(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-27
(54)【発明の名称】生化学的発酵プロセスのハイブリッドモデルの開発
(51)【国際特許分類】
C12M 1/00 20060101AFI20231117BHJP
【FI】
C12M1/00 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023553172
(86)(22)【出願日】2021-11-16
(85)【翻訳文提出日】2023-07-12
(86)【国際出願番号】 US2021072425
(87)【国際公開番号】W WO2022104390
(87)【国際公開日】2022-05-19
(32)【優先日】2020-11-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】502334319
【氏名又は名称】ザ テキサス エーアンドエム ユニヴァーシティ システム
(71)【出願人】
【識別番号】518156602
【氏名又は名称】カネカ アメリカズ ホールディング,インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】クラヴァリス,コスタス
(72)【発明者】
【氏名】クウォン,ジョセフ
(72)【発明者】
【氏名】シャー,パース
(72)【発明者】
【氏名】シェリフ,モハメッド,ズィヤン
(72)【発明者】
【氏名】バンギ,モハメッド サード ファイザン
(72)【発明者】
【氏名】ボトレ,チランジヴィ
(72)【発明者】
【氏名】廣田 淳一
【テーマコード(参考)】
4B029
【Fターム(参考)】
4B029AA01
4B029DF01
4B029DF06
4B029DF08
4B029DF10
(57)【要約】
生産物を製造するためのシステムが開示される。本システムは化学反応を伴う化学プロセスを使用して生産物を生産するための生産設備と、ハイブリッドモデルを使用して、予測出力を得るために生産物を生産する化学プロセス中の化学反応をシミュレートするコンピュータプロセッサを含む情報処理デバイスとを備え、ハイブリッドモデルは第1原理モデルとデータ駆動型のモデルとの組合せであり、観測者モデルを使用して、シミュレートされたプロセスのためのすべての基質の予測濃度およびレベルを決定し、すべての基質の推定濃度およびレベルに基づいて化学プロセスのための導出された最適条件を設定し、生産設備の現在のステータスに基づいて将来の生産結果を予測する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生産物を生産するためのシステムであって、
化学反応を伴う化学プロセスを使用して生産物を生産するための生産設備と、
コンピュータプロセッサを備える情報処理装置と、
を備え、
前記情報処理装置は、
予測された生産量を得るために、第1原理モデルおよびデータ駆動型モデルの組合せであるハイブリッドモデルを用いて、前記生産物を生産する前記化学プロセスにおける前記化学反応をシミュレートし、
オブザーバーモデルを用いて、シミュレートされたプロセスのための全ての基質の期待される濃度およびレベルを決定し、
全ての基質の推定された濃度およびレベルに基づいて、前記化学プロセスのための導出された最適条件を設定し、ならびに
前記生産設備の現在のステータスに基づいて、将来の生産結果を予測する、
システム。
【請求項2】
前記化学プロセスが発酵であり、および前記生産物が微生物またはその代謝産物である、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記ハイブリッドモデルにおける前記データ駆動型モデルは、ディープニューラルネットワーク(DNN)モデルを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記オブザーバーモデルは、前記生産設備の現在のステータスを推定するように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記オブザーバーモデルは、前記生産設備の現在のステータスを推定するように構成され、および前記ハイブリッドモデルに基づくループマルチレートオブザーバーを採用し、測定が利用可能であるときに、状態が再初期化される、
請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記情報処理装置は、生産性を最大化することおよび/または操業コストを最小化することにより各々が前記生産設備を最適化する、1つ以上の生産条件候補を生成するようにさらに構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記現在のステータスは、前記生産設備における現在のバッチプロセス実行の品質を表す、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記化学プロセスのための前記導出された最適条件が、反応器に供給される基質、触媒の調整された供給速度、および前記反応器の温度を含む、請求項2に記載のシステム。
【請求項9】
前記生産設備の前記現在のステータス、基質の濃度の推定値、および前記化学プロセスの前記最適条件を表示するためのGUIダッシュボードをさらに含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
化学生産物を生産するための化学プロセスにおける基質の濃度を予測するためのコンピュータ実装される方法であって、
予測された生産量を得るために、第1原理モデルおよびデータ駆動型モデルの組合せであるハイブリッドモデルを用いて、前記化学プロセスにおける化学反応をシミュレートすること;
オブザーバーモデルを用いて、シミュレートされた化学プロセスのための全ての濃度およびレベルの推定値を決定すること;
推定された基質の濃度に基づいて、前記化学プロセスのための導出された最適条件を設定すること、ならびに
生産設備の現在のステータスに基づいて、前記生産物の将来の生産結果を予測すること、
を含む、コンピュータ実装される方法。
【請求項11】
GUIダッシュボード上に、前記生産設備の前記現在のステータス、前記推定された基質の濃度、および前記化学プロセスの前記最適条件を表示することをさらに含み、
前記導出された最適条件は、前記GUIダッシュボード上に表示された情報に基づいて設定される、請求項10に記載のコンピュータ実装される方法。
【請求項12】
前記現在のステータスは、前記生産設備における現在のバッチプロセス実行の品質を表す、請求項10に記載のコンピュータ実装される方法。
【請求項13】
前記化学プロセスのための前記導出された最適条件が、反応器に供給される基質、触媒の調整された供給速度、および前記化学プロセスが実行される反応器の温度を含む、請求項10に記載のコンピュータ実装される方法。
【請求項14】
前記化学プロセスが発酵であり、および前記生産物が微生物またはその代謝産物である、請求項10に記載のコンピュータ実装される方法。
【請求項15】
前記ハイブリッドモデルにおける前記データ駆動型モデルは、ディープニューラルネットワーク(DNN)モデルを含む、請求項10に記載のコンピュータ実装される方法。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
[背景技術]
化学的および生化学的プロセス工学の分野では、反応器を使用して化学反応を制御することができる。化学反応としては合成反応、分解反応、生物学的反応、および生化学反応が挙げられるが、これらに限定されない。化学反応は、反応器の内部で行われる。反応器システムは、反応器、制御システム、及び反応パラメータを監視するセンサを備え得る。制御システムはセンサからデータを受信し、データを所望の目標値と比較し、弁およびスイッチなどの制御構成要素の操作によって反応を制御するために使用されるコマンド機能を導出する。
【0002】
バイオ反応器において、微生物または生化学物質は、所望の生物学的機能を実施しながら原料を消費する。このタイプの生物学的プロセスは、原料を、バイオ反応器から送られる最終生産物に変換することができる。いくつかの生物学的プロセスでは、微生物は原料を消費し、細胞増殖をもたらす。細胞が増殖するにつれて、微生物の集団が増殖し得る。細胞増殖は、バイオマスの生産をもたらし得る。いくつかの他の生物学的プロセスでは、酵素などの生化学物質が化学反応を開始するために、基質または中間体などの原料に結合し得る。酵素反応は生産物を生成することができ、生産物は酵素から放出される。いくつかの例では、バイオマス生成および酵素反応が、バイオ反応器から最終物を生産するために、所望の生物学的機能として一緒に含まれてもよい。
[発明の概要]
この概要は、発明を実施するための形態においてさらに説明される概念の選択を紹介するために提供される。この概要は、特許請求される主題の鍵または本質的な特徴を特定することを意図するものではなく、特許請求される主題の範囲を限定する助けとして使用されることを意図するものでもない。
【0003】
一態様では、開示される実施形態が生産物を生産するためのシステムに関し、システムは化学反応を伴う化学プロセスを使用して生産物を生産するための生産設備と、ハイブリッドモデルを使用して、予測出力を得るために生産物を生産する化学プロセスにおける化学反応をシミュレートするコンピュータプロセッサを備える情報処理デバイスとを備え、ハイブリッドモデルは第1原理モデルとデータ駆動型のモデルとの組み合わせであり、観測者モデルを使用して、シミュレートされたプロセスのためのすべての基質の予測濃度およびレベルを決定し、すべての基質の推定濃度およびレベルに基づいて、化学プロセスのための導出された最適条件を設定し、生産設備の現在のステータスに基づいて将来の生産結果を予測する。
【0004】
一態様では、本明細書に開示される実施形態は、化学生産物を生成するための化学プロセスにおける基質濃度を予測するためのコンピュータ実装される方法であって、ハイブリッドモデルを使用して、化学プロセスにおける化学反応をシミュレートして、予測出力を取得することであって、ハイブリッドモデルが第1原理モデルとデータ駆動型のモデルとの組み合わせでシミュレートすることと、推定モデルを使用して、シミュレートされた化学プロセスのためのすべての濃度およびレベルの推定を決定することと、推定された基質濃度に基づいて、化学プロセスのための導出された最適条件を設定することと、生産設備の現在のステータスに基づいて、生産物の将来の生産結果を予測することとを含む、コンピュータ実装される方法に関する。
【0005】
特許請求される主題の他の態様および利点は、以下の詳細な説明および添付の特許請求の範囲から明らかになるのであろう。
[図面の簡単な説明]
以下、本発明の具体的な実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。様々な図における同様の要素は、一貫性のために同様の参照番号によって示される。
【0006】
図1は、1つ以上の実施形態による、反応器と、コンピュータプロセッサを備える処理装置とを含む、システムを示す。
【0007】
図2は、1つ以上の実施形態によるハイブリッドモデルを示す。
【0008】
図3は、1つ以上の実施形態によるフローチャートを示す。
【0009】
【0010】
図5は、1つ以上の実施形態によるハイブリッドモデルアルゴリズムの例示的なフローチャートを示す。
【0011】
図6は、1つ以上の実施形態によるコンピュータシステムを示す。
[発明を実施するための形態]
本開示の実施形態の以下の詳細な説明では、本開示のより完全な理解を提供するために、多数の具体的な詳細が記載される。しかしながら、本開示は、これらの具体的な詳細なしに実施され得ることが当業者には明らかであろう。他の例では、説明を不必要に複雑にすることを回避するために、周知の特徴は詳細には説明されていない。
【0012】
本出願を通して、序数(例えば、第1、第2、第3など)は要素(すなわち、本出願における任意の名詞)の形容詞として使用され得る。序数の使用は「前」、「後」、「単一」、および他のそのような用語を使用するなど、明示的に開示されていない限り、要素の任意の特定の順序付けを暗示するまたは作成することも、任意の要素を単一の要素のみに限定することもない。むしろ、序数の使用は、要素を区別することである。一例として、第1の要素は第2の要素とは別個であり、第1の要素は2つ以上の要素を包含し、要素の順序付けにおいて第2の要素の後に続く(または先行する)ことができる。
【0013】
1つ以上の実施形態は、100,000ガロンを超える量を有するフルスケールバイオ発酵処理のためのハイブリッドモデル、すなわち、1つ以上のデータ駆動型のモデルと組み合わされた第1原理モデルに関する。より具体的には、本明細書に開示される実施形態がその方程式に追加の構成要素およびパラメータを追加することによって得られる、改善された第1原理を使用する。また、データ駆動型のモデルは、ニューラルネットワーク、サポートベクトルマシン、多変量適応的回帰スプライン、通常の最小二乗、ステップワイズ回帰、潜在変数法、ファジーシステム、または遺伝的アルゴリズムであり得る。1つ以上の実施形態では、改善された第1原理モデルにおける、その出力に高度に影響を及ぼす重要なパラメータがローカルおよびグローバル感度分析を使用して識別される。これらの時変パラメータはデータクラスタリングアプローチを使用して推定され、深層ニューラルネットワーク(DNN)を使用して近似され、その後、ハイブリッドモデルを構築するために、改善された第1原理モデルと組み合わされた。
【0014】
図1は、1つ以上の実施形態によるシステム100を示す。1つ以上の実施形態では、
図1のシステム100が化学生産物を製造するために、化学プラントなどの任意の生産設備で使用され得る。システム100は、化学生産物を製造するための化学プロセスなどの化学プロセスに適している。システム100は、反応器110と、情報処理装置210とを備える。システム100は、1つ以上の供給ストリームおよび生産物ストリームを備え得る。ガス供給ストリーム114は反応器110に結合され、記載されるようにガスを含み、反応器に導入される。固体/液体供給ストリーム118は反応器に結合され、記載されるように固体、液体、またはそれらの組み合わせを含み得る。固体/液体供給ストリーム118は、反応器に導入される。オフガスストリーム116は反応器に結合することができ、記載されるようにオフガスを含み、システム100から通過する。流出物ストリーム122は反応器に結合され、記載されるように流出物を含み、システム100から通過する。化学生産物ストリーム120は反応器に結合され、記載されるように化学生産物を含み、システム100から通過する。反応器110は、反応器チャンバ130によって画定される。反応器チャンバは、加熱または冷却のために液体を受け入れて通過させるように構成された反応器チャンバ130の周りのウォータージャケットなどの熱交換器(図示せず)を備え得る。
【0015】
1つ以上の実施形態では、システムがガス供給ストリーム、固体/液体供給ストリーム、オフガスストリーム、流出物ストリーム、および化学生産物ストリームからなる群から選択される1つ以上を備える。例えば
図1は、上述のストリームを示す。別の例として、システムは、ガス供給ストリーム、固体/液体供給ストリーム、流出物ストリーム、および化学生産物ストリームを備え得る。さらに別の例として、システムは、ガス供給ストリーム、固体/液体供給ストリーム、オフガスストリーム、および流出物ストリームを備え得る。
【0016】
図1は、システム100内のコンピュータプロセッサ210と、1つ以上のプローブを備えるがこれに限定されない1つ以上のセンサとを有する処理デバイスを示す。プローブは、pH、温度、流体レベル、ガスレベル、圧力、または他の反応器パラメータを監視するように構成され得る。
図1は、反応器チャンバ130に結合された第1のプローブ214および第2のプローブ216を示す。センサは、センサの機能に応じて、リアクタチャンバの反応器の中に備えられ得、リアクタチャンバ(
図1に示す)に結合され得、リアクタチャンバの外部に含まれ得る。他のセンサは例えば、流量を監視するように構成された固体/液体供給ストリーム(
図1の118など)に結合された流量センサを備え得る。1つ以上のセンサは、コンピュータプロセッサを備える処理装置と信号通信することができる。信号通信は、有線通信、ワイヤレス通信、またはそれらの組み合わせであり得る。
【0017】
1つ以上の実施形態において、反応器は化学反応器である。1つ以上の実施形態において、反応器はバイオ反応器である。反応器がバイオ反応器である場合、それは、バッチ発酵槽、連続発酵槽、またはリサイクル反応器などの発酵槽であってもよい。反応器の適切な例としては管型反応器、気泡カラム反応器、気泡キャップ反応器、プラグフロー反応器、エアリフト反応器、二段エアリフト反応器、流動床反応器、撹拌タンク反応器、ハインズ型反応器、固定床反応器、充填床反応器、ステンレス鋼固定床反応器(例えば、電気加熱器を有する)、マイクロ波反応器、および光反応器が挙げられるが、これらに限定されない。
【0018】
前述の反応器構成要素に加えて、反応器は、攪拌機、スパージャー、消泡剤ストリーム、酸ストリーム、塩基ストリーム、又はこれらの組み合わせを含むことができる。
【0019】
反応器内において化学プロセスが行われる。化学プロセスのタイプには触媒プロセス、酵素プロセス、化学量論プロセス(例えば、触媒されない)、重合プロセス、発酵プロセス(「バイオ発酵」プロセス)、バイオマス生産プロセス、およびそれらの組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。
【0020】
反応器は、化学生産物を生成するために化学プロセス中に材料を使用する。それゆえ、反応器は、化学プロセスのための材料を保持するように構成される。化学プロセスのための材料としては触媒、反応物、酵素、酵素-基質、単量体、活性化剤、微生物、バイオマス、食品源、ガス、溶媒、またはそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。「食物源」という用語は微生物、例えば、デンプンまたは糖、例えば、マンノース、ソルビトール、グルコース、フルクトース、またはラクトースの成長のための炭素系材料に関する。酵素-基質という用語は、基質という用語と区別するために使用される。「基質」は、反応器で使用される原料である。「酵素-基質」は、酵素が作用する分子である。それゆえ、酵素-基質は基質であり得る。化学プロセスおよび反応器で使用するための材料は、当技術分野で十分に理解されている。
【0021】
ガス供給ストリームはガスを含む。ガスとしては空気、酸素、窒素、アルゴン、ヘリウム、一酸化炭素、二酸化炭素、水素、オゾン、エチレン、これらの組み合わせ、または他の適切なガスが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの例では、ガスは酸素、一酸化炭素、水素、オゾン、またはエチレンなどの炭化水素、などの反応物質である。いくつかの例では、ガスは窒素、アルゴン、ヘリウム、または他の適切な希ガスなどの不活性ガスである。いくつかの例では、ガスは例えば、酸素、一酸化炭素、または二酸化炭素などのバイオ反応器中の食物源の成長剤である。微生物が反応器中に含まれる場合、使用されるガスは、前記微生物の好気性または嫌気性呼吸に関連し得る。
【0022】
固体/液体供給物は、溶媒などの液体を含むことができる。溶媒としてはアセトン、酢酸、酢酸エチル、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、ジクロロメタン、クロロホルム、メタノール、エタノール、イソプロパノール、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、トルエン、ジメチルスルホキシド、水、またはこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。固体/液体供給物は、化学プロセスのための1つ以上の材料などの固体を含み得る。1つ以上の実施形態において、固体/液体供給物は溶媒を含む。
【0023】
オフガスストリームはオフガスを含む。オフガスは、反応器から排出されるガスである。それゆえ、それは、収集され、さらに処理され、または反応器に再ルーティングされ得るガス生産物ストリームの一種である。オフガスは、反応器に導入され、排出されるガス、または化学プロセスの副生産物もしくは生産物であってもよい。例えば、副生産物または化学生産物オフガスとしてはエチレン、二酸化炭素、水素、または酸素などの炭化水素が挙げられるが、これらに限定されない。
【0024】
流出物ストリームは流出物を含む。流出物は、反応器から排出される液体、固体、または液体および固体である。流出物は、反応器に導入され、排出される液体もしくは固体、または化学プロセスの副生産物もしくは生産物であってもよい。例えば、流出物は溶媒、バイオマス、または難分解性反応材料を含み得るが、これらに限定されない。化学プロセスからの流出物の様々な他の実施例は、当業者によって理解されるのであろう。
【0025】
化学生産物ストリームは、化学プロセスの化学生産物を含む。反応器内の化学プロセスからの様々な化学生産物が、当技術分野において認識されている。
【0026】
反応器からの化学生産物は、ポリマー、炭化水素、合成天然生産物、または様々な他の化学生産物を含み得る。非限定的な例として、炭化水素は、キシレン、トルエン、ベンゼン、エチルベンゼン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリイソブチレン、ポリメチルペンテン、エチレンプロピレンゴム、エチレンプロピレンジエンモノマーゴム、およびポリα-オレフィンを含み得る。
【0027】
バイオ反応器が使用される場合、化学生産物は酵母、細菌、または動物もしくは植物細胞などの増殖される生物を含むことができ、または化学生産物は、医薬品、ワクチン、ビタミン、補酵素、または抗体を含むことができる。非限定的な例として、ビタミンまたは補酵素は、アデノシン三リン酸(ATP)、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸(NADP)、フラビンアデニンジヌクレオチド(FAD)、チアミン(様々な形態のビタミンB1)、ピリドキサールリン酸(ビタミンB6)、コバラミン(様々な形態のビタミンB12)、レチノール(ビタミンA1)、ビオシチン、補酵素A、補酵素b、補酵素Q10、補酵素M、テトラヒドロ葉酸、グルタチオン、ヘム(様々な形態)、リポアミド、メタノフラン、およびヌクレオチド糖を含み得る。
【0028】
化学プロセス、例えば生発酵プロセスをモデリングして、化学的またはプラント生産設備のための化学生産物の生産を予測することは、化学プロセス内で生じる複雑な相互作用を考慮すると、困難な作業である。
図2は上述のように、化学生産物をもたらす化学プロセスをシミュレートするために使用される、データ駆動型のおよび機械学習(ML)ベースのハイブリッドモデルを示す。より具体的には、
図2で使用されるモデル構造が製造設備での最適な生産のために、反応器内への上記のような気体または固体/液体供給物の供給速度を調整できるようにするために、反応器内で起こる化学プロセスをシミュレートする。
図2はハイブリッドモデル(220)への入力(202、203)を示し、その出力(213)は、推定モデル(250)によって受信される。
図2のこれらの構成要素のそれぞれについて、以下で詳細に説明する。
【0029】
1つ以上の実施形態では、ハイブリッドモデル(220)が第1原理モデル(230)およびデータ駆動型のモデル(240)からなる。第1原理モデル(230)は質量及びエネルギーの保存則、運動則、熱力学則などの第1原理を使用する運動モデルであり、これらの自然の法則を使用して化学プロセスの本質的な動力学を捕捉することができる。モデル化することができるデータを表す経験的定式化が、第1原理モデル(230)に導入される。第1原理モデルの全体的な精度は、これらの経験的関係に依存する。1つ以上の実施形態では、第1原理モデル(230)が入力パラメータ化データ(203)に基づいて基質濃度を出力する。入力パラメータ化データ(203)は、ガス供給物、固体/液体供給物、バイオマス、追加の化学物質濃度、基質のいずれかの供給物流量、基質の成長速度、体積、生産物濃度などに関連するパラメータまたは変数のいずれかの推定値である。入力ギャザーD(202)は温度および供給流量などのオンラインセンサ測定値とともに、上述のような化学プロセスを実施するために反応器によって保持される材料であり得る。
【0030】
1つ以上の実施形態では、第1原理モデル(230)および入力パラメータ化データ(203)が推定される。具体的には、出力濃度の正確な予測を得るためには入力パラメータ化データ(203)の正確なパラメータ推定値が不可欠である。入力パラメータ化データ(203)が読み出され、平滑化され、成長速度が計算され、SSE(二乗和誤差)が最小化される。推定成長速度パラメータとODEパラメータ推測を用いて、最適化パラメータが計算される。最適化されたパラメータは、最適化ソルバーを用いて微分方程式を解くことによって推定される。1つ以上の実施形態において、ハイブリッドモデル(220)は、以下の式のうちの1つ以上を採用することができる:
【0031】
【0032】
式中、Vは体積であり、Finは反応器への基質の供給流量であり、Pは生産物濃度であり、iは中間濃度であり、Bはバイオマスであり、S1およびS2は基質濃度であり、YB/S1、YB/S2およびYB/iは各構成要素に関連するバイオマスの収率係数を指し、μIは各構成要素の増殖速度である。αiは生産物の増加に関与する成長速度に関連する係数であり、kiはIおよびS2に関連する成長速度用語を表し、βは、Pの増加に関与する非成長用語を表す。成長速度kiに関連する係数は、以下のようにアレニウスの式を通して温度依存性を組み込むことに留意されたい:
【0033】
【0034】
ここで、ciは頻度因子であり、Eaiは活性化エネルギーであり、Rは普遍気体定数であり、Tは温度である。
【0035】
1つ以上の実施形態では、本明細書で開示される実施形態によって採用される第1原理モデル(230)が文献研究および実験エビデンスから取得されたプロセス知識に基づいて、追加の構成要素およびパラメータをその式に追加することによって増補される、改善された第1原理モデルである。X1が基質の消費量を増加させ、生産量を増加させることが知られている触媒である場合、触媒の添加の影響を説明するために、基質および生産物の式に加えて、酸素が果たす役割と同様の役割を果たすことが期待されるX2の追加の状態を組み込んだ。
【0036】
【0037】
ここで、p1およびp2は、それぞれ基質2および生産物の式において、消費量および生成の用語としてX1を組み込むことを可能にする経験的係数である。X2maxは特定のバッチ運転中のX2の最高値であり、kLaおよびqX2は、それぞれ、X2の物質移動係数および取り込み速度である。
【0038】
改善された第1原理モデルにおける、その出力に高度に影響する重要なパラメータは、ローカルおよびグローバル感度分析を実施することによって識別される。基質に関連する収率係数、最大比成長速度、および構成要素の半分の速度などのパラメータは、感度分析から同定される時間変化パラメータである。これらは、データクラスタリングアプローチを用いて推定され、化学プロセスの挙動のより正確な予測を得るために、データ駆動型のモデルを用いて近似される。これらの得られたパラメータはデータ駆動型のモデル(240)の出力であり、改善された第1原理モデル(230)において使用される。
【0039】
出力濃度に対するパラメータと初期条件の影響を理解するために感度分析が実施される。具体的には、感度分析が入力パラメータ化データに対する出力の差に基づいて感度行列を計算することによって実施され得る。1つ以上の実施形態において、感度行列は、以下に示される通りである。
【0040】
【0041】
各出力濃度について、D-最適化基準値が計算され、それらの値の降順に基づいてパラメータセットが選択される。出力濃度のすべてを考慮して、複合感度分析も実施される。複合分析においては、特定の出力に対して他の出力の数倍の重み付けが割り当てられる。例えば、基質S2および生産物Pは、他の出力濃度と比較して5倍の重み付けを与えられ得る。
【0042】
感度分析の結果に基づいて、最も重要な入力パラメータ化データが選択され、データクラスタが形成される。これらのパラメータはこれらのクラスタ内で推定されて、どのパラメータが時間変化するかを決定し、出力濃度の改善された予測のためにニューラルネットワーク内で使用するための候補となる。時変パラメータ(212)は、クラスタリング結果に基づいて選択される。
【0043】
上述のように、ハイブリッドモデル(220)は、入力を第1原理モデル(230)で使用される時変パラメータと関連付けるデータ駆動型のモデル(240)を採用し得る。1つ以上の実施形態では、データ駆動型のモデル(240)がディープニューラルネットワーク(DNN)であり得る。ニューラルネットワークに関して、たとえば、ニューラルネットワークは1つ以上の隠れレイヤーを含み得、隠れレイヤーは1つ以上のニューロンを含む。ニューロンは、人間の脳のニューロン上に緩くパターン化されたモデリングノードまたはオブジェクトであり得る。特に、ニューロンはデータ入力を係数のセット、すなわち、データ入力を調整するためのネットワーク重み付けのセットと組み合わせ得る。これらのネットワーク重み付けは特定のデータ入力の値を増幅または低減し、それによって、モデル化されるタスクのための様々なデータ入力にある量の有意性を割り当てることができる。機械学習を通して、ニューラルネットワークはニューラルネットワークの1つ以上の指定された出力を決定する際に、どのデータ入力がより高い優先度を受信すべきかを決定することができる。同様に、これらの重み付けされたデータ入力は、この合計がニューロンの活性化関数を介してニューラルネットワーク内の他の隠れレイヤーに伝達されるように合計され得る。したがって、活性化関数はニューロンの出力が他のニューロンに進行するかどうか、およびどの程度まで進行するかを決定することができ、その場合、出力は、次の隠れレイヤーへの入力として使用するために再び重み付けされ得る。
【0044】
再帰型ニューラルネットワークに目を向けると、再帰型ニューラルネットワーク(RNN)は入力シーケンス内の複数のデータ要素(たとえば、ウェルログデータのシーケンス)に対して特定のタスクを反復的に実施し得、再帰型ニューラルネットワークの出力は、過去の計算に依存する。したがって、再帰型ニューラルネットワークは、現在のデータ入力に関して現在のセル計算によって使用するための情報を提供するメモリまたは隠れセル状態で動作することができる。例えば、再帰型ニューラルネットワークはRNNセルの鎖状構造に類似し得、異なる種類の再帰型ニューラルネットワークは異なる種類の反復RNNセルを有し得る。同様に、入力シーケンスは時系列データであってもよく、隠れセル状態は予測または訓練操作中の異なる時間ステップにおいて異なる値を有する可能性がある。たとえば、ディープニューラルネットワークが各隠れレイヤーにおいて異なるパラメータを使用し得る場合、再帰型ニューラルネットワークは、複数の時間ステップにわたって実行され得る、RNNセル中の共通パラメータを有し得る。再帰型ニューラルネットワークを訓練するために、バックプロパゲーションアルゴリズムなどの、監督された学習アルゴリズムも使用され得る。いくつかの実施形態では、バックプロパゲーションアルゴリズムはバックプロパゲーションスルータイム(BPTT)アルゴリズムである。同様に、BPTTアルゴリズムは、様々なディープニューラルネットワークを訓練するために使用されるのと同様の方法で、再帰型ニューラルネットワーク内の様々な隠れレイヤーおよびニューロンを更新するための勾配を決定することができる。いくつかの実施形態では、再帰型ニューラルネットワークが深層強化学習アルゴリズムなどの強化学習アルゴリズムを使用して訓練される。強化学習アルゴリズムの詳細については、以下の説明を参照する。
【0045】
実施形態は、異なる種類のRNNを用いて企図される。例えば、古典的なRNN、長短期メモリ(LSTM)ネットワーク、ゲート型再帰ユニット(GRU)、複数の隠れLSTM層を含むスタック型LSTM(すなわち、各LSTM層は複数のRNNセルを含む)、アテンションを伴う再帰型ニューラルネットワーク(すなわち、機械学習モデルは入力シーケンス内の特定の要素に注目し得る)、双方向再帰型ニューラルネットワーク(例えば、前方レイヤーおよび後方レイヤーなどの別個の隠れレイヤーを伴う、両時間方向において同時に訓練され得る機械学習モデル)、ならびに多次元LSTMネットワーク、グラフ再帰型ニューラルネットワーク、グリッド再帰型ニューラルネットワークなどである。LSTMネットワークに関して、LSTMセルは例えば、1つのLSTMセルの出力から別のLSTMセルの入力への情報のベクトルを運ぶ様々な出力ラインを含むことができる。したがって、LSTMセルは、複数の隠れレイヤーと、ベクトル加算などの計算を実施する様々なポイントワイズ操作ユニットとを含み得る。
【0046】
さらに、LSTMネットワークのサイズは、特定のアプリケーションに依存し得る。単純な地質層の場合、限られた数の隠れレイヤーが必要とされ得る。複雑な地質構造の場合、多数の隠れレイヤーを使用して、リザバーの様々な設定および複雑さに対処することができる。
【0047】
強化学習に目を向けると、強化学習アルゴリズムは、一連の決定を行うために機械学習モデルを訓練することができる。例えば、再帰型ニューラルネットワークはおそらく不確実で潜在的に複雑な環境において所定の目的を達成するために、強化学習アルゴリズムによって訓練され得る。特に、所定の目的は、ウェルボア内のログツールのためのログパラメータの最適なセット、特定のウェル経路を生成するための掘削パラメータの最適なセット、及び/又は1つ以上の地下層の正確な地質学的モデルであってもよい。それゆえ、強化学習アルゴリズムは、試行錯誤手順を採用し、複雑な問題に対する解を決定することができる。例えば強化学習アルゴリズムは、機械学習モデルがウェルログデータから学習された情報を保持することを依然として可能にする一方で、再帰型ニューラルネットワークが特定のルールに従うことを教示する報酬関数を含み得る。再帰型ニューラルネットワークの訓練において、いくつかの実施形態は複数の再帰型ネットワーク、例えば、良好なログデータを予測することを学習する事前訓練されたRNNと、事前訓練されたRNNのための規則を予測するよう訓練された報酬RNNとを記憶することを含む。
【0048】
いくつかの実施形態では、深層強化学習アルゴリズムはLSTMネットワークと組み合わせて操作する。深層強化学習アルゴリズムは地層のウェル間LWDイメージングを改善するために、ウェル経路の位置および方向の最適化に使用され得る。強化学習アルゴリズムによって更新される隠れレイヤーのサイズは、表面下構造の複雑さに依存し得る。表面下構造がより複雑であるほど、LSTM網目構造は、ウェル間領域内で画像データを正確に予測することができる。
【0049】
いくつかの実施形態では、他の種類の機械学習アルゴリズム(例えば、機械学習アルゴリズム)を使用して、バックプロパゲーションアルゴリズムなどのモデルを訓練することができる。バックプロパゲーションアルゴリズムでは、入力層に最も近い層に進む出力層に最も近い層とは逆に、ニューラルネットワークの各隠れレイヤーに対して勾配が計算される。したがって勾配は、誤差関数(「損失関数」とも呼ばれる)に基づいて、それぞれの隠れレイヤーの重みの転置を使用して計算され得る。誤差関数は平均二乗誤差関数、類似性関数などの様々な基準に基づくことができ、誤差関数は電子モデルにおける重み付け調整のためのフィードバック機構として使用され得る。バックプロパゲーションアルゴリズムの一例は、Levenberg-Marqardtアルゴリズムである。いくつかの実施形態では、機械学習モデルが複数のエポックを使用して訓練される。例えばエポックは、訓練データセットの一部または全部を通じたモデルの繰り返しであってもよい。したがって、単一の機械学習エポックは訓練データの特定のバッチに対応し得、ここで訓練データは、複数のエポックのために複数のバッチに分割される。それゆえ、機械学習モデルは、モデルが所定のレベルの予測精度を達成するまで、エポックを使用して繰り返し訓練され得る。それゆえ、モデルのより良好な訓練は、訓練されたモデルによるより良好な予測につながり得る。
【0050】
図2について続けると、1つ以上の実施形態では、データ駆動型のDNNモデルがクラスタリングデータセットから計算される推定パラメータ値を用いて事前訓練される。ニューラルネットワーク構造が設定されると、出力y、誤差e、およびヤコビ行列が計算される。ニューラルネットワークの重み付けおよびバイアスは、誤差関数、例えばLevenberg-Marqardtアルゴリズム、を使用して、二乗和誤差(SSE)の許容誤差が所定の値未満になるまで、繰り返し更新される。DNNの重み付けおよびバイアスは、以下のようにLevenberg-Marqardtアルゴリズムを使用して勾配を計算することによって更新される:
【0051】
【0052】
出力yは再計算され、プロセスは誤差e<許容範囲となるまで続行される。
【0053】
【0054】
1つ以上の実施形態では、ハイブリッドモデル(220)の出力ギャザーB(213)が入力ギャザーD(202)とともに、推定モデル(250)に供給される。ハイブリッドモデルの出力ギャザーB(213)は、生産物量および/または収益性の最大化をもたらす化学プロセスの最適条件または条件候補を表す。オブザーバーモデル(250)は、第1原理モデル(230)よりも正確に全ての濃度及びレベルを推定するモデルである。1つ以上の実施形態では、推定モデルが化学システムの反応器に供給される基質の出力濃度を推定するために、以下の式のうちの1つ以上を使用してもよい。
【0055】
【0056】
ここで、x、y、uはそれぞれ反応器系の状態ベクトル、出力ベクトル、入力ベクトルである。x^、y^はそれぞれ推定モデルから得られた状態ベクトル、出力ベクトルの推定値である。A、B、Cはそれぞれ反応器系の状態-空間モデルにおける状態行列、入力行列、及び出力行列である。Kは、推定モデルのゲイン行列である。
【0057】
図3に移ると、
図3は1つ以上の実施形態によるフローチャートを示す。具体的には、
図3が生産設備の化学プロセスをシミュレートするための出力濃度およびレベルを予測するために人工知能を使用する一般的な方法を説明する。
図3の1つ以上のブロックは
図1および
図2で説明したように、1つ以上の構成要素(たとえば、
図1の情報処理デバイス210)によって実施され得る。
図3の様々なブロックが順次提示され、説明される一方で、ブロックの一部または全部が異なる順序で実行され得、組み合わせられ得、または省略され得、ブロックの一部または全部が並行して実行され得ることを、当業者は理解しているであろう。さらに、ブロックは、能動的または受動的に実施され得る。
【0058】
最初に、ブロック300において、生産設備で生産される化学生産物に関連する入力ギャザーが得られる。入力ギャザーは、触媒、反応物、酵素、酵素-基質、モノマー、活性化剤、微生物、バイオマス、食物源、ガス、溶媒、またはそれらの組み合わせなどの化学生産物を生産するために、反応器によって保持される材料であり得る。次に、ブロック310において、化学生産物を生産するための化学プロセスに関するパラメータ化データが取得される。パラメータ化データは、基質の供給速度、基質の成長速度、反応器容積、各基質に関連する収率、添加基質の化学濃度などを含み得る。
【0059】
ブロック300および310で得られた入力データを使用して、第1原理モデルおよびDNNモデルを採用して、ブロック320における最適な生産物生産のための生産物量および/または収益性を最大化する最適条件を導出するハイブリッドモデルを使用する、化学プロセスのための予測出力ギャザーが生成される。ハイブリッドモデルは、考案された最適条件に基づいて制御され得る。すなわち、ハイブリッドモデル内のDNNモデルは、SSEの許容範囲が所定値未満になるまで繰り返し更新され得る。
【0060】
ブロック325において、推定関数またはモデルを使用して、ハイブリッドモデルの出力、すなわち化学プロセスのハイブリッドモデルシミュレーションから得られた化学プロセスの最適条件、に基づいて、化学プロセスにおける基質の重要な濃度を推定する。この段階では
図3には示されていないが、ハイブリッドモデルの推定濃度および出力は、オペレータが観察しそれに応じて行動するために、GUIダッシュボードまたは他のディスプレイ上に表示され得る。当該GUIダッシュボードの一例を以下に説明し、
図4に示す。推定関数またはモデルはハイブリッドモデルに基づくオープンループマルチレートオブザーバーを採用し、ここでは、測定が利用可能であるときに状態が再初期化される。
【0061】
1つ以上の実施形態では、推定モデルが生産設備の現在のステータスを推定するようにさらに構成される。生産設備の現在のステータスは、発酵ステータスおよび/または現在の操業コストに関する情報を利用して、現在のバッチプロセス実行の品質、すなわち健全、中間、または注意が必要/不健全などを表す、生産設備の健全性ステータスを示し得る。
【0062】
ブロック330では、1つ以上の実施形態に従って、1つ以上の出力ギャザーおよび/または推定基質濃度に基づいて、1つ以上の指令がシステム(
図1の100)に送信される。1つ以上の実施形態では、コマンドが
図1に関して説明した化学プロセスのための新しい導出された最適条件を設定する。コマンドは例えば、GUI上に表示されたデータに基づいて、反応器(110)への供給速度をどのように調整するかを決定するオペレータによって送信され得る。あるいは1つ以上の実施形態では、コマンドがGUIに表示された結果に基づいて、情報処理デバイス(210)によって自動的に送信され得る。1つ以上の再帰型ニューラルネットワークの出力に基づいて、コマンドは、特定のパラメータ値に対応して形成され得る。それゆえ、コマンドは例えば、システム(100、210)によって生成される制御信号、または反応器(110)への物質の供給速度を調整するネットワークメッセージであり得る。
【0063】
シミュレートされた化学プロセスおよび導出された最適条件は、基質および触媒の供給速度、ならびに反応器の温度を調整するために使用され、その結果、化学生産物を生産する生産設備の生産物量および/または収益性を最大化する能力がもたらされる(ブロック340)。生産物の量を最大にし、かつ/またはコストを最小にし、基質濃度を所望の設定点に維持して、他のすべての植物制約を考慮しながら、最適化問題が解決され得る。その結果、生産設備の生産の増加および操業コストの低下がもたらされる。
【0064】
上述のように、
図3のブロック325と330との間で、予測された出力ギャザー(複数可)および推定された基質濃度が、オペレータ観察のために表示され得る。
図4は、化学プロセスのハイブリッドモデルシミュレーションからの結果を表示するために使用され得るグラフィカルユーザインタフェース(GUI)(400)の一例を示す。GUIは化学プロセスの健全性をチェックし、反応器への基質の供給速度のための最適条件を設定するための情報をオペレータに提供するダッシュボードであり得る。1つ以上の実施形態では、GUIが表示されたデータの2つの領域(エリア)、すなわち現在ステータス監視領域(GUIの左側面)と、生産設備の最適条件を表示する領域(GUIの右側)とを含む。
【0065】
現在ステータス監視領域は、生産設備の反応器への現在の基質流量を示すグラフを表示することができる。生産設備の現在の健全ステータスを示すアイコンを、基質速度、時間、および基質の推定濃度とともに示すこともできる。
【0066】
ディスプレイの最適条件領域は化学生産物の化学プロセスおよび生産を最適化するために、基質濃度および他の条件(例えば、温度など)がどのように設定されるべきかを、コンピュータプロセッサまたは生産設備のオペレータに示すことができる。最適条件領域は、電流基質濃度および他の条件を、ハイブリッドモデルおよび推定モデル予測および推定に基づく最良/最適速度および値と比較することができる。最適条件領域はまた、1つ以上の実施形態では、グラフに示されるように、最適な目標レートを得るために必要とされる補正および補正後の値を提供する。
【0067】
当業者は
図4のGUI(400)が表示されたエリア、プロット、アイコン、および基質の特定の濃度情報の特定の割合で示されているが、このGUIは例示のみを目的とするものであり、本明細書に開示される実施形態はGUIのこの特定の構成、または示されている基質および濃度に限定されないことを理解するのであろう。
【0068】
図5は、Levenberg-Marquardtアルゴリズムを使用するハイブリッドモデルにおいてDNNを訓練する例示的なフローチャートを示す。これは、DNNのパラメータが最適化される繰り返し手順である。第1のステップ(ブロック500)では、DNNのパラメータが定義され、対応するハイブリッドモデル出力が計算される。第2のステップ(ブロック502)では、予測モデル出力と実際の出力との間の誤差が計算される。第3のステップ(ブロック504)において、ヤコビ行列は、DNNの各パラメータに対する誤差値の感度を導出することによって計算される。第4のステップ(ブロック506)では、DNNパラメータが更新され、モデル出力が再び予測される。誤差値(ブロック508)は、予測モデル出力を使用して計算され、前の誤差値と比較される。誤差値が前の誤差値以下である場合、複合係数(すなわち、μ
Train)は、β(ブロック510)の係数だけ減少される。誤差値が前の誤差値よりも大きい場合、複合係数(すなわち、μ
Train)は、β(ブロック511)の係数だけ増加される。
図5に示されるこの繰り返し手順は、誤差値が所望の最小値に達するまで反復される(ブロック512)。
【0069】
本明細書に開示される実施形態は、任意の適切なコンピューティングデバイス上で実装され得る。具体的には、情報処理デバイス(210)が化学プロセスのシミュレーションのためにデータを処理し、ハイブリッドモデルを実行することが可能な任意の適切なコンピューティングデバイスであり得る。
図6は、情報処理デバイス210として実装され得る例示的なコンピューティングデバイスを示す。具体的には、
図6が一実装形態による、本開示で説明される、説明されるアルゴリズム、方法、機能、プロセス、フロー、および手順に関連する計算機能を提供するために使用されるコンピュータシステム(602)のブロック図である。
【0070】
図示のコンピュータ(602)は、高性能コンピューティング(HPC)デバイス、サーバ、デスクトップコンピュータ、ラップトップ/ノートブックコンピュータ、ワイヤレスデータポート、スマートフォン、携帯情報端末(PDA)、タブレットコンピューティングデバイス、これらの装置内の1つ以上のプロセッサ、または任意の他の適切なコンピューティングデバイスなど、任意のコンピューティングデバイスを包含することが意図され、それらはいずれも、コンピューティングデバイスの物理インスタンスまたは仮想インスタンス(またはその両方)を備える。加えて、コンピュータ(602)は、利用者情報を受け入れることができるキーパッド、キーボード、タッチスクリーン、または他のデバイスなどの入力デバイスと、デジタルデータ、視覚もしくは音声情報(もしくは情報の組合せ)、またはGUIを備える、コンピュータ(602)の操作に関連する情報を伝達する出力デバイスと、を含むコンピュータを含み得る。
【0071】
コンピュータ(602)は、クライアント、ネットワークコンポーネント、サーバ、データベースもしくは他のパージステンス、または本開示に記載される主題を実施するためのコンピュータシステムの任意の他の構成要素(または役割の組合せ)としての役割を果たすことができる。図示のコンピュータ(602)は、ネットワーク(630)と通信可能に結合される。いくつかの実装形態では、コンピュータ(602)の1つ以上の構成要素がクラウドコンピューティングベースの環境、ローカル環境、グローバル環境、または他の環境(または環境の組合せ)を備える環境内で動作するように構成され得る。
【0072】
高レベルでは、コンピュータ(602)が説明される主題に関連するデータおよび情報を受信、送信、処理、記憶、または管理するように動作可能な電子コンピューティングデバイスである。いくつかの実装形態によれば、コンピュータ(602)はまた、アプリケーションサーバ、電子メールサーバ、ウェブサーバ、キャッシングサーバ、ストリーミングデータサーバ、ビジネスインテリジェンス(BI)サーバ、または他のサーバ(またはサーバの組合せ)を含み得るか、またはそれらと通信可能に結合され得る。
【0073】
コンピュータ(602)はクライアントアプリケーション(例えば、別のコンピュータ(602)上で実行する)からネットワーク(630)を介して要求を受信し、適切なソフトウェアアプリケーションにおいて前記要求を処理することによって、受信した要求に応答することができる。さらに、申請は内部ユーザ(例えば、コマンドコンソールから、または他の適切なアクセス方法によって)、外部または第三者、他の自動アプリケーション、ならびに任意の他の適切なエンティティ、個人、システム、またはコンピュータからコンピュータ(602)に送信されてもよい。
【0074】
コンピュータ(602)の各構成要素は、システムバス(603)を使用して通信することができる。いくつかの実装形態では、コンピュータ(602)の構成要素のいずれかまたはすべては、ハードウェアまたはソフトウェアの両方(またはハードウェアとソフトウェアの組合せ)で、アプリケーションプログラミングインターフェース(API)(612)またはサービスレイヤー(613)(またはAPI(612)とサービスレイヤー(613)の組合せ)を使用するシステムバス(603)を介して、互いにまたはインターフェース(604)(または両方の組合せ)と連携し得る。API(612)は、ルーチン、データ構造、およびオブジェクトクラスの仕様を含み得る。API(612)は、コンピュータ言語に依存しないものでも依存するものでもあり得、完全なインターフェース、単一機能、またはAPIのセットをも指す。サービスレイヤー(613)は、コンピュータ(602)、またはコンピュータ(602)に通信可能に結合された他の構成要素(図示の有無問わず)にソフトウェアサービスを提供する。コンピュータ(602)の機能は、このサービスレイヤーを使用するすべてのサービス消費者にとってアクセス可能であり得る。サービスレイヤー(613)によって提供されるようなソフトウェアサービスは、定義されたインターフェースを介して再利用可能な定義されたビジネス機能を提供する。例えばインターフェースは、JAVA、C++、または拡張マークアップ言語(XML)フォーマットまたは他の適切なフォーマットでデータを提供する、他の適切な言語、で書かれたソフトウェアであってもよい。コンピュータ(602)の統合的な構成要素として示されている一方で、別の実装形態は、コンピュータ(602)の他の構成要素またはコンピュータ(602)に通信可能に結合されている他の構成要素(図示の有無問わず)に関連して、API(612)またはサービスレイヤー(613)をスタンドアロン構成要素として示し得る。さらに、API(612)またはサービスレイヤー(613)の任意のまたはすべての部分は、本開示の範囲から逸脱することなく、別のソフトウェアモジュール、企業アプリケーション、またはハードウェアモジュールの子モジュールまたはサブモジュールとして実装され得る。
【0075】
コンピュータ(602)は、インターフェース(604)を含む。
図6では単一のインターフェース(604)として示されているが、コンピュータ(602)の特定の必要性、要望、または特定の実装形態に従って、2つ以上のインターフェース(604)が使用され得る。インターフェース(604)は、ネットワーク(630)に接続された分散環境内の他のシステムと通信するためにコンピュータ(602)によって使用される。一般に、インターフェース(604)は、ソフトウェアまたはハードウェア(またはソフトウェアとハードウェアの組合せ)にエンコードされ、ネットワーク(630)と通信する操作が可能なロジックを含む。より具体的には、インターフェース(604)は通信に関連する1つ以上の通信プロトコルをサポートするソフトウェアを含み得、それによりネットワーク(630)またはインターフェースのハードウェアが、図示のコンピュータ(602)の内部および外部で物理的シグナルを通信する操作が可能である。
【0076】
コンピュータ(602)は、少なくとも1つのコンピュータプロセッサ(605)を含む。
図6では単一のコンピュータプロセッサ(605)として示されているが、コンピュータ(602)の特定の必要性、要望、または特定の実装形態に従って、2つ以上のプロセッサが使用され得る。一般に、コンピュータプロセッサ(605)は命令を実行し、データを操縦して、コンピュータ(602)の操作ならびに本開示で説明する任意のアルゴリズム、方法、機能、プロセス、フロー、および手順を実施する。
【0077】
コンピュータ(602)はまた、ネットワーク(630)に接続され得るコンピュータ(602)または他の構成要素(または両方の組合せ)のためのデータを保持するメモリ(606)を含む。例えば、メモリ(606)は、本開示と一致するデータを記憶するデータベースであり得る。
図6では単一のメモリ(606)として示されているが、コンピュータ(602)の特定の必要性、要望、または特定の実装形態、および説明された機能に従って、2つ以上のメモリが使用され得る。メモリ(606)はコンピュータ(602)の統合的な構成要素として示されているが、別の実装形態ではメモリ(606)がコンピュータ(602)の外部にあり得る。
【0078】
アプリケーション(607)は、特に本開示で説明する機能に関して、コンピュータ(602)の特定の必要性、要望、または特定の実装形態に従って機能を提供するアルゴリズムソフトウェアエンジンである。たとえば、アプリケーション(607)は、1つ以上の構成要素、モジュール、アプリケーションなどとして働くことができる。さらに、単一のアプリケーション(607)として示されているが、アプリケーション(607)はコンピュータ(602)上の複数のアプリケーション(607)として実装され得る。加えて、コンピュータ(602)に統合的に示されているが、別の実装形態ではアプリケーション(607)がコンピュータ(602)の外部にあり得る。
【0079】
各コンピュータ(602)がネットワーク(630)を介して通信する、コンピュータ(602)を含むコンピュータシステムに関連付けられるか、またはその外部に、任意の数のコンピュータ(602)があり得る。さらに、用語「クライアント」、「ユーザ」、および他の適切な用語は、本開示の範囲から逸脱することなく、必要に応じて互換的に使用され得る。さらに、本開示は、多数のユーザが1つのコンピュータ(602)を使用し得ること、または1人のユーザが複数のコンピュータ(602)を使用し得ることを企図する。
【0080】
いくつかの実施形態において、コンピュータ(602)はクラウド計算システムの一部として実装される。たとえば、クラウドコンピューティングシステムはクラウドストレージユニットおよびエッジサーバなどの様々な他のクラウドコンポーネントとともに、1つ以上のリモートサーバを含み得る。特に、クラウドコンピューティングシステムはユーザデバイスまたはローカルコンピュータシステムによる直接的なアクティブ管理なしに、1つ以上のコンピューティング動作を実施することができる。したがって、クラウドコンピューティングシステムは、1つ以上のインターネット接続を使用して実施され得る、中央サーバから複数のロケーションにわたって分散される異なる機能を有し得る。より具体的には、クラウドコンピューティングシステムは、サービスとしてのインフラストラクチャ(IaaS)、サービスとしてのプラットフォーム(PaaS)、サービスとしてのソフトウェア(SaaS)、サービスとしての携帯「バックエンド」(MBaaS)、サーバレスコンピューティング、サービスとしての人工知能(AI)(AIaaS)、および/またはサービスとしての機能(FaaS)などの、1つ以上のサービスモデルに従って操作する。
【0081】
「メジャー」という用語は、ストリーム中の化合物または化合物のクラスの重み付けについて、約50%、例えば約80%の量を意味し得る。
【0082】
「実質的に」という用語は、ストリーム中の化合物または化合物のクラスのモル数について、約80%、例えば約90%、または約99%の量を意味し得る。
【0083】
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される場合、単語「含む(comprise)」、「有する(has)」、および「備える(include)」およびその文法的変形はそれぞれ、追加の要素またはステップを排除しない、開かれた非限定的な意味を有することを意図する。
【0084】
「任意に」は、その後に記載される事象または状況が起こっても起こらなくてもよいことを意味する。当該記載は、事象または状況が発生する場合と、発生しない場合とを含む。
【0085】
用語「およそ(approximately)」または「約(about)」が使用される場合、この用語は、±10%まで、5%まで、2%まで、1%まで、0.5%まで、0.1%まで、または0.01%までの値の変動があり得ることを意味し得る。
【0086】
範囲は、1つの概ねの特定値から別の概ねの特定値(両端を含む)までとして表すことができる。そのような範囲が表現される場合、別の1つ以上の実施形態は、その範囲内のすべての特定値およびそれらの組合せとともに、1つの特定値から別の特定値までであることを理解されたい。
【0087】
いくつかの例示的な実施形態を詳細に説明してきたが、当業者は本開示から実質的に逸脱することなく、例示的な実施形態において多くの修正が可能であることを容易に理解するのであろう。1つ以上の開示された実施形態のすべての変形は、以下の特許請求の範囲で定義される本開示の範囲内に含まれることが意図される。請求項において、ミーンズ・プラス・ファンクション条項は、列挙された機能を実施するものとして前述された構造、ならびに構造的等価物だけでなく、等価な構造もカバーすることが意図される。出願人の明示的な意図としては、クレームが関連する機能と共に「・・・を意味する(means for)」という語を明示的に使用するものを除き、クレームのいずれかの限定に対して35 U.S.C. § 112(f)に訴えないことである。
【0088】
以下の特許請求の範囲の1つ以上は、移行句として「where」または「in which」という用語を利用することに留意されたい。本技術を定義する目的のために、この用語は構造の一連の特性の列挙を導入するために使用されるオープンエンド移行句として特許請求の範囲に導入され、より一般的に使用されるオープンエンドプリアンブル用語「含む(comprising)」と同様に解釈されるべきであることに留意されたい。本技術を定義する目的のために、移行句「からなる(consisting of)」は、特許請求の範囲において、特許請求の範囲の範囲を、列挙された構成要素またはステップおよび任意の天然に存在する不純物に限定するクローズドプリアンブル用語として導入され得る。本技術を定義する目的のために、移行句「から本質的になる(consisting essentially of)」は特許請求の範囲において、1つ以上の請求項の範囲を、記載された要素、構成要素、材料、または方法ステップ、ならびに、請求された主題の新規な特徴に実質的に影響を及ぼさない任意の非記載の要素、構成要素、材料、または方法ステップに限定するために導入され得る。移行句「からなる(consisting of)」および「から本質的になる(consisting essentially of)」は、「含む(comprising)」および「備える(including)」などのオープンエンド移行句の小集合と解釈され得、それにより一連の要素、構成要素、材料またはステップの記載を導入するためのオープンエンド語句の任意の使用が、「からなる(consisting of)」および「から本質的になる(consisting essentially of)」を使用する一連の要素、構成要素、材料またはステップの記載も開示する、と解釈されるべきである。例えば、「含む(comprising)」の構成要素A、BおよびCによる構成の列挙は、「からなる(consisting of)」の構成要素A、BおよびCの構成、ならびに「から本質的になる(consisting essentially of)」の構成要素A、BおよびCの構成を開示すると解釈されるべきである。本出願において表現される任意の定量的な値は、移行句「含む(comprising)」または「備える(including)」に一致するオープンエンドの実施形態を、移行句「からなる(consisting of)」および「から本質的になる(consisting essentially of)」に一致するクローズドのまたは部分的にクローズドの実施形態と同様に含むと考えられ得る。単語「含む(comprise)」、「有する(has)」、および「備える(include)」およびその文法的変形はそれぞれ、追加の要素またはステップを排除しない、開かれた非限定的な意味を有することを意図する。
【0089】
本開示の1つ以上の実施形態を限られた数の実施形態に関して説明してきたが、本開示の利益を享受する当業者は本開示の範囲から逸脱しない他の実施形態を考案できることを理解するのであろう。したがって、本開示の範囲は、添付の特許請求の範囲によってのみ限定されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【
図1】1つ以上の実施形態による、反応器と、コンピュータプロセッサを備える処理装置とを含む、システムを示す。
【
図2】1つ以上の実施形態によるハイブリッドモデルを示す。
【
図3】1つ以上の実施形態によるフローチャートを示す。
【
図5】1つ以上の実施形態によるハイブリッドモデルアルゴリズムの例示的なフローチャートを示す。
【
図6】1つ以上の実施形態によるコンピュータシステムを示す。
【国際調査報告】