(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-29
(54)【発明の名称】送達装置の流体流れを制御するための装置および方法
(51)【国際特許分類】
A61F 2/24 20060101AFI20231121BHJP
【FI】
A61F2/24
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023528500
(86)(22)【出願日】2021-11-12
(85)【翻訳文提出日】2023-07-11
(86)【国際出願番号】 US2021059075
(87)【国際公開番号】W WO2022104013
(87)【国際公開日】2022-05-19
(32)【優先日】2020-11-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500218127
【氏名又は名称】エドワーズ ライフサイエンシーズ コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】Edwards Lifesciences Corporation
【住所又は居所原語表記】One Edwards Way, Irvine, CALIFORNIA 92614, U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】カート・ケリー・リード
【テーマコード(参考)】
4C097
【Fターム(参考)】
4C097AA27
4C097BB01
4C097BB04
4C097CC01
4C097CC05
4C097DD01
(57)【要約】
送達装置の内腔を通る流体の一貫した流れを提供するための方法およびシステムが、開示される。一つの実施例として、送達装置は、人工インプラントを送達構成で保持するように構成された外側シャフトと、外側シャフト内に配置され、人工インプラントの端部と接合し、外側シャフトに対して軸方向に移動するよう構成される内側シャフトと、外側シャフト内に配置され、人工インプラントを送達構成で覆うよう構成されたスリーブシャフトと、を含み得る。一部の実施例では、内側シャフトは、内側シャフトの内面と外面との間に延在し、内側シャフトの内側内腔を、内側シャフトの外面とスリーブシャフトの内面との間に配置された内腔と流体連結するように構成される、その中に画定された一つ以上の開口部を含み得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
送達装置であって、
人工インプラントを送達構成で保持するように構成された外側シャフトと、
前記外側シャフト内に配置され、前記人工インプラントの端部と接合し、前記外側シャフトに対して軸方向に移動するように構成された内側シャフトと、
前記外側シャフト内に配置されたスリーブシャフトであって、前記スリーブシャフトの一部は、前記外側シャフトと前記内側シャフトとの間に配置され、前記スリーブシャフトは、前記人工インプラントを前記送達構成で覆うように構成される、スリーブシャフトと、を備え、
前記内側シャフトは、前記内側シャフトの内面と外面との間に延在し、前記内側シャフトの内側内腔を、前記内側シャフトの前記外面と前記スリーブシャフトの内面との間に配置された内腔と流体連結するように構成される、その中に画定された一つ以上の開口部を含む、送達装置。
【請求項2】
前記一つ以上の開口部は、前記内側シャフトの遠位端部分に配置される、請求項1に記載の送達装置。
【請求項3】
前記一つ以上の開口部は、前記内側シャフトの遠位端部分から離れて、間隔を置いて配置される前記内側シャフトの一部分に配置される、請求項1に記載の送達装置。
【請求項4】
前記一つ以上の開口部は、前記内側シャフトの周囲の周りに互いに間隔を置いて配置された少なくとも二つの開口部を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の送達装置。
【請求項5】
前記内側シャフトは、主管を備え、前記主管の遠位セクションは、その中に、前記遠位セクションの長さに沿って互いに間隔を置いて配置された複数の切断部を含み、前記一つ以上の開口部は、前記遠位セクションに隣接して配置された前記内側シャフトの一部分に配置される、請求項1~4のいずれか一項に記載の送達装置。
【請求項6】
前記一つ以上の開口部は、前記主管、前記主管の内面を覆う内側ライナー、および前記主管の外面を覆う外側ポリマー層を通って延在する開口として構成され、前記内側シャフトの前記主管は、前記遠位セクションに隣接して近位に配置された中間セクションを含み、前記一つ以上の開口部は、前記中間セクションに配置される、請求項5に記載の送達装置。
【請求項7】
前記一つ以上の開口部は、前記主管、前記主管の内面を覆う内側ライナー、および前記主管の外面を覆う外側ポリマー層を通って延在する開口として構成され、前記一つ以上の開口部は、前記主管の前記遠位セクションの前記複数の切断部に隣接して遠位に配置される、前記内側シャフトの遠位端部分に配置される、請求項5に記載の送達装置。
【請求項8】
前記一つ以上の開口部は、前記内側シャフトの遠位端部分に配置された一つ以上のスロットであり、前記一つ以上のスロットの各スロットは、前記内側シャフトの遠位端から、近位方向に、前記遠位端から離れたある距離まで延在する、請求項1または請求項2のいずれかに記載の送達装置。
【請求項9】
前記内側シャフトの前記遠位端部分は、可撓性ポリマーを含むポリマー遠位端部分と、前記内側シャフトの硬質の主管の遠位端と、を備え、前記ポリマー遠位端部分は、前記主管の前記遠位端に遠位に配置され、各スロットは、前記主管の前記遠位端に遠位の前記ポリマー遠位端部分のみを通って延在する、請求項8に記載の送達装置。
【請求項10】
前記一つ以上のスロットは、前記遠位端部分の周囲の周りに互いに間隔を置いて配置された二つのスロットを含み、前記二つのスロットは、前記遠位端部分の前記周囲の周りに互いから180度離れて配置される、請求項8または請求項9のいずれかに記載の送達装置。
【請求項11】
前記内側シャフトは、前記内側シャフトの主管の遠位端部分の周りに配置された遠位先端を含み、前記遠位先端は、前記主管も覆う可撓性ポリマー層によって少なくとも部分的に覆われ、前記遠位先端は、前記主管および前記一つ以上の開口部を含む前記可撓性ポリマー層を遠位に越えて延在する先端部分を含む、請求項1または請求項2のいずれかに記載の送達装置。
【請求項12】
前記遠位先端は、押出成形または成形された高分子材料を含む、請求項11に記載の送達装置。
【請求項13】
前記一つ以上の開口部は、前記内側シャフトのポリマー先端に配置され、前記ポリマー先端は、前記内側シャフトの遠位端に配置され、前記内側シャフトは、主管と、前記主管の外面を覆う外側ポリマー層と、前記主管の内面を覆う内側ライナーと、を備え、前記ポリマー先端は、前記外側ポリマー層と連続し、前記主管の遠位端を遠位に越えて延在する、請求項1または請求項2のいずれかに記載の送達装置。
【請求項14】
送達装置であって、
人工インプラントを送達構成で保持するように構成された外側シャフトと、
前記外側シャフト内に配置され、前記人工インプラントの端部と接合し、前記外側シャフトに対して軸方向に移動するように構成された内側シャフトであって、
硬質の主管と、
可撓性ポリマーを含み、前記主管に遠位に延在するポリマー遠位端部分であって、前記ポリマー遠位端部分の内面と外面との間に延在する、その中に画定された一つ以上の開口を備える、ポリマー遠位端部分と、を備える、内側シャフトと、
前記外側シャフト内に配置されたスリーブシャフトであって、前記スリーブシャフトの一部は、前記外側シャフトと前記内側シャフトとの間に配置され、前記スリーブシャフトは、前記人工インプラントを前記送達構成で覆うように構成される、スリーブシャフトと、を備える、送達装置。
【請求項15】
前記内側シャフトは、前記主管の外面を覆い、前記ポリマー遠位端部分と連続する外側ポリマー層をさらに含む、請求項14に記載の送達装置。
【請求項16】
前記内側シャフトは、前記ポリマー遠位端部分の前記内面と前記主管の内面とを覆う内側ライナーをさらに備え、前記一つ以上の開口は、前記内側ライナーを通って延在する、請求項14または請求項15のいずれかに記載の送達装置。
【請求項17】
前記一つ以上の開口は、前記ポリマー遠位端部分の周囲の周りに互いに間隔を置いて配置された三つの開口を含む、請求項14~16のいずれか一項に記載の送達装置。
【請求項18】
前記一つ以上の開口は、前記内側シャフトの内側内腔を、前記内側シャフトの外面と前記スリーブシャフトの内面との間に配置された内腔と流体連結するように構成される、請求項14~17のいずれか一項に記載の送達装置。
【請求項19】
送達装置であって、
人工インプラントを送達構成で保持するように構成された外側シャフトと、
前記外側シャフト内に配置され、前記人工インプラントの端部と接合し、前記外側シャフトに対して軸方向に移動するように構成された内側シャフトであって、
外側ポリマー層によって覆われた遠位端部分を含む硬質の主管と、
可撓性ポリマーを含み、前記主管に遠位に配置され、前記外側ポリマー層と連続するポリマー遠位端部分と、
前記内側シャフトの外面と前記内側シャフトの内面との間で、前記外側ポリマー層および前記主管を通って延在する、一つ以上の開口と、を備える、内側シャフトと、
前記外側シャフト内に配置されたスリーブシャフトであって、前記スリーブシャフトの一部は、前記外側シャフトと前記内側シャフトとの間に配置され、前記スリーブシャフトは、前記人工インプラントを前記送達構成で覆うように構成される、スリーブシャフトと、を備える、送達装置。
【請求項20】
前記内側シャフトは、前記ポリマー遠位端部分の前記内面と前記主管の内面を覆う内側ライナーをさらに備え、前記一つ以上の開口は、前記内側ライナーを通って延在する、請求項19に記載の送達装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2020年11月13日出願の米国仮特許出願第63/113,322号の利益を主張するものであり、該出願は、参照により、その全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、人工弁を、自然心臓弁および関連する流れシステムに固定するように構成されたドッキング装置のための送達装置に関する。
【背景技術】
【0003】
人工弁は、心臓弁膜障害を治療するために使用され得る。自然心臓弁(例えば、大動脈弁、肺動脈弁、三尖弁、および僧帽弁)は、逆流を防止するように機能する傍ら、前方への血流を可能にする。これらの心臓弁は、先天性、炎症性、感染性の状態などによって効果が低下し得る。このような状態は、最終的に、重篤な心血管障害または死亡につながる可能性がある。このような障害は、過去には、開心手術中に弁の外科的修復または置換によって治療され得る。
【0004】
開心手術よりも侵襲性の低い方法で、カテーテルを使用して人工心臓弁を導入および移植するための経カテーテル技術は、開心手術に関連する合併症を低減することができる。この技術では、人工弁は、送達装置の遠位端部分に圧縮状態で装着され、弁が移植部位に到達するまで、患者の血管を通って前進させられ得る。送達装置の遠位端部分での弁は、その後、弁が装着されるバルーンを膨張させるなどによって、欠陥のある自然弁の部位でその機能的サイズに拡張され得る。別の方法として、弁は、送達装置の遠位端で送達シースから前進される場合、弁をその機能的サイズに拡張する、弾性のある自己拡張型ステントまたはフレームを有し得る。バルブは、任意選択で、バルーン拡張可能で、自己拡張型の機械的に拡張可能なフレーム、および/または複数の方法でまたは方法を組み合わせて拡張可能なフレームを有し得る。
【0005】
経カテーテル心臓弁(THV)は、多くの自然大動脈弁の内部に配置されるように、適切にサイズ設定され得る。しかし、自然の僧帽弁および三尖弁は、典型的な大動脈弁とは異なる形状を有し得、僧帽弁および三尖弁の解剖学的構造は、人によって大きく異なる場合がある。したがって、多くの患者に対し、人工弁を適切にサイズおよび形状設定することは困難であり得る。さらに、弁閉鎖不全症を治療する場合、周囲組織は、特定の種類の弁を、所望の定位置に保持するほど十分に強くない場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際出願第PCT/US20/36577号
【特許文献2】米国特許出願公開第2018/0318079号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2018/0263764号明細書
【特許文献4】米国特許出願公開第2018/0177594号明細書
【特許文献5】国際出願第PCT/US20/36577号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
一部の実施例では、ドッキング装置は、最初に自然弁内に移植され得、人工弁を受容し、該人工弁を、自然弁内の所望の位置に固定(例えば、アンカー固定)するように構成され得る。例えば、ドッキング装置は、より円形かつ/または安定した固定部位を、人工弁が拡張および移植され得る自然弁の弁輪で形成し得る。経カテーテル送達装置は、ドッキング装置を移植部位に送達するために使用され得る。ドッキング装置は、送達装置の追加の構成要素と同軸の、送達装置内に配置され得る。複数の内腔は、送達装置の同軸構成要素の間に配置され得、フラッシュ流体は、移植処置中に、これらの内腔に提供され得、ドッキング装置の周りを含む、構成要素間の血栓症を低減または防止する。しかしながら、これらの内腔が、互いに異なる抵抗を有し得、内腔の抵抗が、移植手順中に変化し得るため、フラッシュ流体を様々な内腔に一定流で維持することは、困難であり得る。したがって、血栓形成の防止を目的に、送達装置の様々な内腔を通る流体の特定の流れを確保するためには、経カテーテル送達装置の改善が望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本明細書では、ドッキング装置、人工心臓弁、送達装置、およびドッキング装置ならびにドッキング装置内の人工心臓弁を移植するための方法が記載される。本明細書には、流れシステムの内腔を通る流体の一貫した流れを提供するための送達装置、流れ機構、および関連する方法の実施例も記載する。一部の実施例では、内腔は、ドッキング装置を、患者の標的移植部位まで送達するように構成された送達装置の一部である。ドッキング装置は、人工弁をその中に受容し、人工弁を移植部位の定位置に確実に保持するように構成され得る。このような送達装置の内腔を通る流体の一貫した流れを提供することによって、送達装置内の血液の停滞を低減または回避することができ、それによって、血栓形成が低減される。
【0009】
一つの代表的な実施例では、送達装置は、人工インプラントを送達構成で保持するように構成された外側シャフトと、外側シャフト内に配置され、人工インプラントの端部と接合し、外側シャフトに対して軸方向に移動するように構成された内側シャフトと、外側シャフト内に配置されたスリーブシャフトと、を含み、スリーブシャフトの一部分は、外側シャフトと内側シャフトとの間に配置され、スリーブシャフトは、人工インプラントを送達構成で覆うように構成される。内側シャフトは、内側シャフトの内面と外面との間に延在し、内側シャフトの内側内腔を、内側シャフトの外面とスリーブシャフトの内面との間に配置された内腔に流体連結するように構成される、その中に画定された一つ以上の開口部を含む。
【0010】
別の代表的な実施例では、送達装置は、人工インプラントを送達構成で保持するように構成された外側シャフトと、外側シャフト内に配置され、人工インプラントの端部と接合し、外側シャフトに対して軸方向に移動するように構成された内側シャフトであって、硬質の主管と、可撓性ポリマーを含み、主管に遠位に延在するポリマー遠位端部分と、を備える、内側シャフトと、を含む。ポリマー遠位端部分は、ポリマー遠位端部分の内面と外面との間に延在する、その中に画定された一つ以上の開口を備える。送達装置は、外側シャフト内に配置されたスリーブシャフトをさらに含み、スリーブシャフトの一部は、外側シャフトと内側シャフトとの間に配置され、スリーブシャフトは、人工インプラントを送達構成で覆うように構成される。
【0011】
別の代表的な実施例では、送達装置は、人工インプラントを送達構成で保持するように構成された外側シャフトと、外側シャフト内に配置され、人工インプラントの端部と接合し、外側シャフトに対して軸方向に移動するように構成された内側シャフトと、を含む。内側シャフトは、外側ポリマー層によって覆われた遠位端部分を含む硬質の主管と、可撓性ポリマーを含み、主管に遠位に配置され、外側ポリマー層と連続的であるポリマー遠位端部分と、内側シャフトの外面と内側シャフトの内面との間に、外側ポリマー層および主管を通って延在する一つ以上の開口と、を備える。送達装置は、外側シャフト内に配置されたスリーブシャフトをさらに備え、スリーブシャフトの一部は、外側シャフトと内側シャフトとの間に配置され、スリーブシャフトは、人工インプラントを送達構成で覆うように構成される。
【0012】
本開示の様々な新考案は、組み合わせて、または別々に使用され得る。この発明の概要は、以下の発明を実施するための形態でさらに記載される、簡略化された形態での概念の選択を導入するために提供される。この発明の概要は、特許請求された主題の主要な特徴又は必須の特徴を特定することを意図しておらず、特許請求された主題の範囲を制限するために使用されることも意図していない。本開示の前述及び他の目的、特徴並びに利点は、以下の発明を実施するための形態、特許請求の範囲、及び添付図面からより明白となるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、ある実施例に係る、人工心臓弁用のドッキング装置を患者の僧帽弁に移植する、ドッキング装置の送達装置を概略的に示す。
【
図2A】
図2Aは、ドッキング装置の送達装置が患者から取り外された後に、患者の僧帽弁に完全に移植された
図1のドッキング装置を概略的に示す。
【
図2B】
図2Bは、ある実施形態に係る、
図2Aの移植されたドッキング装置内の人工心臓弁を患者の僧帽弁に移植する、人工心臓弁の送達装置を概略的に示す。
【
図3】
図3は、一つの実施例に係る、螺旋状構成のドッキング装置の側面斜視図である。
【
図4】
図4は、ドッキング装置用の送達装置であって、ハンドル組立品およびハンドル組立品から遠位に延在する外側シャフトを含む、送達装置の例示的な実施例の側面図である。
【
図5】
図5は、
図4の送達装置のハンドル組立品のハブ組立品の側面図である。
【
図6】
図6は、ハンドル組立品の内腔を通る流体流れを示す、
図5のハブ組立品の第一の断面図である。
【
図7】
図7は、ハンドル組立品の内腔を通る流体流れを示す、
図6のハブ組立品のより詳細な図の第二の断面図である。
【
図8】
図8は、送達装置の遠位端部分とハブ組立品との間に配置される、
図4の送達装置の一部分の断面斜視図であり、送達装置の内部構成要素を通る流体の流れを示す。
【
図9A】
図9Aは、
図4の送達装置の遠位端部分の断面図であり、プッシャーシャフトがドッキング装置から間隔を置いて配置される場合の、送達装置の内部構成要素を通る流体の流れを示す。
【
図9B】
図9Bは、
図4の送達装置の遠位端部分の別の断面図であり、プッシャーシャフトがドッキング装置に対して配置される場合の、送達装置の内部構成要素を通る流体の流れを示す。
【
図10】
図10は、
図4の送達装置の遠位端部分の斜視図であり、送達装置の外側シャフトから展開され、送達装置のスリーブシャフトによって覆われた例示的なドッキング装置を示す。
【
図11】
図11は、
図4の送達装置の遠位端部分の斜視図であり、スリーブシャフトがドッキング装置から取り外された、送達装置の外側シャフトから展開された
図10の例示的なドッキング装置を示す。
【
図12】
図12は、二つ以上の流路間の一貫した相対流量を維持するように構成された流れ機構の実施例の上面斜視図であり、流れ機構は、互いに回転可能に連結された二つのパドルギアを含む。
【
図15】
図15は、異なる直径のギアを備えたパドルギアを含む、流れ機構の別の実施例の上面図である。
【
図16】
図16は、異なる幾何学的形状を有するパドルを備えたパドルギアを含む、流れ機構の別の実施例の上面図である。
【
図17】
図17は、三つ以上の流路および二つの対応するパドルギアを含む、流れ機構の別の実施例の斜視図である。
【
図18】
図18は、四つの流路および四つのパドルギアを含む、流れ機構の別の実施例の斜視図であり、各パドルギアは、別のパドルギアのパドルによって共有される共通の回転部材に回転可能に連結されたパドルを含む。
【
図19】
図19は、第一のパドルギアの第一のパドルと第二のパドルギアの第二のパドルとの間に配置されたスペーサーを含む、流れ機構の別の実施例の斜視図である。
【
図20】
図20は、オフセット高さで配置されたパドルを備えた二つのパドルギアを含む、流れ機構の別の実施例の斜視図である。
【
図21】
図21は、
図12の流れ機構に連結された単一の流体供給の例示的な実施例の上面図である。
【
図22】
図22は、流れ機構のパドルギアの回転を特定の速度で駆動するように構成された駆動部材を含む、流れ機構の別の実施例の上面図である。
【
図23】
図23は、
図7のハブ組立品内に配置された送達装置の二つの流れ内腔への流体の流れを制御するように構成された流れスロットルの例示的な配置を示す。
【
図24】
図24は、少なくとも二つの別個の流れ内腔への流体の流れを制御するように構成された流れスロットルの実施例の斜視図である。
【
図26】
図26は、二つの流れ内腔のより大きな内腔内に配置され、二つの流れ内腔のより小さい内腔の周りに封止された、
図24の流れスロットルの断面図である。
【
図27】
図27は、少なくとも三つの別個の流れ内腔への流体の流れを制御するように構成された流れスロットルの別の実施例の端面図である。
【
図28】
図28は、少なくとも二つの別個の流れ内腔への流体の流れを制御するように構成された流れスロットルの別の実施例の端面図である。
【
図29】
図29は、ドッキング装置用の送達装置の例示的なプッシャーシャフトの四つの主要構成要素を示す概略図である。
【
図30】
図30は、ドッキング装置用の送達装置のプッシャーシャフトのある実施例の側面断面図である。
【
図34】
図34は、送達装置からのドッキング装置の展開中に、第一の構成の組立品により、送達装置のスリーブシャフトおよび外側シャフトと一緒に組み立てられた、
図30のプッシャーシャフトの例示的な配置の断面側面図である。
【
図35】
図35は、スリーブシャフトを、展開されたドッキング装置から収納した後の、組立品が第二の構成である、
図34のプッシャーシャフトおよびスリーブシャフト組立品の断面側面図である。
【
図36】
図36は、プッシャーシャフトの遠位先端のある実施例の斜視図であり、遠位先端は、その中に配置されたスロットを含む。
【
図38】
図38は、プッシャーシャフトの遠位先端の別の実施例の斜視図であり、遠位先端は、その中に配置された二つのスロットを含む。
【
図39】
図39は、プッシャーシャフトの遠位先端の別の実施例の斜視図であり、遠位先端は、その中に配置された変化する幅を備えたスロットを含む。
【
図41】
図41は、流体がプッシャーシャフトから外に流れる経路を提供するように構成される、その中に配置された一つ以上の開口を備えたプッシャーシャフトの主管の遠位端部分のある実施例の側面図である。
【
図42】
図42は、流体がプッシャーシャフトから外に流れる経路を提供するように構成される、その中に配置された複数の開口を備えたプッシャーシャフトの主管の遠位端部分の別の実施例の側面図である。
【
図43】
図43は、流体がプッシャーシャフトから外に流れる一つ以上の追加の流路を提供するように構成される、一つ以上の開口を備えた遠位先端を含む、プッシャーシャフトの遠位端部分のある実施例の断面側面図である。
【
図45】
図45は、流体がプッシャーシャフトから外に流れる一つ以上の追加の流路を提供するように構成される、その中に配置された一つ以上の開口を備えたポリマー先端を含む、プッシャーシャフトの遠位端部分の別の実施例の断面側面図である。
【
図47】
図47は、送達装置の遠位端部分の断面図であり、
図45および
図46のプッシャーシャフトがドッキング装置に対して配置される場合の、送達装置の内部構成要素を通る流体の流れを示す。
【
図48】
図48は、ドッキング装置用の送達装置のための例示的なスリーブシャフトの側面断面図である。
【
図50】
図50は、ドッキング装置用の送達装置のスリーブシャフトの周りを封止するように構成された例示的な止血シールの斜視図である。
【
図52】
図52は、ドッキング装置用の送達装置のプッシャーシャフトの周りに配置されたスリーブシャフトの斜視図であり、プッシャーシャフトの近位伸長部は、スリーブシャフトの切断部分の開口部から外に延在する。
【
図53】
図53は、切断部分の切断面の鋭い縁部を示す、
図52のスリーブシャフトの切断部分の断面図である。
【
図54A】
図54Aは、切断面の鋭利な縁部を溶融しかつ丸めるための、
図53の切断部分の切断面へのレーザー照射を示す概略図である。
【
図55】
図55は、レーザー照射前の切断部分の第一の部分と、レーザー照射後のスリーブシャフトの第二の部分と、を示すスリーブシャフトの例示的な切断部分の斜視図であり、レーザー照射は、切断部分の切断面に丸い縁部および/または丸い面をもたらす。
【
図56】
図56は、切断面の鋭利な縁部をバリ取りしかつ/または丸めるために、
図53の切断部分の切断面に当てられ、それらに沿って走行するバリ取り機のビットを示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
一般的な考慮事項
本明細書の目的のために、本開示の実施例の特定の態様、利点、及び新規の特徴が、本明細書に記載される。開示される方法、装置、及びシステムは、いかなる方法でも制限するものと解釈されるべきではない。代わりに、本開示は、単独で、ならびに互いとの様々な組み合わせ及び部分的な組み合わせで、様々な開示された実施例の全ての新規かつ非自明な特徴および態様を対象とする。方法、装置、及びシステムが、任意の特定の態様もしくは特徴、又はそれらの組み合わせに限定されることもなく、また開示される実施例が、任意の一つ以上の特定の利点が存在すること、または問題が解決されることを必要とすることもない。
【0015】
開示される実施例のうちのいくつかの操作が、提示の便宜上、特定の連続的な順序で記載されるが、特定の順序が以下に記載される特定の用語によって要求されない限り、この記載方法が並べ替えを包含することは、理解されるべきである。例えば、連続的に記載される操作は、場合によっては、並べ替えされ得、または同時に実行され得る。さらに、簡略化のために、添付図面は、開示される方法が他の方法と併用され得る様々な方法を示さない場合がある。さらに、本明細書では時に、開示される方法を記載するために、「提供する」又は「達成する」等の用語が使用される。これらの用語は、実行される実際の操作の高レベルな抽象概念である。これらの用語に対応する実際の操作は、特定の実装に応じて異なり得、当業者によって容易に認識可能である。
【0016】
本出願および特許請求の範囲において使用する単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈が別途明確に指示しない限り、複数形を含む。加えて、用語「含む(includes)」は、「備える、含む(comprises)」ことを意味する。さらに、用語「連結される(coupled)」及び「関連付けられる(associated)」は、概して、物理的、機械的、化学的、電磁的、及び/又は電気的に連結又は結合されることを意味し、特定の反対表現がない限り、連結した項目又は関連付けられた項目間の中間要素の存在を排除しない。
【0017】
明細書で使用する用語「近位」は、ユーザにより近く、移植部位からさらに離れている装置の位置、方向、または部分を指す。本明細書で使用する用語「遠位」は、ユーザからさらに離れ、移植部位により近い装置の位置、方向、または部分を指す。したがって、例えば、装置の近位運動が、移植部位から離れて、ユーザに向かって(例えば、患者の身体から外に)装置を移動することである一方、装置の遠位運動は、ユーザから離れて、移植部位に向かって(例えば、患者の身体の中に)装置を移動することである。用語「長手方向」および「軸方向」は、別途明示的に定義されない限り、近位および遠位方向に延在する軸を指す。
【0018】
開示される技術の実施例
本明細書では、一部の実施例では、ドッキング装置用の送達装置で、または送達装置とともに使用され得る、様々なシステム、装置、方法などの記載がある。一部の実施例では、このようなシステム、装置、および/または方法は、送達装置の二つ以上の内腔を通る流体の一貫した流れを提供することができる。
【0019】
一部の実施例では、送達装置は、ドッキング装置を自然弁の弁輪などの移植部位に送達および移植するように構成され得る。ドッキング装置は、ドッキング装置内に移植された拡張可能な人工弁(例えば、経カテーテル心臓弁)を自然弁の弁輪でより確実に保持するよう構成され得る。例えば、ドッキング装置は、より円形および/または安定したアンカー部位、着地ゾーン、または移植ゾーンをインプラント部位に提供または形成することができ、人工弁は拡張され得、またはそうでなければ移植され得る。このようなアンカー装置またはドッキング装置を提供することによって、交換用人工弁は、自然に円形の断面を有しない僧帽弁の弁輪を含む様々な弁の弁輪で、より確実に移植および保持され得る。
【0020】
一部の実施例では、ドッキング装置は、送達装置の外側シャフト内に配置され得、スリーブシャフト(本明細書では、送達スリーブとも称される)は、送達装置内のおよび標的移植部位での移植中に、ドッキング装置を覆う/囲むことができる。プッシャーシャフトは、ドッキング装置に近位の外側シャフト内に配置され、ドッキング装置を外側シャフトから外に押し出し、ドッキング装置を標的移植部位に位置決めするように構成され得る。スリーブシャフトはまた、送達装置の外側シャフト内のプッシャーシャフトを囲むことができる。ドッキング装置を標的移植部位に位置決めした後、スリーブシャフトは、ドッキング装置から取り外され得、送達装置の外側シャフトに再度収納され得る。
【0021】
流体(例えば、ヘパリン加生理食塩水などのフラッシュ流体)は、プッシャーシャフトの内部内に画定されたプッシャーシャフト内腔、およびスリーブシャフトと送達装置の外側シャフトとの間に画定された送達シャフト内腔に供給され得る。プッシャーシャフト内腔からの流体は、その後、ドッキング装置とスリーブシャフトおよびスリーブシャフトとプッシャーシャフトとの間に画定されたスリーブシャフト内腔まで流れることができる。送達装置のこれらの内腔を通る流体の一貫した流れを提供することによって、送達装置内の血液の停滞は、低減または回避され得、それによって、血栓形成を低減または防止する。
【0022】
ドッキング装置を自然弁の弁輪まで送達するために、第一の例示的な送達装置を、その後、ドッキング装置内部の経カテーテル人工心臓弁(THV)を送達するために、第二の例示的な送達装置を使用する、例示的な経カテーテル心臓弁の置換手順を
図1~
図2Bの概略図に示す。
【0023】
欠損した自然心臓弁は、上記で導入したように、経カテーテル心臓弁(THV)で置換され得る。しかしながら、このようなTHVは、それ自身を天然組織に(例えば、自然心臓弁の弁尖および/または弁輪に)対して十分に固定することができない場合があり、天然組織に対して望ましくないように移動し、弁周囲漏出、弁機能不全、および/またはその他の問題をもたらし得る。したがって、ドッキング装置は、自然弁の弁輪に最初に移植され得、その後、THVは、ドッキング装置内に移植され得、THVを天然組織に固定し、天然組織とTHVとの間にシールを提供する一助となる。
【0024】
図1~
図2Bは、一つの実施形態に係る、ドッキング装置を利用する、例示的な経カテーテル的心臓弁の置換手順を示す。該手順中、ユーザはまず、ドッキング装置の送達装置(
図1)を使用して、ドッキング装置を患者の自然心臓弁に送達・移植して、その後、ドッキング装置を移植した後に、ドッキング装置の送達装置を患者から取り外し(
図2A)、最後に、人工弁の送達装置を使用して、人工弁を、移植されたドッキング装置内に移植する(
図2B)。
【0025】
図1は、(本明細書では、「カテーテル」および/または「ドッキング装置の送達装置」とも称され得る)ドッキング装置の送達装置18を使用して、ドッキング装置10が患者16の心臓14の僧帽弁12に移植される、例示的な僧帽弁置換術での第一の段階を示す。
【0026】
一般的に、ドッキング装置の送達装置18は、送達シャフト20と、ハンドル22と、プッシャー組立品24と、を備える。送達シャフト20は、患者の血管系に延在し、ドッキング装置10が移植部位(例えば、僧帽弁12)に到達するための通路を提供するように構成される。具体的には、送達シャフト20は、ユーザによって患者の血管系を通って移植部位まで前進されるように構成され得、ドッキング装置10を、その中に受容および/または保持するように構成され得る。一部の実施例では、送達シャフト20は、内腔を画定する外側シースまたはシャフトを備え得、プッシャー組立品24および/またはドッキング装置10は、この内腔内で受容および/または前進されるように構成され得る。
【0027】
ハンドル22は、送達シャフト20を患者の血管系を通って前進させるために、ユーザによって把持および/またはそうでなければ保持されるように構成される。具体的には、ハンドル22は、送達シャフト20の近位端26に連結され、ドッキング装置の移植手順中に、ユーザにアクセス可能なままであるように(例えば、患者16の外部に)構成される。このようにして、ユーザは、ハンドル22に力を及ぼす(例えば、押す)ことによって、送達シャフト20を、患者の血管系を通って前進させることができる。一部の実施例では、送達シャフト20は、患者の血管系を通って前進する際に、プッシャー組立品24および/またはドッキング装置10を、該送達シャフトにより搬送するように構成され得る。このようにして、ドッキング装置10および/またはプッシャー組立品24は、ユーザがハンドル22を把持し、送達シャフト20を患者の血管系の中により深く押す際に、送達シャフト20と同方向・同速度で、患者の血管系を通って前進し得る。
【0028】
一部の実施例では、ハンドル22は、送達シャフト20を患者の血管系を通ってナビゲートするのを助けるように構成される、一つ以上の関節部材28を備え得る。具体的には、関節部材28は、ユーザによって送達シャフト20の遠位端30を屈曲する、曲げる、ねじる、回転する、かつ/またはそうでなければ接合させて、送達シャフト20を患者の血管系を通ってナビゲートするのを助けるよう調整されるように構成される、ノブ、ボタン、ホイール、および/または他の種類の物理的に調整可能な制御部材のうちの一つ以上を備え得る。
【0029】
プッシャー組立品24は、ドッキング装置10を移植部位(例えば、自然弁)に展開および/または移植するように構成される。具体的には、プッシャー組立品24は、ユーザによってドッキング装置10を、送達シャフト20を通って前進させ、ドッキング装置10を送達シャフト20の遠位端30から外に押し出すよう調整されるように構成される。上述のように、プッシャー組立品24は、送達シャフト20の外部シースによって画定された内腔内に、送達シャフト20を通って延在するように構成され得る。プッシャー組立品24はまた、ドッキング装置10に連結され得、その結果、プッシャー組立品24が送達シャフト20を通って前進するにつれて、プッシャー組立品24は、ドッキング装置10を、送達シャフト20を通っておよび/またはそこから外に押し出す。換言すると、ドッキング装置10は、プッシャー組立品24によって維持され、保持され、かつ/または別の方法でそれに連結されるため、送達シャフト20を通っておよび/またはそこから外に、プッシャー組立品24と同方向・同速度で前進し得る。
【0030】
プッシャー組立品24は、プッシャーシャフト32を備え、一部の実施例では、スリーブシャフト34を含み得る。プッシャーシャフト32が、ドッキング装置10を、送達シャフト20を通って、送達シャフト20の遠位端30から外に前進させるように構成される一方、スリーブシャフト34は、含まれる場合、ドッキング装置10を送達シャフト20から外に押し出し、ドッキング装置10を移植部位に位置決めする間、送達シャフト20内のドッキング装置10を覆うように構成され得る。一部の実施例では、プッシャーシャフト32は、スリーブシャフト34によって覆われ得、プッシャーハンドル(またはハブ組立品)36の外側シャフトまたはコネクタ(例えば、以下にさらに記載されるように、
図5~
図7に示すように)内に配置され得る。
【0031】
一部の実施例では、プッシャー組立品24は、プッシャーシャフト32に連結され、ユーザがプッシャーシャフト32を送達シャフト20に対して軸方向に移動させる(例えば、プッシャーシャフト32を送達シャフト20の遠位端30におよび/またはそこから外に押し出す)ように把持され、押し出されるように構成されるプッシャーハンドル(本明細書では、「ハブ組立品」とも称され得る)36を備え得る。スリーブシャフト34は、ドッキング装置10を移植部位に位置決めした後、ドッキング装置10から収納および/または抜去されるように構成され得る。例えば、プッシャー組立品24は、スリーブシャフト34に連結され、ユーザによってスリーブシャフト34をプッシャーシャフト32に対して収納する(例えば、軸方向に移動させる)よう引き出されるように構成される、スリーブハンドル38を含み得る。
【0032】
プッシャー組立品24は、ドッキング装置10に取り外し可能に連結され得、したがって、ドッキング装置10が移植部位に一旦展開されると、ドッキング装置10から解放、切り離し、分離、および/またはそうでなければ取り外すように構成され得る。ただの一例として、プッシャー組立品24(例えば、プッシャーシャフト32)は、織り糸、ひも、撚り糸、縫合糸、またはドッキング装置10に結合または縫合される他の適切な材料を介して、ドッキング装置10に取り外し可能に連結され得る。
【0033】
一部の実施例では、プッシャー組立品24は、縫合糸を介して、ドッキング装置10に連結される織り糸または他の好適な材料を受容および/または保持するように構成される縫合ロック組立品40を備える。したがって、縫合糸を形成する織り糸または他の好適な材料は、ドッキング装置10から、プッシャー組立品24を通って、縫合ロック組立品40まで延在し得る。縫合ロック組立品40はまた、織り糸を切断して、ドッキング装置10をプッシャー組立品24から解放、切り離し、分離、および/またはそうでなければ取り外すように構成され得る。例えば、縫合ロック組立品40は、ユーザによって織り糸を切断するよう調整されるように構成される切断機構を備え得る。
【0034】
ドッキング装置の送達装置およびその変形例のさらなる詳細は、
図4~
図11を参照して、以下にさらに記載され、特許文献1に記載されており、該出願は、参照により、その全体が本明細書に組み込まれる。
【0035】
ユーザは、ドッキング装置の送達装置18を患者16の血管系に挿入する前に、まず患者の体を切開し得、血管42にアクセスする。例えば、
図1に示す実施例では、ユーザは、患者の股間を切開し得、大腿静脈にアクセスする。したがって、このような実施例では、血管42は、大腿静脈であり得る。
【0036】
ユーザは、血管42で切開を行った後、切開部を通って血管42に、イントロデューサ装置44、ガイドワイヤ46、および/または他の装置(例えば、挿入シャフト20、プッシャーシャフト32、および/またはドッキング装置の送達装置18のスリーブシャフト34、カテーテル、および/または他の送達装置、ドッキング装置10、人工弁など)を挿入し得る。(イントロデューサシースを含み得る)イントロデューサ装置44は、ガイドワイヤ46および/または他の装置(例えば、ドッキング装置の送達装置18)の血管42への、および血管42を通った経皮的導入を容易にするように構成され、ユーザによって完全に挿入される場合でさえも、血管42の一部分のみを通って延在し得る(すなわち、血管42を通って心臓14に向かって延在し得るが、心臓14の手前で停止し得る)。一方で、ガイドワイヤ46は、送達装置(例えば、ドッキング装置の送達装置18、人工弁の送達装置、カテーテルなど)およびそれらの関連装置(例えば、ドッキング装置、人工心臓弁など)を心臓14内の移植部位まで誘導するように構成され、したがって、血管42を通って心臓14の左心房48に一貫して延在し得る。具体的には、ユーザは、ガイドワイヤ46を、血管42を通って(例えば、大腿静脈および下大静脈を通って)心臓14の右心房50まで前進させ得る。ユーザは、心臓14の心房中隔52に小さな切開を行い、ガイドワイヤ46を心臓14の右心房50から左心房48まで通過させ、その後、ガイドワイヤ46を、心房中隔52の切開部を通って左心房48に前進させることができる。したがって、ガイドワイヤ46は、ドッキング装置の送達装置18が患者の血管系を通って前進するにつれて、血管42および/または他の血管系組織の壁を穿孔しないよう保証するために、ドッキング装置の送達装置18がたどることができる経路を提供し得る。
【0037】
ユーザは、ガイドワイヤ46を左心房48内に位置決めした後、ドッキング装置の送達装置18を、イントロデューサ装置44を通って、およびガイドワイヤ46の上に前進させることによって、ドッキング装置の送達装置18(例えば、送達シャフト20)を患者16に挿入し得る。ユーザは、その後、
図1に示すように、ドッキング装置の送達装置18が左心房48に到達するまで、患者の血管系を通ってガイドワイヤ46に沿って、ドッキング装置の送達装置18を継続して前進させることができる。具体的には、ユーザは、ドッキング装置の送達装置18のハンドル22を把持して力を及ぼす(例えば、押す)ことによって、ドッキング装置の送達装置18の送達シャフト20を前進させ得る。ユーザは、送達シャフト20を、患者の血管系を通って前進させる間、ハンドル22の一つ以上の関節部材28を調整し得、患者の血管系内の様々な回転部、隅角、狭窄、および/または他の障害物をナビゲートする。
【0038】
送達シャフト20が一旦左心房48に達すると、ユーザは、ハンドル22(例えば、関節部材28)を使用して、送達シャフト20の遠位端30を、僧帽弁12の後内側交連に、および/またはその近くに位置決めし得る。ユーザは、その後、プッシャー組立品24を用いて、ドッキング装置10を送達シャフト20の遠位端30から外に押し出し得、ドッキング装置10を僧帽弁12に展開および/または移植する。例えば、ユーザは、プッシャーシャフト32を送達シャフト20に対して遠位方向に軸方向に移動させるために、プッシャーハンドル36を作動させ得、その結果、(スリーブシャフト34によって覆われ得る)ドッキング装置10は、送達シャフト20から外に展開され、移植部位の所望の位置に移動される。
【0039】
一部の実施例では、ドッキング装置10は、形状記憶材料から構築され、それから形成され、かつ/またはそれを含み得、そのため、ドッキング装置が送達シャフト20を出て、もはや送達シャフト20によって拘束されなくなる場合、その元の予め形成された形状に戻ることができる。一つの実施例として、ドッキング装置10は、元々コイルとして形成され得、従って、送達シャフト20を出て、その元のコイル状構成(例えば、さらに以下に記載する、
図3に示すように)に戻る際に、弁尖の心室側の周りを包み得る。
【0040】
ユーザは、ドッキング装置10の心室部分(すなわち、左心室56内および/または僧帽弁の弁尖の心室側に位置決め/配置されるように構成されるドッキング装置10の部分)を押した後、その後、左心房48内の送達シャフト20から、ドッキング装置10の残りの部分(ドッキング装置10の心房部分)を解放し得る。具体的には、ユーザは、僧帽弁12の後内側交連の側方から離れて、ドッキング装置10に対して、送達シャフト20を収納し得る。一部の実施例では、ユーザは、プッシャーシャフト32の位置(例えば、プッシャーシャフト32上に保持および/または押す力を作用することによって)を維持し得る一方、送達シャフト20が、ドッキング装置10およびプッシャーシャフト32に対して抜去する、かつ/またはそうでなければ収納するように、送達シャフト20を収納する。このようにして、プッシャーシャフト32が、ドッキング装置10を定位置に保持し得る一方、ユーザは、送達シャフト20を収納し、それによって、ドッキング装置10を送達シャフト20から解放する。一部の実施例では、ユーザはまた、スリーブシャフト34をドッキング装置10から収納し得、ドッキング装置10を曝露し、一部の実施例では、ドッキング装置10の拡張可能なスリーブを展開する。
【0041】
ユーザは、ドッキング装置10を展開および/または移植した後、例えば、ドッキング装置10に縫合される織り糸を切断することによって、ドッキング装置の送達装置18をドッキング装置10から分離および/またはそうでなければ取り外し得る。ただの一例として、ユーザは、縫合ロック組立品40の切断機構を用いて、織り糸を切断し得る。ドッキング装置10がドッキング装置の送達装置18から一旦取り外されると、ユーザは、ドッキング装置の送達装置18(送達シャフト20、ハンドル22、およびプッシャー組立品24)全体を患者16から収納し、その結果、ユーザは、THVを僧帽弁12に送達および移植することができる。例えば、ドッキング装置10およびTHVは、二つの異なる別個の送達装置で送達され得、したがって、ユーザは、THV送達装置のための空間を作るために、ドッキング装置の送達装置18を患者16から取り外す必要があり得る。別の実施例として、ユーザは、ドッキング装置の送達装置18を患者16から取り外して、THVを送達装置上に装填する必要があり得る。いずれの実施例でも、ユーザは、THVを移植する前に、ドッキング装置の送達装置18を患者16から取り外す必要があり得る。
【0042】
図2Aは、僧帽弁置換術でのこの第二の段階を示し、ドッキング装置10が、僧帽弁12に完全に展開・移植されて、ドッキング装置の送達装置18(送達シャフト20を含む)が、患者16から取り外され、その結果、ガイドワイヤ46およびイントロデューサ装置44のみが、患者16内部に留まる。イントロデューサ装置44が、患者16内部に留まり、THVおよび弁送達装置を患者16に経皮的に挿入する一助となり得る一方、ガイドワイヤ46は、患者の血管系内に留まり、THVおよび弁送達装置を患者の血管系を通って前進させる一助となり得る。具体的には、ガイドワイヤ46は、THVおよび弁送達装置が、患者の血管系を通って前進するにつれて、血管42および/または他の血管系組織の壁を穿孔しないことを保証し得る。一部の実施例では、ユーザは、ガイドワイヤ46を、僧帽弁12を通って左心室56に前進させ得、ガイドワイヤ46が、THVおよび弁送達装置を、僧帽弁12までドッキング装置10に一貫して確実に誘導させる。
【0043】
図2Aに示すように、ドッキング装置10は、僧帽弁12の二つの弁尖の間の開口部のサイズおよび/または形状を調整するために、僧帽弁12の弁尖の心室側の周りを包み、弁尖を半径方向内側に圧迫する(すなわち、弁尖を半径方向に圧縮する)ように構成され得る。例えば、ドッキング装置10は、THVの断面形状および/または外形により厳密に合致する(例えば、円筒形THVに対して、開口部をより円形にする)ために、僧帽弁12の開口部のサイズを小さくし、かつ/または開口部の形状を変更するように構成され得る。ドッキング装置10は、僧帽弁12をこのように収縮させることによって、THVと弁12との間のより緊密な嵌合、すなわちより良好なシールを提供し得る。
【0044】
図2Bは、僧帽弁置換処置における第三の段階を示し、ユーザが、人工心臓弁の送達装置58を使用して、ドッキング装置10内および/または僧帽弁12に、(本明細書では、「心臓弁」、「経カテーテル心臓弁」、または簡潔に「THV」、「交換用心臓弁」および/または「人工僧帽弁」とも称され得る)人工心臓弁54を送達および/または移植している。したがって、ドッキング装置10および人工心臓弁54は、僧帽弁置換術で、異なる段階で異なる送達装置上で送達され得る。具体的には、ドッキング装置10は、僧帽弁置換術の第一段階の間に、ドッキング装置の送達装置18により僧帽弁12に送達され得、その後、人工心臓弁54は、人工心臓弁の送達装置58により送達され得る。
【0045】
人工心臓弁の送達装置58は、送達シャフト60と、送達シャフト60の近位端64に連結されたハンドル62と、を備える。送達シャフト60は、ドッキング装置10内の人工心臓弁54を、僧帽弁12に送達、移植、拡張、および/またはそうでなければ展開させるために、患者の血管系に延在するように構成される。ハンドル62は、ドッキング装置の送達装置18のハンドル22と同一または類似のものであり得、同様に、ユーザによって送達シャフト60を患者の血管系を通って前進させるために、把持されかつ/またはその他の方法で保持されるように構成される。
【0046】
一部の実施例では、ハンドル62は、送達シャフト60を患者の血管系を通ってナビゲートする一助となるように構成される、一つ以上の関節部材66を備え得る。具体的には、関節部材66は、ユーザによって送達シャフト60の遠位端68を屈曲する、曲げる、ねじる、回転する、かつ/またはそうでなければ接合させて、送達シャフト60を患者の血管系を通ってナビゲートするのを助けるよう調整されるように構成される、ノブ、ボタン、ホイール、および/または他の種類の物理的に調整可能な制御部材のうちの一つ以上を備え得る。
【0047】
一部の実施例では、人工心臓弁の送達装置58は、人工心臓弁54を半径方向に拡張および展開するように構成される拡張機構70を備え得る。例えば、拡張機構70は、ドッキング装置10内の人工心臓弁54を半径方向に拡張するために、膨張されるように構成される膨張可能なバルーンを備え得る。拡張機構70は、送達シャフト60の遠位端68に、および/またはそれに近位に、送達シャフト60内に含まれ得、かつ/またはそれに連結され得る。他の実施例では、人工心臓弁54は、自己拡張型であり得、拡張機構70なしに、それ自体で半径方向に拡張するように構成され得る。他の実施例では、人工心臓弁54は、機械的に拡張可能であり得、人工心臓弁の送達装置58は、人工心臓弁54を半径方向に拡張するように構成された一つ以上の機械的アクチュエータを含み得る。
【0048】
人工心臓弁54は、送達シャフト60の遠位端68に、および/またはそれに近接して、送達シャフト60に連結され得る。人工心臓弁の送達装置58が拡張機構70を含む実施例では、人工心臓弁54は、半径方向に圧縮された構成で、拡張機構70に装着され得る。一部の実施例では、人工心臓弁54は、送達シャフト60に取り外し可能に連結され得、その結果、人工心臓弁54が人工心臓弁の送達装置58から半径方向に拡張され、展開された後、人工心臓弁の送達装置58は、移植された人工心臓弁54から離れて収納され、患者16から取り外され得る。
【0049】
人工心臓弁54は、ドッキング装置10内に受容および/または保持されるように構成される。すなわち、ドッキング装置10は、人工心臓弁54を受容し、人工心臓弁54を僧帽弁12に固定する一助となるように構成される。以下でさらに詳細に説明するように、ドッキング装置10はまた、人工心臓弁54の周りで弁周囲漏出を低減するために、人工心臓弁54と僧帽弁の弁尖との間にシールを提供するように構成される。具体的には、上記で導入したように、ドッキング装置10は、最初は、僧帽弁12の弁尖を収縮させ得る。人工心臓弁54は、その後、ドッキング装置10内で半径方向に拡張する(例えば、拡張機構70の膨張により)際に、弁尖をドッキング装置10に対して押圧し得る。したがって、ドッキング装置10および人工心臓弁54は、人工心臓弁54がドッキング装置10内で拡張される場合、僧帽弁12の弁尖を挟持するように構成され得る。このようにして、ドッキング装置10は、僧帽弁12の弁尖と人工心臓弁54との間にシールを提供し得る。
【0050】
一部の実施例では、ドッキング装置の送達装置18のうちの一つ以上、人工心臓弁の送達装置58、および/またはイントロデューサ装置44は、その内腔(例えば、ドッキング装置の送達装置18の送達シャフト20、人工心臓弁の送達装置58の送達シャフト60、および/またはイントロデューサ装置44の内腔)にフラッシング流体を供給するように構成される一つ以上のフラッシングポート72(
図1)を備え得、血の塊(例えば、血栓)の形成の可能性を低減する。
【0051】
ドッキング装置10を送達する場合と同様に、ユーザは、人工心臓弁の送達装置58を、イントロデューサ装置44を通って、ガイドワイヤ46の上に前進させることによって、人工心臓弁の送達装置58(例えば、送達シャフト60)を患者16に挿入し得る。ユーザは、
図2Bに示すように、人工心臓弁の送達装置58が僧帽弁12に到達するまで、ガイドワイヤ46に沿って(患者の血管系を通って)、人工心臓弁の送達装置58を継続して前進させ得る。具体的には、ユーザは、人工心臓弁の送達装置58のハンドル62を把持し、力を及ぼす(例えば、押す)ことによって、人工心臓弁の送達装置58の送達シャフト60を前進させ得る。ユーザは、送達シャフト60を、患者の僧血管系を通って前進させる間、ハンドル62の一つ以上の関節部材66を調整し得、患者の血管系内の様々な回転部、隅角、狭窄、および/または他の障害物をナビゲートする。
【0052】
ユーザは、人工心臓弁54および/または拡張機構70が、ドッキング装置10および/または僧帽弁12内に位置決め/配置されるまで、送達シャフト60をガイドワイヤ46に沿って前進させ得る。例えば、ユーザは、送達シャフト60の遠位端68が左心室56内に位置決め/配置されるように、送達シャフト60が僧帽弁12を通って延在するまで、送達シャフト60をガイドワイヤ46に沿って前進させ得る。人工心臓弁54がドッキング装置10内に一旦適切に位置決め/配置されると、ユーザは、人工心臓弁54を、拡張機構70などにより、その完全な拡張位置または構成まで、半径方向に拡張し得る。一部の実施例では、ユーザは、弁が圧潰するのを防ぐために、人工心臓弁54をその完全な拡張位置に(例えば、ロック機構により)ロックし得る。ユーザは、人工心臓弁54を拡張および展開した後、送達シャフト60を人工心臓弁54から分離、および/または別の方法で取り外し、送達シャフト60を患者から取り外し得る。
【0053】
図1~
図2Bが、具体的には僧帽弁置換術を示すが、同一の手技および/または類似の手技を利用して、他の心臓弁(例えば、三尖弁、肺動脈弁、および/または大動脈弁)を置換し得ることは、理解されるべきである。さらに、同一および/または類似の送達装置(例えば、ドッキング装置の送達装置18、人工心臓弁の送達装置58、イントロデューサ装置44、および/またはガイドワイヤ46)、ドッキング装置(例えば、ドッキング装置10)、交換用心臓弁(例えば、人工心臓弁54)、および/またはその構成要素は、これらの他の心臓弁を置き換えるために利用され得る。
【0054】
例えば、ユーザは、自然三尖弁を置換する場合、大腿静脈を介して、右心房50にもアクセスし得るが、心房中隔52と交差して左心房48に入る必要はない。代わりに、ユーザは、ガイドワイヤ46を右心房内50に残し、同一および/または類似のドッキング装置移植プロセスを三尖弁で実行することができる。具体的には、ユーザは、ドッキング装置10を、三尖弁の弁尖の心室側の周りで送達シャフト20から外に押し出し、ドッキング装置10の残りの部分を、右心房50内の送達シャフト20から解放し、その後、ドッキング装置の送達装置18の送達シャフト20を、患者16から取り外すことができる。ユーザは、その後、ガイドワイヤ46を三尖弁を通って右心室に前進させ、同一および/または類似の人工心臓弁移植プロセスを、ドッキング装置10内で、三尖弁で実行することができる。具体的には、ユーザは、人工心臓弁54がドッキング装置10および三尖弁内に位置決め/配置されるまで、患者の血管系を通ってガイドワイヤ46に沿って、人工心臓弁の送達装置58の送達シャフト60を前進させ得る。ユーザは、その後、人工心臓弁の送達装置58を患者16から取り外す前に、ドッキング装置10内の人工心臓弁54を拡張し得る。別の実施例では、ユーザは、大動脈弁を交換するために、同一および/または類似のプロセスを実行し得るが、大腿動脈を介して、大動脈弁の流出側から大動脈弁にアクセスし得る。
【0055】
さらに、
図1~
図2Bが、右心房50および大腿静脈を介して左心房48から僧帽弁12にアクセスする僧帽弁置換術を示すが、僧帽弁12が、左心室56から代替的にアクセスされ得ることは、理解されるべきである。例えば、ユーザは、一つ以上の送達装置を、動脈を通って大動脈弁まで、その後、大動脈弁を通って左心室56に前進させることによって、大動脈弁を介して、左心室56から僧帽弁12にアクセスし得る。
【0056】
図3は、人工心臓弁を受容するように構成されたドッキング装置100の実施例を示す。例えば、ドッキング装置100は、
図1および
図2Aを参照して上述したように、自然弁の弁輪内に移植され得る。
図1~
図2Bに示すように、ドッキング装置100は、人工弁をドッキング装置内に収容および固定するように構成され得、それによって、人工弁を自然弁の弁輪に固定する。
【0057】
図3を参照すると、ドッキング装置100は、コイル102およびコイル102の少なくとも一部分を覆うガード部材104の二つの主要構成要素を含み得る。特定の実施例では、コイル102は、形状記憶材料(例えば、ニチノール)を含み得、その結果、ドッキング装置100(およびコイル102)は、送達装置(以下でより完全に記載するように)の送達スリーブ(例えば、スリーブシャフト)内に配置される場合、実質的に直線の構成(「送達構成」とも称される)から、送達スリーブ(例えば、スリーブシャフト)から取り外された後の螺旋状構成(
図3で示すように、「展開構成」とも称される)まで移動可能である。
【0058】
コイル102は、近位端102pおよび遠位端102dを有する。近位端102pと遠位端102dとの間のコイル102の本体は、送達スリーブ内に配置される場合(例えば、患者の血管系へのドッキング装置の送達の間)、患者の血管系を移動する場合に小さな半径方向の外形を維持するように、略直線状の送達構成(例えば、コイル状またはループ状の部分なし)を形成し得る。コイル102は、送達スリーブから取り外され、インプラント位置で展開された後、送達構成から螺旋状の展開構成まで移動し、インプラント位置に隣接する天然組織の周りを包み得る。例えば、コイル102は、ドッキング装置を自然弁の位置に移植する場合、自然弁の自然弁尖(および自然弁尖を隣接する乳頭筋(存在する場合)に接続する腱索)を囲むように構成され得る。
【0059】
ドッキング装置100は、送達装置に取り外し可能に連結され得る。特定の実施例では、ドッキング装置100は、(
図4および
図11を参照してさらに後述するように)ドッキング装置100に結合され、取外しのために切断されるように構成され得る解放縫合糸を介して、送達装置に連結され得る。一つの実施例では、解放縫合糸は、コイルの近位端102pに隣接して位置する通し穴または目穴を通って、ドッキング装置100に結合され得る。別の実施例では、解放縫合糸は、コイル102の近位端102pに隣接して位置する円周方向の凹部の周りに結合され得る。
【0060】
一部の実施例では、展開構成のドッキング装置100は、僧帽弁の位置に嵌合するように構成され得る。他の実施例では、ドッキング装置はまた、三尖弁などの他の自然弁の位置で同様に、移植のために形状設定、および/または適合され得る。一部の実施例では、ドッキング装置100の幾何学的形状は、自然解剖学的構造に係合するように構成され得、これにより、例えば、安定性の向上およびドッキング装置100、中にドッキングされる人工弁、および/または自然解剖学的構造の間の相対的な動きの低減が提供され得る。このような相対的な動きが低減されることで、とりわけ、ドッキング装置100および/またはその中にドッキングされる人工弁の構成要素の材料分解が防止され、かつ/または天然組織への損傷または外傷が防止され得る。
【0061】
図3に示すように、展開構成のコイル102は、先導回転部106(または「先導コイル」)と、中央領域108と、安定化回転部110(または「安定化コイル」)と、を含み得る。中央領域108は、実質的に等しい内径を有する一つ以上の螺旋回転部を有し得る。先導回転部106は、中央領域108の遠位端から延在し得、中央領域108の直径よりも大きい直径を有する(一つ以上の構成で)。安定化回転部110は、中央領域108の近位端から延在し得、中央領域108の直径よりも大きい直径を有する(一つ以上の構成で)。
【0062】
特定の実施例では、中央領域108は、安定化回転部110と連結する近位回転部108p、先導回転部106と連結する遠位回転部108d、および近位回転部108pと遠位回転部108dとの間に配置される一つ以上の中間回転部108mなどの複数の螺旋回転部を含み得る。
図3に示す実施例では、近位回転部108pと遠位回転部108dとの間に、中間回転部108m一つのみがある。他の実施例では、近位回転部108pと遠位回転部108dとの間に、複数の中間回転部108mがある。中央領域108における螺旋回転部の一部は、全回転部(すなわち、360度回転)であり得る。一部の実施例では、近位回転部108pおよび/または遠位回転部108dは、部分回転部(例えば、180度、270度など、360度未満で回転する)であり得る。
【0063】
ドッキング装置100のサイズは、患者に移植される望ましい人工弁のサイズに基づいて、一般的に選択され得る。特定の実施例では、中央領域108は、半径方向に拡張可能な人工弁を保持するように構成され得る。例えば、中央領域108内の螺旋回転部の内径は、追加的な半径方向の張力が中央領域108と人工弁との間に作用して、人工弁を定位置に保持できるように、人工弁が半径方向に拡張される場合、人工弁の外径よりも小さいように構成され得る。中央領域108における螺旋回転部(例えば、108p、108m、108d)はまた、本明細書では「機能的回転部」と称される。
【0064】
安定化回転部110は、ドッキング装置100を所望の位置に安定化する一助となるように構成され得る。例えば、安定化回転部110の半径方向の寸法は、中央領域108内のコイルの径方向の寸法よりも著しく大きくなり得、その結果、安定化回転部110は、循環システムの壁に当接または押圧するように十分に外側にフレア状にまたは延在し、それによって、人工弁の移植前に、ドッキング装置100が所望の位置に留まる能力を向上させることができる。一部の実施例では、安定化回転部110の直径は、良好な安定化のために、弁輪、自然弁面、および心房よりも望ましく大きい。一部の実施例では、安定化回転部110は、全回転部(すなわち、約360度回転)であり得る。一部の実施例では、安定化回転部110は、部分回転部(例えば、約180度~約270度の間で回転する)とすることができる。
【0065】
一つの特定の実施例では、ドッキング装置100を自然の人工弁の位置に移植する場合、中央領域108の機能的回転部は、実質的に左心室に配置され得、安定化回転部110は、実質的に左心房に配置され得る。安定化回転部110は、左心房の少なくとも三つの接点または左心房壁の完全な接触など、ドッキング装置100と左心房壁との間の一つ以上の接点または接触領域を提供するように構成され得る。特定の実施例では、ドッキング装置100と左心房壁との間の接点は、自然僧帽弁の平面にほぼ平行な平面を形成することができる。
【0066】
上述のように、先導回転部106は、中央領域108内の螺旋回転部よりも大きな半径方向寸法を有し得る。先導回転部106は、コイル102を、腱索の幾何学的形状の周りにおよび/またはそれを通って、かつ自然弁(例えば、自然の僧帽弁、三尖弁など)のすべての自然弁尖の周りに適切に、より容易に誘導する一助となり得る。例えば、誘導回転部106が所望の生来の組織の周りに一旦ナビゲートされると、ドッキング装置100の残りのコイル(機能的回転部など)はまた、同一の機構の周りに誘導され得る。一部の実施例では、先導回転部106は、全回転部(すなわち、約360度回転する)であり得る。一部の実施例では、先導回転部106は、部分回転部(例えば、約180度~約270度の間で回転する)であり得る。一部の実施例では、人工弁がコイルの中央領域108内で半径方向に拡張される場合、中央領域108の機能的回転部は、さらに半径方向に拡張され得る。結果として、先導回転部106は、近位方向に引っ張られ、中央領域108における機能的回転部の一部となり得る。
【0067】
特定の実施例では、コイル102の少なくとも一部分は、第一のカバーによって囲まれ得る。第一のカバーは、様々な天然材料および/または合成材料から構成され得る。一つの特定の実施例では、第一のカバーは、拡張ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)を含み得る。特定の実施例では、第一のカバーは、第一のカバーとコイル102との間の相対的な軸方向の移動が制限または禁止されるように、コイル102に固定的に(例えば、テクスチャ加工された表面抵抗、縫合糸、糊、熱接合、または任意の他の手段によって)取り付けられるように構成される。
【0068】
ガード部材104は、ドッキング装置100用のカバー組立品の一部を構成し得る。一部の実施例では、カバー組立品はまた、第一のカバーを含み得る。
【0069】
図3に示すような典型的な実施例では、ドッキング装置100が展開構成にある場合、ガード部材104は、コイル102の安定化回転部110の一部分を覆うように構成され得る。特定の実施例では、ガード部材104は、近位回転部108pの一部など、コイル102の中央領域108の少なくとも一部分を覆うように構成され得る。特定の実施例では、ガード部材104は、コイル102の全体にわたって延在し得る。
【0070】
一部の実施例では、ガード部材104は、弁周囲漏出を防止および/または低減する一助となるように、半径方向に拡張され得る。具体的には、ガード部材104は、改善されたシールが、ドッキング装置100内に展開された人工弁により近くおよび/またはそれに対して形成されるように、半径方向に拡張するように構成され得る。一部の実施例では、ガード部材104は、ドッキング装置100が自然弁の弁尖の間(例えば、自然弁の交連で)と交差する位置での漏出を防止および/または阻害するように構成され得る。
【0071】
別の実施例では、ドッキング装置100が自然房室弁に展開され、ガード部材104が、安定化回転部110の一部分および/または中央領域108の一部分を主に覆う場合、ガード部材104は、房室弁の心房側を覆う一助となり得、心房内の血液が、人工弁を通る以外で、心室から心房方向に流れる(すなわち、順行性血流)のを阻止することによって、血液が、自然弁尖、交連を通っておよび/または人工弁の外側の周りに漏出することを防止および/または阻害する。
【0072】
一部の実施例では、ガード部材104は、房室弁の心室側に位置決めされ得、心室の血液が、心室から心房方向に流れる(すなわち逆行性血流)のを阻止することによって、血液が、自然弁尖、交連を通っておよび/または人工弁の外側の周りに漏出することを防止および/または阻害する。
【0073】
一部の実施例では、ガード部材104の遠位端部分104dは、コイル102に(例えば、遠位縫合糸を介して)固定的に連結され得、ガード部材104の近位端部分104pは、コイル102に対して軸方向に移動可能である。
【0074】
特定の実施例では、ガード部材104が半径方向に拡張された状態にある場合、ガード部材104の近位端部分104pは、
図3に示すようなテーパ形状を有し得、その結果、近位端部分104pの直径は、ガード部材104の近位末端からガード部材104の遠位に位置する本体部分まで徐々に増加する。これは、例えば、ドッキング装置を送達装置の送達スリーブ(例えば、スリーブシャフト)に装填すること、および/またはドッキング装置を、移植処置中に回収および/または送達装置に再位置決めすることを容易にする一助となる。
【0075】
図4~
図11は、ドッキング装置(
図3を参照して上述したドッキング装置100など)を標的移植部位(例えば、動物、ヒト、死体、死体心、擬人化ゴースト、および/または同種のものの心臓および/または自然弁)まで送達するように構成された送達装置(送達システムとも称され得る)220の実施例を示す。一部の実施例では、送達装置220は、
図1および
図2Aを参照して上記で説明したように、患者の血管系を通るドッキング装置の送達を誘導するために使用され得る経カテーテル送達装置であり得る。
【0076】
例示的な送達装置220は、
図4に示され、ドッキング装置232は、送達装置220の遠位端から少なくとも部分的に展開される(例えば、例示目的で)。一部の実施例では、ドッキング装置232は、
図3を参照して上記で説明したドッキング装置100であり得る。送達装置220は、ハンドル組立品200と、ハンドル組立品200から遠位に延在する外側シャフト(例えば、送達カテーテル)260と、を含み得る。ハンドル組立品200は、ハンドル222およびハンドル222の近位端から延在するハブ組立品230を含み得る。ハブ組立品230のより詳細な図が、以下にさらに記載されるように、
図5に示される。さらに、
図6および
図7は、ハブ組立品230の内部構成要素およびハブ組立品230の内部構成要素を通るフラッシュ流体の流れの実施例を示す断面図である。
図8および
図9Aは、送達装置220(
図9Aおよび
図9B)の遠位端部分および遠位端部分とハブ組立品230(
図8)との間に配置された送達装置220の一部分を含む、ハンドル組立品200に遠位の、送達装置220の内部構成要素を通るフラッシュ液体の流れを示す。
【0077】
図4に示すように、ハンドル組立品200は、一つ以上のノブ、ボタン、ホイールなどを含むハンドル222を含み得る。例えば、
図4に示すように、ハンドル222は、送達システム(例えば、外側シャフト260)の屈曲を制御するように構成され得るノブ224および226を含み得る。外側シャフト260が、ハンドル222から遠位に延在する一方、ハブ組立品230は、ハンドル222から近位に延在する。ドッキング装置を標的移植部位まで送達するように構成される送達装置220などの送達システムおよび装置に関するさらなる詳細は、特許文献2~4に記載され得、これらはすべて、参照により、その全体が本明細書に組み込まれる。
【0078】
一部のドッキング装置の標的移植部位での送達中、ドッキング装置が、心臓壁、線維柱帯、天然の弁尖、腱索、または類似のものなど、生来の組織の一部を捕捉する、それに引っかかる、かつ/またはそれに妨げられる可能性がある。これは、ドッキング装置と生来の組織との間の摩擦力、ドッキング装置の遠位端または先端が生来の組織の線維柱帯および/または腱に捕捉されること、ドッキング装置の機能的回転部の内径と天然の弁尖の外径との間のサイズ差など、複数の要因に起因し得る。
【0079】
一部のドッキング装置は、摩擦を増加させるために(例えば、
図2Bを参照して上述するように、ドッキング装置とその中に展開および移植された人工弁との間の保持力を高めるために)、ドッキング装置の外面に織物または編組テクスチャおよび/または被覆を有し得る。しかしながら、この摩擦は、ドッキング装置をその生来の組織の周りに、および/またはそれを通って前進させる(例えば、生来の組織の周りにドッキング装置を移動させる抵抗の増加、および/または生来の組織上のドッキング装置の付着または捕捉など)場合に、不具合を生じ得る。
【0080】
ドッキング装置が、自然弁尖、腱索、および/または線維柱などの障害物に一旦突入すると、医師、外科医、または他の医療専門家またはユーザは、ドッキング装置を送達装置(例えば、送達装置220)に収納し、ドッキング装置の展開を再度試みる必要がある場合がある。しかしながら、この方法は、組織の部分をこすり付け、かつ/または捕捉し、送達装置に引き戻す、ドッキング装置上に存在するテクスチャまたは編組に起因して、天然組織に損傷を生じさせ得、これは、送達装置を損傷または動きを妨げる可能性がある。さらに、これにより、展開および移植処置のための時間が増加し得る。
【0081】
これらの課題に対処するために、ドッキング装置(例えば、
図4のドッキング装置232)は、生来の組織での送達および移植中に、潤滑な外面(例えば、ドッキング装置の全体または機能的回転などのドッキング装置の特定の部分の上に)、および移植後、ならびに人工弁のその中でのその後の展開中に、少なくとも機能的コイル/回転部で、より高い摩擦の外面を有するように構成され得る。
【0082】
一部の実施例では、これは、送達中にドッキング装置の上に配置され得、ドッキング装置が移植部位の所望の位置にある後に、ドッキング装置から収納可能である、取り外し可能な潤滑スリーブまたはシースにより、達成され得る。一部の実施例では、潤滑または低摩擦スリーブ/シースは、
図4の送達装置220などの送達装置に組み込まれ得る。
【0083】
例えば、送達装置220は、外側シャフト260内に同軸に配置され、各々ハンドル組立品200内に延在する部分を有する、プッシャーシャフト290(
図4~
図11)およびスリーブシャフト280(
図5~
図11)を含み得る。プッシャーシャフト290は、標的移植部位に到達すると、ドッキング装置232を外側シャフト260の遠位端部分の内部から展開するように構成され得、スリーブシャフト280は、送達装置220の内部で、標的移植部位(
図11)で位置決めされる間、ドッキング装置232を覆うように構成され得る。さらに、送達装置220は、以下にさらに説明するように、標的移植部位での移植後に、スリーブシャフト280のスリーブ部分(例えば、遠位セクション)をドッキング装置232から取り外すために、スリーブシャフト280の軸方向位置を調整するように構成され得る。
図10および
図11は、スリーブシャフト280(
図10)の遠位(またはスリーブ)部分282によって覆われる、送達装置220の外側シャフト260から展開された例示的なドッキング装置232であって、スリーブシャフト280が外側シャフト260に再度収納された後(
図11)の、例示的なドッキング装置232を示す斜視図である。
【0084】
図4および
図11に示すように、ドッキング装置232は、送達中、プッシャーシャフト290を通って延在し得る解放縫合糸(または、ドッキング装置の周りに結ばれ、取り外しのために切断されるように構成され得る、ストリング、ヤーン、またはその他の材料を含む他の回収ライン)236を介して、送達装置220に連結され得る。
図5を参照して、以下でさらに説明する通り、解放縫合糸236は、送達装置220を通って、プッシャーシャフト290の内側内腔を通って、送達装置220の縫合ロック組立品206まで延在し得る。
【0085】
図4および
図5に示すように、ハブ組立品230は、縫合ロック組立品(例えば、縫合ロック)206およびそれに取り付けられたスリーブハンドルを含み得る。スリーブハンドル234の第一の実施例が
図4に示され、スリーブハンドル208の第二の実施例が
図5に示される。ハブ組立品230が、送達装置220のプッシャーシャフト290およびスリーブシャフト280を一緒に制御する(例えば、一緒に軸方向に移動させる)ように構成され得る一方、スリーブハンドル(
図4のスリーブハンドル234および
図5のスリーブハンドル208)は、プッシャーシャフト290に対してスリーブシャフト280の軸方向位置を制御し得る。このように、ハンドル組立品200の様々な構成要素を操作することで、外側シャフト260内に配置された構成要素の操作が、作動および制御され得る。一部の実施例では、
図4および
図5に示すように、ハブ組立品230は、コネクタ240を介してハンドル222に連結され得る。
【0086】
ドッキング装置用の送達装置のための縫合ロック組立品およびプッシャーシャフトおよびスリーブシャフト組立品に関するさらなる詳細は、特許文献5に記載されており、該出願は、参照により、その全体が本明細書に組み込まれる。さらに、送達装置220などの送達装置用のプッシャーシャフトのさらなる実施例は、
図29~
図43を参照して、さらに以下に記載される。
【0087】
図4~
図7に示すように、さらに後述するように、ハンドル組立品200は、潜在的な血栓形成を低減するために、送達装置220(例えば、送達装置220の同軸構成要素の間に配置された環状内腔)内に配置された一つ以上の内腔にフラッシュ流体を供給するための一つ以上のフラッシングポートをさらに含み得る。送達装置220が三つのフラッシングポート(例えば、フラッシングポート210、216、および218)を含む一つの実施例を、
図4、
図6、および
図7に示す。代替の実施例では、送達装置220は、フラッシングポート216を含まない場合がある(例えば、
図5および
図23に示すように、以下にさらに記載されるように)。
【0088】
図5は、送達装置220用のハブ組立品230のある実施例を、より詳細に示す。一部の実施例では、
図5に示すように、ハブ組立品230は、直線セクション(例えば、直線導管)202および少なくとも一つの分岐(例えば、分岐導管)204(しかし一部の例では、複数の分岐を含み得る)を有するY字形コネクタ(例えば、アダプタ)を含み得る。一部の実施例では、縫合ロック組立品(例えば、縫合ロック)206は、分岐204に取り付けられ得、スリーブハンドル(例えば、スリーブ作動ハンドル)208は、直線セクション202の近位端に配置され得る。
【0089】
ハブ組立品230は、プッシャーシャフト290(または別の類似のプッシャーシャフト)の近位伸長部291が、分岐204の端部に配置された縫合ロック組立品206まで延在可能であるように適合され、構成され得る一方、スリーブシャフト280の(近位部分とも称され得る)切断部分288は、直線セクション202の端部に配置されるスリーブハンドル208まで延在する。この構成により、医療従事者は、ハンドル組立品200の位置を操作する(例えば、軸方向に移動させる)ことによって、ドッキング装置(例えば、
図4のドッキング装置232)の展開を実行し、またスリーブハンドル208上で、軸方向に引き戻すことによって、スリーブシャフト280(移植されたドッキング装置から外れ、そこから離れて)の格納を実行し得る。
【0090】
このように、スリーブシャフト280およびプッシャーシャフト290は、一緒に機能するように構成され得、その結果、ドッキング装置を自然弁に展開および位置決めする場合(例えば、ハブ組立品230全体を、軸方向に前方および/または後方に移動させることによって)、一緒に同時に移動され得るだけでなく、スリーブシャフト280が、ドッキング装置から外れて収納される間、プッシャーシャフト290がドッキング装置を定位置に保持できるように独立して移動可能である(例えば、スリーブシャフト280を抜去するために、スリーブハンドル208上で近位に引っ張る間、ハブ組立品230を、送達装置220の外側シャフト260および/または送達装置220のその他の部分および/またはドッキング装置に対して定位置に保持することによって)。上記に導入され、
図34および
図35に示し、以下でさらに説明するように、スリーブシャフト280およびプッシャーシャフト290は、この協働的相互作用を促進するために、送達装置220の一部、すべて、または大部分に沿って同軸であり得る。
【0091】
上述して、
図4~
図7に示すように、ハンドル組立品200は、流体を受容し、受容された流体を、送達装置220の軸方向に延在する同軸の構成要素間に配置された選択された内腔(例えば、環状空間)に提供するように構成される、フラッシングポート210、216、および218などの一つ以上のフラッシングポートまたは流体ポートを含み得る。例えば、
図4~
図7に示すフラッシングポートの構成、および本明細書に詳述される様々な他の流れシステムの実施例により、ドッキング装置の周りを含む構成要素間の血栓を低減または防止するために、移植処置中に送達装置220の選択された内腔を通る流体のフラッシングおよび/または一定の流れが可能になり得る。
【0092】
例えば、送達装置220の遠位端部分の概略図である
図9Aに示すように、ドッキング装置232、プッシャーシャフト290、スリーブシャフト280、および外側シャフト260の間に形成された様々な内腔は、送達および移植手順の間に、流体を受容するように構成される。
【0093】
第一のプッシャーシャフト内腔201は、プッシャーシャフトの内部(例えば、プッシャーシャフト290の主管292の内部)内に形成され得る。プッシャーシャフト内腔201は、ハンドル組立品(例えば、以下にさらに記載されるように、分岐204)の一部分に流体連結され得る第一の流体源から流体を受容することができる。プッシャーシャフト内腔201を通るフラッシュ流体流203は、プッシャーシャフト290の主管292の長さに沿って、プッシャーシャフト290の遠位端293まで移動し得る。プッシャーシャフト290の遠位端293が、
図9Aに示すように、ドッキング装置232の近位端から離れて間隔を置いて配置される場合、フラッシュ流体流れ203の少なくとも一部分は、ドッキング装置232の外面とスリーブシャフト280の遠位セクション282の内面との間に、フラッシュ流体流れ207として配置される、第二のスリーブシャフト内腔211の第一の部分205に流れ込むことができる。さらに、一部の実施例では、フラッシング流体流れ203の一部分は、プッシャーシャフト290の外面とスリーブシャフト280の内面との間に、フラッシング流体流れ213として配置される、スリーブシャフト内腔211の第二の部分209にも流れ込み得る。このようにして、同一の第一の流体源は、プッシャーシャフト内腔201、スリーブシャフト内腔211の第一の部分205、およびスリーブシャフト内腔211の第二の部分209のそれぞれに、プッシャーシャフト内腔201を介してフラッシュ流体を提供し得る。
【0094】
図9Aにも示すように、第三の送達シャフト内腔215は、外側シャフト260の内面とスリーブシャフト280の外面との間に形成された環状空間内に形成され得る。送達シャフト内腔215は、ハンドル組立品(例えば、以下でさらに説明するように、分岐204および/またはハンドル222)の一部分に流体連結され得る、一つ以上の第二の流体源および/または第一の流体源から流体を受容し得る。これらの供給源のうちの一つ以上からの流体は、送達シャフト内腔215を通って外側シャフト260の遠位端まで流れるフラッシュ流体流れ217をもたらし得る。
【0095】
流体(例えば、フラッシュ流体)を、上述の内腔に提供することで、送達装置220からドッキング装置232の展開および標的移植部位でのドッキング装置232の移植中に、ドッキング装置232および送達装置220の他の同心部分の上およびその周りでの血栓が低減または防止され得る。
【0096】
図4~
図7は、フラッシュ流体を、
図9Aを参照して上述した内腔に提供するように構成された可能な流体(例えば、フラッシング)ポートの配置の異なる実施例を示す。さらに、
図8は、ハブ組立品230(
図4~
図7)と送達システムの遠位端部分(
図9A)との間に配置された送達装置220の一部分を通るフラッシュ流体の流れを示す。
【0097】
フラッシングポート配置の第一の実施例では、ハンドル組立品200は、ハブ組立品230の分岐204(縫合ロック分岐と称され得る)上に配置された二つのフラッシングポート(本明細書では、流体ポートとも称され得る)を含み得、その一方は、フラッシング流体流203をプッシャーシャフト内腔201に提供し、もう一方は、フラッシュ流体流217を送達シャフト内腔215に提供する。例えば、分岐204上の二つのフラッシングポートは、第一のフラッシングポート210および第二のフラッシングポート216を含み得、第一のフラッシングポート210は、分岐204上の第二のフラッシングポート216に近位に配置される(
図6および
図7)。一部の実施例では、分岐204上の第二のフラッシングポート216の位置は、
図6および
図7に示すよりも、第一のフラッシングポート210により近い、またはより遠くに離れる場合がある。追加的または代替的に、一部の実施例では、第一のフラッシングポート210は、分岐204の自由端など、分岐204に沿ってより近位の位置に配置され得、かつ/または縫合ロック組立品206に連結され得る。
【0098】
図5~
図7に示すように、第一のフラッシングポート210は、分岐204内の内部空洞250に流体接続される内部流れ内腔を有する。プッシャーシャフト290の近位伸長部291の開放近位端252は、内部空洞250に流体連結され得、かつ/または内部空洞250内に配置され得る(
図5~
図7に示すように)。近位伸長部291は、分岐204を通って、ハブ組立品230の直線セクション202に誘導され、プッシャーシャフト290(
図6および
図7)の主管292に接続される。したがって、プッシャーシャフト内腔201は、主管292および近位伸長部291によって、およびその内部で形成される。したがって、第一のフラッシングポート210からのフラッシュ流体流れ203は、近位伸長部291の近位端252でプッシャーシャフト内腔201に入り、プッシャーシャフト290の主管292の全体にそれを通って、遠位端293(
図9Aに示すように)まで継続する。
【0099】
第二のフラッシングポート216は、分岐204内の近位伸長部291の外部を囲み、スリーブシャフト280の近位セクション284の切断部分288の内面と近位伸長部291(
図6および
図7)との間の空間で、直線セクション202に延在する、細長い空間または空洞254(空洞の少なくとも一部分に沿って、環状であり得る)に流体接続される内側流れ内腔を有する。したがって、第二のフラッシングポート216からのフラッシュ流体流217は、空洞254に入り得、近位伸長部291の周りの空洞254を通って、環状空洞219に流れ得る(
図6および
図8)。フラッシュ流体流れ217は、
図34および
図35(以下でさらに説明)に示すように、環状空洞219を通って流れ、プッシャーシャフト290のシェル294の遠位端を出て、送達シャフト内腔215に入ることができる。
【0100】
一部の実施例では、
図4および
図6に示すように、送達シャフト内腔215は、プッシャーシャフト290のプラグ296の下流(例えば、遠位)の環状空洞219に流体連結された第三のフラッシングポート218(第二のフラッシングポート216からの流体に加えて)からの追加のフラッシング流体が供給され得る(プラグ296およびシェル294を含む、プッシャーシャフト290の構成要素のさらなる詳細は、
図29~
図33を参照して以下に記載される)。このように、一部の実施例では、補充的フラッシュ流体221は、フラッシュ流体流れ217(
図6)と組み合わされ得、送達シャフト内腔215に供給され得る。
【0101】
一部の実施例では、
図4および
図6に示すように、第三のフラッシングポート218は、ハンドル222の一部分上に配置され得る。代替的な実施例では、第三のフラッシングポート218は、
図4および
図6に示すよりもハンドル上のより遠位の位置に配置され得る。一部の実施例では、第三のフラッシングポート218は、移植処置の間には使用されないことがあるが、代わりに、送達装置220を患者に挿入する前に、送達シャフト内腔215をフラッシングするためにのみ使用され得る。
【0102】
一部の実施例では、送達装置220は、第三のフラッシングポート218を含まない場合がある。
【0103】
上述のフラッシングポートの配置の第一の実施例を含む、ハブ組立品230の様々な実施例は、分岐204の二つのフラッシングポートの間で、分岐204内に位置するガスケット223を含み得、分岐204の二つのフラッシングポート(例えば、
図5~
図7に示すように、第一のフラッシングポート210および第二のフラッシングポート216)によって供給される別個の流体流れ内腔を作製する。例えば、ガスケット223は、近位伸長部291をその中にきつく受容するように構成された単一の(例えば、一部の例では中央)穴を備えた円板として構成され得る。ガスケット223は、いかなる追加の穴も含まず、内部空洞250と空洞254との間にシールを提供するようにさらに構成され得る。結果として、第一のフラッシングポート210から内部空洞250に入るフラッシュ流体流れ203のすべては、空洞254に入ることなく、送達シャフト内腔215に流れ込むことなく、プッシャーシャフト内腔201に入り得る。同様に、第二のフラッシングポート216から空洞254に入るフラッシュ流体流217の全ては、環状空洞219および送達シャフト内腔215に入ることができる。
【0104】
フラッシングポート配置の第二の実施例では、ハンドル組立品200は、ハブ組立品230の分岐204(縫合ロック分岐と称され得る)上に配置された二つのフラッシングポートを含み得、その一方は、フラッシング流体流203をプッシャーシャフト内腔201に提供し、もう一方は、フラッシング流体流217を送達シャフト内腔215に提供する。しかしながら、第二の実施例では、フラッシング流体流れ203をプッシャーシャフト内腔201に提供するフラッシングポートは、縫合ロック組立品206の端部で、分岐204の近位端に配置され得る。
【0105】
上述の第一および第二の実施例などの複数のフラッシングポートを有するフラッシングポート配置の実施例は、独立して(例えば、二つの別個の流体供給源を用いて)、または共通の流体供給源と一緒に、フラッシング流体が供給され得る。例えば、一部の実施例では、各フラッシングポート(例えば、第一のフラッシングポート210および第二のフラッシングポート216)は、二つの別個の注入ポンプ(一つは、フラッシングポートのそれぞれに流体連結される)または別の組の流体源からのフラッシング流体が供給され得る。代替的な実施例では、
図6に示すように、単一の注入装置(例えば、ポンプ)225は、単一の流体ラインを複数のフラッシングポートに接続するY字形コネクタ227を通ってなど、複数のフラッシングポートに接続され得る。
【0106】
一部の事例では、場合によっては血栓につながる場合がある、送達装置220内の流体の停滞を回避するために、プッシャーシャフト内腔201および送達シャフト内腔215のそれぞれを通って、一定流の流体(例えば、ヘパリン加生理食塩水などのフラッシュ流体)を提供することが望ましい場合がある。血栓は、一部の事例では、ドッキング装置の移植中に除去されれば、患者の合併症に寄与する場合がある。さらに、血栓は、スリーブシャフト280とドッキング装置との間の摩擦の増加を引き起こすために、スリーブシャフト280の遠位部分のドッキング装置からの取り外し中に生じる力を増加させ得る。
【0107】
したがって、二つの専用のフラッシングポートまたは流体ポート(例えば、上述のようにフラッシングポート210およびフラッシングポート216)の場合、プッシャーシャフト内腔201および送達シャフト内腔215を通る比較的一定または一定の流れを確保するために、二つの流体ポートの各々への流体の流れを個別に制御することが望ましい場合がある。一つの実施例として、二つの別個の注入装置(例えば、ポンプ)を使用して、特定の流量のフラッシュ流体を、プッシャーシャフト内腔201および送達シャフト内腔215に提供することができる。しかしながら、このような構成は、単一の装置のみの制御とは異なり、処置費用および/または設定時間を制御および増加するために、より複雑であり得る。二つのフラッシングポートに単一の流れ供給部(例えば、注入装置)のみを利用する場合、各フラッシングポートに入る流体の量は制御されず、むしろ各流れ内腔(例えば、プッシャーシャフト内腔201および送達シャフト内腔215)の抵抗に依存する。しかしながら、プッシャーシャフト内腔201および送達シャフト内腔215の各々の抵抗、ならびにプッシャーシャフト内腔201と送達シャフト内腔215の各々との間の抵抗の比は、処理中に変化し得る。一部の実施例では、プッシャーシャフト内腔201は、送達シャフト内腔215に対して、増加した抵抗を有し得る。したがって、単一の流体源からの流れは、送達シャフト内腔215を通って優先的に流れ得、それによって、プッシャーシャフト内腔201および/またはスリーブシャフト内腔211内の血栓形成のリスクを増大させる。
【0108】
したがって、一部の実施例では、標的流量が、血栓形成を低減または防止し得る送達装置の全ての流れ内腔において達成されるように、二つのフラッシングポート(例えば、第一のフラッシングポート210および第二のフラッシングポート216)の各々に、およびそれぞれの内腔(例えば、プッシャーシャフト内腔201および送達シャフト内腔215)の各々を通して、流体の流量の平衡を保つまたはそれを均等化することが望まれる場合がある。二つ以上の流路(例えば、プッシャーシャフト内腔201までの第一のフラッシングポート210と送達シャフト内腔215までの第二のフラッシングポート216と)の間に一貫した流量比を提供するように構成された流れ機構の実施例を、
図12~
図22を参照して以下に記載する。結果として、二つのフラッシングポート間の流体の一貫した相対流量は、流路(例えば、プッシャーシャフト内腔201および送達シャフト内腔215)の各々における変動抵抗とは無関係に、達成され得る。
【0109】
本明細書で使用する「流量比」は、第一の流路を通る流体の第一の流量と、第二の流路を通る流体の第一の流量と、の比として定義され得る。したがって、個々の流量が変化し得るが、第一の流量と第二の流量との比は、本明細書にさらに記載されるように、一定または一貫した比で維持され得る。
【0110】
ここで
図12~
図22を参照すると、機械的流れ機構の実施例は、二つ以上の流路における変動抵抗とは関係なく、二つ以上の流路間の一貫した相対流量(または流量比)を維持するように構成される。一部の実施例では、
図12~
図22を参照して以下に記載する流れ機構の実施例を使用して、送達装置220(
図5~
図9Aに示すように)のプッシャーシャフト内腔および送達シャフト内腔などの移植可能な装置用の送達装置内の二つ以上の流れ内腔への流体の流れを制御することができる。一部の実施例では、
図12~
図22を参照して以下に記載する流れ機構の実施例を使用し得、代替流れシステム(例えば、代替流れシステムにおける二つ以上の平行な流路など)における二つ以上の流路を通る流体の流れを制御する。
【0111】
図12~
図14は、二つ以上の流路間の一貫した相対流量(例えば、二つ以上の流路における一貫した流量比)を維持するように構成された流れ機構300の実施例を示す。
図12は、流れ機構300の上面斜視図を示し、
図13は、流れ機構300の側面斜視図を示し、
図14は、流れ機構300を通る流体の流れも示す、流れ機構300の上面図を示す。
【0112】
流れ機構300は、ハウジング(例えば、外側ハウジング)302と、ハウジング302内に配置された少なくとも二つのパドルギアと、を備える。ハウジングは、少なくとも二つの流路を画定し、各流路は、少なくとも二つのパドルギアのうちの一つに対応する。
【0113】
例えば、
図12~
図14に示すように、ハウジング302は、第一の端部320と、第二の端部322と、第一の端部320と第二の端部322との間に配置された中央部分324と、を備える。一部の実施例では、第一の端部分320は、流れを、対応するパドルギアから離れて、流れ機構300から外に誘導するように構成された二つ以上の導管(例えば、出口または出口導管)326(
図12~
図14の実施例では、二つ示す)を含む出口端部分(
図14に示すように)とすることができる。第二の端部分322は、流れを流体源からの受容し、該流れを対応するパドルギアへ誘導するように構成された二つ以上の導管(例えば、入口または入口導管)328(
図12~
図14の実施例では二つ示す)を含む入口端部分であり得る。しかしながら、代替的な実施例では、導管326は、入口として代わりに構成され得、導管328は、出口として代わりに構成され得る。
【0114】
流れ機構300のハウジング302は、第一の流路304および第二の流路306を画定する。第一の流路304および第二の流路306は、流体を受容するように構成され、互いに流体分離される(例えば、第一の流路304中の流体と第二の流路306中の流体との間には、流れの相互作用または混合が発生しない)。
【0115】
第一の流路304は、ハウジング302の中央部分324内に配置された第一のパドルギア308に流体連結され得る。第一の流路304は、第一の流れ入口開口部(流れ入口とも称される)314と第一の流れ出口開口部(流れ出口とも称される)316との間に、ハウジング302に形成された第一の内側チャネル312によって画定される。一部の実施例では、第一の内側チャネル312は、比較的一定の内径を有し得る。一部の実施例では、第一の内側チャネル312は、第一の流れ出口開口部316に接続する、第一の端部320内のより大きな直径(または段付き)部分313を有し得る。結果として、流体システムの流れコネクタもしくは導管、または流体システムに連結された流れコネクタもしくは導管は、第一の流れ出口開口部316および第一の内側チャネル312のより大きな直径部分313内に延在し得、それによって、流れ機構300を、第一の流路304から測定された容積の流体を受容するように構成された流体システムの導管または流路に連結する。
【0116】
同様に、第二の流路306は、ハウジング302の中央部分324内に配置された第二のパドルギア310に流体連結され得る。第二の流路306は、第二の流れ入口開口部(流れ入口とも称される)332と第二の流れ出口開口部(流れ出口とも称される)334との間に、ハウジング302に形成された第二の内側チャネル330によって画定される。一部の実施例では、第二の内側チャネル330は、比較的一定の内径を有し得る。一部の実施例では、第二の内側チャネル330は、第二の流れ出口開口部334に接続する、第一の端部320内のより大きな直径(または段付き)部分331を有し得る。結果として、流体システムの流れコネクタもしくは導管、または流体システムに連結される流れコネクタもしくは導管は、第二の流れ出口開口部334および第二の内側チャネル330のより大きな直径部分331内に延在し得、それによって、流れ機構300を、第二の流路306から測定された容積の流体を受容するように構成された流体システムの導管または流路に連結する。
【0117】
一部の実施例では、第二の端部322の導管328の一方または両方は、流れコネクタまたは流れ導管をその上に受けるように構成される、より小さい直径(または段付き)部分336を有し得、それによって、流れ機構300を、流体供給部または流体源の流れ導管またはそれに連結された流れ導管に連結する。
【0118】
ハウジング302は、少なくとも二つの空洞をさらに画定し得、少なくとも二つの空洞の各々は、パドルギアをその中に受けるように構成される。例えば、
図12~
図14に示すように、ハウジング302は、第一の空洞338、第一の空洞338内に配置された第一のパドルギア308、および第二の空洞340、第二の空洞340内に配置された第二のパドルギア310を画定する。第一の空洞338は、第一の内側チャネル312に流体連結され得、第二の空洞340は、第二の内側チャネル330に流体連結され得る。さらに、
図12~
図14に示すように、第一の内側チャネル312(したがって、第一の流路304)は、第一の空洞338の両側に延在し得、第二の内側チャネル330(したがって、第二の流路306)は、第二の空洞340の両側に延在し得る。一部の実施例では、第一の流路304は、第一の空洞338を通って延在し得、第二の流路306は、第二の空洞340を通って延在し得る。
【0119】
図12~
図14(同様に、
図15~
図22に示すその他の実施例に対する)では、第一の流路304、第二の流路306、第一の空洞338、および第二の空洞340を含むハウジング302の内部部分は、ハウジング302の外部に対するそれらの内部配向を示すように破線で示される。第一のパドルギア308および第二のパドルギア310がまた、ハウジング302の内部内に配置されているが、これらの構成要素が、明示性を高めるために実線で示されることに留意されたい。
【0120】
第一のパドルギア308は、互いに回転可能に連結され、回転軸345の周りを回転するように構成された、第一のパドル342および第一のギア344を含む。一部の実施例では、
図12~
図14に示すように、第一のギア344は、その円周の周りに複数の歯346を含む。第一のパドル342は、パドル342の中央部分350から半径方向外側に延在する複数のアーム348を含み得る。流体を受容し、(第一のギア344の回転時に)回転するように構成される空洞352は、第一のパドル342の隣接するアーム348と、第一のパドル342が配置される第一の空洞338の一部分の壁と、の間に形成される。空洞352の容積は、第一のパドルギア308が第一の流路304を通って流れるように構成される、流体の所定の計量された容積を画定する。空洞352の容積は、第一のパドル342の幾何学的形状によって画定され得る。例えば、空洞352の容積は、アーム348の長さ(例えば、回転軸345に対して半径方向に画定される長さ)を増大させ、アーム348の高さ(および第一のパドル342、例えば、回転軸345に平行な方向に沿って画定される高さ)を増大させ、かつ/またはアーム348の幅(例えば、円周方向に画定される幅)を減少することによって、増加され得る。このようにして、第一のパドル342の幾何学的形状は、第一の流路304を介して提供されるように、流体の指定された計量された容積(または流体の指定された流量、例えば、容量/時間)に従って、選択され得る。空洞352のうちの一つにおける流体354の容積は、以下にさらに記載されるように、
図14に示される。
【0121】
同様に、第二のパドルギア310は、互いに回転可能に連結され、回転軸355の周りを回転するように構成された、第二のパドル356および第二のギア358を含む。一部の実施例では、
図12~
図14に示すように、第二のギア358は、その円周の周りに複数の歯360を含む。第二のパドル356は、第二のパドル356の中央部分364から半径方向外側に延在する複数のアーム362を含み得る。流体を受容し(第二のギア358の回転時に)回転するように構成される空洞366は、第二のパドル356の隣接するアーム362と、第二のパドル356が配置される第二の空洞340の一部分の壁と、の間に形成される。空洞366の容積は、第二のパドルギア310が第二の流路306を通って流れるように構成される、流体の所定の計量された容積を画定する。空洞366の容積は、第一のパドル342を参照して上述したように、第二のパドル356の幾何学的形状によって画定され得る。したがって、第二のパドル356の幾何学的形状は、第二の流路306を介して提供されるように、流体の指定された計量された容積に従って、選択され得る。
【0122】
一部の実施例では、
図12~
図14に示すように、第一のギア344の歯346は、第二のギア358の歯360に噛み合い係合し得る。したがって、第一のギア344と第二のギア358とは、一緒に回転することができる(例えば、第一のギア344が回転すると、第二のギア358が回転し、その逆も生じる)。したがって、以下でさらに説明するように、第一のパドルギア308の回転および第二のパドルギア310の回転は、互いに連動される。一部の実施例では、
図14に示すように、第一のギア344は、第一の方向370(例えば、
図14では反時計回り)に回転し得、第二のギア358は、第二の方向372(例えば、
図14では時計回り)に回転し得、第二の方向372は第一の方向370と反対である。
【0123】
他の実施例では、追加の歯付きギアは、第一のギア344と第二のギア358との間で、その各々との噛み合い係合で配置され得、それによって、第一のギア344と第二のギア358とは、同一方向に回転可能である。
【0124】
図14は、流れ機構300を通る流体の例示的な流れを示す。
図14では、流体(例えば、血栓形成を減少させるように構成されたヘパリン加生理食塩水などのフラッシュ流体および/または別の流体)の流れは、矢印368によって示される。
図14に示すように、流体は、第一の流れ入口開口部314および第二の流れ入口開口部332でそれぞれ、第一の内側チャネル312および第二の内側チャネル330に入る。矢印368で示す流体は、その後、第一の流路304および第二の流路を通って、第一の空洞338および第二の空洞340まで継続する。それぞれの第一のパドル342および第二のパドル356によって形成された空洞352および366は、その後、第一のパドルギア308および第二のパドルギア310を回転させる、それぞれの第一の流路304および第二の流路306の流入端部からの流体の流入流れを捕捉し得る。
【0125】
ある実施例として、
図14に示すように、流体の流れは、第一のパドル342によって形成された空洞352(例えば、第一の空洞338と第一の内側チャネル312の入口端との間の開口部に隣接して配置された空洞352)のうちの一つに入ることができる。この空洞352内の該容積の流体354は、その後、空洞352が第一のパドルギア308の回転により回転するにつれて、第一の内側チャネル312の出口端部に向かって移動する。したがって、空洞352および366は、本明細書では回転空洞と称され得る。該容積の流体354を含む空洞352が、第一の空洞338と第一の内側チャネル312の出口端との間の開口部に到達する場合、該容積の流体354は、第一の内側チャネル312の出口端に、第一の流れ出口開口部316に向かって排出される。類似の液体流れは、
図14に示すように、第二のパドルギア310を通って生じる。
【0126】
第一のギア344と第二のギア358との間のギア比は、第一の流路304および第二の流路306の各々に計量された流体のそれぞれの容積(それゆえに、それぞれの流体の流量)を決定し得る。例えば、
図12~
図14に示すように、ギア比は、1:1とすることができ、したがって、第一の流路304および第二の流路306を通って計量された流体の容積(例えば、
図14に示す流体354の容積)は、同じであり得る。同様に、第一の流路304および第二の流路306を通る流体の流量は、同じであり得る(1:1の流量比を有し得る)。
【0127】
この実施例では、第一の流路304を通る流体の流量、および第二の流路306を通る流体の流量、ならびに第一の流路および第二の流路306から(例えば、導管または出口326を介して)計量された流れを受容するように連結され構成された流れ導管は、同一または実質的に同一であり得る。例えば、第一の流路304を通って計量された流体の所定の容積と、第二の流路306を通って計量された流体の所定の容積と、の比(例えば、この場合、1:1)は、第一のパドルギア308および第二のパドルギア310の回転の間、一定に保たれる。したがって、流れ機構300に連結され、流れ機構300を介して流体を受けるように構成された別個の流れ導管または流路が、異なる抵抗を有する場合でも、それらは各々、流れ機構300を介して、一定流量の流体を受容することができる。
【0128】
他の実施例では、第一のギア344および第二のギア358が異なる直径を有するが、第一のパドル342および第二のパドル356の幾何学的形状が同じままであり、それによって、異なるギア比を提供する場合、第一の流路304および第二の流路306を通って計量された流体の容積は、異なるであろう。このようにして、流れ機構300のパドルギアのギアの幾何学的形状は、流れ機構300が連結される異なる流路または導管に提供される、指定された計量された流体の容積に基づいて、変化させることができる。
【0129】
異なる直径のギアを備えたパドルギアを有する例示的な流れ機構400を、
図15に示す。流れ機構400は、
図12~
図14の流れ機構300に類似し得るが、第一のパドルギア402が、流れ機構300の第二のパドルギア310および第一のパドルギア308よりも大きな直径を備えた第一のギア404を有することは除く。
【0130】
例えば、
図15に示すように、流れ機構400は、第一の直径406を有する第一のギア404を備えた第一のパドルギア402と、第二の直径408を有する第二のギア358を備えた第二のパドルギア310と、を含み、第一の直径406は、第二の直径408よりも大きい。第一のパドルギア402の第一のパドル342と第二のパドルギア310の第二のパドル356との幾何学的形状は、同一となり得る。結果として、第一のギア404と第二のギア358との間のギア比は、1:1より大きく(例えば、1.2:1、1.5:1など)なり得る。結果として、第二のパドルギア310の一回の全回転の間、第一のパドルギア402は、(そのより大きな直径のため)全回転を完了しない。したがって、
図15の実施例では、第一のパドルギア402は、第二のパドルギア310よりも、設定された時間枠内で、より小さい計量された容積の流体を提供することができる。換言すれば、第一のパドルギア402は、第二のパドルギア310よりも小さい流量(例えば、容積/時間)の流体を提供することができる。
【0131】
上述で導入されたように、ハウジング302と第一および第二のパドルギア308および310との間にそれぞれ形成された空洞352および366の容積はまた、第一の流路304および第二の流路306を通って所定の計量された流体の容積(または流体の流量)を画定し得る。空洞352および366の容積が、それぞれ第一のパドル342および第二のパドル356の幾何学的形状によって画定され得るため、第一のパドル342および/または第二のパドル356の幾何学的形状を変えることで、空洞352および/または366の容積を変えることができる。
【0132】
図16は、異なる幾何学的形状を有するパドルを備えたパドルギアを有する例示的な流れ機構500を示し、したがって、ハウジング302と対応するパドルとの間に異なるサイズ設定された空洞を示す。流れ機構500は、
図12~
図14の流れる機構300に類似し得るが、(例えば、空洞352および366が同一容積を有し得る流れ機構300とは対照的に)第二のパドルギア502が、第一のパドルギア308の第一のパドル342の幾何学的形状によって画定された空洞352の容積よりも大きい容積を有する空洞508を画定する、幾何学的形状を備えた第二のパドル504を有することは除く。
【0133】
例えば、
図16に示すように、第一のパドル342は、第一の長さ510および第一の幅512を備えたアーム348を有し、第二のパドル504は、第二の長さ514および第二の幅516を備えたアーム506を有し、第二の長さ514は、第一の長さ510よりも長く、第二の幅516は、第一の幅512よりも短い。したがって、第二のパドル504によって画定された空洞508は、第一のパドル342によって画定された空洞352よりも大きい容積を有する。結果として、第一のパドルギア308は、第二のパドルギア502よりも、設定された時間枠内で、より小さい計量された容積(例えば、流体の流量)の流体を提供することができる。
【0134】
このように、流れ機構の二つ以上のパドルギアのパドルおよび/またはギアの幾何学的形状は、二つ以上のパドルギアに対応する二つ以上の流路の間に様々な指定された流量比を提供するように選択され得る。
【0135】
一部の実施例では、
図17に示すように、(流れ機構300に類似し得る)流れ機構600は、三つ以上の流路および三つ以上の対応するパドルギアを有し得、それによって、三つ以上の流路の間に一定の流量比を提供する。
【0136】
例えば、
図17に示すように、流れ機構600は、第一の流路304、第二の流路306、および第三の流路602を画定するハウジング610を含む。流れ機構600は、第一の流路304と流体連結された第一のパドルギア308、第二の流路306と流体連結された第二のパドルギア310、および第三の流路602と流体連結された第三のパドルギア604を含む、三つのパドルギアをさらに含み得る。
図12~
図14の流れ機構300と同様に、流れ機構600の各パドルギアは、パドルおよび互いに回転可能に連結されたギアを含み得る。
【0137】
図17に示すように、第一のパドルギア308、第二のパドルギア310、および第三のパドルギア604は、ハウジング610内で互いに隣接して配置され得る。さらに、第一のパドルギア308、第二のパドルギア310、および第三のパドルギア604の全てのギアは、互いに噛み合い係合し得る。例えば、
図17に示すように、第二のギア358は、第一のギア344と第三のパドルギア604の第三のギア606との間で、それとの噛み合い係合に配置される。
【0138】
他の実施例では、本明細書に記載の流れ機構600および他の流れ機構は、四つ、五つなど、異なる数のパドルギアおよび対応する流路を有し得る。
【0139】
一部の実施例において、追加の流路は、共通ギアの両側に配置されたパドルを備えたパドルギアを含むことによって、流れ機構に含まれ得る。例えば、
図18は、四つの流路および四つのパドルギアを含む例示的な流れ機構700を示し、各パドルギアは、別のパドルギアのパドルによって共有される共通の回転部材(例えば、ギア)に回転可能に連結されたパドルを含む。流れ機構700のパドルギアのパドルおよびギアは、
図12~
図14の流れ機構300の第一および第二のパドルギア308および310のパドルおよびギアと同様に構成され得るが、二つのパドルが共通のギアを共有し、それに回転可能に連結され得ることは除く。
【0140】
例えば、
図18に示すように、流れ機構700は、ハウジング722および第一のパドルギア702、第二のパドルギア704、第三のパドルギア706、およびハウジング722内に配置された第四のパドルギア708を含む。第一、第二、第三、および第四のパドルギア702、704、706、および708の各々は、二つのパドル724によって共有される共通の回転可能な部材に回転可能に連結されたパドル724(
図12~
図14の第一パドル342および第二パドル356に類似して構成され得る)を含む。
図18の実施例では、共通の回転可能な部材は、ギアであり、流れ機構700は、第一のギア710および第二のギア712を含む。
【0141】
第一のパドルギア702のパドル724は、ハウジング722に形成された第一の流路714と流体連結され、第二のパドルギア704のパドル724は、ハウジング722に形成された第二の流路716と流体連結され、第三のパドルギア706のパドル724は、ハウジング722に形成された第三の流路718と流体連結され、第四のパドルギア708のパドル724は、流体経路722に形成された第四の流路720と流体連結される。したがって、流れ機構700は、四つの流路(例えば、流れ機構700に連結された流れシステムの四つの別個の流路または内腔)において流れを計測するように構成され得る。
【0142】
図18に示すように、第一のパドルギア702のパドル724は、第一のギア710の第一の側面に配置され、第二のパドルギア704のパドル724は、第一のギア710の反対側の第二の側面に配置される。第一のパドルギア702および第二のパドルギア704のパドル724は各々、第一のギア710に回転可能に連結され得る。結果として、第一のギア710ならびに第一のパドルギア702および第二のパドルギア704のパドル724は、すべて一緒に(例えば、一つとして)回転可能で、それによって、第一の流路714および第二の流路716を通る流体の同一かつ一定の流量を提供する。
【0143】
同様に、第三のパドルギア706のパドル724は、第二のギア712の第一の側面に配置され、第四のパドルギア708のパドル724は、第二のギア712の反対側の第二の側面に配置される。第三のパドルギア706および第四のパドルギア708のパドル724は各々、第二のギア712に回転可能に連結され得る。結果として、第二のギア712ならびに第三のパドルギア706および第四のパドルギア708のパドル724は、すべて一緒に(例えば、一つとして)回転可能で、それによって、第三の流路718および第四の流路720を通る流体の同一かつ一定の流量を提供する。
【0144】
一部の実施例では、
図18に示すように、第一のギア710の歯は、隣接する第二のギア712の歯に噛み合い係合し、それによって、第一のパドルギア702および第二のパドルギア704、ならびに第三のパドルギア706および第四のパドルギア708の回転を連動させて、四つの流路間で一貫した流量比を維持する。
【0145】
他の実施例では、二つのパドルギアのパドルの間に配置された共通の回転部材は、ギアの代わりにスペーサーであり得(例えば、スペーサーは、歯なしでシリンダまたはブロックとして構成され得る)、それによって、二つのパドルギアが流体連結される二つの流路(例えば、同じ幾何学的形状のパドルに対して)に、流体の同一流量を提供する。
【0146】
例えば、
図19に示すように、流れ機構800は、ハウジング812内の第一のパドルギア806の第一のパドル804と、第二のパドルギア810の第二のパドル808と、の間に配置されたスペーサー802を含み得る。第一のパドル804は、ハウジング812に形成された第一の流路814と流体連結され得、第二のパドル808は、ハウジング812に形成された第二の流路816と流体連結され得る。
【0147】
第一のパドル804および第二のパドル808の両方が、スペーサー802に回転可能に連結され得るため、第一のパドル804および第二のパドル808は、一緒に回転可能で(例えば、流体が第一の流路814および第二の流路816に流れ込む際に)、同一流量の流体は、第一の流路814および第二の流路816を通って提供され得る(例えば、第一のパドル804と第二のパドル808とが、同一サイズの空洞を有する場合)。一部の実施例では、上述のように、第一のパドル804および第二のパドル808のうちの一つの幾何学的形状は、流体の容積、それゆえ、対応する流路に提供される流体の流量を増加または減少させるために変更され得る。
【0148】
一部の実施例では、追加のスペーサーによって分離される、追加の流路およびパドルは、流れ機構800に追加され得、それによって、流れシステムの別個の導管または内腔に連結するための追加の流路を作製する(例えば、追加のスペーサーおよびパドルは、流れ機構800に追加され得、三つの別個の流路を作製し、すべてが同一の回転速度で一緒に回転する)。
【0149】
一部の実施例では、それが連結されるギアの外径よりも大きい外径を備えたパドルを収容するために、一つのパドルギアのパドルは、隣接するパドルギアのパドルに対してオフセット高さに配置され得る。例えば、
図20に示すように、流れ機構900は、第一のギア908に回転可能に連結された第一のパドル906を含む第一のパドルギア904を含み得、第一のパドル906は、第一のパドルギア904の回転軸910に対して軸方向に、第一のギア908から間隔を置いて配置される。一部の実施例では、第一のパドル906は、第一のパドル906および第一のギア908の(軸方向に測定される)組み合わされた高さに対して細長い中央シャフト912を介して、第一のギア908に回転可能に連結され得る。
【0150】
流れ機構900は、第二のギア918に回転可能に連結された第二のパドル916を含む第二のパドルギア914をさらに含み得る。
図20に示すように、第一のギア908および第二のギア918は、互いに隣接して配置され得、互いに噛み合い係合し得る。さらに、第一のパドル906は、第二のパドル916から軸方向にオフセットされ得る(例えば、第一のパドル906および第二のパドル916は、異なる高さで配置される)。結果として、第一のパドル906および第二のパドル916の外径920は、
図20に示すように、それらのそれぞれのギア(ギアの歯を含まない)の外径922よりも大きい場合がある。
【0151】
このようにして、流れ機構(
図12~
図20を参照して上述した流れ機構の一つなど)の各流路を通る時間当たりの流体の総容積または流体の流量は可変であり得るが、流れ機構の流路間の流量比は、同じにとどまり得る。これは、上述したように、パドルギアのパドルの連動した回転に起因する場合がある。
【0152】
一部の実施例では、本明細書に記載の流れ機構のいずれかは、流量が制御された流体を流れ機構のすべての入口に提供するように構成された単一の注入ポンプなどの単一の流体供給により使用され得、それによって、一貫した予測可能な流量の流体を、流れ機構の各出口から外に提供する。例えば、
図21は、流れ機構300の入口導管328に流体連結された単一の注入ポンプ1000の例示的な実施例を示す。例えば、
図21に示すように、管類または流れ導管1002は、単一の注入ポンプ1000から入口導管328に流れ機構300の第一の流路304および第二の流路306まで延在し得る。
【0153】
さらに、一部の実施例では、
図21に示すように、第一の導管1006は、流れ機構300の第一の出口導管1010に流体連結され得、第二の導管1004は、流れ機構300の第二の出口導管1012に流体連結され得る。したがって、第一のパドルギア308からの計量された流れは、第一の導管1006に流れ得、第二のパドルギア310からの計量された流れは、第二の導管1004に流れ得る。
【0154】
一部の実施例では、第一の導管1006は、送達装置220の第一のフラッシングポート210(または第一のフラッシングポート210に連結された流れ導管)であり得、第二の導管1004は、送達装置220の第二のフラッシングポート216(または第二のフラッシングポート216に連結された流れ導管)であり得る(
図4~
図7)。
【0155】
一部の実施例では、
図22に示すように、(
図12~
図21を参照して本明細書に記載された流れ機構のいずれかに類似し得る)流れ機構1100は、指定された速度で、パドルギア(例えば、
図22に例として示す第一のパドルギア308および第二のパドルギア310)の回転を駆動するように構成された駆動部材を含み得る。一部の実施例では、
図22に示すように、駆動部材は、流れ機構1100のパドルギアの少なくとも一つのギアに噛み合い係合する歯付きギア(例えば、歯付き駆動ギア)1102として構成され得る。例えば、
図22に示すように、歯付きギア1102は、第一のパドルギア308の第一のギア344に噛み合い係合し、第一のギア344は、第二のパドルギア310の第二のギア358に噛み合い係合する。結果として、歯付きギア1102を駆動(例えば、回転)すると、第一のギア344および第二のギア358の回転が駆動される。
【0156】
一部の実施例では、歯付きギア1102または他の駆動部材は、モータなどの駆動機構の一部であり得、またはそれに結合され得る。このようにして、駆動部材(例えば、歯付きギア1102)は、流れ機構1100のパドルギアの回転を設定速度で駆動可能である。歯付きギアおよび/または駆動機構の代わりに、またはそれらに加えて、流体圧力差を使用して、流量機構のパドルギアの回転を設定速度で駆動することができる。
【0157】
一部の実施例では、
図22に示すように、流れ機構1100の流路(例えば、流路304および306)は各々、第一の流体源1104および第二の流体源1106などの異なる流体源(例えば、流体リザーバ)に連結され得る。他の実施例では、流れ機構1100の流路は各々、同一の流体源(例えば、流体リザーバ)に連結され得る。
【0158】
このようにして、
図12~
図22を参照して上述した流れ機構は、二つ以上の流路間で一貫した相対流量を維持するように構成され得る。結果として、流れ機構の二つ以上の流路と流体連結された二つ以上の平行な流路を通る流体の流れを、指定された流量比で維持することができる。
【0159】
一部の実施例では、このような流れ機構は、
図4~
図11の送達装置220など、ドッキング装置を送達するように構成された送達装置に実装され得る。例えば、流れ機構300(
図12~
図14)、流れ機構400(
図15)、流れ機構500(
図16)、流れ機構800(
図19)、流れ機構900(
図20)、または流れ機構1100(
図22)などの流れ機構は、プッシャーシャフト内腔201(例えば、第一のフラッシングポート210を介して)および送達シャフト内腔215(例えば、第二のフラッシングポート216を介して)に流体連結され得る。結果として、一貫した相対流量の流体は、プッシャーシャフト内腔201と送達シャフト内腔215との変動抵抗およびその間で変化する抵抗に関係なく、プッシャーシャフト内腔201および送達シャフト内腔215に提供され得る。
【0160】
図12~
図22を参照して上述した異なる流れ機構の実施例が、互いに任意の組み合わせで組み合わされ得、指定数の流路間に一貫した一定の相対流量を提供するように構成された流れ機構を形成することができることに留意されたい。
【0161】
図4~
図7を再度参照すると、送達装置220用のフラッシングポート配置の第三の実施例では、ハンドル組立品200は、ハブ組立品230の分岐204上に配置された単一のフラッシングポートを含み得、単一のフラッシングポートは、フラッシング流体流203をプッシャーシャフト内腔201に、フラッシング流体流217を送達シャフト内腔215に両方、提供するように構成される。例えば、特定の構成は、
図4~
図9Aを参照して上述の内腔のすべてを、第一のフラッシングポート210など、一つのフラッシングラインのみでフラッシングすることができる。
【0162】
このような実施例では、単一のフラッシングポートは、流体を、単一のフラッシングポートから、分離されたプッシャーシャフト内腔201および送達シャフト内腔215まで提供するように構成された二つ以上の開口を含む分岐204に流れスロットルを組み込むことによって、流体を、二つの別個の内腔(プッシャーシャフト内腔201および送達シャフト内腔215)に提供することができる。このような流れスロットルの実施例は、
図23~
図28を参照して以下にさらに記載される。
【0163】
例えば、一部の実施例では、流れスロットルは、ガスケット223を
図6および
図7に示す(例えば、ガスケット223の代わりに、かつ第二のフラッシングポート216がない)箇所、またはガスケット223を示す(例えば、近位伸長部291の近位端)箇所のさらなる下流に配置され得る。
【0164】
図24および
図25は、単一の流体源からの二つの別個の(例えば、流体分離された)流れ内腔(または流路)への流体の流れを制御するように構成された流れスロットル1200の実施例の異なる図を示す。
図26は、二つの流れ内腔のうちの大きい方に配置され、二つの流れ内腔のうちの小さい方の周りで封止される、流れスロットル1200の例示的な断面図を示す。送達装置220のハブ組立品230内の流れスロットル1200の例示的な配置を、
図23に示す。
【0165】
まず
図24および
図25を参照すると、流れスロットル1200の斜視図(
図24)および端面図(
図25)が示される。流れスロットル1200は、圧縮可能な封止部材1202および硬質基材1204を備え得る。
【0166】
一部の実施例では、以下でさらに記載するように、硬質基材1204は、圧縮可能な封止部材1202内に少なくとも部分的に埋め込まれ得る。一部の実施例では、圧縮可能な封止部材1202は、硬質基材1204の一部分上に、および/またはその周りにオーバーモールドされる。
【0167】
図24および
図25に示すように、圧縮可能な封止部材1202の内部内に配置される硬質基材1204の部分(例えば、第二の部分1230および第一の部分1216の部分)は、それらの内部配置を示すよう破線で示される。
図26では(以下でさらに記載するように)、圧縮可能な封止部材1202の長さ1210の中間点に沿って切り取られた、流れスロットル1200の断面図が、大きい方の流れ内腔内に配置されて示される。したがって、この図では、硬質基材1204(第一の部分1216および第二の部分1230を含む)が、実線で示される。
【0168】
圧縮可能な封止部材1202は、圧力下で形状を圧縮または変化させるように構成される圧縮可能な材料を含み得る。一部の実施例では、圧縮可能な封止部材1202の圧縮可能な材料は、シリコーンである。他の実施例では、圧縮可能な封止部材1202の圧縮可能な材料は、別の圧縮可能な高分子材料(例えば、ネオプレン、フルオロカーボンゴムなど)などの別の圧縮可能な材料である。
【0169】
圧縮可能な封止部材1202は、圧縮可能な封止部材1202(
図24)の長さ1210を通って延在する第一の開口1208を画定する本体1206を備え得る。例えば、第一の開口1208は、圧縮可能な封止部材1202の全長1210を通って延在する細長い開口として構成され得る。長さ1210は、第一の開口1208の第一の中央長手方向軸1207に対する軸方向に平行な方向にあり得る。
【0170】
一部の実施例では、流れスロットル1200が流れシステムに移植される場合、長さ1210は、流れシステムの平行な流れ内腔を通る流れの方向に平行な方向に配置され得る。
【0171】
圧縮可能な封止部材1202の第一の開口1208は、第一の直径1212(
図25)を有し得る。第一の開口1208は、圧縮可能な封止部材1202の外面1214(および外周)から間隔を置いて配置され得る。一部の実施例では、第一の開口1208は、外面1214からその全周の周りに間隔を置いて配置され得る。
【0172】
一部の実施例では、
図24~
図26に示すように、圧縮可能な封止部材1202は、円筒形であり、外面1214は、湾曲している。他の実施例では、圧縮可能な封止部材1202は、楕円形、正方形、長方形、またはこれに類するものなど、異なる形状を有し得る。圧縮可能な封止部材1202の形状は、その中に圧縮可能な封止部材1202が配置される、流れ導管または流れ内腔の特定の形状に基づいて、選択され得る。
【0173】
硬質基材1204は、圧縮可能な封止部材1202の材料よりも硬質である比較的硬質の材料を含み得る。例えば、硬質基材1204は、生体適合性、硬質プラスチックまたは金属材料を含み得る。他の実施例では、硬質基材1204は、圧力下でその形状を保持する(例えば、圧縮しない)ように構成される別の非圧縮性材料を含み得る。以下でさらに記載するように、一部の実施例では、硬質基材1204は、構造を、圧縮可能な封止部材1202に提供することができる。
【0174】
図24および
図25に示すように、硬質基材1204は、圧縮可能な封止部材1202内に埋め込まれ、圧縮可能な封止部材1202の長さ1210を通って延在する第一の部分1216を含み得る。第一の部分1216は、第一の部分1216の両端上に配置された第一の面1218および第二の面1220を有し得る。第一の面1218および第二の面1220は、長さ1210と平行な方向に垂直に配置され得、圧縮可能な封止部材1202の外部に配置され得る。
【0175】
例えば、一部の実施例では、硬質基材1204の第一の部分1216の第一の面1218は、圧縮可能な封止部材1202の第一の面1222に、それと同一平面に配置され得る(
図24および
図25)。他の実施例では、第一の部分1216の第一の面1218は、圧縮可能な封止部材1202の第一の面1222から外向きに、それを過ぎて延在し得る。
【0176】
さらに、一部の実施例では、硬質基材1204の第一の部分1216の第二の面1220は、圧縮可能な封止部材1202の第二の面1224に、それと同一平面に配置され得る(
図24)。他の実施例では、第一の部分1216の第二の面1220は、圧縮可能な封止部材1202の第二の面1224から外向きに、それを過ぎて延在し得る。
【0177】
硬質基材1204の第一の部分1216は、第二の直径1228を備えた第二の開口1226を画定し得る(
図25)。第二の開口1226は、一部の実施例では、圧縮可能な封止部材の長さ1210と同じであり得る、第一の部分1216の長さを通って延在し得る。
【0178】
一部の実施例では、
図25に示すように、第二の開口1226の第二の直径1228は、第一の開口1208の第一の直径1212よりも小さくなり得る。他の実施例では、第一の直径1212および第二の直径1228は、同一であり得、または第一の直径1212は、第二の直径1228よりも小さくなり得る。
【0179】
一部の実施例では、
図24~
図26に示すように、第一の開口1208および第二の開口1226は、半径方向にオフセットされ、かつ/または互いに間隔を置いて配置される。例えば、第一の開口1208は、第一の中央長手方向軸1207を有し得、第二の開口1226は、第二の中央長手方向軸1225を有し得る(
図24)。第一の中央長手方向軸1207および第二の中央長手方向軸1225は、互いにオフセットされ得る(例えば、重複しない)。
【0180】
硬質基材1204は、圧縮可能な封止部材1202内に埋め込まれた第二の部分1230をさらに備え得る。第二の部分1230は、第一の部分1216から外側に延在し得る。
図24~
図26に示すように、第二の部分1230は、第一の部分1216から円周方向外側に延在し、第一の開口1208の少なくとも一部分を取り囲み得る。
【0181】
一部の実施例では、第二の部分1230は、第一の部分1216を囲み、第一の部分1216のいずれかの側から円周方向外側に延在する。例えば、一部の実施例では、第二の部分1230は、第一の部分1216(
図24および
図25)のいずれかの側から延在する伸長部分または翼部1232を備え得る。
図24および
図25に示すように、翼部1232は、第一の部分1216から円周方向外側に(例えば、
図25に示す円周方向1231に)延在し、第一の開口1208を少なくとも部分的に(例えば、第一の開口1208の円周の周りに約100度~約170度で)取り囲む。
【0182】
他の実施例では、第二の部分1230は、第一の開口1208の円周の周りに約180度~約360度で取り囲むなど、第一の開口1208のより大きな部分の周りをさらに延在し、それを取り囲む、伸長部分または翼部を含み得る。このような配置の実施例は、以下にさらに記載されるように、
図28に示される。
【0183】
一部の実施例では、各翼部1232は、そこに画定された開口1234を含み得る。開口1234は、圧縮可能な封止部材1202と硬質基材1204との間の結合を増加させ得る。例えば、圧縮可能な封止部材1202を硬質基材1204の周りに形成する間(例えば、オーバーモールドの間)、圧縮可能な封止部材1202の材料は、開口1234に入り得、それによって、圧縮可能な封止部材1202と硬質基材との間の接触を増加させ、硬質基材1204の第一の部分1216および第二の部分1230を、圧縮可能な封止部材1202内にしっかりと定位置に保持する。
【0184】
例えば、翼部1232および/または開口1234の幾何学的形状は、硬質基材1204を、圧縮可能な封止部材1202内の定位置に維持するように構成され得る。他の実施例では、翼部1232は、
図24および
図25に示すものよりも、追加の開口1234を含み得る(例えば、翼部1232が第一の開口1208の周りでさらに延在する実施例では、各翼部1232は、複数の開口1234および/またはより細長いもしくはより広い開口1234を含み得る)。
【0185】
他の実施例では、硬質基材1204は、翼部1232および/または第二の部分1230全体を有しない場合がある。
【0186】
硬質基材1204は、圧縮可能な封止部材1202の一つの側面に、第一の部分1216から軸方向外側に延在する第三の部分または伸長部材1236をさらに備え得る。
図24に示すように、伸長部材1236は、第一の部分1216の第一の面1218から軸方向外側に延在し、圧縮可能な封止部材1202の外部に配置される。
【0187】
一部の実施例では、硬質基材1204の第一の部分1216、第二の部分1230、および伸長部材は、一体として形成される(例えば、成形される)。
【0188】
伸長部材1236は、流れスロットル1200を定位置に保持するために(例えば、流れスロットルを指定された円周方向の配向に保持するために)、流れシステムの受容部材(例えば、凹部)内に受容され得る「キー」として作用するように構成され得る。このようにして、一部の実施例では、伸長部材1236は、流れシステム内の指定されたアライメントが、組み立て中に確実に達成され得る。
【0189】
図24および
図25に示すように、伸長部材1236は、細長いものとなり得、台形様の断面を有し得るが、二つの湾曲した縁部を備える。他の実施例では、伸長部材1236は、正方形、三角形、または長方形の形状を備えた断面を有するなど、異なる形状を有する場合がある。このようにして、伸長部材1236は、流れスロットル1200が配置される流れシステム内の対応する形状の凹部と嵌合するように構成される、指定された形状を有し得る。
【0190】
他の実施例では、硬質基材1204は、複数の伸長部材1236を含み得る。さらに他の実施例では、硬質基材1204は、いかなる伸長部材1236も含まない場合がある。
【0191】
一部の実施例では、
図24~
図26に示すように、圧縮可能な封止部材1202は、圧縮可能な封止部材1202の材料が、流れスロットル1200の周りに連続的な外面(例えば、外面1214)を形成するように、硬質基材1204の第一の部分1216および第二の部分1230の外側に(例えば、それを過ぎて)半径方向に延在し得る。結果として、流れスロットル1200の半径方向の圧縮は、(例えば、流れスロットル1200が配置される流れシステムの構成要素の内部およびその周りの封止を増加させるために)可能である。圧縮可能な封止部材1202の外径1242および/または圧縮可能な封止部材1202の外面1214と硬質基材1204の第一の部分1216および/または第二の部分1230との間の半径方向の距離(
図26)は、流れ導管または流れシステムの構成要素内に位置決めされる場合、流れスロットル1200の指定された量の半径方向の圧縮に基づいて、選択または調整され得る。
【0192】
一部の実施例では、圧縮可能な封止部材1202は、硬質基材1204の第一の部分1216の第一の面1218および第二の面1220を軸方向に過ぎて延在し、それによって、圧縮可能な封止部材1202の軸方向の圧縮を可能にする。このように、一部の実施例では、圧縮可能な封止部材1202の長さ1210は、第一の部分1216の軸方向長さよりも長くなり得る。
【0193】
一つの例示的な実施例では、
図23に示すように、流れスロットル1200は、分岐204上の二つのフラッシングポートの間で、送達装置220のハブ組立品230の分岐204内に配置され得る。
図23に示すように、伸長部材1236は、分岐204内に画定された凹部1238内に延在し得、それによって、流れスロットル1200を定位置にロックする。
【0194】
図23にも示されるように、プッシャーシャフト290の近位伸長部291は、第一の開口1208を通って延在し、それで封止することができ、空洞254は、第二の開口1226と流体連結され得る。例えば、
図23に示すように、第二の開口1226は、空洞254と内部空洞250との間に配置され得、その各々に流体連結されて配置され得、それによって、第一のフラッシングポート210から空洞254(上述のように、送達シャフト内腔と流体連結され得る)まで流体を絞る。
【0195】
他の実施例では、流れスロットル1200は、分岐204(
図23)の内面1240に対して(例えば、対面接触で)配置された圧縮可能な封止部材1202の外面1214により、分岐204のさらに下流に位置決めされ得る。
【0196】
他の実施例では、流れスロットル1200は、二つ以上の分離された流路を含む他の流れシステムで利用され得る。
【0197】
図26は、外側導管1250(例えば、
図23の分岐204の導管など)内に配置された流れスロットル1200の別の例示的な実施例を示す。具体的には、
図26は、外側導管1250の内面1254によって画定された外側内腔(例えば、
図23の空洞254など)内に配置された流れスロットル1200の断面図であり、流れスロットル1200の中間部または中間点に沿って切り取られたものである。流れスロットル1200は、以下でさらに記載するように、外側導管1250の外側内腔を、内側導管1256の内側内腔から流体分離するように構成され得る。
【0198】
図26に示すように、流れスロットル1200(および圧縮可能な封止部材1202)の外面1214は、外側導管1250の内面1254と対面接触し得る。例えば、外側導管1250内の圧縮可能な封止部材1202および流れスロットル1200の外径1242は、(例えば、外側内腔の外径であり得る)外側導管1250の内径と同一であり得る。
【0199】
図26に示すように、内側導管1256(例えば、
図23のプッシャーシャフト290の近位伸長部291など)は、圧縮可能な封止部材1202の第一の開口1208を通って延在する。内側導管1256の内径1258は、内側内腔(例えば、内側流れ内腔または流路)1260を画定する。内側導管1256の外径は、(
図26に示すように)第一の開口1208内に配置される場合、第一の開口1208の第一の径1212と同一であり得る。例えば、
図26に示すように、内側導管1256の外面1262は、第一の開口1208を画定する圧縮可能な封止部材1202の内面1264と対面接触し得る。
【0200】
このようにして、圧縮可能な封止部材1202の外面1214は、外側導管1250の内面1254に対して封止し得、第一の開口1208を画定する圧縮可能な封止部材1202の内面1264は、内側導管1256の外面1262に対して封止し得る。
【0201】
一部の実施例では、内側内腔1260は、外側内腔よりも大きな抵抗(例えば、流れ抵抗または流れへの抵抗)を有し得る。
【0202】
図26に示すように、硬質基材1204における第二の開口1226の第二の直径1228は、(外側導管1250と内側導管1256との間に形成された)外側内腔の外径よりも小さい。結果として、より小さい第二の開口1226は、流れスロットル1200を通過して、より大きい外側内腔に通過し得る流体の量を制限することができる。このようにして、流れが、より大きな外側内腔に絞られる一方、流れは、絞りなし(例えば、制限なし)で、内側内腔1260に通過し得る。
【0203】
第二の開口1226が、硬質(非圧縮性)基材1204内に形成されるため、そのサイズ(例えば、第二の直径1228)は、圧縮可能な封止部材1202の軸方向および/または半径方向の圧縮による影響を受けない。
【0204】
一部の実施例では、第二の開口1226の第二の直径1228は、外側内腔と内側内腔1260との間のサイズおよび/または抵抗の差に基づいて、選択され得る。例えば、第二の直径1228は、内側内腔1260と外側内腔との間の抵抗の差が、外側内腔および内側内腔1260の各々を通る連続流をもたらすレベルであるように、選択され得る。一部の実施例では、第二の直径1228は、内側内腔1260と外側内腔との間の指定された相対流量が達成されるように、選択され得る。
【0205】
図27は、流れスロットル1300の別の実施例の端面図を示す。一部の実施例では、流れスロットル1300は、
図24~
図26の流れスロットル1200に類似する。流れスロットル1300は、圧縮可能な封止部材1302および硬質基材1204を備え得る。圧縮可能な封止部材1302は、流れスロットル1200の圧縮可能な封止部材1202(
図24~
図26)に類似し得るが、圧縮可能な封止部材1302が、一つの開口(例えば、流れスロットル1200の第一の開口1208)のみの代わりに、第一の開口1304および第二の開口1306を含む二つの開口をその中に画定することは除く。結果として、流れスロットル1300は、二つの流れ導管を受けるように構成され得、一つは、第一の開口1304および第二の開口1306の各々を通り、それによって、二つの流れ導管を互いに分離する。
【0206】
一部の実施例では、第一の開口1304と第二の開口1306との間の間隔、および/または圧縮可能な封止部材1302内の第一の開口1304および第二の開口1306の間隔は、それが配置されることが意図される流れシステムの構成に基づいて、調整され得る。
【0207】
他の実施例では、硬質基材1204は、追加の流れ内腔に対して二つ以上の第二の開口1226(例えば、二つ、三つ、または類似のもの)を有し得る。
【0208】
他の実施例では、流れスロットルは、圧縮可能な封止部材内で互いに間隔を置いて配置された複数の硬質基材1204を含み得、それによって、追加の流れ内腔を収容する。
【0209】
図28は、圧縮可能な封止部材1202および硬質基材1402を含む、流れスロットル1400の別の実施例の端面図を示す。一部の実施例では、流れスロットル1400は、
図24~
図26の流れスロットル1200に類似し得るが、硬質基材1402が、第一の開口1208の全周の周りを取り囲み、その周りに延在する第二の部分1404を含むことは除く。第二の部分1404は、一つ以上の開口1406を含み得る(
図28には二つ示しているが、三つ以上または一つ以下の開口も可能である)。このようにして、硬質基材1402の第二の部分1404は、圧縮可能な封止部材1202の圧縮可能な材料に完全に覆われたリングとして構成され得る。
【0210】
ここで
図29~
図33を参照すると、ドッキング装置(本明細書に記載のドッキング装置の一つなど)を送達するように構成された送達装置のためのプッシャーシャフト1500の実施例が、示される。例えば、プッシャーシャフト1500は、
図4~
図11に示すように、送達装置220に含まれるプッシャーシャフト290であり得る。
【0211】
図29は、プッシャーシャフト1500の四つの主要な構成要素を概略的に示し、
図30は、プッシャーシャフト1500のより詳細な実施例を示す。プッシャーシャフト1500の例示的な遠位端の側面図を
図31に示し、プッシャーシャフト1500の近位端図を32に示す。
図33は、プッシャーシャフト1500のみの(一部の実施例では、ハイポチューブであり得る)主管1502(
図21E)を示す。プッシャーシャフト1500のこれらの図は、プッシャーシャフト1500の中央長手方向軸1501を示す。
【0212】
一部の実施例では、プッシャーシャフト1500の中央長手方向軸1501は、
図34および
図35を参照して以下でさらに説明するように、送達装置内に配置される場合、送達装置(例えば、送達装置220)のスリーブシャフト(例えば、スリーブシャフト280)および外側シャフト(例えば、外側シャフト)260の中央長手方向軸と同軸であり得る。
【0213】
【0214】
主管1502は、ドッキング装置(本明細書に記載のドッキング装置の一つなど)を前進および収納し、ドッキング装置をプッシャーシャフトに固定する解放縫合糸を収容するように構成され得る。シェル1504は、主管1502の一部分を囲み、プラグ1506は、主管1502をシェル1504に接続し、スリーブシャフトの停止部として構成され得る。近位伸長部1510は、プッシャーシャフト1500がスリーブシャフトの内側からスリーブシャフトの外側まで誘導されるように構成され得、それによって、二つのシャフトを互いに並列に作動させ、送達装置の全長(例えば、
図4~
図7に示すように)を低減する。
【0215】
主管1502は、送達装置の外側シャフト(例えば、
図4に示す外側シャフト260)の遠位端から、送達装置のハンドル組立品(例えば、
図4および
図5のハンドル組立品200)に延在し得る。
図29および
図30に示すように、プッシャーシャフト1500は、主管1502、シェル1504、プラグ1506、および近位伸長部1510の間の界面を含み得る、近位端部分1512を含み得る。一部の実施例では、
図6および
図7に示すように、上述のように、プッシャーシャフト1500の近位端部分1512は、送達装置のハンドル組立品のハブ組立品(例えば、ハブ組立品230)内またはそれに近位に配置され得る。したがって、主管1502は、送達装置の大部分に沿って延在する細長い管であり得る。
【0216】
一部の実施例では、主管1502は、ハイポチューブであり得る。ハイポチューブは、ドッキング装置の展開に利用され得る構成要素であり、「Deployment systems,tools,and methods for delivery an anchoring device for a prosthetic valve」と題する、特許文献2に依然記載があり、該文献は、参照により、その全体が本明細書に組み込まれる。一部の実施例では、主管1502は、ステンレス鋼などの生体適合性金属を含み得る。
【0217】
様々な実施例では、主管1502(それ自体、
図33により、より詳細に示す)は、送達装置からドッキング装置を作動させる(例えば、展開する)ためのカラム強度を提供する、比較的硬質な管である。
【0218】
主管1502は、ドッキング装置と接合するように構成される遠位端1514と、近位伸長部1510(
図29、
図30、および
図33に示すように、さらに後述)に取り付けられる近位端1516と、を含み得る。
【0219】
一部の実施例では、
図33に示すように、主管1502は、その遠位端で可撓性が増加する、主管1502を提供するように構成される、複数の切断部1520を、その中に含む遠位セクション1518を有し得る。したがって、遠位セクション1518は、主管1502の可撓性セクションまたは部分と称され得る。
【0220】
一部の実施例では、切断部1520は、主管1502の表面(例えば、外面)にレーザー切断することによって形成されたレーザー切断部であり得る。代替的な実施例では、切断部1520は、別の切断プロセス(例えば、エッチング、スコアリング、貫通切断などを介して、主管1502の外面内へ)によって形成された別の種類の切断部であり得る。切断部1520の幅および奥行きは、指定された量の可撓性を主管1502に追加するように構成され得る。
【0221】
一部の実施例では、切断部1520の各々は、主管1502の全体を(例えば、中央長手方向軸1501に垂直な方向に、一方の側面から他方の側面に)貫通する、貫通切断とし得る。一部の実施例では、各切断部1520の幅は、約0.05mmとすることができる。一部の実施例では、各切断部1520の幅は、0.03mm~0.08mmの範囲であり得る。
【0222】
一部の実施例では、隣接する切断部1520間の間隔は、遠位セクション1518の長さに沿って変化し得る。例えば、
図33に示すように、隣接する切断部1520は、遠位端1514で一緒に最近であるように配置され得、その後、隣接する切断部1520間の間隔は、遠位端1514から遠位セクション1518の近位端まで増加し得る。
【0223】
一部の実施例では、切断部1520は、主管1502の遠位セクション1518の外面に(およびそれを通して)切断された螺旋状ねじ部として形成され得る。したがって、これらの実施例では、隣接する切断部1520の間の間隔または距離は、切断部のピッチとして画定され得る。
図33に示すように、遠位セクション1518の第一の部分1522は、0.4mm~0.64mmの範囲のピッチを有し得、遠位セクション1518の第二の部分1524は、0.64mm~1.2mmの範囲のピッチを有し得、遠位セクション1518の第三の部分1526は、1.2mmの範囲のピッチを有し得、遠位セクション1518の第四の部分1528は、1.2mm~3.0mmの範囲のピッチを有し得る。一部の実施例では、第一の部分1522のピッチは、その長さに沿って0.4mm(その遠位端1514で)から0.64mmまで増加し得、第二の部分1524のピッチは、その長さに沿って0.64mmから1.2mmまで増加し得、第三の部分1526のピッチは、その長さに沿っておよそ1.2mmであり、第四の部分1528のピッチは、その長さに沿って1.2mmから3.0mmまで増加し得る。遠位セクション1518に対する上記のピッチ値は、例示的であり、他のピッチも可能であり、該ピッチ値は、その遠位端1514で増加した可撓性および遠位セクション1518の長さに沿って減少する可撓性の量を備えた主管1502を提供するように、選択され得る。このようにして、遠位セクション1518は、患者の内側内腔を通って標的移植部位までナビゲートされる際に、送達システムの外側シャフト2260と共に屈曲しかつ/または曲がるように構成され得る。
【0224】
主管1502は、一部の実施例では、主管1502の外面の一部分に沿って配置される、外側の可撓性ポリマー層(例えば、被覆またはジャケット)の、主管1502の内面に沿って配置された内側ライナーへの接合を可能にするように構成される、複数の開口1534を含む、一つ以上の部分またはセクションを含み得る。同時に、開口1534は、プッシャーシャフト1500の剛性を維持するように構成され得る。
【0225】
図33に示す主管1502の実施例は、互いに間隔を置いて配置された第一のセクション1530および第二のセクション1532を含み、各々が、主管1502の厚さを通って延在する一つ以上の開口1534(例えば、外面1545からそれを通って、主管1502の内面まで延在する貫通穴)を含む。開口1534は、主管1502の周囲の周りに間隔を置いて配置され得る。一部の実施例では、
図33に示すように、各開口1534は、主管1502の全体を通って延在し得、それによって、主管1502の周囲の周りに互いに180度離れて配置された二つの開口1534を作製する。さらに、一部の実施例では、隣接する組の開口1534は、90度だけ、互いにオフセットされ得る(例えば、
図33に示すように、第一のセクション1530は、20個の開口を含み得る)。
【0226】
各開口1534のサイズおよび/または形状、ならびに第一のセクション1530および第二のセクション1532の各々の開口1534の間の数および間隔は、外側の可撓性ポリマー層が、内側ライナーに接合(例えば、結合)し、主管1502がその間に配置され、剛性をプッシャーシャフト1500に提供するように選択され得る。例えば、開口1534は、0.4mm~0.6mmの範囲の直径を有する円形であり得る。一部の実施例では、開口1534の直径は、約0.5mmとなり得る。一部の実施例では、開口1534は、楕円形、正方形、長方形、星形、三角形、または類似のものなど、別の形状を有し得る。
【0227】
一部の実施例では、第一のセクション1530および第二のセクション1532の長さに沿って、軸方向に、該開口は、第一の(中心間)距離1552で互いに間隔を置いて配置され得、同一軸方向位置での各組の開口1534は、第二の距離1554で、隣接する組の開口1534から間隔を置いて配置され得る。一部の実施例では、第一の距離1552は、約2mmであり、第二の距離1554は、約1.0mmである。一部の実施例では、第一の距離1552は、1.5mm~2.5mmの範囲であり、第二の距離1554は、0.5mm~1.5mmの範囲である。一部の実施例では、第二の距離1554は、第一の距離1552の半分である。代替的な実施例では、
図33および上述されたものとは異なる数の開口1534および/または開口1534の間の相対的な間隔および該開口1534の配置が可能である一方、内側ライナーと外側可撓性ポリマーとの間に適切な接合を依然提供し、剛性をプッシャーシャフト1500に提供する。
【0228】
図33に示すように、第二のセクション1532は、主管1502の近位端1516に配置され得、第一のセクション1530よりも少ない数の開口1534を含む。しかしながら、代替的な実施例では、第二のセクション1532は、
図33に示すよりも多い開口1534を含む。一部の実施例では、第一のセクション1530は、20個の開口1534を含み得、第二のセクション1532は、8個の開口を含み得る。他の実施例では、第一のセクション1530は、21個以上または19個以下の開口1534を含み得、第二のセクション1532は、9個以上または7個以下の開口1534を含み得る。
【0229】
図33に示すように、主管1502は、第一のセクション1530と、開口1534を含まない第二のセクション1532と、の間に配置され、延在する第三のセクション1536を含み得る。
【0230】
一部の実施例では、以下でさらに記載するように、主管1502は、遠位セクション1518に近位に配置され(例えば、切断部1520を含む)、第一のセクション1530に遠位にまたはその一部に配置された中間セクション1535を含み得る。以下にさらに記載するように、中間セクション1535は、プッシャーシャフト1500が、送達装置(例えば、送達装置220)のスリーブシャフト内に配置される場合、プッシャーシャフト1500を囲む内腔への主管1502の内部(例えば、
図34および
図35に示すように、プッシャーシャフト内腔1555)の内部からの流体の流れを許容するように構成される、様々なサイズであり得る、外面1545に画定された一つ以上の開口1537を含み得る。一つ以上の開口1537が配置される主管1502の外面1545は、外面1545に垂直な線が中央長手方向軸1901と交差する、外周面となり得る。
【0231】
図30は、プッシャーシャフト1500の構成要素の例示的な実施例を示す。
図30に示すように、プッシャーシャフト1500は、主管1502の内面を覆い、近位伸長部1510の内面を形成する、内側ライナー1538を含み得る。一部の実施例では、内側ライナー1538は、プッシャーシャフト1500の全長に沿って延在し得る。一部の実施例では、内側ライナーは、比較的薄くなり得、PTFEなどの高分子材料を含む。例えば、内側ライナー1538の厚さは、0.012mm~0.064mmの範囲であり得る。
【0232】
さらに、一部の実施例では、プッシャーシャフト1500の一部分は、外側ポリマー層(外側被覆またはジャケットとも称される)1540を含み得る。外側ポリマー層1540は、以下でさらに説明するように、可撓性ポリマーであり得る。一部の実施例では、外側ポリマー層1540が、主管1502の第四のセクション1542(遠位セクション1518および第一のセクション1530を含む第四のセクション1542)の上に配置される一方、主管1502の第三のセクション1536は、外側ポリマー層1540(
図30、
図31、および
図33)を含まない。
【0233】
一部の実施例では、外側ポリマー層1540はまた、主管1502の第二のセクション1532に含まれ得、近位伸長部1510の外層を形成する。例えば、近位伸長部1510は、内側ライナー1538および外側ポリマー層1540を備え得る(
図30)。
【0234】
一部の実施例では、外側ポリマー層1540は、切断部1520および開口1534の上に再流され得る。
【0235】
特定の実施例では、外側ポリマー層1540は、ポリエーテル-アミドブロック共重合体、または二つ以上のポリエーテル-アミドブロック共重合体のブレンドを含み得る。外側ポリマー層1540のポリマーは、約60~約75、約65~約75、約70~約75、または約72の、ISO868:2003に従って測定されたショアD硬度を有し得る。一部の実施例では、外側ポリマー層1540は、約350MPa~約550MPa、約450MPa~約550MPa、約500MPa~約550MPa、約500MPa~約525MPa、約510MPa~約520MPa、約500MPa、約505MPa、約510MPa、約515MPa、約520MPa、または約525MPaの、ISO178:2010に従って測定された曲げ弾性率を有し得る。特定の実施例では、外側ポリマー層1540は、PEBAX(登録商標)グレード7033および7233(Arkema S.A.、フランス)ならびにVESTAMID(登録商標)グレードE62,E72、およびEX9200(Evonik Industries AG、ドイツ)のうちの一つまたは二つ以上のブレンドであり得る。一部の実施例では、外側ポリマー層1540は、PEBAX(登録商標)7233であり得る。他の実施例では、外側ポリマー層1540は、VESTAMID(登録商標)EX9200であり得る。
【0236】
一部の実施例では、主管1502が、その遠位端1514からその近位端1516まで、約1.0mm~約1.34mmの範囲の均一な内径を有し得る一方、外径は、近位および遠位のセクションにおいて、約1.8mm~2.0mm(例えば、+0.2mm)の範囲で変化し得る。
【0237】
プッシャーシャフト1500の遠位先端1541の実施例を、
図31に示す。一部の実施例では、遠位先端1541は、可撓性ポリマーを含む、より可撓性のポリマー先端または遠位端部分1544を含む。一部の実施例では、ポリマー遠位端部分1544は、外側ポリマー層1540と同一の可撓性材料を含み得、かつ/または外側ポリマー層1540と連続であり得る。したがって、遠位先端1541のポリマー遠位端部分1544は、主管1502の遠位端1514の上に再流され得、内側ライナー1538に接合され得る。
【0238】
図29、
図30、および
図32に示すように、シェル1504の内径1548は、主管1502の外径1550よりも大きく、それによって、主管1502とシェル1504との間に(半径方向に)環状空洞1546を形成する。したがって、スリーブシャフト280の近位セクション284は、
図34および
図35を参照して以下にさらに記載するように、環状空洞(例えば、空間)1546内で摺動し得る。さらに、ハブ組立品内で、近位伸長部1510の外部の内腔に提供される流体(例えば、フラッシュ流体)は、環状空洞1546を通って流れ、
図29の矢印217によって示されるように、シェルの遠位端を出て、
図6~
図9Aを参照して上述したように、送達装置のスリーブシャフト280と外側シャフト260との間の内腔(例えば、
図9Aに示す送達シャフト内腔215)に入る。
【0239】
プラグ1506は、(
図29、
図30、および
図32に示すように)シェル1504の近位端1505で、環状空洞1546内に配置されるように構成され得る。一部の実施例では、プラグ1506は、中央長手方向軸1501の方向に延在する長さ1507を有し得る(
図29に示すように)。一部の実施例では、長さ1507は、3.0mm~9.0mm、4.0mm~8.0mm、5.0mm~7.0mm、または5.5mm~6.5mmの範囲である。一部の実施例では、長さ1507は、約6.0mmである。
【0240】
プラグ1506は、近位端1505で環状空洞1546の一部分を「ふさぐ」または充填する一方、環状空洞の残りの部分を開いたままにして、スリーブシャフトの切断部分(例えば、
図5~
図7に示すスリーブシャフト280の切断部分288)をその中に受容するように構成され得る。例えば、
図32に示すように、一部の実施例では、プッシャーシャフト1500のプラグ1506は、環状部分1572と、環状部分1572の一側面から半径方向外側に延在する三日月形状部分1574と、を含み得る。環状部分1572の内径1576は、環状部分1572が主シャフト1502の外面1545を取り囲むように選択され得、三日月形状部分1574の外径1578は、三日月形状部分1574が環状空間1546を充填するように選択され得る(
図29)。例えば、内径1576は、主シャフト1502の外径1550よりもわずかに大きいように選択され得、外径1578は、シェル1504の内径1548よりもわずかに小さいように選択され得る(
図29)。一部の実施例では、内径1576は、約1.81mmであり、外径1578は、約3.42mmである。三日月形状部分1574の弧の長さは、60度~140度、80度~120度、90度~110度、または95度~105度の範囲であり得る。
【0241】
特定の実施例では、シェル1504およびプラグ1506は、主管1502に溶接され得、スリーブシャフトの切断部分が、主管1502とシェル1504との間で摺動可能であり得る。例えば、
図32に示すように、第一の溶接部1580は、プラグ1506の環状部分1572を主管1502に固定し得、第二の溶接部1582は、プラグ1506の三日月形部分1572をシェル1504に固定し得る。一部の実施例では、溶接部1580および1582の各々は、プラグ1506と主シャフト1502とシェル1504との間の嵌合面全体に沿って延在しないタック溶接部であり得る。
【0242】
図30は、主管1502の第二のセクション1932から遠位に延在する近位伸長部1510を示す。上述のように、近位伸長部1510は、スリーブシャフト(例えば、切断部分)の内側からスリーブシャフトの外側まで誘導され得るように、プッシャーシャフト1500に可撓性を提供し、それによって、二つのシャフトは、並列に作動され得る。多くの実施例では、上述のように、近位伸長部1510は、可撓性ポリマーから作製され得る。特定の実施例では、可撓性ポリマーは、PEBAX(登録商標)グレード2533、3533、4033、4533、5533、6333、および7033、ならびに7233(Arkema S.A.、フランス)およびVESTAMID(登録商標)グレードE40,E47,E55,E62,E72、およびEX9200(Evonik Industries AG、ドイツ)などのポリエーテル-アミドブロック共重合体、または二つ以上のポリエーテル-アミドブロック共重合体のブレンドである。
【0243】
ここで
図34および
図35を参照すると、送達装置220(例えば、プッシャーシャフトおよびスリーブシャフト組立品1600)のスリーブシャフト280および外側シャフト260と一緒に組み立てられたプッシャーシャフト1500の例示的な配置が、示される。上記に導入されるように、プッシャーシャフト1500およびスリーブシャフト280は、少なくとも、送達装置(例えば、
図4~
図8の送達装置220)の外側シャフト260(例えば、カテーテル部分)内で、互いに同軸であり得る。
【0244】
図34および
図35に示すように、スリーブシャフト280は、ドッキング装置232を覆う(例えば、囲む)ように構成され得、プッシャーシャフト1500およびスリーブシャフト280は一緒に、標的移植部位に到達すると、ドッキング装置70 232を、送達装置の外側シャフト260から展開するように構成され得る。
図34および
図35は、移植プロセスの異なる段階を示す。
【0245】
例えば、
図34および
図35は、切断部分288を含むスリーブシャフト280の近位セクション1604が、環状空洞1546内の、主管1502とシェル1504との間で、プッシャーシャフト1500の近位端部分1512を通過する方法を示す。
【0246】
具体的には、
図34は、ドッキング装置232の展開前または展開中の、プッシャーシャフトおよびスリーブシャフト組立品1600の第一の構成の実施例を示し、スリーブシャフト280は、ドッキング装置232の上に配置され、スリーブシャフト280の管285の端部表面279は、プラグ1506から離れて位置決めされる。
【0247】
ドッキング装置232を送達装置の外側シャフト260から展開する間、プッシャーシャフト1500およびスリーブシャフト280は、ドッキング装置232と軸方向に一緒に移動し得る。例えば、プッシャーシャフト1500を、ドッキング装置232に押圧して、外側シャフト260から外に移動するために作動させることで、スリーブシャフト280は、プッシャーシャフト1500およびドッキング装置232と共に移動し得る。したがって、ドッキング装置232は、ドッキング装置232を、プッシャーシャフト1500を介して標的移植部位の定位置に押す間、スリーブシャフト280の遠位セクション282によって覆われたままであり得る。
【0248】
一部の実施例では、
図34に示すように、外側シャフト260は、外側シャフト260の遠位端部分に第一の内径1650を有し、外側シャフト260のより近位端部分に第二の内径1652を有し得る。第二の内径1652は、より広いシェル1504をその中に収容するために、第一の内径1650より大きくなり得る。
【0249】
さらに、スリーブシャフト280の遠位セクション282の遠位先端1612は、標的移植部位での覆われたドッキング装置232の送達および移植の間、ドッキング装置232の遠位端1654に遠位に(例えば、それを過ぎて)延在し得、それによって、スリーブシャフト280の遠位セクション282により非侵襲的な先端を提供する。
【0250】
図35は、標的移植部位でドッキング装置232を外側シャフト260から展開して、スリーブシャフト280を移植されたドッキング装置232から離して収納した後の、プッシャーシャフトおよびスリーブシャフト組立品1600の第二の構成を示す。
図35に示すように、ドッキング装置232を標的移植部位に移植した後、その所望の位置で、スリーブシャフト280は、ドッキング装置232から引き離され得、外側シャフト260内に再度収納され得る。一部の実施例では、
図35に示すように、スリーブシャフト280は、端部表面1645がプラグ1506と接触すると、送達装置へのさらなる収納が停止され得る。
【0251】
構成要素の様々な材料および構造を含む、ドッキング装置用の送達装置用のプッシャーシャフトおよびスリーブシャフト組立品に関するさらなる詳細は、特許文献1に記載されており、該出願は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0252】
図5~
図9Aを参照して上記で導入したように、スペースまたは内腔は、プッシャーシャフトを含む送達装置の様々な構成要素の間に形成される。このような内腔は、プッシャーシャフトおよび送達シャフト内腔(例えば、
図9Aに示す送達シャフト内腔215)の主管の内面によって画定されたプッシャーシャフト内腔(例えば、
図9Aに示すプッシャーシャフト内腔201ならびに
図34および
図35に示すプッシャーシャフト内腔1555)を含み得る。
図9Aを参照して上述のように、プッシャーシャフト内腔は、スリーブシャフトとドッキング装置との間、およびプッシャーシャフトとスリーブシャフトとの間に形成された、スリーブシャフト内腔(例えば、
図9に示すスリーブシャフト内腔211、および
図34および
図35に示すスリーブシャフト内腔1557)に流体を供給し得る。
【0253】
本明細書で記載したように、流体の一貫した流れを、送達装置のこれらの内腔全体にわたって維持することによって、血液の停滞は、低減または回避され得、それによって、血栓を予防する。しかしながら、
図34および
図35に示すように、プッシャーシャフト1500の遠位先端1541は、ドッキング装置232の近位端に隣接して配置され得る。この配置はまた、プッシャーシャフト290の遠位端293が、ドッキング装置232の近位端に対して(例えば、当接して)配置される、
図9Bの実施例で確認され得る。
【0254】
移植処置中の様々な段階で、ドッキング装置232の近位端は、プッシャーシャフトの遠位端または先端(例えば、プッシャーシャフト1500の遠位先端1541)を、様々な量の力で圧縮可能である。プッシャーシャフト1500の遠位先端1541とドッキング装置232との間の相互作用におけるこの不一致により、様々な量の流体は、プッシャーシャフト内腔1555から外に、スリーブシャフト内腔1557(
図34および
図35)に流れる結果となり得る。
【0255】
一部の実施例では、ドッキング装置232は、プッシャーシャフト内腔を完全に閉塞し(例えば、遠位先端1541に対して押し上げられることにより)、それによって、プッシャーシャフト内腔から外へのすべての流れを停止し、流体がスリーブシャフト内腔に到達するのを防止する。例えば、
図9Bに示すように、プッシャーシャフト290の遠位端293が、ドッキング装置232に対して押し上げられる場合、フラッシュ流体流203は、プッシャーシャフト内腔201を出て、スリーブシャフト内腔211に到達するのが阻止される。これにより、血栓のリスクが増加する可能性がある。
【0256】
したがって、プッシャーシャフト内腔とスリーブシャフト内腔との間に追加の流路を作製して、それによって、流体はスリーブシャフトに到達し、スリーブシャフトを通って流れることが可能になり、血栓を防止することが望ましい場合がある(例えば、プッシャーシャフトの遠位端が、ドッキング装置の近位端に当接する場合でさえ、したがって、ドッキング装置は、流体が、プッシャーシャフトの遠位端を出るのを、少なくとも部分的にまたは完全に阻止する)。
【0257】
図36~
図44は、プッシャーシャフト内腔1555(例えば、主管1502の内部および遠位先端1541)から外への追加的な流路を提供し、その結果、プッシャーシャフト内腔1555とスリーブシャフト内腔1557との間の流体連通を増大させることができる、
図29~
図35のプッシャーシャフト1500に対する様々な変形および/または実施例を示す。
【0258】
一部の実施例では、
図33を参照して上記で導入されたように、
図34および
図35にも示すように、一つ以上の開口1537を、主管1502の中間セクション1535に含めることができる。一つ以上の開口1537は、主管1502、内側ライナー1538、および外側ポリマー層1540の厚さの各々を通って延在し得る。例えば、各開口1537は、プッシャーシャフト1500の内面1563と外面1561(例えば、外側ポリマー層1540によって画定された外面、および内側ライナー1538によって画定された内面)との間で、それを通って延在し得る。結果として、プッシャーシャフト1500が、
図34および
図35のプッシャーシャフトおよびスリーブシャフト組立品1600(または別の送達装置の別のプッシャーシャフトおよびスリーブシャフト組立品)内に含まれる場合、流体は、プッシャーシャフト内腔1555からスリーブシャフト内腔1557まで、一つ以上の開口1537を介して、通過することができる。
【0259】
一部の実施例では、
図33に示すように、一つ以上の開口1537は、遠位セクション1518の切断部1520に近位のプッシャーシャフト1500内に配置され得る。
【0260】
一部の実施例では、中間セクション1536は、一つの開口1537のみ、同一軸方向位置に複数の開口1537(例えば、
図34および
図35に示すように、互いに180度離れて配置された二つの開口1537)、中間セクションに沿って互いに軸方向に間隔を置いて配置された複数の開口1537(
図33に示すように)、またはこれらの組み合わせを含み得る。一部の実施例では、中間セクション1536は、プッシャーシャフト1500の周囲の周りに互いに間隔を置いて配置された、少なくとも二つの開口1537を含み得る。
【0261】
一部の実施例では、一つ以上の開口1537は、
図33に示すように、様々なサイズ(例えば、直径)を有し得る。一部の実施例では、プッシャーシャフト1500が複数の開口1537を含む場合、すべての開口1537は、同一サイズを有し得、または複数の開口1537のうちの一つ以上は、異なるサイズを有し得る。
【0262】
一部の実施例では、一つ以上の開口1537は、開口1534(
図33)と同一サイズを有し得る。他の実施例では、一つ以上の開口1537は、開口1534よりも大きいまたは小さくてもよい。
【0263】
一部の実施例では、一つ以上の開口1537は、円形であり得る。他の実施例では、一つ以上の開口1537は、正方形、長方形、楕円形、長方形、スリット形状、またはこれに類するものなど、異なる形状を有し得る(または異なる開口1537は、異なる形状を有し得る)。
【0264】
一部の実施例では、一つ以上の開口1537は、主管1502および周囲の内側ライナー1538および外側ポリマー層1540を通って、プッシャーシャフト1500に切断され得る。一部の実施例では、一つ以上の開口1537は、プッシャーシャフト1500を通ってレーザー切断することによって作製され得る。
【0265】
図36~
図40は、流体が、(例えば、
図34および
図35に示すように、プッシャーシャフト内腔から外に、スリーブシャフト内腔1557に)プッシャーシャフトから外に流れる経路を提供するように構成される、一つ以上のスロットがその中に配置される、プッシャーシャフト1500の遠位先端の実施例を示す。
図36~
図40に示す遠位先端は、
図31に示す遠位先端1541と同一または類似し得るが、それらが、プッシャーシャフト1500の遠位先端の厚さを通って延在する一つ以上のスロットを含むことは除く。
【0266】
一部の実施例では、
図36~
図40を参照して以下に記載されるスロットは、組み立てられたプッシャーシャフト1500(例えば、
図30および
図31に示すプッシャーシャフト1500)に切断され得る。一部の実施例では、スロットは、レーザー切断プロセスによって作製され得る。以下でさらに記載するように、一部の実施例では、スロット(複数可)がプッシャーシャフトの主管1502に(例えば、ポリマー遠位端部分1544を過ぎて)延在する場合、スロットを切断するためのレーザー設定は、金属(例えば、ステンレス鋼)を切断するよう設定され得る。
【0267】
図36および
図37は、遠位先端1700に切断されたスロット1702を含む、プッシャーシャフト1500の遠位先端1700の実施例を示す。
図36は、遠位先端1700の斜視図であり、
図37は、遠位先端1700の側面図である。
【0268】
一部の実施例では、
図36および
図37に示すように、スロット1702は、遠位先端1700の遠位端1704から、遠位端1704から離れた(および遠位先端1700への)ある距離(例えば、軸方向距離)まで延在し得、該距離は、スロット1702の軸方向長さ1706である。
【0269】
一部の実施例では、軸長さ1706は、ポリマー遠位端部分1544(
図31)および主管1502の遠位部分を通って延在するように、選択され得る。他の実施例では、軸長さ1706は、主管1502ではなく、ポリマー遠位端部分1544のみを通って延在するように、選択され得る。
【0270】
一部の実施例では、スロット1702は、遠位先端1700の厚さを通して延在するように、奥行き1708(半径方向に)を有し得る。例えば、スロット1702は、遠位先端1700(およびプッシャーシャフト1500)の内面1714と外面1716との間で、それを通って延在し得る。
【0271】
一部の実施例では、スロット1702は、幅1710を有し得る。幅1710は、(
図37に示すように)遠位先端1700の全径1712よりも小さい場合がある。一部の実施例では、幅1710は、軸長さ1706に沿って均一であり得る。他の実施例では、幅1710は、軸長さ1706の大部分に沿って均一であり得る。
【0272】
軸方向長さ1706および幅1710は、プッシャーシャフト内腔とスリーブシャフト内腔との間の所望の流量に基づいて、選択され得る(例えば、これらの寸法を増加させることで、プッシャーシャフト内腔とスリーブシャフト内腔との間に設けられた流路は、増大し得る)。一部の実施例では、軸長さ1706および幅1710はまた、遠位先端1700の構造的な完全性を維持するように選択され得る。
【0273】
図38は、遠位先端1800に切断された二つのスロット1702を含む、プッシャーシャフト1500の遠位先端1800の別の実施例を示す。
図38に示すように、一部の実施例では、二つのスロット1702は、遠位先端1800の周囲の周りに互いに180度離れて配置され得る。
【0274】
一部の実施例では、両方のスロット1702は、同一の軸方向長さ1706および幅1710を有し得る。他の実施例では、二つのスロット1702は、異なる軸方向長さ1706および/または幅1710を有し得る。
【0275】
複数のスロット1702により、遠位先端1800は、
図36および
図37の遠位先端1700と比較して、プッシャーシャフト内腔からスリーブシャフト内腔までの追加の流体流れを提供することができる。しかしながら、
図38の遠位先端1800は、複数のスロット1702により、遠位先端1800のポリマー遠位端部分1544を開く(例えば、広げる)リスクが増加し得、これにより、標的移植部位での位置決め後に、ドッキング装置の解放に不具合が生じ得る。
【0276】
図39および
図40は、遠位先端1900に切断された一つ以上のスロット1902(
図39および
図40に示す一つ)を含む、プッシャーシャフト1500の遠位先端1900の別の実施例を示す。スロット1902は、上述の通り、スロット1702に類似し得るが、スロット1902は、遠位先端1900の遠位端1904からスロット1902の近位端1906まで増大する幅を有し得る。スロット1902のこの構成により、
図36~
図38のより均一な幅のスロット1702と比較して、プッシャーシャフトからドッキング装置まで延在する縫合糸の過剰な縫合張力により、遠位先端1900での応力集中が低減、ならびに遠位先端1900を開くリスクが低減し得る。
【0277】
図40に示すように、スロット1902は、軸方向長さ1908、第一の(より狭い)幅1910、および第二の(より広い)幅1912を含む、一つ以上のカスタマイズ可能な寸法を有し得る。第二の幅1912(近位端1906で)は、第一の幅1910(遠位端1904で)よりも幅が広く、遠位先端1900の合計直径1712よりも小さい場合がある。上述のように、スロット1902のこれらの寸法は、プッシャーシャフト内腔とスリーブシャフト内腔との間の指定された(例えば、所望の)流量、および遠位先端1900の構造的な完全性を維持(例えば、遠位先端1900の開口または拡張のリスクを低減)できる最大寸法に基づいて、選択され得る。
【0278】
一部の実施例では、
図39に示すように、遠位先端1900は、単一のスロット1902を含み得る。他の実施例では、遠位先端1900は、(例えば、
図38に示す実施例に類似の)遠位先端1900の周囲の周りに間隔を置いて配置された二つ以上のスロット1902を含み得る。
【0279】
一部の実施例では、一つ以上のスロット1902は、遠位先端1900の厚さを通って延在するように、(半径方向に)奥行き1914を有し得る。例えば、スロット1902は、遠位先端1900(およびプッシャーシャフト1500)の内面1916と外面1918との間で、それを通って延在し得る。
【0280】
図41および
図42は、流体が、プッシャーシャフトから外に(例えば、
図34および
図35に示すように、プッシャーシャフト内腔から外に、スリーブシャフト内腔1557に)流れるための経路を提供するように構成される、その中に配置された一つ以上の開口2002を備えたプッシャーシャフト1500の主管1502の遠位端部分2000の実施例を示す。一つ以上の開口2002は、主管1502、内側ライナー1538、および外側ポリマー層1540の厚さの各々を通って延在し得る(
図31)。例えば、各開口2002は、プッシャーシャフト1500の内面と外面と(例えば、
図34に示す内面1563と外面1561と)の間で、それを通って延在し得る(例えば、外面は、外側ポリマー層1540によって画定され得、内面は、内側ライナー1538によって画定され得る)。結果として、プッシャーシャフト1500が、
図34および
図35のプッシャーシャフトおよびスリーブシャフト組立品1600(または別の送達装置の別のプッシャーシャフトおよびスリーブシャフト組立品)内に含まれる場合、流体は、プッシャーシャフト内腔1555からスリーブシャフト内腔1557まで、一つ以上の開口1537を介して、通過することができる。
【0281】
図41および
図42に示すように、一つ以上の開口2002は、切断部1520に遠位の主管1502の遠位端1514で配置され得る。さらに、一つ以上の開口2002は、
図31に示すように、ポリマー遠位端部分1544に近位に配置され得る。
【0282】
一部の実施例では、一つ以上の開口2002は、遠位端部分2000の周囲の周りに互いに間隔を置いて配置された少なくとも二つの開口2002を含み得る。
【0283】
図41は、遠位端部分2000が、一つまたは二つの開口2002を含む(例えば、一つの開口2002は、プッシャーシャフトの全体を通って切断され得、それによって、遠位端部分2000の周囲の周りに互いに180度離れて配置された二つの開口2002を作製する)実施例を示す。
【0284】
図42は、遠位端部分2000が遠位端部分2000の周囲の周りに間隔を置いて配置された複数の開口2002を含む、別の実施例を示す。一部の実施例では、開口2002の直径または幅は、
図41の一つ以上の開口2002よりも小さい場合がある。
【0285】
開口2002は、様々なサイズ(例えば、直径または幅)および/または形状(例えば、
図41および
図42に示すように円形、または正方形、楕円形、長方形、または類似のもの)を有し得る。一つ以上の開口2002の各々のサイズおよび/または形状は、プッシャーシャフト内腔から外に、スリーブシャフト内腔に流体の所望の流れを達成するように、選択され得る。
【0286】
図43および
図44は、流体が、プッシャーシャフトから外に(例えば、
図34および
図35に示すように、プッシャーシャフト内腔1555から外に、スリーブシャフト内腔1557に)流れるための一つ以上の追加の経路を提供するように構成される、プッシャーシャフト1500の遠位端部分(例えば、先端または先端部分)2100の実施例を示す。
図43は、断面図であり、
図44は、プッシャーシャフト1500の主管1502の遠位端部分2104の周りに配置された遠位先端2102、遠位先端2102の上に再流された外側ポリマー層1540、および遠位先端2102に近位に配置された主管1502の一部分を含む、遠位端部分2100の側面図である。
【0287】
一部の実施例では、
図43に示すように、遠位先端2102は、主管1502の遠位端部分2104の周りに配置および/または連結され得る。外側ポリマー層1540は、主管1502および遠位先端2102の一部分(例えば、大部分であり得る近位部分)を囲む(例えば、覆う)ことができる。遠位先端2102の先端部分2106は、主管1502を過ぎて、遠位に延在し得る。さらに、
図43および
図44に示すように、先端部分2106は、外側ポリマー層1540によって覆われない。
【0288】
遠位先端2102の先端部分2106は、その中に配置される一つ以上の開口2108を含み得る(
図43および
図44)。一つ以上の開口2108は、遠位先端2102の厚さを通って延在し得る(
図43)。
【0289】
一部の実施例では、一つ以上の開口2108は、先端部分2106の周囲の周りに互いに間隔を置いて配置され得る(
図44)。一つ以上の開口2108は、様々なサイズおよび/または形状(例えば、円形、正方形、長方形、または類似のもの)を有し得る。
【0290】
他の実施例では、複数の開口2108の代わりに、先端部分2106は、遠位先端2102の厚さを通って延在する、その中に配置された一つ以上のスロットまたは細長い開口を含み得る。
【0291】
遠位先端2102は、高分子材料(例えば、ナイロン)から成形または押出成形され得る。
【0292】
一部の実施例では、一つ以上の開口2108は、成形または押出成形された遠位先端2102にダイカットまたはレーザー切断され得る。
【0293】
一部の実施例では、組み立てられたプッシャーシャフト1500は、遠位先端2102を含むように修正され得る。例えば、外側ポリマー層1540は、遠位先端1541で切断/除去され得、主管1502の遠位端部分2104を露出する。遠位先端2102は、その後、主管1502の遠位端部分2104に、その周りに取り付けられ得る。外側ポリマー層1540は、その後、遠位先端2102の外面の上に再流させ得るが、先端部分2106には覆いがないままであり、それによって、一つ以上の開口2108は露出したままである。
【0294】
図45~
図47は、流体がプッシャーシャフトから外に(例えば、
図34および
図35に示すように、プッシャーシャフト内腔1555から外に、スリーブシャフト内腔1557に)流れるための一つ以上の追加の経路を提供するように構成されるプッシャーシャフト1500の遠位端部分(例えば、遠位先端または先端部分)2200の別の実施例を示す。
【0295】
遠位端部分2200は、可撓性ポリマー(例えば、上述したように、
図31に示すポリマー先端1544と同一または類似)を含む、より可撓性のポリマー先端(または遠位端)2202を含み得る。一部の実施例では、ポリマー先端2202は、プッシャーシャフト1500の外側ポリマー層1540と同一の可撓性材料を含み得、かつ/またはそれらと連続であり得る(例えば、
図31を参照して上述のように)。したがって、ポリマー先端2202は、プッシャーシャフト1500の主管1502の遠位端1514の上に再流され得、内側ライナー1538に接合され得る。
【0296】
図45~
図47に示す実施例では、一つ以上の開口2204は、主管1502に遠位のポリマー先端2202に配置され得、一つ以上の開口2204の各々は、半径方向に延在する中心軸を有する。一部の実施例では、一つ以上の開口2204の各々は、ポリマー先端2202の外面2206から内側ライナー1538の内面2212まで延在し得、それによって、ポリマー先端2202および内側ライナー1538の各々の厚さを通って延在する。
【0297】
他の実施例では、ポリマー先端2202が内側ライナー1538を含まない場合、一つ以上の開口2204の各々は、ポリマー先端2202の厚さを通って、外面2206からポリマー先端2202の内面まで延在し得る。
【0298】
一部の実施例では、
図45および
図46の断面図および斜視図にそれぞれ示されるように、一つ以上の開口2204は、ポリマー先端2202の周囲の周りで、ポリマー先端2202に配置され得る。例えば、ポリマー先端2202は、1個~12個の開口2204(または特定の例では、2個~6個)を含み得る。開口2204は、様々なサイズを含み得、ポリマー先端2202の周囲の周りに互いに間隔を置いて配置され得る。一部の実施例では、開口はすべて、均一なサイズ(例えば、直径)を含み得、かつ/または互いに対して均等に分布され得る(例えば、120度離れて間隔を置いて配置された三つの開口)。他の実施例では、開口のうちの一つ以上は、一つ以上の他の開口よりも大きい、または小さいサイズを含み得、かつ/または互いに対して均等に分布されなくてもよい。
【0299】
ここで
図48および
図49を参照すると、スリーブシャフト280のより詳細な実施例が、示される。一部の実施例では、
図48に示すように、スリーブシャフト280は、展開中にドッキング装置を覆うための潤滑スリーブを含む遠位セクション282(またはスリーブセクション)、スリーブ位置を操作または作動するために使用される近位セクション284、ならびに遠位セクション282および近位セクション284を接続するための中央セクション281の三つのセクションを備える。近位セクション284の一部分は、ハンドル組立品(
図5~
図7を参照して上述したように)に配置され得る。さらに、中央セクション281および近位セクション284の少なくとも一部分は、プッシャーシャフト(例えば、
図6~
図8に示すプッシャーシャフト290および/または
図34および
図35に示すプッシャーシャフト1500)を囲むことができる。
【0300】
スリーブシャフト280は、複数の構成要素および/または材料によって形成され得る。一部の実施例では、スリーブシャフト280は、可撓性ポリマージャケット283(
図48)、より硬質な管285(
図48および
図49)、内側ライナー287(
図48)、および(ポリマージャケット283の一部であってもよく、またはその一部内に埋め込まれ得る)金属編組289(
図48)によって形成され得る。
図48に示すように、ポリマージャケット283は、遠位セクション282および中央セクション281の一部であり得、内側ライナー287は、遠位セクション282および中央セクション281に沿って延在し得、それらの内面を形成し得、管285は、近位セクション284を形成し得、中央セクション281の近位部分に延在する部分を備える。このように、スリーブシャフト280の遠位セクション282、近位セクション284、および中央セクション281の各々は、異なる層および材料の組成物を含み得る。
【0301】
スリーブシャフト280の近位セクション284は、より硬質で、中央セクション281および遠位セクション282を、ドッキング装置(例えば、ドッキング装置232)で押して、ドッキング装置が生来の組織を取り囲んだ後に、遠位セクション282を収納することによって、ドッキング装置に対して遠位セクション282の位置を作動させるカラム強度を提供するように設計される。スリーブシャフト280の近位セクション284が、プッシャーシャフト(例えば、
図34および
図35に示すプッシャーシャフト1500、または
図6~
図9Bに示すプッシャーシャフト290)を囲むため、構造は、略管状の構造で、より硬質であるように、形状設定され、構成され得る。例えば、近位セクション284は、比較的硬質な管285によって形成され得る(
図48および
図49)。一部の実施例では、管285は、ステンレス鋼などの外科手術級の金属から構築され得る。一部の実施例では、管285は、ハイポチューブとすることができる。
【0302】
管285は、(近位セクション284の全体を形成し得る)第一のセクション271(
図49)および中央セクション281(
図48および
図49)に延在する第二のセクション273を含み得る。第一のセクション271は、上記で導入されたように、完全な円ではない(例えば、開いていて、閉管を形成しない)断面(スリーブシャフト280の中央長手方向軸275に垂直な平面内)を有する切断部分288を含む。管285の残りの部分は、管状であり得る(例えば、比較的円形の断面を有する閉管)。このように、管285は、その第二のセクション273に完全円形の断面、第一のセクション271の遠位部分、および(スリーブシャフト280のレールとも称され得る)切断部分288に部分的に円形の断面を有する、中空管であり得る。
【0303】
図5~
図7を参照して上述したように、スリーブシャフト280の切断部分288は、ハンドル組立品200のハブ組立品230に延在し、プッシャーシャフト290の一部分(例えば、近位伸長部291)は、(
図52にも示す)切断部分288の内面に沿って延在する。切断部分288の切断(例えば、開放)外形は、プッシャーシャフト290(または本明細書に記載の他のプッシャーシャフトのいずれか)の近位伸長部291が、切断部分288(
図49および
図52)に形成された空隙部277(または開口部)から外に延在し、切断部分288に対してある角度で、ハブ組立品230の分岐部204に分岐することができる。このように、プッシャーシャフト290およびスリーブシャフト280は、上述のように、互いに並列に操作され得る。
【0304】
一部の実施例では、
図49および
図51~
図53に示すように、切断部分288は、完全な管状構造の一部分が除去された、略U字形またはC字形の断面を有し得る。例えば、切断部分288は、空隙277を有する開放チャネルまたは導管を形成し得る(
図49、
図52、および
図53)。様々な実施例では、切断部分288が、レーザーを使用して切断され得るが、管状構造の一部を除去するための任意の他の手段も使用され得る。
【0305】
端部表面279は、切断部分288と第一のセクション271の残りの部分との間の界面において、第一のセクション271の完全な管状部分に形成される(例えば、露出される)(
図49)。この端部表面279は、中央長手方向軸275に垂直に配置され得、プッシャーシャフト(例えば、上述した
図35に示すように)の停止要素(例えば、プラグ1506)と面共有接触するように構成され得る。
【0306】
スリーブシャフト280の近位セクション284を切断して、切断部分288の部分円形断面を形成することができる。一部の実施例では、近位セクション284は、放電加工(EDMカット)によって切断され得る。しかし、管285をこのように切断すると、比較的平坦な(平面の)切断面2306を、空隙277の両側に残す可能性があり、各切断面2306は、比較的鋭利である(
図52および
図53)、切断部分288の外径上に第一の縁部2302(例えば、切断部分288の切断面2306と管285の切断部分288の内面2308との間の隅角)と、切断部分288の内径上に第二の縁部2304(例えば、切断面2306と管285の切断部分288の外面2310との間の隅角)と、を有する。例えば、第一の縁部2302および第二の縁部2304は、角度付きで、丸みがない。
【0307】
一部の実施例において、スリーブシャフト280の切断部分288の切断面2306上の比較的鋭利な内側縁部および外側縁部(第一の縁部2302および第二の縁部2304)は、丸みを帯びかつ/またはバリ取りされ得、それによって、第一の縁部2302および第二の縁部2304の鋭利さを排除または低減する。
【0308】
切断面2306でより丸みのあるより滑らかな縁部を作製することで、嵌合構成要素と切断部分288との間により滑らかな界面が可能になり得る。例えば、第一の縁部2302(外側縁部)および/または第二の縁部2304は、スリーブシャフト280の管285の切断部分288の周りに配置された様々なガスケット、シール、および/またはワッシャーと接合し得る。
【0309】
例えば、
図50および
図51に示すように、止血シール2400は、スリーブ作動ハンドル(例えば、
図5に示すスリーブハンドル208)に近位のスリーブシャフト280の近位セクション284の切断部分288の周りを封止するために使用され得る。
図50で確認されるように、止血シール2400は、切断部分288をその中に受容し、スリーブシャフト280のすべての側面を封止するように構成される、U字形またはC字形または不完全(例えば、部分的)な弁輪などの、スリーブシャフト280の切断部分288の断面の形状に開口部2406を有し得る。
図51は、ハブ組立品230の直線セクション202内に配置された止血シール2400の実施例を示す。一部の実施例では、
図51に示すように、二つの硬質ワッシャー2402および2404は、止血シール2400の各々の端部を支持し得る。硬質ワッシャー2402、2404は、止血シール2400の完全性を維持するために、止血シール2400と同一外形を有し得る。硬質ワッシャー2402、2404は、止血シール2400に内向きの圧力をかけ得、止血シール2400とスリーブシャフト280の切断部分288との間にシールを確保する。
【0310】
したがって、切断部分288の内側縁部および外側縁部(第一の縁部2302および第二の縁部2304)における鋭利な隅角または縁部を低減または排除して、嵌合構成要素と接合するためのより滑らかな縁部を作製することが望ましい。一部の実施例では、切断部分288の第一および第二の縁部2302および2304で完全に丸められた縁部を形成することが望ましい場合がある。
【0311】
一部の実施例では、第一および第二の縁部2302および2304は、レーザーによって丸められ得る。例えば、
図54Aおよび
図54Bは、切断部分288の切断面2306上の比較的鋭利な切断縁部(第一の縁部2302および第二の縁部2304)を丸めるかつ/またはバリ取りするための例示的なプロセスを示し、それによって、切断面2306(または鋭利な縁部のない、完全に丸められたかつ/またはバリ取りされた切断面2306)上に、完全に丸められた縁部もしくは隅角、または少なくともバリ取りされた縁部を形成する。
【0312】
例えば、レーザー2312(例えば、レーザーのビーム)は、切断面2306に向けられ、所定の時間、および/または所定の電力設定で照射され得、その結果、切断面2306でのスリーブシャフト280の切断部分288の金属は、溶融され、所望の幾何学的形状が達成されるまで、
図54Bに示す丸められた表面2314などの、第一の縁部2302および第二の縁部2304に向かって/の上に再流する(
図54Aの矢印2320で示す)。レーザーは、所望の丸みを達成するために、平らな縁部、第一の縁部、第二の縁部、またはその両方に、一つの通路、二つの通路、三つの通路、またはそれ以上で、切断面に照射され得る。丸められた表面2314は、切断部分288の内面2308での第一の丸められた隅角2316(または縁部)と、切断部分288の外面2310での第二の丸められた隅角2318と、によって画定され得る。一部の実施例では、丸められた表面2314は、鋭利な隅角または縁部のない、完全に丸められた表面であり得る。例えば、第一の丸められた隅角2316および第二の丸められた隅角2318は、互いにかつ内面2308および外面2310と連続し得、その結果、丸められた表面2314は、スリーブシャフト280の切断部分288の縁部に沿って完全に丸められた表面として形成される。一部の実施例では、丸められた表面2314は、内面2308と外面2310との間で湾曲し得る。
【0313】
図55は、切断面2306の第一の部分2326が未処理(例えば、レーザー溶接またはアブレーションが適用されていない)であり、その結果、第一の縁部2302および第二の縁部2304は、比較的鋭利なままであり、切断面2306の第二の部分2328は、レーザーで処理された(例えば、
図54Aおよび
図54Bを参照して上述したように)、スリーブシャフト280の例示的な切断部分288を示す。
図55に示すように、完全に丸められた表面2314は、レーザーにより達成され得、それによって、切断部分288用により滑らかな縁部を作製する。
【0314】
上述した、
図54Aおよび
図54Bに示すプロセスは、レーザー溶接再流プロセスと称され得る。上述のレーザー溶接部リフロープロセスが、一部の実施例では、完全に丸められた表面または縁部であり得る、丸められた表面2314を形成するために使用され得るが、他の実施例では、このプロセスは、切断面2306の第一の縁部2302および第二の縁部2304を、選択された半径(切断面2306で完全に丸められた縁部を生じ得る、または生じない場合がある)までバリ取りするために使用され得る。一部の実施例では、このようなプロセスは、丸められた縁部の間に延在する、より平面状の表面を備えた丸められた縁部(第一および第二の隅角2316および2318に類似)を形成し得る。
【0315】
他の実施例では、スリーブシャフト280(
図52および
図53)の切断部分288の切断面2306の比較的鋭利な第一の縁部2302および第二の縁部2304は、バリ取り加工(またはバリ取りビット加工)によって丸められかつ/またはバリ取りされ得る。例えば、
図56は、切断部分288の切断面2306(第一の縁部2302および第二の縁部2304)上の比較的鋭利な切断縁部を丸めるかつ/またはバリ取りするための例示的なバリ取り加工プロセスを示し、それによって、切断面2306(または鋭利な縁部がない、完全に丸められたかつ/またはバリ取りされた切断面2306)上に、完全に丸められた縁部または隅角、または少なくともバリ取りされた縁部を形成する。
【0316】
例えば、バリ取り機械ビット2350は、第一の縁部2302および第二の縁部2304(
図56)をバリ取りするかつ/または丸めるために、切断面2306に当てられ、それに沿って移動し得る。一部の実施例では、バリ取り機械ビット2350は、バリ取り機械ビット2350の一方または両側(
図56に示すように)に丸みのある縁部2352を有し得、丸みのある縁部2352は、第一の縁部2302および第二の縁部2304をバリ取りし、かつ/または
図54Bに示す丸められた縁部または表面2314を作製する(例えば、特定の曲率半径を有する)ように形状およびサイズ設定される。
【0317】
図56は、切断部分288の一方の側面上の第一の(内側)縁部2302、および切断部分288の他方の反対側の第二の(外側)縁部2304をバリ取りしかつ/または丸めるバリ取り機械ビット2350を示す。このように、一部の実施例では、バリ取り機械ビット2350の複数の通路は、切断部分288の両側で第一および第二の縁部2302および2304をバリ取りするために必要とされ得る。
【0318】
さらに他の実施例では、スリーブシャフト280(
図52および
図53)の切断部分288の切断面2306の比較的鋭利な第一の縁部2302および第二の縁部2304は、ビードブラスト、電気研磨、シンカー放電加工(EDM)、電気化学加工(ECM)、および/またはburlyticバリ取りのうちの一つ以上によって丸められ、かつ/またはバリ取りされ得る。
【0319】
開示される技術の付加的実施例
開示される主題の上記に記載される実装を考慮して、本出願は、以下に列挙される付加的実施例を開示する。単独である実施例の一つの特徴、又は組み合わせて、任意選択で、一つ以上のさらなる実施例の一つ以上の特徴と組み合わせて取り込まれる実施例の二つ以上の特徴が、本出願の開示内に同様に含まれるさらなる実施例であることに留意されたい。
【0320】
実施例1.
流れ機構であって、少なくとも二つの流路を画定するハウジングと、ハウジング内に配置され、互いに回転可能に係合される少なくとも二つのパドルギアと、を備え、少なくとも二つのパドルギアの各パドルギアは、少なくとも二つの流路のうちの一つに流体連結され、該ハウジングと、パドルギアが流体連結される流路を通る流体の所定の容積を計量するように構成される、パドルギアのパドルのアームと、の間に回転空洞を形成し、流れ機構は、少なくとも二つの流路間の一定の流量比を維持するように構成される、流れ機構。
【0321】
実施例2.
少なくとも二つの流路は、流れ機構で互いに流体分離される、本明細書のいずれかの実施例、特に実施例1に記載の流れ機構。
【0322】
実施例3.
各パドルギアについて、パドルギアのパドルのアームは、パドルの中央部分から半径方向外側に延在する、本明細書のいずれかの実施例、特に実施例1または実施例2に記載の流れ機構。
【0323】
実施例4.
各パドルギアについて、回転空洞の各回転空洞は、パドルのアームの二つの隣接するアームと、パドルギアが配置されるハウジングの空洞の壁と、の間に形成される、本明細書のいずれかの実施例、特に実施例1~3のいずれか一つに記載の流れ機構。
【0324】
実施例5.
少なくとも二つのパドルギアは、少なくとも二つの流路の第一の流路に流体連結された第一のパドルを含む第一のパドルギアと、少なくとも二つの流路の第二の流路に流体連結された第二のパドルを含む第二のパドルギアと、を含む、本明細書のいずれかの実施例、特に実施例1~4のいずれか一つに記載の流れ機構。
【0325】
実施例6.
第一のパドルギアは、第一のパドルに回転可能に連結された第一のギアを含み、第二のパドルギアは、第二のパドルに回転可能に連結された第二のギアを含み、第一のギアの歯は、第二のギアの歯に噛み合い係合する、本明細書のいずれかの実施例、特に実施例5に記載の流れ機構。
【0326】
実施例7.
第一のギアと第二のギアとの間のギア比は、1:1である、本明細書のいずれかの実施例、特に実施例6に記載の流れ機構。
【0327】
実施例8.
第一のギアと第二のギアとの間のギア比は、1:1ではなく、第一のギアの直径は、第二のギアの直径とは異なる、本明細書のいずれかの実施例、特に実施例6に記載の流れ機構。
【0328】
実施例9.
少なくとも二つのパドルギアは、第一のギアおよび第二のギアのうちの一つに噛み合い係合する第三のギアを含む第三のパドルギアを含み、第一のパドルギア、第二のパドルギア、および第三のパドルギアは、ハウジング内で互いに隣接して配置される、本明細書のいずれかの実施例、特に実施例6~8のいずれか一つに記載の流れ機構。
【0329】
実施例10.
第一のギアおよび第二のギアのうちの一つに噛み合い係合する歯付き駆動ギアをさらに備え、歯付き駆動ギアは、選択された速度で、少なくとも二つのパドルギアの回転を駆動するように構成される、本明細書のいずれかの実施例、特に実施例6~9のいずれか一つに記載の流れ機構。
【0330】
実施例11.
第一のパドルおよび第二のパドルは、第一のパドルギアおよび第二のパドルギアの共通の回転可能な部材によって互いに回転可能に連結される、本明細書のいずれかの実施例、特に実施例5に記載の流れ機構。
【0331】
実施例12.
共通の回転可能な部材は、歯を有する第一のギアであり、第一のギアの歯は、第三のパドルおよび第四のパドルに回転可能に連結される隣接する第二のギアに噛み合い係合し、第三のパドルは、少なくとも二つの流路の第三の流路に流体連結され、第四のパドルは、少なくとも二つの流路の第四の流路に流体連結される、本明細書のいずれかの実施例、特に実施例11の流れ機構。
【0332】
実施例13.
共通の回転可能な部材は、歯のないスペーサーであり、スペーサーは、第一のパドルと第二のパドルとの間に配置される、本明細書のいずれかの実施例、特に実施例11に記載の流れ機構。
【0333】
実施例14.
システムであって、送達装置であって、第一の抵抗を備えた第一の流れ内腔と、第一の抵抗よりも小さい第二の抵抗を備えた第二の流れ内腔と、を備え、第二の流れ内腔は、第一の流れ内腔と同軸であり、第一の流れ内腔を囲む、送達装置と、第一の流れ内腔および第二の流れ内腔までならびにその間に一貫した相対流量の流体を提供するように構成された流れ機構であって、流れ機構のハウジングによって画定され、第一の流れ内腔に流体連結された、第一の流路に流体結合された、回転可能な第一のパドルギアと、流れ機構のハウジングによって画定され、第二の流れ内腔に流体連結された、第二の流路に流体連結された、回転可能な第二のパドルギアと、を備える、流れ機構と、を備え、第一のパドルギアの回転および第二のパドルギアの回転は、第一のパドルギアと第二のパドルギアのそれぞれのギアとの間の噛み合い係合によって連動される、システム。
【0334】
実施例15.
送達装置は、第一の流れ内腔に流体連結された第一の流体ポートと、第二の流れ内腔に流体連結された第二の流体ポートと、をさらに備え、第一の流路の第一の出口は、第一の流体ポートに流体連結され、第二の流路の第二の出口は、第二の流体ポートに流体連結される、本明細書のいずれかの実施例、特に実施例14に記載のシステム。
【0335】
実施例16.
流れ機構の第一の流路および第二の流路は、互いに流体分離される、本明細書のいずれかの実施例、特に実施例14または実施例15に記載のシステム。
【0336】
実施例17.
第一のパドルギアは、第一のパドルと、互いに回転可能に連結された第一のギアと、を含み、第二のパドルギアは、第二のパドルと、互いに回転可能に連結された第二のギアと、を含み、第一のギアおよび第二のギアは各々、互いに噛み合い係合する歯を含む、本明細書のいずれかの実施例、特に実施例14~16のいずれか一つに記載のシステム。
【0337】
実施例18.
第一のパドルは、ハウジングによって画定された第一の空洞内に配置され、第一の流路は、第一の空洞を通って、第一の空洞の一方の側面に延在し、第二のパドルは、ハウジングによって画定された第二の空洞内に配置され、第二の流路は、第二の空洞を通って、第二の空洞の一方の側面に延在する、本明細書のいずれかの実施例、特に実施例17に記載のシステム。
【0338】
実施例19.
第一の容積を有する第一の回転空洞は、第一のパドルのアームと、第一の空洞の壁と、の間に形成され、第二の容積を有する第二の回転空洞は、第二のパドルのアームと、第二の空洞の壁と、の間に形成される、本明細書のいずれかの実施例、特に実施例18に記載のシステム。
【0339】
実施例20.
第一の容積および第二の容積は、同一である、本明細書のいずれかの実施例、特に実施例19に記載のシステム。
【0340】
実施例21.
第一の容積は、第二の容積よりも大きい、本明細書のいずれかの実施例、特に実施例19に記載のシステム。
【0341】
実施例22.
第一のパドルギアの第一のギアの直径は、第二のパドルギアの第二のギアの直径よりも小さい、本明細書のいずれかの実施例、特に実施例14~21のいずれか一つに記載のシステム。
【0342】
実施例23.
第一の流れ内腔は、送達装置の第一のシャフトの内面によって画定され、第二の流れ内腔は、送達装置の第一のシャフトの外面と第二のシャフトの内面との間に画定され、第一のシャフトおよび第二のシャフトは、送達装置の外側シャフト内で互いに同軸に配置される、本明細書のいずれかの実施例、実施例14~22のいずれか一つに記載のシステム。
【0343】
実施例24.
方法であって、流体を、送達装置のプッシャーシャフトの内部を通って該プッシャーシャフトの遠位端まで延在する内側プッシャーシャフト内腔を通って流すステップであって、プッシャーシャフトは、送達装置のスリーブシャフトと同軸で、少なくとも部分的にその内部に配置され、スリーブシャフトおよびプッシャーシャフトは、送達装置のハンドル組立品から遠位に延在する送達装置の外側シャフト内に配置され、スリーブシャフトは、外側シャフト内でドッキング装置を囲み、覆う遠位セクションを含む、流すステップと、流体を、プッシャーシャフト内腔から、ドッキング装置の外面とスリーブシャフトの遠位セクションの内面との間に形成されたスリーブシャフト内腔に流すステップと、流体を、スリーブシャフトの外面と外側シャフトの内面との間に形成された送達シャフト内腔を通って流すステップと、第一の回転可能なパドルギアと第二の回転可能なパドルギアとを互いに噛み合い係合して一緒に回転させることによって、プッシャーシャフト内腔および送達シャフト内腔までならびにその間に、流体の一貫した流量比を、プッシャーシャフト内腔および送達シャフト内腔に流体連結された単一の流れ機構により、維持するステップと、を含み、第一の回転可能なパドルギアは、プッシャーシャフト内腔と流体連結され、第二の回転可能なパドルギアは、送達シャフト内腔と流体連結される、方法。
【0344】
実施例25.
プッシャーシャフト内腔の流れに対する抵抗は、送達シャフト内腔の流れに対する抵抗よりも大きい、本明細書のいずれかの実施例、特に実施例24に記載の方法。
【0345】
実施例26.
流体を、送達シャフト内腔を通って流すステップは、流体を、送達装置のハブ組立品の導管に連結された第一のフラッシングポートから、プッシャーシャフトの外面と導管の内面との間に形成された第一の空洞まで流すステップと、流体を、第一の空洞から送達シャフト内腔まで流すステップと、を含む、本明細書のいずれかの実施例、特に実施例24または実施例25に記載の方法。
【0346】
実施例27.
流体を、プッシャーシャフト内腔を通って、スリーブシャフト内腔に流すステップは、流体を、第一のフラッシングポートが導管に連結された箇所に近位の、プッシャーシャフト内腔と直接流体連通する、導管に連結された第二のフラッシングポートから、プッシャーシャフト内腔に流すステップを含む、本明細書のいずれかの実施例、特に実施例26に記載の方法。
【0347】
実施例28.
流体を、プッシャーシャフト内腔を通って流すステップは、第一の流量の液体を、第一のパドルギアと流体連結された第一の流路から、第二のフラッシングポートまで提供するステップを含み、流体を、送達シャフト内腔を通って流すステップは、第二の流量の流体を、第二のパドルギアと流体連結された第二の流路から、第一のフラッシングポートまで提供するステップを含み、流体の一貫した流量比は、流体の第一の流量の、流体の第二の流量に対する流量比である、本明細書のいずれかの実施例、特に実施例27に記載の方法。
【0348】
実施例29.
流れスロットルであって、圧縮可能な封止部材であって、該圧縮可能な封止部材の長さを通って延在する第一の開口を画定し、該長さは、第一の開口の中央長手方向軸に対して軸方向に画定される、圧縮可能な封止部材と、硬質基材であって、圧縮可能な封止部材内に埋め込まれ、圧縮可能な封止部材の長さを通って延在し、第二の開口を画定する第一の部分と、圧縮可能な封止部材内に埋め込まれ、第一の部分から外側に延在し、第一の開口の少なくとも一部分を取り囲む第二の部分と、を備える、硬質基材と、を備える、流れスロットル。
【0349】
実施例30.
第一の開口は、第一の開口の中心長手方向軸および第二の開口の中心長手方向軸が、互いにオフセットされるように、第二の開口から半径方向にオフセットされる、本明細書のいずれかの実施例、特に実施例29に記載の流れスロットル。
【0350】
実施例31.
第一の開口は、第二の開口よりも大きい直径を有する、本明細書のいずれかの実施例、特に実施例29または実施例30に記載の流れスロットル。
【0351】
実施例32.
第二の部分は、圧縮可能な封止部材と硬質基材との間の結合を増加させるように構成された、その中に画定された一つ以上の開口を含む、本明細書のいずれかの実施例、特に実施例29~31のいずれか一つに記載の流れスロットル。
【0352】
実施例33.
硬質基材は、第一の部分から軸方向外側に、圧縮可能な封止部材の一方の側面に、圧縮可能な封止部材の外側に延在する伸長部材をさらに備える、本明細書のいずれかの実施例、特に実施例29~32のいずれか一つに記載の流れスロットル。
【0353】
実施例34.
圧縮可能な封止部材は、圧縮性材料を含み、硬質基材は、非圧縮性材料を含む、本明細書のいずれかの実施例、特に実施例29~33のいずれか一つに記載の流れスロットル。
【0354】
実施例35.
圧縮可能な封止部材は、シリコーンを含む、本明細書のいずれかの実施例、特に実施例29~34のいずれか一つに記載の流れスロットル。
【0355】
実施例36.
圧縮可能な封止部材は、硬質基材の第一の部分および第二の部分上にオーバーモールドされる、本明細書のいずれかの実施例、特に実施例29~35のいずれか一つに記載の流れスロットル。
【0356】
実施例37.
圧縮可能な封止部材は、硬質基材の半径方向外側に配置される湾曲した外面を有する、本明細書のいずれかの実施例、特に実施例29~36のいずれか一つに記載の流れスロットル。
【0357】
実施例38.
硬質基材の第二の部分は、第一の開口の全周を取り囲む、本明細書のいずれかの実施例、特に実施例29~37のいずれか一つに記載の流れスロットル。
【0358】
実施例39.
圧縮可能な封止部材は、第一の開口から間隔を置いて配置された第三の開口を画定する、本明細書のいずれかの実施例、特に実施例29~38のいずれか一つに記載の流れスロットル。
【0359】
実施例40.
圧縮可能な封止部材の外面は、流れシステムの第一の流れ導管に対して封止するように構成され、第一の開口は、流れシステムの第二の流れ導管に対して封止するように構成される、本明細書のいずれかの実施例、特に実施例29~39のいずれか一つに記載の流れスロットル。
【0360】
実施例41.
送達装置であって、第一の抵抗を備えた第一の流れ内腔を画定する第一の流れ導管と、第一の流れ導管と同軸に配置され、それを囲む第二の流れ導管であって、第二の流れ内腔は、第一の流れ導管と第二の流れ導管との間に画定され、第二の流れ内腔は、第一の抵抗よりも小さい第二の抵抗を有する、第二の流れ導管と、第一の流れ内腔および第二の流れ内腔に流体連結され、流体を受容するように構成された流体ポートと、流体ポートの下流に配置され、第一の流れ内腔および第二の流れ内腔を互いに流体分離するように構成された、流れスロットルと、を備え、流れスロットルは、第一の流れ導管の周りに封止された第一の開口を画定する圧縮可能な封止部材と、流体ポートを第二の流れ内腔に流体連結する第二の開口を画定する硬質基材と、を備え、圧縮可能な封止部材は、硬質基材上にオーバーモールドされ、第一の開口は、第二の開口よりも大きい直径を有する、送達装置。
【0361】
実施例42.
流れスロットルは、第二の流れ導管の内面と対面接触する、圧縮可能な封止部材の外面により、第二の流れ内腔内に位置決めされる、本明細書のいずれかの実施例、特に実施例41に記載の送達装置。
【0362】
実施例43.
第一の流れ導管は、第一の開口を通って延在し、第一の流れ導管の外面は、第一の開口を画定する圧縮可能な封止部材の内面と対面接触する、本明細書のいずれかの実施例、特に実施例41または実施例42に記載の送達装置。
【0363】
実施例44.
第一の流れ導管は、送達装置のプッシャーシャフトの近位伸長部である、本明細書のいずれかの実施例、特に実施例41~43のいずれか一つに記載の送達装置。
【0364】
実施例45.
圧縮可能な封止部材は、圧縮性材料を含み、硬質基材は、非圧縮性材料を含む、本明細書のいずれかの実施例、特に実施例41~44のいずれか一つに記載の送達装置。
【0365】
実施例46.
硬質基材は、圧縮可能な封止部材の一方の側面から軸方向外側に延在する伸長部材を含み、送達装置の対応する凹部と嵌合する、本明細書のいずれかの実施例、特に実施例41~45のいずれか一つに記載の送達装置。
【0366】
実施例47.
硬質基材は、圧縮可能な封止部材内に埋め込まれ、第二の開口を画定する第一の部分と、圧縮可能な封止部材内に埋め込まれ、第一の部分から外周方向外側に延在する第二の部分と、を備え、その結果、第二の部分は、第一の開口を少なくとも部分的に取り囲む、本明細書のいずれかの実施例、特に実施例41~46のいずれか一つに記載の送達装置。
【0367】
実施例48.
送達装置であって、人工インプラントを送達構成で保持するように構成された外側シャフトと、外側シャフト内に配置され、人工インプラントの端部と接合し、外側シャフトに対して軸方向に移動するように構成された内側シャフトと、外側シャフト内に配置されたスリーブシャフトと、を備え、スリーブシャフトの一部分は、外側シャフトと内側シャフトとの間に配置され、スリーブシャフトは、人工インプラントを送達構成で覆うように構成され、内側シャフトは、内側シャフトの内面と外面との間に延在し、内側シャフトの内側内腔を、内側シャフトの外面とスリーブシャフトの内面との間に配置された内腔と流体連結するように構成される、その中に画定された一つ以上の開口部を含む、送達装置。
【0368】
実施例49.
内側シャフトの内面および外面は、円周面であり、内面および外面に垂直な線は、送達装置の中央長手方向軸と交差する、本明細書のいずれかの実施例、特に実施例48に記載の送達装置。
【0369】
実施例50.
一つ以上の開口部は、内側シャフトの遠位端部分に配置される、本明細書のいずれかの実施例、特に実施例48または実施例49に記載の送達装置。
【0370】
実施例51.
一つ以上の開口部は、内側シャフトの遠位端部分から離れて間隔を置いて配置される内側シャフトの一部に配置される、本明細書のいずれかの実施例、特に実施例48または実施例49に記載の送達装置。
【0371】
実施例52.
一つ以上の開口部は、内側シャフトの周囲の周りに互いに間隔を置いて配置された少なくとも二つの開口部を含む、本明細書のいずれかの実施例、特に実施例48~51のいずれか一つに記載の送達装置。
【0372】
実施例53.
内側シャフトは、主管を備え、主管の遠位セクションは、その中に、遠位セクションの長さに沿って互いに間隔を置いて配置された、複数の切断部を含み、一つ以上の開口部は、遠位セクションに隣接して配置された内側シャフトの一部分に配置される、本明細書のいずれかの実施例、特に実施例48~52のいずれか一つに記載の送達装置。
【0373】
実施例54.
一つ以上の開口部は、主管、主管の内面を覆う内側ライナー、および主管の外面を覆う外側ポリマー層を通って延在する開口として構成される、本明細書のいずれかの実施例、特に実施例53に記載の送達装置。
【0374】
実施例55.
内側シャフトの主管は、遠位セクションに隣接しておよび近位に配置された中間セクションを含み、一つ以上の開口部は、中間セクションに配置される、本明細書のいずれかの実施例、特に実施例53または実施例54に記載の送達装置。
【0375】
実施例56.
一つ以上の開口部は、遠位セクションに隣接して遠位に配置される内側シャフトの遠位端部分に配置される、本明細書のいずれかの実施例、特に実施例53または実施例54に記載の送達装置。
【0376】
実施例57.
一つ以上の開口部は、内側シャフトの遠位端部分に配置された一つ以上のスロットであり、一つ以上のスロットの各スロットは、内側シャフトの遠位端から、近位方向に、遠位端から離れたある距離まで延在する、本明細書のいずれかの実施例、特に実施例48~50のいずれか一つに記載の送達装置。
【0377】
実施例58.
内側シャフトの遠位端部分は、可撓性ポリマーを含むポリマー遠位端部分と、内側シャフトの硬質の主管の遠位端と、を備え、ポリマー遠位端部分は、主管の遠位端に遠位に配置され、各スロットは、ポリマー遠位端部分を通って、主管の遠位端に延在する、本明細書のいずれかの実施例、特に実施例57に記載の送達装置。
【0378】
実施例59.
内側シャフトの遠位端部分は、可撓性ポリマーを含むポリマー遠位端部分と、内側シャフトの硬質の主管の遠位端と、を備え、ポリマー遠位端は、主管の遠位端に遠位に配置され、各スロットは、主管の遠位端に遠位のポリマー遠位端部分のみを通って延在する、本明細書のいずれかの実施例、特に実施例57に記載の送達装置。
【0379】
実施例60.
一つ以上のスロットは、単一のスロットを含む、本明細書のいずれかの実施例、特に実施例57~59のいずれか一つに記載の送達装置。
【0380】
実施例61.
一つ以上のスロットは、遠位端部分の円周の周りに互いに間隔を置いて配置された二つのスロットを含む、本明細書のいずれかの実施例、特に実施例57~59のいずれか一つに記載の送達装置。
【0381】
実施例62.
二つのスロットは、遠位端部分の周囲の周りに互いに180度離れて配置される、本明細書のいずれかの実施例、特に実施例61に記載の送達装置。
【0382】
実施例63.
各スロットは、スロットの軸方向長さに沿って均一の幅を有する、本明細書のいずれかの実施例、特に実施例57~62のいずれか一つに記載の送達装置。
【0383】
実施例64.
各スロットは、スロットの遠位端から近位端まで増大する幅を有する、本明細書のいずれかの実施例、特に実施例57~62のいずれか一つに記載の送達装置。
【0384】
実施例65.
内側シャフトは、内側シャフトの主管の遠位端部分の周りに配置された遠位先端を含み、遠位先端は、主管も覆う可撓性ポリマー層によって少なくとも部分的に覆われ、遠位先端は、主管および一つ以上の開口部をその中に含む可撓性ポリマー層を遠位に過ぎて延在する先端部分を含む、本明細書のいずれかの実施例、特に実施例48~50のいずれか一つに記載の送達装置。
【0385】
実施例66.
一つ以上の開口部は、遠位先端の先端部分の円周の周りに互いに間隔を置いて配置される開口として構成される、本明細書のいずれかの実施例、特に実施例65に記載の送達装置。
【0386】
実施例67.
遠位先端は、押出成形または成形された高分子材料を含む、本明細書のいずれかの実施例、特に実施例65または実施例66に記載の送達装置。
【0387】
実施例68.
一つ以上の開口部は、内側シャフトのポリマー先端に配置され、ポリマー先端は、内側シャフトの遠位端に配置される、本明細書のいずれかの実施例、特に実施例48~50のいずれか一つに記載の送達装置。
【0388】
実施例69.
内側シャフトは、主管と、主管の外面を覆う外側ポリマー層と、主管の内面を覆う内側ライナーと、を備え、ポリマー先端は、外側ポリマー層と連続し、主管の遠位端を遠位に過ぎて延在する、本明細書のいずれかの実施例、特に実施例68に記載の送達装置。
【0389】
実施例70.
スリーブシャフトをさらに備え、スリーブシャフトは、硬質材料を含み、管状部分および切断部分を含む近位セクションを備え、切断部分は、管状部分から近位に延在し、不完全な円である断面を有し、その結果、切断部分は、切断部分のいずれの端部にも切断面を備えた開放チャネルを形成し、その間に開放チャネルの空隙を画定し、切断面は、丸められる内側および外側の縁部を有する、本明細書のいずれかの実施例の送達装置。
【0390】
実施例71.
切断面は、丸められた内側縁部および外側縁部が、互いに、切断部分の内面および外面と連続するように、完全に丸められる、本明細書のいずれかの実施例、特に実施例70に記載の送達装置。
【0391】
実施例72.
切断部分は、プッシャーシャフトの一部分を受けるように構成され、スリーブシャフトの切断部分の空隙は、それを通ってプッシャーシャフトの可撓性の近位伸長部を受けるように構成される、本明細書のいずれかの実施例、特に実施例70または実施例71に記載の送達装置。
【0392】
実施例73.
スリーブシャフトの近位セクションは、金属を含む、本明細書のいずれかの実施例、特に実施例70~72のいずれか一つに記載の送達装置。
【0393】
実施例74.
切断面および丸められた内側および外側の縁部は、バリ取りされる、本明細書のいずれかの実施例、特に実施例70~73のいずれか一つに記載の送達装置。
【0394】
実施例75.
円形の断面を有する管状部分と、管状部分から近位に延在し、不完全な円である切断面を有する切断部分と、を備え、その結果、切断部分は、切断部分のいずれの端部にも切断面を備えた開放チャネルを形成し、その間に開放チャネルの開口部を画定し、切断面は、丸められる内側および外側の縁部を有する、送達装置用のスリーブシャフト。
【0395】
実施例76.
切断面は、丸められた内側縁部および外側縁部が、互いに、切断部分の内面および外面と連続するように、完全に丸められる、本明細書のいずれかの実施例、特に実施例75に記載のスリーブシャフト。
【0396】
実施例77.
内側縁部および外側縁部は、所定の半径まで丸められ、切断面の平面部分は、丸められた内側縁部と外側縁部との間に延在する、本明細書のいずれかの実施例、特に実施例75に記載のスリーブシャフト。
【0397】
実施例78.
丸められた内側縁部および外側縁部は、レーザー溶接によって形成された再流された縁部である、本明細書のいずれかの実施例、特に実施例75~77のうちのいずれか一つに記載のスリーブシャフト。
【0398】
実施例79.
丸められた内側および外側の縁部は、バリ取り機械ビットを用いて、バリ取り加工によって形成される、本明細書のいずれかの実施例、特に実施例75~77のいずれか一つに記載のスリーブシャフト。
【0399】
実施例80.
スリーブシャフトの切断部分は、金属を含む、本明細書のいずれかの実施例、特に実施例75~78のいずれか一つに記載のスリーブシャフト。
【0400】
実施例81.
送達装置のスリーブシャフトを形成する方法であって、c字形の断面および開口部を備えたスリーブシャフトの切断部分を形成するために、スリーブシャフトの管の近位セクションを、切断部分の内部に切断するステップであって、切断部分は、開口部の両側に切断面を有する、切断するステップと、切断面の金属が溶融し、内縁部および外縁部の上に再流するまで、切断面にレーザーを照射することによって、各切断面の内縁部および外縁部を丸めるステップと、を含む、方法。
【0401】
実施例82.
レーザーを照射することによって、各切断面の内縁部および外縁部を丸めるステップは、切断部分の内面と外面との間で湾曲する、完全に丸められた表面を形成する、本明細書のいずれかの実施例、特に実施例81に記載の方法。
【0402】
実施例83.
レーザーを照射することによって、各切断面の内縁部および外縁部を丸めるステップは、内縁部および外縁部を、選択された半径までバリ取りするステップを含む、本明細書のいずれかの実施例、特に実施例81に記載の方法。
【0403】
実施例84.
スリーブシャフトの管の近位セクションを切断するステップは、放電加工によって管の近位セクションを切断するステップを含み、切断面の内縁部および外縁部は、切断後および丸める前に角度付けられ、鋭利である、本明細書のいずれかの実施例、特に実施例81~83のいずれか一つに記載の方法。
【0404】
実施例85.
送達装置のスリーブシャフトを形成する方法であって、c字形の断面および開口部を備えたスリーブシャフトの切断部分を形成するために、スリーブシャフトの管の近位セクションを、切断部分の内部に切断するステップであって、切断部分は、開口部の両側に切断面を有する、切断するステップと、バリ取り機械ビットを切断面に当てることによって、各切断面の内縁部および外縁部を丸めるステップと、を含む、方法。
【0405】
実施例86.
送達装置であって、人工インプラントを送達構成で保持するように構成された外側シャフトと、外側シャフト内に配置され、人工インプラントの端部と接合し、外側シャフトに対して軸方向に移動するように構成された内側シャフトであって、硬質の主管と、可撓性ポリマーを含み、主管に遠位に延在するポリマー遠位端部分と、を備え、ポリマー遠位端部分は、ポリマー遠位端部分の内面と外面との間に延在する、その中に画定される一つ以上の開口を備える、内側シャフトと、外側シャフト内に配置されたスリーブシャフトと、を備え、スリーブシャフトの一部分は、外側シャフトと内側シャフトとの間に配置され、スリーブシャフトは、人工インプラントを送達構成で覆うように構成される、送達装置。
【0406】
実施例87.
内側シャフトは、主管の外面を覆い、ポリマー遠位端部分と連続する外側ポリマー層をさらに含む、本明細書のいずれかの実施例、特に実施例86に記載の送達装置。
【0407】
実施例88.
内側シャフトは、ポリマー遠位端部分の内面および主管の内面を覆う内側ライナーをさらに含み、一つ以上の開口は、内側ライナーを通って延在する、本明細書のいずれかの実施例、特に実施例86または実施例87に記載の送達装置。
【0408】
実施例89.
一つ以上の開口は、ポリマー遠位端部分の周囲の周りに互いに間隔を置いて配置された三つの開口を含む、本明細書のいずれかの実施例、特に実施例86~88のいずれか一つに記載の送達装置。
【0409】
実施例90.
一つ以上の開口は、内側シャフトの内側内腔を、内側シャフトの外面とスリーブシャフトの内側の表面との間に配置される内腔と流体連結するように構成される、本明細書のいずれかの実施例、特に実施例86~89のいずれか一つに記載の送達装置。
【0410】
実施例91.
送達装置であって、人工インプラントを送達構成で保持するように構成された外側シャフトと、外側シャフト内に配置され、人工インプラントの端部と接合し、外側シャフトに対して軸方向に移動するように構成される内側シャフトであって、外側ポリマー層によって覆われた遠位端部分を含む硬質の主管と、可撓性ポリマーを含み、主管に遠位に配置され、外側ポリマー層と連続するポリマー遠位端部分と、内側シャフトの外面と内側シャフトの内面との間で、外側ポリマー層および主管を通って延在する一つ以上の開口と、を備える、内側シャフトと、外側シャフト内に配置されたスリーブシャフトと、を備え、スリーブシャフトの一部分は、外側シャフトと内側シャフトとの間に配置され、スリーブシャフトは、人工インプラントを送達構成で覆うように構成される、送達装置。
【0411】
実施例92.
内側シャフトは、ポリマー遠位端部分の内面および主管の内面を覆う内側ライナーをさらに含み、一つ以上の開口は、内側ライナーを通って延在する、本明細書のいずれかの実施例、特に実施例91に記載の送達装置。
【0412】
任意の実施例に関して本明細書に記載する特徴は、別段の記載がない限り、他の実施例の任意の一つ以上に記載される他の特徴と組み合わせることができる。例えば、一つの流れ機構の特徴の任意の一つ以上を、別の流れ機構の任意の一つ以上の特徴と組み合わせることができる。別の実施例として、送達装置の一つのプッシャーシャフトの任意の一つ以上の特徴は、送達装置の別のプッシャーシャフトの任意の一つ以上の特徴と組み合わせることができる。
【0413】
本開示の原理が適用され得る多くの可能な態様を考慮すると、図示される構成が、開示される技術の実施例を示し、本開示または請求項の範囲を限定するものとして解釈されるべきではないことは、認識されるべきである。むしろ、請求対象の主題の範囲は、以下の特許請求の範囲及びそれらの同等物によって定義される。
【符号の説明】
【0414】
18 送達装置、34 スリーブシャフト、58 送達装置、220 送達装置、260 外側シャフト、280 スリーブシャフト、282 遠位セクション、292 主管、1260 内側内腔、1502 主管、1518 遠位セクション、1520 切断部、1535 中間セクション、1538 内側ライナー、1540 外側ポリマー層、1544 ポリマー遠位端部分、2202 ポリマー先端、2406 開口部
【国際調査報告】