(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-29
(54)【発明の名称】基材をコーティングするための方法及び/またはシステム
(51)【国際特許分類】
B05C 11/08 20060101AFI20231121BHJP
B05C 5/00 20060101ALI20231121BHJP
【FI】
B05C11/08
B05C5/00 101
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023528589
(86)(22)【出願日】2021-10-29
(85)【翻訳文提出日】2023-05-11
(86)【国際出願番号】 US2021057295
(87)【国際公開番号】W WO2022103601
(87)【国際公開日】2022-05-19
(32)【優先日】2020-11-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】523174963
【氏名又は名称】サービス サポート スペシャルティーズ,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110003579
【氏名又は名称】弁理士法人山崎国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100173978
【氏名又は名称】朴 志恩
(74)【代理人】
【識別番号】100118647
【氏名又は名称】赤松 利昭
(74)【代理人】
【識別番号】100123892
【氏名又は名称】内藤 忠雄
(74)【代理人】
【識別番号】100169993
【氏名又は名称】今井 千裕
(72)【発明者】
【氏名】ヒルマン、ゲイリー
(72)【発明者】
【氏名】チワリ、ライニシュ
(72)【発明者】
【氏名】モホンドロ、ロバート ディー
【テーマコード(参考)】
4F041
4F042
【Fターム(参考)】
4F041AA02
4F041AA05
4F041AA06
4F041AB01
4F041BA05
4F041BA22
4F041BA38
4F042AA02
4F042AA06
4F042AA07
4F042AA08
4F042BA05
4F042BA08
4F042BA10
4F042BA12
4F042BA13
4F042BA25
4F042BA27
4F042CA01
4F042CB02
4F042CB08
4F042CB19
4F042DH09
4F042EB06
4F042EB09
4F042EB18
4F042EB24
(57)【要約】
基材をコーティングするためのシステム及び/または方法。システムは、基材を保持して回転させるためのチャックと、コーティング材料を基材上に分配するための分配サブシステムと、シールド部材とを含むことができる。シールド部材は、コーティング手順中に基材に向かって及び基材から離れるように移動可能であってもよい。シールド部材は逆漏斗形状であってもよい。シールド部材は、溶媒蒸気が流れる中央チャンバと、ガスが流れる中央チャンバから流体的に分離された周辺チャンバとを含むことができる。コーティング手順中、シールド部材は、基材に非常に接近して移動されてもよく、溶媒蒸気及びガスは、基材上に流れて、基材の周りに溶媒に富んだ周囲を生成し、基材のスピンによって放出された後にコーティング材料のエアロゾルが基材上に再堆積するのを防止することができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材をコーティングするためのシステムであって、
前記基材を保持し、回転軸を中心に前記基材を回転させるためのチャックと、
前記基材の第1の表面上にコーティング材料を分配するための分配サブシステムと、
シールド部材であって、前記シールド部材の下端の中央開口部で終わる中央チャンバと、前記シールド部材の前記下端の周辺開口部で終わる周辺チャンバとを備える、前記シールド部材と、
前記シールド部材の前記周辺チャンバに流体結合されたガス源と、
前記シールド部材の前記中央チャンバに流体結合された溶媒蒸気源と、
を備え、
コーティング手順中、前記シールド部材は前記基材の前記第1の表面に隣接して配置され、前記溶媒蒸気が前記シールド部材の前記中央チャンバに導入されて、前記基材の周りに溶媒が豊富な雰囲気を作り出し、前記ガスが前記シールド部材の前記周辺チャンバを通って前記基材の周縁部に向かって流れる、
前記システム。
【請求項2】
前記シールド部材は、前記シールド部材の前記中央チャンバの断面積が前記中央チャンバの上端から前記シールド部材の前記下端に移動して連続的に増加するように逆漏斗形状の本体を備え、前記シールド部材の前記下端は、前記シールド部材の前記上端よりも前記チャックの近くに位置する、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記周辺チャンバが一定の断面積を有する、請求項1または請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記シールド部材が長手方向軸を備え、前記周辺チャンバが、前記中央チャンバを円周方向に取り囲む環状通路であり、前記周辺開口部が、前記中央開口部を取り囲む前記シールド部材の前記下端の環状開口部である、請求項1から3のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項5】
前記シールド部材が、
上端と、下端と、前記上端から前記下端まで延在して前記中央チャンバへの通路を形成する中央入口と、前記上端から前記下端まで延在して前記周辺チャンバへの通路を形成する少なくとも1つの周辺入口とを含む、上部分と、
前記シールド部材の前記上部の前記下端から遠位端まで延在する外壁であって、前記シールド部材の外面を形成する外面と、前記外面の反対側の内面とを含む、前記外壁と、
前記シールド部材の前記上部の前記下端から遠位端まで延在する内壁であって、前記シールド部材の前記中央チャンバを画定する前記シールド部材の内面を形成する内面と、前記内面の反対側の外面とを含む、前記内壁と、
を備え、
前記内壁の前記外面と前記外壁の前記内面とは、前記シールド部材の前記周辺チャンバを形成するギャップによって互いに離間されている、
請求項1から4のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項6】
前記内壁及び前記外壁の前記遠位端が水平面に沿って整列し、前記内壁及び前記外壁の前記遠位端が集合的に前記シールド部材の前記下端を形成する、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記シールド部材は、凹状の外面及び凸状の内面を備える、請求項1から6のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項8】
前記ガスは、前記回転軸から離れて外側方向に前記基材の前記周縁部に向かって流れるガス流として前記シールド部材の前記周辺チャンバを出るように構成される、請求項1から7のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項9】
前記シールド部材に動作可能に結合された第1のアクチュエータユニットと、前記コーティング手順中に様々な段階で前記シールド部材を前記チャックに向かって及び前記チャックから離れるように移動させるために前記第1のアクチュエータユニットに動作可能に結合されたコントローラとをさらに備える、請求項1から8のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項10】
前記分配サブシステムが、
コーティング材料の供給源と、
前記コーティング材料の前記供給源に動作可能に結合されて、前記コーティング材料を前記基材の前記第1の表面上に分配する分配器と、
前記分配器に動作可能に結合された第2のアクチュエータユニットであって、前記分配器の出口が前記基材の前記第1の表面に位置合わせされて前記コーティング材料を前記基材の前記第1の表面上に分配する第1の位置と、前記分配器が前記シールド部材の前記移動を妨げないように、前記分配器のどの部分も前記基材または前記チャックの上を通過しない第2の位置との間で前記分配器を移動させるように、前記コントローラが動作可能に結合された、前記第2のアクチュエータユニットと、
を含む、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記チャックは、前記基材を水平方向に集合的に支持するように円周方向に離間して配置された複数の支持部材を備え、前記支持部材の各々は、正の迎え角を備え、それにより、前記支持部材は、前記回転軸を中心とした前記チャックの回転中に外向きの空気流を生成する、請求項1から10のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項12】
前記支持部材の各々は、棚部分と、前記棚部分から延在する直立壁部分とを備え、前記直立壁部分は、前記回転軸を中心とした前記チャックの回転中に前記外向きの空気流を生成するために凸状の外面を有する、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記直立壁部の内面は凹状であり、前記棚部分から前記支持部材の遠位端に向かって延在するにつれて前記長手方向軸に対して外側に傾斜しており、前記棚部分は、前記直立壁の前記内面から延在するにつれて下方に傾斜しており、前記支持部材が前記基材を保持しているとき、前記基材の最下端部のみが前記支持部材と接触している、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記チャックは、前記チャックの底面から前記チャックの床まで延在する1つまたは複数の開口部を備え、前記ガス源は、前記コーティング手順中に前記ガスを前記基材と前記チャックの前記床との間の空間に流すために、前記1つまたは複数の開口部に流体結合される、請求項1から13のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項15】
前記シールド部材は、前記チャックに対して垂直に移動可能であり、前記分配サブシステムが前記コーティング材料を前記基材の前記第1の表面上に分配した後、前記シールド部材は、前記シールド部材の前記下端が前記基材の前記第1の表面から3mm以下だけ離間するまで、前記チャックに向かって下方に移動される、請求項1から14のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項16】
開放上端を有する空洞を画定する処理ボウルをさらに備え、前記チャック及び前記基材は、前記コーティング手順中に前記処理ボウルの前記空洞内に配置され、前記コーティング材料が前記基材の前記第1の表面上に分配された後、前記シールド部材は、前記シールド部材の遠位部分が前記処理ボウルの前記空洞内に配置されるまで前記基材の前記第1の表面に向かって下方に移動され、前記シールド部材の残りの部分は、前記空洞の前記開放上端を通って延在し、前記空洞の前記開放上端から突出する、請求項1から15のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項17】
前記チャックは、前記基材に真空吸引を適用することなく、前記基材を保持し、回転させる、請求項1から16のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項18】
基材をコーティングするためのシステムであって、
前記基材を保持し、回転軸を中心に前記基材を回転させるためのチャックと、
前記基材の第1の表面上にコーティング材料を分配するように構成された分配サブシステムと、
シールド部材であって、前記シールド部材の上端から前記シールド部材の下端に向かって増加する断面積を有する中央チャンバを画定する逆漏斗形状の本体を備える、前記シールド部材と、
を備え、
前記基材の前記第1の表面上に前記コーティング材料を分配した後、前記シールド部材は、前記シールド部材の前記下端が前記基材の前記第1の表面から5mm以下の間隔であるように前記基材の前記第1の表面に隣接して配置される、
前記システム。
【請求項19】
前記基材の前記第1の表面上に前記コーティング材料を分配した後、前記シールド部材の前記下端は、前記基材の前記第1の表面から1.5mm以下の間隔が空いている、請求項18に記載のシステム。
【請求項20】
前記シールド部材に動作可能に結合され、前記チャックに対して前記回転軸の方向に前記シールド部材を移動させる第1のアクチュエータユニットをさらに備え、前記コーティング材料が前記基材の前記第1の面上に分配された後、前記シールド部材は、前記シールド部材の前記下端が前記基材の前記第1の表面から第1の距離だけ離間した第1の位置から、前記シールド部材が前記基材の前記第1の表面から第2の距離だけ離間した第2の位置まで移動され、前記第2の距離は3mm以下である、請求項18または請求項19に記載のシステム。
【請求項21】
前記シールド部材が、前記中央チャンバを少なくとも部分的に円周方向に取り囲む周辺チャンバをさらに含み、
前記溶媒蒸気を前記シールド部材の前記中央チャンバに導入するために、前記シールド部材の前記中央チャンバに流体結合された溶媒蒸気源と、
前記ガスを前記シールド部材の前記周辺チャンバに導入するために、前記シールド部材の前記周辺チャンバに流体結合されたガス源と、
をさらに備える、請求項18から20のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項22】
前記シールド部材は、
前記中央チャンバを画定する内面と、前記内面の反対側の外面とを有する内壁と、
前記シールド部材の外面を形成する外面と、前記外面の反対側の内面とを有する外壁であって、前記外壁の前記内面及び前記内壁の前記外面は、前記シールド部材の前記中央チャンバを実質的に取り囲み、前記シールド部材の前記中央チャンバから流体的に隔離された前記シールド部材の周辺チャンバを形成する間隙によって離間されている、前記外壁と、
を含む、請求項18から21のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項23】
コーティングプロセス中に前記基材の周囲に溶媒に富む環境を形成するために、前記シールド部材の前記中央チャンバに流体結合された溶媒蒸気源と、
前記コーティングプロセス中に前記基材の周縁部に向かって前記ガス流を流すために、前記シールド部材の前記周辺チャンバに流体結合されたガス源と、
をさらに備える、請求項22に記載のシステム。
【請求項24】
前記ガス流は、前記シールド部材の前記周辺チャンバの出口から前記基材に向かって、前記回転軸から離れる方向に流れる、請求項23に記載のシステム。
【請求項25】
前記逆漏斗形状の本体が、前記中央チャンバを画定する凸状の内面と、凹状の外面とを備える、請求項18から24のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項26】
前記中央チャンバが、前記逆漏斗形状の本体の側壁によって境界付けられた単一の連続空間である、請求項18から25のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項27】
基材をコーティングする方法であって、
前記基材を水平方向に支持することと、
前記基材から第1の距離にシールド部材を配置することと、
前記基材の第1の表面上にコーティング材料を分配することと、
前記シールド部材が前記基材から第2の距離に配置されるまで、前記シールド部材を前記基材の前記第1の表面に向かって移動させることであって、前記第2の距離は、前記第1の距離よりも小さい、前記移動させることと、
溶媒蒸気を前記シールド部材の中央チャンバに流して、前記基材の周囲に溶媒が豊富な環境を作り出すことと、
回転軸を中心に前記基材を回転させて、前記基材の前記第1の表面上に前記コーティング材料の膜を形成することと、
前記シールド部材の前記中央チャンバを少なくとも部分的に取り囲む前記シールド部材の周辺チャンバを通ってガスを流すことであって、前記周辺チャンバを出る前記ガスは、前記回転軸から離れる方向に前記基材の前記第1の表面に向かって流れる、前記流すことと、
を含む、前記方法。
【請求項28】
前記周辺チャンバ及び前記中央チャンバは、前記シールド部材の内面を画定する前記シールド部材の内壁によって互いに流体分離される、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記周辺チャンバは、前記中央チャンバを円周方向に囲み、前記シールド部材の下端の環状開口で終端する環状通路であり、前記環状開口を出る前記ガスは、前記回転軸から離れる方向に前記基材の前記周縁上を流れて、前記コーティング材料のエアロゾルが前記基材の前記第1の表面上に再堆積するのを防止する、請求項27または28に記載の方法。
【請求項30】
前記基材がチャックによって支持されて回転され、前記基材の前記第2の表面上に前記コーティング材料のエアロゾルが堆積されるのを防ぐために、前記チャックの底面の開口部を通して前記基材の第2の表面と前記チャックの床との間の空間に前記ガスを流すことをさらに含む、請求項27から29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
前記チャックは、円周方向に離間した複数の支持部材を備え、前記支持部材の各々は、棚部分と、前記棚部分から延在する直立壁部分とを備え、前記直立壁部分は、正の迎え角を有し、それにより、前記支持部材は、前記チャックが前記回転軸を中心に回転するときに前記基材から外向きに空気を移動させるように構成される、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記シールド部材は、前記中央チャンバ及び前記周辺チャンバを画定する逆漏斗形状の本体を備え、前記中央チャンバは、前記中央チャンバの上端から前記シールド部材の下端に移動して増加する断面積を有し、前記周辺チャンバは一定の断面積を有する、請求項27から31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
前記基材の前記第1の表面が前記基材の裏面である、請求項27から32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
前記基材の前記保持及び回転中に、真空が前記基材に適用されない、請求項27から33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
基材をコーティングする方法であって、
チャック上に基材を配置することと、
前記基材の第1の表面上にコーティング材料を分配することと、
逆漏斗形状の本体を含むシールド部材を、前記シールド部材の下端が前記基材の前記第1の表面から5mmを超えないように前記基材の前記第1の表面に隣接して配置することと、
回転軸を中心に前記基材を回転させて、前記基材の前記第1の表面上に前記コーティング材料の膜を形成することと、
を含む、前記方法。
【請求項36】
前記シールド部材は、中央チャンバと、前記中央チャンバを取り囲む周辺チャンバとを含み、前記周辺チャンバは、前記中央チャンバから流体的に隔離されており、さらに、
溶媒蒸気を前記中央チャンバに流して、前記基材の周囲に溶媒が豊富な環境を作り出すことと、
前記周辺チャンバにガスを流すことであって、前記ガスは、前記回転軸から離れて外側方向に前記基材に向かって流れるガス流として前記周辺チャンバを出る、前記流すことと、
を含む、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
基材を保持し、スピンコーティング手順中に回転軸を中心に前記基材を回転させるためのチャックであって、
環状上縁部と、
前記環状上縁部に対して凹んだ床部分と、
前記環状上縁部から突出する複数の支持部材であって、前記支持部材のそれぞれが、
凸状の外面及び凹状の内面を有する直立壁部分と、
前記直立壁部分の前記凹状の内面から前記回転軸に向かって延在する棚部分であって、前記直立壁部分から延在するにつれて下向きに傾斜している、前記棚部分と、
を含む、前記支持部材と、
を備える、前記チャック。
【請求項38】
前記支持部材が正の迎角を有し、前記支持部材が、前記回転軸を中心とする前記チャックの回転中に外向きの空気流を生成するように構成される、請求項37に記載のチャック。
【請求項39】
前記支持部材の各々の前記直立壁部分の前記凹状内面は、前記棚部分から前記直立壁の遠位端まで延在し、前記凹状内面は、前記棚部分からの距離が増すにつれて前記回転軸に対して外向きに傾斜している、請求項37から38のいずれか一項に記載のチャック。
【請求項40】
前記支持部材は、前記支持部材の凹状内面と前記基材の最下縁部分との間の係合を介して前記基材を支持するように構成される、請求項39に記載のチャック。
【請求項41】
前記基材と前記チャックの前記床との間の空間にガスを導入するために、前記チャックの下面から前記チャックの前記床まで延在する複数の空気入口ポートをさらに備える、請求項37から40のいずれか一項に記載のチャック。
【請求項42】
スピンコーティング手順中に基材上に粒子が堆積するのを防止するためのシールド部材であって、
上部と、
前記上部から遠位端まで延在する内側環状壁と、
前記上部から遠位端まで延在する外側環状壁であって、間隔を空けて前記内側環状壁を円周方向に取り囲んでいる、前記外側環状壁と、
前記内側環状壁の内面によって画定される中央チャンバと、
前記内側環状壁と前記外側環状壁との間に画定された周辺チャンバであって、前記中央チャンバから流体的に隔離された前記周辺チャンバと、
を備える、前記シールド部材。
【請求項43】
前記シールド部材が逆漏斗の形状である、請求項42に記載のシールド部材。
【請求項44】
前記中央チャンバの断面積が、前記シールド部材の前記上部に隣接する前記中央チャンバの上部から前記シールド部材の下端まで連続的に増加する、請求項42または請求項43に記載のシールド部材。
【請求項45】
前記周辺チャンバが一定の断面積を含む、請求項42から44のいずれか一項に記載のシールド部材。
【請求項46】
前記周辺チャンバは、前記シールド部材の前記上部に隣接する近位部分と、前記近位部分から前記シールド部材の下端の出口まで延在する遠位部分とを備え、前記周辺チャンバの前記近位部分は弓状であり、前記周辺チャンバの前記遠位部分は直線状である、請求項42から45のいずれか一項に記載のシールド部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2020年11月11日に出願された米国仮特許出願第63/112,343号の優先権を主張し、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
基材またはウェハ上にポリマーをスピンコーティングするプロセスは、微小電気機械システムの産業において広く普及している。基材上へのポリマーのコーティングを達成するために現在使用されている2つの方法、すなわちスピン法及びスプレー法がある。スピン法では、基材の反対側の表面を真空によって回転可能な真空チャックに接着させながら、基材の所望の表面に多量のポリマーを塗布することによって基材を処理する。ウェハは比較的高速でスピンされ、余分なポリマーがウェハからスピンオフされ、ウェハの上部にポリマーの比較的薄いフィルムが残される。場合によっては、スピンコーティングプロセス中に基材の反対側との接触を避ける必要がある場合がある。そのような状況では、基材はピンによってその縁に沿って支持され得る。しかしながら、ピンは望ましくない乱流を生じさせ、ウェハからスピンオフされたポリマーのエアロゾルがコーティングされている基材の表面に再堆積する原因となり、その結果、コーティングの被覆率が不均一になる可能性がある。したがって、前述の欠陥に対処するためのシステム及び方法が必要とされている。
【発明の概要】
【0003】
本発明は、基材をコーティングするためのシステム及び/または方法に関する。システムは、基材を保持して回転させるためのチャックと、コーティング材料を基材上に分配するための分配サブシステムと、シールド部材とを含むことができる。シールド部材は、コーティング手順中、基材に向かって、及び基材から離れて垂直方向に移動可能であり得る。シールド部材は逆漏斗形状であってもよい。シールド部材は、溶媒蒸気が流れる中央チャンバと、ガスが流れる中央チャンバから流体的に分離された周辺チャンバとを含むことができる。コーティング手順中に、シールド部材は、基材に非常に接近して移動されてもよく、溶媒蒸気及びガスは、基材上に流れて、基材の周りに溶媒に富む周囲環境を生成し、基材のスピンによって放出された後にコーティング材料のエアロゾルが基材上に再堆積するのを防止することができる。
【0004】
一態様では、本発明は、基材をコーティングするためのシステムであってもよく、本システムは、基材を保持し、回転軸を中心に基材を回転させるためのチャックと、基材の第1の表面上にコーティング材料を分配するための分配サブシステムと、シールド部材であって、シールド部材の下端の中央開口部で終端する中央チャンバと、シールド部材の下端の周辺開口部で終端する周辺チャンバと、を備えるシールド部材と、シールド部材の周辺チャンバに流体結合されたガスの供給源と、シールド部材の中央チャンバに流体結合された溶媒蒸気の供給源と、を備え、コーティング手順の間、シールド部材は、基材の第1の表面に隣接して配置され、溶媒蒸気は、シールド部材の中央チャンバに導入されて、基材の周りに溶媒に富む周囲環境を生成し、ガスは、シールド部材の周辺チャンバを通って、基材の周縁部に向かって流れる。
【0005】
別の態様では、本発明は、基材をコーティングするためのシステムであってもよく、このシステムは、基材を保持し、回転軸を中心に基材を回転させるためのチャックと、基材の第1の表面上にコーティング材料を分配するように構成された分配サブシステムと、シールド部材であって、シールド部材の上端からシールド部材の下端へと移動するにつれて増大する断面積を有する中央チャンバを画定する逆漏斗形状の本体を備えるシールド部材と、を備え、コーティング材料を基材の第1の表面上に分配した後、シールド部材は、基材の第1の表面に隣接して配置され、シールド部材の底部端部は、基材の第1の表面から5mm以下離間している。
【0006】
さらに別の態様では、本発明は、基材をコーティングする方法であってもよく、この方法は、基材を水平配向で支持することと、基材から第1の距離に遮蔽部材を配置し、遮蔽部材の中央チャンバを通って溶媒蒸気を流して、基材の周りに溶媒が豊富な周囲を作り出すことと、基材の第1の表面上にコーティング材料を分配することと、シールド部材が基材から第2の距離に配置されるまで、シールド部材の中央チャンバを通って溶媒蒸気を流し続けながら、シールド部材を基材の第1の表面に向かって移動させることであって、第2の距離は、第1の距離よりも小さい、ことと、回転軸を中心に基材を回転させて、基材の第1の表面上に塗料の膜を形成することと、シールド部材の中央チャンバを少なくとも部分的に取り囲むシールド部材の周辺チャンバにガスを流すことであって、周辺チャンバを出るガスは、回転軸から離れる方向に基材の第1面に向かって流れる、ことと、を含む。
【0007】
さらなる態様では、本発明は、基材をコーティングする方法であってもよい。基材の第1の表面上にコーティング材料を分配する。逆漏斗形状の本体を含むシールド部材を、基材の第1の表面に隣接して配置し、シールド部材の下端が基材の第1の表面から5mmを超えないようにすることと、回転軸を中心に基材を回転させて、基材の第1の表面上にコーティング材料の膜を形成する。
【0008】
別の態様では、本発明は、基材を保持し、スピンコーティング手順中に回転軸を中心に基材をスピンさせるためのチャックであってもよく、チャックは、環状上縁部に対して凹んだ床部と、環状頂縁から突出する複数の支持部材と、を備え、支持部材の各々は、凸状の外面及び凹状の内面を有する直立壁部分を備え、直立壁部分の凹状内面から回転軸に向かって延在する棚部分と、を含み、棚部分は、直立壁部分から延在するにつれて下方に傾斜している。
【0009】
さらに別の態様では、本発明は、スピンコーティング手順中に基材上への粒子の堆積を防止するためのシールド部材であってもよく、シールド部材は、上部から遠位端まで延在する内側環状壁と、上部から遠位端まで延在する外側環状壁であって、外側環状壁が内側環状壁を周方向に離間して取り囲む、外側環状壁と、内側環状壁の内面によって画定された中央チャンバと、内側環状壁と外側環状壁との間に画定された周辺チャンバと、を含み、周辺チャンバは、中央チャンバから流体的に隔離されている。
【0010】
本発明の適用可能なさらなる領域は、以下に提供される詳細な説明から明らかになるであろう。詳細な説明及び特定の例は、本発明の好ましい実施形態を示しているが、説明のみを目的としており、本発明の範囲を限定することを意図していないことを理解されたい。
【0011】
本発明は、詳細な説明及び添付の図面からより完全に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の一実施形態による基材コーティングシステムの斜視図である。
【0013】
【0014】
【
図3】
図1の基材コーティングシステムの概略図である。
【0015】
【0016】
【
図5】
図1の基材コーティングシステムのシールド部材の斜視図である。
【0017】
【0018】
【
図7】
図1の基材コーティングシステムのプロセスボウル及びチャックの斜視図である。
【0019】
【
図8】
図1の基材コーティングシステムのチャックの上面図である。
【0020】
【0021】
【
図10A】基材を保持したチャックの正面平面図である。
【0022】
【0023】
【
図11A】シールド部材が上位置にあり、基材が支持アームによって支持され、様々な流体源及び接続部が概略的に示されている、
図1の基材コーティングシステムの部分上面斜視図である。
【0024】
【0025】
【
図12A】シールド部材が上位置にあり、基材が上位置にもあるチャックによって支持されている、
図1の基材コーティングシステムの部分上面斜視図である。
【0026】
【
図12B】溶媒蒸気源及び窒素源ならびにそれらの流体継手が概略的に示されている、
図12AのXIIB-XIIB線断面図である。
【0027】
【
図13A】チャックが下位置にあり、基材を支持し、分配サブシステムの分配器が基材の上に配置され、その上にコーティング材料を分配する、
図1の基材コーティングシステムの部分上面斜視図である。
【0028】
【
図13B】コーティング材料源とその分配器への流体結合が概略的に示されている、
図13AのXIIIB-XIIIB線断面図である。
【0029】
【
図14A】チャックが基材を下方位置で支持し、遮蔽部材が下方位置にある、
図1の基材コーティングシステムの部分上面斜視図である。
【0030】
【
図14B】窒素及び溶媒蒸気源ならびにそれらの流体が遮蔽部材に結合している状態が概略的に示されている、
図14AのXIVB-XIVB線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
好ましい実施形態の以下の説明は、本質的に単なる例示であり、本発明、その用途、または使用を限定することを決して意図するものではない。
【0032】
本発明の原理による例示的な実施形態の説明は、添付の図面に関連して読まれることを意図しており、これらは、記述された説明全体の一部と見なされるべきである。本明細書に開示される本発明の実施形態の説明において、方向または向きへの言及は単に説明の便宜を意図するものであり、本発明の範囲を限定することを意図するものではない。「下」、「上」、「横」、「縦」、「上」、「下」、「上」、「下」、「上」、「下」などの相対的な用語、及びその派生語(例:、「水平に」、「下向きに」、「上向きに」など)は、その時点で説明されている、または議論中の図面に示されている向きを指すと解釈されるべきである。これらの相対的な用語は、説明の便宜のためだけのものであり、そのように明示的に示されない限り、装置が特定の向きで構築または操作されることを必要としない。「取り付けられた(attached)」、「取り付けられた(affixed)」、「接続された」、「結合された」、「相互接続された」などの用語は、構造物が介在する構造物を介して直接的または間接的に互いに固定または取り付けられている関係、並びに特に明記されていない限り、可動または固定の付属品または関係を指す。さらに、本発明の特徴及び利益は、例示された実施形態を参照することによって説明される。したがって、本発明は、単独で、または他の特徴の組み合わせで存在し得るいくつかの可能な特徴の非限定的な組み合わせを示す例示的な実施形態に明確に限定されるべきではない。本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によって定義される。
【0033】
図1~
図4を同時に参照して、本発明の一実施形態による基材コーティングシステム(以下、「システム」)1000について説明する。本発明の目的のために、基材という用語は、別の物質の層がその上に適用され、例えば太陽産業または半導体産業で使用される任意の固体物質を意味することを意図していることを理解されたい。これには、シリコンウェハ、ガラス基材、光ファイバー基材、溶融石英、溶融シリカ、エピタキシャルシリコン、生のウェハ、太陽電池、医療機器、ディスクとヘッド、フラットパネルディスプレイ、マイクロエレクトロニクスマスク、及び本明細書に記載される手順を経る必要があり得るその他のアプリケーションが含まれるが、これらに限定されない。基材及びウェハという用語は、本明細書の説明全体を通して交換可能に使用される場合がある。さらに、本発明は特定の種類の基材に限定されるものではなく、本明細書に記載の方法は、任意の平らな物品の処理に使用できることを理解されたい。通常、基材は集積回路の製造に使用される平らな物品であるが、本発明はすべての実施形態においてそのように限定されるべきではない。このような基材は、結晶シリコンなどの半導体材料の薄いスライスから形成することができる。そのような基材はコーティングを必要とする場合があり、本明細書に記載のシステム1000は、基材上でコーティングを実行するように構成されている。
【0034】
従来の基材コーティングシステムでは、少量のコーティング材料が、低速で回転している、またはまったく回転していない基材の中心または中心付近に塗布される。次に、基材を非常に高速(毎分最大10,000回転)で回転させ、遠心力によってコーティング材料を基材の表面全体に広げる。基材を回転させると、コーティング材料が基材の端から振り落とされ、所望の厚さの膜がコーティング層として基材上に残る。このようなシステムでは、基材はチャックによって支持され、真空によってその上に保持される。しかしながら、状況によっては、コーティングされる表面の反対側にある基材の表面に真空吸引を適用することが不可能であるか、または推奨できない場合がある。
【0035】
コーティングされている基材の表面が基材の裏面である場合、コーティングされていない基材の表面との接触を避けることが特に望ましい。したがって、典型的には、基材の前面(すなわち、デバイス側)がコーティングされているとき、基材の背面が真空チャックに接着され、次にウェハが回転する。これが可能なのは、基材の裏面に繊細さをあまり必要としないからである。しかしながら、基材の裏面がコーティングされているとき、基材の表面をチャックと直接、特に真空吸引で接触させることは、基材を損傷または汚染しやすいため、一般に望ましくない。本明細書に記載の技術及びプロセスは、前面に接触することなく背面のコーティングを可能にし、基材の回転中に飛ばされたコーティング材料のエアロゾルまたは液滴または粒子がいずれかの基材の表面上に再付着するのを防止するという追加の利点を有する。もちろん、本明細書に記載の技術及びプロセスは、基材の前面がコーティングされており、基材の裏面との接触を避けたい場合にも使用することができる。したがって、本明細書で提供される説明では、基材は、第1の表面及び第1の表面の反対側の第2の表面を有し、第1の表面がコーティングされているものとして説明される。第1の表面は、好ましくはウェハまたは基材の裏面であるが、本発明はこれに限定されるべきではなく、他の実施形態では、第1の表面はウェハまたは基材の表面であってもよい。
【0036】
基材コーティングシステム1000は、システム1000の残りの構成要素を支持するフレーム10を備える。フレーム10は、例示的な実施形態では車輪11によって支持されるが、車輪11は必須ではない。さらに、他の実施形態ではシステム1000の構成要素をカウンタートップなどに配置することができるので、フレーム10自体はすべての実施形態で必要とされるわけではない。
【0037】
システム1000は、一般に、開いた上端102を有する空洞101を画定するプロセスボウル100と、プロセスボウル100内に配置され、プロセスボウル100内で基材50を保持して回転させるように構成されたチャック200と、コーティング材料を基材50上に分配するように構成された分配サブシステム300と、基材をシールドして、基材から振り落とされたコーティング材料のエアロゾルまたは液滴/粒子がその上に再堆積するのを防止するように構成されたシールド部材400とを含む。これらのコンポーネント及びその他のコンポーネントについては、以下でより詳細に説明する。
【0038】
システム1000は、チャック200に対するシールド部材400の動きを制御するために、シールド部材400に動作可能に結合された第1のアクチュエータユニット490を備える。システム1000は、第1のアクチュエータユニット490に動作可能に結合された制御ユニットまたはコントローラ900(
図3を参照)も備える。例示的な実施形態では、コントローラ900は、第1のアクチュエータユニット490の起動を制御する。しかしながら、他の実施形態では、第1のアクチュエータユニット490の起動は、手動で、または他の手段を使用して達成され得る。第1のアクチュエータユニット490は、コーティングプロセス中の様々な時点で、シールド部材400をチャック200及び/または基材50に接近または離反する垂直方向に上下に移動させるように構成される。
図1、
図2、及び
図4を参照すると、シールド部材400は、チャック200及び基材50から離間するように、第1の位置、または上位置に示されている。この位置から、シールド部材400は、下方位置(
図14A及び
図14Bを参照されたい)に下方に移動することができ、それによって、シールド部材400は、チャック200上に支持された基材50の極めて近く(すなわち、3mm以下、より具体的には1.5mm以下、より具体的には約1mm)に配置される。これらのプロセスは、各々以下でさらに詳細に説明する。
【0039】
例示的な実施形態では、第1のアクチュエータユニット490は、第1のモータ491、第1のモータ491に動作可能に結合された第1のねじ付き部材492、及び第1のねじ付き部材492と相互作用するプレート部材493を備える。プレート部材493は、プレート部材493が第1のねじ付き部材492に沿って上下に移動すると、シールド部材400も上下に移動するように、シールド部材400に結合される。第1のアクチュエータユニット490が作動すると(コントローラ900によって手動または自動で)、第1のモータ491が作動し、第1のねじ付き部材492がその縦軸を中心に回転する。第1のねじ付き部材492が回転すると、プレート部材493は、プレート部材493の雌ねじと第1のねじ付き部材492のねじとの間の相互作用により、上方または下方に移動する。第1のねじ付き部材392の回転方向(時計回りまたは反時計回り)は、シールド部材400が上向きに移動するか下向きに移動するかを決定する。
【0040】
本明細書に記載され、図面に示される第1のアクチュエータユニット490は、単なる例示であり、すべての実施形態において本発明を限定することを意図するものではない。すなわち、ベルト、プーリ、トラック、レール、フォロア、ピン、ばねなどの他の構成要素が、他の実施形態では第1のアクチュエータユニット490を形成することができる。一般的な概念は、第1のアクチュエータユニット490が、コーティングプロセス中にチャック200及び基材50に対してシールド部材400を上下に動かすのに必要な構成要素を備えるということである。
【0041】
図5及び
図6を参照して、シールド部材400の構造について説明する。シールド部材400は、一般に、逆漏斗形状の本体401の形態である。すなわち、漏斗は一般に上部が広く、底部が狭いが、例示的な実施形態のシールド部材400ではその反対が成り立つ。もちろん、シールド部材400は、他の実施形態では、円筒形の本体、円錐形の本体などであることを含め、他の形状をとることができる。シールド部材400は、縦軸A-A、上端411及び上端411の反対側の下端412を有する上部分410、上部分410の下端412から遠位端414まで延在する外壁413、及び上部部分410の下端412から遠位端416まで延在する内壁414を備えている。外壁及び内壁413、415の遠位端414、416は、水平面PPに沿って整列され、外壁及び内壁413、415の遠位端414、416は、シールド部材400の下端402を集合的に形成する。
【0042】
外壁413は、シールド部材400の外面418を形成する外面417と、外面417の反対側の内面419とを備えている。内壁415は、シールド部材400の内面421を形成する内面420と、内面420の反対側の外面422とを備えている。外壁413の外面417(したがってシールド部材400の外面418も)は凹状であり、内壁415の内面420(したがってシールド部材400の内面421も)は凹状である。これにより、逆漏斗形状のシールド部材400が得られる。内壁415の外面422も凹面であり、外壁413の内面419も凸面である。例示的な実施形態では、外壁413は、外壁413が間隔を空けて内壁415を円周方向に囲むように、内壁415よりも大きい直径を有するが、外壁413及び内壁415はそれらの全長に沿って同じ曲率を有する。
【0043】
シールド部材400は、内壁415の内面420(シールド部材400の内面421でもある)によって囲まれた中央チャンバ423を備えている。さらに、中央入口424は、シールド部材400の上部410を通って、その下端412からその上端411まで延在する。中央入口424は、シールド部材400の上部410の外側の領域から中央チャンバ423への通路を形成する。これにより、後述するように、流体(すなわち、ガスまたは蒸気)を中央チャンバに導入する目的で、中央入口424と流体源との間の流体結合が可能になる。中央チャンバ423は、シールド部材400の下端402の中央出口429で終わる。中央チャンバ423は、シールド部材400の上部410に隣接する中央チャンバ423の上端430からシールド部材400の下端402への方向に移動するにつれて増加する断面積を有する。より具体的には、シールド部材400の内面421の凸形状のために、中央チャンバ423の断面積は、中央チャンバ423の上端からシールド部材400の下端402に移動するにつれて連続的に減少する。
【0044】
シールド部材400はまた、外壁413の内面419と内壁415の外面422との間に画定される周辺チャンバ425を備えている。例示的な実施形態では、周辺チャンバ425は、中央チャンバ423を円周方向に取り囲む単一のチャンバである。しかしながら、本発明は、すべての実施形態においてそのように限定されるべきではなく、周辺チャンバ425は、仕切り壁によって分離された複数のチャンバセクションを備えていてもよい。例示的な実施形態では、周辺チャンバ425は、その全長に沿って一定の断面積を有する。とは言うものの、他の実施形態では、一定でない断面積を有する周辺チャンバ425を形成することが可能であり得る。周辺チャンバ425は、例示的な実施形態では環状チャンバであり、シールド部材400の下端402の環状開口部または出口426で終わる。環状開口部426は、好ましくは全周にわたって連続しているが、他の実施形態では不連続部分に形成されてもよい。環状開口部426は、中央出口429を円周方向に取り囲むことができる。
【0045】
例示的な実施形態では、周辺チャンバ425は、シールド部材400の全長に沿って中央チャンバ423から流体的に隔離される。すなわち、内壁415は、周辺チャンバ425と中央チャンバ423との間のこれらのチャンバ全体に対する障壁を形成する。シールド部材400は、好ましくは、流体がシールド部材400の内壁415を通過して中央チャンバ423と周辺チャンバ425との間を移動するのを防止する、プラスチック、金属などの非多孔性材料から形成される。したがって、中央チャンバ423内に存在するいかなる流体(ガスまたは蒸気など)も、少なくともそれらの流体がシールド部材400の下端402でシールド部材400を出るまで、周辺チャンバ425内に存在するいかなる流体(ガスまたは蒸気など)とも混合しない。例示的な実施形態では、周辺チャンバ423及び中央チャンバ425内の流体は、シールド部材400内で混合しないようにされる。
【0046】
例示的な実施形態では、外壁413及び内壁415の両方が、上部410に隣接する起伏のある近位部分と、下端402に隣接する直線状の遠位部分とを有する。したがって、外壁413と内壁との間に画定された周辺チャンバ425はまた、シールド部材400の上部410に隣接する弓形または湾曲した近位部分431と、湾曲した近位部分431からシールド部材400の下端402まで延在する直線部分432とを有する。その結果、環状開口部426を通って周辺チャンバ425を出る空気またはガス流は、直線状の空気またはガス流である。環状開口部426を通って出るガスまたは空気は、シールド部材400の縦軸AAから離れて外向きに流れる。以下で説明するように、これにより、環状出口426を通って周辺チャンバ425を出る空気またはガス流が、エアロゾル、液滴、または粒子が基材上に再堆積するのを防ぐために、基材の中心から離れる方向で基材の周縁に向けて空気を吹き飛ばすことが保証される。代替の実施形態では、周辺チャンバ425は、その全長に沿って曲率を維持することができる。
【0047】
シールド部材400は、上端411から下端412まで上部分410を通って延在する複数の周辺入口428を上部分410に備える。複数の周辺入口428のそれぞれは、シールド部材400の外部から周辺通路425への通路を形成する。例示的な実施形態では複数の周辺入口428が存在するが、他の実施形態では、リング状の形状で連続的に延在する単一の環状周辺入口428があってもよい。他の実施形態では、環状ではなく周辺入口428が1つだけあってもよく、他の実施形態では、例示的な実施形態に示されているよりも多くの周辺入口428があってもよい。周辺入口428は、中央入口424を取り囲む基準リングに沿って整列される。
【0048】
シールド部材400の上部410はまた、漏斗状の本体401の一部の上に延在する片持ち部分430を備える。片持ち部分430は、シールド部材400を前述の第1のアクチュエータユニット490のプレート部材493に結合する目的で、ねじ、ボルトなどの留め具を受け入れるように構成された複数の開口431を備える。これにより、プレート部材493が第1のねじ付き部材492に沿って上下に移動すると、シールド部材400も上下に移動することが保証される。
【0049】
図1~
図3を参照すると、上述のように、シールド部材400は、ガス/蒸気を中央チャンバ423及び周辺チャンバ425に導入できるように、いくつかのガス/蒸気源に流体結合される。システム1000は、溶媒蒸気をシールド部材400の中央チャンバ423に導入できるように、シールド部材400の中央入口424に動作可能に結合された溶媒蒸気源450を備える。溶媒蒸気源450は、溶媒で部分的に満たされたタンクであってもよい。さらに、ガス源460からタンク内にガスが導入される。ガスは、いくつかの実施形態では不活性ガスであってもよいが、本発明は、すべての実施形態においてそのように限定されるべきではない。例示的な実施形態では、ガス源460は窒素を含むが、本発明はすべての実施形態においてそのように限定されるべきではなく、他の実施形態では他のガスを使用することができる。例えば、代替の一実施形態では、ガス源460は清浄な乾燥空気を含むことができる。ガス(例えば、窒素)は、タンク内の溶媒を通過し、その中で泡を形成する。気泡が溶媒内で形成され、空域を通過すると、気泡は溶媒蒸気で飽和し、その後、シールド部材400の中央入口424に流れ込み、シールド部材400の中央チャンバ423に流れ込むことができる。溶媒蒸気源450はまた、本明細書で参照され、業界ではバブラーとして知られている。そのような溶媒蒸気源/バブラーに関するさらなる詳細は、米国特許第5,472,502号に見出すことができ、その全体は参照により本明細書に組み込まれる。
【0050】
上述のように、システム1000は、ガス源460も備える。ガス源460は、ガスがガス源460から溶媒蒸気源450に流れて、後にシールド部材400の中央チャンバ423に導入される溶媒蒸気を生成することができるように、溶媒蒸気源450に流体結合される。上記で説明したように。ガス源460はまた、シールド部材400の周辺入口428のそれぞれに流体結合されて、ガスを周辺チャンバ425内に導入し、それを通して導入する。したがって、動作中、溶媒蒸気は中央チャンバ423に流れ込み、そこを通って基材50の周囲に溶媒に富んだ雰囲気を生成し、ガス(例えば、窒素ガス)は周辺チャンバ425に流れ込み、そこを通って基材の縁に向かって流れ、飛ばされたコーティング材料からのエアロゾルまたは粒子が基材50上に再付着するのを防止する。一実施形態では、溶媒蒸気はシクロペンタノン溶媒ガスであってもよいが、他の実施形態では他のタイプの溶媒ガスまたは溶媒蒸気を使用しても同様の結果が得られる。
【0051】
図3に見られるように、ガス源460と周辺入口428との間を延在する導管に沿って、また溶媒蒸気源450と中央入口424との間を延在する導管に沿って、様々な弁が配置されている。これらの弁は、いくつかの実施形態ではソレノイド弁であってもよい。
図3には示していないが、コントローラ900は、これらの弁の開閉を制御するために、弁のそれぞれに動作可能に結合され得る。コントローラ900と弁との間の結合は、この操作可能なカップリングの説明が、破線で図に明示的に示すことなく、十分に有効な説明として機能するはずであるため、煩雑さを避けるために、
図3には示されていない。
【0052】
引き続き
図1~
図3を参照すると、システム1000は、チャック200の動きを制御する目的でチャック200に動作可能に結合された第2のアクチュエータユニット290を備えている。第2のアクチュエータユニット290はまた、コントローラ900に動作可能に結合され、第2のアクチュエータユニット290の作動は、コントローラ900及びそこに格納された任意のアルゴリズムによって自動的に制御され得る。第2のアクチュエータユニット290は、一般に、モータ291、第2のねじ付き部材292、及び第2のねじ付き部材292の周りに配置された雌ねじ付きスリーブ部材293を備える。したがって、モータ291が作動して回転すると、第2のねじ付き部材292も作動して回転し、雌ねじ付きスリーブ部材293を第2のねじ付き部材292に沿って上下に移動させる。雌ねじ付きスリーブ部材293はさらにチャック200に取り付けられ、雌ねじ付きスリーブ部材293が第2のねじ付き部材292に沿って上下に移動すると、チャック200も上下に移動する。チャック200は、
図12A及び
図12Bにその上方位置または延伸位置で示されており、チャック200は、
図13A及び
図13Bにその下方位置または後退位置で示されている。
【0053】
システム1000はまた、回転軸RRを中心にチャックを回転させる目的でチャック200に動作可能に結合されたモータ299を備える。モータ299は、コントローラ900がシステム1000の処理及び動作に関連する事前に格納されたアルゴリズムに従ってモータ299の起動/停止を制御できるように、コントローラ900に動作可能に結合されてもよい。他の実施形態では、モータ299は、ユーザによって手動で起動され得る。モータ299は一般に、チャック200が基材50を保持/支持している間にチャック200を回転させるために作動され、基材50上に先に堆積されたコーティング材料を広げ、基材50上にコーティング材料の薄膜を形成する。
【0054】
コントローラ900は、いくつかの実施形態では、プロセッサ及びメモリデバイスを含み得る。プロセッサ及びメモリデバイスは別個の構成要素であってもよく、またはメモリデバイスはコントローラ900内のプロセッサと統合されてもよい。さらに、コントローラ900は、1つのプロセッサ及び1つのメモリデバイスのみを含むことができ、または複数のプロセッサ及び複数のメモリデバイスを含むことができる。コントローラ900のプロセッサは、本明細書に記載の、以下を含むが限定されないプロセスの一部または全部を実行するように構成された任意のコンピュータまたは中央処理装置(CPU)、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、計算デバイス、または回路であってもよい。(1)システム1000の弁の開閉、(2)第1、第2、及び第3のアクチュエータユニット490、290、390の起動及び停止、(3)チャック200を回転させるモータ299の起動及び停止。コントローラ900はまた、システム1000内に存在する任意のポンプまたは他の電子デバイスの動作を制御することができる。
図3に示されるように、システムは、回転計、質量流量コントローラ、及びコントローラ900の動作及びシステム1000の他のコンポーネントの起動/停止を容易にするためにコントローラ900に動作可能に結合され得る他の電子部品及びセンサを含み得る。
【0055】
コントローラ900のメモリデバイスは、限定されないが、ランダムアクセスメモリ(RAM)及びその様々なタイプ、リードオンリーメモリ(ROM)及びその様々なタイプ、USBフラッシュメモリ、及び磁気または光学データ記憶装置(例:内部/外部ハードディスク、フロッピーディスク、磁気テープCD-ROM、DVD-ROM、光ディスク、ZIP(商標)ドライブ、Blu-rayディスクなど)を含む、それに動作可能に接続されたプロセッサによって書き込み及び読み取りができる揮発性メモリ、または不揮発性メモリを含んでもよい。メモリデバイスは、様々なアクチュエータユニット290、390、490及びモータ299をいつ起動/停止にするか、及びいつ様々な弁を開閉するか、及び/または、システム1000の任意のポンプを操作する。
【0056】
上述のように、システム1000は、基材50上にコーティング材料を分配するように構成された分配サブシステム300も備える。分配サブシステム300は、コーティング材料301の供給源と、コーティング材料301に流体結合された少なくとも1つの分配アーム302とを備える。コーティング材料301は、スピンコーティング手順中にウェハをコーティングするために一般的に使用されるポリマーまたはフォトレジストであり得る。コーティング材料301の供給源は、例示された実施形態では注射器型の分配機構を備える。すなわち、コーティング材料は注射器に収容され、注射器のプランジャーが注射器のスリーブ内を移動して、供給源301から分配アーム302にコーティング材料を分配する。他の実施形態では、コーティング材料は、コントローラ900への操作可能な結合により、手動で制御されるか、または自動的に制御される弁、ポンプなどを介して、コーティング材料301の供給源から分配アーム302に分配されてもよい。つまり、コーティング材料301の供給源は、すべての実施形態において注射器である必要はなく、当業者にはよく理解されるように、様々な異なる構造的及び機能的形態のいずれかをとることができる。少なくとも1つの分配アーム302は、基材上への分配を実行する目的で、ノズルまたは他の流体送達装置を備えることができる。少なくとも1つの分配アーム302は、チューブまたは導管を介してコーティング材料301の供給源に流体結合される。したがって、コーティング材料が供給源301から分配されると、コーティング材料は分配アーム302から基材50上に分配される。コントローラ900は、コーティング作業中に基材上へのコーティング材料の分配を制御するために、分配サブシステム300に動作可能に結合されてもよい。
【0057】
システム1000は、分配アーム302に動作可能に結合された第3のアクチュエータユニット390を備えてもよい。第3のアクチュエータユニット390は、分配アーム302が基材50またはチャック200の上に重ならない第1の位置(
図1)と第2の位置(
図12A及び
図12B)との間で分配アーム302を回転させるように構成されてもよい。分配アーム302は、コーティング材料を基材50上に分配する目的で、基材50及びチャック200の上に横たわる。第3のアクチュエータユニット390は、第1の位置と第2の位置との間で分配アーム302の枢動/回転運動を達成するために、分配アーム302に結合された他の構造コンポーネントと協働するモータ391及びねじ付き部材392を備えてもよい。第3のアクチュエータユニット390は、コントローラ900に格納されたアルゴリズムに基づいて分配アーム302の動きが自動的に達成され得るように、コントローラ900に動作可能に結合され得る。
【0058】
システム1000は、プレウェット溶媒381の供給源に流体結合されたプレウェット分配器アーム380を備えてもよい。したがって、プレウェット分配器アーム380は、本明細書に記載のコーティング材料で基材50をコーティングする前に、プレウェット溶媒を基材50上に分配することができる。
【0059】
システム1000はまた、基材50がチャック200によって保持及び支持される前に、基材50を支持及び保持するためにプロセスボウル100の上に配置される一対の把持アーム385を備える。把持アーム385は、ロボットまたはユーザから基材50を受け取り、次いで基材50をチャック200上に解放するために、互いに対して内向き及び外向きに枢動するように構成され得る。
図1、
図2、及び
図4に示されるように、把持アーム385は、基材50がチャック200に移動される前に基材50を保持している。把持アーム385は、基材50の第1及び/または第2の表面と接触せずに、基材50の周縁にのみ接触するように構成され、これらの表面への損傷または汚染を防止する。以下で説明するように、動作中、チャック200は、基材50がチャック200上に置かれるようにその上向きの位置に変更され、次に把持アーム385が外側に旋回して、基材50をチャック200上に解放する。次いで、チャック200は、コーティング操作のために基材50を準備するために基材50を支持しながら、プロセスボウル100内の下向き位置に戻ることができ、把持アーム385は、シールド部材400をブロックしないように外側位置に留まる。本明細書で説明するように下方に移動することができない。
【0060】
図3は、システム1000の完全な概略図を示す。上述のように、いくつかの実施形態では、コントローラ900は、システム1000内の各弁に動作可能に結合されており、コントローラ900は、ガス、溶媒蒸気などの分配を制御する目的で弁の開閉を自動的に制御することができる。
図3に示されるように、システム1000は、ガス源460及び清浄な乾燥空気源461を備える。ガス源460からのガス及び清浄な乾燥空気源461からの清浄な乾燥空気は、シールド部材400の周辺入口428に入る前に一緒に結合/混合される。溶媒蒸気源450からの溶媒蒸気と清浄乾燥空気源461からの清浄乾燥空気は、シールド部材400の中央入口424に入る前に一緒に結合/混合される。さらに、ガス及び清浄な乾燥空気は、裏面分配器ユニット500からチャック200を介して分配され、コーティングされる面とは反対側の基材50の面上またはそれに隣接して分配され得る。チャック200の空気管理に関するいくつかの詳細は、
図8及び
図9を参照して以下に説明される。
【0061】
図7を参照すると、チャック200が下の位置にあり、把持アーム385がプロセスボウル100の真上に配置されたプロセスボウル100が示されている。
図7では、把持アーム385は、それらが基材を保持している時の位置である内側位置で示されている。内側位置では、把持アーム385はチャック200と位置合わせされて、把持アーム385からチャック200への基材の容易かつ円滑な移送を促進する。把持アーム385の一方または両方は、チャック200が基材の保持及び支持の役割を引き継ぐ位置にあるときに、基材をそのグリップから解放するために外側に枢動するように構成される。把持アーム385は、アクチュエータユニットに動作可能に結合されてもよく、アクチュエータユニットは、コントローラ900に動作可能に結合されて、把持アーム385の、
図7に示すような内側位置から、例えば
図12Aに示すような外側位置への変更を容易にする。
【0062】
把持アーム385の各々は、弓形の内面382を備えている。第1の把持アーム385の弓形の内面382は、第2の把持アーム385の弓形の内面382に面している。把持アーム385の内面382は凹状である。これにより、把持アーム385の内面382の形状が、基材の形状(すなわち、丸みを帯びた形状)とある程度相関することが可能になる。把持アーム385はそれぞれ、近位端386及び遠位端387を備える。さらに、遠位端387で、把持アーム385は、把持アーム385の内面382から内向きに突出するグリップ延長部388を備える。あるいは、グリップ延長部388は、把持アーム385をその遠位部分に沿って広げることによって形成されてもよい。把持アーム389は、その近位端386の近くに配置された第2のグリップ延長部389を有することができる。把持延長部388、389の各々は、把持アーム385が基材を支持しているときに、周縁が下面と交わる基材の最下端のみが把持アーム385と接触するように、傾斜した側壁部分及び傾斜した棚部分を含むことができる。他の実施形態では、把持アーム385の内面全体が、個別のグリップ延長部388、389に組み込まれる特徴ではなく、角度の付いた側壁部分及び角度の付いた棚部分を含んでもよい。基材が把持アーム385によって保持されるとき、把持アーム385のどの部分も基材の前面または後面のいずれにも接触しない。これにより、把持アーム385と基材との間の接触が基材を汚染または損傷しないことが保証される。
【0063】
ここで、
図7~
図9を同時に参照して、チャック200をより詳細に説明する。チャック200は、下面201と、床202と、下面201の反対側の上面を集合的に形成する環状の上縁203とを備える。床202は、環状の上縁203に対して凹んでいる。特に、床203は、平坦な中央部分204と、平坦な中央部分204から環状の上縁203まで延在する輪郭付けされた周辺部分205とを有する。後述するように、基材は、床202が基材のどの部分からも離間し、接触しないように、床202に対して高い位置にチャック200によって保持される。
【0064】
チャック200は、基材がチャック200によって支持されているときに基材と床202との間の空間にガス(例えば、窒素ガス)などの流体を導入する目的で下面201から床202まで延在する複数のポート210を備えている。ポート210は、円周方向に離間して配置された複数のポートを含むポート211の外側リングと、円周方向に離間して配置された第2の複数のポートを含むポート212の内側リングと、チャック200の中心に配置された中央ポート213とを含む。代替の実施形態では、ポート210の間隔、ポートの数、及びポート210の特定の配置を調整することを含む、ポート210の異なる配置が可能であり得る。
【0065】
図3に示されるように、裏面分配器500は、ガス/窒素ガス源460及び清浄乾燥空気源461に流体結合される。裏面分配器500はまた、チャック200内の複数のポート210のそれぞれに流体結合される。その結果、裏面分配器500は、ガス(窒素などの不活性ガス、清浄な乾燥空気、またはこれら2つの混合物のいずれか)をポート210内に、及びポート210を通して分配するように構成される。チャック200の底部へのこのガスの注入の利点は、コーティング操作中にエアロゾル、液滴、及び/または粒子が基材とチャック200の床202との間の空間に入るのを防止するのに役立つことである。具体的には、前述のように、基材がコーティング材料を載せた状態で回転すると、コーティング材料は基材全体に均一に広がり、基材の縁から飛び散る。コーティング材料が基材の縁から飛び散ると、コーティング材料はプロセスボウル100の壁に衝突し、エアロゾル、液滴、及び/または粒子を生成する。これらは、基材に向かって戻る可能性がある。チャック200の底部を通してガスを吹き込むことにより、ガスは、これらのエアロゾル/粒子が基材とチャック200の床202との間のギャップに入るのを防ぎ、コーティングされている表面の反対側の基材の表面の汚染を防ぐ。すなわち、ガスはエアロゾル、液滴、及び/または粒子をチャック200及び基材から離れる方向に吹き飛ばして、再堆積及び汚染を防止する。
【0066】
チャック200は、チャック200に沿って中心に配置され、チャック200の床202の上に離間されたディスクの形態であるエアデフレクタ230を備える。エアデフレクタ230は、エアデフレクタ230を通る空気の通過を可能にするために、そこを通って延在する穴231を備えてもよい。さらに、エアデフレクタ230は、チャック200の中央ポート210のいずれかを通って導入される空気が、チャック200の回転軸BBから離れてチャック200及び基材の縁に向かって外向きに偏向されるように配置される。これは、コーティング操作中にエアロゾル/液滴が基材の主表面上に再付着するのを防止することに関して上記と同じ目的を果たす。
【0067】
チャック200は、チャック200の環状の上縁203から上方に突出する複数の支持部材220を備える。例示的な実施形態では、チャック200の環状の上縁203に沿って円周方向に離間して配置された4つの支持部材220がある。しかし、他の実施形態では、支持部材200を3つにする、または4つより多くすることができる。支持部材220は、基材を支持するように構成されており、支持部材220と基材との関係については、
図10A及び
図10Bを参照して以下により詳細に説明する。
【0068】
支持部材220は、棚部分221と、棚部分221から支持部材220の遠位端223まで延在する直立壁222とを備える、チャック200の環状上縁203から延在するブロック状の突起である。直立壁222は、内面224と、内面224の反対側の外面225とを備える。棚部分221は、直立壁222の内面224からチャック200の回転軸BBに向かって距離を置いて下向きに角度が付けられるように配向される。さらに、内面224は、チャックの回転軸BBに対してわずかな角度で配向されてもよい。すなわち、内面224は、棚221から遠位端223まで延在するにつれて、回転軸BBから離れる方向に外向きに角度を付けることができる。棚部分221の下向きの角度に沿う内面224のこのわずかな角度は、基材の下面(コーティングされていない表面)がチャック200またはその支持部材220のどの部分にも直接接触しないことを保証する。むしろ、以下でさらに説明するように、基材の周縁(第1及び第2の表面の間の縁)、より具体的には基材の周縁の最下縁のみがチャック200によって接触され得る。
【0069】
直立壁222の内面224は凹状である。直立壁222の外面225は凸状である。さらに、遠位端223で測定された直立壁222の厚さは、時計回り方向に移動して減少する。直立壁222の形状により、支持部材220は正の迎角を有する。すなわち、直立壁222は、回転軸BBを中心とするチャック200の回転中に正の迎角を有する翼の形状をしている。その結果、チャック200が回転軸BBを中心に回転する間、支持部材200は外向きの空気流を生成し、空気がチャック200の外面から外向きに離れるように(すなわち、回転軸BBから遠ざかり、したがって、チャック200上に支持された基材から離れている)。上述のポート210を通って流れるガスに加えて、この追加の外向き空気流は、本明細書全体で説明したように、エアロゾル、液滴、粒子などが基材上に再付着するのを防止する。直立壁222の形状は、チャック200と基材50との間の接触領域の周りの乱気流を低減または排除し、スピンコーティング操作中にエアロゾル、液滴、または粒子が基材上に再堆積するのを低減または排除するのに役立つ。
【0070】
図10Aは、基材50を支持するチャック200を示し、
図10Bは、基材50を支持するチャック200を示す。
図10Bは、チャック200の支持部材220と基材50との間の相互作用を示すクローズアップである。基材50は、第1の表面51(いくつかの実施形態では基材50の裏面であってもよいが、これは必須ではない)と、第1の表面51の反対側の第2の表面52(いくつかの実施形態では基材50の前面であってもよい)とを含む。第1の表面51は、コーティング材料によってコーティングされている表面であり、第2の表面は、現在の動作中にコーティングされていない表面である。基材50はまた、第1の表面51と第2の表面52との間に延在する周縁53を備える。さらに、基材50は、周縁53と第2の表面52との間の交点に形成される縁である最下縁54を有する。基材50は、基材50の最下縁54(すなわち、周縁53が第2の表面52と出会う縁)が直立壁222の内面224と接触するように具体的に配置される。周縁53の一部が直立壁222の内面224と接触することも可能である。しかしながら、直立壁222の内面224は、棚部分221からの距離が増加するにつれて、回転軸BBから離れるように外向きに角度が付けられているので、基材50の最下縁54のみが、直立壁222の内面224と接触する可能性が高い。直立壁222の内面224と基材50との間の接触により、チャック200が回転すると、チャック200によって支持及び保持される基材50も回転することが保証される。基材50は、基材50の第2の表面52が棚221と接触せず、基材50の第2の表面52がチャック200のどの部分とも全く接触しないように、棚221に対して高い位置でチャック200によって保持される。
【0071】
図11A~
図14Bを順次参照して、上で詳述したシステム1000を使用するスピンコーティング操作を説明する。まず、
図11A及び
図11Bを参照すると、システム1000は、基材50が把持アーム385によって保持されている状態で示されている。ガス源(または窒素源)460は、溶媒蒸気源450に流体結合されて溶媒蒸気を生成し、次いで、上述のようにシールド部材400の中央チャンバ423に流体結合される。上述のように、溶媒蒸気は、ガス/窒素をバブラータンクに流すことによって形成され、このバブラータンクは、本明細書では溶媒蒸気源450と呼ばれるものである。ガス/窒素ガス源460はまた、シールド部材400の周辺通路425に直接流体結合されて、ガス(例えば、窒素ガス)を周辺通路425に導入する。コーティング材料301の供給源は、コーティング材料がプロセス中の適切な時間に基材50上に分配されることができるように、分配アーム302に流体結合される。プロセスのこの時点では、ガスと溶媒蒸気はまだシールド部材400に流れ込んでいない可能性がある。しかしながら、溶媒蒸気がこの段階で流れ始めて、基材50の周りに溶媒が豊富な環境を生成し始めることが可能である。中央チャンバ423を通る溶媒蒸気流及び周辺通路425を通るガス流を開始するための正確なタイミングシーケンスは、いくつかの実施形態では、エンドユーザによって変更可能であり、決定され得る。
【0072】
プロセスの次のステップは、基材50を一対の把持アーム385からチャック200に移送することである。これは、いくつかのステップで達成される。最初に、第2のアクチュエータユニット290が起動して、チャック200をその下位置(
図11A及び
図11Bを参照)からその上位置(
図12A及び
図12Bを参照)に移動させる。前述のように、これは、コントローラ900によって自動的に、またはチャック200の上下の動きを制御する第2のアクチュエータユニット290の起動により、ユーザによる手動操作によって達成される。チャック200が上昇位置にくると、一対の把持アーム385が内側位置(
図11A及び
図11Bを参照)から外側位置(
図12A及び
図12Bを参照)に移動する。すなわち、把持アーム385の一方または両方が、互いに離れるように外向きに枢動して、把持アーム385を基材50から外す。把持アーム385が基材50から外れると、基材50はチャック200の支持部材220によって完全に支持されるようになる。
【0073】
いくつかの実施形態では、基材50がチャック200によって支持されると、
図3に示す弁の様々な弁を開いて、溶媒蒸気源450からシールド部材400の中央チャンバ423に溶媒蒸気を流し始め、ガス源460からシールド部材400の周辺チャンバ425にガスを流し始めることができる。そこで、
図12Bに矢印を付して、シールド部材400内への溶媒蒸気及びガスの流れを示す。しかしながら、他の実施形態では、ガス及び溶媒蒸気は、チャック200が
図13A及び
図13Bに示され、以下に説明されるそのダウン位置に戻されるまで流れない場合(すなわち、関連する弁は開いていない場合)がある。さらに、いくつかの実施形態では、溶媒蒸気は、この段階で中央チャンバ423に流れ込むことができるが、ガスはまだ周辺チャンバ425に流れ込まない場合がある。一部の実施形態では、これらのマイナーな処理の変動が存在する可能性があり、ユーザの選択及び好みに依存する可能性がある。
【0074】
次に、
図13A及び
図13Bを参照すると、チャック200は、上位置から下位置に移動されており、分配アーム302は、そこから分配されたコーティング材料が基材50上に分配されるように、それが基材50を覆って位置合わせされるように移動されている。チャック200は、上述のようにコントローラ900によって、または手動で制御され得る第2のアクチュエータユニット290の作動により移動され得る。上述のように、分配アーム302は、コントローラ900によってまたは手動で制御され得る第3のアクチュエータユニット390の作動を介して分配位置に移動され得る。
図13A及び
図13Bに示すように、第3のアクチュエータユニット390の作動により、分配アーム302は、基材50上に配置されていない非分配位置から、基材50上に配置された分配位置まで旋回または回転する。分配アーム302またはそのノズルもしくは分配端が基材50を覆うように分配アームが分配位置に変更されると、コーティング材料をコーティング材料供給源301から分配アーム302に流すことができ、それによってコーティング材料が基材50の第1の表面51上に分配される。
図13Aは、基材50上に分配されたコーティング材料310の一部を示す。
【0075】
いくつかの実施形態では、コーティング材料が基材50上に分配されている間、チャック200、したがって基材50も回転していてもよい。特に、チャック200及び基材50は、コーティング材料が分配されている間、第1の回転速度で回転することができ、その後、チャック200及び基材50は、所望の量のコーティング材料が基材50上に分配された後、第1の回転速度よりも大きい第2の回転速度で回転することができる。他の実施形態では、所望の量のコーティング材料が基材50上に分配されるまで、チャック200及び基材50を回転させなくてもよい。前述のように、チャック200は、
図2を参照して図示及び説明したモータ299によって回転させることができる。これは、コントローラ900によって制御され得る。プロセスのこのステップの間、溶媒蒸気はシールド部材400の中央チャンバ423に流れ込むことができ、窒素ガスはシールド部材400の周辺チャンバ423に流れ込むことができる。しかし、これはすべての実施形態で必要とされるわけではなく、他の実施形態では、プロセスのこの時点で溶媒蒸気が中央チャンバ423に流れ込んでいる可能性があるが、窒素ガスはまだ周辺チャンバ423に流れ込んでいない可能性がある。さらに他の実施形態では、溶媒蒸気も窒素ガスもプロセスのこの段階では流れていなくてもよい。しかし、いくつかの実施形態では、コーティング材料またはポリマーからの溶媒の蒸発を防止するために、基材50の周囲に溶媒に富む周囲環境を作り始めるために、コーティングプロセスのこのステップとして溶媒蒸気を中央チャンバ423に流し始めることが好ましい。
【0076】
次に、
図14A及び
図14Bを参照すると、分配器アーム302は、その非分配位置に移動または変更され、それによって分配器アーム302はチャック200または基材50と位置合わせされない。再び、分配器アーム302の動きは、コントローラ900によって制御される第3のアクチュエータユニット390を介して自動的に達成され得る。これにより、分配器アーム302が邪魔にならないように移動し、シールド部材400が下向きに移動して基材50に近接するようになる。したがって、分配器アーム302が非分配位置に移動した後、第1のアクチュエータユニット490を作動させて、シールド部材400を基材50に向かって下向きに移動させることができる。シールド部材400は、処理される基材50の第1の表面51に非常に接近して配置されるまで下方に移動されることが好ましい。いくつかの実施形態では、シールド部材400の下端402は、シールド部材400がその最終下降位置にあるときに、基材50の第1の表面51から5mm以下、またはより具体的には3mm以下離れていてもよい。他の実施形態では、シールド部材400は、基材50の第1の表面51から1mmと2mmとの間、またはより具体的には1mmと1.5mmとの間にあってもよい。他の実施形態では、シールド部材400は、下方位置にあるとき、基材50から0.1mmと10mmとの間、またはより具体的には0.1mmと7mmとの間、またはより具体的には0.1mmと5mmとの間、またはさらにより具体的には0.1mmと3mmとの間にあってもよい。シールド部材400が下向きの位置にあるとき、それは基材50から0.5インチよりも近くあるべきであり、より具体的には、いくつかの実施形態では、基材から4分の1インチよりも近くあるべきである。シールド部材400を基材50に非常に近づけて配置することにより、エアロゾルまたは他の粒子がシールド部材400と基材50との間の空間に入り、基材50を汚染する可能性があるための余地がほとんど残されない。以下に説明するように、エアロゾルが基材50とシールド部材400との間の空間に入るのを防止するために、追加のステップが取られる。
【0077】
図14A及び
図14Bに示すように、シールド部材400が完全に下の位置にあるとき、溶媒蒸気源450からシールド部材400の中央チャンバ423に溶媒蒸気が流入している。もちろん、上述したように、溶媒蒸気はプロセスの早い段階ですでに流れていた可能性がある。溶媒蒸気は、基材50の周囲に溶媒に富む周囲環境を作り出す。コーティング材には蒸発する溶媒があり、コーティング材が冷却され、コーティング材の粘度が増加するため、これは重要である。したがって、溶媒が豊富な環境がないと、コーティング材料が回転する基材の端に向かって広がるため、基材の表面のコーティングの厚さが増加し、その結果、中心近くでコーティングが薄くなり、端の近くでコーティングが厚くなる可能性がある。基材を溶媒に富む周囲環境に巻き込むことにより、コーティング材料中の溶媒の蒸発が大幅に減少するか、またはなくなる。
【0078】
さらに、シールド部材400が、
図14A及び
図14Bに示されるように完全に下がった位置にあるとき、では、ガス(例えば、窒素)は、ガス源460からシールド部材400の周辺チャンバ425に流入し、出口426を通って流出する。ガスは、チャック200の回転軸BB及び基材50から離れて外方向に基材50に向かって流れるガス流として出口426を出る。シールド部材400の周辺チャンバ425の出口426は、基材50の第1の表面51の最も外側の部分に直接隣接して配置される。したがって、ガス流は、基材の第1の表面51の最も外側の部分に向かって、回転軸BBから離れ、基材50の周縁部分に向かって流れる。このガス流は、いくつかの好ましい実施形態ではガスの環状流であってもよく、シールド部材400と基材50との間の非常に小さな空間にエアロゾル、液滴、または他の粒子が通過する可能性を大幅に低減する。すなわち、コーティング材料が基材から飛散して処理ボウル100の内面に接触することによって生成される液滴またはエアロゾルは、ガス流によって基材50から吹き飛ばされ、さもなければシールド部材400によって基材50上に再堆積されるのを阻止される。
【0079】
シールド部材400が完全に下向きの位置にある場合、シールド部材400のどの部分も、基材50の第1の表面51の下に延在しない。すなわち、シールド部材400の下端部402の全体が横たわる水平面Pは、基材50の第1の表面51の上に上昇したままである。これにより、基材50から飛び散るコーティング材料が、シールド部材400の内面421に付着すること(これはコーティング材料が基材50上に滴り落ちる原因となるため、望ましくない)を防止する。代わりに、スピンコーティングプロセス中に基材50から除去されたコーティング材料は、シールド部材400の下端402と基材50の第1の表面51との間のギャップを通過し、プロセスボウル100の内壁に飛散する可能性がある。したがって、コーティング作業中はいつでも、基材50のどの部分もシールド部材400の中央チャンバ423内に配置されない。
【0080】
基材50の第1の表面51が十分にコーティングされた後、モータ299が停止され、チャック200及び基材50の回転が停止される。シールド部材400は、第1の作動ユニット490の作動によってその上向き位置に戻される。次に、チャック200は、第2の作動ユニット290の作動によってその上向き位置に動かされる。次いで、把持アーム385は、把持アーム385が再び基材50を保持及び支持するように、それらの内側位置に変更され得る。最後に、ロボット(図示せず)が基材50を把持アーム385から取り外し、基材50をカセットボックス内に配置することができる。
【0081】
本発明を実施する現在好ましいモードを含む特定の例に関して本発明を説明してきたが、当業者は、上述のシステム及び技術の多数の変形及び置換があることを理解するであろう。他の実施形態を利用することができ、本発明の範囲から逸脱することなく構造的及び機能的な変更を行うことができることを理解されたい。したがって、本発明の精神及び範囲は、添付の特許請求の範囲に記載されているように広く解釈されるべきである。
【手続補正書】
【提出日】2023-05-11
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材をコーティングするためのシステムであって、
前記基材を保持し、回転軸を中心に前記基材を回転させるためのチャックと、
前記基材の第1の表面上にコーティング材料を分配するための分配サブシステムと、
シールド部材であって、前記シールド部材の下端の中央開口部で終わる中央チャンバと、前記シールド部材の前記下端の周辺開口部で終わる周辺チャンバとを備える、前記シールド部材と、
前記シールド部材の前記周辺チャンバに流体結合されたガス源と、
前記シールド部材の前記中央チャンバに流体結合された溶媒蒸気源と、
を備え、
コーティング手順中、前記シールド部材は前記基材の前記第1の表面に隣接して配置され、前記溶媒蒸気が前記シールド部材の前記中央チャンバに導入されて、前記基材の周りに溶媒が豊富な雰囲気を作り出し、前記ガスが前記シールド部材の前記周辺チャンバを通って前記基材の周縁部に向かって流れる、
前記システム。
【請求項2】
前記シールド部材は、前記シールド部材の前記中央チャンバの断面積が前記中央チャンバの上端から前記シールド部材の前記下端に移動して連続的に増加するように逆漏斗形状の本体を備え、前記シールド部材の前記下端は、前記シールド部材の前記上端よりも前記チャックの近くに位置する、
請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記周辺チャンバが一定の断面積を有する、
請求項1または請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記シールド部材が長手方向軸を備え、前記周辺チャンバが、前記中央チャンバを円周方向に取り囲む環状通路であり、前記周辺開口部が、前記中央開口部を取り囲む前記シールド部材の前記下端の環状開口部である、
請求項1~3のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項5】
前記シールド部材が、
上端と、下端と、前記上端から前記下端まで延在して前記中央チャンバへの通路を形成する中央入口と、前記上端から前記下端まで延在して前記周辺チャンバへの通路を形成する少なくとも1つの周辺入口とを含む、上部と、
前記シールド部材の前記上部の前記下端から遠位端まで延在する外壁であって、前記シールド部材の外面を形成する外面と、前記外面の反対側の内面とを含む、前記外壁と、
前記シールド部材の前記上部の前記下端から遠位端まで延在する内壁であって、前記シールド部材の前記中央チャンバを画定する前記シールド部材の内面を形成する内面と、前記内面の反対側の外面とを含む、前記内壁と、
を備え、
前記内壁の前記外面と前記外壁の前記内面とは、前記シールド部材の前記周辺チャンバを形成するギャップによって互いに離間されている、
請求項1~4のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項6】
前記ガスは、前記回転軸から離れて外側方向に前記基材の前記周縁部に向かって流れるガス流として前記シールド部材の前記周辺チャンバを出るように構成される、
請求項1~5のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項7】
前記シールド部材に動作可能に結合された第1のアクチュエータユニットと、前記コーティング手順中に様々な段階で前記シールド部材を前記チャックに向かって及び前記チャックから離れるように移動させるために前記第1のアクチュエータユニットに動作可能に結合されたコントローラとをさらに備える、
請求項1~6のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項8】
前記分配サブシステムが、
コーティング材料の供給源と、
前記コーティング材料の前記供給源に動作可能に結合されて、前記コーティング材料を前記基材の前記第1の表面上に分配する分配器と、
前記分配器に動作可能に結合された第2のアクチュエータユニットであって、前記分配器の出口が前記基材の前記第1の表面に位置合わせされて前記コーティング材料を前記基材の前記第1の表面上に分配する第1の位置と、前記分配器が前記シールド部材の前記移動を妨げないように、前記分配器のどの部分も前記基材または前記チャックの上を通過しない第2の位置との間で前記分配器を移動させるように、前記コントローラが動作可能に結合された、前記第2のアクチュエータユニットと、を含む、
請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記チャックは、前記基材を水平方向に集合的に支持するように円周方向に離間して配置された複数の支持部材を備え、前記支持部材の各々は、正の迎え角を備え、それにより、前記支持部材は、前記回転軸を中心とした前記チャックの回転中に外向きの空気流を生成し、
前記支持部材の各々は、棚部分と、前記棚部分から延在する直立壁部分とを備え、前記直立壁部分は、前記回転軸を中心とした前記チャックの回転中に前記外向きの空気流を生成するために凸状の外面を有する、
請求項1~8のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項10】
前記直立壁部分の内面は凹状であり、前記棚部分から前記支持部材の遠位端に向かって延在するにつれて長手方向軸に対して外側に傾斜しており、前記棚部分は、前記直立壁部分の前記内面から延在するにつれて下方に傾斜しており、前記支持部材が前記基材を保持しているとき、前記基材の最下端部のみが前記支持部材と接触している、
請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記シールド部材は、前記チャックに対して垂直に移動可能であり、前記分配サブシステムが前記コーティング材料を前記基材の前記第1の表面上に分配した後、前記シールド部材は、前記シールド部材の前記下端が前記基材の前記第1の表面から3mm以下だけ離間するまで、前記チャックに向かって下方に移動される、
請求項1から10のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項12】
前記チャックは、前記基材に真空吸引を適用することなく、前記基材を保持し、回転させる、
請求項1から11のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項13】
基材をコーティングするためのシステムであって、
前記基材を保持し、回転軸を中心に前記基材を回転させるためのチャックと、
前記基材の第1の表面上にコーティング材料を分配するように構成された分配サブシステムと、
シールド部材であって、前記シールド部材の上端から前記シールド部材の下端に向かって増加する断面積を有する中央チャンバを画定する逆漏斗形状の本体を備える、前記シールド部材と、
を備え、
前記基材の前記第1の表面上に前記コーティング材料を分配した後、前記シールド部材は、前記シールド部材の前記下端が前記基材の前記第1の表面から5mm以下の間隔であるように前記基材の前記第1の表面に隣接して配置される、
前記システム。
【請求項14】
前記基材の前記第1の表面上に前記コーティング材料を分配した後、前記シールド部材の前記下端は、前記基材の前記第1の表面から1.5mm以下の間隔が空いている、
請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
基材をコーティングする方法であって、
前記基材を水平方向に支持することと、
前記基材から第1の距離にシールド部材を配置することと、
前記基材の第1の表面上にコーティング材料を分配することと、
前記シールド部材が前記基材から第2の距離に配置されるまで、前記シールド部材を前記基材の前記第1の表面に向かって移動させることであって、前記第2の距離は、前記第1の距離よりも小さい、前記移動させることと、
溶媒蒸気を前記シールド部材の中央チャンバに流して、前記基材の周囲に溶媒が豊富な環境を作り出すことと、
回転軸を中心に前記基材を回転させて、前記基材の前記第1の表面上に前記コーティング材料の膜を形成することと、
前記シールド部材の前記中央チャンバを少なくとも部分的に取り囲む前記シールド部材の周辺チャンバを通ってガスを流すことであって、前記周辺チャンバを出る前記ガスは、前記回転軸から離れる方向に前記基材の前記第1の表面に向かって流れる、前記流すことと、を含む、
前記方法。
【請求項16】
前記周辺チャンバ及び前記中央チャンバは、前記シールド部材の内面を画定する前記シールド部材の内壁によって互いに流体分離される、
請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記周辺チャンバは、前記中央チャンバを円周方向に囲み、前記シールド部材の下端の環状開口で終端する環状通路であり、前記環状開口を出る前記ガスは、前記回転軸から離れる方向に前記基材の前記周縁部上を流れて、前記コーティング材料のエアロゾルが前記基材の前記第1の表面上に再堆積するのを防止する、
請求項15または16に記載の方法。
【請求項18】
前記基材がチャックによって支持されて回転され、前記基材の第2の表面上に前記コーティング材料のエアロゾルが堆積されるのを防ぐために、前記チャックの底面の開口部を通して前記基材の第2の表面と前記チャックの床との間の空間に前記ガスを流すことをさらに含む、
請求項15~17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
前記チャックは、円周方向に離間した複数の支持部材を備え、前記支持部材の各々は、棚部分と、前記棚部分から延在する直立壁部分とを備え、前記直立壁部分は、正の迎え角を有し、それにより、前記支持部材は、前記チャックが前記回転軸を中心に回転するときに前記基材から外向きに空気を移動させるように構成される、
請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記シールド部材は、前記中央チャンバ及び前記周辺チャンバを画定する逆漏斗形状の本体を備え、前記中央チャンバは、前記中央チャンバの上端から前記シールド部材の下端に移動して増加する断面積を有し、前記周辺チャンバは一定の断面積を有する、
請求項15~19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
前記基材の前記第1の表面が前記基材の裏面であり、
前記基材の保持及び回転中に、真空が前記基材に適用されない、
請求項15~20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
基材をコーティングする方法であって、
チャック上に基材を配置することと、
前記基材の第1の表面上にコーティング材料を分配することと、
逆漏斗形状の本体を含むシールド部材を、前記シールド部材の下端が前記基材の前記第1の表面から5mmを超えないように前記基材の前記第1の表面に隣接して配置することと、
回転軸を中心に前記基材を回転させて、前記基材の前記第1の表面上に前記コーティング材料の膜を形成することと、を含む、
前記方法。
【請求項23】
基材を保持し、スピンコーティング手順中に回転軸を中心に前記基材を回転させるためのチャックであって、
環状上縁部と、
前記環状上縁部に対して凹んだ床部分と、
前記環状上縁部から突出する複数の支持部材であって、前記支持部材のそれぞれが、
凸状の外面及び凹状の内面を有する直立壁部分と、
前記直立壁部分の前記凹状の内面から前記回転軸に向かって延在する棚部分であって、前記直立壁部分から延在するにつれて下向きに傾斜している、前記棚部分と、を含む、前記支持部材と、を備える、
前記チャック。
【請求項24】
スピンコーティング手順中に基材上に粒子が堆積するのを防止するためのシールド部材であって、
上部と、
前記上部から遠位端まで延在する内側環状壁と、
前記上部から遠位端まで延在する外側環状壁であって、間隔を空けて前記内側環状壁を円周方向に取り囲んでいる、前記外側環状壁と、
前記内側環状壁の内面によって画定される中央チャンバと、
前記内側環状壁と前記外側環状壁との間に画定された周辺チャンバであって、前記中央チャンバから流体的に隔離された前記周辺チャンバと、を備える、
前記シールド部材。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0070
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0070】
図10Aは、基材50を支持するチャック200を示し、
図10Bは、基材50を支持するチャック200を示す。
図10Bは、チャック200の支持部材220と基材50との間の相互作用を示すクローズアップである。基材50は、第1の表面51(いくつかの実施形態では基材50の裏面であってもよいが、これは必須ではない)と、第1の表面51の反対側の第2の表面52(いくつかの実施形態では基材50の前面であってもよい)とを含む。第1の表面51は、コーティング材料によってコーティングされている表面であり、第2の表面は、現在の動作中にコーティングされていない表面である。基材50はまた、第1の表面51と第2の表面52との間に延在する周縁53を備える。さらに、基材50は、周縁53と第2の表面52との間の交点に形成される縁である最下縁54を有する。基材50は、基材50の最下縁54(すなわち、周縁53が第2の表面52と出会う縁)が直立壁222の内面224と接触するように具体的に配置される。周縁53の一部が直立壁222の内面224と接触することも可能である。しかしながら、直立壁222の内面224は、棚部分221からの距離が増加するにつれて、回転軸BBから離れるように外向きに角度が付けられているので、基材50の最下縁54のみが、直立壁222の内面224と接触する可能性が高い。直立壁222の内面224と基材50との間の接触により、チャック200が回転すると、チャック200によって支持及び保持される基材50も回転することが保証される。基材50は、基材50の第2の表面52が棚221と接触せず、基材50の第2の表面52がチャック200のどの部分とも全く接触しないように、棚221に対して高い位置でチャック200によって保持される。さらに、支持部材220は、基材50の回転中心がチャック200の回転軸BB(すなわち、回転中心)からずれるように配置されてもよい。このずれは、いくつかの実施形態では、おおよそ0.5mmと1.0mmの間である。このずれのために、基材50の周縁53は、基材50の回転中はいつでも、少なくとも2つの支持部材220と接触する。
【国際調査報告】