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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-29
(54)【発明の名称】HBC電池に適するホウ素拡散方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/225 20060101AFI20231121BHJP
   H01L 21/22 20060101ALI20231121BHJP
   H01L 31/18 20060101ALI20231121BHJP
【FI】
H01L21/225 Q
H01L21/22 P
H01L31/04 440
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023528697
(86)(22)【出願日】2021-05-27
(85)【翻訳文提出日】2023-05-12
(86)【国際出願番号】 CN2021096259
(87)【国際公開番号】W WO2022166040
(87)【国際公開日】2022-08-11
(31)【優先権主張番号】202110140582.3
(32)【優先日】2021-02-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523177159
【氏名又は名称】普楽新能源科技(泰興)有限公司
【氏名又は名称原語表記】POPSOLAR TECHNOLOGY (TAIXING) CO., LTD
【住所又は居所原語表記】No.168, West Side Kechuang Road, National Hi-Tech IndustrialDevelopment Zone, Taixing Taizhou,Jiangsu China
(74)【代理人】
【識別番号】100205936
【弁理士】
【氏名又は名称】崔 海龍
(74)【代理人】
【識別番号】100132805
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 貴之
(72)【発明者】
【氏名】欧 文凱
【テーマコード(参考)】
5F251
【Fターム(参考)】
5F251AA01
5F251CB20
5F251CB29
5F251DA03
5F251GA04
(57)【要約】
本発明は、HBC電池に適するホウ素拡散方法を開示し、推進ステップを窒素と酸素とを混合して推進する方法に変え、且つ推進する時間を長くすることにより、接合の深さを効果的に増加させるとともに、表面濃度を低下させることができる。そして、窒素を推進する時間の増加により、BSG中のBの濃度が低下し、BSGを一層容易に完全に除去する。本発明は、N型電池に対して、優れた正面ドーピング能力、低いデッド層及び良い光吸収能力を有し、また、本発明は、水平拡散方法を採用し、且つ、良い片面性を備え、重力圧縮方法を利用して、シリコンウエハを背中合わせて水平溝内に置き、シリコンウエハ間が上面のシリコンウエハの重力の影響を受けて圧縮されるため、高温加熱後の変形量が非常に小さく、巻き広がりの発生を効果的に防止し、拡散時にも、Bの裏面への拡散を低下させ、裏面の巻き広がりを大幅に低下させる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
HBC電池に適するホウ素拡散方法であって、下記のステップ(1)~ステップ(8)を含み、
ボートを入れるステップ(1)では、シリコンウエハをボート内に置いて、ボートを入れるステップを行い、ボートを入れる時、炉管の温度は700~750℃であり、且つ2000sccmのNを維持してパージを継続的に行い、
昇温と漏れ検知ステップ(2)では、ボートが炉管に入った後に加熱して昇温させ、目標温度は800~850℃であり、昇温させながら、真空引きを行い、真空引きが完了した後、真空ポンプを閉じて真空漏れ検知を行い、漏れ検知要件が<5mbar/minであり、漏れ検知が完了した後、真空ポンプを開けて、炉管の圧力を調整し、目標真空度は100~500mbarであり、
予備酸化ステップ(3)では、目標温度と目標真空度に達した後、酸素を2000sccm~10000sccm注入して、予備酸化を行い、注入時間は10~30minであり、
真空引きステップ(4)では、酸化が完了した後、炉管に対して真空引きを行い、真空引き時間は3~10minであり、目標圧力は<200mabrであり、
ホウ素源を注入して堆積するステップ(5)では、BCl:O=1:1~1:3のガス体積比でBClガス及びOを注入し、注入時間は5~20minであり、
昇温ステップ(6)では、ホウ素源を注入して堆積するステップが完了した後、炉管の真空引きを行い、目標圧力が<100mbarであり、真空引きが完了した後、加熱して昇温させ、目標温度は1000℃であり、
推進ステップ(7)では、目標温度に達した後、NとOとの交互注入・推進を用い、毎度のN推進時間:酸素推進時間=1:2~1:3であり、推進する度に、3SLM~10SLM流量のN、5SLM~20SLM流量のOを使用して循環推進し、推進回数は2~5回であり、
温度を下げてボートを出すステップ(8)では、温度を下げて、ボートを出して、拡散プロセスを完了する、
ことを特徴とするHBC電池に適するホウ素拡散方法。
【請求項2】
ステップ(2)において、昇温速度は10℃/minである、
ことを特徴とする請求項1に記載のHBC電池に適するホウ素拡散方法。
【請求項3】
ステップ(7)において、目標温度1000℃に達した後、3000sccmの窒素を10min注入し、5000sccmの酸素を25min注入し、3000sccmの窒素を10min注入し、5000sccmの酸素を25min注入する、
ことを特徴とする請求項1に記載のHBC電池に適するホウ素拡散方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、具体的には、HBC電池に適するホウ素拡散方法に関する。
【背景技術】
【0002】
シリコン太陽電池は、全ての太陽電池の中で商業的普及範囲が最も大きい太陽電池である。光電変換型の太陽電池は、太陽エネルギーを電気エネルギーに直接変換することができ、その発電原理は半導体のPN接合に基づく光起電力効果である。
【0003】
P型シリコンウエハは、リン元素を拡散してPN接合を得る必要があり、N型シリコンウエハは、ホウ素元素を拡散してPN接合を得る必要がある。電池シートの生産プロセスにおいて、一部の工程では、シリコンウエハ上に一部の元素を拡散又は堆積して、ある種類の薄層構造を形成する必要がある。例えばホウ素拡散工程、リン拡散工程、低圧ホウ素拡散工程、低圧リン拡散工程等がる。
【0004】
拡散工程は、太陽電池を製造する最も重要な工程の一つである。拡散結果の良否は電池効率に直接影響を与え、拡散良否を評価する基準はシート抵抗、表面濃度及び接合の深さであり、ホウ素拡散は、接触抵抗への影響が大きくない場合、表面濃度が低いほど好ましく、表面の再結合速度を低くし、オン電圧及び電流を高くすることができ、深い接合の深さにより、N型電池の正面の電界効果を高め、FFの上昇に有利である。
【0005】
現在市販されているホウ素拡散工程の推進と接合するステップには、単一の高温酸化推進が採用されており、この推進方法により、表面濃度を急速に低下させることができ、シリコンと酸素とが反応して二酸化ケイ素を生成することにより生じる界面変位を利用して、シリコンウエハ表面のホウ素を析出することができ、それにより高温を推進しながら、シリコン中のホウ素の総ドーピング量を減少させ、最終的に低い表面濃度の要件を達成する。しかし、これは、接合の深さが浅くなって、正面の電界効果を弱くすることをもたらす一方、BSG層中のホウ素の濃度が増加して、BSGの洗浄が困難となり、BSG洗浄中のHFの濃度及び洗浄時間を増える必要があり、BSG全部が除去されてからこそ、AlOxパッシベーションを行うことができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記の状況に対して、既存の技術的欠陥を解決するために、本発明はHBC電池に適するホウ素拡散方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を実現するために、本発明は、下記の技術案を提供する。
【0008】
HBC電池に適するホウ素拡散方法であって、下記のステップ(1)~ステップ(8)を含む。
【0009】
ボートを入れるステップ(1)では、シリコンウエハをボート内に置いて、ボートを入れるステップを行い、ボートを入れる時、炉管の温度は700~750℃であり、且つ2000sccmのNを維持して持続パージを行う。
【0010】
昇温と漏れ検知ステップ(2)では、ボートが炉管に入った後に加熱して昇温させ、目標温度は800~850℃であり、昇温させながら、真空引きを行い、真空引きが完了した後、真空ポンプを閉じて真空漏れ検知を行い、漏れ検知要件が<5mbar/minであり、漏れ検知が完了した後、真空ポンプを開けて、炉管の圧力を調整し、目標真空度は100~500mbarである。
【0011】
予備酸化ステップ(3)では、目標温度と目標真空度に達した後、酸素を2000sccm~10000sccm注入して、予備酸化を行い、注入時間は10~30minであり、予備酸化によりシリコンウエハ表面に薄い酸化シリコンの層を成長させ、当該薄い酸化シリコンはバリア層の役割を果たし、BClガスの分解により生成される塩化物のシリコンウエハ表面に対する損傷を防止することができる。
【0012】
真空引きステップ(4)では、酸化が完了した後、炉管に対して真空引きを行い、真空引き時間は3~10minであり、目標圧力は<200mabrである。
【0013】
ホウ素源を注入して堆積するステップ(5)では、BCl:O=1:1~1:3のガス体積比でBClガス及びOを注入し、注入時間は5~20minであり、割合が低いと、BClがOと完全に反応することができなくなり、これにより過剰なBClが自己分解し、大量の単体ホウ素がシリコンウエハの表面に堆積されて損失層が形成されるとともに、分解されたClによりシリコンウエハの表面が非常に腐食されやすく、割合が高いと、BClの濃度が不十分になって、石英炉管内のガス源の分布が不均一になり、それにより管全体の均一性が悪くなる。
【0014】
昇温ステップ(6)では、ホウ素源を注入して堆積するステップが完了した後、石英炉管の真空引きを行い、真空引きが完了した後、加熱して昇温させ、目標温度は1000℃である。
【0015】
推進ステップ(7)では、目標温度に達した後、NとOとの交互注入・推進を用い、毎度のN推進時間:酸素推進時間=1:2~1:3であり、好ましいことして、毎度のN推進時間は10min~25minである。
【0016】
好ましいことして、推進する度に、3SLM~10SLM流量のN、5SLM~20SLM流量のOを使用して循環推進し、推進回数は、2~5回であり、循環推進の重複により、低い表面濃度、深いPN接合の深さを効果的に保証しながら、BSG中のBソース量を大幅に低減させ、B拡散後の少数キャリア寿命を大幅に向上させ、後段階の処理工程の処理難度も低下させることができる。
【0017】
の推進により、酸化層が成長し続けることを保証でき、B原子がシリコンボディ内に継続的に推進して、ドーピング濃度を保証するが、同時に、B原子の酸化シリコンにおける溶解度が、シリコンにおける溶解度よりも大きく、継続する酸化シリコンの成長により、大量のBが酸化シリコン層に吸い込まれ、BSG中のホウ素の濃度が高くなってホウ素リッチ層が形成され、ホウ素リッチ層と酸との反応が遅く、後続の洗浄作業に不利である。そのため、本発明は、Nを導入して推進を行い、酸素の推進と交互に行い、同様に、長時間のNの推進によりシリコンウエハボディ内のB原子の濃度が高くなり、不活性Bの割合が高くなってデッド層が形成され、それにより表面の再結合が厳しくなって、少数キャリア寿命が低下し、電池効率が低下することを回避する必要がある。
【0018】
温度を下げてボートを出すステップ(8)では、800℃まで温度を下げて、ボートを出して、拡散プロセスを完了する。
【0019】
さらに、ステップ(2)において、昇温速度は10℃/minである。
【0020】
さらに、ステップ(7)において、目標温度1000℃に達した後、窒素を3000sccm/minで10min注入し、酸素を5000sccm/minで25min注入し、窒素を3000sccm/minで10minを注入し、酸素を5000sccm/minで25min注入する。
【発明の効果】
【0021】
本発明の有益な効果は、下記のとおりである。
【0022】
(1)本発明は、推進ステップを、窒素と酸素とを混合して推進する方法に変え、且つ推進する時間を長くすることにより、接合の深さを効果的に増加させるとともに、表面濃度を低下させることができる。そして、窒素を推進する時間の増加により、BSG中のBの濃度が低下し、BSGを一層容易に完全に除去する。ECV結果により、本発明の方法を用いると、接合の深さが増加し、且つ表面濃度が一般のホウ素拡散方法よりも低いことが示される。
【0023】
(2)本発明では、窒素を推進する時間の増加により、BSG中のBの濃度が低下し、BSGを一層容易に完全に除去する。洗浄中、薬液の濃度はHO:HF=20:1(体積比)であり、温度は常温であり、BSGの洗浄時間は、従来の600sから500sに低下し、100sの洗浄時間を減少した。
【0024】
(3)本発明の方法は、N型電池に対して、優れた正面ドーピング能力、低いデッド層及び良い光吸収能力を有する。また、本発明は、水平拡散方法を採用し、且つ、良い片面性を備え、重力圧縮方法(重力圧縮は、ホウ素拡散として、シートを水平に置いて拡散させる方法を採用して、隣り合う2つのシートを一体に重ね、上の1枚が重力により下の1枚を押すことである)を利用して、シリコンウエハを背中合わせて水平溝内に置き、シリコンウエハ間が上面のシリコンウエハの重力の影響を受けて圧縮されるため、高温加熱後の変形量が非常に小さく、巻き広がりの発生を効果的に防止し、拡散時にも、Bの裏面への拡散を低下させ、裏面の巻き広がりを大幅に低下させ、片面性に対する要求が高い高効率電池にとって特に重要である。
【0025】
((4)本発明の拡散方法は、特に、N型HBC高効率電池に適し、HBC電池の裏面工程が複雑であり、優れた片面性及び優れたBSG層により、後続の処理工程の難度を大幅に低下させ、HBC製品の産業化に有利である。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明の方法及び比較例1の方法のホウ素拡散のECV図である。
図2】比較例1及び実施例1における方法ホウ素拡散を採用した後の光起電力電池PL写真である。
図3】サンプリング検出時のテスト位置である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、図面を参照しながら、本発明の技術案についてさらに詳細に説明し、具体的な実施形態は、本発明に対する詳細な説明にすぎず、本発明を限定するものと見なされるべきではない。
【0028】
(実施例1)
HBC電池に適するホウ素拡散方法であって、ステップ(1)~ステップ(8)を含む。
【0029】
ボートを入れるステップ(1)では、フェルト化と洗浄後のシリコンウエハを水平のシート挿入型石英ボート内に置き、シリコンウエハを背中合わせて水平の石英溝内に挿入し、ボートを入れるステップを行い、ボートを入れる時、石英炉管の温度は700℃であり、且つ2000sccmのNを維持して持続パージを行う。
【0030】
昇温と漏れ検知ステップ(2)では、シリコンウエハと石英ボートとを石英炉管に入れた後に10℃/minの昇温速度で加熱して昇温させ、目標温度は850℃であり、昇温とともに、真空ポンプを使用して炉管の真空引きを行い、真空引きが完了した後、真空ポンプを閉じて真空漏れ検知を行い、漏れ検知要件が<5mbar/minであり、漏れ検知が完了した後、真空ポンプを開けて、炉管の圧力を調整し、目標真空度は200mbarである。
【0031】
予備酸化ステップ(3)では、目標温度と目標真空度に達した後、2000sccmの酸素を注入して予備酸化を行い、注入時間が10minであり、予備酸化によりシリコンウエハ表面に薄い酸化シリコンの層を成長させ、当該薄い酸化シリコンはバリア層の役割を果たし、BClガスの分解により生成される塩化物のシリコンウエハ表面に対する損傷を防止することができる。
【0032】
(4)酸化が完了した後、炉管に対して真空引きを行って、炉管内の酸素を抽出し、目標圧力が<200mabrであり、過剰な酸素が炉管内に残って、次のステップでホウ素源を注入する際に過剰に多い酸素がBCl源を消費することを防止する。
【0033】
ホウ素源を注入して堆積するステップ(5)では、一定の割合でBClガス及び酸素を注入し、ガス体積比はBCl:O=1:1であり、注入時間が20minであり、割合が低いと、BClがOと反応することができなくなり、これにより過剰なBClが自己分解し、大量の単体ホウ素がシリコンウエハの表面に堆積されて損失層が形成されるとともに、分解されたClによりシリコンウエハの表面が非常に腐食されやすく、割合が高いと、BClの濃度が不十分になって、石英炉管内のガス源の分布が不均一になり、それにより管全体の均一性が悪くなる。
【0034】
昇温ステップ(6)では、ホウ素源を注入して堆積するステップが完了した後、引き続き石英炉管の真空引きを行い、炉管内のBCl及び酸素を抽出し、目標圧力が<100mbarであり、真空引きが完了した後、加熱して昇温させ、目標温度が1000℃である。
【0035】
推進ステップ(7)では、目標温度に達した後、推進ステップに進み、当該ステップでは、N、Oの交互注入・推進を用い、窒素を3000sccm/minで10min注入し、酸素を5000sccm/minで25min注入し、窒素を3000sccm/minで10min注入し、酸素を5000sccm/minで25min注入する。
【0036】
温度を下げてボートを出すステップ(8)では、800℃まで温度を下げて、ボートを出して、拡散プロセスを完了する。
【0037】
(実施例2)
HBC電池に適するホウ素拡散方法であって、ステップ(1)~ステップ(8)を含む。
【0038】
ボートに入れるステップ(1)では、フェルト化と洗浄後のシリコンウエハを水平のシート挿入石英ボート内に置き、シリコンウエハを背中合わせて水平の石英溝内に挿入し、ボートを入れるステップを行い、ボートを入れる時、石英炉管の温度は750℃であり、且つ2000sccmのNを維持して持続パージを行う。
【0039】
昇温ステップ(2)では、シリコンウエハと石英ボートとを石英炉管に入れた後に10℃/minの昇温速度で加熱して昇温させ、目標温度が800℃であり、昇温とともに、真空ポンプを使用して炉管の真空引きを行い、真空引きが完了した後、真空ポンプを閉じて真空漏れ検知を行い、漏れ検知要件が<5mbar/minであり、漏れ検知が完了した後、真空ポンプを開けて、炉管の圧力を調整し、目標真空度は500mbarである。
【0040】
予備酸化ステップ(3)では、目標温度と目標真空度に達した後、5000sccmの酸素を注入して予備酸化を行い、注入時間が20minであり、予備酸化によりシリコンウエハ表面に薄い酸化シリコンの層を成長させ、当該薄い酸化シリコンはバリア層の役割を果たし、BClガスの分解により生成される塩化物のシリコンウエハ表面に対する損傷を防止することができる。
【0041】
(4)酸化が完了した後、炉管に対して真空引きを行って、炉管内の酸素を抽出し、目標圧力が<200mabrであり、過剰な酸素が炉管内に残って、次のステップでホウ素源を注入する際に剰に多い酸素がBCl源を消費することを防止する。
【0042】
ホウ素源を注入して堆積するステップ(5)では、一定の割合でBClガス及び酸素を注入し、ガスの体積比はBCl:O=1:3であり、注入時間が10minであり、割合が低いと、BClがOと反応することができなくなり、これにより過剰なBClが自己分解し、大量の単体ホウ素がシリコンウエハの表面に堆積されて損失層が形成されるとともに、分解されたClによりシリコンウエハの表面が非常に腐食されやすく、割合が高いと、BClの濃度が不十分になって、石英炉管内のガス源の分布が不均一になり、それにより管全体の均一性が悪くなる。
【0043】
(6)ホウ素源を注入して堆積するステップが完了した後、引き続き石英炉管の真空引きを行い、炉管内のBCl及び酸素を抽出し、目標圧力が<100mbarであり、真空引きが完了した後、加熱して昇温させ、目標温度が1000℃である。
【0044】
(7)目標温度に達した後、推進ステップに進み、当該ステップでは、N、Oの交互注入・推進を用い、4000sccmの窒素を10min注入し、6000sccmの酸素を30min注入し、4000sccmの窒素を10min注入し、6000sccmの酸素を30min注入する。
【0045】
(実施例3)
HBC電池に適するホウ素拡散方法であって、ステップ(1)~ステップ(8)を含む。
【0046】
ボートを入れるステップ(1)では、フェルト化と洗浄後のシリコンウエハを水平のシート挿入石英ボート内に置き、シリコンウエハを背中合わせて水平の石英溝内に挿入し、ボートを入れるステップを行い、ボートを入れる時、石英炉管の温度は720℃であり、且つ2000sccmのNを維持して持続パージを行う。
【0047】
昇温と漏れ検知ステップ(2)では、シリコンウエハと石英ボートとを石英炉管にいれた後に10℃/minの昇温速度で加熱して昇温させ、目標温度が820℃であり、昇温とともに、真空ポンプを使用して炉管の真空引きを行い、真空引きが完了した後、真空ポンプを閉じて真空漏れ検知を行い、漏れ検知要件が<5mbar/minであり、漏れ検知が完了した後、真空ポンプを開けて、炉管の圧力を調整し、目標真空度は100mbarである。
【0048】
予備酸化ステップ(3)では、目標温度と目標真空度に達した後、6000sccmの酸素を注入して予備酸化を行い、注入時間が10minであり、予備酸化によりシリコンウエハ表面に薄い酸化シリコンの層を成長させ、当該薄い酸化シリコンはバリア層の役割を果たし、BClガスの分解により生成される塩化物のシリコンウエハ表面に対する損傷を防止することができる。
【0049】
(4)酸化が完了した後、炉管に対して真空引きを行って、炉管内の酸素を抽出し、目標圧力が<200mabrであり、過剰な酸素が炉管内に残って、次のステップでホウ素源を注入する際に過剰に多い酸素がBCl源を消費することを防止する。
【0050】
ホウ素源を注入して堆積するステップ(5)では、一定の割合で注入するBClガス及び酸素を注入し、ガス体積比はBCl:O=1:2であり、注入時間が15minであり、割合が低いと、BClがOと反応することができなくなり、これにより過剰なBClが自己分解し、大量の単体ホウ素がシリコンウエハの表面に堆積されて損失層が形成されるとともに、分解されたClによりシリコンウエハの表面が非常に腐食されやすく、割合が高いと、BClの濃度が不十分になって、石英炉管内のガス源の分布が不均一になり、それにより管全体の均一性が悪くなる。
【0051】
昇温ステップ(6)では、ホウ素源を注入して堆積するステップが完了した後、引き続き石英炉管の真空引きを行い、炉管内のBCl及び酸素を抽出し、目標圧力が<100mbarであり、真空引きが完了した後、加熱して昇温させ、目標温度が1000℃である。
【0052】
推進ステップ(7)では、目標温度に達した後、推進ステップに進み、当該ステップでは、N、Oの交互注入・推進を用い、窒素を3000sccm/minで10min注入し、酸素を5000sccm/minで30min注入し、窒素を3000sccm/minで10min注入し、酸素を5000sccm/minで30min注入する。
【0053】
温度を下げてボートを出すステップ(8)では、800℃まで温度を下げて、ボートを出して、拡散プロセスを完了する。
【0054】
(比較例1)
本比較例において、ホウ素拡散の具体的なステップは、表1に示すとおりである。
【0055】
図1から分かるように、ECV(電気化学的差動容量電圧)の結果から分かるように、本発明の拡散方法を用いて得られた結果は、接合の深さが増加し、且つ表面濃度が比較例中のホウ素拡散により低いという結果である。図1において、2つの方法の後段階の違いは、主に接合の深さの違いによるものであり、表面濃度は、主に、表面の深さ0~0.05μmの位置での濃度を見る。
【0056】
【表1】
【表2】
【0057】
【表3】
【0058】
表2と図1から分かるように、本発明の新規ホウ素拡散方法を採用することにより、深いPN接合及び低い表面ドーピング濃度を取得でき、低い表面ドーピング濃度により、太陽電池の表面再結合速度を低下させ、オン電圧及び電流を向上させることができ、深い接合の深さにより、N型HBC電池の正面の電界効果を高めることができ、且つFFの向上に有利である。
【0059】
シートを卸す(即ち、シリコンウエハを石英ボートから卸す)前に、石英ボート上の異なる位置のシリコンウエハに対してサンプリング検出を行い、テスト位置は図3を参照し、テスト結果は表3に示されるとおりであり、表3に示すデータから分かるように、本発明の方法は、優れたシート内及びシート間の拡散の均一性を備え、PN接合の一致性をさらに向上させることができ、キャリアの横方向転送に有利である。図2は、比較例1及び実施例1における方法を用いてホウ素を拡散させた後の光起電力電池PL(フォトルミネセンス)の写真であり、図2から分かるように、本発明に対応する実施例は、より優れたPL輝度及び均一性を有する。
【0060】
明らかに、説明された実施例は、本発明の一部の実施例にすぎず、すべての実施例ではない。本発明における実施例に基づいて、当業者が発明的な努力をせずになされる他のすべての実施例は、いずれも本発明の保護範囲に属する。
図1
図2
図3
【国際調査報告】