭水化物(例えば、GalNAc)、ビタミン部分、ポリエチレングリコール、チオエーテル、ポリエーテル、コレステロール、チオコレステロール、コール酸部分、葉酸、脂質、リン脂質、ビオチン、フェナジン、フェナントリジン、アントラキノン、アダマンタン、アクリジン、フルオレセイン、ローダミン、クマリン、フルオロフォア、及び色素が含まれる。
【0356】
ある特定の実施形態では、コンジュゲート部分は、活性薬原薬、例えば、アスピリン、ワルファリン、フェニルブタゾン、イブプロフェン、スプロフェン、フェンブフェン、ケトプロフェン、(S)-(+)-プラノプロフェン、カルプロフェン、ダンシルサルコシン、2,3,5-トリヨード安息香酸、フィンゴリモド、フルフェナム酸、フォリン酸、ベンゾチアジアジド、クロロチアジド、ジアゼピン、インドメタシン、バルビツレート、セファロスポリン、サルファ薬、抗糖尿病薬、抗菌薬、または抗生物質を含む。
【0357】
2.コンジュゲートリンカー
コンジュゲート部分は、コンジュゲートリンカーを介してオリゴヌクレオチドに結合している。ある特定の化合物では、コンジュゲートリンカーは、単一の化学結合である(すなわち、コンジュゲート部分は、単結合を介してオリゴヌクレオチドに直接結合している)。ある特定の化合物では、コンジュゲート部分は、コンジュゲートリンカーを構成するサブユニットである、1つ以上のコンジュゲートリンカー部分を含むより複雑なコンジュゲートリンカーを介してオリゴヌクレオチドに結合している。ある特定の実施形態では、コンジュゲートリンカーは、ヒドロカルビル鎖などの鎖構造、またはエチレングリコール、ヌクレオシド、もしくはアミノ酸単位などの繰り返し単位のオリゴマーを含む。
【0358】
ある特定の実施形態では、コンジュゲートリンカーは、アルキル、アミノ、オキソ、アミド、ジスルフィド、ポリエチレングリコール、エーテル、チオエーテル、及びヒドロキシルアミノから選択される1つ以上の基を含む。ある特定のかかる実施形態では、コンジュゲートリンカーは、アルキル基、アミノ基、オキソ基、アミド基、及びエーテル基から選択される基を含む。ある特定の実施形態では、コンジュゲートリンカーは、アルキル及びアミド基から選択される基を含む。ある特定の実施形態では、コンジュゲートリンカーは、アルキル及びエーテル基から選択される基を含む。ある特定の実施形態では、コンジュゲートリンカーは、少なくとも1つのリン部分を含む。ある特定の実施形態では、コンジュゲートリンカーは、少なくとも1つのリン酸基を含む。ある特定の実施形態では、コンジュゲートリンカーは、少なくとも1つの中性連結基を含む。
【0359】
ある特定の実施形態では、上述のコンジュゲートリンカーを含めたコンジュゲートリンカーは、二官能性連結部分、例えば、コンジュゲート基を本明細書に提供されるオリゴヌクレオチド等の親化合物に結合させるのに有用であることが当該技術分野で知られているものである。一般に、二官能性結合部分には少なくとも2つの官能基が含まれる。官能基のうち一方は、親化合物の特定の部位に結合するように選択され、他方はコンジュゲート基に結合するように選択される。二官能性結合部分に使用される官能基の例としては、これらに限定されるものではないが、求核性基と反応するための求電子基及び求電子基と反応するための求核性基が挙げられる。ある特定の実施形態では、二官能性連結部分は、アミノ、ヒドロキシル、カルボン酸、チオール、アルキル、アルケニル、及びアルキニルから選択される1つ以上の基を含む。
【0360】
コンジュゲートリンカーの例としては、ピロリジン、8-アミノ-3,6-ジオキサオクタン酸(ADO)、スクシンイミジル4-(N-マレイミドメチル)シクロヘキサン-1-カルボキシレート(SMCC)、及び6-アミノヘキサン酸(AHEXまたはAHA)が挙げられるが、これらに限定されない。他のコンジュゲートリンカーには、置換もしくは非置換C1-C10アルキル、置換もしくは非置換C2-C10アルケニル、または置換もしくは非置換C2-C10アルキニルが含まれ、好ましい置換基の非限定的一覧には、ヒドロキシル、アミノ、アルコキシ、カルボキシ、ベンジル、フェニル、ニトロ、チオール、チオアルコキシ、ハロゲン、アルキル、アリール、アルケニル、及びアルキニルが含まれるが、これらに限定されない。
【0361】
ある特定の実施形態では、コンジュゲートリンカーは、1~10個のリンカーヌクレオシドを含む。ある特定の実施形態では、かかるリンカーヌクレオシドは、修飾されたヌクレオシドである。ある特定の実施形態では、かかるリンカーヌクレオシドは、修飾された糖部分を含む。ある特定の実施形態では、リンカーヌクレオシドは、修飾されていない。ある特定の実施形態では、リンカーヌクレオシドは、プリン、置換プリン、ピリミジン、または置換ピリミジンから選択される、任意選択で保護される複素環式塩基を含む。ある特定の実施形態では、切断可能な部分は、ウラシル、チミン、シトシン、4-N-ベンゾイルシトシン、5-メチルシトシン、4-N-ベンゾイル-5-メチルシトシン、アデニン、6-N-ベンゾイルアデニン、グアニン、及び2-N-イソブチリルグアニンから選択されるヌクレオシドである。典型的には、リンカーヌクレオシドは、標的組織に到達した後に化合物から切断されることが望ましい。したがって、リンカーヌクレオシドは典型的には、切断可能な結合を介して互いにかつ化合物の残部に連結される。ある特定の実施形態では、そのような切断可能な結合は、ホスホジエステル結合である。
【0362】
本明細書において、リンカーヌクレオシドは、オリゴヌクレオチドの一部であるとはみなされない。したがって、化合物が、特定の数または範囲の結合されたヌクレオシド及び/または参照核酸との特定のパーセントの相補性からなるオリゴヌクレオチドを含み、また化合物が、リンカーヌクレオシドを含むコンジュゲートリンカーを含むコンジュゲート基を含む実施形態では、それらのリンカーヌクレオシドは、オリゴヌクレオチドの長さに計数されず、参照核酸に対するオリゴヌクレオチドの相補性パーセントを決定することにおいて使用されない。例えば、化合物は、(1)8~30個のヌクレオシドからなる修飾されたオリゴヌクレオチドと、(2)修飾されたオリゴヌクレオチドのヌクレオシドと連続した1~10個のリンカーヌクレオシドを含むコンジュゲート基と、を含み得る。そのような化合物における連続する結合されたヌクレオシドの合計数は、30個を超える。代替的には、化合物は、8~30個のヌクレオシドからなりかつコンジュゲート基が存在しない修飾されたオリゴヌクレオチドを含み得る。そのような化合物における連続する結合されたヌクレオシドの合計数は、30個以下である。別段の指示がない限り、コンジュゲートリンカーは、10個以下のリンカーヌクレオシドを含む。ある特定の実施形態では、コンジュゲートリンカーは、5個以下のリンカーヌクレオシドを含む。ある特定の実施形態では、コンジュゲートリンカーは、3個以下のリンカーヌクレオシドを含む。ある特定の実施形態では、コンジュゲートリンカーは、2個以下のリンカーヌクレオシドを含む。ある特定の実施形態では、コンジュゲートリンカーは、1個以下のリンカーヌクレオシドを含む。
【0363】
ある特定の実施形態では、コンジュゲート基がオリゴヌクレオチドから切断されることが望ましい。例えば、ある特定の状況では、特定のコンジュゲート部分を含む化合物は、特定の細胞型に取り込まれる方がよいが、一旦化合物が取り込まれると、コンジュゲート基が切断されて、コンジュゲートされていないオリゴヌクレオチドまたは親オリゴヌクレオチドが放出されることが望ましい。したがって、ある特定のコンジュゲートリンカーは、1つ以上の切断可能な部分を含み得る。ある特定の実施形態では、切断可能な部分は、切断可能な結合である。ある特定の実施形態では、切断可能な部分は、少なくとも1つの切断可能な結合を含む原子団である。ある特定の実施形態では、切断可能な部分は、1つ、2つ、3つ、4つ、または4つよりも多くの切断可能な結合を有する原子団を含む。ある特定の実施形態では、切断可能な部分は、リソソームなどの細胞または細胞内コンパートメントの内側で選択的に切断される。ある特定の実施形態では、切断可能な部分は、ヌクレアーゼなどの内在性酵素によって選択的に切断される。
【0364】
ある特定の実施形態では、切断可能な結合は、アミド、エステル、エーテル、ホスホジエステルの一方もしくは両方のエステル、リン酸エステル、カルバメート、またはジスルフィドの中から選択される。ある特定の実施形態では、切断可能な結合は、ホスホジエステルの一方または両方のエステルである。ある特定の実施形態では、切断可能な部分は、リン酸またはホスホジエステルを含む。ある特定の実施形態では、切断可能な部分は、オリゴヌクレオチドとコンジュゲート部分またはコンジュゲート基との間のリン酸結合である。
【0365】
ある特定の実施形態では、切断可能な部分は、1つ以上のリンカーヌクレオシドを含むか、またはそれからなる。ある特定のかかる実施形態では、1つ以上のリンカーヌクレオシドは、切断可能な結合によって互いに及び/または化合物の残りに結合される。ある特定の実施形態では、そのような切断可能な結合は、修飾されていないホスホジエステル結合である。ある特定の実施形態では、切断可能な部分は、リン酸ヌクレオシド間結合によってオリゴヌクレオチドの3’末端ヌクレオシドまたは5’末端ヌクレオシドのいずれかに結合され、かつリン酸またはホスホロチオエート結合によってコンジュゲートリンカーまたはコンジュゲート部分の残部に共有結合された、2’-デオキシヌクレオシドである。ある特定のかかる実施形態では、切断可能な部分は、2’-デオキシアデノシンである。
【0366】
3.ある特定の細胞標的化コンジュゲート部分
ある特定の実施形態では、コンジュゲート基は、細胞標的化コンジュゲート部分を含む。ある特定の実施形態では、コンジュゲート基は、下記の一般式を有し、
【0367】
【0368】
式中、nは1~約3であり、nが1の場合mは0であり、nが2以上の場合mは1であり、jは1または0であり、kは1または0である。
【0369】
ある特定の実施形態では、nは、1であり、jは、1であり、kは、0である。ある特定の実施形態では、nは、1であり、jは、0であり、kは、1である。ある特定の実施形態では、nは、1であり、jは、1であり、kは、1である。ある特定の実施形態では、nは、2であり、jは、1であり、kは、0である。ある特定の実施形態では、nは、2であり、jは、0であり、kは、1である。ある特定の実施形態では、nは、2であり、jは、1であり、kは、1である。ある特定の実施形態では、nは、3であり、jは、1であり、kは、0である。ある特定の実施形態では、nは、3であり、jは、0であり、kは、1である。ある特定の実施形態では、nは、3であり、jは、1であり、kは、1である。
【0370】
ある特定の実施形態では、コンジュゲート基は、少なくとも1つのテザーリガンドを有する細胞標的化部分を含む。ある特定の実施形態では、細胞標的化部分は、分岐基に共有結合する2つのテザーリガンドを含む。ある特定の実施形態では、細胞標的化部分は、分岐基に共有結合された3つのテザーリガンドを含む。
【0371】
ある特定の実施形態では、細胞標的化部分は、アルキル、アミノ、オキソ、アミド、ジスルフィド、ポリエチレングリコール、エーテル、チオエーテル、及びヒドロキシルアミノ基から選択される1つ以上の基を含む分岐基を含む。ある特定の実施形態では、分岐基は、アルキル、アミノ、オキソ、アミド、ジスルフィド、ポリエチレングリコール、エーテル、チオエーテル、及びヒドロキシルアミノ基から選択される基を含む分岐脂肪族基を含む。ある特定のかかる実施形態では、分岐脂肪族基は、アルキル、アミノ、オキソ、アミド、及びエーテル基から選択される基を含む。ある特定のかかる実施形態では、分岐脂肪族基は、アルキル、アミノ、及びエーテル基から選択される基を含む。ある特定のかかる実施形態では、分岐脂肪族基は、アルキル及びエーテル基から選択される基を含む。ある特定の実施形態では、分岐基は、単環式または多環式環系を含む。
【0372】
ある特定の実施形態では、細胞標的化部分の各テザーは、任意の組み合わせで、アルキル、置換アルキル、エーテル、チオエーテル、ジスルフィド、アミノ、オキソ、アミド、ホスホジエステル、及びポリエチレングリコールから選択される1つ以上の基を含む。ある特定の実施形態では、各テザーは、任意の組み合わせで、アルキル、エーテル、チオエーテル、ジスルフィド、アミノ、オキソ、アミド、及びポリエチレングリコールから選択される1つ以上の基を含む直鎖脂肪族基である。ある特定の実施形態では、各テザーは、任意の組み合わせで、アルキル、ホスホジエステル、エーテル、アミノ、オキソ、及びアミドから選択される1つ以上の基を含む直鎖脂肪族基である。ある特定の実施形態では、各テザーは、任意の組み合わせで、アルキル、エーテル、アミノ、オキソ、及びアミドから選択される1つ以上の基を含む直鎖脂肪族基である。ある特定の実施形態では、各テザーは、任意の組み合わせで、アルキル、アミノ、及びオキソから選択される1つ以上の基を含む直鎖脂肪族基である。ある特定の実施形態では、各テザーは、任意の組み合わせで、アルキル及びオキソから選択される1つ以上の基を含む直鎖脂肪族基である。ある特定の実施形態では、各テザーは、任意の組み合わせで、アルキル及びホスホジエステルから選択される1つ以上の基を含む直鎖脂肪族基である。ある特定の実施形態では、各テザーは、少なくとも1つのリン連結基または中性連結基を含む。ある特定の実施形態では、各テザーは、約6~約20原子の長さの鎖を含む。ある特定の実施形態では、各テザーは、約10~約18原子の長さの鎖を含む。ある特定の実施形態では、各テザーは、約10原子の鎖長を含む。
【0373】
ある特定の実施形態では、細胞標的化部分の各リガンドは、標的細胞上の少なくとも1つの受容体型に対して親和性を有する。ある特定の実施形態では、各リガンドは、哺乳動物の肝臓細胞の表面上の少なくとも1つの受容体型に親和性を有する。ある特定の実施形態では、各リガンドは、肝臓のアシアロ糖タンパク質受容体(ASGP-R)に親和性を有する。ある特定の実施形態では、各リガンドは、炭水化物である。ある特定の実施形態では、各リガンドは、独立して、ガラクトース、N-アセチルガラクトサミン(GalNAc)、マンノース、グルコース、グルコサミン、及びフコースから選択される。ある特定の実施形態では、各リガンドは、N-アセチルガラクトサミン(GalNAc)である。ある特定の実施形態では、細胞標的化部分は、3つのGalNAcリガンドを含む。ある特定の実施形態では、細胞標的化部分は、2つのGalNAcリガンドを含む。ある特定の実施形態では、細胞標的化部分は、1つのGalNAcリガンドを含む。
【0374】
ある特定の実施形態では、細胞標的化部分の各リガンドは、炭水化物、炭水化物誘導体、修飾炭水化物、多糖類、修飾多糖類、または多糖誘導体である。ある特定のかかる実施形態では、コンジュゲート基は、炭水化物クラスターを含む(例えば、Maier et al.,“Synthesis of Antisense Oligonucleotides Conjugated to a Multivalent Carbohydrate Cluster for Cellular Targeting,”Bioconjugate Chemistry,2003,14,18-29またはRensen et al.,“Design and Synthesis of Novel N-Acetylgalactosamine-Terminated Glycolipids for Targeting of Lipoproteins to the Hepatic Asiaglycoprotein Receptor,”J.Med.Chem.2004,47,5798-5808を参照のこと)。ある特定のかかる実施形態では、各リガンドは、アミノ糖またはチオ糖である。例えば、アミノ糖は、シアル酸、α-D-ガラクトサミン、β-ムラミン酸、2-デオキシ-2-メチルアミノ-L-グルコピラノース、4,6-ジデオキシ-4-ホルムアミド-2,3-ジ-O-メチル-D-マンノピラノース、2-デオキシ-2-スルホアミノ-D-グルコピラノース及びN-スルホ-D-グルコサミン、ならびにN-グリコロイル-α-ノイラミン酸などの、当該技術分野で既知の任意の数の化合物から選択され得る。例えば、チオ糖は、5-チオ-β-D-グルコピラノース、メチル2,3,4-トリ-O-アセチル-1-チオ-6-O-トリチル-α-D-グルコピラノシド、4-チオ-β-D-ガラクトピラノース、及びエチル3,4,6,7-テトラ-O-アセチル-2-デオキシ-1,5-ジチオ-α-D-グルコ-ヘプトピラノシドから選択され得る。
【0375】
ある特定の実施形態では、コンジュゲート基は、以下の式:
【0376】
【0377】
を有する細胞標的化部分を含む。
【0378】
ある特定の実施形態では、コンジュゲート基は、以下の式:
【0379】
【0380】
を有する細胞標的化部分を含む。
【0381】
ある特定の実施形態では、コンジュゲート基は、以下の式:
【0382】
【0383】
を有する細胞標的化部分を含む。
【0384】
ある特定の実施形態では、コンジュゲート基は、以下の式:
【0385】
【0386】
を有する細胞標的化部分を含む。
【0387】
ある特定の実施形態では、コンジュゲート基は、以下の式:
【0388】
【0389】
を有する細胞標的化部分を含む。
【0390】
ある特定の実施形態では、化合物は、本明細書で「LICA-1」として記載されるコンジュゲート基を含む。LICA-1は、以下の式:
【0391】
【0392】
を有する。
ある特定の実施形態では、本明細書に記載される化合物は、LICA-1を含み、コンジュゲートリンカー内の切断可能な部分は、以下の式:
【0393】
【0394】
を有し、
式中、オリゴは、オリゴヌクレオチドである。
【0395】
上記のコンジュゲート基、コンジュゲート基、テザー、コンジュゲートリンカー、分岐基、リガンド、切断可能部分、ならびに他の修飾を含む化合物の特定の調製を教示する代表的な米国特許、米国特許出願公開、国際特許出願公開、及び他の出版物には、US5,994,517、US6,300,319、US6,660,720、US6,906,182、US7,262,177、US7,491,805、US8,106,022、US7,723,509、US2006/0148740、US2011/0123520、WO2013/033230、及びWO2012/037254、Biessen et al.,J.Med.Chem.1995,38,1846-1852、Lee et al.,Bioorganic&Medicinal Chemistry 2011,19,2494-2500、Rensen et al.,J.Biol.Chem.2001,276,37577-37584、Rensen et al.,J.Med.Chem.2004,47,5798-5808、Sliedregt et al.,J.Med.Chem.1999,42,609-618、及びValentijn et al.,Tetrahedron,1997,53,759-770が含まれるが、これらに限定されない。
【0396】
ある特定の実施形態では、修飾されたオリゴヌクレオチドは、ギャップマーまたは完全に修飾された糖モチーフと、少なくとも1つ、2つ、または3つのGalNAcリガンドを含むコンジュゲート基と、を含む。ある特定の実施形態では、化合物は、以下の参照文献:Lee,Carbohydr Res,1978,67,509-514、Connolly et al.,J Biol Chem,1982,257,939-945、Pavia et al.,Int J Pep Protein Res,1983,22,539-548、Lee et al.,Biochem,1984,23,4255-4261、Lee et al.,Glycoconjugate J,1987,4,317-328、Toyokuni et al.,Tetrahedron Lett,1990,31,2673-2676、Biessen et al.,J Med Chem,1995,38,1538-1546、Valentijn et al.,Tetrahedron,1997,53,759-770、Kim et al.,Tetrahedron Lett,1997,38,3487-3490、Lee et al.,Bioconjug Chem,1997,8,762-765、Kato et al.,Glycobiol,2001,11,821-829、Rensen et al.,J Biol Chem,2001,276,37577-37584、Lee et al.,Methods Enzymol,2003,362,38-43、Westerlind et al.,Glycoconj J,2004,21,227-241、Lee et al.,Bioorg Med Chem Lett,2006,16(19),5132-5135、Maierhofer et al.,Bioorg Med Chem,2007,15,7661-7676、Khorev et al.,Bioorg Med Chem,2008,16,5216-5231、Lee et al.,Bioorg Med Chem,2011,19,2494-2500、Kornilova et al.,Analyt Biochem,2012,425,43-46、Pujol et al.,Angew Chemie Int Ed Engl,2012,51,7445-7448、Biessen et al.,J Med Chem,1995,38,1846-1852、Sliedregt et al.,J Med Chem,1999,42,609-618、Rensen et al.,J Med Chem,2004,47,5798-5808、Rensen et al.,Arterioscler Thromb Vasc Biol,2006,26,169-175、van Rossenberg et al.,Gene Ther,2004,11,457-464、Sato et al.,J Am Chem Soc,2004,126,14013-14022、Lee et al.,J Org Chem,2012,77,7564-7571、Biessen et al.,FASEB J,2000,14,1784-1792、Rajur et al.,Bioconjug Chem,1997,8,935-940、Duff et al.,Methods Enzymol,2000,313,297-321、Maier et al.,Bioconjug Chem,2003,14,18-29、Jayaprakash et al.,Org Lett,2010,12,5410-5413、Manoharan,Antisense Nucleic Acid Drug Dev,2002,12,103-128、Merwin et al.,Bioconjug Chem,1994,5,612-620、Tomiya et al.,Bioorg Med Chem,2013,21,5275-5281、国際出願第WO1998/013381号、同第WO2011/038356号、同第WO1997/046098号、同第WO2008/098788号、同第WO2004/101619号、同第WO2012/037254号、同第WO2011/120053号、同第WO2011/100131号、同第WO2011/163121号、同第WO2012/177947号、同第WO2013/033230号、同第WO2013/075035号、同第WO2012/083185号、同第WO2012/083046号、同第WO2009/082607号、同第WO2009/134487号、同第WO2010/144740号、同第WO2010/148013号、同第WO1997/020563号、同第WO2010/088537号、同第WO2002/043771号、同第WO2010/129709号、同第WO2012/068187号、同第WO2009/126933号、同第WO2004/024757号、同第WO2010/054406号、同第WO2012/089352号、同第WO2012/089602号、同第WO2013/166121号、同第WO2013/165816号、米国特許第4,751,219号、同第8,552,163号、同第6,908,903号、同第7,262,177号、同第5,994,517号、同第6,300,319号、同第8,106,022号、同第7,491,805号、同第7,491,805号、同第7,582,744号、同第8,137,695号、同第6,383,812号、同第6,525,031号、同第6,660,720号、同第7,723,509号、同第8,541,548号、同第8,344,125号、同第8,313,772号、同第8,349,308号、同第8,450,467号、同第8,501,930号、同第8,158,601号、同第7,262,177号、同第6,906,182号、同第6,620,916号、同第8,435,491号、同第8,404,862号、同第7,851,615号、公開された米国特許出願公開第US2011/0097264号、同第US2011/0097265号、同第US2013/0004427号、同第US2005/0164235号、同第US2006/0148740号、同第US2008/0281044号、同第US2010/0240730号、同第US2003/0119724号、同第US2006/0183886号、同第US2008/0206869号、同第US2011/0269814号、同第US2009/0286973号、同第US2011/0207799号、同第US2012/0136042号、同第US2012/0165393号、同第US2008/0281041号、同第US2009/0203135号、同第US2012/0035115号、同第US2012/0095075号、同第US2012/0101148号、同第US2012/0128760号、同第US2012/0157509号、同第US2012/0230938号、同第US2013/0109817号、同第US2013/0121954号、同第US2013/0178512号、同第US2013/0236968号、同第US2011/0123520号、同第US2003/0077829号、同第US2008/0108801号、及び同第US2009/0203132号、のうちのいずれかに見出されるコンジュゲート基を含む。
【0397】
VII.ある特定の薬学的組成物
ある特定の実施形態では、1つ以上のオリゴマー化合物を含む薬学的組成物が本明細書に提供される。ある特定の実施形態では、1つ以上のオリゴマー化合物はそれぞれ、修飾されたオリゴヌクレオチドからなる。ある特定の実施形態では、薬学的組成物には、薬学的に許容される希釈剤または担体が含まれる。ある特定の実施形態では、薬学的組成物は、生理食塩水溶液及び1つ以上のオリゴマー化合物を含むか、またはそれらからなる。ある特定の実施形態では、薬学的組成物は、滅菌生理食塩水及び1つ以上のオリゴマー化合物を含むか、またはそれらからなる。ある特定の実施形態では、滅菌生理食塩水は、医薬品グレードの生理食塩水である。ある特定の実施形態では、薬学的組成物は、1つ以上のオリゴマー化合物及び水を含むか、またはそれらからなる。ある特定の実施形態では、薬学的組成物は、1つ以上のオリゴマー化合物及び滅菌水を含むか、またはそれらからなる。ある特定の実施形態では、滅菌水は、医薬品グレードの水である。ある特定の実施形態では、薬学的組成物は、1つ以上のオリゴマー化合物及びリン酸緩衝生理食塩水(PBS)を含むか、またはそれらからなる。ある特定の実施形態では、滅菌PBSは、医薬品グレードのPBSを含む。
【0398】
ある特定の実施形態では、薬学的組成物は、1つ以上のオリゴマー化合物及び1つ以上の賦形剤を含む。ある特定の実施形態では、賦形剤は、水、食塩水、アルコール、ポリエチレングリコール、ゼラチン、ラクトース、アミラーゼ、ステアリン酸マグネシウム、滑石、ケイ酸、粘性パラフィン、ヒドロキシメチルセルロース、及びポリビニルピロリドンから選択される。
【0399】
ある特定の実施形態では、オリゴマー化合物は、薬学的組成物または配合物の調製のために薬学的に許容される活性及び/または不活性物質と混合されてもよい。薬学的組成物の製剤化のための組成物及び方法は、投与の経路、疾患の程度、または投与される用量を含むがこれらに限定されない、複数の基準に依存する。
【0400】
ある特定の実施形態では、オリゴマー化合物を含む薬学的組成物は、オリゴマー化合物の任意の薬学的に許容される塩、オリゴマー化合物のエステル、またはこのようなエステルの塩を包含する。ある特定の実施形態では、1つ以上のオリゴヌクレオチドを含むオリゴマー化合物を含む薬学的組成物は、ヒトを含む対象に投与される際、生物学的に活性な代謝物またはその残渣を(直接的または間接的に)与えることができる。したがって、例えば、本開示は、オリゴマー化合物の薬学的に許容される塩、プロドラッグ、そのようなプロドラッグの薬学的に許容される塩、及び他の生物学的等価物も対象とする。好適な薬学的に許容される塩としては、これらに限定されるものではないが、ナトリウム塩及びカリウム塩が挙げられる。ある特定の実施形態では、プロドラッグは、オリゴヌクレオチドに結合された1つ以上のコンジュゲート基を含み、このコンジュゲート基は、体内の内因性ヌクレアーゼによって切断される。
【0401】
脂質部分は、様々な方法で核酸療法において使用されている。ある特定のそのような方法において、オリゴマー化合物のような核酸は、カチオン性脂質と中性脂質との混合物から調製された予め形成されたリポソームまたはリポプレックスに導入される。ある特定の方法において、モノまたはポリカチオン性脂質とのDNA複合体は、中性脂質の非存在下で形成される。ある特定の実施形態では、脂質部分は、特定の細胞または組織への医薬剤の分布を増加させるように選択される。ある特定の実施形態では、脂質部分は、脂肪組織への医薬剤の分布を増加させるように選択される。ある特定の実施形態では、脂質部分は、筋組織に対する医薬剤の分布を増加させるように選択される。
【0402】
ある特定の実施形態では、薬学的組成物は、送達系を含む。送達系の例としては、リポソーム及びエマルジョンが挙げられるが、これらに限定されない。ある特定の送達系は、疎水性化合物を含むものを含む特定の薬学的組成物の調製に有用である。ある特定の実施形態では、ジメチルスルホキシドなどのある特定の有機溶媒が使用される。
【0403】
ある特定の実施形態では、薬学的組成物は、特定の組織または細胞型に本明細書で提供されるオリゴマー化合物を含む1つ以上の医薬剤を送達するように設計された、1つ以上の組織特異的送達分子を含む。例えば、ある特定の実施形態では、薬学的組成物は、組織特異的抗体でコーティングされたリポソームを含む。
【0404】
ある特定の実施形態では、薬学的組成物は、共溶媒系を含む。ある特定のそのような共溶媒系は、例えば、ベンジルアルコール、非極性界面活性剤、水混和性有機ポリマー、及び水相を含む。ある特定の実施形態では、そのような共溶媒系は、疎水性化合物に使用される。そのような共溶媒系の非限定的な例は、VPD共溶媒系であり、それは、3%w/vベンジルアルコール、8%w/vの非極性界面活性剤Polysorbate80(商標)、及び65%w/vポリエチレングリコール300を含む無水エタノールの溶液である。そのような共溶媒系の割合は、それらの溶解性及び毒性特性を著しく改変することなく、かなり変化し得る。さらに、共溶媒構成成分の同一性は、変化してもよく、例えば、他の界面活性剤が、Polysorbate80(商標)の代わりに使用されてもよく、ポリエチレングリコールの画分サイズは変化してもよく、他の生体適合性ポリマーが、ポリエチレングリコール、例えば、ポリビニルピロリドンを置き換えてもよく、他の糖または多糖類が、デキストロースを置換してもよい。
【0405】
ある特定の実施形態では、薬学的組成物は、経口投与のために調製される。ある特定の実施形態では、薬学的組成物は、口腔内投与のために調製される。ある特定の実施形態では、薬学的組成物は、注射(例えば、静脈内、皮下、筋肉内、髄腔内(IT)、脳室内(ICV)、神経内、神経周囲など)による投与のために調製される。ある特定のそのような実施形態では、薬学的組成物は、担体を含み、水などの水溶液中、またはハンクス溶液、リンガー溶液、もしくは生理食塩水緩衝剤などの生理学的に適合する緩衝剤中で製剤化される。ある特定の実施形態では、他の成分が含まれる(例えば、溶解性を補助するか、または防腐剤として役立つ成分)。ある特定の実施形態では、注射可能な懸濁液は、適切な液体担体、懸濁液などを使用して調製される。注射用のある特定の薬学的組成物は、単位剤形、例えば、アンプルまたは複数回投与容器内にある。注射用のある特定の薬学的組成物は、油性または水性ビヒクル中の懸濁液、溶液、またはエマルジョンであり、懸濁液、安定化剤、及び/または分散剤などの処方剤を含み得る。注射用の薬学的組成物での使用に好適なある特定の溶媒には、ゴマ油などの親油性溶媒及び脂肪油、オレイン酸エチルまたはトリグリセリドなどの合成脂肪酸エステル、ならびにリポソームが含まれるが、これらに限定されない。
【0406】
ある特定の条件下では、本明細書で開示する特定の化合物は、酸として機能する。かかる化合物は、プロトン化(遊離酸)形態で、またはイオン化されカチオンと会合した(塩)形態で図示または記載され得るが、かかる化合物の水溶液は、かかる形態の間で平衡状態で存在する。例えば、水溶液中のオリゴヌクレオチドのリン酸結合は、遊離酸、アニオン、及び塩形態の間で平衡状態で存在する。別段の指示がない限り、本明細書に開示される化合物は、全てのそのような形態を含むよう意図されている。さらに、ある特定のオリゴヌクレオチドは、いくつかのそのような結合を有し、その各々は均衡状態にある。したがって、溶液中のオリゴヌクレオチドは、複数の位置ですべて平衡状態である、形態の集合として存在する。「オリゴヌクレオチド」という用語は、全てのそのような形態を含むことが意図される。図示される構造は、必然的に単一の形態が描かれる。それにもかかわらず、別段の指示がない限り、そのような描写は、同様に対応する形態を含むよう意図されている。本明細書では、「またはその塩」という用語が後に続く化合物の遊離酸を示す構造は、完全または部分的にプロトン化/脱プロトン化/カチオンと会合し得る全てのかかる形態を明らかに含む。ある特定の事例では、1つ以上のある特定のカチオンが、特定される。
【0407】
ある特定の実施形態では、修飾されたオリゴヌクレオチドまたはオリゴマー化合物は、ナトリウムを含む水溶液中にある。ある特定の実施形態では、修飾されたオリゴヌクレオチドまたはオリゴマー化合物は、カリウムを含む水溶液中にある。ある特定の実施形態では、修飾されたオリゴヌクレオチドまたはオリゴマー化合物は、PBS中にある。ある特定の実施形態では、修飾されたオリゴヌクレオチドまたはオリゴマー化合物は、水中にある。ある特定のかかる実施形態では、溶液のpHは、NaOH及び/またはHClで調整され、所望のpHを達成する。
【0408】
本明細書において、ある特定の用量が記載される。用量は、投薬単位の形態であり得る。説明を明確にするため、ミリグラム単位の修飾されたオリゴヌクレオチドまたはオリゴマー化合物の用量(または投与単位)は、修飾されたオリゴヌクレオチドまたはオリゴマー化合物の遊離酸形態の質量を示す。上記のように、水溶液中では、遊離酸はアニオン型及び塩型の平衡状態にある。しかしながら、用量を計算する目的のために、修飾されたオリゴヌクレオチドまたはオリゴマー化合物が、無溶媒、無酢酸ナトリウム、無水、遊離酸として存在すると仮定される。例えば、修飾されたオリゴヌクレオチドまたはオリゴマー化合物がナトリウムを含む溶液中にある場合(例えば、生理食塩水)、修飾されたオリゴヌクレオチドまたはオリゴマー化合物は、部分的または完全に脱プロトン化され、Na+イオンと会合し得る。しかしながら、それでも、プロトンの質量は、用量の重量に計数され、Na+イオンの質量は、用量の重量に計数されない。オリゴマー化合物がコンジュゲート基を含む場合、コンジュゲート基の質量は、そのようなオリゴマー化合物の用量の計算に含まれる。コンジュゲート基がまた酸を有する場合、コンジュゲート基も同様に、用量を計算する目的で完全にプロトン化されていると仮定される。
【0409】
VIII.ある特定の組成物
1.化合物番号1205407
ある特定の実施形態では、化合物番号1205407は、5’末端でコンジュゲート基にコンジュゲートされた3-10-3MOE/cEt混合ウイングギャップマーとして特徴付けられる。化合物1205407は、(5’から3’に)CGCTGATTTGTCCGGG(配列番号12)の配列を有し、ヌクレオシド1~3は、(5’から3’に)e-e-kの糖修飾を有し、ヌクレオシド14~16は、k-k-eの糖修飾を有し、各「e」は、2’-MOE糖部分を表し、各「k」は、cEt糖部分を指し、ヌクレオシド4~13の各々は、2’-β-D-デオキシヌクレオシドであり、ヌクレオシド2と3との間、3と4との間、及び14と15との間のヌクレオシド間結合は、ホスホジエステルヌクレオシド間結合であり、ヌクレオシド1と2との間、4と5との間、5と6との間、6と7との間、7と8との間、8と9との間、9と10との間、10と11との間、11と12との間、12と13との間、13と14との間、及び15と16との間のヌクレオシド間結合は、ホスホロチオエートヌクレオシド間結合であり、各シトシンは、5-メチルシトシンである。化合物番号1205407は、以下の構造で表される5’-トリスヘキシルアミノ-(THA)-C6GalNAc3エンドキャップを有し、リン酸基は、5’-ヌクレオシドの5’-酸素原子に結合している。
【0410】
【0411】
ある特定の実施形態では、化合物番号1205407は、以下の化学表記法:THA-C6-GalNAc3-mCesGeo
mCkoTdsGdsAdsTdsTdsTdsGdsTds
mCds
mCdsGkoGksGe(配列番号12)によって表され、式中、
Aが、アデニン核酸塩基であり、
mCが、5-メチルシトシン核酸塩基であり、
Gが、グアニン核酸塩基であり、
Tが、チミン核酸塩基であり、
eが、2’-β-D-MOE糖部分であり、
kが、cEt糖部分であり、
dが、2’-β-D-デオキシリボシル糖部分であり、
sが、ホスホロチオエートヌクレオシド間結合であり、
oが、ホスホジエステルヌクレオシド間結合である。
【0412】
ある特定の実施形態では、化合物番号1205407は、以下の化学構造:
【0413】
【0414】
(配列番号12)によって表されるか、またはその塩である。
【0415】
ある特定の実施形態では、化合物番号1205407のナトリウム塩は、以下の化学構造:
【0416】
【0417】
(配列番号12)によって表される。
ある特定の実施形態では、化合物番号1205407は、アニオン形態にある。
【0418】
2.化合物番号1205408
ある特定の実施形態では、化合物番号1205408は、5’末端でコンジュゲート基にコンジュゲートされた3-10-3MOE/cEt混合ウイングギャップマーとして特徴付けられる。化合物1205408は、(5’から3’に)TCGGTTGGAATTCTTT(配列番号13)の配列を有し、ヌクレオシド1~3は、(5’から3’に)e-k-kの糖修飾を有し、ヌクレオシド14~16は、k-k-eの糖修飾を有し、各「e」は、2’-MOE糖部分を表し、各「k」は、cEt糖部分を指し、ヌクレオシド4~13の各々は、2’-β-D-デオキシヌクレオシドであり、ヌクレオシド2と3との間、3と4との間、及び14と15との間のヌクレオシド間結合は、ホスホジエステルヌクレオシド間結合であり、ヌクレオシド1と2との間、4と5との間、5と6との間、6と7との間、7と8との間、8と9との間、9と10との間、10と11との間、11と12との間、12と13との間、13と14との間、及び15と16との間のヌクレオシド間結合は、ホスホロチオエートヌクレオシド間結合であり、各シトシンは、5-メチルシトシンである。化合物番号1205408は、以下の構造で表される5’-トリスヘキシルアミノ-(THA)-C6GalNAc3エンドキャップを有し、リン酸基は、5’-ヌクレオシドの5’-酸素原子に結合している。
【0419】
【0420】
ある特定の実施形態では、化合物番号1205408は、以下の化学表記法:THA-C6-GalNAc3-Tes
mCkoGkoGdsTdsTdsGdsGdsAdsAdsTdsTds
mCdsTkoTksTe(配列番号13)によって表され、式中、
Aが、アデニン核酸塩基であり、
mCが、5-メチルシトシン核酸塩基であり、
Gが、グアニン核酸塩基であり、
Tが、チミン核酸塩基であり、
eが、2’-β-D-MOE糖部分であり、
kが、cEt糖部分であり、
dが、2’-β-D-デオキシリボシル糖部分であり、
sが、ホスホロチオエートヌクレオシド間結合であり、
oが、ホスホジエステルヌクレオシド間結合である。
【0421】
ある特定の実施形態では、化合物番号1205408は、以下の化学構造:
【0422】
【0423】
(配列番号13)によって表されるか、またはその塩である。
【0424】
ある特定の実施形態では、化合物番号1205408のナトリウム塩は、以下の化学構造:
【0425】
【0426】
(配列番号13)によって表される。
ある特定の実施形態では、化合物番号1205408は、アニオン形態にある。
【0427】
3.化合物番号1250837
ある特定の実施形態では、化合物番号1250837は、5’末端でコンジュゲート基にコンジュゲートされた3-10-3ギャップマーとして特徴付けられる。化合物1250837は、(5’から3’に)GTCGGTTGGAATTCTT(配列番号15)の配列を有し、ヌクレオシド1~3及び14~16は、cEt糖修飾を有し、ヌクレオシド5は、2’-OMeリボース糖を有し、ヌクレオシド4及び6~13の各々は、2’-β-D-デオキシヌクレオシドであり、ヌクレオシド間の各ヌクレオシド間結合は、ホスホロチオエートヌクレオシド間結合であり、各シトシンは、5-メチルシトシンである。化合物番号1250837は、以下の構造で表される5’-トリスヘキシルアミノ-(THA)-C6GalNAc3エンドキャップを有し、リン酸基は、5’-ヌクレオシドの5’-酸素原子に結合している。
【0428】
【0429】
ある特定の実施形態では、化合物番号1250837は、以下の化学表記法:THA-C6-GalNAc3-GksTks
mCksGdsGysTdsTdsGdsGdsAdsAdsTdsTds
mCksTksTk(配列番号15)によって表され、式中、
Aが、アデニン核酸塩基であり、
mCが、5-メチルシトシン核酸塩基であり、
Gが、グアニン核酸塩基であり、
Tが、チミン核酸塩基であり、
kが、cEt糖部分であり、
dが、2’-β-D-デオキシリボシル糖部分であり、
yが、2’-OMeリボース糖部分であり、
sが、ホスホロチオエートヌクレオシド間結合である。
【0430】
ある特定の実施形態では、化合物番号1250837は、以下の化学構造:
【0431】
【0432】
(配列番号15)によって表されるか、またはその塩である。
【0433】
ある特定の実施形態では、化合物番号1250837のナトリウム塩は、以下の化学構造:
【0434】
【0435】
(配列番号15)によって表される。
ある特定の実施形態では、化合物番号1250837は、アニオン形態にある。
【0436】
4.化合物番号1250851
ある特定の実施形態では、化合物番号1250851は、5’末端でコンジュゲート基にコンジュゲートされた3-10-3ギャップマーとして特徴付けられる。化合物1250851は、(5’から3’に)TCGGUTGGAATTCTTT(配列番号14)の配列を有し、ヌクレオシド1~3及び14~16は、cEt糖部分を有し、ヌクレオシド5は、2’-OMeリボース糖を有し、ヌクレオシド4及び6~13の各々は、2’-β-D-デオキシヌクレオシドであり、ヌクレオシド2と3との間、3と4との間、及び14と15との間のヌクレオシド間結合は、ホスホジエステルヌクレオシド間結合であり、ヌクレオシド1と2との間、4と5との間、5と6との間、6と7との間、7と8との間、8と9との間、9と10との間、10と11との間、11と12との間、12と13との間、13と14との間、及び15と16との間のヌクレオシド間結合は、ホスホロチオエートヌクレオシド間結合であり、各シトシンは、5-メチルシトシンである。化合物番号1250851は、以下の構造で表される5’-トリスヘキシルアミノ-(THA)-C6GalNAc3エンドキャップを有し、リン酸基は、5’-ヌクレオシドの5’-酸素原子に結合している。
【0437】
【0438】
ある特定の実施形態では、化合物番号1250851は、以下の化学表記法:THA-C6-GalNAc3-Tks
mCkoGkoGdsUysTdsGdsGdsAdsAdsTdsTds
mCdsTkoTksTk(配列番号14)によって表され、式中、
Aが、アデニン核酸塩基であり、
mCが、5-メチルシトシン核酸塩基であり、
Gが、グアニン核酸塩基であり、
Tが、チミン核酸塩基であり、
Uが、ウラシル核酸塩基であり、
kが、cEt糖部分であり、
dが、2’-β-D-デオキシリボシル糖部分であり、
yが、2’-OMeリボース糖部分であり、
sが、ホスホロチオエートヌクレオシド間結合であり、
oが、ホスホジエステルヌクレオシド間結合である。
【0439】
ある特定の実施形態では、化合物番号1250851は、以下の化学構造:
【0440】
【0441】
(配列番号14)によって表されるか、またはその塩である。
【0442】
ある特定の実施形態では、化合物番号1250851のナトリウム塩は、以下の化学構造:
【0443】
【0444】
(配列番号14)によって表される。
ある特定の実施形態では、化合物番号1250851は、アニオン形態にある。
【0445】
VI.ある特定の比較組成物
ある特定の実施形態では、化合物番号757456は、比較化合物である。化合物番号757456は、参照により本明細書に組み込まれるWO2017062816に以前に記載されており、(5’から3’に)CACAAACAAGCTGGTCGGTT(配列番号28)の配列を有し、化合物は、コンジュゲート基及び修飾されたオリゴヌクレオチドを含み、修飾されたオリゴヌクレオチドは、5-10-5MOEギャップマーであり、中央ギャップセグメントは、10個の2’-β-D-デオキシヌクレオシドからなり、5’及び3’ウイングセグメントは、それぞれ、5個の2’-MOE修飾ヌクレオシドからなる。各ヌクレオシド間結合は、ホスホロチオエートヌクレオシド間結合である。全てのシトシン残基は、5-メチルシトシンである。化合物番号757456は、以下の構造で表される5’-トリスヘキシルアミノ-(THA)-C6GalNAc3エンドキャップを有し、リン酸基は、5’-ヌクレオシドの5’-酸素原子に結合している。
【0446】
【0447】
ある特定の実施形態では、化合物番号568637は、比較化合物である。化合物番号568637は、参照により本明細書に組み込まれるWO2017062816に以前に記載されており、(5’から3’に)CGCTGATTTGTCCGGG(配列番号12)の配列を有し、化合物は、修飾されたオリゴヌクレオチドからなり、修飾されたオリゴヌクレオチドは、糖モチーフeekddddddddddkkeによって記載されるように、16ヌクレオシド長の混合した糖部分を有するヌクレオシドであり、各「d」は、2’-β-D-デオキシリボシル糖部分を表し、各「e」は、2’-MOE糖部分を表し、各「k」は、cEt糖部分を表す。各ヌクレオシド間結合は、ホスホロチオエートヌクレオシド間結合である。全てのシトシン残基は、5-メチルシトシンである。
【0448】
ある特定の実施形態では、化合物番号1176644は、比較化合物である。化合物番号1176644は、5’-トリスヘキシルアミノ-(THA)-C6GalNAc3エンドキャップを有する化合物番号568637である。化合物番号1176644は、化合物番号568637と同様に、(5’から3’に)CGCTGATTTGTCCGGG(配列番号12)の配列を有し、化合物は、修飾されたオリゴヌクレオチドを含み、修飾されたオリゴヌクレオチドは、糖モチーフeekddddddddddkkeによって記載されるように、混合した糖部分を有する16ヌクレオシド長であり、各「d」は、2’-β-D-デオキシリボシル糖部分を表し、各「e」は、2’-MOE糖部分を表し、各「k」は、cEt糖部分を表す。各ヌクレオシド間結合は、ホスホロチオエートヌクレオシド間結合である。全てのシトシン残基は、5-メチルシトシンである。
【0449】
ある特定の実施形態では、本明細書に記載される化合物は、それらが効力などの1つ以上の改善された特性を示すため、WO2017062816に記載される化合物と比較して優れている。
【0450】
例えば、化合物番号1205407は、化合物番号757456と比較して、インビボで改善された効力を示した。実施例5に示されるように、化合物番号1205407は、2.7mg/kgの用量で、AGT RNA及びタンパク質の阻害を、それぞれ、93%及び90%達成した。それに対して、化合物番号757456は、3.3mg/kgの用量で、AGT RNA及びタンパク質の阻害を、それぞれ、65%及び60%達成した。したがって、化合物番号1205407は、このアッセイにおいて、化合物番号757456よりも強力である。例えば、実施例6の研究1に示されるように、化合物番号1205407は、肝臓及び血漿において0.1のED50を達成した。それに対して、化合物番号757456は、肝臓及び血漿において1.3のED50を達成した。したがって、化合物番号1205407は、このアッセイにおいて、化合物番号757456よりも強力である。
【0451】
例えば、化合物番号1205407は、化合物番号757456と比較して、エクスビボで改善された効力を示した。実施例8に示されるように、化合物番号1205407は、Hepatopac系を使用して、エクスビボで0.04nMのIC50を達成した。それに対して、化合物番号757456は、エクスビボで>20μMのIC50を有した。したがって、化合物番号1205407は、このアッセイにおいて、化合物番号757456よりも強力である。
【0452】
例えば、化合物番号1205407は、化合物番号757456または化合物番号1176644と比較して、インビトロで改善された効力を示した。実施例7に示されるように、化合物番号1205407は、インビトロで2つの異なるプライマープローブセットで試験したときに、8nM及び12nMのIC50を達成した。それに対して、化合物番号757456は、インビトロで同じ培養条件下で、868nM及び709nMのIC50を達成した。それに対して、化合物番号1176644は、インビトロで同じ培養条件下で、35nM及び43nMのIC50を達成した。したがって、化合物番号1205407は、このアッセイにおいて、化合物番号757456または化合物番号1176644よりも強力である。
【0453】
例えば、化合物番号1205407は、化合物番号757456または化合物番号1176644と比較して、インビボで改善された効力を示した。実施例6の研究2に示されるように、化合物番号1205407は、トランスジェニックマウス研究において、0.11のED50及び0.38のED75を達成した。それに対して、化合物番号757456は、2.1のED50及び2.68のED75を達成した。それに対して、化合物番号1176644は、0.38のED50及び0.61のED75を達成した。したがって、化合物番号1205407は、このアッセイにおいて、化合物番号757456または化合物番号1176644よりも強力である。
【0454】
非限定的な開示及び参照による組み込み
本明細書に列記される文献及び特許公開は各々、参照によりその全体が組み込まれる。
【0455】
本明細書に記載されるある特定の化合物、組成物、及び方法が、ある特定の実施形態に従って具体的に記載されているが、以下の実施例は、本明細書に記載される化合物を例証するものにすぎず、それを限定するようには意図されていない。本出願に列挙される参考文献、GenBank受託番号などは各々、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0456】
本出願に添付している配列表は、各配列を必要に応じて「RNA」または「DNA」のいずれかとして特定しているが、実際には、これらの配列は化学修飾の任意の組み合わせで修飾され得る。当業者は、修飾されたオリゴヌクレオチドを説明するための「RNA」または「DNA」としての指定は、ある特定の例では、任意であることを容易に理解するであろう。例えば、2’-OH糖部分及びチミン塩基を含むヌクレオシドを含むオリゴヌクレオチドは、修飾された糖部分を有するDNA(DNAの1つの2’-Hの代わりに2’-OH)として、または修飾された塩基を有するRNA(RNAのウラシルの代わりのチミン(メチル化ウラシル))として記載され得る。したがって、配列表にあるものを含むがこれらに限定されない、本明細書に提供される核酸配列は、修飾された核酸塩基を有するそのような核酸を含むがこれらに限定されない、天然もしくは修飾されたRNA及び/またはDNAの任意の組み合わせを含む核酸を包含するよう意図されている。さらなる例として、限定することなく、核酸塩基配列「ATCGATCG」を有するオリゴマー化合物は、修飾されているかまたは修飾されていないかにかかわらず、これらに限定されないが、配列「AUCGAUCG」を有するものならびに「AUCGATCG」などのいくつかのDNA塩基及びいくつかのRNA塩基を有するものなどのRNA塩基を含むそのような化合物と、「ATmCGAUCG」などの他の修飾された核酸塩基を有するオリゴマー化合物と、を含む、そのような核酸塩基配列を有する任意のオリゴマー化合物を包含し、mCは、5-位置でメチル基を含むシトシン塩基を示す。
【0457】
本明細書に記載されるある特定の化合物(例えば、修飾されたオリゴヌクレオチド)は、1つ以上の不斉中心を有し、したがってエナンチオマー、ジアステレオマー、及び(R)もしくは(S)として、糖アノマーなどのαもしくはβとして、またはアミノ酸などの(D)もしくは(L)として、絶対立体化学に関して定義され得る他の立体異性体配置を生じさせる。ある特定の立体異性体配置を有するものとして描写または記載される本明細書に提供される化合物には、示される化合物のみが含まれる。定義されていない立体化学で描写または記載される本明細書に提供される化合物には、別途指定されない限り、全てのそのような可能な異性体(それらのステレオランダム及び光学的に純粋な形態を含む)が含まれる。同様に、別段の指示がない限り、本明細書の化合物の全てのシス異性体及びトランス異性体ならびに互変異性形態も含まれる。本明細書に記載されるオリゴマー化合物は、キラル的に純粋なまたは濃縮された混合物、ならびにラセミ混合物を含む。例えば、複数のホスホロチオエートヌクレオシド間結合を有するオリゴマー化合物は、ホスホロチオエートヌクレオシド間結合のキラリティが制御されるか、またはランダムである、そのような化合物を含む。別段の指示がない限り、本明細書に記載の化合物は、対応する塩形態を含むことを意図している。
【0458】
本明細書に記載される化合物は、1個または複数の原子が示される元素の非放射性同位体または放射性同位体と置き換えられている変形形態を含む。例えば、水素原子を含む本明細書の化合物は、1H水素原子の各々に対して全ての可能な重水素置換を包含する。本明細書における化合物によって包含される同位体置換には、1Hの代わりに2Hまたは3H、12Cの代わりに13Cまたは14C、14Nの代わりに15N、16Oの代わりに17Oまたは18O、及び32Sの代わりに33S、34S、35S、または36Sが含まれるが、これらに限定されない。ある特定の実施形態では、非放射性同位体置換は、オリゴマー化合物に治療または研究ツールとしての使用に有益な新しい特性を与え得る。ある特定の実施形態では、放射性同位体の置換は、化合物をイメージング等の研究目的または診断目的に好適なものにし得る。
【実施例】
【0459】
以下の実施例は、本開示のある特定の実施形態を例証するものであり、限定するものではない。さらに、具体的な実施形態が提供される場合、発明者らは、それらの具体的な実施形態の一般的適用を企図した。
【0460】
実施例1:ヒトAGT核酸と相補的な修飾されたオリゴヌクレオチドの設計
ヒトAGT核酸と相補的な修飾されたオリゴヌクレオチドを、以下の表に記載されるように設計した。以下の全ての表中の「開始部位」は、標的核酸配列において修飾されたオリゴヌクレオチドが相補的である最も5’側のヌクレオシドを示す。「終結部位」は、標的核酸配列において修飾されたオリゴヌクレオチドが相補的である最も3’側のヌクレオシドを示す。以下の表に列挙される各修飾されたオリゴヌクレオチドは、配列番号1(GENBANK受託番号NM_000029.3)、または配列番号2(ヌクレオチド230700001~230718000までが切断されたGENBANK受託番号NC_000001.11の相補体)、またはその両方と100%相補的である。
【0461】
表1の修飾されたオリゴヌクレオチドは、以下の表に示される混合した糖部分を有する16ヌクレオシド長であり、各「d」は、2’-β-D-デオキシリボシル糖部分を表し、各「e」は、2’-MOE糖部分を表し、各「k」は、cEt糖部分を表す。各ヌクレオシド間結合は、ホスホロチオエートヌクレオシド間結合である。全てのシトシン残基は、5-メチルシトシンである。568637は、WO2017/062816に以前に記載された比較化合物である。
【0462】
【0463】
表2~6の修飾されたオリゴヌクレオチドは全て、以下の構造によって表される5’-トリスヘキシルアミノ-(THA)-C6GalNAc3エンドキャップを有し、リン酸基は、5’-ヌクレオシドの5’-酸素原子に結合している。
【0464】
【0465】
表2の修飾されたオリゴヌクレオチドは、示される混合した糖部分を有する16ヌクレオシド長であり、各「d」は、2’-β-D-デオキシリボシル糖部分を表し、各「e」は、2’-MOE糖部分を表し、各「k」は、cEt糖部分を指す。ギャップマーのヌクレオシド間結合モチーフは、(5’から3’に)soossssssssssosであり、ここで、各「o」は、ホスホジエステルヌクレオシド間結合を表し、各「s」は、ホスホロチオエートヌクレオシド間結合を表す。全てのシトシン残基は、5-メチルシトシンである。
【0466】
【0467】
表3の修飾されたオリゴヌクレオチドは、示される混合した糖部分を有する16ヌクレオシド長であり、各「d」は、2’-β-D-デオキシリボシル糖部分を表し、各「e」は、2’-MOE糖部分を表し、各「k」は、cEt糖部分を指し、各「y」は、2’-OMeリボース糖を指す。ギャップマーのヌクレオシド間結合モチーフは、(5’から3’に)soossssssssssosであり、ここで、各「o」は、ホスホジエステルヌクレオシド間結合を表し、各「s」は、ホスホロチオエートヌクレオシド間結合を表す。全てのシトシン残基は、太字の下線付き
【0468】
【0469】
で示されない限り、5-メチルシトシンであり、太字の下線付きの場合、シトシンは、メチル化されない。
【0470】
【0471】
表4の修飾されたオリゴヌクレオチドは、示される混合した糖モチーフを有する16ヌクレオシド長であり、「d」は、2’-β-D-デオキシリボシル糖部分を表し、「e」は、2’-MOE糖部分を表し、「k」は、cEt糖部分を指す。各ヌクレオシド間結合は、ホスホロチオエートヌクレオシド間結合である。全てのシトシン残基は、5-メチルシトシンである。
【0472】
【0473】
表5の修飾されたオリゴヌクレオチドは、示される混合した糖モチーフを有する16ヌクレオシド長であり、「d」は、2’-β-D-デオキシリボシル糖部分を表し、「e」は、2’-MOE糖部分を表し、「k」は、cEt糖部分を表し、「y」は、2’-OMeリボース糖を指す。各ヌクレオシド間結合は、ホスホロチオエートヌクレオシド間結合である。全てのシトシン残基は、太字の下線付き
【0474】
【0475】
で示されない限り、5-メチルシトシンであり、太字の下線付きの場合、シトシンは、メチル化されない。
【0476】
【0477】
表6の修飾されたオリゴヌクレオチドは、均一なホスホロチオエートヌクレオシド間結合を有する5-10-5MOEギャップマーである。化合物は、20ヌクレオシド長であり、中心ギャップセグメントは、10個の2’-β-D-デオキシヌクレオシドからなり、5’及び3’ウイングセグメントは、それぞれ、5個の2’-MOE修飾されたヌクレオシドからなる。各ヌクレオシド間結合は、ホスホロチオエートヌクレオシド間結合である。全てのシトシン残基は、5-メチルシトシンである。757456は、WO2017/062816に以前に記載された比較化合物である。
【0478】
【0479】
実施例2:HepG2細胞におけるヒトAGTの用量依存的インビトロ阻害
1ウェル当たり10,000個の細胞の密度で培養したHepG2細胞を、以下の表に指定されるように、異なる濃度に希釈された修飾されたオリゴヌクレオチドで、電気穿孔法によって処理した。約24時間の処理期間後、ヒトAGTプライマープローブセットRTS3721(本明細書で上記に記載)を使用して、AGT RNAレベルを前述のように測定した。AGT RNAレベルを、プライマープローブセットRTS104(配列番号9として本明細書で指定されるフォワード配列GAAGGTGAAGGTCGGAGTC、配列番号10として本明細書で指定されるリバース配列GAAGATGGTGATGGGATTTC、配列番号11として本明細書で指定されるプローブ配列CAAGCTTCCCGTTCTCAGCC)を使用して、ヒトGAPDH発現レベルに対して正規化した。未処理の対照細胞と比較した、AGTの阻害パーセントとして以下の表に結果を表す。本明細書で使用される場合、「0」の値は、修飾されたオリゴヌクレオチドによる処理がAGT mRNAレベルを阻害しなかったことを示す。
【0480】
【0481】
実施例3:CD-1マウスにおけるヒトAGTを標的とする修飾されたオリゴヌクレオチドの耐容性
CD1マウスは、安全性及び有効性試験のために頻繁に利用される多目的マウスモデルである。マウスを、上に記載される研究から選択される修飾されたオリゴヌクレオチドで処置し、様々な血漿中化学マーカーのレベルの変化について評価した。
【0482】
処置
6~8週齢の雄のCD-1マウスの群に、15mg/kgの修飾されたオリゴヌクレオチドを、1週間に1回で6週間(合計7回の処置)、皮下注射した。雄のCD-1マウスの1つの群に、生理食塩水を注射した。マウスを、最終投与から72時間後に安楽死させた。
【0483】
血漿中化学マーカー
肝機能への修飾されたオリゴヌクレオチドの影響を評価するために、血中尿素窒素(BUN)、アルブミン、アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)、クレアチニン(CREA)、及び総ビリルビン(TBIL)の血漿レベルを、臨床化学自動分析装置(Hitachi Olympus AU400c,Melville,NY)を使用して測定した。結果を下記の表に提示する。
【0484】
【0485】
6週目にマウス群から得られた血液を、血液細胞カウントの測定のためにIDEXX BioResearchに送った。計測されたカウントには、赤血球(RBC)カウント、白血球(WBC)カウント、ヘモグロビン(HGB)、ヘマトクリット(HCT)、平均赤血球容積(MCV)、平均赤血球ヘモグロビン(MCH)、平均赤血球ヘモグロビン濃度(MCHC)、ならびに単球(MON)、好中球(NEU)、リンパ球(LYM)、及び血小板(PLT)などの個々の白血球カウントが含まれる。結果を以下の表に示す。
【0486】
【0487】
1日目及び35日目にマウスの体重を測定し、各群の平均体重を以下の表に表す。研究の終わりに肝臓、脾臓、及び腎臓重量を測定し、これらを下記の表に提示する。修飾されたオリゴヌクレオチドについて予期した範囲外の臓器重量の変化を引き起こした修飾されたオリゴヌクレオチドを、さらなる研究から排除した。
【0488】
【0489】
実施例4:Sprague-DawleyラットにおけるヒトAGTを標的とする修飾されたオリゴヌクレオチドの耐容性
Sprague-Dawleyラットは、安全性及び有効性評価に使用される多目的モデルである。ラットを上記の実施例に記載される研究からのIonis修飾オリゴヌクレオチドで処置し、種々の血漿中化学マーカーのレベルの変化に関して評価した。
【0490】
研究1
処置
雄Sprague-Dawleyラットを12時間の明/暗周期で維持し、Purinaの通常のラット用飼料を自由に摂餌させた。4匹のSprague-Dawleyラットの群に、それぞれ、15mg/kgのIonisオリゴヌクレオチドを6週間、週1回皮下注射した(合計6回用量)。最後の投与から72時間後に、ラットを安楽死させ、臓器、尿、及び血漿をさらなる分析のために採取した。
【0491】
血漿中化学マーカー
肝機能に対するIonisオリゴヌクレオチドの影響を評価するために、トランスアミナーゼの血漿中レベルを、臨床化学自動分析装置(Hitachi Olympus AU400c,Melville,NY)を用いて測定した。ALT(アラニントランスアミナーゼ)及びAST(アスパラギン酸トランスアミナーゼ)の血漿レベルを測定し、結果を、IU/Lで表される以下の表に表す。総ビリルビン(TBIL)、クレアチニン、アルブミン、及び血中尿素窒素(BUN)の血漿レベルもまた、同じ臨床化学分析装置を使用して測定し、結果もまた以下の表に表す。
【0492】
【0493】
臓器重量
肝臓、心臓、脾臓、及び腎臓重量を、研究の終了時に測定し、以下の表に表す。
【0494】
【0495】
腎機能
腎機能へのIonis修飾オリゴヌクレオチドの影響を評価するために、総タンパク質及びクレアチニンの尿中レベルを、臨床化学自動分析装置(Hitachi Olympus AU400c,Melville,NY)を使用して測定した。総タンパク質対クレアチニンの比(P/C比)を下記の表に提示する。
【0496】
【0497】
研究2
処置
雄Sprague-Dawleyラットを12時間の明/暗周期で維持し、Purinaの通常のラット用飼料を自由に摂餌させた。4匹のSprague-Dawleyラットの群に、それぞれ、15mg/kgのIonisオリゴヌクレオチドを6週間、週1回皮下注射した(合計6回用量)。最後の投与から72時間後に、ラットを安楽死させ、臓器、尿、及び血漿をさらなる分析のために採取した。
【0498】
血漿中化学マーカー
肝機能に対するIonisオリゴヌクレオチドの影響を評価するために、トランスアミナーゼの血漿中レベルを、臨床化学自動分析装置(Hitachi Olympus AU400c,Melville,NY)を用いて測定した。ALT(アラニントランスアミナーゼ)及びAST(アスパラギン酸トランスアミナーゼ)の血漿レベルを測定し、結果を、IU/Lで表される以下の表に表す。総ビリルビン(TBIL)、クレアチニン、アルブミン、及び血中尿素窒素(BUN)の血漿レベルもまた、同じ臨床化学分析装置を使用して測定し、結果もまた以下の表に表す。
【0499】
【0500】
臓器重量
肝臓、心臓、脾臓、及び腎臓重量を、研究の終了時に測定し、以下の表に表す。
【0501】
【0502】
腎機能
腎機能へのIonis修飾オリゴヌクレオチドの影響を評価するために、総タンパク質及びクレアチニンの尿中レベルを、臨床化学自動分析装置(Hitachi Olympus AU400c,Melville,NY)を使用して測定した。総タンパク質対クレアチニンの比(P/C比)を下記の表に提示する。
【0503】
【0504】
実施例5:トランスジェニックマウスにおけるヒトAGTと相補的な修飾されたオリゴヌクレオチドの活性
AGTトランスジェニックマウスモデルは、ヒトアンジオテンシノーゲン遺伝子全体(約11.5kb)ならびに5’(1.2kb)及び3’(1.4kb)隣接配列(Yang G;et al.1994.J Biol Chem 269(51):32497-502)を含む、14kbのトランスジェニック構築物の挿入によってDr.Curt Sigmundの研究室において開発され、上述の修飾されたオリゴヌクレオチドのさらなる試験に使用された。
【0505】
処置
AGTトランスジェニックマウスを、各2匹のマウス群に分けた。各マウスに、2.7mg/kgの修飾されたオリゴヌクレオチドを週1回皮下注射した(0日目及び7日目に合計2用量)。2匹のマウス群に、陰性対照として生理食塩水を投与した。加えて、2匹のマウスの群に、3.3mg/kgの比較修飾オリゴヌクレオチド757456を投与した(0日目及び7日目に合計2用量)。マウスを、最後の投与から3日後(10日目)に屠殺した。肝臓及び血漿を、分析のために回収した。
【0506】
RNA及びタンパク質分析
RNAを、リアルタイムPCR分析のために肝臓組織から抽出し、ヒトプライマープローブセットRTS3721(本明細書で上記に記載)を使用して、AGT RNAの量を測定した。RIBOGREEN(登録商標)によって測定した、総RNA含有量に対して正規化し、生理食塩水対照と比較したAGT RNAの阻害パーセントとして結果を表す。加えて、血漿を抽出して、ELISAキット(Human Total Angiotensinogen Assay Kit,IBL,カタログ番号27412)を使用して血漿中のヒトAGTタンパク質レベルを測定した。生理食塩水対照と比較したAGTタンパク質の阻害パーセントとして結果を表す。
【0507】
【0508】
実施例6:トランスジェニックマウス、複数回投与におけるヒトAGT RNAと相補的な修飾されたオリゴヌクレオチドの効力
修飾されたオリゴヌクレオチドを、上述のトランスジェニックマウスモデルにおいて用量依存的様式でさらに試験した。
【0509】
処置
AGTトランスジェニックマウスを、各2匹のマウス群に分けた。各マウスに、以下の表に示される濃度で2回の用量(0日目及び7日目に)の修飾されたオリゴヌクレオチドを皮下注射した。4匹のマウスの群に、陰性対照としてPBSを投与した。最後の投与から72時間後(10日目)に、マウスを安楽死させた。肝臓及び血漿を、分析のために回収した。いくつかの研究では、化合物番号757456を比較化合物として加えた。
【0510】
研究1
RNA及びタンパク質分析
RNAを、リアルタイムPCR分析のために肝臓組織から抽出し、ヒトプライマープローブセットRTS3721(本明細書で上記に記載)を使用して、AGT RNAの量を測定した。RIBOGREEN(登録商標)によって測定した、総RNA含有量に対して正規化し、生理食塩水対照と比較したAGT RNAの阻害パーセントとして結果を表す。加えて、血漿を抽出して、ELISAキット(Human Total Angiotensinogen Assay Kit,IBL,カタログ番号27412)を使用して血漿中のヒトAGTタンパク質レベルを測定した。生理食塩水対照と比較したAGTタンパク質の阻害パーセントとして結果を表す。
【0511】
【0512】
【0513】
研究2
RNA及びタンパク質分析
RNAを、リアルタイムPCR分析のために肝臓組織から抽出し、ヒトプライマープローブセットRTS3721(本明細書で上記に記載)を使用して、AGT RNAの量を測定した。RIBOGREEN(登録商標)によって測定した、総RNA含有量に対して正規化し、生理食塩水対照と比較したAGT RNAの阻害パーセントとして結果を表す。加えて、血漿を抽出して、ELISAキット(Human Total Angiotensinogen Assay Kit,IBL,カタログ番号27412)を使用して血漿中のヒトAGTタンパク質レベルを測定した。生理食塩水対照と比較したAGTタンパク質の阻害パーセントとして結果を表す。
【0514】
【0515】
研究3
RNA及びタンパク質分析
RNAを、リアルタイムPCR分析のために肝臓組織から抽出し、ヒトプライマープローブセットRTS3721(本明細書で上記に記載)を使用して、AGT RNAの量を測定した。RIBOGREEN(登録商標)によって測定した、総RNA含有量に対して正規化し、生理食塩水対照と比較したAGT RNAの阻害パーセントとして結果を表す。加えて、血漿を抽出して、ELISAキット(Human Total Angiotensinogen Assay Kit,IBL,カタログ番号27412)を使用して血漿中のヒトAGTタンパク質レベルを測定した。生理食塩水対照と比較したAGTタンパク質の阻害パーセントとして結果を表す。本明細書で使用される場合、「0」の値は、修飾されたオリゴヌクレオチドによる処理がAGTレベルを阻害しなかったことを示す。
【0516】
【0517】
実施例7:トランスジェニックマウス肝細胞におけるヒトAGTの用量依存的インビトロ阻害
上述のトランスジェニックAGTマウスモデルを、本研究で使用した。上記研究に記載されている修飾されたオリゴヌクレオチドを、これらのトランスジェニックマウスから抽出された初代マウス肝細胞において、様々な用量でのAGT RNAの阻害について試験した。
【0518】
1ウェル当たり20,000個の細胞の密度で初代マウストランスジェニック肝細胞を播種し、以下の表に示すように、異なる濃度に希釈された修飾されたオリゴヌクレオチドで、自由取り込みによって処理した。一晩インキュベーションした後、ヒトAGTプライマープローブセットRTS3721(配列番号3として本明細書で指定されるフォワード配列CCCTGATGGGAGCCAGTGT、配列番号4として本明細書で指定されるリバース配列AGCAGGGAGAAGCCCTTCA、配列番号5として本明細書で指定されるプローブ配列CCCTGGCTTTCAACACCTACGTCCACT)を使用して、AGT RNAレベルを測定した。加えて、データは、第2のヒトAGTプライマーセットRTS4039(配列番号6として本明細書で指定されるフォワード配列GGACAAGGTGGAGGGTCTCA、配列番号7として本明細書で指定されるリバース配列AGATCCTTGCAGCACCAGTTG、配列番号8として本明細書で指定されるプローブ配列ATGAAGAAACTATCTCCCCGGACCATCCA)を確認して、ヒトAGT RNAレベルを測定した。AGT RNAレベルを、RIBOGREEN(登録商標)によって測定した、総RNA含有量に対して正規化した。未処理の対照細胞と比較した、AGTの阻害パーセントとして以下の表に結果を表す。本明細書で使用される場合、「0」の値は、修飾されたオリゴヌクレオチドによる処理がAGT mRNAレベルを阻害しなかったことを示す。各修飾されたオリゴヌクレオチドの半数効果阻害濃度(IC50)も示されている。IC50を、log(阻害剤)対応答の4パラメータ可変スロープ法を使用した非線形回帰を使用して計算し、下端及び上端を、それぞれ、0及び100に固定した(Prism)。
【0519】
【0520】
【0521】
実施例8:HepatoPac(登録商標)におけるヒトAGTの用量依存的エクスビボ阻害
HepatoPac(登録商標)キットは、支持間質細胞と共培養されたマイクロパターン化された肝細胞の「島」からなる、BIOIVTから入手可能な市販の肝臓モデルシステムである。96ウェルHepatoPacプレートを、処置前に新鮮な維持培地中で、37℃及び10%CO2で48時間平衡化した。修飾されたオリゴヌクレオチドを、以下の表に記載される濃度で、維持培地に48時間希釈した。48時間後、培地を、追加のオリゴヌクレオチドを含まない新鮮な維持培地に置き換えた。細胞溶解物を、オリゴヌクレオチド添加から96時間後に収集し、プライマープローブセットRTS3721(本明細書で上記に記載)を使用してRT-PCRによって分析した。未処理の対照細胞と比較した、AGTの阻害パーセントとして以下の表に結果を表す。本明細書で使用される場合、「0」の値は、修飾されたオリゴヌクレオチドによる処理がAGT mRNAレベルを阻害しなかったことを示す。IC50は、Prismにおける可変勾配4パラメータロジスティック回帰を用いて計算され、曲線の下端及び上端は、それぞれ、5及び100に設定された。
【0522】
【0523】
実施例9:カニクイザルにおけるヒトAGTを標的とする修飾されたオリゴヌクレオチドの影響
カニクイザルを、上記の実施例に記載される研究から選択される修飾されたオリゴヌクレオチドで処置した。
【0524】
処置
研究の前に、サルは、隔離され、その後、一般的な健康状態について動物を毎日観察する順応期間が続いた。サルは、2~4歳であり、体重2~4kgであった。ランダムに割り当てられた雄のカニクイザル4匹の9群に、それぞれ、背面の4つの異なる部位間で時計回りに回転して、Ionisオリゴヌクレオチドまたは生理食塩水を皮下注射した。1日目、4日目及び8日目の負荷用量に続いて、サルに、1週間に1回(15日目、22日目、29日目、36日目、43日目、50日目、57日目、64日目、71日目、78日目、及び85日目)、20mg/kgのIonisオリゴヌクレオチドを投与した。4匹のカニクイザルの対照群には、0.9%生理食塩水を類似の様態で注射し、対照群とした。
【0525】
研究期間中、サルは、少なくとも1日1回、病気または苦痛の兆候がないか観察された。重度の衰弱または毒性の兆候を示す動物、特に死亡が差し迫っていると思われる場合は、人道的な理由からできるだけ早く、担当獣医師と協議の上、安楽死させた。動物の予定された安楽死を、最後の投与から約48時間後の87日目に、深部麻酔下での全採血によって実施した。実施例に記載されるプロトコルは、動物実験委員会(IACUC)によって承認された。
【0526】
体重及び臓器重量測定
動物の全体的健康に対するIonisオリゴヌクレオチドの影響を評価するために、体重及び臓器重量を測定した。死体解剖の前に最終体重を測定した。臓器重量も同様に測定し、以下の表に全ての重量測定を表す。
【0527】
【0528】
腎機能及び肝機能
肝機能及び腎機能に対するIonisオリゴヌクレオチドの影響を評価するために、87日目に全ての研究群から血液試料を収集した。血液採取前にサルを一晩絶食させた。血液は、血清分離のために抗凝固剤を含まないチューブに収集した。チューブを室温に最低90分間保ち、次いで3000rpmで10分間遠心分離して、血清を得た。種々の肝機能マーカーのレベルを、Toshiba 200FR NEO化学分析装置(Toshiba Co.,Japan)を用いて測定した。血中尿素窒素(BUN)、クレアチニン(CREA)、総タンパク質(TP)、アルブミン(ALB)、グロブリン(GLO)、算出アルブミン/グロブリン(A/G)比、アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)、総ビリルビン(TBIL)の血漿レベルを測定し、以下の表に結果を表す。
【0529】
【0530】
炎症促進性タンパク質分析
カニクイザルにおけるIonis修飾オリゴヌクレオチドの任意の炎症効果を評価するために、分析のために血液試料を採取した。血液採取前にサルを一晩絶食させた。85日目(投与前及び投与から24時間後)に、約0.8mLの血液を、血清分離のために抗凝血剤なしで各動物からチューブに入れた。チューブを室温に最低90分間保ち、次いで3,000rpmで、室温で10分間遠心分離して、血清を得た。補体C3を、Toshiba 120FR NEO化学分析装置(Toshiba Co.,Japan)を用いて測定した。別の炎症マーカーであるC反応性タンパク質(CRP)を、上記の肝機能に関して試験された臨床化学検査パラメータと一緒に試験した。
【0531】
【0532】
血液学的検査
カニクイザルにおけるIonis修飾オリゴヌクレオチドの血液パラメータへの任意の効果を評価するために、約0.5mLの血液サンプルを、87日目に利用可能な各研究動物から採取した。試料を、K2-EDTAを含有するチューブ中に採取した。試料は、ADVIA2120i血液分析器(Siemens,USA)を使用して、赤血球(RBC)カウント、ヘモグロビン(HGB)、ヘマトクリット(HCT)、平均赤血球容積(MCV)、平均赤血球ヘモグロビン(MCH)、平均赤血球ヘモグロビン濃度(MCHC)、血小板カウント(PLT)、白血球(WBC)カウント、ならびに単球(MON)、好中球(NEU)、及びリンパ球(LYM)などの個々の白血球カウントについて分析された。
【0533】
【0534】
尿分析
新鮮な尿収集の前日は食物を一晩除去したが、水は供給した。87日目(朝一番に)、尿分析及び尿化学検査用の新鮮な尿試料を、濡らした氷の上で清潔なケージパンを用いて全ての動物から収集した。尿分析/尿化学パラメータには、Toshiba 120FR自動化学分析器(Toshiba Co.,Japan)を使用して測定した、クレアチニン(UCRE)、タンパク質/クレアチニン(P/C)比、マイクロタンパク質(UTP)、及び尿中微量アルブミン(UALB)が含まれる。
【0535】
【配列表】
【国際調査報告】