(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-29
(54)【発明の名称】ニューロメラニン感受性MRI及びその使用方法
(51)【国際特許分類】
A61B 5/055 20060101AFI20231121BHJP
G01T 1/161 20060101ALI20231121BHJP
【FI】
A61B5/055 380
A61B5/055 390
G01T1/161 A
A61B5/055 382
G01T1/161 B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023526396
(86)(22)【出願日】2021-11-16
(85)【翻訳文提出日】2023-05-29
(86)【国際出願番号】 US2021059590
(87)【国際公開番号】W WO2022104288
(87)【国際公開日】2022-05-19
(32)【優先日】2020-11-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-12-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-11-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】521506722
【氏名又は名称】テラン バイオサイエンシズ, インコーポレイテッド
(71)【出願人】
【識別番号】523149994
【氏名又は名称】ユニバーシティ オブ オタワ インスティテュート オブ メンタル ヘルス リサーチ
(71)【出願人】
【識別番号】510303442
【氏名又は名称】ザ ロイヤル インスティテューション フォー ザ アドバンスメント オブ ラーニング/マクギル ユニバーシティ
(71)【出願人】
【識別番号】512219574
【氏名又は名称】ザ トラスティーズ オブ コロンビア ユニバーシティー イン ザ シティー オブ ニューヨーク
(71)【出願人】
【識別番号】521151762
【氏名又は名称】ザ リサーチ ファウンデーション フォー メンタル ハイジーン インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】クラーク,サミュエル
(72)【発明者】
【氏名】キャシディ,クリフォード
(72)【発明者】
【氏名】ローザ-ネト,ペドロ
(72)【発明者】
【氏名】ウェングラー,ケネス
(72)【発明者】
【氏名】ホルガ ヘルナンデス,ギリェルモ
【テーマコード(参考)】
4C096
4C188
【Fターム(参考)】
4C096AA17
4C096AB41
4C096AD14
4C096AD19
4C096DC22
4C096DC24
4C096DC25
4C096DC28
4C096DC33
4C096DD18
4C096FA06
4C188EE02
4C188FF04
4C188FF07
(57)【要約】
1つ以上の神経学的状態の程度を測定するか、1つ以上の神経学的状態の診断を提供するか、1つ以上の神経学的状態の治療を監視するか、1つ以上の神経学的状態についての新規の治療法を評価するか、または1つ以上の神経学的状態に関する予後を判定するためのニューロメラニン感受性磁気共鳴イメージング(「MRI」)技術、方法、及びコンピュータアクセス可能な媒体。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象における経時的なアルツハイマー病の進行を判定するインビボ方法であって、
(i)第1の時点における第1のニューロメラニン磁気共鳴イメージング(NM-MRI)スキャンを取得することと、
(ii)ステップ(i)の後に、第2の時点における第2のNM-MRIスキャンを取得することと、
(iii)前記第1のニューロメラニン磁気共鳴画像を前記第2のニューロメラニン磁気共鳴画像と比較することにより、前記ニューロメラニンのレベル、信号、及び/または濃度の変化が、前記第1の時点と前記第2の時点との間に生じたかどうかを判定することと、を含む、前記方法。
【請求項2】
前記第2の時点における前記ニューロメラニンのレベル、信号、及び/または濃度の前記変化が、前記第1の時点における前記ニューロメラニンのレベル、信号、及び/または濃度よりも約1%超、約2%超、約3%超、約4%超、約5%超、約6%超、約7%超、約8%超、約9%超、約10%超、約11%超、約12%超、約13%超、約14%超、約15%超、約20%超、または約25%超低い場合、アルツハイマー病が進行している、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
アルツハイマー病を診断するインビボ方法であって、
(i)第1の時点における第1のニューロメラニン磁気共鳴画像を取得することと、
(ii)ステップ(i)の後に、第2の時点における第2のニューロメラニン磁気共鳴画像を取得することと、
(iii)前記第1のニューロメラニン磁気共鳴画像を前記第2のニューロメラニン磁気共鳴画像と比較することにより、前記ニューロメラニンのレベル、信号、及び/または濃度の変化が、前記第1の時点と前記第2の時点との間に生じたかどうかを判定することと、を含む、前記方法。
【請求項4】
前記第2の時点における前記ニューロメラニンのレベル、信号、及び/または濃度の前記変化が、前記アルツハイマー病の、前記第1の時点における前記ニューロメラニンの信号及び/または濃度よりも約1%超、約2%超、約3%超、約4%超、約5%超、約6%超、約7%超、約8%超、約9%超、約10%超、約11%超、約12%超、約13%超、約14%超、約15%超、約20%超、または約25%超低い場合、アルツハイマー病の診断が提供される、先行請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
アルツハイマー病の患者を診断する方法であって、
(i)ニューロメラニンのレベルを測定することと、
(ii)前記ニューロメラニンのレベルを標準対照と比較することと、
(iii)任意選択的に、前記ニューロメラニンの測定されたレベルが前記標準対照と比較して低い場合、アルツハイマー病の診断を提供することと、を含む、前記方法。
【請求項6】
前記第1のニューロメラニン磁気共鳴画像から第1の信号強度を判定することと、前記第2のニューロメラニン磁気共鳴画像から第2の信号強度を判定することと、を更に含み、前記第1の磁気共鳴画像を前記第2の磁気共鳴画像と比較することが、前記第1の信号強度を前記第2の信号強度と比較することを含む、先行請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
標準対照が、対象集団中にほぼ同じレベルで存在するニューロメラニンのレベルであるか、または前記標準対照が、対象集団中に存在するニューロメラニンのほぼ平均レベルである、先行請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
ニューロメラニン勾配ファントムが、前記ニューロメラニンのレベル、信号、及び/または濃度を測定するために使用される、先行請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
ニューロメラニンファントム濃度勾配が、患者1人につき約1回、1時間に約1回、1日に約1回、1週間に約1回、または1ヶ月に約1回スキャンされる、先行請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
ニューロメラニンファントム勾配が、毎日スキャンされる、先行請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
ニューロメラニンファントム勾配が、各患者に対してスキャンされる、先行請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記第2の時点における前記ニューロメラニンのレベル、信号、及び/または濃度の前記変化が、前記第1の時点における前記ニューロメラニンのレベル、信号、及び/または濃度よりも約5%超低いまたは約10%超低く、前記第1の時点及び前記第2の時点が、約1年、約2年、約3年、約4年、約5年、約6年、約7年、約8年、約9年、または約10年離れている場合、アルツハイマー病の診断が提供される、請求項5~11に記載の方法。
【請求項13】
前記第2の時点における前記ニューロメラニンのレベル、信号、及び/または濃度の前記変化が、前記第1の時点における前記ニューロメラニンの信号及び/または濃度よりも約35%超低い、約40%超低い、約45%超低い、または約50%超低く、前記第1の時点及び前記第2の時点が、約1年、約2年、約3年、約4年、約5年、約6年、約7年、約8年、約9年、または約10年離れている場合、アルツハイマー病の診断が提供される、先行請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記第2の時点が、前記第1の時点の約3ヵ月、約6ヵ月、約9ヵ月、約12ヵ月、約2年、約3年、約4年、約5年、約6年、約7年、約8年、約9年、約10年、約15年、約20年、約25年、または約30年後である、先行請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
対象の脳の関心領域におけるニューロメラニン濃度を評価する方法であって、
前記対象に対してニューロメラニン-磁気共鳴イメージング(NM-MRI)スキャンを実行することと、
前記NM-MRIスキャンからニューロメラニンデータセットを取得することと、
任意選択的に前記ニューロメラニンデータセットを暗号化することと、
前記ニューロメラニンデータセットをリモートサーバにアップロードすることと、
任意選択的に前記データセットを復号化することと、
前記ニューロメラニンデータセットの分析を実行することと、を含み、前記分析が、
(i)前記ニューロメラニンデータセットを、前記対象から以前に取得された1つ以上のニューロメラニンデータセットと比較することと、
(ii)前記ニューロメラニンデータセットを対照データセットと比較することと、
(iii)前記ニューロメラニンデータセットを、異なる対象から以前に取得された1つ以上のニューロメラニンデータセットと比較することと、
(iv)前記ニューロメラニン分析を含むレポートを生成することと、
(v)任意選択的に前記レポートを暗号化することと、
(vi)前記レポートをリモートサーバにアップロードすることと、
(vii)任意選択的に前記レポートを復号化することと、のうちの1つ以上を含む、前記方法。
【請求項16】
対象がアルツハイマー病を有しているか、またはアルツハイマー病を発症するリスクがあるかを判定する方法であって、前記対象の脳関心領域の1つ以上のニューロメラニン-磁気共鳴イメージング(NM-MRI)スキャンを分析することを含み、前記分析することが、
前記脳関心領域のイメージング情報を受信することと、
前記イメージング情報に基づいてセグメント化された分析を使用して、前記脳関心領域内のNM濃度を判定することと、を含み、
前記対象がアルツハイマー病を発症しているか、またはアルツハイマー病を発症するリスクがあるかを判定することが、
(1)前記1つ以上のNM-MRIスキャンが、アルツハイマー病を伴わない1つ以上の対照スキャンと比較して減少されたNM信号を有する場合、前記対象が、アルツハイマー病を有するか、もしくは発症するリスクがあるか、または
(2)前記1つ以上のNM-MRIスキャンが、アルツハイマー病を伴わない1つ以上の対照スキャンの信号に匹敵するNM信号を有する場合、前記対象が、アルツハイマー病を有しないか、もしくは発症するリスクがないことを含む、前記方法。
【請求項17】
アルツハイマー病を有する対象を治療する方法であって、前記対象の脳関心領域のニューロメラニン-磁気共鳴イメージング(NM-MRI)スキャンを分析することを含み、前記分析することが、
(i)第1の時点における前記脳関心領域のイメージング情報を受信することと、
(ii)第2の時点における前記脳関心領域のイメージング情報を受信することと、
(iii)前記イメージング情報に基づいて、セグメント化された分析を使用して、前記脳関心領域の前記第1の時点及び前記第2の時点におけるNM濃度を判定することと、
(iv)前記第1の時点における前記NM濃度を前記第2の時点と比較することと、を含み、前記治療方法が、
(1)前記第2の時点における前記NM-MRIスキャンが、前記第1の時点におけるNM信号と比較して減少された前記NM信号を有する場合、前記方法が、1つ以上のアルツハイマー病治療薬を投与することを含むこと、または
(2)前記第2の時点における前記NM-MRIスキャンが、前記第1の時点におけるNM信号と比較して増加された前記NM信号を有する場合、前記方法が、
(a)1つ以上のアルツハイマー病治療薬の投与を保留することと、
(b)ステップ(i)~(iv)を繰り返すことと、を含むこと、を更に含む、前記方法。
【請求項18】
前記MRIスキャンが、ニューロメラニン感受性である、先行請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
治療計画を患者に提供する方法であって、NM-MRIスキャンを実行することと、関心領域内の前記NM-MRIスキャンからNM信号を取得することと、前記関心領域内の前記NM-MRIスキャンからの前記NM信号を、年齢を一致させたデータベース番号と比較することと、前記NM信号が所定の値未満である場合、対応する治療計画を実施することと、を含む、前記方法。
【請求項20】
前記NM-MRIが、標準対照と比較される、先行請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
前記患者が、パーキンソン病またはレビー小体を伴う認知症の症状を示す、先行請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
前記NM-MRIスキャンが、アルツハイマー病とパーキンソン病とを区別し、アルツハイマー病とレビー小体を伴う認知症とを区別する、先行請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
前記対象または前記患者が、アルツハイマー病の1つ以上の症状を呈する、先行請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
患者が、症状を示さずにアルツハイマー病と診断される、先行請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
前記患者をアルツハイマー病を有するか、またはアルツハイマー病を有しないと診断することと、前記診断を、ユーザインターフェースを介して、ユーザに示すことと、を更に含む、先行請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項26】
前記分析が、セグメント化された分析である、先行請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項27】
前記セグメント化された分析が、前記脳関心領域内の少なくとも1つのトポグラフィカルパターンを判定することを含む、先行請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項28】
前記方法が、ニューロメラニンセグメントの体積を表す値を使用した計算を更に含む、先行請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項29】
前記セグメント化された分析の関心領域が、黒質である、先行請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項30】
前記セグメント化された分析の関心領域が、青斑核である、先行請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項31】
アルツハイマー病の診断情報を提供するための診断システムであって、
対象の脳内の関心領域内に位置するボクセルまたはセグメントについてのニューロメラニンデータシリーズとともに、ニューロメラニン感受性MRIスキャンを生成及び取得するように構成されたMRIシステムと、
前記ニューロメラニンデータのシリーズを処理して、処理されたニューロメラニンMRIスペクトルを生成するように構成された信号プロセッサと、
診断プロセッサと、を備え、前記診断プロセッサが、前記処理されたニューロメラニンMRIスペクトルを処理して、
ある時点におけるニューロメラニンに対応する前記関心領域から測定値を抽出することと、
前記測定値を、前記時点の前に取得された1つ以上の対照測定値と比較することと、
前記測定値が前記対照測定値よりも約25%超少ない場合に、アルツハイマー病の診断を提供することと、を行うように構成されている、前記システム。
【請求項32】
アルツハイマー病患者を治療するための方法であって、
a)初期量のアルツハイマー病治療薬を患者に投与することと、
b)前記患者の連続NM-MRIスキャンを実行し、前記患者の脳内の関心領域におけるニューロメラニン濃度を監視し、初期治療期間にわたって治療関連有害事象を評価することと、
c)前記初期治療期間中に、前記患者が
i)前記患者の脳内の前記関心領域内のニューロメラニン濃度の低下、
ii)治療に関連する悪影響または副作用がないこと、を呈する場合、
後続の治療期間において、アルツハイマー病治療薬の用量を増加させることと、を含み、
前記アルツハイマー病治療薬の治療が、前記患者におけるアルツハイマー病症状の改善をもたらす、前記方法。
【請求項33】
d)前記患者がステップc)においてi)~ii)のうちの1つ以上を呈さなくなるまで、ステップa)~c)を繰り返すステップを含む、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記方法が、第2のイメージング方法とともに使用され、前記第2のイメージング方法が、陽電子放射断層撮影(PET)、構造的MRI、機能的MRI(fMRI)、血中酸素レベル依存性(BOLD)fMRI、鉄感受性MRI、定量的磁化率マッピング(QSM)、拡散テンソルイメージングDTI、及び単一光子放射コンピュータ断層撮影(SPECT)、DaTscan、及びDaTquantからなる群から選択される、先行請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項35】
前記第2のイメージング方法が、陽電子放射断層撮影(PET)を含む、先行請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項36】
前記第2のイメージング方法が、構造的MRIを含む、先行請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項37】
前記第2のイメージング方法が、機能的MRI(fMRI)を含む、先行請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項38】
前記第2のイメージング方法が、血中酸素レベル依存性(BOLD)fMRIを含む、先行請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項39】
前記セグメント化された分析が、前記脳関心領域内の少なくとも1つのトポグラフィカルパターンを判定することを含み、前記脳関心領域が、1つ以上のアルツハイマー病症状関連セグメントである、先行請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項40】
前記セグメント化された分析が、前記脳関心領域内の少なくとも1つのトポグラフィカルパターンを判定することを含み、前記脳関心領域が、1つ以上の患者特異的アルツハイマー病症状関連セグメントである、先行請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項41】
前記脳関心領域が、黒質または青斑核である、先行請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項42】
前記脳関心領域が、腹側黒質である、請求項1~41に記載の方法。
【請求項43】
前記脳関心領域が、外側黒質である、請求項1~41に記載の方法。
【請求項44】
前記脳関心領域が、腹外側黒質である、請求項1~41に記載の方法。
【請求項45】
前記脳関心領域が、黒質緻密部(SNpc)である、請求項1~41に記載の方法。
【請求項46】
前記脳関心領域が、黒質網様部(SNpr)である、請求項1~41に記載の方法。
【請求項47】
前記脳関心領域が、腹側椎間板領域(VTA)である、請求項1~41に記載の方法。
【請求項48】
前記脳関心領域が、青斑核である、請求項1~41に記載の方法。
【請求項49】
対象における神経障害を診断するか、神経障害の経時的な進行を判定するか、または神経障害の予後を提供する方法であって、
(i)第1の時点における第1のニューロメラニン磁気共鳴イメージング(NM-MRI)スキャンを取得することと、
(ii)ステップ(i)の後に、第2の時点における第2のNM-MRIスキャンを取得することと、
(iii)セグメント化ベースのアルゴリズム分析を実行して、青斑核(LC)内のニューロメラニン(NM)のレベル、濃度及び/または体積を判定することと、
(iv)ボクセルベースのアルゴリズム分析を実行して、黒質緻密部(SNc)内のニューロメラニンのレベル、濃度、及び/または体積を判定することと、
(v)前記第1のニューロメラニン磁気共鳴画像を前記第2のニューロメラニン磁気共鳴画像と比較することにより、前記ボクセルベースのアルゴリズムによる前記SNcと前記セグメント化ベースのアルゴリズムによる前記LCの両方において、前記ニューロメラニンのレベル、信号、及び/または濃度の変化が、前記第1の時点と前記第2の時点との間に生じたかどうかを判定することと、
(vi)前記第1のスキャンと前記第2のスキャンとの間の前記SNc内の前記NMのレベルの差、及び前記第1のスキャンと前記第2のスキャンとの間の前記LC内の前記NMのレベルの差に基づいて、前記神経障害の診断、経時的な進行、または予後を提供することと、を含む、前記方法。
【請求項50】
対象における神経障害の予防または治療のための治療計画を選択するインビボ方法であって、
(i)第1の時点における第1のニューロメラニン磁気共鳴イメージング(NM-MRI)スキャンを取得することと、
(ii)ステップ(i)の後に、第2の時点における第2のNM-MRIスキャンを取得することと、
(iii)セグメント化ベースのアルゴリズム分析を実行し、青斑核(LC)内のニューロメラニン(NM)のレベル、濃度、及び/または体積を判定することと、
(iv)ボクセルベースのアルゴリズム分析を実行し、黒質緻密部(SNc)内のニューロメラニンのレベル、濃度、及び/または体積を判定することと、
(v)前記第1のニューロメラニン磁気共鳴画像を前記第2のニューロメラニン磁気共鳴画像と比較することにより、前記ボクセルベースのアルゴリズムによる前記SNc及び前記セグメント化ベースのアルゴリズムによる前記LCの両方において、前記ニューロメラニンのレベル、信号、及び/または濃度の変化が、前記第1の時点と前記第2の時点との間に生じたかどうかを判定することと、
(vi)前記第1のスキャンと前記第2のスキャンとの間の前記SNc内の前記NMのレベルの差、及び前記第1のスキャンと前記第2のスキャンとの間の前記LC内の前記NMのレベルの差に基づいて、前記神経障害の診断、経時的な進行、または予後を提供することと、
(vi)前記判定された神経障害に対応する前記治療計画を実施することと、を含む、前記方法。
【請求項51】
同様に症状を示す運動疾患を区別する方法であって、
(i)統一パーキンソン病評価尺度スコアを判定するための検査を実施することと、
(ii)第1の時点における第1のニューロメラニン磁気共鳴イメージング(NM-MRI)スキャンを取得することと、
(iii)ステップ(i)及び(ii)の後に、第2の時点における第2のNM-MRIスキャンを取得することと、
(iv)ボクセルベースの分析を実行し、SNc内のNMの濃度、及び/または
体積を判定することと、
(v)セグメント化ベースの分析を実行し、LC内のNMの濃度、及び/または体積を判定することと、
(vi)前記第1のニューロメラニン磁気共鳴画像を第2のニューロメラニン磁気共鳴画像と比較することにより、前記SNc及び前記LCの両方においてニューロメラニンのレベル、信号、及び/または濃度の変化が、前記第1の時点と前記第2の時点との間に生じたかどうかを判定することと、
(vi)前記第1のスキャンと前記第2のスキャンとの間の前記SNc内の前記NMのレベルの差、及び前記第1のスキャンと前記第2のスキャンとの間の前記LC内の前記NMのレベルの差に基づいて、神経障害の診断、経時的な進行、または予後を提供することと、を含む、前記方法。
【請求項52】
神経障害を有する患者を診断する方法であって、
(i)ボクセルベースの分析方法を使用して、SNc内のニューロメラニンの濃度及び/または体積を測定し、セグメント化ベースの分析方法を使用して、LC内のニューロメラニンの濃度及び/または体積を測定することと、
(ii)前記SNc内のニューロメラニンのレベルを前記SNc内のニューロメラニンの標準対照レベルと比較し、前記LC内のニューロメラニンのレベルを前記LC内のニューロメラニンの標準対照レベルと比較することと、
(iii)SNc及びLCニューロメラニンの大きさまたは比が、前記標準対照と比較してそれらのそれぞれの領域の各々について低いか、または高い場合に、神経学的状態の診断を提供することと、を含む、前記方法。
【請求項53】
前記方法が、第2のイメージング方法とともに使用され、前記第2のイメージング方法が、陽電子放射断層撮影(PET)、タウ-PET、構造的MRI、機能的MRI(fMRI)、血中酸素レベル依存性(BOLD)fMRI、鉄感受性MRI、定量的磁化率マッピング(QSM)、拡散テンソルイメージングDTI、及び単一光子放射コンピュータ断層撮影(SPECT)、DaTscan、及びDaTquantからなる群から選択される、請求項48~52のいずれか1項に記載の方法。
【請求項54】
前記第2のイメージング方法が、陽電子放射断層撮影(PET)を含む、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
前記第2のイメージング方法が、構造的MRIを含む、請求項53に記載の方法。
【請求項56】
前記第2のイメージング方法が、機能的MRI(fMRI)を含む、請求項53に記載の方法。
【請求項57】
前記第2のイメージング方法が、血中酸素レベル依存性(BOLD)fMRIを含む、請求項53に記載の方法。
【請求項58】
前記分析が、前記SNc内の症状特異的ボクセル及び/または疾患特異的ボクセル内の前記ニューロメラニンレベル、濃度、体積、またはパターンに焦点を当てる、請求項1~57のいずれか1項に記載の方法。
【請求項59】
前記分析が、前記LC内の症状特異的セグメント及び/または疾患特異的セグメント内の前記ニューロメラニンレベル、濃度、体積、またはパターンに焦点を当てる、請求項1~57のいずれか1項に記載の方法。
【請求項60】
前記分析が、前記SNcにおける症状特異的ボクセル及び/または疾患特異的ボクセル内の前記ニューロメラニンレベル、濃度、体積、またはパターン、ならびに前記LCにおける疾患特異的セグメント及び/または症状特異的セグメント内の前記ニューロメラニンレベル、濃度、体積、またはパターンに焦点を当てる、請求項1~57のいずれか1項に記載の方法。
【請求項61】
前記分析が、前記SNc内の前記ニューロメラニンレベル、濃度、または体積、ならびに前記LC内の疾患特異的セグメント及び/または症状特異的セグメント内の前記ニューロメラニンレベル、濃度、体積、またはパターンに焦点を当てる、請求項1~57のいずれか1項に記載の方法。
【請求項62】
前記分析が、前記SNc内の症状特異的ボクセル及び/または疾患特異的ボクセル内の前記ニューロメラニンレベル、濃度、体積、またはパターン、ならびに前記LC内の前記ニューロメラニンレベル、濃度、または体積に焦点を当てる、請求項1~57のいずれか1項に記載の方法。
【請求項63】
前記神経学的状態が、統合失調症、コカイン使用障害、パーキンソン病、神経精神病症状のないアルツハイマー病、アルツハイマー病の神経精神病症状、大うつ病性障害、及び/または心的外傷後ストレス障害から選択される、先行請求項のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2020年11月16日に出願された米国仮出願第63/114,304号、2020年12月1日に出願された米国仮出願第63/120,105号、及び2021年11月9日に出願された米国仮出願第63/277,490号の優先権及び利益を主張し、それぞれの内容は、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、概して、磁気共鳴イメージング(「MRI」)に関し、より具体的には、神経学的状態の非侵襲的尺度としてのニューロメラニン感受性MRI技術のための例示的なシステム、方法、及びコンピュータアクセス可能な媒体の例示的な実施形態に関する。
【背景技術】
【0003】
アルツハイマー病(AD)は、認知症を引き起こす神経変性疾患の一般的な形態の1つであり、認知症は、アルツハイマー型の老人性認知症及びアルツハイマー型の原発性変性認知症、アルツハイマー病(AD)としても知られている。この認知症は公衆衛生上の大きな懸念事項であり、世界のどこかで7秒ごとに新しい症例が診断されている。アルツハイマー病は、1906年にドイツの精神科医で神経病理学者のアロイス・アルツハイマーによって公表され、彼にちなんで名付けられた。この疾患には治療法がなく、進行するにつれて悪化し、最終的に7年以内に死に至る。個体の3%未満が診断後14年より長く生存する。ADと診断される人々は、通常、65歳を超えており、標準的な言語及び視覚的記憶テスト、意思決定及び問題解決タスクによって診断される。2006年には、世界で2660万人の患者がおり、そのうち500万人が米国内の患者である。アルツハイマー病は、2050年までに世界の85人に1人が罹患すると予測されている。初期の症状はしばしば誤って「年齢関連の」問題、またはストレスの現れであるとみなされる。ADが疑われる場合、診断は通常、行動、記憶、認知、及び思考能力を評価するテスト、続いて脳スキャン検査によって確認される。
【0004】
神経変性疾患は、脳の障害の全てを包括する2つの広いカテゴリーに分かれている。これらの疾患は大雑把に2つの群に分かれている:1.アルツハイマー病などの認知症に通常関連する記憶に影響を及ぼす状態、及び2.パーキンソン病のような動作に問題を生じさせる状態。最も広く知られている神経変性疾患には、アルツハイマー病(またはアルツハイマー病)及びその前駆軽度認知障害(MCI)、パーキンソン病(パーキンソン病認知症を含む)、ならびに多発性硬化症及び他の多くの疾患が含まれる。あまり知られていない神経変性疾患には、National Institutes of Health(NIH)of the United StatesのNational Institute of Neurological Disorders and Stroke(NINDS)のWebサイトにある包括的なリストに含まれる数十の疾患が含まれる。そのような疾患が、しばしば2つ以上の名称で呼ばれており、疾病分類では、組み合わされて生じるか、または典型的または標準的ではない病態を過度に単純化する場合があることが理解される。術後の認知機能障害などの特定の他の障害が最近公表され、このような障害も、麻酔及び手術後の神経変性を伴う場合がある。てんかんなどの他の障害は、主に神経変性ではない場合があるが、障害の進行の特定の時点では、神経変性を伴う場合がある。
【0005】
上記の神経変性疾患の各々の病態の少なくともある態様が異なるという事実にもかかわらず、それらの疾患が共通して有する病態及び症状のために、しばしば、同様の治療薬及び方法によってそれらの疾患を治療することが可能である。したがって、本明細書に記載される方法は、これらの神経変性疾患の大部分を治療するために、記載される選択された複数の治療薬とともに使用することができる。多くの出版物は、神経変性疾患に共通する特徴を記述している(Dale E.Bredesen、Rammohan V.Rao、Patrick Mehlen.Cell death in the nervous system.Nature 443(2006):796-802;Christian Haass.Initiation and propagation of neurodegeneration.Nature Medicine 16(2010):1201-1204;Michael T.Lin and M.Flint Beal.Mitochondrial dysfunction and oxidative stress in neurodegenerative diseases.Nature 443(2006)787-795)。
【0006】
AD疾患の症状には、混乱、過敏性、攻撃性、気分のむら、言語障害、及び長期的な記憶喪失が含まれる。患者はしばしば家族及び社会から離脱する。ADは、患者が他人の援助及びケアに依存する変性難病である。介護者は、通常、家族、配偶者、または近親者の1人であり、彼らに大きな負担をかけ、社会及び家族にとって最も費用のかかる疾患の1つである。
【0007】
アルツハイマー病の原因と進行はよく理解されていない。研究では、この疾患が脳内の斑及び変化に関連していることが分かっている。現在の治療法は、対症的なものにすぎない。疾患の進行を停止するかまたは抑止するための利用可能な治療法はない。2008年現在、この疾患を治療する方法を見つけるために500以上の臨床試験が行われているが、テストされた治療法のいずれかがうまくいくかどうかは不明である。精神的刺激、運動、NSAID摂取、及びバランスの取れた食事が、健常高齢者の症状を遅延させる可能性のある方法として提案されている。しかし、これらの方法は、症状が発現した後に効果的な治療法として証明されていない。
【0008】
疾患の経過は、4つの段階に分けられ、認知障害及び機能障害の進行パターンがある。1.認知症前、2.疾患の軽度の初期開始、3.中程度の漸進的な悪化、4.重度または高度-人が完全に依存して寝たきりになる最後の段階。
【0009】
アルツハイマー病は、特に嗅球及びその接続された脳構造内のニューロンの変性に影響を及ぼす脳内の神経原線維変化(タウタンパク質)及び神経突起斑(アミロイドβ)の蓄積によって特徴付けられる。これらは、内葉皮質(EC)、海馬形成、扁桃体核、マイネルト基底核、青斑核、及び脳幹縫線核であり、これら全てが嗅球に投射される(
図14)。変性変化は、記憶及び認知機能の喪失をもたらす。皮質及び海馬コリンアセチルトランスフェラーゼ活動の重大な喪失及び基底前脳コリン作動性ニューロンの変性がある。アルツハイマー病における嗅覚の喪失は、嗅覚ニューロン、嗅球、嗅覚管、前ピリホーム皮質及び内膜皮質の壊死及び/またはアポトーシスに起因する。
【0010】
病因及び神経病態生理ほとんどのアルツハイマー病の原因は不明である。アミロイド仮説は、アミロイドベータ(Aβ)沈着がこの疾患の本質的な原因であると仮定した。また、ADの主要な遺伝的危険因子であるAPOE4は、AD症状が現れる前に脳内に過剰なアミロイドの蓄積を引き起こす。したがって、Aβ沈着は、臨床ADに先行する。興味深いことに、実験的ワクチンが、初期のヒト試験においてアミロイド斑を除去することが判明したが、認知症に有意な効果はなかった。研究では、ベータアミロイドタンパク質の近縁であり、必ずしもベータアミロイド自体ではないことが、この疾患の主要な原因であり得ることが示された。2004年の研究では、アミロイド斑の沈着は神経喪失及び記憶喪失と相関しないことが分かった。この観察は、タウタンパク質の異常が疾患カスケードを開始するという理論及び提案を裏付ける。最終的に、それらは神経細胞体内で神経原線維変化を形成し、微小管の崩壊をもたらし、ニューロンの輸送システムを崩壊させ、ニューロン間の生化学的コミュニケーションの誤動作を引き起こし、その後細胞の死を引き起こす。単純ヘルペスウイルス1型は、ApoE遺伝子の感受性バージョンを保有する人々に原因となる役割を果たすことが提示されている。別の仮説では、高齢者の脱髄は軸索輸送障害を引き起こし、ニューロンの損失を引き起こすことが主張されている。ミエリン分解中に放出される鉄及びその血管錯体が仮説化されており、原因因子として示唆されている。発明者は、ミエリン及びニューロピルの周りのヘモグロビンからの鉄の放出によるBVの破壊が、フェントン反応と呼ばれる鉄触媒過酸化水素をもたらし、これらの脱髄エピソード中に活性酸素種(ROS)を発生させ、ニューロンに悪影響を及ぼしてニューロンのアポトーシスを生じさせ、アルツハイマー病を引き起こす可能性があると考える。
【0011】
興味深いことに、AD個体は、ノルエピネフリンを提供する青斑核細胞の70%の喪失を示す。青斑核細胞は、橋、突起及び神経脊髄、脳幹、小脳、視床下部、視床中継核、扁桃体、基底端脳、及び皮質に位置している。LCからのノルエピネフリンは、脳の大部分に興奮作用を及ぼし、覚醒を媒介し、刺激によって活性化された脳のニューロンをプライミングする。この核からのノルエピネフリンは、ミクログリアを刺激してサイトカインのAβ誘導産生を抑制し、サイトカインがAβを貪食することは、青斑核の変性が最初にAD脳におけるAβ沈着を増加させる原因であり得ることを示唆している。橋におけるこの核(脳幹の一部)は、ストレス及びパニックに対する生理学的反応に関与しており、副腎のほかにノルエピネフリン(ノルアドレナリン)の脳合成の主要な部位である。
【0012】
現在までにアルツハイマー病の絶対的な診断はなく、感度の高い非侵襲的診断を開発する臨床的ニーズは高い。アルツハイマー病患者の診断及び監視は、進行の重症度を評価して適切な予防的ケアを用いて対応する上で重要である。アルツハイマー病の発症時には、タイムリーな介入によって命を救うことができる。アルツハイマー病を評価するための包括的なイメージングモダリティは、重要な臨床的ニーズとして依然として満たされていない。
【0013】
ドーパミン活動のインビボ測定は、この重要な神経調節物質が、ヒトにおける認知、神経発達、老化、及び神経精神疾患にどのように寄与するかを理解するために使用される。医学では、そのような測定は、理想的には、基本的な病態生理機能を臨床環境において容易に取得しつつ捕捉する手順を使用することによって、アルツハイマー病を含む臨床転帰を予測する客観的なバイオマーカーをもたらすことができる。ヒト脳内のノルアドレナリンニューロンの主要部位である青斑核(LC)は、アルツハイマー病(AD)の初期段階で退化し始め、ブラーク病期0で過リン酸化タウタンパク質を蓄積する最初の脳領域であるという証拠がある。この構造はADの文脈で大いに研究されているが、LCの変化のタイミングとAD病態及び臨床的特徴の特徴的な局面との相関については不明な点が多い。
【0014】
中央ノルアドレナリン系は、感情的記憶の覚醒及び強化に重要な役割を果たす。脳内のノルアドレナリン作動ニューロンの主要部位である青斑核(LC)は、投射のトポグラフィックパターンを有し、LCの尾側範囲は自律信号伝達を調節する降下投射を送信する。ノルアドレナリン系の調節障害は、PTSDの理論的説明に示唆されており、特に過覚醒及び大うつ病性障害(MDD)の症状に関与している。強力な理論的基盤にもかかわらず、PTSD及びMDDにおけるノルアドレナリン機能障害の理解は不完全であり、PTSDにおけるこの系を標的とする新しい治療法の研究を妨げている。最近の研究では、特殊な神経画像技術、ニューロメラニン感受性MRI(NM-MRI)の使用が開発された。NM-MRIは、LCにおける信号コントラストを調べることによって、インビボでヒトノルアドレナリン系の機能を調べるための非侵襲的方法である。ここでのNM-MRI信号は、情動記憶パフォーマンスと自律機能(唾液αアミラーゼまたは心拍変動によって指標化される)に正の関連があるが、PTSD患者ではまだ調査されていない。一方、大うつ病性障害では低LC NM-MRI信号が観察されている。発明者らは、PTSD及びMDDの過覚醒症状が尾側LCにおけるNM-MRI信号と正相関すると仮定した。
【0015】
ニューロメラニン(「NM」)は、細胞質ドーパミンの鉄依存性酸化及びその後の中脳ドーパミンニューロンにおけるタンパク質及び脂質との関係を介して合成される暗色色素である。NM色素は、脂質及び様々なタンパク質とともに、NM-鉄錯体を含む特定のオートファジー細胞小器官内に蓄積する。NM含有細胞小器官は、NMの高濃度による暗い外観にその名前が由来する核である黒質(「SN」)におけるドーパミンニューロンの体細胞の存続期間にわたって徐々に蓄積し、ミクログリアの作用によって細胞死後の組織からのみ除去される。NM-鉄錯体が常磁性であることを考えると、それらはMRIを使用して撮像することができる。NM-MRIとして知られているMRI配列のファミリーは、SN内のニューロンのような、高NM含有量を有するニューロンの群を高濃度領域として捕捉する。
【0016】
したがって、上述の欠陥を克服することができる、ニューロメラニン感受性MRIのためのシステム、プロセス、方法、及びコンピュータアクセス可能な媒体を提供することは有益であろう。様々な神経学的及び精神医学的疾患が、2つの主要領域、すなわち黒質緻密部(SNc)及び青斑核(LC)内のニューロメラニン変化と関連付けられている。症状の提示のみに基づいて類似した臨床所見を有する異なる障害を区別することは、症状がしばしば関連する状態の間で重複するため、困難である。
【0017】
現在、SNまたはLC内のNMの測定のための医療機器としてFDAが認可したソフトウェアはない。
【0018】
ここで対象とされる満たされていない医療ニーズは、パーキンソン病、多系統萎縮、進行性核上性麻痺などの関連疾患、ならびにアルツハイマー病及びレビー小体を伴う認知症などの異なる認知症を区別する能力である。関連疾患を区別する能力の増加は、患者の転帰の改善を促進する。
【発明の概要】
【0019】
本明細書では、とりわけ、対象におけるアルツハイマー病の存在を判定し、対象内のニューロメラニン濃度の経時的な変化を判定するための方法が提供される。ニューロメラニンの濃度は、アルツハイマー病の通常の経過の結果として、または治療的介入の結果として変化する場合がある。第1の態様では、ニューロメラニンの濃度の変化が、対象の脳内で経時的に生じるかどうかを判定する方法が提供される。好ましい実施形態では、対象はアルツハイマー病患者である。本方法は、第1の時点における対象の第1のニューロメラニン磁気共鳴画像を取得することを含む。その後、第2の時点における第2のニューロメラニン磁気共鳴画像が取得される。第1の磁気共鳴画像を第2の磁気共鳴画像と比較して、ニューロメラニンの濃度の変化が第1の時点と第2の時点との間に発生したかどうかを判定する。
【0020】
本開示は、関連する障害を区別する能力を向上させるために、2つの異なる脳領域(SNc及びLC)内のニューロメラニン(NM)濃度及び体積を測定するための2つの完全に自動化されたアルゴリズムを組み合わせた使用法について説明する。ボクセルベースの分析アルゴリズム(すでにWO2020/077098及びWO2021/034770に記載され、これらの各々の全内容は、参照により本明細書に組み込まれる)は、SNc内のNMを測定するために使用される。しかし、LCははるかに小さく、3T MRI(臨床で最も一般的に利用可能なスキャナ)でのボクセルベースの分析にはあまり適していない場合があるため、LC内のNMを測定するための新しいアルゴリズムがUniversity of Ottawaにおいて発明された。このLCアルゴリズムは、セグメント化ベースの分析アルゴリズムと呼ばれている。本開示は、症状のみに基づいて区別することが困難である神経精神疾患の診断及び区別を支援するために使用することができるソフトウェアパッケージにおける2つのアルゴリズムの組み合わせについて説明する。
【0021】
本開示において、ソフトウェアは、2つのアルゴリズムを使用する。ボクセルベースの分析アルゴリズムは、SNc内のNMを測定するために使用され、セグメント化ベースの分析アルゴリズムは、LC内のNM変化を測定するために使用される。このソフトウェアは、両方の脳領域のNMレベル及び体積を医師に報告する。これら2つのアルゴリズムを組み合わせることで、関連する神経学的状態を区別する能力を増加させる。アルゴリズムを完全に自動化されたソフトウェアに含めることで、クリニックで広く使用される可能性がある。
【0022】
一実施形態では、本開示は、対象におけるアルツハイマー病を診断する方法を対象とし、
(i)ニューロメラニンのレベルを測定するニューロメラニン-磁気共鳴イメージング(NM-MRI)スキャンを実行することと、
(ii)ニューロメラニンのレベルを以前のスキャン及び/または基準値と比較することと、
(iii)アルツハイマー病の診断を提供することと、を含む。
【0023】
一実施形態では、本開示は、対象におけるアルツハイマー病の進行を監視する方法を対象とし、
(i)ニューロメラニンのレベルを測定するニューロメラニン-磁気共鳴イメージング(NM-MRI)スキャンを実行することと、
(ii)ニューロメラニンのレベルを以前のスキャン及び/または基準値と比較することと、
(iii)アルツハイマー病の進行を判定することと、を含む。
【0024】
一実施形態では、本開示は、対象におけるアルツハイマー病の予後を提供する方法を対象とし、
(i)ニューロメラニンのレベルを測定するニューロメラニン-磁気共鳴イメージング(NM-MRI)スキャンを実行することと、
(ii)ニューロメラニンのレベルを以前のスキャン及び/または基準値と比較することと、
(iii)任意選択的にアルツハイマー病の予後を提供することと、を含む。
【0025】
一実施形態では、本開示は、対象におけるアルツハイマー病の治療を監視する方法を対象とし、
(i)ニューロメラニンのレベルを測定するニューロメラニン-磁気共鳴イメージング(NM-MRI)スキャンを実行することと、
(ii)ニューロメラニンのレベルを以前のスキャン及び/または基準値と比較することと、
(iii)アルツハイマー病の治療の効果を評価することと、を含む。
【0026】
一実施形態では、本開示は、第1のニューロメラニン磁気共鳴画像から第1の信号強度を判定し、第2のニューロメラニン磁気共鳴画像から第2の信号強度を判定することを対象とし、第1の磁気共鳴画像を上記第2の磁気共鳴画像と比較することは、第1の信号強度を第2の信号強度と比較することを含む。
【0027】
一実施形態では、対照は、対象の集団内にほぼ同じレベルで存在するニューロメラニンのレベルであるか、または上記標準対照は、対象の集団内に存在するニューロメラニンのほぼ平均レベルである。
【0028】
一実施形態では、ニューロメラニン勾配ファントムは、ニューロメラニンのレベル、信号、及び/または濃度を測定するために使用される。
【0029】
一実施形態では、ニューロメラニンファントム濃度勾配は、患者1人につき約1回、1時間に約1回、1日に約1回、1週間に約1回、または1ヶ月に約1回スキャンされる。
【0030】
一実施形態では、ニューロメラニンファントム勾配は、毎日スキャンされる。
【0031】
一実施形態では、ニューロメラニンファントム勾配は、各患者に対してスキャンされる。
【0032】
一実施形態では、本開示は、対象内のニューロメラニンを評価する方法を対象とし、
対象に対してニューロメラニン-磁気共鳴イメージング(NM-MRI)スキャンを実行することと、
NM-MRIスキャンからニューロメラニンデータセットを取得することと、
任意選択的にニューロメラニンデータセットを暗号化することと、
ニューロメラニンデータセットをリモートサーバにアップロードすることと、
任意選択的にデータセットを復号化することと、
ニューロメラニンデータセットの分析を実行することであって、分析が、
(i)ニューロメラニンデータセットを、上記対象から以前に取得した1つ以上のニューロメラニンデータセットと比較すること、
(ii)ニューロメラニンデータセットを対照データセットと比較すること、
(iii)ニューロメラニンデータセットを、異なる対象から以前に取得した1つ以上のニューロメラニンデータセットと比較すること、のうちの1つ以上を含む、実行することと、
ニューロメラニン分析を含むレポートを生成することと、
任意選択的にレポートを暗号化することと、
レポートをリモートサーバにアップロードすることと、
任意選択的にレポートを復号化することと、を含む。
【0033】
一実施形態では、本開示は、対象における経時的なアルツハイマー病の進行を判定するインビボ方法を対象とし、上記方法が、
(i)第1の時点における第1のニューロメラニン磁気共鳴画像を取得することと、
(ii)ステップ(i)の後に、第1のニューロメラニン磁気共鳴画像を年齢一致対照と比較することと、
(iii)上記第1の時点と上記第2の時点との間に発生したニューロメラニンのレベル、信号、及び/または濃度を判定することと、を含む。
【0034】
一実施形態では、本開示は、アルツハイマー病を診断するインビボ方法を対象とし、上記方法が、
(i)第1の時点における第1のニューロメラニン磁気共鳴画像を取得することと、
(ii)ステップ(i)の後に、第2の時点における第2のニューロメラニン磁気共鳴画像を取得することと、
(iii)第1のニューロメラニン磁気共鳴画像を上記第2のニューロメラニン磁気共鳴画像と比較することにより、ニューロメラニンのレベル、信号または濃度のうちの1つ以上の変化が、上記第1の時点と上記第2の時点との間に生じたかどうかを判定することと、を含む。
【0035】
一実施形態では、本開示は、治療計画を患者に提供する方法を対象とし、NM-MRIスキャンを実行することと、関心領域内のNM-MRIスキャンからNM信号を取得することと、関心領域内のNM-MRIスキャンからのNM信号を、NM信号が所定の値未満である場合、年齢一致データベース番号と比較することと、対応する治療計画を実施することと、を含む。
【0036】
一実施形態では、対象が、アルツハイマー病の症状を示す。
【0037】
一実施形態では、患者が、アルツハイマー病として一般的に誤診される障害を有する。
【0038】
一実施形態では、NM-MRIスキャン及び分析は、アルツハイマー病とパーキンソン病とを区別する。一実施形態では、NM-MRIスキャン及び分析は、関連する障害(例えば、レビー体を伴う認知症)を区別し、それらを別々に識別することができる。一実施形態では、NM-MRIスキャン及び分析は、アルツハイマー病に関連する障害の進行を監視し、障害の治療を監視し、障害の予後を提供することができる。
【0039】
一実施形態では、本開示は、対象がアルツハイマー病を有するか、またはアルツハイマー病を発症するリスクがあるかを判定する方法を対象とし、方法が、対象の脳関心領域の1つ以上のニューロメラニン磁気共鳴イメージング(NM-MRI)スキャンを分析することを含み、分析することが、
脳関心領域のイメージング情報を受信することと、
イメージング情報に基づいてセグメント化された分析を使用して、脳関心領域内のNM濃度を判定することと、を含み
対象がアルツハイマー病を有するか、またはアルツハイマー病を発症するリスクがあるかを判定することが、
(1)1つ以上のNM-MRIスキャンが、アルツハイマー病を伴わない1つ以上の対照スキャンと比較して減少されたNM信号を有する場合、対象が、アルツハイマー病を有するか、もしくは発症するリスクがあるか、または
(2)1つ以上のNM-MRIスキャンが、アルツハイマー病を伴わない1つ以上の対照スキャンの信号に匹敵するNM信号を有する場合、対象は、アルツハイマー病を有しないか、もしくは発症するリスクがないことを含む。
【0040】
一実施形態では、本開示は、アルツハイマー病を有する対象を治療する方法を対象とし、方法が、対象の脳関心領域のニューロメラニン磁気共鳴イメージング(NM-MRI)スキャンを分析することを含み、分析することが、
第1の時点における脳関心領域のイメージング情報を受信することと、
第2の時点における脳関心領域のイメージング情報を受信することと、
イメージング情報に基づいて、セグメント化された分析を使用して、脳関心領域の第1の時点及び第2の時点におけるNM濃度を判定することと、
第1の時点におけるNM濃度を第2の時点と比較することと、を含み、
治療方法が、
(1)第2の時点におけるNM-MRIスキャンが、第1の時点におけるNM信号と比較して減少されたNM信号を有する場合、レボドパ及びカルビドパのうちの1つ以上を投与することと、
(2)第2の時点におけるNM-MRIスキャンが、第1の時点におけるNM信号と比較して増加されたNM信号を有する場合、レボドパ及びカルビドパのうちの1つ以上を投与することを保留することと、を更に含む。
【0041】
一実施形態では、対象が、アルツハイマー病の1つ以上の症状を示す。
【0042】
一実施形態では、方法が、症状が臨床的に存在する前に、アルツハイマー病の診断を提供する。
【0043】
一実施形態では、NM-MRI法が、アルツハイマー病とパーキンソン病とを区別する。
【0044】
一実施形態では、NM-MRI方法が、患者がアルツハイマー病を有するか、またはアルツハイマー病を有しないと診断し、ユーザインターフェースを介してユーザに診断を示す。
【0045】
一実施形態では、分析が、セグメント化された分析である。
【0046】
一実施形態では、セグメント化された分析が、脳関心領域内の少なくとも1つのトポグラフィカルパターンを判定することを含む。
【0047】
一実施形態では、方法が、ニューロメラニンボクセルまたはセグメントの体積を表す値を使用した計算を更に含む。
【0048】
一実施形態では、セグメント化された関心領域が、青斑核である。
【0049】
一実施形態では、本開示は、アルツハイマー病の診断情報を提供するための診断システムを対象とし、診断システムが、
対象の脳内の関心領域内に位置するボクセルまたはセグメントについてのニューロメラニンデータシリーズとともに、ニューロメラニン感受性MRIスキャンを生成し、取得するように構成されたMRIシステムと、
ニューロメラニンデータのシリーズを処理して、処理されたニューロメラニンMRIスペクトルを生成するように構成された信号プロセッサと、
診断プロセッサと、を備え、診断プロセッサが、処理されたニューロメラニンMRIスペクトルを処理して、
ある時点におけるニューロメラニンに対応する関心領域から測定値を抽出し、
測定値を、該時点の前に取得された1つ以上の対照測定値と比較し、
測定値が対照測定値よりも約25%超少ない場合に、アルツハイマー病の診断を提供するように構成されている。
【0050】
一態様では、本開示は、対象の脳組織が異常なレベルのニューロメラニンを含有するかどうかを判定するための方法を対象とする。本方法は、組織中のレベルのニューロメラニンを検出することを含む。ニューロメラニンのレベルは、標準対照と比較される。標準対照と比較して低レベルのニューロメラニンが検出された場合、このことはアルツハイマー病を示する。
【0051】
一実施形態では、対象に実施されるアルツハイマー病療法が有効であるかどうかを判定するための方法が提供される。本方法は、第1の時点で組織内の内因性ニューロメラニンのレベルを検出するステップを含む。後続のステップでは、療法が対象に実施される。次いで、第2の時点で、組織内のニューロメラニンのレベルが判定される。その後、第1の時点におけるニューロメラニンのレベルを、第2の時点におけるニューロメラニンのレベルと比較する。第1の時点と比較して、第2の時点におけるニューロメラニンがより高いレベルまたは一定のレベルであることは、療法が有効であったことを示す。代替的に、第1の時点と比較して第2の時点におけるニューロメラニンがより低いレベルであることは、対象に実施された療法が無効であったことを示す。
【0052】
一実施形態では、アルツハイマー病の患者を治療するための方法が提供される。一実施形態では、本方法は、患者に、初期量のアルツハイマー病治療を実施することを含む。一実施形態では、本方法は、患者の脳内の関心領域内のニューロメラニン濃度を監視することと、初期治療期間にわたる治療関連有害事象を評価することと、を含む。一実施形態では、初期治療期間中に、患者が、
i)患者の脳内の関心領域内のニューロメラニン濃度の低下、及び
ii)治療に関連する悪影響または副作用がないことのうちの1つ以上を呈する場合、
後続の治療期間において、アルツハイマー病治療の用量を増加させ、
治療により、患者におけるアルツハイマー病症状の改善がもたらされる。
【0053】
一実施形態では、治療方法は、
ステップc)において患者がi)~ii)のうちの1つ以上を呈さなくなるまで、ステップa)~c)を繰り返すステップを含む。
【0054】
一態様では、本開示は、対象における神経障害を診断するか、神経障害の経時的な進行を判定するか、または神経障害の予後を提供する方法を対象とし、上記方法が、
(i)第1の時点における第1のニューロメラニン磁気共鳴イメージング(NM-MRI)スキャンを取得することと、
(ii)ステップ(i)の後に、第2の時点における第2のNM-MRIスキャンを取得することと、
(iii)セグメント化ベースのアルゴリズム分析を実行して、青斑核(LC)内のニューロメラニン(NM)のレベル、濃度、及び/または体積を判定することと、
(iv)ボクセルベースのアルゴリズム分析を実行して、黒質緻密部(SNc)内のニューロメラニンのレベル、濃度、及び/または体積を判定することと、
(v)第1のニューロメラニン磁気共鳴画像を第2のニューロメラニン磁気共鳴画像と比較することにより、ボクセルベースのアルゴリズムによるSNc及びセグメント化ベースのアルゴリズムによるLCの両方において、ニューロメラニンのレベル、信号、及び/または濃度の変化が、上記第1の時点と上記第2の時点との間に生じたかどうかを判定することと、
(vi)第1のスキャンと第2のスキャンとの間のSNc内のNMのレベルの差、及び第1のスキャンと第2のスキャンとの間のLC内のNMのレベルの差に基づいて、神経障害の診断、経時的な進行、または予後を提供することと、を含む。
【0055】
一態様では、本開示は、対象の神経障害の予防または治療のための治療計画を選択するインビボ方法を対象とし、上記方法が、
(i)第1の時点における第1のニューロメラニン磁気共鳴イメージング(NM-MRI)スキャンを取得することと、
(ii)ステップ(i)の後に、第2の時点における第2のNM-MRIスキャンを取得することと、
(iii)セグメント化ベースのアルゴリズム分析をし、実施青斑核(LC)内のニューロメラニン(NM)のレベル、濃度、及び/または体積を判定することと、
(iv)ボクセルベースのアルゴリズム分析をし、実施黒質緻密部(SNc)内のニューロメラニンのレベル、濃度、及び/または体積を判定することと、
(v)第1のニューロメラニン磁気共鳴画像を第2のニューロメラニン磁気共鳴画像と比較することにより、ボクセルベースのアルゴリズムによるSNc及びセグメント化ベースのアルゴリズムによるLCの両方において、ニューロメラニンのレベル、信号、及び/または濃度の変化が、上記第1の時点と上記第2の時点との間に生じたかどうかを判定することと、
(vi)第1のスキャンと第2のスキャンとの間のSNc内のNMのレベルの差、及び第1のスキャンと第2のスキャンとの間のLC内のNMのレベルの差に基づいて、神経障害の診断、経時的な進行、または予後を提供することと、
(vi)判定された神経障害に対応する治療計画を実施することと、を含む。
【0056】
一態様では、本開示は、同様に症状を呈する運動疾患を区別するための方法を対象とし、
(i)統一パーキンソン病評価尺度スコアを判定するための検査を実施することと、
(ii)第1の時点における第1のニューロメラニン磁気共鳴イメージング(NM-MRI)スキャンを取得することと、
(iii)ステップ(i)及び(ii)の後に、第2の時点における第2のNM-MRIスキャンを取得することと、
(iv)ボクセルベースの分析を実行し、SNc内のNMの濃度及び/または体積を判定することと、
(v)セグメント化ベースの分析を実行し、LC内のNMの濃度及び/または体積を判定することと、
(vi)第1のニューロメラニン磁気共鳴画像を第2のニューロメラニン磁気共鳴画像と比較することにより、SNc及びLCの両方において、ニューロメラニンのレベル、信号、及び/または濃度の変化が、上記第1の時点と上記第2の時点との間に生じたかどうかを判定することと、
(vi)第1のスキャンと第2のスキャンとの間のSNc内のNMのレベルの差、及び第1のスキャンと第2のスキャンとの間のLC内のNMのレベルの差に基づいて、神経障害の診断、経時的な進行、または予後を提供することと、を含む。
【0057】
一態様では、本開示は、神経障害を有する患者を診断する方法を対象とし、上記方法が、
(i)ボクセルベースの分析方法を使用して、SNc内のニューロメラニンの濃度及び/または体積を測定し、セグメント化ベースの分析方法を使用して、LC内のニューロメラニンの濃度及び/または体積を測定することと、
(ii)SNc内のニューロメラニンのレベルをSNc内のニューロメラニンの標準対照レベルと比較し、LC内のニューロメラニンのレベルをLC内のニューロメラニンの標準対照レベルと比較することと、
(iii)SNc及びLCニューロメラニンの大きさまたは比が、標準対照と比較してそれぞれの領域の各々について低いか、または高い場合に、神経学的状態の診断を提供することと、を含む。
【0058】
一態様では、本開示は、神経障害を有する患者を診断する方法を対象とし、上記方法が、
(i)ボクセルベースの分析方法を使用して、SNc内のニューロメラニンの濃度及び/または体積を測定し、セグメント化ベースの分析方法を使用して、LC内のニューロメラニンの濃度及び/または体積を測定することと、
(ii)SNc内のニューロメラニンのレベルをSNc内のニューロメラニンの標準対照レベルと比較し、LC内のニューロメラニンのレベルをLC内のニューロメラニンの標準対照レベルと比較することと、
(iii)所定の値に従って、SNc及びLCニューロメラニンの大きさまたは比が、それぞれの領域の各々について、標準対照と比較して低いか、または高い場合に、神経学的状態の診断を提供することと、を含む。
【0059】
一実施形態では、本明細書に記載される方法は、第2のイメージング方法とともに使用され、第2のイメージング方法は、陽電子放射断層撮影(PET)、タウ-PET、構造的MRI、機能的MRI(fMRI)、血中酸素レベル依存性(BOLD)fMRI、鉄感受性MRI、定量的磁化率マッピング(QSM)、拡散テンソルイメージングDTI、及び単一光子放射コンピュータ断層撮影(SPECT)、DaTscan及びDaTquantからなる群から選択される。
【0060】
一実施形態では、本明細書に記載の方法は、第2のイメージング方法とともに使用され、第2のイメージング方法は、陽電子放射断層撮影(PET)である。
【0061】
一実施形態では、本明細書に記載の方法は、第2のイメージング方法とともに使用され、第2のイメージング方法は、構造的MRIである。
【0062】
一実施形態では、本明細書に記載の方法は、第2のイメージング方法とともに使用され、第2のイメージング方法は、機能的MRI(fMRI)である。
【0063】
一実施形態では、本明細書に記載の方法は、第2のイメージング方法とともに使用され、第2のイメージング方法は、血中酸素レベル依存性(BOLD)fMRIである。
【0064】
一実施形態では、本明細書に記載の方法は、SNcにおける症状特異的ボクセル及び/または疾患特異的ボクセル内のニューロメラニンレベル、濃度、体積、またはパターンに焦点を当てる。
【0065】
一実施形態では、本明細書に記載の方法は、LCにおける症状特異的セグメント及び/または疾患特異的セグメント内のニューロメラニンレベル、濃度、体積、またはパターンに焦点を当てる。
【0066】
一実施形態では、本明細書に記載の方法は、SNcにおける症状特異的ボクセル内のニューロメラニンレベル、濃度、体積、またはパターン、及び/またはLCにおける症状特異的セグメント及び/または疾患特異的セグメント内のニューロメラニンレベル、濃度、体積、またはパターンに焦点を当てる。
【0067】
一実施形態では、本明細書に記載の方法は、SNc内のニューロメラニンレベル、濃度、体積、またはパターン、ならびにLC内の症状特異的セグメント及び/または疾患特異的セグメント内のニューロメラニンレベル、濃度、体積、またはパターンに焦点を当てる。
【0068】
一実施形態では、本明細書に記載の方法は、SNc内の症状特異的ボクセル及び/または疾患特異的ボクセル内のニューロメラニンレベル、濃度、体積、またはパターン、ならびにLC内のニューロメラニンレベル、濃度、体積、またはパターンに焦点を当てる。
【0069】
一実施形態では、本明細書で考察される方法は、1つ以上の神経学的状態を対象とする。
【0070】
一実施形態では、本明細書で考察される方法は、神経学的状態が、統合失調症、コカイン使用障害、パーキンソン病、神経精神症状のないアルツハイマー病、アルツハイマー病の神経精神症状、大うつ病性障害、及び/または心的外傷後ストレス障害から選択される、1つ以上の神経学的状態を対象とする。
【0071】
本開示の更なる理解を提供するために含まれる添付の図面は、本明細書に組み込まれ、この一部を構成し、本開示の態様を図示し、詳細な説明とともに、本開示の原理を説明する役割を果たす。特許または出願ファイルには、カラーで作成された少なくとも1つの図面が含まれている。カラー図面を含むこの特許または特許出願文献のコピーは、要求及び必要な料金の支払いに応じて特許庁によって提供される。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【
図1】神経画像測定を示す。上:代表的な認知機能が正常(CN)な参加者及びアルツハイマー病(AD)の参加者における放射線トレーサー[
18F]MK6420を使用するタウ負荷(左)及び[
18F]AZD4694を使用するβ-アミロイド負荷(右)のPET画像測定。下:青斑核(LC)の撮像。左下:CN高齢者からインビボで取得したNM-MRI画像。下中央:この参加者及び代表的なAD患者からの橋の拡大図。この非侵襲的手順は、LCを高強度ボクセル(黄色の矢印)として明確に描写する。ADでは、LC変性は疾患の初期段階で始まり、LC NM-MRI信号の目に見える減少を引き起こす。右下:死後の細胞数に基づくノルアドレナリン系LC細胞(オレンジ)の分布を示すコンピュータ再構成によって明らかにされたヒトLCの3D構造。
【
図2】LC NM-MRI(左)、タウ負荷(中央)、またはβ-アミロイド負荷(右)に基づく、n=73の認知障害を有する高齢者における神経精神症状の重症度の予測を示す。NPSの重症度は、共変量年齢、性別、認知症の重症度、及びPET尺度(LCプロット)またはLC信号(タウ及びアミロイドプロット)に基づいて調整された。の尺度は、MBI総スコア(それぞれPearson r=0.37、0.44、0.40)及びMBI衝動制御障害サブドメインスコア(図示せず、それぞれr=0.35、0.30、0.29)を有意に予測し全てた。
【
図3】代表的な対象から7テスラ及び3テスラで取得されたNM-MRI画像を示す。黄色い矢印はLCを指している。3Tと比較して、超高磁場強度(7T)は、面内分解能を向上させるのを可能にし(3Tでは0.7×0.7mm、7Tでは0.4×0.4mm、冠状図)とスライスを薄くするのを可能にし(1.8mm対1.0mm、冠状ビュー)、したがって、ボクセル体積は7Tでは5.5倍小さくなる。分解能が低いと、単一のボクセルがLC組織と非LC組織を組み合わせる部分容積効果に起因してLC NM-MRI信号にノイズが発生する。このため、この小さい構造からの信号を測定するには、超高視野NM-MRIが好ましい。
【
図4】LC NM-MRI信号の測定を示す。A.MNI空間における多くのNM-MRI画像を平均することによって作成したNM-MRI可視化テンプレート。B、C.LCの手動でトレースされたオーバーインクルーシブマスクが重ね合わせられたテンプレートの拡大図。このマスクは、4つの吻側-尾側セグメントに分割される(Bで色分けされている)。D.ネイティブ空間の橋を示す代表的な対象のNM-MRI画像。オーバーインクルーシブLCマスクは、MNI空間からネイティブ空間に変換され、LCを位置決めするための探索空間(黄色)を作成する。E.LC(黄色)は、探索空間内の4つの隣接ボクセルの最も明るいクラスターとして二次的に識別される。F.NM(白丸)を含まない参照領域内の信号に対する全てのボクセルについて、コントラスト対ノイズ比(CNR)が計算される。吻側-尾側セグメント内の全てのLCボクセルからのCNR値を平均すると、LC NM-MRI信号が得られる。中-吻側セグメント(黄色)は、ADで最も顕著な変性を示し、ここでの信号は全ての分析に使用される。
【
図5】LC NM-MRI信号とブラーク病期及び認知症の重症度との関係を示す。左:タウ陽性個体におけるNM-MRI信号損失の小領域パターンを示す冠状図におけるLCの概略図。LCは、左側及び右側に5つのセグメント(各々3mmの長さ)に分割された。タウステータスは3つのレベル(タウ陰性、ブラーク領域1陽性、ブラーク領域3陽性)に分割された。LCセグメントは、セグメント内のNM-MRI信号とタウステータス(年齢及び性別について調整した堅牢な線形回帰に由来するt統計量)との関係に基づいて色分けされる。最も強い関係は、中間のLCセグメントで見られた(MNI空間z座標=-22~-25、黄色で囲まれ、
図1に示す黄色のLCセグメントと一致している)。このセグメントからの両側LC NM信号をその後の全ての分析においてNM-MRIメトリックとして選択した。中央:全ての試験群におけるLC NM-MRI信号を示す散布図。ブラーク3陽性症例(濃い赤色)は、タウ陰性症例及びブラーク1陽性症例と比較して減少された信号を示した。誤差バーは、平均の標準誤差を表す。右:LC NM-MRI信号と認知障害(MMSEに関するエラー、上)及び認知症病期(CDRスコア、下)の相関を示す散布図。L:左、R:右、CN-:認知機能が正常なタウ陰性個体、CI+:認知障害のあるブラーク1陽性個体、CI++:認知障害のあるブラーク3陽性個体、MMSE:ミニメンタルステート検査、CDR:臨床的認知症評価尺度。
【
図6】脳全体にわたる[18F]MK-6240摂取に対するLC NM-MRI信号のボクセルごとの相関を示す。
【
図7】LC NM-MRI信号の測定を示す。左:全ての参加者からの空間的に正規化されたNM-MRI画像を平均化することによって作成されたMNI空間の可視化テンプレート。中央:オーバーインクルーシブなLCマスクが重ね合わせられた可視化テンプレートの拡大図。このマスクは、LCを取り囲む高感度領域にわたって可視化テンプレート上で手動でトレースされ、5つの吻側尾側セグメント(異なる色で表示される)に分割されている。各セグメントは、z軸において3mmにわたっている。右上:代表的な個体の橋を示す未処理のNM-MRI画像。中央の橋参照領域は白で囲まれている。全てのボクセルについてのコントラスト対ノイズ比をこの領域からの信号に対して計算した。右下:ネイティブ空間におけるLCのセグメント化。オーバーインクルーシブなLCマスク(黄色)を、MNI空間からネイティブ空間に変形させて、LCを最も明るい4つの隣接ボクセルとして左右両側に特定した探索空間を提供した。部分容積効果を最小限に抑えるために、各側及びスライスについて4つのボクセルのうち最も明るい1つだけを保持し、5つのセグメントの各々についてこれらのボクセルからのCNR値を平均化することによって、LC NM-MRI信号を計算した。
【
図8】尾側LC NM-MRI信号とCAPS-5過覚醒症状重症度との間の正の相関を示す。
【
図9】LC NM-MRI信号とBDIうつ病の重症度との間の負の相関を示す。
【
図10】PTSD患者及び健常個体におけるLC信号を示す。年齢について調整したPTSD群で尾側LC信号が有意に増加した(t34=2.08、p=0.046、コーエンのd=0.71、年齢について調整した線形回帰)。
【
図11】LC NM-MRI信号に対する過覚醒の臨床的及び生理学的尺度の関係を示す。左:LC NM-MRI信号の大きさは、作戦展開歴のある24人のカナダ軍退役軍人における過覚醒のより重度の症状と有意に関連していた(r=0.52、p=0.019)。右:予備的データは、7人の若い健常個体において、fMRI恐怖条件付け手順(位相最大値、条件付き刺激-無条件刺激)中のLC NM-MRI信号と皮膚伝導反応との間に正の相関関係があることを示唆している(NM信号の年齢及び診断関連の増加は、左のプロットと比較してLC NM-MRI信号値が低いことの説明となる可能性が高い)。
【
図12】NM-MRIを介したLC局在化が、fMRI分析をサポートすることを示す。サイズが小さいため、BOLD fMRI前処理及び分析の標準的な方法を使用してLCの活動を調べることは推奨されない。最近の研究では、スムージングなしでネイティブ空間で第1レベルのfMRI分析を行い、NM-MRI信号を活用して個人的なLCローカライザーを提供する改善された方法が実証されている[46、47]。このアプローチをPTSDの1人の対象に採用し、LCの機能的結合を検討した。安静時(上)では、従来の報告[46]と非常に類似した機能的結合のパターンが観察され、このパターンは、LC(白色)を中心とし、脳幹及び小脳内の構造が含まれていた。この同じ個体(下)において個人的な外傷ワードを提示した後、視床下部、海馬、及び大脳皮質を含む、LCに投射するかまたはLCから投射することが知られている多くの構造とのLCの結合が増加した。現在の提案では、fMRIパラダイムは、ここに示されているような外傷の喚起ではなく、恐怖の条件付けで構成されている。それにもかかわらず、これらの結果は、BOLD fMRIを使用してLCの機能活動を調査するアプローチの実現可能性を実証している。
【
図13】SNc及びLCマスクを示す。ソフトウェアは自動的にカスタムSNマスクをSNcに適用してボクセルベースのアルゴリズムについての領域を選択し、カスタムLCマスクをLCに適用してセグメント化アルゴリズムについての領域を選択する。
【
図14】パーキンソン病患者内のNMを測定するためのボクセルベース及びセグメント化ベースのアルゴリズムの適用を示す。ボクセルベースのアルゴリズムは、健常対照と比較してSNcに有意な変化があることを示している(左図)。セグメント化ベースのアルゴリズムは、健常対照と比較してLCに有意な変化がないことを示している(右図)。
【
図15】軽度の認知障害(MCI)及びアルツハイマー病(AD)を有する患者内のNMを測定するためのボクセルベース及びセグメント化ベースのアルゴリズムの適用を示す。ボクセルベースのアルゴリズムは、健常対照と比較してSNcに有意な変化がないことを示している(左図)。セグメント化ベースのアルゴリズムは、健常対照と比較してLCに有意な変化があることを示している(右図)。
【
図16】アルツハイマー病(AD)における神経精神症状NMを測定するためのボクセルベース及びセグメント化ベースのアルゴリズムの適用を示す。セグメント化ベースのアルゴリズムは、健常対照と比較して、LC内のNMに有意な増加があることを示す(左図)。ボクセルベースのアルゴリズムは、SNcにおける健常対照と比較して、NMに有意な減少があることを示す(右図)。
【
図17】統合失調症の患者内のNMを測定するためのボクセルベース及びセグメント化ベースのアルゴリズムの適用を示す。ボクセルベースのアルゴリズムは、健常対照と比較してSNcに有意な変化があることを示している(左図)。セグメント化ベースのアルゴリズムは、健常対照と比較してLCに有意な変化がないことを示している(右図)。
【
図18】心的外傷後ストレス障害に対するボクセルベース及びセグメント化ベースのアルゴリズムの適用を示す。ボクセルベースのアルゴリズムは、健常対照と比較して、SNc内のNMレベルとの疾患重症度の有意な関連はないことを示す(左図)。セグメント化ベースのアルゴリズムは、健常対照と比較してLC内に有意な変化があり、NMレベルの増加が疾患重症度と有意に関連していることを示している(右図)。
【
図19】うつ病患者へのボクセルベース及びセグメント化ベースのアルゴリズムの適用を示す。ボクセルベースのアルゴリズムは、健常対照と比較して、SNc内のNMレベルとの疾患重症度の有意な関連はないことを示す(左図)。セグメント化ベースのアルゴリズムは、健常対照(右図)と比較して、LCにおける疾患重症度の増加とともにNMレベルが減少する傾向があることを示す。
【
図20】コカイン使用障害に対するボクセルベース及びセグメント化ベースのアルゴリズムの適用を示す。ボクセルベースのアルゴリズムは、健常対照と比較して、SNc内のNMの増加がコカイン使用障害と有意に関連していることを示している(左図)。セグメント化ベースのアルゴリズムは、健常対照(右図)と比較して、LC内のNMが減少する傾向があることを示している。
【発明を実施するための形態】
【0073】
本開示についてより詳細に説明する前に、本開示が説明する特定の実施形態に限定されず、そのため、勿論、変形し得ることを理解されたい。本明細書で使用される用語が単に特定の実施形態について説明するためのものであり、本開示の範囲が添付の特許請求の範囲によってのみ制限されるため、制限することが意図されないことも理解されたい。
【0074】
定義
本明細書に示される詳細は、例として、本開示の実施形態の例示的な考察のみを目的としており、本開示の原理及び概念的態様の最も有用であり、容易に理解される説明であると考えられるものを提供するために提示される。この点で、本開示の基本的な理解のために必要であるよりも詳細に本開示の構造的な詳細を示すことは試みず、本開示の形態が実際にどのように具現化され得るかを当業者に明らかにする図面を用いて説明を行う。
【0075】
本明細書で使用される場合、単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈が明示的に別様に示さない限り、複数の参照を含む。
【0076】
別段の指示がある場合を除き、本明細書及び特許請求の範囲で使用される成分、反応条件などの量を表す全ての数は、全ての事例において「約」という用語によって修飾されるものと理解されるべきである。したがって、特段の指示がない限り、以下の明細書及び添付の特許請求の範囲に記載される数値パラメータは、本開示によって取得されることが求められる所望の特性に応じて変化し得る近似値である。少なくとも、均等論の適用を特許請求の範囲に限定する試みとみなされないように、各数値パラメータは、有効桁の数及び通常の丸め規則に照らして解釈されるべきである。
【0077】
加えて、本明細書内の数値範囲の開示は、その範囲内の数値及び範囲の開示であるとみ全てなされる。例えば、範囲が約1~約50である場合、それは、例えば、1、7、34、46.1、23.7、または範囲内の任意の他の値または範囲を含むとみなされる。更に、用語は、少なくとも記載された数を含み、例えば、「少なくとも50」は、50を含む。
【0078】
「MR」という用語は、磁気共鳴を指し、MRI(「磁気共鳴イメージング」)、MRS(「磁気共鳴分光法」)などを含む、当該技術分野において既知及び/または本明細書に記載される様々な実験手順が基礎となる物理原理である。ニューロメラニン感受性MRIまたはニューロメラニンMRIという用語は、脳内のニューロメラニンの研究におけるMRIの使用を指す。本明細書において、一般用語、磁気共鳴画像、磁気共鳴イメージングまたはMRIは、ニューロメラニン感受性変形例を包含する。
【0079】
本明細書で使用される場合、「NM-MRI」という用語及び同様の名称は、MRIスキャン及び対応するボクセルごとの分析を各々独立して、別個に指すとともに集合的にも指す。
【0080】
本明細書で使用される用語「T1」及び「T2」は、当該技術分野において周知の従来の意味を指す(すなわち、それぞれ「スピン格子緩和時間」及び「スピン-スピン緩和時間」)。
【0081】
MRI画像の文脈における用語「T1加重」は、適切に短縮されたTR及びTEを有する、パルススピンエコーまたは反転回復シーケンスを用いて作成された画像を指し、当該技術分野において周知であるように、異なるT1値を有する組織間のコントラストを示すことができる。本文脈における「TR」という用語は、励起パルス間の繰り返し時間を指す。「励起パルス」という用語は、90度の無線周波数(RF)励起パルスを指すと理解される。「TE」という用語は、励起パルスとMR信号サンプリングとの間のエコー時間を指す。
【0082】
「対象」という用語は、マウス、ラット、ウマ、ウシ、ヒツジ、イヌ、ネコ、またはヒトなどの哺乳類対象であり得る。本明細書に記載の方法のいくつかの実施形態では、対象はマウスであり、他の実施形態では対象はヒトである。この文脈における「患者」という用語は、ヒト対象を指す。
【0083】
本明細書で使用される場合、「軽減する」という用語は、障害の徴候または症状の重症度が減少するプロセスを説明することを意味する。重要なことに、徴候または症状は、排除することなく軽減することができる。好ましい実施形態では、本明細書に開示される治療方法の使用は、徴候または症状の排除をもたらすが、排除は必要とされない。本開示によって指導される有効投与量は、徴候または症状の重症度を減少させることが期待される。
【0084】
投与量及び投与は、十分なレベルの活性剤(複数可)を提供するか、または所望の効果を維持するように調整される。考慮され得る因子としては、疾患状態の重症度、対象の全般的な健康状態、対象の年齢、体重及び性別、食事、投与の時間及び頻度、薬物相互作用(複数可)、反応感受性、ならびに療法に対する耐性/反応が挙げられる。薬剤の有効量は、客観的に識別可能な改善を提供するものである。
【0085】
「神経学的」状態という用語は、「神経障害」及び「神経学的疾患」と互換的に使用され、当該技術分野で周知の状態/障害を包含することが意図されており、そのうちの少なくともいくつかは本明細書に列挙されている。
【0086】
本明細書で使用される場合、「安定」は、再現可能な測定値を指す。一実施形態では、「安定したニューロメラニンレベル」は、ニューロメラニンレベルが比較的一定のままである連続スキャンを指す。いくつかの文脈では、「安定したニューロメラニンレベル」は、1時間以上、1日以上、1週間以上、または1つ以上の治療サイクルの間維持される。
【0087】
疾患の文脈における「治療する」、「治療」などの用語は、治療される疾患の発症を改善、抑制、根絶、及び/または遅延させることを指す。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法は、治療を必要とする対象に対して実施される。本明細書で使用される「治療を必要とする」などの用語は、医療または獣医学の当業者によって、疾患につながる可能性が高く、かつ/または実際に疾患を有すると理解される、疾患を発症するリスクがある対象、状態を有する対象を指す。アルツハイマー病の治療には、現在承認されている治療法及び治験中治療法が含まれる。従来のMRIには、臨床的転帰を予測するために必要な空間的及び定量的データが不足している。しかしながら、本明細書で考察される方法は、脳内のニューロメラニンの分散またはニューロメラニン含有ニューロンの喪失を考慮して、アルツハイマー病における臨床進行、重症度、及び反応を予測することができる脳内のニューロメラニンのレベルを検出する。
【0088】
本開示のNM-MRIは、アルツハイマー病治療の有効性を監視することができる。本開示のNM-MRIは、治験中治療の有効性を判定することができる。本開示の一実施形態に従って監視され得るアルツハイマー病治療の非網羅的なリストは、以下のうちの1つ以上を含む。
【0089】
アルツハイマー病の治療には、疾患修飾療法が含まれる。これらの療法は、アルツハイマー病(PD)の全体的な進行を予防、遅延、または停止することを目的としている。それらの療法は、疾患において役割を果たすと考えられる異なるタンパク質及び経路を標的とする。
【0090】
いくつかの実施形態では、NM-MRIは、アルツハイマー病の治療のための用量滴定のための方法を提供する一方で、現在承認されている治療薬または治験中治療薬からの有害作用または副作用を回避する。具体的には、本明細書に記載のボクセルごとのアプローチを使用してNM信号を監視しながら治療を実施して投与計画を導くと、有効性を増加させることが可能である。
【0091】
加えて、NM-MRIによって導かれる特定の可変投与計画に従って治療薬を投与すると、投与に関連し得る副作用を減少させることが可能である。例えば、本開示のNM-MRIボクセル分析によって導かれる特定の投与計画に従って治療を実施すると、治療関連の副作用を有意に減少させるか、または場合によっては完全に排除することさえできる。
【0092】
一実施形態では、関心領域は、アルツハイマー病症状関連ボクセルである。用量変動は、患者のコンプライアンスを増加させ、治療を改善し、不要な作用及び/または有害作用を減少させる。ある特定の実施形態では、本開示の治療方法は、治療薬の投与自体と比較して改善された全体的な療法を提供する。
【0093】
ある特定の実施形態では、本開示の誘導介入を使用する際に、既存の治療薬の用量を減少させるかまたは投与頻度を減らすことができ、それによって患者のコンプライアンスを増加させ、療法を改善し、不要な作用または有害作用を減少させる。一実施形態では、本開示のNM-MRIによる治療を監視することにより、患者は、より長い時間枠の治療からの利益を経験することができる。
【0094】
ニューロメラニン感受性MRIデータは、アルツハイマー病、またはアルツハイマー病を発症するリスク、重症度、疾患進行、治療反応、及び/もしくは臨床転帰のバイオマーカーとして使用され得る。ニューロメラニン感受性MRI法は、アルツハイマー病、重症度、またはその発症リスクを追跡する客観的なバイオマーカーの必要性を満たす。ニューロメラニン感受性MRIは、侵襲的/放射性イメージング測定(例えば、PET)のための安全な代替方法として使用することができる。ニューロメラニン感受性MRIは、進行の監視に使用することもできるが、これは、放射線への繰り返し曝露のリスクを考慮して、現在は行うことができない。ニューロメラニン感受性MRIは、非侵襲的で、より安価で、より安全で、臨床現場における取得がより容易である。ニューロメラニン感受性MRIは解剖学的解像度を大幅に(5~10倍)増加させており、これによって、関連する脳構造内の解剖学的詳細を解像することができる。
【0095】
ある特定の実施形態では、ニューロメラニン感受性磁気共鳴画像は、周期的に、例えば、1、2、3、4、5、6、もしくは7日ごと、1、2、3、もしくは4週間ごと、
1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11もしくは12ヶ月ごと、または1、2、3、4もしくは5年ごとに取得される。ある特定の実施形態では、第1の磁気共鳴画像は、症状の出現の前に取得される。ある特定の実施形態では、第1の磁気共鳴画像は、アルツハイマー病に関連する症状の前に取得される。第2の磁気共鳴画像は、症状の出現の前または後のいずれかに取得され得る。他の実施形態では、第2の磁気共鳴画像は、第1の磁気共鳴画像の1年後に取得され得る。
【0096】
いくつかの実施形態では、ニューロメラニン感受性磁気共鳴イメージング(「NM-MRI」)技術は、アルツハイマー病を非侵襲的に診断し、アルツハイマー病の影響を測定し、かつ/またはアルツハイマー病の予後を提供する上で有効である。
【0097】
いくつかの実施形態では、NM-MRI技術は、症状前のアルツハイマー病を診断するためのツールとして使用される。いくつかの実施形態では、NM-MRI技術は、アルツハイマー病を、限定されないが、パーキンソン病及び/またはレビー小体を伴う認知症を含む他の神経学的状態と区別するのに有効である。他の実施形態では、NM-MRI技術は、治療の経過の選択及び/または監視に有効であり、任意選択的に、かかる治療は、アルツハイマー病の治療に有効である。
【0098】
いくつかの実施形態では、NM-MRI技術は、アルツハイマー病の進行を監視するためのツールとして使用される。いくつかの実施形態では、NM-MRI技術は、アルツハイマー病の進行の縦断的評価に有効である。
【0099】
いくつかの実施形態では、本技術は、ニューロメラニンを直接または間接的に測定する。他の実施形態では、本技術は、ドーパミン機能を直接的または間接的に測定する。いくつかの実施形態では、ニューロメラニン感受性MRI(NM-MRI)信号とアルツハイマー病の重症度との間に関連がある。
【0100】
いくつかの実施形態では、NM-MRI技術は、脳組織の全ての切片にわたるニューロメラニンの濃度を判定することができる。他の実施形態では、NM-MRI技術は、ニューロメラニンの領域濃度を判定することができる。他の実施形態では、NM-MRI技術は、ニューロメラニンの領域レベルを判定することができる。他の実施形態では、NM-MRI技術は、ニューロメラニンの領域信号強度を判定することができる。
【0101】
他の実施形態では、NM-MRI技術は、青斑核(LC)小領域内のニューロメラニン濃度を判定する。更なる実施形態では、NM-MRI技術は、背側線条体内でのドーパミン放出、及び直接的または間接的のいずれかでの青斑核内での静止血流を判定する。
【0102】
いくつかの実施形態では、NM-MRI信号とアルツハイマー病の重症度とは、直接的に相関している。いくつかの実施形態では、NM-MRI信号とアルツハイマー病の重症度とは逆相関である。他の実施形態では、NM-MRIは、アルツハイマー病患者の黒質線条体経路においてより低い信号を呈する。いくつかの実施形態では、NM-MRIは、ドーパミン機能障害を捕捉する。更に他の実施形態では、NM-MRIは、アルツハイマー病のバイオマーカーとして使用することができる。更なる実施形態では、NM-MRIを使用して、アルツハイマー病の重症度を判定することができる。更なる実施形態では、NM-MRIは、アルツハイマー病を診断し、かつ/または予後を提供するために使用することができる。
【0103】
いくつかの実施形態では、分析は、以前のNM-MRIと比較して行われる。他の実施形態では、分析は、基準値及び/または範囲と比較して行われる。いくつかの実施形態では、基準値及び/または範囲は、健常な人からのニューロメラニンの編集データを使用して生成される。いくつかの実施形態では、基準値及び/または範囲は、アルツハイマー病を有する人からのニューロメラニンの編集データを使用して生成される。いくつかの実施形態では、基準値及び/または範囲は、アルツハイマー病を有する人及びアルツハイマー病を有しない人からのニューロメラニンの編集データを使用して生成される。
【0104】
いくつかの実施形態では、NM-MRI信号は、黒質または青斑核から取得される。いくつかの実施形態では、NM-MRI信号は、SN及び青斑核の両方から取得される。
【0105】
本開示のある特定の実施形態は、診断精度を向上させ、アルツハイマー病の認識を症状前病期に進め、治療のためのモニターとして機能するための客観的試験を提供することができる。概して、本開示の実施形態は、保存されたテンプレートを使用してニューロメラニンを診断し、いくつかの異なる状態または疾患を区別し、ある期間にわたって対象を監視するために使用することができる。
【0106】
一実施形態では、本開示は、第2のイメージング方法とともに使用され、第2のイメージング方法は、陽電子放射断層撮影(PET)である。一実施形態では、本開示は、第2のイメージング方法とともに使用され、第2のイメージング方法は、構造的MRIである。一実施形態では、本開示は、第2のイメージング方法とともに使用され、第2のイメージング方法は、機能的MRI(fMRI)である。一実施形態では、本開示は、第2のイメージング方法とともに使用され、第2のイメージング方法は、血中酸素レベル依存性(BOLD)fMRIである。一実施形態では、本開示は、第2のイメージング方法とともに使用され、第2のイメージング方法は、鉄感受性MRIである。一実施形態では、本開示は、第2のイメージング方法とともに使用され、第2のイメージング方法は、定量的磁化率マッピング(QSM)である。一実施形態では、本開示は、第2のイメージング方法とともに使用され、第2のイメージング方法は、拡散テンソルイメージングDTIである。一実施形態では、本開示は、第2のイメージング方法とともに使用され、第2のイメージング方法は、単一光子放射コンピュータ断層撮影(SPECT)である。一実施形態では、本開示は、第2のイメージング方法とともに使用され、第2のイメージング方法は、DaTscanである。一実施形態では、本開示は、第2のイメージング方法とともに使用され、第2のイメージング方法は、DaTquantである。
【0107】
いくつかの実施形態では、ニューロメラニン濃度及び/またはレベルは、対照に対して測定され、ニューロメラニン濃度及び/またはレベルが、対照よりも約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%少ない場合、アルツハイマー病の診断がサポートされる。いくつかの実施形態では、ニューロメラニンの変化は、年間の正味濃度またはレベル変化として評価される。いくつかの実施形態では、ニューロメラニンの変化は、年間のパーセンテージ変化として評価される。いくつかの実施形態では、ニューロメラニン濃度及び/またはレベルは、対照に対して測定され、ニューロメラニン濃度及び/またはレベルは、対照よりも約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約6%、約7%、約8%、約9%、約10%、約11%、約12%、約13%、約14%、または約15%少ない。いくつかの実施形態では、ニューロメラニン濃度及び/またはレベルは、対照に対して測定され、ニューロメラニン濃度及び/またはレベルは、対照と比較して、年間約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約6%、約7%、約8%、約9%、約10%、約11%、約12%、約13%、約14%、または約15%低下する。
【0108】
一実施形態では、対照は、患者の以前のNM-MRIスキャンである。一実施形態では、ニューロメラニン濃度及び/またはレベルは、対照に対して測定され、ニューロメラニン濃度及び/またはレベルは、毎年、2年ごと、3年ごと、4年ごと、5年ごと、6年ごと、7年ごと、8年ごと、9年ごと、10年ごと、20年ごとに測定される。一実施形態では、第2の時点は、第1の時期から約3ヶ月後、約6ヶ月後、約9ヶ月後、約12ヶ月後、約2年後、約3年後、約4年後、約5年後、約6年後、約7年後、約8年後、約9年後、約10年後、約15年後、約20年後、約25年後、または約30年後である。ある特定の実施形態では、ニューロメラニン濃度及び/またはレベルが対照未満であると測定される場合、患者はアルツハイマー病と診断される。ある特定の実施形態では、ニューロメラニン濃度及び/またはレベルが、年間当たりまたは正味の全体的な変化のいずれかで対照よりも少ない所定量であると測定される場合、患者はアルツハイマー病と診断される。更なる実施形態では、測定されたニューロメラニンは、対照よりも約20%超少ない。更なる実施形態では、測定されたニューロメラニンは、対照よりも約25%超少ない。更なる実施形態では、測定されたニューロメラニンは、対照よりも約30%超少ない。更なる実施形態では、測定されたニューロメラニンは、対照よりも約35%超少ない。更なる実施形態では、測定されたニューロメラニンは、対照よりも約45%超少ない。更なる実施形態では、測定されたニューロメラニンは、対照よりも約40%超少ない。更なる実施形態では、測定されたニューロメラニンは、対照よりも約50%超少ない。ある特定の実施形態では、対照は、任意選択的に、同じ患者の以前のニューロメラニンMRIスキャンである。他の実施形態では、対照は、疾患を有する少なくとも1人の他の人からのニューロメラニンMRIスキャンのデータベースから任意選択的に判定された参照番号を含む。
【0109】
一実施形態では、第2の時点におけるニューロメラニンのレベル、信号、及び/または濃度の変化が、第1の時点におけるニューロメラニンのレベル、信号、及び/または濃度よりも約5%超少ないまたは約10%超少なく、第1の時点及び第2の時点が、約1年、約2年、約3年、約4年、約5年、約6年、約7年、約8年、約9年、または約10年離れている場合、アルツハイマー病の診断が提供される。
【0110】
一実施形態では、第2の時点におけるニューロメラニンのレベル、信号、及び/または濃度の変化が、第1の時点におけるニューロメラニンの信号、及び/または濃度の約35%超少ない、約40%超少ない、約45%超少ない、または約50%超少なく、第1の時点及び第2の時点が、約1年、約2年、約3年、約4年、約5年、約6年、約7年、約8年、約9年、または約10年離れている場合、アルツハイマー病の診断が提供される。
【0111】
一実施形態では、対照と比較した所与の患者内のニューロメラニン体積、信号、または濃度の低下の程度は、アルツハイマー病の進行及び/または重症度に比例する。
【0112】
一実施形態では、対照と比較した所与の患者内のニューロメラニン体積、信号、または濃度の増加の程度は、アルツハイマー病の進行及び/または治療の改善及び/または有効性に比例する。
【0113】
一実施形態では、標準対照は、対象の集団内にほぼ同じレベルで存在するニューロメラニンのレベルであるか、または標準対照は、対象の集団内に存在するニューロメラニンのほぼ平均レベルである。
【0114】
かかる用途のためのNM-MRIの使用の拡張を例示するために、一連の検証研究が示される。第1の手順は、NM-MRIが、NM含有ニューロンの喪失だけでなく、ドーパミン機能(例えば、合成及び貯蔵容量を含む)の個体間及び領域間の差異に依存すると推定されるNMの組織濃度の領域変動を検出するのに十分な感度を有し得ることを示すために提供される。これを試験するために、MRI測定値を、アルツハイマー病を伴わない死後組織におけるNM濃度の神経化学的測定値と比較した。ドーパミン機能のばらつきは全てのSN層で均一に生じない場合があるため、次の手順では、標準的な分子イメージング手順と比較して高い解剖学的解像度を有するNM-MRIが十分な解剖学的特異性を有することを示した。NM-MRIは、アルツハイマー病におけるSN内の細胞損失の既知のトポグラフィカルパターンを捕捉するための新規のボクセルごとのアプローチの能力を試験するために使用される。次の手順は、セグメント化されたアプローチを使用して、NM-MRIとアルツハイマー病との関係についての直接的な証拠を提供することである。
【0115】
参照によりその全体が本明細書に組み込まれるWO2020/077098で考察されるように、NM-MRI信号は、ストライタム、すなわち、SNニューロンの主要投射部位、へのドーパミン放出の十分に検証された陽電子放射断層撮影(「PET」)尺度と相関するとともに、SNにおける領域血流の機能的MRI尺度、すなわち、SNニューロンにおける活動の間接的な尺度と相関する。本開示の方法によって測定され、L-ドーパ療法によるUPDRSの改善をもたらす、ニューロメラニン増加のレベル(SNc濃度、SNc内のNMの体積)。
【0116】
一実施形態では、任意のアルツハイマー病の代表的な治療法が使用される。一実施形態では、治療は、遺伝子療法である。一実施形態では、ニューロメラニン濃度が安定、不変または一定のままである場合、治療の用量は一定のままである。一実施形態では、ニューロメラニン濃度が安定したままである場合、治療の用量が増加する。一実施形態では、ニューロメラニン濃度が約1%超、約2%超、約3%超、約5%超、約10%超、約15%超、約20%超、または約25%超低下した場合、アルツハイマー病治療用量が増加する。
【0117】
一実施形態では、ニューロメラニンが監視される。一実施形態では、他の患者からの対照のセットでは、年齢を一致させる。一実施形態では、他の患者からの対照のセットでは、性別を一致させる。
【0118】
いくつかの実施形態では、ニューロメラニンは、少なくとも隔日、毎週、2週間ごと、毎月、隔月ごと、3ヶ月ごと、6ヶ月ごと、毎年、2年ごと、3年ごと、4年ごと、5年ごと、6年ごと、7年ごと、8年ごと、9年ごと、10年ごと、15年ごと、20年ごと、25年ごと、30年ごとに測定される。ある特定の実施形態では、第2の治療薬用量は、毎週または2週間ごとに投与される。ある特定の実施形態では、治療薬は、1時間ごと、2時間ごと、3時間ごと、4時間ごと、5時間ごと、6時間ごと、8時間ごと、10時間ごと、12時間ごと、14時間ごと、16時間ごと、18時間ごと、20時間ごと、24時間ごと、1日ごと、2日ごと、3日ごと、4日ごと、5日ごと、6日ごと、7日ごと、または少なくとも14日ごとに投与される。
【0119】
一実施形態では、本明細書で考察されるような治療期間(初期またはその後のいずれか)または監視期間は、毎日、隔日、28日ごと、週ごと、2週間ごと、3週間ごと、4週間ごと、5週間ごと、6週間ごと、7週間ごと、8週間ごと、9週間ごと、10週間ごと、11週間ごと、12週間ごと、13週間ごと、14週間ごと、15週間ごと、16週間ごと、17週間ごと、18週間ごと、19週間ごと、または20週間ごと、約1ヶ月ごと、約隔月ごと、約3ヶ月ごと、約6ヶ月ごと、または約1年ごとである。
【0120】
いくつかの実施形態では、対照と比較した所与の患者におけるニューロメラニン体積、信号、または濃度の低下の程度は、アルツハイマー病(AD)及び神経精神症状(NPS)の進行及び/または重症度に比例する。
【0121】
いくつかの実施形態では、対照と比較した所与の患者におけるニューロメラニン体積、信号、または濃度の増加の程度は、AD及び/またはNPSの進行及び/または治療の改善及び/または有効性に比例する。
【0122】
いくつかの実施形態では、標準対照は、対象の集団内にほぼ同じレベルで存在するニューロメラニンのレベルであるか、または標準対照は、対象の集団内に存在するニューロメラニンのほぼ平均レベルである。
【0123】
本開示は、臨床医が投与したAD及び/またはNPSスケール(CAPS)によって測定されたAD及び/またはNPS症状と特定のLCセグメントを相関させ、セグメント化ベースの分析方法を適用すると、CAPS上の特定の症状と相関する、各患者に固有であるかまたは同じ疾患の患者集団にわたって一貫する特定のLCセグメント(ADセグメント及び/またはNPSセグメントと呼ばれる)が見つかることを実証し、療法開始後のニューロメラニン尺度の変化とCAPSスコアの改善との間の相関関係を判定し、対照群の正常範囲からの、AD及び/またはNPSを有する患者におけるニューロメラニン尺度(例えば、青斑核(LC)内の総NM濃度(マイクログラム湿潤組織当たりのマイクログラムニューロメラニン)、小領域LC内のNM濃度、全LC内のニューロメラニンの体積、LCの小領域の体積)の差を判定し、AD及び/またはNPSの診断を正当化する対照群からのニューロメラニンレベルの差を判定し、療法開始後のニューロメラニン尺度の変化とCAPSの改善とを相関させ、CAPSの改善をもたらすニューロメラニン増加レベルを判定して、NMレベルを使用して治療に対する反応を監視できることを検証し、AD及び/またはNPSセグメントを、CAPSスコアを介して測定されたAD及び/またはNPS症状と相関させ、セグメントベースの分析方法を適用して、CAPS上の特定の症状と相関する、各患者に固有であるかまたは同じ疾患を有する患者集団全体にわたって一貫する特定のセグメント(AD及び/またはNPSセグメントと称される)を見つけ、NM-MRIスキャンと、tau-PETまたはp-tau181またはptau217血液検査及びCAPSスコアの両方との間の相関。
【0124】
一実施形態では、関心領域が、判定され、その領域をカバーするセグメントが測定されて、その領域内のニューロメラニンの体積が判定される。
【0125】
一実施形態では、関心領域が、細分化され、小領域をカバーするセグメントが測定されて、その領域内のニューロメラニンの体積が判定される。
【0126】
一実施形態では、これらのセグメントは、参照データセットと比較され、関心領域内または関心領域内の小領域内のニューロメラニンの濃度を計算するために使用される。
【0127】
一実施形態では、これらのセグメントは、参照データセットと比較され、関心領域内または関心領域内の小領域内のニューロメラニンの合計量を計算するために使用される。
【0128】
一実施形態では、関心領域において識別されるセグメントの全てと、特定の症状もしくは症状重症度のスケール、または疾患状態、または人口統計学的情報、または他の患者もしくは疾患特異的情報との間で複数の比較が行われ、関連性が、個々のセグメントのサブ群と、疾患監視スケール上の特定の症状または症状重症度のレベルとの間に見出される。これらは症状特異的セグメントと呼ばれる。
【0129】
一実施形態では、関心領域において識別されたセグメントの全てと、特定の疾患診断もしくは人口統計情報、または他の患者もしくは疾患特異的情報との間で、複数の比較が行われ、個々のセグメントのサブ群と、特定の疾患を有すると診断される状態との間で、関連性が見出される。これらは、疾患特異的セグメントと呼ばれ、一実施例では、AD及び/またはNPS疾患特異的セグメントを含み得る。
【0130】
一実施形態では、これらの症状特異的または疾患特異的セグメントは、同一の疾患の文脈において同一の症状を有する複数の患者にわたって類似性を有し、同一の疾患を有する複数の患者(例えば、両方とも過覚醒、睡眠障害、または悪夢の症状を有するAD及び/またはNPS疾患を有する2人の患者)間の比較を行うために使用することができる。この場合、患者間の類似性が比較され得、症状特異的セグメントは、症状特異的な診断バイオマーカーとして機能し得、疾患特異的セグメントは、特定の疾患の診断バイオマーカーとして機能し得る。
【0131】
一実施形態では、これらの症状特異的または疾患特異的セグメントは、異なる疾患の文脈において生じる同じ症状を有する患者間で差を有する。この場合、症状特異的セグメント間の差は、同じ症状を共有する2つの異なる障害を区別するために使用することができる。
【0132】
一実施形態では、症状特異的セグメントもしくは疾患特異的セグメント、または特定の領域もしくは小領域のニューロメラニン濃度もしくはニューロメラニン体積のいずれかを、診断情報を判定し、特定の疾患(この場合、AD及び/またはNPS疾患、または急性ストレス障害ASDなどの関連するストレス障害)の存在を診断するための非侵襲的バイオマーカーとして使用することができる。
【0133】
一実施形態では、このことは、症状特異的セグメントもしくは疾患特異的セグメント、または特定の領域もしくは小領域のニューロメラニン濃度もしくはニューロメラニン体積のいずれかの、特定の患者におけるベースライン測定値を、同じ患者におけるこれらの値の将来の測定値と比較することによって達成することができる。
【0134】
一実施形態では、このことは、症状特異的セグメントもしくは疾患特異的セグメント、または特定の領域もしくは小領域のニューロメラニン濃度もしくはニューロメラニン体積のいずれかの、特定の患者における測定値を、標準対照と比較することによって達成することができる。
【0135】
一実施形態では、症状特異的セグメントもしくは疾患特異的セグメント、または特定の領域もしくは小領域のニューロメラニン濃度もしくはニューロメラニン体積のいずれかを、非侵襲的バイオマーカーとして使用して、診断情報を判定し、関連する障害の存在を除外するか、またはAD及び/もしくはNPS及びASDなどの関連する障害を区別することができる。
【0136】
一実施形態では、このことは、症状特異的セグメントもしくは疾患特異的セグメント、または特定の領域もしくは小領域のニューロメラニン濃度もしくはニューロメラニン体積のいずれかの、特定の患者におけるベースライン測定値を、同じ患者におけるこれらの値の将来の測定値と比較することによって達成することができる。
【0137】
一実施形態では、このことは、症状特異的セグメントもしくは疾患特異的セグメント、または特定の領域もしくは小領域のニューロメラニン濃度もしくはニューロメラニン体積のいずれかの、特定の患者における測定値を、標準対照と比較することによって達成することができる。
【0138】
一実施形態では、症状特異的セグメントもしくは疾患特異的セグメント、または特定の領域もしくは小領域のニューロメラニン濃度もしくはニューロメラニン体積のいずれかを、非侵襲的バイオマーカーとして使用して、特定の疾患もしくは症状を病気分類もしくはグレード分けし、患者におけるこの情報を区別または分類することができる。例えば、これは、特定の患者におけるAD及び/またはNPSまたはストレス障害の段階を判定するために使用され得る。
【0139】
一実施形態では、症状特異的セグメントもしくは疾患特異的セグメント、または特定の領域もしくは小領域のニューロメラニン濃度もしくはニューロメラニン体積のいずれかを、非侵襲的バイオマーカーとして使用して、患者における症状の現在の重症度を判定することができる。
【0140】
一実施形態では、症状特異的セグメントもしくは疾患特異的セグメント、または特定の領域もしくは小領域のニューロメラニン濃度もしくはニューロメラニン体積のいずれかを、非侵襲的バイオマーカーとして使用して、患者がまだ発症していない新しい症状の発症を予測することができる。
【0141】
一実施形態では、症状特異的セグメントもしくは疾患特異的セグメント、または特定の領域もしくは小領域のニューロメラニン濃度もしくはニューロメラニン体積のいずれかを、非侵襲的バイオマーカーとして使用して、現在の症状の重症度を予測し、疾患経過の将来の発症を予測し、または特定の症状もしくは疾患の反応のいずれかの反応を治療に対する全体的な反応として予測し、非侵襲的予後バイオマーカーとして機能することができる。
【0142】
一実施形態では、症状特異的セグメントもしくは疾患特異的セグメント、または特定の領域もしくは小領域のニューロメラニン濃度もしくはニューロメラニン体積のいずれかを、非侵襲的バイオマーカーとして使用して、特定の症状または疾患状態全体についての治療に対する反応を監視することができる。
【0143】
一実施形態では、症状特異的セグメントもしくは疾患特異的セグメント、または特定の領域もしくは小領域のニューロメラニン濃度もしくはニューロメラニン体積のいずれかを、非侵襲的バイオマーカーとして使用して、特定の症状または疾患状態全体のいずれかに対する正しい治療の選択を導くことができる。
【0144】
一実施形態では、症状特異的セグメントもしくは疾患特異的セグメント、または特定の領域もしくは小領域のニューロメラニン濃度もしくはニューロメラニン体積のいずれかを、非侵襲的バイオマーカーとして使用して、治療の状態を判定し、治療に対する適切な反応が、特定の症状または疾患状態全体のいずれかに対して得られたかどうかを判定することができる。
【0145】
一実施形態では、症状特異的セグメントもしくは疾患特異的セグメント、または特定の領域もしくは小領域のニューロメラニン濃度もしくはニューロメラニン体積いずれかを、非侵襲的バイオマーカーとして使用して、特定の症状または疾患状態全体のいずれかについての治療に対する将来の反応を予測することができる。
【0146】
任意の実施形態において、以下の間で比較が行われ得る。
【0147】
同じ患者におけるこれらの値の将来の測定値に対する、症状特異的セグメントもしくは疾患特異的セグメント、または特定の領域もしくは小領域のニューロメラニン濃度もしくはニューロメラニン体積のいずれかの、特定の患者におけるベースライン測定値。
【0148】
標準対照に対する、症状特異的セグメントもしくは疾患特異的セグメント、または特定の領域もしくは小領域のニューロメラニン濃度もしくはニューロメラニン体積のいずれかの、特定の患者における測定値。
【0149】
更なるPTSD及びMDD実施形態
いくつかの実施形態では、対照と比較した所与の患者におけるニューロメラニン体積、信号、または濃度の低下の程度は、PTSDの進行及び/または重症度に比例する。
【0150】
いくつかの実施形態では、対照と比較した所与の患者におけるニューロメラニン体積、信号、または濃度の増加の程度は、PTSD及び/またはMDDの進行及び/または治療の改善及び/または有効性に比例する。
【0151】
いくつかの実施形態では、標準対照は、対象の集団内にほぼ同じレベルで存在するニューロメラニンのレベルであるか、または標準対照は、対象の集団内に存在するニューロメラニンのほぼ平均レベルである。
【0152】
本開示は、DSM-5診断基準またはMINI基準を使用してPTSD臨床診断尺度(CAPS)及び/またはMDDによって測定されたPTSD症状を特定のLCセグメントと相関させ、セグメント化ベースの分析方法を適用すると、CAPS上の特定の症状と相関する、各患者に固有であるかまたは同じ疾患の患者集団にわたって一貫する特定のLCセグメント(MDDセグメント及び/またはPTSDセグメントと呼ばれる)が見つかることを実証し、療法開始後のニューロメラニン尺度の変化とCAPSスコアの改善との間の相関関係を判定し、対照群の正常範囲からの、PTSD及び/またはMDDを有する患者におけるニューロメラニン尺度(例えば、青斑核(LC)内の総NM濃度(マイクログラム湿潤組織当たりのマイクログラムニューロメラニン)、小領域LC内のNM濃度、全LC内のニューロメラニンの体積、LCの小領域の体積)の差を判定し、PTSDの診断を正当化する対照群からのニューロメラニンレベルの差を判定し、療法開始後のニューロメラニン尺度の変化とCAPSスコアの改善とを相関させ、CAPSの改善をもたらすニューロメラニン増加レベルを判定して、NMレベルを使用して治療に対する反応を監視できることを検証し、PTSD及び/またはMDDセグメントを、CAPSスコアを介して測定されたPTSD症状及び/またはBDI-II総スコアまたはHAMDもしくはMADRSスケールと相関させ、セグメントベースの分析方法を適用して、CAPS上の特定の症状と相関する、各患者に固有であるかまたは同じ疾患を有する患者集団全体にわたって一貫する特定のセグメント(PTSD及び/またはMDDセグメントと称される)を見つける。
【0153】
一実施形態では、関心領域が、判定され、その領域をカバーするセグメントが測定されて、その領域内のニューロメラニンの体積が判定される。
【0154】
一実施形態では、関心領域が、細分化され、小領域をカバーするセグメントが測定されて、その領域内のニューロメラニンの体積が判定される。
【0155】
一実施形態では、これらのセグメントは、参照データセットと比較され、関心領域内または関心領域内の小領域内のニューロメラニンの濃度を計算するために使用される。
【0156】
一実施形態では、これらのセグメントは、参照データセットと比較され、関心領域内または関心領域内の小領域内のニューロメラニンの合計量を計算するために使用される。
【0157】
一実施形態では、関心領域で同定されたセグメントの全てと、特定の症状もしくはCAPSを含む症状重症度のスケール、またはPTSD及び/もしくはMDDを含む疾患状態、または人口統計学的情報、または他の患者もしくは疾患特異的情報との間で複数の比較が行われ、個々のセグメントのサブ群と、疾患監視スケール上の特定の症状または症状重症度のレベルとの間で、関連性が見出される。これらは症状特異的セグメントと呼ばれる。
【0158】
一実施形態では、関心領域において識別されたセグメントの全てと、特定の疾患診断もしくは人口統計情報、または他の患者もしくは疾患特異的情報との間で、複数の比較が行われ、個々のセグメントのサブ群と、特定の疾患を有すると診断される状態との間で、関連性が見出される。これらは疾患特異的セグメントと呼ばれ、一実施例では、PTSD-疾患特異的セグメントまたはMDD-疾患特異的セグメントを含み得る。
【0159】
一実施形態では、これらの症状特異的または疾患特異的セグメントは、同一の疾患の文脈において同一の症状を有する複数の患者にわたって類似性を有し、同一の疾患を有する複数の患者間で比較を行うために使用することができる(例えば、両方とも過覚醒、睡眠障害、または悪夢の症状を有する2人のPTSD患者、及び/または無快感症の症状を有する2人のMDD患者)。この場合、患者間の類似性を比較し得、症状特異的セグメントは、症状特異的な診断バイオマーカーとして機能し得、疾患特異的セグメントは、特定の疾患の診断バイオマーカーとして機能し得る。
【0160】
一実施形態では、これらの症状特異的または疾患特異的セグメントは、異なる疾患の文脈において生じる同じ症状を有する患者間で差を有する。この場合、症状特異的セグメント間の差は、同じ症状を共有する2つの異なる障害を区別するために使用することができる。
【0161】
一実施形態では、症状特異的セグメントもしくは疾患特異的セグメント、または特定の領域もしくは小領域のニューロメラニン濃度、またはニューロメラニン体積のいずれかを、非侵襲的バイオマーカーとして使用して、診断情報を判定し、特定の疾患(この場合、PTSDまたは急性ストレス障害ASD、またはパニック障害及び/またはMDDなどの関連するストレス障害、またはジストヒミア、サイクロチミア、双極性障害I型及びII型、調整障害、または死別を含む関連する抑うつ障害)の存在を診断することができる。
【0162】
一実施形態では、このことは、症状特異的セグメントもしくは疾患特異的セグメント、または特定の領域もしくは小領域のニューロメラニン濃度もしくはニューロメラニン体積のいずれかの、特定の患者におけるベースライン測定値を、同じ患者におけるこれらの値の将来の測定値と比較することによって達成することができる。
【0163】
一実施形態では、このことは、症状特異的セグメントもしくは疾患特異的セグメント、または特定の領域もしくは小領域のニューロメラニン濃度もしくはニューロメラニン体積のいずれかの、特定の患者における測定値を、標準対照と比較することによって達成することができる。
【0164】
一実施形態では、症状特異的セグメントもしくは疾患特異的セグメント、または特定の領域もしくは小領域のニューロメラニン濃度もしくはニューロメラニン体積のいずれかを、非侵襲的バイオマーカーとして使用して、診断情報を判定し、関連する障害の存在を除外し、または関連する障害(この場合、PTSDまたは急性ストレス障害ASD、またはパニック障害及び/もしくはMDDなどの関連するストレス障害、またはジストヒミア、サイクロチミア、双極性障害I型及びII型、調整障害、または死別を含む関連する抑うつ障害)を区別することができる。
【0165】
一実施形態では、このことは、症状特異的セグメントもしくは疾患特異的セグメント、または特定の領域もしくは小領域のニューロメラニン濃度もしくはニューロメラニン体積のいずれかの、特定の患者におけるベースライン測定値を、同じ患者におけるこれらの値の将来の測定値と比較することによって達成することができる。
【0166】
一実施形態では、このことは、症状特異的セグメントもしくは疾患特異的セグメント、または特定の領域もしくは小領域のニューロメラニン濃度もしくはニューロメラニン体積のいずれかの、特定の患者における測定値を、標準対照と比較することによって達成することができる。
【0167】
一実施形態では、症状特異的セグメントもしくは疾患特異的セグメント、または特定の領域もしくは小領域のニューロメラニン濃度もしくはニューロメラニン体積のいずれかを、非侵襲的バイオマーカーとして使用して、特定の疾患もしくは症状を病気分類もしくはグレード分けし、患者におけるこの情報を区別または分類することができる。例えば、これを使用して、特定の患者におけるPTSD、ASD、パニック障害、または関連するストレス障害の病期を判定することができる。
【0168】
一実施形態では、症状特異的セグメントもしくは疾患特異的セグメント、または特定の領域もしくは小領域のニューロメラニン濃度もしくはニューロメラニン体積のいずれかを、非侵襲的バイオマーカーとして使用して、過覚醒、睡眠障害、及び悪夢を含む患者における症状の現在の重症度を判定することができる。
【0169】
一実施形態では、症状特異的セグメントもしくは疾患特異的セグメント、または特定の領域もしくは小領域のニューロメラニン濃度もしくはニューロメラニン体積のいずれかを、非侵襲的バイオマーカーとして使用して、患者がまだ発症していない新しい症状の発症を予測することができる。
【0170】
一実施形態では、症状特異的セグメントもしくは疾患特異的セグメント、または特定の領域もしくは小領域のニューロメラニン濃度もしくはニューロメラニン体積のいずれかを、非侵襲的バイオマーカーとして使用して、現在の症状の重症度を予測し、疾患経過の将来の発症を予測し、または特定の症状もしくは疾患の反応のいずれかの反応を治療に対する全体的な反応として予測し、非侵襲的予後バイオマーカーとして機能することができる。これらの治療は、星状神経節ブロック、迷走神経刺激、ベンラファキシン、ベータ遮断薬、プラゾシン、ブレクスピプラゾール及びアリピプラゾール、イロペリドン、ならびに3,4-メチレンジオキシメタンフェタミン(MDMA)、選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)、SNRI、ケタミンを含むNMDAアンタゴニストを含み得る。
【0171】
一実施形態では、症状特異的セグメントもしくは疾患特異的セグメント、または特定の領域もしくは小領域のニューロメラニン濃度もしくはニューロメラニン体積のいずれかを、非侵襲的バイオマーカーとして使用して、特定の症状または疾患状態全体についての治療に対する反応を監視することができる。これらの治療は、星状神経節ブロック、迷走神経刺激、ベンラファキシン、ベータ遮断薬、プラゾシン、ブレクスピプラゾール及びアリピプラゾール、イロペリドン、ならびに3,4-メチレンジオキシメタンフェタミン(MDMA)、選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)、SNRI、ケタミンを含むNMDAアンタゴニストを含み得る。
【0172】
一実施形態では、症状特異的セグメントもしくは疾患特異的セグメント、または特定の領域もしくは小領域のニューロメラニン濃度もしくはニューロメラニン体積のいずれかを、非侵襲的バイオマーカーとして使用して、特定の症状または疾患状態全体のいずれかに対する正しい治療の選択を導くことができる。これらの治療は、星状神経節ブロック、迷走神経刺激、ベンラファキシン、ベータ遮断薬、プラゾシン、ブレクスピプラゾール及びアリピプラゾール、イロペリドン、ならびに3,4-メチレンジオキシメタンフェタミン(MDMA)、選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)、SNRI、ケタミンを含むNMDAアンタゴニストを含み得る。
【0173】
一実施形態では、症状特異的セグメントもしくは疾患特異的セグメントのいずれか、または特定の領域もしくは小領域のニューロメラニン濃度もしくはニューロメラニン体積のいずれかを、非侵襲的バイオマーカーとして使用して、治療の状態を判定し、治療に対する適切な反応が、特定の症状または疾患状態全体のいずれかに対して得られたかどうかを判定することができる。これらの治療は、星状神経節ブロック、迷走神経刺激、ベンラファキシン、ベータ遮断薬、プラゾシン、ブレクスピプラゾール及びアリピプラゾール、イロペリドン、ならびに3,4-メチレンジオキシメタンフェタミン(MDMA)、選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)、SNRI、ケタミンを含むNMDAアンタゴニストを含み得る。
【0174】
一実施形態では、症状特異的セグメントもしくは疾患特異的セグメントのいずれか、または特定の領域もしくは小領域のニューロメラニン濃度もしくはニューロメラニン体積を非侵襲的バイオマーカーとして使用して、特定の症状または疾患状態全体のいずれかについての治療に対する将来の反応を予測することができる。これらの治療は、星状神経節ブロック、迷走神経刺激、ベンラファキシン、ベータ遮断薬、プラゾシン、ブレクスピプラゾール及びアリピプラゾール、イロペリドン、ならびに3,4-メチレンジオキシメタンフェタミン(MDMA)、選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)、SNRI、ケタミンを含むNMDAアンタゴニストを含み得る。
【0175】
任意の実施形態において、以下の間で比較が行われ得る。
【0176】
同じ患者におけるこれらの値の将来の測定値に対する、症状特異的セグメントもしくは疾患特異的セグメント、または特定の領域もしくは小領域のニューロメラニン濃度もしくはニューロメラニン体積のいずれかの、特定の患者におけるベースライン測定値。
【0177】
標準対照に対する、症状特異的セグメントもしくは疾患特異的セグメント、または特定の領域もしくは小領域のニューロメラニン濃度もしくはニューロメラニン体積のいずれかの、特定の患者における測定値。
【0178】
症状特異的セグメントもしくは疾患特異的セグメント、または特定の領域もしくは小領域のニューロメラニン濃度もしくはニューロメラニン体積のいずれかの、特定の患者における測定値を、本発明のアルゴリズムにおいてPETイメージング、fMRI、及びBOLDを含む第2のイメージングテストからの情報と組み合わせて、より正確な診断を得ることができる。
【0179】
いくつかの実施形態では、SNc内のNMのレベルは、ボクセルベースのアルゴリズムによって測定され、LC内のNMのレベルは、セグメント化ベースのアルゴリズムを介して測定される。これらの2つの測定値を合わせると、いずれかの測定値を単独で使用するよりも正確な診断が可能になる。
【0180】
いくつかの実施形態では、SNc内のニューロメラニンの濃度、体積、信号、及び/またはレベルは、ボクセルベースのアルゴリズムによって測定される。
【0181】
いくつかの実施形態では、LC内のニューロメラニンの濃度、体積、信号、及び/またはレベルは、セグメント化ベースのアルゴリズムを介して測定される。
【0182】
いくつかの実施形態では、SNc内のニューロメラニンの濃度、体積、信号、及び/またはレベルは、ボクセルベースのアルゴリズムによって測定され、LC内のNMのレベルは、セグメント化ベースのアルゴリズムを介して測定される。
【0183】
いくつかの実施形態では、2つの測定値を組み合わせることで、いずれかの測定アルゴリズムを単独で使用するよりも正確な診断が可能になる。いくつかの実施形態では、2つの測定値を組み合わせることで、いずれかの測定アルゴリズムを単独で使用することと比較して、診断を区別することが可能になる。いくつかの実施形態では、2つの測定値を組み合わせることで、いずれかの測定アルゴリズムを単独で使用することと比較して、同様の診断を区別し、より有用な治療計画を選択することが可能になる。
【0184】
いくつかの実施形態では、所与の患者におけるSNc及びLC内のニューロメラニン体積、信号、または濃度の減少の程度の、対照と比較した絶対差は、パーキンソン病の進行及び/または重症度に比例する。
【0185】
いくつかの実施形態では、所与の患者のSNc及びLC内のニューロメラニンの体積、信号、または濃度の、対照と比較した増加の程度は、パーキンソン病の進行及び/または治療の改善及び/または有効性に比例する。
【0186】
いくつかの実施形態では、標準対照は、対象の集団内にほぼ同じレベルで存在するニューロメラニンのレベルであるか、または標準対照は、対象の集団内に存在するニューロメラニンのほぼ平均レベルである。
【0187】
いくつかの実施形態では、本開示は、パーキンソンのボクセルとUPDRSによって測定されたパーキンソンの症状とを相関させ、ボクセルベースの分析方法を適用すると、UPDRS上の特定の症状と相関する、各患者に固有の特定のボクセル(PDボクセルと呼ばれる)が見つかることを実証し、L-DOPA療法開始後のニューロメラニン尺度の変化とUPDRSスコアの改善との間の相関関係を判定し、対照群の正常範囲からの、PDを有する患者におけるニューロメラニン尺度(例えば、黒質緻密部(SNc)内の総NM濃度(マイクログラム湿潤組織当たりのマイクログラムニューロメラニン)、小領域SNc内のNM濃度、全SNc内のニューロメラニンの体積、SNcの小領域の体積)の差を判定し、PDの診断を正当化する対照群からのニューロメラニンレベルの差を判定し、L-DOPA療法開始後のニューロメラニン尺度の変化とUPDRSスコアの改善とを相関させ、UPDRSの改善をもたらすニューロメラニン増加レベルを判定して、NMレベルを使用して治療に対する反応を監視できることを検証し、パーキンソンのボクセルを、UPDRSスコアを介して測定されたパーキンソンの症状と相関させ、ボクセルベースの分析方法を適用して、UPDRS上の特定の症状と相関する、各患者に固有の特定のボクセル(PDボクセルと呼ばれる)を見つけ、NM-MRIスキャンとDaTscan及びUPDRSスコアの両方との相関。
【0188】
本明細書で考察されるボクセルでは、特定のボクセルの診断または予後値は、セグメント化ベースのアルゴリズムで得られたLC内のNMセグメントに関するデータと組み合わせたときに強化される。
【0189】
一実施形態では、関心領域が判定され、その領域をカバーするボクセルが測定されて、その領域内のニューロメラニンの体積が判定される。
【0190】
一実施形態では、関心領域が細分化され、小領域をカバーするボクセルが測定されて、その領域内のニューロメラニンの体積が判定される。
【0191】
一実施形態では、これらのボクセルは、参照データセットと比較され、関心領域または関心領域内の小領域内のニューロメラニンの濃度を計算するために使用される。
【0192】
一実施形態では、これらのボクセルは、参照データセットと比較され、関心領域または関心領域内の小領域内のニューロメラニンの合計量を計算するために使用される。
【0193】
一実施形態では、関心領域において識別されたボクセルの全てと、特定の症状もしくは症状重症度、または疾患状態、または人口統計学的情報、または他の患者もしくは疾患特異的情報との間で複数の比較が行われ、疾患監視スケール上の個々のボクセルのサブ群と、特定の症状または症状重症度との間に関連性が見出される。これらは症状特異的ボクセルと呼ばれる。いくつかの実施形態では、この能力は、セグメント化ベースのアルゴリズムによって判定されたLCのセグメント内のNMレベルに関する情報と組み合わされたときに強化される。
【0194】
一実施形態では、対象領域内で識別されたボクセルの全てと、特定の疾患診断もしくは人口統計情報、または他の患者もしくは疾患特異的情報との間で複数の比較が行われ、個々のボクセルのサブ群と、特定の疾患と診断される状態との間に関連性が見出される。これらは、疾患特異的ボクセルと呼ばれ、一実施例では、パーキンソン病特異的ボクセルを含み得る。この能力は、セグメント化ベースのアルゴリズムによって判定されたLCのセグメント内のNMレベルに関する情報と組み合わされると強化される。
【0195】
一実施形態では、これらの症状特異的または疾患特異的ボクセルは、同一の疾患の文脈において同一の症状を有する複数の患者にわたって類似性を有し、同一の疾患を有する複数の患者(例えば、両方とも精神運動鈍化の症状を有する2人のパーキンソン病患者)間の比較を行うために使用することができる。この場合、患者間の類似性を比較し得、症状特異的ボクセルは診断バイオマーカーとして機能し得る。この能力は、セグメント化ベースのアルゴリズムによって判定されたLCのセグメント内のNMレベルに関する情報と組み合わされると強化される。
【0196】
一実施形態では、これらの症状特異的または疾患特異的ボクセルは、異なる疾患の文脈において生じる同じ症状を有する患者間で差を有する。この場合、症状固有のボクセル間の差を使用して、同じ症状を共有する2つの異なる障害を区別することができる。この能力は、セグメント化ベースのアルゴリズムによって判定されたLCのセグメント内のNMレベルに関する情報と組み合わされると強化される。
【0197】
一実施形態では、症状特異的ボクセルもしくは疾患特異的ボクセル、または特定の領域もしくは小領域のニューロメラニン濃度もしくはニューロメラニン体積のいずれかを、非侵襲的バイオマーカーとして使用して、診断情報を判定し、特定の疾患(この場合、パーキンソン病、またはMSA、PSP、パーキンソン症候群、ジスキネジア、ジストニア、または本態性振戦などの関連障害)の存在を診断することができる。この能力は、セグメント化ベースのアルゴリズムによって判定されたLCのセグメント内のNMレベルに関する情報と組み合わされると強化される。
【0198】
一実施形態では、このことは、症状特異的ボクセルもしくは疾患特異的ボクセル、または特定の領域もしくは小領域のニューロメラニン濃度もしくはニューロメラニン体積のいずれかの、特定の患者におけるベースライン測定値を、同じ患者におけるこれらの値の将来の測定値と比較することによって達成することができる。この能力は、セグメント化ベースのアルゴリズムによって判定されたLCのセグメント内のNMレベルに関する情報と組み合わされると強化される。
【0199】
一実施形態では、このことは、症状特異的ボクセルもしくは疾患特異的ボクセル、または特定の領域もしくは小領域のニューロメラニン濃度もしくはニューロメラニン体積のいずれかの、特定の患者における測定値を、標準対照と比較することによって達成することができる。この能力は、セグメント化ベースのアルゴリズムによって判定されたLCのセグメント内のNMレベルに関する情報と組み合わされると強化される。
【0200】
一実施形態では、症状特異的ボクセルもしくは疾患特異的ボクセル、または特定の領域もしくは小領域のニューロメラニン濃度もしくはニューロメラニン体積のいずれかを、非侵襲的バイオマーカーとして使用して、診断情報を判定し、関連する障害の存在を除外し、またはパーキンソン病、ならびにMSA、PSP、パーキンソン病症候群、ジスキネジア、ジストニア、または本態性振戦などの関連する障害を区別することができる。この能力は、セグメント化ベースのアルゴリズムによって判定されたLCのセグメント内のNMレベルに関する情報と組み合わされると強化される。
【0201】
一実施形態では、このことは、症状特異的ボクセルもしくは疾患特異的ボクセル、または特定の領域もしくは小領域のニューロメラニン濃度もしくはニューロメラニン体積のいずれかの、特定の患者におけるベースライン測定値を、同じ患者におけるこれらの値の将来の測定値と比較することによって達成することができる。この能力は、セグメント化ベースのアルゴリズムによって判定されたLCのセグメント内のNMレベルに関する情報と組み合わされると強化される。
【0202】
一実施形態では、このことは、症状特異的ボクセルもしくは疾患特異的ボクセル、または特定の領域もしくは小領域のニューロメラニン濃度もしくはニューロメラニン体積のいずれかの、特定の患者における測定値を、標準対照と比較することによって達成することができる。この能力は、セグメント化ベースのアルゴリズムによって判定されたLCのセグメント内のNMレベルに関する情報と組み合わされると強化される。
【0203】
一実施形態では、症状特異的ボクセルもしくは疾患特異的ボクセル、または特定の領域もしくは小領域のニューロメラニン濃度もしくはニューロメラニン体積のいずれかを、非侵襲的バイオマーカーとして使用して、特定の疾患もしくは症状を病期分類もしくはグレード分けし、患者におけるこの情報を区別または分類することができる。例えば、これを使用して、特定の患者のPDの病期または関連する運動障害を判定することができる。この能力は、セグメント化ベースのアルゴリズムによって判定されたLCのセグメントのNMレベルの情報と組み合わされると強化される。
【0204】
一実施形態では、症状特異的ボクセルもしくは疾患特異的ボクセル、または特定の領域もしくは小領域のニューロメラニン濃度もしくはニューロメラニン体積のいずれかを、非侵襲的バイオマーカーとして使用して、患者における症状の現在の重症度を判定することができる。この能力は、セグメント化ベースのアルゴリズムによって判定されたLCのセグメント内のNMレベルに関する情報と組み合わされると強化される。
【0205】
一実施形態では、症状特異的ボクセルもしくは疾患特異的ボクセル、または特定の領域もしくは小領域のニューロメラニン濃度もしくはニューロメラニン体積のいずれかを、非侵襲的バイオマーカーとして使用して、患者がまだ発症していない新しい症状の発症を予測することができる。この能力は、セグメント化ベースのアルゴリズムによって判定されたLCのセグメント内のNMレベルに関する情報と組み合わされると強化される。
【0206】
一実施形態では、症状特異的ボクセルもしくは疾患特異的ボクセル、または特定の領域もしくは小領域のニューロメラニン濃度もしくはニューロメラニン体積のいずれかを、非侵襲的バイオマーカーとして使用して、現在の症状の重症度を予測し、疾患経過の将来の展開を予測し、または治療に対する特定の症状の反応もしくは疾患全体としての反応を予測することができ、非侵襲的予後バイオマーカーとして機能することができる。この能力は、セグメント化ベースのアルゴリズムによって判定されたLCのセグメント内のNMレベルに関する情報と組み合わされると強化される。
【0207】
一実施形態では、症状特異的ボクセルもしくは疾患特異的ボクセル、または特定の領域もしくは小領域のニューロメラニン濃度もしくはニューロメラニン体積のいずれかを、非侵襲的バイオマーカーとして使用して、特定の症状または疾患状態全体のいずれかについての治療に対する反応を監視することができる。この能力は、セグメント化ベースのアルゴリズムによって判定されたLCのセグメント内のNMレベルに関する情報と組み合わされると強化される。
【0208】
一実施形態では、症状特異的ボクセルもしくは疾患特異的ボクセル、または特定の領域もしくは小領域のニューロメラニン濃度もしくはニューロメラニン体積のいずれかを、非侵襲的バイオマーカーとして使用して、特定の症状または疾患状態全体のいずれかについての正しい治療の選択を導くことができる。この能力は、セグメント化ベースのアルゴリズムによって判定されたLCのセグメント内のNMレベルに関する情報と組み合わされると強化される。
【0209】
一実施形態では、症状特異的ボクセルもしくは疾患特異的ボクセル、または特定の領域もしくは小領域のニューロメラニン濃度もしくはニューロメラニン体積のいずれかを、非侵襲的バイオマーカーとして使用して、治療の状態を判定し、治療に対する適切な反応が、特定の症状または疾患状態全体のいずれかについて得られたかを判定することができる。この能力は、セグメント化ベースのアルゴリズムによって判定されたLCのセグメント内のNMレベルに関する情報と組み合わされると強化される。
【0210】
一実施形態では、症状特異的ボクセルもしくは疾患特異的ボクセル、または特定の領域もしくは小領域のニューロメラニン濃度もしくはニューロメラニン体積のいずれかを、非侵襲的バイオマーカーとして使用して、特定の症状または疾患状態全体のいずれかについての治療に対する将来の反応を予測することができる。この能力は、セグメント化ベースのアルゴリズムによって判定されたLCのセグメント内のNMレベルに関する情報と組み合わされると強化される。
【0211】
任意の実施形態において、以下の間で比較が行われ得る。
【0212】
同じ患者におけるこれらの値の将来の測定値に対する、症状特異的ボクセルもしくは疾患特異的ボクセル、または特定の領域もしくは小領域のニューロメラニン濃度もしくはニューロメラニン体積のいずれかの、特定の患者におけるベースライン測定値。この能力は、セグメント化ベースのアルゴリズムによって判定されたLCのセグメント内のNMレベルに関する情報と組み合わされると強化される。
【0213】
標準対照に対する、症状特異的ボクセルもしくは疾患特異的ボクセル、または特定の領域もしくは小領域のニューロメラニン濃度もしくはニューロメラニン体積のいずれかの、特定の患者における測定値。この能力は、セグメント化ベースのアルゴリズムによって判定されるLCのセグメント内のNMレベルに関する情報と組み合わせると強化される。
【0214】
いくつかの実施形態では、単一の神経学的状態に関して本明細書で考察される任意の方法を、任意の他の神経学的状態に適用することができる。
【0215】
LC及びSNcの二重分析
一実施形態では、1つ以上の神経学的状態の予後及び/または診断は、以下の表に従って本明細書で考察される方法のいずれかを使用して判定することができる。
【表1】
【0216】
いくつかの実施形態では、LC及びSNcの両方のNMレベル、体積、または濃度の変化を判定すると診断または予後情報が提供され、LCニューロメラニンは、セグメント化アプローチによって判定され、SNcニューロメラニンは、ボクセルごとのアプローチによって判定される。
【0217】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法のいずれかに従って、NM-MRIスキャンの間に検出されるか、または標準対照に対して検出された変化を使用して、上記の表に従って神経学的状態を診断する。
【0218】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法のいずれかに従って、NM-MRIスキャン間に検出されるか、または標準対照に対して検出された変化を使用して、上記の表による神経学的状態の予後を提供する。
【0219】
コンピュータベースの分析
本明細書に記載される開示に従う例示的な手順は、クラウドベースの処理構成及び/またはコンピューティング構成(例えば、コンピュータハードウェア構成)によって実行することができる。このような処理/コンピューティング構成は、例えば、その全体が、1つ以上のマイクロプロセッサを含むことができ、コンピュータアクセス可能な媒体(例えば、RAM、ROM、ハードドライブ、または他の記憶装置)に記憶された命令を使用することができるコンピュータ/プロセッサであり得るか、もしくは処理/コンピューティング構成の一部がそのようなコンピュータ/プロセッサであり得るか、または限定はしないが、そのようなコンピュータ/プロセッサを含むことができる。
【0220】
例えば、コンピュータアクセス可能な媒体(例えば、本明細書で上述したように、暗号化されたクラウドファイル、ハードディスク、フロッピーディスク、メモリスティック、CD-ROM、RAM、ROMなど、またはそれらの集合などのストレージデバイス)を(例えば、処理構成と通信するように)提供することができる。コンピュータアクセス可能媒体は、媒体上に実行可能な命令を含むことができる。加えて、または代替として、記憶構成は、コンピュータアクセス可能媒体とは別に提供され得、コンピュータアクセス可能媒体は、処理装置に命令を提供し、それによって、処理装置を、例えば、上記で説明されるように、特定の例示的な手順、プロセス、及び方法を実行するように構成することができる。
【0221】
更に、例示的な処理構成は、例えば、有線ネットワーク、無線ネットワーク、インターネット、イントラネット、データ収集プローブ、センサなどを含むことができる入力/出力ポートを備え得るか、または含むことができる。例示的な処理構成は、例示的な表示構成と通信することができ、例示的な表示構成は、本開示の特定の例示的な実施形態によれば、例えば、処理構成から情報を出力することに加えて、処理構成に情報を入力するように構成されたタッチスクリーンとすることができる。更に、例示的な表示構成及び/または記憶構成は、ユーザがアクセス可能なフォーマット及び/またはユーザが読み取り可能なフォーマットでデータを表示及び/または記憶するために使用することができる。
【実施例】
【0222】
本開示は、以下の実施例によって更に例証されるが、実施例は、本開示の範囲または趣旨を、本明細書に記載される特定の手順に限定するものと解釈されるべきではない。実施例が特定の実施形態を例示するために提供され、それによって本開示の範囲への限定が意図されないことを理解されたい。本開示の趣旨及び/または添付の特許請求の範囲から逸脱することなく、当業者に提示することができる、様々な他の実施形態、修正形態、及びその均等物を利用することが可能であることを更に理解されたい。
【0223】
実施例1:青斑核内のニューロメラニン感受性MRI信号と皮質タウ増殖及び神経精神症状との相関
神経精神症状(NPS)は、アルツハイマー病(AD)の一般的かつ厄介な側面である。認知障害だけではなく、このような症状も管理するには、しばしば居住介護が必要である。これらの症状のいくつかは、後の病期まで発現しない場合があるが、他の症状は、前駆または病前段階にさえ現れる可能性がある。初期段階での効果的なNPS治療は、その進行を遅らせ、関連する合併症を最小限に抑えることができる。最も一般的な既存の治療法、抗うつ薬または抗精神病薬は、おそらく特定の患者の症状の神経生物学的原因を標的にしていないため、有効性が一定ではない。
【0224】
AD病態及びNPSこれらの症状の根底にある生理学的メカニズムについては、理解が不十分である。これらの症状は、βアミロイド及びリン酸化タウの蓄積を含む、ADにおいて生じる主要な病態生理学的変化に関連する場合がある。AD患者におけるタウ及びアミロイド負荷は、攻撃性、精神病、及び他のNPSと相関することが分かっている。ノルアドレナリンニューロンの主な部位であるLCは、ADの早期に変性し始め、ブラーク病期0で過リン酸化タウタンパク質を蓄積する最初の脳領域である。ノルアドレナリン系では、バランスを回復するために代償的変化が起こり、残りのLCニューロンの過活動さえも引き起こす可能性がある。ノルアドレナリン系は、特にNPSに関して、ADの治療における主要な標的となりつつある。ノルアドレナリン作動性障害は、ADにおけるNPSと相関し、攪拌/攻撃性及びうつ病の症状がノルアドレナリン作動性薬物による治療に反応するため、因果的役割を有し得る。関係の方向性に関しては、ADのうつ症状はLC変性及び低ノルアドレナリン機能に関連しており、一方、ADの総合的、攻撃的、及び精神病性症状は、高いまたは保存されたノルアドレナリン機能に関連している。これらの特徴的な病態生理学的AD機能を調べる発明者による研究は、これらの発作がどのように相互作用して初期の病期でNPSを促進するかについての既存のモデルを拡張するように明確に位置付けられている。
【0225】
AD病態の高度な神経画像測定MRIとPETイメージングの進歩により、ヒトの脳内の微細構造におけるLC変性及びβ-アミロイド及びタウ負荷の測定が可能になっている。発明者のグループは、これら全てのツールに関する豊富な経験を有している。トレーサー[18F]AZD4694(アミロイド用)及び[18F]MK6240(タウ用、
図1参照)を使用して、300を超えるPETスキャンが正常に収集されている。これらの検証されたトレーサーは、インビボAD診断及びブラーク病期分類を可能にする。発明者のグループは、カテコールアミンニューロンの構造及び機能の尺度としてNM-MRIを検証した。
図1に見られるように、NM-MRIは、ADにおけるノルアドレナリン系の変性を、LCにおける信号の喪失(ニューロメラニン色素の喪失に続発する)として捕捉する。LC NM-MRIでの注意点は、この構造の小さいサイズ(断面直径1~2mm、
図1)であり、高磁場(3テスラ)MRIを使用して検出できるものの限界にある。最近の進歩によって、画像解像度を増加させる(本発明では5.5×)超高磁場(7T)NM-MRIシーケンスが開発され、それによって測定ノイズが減少している(
図3)。ADにおける7T NM-MRIの利点を検証した研究はまだないが、3Tでは、この方法は、ADにおけるLC変性を明らかにするだけでなく、他の集団において、うつ病、睡眠障害、及び自律神経調節を含むNPSに類似する症状と相関している。
【0226】
これらの高度な神経画像方法を、認知症発症(MBI)前に使用するように設計された高感度の機器を使用したNPSの評価と組み合わせることで、AD関連の脳の変化が病期にわたってNPSの出現につながるメカニズムをモデル化することができる。
【0227】
参加者及び臨床尺度
McGill University Research Centre for Studies in Agingのコミュニティまたは外来患者からの研究参加者は、McGill University,CanadaのTranslational Biomarkers of Aging and Dementia (TRIAD)コホートに登録された。コホート参加者は、臨床的認知症尺度(CDR)及びミニメンタルステート検査(MMSE)を含む詳細な臨床評価を受けた。認知障害のない参加者には、客観的な認知障害はなく、CDRスコアは、0であった。軽度の認知障害(MCI)の個体は、主観的及び客観的な認知障害を有し、日常生活の活動が維持され、CDRスコアは、0.5であった。軽度から中等度の散発性アルツハイマー病認知症の患者は、0.5~2のCDRスコアを有し、医師によって判定された可能性の高いアルツハイマー病についてのNational Institute of Aging及びAlzheimer’s Associationの基準を満たした(McKhann et al.,2011)。散発性早発性アルツハイマー病認知症は、65歳以前に認知症を発症した個体であった(Snowden et al.,2011)。不適切な治療を受けた状態であるか、活性物質を乱用しているか、最近頭部外傷を受けたか、または大手術を受けた参加者、またはMRI/PET安全性禁忌を有する参加者は除外された。アルツハイマー病患者は、この研究のために薬物療法を中止しなかった。
【0228】
NPSの重症度は、軽度行動障害チェックリスト(MBI-C,http://www.MBItest.org)を使用して評価した。MBI-Cは、参加者の主な情報提供者、たいていの場合は参加者の配偶者によって記入された。MBI-Cは34の質問で構成され、5つのドメインに細分されている。(1)活力及び意欲の低下(無関心)、(2)感情調節障害(憂鬱及び不安の症状)、(3)衝動的な制御障害(動揺、衝動性、異常な報酬顕著性)、(4)社会的不適切(社会的認知の障害)、及び(5)異常な知覚と思考内容(精神病症状)。各質問は「はい」または「いいえ」で回答され、「はい」と回答された各質問について、1=軽度、2=中等度、または3=重度として重症度が評価される。「はい」の評価を与えるには、症状が少なくとも6ヶ月持続している必要がある。この研究は、Douglas Mental Health University Institute Research Ethics Board and Montreal Neurological Instituted PETの作業委員会によって承認され、全ての参加者から書面によるインフォームドコンセントを得られた。
【表2】
【0229】
MRI取得
全ての神経画像データは、Montreal Neurological Instituteにおいて取得された。磁気共鳴(MR)画像を3T Prismaスキャナによって取得した。NM-MRI画像は、ターボスピンエコー(TSE)シーケンスを介して、以下のパラメータを用いて収集した。繰り返し時間(TR)=600ms、エコー時間(TE)=10ms、フリップ角=120°、面内分解能=0.7×0.7mm2、視野(FoV)による部分脳カバレッジ=165×220、スライス数=20、スライス厚さ=1.8mm、平均数=7、取得時間=8.45分。スライス規定プロトコルは、画像スタックを前-交連-後-交連に沿って配向させ、脳の中央の矢状面で見たときに第三脳室の床から3mm上に上部スライスを配置することで構成された。MPRAGEシーケンスを使用してNM-MRI及びPETデータを前処理するために、全脳の高解像度T1加重MRI画像も取得した(反転時間=1050ms、TR=2500、TE=1.69ms、反転角度=7°、FoV=192×192、マトリックス=192×256、スライス数=256、等方性ボクセルサイズ=1mm、取得時間=5.47分)。MRI画像の品質は、取得直後にアーチファクトを目視検査し、必要に応じて時間が許す限りスキャンを繰り返した。
【0230】
NM-MRI画像の前処理
SPM12を使用して黒質(5)からのNM-MRI信号を調べる従来の作業と同様に、最初の前処理ステップを実行した。LC信号の最終分析は、ネイティブ空間NM-MRI画像上で行われたが、それにもかかわらず、各参加者についてユニバーサルLC探索空間をMNI空間からネイティブ空間に位置合わせするために、NM-MRI画像を空間的に正規化する必要があった。最初に、NM-MRIスキャンを参加者のT1加重スキャンに位置合わせした。次いで、T1加重画像を使用して組織セグメント化を実施した。NM-MRIスキャンは、全ての試験参加者から生成された灰白質及び白質テンプレートを用いたDARTELルーチンを用いてMNI空間に正規化した。これらの正規化されたNM-MRIスキャンの再サンプリングされたボクセルサイズは、1mmで等方性であった。これらのステップの各々の後、全ての画像を目視検査した。全ての参加者からの空間的に正規化されたNM-MRI画像を平均化することによって、可視化テンプレートを作成した。
【0231】
その後のステップは、カスタムMatlabスクリプトを使用して展開し、LC信号を具体的に調べた。視覚化テンプレート上に、オーバーインクルーシブなLCマスクを描画して、吻側尾側軸において15mmにわたる第四脳室の前外側縁にある高強度ボクセルを覆った(MNI空間座標z=-16~-31、
図1参照)。脳アトラスにおける解剖学的ランドマーク(吻端上の下丘及び尾方端上の第四脳室の後陥凹)への距離を相互参照することによって、吻側尾側限界を設定した。等しい長さの5つの吻側尾側セグメントに分割することによってマスクの分割されたバージョンを作製した。次いで、空間正規化ステップで生成された流動場の逆を使用して、オーバーインクルーシブなLCマスク全体及び分割されたマスクをネイティブ空間にワープさせ、NM-MRI画像空間に再サンプリングした。その後、ワープさせたオーバーインクルーシブなLCマスク全体を使用して、各参加者のLCを見つけるための探索空間を定義することができる。クラスター形成アルゴリズムを使用して、この空間内のLCをセグメント化し、最も高い平均信号を有する4つの隣接ボクセル(1.96mm
2)として定義した。この操作を左右のLCに対して繰り返した。所与の軸スライス内の各ボクセルvのコントラスト対ノイズ比(CNR)は、以下:CNR
V=(I
V-モード(I
RR))/モード(I
RR)と同じスライス内の参照領域RRからのNM-MRI信号強度Iの相対的差として計算された。NM濃度が低いことが知られている領域、すなわち、半径11.6mmの円によって画定され、左右のLCを接続する軸から32.6mmを中心とする橋中心を参照として使用した。ネイティブ空間内の全ての軸スライスは、5つの分割されたLCマスクのうちのどれがスライス上に存在するかに基づいて、5つの吻側尾側LCセグメントの1つに属するものとして識別された(これらのマスクのうちの2つが同じスライス上に存在する場合、LCセグメントは、最も多くのLCボクセルをカバーするマスクによって定義された)。LC信号は、5つのセグメントの各々について、各側面の最も明るいボクセルからのNM-MRI CNR値と、そのセグメント内に入ると判定された全てのスライスを平均化することによって算出した。部分容積効果を最小限に抑えるために、全てのLCボクセルの平均よりもスライス当たり最も明るいボクセルを選択した。
【0232】
PETの取得と分析
全ての個体は、脳専用のSiemens High Resolution Research Tomographで18回のF-AZD4694及び18回のF-MK-6240PETスキャンを受けた。詳細なPET方法については、以前の研究を参照されたい。タウ変化18F-MK-6240画像を、トレーサーの静脈内ボーラス注入の90~110分後に取得し、4フレーム(4 300s)を有する4Dボリューム上でOSEMアルゴリズムを使用して再構築した(Pascoal et al.,2018b)。トレーサーの静脈内ボーラス注入の40~70分後に、アミロイド-b18F-AZD4694画像を取得し、3フレーム(3 600s)の4Dボリューム上で同じOSEMアルゴリズムでスキャンを再構築した(Cselenyi et al.,2012)。各PET取得の終了時に、減衰補正のために回転する137Csポイントソースを用いて6分間の透過スキャンを実行した。画像を更に、動き、デッドタイム、減衰、及び偶然及び散乱同時計数について補正した。簡潔に述べると、T1加重MRIを不均一性及びフィールド歪みについて補正した。その後、PET画像をT1加重画像空間に自動的に位置合わせし、T1加重画像をMNI基準空間に線形かつ非線形に位置合わせした(Mazziotta et al.,1995)。PET画像に対して、髄膜及び頭蓋骨を剥離し、T1加重画像からMNI空間への変換、及びPET画像からT1加重画像空間への変換を使用して、MNI空間に非線形に位置合わせした。18F-MK-6240標準化取り込み値比(SUVR)及び18F-AZD4694 SUVRは、それぞれ、下小脳及び全小脳灰白質を参照領域として使用した(Cselenyi et al.,2012;Pascoal et al.,2018b)。PET画像を空間的に平滑化して、半値全幅分解能Global18F-AZD4694 SUVR値を皮質全体について推定した(Pascoal et al.,2018a)。18F-MK-6240 SUVR値は、Braak(Braak and Braak,1991,1997、Braak et al.,2006、Braak et al.,2011、Braak I(transentorhinal),Braak II(entorhinal and hippocampus),Braak III(amygdala,parahippocampal gyrus,fusiform gyrus,lingual gyrus),Braak IV(insula,inferior temporal,lateral temporal,posterior cingulate,and inferior parietal),Braak V(orbitofrontal,superior temporal,inferior frontal,cuneus,anterior cingulate,supramarginal gyrus,lateral occipital,precuneus,superior parietal,superior frontal,rostro medial frontal),Braak VI,(paracentral,postcentral,precentral,and pericalcarine)によって提案されたブラーク病期領域について推定された。対象をブラーク病期に基づいて3つの群に分けた。タウ陰性(ブラーク領域1<1.2において18F-MK-6240 SUVR)、ブラーク病期1陽性(ブラーク病期1領域>1.2において18F-MK-6240SUVR、これらの症例はブラーク病期1または2である)、及びブラーク病期3陽性(ブラーク病期3領域>1.5において18F-MK-6240 SUVR、これらの症例はブラーク病期3以上である)。病期3領域ではタウが閾値を上回るが、病期1領域では上回らない不整合例はなかった。
【0233】
統計分析
最終的なイメージング測定を互いに関係付けるとともに臨床測定と関係付ける統計的試験を、Matlabソフトウェア上で実施した。これらには、Tukeyの事後検定、線形回帰分析、及びスピアマン偏相関を伴うANCOVAが含まれた。使用される特定のモデルの詳細については、結果を参照されたい。VoxelStatsパッケージ(Mathotaarachchi et al.,2016)を使用して、Matlabソフトウェアバージョン9.2(http://www.mathworks.com)を使用して、18F-MK-6240 SUVRマップに関するボクセルごとの統計を実施した。
【0234】
結果
LC NM-MRI信号及びブラーク病期
まず、ADにおいてLC NM-MRI信号が減少されたことを確認した。LC NM-MRI信号は、認知状態(2つのレベル:認知正常及び認知障害(AD及びMCI個体))及びタウステータス(3つのレベル:タウネガティブ、ブラーク領域1のタウポジティブ(領域1 ROIの閾値SUV=1.2)、及びブラーク病期3領域のタウポジティブ(領域3 ROIの閾値SUV=1.5;ROIの定義については
図3を参照))に基づいて分割された191人の高齢者において、LC全体にわたって平均化された。年齢及び性別について調整した全LC NM-MRI信号に対する二元配置分散分析は、タウステータスの有意な影響(F
2、184=4.53、p=0.012)及び認知ステータスの有意な影響を示さなかった(F
1、184=0.34、p=0.56、年齢及び性別について調整したモデル、より複雑なモデルは、有意なタウステータスX認知ステータス相互作用を示さなかった、p=0.48)。事後検査では、タウ陰性個体とブラーク3陽性個体(p=0.012)の間に有意差が認められたが、ブラーク1(単独)陽性個体とタウ陰性(p=0.17)またはブラーク3陽性個体(p=0.27、TukeyのHSD)のいずれかとの間に差は認められなかった。
【0235】
次に、LCの下位区分内で、タウステータス関連の信号損失の構造を検討した。LCの吻端及び尾方端を除いて、全てのセグメントはタウ群間で有意に異なり、中間セグメントは最も強い効果を示した(
図1)。中間LCセグメント(左右のこのセグメントからのNM-MRI信号の平均)を調べると、タウステータス(F2、184=15.3p<0.00001)と非常に強い関係が認められ、タウ陰性個体(p<0.00001)とブラーク1陽性個体(p=0.0045)の両方と比較してブラーク3陽性個体の信号の減少が認められたが、タウ陰性個体と比較してブラーク1陽性個体の信号の減少は認められなかった(p=0.075、TukeyのHSD、
図1は、全ての研究群についてのLC中間セグメント信号を示す)。中間LCセグメントに存在するこれらの強力な効果を考慮して、これはその後の全ての分析に使用されるLC NM-MRI尺度として保持された。
【0236】
これらの結果は、LC信号喪失がブラーク病期1で最小であり、ブラーク病期3以降から顕著になることを示唆した。ブラーク病期3からのLC信号の進行性喪失の証拠があるかどうかを判断するために、認知障害及び認知症病期をブラーク3陽性個体におけるLC信号と相関させた。両方の尺度は、LC信号の喪失と有意に相関していた(MMSEエラー:t
23=-2.95、p=0.0072、堅牢な線形回帰、臨床認知症評価尺度:スピアマンρ=-0.52、p=0.012、n=25、部分相関、どちらの分析も年齢及び性別について調整した、
図1参照)。
【0237】
LC NM-MRI信号及びAD病態
LC NM-MRI信号とタウ増殖との関係をより完全に調べるために、LC信号を[
18F]MK-6240取り込みに関係付けるボックスごとの分析を脳全体にわたって実施した。有意なクラスターが領域に見られた(
図6参照)。LC信号とタウ負荷との間のリンクがどの程度直接的であるかを調べるために、発明者らは皮質ベータアミロイド負荷及び皮質灰白質体積も調整した後続のボクセル分析を行った。
【0238】
AD病態生理学のどの側面がLC NM-MRI信号の喪失を独立して予測したかを調べるために、認知障害のある個体(n=75)で線形回帰分析を行った。共線性(r=0.91)が非常に高いので、タウ及びアミロイドの集約尺度は同じモデルに一緒に含まれなかった。LC NM-MRI信号は、ブラーク領域3におけるタウ負荷(t70=-2.36、p=0.021、CDRスコア、年齢及び性別について調整した線形回帰)及び皮質アミロイド負荷(t70=-2.50、p=0.015、同じ共変量を有する線形回帰)によって有意に予測された。しかし、これらのモデルのいずれかに皮質灰白質体積を含めると、LC NM-MRI信号の有意な予測変数となり(タウモデルの場合:t68=2.13、p=0.037、ブラーク領域3におけるタウ負荷、皮質灰白質体積、総頭蓋内体積、CDRスコア、年齢、及び性別について調整した線形回帰)、タウもアミロイドも有意な予測変数として残らなかった。
【0239】
LC NM-MRI信号及び臨床所見
最後に、LC NM-MRI信号喪失の臨床的相関を調査した。具体的には、LC信号に関連する認知障害及び神経精神症状の両方を、主要な病態生理学的尺度について調整しながら調べた。認知障害のある個体(n=72)では、LC信号は認知障害の程度と有意に相関しなかった(MMSEスコア:t64=0.83、ブラーク領域3におけるタウ負荷、皮質灰白質体積、総頭蓋内体積、CDRスコア、年齢、及び性別について調整した線形回帰)。
【0240】
次に、軽度行動障害チェックリスト(MBI)の合計スコアによって測定された神経精神症状を検討した。この尺度は、どの病態生理学的尺度が共変量として含まれているかにかかわらず、認知障害を有する個体(n=73)におけるLC NM-MRI信号と有意に関連していた(表xx)。好ましいモデルにおいて、ブラーク領域3におけるLC NM-MRI信号及びタウ負荷は両方とも、MBI総スコアを予測した(それぞれ、t
65=3.48、p=0.0009及びt
65=2.48、p=0.016、線形回帰は、皮質灰白質体積、総頭蓋内体積、CDRスコア、年齢、及び性別についても調整した、
図4)。LC NM-MRI信号とMBI総スコアとの相関は、線形回帰と同じ共変量を用いた非パラメトリック試験において確認された(表xx、好ましいモデルスピアマンρ=0.40)。この肯定的な関係は、LCの維持がNPSの悪化と関連していることを示唆しており、モデルに皮質病態の任意の尺度が含まれると、この効果がより強くなることは注目に値する。事後分析では、MBIサブドメインを調べ、LC NM-MRI信号との関係が最も強いドメインは衝動制御障害であることが分かった(スピアマンρ=0.36、p=0.003、タウ負荷、皮質灰白質体積、総頭蓋内体積、CDRスコア、年齢、及び性別について調整した部分相関)。
【0241】
認知的に正常な高齢者におけるMBI総スコアを予測する場合、LC NM-MRI信号は有意な予測変数ではなかった(t
92=-0.19、p=0.85)。また、ブラーク領域1におけるタウ負荷も有意な予測変数ではなかった(t
92=1.91、p=0.059、皮質灰白質体積、総頭蓋内体積、CDRスコア、年齢、及び性別を制御する線形回帰)。
【表3】
【0242】
分析には、年齢、性別、及びCDRスコアを共変量として含めた(皮質灰白質体積を含む分析には、総頭蓋内体積も共変量として含めた)。*p<0.05、**p<0.01、***p<0.001
【0243】
実施例2:MCI及びADの患者ならびにCN高齢者における神経精神症状の今後の進行のLC、アミロイド、及びタウシグネチャーを判定するための縦断マルチモーダル神経画像研究。
LC NM-MRI信号は、主要な脳領域のアミロイド及びタウ負荷とともに、18ヵ月後のNPSの進行を予測する。これは、認知障害(AD及びMCI)及び障害のない高齢者において別々に検討され、最も初期の病期でも予測を判定する。
【0244】
得られたデータは、NPSが、それぞれ、PET[18F]MK6240、[18F]AZD4694、及びニューロメラニン感受性MRI(NM-MRI)を用いてインビボで測定されたときに、タウ蓄積、β-アミロイド蓄積、及びLC完全性に関連していることを実証する。
【0245】
いかなる理論にも拘束されることなく、NPSはADにおいて起こる主要な病態生理学的変化の不均衡を反映しており、一方ではLCの完全性を示し、他方では皮質におけるアミロイド及びタウの蓄積を示す。これらのプロセスの複合効果は、行動の皮質及び皮質下調節の不均衡につながり、NPSの出現を引き起こす可能性がある。発明者らの予備データは、疾患の初期の過程においてNPSに関連しているパターンを明らかにしており、皮質タウ蓄積が、LCの保存と相まって、おそらくインタクトであるかまたは場合によっては過活動のLCの皮質制御の調節障害を反映し、衝動の制御障害及び感情の調節障害を含むNPSの発現につながる。これはまた、ノルアドレナリン活動の推進とタウ病態(CSFにおいて測定)の報告とも一貫しており、どちらもNPSの悪化とNPSを治療するノルアドレナリン阻害薬と相関している。線形回帰モデルは、全ての神経画像尺度を含むNPSを予測するために使用されており、具体的には、LC NM-MRI信号、タウ負荷、及びアミロイド負荷は全てNPSの進行/出現に正の関連があり、全ての尺度を含むモデルにおける複合予測は、任意の1つの尺度単独を使用した予測よりも優れている。どの神経病理学的プロセスが特定の患者に最も関係があるかを識別することは、標的化されたNPS治療が現実になり得る前に重要なステップである。
【0246】
LC NM-MRI信号からのNPS重症度(MBI総スコア、n=73)、タウ負荷(ブラーク病期3 ROIで[
18F]MK6240のSUVR)、及びβ-アミロイド負荷(皮質ROIにおいて[
18F]AZD4694のSUVR)。多変量予測は、全ての尺度について単変量より優れている。
【表4】
【0247】
NPSの異質性は重要な考慮事項である。発明者らのサンプルでは、MBI総スコアは、ノルアドレナリン系と強い理論的リンクを持つ症状タイプである衝動制御障害サブドメイン(r=0.85)と最も高度に相関している。一方、抑うつ症状は、低ノルアドレナリン機能(LC NM-MRI信号の減少)に関連しており、したがって、分析では抑うつ症状を別々に考慮する。
【0248】
研究のデザイン及びタイムライン
この研究は、n=70のCN高齢者、n=35のMCI高齢者、及びn=35のAD高齢者におけるベースライン臨床及び神経心理学的評価、アミロイド及びタウPETスキャン、ならびにMRIスキャンで構成されている。参加者は18ヶ月後に別の臨床的及び神経心理学的評価のために戻る。参加者は、フォローアップ接触を促進する、老化及び認知症における翻訳バイオマーカー(TRIAD)という縦断的プロトコルにすでに関与している。タイムライン:1ヶ月目~6ヶ月目倫理審査による承認、スタッフトレーニング、及び7T NM-MRIシーケンスの最適化。7ヶ月目~30ヶ月目、参加者募集。n=140(自然削減後)のサンプルを達成するために、発明者らは年間77人を採用した。100~130人の参加者が毎年MRI及びPETイメージングの手順を完了するTRIADコホートと同様。神経画像データの品質管理及び前処理は、データが収集されるにつれて進行し、サンプルの半分が収集されると予備分析が行われる。24ヶ月目~48ヶ月目、フォローアップ臨床及び認知評価。
【0249】
募集及び同意:
全ての参加者は、McGill Centre for Studies in Aging(MCSA)のTranslational Biomarkers in Aging and dementia (TRIAD)という縦断的なPETバイオマーカーコホートから募集される。MCSAには4000人の患者の臨床データベースがあり、TRIADコホートは主にそこから抽出され、研究に参加したい1000人を超える人をすでに採用している。
【0250】
採用基準:
55歳から90歳までの参加者で、知的障害を除外するために学業成績の履歴がある参加者が登録される。インフォームドコンセントを提供できないか、または研究中に同意を提供できなくなった参加者は除外される。同意を提供する能力は、MMSE及びMoCAを含むスクリーニングバッテリーを使用して判定される。認知的に正常な高齢者(CN)は、臨床的認知症評価(CDR)が0であることによって定義される。MCIは、CDRが0.5であること、主観的及び客観的な記憶喪失、及び日常生活の正常な活動を有することによって定義される。CN及びMCI群は、Petersen and National Institute of Ageing-Alzheimer’s Association Criteriaに基づいて認知症を有しない。AD症例は軽度の重症度であり、CDRが0.5~1.0であるとして定義され、National Institute of Ageing-Alzheimer’s Association基準を使用して診断される。
【0251】
除外基準:
(i)非識字(認知機能低下によるものではない)、(ii)レクリエーショナルドラッグの使用、(iii)MRI検査での主要な構造異常または主要な血管病態、(iv)以前の4週間以内に介入試験に参加したか、(調査研究または放射線検査を通じて)過去12ヶ月以内に電離放射線に曝露した、(v)MRI/PETスキャンの禁忌、(vi)慢性及び再発性の精神衛生状態、すなわち、精神障害(例えば、統合失調症、大うつ病、PTSD)の過去の病歴。重症度が参加を妨げない限り(例えば、暴力または攻撃性)、新たに発症した精神症状を有する患者を含める。
【0252】
神経精神症状及びその他の臨床的及び認知的尺度:
NPSの尺度は、幅広いタイプのNPSの包括的な評価を可能にし、様々な病期でのそれらの発現を高感度に検出する。これらには、ADにおいて使用される標準的な質問票、すなわち神経精神科インベントリ(NPI)、アパシーインベントリ、及びエプワース眠気質問票が含まれる。更に、前駆性ADにおけるNPSの評価のために高感度に設計された特別な質問票、軽度の行動障害チェックリスト(Ismail博士によって開発された)が採用されている。TRIADコホートで使用されている標準的なプロトコルは、臨床プロファイル及び認知の評価に従っている。認知的尺度には、Rey Auditory Verbal Learning Test(RAVLT)、WAIS-IIIからの数字スパン及び数字記号、IQ(WASI-II、マトリックス推論、語彙、神経心理学者が実施する3時間のバッテリーの一部)が含まれる。これらの尺度は、TRIADプロトコルに24ヶ月ごとに記録され、ベースラインまたはフォローアップ評価の60日以内にテストされた参加者については繰り返されない。発明者らの主な関心尺度は、18ヶ月にわたるMBIの変化である。予備的なフォローアップデータは、この尺度が1年または2年にわたって変化を捕捉することができることを示している。
【0253】
7TにおけるNM-MRI取得
参加者は、8チャンネル送信及び32チャンネル受信ヘッドコイル(Nova Medical)を備えたSiemens Terra 7Tスキャナでスキャンされる。Christine Tardifの研究室によって開発された磁化移動準備ターボフラッシュシーケンス(MTw-TFL)は、LCを撮像するために使用される。MT準備は、持続時間が1msで(2msギャップ)、オフセット周波数が10kHzであり、B1の2乗平均平方根値が9μTである、15個のパルスからなるパルス列で構成される。周波数オフセットの極性は、パルス間で交互に変化する。各MT準備ブロックに続いて、センター-アウトTFL読み出し(TE/TR=4.3/505ms、ターボ係数=29、フリップ角度=8°、GRAPPA=2)が、スキャン時間=4:31分、解像度0.4x0.4x1.0mm3で行われる。このシーケンスを2回繰り返し、平均化してSNRを増加させる。このシーケンスを更に最適化してSNR及びLC信号の信頼性を最大化して、この最先端のシーケンスを改善することが行われている。MP2RAGEシーケンスを使用した高解像度(0.65mm等方性)T1加重解剖学的スキャン:TI1/TI2=1000/32000ms、TR=43000ms、TE=2.46、α=4°、エコー間隔=7.5ms、スライス部分フーリエ6/8、GRAPPA=3、スキャン時間=11分を実行する。より長いセッションに耐えることを望む対象については、NPSと相関する機能的結合変化の探索的分析のために、静止状態の血中酸素レベル依存性(BOLD)機能MRIデータも収集される。この目的のために、1.8mm等方性での2D勾配エコーEPIシーケンス:TE=25ms、TR=2010ms、α=70°、GRAPPA=2、位相部分フーリエ=6/8、スキャン時間=10.5分が確保される。全てのスキャンが完了すると、合計スキャン時間は約40分になる。
【0254】
NM-MRI前処理及び分析
LC NM-MRI信号は、以前に使用したアプローチと同様に、カスタムスクリプト及びSPM12ツールを使用して、ネイティブ空間において未処理のNM-MRI画像上で測定され、LCがセグメント化される。ネイティブ空間におけるこの小さな構造からの信号を分析することは、MRI分析のための標準化された空間での従来のアプローチと比較して有利である。Cassidy博士によって開発されたNM-MRI前処理パイプライン。
【0255】
PET取得
PETスキャンは、Siemens HRRT上で行われる。放射線トレーサーは、センターの放射線化学研究所とサイクロトロンによって生成される。PETスキャンとMRIスキャンは同じ日に行われる。その後の日に別のPETスキャンが行われる。[18F]AZD4694または[18F]MK6240 PETスキャンは、トレーサーの185MBqの投与後に取得される。[18F]MK6240を使用したスキャンは長さが20分であり、注入から90~110分後に開始する。[18F]AZD4694を用いたスキャンは、30分であり、注入から40~70分後に開始する。対象は、頭部の動きを矯正するために特殊な眼鏡を着用する。動的画像は、リストモードファイルを使用して取得される。送信画像はGe-68ソースを用いて取得される。組織放射能画像は、4フレームを使用して再ビニングされ、散乱及び減衰補正を伴うOSM3方法を使用して再構築される。その後、動きの修正が適用される。
【0256】
PET分析
[18F]AZD4694または[18F]MK6240 PETの定量化は、解剖学的関心領域(ROI)及び個々のボクセルマップの両方について実施される。どちらの場合も、最初のステップとして、MRIボリューム(T1加重画像)をセグメント化して灰白質マップを取得し、MINCツールを使用して剛性変換を介してPET画像に位置合わせされる。それぞれの[18F]AZD4694 SUVR50~70または[18F]MK6240 SUVR90~110を、小脳皮質を参照領域として分析する。MRIスキャンは、非線形位置合わせを使用して標準的なMNI空間に変換される。ROI分析の場合、位置合わせパラメータの逆変換を使用して、確率的解剖学的アトラスをPET画像にマッピングする。地域の時間活動曲線(TAC)は、対象のセグメント化された灰白質画像とアトラスの畳み込みによって得られたマスクを介して計算される。次に、関心領域(ROI)とボクセルTACの両方を適切な定量化手順に入力して、ボクセルごとの分析のための解剖学的ROIまたはBPパラメトリックマップのセットのSUVRを取得する。全ての画像に部分容積補正(PVC)が行われる。ボクセルベースの分析は、上記の非線形位置合わせ手順を使用して、最初にパラメトリックマップをMNI空間にワープさせることによって実行される。その後、ノイズを減少させるために、パラメトリックマップが平滑化される(6mm)。一般線形モデル(GLM)を使用したボクセルレベル単変量テストは、McGill Universityで開発されたボクセルベースの一般化線形モデルを実行するためのスイートであるボクセル統計に実装されているランダムフィールド理論から導出された事後多重比較補正とともに適用される。
【0257】
統計分析:仮説検定の主な分析は、ベースラインLC NM-MRI信号、アミロイド負荷、及びROIにおけるタウ負荷に基づいて、ベースライン後18ヵ月のNPS重症度の変化を予測する線形回帰であり、これらの物質は早期病期に現れる(タウの場合はブラーク病期3領域、アミロイドの場合は大脳皮質全体)。関心のある効果は、LC NM-MRI信号の独立した効果、ならびにモデルにアミロイド及び/またはタウ負荷を追加的に含めることによる説明された分散の増加である。CN症例の分析では、MBIの合計スコアを帰結尺度(症状負担が最小限の症例に好適な高感度の計器)として使用している。CI個体(MCI及びAD)において、分析ではMBIとNPIの両方の合計スコアが予測される。事後検査には、同じ予測変数及び帰結を使用したボクセルごとの分析(複数の比較に対するペナルティを最小限に抑えるために、早期のタウ/アミロイド蓄積に関与する領域のマスク内)、ならびにより特定のタイプのNPSを帰結尺度として使用するROI分析が含まれる(例えば、衝動制御障害、睡眠障害、攻撃的行動)。全ての分析について、NPS重症度の予測におけるLC NM-MRI信号とアミロイド/タウとの間の可能な相互作用を検討する。分析には、共変量年齢、性別、認知症の重症度(臨床認知症評価尺度)、及びうつ病の重症度(NPIうつ病項目)が含まれる。ノルアドレナリン機能は、攻撃性及び衝動性などの症状と比較してうつ病と相反する関係を持つ可能性があるため、うつ病の重症度について調整する必要がある(攻撃性及び衝動性などは、発明者らの主要な関心尺度であるMBI総スコアと非常に高度に相関している)。逆に、うつ症状(NPIうつ病)を予測する分析は、他のNPSの重症度について調整される。
【0258】
性別及びジェンダーに基づく分析:性別の影響は、晩年のうつ病で観察され、例えば、認知障害、機能的影響、及び脳構造との関連性に関して観察される。更に、動物研究では、LC損傷とタウリン酸化との関係に関する性的二形性が報告されており、ノルエピネフリン関連障害の女性素因と一致している。したがって、性別はこれらの関係の要因である可能性がある。男性と女性で同数(TRIADコホートからの以前の採用では女性が63%)が採用される。一次分析モデルは、男性と女性で別々に実行され、効果の強さが性別によって有意に異なるかどうかを判断する。
【0259】
この結果は、認知症患者及びリスクのある患者に持続的な影響を及ぼす。AD患者の約75%及び軽度の認知障害(MCI)を有する個体の50%がNPSに罹患しているのに対し、正常な認知老化を示す個体の25%がNPSに罹患している。これらの症状の存在は、認知機能の急激な低下、生活の質の低下、老人ホームへの早期入所、介護者の負担の増加に関連している。ADにおける神経精神症状の既存の治療法は、有害リスクが高い多くの患者にとって有効性が限られているため、改善された治療法を見つけて監視するためには、神経生物学を理解することが不可欠である。本明細書に記載のバイオマーカーは、特定のNPS治療に反応する可能性が最も高い患者を特定するための精密医療アプローチを最終的にサポートする、新しいNPS治療の開発及び既存の治療の最適化を導くのに役立つ。1つのNPS治療標的は、ノルアドレナリン系であり、その完全性は、本明細書に記載のLC NM-MRI信号を介して測定される。実際、NM-MRIは、AD病理学の根底にある神経化学的変化の実用的かつ非侵襲的アッセイであるため、これは、例えば、NPS治療反応の潜在的なモデレータとして、またはLC神経保護薬に対する反応のマーカーとして、有用なツールであることを証明することができる。これらの用途の療法に有望な証拠がある。AD患者の攻撃的な行動は、ノルアドレナリン作動性機能障害を示す患者におけるノルアドレナリン作動性薬物治療に反応し、ADの動物モデルにおけるNPS様行動を低下させるLC神経保護薬を導く可能性が高い。
【0260】
実施例3:心的外傷後ストレス障害(PTSD)及び大うつ病障害を評価するためのNM MRI
はじめに
心的外傷後ストレス障害(PTSD)は、退役軍人の生活の質を低下させ、自殺の重要なリスクをもたらす不均一な状態である。疾患の複雑な発現を考えると、患者特有の方法で特定の神経生物学的破壊を標的とする治療が必要とされる場合がある。しかしながら、PTSDにおける標的治療をサポートするバイオマーカーの探索は困難であった。最近の研究は、神経調節物質ノルエピネフリン(NE)の調節障害がPTSD症状に寄与する可能性があることを示唆している。青斑核(LC)は、人間の脳内のNE放出の中心核であり、LC-NEシステムは、ストレス反応、自律機能、感情記憶、睡眠、覚醒の調節に関して重要な役割を果たす。これらのLC調節行動は、DSM-5によって、誇張された驚愕反応、過度の警戒、及び睡眠障害として定義されるPTSDの過覚醒症状ドメインに特に関連している。例えば、PTSDを有する個体は、対照と比較して、刺激に対してより高いLC BOLDのfMRI活性化を示すことが観察されている。また、自律神経系の調節障害と過覚醒症状の重症度との間には関係があることが示されている。例えば、Blechertらによる2007年の研究では、PTSD患者は「低呼吸性洞性不整脈(心臓迷走神経制御の尺度)及び高皮膚電気活動によって証明される、副交感神経制御の減衰及び交感神経制御の促進を示した」。PTSDにおけるNEシステムの役割の証拠を考慮して、このシステムを標的とする薬理学的治療を展開するための取り組みが増加している。一般的なPTSD治療であり、外傷再体験心理療法と併せて使用されると特定のセロトニン再取り込み阻害剤及びベータ遮断薬よりも優れていることが示されている混合NE/セロトニン再取り込み阻害剤であるベンラファキシンを含む、このシステムに作用するいくつかの薬物は、利点を示している。更に、NEα-1受容体拮抗薬プラゾシンは、PTSDにおいて有効であることの一貫性のない証拠を示しており、プラゾシンのようなノルアドレナリン作動性薬剤への可能性のある反応者を事前に選択することができるノルアドレナリン作動性不均衡を追跡するバイオマーカーの潜在的な利点を強調しており、それによって、実験的ノルアドレナリン作動性治療の試験も裏付けている。
【0261】
ニューロメラニン感受性磁気共鳴イメージング(NM-MRI)は、NMの常磁性特性による、ヒト脳内のNM含有構造、LC及びドーパミン作動性黒質を画像化するために使用することができる、新規かつ非侵襲的な神経画像方法である。発明者らは、以前に、黒質内のNM信号が、より安価で、非侵襲的であり、高分解能で入手可能であるという実用的な利点を有するドーパミン機能のPETイメージングメトリクスのための代理尺度を提供することができることを示した。ここでは、LC NM信号がNEシステムの機能について同様の洞察を提供できることを提案する。LC NM-MRI信号は、まだPTSDにおいて調査されていないが、LC NM-MRI信号がNEまたは自律機能の尺度を追跡する証拠があり、心拍変動、アルファアミラーゼ分泌、及び不安障害における不安喚起症状と相関している。この領域は、自律神経系に下降投射を送り、PTSDにおける活動を高めており、自律神経尺度と相関しているため、発明者らは、尾側LCに特に関心がある。
【0262】
ここでは、作戦展開歴を有する、支援を求める24人のカナダ軍(CAF)退役軍人のサンプルにおいて、PTSD精神病態の次元尺度である過覚醒症状に対するLC NM-MRI信号の関係を調べた。発明者らは、尾側LCにおけるNM-MRI信号が、DSM-5についてのPTSD臨床診断尺度(CAPS-5)によって測定された過覚醒症状重症度と正相関すると仮定した。
【0263】
方法
参加者
作戦展開歴を有する23人のCAF退役軍人が、Royal Mental Health Center in Ottawa,OntarioにおけるOperational Stress Injury Clinicから採用された。これらの個体のうち18人は、DSM-5についてのPTSD臨床診断尺度(CAPS-5)によって、PTSDについてのDSM-5基準を満たすと判定された。CAPSインタビューは、訓練を受けた評価者によって実施された。全ての臨床及び人口統計学的尺度については、表1を参照されたい。抑うつ症状の重症度はBeck Depression Inventory-II(21項目版)で評価した。他の臨床評価には、DSM-5についてのライフイベントチェックリスト、ピッツバーグ睡眠質問票、及びコロンビア自殺重症度評価尺度が含まれる。採用基準には、年齢が18歳から65歳までであり、2000年以降の作戦展開歴を有するCAF退役軍人であることが含まれていた。除外基準には、躁病/軽躁病または精神病性障害の既往歴、過去6ヶ月における物質使用障害(SUD)の診断、重大な医学的疾患、神経学的状態、外傷性脳損傷(または少なくとも5分間の意識喪失を伴う頭部外傷)を有すること、24時間アルコール、ニコチン、大麻またはカフェインを自制することができないこと、及び覚醒剤の現在の使用(NM-MRI信号への影響の可能性があるため)が含まれた。この研究は、Royal Mental Health Centre in Ottawa,Ontarioにおける倫理審査委員会によって承認され、参加者は書面によるインフォームドコンセントを提供した。
【0264】
MRI取得
12チャンネルヘッドコイルを使用して、Siemens 3T PET BIOGRAPH mMRスキャナを使用して、全ての試験参加者の磁気共鳴(MR)画像を取得した。NM-MRI画像は、磁化移動コントラスト(2D GRE-MT)を有する2D勾配反応エコーシーケンスを介して収集し、以下のパラメータ:繰り返し時間(TR)=337ms、エコー時間(TE)=3.97ミリ秒、フリップ角度=50°、面内分解能=0.43×0.43mm2、視野(FoV)による部分的な脳カバレッジ=165×220、マトリックス=384×512、スライス数=10、スライス厚=3mm、スライスギャップ=0mm、磁化移動周波数オフセット=1200Hz、励起数(NEX)=6、取得時間=7.24分。スライス規定プロトコルは、画像スタックを前-交連-後-交連に沿って配向させ、脳の中央の矢状面上で見たときに第三脳室の床から3mm上に上部スライスを配置することで構成された。
【0265】
MEMPRAGEシーケンスを使用するNM-MRIデータの前処理のために、全脳の高解像度T1加重MRI画像も取得した(反転時間=1050ms、TR=2500、TE=1.69ms、フリップ角度=7°、FoV=192×192、マトリックス=192×256、スライス数=256、等方性ボクセルサイズ=1mm、取得時間=5.47分)。NM-MRI画像の品質については、取得直後にアーチファクトを目視検査し、必要に応じて時間が許す限りスキャンを繰り返した。
【0266】
NM-MRI画像の前処理
SPM12を使用して黒質(5)からのNM-MRI信号を調べる従来の作業と同様に、最初の前処理ステップを実行した。LC信号の最終分析は、ネイティブ空間NM-MRI画像上で行われたが、それにもかかわらず、各参加者についてユニバーサルLC探索空間をMNI空間からネイティブ空間に位置合わせするために、NM-MRI画像を空間的に正規化する必要があった。最初に、NM-MRIスキャンを参加者のT1加重スキャンに位置合わせした。次いで、T1加重画像を使用して組織セグメント化を実施した。NM-MRIスキャンは、全ての試験参加者から生成された灰白質及び白質テンプレートを用いたDARTELルーチンを用いてMNI空間に正規化した。これらの正規化されたNM-MRIスキャンの再サンプリングされたボクセルサイズは、1mmで等方性であった。これらの各ステップの後、全ての画像を目視検査した。全ての参加者からの空間的に正規化されたNM-MRI画像を平均化することによって、可視化テンプレートを作成した。
【0267】
その後のステップは、カスタムMatlabスクリプトを使用して展開し、LC信号を具体的に調べた。視覚化テンプレート上に、オーバーインクルーシブなLCマスクを描画して、吻側尾側軸におけるz=xx-yyから広がる第四脳室の前外側縁にある高強度ボクセルを覆った(
図1を参照)。脳アトラスにおける解剖学的ランドマーク(吻端上の下丘及び尾方端上の第四脳室の後陥凹)への距離を相互参照することによって、吻側尾側限界を設定した。等しい長さの3つの吻側尾側セグメントに分割することによってマスクの分割されたバージョンを作製した。次いで、空間正規化ステップで生成された流動場の逆を使用して、オーバーインクルーシブなLCマスク全体及び分割されたマスクをネイティブ空間にワープさせ、NM-MRI画像空間に再サンプリングした。その後、ワープさせたオーバーインクルーシブなLCマスク全体を使用して、各参加者のLCを見つけるための探索空間を定義することができる。クラスター形成アルゴリズムを使用して、この空間内のLCをセグメント化し、最も高い平均信号を有する6つの隣接ボクセル(2.58mm
2)として定義した。この操作を左右のLCに対して繰り返した。所与の軸スライス内の各ボクセルvのコントラスト対ノイズ比(CNR)は、以下:CNR
V=(I
V-モード(I
RR))/モード(I
RR)と同じスライス内の参照領域RRからのNM-MRI信号強度Iの相対的差として計算された。発明者らは、NM濃度が低いことが知られている参照領域、すなわち、半径xxmmの円で画定され、左右LCを接続する軸からxmmを中心とする中央橋を使用した。ネイティブ空間内の全ての軸方向スライスは、3つの分割されたLCマスクのうちのどれがスライス上に存在するかに基づいて、LCセグメント1(吻側)、2(中央)、または3(尾側)に属するものとして識別された(これらのマスクのうちの2つが同じスライス上に存在する場合、LCセグメントは、より明るいLCボクセルをカバーするマスクと一致するものと定義された)。LC信号は、3つのセグメントの各々について、そのセグメント内に入ると判定された全てのボクセルからのNM-MRI CNR値を平均化することによって計算された(例えば、セグメントが右側及び左側の両方のネイティブ空間内の2つの軸スライスをカバーしている場合、これは、LC*2側面*2スライス当たり24ボクセル-6ボクセルからのCNRの平均となる)。
【0268】
統計分析
最終的な統計分析はMatlabを用いて計算された。部分相関では、LC NM-MRI信号と、共変量年齢、性別、及びPTSD診断を含む臨床的尺度との関係を調べた。主要な尺度(LC NM-MRI信号、過覚醒状態の重症度、及びうつ病の重症度)は、リリーフォース検定に基づいて正規分布していることが判明し、発明者らのパラメトリック統計の使用を裏付けた。
【0269】
結果
作戦展開歴のある退役軍人のこのサンプルは、比較的高いレベルの過覚醒及び抑うつ症状を示した(PTSD診断の有無の両方に存在する、表3を参照)。仮説として、尾側LCにおけるNM-MRI信号は、CAPS-5過覚醒症状の重症度と有意に正の相関を示した(r=0.52、p=0.019、うつ病の重症度、PTSD診断、年齢、及び性別について調整した部分相関、
図2参照)。発明者らは、他の集団での研究と一致して、尾側LC NM信号とうつ病の重症度との間に有意な負の相関を観測したた(BDI-II総重症度スコア、r=-0.48、p=0.033、過覚醒重症度、年齢、性別、及びPTSD診断について調整した部分相関。最後に、PTSD基準を満たしていない参加者の発明者らのサンプルは非常に少なかったが(n=5)、NM-MRI信号に対するPTSD診断の影響の証拠があるかどうかをテストした(
図4)。発明者らは、この分析において有意傾向を有する傾向レベル効果を見出した(t
20=-1.0、p=0.32、過覚醒重症度、うつ病の重症度、年齢、及び性別について調整した線形回帰)。この最終的な分析は非常に不十分であり、発明者らの傾向レベル効果はより大規模な将来の研究で有意に達すると仮定している。
【0270】
まとめると、上記の結果は、PTSD及びうつ病などの精神状態におけるLC活動の変化を示している。具体的には、PTSDを有する個体におけるLC NM-MRI信号と過覚醒症状との間の有意な正の相関関係。発明者らの現在の研究はまた、LC-NE活動の増加、及び過覚醒症状へのその相関を関連付けている。
【0271】
更に、PTSDに対する薬理学的介入を検討する研究では、多数のアドレナリン作動薬が、過覚醒症状クラスターに関連する症状の治療にいくらか有効であることが示されている。具体的には、PTSD患者の悪夢を治療するためのα-1アドレナリン受容体拮抗薬であるプラゾシンの使用を裏付ける中程度の証拠がある。特に、ブラゾシンは、PTSDに関連する過覚醒症状に苦しむ退役軍人の助けとなるとが示されている。しかし、その結果、プラゾシンは他の個体のPTSDには有効ではないことも示され、この状態に関連する複雑さが更に実証されている。例えば、軍人の間で行われたメタ分析では、多くの薬剤を含む臨床試験が分析され、特に各薬剤の有効性に焦点が当てられた。ここで、106の試験のうち、プラゾシンに対する完全で正しい反応を示したのは、個体の6%のみであった。51%は薬物にまったく反応しなかった。PTSDが不均一な状態であることは周知であり、この疾患に関連するバイオマーカーを更に特定するためには、より多くの研究が必要である。
【0272】
LC NM-MRI信号とうつ病の重症度との間の負の相関に関しては、大うつ病についてもLC-NE系活動の変化が仮定されており、発明者らの結果は、MDDのバイオマーカーとしてのNM-MRIの使用を裏付けている。大うつ病のための神経支配の標的に焦点を当てた薬理学的研究では、青斑核のNE受容体が調査されている。ここで、選択的NE再取り込み阻害剤であるレボキセチンをうつ病患者に投与したところ、薬物s=は三環系抗うつ薬と非常に類似した有効性を有した。セロチン系及びノルエピネフリン系の両方を標的とする他の薬物(セロトニン及びノルエピネフリン再取り込み阻害剤)も、うつ病に関連する症状の治療に有効であることが示されている。更に、うつ病を有する個体間で実施された死後の研究では、うつ病を有する個体において、NEニューロン密度の顕著な変化及びNEトランスポーター結合の減少が、青斑核において観察されている。全体として、本発明の結果は、うつ病を有する個体におけるNEの減少、したがってLC-NE活動の変化を示唆する現在の文献と一致している。
【0273】
この研究で使用された方法に関して、発明者らは以前、ドーパミン系の変化を捕捉する際のこの方法の有用性及び妥当性を実証した。この研究では、LC内のLC NM-MRI信号を抽出するための発明者らの半自動方法も更に検証することができた。ここで、発明者らの方法は、LCのNM画像分析のためのユニークなアプローチを提供する。この価値、ならびにNMデータの捕捉及び分析における発明者らの確認された成功により、発明者らは、LC-NEシステム、特に臨床環境における変化を捕捉する発明者らの方法及びその能力に自信がある。
【0274】
更に、精神医学の分野内で新規の神経画像法を利用することにより、ドーパミンとノルエピネフリンの両方の神経伝達物質系を研究している研究者が直面している過去の課題を、この方法を使用して克服することができる。具体的には、この方法を使用すると、LCの面内分解能を増加させることができ、LC活動に関連する変化をよりよく捕捉することができる。NM-MRIは、これまでPTSD研究で使用されていなかった新しいイメージング技術でもあり、現在の研究にユニークな側面を追加している。
【0275】
発明者らの現在の研究の限界には、サンプルサイズが小さく、定義された健常対照群が欠如しており、その結果、LC NM-MRI信号及び全体的なPTSD診断に有意な傾向が見出された。将来的にこれらの制限に対処するために、PTSD群、ならびに定義された対照群の両方に対する募集の増加が行われるべきである。大規模な健常対照群が欠落しているが、PTSD関連の研究ではそのような対照群を得ることが困難である可能性があり、その理由は、外傷性イベントを経験したがPTSDを発症しなかった多くの個体が、他の潜在的な精神的健康上の問題を有するからであり、したがって、発明者らは、発明者らのPTSD群を、PTSDを発症せず、うつ病に罹患した個体と比較した。更に、LC NM-MRI信号とPTSD診断との間の相関に関しては、サンプルサイズの増加によって、この相関がより明白になるはずであり得、発明者らは、真の健常対照が組み込まれた場合、ここで観察された有意傾向が有意性に達すると仮定する。
【0276】
結論として、本研究の結果は、NMがPTSD及びうつ病のバイオマーカーであることを示し、これらの疾患を有する患者におけるNMを測定するためのセグメント化ベースのアルゴリズムの使用を裏付ける。LC NM-MRI信号とPTSD及びうつ病との間の相関は、NE活動の変化を裏付ける臨床的証拠を提供し、そのため、両方の状態でのNEシステムの役割を裏付ける更なる証拠を提供する。この研究はまた、両方の状態の治療のための将来のノルアドレナリン作動性標的についての洞察を提供する場合がある。
【表5】
【0277】
実施例4.セグメント化ベースのアプローチを使用したPTSDのバイオマーカーとしてのNM
概要
現在の研究では、PTSDの過覚醒症状クラスターを攻撃する指示された治療を可能にする新規バイオマーカーとして、ニューロメラニン感受性MRI(NM-MRI)を提案している。このような症状は、重大な機能障害及び自殺傾向を引き起こす可能性があり、現在、特定の神経科学に基づく治療は存在しない。短時間の非侵襲的MRIスキャンであるNM-MRIは、PTSDにおけるノルエピネフリン(NE)過剰の実用的で信頼性の高いマーカーを提供し、それによって神経生物学的情報に基づいた治療判定を可能にする可能性がある。今回の提案では、過覚醒症状をNM-MRI信号と関連付け、NM-MRIを用いてその後の臨床試験での治療反応を予測することによって、本アプローチを検証することを提案する。
【0278】
ニューロメラニンは、青みがかった色を青斑核(LC)のNEニューロンに与える色素である。ニューロメラニンは、NEの代謝によって形成され、存続期間にわたってゆっくりと蓄積する。発明者のグループからの検証作業は、ほとんどの神経化学物質とは異なり、NM含有量を特殊なMRI配列、NM-MRIによって高分解能で測定することができることを立証した。この方法は、広範な臨床使用に実用的であり、非侵襲的であり、10分以内に任意のMRIスキャナ上で実行される。発明者のグループなどによる研究は、NM-MRIが重要なPTSDエンドフェノタイプ、過剰な交感神経反応及び過覚醒反応の神経化学的基盤を提供する可能性があることを示唆している。したがって、この技術は、PTSDにおけるNE不均衡の安定した尺度を提供し得るが、本方法はPTSDではまだ検証されておらず、非常に革新的かつ斬新である。
【0279】
過剰なNE機能はPTSDの重要な構成要素である可能性があるが、これは過覚醒症状を示す人のような特定の人にのみ当てはまる可能性がある。中央NEシステムの主な機能は、覚醒を促進することであり、臨床及び前臨床研究は、過覚醒を過剰なNE活動に関連付けている。したがって、NM-MRIは、病理学の基礎となる神経生物学から排除される主観的な臨床的尺度ではなく、客観的な神経生物学的尺度に基づいて治療法が選択される将来の臨床慣行と一致して、治療の判定を導くことができる。
【0280】
発明者らは、外傷歴のある60人の個体(主にOperational Stress Injury Clinicから)を採用することを提案しており、そのうち30人がPTSDについてのCAPS-5基準を満たしている。この外傷を受けた群は、PTSD表現型全体にわたる代表的なサンプルとなり、それによって特定の症状の神経生物学的相関のRDoCに触発された調査を促進する。全ての参加者は、MRIスキャン及び臨床評価を受ける。MRIセッションは、恐怖条件付け手順の間のNM-MRIスキャン及び機能的MRIスキャンで構成される。LC NM-MRI信号は、自動化されたLCセグメント化パイプラインを介して測定される。
【0281】
機能的MRIスキャンの場合、セグメント化されたLCをローカライザーとして使用して、ネイティブ空間においてLCの恐怖関連活性化を測定する。分析では、発明者らのパイロットデータに見られるように、覚醒の臨床的及び生理学的尺度がLCにおけるNM信号及び恐怖条件付け中のLC活性化と相関するかどうかがテストされる。
【0282】
探索的分析では、LC NM信号と扁桃体及び前頭前皮質などの恐怖回路内の構造の活性化との関係を調べる。この研究は、その後、過覚醒症状及びそれらの神経生物学的相関に対処する薬理学的及び非薬理学的介入を試験するための基礎を提供する。したがって、この研究は、発明者らがPTSDの臨床ケアに導入することを提案する新規かつ実用的な疾患及び治療バイオマーカーを提供する。
【0283】
背景
PTSDは軍隊の退役軍人にとって厄介で広く見られる精神的健康問題である。1998年から2015年の間に作戦展開を見た正規軍の退役軍人のうち、16.4%がPTSDを患っていると報告した。過覚醒は、心的外傷後ストレス障害(PTSD)の根底にある症候群の1つである。この症状群は、過度の警戒、過剰な驚き、過敏または無謀な行動、及び睡眠障害を特徴とする。過覚醒はPTSDにおいて一般的であり、非常に有害であり、身体障害、身体的健康問題、及び自殺につながる可能性がある。軍事的PTSDのより効果的な治療は、これらの有害な下流効果を軽減するのに役立つ。PTSDの細分類は現在、臨床評価に依存しているが、PTSDの病因の根底にある神経生物学的メカニズムを迅速に理解することは、生物学的測定がPTSD内の異なる病態を区別するための好ましい方法となることを可能にする。過覚醒の末梢生理学的評価は現在存在するが、この症状クラスターは、中枢神経系内の調節障害に依存する可能性があり、ここでソースにおいて症状クラスターを追跡する過覚醒のバイオマーカーは、最善であるが見つけるのがより困難である。
【0284】
更に、治療に有用であるためには、バイオマーカーは臨床環境に広く実装するために実用的でなければならず、最適な治療戦略を示すのに役立たなければならない。
【0285】
現在の提案では、新規の推定バイオマーカーであるニューロメラニン感受性MRI(NM-MRI)の有用性をテストする。ニューロメラニン感受性MRIは、実用的で信頼性が高く、薬理学的治療戦略にリンクすることができる。NM-MRIは、イメージング方法であり、NE不均衡を有するPTSD患者のサブセットを識別することができる中央ノルエピネフリン(NE)系の実用的かつ特異的なアッセイを提供し、それによって、既存のまたは実験的な薬物(NEシステムを標的とする)または特定の心理療法戦略を使用して、この不均衡を攻撃する標的治療を可能にする。
【0286】
脳のNE系は、ストレス反応、覚醒、恐怖の記憶の強化におけるその役割に関連するPTSDの調節障害の重要な部位として認識されている。非常に最近の影響力のある研究では、PTSD患者の過覚醒が、脳内のNEニューロンの位置である青斑核(LC)の活動に関連しているという説得力のある証拠が示されている。これによって、前臨床研究及びヒトPETイメージング及び遺伝学研究に基づいて、NE系を過覚醒に関連付ける数十年前の理論が確認されている。NE系はまた、NE再取り込み阻害剤(SNRI及びSNDRI)、ならびに一部の個体において効果的に過覚醒を治療することができるα1-アドレナリン受容体拮抗薬プラゾシンを含む、一般的なPTSD治療の重要な標的である。更に、PTSDに対して開発されている薬物は、NE受容体において作用する。ブレクスピプラゾールの現在進行中の臨床試験では、LC NEニューロンの標的エンゲージメント(瞳孔径が指標とされている)が検査されており、イロペリドンは、NE受容体に対して高い親和性を有するために関心薬物とされており、最近の知見では、外傷性記憶再活性化の前のプロプラノロールによる治療についての有望性が示されている。したがって、PTSDにおけるNE不均衡の特定のバイオマーカーは、疾患を特徴付け、治療を導き、標的患者に対するこれらの新しい実験的治療の有効性を評価する上で非常に有用なツールとなるであろう。このような新規のツールは、ニューロメラニン感受性MRI(NM-MRI、
図3参照)によって提供され得る。
【0287】
ニューロメラニン(NM)は、暗色色素であり、カテコールアミン神経伝達物質NE及びドーパミンの分解から形成され、脳内においてカテコールアミンニューロン(LC内のNEニューロン及び黒質内のドーパミンニューロン)にのみ存在する。この色素は、ユニークな特性を有するので、MRイメージングを使用して高空間分解能で定量化できる唯一の神経化学物質の1つとなっており、それによって、PETイメージングの侵襲性及びコストなしにNE系の機能を調べることが可能になる。この色素は、脳内化学成分をアッセイして薬物療法の情報を得るという同様の利点を有するが、安価であり、短時間で利用でき(<10分)、非侵襲的であり、任意の3T MRIスキャナ上で取得可能であるため、大規模な用途に対してより実用的である。NM-MRIは、存続期間にわたって徐々に蓄積し、分解されないため、非常に安定した尺度であり、高い再テスト信頼性を備えるという追加の利点を有する。LCでは、この信号は持続的なNE不均衡の代替尺度を提供し得る。この有益な特性によって、この信号は、(いくつかの確立されていないバイオマーカーとは異なり)精神状態または症状重症度の一時的な変動に基づいて変化することがない。
【0288】
発明者らは、このイメージング方法の取得及び分析において幅広い専門知識を得ている。発明者らの検証及び開発作業では、NM-MRIが実際にNMを感知し、カテコールアミンニューロン機能のマーカーであり、この信号が他の集団における不安及び自律機能の尺度に相関することと一致して、PTSDの過覚醒症状に相関することを確認した。PTSDとの関連性を支持するこのエビデンスにもかかわらず、PTSD NM-MRIの研究はまだ公表されていない。
【0289】
NM-MRI信号の経時的な安定性によって、NM-MRI信号は長期的なNEシステム機能のアッセイとして使用可能であるが、NM-MRI信号の有用性は、最近のNE機能をアッセイすることができるNEシステム機能の状態依存尺度からの情報と組み合わせたときに強化される場合がある。そのような尺度の1つは、恐怖条件付けパラダイム中にBOLD fMRIによって測定されるLCの活動である。このパラダイムは、LC活動が恐怖条件付け及び一般化を促進し、強化された恐怖条件付けがPTSDの病態生理の1つのモデルであるため、LC NM-MRI信号に補完的な情報を提供する。本明細書における更なる補完的尺度は、瞳孔測定であり、瞳孔拡張の評価は、青斑核で生成された神経活動によって媒介される反射的な自律反応の高感度な尺度である。
【0290】
LCにおけるNM-MRI信号は、中枢神経系のNE不均衡のバイオマーカーである。発明者らは、このことを、PTSDにおける過覚醒症状とNE機能との間の関連性を考慮して、PTSDを有するカナダ軍(CAF)退役軍人において評価した。これは、PTSDの臨床的細分類から神経生物学的細分類に移行して標的治療を促進し[38]、実験的治療への可能性の高い反応者を事前に選択することによって新しい治療の発見を加速する取り組みの助けになる。LCにおけるNM-MRI信号は、外傷を受けた個体におけるNE機能の臨床的及び生理学的尺度と相関する。
【0291】
LCにおけるNM-MRI信号の有用性(及びこの関係における性別の考えられる緩和的役割)を、外傷を受けた個体における長期NE機能のバイオマーカーとして評価する。
【0292】
LC NM-MRI信号は、CAPS-5過覚醒症状の重症度、恐怖条件付け中の皮膚伝導反応、及び両性における瞳孔拡張の速度と正の相関を示す。
【0293】
恐怖条件付け中のLCのBOLD fMRI活性化の有用性を、過覚醒に関連してNM-MRI信号を補完し得る瞬間内NE機能の代替バイオマーカーとして評価する。探索的目標1b:従来の恐怖回路における脳構造の恐怖関連のBOLD活性化とLC尺度(NM-MRI及びBOLD)の相関を評価する[40]。探索的目標1c:PTSDについてのCAPS-5基準を満たす外傷を受けた個体からのLC NM-MRI信号を、PTSD基準を満たさない外傷を受けた個体と比較する。
【0294】
予備データ
カテコールアミン系の機能の尺度としてのNM-MRIの検証
NM-MRIは実際にニューロメラニンを感知する。NM-MRI信号は、ヒト死後中脳内のNMの局所組織濃度に対応した(β=0.87、t114=5.05、p=10~6、混合効果モデル、116個の測定値、7つの標本)。発明者らのインビボPET画像研究では、NM-MRIとカテコールアミン神経伝達物質の機能との関連を確認された(部分的なrho=0.69、p=0.004、n=18、この研究では、プローブされたカテコールアミンはNEではなく、ドーパミンであり、ドーパミンは、LCにおけるNE関連信号とは対照的に、黒質においてドーパミン関連のNM-MRI信号を生成する)。NE及びその前駆体であるドーパミンは、NM形成につながる同じ代謝経路に供給され、したがって、ドーパミン系の黒質NM-MRI信号からの発明者らの検証結果は、NE系のLC NM-MRI信号にうまく置き換えられるはずである。
【0295】
青斑核内のNM-MRIとPTSDにおける過覚醒症状との相関
発明者らは、Royal Ottawa Mental Health CentreのOperational Stress Injury(OSI)Clinicにおいて治療された24人についての発明者らのデータセットにおけるLC NM-MRI信号を調べた(うち19人はPTSDについてのCAPS基準を満たしていた)。LC NM-MRI信号は、確立された方法を使用して測定した。LCにおける信号変化のパーセントは、ニューロメラニンを含有しない参照領域と比較して計算される。
【0296】
このサンプルでは、CAPS-5を使用して精神病態を測定した。このスケールから、過覚醒症状クラスターを調べた。発明者らの仮説と一致して、LC NM-MRI信号は、CAPS-5過覚醒症状クラスターの重症度と正の相関を示した(r=0.52、p=0.019、年齢、性別、PTSD診断、うつ病の重症度について調整した部分相関[BDI総スコア]、
図1参照)。以前の報告と同様に、LC NM-MRI信号はうつ病の重症度と負の相関を示した(r=-0.48、p=0.033、年齢、性別、PTSD診断、及び過覚醒剤の重症度について調整した部分相関)。
【0297】
検出力計算
発明者らデータによると、LC NM-MRI信号と過覚醒症候群との関係の影響量はr=0.52に近いと予想される。いくらか弱い効果(r=0.4)を仮定しても、控えめに言って、サンプルサイズがn=60の有意な相関関係を検出する90%の検出力を有する。したがって、外傷歴のある参加者を60人募集することを提案する。OSIクリニックからの外傷にさらされた退役軍人における予備データ(
図1)、及びクリニックからの内部データに基づいて、この集団における過覚醒症状重症度の広い範囲を観察することが期待され、これはこの症状次元に焦点を当てた分析を裏付けるものであり、RDoCアプローチに準拠したアプローチである[9]。
【0298】
研究参加者
研究参加者は、作戦展開歴を有する(代替外傷)カナダ軍の男女退役軍人であり、年齢は18歳~55歳であった。高齢の一部の個体における初期のLC変性に起因する交絡を最小限に抑えるために、55歳を上回る個体は採用されない。RDoCイニシアチブ[9]の目的と一致して、発明者らの研究では、外傷関連症状の全範囲を表す外傷を受けた個体の単一群を調べる。PTSDの異質性を考えて、このアプローチでは、同様に外傷を経験したが、関心症状ドメイン(過覚醒)が異なる個体を登録することによって、神経生物学的相関を識別する能力を最大化する。発明者らは、この関心尺度のばらつきを最大化するが、他の臨床的尺度(例えば、外傷曝露、併存疾患、PTSD対照群において一致することが重要なライフスタイル要因)のばらつきを最小限に抑える。使用可能なデータを有する60人の参加者の目標を達成するためには、n=66人の参加者を募集する必要がある。併存する精神疾患のある個体は参加資格がある。除外基準には、積極的な自殺意図、主要な不安定な医学的疾患、覚醒剤による治療(>一生涯における1ヶ月)、妊娠、神経障害、及びMRIスキャンの禁忌の存在が含まれる。物質使用または薬歴に起因する除外はない(NM-MRI信号に影響を与える可能性がある覚醒剤を除く)。このような採用基準は、この集団における物質使用障害の有病率及び処方される薬剤の異質性に照らして、代表的なサンプルを捕捉しようとする多くのPTSD研究と一致している(これらの問題の更なる考察については、以前のレビューへの応答を参照されたい)。
【0299】
地域社会における作戦を展開していた退役軍人の募集は、分類された広告及び(例えば、OSIクリニックにおいて採用された参加者からの)口コミを介して並行して行われる。PTSDの有無にかかわらず、外傷を受けた個体を比較する二次分析を容易にするために、PTSDについてのCAPS-5基準を満たしていない(60人の外傷を受けた退役軍人の総サンプルからの)n=20人を確実に登録する。この参加者の内訳は、OSIクリニックでPTSDと診断された個体の割合(2017年は66%)と完全に一致する。両方の性別を適切にアッセイし、性別の影響の分析をサポートするために、サンプルの少なくとも40%が確実に女性になるようにする(このクリニックから収集された発明者らの現在の神経画像データには、7/24人の女性が含まれており、これは29%に相当する)。
【0300】
臨床的尺度
スクリーニング及び同意の後に、全ての研究参加者は、MRIスキャン、生理学的測定、及び臨床面接で構成される3~4時間のテストセッションをRoyal Ottawa Mental Health Centreで受ける。以下の臨床的尺度は、面接または自己申告によって全ての参加者において収集される。面接尺度:PTSD臨床診断尺度(CAPS-5、発明者らの主要臨床関心尺度)、DSM5用構造化臨床的面接(SCID-5)、自己申告尺度、PTSDチェックリスト-5(PCL-5)、ピッツバーグ睡眠質問票、ライフイベントチェックリスト、ベックうつ病質問票(BDI-II)、ベック不安質問票(BAI)、解離体験尺度、感情制御困難性尺度、薬物乱用依存尺度(CUAD)、及びコロンビア自殺重症度評価尺度。
【0301】
磁気共鳴イメージング(MRI)及び生理学的尺度
全ての対象は、Royal Ottawa Mental Health Centreにおいて3T MR-PET Siemens Biographスキャナを使用してMRIスキャンを受ける。これには、構造スキャン(T1及びT2加重スキャン)、NM-MRIスキャン、恐怖条件付け中のBOLD機能MRIスキャンが含まれる。各参加者の合計スキャン時間は約50分になる。32チャンネルのヘッドコイルが全てのスキャンに使用される。NM-MRIスキャンは、磁化移動コントラスト及び以下のパラメータを有する2D-GREスキャンである。TR=260ms、TE=2.68ms、フリップ角=40°、面内分解能=0.39×0.39mm、FoV=162×200、マトリックス=416×512、スライス数=10、スライス厚=3.0mm、磁化移動周波数オフセット=1200Hz、励起数=8、取得時間=8.04分。BOLD機能MRI画像は、以下のシーケンスパラメータを用いて、高時間解像度及び解剖学的解像度で取得される:66個のスライス、TR=864ミリ秒、TE=34.8ms、フリップ角度=52°、マトリックス=88x90、FoV=208x97.8mm2、ボクセルサイズ=2.3mm等方性、マルチバンド加速係数=6。また、スピンエコーシーケンス及びB0フィールドマップを収集して、BOLD画像の歪み及び磁場不均一性の補正を助ける。
【0302】
BOLDイメージングは、3つの異なる嫌悪的な条件付けタスクからなる恐怖状態パラダイム中に行われ、各タスクは7分間続く。各タスクの間、参加者には2つのコンピュータで生成された無表情の顔(FaceGenを使用して作成された、www.facegen.com)が提示される。各タスクは様々な顔を有する。各タスク内で、1つの顔(条件付き刺激、CS+)に続いて、33%の試験において脛骨に軽度の電気ショック(無条件刺激)が与えられる。もう一方の顔(対照刺激、CS-)の後にショックは与えられない。皮膚伝導反応(SCR)は、連続分解分析(CDA)と呼ばれる方法によって、MatlabのLedalabを使用して計算される。CDAは、SCRデータを、相動性活動(すなわち、CS+イベントの後のピーク)及び持続性活動(「ベースライン」)の連続信号に分解する。実際には、相動性最大値(単一のイベント後の最大ピーク)がイベントタイプ(CS+、CS-)ごとに平均化される。比較される最終値はCS+/-コントラストである。正のコントラスト値は、CS+への条件付けが成功したことを示す。
【0303】
瞳孔反応尺度は、再現性の高い尺度を生成する検証済みの機器であるNeuroptics PLR-3000ハンドヘルド瞳孔計を使用して取得される[48]。瞳孔計の柔らかいカップは、外光を最小限に抑えるために目に面して配置される。対象は、テストされていない目を開けたまま、壁から10フィート離れた場所に固定する。このデバイスによって使用されるプロトコルは、PTSDにおける別の研究から適応された。
【0304】
測定は、5~6秒後に完了し、その間に、瞳孔径が静止状態で光パルス刺激に反応して測定される。この手順は、3つの周囲光条件(明るい、薄暗い、暗い:それぞれ350、5、及び0ルクス)において繰り返され、光レベルを調整するために4分の間隔が置かれた。光パルスの特徴は、以下の通りである:陽性パルス刺激、パルス強度=50uW、バックグラウンド強度=0uW、測定持続時間=6.02s、パルス持続時間=0.30s、パルス開始=0.70s(「明るい」条件の場合)または陽性パルス刺激、パルス強度=10uW、バックグラウンド強度=0uW、測定持続時間=12.03秒、パルス持続時間=0.17秒、パルス開始=2.04秒(「薄暗い」及び「暗い」条件の場合)。安静時血圧も、臨床評価の直前に測定される。
【0305】
統計分析
LCのNM-MRI信号は、カスタム自動化法を使用してNM-MRI画像から直接測定される[49](
図3)。一次分析は、LC NM-MRI信号に基づき、共変量として年齢、性別、及びBDIの重症度を含む、CAPS過覚醒スコア、恐怖条件付けされた刺激に対する相性皮膚伝導反応、または瞳孔拡張速度のいずれかを予測するための線形回帰である。二次線形回帰分析では、LC NM-MRI信号に基づき、同じく生理学的尺度(皮膚伝導率、血圧、及び瞳孔径)を共変量として含む、過覚醒症状重症度を予測するモデルをテストし、LC NM-MRI信号が、より便利な末梢尺度の寄与を超える寄与を症状重症度の予測に施すかどうかを判定する。二次分析では、年齢、性別、及びうつ病の重症度について調整した線形回帰分析を使用して、PTSDについてのCAPS-5基準を満たす退役軍人(n=40)とPTSDを伴わない外傷を受けた退役軍人(n=20)を比較する。追加の二次分析では、性別の影響が考慮される。
【0306】
機能的MRIデータの分析は、NM-MRI画像を活用して、対象特有のLCローカライザーとしてLCのセグメント化を提供し、したがって、恐怖条件付け中のLC活動の検査を可能にする。この方法は、標準的なfMRIアプローチと比較したLC内のBOLD fMRI活動の改善された推定を可能にする[47](
図2)。最終的な線形回帰分析には、LC NM-MRI信号及びLC BOLD活性化(条件付き刺激から無条件刺激を差し引いたコントラスト)が含まれ、それらが長期及び短期のNE系緊張の補完的な尺度であるかどうかを判断し、独立して過覚醒症状及び生理学的尺度を予測する。また、この豊富なデータセットを活用して、扁桃体、視床下部、前頭前皮質などの従来の恐怖回路における脳構造の恐怖関連活性化に対する発明者らのLC尺度の相関関係を調査し、NE機能障害を臨床症状に関連付ける脳メカニズムの統合モデルを開発する(
図2)。
【0307】
性別及びジェンダーに基づく分析
恐怖システム及びPTSDについての性別固有の危険因子には重要な性差があり[50]、PTSDを有する女性の自律神経機能障害に関する研究は限られている[51]。したがって、性別がLC NM-MRI信号と過覚醒との間の関係における緩和因子であるかどうかを調べる。発明者らは、このことを、過覚醒尺度を予測する線形回帰モデルにsex*LC信号相互作用項を含めることによって行う。この分析をサポートするために、発明者らのサンプルにおいて少なくとも40%の女性を採用する。発明者らはまた、一次分析を男性及び女性において排他的に実施し、効果サイズが両群において確実に類似するようにし、両性における使用をサポートする。
【0308】
実施例5.適応症にわたるアルゴリズムの検証
様々な神経学的及び精神医学的疾患が、2つの主要領域、すなわち黒質緻密部(SNc)及び青斑核(LC)内のニューロメラニン変化と関連付けられている。症状の提示のみに基づいて類似した臨床所見を有する異なる障害を区別することは、症状がしばしば関連する状態の間で重複するため、困難である。
【0309】
本開示は、関連する障害を区別する能力を向上させるために、2つの異なる脳領域(SNc及びLC)内のニューロメラニン(NM)濃度及び体積を測定するための2つの完全に自動化されたアルゴリズムを組み合わせた使用法について説明する。本開示では、ボクセルベースの分析アルゴリズム(すでにColumbia Universityで発明され、特許を取得している)を使用して、SNc内のNMを測定する。しかし、LCははるかに小さく、3T MRI(クリニックにおいて最も一般的に利用可能なスキャナ)でのボクセルベースの分析にはあまり適していない可能性があるので、LCのNMを測定するための新しいアルゴリズムがUniversity of Ottawaにおいて発明された。このLCアルゴリズムは、セグメント化ベースの分析アルゴリズムと呼ばれている。本開示は、症状のみに基づいて区別することが困難である神経精神疾患の診断及び区別を支援するために使用することができるソフトウェアパッケージにおける2つのアルゴリズムの組み合わせについて説明する。
【0310】
本開示では、ボクセルベースの分析アルゴリズムは、SNc内のNMを測定するために使用され、セグメント化ベースの分析アルゴリズムは、LC内のNM変化を測定するために使用される。このソフトウェアは、両方の脳領域のNMレベル及び体積を医師に報告する。これら2つのアルゴリズムを組み合わせることで、関連する神経疾患を区別する能力を増加させ得る。アルゴリズムを完全に自動化されたソフトウェアに組み込むことで、クリニックで広く使用される可能性がある。
【0311】
ここで対象とされる満たされていない医療ニーズは、パーキンソン病、多系統萎縮、進行性核上性麻痺などの関連疾患、ならびにアルツハイマー病及びレビー小体を伴う認知症などの異なる認知症を区別する能力である。関連する疾患を区別する能力が増加すると、臨床におけるソフトウェアの有用性が増加するはずであり、最終的には、他の場合に、いずれかのアルゴリズム単独で可能なよりも広範囲の、NMソフトウェアの医療デバイスとしての使用が推進されるはずである。
【0312】
適応症別の結果及びサポートデータ
図13.ソフトウェアは、SNcボクセルベースのアルゴリズム用の脳領域を選択するためのマスク、及びLCセグメント化ベースのアルゴリズム用の脳領域を選択するための第2のマスクを自動的に適用する。
【0313】
パーキンソン病
2つのアルゴリズムは、健常対照と比較して、パーキンソン病患者におけるSNc及びLC内のNMを分析することによって検証された。ボクセルベースの分析アルゴリズムは、パーキンソン病患者のSNcにおけるNMコントラスト対ノイズ比(CNR)において有意な差を見出したが、セグメント化ベースのアルゴリズムでは、健常対照と比較したときに、この同じ患者集団のLCにおいていかなる差も見出さなかった(
図14)。これは、パーキンソン病におけるNMの主な変化がSNcにおいて生じることを示す以前の文献と一致しているが、このことが、デュアル完全自動アルゴリズムを利用して単一の脳スキャンで完了したのは初めてである。
【0314】
アルツハイマー病の診断
アルゴリズムは、健常対照と比較して、アルツハイマー病を有する患者において検証された。セグメント化ベースの分析アルゴリズムを適用してLCを分析し、ボクセルベースのアルゴリズムを適用してSNcを分析した。パーキンソン病の患者とは対照的に、セグメント化ベースの分析アルゴリズムは、アルツハイマー病の患者のLC内のNMにおいて有意な差を見出したが、ボクセルベースのアルゴリズムは、健常対照と比較して、この同じ患者集団においてSNcにおける有意な差を見出さなかった(
図15)。このことはまた、ADにおける主なNMの変化がLCにおいて生じることを示す従来の文献と一致する。これら2つのデータセットの組み合わせは、一緒に使用すると、ボクセルベース及びセグメント化ベースのアルゴリズムが異なる脳領域内のNMの有意な変化を同時に検出できることを示している。
【0315】
アルツハイマー病の神経精神症状の予測
この2つのアルゴリズムの組み合わせを使用して、アルツハイマー病患者における神経精神症状の存在を判定するのに役立てた。セグメント化ベースの分析アルゴリズムを適用してLCを分析し、ボクセルベースのアルゴリズムを適用してSNcを分析した(
図16)。LCのセグメント化分析では、健常対照と比較してLC内のNMが有意に増加することが見出された。ボクセルベースのアルゴリズムは、健常対照と比較して、SNc内のNMが著しく減少することを示す。SNc内のNMレベルが神経精神症状の存在を有意に予測することが示されたのは今回が初めてである。
【0316】
統合失調症
アルゴリズムは、統合失調症を有する患者において検証された。セグメント化ベースの分析アルゴリズムを適用してLCを分析し、ボクセルベースのアルゴリズムを適用してSNcを分析した(
図17)。統合失調症の患者はSNc内でNMレベルが変化することがすでに発表されていたが、LC内でNMレベルが変化するかどうかは不明である。健常対照と比較して、SNc内のNMレベルに有意な変化が見られ、より高いレベルは、PANSSスケールによって測定される精神病の重症度の増加と関連していた。重要なことに、LC内のNMレベルに有意な変化は見られなかった。このことは、アルツハイマー病の患者が統合失調症(幻覚及び妄想)の症状と重複する精神症状を経験するので重要である。重要なことに、これは、2つの脳領域において測定されたNMレベルがこれらの疾患の診断に役立つ可能性があることを示唆する最初のデータである。重要なことに、統合失調症における精神病症状は、SNc内のNMの増加とのみ関連していたが、アルツハイマー病の神経精神症状は、SNc内のNMの減少及びLC内の増加と関連していた。
【0317】
PTSD
アルゴリズムの組み合わせは、心的外傷後ストレス障害(PTSD)の患者において検証された。
【0318】
ボクセルベースのアルゴリズムは、健常対照と比較して、SNc内のNMレベルとの疾患重症度の有意な関連がないことを示す(
図18)。セグメント化ベースのアルゴリズムは、健常対照と比較してLC内に有意な変化が生じ、NMレベルの増加が疾患重症度と有意に関連していることを示している(右図)。
【0319】
大うつ病性障害
アルゴリズムは、健常対照と比較して、大うつ病性障害を有する患者において検証された。セグメント化ベースの分析アルゴリズムを適用してLCを分析し、ボクセルベースのアルゴリズムを適用してSNcを分析した(
図19)。ボクセルベースのアルゴリズムは、健常対照(左図)と比較して、SNc内のNMレベルに有意差が生じないことを示す。セグメント化ベースのアルゴリズムは、健常対照(右図)と比較して、LCにおける疾患重症度の増加とともにNMレベルが減少する傾向があることを示す。
【0320】
コカイン使用障害
アルゴリズムは、健常対照と比較して、コカイン使用障害を有する患者において検証された。セグメント化ベースの分析アルゴリズムを適用してLCを分析し、ボクセルベースのアルゴリズムを適用してSNcを分析した(
図20)。コカイン使用障害に対するボクセルベース及びセグメンテーションベースのアルゴリズムの適用。ボクセルベースのアルゴリズムは、健常対照と比較して、SNc内のNMの増加がコカイン使用障害と有意に関連していることを示している(左図)。セグメント化ベースのアルゴリズムは、健常対照(右図)と比較して、LCのNMが減少する傾向があることを示している。
【0321】
一実施形態では、以下の要約表は、SN及びLC内の様々なNMレベルを示し、これが患者または症状の重症度において特定の疾患の診断をどのように導くことができるかを示す。
【表6】
【0322】
実施例6.疾患適応症にわたる臨床試験の検証
新しい治療法の開発が直面する困難の1つは、治療の恩恵を受ける可能性が最も高い患者の登録を充実させ、反応しない可能性が高い患者を除外する必要があることである。誤った患者の誤った登録は、新しい治療法の臨床試験の失敗の要因であり、それ以外の場合は効果的な治療法の開発遅延をもたらす可能性がある。このことは、PDにおいて特に必要である。その理由は、パーキンソン病を、パーキンソン病型多系統萎縮症(MSA-P)及び進行性核上性麻痺(PSP)、または本態性振戦(ET)及び特発性正常圧力水頭症(iNPH)のいくつかの症例などの類似症を含む症状を呈することがある障害と区別することが臨床的に困難であることが良く知られているからである。レトロスペクティブ分析では、PDに対する一般神経科医の診断精度は75%であり、PSP及びMSAを含む非定型パーキンソニズムの診断精度は、一般神経科医では61%にすぎず、運動障害専門医では71%であることが示されている。発明者らは、高い誤診率がPDの臨床試験におけるノイズを増加させると結論付けた。ETに関する1件の研究では、最初にPDと診断された患者の25%が後にETを有することが判明したことが示された。同様に、iNPHのレビューは、歩行機能障害が存在する場合、iNPHをPDと区別することが困難である可能性があることを報告している。
【0323】
PDの鑑別診断において有望性を示したイメージングモダリティは、治療的臨床試験におけるバイオマーカーとしてのそれらの有用性を低下させるいくつかの制限を有する。これらには、PD対PSPの診断に役立つ可能性のあるタウタンパク質(タウ-PET)の陽電子放射断層撮影、及びPD対ET及びPD対iNPHの鑑別診断に役立つ可能性のあるDaTscanが含まれる[16]。これらの方法はいずれもコストがかかり、静脈注射を必要とし、患者を放射性放射線トレーサーに曝露し、長い準備及びスキャン時間を必要とし、それぞれPETスキャナ及びSPECTスキャナへのアクセスを必要とする。まとめると、これらの制限は、大規模な臨床試験への広範な展開を実現不可能にする。
【0324】
本研究では、PSP、MSA、ET、及びiNPH患者からのPDの鑑別診断に役立つバイオマーカーとしてNM-MRIを評価している。PD(治療前)、PSP、MSA-P、ET、及びiNPH(シャント介入前)の確立された診断を受けた合計50人の対象(1群当たり10人)、及び10人の健常対照は、病歴を含む臨床評価に加えてNM-MRIスキャンを受け、運動障害協会の統一パーキンソン病評価尺度(MDS-UPDRS)を含む神経学的検査を受ける。各脳半球のSNc及びLC内のニューロメラニンの絶対濃度及び体積は、Terrans NM-SAMDによって判定される。更に、Terrans独自のボクセルベースの分析を適用して、各障害のボクセルベースのパターンを判定する。主要転帰は、SNc及びLC内の絶対NM濃度及び体積の差である。二次転帰は、各疾患に固有のSNc及びLC内のNMの局所特異的ボクセルベースのパターンである。募集期間は12ヶ月となる。具体的には、PD、MSA、PSP、及びET患者は、iNPHを有する患者の募集はシャント介入の前に行われる。
【0325】
この研究では、パーキンソン病スペクトラム障害を区別するためのバイオマーカーNMが検証された。NM-MRIは、PD、PSP、MSA、ET、及びiNPHの区別を助けることによって、将来の臨床試験の設計及び実施の両方を改善することができる。これは、安価で、迅速で、容易に入手可能な非侵襲的バイオマーカーであり、誤った診断を受け、場合によっては、潜在的に貴重な治療薬の効果を弱めることになる患者の登録を低減することにより、PDまたは関連疾患を標的とする将来の治療薬の臨床試験の成功の可能性を増加させることによって、臨床試験に幅広く適用される。最後に、豊富な患者集団は、統計的有意性に達するために必要な患者数を減らすことによって、将来の臨床試験のコストを削減することができる。
【0326】
参考文献
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【0328】
均等物
上記は、本開示の原理を例示するにすぎない。記載された実施形態に対する様々な修正及び変更は、本明細書の教示を考慮すれば当業者には明らかであろう。したがって、当業者は、本明細書に明示的に示されていないか、または記載されていないが、本開示の原理を具体化し、したがって、本開示の趣旨及び範囲内であり得る多数のシステム、構成、及び手順を考案することができることが理解されるであろう。様々な異なる例示的な実施形態は、当業者によって理解されるべきであるように、一緒に、ならびに互換的に使用することができる。加えて、明細書、図面、及びその特許請求の範囲を含む、本開示で使用される特定の用語は、例えば、データ及び情報を含むが、これらに限定されない、特定の例において同義に使用することができる。これらの単語、及び/または互いに同義であり得る他の単語は、本明細書で同義に使用することができるが、そのような単語が同義に使用されないことを意図される場合があることを理解されたい。更に、従来技術の知識は、上記の参照により明示的に本明細書に組み込まれていない範囲に限り、その全体が本明細書に明示的に組み込まれる。参照される全ての文献は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0329】
値の範囲が提供される場合、(文脈によって別途明確に指示されない限り)その範囲の上限と下限との間の下限の単位の10分の1までの各中間値、及びその記載された範囲内の他の記載された値または中間値が、本開示内に包含されることが理解される。これらのより小さい範囲の上限及び下限は、独立して、より小さい範囲に含まれ得、また、記載された範囲内の任意の具体的に除外された限界を条件として、本開示内に包含される。記載された範囲が限界の一方または両方を含む場合、含まれる限界の一方または両方を除外する範囲も本開示に含まれる。
【国際調査報告】