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特表2023-549609放射性同位元素の放射能監視装置、システム、及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-28
(54)【発明の名称】放射性同位元素の放射能監視装置、システム、及び方法
(51)【国際特許分類】
   G21C 17/00 20060101AFI20231120BHJP
   G21C 17/10 20060101ALI20231120BHJP
【FI】
G21C17/00 500
G21C17/10 600
G21C17/10 300
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023528553
(86)(22)【出願日】2021-11-15
(85)【翻訳文提出日】2023-06-30
(86)【国際出願番号】 US2021072404
(87)【国際公開番号】W WO2022104382
(87)【国際公開日】2022-05-19
(31)【優先権主張番号】17/099,139
(32)【優先日】2020-11-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】501010395
【氏名又は名称】ウエスチングハウス・エレクトリック・カンパニー・エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100091568
【弁理士】
【氏名又は名称】市位 嘉宏
(72)【発明者】
【氏名】ヘイベル、マイケル、ディー
(72)【発明者】
【氏名】フェターマン、ロバート、ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】プリブル、マイケル、シー
(72)【発明者】
【氏名】チェン、ジエヌウェイ
【テーマコード(参考)】
2G075
【Fターム(参考)】
2G075AA01
2G075BA03
2G075CA08
2G075DA08
(57)【要約】
放射性同位元素の放射能監視システム及び方法が開示されている。システムは、複数の原子燃料棒を有する燃料棒アセンブリと、オリフィスプレートを含む上部ノズル及びオリフィスプレートに固定的に結合された少なくとも1つの標的物質棒を有する標的アセンブリと、を含む。少なくとも1つの標的物質棒は、燃料棒アセンブリ内に摺動可能に配置される。感知アセンブリは、標的アセンブリを貫通させて受容する大きさと構成の開口部を画定する。感知アセンブリは、標的棒物質の放射性同位元素の放射能を検出するための自己給電型検出器アセンブリを含む。また、標的アセンブリの放射性同位元素の放射能を算出するために自己給電型検出器信号を測定するための方法、及び所望の放射性同位元素の全放射能を解析するための方法が開示されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射性同位元素の放射能監視システムであって、
複数の原子燃料棒を備える燃料棒アセンブリと、
標的アセンブリであって、
オリフィスプレートを備える上部ノズルと、
前記オリフィスプレートに固定的に結合されており、前記燃料棒アセンブリ内に摺動可能に配置される少なくとも1つの標的物質棒と、を備える、標的アセンブリと、
前記標的アセンブリを貫通させて受容する大きさと構成の開口部を画定する感知アセンブリであって、前記標的棒物質の放射性同位元素の放射能を検出するための自己給電型検出器アセンブリを含む、感知アセンブリと、を備える、放射性同位元素の放射能監視システム。
【請求項2】
前記自己給電型検出器アセンブリが、
エミッタワイヤを備える感知部と、
前記エミッタワイヤに電気的に結合された信号ワイヤと、を備え、
前記エミッタワイヤが迅速応答ガンマ線感応物質から作製されており、ガンマ線に曝露されたときに電流を生成し、
前記エミッタワイヤ及び前記信号ワイヤが外側シース内に封入されている、請求項1に記載の放射性同位元素の放射能監視システム。
【請求項3】
前記エミッタワイヤがプラチナを含む、請求項2に記載の放射性同位元素の放射能監視システム。
【請求項4】
前記信号ワイヤが鋼で作製されている、請求項2に記載の放射性同位元素の放射能監視システム。
【請求項5】
前記外側シースが鋼で作製されている、請求項2に記載の放射性同位元素の放射能監視システム。
【請求項6】
前記外側シースが電気絶縁物質で充填されている、請求項2に記載の放射性同位元素の放射能監視システム。
【請求項7】
前記電気絶縁物質が酸化マグネシウム(MgO)である、請求項6に記載の放射性同位元素の放射能監視システム。
【請求項8】
前記感知アセンブリが、
内側ケースと、
外側遮蔽と、
前記自己給電型検出器アセンブリのらせん状に巻かれた感知部を収容するための、前記内側ケースと前記外側遮蔽との間に画定された空間と、を備える、請求項1に記載の放射性同位元素の放射能監視システム。
【請求項9】
前記外側遮蔽が、前記感知アセンブリの外側から生じるガンマ線から前記エミッタワイヤの感知部を遮蔽するための物質から構成されている、請求項8に記載の放射性同位元素の放射能監視システム。
【請求項10】
前記外側遮蔽がタングステン(W)から構成されている、請求項9に記載の放射性同位元素の放射能監視システム。
【請求項11】
前記感知アセンブリがハンドルに接続されている、請求項1に記載の放射性同位元素の放射能監視システム。
【請求項12】
前記ハンドルが、前記燃料棒アセンブリから出し入れされる前記標的物質棒を含む前記標的アセンブリの上に前記感知アセンブリを位置付けるように構成されている、請求項11に記載の放射性同位元素の放射能監視システム。
【請求項13】
標的アセンブリの放射性同位元素の放射能を算出するために自己給電型検出器信号を測定する方法であって、標的アセンブリが、オリフィスプレートを備える上部ノズルと、前記オリフィスプレートに固定的に結合されており、前記燃料棒アセンブリ内に摺動可能に配置される少なくとも1つの標的物質棒と、を備えるものであり、前記方法が、
前記標的アセンブリを貫通させて受容する大きさと構成の開口部を画定し、前記標的棒物質の放射性同位元素の放射能を検出するための自己給電型検出器アセンブリを含む感知アセンブリを、燃料棒アセンブリの上に位置付けることと、
前記感知アセンブリによって、外部ガンマ線源からの第1のバックグラウンドガンマ線信号測定値を取得することと、
レコーダによって、前記第1のバックグラウンドガンマ線信号測定値を記録することと、
前記標的アセンブリを一定速度で前記感知アセンブリに通すことと、
前記レコーダによって、前記標的アセンブリが前記感知アセンブリを通過する間に測定された自己給電型検出器信号電流(I)を時間の関数として記録することと、
前記標的アセンブリが前記感知アセンブリを完全に通過した後に、外部ガンマ線源からの第2のバックグラウンドガンマ線信号測定値を取得することと、
前記レコーダによって、前記第2のバックグラウンドガンマ線信号測定値を記録することと、を含む、方法。
【請求項14】
前記自己給電型検出器信号電流(I)の測定値と時間の関係にあてはめた関数を前記標的アセンブリのアクティブ長さにわたって積分することによって、前記標的アセンブリの放射性同位元素の全放射能を決定することを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記標的アセンブリのアクティブ部分が前記感知アセンブリによって画定された前記開口部の内側にあるときに記録された、挿抜速度及び前記自己給電型検出器信号電流(I)の測定値に基づいて、積分領域を決定することを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
外部ガンマ線源からの前記第1及び第2のバックグラウンドガンマ線信号測定値が、前記自己給電型検出器信号ケーブルを通して電流(I)を測定することによって取得される、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
所望の放射性同位元素の全放射能を解析するための方法であって、前記方法が、
前記所望の放射性同位元素の作成に用いる標的物質棒を含む標的アセンブリが一定速度で感知アセンブリを通過する間に、自己給電型検出器信号を時間の関数として記録することと、
前記標的アセンブリに沿った位置の関数として、バックグラウンド補正済みの前記自己給電型検出器信号測定値の表現を作成することと、
前記標的アセンブリ位置(L)の関数として、前記自己給電型検出器信号測定値へのあてはめ表現を提供する関数を作成することと、
前記所望の放射性同位元素の作成に用いる前記標的物質棒を含む前記標的アセンブリの長さにわたって前記関数を積分することと、
ガンマ線感度に基づいて前記積分値をガンマ線放射能に変換することと、を含む、方法。
【請求項18】
前記ガンマ線放射能に基づいて前記所望の放射性同位元素を採取するか否かを決定することを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記関数が、
-y(L)=a+a(L)+a(L)+a(L)+...+a(L)の形式を有する、請求項17に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、「RADIOISOTOPE ACTIVITY SURVEILLANCE APPARATUS, SYSTEM, AND METHOD」と題する、2020年11月16日に出願された米国非仮出願第17/099,139号の利益を主張するものであり、本非仮出願の内容は、全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、概して、放射性同位元素の放射能監視装置、システム及び方法に関する。より具体的には、本開示は、概して、燃料アセンブリ挿入標的で使用するための放射性同位元素の放射能監視装置、システム及び方法に関する。本開示はまた、監視ツールから受信した信号を測定及び解析し、かつ標的アセンブリの放射性同位元素の放射能を算出するための技術に関する。
【0003】
コバルト60(Co-60)などの商用発電炉内での望ましい量の医療用又は工業用放射性同位元素の生成は、標的物質が炉内に置かれ、最低限度の炉運転時間の間、特定レベルの中性子フラックス曝露を受ける必要がある。照射標的が実際には採取可能であるか否かを決定するためには、標的アセンブリ内の所望の放射性同位元素の放射能レベルを測定する必要がある。したがって、照射標的物質を引き抜いて処理を行うか否かを決定するために、炉の燃料補給のための運転停止中に所望の放射性同位元素の放射能を測定する装置、システム、及び方法が必要である。また、予期される採取時の前に発生する燃料補給のための運転停止中に所望の放射性同位元素の生成の進捗を判定する必要がある。
【発明の概要】
【0004】
一態様では、本開示は、複数の原子燃料棒を備える燃料棒アセンブリと、標的アセンブリであって、オリフィスプレートを備える上部ノズルと、オリフィスプレートに固定的に結合されており、燃料棒アセンブリ内に摺動可能に配置される少なくとも1つの標的物質棒と、を備える、標的アセンブリと、標的アセンブリを貫通させて受容する大きさと構成の開口部を画定する感知アセンブリであって、標的棒物質の放射性同位元素の放射能を検出するための自己給電型検出器アセンブリを含む、感知アセンブリと、を備える、放射性同位元素の放射能監視システムを提供する。
【0005】
放射性同位元素の放射能監視システムの別の態様では、自己給電型検出器アセンブリは、エミッタワイヤを備える感知部と、エミッタワイヤに電気的に結合された信号ワイヤと、を備え、エミッタワイヤは迅速応答ガンマ線感応物質から作製されており、ガンマ線に曝露されたときに電流を生成し、エミッタワイヤ及び信号ワイヤは外側シース内に封入されている。
【0006】
放射性同位元素の放射能監視システムの別の態様では、エミッタワイヤはプラチナを含む。
【0007】
放射性同位元素の放射能監視システムの別の態様では、信号ワイヤは鋼で作製されている。
【0008】
放射性同位元素の放射能監視システムの別の態様では、外側シースは鋼で作製されている。放射性同位元素の放射能監視システムの別の態様では、外側シースは電気絶縁物質で充填されている。放射性同位元素の放射能監視システムの別の態様では、電気絶縁物質は酸化マグネシウム(MgO)である。
【0009】
放射性同位元素の放射能監視システムの別の態様では、感知アセンブリは、内側ケースと、外側遮蔽と、自己給電型検出器アセンブリのらせん状に巻かれた感知部を収容するための、内側ケースと外側遮蔽との間に画定された空間と、を備える。
【0010】
放射性同位元素の放射能監視システムの別の態様では、外側遮蔽は、感知アセンブリの外側から生じるガンマ線から感知部エミッタワイヤを遮蔽するための物質から構成されている。放射性同位元素の放射能監視システムの別の態様では、外側遮蔽はタングステン(W)から構成されている。
【0011】
放射性同位元素の放射能監視システムの別の態様では、感知アセンブリはハンドルに接続されている。放射性同位元素の放射能監視システムの別の態様では、ハンドルは、燃料棒アセンブリから出し入れされる標的物質棒を含む標的アセンブリの上に感知アセンブリを位置付けるように構成されている。
【0012】
一態様では、本開示は、標的アセンブリの放射性同位元素の放射能を算出するために自己給電型検出器信号を測定する方法を提供し、標的アセンブリは、オリフィスプレートを備える上部ノズルと、オリフィスプレートに固定的に結合されており、燃料棒アセンブリ内に摺動可能に配置される少なくとも1つの標的物質棒と、を備える。方法は、標的アセンブリを貫通させて受容する大きさと構成の開口部を画定し、標的棒物質の放射性同位元素の放射能を検出するための自己給電型検出器アセンブリを含む感知アセンブリを、燃料棒アセンブリの上に位置付けることと、感知アセンブリによって、外部ガンマ線源からの第1のバックグラウンドガンマ線信号測定値を取得することと、レコーダによって、第1のバックグラウンドガンマ線信号測定値を記録することと、標的アセンブリを一定速度で感知アセンブリに通過すことと、レコーダによって、標的アセンブリが感知アセンブリを通過する間に測定された自己給電型検出器信号電流(I)を時間の関数として記録することと、標的アセンブリが感知アセンブリを完全に通過した後に、外部ガンマ線源からの第2のバックグラウンドガンマ線信号測定値を取得することと、レコーダによって、第2のバックグラウンドガンマ線信号測定値を記録することと、を含む。
【0013】
別の態様では、方法は、自己給電型検出器信号電流(I)の測定値と時間の関係にあてはめた関数を標的アセンブリのアクティブ長さにわたって積分することによって、標的アセンブリの放射性同位元素の全放射能を決定することを含む。
【0014】
別の態様では、方法は、標的アセンブリのアクティブ部分が感知アセンブリによって画定される開口部の内側にあるときに記録された、挿抜速度及び自己給電型検出器信号電流(I)の測定値に基づいて、積分領域を決定することを含む。
【0015】
方法の別の態様では、外部ガンマ線源からの第1及び第2のバックグラウンドガンマ線信号測定値は、自己給電型検出器信号ケーブルを通して電流(I)を測定することによって取得される。
【0016】
一態様では、本開示は、所望の放射性同位元素の全放射能を解析するための方法を提供する。方法は、所望の放射性同位元素の作成に用いる標的物質棒を含む標的アセンブリが一定速度で感知アセンブリを通過する間に、自己給電型検出器信号を時間の関数として記録することと、標的アセンブリに沿った位置の関数として、バックグラウンド補正済みの自己給電型検出器信号補正値の表現を作成することと、標的アセンブリ位置(L)の関数として、自己給電型検出器信号測定値へのあてはめ表現を提供する関数を作成することと、所望の放射性同位元素の作成に用いる標的物質棒を含む標的アセンブリの長さにわたって関数を積分することと、ガンマ線感度に基づいて積分値をガンマ線放射能に変換することと、を含む。
【0017】
別の態様では、方法は、ガンマ線放射能に基づいて所望の放射性同位元素を採取するか否かを決定することを含む。
【0018】
方法の別の態様では、関数は、
-y(L)=a+a(L)+a(L)+a(L)+...+a(L)の形式を有する。
【0019】
前述の要約は例示に過ぎず、いかなる方法によっても制限することを意図するものではない。上述の例示的態様、実施形態、及び特徴に加えて、更なる態様、実施形態、及び特徴は、図面及び以下の発明を実施するための形態を参照することによって明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
本明細書に説明される実施形態の様々な特徴は、その利点とともに、以下の添付図面と併せて行われる以下の説明に従って理解され得る。
【0021】
図1】本開示の少なくとも1つの態様による、燃料棒アセンブリ挿入標的で使用するための放射性同位元素の放射能監視システムを示している。
図2】本開示の少なくとも1つの態様による、自己給電型検出器(SPD)アセンブリを示している。
図3】本開示の少なくとも1つの態様による、感知アセンブリの上面図である。
図4】本開示の少なくとも1つの態様による、セクション線4-4に沿って取られた感知アセンブリの断面図である。
図5】本開示の少なくとも1つの態様に従って、標的アセンブリ102の放射性同位元素の放射能を算出するために、SPD信号を測定するための方法を示している。
図6】本開示の少なくとも1つの態様による、所望の放射性同位元素の全放射能を解析するための方法を示している。
【0022】
対応する参照文字は、数個の図全体を通して対応する部分を示す。本明細書に記載される例示は、本発明の様々な実施形態を1つの形態で例示し、そのような例示は、いかなる様式によっても本発明の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【発明を実施するための形態】
【0023】
一態様では、本開示は、照射標的物質を引き抜いて処理を行うか否かを決定するために、炉の燃料補給のための運転停止中に所望の放射性同位元素の放射能を測定するための放射性同位元素の放射能監視装置、システム、及び方法を提供する。別の態様では、本開示は、予想される採取時の前に発生する燃料補給停止中に所望の放射性同位元素の生産の進捗を突き止めるための放射性同位元素の放射能監視装置、システム、及び方法を提供する。
【0024】
一態様では、本開示は、所望の放射性同位元素の生産速度の設計予測を確認し、かつ所望の放射性同位元素の放射能が採取作業を開始するのに十分に高いか否かを決定するための装置、システム、及び方法を提供する。装置は、可動部品がなく、放射線被曝による動作特性の変化の影響を受けにくい。
【0025】
一態様では、本開示による装置、システム、及び方法は、例えば、標的アセンブリの棒状物(ロッドレット)を切断することなく、特定の最小必要放射能レベルを超える、コバルト60などの放射性同位元素の生成を可能にする。本開示による装置、システム、及び方法の適用は、放射性同位元素の生成と関連付けられた特定の商業的リスクを低減することができる。
【0026】
ここで図を参照すると、図1は、本開示の少なくとも1つの態様による、燃料棒アセンブリ挿入標的で使用するための放射性同位元素の放射能監視システム100を示している。放射性同位元素の放射能監視システム100は、原子炉の燃料棒アセンブリ104内に摺動可能に配置された標的アセンブリ102と、矢印Aで示されるように標的アセンブリ102を受容するように構成された感知アセンブリ106と、を備える。標的アセンブリ102は、燃料棒アセンブリ104内に摺動可能に挿入される上部ノズル110のオリフィスプレート122に固定的に結合された標的物質棒108を備える。標的物質棒108は、鋼などの金属構造から作製される。標的物質棒108は、最小限度の炉運転時間の間、特定の中性子フラックス曝露レベルを受ける。放射性同位元素の放射能監視システム100は、標的物質棒108の放射性同位元素の放射能を測定するために使用される。オリフィスプレート122は、標的物質棒108を受容するようにサイズ設定され、かつ構成されており、上部ノズル110によって、標的物質棒108が燃料棒アセンブリ104から引き抜かれたり、燃料棒アセンブリ104内に挿入されたりすることが可能になる。上部ノズル110は、感知アセンブリ106を通して引き抜かれるか、又は挿入される。
【0027】
コバルト60などの商用発電炉内で望ましい量の医療又は工業用放射性同位元素を生成するためには、標的物質棒108が炉内の燃料棒アセンブリ104に挿入されて、最低限度の炉運転時間の間、特定のレベルの中性子フラックス曝露を受ける必要がある。照射標的物質棒108が採取可能であるか否かを決定するためには、標的アセンブリ102内の所望の放射性同位元素の放射能レベルを測定する必要がある。放射性同位元素の放射能監視システム100を炉の燃料補給停止中に用いて所望の放射性同位元素の放射能を測定することにより、照射標的物質棒108を引き抜いて処理を行うか否かを決定することができる。放射性同位元素の放射能監視システム100が使用されると、予期される採取時の前に発生する燃料補給のための運転停止中に、所望の放射性同位元素の生成の進捗を判定することが可能になる。
【0028】
燃料棒アセンブリ104は、複数の燃料棒118を備える。グリッドスペーサ120は、燃料棒118バンドルを所定の位置に保持し、適切な棒対棒のクリアランスを維持し、臨界熱流フラックスを強化する。標的物質棒108は、燃料棒118の間に摺動可能に配置される。
【0029】
感知アセンブリ106は、標的アセンブリ102を受容するのに十分に大きな開口部112を画定する。図1に示した実施例では、感知アセンブリ106は、標的物質棒108を持ち上げる長方形のオリフィスプレート122を収容するための長方形の開口部112を画定する。しかしながら、様々な態様では、開口部112の形状は、六角形燃料アセンブリ設計と使用するための六角形であってもよく、又は燃料アセンブリ設計、正方形、円形、楕円、若しくは任意の好適な構成の形状を収容するための任意の好適な形状を画定してもよい。感知アセンブリ106は、ハンドル114に接続される。感知アセンブリ106は、ハンドル114内に配置されるプラチナ自己給電型検出器(SPD)信号ケーブル116に電気的に結合される。標的物質棒108の放射性同位元素の放射能を測定するために、標的アセンブリ102は、燃料棒アセンブリ104が開口部112の下方で静止したまま、一定の速度で感知アセンブリ106の開口部112を通過する。感知アセンブリ106によって検出されたガンマ線は、SPD信号ケーブル116を通して電流(I)を生成し、電圧及び電流データロガー又はレコーダ124によって記録される。
【0030】
図2は、本開示の少なくとも1つの態様による、自己給電型検出器(SPD)アセンブリ200を示している。また図1を参照すると、感知アセンブリ106は、自己給電型検出器アセンブリ200を含む。SPDアセンブリ200は、例えば、プラチナで作製されたエミッタワイヤ204、又は他の迅速応答ガンマ線感応物質を用いる、感知部202を備える。エミッタワイヤ204は、例えば、鋼製の信号ワイヤ206に電気的に接続される。エミッタワイヤ204及び鋼信号ワイヤ206は、例えば、鋼で作製され得る外側シース208内に封入される。酸化マグネシウム(MgO)などの電気絶縁物質210は、外側シース208に画定された空間を充填する。電気絶縁物質210は、エミッタワイヤ204を包む絶縁コアとして使用され、信号ワイヤ206をガイドするためのガイド絶縁体として機能する。一態様では、外側シース208の外径「d」は、約0.08インチであり得る。様々な態様では、外側シース208の外径「d」は、例えば、0.05インチ~0.15インチの範囲内に選択され得る。エミッタワイヤ204は、例えば、約10フィートの長さの「L1」を有してもよく、信号ワイヤ206は、例えば、約60フィートの長さの「L2」を有してもよい。
【0031】
様々な態様では、SPDアセンブリ200のエミッタワイヤ204は、これらの金属に基づいて、ニッケル、鉄、チタン、及び合金から選択される少なくとも1つの物質のエミッタコアと、0.03mm程度~0.062mm程度の範囲の厚さを有し、かつプラチナ、タンタル、オスミウム、モリブデン、及びセリウムから選択される少なくとも1つの物質である、コアの周りのエミッタ外層と、を含む。この構造では、固体白金エミッタにとって最適なものを超えてエミッタ直径を増加させることによって、燃焼度を許容可能な低さに保ったまま、中性子とガンマ線感度の比率、及びそれゆえに迅速応答割合を増加させる。この構造の大口径エミッタは、例えば、重水モデレートの天然ウラン発電炉などの、燃料電力検出器に必要な特性に厳密に合致する応答特性を有する。エミッタコアは、好ましくは、インコネル(商標)であり、エミッタジャケットは、好ましくは、プラチナである。
【0032】
図3は、本開示の少なくとも1つの態様による、感知アセンブリ106の上面図300である。図4は、本開示の少なくとも1つの態様による、切断線4-4に沿って取られた感知アセンブリの断面図である。ここで図1図4を参照すると、感知アセンブリ106は、内側ケース302と、外側遮蔽304と、それらの間に画定されて、図2に示される自己給電型検出器アセンブリ200のらせん状に巻かれた感知部202を収容する、空間306と、を含む。内側ケース302は、感知アセンブリ106の内側面として機能するシェルである。内側ケース302は、内面308及び外面310を有する。外面310は、開口部112に面する。SPDアセンブリ200の感知部202は、内側ケース302の外面308の周りにらせん状に巻かれたコイル312である。SPDエミッタワイヤ204の感知部202の長さ「L1」及びコイル312の密着性は、測定されたSPDガンマ線感度及び測定される標的の単位長さ当たりの所望の放射性同位元素の予期されるガンマ線放射能を使用して決定される。コイル312の屈曲の長さ「L1」及び密着性は、単位長さ出力当たりのSPD電流を最大化し、かつSPDケーブルコイルの高さを最小化して、最小測定誤差で測定値が得られるのに必要な時間を最小化するように選択され得る。
【0033】
感知アセンブリ106の外側遮蔽304は、感知アセンブリ106の外側から生じるガンマ線からSPDエミッタワイヤ204の感知部202を遮蔽するタングステン(W)などの物質から構成されてもよい。感知アセンブリ106の内側ケース302は、例えば、標的物質棒108上の標的物質の放射能を決定するために使用しているガンマ線の減衰を最小化するために、鋼などの物質から構成されている。感知アセンブリ106は、使用中に水が侵入しないように封止される。
【0034】
感知アセンブリ106は、燃料棒アセンブリ104から引き抜かれたり、燃料棒アセンブリ104内に挿入されたりする標的物質棒108を含む標的アセンブリ102の上部に感知アセンブリ106を位置付けるための手段としての役割を果たすハンドル114に接続される。ハンドル114の長さは、給油プール又はキャスキングプールのブリッジからのアクセスを容易にするために十分である。ハンドル114はまた、SPDアセンブリ200のSPD信号ワイヤ116部分の導管として機能する。SPD信号ワイヤ116の合計長さは、SPD信号が標的採取領域内の所望の場所で測定されることを可能にするのに十分である。感知アセンブリ106の高さ「H」は、約10インチであるように選択されてもよいが、本開示は、この文脈において限定されるべきではない。
【0035】
態様では、図1に示す放射能測定システム100、及び図2図4に詳細に示すその構成要素は、SPD信号を測定し、標的アセンブリ102の放射能を算出するために利用され得る。図5は、本開示の少なくとも1つの態様に従って、標的アセンブリ102の放射性同位元素の放射能を算出するためにSPD信号を測定する方法400を示している。ここでも図1図4を参照すると、方法400によれば、標的アセンブリ102の取り外し又は取り付けに必要な器具が使用され得るように、適切な燃料棒アセンブリ104の上部の上に感知アセンブリ106を位置付ける(402)。これは、燃料棒アセンブリ104上で感知アセンブリ106を操作することによって行うことができる。デバイスハンドル114の位置は、感知アセンブリ106によって画定される開口部112を通して標的アセンブリ102の挿抜の際にシフトすることがないように固定される。
【0036】
感知アセンブリ106を所望の位置への位置付け(402)の後、外部ガンマ線源からの第1のバックグラウンドガンマ線信号測定値がSPD信号ケーブル116を通る電流(I)を所望の測定精度で測定することによって取得され(404)、その後、標的アセンブリ102を感知アセンブリ106に通す(挿抜する)。次に、バックグラウンドガンマ線を表す電流(I)の測定値が、レコーダ124によって記録される(406)。
【0037】
バックグラウンドガンマ線信号電流(I)の記録(406)の後に、標的アセンブリ102は一定速度で感知アセンブリ106を通る(引き抜かれるか、又は挿入される)(408)。速度は、測定されるSPD信号電流(I)の測定精度を制御できるように制御されるべきである。標的アセンブリ102が感知アセンブリ106を通過する(408)間に、時間の関数として測定されたSPD信号電流(I)は、レコーダ124によって記録される(410)。標的アセンブリ102が感知アセンブリを完全に通過した(408)後に、外部ガンマ線源からの第2のバックグラウンドガンマ線信号測定値が取得され(412)、測定されたSPD信号電流(I)が、レコーダ124によって記録される(414)。方法400は、所望される全ての標的アセンブリ102に対するガンマ線信号を測定するために必要に応じて繰り返される。
【0038】
標的アセンブリ102の所望の放射性同位元素の放射性同位元素の全放射能は、自己給電型検出器信号電流(I)測定値対時間の関係にあてはめた関数を標的アセンブリ102のアクティブ長さにわたって積分することによって決定される。積分領域は、標的アセンブリ102のアクティブ部分が感知アセンブリ106によって画定される開口部112の内側にあるときの、挿抜(408)速度及び自己給電型検出器信号電流(I)の測定データを使用して決定される。1つのアプローチで使用される解析方法の実施例は、図6で説明されるプロセス500によって説明される。
【0039】
図6は、本開示の少なくとも1つの態様による、所望の放射性同位元素の全放射能を解析するための方法500を示している。ここでも図1図4を参照すると、方法500によれば、標的アセンブリ102が一定速度で感知アセンブリ106を通される際に、時間の関数としてのSPD信号が記録される(502)。標的アセンブリ102は、所望の放射性同位元素の作成に用いる標的物質棒108を含む。バックグラウンド補正済みのSPD信号測定値の表現が、標的アセンブリ102に沿った位置の関数として作成される(504)。標的アセンブリ102の位置(L)の関数として、SPD信号測定値へのあてはめ表現を提供する関数(例えば、-y(L)=a+a(L)+a(L)+a(L)+...+a(L))が作成される(506)。関数が作成された(506)後、関数は、所望の放射性同位元素を作成するために使用される標的物質棒108を含む標的アセンブリ102の長さ(すなわち、-0-L)にわたって積分される(508)。積分値は、製造業者によって測定又は提供されるガンマ線感度のいずれかを用いて、ガンマ線放射能に変換され(510)、空間的な調整は当業者が容易に決定することができる。この方法500の結果は、所望される放射性同位元素の採取又は生成のどちらを進めるかを決定する(512)ために使用され得る。
【実施例
【0040】
本明細書に説明される主題の様々な態様が、以下の実施例に記載される。
【0041】
実施例1.複数の原子燃料棒を備える燃料棒アセンブリと、標的アセンブリであって、オリフィスプレートを備える上部ノズルと、オリフィスプレートに固定的に結合されており、燃料棒アセンブリ内に摺動可能に配置される少なくとも1つの標的物質棒と、を備える、標的アセンブリと、標的アセンブリを貫通させて受容する大きさと構成の開口部を画定する、感知アセンブリであって、標的棒物質の放射性同位元素の放射能を検出するための自己給電型検出器アセンブリを含む、感知アセンブリと、を備える、放射性同位元素の放射能監視システム。
【0042】
実施例2.自己給電型検出器アセンブリが、エミッタワイヤを備える感知部と、エミッタワイヤに電気的に結合された信号ワイヤと、を備え、エミッタワイヤが迅速応答ガンマ線感応物質から作製されており、ガンマ線に曝露されたときに電流を生成し、エミッタワイヤ及び信号ワイヤが外側シース内に封入されている、実施例1に記載の放射性同位元素の放射能監視システム。
【0043】
実施例3.エミッタワイヤがプラチナを含む、実施例1又は2に記載の放射性同位元素の放射能監視システム。
【0044】
実施例4.信号ワイヤが鋼で作製されている、実施例1~3のいずれか1つ以上に記載の放射性同位元素の放射能監視システム。
【0045】
実施例5.外側シースが鋼で作製されている、実施例1~4のいずれか1つ以上に記載の放射性同位元素の放射能監視システム。
【0046】
実施例6.外側シースが電気絶縁物質で充填されている、実施例1~5のいずれか1つ以上に記載の放射性同位元素の放射能監視システム。
【0047】
実施例7.電気絶縁物質が酸化マグネシウム(MgO)である、実施例1~6のいずれか1つ以上に記載の放射性同位元素の放射能監視システム。
【0048】
実施例8.感知アセンブリが、内側ケースと、外側遮蔽と、自己給電型検出器アセンブリのらせん状に巻かれた感知部を収容するための、内側ケースと外側遮蔽との間に画定された空間と、を備える、実施例1~7のいずれか1つ以上に記載の放射性同位元素の放射能監視システム。
【0049】
実施例9.外側遮蔽が、感知アセンブリの外側から生じるガンマ線からエミッタワイヤの感知部を遮蔽するための物質から構成されている、実施例1~8のいずれか1つ以上に記載の放射性同位元素の放射能監視システム。
【0050】
実施例10.外側遮蔽がタングステン(W)から構成されている、実施例1~9のいずれか1つ以上に記載の放射性同位元素の放射能監視システム。
【0051】
実施例11.感知アセンブリがハンドルに接続されている、実施例1~10のいずれか1つ以上に記載の放射性同位元素の放射能監視システム。
【0052】
実施例12.ハンドルが、燃料棒アセンブリから出し入れされる標的物質棒を含む標的アセンブリの上に感知アセンブリを位置付けるように構成されている、実施例1~11のいずれか1つ以上に記載の放射性同位元素の放射能監視システム。
【0053】
実施例13.標的アセンブリの放射性同位元素の放射能を算出するために自己給電型検出器信号を測定する方法であって、標的アセンブリが、オリフィスプレートを備える上部ノズルと、オリフィスプレートに固定的に結合されており、燃料棒アセンブリ内に摺動可能に配置される少なくとも1つの標的物質棒と、を備えるものであり、方法が、標的アセンブリを貫通させて受容する大きさと構成の開口部を画定し、標的棒物質の放射性同位元素の放射能を検出するための自己給電型検出器アセンブリを含む感知アセンブリを、燃料棒アセンブリの上に位置付けることと、感知アセンブリによって、外部ガンマ線源からの第1のバックグラウンドガンマ線信号測定値を取得することと、レコーダによって、第1のバックグラウンドガンマ線信号測定値を記録することと、標的アセンブリを一定速度で感知アセンブリに通すことと、レコーダによって、標的アセンブリが感知アセンブリを通過する間に測定された自己給電型検出器信号電流(I)を時間の関数として記録することと、標的アセンブリが感知アセンブリを完全に通過した後に、外部ガンマ線源からの第2のバックグラウンドガンマ線信号測定値を取得することと、レコーダによって、第2のバックグラウンドガンマ線信号測定値を記録することと、を含む、方法。
【0054】
実施例14.自己給電型検出器信号電流(I)の測定値と時間の関係にあてはめた関数を標的アセンブリのアクティブ長さにわたって積分することによって、標的アセンブリの放射性同位元素の全放射能を決定することを含む、実施例13に記載の方法。
【0055】
実施例15.標的アセンブリのアクティブ部分が感知アセンブリによって画定される開口部の内側にあるときに記録された、挿抜速度及び自己給電型検出器信号電流(I)の測定値に基づいて、積分領域を決定することを含む、実施例13又は14に記載の方法。
【0056】
実施例16.外部ガンマ線源からの第1及び第2のバックグラウンドガンマ線信号測定値が、自己給電型検出器信号ケーブルを通して電流(I)を測定することによって取得される、実施例13~15のいずれか1つ以上に記載の方法。
【0057】
実施例17.所望の放射性同位元素の全放射能を解析するための方法であって、方法が、所望の放射性同位元素の作成に用いる標的物質棒を含む標的アセンブリが一定速度で感知アセンブリを通過する間に、自己給電型検出器信号を時間の関数として記録することと、標的アセンブリに沿った位置の関数として、バックグラウンド補正済みの自己給電型検出器信号測定値の表現を作成することと、標的アセンブリ位置(L)の関数として、自己給電型検出器信号測定値へのあてはめ表現を提供する関数を作成することと、所望の放射性同位元素の作成に用いる標的物質棒を含む標的アセンブリの長さにわたって関数を積分することと、ガンマ線感度に基づいて積分値をガンマ線放射能に変換することと、を含む、方法。
【0058】
実施例18.ガンマ線放射能に基づいて所望の放射性同位元素を採取するか否かを決定することを含む、実施例17に記載の方法。
【0059】
実施例19.関数が、-y(L)=a+a(L)+a(L)+a(L)+...+a(L)の形式を有する、実施例17又は18に記載の方法。
【0060】
本発明の特定の実施形態が詳細に説明されてきたが、それらの詳細に対する様々な変更態様及び代替態様が、本開示の全体的な教示に照らして開発され得、例示的な実施形態のうちの1つ以上の選択された要素が、開示される概念の範囲から異なることなく、他の実施形態からの1つ以上の要素と組み合わされ得ることが、当業者によって理解されよう。したがって、開示される特定の実施形態は、例示のみを目的とするものであり、添付の特許請求の範囲並びにこれらのいずれか及び全ての均等物の全容が与えられる本発明の範囲に関して限定ものではない。
【0061】
当業者は、概して、本明細書、及び特に添付の特許請求の範囲(例えば、添付の特許請求の範囲の本体)で使用される用語は、概して、「オープン」な用語として意図されていることを認識するであろう(例えば、「含む」という用語は、「含むが、限定されない」と解釈されるべきであり、「有する」という用語は、「少なくとも有する」と解釈されるべきであり、「含む」という用語は、「含むが、限定されない」と解釈されるべきである、など)。導入される特許請求の範囲の特定の数が意図される場合、そのような意図は、特許請求の範囲に明示的に列挙されることになり、そのような列挙がない場合、そのような意図は存在しないことが、当業者によって更に理解されるであろう。例えば、理解の支援として、以下の添付の特許請求の範囲は、請求項の列挙を導入するための、「少なくとも1つ」及び「1つ以上」という導入句の使用を含有し得る。しかしながら、そのような語句の使用は、不定冠詞「a」又は「an」による請求項の列挙の導入が、そのような導入された請求項の列挙を含有する任意の特定の請求項を、同じ請求項が導入句の「1つ以上」又は「少なくとも1つ」及び「a」又は「an」などの不定冠詞を含むときでさえ、1つのそのような列挙のみを含む請求項に限定することを暗示するものとして解釈されるべきではなく(例えば、「a」及び/又は「an」は、典型的には、「少なくとも1つ」又は「1つ以上」を意味すると解釈されるべきである)、請求項の列挙を導入するために使用される特定の物品の使用についても同様である。
【0062】
加えて、導入された請求項の列挙の特定の数が明示的に列挙されているとしても、当業者は、そのような列挙は、典型的には、少なくとも列挙された数を意味すると解釈されるべきであることを理解するであろう(例えば、「2つの列挙」のそのままの列挙は、他の修飾子なしでは、少なくとも2つの列挙、又は2つ以上の列挙を意味する)。更に、「A、B、及びCなどのうちの少なくとも1つ」に類似している慣例が使用される、そのような事例では、一般的に、そのような構造は、当業者が、慣例(例えば、「A、B、及びCのうちの少なくとも1つを有するシステム」は、限定されるものではないが、A単独、B単独、C単独、A及びBを一緒に、A及びCを一緒に、B及びCを一緒に、並びに/又はA、B、及びCを一緒に有するなどのシステムを含むであろう)を理解するであろうという意味で意図される。「A、B、又はCなどのうちの少なくとも1つ」に類似した慣例が使用される、そのような事例では、一般的に、そのような構造は、当業者が慣例(例えば、「A、B、又はCのうちの少なくとも1つを有するシステム」は、限定されるものではないが、A単独、B単独、C単独、A及びBを一緒に、A及びCを一緒に、B及びCを一緒に、並びに/又はA、B、及びCを一緒に有するなどのシステムを含むであろう)を理解するであろうという意味で意図される。説明、特許請求の範囲、又は図面のいずれにおいても、2つ以上の代替的な用語を提示する典型的な選言的な単語及び/又は語句は、文脈が別途指示しない限り、用語のうちの1つ、用語のうちのいずれか、又は両方の用語を含む可能性を企図することが理解されるべきであることが、当業者によって更に理解されるであろう。例えば、「A又はB」という語句は、典型的には、「A」又は「B」又は「A及びB」の可能性を含むと理解されることになる。
【0063】
添付の特許請求の範囲に関して、当業者は、その中に列挙された動作が概して任意の順序で実施され得ることを理解するであろう。また、様々な動作フロー図が配列で提示されるが、様々な動作が例示されたもの以外の他の順序で実施されてもよく、又は同時に実施されてもよいことが理解されるべきである。そのような代替的な順序付けの例としては、文脈が別途指示しない限り、重複、交互配置、中断、再順序付け、増分、予備、補足、同時、逆、又は他の様々な順序付けが挙げられ得る。更に、文脈が別段の指示をしない限り、「応答する」、「関連する」、又は他の過去型形容詞などの用語は、概して、そのような変形を除外することを意図していない。
【0064】
「1つの態様」、「一態様」、「一例示」、「1つの例示」などへの任意の参照は、態様に関連して説明される特定の特徴、構造、又は特性が、少なくとも1つの態様に含まれることを意味することに留意すべきである。したがって、本明細書全体を通して、様々な場所における「1つの態様では」、「一態様では」、「一例示では」、及び「1つの例示では」という語句の出現は、必ずしも全て同じ態様を指すわけではない。更に、特定の特徴、構造又は特性は、1つ以上の態様では、任意の好適な様式で組み合わせられ得る。
【0065】
本明細書において参照され、及び/又は任意の出願データシートに列挙される任意の特許出願、特許、非特許刊行物、又は他の開示資料は、本明細書に参照により組み込まれ、その限りにおいて、本明細書に組み込まれた資料と矛盾しない。したがって、本明細書に記載の開示は、必要な範囲において、参照により本明細書に組み込まれた任意の矛盾する資料に優先する。既存の定義、記述、又は本明細書に記載された他の開示資料と矛盾するが、参照により本明細書に組み込まれると言及された全ての資料、又はそれらの一部分は、その組み込まれた資料と既存の開示資料との間に矛盾がない程度だけ組み込まれることになる。
【0066】
「備える」(並びに「comprises」及び「comprising」などのcompriseの任意の形態)、「有する」(並びに「has」及び「having」などのhaveの任意の形態)、「含む」(並びに「includes」及び「including」などのincludeの任意の形態)、「含有する」(並びに「contains」及び「containing」などのcontainの任意の形態)という用語は、オープンエンドの連結動詞である。結果として、1つ以上の要素を「備える」、「有する」、「含む」、又は「含有する」システムは、それらの1つ以上の要素を保有するが、それらの1つ以上の要素のみを保有することに限定されない。同様に、1つ以上の特徴を「含む」、「有する」、「含む」、又は「含有する」システム、デバイス、又は装置の要素は、それらの1つ以上の特徴を保有するが、それらの1つ以上の特徴のみを保有することに限定されない。
【0067】
要約すると、本明細書に説明される概念を採用することから結果的に生じる多数の利益が説明されている。1つ以上の形態の上記の説明は、例示及び説明の目的で提示されている。これは、開示される正確な形態を網羅又は限定することを意図するものではない。上記の教示に照らして、修正又は変形が可能である。1つ以上の形態は、原理及び実践的適用を例示するために選択及び説明され、それによって、当業者が様々な形態を、及び企図される特定の使用に好適な様々な修正を用いて利用することを可能にする。本明細書で提出された特許請求の範囲は、本開示の全体的な範囲を定義することが意図される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】