IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ インターナショナル・ビジネス・マシーンズ・コーポレーションの特許一覧

特表2023-549661パーティション化されたニューラル・ネットワークのための省電力及び暗号化機能を有するメディア・キャプチャ・デバイス
<>
  • 特表-パーティション化されたニューラル・ネットワークのための省電力及び暗号化機能を有するメディア・キャプチャ・デバイス 図1
  • 特表-パーティション化されたニューラル・ネットワークのための省電力及び暗号化機能を有するメディア・キャプチャ・デバイス 図2
  • 特表-パーティション化されたニューラル・ネットワークのための省電力及び暗号化機能を有するメディア・キャプチャ・デバイス 図3
  • 特表-パーティション化されたニューラル・ネットワークのための省電力及び暗号化機能を有するメディア・キャプチャ・デバイス 図4
  • 特表-パーティション化されたニューラル・ネットワークのための省電力及び暗号化機能を有するメディア・キャプチャ・デバイス 図5
  • 特表-パーティション化されたニューラル・ネットワークのための省電力及び暗号化機能を有するメディア・キャプチャ・デバイス 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-29
(54)【発明の名称】パーティション化されたニューラル・ネットワークのための省電力及び暗号化機能を有するメディア・キャプチャ・デバイス
(51)【国際特許分類】
   G06N 3/02 20060101AFI20231121BHJP
   G06F 9/50 20060101ALI20231121BHJP
   G06F 21/60 20130101ALI20231121BHJP
【FI】
G06N3/02
G06F9/50 150Z
G06F21/60 360
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023524886
(86)(22)【出願日】2021-11-11
(85)【翻訳文提出日】2023-04-24
(86)【国際出願番号】 CN2021129957
(87)【国際公開番号】W WO2022105661
(87)【国際公開日】2022-05-27
(31)【優先権主張番号】16/952,314
(32)【優先日】2020-11-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.SMALLTALK
(71)【出願人】
【識別番号】390009531
【氏名又は名称】インターナショナル・ビジネス・マシーンズ・コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】INTERNATIONAL BUSINESS MACHINES CORPORATION
【住所又は居所原語表記】New Orchard Road, Armonk, New York 10504, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100112690
【弁理士】
【氏名又は名称】太佐 種一
(74)【代理人】
【識別番号】100120710
【弁理士】
【氏名又は名称】片岡 忠彦
(74)【復代理人】
【識別番号】110000316
【氏名又は名称】弁理士法人ピー・エス・ディ
(72)【発明者】
【氏名】ジャーン、シン
(72)【発明者】
【氏名】ツゥイ、シャオドーン
(72)【発明者】
【氏名】ハン、ジン、ピーン
(57)【要約】
パーティション化されたニューラル・ネットワークを用いて情報キャプチャ・デバイスによりキャプチャされたメディアを分析する際の省電力及び暗号化のための方法が、情報キャプチャ・デバイスにより、コンピュータ・サーバから情報キャプチャ・デバイスに人工ニューラル・ネットワーク(ANN)を複製することを含む。コンピュータ・サーバ上のANN及び情報キャプチャ・デバイス上の複製されたANNの両方ともM個の層を含む。方法は、キャプチャされたデータが処理されるべき入力であることに応答して、情報キャプチャ・デバイスにより、複製されたANNを用いて最初のk層を実行することによって、キャプチャされたデータを部分的に処理することをさらに含み、情報キャプチャ・デバイス上で実行するためにk層のみが選択される。方法は、情報キャプチャ・デバイスにより、k番目の層の出力をコンピュータ・サーバに伝送することをさらに含み、コンピュータ・サーバは、ANN及びk番目の層の出力を用いてM個の層の残りを実行することによってキャプチャされたデータを部分的に処理する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パーティション化されたニューラル・ネットワークを用いて情報キャプチャ・デバイスによりキャプチャされたメディアを分析する際の省電力及び暗号化のためのコンピュータ実施方法であって、前記コンピュータ実施方法は、
情報キャプチャ・デバイスにより、コンピュータ・サーバから前記情報キャプチャ・デバイスに人工ニューラル・ネットワーク(ANN)を複製することであって、前記コンピュータ・サーバ上の前記ANN及び前記情報キャプチャ・デバイス上の複製されたANNの両方ともM個の層を含む、複製することと、
キャプチャされたデータが処理されるべき入力であることに応答して、前記情報キャプチャ・デバイスにより、前記複製されたANNを用いて最初のk層を実行することによって、前記キャプチャされたデータを部分的に処理することであって、前記情報キャプチャ・デバイス上で実行するために前記k層のみが選択される、部分的に処理することと、
前記情報キャプチャ・デバイスにより、前記k番目の層の出力を前記コンピュータ・サーバに伝送し、前記コンピュータ・サーバは、前記ANN及び前記k番目の層の前記出力を用いて前記M個の層の残りを実行することによって前記キャプチャされたデータを部分的に処理する、伝送することと
を含む、方法。
【請求項2】
前記情報キャプチャ・デバイスにより、前記コンピュータ・サーバから前記ANNの結果を受け取ることをさらに含む、請求項1に記載のコンピュータ実施方法。
【請求項3】
前記ANNは、前記ANNが前記情報キャプチャ・デバイス上に複製される前に、前記コンピュータ・サーバによって訓練される、請求項1に記載のコンピュータ実施方法。
【請求項4】
前記キャプチャされたデータは、情報感知アレイによってキャプチャされたアナログ信号を含む、請求項1に記載のコンピュータ実施方法。
【請求項5】
前記キャプチャされたデータは、デジタル化されたメディアを含む、請求項1に記載のコンピュータ実施方法。
【請求項6】
前記ANNを前記情報キャプチャ・デバイスに複製することは、前記ANNの前記M個の層の各々の1又は複数の重みを前記複製されたANNの対応するM個の層にコピーすることを含む、請求項1に記載のコンピュータ実施方法。
【請求項7】
前記1又は複数の重みは、前記情報キャプチャ・デバイスに伝送する前に暗号化される、請求項6に記載のコンピュータ実施方法。
【請求項8】
前記k番目の層の前記出力を、前記出力を前記コンピュータ・サーバに伝送する前に暗号化することをさらに含む、請求項1に記載のコンピュータ実施方法。
【請求項9】
前記情報キャプチャ・デバイスにより、前記情報キャプチャ・デバイス上で実行するために前記k層を選択し、kの値を前記コンピュータ・サーバに伝送することをさらに含む、請求項1に記載のコンピュータ実施方法。
【請求項10】
前記コンピュータ・サーバに伝送する前に前記kの値を暗号化することをさらに含む、請求項9に記載のコンピュータ実施方法。
【請求項11】
システムであって、
メモリと、
前記メモリに結合された1つ又は複数のプロセッサと
を含み、前記1つ又は複数のプロセッサは、パーティション化されたニューラル・ネットワークを用いて情報キャプチャ・デバイスによりキャプチャされたメディアを分析する際の省電力及び暗号化のための方法を実行するように構成され、前記方法は、
コンピュータ・サーバから前記情報キャプチャ・デバイスに人工ニューラル・ネットワーク(ANN)を複製することであって、前記コンピュータ・サーバ上の前記ANN及び前記情報キャプチャ・デバイス上の複製されたANNの両方ともM個の層を含む、複製することと、
前記情報キャプチャ・デバイス上で実行するためにk層を選択することと、
キャプチャされたデータが処理されるべき入力であることに応答して、前記複製されたANNを用いて前記最初のk層を実行することによって、前記キャプチャされたデータを部分的に処理することと、
前記k番目の層の出力を前記コンピュータ・サーバに伝送することであって、前記コンピュータ・サーバは、前記ANN及び前記k番目の層の前記出力を用いて前記M個の層の残りを実行することによって前記キャプチャされたデータを部分的に処理する、伝送することと
を含む、システム。
【請求項12】
前記ANNは、前記ANNが前記情報キャプチャ・デバイス上に複製される前に、前記コンピュータ・サーバによって訓練される、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記キャプチャされたデータは、情報感知アレイによってキャプチャされたアナログ信号を含む、請求項11に記載のシステム。
【請求項14】
前記キャプチャされたデータは、デジタル化されたメディア・を含む、請求項11に記載のシステム。
【請求項15】
前記方法は、前記k番目の層の前記出力を、前記出力を前記コンピュータ・サーバに伝送する前に暗号化することをさらに含む、請求項11に記載のシステム。
【請求項16】
kの値を暗号化し、前記コンピュータ・サーバに伝送することをさらに含む、請求項11に記載のシステム。
【請求項17】
プログラム命令がそこに具体化されたコンピュータ可読ストレージ媒体を含むコンピュータ・プログラム製品であって、前記プログラム命令は、1つ又は複数のプロセッサにより実行可能であり、前記1つ又は複数のプロセッサに、パーティション化されたニューラル・ネットワークを用いた情報キャプチャ・デバイスによりキャプチャされたメディアの分析中の省電力及び暗号化のための動作を実行させ、前記動作は、
情報キャプチャ・デバイスにより、コンピュータ・サーバから前記情報キャプチャ・デバイスに人工ニューラル・ネットワーク(ANN)を複製することであって、前記コンピュータ・サーバ上の前記ANN及び前記情報キャプチャ・デバイス上の複製されたANNの両方ともM個の層を含む、複製することと、
キャプチャされたデータが処理されるべき入力であることに応答して、前記情報キャプチャ・デバイスにより、前記複製されたANNを用いて最初のk層を実行することによって、前記キャプチャされたデータを部分的に処理することであって、前記情報キャプチャ・デバイス上で実行するために前記k層のみが選択される、部分的に処理することと、
前記情報キャプチャ・デバイスにより、前記k番目の層の出力を前記コンピュータ・サーバに伝送することであって、前記コンピュータ・サーバは、前記ANN及び前記k番目の層の前記出力を用いて前記M個の層の残りを実行することによって前記キャプチャされたデータを部分的に処理する、伝送することと
を含む、コンピュータ・プログラム製品。
【請求項18】
前記キャプチャされたデータは、情報感知アレイによってキャプチャされたアナログ信号を含む、請求項17に記載のコンピュータ・プログラム製品。
【請求項19】
前記キャプチャされたデータは、デジタル化されたメディアを含む、請求項17に記載のコンピュータ・プログラム製品。
【請求項20】
前記動作は、前記k番目の層の前記出力を、前記出力を前記コンピュータ・サーバに伝送する前に暗号化することをさらに含む、請求項17に記載のコンピュータ・プログラム製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、コンピューティング技術に関し、より具体的には、メディア・キャプチャ・デバイス、並びに省電力及びデータのセキュリティ保護を行うメディア・キャプチャ・デバイスを容易にするニューラル・ネットワークに関する。
【背景技術】
【0002】
今日、電話、タブレット・コンピュータ、ウェアラブル・デバイスなどの幾つかのデバイスは、デジタル画像、音声、ビデオなどのメディア・オブジェクトをキャプチャもしくは作成し、又はその両方を行う。大量のキャプチャされたメディアもしくは抽出されたメディア、又はその両方を分類する必要性が増すにつれて、学習モデルが、キャプチャされたメディア・オブジェクトを分類するための一般的な方法になってきた。例えば、人工ニューラル・ネットワーク(ANN)もしくは畳み込みニューラル・ネットワーク(CNN)、又はその両方などの学習モデルは、サンプル・データ、すなわちサンプルメディア・オブジェクトで訓練され、新しい(これまで見たことのない)メディア・オブジェクトを分類するプロセスの過程で連続的に進化する(学習する)。
【発明の概要】
【0003】
本発明の1つ又は複数の実施形態は、パーティション化されたニューラル・ネットワークを用いて情報キャプチャ・デバイスによりキャプチャされたメディアを分析する際の省電力及び暗号化のためのコンピュータ実施方法を含む。方法は、情報キャプチャ・デバイスにより、コンピュータ・サーバから情報キャプチャ・デバイスに人工ニューラル・ネットワーク(ANN)を複製することを含み、コンピュータ・サーバ上のANN及び情報キャプチャ・デバイス上の複製されたANNの両方ともM個の層を含む。方法は、キャプチャされたデータが処理されるべき入力であることに応答して、情報キャプチャ・デバイスにより、複製されたANNを用いて最初のk層を実行することによって、キャプチャされたデータを部分的に処理することをさらに含み、情報キャプチャ・デバイス上で実行するためにk層のみが選択される。方法は、情報キャプチャ・デバイスにより、k番目の層の出力をコンピュータ・サーバに伝送することをさらに含み、コンピュータ・サーバは、ANN及びk番目の層の出力を用いてM個の層の残りを実行することによってキャプチャされたデータを部分的に処理する。
【0004】
本発明の1つ又は複数の実施形態によれば、システムが、メモリと、メモリに結合された1つ又は複数のプロセッサとを含み、1つ又は複数のプロセッサは、パーティション化されたニューラル・ネットワークを用いて情報キャプチャ・デバイスによりキャプチャされたメディアを分析する際の省電力及び暗号化のための方法を実行する。方法は、情報キャプチャ・デバイスにより、コンピュータ・サーバから情報キャプチャ・デバイスに人工ニューラル・ネットワーク(ANN)を複製することを含み、コンピュータ・サーバ上のANN及び情報キャプチャ・デバイス上の複製されたANNの両方ともM個の層を含む。方法は、キャプチャされたデータが処理されるべき入力であることに応答して、情報キャプチャ・デバイスにより、複製されたANNを用いて最初のk層を実行することによって、キャプチャされたデータを部分的に処理することをさらに含み、情報キャプチャ・デバイス上で実行するためにk層のみが選択される。方法は、情報キャプチャ・デバイスにより、k番目の層の出力をコンピュータ・サーバに伝送することであって、コンピュータ・サーバは、ANN及びk番目の層の出力を用いてM個の層の残りを実行することによってキャプチャされたデータを部分的に処理する、伝送することをさらに含む。
【0005】
本発明の1つ又は複数の実施形態によれば、コンピュータ・プログラム製品が、プログラム命令がそこに具体化されたコンピュータ可読ストレージ媒体を含む。プログラム命令は、1つ又は複数のプロセッサにより実行可能であり、1つ又は複数のプロセッサに、パーティション化されたニューラル・ネットワークを用いて情報キャプチャ・デバイスによりキャプチャされたメディアの分析の際の省電力及び暗号化のための動作を含む方法を実行させる。方法は、情報キャプチャ・デバイスにより、コンピュータ・サーバから情報キャプチャ・デバイスに人工ニューラル・ネットワーク(ANN)を複製することを含み、コンピュータ・サーバ上のANN及び情報キャプチャ・デバイス上の複製されたANNの両方ともM個の層を含む。方法は、キャプチャされたデータが処理されるべき入力であることに応答して、情報キャプチャ・デバイスにより、複製されたANNを用いて最初のk層を実行することによって、キャプチャされたデータを部分的に処理することをさらに含み、情報キャプチャ・デバイス上で実行するためにk層のみが選択される。方法は、情報キャプチャ・デバイスにより、k層の出力をコンピュータ・サーバに伝送することであって、コンピュータ・サーバは、ANN及びk番目の層の出力を用いてM個の層の残りを実行することによってキャプチャされたデータを部分的に処理する、伝送することをさらに含む。
【0006】
本発明の他の実施形態は、コンピュータ・システム及びコンピュータ・プログラム製品において上述した方法の特徴を実装する。
【0007】
付加的な技術的特徴及び利点は、本発明の技術によって実現される。本発明の実施形態及び態様は、本明細書で詳細に記載明され、特許請求される主題の一部と考えられる。より良く理解するために、詳細な説明及び図面を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
本明細書に記載される排他的権利の詳細は、本明細書の最後にある特許請求の範囲において具体的に指し示され、明確に特許請求される。本発明の実施形態の上記及び他の特徴及び利点は、添付図面と併せて用いられる以下の詳細な説明から明らかである。
【0009】
図1】本発明の1つ又は複数の実施形態による、パーティション化されたニューラル・ネットワークを用いて情報キャプチャ・デバイスによりキャプチャされたメディアを分析する際の省電力及び暗号化のためのシステムのブロック図である。
図2】本発明の1つ又は複数の実施形態による、パーティション化されたニューラル・ネットワークを用いて情報キャプチャ・デバイスによりキャプチャされたメディアを分析する際の省電力及び暗号化のためのシステムのブロック図である。
図3】本発明の1つ又は複数の実施形態による、パーティション化されたニューラル・ネットワークを用いて情報キャプチャ・デバイスによりキャプチャされたメディアを分析する際の省電力及び暗号化のための方法のフローチャートである。
図4】本発明の1つ又は複数の実施形態を実装するコンピュータ・システムを示す。
図5】本発明の1つ又は複数の実施形態による、クラウド・コンピューティング環境を示す。
図6】本発明の1つ又は複数の実施形態による、抽象化モデル層を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の実施形態は、画像、音声、ビデオなどの1つ又複数のメディア・オブジェクトを処理するためにパーティション化されたニューラル・ネットワークを使用する際、省電力及び暗号化機能を有するメディア・キャプチャ・デバイスを容易にする。現在、画像、音声、ビデオなどの大量のデータが、複数のユーザにより、電話、タブレット、コンピュータ、ウェアラブル・デバイス、ダッシュ・カメラ、ボイス・レコーダ、セキュリティ・カメラなどのエッジ・デバイスを用いて作成される。ディープ・ニューラル・ネットワーク(DNN)アーキテクチャを用いてこうしたメディアを含む大量のデータを処理するための技術的課題が存在する。ここで、「大容量」は、何百万もの画像、音声、ビデオを伴うことがあり、このような量のデータを手動で処理して分類することは、不可能ではないにしても、非実用的である。従って、本発明の実施形態は、1つ又は複数の情報キャプチャ・デバイスによってキャプチャされる大容量のメディアを分類するための実用的な適用を提供する。さらに、本発明の実施形態は、省電力及びデータのセキュリティ保護を行うメディア・キャプチャ・デバイスを容易にすることによって、情報キャプチャ・デバイスの動作を改善する。さらにまた、本発明の実施形態は、そうしたメディア分類タスクの際の情報キャプチャ・デバイスの計算効率を改善することによって、情報キャプチャ・デバイスにおける計算リソースの制限に対処する。
【0011】
図1は、本発明の1つ又は複数の実施形態による、1つ又は複数の情報キャプチャ・デバイスによってキャプチャされた情報を処理するためのシステム100のブロック図を示す。情報キャプチャ・デバイス102(例えば、カメラ、電話、セキュリティ・カメラ、タブレット・コンピュータ、ボイス・レコーダなど)は、1つ又は複数のデジタル化ファイル103に格納することができるアナログ信号として情報をキャプチャする。情報キャプチャ・デバイス102の情報感知アレイ112によって感知されたアナログ信号は、アナログ・デジタル(ADC)モジュール114によってデジタル化される。情報キャプチャ・デバイス102は、例えば、画像処理、音声処理、ビデオ処理などの、デジタル化されたデータに対する1又は複数のデジタル信号処理動作を実行できるプロセッサ116をさらに含むことができる。プロセッサ116は、デジタル化されたデータをデジタル化ファイル103として保存することができる。デジタル化ファイル103は、1つ又は複数のデジタル・ファイル・ストレージ形式を用いて電子ファイルとして保存することができる。例えば、情報感知アレイ112によってキャプチャされた視覚情報は、例えば、ポータブル・ネットワーク・グラフィックス(PNG)、ビットマップ(BMP)などの画像ファイル形式を用いて格納することができる。情報感知アレイ112によって感知される音声データの場合、デジタル化された音声は、例えば、波形音声ファイル形式(WAV)、free lossless audio codec(FLAC)などのファイル形式を用いて格納することができる。ビデオがキャプチャされた場合、ビデオ・オブジェクト(VOB)、音声ビデオ・インターリーブ(AVI)、MPEG-14などのデジタル・ファイル形式を用いて、データを格納することができる。
【0012】
本発明の1つ又は複数の実施形態において、プロセッサ116は、プロセッサ・コアなどの1つ又は複数の処理ユニットを含むことができる。プロセッサ116は、マイクロプロセッサ、マルチプロセッサ、デジタル信号プロセッサ、グラフィックス・プログラミング・ユニット、中央処理ユニット、及び他のそうしたタイプの処理ユニット、又はそれらの組み合わせとすることができる。プロセッサ116は、メモリ・デバイス117を含むこと、又はこれと結合することができる。プロセッサ116は、1つ又は複数のコンピュータ実行可能命令を実行することによって、1又は複数の動作を実行することができる。そうした命令は、メモリ・デバイス117に格納することができる。メモリ・デバイス117は、プロセッサ116によって使用又は出力することができる付加的な情報/データを格納することができる。
【0013】
デジタル化ファイル103からのキャプチャされたデータは、通信ネットワーク104を介してコンピュータ・サーバ106に転送され、デジタル化ファイル103の分類などのさらなる処理が行われる。
【0014】
通信ネットワーク104は、Ethernetなどの1つ又は複数の通信プロトコルを使用する、インターネットなどのコンピュータ・ネットワークとすることができる。本発明の1つ又は複数の実施形態では、デジタル化ファイル103は、情報キャプチャ・デバイス102を用いて、ユーザ101によりキャプチャされる。
【0015】
コンピュータ・サーバ106は、情報キャプチャ・デバイス102によってキャプチャされたデジタル化ファイル103のためのクラウド・ベースの処理サービスを提供するサーバ・クラスタ、又は分散サーバとすることができる。本発明の1つ又は複数の実施形態では、コンピュータ・サーバ106は、人工ニューラル・ネットワーク(ANN)122を含む。ANN122は、畳み込みニューラル・ネットワーク、フィードフォワード・ネットワーク、再帰型ニューラル・ネットワーク、多層パーセプトロン、又はそれらの組み合わせとすることができる。ANN122は、本発明の1つ又は複数の実施形態において、独立したハードウェア・モジュールとすることができる。代替的に又は付加的に、ANN122は、コンピュータ・サーバ106のプロセッサ127を用いて実装することができる。ANN122は、複数の層を含み、そこでは、最終出力123が生成されるまで、1つの層の出力が後の層によって使用される。
【0016】
本発明の1つ又は複数の実施形態において、プロセッサ126は、プロセッサ・コアなどの1つ又は複数の処理ユニットを含むことができる。プロセッサ126は、マイクロプロセッサ、マルチプロセッサ、デジタル信号プロセッサ、グラフィックス・プログラミング・ユニット、中央処理ユニット、及び他のそうしたタイプの処理ユニット、又はそれらの組み合わせとすることができる。プロセッサ126は、メモリ・デバイス127を含むこと、又はこれと結合することができる。プロセッサ126は、1つ又は複数のコンピュータ実行可能命令を実行することによって、1つ又は複数の動作を実行することができる。そうした命令は、メモリ・デバイス127上に格納することができる。メモリ・デバイス127は、プロセッサ126によって使用又は出力できる付加的な情報/データを格納することができる。
【0017】
本発明の1つ又は複数の実施形態において、ANN122は、訓練データ124を用いて訓練される。訓練データ124は、推論段階の際、情報キャプチャ・デバイス102からのキャプチャされたデータを分析し、ANN出力123を生成するようにANN122を訓練することができるラベル及び他のヒントを含むことができる、画像、音声、ビデオなどの所定のメディアを含む。ANN出力123は、デジタル化ファイル103の1つ又は複数のカテゴリへの分類、デジタル化ファイル103のオブジェクト検出結果、及び他のそうした画像処理/コンピュータ・ビジョン、並びに音声処理結果を含むことができる。
【0018】
従来のシステムにおいて、デジタル化ファイル103をサーバ106に送信する前に、デジタル化ファイル103が暗号化される。暗号化が危殆化された場合(すなわち、ハッキングされた場合)、デジタル化ファイル103からのキャプチャされたデータが暴露される可能性がある。
【0019】
本発明の実施形態は、ANN122を分割し、情報キャプチャ・デバイス102上にANN122のレプリカを作成することによって、ニューラル・ネットワーク分析を暗号化と組み合わせる。1つ又は複数の実施形態では、キャプチャされたデータは、最初に、ANN122の1つ又は複数の層を介して処理され、次に、ANN122の出力が、ネットワーク104を介してコンピュータ・サーバ106に送られ、ANN122の残りの層がさらに処理される。
【0020】
或いは、他の実施形態では、情報キャプチャ・デバイス102上の情報感知アレイ112によって感知されたアナログ信号が、最初に、ANN122の1つ又は複数の層を介して接続される。ANN122の1つ又は複数の層の出力は、ネットワーク104を介してコンピュータ・サーバ106に送られ、ANN122の残りの層がさらに処理される。
【0021】
本発明の実施形態において、ANN122の1つ又は複数の中間層の重み、及びANN122の中間層の出力に対して暗号化を行うこともできる。このようにして、キャプチャされたデータがネットワーク104を介して転送されないので、キャプチャされたデータのセキュリティが向上する。本発明の実施形態は、システム100、及び情報キャプチャ・デバイス102、コンピュータ・サーバ106などのシステム100のコンポーネント、並びに、例えば情報キャプチャ・デバイス102によってキャプチャされたデジタル化ファイル103を安全な方法で分析するためなどの、システム100もしくはシステム100のコンポーネント、又はその両方を使用する1つ又は複数の方法の改善を提供する。
【0022】
図2は、本発明の1つ又は複数の実施形態による、パーティション化されたニューラル・ネットワークを用いる、省電力及びキャプチャされたデータの暗号化のためのシステム100の1つ又は複数のコンポーネントの改善点を示すブロック図である。描写は、ANN122内の層202を示す。ANN122はM個の層を含み、ここで、Mは任意の整数である。各々の層は、層#1を除き、前の層からの出力を使用する。
【0023】
ANN122は、訓練データ124を用いて訓練される。こうした訓練は、ANN122の層202の各々と関連付けられた1又は複数の重みを学習する(すなわち、構成する、設定する)ことを含む。重みは、教師あり学習、教師なし学習、又はANN122のための任意の他の学習技術などの1又は複数の訓練技術を用いて自動的に学習される。
【0024】
情報キャプチャ・デバイス102は、ANN122のレプリカであるANN-レプリカ204を含む。ANN-レプリカ204は、ANN122と同一であり、同じM個の層を含む。さらに、ANN-レプリカ204をANN122と同一にするために、ANN122により学習される重みは、情報キャプチャ・デバイス102上のANN-レプリカ204に伝送される。本発明の1つ又は複数の実施形態において、重みは、コンピュータ・サーバ106の暗号化ユニット230によって暗号化される。情報キャプチャ・デバイス102の復号ユニット232は、暗号化ユニット230からの暗号化された重みを復号する。復号ユニット232により出力された復号された重みは、ANN-レプリカ204で構成される。
【0025】
情報キャプチャ・デバイス102は、情報キャプチャ・デバイス102によって作成されるデジタル化ファイル103を分析するために、ANN-レプリカ204からのM個の層のうちの幾つが情報キャプチャ・デバイス上で実行されるかを選択する層セレクタ210をさらに含む。例えば、層セレクタ210は、デジタル化ファイル103を入力として用いて、情報キャプチャ・デバイス102により実行される、ANN-レプリカ204の最初のk層(1≦k≦M)を選択することができる。本発明の1つ又は複数の実施形態では、層セレクタ210は、ANN-レプリカ204の層を実行するために、情報キャプチャ・デバイス102によって消費される電力に基づいてkの値を決定する。他の実施形態では、付加的な又は代替的なパラメータを用いてkの値を選択することができる。
【0026】
デジタル化ファイル103をANN-レプリカ204への入力として用いる、ANN-レプリカ204からの層#kの出力が、コンピュータ・サーバ106に伝送される。本発明の1つ又は複数の実施形態において、層#kの出力は、伝送する前に、情報キャプチャ・デバイス102の暗号化ユニット220によって暗号化される。コンピュータ・サーバ106の復号ユニット222が、層#kの出力を復号する。この受け取った層#kの出力は、ANN122の層#(k+1)に入力される。本発明の1つ又は複数の実施形態において、コンピュータ・サーバ106の層ロケータ212が、ANN122内の層#(k+1)を特定し、受け取った層#kの出力を、ANN122内のその層#(k+1)に入力する。
【0027】
本発明の1つ又は複数の実施形態において、層セレクタ210は、出力が送信される層、すなわち層#kの識別を、層ロケータ212に伝送する。本発明の1つ又は複数の実施形態において、層#kの識別は、伝送する前に、暗号化ユニット220によって暗号化される。復号ユニット222は、層ロケータ212が使用するために層#kの識別を復号する。
【0028】
その後、ANN122の層(k+1)~Mを実行して、ANN122の結果123を生成する。本発明の1つ又は複数の実施形態では、結果123は、情報キャプチャ・デバイス102に、又は任意の他のデバイス(図示せず)に伝送される。
【0029】
従って、システム100は、可変の作業負荷の分割を容易にし、そこで、ANNの層のサブセットは情報キャプチャ・デバイス102上で実行され、残りの層はコンピュータ・サーバ106上で実行される。さらに、情報キャプチャ・デバイス102とコンピュータ・サーバ106との間で交換されるデータはセキュア保護され、その場合にも、中間データのみが交換されて、デジタル化ファイル103全体の暴露を制限し、ひいては、そうしたデータの交換の際にデジタル化ファイル103がハッキングされる可能性を制限する。
【0030】
本発明の1つ又は複数の実施形態において、情報キャプチャ・デバイス102は、層#kの識別と共に、ANN-レプリカ204により実行される層、すなわち層1~kの各々の出力を伝送する。
【0031】
本発明の1つ又は複数の実施形態において、ANN-レプリカ204は、情報感知アレイ112によってキャプチャされるアナログ信号を、キャプチャされたデータがデジタル化ファイル103に変換される前に使用する。これにより、キャプチャされたデータを、さらに危殆化されないようにセキュア保護することが容易になる。この場合、ANN122は、アナログ信号を含む学習データ124を用いて訓練される。
【0032】
図3は、本発明の1つ又は複数の実施形態による、パーティション化されたニューラル・ネットワークを用いて、省電力及び暗号化によりキャプチャされたデータを分析する方法300のフローチャートを示す。方法300は、ブロック302において、訓練データ124を用いてコンピュータ・サーバ106のANN122を訓練することを含む。訓練は、教師あり学習、教師なし学習、又は任意の他のタイプのニューラル・ネットワークの訓練を含むことができる。訓練データ124は、情報感知アレイ112などの情報感知アレイによってキャプチャされたアナログ信号を含むことができる。代替的に又は付加的に、訓練データ124は、そうしたアナログ信号をデジタル化した後に得られるメディアを含むこともできる。訓練は、重みを有するようにANN122のM個の層202を構成することを容易にする。ここで、「重み」は、M個の層202のいずれかに提供される入力データを変換する、ANN122内のパラメータである。M個の層202の各々は、複数の重みを含むことができる。ANN122は、情報感知アレイ112によってキャプチャされたアナログ信号の形態、又はデジタル化ファイル103の形態のいずれかで、キャプチャされたデータを分析するように訓練される。例えば、そうした分析は、キャプチャされたデータ内のオブジェクトの検出及び識別を含むことができる。さらに、分析は、識別されたオブジェクトもしくはキャプチャされたデータ、又はその両方を1つ又は複数のカテゴリに分類することを含むことができる。本発明の1つ又は複数の実施形態では、他のタイプの分析を付加的に又は代替的に実行することもできる。
【0033】
さらに、ブロック304において、ANN122が、情報キャプチャ・デバイス102上に複製される。複製は、情報キャプチャ・デバイス102上にANN-レプリカ204を構成することを含む。ANN-レプリカ204は、同じ数の層、すなわちM個の層を有するように構成される。さらに、ANN-レプリカ204の層の各々は、コンピュータ・サーバ106のANN122のM個の層202と全く同じ重みを有するように構成される。本発明の1つ又は複数の実施形態において、こうした複製は、暗号化ユニット230を用いて訓練された重みを暗号化し、暗号化された値を情報キャプチャ・デバイス102に伝送することを含む。復号ユニット232は、重み値を復号し、次に、これを用いてANN-レプリカ204を構成する。
【0034】
その後、ブロック306において、情報キャプチャ・デバイス102は、情報感知アレイ112を用いて、アナログ信号データをキャプチャする。ブロック308において、キャプチャされたデータを、情報キャプチャ・デバイス102のANN-レプリカ204に入力し、ANN-レプリカ204のM個の層のうちのkのみを用いて処理する。ANN-レプリカ204に入力されるキャプチャされたデ-タは、情報感知アレイ112によってキャプチャされたアナログ信号、又は対応するデジタル化ファイル103とすることができる。
【0035】
ブロック310において、キャプチャされたデータを処理することは、情報キャプチャ・デバイス102によって実行される層の数、すなわちkを選択することを含む。層セレクタ210は、情報キャプチャ・デバイスと関連付けられた1つ又は複数の要因に基づいて、kの値を決定する。本発明の1つ又は複数の実施形態では、層セレクタ210は、ANN-レプリカ204の層の各々を実行するために消費される電力量を監視する。代替的に又は付加的に、層セレクタ210は、情報キャプチャ・デバイス102によってANN-レプリカ204の層の各々を実行するために必要な電力量を示す電力消費データへのアクセスを有する。本発明の1つ又は複数の実施形態では、層セレクタ210は、ANN-レプリカ204についての電力消費バジェットをさらに含むことができる。電力消費バジェットは、設定可能な値とすることができる。
【0036】
電力消費バジェットは、ANN-レプリカ204がキャプチャされたデータを分析するために消費することができる最大電力量を示す。本発明の1つ又は複数の実施形態では、電力消費バジェットは、情報キャプチャ・デバイス102が利用可能な総電力量に依存する値とすることができる。例えば、情報キャプチャ・デバイス102がバッテリ又は任意の他のそうした限定された電源(図示せず)から電力を受け取っている場合、利用可能な電力量は、電源の充電レベルによって決まり得る。充電レベルが変化すると、電力消費バジェットは変化し得る。例えば、充電レベルが電源の容量の少なくとも75%である場合、キャプチャされたデータを分析するために、ANN-レプリカ204の電力消費バジェットは100ミリワットとすることができ、充電レベルが50%に低下すると、電力消費バジェットは80ミリワットに減少し、充電レベルが30%に低下すると、50ミリワットにさらに減少する等である。本発明の1つ又は複数の実施形態において、上記の例示的な値は変化し得ることが理解される。本発明の1つ又は複数の実施形態では、電力消費バジェットと充電レベルとの間の関係は、構成可能であり得る。
【0037】
従って、決定された電力消費バジェット、及びANN-レプリカ204内の層の各々に必要な電力量に基づいて、層セレクタは、電力消費バジェットを超えることなく、情報キャプチャ・デバイス102によってk層を実行できると判断する。これに応答して、ANN-レプリカ204の最初のk層が、情報キャプチャ・デバイス102によって実行される(ブロック308において)。
【0038】
ANN-レプリカ204は、ANN122のM個の層202の正確なレプリカを含むので、ANN122の残りの層(k+1)~Mは、キャプチャされたデータの分析を引き継ぐことができる。この目的のために、ブロック312において、ANN-レプリカ204からの層#kの出力が、ネットワ-ク104を介してコンピュータ・サーバ106に伝送される。伝送は、層kの識別、例えば、kの値をさらに含むことができる。
【0039】
本発明の1つ又は複数の実施形態において、伝送は、暗号化ユニット220によって暗号化される。本発明の1つ又は複数の実施形態において、層#kの出力及びkの識別は、単一の暗号化された伝送の一部とすることができる。或いは、層#kの出力及びkの識別に対して、別個の暗号化された伝送を実行することもできる。
【0040】
ブロック314において、ANN122は、層#kの出力を用いて層(k+1)~Mを実行することにより、キャプチャされたデータを分析する。そうした分析は、復号ユニット222により、情報キャプチャ・デバイス102から受け取った情報を復号することを含む。さらに、層ロケータ212は、ANN122の層#k及び#k+1を特定し、これらの層を情報キャプチャ・デバイス102からの情報で構成して、ANN122が層#k+1からM個の層の残りを実行できるようにする。
【0041】
ブロック316において、ANN122の処理結果が出力される。本発明の1つ又は複数の実施形態において、結果は、情報キャプチャ・デバイス102に伝送することができる。代替的に又は付加的に、結果は、別のコンピュータ・サーバ、データベース、又は任意の他のデバイスなどの別のデバイスに伝送することもできる。
【0042】
本発明の1つ又は複数の実施形態において、図1及び図2は単一の情報キャプチャ・デバイス102を示すが、複数の情報キャプチャ・デバイス102がコンピュータ・サーバ106と通信することが可能であることに留意されたい。さらに、各々の情報キャプチャ・デバイス102は、それ自体の電力消費バジェット、充電レベル、及び他のそうした変動要因を有することがある。従って、第1の情報キャプチャ・デバイス102上で実行される層の数が、第2の情報キャプチャ・デバイス上の層の数、例えばk'(k≠k')とは異なることがある。これに応じて、第1の情報キャプチャ・デバイスについては、コンピュータ・サーバ106は、第2の情報キャプチャ・デバイスについて実行される層の数(M-k')と比較して、異なる層の数(M-k)を実行する。
【0043】
さらに、単一の情報キャプチャ・デバイス102であっても、層の数kは充電レベルに基づいて変化し得る。例えば、コンピュータ・サーバ106は、充電レベルがX%であるとき、時間t1において、情報キャプチャ・デバイス102によってキャプチャされる第1のキャプチャされたデータについてANN122の(M-k)個の層を実行し、一方、コンピュータ・サーバ106は、充電レベルがY%であるとき、時間t1において、情報キャプチャ・デバイス102によってキャプチャされる第2のキャプチャされたデータについてANN122の(M-p)個の層を実行することができ、pは、層セレクタ210によって選択される層の数である。
【0044】
本発明の実施形態は、ニューラル・ネットワークをパーティション化し、情報キャプチャ・デバイス上にニューラル・ネットワークのレプリカを作成することによって、ニューラル・ネットワーク・プロセスを暗号化と組み合わせる。キャプチャされたデータは、情報キャプチャ・デバイスにおいてニューラル・ネットワークの層のサブセットを用いて分析され、そうした処理の出力は、コンピュータ・サーバに伝送され、残りのニューラル・ネットワークの層を用いてさらに処理される。情報キャプチャ・デバイスで実行する層の数は、情報キャプチャ・デバイスにおける、電力消費などの1又は複数の要因に基づく。キャプチャされたデータは、アナログ信号の形態で、又はデジタル化ファイルの形態で使用することができる。さらに、ニューラル・ネットワークを複製するための重み、情報キャプチャ・デバイス上で実行される層の出力など、伝送の全てが暗号化される。このように、キャプチャされたデータは、ネットワークを介して直接転送されず、その結果、キャプチャされたデータのセキュリティを高めることができる。
【0045】
ここで図4を参照すると、実施形態に従ったコンピュータ・システム400が、一般的に示される。本発明の1つ又は複数の実施形態において、コンピュータ・システム400は、情報キャプチャ・デバイス102もしくはコンピュータ・サーバ106、又はその両方として使用することができる。本明細書で説明されるように、コンピュータ・システム400は、様々な通信技術を利用する任意の数及び組み合わせのコンピューティング・デバイス及びネットワークを含み、及び/又は利用する電子、コンピュータ・フレームワークとすることができる。コンピュータ・システム400は、容易に拡大縮小可能、拡張可能、モジュール式とすることができ、異なるサービスに変更する能力又は他と独立して幾つかの機能を再構成する能力を有することができる。コンピュータ・システム400は、例えば、サーバ、デスクトップ・コンピュータ、ラップトップ・コンピュータ、タブレット・コンピュータ、又はスマートフォンとすることができる。幾つかの例では、コンピュータ・システム400は、クラウド・コンピューティング・ノードとすることができる。コンピュータ・システム400は、コンピュータ・システムによって実行される、プログラム・モジュールなどのコンピュータ・システム実行可能命令の一般的な文脈で説明されることがある。一般に、プログラム・モジュールは、特定のタスクを実行する又は特定の抽象データ型を実装する、ルーチン、プログラム、オブジェクト、コンポーネント、論理、データ構造などを含むことができる。コンピュータ・システム400は、通信ネットワークを通じてリンクされる遠隔処理デバイスによってタスクが実行される分散型クラウド・コンピューティング環境で実施することができる。分散型クラウド・コンピューティング環境において、プログラム・モジュールは、メモリ・ストレージ・デバイスを含むローカル・コンピュータ・システム・ストレージ媒体及び遠隔コンピュータ・システム・ストレージ媒体の両方に配置することができる。
【0046】
図4に示されるように、コンピュータ・システム400は、1つ又は複数の中央処理ユニット(CPU)401a、401b、401cなど(まとめて又は一般的にプロセッサ401と呼ばれる)を有する。プロセッサ401は、シングル・コア・プロセッサ、マルチ・コア・プロセッサ、コンピューティング・クラスタ、又は任意の数の他の構成とすることができる。プロセッサ401は、処理回路とも呼ばれ、システム・バス402を介して、システム・メモリ403及び様々な他のコンポーネントに結合される。システム・メモリ403は、読み出し専用メモリ(ROM)404、及びランダム・アクセス・メモリ(RAM)405を含むことができる。ROM404は、システム・バス402に結合され、コンピュータ・システム400の特定の基本機能を制御する基本入力/出力システム(BIOS)を含むことができる。RAMは、プロセッサ401が使用するためにシステム・バス402に結合された読み書きメモリである。システム・メモリ403は、動作中に前述の命令の操作のための一時的なメモリ空間を提供する。システム・メモリ403は、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)、読み出し専用メモリ、フラッシュ・メモリ、又は任意の他の適切なメモリ・システムを含むことができる。
【0047】
コンピュータ・システム400は、システム・バス402に結合された入力/出力(I/O)アダプタ406及び通信アダプタ407を含む。I/Oアダプタ406は、ハードディスク408もしくはいずれかの他の類似コンポーネント、又はその両方と通信する小型コンピュータ・システム・インターフェース(SCSI)アダプタとすることができる。本明細書では、I/Oアダプタ406及びハードディスク408は、まとめて大容量ストレージ410と呼ばれる。
【0048】
コンピュータ・システム400上で実行されるソフトウェア411は、大容量ストレージ410に格納することができる。大容量ストレージ410は、プロセッサ401によって読み取り可能な有形ストレージ媒体の一例であり、ソフトウェア411は、本明細書では種々の図に関して以下に説明されるような、コンピュータ・システム400に動作させるために、プロセッサ401によって実行される命令として格納される。コンピュータ・プログラム製品及びそうした命令の実行の例は、本明細書により詳細に説明される。通信アダプタ407は、システム・バス402を、外部ネットワークとすることもできるネットワーク412と相互接続し、コンピュータ・システム400が他のそうしたシステムと通信することを可能にする。一実施形態では、システム・メモリ403及び大容量ストレージ410の一部は、IBM Corporationからのz/OS又はAIXオペレーティング・システムなどの任意の適切なオペレーティング・システムとすることができるオペレーティング・システムをまとめて格納し、図4に示される様々なコンポーネントの機能を調整する。
【0049】
付加的な入力/出力デバイスが、ディスプレイ・アダプタ415及びインターフェース・アダプタ416を介してシステム・バス402に接続されるように示される。一実施形態では、アダプタ406、407、415及び416は、中間バス・ブリッジ(図示せず)を介してシステム・バス402に接続される1つ又は複数のI/Oバスに接続することができる。ディスプレイ419(例えば、スクリーン又はディスプレイ・モニタ)は、グラフィックス集中型アプリケーションの性能を向上させるためのグラフィックス・コントローラ及びビデオ・コントローラを含むことができるディスプレイ・アダプタ415によって、システム・バス402に接続される。キーボード421、マウス422、スピーカ423などは、例えば、複数のデバイスアダプタを単一の集積回路に統合するスーパーI/Oチップを含むことができるインターフェース・アダプタ416を介して、システム・バス402に相互接続することができる。ハードディスク・コントローラ、ネットワーク・アダプタ、及びグラフィックス・アダプタなどの周辺機器を接続するための適切なI/Oバスは、典型的には、Peripheral Component Interconnect(PCI)のような共通プロトコルを含む。従って、図4に構成されるように、コンピュータ・システム400は、プロセッサ401の形態の処理能力と、システム・メモリ403及び大容量ストレージ410を含むストレージ能力と、キーボード421及びマウス422などの入力手段と、スピーカ423及びディスプレイ419を含む出力能力とを含む。
【0050】
幾つかの実施形態において、通信アダプタ407は、特に、インターネット・スモール・コンピュータ・システム・インターフェースなどの任意の適切なインターフェース又はプロトコルを用いてデータを伝送することができる。ネットワーク412は、特に、セルラー・ネットワーク、無線ネットワーク、広域ネットワーク(WAN)、ローカル・エリア・ネットワーク(LAN)、又はインターネットとすることができる。外部コンピューティング・デバイスは、ネットワーク412を介してコンピュータ・システム400に接続することができる。幾つかの例では、外部コンピューティング・デバイスは、外部ウェブサーバ又はクラウド・コンピューティング・ノードとすることができる。
【0051】
図4のブロック図は、コンピュータ・システム400が図4に示されるコンポーネントの全てを含むように示すことを意図しないことが理解される。むしろ、コンピュータ・システム400は、図4に示されていない任意の適切なより少ない又は付加的なコンポーネント(例えば、付加的なメモリ・コンポーネント、組み込みコントローラ、モジュール、付加的なネットワーク・インターフェースなど)を含むことができる。さらに、コンピュータ・システム400に関して本明細書に説明される実施形態は、任意の適切な論理で実装することができ、ここで、本明細書で言及される論理は、種々の実施形態において、任意の適切なハードウェア(例えば、特に、プロセッサ、組み込みコントローラ、又は特定用途向け集積回路)、ソフトウェア(例えば、特に、アプリケーション)、ファームウェア、又はハードウェア、ソフトウェア及びファームウェアの任意の適切な組み合わせを含むことができる。
【0052】
本開示はクラウド・コンピューティングに関する詳細な説明を含むが、本明細書に記載される教示の実装は、クラウド・コンピューティング環境に限定されないことを理解されたい。むしろ、本発明の実施形態は、現在知られている又は後に開発される任意の他のタイプのコンピューティング環境と共に実施することが可能である。
【0053】
クラウド・コンピューティングは、最小限の管理労力又はサービスのプロバイダとの対話で迅速にプロビジョニング及び解放することができる構成可能なコンピューティング・リソース(例えば、ネットワーク、ネットワーク帯域幅、サーバ、処理、メモリ、ストレージ、アプリケーション、仮想マシン、及びサービス)の共有プールへの、便利なオンデマンドのネットワーク・アクセスを可能にするためのサービス配信のモデルである。このクラウド・モデルは、少なくとも5つの特徴、少なくとも3つのサービス・モデル、及び少なくとも4つのデプロイメント・モデルを含むことができる。
【0054】
特徴は、以下の通りである。
【0055】
オンデマンド・セルフ・サービス:クラウド・コンシューマは、必要に応じて、サーバ時間及びネットワーク・ストレージ等のコンピューティング機能を、人間がサービスのプロバイダと対話する必要なく自動的に、一方的にプロビジョニングすることができる。
【0056】
広範なネットワーク・アクセス:機能は、ネットワーク上で利用可能であり、異種のシン又はシック・クライアント・プラットフォーム(例えば、携帯電話、ラップトップ、及びPDA)による使用を促進する標準的な機構を通じてアクセスされる。
【0057】
リソース・プール化:プロバイダのコンピューティング・リソースは、マルチテナントモデルを用いて複数のコンシューマにサービスを提供するためにプールされ、異なる物理及び仮想リソースが要求に応じて動的に割り当て及び再割り当てされる。コンシューマは、一般に、提供されるリソースの正確な位置についての制御又は知識を持たないという点で、位置とは独立しているといえるが、より抽象化レベルの高い位置(例えば、国、州、又はデータ・センタ)を特定できる場合がある。
【0058】
迅速な弾力性:機能を、迅速かつ弾力的に、場合によっては自動的に、プロビジョニングしてすばやくスケールアウトし、迅速に解放して素早くスケールインすることができる。コンシューマにとって、プロビジョニングに利用可能な機能は、多くの場合、無制限であるように見え、いつでもどんな量でも購入できる。
【0059】
計測されるサービス:クラウド・システムは、サービスのタイプ(例えば、ストレージ、処理、帯域幅、及びアクティブなユーザアカウント)に適した何らかの抽象化レベルでの計量機能を用いることによって、リソースの使用を自動的に制御及び最適化する。リソース使用を監視し、制御し、報告して、利用されるサービスのプロバイダとコンシューマの両方に対して透明性をもたらすことができる。
【0060】
サービス・モデルは、以下の通りである。
【0061】
Software as a Service(SaaS):コンシューマに提供される機能は、クラウド・インフラストラクチャ上で実行されるプロバイダのアプリケーションを使用することである。これらのアプリケーションは、ウェブブラウザ(例えば、ウェブベースの電子メール)などのシンクライアントインターフェースを通じて、種々のクライアントデバイスからアクセス可能である。コンシューマは、限定されたユーザ固有のアプリケーション構成設定を想定される例外として、ネットワーク、サーバ、オペレーティング・システム、ストレージ、又は個々のアプリケーション能力機能をも含めて、基礎をなすクラウド・インフラストラクチャを管理又は制御しない。
【0062】
Platform as a Service(PaaS):コンシューマに提供される機能は、プロバイダによってサポートされるプログラミング言語及びツールを用いて作成された、コンシューマが作成又は取得したアプリケーションを、クラウド・インフラストラクチャ上にデプロイすることである。コンシューマは、ネットワーク、サーバ、オペレーティング・システム、又はストレージを含む基礎をなすクラウド・インフラストラクチャを管理又は制御しないが、デプロイされたアプリケーション、及び場合によってはアプリケーションをホストする環境構成を制御する。
【0063】
Infrastructure as a Service(IaaS):コンシューマに提供される機能は、コンシューマが、オペレーティング・システム及びアプリケーションを含み得る任意のソフトウェアをデプロイして実行させることができる、処理、ストレージ、ネットワーク、及び他の基本的なコンピューティング・リソースをプロビジョニングすることである。コンシューマは、基礎をなすクラウド・インフラストラクチャを管理又は制御しないが、オペレーティング・システム、ストレージ、デプロイされたアプリケーションに対する制御、及び場合によってはネットワークコンポーネント(例えば、ホストのファイアウォール)選択に対する限定された制御を有する。
【0064】
デプロイメント・モデルは以下の通りである。
【0065】
プライベート・クラウド:クラウド・インフラストラクチャは、ある組織のためだけに運営される。これは、その組織又は第三者によって管理することができ、オンプレミス又はオフプレミスに存在することができる。
【0066】
コミュニティ・クラウド:クラウド・インフラストラクチャは、幾つかの組織によって共有され、共通の関心事項(例えば、ミッション、セキュリティ要件、ポリシー、及びコンプライアンス上の考慮事項)を有する特定のコミュニティをサポートする。これは、それらの組織又は第三者によって管理することができ、オンプレミス又はオフプレミスに存在することができる。
【0067】
パブリック・クラウド:クラウド・インフラストラクチャは、一般公衆又は大規模な業界グループによって利用可能であり、クラウド・サービスを販売する組織によって所有される。
【0068】
ハイブリッド・クラウド:クラウド・インフラストラクチャは、固有のエンティティのままであるが、データ及びアプリケーションのポータビリティを可能にする標準化技術又は専用技術(例えば、クラウド間の負荷平衡のためのクラウド・バースティング)によって互いに結び付けられた、2つ又はそれより多いクラウド(プライベート、コミュニティ、又はパブリック)の混成物である。
【0069】
クラウド・コンピューティング環境は、サービス指向であり、ステートレス性、低結合性、モジュール性、及びセマンティック相互運用性に焦点を置く。クラウド・コンピューティングの中心は、相互接続されたノードのネットワークを含むインフラストラクチャである。
【0070】
ここで図5を参照すると、例示的なクラウド・コンピューティング環境50が示される。図示のように、クラウド・コンピューティング環境50は、例えば、携帯情報端末(PDA)もしくはセルラ電話54A、デスクトップ・コンピュータ54B、ラップトップ・コンピュータ54C、もしくは自動車コンピュータ・システム54N又はその組み合わせなどの、クラウド・コンシューマによって使用されるローカル・コンピューティング・デバイスが通信することができる、1つ又は複数のクラウド・コンピューティング・ノード10を含む。ノード10は、互いに通信することができる。ノード10は、上述されるプライベート・クラウド、コミュニティ・クラウド、パブリック・クラウド、又はハイブリッド・クラウド、又はその組み合わせなどの、1つ又は複数のネットワークにおいて物理的に又は仮想的にグループ化することができる(図示せず)。このことは、クラウド・コンピューティング環境50が、クラウド・コンシューマがローカル・コンピューティング・デバイス上にリソースを保持する必要のないInfrastructure as a Service、Platform as a ServiceもしくはSoftware as a Service又はその組み合わせを提供することを可能にする。図5に示されるコンピューティング・デバイス54A~Nのタイプは、単に例示的であることが意図され、コンピューティングノード10及びクラウド・コンピューティング環境50は、任意のタイプのネットワークもしくはネットワーク・アドレス指定可能な接続又はその両方を介して任意のタイプのコンピュータ化されたデバイスと通信することが可能である(例えば、ウェブブラウザを用いて)ことが理解される。
【0071】
ここで図6を参照すると、クラウド・コンピューティング環境50(図5)によって提供される機能抽象化層のセットが示される。図6に示されるコンポーネント、層及び機能は単に例示であることを意図し、本発明の実施形態はそれらに限定されないことを予め理解されたい。図示されるように、以下の層及び対応する機能が提供される。
【0072】
ハードウェア及びソフトウェア層60は、ハードウェア・コンポーネント及びソフトウェア・コンポーネントを含む。ハードウェア・コンポーネントの例として、メインフレーム61、RISC(Reduced Instruction Set Computer(縮小命令セットコンピュータ))アーキテクチャベースのサーバ62、サーバ63、ブレード・サーバ64、ストレージ・デバイス65、並びにネットワーク及びネットワーキング・コンポーネント66が含まれる。幾つかの実施形態において、ソフトウェア・コンポーネントは、ネットワーク・アプリケーションサーバ・ソフトウェア67と、データベース・ソフトウェア68とを含む。
【0073】
仮想化層70は、抽象化層を提供し、この層により、仮想エンティティの以下の例、すなわち、仮想サーバ71、仮想ストレージ72、仮想プライベート・ネットワークを含む仮想ネットワーク73、仮想アプリケーション及びオペレーティング・システム74、並びに仮想クライアント75を提供することができる。
【0074】
一例において、管理層80は、以下で説明される機能を提供することができる。リソース・プロビジョニング81が、クラウド・コンピューティング環境内でタスクを実行するために利用されるコンピューティング・リソース及び他のリソースの動的な調達を提供する。計量及び価格決定82は、クラウド・コンピューティング環境内でリソースが利用されたときの費用追跡と、これらのリソースの消費に対する課金又は請求とを提供する。一例において、これらのリソースは、アプリケーション・ソフトウェア・ライセンスを含み得る。セキュリティは、クラウド・コンシューマ及びタスクについての識別検証、並びにデータ及び他のリソースに対する保護を提供する。ユーザ・ポータル83は、コンシューマ及びシステム管理者に対して、クラウド・コンピューティング環境へのアクセスを提供する。サービス・レベル管理84は、必要なサービス・レベルが満たされるように、クラウド・コンピューティング・リソースの割当て及び管理を提供する。サービス・レベル・アグリーメント(Service Level Agreement、SLA)の計画及び履行85は、SLAに従って将来的な必要性が予測されるクラウド・コンピューティング・リソースの事前配置及び調達を提供する。
【0075】
作業負荷層90は、クラウド・コンピューティング環境を利用することができる機能の例を提供する。この層から提供することができる作業負荷及び機能の例として、マッピング及びナビゲーション91、ソフトウェア開発及びライフサイクル管理92、仮想教室教育配信93、データ分析処理94、トランザクション処理95、及びメディア処理及び分類96が挙げられる。
【0076】
本発明の様々な実施形態は、関連図面を参照して本明細書に説明される。本発明の代替的な実施形態は、本発明の範囲から逸脱することなく、考案することができる。様々な接続及び位置関係(例えば、~の上、~の下、隣接するなど)は、以下の説明及び図面における要素間に示される。これらの接続もしくは位置関係、又はその両方は、特に指定されていない限り、直接又は間接であることができ、この点において本発明は限定することを意図していない。従って、エンティティの結合は、直接結合又は間接結合のいずれかを指すことがあり、エンティティ間の位置関係は、直接位置関係又は間接位置関係であり得る。さらに、本明細書に説明される様々なタスク及びプロセス・ステップは、本明細書に詳細に説明されていない付加的なステップ又は機能を有するより包括的な手順又はプロセスに組み込むことができる。
【0077】
本明細書に説明される1つ又は複数の方法は、各々が当技術分野において周知である以下の技術、すなわちデータ信号により論理機能を実施するための論理ゲートを有する離散論理回路、適切な組み合わせ論理ゲートを有する特定用途向け集積回路(ASIC)、プログラム可能ゲート・アレイ(PGA)、フィールド・プログラム可能ゲート・アレイ(FPGA)などのいずれか又は組み合わせで実施することができる。
【0078】
簡潔にするために、本発明の態様の作成及び使用に関連する従来技術は、本明細書では詳細に説明される場合もあり、又はされない場合もある。特に、本明細書に記載される様々な技術的特徴を実装するためのコンピューティング・システム及び特定のコンピュータ・プログラムの様々な態様は、周知である。従って、簡潔さのために、多くの従来の実装の詳細は本明細書で簡単に述べられるのみであるか、又は、周知のシステムもしくはプロセス又はその両方の詳細を提供することなく、完全に省略される。
【0079】
幾つかの実施形態において、様々な機能又は動作は、所与の場所で、もしくは1つ又は複数の装置又はシステムの動作に関連して、又はその両方で行うことができる。幾つかの実施形態において、所与の機能又は動作の一部を第1のデバイス又は場所で実行し、機能又は動作の残りの部分を1つ又は複数の付加的なデバイス又は場所で実行することができる。
【0080】
本明細書で用いられる用語は、特定の実施形態を説明することのみを目的とし、本発明を限定することを意図したものではない。本明細書で用いられる場合、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」及び「その(the)」は、文脈がそうでないことを明確に示していない限り、複数形も含むことを意図している。さらに、用語「含む(comprise)」もしくは「含んでいる(comprising)」又はその両方は、本明細書で用いられる場合、記載される特徴、整数、ステップ、動作、要素もしくはコンポーネント又はそれらの組み合わせの存在を明示するが、1つ又は複数の他の特徴、整数、ステップ、動作、要素、コンポーネントもしくはグループ又はそれらの組み合わせの存在も又は追加も排除しないことが理解されるであろう。
【0081】
以下の特許請求の範囲における全ての手段又はステップ・プラス機能の要素の対応する構造、材料、動作、及び均等物は、具体的に特許請求された他の特許請求の範囲の要素と組み合わせて機能を実行するための任意の構造、材料、又は動作を含むことを意図している。本開示は、例示及び説明の目的で提示されてきたが、網羅的であること、又は開示された形態に限定することを意図していない。本開示の範囲及び趣旨から逸脱することなく、多くの修正及び変形が当業者には明らかになるであろう。実施形態は、本開示の原理及び実用性を最もよく説明するために、また、当業者が企図された特定の使用に適した様々な修正を伴う様々な実施形態について本開示を理解することを可能にするために選択され、説明された。
【0082】
本明細書に示される図は例示的なものである。本発明の趣旨から逸脱することなく、図又はそこに記載されるステップ(又は動作)に対する多くの変形が可能である。例えば、アクションを異なる順序で行うことができ、又は、アクションを追加、削除又は修正することができる。また、「結合される」という用語は、2つの要素の間に信号経路があることを記載し、要素間に介在する要素/接続を有さない直接的な接続を意味するものではない。これらの変形の全ては本開示の一部とみなされる。
【0083】
以下の定義及び略語は、特許請求の範囲及び明細書を解釈するために使用するものである。本明細書で使用される場合、「含む(comprise)」、「含んでいる(comprising)」、「含む(include)」、「including(含んでいる)」、「有する(have)」、「有している(having)」、「含有する(contain)」又は「含有している(containing)」又は任意の他の変形は、非排他的な包含をカバーすることが意図される。例えば、要素のリストを含む、組成物、混合物、プロセス、方法、物品、又は装置は、必ずしもそれらの要素に限定されるものではなく、明示的に列挙されていない他の要素、又はそうした組成物、混合物、プロセス、方法、物品、もしくは装置に固有の他の要素を含むことができる。
【0084】
さらに、「例示的(exemplary)」という用語は、本明細書において「例、事例、例証として機能する」ことを意味するものとして使用される。ここで「例示的」として記載されるいずれの実施形態又は設計も、必ずしも他の実施形態又は設計と比べて好ましい又は有利であると解釈すべきではない。「少なくとも1つの」及び「1つ又は複数の」という用語は、1より大きいか又は1に等しい任意の整数、すなわち、1、2、3、4等を含むと理解することができる。「複数の(a plurality)」という用語は、2より大きいか又は2に等しい任意の整数、すなわち、2、3、4、5等を含むと理解することができる。「接続」という用語は、間接「接続」及び直接「接続」の両方を含むことができる。
【0085】
「約」、「実質的に」、「およそ」という用語及びそれらの変形は、出願時に利用可能な機器に基づく特定の量の測定に付随する誤差の程度を含むことを意図する。例えば、「約」は、所与の値の±8%又は5%、又は2%の範囲を含むことができる。
【0086】
本発明は、システム、方法もしくはコンピュータ・プログラム製品又はそれらの組み合わせを、いずれかの可能な技術的詳細レベルで統合したものとすることができる。コンピュータ・プログラム製品は、プロセッサに本発明の態様を実行させるためのコンピュータ可読プログラム命令を有するコンピュータ可読ストレージ媒体(単数又は複数)を含むことができる。
【0087】
コンピュータ可読ストレージ媒体は、命令実行デバイスにより使用される命令を保持及び格納できる有形デバイスとすることができる。コンピュータ可読ストレージ媒体は、例えば、これらに限定されるものではないが、電子ストレージ・デバイス、磁気ストレージ・デバイス、光ストレージ・デバイス、電磁気ストレージ・デバイス、半導体ストレージ・デバイス、又は上記のいずれかの適切な組み合わせとすることができる。コンピュータ可読ストレージ媒体のより具体的な例の非網羅的なリストとして、以下のもの、すなわち、ポータブル・コンピュータ・ディスケット、ハードディスク、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)、読み出し専用メモリ(ROM)、消去可能プログラム可能読み出し専用メモリ(EPROM又はフラッシュ・メモリ)、スタティック・ランダム・アクセス・メモリ(SRAM)、ポータブル・コンパクト・ディスク読み出し専用メモリ(CD-ROM)、デジタル多用途ディスク(DVD)、メモリ・スティック、フロッピー・ディスク、パンチカードもしくは命令がそこに記録された溝内の隆起構造のような機械的にエンコードされたデバイス、及び上記のいずれかの適切な組み合わせが挙げられる。本明細書で使用される場合、コンピュータ可読ストレージ媒体は、電波、又は他の自由に伝搬する電磁波、導波管もしくは他の伝送媒体を通じて伝搬する電磁波(例えば、光ファイバ・ケーブルを通る光パルス)、又はワイヤを通って送られる電気信号などの、一時的信号自体として解釈されない。
【0088】
本明細書で説明されるコンピュータ可読プログラム命令は、コンピュータ可読ストレージ媒体からそれぞれのコンピューティング/処理デバイスに、又は、例えばインターネット、ローカル・エリア・ネットワーク、広域ネットワークもしくは無線ネットワーク、又はそれらの組み合わせなどのネットワークを介して外部コンピュータ又は外部ストレージ・デバイスにダウンロードすることができる。ネットワークは、銅伝送ケーブル、光伝送ファイバ、無線伝送、ルータ、ファイアウォール、スイッチ、ゲートウェイ・コンピュータもしくはエッジ・サーバ、又はそれらの組み合わせを含むことができる。各コンピューティング/処理デバイスにおけるネットワーク・アダプタ・カード又はネットワーク・インターフェースは、ネットワークからコンピュータ可読プログラム命令を受け取り、コンピュータ可読プログラム命令を転送して、それぞれのコンピューティング/処理デバイス内のコンピュータ可読ストレージ媒体内に格納する。
【0089】
本発明の動作を実行するためのコンピュータ可読プログラム命令は、アセンブラ命令、命令セットアーキテクチャ(ISA)命令、機械命令、機械依存命令、マイクロコード、ファームウェア命令、状態設定データ、集積回路のための構成データ、又は、Smalltalk、C++などのオブジェクト指向プログラミング言語、及び、「C」プログラミング言語もしくは類似のプログラミング言語などの従来の手続き型プログラミング言語を含む1つ又は複数のプログラミング言語の任意の組み合わせで記述されるソース・コード又はオブジェクト・コードとすることができる。コンピュータ可読プログラム命令は、完全にユーザのコンピュータ上で実行される場合もあり、一部がユーザのコンピュータ上で、独立型ソフトウェア・パッケージとして実行される場合もあり、一部がユーザのコンピュータ上で実行され、一部が遠隔コンピュータ上で実行される場合もあり、又は完全に遠隔コンピュータもしくはサーバ上で実行される場合もある。最後のシナリオにおいて、遠隔コンピュータは、ローカル・エリア・ネットワーク(LAN)もしくは広域ネットワーク(WAN)を含むいずれかのタイプのネットワークを通じてユーザのコンピュータに接続される場合もあり、又は外部コンピュータへの接続がなされる場合もある(例えば、インターネットサービスプロバイダを用いたインターネットを通じて)。幾つかの実施形態において、例えば、プログラム可能論理回路、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)、又はプログラム可能論理アレイ(PLA)を含む電子回路は、本発明の態様を実施するために、コンピュータ可読プログラム命令の状態情報を利用することによってコンピュータ可読プログラム命令を実行して、電子回路を個別化することができる。
【0090】
本発明の態様は、本発明の実施形態による方法、装置(システム)及びコンピュータ・プログラム製品のフローチャート図もしくはブロック図又はその両方を参照して説明される。フローチャート図もしくはブロック図又はその両方の各ブロック、並びにフローチャート図もしくはブロック図又はその両方におけるブロックの組み合わせは、コンピュータ可読プログラム命令によって実装できることが理解されるであろう。
【0091】
これらのコンピュータ可読プログラム命令を、汎用コンピュータ、専用コンピュータ、又は他のプログラム可能データ処理装置のプロセッサに与えて機械を製造し、それにより、コンピュータ又は他のプログラム可能データ処理装置のプロセッサによって実行される命令が、フローチャートもしくはブロック図又は両方の1つ又は複数のブロック内で指定された機能/動作を実施するための手段を作り出すようにすることができる。コンピュータ、プログラム可能データ処理装置もしくは他のデバイス又はそれらの組み合わせを特定の方式で機能させるように指示することができるこれらのコンピュータ・プログラム命令を、コンピュータ可読媒体内に格納することもでき、それにより、そのコンピュータ可読媒体内に格納された命令が、フローチャートもしくはブロック図又はその両方の1つ又は複数のブロックにおいて指定された機能/動作の態様を実施する命令を含む製品を含むようにすることもできる。
【0092】
コンピュータ可読プログラム命令を、コンピュータ、他のプログラム可能データ処理装置、又は他のデバイス上にロードして、一連の動作ステップをコンピュータ、他のプログラム可能データ処理装置、又は他のデバイス上で行わせてコンピュータ実施のプロセスを生産し、それにより、コンピュータ又は他のプログラム可能装置上で実行される命令が、フローチャートもしくはブロック図又は両方の1つ又は複数のブロックにおいて指定された機能/動作を実行するためのプロセスを提供するようにすることもできる。
【0093】
図面内のフローチャート及びブロック図は、本発明の様々な実施形態による、システム、方法、及びコンピュータ・プログラム製品の可能な実装の、アーキテクチャ、機能及び動作を示す。この点に関して、フローチャート内の各ブロックは、指定された論理機能を実装するための1つ又は複数の実行可能命令を含む、モジュール、セグメント、又はコードの一部を表すことができる。幾つかの代替的な実装において、ブロック内に示される機能は、図に示される順序とは異なる順序で生じることがある。例えば、連続して示される2つのブロックは、関与する機能に応じて、実際には実質的に同時に実行されることもあり、又はこれらのブロックはときとして逆順で実行されることもある。ブロック図もしくはフローチャート図又は両方の各ブロック、及びブロック図もしくはフローチャート図又はその両方におけるブロックの組み合わせは、指定された機能又は動作を実行する、又は専用のハードウェアとコンピュータ命令との組み合わせを実行する、専用ハードウェア・ベースのシステムによって実装できることにも留意されたい。
【0094】
本開示の種々の実施形態の説明は、例証の目的のために提示されたが、これらは、網羅的であること、又は開示した実施形態に限定することを意図するものではない。当業者には、説明される実施形態の範囲から逸脱することなく、多くの修正及び変形が明らかであろう。本明細書で用いられる用語は、実施形態の原理、実用性、又は市場に見られる技術に優る技術的改善を最もよく説明するため、又は、当業者が、本明細書に開示される実施形態を理解するのを可能にするために選択された。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【手続補正書】
【提出日】2023-05-24
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パーティション化されたニューラル・ネットワークを用いて情報キャプチャ・デバイスによりキャプチャされたメディアを分析する際の省電力及び暗号化のための、コンピュータの情報処理により実行される方法であって
情報キャプチャ・デバイス、コンピュータ・サーバから前記情報キャプチャ・デバイスに人工ニューラル・ネットワーク(ANN)を複製することであって、前記コンピュータ・サーバ上の前記ANN及び前記情報キャプチャ・デバイス上の複製されたANNの両方ともM個の層を含む、複製することと、
キャプチャされたデータが処理されるべき入力であることに応答して、前記情報キャプチャ・デバイス、前記複製されたANNを用いて最初のk層を実行することによって、前記キャプチャされたデータを部分的に処理することであって、前記情報キャプチャ・デバイス上で実行するために前記k層のみが選択される、部分的に処理することと、
前記情報キャプチャ・デバイスが、k番目の層の出力を前記コンピュータ・サーバに伝送することであって、前記コンピュータ・サーバは、前記ANN及び前記k番目の層の前記出力を用いて前記M個の層の残りを実行することによって前記キャプチャされたデータを部分的に処理する、伝送することと
を含む、方法。
【請求項2】
前記情報キャプチャ・デバイス、前記コンピュータ・サーバから前記ANNの結果を受け取ることをさらに含む、請求項1に記載の方法
【請求項3】
前記ANNは、前記ANNが前記情報キャプチャ・デバイス上に複製される前に、前記コンピュータ・サーバによって訓練される、請求項1に記載の方法
【請求項4】
前記キャプチャされたデータは、情報感知アレイによってキャプチャされたアナログ信号を含む、請求項1に記載の方法
【請求項5】
前記キャプチャされたデータは、デジタル化されたメディアを含む、請求項1に記載の方法
【請求項6】
前記ANNを前記情報キャプチャ・デバイスに複製することは、前記ANNの前記M個の層の各々の1又は複数の重みを前記複製されたANNの対応するM個の層にコピーすることを含む、請求項1に記載の方法
【請求項7】
前記1又は複数の重みは、前記情報キャプチャ・デバイスに伝送する前に暗号化される、請求項6に記載の方法
【請求項8】
前記k番目の層の前記出力を、前記出力を前記コンピュータ・サーバに伝送する前に暗号化することをさらに含む、請求項1に記載の方法
【請求項9】
前記情報キャプチャ・デバイス、前記情報キャプチャ・デバイス上で実行するために前記k層を選択し、kの値を前記コンピュータ・サーバに伝送することをさらに含む、請求項1に記載の方法
【請求項10】
前記コンピュータ・サーバに伝送する前に前記kの値を暗号化することをさらに含む、請求項9に記載の方法
【請求項11】
システムであって、
メモリと、
前記メモリに結合された1つ又は複数のプロセッサと
を含み、前記1つ又は複数のプロセッサは、パーティション化されたニューラル・ネットワークを用いて情報キャプチャ・デバイスによりキャプチャされたメディアを分析する際の省電力及び暗号化のための、請求項1から請求項10までのいずれかに記載の方法を実行するように構成され、システム。
【請求項12】
コンピュータ・プログラムであって、1つ又は複数のプロセッサにより実行可能であり、前記1つ又は複数のプロセッサに、パーティション化されたニューラル・ネットワークを用いた情報キャプチャ・デバイスによりキャプチャされたメディアの分析中の省電力及び暗号化のための、請求項1から請求項10までのいずれかに記載の方法を実行させる、コンピュータ・プログラム
【請求項13】
請求項12に記載のコンピュータ・プログラムを格納した、コンピュータ可読ストレージ媒体。
【国際調査報告】