(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-29
(54)【発明の名称】超広帯域に基づく測位装置、方法、デバイス及び記憶媒体
(51)【国際特許分類】
G01S 5/14 20060101AFI20231121BHJP
【FI】
G01S5/14
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023526089
(86)(22)【出願日】2020-10-29
(85)【翻訳文提出日】2023-06-21
(86)【国際出願番号】 CN2020124607
(87)【国際公開番号】W WO2022087936
(87)【国際公開日】2022-05-05
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】507362513
【氏名又は名称】浙江吉利控股集団有限公司
【氏名又は名称原語表記】ZHEJIANG GEELY HOLDING GROUP CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】1760 Jiangling Road, Binjiang District, Hangzhou Zhejiang (CN)
(71)【出願人】
【識別番号】522422182
【氏名又は名称】寧波吉利汽車研究開発有限公司
【氏名又は名称原語表記】NINGBO GEELY AUTOMOBILE RESEARCH AND DEVELOPMENT CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】No. 818 Binhai 2nd Road, Hangzhou Bay New District, Ningbo Zhejiang 315336, China
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】陳 国安
【テーマコード(参考)】
5J062
【Fターム(参考)】
5J062BB05
5J062CC18
5J062GG01
5J062GG02
(57)【要約】
本発明は、超広帯域に基づく測位装置、方法、デバイス及び記憶媒体に関し、測位装置は、位置決定モジュールと、位置決定モジュールと接続された少なくとも2つの超広帯域モジュールとを含み、超広帯域モジュールは、超広帯域無線周波数ユニットと、電力分配器と、複数のアンカーポイントアンテナとを含み、電力分配器は、超広帯域無線周波数ユニットにより送信された無線周波数信号を複数のアンカーポイントアンテナに分配するために用いられ、複数のアンカーポイントアンテナは、分配された無線周波数信号を対象物に送信し、対象物の超広帯域電波情報を取得するために用いられ、超広帯域電波情報は、対象物と複数のアンカーポイントアンテナのうち各アンカーポイントアンテナとの間の受信信号強度と電波飛行時間とを含み、位置決定モジュールは、超広帯域電波情報に基づいて、対象物の位置情報を決定するために用いられる。本発明は、アンカーステーションのUWBモジュールの利用率を高めることができるため、製造コストと使用コストとを大幅に削減することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
位置決定モジュールと、前記位置決定モジュールと接続された少なくとも2つの超広帯域モジュールとを含む超広帯域に基づく測位装置であって、
前記超広帯域モジュールは、超広帯域無線周波数ユニットと、電力分配器と、複数のアンカーポイントアンテナとを含み、前記電力分配器の一端は前記超広帯域無線周波数ユニットと接続され、前記電力分配器の他端は、前記複数のアンカーポイントアンテナのそれぞれと接続され、前記複数のアンカーポイントアンテナのうち任意の2つのアンカーポイントアンテナの信号カバーエリア間の重なり程度値は、予め設定された重なり値であり、
前記電力分配器は、前記超広帯域無線周波数ユニットにより送信された無線周波数信号を前記複数のアンカーポイントアンテナに分配するために用いられ、
前記複数のアンカーポイントアンテナは、分配された無線周波数信号を対象物に送信し、前記対象物の超広帯域電波情報を取得するために用いられ、前記超広帯域電波情報は、前記対象物と前記複数のアンカーポイントアンテナのうち各アンカーポイントアンテナとの間の受信信号強度と電波飛行時間とを含み、
前記位置決定モジュールは、前記超広帯域電波情報に基づいて、前記対象物の位置情報を決定するために用いられる
ことを特徴とする超広帯域に基づく測位装置。
【請求項2】
前記超広帯域無線周波数ユニットはさらに、前記超広帯域電波情報からファーストパス(First Path)信号を識別し、前記ファーストパス信号の受信信号強度と電波飛行時間とを取得し、前記ファーストパス信号に対応するアンカーポイントアンテナを決定するために用いられる
ことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記複数のアンカーポイントアンテナは、第1のアンカーポイントアンテナと第2のアンカーポイントアンテナとを含み、
前記第1のアンカーポイントアンテナと前記電力分配器との間のケーブル接続長さは第1の電気長であり、前記第2のアンカーポイントアンテナと前記電力分配器との間のケーブル接続長さは第2の電気長であり、前記第1の電気長と前記第2の電気長との差は、前記第1のアンカーポイントアンテナと前記第2のアンカーポイントアンテナとの間の物理的距離より大きい
ことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項4】
探索状態にある場合、又は対象物からのスキャン信号を受信した場合、少なくとも2つの超広帯域モジュールを介して少なくとも2つの対応する超広帯域無線周波数信号を生成するステップであって、前記超広帯域モジュールは、超広帯域無線周波数ユニットと、電力分配器と、複数のアンカーポイントアンテナとを含み、前記電力分配器の一端は前記超広帯域無線周波数ユニットと接続され、前記電力分配器の他端は、前記複数のアンカーポイントアンテナのそれぞれと接続され、前記複数のアンカーポイントアンテナのうち任意の2つのアンカーポイントアンテナの信号カバーエリア間の重なり程度値は、予め設定された重なり値であるステップと、
前記対応する超広帯域無線周波数信号を、対応する複数のアンカーポイントアンテナに分配し、前記複数のアンカーポイントアンテナを介して送信するステップと、
対象物の超広帯域電波情報を取得した場合、前記超広帯域電波情報に基づいて前記対象物の位置情報を決定するステップであって、前記超広帯域電波情報は、前記対象物と前記複数のアンカーポイントアンテナのうち各アンカーポイントアンテナとの間の受信信号強度と電波飛行時間とを含むステップと、を含む
ことを特徴とする超広帯域に基づく測位方法。
【請求項5】
前記超広帯域電波情報に基づいて前記対象物の位置情報を決定するステップは、
前記対象物と前記複数のアンカーポイントアンテナのうち各アンカーポイントアンテナとの間の受信信号強度と電波飛行時間とに基づいて、前記対象物の現在の推定エリアを決定するステップと、
対象エリアと最適なアンカーポイントアンテナグループとの対応関係テーブルを取得するステップと、
前記対応関係テーブルから、前記現在の推定エリアに対応する最適なアンカーポイントアンテナグループを決定するステップと、
前記最適なアンカーポイントアンテナグループのうちのアンカーポイントアンテナと前記対象物との間の受信信号強度と電波飛行時間とを決定し、前記超広帯域電波情報を更新するステップと、
更新された超広帯域電波情報に基づいて、前記対象物の位置情報を決定するステップと、を含む
ことを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記超広帯域電波情報を更新した後、更新された超広帯域電波情報に基づいて、前記対象物の位置情報を決定する前に、さらに、
複数回取得された前記複数のアンカーポイントアンテナのうち各アンカーポイントアンテナと前記対象物との間の受信信号強度と電波飛行時間とに基づいて、前記対象物の現在の推定エリアを再度決定するステップと、
前記現在の推定エリアが変化した場合、前記対応関係テーブルから、前記現在の推定エリアに対応する最適なアンカーポイントアンテナグループを決定するステップ、及び前記最適なアンカーポイントアンテナグループのうちのアンカーポイントアンテナと前記対象物との間の受信信号強度と電波飛行時間とを決定し、前記超広帯域電波情報を更新するステップを再実行するステップと、を含む
ことを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記最適なアンカーポイントアンテナグループのうちのアンカーポイントアンテナと前記対象物との間の受信信号強度と電波飛行時間とを決定するステップは、
前記最適なアンカーポイントアンテナグループに対応する超広帯域無線周波数ユニットを介して、精密測位信号を生成するステップと、
前記精密測位信号を前記最適なアンカーポイントアンテナグループに対応する複数のアンカーポイントアンテナに分配し、前記複数のアンカーポイントアンテナを介して送信するステップと、
取得された前記対象物のフィードバック情報に基づいて、前記最適なアンカーポイントアンテナグループのうちのアンカーポイントアンテナと前記対象物との間の受信信号強度と電波飛行時間とを決定するステップと、を含む
ことを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記超広帯域電波情報に基づいて前記対象物の位置情報を決定するステップは、
前記超広帯域電波情報からファーストパス信号を識別し、前記ファーストパス信号の受信信号強度と電波飛行時間とを取得するステップと、
前記ファーストパス信号の受信信号強度と電波飛行時間とに基づいて、前記対象物の位置情報を決定するステップと、を含む
ことを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項9】
プロセッサとメモリとを含むデバイスであって、
前記メモリには、少なくとも1つの命令、又は少なくとも1つのプログラムが格納されており、前記少なくとも1つの命令、又は前記少なくとも1つのプログラムが前記プロセッサによりロード、実行されると、請求項4~8のいずれか1項に記載の超広帯域に基づく測位方法が実施される
ことを特徴とするデバイス。
【請求項10】
少なくとも1つの命令、又は少なくとも1つのプログラムが格納されているコンピュータ記憶媒体であって、前記少なくとも1つの命令、又は少なくとも1つのプログラムがプロセッサによりロード、実行されると、請求項4~8のいずれか1項に記載の超広帯域に基づく測位方法が実施される
ことを特徴とするコンピュータ記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信の技術分野に関し、特に、超広帯域に基づく測位装置、方法、デバイス及び記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
超広帯域(Ultra Wide Band、UWB)技術は、新しいタイプの無線通信技術である。立ち上がりと立ち下がり時間が非常に急峻なインパルスを直接変調することで、信号がGHz級の帯域幅を持つようにする。UWBは、パーソナルエリアネットワーク、インテリジェント交通システム、無線センサーネットワーク、無線周波数識別(RFID)、イメージングアプリケーションなど、多くの分野で使用することができる。
【0003】
大多数の無線技術と異なり、UWBはインパルス無線(Impulse Radio、IR)で動作し、信号のピークが急峻で狭く、ノイズの多いチャネル環境でも識別が容易である。そのため、現在の様々な近距離無線通信(Near Field Communication、NFC)のニーズに対応でき、特に密集したマルチパス場所での精密な測位などに適している。
【0004】
車両領域のUWB測位アプリケーションは、主に車両のロック解除、車両の自動始動、車両内の乗客検出、車両搭載型ドローンの運用、自動バレーパーキング、自動駐車、駐車場への入場、ドライブイン支払いなどを含む。車両領域UWB測位の基本原理は、車体に複数のアンカーステーションとも呼ばれるUWB測位装置を設置することであり、従来、各アンカーステーションは、1つのUWBモジュールと1つの集積化されたアンカーポイントアンテナで構成され、通常、当該アンカーポイントアンテナはオンボードアンテナであり、UWBモジュールの他のコンポーネントとともに1つの回路基板上に組み立てられ、次にプラスチック筺体に封入されて1つの完全なアンカーステーションとなり、そのうち、UWBモジュールはアンカーステーションのコストの主要部分である。
【0005】
車外及び車内の測位ニーズに対応するため、通常、アンカーステーション数が多いほど、より正確な測位が可能になるが、従来の構造のアンカーステーションでは、アンカーポイントアンテナ数と同じ数のUWBモジュールを設置する必要があり、コストがかかってしまう。
【0006】
従って、改良されたUWB測位装置を提供し、製造コストと使用コストとを削減する必要がある。
【発明の概要】
【0007】
本発明の実施形態は、UWB測位装置の製造コストと使用コストとを削減することができる、超広帯域に基づく測位装置、方法、デバイス及び記憶媒体を提供する。
【0008】
一態様において、本発明の実施形態は、
位置決定モジュールと、位置決定モジュールと接続された少なくとも2つの超広帯域モジュールとを含む超広帯域に基づく測位装置であって、
超広帯域モジュールは、超広帯域無線周波数ユニットと、電力分配器と、複数のアンカーポイントアンテナとを含み、電力分配器の一端は超広帯域無線周波数ユニットと接続され、電力分配器の他端は、複数のアンカーポイントアンテナのそれぞれと接続され、複数のアンカーポイントアンテナのうち任意の2つのアンカーポイントアンテナの信号カバーエリア間の重なり程度値は、予め設定された重なり値であり、
電力分配器は、超広帯域無線周波数ユニットにより送信された無線周波数信号を複数のアンカーポイントアンテナに分配するために用いられ、
複数のアンカーポイントアンテナは、分配された無線周波数信号を対象物に送信し、対象物の超広帯域電波情報を取得するために用いられ、超広帯域電波情報は、対象物と複数のアンカーポイントアンテナのうち各アンカーポイントアンテナとの間の受信信号強度と電波飛行時間とを含み、
位置決定モジュールは、超広帯域電波情報に基づいて、対象物の位置情報を決定するために用いられる
超広帯域に基づく測位装置を提供する。
【0009】
オプションで、超広帯域無線周波数ユニットはさらに、超広帯域電波情報からファーストパス信号を識別し、ファーストパス信号の受信信号強度と電波飛行時間とを取得し、ファーストパス信号に対応するアンカーポイントアンテナを決定するために用いられる。
【0010】
オプションで、複数のアンカーポイントアンテナは、第1のアンカーポイントアンテナと第2のアンカーポイントアンテナとを含み、第1のアンカーポイントアンテナと電力分配器との間のケーブル接続長さは第1の電気長であり、第2のアンカーポイントアンテナと電力分配器との間のケーブル接続長さは第2の電気長であり、第1の電気長と第2の電気長との差は、第1のアンカーポイントアンテナと第2のアンカーポイントアンテナとの間の物理的距離より大きい。
【0011】
別の態様において、本発明の実施形態は、
探索状態にある場合、又は対象物からのスキャン信号を受信した場合、少なくとも2つの超広帯域モジュールを介して少なくとも2つの対応する超広帯域無線周波数信号を生成するステップであって、超広帯域モジュールは、超広帯域無線周波数ユニットと、電力分配器と、複数のアンカーポイントアンテナとを含み、電力分配器の一端は超広帯域無線周波数ユニットと接続され、電力分配器の他端は、複数のアンカーポイントアンテナのそれぞれと接続され、複数のアンカーポイントアンテナのうち任意の2つのアンカーポイントアンテナの信号カバーエリア間の重なり程度値は、予め設定された重なり値であるステップと、
対応する超広帯域無線周波数信号を、対応する複数のアンカーポイントアンテナに分配し、複数のアンカーポイントアンテナを介して送信するステップと、
対象物の超広帯域電波情報を取得した場合、超広帯域電波情報に基づいて対象物の位置情報を決定するステップであって、超広帯域電波情報は、対象物と複数のアンカーポイントアンテナのうち各アンカーポイントアンテナとの間の受信信号強度と電波飛行時間とを含むステップと、を含む
超広帯域に基づく測位方法を提供する。
【0012】
オプションで、超広帯域電波情報に基づいて対象物の位置情報を決定するステップは、対象物と複数のアンカーポイントアンテナのうち各アンカーポイントアンテナとの間の受信信号強度と電波飛行時間とに基づいて、対象物の現在の推定エリアを決定するステップと、対象エリアと最適なアンカーポイントアンテナグループとの対応関係テーブルを取得するステップと、対応関係テーブルから、現在の推定エリアに対応する最適なアンカーポイントアンテナグループを決定するステップと、最適なアンカーポイントアンテナグループのうちのアンカーポイントアンテナと対象物との間の受信信号強度と電波飛行時間とを決定し、超広帯域電波情報を更新するステップと、更新された超広帯域電波情報に基づいて、対象物の位置情報を決定するステップと、を含む。
【0013】
オプションで、超広帯域電波情報を更新した後、更新された超広帯域電波情報に基づいて、対象物の位置情報を決定する前に、方法はさらに、複数回取得された複数のアンカーポイントアンテナのうち各アンカーポイントアンテナと対象物との間の受信信号強度と電波飛行時間とに基づいて、対象物の現在の推定エリアを再度決定するステップと、現在の推定エリアが変化した場合、対応関係テーブルから、現在の推定エリアに対応する最適なアンカーポイントアンテナグループを決定するステップ、及び最適なアンカーポイントアンテナグループのうちのアンカーポイントアンテナと対象物との間の受信信号強度と電波飛行時間とを決定し、超広帯域電波情報を更新するステップを再実行するステップと、を含む。
【0014】
オプションで、最適なアンカーポイントアンテナグループのうちのアンカーポイントアンテナと対象物との間の受信信号強度と電波飛行時間とを決定するステップは、最適なアンカーポイントアンテナグループに対応する超広帯域無線周波数ユニットを介して、精密測位信号を生成するステップと、精密測位信号を最適なアンカーポイントアンテナグループに対応する複数のアンカーポイントアンテナに分配し、複数のアンカーポイントアンテナを介して送信するステップと、取得された対象物のフィードバック情報に基づいて、最適なアンカーポイントアンテナグループのうちのアンカーポイントアンテナと対象物との間の受信信号強度と電波飛行時間とを決定するステップと、を含む。
【0015】
オプションで、超広帯域電波情報に基づいて対象物の位置情報を決定するステップは、超広帯域電波情報からファーストパス信号を識別し、ファーストパス信号の受信信号強度と電波飛行時間とを取得するステップと、ファーストパス信号の受信信号強度と電波飛行時間とに基づいて、対象物の位置情報を決定するステップと、を含む。
【0016】
別の態様において、本発明の実施形態は、プロセッサとメモリとを含むデバイスであって、メモリには、少なくとも1つの命令、又は少なくとも1つのプログラムが格納されており、少なくとも1つの命令、又は少なくとも1つのプログラムがプロセッサによりロード、実行されると、上述の超広帯域に基づく測位方法が実施される、デバイスを提供する。
【0017】
別の態様において、本発明の実施形態は、少なくとも1つの命令、又は少なくとも1つのプログラムが格納されているコンピュータ記憶媒体であって、少なくとも1つの命令、又は少なくとも1つのプログラムがプロセッサによりロード、実行されると、上述の超広帯域に基づく測位方法が実施される、コンピュータ記憶媒体を提供する。
【0018】
本発明の実施形態により提供される超広帯域に基づく測位装置、方法、デバイス及び記憶媒体は、以下の有益な効果を有する。
【0019】
本発明により提供される超広帯域に基づく測位装置は、位置決定モジュールと、位置決定モジュールと接続された少なくとも2つの超広帯域モジュールとを含み、超広帯域モジュールは、超広帯域無線周波数ユニットと、電力分配器と、複数のアンカーポイントアンテナとを含み、電力分配器の一端は超広帯域無線周波数ユニットと接続され、電力分配器の他端は、複数のアンカーポイントアンテナのそれぞれと接続され、複数のアンカーポイントアンテナのうち任意の2つのアンカーポイントアンテナの信号カバーエリア間の重なり程度値は、予め設定された重なり値であり、電力分配器は、超広帯域無線周波数ユニットにより送信された無線周波数信号を複数のアンカーポイントアンテナに分配するために用いられ、複数のアンカーポイントアンテナは、分配された無線周波数信号を対象物に送信し、対象物の超広帯域電波情報を取得するために用いられ、超広帯域電波情報は、対象物と複数のアンカーポイントアンテナのうち各アンカーポイントアンテナとの間の受信信号強度と電波飛行時間とを含み、位置決定モジュールは、超広帯域電波情報に基づいて、対象物の位置情報を決定するために用いられる。本発明により提供される超広帯域に基づく測位装置は、アンカーステーションのUWBモジュールの利用率を高めることができ、従来の技術における1モジュール1アンカーポイントアンテナのアンカーステーション構造と比較して、本発明は、同じ数のアンカーポイントアンテナでUWBモジュール数を減らすことができるため、製造コストと使用コストとを大幅に削減することができ、又は同じコストでより多くの有効なアンカーポイントアンテナ数を提供することができるため、測位精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
本発明の実施形態における技術的解決策をより明確に説明するために、以下、実施形態の説明に必要な添付図面を簡単に説明するが、明らかに、以下の説明における添付図面は本発明のいくつかの実施形態に過ぎず、当業者にとって、これらの図面に基づいて創造的な労力をかけずに他の添付図面を得ることができる。
【
図1】本発明の実施形態により提供される適用シナリオの模式図である。
【
図2】本発明の実施形態により提供される従来の技術における車体のアンカーステーションの配置の模式図である。
【
図3】本発明の実施形態により提供される従来の技術におけるアンカーステーションの構造の模式図である。
【
図4】本発明の実施形態により提供される超広帯域に基づく測位装置の構造の模式図である。
【
図5】本発明の実施形態により提供される超広帯域に基づく測位装置のアーキテクチャの模式図である。
【
図6】本発明の実施形態により提供される車体における測位装置の配置の模式図である。
【
図7】本発明の実施形態により提供される受信機がマルチパス信号を受信する模式図である。
【
図8】本発明の実施形態により提供される2電力分配器とアンカーポイントアンテナとが接続される模式図である。
【
図9】本発明の実施形態により提供される点集合が満たす関数関係の模式図である。
【
図10】本発明の実施形態により提供される異なるエリアにおけるタグに対応する最適なアンカーポイントアンテナグループの模式図である。
【
図11】本発明の実施形態により提供される超広帯域に基づく測位方法のフローの模式図である。
【
図12】本発明の実施形態により提供される超広帯域に基づく測位方法のサーバのハードウェア構造のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態における技術的解決策を、本発明の実施形態における添付図面と合わせて明確かつ完全に説明するが、明らかに、説明された実施形態は、本発明の実施形態の一部に過ぎず、全ての実施形態ではない。本発明の実施形態に基づいて、当業者が創造的な労力をかけずに得られる全ての他の実施形態は、いずれも本発明の保護範囲に含まれる。
【0022】
説明すべきことは、本発明の明細書、特許請求の範囲、及び上述の添付図面における「第1」、「第2」などの用語は、類似の対象を区別するために使用されるものであり、必ずしも特定の順序又は優先順位を説明するために使用されるわけではない。このように使用されたデータは、適切な場合には、ここに記載された本発明の実施形態がここに図示又は記載された順序以外の順序で実施できるように、交換されてもよいことを理解されたい。また、用語「含む」、「有する」、及びこれらの任意の変形は、非排他的な包含を含むことを意図しており、例えば、一連のステップ又はユニットを含むプロセス、方法、システム、製品又はサーバは、必ずしも明確に列挙されたステップ又はユニットに限定されるわけではなく、明確に列挙されていない、又はこれらのプロセス、方法、製品又はデバイスに固有の他のステップ又はユニットを含み得る。
【0023】
本発明の実施形態は、典型的な適用シナリオと合わせて説明され、当該適用シナリオは、車両領域の測位シナリオであってもよく、具体的には、例えば、車両のロック解除シナリオである。
図1に示すように、車両101とタグ102とを含み、車両101には、超広帯域(UWB)測位装置(又はアンカーステーションと呼ぶ)が設置されており、タグ(Tag)102は、デジタルキーFobや携帯電話など、UWBを備えたモバイルデバイスを指し、当該シナリオにおいて、車両101は、ロック解除を実現するためにタグ102の位置を取得する必要がある。
【0024】
以下、
図1と合わせてUWB無線測距の基本動作原理を紹介する。
図1の右側に示すように、タグ102はアンテナを介して1つの超広帯域短パルス(short pulse)を送信し、車両101に設置されたアンカーステーションは、アンテナを介して当該超広帯域パルスを受信してから、1つの固定された又は制御可能な遅延T
CARが経過した後、アンテナを介してタグ102に1つの応答パルスを返信し(同時に、タグにパルスを受信してから発信するまでの遅延T
CARを送信する)、タグ102が車両101のアンカーステーションの応答パルスと遅延T
CARとを受信した後、自身がパルスを発信してから受信するまでの遅延T
FOBに基づいて、タグ102と車両101のアンカーポイントとの間の電波飛行時間(Time of Flight,ToF)を算出し、ToF=(T
FOB-T
CAR)/2であり、タグ102と車両101との間の距離D=ToF*Cであり、ただし、Cは光速である。
【0025】
説明すべきことは、上述のタグ102から送信された最初のポーリング超広帯域短パルスは、車両101から送信され、タグ102が応答パルスを返信してもよく、その測距原理は同じである。また、タグとアンカーポイントアンテナとの間でToF測距を行う場合、UWB信号伝送は、時分割複信(Time Division Duplex、TDD)モードによる送受信双方向高速切り替えで行われるが、以下、説明を簡潔かつ便利にするために、タグが送信してアンカーステーションが受信し、又はアンカーステーションが送信してタグが受信するなど、通常一方向でしか説明しないが、その動作原理はもう1つの方向の信号伝送をサポートする。
【0026】
背景技術における紹介によると、従来のアンカーステーションは、1つのUWBモジュールと1つのアンカーポイントアンテナで構成され、車体におけるアンカーポイントアンテナの位置は、精密にキャリブレーションされており、
図2と
図3に示すように、
図2と
図3は、本発明の実施形態により提供される従来の技術における各UWBモジュールに1つのアンカーポイントアンテナを配置する際の8モジュール8アンカーポイントの配置例である。従来の1つのモジュールに1つのアンカーポイントを配置する構造に基づいて、従来の技術におけるUWBに基づく測位方法は、主に、車両の電子制御ユニット(ECU)がCANバスを介してアンカーステーションに制御コマンドを送信し、アンカーステーションがタグとの間の測距/通信プロトコルを実行し、タグと各アンカーポイントとの間のToF距離を取得し、ECUが測位アルゴリズムを実行することにより、タグの車体座標系に対する位置を算出する。
【0027】
一方、測位アルゴリズムについて、タグの車体座標系に対する2次元座標位置(当該2次元座標系は一般的に地面に平行であり、地面に対する高さは固定値をとる)をうまく算出するために、少なくとも2つの有効なアンカーポイントからタグまでのToF距離を入力する必要があり、タグの車体座標系に対する3次元座標位置をうまく算出するために、少なくとも3つの有効なアンカーポイントからタグまでのToF距離を入力する必要があり、一般的に、より多くの有効なアンカーポイントからタグまでのToF距離を入力することができると、測位アルゴリズムにより、より正確なタグの位置が出力される。
【0028】
他方、UWB測位の動作周波数が3.1GHz~10.5GHzであり、帯域幅が500MHz以上であるため、パワースペクトル密度は-41.3dBm/MHz以下である。この周波数帯域での電波の伝搬は基本的に直線伝搬特性を持つ。車体は金属板材をプレス・溶接して成形された異形金属表面であるため、アンカーポイントアンテナとタグアンテナとの間がLOS(Line of Sight、見通し)条件を備えていない場合、アンテナ電波の送信の主なエネルギーが車体表面によって遮られたり、他の方向に反射されたりして受信アンテナに到達できず、少量のエネルギーだけが地表及び周辺物体による拡散反射/回折を介して間接的に受信アンテナに到達することができるが、このような間接的に受信アンテナに到達した信号は直線に沿って到達するものではないため、その飛行パスは直接パス(direct path)より大きい。タグが車外にある場合、異なる駐車地点の外部の電波の伝搬環境の不確実性、及び車体周辺の人・物体の動きによる電波の伝搬に対する遮蔽及び反射面/回折面の変化のため、このような非直接パスで移動するアンカーポイント/タグ送受信アンテナ間の電波のToF長は、両者間の3次元空間における直線物理的距離(遮蔽物を無視)と安定した関連性がないため、タグ測位の有効な情報として使用することができない。タグが車内にある場合、車体の金属外殻が形成する比較的閉じた電磁環境により、車内の固定位置に設置されたアンカーポイントと車内の特定の位置に位置するタグとの間でのマルチパス伝搬特性は一定の安定性を有する。従って、直接パスだけでなく、非直接パスも一定の有効な測位情報を提供することができる。従って、高い車外測位精度を得るためには、タグとアンカーステーションとの間は、LOS条件を備えることが必要である。車体周辺の一定範囲内の任意の位置に2~3個のLOS条件を備えるアンカーポイントがあるようにするために、シミュレーション及び実測により、車外アンカーステーション数は少なくとも4個以上であることが示され、一定の精度を持つ、タグが車内空間エリア(運転席エリア/助手席エリア/後部座席など)に位置する場合の識別能力と、一定の精度を持つ、タグが車窓付近に位置する場合の車内/車外識別能力とを得るために、車内アンカーステーション数は少なくとも3個以上であることが示された。
【0029】
上述の2つの異なる方向の考慮に基づいて、車両に配置されたアンカーステーション数が多いほど、測位がより正確になる。しかしながら、現在、各アンカーステーションは1つのUWBモジュールと1つのアンカーポイントアンテナで構成されており(この場合、アンカーステーション数とアンカーポイントアンテナ数は同じ)、そのうち、UWBモジュールのコストはアンカーステーションのコストの主要部分である。アンカーステーション数の増加につれて、コストも比例的に増加し、UWB測位機能を搭載した車種のコスト管理に大きな負担となる。一部の中・低価格車種では、コスト削減のためにアンカーステーションの設置数を減らさざるを得ない。しかし、アンカーステーション数の不足により、車外のタグが一定のエリア内に位置する場合のみ、2~3個のアンカーポイントがLOS条件を備え、他のエリアにはLOS条件を備える最小のアンカーポイント数を備えていないため、タグに対する測位ができないか、又は測位精度の低下を招き、アンカーステーション数の不足により、車内エリアに位置するタグに対する測位精度が低すぎるため、タグの位置する座席エリアを正確に識別することができず、車窓付近に位置する場合、タグが位置しているのが車内であるのか車外であるのかの識別の識別可能範囲の低下や精度の低下を招くため、UWB測位能力に基づくアプリケーション機能が実現できなかったり、指標を満たしていなかったりして、最終的にユーザーエクスペリエンスに影響を与える。
【0030】
本発明の実施形態は、従来の技術における上述の問題点を踏まえ、超広帯域に基づく測位装置を提供し、
図4を参照すると、
図4は本発明の実施形態により提供される超広帯域に基づく測位装置の構造の模式図であり、位置決定モジュール401と、位置決定モジュール401と接続された少なくとも2つの超広帯域モジュール402とを含む。
【0031】
超広帯域(UWB)モジュール402は、超広帯域(UWB)無線周波数ユニット4021と、電力分配器4022と、複数のアンカーポイントアンテナ4023とを含み、電力分配器4022の一端は超広帯域無線周波数ユニット4021と接続され、電力分配器4022の他端は、複数のアンカーポイントアンテナ4023のそれぞれと接続され、複数のアンカーポイントアンテナ4023のうち任意の2つのアンカーポイントアンテナ4023の信号カバーエリア間の重なり程度値は、予め設定された重なり値である。
【0032】
電力分配器4022は、超広帯域無線周波数ユニット4021により送信された無線周波数信号を複数のアンカーポイントアンテナ4023に分配するために用いられる。
【0033】
複数のアンカーポイントアンテナ4023は、分配された無線周波数信号を対象物に送信し、対象物の超広帯域電波情報を取得するために用いられ、超広帯域電波情報は、対象物と複数のアンカーポイントアンテナ4023のうち各アンカーポイントアンテナ4023との間の受信信号強度と電波飛行時間とを含む。
【0034】
位置決定モジュール401は、超広帯域電波情報に基づいて、対象物の位置情報を決定するために用いられる。
【0035】
本発明の実施形態において、探索エリアにおける対象物の測位を行う場合、ここでの対象物は、タグのことを指し、各超広帯域モジュール402について、電力分配器4022を介して、超広帯域無線周波数4021の無線周波数信号を、複数のアンカーポイントアンテナ4023に分配し、複数のアンカーポイントアンテナ4023を介して対象物に送信してもよく、複数のアンカーポイントアンテナ4023のうち任意の2つのアンカーポイントアンテナ4023の信号カバーエリア間の重なり程度値は、予め設定された重なり値である(例えば予め設定された重なり値が0である場合、任意の2つのアンカーポイントアンテナ4023の信号カバーエリアが重なっていないことを表す)。探索状態にあるため、探索エリアにおける対象物の位置が不明であり、電力分配器4022は、複数のアンカーポイントアンテナ4023の数に応じて、超広帯域無線周波数ユニット4021の無線周波数信号の出力電力を各アンカーポイントアンテナ4023に分配する。説明すべきことは、異なる超広帯域モジュール402からの全てのアンカーポイントアンテナ4023の信号カバーエリアは、上述の探索エリアをカバーすることができる。そして、複数のアンカーポイントアンテナ4023を介して、探索エリアにおける対象物の応答信号を受信することができ、応答信号と無線周波数信号とに基づいて、各アンカーポイントアンテナ4023のそれぞれと対象物との間の電波飛行時間と、各アンカーポイントアンテナ4023に対応する応答信号の受信信号強度とを決定することができ、各アンカーポイントアンテナ4023と対象物との間の電波飛行時間と受信信号強度とを超広帯域電波情報と呼ぶ。ここで、ある超広帯域モジュール402におけるあるアンカーポイントアンテナ4023に対応する受信信号強度が最も強く、及び/又は電波飛行時間が最も短い場合、当該アンカーポイントアンテナ4023と対象物との間の物理的距離が最も短いか、又は電波伝送環境が最も優れている(遮蔽物が最も少ない)。次に、位置決定モジュール401は、超広帯域電波情報に基づいて、測位アルゴリズムにより対象物の位置情報を決定してもよい。
【0036】
本発明の実施形態において、超広帯域に基づく測位装置は、上述の探索エリアにおける対象物に対する測位を行う処理に加え、対象物が当該測位装置が設置されたデバイスを発見する処理にも適用可能である。対象物のUWBモジュールはスキャン信号を送信し、もし本発明の測位装置が配置されたデバイスが対象物のスキャン範囲内にあれば、デバイスが測位装置を介して当該スキャン信号を受信し、このとき測位装置のうち各超広帯域モジュール402は対応する超広帯域無線周波数信号を生成し、超広帯域無線周波数信号は対応する電力分配器4022により対応する複数のアンカーポイントアンテナ4023に分配され、複数のアンカーポイントアンテナを介して発信され、対象物に応答し、最後に、測位装置は、対象物から当該超広帯域電波情報を取得し、位置決定モジュール401を介して対象物の位置情報を算出する。
【0037】
1つの選択可能な実施方式において、電力分配器4022は、2電力分配器、3電力分配器、4電力分配器、又はマルチ電力分配器のいずれかであってもよい。電力分配器4022は、一般的にプリント基板(PCB)で製作された受動部品であるため、測位装置の信頼性を向上させることができる。説明の便宜上、以下、主に1から2に分割する2電力分配器を例に説明するが、3電力分配器、4電力分配器又はマルチ電力分配器を使用する場合、その原理は2電力分配器を使用する原理と同じであり、依然として本発明の特許請求の範囲に属する。
【0038】
本発明の実施形態により提供される測位装置は、上述の車両領域の測位の適用シナリオに適用し、従来の技術に存在する技術的問題を解決することができる。本発明は、従来の1つのUWBモジュールに固定的に1つのアンカーポイントアンテナを配置する方式を、1つのUWBモジュール(UWB無線周波数ユニット4021)が電力分配器4022を介して電力を2つ以上のアンカーポイントアンテナ4023に分配するように変更し、こうすると、アンカーステーションのUWBモジュールの利用率を高めることができ、従来の技術における1モジュール1アンカーポイントアンテナのアンカーステーション構造と比較して、本発明は、同じ数のアンカーポイントアンテナの条件下でUWBモジュール数を減らすことができるため、製造コストと使用コストとを大幅に削減することができ、又は同じコストの条件下でより多くの有効なアンカーポイントアンテナ数を提供することができるため、測位精度を向上させることができる。
【0039】
1つの具体的な実施形態において、
図5と
図6を参照すると、
図5は本発明の実施形態により提供される超広帯域に基づく測位装置のアーキテクチャの模式図であり、
図6は本発明の実施形態により提供される車体における測位装置の配置の模式図であり、本発明の測位装置は、4つのUWBモジュール(UWB無線周波数ユニット)A、B、C、Dを含み得、UWBモジュールAは、車外に位置するアンカーポイントアンテナA1と車内に位置するアンカーポイントアンテナA2とを含み、UWBモジュールBは、車外に位置するアンカーポイントアンテナB1とB2とを含み、UWBモジュールCは、車外に位置するアンカーポイントアンテナC1とC2と車内に位置するアンカーポイントアンテナC3とを含み、UWBモジュールDは、車外に位置するアンカーポイントアンテナD1と車内に位置するアンカーポイントアンテナD2とを含み、ここで、各UWBモジュールは、1つのUWB無線周波数ユニットを含み、UWBモジュールA、B及びDにおける電力分配器は、いずれも2電力分配器であり、UWBモジュールCにおける電力分配器は、3電力分配器である。
【0040】
本発明の上述の2電力分配器に2つのアンカーポイントアンテナを配置し、3電力分配器に3つのアンカーポイントアンテナを配置する場合の4モジュール9アンカーポイントの配置例により、
図2と
図3における、従来の各UWBモジュールに1つのアンカーポイントアンテナを配置する場合の8モジュール8アンカーポイントの例と比較して、従来のモジュール数は本発明のモジュールより4つ多く、ここでのモジュールはUWB無線周波数ユニットを指すが、本発明のアンカーポイント数は従来のアンカーポイント数より1つ多いため、両者の測位カバー範囲と測位精度はあまり変わらないが、本発明におけるUWB無線周波数ユニットの数は明らかにより少なく、UWB無線周波数ユニットが測位装置の主要なコストを占めるため、本発明により提供される超広帯域に基づく測位装置が車両領域の測位システムに用いられる場合、精度を確保することを前提に、UWBモジュールの数を減らし、製造コストと使用コストとを大幅に削減することができるだけでなく、アンカーポイントアンテナの数を増やすことで、測位精度を向上させることができる。
【0041】
本発明の実施形態において、測位装置が車両領域の測位システムに用いられる場合、同一のUWBモジュールにおける複数のアンカーポイントアンテナのうち任意の2つのアンカーポイントアンテナの信号カバーエリアは重ならないようにするべきである。例えば、あるUWBモジュールにおいて、2電力分配器を利用して無線周波数信号を2つに分割し、1つは車外に設置されたアンカーポイントアンテナにフィード(feed)し、もう1つは車内に設置されたアンカーポイントアンテナにフィードする。金属車体の電磁シールドの隔離作用により、この2つのアンカーポイントアンテナのうち1つは車外の一定のエリア内の測位に利用され、もう1つは車内エリアの測位に利用され、車両側のアンカーポイントアンテナが信号を送信することを例にとると、車内/車外の2つのアンカーポイントアンテナが同時に同一のUWB無線周波数ユニットの無線周波数信号を送信するが、タグは車外又は車内のどちらかのエリアにのみ位置するので、タグは2つの重なっていないエリアに同時に現れることができず、タグと車外のアンカーポイントアンテナはLOS条件を備える場合、タグと当該UWBモジュールの車外のアンカーポイントアンテナとの間の電波飛行時間を得ることができ、タグが車内に位置し、かつ当該UWBモジュールの車内のアンカーポイントアンテナと一定のLOS条件を備える場合(電波がキャビン内の非金属材料を貫くこともできる)、タグと当該車内のアンカーポイントアンテナとの間の電波飛行時間を得ることができる。タグが車外にあっても車内にあっても、その位置が2つ以上の異なるUWBモジュールに属するアンカーポイントアンテナとの間の電波飛行時間がそれぞれ取得できれば、測位アルゴリズムによりタグに対する測位を行うことができる。
【0042】
同様に、同一のUWB無線周波数ユニットの無線周波数信号は、電力分配器により2つの無線周波数信号に分割され、1つは車体の一側に設置された車外のアンカーポイントアンテナにフィードし、もう1つは車体の他側に設置された車外のアンカーポイントアンテナにフィードし、車体の遮蔽により、タグがある側にあるとき、当該側に位置するアンカーポイントアンテナの信号しか受信できないため、同一のUWB無線周波数ユニットの無線周波数信号は、タグが異なる側面に位置するときの測位に利用することができる。
【0043】
図6に示すように、UWBモジュールAとモジュールDはそれぞれ2電力分配器を介して信号を2つに分割し、フィーダを介して2つのアンカーポイントアンテナと接続され、この2つのアンカーポイントアンテナのうち1つは車外に設置され、もう1つは車内に設置される。ここで、A1/D1アンカーポイントを車外の下側のスカート内に設置してもよく、A2/D2を車内のAピラー又はBピラー内に、高さが車窓の下端より低く設置してもよく、こうすると、A1とA2との間、D1とD2との間はいずれも金属のドアと車体によって隔離され、そのカバーエリアも車外と車内の2つの独立したエリアに分けられる。UWBモジュールBが2電力分配器を介して信号を2つに分割し、フィーダを介してそれぞれ車外の左後部の下側のスカート内と右後部のバンパーカバープレート内とに送信し、いずれも車外に位置するが、車体の遮蔽により、カバーエリアは重ならない。UWBモジュールCは3電力分配器を介して信号を3つに分割し、ここで、C3はフィーダを介してトランク内に設置され、C1/C2はそれぞれ車外の右後部の下側のスカート内と左後部のバンパーカバープレート内とに設置され、C1/C2はいずれも車外に位置するが、車体の遮蔽により、カバーエリアは重ならず、C3は車内にあり、車体の遮蔽作用により、そのカバーエリアは車内であり、C1/C2のカバーエリアから隔離されている。
【0044】
本発明の実施形態において、電力分配器やフィーダの損失が送信電力の低下や感度の低下をもたらす問題が考慮された。電力分配器を使用してUWBモジュールの無線周波数信号を分割するため、送信時に各アンカーポイントアンテナの出力電力の低下や、受信時にアンカーポイントアンテナから変換されたUWBモジュールの受信ノイズ係数の増加を招く。これらは電力分配器の電力分配比、電力分配器の挿入損失、フィーダの挿入損失によってもたらされる。2電力分配器の電力分配比が1/2であると仮定すると、その電力損失は3dB(10*log2=3dB)、3電力分配器の電力分配比が1/3であると仮定すると、その電力損失は4.77dB(10*log3=4.77dB)、電力分配器の挿入損失を1.5dBとし、ケーブルの挿入損失を1.8dB/m(ケーブルの最大長が2mの場合、その挿入損失は3.6dBである)として計算すると、2電力分配器の総挿入損失は3dB+1.5dB+3.6dB=8.1dBであり、3電力分配器の総挿入損失は4.77dB+1.5dB+3.6dB=9.87dBであり、いずれも10dBより低い。車載UWB測位アプリケーションにおいて、タグとアンカーポイントとの間の距離が近いため(一般的に測距範囲は6m以内)、実測によると、10dB以内の挿入損失は無線周波数リンクの予算範囲内であり、5~10dBの電力低下はタグとアンカーポイントとの間のToF値の測定に影響を与えないだけでなく、このような適度な電力低下は、無線周波数受信機がより良いリニア領域にあるようにすることができ、このときToF精度がより高い。
【0045】
本発明の実施形態において、測位に用いられる超広帯域無線周波数信号の形式は超広帯域パルスであり、信号の帯域幅は500MHz以上に達し、パルス幅は約2nsであるため、UWBの送信及び受信のパルスは非常に狭く、したがって、UWB受信機は高いマルチパス識別能力を有する。車両領域の測位に用いられるUWBアンテナの放射角度の範囲は非常に大きく、一般的に120度以上であるため、アンカーステーション又はタグが1つの狭パルスを発射した後、直接パスを除いて、異なる方向、異なる距離の反射体は異なるパス遅延を経て相次いで受信機に到達し、1つの典型的なUWB受信機が受信したすべてのマルチパス信号は
図7に示すとおりである。
図7において、縦軸の黒い矢印は信号の送信を表し、縦軸の灰色の矢印は信号を受信し始めることを表し、最初に受信機に到達する信号をファーストパス(FirstPath)と呼び、最後に受信機に到達する信号をラストパス(LastPath)と呼ぶ。
【0046】
UWB受信機が隣接する2つのパスの最小遅延がそのパルス幅の半分であることを判別できると仮定すると、パルス幅が2nsのとき、対応するマルチパス距離分解能DeltaRは、
DeltaR=tau*c=0.5*パルス幅*光速=0.5*2E-9*3E8=0.3m=30cmとなる。
【0047】
UWB受信機が測距(ToF測定)モードで動作する場合、ファーストパス信号のToF値と信号強度のみを出力し、他のマルチパス成分を無視する。
【0048】
従って、1つの選択可能な実施方式において、超広帯域無線周波数ユニットはさらに、超広帯域電波情報からファーストパス(First Path)信号を識別し、ファーストパス信号の受信信号強度と電波飛行時間とを取得し、ファーストパス信号に対応するアンカーポイントアンテナを決定するために用いられる。
【0049】
本発明の実施形態において、電力分配器により出力される各分岐の信号と共用ポートとの間の遅延は同じであり、電力分配器の各分岐のポートから対応するアンカーポイントアンテナまでのケーブル長は異なってもよいと仮定する。
【0050】
1つの選択可能な実施方式において、複数のアンカーポイントアンテナは、第1のアンカーポイントアンテナと第2のアンカーポイントアンテナとを含み、第1のアンカーポイントアンテナと電力分配器との間のケーブル接続長さは第1の電気長であり、第2のアンカーポイントアンテナと電力分配器との間のケーブル接続長さは第2の電気長であり、第1の電気長と第2の電気長との差は、第1のアンカーポイントアンテナと第2のアンカーポイントアンテナとの間の物理的距離より大きい。ここで、第1の電気長と第2の電気長との差と、第1のアンカーポイントアンテナと第2のアンカーポイントアンテナとの間の物理的距離と、の差はマルチパス距離分解能以上であり、マルチパス距離分解能は上記で計算した30cmを参照してもよい。
【0051】
具体的には、
図8に示すように、2電力分配器を例にとると、第1のポートから第1のアンカーポイントアンテナF1までの電気長はL1であり、第2のポートからアンカーポイントアンテナF2までの電気長はL2であり、説明すべきことは、Lnは無線周波数ケーブルの物理的長さではなく、電気長であり、ケーブル媒体の誘電率が異なるため、電気長と物理的長さとの比例も異なり、L2>L1と仮定すると、第1の電気長と第2の電気長との差はDeltaL=L2-L1である。
【0052】
自然空間において、2点までの距離の差が2点間の距離より小さい点の点集合は平面上では双曲線であり、空間上では二葉回転双曲面を構成し、2点までの距離の差が2点間の距離に等しい点の点集合は2点を結ぶ直線の延長線上にあり(当該2点を含む)、2点までの距離の差が2点間の距離より大きい点の点集合は空集合である。2つのアンカーポイントF1とF2との間の距離が2cであると仮定し、空間の任意の一点がMであり、M/F1/F2の3点が1つの平面を決定し、説明の便宜上、以下の議論は(M、F1、F2)平面で行う。MからF1までの距離がd1であり、MからF2までの距離がd2であり、Mから2つの点F1、F2までの距離の差が定数|d2-d1|=2aであり、
図9(a)はa<cのとき、点集合が双曲線であることを示し、
図9(b)はa=cのとき、点集合がF1とF2とを結ぶ直線の外部延長線(焦点を含む)であることを示し、a>cのとき、点集合が空集合である。
【0053】
点Mがタグであると仮定すると、それが発信した信号は、それぞれ空中パスd1とd2を経由してアンカーポイントアンテナF1とアンカーポイントアンテナF2に到達し、それぞれケーブルL1とL2を経由して電力分配器の第1のポートと第2のポートに到達し、電力分配器の合流により、2つのパスの信号は最終的にそれぞれPath1とPath2で受信機に入る。Mが空中の任意の点であり、MからF1とF2アンカーポイントまでの距離の差は最大2cである。deltaL-2c>deltaRであり、deltaRがUWBのマルチパス距離分解能であれば、空間にはM_Path1がファーストパスではないようにするPが存在しない。つまり、MとF1/F2との間に遮蔽物がなくても、UWB受信機のファーストパス選択メカニズムにより、アンカーポイントF2から発信される信号は、UWB測距時にF1から発信される信号によって完全に遮蔽される。なお、ここでの遮蔽は、信号強度の遮蔽ではなく、アンカーポイントF2を経由して受信した信号は、アンカーポイントF1を経由して受信した信号の到達時間より、常にtau以上遅い時刻に受信機に到達し、tau=deltaR/光速である。UWB受信機は、先に到達したのがFirstPathであり、ToF算出の根拠となるのはFirstPathのみという原則を従う。こうすると、アンカーポイントF2を経由して受信した信号Path2は永遠に選択されない。つまり、アンカーポイントF2を経由して受信した超広帯域信号の強度がF1を経由して受信した信号より強くても、F1を測位アンカーポイントとするときに得られたToF1、及びF1を測位アンカーポイントとするときの測位精度を干渉することなく、F1を経由したPath1の信号強度が受信機検出閾値を超える限り、Path1は必ずFirstPathである。F1との間が大きく遮蔽されるエリアのみ、アンカーポイントF1を経由した信号が受信機に入った後、検出時にその強度が受信機の検出閾値を下回り、Path1は見えなくなり、このとき、アンカーポイントF2を経由した信号Path2は見えるため、Path2がFirstPathとなり、取得されたToFはToF2であり、測位時にF2を測位アンカーポイントとして利用すべきである。
【0054】
上述の特性に基づき、アンカーポイントを配置する際、F1を車外に配置し、F2をキャビン内に配置すると、車内の信号が車外の車窓付近に溢れても、車外のアンカーポイントF1の信号が受信機の閾値を超える限り、車外の測位精度に影響を与えない。B1/B2アンカーポイントについては、それぞれ車外の左後側と右後側の測位のために利用され、タグが車体の左後隅エリアに位置する場合、B1/B2アンカーポイントからの同一のUWB無線周波数ユニットによって送信される信号を同時に受信し、UWB無線周波数ユニットとB1アンカーポイントアンテナとを一緒に配置し(ケーブル長は約0)、アンカーポイントB2はケーブルを介してUWB無線周波数ユニットと接続されると、ケーブルの曲がりやケーブル媒体の作用により、その電気長は実際の物理的長さより大きく、B1/B2間のケーブルの電気長がB1/B2間の物理的距離より0.3m以上大きい場合、特定のエリアが、B1/B2について同時にLOS条件を備えても、B2の信号は測位アンカーポイントとしてのB1の作用に影響を与えることはない。
【0055】
図6に示すように、車体の左後エリアにおいて、タグはB1とB2の両方を見ることができ、B1/B2アンカーポイント信号は同一のUWB無線周波数ユニットによって分割されたものであるが、UWB無線周波数ユニットとアンカーポイントB1とは一緒に配置され、ケーブル長の作用により、B1/B2アンカーポイント信号はいずれもタグに到達できる場合、B1は必ずファーストパスFirstPathであり、従って、このとき、測位信号としてアンカーポイントB1からの信号を用い、測位算出時にも、アンカーステーションの位置としてB1の空間座標を用いる必要がある。
【0056】
タグが車両後方に位置する場合、モジュールBのうちB2だけがLOSであり、B1はNLOS(Non Line of Sight、見通し外)でかつ信号強度が閾値より低いとき、モジュールBについてタグの測位に用いられるのはB2アンカーポイントアンテナからの信号であり、測位算出時にも、アンカーステーションの位置としてB2の空間座標を用いる必要がある。
【0057】
モジュールCについて、アンカーポイントC3はトランク内に位置して外部と隔離され、車外のアンカーポイントは、右側に位置するC1と車両後方に位置するC2とを含み、車両の右後側に位置する場合、C1とC2アンカーポイントの信号を同時に受信することができ、B1/B2の場合と類似し、C2の信号はファーストパスFirstPathではないので作用せず、タグが車両後方に位置してC1が遮蔽され、C2がファーストパスになった場合のみ測位作用をする。
【0058】
図10に示すように、各UWBモジュールについては、電力分配により、ケーブルを介して少なくとも2つの異なる、相互に隔離された放射エリアに送信され、少なくとも2つの異なるエリアで作用を発揮する。例えば、モジュールAは、タグがそれぞれ車両左側と車内に位置するときに作用を発揮し、モジュールBは、タグがそれぞれ車両左側と車両後方に位置するときに作用を発揮し、モジュールCは、タグがそれぞれ車両左側とトランクと車両後方に位置するときに作用を発揮し、モジュールDは、タグがそれぞれ車両右側と車両後方に位置するときに作用を発揮する。A/B/C/Dの4つのモジュールはいずれも少なくとも2回利用され、利用率を向上させ、システムの総モジュール数を削減し、コストを大幅に削減した。もし従来の各モジュールとオンボードアンテナとを一体化する方法を使用すれば、同じ測位カバー効果を実現するためには、少なくとも7つのモジュールとアンカーポイントアンテナとを一体化したアンカーステーションが必要であり、コストは高くなる。
【0059】
以上の内容を要約すると、本発明の実施形態により提供される超広帯域に基づく測位装置は、金属車体の電磁波に対する遮蔽隔離作用、及びUWBモジュール(UWB無線周波数ユニット)の受信信号のファーストパスと他のパスとに対する高い分解能を利用して、UWBモジュールの無線周波数信号を電力分配器を介して、レイアウトが最適化された複数のアンカーポイントアンテナ(例えば、それぞれ車内/車外又は車外の左/右/前/後の異なる側面の2つ以上のアンカーポイントアンテナに位置する)にフィードすることにより、1つのUWB無線周波数ユニットが車外測位にも利用でき、車内測位(車内の運転席エリア/非運転席エリアなどのエリア識別及び車窓付近の車内/車外識別を含む)にも利用できることを実現する。
【0060】
装置の実施形態の内容に基づいて、本発明の実施形態は、超広帯域に基づく測位方法をさらに提供し、車外/車内におけるタグの測位を実現することができ、以下、引き続き、車両領域の測位シナリオに基づいて、本発明の超広帯域に基づく測位方法の具体的な実施形態を説明する。
【0061】
図11は本発明の実施形態により提供される超広帯域に基づく測位方法のフローの模式図であり、本明細書は、実施形態又はフロー図のような方法の処理ステップを提供するが、従来の又は創造的でない労働に基づいて、より多くの又はより少ない処理ステップを含むことも可能である。実施形態に挙げられたステップの順序は、多くのステップ実行順序のうちの1つの方式に過ぎず、唯一の実行順序を表すものではない。実際のシステム又はサーバ製品が実行する場合、実施形態又は図面に示された方法の順序に従って実行してもよいし、並行して実行してもよい(例えば、並列プロセッサ又はマルチスレッド処理の環境)。具体的には、
図11に示すように、当該方法は以下のステップを含み得る。
【0062】
S1101、探索状態にある場合、又は対象物からのスキャン信号を受信した場合、少なくとも2つの超広帯域モジュールを介して少なくとも2つの対応する超広帯域無線周波数信号を生成する。
【0063】
本発明の実施形態において、車両には、装置の実施形態で紹介した超広帯域に基づく測位装置が設置されており、測位装置は、少なくとも2つの超広帯域モジュールを含み、超広帯域モジュールは、超広帯域無線周波数ユニットと、電力分配器と、複数のアンカーポイントアンテナとを含み、電力分配器の一端は超広帯域無線周波数ユニットと接続され、電力分配器の他端は、複数のアンカーポイントアンテナのそれぞれと接続され、複数のアンカーポイントアンテナのうち任意の2つのアンカーポイントアンテナの信号カバーエリア間の重なり程度値は、予め設定された重なり値であり、少なくとも2つの対応する超広帯域無線周波数信号は、超広帯域無線周波数ユニットによって生成される。
【0064】
本発明の実施形態において、探索状態にあることは、車両が探索エリアにおける対象物に対する測位を行う処理を指し、対象物からのスキャン信号を受信することは、対象物が当該測位装置が設置されたデバイスを発見する処理を指し、車両がちょうど対象物の探索範囲内にあるため、対象物からのスキャン信号を受信した場合、少なくとも2つの超広帯域モジュールを介して少なくとも2つの対応する超広帯域無線周波数信号を生成する。
【0065】
S1103、対応する超広帯域無線周波数信号を、対応する複数のアンカーポイントアンテナに分配し、複数のアンカーポイントアンテナを介して送信する。
【0066】
本発明の実施形態において、電気分配器を介して、対応する超広帯域無線周波数信号を、対応する複数のアンカーポイントアンテナに分配し、複数のアンカーポイントアンテナを介して送信する。
【0067】
1つの選択可能な実施方式において、各超広帯域モジュールの電力分配器の各分岐にデジタル減衰器を追加することで、各分岐の重み値を変更してもよい。この利点は、もし対象物のスキャン信号を受信した場合、測位装置が設置された側が受信側であり、当該スキャン信号を受信したすべてのアンカーポイントアンテナを決定することができ、さらに、受信信号が最も強いアンカーポイントアンテナを決定することもできるため、異なる超広帯域モジュールのうち、元の電力分配比が固定されている電力分配器の各分岐の電力分配重み値に対して動的に調整を行うことができることであり、すなわち、異なるアンカーポイントアンテナに対して異なる重み係数を設定し、例えば、当該スキャン信号を受信したすべてのアンカーポイントアンテナ、又は当該スキャン信号を受信したすべてのアンカーポイントアンテナのうち受信信号強度が閾値を超えたアンカーポイントアンテナに対応する電力分配器の分岐に大きな電力分配重み値を設定し、当該スキャン信号を受信できなかったアンカーポイントアンテナに対応する電力分配器の分岐に小さな電力分配重み値を設定し、こうすると、対象物が、受信した超広帯域無線周波数信号に基づいて、より的を絞って、有効かつ正確に、各アンカーポイントアンテナとの間の受信信号強度と電波飛行時間と、すなわち、対象物の超広帯域電波情報を算出するようにすることができる。
【0068】
S1105、対象物の超広帯域電波情報を取得した場合、超広帯域電波情報に基づいて対象物の位置情報を決定する。
【0069】
本発明の実施形態において、超広帯域電波情報は、対象物と複数のアンカーポイントアンテナのうち各アンカーポイントアンテナとの間の受信信号強度と電波飛行時間とを含み、対象物の超広帯域電波情報を取得した場合、測位装置内の位置決定モジュールを介して、測位アルゴリズムにより対象物の位置情報を決定する。
【0070】
本発明の実施形態において、対象物(タグ)に対する測位には、少なくとも2つ以上のアンカーポイントとタグとの間は良好なLOS条件を備えることが必要であることを考慮すると、LOS条件を備えたアンカーポイントのみが、その信号のToFと受信信号強度RSSが安定しており、測位に用いられる際に得られたタグの位置が正確で安定している。タグと車体に設置されたアンカーポイントとはLOS条件を備える場合、もしこれらのアンカーポイントを経由した信号がFirstPathの特性をさらに備えていれば、測位アンカーポイントグループに選択される。一般的に、車体は良好な遮蔽隔離作用を有するため、車内のアンカーポイント信号が車外のタグに到達する際、一般的に、その強度は検出閾値より低く、その逆も同様である。車内のアンカーポイントの信号が車内から溢れ、車外のタグに到達する際に、その強度が受信機の閾値を超えても、その属するモジュールにおいてファーストパスFirstPathでなければ、UWB受信機のFirstPath選択メカニズムによって除去され、測位機能に影響を与えず、その逆も同様である。
【0071】
1つの選択可能な実施方式において、超広帯域電波情報に基づいて対象物の位置情報を決定するステップは、超広帯域電波情報からファーストパス信号を識別し、ファーストパス信号の受信信号強度と電波飛行時間とを取得するステップと、ファーストパス信号の受信信号強度と電波飛行時間とに基づいて、対象物の位置情報を決定するステップと、を含む。
【0072】
1つの選択可能な実施方式において、超広帯域電波情報に基づいて対象物の位置情報を決定するステップは、対象物と複数のアンカーポイントアンテナのうち各アンカーポイントアンテナとの間の受信信号強度と電波飛行時間とに基づいて、対象物の現在の推定エリアを決定するステップと、対象エリアと最適なアンカーポイントアンテナグループとの対応関係テーブルを取得するステップと、対応関係テーブルから、現在の推定エリアに対応する最適なアンカーポイントアンテナグループを決定するステップと、最適なアンカーポイントアンテナグループのうちのアンカーポイントアンテナと対象物との間の受信信号強度と電波飛行時間とを決定し、超広帯域電波情報を更新するステップと、更新された超広帯域電波情報に基づいて、対象物の位置情報を決定するステップと、を含む。ここで、対象エリアと最適なアンカーポイントアンテナグループとの対応関係テーブルについては、具体的な車種について、各アンカーポイントアンテナの車体における設置位置が決定された後、1つの対象エリアと最適なアンカーポイントアンテナグループとの対応関係テーブルを作成してもよく、対象エリアと最適なアンカーポイントアンテナグループとの対応関係テーブルは、車内外の任意の位置ポイントに対応する最適なアンカーポイントアンテナグループを提供し、測位を行う際、直接にタグと最適なアンカーポイントアンテナグループのうち各アンカーポイントとのToFと受信信号強度(Received Signal Strength,RSS)値を利用して測位を行ってもよい。
【0073】
1つの具体的な対象エリアと最適なアンカーポイントアンテナグループとの対応関係テーブルを作成する実施方式において、具体的な車種のアンカーステーション(主にアンカーポイントアンテナである)の配置位置が決定された後、まずオープンスペースで車体周囲に座標グリッドを設定してもよく、例えばグリッドの辺の長さが10cmの等距離グリッドであってもよく、車体からの距離の範囲に応じて分割で非等距離グリッドを設定してもよい。各グリッド位置について、タグの位置するグリッド位置と各アンカーポイントとの間の幾何学的関係及び車体遮蔽状況に基づいて、タグが当該グリッド位置に位置するとき、各アンカーポイントアンテナとの間のLOS条件を決定し、タグがこのグリッド位置に位置するときの最適なアンカーポイントアンテナグループパターンを形成し、UWBアンカーポイント信号の測定及び統計分析と合わせて、各グリッド位置のToFと信号振幅の有効区間を記録する。タグが異なる位置(異なるグリッド)に位置するとき、それに応じて最適なアンカーポイントアンテナグループパターンは変化するため、最適なアンカーポイントアンテナを用いることで、最も正確な測位を行うことができる。対象エリアと最適なアンカーポイントアンテナグループとの対応関係テーブルにおける対象エリアは、各グリッドが形成するエリアを指してもよく、複数のグリッドが形成するエリアを指してもよく、最適なアンカーポイントアンテナグループは、あるグリッドに対応する少なくとも2つの最適なアンカーポイントアンテナを指してもよく、複数のグリッドに対応する複数の最適なアンカーポイントアンテナを指してもよい。
図10に示すように、車内の対応する位置の最適なアンカーポイントアンテナグループは(A2、C3、D2)であり、車外の部分は少し複雑で、特に車両の左後方/右後方の遷移エリアについて、その最適な測位アンカーポイントグループの決定は、車体構造の幾何学的解析、ToFデータ収集及び統計分析を合わせることで行われる必要がある。
【0074】
1つの具体的な実施方式において、取得された対象物と複数のアンカーポイントアンテナのうち各アンカーポイントアンテナとの間の受信信号強度と電波飛行時間とに基づいて、対象物の現在の推定エリアを決定し、すなわち、タグが各モジュールと1回の測距操作を行い、つまり、すべてのアンカーポイントを連続的にn回スキャンし、異常値除去と平均処理を行い、ランダムな干渉の影響を軽減し、現在の推定エリアは、1つ又は複数のグリッドを含み得、対応関係テーブルに基づいて、当該1つ又は複数のグリッドは、複数の最適なアンカーポイントアンテナに対応し、テーブルルックアップを通じて、複数の最適なアンカーポイントアンテナのそれぞれと対象物との間の受信信号強度と電波飛行時間とを取得することができ、超広帯域電波情報を更新し、最後に、更新された超広帯域電波情報に基づいて、対象物の位置情報を決定する。説明すべきことは、当該実施方式において、テーブルを照会して取得したのは、理想的な条件(遮蔽物を無視)での受信信号強度及び電波飛行時間であり、予め保存された超広帯域電波情報により測位を行うことの利点は、計算時間を節約することにより測位の適時性を向上させることである。
【0075】
1つの選択可能な実施方式において、テーブルルックアップを通じて、複数の最適なアンカーポイントアンテナのそれぞれと対象物との間の受信信号強度と電波飛行時間とを取得した後、超広帯域電波情報を更新する前に、最適なアンカーポイントアンテナグループ内のうち各アンカーポイントアンテナの(ToF、RSS)の信号特性をm回連続して確認し、すなわち、タグに確認信号を複数回送信して、対応する(ToF、RSS)を再取得し、対応関係テーブルにおける(ToF、RSS)の信号特性とマッチングするか否かを判断し、こうすると、正確な超広帯域電波情報を取得することができる。
【0076】
1つの選択可能な実施方式において、最適なアンカーポイントアンテナグループのうちのアンカーポイントアンテナと対象物との間の受信信号強度と電波飛行時間とを決定するステップは、最適なアンカーポイントアンテナグループに対応する超広帯域無線周波数ユニットを介して、精密測位信号を生成するステップと、精密測位信号を最適なアンカーポイントアンテナグループに対応する複数のアンカーポイントアンテナに分配し、複数のアンカーポイントアンテナを介して送信するステップと、取得された対象物のフィードバック情報に基づいて、最適なアンカーポイントアンテナグループのうちのアンカーポイントアンテナと対象物との間の受信信号強度と電波飛行時間とを決定するステップと、を含む。すなわち、当該実施方式において、テーブルルックアップにより最適なアンカーポイントアンテナグループに対応する(ToF、RSS)を直接取得する方式を用いるのではなく、新たに精密測位信号を生成し、複数のアンカーポイントアンテナを介して送信する。この利点は、現在の環境要因を考慮して、元の最適なアンカーポイントアンテナグループのうちのアンカーポイントアンテナはもはやLOS条件を備えていない可能性があり、その対応する(ToF、RSS)も当然、もはや正確ではなく、従って、最適なアンカーポイントアンテナグループのうちのアンカーポイントアンテナに精密測位信号を新たに送信して、現在の環境での(ToF、RSS)を取得し、こうすると、より正確な対象物の位置情報を得ることができることである。
【0077】
1つの選択可能な実施方式において、超広帯域電波情報を更新した後、更新された超広帯域電波情報に基づいて、対象物の位置情報を決定する前に、方法はさらに、複数回取得された複数のアンカーポイントアンテナのうち各アンカーポイントアンテナと対象物との間の受信信号強度と電波飛行時間とに基づいて、対象物の現在の推定エリアを再度決定するステップと、現在の推定エリアが変化した場合、対応関係テーブルから、現在の推定エリアに対応する最適なアンカーポイントアンテナグループを決定するステップ、及び最適なアンカーポイントアンテナグループのうちのアンカーポイントアンテナと対象物との間の受信信号強度と電波飛行時間とを決定し、超広帯域電波情報を更新するステップを再実行するステップと、を含む。
【0078】
具体的には、タグに対してターゲティング及び追跡を行い、追跡状態に入った後、当該エリアの最適なアンカーポイントアンテナグループのうち各アンカーポイントアンテナの(ToF、RSS)データを利用して、タグの位置に対して正確な測位を行い、軌跡に対して追跡フィルタリングを行ってもよい。タグの現在の推定エリアを決定した後、タグは同時にすべてのアンカーポイントアンテナに信号を送信し続け、車両も各アンカーポイントアンテナとタグとの間の受信信号強度と電波飛行時間とを複数回取得し、複数回取得された複数のアンカーポイントアンテナのうち各アンカーポイントアンテナと対象物との間の受信信号強度と電波飛行時間とに基づいて、対象物の現在の推定エリアを再度決定することでタグに対して追跡を行う。もし現在の推定エリアが変化した場合、つまり現在の推定エリアのエッジに到達して隣接エリアのアンカーポイント(ToF、RSS)値を読み取る必要がある場合、タグの軌跡位置と合わせてエリア切り替えを行う。エリアのエッジでは、すべてのアンカーポイント信号が同時に切り替わるわけではなく、一部のアンカーポイントだけが切り替わり、アンカーポイントの更新は、アンカーポイントの追加・削除が1つずつ段階的に行われるため、切り替えの連続性がよい。軌跡追跡及びフィルタリングは保護メカニズムでもあり、数回の位置ジャンプでターゲットは失われない。予め設定されたエリア内でK回連続して対象物を見失うと、対象物を確かに見失ったことを表し、再度探索状態に入る。
【0079】
1つの選択可能な実施方式において、現在の推定エリアが変化した場合、アンカーポイント遷移エリアにおける1つの超広帯域モジュールの2つのアンカーポイント信号がジャンプすることになり、これは、このとき元のFirstPathアンカーポイント信号は、振幅が閾値より小さいため、時には消えたり、時には再現したりし、これに対応して、もう1つのアンカーポイント信号は、時にはFirstPathになったり、時には見えなかったりするからである。もしこの2つのアンカーポイント信号が(ToF、RSS)2次元平面において位置するエリアの距離が遠い場合(最適化されたシステム設計は一般的にこの条件を満たしている)、このアンカーポイント信号が交互に現れるエリアで、タグが受信した信号がどのアンカーポイントから来ているのかを判別することができ、判別後、信号が当該超広帯域モジュールのどのアンカーポイントアンテナから送信されたものであるかを決定し、さらに測位に利用することができる。従って、念のため、軌跡フィルタリングアルゴリズムを用いて測位結果を検証し、もし合理的な位置範囲を著しく超える場合は破棄する。
【0080】
説明すべきことは、車体内外の任意の空間エリアについて、最適なアンカーポイントアンテナグループのうちすべてのアンカーポイントFirstPath信号の(ToF、RSS)で構成される2N次元超空間が唯一であれば(ここでNは測位に最適なアンカーポイントグループ内のアンカーポイント数)、各エリアは区別でき、各エリア内でさらにN個のアンカーポイントの(ToF、RSS)パラメータを用いて正確な測位を行う。車体内外の各3次元空間エリアに対応する2N次元超空間の互いの「距離」が遠いほど、システムの測位性能は良好である。
【0081】
以上の内容を要約すると、本発明が車体遮蔽隔離及びToFファーストパス隔離効果を利用して提出した超広帯域に基づく測位方法は、各UWBモジュールのカバーエリア範囲を拡大させ、UWBモジュールの利用率を向上させることにより、車両全体の機能/性能のニーズに対応する際に使用されるUWBモジュール数を少なくし、UWB車体測位システム全体のコストを削減することができ、また、電力分配器/フィーダは受動部品であり、信頼性が高く、寿命が長く、温度範囲が広く、一定のコストも発生するが、市場の典型的な部品価格に従って推定すると、同じカバー率/測位精度の条件を満たしながら、本発明の解決策のコストの優位性は明らかであり、従来の技術と比較して、同じコストで、本発明はより多くの有効なアンカーポイントを提供することができ、タグの測位可能領域がより広く、測位精度がより高く、ユーザーエクスペリエンスがより良い。
【0082】
本発明の実施形態における装置と方法の実施形態は、同じ出願の構想に基づいている。
【0083】
本発明の実施形態により提供される方法の実施形態は、コンピュータ端末、サーバ又は類似の演算装置で実行可能である。サーバで実行されることを例に挙げると、
図12は、本発明の実施形態により提供される超広帯域に基づく測位方法のサーバのハードウェア構造のブロック図である。
図12に示すように、当該サーバ1200は、構成又は性能によって大きく異なることがあり、1つ以上の中央処理装置(Central Processing Units、CPU)1210(中央処理装置1210は、マイクロプロセッサMPU又はプログラマブルロジックデバイス(例えば、FPGA)などの処理装置を含み得るが、これらに限定されない)と、データを保存するためのメモリ1230と、アプリケーションプログラム1223又はデータ1222を保存するための1つ以上の記憶媒体1220(例えば、1つ以上の大容量記憶装置)とを含み得る。ここで、メモリ1230と記憶媒体1220は、一時的な記憶媒体又は永久的な記憶媒体であってもよい。記憶媒体1220に記憶されたプログラムは、1つ以上のモジュールを含み得、各モジュールは、サーバに対する一連のコマンド操作を含み得る。さらに、中央処理装置1210は、記憶媒体1220と通信し、サーバ1200で記憶媒体1220中の一連のコマンド操作を実行するように構成され得る。サーバ1200は、1つ以上の電源1260、1つ以上の有線又は無線ネットワークインターフェース1250、1つ以上の入出力インターフェース1240、及び/又は、1つ以上のWindows、Mac OS、Unix、Linux(登録商標)、FreeBSDなどのオペレーティングシステム1221、をさらに含み得る。
【0084】
入出力インターフェース1240は、1つのネットワークを介してデータを受信又は送信することができる。上述のネットワークの具体的な例は、サーバ1200の通信プロバイダにより提供される無線ネットワークを含み得る。一例において、入出力インターフェース1240は、1つのネットワークインターフェイスコントローラ(Network Interface Controller、NIC)を含み、それは基地局を介して他のネットワークデバイスと接続されることにより、インターネットと通信することができる。一例において、入出力インターフェース1240は、無線方式でインターネットと通信するために用いられる無線周波数(Radio Frequency,RF)モジュールであってもよい。
【0085】
当業者が理解できるように、
図12に示す構造は単なる例示であり、上述の電子装置の構造を限定するものではない。例えば、サーバ1200はさらに、
図12に示されたものよりも多い又は少ないコンポーネントを含み得、又は、
図12に示されたものと異なる構成を有し得る。
【0086】
本発明の実施形態は、記憶媒体をさらに提供し、前記記憶媒体は、方法の実施形態における超広帯域に基づく測位方法を実現するための関連する少なくとも1つの命令、少なくとも1つのプログラム、コードセット又は命令セットを格納するため、サーバ中に設置されてもよく、当該少なくとも1つの命令、当該少なくとも1つのプログラム、当該コードセット又は命令セットが、当該プロセッサによりロード、実行されると、上述の超広帯域に基づく測位方法が実施される。
【0087】
オプションで、本実施形態において、上述の記憶媒体は、コンピュータネットワークの複数のネットワークサーバのうち少なくとも1つのネットワークサーバに配置されてもよい。オプションで、本実施形態において、上述の記憶媒体は、USBメモリ、読み取り専用メモリ(ROM、Read-Only Memory)、ランダムアクセスメモリ(RAM、Random Access Memory)、ポータブルハードドライブ、ディスク又はCDなど、プログラムコードを記憶することができる様々な媒体を含み得るが、これらに限定されない。
【0088】
上述の本発明の実施形態により提供される超広帯域に基づく測位装置、方法、デバイス及び記憶媒体の実施形態から分かるように、本発明は、アンカーステーションのUWBモジュールの利用率を高めることができ、従来の技術における1モジュール1アンカーポイントアンテナのアンカーステーション構造と比較して、本発明は、同じ数のアンカーポイントアンテナでUWBモジュール数を減らすことができるため、製造コストと使用コストとを大幅に削減することができ、又は同じコストでより多くの有効なアンカーポイントアンテナ数を提供することができるため、測位精度を向上させることができる。
【0089】
説明すべきことは、上述の本発明の実施形態の前後順序は、単なる説明のためのものであり、実施形態の優劣を表すものではない。また、以上、本明細書の特定の実施形態について説明した。その他の実施形態は添付の特許請求の範囲内にある。いくつかの場合、特許請求の範囲に記載された動作又はステップは、実施形態と異なる順序で実行してもよく、依然として所望の結果を実現することができる。また、図面に記載されたプロセスは、図示された特定の順序又は連続した順序に従わなければ、所望の結果を実現できないというわけではない。特定の実施形態では、マルチタスク処理及び並列処理も可能であり、又は有利である可能性がある。
【0090】
本明細書の各実施形態は、段階的に説明され、各実施形態間の同様又は類似の部分については、互いに参照すればよく、各実施形態の詳しく説明された部分は、他の実施形態と異なる部分である。特に、デバイスの実施形態については、基本的に方法の実施形態と同様であるため、説明が簡略化され、関連する点については、方法の実施形態の一部の説明を参照すればよい。
【0091】
上述の実施形態の全部又は一部のステップは、ハードウェアを介して実現することもでき、プログラムを介して関連するハードウェアに指示することによって実現することもでき、前記プログラムはコンピュータ可読記憶媒体に格納されてもよく、上述の記憶媒体は、読み取り専用メモリ、ディスク又はCDなどであってもよいことは、当業者であれば理解できる。
【0092】
以上は、本発明の好ましい例に過ぎず、本発明を限定するものではない。本発明の精神と原則内で行われた任意の修正、等価の置換、改善などは本発明の保護範囲に含まれる。
【手続補正書】
【提出日】2023-06-21
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
位置決定モジュールと、前記位置決定モジュールと接続された少なくとも2つの超広帯域モジュールとを含む超広帯域に基づく測位装置であって、
前記超広帯域モジュールは、超広帯域無線周波数ユニットと、電力分配器と、複数のアンカーポイントアンテナとを含み、前記電力分配器の一端は前記超広帯域無線周波数ユニットと接続され、前記電力分配器の他端は、前記複数のアンカーポイントアンテナのそれぞれと接続され、
前記複数のアンカーポイントアンテナは、第1のアンカーポイントアンテナと第2のアンカーポイントアンテナとを含み、前記第1のアンカーポイントアンテナと前記電力分配器との間のケーブル接続長さは第1の電気長であり、前記第2のアンカーポイントアンテナと前記電力分配器との間のケーブル接続長さは第2の電気長であり、前記第1の電気長と前記第2の電気長との差は、前記第1のアンカーポイントアンテナと前記第2のアンカーポイントアンテナとの間の物理的距離より大きく、前記複数のアンカーポイントアンテナのうち任意の2つのアンカーポイントアンテナの信号カバーエリア間の重なり程度値は、予め設定された重なり値であり、
前記電力分配器は、前記超広帯域無線周波数ユニットにより送信された無線周波数信号を前記複数のアンカーポイントアンテナに分配するために用いられ、
前記複数のアンカーポイントアンテナは、分配された無線周波数信号を対象物に送信し、前記対象物の超広帯域電波情報を取得するために用いられ、前記超広帯域電波情報は、前記対象物と前記複数のアンカーポイントアンテナのうち各アンカーポイントアンテナとの間の受信信号強度と電波飛行時間とを含み、
前記位置決定モジュールは、前記超広帯域電波情報に基づいて、前記対象物の位置情報を決定するために用いられる
ことを特徴とする超広帯域に基づく測位装置。
【請求項2】
前記超広帯域無線周波数ユニットはさらに、前記超広帯域電波情報からファーストパス(First Path)信号を識別し、前記ファーストパス信号の受信信号強度と電波飛行時間とを取得し、前記ファーストパス信号に対応するアンカーポイントアンテナを決定するために用いられる
ことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
探索状態にある場合、又は対象物からのスキャン信号を受信した場合、少なくとも2つの超広帯域モジュールを介して少なくとも2つの対応する超広帯域無線周波数信号を生成するステップであって、前記超広帯域モジュールは、超広帯域無線周波数ユニットと、電力分配器と、複数のアンカーポイントアンテナとを含み、前記電力分配器の一端は前記超広帯域無線周波数ユニットと接続され、前記電力分配器の他端は、前記複数のアンカーポイントアンテナのそれぞれと接続され、
前記複数のアンカーポイントアンテナは、第1のアンカーポイントアンテナと第2のアンカーポイントアンテナとを含み、前記第1のアンカーポイントアンテナと前記電力分配器との間のケーブル接続長さは第1の電気長であり、前記第2のアンカーポイントアンテナと前記電力分配器との間のケーブル接続長さは第2の電気長であり、前記第1の電気長と前記第2の電気長との差は、前記第1のアンカーポイントアンテナと前記第2のアンカーポイントアンテナとの間の物理的距離より大きく、前記複数のアンカーポイントアンテナのうち任意の2つのアンカーポイントアンテナの信号カバーエリア間の重なり程度値は、予め設定された重なり値であるステップと、
前記対応する超広帯域無線周波数信号を、対応する複数のアンカーポイントアンテナに分配し、前記複数のアンカーポイントアンテナを介して送信するステップと、
対象物の超広帯域電波情報を取得した場合、前記超広帯域電波情報に基づいて前記対象物の位置情報を決定するステップであって、前記超広帯域電波情報は、前記対象物と前記複数のアンカーポイントアンテナのうち各アンカーポイントアンテナとの間の受信信号強度と電波飛行時間とを含むステップと、を含む
ことを特徴とする超広帯域に基づく測位方法。
【請求項4】
前記超広帯域電波情報に基づいて前記対象物の位置情報を決定するステップは、
前記対象物と前記複数のアンカーポイントアンテナのうち各アンカーポイントアンテナとの間の受信信号強度と電波飛行時間とに基づいて、前記対象物の現在の推定エリアを決定するステップと、
対象エリアと最適なアンカーポイントアンテナグループとの対応関係テーブルを取得するステップと、
前記対応関係テーブルから、前記現在の推定エリアに対応する最適なアンカーポイントアンテナグループを決定するステップと、
前記最適なアンカーポイントアンテナグループのうちのアンカーポイントアンテナと前記対象物との間の受信信号強度と電波飛行時間とを決定し、前記超広帯域電波情報を更新するステップと、
更新された超広帯域電波情報に基づいて、前記対象物の位置情報を決定するステップと、を含む
ことを特徴とする請求項
3に記載の方法。
【請求項5】
前記超広帯域電波情報を更新した後、更新された超広帯域電波情報に基づいて、前記対象物の位置情報を決定する前に、さらに、
複数回取得された前記複数のアンカーポイントアンテナのうち各アンカーポイントアンテナと前記対象物との間の受信信号強度と電波飛行時間とに基づいて、前記対象物の現在の推定エリアを再度決定するステップと、
前記現在の推定エリアが変化した場合、前記対応関係テーブルから、前記現在の推定エリアに対応する最適なアンカーポイントアンテナグループを決定するステップ、及び前記最適なアンカーポイントアンテナグループのうちのアンカーポイントアンテナと前記対象物との間の受信信号強度と電波飛行時間とを決定し、前記超広帯域電波情報を更新するステップを再実行するステップと、を含む
ことを特徴とする請求項
4に記載の方法。
【請求項6】
前記最適なアンカーポイントアンテナグループのうちのアンカーポイントアンテナと前記対象物との間の受信信号強度と電波飛行時間とを決定するステップは、
前記最適なアンカーポイントアンテナグループに対応する超広帯域無線周波数ユニットを介して、精密測位信号を生成するステップと、
前記精密測位信号を前記最適なアンカーポイントアンテナグループに対応する複数のアンカーポイントアンテナに分配し、前記複数のアンカーポイントアンテナを介して送信するステップと、
取得された前記対象物のフィードバック情報に基づいて、前記最適なアンカーポイントアンテナグループのうちのアンカーポイントアンテナと前記対象物との間の受信信号強度と電波飛行時間とを決定するステップと、を含む
ことを特徴とする請求項
4に記載の方法。
【請求項7】
前記超広帯域電波情報に基づいて前記対象物の位置情報を決定するステップは、
前記超広帯域電波情報からファーストパス信号を識別し、前記ファーストパス信号の受信信号強度と電波飛行時間とを取得するステップと、
前記ファーストパス信号の受信信号強度と電波飛行時間とに基づいて、前記対象物の位置情報を決定するステップと、を含む
ことを特徴とする請求項
3に記載の方法。
【請求項8】
プロセッサとメモリとを含むデバイスであって、
前記メモリには、少なくとも1つの命令、又は少なくとも1つのプログラムが格納されており、前記少なくとも1つの命令、又は前記少なくとも1つのプログラムが前記プロセッサによりロード、実行されると、請求項
3~7のいずれか1項に記載の超広帯域に基づく測位方法が実施される
ことを特徴とするデバイス。
【請求項9】
少なくとも1つの命令、又は少なくとも1つのプログラムが格納されているコンピュータ記憶媒体であって、前記少なくとも1つの命令、又は少なくとも1つのプログラムがプロセッサによりロード、実行されると、請求項
3~7のいずれか1項に記載の超広帯域に基づく測位方法が実施される
ことを特徴とするコンピュータ記憶媒体。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0020
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0020】
本発明の実施形態における技術的解決策をより明確に説明するために、以下、実施形態の説明に必要な添付図面を簡単に説明するが、明らかに、以下の説明における添付図面は本発明のいくつかの実施形態に過ぎず、当業者にとって、これらの図面に基づいて創造的な労力をかけずに他の添付図面を得ることができる。
【
図1】本発明の実施形態により提供される適用シナリオの模式図である。
【
図2】本発明の実施形態により提供される従来の技術における
アンカーステーションの
構造の模式図である。
【
図3】本発明の実施形態により提供される従来の技術における
車体のアンカーステーションの
配置の模式図である。
【
図4】本発明の実施形態により提供される超広帯域に基づく測位装置の構造の模式図である。
【
図5】本発明の実施形態により提供される超広帯域に基づく測位装置のアーキテクチャの模式図である。
【
図6】本発明の実施形態により提供される車体における測位装置の配置の模式図である。
【
図7】本発明の実施形態により提供される受信機がマルチパス信号を受信する模式図である。
【
図8】本発明の実施形態により提供される2電力分配器とアンカーポイントアンテナとが接続される模式図である。
【
図9】本発明の実施形態により提供される点集合が満たす関数関係の模式図である。
【
図10】本発明の実施形態により提供される異なるエリアにおけるタグに対応する最適なアンカーポイントアンテナグループの模式図である。
【
図11】本発明の実施形態により提供される超広帯域に基づく測位方法のフローの模式図である。
【
図12】本発明の実施形態により提供される超広帯域に基づく測位方法のサーバのハードウェア構造のブロック図である。
【手続補正3】
【補正対象書類名】図面
【補正方法】変更
【補正の内容】
【国際調査報告】