(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-29
(54)【発明の名称】電子モジュール
(51)【国際特許分類】
H05K 9/00 20060101AFI20231121BHJP
C08L 101/00 20060101ALI20231121BHJP
C08K 7/06 20060101ALI20231121BHJP
C08L 67/03 20060101ALI20231121BHJP
C08L 81/02 20060101ALI20231121BHJP
C08L 69/00 20060101ALI20231121BHJP
C08L 67/00 20060101ALI20231121BHJP
C08L 77/00 20060101ALI20231121BHJP
C08J 5/00 20060101ALI20231121BHJP
【FI】
H05K9/00 W
C08L101/00
C08K7/06
C08L67/03
C08L81/02
C08L69/00
C08L67/00
C08L77/00
C08J5/00 CER
C08J5/00 CEZ
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023528025
(86)(22)【出願日】2021-11-09
(85)【翻訳文提出日】2023-07-05
(86)【国際出願番号】 US2021058602
(87)【国際公開番号】W WO2022103743
(87)【国際公開日】2022-05-19
(32)【優先日】2020-11-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-08-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】500100822
【氏名又は名称】ティコナ・エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100129458
【氏名又は名称】梶田 剛
(72)【発明者】
【氏名】サブラモニアン,スレシュ
(72)【発明者】
【氏名】バンサル,プラブッダ
(72)【発明者】
【氏名】ヤン,ヨン-チュル
(72)【発明者】
【氏名】チョイ,スヒ
(72)【発明者】
【氏名】ウォルフ,アルノ
【テーマコード(参考)】
4F071
4J002
5E321
【Fターム(参考)】
4F071AA45
4F071AA48
4F071AA54
4F071AA55
4F071AA84
4F071AA86
4F071AB03
4F071AD01
4F071AE15
4F071AF15Y
4F071AF17
4F071AF20
4F071AF23Y
4F071AF36Y
4F071AF37Y
4F071AF40Y
4F071AF45Y
4F071AH12
4F071BA01
4F071BB05
4F071BC07
4F071BC12
4J002AA011
4J002BB111
4J002BB121
4J002CB001
4J002CF041
4J002CF091
4J002CF161
4J002CF171
4J002CG011
4J002CG021
4J002CG041
4J002CL011
4J002CL021
4J002CL031
4J002CL051
4J002CL061
4J002CL071
4J002CN011
4J002CN021
4J002CN031
4J002DA016
4J002DA020
4J002DA030
4J002DA070
4J002DA090
4J002DE040
4J002DE070
4J002DE090
4J002DE100
4J002DF010
4J002DJ000
4J002DJ040
4J002DJ050
4J002DK000
4J002DL000
4J002FA040
4J002FA046
4J002FD016
4J002FD206
4J002GQ00
4J002GQ01
5E321BB34
5E321BB60
5E321GG05
(57)【要約】
少なくとも1つの電子部品を収容するハウジングを含む電子モジュールが開示される。ハウジングは、ポリマーマトリクス内に分布した電磁障害充填剤を含むポリマー組成物を含み、ここで、電磁障害充填剤は複数の炭素繊維を含み、ポリマーマトリクスは熱可塑性ポリマーを含む。さらに、組成物は、ASTM D4935-18に従って5GHzの周波数および1ミリメートルの厚さで求めて約30デシベル以上の電磁障害遮蔽有効度、およびASTM E 1461-13に従って求めて約1W/m・K以上の面内熱伝導率を示す。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの電子部品を収容するハウジングを含む電子モジュールであって、前記ハウジングは、ポリマーマトリクス内に分布した電磁障害充填剤を含むポリマー組成物を含み、前記電磁障害充填剤は複数の炭素繊維を含み、前記ポリマーマトリクスは熱可塑性ポリマーを含み、さらに、前記組成物は、ASTM D4935-18に従って5GHzの周波数および1.6ミリメートルの厚さで求めて約30デシベル以上の電磁障害遮蔽有効度、ならびにASTM E 1461-13に従って求めて約1W/m・K以上の面内熱伝導率を示す、前記電子モジュール。
【請求項2】
前記ポリマー組成物が、約1.5GHz~約10GHzの周波数範囲にわたって、1.6ミリメートルの厚さで約30デシベル以上の平均電磁障害遮蔽有効度を示す、請求項1に記載の電子モジュール。
【請求項3】
前記ポリマー組成物が、ISO試験No.179-1:2010に従って約23℃の温度で求めて約20kJ/m
2以上のシャルピーノッチ無し衝撃強度を示す、請求項1に記載の電子モジュール。
【請求項4】
前記ポリマー組成物が、ISO試験No.527-1:2019に従って約23℃の温度で求めて約50MPa以上の引張強度を示す、請求項1に記載の電子モジュール。
【請求項5】
前記ポリマー組成物が、ASTM D257-14に従って求めて約25,000Ω・cm以下の体積抵抗率を示す、請求項1に記載の電子モジュール。
【請求項6】
前記ポリマー組成物が、ASTM D257-14に従って求めて約1,000Ω・cm以下の体積抵抗率を示す、請求項1に記載の電子モジュール。
【請求項7】
前記ポリマー組成物が、約4以下の比誘電率および/または2GHzの周波数で約0.001以下の誘電正接を示す、請求項1に記載の電子モジュール。
【請求項8】
前記熱可塑性ポリマーが、ISO 75-2:2013に従って1.8MPaの荷重で求めて約40℃以上の荷重撓み温度を有する、請求項1に記載の電子モジュール。
【請求項9】
前記熱可塑性ポリマーが約10℃以上のガラス転移温度を有する、請求項1に記載の電子モジュール。
【請求項10】
前記熱可塑性ポリマーが約140℃以上の溶融温度を有する、請求項1に記載の電子モジュール。
【請求項11】
前記熱可塑性ポリマーが芳香族ポリマーを含む、請求項1に記載の電子モジュール。
【請求項12】
前記芳香族ポリマーが芳香族ポリエステルである、請求項11に記載の電子モジュール。
【請求項13】
前記芳香族ポリエステルが、ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリ(1,4-ブチレンテレフタレート)、ポリ(1,3-プロピレンテレフタレート)、ポリ(1,4-ブチレン2,6-ナフタレート)、ポリ(エチレン2,6-ナフタレート)、ポリ(1,4-シクロヘキシレン ジメチレン テレフタレート)、またはそれらの組合せである、請求項12に記載の電子モジュール。
【請求項14】
前記芳香族ポリマーがポリアリーレンスルフィドである、請求項11に記載の電子モジュール。
【請求項15】
前記芳香族ポリマーが芳香族ポリカーボネートである、請求項11に記載の電子モジュール。
【請求項16】
前記芳香族ポリマーがサーモトロピック液晶ポリマーである、請求項11に記載の電子モジュール。
【請求項17】
前記芳香族ポリマーが芳香族ポリアミドである、請求項11に記載の電子モジュール。
【請求項18】
前記熱可塑性ポリマーが脂肪族ポリマーを含む、請求項1に記載の電子モジュール。
【請求項19】
前記脂肪族ポリマーが脂肪族ポリアミドを含む、請求項18に記載の電子モジュール。
【請求項20】
前記電磁障害充填剤が前記組成物の約1重量%~約75重量%を構成し、前記ポリマーマトリクスが前記組成物の約25重量%~約99重量%を構成する、請求項1に記載の電子モジュール。
【請求項21】
前記炭素繊維が約200W/m・K以上の固有熱伝導率を有する、請求項1に記載の電子モジュール。
【請求項22】
前記炭素繊維が約20μΩ・m以下の電気抵抗率を有する、請求項1に記載の電子モジュール。
【請求項23】
前記炭素繊維がピッチに由来する、請求項1に記載の電子モジュール。
【請求項24】
前記ピッチがメソフェーズピッチを含む、請求項23に記載の電子モジュール。
【請求項25】
前記炭素繊維が、ASTM D4018-17に従って求めて約500~約10,000MPaの引張強度を示す、請求項1に記載の電子モジュール。
【請求項26】
前記炭素繊維が約1~約200マイクロメートルの平均直径を有する、請求項1に記載の電子モジュール。
【請求項27】
前記ポリマー組成物がガラス繊維を含まない、請求項1に記載の電子モジュール。
【請求項28】
前記ポリマー組成物が追加の熱伝導性充填剤を含まない、請求項1に記載の電子モジュール。
【請求項29】
前記ハウジングが、基体であってそれから延在する側壁を含む基体、および側壁によって支持された任意選択のカバーを含む、請求項1に記載の電子モジュール。
【請求項30】
前記基体、側壁、カバーまたはその組合せが前記ポリマー組成物を含む、請求項29に記載の電子モジュール。
【請求項31】
金属EMIシールドおよび/またはヒートシンクを含まない、請求項1に記載の電子モジュール。
【請求項32】
前記電子部品が、5G無線周波信号を送受信するように構成されたアンテナ素子を含む、請求項1に記載の電子モジュール。
【請求項33】
基地局、小型セルまたはフェムトセルである、請求項32に記載の電子モジュール。
【請求項34】
請求項33に記載の電子モジュールを含む5Gシステム。
【請求項35】
前記電子部品が無線周波検知コンポーネントを含む、請求項1に記載の電子モジュール。
【請求項36】
レーダーモジュールである、請求項35に記載の電子モジュール。
【請求項37】
前記電子部品が光パルスを受信および送信するための光ファイバーアセンブリを含む、請求項1に記載の電子モジュール。
【請求項38】
ライダーモジュールである、請求項37に記載の電子モジュール。
【請求項39】
前記電子部品がカメラを含む、請求項1に記載の電子モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001]本出願は、2020年11月10日に出願された米国特許仮出願第63/111,866号、および2021年8月20日に出願された米国特許仮出願第63/235,268号の利益を主張し、これらは、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
[0002]電子モジュールは通常、電子部品(例えばプリント回路基板、アンテナ素子、無線周波装置、センサー、光検知および/または送信素子(例えば光学ファイバー)、カメラ、全地球測位装置など)を含み、それは、日光、風および湿気などの天候からそれらを保護するためにハウジング構造体内に収容される。通常、そのようなハウジングは、電磁気信号(例えば高周波信号または光)を通過させる材料から形成される。これらの材料は幾つかの用途には適しているが、それにもかかわらずより高い周波数範囲、例えば、LTEまたは5Gシステムに付随するもので、問題が生じることがある。例えば、レーダーモジュールは、通常は、無線周波(RF)レーダー信号、デジタル信号処理作業等を取り扱うための専用の電気部品を有する1つまたは複数のプリント回路基板を含む。これらのコンポーネントが高周波数で効果的に動作することを確実にするために、それらは一般にハウジング構造体内に収容され、そして電波を透過するレドームでカバーされる。他の周囲の電気装置は、レーダーモジュールの正確な動作に影響を及ぼす可能性のある電磁障害(「EMI」)を発生し得るため、EMIシールド(例えばアルミニウム板)が、一般にハウジングとプリント回路基板との間に配置される。電磁障害からコンポーネントを保護することに加えて、コンポーネントから熱を引き離すのを助けるために、一般に回路基板にヒートシンク(例えば熱パッド)を用いることも必要である。残念ながら、そのようなコンポーネントの追加は、得られるモジュールに相当量のコストおよび重量を追加する恐れがあり、自動車産業はより小型で軽量のコンポーネントを要求し続けているので、これは特に不利である。したがって、追加のEMIシールドおよび/またはヒートシンクを必要としない電子モジュールに対する必要性が現在存在する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
[0003]本発明の一実施形態によると、少なくとも1つの電子部品を収容するハウジングを含む電子モジュール(例えばアンテナモジュール、レーダーモジュール、ライダー(lidar )モジュール、カメラモジュールなど)が開示される。ハウジングは、熱可塑性ポリマーを含むポリマーマトリクス内に分布した、複数の炭素繊維を含む電磁障害充填剤を含むポリマー組成物を含む。さらに、組成物は、ASTM D4935-18に従って5GHzの周波数および1.6ミリメートルの厚さで求めて約30デシベル以上の電磁障害遮蔽有効度、およびASTM E 1461-13に従って求めて約1W/m・K以上の面内熱伝導率を示す。
【0004】
[0004]本発明の他の特徴および態様は以下により詳しく述べられる。
[0005]本発明の完全で実施可能な開示が、当業者にとってそれらの最良の様式を含め、添付の図への参照を含む本明細書の残り部分により詳細に記載される。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【
図1】[0006]本発明のポリマー組成物を用いてもよい電子モジュールの一実施形態の分解斜視図である。
【
図2】[0007]本発明の電子モジュールを用いてもよい5Gシステムの一実施形態を描く。
【
図3】[0008]1.5GHz~10GHzの周波数範囲にわたり試料1~2(1.6mmの厚さ)について遮蔽有効度(「SE」)を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0006】
[0009]本議論は例示の実施形態のみの説明であって、本発明のより広範な態様を限定するようには意図されないことは、当業者に理解されるはずである。
[0010]概して言えば、本発明は、1つまたは複数の電子部品(例えばプリント回路基板、アンテナ素子、無線周波検知装置、センサー、光検知および/または送信素子(例えば光学ファイバー)、カメラ、全地球測位装置など)を収容するハウジングを含む電子モジュールを対象とする。ハウジングは、ポリマーマトリクス内に分布したEMI遮蔽充填剤を含むポリマー組成物を含む。ポリマーマトリクスは、高性能熱可塑性ポリマーを含み、EMI遮蔽充填剤は、高度の固有熱伝導率および低い固有電気抵抗率の組合せを有する炭素繊維を含む。
【0007】
[0011]これらの成分の特定の性質および濃度の注意深い選択によって、結果として得られた組成物は、高周波数範囲で熱伝導率とEMI遮蔽有効度の独特の組合せを示すことができる。とりわけ、EMI遮蔽有効度(「SE」)は、ASTM D4935-18に従って5GHzなどの高周波で求めて約30デシベル(dB)以上、幾つかの実施形態において約32dB以上、幾つかの実施形態において約35dB~約100dBであってもよい。殊に、EMI遮蔽有効度は、5G周波数、例えば、約1.5GHz以上、幾つかの実施形態において約1.5GHz~約18GHz、幾つかの実施形態において約1.5GHz~約10GHz、幾つかの実施形態において約2GHz~約9GHzを含む高周波数範囲にわたって安定性を持続し得ることが発見された。EMI遮蔽有効度は、また、約0.5~約10ミリメートル、幾つかの実施形態において約0.8~約5ミリメートル、幾つかの実施形態において約1~約4ミリメートル(例えば1ミリメートル、1.6ミリメートルまたは3ミリメートル)などの様々な異なるコンポーネント厚さについて所望される範囲内にあってもよい。これらの高周波および/または厚さ範囲内では、例えば、平均のEMI遮蔽有効度は、約30dB以上、幾つかの実施形態において約32dB以上、幾つかの実施形態において約35dB~約100dBであってもよい。同様に、最小のEMI遮蔽有効度は、約30dB以上、幾つかの実施形態において約32dB以上、幾つかの実施形態において約35dB~約100dBであってもよい。良好なEMI遮蔽有効度を示すことに加えて、組成物はまた、ASTM D257-14に従って求めて比較的低い体積抵抗率、例えば、約25,000Ω・cm以下、幾つかの実施形態において約20,000Ω・cm以下、幾つかの実施形態において約10,000Ω・cm以下、幾つかの実施形態において約5,000Ω・cm以下、幾つかの実施形態において約1,000Ω・cm以下、幾つかの実施形態において約50~約800Ω・cmを示してもよい。
【0008】
[0012]また、ポリマー組成物は熱伝導性であり、したがってASTM E 1461-13に従って求めて約1W/m・K以上、幾つかの実施形態において約3W/m・K以上、幾つかの実施形態において約5W/m・K以上、幾つかの実施形態において約7~約50W/m・K、幾つかの実施形態において約10~約35W/m・Kの面内熱伝導率を示してもよい。組成物は、また、ASTM E 1461-13に従って求めて約0.3W/m・K以上、幾つかの実施形態において約0.5W/m・K以上、幾つかの実施形態において約0.40W/m・K以上、幾つかの実施形態において約1~約15W/m・K、幾つかの実施形態において約1~約10W/m・Kの厚さ方向熱伝導率を示してもよい。
【0009】
[0013]従来は、良好なEMI遮蔽有効度、ならびに低体積抵抗率および/または熱伝導率を示すポリマー組成物は、また十分な機械的性質を有しないと考えられていた。しかしながら、ポリマー組成物は優れた機械的性質をなお維持することができることが発見された。例えば、ポリマー組成物は、ISO試験No.179-1:2010(ASTM D256-10e1と技術的に同等物)に従って様々な温度、例えば、約-50℃~約85℃の温度範囲内(例えば23℃)で測定して約20kJ/m2以上、幾つかの実施形態において約30~約80kJ/m2、幾つかの実施形態において約40~約60kJ/m2のシャルピーノッチ無し衝撃強度を示してもよい。引張および曲げ機械的性質もまた良好であり得る。例えば、ポリマー組成物は、約50MPa以上、300MPa、幾つかの実施形態において約50~約300MPa、幾つかの実施形態において約80~約500MPa、幾つかの実施形態において約85~約250MPaの引張強度;約0.1%以上、幾つかの実施形態において約0.2%~約5%、幾つかの実施形態において約0.3%~約2.5%の引張破壊歪み;および/または約3,500MPa~約30,000MPa、幾つかの実施形態において約6,000MPa~約28,000MPa、幾つかの実施形態において約15,000MPa~約25,000MPaの引張弾性率を示してもよい。引張特性は、ISO試験No.527-1:2019(ASTM D638-14と技術的に同等物)に従って様々な温度で、例えば、約-50℃~約85℃の温度範囲内(例えば23℃)で求められてもよい。ポリマー組成物はまた、約100~約500MPa、幾つかの実施形態において約130~約400MPa、幾つかの実施形態において約140~約250MPaの曲げ強度;約0.5%以上、幾つかの実施形態において約0.6%~約5%、幾つかの実施形態において約0.7%~約2.5%の曲げ破壊歪み;および/または、約5,000MPa~約60,000MPa、幾つかの実施形態において約20,000MPa~約55,000MPa、幾つかの実施形態において約30,000MPa~約50,000MPaの曲げ弾性率を示してもよい。曲げ特性は、ISO試験No.178:2019(ASTM D790-17と技術的に同等物)に従って様々な温度で、例えば、約-50℃~約85℃(例えば23℃)の温度範囲内で求められてもよい。
【0010】
[0014]ポリマー組成物はまた、上記に注目したような高周波数での低比誘電率(Dielectric constant)および誘電正接(dissipation factor)を示してもよい。すなわち、ポリマー組成物は、高周波数(例えば2または10GHz)で約4以下、幾つかの実施形態において約3.5以下、幾つかの実施形態において約0.1~約3.4、幾つかの実施形態において約1~約3.3、幾つかの実施形態において約1.5~約3.2、幾つかの実施形態において約2~約3.1、幾つかの実施形態において約2.5~約3.1の低誘電率を示してもよい。ポリマー組成物の誘電正接は、エネルギーの損失率の尺度であり、同様に高周波数(例えば2または10GHz)で約0.001以下、幾つかの実施形態において約0.0009以下、幾つかの実施形態において約0.0008以下、幾つかの実施形態において約0.0007以下、幾つかの実施形態において約0.0006以下、幾つかの実施形態において約0.0001~約0.0005であってもよい。
【0011】
[0015]本発明の様々な実施形態がここでより詳細に記載される。
I.ポリマーマトリクス
A.熱可塑性ポリマー
[0016]ポリマーマトリクスは一般に、ISO 75-2:2013に従って1.8MPaの荷重で求めて約40℃以上、幾つかの実施形態において約50℃以上、幾つかの実施形態において約60℃以上、幾つかの実施形態において約80℃~約250℃、幾つかの実施形態において約100℃~約200℃の荷重撓み温度(「DTUL」)によって反映されるような高度の耐熱性を有する1種または複数の高性能熱可塑性ポリマーを含む。高度の耐熱性を示すことに加えて、また通常、熱可塑性ポリマーは、約10℃以上、幾つかの実施形態において約20℃以上、幾つかの実施形態において約30℃以上、幾つかの実施形態において約40℃以上、幾つかの実施形態において約50℃以上、幾つかの実施形態において約60℃~約320℃などの高いガラス転移温度を有する。半結晶性または結晶性ポリマーが用いられる場合、高性能ポリマーはまた、約140℃以上、幾つかの実施形態において約150℃~約400℃、幾つかの実施形態において約200℃~約380℃などの高溶融温度を有していてもよい。当業界でよく知られているように、示差走査熱量測定法(「DSC」)を使用して、ISO 11357-2:2020(ガラス転移)および11357-3:2018(溶融)によって求めて、ガラス転移および溶融温度が求められてもよい。
【0012】
[0017]この目的にとって適切な高性能熱可塑性ポリマーは、例えば、ポリオレフィン(例えばエチレンポリマー、プロピレンポリマーなど)、ポリアミド(例えば脂肪族、半芳香族または芳香族ポリアミド)、ポリエステル、ポリアリーレンアスルフィド、液晶ポリマー(例えば全芳香族ポリエステル、ポリエステルアミドなど)、ポリカーボネート、ポリエーテル(例えばポリオキシメチレン)など、ならびにそれらのブレンドを含んでいてもよい。ポリマー系の正確な選択は、様々な因子、例えば、組成物内に含まれる他の充填剤の性質、組成物が形成および/または加工される方式、ならびに意図した適用の特定の要件に依存する。
【0013】
[0018]芳香族ポリマーは、例えば、ポリマーマトリクスにおいて使用するために特に適している。芳香族ポリマーは、本質的に実質上非晶質、半結晶性または結晶性であってもよい。適切な半結晶性芳香族ポリマーの一例は、例えば芳香族ポリエステルであり、それは、4~20炭素原子、幾つかの実施形態において8~14炭素原子を有するものなどの少なくとも1種のジオール(例えば、脂肪族および/または脂環式)と少なくとも1種の芳香族ジカルボン酸との縮合生成物であってもよい。適切なジオールは、例えば、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジオールおよび式HO(CH2)nOH[式中、nは2~10の整数である。]の脂肪族グリコールを含んでいてもよい。適切な芳香族ジカルボン酸は例えば、イソフタル酸、テレフタル酸、1,2-ジ(p-カルボキシフェニル)エタン、4,4’-ジカルボキシジフェニルエーテルなど、ならびにそれらの組合せを含んでいてもよい。縮合環もまた、例えば、1,4-または1,5または2,6-ナフタレン-ジカルボン酸中に存在することができる。そのような芳香族ポリエステルの特定の例は例えば、ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリ(1,4-ブチレンテレフタレート)(PBT)、ポリ(1,3-プロピレンテレフタレート)(PPT)、ポリ(1,4-ブチレン2,6-ナフタレート)(PBN)、ポリ(エチレン2,6-ナフタレート)(PEN)、ポリ(1,4-シクロヘキシレン ジメチレン テレフタレート)(PCT)、ならびに前述のものの混合物を含んでいてもよい。
【0014】
[0019]芳香族ポリエステル(例えばポリエチレンテレフタレート)の誘導体および/またはコポリマーも用いられてもよい。一実施形態において、例えば、改質する酸および/または改質するジオールはそのようなポリマーの誘導体を形成するために使用されてもよい。本明細書において使用される場合、「改質する酸」および「改質するジオール」という用語は、それぞれポリエステルの酸およびジオールの繰り返し単位の一部を形成することができ、その結晶性を低減するかまたはポリエステルを非晶質にするためにポリエステルを改質することができる化合物を定義するよう意図される。改質する酸成分の例は、イソフタル酸、フタル酸、1,3-シクロヘキサンジカルボン酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸、2,6-ナフタレン(naphthaline)ジカルボン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸、スベリン酸、1,12-ドデカン二酸など含むが、これらに限定されない。実際上、それらの官能性酸誘導体、例えば、ジカルボン酸のジメチル、ジエチルまたはジプロピルエステルを使用することがしばしば好ましい。これらの酸の無水物または酸ハライドも、実用的な場合には用いられてもよい。改質するジオール成分の例は、ネオペンチルグリコール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,2-シクロヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジオール、1,2-シクロヘキサンジメタノール、1,3-シクロヘキサンジメタノール、2,2,4,4-テトラメチル1,3-シクロブタンジオール、Z,8-ビス(ヒドロキシメチルトリシクロ-[5.2.1.0]-デカン[式中、Zは3、4または5を表す];1,4-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、4,4’-ビス(2-ヒドロキシエトキシジフェニルエーテル[ビス-ヒドロキシ-エチルビスフェノールA]、4,4’-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ジフェニルスルフィド[ビス-ヒドロキシ-エチルビスフェノールS]および鎖中に1個または複数の酸素原子を含むジオール、例えばジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコールなどを含んでもよいが、しかしこれらに限定されない。一般に、これらのジオールは、2~18炭素原子、幾つかの実施形態において、2~8炭素原子を含む。脂環式ジオールは、それらのシスまたはトランス配置において、または両形態の混合物として用いることができる。
【0015】
[0020]例えば上記の芳香族ポリエステルは、ISO 75-2:2013に従って1.8MPaの荷重で求めて、通常、約40℃~約80℃、幾つかの実施形態において約45℃~約75℃、幾つかの実施形態において約50℃~約70℃のDTUL値を有する。芳香族ポリエステルは同様に通常、例えば、ISO 11357-2:2020によって求めて、約30℃~約120℃、幾つかの実施形態において約40℃~約110℃、幾つかの実施形態において約50℃~約100℃のガラス転移温度、ならびに例えばISO 11357-2:2018に従って求めて、約170℃~約300℃、幾つかの実施形態において約190℃~約280℃、幾つかの実施形態において約210℃~約260℃の溶融温度を有する。芳香族ポリエステルはまた、例えばISO 1628-5:1998に従って求めて、約0.1dl/g~約6dl/g、幾つかの実施形態において約0.2~約5dl/g、幾つかの実施形態において約0.3~約1dl/gの固有粘度を有していてもよい。
【0016】
[0021]ポリアリーレンスルフィドもまた適切な半結晶性芳香族ポリマーである。ポリアリーレンスルフィドはホモポリマーであってもコポリマーであってもよい。例えば、ジハロ芳香族化合物の選択的な組合せは、少なくとも2つの異なる単位を含むポリアリーレンスルフィドコポリマーをもたらすことができる。例えば、p-ジクロロベンゼンがm-ジクロロベンゼンまたは4,4’-ジクロロジフェニルスルホンと組み合わせて使用される場合、下式の構造を有するセグメントを含むポリアリーレンスルフィドコポリマーを形成することができる:
【0017】
【0018】
および下式の構造を有するセグメント:
【0019】
【0020】
または下式の構造を有するセグメント:
【0021】
【0022】
[0022]ポリアリーレンスルフィドは、直鎖、半直鎖、分岐または架橋していてもよい。直鎖ポリアリーレンスルフィドは通常、80モル%以上の反復単位-(Ar-S)-を含む。そのような直鎖ポリマーはまた、少量の分岐単位または架橋単位を含んでもよいが、しかし、分岐単位または架橋単位の量は通常、ポリアリーレンスルフィドの合計モノマー単位の約1モル%未満である。直鎖ポリアリーレンスルフィドポリマーは、前述の反復単位を含むランダムコポリマーまたはブロックコポリマーであってもよい。半直鎖ポリアリーレンスルフィドは、同様に、3以上の反応性官能基を有する少量の1種または複数のモノマーがポリマーへ導入された架橋構造または分岐構造を有していてもよい。例として、半直鎖ポリアリーレンスルフィドを形成するのに使用されるモノマー成分は、分岐ポリマーを調製する際に利用することができる1分子当たり2以上のハロゲン置換基を有するある量のポリハロ芳香族化合物を含むことができる。そのようなモノマーは、式R’Xn[式中、各Xは塩素、臭素およびヨウ素から選択され、nは整数3~6であり、R’は、最大約4個のメチル置換基を有することができる原子価nの多価芳香族ラジカルであり、R’中の炭素原子の総数は6~約16の範囲内である。]によって表すことができる。半直鎖ポリアリーレンスルフィドを形成するのに用いることができる1分子当たり2を超える置換されたハロゲンを有する幾つかのポリハロ芳香族化合物の例としては、1,2,3-トリクロロベンゼン、1,2,4-トリクロロベンゼン、1,3-ジクロロ-5-ブロモベンゼン、1,2,4-トリヨードベンゼン、1,2,3,5-テトラブロモベンゼン,ヘキサクロロベンゼン、1,3,5-トリクロロ-2,4,6-トリメチルベンゼン、2,2’,4,4’-テトラクロロビフェニル、2,2’,5,5’-テトラ-ヨードビフェニル、2,2’,6,6’-テトラブロモ-3,3’,5,5’-テトラメチルビフェニル、1,2,3,4-テトラクロロナフタレン、1,2,4-トリブロモ-6-メチルナフタレンなど、およびそれらの混合物を含む。
【0023】
[0023]例えば、上記のポリアリーレンスルフィドは通常、ISO 75-2:2013に従って1.8MPaの荷重で求めて、約70℃~約220℃、幾つかの実施形態において約90℃~約200℃、幾つかの実施形態において約120℃~約180℃のDTUL値を有する。同様に通常、ポリアリーレンスルフィドは、例えば、ISO 11357-2:2020によって求めて、約50℃~約120℃、幾つかの実施形態において約60℃~約115℃、幾つかの実施形態において約70℃~約110℃のガラス転移温度、ならびに、例えばISO 11357-3:2018に従って求めて約220℃~約340℃、幾つかの実施形態において約240℃~約320℃、幾つかの実施形態において約260℃~約300℃の溶融温度を有する。
【0024】
[0024]上記に示されるように、実質上明瞭な融点温度がない非晶性ポリマーもまた用いられてもよい。適切な非晶性ポリマーは例えば、通常、式-R1-O-C(O)-O-の反復構造のカーボネート単位を含む芳香族ポリカーボネートを含んでいてもよい。R1基の総数の少なくとも一部(例えば60%以上)は芳香族部分を含み、その残部は脂肪族、脂環式または芳香族であるので、ポリカーボネートはその点で芳香族である。一実施形態において、例えば、R1は、C6~30芳香族基であってもよく、すなわち、少なくとも1個の芳香族部分を含む。通常、R1は一般式HO-R1-OHのジヒドロキシ芳香族化合物、例えば、下記参照の特定の式を有するものに由来する:
HO-A1-Y1-A2-OH
[式中、
A1およびA2は独立して単環二価芳香族基であり;
Y1は、単結合、またはA2からA1を分離する1個もしくは複数の原子を有する架橋基である。]。特定の一実施形態において、ジヒドロキシ芳香族化合物は、以下の式(I)に由来し得る:
【0025】
【0026】
[式中、
RaおよびRbはそれぞれ独立して、ハロゲンまたはC1~12アルキル基、例えば、各アリーレン基のヒドロキシ基に対してメタに配置されたC1~3アルキル基(例えばメチル)であり;
pおよびqはそれぞれ独立して0~4(例えば1)であり;
Xaは、2個のヒドロキシ置換芳香族基を接続する架橋基を表し、ここで、各C6アリーレン基の架橋基およびヒドロキシ置換基は、C6アリーレン基の互いに対して、オルト、メタまたはパラ(とりわけパラ)に配置されている。]。
【0027】
[0025]一実施形態において、Xaは、式-C(Rc)(Rd)-[式中、RcおよびRdはそれぞれ独立して、水素、C1~12アルキル、C1~12シクロアルキル、C7~12アリールアルキル(arylalcyl)、C7~12ヘテロアルキルまたは環状C7~12ヘテロアリールアルキル、または式-C(=Re)-{式中、Reは二価C1~12炭化水素基である。}の基である。]の置換または非置換のC3~18シクロアルキリデン、C1~25アルキリデンであってもよい。このタイプの例示の基は、メチレン、シクロヘキシルメチレン、エチリデン、ネオペンチリデンおよびイソプロピリデン、ならびに2-[2.2.1]-ビシクロヘプチリデン、シクロヘキシリデン、シクロペンチリデン、シクロドデシリデンおよびアダマンチリデンを含む。Xaが置換シクロアルキリデンである特定の例は、以下の式(II)のシクロヘキシリデン架橋アルキル置換ビスフェノールである:
【0028】
【0029】
[式中、
Ra’およびRb’はそれぞれ独立して、C1~12アルキル(例えば、メチルなどのC1~4アルキル)であり、場合によって、シクロヘキシリデン架橋基に対してメタ配置されていてもよく;
RgはC1~12アルキル(例えばC1~4アルキル)またはハロゲンであり;
rおよびsはそれぞれ独立して1~4(例えば1)であり;
tは0~10、例えば0~5である。]。
【0030】
[0026]シクロヘキシリデン架橋ビスフェノールは、1モルのシクロヘキサノンとの2モルのo-クレゾールの反応生成物であってもよい。別の実施形態において、シクロヘキシリデン架橋ビスフェノールは、1モルの水素化イソホロン(例えば1,1,3-トリメチル-3-シクロヘキサン-5-オン)との2モルのクレゾールの反応生成物であってもよい。そのようなシクロヘキサン含有ビスフェノール、例えば1モルの水素化イソホロンとの2モルのフェノールの反応生成物は、高いガラス転移温度および高い熱変形温度を有するポリカーボネートポリマーを製造するのに役立つ。
【0031】
[0027]別の実施形態において、Xaは、C1~18アルキレン基、C3~18シクロアルキレン基、縮合C6~18シクロアルキレン基または式-B1-W-B2-[式中、B1およびB2は独立してC1~6アルキレン基であり、WはC3~12シクロアルキリデン基またはC6~16アリーレン基である。]の基であってもよい。
【0032】
[0028]Xaはまた以下の式(III)の置換C3~18シクロアルキリデンであってもよい:
【0033】
【0034】
[式中、
Rr、Rp、RqおよびRtはそれぞれ独立して、水素、ハロゲン、酸素またはC1~12有機基であり;
Iは、直接結合、炭素または二価の酸素、硫黄または-N(Z)-{式中、Zは、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、C1~12アルキル、C1~12アルコキシまたはC1~12アシルである。}であり;
hは0~2であり;
jは1または2であり;
iは0または1であり;
kは0~3であり、ただし、Rr、Rp、RqおよびRtの一緒になった少なくとも2つは、縮合した脂環式、芳香族またはヘテロ芳香環である。]。
【0035】
[0029]他の有用な芳香族ジヒドロキシ芳香族化合物は以下の式(IV)を有するものを含む:
【0036】
【0037】
[式中、
Rhは、独立してハロゲン原子(例えば臭素)、C1~10ヒドロカルビル(例えばC1~10アルキル基)、ハロゲン置換C1~10アルキル基、C6~10アリール基またはハロゲン置換C6~10アリール基であり;
nは0~4である。]。
【0038】
[0030]式(I)のビスフェノール化合物の特定の例は、例えば、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)メタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)エタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン(以下「ビスフェノールA」または「BPA」)、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)オクタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-ブタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-1-メチルフェニル)プロパン、1,1-ビス(4-ヒドロキシ-t-ブチルフェニル)プロパン、3,3-ビス(4-ヒドロキシフェニル)フタリミジン、2-フェニル-3,3-ビス(4-ヒドロキシフェニル)フタリミジン(PPPBP)、および1,1-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)シクロヘキサン(DMBPC)を含む。特定の一実施形態において、ポリカーボネートは、式(I)においてA1およびA2のそれぞれがp-フェニレンであり、Y1がイソプロピリデンであるビスフェノールAに由来する直鎖ホモポリマーであってもよい。
【0039】
[0031]適切な芳香族ジヒドロキシ化合物の他の例としては以下を含んでもよいが、しかしこれらに限定されない:4,4’-ジヒドロキシビフェニル、1,6-ジヒドロキシナフタレン、2,6-ジヒドロキシナフタレン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)-1-ナフチルメタン、1,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)エタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-1-フェニルエタン、2-(4-ヒドロキシフェニル)-2-(3-ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-ブロモフェニル)プロパン、1,1-ビス(ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)イソブテン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロドデカン、trans-2,3-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-2-ブテン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)アダマンタン、α,α’-ビス(4-ヒドロキシフェニル)トルエン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)アセトニトリル、2,2-ビス(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(3-エチル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(3-n-プロピル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(3-イソプロピル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(3-sec-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(3-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(3-シクロヘキシル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(3-アリル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(3-メトキシ-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、1,1-ジクロロ-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)エチレン、1,1-ジブロモ-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)エチレン、1,1-ジクロロ-2,2-ビス(5-フェノキシ-4-ヒドロキシフェニル)エチレン4,4’-ジヒドロキシベンゾフェノン、3,3-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-2-ブタノン、1,6-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-1,6-ヘキサンジオン、エチレングリコールビス(4-ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(4-ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(4-ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(4-ヒドロキシフェニル)スルホキシド、ビス(4-ヒドロキシフェニル)スルホン、9,9-ビス(4-ヒドロキシフェニル)フルオレン(9,9-bis(4-hydroxyphenyl)fluorine)、2,7-ジヒドロキシピレン、6,6’-ジヒドロキシ-3,3,3’,3’-テトラメチルスピロ(ビス)インダン(「スピロビインダンビスフェノール」)、3,3-ビス(4-ヒドロキシフェニル)フタルイミド、2,6-ジヒドロキシジベンゾ-p-ジオキシン、2,6-ジヒドロキシチアントレン、2,7-ジヒドロキシフェノキサチン、2,7-ジヒドロキシ-9,10-ジメチルフェナジン、3,6-ジヒドロキシジベンゾフラン、3,6-ジヒドロキシジベンソチオフェン、および2,7-ジヒドロキシカルバゾール、レゾルシノール、置換レゾルシン化合物、例えば、5-メチルレゾルシノール、5-エチルレゾルシノール、5-プロピルレゾルシノール、5-ブチルレゾルシノール、5-t-ブチルレゾルシノール、5-フェニルレゾルシノール、5-クミルレゾルシノール、2,4,5,6-テトラフルオロレゾルシノール、2,4,5,6-テトラブロモレゾルシノールなど;カテコール;ヒドロキノン;置換ヒドロキノン、例えば、2-メチルヒドロキノン、2-エチルヒドロキノン、2-プロピルヒドロキノン、2-ブチルヒドロキノン、2-t-ブチルヒドロキノン、2-フェニルヒドロキノン、2-クミルヒドロキノン、2,3,5,6-テトラメチルヒドロキノン、2,3,5,6-テトラ-t-ブチルヒドロキノン、2,3,5,6-テトラフルオロヒドロキノン、2,3,5,6-テトラブロモヒドロキノンなど、ならびにそれらの組合せ。
【0040】
[0032]例えば、上記の芳香族ポリカーボネートは、通常、ISO 75-2:2013に従って1.8MPaの荷重で求めて、約80℃~約300℃、幾つかの実施形態において約100℃~約250℃、幾つかの実施形態において約140℃~約220℃のDTUL値を有する。ガラス転移温度はまた、例えばISO 11357-2:2020によって求めて約50℃~約250℃、幾つかの実施形態において約90℃~約220℃、幾つかの実施形態において約100℃~約200℃であってもよい。そのようなポリカーボネートはまた、例えばISO 1628-4:1998に従って求めて、約0.1dl/g~約6dl/g、幾つかの実施形態において約0.2~約5dl/g、幾つかの実施形態において約0.3~約1dl/gの固有粘度を有していてもよい。
【0041】
[0033]上記参照のポリマーに加えて、高結晶性芳香族ポリマーもまたポリマー組成物において用いられてもよい。そのようなポリマーの特に適切な例は液晶ポリマーであり、これは、型の小さな空間を効果的に充填することを可能にする高い結晶化度を有する。液晶ポリマーは、一般に、それらが棒状の構造を持ち、溶融状態(例えばサーモトロピックネマチック状態)において結晶性挙動を示すことができる限りにおいて「サーモトロピック」として分類される。そのようなポリマーは、通常、ISO 75-2:2013に従って1.8MPaの荷重で求めて、約120℃~約340℃、幾つかの実施形態において約140℃~約320℃、幾つかの実施形態において約150℃~約300℃のDTUL値を有する。ポリマーはまた、約250℃~約400℃、幾つかの実施形態において約280℃~約390℃、幾つかの実施形態において約300℃~約380℃などの比較的高い溶融温度を有する。当業界で公知のように、そのようなポリマーは1種または複数のタイプの反復単位から形成されてもよい。
【0042】
[0034]液晶ポリマーは例えば、通常、ポリマーの約60モル%~約99.9モル%、幾つかの実施形態において約70モル%~約99.5モル%、幾つかの実施形態において約80モル%~約99モル%の量の1種または複数の芳香族エステル反復単位を含んでいてもよい。芳香族エステル反復単位は、一般に以下の式(V)によって表されてもよい:
【0043】
【0044】
[式中、
環Bは、置換または非置換の六員アリール基(例えば1,4-フェニレンまたは1,3-フェニレン)、置換もしくは非置換の五もしくは六員アリール基に縮合した置換もしくは非置換の六員アリール基(例えば2,6-ナフタレン)、または置換もしくは非置換の五もしくは六員アリール基に連結した置換もしくは非置換の六員アリール基(例えば4,4-ビフェニレン)であり;
Y1およびY2は、独立してO、C(O)、NH、C(O)HNまたはNHC(O)である。]。
【0045】
[0035]通常、Y1およびY2の少なくとも1つはC(O)である。そのような芳香族エステル反復単位の例は、例えば、芳香族ジカルボン酸反復単位(式Vにおいて、Y1およびY2はC(O)である)、芳香族ヒドロキシカルボン反復単位(式VにおいてY1はOであり、Y2はC(O)である。)、ならびにそれらの様々な組合せを含んでいてもよい。
【0046】
[0036]例えば、芳香族ジカルボン酸、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルエーテル-4,4’-ジカルボン酸、1,6-ナフタレンジカルボン酸、2,7-ナフタレンジカルボン酸、4,4’-ジカルボキシビフェニル、ビス(4-カルボキシフェニル)エーテル、ビス(4-カルボキシフェニル)ブタン、ビス(4-カルボキシフェニル)エタン、ビス(3-カルボキシフェニル)エーテル、ビス(3-カルボキシフェニル)エタンなど、ならびにアルキル、アルコキシ、アリールおよびそれらのハロゲン置換基、およびそれらの組合せに由来する芳香族ジカルボン酸反復単位が用いられてもよい。特に適切な芳香族ジカルボン酸は、例えば、テレフタル酸(「TA」)、イソフタル酸(「IA」)、および2,6-ナフタレンジカルボン酸(「NDA」)を含んでいてもよい。用いられる場合、芳香族ジカルボン酸(例えばIA、TAおよび/またはNDA)に由来する反復単位は通常、ポリマーの約5モル%~約60モル%、幾つかの実施形態において約10モル%~約55モル%、幾つかの実施形態において約15モル%~約50モル%を構成する。
【0047】
[0037]芳香族ヒドロキシカルボン酸、例えば4-ヒドロキシ安息香酸;4-ヒドロキシ-4’-ビフェニルカルボン酸;2-ヒドロキシ-6-ナフトエ酸;2-ヒドロキシ-5-ナフトエ酸;3-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸;2-ヒドロキシ-3-ナフトエ酸;4’-ヒドロキシフェニル-4-安息香酸;3’-ヒドロキシフェニル-4-安息香酸;4’-ヒドロキシフェニル-3-安息香酸など、ならびにアルキル、アルコキシ、アリールおよびそれのハロゲン置換基、およびそれらの組合せに由来する芳香族ヒドロキシカルボキシル反復単位もまた用いられてもよい。特に適切な芳香族ヒドロキシカルボン酸は4-ヒドロキシ安息香酸(「HBA」)および6-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸(「HNA」)である。用いられる場合、ヒドロキシカルボン酸(例えば、HBAおよび/またはHNA)に由来する反復単位は通常、ポリマーの約10モル%~約85モル%、幾つかの実施形態において約20モル%~約80モル%、幾つかの実施形態において約25モル%~約75%を構成する。
【0048】
[0038]他の反復単位もポリマーにおいて用いられてもよい。ある実施形態において、例えば、芳香族ジオール、例えば、ヒドロキノン、レゾルシノール、2,6-ジヒドロキシナフタレン、2,7-ジヒドロキシナフタレン、1,6-ジヒドロキシナフタレン、4,4’-ジヒドロキシビフェニル(または4,4’-ビフェノール)、3,3’-ジヒドロキシビフェニル、3,4’-ジヒドロキシビフェニル、4,4’-ジヒドロキシビフェニルエーテル、ビス(4-ヒドロキシフェニル)エタンなど、ならびにアルキル、アルコキシ、アリールおよびそれらのハロゲン置換基、およびそれらの組合せに由来する反復単位が用いられてもよい。特に適切な芳香族ジオールは例えば、ヒドロキノン(「HQ」)および4,4’-ビフェノール(「BP」)を含んでいてもよい。用いられる場合、芳香族ジオール(例えば、HQおよび/またはBP)に由来する反復単位は通常、ポリマーの約1モル%~約30モル%、幾つかの実施形態において約2モル%~約25モル%、幾つかの実施形態において約5モル%~約20%を構成する。反復単位、例えば、芳香族アミド(例えばアセトアミノフェン(「APAP」))および/または芳香族アミン(例えば4-アミノフェノール(「AP」))、3-アミノフェノール、1,4-フェニレンジアミン、1,3-フェニレンジアミンなどに由来するものも用いられてもよい。用いられる場合、芳香族アミド(例えばAPAP)および/または芳香族アミン(例えばAP)に由来する反復単位は、通常、ポリマーの約0.1モル%~約20モル%、幾つかの実施形態において約0.5モル%~約15モル%、幾つかの実施形態において約1モル%~約10%を構成する。また、様々な他のモノマーの反復単位がポリマーに組み込まれてもよいことは理解されるはずである。例えばある実施形態において、ポリマーは非芳香族モノマー、例えば、脂肪族または脂環式ヒドロキシカルボン酸、ジカルボン酸、ジオール、アミド、アミンなどに由来する1種または複数の反復単位を含んでいてもよい。当然のことながら、他の実施形態において、ポリマーは、非芳香族(例えば、脂肪族または脂環式)モノマーに由来する反復単位がないという点で「全芳香族」であってもよい。
【0049】
[0039]特定の一実施形態において、液晶ポリマーは、4-ヒドロキシ安息香酸(「HBA」)およびテレフタル酸(「TA」)および/またはイソフタル酸(「IA」)、ならびに様々な他の任意選択の成分に由来する反復単位から形成されてもよい。4-ヒドロキシ安息香酸(「HBA」)に由来する反復単位は、ポリマーの約10モル%~約80モル%、幾つかの実施形態において約30モル%~約75モル%、幾つかの実施形態において約45モル%~約70%を構成してもよい。テレフタル酸(「TA」)および/またはイソフタル酸(「IA」)に由来する反復単位は同様に、ポリマーの約5モル%~約40モル%、幾つかの実施形態において約10モル%~約35モル%、幾つかの実施形態において約15モル%~約35%を構成してもよい。4,4’-ビフェノール(「BP」)および/またはヒドロキノン(「HQ」)に由来する反復単位も、ポリマーの約1モル%~約30モル%、幾つかの実施形態において約2モル%~約25モル%、幾つかの実施形態において約5モル%~約20%の量で用いられてもよい。他の可能な反復単位は、6-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸(「HNA」)、2,6-ナフタレンジカルボン酸(「NDA」)および/またはアセトアミノフェン(「APAP」)に由来するものを含んでいてもよい。ある実施形態において、例えば、HNA、NDAおよび/またはAPAPに由来する反復単位は、用いられる場合、それぞれ、約1モル%~約35モル%、幾つかの実施形態において約2モル%~約30モル%、幾つかの実施形態において約3モル%~約25モル%を構成してもよい。
【0050】
[0040]当然のことながら、芳香族ポリマーの他に、脂肪族ポリマーもまた、ポリマーマトリクス中の高性能熱可塑性ポリマーとしての使用に適切であり得る。一実施形態において、例えば、一般に主鎖中にCO-NH連結を有し、脂肪族ジアミンと脂肪族ジカルボン酸の縮合によって、ラクタムの開環重合、またはアミノカルボン酸の自己縮合によって得られるポリアミドが用いられてもよい。例えば、ポリアミドは、通常4~14炭素原子を有する脂肪族ジアミンに由来する脂肪族反復単位を含んでいてもよい。そのようなジアミンの例としては、直鎖脂肪族アルキレンジアミン、例えば、1,4-テトラメチレンジアミン、1,6-ヘキサンジアミン、1,7-ヘプタンジアミン、1,8-オクタンジアミン、1,9-ノナンジアミン、1,10-デカンジアミン、1,11-ウンデカンジアミン、1,12-ドデカンジアミンなど;分岐脂肪族アルキレンジアミン、例えば2-メチル-1,5-ペンタンジアミン、3-メチル-1,5ペンタンジアミン、2,2,4-トリメチル-1,6-ヘキサンジアミン、2,4,4-トリメチル-1,6-ヘキサンジアミン、2,4-ジメチル-1,6-ヘキサンジアミン、2-メチル-1,8-オクタンジアミン、5-メチル-1,9-ノナンジアミンなど;ならびにそれらの組合せを含む。脂肪族ジカルボン酸は例えば、アジピン酸、セバシン酸などを含んでいてもよい。そのような脂肪族ポリアミドの特定の例は、例えば、ナイロン-4(ポリ-α-ピロリドン)、ナイロン-6(ポリカプロアミド)、ナイロン-11(ポリウンデカンアミド)、ナイロン-12(ポリドデカンアミド)、ナイロン-46(ポリテトラメチレンアジポアミド)、ナイロン-66(ポリヘキサメチレンアジポアミド)、ナイロン-610、およびナイロン-612を含む。ナイロン-6およびナイロン-66は特に適切である。
【0051】
[0041]また、芳香族(芳香族モノマー単位だけを含有する、は脂肪族及び芳香族モノマー単位の両方である)であると考えられるようにポリアミド中に芳香族モノマー単位を含ませることは可能であると理解されるべきである。芳香族ジカルボン酸の例は例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、2,7-ナフタレンジカルボン酸、1,4-ナフタレンジカルボン酸、1,4-フェニレンジオキシ二酢酸、1,3-フェニレンジオキシ二酢酸、ジフェン酸、4,4’-オキシ二安息香酸、ジフェニルメタン-4,4’-ジカルボン酸、ジフェニルスルホン-4,4’-ジカルボン酸、4,4’-ビフェニルジカルボン酸などを含んでいてもよい。特に適切な芳香族ポリアミドは、ポリ(ノナメチレンテレフタルアミド)(PA9T)、ポリ(ノナメチレンテレフタルアミド/ノナメチレンデカンジアミド)(PA9T/910)、ポリ(ノナメチレンテレフタルアミド/ノナメチレンドデカンジアミド)(PA9T/912)、ポリ(ノナメチレンテレフタルアミド/11-アミノウンデカンアミド)(PA9T/11)、ポリ(ノナメチレンテレフタルアミド/12-アミノドデカンアミド)(PA9T/12)、ポリ(デカメチレンテレフタルアミド/11-アミノウンデカンアミド)(PA10T/11)、ポリ(デカメチレンテレフタルアミド/12-アミノドデカンアミド(PA10T/12)、ポリ(デカメチレンテレフタルアミド/デカメチレンデカンジアミド)(PA10T/1010)、ポリ(デカメチレンテレフタルアミド/デカメチレンドデカンジアミド)(PA10T/1012)、ポリ(デカメチレンテレフタルアミド/テトラメチレンヘキサンジアミド)(poly(decamethyleneterephlhalamide/tetramethylenehexanediamide))(PA10T/46)、ポリ(デカメチレンテレフタルアミド/カプロラクタム)(PA10T/6)、ポリ(デカメチレンテレフタルアミド/ヘキサメチレンヘキサンジアミド)(PA10T/66)、ポリ(ドデカメチレンテレフタルアミド/ドデカメチレンドデカンジアミド)(poly(dodecamethylene Ierephthalamide/dodecamelhylenedodecanediarnide))(PA12T/1212)、ポリ(ドデカメチレンテレフタルアミド/カプロラクタム)(PA12T/6)、ポリ(ドデカメチレンテレフタルアミド/ヘキサメチレンヘキサンジアミド)(PA12T/66)などを含んでいてもよい。
【0052】
[0042]ポリアミド組成物において用いられるポリアミドは通常、本質的に結晶性また半結晶性であり、したがって測定可能な溶融温度を有する。組成物が、結果として得られる部品にかなりの程度の耐熱性を与えることができるように、溶融温度は比較的高くてもよい。例えば、ポリアミドは、約220℃以上、幾つかの実施形態において約240℃~約325℃、幾つかの実施形態において約250℃~約335℃の溶融温度を有していてもよい。ポリアミドはまた、約30℃以上、幾つかの実施形態において約40℃以上、幾つかの実施形態において約45℃~約140℃などの比較的高いガラス転移温度を有していてもよい。ガラス転移および溶融温度は、示差走査熱量測定法(「DSC」)を使用して、ISO試験No.11357-2:2020(ガラス転移)および11357-3:2018(溶融)によって求められように、当業界でよく知られているように求められてもよい。
【0053】
[0043]プロピレンポリマーはまたポリマーマトリクスで使用される適切な脂肪族高性能ポリマーであってもよい。ポリマーマトリクスにおいて一般に、例えば、プロピレンホモポリマー(例えば、シンジオタクチック、アタクチック、アイソタクチックなど)、プロピレンコポリマーなどの、様々なプロピレンポリマーまたはプロピレンポリマーの組合せのうちのいずれが用いられてもよい。一実施形態において、例えば、アイソタクチックまたはシンジオタクチックホモポリマーであるプロピレンポリマーが用いられてもよい。一般に「シンジオタクチック」という用語は、メチル基のかなりの部分(すべてではないにしても)がポリマー鎖に沿って反対側に交互にあるタクティシティーを指す。他方では、一般に「アイソタクチック」という用語は、メチル基のかなりの部分(すべてではないにしても)がポリマー鎖に沿って同じ側にあるタクティシティーを指す。なお他の実施形態において、α-オレフィンモノマーとのプロピレンのコポリマーが用いられてもよい。適切なα-オレフィンモノマーの特定の例としては、エチレン、1-ブテン;3-メチル-1-ブテン;3,3-ジメチル-1-ブテン;1-ペンテン;1個または複数のメチル、エチルまたはプロピル置換基を有する1-ペンテン;1個または複数のメチル、エチルまたはプロピル置換基を有する1-ヘキセン;1個または複数のメチル、エチルまたはプロピル置換基を有する1-ヘプテン;1個または複数のメチル、エチルまたはプロピル置換基を有する1-オクテン;1個または複数のメチル、エチルまたはプロピル置換基を有する1-ノネン;エチル、メチルまたはジメチル置換の1-デセン;1-ドデセン;およびスチレンを含んでいてもよい。そのようなコポリマーのプロピレン含有率は、約60モル%~約99モル%、幾つかの実施形態において約80モル%~約98.5モル%、幾つかの実施形態において約87モル%~約97.5モル%であってもよい。α-オレフィン含有率は、同様に約1モル%~約40モル%、幾つかの実施形態において約1.5モル%~約15モル%、幾つかの実施形態において約2.5モル%~約13モル%の範囲であってもよい。
【0054】
[0044]適切なプロピレンポリマーは通常、ISO 75-2:2013に従って1.8MPaの荷重で求めて約80℃~約250℃、幾つかの実施形態において約100℃~約220℃、幾つかの実施形態において約110℃~約200℃のDTUL値を有するものである。そのようなポリマーのガラス転移温度は同様に、例えばISO 11357-2:2020によって求めて約10℃~約80℃、幾つかの実施形態において約15℃~約70℃、幾つかの実施形態において約20℃~約60℃であってもよい。さらに、そのようなポリマーの溶融温度は、例えばISO 11357-3:2018によって求めて約50℃~約250℃、幾つかの実施形態において約90℃~約220℃、幾つかの実施形態において約100℃~約200℃であってもよい。
【0055】
[0045]オキシメチレンポリマーはまた、ポリマーマトリクスにおいて使用される適切な脂肪族高性能ポリマーであってもよい。オキシメチレンポリマーは、1種または複数のホモポリマー、コポリマーまたはそれらの混合物のいずれかであってもよい。ホモポリマーは、ホルムアルデヒドまたは、ホルムアルデヒドの環状オリゴマーなどのホルムアルデヒドの同等物の重合により調製される。コポリマーは、ポリオキシメチレン組成物を調製するのに一般に使用される1種または複数のコモノマーを含むことができる。共通して使用されるコモノマーは、2~12炭素原子のアルキレンオキシドを含む。コポリマーが選択されれば、コモノマーの量は通常、20重量パーセント以下、幾つかの実施形態において15重量パーセント以下、幾つかの実施形態において、約2重量パーセントである。コモノマーはエチレンオキシドおよびブチレンオキシドを含むことができる。ホモポリマーおよびコポリマーは以下であることが好ましい:1)末端ヒドロキシ基が化学反応によって末端封止されて、エステルまたはエーテル基を形成したもの;または2)完全には末端封止されていないが、しかしコモノマー単位からの幾つかの遊離ヒドロキシ末端を有するコポリマー。典型的な末端基は、いずれかの事例において、アセテートおよびメトキシである。
【0056】
B.EMI充填剤
[0046]上記に示されるように、炭素繊維を含むEMI充填剤はポリマーマトリクス内に分布する。概して言えば、炭素繊維は、高い固有熱伝導率、例えば、約200W/m・K以上、幾つかの実施形態において約500W/m・K以上、幾つかの実施形態において約600W/m・K~約3,000W/m・K、幾つかの実施形態において約800W/m・K~約1,500W/m・K、ならびに約20μΩ・m未満、幾つかの実施形態において約10μΩ・m未満、幾つかの実施形態において約0.05~約5μΩ・m、幾つかの実施形態において約0.1~約2μΩ・mの低い固有電気抵抗率(単一フィラメント)を示してもよい。
【0057】
[0047]炭素繊維、例えば、セルロース、リグニン、ポリアクリロニトリル(PAN)およびピッチから得られた炭素繊維の性質は変動してもよい。ピッチ系炭素繊維は、ポリマー組成物中で使用するのに特に適している。そのようなピッチ系繊維は、例えば、縮合多環式炭化水素化合物(例えばナフタレン、フェナントレンなど)、縮合複素環式化合物(例えば石油系ピッチ、石炭系ピッチなど)などに由来してもよい。光学異方性ピッチ(「メソフェーズ(mesophase)ピッチ」)を用いることは、ピッチがサーモトロピッククリスタルを形成することができ、ピッチが組織され、直鎖状の鎖を形成することが可能になり、それによってそれらの結晶構造により本質的によりシート状の繊維をもたらすそういうものとして、特に望ましいことであり得る。とりわけ、そのようなモルフォロジーを有する繊維は、より高度の固有熱伝導率を有し得る。S.ChwastiakらによってCarbon 19,357-363(1981)において開示された用語および方法によって定義され説明されるように、メソフェーズピッチは、通常、90重量%を超えるメソフェーズ、幾つかの実施形態において、およそ100重量%のメソフェーズピッチを含む。そのようなピッチ系炭素繊維は当業界で知られている様々な技法のうちのいずれかを使用して形成されてもよい。例えば、ピッチ系繊維は、約250℃以上、幾つかの実施形態において約250℃~約350℃などの、未加工のピッチ材料の軟化点より上の温度で高純度メソフェーズピッチを溶融紡糸することによって形成されてもよい。次いで、溶融紡糸された繊維は、不純物を除去する様々な熱処理ステップ、例えば、架橋を開始し不純物を除去する酸化/プレ炭化、無機元素を除去する炭化、および/または結晶領域の整列および配向を改善する黒鉛化に供してもよい。そのような熱処理ステップは一般に、約400℃~約2,500℃などの高温、および不活性雰囲気中で行われる。そのような技法の例は、例えば、Nishihataらへの米国特許第8,642,682号およびSanoらへの米国特許第7,846,543号に記載されている。
【0058】
[0048]高い固有熱伝導率および低体積抵抗率を示すことに加えて、そのような繊維は一般にそれらの質量に比較して高い引張強度を有する。例えば、繊維の引張強度は、例えばASTM D4018-17に従って求めて通常約500~約10,000MPa、幾つかの実施形態において約600MPa~約4,000MPa、幾つかの実施形態において約800MPa~約2,000MPaである。繊維は、約1~約200マイクロメートル、幾つかの実施形態において約1~約150マイクロメートル、幾つかの実施形態において約3~約100マイクロメートル、幾つかの実施形態において約5~約50マイクロメートルの平均直径を有していてもよい。繊維は細断または摩砕された連続フィラメントであってもよい。ある実施形態において、例えば、繊維は、同様に約0.1~約15ミリメートル、幾つかの実施形態において約0.5~約12ミリメートル、幾つかの実施形態において約1~約10ミリメートルの範囲にあってもよい繊維の体積平均長を有する、細断された繊維であってもよい。
【0059】
[0049]EMI充填剤は、通常、組成物の約1重量%~約75重量%、幾つかの実施形態において約2重量%~約70重量%、幾つかの実施形態において約5重量%~約60重量%、幾つかの実施形態において約6重量%~約50重量%、幾つかの実施形態において約10重量%~約30重量%の量で存在する。ポリマーマトリクスは、同様に、組成物の約25重量%~約99重量%、幾つかの実施形態において約30重量%~約98重量%、幾つかの実施形態において約40重量%~約95重量%、幾つかの実施形態において約50重量%~約94重量%、幾つかの実施形態において約70重量%~約90重量%の量で存在してもよい。当然のことながら、EMI充填剤の正確な量は、一般に充填剤の性質および/または熱可塑性ポリマー(複数可)、ならびに組成物中の他の成分の性質に依存する。
【0060】
[0050]所望の場合、EMI充填剤および下記の他の任意選択の成分(例えば、熱伝導性充填剤、難燃剤、安定剤、補強用(reinforcing)繊維、顔料、滑剤など)は、一緒に溶融ブレンドされてポリマーマトリクスを形成してもよい。原料は、材料を分散ブレンドする溶融ブレンド装置に同時にまたは順に供給されてもよい。バッチおよび/または連続溶融ブレンド技法が用いられてもよい。例えば混合機/混練機、バンバリーミキサー、Farrel連続混合機、単軸押出機、二軸押出機、ロールミルなどが材料をブレンドするために利用されてもよい。1つの特に適切な溶融ブレンド装置は、同方向回転二軸押出機(例えばWerner & Pfleiderer Corporation of Ramsey,N.J.から入手可能なZSK-30二軸押出機)である。そのような押出機は供給および放出ポートを含み、高強度の分配的および分散的混合を提供することができる。
【0061】
[0051]しかし、ある他の実施形態において、EMI充填剤は他の技法を使用して、ポリマーマトリクスと組み合わせてもよい。特定の一実施形態において、例えば、EMI充填剤は「長尺繊維」の形態であってもよく、それは一般に、連続的でなく、約1~約25ミリメートル、幾つかの実施形態において約1.5~約20ミリメートル、幾つかの実施形態において約2~約15ミリメートル、幾つかの実施形態において約3~約12ミリメートルの長さを有する繊維、フィラメント、ヤーンまたはロービング(例えば繊維の束)を指す。繊維の公称直径(例えばロービング内の繊維の直径)は、約1~約40マイクロメートル、幾つかの実施形態において約2~約30マイクロメートル、幾つかの実施形態において約5~約25マイクロメートルの範囲であってもよい。所望の場合、繊維は、単繊維タイプまたは異なるタイプの繊維を含むロービング(例えば繊維の束)の形態をしていてもよい。各ロービング中に含まれる繊維の数は、一定であっても、またはロービングごとに変動してもよい。通常、ロービングは、約1,000の繊維~約50,000の個別繊維、幾つかの実施形態において約2,000~約40000の繊維を含んでいてもよい。
【0062】
[0052]一般に、様々な異なる技法のいずれも、ポリマーマトリクスにそのような長尺繊維を組み込むために用いられてもよい。長尺繊維は、ポリマーマトリクス内にランダムに分布してもよく、または代替として、整列して分布してもよい。一実施形態において、例えば、連続繊維は、ストランドを形成するために最初にポリマーマトリクスへ含浸させられてもよく、その後冷却され、次に、結果として得られた繊維が長尺繊維としての所望の長さを有するようにペレットへ細断される。そのような実施形態において、ポリマーマトリクスおよび連続繊維(例えばロービング)は通常、含浸ダイを通して引抜成形されて繊維とポリマーの間で所望の接触を達成する。引抜成形は、また繊維が離れており、同じまたは実質上類似の方向、例えば、ペレットの主軸(例えば長さ)と平行な縦方向に並ぶことを確実にするのを助けることができ、それがさらに機械的性質を増強する。例えば、引抜成形プロセスの一実施形態は、押出機から含浸ダイへのポリマーマトリクスの供給を伴ってもよく、一方で連続繊維は引抜装置によってダイを通して引き抜かれて複合構造体を生成する。通常の引抜装置(puller devices)としては、例えばキャタピラー引抜機および往復引抜機を挙げることができる。任意選択であるが、複合構造体はまた、押出機に取り付けられたコーティングダイ(それを通してコーティング樹脂が塗布されて被覆構造体を形成する)を通して引き抜くこともできる。被覆構造体は、次に引抜機アセンブリによって引き抜かれ、構造体を長尺繊維補強(reinforced)組成物を形成するために望ましいサイズに切断するペレタイザーに供給される。
【0063】
[0053]引抜成形プロセス中に使用される含浸ダイの性質を選択的に変化させて、ポリマーマトリクスと長尺繊維との間に良好な接触を達成するのを助けることができる。適切な含浸ダイシステムの例は、Hawleyへの再発行特許第32,772号;Reganらへの第9,233,486号;およびEastepらへの第9,278,472号に詳細に記載されている。例えば、ポリマーマトリクスは押出機を介して含浸ダイに供給されてもよい。ダイは一般に、熱可塑性ポリマーの溶融および含浸を引き起こすのに十分な温度で作業される。通常は、ダイの作業温度はポリマーマトリクスの融点よりも高い。このように加工されたら、連続繊維はポリマーマトリクス中に埋め込まれる。次に、混合物は、含浸ダイを通して引き抜かれて繊維補強組成物を生成する。
【0064】
[0054]含浸ダイ内では、繊維が一連の衝突帯域に接触することが一般に望ましい。これらの帯域において、ポリマー溶融物が繊維を通して横方向に流れて剪断および圧力を生成させることができ、これにより含浸の程度が大きく増大する。これは、高い繊維含有率のリボンから複合体を形成する場合に特に有用である。通常は、ダイは、十分な程度の剪断および圧力を生成するために、ロービング当たり少なくとも2、幾つかの実施形態においては少なくとも3、幾つかの実施形態においては4~50の衝突帯域を含む。それらの特定の形態は変化してもよいが、衝突帯域は、通常は湾曲した突出部、ロッドなどのような湾曲した表面を有する。衝突帯域はまた、通常、金属材料で製造される。含浸をさらに容易にするために、繊維はまた、含浸ダイ内に存在している間、張力下に維持されてもよい。張力は、例えば、繊維のトウあたり約5~約300ニュートン、幾つかの実施形態において約50~約250ニュートン、幾つかの実施形態において約100~約200ニュートンの範囲であってよい。さらに、繊維はまた、剪断を増大させるために、曲がりくねった進路で衝突帯域を通過させてもよい。例えば、繊維は衝突帯域にわたって正弦波型の通り道で横切ってもよい。ロービングが1つの衝突帯域から別の衝突帯域へ横切る角度は、一般に剪断を増大させるのに十分に高いが、繊維を破断する過剰な力を引き起こすほどは高くない。したがって、例えばこの角度は約1°~約30°、幾つかの実施形態においては約5°~約25°の範囲であってよい。
【0065】
C.他の成分
[0055]上記に注目された成分に加えて、ポリマーマトリクスはまた様々な他の成分を含んでいてもよい。そのような任意選択の成分の例は例えば、熱伝導性充填剤、補強用繊維、衝撃改質剤、相溶化剤、微粒子充填剤(例えばタルク、雲母など)、安定剤(例えば抗酸化剤、紫外線安定剤など)、難燃剤、滑剤、色素、流動調整剤、顔料、ならびに性質および加工性を増強するために添加される他の材料を含んでいてもよい。
【0066】
[0056]上記に示されるように、本発明のポリマー組成物は、追加の熱伝導性充填剤を必要とせずに高い熱伝導率を達成する能力がある。この点に関して、ポリマー組成物は一般に追加の熱伝導性充填剤を含まなくてもよい。それにもかかわらず、ある事例において、通常比較的少量とはいえ、追加の熱伝導性充填剤はなお用いられてもよい。例えば、用いられる場合、追加の熱伝導性充填剤(複数可)は通常、組成物の約20重量%以下、幾つかの実施形態において組成物の約10重量%以下、幾つかの実施形態において組成物の約0.01重量%~約5重量%を構成する。そのような追加の熱伝導性充填剤は一般に、高い固有熱伝導率、例えば、約50W/m・K以上、幾つかの実施形態において約100W/m・K以上、幾つかの実施形態において約150W/m・K以上を有する。そのような材料の例は例えば、窒化ホウ素(BN)、窒化アルミニウム(AlN)、窒化マグネシウムケイ素(MgSiN2)、グラファイト(例えば膨張グラファイト)、炭化ケイ素(SiC)、カーボンナノチューブ、カーボンブラック、金属酸化物(例えば酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化ベリリウム、酸化ジルコニウム、酸化イットリウムなど)、金属粉体(例えばアルミニウム、銅、青銅、黄銅など)など、ならびにそれらの組合せを含んでいてもよい。熱伝導性充填剤は様々な形態、例えば、微粒子材料、繊維などで提供されてもよい。例えば、ISO 13320:2009に従ってレーザー回折技法(例えばHoriba LA-960粒度分布分析機を用いて)を使用して求めて、例えば、約1~約100マイクロメートル、幾つかの実施形態において約2~約80マイクロメートル、幾つかの実施形態において約5~約60マイクロメートルの範囲の平均サイズ(例えば直径または長さ)を有する微粒子材料が用いられてもよい。
【0067】
[0057]本発明のポリマー組成物はまた、追加の補強材(例えば補強用繊維)を必要とせずに高度の機械的強度を達成する能力がある。この点に関しては、ポリマー組成物は一般に追加の補強用繊維を含まなくてもよい。それにもかかわらず、ある事例においては、通常比較的少量とはいえ、追加の補強用繊維はなお用いられてもよい。例えば、用いられる場合、追加の補強用繊維は通常、組成物の約20重量%以下、幾つかの実施形態において組成物の約10重量%以下、幾つかの実施形態において組成物の約0.01重量%~約5重量%を構成する。そのような補強用繊維は、また、一般に、本質的に絶縁性である材料、例えば、ガラス、セラミック(例えばアルミナまたはシリカ)、アラミド(例えばKevlar(登録商標))、ポリオレフィン、ポリエステルなど、ならびにそれらの混合物から形成されてもよい。ガラス繊維は、例えば、Eガラス、Aガラス、Cガラス、Dガラス、ARガラス、Rガラス、S1ガラス、S2ガラスなど、およびそれらの混合物が特に適切である。補強用繊維は、例えば、そのような繊維が、ポリマーマトリクスの形成中に高性能ポリマー(複数可)と溶融ブレンドされる場合、ランダムに分布した繊維の形態をしていてもよい。代替として、補強用繊維は長尺繊維の形態であってよく、上記の方式でポリマーマトリクスに含浸されてもよい。それとは関係なく、補強用繊維の体積平均長は、約1~約400マイクロメートル、幾つかの実施形態において約50~約400マイクロメートル、幾つかの実施形態において約80~約250マイクロメートル、幾つかの実施形態において約100~約200マイクロメートル、幾つかの実施形態において約110~約180マイクロメートルであってもよい。繊維はまた、約10~約35マイクロメートル、幾つかの実施形態において約15~約30マイクロメートルの平均直径を有していてもよい。
【0068】
II.電子モジュール
[0058]上記に示されるように、ポリマー組成物は電子モジュールに用いられてもよい。モジュールは、一般に1種または複数の電子部品(例えばプリント回路基板、アンテナ素子、無線周波検知素子、センサー、光検知および/または送信素子(例えば光学ファイバー)、カメラ、全地球測位装置など)を収容するハウジングを含む。ハウジングは、例えば、基体から延在する側壁を含む基体を含んでいてもよい。電子部品(複数可)が収容され外部の環境から保護される内部を画定するために、基体の側壁にカバーが支持されていてもよい。モジュールの特定の構成には無関係に、本発明のポリマー組成物が、ハウジングおよび/またはカバーのすべてまたは一部を形成するために使用されてもよい。一実施形態において、例えば、本発明のポリマー組成物が、ハウジングの基体および側壁を形成するために使用されてもよい。カバーは、本発明のポリマー組成物または異なる材料から形成されてもよい。殊に、本発明の1つの恩恵は、従来のEMI金属シールド(例えばアルミニウム板)および/またはヒートシンクをモジュール設計から排除することができ、それによって、モジュールの重量および全コストを低減することである。それにもかかわらず、ある他の実施形態において、そのような追加の遮蔽および/またはヒートシンクが用いられてもよい。例えば、カバーは、幾つかの事例において金属コンポーネント(例えばアルミニウム板)を含んでいてもよい。
【0069】
[0059]例えば、
図1を参照すると、本発明のポリマー組成物を組み込んでもよい電子モジュール100の特定の一実施形態が示されている。電子モジュール100は、基体114から延在する側壁132を含むハウジング102を含む。所望の場合、ハウジング102は、電気コネクター(図示せず)を格納することができるシュラウド116も含んでいてもよい。それとは関係なく、プリント回路基板(「PCB」)がモジュール100の内部に収容され、ハウジング102に取り付けられる。とりわけ、回路基板104は、ハウジング102に位置する柱110と並べてそれを受ける穴122を含む。回路基板104は、モジュール100の無線周波動作を可能にする電気回路121が与えられた第1の表面118を有する。例えば、RF回路121は、1つまたは複数のアンテナ素子120aおよび120bを含むことができる。回路基板104はまた、第1の表面118の反対に第2の表面119を有し、場合によってモジュール100のデジタル電子動作を可能にするコンポーネント(例えば、デジタル信号プロセッサー、半導体メモリー、入力/出力インターフェースデバイスなど)などの他の電気部品を含んでいてもよい。代替として、そのようなコンポーネントが追加のプリント回路基板に与えられてもよい。回路基板104上に配置され、溶接、接着剤などの公知の技法によってハウジング102(例えば、側壁)に取り付けられるカバー108を使用して、電気部品を内部に封止してもよい。上記に示すように、ポリマー組成物を用いて、カバー108および/またはハウジング102の全部または一部を形成してもよい。上記に示すように、これはEMI遮蔽有効度と熱伝導性の独特な組合せを有するので、従来のEMIシールド(例えばアルミニウム板)および/またはヒートシンクは排除されてもよい。
【0070】
[0060]電子モジュールは種々様々の用途において使用されてもよい。例えば、電子モジュールは自動車(例えば電気自動車)において用いられてもよい。自動車の用途に使用される場合、例えば、電子モジュールは1つまたは複数の三次元物体に対して車両の位置決めを検知するために使用されてもよい。この点に関して、モジュールは、無線周波検知コンポーネント、光検出または光学コンポーネント、カメラ、アンテナ素子など、ならびにそれらの組合せを含んでいてもよい。例えば、モジュールは、無線検出および測距(レーダー)モジュール、光検出および測距(ライダー)モジュール、カメラモジュール、全地球測位モジュールなどであってよく、またはこれらのコンポーネントの2以上を組み合わせた統合モジュールであってよい。そのようなモジュールは、したがって1つまたは複数の型の電子部品(例えばプリント回路基板、アンテナ素子、無線周波検知装置、センサー、光検知および/または送信素子(例えば光学ファイバー)、カメラ、全地球測位装置など)を収容するハウジングを用いてもよい。一実施形態において、例えば、上記で議論した実施形態と同様の方法で、ハウジング/カバーアセンブリの内部に収容される、光パルスを受信および送信するための光ファイバーアセンブリを含むライダーモジュールが形成されてもよい。同様に、レーダーモジュールは、通常、無線周波(RF)レーダー信号、デジタル信号処理作業等を取り扱うための専用の電気部品を有する1つまたは複数のプリント回路基板を含む。
【0071】
[0061]電子モジュールもまた5Gシステムで用いられてもよい。例えば、電子モジュールは、アンテナモジュール、例えば、マクロセル(基地局)、小形セル、マイクロセルまたはリピーター(フェムトセル)などであってもよい。本明細書において使用される場合、「5G」は一般に、無線周波信号を介した高速データ通信を指す。5Gネットワークおよびシステムは、前世代のデータ通信規格(例えば、「4G」、「LTE」)よりもはるかに速い速度でデータを通信する能力がある。5G通信の要件を定量化する種々の規格および仕様が発表されている。一例として、International Telecommunications Union(ITU)は、2015年にInternational Mobile Telecommunications-2020(「IMT-2020」)規格を発表した。IMT-2020規格は、5Gのための種々のデータ送信基準(例えば、ダウンリンクおよびアップリンクのデータ速度、待ち時間など)を規定している。IMT-2020規格は、アップリンクおよびダウンリンクのピークデータ速度を、5Gシステムがサポートしなければならないデータのアップロードおよびダウンロードの最小データ速度として定義している。IMT-2020規格は、ダウンリンクのピークデータ速度要件を20Gbit/s、アップリンクのピークデータ速度を10Gbit/sと設定している。別の例として、3rd Generation Partnership Project(3GPP)は、「5GNR」と呼ばれる5Gの新しい規格を近年発表している。3GPPは、2018年に5GNRの標準化のための「フェーズ1」を定義する「Release 15」を公開した。3GPPは、5G周波数帯を、一般に6GHz未満の周波数を含む「Frequency Range1」(FR1)、および20~60GHzの範囲の周波数帯としての「Frequency Range2」(FR2)と定義している。しかし、本明細書において使用される場合、「5G周波数」は、60GHzを超える、例えば最高80GHz、最高150GHzおよび最高300GHzの範囲の周波数を利用するシステムを指すことができる。本明細書において使用される場合、「5G周波数」は、約1.8GHz以上、幾つかの実施形態において約2.0GHz以上、幾つかの実施形態において約3.0GHz以上、幾つかの実施形態において約3GHz~約300GHz以上、幾つかの実施形態において約4GHz~約80GHz、幾つかの実施形態において約5GHz~約80GHz、幾つかの実施形態において約20GHz~約80GHz、幾つかの実施形態において約28GHz~約60GHzである周波数を指すことができる。
【0072】
[0062]5Gアンテナシステムは一般に、5Gコンポーネント、例えば、マクロセル(基地局)、小形セル、マイクロセル、またはリピーター(フェムトセル)など、および/または、5Gシステムの他の適切なコンポーネントに使用する高周波数アンテナおよびアンテナアレイを用いる。アンテナ素子/アレイおよびシステムは、Release 15(2018)などの3GPPによって発表された規格、および/またはIMT-2020規格に基づき「5G」を満たし、または適格とすることができる。高周波数での高速データ通信を達成するために、アンテナ素子およびアレイは、一般に、アンテナ性能を向上させることができる小さな特徴的サイズ/間隔(例えば、ファインピッチ技術)を利用する。例えば、特徴的サイズ(アンテナ素子間の間隔、アンテナ素子の幅)などは、一般に、アンテナ素子が形成される基板を通って伝搬する所望の送信および/または受信無線周波の波長(「λ」)に依存する(例えば、nλ/4(ここでnは整数である))。さらに、ビームフォーミングおよび/またはビームステアリングは、複数の周波数範囲またはチャネルにわたる受信および送信を容易にするために利用されてもよい(例えば、多入力多出力(MIMO)、大規模MIMO)。高周波数5Gアンテナ素子は、種々の構成を有することができる。例えば、5Gアンテナ素子は、共平面導波路素子、パッチアレイ(例えば、メッシュグリッドパッチアレイ)、他の適切な5Gアンテナ構成であってもよく、またはそれらを含んでいてもよい。アンテナ素子は、MIMO、大規模MIMO機能、ビームステアリングなどをもたらすように構成されてもよい。本明細書で使用される場合、「大規模」MIMO機能は、一般にアンテナアレイで多数の送信および受信チャネル、例えば8個の送信(Tx)および8個の受信(Rx)チャネル(8×8と略称される)を提供することを指す。大規模MIMO機能は、8×8、12×12、16×16、32×32、64×64以上で提供されてもよい。
【0073】
[0063]アンテナ素子は、様々な製作技法を使用して作製されてもよい。一例として、アンテナ素子および/または関連素子(例えば、接地素子、給電ラインなど)は、ファインピッチ技術を利用することができる。ファインピッチ技術は、一般に、それらのコンポーネントまたはリード間の小さいまたは細かい間隔を指す。例えば、アンテナ素子間(またはアンテナ素子と接地面との間)の特徴的寸法および/または間隔は、約1,500マイクロメートル以下、幾つかの実施形態において1,250マイクロメートル以下、幾つかの実施形態において750マイクロメートル以下(例えば1.5mm以下の中心間間隔)、650マイクロメートル以下、幾つかの実施形態において550マイクロメートル以下、幾つかの実施形態において450マイクロメートル以下、幾つかの実施形態において350マイクロメートル以下、幾つかの実施形態において250マイクロメートル以下、幾つかの実施形態において150マイクロメートル以下、幾つかの実施形態において100マイクロメートル以下、幾つかの実施形態において50マイクロメートル以下であってもよい。しかし、より小さいおよび/またはより大きい特徴的サイズおよび/または間隔もまた利用され得ることは理解されるべきである。このような小さい特徴的寸法の結果として、アンテナ構成および/またはアレイは、小さなフットプリントで多数のアンテナ素子を用いて達成することができる。例えば、アンテナアレイは、1平方センチメートル当たり1,000個を超えるアンテナ素子、幾つかの実施形態において1平方センチメートル当たり2,000個を超えるアンテナ素子、幾つかの実施形態において1平方センチメートル当たり3,000個を超えるアンテナ素子、幾つかの実施形態において1平方センチメートル当たり4,000個を超えるアンテナ素子、幾つかの実施形態において1平方センチメートル当たり6,000個を超えるアンテナ素子、幾つかの実施形態において1平方センチメートル当たり約8,000個を超えるアンテナ素子、アンテナ素子の平均アンテナ素子濃度を有していてもよい。アンテナ素子のそのような緻密な配列は、アンテナ面積の単位面積あたりのMIMO機能のチャネル数を増加させることができる。例えば、チャネル数は、アンテナ素子の数に対応することができる(例えば、等しいまたは比例する)。
【0074】
[0064]
図2を参照すると、例えば、5Gアンテナシステム100は、基地局102、1つもしくは複数の中継局104、1つもしくは複数のユーザコンピューティングデバイス106、1つもしくは複数のWi-Fiリピーター108(例えば、「フェムトセル」)、および/または5Gアンテナシステム100用の他の適切なアンテナコンポーネントを含むことができる。中継局104は、基地局102とユーザコンピューティングデバイス106および/または中継局104との間で信号を中継するまたは「繰り返す」ことにより、ユーザコンピューティングデバイス106および/または他の中継局104による基地局102との通信を容易にするよう構成されてもよい。基地局102は、中継局(複数可)104、Wi-Fiリピーター108、および/またはユーザコンピューティングデバイス(複数可)106と直接、無線周波信号112を受信および/または送信するように構成されたMIMOアンテナアレイ110を含むことができる。ユーザコンピューティングデバイス306は、必ずしも本発明によって限定されず、5Gスマートフォンなどのデバイスを含む。MIMOアンテナアレイ110は、中継局104に対して無線周波信号112を集中させるまたは導くために、ビームステアリングを利用することができる。例えば、MIMOアンテナアレイ110は、X-Y面に対する仰角114、および/またはZ-Y面で規定され、Z方向に対するヘディング角116を調節するよう構成することができる。同様に、中継局104、ユーザコンピューティングデバイス106、Wi-Fiリピーター108のうちの1つまたは複数は、基地局102のMIMOアンテナアレイ110に対するデバイス104、106、108の感度および/または電力送信を方向チューニングすることによって(例えば、それぞれのデバイスの相対仰角および/または相対方位角の一方または両方を調節することによって)MIMOアンテナアレイ110に対する受信および/または送信能力を改善するためにビームステアリングを利用することができる。
【実施例】
【0075】
[0065]本発明は、以下の実施例を参照してより良好に理解することができる。
試験方法
[0066]熱伝導率:面内方向および厚さ方向の熱伝導率の値は、ASTM-E1461-13に従って求められる。
【0076】
[0067]電磁傷害(「EMI」)遮蔽:EMI遮蔽有効度は、ASTM-D4935-18に従って、1.5GHz~10GHzの範囲の周波数範囲(例えば5GHz)で求められてもよい。試験される部品の厚さは、例えば、1ミリメートル、1.6ミリメートルまたは3ミリメートルと変動してもよい。試験は、同軸伝送線の拡大部分であり、Electro-Metricsのような種々の製造業者から入手できるEM-2108標準試験装置を用いて実施されてもよい。測定データは、平面波(遠方界EM波)による遮蔽有効度に関係し、それから磁場および電場に関する近傍界値が推測されてもよい。
【0077】
[0068]表面/体積抵抗率:表面および体積抵抗率の値は、一般にASTM D257-14に従って求められる。例えば、標準試験片(例えば1メートル立方)が2つの電極間に配置されてもよい。電圧は60秒間印加されてもよく、抵抗が測定さてもよい。表面抵抗率は、電位勾配(V/m)の単位電極長さ当たりの電流(A/m)との商であり、概して絶縁材料の表面に沿った漏れ電流に対する抵抗を表す。電極の4つの端部が正方形を画定するので、商における長さは、約分されて表面抵抗率はオームで報告されるが、オーム/スクエアというより説明的な単位も普通に見られる。体積抵抗率はまた、材料中の電流に平行な電位勾配と電流密度との比として求められてもよい。SI単位においては、体積抵抗率は1メートル立方の材料の対向面間の直流抵抗(Ω・m)に数値的に等しい。
【0078】
[0069]引張弾性率、引張応力、および破断時引張伸び:引張特性は、ISO試験No.527-1:2019(ASTM-D638-14と技術的に同等)に従って試験されてもよい。長さ170/190mm、厚さ4mmおよび幅10mmを有するイヌ骨形状の試験片試料で、弾性率および強度の測定が行われてもよい。試験温度は-30℃、23℃または80℃であってよく、試験速度は1または5mm/分であってよい。
【0079】
[0070]曲げ弾性率、破断時曲げ伸びおよび曲げ応力:曲げ特性は、ISO178:2019(ASTM-D790-17と技術的に同等)に従って試験されてもよい。この試験は64mmの支持材スパンで行われてもよい。試験は、未切断のISO-3167多目的棒材の中央部分で行われてもよい。試験温度は-30℃、23℃または80℃であってよく、試験速度は2mm/分であってよい。
【0080】
[0071]シャルピー衝撃強度:シャルピー特性は、ISO179-1:2010(ASTM-D256-10,方法Bと技術的に同等)に従って試験されてもよい。この試験は、タイプ1の試験片サイズ(長さ80mm、幅10mmおよび厚さ4mm)を用いて行われてもよい。試験片は、一枚歯フライス盤を用いて多目的棒材の中央部分から切り出されてもよい。試験温度は-30℃、23℃または80℃であってよい。
【0081】
[0072]荷重撓み温度(DTUL):荷重撓み温度は、ISO75-2:2013(ASTM-D648-07と技術的に同等)に従って求められてもよい。とりわけ、長さ80mm、幅10mmおよび厚さ4mmを有する試験片試料が、規定荷重(最大外繊維応力)が1.8メガパスカルである沿層方向(edgewise)3点曲げ試験にかけられてもよい。試験片は、0.25mm(ISO試験No.75-2:2013としては0.32mm)歪むまで温度を2℃/分で上昇させるシリコーン油浴中に降下させてもよい。
【0082】
実施例1
[0073]試料1は、ポリアミドの混合物(20重量%のナイロン6および80重量%のナイロン6,6)をおよそ75~80重量%、炭素繊維を20重量%および他の添加剤を0~5重量%を含む、市販されているポリマー組成物である。押出機で成分を溶融加工することにより組成物を形成する。次いで、結果として得られた組成物を電力変換器に使用される造形部品に射出成形する。
【0083】
実施例2
[0074]試料2は、ポリブチレンテレフタレート(PBT)をおよそ80~85重量%、炭素繊維を15重量%および他の添加剤を0~5重量%含む、市販されているポリマー組成物である。押出機で成分を溶融加工することにより組成物を形成する。次いで、結果として得られた組成物を電力変換器に使用される造形部品に射出成形する。
【0084】
実施例3
[0075]試料3は、サーモトロピック液晶ポリマー(LCP)をおよそ30~40重量%、およびメソフェーズピッチ系炭素繊維を60~70重量%含む、市販されているポリマー組成物である。押出機で成分を溶融加工することにより組成物を形成する。次いで、結果として得られた組成物を、電子モジュールに使用される造形部品に射出成形する。
【0085】
[0076]本明細書において記載の機械的性質、熱的性質および電気的性質に関して試料1~3を試験した。結果は、下表1~3に述べる。
【0086】
【0087】
【0088】
【0089】
[0077]
図3は、また1.5MHz~10GHzの周波数範囲にわたり試料1~2(1.6mmの厚さ)について遮蔽有効度(「SE」)を示す。
[0078]本発明のこれらおよび他の修正および変形は、本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、当業者によって実施することができる。さらに、種々の実施形態の複数の態様は、全体的にまたは部分的に交換することができることが理解されるべきである。さらに、当業者であれば、上記の記載が単に例示の目的であり、添付の特許請求の範囲にさらに記載される本発明を限定することは意図しないことを認識するであろう。
【国際調査報告】