(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-28
(54)【発明の名称】添加剤貯液ケース及び洗濯機
(51)【国際特許分類】
D06F 39/02 20060101AFI20231120BHJP
【FI】
D06F39/02 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023522944
(86)(22)【出願日】2021-10-13
(85)【翻訳文提出日】2023-04-25
(86)【国際出願番号】 CN2021123470
(87)【国際公開番号】W WO2022078369
(87)【国際公開日】2022-04-21
(31)【優先権主張番号】202011103683.5
(32)【優先日】2020-10-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521309570
【氏名又は名称】重慶海爾洗衣机有限公司
(71)【出願人】
【識別番号】520148792
【氏名又は名称】海爾智家股▲フン▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】HAIER SMART HOME CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】No.1 Haier Road, Laoshan District Qingdao, Shandong 266101 China
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】張開宏
(72)【発明者】
【氏名】程宝珍
(72)【発明者】
【氏名】孫广彬
(72)【発明者】
【氏名】劉尊安
(72)【発明者】
【氏名】李峰
【テーマコード(参考)】
3B166
【Fターム(参考)】
3B166AA01
3B166AA11
3B166AA15
3B166AE01
3B166AE02
3B166BA32
3B166BA33
3B166CA01
3B166CA02
3B166CA11
3B166CB01
3B166CB11
3B166CC10
3B166FA01
3B166FA12
3B166FB01
3B166FB02
3B166FB05
3B166FB08
(57)【要約】
添加剤貯液ケースは、添加剤を貯える貯液室(2)が内部に設けられたハウジング(1)を含む。貯液室(2)の底部には排液口(3)が設けられている。また、排液口(3)には、当該排液口(3)の開閉を制御する閉塞部材が設けられている。添加剤貯液ケースに排液構造を設けることで、添加剤貯液ケース内の残液について制御可能な外部への排出を実現する。これにより、アフターメンテナンス要員は、分解前に添加剤貯液ケース内の洗剤や柔軟剤等の残液を容易に排出させられるため、洗濯機のその他の部品の汚染が防止される。また、更に、上記の添加剤貯液ケースが装着された洗濯機に関する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
添加剤を貯える貯液室が内部に設けられたハウジングを含む添加剤貯液ケースであって、
貯液室の底部には排液口が設けられており、排液口には、当該排液口の開閉を制御する閉塞部材が設けられていることを特徴とする添加剤貯液ケース。
【請求項2】
前記閉塞部材は、ハウジングに取り外し可能に装着されて排液口を然るべく開閉するシールエンドキャップであることを特徴とする請求項1に記載の添加剤貯液ケース。
【請求項3】
貯液室内には、排液口から外部に引き出し可能な残液排出管が設けられており、残液排出管の一端は貯液室の内部と連通しており、他端は、ハウジングの外部まで延伸するとともに、取り外し可能なシールエンドキャップが接続されており、
好ましくは、ハウジングの外部に露出する残液排出管の一端にはシールエンドキャップが螺接されており、シールエンドキャップの外径は排液口の内径よりも大きくなっており、
好ましくは、残液排出管は上下に垂直に設けられるとともに、貯液室の底部に設けられる排液口から外部に引き出され、残液排出管の軸方向の長さは、貯液室の最大液面高さよりも大きく、貯液室の高さよりも小さいことを特徴とする請求項1に記載の添加剤貯液ケース。
【請求項4】
ハウジングの排液口には、残液排出管の外周を覆う接続部材が設けられており、接続部材には挿抜可能なピンが設けられており、残液排出管は、前記ピンが挿入されるとロックされ、ピンが抜かれるとロック解除され、
好ましくは、接続部材は、排液口から外部に向かって突出及び延伸する装着スリーブを含み、装着スリーブ内には、同軸に設置され、且つ同軸に相対的に摺動可能なブッシュが設けられており、前記ブッシュは残液排出管の外壁に覆接され、ブッシュの外壁には、外側に向かって径方向に突出する突出リブが設けられており、装着スリーブの内壁には、残液排出管の外部への伸出方向に沿って、径方向サイズが徐々に収縮する錐状の斜面が設けられており、突出リブは、錐状の斜面よりも貯液室の内部に近接して設けられ、突出リブの外周の径方向サイズは、錐状の斜面における最小の径方向サイズよりも大きいことを特徴とする請求項3に記載の添加剤貯液ケース。
【請求項5】
ブッシュの一端は、装着スリーブから突出して、ハウジングの外部に露出する突出部を構成しており、ブッシュの突出部の外周壁には、径方向に突出する固定リブが1周設けられており、固定リブの外周の径方向サイズは、装着スリーブの錐状の斜面における最小の径方向サイズよりも大きいことを特徴とする請求項4に記載の添加剤貯液ケース。
【請求項6】
固定リブと装着スリーブの端面との隙間には挿抜可能なピンが設けられており、ピンの厚さは、固定リブと装着スリーブの端面との隙間の幅よりも大きく、
好ましくは、前記ピンは、残液排出管の外周壁の径方向に沿って延伸する円弧状の挿接部を含み、挿接部の外周側には、径方向に突出及び延伸する把持部が設けられていることを特徴とする請求項5に記載の添加剤貯液ケース。
【請求項7】
ブッシュは残液排出管の外周に覆設される筒状構造をなしており、筒状のブッシュは、周方向に間隔を置いて並ぶ複数の円弧状構造を結合して構成され、各円弧状構造の下端は順に連なって一体部材を構成し、上端は弾性変形可能に設けられており、
好ましくは、筒状のブッシュの上端の最小内径は残液排出管の外径よりも小さく、筒状のブッシュの上端の最大内径は残液排出管の外径以上であり、
更に好ましくは、筒状のブッシュの内周壁には径方向に突出する張り出しリブが1周設けられており、前記張り出しリブは錐状の斜面よりも高くなるよう設けられ、張り出しリブの内径は残液排出管の外径と等しいことを特徴とする請求項4~6のいずれか1項に記載の添加剤貯液ケース。
【請求項8】
ハウジングの底部には、下方に突出して排液口を構成するジョイントが設けられており、ジョイントの上端は、ハウジングの内部と連通しており、装着スリーブがジョイントの下端に同軸に装着されており、ジョイント内には、残液排出管の外周に覆設されるとともに、ジョイントの内壁と密封状に接触するシールリングが装着されており、
好ましくは、ジョイントの中央部には、径方向に突出する環状のブロックリブが1周設けられており、環状のブロックリブは、貯液室の底壁よりも低くなるよう設けられ、環状のブロックリブの内径は残液排出管の外径と等しくなるよう設けられ、環状のブロックリブの下方のジョイント内にはシールリングが少なくとも1周設けられていることを特徴とする請求項4~6のいずれか1項に記載の添加剤貯液ケース。
【請求項9】
残液排出管の上端には径方向に突出するストッパ部が設けられており、ストッパ部の少なくとも一部と残液排出管の軸線との距離は、ジョイントの内径よりも大きいことを特徴とする請求項8に記載の添加剤貯液ケース。
【請求項10】
前記請求項1~9のいずれか1項に記載の添加剤貯液ケースが装着されていることを特徴とする洗濯機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衣類処理機の技術分野に属し、具体的には、洗濯機の添加剤貯液ケース構造に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、市場には、自動投入機能を備えた洗濯機が数多く存在する。洗濯機が添加剤の自動投入を実現せねばならないことから、洗濯機には添加剤貯液ケース構造を取り付ける必要がある。添加剤貯液ケース内には、投入しようとする添加剤を予め貯えておくために、洗剤や柔軟剤等の異なる添加剤をそれぞれ貯える貯液室が設けられている。洗濯機が相応の洗浄を実行する際には、貯液室から定量の添加剤を自動的に抽出し、洗濯機への給水と合わせて洗濯機の槽内へ投入及び流入させることで、添加剤を自動投入するとの目的を実現する。
【0003】
上記の洗濯機は、ユーザにとって使用しやすく、ユーザが洗濯機を操作するごとに添加剤を投入せねばならないという煩雑な手順を減少させる。しかし、ユーザは、日常的に洗濯機を使用するにあたり、大量の洗剤や柔軟剤等の添加剤を貯液室に投入することが多い。そのため、洗濯機に異常が発生して修繕や着脱が必要となった場合に、添加剤貯液ケースの内部に貯えられた洗剤や柔軟剤等の添加剤が漏出するとの事態が発生しやすい。特に、洗濯機を傾けたり逆さに置いたりしたい場合に、貯液ケース内に残る大量の添加剤が外部に漏出する。外部に漏出した添加剤は、ユーザの家屋の床を汚すだけでなく、洗濯機の取り外しや修繕作業の正常な進行にも影響を及ぼす。また、漏出した添加剤は、極めて容易に洗濯機の電気部品等を汚染して故障させる。
【0004】
上記に鑑みて、本発明を提案する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする技術的課題は、従来技術の瑕疵を解消するために、添加剤貯液ケースに残液排出構造を加え、添加剤貯液ケース内の残液を外部に排出するとの目的を実現することで、洗濯機の修繕時に添加剤貯液ケース内の液体が溢れるとの課題を解消する添加剤貯液ケースを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の発明の目的を実現するために、本発明で採用する技術方案の基本思想は以下の通りである。
【0007】
本発明は、添加剤貯液ケースを提供する。当該添加剤貯液ケースは、添加剤を貯える貯液室が内部に設けられたハウジングを含む。貯液室の底部には排液口が設けられている。貯液室の底部には排液口が設けられており、排液口には、当該排液口の開閉を制御する閉塞部材が設けられている。
【0008】
更に、前記閉塞部材は、従来技術におけるいずれかの構造、例えば、制御弁、取り外し可能なプラグ等の部材とすることができる。
【0009】
更に、前記閉塞部材は、ハウジングに取り外し可能に装着されて排液口を然るべく開閉するシールエンドキャップである。
【0010】
更に、シールエンドキャップは、ハウジングの排水口に取り外し可能に装着され、装着されると排液口を然るべく閉塞して排液口を閉じる。また、取り外されると、貯液室が排液口を通じて外部と連通することで、貯液室内の残液の外部への排出が実現される。
【0011】
更に、貯液室内には、排液口から外部に引き出し可能な残液排出管が設けられている。残液排出管の一端は貯液室の内部と連通しており、他端は、ハウジングの外部まで延伸するとともに、取り外し可能なシールエンドキャップが接続されている。好ましくは、ハウジングの外部に露出する残液排出管の一端には、シールエンドキャップが螺接されている。シールエンドキャップの外径は、排液口の内径よりも大きい。
【0012】
更に、残液排出管は上下に垂直に設けられるとともに、貯液室の底部に設けられる排液口から外部に引き出される。残液排出管の軸方向の長さは、貯液室の最大液面高さよりも大きく、貯液室の高さよりも小さい。
【0013】
更に、ハウジングの排液口には、残液排出管の外周を覆う接続部材が設けられており、接続部材には挿抜可能なピンが設けられている。残液排出管は、前記ピンが挿入されるとロックされ、ピンが抜かれるとロック解除される。
【0014】
更に、接続部材は、排液口から外部に向かって突出及び延伸する装着スリーブを含む。装着スリーブ内には、同軸に設置され、且つ同軸に相対的に摺動可能なブッシュが設けられている。前記ブッシュは残液排出管の外壁に覆接される。ブッシュの外壁には、外側に向かって径方向に突出する突出リブが設けられている。装着スリーブの内壁には、残液排出管の外部への伸出方向に沿って、径方向サイズが徐々に収縮する錐状の斜面が設けられている。突出リブは、錐状の斜面よりも貯液室の内部に近接している。また、突出リブの外周の径方向サイズは、錐状の斜面における最小の径方向サイズよりも大きい。
【0015】
更に、ブッシュの一端は、装着スリーブから突出して、ハウジングの外部に露出する突出部を構成している。ブッシュの突出部の外周壁には、径方向に突出する固定リブが1周設けられている。固定リブの外周の径方向サイズは、装着スリーブの錐状の斜面における最小の径方向サイズよりも大きい。
【0016】
更に、固定リブと装着スリーブの端面との隙間には挿抜可能なピンが設けられている。ピンの厚さは、固定リブと装着スリーブの端面との隙間の幅よりも大きい。好ましくは、前記ピンは、残液排出管の外周壁の径方向に沿って延伸する円弧状の挿接部を含む。挿接部の外周側には、径方向に突出及び延伸する把持部が設けられている。
【0017】
更に、ブッシュは残液排出管の外周に覆設される筒状構造をなしている。筒状のブッシュは、周方向に間隔を置いて並ぶ複数の円弧状構造を結合して構成される。各円弧状構造の下端は順に連なって一体部材を構成し、上端は弾性変形可能に設けられている。
【0018】
好ましくは、筒状のブッシュの上端の最小内径は残液排出管の外径よりも小さく、筒状のブッシュの上端の最大内径は残液排出管の外径以上である。
【0019】
更に好ましくは、筒状のブッシュの内周壁には、径方向に突出する張り出しリブが1周設けられている。前記張り出しリブは錐状の斜面よりも高くなるよう設けられる。また、張り出しリブの内径は残液排出管の外径と等しい。
【0020】
更に、添加剤貯液ケースのハウジングの底部には、下方に突出して排液口を構成するジョイントが設けられている。ジョイントの上端は、ハウジングの内部と連通しており、装着スリーブがジョイントの下端に同軸に装着されている。ジョイント内には、残液排出管の外周に覆設されるとともに、ジョイントの内壁と密封状に接触するシールリングが装着されている。
【0021】
好ましくは、ジョイントの中央部には、径方向に突出する環状のブロックリブが1周設けられている。環状のブロックリブは、貯液室の底壁よりも低くなるよう設けられる。また、環状のブロックリブの内径は残液排出管の外径と等しくなるよう設けられる。環状のブロックリブの下方のジョイント内にはシールリングが少なくとも1周設けられている。
【0022】
更に、残液排出管の上端には径方向に突出するストッパ部が設けられている。ストッパ部の少なくとも一部と残液排出管の軸線との距離は、ジョイントの内径よりも大きい。
【発明の効果】
【0023】
上記の技術方案を用いることで、本発明は従来技術と比較して以下の有益な効果を有する。
【0024】
1.本発明では、添加剤貯液ケースに上記の排液構造を設けることで、添加剤貯液ケース内の残液について制御可能な外部への排出を実現する。これにより、アフターメンテナンス要員は、分解前に添加剤貯液ケース内の洗剤や柔軟剤等の残液を容易に排出させられるため、洗濯機のその他の部品の汚染発生を防止するという顕著な技術的進歩が得られる。
【0025】
2.また、本発明では、外部に引き出し可能な残液排出管を添加剤貯液ケースに加えることで、添加剤貯液ケースの内部に残液排出管を隠匿可能に設けている。また、添加剤貯液ケースから外部に延伸する残液排出管を利用することで、添加剤貯液ケースの残液を残液排出管により導流可能である。これにより、添加剤貯液ケースの残液を容易に外部へ排出するという顕著な技術的進歩が実現される。
【0026】
3.更に、本発明では、添加剤貯液ケースの排水接続部材にピンを挿抜可能に装着することで、ピンの挿接後に残液排出管を固定して、相対的な伸縮をロックする。一方、ピンが抜かれると残液排出管がロック解除され、ユーザは、接続部材内のブッシュを押し上げることで残液排出管を自在に引き出し可能となる。これにより、残液排出管の引き出し及び伸縮の制御可能なロック及びロック解除という顕著な技術的進歩が実現される。
【0027】
本発明では、更に、上記いずれかで述べた添加剤貯液ケースが装着されている洗濯機について説明する。
【0028】
且つ、本発明は構造がシンプルであり、効果が著しく、利用普及に適している。
【0029】
以下に、図面を組み合わせて、本発明の具体的実施形態につき更に詳細に述べる。
【0030】
図面は、本発明の一部として、本発明の更なる理解のために用いられる。また、本発明の概略的実施例及びその説明は本発明の解釈のために用いられるが、本発明を不当に限定するものではない。なお、言うまでもなく、以下で記載する図面は実施例の一部にすぎず、当業者であれば、創造的労働を要さないことを前提に、これらの図面から更にその他の図面を得ることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】
図1は、本発明の一実施例における添加剤貯液ケースの概略構造図である。
【
図2】
図2は、本発明の別の実施例における添加剤貯液ケースの概略構造図である。
【
図3】
図3は、本発明の別の実施例における添加剤貯液ケースの底面視の概略構造図である。
【
図4】
図4は、本発明の実施例の
図3における残液排出管が伸出状態の場合のA-A断面の一部概略図である。
【
図5】
図5は、本発明の実施例の
図3における残液排出管が収縮状態の場合のA-A断面の一部概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
説明すべき点として、これらの図面及び文字記載は何らかの方式で本発明の構想の範囲を制限するとの意図ではなく、特定の実施例を参照して当業者に本発明の概念を説明するためのものである。
【0033】
本発明における実施例の目的、技術方案及び利点をより明瞭とすべく、以下では、本発明の実施例にかかる図面を組み合わせて、実施例の技術方案につき明瞭簡潔に述べる。なお、以下の実施例は本発明を説明するためのものであって、本発明の範囲を制限するものではない。
【0034】
本発明の記載において、説明すべき点として、「上」、「下」、「前」、「後」、「左」、「右」、「垂直」、「内」、「外」等の用語で示される方向又は位置関係は、図示に基づく方向又は位置関係であって、本発明の記載の便宜上及び記載の簡略化のためのものにすぎず、対象となる装置又は部材が特定の方向を有し、且つ特定の方向で構成及び操作されねばならないことを明示又は暗示するものではない。よって、本発明を制限するものと理解すべきではない。
【0035】
本発明の記載において、説明すべき点として、別途明確に規定及び限定しない限り、「装着する」、「連なる」、「接続する」との用語は広義に解釈すべきである。例えば、固定的な接続であってもよいし、取り外し可能な接続であってもよいし、一体的な接続であってもよい。また、機械的な接続であってもよいし、電気的な接続であってもよい。更には、直接的な連なりであってもよいし、中間媒体を介した間接的な連なりであってもよい。当業者であれば、具体的状況に応じて本発明における上記用語の具体的意味を解釈可能である。
【0036】
図1~
図5に示すように、本発明の実施例では、洗濯機用の添加剤貯液ケースについて説明する。当該添加剤貯液ケースは、添加剤を貯える貯液室2が内部に設けられたハウジング1を含む。貯液室2の底部には排液口3が設けられている。また、排液口3には、当該排液口3の開閉を制御する閉塞部材が設けられている。本発明の実施例において、前記閉塞部材は、従来技術におけるいずれかの構造、例えば、制御弁、取り外し可能なプラグ等の部材とすることができる。本発明の実施例において、前記閉塞部材は、ハウジング1に直接装着してもよいし、その他の部材を介して間接的にハウジング1に装着してもよいし、貯液ケース以外のその他の部材に装着してもよい。
【0037】
好ましくは、本発明の実施例において、前記閉塞部材は、ハウジング1に取り外し可能に装着されて排液口3を然るべく開閉するシールエンドキャップ4とする。
【0038】
本発明の実施例において、シールエンドキャップ4は、ハウジング1の排水口3に取り外し可能に装着される。シールエンドキャップ4がハウジング1の排液口3に装着されると、シールエンドキャップ4は、排液口3を然るべく閉塞することで、排液口3を通じて貯液室2を外部と断絶し、貯液室2内に液体を収容するための収容室を形成する。一方、シールエンドキャップ4がハウジング1の排液口3から取り外されると、貯液室2が排液口3を通じて外部と連通することで、貯液室2内の残液を外部に排出するとの効果が実現される。
【0039】
本発明の実施例において、前記添加剤貯液ケースは、添加剤を予め貯え得る従来のいずれかの構造とすることができ、これと連携する添加剤投入装置も従来のいずれかの投入装置とすることができる。洗濯機を使用する際に、投入装置は、貯液室2内に貯えられた洗剤や柔軟剤等の添加剤を抽出して洗濯機への給水に合流させることで、添加剤を分類して定量で投入するとの目的を実現する。
【0040】
本発明では、添加剤貯液ケースに上記の排液構造を設けることで、添加剤貯液ケース内の残液について制御可能な外部への排出を実現する。これにより、アフターメンテナンス要員は、分解前に添加剤貯液ケース内の洗剤や柔軟剤等の残液を容易に排出させられるため、洗濯機のその他の部品の汚染が防止される。
【0041】
本発明の実施例における洗濯機の添加剤貯液ケースは、
図1に示すように、ハウジング1の底部に貯液室2と連通する排液口3を直接設けるとともに、排液口3を然るべく開閉するシールエンドキャップ4をハウジング1に取り外し可能に装着してもよいし、
図2に示すように、ハウジング1の貯液室2内に、排液口3から外部に引き出し可能な残液排出管5を設けるとともに、ハウジング1の外部に露出する残液排出管5の一端に取り外し可能なシールエンドキャップ4を装着してもよい。いずれの場合も同様に、添加剤貯液ケース内の残液を制御可能に外部に排出するとの目的を実現し得る。好ましくは、本発明の実施例では、排液の完全性を保証するために、一般的に、排液口3を貯液室2の最も低い箇所に設ける。
【実施例1】
【0042】
図2~
図5に示すように、本実施例では、添加剤貯液ケースについて説明する。当該添加剤貯液ケースは、添加剤を貯える貯液室2が内部に設けられたハウジング1を含む。貯液室2内には、排液口から外部に引き出し可能な残液排出管5が設けられている。残液排出管5の一端は貯液室2の内部と連通しており、他端は、ハウジング1の外部まで延伸するとともに、取り外し可能なシールエンドキャップ4が接続されている。
【0043】
本発明では、外部に引き出し可能な残液排出管5を添加剤貯液ケースに加え、添加剤貯液ケース内部の貯液室2に残液排出管5を隠匿可能に設けることで、添加剤貯液ケースの排液構造を隠匿状に設けている。また、添加剤貯液ケースのハウジング1から外部に延伸する残液排出管5を利用することで、添加剤貯液ケースの貯液室内の残液を残液排出管5により導流可能となる。これにより、添加剤貯液ケースの残液を容易且つ外側に溢れさせることなく外部へ排出するとの顕著な技術的進歩が実現される。
【0044】
本実施例において、ハウジング1の外部に露出する残液排出管5の一端にはシールエンドキャップ4が螺接されている。また、シールエンドキャップ4の外径は排液口3の内径よりも大きくなっている。排液口3から径方向に突出するシールエンドキャップ4を残液排出管5の外端部に設けることで、残液排出管5を貯液室2に収納したあと、シールエンドキャップ4により管路の端部をハウジング1の外部に保持可能となるため、ユーザが後に残液排出管5を引き出すのに都合がよい。
【0045】
本実施例において、残液排出管5は上下に垂直に設けられるとともに、貯液室2の底部に設けられる排液口3から外部に引き出される。残液排出管5の軸方向の長さは、貯液室2の最大液面高さよりも大きく、貯液室2の高さよりも小さい。これにより、添加剤貯液ケースの正常使用時には、その内部の貯液室2における液体が残液排出管5に流入することがないため、貯液室2内の残液の残存量を可能な限り減少させられる。
【0046】
本実施例において、添加剤貯液ケースのハウジング1の底部には、下方に突出して排液口3を構成するジョイント6が設けられている。ジョイント6の上端はハウジング1の内部と連通しており、下端はハウジング1の外部と連通している。ジョイント6内には、残液排出管5の外周に覆設されるとともに、ジョイント6の内壁と密封状に接触するシールリング9が装着されている。これにより、残液排出管5の外壁とハウジング1の排液口3の内周壁との間の引き出し隙間がシール処理されるため、上記の隙間から液体が漏出する等の事態の発生が防止される。
【0047】
本実施例において、ジョイント6の中央部には、径方向に突出する環状のブロックリブ81が1周設けられている。環状のブロックリブ81は、貯液室2の底壁よりも低くなるよう設けられる。また、環状のブロックリブ81の内径は残液排出管5の外径と等しくなるよう設けられる。環状のブロックリブ81の下方のジョイント6内には、シールリング9が少なくとも1周設けられている。残液排出管5の引き出し箇所を防水シール処理するとの目的を実現するために、シールリング9は、内周が残液排出管5の外壁と、外周がジョイント6の内壁と密封状に接触している。
【0048】
本実施例において、残液排出管5の上端には、径方向に突出するストッパ部51が設けられている。ストッパ部51の少なくとも一部と残液排出管5の軸線との距離は、ジョイント6の内径よりも大きくなっている。これにより、ストッパ部51の変位を利用して、残液排出管5が外部に引き出される際に添加剤貯液ケースから抜け落ちないよう阻止及び保証する。好ましくは、残液排出管5の上端には、径方向に突出するストッパ部51が1周設けられている。環状のストッパ部51の外径は、ジョイント6の中央部における環状のブロックリブ81の内径よりも大きく、ジョイント6の内径よりも小さい。これにより、残液排出管5が外部に引き出されたあと、残液排出管5の端部がジョイント6の内部且つ貯液室2の最も低い箇所に位置することで、貯液室2内の全ての残液が残液排出管5から外部に排出され得るよう保証する。
【実施例2】
【0049】
本実施例は、上記実施例1をベースとして、更に以下の技術的特徴を有する。
【0050】
図2~
図5に示すように、本実施例において、洗濯機の添加剤貯液ケースは、添加剤を貯える貯液室2が内部に設けられたハウジング1を含む。貯液室2内には、排液口3から外部に引き出し可能な残液排出管5が設けられている。ハウジング1の排液口3には、残液排出管5の外周を覆う接続部材7が設けられており、接続部材7には挿抜可能なピン8が設けられている。残液排出管5は、前記ピン8が挿入されるとロックされ、ピンが抜かれるとロック解除される。
【0051】
本発明では、添加剤貯液ケースの排水接続部材7にピン8を挿抜可能に装着することで、ピン8の挿接後に残液排出管5を固定して、相対的な伸縮をロックする。一方、ピン8が抜かれると残液排出管5がロック解除され、ユーザは、接続部材7のブッシュ72を押し上げることで残液排出管5を自在に引き出し可能となる。これにより、残液排出管5の引き出し及び伸縮の制御可能なロック及びロック解除という顕著な技術的進歩が実現される。
【0052】
本実施例において、接続部材7は、排液口3から外部に向かって突出及び延伸する装着スリーブ71を含む。装着スリーブ71内には、同軸に設置され、且つ同軸に相対的に摺動可能なブッシュ72が設けられている。前記ブッシュ72は残液排出管5の外壁に覆接される。ブッシュ72の外壁には、外側に向かって径方向に突出する突出リブ721が設けられている。また、装着スリーブ71の内壁には、残液排出管5の外部への伸出方向に沿って、径方向サイズが徐々に収縮する錐状の斜面711が設けられている。突出リブ721は、錐状の斜面711よりも貯液室2の内部に近接している。また、突出リブ721の外周の径方向サイズは、錐状の斜面711における最小の径方向サイズよりも大きい。好ましくは、本実施例において、接続部材7の装着スリーブ71とブッシュ72は、同軸且つ上下に垂直に延設される。
【0053】
本実施例において、ブッシュ72の下端は、装着スリーブ71から突出して、ハウジング1の外部に露出している。ブッシュ72の突出部の外周壁には、径方向に突出する固定リブ722が1周設けられている。固定リブ722の外周の径方向サイズは、装着スリーブ71の錐状の斜面711における最小の径方向サイズよりも大きく、装着スリーブ71の錐状の斜面711における最大の径方向サイズよりも小さい。これにより、錐状の斜面711を利用してブッシュ72を押圧することで、ブッシュ72の内周の径方向サイズを弾性的に変化させ、残液排出管5をロック、ロック解除するとの目的を実現する。
【0054】
本実施例において、固定リブ722と装着スリーブ71の端面との隙間には挿抜可能なピン8が設けられている。ピン8の厚さは、固定リブ722と装着スリーブ71の下端面との隙間の幅よりも大きいため、ピン8を挿接することでブッシュ72を下方に移動させられる。そして、錐状の斜面711を利用してブッシュ72を弾性的に押圧し、内径を収縮させることで、残液排出管5のロックが実現される。また、ピン8を抜き出すことで、ブッシュ72を上向きに移動させて弾性的な押圧からブッシュ72を解除し、内径を元に戻して大きくすることが可能である。これにより、残液排出管5をロック解除するとの目的が実現される。
【0055】
好ましくは、本実施例において、前記ピン8は、残液排出管5の外周壁の径方向に沿って延伸する半円弧状の挿接部を含む。また、挿接部の外周側には、径方向に突出及び延伸する把持部が設けられている。これにより、挿接部を固定リブ722と装着スリーブ71の下端面との隙間に然るべく挿入させられるとともに、ユーザは、把持部を用いて容易且つスピーディーにピンを抜き出し又は挿入可能となる。
【0056】
本実施例において、ブッシュ72は残液排出管5の外周に覆設される筒状構造をなしている。筒状のブッシュ72は、周方向に間隔を置いて並ぶ複数の円弧状構造を結合して構成される。各円弧状構造の下端は順に連なって一体部材を構成し、上端は弾性変形可能に設けられている。筒状のブッシュ72の上端の最小内径は残液排出管5の外径よりも小さく、筒状のブッシュ72の上端の最大内径は残液排出管5の外径以上である。
【0057】
更に好ましくは、ブッシュ72による残液排出管5の挟持の堅牢性を向上させるために、次のように設けてもよい。即ち、筒状のブッシュ72の内周壁には、径方向に突出する張り出しリブが1周設けられている。前記張り出しリブは錐状の斜面711よりも高くなるよう設けられる。また、張り出しリブの内径は残液排出管5の外径と等しくする(図示しない)。
【0058】
本実施例において、添加剤貯液ケースのハウジング1の底部には、下方に突出して排液口3を構成するジョイント6が設けられている。ジョイント6の上端は、ハウジング1内部の貯液室2と連通しており、装着スリーブ71がジョイント6の下端に同軸に装着されている。装着スリーブ71における錐状の斜面711の大径端は、ジョイント6の方向に向かって開設されている。且つ、ジョイント6の内径は、ブッシュ72の外周に設けられる突出リブ721の外径よりも大きく、装着スリーブ71における錐状の斜面711の大径端の直径以上である。
【実施例3】
【0059】
本実施例では、上記実施例のいずれかで述べた洗濯機の添加剤貯液ケースが装着されている洗濯機について説明する。本実施例で述べる洗濯機は、パルセータ式洗濯機であってもよいし、ドラム式洗濯機であってもよい。本発明では、記載の便宜上、パルセータ式洗濯機の場合を例示して展開する。
【0060】
本実施例において、前記洗濯機はハウジングを含む。ハウジング内には、垂直に設置されるとともに天井部が開口した槽が設けられている。槽内には、槽内の水を攪動して旋回水流を発生させ、槽内の衣類を処理するために、相対的に回転可能であるか、共に回転可能な攪拌部材が装着されている。前記攪拌部材は、パルセータ、内槽、攪拌棒等のいずれか1つ、又はそれらを組み合わせた従来の構造を含む。
【0061】
本実施例において、ハウジングの天井部にはコントロールパネルベースが設けられている。コントロールパネルベースの中央部には、槽の天井部の開口に対応する衣類投入口が開設されている。また、コントロールパネルベースの天井部には、衣類投入口を開閉可能とする扉が設けられている。コントロールパネルベースには、上記実施例のいずれかで述べた添加剤貯液ケースが装着されている。
【0062】
以上の記載は本発明の好ましい実施例にすぎず、本発明を何らかの形式に制限するものではない。本発明については好ましい実施例によって上記のように開示したが、本発明を限定するとの主旨ではない。本発明の技術方案を逸脱しない範囲において、当業者が上記で提示した技術内容を用いて実施可能なわずかな変更或いは改変は、同等に変形された等価の実施例であって、いずれも本発明の技術方案の内容を逸脱するものではない。また、本発明の技術的本質に基づいて上記の実施例に加えられる任意の簡単な修正、同等の変形及び改変は、いずれも本発明の方案の範囲に属する。
【符号の説明】
【0063】
1 ハウジング
2 貯液室
3 排液口
4 シールエンドキャップ
5 残液排出管
6 ジョイント
7 接続部材
8 ピン
9 シールリング
51 ストッパ部
71 装着スリーブ
72 ブッシュ
81 環状のブロックリブ
711 錐状の斜面
721 突出リブ
722 固定リブ
【国際調査報告】