(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-29
(54)【発明の名称】アンテナを格納するシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
H01Q 1/48 20060101AFI20231121BHJP
H01Q 21/24 20060101ALI20231121BHJP
H01Q 21/28 20060101ALI20231121BHJP
H01Q 3/24 20060101ALI20231121BHJP
H01Q 1/52 20060101ALI20231121BHJP
H01Q 23/00 20060101ALI20231121BHJP
【FI】
H01Q1/48
H01Q21/24
H01Q21/28
H01Q3/24
H01Q1/52
H01Q23/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023526322
(86)(22)【出願日】2021-11-08
(85)【翻訳文提出日】2023-06-28
(86)【国際出願番号】 CA2021051591
(87)【国際公開番号】W WO2022094729
(87)【国際公開日】2022-05-12
(32)【優先日】2020-11-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】517351983
【氏名又は名称】デジェロ ラブス インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】弁理士法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】バロー,アンドリュー
(72)【発明者】
【氏名】クナラトナム,サナンジャゲン
(72)【発明者】
【氏名】エラガ,アラ エフ.
(72)【発明者】
【氏名】オベホルザー,ジョナサン
(72)【発明者】
【氏名】シュナイダー,アンソニー トッド
(72)【発明者】
【氏名】スミス,キャメロン ケネス
【テーマコード(参考)】
5J021
5J046
【Fターム(参考)】
5J021AA06
5J021AA12
5J021AB02
5J021AB05
5J021AB06
5J021GA01
5J021JA02
5J021JA03
5J046AA03
5J046AB06
5J046AB07
5J046AB08
5J046AB10
5J046AB13
5J046UA02
(57)【要約】
マルチ無線および/またはマルチアンテナ・シャーシが、いくつかの実施形態で、動作の方法、およびプロセッサ上で実行されて動作の方法を実行する機械解釈可能命令を記憶する非一過性の計算機可読媒体と共に記載される。変形形態が、ボンディングされた接続を確立するための、アンテナの一つまたは複数の使用に関して記載され、これにより、アンテナの一つまたは複数のサブセットが、データ・パケット伝送のための一つまたは複数の接続を動作させるよう呼応して動作するように調整され、動作しているアンテナ間においてはエネルギー損失の問題が低減される。本明細書に記載された手法を、例えば、複数のワイドバンド・アンテナを用いて動作させて、マスタ/プライマリデータ通信装置に結合することができるマルチモデム通信装置を提供することができる。
【選択図】
図3E
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の無線機にまたがる電子通信を提供するマルチモデム通信装置であって、
前記電子通信用の電気的カウンターポイズを提供するように適合された中央筐体シャーシであって、無線周波数シールドを提供する材料を含んでなる中央筐体シャーシと;
それぞれが前記中央筐体シャーシに結合され、それぞれが前記マルチモデム通信装置によって提供される複数のモデムの一つのモデムに対応し、それぞれが同様の周波数帯で動作する、複数のアンテナと;を具備し、
前記複数のモデムの一つのモデムに対応する前記複数のアンテナのそれぞれが、前記複数のモデムの前記一つのモデムに使用されている他のアンテナ間の見通しを最小化するように、前記中央筐体シャーシ上に位置する、または前記中央筐体シャーシ上に構成される、マルチモデム通信装置。
【請求項2】
前記複数のアンテナの各アンテナが、折り曲げの配向を有する折り曲げられたアンテナであり、前記中央筐体シャーシへのそれらのカップリングに関連する前記複数のアンテナの各隣接するアンテナが、他の隣接するアンテナに対して異なる配向で折り曲げられる、請求項1に記載のマルチモデム通信装置。
【請求項3】
前記異なる配向での前記折り曲げが、隣接するアンテナ間の干渉を低減させるために互いに対して鏡像折り曲げを有する隣接するアンテナを含む、請求項2に記載のマルチモデム通信装置。
【請求項4】
前記複数のモデムの各モデムが、前記複数のアンテナの第1の対応するアンテナおよび第2の対応するアンテナを利用し、前記第1の対応するアンテナが、前記第2の対応するアンテナに対して前記中央筐体シャーシ上の幾何学的に反対側の位置に結合され、
前記中央筐体シャーシの物理的な幾何学的特徴が、前記第1の対応するアンテナと前記第2の対応するアンテナとの間の見通しを遮断する、請求項1に記載のマルチモデム通信装置。
【請求項5】
前記複数のモデムが、一対の対応するアンテナをそれぞれ有する第1、第2、および第3のモデムを含み、前記第1モデムおよび前記第2モデムの前記対応する対が、前記中央筐体シャーシを斜めにまたいで結合され、前記第3モデムの前記対応する対が、前記中央筐体シャーシの中央をまたいで互いに反対側に結合される、請求項1に記載のマルチモデム通信装置。
【請求項6】
前記複数のモデムが、約600MHzから約6000MHzの間に存在する周波数帯で動作し、前記複数のモデムの各モデムが、前記周波数帯の範囲内の周波数帯で動作する、請求項1に記載のマルチモデム通信装置。
【請求項7】
前記複数のモデムがそれぞれ、異なる周波数帯、異なる加入者識別モジュール(SIM)を使用して動作する、または異なるキャリアネットワークに接続する、請求項1に記載のマルチモデム通信装置。
【請求項8】
通信コントローラサブモジュールが、前記複数のモデムの各モデムの通信の一つまたは複数の性能パラメータを定期的または連続的に測定するように、そして前記複数のモデムの一つまたは複数のモデムにまたがる電子通信の制御において前記一つまたは複数の性能パラメータを利用するように構成される、請求項6に記載のマルチモデム通信装置。
【請求項9】
前記複数のモデムの各モデムによって提供される各接続をボンディングして、集約されたデータ通信パイプラインをデータ通信用に提供し、前記一つまたは複数の性能パラメータを利用して、特定のキャリアへの前記複数のモデムの割り当てを決定する、請求項8に記載のマルチモデム通信装置。
【請求項10】
前記一つまたは複数の性能パラメータに基づいて最高性能のキャリアを選択して、前記複数のモデムの各モデムに割り当てる、請求項8に記載のマルチモデム通信装置。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか一項に記載のマルチモデム通信装置であって、ローカルエリア・ネットワーク内のマスタデータ通信装置へのローカルエリア・データ接続を具備し、前記マスタデータ通信装置が、前記マルチモデム通信装置と相互動作し、前記複数のアンテナおよび前記複数のモデムを使用してワイドエリア・データ通信を確立して、セルラー・ネットワークに接続する、マルチモデム通信装置。
【請求項12】
前記ワイドエリア・データ接続が、前記マスタデータ通信装置によって利用可能である仮想モデム接続としてマッピングされ、前記マスタデータ通信装置が、前記マルチモデム通信装置を制御して前記ワイドエリア・データ接続を利用する、請求項11に記載のマルチモデム通信装置。
【請求項13】
前記マスタデータ通信装置によって利用可能な前記仮想モデム接続が、前記マスタデータ通信装置の既存のモデム接続を置き換える、請求項11に記載のマルチモデム通信装置。
【請求項14】
前記マスタデータ通信装置によって利用可能な前記仮想モデム接続が、前記マスタデータ通信装置の既存のモデム接続を増強し、前記仮想モデム接続および前記既存のモデム接続のサブセットまたはすべてがいっしょにブレンドされて、集約またはボンディングされたネットワーク接続を形成する、請求項11に記載のマルチモデム通信装置。
【請求項15】
前記仮想モデム接続および前記既存のモデム接続の第1のサブセットが、データ・パケットの第1の分類を通信するのに利用されまたは割り当てられ、前記第1のサブセットが、前記仮想モデム接続および前記既存のモデム接続の他の接続に対して、より低いレイテンシを有する、請求項14に記載のマルチモデム通信装置。
【請求項16】
前記仮想モデム接続および前記既存のモデム接続の残りのサブセットが、バルクデータ通信の処理に利用されるまたは割り当てられる、請求項15に記載のマルチモデム通信装置。
【請求項17】
前記ワイドエリア・データ接続の接続のブレンディングを制御して、前記マスタデータ通信装置へまたはそこからデータ・パケットを通信するように、前記マルチモデム通信装置がさらに構成される、請求項11に記載のマルチモデム通信装置。
【請求項18】
前記既存のモデム接続の通信能力を超えるデータ通信リソースを要求するイベントにおいて、前記仮想モデム接続がスピルオーバー接続を割り当てられる、請求項14に記載のマルチモデム通信装置。
【請求項19】
前記マスタデータ通信装置によって利用可能な前記仮想モデム接続が、前記仮想モデム接続のそれぞれの通信特性を評価するように、テストデータ・プローブ・パケットを使用して定期的にインタロゲートされる、請求項11に記載のマルチモデム通信装置。
【請求項20】
前記仮想モデム接続のそれぞれの前記評価された通信特性が、少なくとも受信信号強度指標(RSSI)尺度を含み、前記仮想モデム接続が、閾値RSSI値より大きいRSSI尺度を有する前記仮想モデム接続のみが前記ワイドエリア・データ通信に使用されることになるように、前記RSSI尺度に基づいてランク付けされる、請求項19記載のマルチモデム通信装置。
【請求項21】
複数のマルチモデム通信装置が、前記ローカルエリア・ネットワーク内の前記マスタデータ通信装置に結合される、請求項11~20のいずれか一項に記載のマルチモデム通信装置。
【請求項22】
前記複数のマルチモデム通信装置が、前記マスタデータ通信装置への異なる接続のダイバーシティを前記仮想モデム接続が提供するように、静置された物理的構造の異なる場所にそれぞれ物理的に位置する、請求項21に記載のマルチモデム通信装置。
【請求項23】
前記複数のマルチモデム通信装置の通信能力を、初期設定時の初期化処理時に評価し、評価された前記通信能力を利用して、前記マスタデータ通信装置による使用に向けて前記仮想モデム接続をランク付けし、このランク付けを、ブレンディングの技術または規則に基づいて、より高くランク付けされた仮想モデム接続を前記マスタデータ通信装置が優先的に利用するように行う、請求項22に記載のマルチモデム通信装置。
【請求項24】
前記静置された物理的構造の異なる場所が、前記静置された物理的構造から延びる異なる方向に面する前記静置された物理的構造の異なる面である、請求項22に記載のマルチモデム通信装置。
【請求項25】
前記複数のマルチモデム通信装置が、前記マスタデータ通信装置への異なる接続のダイバーシティを前記仮想モデム接続が提供するように、乗り物の異なる場所にそれぞれ物理的に位置する、請求項21に記載のマルチモデム通信装置。
【請求項26】
前記乗り物が、自動車または航空機であり、前記マスタデータ通信装置が、前記乗り物に搭載されたインフォテインメント・システムであり、前記複数のマルチモデム通信装置が、前記乗り物の前部に向けて配置された第1のマルチモデム通信装置と、前記乗り物の後部に向けて配置された第2のマルチモデム通信装置とを少なくとも含む、請求項24に記載のマルチモデム通信装置。
【請求項27】
前記第1のマルチモデム通信装置の前記仮想モデム接続が、第1の優先順位のデータ通信に利用され、前記第2のマルチモデム通信装置の前記仮想モデム接続が、第2の優先順位のデータ通信に利用され、前記第1および第2の優先順位が、前記仮想モデム接続の前記評価された通信能力に基づいてランク付けされる、請求項26に記載のマルチモデム通信装置。
【請求項28】
前記乗り物が、複数に区分された乗り物であり、前記マスタデータ通信装置が、前記複数に区分された乗り物に搭載されたインフォテインメント・システムであり、前記複数のマルチモデム通信装置が、前記複数に区分された乗り物の第1の区分上に位置する第1のマルチモデム通信装置と、前記複数に区分された乗り物の第2の区分上に位置する第2のマルチモデム通信装置とを少なくとも含む、請求項24に記載のマルチモデム通信装置。
【請求項29】
前記複数に区分された乗り物の動作時に、前記第2のマルチモデム通信装置が、前記第1のマルチモデム通信装置の接続性が劣悪であるにもかかわらず、前記マスタデータ通信装置用に信頼できるデータ通信を提供することができるように、前記複数に区分された乗り物の前記第1の区分が、前記複数に区分された乗り物の前記第2の区分とは異なるスペクトル環境にある、請求項28記載のマルチモデム通信装置。
【請求項30】
前記マルチモデム通信装置のそれぞれが、前記乗り物が経路に沿って移動する際に、定期的に評価されて実時間またはほぼ実時間での接続条件を決定する、請求項25に記載のマルチモデム通信装置。
【請求項31】
請求項1~30のいずれか一項に記載のマルチモデム通信装置であって、前記中央筐体シャーシが、前記複数のアンテナの一つのアンテナにそれぞれ対応する複数の取り付け点を含み;
前記複数の取り付け点のそれぞれが、前記対応するアンテナを配置または配向させて前記複数のアンテナの少なくとも二つのアンテナ間のカップリング効果を低減させるように適合される、マルチモデム通信装置。
【請求項32】
前記複数のアンテナの少なくとも一つのアンテナがワイドバンド・アンテナである、請求項31に記載のマルチモデム通信装置。
【請求項33】
前記複数のアンテナの第1のセットのアンテナがいっしょに利用されて、第1のボンディングされた接続を形成する、請求項32に記載のマルチモデム通信装置。
【請求項34】
前記第1のセットのアンテナの第1のサブセットのアンテナが誤り制御機能を割り当てられ、前記第2のセットのアンテナの第2のサブセットのアンテナがデータ転送機能を割り当てられる、請求項33記載のマルチモデム通信装置。
【請求項35】
前記複数の取り付け点が、複数の調整可能な取り付け表面を含み、その調整がコントローラ回路によって制御されて、前記複数のアンテナの少なくとも二つのアンテナ間のカップリング効果をさらに低減させる、請求項31に記載のマルチモデム通信装置。
【請求項36】
前記複数のアンテナの第2のセットのアンテナが、いっしょに利用されて第2のボンディングされた接続を形成し、前記第1のセットおよび前記第2のセットのアンテナが選択され使用されて、前記複数のアンテナの少なくとも二つのアンテナ間のカップリング効果を低減させる、請求項33に記載のマルチモデム通信装置。
【請求項37】
前記複数のアンテナの少なくとも一つのアンテナの形状または配向が修正されて、前記複数のアンテナの少なくとも二つのアンテナ間のカップリング効果を低減させる、請求項31に記載のマルチモデム通信装置。
【請求項38】
前記修正された複数のアンテナの少なくとも一つのアンテナの前記形状または前記配向が、前記少なくとも一つのアンテナの折り曲げを含む、請求項37に記載のマルチモデム通信装置。
【請求項39】
前記筐体が、電子構成要素またはストレージ開口部をさらに含む、請求項31に記載のマルチモデム通信装置。
【請求項40】
複数の筐体が、一つまたは複数の標的装置と連携して通信するように構成される、請求項31に記載のマルチモデム通信装置。
【請求項41】
電子通信用の電気的カウンターポイズを提供するように適合された中央筐体シャーシを有する複数の無線機にまたがる電子通信を提供するマルチモデム通信装置を動作させる方法であって、前記中央筐体シャーシが、無線周波数シールドを提供する材料と;それぞれが前記中央筐体シャーシに結合され、それぞれが前記マルチモデム通信装置によって提供される複数のモデムの一つのモデムに対応し、それぞれが同様の周波数帯で動作する複数のアンテナと、を具備し;前記複数のモデムの一つのモデムに対応する前記複数のアンテナのそれぞれが、中央筐体シャーシ上に位置して、または中央筐体シャーシ上に構成されて、前記複数のモデムの前記一つのモデムに用いられている他のアンテナ間の見通しを最小限にし:
ローカルエリア・ネットワーク内のマスタデータ通信装置へのローカルエリア・データ接続を確立することと;
前記マスタデータ通信装置によって、前記マルチモデム通信装置と相互動作して、前記複数のアンテナまたは前記複数のモデムを用いてワイドエリア・データ通信を確立して、セルラー・ネットワークに接続することと、を含んでなる、方法。
【請求項42】
前記ワイドエリア・データ接続が、前記マスタデータ通信装置によって利用可能な仮想モデム接続としてマッピングされ、前記マスタデータ通信装置が、前記マルチモデム通信装置を制御して前記ワイドエリア・データ接続を使用する、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記マスタデータ通信装置によって利用可能な前記仮想モデム接続が、前記マスタデータ通信装置の既存のモデム接続を置き換える、請求項41に記載の方法。
【請求項44】
前記マスタデータ通信装置によって利用可能な前記仮想モデム接続が、前記マスタデータ通信装置の既存のモデム接続を増強し、これを、前記仮想モデム接続および前記既存のモデム接続のサブセットまたはすべてがいっしょにブレンドされて、集約またはボンディングされたネットワーク接続を形成するように行う、請求項41に記載の方法。
【請求項45】
前記仮想モデム接続および前記既存のモデム接続の第1のサブセットが利用されてまたは割り当てられて、パケットの第1のフロー分類を通信し、前記第1のサブセットが、前記仮想モデム接続および前記既存のモデム接続の他の接続と比較して、より低いレイテンシを有する、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記仮想モデム接続および前記既存のモデム接続の残りのサブセットが利用されてまたは割り当てられて、バルクデータ通信を処理する、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記ワイドエリア・データ接続の接続のブレンディングを制御して、前記マスタデータ通信装置へまたはそこからデータ・パケットを通信するように、前記マルチモデム通信装置がさらに構成される、請求項44に記載の方法。
【請求項48】
データ通信リソースの要求が前記既存のモデム接続の通信能力を超える場合に、前記仮想モデム接続がスピルオーバー接続を割り当てられる、請求項44に記載の方法。
【請求項49】
前記マスタデータ通信装置によって利用可能な前記仮想モデム接続が、異なるキャリアを使用する前記仮想モデム接続のそれぞれの通信特性を評価するように、テストデータ・プローブ・パケットを用いて定期的にインタロゲートされて、最も高く評価された通信特性を有するキャリアに基づいてキャリアをそれぞれ割り当てられる、請求項41に記載の方法。
【請求項50】
前記仮想モデム接続のそれぞれの前記評価された通信特性が、少なくとも受信信号強度指標(RSSI)尺度を含み、前記仮想モデム接続が、閾値RSSI値より大きいRSSI尺度を有する前記仮想モデム接続のみが前記ワイドエリア・データ通信に使用されるように、前記RSSI尺度に基づきランク付けされる、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
プロセッサによって実行されると、前記プロセッサに請求項41~50のいずれか一項に記載の方法を実行させる機械解釈可能命令を記憶する非一過性の計算機可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、「アンテナを格納するシステムおよび方法(SYSTEM AND METHOD FOR HOUSING ANTENNAS)」と題して2020年11月6日に出願された米国特許出願第63/110772号明細書の非仮出願であり、その優先権を含めすべての利益を主張し、先の出願は、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本出願は、米国特許出願第14/114984号明細書として2013年04月16日に出願された「マルチパス・ワイヤレス・ルータを通じてワイヤレス・モバイル装置からのデータを伝送するシステムおよび方法(A SYSTEM AND METHOD FOR TRANSMISSION OF DATA FROM A WIRELESS MOBILE DEVICE OVER A MULTIPATH WIRELESS ROUTER)」、米国特許出願第14/680476号明細書として2015年04月07日に出願された「乗り物上でデータサービスを提供するシステムおよび方法(SYSTEM AND METHOD FOR PROVIDING DATA SERVICES ON VEHICLES)」、およびPCT出願第PCT/CA2019/051039号明細書として出願された「実用可能な情報に応答する通信を適合させるシステムおよび方法(SYSTEM AND METHOD TO ADAPT COMMUNICATIONS RESPONSIVE TO ACTIONABLE INTELLIGENCE)」に関するものであり、これらのすべての出願は、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。
【0003】
本出願はまた、「プッシュ型通信のためのシステムおよび方法(Systems and Methods for Push-based Communications)」と題して2021年01月19日および2021年05月04日に出願された米国特許仮出願第63/139286号明細書、および米国特許第63/183952号明細書に関するものであり、両出願は、参照によりそれらの全体が本書に組み込まれる。
【0004】
本開示の実施形態は概して、アンテナの分野に関するものであり、より具体的には実施形態は、マルチアンテナ・シャーシ用の装置、システム、および方法に関する。
【0005】
緒言
アンテナ設計およびアンテナ・シャーシ設計は、技術的な難題である。技術的な要件と慎重にバランスを取ることを要求する、性能についての考慮事項が存在する。アンテナは、移動する物体に取り付けられる場合があり、または地理的空間的な制約を有する場合もある。
【0006】
波長が変化するとスペクトル特性が変化するので、アンテナが動作する特定の周波数帯域は、もう一つの重要な設計考慮事項である。異なる波長に付随して、異なる減衰プロファイルが存在する場合がある。また、波動の分散パターンは、例えば、アンテナの異なる幾何学形状を選択することによって修正できる。
【0007】
さらに、複数のアンテナをいっしょに利用することができる。アンテナは、マルチパス伝搬を利用しよう試みることができるが、無線機が同時に動作して各無線機が複数のアンテナを有し得る場合に複数TX/RX無線機の問題が存在するという状況での有害な信号効果に、課題が存在する。その技術的な課題は、(1)異なる無線機によって駆動されるコロケーション(co-location)された複数の伝送アンテナ、そして(2)コロケーションしている伝送および受信アンテナが問題(干渉およびローディング)を引き起こす可能性があること、に関して生じる可能性がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
いくつかの実施形態では、マルチ無線機/マルチアンテナ(またはマルチ無線機、マルチアンテナ・シャーシ)シャーシが、動作の方法、およびプロセッサ上で実行されて動作方法を実行する機械解釈可能命令(例えば、シャーシの動作を制御する、またはデータ・パケットの伝送の仕方を制御するソフトウェア)を記憶する非一過性の計算機可読媒体と共に記載される。
【0009】
マルチアンテナ・シャーシのいくつかの変形形態が、異なる実施形態に記載される。さらなる変形形態が、ボンディングされた接続を確立するためのアンテナの一つまたは複数の使用に関して記載され、この確立により、アンテナの一つまたは複数のサブセットが調整されて、データ・パケット伝送のための単一のボンディングされた接続として動作するよう呼応して動作する。本明細書に記載される手法は、例えば、複数の広帯域アンテナまたは複数帯域アンテナを用いて動作することができる。
【0010】
シャーシは、複数の無線機にまたがって電子通信を提供するように構成されるマルチモデム通信装置の一部として提供される。詳細には、マルチモデム通信装置は、電子通信用の電気的カウンターポイズを提供するように適合された中央筐体シャーシ(例えば、金属製シャーシ)を含み、中央筐体シャーシは、無線周波数シールドを提供する材料を含んでなる。中央筐体シャーシの異なる幾何学形状に関連して、複数の変形形態が本明細書に記載され、これらの形状には、静的および動的両方の幾何学形状などが挙げられ、この場合に、中央筐体シャーシが修正できて、または修正できる可変幾何学形状をアンテナ自体が有して、対応するアンテナ間の見通し(LOS、line оf sight)内のワイヤレスまたはRFの伝送および受信に付随する影響を低減させる。
【0011】
装置は、複数のアンテナを有し、アンテナは、それぞれが中央筐体シャーシに結合され、それぞれがマルチモデム通信装置によって提供される複数のモデムの一つのモデムに対応し、それぞれが同様の周波数帯で動作し、複数のモデムのうちのあるモデムに対応するアンテナのそれぞれは、中央筐体シャーシ上に位置するか、そうでなければそこに配置(例えば、取り付け、結合、接続)されるか、または複数モデムのうちのそのモデムに使用されている他のアンテナ間の見通しRF経路を最小化するように中央筐体シャーシ上で構成される。アンテナは例えば、それらのアンテナに対応するモデムに、アンテナの特定のセットが特定のモデムと共に動作するようにして物理的に接続または結合することができる。例えば、互いの反対にあって反対の折り曲げ構成を有するアンテナ1および6を、装置からの利用可能な接続としてモデム1を提供するネットワークインターフェースに結合できる、などである。アンテナは、互いに離間した、例えば潜在的な見通しを低減させる幾何学的に反対の場所の特定のモデムに対応させるよう選択することができる。例えば三つのモデムに結合された六つのアンテナが存在することができ、反対のアンテナ対を使用することができる。
【0012】
マルチアンテナ・シャーシは、いくつかの実施形態では、静的なシャーシの形状とすることができる。他の実施形態では、シャーシの形状、幾何学形状、または伸長可能な構成要素は、使用シナリオに基づいて修正することができる。いくつかの実施形態では、システムは、単一の装置に一体化される複数のMIMO無線システムを提供するように適合される。アンテナ自体もまた再構成する(例えば、折り曲げる、曲げる、回転させる、再配向させる)ことができ、これは、第1の実施形態では個別に実行することができ、または第2の実施形態ではシャーシの構成の変化と併せて制御することもできる。折り曲げについての異なる変形形態、例えば、隣接するアンテナ(筐体の周りの配置に対して、鏡像折り曲げを有することができるものなど)が可能である。
【0013】
同種のMIMOアンテナが使用される実施形態では、伝送および受信の性能を最適化しつつ、複数のMIMO無線機システムのコロケーションによって生じるローディング/クロスカップリングに対処しなければならない。MIMO無線機システムのそれぞれは、ボンディング/ブレンディングの目的で、異なるオペレータ(類似または同じ動作周波数である場合がある)に接続することができる。課題は、小型装置への要望と、その結果としてのアンテナのコロケーション(例えば、それぞれが複数の(MIMO)アンテナを有する複数の無線機を格納する小型装置であって、複雑さの「複合化」が存在する)であり、これは、ローディング/クロスカップリングを引き起こす可能性がある。MIMOアンテナとモデム/無線機の接続は固定することができ、例えば、同一のMIMO無線機システム内のMIMOアンテナはいっしょに動作させることができる。別個のMIMO無線機システムが同一のオペレータ/キャリア上にあるならば、例えば、それらをコントローラの管理下で動作するように構成することができる。
【0014】
アンテナは、例えば、セルラー周波数で動作することができる。例示的な実施形態では、複数のモデムは、セルラー周波数帯で動作し、一つまたは複数のキャリアネットワークに接続する様々なセルラー加入者識別モジュール(SIM)、またはeSIMを使用するように構成することができる。他の周波数もまた企図される。
【0015】
マルチアンテナ・シャーシは、複数のアンテナを利用する際に発生する信号伝搬の課題、例えば、複数のコロケーションされたアンテナが存在して、それぞれがそれら自体のモデム/オペレータ(キャリア)を有する場合を考慮して、適合される。詳細には、これらの課題は、エネルギー損失問題、単純なアンテナの差別化問題、およびMIMO相関問題としてまとめることができる。シャーシは例えば、隣接/類似する周波数で動作するアンテナ間の干渉を最小化するように適合されるが、これは、システムの物理的な幾何学形状、またはアンテナの再配向/修正された幾何学形状のいずれかが理由である。干渉は、例えば、隣接する周波数で動作する異なるオペレータ/キャリアに関して生じる可能性がある。
【0016】
いくつかの実施形態では、シャーシは、無線周波数(RF)シールド材料を使用して製造することができ、アンテナは、最大の表面積/信号強度を有するように貼着することができるが、シャーシに貼着された他のアンテナとの見通しは、構造的な特徴を通じて低減させる、または完全に除去することができる。これは例えば、i)アンテナとシャーシの間の距離、ii)シャーシの縁の間の角度にアンテナ表面のサイズが依存する単純な多面体を使用することによって、実現することができる。例えば、凹表面を使用して、より長いアンテナを内部に貼着することができる開口部または空洞を提供することができる。
【0017】
アンテナは、表面の中央に位置していてもよいし、または中央から外れていてもよい(そして、様々な方向を指していてもよい)。アンテナの形状はまた、折り曲げられたアンテナフレームを使用することなどによってその表面積を最大化する(または、いくつかの実施形態では、アクチュエータ、例えばサーボモータを使用してアンテナの折り曲げを制御する)よう、最適化することができる可能性がある。システムはまた、一つまたは複数の測定基準、例えばRSSI、または基地局から報告されるリンク強度に準拠して、最良の伝送能力を有するアンテナを通じて信号を指向させることができる可能性がある。この態様は、アンテナをシールドすることから生じる指向性の課題を克服する。システムは、特定のアンテナの伝送能力を監視すること、および適切なアンテナ(例えば最良性能のアンテナのセット)を通じて信号が送信されるよう保証することができる可能性がある。さらに、アンテナの伝送能力を最大化するよう、システムはそれ自体を再配向させることができる可能性がある。
【0018】
エネルギー損失問題は、多くの実質的に類似または同一のアンテナを使用する場合に発生し、アンテナは、地理空間的に配置される場合に、それらの類似性に起因して、互いに異なる周波数に対して一つのアンテナを多かれ少なかれ選択的にできないことに起因して、エネルギーを近傍のアンテナに向け(そのアンテナによる吸収を通じて)損失する。システムが世界規模で使用することができるものであり、いくつかの実施形態では、製造時には動作帯域が不明であるいずれのローカルキャリアでも動作するのに充分柔軟であるように適合性を有する際、アンテナは典型的には、類似または同一でなければならない。単一の無線機はまた、複数帯域にわたって動作する(例えば、キャリア集約)場合があり、これらの帯域はすべて、利用可能なローカルキャリアまたは周波数に基づいて異なる場合がある。
【0019】
所与のアンテナが一つの帯域で動作していて、近傍のアンテナが別の帯域で動作しているとしても、各アンテナはその動作帯域の入出射エネルギーをその近隣アンテナに向け損失するが、これは、すべてのアンテナが、対象のあらゆる帯域でエネルギーを吸収するからである。近傍のアンテナは、局所的なRFエネルギーを吸収し「浪費」して、いずれの所与のアンテナと、通信チャネルを形成する遠方界の相手との間の相互作用をも弱める可能性がある。エネルギー損失は距離の関数であり、近隣のアンテナが近いほど損失は大きい。
【0020】
このシステムは典型的には、製造時には不明である場合のあるあらゆるグローバルキャリアの帯域およびキャリア集約スキーム上で動作するワイドバンド・アンテナを使用する。ワイドバンド・アンテナは、多くの複雑な下位形状や分岐を有する場合があるマルチバンド・アンテナに対して、比較的「単純」な形状(例えば、単純な幾何学的な多角形)である傾向がある。複雑なアンテナ形状によって、アンテナとして等価の性能を維持しつつアンテナの幾何学形状を差別化したり並べ替えたりするさらなる機会が得られる(これによってクロスカップリングまたは近傍のアンテナへのエネルギー損失を低減させることができる)。「アンテナ差別化問題」は、好ましいワイドバンド・アンテナが、幾何学的に差別化または並べ替えするにはさらに困難になり得るという理由から生じ、本明細書に記載される手法は、近傍の広帯域アンテナ間のカップリングを低減させる実用的な手法を提供するのに有用である場合がある。
【0021】
MIMO相関問題は、コロケーションされたアンテナのセットをMIMO構成要素として使用する(伝送装置と受信装置との間に複数の空間的経路があることで、伝送および/または受信のために単一周波数上でさらに多くのデータを送受信できる)場合に生じ、この手法では、アンテナ構成要素の間の相関を最小化することが要求される。これらの課題は、携帯性が要求されるさらに小型のモバイル装置ではさらに顕著である。伝送システムにおけるさらに大型の非モバイル品目(例えば、セルタワー)は、アンテナをさらに遠くに移動させることによってこれらの干渉問題を解決するが、これは、モバイル装置に存在するサイズの制約を伴う選択肢ではない。
【0022】
したがって、特に、利用可能な通信インフラに対して装置または装置のセットの場所が変動し得る(データ伝送の特性がそうであり得る)、そして装置のサイズが制約される場合があるモバイルデータ伝送の状況において、遠方界性能を向上させる柔軟性を持たせつつ、近傍界干渉(例えば、コロケーションされたアンテナからのもの)に関連する懸念に対処する、システムまたは装置に対する要求が存在する。
【0023】
対応するアンテナまたは複数のアンテナにそれぞれ対応する、取り付け点、表面、または開口部を有するマルチアンテナ・シャーシが記載される。取り付け点、表面、または開口部は、アンテナのそれぞれが互いに見通しにないような、または見通しを低減させるような位置にある。シャーシは、例えば、取り付け点または開口部として機能することができる多数の表面を有する三次元形状である。
【0024】
シャーシは、一実施形態では、導電性形状(例えば、三次元多角形)、または導電性領域を有する形状であり、RFシールド特性およびあらゆるアンテナを取り付ける特徴を有し、シャーシ形状は、シャーシが、アンテナ構成要素(または選択されたアンテナ構成要素、例えばいっしょに動作するもの)間のRF経路(例えば、見通し)を遮断または低減させるように選択される。いくつかの実施形態では、見通しは完全に除去されるが、他の実施形態では、見通しは低減する。さらなる実施形態では、特定のアンテナ間(例えばいっしょに動作してボンディング接続を形成するセットまたはサブセット)の見通しは、低減するまたは除去される。
【0025】
シャーシ(これは、他の電子機器、例えばヒートシンク、機器開口部、または電気的接続を収容する場合がある)は、「カーネル(kernel)」として定義することができ、その周りに、コロケーションされたエネルギー吸収アンテナが配置されるまたは位置するようにすることができ、これは、カーネルに対するアンテナのサイズ/形状/配置を最適化することで、カーネル形状によって作り出される水平線によって見通しが遮断されると、「近傍界」における動作していないアンテナによるクロストーク(例えば、カップリング、クロスカップリング)および信号吸収/エネルギー損失を最小化できるようにしてなされる。シャーシは、局所的なコロケーションされたアンテナへのエネルギー損失を最小化するように試みつつ信号特性を最適化するように適合される。
【0026】
幾何学形状や信号特性は、様々なトレードオフについて、例えば装置内の(一つまたは複数のアンテナに接続されている)モデム/無線機のそれぞれについて伝送および受信装置のパワーを最適化するように、適合させることができる。例えば、非常に低い信号受信パワー(例えば)を有するのと引き換えに、コロケーションされたアンテナ間のクロストークを最小化することができる可能性があるが、これは有用ではない可能性がある。異なる状況に有用な異なるスペクトル特性を提供する、様々な形状、幾何学形状、配置が、本明細書に記載される。
【0027】
一実施形態では、多角形シャーシは、アンテナの接地面として使用される。
【0028】
別の実施形態では、シャーシは、電気的に分離された領域に分割される。分割される場合、導電性領域は、随意に空間的に重なり合って、シャーシの領域を依然として電気的に絶縁しつつRFシールドおよび見通しの遮断を維持することができる。アンテナ形状は、最小の遠方界効果(例えば、通信チャネルの遠方のエンドポイントから意図的なエネルギーを受信する能力を低減させない一方で、ローカルアンテナ構成要素間の結合を低減させることによって)または向上した遠方界特性を有する他のアンテナ構成要素への見通しRF経路(したがってカップリング)を最小化するように(例えば、折り曲げによって)変更される場合がある。アンテナの折り曲げは、コロケーションされたアンテナ間の見通しをさらに低減させることによって、より小さいシステム包絡面を可能にする場合がある。いくつかの実施形態では、折り曲げ後に下位構成要素として有用となり得る離散的な幾何学的ゾーン(例えば、「折り曲げ線」によって確立される)を有するワイドバンド・アンテナが利用される。
【0029】
また、シャーシの形状そのものを変更することで、ローカルアンテナ構成要素へのカップリングがさらに低減する場合がある。アンテナの折り曲げによって、例えば、アンテナの最後の20mmを垂直次元に折り曲げると、所与のアンテナサイズについて要求されるシャーシサイズが最小化される場合がある。
【0030】
一実施形態では、シャーシは、無線機または他のシステム電子装置のエンクロージャとして使用される場合がある。
【0031】
別の実施形態では、シャーシは、システム冷却のための放熱装置として使用される場合がある。
【0032】
シャーシ形状はまた、アンテナ形状に呼応して、またはアンテナ形状とは別個に変更されて、最小の遠方界効果を有するローカルアンテナ構成要素間のカップリングを最小化する、または遠方界性能を向上させる場合がある。この手法は、遠方界結合を著しく劣化させることなく、局所的なカップリングを低減/劣化させる(例えば、最良の考えられるまたは満足のいく遠方界性能を維持する)ように適合される。
【0033】
この手法は、複雑な折り曲げアンテナや側面の多い多面体にも拡張される場合がある。
【0034】
一実施形態では、モノポールアンテナを使用し、金属製の中央部分をカウンターポイズとする。アンテナは、サイズを最小にできるようにカウンターポイズを共有する場合がある。アンテナのいかなる所与のサイズまたは形状に対しても、中枢部分/カーネルの最小のサイズ/形状が存在する可能性がある。
【0035】
この手法は、高周波通信、例えばセルラー通信において有用であり、こうした通信では、見通しが問題となり、中央カーネルの材料がシールドにとって重要であり、そして複数のアンテナが(例えば、異なるネットワークが同時に、例えばボンディングされた伝送を実行する装置において使用されることに起因して)一つの装置上で必要とされる。
【0036】
異なる実施形態を可能にするのが何かを考慮するにはトレードオフが存在する。例えば、(装置全体を可能な限り小さくする)包絡面/形状因子、(電子機器または他の装置をユニット内に収めるよう)可能な限り大きいカーネル(電子機器)、有効アンテナ(サイズの関数であることが多く、大きい方が概して低周波性能が良い場合がある)、低減されたアンテナ間クロストーク/カップリング(より多くのアンテナが使用される場合に重要)という、相対する設計パラメータが存在する。設計は、最小量のエネルギーに対して、(1)近傍界干渉/ローディングを低減(例えば、最小化)すると同時に、(2)遠方界性能(例えば、伝送および/または受信)を最適化(例えば、最大化)するように適合される。
【0037】
エネルギー使用量、装置の遠方界伝送/受信特性の信頼性/冗長性/速度/距離などのさらなる技術的パラメータが存在し、伝送されているデータのタイプに柔軟性を持たせることができる。すべての技術的パラメータが互いに相対するわけではない(例えば、「クロストーク」を最小化すると、より多くのエネルギーを伝送できる可能性があり、これにより遠方界受信性能が向上する可能性がある)、クロストークを低減すると、送信に費やされるエネルギーを少なくできる可能性がある)が、システムの全体的な通信要件に応じて、提案された手法が複数の利益を有する場合があることを示す、言及されたパラメータのうちのいくつかの間の関連性があり、本明細書に記載される手法を利用して信頼性を高める、またはスループットを高める、またはエネルギー使用量を低減させる(損失の低減を介してさらに効率的なリンクを作り出す)ことができる。
【0038】
提案される技術的解決策は、カーネルの幾何学形状およびアンテナの幾何学形状の関数に基づいて選択される物理的特性を有する装置である。周波数またはアンテナ設計に基づくカーネルの他の最適なサイズ/形状が存在する場合がある(例えば、異なる形状/タイプのアンテナを組み合わせることができる可能性がある)。シャーシは、シャーシ/アンテナの組み合わせの幾何学形状の最適化に呼応して、様々な構成でのアンテナ(例えば、アンテナを鏡像対称にする、または幾何学的に反対にするやりかたでそれらを取り付ける)を利用することができる。アンテナは、複数の給電点を有することができ、他のアンテナおよび給電点のどれが使用されているかに基づいて全体の信号の最適化を行い、よって、利用可能な給電点のシステムレベルの知識を使用して、通信(例えば、伝送または受信)の方向を最適に成形する。
【0039】
別の実施形態では、シャーシのカーネル形状は、凸/凹表面を含むことで、さらにシールドを可能にし、加えて伝送の指向性も高めることができる。二つのモバイルアンテナが、望ましくないように(例えば、互いにクロストークまたはローディング効果を有して)結合されて、両方の信号が劣化する場合に、その結果が、これらのアンテナ間にシールドを追加する(より指向性を高める)よりも、システムにとって悪化する場合があることを考えてみる。シールドによってもたらされる指向性の向上によって、互いに干渉する非指向性アンテナと比較して、性能の向上が得られる場合がある。
【0040】
幾何学的シールドの使用はまた、呼応して動作する複数の装置(例えば、乗り物、建物上の異なる場所に取り付けられているか、または単にコロケーションされているもの(例えば、非常に近接する2台の警察車両))にも適用できる可能性がある。近接性は、実体が移動するにつれて経時的に変化する場合があり、コロケーションされた状態が変化する場合がある。実際には、コロケーションされたアンテナは非常に近い(センチメートル程度に離れている)可能性がある。
【0041】
一実施形態では、「仮想シールド」を作り出すことができ、この場合、「カーネル」(例えば、乗り物、建物、またはタンク)は最適な形状ではない場合があるにしても、形状を利用するアンテナの組み合わせをシステムが選択できる。選択は、例えば、各アンテナに対して伝送および受信の信号強度(例えば、RSSIおよびRSCP)を測定し、各無線機および現行の通信条件に対して選択されたアンテナを最適化することによるリアルタイムの性能最適化によって、過去の実績によって、カーネルの形状の知識によって、または二つ以上の方法の組み合わせによって、実行される場合がある。
【0042】
装置は、所与の伝送に関する情報を共有することができる可能性があり、所与の伝送を共有していない場合であっても、互いのモデムとアンテナを使用して(または、アンテナやシールドに関して近傍の装置の選択肢を少なくとも使用して)、装置自体の決定を通知することができる可能性がある。例えば、コントローラは、測定と最適化を実行するように構成できる可能性がある。例えば、検出時にハンドシェイク(handshake)を行って、異なるレベルの一体化を可能にすることができるようにして、複数のマルチアンテナ・シャーシを、互いに検出するように構成することができる。別の実施形態では、それらは、本明細書に記載されるマルチモデム装置の「リモート・モデム・ボックス」変形形態で提供されるとおり、集中型ブレンディング・アプライアンス(blending appliance)/コントローラに接続できる可能性がある。本明細書の様々な実施形態に記載されるとおり、eSIMが使用できる可能性があり、これは、乗り物または建物の反対側にある場合のあるリモート・モデム・ボックスをまたいでキャリア(オペレータ)を柔軟に使用できるようにする可能があるからである。
【0043】
異なるレベルの一体化(いつどのように伝送するかの決定を知らせることができるもの)を、所与の実例において装置とアンテナのどの組み合わせが使用できるかを評価する際に使用することができる。シャーシ上のすべてのアンテナが、同一の目的または伝送に必ずしも使用されるわけではなく、例えば、メディア放送バンは、その伝送先である複数の受信点を有する場合があって、まったく異なるフィードを伝送している場合がある(例えば、アンテナ1、4、6、8は、スポーツチャンネルに使用されており、2、3、5、7はニュース速報に使用されている)。一実施形態では、装置上で、セルラー用に使用されるいくつかのアンテナと、Wi-Fi用に使用されるいくつかのアンテナとがある。変形実施形態では、アンテナは、システムがセルラー用アンテナとWi-Fi用アンテナを交換して、例えば特定の通信特性を最適化できるように、選択可能/切り替え可能である。
【0044】
いくつかの実施形態では、各装置は、無線機、アンテナ、およびデータ集約装置(例えば、(1)USBオーバーIP(USB-over-IP)、または(2)TCP/IPを介してモデムへのアクセスを可能にするクライアント/エージェント)から構成される「スマートな」送受信装置シャーシとして働く。各スマートな送受信装置が、例えば、三つの無線機、3×N台のアンテナ、および一つのデータ集約装置を含む場合に、六つまたは九つの無線機を必要とする送受信装置システムが、二つまたは三つのスマートな送受信装置から構築される場合がある。中央の送受信装置コントローラはまた、前の記述に従ってスマートな送受信装置間の情報の連携した共有を調整するように構成できる可能性がある。
【0045】
したがって、各リモートのスマートな送受信装置は、製造に関して均一なものとすることができる可能性があり、中央システムは、望ましい通信特性が最適化される(例えば、望ましい通信が最大化され望ましくない通信が最小化される)ようにして、通信のチャネルまたは帯域を、複数のリモートのスマートな送受信装置に割り当てることができる可能性がある。
【0046】
さらに、他の利点、例えば製造の均一性だけでなく下位装置の認証の均一性もあり、これは規制および関連する認証を受ける必要があるのが、3モデムNアンテナのスマートな送受信装置だけであるからである。
【0047】
同様に、関連出願のいくつかで言及されるとおり、異なるアンテナは、いっしょに使用される場合(例えば、ボンディングされた接続)には、異なるタイプの通信に関連して利用することができ、例えば、いくつかのアンテナは、誤り制御(例えば、脱落したパケットの再送)のために使用される一方、他のアンテナはバルクデータ転送に使用される場合がある。様々なボンディング手法を、アンテナのサブセットと併せて利用することができ、例えば再要求されるパケットを「最良の接続」上で送信すること、およびゲートウェイ装置に対してQoSを確立する連携した手法(例えば、いくつかの接続は低レイテンシを有するので、低レイテンシを必要とするパケットをこれらの接続上で送信するようにシステムが構成される)がある。
【0048】
その特定の割り当ては、静的または動的に割り当てることができて、集約されたリンクの望ましいチャネル特性、例えばレイテンシ、スループット/帯域幅を実現する。着信フローは、ユーザーによって提供されたフロー規則(QoS)に基づいてマッピングすることができるので、それらは、すべての着信フローの要求に適う、基礎となる(そしてリアルタイムで変動する)接続性を最もよく利用することができる。
【0049】
一実施形態では、エリア内に存在する装置(「このエリアには他の装置があるように見える」)からの、または装置の交差接点での他の試み(例えば、このエリア内に他のWiFiネットワークがあるように見える)からの信号の吸収を通じた、エリア内に存在する装置の知識を使用して、アンテナ性能を最適化することができる。リモート・モデム・ボックス・モードの場合には、共有される中央の送受信装置コントローラへの接続を使用して、アンテナ性能を最適化することができる。
【0050】
別の実施形態では、(伝送装置上の)統計分析を通じた伝送のタイプ/性質(連続的またはバースト的、伝送の強度)の知識を使用して、アンテナの組み合わせをよりうまく選択することができる。
【0051】
さらに別の実施形態では、装置装置の同一「ネットワーク」の一部である利用可能な装置のシステム面での知識を使用することで、コロケーションされたすべての装置について性能が向上する場合がある。この文脈では、ネットワークという用語は、様々なレベルで評価することができる。例えば、ネットワークは、「セルネットワーク」のレベルでの意味である可能性がある(例えば、装置は関連していない場合がある、共有されるネットワークオペレータが存在することを示す情報がある場合がある)。別の文脈では、異なる伝送ネットワーク(例えば、キャリア1対キャリア2)を装置が使用している場合であっても、同一企業に属していることを意味する可能性がある。
【0052】
装置は、単一の層(例えば、OSIネットワークモデルの抽象化層)にマッピングすることには限定されないが、いくつかの実施形態では、装置が異なる層に常駐する可能性がある。装置のネットワークは、分散型に編成することも、集中型に編成することもできる。システムは、多くの異なるそのようなネットワークからの情報を組み合わせるように構成することができる(例えば、システムは、同一セルネットワーク上の他の装置に関する情報、および企業、軍事ユニットなどに属する同一の「装置のネットワーク」に属する他の装置に関する情報を有する)。
【0053】
一実施形態では、装置、モデム、およびアンテナ間のクロストークを低減させるようにして伝送を同期させることによって、他の装置と情報を共有する(例えば、今後の伝送についてネゴシエーション/情報提供して干渉をよりよく管理する)ことができる。
【0054】
別の実施形態では、伝送能力を共有する(実際に短距離通信を使用して他の装置に伝送する(または他の装置のアンテナがより適しているまたは適した位置にあるならば受信する))ことができ、次いでこれによって、特定のアンテナが使用されて最終場所に伝送することになる可能性がある。
【0055】
さらに別の実施形態では、システムは計算機回路を含み、この回路は、信号通信特性を監視(例えば、感知)するように、そしてその特性に応答して、一つまたは複数の装置(それ自体が人または乗り物上にある場合がある)の移動を決定して、装置またはアンテナの移動(または仮想的な移動)を(例えば、サーボモータ、電子的に操縦されるアンテナ、またはアンテナの切り替え選択を介して)制御することによって、伝送に最適な環境を作り出すように構成されるものである。
【0056】
シャーシは、異なる幾何学形状を有してもよく、そして異なる実施形態に準拠して、シャーシは、正多面体またはその一部(例えば、平面を横切って切断されたもの)として成形される場合がある。多面体は、とりわけ、四面体、十二面体、二十・十二面体を含むことができる。他の多面体は、トロイダル多面体などを含むことができる。多面体の特定のタイプは、アンテナの数、アンテナの配置、アンテナの形状、およびアンテナの動作パラメータに依存する可能性がある。シャーシは、いくつかの実施形態では、他の目的、例えば、とりわけ、ヒートシンクとして機能する電子機器を格納するのに利用することができるので、これもまた、利用されている幾何学的形状のタイプを規定する場合がある。
【0057】
形状は、いくつかの実施形態では、見通しを遮断する、シャーシ上のフランジ/成形された構成要素(例えば、唇状部)を含む。先に言及されたとおり、表面自体は、いくつかの実施形態では平坦な表面であってもよいが、凸/凹表面であってもよく、その凸部または凹部が、遠方界の伝送および受信の性能を最適化しつつ、シャーシ上に取り付けられたアンテナ間の見通しを分離する支援をする。また、シャーシを構築するのに利用される材料は、特定の吸収特性および/または透過特性に基づいて選択してもよい。シャーシの面(例えば、表面)上のアンテナの特定の位置は、中央にあってもよく、またはいくつかの実施形態では、他の遮断する特徴(例えば、フランジ)または利用可能な見通しに応じて、中央から外れていてもよい。アンテナを貼着させる追加の構成要素が企図される(例えば、ポケット内に配置され、各表面から突出したアンテナ)。
【0058】
いくつかの実施形態では、調整可能で再構成可能な面または開口部を有する適合性シャーシが記載され、その面または開口部の中に、アンテナが取り付けられる、またはそうでなければ結合される。適合性シャーシは、多面体または複数の面を有するその一部とすることができる。シャーシは、一つまたは複数のアクチュエータ、例えばサーボモータを含むことができ、これが、シャーシの一つまたは複数の継手または区画に係合し、この継手または区画が、例えば連接して、シャーシの幾何学形状、またはアンテナの位置/幾何学形状を修正することができる。別の例では、シャーシの幾何学形状を修正する代替手法が利用され、これは例えば、刺激が付与されると形状が修正される材料(形状記憶合金など)である。代替手法には、液圧、または空気圧の機構の使用などが挙げられる。
【0059】
連接は、表面の凹部の変更(例えば、背の高いアンテナ用に凹部を増加させる)、フランジの伸長または後退、シャーシの拡大/収縮、または開口部内のアンテナ自体の方向の指向性修正(例えば、アンテナの方向が、互いから遠ざかる向きを指すようにして面を修正する)を含むことができる。アクチュエータは、例えば、直線位置または回転運動を修正するコントローラを含むことができ、様々なタイプのモータまたは他の運動制御装置を含むことができる。複数のシャーシがいっしょに使用される場合には、さらなる実施形態では、シャーシの形状の修正は、並行して(例えば、呼応して)実行することができる。凹部の変更は、例えば、アンテナの幾何学形状の変更に対応させることができる。表面の修正によって、遠方界接続に関して通信する能力を最適化しつつ、指向性を修正してカップリングを低減させることができる。
【0060】
また、例えば、アンテナのそれぞれからのマルチパス信号について相手方アンテナからの信号応答特性に応答して、連接を生じさせることもできる。
【0061】
アンテナ・シャーシまたは筐体についての使用例は、車、飛行機などの乗り物上への、もしくはその近傍への取り付け、または固定サイト、例えば建物への配置を含むことができる。一つまたは複数のシャーシと、いっしょに動作する対応するアンテナとが存在してもよく、いくつかの実施形態では、アンテナおよびシャーシは、連携動作するように適合され、これは、マスタデータ通信装置がマルチモデム通信装置と相互動作して、セルラー・ネットワークに接続する複数のアンテナおよび複数のモデムを使用してワイドエリア・データ通信を確立するようにしてなされる。
【0062】
実用的な使用例および実施形態は、異なるモード、例えばリモート・モデム・ボックス・モード、および/またはブレンドされた接続コントローラ・モードで動作するマルチモデム通信装置を含むことができ、場合によっては、マルチモデム通信装置は、感知された異なるネットワーク状況(例えば、アクティブ・ネットワーク・ブレンディング・コントロール)に対して異なるモード間で切り替えるオンボードの回路を有し、これは、大量の接続リソースが必要なときのみブレンディング制御を使用し(例えば、動画のストリーミング)、それ以外はパワーを節約するリモート・モデム・ボックス・モードへ切り替えるように設定される。
【0063】
リモート・モデム・ボックス・モードでは、マルチモデム通信装置は、マスタデータ通信装置によって制御され、ワイドエリア・データ接続は、マスタデータ通信装置によって利用可能な仮想モデム接続としてマッピングされる。
【0064】
ブレンドされたコントロールモードでは、マルチモデム通信装置は、(例えば、マルチモデム通信装置上のオンボードのブレンディング回路を使用して)ワイドエリア・データ接続の接続のブレンディングを制御して、マスタデータ通信装置へまたはそこからデータ・パケットを通信するように、さらに構成される。
【0065】
例示的な使用シナリオでは、マルチモデム通信装置は、マルチモデム通信装置の接続を通じて通信を駆動するマスタデータ通信装置に接続される携帯型の遠隔装置である。マルチモデム通信装置は、マスタデータ通信装置に対して有利に位置することができて、ワイドエリア・ネットワーク接続、例えば様々なセルラーキャリアへの接続のための利用可能なネットワーク接続のダイバーシティを提供する。マスタデータ通信装置は、新しいワイドエリア・ネットワーク接続が、例えば、マスタデータ通信装置の既存のワイドエリア・ネットワーク接続よりも優れている場合に、新しい広域ネットワーク接続を有利に利用することができるか、または他の実施形態では、様々なネットワーク接続をブレンドおよび/または結合して、向上した接続経路を確立する。
【0066】
複数のマルチモデム通信装置をいっしょに使用して、利用可能な仮想または実際のワイドエリア・ネットワーク接続をプールすることができる。
【0067】
第1の例では、マルチモデム通信装置は、建物の異なる面または異なる階に位置することができ、例えばWiFiまたは有線リンクを通じて、マスタデータ通信装置に結合させることができる。マスタデータ通信装置は、スペクトル的に不利な場所、例えば地下室のデータセンター(例えば、堅固なバンカー内に位置するメディア制作会社の動画編集データセンター)に位置する場合があり、これ以外であれば強いセルラーカバレッジが得られるがそれが困難である場合がある。マルチモデム通信装置は、様々な窓上などに位置するため、さらに強いセルラー接続を中継して、向上したネットワーキング能力をマスタデータ通信装置に提供することができる。
【0068】
第2の例では、マルチモデム通信装置は、異なるマルチモデム通信装置のそれぞれが、異なる通信特性を経験するようにして、乗り物の異なる区画または区分に位置することができ、今度はこれらを使用して、マスタ通信装置、例えばインフォテインメント(infotainment)・システムおよび/またはオンボードの電子装置に追加の通信能力を提供することができる。これは、例えば、乗り物が非常に長い場合、例えば列車の様々な区分に位置する場合に、特に有用である可能性がある。
【0069】
図面では、実施形態は例として示される。本明細書および図が、例示目的のみ、そして理解の手助けとしてのみものであることは、明確に理解されるものとする。
【0070】
以下、実施形態は、添付図面を参照しつつ、例としてのみ説明され、それらの図面において:
【図面の簡単な説明】
【0071】
【
図1】
図1は、格納装置がアンテナを有し、それらのアンテナがそのエンクロージャの境界を越えて延在して、アンテナ間のクロストークの原因となることを実証する、シャーシ/アンテナの組み合わせの2D描画である。
【
図2A】
図2Aは、いくつかの実施形態による、クロストークを回避するのに役立つ見通し遮断を実証する、そして基本的な接地およびシールドにシャーシを使用する、シャーシ/アンテナの組み合わせの2D描画である。
【
図2B】
図2Bは、いくつかの実施形態による、クロストークを依然として回避しつつ、サイズを最大化するためにアンテナの数を低減させる一実施形態を示す2D描画である。
【
図2C】
図2Cは、いくつかの実施形態による、カップリングを追加することなくアンテナのサイズを増加させるために、所定のシャーシ筐体内部でアンテナを折り曲げるというアイデアを表示するシャーシ/アンテナの組み合わせの2D描画である。
【
図2D】
図2Dは、アンテナを曲げる、またはそうでなければ成形する変形形態を示す、
図2Bに記載されるシャーシ/アンテナの組み合わせの3D描画である。
【
図2E】
図2Eは、いくつかの実施形態による、エンクロージャのサイズおよび形状に対して最大数のアンテナが採用できるようにするために、アンテナのサイズがいかに制限される可能性があるかを示す実施形態の2D描画である。
【
図2F】
図2Fは、いくつかの実施形態による、
図2Eに記載される実施形態の3D描画である。
【
図2G】
図2Gは、いくつかの実施形態による、複数の給電線(例えば、無線機給電線)を有することができるアンテナの2D描画である。
【
図2H】
図2Hは、いくつかの実施形態による、
図2Dと同様の3D描画であるが、アンテナの配向を反転させて、修正形態の場合のさらなる寸法を得るということが異なっている。
【
図2I】
図2Iは、いくつかの実施形態による、アンテナAおよびBにそれぞれ付随するシャーシ領域間に電気絶縁体を有する変形形態の2D描画である。
【
図3A】
図3Aは、いくつかの実施形態による、アンテナの最大の数およびサイズを可能にするためにエンクロージャおよびアンテナの両方を折り曲げる実施形態を示す2D描画である。
【
図3B】
図3Bは、いくつかの実施形態による、
図3Aに記載される実施形態の3D描画である。
【
図3C】
図3Cは、いくつかの実施形態による、さらなる3D描画である。
【
図3D】
図3Dは、いくつかの実施形態による、凹状カーネルおよび対応するアンテナを示すさらなる3D実施形態を示す。
【
図3E】
図3Eは、いくつかの実施形態による、シャーシ高さ寸法に関して折り曲げられた交互のアンテナを有する実施形態装置の例示図である。
【
図3F】
図3Fは、いくつかの実施形態による、
図3Eの構成要素を示すブロック概略図である。
【
図3G】
図3Gは、いくつかの実施形態による、データ通信用のシステムという文脈において結合された
図3Eの装置を示すブロック概略図である。
【
図4A】
図4Aは、いくつかの実施形態による、複数のアンテナを有し、乗り物をシャーシとして使用する乗り物の例示図である。
【
図4B】
図4Bは、いくつかの実施形態による、複数のユニット(各ユニット内のシャーシ/計算機およびアンテナ)を例示する図であり、ユニットはすべてが互いに通信し、複数のユニットを使用して伝送する局所的な通信方法(ワイヤレスまたは有線)を使用している。
【
図5】
図5は、いくつかの実施形態による、位置が経時的に変動する可能性がある、互いに距離が変動する場合のある複数の装置であって、中央コントローラと通信して遠方界伝送装置への最良の経路を決定する装置を示す例示的な図である。
【
図6】
図6は、いくつかの実施形態による、複数のワイヤレス・ネットワークに接続するように適合された複数のWANインターフェースを有する装置の例示的なブロック概略図である。装置は、様々なワイヤレス・ネットワークにまたがってデータを通信するWANインターフェースに接続された一つまたは複数のアンテナを制御するように適合された、マルチアンテナ・シャーシ、および/または関連するコントローラ装置である。
【
図7A】
図7Aは、リモート・モデム・ボックス(RMBモード、いくつかの実施形態によるもの)においてマルチモデム通信装置をペアリングする手法を示す例示的な図である。
【
図7B】
図7Bは、いくつかの実施形態による、リモート・モデム・ボックス(RMBモード、いくつかの実施形態によるもの)においてマルチモデム通信装置をペアリングする手法を示す状態図である。
【
図8A】
図8Aは、いくつかの実施形態による、建物上/建物内で動作している、スタンドアロンのリモート・モデム・ボックスの例示的な使用例の例示的な図である。
【
図8B】
図8Bは、いくつかの実施形態による、スタンドアロンの固定されたブレンディング・アプライアンスが建物上/内で動作しているのを示す、例示的な使用例の例示的な図である。
【
図8C】
図8Cは、いくつかの実施形態による、建物上/建物内で動作している、複数のリモート・モデム・ボックスを示す例示的な図である。
【
図9A】
図9Aは、いくつかの実施形態による、乗り物上で動作しているマルチモデム通信装置の一例を示す例示図である。
【
図9B】
図9Bは、区分化された乗り物、例えば列車の異なる区分上でマルチモデム通信装置が動作している例示を有する例示的な実施形態である。
【発明を実施するための形態】
【0072】
マルチアンテナ・シャーシ(例えば、マルチ無線機、マルチアンテナ・シャーシ)が、いくつかの実施形態で、動作の方法、およびプロセッサ上で実行されて動作の方法を実行する機械解釈可能命令を記憶する非一過性の計算機可読媒体と共に記載される。マルチアンテナ・シャーシのいくつかの変形形態が、異なる実施形態で記載される。
【0073】
このマルチアンテナ・シャーシは、結合された複数の無線機にまたがって電子通信を提供するマルチモデム通信装置の筐体として働くものであり、既存の信号通信能力が最適でない、または要求を下回る、そして追加の通信能力が要求される状況において、実用的に使用することができる。他の使用状況も可能である。シャーシは、中央の金属製物体、例えば、他のタイプの電子機器および構成要素、例えばヒートシンクを格納するアンテナ用の取り付け点などとすることができる。別の実施形態では、代わりにシャーシは、不規則な物体、例えば自動車のシャーシとすることができる。本明細書に記載される手法のためのシャーシとして動作するには、シャーシが、無線周波数シールドを提供して、本明細書に記載のパワー吸収(例えば、意図的またはそうでないもの)の問題のいくつかに対処することが重要である。
【0074】
シャーシは、複数のオンボードのモデムに適う複数の取り付けられたアンテナを有しており、シャーシは、特定のモデムに適う(例えば、電気的に結合または接続される)アンテナの群を、向上したワイヤレス通信性能に適合させるような、アンテナ用の電気的カウンターポイズとして機能する。シャーシはまた、冷却機能(例えば、ヒートシンク)を提供することもでき、他のオンボードのコントローラ回路および/またはユーザーインターフェース構成要素(例えば、メンブレンキー)を有することができる。アンテナ群は、例えば、アンテナがシャーシに対して位置する場所を通じて、またはアンテナの幾何学形状(例えば、鏡像折り曲げ、交互折り曲げ)を通じて見通しが低減されるよう適合される。さらなる変形形態も、アンテナ自体を動的に再配置および/または再折り曲げすることができる変形実施形態に記載される。折り曲げは、隣接するアンテナ間の干渉を最小化するように実行される。アンテナは、対応するモデムに結合される。本明細書に記載されるいくつかの例は、二つのアンテナが一つのモデムに連結されていることを示しているが、他の数、例えば四つのアンテナを有する5Gモデムが四つのアンテナに結合される可能性のあることも同様に企図される。
【0075】
マルチモデム通信装置は、ワイドエリアネットワーク(WAN)へのネットワーク接続を置換または増強する様々な異なる使用シナリオで使用することができ、例えば、モデム(例えば、異なる加入者識別モジュール(SIM)またはeSIMをモデムがそれぞれ利用するというセルラー・ネットワーク)を通じて公開される仮想接続を、マスタ通信装置が利用できるように、有線、WiFi(高スループットなど)、またはUSBオーバーIP接続を使用して、既存のマスタ通信装置にローカルエリア・ネットワーク(LAN)を介して結合させることなどがある。これは、信号品質が劣悪である場所にマスタ通信装置が位置している場合に、マスタ通信装置が、特定の状況(例えば、災害復旧、需要の急増、フェイルオーバー)において、さらに多くの/さらに良好なスループットを必要とする際に、有用である。
【0076】
測定された性能特性は、様々な状況においてどのモデムを使用しどの接続を使用するかを決定するために使用することができる。これを使用して、例えば、接続ブレンディングにとって良好な出発点を確立することができ、この確立は、(例えば、性能もしくは通信特性、または一組の性能もしくは通信特性の最適化に基づいて)最高性能を提供するオペレータ/キャリアにモデムを割り当てるために性能をテストすることによってなされる。オペレータへのモデムの割り当てが実行された後、ブレンディングを開始することができ、オペレータ/キャリアの性能の変動を、スマート・ブレンディング(smart blending)技術を使って処理することができる。
【0077】
接続をいっしょにボンディングして、所与の伝送に対して一度に複数の経路を利用する集約された接続を形成することができ、そして他の手法を使用して、性能特性(例えば、性能パラメータまたは一組の性能パラメータによって測定されるもの)が最適化されるような通信経路をブレンドすることができる。例えば、フローごとのブレンディングなどがあり得る。
【0078】
マルチモデム通信装置は、携帯型のリモート・モデム・ボックスとして提供することができ、これにより、接続がマスタ通信装置に公開されて、マスタ通信装置は、どのようにしてどの接続を使用するかを制御できる。
【0079】
マルチモデム通信装置は加えて(または代替として)、装置自体でネットワーク・ブレンディングおよびネットワーク管理を実行するオンボードの接続ブレンド回路を有するブレンディング対応の携帯型ブレンディング・アプライアンスとして提供することができる。別の変形形態では、マルチモデム通信装置は、ブレンディング回路を通じたブレンディング能力を含むことができるが、この機能は、マルチモデム通信装置を、リモート・モデム・ボックスおよび携帯型ブレンディング・アプライアンスとして切り替えられるようにして、動的にオンまたはオフにすることができる。ブレンディング対応アプライアンスは、別の変形実施形態では、リモート・モデム・ボックス接続と接続する場合があり、そしてそれらの接続もまた同様にブレンドする場合がある(例えば、リモート・モデム・ボックスとして構成されるマルチモデム通信装置に接続されたブレンディング対応マルチモデム通信装置)。
【0080】
多くの可能な使用例があるが、詳細には二つの使用例が企図され、さらに詳細に記載される。第1の使用例が記載されるが、この場合には、マルチモデム通信装置の一つまたは複数は、静置された設置物、例えば建物のデータセンター内の場所にある装置に結合され、マルチモデム通信装置は、建物のデータセンター内の装置に向けてさらなる仮想接続が公開されるようにして建物の様々な面または異なる階に位置して、強化された通信が可能となるようにしている。第2の使用例では、マルチモデム通信装置の一つまたは複数は、移動性の設置物に結合されており、この設置物は、例えば、性能パラメータが周期的に変化するような、よって、いくつかの実施形態では、キャリア/オペレータへのモデムの割り当てを随時更新する必要がある場合があるような、経路および異なる地理空間的場所に沿って移動する。
【0081】
マルチアンテナ・シャーシは、複数のアンテナ(例えば、複数のコロケーションされたアンテナ)が利用される場合に生じる信号伝搬の課題を考慮して適合される。アンテナには、伝送、受信に適合されたアンテナ、または伝送および受信の両方の機能に適合された複合アンテナなどの、異なるタイプのアンテナなどを挙げることができる。例示的なアンテナには、SISO(単入力、単出力アンテナ)を挙げることができるが、ただし他のアンテナタイプも可能である。多入力および多出力、すなわちMIMOは、複数の伝送および受信アンテナを使用して無線リンクの容量を増加させてマルチパス伝搬を利用する方法である。ホモジニアスMIMOは、すべてのアンテナ(またはアンテナ構成要素)を同一とするMIMOアンテナに向けた手法である。上述のとおり、複数のアンテナを有することができる複数の無線機(同時に動作するもの)に関わる課題に関連する手法が記載される。
【0082】
詳細には、これらの課題は、エネルギー損失問題、単純なアンテナの差別化問題、およびMIMO相関問題としてまとめることができる。シャーシは、例えば、システムの物理的な幾何学形状、またはアンテナの再配向/修正された幾何学形状のいずれかを理由とする、同様の周波数で動作しているコロケーションされたアンテナ間の干渉を、最小化するように適合される。アンテナは、電子通信に適合されており、様々な送受信装置を使用して伝送、受信等を行うことができる。アンテナは、電子通信のための特定の所望のビームパターンおよび/またはスペクトル特性に応じて、特定の形状および構成、例えば折り曲げ、偏波、長さを有することができる(例えば、ループアンテナ、ダイポール、スロットアンテナ、フラクタルアンテナ、ビームフォーミング可能なアンテナなど)。
【0083】
複数のアンテナ(例えば、ワイドバンド・アンテナ、またはマルチバンド・アンテナ)を使用することにより、エネルギー損失問題が生じる。LTE、LTEアドバンスト(LTE-Advanced)、5G、または将来世代のセルラー通信システムが、多数の可能な周波数帯域にまたがって動作可能であり、キャリア集約により、サービスプロバイダは、複数の異なる帯域を集約して一つの無線機上で一つのチャネルを形成でき、集約されることになるこれらの周波数帯は、どの帯域が利用可能かに応じて地域ごとに異なる場合がある。40とおり以上の周波数帯域上、世界中で動作するセルラー無線機が利用可能である。
【0084】
無線機が使用する可能性のあるすべての帯域をアンテナがサポート(同一アンテナ設計を世界中で使用することができるように)するためには、そしてキャリア集約においていっしょに使用されることになる利用可能な帯域の任意のグループ化をアンテナがサポートするようにするためには、システムによってサポートされるすべての帯域をカバーする周波数の連続的な範囲にわたって伝送/受信することができる、広帯域タイプのアンテナが好ましいことがあり得る。システムが、システムごとに複数の無線機(モデム)を使用し、すべての無線機が同じ組の可能な帯域内の帯域で動作し、各無線機が複数のワイドバンド・アンテナを使用している場合には、対象のすべての周波数を放射/吸収する各ワイドバンド・アンテナの能力は、システム性能に有害な効果を有する。
【0085】
システム内のすべてのアンテナは、システムの動作帯域内の対象のすべての周波数を依然として吸収し、設計によって、アンテナは、(その連続的な動作帯域内の)いくつかの他の周波数を拒否しつつ対象の所与の周波数を選択するということはないので、システム内の所与のアンテナ近くのRF場強度の一部は、システム内の他のアンテナ(例えば、近傍のアンテナまたはコロケーションされたアンテナ)により吸収される。吸収されたエネルギーは、近隣のアンテナ内で失われる、または近隣のアンテナの無線機内に搬送される場合がある。これは、所与のモデム/アンテナによって通信チャネルを形成するのに使用されるRFエネルギーの一部が、通信チャネルに寄与しない近隣のアンテナに向けて常に損失されるという効果を有する。例えば、各無線機が二つのアンテナを有する3無線機システム(例えば、六つの同一アンテナのシステム)では、各アンテナは、そのエネルギーの約30%をシステム内の他のアンテナに向けて損失する(この損失は、伝送中または受信中の両方向で起こり得る)。
【0086】
本明細書に記載されるとおり、複数の無線および/またはワイドバンド・アンテナから構成される単一または複数無線機システムにおいて、近隣のアンテナへのエネルギー損失を低減させるように適合される手法が提案される。これらの手法は、例えば、通信リソースが制約されている場合、またはミッションクリティカルな場合に有用である。そうした状況には、とりわけ、地方/遠隔地/戦場からの放送、主要スポーツイベント放送などが挙げられ、本明細書に記載される手法は、様々な実施形態に記載され、これらの実施形態では、見通し低減と多様な接続性の経路集約(例えば、ボンディング)/制御の組み合わせをいっしょに利用することで、通信特性を呼応して向上させて、強化された信頼性、カバレッジ、または全体として集約された帯域幅がもたらされる。本明細書に記載されるとおり、物理システムは、モバイル伝送装置システムの一部として使用することができる。
【0087】
ワイドバンド・アンテナは幾何学的に単純な設計、例えば単純な多角形であることが多く、幾何学的な並び換えの機会が制限されることが理由となって、単純なアンテナの差別化問題が発生する。逆に、アンテナの設計が幾何学的に複雑な場合には、アンテナの設計を幾何学的に並び換えて、各並び換えが、通信チャネルにおける遠方のエンドポイントから見てアンテナの等価の性能を有するが、局所的なシステム内の近隣のアンテナへのエネルギー損失を低減させるようにする方法がある場合がある。遠方のエンドポイントから見ると、異なる形状は、アンテナとして等価であるが、近傍のアンテナは、互いの間でエネルギーを結合する可能性が低い。
【0088】
ワイドバンド・アンテナの幾何学的な並び換えへの手法と、アンテナ-シャーシまたはアンテナ-カウンターポイズのシステムの同時並び換えをいっしょに考慮することによって幾何学的な並び換えの可能性を高める手法とが、本明細書の様々な実施形態に記載される。アンテナ設計の幾何学的並び換えの機会が制限されている場合(多角形のワイドバンド・アンテナのように)に要求される場合のある、近隣のアンテナを分離する変形形態手法もまた、様々な実施形態に記載される。
【0089】
隣接するローカルアンテナに向け損失されるRFエネルギーが低減すれば、それがどんなものであっても、MIMOの性能は向上するはずである。これは、伝送と受信の両方について発生し得る。
【0090】
データ通信の課題をさらに例示するために、LTE、LTE-A、および5G無線機/モデムは、無線機/モデムごとに複数のアンテナを使用するように構成される場合がある。このような複数のアンテナを使用して、現実世界の制約を受けた通信チャネルごとにさらに多くのデータを送信/受信するために、様々な手法を適合させることができる。例としては、マルチパス伝搬や空間多重化などが挙げられる。しかし、これらのシステムが働くためには、所与の無線機の複数のアンテナの間に、ある程度の分離がなければならない。マルチパス伝搬の場合には、所与の伝送信号が複数の受信アンテナによって異なる形で受信されなければならない。空間ダイバーシティの場合には、複数のデータストリームが、複数の伝送アンテナ上で直交符号化を使用して伝送される。複数の受信アンテナはそれぞれ、受信装置において無相関である場合のある伝送データストリームの異なる組み合わせ(異なる振幅および位相)を受信する。
【0091】
これらの手法は、各無線機によって使用される複数のアンテナ間のより良好な分離がある(例えば、カップリングがより少ない)場合に、より効果的である。複数のMIMOアンテナにまたがって受信された信号の相関は、採用された特定のMIMOスキームの結果であるはずであり、局所的なMIMOアンテナの機能だけの結果ではないはずである。また、無線機は、接続されたMIMOアンテナ間の最小の分離要件(例えば、10dB)を指定する。
【0092】
本明細書におけるいくつかの実施形態に記載される解決策は、ワイドバンド・アンテナの複数性のエネルギー損失問題および単純なアンテナの差別化問題に関して有用であり、チャネルごとに損失されるRFエネルギーの低減の上に、MIMO性能の向上にも寄与する場合がある。
【0093】
いくつかの実施形態では、シャーシは、無線周波数(RF)シールド材料を使用して製造することができ、アンテナは、それらが最大の表面積/信号強度を有することができるように貼着することができるが、シャーシに貼着された他のアンテナとの見通しは、構造的な特徴によって低減されるまたは完全に除去される。これは、i)アンテナとシャーシの間の距離、ii)シャーシの縁の間の角度、にアンテナ表面のサイズが依存する、単純な多面体を例えば使用することによって、実現することができる。例えば、凹表面を使用して、開口部または空洞を設け、その内部により長いアンテナを貼着することができる。アンテナは、表面の中央に位置してもよいし、または中心から外して位置して(様々な方向を指していてもよい)。アンテナの形状は、折り曲げられたアンテナフレームを例えば使用することによってその表面積を最大化するよう、最適化することもできる可能性がある。また、システムは、最良の通信(例えば、伝送および/または受信)能力を有するアンテナを通じて信号を指向させることができる可能性がある。この態様は、アンテナをシールドすることから生じる指向性の課題を克服する。システムは、特定のアンテナの通信能力を監視すること、そして適切なアンテナを通じて信号が伝搬するよう保証することができる可能性がある。さらに、システムは、アンテナの伝送能力を最大化するよう、それ自体を再配向できる可能性がある。
【0094】
エネルギー損失問題は、同一の(あるいは充分に類似した)アンテナを使用する場合に顕著であり、これらのアンテナはコロケーションされると、ワイドバンド・アンテナの非選択性に起因して、近傍のアンテナによる吸収によってエネルギーを損失する。たとえ、所与のアンテナが一つの帯域で動作していると同時に近傍のアンテナが別の帯域で動作しているとしても、各アンテナは、その動作帯域における入射および出射エネルギーを、その近隣のアンテナに向けて損失するが、これは、すべてのアンテナが、対象のすべての帯域でエネルギーを吸収するからである。近傍のアンテナは、局所的なRFエネルギーを吸収して「浪費」して、いずれの所与のアンテナと、通信チャネルを形成する遠方界の相手との間の相互作用をも弱める。エネルギー損失は距離の関数であり、隣接するアンテナが近いほど損失は大きくなる。
【0095】
単純な形状を有するアンテナ(例えば、典型的なワイドバンド・アンテナ)では、単純なアンテナの差別化問題が生じる。このような近傍のワイドバンド・アンテナを分離することは、比較的より困難である。幾何学的に複雑なアンテナの場合には、アンテナの形状を修正(例えばミラーリング)して、近傍のアンテナ間の分離を高めることが可能である。ワイドバンド・アンテナは、マルチバンド・アンテナよりも幾何学的に単純な形状である場合がある。その結果、マルチバンド・アンテナに対して、近傍のワイドバンド・アンテナを分離することは、より困難である場合があり、これは、より単純な幾何学形状は、修正できる可能性が低いからである。例えば、マルチバンド・アンテナは、木の枝に類似した形状をしている場合がある一方、ワイドバンド・アンテナは、正方形に類似した形状(または三次元の等価な形状)をしている場合がある。木の枝に類似した幾何学形状にはより多くの並び換えが存在するが、正方形形状には並び換えが存在せず、このことによって、ワイドバンド・アンテナによって利用可能な形状が限定されるが、これは、ワイドバンド・アンテナを、分離を高める相補的な形状に変形させることがずっと複雑であって、場合によっては不可能であるからである。
【0096】
MIMO相関問題は、アンテナの組をMIMO構成要素として使用する場合(伝送装置と受信装置の間の複数の空間的経路により、単一周波数でより多くのデータを通信することができる)に生じ、この手法は、アンテナ構成要素間の相関を低減させる(例えば、分離を向上させる)ことを要求する。この問題は、伝送と受信の双方向で発生する可能性がある。MIMOアンテナ自体が、自分のところに到着する「異なる」信号を見ることができる必要があり、通信されたすべてのデータを効果的に取り戻すために、異なるアンテナでの観測される信号相関のレベルの変動を使用する。システムの欠点により、一つのMIMOアンテナで受信された信号が、別のアンテナで受信された信号と常に相関している場合には、すべての通信データを取り戻すMIMOアンテナの能力は低下する。
【0097】
これらの課題は、携帯性が要求されるさらに小型のモバイル装置ではさらに顕著である。伝送システムにおけるさらに大型の非モバイル品目(例えば、セルタワー)は、アンテナをさらに遠くに移動させることによってこれらの干渉問題を解決するが、これは、モバイル装置に存在するサイズの制約を伴う選択肢ではない。
【0098】
図1は、代替設計を表示するものであり、装置上の複数のアンテナが互いにいかに干渉して、遠方界アンテナに向けた信号を近傍のアンテナに拾わせることによってエネルギー損失をいかに生じさせる可能性があるかを示している。シャーシ/カーネルおよびアンテナは、特定の装置用の大きいエンクロージャ内に収められていてもよく、またはアンテナは、そのエンクロージャを形成するシャーシ/カーネルの外部にあってもよいことに留意されたい。
【0099】
図1は、広帯域エネルギー損失問題を例示している。アンテナ100は、通信チャネルを形成している遠方界の相手に信号を伝送している。アンテナ100は、アンテナ102の見通し内にある。アンテナ100の伝送されたまたは受信された信号パワーの一部が、104への見通しを通じてアンテナ102に向け損失されることになる。同様に、アンテナ102は、106への見通しを通じて、一部のRFエネルギーを損失することになる。同様の損失は、互いに見通し内にあるあらゆるアンテナの間で生じる。本開示における改良された実施形態に記載されるとおり、見通しを低減させることができれば、記載される損失を低減させることができる。見通しが信号の課題の唯一の原因ではなく、他の原因が存在する場合のあることに留意されたい。
【0100】
したがって、利用可能な通信インフラに対して装置または装置のセットの場所が変動し得る(データ伝送の特性がそうであり得る)、特にモバイルまたはノマド的なデータ伝送の状況において、遠方界性能の向上における柔軟性を持たせつつ、近傍界損失またはローディングに関する懸念に対処するシステムまたは装置への要望が存在する。
【0101】
この効果は、
図2Aにおける図面200Aに示される設計によって対処することができ、この場合、マルチアンテナ・シャーシが、例示的な実施形態に記載される。
図2Aを参照すると、シャーシ206、アンテナ200、およびアンテナ202の空間的な配向および配置は、見通し204がシャーシ206によって遮断されるようなものである。
図2Aでは、アンテナは、高さおよび幅を有するものとして示され、矩形で表現されている。
【0102】
しかしながら、異なる幾何学形状を有する異なるタイプのアンテナ200、202が可能であり、それらの異なる幾何学形状の結果として、パワー/信号伝播特性は異なる。例えば、「見通し」は、常にアンテナの端から真っ直ぐであるとは限らず、むしろ、見通しは、とりわけ信号伝播/反射、指向性、偏波、ビームパターンなどを考慮する場合がある。いくつかの実施形態では、幾何学形状は、ビーム伝搬経路の重なりを低減させるように適合され、この経路は、アンテナによって放射される場のパターンに基づき、隅または他の構造的な特徴の周りで曲がる波動(特に波動が高振幅を有する場合)の観点から、見通しとは異なる場合がある。
【0103】
近傍のローカルアンテナ間の見通しは、それらのアンテナ間の劣悪な信号分離(広帯域問題によって一方がエネルギーを吸収する可能性がある)の原因となる可能性があり、その一方で伝搬経路の重なりは、理想的には相関しない二つの信号の不注意な相関を引き起こす場合があって、空間MIMO性能を低下させる可能性がある。
【0104】
対応する動作の方法、およびプロセッサ上で実行されて動作の方法を実行する機械解釈可能命令を記憶する非一過性の計算機可読媒体が企図される。プロセッサおよびストレージを配置させたシャーシ206は、アンテナを結合する(例えば、直接接続する、貼着する、取り付ける)ことができる筐体とすることができて、特定の使用シナリオに応じて追加の電子装置をモジュールとして取り付けるまたは取り外すことができるカーネル装置を提供する。
【0105】
アンテナ200、202のタイプには、とりわけ、モノポールアンテナ、ホイップアンテナ、ダイポールアンテナ、フラクタルアンテナ、パッチアンテナ、対数周期アンテナ、ボウタイアンテナ、開口アンテナ、スロットアンテナ、マイクロストリップアンテナ、平面リフレクタアンテナ、平面アンテナ、パラボラアンテナなどを挙げることができる。これらの異なるタイプのアンテナのそれぞれは、異なる通信特性を有し、例えば、異なる指向性、偏波、放射パターンを有する。例えば、いくつかのアンテナは、水平方向に波動を放射する一方、他のアンテナは、より集束性または無指向性のものとすることができる。波動のパワー供給は、あらゆる方向で必ずしも均一であるとは限らない(例えば、指向性)。複数のアンテナ(例えば、MIMO構成)は、特定の状況、例えばマルチパス伝搬を利用することが有用である場合に、有用であり役立つ可能性がある。しかし、上述のとおり、いっしょに動作するアンテナは、それらが互いに見通し内にあるか、非常に近接しているか、または重なり合う、同一の、もしくは隣接する周波数帯で動作している場合には、互いの性能に有害な効果を有する場合がある(ワイドバンド・アンテナは特に問題である)。
【0106】
以下の様々な実施形態で言及されるとおり、(例えば、シャーシ、アンテナ、アンテナの方向/場所の)構造的特性は、複数のアンテナがシャーシ上で同時に動作している場合に信号品質を向上させるように適合される。シャーシは、電子機器などの他の対象物用のエンクロージャであってもよく、または一つもしくは複数のヒートシンクを組み込む場合がある。いくつかの実施形態では、シャーシ206は、回路基板、ルーティングコントローラなどの装置の内部取り付けを可能にするように、またはストレージのための区画を含むように、中空である場合がある。例えば、一実施形態では、アンテナは、様々なルーティングコントローラによって制御される異なるMIMO可能な無線機に切り替えることができる複数のホモジニアスMIMOアンテナを含むことができる。
【0107】
物理的な幾何学形状は、製造中に制御することができ、またはいくつかの実施形態では、制御可能な構成要素、とりわけベアリング、スライド、サーボモータの作動を通じてある程度まで動的に制御することができる。シャーシ206およびアンテナ200、202の幾何学形状を制御することにより、アンテナ200、202間のカップリングを最小化または排除することができる。
【0108】
対応するアンテナまたは複数のアンテナにそれぞれ対応する取り付け点208または開口部を有するマルチアンテナ・シャーシ206が、いくつかの実施形態に記載される。取り付け点208または開口部は、アンテナのそれぞれが互いに見通し内に入らないようにして位置する。シャーシ206は、取り付け点208または開口部用の複数の表面を有する三次元形状である。位置に関する他の考慮事項には、装置の動作に関連する制約などが挙げられる。例えば、一実施形態では、システムがあらゆる方向から信号を受信できるように、各面に一つのアンテナが存在する場合がある。別の実施形態では、一組の面上にアンテナがある一方で、他の面は使用されないか、または利用可能でない。
【0109】
シャーシ206は、RFシールド特性と、あらゆるアンテナを搭載するための特徴とを有する導電性三次元多角形とすることができ、シャーシ形状は、シャーシがアンテナ構成要素間の見通しRF経路を遮断するように適合される。シャーシ206(電子機器を含む場合がある)は、「カーネル」と考えることができ、その周りには、隣接するエネルギー吸収アンテナを配置することができ、この配置は、カーネルに対するアンテナのサイズ/形状/配置を最適化することで、カーネル形状によって作り出される水平線によって見通しが遮断されると、「近傍界」における動作していないアンテナによるカップリングおよび信号吸収/エネルギー損失を最小化できるようにしてなされる。他の考えられる利点には、遠方界通信のための最適化が挙げられ、これは、カーネル形状および/またはアンテナの位置もしくは配向が、通信のスペクトル特性を向上させる場合があるからである。多角形のシャーシ206は、いくつかの実施形態では、アンテナ用のカウンターポイズとして使用することができる。一例では、シャーシ206は、無線機または他のシステム電子装置用のエンクロージャとして、またはシステム冷却用の放熱装置としても使用される場合がある。
【0110】
またいくつかの実施形態では、シャーシ形状を、アンテナ形状に呼応して、またはアンテナ形状とは別個に変更して、最小の遠方界効果を有するローカルアンテナ構成要素間のカップリングを最小化させる場合もある。この手法は、複雑な折り曲げアンテナおよび側面の多い多面体にも外挿される場合がある。
【0111】
アンテナ200、202は、アンテナを対応する伝送装置または受信装置に接続するための、給電線または伝送線を含むことができる。いくつかの実施形態で言及されるとおり、ルーティングコントローラ回路207は、通信を提供するためにいっしょに利用されているアンテナに関連するアンテナの動作を、それらのアンテナの動作を調整する(例えば、呼応して動作させる)ことによって、制御する場合がある。例えば、異なるMIMOアンテナを、異なるMIMO可能な無線機に切り替えることができるか、またはタワーの場所などの要因に起因して、もしくはシステム内の別の干渉帯域から空間的に分離するために、所与の無線機についてすべてのアンテナを選択することができる。
【0112】
例えば、シャーシ206上のすべてのアンテナ200、202が必ずしも同一の目的または同一の通信チャネルのために使用されるわけではなく、例えば、メディア放送バンは、その伝送先である複数の受信点を有する場合があって、まったく異なるフィードを送信している場合がある(例えば、アンテナ1、4、6、8は、スポーツチャンネルに使用されており、2、3、5、7はニュース速報に使用されている)。これらのアンテナのグループ化は、いっしょにボンディングされ操作されるアンテナとすることができ、この操作は、特定のボンディングされた下位群に属する対応するアンテナが互いに見通しを有さない(ただし別の下位群の他のアンテナとは見通しを有することができる)ようにしてなされる。例えば、シャーシは、それぞれが互いに見通しを有さない二つの下位群を有する場合がある(例えば、交互に上と下を向いたアンテナ)。
【0113】
同様に、関連出願のいくつかで言及されるとおり、異なるアンテナは、いっしょに使用されている場合(例えば、ボンディングされた接続)には、異なるタイプの通信に関連して利用することができ、例えば、いくつかのアンテナは誤り制御に使用されると同時に、他のアンテナはバルクデータ転送に使用される。単一の動画フィードの状況では、異なるセットのアンテナは、フィードの異なる部分に使用することができ、例えば、あるセットは、動画の一部にスコアオーバーレイまたは広告を提供するのに使用することができる一方で、他のセットは、進行中のスポーツゲームを放送するのに使用することができる。異なるアンテナおよびアンテナのセットは、例えば、フローごとのルーティングに使用することができる。
【0114】
別の例が、
図2Bの図面200Bに示されている。この場合には、アンテナの数を低減させることによって、見通しを依然作り出しつつさらに大きいアンテナを実現できる可能性がある。アンテナ212および214は、シャーシ(エンクロージャカーネル)210の互いに反対側の表面に位置している。この実施形態では、アンテナ212および214の表面は、アンテナ212および214の間の見通しを確立することなく、シャーシ210の表面積のサイズまで拡大することができる。図示のシャーシは中央カーネルであるが、シャーシが、代わりに大きな金属製の物体、例えば乗り物の本体である他の変形形態が可能であるということに留意することが重要である。
【0115】
アンテナの折り曲げは、アンテナ間の見通しをさらに低減させることによって、より小さいシステム包絡面を可能にする場合がある。アンテナの折り曲げは、例えば、アンテナの一部を操作する(例えば、とりわけ、様々な方向に曲げる、それ自体の背中合わせに折り曲げる)ことができるようにするアンテナ制御機構または構造的な特徴(例えば、蝶番)を含むことができる。折り曲げによって、潜在的に向上した形状が可能になり、またシャーシに取り付けられた互いに呼応して動作する複数アンテナの状況では、各個々のアンテナに関連する高さを修正して互いの潜在的な見通し干渉の低減を支援することができるようになる。例えば、折り曲げは、各アンテナを取り付ける表面に対してそのアンテナの突出する高さの量を低減させる手助けとなる場合がある。
【0116】
アンテナの折り曲げは、本明細書に記載される問題のいくつかを解決する上で非常に有用な道具となる可能性があり、さらなる変形形態が可能である。アンテナ設計は高価になる可能性があるが、いくつかの実施形態では、相補的なワイドバンド・アンテナは、「折り曲げ」(例えば、本明細書に記載されるシャーシとの一体化)が、可能な限り容易になるようにして適合される。場合によっては、アンテナの折り曲げは、特定の物理的寸法プロファイルを実現する(例えば、マルチモデム通信装置が可能な限り平坦になるようにする、または、特定の箱型プロファイルが、それが配置されることになる利用可能な空間に応じて全体の占有面積を低減させるようにする)ためにも使用される。
【0117】
例えば、折り曲げ後にアンテナの下位構成要素として有用となる可能性がある個別の幾何学的「ゾーン」を有するアンテナを設計することによって;それらのゾーン間に「折り曲げ線」を有するアンテナを設計することによって;またはそれらの線上で折り曲げる際に、アンテナチューニングの変化が可能な限り最小限になるように予め計算または設計することによって、様々な折り曲げアンテナを適合させることができる。したがって、この例では、さらに複雑な設計が一度だけ実施されることで、本明細書の様々な実施形態に記載されるものなどのシステムに一体化する際に一体化、調整、および仕上げを行うのに必要な作業が少なくなるアンテナ設計がもたらされるという場合がある。
【0118】
図2Cは、いくつかの実施形態による、アンテナに形状を導入する(この場合にはまた、アンテナを、他のアンテナに対して鏡像の配向を有するように反転させる)ことによってこの手法上で拡大する図面200Cを含む。アンテナ222は、シャーシ220から外に延びており、アンテナ222と224との間の見通しをシャーシ220が依然として妨害するようにして、シャーシ220に向かって折り曲げられている。アンテナ222を折り曲げることで、最大表面積が増加し、これにより、信号伝播の向上、動作周波数範囲を拡大または縮小できる可能がある。
【0119】
また、シャーシの形状そのものを変更することで、ローカルアンテナ構成要素へのカップリングがさらに低減する場合もある。アンテナの折り曲げ、例えば、アンテナの最後の20mmを垂直次元に折り曲げることによって、所与のアンテナサイズに対して要求されるシャーシサイズが最小化される場合がある。
【0120】
図2Dは、シャーシの一実施形態を3D描画で示す図面200Dである。アンテナ232は、シャーシ230から外に延びており、アンテナは、アンテナ232と234との間の見通しをシャーシ230が依然として妨害するようにして、シャーシ230と平行になるようにして折り曲げられている。アンテナ232を折り曲げることで、高さ(例えば、カーネルの表面からの距離)を実質的に加えることなくより長いアンテナを貼着することが可能になる。カーネルの表面からの距離は、カーネルのコアから離れたところにアンテナの「屋根裏空間」を確立するのに役立つ場合があるという点で有用であり、この屋根裏空間は、例えば電気的カウンターポイズとして作用することができる可能性がある。
【0121】
場合によっては、多くの異なるアンテナを要求する装置(ボンディングされた伝送装置など)を含め、トレードオフが要求される場合があり、この場合、
図2Eに示されるとおり、クロストークを低減させるためにアンテナのサイズをさらに小さくする。
【0122】
図2Eを参照すると、シャーシ240の四つの側面のそれぞれに貼着されたアンテナをシャーシ240が有する図面200Eが示されている。アンテナ242および244は、シャーシ240の隅から外に平面に沿って延びており、この平面を通じて、シャーシ240は、アンテナ242と244との間の見通しを妨害する。見通しを妨害することによって、アンテナ242および244は、互いによる吸収に起因する信号エネルギーをほとんど損失しない。アンテナ242および244は、空間的特性を理由にシャーシ240の本体に向かって折り曲げることができる。そのような解決策の3D描画が、
図2Fの図面200Fに示されている。
【0123】
図2Gは、複数の給電線(無線機A、B、C、D)を利用できる、特定のアンテナに関する考えられる修正形態を示す図面200Gである。いくつかの実施形態では、給電線の配向および指向性を修正して特定のアンテナ間においてカップリング効果を低減または除去することができる。
【0124】
図2Hは、いくつかの実施形態による、
図2Dと同様の3D描画200Hであるが、アンテナの配向を反転させて、修正形態の場合のさらなる寸法を得るということが異なっている。
【0125】
図2Iは、いくつかの実施形態による、アンテナAおよびBの間に電気絶縁体250、252を有する変形実施形態の2D描画200Iである。
【0126】
例示的な状況では、接地面(例えば、カウンターポイズ)を共有することで、マルチアンテナシステムにおいてアンテナ間で信号漏れが生じる可能性がある。
【0127】
この問題の解決策には、シャーシを、電気的に分離された領域に分割することが挙げられる。分割する場合には、導電性領域は、随意に空間的に重なり合って、シャーシの領域を依然として電気的に絶縁しつつRFシールドおよび見通し遮断を維持する場合がある。アンテナ形状は、最小の遠方界効果を有する他のアンテナ構成要素への見通しRF経路(したがってカップリング)を最小限にするよう(例えば、折り曲げによって)変更される場合がある。
【0128】
この例示的な実施形態では、アンテナは、構造を機械的に共有するが電気的には共有せず、さらなる実施形態では、シャーシの分離されている部分、例えば絶縁されたジョイント、例えば絶縁されたスリップジョイントを、シャーシのRFシールド特性に「隙間」がないように特に適合させる場合がある。この例では、絶縁されたジョイントを通る見通しがないということは、エンクロージャの反対側のアンテナからの信号漏れがなく、カウンターポイズ片によって作り出される「エンクロージャ」の内部の電子機器からのRFノイズの漏れがないことを意味する。
【0129】
図3Aは、アンテナとシャーシを相補的な手法で共に折り曲げるさらなる特徴を示す図面300Aである。一実施形態では、モノポールアンテナが使用され、金属製の中央部分がカウンターポイズになる。アンテナは、最小のサイズを可能にするよう、カウンターポイズを共有する場合がある。アンテナのいずれの所与のサイズまたは形状に対しても、中枢部分/カーネルの最小のサイズ/形状が存在する可能性がある。
【0130】
図3Aでは、アンテナとシャーシの表面との両方がいっしょに成形されている(例えば、この場合には、両方とも凹状に折り曲げられているが、他の変形形態も可能である)
【0131】
図3Bは、シャーシの3D実施形態300Bを示す。シャーシ310は、シャーシの表面に沿って凹部を導入する形状を有する。アンテナ312は折り曲げられて、その構造はシャーシ310の内面に平行である。アンテナ312は、シャーシ310の凹部(例えば、空洞、開口部)内に位置する。この実施形態は、アンテナ312の表面積または長さを増加させる一方で、アンテナと、アンテナ314などの近隣のアンテナとの間の見通しを依然として妨害する。
【0132】
空洞の深さは、例えば、アンテナの既知の高さに基づいて修正することができる。変形実施形態では、空洞の深さは、シャーシの形状が修正されるようにして、例えば、異なる構造要素を作動させて上下動させたり、回転させたりすることなどによって、動的に修正することができる。さらなる変形例では、シャーシ310は、一つまたは複数の信号品質監視センサと結合させることができ、センサは形状修正機構に結合され、この機構は、監視されている信号効果に応答して空洞の凹部または深さをリアルタイムまたはほぼリアルタイムで動的に調整できるようなものである。
【0133】
図3Cは、折り曲げられたアンテナを表示する、さらなる3D描画300Cを示す。アンテナ322は、シャーシ320から外側に延びて、シャーシに向かって折り曲げられている。アンテナ322は、アンテナ324へのその見通しがシャーシ320に妨害されており、これは、アンテナ322と324が、アンテナ322と324が共有するシャーシの縁までずっと延びていないからである。アンテナ322は、アンテナ326へのその見通しがシャーシ322によって妨害されており、これは、シャーシ320が見通しを妨害するからである。同様の特徴が、アンテナ324に関してアンテナ328に当てはまる。
【0134】
図3Dは、凸形状を使用して装置のすべての側面にアンテナを提供するエンクロージャの例300Dを示す。
図3Dは、
図3Bにおいて実装された見通し妨害手法をシャーシのすべての側面に適用した実施形態である。シャーシ340は、シャーシの表面に沿って凹部を導入する形状を有する。アンテナ344は折り曲げられて、その構造はシャーシ340の内面に平行である。アンテナ342は、シャーシ342の凹部内に位置する。この実施形態は、アンテナ342の表面積を増加させる一方で、アンテナ342と、アンテナ346などの近隣のアンテナとの間の見通しを依然として妨害する。いくつかの実施形態では、シャーシ340は、より精緻な多面体の形状をとることができる。アンテナ342および344は、アンテナ342と344との間の見通しを妨げる信号の指向性を作り出す、複数回折り曲げられた平面の形状にすることができる。アンテナを取り付けるまたは貼着するための表面が提供されるので、他の多面体も可能である。すべての表面が必ずしもアンテナを有するとは限らない。さらに、多面体は、正多面体または不規則多面体であってもよく、また、トロイドなどの形状を含んでいてもよく、この場合には内部空洞または内部に面する表面があってもよい。シャーシ340の多面体は、いくつかの実施形態では、乗り物(例えば、車、飛行機)などの他の対象物に取り付けるまたは貼着するように適合されるが、バックパック上の携行用支柱にシャーシ340が取り付けられる場合などの用途も含むことができる。
【0135】
図3Eは、一組の例示的な寸法を有する、いくつかの実施形態による例示的なシャーシ360である。示された例示的な寸法および角度は、非限定的な例として提供されている。
【0136】
この例示的な実施形態では、複数のアンテナが中央シャーシから延びているのが示されており、このシャーシは、オンボードの構成要素、例えば冷却用放熱装置、有線接続ポート、電池、電子機器、無線機を含むことができる。アンテナ362は、シャーシ360に結合された例示的なワイドバンド・アンテナであり、
図3Eの例では、カップリングを低減させる交互の配向を有する六つが示されている。アンテナ362は、シャーシ360の高さ寸法に一致し得るようにして成形して、アンテナの特定のセットの間に確立され得る見通しを除去することができる(この例では、左側と右側のアンテナは互いに見通しを有しない)。
【0137】
図3Eでは、一つまたは複数のWi-Fiアンテナと共に動作できる複数のセルラーアンテナを有する例示的なシャーシが示されている。アンテナの数は例として示されており、さらに少ないアンテナまたはさらに多いアンテナが存在し得る。
【0138】
この特定例では、セルラー用の三つのモデム/無線機(さらに多くの無線機が使用可能)と、Wi-Fiモデム/無線機(さらに多くのWi-Fi無線機も使用可能)が、リモート・モデム・ボックスの手法、ブレンディング・アプライアンスの手法、またはその両方(ソフトウェア制御下で)の使用例をサポートすることができるハードウェア・プラットフォームに一体化されている。この例では、モデムごとに二つのアンテナが使用される(MIMOをサポートするため)が、無線機ごとにさらに多くのアンテナが使用されて、例えば、4×4のMIMOをサポートする可能性があるが、他の実施形態では、各モデムに二つより多いアンテナが存在する場合がある。例えば、モデムごとに三つのアンテナ、モデムごとに四つのアンテナなどである。また、モデムの数は変動し得る(例えば、3モデムだけでなく、2モデム、4モデム、5モデムなど)。
【0139】
モデムは、追跡される性能に基づいて異なるキャリアを割り当てられる場合がある。性能は、例えば、異なるアンテナ上で一つまたは複数の試験パケットを送信して、様々な通信特性の測定結果を得ることによって、調べられる場合があり、通信特性は、例えばレイテンシ(例えば、伝搬速度)、スループット(例えば、異なるサイズのパケットを送信して競合/混雑のレベルを試験)、パケット損失(例えば、複数の試験パケットの送信を通して測定)である。モデムに対応するアンテナ(例えば、モデムに接続されているもの)がどの場所にあり、どの方向を向いているか(これは、マルチパス伝搬特性を変化させる可能性、または信号の妨害に起因して異なるスペクトル特性につながる可能性がある)に基づく異なるスペクトル環境と併せ、様々なキャリアタワーの位置および配向に基づいて、異なるモデムが、異なる性能レベルを有することになる。
【0140】
一実施形態では、試験パケットは、モデムに割り当てられた異なるキャリアを使用して送信され、これは例えば、キャリアのそれぞれを、モデムのそれぞれに対して評価できるようにしてなされる。この例では、性能パラメータはRSSI値とすることができる可能性があり、次いでこの値は、モデムが使用されている場合に/使用されているならば特定のキャリアが割り当てられるようにして、特定のモデムについてキャリア性能をランク付けするのに使用できる可能性がある。
【0141】
例えば、所与のモデムについて、元帳は、値(キャリアA、-40dB;キャリアB、-62dB、キャリアC、-91dB)を記憶できる。本明細書に記載される静置された例については、初期設定時のみ、または大きい期間(例えば、年)の間に定期的にのみ評価を実行すれば充分である場合がある。本明細書に記載される移動性の例については、評価は、ある期間にわたってさらに頻繁に(例えば、t=0、キャリアA、-40dB、キャリアB、-62dB、キャリアC、-91dB;t=1、キャリアA、-48dB、キャリアB、-45dB、キャリアC、-72dB)などで、実行される場合があり、キャリアへの割り当てが経時的に切り替わる場合がある。いくつかの実施形態では、アンテナとシャーシの異なる幾何学形状も試験することができ、この場合、シャーシ/アンテナの動的調整(例えば、サーボモータ制御を通じて)が、アンテナを伸縮させる、または折り曲げ角度を変更するなどして、可能である。
【0142】
ブレンディング・アプライアンスの手法では、マルチモデム通信装置は、オンボードのブレンディング・コントローラ回路364を利用し、
図3Eに示される装置のモデムによって確立された様々な接続への、および/または
図3Eの装置を駆動しているマスタ/プライマリ装置の他の既存の接続への、役割、責任、および/またはパケットの割り当て間においてブレンディング動作を自動的に行う。さらなる実施形態では、コントローラ回路364はまた、いっしょに使用されている他のマルチモデム通信装置(例えば、建物の異なる面に結合された四つの装置)の接続の利用を結合および/または接続することもできる。ブレンディング手法では、最高性能を提供するキャリア上のオペレータ上のモデムを得ることによって、性能パラメータを使用してネットワーク・ブレンディングのための良好な出発点を確立することがきる。その後には、オペレータ/キャリアの性能に変動が存在することになり、この変動はスマート・ブレンディング技術を使用して対処することができる。使用中のモデムに対して最初のキャリア選択がいったん行われると(例えば、モデムが較正された後)、ブレンディングの異なる技術および/または規則を使用して接続を利用することができる。
【0143】
リモート・モデム・ボックスの手法では、
図3Eの装置のモデムは、接続選択肢(例えば、仮想接続)として公開されており、この選択肢は例えば、マスタ/プライマリ装置または別のマルチモデム通信装置(例えば、デイジーチェーン(daisy chained)接続された、またはそうでなければいっしょに結合されたマルチモデム通信装置)にとっての利用可能な接続点のセットに追加できるものである。
【0144】
オンボードのブレンディング・コントローラ回路364は、マイクロプロセッサ、計算機メモリ、およびデータ記憶用の非一過性の計算機読媒体を含むことができる。オンボードのブレンディング・コントローラ回路364は、論理ゲートまたはフィールド・プログラマブル・ゲート・アレイを使用して構成することもでき、いくつかの実施形態では、接続ブレンディング・ロジックを実装するように構成される。例えば、接続ブレンディング・ロジックは、例えば、とりわけネットワークインターフェース割り当ての確立などを通じて、データ・パケットの流れ、および/または異なるモデム、接続、もしくはアンテナへのキャリアの割り当てを、いかにしてランク付け、結合、またはそうでなければ制御するかについての異なる論理規則を含んでいてもよい。他の論理規則には、とりわけブレンディング論理、誤り制御手法、プローブ・データ・パケット、フロー制御の使用などを挙げることができる。例えば、特定の特性、例えば最低のレイテンシを有するモデムには、誤り制御などの時間的に感度のあるタスクを割り当て、他のモデム、例えばさらに遅いモデムには、バルクデータ転送を割り当てることができる。ブレンディング・ロジックはまた、フローごとまたはフロータイプごとにパケットを分類し割り当てるのに使用することもできる。
【0145】
オンボードのブレンディング・コントローラ回路364は、ネットワーク特性監視装置と結合させて、様々なモデム、接続、またはアンテナに関連するネットワーク特性を、定期的にまたはオンデマンドで取得することができる。これらの特性、例えばRSSIは、メモリに記憶されたオンボードの元帳に保存されて、接続ブレンディング・ロジックに使用することができる。単純化された例では、最良のRSSI値を有する接続を通信などに利用することができる。他のさらに複雑な手法が可能である。
【0146】
オンボードの元帳は、例えば、データベーステーブル、データ値の配列などとして記憶することができる。複数のマルチモデム通信装置を(例えば別個のRMBとして)いっしょに使用するいくつかの実施形態では、ブレンディング・コントローラ回路364は、個々のモデムまたはRMBの仮想ランク付けリストを維持するように構成することができ、これは例えば、キャリアAがRMB1において、そしてキャリアBがRMB2において偶然うまくいく場合の複数の類似/同一RMBの間のモデムのミックス・アンド・マッチであり、または、RMBレベル(全体として、RMBごとに利用可能な全体的な接続性を考慮して、RMB1に送信することは、RMB2よりも優れており、これはRMB3よりも優れている)においてランク付けリストもまたそうである可能性があり、これは、マスタ通信装置が、それ自体の制限に基づいて、単一のRMBにペイロード全体を送信しなければならない場合があるいくつかのシナリオ(例えば、一度に一つのRMBとの接続しか維持できないマスタ装置(またはRMBにコンテンツを送信するようにマスタが指示している近傍の装置)の場合)において意味がある場合がある。マスタ装置が、オンボードのブレンディング・コントローラ回路364を通じて、複数のRMBにまたがる個々のモデムにではなく、その回路に提示されたRMB間で排他的接続を確立しなければならない例がある場合がある。
【0147】
各モデムについての通信手法は、地理的に分離したMIMOアンテナを可能な限り使用するように適合させることができる。
図3Fのブロック概略図面300Fに示される非限定的なマッピング例では、反対にある二つの隅は、第1のモデムに接続される可能性があり(例えば、第1のモデムに対応するような接続を確立する)、他の二つは、第2のモデムに結合される可能性があり、第3のモデムは、残りの二つのアンテナを使用して確立できる。
図3Fでは、アンテナは、アンテナ372、374、378、382、386、および388として標識され、
図3Eのアンテナに対応する。WiFiモジュール376および384が示されており、ローカルエリア・ネットワーク接続を提供する。モデムは、アンテナのセット/対を使用することによって確立することができる(しかし、必ずしも対ではなく、セットも企図され、例えば、モデムごとに三つまたは四つのアンテナが可能である)。変形実施形態では、(例えば、回路または接続経路を通じてゲーティングを制御するユーザーインターフェースを通じて)特定のモデムへの特定のアンテナの割り当てを調整できるようにして、動的配線または接続を提供することができる。
【0148】
モデムのそれぞれは、マルチモデム通信装置に結合された装置に仮想WAN接続を公開できるようにして、対応するネットワークインターフェース(ネットワークインターフェース1、2、および3として示される)に結合することができる。語句「仮想」は、装置(例えば、マスタ装置)が、接続が実際にどこを通じて接続されているかに関係なく、単に装置によって利用可能な接続として、これらの接続を認めることができることを意味する。例えば、マスタ装置が、地下のデータセンター内でセルラー接続が非常に劣悪なサーバーラックに常駐する動画放送装置である場合には、マスタ装置は、マルチモデム通信装置に結合されて、これがあたかもマスタ装置自体上でのネイティブ接続であるかのようにマスタ装置によって簡単に利用できるものである場合に、「仮想」WAN接続を認めることができる。これは、マスタ装置の劣悪な信号環境や配置を修正するようマルチモデム通信装置が接続されている改修状況において有用である。
【0149】
モデム/アンテナは例えば、周波数帯域の特定のセット、例えば600MHzから6000MHzの帯域で動作するように適合させることができる。より具体的な例では、モデム/アンテナは、異なる管轄区域または地理空間的場所をカバーすることのできるLTEアドバンスト(または他のタイプの通信手法、例えば5G、またはその後の3GPP標準)に関連する帯域を使用して動作する。モデム/アンテナは、異なる帯域、または帯域の組み合わせ/並び換えで動作することができる。いくつかの実施形態では、モデム/アンテナは、特定の場所の特定の要件に応じて、異なる帯域間で交換を行うように、そして異なるモードで動作するように適合される。とりわけ、特別な防衛セルラーバンド、専有無線帯域、衛星帯域、ミリ波スペクトルを含む、他の周波数も可能である。
【0150】
別の実施形態では、伝送特性に微妙な違いを有する
図3Eの装置では、アンテナの異なる対が利用される。別の実施形態では、アンテナの対は、マッチングされる。
【0151】
図3Eの装置は、
図3Eの装置の構成を修正するのに使用されることができる、カバー、オーバーレイ、メンブレンボタン(例えば、アップダウン、エンター)、ユーザーインターフェースなどの追加の特徴をさらに含むことができる。
図3Eの装置は、異なる動作モード、例えば第1の動作モードである「ブレンディング・モード」、および第2の動作モードである「リモート・モデム・ボックス・モード」で動作することができる。
【0152】
図3Gに示されるとおり、
図3Eの装置は、マスタ/プライマリ装置に接続して、例えばWi-Fiアンテナ、または有線接続、例えばイーサネット接続などを通じて、マスタ装置の通信能力を増強することができる。
【0153】
図3Gの装置は、ローカルネットワーク接続を介して、そのモデム(および場合によってはWi-fiまたはイーサネットなどの他のネットワーク装置)の仮想コピーを、他の装置に(例えば、リモート・モデム・ボックス・モードで)、そしてもう一つの装置に効果的に提供し、ブレンディングはこの他の装置上で行われる。
【0154】
ブレンディング・モードでは、ブレンディングは、マルチモデム装置を使用して行われ、この場合、「実際の」局所的な(仮想化されていない)モデムのワイヤレスデータ接続がブレンドされる、そして場合によっては、利用可能なWi-fi接続、またはイーサネットポートの一つ(例えば、衛星)に存在する他の接続ともブレンドされる。ブレンディング能力を提供するために、コントローラ(例えば、
図3Eのマルチモデム装置上またはマスタ装置上のもの)回路(またはチップ上のシステム)を使用して、仮想モデムを他の接続(例えば、マスタ装置上の既存の接続または他のマルチモデム通信装置からの仮想接続)とインテリジェントに結合することができる。
【0155】
変形実施形態では組み合わせモードもまた可能であり企図される。装置は、ブレンディングを実行するように構成され、その局所的な実モデムを、RMBモードで別のマルチモデム通信装置からの仮想化コピーとブレンドする場合がある。装置はまた、ブレンディング・モードにある第2の装置370からの集約された接続をブレンドすることができる。よって、これら二つのモードの混合が可能であり、例えば、一つの装置370が、外部ブレンディング用の外部装置に二つの仮想モデムを提示し、同時に上流イーサネット装置(例えば、衛星)をその第3のモデムとブレンドし、ブレンドされた接続および二つの仮想モデムを同一の下流イーサネット接続上で提供することも可能であり得る。換言すると、「ブレンディング・モード」を記載する場合には、特に仮想というわけではないモデムとして言及することができ、モードは、RMBとブレンドされた手法との両方の組み合わせであると企図される。
【0156】
リモート・モデム・ボックス・モードを提供するモデム手法での
図3Eの装置は、他の装置のモデム接続を簡単に置き換えることができ、これは、あたかも仮想接続が他の装置のネイティブ接続であるかのように他の装置が仮想接続を利用するようにしてなされる。
【0157】
この二つの手法は有用であり、これは、良好なセル接続性のない場所、例えばサーバ室にプライマリ装置が設置されていて、接続性の観点から機器接続を設定するIT専門家が、特定のタイプの通信経路についての無線機要件を認識していない可能性があるような現状において発生する技術的要求を、これらの手法が満たすことができるからである。IT専門家は、時には、ファラデーケージとして機能する可能性のあるラックボックスの内部に装置システムを置く場合さえあり、特定の構成要素について劣悪な信号接続が生じる。したがって、
図3Eの装置、または
図3Eのものと同様の複数の装置を、とりわけ、窓上、建物の異なる面上(例えば、北面、南面、東面、および西面に各一つ)、乗り物の異なる区画上(例えば、前面と背面に一つ、または異なる列車区分に分散して)への設置を通じて、既存の機器を増強または改修するのに使用することができる。
【0158】
具体的には、リモート・モデム・ボックスの使用例では、マスタ/プライマリ装置370はその場合、単に通常通り、しかし
図3Eの装置から延びる個々の接続を用いて動作し、マルチモデム通信装置は、モデムとアンテナを別の(場合によっては物理的に離れた)システムに提供する「ドングル」とみなすことができる。ドングルは、互いに対する見通しを低減させるように構成されるアンテナセットを含む可能性がある。
【0159】
複数の接続が
図3Gに示されており、この場合には、互いに並んで動作する三つのマルチモデム接続装置が存在する場合がある。仮想接続は、追加のWAN接続を提供し、さらなる実施形態では、これらの接続がブレンドされ得る。さらなる変形形態では、
図3Eの装置は、乗り物または公共交通機関と共に利用またはこれらと接続されて、高レベルの接続性または帯域幅を要求する装置、例えばオンデマンドのインフォテインメント・システムに、向上した接続を提供することができるものであり、こうしたシステムでは、多くの従来型インフォテインメント・システム(例えば、航空機システム)では必要とされていた、媒体を予めダウンロードさせる中央サーバを有するという要件を有することのないコンテンツに、個人が動的に接続してこれを見ようと試みる。
【0160】
図3Eの装置は、良好な性能に向けて(また、規制当局によって)要求される無線性能目標(TRP、TIS、隣接アンテナ相互カップリング)を満たしつつ、小型で携帯可能な軽量装置を提供する。本明細書の様々な実施形態に概説されている技術は、相互カップリングおよびローディングを最小化すると同時に、最良のMIMO性能を提供する(すなわち、同一無線機に取り付けられたアンテナ間の信号相関を最小化する)ようにアンテナを配置するようにも適合される。カップリングは、アンテナを金属の「カーネル」の周りに配置することで最小化され、このカーネルがRFを遮断して、設計目標に従ってアンテナ間のRF見通しを取り除くまたは最小化する。アンテナの間隔は、無線性能目標を満たしつつ可能な限り密にされる。鏡像折り曲げアンテナを互いに隣接する場所に置くことによって、相互カップリングがさらに最小化される。
【0161】
アンテナは折り曲げられて、平面な寸法を低減させ装置全体を可能な限り小さく保つ。多くの選択肢があり、直線という選択肢さえもあり、いくつかの実施形態では、装置の形状因子を小型に保つために折り曲げが採用される。
【0162】
単一モデムによって使用されるMIMOアンテナの対は、相互カップリングによって生じる信号相関をさらに低減させるために、物理的に最も間隔の大きいものが選択される。例えば、装置の互いに反対にある隅のアンテナが対にされる。例示的なアンテナ寸法が
図3Eに示されている。
【0163】
アンテナを折り曲げることで、所望の製造物寸法を超過することなく、低周波数での性能を向上させたさらに大きい(さらに長い)アンテナが可能である。加えて、中央のコアはカウンターポイズ、すなわちアンテナシステムの機能的に「接地」として使用される。アンテナの放射する構成要素を効率的に動作させるには、対応する接地からそれらの構成要素分離しなければならない(換言すると、シャーシに接触して平坦に横たわるアンテナは、効率的には、またはまったく、動作しない)。この理由のため、折り曲げはコアからある程度離れており、
図3Eの実施形態では、アンテナの最後の約1/3が垂直次元に折り曲げられている。
【0164】
アンテナの一部を垂直次元に折り曲げると、「カーネル」の垂直方向の寸法が拡大することになり、これによって、モデム(無線機)、マルチコアプロセッサ(CPU)、メモリ(SRAMおよび不揮発性ストレージ)、および複数の主要サブシステム構成要素(電源、および管理、通信のインターフェース、USBおよびイーサネット)のみならず、内部充電式バッテリおよびパワー・オーバー・イーサネット(Power over Ethernet)モジュールの一体化のための空間が有利に提供される。
【0165】
ユーザーインターフェース(OLEDディスプレイおよびメンブレンプッシュボタン)を、上部の「蓋」に一体化することができる。電源スイッチと動画I/Oのみならずユーザー接続(イーサネット、USB)が、一方の端に提供される。もう一方の端は、セルラーモデム/無線機に必要なSIMへのアクセスを提供する。「カーネル」は有利には、RFシールドを提供する、そして良好な熱伝導性を提供する、金属または他の同様の材料から作ることができる。これにより、「カーネル」は、モデムおよび計算サブシステムのためのヒートシンクとして機能することができる。
【0166】
図3Eは、熱放散を向上させるように設計されたヒートシンクフィンと、ヒートシンクと組み合わせて使用されて、さらに向上した熱放散を提供する能動冷却を提供するファンとを示す。
【0167】
図3Eに示される実施形態には、上に概説された様々な製造物およびシステムの要件を考慮することによって到達した。システム内のアンテナのサイズおよび配置は、携帯性、回路を格納するのに要求される最小シャーシ高さ、冷却、および内部バッテリの要件を与えられた全体としての装置形状因子と並んで、確立された。最小数のプラスチックカバーでアンテナを覆うという要望があった。多角形のシャーシの一つの面がI/O用に、別の面が、ユーザーインターフェース、冷却ベント用に、そして別の面が、ユニットの保守用に要求されている。
【0168】
アンテナは(90度ちょうどでなく)様々な角度で折り曲げることができることに留意されたい。これは、(低周波性能を向上させるために)さらに大きなアンテナが必要であるが装置の垂直方向の高さを維持する必要がある場合に、有利となる場合がある。
【0169】
アンテナは、他の場所(例えば、端、上(蓋)または底)に配置することもできるが、ただし、クロスカップリング、ローディング、およびMIMO相関の設計目標が満たされ、ユーザーI/O、およびユーザーインターフェースが好適に再設計されることが条件である。
【0170】
図3Gに示されるとおり、いっしょに相互動作する複数のマルチモデム通信装置が存在してもよく、さらなる例示的な実施形態に記載されるとおり、装置がどのように相互動作できる可能性があるかについての変形形態が存在する。
【0171】
第1の実施形態実施形態では、マルチモデム通信装置のモデムのそれぞれを、各モデムへの個々のキャリアの割り当てについて評価することができる(例えば、キャリアAはモデム1-1に最適、キャリアBはモデム1-2に最適)。第2の実施形態では、個々のキャリアを個々のモデムに割り当てる代わりに、キャリアは、個々のマルチモデム通信装置によって割り当てられる(例えば、キャリアAは、装置1、およびモデム1-1、1-2、1-3のすべてに最適であり、キャリアBは、装置2、およびモデム2-1、2-2、2-3のすべてに最適)、などである。
【0172】
装置は、いっしょに(例えば、デイジーチェーンで)、または中央マスタデータ通信装置370を通じて(例えば、ハブ・アンド・スポーク・モデルで)接続することができ、これは、個別にまたはいっしょに使用できる複数の潜在的なネットワーク接続を装置が提供できるようにしてなされる。ネットワーク・ブレンディングは、例えば、装置のいずれかによって個別に、複数の装置によって連携して(例えば、装置の一つが接続の群のブレンディングを受け持つ、コブレンディングの場合または階層化ブレンディングの場合)、実行することができる。
【0173】
マルチモデム通信装置がいっしょに動作する場合には、接続を組み合わせる異なる手法があるが、これは、マルチモデム通信装置を使用しようと試みるマスタ通信装置の制限に依存する場合がある。例えば、特定の状況では、マスタ通信装置は、複数のマルチモデム通信装置が接続されていても、一つのマルチモデム通信装置へのただ一つの接続に制限される可能性がある。そのような状況では、マルチモデム通信装置のランク付けされたリストを使用して、どれが接続に最良であるかを決定することができる(例えば、すべての可能なキャリアのインタロゲーションを与えられた最大信号強度によってそれらすべてをランク付けする)。
【0174】
図3Eのマルチモデム通信装置は、単独で動作するにしても、複数のそのような装置の群の内部で動作するにしても、切り替えられる場合があり、例示的な実施形態では、この切り替えは、ネットワーク集約またはブレンディングが装置自体で行われている場合のモード(この場合、一つまたは複数の集約されたまたはブレンドされたネットワーク接続が、イーサネットまたはWi-Fiを介して近傍の計算機または装置に高信頼性のインターネット接続を提供する)と、ネットワークの集約および管理の機能がブレンディング・ケイパブル・クライアント(Blending-Capable Client)内で実行される場合に、装置が、その個々の複数の周辺無線接続(例えば、USB/IPプロトコル経由)を、接続済みのブレンディング・ケイパブル・クライアント内で提示する場合のモードとの間でなされる。この切り替えは、例えば、物理的な汎用入力/出力ピンセレクタにおける実際のピンの設定、または記憶されたメモリにおけるデータ値の設定(例えば、isBlending=TRUE/FALSE)を通じて実行することができる。
【0175】
この例示的な実施形態では、切り替えが可能であることは、異なる使用例に対して装置をより柔軟に使用できるという点で有用である。この切り替えは、様々な理由から、例えば、ユーザーまたは管理者の要求によって、またはネットワークオペレータによって、自動でまたはユーザー制御のもとで行われる場合があるが、これは、ブレンディング・ケイパブル・クライアントが低パワー状態にあることがその理由であり、これは、システム全体の動作条件のいずれかの変化、またはいずれかのその他の理由からである。例えば、マルチモデム通信装置は、携帯型動画放送伝送装置などのブレンディング・ケイパブル・クライアントに高信頼性のインターネット接続を提供するよう動作している場合がある。状況によっては、マルチモデム通信装置自体が、適切なブレンディング能力を有する場合があり、動画放送伝送装置の接続性および/または計算要求(例えば、低解像度動画監視、または遠隔制御、または要求されるいずれかの他のタイプの接続性)を処理するよう計算する場合がある。
【0176】
他の状況下では、例えば、高解像度動画伝送が遠隔制御を介して使用中である場合には、
図3Eから得られるマルチモデム通信装置は、この装置によってその個々の複数の周辺無線接続が伝送装置に提示されるという「リモート・モデム・ボックス」モードに切り替わることができる可能性があり、集約/ブレンディング機能は、ブレンディング・ケイパブル・クライアント(動画伝送装置)に移動するが、例えばこれは、高解像度動画送信が、圧縮処理の一部として個々のネットワーク接続を監視し管理するデータ圧縮アルゴリズムに依存することがその理由である。
【0177】
動画伝送が完了した後、伝送装置は低パワーモードに戻り、マルチモデム通信装置に、内部でネットワーク集約/ブレンディングを再開させて、遠隔制御および監視機能を継続させる場合がある。この手法は、電力消費の削減を支援することができ、これは、マルチモデム通信装置が、バッテリ電力で携帯装置として動作している場合に、または電力リソースが限定されている(例えば、安定した電気供給のない地域で動作している)場合に、特に有用である。
【0178】
最良の性能を有する集約/ブレンドされたインターネット接続、または最高性能を有する個々の周辺接続を、ブレンディング・ケイパブル・クライアントに提供するために、
図3Eのマルチモデム通信装置が、動作前または動作中に最良の遠隔通信エンドポイント(すなわち、セルラー基地局)を自動的に選択することが有利である場合が存在する。
【0179】
これは、特定のマルチSIMの実施形態において、各マルチモデム通信装置に、これがサポートしているセルラー接続よりも多くのSIMカード(それぞれが特定のセルラー・ネットワークへの接続を可能にする)が装着される場合がある(例えば、三つのモデムを有する装置に6枚のSIMカードを装着し、各モデムによって使用されるSIMカードをソフトウェア制御のもとで選択できる)という事実によって、または複数のマルチモデム通信装置が、接続されたユニット間でSIMカード情報を共有できる場合があるという事実によって、または特定のネットワークに縛られない、そしてソフトウェア制御のもと、リモートで再構成される場合のある(最大の柔軟性が得られる)eSIMを、装置がサポートする場合があるという事実によって、可能になる。換言すれば、マルチモデム通信装置は、以下のとおり、接続する柔軟性を有する場合がある:
【0180】
1.SIMとモデムの組み合わせを選択し、最高性能のエンドポイント(セルラー・ネットワーク)であって、それに合ったSIMカードがモデムに装着されているエンドポイントと接続すること。
【0181】
2.複数のマルチモデム通信装置がネットワーク化され、呼応して動作している場合に、それぞれが、SIMとモデムの組み合わせを選択して、SIMカードが装着されている最高性能のエンドポイント(セルラー・ネットワーク)であってそれに合ったSIMカードがネットワーク装置のいずれかに装着されているエンドポイントと接続すること。
【0182】
3.eSIMを使用する場合に、最良のeSIMプロファイルを選択し、それをロードし、いずれかのセルラー・ネットワークであってそれに合ったソフトウェア制御を介してeSIMプロファイルをロードできるセルラー・ネットワークに接続すること。
【0183】
所与のモデムがどの遠隔エンドポイントに接続するかを選択するための処理は、対象となっている一つまたは複数の所望の性能パラメータを最大化することに基づく場合があり、これは、個別にそのモデムについて、または一つもしくは複数の接続されたマルチモデム通信装置のシステム全体について(ブレンディング・モードで動作するにしろ、ブレンディング・ケイパブル・クライアントと呼応してリモート・モデム・ボックス・モードで動作するにしろ)なされる。
【0184】
最大化されることになる対象となっている可能な性能パラメータには、受信信号強度指標(RSSI、モデムによって報告される無線信号強度の尺度)、RCSP(受信された信号符号パワー)、またはモデムによって報告されるいずれか他のネットワーク品質メトリック、または、最適化することがクライアントに望ましい場合がある、測定可能ないずれか他のネットワークパラメータ、例えば、最高スループット、最低のレイテンシ、最も予測可能なレイテンシ、最高信頼性、最高アップタイム、最低パケット損失、最低コスト、またはいずれか他の望ましいネットワーク特性、またはそれらの組み合わせなどが挙げられる場合がある。
【0185】
一つまたは複数のマルチモデム通信装置が建物上/内に取り付けられている場合には、対象となっているいくつかのパラメータは、経時的に比較的一定である場合があり、例えば、RSSIは、マルチモデム通信装置の場所および配向、ならびに遠隔エンドポイント(固定された場所のセルラー基地局)からの距離のみの関数である場合がある。この場合には、モデムが、対象となっているパラメータを測定し、それほど頻繁にではなしに、例えば週に1回程度、遠隔エンドポイントを選択するということが許容される場合がある。これらの比較的一定の性能パラメータは、マルチモデム通信装置の設定手順中のサイト評価の一部として追加で測定される場合があって、例えば、装置にとって最高性能となる設定を選択するのに役立つ。
【0186】
性能パラメータはまた、経時的にシステム性能を再評価するための基準として使用することになる「基準値」として記録される場合がある。最高スループット、最低のレイテンシなどの他のパラメータについては、これらはさらに可変であって、最適化のためにモデムによるほぼ連続的な測定およびネットワーク選択を必要とする場合がある。
【0187】
RSSIの範囲は、-dBs(またはdBm)で測定することができ、出願人は、非限定的な例として、-40~-50dBの範囲のRSSIを非常に良好として、そして-90~-100dBをあまり良好ではないとして定義することができる可能性があることを特筆しておく。
【0188】
マルチモデム通信装置が乗り物上/内に搭載されている場合には、経時的に安定している、対象となっている性能パラメータが存在しない場合があり、これは、乗り物が動いている場合があって、マルチモデム通信装置および基地局の位置、配向、および距離が常に変化している場合があるという事実に起因する(
図9Aの例で示されるとおり)。この場合には、最良の遠隔エンドポイント(セルラー基地局)は、ほぼ常に(リアルタイムで、または高頻度で、例えば1分ごとまたは15分ごとに)選択および再割り当てされる必要がある場合がある。
【0189】
最適化されることになる、対象となっている性能パラメータの変動の程度、およびモデムを一つの遠隔エンドポイントから別のものに切り替える際のオーバーヘッドに起因する接続性の喪失は、最適化から得られる潜在的な利益と比較検討しなければならず、実際には、より高い性能は、比較的安定でさらに一般的なパラメータ(モデムによって報告されるRSSIなど)を使用して、遠隔エンドポイントの選択頻度を少なくすることから得られる場合がある。変形例では、スループットなどの他の値を追跡することができる。
【0190】
マルチモデム通信装置のシステムにおいて、対象となっている性能パラメータを最大化することに基づいて遠隔エンドポイントを選択する処理は、以下のとおり実行できる可能性がある:
【0191】
1.システムは、マルチモデム通信装置からの第1の装置におけるモデム#1に、利用可能な遠隔エンドポイント(セルラー基地局)に対応する第1の利用可能なSIMカードまたはeSIMプロファイルを使用させて、前記遠隔エンドポイントに接続させる。
【0192】
2.接続が確立され安定化されると、システムは、対象となっている性能パラメータ(例えばRSSI)を測定し、元帳データ構造にそれを記録する。
【0193】
3.システムは接続を解放し、モデム#1に、利用可能な遠隔エンドポイント(セルラーが最良)に対応する次に利用可能なSIMカードまたはeSIMプロファイルを使用させて、次に利用可能な遠隔エンドポイントに接続させる。
【0194】
4.接続が確立され安定化されると、システムは、対象となっている性能パラメータ(例えば、RSSI)を測定し、元帳データ構造にそれを記録する。
【0195】
この処理は、利用可能なSIMカードまたはeSIMによってサポートされる利用可能なすべての遠隔エンドポイントが各モデムに接続されて、対象となっている性能パラメータが測定され記録されるまで、反復される。キャリアインフラ、およびスペクトルについての接続環境は、場所ごとに変動する(例えば、邪魔な建物、キャリアインフラの位置、キャリアインフラの強度、利用可能なチャネルにおける混雑/競合)ので、性能パラメータは、キャリアごとに大きく変動する可能性がある。
【0196】
随意に、システムは、モデム#1に、対象となっている最良の性能パラメータを有するエンドポイントとの接続を再確立させて「主張」させて、以後のモデムの探索空間を狭めるか、または、所与のマルチモデム通信装置について元帳が満たされるまで待った後、単一の装置をまたいでモデムに遠隔エンドポイントを割り当て、これを、対象となっている性能パラメータの測定値の総和が装置全体について最大になるようにして行う場合があるか、または、すべての接続されたマルチモデム通信装置について元帳が満たされるまで待った後、接続されたすべてのマルチモデム通信装置をまたいですべてのモデムにベストスコアの遠隔エンドポイントを割り当て、これを、対象となっている性能パラメータの測定値の総和が、接続された装置のシステム全体について最大になるようにして行う場合がある。
【0197】
元のマスタ/プライマリ装置に既に無線機がある場合には、プライマリ/マスタ装置は、どれか最良であるかを選ぶように構成することができるが、これは、元の無線機が依然動作している可能性があり、使用できるからである。したがって、本明細書に記載されるマルチモデム通信装置は、追加の通信能力を提供する、マスタ/プライマリ装置の改修装置として利用することができる。例えば、改修装置は、追加の通信能力を提供するために利用することができ、この能力の提供は、ボンディングされた、または集約されたネットワーク接続のセット(例えば、数百メガビットを通じた通信を可能にする)を通じて提供される利用可能なパイプサイズを増加させることによって、またはバックアップもしくはフェイルオーバー接続を提供することによって、なされる。
【0198】
上述の選択手法は、マルチモデム通信装置の通常の機能に及ぼす選択処理の影響を最小限にするように拡張することができ、この最小限化は、例えば、単一のモデム上の通常の機能と並行して、対象となっている性能パラメータを測定することによって、または、一度に一つのモデムのみをオフラインして、対象となっている性能パラメータを測定し、「ラウンドロビン」方式で遠隔エンドポイントを再割り当し、もしくは同一システム内の他のモデムからの、対象となっている性能パラメータの最近の測定値を使用し、再測定に時間をかけるのではなく同等性を仮定することによって、なされる。
【0199】
図4Aは、乗り物を用いた実施形態を示す図面400Aであり、アンテナは、それらが取り付けられる物体の固有の形状を利用して、乗り物の異なる領域に配置されており、どのアンテナをどの目的に使用するかを決定する中央コントローラによって制御される。この実例では、コントローラは、アンテナE2を介してネットワークAに、そしてアンテナE3を介してネットワークBに伝送することを決定している。アンテナのこの選択は、不規則なシャーシの設計に起因して変化する可能性がある。
【0200】
図4Aを参照すると、シャーシ406は乗り物の形態をとっているが、他の実施形態では他の形態をとることができる(例えば、建物とすることもできる可能性がある)。アンテナ400、404、412、および414は、互いに見通しを有さない場所でシャーシ406に貼着されている。コントローラ410は、アンテナ400、404、412、および414のどれがネットワーク408および402のどれに信号を伝送するかを、何らかの考慮に基づいて規定する。
【0201】
他の実施形態では、装置の移動、またはネットワークの変更につれ、割り当てが経時的に変化する可能性がある。例えば、この手法は、ネットワークボンディングについての規範事例で使用されるモデム/ネットワークの選択と同様である場合があるが、アンテナ選択との関連で焦点を当てられる場合があり、ネットワーク経路の選択と併せて実行される場合がある。
【0202】
アンテナE1...ENは、その用途(例えば、乗り物に適用される場合)に最適に成形されてもよいし、または最適な伝送および受信の性能を可能にする、乗り物上の(または建物の外部上の)様々な場所に配置される既製品のアンテナであってもよい。
【0203】
コントローラは、伝送挙動を観測することによって、アンテナに対する乗り物/シャーシの形状を推測することができる。機械学習などの手法により、コントローラはまた、予め定義された最適な状態か、または実世界の状況における乗り物の実際の使用によって経時的に決定される最適な状態かのいずれかにまで伝送特性を向上させる、一つまたは複数のアンテナの異なる配置を暗示する場合がある。一例、例えば装甲軍用戦車車両では、コントローラユニットは、空間や防御に関する懸念に起因して、設定された場所に収まる必要がある場合がある。冗長性の理由から、複数のコントローラユニットが要求される可能性がある。
【0204】
図4Bは、複数の装置428および430(この場合には、それぞれは、伝送機器(例えばモデムおよびアンテナ)と共にコントローラの両方を含む)を有する乗り物の一例を提供する図面400Bである。システムは、ネットワークAまたはネットワークBとの究極の遠方界通信を実行して伝送および受信の性能を最適化するために、近傍界通信または他の手段(例えば、有線接続)を使用して、二つ以上の装置間で伝送する場合がある。
【0205】
図4Bを参照すると、アンテナはシャーシに取り付けられ、シャーシはそれ自体、乗り物に付けられている。装置1および2のそれぞれは、別個のシャーシ428および430とすることができる。実例としては、装置2は、装置2がネットワークAに伝送しようとする送信を有する場合がある。装置2は、アンテナ配置およびアンテナ構成を含む装置1を認識する計算システムを有する場合がある。ペイロード自体を送信することに関して伝送および/または受信の特性を向上させるためには、代わりに装置2が、装置1にペイロードを送信してネットワークAに伝送する場合があり、一方で装置2は、装置2のモデムおよびアンテナを使用してネットワークBにデータの別のセットを送信する。代替実施形態では、装置1および装置2は、集中型コントローラ(
図4Aにおける410と同様)に接続される場合がある。この集中型コントローラ(乗り物または建物内に位置する)は、装置1および装置2を管理して、伝送および受信を向上させる。
【0206】
この例では二つの実施形態が可能であり、第1の「リモート・モデム・ボックス」の例によれば、装置1および装置2が、アンテナとモデムを収めたボックスであり、すべてのブレンディング/ロジックが集中型コントローラ内にあり(これは、集中型コントローラと装置の間の通信にUSBオーバーIPまたはTCP/IPを使用できる可能性がある)、そして分散型ブレンディングの例によれば、集中型コントローラと装置1および2とが、分散型手法を使用してブレンディング動作を実装する。
【0207】
図5は、ユニットが取り付けられたN名の兵士/警察官を示す図面500であり、ユニットは、互いに対するそれらの位置が常に変化する場合があり、最適化された伝送および受信の性能のためのモデム/アンテナの最良の組み合わせを常に再計算することにつながる。
【0208】
この例は、システムのディスアグリゲーションされた/分散された変形例を示すために提供されるものであり、必ずしも特定の兵士/警察官である必要はない。
【0209】
このシナリオでは、必ずしも各ユニットがユニット内に複数のアンテナを有する必要はなく、中央ハブ(またはマスタユニット)に接続された複数の電話機が存在してもよく、コントローラが、伝送および受信の性能を最適化する最良のアンテナ(例えば、丘の上にいる兵士)を選ぶ。
【0210】
図5を参照すると、コントローラは、ネットワーク510に信号を伝送する必要がある。一実施形態では、装置502、504、506、および508はそれぞれ、ネットワーク510に信号を伝送し、コントローラ500は、各装置の通信性能に関連する情報を受信する。コントローラ500は、何らかの考慮に基づいてネットワーク510に信号を伝送するために、502、504、506、および508、またはこれらの装置の何らかの組み合わせから選択して最適の装置を決定することができる。他の実施形態では、コントローラ500はまた、装置を空間的に再配置するために、装置502、504、506、および508に指示を送ることになる。
【0211】
この例では、チーム構成員1は、ネットワークAへの最適な(例えば、スループット、信頼性、またはそれらの組み合わせに関するもの)伝送および受信の性能のための経路が何であるかをコントローラ500に問い合わせる(1)。
【0212】
コントローラ500は、チーム構成員3の装置506が(アンテナの位置に起因して)最適であることを表示して応答する(2)。
【0213】
コントローラは、制御メッセージをチーム構成員3の装置506に送信して(3)、チーム構成員1からの通信が通過するのを許容/予測することを警告する場合がある(これは、二つの装置間に信頼関係が既に存在する場合があるので必要ない場合がある)。
【0214】
チーム構成員1は次いで、そのデータペイロードをチーム構成員3に送信し(4)、これは次いで、伝送をネットワークに送信する(5)。
【0215】
またシステムは、同様の経路でネットワーク伝送を受信する場合もある。
【0216】
いくつかの実施形態では、いったん最初の接続がなされると、チーム構成員1は、タイマーが切れてパフォーマンストリガーが満たされるまで、チーム構成員3の装置506のアンテナを直接通して働く可能性があり、その後、利用可能な最良の選択肢についてコントローラを用いて再確認する可能性がある。いくつかの実施形態では、例えば、階層的プロトコルが存在する場合があり、この場合、チーム構成員3の装置506が、伝達されているデータを解釈またはそうでなければ処理することを必要とするアプリケーション層なしに、さらに低いレベルで伝送をルーティングする可能性がある。
【0217】
コントローラ500が、局所的に存在してもよいし、または装置自体に存在してもよいし、またはクラウド内に存在してもよい(ただし、コントローラが遠すぎると、性能を低下させることになるレイテンシを招く可能性はある)ことに留意されたい。複数のコントローラが存在してもよく、そしてどのコントローラが支配的であるかを決定する規則の独自の階層を有していてもよい。いくつかの実施形態では、コントローラは、あらゆる装置が完全に相互動作する「最良の経路」と、「他の装置への認識を与えられた最良の経路」(所与の装置、他の装置/アンテナの所与のコロケーション上でどのアンテナを選択するか)とを差別化するように構成される。
【0218】
別の変形形態では、シャーシおよびアンテナは小型化される場合があり、例えば、モバイル装置上で提供されるとおりである。そのようなモバイル装置は、例えば、複数のアンテナ、例えば複数のワイドバンド・アンテナを有する場合がある。アンテナは、(異なるセルラー・ネットワーク上の)異なるSIMカードに結合されて同時に通信する場合があり、そしてアンテナ間の見通しに関連する様々な問題の低減を支援する様々な実施形態に記載されるとおりのシャーシおよび/またはアンテナを利用することが有利である場合がある。二つより多いアンテナがある場合には、上述のとおり、アンテナの異なるサブセットが、通信エンドポイントへの見通しに基づいて確立されて(アンテナをシャーシに配置する際に有害であると定義された見通しに対して、遠方のエンドポイントが「見える」アンテナを選択することから差別化されて)、例えば、別個のボンディングされた接続として、または異なるタイプのデータ伝送もしくは誤り制御機能に対して利用することができる。アンテナおよびシャーシの構成は、例えば、モバイル装置上で、とりわけ、アンテナを自動的に(例えば、様々な折り曲げジョイントのところで)折り曲げるように、またはアンテナの高さを変更するように動作するアクチュエータを通じて、自動的に適合される場合がある。
【0219】
図6は、複数のワイヤレス・ネットワークに接続するように適合された複数のWANインターフェースを有する装置の例示的なブロック概略図面600である。本明細書に記載されるとおり、装置は、様々なワイヤレス・ネットワークにまたがってデータを通信するためのWANインターフェースに接続された一つまたは複数のアンテナを制御するよう適合されたマルチアンテナ・シャーシおよび/または関連するコントローラ装置における、本明細書で提供されるとおりの装置を含むことができる。
【0220】
図7Aは、いくつかの実施形態による、リモート・モデム・ボックス(RMBモード)においてマルチモデム通信装置をペアリングする手法を示す例示図面700Aである。
【0221】
リモート・モデム・ボックス・モードでは、
図3Eからの装置は、携帯可能であり、内部バッテリまたは他の手段によって電力供給され、複数の無線機(それぞれが複数のアンテナを有する)を提供し、この場合、個々の無線機およびアンテナは、接続された(通常は有線、パワー・オーバー・イーサネットを介して)ブレンディング・ケイパブル・クライアント内の複数の周辺(無線)接続(例えば、USB/IPプロトコルを介して)として出現し、この場合、ネットワーク集約および管理の機能は、ブレンディング・ケイパブル・クライアント内で実行されて、要求される全体的な特性、例えば、より高いスループット、より低いレイテンシ、より予測可能なレイテンシ、より高い信頼性、より高いアップタイム、より低いパケット損失、より低いコスト、または利用可能な構成要素ネットワークに存在しない他の望ましいネットワーク特性を有する一つまたは複数の集約された有線またはワイヤレスのネットワーク接続を獲得する。
【0222】
加えて、この構成により、ブレンディング・ケイパブル・クライアント(例えば、この例ではマスタ/プライマリ装置)は、(例えば、遠隔通信エンドポイント(例えば、セルラー基地局)への接続性が劣悪であるまたは存在しないようにして配置されているという理由から)通常、ブレンディング・ケイパブル・クライアントにはアクセスできない可能性のある
図3Eからの接続装置を介して、またはブレンディング・ケイパブル・クライアントのハードウェアの制限(例えば、無線機またはアンテナを取り付けるための規定がないこと)に起因して、または他の理由のせいで、遠隔通信エンドポイント(例えば、セルラー基地局)にアクセスすることができる。別の言い方をすれば、ポータブル・リモート・モデム・ボックスは、RF性能が有利である場所に設置することができ、ブレンディング・ケイパブル・クライアント装置に、可能な限り最良のワイヤレス性能を提供するように接続される。
【0223】
この例は、二つのRMBを、マスタ/プライマリ装置として働く一つのゲートウェイ装置とペアリングする方法を示している。RMBは、いったんペアリングされると、他のゲートウェイ装置とは、そのゲートウェイ装置とペアリングしない限り接続することはできないはずであり、その時点では、前のゲートウェイ装置とのペアリングは削除される。この段階では、ゲートウェイ装置は「行儀が良い」と仮定することができるが、ただし、ゲートウェイ装置を認証すること、およびバグや悪意のあるクライアントが別のゲートウェイ装置と同時にRMBのモデムにアクセスするのを防ぐことに、これ以後、より入り組んだペアリング手順(例えば、RMB OLED UI上に表示される共有暗号鍵)を通じて対処することができる。ゲートウェイ装置およびRMBは、例えば、信頼できるLANで互いに接続されている。
【0224】
remote_modem_serverによって実装されるペアリング状態機械は、
図7Bにおける状態図面700Bに示されるとおり、二つの状態のみを有する。ペアリング状態は、RMBがリブートされるならば、永続的である。一実施形態では、その状態は、一度に一つのゲートウェイ装置のみがRMBにペアリングされるようにして構成することができる。ゲートウェイ装置は、remote_modem_serverのREST APIに要求を送信することによって、ペアリングを開始する。ペアリングには、新しい「ペアリングされたクライアント識別子(Paired Client Identifier)」(PCI)を生成する、そしてそれをゲートウェイ装置に返送する一方で既存のペアリングを削除しないRMBが含まれる場合があるが、新しいゲートウェイ装置がペアリングされると、以前のPCIは削除される場合があり、これは、UIを介して偶然にペアリングモードに入っても、接続の予期せぬ切断が回避されるものとしてなされる。
【0225】
RMBとゲートウェイ装置のペアリングには、RMBのIPアドレスを有するゲートウェイ装置を構成することが必要であり、これは、OLED UIを使用して検出することができる。異なるRMBを使用するようにゲートウェイ装置を構成するには、別のRMBのIPアドレスを有するゲートウェイ装置を構成する必要がある可能性がある。「ペアリングを解除する」他の形式は要求されない。ゲートウェイ装置を二つのRMBおよび最大六つのモデムとペアリングするのをサポートするという要件を満たすためには、二つのRMBのIPが構成される場合がある。
【0226】
「ブレンディング・ケイパブル・クライアント」は、いずれかの個別のマスタ/プライマリシステムまたは装置(そして場合によっては、マルチモデム通信装置から遠隔にあるが、マルチモデム通信装置に(典型的には有線接続によって、場合によっては他の手段によって)接続されて、マルチモデム通信装置の複数のワイヤレス・ネットワーク接続に個別に、例えば、USB/IPプロトコルを介してアクセスできるもの)であって、ネットワーク集約/ブレンディングを局所的に(マルチモデム通信装置自体上ではなく)実行できるもの、として定義することができる。「ブレンディング・ケイパブル・クライアント」は、ネットワーク装置自体(例えば、一つまたは複数のマルチモデム通信装置からの複数の個別のワイヤレス接続を集約/ブレンディングするインターネットゲートウェイ装置)として機能する場合があるか、またはまったく異なる主要機能、例えば車載インフォテインメント・システム、ワイヤレス動画伝送装置、もしくはモバイル状況コマンドセンターであるが、マルチモデム通信装置によって提供される接続をその主要機能に加えて集約/ブレンディングできる機能を実行する場合がある。
【0227】
「ブレンディング・ケイパブル・クライアント」上で局所的にネットワークの集約/ブレンディングの機能を実行することが望ましい様々な理由が存在し、これは例えば、マルチモデム通信装置上で利用可能な計算パワーを用いて可能なものより多くの接続をブレンドしなければならないこと、または集約/ブレンディングを、マルチモデム通信装置よりもセキュリティの高い装置上で行わねばならないこと、または集約/ブレンディングを「ブレンディング・ケイパブル・クライアント」の主要機能(例えばリアルタイム動画圧縮)内に緊密に一体化しなければならないことである。
【0228】
逆に、スタンドアロンの、携帯可能なブレンディング・アプライアンスモードでは、代わりに、マルチモデム通信装置も携帯可能であり、内部バッテリまたは他の手段で電力供給され、イーサネットまたはWi-Fiを介して近傍の計算機または装置(クライアント)に高信頼性のインターネット接続を提供し、ネットワークのブレンディングおよび管理はマルチモデム通信装置自体で実行され、これにより複数のワイヤレス接続(複数のアンテナをそれぞれ有する複数のセルラー無線機によって提供)がいっしょに(随意に衛星、Wi-Fi、または有線接続とも)集約(またはブレンド)され、必要に応じて全体的な特性、例えば、より高いスループット、より低いレイテンシ、より予測可能なレイテンシ、より高い信頼性、より高いアップタイム、より低いパケット損失、より低いコスト、または利用可能な構成要素ネットワークに存在しない他の望ましいネットワーク特性を有するクライアントへの一つまたは複数の有線またはワイヤレスのネットワーク接続として提示される。
【0229】
図8Aは、建物上/建物内で動作している、スタンドアロンのリモート・モデム・ボックスの例示的な使用例の例示的な図面800Aである。
【0230】
マルチモデム通信装置は、固定された場所、例えば建物の窓の内側、または建物の外部もしくは屋根の上に設置され、主電源、パワー・オーバー・イーサネット、内部バッテリ、または他の手段よって電力供給され、複数の無線機(それぞれ複数のアンテナを有する)を提供し、個々の無線機およびアンテナは、接続されたブレンディング・ケイパブル・クライアント内の複数の周辺無線接続(例えばUSB/IPプロトコルを介して)として現れるようにされ、ネットワーク集約および管理の機能は、ブレンディング・ケイパブル・クライアント内で実行されて、オペレータによって要求される全体的な特性、例えばより高いスループット、より低いレイテンシ、より予測可能なレイテンシ、より高い信頼性、より低いパケット損失、より低いコスト、または利用可能な構成要素ネットワークに存在しない他の望ましいネットワーク特性を有する一つまたは複数の集約された有線またはワイヤレスのネットワーク接続を獲得する。
【0231】
加えて、この構成により、ブレンディング・ケイパブル・クライアントは、(例えば、それが、遠隔通信エンドポイント(例えば、セルラー基地局)への接続性が劣悪なまたは存在しない地下または内部の部屋のサーバ室に配置されていることが理由で)、またはブレンディング・ケイパブル・クライアントの制限(例えば、無線機またはアンテナを装着するための規定を有さないこと)、またはいずれかの他の理由から、通常ブレンディング・ケイパブル・クライアントがアクセスできない、接続されたマルチモデム通信装置を介して遠隔通信エンドポイント(セルラー基地局)にアクセス可能になる。
【0232】
図8Bは、スタンドアロンの固定されたブレンディング・アプライアンスが建物上/中で動作することが示されている例示的な使用例の例示的な図面800Bである。この例では、マルチモデム通信装置は、固定された場所、例えば建物の窓の内側、または建物の外部もしくは屋根の上に設置され、主電源、パワー・オーバー・イーサネット、内部バッテリ、または他の手段によって電力供給され、建物内または近傍の計算機または装置にイーサネットまたはWi-Fiを介して高信頼性のインターネット接続を提供し、ネットワークのブレンディングおよび管理は、マルチモデム通信装置自体で実行され、これにより、複数のワイヤレス接続(複数のアンテナを有する複数のセルラー無線機によって提供される)が、共に(随意に衛星、Wi-Fi、または有線接続とも)集約され(またはブレンドされ)、必要に応じて全体的な特性、例えばより高いスループット、より低いレイテンシ、より予測可能なレイテンシ、より高い信頼性、より低いパケット損失、より低いコスト、または利用可能な構成要素ネットワークに存在しない他の望ましいネットワーク特性を有する一つまたは複数の有線またはワイヤレスのネットワーク接続として提示される。
【0233】
図8Cは、建物上/内で動作する、複数のリモート・モデム・ボックスを示す例示的な図面800Cである。
【0234】
この例では、複数のマルチモデム通信装置が、建物上/内、例えば、建物の窓の内側、または建物の外側もしくは屋根の上に設置されるか、または所与のセットの遠隔エンドポイント(例えば、セルラー基地局)との最良の通信のために各マルチモデム通信装置が優先的に配置されるようにして、そして装置を別個に配置することによって全体としてさらに多くの数の遠隔エンドポイントをシステムがアクセスし使用できるようにして、建物上/内の二つの別個の場所に設置される。各マルチモデム通信装置は、主電源、パワー・オーバー・イーサネット、内部バッテリ、または複数の無線機(それぞれが複数のアンテナを有する)を提供する他の手段によって電力供給され、個々の無線機およびアンテナは、接続されたブレンディング・ケイパブル・クライアント内の複数の周辺無線接続(例えば、USB/IPプロトコルを介して)として現れるようにされ、ネットワーク集約および管理の機能は、ブレンディング・ケイパブル・クライアント内で実行されて、オペレータによって要求される全体的な特性、例えばより高いスループット、より低いレイテンシ、より予測可能なレイテンシ、より高い信頼性、より高いアップタイム、より低いパケット損失、より低いコスト、または利用可能な構成要素ネットワークに存在しない他の望ましいネットワーク特性を有する一つまたは複数のアグリゲートされた有線またはワイヤレスのネットワーク接続を獲得する。
【0235】
加えて、この構成により、ブレンディング・ケイパブル・クライアントは、(例えば、それが、遠隔通信エンドポイント(例えば、セルラー基地局)への接続性が劣悪なまたは存在しない地下室または内部の部屋のサーバ室に配置されていることが理由で)、またはブレンディング・ケイパブル・クライアントの制限(例えば、無線機またはアンテナを装着するための規定を有さないこと)または他の理由から、通常ブレンディング・ケイパブル・クライアントがアクセスできない、接続されたマルチモデム通信装置を介して遠隔通信エンドポイント(セルラー基地局)にアクセス可能になる。
【0236】
マルチモデム通信装置はまた、システムに最良の全体的な接続性を提供するように(例えば、建物の反対側にマルチモデム通信装置が位置する場合があって、その建物では、それぞれが、他の装置とは異なる遠隔通信エンドポイントへの良好なRF見通し接続を有することを理由に、例えば、最良の利用可能な遠隔通信エンドポイント(例えば、セルラー基地局)を各マルチモデム通信装置が使用するようにして構成されることによって)調整される場合もあり、これは、要求される全体的な特性、例えばより高いスループット、より低いレイテンシ、より予測可能なレイテンシ、より高い信頼性、より高いアップタイム、より低いパケット損失、より低いコスト、または他の望ましいネットワーク特性に基づいてなされる。
【0237】
図9Aは、いくつかの実施形態による、乗り物上で動作するマルチモデム通信装置の一例を示す例示800Aである。この例では、スタンドアロンのブレンディング・アプライアンス802Aが存在する場合があるか、またはそれは、別のブレンディング・アプライアンス802Bと相互動作できる(
図4Aに示されるものと同様である)。
【0238】
スタンドアロンの例では、マルチモデム通信装置は、乗り物の内/上に、例えば乗り物の窓内または乗り物の外部、またはその他の場所に設置され、内部バッテリによって、または乗り物の電源、またはその他の手段を介して電力供給され、乗り物内または乗り物上、または乗り物の近傍のいずれかにある近傍の計算機または装置(クライアント)にイーサネットまたはWi-Fiを介して高信頼性のインターネット接続を提供し、ネットワークのブレンディングおよび管理がマルチモデム通信装置自体で実行され、これにより、複数のワイヤレス接続(複数のセルラー無線機によって提供され、それぞれが複数のアンテナを有する)がいっしょに(随意に衛星、Wi-Fi、または有線接続)とも)集約(またはブレンド)され、必要に応じて全体的な特性、例えばより高いスループット、より低いレイテンシ、より予測可能なレイテンシ、より高い信頼性、より高いアップタイム、より低いパケット損失、より低いコスト、利用可能な構成要素ネットワークに存在しない他の望ましいネットワーク特性を有する一つまたは複数の有線またはワイヤレスのネットワーク接続として提示される。
【0239】
複数のブレンディング装置の例では、複数のマルチモデム通信装置802Aおよび802Bが、乗り物上/内、例えば、乗り物の窓内、または乗り物の外側、またはいずれか他の場所に設置されるか、または所与の組の遠隔エンドポイント(例えば、セルラー基地局)との最良の通信のために各装置が優先的に配置されるようにして、そして装置を別個に配置することによって全体としてさらに多くの遠隔エンドポイントを、結合されたシステムがアクセスし使用できるようにして、乗り物上/内の二つの別個の場所に設置される。各装置は、内部バッテリ、乗り物用電源システム、またはイーサネットもしくはWi-Fiを介して近傍の計算機もしくは装置(クライアント)に高信頼性のインターネット接続を提供する他の手段によって電力供給される可能性があり、ネットワークのブレンディングおよび管理が装置自体で実行され、これにより複数の無線接続(複数のアンテナを有する複数のセルラー無線機によって提供)がいっしょに(随意に衛星、Wi-Fi、または有線接続とも)集約(またはブレンド)され、オペレータによって要求される全体的な特性、例えばより高いスループット、より低いレイテンシ、より予測可能なレイテンシ、高い信頼性、高いアップタイム、低いパケット損失、低コスト、または利可能な構成要素ネットワークに存在しない他の望ましいネットワーク特性を有する一つまたは複数の有線またはワイヤレスのネットワーク接続として提示される。
【0240】
この集約またはブレンディングの機能は、一つの装置上で行われる可能性があるか、またはシステム内に存在し得るすべての装置にまたがって分散される可能性があり、装置はまた、システムに最良の全体的な接続性を提供するように(例えば、建物の反対側にマルチモデム通信装置が位置する場合があって、その建物では、それぞれが、他の装置とは異なる遠隔通信エンドポイントへの良好なRF見通し接続性を有することを理由に、例えば、最良の利用可能な遠隔通信エンドポイント(例えば、セルラー基地局)を各マルチモデム通信装置が使用するようにして構成されることによって)調整される場合もあり、これは、要求される全体的な特性、例えばより高いスループット、より低いレイテンシ、より予測可能なレイテンシ、より高い信頼性、より高いアップタイム、より低いパケット損失、より低いコスト、または他の望ましいネットワーク特性に基づいてなされる。
【0241】
乗り物の移動に起因して、各ワイヤレス・ネットワーク接続の性能パラメータが常時変化することが予想される(これは例えば、RSSIが、遠隔エンドポイントに対する装置の位置、配向、距離によって影響を受けることが理由である)。そのため、このネットワーク選択を、固定接地の場合よりもはるかに頻繁に、場合によってはリアルタイムで行わなければならない場合のあることが予想される。次いでこれらの性能パラメータを使用して、例えば、異なるモデムを用いて異なるSIM組み合わせをインタロゲートしてRSSI読み取り値を取得することによって、キャリアをモデムに割り当てることができる。
【0242】
キャリア割り当てのベストミックスのために検出されたRSSIに応じて、例えば、マルチモデム通信装置のそれぞれに、異なる機能を割り当てる、または通信のための優先度を高めるもしくは下げることができる(例えば、より強いRSSIはより高い優先度に、より低いRSSIはより低い優先度に使用される)。例えば、緊急通信車両の例では、より重要でより優先度の高い通信、例えば緊急チャンネルを、より高い優先度のチャンネルに割り当て、より重要でない日常的な通信、例えば天候チャンネルを、より低い優先度のチャンネルに割り当てても良い。状況に応じて、通信の割り当ての選択を、より低い優先度からより高い優先度に切り替えること、またはその逆もできる可能性がある。例えば、武器が抜かれたことをホルスターが検出する場合には、無線対応ボディカメラのデータストリームを、より高い優先度に切り替えることができる可能性がある。
【0243】
また、変形形態もあり、この場合には、乗り物への設置が、代わりにスタンドアロンのリモート・モデム・ボックスであり、RMBの無線機およびアンテナは、接続されたブレンディング・ケイパブル・クライアント(例えば、自動車インフォテインメント・システム、警察車両通信ハブ、フリート管理ソフトウェア)内の複数の周辺無線接続(例えば、USB/IPプロトコルを使用)として現れるようにされる。
【0244】
図9Bは、マルチモデム通信装置を、列車などの区分化された乗り物の異なる区分上で動作させている例示900Bを有する例示的な実施形態である。この例では、区分化された乗り物は非常に長い可能性があり(例えば、貨物列車は数マイルの長さである可能性があり)、多くの区分を有する。区分910、912、914、916、918のいくつかは、結合されたマルチモデム通信装置910A、912A、914A、916A、918Aを有する場合がある。
【0245】
この例では、区分のそれぞれが、対応するマルチモデム通信装置を有するが、これはあらゆる実施形態において必ずしも真ではない。区分化された乗り物は、通信システム、例えば高いネットワーク通信要件を有するインフォテインメント・システムを有する場合がある。例えば、インフォテインメント・システムは、区分化された乗り物の様々な乗客によるオンデマンドのビデオストリーミングを容易にするよう試みている場合がある。しかし、インフォテインメント・システムは、様々な乗客に関連する携帯装置からのこれらの要求のすべてに対応することができるように、大量のスループットを要求とする。
【0246】
マルチモデム通信装置910A、912A、914A、916A、918Aのそれぞれは、いっしょにインフォテインメント・システムと接続することができ、インフォテインメント・システムは、この例では、マスタ/プライマリ装置として動作し、これが、インフォテインメント・システムが有利に利用できる仮想WAN接続(例えば、一例では、リモート・モデム接続として、または別の実施形態ではネットワーク接続のブレンドセットにおいて)を提供するよう、マルチモデム通信装置910A、912A、914A、916A、918Aのそれぞれに指示する。
【0247】
区分化された乗り物が、経路に沿って様々な場所を移動すると、信号特性を定期的に評価することができ、これは、マルチモデム通信装置910A、912A、914A、916A、918Aの異なるアンテナまたはアンテナの組を利用して、異なる場所での異なるスペクトル環境、およびそれに応じて異なる信号強度を利用することができるようにしてなされる。さらに、マルチモデム通信装置910A、912A、914A、916A、918Aは、トンネル内で、または、区分の一部が、これ以外の様々な通信基地局とうまく通信できない状況、例えば駅または車庫において、利用することができる。したがって、最も強い信号を有するマルチモデム通信装置910A、912A、914A、916A、918Aの接続は、いっしょにブレンドするか、またはインフォテインメント・システムによる使用に向けて単に優先することができ、これは、区分化された乗り物に沿った異なる区分に位置する様々なマルチモデム通信装置910A、912A、914A、916A、918Aを使用して、組み合わされたホットスポットを確立し、乗客に拡張サービスを提供できるようにしてなされる。いくつかの実施形態では、マルチモデム通信装置910A、912A、914A、916A、918Aは、区分化された乗り物の区分上に戦略的に配置され、これは、マルチモデム通信装置910A、912A、914A、916A、918Aが乗り物に沿って(例えば、3両目の列車車両ごとに)展開するようにしてなされる。
【0248】
図9Bに示す例は列車であるが、他の変形形態、例えばマルチモデム通信装置910A、912A、914A、916A、918Aのうちの一つをそれぞれ搭載するリンクしたドローンのセット(例えば、それぞれが互いにWiFi距離内にあるもの)が可能である。ドローンは、互いの範囲内の距離を維持する場合があり、これは、充分に強いWiFi信号がローカルエリア接続用に共有されて、マルチモデム通信装置910A、912A、914A、916A、918Aが、様々な利用可能なセルラー信号をインタロゲートするのに使用可能であるようにしてなされる。これは、実例としては、山がちな地形、またはセルラーカバレッジが非常に劣悪な地域で有用である場合がある。
【0249】
実施形態を詳細に説明したが、本明細書では、範囲を逸脱することなく、様々な変更、置き換え、改変を行うことができることは理解されたい。さらに、本実施形態の範囲は、本明細書に記載された処理、機械、製造、物質の組成、手段、方法、およびステップの特定の実施形態に限定されることは意図されていない。出願人は、この技術分野の基礎研究および応用研究を行っており、様々な実用的な実施形態が記載されている一方で、これらの記載が例であって、実現された製造物およびサービスを代表してない場合があるということを特筆しておく。
【0250】
当業者であれば、本開示から容易に理解できるとおり、本明細書に記載された対応する実施形態と実質的に同じ機能を実行する、または実質的に同じ結果を実現する、現存するかまたは今後に開発されることになる処理、機械、製造、物質の組成、手段、方法、またはステップを利用してもよい。したがって、実施形態は、そのような処理、機械、製造、物質の組成、手段、方法、またはステップを、その範囲内に含むことが意図される。
【0251】
理解できるとおり、上記され例示された実施例は、例示的でしかないことが意図される。
【0252】
定義:
【0253】
クロストーク:通信チャネル間の不要な信号の伝達。例:装置上の一つのアンテナが、装置上の別のアンテナが受信しようとしている周波数と同じ周波数で伝送している。
【0254】
カップリング:ある回路区分から別の回路区分への電気的または電磁的なエネルギーの伝達。例:装置上のアンテナが伝送中であり、それが送信するパワーの一部が、装置上の他の(コロケーションされた)アンテナに転送される。
【0255】
負荷(ローディング):電気的または電磁的なパワーを消費する回路の部分。例:他のローカルアンテナとのカップリングによって生じる出力パワーの低減の尺度
【0256】
カウンターポイズ:カウンターポイズは、無線機システムにおけるアース(接地)接続の代わりとして使用される導電性領域である。例:いくつかの実施形態の金属カーネルは、カーネルに取り付けられたMIMOアンテナ用のカウンターポイズである。
【国際調査報告】