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特表2023-549785鍋形状の中空体、特に、半導体ウェハ用又はEUV露光マスク用の運搬容器を処理する装置及び方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-29
(54)【発明の名称】鍋形状の中空体、特に、半導体ウェハ用又はEUV露光マスク用の運搬容器を処理する装置及び方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/673 20060101AFI20231121BHJP
   G03F 1/66 20120101ALI20231121BHJP
   G03F 7/207 20060101ALI20231121BHJP
【FI】
H01L21/68 T
G03F1/66
G03F7/207 H
【審査請求】有
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2023528109
(86)(22)【出願日】2021-11-05
(85)【翻訳文提出日】2023-06-02
(86)【国際出願番号】 EP2021080794
(87)【国際公開番号】W WO2022096658
(87)【国際公開日】2022-05-12
(31)【優先権主張番号】102020129470.0
(32)【優先日】2020-11-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523168180
【氏名又は名称】ジーエスイーシー・ジャーマン・セミコンダクター・イクイップメント・カンパニー・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 真介
(74)【代理人】
【識別番号】100221981
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 大成
(72)【発明者】
【氏名】ハース・グンター
(72)【発明者】
【氏名】グーテクンスト・ユルゲン
(72)【発明者】
【氏名】シーンレ・フランク
【テーマコード(参考)】
2H195
2H197
5F131
【Fターム(参考)】
2H195BA10
2H195BE12
2H197CD22
2H197CD50
2H197FA01
2H197HA03
5F131AA02
5F131AA10
5F131BA37
5F131CA32
5F131DA05
5F131DA22
5F131DA32
5F131DA43
5F131DA62
5F131GA14
5F131GA33
5F131GA42
5F131GA63
5F131GA82
5F131GA92
5F131JA04
5F131JA12
(57)【要約】
本発明は、鍋形状の中空体10、特に、半導体ウェハ用又はEUV露光マスク用の運搬容器を処理する装置12に関し、本装置は、内部空間16を包囲する壁面14と、この内部空間16内に配置された、内部空間16内で中空体10を動かす把持・移動機器17と、壁面14に形成された、閉鎖体28により閉じることが可能な壁面開口部26であって、この開口部を通して、内部空間16に到達できる壁面開口部とを備え、本装置12が、蓋44と取り外し可能な形で連結できる少なくとも一つの蓋操作ユニット54,102を備え、この蓋44は、蓋操作ユニット54,102と連結するとともに、中空体10から切り離すことができる。更に、本発明は、それに対応する方法に関する(図1A)。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鍋形状の中空体(10)、特に、半導体ウェハ用又はEUV露光マスク用の運搬容器を処理する装置(12)であって、
内部空間(16)を包囲する壁面(14)と、
この内部空間(16)内に配置された、内部空間(16)内において中空体(10)を動かす把持・移動機器(17)と、
壁面(14)に形成された、閉鎖体(28)によって閉じることが可能な壁面開口部(26)であって、この開口部を通して、内部空間(16)にアクセスできる壁面開口部と、
を備え、
この閉鎖体(28)が、
固定ユニット(30)を用いて、本装置(12)内で可動に軸支されており、
収容部分(34)を備え、この収容部分を用いて、中空体(10)を取り外し可能な形で閉鎖体(28)と連結することが可能である当該装置。
【請求項2】
請求項1に記載の装置(12)において、
前記の固定ユニット(30)がヒンジ(32)として構成され、このヒンジを用いて、閉鎖体(28)が回転可能な形で壁面(14)に固定されていることを特徴とする装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の装置(12)において、
前記の閉鎖体(28)が、第一の位置と第二の位置との間で移動可能であり、この閉鎖体(28)が、第一の位置と第二の位置で壁面開口部(26)を閉じることを特徴とする装置。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載の装置(12)において、
前記の中空体(10)が、
第一の把持部分(46)と、
第二の把持部分(48)と、
を備え、
前記の収容ユニット(34)がロック手段(36)を備え、このロック手段により、閉鎖体(28)が、第一の把持部分(46)を使用して、中空体(10)と協力して動作することができ、
前記の把持・移動機器(17)が、把持手段(50)を備え、この把持手段により、把持・移動機器(17)が、第二の把持部分(48)を使用して、中空体(10)と協力して動作することができることを特徴とする装置。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載の装置(12)において、
本装置(12)が別の把持・移動機器(24)を備え、この機器が、中空体(10)を閉鎖体(28)に供給するとともに、中空体(10)を閉鎖体(28)から引き取ることを特徴とする装置。
【請求項6】
請求項5に記載の装置(12)において、
前記の別の把持・移動機器(24)が別の把持手段(52)を備え、この手段により、別の把持・移動機器(24)が、第二の把持部分(48)を使用して、中空体(10)と協力して動作することができることを特徴とする装置。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1項に記載の装置(12)において、
前記の中空体(10)が、
一つの底壁(38)及び一つ又は複数の側壁(40)と、
この底壁(38)に対向する開口部(42)と、
この開口部(42)を閉じることが可能な蓋(44)と、
を備え、
本装置(12)が、蓋(44)と取り外し可能な形で連結することが可能な少なくとも一つの蓋操作ユニット(54,102)を備えることを特徴とする装置。
【請求項8】
請求項7に記載の装置(12)において、
本装置(10)が、中空体(10)を処理することが可能な少なくとも一つの処理ユニット(18,181,182)と、蓋操作ユニット(54,102)とを備え、
この処理ユニット(18,181,182)が、プロセス空間(73)を備え、この空間内で、中空体(10)を処理することができ、
このプロセス空間(73)は、プロセス空間開口部(84)を通してアクセスでき、
この蓋操作ユニット(54,102)は、本装置(12)内において、蓋操作ユニット(54,102)がプロセス空間開口部(84)を開いている開放位置と、蓋操作ユニット(54,102)がプロセス空間開口部(84)を閉じている閉鎖位置との間を移動可能な形で別の固定機器(57)を用いて軸支されていることを特徴とする装置。
【請求項9】
請求項8に記載の装置(12)において、
本装置(12)が、中空体(10)及び/又は蓋(44)を洗浄する洗浄機器(20)として構成された第一の処理ユニット(18,181,182)を備えることを特徴とする装置。
【請求項10】
請求項8又は9に記載の装置(12)において、
本装置(12)が、中空体(10)内及び/又は蓋(44)の所に負圧を加える真空化機器(22)として構成された第二の処理ユニット(18,181,182)を備えることを特徴とする装置。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか1項に記載の装置を用いて鍋形状の中空体(10)、特に、半導体ウェハ用又はEUV露光マスク用の運搬容器(30)を処理する方法であって、
閉鎖体(28)が壁面開口部(26)を開いている第一の位置に、閉鎖体(28)を動かす工程と、
中空体(10)を収容部分(34)に供給し、収容ユニット(34)を作動させて、中空体(10)を閉鎖体(28)と連結する工程と、
閉鎖体(28)が壁面開口部(26)を閉じている閉鎖位置に、閉鎖体(28)を動かす工程と、
を有する方法。
【請求項12】
請求項11に記載の方法において、
中空体(10)が、第一の把持部分(46)と第二の把持部分(48)を備え、
別の把持手段(52)を備えた別の把持・移動機器(17)を用いて、中空体(10)を閉鎖体(28)に供給して、この別の把持手段により、第二の把持部分(48)を使用して、この別の把持・移動機器(24)を中空体(10)と連結する工程と、
収容部分(34)のロック手段(36)を作動させて、第一の把持部分(46)を使用して、中空体(10)を閉鎖体(28)と連結する工程と、
別の把持・移動機器(17)を第二の把持部分(48)から切り離す工程と、
閉鎖体(28)が壁面開口部(26)を閉じる閉鎖位置に、閉鎖体(28)を動かす工程と、
第二の把持部分(48)を使用して、中空体(10)を把持・移動機器(17)と連結する工程と、
収容部分(34)を停止することによって、閉鎖体(28)から中空体(10)を切り離す工程と、
を有する方法。
【請求項13】
請求項12に記載の方法において、
前記の中空体(10)が、
一つの底壁(38)及び一つ又は複数の側壁(40)と、
この底壁(38)に対向する開口部(42)と、
この開口部(42)を閉じることが可能な蓋(44)と、
を備え、本方法が、
把持・移動機器(17)を用いて、中空体(10)を蓋操作ユニット(54,102)に供給する工程と、
蓋(44)を蓋操作ユニット(54,102)と連結する工程と、
蓋操作ユニット(54,102)及び/又は把持・移動機器(17)を用いて、中空体(10)から蓋(44)を切り離す工程と、
を有する方法。
【請求項14】
請求項13に記載の方法において、
本装置(12)が、中空体(10)を処理することが可能な少なくとも一つの処理ユニット(18,181,182)を備え、この処理ユニット(18,181,182)が蓋操作ユニット(54,102)と協力して動作し、
この処理ユニット(18,181,182)がプロセス空間(73)を備え、このプロセス空間内で、中空体(10)を処理することができ、
このプロセス空間(73)は、プロセス空間開口部(84)を通してアクセスすることが可能であり、
本方法が、
蓋操作ユニット(54,102)がプロセス空間開口部(84)を開いている開放位置に、蓋操作ユニット(54,102)を動かす工程と、
蓋(44)を蓋操作ユニット(54,102)と連結する工程と、
蓋操作ユニット(54,102)及び/又は把持・移動機器(17)を用いて、蓋(44)を中空体(10)から切り離す工程と、
蓋操作ユニット(54,102)がプロセス空間開口部(84)を閉じている閉鎖位置に、蓋操作ユニット(54,102)を動かす工程とを有する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鍋形状の中空体、特に、半導体ウェハ用又はEUV露光マスク用の運搬容器を処理する装置に関する。更に、本発明は、それに対応する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
今日、高集積電子回路及びそれ以外の感応型半導体素子の製造は、所謂半導体ウェハが多数の処理工程を通過する工場で行われている。それらの処理工程の大部分は、大きな負担をかけて汚染物質の無い、特に、粒子の無いように保たれた清浄な空間内で行われている。特に、半導体ウェハの半導体材料と接触する粒子が、製造バッチ全体が欠陥となり、使えなくなって、廃棄しなければならないような影響を半導体ウェハの材料特性に及ぼす可能性があるので、そのような負担のかかる処理が必要である。
【0003】
半導体回路の集積度が高くなるにつれて、清浄に保つことが益々重要になるとともに、清浄な空間の大きさが増大するにつれて、清浄に保つ負担が指数関数的に大きくなるので、半導体ウェハは、一つの処理ステーションから次の処理ステーションに「開放された」形では運搬されない。これに代わって、特別な運搬容器(所謂FOUP、Front Open Unified Pod)が使用されている。それは、多数の半導体ウェハが入れられるローフパン形状の運搬容器であると理解される。FOUPは、通常取り去り可能な蓋によって閉鎖される。蓋が無い場合、FOUPは、底面が四角形である鍋形状の基本形を有する。FOUPが、その蓋によって閉鎖されている場合、入っている半導体ウェハを外界から保護した形で一つの清浄な空間から別の清浄な空間に運搬することができる。FOUPが処理ステーションに到達した場合、それは開放され、半導体ウェハが取り出されて、相応に処理される。処理の実行後に、半導体ウェハは、FOUPに戻されて運搬され、そして次の処理ステーションに引き渡される。
【0004】
半導体ウェハが汚染した場合に製造損失が大きくなるために、FOUPを時々洗浄する必要がある。FOUPは、特に、FOUPへの持ち込み時とFOUPからの取り出し時に半導体ウェハの埃によって汚染される。
【0005】
有意義なこととして、同じことが、EUV(Extreme Ultra-Violet Radiation)露光マスク用の運搬容器にも言える。EUV露光マスクは、非常に小さな集積回路を製造するために用いられる。EUV露光マスクも、半導体と同様に運搬しなければならず、その際に同様の状況が起こる。以下において、FOUPについて述べる場合、それに関する記述は、EUV露光マスク用の運搬容器に関しても同様に成り立つ。
【0006】
FOUPを洗浄する装置は、例えば、特許文献1~3により周知である。特に、特許文献3から、そのような装置が、複数の処理ユニットを備え、それらのユニット内で、FOUPを洗浄するための異なる処理工程が実施されることが分かる。FOUPは、例えば、把持ロボットとして構成できる把持・移動機器を用いて、一つの処理ユニットから次の処理ユニットに運搬される。
【0007】
冒頭で述べた通り、FOUPは蓋を備え、この蓋を用いて、中空体の内部空間を閉鎖することができる。FOUPのその外側表面だけの洗浄は、確かに欠陥の有る半導体ウェハの低減にも寄与するが、その寄与は、内側表面の洗浄と比べて明らかに小さい。しかし、内側表面を洗浄できるようにするためには、蓋を取り去らなければならず、その結果、使用する把持・移動機器が比較的複雑な運動フローを実行しなければならない。洗浄プロセス中、FOUPは、通常、洗浄プロセス中に変化しない位置に在るので、FOUPを把持して動かすことができるようにするには、把持・移動機器の行動半径を比較的長くしなければならない。更に、把持・移動機器は、常に全速度で動作させることができない。
【0008】
FOUPを中で洗浄する装置は、通常、壁面開口部を有する壁面を備え、この開口部を通して、壁面によって形成される内部空間に到達できる。内部空間への持ち込みとそこからの取り出しは、同様に時間の掛かる工程である。
【0009】
前記の状況のために、使用する把持・移動機器が高価となり、更に、複雑な運動フローのために、洗浄プロセスの時間が比較的長くなっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国特許公開第5238703号明細書
【特許文献2】国際特許公開第2005/001888号明細書
【特許文献3】欧州特許登録第1899084号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の一つの実施構成の課題は、簡単で安価な手段により洗浄プロセスの時間を短縮することが可能である、鍋形状の中空体、特に、半導体ウェハ用の運搬容器を処理する装置を提案することである。
【0012】
更に、本発明の一つの構成の課題は、鍋形状の中空体、特に、半導体ウェハ用の運搬容器を処理する方法を提示することであり、この方法により、本装置を動作させることができる。
【課題を解決するための手段】
【0013】
この課題は、請求項1と10に記載された特徴によって解決される。有利な実施構成は、従属請求項の対象である。
【0014】
本発明は、FOUP又はEUV露光マスク用の運搬容器に限定されないので、以下において、中空体に基づき本発明を説明する。
【0015】
本発明の一つの実施構成は、鍋形状の中空体、特に、半導体ウェハ用又はEUV露光マスク用の運搬容器を処理する装置に関し、この装置は、
内部空間を包囲する壁面と、
この内部空間内に配置された、内部空間内で中空体を動かす把持・移動機器と、
この壁面に形成された、閉鎖体によって閉じることができる壁面開口部と、
を備え、
この開口部を通して、内部空間に到達でき、この閉鎖体が、
固定ユニットを用いて、本装置内において移動可能な形で軸支されており、
収容ユニットを有し、この収容ユニットを用いて、中空体を取り外し可能な形で閉鎖体と連結可能である。
【0016】
この中空体は、閉鎖体と連結して、動かすとともに、再び閉鎖体から取り外すことができる。これと同時に、閉鎖体は、壁面開口部を閉じる役割を果たす。
【0017】
この中空体は、閉鎖体と連結され、そのために、二つの工程が実施され、先ずは、中空体が閉鎖体上に載せられ、これは手動で行うことができる。次に、中空体がロックされ、これは自動的に実施される。
【0018】
そして、開口部が閉じられる位置に閉鎖体を動かし、把持・移動機器によって中空体を把持して、次に、内部空間内を動かすことができるように、中空体を閉鎖体と連結する。この閉鎖体は、中空体が処理の際に巡る運動フローと関連付けられて、中空体が、閉鎖体と共に内部空間内に運び込まれて、そこから取り出される。
【0019】
別の一つの実施構成では、固定ユニットが、ヒンジとして構成され、このヒンジを用いて、閉鎖体が、回転可能な形で壁面に固定されている。基本的には、固定ユニットは、閉鎖体の如何なる任意の運動を規定することができ、例えば、平行四辺形の動きを規定することができる。しかし、ヒンジとして構成された固定ユニットの使用は、小さい技術的負担と関係する。特に、ヒンジは、簡単な手法で駆動機器と協力して動作することができる。更に、ヒンジは、高い信頼性を特徴とする。
【0020】
一つの改善された実施構成では、この閉鎖体は、第一の位置と第二の位置の間を移動可能であるとすることができ、この閉鎖体は、第一の位置と第二の位置では、壁面開口部を閉じる。
【0021】
この閉鎖体は、L字形状に構成することができ、回転の中心で交わる二つの脚部を備えることができる。第一の位置では、中空体が、閉鎖体の第二の脚部上に在る収容部分と連結され、その際、中空体は内部空間の外に在る。第一の脚部を用いて、壁面開口部が閉じられている。第二の位置では、中空体が、内部空間内に配置されて、その際、壁面開口部が第二の脚部によって閉じられている。閉鎖体に良好に到達できるように、第一の位置も第二の位置も選定することができるので、運動フローが簡単になり短縮される。壁面開口部を通した複雑な引き渡しが無くなる。第一の位置から第二の位置への閉鎖体の移行によって、内部空間も閉鎖される。そのための追加の工程が不要である。
【0022】
一つの改善された実施構成では、この中空体が、
第一の把持部分と、
第二の把持部分と、
を備え、
収容部分が、ロック手段を備え、このロック手段を用いて、閉鎖体が、第一の把持部分を使用して中空体と協力して動作することができ、
把持・移動機器が、把持手段を備え、この把持手段を用いて、把持・移動機器が、第二の把持部分を使用して、中空体と協力して動作することができる。
【0023】
この実施構成では、中空体が、第一の把持部分と第二の把持部分を備える。従って、中空体を少なくとも一時的に閉鎖体に固定することも、把持・移動機器と固定することも可能である。例えば、ロック手段は、把持手段が完全に中空体を把持している場合に漸く解除することができる。一方において、例えば、閉鎖体が第一の把持部分と連結されている場合にも、二つの把持部分に良好に到達できるように、二つの把持部分を配置することができる。他方において、中空体が、少なくとも把持・移動機器又は閉鎖体と確実に連結されていることを保証でき、その結果、中空体の制御されない形の動きが防止される。それにより、第一の把持部分から第二の把持部分に把持・移動機器を切換可能にするために必要であるかもしれない、内部空間内で中空体を降ろすことが不要になり、それによって、時間が節約される。
【0024】
一つの改善された実施構成では、本装置は、中空体を閉鎖体に引き渡すとともに、閉鎖体から中空体を引き取る別の把持・移動機器を備えることができる。別に上述した通り、中空体は、第一の位置に在る閉鎖体上に手動で載せて、自動的に閉鎖体とロックし、それと連結することができる。同じことが、解除及び取り外しに関しても言える。典型的には、内部空間の外に配置され、例えば、OHTシステム(Overhead Transport System)として構成できる、この別の把持・移動機器を用いて、閉鎖体への引き渡しと閉鎖体からの引き取りを自動化することができる。OHTシステムによって、半導体・半導体ウェハを入れた中空体を清浄な空間内又は複数の清浄な空間の間で更に運搬することを引き受けることもできる。従って、この実施構成に基づき、本装置をOHTシステムに統合することもできる。
【0025】
別の実施構成では、この別の把持・移動機器が別の把持手段を備え、この手段により、この別の把持・移動機器が、第二の把持部分を使用して、中空体と協力して動作することができる。前述した通り、この別の把持・移動機器は、典型的には、内部空間の外に配置される一方、この把持・移動機器は、通常、内部空間の中に配置される。この場合、これら二つの把持・移動機器は、本装置の壁面から分離されており、閉鎖体が、内部空間内への中空体の引き渡しを引き受けるので、これら二つの把持・移動機器は、決して同時に中空体と接触しない。この点において、ここに提案する装置では、二つの異なる把持・移動機器のために中空体の第二の把持部分を使用することが可能である。この結果、第三の把持部分を配備する必要が無いので、中空体の構成を簡単にすることができる。更に、この把持・移動機器の把持手段とこの別の把持・移動機器の別の把持手段を同じ構造で実現することができ、それによって、コスト的な利点を達成することができる。
【0026】
一つの改善された実施構成は、中空体が、
一つの底壁及び一つ又は複数の側壁と、
この底壁に対向する開口部と、
この開口部を閉じることが可能な蓋と、
を備え、本装置が、取り外し可能な形で蓋と連結することが可能な少なくとも一つの蓋操作ユニットを備えることを特徴とする。
【0027】
前述した通り、中空体、特に、FOUPの外側表面だけの洗浄は、内側表面の洗浄と比べて、欠陥の有る半導体ウェハの低減に寄与する度合いが明らかにより小さい。内側表面を洗浄するためには、中空体を開放しなければならず、そのためには、蓋を中空体から取り去らねばならず、このことは、蓋操作ユニットを用いて、自動的に行うことができる。従って、この実施構成に基づき、本装置は、上述した利点を有する形で内側表面を洗浄することも可能である。
【0028】
別の実施構成では、
本装置が、中空体を処理することが可能な少なくとも一つの処理ユニットと、蓋操作ユニットとを備え、
この処理ユニットが、プロセス空間を有し、この空間内で、中空体を処理することができ、
このプロセス空間は、プロセス空間開口部を通して到達でき、
この蓋操作ユニットは、本装置内において、蓋操作ユニットがプロセス開口部を開けている開放位置と、蓋操作ユニットがプロセス開口部を閉じている閉鎖位置との間を移動可能な形で別の固定機器を用いて軸支されている。
【0029】
前述した通り、この蓋は、取り外し可能な形で蓋操作ユニットと連結されている。閉鎖体と同様に、この蓋操作ユニットは、中空体の操作部に、この場合、中空体の蓋の操作部に統合される。この蓋は、蓋操作ユニットを開放位置から閉鎖位置に動かすこと、並びにその逆に動かすことによって、処理ユニットに運び込まれる。又もやプロセス空間内への複雑な運び込みとそれからの取り出しが無くなる。
【0030】
別の実施構成は、本装置が、中空体及び/又は蓋を洗浄する洗浄機器として構成された第一の処理ユニットを備えることを特徴とする。前述した通り、中空体の洗浄は、欠陥の有る半導体ウェハを低減する際に決定的に重要な役割を果たす。この実施構成では、洗浄する意義を考慮している。ここでは、蓋を残りの中空体から切り離して洗浄できることは言及するに値する。特に、蓋の内面も洗浄することができる。通常は、そのために洗浄流体が使用される。
【0031】
別の実施構成では、本装置は、中空体内及び/又は蓋の所に負圧を加える真空化機器として構成された第二の処理ユニットを備えることができる。負圧を加えることは、洗浄機器で中空体を洗浄した結果、中空体及び蓋の表面に残った洗浄流体の残りを除去する役割を果たす。毛管引力のために、水分が中空体及び蓋の表面の微視的な細孔内にも拡散する。この水分は、負圧により同様に除去することができ、その結果、微視的な面の乾燥も可能である。
【0032】
従って、中空体を先ずは洗浄機器に引き渡し、次に、真空化機器に引き渡すことが考えられる。
【0033】
本発明の一つの構成は、前記の実施構成の中の一つに基づく装置を用いて、鍋形状の中空体、特に、半導体ウェハ用又はEUV露光マスク用の運搬容器を処理する方法に関し、この方法は、
収容部分が内部空間の外に配置された第一の位置に、閉鎖体を動かす工程と、
中空体を収容部分に引き渡し、収容部分を作動させて、中空体を閉鎖体と連結する工程と、
閉鎖体が壁面開口部を閉じる第二の位置に、閉鎖体を動かす工程と、
を有する。
【0034】
ここで提案する方法により達成できる技術的な効果及び利点は、鍋形状の中空体、特に、半導体ウェハ用の運搬容器を処理する本装置に関して考察したものと同じである。纏めると、それによって、この把持・移動機器が、従来技術により周知の方法と比べて、より簡単な運動フローを実行すれば良く、従って、より簡単に構成できることを指摘したい。更に、より速く運動フローを実行することができ、そのため、処理プロセスの時間を短縮することができる。
【0035】
一つの別の構成では、中空体が第一の把持部分と第二の把持部分を備え、本方法が、
別の把持手段を備えた別の把持・移動機器を用いて、中空体を閉鎖体に引き渡す工程であって、この別の把持手段により、この別の把持・移動機器が、第二の把持部分を使用して、中空体と連結される工程と、
収容部分のロック手段を作動し、第一の把持部分を使用して中空体を閉鎖体と連結する工程と、
この別の把持・移動機器を第二の把持部分から切り離す工程と、
閉鎖体が壁面開口部を閉じる閉鎖位置に、閉鎖体を動かす工程と、
第二の把持部分を使用して、中空体を把持・移動機器と連結する工程と、
収容部分の停止によって、中空体を閉鎖体から切り離す工程と、
を有する。
【0036】
中空体の閉鎖体への引き渡しと閉鎖体からの引き取りは、自動化することができる。
【0037】
一つの更に発展させた構成では、中空体が、
一つの底壁及び一つ又は複数の側壁と、
この底壁に対向する開口部と、
この開口部を閉じることが可能な蓋と、
を備え、
本方法が、
把持・移動機器を用いて、中空体を蓋操作ユニットに引き渡す工程と、
蓋を蓋操作ユニットと連結する工程と、
蓋操作ユニット及び/又は把持・移動機器を用いて、蓋を中空体から取り去る工程と、
を有する。
【0038】
本方法のこの構成では、蓋操作ユニットを用いた蓋の取り去りによって、中空体を開放することができ、その結果、中空体は、その中空体の内面を処理することができる。この蓋も処理することができる。
【0039】
本方法の一つの改善された構成では、
本装置が、少なくとも一つの処理ユニットを備え、このユニットを用いて、中空体を処理することができ、この処理ユニットが、蓋操作ユニットと協力して動作し、
この処理ユニットが、プロセス空間を有し、この空間内で、中空体を処理することができ、
プロセス開口部を通して、このプロセス空間に到達でき、
本方法が、
蓋操作ユニットがプロセス開口部を開いている開放位置に、蓋操作ユニットを動かす工程と、
蓋を蓋操作ユニットと連結して、蓋操作ユニット及び/又は把持・移動機器を用いて、蓋を中空体から取り去る工程と、
蓋操作ユニットがプロセス開口部を閉じている閉鎖位置に、蓋操作ユニットを動かす工程と、
を有する。
【0040】
本方法のこの構成では、蓋操作ユニットが、蓋を中空体から取り去るためだけでなく、蓋をプロセス空間内に運び込むためにも使用される。又もやプロセス空間内への蓋の複雑な持ち込みとそこからの取り出しが無くなる。
【0041】
以下において、添付図面を参照して、本発明の実施例を詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0042】
図1A】ここで提案する装置の実施例を用いて、ここで提案する鍋形状の中空体、特に、半導体ウェハ用又はEUV露光マスク用の運搬容器を処理する方法の工程を示す主要な断面図
図1B】ここで提案する装置の実施例を用いて、ここで提案する鍋形状の中空体、特に、半導体ウェハ用又はEUV露光マスク用の運搬容器を処理する方法の工程を示す主要な断面図
図1C】ここで提案する装置の実施例を用いて、ここで提案する鍋形状の中空体、特に、半導体ウェハ用又はEUV露光マスク用の運搬容器を処理する方法の工程を示す主要な断面図
図1D】ここで提案する装置の実施例を用いて、ここで提案する鍋形状の中空体、特に、半導体ウェハ用又はEUV露光マスク用の運搬容器を処理する方法の工程を示す主要な断面図
図1E】ここで提案する装置の実施例を用いて、ここで提案する鍋形状の中空体、特に、半導体ウェハ用又はEUV露光マスク用の運搬容器を処理する方法の工程を示す主要な断面図
図1F】ここで提案する装置の実施例を用いて、ここで提案する鍋形状の中空体、特に、半導体ウェハ用又はEUV露光マスク用の運搬容器を処理する方法の工程を示す主要な断面図
図1G】ここで提案する装置の実施例を用いて、ここで提案する鍋形状の中空体、特に、半導体ウェハ用又はEUV露光マスク用の運搬容器を処理する方法の工程を示す主要な断面図
図1H】ここで提案する装置の実施例を用いて、ここで提案する鍋形状の中空体、特に、半導体ウェハ用又はEUV露光マスク用の運搬容器を処理する方法の工程を示す主要な断面図
図1I】ここで提案する装置の実施例を用いて、ここで提案する鍋形状の中空体、特に、半導体ウェハ用又はEUV露光マスク用の運搬容器を処理する方法の工程を示す主要な断面図
図1J】ここで提案する装置の実施例を用いて、ここで提案する鍋形状の中空体、特に、半導体ウェハ用又はEUV露光マスク用の運搬容器を処理する方法の工程を示す主要な断面図
図1K】ここで提案する装置の実施例を用いて、ここで提案する鍋形状の中空体、特に、半導体ウェハ用又はEUV露光マスク用の運搬容器を処理する方法の工程を示す主要な断面図
図1L】ここで提案する装置の実施例を用いて、ここで提案する鍋形状の中空体、特に、半導体ウェハ用又はEUV露光マスク用の運搬容器を処理する方法の工程を示す主要な断面図
図1M】ここで提案する装置の実施例を用いて、ここで提案する鍋形状の中空体、特に、半導体ウェハ用又はEUV露光マスク用の運搬容器を処理する方法の工程を示す主要な断面図
図1N】ここで提案する装置の実施例を用いて、ここで提案する鍋形状の中空体、特に、半導体ウェハ用又はEUV露光マスク用の運搬容器を処理する方法の工程を示す主要な断面図
図1O】ここで提案する装置の実施例を用いて、ここで提案する鍋形状の中空体、特に、半導体ウェハ用又はEUV露光マスク用の運搬容器を処理する方法の工程を示す主要な断面図
図1P】ここで提案する装置の実施例を用いて、ここで提案する鍋形状の中空体、特に、半導体ウェハ用又はEUV露光マスク用の運搬容器を処理する方法の工程を示す主要な断面図
図1Q】ここで提案する装置の実施例を用いて、ここで提案する鍋形状の中空体、特に、半導体ウェハ用又はEUV露光マスク用の運搬容器を処理する方法の工程を示す主要な断面図
図1R】ここで提案する装置の実施例を用いて、ここで提案する鍋形状の中空体、特に、半導体ウェハ用又はEUV露光マスク用の運搬容器を処理する方法の工程を示す主要な断面図
図1S】ここで提案する装置の実施例を用いて、ここで提案する鍋形状の中空体、特に、半導体ウェハ用又はEUV露光マスク用の運搬容器を処理する方法の工程を示す主要な断面図
図1T】ここで提案する装置の実施例を用いて、ここで提案する鍋形状の中空体、特に、半導体ウェハ用又はEUV露光マスク用の運搬容器を処理する方法の工程を示す主要な断面図
図2】洗浄機器として実現された処理ユニットの主要な断面図
図3】真空化機器として実現された処理ユニットの主要な断面図
【発明を実施するための形態】
【0043】
図1A~1Tには、ここで提案する鍋形状の中空体10、特に、半導体ウェハ用の運搬容器を処理する方法の様々な工程が主要な断面図により図示されている。図1Aには、更に、本発明による装置が同じく主な部分により図示されており、この装置を用いて、ここで提案する方法を実施することができる。中空体10は、FOUPとも呼ばれる。
【0044】
本発明による装置12は、内部空間16を包囲する壁面14を備えている。この内部空間16の中には、把持・移動機器17が配備されており、この機器を用いて、処理すべき中空体10を内部空間16の中で動かすことができる。更に、内部空間16の中には、二つの処理ユニット18が在る、即ち、洗浄機器20として構成され、図2に詳しく図示されている第一の処理ユニット181と、真空化機器22として構成され、図3に詳しく図示されている第二の処理ユニット182とが在る。
【0045】
更に、本装置12は、別の把持・移動機器24を備え、この機器を用いて、内部空間の外で中空体10を動かすことができる。この別の把持・移動機器24は、中空体10を天井の近くで運搬するオーバーヘッド搬送システム(OHT)の形式で構成されている。
【0046】
この壁面14は、閉鎖体28によって閉じることができる壁面開口部26を形成されており、この開口部を通して、内部空間16に到達できる。閉鎖体28は、固定ユニット30を用いて、本装置12内において移動可能な形で軸支されている。この場合、固定ユニット30は、ヒンジ32として構成され、このヒンジを用いて、閉鎖体28が、フラップの形式により回転可能な形で壁面14に固定されている。閉鎖体28は、第一の位置と第二の位置の間を動くことができる。
【0047】
更に、閉鎖体28は、収容部分34を備え、この収容部分を用いて、中空体10を取り外し可能な形で閉鎖体28と固定することができる。図示された実施例では、そのために、好適に構成されたロック手段36が収容部分34に配備されている。
【0048】
図示された実施例では、閉鎖体28は、L字形状に構成されて、第一の脚部33と第二の脚部35を備え、これらの脚部は、互いに90°の角度を成して、それぞれヒンジ32に連結されている。この収容部分34は、第一の位置では内部空間16の外に在る第一の脚部33上に配備されている。この第二の脚部35は、閉鎖体28が第一の位置に在る場合に開口部26を閉じて、その際、第二の脚部35は、開口部26を取り囲むパッキン37に当接する。
【0049】
閉鎖体28を第二の位置に動かすために、閉鎖体を90°回転させる(図1Bを参照)。第二の位置では、第一の脚部33がパッキン37に当接し、その結果、開口部26が第一の脚部33により閉じられる。従って、開口部26は、閉鎖体26が第一の位置と第二の位置の間を動かされる場合にのみ開かれる。
【0050】
中空体10は、ほぼ直方体の形状に構成され、一つの底壁38及び四つの側壁40と、底壁38に対向する開口部42と、蓋44とを備え、この蓋を用いて、開口部42を閉じることができる。更に、中空体10は、それぞれ側壁40の中の一つに配備された第一の把持部分46と第二の把持部分48を備えている。第一の把持部分46は、閉鎖体28の収容部分34のロック手段36と協力して動作できるように構成されており、それによって、中空体10は、取り外し可能な形で閉鎖体28と連結することができる。第二の把持部分48は、断面をT字形状に構成されており、従って、「マッシュルーム」とも呼ばれる。
【0051】
この把持・移動機器17は、把持手段50を備え、この別の把持・移動機器24は、別の把持手段52を備え、これらの把持手段は、ほぼ同じ構成であり、中空体10の第二の把持部分48と協力して動作することができ、その結果、中空体10を把持することができる。
【0052】
図1A~1Tを参照して、本装置12を動作させることができる方法を説明する。この場合、図1B~1Tには、本方法に直接関与する本装置12の構成要素だけが図示されており、見易くするとの理由から、図面を部分的に簡略化している。
【0053】
中空体10は、第二の把持部分48の所で別の把持・移動機器24の別の把持手段52により把持されて(明示的に図示されていない)、本装置12の方に運ばれる。中空体10が正しい位置に到達した後、中空体は、別の把持・移動機器24から降ろされて、第一の位置に在る閉鎖体28上に、特に、収容部分34上に設置され、その結果、中空体10は、ロック手段36を用いて閉鎖体28に固定することができる(図1A)。別の把持手段52が解除されて、別の把持・移動機器24が中空体10から切り離される(図示されていない)。ここで、閉鎖体28が第二の位置に動かされ、そのために、閉鎖体は、図示されていない駆動ユニットによって、約90°回転される(図1B)。この際、壁面開口部26が閉じられて、中空体10は内部空間16の中に持ち込まれる。次に、中空体10は、第二の把持部分48の所で把持・移動機器17の把持手段50によって把持され(図1C)、次に、閉鎖体28のロック手段36が解除される。ここで、中空体10は、把持・移動機器17を用いて、閉鎖体28から切り離されて(図1D)、内部空間16内を動かされる。図1Eから、ここで、中空体10が蓋操作ユニット54の方に動かされることが分かり、この蓋操作ユニットは、別の固定機器57を用いて、洗浄機器20内において移動可能な形で軸支されている(図2を参照)。蓋操作ユニット54の機能形態は、後で詳しく取り上げる。蓋操作ユニット54は、取り外し可能な形で中空体10の蓋44と連結可能である。そのために、中空体10が、蓋44により蓋操作ユニット54上に設置されて、連結手段55(図2を参照)が作動され、この手段を用いて、蓋44を取り外し可能な形で蓋操作ユニット54と連結することができる。次に、中空体10は、把持・移動機器17を用いて、蓋操作ユニット54から切り離され、その際、蓋44は、蓋操作ユニット54に残される(図1Fを参照)。そして、開かれた中空体10は、把持・移動機器17によって、洗浄機器20内に運び込まれ(図1G)、そこで、中空体10は、洗浄機器20の基盤壁62に設置され、その上に、中空体10は固定手段63(図2を参照)を用いて固定される。この基盤壁62は、中空体10の大きさに適合した貫通開口部58を有する。中空体10は、図1Hから明らかな通り、貫通開口部58がほぼ中空体10の側壁40と面一になるように、基盤壁62に固定される。把持・移動機器17が、中空体10から切り離されて、図1Hで矢印Pにより表される通り、中空体10の内側表面が洗浄流体の吹き付けによって洗浄される。洗浄の終了後に、中空体10は、再び把持・移動機器17によって把持されて、基盤壁62から切り離される(図1I)。ここで、中空体10は、再び洗浄機器20の蓋操作ユニット54の方に動かされて(図1J)、蓋44が再び中空体10と連結される(図1K)。
【0054】
その後、中空体10は、把持・移動機器17を用いて、同様に洗浄機器20の蓋操作ユニット54とほぼ同じ構成の蓋操作ユニット102を備えた真空化機器22の方に運ばれる。又もや蓋44が真空化機器22の蓋操作ユニット102と連結されて、中空体10から取り外される(図1L)。次に、中空体10は、真空化機器22の基盤壁62の方に動かされて(図1M)、そこに設置される(図1N)。次に、真空化機器22の真空ポート66に繋がった真空ポンプ64(図3)を用いて、中空体10の内部空間16内に負圧が増成され、これは、図1Nで符号Δpにより表されている。この間に、把持・移動機器17は、中空体10から切り離される。
【0055】
真空化プロセスが終了した後、把持・移動機器17は、再び中空体10と連結されて、中空体10は、真空化機器22の蓋操作ユニット102の方に運ばれる(図1Oと1P)。蓋44が中空体10と連結されて、蓋操作ユニット102から切り離される(図1Q)。中空体10は、第二の位置に在る閉鎖体28に戻るように動かされて、そこで、収容部分34に設置され、その結果、中空体10は、ロック手段36の作動により閉鎖体28と固く連結される(図1R)。ここで、把持・移動機器17が、中空体10から切り離されて(図1S)、閉鎖体28が第一の位置に動かされ(図1T)、この位置で、中空体10が別の把持・移動機器24によって把持される。ロック手段36が解除されて、中空体10が閉鎖体28から切り離される。ここで、別の中空体10が、別の把持・移動機器24によって収容部分34に設置されて、上述した手法により処理される。
【0056】
図2には、洗浄機器20が詳しく図示されており、この機器を用いて、図1Nに図示された洗浄工程を実施することができる。この洗浄機器20は、筐体開口部70を形成された筐体28を備え、この開口部は、筐体68から取り去られるカバー72を用いて閉じることができる。これに加えて、筐体68内には、既に述べた基盤壁62が配置されている。この洗浄機器20は、筐体68自体とカバー72によって画定されたプロセス空間22を形成されている。この基盤壁62は、既に述べた貫通開口部58を形成されており、その際、既に言及した固定手段63が、半径方向に対して貫通開口部58の外側に配置されている。図示された実施例では、半径方向に対して固定手段63の外側に、二つの貫通口78が基盤壁62に設けられている。
【0057】
この洗浄機器20は、貫通開口部58を超えて突き出た第一の洗浄ヘッド80を備えている。この洗浄機器20は、更に、ほぼU字形状に構成された第二の洗浄ヘッド82を備えている。この第二の洗浄ヘッド82は、第二の回転軸D2の周りを回転可能であり、そのために使用される駆動機器は図示されていない。
【0058】
この筐体68は、更に、プロセス空間開口部84を形成されており、この開口部を通して、プロセス空間73に到達できる。このプロセス空間開口部84を既に言及した蓋操作ユニット54に繋げることが可能であり、このユニットは、別の固定機器57を用いて第一の回転軸D1の周りを回転可能な形で壁面部分44に固定されている。この蓋操作ユニット54は、図示されていない駆動ユニットを用いて、蓋操作ユニット54がプロセス開口部84を開けている開放位置と、蓋操作ユニット54がプロセス開口部84を閉じている閉鎖位置の間を動くことができる。図2では、蓋操作ユニット54が閉鎖位置に在る。
【0059】
この洗浄機器20は、更に、別の第一の洗浄ヘッド86を備えており、この洗浄ヘッドは、蓋操作ユニットが閉鎖位置に在る場合に、蓋操作ユニット54の近くに配置される。
【0060】
この洗浄機器20は、更に、流体案内ユニット88を備え、このユニットを用いて、第一の洗浄流体を詳しく図示されていない手法で第一の洗浄ヘッド80及び別の第一の洗浄ヘッド86に案内するとともに、第二の洗浄流体を第二の洗浄ヘッド82に案内することができる。更に、この流体案内ユニット88は、第一の排出流路90を備え、この流路を用いて、第一の洗浄ヘッド80及び別の第一の洗浄ヘッド86から放出された第一の洗浄流体を再びプロセス空間73から排出することができる。
【0061】
これに加えて、この流体案内ユニット88は、二つの貫通孔78と流体を通す形で繋がった第二の排出流路92を備えている。従って、これらの第一の洗浄流体と第二の洗浄流体を洗浄機器20に別個に案内することができる。
【0062】
蓋操作ユニット54は、既に図1Eと1Fを参照して言及されている。以下において、蓋操作ユニット54の機能形態を図2により詳しく説明する。中空体10は、蓋操作ユニットが開放位置に在る場合に、蓋44により蓋操作ユニット54上に載せられる。この蓋操作ユニット54は、ここで作動される連結手段55を備え、その結果、蓋44は、蓋操作ユニット54に固定される。中空体10が、蓋44から切り離されて、把持・移動機器17を用いて基盤壁62上に設置され、その際、カバー72は、カバーが筐体開口部72を開放している、従って、プロセス空間73へのアクセスを許容するように配置される。次に、この把持・移動機器17が中空体10から切り離される。
【0063】
蓋操作ユニット54は、第一の回転軸D1の周りを回転されて、プロセス空間開口部84を閉じる。カバー72も、図2に図示されている通り、プロセス空間73を閉じるように配置されている。ここで、洗浄流体が、第一の洗浄ヘッド80を用いて中空体の内面に吹き付けられ、別の第一の洗浄ヘッド82を用いて蓋の内面に吹き付けられ、第二の洗浄ヘッド82を用いて中空体の外面に吹き付けられる。そのために、第一の洗浄ヘッド80、別の第一の洗浄ヘッド86及び第二の洗浄ヘッド82は、それぞれ洗浄ノズル96を備えている。
【0064】
次に、洗浄流体を除去するために、乾燥用気体が、第一の洗浄ヘッド80、別の第一の洗浄ヘッド86及び第二の洗浄ヘッド82の乾燥ノズル98を通して、中空体の内面、蓋の内面及び中空体の外面に吹き付けられる。更に、第一の洗浄ヘッド80、別の第一の洗浄ヘッド86及び第二の洗浄ヘッド82は、赤外線ダイオード100を備え、このダイオードを用いて、中空体の内面、蓋の内面及び中空体の外面に存在する洗浄流体の残りを加熱して、蒸発させることができる。
【0065】
次に、カバー72が取り去られて、中空体10が把持・移動機器17と連結され、蓋操作ユニット54が開放位置に動かされる。中空体10は、把持・移動機器17を用いて、基盤壁62から引き上げられて、蓋操作ユニット54上に動かされる。連結手段55が停止される。ここで、蓋44が再び中空体10と連結されて、把持・移動機器17によって、図3に詳しく図示された真空化機器22に運び込まれる。
【0066】
この真空化機器22は、洗浄機器20とほぼ同様の構成であるが、流体案内ユニットと洗浄ヘッドを備えていない。むしろ、真空化機器22は、既に言及した真空ポート66を備えており、このポートに、同じく言及した真空ポンプ64を繋ぐことができ、その結果、プロセス空間73内に負圧を加えることができる。
【0067】
この真空化機器22も、蓋操作ユニット54とほぼ同じ構成で実現された蓋操作ユニット102を備えている。この真空化機器22への中空体10の引き渡しは、洗浄機器20に関して述べたものとほぼ同じ手法で行われる。図3では、カバー72は、図示されている通り筐体と連結されて、蓋操作ユニット54は閉鎖位置に在り、その結果、プロセス空間73は閉じられている。ここで、真空ポンプ64が作動されて、負圧がプロセス空間73内に加えられる。中空体の内面、蓋の内面及び中空体の外面に在る洗浄流体の残りが除去される。
【0068】
真空化プロセスの終了後に、カバー72が取り去られて、その結果、プロセス空間73へのアクセスが再び可能になる。この把持・移動機器17は、中空体10と連結されて、蓋操作ユニット54が開放位置に動かされ、この位置では、前述した手法で蓋44を中空体10と連結することができる。ここで、中空体10は、洗浄を完了し、図1R~1Tに図示されている通り、更に運ぶことができる。
【符号の説明】
【0069】
10 中空体
12 本装置
14 壁面
16 内部空間
17 把持・移動機器
18 処理ユニット
181 第一の処理ユニット
182 第二の処理ユニット
20 洗浄機器
22 真空化機器
24 別の把持・移動機器
26 壁面開口部
28 閉鎖体
30 固定ユニット
32 ヒンジ
34 収容ユニット
36 ロック手段
38 底壁
40 側壁
42 開口部
44 蓋
46 第一の把持部分
48 第二の把持部分
50 把持手段
52 別の把持手段
54 蓋操作ユニット
55 連結手段
57 別の固定機器
58 貫通開口部
62 基盤壁
63 固定手段
64 真空ポンプ
66 真空ポート
68 筐体
70 筐体開口部
72 カバー
73 プロセス空間
78 貫通孔
80 第一の洗浄ヘッド
82 第二の洗浄ヘッド
84 プロセス空間開口部
86 別の第一の洗浄ヘッド
88 流体案内ユニット
90 第一の排出流路
92 第二の排出流路
96 洗浄ノズル
98 乾燥ノズル
100 赤外線ダイオード
102 蓋操作ユニット
D1 第一の回転軸
D2 第二の回転軸
P 矢印
図1A
図1B
図1C
図1D
図1E
図1F
図1G
図1H
図1I
図1J
図1K
図1L
図1M
図1N
図1O
図1P
図1Q
図1R
図1S
図1T
図2
図3
【国際調査報告】