(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-29
(54)【発明の名称】エアロゾル発生装置、システムおよび方法
(51)【国際特許分類】
A24F 40/05 20200101AFI20231121BHJP
B06B 1/06 20060101ALI20231121BHJP
B05B 17/06 20060101ALI20231121BHJP
A24F 40/10 20200101ALI20231121BHJP
A24F 40/40 20200101ALI20231121BHJP
【FI】
A24F40/05
B06B1/06 Z
B05B17/06
A24F40/10
A24F40/40
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023526264
(86)(22)【出願日】2021-11-04
(85)【翻訳文提出日】2023-04-28
(86)【国際出願番号】 EP2021080666
(87)【国際公開番号】W WO2022096589
(87)【国際公開日】2022-05-12
(32)【優先日】2020-11-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】596060424
【氏名又は名称】フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141553
【氏名又は名称】鈴木 信彦
(74)【代理人】
【識別番号】100228337
【氏名又は名称】大橋 綾
(72)【発明者】
【氏名】ディットマン リアンダー
(72)【発明者】
【氏名】エメット ロバート
【テーマコード(参考)】
4B162
4D074
5D107
【Fターム(参考)】
4B162AA06
4B162AA30
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4D074AA03
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4D074DD12
4D074DD14
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4D074DD64
4D074DD65
5D107BB02
5D107BB08
5D107CC01
5D107CD01
5D107CD03
(57)【要約】
エアロゾル発生装置(20)が提供されている。エアロゾル発生装置は、液体エアロゾル形成基体をエアロゾル化するための振動可能なトランスデューサ(25)と、トランスデューサに連結されたコントローラ(23)とを備える。コントローラは、トランスデューサを振動させるための駆動信号を提供するように構成されている。駆動信号のすべてまたは一部が、ユーザーの聴覚とユーザーの触覚とのうちの少なくとも一つによって検出可能なトランスデューサの感覚出力を定義する。コントローラ(23)は、感覚出力がエアロゾル発生装置の状態を示すように駆動信号を調整するように構成されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体エアロゾル形成基体をエアロゾル化するための振動可能なトランスデューサと、
前記トランスデューサに連結されたコントローラと、を備え、
前記コントローラが、前記トランスデューサを振動させるための駆動信号を提供するように構成されていて、前記駆動信号のすべてまたは一部が、ユーザーの聴覚とユーザーの触覚とのうちの少なくとも一つによって検出可能な前記トランスデューサの感覚出力を定義し、
前記感覚出力が前記エアロゾル発生装置の状態を示すように前記駆動信号を調整するように前記コントローラが構成されている、エアロゾル発生装置。
【請求項2】
前記状態が、
前記エアロゾル発生装置の温度状態と、
前記エアロゾル発生装置のエネルギー状態と、
前記エアロゾル発生装置の不良状態と、
ユーザーが前記エアロゾル発生装置に対して行う吸煙の回数と、
前記エアロゾル発生装置の使用セッションの段階と、のうちの一つ以上を含む、請求項1に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項3】
前記駆動信号が前記振動可能なトランスデューサの一つ以上の共振周波数を含むように前記コントローラが構成されている、請求項1または請求項2のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項4】
前記コントローラが、
前記駆動信号が前記振動可能なトランスデューサの一つ以上の共振周波数を含む、第一の動作条件と、
前記駆動信号が前記振動可能なトランスデューサの任意の共振周波数を除外する、第二の動作条件と、の間で切り替えるように動作可能である、請求項1または請求項2のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項5】
前記トランスデューサが膜を備え、前記膜が、液体エアロゾル形成基体の通過のための複数のノズルが設けられたエアロゾル発生ゾーンを有する、請求項1~4のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項6】
前記駆動信号が少なくとも一つの所定の周波数を含み、それによって前記感覚出力が前記少なくとも一つの所定の周波数を含むように、前記コントローラが構成されている、請求項1~5のいずれかに記載のエアロゾル発生装置。
【請求項7】
前記駆動信号が二つ以上の所定の周波数のシーケンスを含み、前記感覚出力が前記シーケンスを含むように、前記コントローラが構成されている、請求項6に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項8】
前記少なくとも一つの所定の周波数が0.1Hz~20kHzの範囲内にあるように、前記コントローラが構成されている、請求項6または請求項7のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項9】
前記駆動信号がキャリア信号および変調信号を含み、前記変調信号が前記キャリア信号上に変調されていて、前記変調信号が前記少なくとも一つの所定の周波数を含むように、前記コントローラが構成されている、請求項6~8のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項10】
エアロゾル送達システムであって、
請求項1~9のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置を備え、
前記システムがさらに、
前記振動可能なトランスデューサと流体連通している液体エアロゾル形成基体の貯蔵部を備え、
前記エアロゾル送達システムが、前記エアロゾル発生装置および前記貯蔵部を包含する細長いハウジングを備え、前記細長いハウジングが遠位端および口側端を有し、マウスピースが前記口側端に提供されている、システム。
【請求項11】
振動可能なトランスデューサを有するエアロゾル発生装置を動作する方法であって、
前記トランスデューサを駆動信号で駆動することを含み、前記駆動信号のすべてまたは一部が、ユーザーの聴覚とユーザーの触覚とのうちの少なくとも一つによって検出可能な前記トランスデューサの感覚出力を定義し、
前記感覚出力が前記エアロゾル発生装置の状態を示すように、前記方法が駆動信号を調整することを含む、方法。
【請求項12】
前記状態が、
前記エアロゾル発生装置の温度状態と、
前記エアロゾル発生装置のエネルギー状態と、
前記エアロゾル発生装置の不良状態と、
ユーザーが前記エアロゾル発生装置に対して行う吸煙の回数と、
前記エアロゾル発生装置の使用セッションの段階と、のうちの一つ以上を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
液体エアロゾル形成基体の貯蔵部が前記振動可能なトランスデューサと流体連通していて、前記方法がさらに、
前記感覚出力を提供すると同時に、前記液体エアロゾル形成基体の少なくとも一部分をエアロゾル化するために、前記トランスデューサを駆動することを含む、請求項11または請求項12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記方法が、前記液体エアロゾル形成基体の少なくとも一部分をエアロゾル化するために、前記振動可能なトランスデューサの一つ以上の共振周波数で前記トランスデューサを駆動することを含む、請求項11~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記駆動信号が少なくとも一つの所定の周波数を含み、それによって前記感覚出力が前記少なくとも一つの所定の周波数を含む、請求項11~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
振動可能なトランスデューサを有するエアロゾル発生装置のプロセッサによって実行された時に、請求項11~15のいずれかに記載の方法を前記プロセッサに実行させる命令を格納している非一時的コンピュータ可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、振動可能なトランスデューサの使用を通して液体エアロゾル形成基体をエアロゾル化するためのエアロゾル発生装置に関する。本開示はまた、こうしたエアロゾル発生装置を含むエアロゾル送達システムに関する。本開示は、振動可能なトランスデューサを有するエアロゾル発生装置を動作する方法にさらに関する。追加的に、本開示は、エアロゾル発生装置と併用する非一時的コンピュータ可読媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
液体エアロゾル形成基体をエアロゾル化するための周知の振動ネブライザーは、ノズルの分布を有する膜を採用する。膜はアクチュエータに連結されていて、アクチュエータは膜の振動を誘発するように機能する。膜が液体エアロゾル形成基体と接触すると、膜の振動作用によって、液体エアロゾル形成基体がノズルを通して押し出され、エアロゾル液滴を形成する。
【0003】
本開示は、ユーザーにフィードバックを提供する能力を有するエアロゾル発生装置の提供に関する。
【発明の概要】
【0004】
本開示の一態様によると、液体エアロゾル形成基体をエアロゾル化するための振動可能なトランスデューサと、トランスデューサに連結されたコントローラとを備える、エアロゾル発生装置が提供されている。コントローラは、トランスデューサを振動させるための駆動信号を提供するように構成されていて、駆動信号のすべてまたは一部は、ユーザーの聴覚とユーザーの触覚とのうちの少なくとも一つによって検出可能なトランスデューサの感覚出力を定義する。
【0005】
本明細書で使用される「振動可能なトランスデューサ」という用語は、エネルギーを初期形態から異なる形態に変換するように構成された装置を指し、異なる形態は振動出力を含むか、または振動出力から成る。
【0006】
本明細書で使用される「ユーザーの聴覚」という用語は、ユーザーの聴く感覚を指す。
【0007】
本明細書で使用される「人間の聴覚の可聴周波数範囲」という用語は、20Hz~20kHzの周波数範囲を指し、これは典型的な人間の聴覚によって検出可能な周波数範囲であると一般的に認められている。
【0008】
本明細書で使用される「ユーザーの触覚」という用語は、ユーザーの触覚を指し、そうでなければユーザーの触感覚として知られている場合がある。
【0009】
本明細書で使用される「液体」という用語は、液体状で提供された物質を指し、ゲルの形態で提供された物質を包含する。
【0010】
本開示の場合、駆動信号は、i)トランスデューサ(またはその構成要素部分)の振動を誘導し、かつii)トランスデューサの動作を通して、エアロゾル発生装置のユーザーにとって検出可能な感覚出力を提供してもよい。トランスデューサからの感覚フィードバックは、ユーザーの聴覚またはユーザーの触覚のいずれかまたは両方を通して、ユーザーによって検出可能でありうる。触覚フィードバックは、ユーザーがエアロゾル発生装置の表面を触れることによって、または装置が一部を形成するシステムの表面をユーザーが触れることによって感知されうる。
【0011】
「コントローラ」という用語は、振動可能なトランスデューサへの駆動信号の生成、適合、提供において使用するために構成された任意の制御電子機器およびプロセッサ(複数可)、ならびに振動可能なトランスデューサへの駆動信号の生成、適合、提供において使用するための命令を格納する任意のコンピュータ可読媒体を包含する。例として、コントローラは、制御電子機器および非一時的コンピュータ可読媒体(コンピュータメモリモジュールなど)の形態を取ってもよく、制御電子機器は、非一時的コンピュータ可読媒体に連結されるか、またはそれを包含する制御ユニットを備える。制御ユニットはそれ自体が、コンピュータプロセッサを包含してもよく、またはコンピュータプロセッサに連結されてもよい。非一時的コンピュータ可読媒体は、振動可能なトランスデューサへの駆動信号の生成、適合、提供における使用のための命令を包含してもよい。
【0012】
コントローラは、駆動信号が振動可能なトランスデューサの一つ以上の共振周波数を含むように構成されていることが好ましい。共振周波数のうちの一つ以上でトランスデューサを駆動することは、振動可能なトランスデューサによるエアロゾル発生を、エネルギー効率の高い様態で最大化することを支援しうる。
【0013】
コントローラは、駆動信号が振動可能なトランスデューサの一つ以上の共鳴周波数を含む第一の動作条件と、駆動信号が振動可能なトランスデューサの任意の共振周波数を排除する第二の動作条件との間で切り替えるように動作可能であることが好ましい。典型的に、共振周波数はエアロゾル発生と関連付けられることになる。対照的に、振動可能なトランスデューサの共振周波数のいずれかを駆動信号から除外することは、エアロゾル発生の実質的な減少または防止と関連付けられることになる。従って、上述の通りに、第一の動作条件と第二の動作条件との間で切り替えるように構成されたコントローラを有することは、トランスデューサの振動作用によってエアロゾルが発生する第一の動作条件から、エアロゾル発生が実質的に低減または防止される、異なる第二の動作条件へとトランスデューサが切り替えられることを可能にしうる。「実質的に低減される」とは、第二の動作条件においてトランスデューサによって所定の時間内に発生するエアロゾルの体積が、第一の動作条件においてトランスデューサによって所定の時間内に発生するエアロゾルの体積の5%以下であることを意味する。従って、第一の動作条件は、エアロゾル発生装置のトランスデューサのエアロゾル発生モードに対応しうる。対照的に、第二の動作条件は、エアロゾル発生装置のトランスデューサの低減されたエアロゾル発生モードまたはスタンバイモードに対応しうる。「第一」および「第二」という用語はここで、両方の動作条件が相互に異なることを示すためにのみ使用され、第一の動作条件の後に第二の動作条件が発生することを必要としない。
【0014】
好都合なことに、トランスデューサは膜を備えてもよい。膜は、液体エアロゾル形成基体の通過のための複数のノズルが設けられたエアロゾル発生ゾーンを有してもよい。本明細書で使用される「ノズル」という用語は、液体エアロゾル形成基体が膜を通って移動するための通路を提供する膜を通した開口、穴または孔を指す。例として、また限定することなく、エアロゾル発生装置の使用中に、液体エアロゾル形成基体を膜の第一の側面と接触させてもよい。膜の振動は、膜の第二の対向する側面からエアロゾル液滴の噴霧として放射されるために、液体基体の一部分がノズルを通して付勢および排出されることをもたらしうる。
【0015】
ノズルは円形形状であることが好ましい。円形形状は、それぞれのノズルの面積と外周の比を最大化し、従って粘性抵抗力および境界層蓄積を低減するため、円形形状のノズルの使用は好ましい。しかしながら、楕円形状のノズルの使用もまた、結果としてもたらされるエアロゾル液滴形成に関して許容可能な性能をもたらすことが分かっている。
【0016】
膜は任意の適切な材料で形成されてもよい。例として、また限定することなく、膜は高分子材料から形成されてもよく、それによって、低減された質量および慣性という利点を提供する。しかしながら、膜は、金属材料などの任意の他の材料で形成されてもよい。膜は、二つ以上の異なる材料の複合であってもよい。膜に使用される材料の選択は、エアロゾル発生装置で使用され、エアロゾル発生装置によってエアロゾル化されることが意図された特定の液体エアロゾル形成基体によって左右される場合がある。例えば、選択された液体エアロゾル形成基体との接触の結果として化学的に反応しないか分解しない膜の材料を選択することが非常に望ましい。単なる例として、膜はパラジウム、ステンレス鋼、銅ニッケル合金、ポリイミド、ポリアミド、ケイ素、または窒化アルミニウムのいずれかで形成されてもよい。
【0017】
有利なことに、膜は円形の輪郭であってもよい。円形輪郭の膜は、エアロゾル発生装置が、細長い円筒状喫煙物品の形態の喫煙システムで使用される場合に有益であることが分かっている。喫煙物品における、または喫煙物品としてのエアロゾル発生装置の使用については、以下でより詳細に記載されている。
【0018】
振動可能なトランスデューサは、膜に連結されたアクチュエータをさらに備えてもよく、アクチュエータは、エアロゾルの発生に適した周波数で膜を振動させるために、駆動信号によって駆動されるように構成されている。例として、また限定することなく、アクチュエータは、一つ以上の圧電アクチュエータを含んでもよい。圧電アクチュエータは、エネルギー効率が高く、膜の振動を誘発する軽量の手段を提供し、電気から音響出力/機械的動力への高いエネルギー変換効率を有するため、好ましい。さらに、圧電アクチュエータは、多種多様な材料および形状で利用可能である。圧電アクチュエータの場合、電気駆動信号を圧電アクチュエータに入力することは、振動信号の形態の機械的出力をもたらすことになる。アクチュエータから出力される振動信号は次に、膜の振動を誘発することになる。圧電アクチュエータに入力される電気駆動信号の同調および調整は、アクチュエータからの振動信号出力において対応する変化をもたらす場合があり、それによって膜の振動応答の調整をもたらす。例として、また限定することなく、同調および調整は、電気駆動信号の振幅、周波数または波長のいずれかを変化させることを含みうる。膜の振動応答の調整は、膜の振動周波数と膜の振動の振幅とのうちの一方または両方の変化を含んでもよい。
【0019】
好都合なことに、アクチュエータは環状の形態であってもよく、膜の周辺の周りに延びてもよい。環状アクチュエータは、連続リングまたはセグメント化されたリングの形態を有してもよい。
【0020】
好ましくは、コントローラは、感覚出力がエアロゾル発生装置の状態を示すように、駆動信号を調整するように構成されていてもよい。駆動信号の調整は、駆動信号のパラメータを調整することを含んでもよく、パラメータは、駆動信号の周波数、波長、振幅のうちの一つ以上である。好都合なことに、状態は、エアロゾル発生装置の温度状態、エアロゾル発生装置のエネルギー状態、エアロゾル発生装置の不良状態、ユーザーがエアロゾル発生装置に対して行う吸煙の回数、およびエアロゾル発生装置の使用セッションの段階のうちの一つ以上を含んでもよい。例として、装置がまた、液体エアロゾル形成基体を加熱するための発熱体を備える実施形態において、温度状態は、予熱モードにあるエアロゾル発生装置、または目標動作温度に達したエアロゾル発生装置、または過熱状態にあるエアロゾル発生装置を表してもよい。さらなる一実施例において、エネルギー状態は、エアロゾル発生装置に給電するために使用される電源(例えば、電池)のエネルギー状態を表してもよい。さらなる例として、不良状態は、トランスデューサ、コントローラ、またはエアロゾル発生装置の他の構成要素部分の不良を表してもよい。
【0021】
追加的に、エアロゾル発生装置は、光源をさらに備えてもよい。光源は、光信号を発するように構成されてもよい。さらに、コントローラは、エアロゾル発生装置の状態を示すために、光源から発せられた光信号を調整するように構成されてもよい。本明細書で使用する「光」という用語は、電磁スペクトル(すなわち、概して380nm~760nmの範囲)の可視部分にある電磁放射の発光を指す。例として、また限定することなく、装置は、装置が第一の状態にある時に光源から第一の光信号を発し、装置が第二の状態にある時に光源から第二の光信号を発するように構成されてもよい。第一の光信号および第二の光信号は、相互に異なっている。第一の光信号および第二の光信号は、色、持続時間、または周期性の一つ以上において相互に異なってもよい。例として、第一の光信号または第二の光信号の一方または両方は、固定持続時間の単一パルス、またはパルスのシーケンスから形成されうる。パルスのシーケンスについて、シーケンス中の各パルスは、同じ持続時間を有してもよく、またはシーケンス中のパルスの一つ以上は、シリーズの他のパルスと異なってもよい。別個の第一の光信号および第二の光信号の使用は、聴覚フィードバックと触覚フィードバックのいずれかまたは両方に加えて、視覚的フィードバックをユーザーに提供する有益な効果を有し、フィードバックは、エアロゾル発生装置が所与の状態にあることを示す。このようにして、エアロゾル発生装置は、ユーザーの複数の感覚(すなわち視覚、聴覚、触覚)によって知覚されることができる感覚フィードバックをユーザーに提供する能力を備えうる。複数の形式での感覚フィードバックの使用は、感覚の一つに身体的障害を有するユーザーに特に有益でありうる。
【0022】
コントローラは、駆動信号が少なくとも一つの所定の周波数を含み、それによって、感覚出力がその少なくとも一つの所定の周波数を含むように構成されていることが好ましい。このように、感覚出力は、その周波数の観点から特徴付けられていて、その同じ周波数が振動可能トランスデューサの駆動信号中に存在する。人間の聴覚の可聴周波数範囲(20Hz~20kHz)内の所定の周波数の使用は、トランスデューサの駆動信号を提供し、人間の聴覚にとって検出可能な音として感覚出力を提供する。感覚出力が、ユーザーの聴覚にとって検出可能な音であるように意図されている場合、駆動信号(または駆動信号の構成要素部分)の振幅は、所定の周波数で知覚される音の大きさに影響を与えることになる。(上述の通り)振動可能なトランスデューサが膜を備える一実施形態において、駆動信号は、ユーザーの聴覚によって検出可能な周波数(すなわち、「所定の周波数」)で振動することによって、膜の表面をラウドスピーカーの振動板のように働かせる。感覚出力が、ユーザーの触覚にとって検出可能であるように意図されている場合、駆動信号(または駆動信号の構成要素部分)の振幅は、ユーザーによって知覚される通りの所定の周波数での振動の強度に影響を与えることになる。
【0023】
好都合なことに、コントローラは、駆動信号が二つ以上の所定の周波数のシーケンスを含み、感覚出力が二つ以上の所定の周波数のシーケンスを含むように構成されている。二つ以上の所定の周波数のシーケンスは、一連のパルスを含んでもよく、シリーズの一つのパルスは第一の所定の周波数を有し、シリーズの別のパルスは第二の所定の周波数を有する。シリーズの各パルスは、等しい長さであってもよく、別の方法として、パルスのシリーズ中のパルスのうち一つ以上は、シリーズ中の他のパルスと長さが異なってもよい。追加的に、または別の方法として、パルスのシリーズ中の連続パルス間のギャップは、シリーズのすべてのパルスに対して均一であってもよく、またはギャップは、シリーズの異なる連続パルス間で変化してもよい。二つ以上の所定の周波数のシーケンスが人間の聴覚の可聴周波数範囲内である場合、シーケンスは、異なるピッチのトーンのシーケンスとして知覚されることになる。
【0024】
好都合なことに、コントローラは、二つ以上の所定の周波数のシーケンスが、一つ以上の発話語の聴覚出力を定義するように構成されてもよい。例として、また限定することなく、一つ以上の発話語は、エアロゾル発生装置の状態を示してもよい。別の方法として、または追加的に、一つ以上の発話語は、装置の動作においてユーザーが実行することを意図した命令を含んでもよい。
【0025】
好ましくは、コントローラは、少なくとも一つの所定の周波数が5kHz未満、またはより好ましくは60Hz~4kHzの範囲内となるように構成されてもよい。こうした制限は、少なくとも一つの所定の周波数が、一つ以上の発話語を含む聴覚出力を定義する時に特に適用される場合があり、大半の人間の発話は周波数が5kHz未満であり、典型的に60Hz~4kHzの周波数範囲内に制限される。
【0026】
一部のより複雑なシナリオにおいて、二つ以上の所定の周波数のシーケンスは、人間の聴覚の可聴周波数範囲内の楽曲を定義しうる。
【0027】
好都合なことに、少なくとも一つの所定の周波数は、アップチャープおよびダウンチャープのうちの一つ以上を含んでもよい。本明細書で使用される「アップチャープ」という用語は、信号の持続時間にわたって周波数が単調に増大する信号を指し、「ダウンチャープ」という用語は、信号の持続時間にわたって周波数が単調に減少する信号を指す。
【0028】
好都合なことに、コントローラは、少なくとも一つの所定の周波数が0.1Hz~20kHzの範囲内にあるように構成されてもよい。0.1Hz~20kHzの範囲は、人間の聴覚の可聴周波数範囲を包含し、それよりも低域である。20Hz未満の周波数は通常、人間の聴覚にとって検出可能ではないが、こうした周波数は、ユーザーの触覚によって検出可能でありうる。例えば、駆動信号が0.5Hzの所定の周波数を含むようにコントローラが構成されている場合、信号は、ユーザーの触覚によって知覚可能な感覚出力を、2秒毎に1パルスの速度で生じるパルスの連続シリーズとして提供することになる。上述の通り、ある所定の周波数での感覚出力が、ユーザーの聴覚または触覚にとって検出可能である程度はまた、駆動信号(またはその構成要素部分)の振幅に依存しうる。
【0029】
コントローラは、駆動信号がキャリア信号および変調信号を含むように構成されていることが好ましい。変調信号はキャリア信号上に変調されてもよく、変調信号は少なくとも一つの所定の周波数を含む。キャリア信号は、振動可能なトランスデューサ(またはその構成要素部分)の共振周波数の一つなど、振動可能なトランスデューサによるエアロゾル発生を誘導するために最適化された周波数を有してもよい。トランスデューサの共振周波数は、トランスデューサまたはその構成要素部分の材料、構造、制約に応じて変化する。しかしながら、これらの共振周波数は、人間の聴覚(一般に、およそ20kHzであると認められている)またはユーザーの触覚によって検出可能な周波数上限を上回る可能性が高い。従って、変調信号によって変調されたキャリア信号を有する駆動信号を提供することは、駆動信号が、i)(キャリア信号の周波数構成を理由とする)トランスデューサによるエアロゾル発生と、(ii)(変調信号の少なくとも一つの所定の周波数の値(複数可)を理由とする)装置のユーザーへの聴覚フィードバックと触覚フィードバックのいずれかまたは両方を提供することとの両方を達成するのを可能にすることにおいて有益でありうる。変調の利点は、人間の聴覚の可聴周波数範囲内(すなわち、20Hz~20kHz)の単一の周波数構成要素を有するキャリア信号のみから成る駆動信号のシナリオを考慮することによって理解されることができる。この周波数範囲に限られたこうした駆動信号の使用は、ユーザーの聴覚にとって検出可能な音を発生することになる。しかしながら、周波数は、トランスデューサの共振周波数のいずれかよりもかなり低い可能性が高いため、任意のエアロゾルの発生をもたらすのに十分なエネルギーが振動可能なトランスデューサに供給されるのを駆動信号がもたらす可能性は低いことになる。
【0030】
変調信号によるキャリア信号の変調の程度は、様々な方法で特徴付けられうる。変調は、振幅変調または周波数変調によってもよい。好都合なことに、変調信号は、10%~100%の範囲の変調深度で、キャリア信号上に振幅変調されてもよい。別の方法として、または追加的に、変調信号は、キャリア信号周波数の1%~50%の周波数偏差で、キャリア信号上に周波数変調されてもよい。
【0031】
コントローラは、駆動信号がキャリア信号と二次信号を含むように構成されていて、キャリア信号と二次信号の間の周波数差は、所定の周波数を定義し、所定の周波数は20kHz以下であることが好ましい。周波数差、および従って所定の周波数を20kHz以下に制限することによって、所定の周波数を有する一連の拍子としてユーザーの聴覚および/または触覚によって知覚されうる感覚出力が提供される。有利なことに、周波数差、および従って所定の周波数は、20Hz~20kHzの範囲内にあるように限られてもよく、それによって、周波数差が、人間の聴覚の可聴周波数範囲内の音の形態での感覚出力をもたらすことになるという利点を提供する。コントローラは、二次信号が変調信号であるように構成されていることが好ましい。変調信号は、キャリア信号上に周波数変調されていることがより好ましい。好都合なことに、キャリア信号と二次信号の両方は、20kHzを超えるそれぞれの周波数を有してもよい。
【0032】
装置は、吸入可能なエアロゾルを発生するための喫煙物品であることが好ましい。
【0033】
本開示の第二の態様において、エアロゾル送達システムが提供されている。エアロゾル送達システムは、上述の通りのエアロゾル発生装置と、振動可能なトランスデューサと流体連通している液体エアロゾル形成基体の貯蔵部とを備える。
【0034】
ウィッキング材料は、液体エアロゾル形成基体を貯蔵部から振動可能なトランスデューサに運ぶのを支援するために、貯蔵部とトランスデューサの間に延びてもよい。例えば、ウィッキング材料は、毛細管作用によって液体基体を運ぶために多孔性または繊維性の構造を有してもよい。別の方法として、または追加的に、液体エアロゾル形成基体を貯蔵部から振動可能なトランスデューサに運ぶためにポンプが提供されてもよい。
【0035】
有利なことに、エアロゾル送達システムは、非熱的に発生されたエアロゾルを送達するために構成された消費者装置の形態である。エアロゾル送達システムは、吸入可能なエアロゾルを非熱的に発生するために構成された喫煙システムであることが好ましい。エアロゾルの発生に熱は使用されないため、有害な化合物を生成するリスクは低減され、これは、有害な化合物が通常、高温で生じる化学反応と関連しているためである。しかしながら、別の方法として、エアロゾル送達システムは、液体エアロゾル形成基体に熱を加えるように構成されたヒーター要素を備える喫煙システムであってもよい。
【0036】
エアロゾル送達システムは、エアロゾル発生装置および貯蔵部を包含する細長いハウジングを備え、細長いハウジングは遠位端および口側端を有し、マウスピースは口側端に提供されていることが好ましい。好都合なことに、細長いハウジングは円筒状である。エアロゾル発生装置は、振動可能なトランスデューサから排出されたエアロゾル化された液滴がその後、マウスピースを通って流れてハウジングから出ることになるように、細長いハウジング内に配設されていることが好ましい。細長いハウジングは、ハウジングがエアロゾル送達システムのユーザーの親指と他の指の間に保持されるのを容易にするようにサイズ設定および形状設定されていることが好ましく、これはシステムが喫煙システムである時に特に有益である。好都合なことに、エアロゾル送達システムは、交換可能なカートリッジを備え、カートリッジは、液体エアロゾル形成基体の貯蔵部を備え、細長いハウジング中で取り外し可能に位置付け可能である。
【0037】
有利なことに、エアロゾル送達システムは電源をさらに備え、電源は、コントローラに電力を提供するよう構成されていて、コントローラおよび電源は細長いハウジング内に包含されている。電源は再充電可能であることが好ましく、例えば電源は、リチウムイオン電池を含んでもよい。電源が再充電可能である場合、コントローラはまた、電源の充電を制御するように構成されてもよい。
【0038】
エアロゾル発生装置およびエアロゾル送達システムで使用される液体エアロゾル形成基体は、多くの異なる形態を取ってもよい。以下の段落は、液体エアロゾル形成基体のための様々な例示的で非限定的な材料および組成物を記述する。
【0039】
液体エアロゾル形成基体はニコチンを含んでもよい。ニコチン含有液体エアロゾル形成基体はニコチン塩マトリクスであってもよい。液体エアロゾル形成基体は植物由来材料を含んでもよい。液体エアロゾル形成基体は、たばこを含んでもよい。液体エアロゾル形成基体は均質化したたばこ材料を含んでもよい。液体エアロゾル形成基体は非たばこ含有材料を含んでもよい。液体エアロゾル形成基体は均質化した植物由来材料を含んでもよい。
【0040】
液体エアロゾル形成基体は少なくとも一つのエアロゾル形成体を含んでもよい。エアロゾル形成体は、使用時に高密度の安定したエアロゾルの形成を容易にする、任意の適切な周知の化合物または化合物の混合物である。適切なエアロゾル形成体は当業界で周知であり、これには多価アルコール(トリエチレングリコール、1,3-ブタンジオール、グリセリンなど)、多価アルコールのエステル(グリセロールモノアセテート、ジアセテート、またはトリアセテートなど)、およびモノカルボン酸、ジカルボン酸、またはポリカルボン酸の脂肪族エステル(ドデカン二酸ジメチル、テトラデカン二酸ジメチルなど)が挙げられるが、これらに限定されない。エアロゾル形成体は、多価アルコールまたはその混合物(トリエチレングリコール、1,3-ブタンジオール、グリセリンなど)であってもよい。液体エアロゾル形成基体は、他の添加物および成分(風味剤など)を含んでもよい。
【0041】
液体エアロゾル形成基体は水を含んでもよい。
【0042】
液体エアロゾル形成基体は、ニコチンおよび少なくとも一つのエアロゾル形成体を含んでもよい。エアロゾル形成体はグリセリンを含んでもよい。エアロゾル形成体はプロピレングリコールを含んでもよい。エアロゾル形成体は、グリセリンとプロピレングリコールの両方を含んでもよい。液体エアロゾル形成基体は、約2%~約10%のニコチン濃度を有してもよい。
【0043】
本開示の第三の態様において、振動可能なトランスデューサを有するエアロゾル発生装置を動作する方法が提供されている。方法は、トランスデューサを駆動信号で駆動することを含み、駆動信号のすべてまたは一部は、ユーザーの聴覚とユーザーの触覚とのうちの少なくとも一つによって検出可能なトランスデューサの感覚出力を定義する。エアロゾル発生装置、振動可能なトランスデューサ、および関連した構成要素部分は、本開示の第一の態様について、前述の段落のいずれかに記載の通りであってもよい。前述の段落に示した通り、駆動信号は、i)トランスデューサ(またはその構成要素部分)の振動を誘導することと、ii)トランスデューサの動作を通して、エアロゾル発生装置のユーザーにとって検出可能な感覚出力を提供することとの両方の有益な効果を有しうる。
【0044】
液体エアロゾル形成基体の貯蔵部は、振動可能なトランスデューサと流体連通していることが好ましい。方法は、感覚出力を提供すると同時に、液体エアロゾル形成基体の少なくとも一部分をエアロゾル化するために、トランスデューサを駆動することをさらに含んでもよい。
【0045】
方法は、液体エアロゾル形成基体の少なくとも一部分をエアロゾル化するために、振動可能なトランスデューサの一つ以上の共振周波数でトランスデューサを駆動することを含んでもよい。
【0046】
方法は、感覚出力がエアロゾル発生装置の状態を示すように駆動信号を調整することを含むことが好ましい。第一の態様に関して記載の通り、状態は、エアロゾル発生装置の温度状態、エアロゾル発生装置のエネルギー状態、エアロゾル発生装置の不良状態、ユーザーがエアロゾル発生装置に対して行う吸煙の回数、およびエアロゾル発生装置の使用セッションの段階のうちの一つ以上を含んでもよい。
【0047】
方法はまた、エアロゾル発生装置の状態を示すために、装置から発せられた光信号を調整することを含んでもよい。このようにして、方法は、複数の形式でユーザーに感覚フィードバックを提供することができる。上述の通り、この機能は、感覚障害を有するユーザーにとって特に有益でありうる。
【0048】
第一の態様に関して記載の通り、駆動信号は、少なくとも一つの所定の周波数を含み、それによって、感覚出力がその少なくとも一つの所定の周波数を含むことが好ましい。このようにして、少なくとも所定の周波数は、ユーザーの聴覚またはユーザーの触覚のいずれかによって、感覚出力がユーザーによってどのように知覚されるかを定義する。
【0049】
少なくとも一つの所定の周波数は、第一の所定の周波数および第二の所定の周波数を含むことが好ましい。方法は、装置が第一の状態にある時に、第一の所定の周波数で振動するようにトランスデューサを駆動することと、装置が第二の状態にある時に、第二の所定の周波数で振動するようにトランスデューサを駆動することとをさらに含んでもよい。第一および第二の状態は、相互に異なっている。追加的に、第一および第二の所定の周波数は、相互に異なっている。異なる装置状態で異なる所定の周波数を使用することは、異なる状態に対して異なる聴覚フィードバックまたは触覚フィードバックを提供することを可能にする。
【0050】
第一の態様の考察において記載の通り、駆動信号は、二つ以上の所定の周波数のシーケンスを含んでもよく、感覚出力は、二つ以上の所定の周波数のシーケンスを含む。追加的に、また上述の通り、二つ以上の所定の周波数のシーケンスは、一つ以上の発話語の聴覚出力を定義してもよい。追加的に、また上述の通り、少なくとも一つの所定の周波数は5kHz未満であってもよく、人間の大半の発話は5kHz未満の周波数から成る。
【0051】
第一の態様の考察において記載の通り、少なくとも一つの所定の周波数は、アップチャープおよびダウンチャープのうちの一つ以上を含んでもよい。
【0052】
第一の態様の考察において記載の通り、好都合なことに、少なくとも一つの所定の周波数は、0.1Hz~20kHzの範囲内にあってもよい。
【0053】
方法は、駆動信号でトランスデューサを駆動することを含んでもよく、駆動信号はキャリア信号および変調信号を含むことが好ましい。変調信号はキャリア信号上に変調されてもよく、変調信号は少なくとも一つの所定の周波数を含む。変調の有益な効果は、第一の態様の考察において上述した通りである。キャリア信号の変調は、様々な形態を取ってもよい。好都合なことに、変調信号は、10%~100%の範囲の変調深度で、キャリア信号上に振幅変調されてもよい。別の方法として、または追加的に、変調信号は、キャリア信号周波数の1%~50%の周波数偏差で、キャリア信号上に周波数変調されてもよい。
【0054】
方法は、トランスデューサを駆動信号で駆動することを含み、駆動信号はキャリア信号と二次信号を含み、キャリア信号と二次信号の間の周波数差は所定の周波数を定義し、所定の周波数は20kHz以下であることが好ましい。第一の態様に関して記載の通り、周波数差、および従って所定の周波数を20kHz以下に制限することは、感覚出力がユーザーの聴覚および/または触覚によって、所定の周波数での一連の拍子として知覚されうるという効果を有することになる。第一の態様に関して記載の通り、周波数差、および従って所定の周波数は、周波数差が人間の聴覚の可聴周波数範囲内の音の形態での感覚出力をもたらすことになるという利点を提供するために、20Hz~20kHzの範囲内にあるように限られてもよい。コントローラは、二次信号が変調信号であるように構成されてもよい。例として、また限定することなく、変調信号は、キャリア信号上に周波数変調されてもよい。好都合なことに、キャリア信号と二次信号の両方は、20kHzを超えるそれぞれの周波数を有してもよい。
【0055】
本開示の第四の態様において、振動可能なトランスデューサを有するエアロゾル発生装置のプロセッサによって実行された時に、第三の態様に関して上述した方法をプロセッサに実行させる命令を格納している非一時的コンピュータ可読媒体が提供されている。非一時的コンピュータ可読媒体は、エアロゾル発生装置(第一の態様のエアロゾル発生装置など)の中に組み込まれることになることが好ましい。例として、また限定することなく、媒体は、計算メモリモジュールの形態を取ってもよい。好都合なことに、媒体は装置のコントローラの一部を形成してもよい。別の方法として、媒体は、コントローラと別個であるが、コントローラと通信可能に連結されてもよい。
【0056】
本発明は特許請求の範囲に定義されている。しかしながら、以下に非限定的な実施例の非網羅的なリストを提供している。これらの実施例の特徴のうちのいずれか一つ以上は、本明細書に記載の別の実施例、実施形態、または態様のうちのいずれか一つ以上の特徴と組み合わされてもよい。
【0057】
実施例1:液体エアロゾル形成基体をエアロゾル化するための振動可能なトランスデューサと、トランスデューサに連結されたコントローラとを備えるエアロゾル発生装置であって、コントローラが、トランスデューサを振動させるための駆動信号を提供するように構成されていて、駆動信号のすべてまたは一部が、ユーザーの聴覚とユーザーの触覚とのうち少なくとも一つによって検出可能なトランスデューサの感覚出力を定義する、エアロゾル発生装置。
【0058】
実施例2:駆動信号が振動可能なトランスデューサの一つ以上の共振周波数を含むようにコントローラが構成されている、実施例1に記載のエアロゾル発生装置。
【0059】
実施例3:駆動信号が振動可能なトランスデューサの一つ以上の共鳴周波数を含む第一の動作条件と、駆動信号が振動可能なトランスデューサの任意の共振周波数を除外する第二の動作条件との間でコントローラが切り替えるように動作可能である、実施例1に記載のエアロゾル発生装置。
【0060】
実施例4:トランスデューサが膜を備え、膜は、液体エアロゾル形成基体の通過のための複数のノズルが設けられたエアロゾル発生ゾーンを有する、実施例1~3のいずれか一つに記載のエアロゾル発生装置。
【0061】
実施例5:感覚出力がエアロゾル発生装置の状態を示すように駆動信号を調整するようにコントローラが構成されている、実施例1~4のいずれか一つに記載のエアロゾル発生装置。
【0062】
実施例6:状態が、エアロゾル発生装置の温度状態、エアロゾル発生装置のエネルギー状態、エアロゾル発生装置の不良状態、ユーザーがエアロゾル発生装置に対して行う吸煙の回数、およびエアロゾル発生装置の使用セッションの段階のうちの一つ以上を含む、実施例5に記載のエアロゾル発生装置。
【0063】
実施例7:エアロゾル発生装置が、光信号を発するように構成された光源をさらに備え、コントローラが、エアロゾル発生装置の状態を示すために、光源から発せられた光信号を調整するように構成されている、実施例5または実施例6のいずれか一つに記載のエアロゾル発生装置。
【0064】
実施例8:駆動信号が少なくとも一つの所定の周波数を含み、それによって感覚出力がその少なくとも一つの所定の周波数を含むように、コントローラが構成されている、実施例1~7のいずれかに記載のエアロゾル発生装置。
【0065】
実施例9:駆動信号が二つ以上の所定の周波数のシーケンスを含み、感覚出力がそのシーケンスを含むように、コントローラが構成されている、実施例8に記載のエアロゾル発生装置。
【0066】
実施例10:二つ以上の所定の周波数のシーケンスが一つ以上の発話語の聴覚出力を定義するようにコントローラが構成されている、実施例9に記載のエアロゾル発生装置。
【0067】
実施例11:少なくとも一つの所定の周波数が5kHz未満であるようにコントローラが構成されている、実施例10に記載のエアロゾル発生装置。
【0068】
実施例12:少なくとも一つの所定の周波数が、アップチャープおよびダウンチャープのうちの一つ以上を含む、実施例8~11のいずれか一つに記載のエアロゾル発生装置。
【0069】
実施例13:少なくとも一つの所定の周波数が0.1Hz~20kHzの範囲内にあるようにコントローラが構成されている、実施例8~12のいずれか一つに記載のエアロゾル発生装置。
【0070】
実施例14:駆動信号がキャリア信号および変調信号を含み、変調信号がキャリア信号上に変調されていて、変調信号が少なくとも一つの所定の周波数を含むように、コントローラが構成されている、実施例8~13のいずれか一つに記載のエアロゾル発生装置。
【0071】
実施例15:変調信号が、10%~100%の範囲の変調深度でキャリア信号上に振幅変調される、実施例14に記載のエアロゾル発生装置。
【0072】
実施例16:変調信号が、キャリア信号周波数の1%~50%の周波数偏差で、キャリア信号上に周波数変調される、実施例14または実施例15のいずれか一つに記載のエアロゾル発生装置。
【0073】
実施例17:駆動信号がキャリア信号と二次信号を含み、キャリア信号と二次信号の間の周波数差が所定の周波数を定義し、所定の周波数が20kHz以下であるように、コントローラが構成されている、実施例8~16のいずれか一つに記載のエアロゾル発生装置。
【0074】
実施例18:二次信号が変調信号であり、変調信号がキャリア信号上に周波数変調されるようにコントローラが構成されている、実施例17に記載のエアロゾル発生装置。
【0075】
実施例19:キャリア信号と二次信号の両方の周波数が20kHzよりも大きい、実施例17または実施例18のいずれか一つに記載のエアロゾル発生装置。
【0076】
実施例20:装置が、吸入可能なエアロゾルを発生するための喫煙物品である、実施例1~19のいずれか一つに記載のエアロゾル発生装置。
【0077】
実施例21:実施例1~20のいずれか一つに記載のエアロゾル発生装置を備え、振動可能なトランスデューサと流体連通している液体エアロゾル形成基体の貯蔵部をさらに備える、エアロゾル送達システム。
【0078】
実施例22:エアロゾル発生装置および貯蔵部を包含する細長いハウジングを備えるエアロゾル送達システムであって、細長いハウジングが遠位端および口側端を有し、マウスピースが口側端に提供されている、実施例21に記載のエアロゾル送達システム。
【0079】
実施例23:電源をさらに備えるエアロゾル送達システムであって、電源がコントローラに電力を提供するよう構成されていて、コントローラおよび電源が細長いハウジング内に包含されている、実施例22に記載のエアロゾル送達システム。
【0080】
実施例24:振動可能なトランスデューサを有するエアロゾル発生装置を動作する方法であって、方法が、トランスデューサを駆動信号で駆動することを含み、駆動信号のすべてまたは一部が、ユーザーの聴覚とユーザーの触覚とのうちの少なくとも一つによって検出可能なトランスデューサの感覚出力を定義する、方法。
【0081】
実施例25:液体エアロゾル形成基体の貯蔵部が、振動可能なトランスデューサと流体連通していて、方法が、感覚出力を提供すると同時に、液体エアロゾル形成基体の少なくとも一部分をエアロゾル化するためにトランスデューサを駆動することをさらに含む、実施例24に記載の方法。
【0082】
実施例26:方法が、液体エアロゾル形成基体の少なくとも一部分をエアロゾル化するために、振動可能なトランスデューサの一つ以上の共振周波数でトランスデューサを駆動することを含む、実施例24または実施例25のいずれか一つに記載の方法。
【0083】
実施例27:感覚出力がエアロゾル発生装置の状態を示すように駆動信号を調整することを方法が含む、実施例24~26のいずれか一つに記載の方法。
【0084】
実施例28:状態が、エアロゾル発生装置の温度状態、エアロゾル発生装置のエネルギー状態、エアロゾル発生装置の不良状態、ユーザーがエアロゾル発生装置に対して行う吸煙の回数、およびエアロゾル発生装置の使用セッションの段階のうちの一つ以上を含む、実施例27に記載の方法。
【0085】
実施例29:エアロゾル発生装置の状態を示すために、装置から発せられた光信号を調整することを方法がさらに含む、実施例27または実施例28のいずれか一つに記載の方法。
【0086】
実施例30:駆動信号が少なくとも一つの所定の周波数を含み、それによって感覚出力がその少なくとも一つの所定の周波数を含む、実施例24~29のいずれか一つに記載の方法。
【0087】
実施例31:少なくとも一つの所定の周波数が、第一の所定の周波数および第二の所定の周波数を含み、装置が第一の状態にある時に、第一の所定の周波数で振動するようにトランスデューサを駆動することと、装置が第二の状態にある時に、第二の所定の周波数で振動するようにトランスデューサを駆動することとを方法が含み、第一および第二の状態が相互に異なっていて、第一および第二の所定の周波数が相互に異なっている、実施例30に記載の方法。
【0088】
実施例32:駆動信号が二つ以上の所定の周波数のシーケンスを含み、感覚出力がそのシーケンスを含む、実施例30または実施例31のいずれか一つに記載の方法。
【0089】
実施例33:二つ以上の所定の周波数のシーケンスが、一つ以上の発話語の聴覚出力を定義する、実施例32に記載の方法。
【0090】
実施例34:少なくとも一つの所定の周波数が5kHz未満である、実施例33に記載の方法。
【0091】
実施例35:少なくとも一つの所定の周波数が、アップチャープおよびダウンチャープのうちの一つ以上を含む、実施例30~34のいずれか一つに記載の方法。
【0092】
実施例36:少なくとも一つの所定の周波数が0.1Hz~20kHzの範囲内にある、実施例30~35のいずれか一つに記載の方法。
【0093】
実施例37:方法が駆動信号でトランスデューサを駆動することを含み、駆動信号がキャリア信号および変調信号を含み、変調信号がキャリア信号上に変調され、変調信号が少なくとも一つの所定の周波数を含む、実施例30~36のいずれか一つに記載の方法。
【0094】
実施例38:変調信号が、10%~100%の範囲の変調深度でキャリア信号上に振幅変調される、実施例37に記載の方法。
【0095】
実施例39:変調信号が、キャリア信号周波数の1%~50%の周波数偏差で、キャリア信号上に周波数変調される、実施例37または実施例38のいずれか一つに記載の方法。
【0096】
実施例40:方法が、トランスデューサを駆動信号で駆動することを含み、駆動信号がキャリア信号と二次信号を含み、キャリア信号と二次信号の間の周波数差が所定の周波数を定義し、所定の周波数が20kHz以下である、実施例30~39のいずれか一つに記載の方法。
【0097】
実施例41:二次信号が変調信号であり、変調信号がキャリア信号上に周波数変調される、実施例40に記載の方法。
【0098】
実施例42:振動可能なトランスデューサを有するエアロゾル発生装置のプロセッサによって実行された時に、実施例24~41のいずれかに記載の方法をプロセッサに実行させる命令を格納している非一時的コンピュータ可読媒体。
【図面の簡単な説明】
【0099】
ここで、以下の図を参照しながら実施例をさらに説明する。
【0100】
【
図1】
図1は、吸入可能なエアロゾルを発生するための喫煙システムの形態であるエアロゾル送達システムの第一の実施形態の概略図を示す。
【
図2】
図2は、エアロゾル送達システムの第二の実施形態の概略図を示し、第二の実施形態は
図1に図示した喫煙システムよりも一般化されている。
【
図3】
図3は、
図1および
図2のエアロゾル送達システムで使用される通りの振動可能なトランスデューサの斜視図を示す。
【
図4】
図4は、
図1のエアロゾル送達システムで使用される振動可能なトランスデューサの膜の平面図を示す。
【
図5】
図5は、第一の例示的な駆動信号によって駆動された時の、
図3の振動可能なトランスデューサの膜の周波数応答を図示するグラフを示す。
【
図6】
図6は、
図3の振動可能なトランスデューサに適用される通りの第二の例示的な駆動信号を示す。
【
図7】
図7は、
図6の第二の例示的な駆動信号によって駆動された時の、
図3の振動可能なトランスデューサの膜の周波数応答を図示するグラフを示す。
【
図8】
図8は、
図3の振動可能なトランスデューサに適用される通りの第三の例示的な駆動信号を示す。
【
図9】
図9は、
図8の第三の例示的な駆動信号によって駆動された時の、
図3の振動可能なトランスデューサの膜の周波数応答を図示するグラフを示す。
【
図10】
図10は、第四の例示的な駆動信号によって駆動された時の、
図3の振動可能なトランスデューサの膜の周波数応答を図示するグラフを示す。
【
図11】
図11は、
図3の振動可能なトランスデューサに適用される通りの第五の例示的な駆動信号を示す。
【
図12】
図12は、
図11の第五の例示的な駆動信号によって駆動された時の、
図3の振動可能なトランスデューサの膜の周波数応答を図示するグラフを示す。
【発明を実施するための形態】
【0101】
図1は、エアロゾル送達システム10の概略図である。
図1に示す実施形態の場合、エアロゾル送達システム10は、吸入可能なエアロゾル11を発生するための喫煙システムである。システム10は、エアロゾル発生装置20とカートリッジ30とを有する。カートリッジ30は、液体エアロゾル形成基体の貯蔵部301を包含する。示された実施形態の場合、カートリッジ30(破線で図示)は、エアロゾル送達システム10の交換可能な構成要素であり、エアロゾル発生装置20は異なるカートリッジ30で再使用可能である。
【0102】
エアロゾル発生装置20は、細長いハウジング21を有する。細長いハウジング21は、電源22、コントローラ23、液体供給アセンブリ24、振動可能なトランスデューサ25を包含する。電源22は、コントローラ23と、振動可能なトランスデューサ25とに連結されていて、それらに電力を提供する。示された実施形態の場合、電源22は、電力源としての役割を果たす再充電可能電池である。コントローラ23は、振動可能なトランスデューサに電気駆動信号を提供することを含む、振動可能なトランスデューサ25の動作を制御するように構成されている。示された実施形態の場合、コントローラ23は制御電子機器の形態を取り、振動可能なトランスデューサ25の動作を制御するために、コントローラのプロセッサ(図示せず)によってアクセス可能な命令を包含するメモリモジュール23aを組み込む。代替的な一実施形態(図示せず)において、コントローラ23はまた、電池が充電ユニットに連結されている時に、再充電可能電池22の充電を制御する役割を果たす。振動可能なトランスデューサ25は、環状圧電アクチュエータ251および膜252を有する。液体供給アセンブリ24は、貯蔵部301から膜252の内向き表面に液体を漸進的に供給するために、カートリッジ30と膜252の間に延びるウィッキング材料の形態である。代替的な一実施形態(図示せず)において、液体供給アセンブリ24は、電源22によって電力供給されるポンプである。細長いハウジング21は、遠位端26および口側端27を有する。マウスピース28は、ハウジング21の口側端27に提供されている。細長いハウジング21は、カートリッジ30をハウジングから取り外して交換することを可能にするように適合されている。
【0103】
図2は、エアロゾル送達システム10の第二の実施形態の構成要素のより一般化された図を示す。
図1および
図2において、同一の特徴について同様の参照符号が使用されている。
図2に示す通り、コントローラ23は、複合電圧調整器/充電回路231、制御ユニット232、アンプ233、電圧/電流感知回路234を含む。制御ユニット232は、
図1の実施形態について上述したメモリモジュール23aを組み込む。
図2はまた、コントローラとの双方向通信のためにコントローラ23に連結されたユーザーインターフェース235の存在を示す。ユーザーインターフェース235は、エアロゾル送達システム10を起動するための起動ボタン(図示せず)を含む。ユーザーインターフェース235はまた、LEDの形態の光源2351を含む。
図2の破線は、エアロゾル送達システム10のエアロゾル発生装置20を形成する構成要素を囲む。
【0104】
図3は、平面内、すなわち矢印Aの方向に見た時に概して円形である。振動可能なトランスデューサ25の斜視図を示す。アクチュエータ251は環状であり、連続的なリングの形態を有する。アクチュエータ251は、上半分2511および下半分2512を有する。膜252は、アクチュエータ251の上半分2511と下半分2512の間に固定されている。示された実施形態において、膜252はポリマー材料で形成されている。しかしながら、上述の通り、膜252に対して他の材料が選択されてもよく、膜材料は、液体エアロゾル形成基体の組成物との化学的反応が最小限またはゼロである材料である。
【0105】
図4は、振動可能なトランスデューサ25の膜252の平面図、すなわち
図3の矢印Aの方向に見た時の図を示す。便宜上、アクチュエータ251は
図4から除外されている。膜252は、平面図において円形である。膜252は、エアロゾル発生ゾーン2521(
図4において、その外周部が破線で表されている)を有する。エアロゾル発生ゾーン2521には、複数のノズル2522(
図4において、点模様で表されている)が設けられている。ノズル2522は、膜252の厚さを通って延びる穴の形態である。
図4に示す実施形態の場合、複数のノズル2522は、エアロゾル発生ゾーン2521の二つの環状領域2523、2524内に排他的に位置する。代替的な一実施形態(図示せず)において、ノズル2522は代わりに、エアロゾル発生ゾーン2521の表面積全体にわたって均一に分布している。環状ギャップ2525は、膜252の外周部とエアロゾル発生ゾーン2511の外周部との間に存在する。環状ギャップ2525は
図3に示す通り、アクチュエータ251の上半分2511および下半分2512が膜252に連結されるのを可能にする空間を提供する。
【0106】
振動可能なトランスデューサ25は、コントローラ23によってアクチュエータ251に提供される電気駆動信号によって起動される。コントローラ23は、メモリモジュール23aにアクセスし、メモリモジュール23aに格納された命令に従って駆動信号を発生する。駆動信号は、機械的振動信号がアクチュエータ251から出力されるという結果をもたらす。アクチュエータ251の機械的振動信号は次に、膜252の振動を誘発する。エアロゾル発生システム10の使用時に、液体エアロゾル形成基体は、貯蔵部301から膜252の内向き表面に供給される。液体エアロゾル形成基体の一部分が、ノズル2522を通して付勢され、エアロゾル液滴11の噴霧として膜の外向き表面から放射されるのに十分に強い膜252の振動応答を誘導するように、駆動信号の電圧の振幅および駆動信号の周波数構成は、コントローラ23によって定義される(
図1および
図2を参照)。しかしながら、様々な実施形態に関して以下でより詳細に記載される通り、コントローラ23によって発生した駆動信号はまた、エアロゾル送達システム10のユーザーの聴覚または触覚の一方または両方によって検出可能なトランスデューサ25の感覚出力40(
図1および
図2を参照)を定義する。
【0107】
図5を参照して記載した第一の実施例において、コントローラ23は、振動可能なトランスデューサ25に適用するための第一の例示的な駆動信号を発生する。第一の例示的な駆動信号は、135kHzの周波数を有する正弦キャリア波の形態を取り、キャリア波は、15kHzの周波数を有する変調波によって100%の深度で振幅変調される。キャリア波の周波数は、トランスデューサ25の膜252の共振周波数(~135kHz)のうちの一つと実質的に一致する。この駆動信号を振動可能なトランスデューサ25に適用すると、二つの効果が生じる。第一の効果は、駆動信号のキャリア波が、膜の共振周波数135kHzに対応する膜252の振動モードを励起することである。十分なエネルギーを有するキャリア波に応じて、膜252の振動応答は、液体エアロゾル形成基体の一部分が膜のノズル2522を通して付勢され、エアロゾル液滴11の噴霧として放射されるのに十分に強いものとなる(
図1および2を参照)。キャリア波の振幅は、キャリア波のエネルギーを示す。第二の効果は、駆動信号の変調波が、15kHz(すなわち、人間の聴覚の可聴周波数範囲内)の可聴感覚出力40を発生するように、アクチュエータ251と膜252のいずれかまたは両方を振動させるという結果をもたらすことである。
図5のグラフの右側部分は、15kHz(すなわち、可聴感覚出力40を表す)の膜252の周波数応答における対応するピークを示す。この実施例において、膜252は、ラウドスピーカーの振動板のように働くと考えることができる。駆動信号中に存在する変調波はまた、エアロゾル発生物品のハウジング21の一部の振動応答をもたらしてもよく、この振動は、例えば装置20を保持するユーザーの指を介して、ユーザーにとって検出可能な触覚出力40を提供する。他の実施形態において、キャリア波および変調波のために他の周波数が選択されてもよい。例えば、キャリア波の周波数は、膜252の特定の共振周波数に従って選択されてもよい。同様に、変調波の周波数も、所望の特定の可聴感覚出力40に従って選択されてもよい。
【0108】
図6および
図7を参照して記載した第二の実施例において、コントローラ23は、振動可能なトランスデューサ25に適用するための第二の例示的な駆動信号を発生する。この第二の実施例は、キャリア波が代わりに、上記で考察した第一の例の15kHzではなく、わずか5kHzの周波数を有する変調波によって変調されるという点で、第一の例と異なる。
図6は、この第二の実施例の駆動信号の電圧の振幅における時間に伴う変化を図示する。この第二の実施例において、駆動信号の変調波は、5kHzだけでなく、10kHzおよび15kHzの高調波周波数(これも人間の可聴範囲内)の可聴感覚出力40を発生するように、アクチュエータ251および膜252のいずれかまたは両方を振動させるという結果をもたらす。これら三つの可聴周波数ピークは、
図7のグラフで見ることができる。この第二の実施例に対する変形において、フィルター(高バンドフィルターまたは低バンドフィルターなど)を使用して、高次高調波周波数を減衰させ、わずか5kHzから成る可聴感覚出力40を提供しうる。第一の実施例に関して、駆動信号中に存在する変調波はまた、エアロゾル発生装置20のハウジング21の一部の振動応答をもたらしてもよく、この振動は、例えば装置20を保持するユーザーの指を介して、ユーザーにとって検出可能な触覚出力40を提供する。
【0109】
図8および
図9を参照して記載した第三の実施例において、コントローラ23は、振動可能なトランスデューサ25に適用するための第三の例示的な駆動信号を発生する。この第三の実施例は、キャリア波が代わりに、13kHzの周波数を有する変調波によって10kHzの偏差で周波数変調されるという点で、第一の例および第二の例と異なる。
図8は、この第三の実施例の駆動信号の電圧の振幅における時間に伴う変化を図示する。
図9は、駆動信号の変調波が、13kHz(すなわち、人間の聴覚の可聴周波数範囲内)の可聴感覚出力40を発生するように、アクチュエータ251および膜252のいずれかまたは両方を振動させるという結果をもたらすことを示す。第一および第二の実施例に関して、駆動信号中に存在する変調波はまた、エアロゾル発生装置20のハウジング21の一部の振動応答をもたらしてもよく、この振動は、例えば装置20を保持するユーザーの指を介して、ユーザーにとって検出可能な触覚出力40を提供する。
【0110】
図10を参照して記載した第四の実施例において、コントローラ23は、振動可能なトランスデューサ25に適用するための第四の例示的な駆動信号を発生する。この第四の実施例は、キャリア波が代わりに、7kHzの周波数を有する変調波によって周波数変調されるという点で、第一、第二、および第三の実施例と異なる。この第四の実施例において、駆動信号の変調波は、7kHzの可聴感覚出力40を発生するように、アクチュエータ251および膜252のいずれかまたは両方が振動するという結果をもたらす(
図10を参照)。追加的に、
図10でも分かる通り、14kHzおよび21kHzの高調波周波数も出力される。しかしながら、21kHzは人間の聴覚の一般的に認められている可聴周波数範囲外であるため、7kHzおよび14kHzでの音のみがユーザーの聴覚によって感知されることになる。第一、第二および第三の実施例に関して、駆動信号中に存在する変調波はまた、エアロゾル発生装置20のハウジング21の一部の振動応答をもたらしてもよく、この振動は、例えば装置20を保持するユーザーの指を介して、ユーザーにとって検出可能な触覚出力40を提供する。
【0111】
図11および
図12を参照して記載した第五の実施例において、コントローラ23は、振動可能なトランスデューサ25に適用するための第五の例示的な駆動信号を発生する。しかしながら、この第五の実施例は、人間の聴覚の可聴周波数範囲の周波数を有する変調波を使用しない。むしろ、この第五の実施例において、コントローラ23は、50kHzの周波数を有する正弦キャリア波の形態を有する駆動信号を発生するように構成されていて、このキャリア波周波数は、38kHzの周波数を有する変調波によって変調される。
図11は、この第五の実施例の駆動信号の電圧の振幅における時間に伴う変化を図示する。この第五の実施例において、キャリア波の50kHzと変調波の38kHzとの間の周波数の差は、
図12のピークによって図示の通り、12kHzの周波数(=50kHzから38kHzを引く)での拍子の可聴パターンをもたらす。
【0112】
上述の実施形態および実施例のいずれかに適用されうる変形において、コントローラ23は、エアロゾル発生装置20の状態に従って聴覚出力または触覚出力40の性質を変化させるように、振動可能なトランスデューサ25を励起するために使用される駆動信号の組成を調整する。一つの実施形態において、コントローラ23は、電源22が、装置20(またはその構成要素部分(複数可))に給電するのに十分なエネルギーを有しない第一の状態に対応する第一の駆動信号を提供するように構成されていて、コントローラはまた、装置22が使用セッションの特定の段階にある第二の状態に対応する第二の駆動信号を提供するように構成されている。第一および第二の駆動信号はそれぞれ、キャリア波が変調波によって変調される共通のキャリア波を使用する。しかしながら、第一および第二の駆動信号は、それぞれの変調波の周波数において異なり、第一の駆動信号は1kHzの周波数を有する変調波を使用し、第二の駆動信号は4kHzの周波数を有する変調波を使用する。コントローラ23は、エアロゾル発生装置20が第一の状態にある時に、第一の駆動信号を振動可能なトランスデューサ25に提供し、装置が第二の状態にある時に、第二の駆動信号を振動可能なトランスデューサに提供する。これは、トランスデューサ25の膜252が、エアロゾル発生装置20が第一の状態にある時に、1kHzの可聴音の形態で感覚出力40を出力するように振動し、装置が第二の状態にある時に、4kHzの可聴音の形態で異なる感覚出力40を出力するように振動するという結果をもたらす。この実施形態に対する変形において、コントローラ23はまた、LED光源2351(
図2を参照)を制御して、エアロゾル発生装置20が第一の状態にある時に赤色光のパルスの第一の光信号を発し、エアロゾル発生装置が第二の状態にある時に黄色光のパルスの第二の光信号を発する。
【0113】
上述の実施形態および実施例のいずれかに適用されうるさらに別の変形において、コントローラ23は、第一の動作モードおよび第二の動作モードを有するように構成されていて、第一の動作モードは、エアロゾル発生装置20のエアロゾル発生モードであり、第二の動作モードは、装置20の非エアロゾル発生モードである。エアロゾル発生モードにおいて、駆動信号のキャリア波は、膜252の一つ以上の共振周波数を含むことになる。非エアロゾル発生モードにおいて、キャリア波は、膜252の共振周波数のいずれかを除外することになり、それによって膜252の振動応答を、膜のノズル2522から排出される液体エアロゾル形成基体のエアロゾル液滴がなくなるか、または無視できる程度まで減少させる。この代替的な実施形態において、コントローラ23は、メモリモジュール23aの命令、またはユーザーインターフェース235を介してコントローラ23に提供されたユーザー入力に従って、第一の動作モードと第二の動作モードの間で切り替えることができる。従って、エアロゾル発生装置22が、エアロゾル噴霧が望まれないスタンバイモードにある場合、コントローラ23は非エアロゾル発生モードを選択し、その一方で装置22が、エアロゾルの噴霧が望まれる「オン」モードにある場合、コントローラ23はエアロゾル発生モードを選択する。
【0114】
本明細書および添付の特許請求の範囲の目的において、別途示されていない限り、量(amounts)、量(quantities)、割合などを表すすべての数字は、すべての場合において用語「約」によって修飾されるものとして理解されるべきである。また、すべての範囲は、開示された最大点および最小点を含み、かつその中の任意の中間範囲を含み、これらは本明細書に具体的に列挙されている場合もあり、列挙されていない場合もある。従って、この文脈において、数字「A」は「A」±10%として理解される。この文脈内で、数字「A」は、数字「A」が修正する特性の測定値に対する一般的な標準誤差内にある数値を含むと考えられてもよい。数字「A」は、添付の特許請求の範囲で使用される通りの一部の場合において、「A」が逸脱する量が特許請求する本発明の基本的かつ新規の特性(複数可)に実質的に影響を及ぼさないという条件で、上記に列挙された割合だけ逸脱してもよい。また、すべての範囲は、開示された最大点および最小点を含み、かつその中の任意の中間範囲を含み、これらは本明細書に具体的に列挙されている場合もあり、列挙されていない場合もある。
【国際調査報告】