(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-29
(54)【発明の名称】アンテナ用RFモジュール、RFモジュール組立体およびこれを含むアンテナ装置
(51)【国際特許分類】
H01Q 23/00 20060101AFI20231121BHJP
H01Q 21/06 20060101ALI20231121BHJP
H04B 1/38 20150101ALI20231121BHJP
H05K 7/20 20060101ALI20231121BHJP
H01L 23/36 20060101ALI20231121BHJP
H01L 23/427 20060101ALI20231121BHJP
F28F 1/32 20060101ALN20231121BHJP
【FI】
H01Q23/00
H01Q21/06
H04B1/38
H05K7/20 H
H01L23/36 D
H01L23/46 B
F28F1/32 F
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023522825
(86)(22)【出願日】2021-10-15
(85)【翻訳文提出日】2023-04-13
(86)【国際出願番号】 KR2021014327
(87)【国際公開番号】W WO2022080926
(87)【国際公開日】2022-04-21
(31)【優先権主張番号】10-2020-0134434
(32)【優先日】2020-10-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2021-0031335
(32)【優先日】2021-03-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508112782
【氏名又は名称】ケーエムダブリュ・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001586
【氏名又は名称】弁理士法人アイミー国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ドゥク ヨン キム
(72)【発明者】
【氏名】ヨン チャン ムン
(72)【発明者】
【氏名】ナム シン パク
(72)【発明者】
【氏名】スン ホ ジャン
(72)【発明者】
【氏名】ジェ ホン キム
(72)【発明者】
【氏名】ジョン ヒョン シム
(72)【発明者】
【氏名】ベ モーク ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ミン ソン ユン
(72)【発明者】
【氏名】スン ホヮン ソ
(72)【発明者】
【氏名】ヨン ウン セオ
(72)【発明者】
【氏名】オ ソン チェ
(72)【発明者】
【氏名】キョ スン ジ
(72)【発明者】
【氏名】チ バク リュ
(72)【発明者】
【氏名】ソン ミン アン
(72)【発明者】
【氏名】ジェ ウン キム
【テーマコード(参考)】
5E322
5F136
5J021
5K011
【Fターム(参考)】
5E322AA01
5E322BA01
5E322BB03
5E322EA01
5E322FA04
5F136BA04
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5F136CC13
5F136CC14
5F136DA31
5F136FA01
5F136FA73
5J021AA05
5J021AA09
5J021AA11
5J021AB03
5J021AB06
5J021BA01
5J021CA01
5J021CA03
5J021HA05
5J021JA05
5J021JA08
5K011AA06
5K011AA13
5K011DA01
(57)【要約】
【要約】
【課題】アンテナ装置の前後方向への分散放熱を可能にすることで放熱性能を大きく向上することのできるアンテナ用RFモジュールを提供する。
【解決手段】本発明は、アンテナ用RFモジュール、RFモジュール組立体およびこれを含むアンテナ装置に関する。特に、アンテナ用RFモジュールは、RFフィルタと、RFフィルタの一側に配置される放射素子モジュールと、RFフィルタの他側に配置され、アナログ増幅素子が実装された増幅部基板とを含む。アンテナ用RFモジュールを複数個備えるRFモジュール組立体を構成し、前記RFモジュール組立体とアンテナハウジングとを含むことでアンテナ装置を形成する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アナログRF部品を含むアンテナ用RFモジュールであって、
前記アナログRF部品は、
RFフィルタと、
前記RFフィルタの一側に配置される放射素子モジュールと、
前記RFフィルタの他側に配置され、アナログ増幅素子が実装された増幅部基板と、を含み、
前記アンテナ用RFモジュールは、アンテナハウジングの前面前方で定義される前方外気に露出するように配置される、アンテナ用RFモジュール。
【請求項2】
前記RFフィルタから発生した熱および前記アナログ増幅素子から発生した熱は、前記前方外気において互いに異なる方向に放熱される、請求項1に記載のアンテナ用RFモジュール。
【請求項3】
前記RFフィルタと前記放射素子モジュールは、前記アンテナ用RFモジュールの外形を形成する、請求項1に記載のアンテナ用RFモジュール。
【請求項4】
前記アンテナハウジングは、メインボードが設けられる内部空間を形成する後方ハウジングと、
前記後方ハウジングの前方を覆うように配置され、かつ前記内部空間を前記前方外気と区画されるように配置された前方ハウジングとを含み、
前記アンテナ用RFモジュールは、前記前方ハウジングの前方部に配置される、請求項1に記載のアンテナ用RFモジュール。
【請求項5】
前記前方ハウジングを基準として前方部に配置された前記アンテナ用RFモジュールから発生した熱は、前記前方外気に放熱され、
前記前方ハウジングを基準として後方部に配置された前記メインボードから発生した熱は、少なくとも前記前方ハウジングの前記前方外気または前記後方ハウジングの後面後方で定義される後方外気に放熱される、請求項4に記載のアンテナ用RFモジュール。
【請求項6】
前記RFフィルタと前記放射素子モジュールとの間には、前記放射素子モジュールを接地(GND)するとともに、前記RFフィルタから発生した熱の前記前方外気への放熱を媒介するリフレクタが配置された、請求項1に記載のアンテナ用RFモジュール。
【請求項7】
前記少なくとも1つのアナログ増幅素子から発生した熱は、前記増幅部基板が隣接する前記RFフィルタの側壁のうちの1つを通して放熱された後、前記リフレクタを介在させて放熱される、請求項6に記載のアンテナ用RFモジュール。
【請求項8】
前記リフレクタは、金属材質であって、複数の放熱孔を含むメッシュ状に備えられた、請求項7に記載のアンテナ用RFモジュール。
【請求項9】
前記RFフィルタは、
幅方向の一側および他側にそれぞれ所定の空間を形成するフィルタボディと、
前記フィルタボディの開口した空間を遮蔽すると同時に、前記増幅部基板から発生した熱を前記空間から前記フィルタボディの外部に熱伝導方式で放熱させるフィルタヒートシンクパネルと、を含み、
前記フィルタヒートシンクパネルは、前記増幅部基板と表面熱接触して前記増幅部基板から発生した熱を外側面に一体に形成されたフィルタヒートシンクフィンを通して放熱させる、請求項1に記載のアンテナ用RFモジュール。
【請求項10】
前記RFフィルタは、
前記フィルタヒートシンクパネルと前記増幅部基板との間に配置され、前記増幅部基板から発生した熱を捕集して前記フィルタヒートシンクパネルに伝達する熱伝達媒体をさらに含み、
前記熱伝達媒体は、内部で流動する冷媒の相変化により熱を伝達するように備えられたベイパーチャンバ(Vapor chamber)またはヒートパイプ(Heat-pipe)からなる、請求項9に記載のアンテナ用RFモジュール。
【請求項11】
前記RFフィルタと前記放射素子モジュールとの間には、前記放射素子モジュールを接地(GND)するとともに、前記RFフィルタから発生した熱の外部への放熱を媒介するリフレクタが配置され、
前記フィルタボディの前面は、前記リフレクタの後面に表面熱接触結合され、
前記フィルタボディの前端は、メインボードが設けられたアンテナハウジングの前端よりも前方に突出し、
前記リフレクタは、前記フィルタボディの前面全部を覆うように形成されるとともに、前記フィルタボディの側面部位を覆うように形成された、請求項9に記載のアンテナ用RFモジュール。
【請求項12】
前記RFフィルタと前記放射素子モジュールとの間には、前記放射素子モジュールを接地(GND)するとともに、前記RFフィルタから発生した熱の外部への放熱を媒介するリフレクタが配置され、
前記リフレクタには、
前記フィルタボディの前面が表面熱接触し、前記放射素子モジュールの背面が表面熱接触するように載置されるアンテナ配置部が平面状に形成された、請求項9に記載のアンテナ用RFモジュール。
【請求項13】
前記放射素子モジュールは、
上下に長く形成され、アンテナ配置部にそれぞれ配列される放射素子モジュールカバーと、
導電性金属材質で形成され、前記放射素子モジュールカバーの前面に結合された放射用ディレクタと、を含み、
前記放射用ディレクタは、放射ビームの方向を全方向に誘導すると同時に、放射素子用印刷回路基板の後方に位置した前記RFフィルタから発生した熱を熱伝導により前方に伝達する、請求項1に記載のアンテナ用RFモジュール。
【請求項14】
前記放射用ディレクタは、熱伝導可能な熱伝導性材質からなる、請求項13に記載のアンテナ用RFモジュール。
【請求項15】
前記増幅部基板は、
前記アンテナハウジングのうち、メインボードが設けられた後方ハウジングの前記メインボードの前方と前記RFフィルタの後方との間を区画するように配置され、前記メインボードが配置された前記アンテナハウジング側の熱または外部異物の流動を遮断する前方ハウジングを介在させて前記メインボードに結合される、請求項1に記載のアンテナ用RFモジュール。
【請求項16】
アナログRF部品を含むアンテナ用RFモジュールを含み、
前記アナログRF部品は、
複数のRFフィルタと、
前記複数のRFフィルタそれぞれの一側に配置される複数の放射素子モジュールと、
前記複数のRFフィルタそれぞれの他側に配置され、アナログ増幅素子が実装された複数の増幅部基板と、を含み、
前記アンテナ用RFモジュールは、アンテナハウジングの前面前方で定義される前方外気に露出するように配置される、アンテナ用RFモジュール組立体。
【請求項17】
少なくとも1つのデジタル素子が前面または後面に実装されたメインボードと、
前記メインボードが設けられるように前方が開口して形成された函体形状のアンテナハウジングと、
前記メインボードと電気的な信号ラインを介して連結されたRFモジュール組立体と、を含み、
前記RFモジュール組立体は、アナログRF部品を含むアンテナ用RFモジュールを含み、
前記アナログRF部品は、
複数のRFフィルタと、
前記複数のRFフィルタそれぞれの一側に配置される複数の放射素子モジュールと、
前記RFフィルタそれぞれの他側に配置され、アナログ増幅素子が実装された複数の増幅部基板と、を含み、
前記アンテナ用RFモジュールは、アンテナハウジングの前面前方で定義される前方外気に露出するように配置される、アンテナ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンテナ用RFモジュール、RFモジュール組立体およびこれを含むアンテナ装置(RF MODULE、RF MODULE ASSEMBLY AND AN ANTENNA APPARATUS INCLUDING THE SAME)に関し、より詳しくは、従来のアンテナ装置のレドーム(radome)が不必要であり、放射素子モジュールおよびRF素子をアンテナハウジングの前方外気に露出させるように配置することにより、放熱性能を向上させ、スリム化製作が可能であり、製品の製造費用を節減できるアンテナ用RFモジュール、RFモジュール組立体およびこれを含むアンテナ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
移動通信システムに用いられる中継器をはじめとする基地局アンテナは、多様な形態と構造を有し、通常、長手方向に直立する少なくとも1つの反射板上に複数の放射素子が適切に配置される構造を有する。
【0003】
最近は、多重入出力(MIMO;Multiple Input Multiple Output)ベースのアンテナに対する高性能の要求を満足すると同時に、小型化、軽量化および低費用構造を達成しようとする研究が活発に行われている。特に、線形偏波または円形偏波を実現するためのパッチタイプの放射素子が適用されたアンテナ装置の場合、通常、プラスチックやセラミック素材の誘電体基板からなる放射素子にめっきをし、PCB(印刷回路基板)などに半田付けにより結合する方式が広く用いられている。
【0004】
図1は、従来技術によるアンテナ装置の一例を示す分解斜視図である。従来技術によるアンテナ装置1は、
図1に示されるように、複数の放射素子35が所望の方向に出力されてビームフォーミングが容易となるように、ビーム出力方向であるアンテナハウジング本体10の前面側に露出するように配列され、外部環境からの保護のために、レドーム(radome)50がアンテナハウジング本体10の前段部に複数の放射素子35を挟んで装着される。
【0005】
より詳しくは、従来技術によるアンテナ装置1は、前面が開口した薄い直方体の函体形状に備えられ、後面に複数の放熱フィン11が一体形成されたアンテナハウジング本体10と、アンテナハウジング本体10の内部のうち後面に積層配置されたメインボード20と、アンテナハウジング本体10の内部のうち前面に積層配置されたアンテナボード30とを含む。
【0006】
アンテナボード30の前面には、パッチタイプの放射素子またはダイポールタイプの放射素子35が実装され、アンテナハウジング本体10の前面には、内部の各部品を外部から保護しながら放射素子35からの放射が円滑に行われるようにするレドーム50が設けられる。
【0007】
しかし、従来技術によるアンテナ装置1は、アンテナハウジング本体10の前方部がレドーム50によって遮蔽されていることから、レドーム50自体がアンテナ装置の前方放熱を阻害する要素として機能している。これとともに、放射素子35も、RF信号の送受信のみを行うように設計されていて、放射素子35から発生した熱が前方に放出できない。この理由から、アンテナハウジング本体10の内部の高発熱素子から発生した熱は、一律にアンテナハウジング本体10の後方から排出されるしかなく、放熱効率が大きく低下してしまうといった問題があった。また、このような問題を解決するための新たな放熱構造設計に対する要求が高まっている。
【0008】
また、従来技術によるアンテナ装置1によれば、レドーム50の体積およびアンテナボード30の前面から放射素子35が離隔した配置構造の占める体積によって、ビル内(in-building)または5G陰影地域に要求されるスリムなサイズの基地局の実現が極めて難しいのが現状である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記の技術的課題を解決するためになされたものであって、レドームを削除し、アンテナRFモジュールが外気に露出するようにアンテナハウジングの外部に配置することにより、アンテナハウジングの前後方への分散放熱を可能にして放熱性能を大きく向上させることができるアンテナ用RFモジュール、RFモジュール組立体およびこれを含むアンテナ装置を提供することを目的とする。
【0010】
また、本発明は、内部にRFフィルタを安定的に保護するとともに、放射素子およびRFフィルタの間で接地機能を行うことはもちろん、RFフィルタ側から発生した熱を外部に容易に放熱させると同時に、放射素子を接地(GND)させるリフレクタを含む、アンテナ用RFモジュール、RFモジュール組立体およびこれを含むアンテナ装置を提供することを他の目的とする。
【0011】
本発明の技術的課題は、以上に言及した課題に制限されない。言及されていないさらに他の技術的課題は、以下の記載から当業者に明確に理解されるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明によるアンテナ用RFモジュールの一実施例は、アナログRF部品を含むアンテナ用RFモジュールであって、前記アナログRF部品は、RFフィルタと、前記RFフィルタの一側に配置される放射素子モジュールと、前記RFフィルタの他側に配置され、アナログ増幅素子が実装された増幅部基板とを含み、前記アンテナ用RFモジュールは、アンテナハウジングの前面前方で定義される前方外気に露出するように配置される。
【0013】
ここで、前記RFフィルタから発生した熱と、前記アナログ増幅素子から発生した熱とは、前記前方外気で互いに異なる方向に放熱される。
【0014】
また、前記RFフィルタと前記放射素子モジュールは、前記アンテナ用RFモジュールの外形を形成することができる。
【0015】
また、前記アンテナハウジングは、メインボードが設けられる内部空間を形成する後方ハウジングと、前記後方ハウジングの前方を覆うように配置されかつ、前記内部空間を前記前方外気と区画されるように配置された前方ハウジングとを含み、前記アンテナ用RFモジュールは、前記前方ハウジングの前方部に配置される。
【0016】
また、前記前方ハウジングを基準として前方部に配置された前記アンテナ用RFモジュールから発生した熱は、前記前方外気に放熱され、前記前方ハウジングを基準として後方部に配置された前記メインボードから発生した熱は、少なくとも前記前方ハウジングの前記前方外気または前記後方ハウジングの後面後方で定義される後方外気に放熱される。
【0017】
また、前記RFフィルタと前記放射素子モジュールとの間には、前記放射素子モジュールを接地(GND)するとともに、前記RFフィルタから発生した熱の前記前方外気への放熱を媒介するリフレクタが配置される。
【0018】
また、前記少なくとも1つのアナログ増幅素子から発生した熱は、前記増幅部基板が隣接する前記RFフィルタの側壁のうちの1つを通して放熱された後、前記リフレクタを介在させて放熱される。
【0019】
また、前記リフレクタは、金属材質であって、複数の放熱孔を含むメッシュ状に備えられる。
【0020】
また、前記RFフィルタは、幅方向の一側および他側にそれぞれ所定の空間を形成するフィルタボディと、前記フィルタボディの開口した空間を遮蔽すると同時に、前記増幅部基板から発生した熱を前記空間から前記フィルタボディの外部に熱伝導方式で放熱させるフィルタヒートシンクパネルとを含み、前記フィルタヒートシンクパネルは、前記増幅部基板と表面熱接触して前記増幅部基板から発生した熱を外側面に一体に形成されたフィルタヒートシンクフィンを通して放熱させることができる。
【0021】
また、前記RFフィルタは、前記フィルタヒートシンクパネルと前記増幅部基板との間に配置され、前記増幅部基板から発生した熱を捕集して前記フィルタヒートシンクパネルに伝達する熱伝達媒体をさらに含み、前記熱伝達媒体は、内部で流動する冷媒の相変化により熱を伝達するように備えられたベイパーチャンバ(Vapor chamber)またはヒートパイプ(Heat-pipe)からなる。
【0022】
また、前記RFフィルタと前記放射素子モジュールとの間には、前記放射素子モジュールを接地(GND)するとともに、前記RFフィルタから発生した熱の外部への放熱を媒介するリフレクタが配置され、前記フィルタボディの前面は、前記リフレクタの後面に表面熱接触結合され、前記フィルタボディの前端は、前記メインボードが設けられたアンテナハウジングの前端よりも前方に突出し、前記リフレクタは、前記フィルタボディの前面全部を覆うように形成されるとともに、前記フィルタボディの側面部位を覆うように形成される。
【0023】
また、前記RFフィルタと前記放射素子モジュールとの間には、前記放射素子モジュールを接地(GND)するとともに、前記RFフィルタから発生した熱の外部への放熱を媒介するリフレクタが配置され、前記リフレクタには、前記フィルタボディの前面が表面熱接触し、前記放射素子モジュールの背面が表面熱接触するように載置されるアンテナ配置部が平面状に形成される。
【0024】
また、前記放射素子モジュールは、上下に長く形成され、前記アンテナ配置部にそれぞれ配列される放射素子モジュールカバーと、導電性金属材質で形成され、前記放射素子モジュールカバーの前面に結合された放射用ディレクタとを含み、前記放射用ディレクタは、放射ビームの方向を全方向に誘導すると同時に、前記放射素子用印刷回路基板の後方に位置した前記RFフィルタから発生した熱を熱伝導により前方に伝達することができる。
【0025】
また、前記放射用ディレクタは、前記熱伝導可能な熱伝導性材質からなる。
【0026】
また、前記増幅部基板は、前記アンテナハウジングのうち、メインボードが設けられた後方ハウジングの前記メインボードの前方と前記RFフィルタの後方との間を区画するように配置され、前記メインボードが配置された前記アンテナハウジング側の熱または外部異物の流動を遮断する前方ハウジングを介在させて前記メインボードに結合される。
【0027】
本発明の一実施例によるアンテナ用RFモジュール組立体は、アナログRF部品を含むアンテナ用RFモジュールを含み、前記アナログRF部品は、複数のRFフィルタと、前記複数のRFフィルタそれぞれの一側に配置される複数の放射素子モジュールと、前記複数のRFフィルタそれぞれの他側に配置され、アナログ増幅素子が実装された複数の増幅部基板とを含み、前記アンテナ用RFモジュールは、アンテナハウジングの前面前方で定義される前方外気に露出するように配置される。
【0028】
本発明の一実施例によるアンテナ装置は、少なくとも1つのデジタル素子が前面または後面に実装されたメインボードと、前記メインボードが設けられるように前方が開口して形成された函体形状のアンテナハウジングと、前記メインボードと電気的な信号ラインを介して連結されたRFモジュール組立体とを含み、前記RFモジュール組立体は、アナログRF部品を含むアンテナ用RFモジュールを含み、前記アナログRF部品は、複数のRFフィルタと、前記複数のRFフィルタそれぞれの一側に配置される複数の放射素子モジュールと、前記RFフィルタそれぞれの他側に配置され、アナログ増幅素子が実装された複数の増幅部基板とを含み、前記アンテナ用RFモジュールは、アンテナハウジングの前面前方で定義される前方外気に露出するように配置される。
【発明の効果】
【0029】
本発明によるアンテナ用RFモジュール、RFモジュール組立体およびこれを含むアンテナ装置の一実施例によれば、次のような多様な効果を達成することができる。
【0030】
第一に、アンテナ装置の発熱素子から発生する熱を空間的に分離することにより、アンテナ装置の前後方向への分散放熱が可能となり、放熱性能を大きく向上することができる。
【0031】
第二に、アンテナ装置の前方向への放熱を妨げるレドームが不必要なため、製品の製造単価を大きく節減することができる。
【0032】
第三に、従来のメインボード側に実装されていたRF関連増幅素子を、RFフィルタと共にRFモジュールとして構成し、アンテナハウジングの外部に配置した。これにより、アンテナ装置の全体的な放熱性能を大きく向上させることができる。
【0033】
第四に、RF関連増幅素子をメインボードから分離することにより、マルチレイヤボード(Multi-Layer Board)であるメインボードの層数が大きく減少してメインボードの製造費用を低減できるという利点がある。
【0034】
第五に、周波数依存性(Frequency Dependence)を有するRF部品をRFモジュールとして構成し、これをアンテナハウジングに着脱可能とすることにより、アンテナ装置を構成する個別RF部品の不良や破損が発生する場合、当該アンテナ用RFモジュールのみを取替えることでアンテナ装置に対する維持、補修を容易に行うことができる。
【0035】
第六に、アンテナ装置の分散放熱が可能なため、アンテナハウジングの後面に一体形成されたヒートシンク(放熱フィン)の長さおよび体積が縮小可能となり、全体的に製品をスリム設計とすることができる。
【0036】
第七に、放射素子モジュールのうち、電磁波の放射機能を行う放射用ディレクタを介在させて放熱可能とすることにより、アンテナ装置の前面放熱面積を極大化することができる。
【0037】
本発明の効果は以上に言及した効果に制限されず、言及されていないさらに他の効果は特許請求の範囲の記載から当業者に明確に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【
図1】従来技術によるアンテナ装置の一例を示す分解斜視図である。
【
図2】本発明の一実施例によるアンテナ装置を示す前方部斜視図および後方部斜視図である。
【
図4】
図2のA-A線に沿った断面図およびその部分拡大図である。
【
図5】
図2のB-B線に沿った一部切開斜視図およびその部分拡大図である。
【
図6】
図2の構成のうち、リフレクタを示す斜視図である。
【
図7】
図2の構成のうち、後方ハウジングに対するメインボードの設置の様子を示す斜視図である。
【
図8】
図2の構成のうち、メインボードに対するRFモジュールの設置の様子を示す分解斜視図である。
【
図9】
図8の設置過程のうち、フィルタボディが後方ハウジングから分離された状態図を示す斜視図である。
【
図10】
図8の構成のうち、RFモジュールを示す斜視図である。
【
図11】
図10のC-C線に沿った断面図であって、内部の様子が一部投影された投影切開斜視図である。
【
図13】
図10のRFモジュールの構成のうち、増幅部基板の詳細図である。
【
図14】増幅部基板のメインボードに対する結合の様子を示す切開斜視図である。
【
図15】
図3の構成のうち、メインボードに対するRFモジュールの組立の様子を示す分解斜視図である。
【
図16】
図3の構成のうち、リフレクタに対する放射素子モジュールの組立の様子を示す分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下、本発明の一実施例によるアンテナ用RFモジュール、RFモジュール組立体およびこれを含むアンテナ装置を、添付した図面を参照して詳細に説明する。
【0040】
各図面の構成要素に参照符号を付すにあたり、同一の構成要素については、たとえ他の図面上に表示されてもできるだけ同一の符号を有するようにしていることに留意しなければならない。また、本発明の実施例を説明するにあたり、かかる公知の構成または機能に関する具体的な説明が本発明の実施例に対する理解を妨げると判断された場合、その詳細な説明は省略する。
【0041】
本発明の実施例の構成要素を説明するにあたり、第1、第2、A、B、(a)、(b)などの用語を使うことができる。このような用語はその構成要素を他の構成要素と区別するためのものに過ぎず、その用語によって当該構成要素の本質や順番または順序などが限定されない。 また、他に定義されない限り、技術的または科学的な用語を含む、ここで使われるすべての用語は、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。一般的に使われる辞書に定義されているような用語は、関連技術の文脈上有する意味と一致する意味を有すると解釈されなければならず、本出願において明らかに定義しない限り、理想的または過度に形式的な意味で解釈されない。
【0042】
本発明は、従来のアンテナ装置が備えるレドーム(radome)を必須に備える必要がなく、アンテナハウジングの内部のメインボードに実装されていたRF関連増幅素子を、RFフィルタと共にRFモジュールとして構成する。これにより、アンテナ装置の様々な発熱素子から発生する熱を空間的に分離することを技術的思想とし、以下、アンテナ用RFモジュール、RFモジュール組立体およびこれを含むアンテナ装置を、図面に示された一実施例を基準として説明する。
【0043】
図2は、本発明の一実施例によるアンテナ装置を示す前方部斜視図(a)および後方部斜視図(b)であり、
図3Aおよび
図3Bは、
図2の前方部分解斜視図および後方部分解斜視図であり、
図4は、
図2のA-A線に沿った断面図およびその部分拡大図であり、
図5は、
図2のB-B線に沿った一部切開斜視図およびその部分拡大図であり、
図6は、
図2の構成のうち、リフレクタを示す斜視図である。
【0044】
本発明の一実施例によるアンテナ装置100は、
図2~
図5に示すように、アンテナ装置の外観を形成するアンテナハウジング105を含む。アンテナハウジング105は、アンテナ装置100の後方側の外観を形成する後方ハウジング110と、アンテナ装置100の前方側の外観を形成する前方ハウジング130とを含む。
【0045】
これとともに、本発明の一実施例によるアンテナ装置100は、アンテナハウジング105の内部空間110Sに密着設置されたメインボード120と、前方ハウジング130の前面に積層配置されるアンテナ用RFモジュール(Radio Frequency Module)200(以下、「RFモジュール」と略称する)とをさらに含む。
【0046】
アンテナハウジング105は、RFモジュール200と結合してアンテナ装置100の外観を形成するとともに、図示しないものの、アンテナ装置100の設置のために設けられた支柱ポールに対する結合を媒介する役割を果たすことができる。ただし、アンテナ装置100の設置空間の制約を受けない限り、必ずしもアンテナハウジング105が支柱ポールに結合されるべきではなく、建物の内壁または外壁のような垂直構造物に直接壁掛けタイプで設置および固定されることも可能である。特に、本発明の一実施例によるアンテナ装置100の場合、前後方向の厚みが最小となるようにスリム設計して、壁掛けタイプの設置をより容易にすることに大きな意味を持っている。これについては、後により詳しく説明する。
【0047】
アンテナハウジング105は、全体的に熱伝導による放熱を有利にするように熱伝導性に優れた金属材質で備えられかつ、ほぼ前後方向の厚みが薄い直方体の函体形状に形成され、後方ハウジング110の前面が開口して形成されて所定の内部空間110Sを備える。これにより、図示しないものの、デジタル素子(例えば、FPGA(Field Programmable Gate Array)素子および/またはPSU(Power Supply Unit)素子)などが実装されたメインボード120の設置を媒介する役割を果たす。
【0048】
一方、図示しないものの、後方ハウジング110の内側面は、メインボード120の後面に実装されたデジタル素子(FPGA素子など)および/またはPSU素子などによる外形突出形状に型合わせられる形状に形成される。これは、メインボード120の背面との熱接触面積を増大させて放熱性能を極大化するためである。
【0049】
アンテナハウジング105の左右両側には、図示しないものの、現場で作業者が本発明の一実施例におけるアンテナ装置100を運送したり、支柱ポール(不図示)または建物の内壁または外壁に対して手動装着が容易となるように把持することのできる取っ手部がさらに設けられる。これとともに、アンテナハウジング105の下端部外側には、不図示の基地局装置とのケーブル連結および内部部品の調整のための各種外側装着部材500が貫通組立可能である。外側装着部材500は、少なくとも1つ以上の光ケーブル連結端子(ソケット)形態で備えられ、それぞれの連結端子には同軸ケーブル(不図示)の連結端子が相互連結される。
【0050】
図2を参照して、後方ハウジング110の背面には、複数の後方放熱フィン111が所定のパターン形状を有するように一体に形成される。ここで、後方ハウジング110の内部空間110Sに設けられたメインボード120から生成された熱は、複数の後方放熱フィン111を通して後方に直接放熱される。
【0051】
複数の後方放熱フィン111は、左右幅の中間部分を基準として左側端および右側端へいくほど上向き傾斜して配置され(
図2の(b)参照)、後方ハウジング110の後方に放熱される熱がそれぞれ後方ハウジング110の左側および右側方向に分散した上昇気流を形成して、より迅速に熱が分散するように設計できる。しかし、後方放熱フィン111の形状は、必ずしもこれに限定されて形成されるべきではない。仮に、図示しないものの、後方ハウジング110の背面側に送風ファンモジュール(不図示)を備える場合には、送風ファンモジュールによって放熱された熱がより迅速に排出されるように、後方放熱フィン111は、中間に配置された送風ファンモジュールにおいてそれぞれ左側端および右側端に平行に形成されるものが採用可能である。
【0052】
また、図示しないものの、複数の後方放熱フィン111の一部には、アンテナ装置1を支柱ポール(不図示)に結合するためのクランピング装置(不図示)が結合されるマウンティング部(不図示)が一体に形成される。ここで、クランピング装置は、その先端部に設けられた本発明の一実施例によるアンテナ装置100を左右方向にローテーティング回動させたり、上下方向にティルティング回動させて、アンテナ装置100の方向性を調整するための構成であってもよい。
【0053】
しかし、マウンティング部に必ずしもアンテナ装置100をティルティングおよびローテーティング回動させるためのクランピング装置が結合されるべきではない。例えば、アンテナ装置100を建物の内壁または外壁に壁掛けタイプで設ける場合、マウンティング部には、壁掛けタイプで結合しやすい掛け金プレート形状のクランプパネルが結合されることも可能である。
【0054】
以下、本発明によるアンテナ用RFモジュール200を、添付した図面を参照してより具体的に説明する。
【0055】
RFモジュール200は、RFフィルタ140と、放射素子モジュール160と、増幅器基板146とを含むことができる。これとともに、RFモジュール200は、放射素子モジュール160の接地(GND)の役割を果たすリフレクタ150をさらに含むことができる。ただし、リフレクタ150は、放射素子モジュール160の接地の役割だけを果たすものではなく、後述するアンテナハウジング105のうち、前方ハウジング130の前面前方で定義される前方外気に対して露出したRFフィルタ140を外部から保護する役割も果たすことができる。
【0056】
このような構成からなるRFモジュール200は、
図2~
図5に示すように、アンテナハウジング105のうち、前方ハウジング130を介在させてメインボード120の前面に積層配置される。
【0057】
本発明の一実施例によるアンテナ装置100において、RFフィルタ140を複数個備えるアンテナ用RFモジュール組立体の一構成をなす。ここで、RFフィルタ140は、
図2および
図3に示すように、左右方向に計8個が隣接して配列されるとともに、このような複数のRFフィルタ140が上下方向にそれぞれ計4列配置されたものを採用している。しかし、必ずしもこれに限定されるものではなく、その配列位置およびRFフィルタ140の個数は多様に設計変形できることは言うまでもない。
【0058】
また、本発明の一実施例において、RFフィルタ140は、一側に所定の空間(Cavity)が形成され、前記空間内にDR(Dielectric Resonator)または金属性共振棒で構成された共振器が備えられたキャビティフィルタであることを例として説明している。しかし、RFフィルタ140はこれに限定されず、誘電体フィルタなど多様なフィルタが採用可能である。
【0059】
これとともに、複数の放射素子モジュール160は、複数のRFフィルタ140それぞれの個数に対応して結合され、放射素子モジュール160それぞれは2T2Rを実現する。したがって、本発明の一実施例によるアンテナ装置100は、計64T64Rが実現されたモデルを例示しているが、これに限定されるものではない。
【0060】
一方、RFモジュール200は、上述のように、複数のRFフィルタ140を覆うように配置され、複数の放射素子モジュール160の接地の役割を果たすリフレクタ150をさらに含むことができる。このために、リフレクタ150は、金属材質からなることが好ましい。リフレクタ150は、放射素子モジュール160の反射層としての機能をさらに担うことができる。したがって、リフレクタ150は、放射素子モジュール160から出力されるRF信号を指向方向に相当する方向に反射してRF信号を集中させることができる。
【0061】
これとともに、リフレクタ150は、本発明の実施例によるRFモジュール200に特有の機能であって、アンテナ装置から発生するシステム熱の外気に対する放熱機能を行うことができる。リフレクタ150は、
図6に示すように、複数の放熱孔155が穿孔されたメッシュ(mesh)状に形成される。複数の放熱孔155は、リフレクタ150の内外部を連通させる役割を果たす構成であって、リフレクタ150の後方空間に位置したRFフィルタ140から生成された熱をリフレクタ150の外部に排出させる熱排出孔の役割を果たすことができる。これによって、アンテナ装置100の放熱に外気を積極的に用いることができる。
【0062】
一方、放熱孔155の大きさは、リフレクタ150の耐久性、放熱特性をシミュレーションして適切に設計可能であり、特に、放熱孔155の大きさは、円滑な接地(GND)機能の維持のために動作周波数の波長を考慮して設計可能である。例えば、放熱孔155の大きさは、前記動作周波数の1/10λ~1/20λの範囲内の大きさを有するように設定可能である。ここで、間隔1/10λは、放射素子モジュール160の十分な接地(GND)の役割を果たすための上限閾値としての意味があり、間隔1/20λは、リフレクタ150の放熱孔155を通した最小限の外気流動を確保するための下限閾値としての意味がある。そのため、放熱孔155の大きさは、動作周波数の1/20λよりは大きく、動作周波数の1/10λよりは小さい範囲を有するように形成されることが好ましい。
【0063】
特に、リフレクタ150は、接地(GND)機能の面で、複数のRFフィルタ140と複数の放熱素子モジュール160との間に単数個で備えられ、共通接地(common ground)機能を行う構成で定義される。より詳しくは、リフレクタ150は、
図6に示すように、複数のRFフィルタ140の前端に積層される4角の金属板体形状に形成される。リフレクタ150の前面には、後述する放熱素子モジュール160それぞれが載置されるアンテナ配置部151が平面状にRFフィルタ140の位置に対応して形成される。ここで、アンテナ配置部151が平面状に形成されることにより、後方のRFフィルタ140の構成のうち、フィルタボディ141の前面が表面熱接触し、前方の放射素子モジュール160の背面が表面熱接触するように載置されることにより、熱伝導方式による放熱性能を向上させることができる。
【0064】
また、リフレクタ150は、
図6に示すように、枠部位がそれぞれ後方に折曲されて前方ハウジング130の前面に結合された複数のRFフィルタ140の側部を取り囲みながら保護する枠折曲板154が形成され、枠折曲板154の周縁に沿って複数箇所に離隔して複数のスクリュー固定溝153が形成され、複数のスクリュー固定溝153と前方ハウジング130の周縁に沿って形成された複数のスクリュー貫通ホール133に複数の組立スクリュー(図面符号不表記)が締結される動作により、前方ハウジング130の前方に結合される。
【0065】
アンテナ用RFモジュール200は、
図2~
図5に示すように、アンテナハウジング105に着脱結合可能である。アンテナ用RFモジュール200は、前方ハウジング130とボルティング結合(またはスクリュー結合)などにより物理的に締結され、アンテナ用RFモジュール200を構成する増幅部基板146がメインボード120にソケットピン結合方式で着脱可能である。具体的には、増幅部基板146には、後述する
図12Aの雄ソケット部146’が備えられ、メインボード120の前面には、増幅部基板146の雄ソケット部146’がソケットピン結合される雌ソケット部125が備えられる。増幅部基板146の具体的な構成および機能については、後により詳しく説明する。
【0066】
前方ハウジング130は、
図3Aおよび
図3Bに示すように、アンテナハウジング105の内部空間110Sに設けられて載置されたメインボード120とその前面に積層配置されたRFモジュール200との間を区画する役割を果たす。また、前方ハウジング130は、アンテナハウジング105側の内部空間110Sとそれ以外の空間とが区別されるように区画具備されることにより、アンテナハウジング105側の内部空間110Sで生成された熱がRFフィルタ140側に影響を及ぼさないように熱的遮断および分離機能を行うことができる。
【0067】
ここで、「熱的遮断」という意味は、前方ハウジング130の前面前方で定義される前方外気(または前方空間)上に位置したRFモジュール200から発生した熱が前方ハウジング130の背面空間(すなわち、後方ハウジング110の内部空間110S)側への熱侵入を遮断すると理解することが好ましい。「熱的分離」という意味は、そもそも後方ハウジング110の内部空間110Sに積層されたメインボード120の前面と背面に集中分散実装された複数の発熱素子の一部を分離して、後方放熱のみならず前方放熱が可能となるように熱的構成を分離配置したと理解することが好ましい。
【0068】
また、アンテナ装置およびこれに含まれる部品や装備を製造する数多くの製造業者が存在する現在の市場状況において、RFモジュール200のみを製造する製造業者の立場では、予め複数のRFモジュール200を、前方ハウジング130に仮組した状態または仮組可能なモジュール単位で、流通および販売可能になるにつれ、新たな市場環境を構築できるという利点がある。前方ハウジング130には、リフレクタ150のスクリュー固定のための複数のスクリュー貫通ホール133が周縁に沿って複数箇所に形成される。また、前方ハウジング130には、RFフィルタ140の増幅部基板146に形成された雄ソケット部146’がそれぞれ貫通してメインボード120の雌ソケット部125にソケットピン結合されるための少なくとも貫通スリット135が形成される。
【0069】
ここで、前方ハウジング130の後面枠部と後方ハウジング110の前面枠部との間には、上述したリフレクタ150の放熱孔155を通して外部に露出した状態であるので、本発明の一実施例によるアンテナ装置100が建物の外部(すなわち、屋外)に設けられる場合、雨天時の雨水が染み込みうることから、雨水などの流入を防止するための防水ガスケットリング(不図示)が介在できる。また、前方ハウジング130に貫通した複数の貫通スリット135の前面および後面には、これを貫通する増幅部基板146の雄ソケット部146’を外部から保護し、その間を通して雨水などの異物が後方ハウジング110の内部空間110S側に流入するのを防止する異物流入防止リング(不図示)がそれぞれ介在できる。
【0070】
このように、本発明の一実施例によるアンテナ装置100は、メインボード120とRFフィルタ140との間の所定の電気的な信号ラインを構築するに際して簡単なソケットピン結合方式を採用することにより、従来の、RFフィルタ140とメインボード120との間を電気的に連結するための別の同軸コネクタ(DCC、Direct Coaxial Connector)を用いる必要がないので、製品の製造単価を大きく節減するという利点を提供する。
【0071】
ただし、ここでのRFフィルタ140のソケットピン結合方式の採用は、電気的な結合の面で有効な効果を創出すると理解され、物理的な結合の面でRFフィルタ140の任意流動を防止するために、複数のスクリュー締結方式を追加採用することも可能であることは言うまでもない。例えば、後述する
図12Aおよび
図12Bに示すように、RFフィルタ140の構成のうち、フィルタボディ141の後端部の周縁に形成された複数のスクリュー貫通ホール142aを介して固定スクリュー142を用いた前方ハウジング130に対するスクリュー締結方式でより強固な固定効果を創出することができる。
【0072】
図7は、
図2の構成のうち、後方ハウジングに対するメインボードの設置の様子を示す分解斜視図であり、
図8は、
図2の構成のうち、メインボードに対するRFモジュールの設置の様子を示す分解斜視図であり、
図9は、
図8の設置過程のうち、フィルタボディが後方ハウジングから分離された状態図を示す斜視図であり、
図10は、
図8の構成のうち、RFモジュールを示す斜視図であり、
図11は、
図10のC-C線に沿った断面図であって、内部の様子が一部投影された投影切開斜視図であり、
図12Aおよび
図12Bは、
図10のRFモジュールを示す分解斜視図であり、
図13は、
図10のRFモジュールの構成のうち、増幅部基板の詳細図であり、
図14は、増幅部基板のメインボードに対する結合の様子を示す切開斜視図であり、
図15は、
図3の構成のうち、メインボードに対するRFモジュールの組立の様子を示す分解斜視図であり、
図16は、
図3の構成のうち、リフレクタに対する放射素子モジュールの組立の様子を示す分解斜視図である。
【0073】
本発明によるアンテナ用RFモジュール200の一実施例は、RFフィルタ140と、RFフィルタ140の一側に配置される放射素子モジュール160と、RFフィルタ140の他側に配置され、アナログ増幅素子が実装された増幅部基板146とを含むことができる。
【0074】
ここで、RFフィルタ140は、少なくとも4つの外側面を有するように形成される。すなわち、RFフィルタ140は、4つの外側面を有する場合、四面体で備えられ、5つの外側面を有する場合五面体で備えられ、6つの外側面を有する場合、六面体で備えられるものをすべて含む。そのため、以下、RFフィルタ140の「一側」および「他側」という用語を使う場合、「一側」および「他側」の意味は、少なくとも4つの外側面のいずれか一面およびその一面を除いた他の一面を指すものであって、物理的に完全な相互の反対面を指示する概念ではなく、いずれか一面およびその一面を除いた他の面のいずれか一面を意味すると理解されなければならない。
【0075】
したがって、本発明によるアンテナ用RFモジュール200の他の実施例は、
図2~
図5に示すように、RFフィルタ140から発生した熱と、アナログ増幅素子から発生した熱とは、互いに異なる方向に放熱される実施例で定義される。
【0076】
そして、本発明によるアンテナ用RFモジュール200は、増幅部基板146がRFフィルタ140の内部に配置される構成であるという点で、実質的にRFモジュール200の外形は、RFフィルタ140およびその前段部に備えられる放射素子モジュール160によって構成できる実施例として異なって定義できることは言うまでもない。
【0077】
また、RFモジュール200は、アナログRF部品の集合体であって、増幅部基板146は、たとえばRF信号を増幅させるアナログ増幅素子が実装されたRF部品である。RFフィルタ140は、入力されたRF信号を所望の周波数帯域に周波数フィルタリングするためのRF部品であり、放射素子モジュール160は、RF信号を受信および送信する役割を果たすRF部品である。
【0078】
そのため、本発明によるアンテナ用RFモジュール200は、さらに他の実施例として次のように定義できる。本発明によるアンテナ用RFモジュール200は、アナログRF部品を含むアンテナ用RFモジュール200であって、アナログRF部品は、少なくとも4つの外側面を有するRFフィルタ140と、RFフィルタ140の外側面のいずれか一面に配置される放射素子モジュール160と、RFフィルタ140の外側面の他の一面に配置される増幅部基板146上のアナログ増幅素子146a-1、146a-2、146cとを含む。本実施の形態の増幅部基板146は、アンテナハウジング110、130の内部のメインボード120と電気的に連結可能である。より詳しくは、後述のように、増幅部基板146は、メインボード120とソケットピン結合方式で電気的な連結を行う。
【0079】
また、本発明によるアンテナ用RFモジュール200のさらに他の実施例は、RFフィルタ140と、RFフィルタ140の前面に配置される放射素子モジュール160と、RFフィルタ140と放射素子モジュール160との間に配置されて放射素子モジュール160を接地(GND)するとともに、RFフィルタ140から発生した熱の外部への放熱を媒介するリフレクタ150とを含む概念で定義できる。これをより詳しく説明すれば、本発明によるアンテナ用RFモジュール200のさらに他の実施例は、アンテナハウジング110、130の内部空間110Sに設けられたメインボード120の前面に対して積層配置されたRFフィルタ140と、RFフィルタ140の前面に積層配置される放射素子モジュール160と、RFフィルタ140を覆うように配置され、放射素子モジュール160の接地(GND)の役割を果たすとともに、RFフィルタ140側から発生した熱の外部への放熱を媒介するリフレクタ150とを含むことができる。ここで、リフレクタ150は、上述のように、放射信号の集中照射を図る反射層としての機能をさらに担うことは言うまでもない。特に、RFフィルタ140が少なくとも4つの外側面を有するものと前提する時、放射素子モジュール160は、RFフィルタ140のいずれか一面(前面)に積層配置され、増幅部基板146は、RFフィルタ140の外側面の他の一面に配置されて、少なくとも1つのアナログ増幅素子が実装された増幅部基板146から発生した熱は、増幅部基板146に隣接するRFフィルタ140の側壁のうちの1つを通して放熱された後、リフレクタ150を介在させて外部に最終放熱できる。
【0080】
一方、本発明によるアンテナ用RFモジュール200のさらに他の実施例は、アンテナハウジング105に着脱可能に結合される。すなわち、本発明によるアンテナ用RFモジュール200は、RFフィルタ140と、RFフィルタ140の前面に配置される放射素子モジュール160と、RFフィルタ140と放射素子モジュール160との間に配置されたリフレクタ150とを含み、アンテナ用RFモジュール200は、アンテナハウジング105に着脱可能に結合されるさらに他の実施例で定義できる。具体的には、アンテナ用RFモジュール200が着脱される対象は、アンテナハウジング105の構成のうち、後方ハウジング110の内部空間110Sに配置されたメインボード120であり、前方ハウジング130を介在させて着脱結合可能である。これによれば、周波数依存性(Frequency Dependence)を有するRF部品をRFモジュールとして構成し、これをアンテナハウジング105に着脱可能とすることにより、アンテナ装置100を構成するRF部品の不良や破損が発生した場合、当該アンテナ用RFモジュール200のみを取替えることでアンテナ装置100に対する維持、補修を容易に行うことができる。
【0081】
また、リフレクタ150は、RFフィルタ140を覆うように配置されかつ、アンテナハウジング105の内部空間110Sを基準として前方ハウジング130の前方外側に突出して露出したRFフィルタ140を全部覆うように配置される。このように、リフレクタ150を用いて前方ハウジング130の前面前方で定義される前方外気(または前方空間)に露出したRFフィルタ140を外部環境から保護すると同時に、上述のように、無数に多い放熱孔155を通して内外部への空気流動が円滑に設計されることで、より高い前方放熱性能の向上を図ることが可能になる。
【0082】
一方、上述した多様な実施例で実現されるRFモジュール200が複数個で備えられることにより、後述するアンテナ用RFモジュール組立体300を構成することができる。複数のRFフィルタ140は、
図12Aおよび
図12Bに示すように、中間の隔壁143を基準として幅方向の一側および他側にそれぞれ所定の空間C1、C2を形成するフィルタボディ141と、前記所定の空間C1、C2のいずれか1つ(
図12Aの図面符号「C1」参照)に設けられた複数のキャビティ(不図示)に設けられた複数の共振器(DR、不図示)と、前記所定の空間C1、C2の他の1つ(
図12Bの図面符号「C2」参照)に配置され、メインボード120の雌ソケット部125に結合されて電気的に連結される増幅部基板146とを含むことができる。ここで、前記フィルタボディ141は、金属材質であって、ダイカスト成形工法により製造される。複数のRFフィルタ140は、所定の空間のうち、「C1」側に設けられた複数の共振器(DR)を用いた周波数調整により入力信号に対する出力信号の周波数帯域をフィルタリングするキャビティフィルタで採用されて配置される。しかし、必ずしもRFフィルタ140がキャビティフィルタに限定されるものではなく、上述のように、セラミック導波管フィルタ(Ceramic Waveguide Filter)を排除するわけではない。
【0083】
RFフィルタ140は、前後方向の厚みが小さい方が、製品全体のスリム化を実現するための設計において有利である。このような製品のスリム化設計の面で、RFフィルタ140は、前後方向の厚さの縮小設計が制限的なキャビティフィルタよりは、小型化設計が有利なセラミック導波管フィルタの採用が考慮できる。しかし、5G周波数環境で要求される基地局アンテナの高出力性能を満足するためには、それに伴うアンテナ放熱の問題を必然的に解決しなければならず、アンテナの内部から発生した熱を効果的に放出するために、RFフィルタ140を熱伝達媒体として活用してRFフィルタ140から発生した熱をアンテナハウジング105の前方に伝達できるという点で、キャビティフィルタの採用が好まれる。
【0084】
特に、本発明の一実施例によるアンテナ装置100において、複数のRFフィルタ140は、RFモジュール200の形態でアンテナハウジング105の限られた内部空間110Sから脱して外気に直接露出するように設けられることから、RFフィルタ140の設置面を除いた四方を通して放熱可能という点でキャビティフィルタの採用がより好まれる。以下、本発明の一実施例によるアンテナ装置100においてRFフィルタ140としてキャビティフィルタが採用されることを例として説明する。
【0085】
本発明の一実施例によるアンテナ装置100は、
図10~
図12Bに示すように、従来のメインボード120の前面または後面に実装されるRF素子である、RFIC素子(不図示)、PA(Power Amplifier)素子146a-1、146a-2およびLNA(Low Noise Amplifier)素子146cをRFフィルタ140の増幅部基板146に分離実装し、RFフィルタ140全部を外気に露出するように設けることにより、放熱性能を大きく向上させるという利点を提供する。
【0086】
すなわち、従来は、アンテナハウジングの前方に設けられたレドーム(radome)が前方側への放熱を阻害する障害要素になっただけでなく、発熱量が大きいデジタル素子やPSUをRF素子(RFIC、PAおよびLNA素子など)と共にメインボードに集中実装することにより、アンテナハウジングの内部で熱集中が発生する問題があった。また、前記集中した熱を単にアンテナハウジングの後方側にのみ集中放熱しなければならかったので、放熱効率が大きく低下する問題点があった。
【0087】
しかし、本発明の一実施例によるアンテナ装置100の場合、
図13に示すように、複数のRFモジュール200をアンテナハウジング105の内部空間110Sとは無関係な前方に分離設置しかつ、外気に直接露出するように設置し、RFフィルタ140の側壁の一部に増幅部基板146を追加して、従来のメインボードに実装されたRF素子146a-1、146a-2、146cを分散配置することで熱的分散を図り、分散した熱をより迅速に外部に放熱することができる。ここで、RF素子は、アナログ増幅素子であってもよいし、上述のように、PA(Power Amplifier)素子146a-1、146a-2、LNA(Low Noise Amplifier)素子146cなどを含んでもよい。より詳しくは、増幅部基板146は、両面のいずれか一面にアナログ増幅素子の1つである一対のPA素子146a-1、146a-2が実装配置されるとともに、アナログ増幅素子の1つであるLNA素子が実装配置され、両者の間をデカップリングさせるサーキュレータ146d-1、146d-2が回路連結される。
【0088】
しかし、必ずしも増幅部基板146の両面のいずれか一面にのみ上述したアナログ増幅素子が実装されるべきではなく、実施例によっては、増幅部基板146の両面に分散実装配置できることは言うまでもない。また、増幅部基板146がRFフィルタ140側に分離実装されることにより、マルチレイヤからなるメインボード120の層数を減少させることができるという点で、メインボード120の製造単価を低減させるという利点を提供する。
【0089】
増幅部基板146は、所定の空間C1、C2の他の1つC2の内部に載置されるように設置されかつ、少なくとも雄ソケット部146’の端部がフィルタボディ141の後面側に突出して露出できるように載置設置される。一方、複数のRFフィルタ140は、
図10~
図12Bに示すように、増幅部基板146から発生した熱を前記所定の空間C2からフィルタボディ141の外部に放熱させるフィルタヒートシンクパネル148をさらに含むことができる。
【0090】
フィルタボディ141の所定の空間C2の周辺には、複数のスクリュー固定ホール149aが形成されるとともに、フィルタヒートシンクパネル148の枠部位には複数のスクリュー貫通ホール149bが形成され、複数の固定スクリュー149がフィルタボディ141の外側から複数のスクリュー貫通ホール149bを貫通して複数のスクリュー固定ホール149aに締結される動作により、フィルタヒートシンクパネル148がフィルタボディ141に固定できる。ここで、フィルタボディ141の所定の空間C2の内部に設けられた増幅部基板146は、外側面がフィルタヒートシンクパネル148の内側面に表面熱接触するように備えられることにより、増幅部基板146から生成された熱がフィルタヒートシンクパネル148を通して熱伝導されるとともに、その外部に一体に形成されたフィルタヒートシンクフィン148aを通して外部に放出される。
【0091】
一方、本発明におけるアンテナ用RFフィルタ140は、図示しないものの、フィルタヒートシンクパネル148と増幅部基板146との間に配置され、増幅部基板146から発生した熱を捕集してフィルタヒートシンクパネル148に伝達する熱伝達媒体をさらに含むことができる。熱伝達媒体は、閉鎖された内部で流動する冷媒の相変化により熱を伝達するように備えられたベイパーチャンバ(Vapor chamber)またはヒートパイプ(Heat-pipe)のいずれか1つからなる。ベイパーチャンバは、熱源である増幅部基板146とフィルタヒートシンクパネル148との間の距離が相対的に小さい場合にその採用が好まれる。逆に、ヒートパイプは、熱源である増幅部基板146とフィルタヒートシンクパネル148との間の距離が相対的に大きい場合、その採用が好まれる。
【0092】
複数のRFフィルタ140は、
図10~
図12Bおよび
図14に示すように、増幅部基板146に形成された雄ソケット部146’を用いてメインボード120の前面に備えられた雌ソケット部125に着脱結合されるとともに、フィルタボディ141の後端部の周縁に形成された複数のスクリュー貫通ホール142aを介して、固定スクリュー142を用いて前方ハウジング130にスクリュー締結させることでより安定的に固定できる。ここで、増幅部基板146に形成された雄ソケット部146’は、
図14に示すように、外部空間に相当する前方ハウジング130の前面に形成された貫通スリット135を貫通して雌ソケット部125にソケットピン結合されるという点で、フィルタボディ141と前方ハウジング130との間には、不図示の異物流入防止リングが介在できることはすでに説明した。
【0093】
一方、フィルタボディ141の前面には、
図10~
図12Bに示すように、後述する複数の放射素子モジュール160のスクリュー固定のための少なくとも1つ以上の固定ボス147が設けられる。少なくとも1つ以上の固定ボス147は、リフレクタ150に形成されたボス貫通ホール157を貫通してリフレクタ150のアンテナ配置部151の前面に貫通露出し、複数の放射素子モジュール160を固定させる素子固定スクリュー180が締結される部位である。
【0094】
ここで、少なくとも1つ以上の固定ボス147は、熱伝導が容易な金属材質からなる。そのため、フィルタボディ141および固定ボス147は、上述のように、熱伝導が容易な金属材質で備えられることから、制限的ながらもフィルタボディ141から生成された熱がレドーム(radome)の削除された前方への放熱が容易という利点を提供する。さらに、後述する放射素子モジュール160の構成のうち、放射用ディレクタ165も、熱伝導が容易な金属材質で備えられて、前方での放熱面積が拡張されるという面で前方放熱性能をさらに向上させることができる。これについては、後により詳しく説明する。
【0095】
ビームフォーミング(Beamforming)の実現のためには、
図2~
図5に示すように、配列アンテナ(Array antenna)として複数の放射素子モジュール160が必要であり、複数の放射素子モジュール160は、狭い方向性ビーム(narrow directional beam)を生成して指定された方向への電波集中を増加させることができる。最近、複数の放射素子モジュール160は、ダイポールタイプのダイポールアンテナ(Dipole antenna)またはパッチタイプのパッチアンテナ(Patch antenna)が最も高い頻度で活用されており、相互間の信号干渉が最小化されるように離隔して設計配置される。従来は、一般的にこのような複数の放射素子モジュール160の配列設計が外部環境要因によって変更されないようにするために、複数の放射素子モジュール160を外部から保護するレドーム(radome)を必須構成としていた。したがって、レドームが覆っている面積部分に限っては、複数の放射素子モジュール160および複数の放射素子モジュール160が設けられるアンテナボードが外気に露出せず、アンテナ装置100の動作によって発生するシステム熱を外部に放熱する場合は極めて制限的であった。
【0096】
本発明の一実施例によるアンテナ装置100の放射素子モジュール160は、
図10~
図12Bに示すように、上下に長く形成され、リフレクタ150の前面に形成された複数のアンテナ配置部151にそれぞれ配列される放射素子モジュールカバー161と、放射素子モジュールカバー161の背面部に密着配置されかつ、アンテナ配置部151との間に配置され、アンテナパッチ回路部163aおよび給電ライン163bが印刷形成された放射素子用印刷回路基板162と、導電性金属材質で形成され、放射素子用印刷回路基板162のアンテナパッチ回路部163aと電気的に連結される放射用ディレクタ165とを含むことができる。
【0097】
放射素子用印刷回路基板162の前面には、直交する±45偏波または垂直/水平偏波のいずれか1つの二重偏波を発生させる二重偏波パッチ素子として、上述したアンテナパッチ回路部163aが印刷形成される。アンテナパッチ回路部163aは、3つがそれぞれ上下方向(長手方向)に離隔して印刷形成され、それぞれのアンテナパッチ回路部163aは、給電ライン163bによって相互連結可能である。従来のアンテナ装置の給電ラインは、アンテナパッチ回路部が実装される印刷回路基板の下部で別の給電線路を形成する必要があった。このため、複数の貫通ホールを備える必要があるなど給電構造が複雑であり、給電構造が放射素子用印刷回路基板162の下部空間を占めていた。この構成は、RFフィルタ140と放射素子用印刷回路基板162との間の直接表面熱接触を妨げる要素として作用してしまうという問題があるが、本実施形態における給電ライン163bは、アンテナパッチ回路部163aがパターン印刷される放射素子用印刷回路基板162と同一の前面にアンテナパッチ回路部163aと共にパターン印刷形成されることにより、給電構造が非常に単純になるだけでなく、RFフィルタ140と放射素子用印刷回路基板162上の直接表面熱接触する結合空間を確保することができる。
【0098】
一方、放射用ディレクタ165は、熱伝導性または導電性金属材質で形成されてアンテナパッチ回路部163aと電気的に連結される。放射用ディレクタ165は、放射ビームの方向を全方向に誘導すると同時に、放射素子用印刷回路基板162の後方から発生した熱を熱伝導により前方に伝達する機能も一緒に行うことができる。放射用ディレクタ165は、電気がよく流れる導電性材質の金属で構成され、それぞれのアンテナパッチ回路部163aの前方にそれぞれ離隔して設けられる。本実施形態では、アンテナパッチ回路部163aおよび放射用ディレクタ165を用いた放射素子を説明したが、ダイポールアンテナを適用する場合、放射用ディレクタの構成を省略することができる。また、ダイポールアンテナの高さが相対的に高いため、リフレクタ150の前面よりも遠い所へ放熱させて放熱量を増加させることができる。
【0099】
図4および
図10~
図12Bを参照して、放射用ディレクタ165は、ディレクタ貫通ホール164cを介してアンテナパッチ回路部163aと電気的に連結可能である。放射用ディレクタ165の全体的な大きさ、形態および設置位置などは、当該アンテナパッチ回路部163aから放射される放射ビームの特性を測定して実験的に、または当該特性をシミュレーションして適切に設計可能である。放射用ディレクタ165は、アンテナパッチ回路部163aから発生する放射ビームの方向を全方向に誘導する役割をして全体的なアンテナのビーム幅をより一層低減しながら、サイドローブの特性も良好にする。それだけでなく、パッチ型アンテナによる損失を補償し、導電性材質の金属からなって放熱機能も一緒に行うことができる。放射用ディレクタ165の形状は、放射ビームの方向を全方向に誘導するための適切な形態、仮に、無方向性を有する円形に形成されることが好ましいが、これに限らない。
【0100】
一方、少なくとも2つのアンテナパッチ回路部163aと放射用ディレクタ165とは、1つの放射素子モジュール160を構成することができる。
図10~
図12Bには、3つのアンテナパッチ回路部163aと放射用ディレクタ165とが1つの単位放射素子モジュール160を形成した例が示されており、利得(gain)を高めるための放射素子モジュールの最適な設計によりアンテナパッチ回路部163aおよび放射用ディレクタ165の数は適宜変更することができる。すなわち、本発明の一実施例におけるアンテナ用RFモジュール200は、最大の利得を確保できるように、それぞれのRFモジュール200に計3つの放射用ディレクタ165が配置されるもので採用しているが、その個数に限定されるものではない。
【0101】
放射用ディレクタ165には貫通ホール164cが形成され、前記貫通ホール164cを介して放射用ディレクタ165がアンテナパッチ回路部163aと電気的に連結可能である。より詳しくは、フィルタボディ141の前面に対する固定のために設けられた素子固定スクリュー180を介在させて放射用ディレクタ165およびアンテナパッチ回路部163aが電気的に連結可能である。
【0102】
ここで、放射素子モジュールカバー161は、非導電性材質であるプラスチック素材で射出成形され、放射素子モジュールカバー161の一面には、
図12Aおよび
図12Bに示すように、放射用ディレクタ165の背面に型合わせられるディレクタ固定部167が備えられる。ディレクタ固定部167には、放射用ディレクタ165と結合可能なディレクタ固定突起部168が前方に突出して形成される。
【0103】
ここで、放射用ディレクタ165は、少なくとも1つのディレクタ固定突起部168と対応する位置に陥没して形成された少なくとも1つのディレクタ固定溝(図面符号不表記)に圧入されて固定される。また、放射素子モジュールカバー161には、RFフィルタ140との結合のための少なくとも1つの基板固定ホール164bが貫通形成される。少なくとも1つの基板固定ホール164bを通して素子固定スクリュー180が放射用ディレクタ165の貫通ホール164cおよび放射素子モジュールカバー161の基板固定ホール164bを貫通した後、放射素子用印刷回路基板162に形成された基板貫通ホール164aを貫通してリフレクタ150のアンテナ配置部151に強固に結合できる。
【0104】
さらに、放射素子モジュールカバー161の前面には、少なくとも1つの補強リブ166が形成された放射素子モジュールカバー161の外観が形成される。補強リブ166は、プラスチック素材である放射素子モジュールカバー161の強度を補強することができる。このような構成からなるRFモジュール200は、前方ハウジング130を基準として前方に相当するRFフィルタ140から発生した熱をリフレクタ150の背面との接触によるか、リフレクタ150に形成された放熱孔155を通して外部に直接放出することができる。
【0105】
一方、本発明におけるアンテナ用RFモジュール組立体300は、次のような多様な形態の実施例で実現されるRFモジュール200を含むものと定義できる。一実施例として、メインボード120の前面に着脱結合される複数のRFフィルタ140と、複数のRFフィルタ140の前面に積層配置される複数の放射素子モジュール160と、複数のRFフィルタ140を覆うように配置され、複数の放射素子モジュール160の接地(GND)の役割を果たすとともに、複数のRFフィルタ140側から発生した熱の外部への放熱を媒介するリフレクタ150とを含むことができる。
【0106】
他の実施例として、RFモジュール200は、上下方向および左右方向にそれぞれ所定距離離隔して配置された複数のRFフィルタ140と、複数のRFフィルタ140の前面に積層配置される複数の放射素子モジュール160と、複数のRFフィルタ140と複数の放射素子モジュール160との間を区画するように配置されたリフレクタ150とを含み、複数のRFフィルタ140は、アンテナハウジング105の内部空間110Sに積層されたメインボード120の前面にソケットピン結合方式で着脱結合される形態で実現できる。
【0107】
これとともに、さらに他の実施例として、RFモジュール200は、それぞれ少なくとも4つの外側面を有する複数のRFフィルタ140と、複数のRFフィルタ140それぞれの外側面のいずれか一面(例えば、前面)に積層配置される複数の放射素子モジュール160と、複数のRFフィルタ140それぞれの外側面の他の一面に配置され、少なくとも1つのアナログ増幅素子が実装された増幅部基板146と、複数のRFフィルタ140と複数の放射素子モジュール160との間に配置されて複数の放射素子モジュール160の共通接地の役割を果たすリフレクタ150とを含み、少なくとも1つのアナログ増幅素子から発生した熱は、複数のRFフィルタ140の側壁のうちの1つを通して放熱された後、リフレクタ150を介在させて前方放熱される形態で実現できる。
【0108】
最後に、さらに他の実施例として、RFモジュール200は、メインボード120の前面に着脱結合され、それぞれ少なくとも4つの外側面を有する複数のRFフィルタ140と、複数のRFフィルタ140それぞれの外側面のいずれか一面(例えば、前面)に積層配置される複数の放射素子モジュール160と、複数のRFフィルタ140を覆うように配置されたリフレクタ150とを含む。リフレクタ150は、複数のRFフィルタ140と複数の放射素子モジュール160との間の接地機能を行うとともに、放射素子モジュール160から照射される電磁波を前方に反射させるように金属材質で形成されかつ、複数のRFフィルタ140側から発生した熱を前方または側方に排出するように複数の放熱孔155が形成される形態で実現できる。
【0109】
このように構成される本発明の一実施例によるRFモジュール200およびアンテナ装置100の組立過程を、添付した図面(特に、
図7以下)を参照して簡略に説明すると、次の通りである。
【0110】
まず、
図10~
図12Bに示すように、本発明によるアンテナ用RFモジュール200の組立方法の一実施例は、ダイカストで製造されたフィルタボディ141の一側および他側のいずれか1つにアナログ増幅素子が実装された増幅部基板146を結合させる。その後、RFフィルタ140の前面に複数の放熱孔155が形成されたリフレクタ150を配置した後、リフレクタ150上に放射素子モジュール160の放射素子用印刷回路基板162を配置する。放射素子用印刷回路基板162上に放射素子モジュール160の放射素子モジュールカバー161を配置した後、放射素子モジュール160の放射用ディレクタ165を放射素子モジュールカバー161に組立てて、放射用ディレクタ165と放射素子用印刷回路基板162とを電気的に連結することにより、RFモジュール200の組立が完了する。後に増幅部基板146をメインボード120の前面にソケットピン結合方式で結合させることができる。
【0111】
一方、本発明によるアンテナ装置100の組立方法の一実施例によれば、
図8、
図9、そして
図15に示すように、メインボード120が設けられたアンテナハウジング105の内部空間110Sと外部空間とが完全に区画されるように前方ハウジング130を後方ハウジング110の前端に結合させて固定した後、複数のRFモジュール200の増幅部基板146の雄ソケット部146’をメインボード120の雌ソケット部125にソケットピン結合させる方式で結合させる。そして、
図16に示すように、リフレクタ150を後方ハウジング110の枠端部に沿ってねじ固定させた後、複数の放射素子モジュール160をそれぞれアンテナ配置部151に結合させると、アンテナ装置100の組立が完了する。
【0112】
このように、本発明の一実施例によるアンテナ装置100は、レドームを備えないため、アンテナ装置100の内部システム熱を、外気と露出する面積だけ、すなわち後方のみならず前方を含む全方位に容易に放出することができる。放射素子モジュール160がリフレクタ150を介在させて外気に露出するように配置されることで、アンテナ装置100の前後方向への分散放熱が可能となり、従来に比べて放熱性能を大きく向上させることができる。
【0113】
また、本実施形態のアンテナ装置100は、従来のレドームが占める体積だけ前方への突出長さを縮小させることができる。さらに、前方への放熱許容量だけ後方ハウジング110の背面に一体形成された複数の後方放熱フィン111の前後長さを縮小できるため、全体的にアンテナ装置100の前後方向の厚みをスリム設計とすることができ、これによって建物の内壁または外壁に対する壁掛けタイプの設置が容易という利点を創出することができる。
【0114】
以上、本発明によるアンテナ用RFモジュール、RFモジュール組立体およびこれを含むアンテナ装置の多様な実施例を、添付した図面を参照して詳細に説明した。しかし、本発明の実施例が必ずしも上述した実施例によって限定されるものではなく、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者による多様な変形および均等な範囲での実施が可能であることは言うまでもない。そのため、本発明の真の権利範囲は後述する特許請求の範囲によって定められる。
【産業上の利用可能性】
【0115】
本発明は、レドームを備えない構成とし、アンテナRFモジュールを外気に露出するようにアンテナハウジングの外部に配置することとした。これにより、本発明は、アンテナハウジングの前後方向への分散放熱を可能にし、放熱性能を大きく向上させることができるアンテナ用RFモジュールおよびこれを含むアンテナ装置を提供する。
【符号の説明】
【0116】
100:アンテナ装置 105:アンテナハウジング
110:後方ハウジング 110S:内部空間
111:後方放熱フィン 120:メインボード
125:雌ソケット部 128a:第1発熱素子
128b:第2発熱素子 130:前方ハウジング
140:RFフィルタ 141:フィルタボディ
142a:スクリュー貫通ホール 143:隔壁
146:増幅部基板 146’:雄ソケット部
146a-1、146a-2:PA素子 146c:LNA素子
147:固定ボス 148:ヒートシンクパネル
149a:スクリュー固定ホール 149b:スクリュー貫通ホール
150:リフレクタ 151:アンテナ配置部
155:複数の放熱孔 157:ボス貫通ホール
160:放射素子モジュール 161:放射素子モジュールカバー
162:印刷回路基板 163a:アンテナパッチ回路部
163b:給電ライン 165:放射用ディレクタ
166:補強リブ 167:ディレクタ固定部
168:ディレクタ固定突起部 200:RFモジュール
500:外側装着部材
【国際調査報告】