(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-29
(54)【発明の名称】植え込み可能外科ロボットシステムにおいて外科器具を交換するためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
A61B 34/35 20160101AFI20231121BHJP
B25J 15/04 20060101ALI20231121BHJP
【FI】
A61B34/35
B25J15/04 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023510431
(86)(22)【出願日】2021-11-10
(85)【翻訳文提出日】2023-04-07
(86)【国際出願番号】 US2021058820
(87)【国際公開番号】W WO2022103864
(87)【国際公開日】2022-05-19
(32)【優先日】2020-11-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522440603
【氏名又は名称】ヴィカリアス・サージカル・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】エリザベス・ミットマン
【テーマコード(参考)】
3C707
4C130
【Fターム(参考)】
3C707AS35
3C707GS01
4C130AA32
4C130AA37
4C130AA50
4C130AB02
4C130AC02
4C130AC05
4C130BA01
4C130BA03
4C130BA09
4C130DA03
(57)【要約】
外科ロボットシステムの一部を形成するロボットアームのエンドエフェクタ領域デバイスは、連結具によってロボットアームの端部分に結合される器具基礎部分と、器具基礎部分に回転可能に結合される第1のプーリ要素および第2のプーリ要素とを備える。デバイスは、共に結合され、プーリ要素に取り外し可能および交換可能に搭載され得る第1の器具要素および第2の器具要素をさらに備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つまたは複数の器具要素を、外科ロボットシステムにおけるロボットアームの手首部分から取り外す、および前記手首部分に挿入するための方法であって、
前記ロボットアームの端部分に結合される器具基礎部分を提供するステップと、
第1のプーリ要素を前記器具基礎部分に回転可能に結合するステップと、
第2のプーリ要素を前記器具基礎部分に回転可能に結合するステップと、
軸要素で前記第1のプーリ要素および前記第2のプーリ要素を前記器具基礎部分に固定するステップと、
第2の器具要素と共に結合できる第1の器具要素を提供するステップと、
前記器具基礎部分に搭載させる、または前記器具基礎部分から取り外しさせることができるように、開放器具交換位置に位置決めされるように前記第1の器具要素および前記第2の器具要素を構成するステップと
を含む方法。
【請求項2】
第1の器具基礎セグメントおよび第2の器具基礎セグメントを含むように前記器具基礎部分を構成するステップと、
前記第1のプーリ要素を前記第1の器具基礎セグメントに回転可能に結合するステップと、
前記第2のプーリ要素を前記第2の器具基礎セグメントに回転可能に結合するステップと
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記開放器具交換位置に配置されるとき、前記器具基礎部分に取り外し可能および交換可能に結合させるように前記第1の器具要素および前記第2の器具要素を構成するステップをさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
第1のプーリ表面特徴部が表面に形成されるように前記第1のプーリ要素を構成し、第2のプーリ表面特徴部が表面に形成されるように前記第2のプーリ要素を構成するステップと、
前記第1のプーリ要素の前記第1のプーリ表面特徴部と形が相補的である第1の表面特徴部が表面に形成されるように前記第1の器具要素を構成し、前記第2のプーリ要素の前記第2のプーリ表面特徴部と形が相補的である第2の表面特徴部が表面に形成されるように前記第2の器具要素を構成するステップと
をさらに含み、
前記第1のプーリ要素の前記第1のプーリ表面特徴部と前記第2のプーリ要素の前記第2のプーリ表面特徴部とが位置合わせされたとき、および、前記第1の器具要素の前記第1の表面特徴部と前記第2の器具要素の前記第2の表面特徴部とが、前記開放器具交換位置に配置されるときに位置合わせされたとき、前記第1の器具要素および前記第2の器具要素は、前記第1のプーリ要素の前記第1のプーリ表面特徴部および前記第2のプーリ要素の前記第2のプーリ表面特徴部のそれぞれにおいて、取り外し可能および交換可能に搭載させることができる、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
第2の器具要素と共に結合できる第1の器具要素を提供する前記ステップは、
第1の連結表面特徴部が表面に形成されるように前記第1の器具要素を構成するステップと、
前記第1の連結表面特徴部と形が相補的である第2の連結表面特徴部が表面に形成されるように前記第2の器具要素を構成し、前記第1の連結表面特徴部と前記第2の連結表面特徴部とが位置合わせされたときに前記第1の器具要素と前記第2の器具要素とを共に結合させることができるようにするステップと
をさらに含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
溝を含むように前記第1の連結表面特徴部を構成し、突出するレール状の要素を含むように前記第2の連結表面特徴部を構成するステップをさらに含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
蟻接手連結を形成するように前記第1の連結表面特徴部と前記第2の連結表面特徴部とを構成するステップをさらに備える、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記第1の器具要素と前記第2の器具要素とが組み立てられるとき、前記第1の器具要素および前記第2の器具要素の1つまたは複数を、前記第1のプーリ要素および前記第2のプーリ要素の1つまたは複数の回転移動によって、前記開放器具交換位置から1つまたは複数の使用位置へと選択的に回転させることで、前記第1の器具要素と前記第2の器具要素とを共に係止するステップをさらに含む、請求項5に記載の方法。
【請求項9】
前記第1のプーリ要素に結合される第1の伝導性バネ要素、および、前記第2のプーリ要素に結合される第2の伝導性バネ要素を提供するステップと、
前記第1の器具要素に結合される第1の伝導性接触要素、および、前記第2の器具要素に結合される第2の伝導性接触要素を提供するステップと
をさらに含む、請求項5に記載の方法。
【請求項10】
使用中、前記第1のプーリ要素および前記第2のプーリ要素の回転位置とは無関係に、前記伝導性バネ要素の一部分と前記伝導性接触要素の一部分との間の直接的な接触を維持するステップをさらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
外科ロボットシステムにおけるロボットアームの端領域デバイスであって、
連結具によって前記ロボットアームの端部分に結合される器具基礎部分と、
前記器具基礎部分に回転可能に結合される第1のプーリ要素と、
前記器具基礎部分に回転可能に結合される第2のプーリ要素であって、前記第1のプーリ要素および前記第2のプーリ要素は軸要素で前記器具基礎部分に固定される、第2のプーリ要素と、
第2の器具要素と共に結合される第1の器具要素と
を備え、
前記第1の器具要素および前記第2の器具要素は、前記器具基礎部分に搭載させる、または前記器具基礎部分から取り外しさせることができるように、開放器具交換位置に位置決めされるように構成される、端領域デバイス。
【請求項12】
前記器具基礎部分は第1の器具基礎セグメントと第2の器具基礎セグメントとを備え、前記第1のプーリ要素は第1の器具基礎セグメントに回転可能に結合され、前記第2のプーリ要素は第2の器具基礎セグメントに回転可能に結合される、請求項11に記載のデバイス。
【請求項13】
前記第1の器具要素および前記第2の器具要素は、前記開放器具交換位置に配置されるとき、前記器具基礎部分に取り外し可能および交換可能に結合される、請求項11に記載のデバイス。
【請求項14】
前記第1のプーリ要素はその表面に第1のプーリ表面特徴部が形成されており、前記第2のプーリ要素はその表面に第2のプーリ表面特徴部が形成されており、前記第1の器具要素は、前記第1のプーリ要素の前記第1のプーリ表面特徴部と形が相補的である第1の表面特徴部が表面に形成されており、前記第2の器具要素は、前記第2のプーリ要素の前記第2のプーリ表面特徴部と形が相補的である第2の表面特徴部が表面に形成されており、
前記第1のプーリ要素の前記第1のプーリ表面特徴部と前記第2のプーリ要素の前記第2のプーリ表面特徴部とが位置合わせされたとき、および、前記第1の器具要素の前記第1の表面特徴部と前記第2の器具要素の前記第2の表面特徴部とが、前記開放器具交換位置に配置されるときに位置合わせされたとき、前記第1の器具要素および前記第2の器具要素は、前記第1のプーリ要素の前記第1のプーリ表面特徴部および前記第2のプーリ要素の前記第2のプーリ表面特徴部のそれぞれにおいて、取り外し可能および交換可能に搭載させることができる、請求項11に記載のデバイス。
【請求項15】
前記第1の器具要素はその表面に第1の連結表面特徴部が形成されており、前記第2の器具要素は、その表面に、前記第1の連結表面特徴部と形が相補的である第2の連結表面特徴部が、前記第1の連結表面特徴部と前記第2の連結表面特徴部とが位置合わせされたときに前記第1の器具要素と前記第2の器具要素とを共に結合させることができるように形成されている、請求項14に記載のデバイス。
【請求項16】
前記第1の連結表面特徴部は溝を含み、前記第2の連結表面特徴部は、突出するレール状の要素を含む、請求項15に記載のデバイス。
【請求項17】
前記第1の連結表面特徴部と前記第2の連結表面特徴部とは蟻接手連結を形成するように構成される、請求項15に記載のデバイス。
【請求項18】
前記第1の器具要素と前記第2の器具要素とが組み立てられるとき、前記第1の器具要素と前記第2の器具要素とは、前記第1のプーリ要素および前記第2のプーリ要素の1つまたは複数の回転移動による、前記開放器具交換位置から1つまたは複数の使用位置への1つまたは複数の前記第1の器具要素および前記第2の器具要素の選択的な回転によって、共に係止される、請求項15に記載のデバイス。
【請求項19】
前記第1のプーリ要素に結合される第1の伝導性バネ要素、および、前記第2のプーリ要素に結合される第2の伝導性バネ要素と、
前記第1の器具要素に結合される第1の伝導性接触要素、および、前記第2の器具要素に結合される第2の伝導性接触要素と
をさらに備える、請求項14に記載のデバイス。
【請求項20】
使用中、前記第1のプーリ要素および前記第2のプーリ要素の回転位置とは無関係に、前記伝導性バネ要素の一部分が前記伝導性接触要素の一部分と連続的および直接接触する、請求項19に記載のデバイス。
【請求項21】
外科ロボットシステムのロボットユニットの一部を形成するロボットアームの手首部分であって、
連結具によって前記ロボットアームの端部分に結合される器具基礎部分と、
前記器具基礎部分に回転可能に結合される第1のプーリ要素であって、第1のプーリ表面特徴部が表面に形成されている主本体を有する第1のプーリ要素と、
前記器具基礎部分に回転可能に結合される第2のプーリ要素であって、第2のプーリ表面特徴部が表面に形成されている主本体を有する第2のプーリ要素と、
前記第1のプーリ要素の前記第1のプーリ表面特徴部と形が相補的である第1の表面特徴部が表面に形成されている主本体を有する第1の器具要素と、
前記第2のプーリ要素の前記第2のプーリ表面特徴部と形が相補的である第2の表面特徴部が表面に形成されている主本体を有する第2の器具要素と
を備え、
第1の開放器具交換位置に配置されるときに前記第1のプーリ要素の前記第1のプーリ表面特徴部と前記第2のプーリ要素の前記第2のプーリ表面特徴部とが互いに位置合わせされたとき、前記第1の器具要素および前記第2の器具要素は、前記第1のプーリ要素の前記第1のプーリ表面特徴部および前記第2のプーリ要素の前記第2のプーリ表面特徴部のそれぞれにおいて、取り外し可能および交換可能に搭載させることができる、手首部分。
【請求項22】
前記器具基礎部分は第1の器具基礎セグメントと第2の器具基礎セグメントとを備え、前記第1のプーリ要素は第1の器具基礎セグメントに回転可能に結合され、前記第2のプーリ要素は第2の器具基礎セグメントに回転可能に結合される、請求項21に記載の手首部分。
【請求項23】
前記第1の器具要素が前記第1のプーリ要素に取り外し可能に搭載され、前記第2の器具要素が前記第2のプーリ要素に取り外し可能に搭載されるとき、前記第1の器具要素の前記第1の表面特徴部は前記第1のプーリ要素の前記第1のプーリ表面特徴部と嵌まり合って着座し、前記第2の器具要素の前記第2の表面特徴部は前記第2のプーリ要素の前記第2のプーリ表面特徴部と嵌まり合って着座する、請求項22に記載のロボットアームの手首部分。
【請求項24】
前記第1のプーリ表面特徴部および前記第2のプーリ表面特徴部の各々が浮き出し要素として成形および構成され、前記第1の表面特徴部および前記第2の表面特徴部の各々がスロットを含む、請求項23に記載のロボットアームの手首部分。
【請求項25】
前記第1の器具基礎セグメントおよび前記第2の器具基礎セグメントの各々が、一端における延在部分と、反対の端におけるフランジ部分とを有する主本体を有し、前記延在部分は、内面と反対の外面とを有し、開口が形成されており、前記延在部分の前記内面は凹所が形成されている、請求項23に記載のロボットアームの手首部分。
【請求項26】
前記第1の器具基礎セグメントおよび前記第2の器具基礎セグメントの各々の前記フランジ部分は、前記連結具を着座させるための開口が形成されている、請求項25に記載のロボットアームの手首部分。
【請求項27】
前記第1のプーリ要素および前記第2のプーリ要素の各々が、内面と、表面から外方に突出する連結要素が表面に形成されている反対の外面とを有する主本体を有し、前記プーリ表面特徴部は前記主本体の前記内面に形成される、請求項25に記載のロボットアームの手首部分。
【請求項28】
前記第1のプーリ要素および前記第2のプーリ要素の各々の前記主本体は、複数の孔が形成されており、前記複数の孔の少なくとも一部分が、制御ケーブルの一部分を着座させるような大きさおよび構成とされる、請求項27に記載のロボットアームの手首部分。
【請求項29】
前記第1のプーリ要素の前記連結要素は、前記第1の器具基礎セグメントの前記内面に形成される前記凹所の中に着座して保持され、前記第2のプーリ要素の前記連結要素は、前記第2の器具基礎セグメントの前記内面に形成される前記凹所の中に着座して保持される、請求項27に記載のロボットアームの手首部分。
【請求項30】
前記第1のプーリ要素に結合される第1の導電性バネ要素と、前記第2のプーリ要素に結合される第2の導電性バネ要素とをさらに備える、請求項29に記載のロボットアームの手首部分。
【請求項31】
前記第1の導電性バネ要素および前記第2の導電性バネ要素はそれぞれ、中心コイル要素と、前記コイル要素の一端に結合される上タブ部分と、前記コイル要素の他の端に結合される下タブ部分とを有する主本体を備える、請求項30に記載のロボットアームの手首部分。
【請求項32】
前記下タブ部分は、前記器具基礎部分の中に収容される電気リード線に結合され、前記コイル要素は前記プーリ要素の前記外面に結合され、前記上タブ部分の少なくとも一部分が前記プーリ要素の前記内面に結合される、請求項31に記載のロボットアームの手首部分。
【請求項33】
使用中、前記中心コイル要素は、前記上タブ部分の移動に基づいて伸び縮みするように構成される、請求項32に記載のロボットアームの手首部分。
【請求項34】
前記第1の器具要素および前記第2の器具要素の各々が、ワークピースに接触するための作用面を有し、さらに、
前記第1の器具要素の前記作用面に結合される第1の伝導性接触要素と、
前記第2の器具要素の前記作用面に結合される第2の伝導性接触要素と
を備え、
前記第1の伝導性接触要素および前記第2の伝導性接触要素の少なくとも一部分が、前記第1の器具要素および前記第2の器具要素にそれぞれ搭載されるとき、前記第1の伝導性バネ要素および前記第2の伝導性バネ要素の前記上タブ部分の少なくとも一部分にそれぞれ接触するように構成される、請求項32に記載のロボットアームの手首部分。
【請求項35】
前記第1の伝導性接触要素および前記第2の伝導性接触要素の各々の前記一部分は、使用中、前記第1の伝導性バネ要素および前記第2の伝導性バネ要素のそれぞれの前記一部分と連続的な電気接触したままである、請求項34に記載のロボットアームの手首部分。
【請求項36】
前記第1の器具要素は、外面と、第1の器具表面特徴部が関連付けられる反対の内面とを有する主本体を有し、前記第2の器具要素は、外面と、第2の器具表面特徴部が関連付けられる反対の内面とを有する主本体を有し、前記第2の器具表面特徴部は前記第1の器具表面特徴部と形が相補的である、請求項34に記載のロボットアームの手首部分。
【請求項37】
前記第1の器具要素の前記第1の器具表面特徴部は溝であり、前記第2の器具要素の前記第2の器具表面特徴部は突起である、請求項36に記載のロボットアームの手首部分。
【請求項38】
前記溝と前記突起とは蟻接手連結を形成するように構成される、請求項37に記載のロボットアームの手首部分。
【請求項39】
前記溝および前記突起の各々は選択された幅を有し、前記溝および前記突起の各々は、1つまたは複数の細幅区域と、1つまたは複数の広幅区域とを有する、請求項37に記載のロボットアームの手首部分。
【請求項40】
前記第1の器具要素と前記第2の器具要素とは、前記突起の前記広幅区域が前記溝の前記広幅区域と位置合わせされるように前記第1の器具要素の前記作用面と前記第2の器具要素の前記作用面とが約180度より大きい角度距離で分離されるように、前記第1の器具要素と前記第2の器具要素とを互いに対して配置することで共に組み立てられ、また、前記突起が前記溝に挿入され、前記第1の器具要素と前記第2の器具要素とが互いに対して回転されるとき、前記第1の器具要素と前記第2の器具要素とは互いに連結される、請求項39に記載のロボットアームの手首部分。
【請求項41】
前記第1のプーリ要素に結合される第1の導電性バネ要素と、
前記第2のプーリ要素に結合される第2の導電性バネ要素と、
前記第1の器具要素に結合される第1の伝導性接触要素と、
前記第2の器具要素に結合される第2の伝導性接触要素と
をさらに備える、請求項21に記載のロボットアームの手首部分。
【請求項42】
前記第1の器具基礎セグメント、前記第2の器具基礎セグメント、前記第1のプーリ要素、前記第2のプーリ要素、前記第1の器具要素、および前記第2の器具要素の各々は、共に位置合わせされたとき、前記第1の器具基礎セグメントと、前記第2の器具基礎セグメントと、前記第1のプーリ要素と、前記第2のプーリ要素と、前記第1の器具要素と、前記第2の器具要素とを共に固定するための軸要素を着座させるために開口が形成されている、請求項41に記載のロボットアームの手首部分。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2020年11月10日に出願された「System And Method For Exchanging Surgical Tools In An Implantable Surgical Robotic System」という表題の米国特許仮出願第63/111,950号への優先権を主張し、その内容は参照により本明細書に組み込まれている。
【背景技術】
【0002】
1990年代初頭に始まって以来、低侵襲手術の分野は急速に成長してきた。低侵襲手術は患者の転帰を大きく向上させるが、この向上は、外科医が正確かつ容易に手術をすることができなくなるという代償を伴う。従来の腹腔鏡による処置の間、外科医は、典型的には、患者の腹壁における複数の小さい切開を通じて腹腔鏡器械を挿入する。腹壁を通じての器具挿入の性質上、器械が腹壁への損傷なしで側方から側方へと移動することができないため、腹腔鏡器械の運動を制約する。標準的な腹腔鏡器械は運動が限られてもおり、典型的には、4つの運動軸に限定される。これらの4つの運動軸は、トロカールへの器械の出入りの移動(軸1)と、トロカール内での器械の回転(軸2)と、腹腔へのトロカールの入口の枢動位置を保つ一方での2つの平面におけるトロカールの角度移動(軸3および軸4)である。20年以上にわたって、低侵襲手術の大部分は、これらの4つの運動度のみで実施されてきた。さらに、以前のシステムは、手術が腹腔の中で複数の異なる場所に対処する必要がある場合、複数の切開を必要とする。
【0003】
既存のロボット外科デバイスは、これらの問題の多くを解決しようと試みてきた。ある既存のロボット外科デバイスは、器械の端における追加の自由度によって、ロボットによるものではない腹腔鏡手術を再現する。しかしながら、外科処置への多くのコストの掛かる変更を伴っても、既存のロボット外科デバイスは、そのデバイスが使用された処置の大部分において、向上した患者の転帰を提供することができなかった。また、既存のロボットデバイスは、外科医と外科的エンドエフェクタとの間に大きな隔たりを作り出す。この大きな隔たりは、外科医が運動を誤解すること、およびロボットデバイスによって加えられる力に起因する怪我を引き起こす。多くの既存のロボットデバイスの自由度は操作者にとってなじみがないため、外科医は、不注意による怪我の可能性を最小限にするために、患者に対する手術の前に、ロボットシミュレータでしっかりと訓練する必要がある。
【0004】
既存ロボットデバイスを制御するために、外科医は、典型的には操作卓のところで座り、自身の手および/または足でマニピュレータを制御する。また、ロボットカメラが半固定場所に留まり、外科医からの足および手の組み合わされた運動によって移動される。これらの半固定カメラは、限られた視界しか提供せず、手術の領域全体を可視化することを困難にする。
【0005】
他のロボットデバイスは、単一の切開を通じて挿入される2つのロボットマニピュレータを有する。これらのデバイスは、しばしば臍において、単一の切開に必要とされる切開の数を少なくする。しかしながら、既存の単一切開のロボットデバイスには、それらのアクチュエータの設計に起因する相当の欠点がある。既存の単一切開のロボットデバイスは、サーボモータ、エンコーダ、ギヤボックス、および、生体内ロボットの内部のすべての他の作動デバイスを含み、これは、患者内に挿入されるロボットユニットを比較的大きいものにする。この大きさは、様々な処置を実施するための移動および能力の観点において、ロボットユニットをかなり制約する。さらに、このような大きいロボットは、典型的には、しばしば直視下手術の大きさの近くで、大きい切開の部位を通じて挿入される必要があり、そのため感染の危険性、痛み、および一般的な病的状態を増大させる。
【0006】
さらに、腹腔鏡手術およびロボット手術では、様々な器具および把持器が外科処置を完了するために必要とされる。外科ロボットシステムによって用いられる必要な器具のすべてを一度に患者内に最初に挿入することは、過剰な切開部位の使用の可能性、ならびに、外科処置の間に器具を安全に保管および操作すること固有の複雑さの増大のため、患者への危険性の増大をもたらす可能性がある。したがって、現在の外科処置は、典型的には、手術を通じて器具を取り外しおよび交換することに依拠する。この取り外しおよび交換の過程は、手術の時間を長引かせるように作用し、器具が完全に取り外され新たな器具が患者内に挿入されるために複雑化する可能性を増大させ、必要とされる材料の量、ひいては手術の潜在的なコストを増大させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第10,285,765号明細書
【特許文献2】PCT/US20/39203
【特許文献3】米国特許出願公開第2019/0076199号明細書
【特許文献4】米国特許出願公開第2018/0221102号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、本発明のロボットアームのエンドエフェクタを形成する器具を、容易で効率的な手法で取り換える能力に向けられている。器具を容易に取り換える能力によって、外科医などの使用者は、典型的には専用器具が取り付けられるロボットアーム全体を交換するのではなく、ロボットアームのエンドエフェクタ部分を取り外して交換するだけでよい。器具要素の取り外しおよび交換は、患者の内部または外部で行うことができる。ロボットアーム全体が交換される必要がないことにより、本発明のロボットアームは、使用者がロボットアーム全体一式を用いる必要がないため、コストおよび廃棄物を低減する。
【0009】
本発明は、把持器要素の対として示されている相対する器具交換基礎セグメント、プーリ要素、電気接触要素、および器具要素の対を含むエンドエフェクタ部分を含む。器具基礎は、プーリ要素の一部分を器具要素セグメントに形成された凹所へと挿入することによってプーリ要素をそれぞれの器具基礎セグメントに搭載することで、組み立てられる。次に、エンドエフェクタ部分は、開口が各々に形成されている連結フランジの対および結合ピンによって、ロボットアーム組立体に結合させることできる。開口は、ロボットアーム組立体の端部分に形成された適切な連結具に結合され得る。プーリ要素は、器具要素の主本体の中または表面に形成された表面特徴部と形が相補的である浮き出しなどの表面特徴部を用いることができる。プーリ要素の浮き出しと器具要素に形成された開口とが選択された位置(例えば、開放器具交換位置)で配向されるとき、器具要素は、器具基礎部分に容易に搭載させることができる、または、器具要素部分から容易に取り外すことができる。器具要素は、把持器部分(例えば、作用面)同士が約180度などの所定の設定角度で互いから分離される開放器具交換位置に配置させることができる。これによって、器具要素をプーリ要素の表面特徴部において容易に滑らせることができる。搭載されると、プーリ要素は、作用面同士が180度未満で互いから分離される1つまたは複数の使用位置へと器具要素を移動させるように、適切なケーブルによって作動させることができる。使用位置は、器具要素同士を共に固定する一方で、器具要素を器具基礎部分に付随的に固定する。器具要素を器具基礎から取り外すために、器具要素は開放器具交換位置に再び配置させることができる。
【0010】
本発明は、器具器械を形成する1つまたは複数の器具要素を、外科ロボットシステムにおけるロボットアームの手首部分から取り外す、および前記手首部分に挿入するための方法に向けられている。方法は、ロボットアームの端部分に結合される器具基礎部分を提供するステップと、第1のプーリ要素および第2のプーリ要素を器具基礎部分に回転可能に結合するステップと、軸要素で第1のプーリ要素および第2のプーリ要素を器具基礎部分に固定するステップと、共に結合される第1の器具要素および第2の器具要素を提供するステップと、器具基礎部分に搭載させる、または器具基礎部分から取り外しさせることができるように、開放器具交換位置に位置決めされるように第1の器具要素および第2の器具要素を構成するステップとを含む。器具基礎部分は第1の器具基礎セグメントと第2の器具基礎セグメントとを備えるように構成され、第1のプーリ要素は第1の器具基礎セグメントに回転可能に結合され、第2のプーリ要素は第2の器具基礎セグメントに回転可能に結合される。それによって、第1の器具要素および第2の器具要素は、開放器具交換位置に配置されるとき、器具基礎部分に取り外し可能および交換可能に結合される。
【0011】
本発明の方法は、第1のプーリ表面特徴部が表面に形成されるように第1のプーリ要素を構成し、第2のプーリ表面特徴部が表面に形成されるように第2のプーリ要素を構成するステップと、第1のプーリ要素の第1のプーリ表面特徴部と形が相補的である第1の表面特徴部が表面に形成されるように第1の器具要素を構成し、第2のプーリ要素の第2のプーリ表面特徴部と形が相補的である第2の表面特徴部が表面に形成されるように第2の器具要素を構成するステップとをさらに含む。第1のプーリ要素の第1のプーリ表面特徴部と第2のプーリ要素の第2のプーリ表面特徴部とが位置合わせされたとき、および、第1の器具要素の第1の表面特徴部と第2の器具要素の第2の表面特徴部とが、開放器具交換位置に配置されるときに位置合わせされたとき、第1の器具要素および第2の器具要素は、第1のプーリ要素の第1のプーリ表面特徴部および第2のプーリ要素の第2のプーリ表面特徴部のそれぞれにおいて、取り外し可能および交換可能に搭載させることができる。
【0012】
方法は、一実施形態によれば、第2の器具要素と共に結合できる第1の器具要素を提供するステップと、第1の連結表面特徴部が表面に形成されるように第1の器具要素を構成するステップと、第1の連結表面特徴部と形が相補的である第2の連結表面特徴部が表面に形成されるように第2の器具要素を構成し、第1の連結表面特徴部と第2の連結表面特徴部とが位置合わせされたときに第1の器具要素と第2の器具要素とを共に結合させることができるようにするステップとをも含む。第1の連結表面特徴部は溝を含むことができ、第2の連結表面特徴部は、突出するレール状の要素を含むことができる。第1の連結表面特徴部と第2の連結表面特徴部とは、組み合わせで蟻接手連結を形成する。さらに、第1の器具要素と第2の器具要素とが組み立てられるとき、方法は、第1の器具要素および第2の器具要素の1つまたは複数を、第1のプーリ要素および第2のプーリ要素の1つまたは複数の回転移動によって、開放器具交換位置から1つまたは複数の使用位置へと選択的に回転させることで、第1の器具要素と第2の器具要素とを共に係止するステップを含む。これによって、本発明のデバイスは、開放器具交換位置などの選択された位置に配置されるとき、異なる種類の器具要素を器具基礎部分から容易に取り外しおよび交換することを可能にする一方で、器具要素を開放器具交換位置から1つまたは複数の異なる使用位置へと移動させることで、器具要素同士を共に器具基礎部分に係止する。使用位置は、器具要素が外科処置の実施の間に配置される位置に対応する。一実施によれば、器具要素は、使用中に、180度に近づくかまたは180度を越える角度距離で分離される必要がない。
【0013】
本発明の方法は、第1のプーリ要素に結合される第1の伝導性バネ要素、および、第2のプーリ要素に結合される第2の伝導性バネ要素を提供するステップと、第1の器具要素に結合される第1の伝導性接触要素、および、第2の器具要素に結合される第2の伝導性接触要素を提供するステップとをも含む。方法は、使用中、第1のプーリ要素および第2のプーリ要素の回転位置とは無関係に、伝導性バネ要素の一部分と伝導性接触要素の一部分との間の直接的な接触を維持するステップをさらに含む。
【0014】
本発明は、外科ロボットシステムにおけるロボットアームのエンドエフェクタ領域デバイスであって、連結具によってロボットアームの端部分に結合される器具基礎部分と、器具基礎部分に回転可能に結合される第1のプーリ要素と、器具基礎部分に回転可能に結合される第2のプーリ要素であって、第1のプーリ要素および第2のプーリ要素は軸要素で器具基礎部分に固定される、第2のプーリ要素と、第2の器具要素と共に結合される第1の器具要素とを備えるエンドエフェクタ領域デバイスにも向けられている。第1の器具要素および第2の器具要素は、器具基礎部分に搭載させる、または器具基礎部分から取り外しさせることができるように、開放器具交換位置に位置決めされるように構成される。器具基礎部分は、一実施形態によれば、第1の器具基礎セグメントと第2の器具基礎セグメントとを備えることができ、第1のプーリ要素は第1の器具基礎セグメントに回転可能に結合され、第2のプーリ要素は第2の器具基礎セグメントに回転可能に結合される。第1の器具要素および第2の器具要素は、開放器具交換位置に配置されるとき、器具基礎部分に取り外し可能および交換可能に結合される。
【0015】
第1のプーリ要素はその表面に第1のプーリ表面特徴部が形成されており、第2のプーリ要素はその表面に第2のプーリ表面特徴部が形成されており、第1の器具要素は、第1のプーリ要素の第1のプーリ表面特徴部と形が相補的である第1の表面特徴部が表面に形成されており、第2の器具要素は、第2のプーリ要素の第2のプーリ表面特徴部と形が相補的である第2の表面特徴部が表面に形成されている。開放器具交換位置に配置されるときに、第1のプーリ要素の第1の表面特徴部と第2のプーリ要素の第2の表面特徴部とが、および第1の器具要素の第1の表面特徴部と第2の器具要素の第2の表面特徴部とが位置合わせされる。この位置において、第1の器具要素および第2の器具要素は、第1のプーリ要素の第1のプーリ表面特徴部および第2のプーリ要素の第2のプーリ表面特徴部のそれぞれにおいて、取り外し可能および交換可能に搭載させることができる。
【0016】
なおもさらには、第1の器具要素はその表面に第1の連結表面特徴部が形成されており、第2の器具要素は、その表面に、第1の連結表面特徴部と形が相補的である第2の連結表面特徴部が、第1の連結表面特徴部と第2の連結表面特徴部とが位置合わせされたときに第1の器具要素と第2の器具要素とを共に結合させることができるように形成されている。第1の連結表面特徴部は溝を含み、第2の連結表面特徴部は、突出するレール状の要素を含む。第1の連結表面特徴部と第2の連結表面特徴部とは蟻接手連結を形成するように構成され得る。
【0017】
なおもさらには、第1の器具要素と第2の器具要素とが組み立てられるとき、第1の器具要素と第2の器具要素とは、第1のプーリ要素および第2のプーリ要素の1つまたは複数の回転移動による、開放器具交換位置から1つまたは複数の使用位置への1つまたは複数の第1の器具要素および第2の器具要素の選択的な回転によって、共に係止される。
【0018】
本発明のデバイスは、第1のプーリ要素に結合される第1の伝導性バネ要素と、第2のプーリ要素に結合される第2の伝導性バネ要素と、第1の器具要素に結合される第1の伝導性接触要素と、第2の器具要素に結合される第2の伝導性接触要素とを備えることもできる。使用中、共に組み立てられるとき、第1のプーリ要素および第2のプーリ要素の回転位置とは無関係に、伝導性バネ要素の一部分が伝導性接触要素の一部分と連続的および直接接触する。
【0019】
本発明は、外科ロボットシステムのロボットユニットの一部を形成するロボットアームの手首部分であって、連結具によってロボットアームの端部分に結合される器具基礎部分と、器具基礎部分に回転可能に結合される第1のプーリ要素であって、第1のプーリ表面特徴部が表面に形成されている主本体を有する第1のプーリ要素と、器具基礎部分に回転可能に結合される第2のプーリ要素であって、第2のプーリ表面特徴部が表面に形成されている主本体を有する第2のプーリ要素と、第1のプーリ要素の第1のプーリ表面特徴部と形が相補的である第1の表面特徴部が表面に形成されている主本体を有する第1の器具要素と、第2のプーリ要素の第2のプーリ表面特徴部と形が相補的である第2の表面特徴部が表面に形成されている主本体を有する第2の器具要素とを備える手首部分にも向けられている。第1のプーリ要素の第1のプーリ表面特徴部と第2のプーリ要素の第2のプーリ表面特徴部とが、第1の開放器具交換位置に配置されるときに互いに位置合わせされる。この位置において、第1の器具要素および第2の器具要素は、第1のプーリ要素の第1のプーリ表面特徴部および第2のプーリ要素の第2のプーリ表面特徴部のそれぞれにおいて、取り外し可能および交換可能に搭載させることができる。一実施形態によれば、器具基礎部分は第1の器具基礎セグメントと第2の器具基礎セグメントとを備え、第1のプーリ要素は第1の器具基礎セグメントに回転可能に結合され、第2のプーリ要素は第2の器具基礎セグメントに回転可能に結合される。さらに、第1の器具要素が第1のプーリ要素に取り外し可能に搭載され、第2の器具要素が第2のプーリ要素に取り外し可能に搭載されるとき、第1の器具要素の第1の表面特徴部は第1のプーリ要素の第1のプーリ表面特徴部と嵌まり合って着座し、第2の器具要素の第2の表面特徴部は第2のプーリ要素の第2のプーリ表面特徴部と嵌まり合って着座する。一実施形態によれば、第1のプーリ表面特徴部および第2のプーリ表面特徴部の各々が浮き出し要素として成形および構成され、第1の表面特徴部および第2の表面特徴部の各々がスロットを含む。
【0020】
本発明の器具基礎セグメントは、一端における延在部分と、反対の端におけるフランジ部分とを有する主本体も有する。延在部分は、内面と反対の外面とを有し、開口が形成されている。延在部分の内面は凹所が形成されている。第1の器具基礎セグメントおよび第2の器具基礎セグメントの各々のフランジ部分は、連結具を着座させるための開口が形成されている。さらに、第1のプーリ要素および第2のプーリ要素の各々が、内面と、表面から外方に突出する連結要素が表面に形成されている反対の外面とを有する主本体を有する。プーリ表面特徴部は主本体の内面に形成される。第1のプーリ要素および第2のプーリ要素の各々の主本体は、複数の孔が形成されており、複数の孔の少なくとも一部分が、制御ケーブルの一部分を着座させるような大きさおよび構成とされる。なおもさらには、第1のプーリ要素の連結要素は、第1の器具基礎セグメントの内面に形成される凹所の中に着座して保持され、第2のプーリ要素の連結要素は、第2の器具基礎セグメントの内面に形成される凹所の中に着座して保持される。
【0021】
手首部分は、第1のプーリ要素に結合される第1の導電性バネ要素と、第2のプーリ要素に結合される第2の導電性バネ要素とをも備える。第1の導電性バネ要素および第2の導電性バネ要素の各々は、中心コイル要素と、コイル要素の一端に結合される上タブ部分と、コイル要素の他の端に結合される下タブ部分とを有する主本体を備える。下タブ部分は、器具基礎部分の中に収容される電気リード線に結合され、コイル要素はプーリ要素の外面に結合され、上タブ部分の少なくとも一部分がプーリ要素の内面に結合される。使用中、中心コイル要素は、上タブ部分の移動に基づいて伸び縮みするように構成される。
【0022】
本発明によれば、手首部分は、第1の器具要素の作用面に結合される第1の伝導性接触要素と、第2の器具要素の作用面に結合される第2の伝導性接触要素とを備える。さらに、第1の伝導性接触要素および第2の伝導性接触要素の少なくとも一部分が、第1の器具要素および第2の器具要素にそれぞれ搭載されるとき、第1の伝導性バネ要素および第2の伝導性バネ要素の上タブ部分の少なくとも一部分にそれぞれ接触するように構成される。なおもさらには、第1の伝導性接触要素および第2の伝導性接触要素の各々の接触する一部分は、使用中、第1の伝導性バネ要素および第2の伝導性バネ要素のそれぞれの一部分と連続的に電気接触したままである。
【0023】
本発明のこれらおよび他の特徴は、同様の符号が異なる図を通じて同様の符号を参照している添付の図面と併せて、以下の詳細な記載を参照することでより完全に理解されるものである。図面は、本発明の原理を示しており、一定の縮尺ではないが、相対的な寸法を示している。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明のロボットエンドエフェクタを実施する例示の外科ロボットシステムの概略図である。
【
図2A】本発明の教示による、ロボットユニットのロボットアームの透視図である。
【
図2B】本発明の教示による、ロボットユニットのロボットアームの透視図である。
【
図3】本発明の第1の実施形態による、ロボットアームのエンドエフェクタ部分の分解透視図である。
【
図4】本発明の第1の実施形態による、ロボットアームのエンドエフェクタ部分の分解透視図である。
【
図5】本発明の教示による、ロボットアームのエンドエフェクタ部分の一部分の部分組立図である。
【
図6】本発明の教示による、ロボットアームの完全に組み立てられたエンドエフェクタ部分の透視図である。
【
図7A】本発明の教示による、エンドエフェクタ部分の器具基礎部分および選択されたエンドエフェクタ器具の透視図である。
【
図7B】本発明の教示による、エンドエフェクタ部分の器具基礎部分および選択されたエンドエフェクタ器具の透視図である。
【
図7C】本発明の教示による、エンドエフェクタ部分の器具基礎部分および選択されたエンドエフェクタ器具の透視図である。
【
図7D】本発明の教示による、エンドエフェクタ部分の器具基礎部分および選択されたエンドエフェクタ器具の透視図である。
【
図8A】使用中の選択された位置における搭載された器具要素を示す、本発明のエンドエフェクタ部分の透視図である。
【
図8B】器具要素が器具基礎部分に搭載され得る、または器具基礎部分から取り外しされ得る開放器具交換位置における搭載された器具要素を示す、本発明のエンドエフェクタ部分の透視図である。
【
図8C】器具要素が器具基礎部分に搭載され得る、または器具基礎部分から取り外しされ得る開放器具交換位置における搭載された器具要素を示す、本発明のエンドエフェクタ部分の透視図である。
【
図8D】組み立てられたときの本発明の器具基礎部分の透視図である。
【
図9】器具要素が器具基礎部分に搭載され得る、または器具基礎部分から取り外しされ得る開放器具交換位置における搭載された器具要素を示す、本発明のエンドエフェクタ部分の部分的な透視図である。
【
図10A】使用中の選択された位置における搭載された器具要素を示す、本発明のエンドエフェクタ部分の部分的な透視図である。
【
図10B】使用中の選択された位置における搭載された器具要素を示す、本発明のエンドエフェクタ部分の部分的な透視図である。
【
図10C】使用中の選択された位置における搭載された器具要素を示す、本発明のエンドエフェクタ部分の部分的な透視図である。
【
図11】本発明の教示による、器具基礎部分の透視図である。
【
図12A】本発明のプーリ要素を駆動するためのケーブルを示す器具基礎部分の選択された構成要素の部分的な透視図である。
【
図12B】本発明のプーリ要素を駆動するためのケーブルを示す器具基礎部分の選択された構成要素の部分的な透視図である。
【
図12C】本発明のプーリ要素を駆動するためのケーブルを示す器具基礎部分の選択された構成要素の部分的な透視図である。
【
図13A】本発明の第2の実施形態による、ロボットアームのエンドエフェクタ部分の側方からの透視図である。
【
図13B】本発明の教示による、
図13Aのロボットアームのエンドエフェクタ部分の前方からの透視図である。
【
図14A】本発明の教示による、エンドエフェクタ部分の分解図である。
【
図14B】本発明の教示による、エンドエフェクタ部分の分解図である。
【
図14C】本発明の教示による、エンドエフェクタ部分の分解図である。
【
図14D】本発明の教示による、エンドエフェクタ部分の分解図である。
【
図14E】本発明の教示による、エンドエフェクタ部分の分解図である。
【
図15】本発明の教示による、エンドエフェクタ部分の分解透視図である。
【
図16A】本発明の教示による、ロボットアームのエンドエフェクタ部分のプーリ要素の前面図である。
【
図16B】本発明の教示による、ロボットアームのエンドエフェクタ部分のプーリ要素の側面図である。
【
図16C】本発明の教示による、ロボットアームのエンドエフェクタ部分のプーリ要素の後面図である。
【
図17A】本発明の教示による、エンドエフェクタ部分の伝導性バネ要素の前面図である。
【
図17B】本発明の教示による、エンドエフェクタ部分の伝導性バネ要素の側面図である。
【
図17C】本発明の教示による、第1の例示の動作位置における伝導性バネ要素の前面図である。
【
図17D】本発明の教示による、第2の例示の動作位置における伝導性バネ要素の前面図である。
【
図18A】本発明の教示による、伝導性バネ要素が結合されているプーリ要素の前面図である。
【
図18B】本発明の教示による、伝導性バネ要素が結合されているプーリ要素の後面図である。
【
図19A】本発明の教示による、伝導性バネ要素と内部電線との連結を示すロボットアームのエンドエフェクタ部分の部分切断図である。
【
図19B】本発明の教示による、伝導性バネ要素と内部電線との連結を示すロボットアームのエンドエフェクタ部分の拡大部分切断図である。
【
図20A】器具要素同士を共に結合するための嵌まり合う表面特徴部を示す、本発明の器具要素の前側方からの透視図である。
【
図20B】器具要素同士を共に結合するための嵌まり合う表面特徴部を示す、本発明の器具要素の前側方からの透視図である。
【
図21】本発明の教示による、それぞれのプーリ要素に搭載された器具要素のうちの1つの透視図である。
【
図22A】本発明の教示による、共に結合されるときの器具要素の透視図である。
【
図22B】本発明の教示による、共に結合されるときの器具要素の透視図である。
【
図23A】本発明の教示による、プーリ要素の浮き出し要素に搭載されるときの器具要素の前方からの透視図である。
【
図23B】本発明の教示による、プーリ要素の浮き出し要素に搭載されるときの器具要素の後方からの透視図である。
【
図23C】本発明の教示による、プーリ要素の浮き出し要素に搭載されるときの器具要素の側面図である。
【
図24A】本発明の教示による、プーリ要素に搭載されるときの器具要素および関連付けられた伝導性接触要素の前方からの透視図である。
【
図24B】本発明の教示による、プーリ要素に搭載されるときの器具要素および関連付けられた伝導性接触要素の後方からの透視図である。
【
図25】本発明のプーリ要素に搭載されるときの器具要素の側方からの透視図である。
【
図26A】本発明の教示による、プーリ要素に搭載されるときの器具要素の後方からの透視図である。
【
図26B】本発明の教示による、対応するプーリ要素に搭載されるときの器具要素の前方からの透視図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下の記載において、数多くの特定の詳細が、開示されている主題の完全な理解を提供するために、本発明のシステムおよび方法、ならびに、そのシステムおよび方法が動作し得る環境に関して、述べられている。しかしながら、開示されている主題は、このような特定の詳細なしで実施させることができることと、複雑さを回避し、開示されている主題の明確さを高めるために、当技術分野でよく知られている特定の特徴が記載されていないこととは、当業者には明らかとなる。また、以下に提供されているいずれの例も単なる例示であり、限定の様態で解釈されるものではないことと、他のシステム、装置、および/または方法が、本発明の教示を実施または保管するために用いることができ、本発明の範囲内にあると見なされることが、本発明者によって考えられていることとは、理解されるものである。
【0026】
本発明のシステムおよび方法は、仮想現実外科システムの一部として用いられている1つまたは複数の外科ロボットシステムとの使用のために設計できるが、本発明のロボットシステムは、例えば、ロボット外科システム、真っ直ぐに突き刺す方式の外科システム、および腹腔鏡システムなど、任意の種類の外科システムとの関連で用いることができる。また、本発明のシステムは、デバイスまたは装置を制御する一方で使用者が無数の情報へのアクセスを必要とする他の非外科システムで使用されてもよい。
【0027】
本発明は、単一の切開の位置または部位を貫くトロカールを介して患者へと挿入させることができる外科ロボットユニットを含むロボットサブシステムを用いる。ロボットユニットは、外科部位において生体内で展開させるのに十分な小ささであり、複数の異なる位置または部位において様々な外科処置を実施するように体内で移動することができるように挿入されるとき、十分に操縦可能である。外科ロボットユニットは、異なる軸または別々の軸に沿って患者内で展開可能である複数の別々のロボットアームを備える。さらに、外科カメラ組立体も別々の軸に沿って展開させることができる。したがって、外科ロボットユニットは、異なる軸に沿ってそれぞれ展開可能であり、それぞれが別々に操作可能、操縦可能、および移動可能である、ロボットアームの対、および外科またはロボットのカメラ組立体など、複数の異なる構成要素を用いる。別々の軸および操作可能な軸に沿って配置可能であるロボットアームおよびカメラ組立体は、本明細書において、スプリットアーム(SA)アーキテクチャと称される。SAアーキテクチャは、単一の挿入部位における単一のトロカールを通じて、ロボット外科器械の挿入の効率を簡素化して増大させるように設計される一方で、手術準備状態への外科器械の展開と、続くトロカールを通じた外科器械の取り外しとを付随的に支援する。例として、外科器械は、患者の腹腔において生体内にアクセスして手術を実施するために、トロカールを通じて挿入させることができる。いくつかの実施形態では、ロボット外科器械に限定されることなく、当技術分野で知られている他の外科器械を含め、様々な外科器械が用いられてもよい。
【0028】
本明細書で開示されているシステムおよび方法は、例えば、米国特許第10,285,765号およびPCT特許出願のPCT/US20/39203で開示されているロボット外科デバイスおよび関連のシステム、ならびに/または、米国特許出願公開第2019/0076199号に開示されているカメラ組立体およびシステムを組み込んで利用でき、上記の特許、特許出願、および出願公開のすべての内容および教示は、参照により本明細書に組み込まれている。本発明の一部を形成する外科ロボットユニットは、適切なセンサおよび表示装置を含む外科医ワークステーション、ユーザワークステーション、および、本発明のロボットサブシステムと相互作用してそれを支援するためのロボット支援システム(RSS)とを含む外科ロボットシステムの一部を形成することができる。ロボットサブシステムは、モータユニットと、1つまたは複数のロボットアームおよび1つまたは複数のカメラ組立体を含む外科ロボットユニットを備える。ロボットアームおよびカメラ組立体は、単一の支持軸ロボットシステムの一部を形成することができる、または、スプリットアーム(SA)アーキテクチャロボットシステムの一部を形成することができる。ロボット支援システムは、ロボットユニットが患者内で単一の位置または複数の異なる位置へと操縦させることができるように、複数の自由度を提供することができる。一実施形態では、ロボット支援システムは、手術台に、または、手術室の中の床もしくは天井に、直接搭載させることができる。他の実施形態では、搭載は、限定されることはないが、留め具、ネジ、またはそれらの組み合わせを含め、様々な締結手段によって達成される。他の実施形態では、構造は自立していてもよい。ロボット支援システムは、ロボットアームおよびカメラ組立体を含む外科ロボットユニットに結合されるモータ組立体を搭載することができる。モータ組立体は、外科ロボットユニットの構成要素に動力供給するために、歯車、モータ、駆動列、電子機器などを備え得る。
【0029】
ロボットアームおよびカメラ組立体は、複数の移動の自由度とすることができる。ある実施によれば、ロボットアームおよびカメラ組立体は、トロカールを通じて患者へと挿入されるとき、少なくとも軸方向、ヨー方向、ピッチ方向、およびロール方向に移動することができる。ロボットアーム組立体は、使用者の手首の領域または関節に対応する遠位端にエンドエフェクタが搭載されているロボットアームの移動の複数の自由度を組み込みおよび利用するように設計される。他の実施形態では、ロボットアームの作用端(例えば、エンドエフェクタ端)は、例えば米国特許出願公開第2018/0221102号に述べられている外科器械など、他のロボット外科器械を組み込みおよび利用するように設計され、この特許出願公開の内容は、参照により本明細書に組み込まれている。
【0030】
図1は、本発明の教示による外科ロボットシステム10の概略的なブロック図での描写である。システム10は、表示デバイスまたは表示ユニット12と、仮想現実(VR)コンピュータユニット14と、感知および追跡ユニット16と、コンピュータユニット18と、ロボットサブシステム20とを備える。表示ユニット12は、VRコンピュータユニット14、コンピュータユニット18、および/またはロボットサブシステム20によって生成された情報、画像、または動画を表示するための任意の選択された種類の表示装置であり得る。表示ユニット12は、例えば、ヘッドマウントディスプレイ(HMD)、画面もしくは表示装置、および三次元(3D)画面などの一部を含むかまたは形成することができる。表示ユニットは、市販されているヘッドマウントディスプレイに見つけ出すことができるものなど、任意選択のセンサおよび追跡ユニット16Aを含むこともできる。感知および追跡ユニット16および16Aは、看護師または外科医などのシステムの使用者に結合される1つまたは複数のセンサまたは検出装置を含み得る。センサは使用者の腕に結合させることができ、ヘッドマウントディスプレイが使用されない場合、追加のセンサを使用者の頭および/または首の領域に結合させることもできる。この配置におけるセンサは、センサおよび追跡ユニット16によって描写される。使用者がヘッドマウントディスプレイを用いる場合、目センサ、頭センサ、および/または首センサと、関連する追跡技術とが、そのデバイスの中に組み込みまたは採用させることができ、したがって、任意選択のセンサおよび追跡ユニット16Aの一部を形成することができる。外科医のアームに結合されるセンサおよび追跡ユニット16のセンサは、例えば肩領域、肘領域、手首または手の領域、および、望まれる場合には指など、アームの選択された領域に好ましくは結合され得る。一実施によれば、センサは、外科医によって操縦される手制御装置の対に結合される。センサは、使用者の選択された部分の位置を指示する位置データを生成する。感知および追跡ユニット16および/または16Aは、ロボットサブシステム20のカメラ組立体44およびロボットアーム42の移動を制御するために利用できる。センサおよび追跡ユニット16のセンサによって生成された位置データ34は、処理装置22による処理のために、コンピュータユニット18に伝達され得る。コンピュータユニット18は、位置データ34から、外科医のアームの各々の部分の位置および/または配向を決定または計算することができ、このデータをロボットサブシステム20へと伝達することができる。代替の実施形態によれば、感知および追跡ユニット16は、外科医の胴または任意の他の身体部に結合されたセンサを用いることができる。さらに、感知および追跡ユニット16は、センサに加えて、例えば加速度計、ジャイロスコープ、磁力計、およびモーションプロセッサを有する慣性運動量ユニット(IMU)を用いることができる。磁力計の追加は、磁針路が鉛直軸の周りでのセンサドリフトにおける低減を可能にするため、現場での標準的な実施である。代替の実施形態は、手袋、手術服、または手術衣などの手術用の生地に配置されたセンサも含む。センサは再使用可能または使い捨てであり得る。さらに、センサは、手術室など、部屋における固定された場所など、使用者の外部に配置され得る。外部センサは、コンピュータユニットによって処理され、したがってシステム10によって用いられ得る外部データ36を生成することができる。他の実施形態では、使用者が操縦する機械リンク機構に位置付けられるセンサがある。センサは、コンピュータユニットによって処理される入力として働く信号を生成する。他の実施形態によれば、表示ユニット12が、関連するセンサおよび追跡ユニット16Aを用いるヘッドマウントデバイスであるとき、デバイスは、VRコンピュータユニット14によって受信および処理される追跡および位置データ34Aを生成する。さらに、センサおよび追跡ユニット16は、望まれる場合、手制御装置を備え得る。表示装置、感知および追跡ユニット、VRコンピュータユニットなどは、外科医または遠隔ワークステーションの一部を形成することができる。
【0031】
表示装置がHMDである実施形態では、表示ユニット12は、例えばOculus Rift、Varjo VR-1、またはHTC Vive Pro Eyeなどの仮想現実ヘッドマウントディスプレイであり得る。HMDは、使用者の頭に結合または装着される表示装置と、表示装置の焦点の合わされた視野を可能にするレンズと、表示装置の位置および配向の追跡を提供するためのセンサおよび/または追跡システム16Aとを使用者に提供することができる。位置および配向のセンサシステムは、例えば、加速度計、ジャイロスコープ、磁力計、モーションプロセッサ、赤外線追跡、目追跡、コンピュータビジョン、交番磁界の放射および感知、位置および配向の少なくとも1つを追跡する任意の他の方法、またはそれらの任意の組み合わせを含み得る。知られているように、HMDは、カメラ組立体44からの画像データを外科医の右目および左目に提供することができる。外科医のための仮想現実経験を維持するために、センサシステムは、外科医の頭の位置および配向を追跡することができ、データをVRコンピュータユニット14へと中継することができ、望まれる場合にはコンピュータユニット18へと中継することができる。コンピュータユニット18は、使用者の頭の移動に追従するようにロボットのカメラ組立体44のパンおよび傾きをさらに調整することができる。
【0032】
センサによって生成されたセンサデータまたは位置データ34Aは、例えば表示ユニット12および/または追跡ユニット16Aと関連付けられるなど、HMDと関連付けられる場合、直接、またはVRコンピュータユニット14を介してのいずれかで、コンピュータユニット18へと伝達させることできる。同様に、使用者の腕および手と関連付けられ得る感知および追跡ユニット16からなど、システムにおける他のセンサによって生成された追跡および位置のデータ34は、コンピュータユニット18に伝達させることができる。追跡および位置のデータ34、34Aは、処理装置22によって処理させることができ、例えば保存ユニット24に保存させることができる。追跡および位置のデータ34、34Aは制御ユニット26によって使用されてもよく、制御ユニット26は、それに応じて、ロボットサブシステム20の1つまたは複数の部分の移動を制御するための制御信号を生成することができる。ロボットサブシステム20はユーザワークステーションと、ロボット支援システム(RSS)と、モータユニット40と、1つまたは複数のロボットアーム42および1つまたは複数のカメラ組立体44を含む植え込み可能外科ロボットユニット50とを備え得る。一実施形態によれば、モータユニット40はロボット支援システムの一部を形成することができる。植え込み可能ロボットアーム42およびカメラ組立体44は、米国特許第10,285,765号に開示および記載されているものなど、単一支援軸ロボットユニットの一部を形成することができる、または、PCT特許出願のPCT/US20/39203に開示および記載されているものなど、スプリットアーム(SA)アーキテクチャロボットシステムの一部を形成することができる。
【0033】
制御ユニット26によって生成された制御信号は、ロボットサブシステム20のモータユニット40によって受信させることができる。モータユニット40は、ロボットユニット50のロボットアーム42とカメラ組立体44とを別々に駆動するように構成される一連のサーボモータおよび歯車を備え得る。ロボットアーム42は、関連付けられたセンサによって感知されるような外科医の腕の規模の小さくされた移動または運動に従うように制御させることができる。ロボットアーム42は、使用者の肩関節、肘関節、および手首関節に加え、指と関連付けられる移動と関連付けられ得る部分または領域を有し得る。例えば、ロボットの肘関節は人の肘の位置および配向に従うことができ、ロボットの手首関節は人の手首の位置および配向に従うことができる。ロボットアーム42は、使用者が人差し指と親指とで一緒につまむときの人差し指など、使用者の1つまたは複数の指の移動に従うエンドエフェクタまたは把持器において途切れ得る端領域とも関連付けられ得る。ロボットの腕が使用者の腕の移動に従う間、ロボットの肩の位置が固定される。一実施形態では、使用者の胴の位置および配向が、使用者の腕の位置および配向から差し引かれる。この差し引きによって、使用者はロボットアームが移動することなく自身の胴を移動させることができる。
【0034】
ロボットカメラ組立体44は、手術部位または外科部位のライブビデオフィードなどの画像データ48を外科医に提供するように、ならびに、カメラ組立体44の一部を形成するカメラを外科医に作動および制御させることができるように構成される。カメラ組立体44は好ましくは一対のカメラを備え、それらカメラの光学軸は、外科部位の立体的な視野または画像を提供するために、カメラ間距離として知られている選択された距離で軸に関して離間される。外科医は、ヘッドマウントディスプレイの移動を通じて、または、外科医の頭に結合したセンサを介して、使用者の頭もしくは腕の運動を追跡する手制御装置もしくはセンサを使用することで、カメラの移動を制御することができ、それによって、外科医は直観的で自然な様態で手術部位の所望の視野を得ることができる。カメラは、知られているように、例えばヨー方向、ピッチ方向、およびロール方向を含め、複数の方向において移動可能である。立体カメラの構成要素は、自然で快適に感じる経験を使用者に提供するように構成され得る。ある実施形態では、カメラ同士の間の軸間距離は、使用者によって知覚される手術部位の深さを調整するために、変更させることができる。
【0035】
一実施形態によれば、カメラ組立体44は外科医の頭の移動によって作動させることができる。例えば、手術の間、外科医が現在の視界(FOV)の上方に位置付けられる物体を見ようとする場合、外科医が上の方向を見ると、立体カメラが使用者の視点からピッチ軸の周りで上向きに回転させることになる。カメラ組立体44によって生成された画像または動画のデータ48は、表示ユニット12に表示させることができる。表示ユニット12がヘッドマウントディスプレイである場合、表示装置は、HMDのヨー方向、ピッチ方向、およびロール方向についての配向生データと、HMDの直交座標空間(x, y, z)における位置データとを得る内蔵追跡センサシステム16Aを備え得る。しかしながら、代替の追跡システムが、HMDの内蔵追跡システムの代わりまたは追加で、表示装置の補足的な位置および配向の追跡データを提供するために使用されてもよい。
【0036】
カメラ組立体44によって生成させた画像データ48は、仮想現実(VR)コンピュータユニット14へと伝達させることができ、VRまたは画像のレンダリングユニット30によって処理させることができる。画像データ48は静止の写真または画像のデータと動画データとを含み得る。VRレンダリングユニット30は、画像データを処理し、次に表示ユニット12による表示のために画像データをレンダリングするための適切なハードウェアおよびソフトウェアを含み得る。さらに、VRレンダリングユニット30は、当技術分野で知られているように、カメラ組立体44から受信された画像データを、カメラ組立体におけるカメラの位置および配向と関連付けられた情報の他に、外科医の頭の位置および配向と関連付けられた情報と組み合わせることができる。この情報があれば、VRレンダリングユニット30は、出力の動画または画像のレンダリング信号を生成することができ、この信号を表示ユニット12に送信することができる。つまり、VRレンダリングユニット30は、手制御装置の位置および配向の読み取りと、外科医の頭位置とを、例えば外科医によって着用されるHMDにおいてなど、表示ユニットにおける表示のためにレンダリングする。
【0037】
VRコンピュータユニット14は、表示ユニット12において表示されるVRの世界における使用または定置のために、1つまたは複数の仮想現実(VR)を生成するための仮想現実(VR)カメラユニット38も備え得る。VRカメラユニット38は、仮想世界において1つまたは複数の仮想カメラを生成することができ、ヘッドマウントディスプレイのための画像をレンダリングするためにシステム10によって用いることができる。これは、ヘッドマウントディスプレイを着用する使用者がキューブマップを見るのと同じ視野をVRカメラが常にレンダリングすることを確保する。一実施形態では、単一のVRカメラが使用でき、他の実施形態では、別々の左目および右目のVRカメラが、立体的な視野を提供するために、別々の左目および右目のキューブマップを表示装置にレンダリングするために用いられ得る。VRカメラのFOV設定は、カメラ組立体44によって公開されるFOVにそれ自体で自己構成することができる。ライブカメラの視野または画像データのための状況背景を提供することに加えて、キューブマップが仮想的な物体において動的な反射を生成するために使用され得る。この効果によって、仮想的な物体の反射面はキューブマップからの反射を取得することができ、これらの物体が現実世界の環境を実際に反射しているかのように、これらの物体を使用者に見えるようにする。
【0038】
ロボットサブシステム20は、異なる軸または別々の軸に沿って展開可能である複数の異なるロボットアーム42を用いることができる。さらに、複数の異なるカメラ要素を用いることができるカメラ組立体44は、共通の別の軸に沿って展開させることもできる。したがって、外科ロボットユニットは、異なる軸に沿って展開可能である別々のロボットアームの対およびカメラ組立体44など、複数の異なる構成要素を用いる。さらに、ロボットアーム42とカメラ組立体44とは、別々に操作可能、操縦可能、および移動可能である。ロボットアームおよびカメラ組立体を含むロボットサブシステム20は、SAアーキテクチャを形成するために別々の操縦可能な軸に沿って配置可能である。SAアーキテクチャは、単一の挿入の点または部位における単一のトロカールを通じて、ロボット外科器械の挿入の効率を簡素化して増大させるように設計される一方で、手術準備状態への外科器械の展開と、続くトロカールを通じた外科器械の取り外しとを付随的に支援する。例として、外科器械は、患者の体腔において生体内にアクセスして手術を実施するために、トロカールを通じて挿入させることができる。いくつかの実施形態では、ロボット外科器械に限定されることなく、当技術分野で知られている他の外科器械を含め、様々な外科器械が用いられてもよい。
【0039】
ある実施形態では、本発明のロボットサブシステム20は、ロボットアーム42およびカメラ組立体44(例えば、ロボットユニット50)が患者内で単一の位置または複数の異なる位置へと操縦させることができるように、複数の自由度を伴う構造によって支持される。ある実施形態では、ロボットサブシステム20は、手術台に、手術室の中の床もしくは天井に、または、任意の他の種類の支持構造に、直接搭載させることができる。他の実施形態では、搭載は、限定されることはないが、留め具、ネジ、またはそれらの組み合わせを含め、様々な締結手段によって達成される。なおもさらなる実施形態では、支持構造は自立していてもよい。支持構造は、本明細書では、ロボット支援システム(RSS)と称されている。RSSは、外科医に患者内で仮想的な手術を実施させる仮想ステーションを含み得る外科ロボットシステム10全体の一部を形成することができる。
【0040】
ある実施形態では、外科ロボットシステム10のRSSは、一端においてロボットユニット50に結合され、反対の端において調整可能な支持の部材または要素に結合されるモータユニット40を任意選択で備え得る。代替で、本明細書に示されているように、モータユニット40はロボットサブシステム20の一部を形成することができる。モータユニット40は、ロボットアームおよびカメラ組立体(例えば、ロボットユニット50)の1つまたは複数の構成要素に動力供給し、それらを駆動するために、歯車、1つまたは複数のモータ、駆動列、および電子機器などを含むことができる。ロボットユニット50はモータユニット40に選択的に結合させることができる。一実施形態によれば、RSSは、遠位端に結合されるモータユニット40を有する支持部材を備え得る。モータユニット40はさらに、カメラ組立体44と、ロボットアーム42の各々とに結合させることができる。支持部材は、直線的に、または、任意の他の選択された方向もしくは配向において、ロボットユニット50の1つまたは複数の構成要素を移動させるように構成および制御させることができる。
【0041】
モータユニット40は、機械的動力、電力、機械的伝達、および電気的通信をロボットユニット50に提供することもでき、システム構成要素のうちの1つまたは複数(例えば、表示装置12、感知および追跡ユニット16、ロボットアーム42、およびカメラ組立体44など)からの入力データを処理するために、および、入力データに応答して制御信号を生成するために、任意選択の制御装置をさらに備えることができる。モータユニット40は、データを保存するための保存要素も備え得る。代替で、モータユニット40はコンピュータユニット18によって制御され得る。したがって、モータユニット40は1つまたは複数のモータを制御するための信号を生成することができ、それらモータは、例えば、各々のアームの各々の関節継手の位置および配向を含めたロボットアーム42と、カメラ組立体44とをさらに制御および駆動することができる。モータユニット40は、トロカール108などの適切な医療デバイスを通じて、ロボットユニット50の各々の構成要素を挿入および取り外しするために先ず用いられる並進または線形の自由度をさらに提供することができる。モータユニット40は、トロカール108を通じて患者100へと挿入されるとき、各々のロボットアーム42の挿入された深さを調整するためにも用いることができる。
【0042】
本発明は、本発明のロボットアームのエンドエフェクタを形成する器具を、容易で効率的な手法で取り換える能力に向けられている。器具を容易に取り換える能力によって、外科医などの使用者は、典型的には専用器具が取り付けられるロボットアーム全体を交換するのではなく、ロボットアームのエンドエフェクタ部分を取り外して交換するだけでよい。器具要素の取り外しおよび交換は、患者の内部または外部で行うことができる。ロボットアーム全体が交換される必要がないことにより、本発明のロボットアームは、使用者がロボットアームおよび関連付けられる器具の全体一式を用いる必要がないため、コストおよび廃棄物を低減する。
【0043】
図2Aおよび
図2Bは、ロボットアーム全体の交換を必要とすることなくロボットアームのエンドエフェクタを使用者に交換させることができる、本発明の第1の実施形態による外科ロボットユニット50のロボットアーム42の選択された構成要素の大まかな設計を示している。それ自体において、本発明のロボットアームのエンドエフェクタ領域は、器具の容易な取り外しおよび交換を可能にする、高度に機能的で使用するのが容易である機械的な連結を提供する。簡潔性のために、1つのみのロボットアームが示されているが、第2のロボットアームまたは後続のロボットアームは、形態および機能において同様または同一とすることができる。図示されているロボットアーム42は、人の腕の関節に対応する関節区域を形成する一連の関節セグメント52を含み得る。それ自体において、関節セグメント52は、例えば、肩の関節または領域、肘の関節または領域、および手首の関節または領域58など、人の腕の異なる部分を模倣するように、回転および/または折り曲げの移動を提供するように構築および組み合わせされ得る。ロボットアーム42の関節セグメント52は、例えば、合理的な回転の限度の制約内で、ケーブルで駆動される回転移動を提供するように構築される。関節セグメント52は、最小の大きさで最大のトルクおよび速度を提供するように構成される。関節セグメント52同士は機械的に共に結合され、エンドエフェクタの部分またはセグメント54において終わる。エンドエフェクタ部分54は、所望の手術または選択された手術を実施するために用いられる任意の選択された外科器具を組み込むことができる器具基礎部分56を含む。例えば、器具基礎部分56は器具要素80、82の対を搭載することができる。ここでの例では、器具要素は掴み部であるが、当業者は、任意の選択された種類の外科器具が用いられ得ることを容易に認識するものである。
図2Bに示されているように、エンドエフェクタ部分54と、隣接するアームセグメント52とは、ロボットアームの手首の部分または関節58を形成する。エンドエフェクタ部分54は、例えば
図3~
図12Cにおいて、詳細に示されている。
【0044】
図2A~
図6に示されているように、エンドエフェクタ部分54は、相対する器具基礎セグメント60および62と、プーリ要素70および72と、掴み部要素または把持器要素の対として示されている器具要素80および82とを備える。器具基礎部分56は、柱などの突起を介してプーリ要素70を器具基礎セグメント60に搭載することで組み立てられる。同様に、プーリ要素72は同様の柱を介して器具基礎セグメント62に搭載される。ある実施形態では、器具要素80は、例えば、
図5、
図7A~
図7D、
図9、および
図10A~
図10Cに示されているような相互係止構成などによって、遊びを最小限にするために、および、より締まった連結を形成するために、機械的干渉の連結を介してプーリ要素70に搭載または結合される。同様に、器具要素82は同様の配置を介してプーリ要素72に搭載される。器具要素80、82を伴う組み立てられた器具基礎が
図6に示されている。器具基礎セグメント60、62の各々は、それぞれに開口が形成されている連結フランジ64、66を備え得る。開口は、ロボットアーム42の端部分に形成された適切な連結具に結合され得る。
【0045】
図示されているように、器具基礎部分56は、独立して駆動される2つの回転プーリ要素70、72を含むことができる。プーリ要素が器具要素を手術において必要とされるより広い角度で開けるように配置されるとき(例えば、開放器具交換位置)、プーリ要素における機械的特徴同士が位置合わせし、選択された開いた形状に応じて、器具を器具基礎から滑らせること、または優しく押すことなどで、器具要素を容易に取り外し可能にする。明確には、回転可能なプーリ要素70、72の各々は、対応する器具要素80、82に形成された相補的に成形された溝または切り込みと係合するように構成される浮き出し要素を有する。器具要素が
図11にある空の器具交換基礎に配置されるとき、プーリ要素の浮き出し要素および器具要素の切り込みによって形成された機械的境界面が、ピン状の位置合わせ部によって基礎の中で正確に位置決めさせることができるように、漏斗状の傾斜(
図4および
図10)と自己位置合わせする。この漏斗およびピンの組み合わせの形は、あまり正確でない配置を許容して、開放器具交換位置から離れるあらゆる小さい駆動による移動の後、器具基礎の中においてそれ自体で固定または搭載する器具要素を常にもたらす。この正確な機械的位置合わせは、追加の作業または複雑さなしで、あらゆる必要とされる電気接触も位置合わせすることができ、それによって、器具要素をすぐに作動および使用させることができる。
【0046】
通常の器具移動の間に使用されるのと同じ作動運動を使用して、器具要素(例えば、把持器)が開放器具交換位置へと過度に拡張されるときに器具の解放も行うことによって、器具要素の相互係止の特徴が、追加の作動ケーブルまたはモータを必要とすることなく追加される。各々器具要素を機械的な手法で相互係止させることで、器具の両側は、器具を解放するように特定の位置へと配向させることができる。したがって、ここでの器具搭載設計は、器具要素を、外科医が手術中に器具を使用する必要がある位置である閉位置またはある程度閉じた位置において、完全な運動の範囲にわたってなおも移動させることができる。
【0047】
従来の外科ロボットシステムは、手術中に他の器具と取り換えるために、関連付けられたアームまたは腹腔鏡器具を患者から完全に取り外す必要がある。本発明は、その取り換えを、望まれる場合には、患者内で、アームにおける追加の自由度を必要とすることなく、または、器具の使用可能な範囲を制限することなく、行わせることができる。器具取り換えは、適切な器具取り換え器械を展開するために、器具導入器を患者の中へと挿入することで行うことができる。他の実施によれば、器具要素は、相対するロボットアームを使用すること、または、器具要素を器具取り外しの間に滑らせることのいずれかで、取り外すことができる。患者内で器具交換を移動させることで、外科処置がより素早くでき、より自動化でき、より少ない材料集約型にすることができる。代替で、器具の交換または取り換えは患者の外部で行うこともできる。
【0048】
図7A~
図7Dは、互いに対して様々な位置に配置されている器具要素80、82を示している。例えば、
図7Aに示されているように、器具要素80、82は、器具要素の機械的特徴部(例えば、スロット要素または楔要素)がそれぞれのプーリ要素70、72の対応する表面特徴部(例えば、浮き出し)と位置合わせされるように、開放器具交換位置へと互いに対して位置決めさせることができる。開放器具交換位置に配置されるとき、器具要素同士は所定の角度距離で分離され得る。一実施形態によれば、角度距離は約180度であるが、他の角度距離または他の角度距離を使用することもできる。開放器具交換位置に配置されるときの器具要素同士の間の角度距離は、好ましくは、手術で使用中の器具要素同士の間の通常または典型的な角度分離に似ない、または同様とならない。したがって、器具要素80、82は適切な搭載位置へと容易に滑ることができる。
図7Bおよび
図7Cは、搭載の間に器具要素およびプーリ要素の嵌まり合う特徴部を示している。器具要素80、82が、対応するプーリ要素70、72へと下向きに滑らされるとき、または押されるとき、図示されているように、スロットと浮き出しとの漏斗状の嵌まり合いは、器具要素同士を初期の開放器具交換位置へと自動的に係合および位置合わせさせる。
図7Dは、器具要素80、82がプーリ要素によって互いに向けて移動し始めるとき、器具要素のピン状の位置合わせ特徴部および共用される軸(例えば、柱またはピン)のおかげで器具要素が所定位置へ係止するところを示している。
【0049】
図8A~
図8D、
図9、
図10A~
図10C、および
図11は、本発明のロボットアーム42の一部としてのエンドエフェクタセグメントの使用中の器具要素80、82の移動および動作を示している。明確には、
図8Aおよび
図10A~
図10Cは、多くの様々な動作位置のうちの1つにおける器具要素80、82を示しており、その動作位置において、把持器として示されている器具要素80、82は、器具基礎部分56に係止され、ロボットアームの一部として、手術中に、任意の選択されたデバイス、または患者内の組織を把持する、引っ張る、または押すために使用できる。
図8B、
図8C、および
図9に示されているように、異なる器具要素が器具基礎に取り付けられることが必要とされるとき、プーリ要素は、器具要素を基礎から取り外されることを許可または可能とするように、器具要素を完全な開放器具交換位置(
図7A)へと駆動することができる。先に述べられているように、器具交換は、器具導入器によって位置決めされる別々の器具器械を用いることで、または、相対するロボットアームを使用することで、患者内で行うことができる。例えば
図7Bおよび
図8Bに示されているように、適切に構成されるとき、器具要素80、82は、要素を基礎に対して持ち上げるのみで取り外しでき、器具要素は、望まれるように、外科部位において保管させることができる、または、患者から取り除くことができる。
図8Dおよび
図11は、器具要素が取り外されるときの、または、器具要素の設置の前の、器具基礎を示している。それ自体において、器具基礎部分56は器具要素を受け入れる準備ができている。
【0050】
図12A~
図12Cは、器具要素80、82を移動させるための器具基礎部分56のプーリ要素70、72と関連付けられる作動機構を示している。図示されているように、単一のプーリ要素は、ケーブル90、92の対を含み得る作動機構によって駆動される。ケーブル90、92は下からプーリに入り、プーリを作動させるためにプーリの選択された部分の周りに巻き付き、より大きな摩擦を作り出すためにプーリの内部で続けて巻き付く。最後に、ケーブルは、結び目で、または、(増大した直径領域によって示されているような)ある他の様態で、それぞれ途切れ、残りの末端はポケットに押し込まれる。
図12Bは、
図12Aのプーリの他方の側を示している。
図12Cは、各々の側に相対する対があり、それぞれのプーリ要素に結合されている全部で4本の駆動ケーブルを伴う器具基礎部分56を示している。
【0051】
図13Aおよび
図13Bは、本発明の第2の実施形態による外科ロボットユニット50のロボットアーム42の選択された構成要素の大まかな設計を示している。同様の符号は、様々な図を通じて同様の部品を指示している。簡潔性のために、1つのみのロボットアームが示されているが、第2のロボットアームまたは後続のロボットアームは、形態および機能において同様または同一とすることができる。前述の実施形態と同様に、ロボットアーム42は、人の腕の関節に対応する関節区域を形成する一連の関節セグメント52を含み得る。それ自体において、関節セグメント52は、例えば、肩の関節または領域、肘の関節または領域、および手首の関節または領域58など、人の腕の異なる部分を模倣するように、回転および/または折り曲げの移動を提供するように構築および組み合わせされ得る。ロボットアーム42の関節セグメントは、例えば、合理的な回転の限度の制約内で、ケーブルで駆動される回転移動を提供するように構築される。関節セグメントは、最小の大きさで最大のトルクおよび速度を提供するように構成される。関節セグメント同士は機械的に共に結合でき、エンドエフェクタの部分またはセグメント54において終わることができる。エンドエフェクタ部分54は、所望の手術または選択された手術を実施するために用いられる任意の選択された外科器具を組み込むことができる器具基礎部分56を含む。例えば、器具基礎部分56は器具要素102、104の対を搭載することができる。ここでの例では、器具要素は掴み部または把持器であるが、当業者は、任意の選択された種類の外科器具が用いられ得ることを容易に認識するものである。
図13Bに示されているように、エンドエフェクタ部分54と、隣接するアームセグメント52とは、ロボットアームの手首の部分または関節58を形成する。エンドエフェクタ部分54は、例えば
図14A~
図26Bにおいて、詳細に示されている。
【0052】
図14Aおよび
図14Bは、本発明の教示による、ロボットアーム42のエンドエフェクタ部分54の分解図である。図示されているエンドエフェクタ部分54は、シャフトまたは軸要素110を介して共に連結され得る器具基礎セグメント106、108の対を含む器具基礎部分56を備える。軸要素は、任意の選択された材料から形成することができ、セラミックなどの非伝導性材料から好ましくは形成される。エンドエフェクタ部分54は、器具基礎セグメント106、108にそれぞれ結合されるプーリ要素120、122の対も含む。エンドエフェクタ部分54は、伝導性接触要素160、162の対を介して器具要素102、104に電気外科エネルギーを結合するための伝導性バネ要素の対をさらに備える。伝導性接触要素160、162は器具要素102、104にそれぞれ結合される。
【0053】
図15に示されているように、図示されている器具基礎部分56は、相対する器具基礎セグメント106、108の対を含む。器具基礎セグメントの各々は、ロボットアーム42の隣接するアームセグメント52に結合されるように構成され得るフランジ部分114A、114Bを備える主本体112A、112Bを備える。主本体は、それぞれのフランジ部分114A、114Bから上向きに延びる延在部分118A、118Bを備える。フランジ部分の各々は、プーリ要素120、122の対応する一部分を受け入れるための凹所204が形成されている。明確には、プーリ要素120、122の連結要素132は凹所204の中に着座する。延在部分118A、118Bはまた、軸要素110を受け入れて着座させるための開口206A、206Bをそれぞれ備える。さらに、フランジ部分114A、114Bには、ロボットアームにおける末端部分への連結のために開口208が形成されている。
【0054】
図16A~
図16Cは、本発明のエンドエフェクタ部分54のプーリ要素120を示している。簡潔性のために、プーリ要素122が同一の特徴を有するため、ここではプーリ要素120のみを説明する。プーリ要素120は、内面126Aと、反対の外面126Bとを有する主本体124を有する。主本体124は、軸要素110を着座させるための中心開口128を有し、プーリ要素の循環または回転の移動を制御するためにそれぞれのケーブル90、92の一部分を着座させるための複数の孔136も有する。孔136は、同じ形または異なる形を有することができ、異なる大きさを有することができる。内面126Aは、表面特徴部が形成されており、好ましくは、隆起または突出する浮き出し要素130である。浮き出し要素130は、任意の選択された形または構成を有することができ、任意の選択された大きさを有することができる。浮き出し要素130は、本明細書に記載されているように、好ましくは、器具要素のうちの1つの受入部分と相補的な様態で成形される。プーリ要素の外面126Bには表面特徴部も形成されており、好ましくは、隆起または突出する連結要素132として形成される。連結要素132は、任意の選択された形または大きさを有することができ、丸い形または円形を好ましくは有する。連結要素132は、溝134を形成するように外面126Bに結合されるより細い基礎部分を備え得る。溝134は、使用中にケーブルの遠位端部分を保管するように、ケーブル90、92の遠位端の一部分を受け入れるように構成される。連結要素132は、主本体124の内部に着座するように適合される。主本体124は、バネ要素を固定させるために伝導性バネ要素140の一部分を着座させるように構成されるスロット138も備える。プーリ要素120、122は、ケーブル位置に基づいて器具要素102、104の配向または回転位置を制御することができるケーブル駆動される構成要素である。
【0055】
伝導性バネ要素140は、例えば
図17A~
図19Bに示されている。簡潔性のために、伝導性バネ要素142が同一の特徴を有するため、ここでは伝導性バネ要素140のみを説明する。図示されている伝導性バネ要素140は、上タブ部分150に結合される一方のコイル端148Aと、反対または下のタブ部分152に結合される反対のコイル端148Bとを有する中心コイル要素146を有する主本体144を有する。中心コイル要素146は、タブ部分のうちの1つまたは複数の位置に基づいて、伸びることができる、および引っ込むことができる。下タブ部分152は、
図17Bを見ると、曲げ端部分154を有する。上タブ部分150は、プーリ要素120に結合するための連結要素156を備える。中心コイル要素146は、
図18Bを見ると、プーリ要素120の外面126Bの中心部分の中に着座し、上タブ部分150は、プーリ要素120の主本体124に形成された中心スロット158を通じてプーリ要素の内面126Aへと進む。次に、タブ部分150は、連結要素156がスロット138の中に着座するまで、内面126Aに沿って進む。下タブ部分152の曲げ部分154は、器具基礎セグメント106の一部分に接触および連結する。下タブ部分152は、ロボットアーム42を通じて手首部分58へと進む電力供給線170の終端にも連結される。タブ部分152は、例えば、ロウ付けによって、または知られているワイヤ連結具によってなど、任意の知られている手段によって線170に締結することができる。したがって、下タブ部分152は主本体124に対して固定位置で配置される。タブ部分150はプーリ要素120と共に回転する。さらに、浮き出し要素130が開放器具交換位置に配置されるとき、例えば
図16Aおよび
図18Aに示されているように、器具要素102は、浮き出し要素130に乗るおよび浮き出し要素130から降りるように滑らせることができる。この位置において、上タブ部分および下タブ部分152は、反対方向において配向され、
図17Cに示されているように、約180度で配置される。プーリ要素120がケーブル90、92によって開放器具交換位置から離すように回転されるとき、上タブ部分150は固定された下タブ部分152に対して移動する。プーリ要素120、ひいては浮き出し要素130が、開放器具交換位置から約90度回転されるとき、上タブ部分152もさらに90度回転され、
図17Dに示されているように、下タブ部分152に対して直角に配置される。伝導性バネ要素140は、例えば金属など、任意の導電性材料から作ることができる。伝導性バネ要素140は、電気外科および電気焼灼の種類の処置の間など、器具要素への電気接続または異なる種類の電気エネルギー(または、単極および双極の電気エネルギー)の通信を可能にする。
【0056】
図示されている器具要素102、104は、
図20A~
図25においてさらに詳細に示されている。図示されている器具要素は、任意の選択された形および大きさを有することができ、例えば、把持器または掴み部、縫合デバイス、ハサミなどを備えることができる。図示されている器具要素102、104は、組み合わされた外科器具を形成するように連結されるように構成される。器具要素102は、例えば、他のデバイスまたは組織と係合するための係合端182と、器具要素102を、例えばプーリ要素120などの対応するプーリ要素に固定するための固定端184とを有する主本体180を備える。係合端182は、任意の選択された種類の表面を備えることができ、器具の意図されている使用および目的に基づいて、任意の選択された種類の機能性を提供することができる。例えば、この例では、把持器は、器具の把持能力を高めるために、ギザギザまたは鋸歯状の作用面116Aを備えることができる。さらに、係合端182は、望まれる場合、外科的エネルギーを外科部位に提供するための伝導性接触要素160を任意選択で搭載することができる。固定端184は、例えば、プーリ要素120の内面126Aに形成された浮き出し要素130に形が相補的であるスロット186など、それ自体に形成された表面特徴部を備える。スロット186および浮き出し要素130の連結および嵌まり合う係合は、器具要素102をプーリ要素120に回転において固定する。器具要素102、104は、任意の選択された連結技術によって共に固定または結合させることができ、好ましくは、蟻継ぎ結合構成を用いて共に結合される。蟻継ぎ結合は、結合が比較的大きな引張強度を有するため、器具要素同士を引き離すのが難しくなるような様態で器具要素102、104を共に固定する。例えば、器具要素102は、固定端184の第1の内側を向く面188Aに形成された表面特徴部を有する。固定端184は、反対の外側を向く面188Bも含む。表面特徴部は、例えば、レールまたは尾の部分を受け入れる大きさおよび構成とされる溝またはソケット190を備え得る。溝190は、対応するレール部分を適切に着座させるようにアンダーカットの構成を有する。溝190は、レール部分の対応する部分を着座させる1つまたは複数の幅広区域192も備える。
【0057】
同様に、器具要素104は、外科部位において他のデバイスまたは組織と係合するための係合端182と、器具要素104を、例えばプーリ要素122などの対応するプーリ要素に固定するための、反対の固定端184とを有する主本体180を備える。固定端184は、例えば、プーリ要素122の内面126Aに形成された浮き出し要素130に形が相補的であるスロット186など、それ自体に形成された表面特徴部も有する。スロット186および浮き出し要素130の連結および嵌まり合う係合は、器具要素104をプーリ要素122に回転において固定する。図示されている器具要素104は、固定端184の第1の内側を向く面188Aに形成された表面特徴部も有する。表面特徴部は、例えば、溝190に着座する大きさおよび構成とされるレールまたは尾の部分196を備え得る。レール部分196は、溝190の幅広区域192に形および大きさが相補的である1つまたは複数の幅広の部分または区域198も備える。
図22Aおよび
図22Bに示されているように、器具要素102および104は、溝190の幅広区域192をレール196の幅広区域198と位置合わせすることで、共に固定させることができる。この初期の構成では、係合端182、182同士は、図示されているように、180度より大きい角度を形成するように、互いに対して配置される。係合端のこの初期位置は、180度の開放器具交換位置を越えて係合端を配置し、それら自体において、器具要素102、104は互いに固定される。位置合わせされたとき、レール196は溝190に挿入させることができ、幅広区域198を溝190へと移動させるように回転させることができる。例えば、器具係合端182、182同士は、
図22Bに示されているように、通常の閉じられた位置へと移動させることができる。
【0058】
図23A~
図25は、例えばプーリ要素120など、プーリ要素への器具要素102、104の搭載を示している。
図23A~
図23Cは、スロット186が浮き出し要素130と位置合わせされてから器具要素102、104が搭載位置または係合位置へと滑らされるように、プーリ要素120の浮き出し要素130に対する器具要素102、104の位置決めを示している。同様に、
図24Aおよび
図24Bは、知られている技術によって器具要素102に固定された伝導性接触要素160を示している。例えば、伝導性接触要素160は、半田、接着剤、または、圧着などの機械的な締結技術によって、器具要素に固定させることができる。固定端184に形成されたスロット186は浮き出し要素130と位置合わせされ、次に、器具要素102は、搭載位置または係合位置へと滑らされるかまたは押される。係合位置において、伝導性接触要素160の接触部分164が、伝導性バネ要素140の上タブ部分150と電気接触して配置される。さらに、軸要素110は、エンドエフェクタ部分56の様々な構成要素を共に係止または固定する。器具要素が浮き出し要素から取り外されるとき、タブ部分150と接触部分164とは摩擦で係合され、それぞれの接触面を汚さないように働く。
【0059】
組み立てにおいて、ケーブル90および92はプーリ要素120および122の各々に連結される。ケーブル要素90、92は、プーリ要素の各々を任意の選択された回転方向に移動させるのを助ける。それ自体において、プーリ要素の内面126Aに形成された浮き出し要素130は、反対の回転方向にさらに回転される。エンドエフェクタ部分54の器具基礎部分56は、プーリ要素120の連結要素132を、器具基礎セグメント106の内面に沿って形成される対応する凹所へと押し込むことで組み立てることができる。同様に、プーリ要素122の連結要素132は、器具基礎セグメント108の内面に沿って形成される対応する凹所へと押し込むことができる。器具要素102、104は、蟻継ぎ結合を形成するように、レール196を器具要素の溝190へと配置することで共に結合させることができる。器具要素は、互いに対する器具要素の移動に軸方向と径方向との両方での機械的制約を提供する他の知られている連結方法を使用して共に結合させることもできる。器具要素102、104の係合端182、182は、開放器具交換位置へと約180度離して分離されるように位置決めされ得る。この位置において、スロット186、186は位置合わせされる。プーリ要素120、122の浮き出し要素130は、開放器具交換位置に配置されるとき、器具要素のスロット186、186に着座するように位置合わせするおよび位置決めさせることもできる。この位置は、使用中に許容される器具要素の係合端182、182の間の最大の角度距離または分離である。ケーブル90、92は、各々のプーリ要素120、122を独立して回転させるように作動させることができる。器具要素の係合端182、182は、開放器具交換位置で配置されたとき、互いに対する係合端が器具要素の180度の位置より小さい角度で分離されるように、続く回転位置へと個別または別々に移動させることができる。それ自体において、各々のプーリ要素は、それに搭載されているそれぞれの器具要素を移動させる。例えば、プーリ要素120は器具要素102を回転または移動させ、プーリ要素122は器具要素104を回転または移動させる。したがって、プーリ要素は、器具要素の回転位置または配向を制御するケーブル駆動される構成要素である。器具基礎部分56は、開放器具交換位置に配置されるときなど、浮き出し要素130、130が同様に位置合わせされたときのみ、器具要素102、104を受け入れまたは解放することができる。浮き出し要素130、130同士が互いの位置合わせから外れて移動されるとき、器具要素に加えられる鉛直方向外向きに配置される移動の力では、器具要素を、器具基礎部分56から、ひいてはプーリ要素120、122から、取り除けない、または取り外せない。
【0060】
手術中、ロボットアーム42には、患者の内部または外部のいずれかで、把持器、フック、ハサミなどの外科器具が装着できる。器具交換場所に拘わらず、器具要素102、104は、プーリ要素120、122の浮き出し要素130、130を位置合わせされた搭載位置へ位置合わせし、次に器具要素のスロット186、186を位置合わせすることで、器具基礎56に搭載または結合させることができる。器具要素のスロットが位置合わせされたとき、ある実施形態では、器具要素の係合端182、182同士は、例えば約180度など、選択された角度距離で分離され、それによって、端を開放器具交換位置で配置し、ひいては器具要素を開放器具交換位置で配置する。角度距離は、手術または通常の使用中に一般的に使用または遂行されないという条件で、任意の選択された角度量であり得る。次に、器具要素のスロット186、186は、
図21、
図23A、および
図24に示されているように、プーリ要素120、122の浮き出し130、130へと滑らせる、または押される。次に、プーリ要素120、122は、器具要素が180度未満の角度で分離される1つまたは複数の外科使用位置へと器具要素102、104を移動させるために、駆動させることができる。多くの外科使用位置のうちの1つの例が、例えば
図26Aおよび
図26Bに示されており、器具要素102、104は180度未満の角度量または角度距離で分離されている。さらに、プーリ要素120、122の1つまたは複数が、それらの対応する浮き出し要素130を、鉛直の搭載位置から離すように回転させると、図示されているように、器具要素102、104は、浮き出し要素から、ひいては器具基礎56から、滑らせることができない、または取り外すことができない。
【0061】
さらに、伝導性接触要素160、162は器具要素102、104にそれぞれ連結される。伝導性接触要素は、電気などのエネルギーを、例えば組織などの任意の材料、または、伝導性接触要素の露出された部分に接触するデバイスに伝導することができる。伝導性接触要素は、好ましくは、器具要素102、104の作用面116A、116Bの選択された部分を覆う。例えば、器具要素の作用面116A、116Bは伝導性接触要素を搭載することができる。伝導性接触要素は、伝導性バネ要素140、142の上タブ部分150と伝導性接触要素の接触部分164、164との間の連続的で持続的な接触を介して、伝導性バネ要素に電気的に結合される。次に、伝導性バネ要素140、142の下タブ部分152は電力供給線170と接触して配置される。コンピュータユニット18は、比較的高い電圧の単極電気焼灼エネルギーまたは電力を伝導性接触要素へと供給する単極電源に、電力供給線170を結合することができる。代替で、コンピュータユニット18は、比較的高い電流の双極電気焼灼エネルギーまたは電力を伝導性接触要素へと供給する双極電源に、電力供給線170を結合することができる。
【0062】
プーリ要素120、122は、ケーブル90、92によって独立して駆動および回転させることができる。プーリ要素120、122の浮き出し要素が搭載位置から移動するとき、
図22Bに示されているように、伝導性バネ要素140の上タブ部分150は、静止した下タブ部分152に対して移動する。中心コイル要素146は、伝導性バネ要素を損傷または破壊することなくタブ部分150、152の間の相対移動を許可または可能にするように、伸び縮みすることができる。さらに、タブ要素の搭載の配置は、器具要素が様々な回転位置の間で回転されるときであっても、上タブ部分150と伝導性接触要素との間に加え、下タブ部分152と電力供給線170との間に、静的な電気外科接続を形成する。この静的な搭載構成は、接触部同士の間でのアーク放電の危険性を低減する。
【0063】
互いから独立して駆動させるプーリ要素の能力は、現在のロボットアームに追加的な自由度を提供する。明確には、各々のプーリ要素がケーブルによって別々に独立して駆動させることができるため、プーリは2つの追加の自由度を提供する。
【0064】
当業者は、ロボットアームの手首部分または関節が異なる方法で形成でき、ひいては異なる機械的構成を有することができることを容易に認識することができる。明確には、ロボットアームの器具基礎部分は、任意の選択された構成を有することができる。ある代替の実施形態によれば、ロボットアームの器具基礎部分は、玉継手を形成するように構成され得る。
【符号の説明】
【0065】
10 外科ロボットシステム
12 表示デバイス、表示ユニット、表示装置
14 仮想現実(VR)コンピュータユニット
16 センサおよび追跡ユニット、感知および追跡ユニット
16A センサおよび追跡ユニット、感知および追跡ユニット、内蔵追跡センサシステム
18 コンピュータユニット
20 ロボットサブシステム
22 処理装置
24 保存ユニット
26 制御ユニット
30 VRまたは画像の画像レンダリングユニット
34、34A センサデータ、位置データ、追跡データ
36 外部データ
38 仮想現実(VR)カメラユニット
40 モータユニット
42 ロボットアーム
44 カメラ組立体
48 画像データ、動画データ
50 植え込み可能外科ロボットユニット
52 関節セグメント、アームセグメント
54 エンドエフェクタ部分、エンドエフェクタセグメント
56 器具基礎部分
58 手首関節、手首領域
60、62 器具基礎セグメント
64、66 連結フランジ
70、72 プーリ要素
80、82 器具要素
90、92 ケーブル
100 患者
102、104 器具要素
106、108 器具基礎セグメント
108 トロカール
110 シャフト、軸要素
112A、112B 主本体
114A、114B フランジ部分
116A、116B 作用面
118A、118B 延在部分
120、122 プーリ要素
124 主本体
126A 内面
126B 外面
128 中心開口
130 浮き出し要素
132 連結要素
134 溝
136 孔
138 スロット
140、142 伝導性バネ要素
144 主本体
146 中心コイル要素
148A コイル端
148B コイル端
150 上タブ部分
152 下タブ部分
154 曲げ端部分
156 連結要素
160、162 伝導性接触要素
164 接触部分
180 主本体
182 係合端
184 固定端
186 スロット
188A 内側を向く面
188B 外側を向く面
190 溝、ソケット
192 幅広区域
196 レール部分、尾部分
198 幅広部分、幅広区域
204 凹所
206A、206B 開口
208 開口
【国際調査報告】