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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-29
(54)【発明の名称】ステロイド節約
(51)【国際特許分類】
   C12Q 1/686 20180101AFI20231121BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20231121BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20231121BHJP
   A61P 37/04 20060101ALI20231121BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20231121BHJP
   C12Q 1/6813 20180101ALI20231121BHJP
   G01N 33/53 20060101ALI20231121BHJP
【FI】
C12Q1/686 Z ZNA
A61K45/00
A61K39/395 U
A61P37/04
A61P43/00 121
C12Q1/6813 Z
G01N33/53 P
G01N33/53 M
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023529055
(86)(22)【出願日】2021-11-17
(85)【翻訳文提出日】2023-07-13
(86)【国際出願番号】 EP2021081971
(87)【国際公開番号】W WO2022106460
(87)【国際公開日】2022-05-27
(31)【優先権主張番号】63/115,286
(32)【優先日】2020-11-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】391008951
【氏名又は名称】アストラゼネカ・アクチエボラーグ
【氏名又は名称原語表記】ASTRAZENECA AKTIEBOLAG
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【弁理士】
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100138911
【弁理士】
【氏名又は名称】櫻井 陽子
(74)【代理人】
【識別番号】100218268
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】ホワイト,ウェンディ
(72)【発明者】
【氏名】グオ,シャン
【テーマコード(参考)】
4B063
4C084
4C085
【Fターム(参考)】
4B063QA01
4B063QA19
4B063QQ53
4B063QR08
4B063QR62
4B063QS25
4B063QS28
4B063QS36
4B063QX02
4C084AA17
4C084AA19
4C084MA66
4C084NA05
4C084ZB07
4C085AA13
4C085AA14
4C085BB31
4C085CC23
4C085EE01
4C085EE03
4C085GG02
4C085GG04
(57)【要約】
本開示は、全身性エリテマトーデス(SLE)の処置のための方法及び組成物に関する。詳細には、本開示は、対象にI型IFN受容体阻害剤を投与することを含む方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
SLEを有する対象をI型IFN受容体(IFNR)阻害剤による処置のために選択する方法であって、前記対象のIL-10血漿濃度が所定値より低い場合、処置のために前記対象を選択することを含み、前記処置が、前記対象におけるSLE疾患活動性を低下させる、方法。
【請求項2】
前記対象が健康な対象と比較して上昇したIFNGSを有する場合、前記対象を処置のために選択することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
上昇したIFNGSが、健康な対象からの試料と比較して、前記対象及び/又は複数の対象からの試料におけるIFI27、IFI44、IFI44L、IFI6及びRSAD2のうちの少なくとも4つのmRNAにおける少なくとも約4倍の増加を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
上昇したIFNGSが、健康な患者からのプールされた試料と比較して、前記対象及び/又は複数の対象からの試料におけるIFI27、IFI44、IFI44L、IFI6及びRSAD2のうちの少なくとも4つのmRNAにおける少なくとも約4倍の増加を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
上昇したIFNGSが、試料における1つ又は複数の対照遺伝子のmRNAと比較して、前記試料におけるIFI27、IFI44、IFI44L、IFI6及びRSAD2のうちの少なくとも4つのmRNAにおける少なくとも約4倍の増加を含む、請求項3又は4に記載の方法。
【請求項6】
前記1つ又は複数の対照遺伝子が、ACTB、GAPDH及び18S rRNAから選択される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記対象におけるIFI27、IFI44、IFI44L及びRSAD2のmRNA増加を検出することを含む、請求項2~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記対象が10mg以上の用量でのOCSの投与を含む処置を受けている場合、処置について前記対象を選択することを含む、請求項1又は6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記方法がインビトロで実施される、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
SLEを有する対象をI型IFN受容体(IFNR)阻害剤及びIL-10阻害剤による処置のために選択する方法であって、前記対象のIL-10血漿濃度が所定値より高い場合、処置のために前記対象を選択することを含み、前記処置が、前記対象におけるSLE疾患活動性を低下させる、方法。
【請求項11】
SLEの処置を必要とする対象においてSLEを処置する方法であって、処置有効量のIFNR阻害剤を投与することを含み、前記対象が、所定の値より低いIL-10血漿濃度を有すると特定され、前記処置が、SLE疾患活動性を低下させる、方法。
【請求項12】
前記対象が、健康な対象と比較して、上昇したIFNGSを有するとして特定される、請求項10又は11に記載の方法。
【請求項13】
上昇したIFNGSが、健康な対象からの試料と比較して、前記対象及び/又は複数の対象からの試料におけるIFI27、IFI44、IFI44L、IFI6及びRSAD2のうちの少なくとも4つのmRNAにおける少なくとも約4倍の増加を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
上昇したIFNGSが、健康な患者からのプールされた試料と比較して、前記対象及び/又は複数の対象からの試料におけるIFI27、IFI44、IFI44L、IFI6及びRSAD2のうちの少なくとも4つのmRNAにおける少なくとも約4倍の増加を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記mRNAが、前記試料中に存在する1つ又は複数の対照遺伝子のmRNAと比較して増加している、請求項13又は14に記載の方法。
【請求項16】
前記1つ又は複数の対照遺伝子が、ACTB、GAPDH及び18S rRNAから選択される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記対象におけるIFI27、IFI44、IFI44L及びRSAD2のmRNA増加を検出することを含む、請求項11~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記対象が、IFNAR1阻害剤による処置前の10mg以上の用量でのOCSの投与を含む処置を受けている、請求項11~17に記載の方法。
【請求項19】
SLEの処置を必要とする対象においてSLEを処置する方法であって、処置有効量のIFNR阻害剤及びIL-10阻害剤を投与することを含み、前記対象が、所定の値より高いIL-10血漿濃度を有すると特定され、前記処置が、SLE疾患活動性を低下させる、方法。
【請求項20】
抗BAFFモノクローナル抗体による処置のためにSLEを有する対象を選択する方法であって、前記対象のIL-10血漿濃度が所定の値より高い場合、前記処置のために前記対象を選択することを含み、前記処置が、前記対象におけるSLE疾患活動性を低下させる、方法。
【請求項21】
前記抗BAFF抗体がベリムマブ又はその機能的バリアントである、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
SLEの処置を必要とする対象においてSLEを処置する方法であって、処置有効量の抗BAFFモノクローナル抗体及び抗CD20抗体を投与することを含み、前記対象は、所定値より高いIL-10血漿濃度を有すると同定され、前記処置は、SLE疾患活動性を低下させる、方法。
【請求項23】
前記抗CD20抗体がリツキシマブであり、前記抗BAFF抗体がベリムマブである、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記患者からの試料中の前記IL-10濃度を決定することを含み、任意選択的に、前記試料が前記対象から単離される、請求項1~23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記患者からの前記試料中の前記IL-10濃度を測定することを含む、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記IL-10濃度がイムノアッセイによって測定される、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記イムノアッセイがLuminex又はSimoaイムノアッセイである、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記試料が、血液、血清又は血漿試料である、請求項24~27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
前記所定値が、1.5pg/ml未満、約1.5~2.5pg/ml、約25~2.8pg/ml又は約1~約3.5pg/mlである、請求項1~28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
前記所定値が、約1.5~約2.5pg/mlである、請求項1~29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
前記所定値が約1.7~2.3pg/mlである、請求項27に記載の方法。
【請求項32】
前記所定値が、約1.0、約1.1、約1.2、約1.3、約1.4、約1.5、約1.6、約1.7、約1.8、約1.9、約2.0、約2.1、約2.2、約2.3、約2.4、約2.5、約2.6、約2.7、約2.8、約2.9、約3.0、約3.1、約3.2、約3.3、約3.4、約3.5、約1、約2又は約3である、請求項1~29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
前記所定値が、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3.0、3.1、3.2、3.3、3.4、3.5、1、2又は3pg/mlである、請求項1~29のいずれか一項に記載の方法、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
前記所定値が約2pg/mlである、請求項29に記載の方法。
【請求項35】
前記所定値が2pg/mlである、請求項29に記載の方法。
【請求項36】
前記所定値が、a)SLEを有する対象の試料集団における対象のIL-10血漿濃度を決定するか、又は測定することと、b)前記SLEを有する対象の集団におけるIL-10濃度の中央値を決定するか、又は測定することと、によって決定され、前記所定の値は、b)において決定される中央値である、
請求項1~26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
前記対象が、前記IFNR阻害剤による処置前の10mg以上の用量でのOCSの投与を含む処置を受けている、請求項1~36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
前記対象におけるSLE疾患活動性を低下させることが、
a.前記対象におけるBILAGベースの総合狼瘡評価(BICLA)応答、
b.前記対象におけるSRI(4)応答、
c.処置前の前記対象のCLASIスコアと比較して、前記対象の皮膚エリテマトーデス疾患領域及び重症度指数(CLASI)スコアを低下させること、
d.処置前の前記対象の圧痛関節数及び関節腫脹数と比較して、前記対象の圧痛関節数及び関節腫脹数を低下させること、
e.前記対象が、処置後に1 BILAG-2004Bスコアの最大値を有すること、
f.前記対象が、処置後にC若しくはそれよりも良いBILAG-2004スコアを有すること、
g.前記対象に、処置前と比較した、少なくとも1つの患者報告アウトカム(PRO)の改善があること、並びに/或いは
h.処置前の前記対象のフレア率と比較した、前記対象のSLEフレア率の低下
を含む、請求項1~37のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
前記IFNAR1阻害剤の投与の前と後に、前記対象のBILAGスコアを測定することを含む、請求項1~38のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
前記BICLA応答は、少なくとも52週間、前記対象において持続される、請求項1~39のいずれか一項に記載の方法。
【請求項41】
前記IFNR阻害剤の投与の前と後に、前記対象においてPROを測定することを含む、請求項1~40のいずれか一項に記載の方法。
【請求項42】
前記PROは、前記対象の慢性疾病処置-疲労の機能評価(FACIT-F)、Short Form36 Health Surveyバージョン2(SF-36-v2)、精神構成要素サマリ(MCS)、及び/又はSF-36、物理的構成要素サマリ(PCS)スコアを含む、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記BICLA応答は、前記対象のBILAG-2004A及びBドメインスコアの、それぞれB/C/D及びC/Dへの低下を含む、請求項1~42のいずれか一項に記載の方法。
【請求項44】
処置前の前記対象のCLASIスコアと比較して前記対象のCLASIスコアを低下させることが、処置前の前記対象のCLASI-Aスコアと比較した前記対象のCLASI-Aスコアの低下を含む、請求項1~43のいずれか一項に記載の方法。
【請求項45】
前記対象において前記SLE疾患活動性を前記低下させることが、前記対象において抗dsDNAレベルを低下させることを含む、請求項1~44のいずれか一項に記載の方法。
【請求項46】
前記対象においてSLE疾患活動性を前記低下させることが、BILAGベースの総合狼瘡評価(BILAG-Based Composite Lupus Assessment:BICLA)応答を含み、処置前の前記対象に投与されたOCS用量と比較して、前記対象に投与されるOCS用量を低下させることを含む、請求項1~45のいずれか一項に記載の方法。
【請求項47】
前記OCSが、プレドニゾン、プレドニゾロン、及び/又はメチルプレドニゾロンを含む、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
前記対象においてSLE疾患活動性を前記低下させることが、処置の少なくとも4週目までのBILAGベースの総合狼瘡評価(BICLA)応答を含む、請求項1~47のいずれか一項に記載の方法。
【請求項49】
SLE疾患活動性を前記低下させることが、処置の少なくとも8週目までのBILAGベースの総合狼瘡評価(BICLA)応答を含む、請求項1~48のいずれか一項に記載の方法。
【請求項50】
前記対象においてSLE疾患活動性を前記低下させることが、処置前の値の前記対象における圧痛関節数及び関節腫脹数のと比較した、前記対象における圧痛関節数及び腫脹関節数の少なくとも50%の改善を含む、請求項1~49のいずれか一項に記載の方法。
【請求項51】
前記対象のCLASIスコアの前記低下が、処置の少なくとも8週目までに達成される、請求項1~50のいずれか一項に記載の方法。
【請求項52】
前記対象のCLASIスコアの前記低下が、処置の12週後に達成される、請求項1~51のいずれか一項に記載の方法。
【請求項53】
前記対象においてSLE疾患活動性を低下させることは、処置前の前記対象のCLASIスコアと比較した、前記対象のCLASIスコアの少なくとも50%の低下を含む、請求項1~52のいずれか一項に記載の方法。
【請求項54】
前記対象においてSLE疾患活動性を引き下げることが、処置の12週後の前記対象のCLASI-Aスコアの低下を含む、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
前記対象は、処置前のCLASI-Aスコアが≧10である、請求項53又は54に記載の方法。
【請求項56】
前記対象においてSLE疾患活動性を低下させることが、処置の24週後に、前記対象のBILAG-2004スコアがC又はそれよりも良いことを含む、請求項1~55のいずれか一項に記載の方法。
【請求項57】
前記対象においてSLE疾患活動性を低下させることが、前記対象が、処置の24週後に1 BILAG-2004Bスコアの最大値を有することを含む、請求項1~56のいずれか一項に記載の方法。
【請求項58】
前記対象においてSLE疾患活動性を低下させることが、処置前の前記対象のBILAGベースの年換算したフレア率と比較した、前記対象のBILAGベースの年換算したフレア率の低下を含む、請求項1~57のいずれか一項に記載の方法。
【請求項59】
前記対象においてSLE疾患活動性を低下させることが、前記対象においてフレアを予防することを含む、請求項1~58のいずれか一項に記載の方法。
【請求項60】
フレアが、1ヵ月以前の前記対象のスコアと比較した、≧1の新しいBILAG-2004Aドメインスコア又は≧2の新しい(悪化)BILAG-2004Bドメインスコアと定義される、請求項1~59のいずれか一項に記載の方法。
【請求項61】
前記対象においてSLE疾患活動性を低下させることが、処置前のフレア率と比較した、前記対象におけるフレア率の低下を含み、処置前の前記対象に投与されるOCS用量と比較して、前記対象へのOCS用量投与を低下させることを含む、請求項1~60のいずれか一項に記載の方法。
【請求項62】
処置について前記対象を選択することを含み、前記対象は、活動性SLEを有することについて選択される、請求項1~61のいずれか一項に記載の方法。
【請求項63】
処置のための前記対象を選択することを含み、前記対象が、中等度~重度のSLEを有することについて選択される、請求項1~62のいずれか一項に記載の方法。
【請求項64】
前記対象が、OCS処置に非応答性であるSLEを有することについて選択される、請求項1~63のいずれか一項に記載の方法。
【請求項65】
前記対象が成体である、請求項1~64のいずれか一項に記載の方法。
【請求項66】
前記I型IFN受容体阻害剤が、静脈内に投与される、請求項1~65のいずれか一項に記載の方法。
【請求項67】
前記I型IFN受容体阻害剤は、IFNAR1に特異的に結合する抗I型インターフェロン受容体抗体又はその抗原結合断片である、請求項1~66のいずれか一項に記載の方法。
【請求項68】
前記IFNR阻害剤がモノクローナル抗体である、請求項67に記載の方法。
【請求項69】
前記IFNR阻害剤が、
a)配列番号3のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域相補性決定領域1(HCDR1);
b)配列番号4のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域相補性決定領域2(HCDR2);
配列番号5のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域相補性決定領域3(HCDR3);
c)配列番号6のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域相補性決定領域1(LCDR1);
d)配列番号7のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域相補性決定領域2(LCDR2);及び/又は
e)配列番号8のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域相補性決定領域3(LCDR3)
を含む、請求項69に記載の方法。
【請求項70】
前記IFNR阻害剤が、(a)配列番号1のアミノ酸配列を含むヒト重鎖可変領域;及び(b)配列番号2のアミノ酸配列を含むヒト軽鎖可変領域、を含む、請求項68に記載の方法。
【請求項71】
前記IFNR阻害剤が、Kabatに示されるようなEUインデックスによってナンバリングされるL234Fのアミノ酸置換を含むFc領域を含み、且つ、前記抗体が、非修飾抗体と比較して、少なくとも1つのFcリガンドに対する低下した親和性を示し、任意選択的に、前記抗体が、Kabatに示されるようなEUインデックスによってナンバリングされるようなL234F、L235E及び/又はP331Sのアミノ酸置換を前記Fc領域に含む、請求項68~70のいずれか一項に記載の方法。
【請求項72】
前記IFNR阻害剤が、(a)配列番号11のアミノ酸配列を含むヒト鎖;及び(b)配列番号12のアミノ酸配列を含むヒト軽鎖、を含む、請求項68~71のいずれか一項に記載の方法。
【請求項73】
前記IFNR阻害剤が、アニフロルマブ又はその機能的バリアントである、請求項68に記載の方法。
【請求項74】
前記処置が、アニフロルマブ又はその機能的バリアントを投与することを含む、請求項73に記載の方法。
【請求項75】
前記処置が、300mgのアニフロルマブ又はその機能的バリアントを投与することを含む、請求項73に記載の方法。
【請求項76】
アニフロルマブ又はその機能的バリアントが静脈内(IV)注入として投与される、請求項68又は67記載の方法。
【請求項77】
アニフロルマブ又はその機能的バリアントが4週間ごとに投与される、請求項67~70のいずれか一項に記載の方法。
【請求項78】
前記処置が、約120mgのアニフロルマブ又はその機能的バリアントを投与することを含む、請求項73に記載の方法。
【請求項79】
アニフロルマブ又はその機能的バリアントが皮下投与される、請求項78に記載の方法。
【請求項80】
アニフロルマブ又はその機能的バリアントが毎週投与される、請求項78~79のいずれか一項に記載の方法。
【請求項81】
その機能的バリアントのアニフロルマブが150mg/mLの濃度で溶液中に提供される、請求項73~80のいずれか一項に記載の方法。
【請求項82】
SLEの処置を必要とする対象においてSLEを処置する方法において使用するための医薬組成物であって、前記処置方法が、処置有効量のIFNR阻害剤を投与することを含み、前記対象が、所定の値より低いIL-10血漿濃度を有すると同定され、前記処置が、SLE疾患活動性を低下させる、医薬組成物。
【請求項83】
前記IFNR阻害剤が、アニフロルマブ又はその機能的バリアントである、請求項73に記載の使用のための医薬組成物。
【請求項84】
前記医薬組成物が、150mg/mLの濃度でアニフロルマブ又はその機能的バリアントを含む、請求項83に記載の使用のための医薬組成物。
【請求項85】
請求項82~83のいずれか一項に記載の医薬組成物及び使用説明書を含むキットであって、前記使用説明書が、請求項1~81に記載の方法のいずれかを指定する、キット。
【請求項86】
IL-10阻害剤を含む、請求項85に記載のキット。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
バイオマーカーは、正常な生物学的プロセス、病原性プロセス、又は曝露若しくは介入に対する応答の指標として測定される定義された特徴と呼ばれる。予測バイオマーカーは、治療又は疾患経過に対する応答を予測するために使用され得る。
【0002】
全身性エリテマトーデス(SLE)は、重大な罹患率及び死亡率を引き起こす自己免疫疾患である。SLEの臨床症状として、全身病徴、脱毛症、発疹、漿膜炎、関節炎、腎炎、脈管炎、リンパ節腫脹、脾腫、溶血性貧血、認知機能不全、及び他の神経系障害が挙げられるが、これらに限定されない。これらの疾患徴候は、疾病の重大な負荷を生じさせ、身体機能の低下、失業、健康関連クオリティ・オブ・ライフ(QoL)の低下、及び寿命の10年の短縮を導く可能性がある。SLEにおいて、入院、並びに慢性経口コルチコステロイド(OCS)及び他の免疫抑制処置を含む薬物療法の副作用の増加が、疾患負荷に上乗せされる。
【0003】
熱心なSLE治験活動にもかかわらず、最近60年で、1つの薬剤、ベリムマブしか、規制当局の承認を受けていない。多くの要因が、SLEにおける薬剤開発の失敗に関与しており、治験設計の課題、異種患者集団、及びロバストなエンドポイントの不足が挙げられる。SLEの処置は、標準的処置の有効性が限られており、且つ忍容性が不十分であるため、困難である。SLEの処置のために現在用いられる治療法の多くが、周知の有害作用プロファイルを有し、新たな標的化療法、特に、コルチコステロイドにおける要件を低減し得る薬剤及び細胞傷害性薬剤を同定するという医学的必要性がある。
【0004】
SLEのための新しい処置のためのほとんどの臨床試験は、それらの主要エンドポイント及び第2のエンドポイントを満たすことができなかった。これらの臨床試験の失敗の理由の一部は、SLE患者における疾患症状の不均一性であり得る。更に、SLEの極端な不均一性は、治療に対するSLE患者の応答を予測するためのバイオマーカーの同定を妨げている。数十年の調査にもかかわらず、処置に対する患者の応答の可能性を予測するための信頼できるバイオマーカーは現在存在しない。したがって、SLE患者における治療的応答を予測するための予測バイオマーカーが必要とされている。
【0005】
本発明は、上記問題の1つ又は複数を解決する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、驚くべきことに、高いベースラインIL10がSLE患者のより悪い臨床応答に関連し、IL10-低患者が他の患者よりも良好に処置に応答することを実証する。したがって、本発明は、SLE患者における治療に対する応答についての予測バイオマーカーを初めて提供する。
【0007】
本発明は、SLEを有する対象をI型IFN受容体(IFNR)阻害剤による処置のために選択する方法であって、対象のIL-10血漿濃度が所定値より低い場合、処置のために対象を選択することを含み、処置が、対象におけるSLE疾患活動性を低下させる、方法と、そのような方法に使用される医薬組成物と、に関する。
【0008】
本発明はまた、SLEを有する対象をI型IFN受容体(IFNR)阻害剤及びIL-10阻害剤による処置のために選択する方法であって、対象のIL-10血漿濃度が所定値より高い場合、処置のために対象を選択することを含み、処置が、対象におけるSLE疾患活動性を低下させる、方法と、そのような方法に使用される医薬組成物と、に関する。
【0009】
本発明は更に、SLEの処置を必要とする対象においてSLEを処置する方法であって、処置有効量のIFNR阻害剤を投与することを含み、ここで、対象が、所定の値より低いIL-10血漿濃度を有するとして特定され、処置が、SLE疾患活動性を低下させる、方法と、そのような方法に使用される医薬組成物と、に関する。
【0010】
本発明は更に、抗BAFFモノクローナル抗体による処置のためにSLEを有する対象を選択する方法であって、対象のIL-10血漿濃度が所定の値より高い場合、処置のために対象を選択することを含み、処置が、対象におけるSLE疾患活動性を低下させる、方法に関する。本発明はまた、SLEの処置を必要とする対象においてSLEを処置する方法であって、処置有効量の抗BAFFモノクローナル抗体及び抗CD20抗体を投与することを含み、対象は、所定値より高いIL-10血漿濃度を有すると同定され、処置は、SLE疾患活動性を低下させる、方法に関する。
【0011】
本発明は、とりわけ、本明細書で初めて提示されるデータによって支持される。アニフロルマブの投与は、プラセボ対照二重盲検臨床試験で実証されているように(実施例1~4を参照のこと)、SLE患者において急速な(8週目という早い)及び持続的なBICLA応答をもたらす。プラセボと比較したアニフロルマブの処置効果は、予想されたサブグループ(年齢、性別、人種、民族、疾患重症度[ベースラインでのSLEDAI-2K]及びベースラインOCS使用による)にわたって一貫していた(実施例5参照)。IFNGS試験-高及びIL10-低の患者は、他の患者よりもアニフロルマブ処置に対して良好に応答する(実施例6及び7)。特に、本発明は、低レベルのIL-10を有するSLE患者が、高レベルのIL-10を発現するSLE患者よりもI型IFN阻害剤による処置に良好に応答するという本発明者らによる驚くべき観察に基づいている。SLE患者におけるIL-10レベルは、I型IFN遺伝子シグネチャ(IFNGS)と相関しており、高いIL-10は、より重篤なSLE疾患と関連している。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】IFNスコア及びアニフロルマブの有効性を示す図である。[図1A]IFNスコア分布の図である。[図1B]1回の来院当たりのBICLA応答者の割合の図である。[図1C]BICLA応答までの時間に対するカプラン・マイヤー曲線は、52週目まで持続したことを示す図である。
図2】アニフロルマブはSLE患者の全血中の21遺伝子I型IFN PDシグネチャを中和することを示す図である。
図3】アニフロルマブによる血清BAFF及びFicolin-3の下方制御を示す図である。CP1013(NCT01438489);CP1145(NCT01753193);ANI:アニフロルマブ。
図4】アニフロルマブによる長期のIL-10及びTNFαの下方制御の図である。
図5】IFNGS試験-高患者及びIL10-低患者におけるより高いSRI(4)応答率(MUSE)の図である。[図5A]IFN-高及びIL-10低の図である。[図5B]IFN-高及びIL-10高の図である。
図6】IFNGS試験-高患者及びIL10-低患者におけるより高いSRI(4)応答率(TULIP I)の図である。[図6A]IFN-高及びIL-10高の図である。[図6A]IFN-高及びIL-10低の図である。
図7】IFNGS試験-高患者及びIL10-低患者におけるより高いBICLA応答率(MUSE)の図である。[図7A]IFN-高及びIL-10高の図である。[図7B]IFN-高及びIL-10低の図である。
図8】IFNGS試験-高患者及びIL10-低患者におけるより高いBICLA応答率(TULIP I)の図である。[図8A]IFN-高及びIL-10高の図である。[図8A]IFN-高及びIL-10低の図である。
図9】ベースライン(+/-GSE)での21遺伝子シグネチャ倍数変化対IL-10(TULIP I)の図である。
図10】ベースライン(+/-SEM)でのSLEDAI-2k総スコア対IL-10(TULIP I)の図である。
図11】ベースライン(+/-GSE)での抗dsDNA対IL-10(TULIP I)の図である。群を表14-1に示す。
図12】IFNGS/IL-10層別対抗dsDNA(TULIP I)の図である。群を表14-1に示す。
図13】リンパ球対IL-10ベースライン(+/-GSE)(TULIP I)の図である。群を表14-1に示す。
図14】IFNGSで層別化したIL-10濃度(TULIP I)の図である。
図15】C3値で層別化したIL-10濃度(TULIP I)の図である。
図16】C4レベルで層別化したIL-10濃度(TULIP I)の図である。
図17】IFN試験によるIL-10変化(幾何平均+/-GSE)(TULIP I)の図である。
図18】形質細胞及び自己抗体産生はIL-10の一次標的であることを示す図である。
図19】IL-10依存的なauto-ABの増加は、樹状細胞によるIFN1産生の増加をもたらすことを示す図である。APC:抗原提示細胞;pDC:形質細胞様樹状細胞;mDC:単球樹状細胞。
図20】auto-ABのIL-10依存的増加は細胞傷害性T細胞の増加をもたらすことを示す図である。
図21】Th1/Th2応答に対するIL-10の効果の図である。
図22】IL-10とIFN1遺伝子21スコアとの相関(MUSE)の図である。
図23】IL-10とSLEDAI2Kスコアとの相関(MUSE)の図である。
図24】IL-10とdsDNAとの間の会合(MUSE)の図である。 抗dsDNA抗体レベルを陽性(>15U mL 1)又は陰性(≦15U mL 1)に分類し、自動蛍光免疫アッセイを使用して中央検査室で測定した。
図25】IL-10と自己抗体との間の会合(MUSE)の図である。
図26】IL-10とIFN-αとの間の会合(MUSE)の図である。
図27】IL-10及びリンパ球及び好中球のレベル(MUSE)の図である。[図27A]IL-10と血中リンパ球レベルとの間の逆相関(MUSE)の図である。[図27B]IL-10と好中球レベルとの間の関連(MUSE)の図である。
図28】IL-10とIFN1遺伝子スコアの相乗効果(抗dsDNA)(MUSE)の図である。
図29】IL-10とIFN1遺伝子スコアの相乗効果(SLEDAI2Kスコア)(MUSE)の図である。
図30】SLEにおけるより高いIL10レベル及びIFNGS試験状態とのその関連(MUSE)の図である。[図30A]IFNGS試験状態の図である。[図30B]SLEDAIスコアの図である。[図30C]抗dsDNAレベル;抗dsDNA抗体レベルを陽性(>15U mL-1)又は陰性(≦15 U mL-1)に分類し、自動蛍光免疫アッセイを使用して中央研究所で測定した。[図30D]C3レベルの図である。補体レベルを異常(C3<0.9gL-1;C4<0.1gL-1)又は正常(C3≧0.9gL-1;C4≧0.1gL-1)として分類し、中央検査室で測定した。Y軸はIL-10血清濃度(pg/ml)である。
図31】IL10は補体C4レベルに関連する(MUSE) Y軸はIL-10の血清濃度(pg/ml)である。補体レベルを異常(C3<0.9gL-1;C4<0.1gL-1)又は正常(C3≧0.9gL-1;C4≧0.1gL-1)として分類し、中央検査室で測定した。
図32】ベースラインIL10レベルは、アニフロルマブ処置後365日目の臨床応答に関連する(MUSE)ことを示す図である。 Y軸はIL-10の血清濃度(pg/ml)である。
図33】ベースラインIL10レベルは、アニフロルマブ処置後365日目の臨床応答に関連する(MUSE)ことを示す図である。 Y軸はIL-10の血清濃度(pg/ml)である。
図34】IFNGS試験-高患者におけるIL10及びアニフロルマブ誘発臨床応答(MUSE)の図である。
図35】300mg及び1000mgのアニフロルマブを投与されたIFNGS試験-高患者におけるIL10と臨床応答との関連(MUSE)の図である。[図35A]300mg及び1000mgのアニフロルマブ(MUSE)を投与されたIFNGS試験-高患者におけるIL10と臨床応答との関連の図である。[図35B]IFNGS試験-高及びIL10-低SLE患者と他の患者との比較(MUSE)の図である。[図35C]アニフロルマブ処置後のSRI(4)応答状態の図である。[図35D]重回帰分析、SRI(4)応答の図である。[図35E]ステロイド漸減を伴わないSRI4応答(MUSE)の図である。
図36】アニフロルマブによるIL10抑制(MUSE)の図である。
図37】IFNGS試験-高患者におけるアニフロルマブによるIL10抑制(MUSE)の図である。
図38】IL-10サブグループ中のIFN-H群における経時的な臨床応答(MUSE)の図である。[図38A]ステロイド漸減を伴う最初のエンドポイントは、SRI4Dであることを示す図である。[図38B]ステロイド漸減を伴う最初のエンドポイントは、SRI4Dであることを示す図である。[図38C]漸減を伴わない新しいエンドポイントは、SRI4D3であることを示す図である。[図38D]漸減を伴わない新しいエンドポイントは、SRI4D3であることを示す図である。
図39】TULIP-1、TULIP-2、並びにTULIP-1及びTULIP-2からのプールしたデータにおける、BICLA応答が開始から52まで持続した患者のパーセンテージの図である。BICLA、British Isles狼瘡評価群ベースの総合狼瘡評価;CI、信頼区間;IFNGS、インターフェロン遺伝子シグネチャ;OCS、経口コルチコステロイド;SLEDAI-2K、全身性エリテマトーデス疾患活動性指数2000。TULIP-1、TULIP-2、及びプールしたTULIPデータにおいて、制限薬物規則は、TULIP-2プロトコルに従った。ハザード比及び95%CIは、共変量としての処置群及び階層化因子(スクリーニング時のSLEDAI-2K、1日目のOCS投薬量、及びスクリーニング時のI型IFNGS試験結果)にCox回帰モデルを用いて推定される。
図40】全ての時点でのBICLA応答の図である。BICLA、British Isles狼瘡評価群ベースの総合狼瘡評価;IFNGS、インターフェロン遺伝子シグネチャ;OCS、経口コルチコステロイド;SLEDAI-2K、全身性エリテマトーデス疾患活動性指数2000。早期の時点にて、TULIP-1及びTULIP-2におけるP値は、それぞれ、0.207及び0.238(4週目)、0.020及び0.004(8週目)、並びに0.054及び0.029(12週目)であった。TULIP-1、TULIP-2、及びプールしたTULIPデータにおいて、制限薬物規則は、TULIP-2プロトコルに従った。応答者率は、階層化因子(1日目のOCS投薬量、SLEDAI-2K、及びI型IFNGS試験結果、双方ともスクリーニング時)に階層化コクラン-マンテル-ヘンツェルアプローチを用いて算出される。プールした分析において、追加的な階層化因子が研究のために加えられる。垂直なバーは、95%信頼区間を示す。
図41】BICLA応答があった患者のパーセンテージの図である。[図41A]TULIP-1における、開始から52週目まで持続するBICLA応答があった患者のパーセンテージを示す図である。[図41B]TULIP-2における、開始から52週目まで持続するBICLA応答があった患者のパーセンテージを示す図である。[図41C]TULIP-1及びTULIP-2からのプールしたデータにおける、開始から52週目まで持続するBICLA応答があった患者のパーセンテージを示す図である。エラー!参照のソースが見出されない。[図41D]TULIP-1における、開始から52週目まで持続するBICLA応答までの平均時間を示す図である。(エラー!参照のソースが見出されない。)[図41E]TULIP-2における、開始から52週目まで持続するBICLA応答までの平均時間を示す図である。(エラー!参照のソースが見出されない。)[図41F]TULIP-1及びTULIP-2からのプールしたデータにおける、開始から52週目まで持続するBICLA応答までの平均時間を示す図である。(エラー!参照のソースが見出されない。)
図42】MCP及びPCRの図である。[図42A]TULIP-1における、52週目まで持続する主要奏効又は部分奏功を24週目に達成した患者のパーセンテージを示す図である。[図42B]TULIP-2における、52週目まで持続する主要奏効又は部分奏功を24週目に達成した患者のパーセンテージを示す図である。[図42C]TULIP-1及びTULIP-2からのプールしたデータにおける、52週目まで持続する主要奏効又は部分奏功を24週目に達成した患者のパーセンテージを示す図である。IFNGS、インターフェロン遺伝子シグネチャ;MCR、主要奏効;OCS、経口コルチコステロイド;PCR、部分奏効;SLEDAI-2K、全身性エリテマトーデス疾患活動性指数2000。TULIP-1、TULIP-2、及びプールしたTULIPデータにおいて、制限薬物規則は、TULIP-2プロトコルに従った。応答者率は、階層化因子(1日目のOCS投薬量、SLEDAI-2K、及びI型IFNGS試験結果、双方ともスクリーニング時)に階層化コクラン-マンテル-ヘンツェルアプローチを用いて算出される。
図43】プールしたTULIPについての人口統計的サブグループによるBICLA応答の図である。BMI、肥満度指数;BICLA、British Isles狼瘡評価群ベースの総合狼瘡評価;CI、信頼区間;CMH、コクラン-マンテル-ヘンツェル。TULIP-1データを、事前指定した制限薬物規則を組み込んで分析した。処置推定値の差異及び関連95%CIを重み付けして、階層化CMHアプローチを用いて算出した。
図44】スクリーニング時のSLEDAI-2KによるBICLA応答の図である。BICLA、British Isles狼瘡評価群ベースの総合狼瘡評価;CI、信頼区間;CMH、コクラン-マンテル-ヘンツェル;SLEDAI-2K、全身性エリテマトーデス疾患活動性指数2000。TULIP-1データを、事前指定した制限薬物規則を組み込んで分析した。処置推定値の差異及び関連95%CIを重み付けして、階層化CMHアプローチを用いて算出した。
図45】ベースライン経口コルチコステロイド投薬量によるBICLA応答の図である。BICLA、British Isles狼瘡評価群ベースの総合狼瘡評価;CI、信頼区間;CMH、コクラン-マンテル-ヘンツェル;OCS、経口コルチコステロイド。TULIP-1データを、事前指定した制限薬物規則を組み込んで分析した。処置推定値の差異及び関連95%CIを重み付けして、階層化CMHアプローチを用いて算出した。
図46】I型IFN遺伝子シグネチャ状況(スクリーニング)によるBICLA応答の図である。BICLA、British Isles狼瘡評価群ベースの総合狼瘡評価;CI、信頼区間;CMH、コクラン-マンテル-ヘンツェル;IFNGS、I型インターフェロン遺伝子シグネチャ;qPCR、定量ポリメラーゼ連鎖反応。I型IFNGSを、全血からの4-遺伝子qPCRベース試験を用いる中央実験室スクリーニングによって高又は低のいずれかとして分類した。TULIP-1データを、事前指定した制限薬物規則を組み込んで分析した。処置推定値の差異及び関連95%CIを重み付けして、階層化CMHアプローチを用いて算出した。
図47】TULIP-2及びTULIP-1において、プラセボと比較した、アニフロルマブで処置した患者においてBILIAG-2004を用いて評価したフレアの図である。BILAG:British Isles狼瘡評価群。注:フレアは、以前の月の来院と比較した、1≦の新しいBILAG-2004Aドメインスコア又は2≦の新しい(悪化)BILAG-2004Bドメインスコアと定義した。
図48】TULIP-2及びTULIP-1における最終のフレアまでの時間の図である。BILAG:British Isles狼瘡評価群。注:フレアは、1≦として定義される。以前の月の来院と比較した新しいBILAG-2004Aドメインスコア又は2≦の新しい(悪化)BILAG-2004 Bドメインスコア。第1のフレアまでの時間は、第1のフレアの日付マイナス治験薬の第1の投与の日付として導き出される。患者にフレアがなかったならば、フレアまでの時間は、曝露時間の終了後に打ち切られる。
図49】TULIP試験における52週目までの年換算したフレア率の図である。
図50】TULIP試験における52週目までの、1、2、又は3つ以上のSLEフレアを有する患者のパーセンテージの図である。BILAG:British Isles狼瘡評価群;SLE、全身性エリテマトーデス。フレアを、以前の来院に対する1≦の新しいBILAG-2004A器官ドメインスコア又は2≦の新しいBILAG-2004B器官ドメインスコアと定義した。
図51】アニフロルマブ及びプラセボを受けたSLE患者における、時間による、CLASI-A応答を達成した患者のパーセンテージの図であるTULIP-1及びTULIP-2のプールしたデータ。CLASI、皮膚エリテマトーデス疾患領域及び重症度指数;CLASI-A、CLASI活動性スコア;n、分析における患者数;N、処置群内の患者数;NA、該当なし;OCS、経口コルチコステロイド。応答は、ベースラインCLASI-Aが10≦の患者について、ベースラインからのCLASI活動性スコアの50%≦引下げと定義される。奏効率は、層別化コクラン-マンテル-ヘンツェル法を用いて、スクリーニング時の層別化係数SLEDAI-2Kスコアを用いて計算する。1日目のOCS投薬量、スクリーニング時のI型IFN遺伝子シグネチャ試験結果、及び試験(TULIP-1及びTULIP-2))。名目上のP値が、*P<0.05、**P<0.01、***P<0.001と示される。
図52】アニフロルマブ及びプラセボを投与されたSLE患者において52週目まで持続したCLASI-A応答までの時間の図である。TULIP-1及びTULIP-2。CLASI、皮膚エリテマトーデス疾患領域及び重症度指数;CLASI-A、CLASI活動性スコア;n、分析における患者数;N、処置群内の患者数;NA、該当なし;OCS、経口コルチコステロイド。応答は、ベースラインCLASI-Aが10≦の患者について、ベースラインからのCLASI活動性スコアの50%≦引下げと定義される。ハザード比及び95%CIは、共変量としての階層化のある処置群(スクリーニング時のSLEDAI-2Kスコア、1日目のOCS投薬量、試験、及びスクリーニング時のI型IFN遺伝子シグネチャ試験結果)にCox回帰モデルを用いて推定した。
図53】ベースラインCLASI-Aによる12週目のCLASI-A応答50%及び75%応答閾値:TULIP-1及びTULIP-2
図54】CLASI-A皮膚反応:アニフロルマブ(300mg)による処置後のある患者の例の図である。CLASI-A、皮膚エリテマトーデス疾患領域及び重症度指数活動性スコア。応答は、ベースラインCLASI-Aが≧10の患者について、CLASI-Aの、ベースラインからの≧50%引下げと定義される。合計で、5つの場所からの13人のアニフロルマブ処置患者が、皮膚写真撮影に参加した;2人の患者は、12週目にCLASI-A応答があった。
図55】BICLA応答者対非応答者におけるフレア及び経口グルココルチコイド使用の図である。[図55A]52週目までのBILAG-2004フレアが≧1の患者を表す図である。エラーバーは95%CIを表す。[図55B]ベースライン経口グルココルチコイド投薬量を問わない、全ての患者におけるベースラインから52週目までの経口グルココルチコイド1日投薬量のLS平均変化を表す図である。エラーバーは95%CIを表す。[図55C]経口グルココルチコイドをベースラインにて≧10mg/日受けた患者の中で、≦7.5mg/日への持続する経口グルココルチコイド投薬量引下げを達成した患者を表す図である。持続経口グルココルチコイド投薬量引下げは、40~52週目まで持続される≦7.5mg/日の経口グルココルチコイド用量と定義した。エラーバーは95%CIを表す。[図55D]ベースライン経口グルココルチコイド投薬量を問わない、全ての患者についての52週目までの経口グルココルチコイドAUCを表す図である。エラーバーはSDを表す。A~Dにおいて、率の差異、CI、及び名目上のP値を、層別化コクラン-マンテル-ヘンツェルアプローチを用いて算出した。AUC、曲線下面積;BICLA、British Isles狼瘡評価群ベースの総合狼瘡評価;BILAG、British Isles狼瘡評価群;CI、信頼区間;LS、最小二乗;SD、標準偏差。
図56】BICLA応答者対非応答者における52週目のPRO応答の図である。 患者は、FACIT-F(図56A)(ベースラインから52週目までの>3.4の改善と定義される);SF-36PCS(図56B)(ベースラインから52週目までの>3.4のPCSドメインの増加と定義される);及びSF-36MCS(図56C)(ベースラインから52週目までの>4.2のMCSドメインの増加と定義される)の応答があった。図56A~C:エラーバーは95%CIを表す。応答率、CI、及び名目上のP値を、層別化コクラン-マンテル-ヘンツェルアプローチを用いて算出した。[図56D]PtGAスコアの、ベースラインから52週目までのLS平均変化を表す図である。エラーバーは95%CIを表す。LS平均差異、CI、及び名目上のP値を、混合モデル反復測定を用いて算出した。BICLA、British Isles狼瘡評価群ベースの総合狼瘡評価;FACIT-F、慢性疾病処置-疲労の機能評価;MCS、精神構成要素サマリ;PCS、物理的構成要素サマリ;PRO、患者報告アウトカム;PtGA、患者のグローバル評価;SF-36、Short Form36 Health Survey。
図57】BICLA応答者対非応答者におけるSLEDAI-2K及びPGAの、ベースラインからの変化の図である。SLEDAI-2K(図57A)及びPGA(図57B)の、ベースラインから52週目までの変化。エラーバーは95%CIを表す。LS平均差異、CI、及び名目上のP値を、混合モデル反復測定を用いて算出した。BICLA、British Isles狼瘡評価群ベースの総合狼瘡評価;BILAG、British Isles狼瘡評価群;CI、信頼区間;LS、最小二乗;PGA、医師のグローバル評価;SLEDAI-2K、全身性エリテマトーデス疾患活動性指数2000。
図58】CLASI-A、関節カウント及び臓器ドメインの図である。[図58A]CLASI-Aスコアがベースラインにて≧10の患者の中で、52週目にCLASI-A応答(ベースラインから52週目までの≧50%の引下げと定義される)があった患者の図である。応答率、CI、及び名目上のP値を、階層化コクラン-マンテル-ヘンツェルアプローチを用いて算出した。[図58B]活動性関節(腫脹及び圧痛がある関節と定義される)、圧痛関節、及び関節腫脹についての、ベースラインから52週目までのLS平均関節数の変化を表す図である。エラーバーは95%CIを表す。LS平均差異、CI、及び名目上のP値を、混合モデル反復測定を用いて算出した。BICLA、BILAGベースの総合狼瘡評価;BILAG-2004、British Isles狼瘡評価群-2004;CI、信頼区間;CLASI-A、皮膚エリテマトーデス疾患領域及び重症度指数活性;LS、最小二乗。BICLA応答者と非応答者との間のCLASI-A応答及び関節数。[図58C]MUSE試験の有効性エンドポイント(第52週)から追跡調査終了(第60週)までの皮膚粘膜ドメイン及び筋骨格ドメインにおけるBILAG-2004スコアA/B及びC/D/Eを有する患者のパーセンテージの変化の図である。
図59】MUSE試験の有効性エンドポイント(52週目)及び追跡調査終了時(60週目)の疾患活動性及びフレアの測定の図である。[図59A]疾患活動性の図である。[図59B]フレアの図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
4.表の簡単な説明
表6-1:BT-063配列
表6-2:21インターフェロン遺伝子シグネチャ
表6-3:経口プレドニゾンの等価用量の例
表6-4:アニフロルマブ配列
表6-5:抗IFNAR抗体配列
表6-6:抗BAFF配列
表6-7:ベリムマブの投薬量及び投与
表6-8:タバルマブの投与量及び投与
表11-1:52週目のBICLA奏効率
表12-1:ベースライン患者人口統計
表12-2:ベースライン疾患特性
表13-1:血清タンパク質レベルのアニフロルマブ誘導変化
表14-1:IL-10患者群
表18-1:患者の人口統計及びベースラインの臨床的特徴
表18-2:BICLA応答者及び非応答者に対する患者の人口統計及びベースラインSLE薬
表18-3:BICLA応答者及び非応答者におけるSLEフレア
表18-4:BICLA応答者及び非応答者におけるベースラインでのPROスコア
表18-5:BICLA応答者及び非応答者の医療資源利用
表18-6:BICLA応答者及び非応答者についてのベースラインから52週目までの血清学的変化
表18-7:BICLA応答者及び非応答者における処置中のAE
表18-8:BICLA応答者及び非応答者におけるベースラインでのPROスコア
【0014】
5.詳細な説明
5.1処置及び診断の方法
第1の態様における本発明は、SLEを有する対象をI型IFN受容体(IFNR)阻害剤による処置のために選択する方法であって、対象のIL-10血漿濃度が所定値より低い場合、処置のために対象を選択することを含み、処置が、対象におけるSLE疾患活動性を低下させる、方法に関する。
【0015】
方法は、対象が健康な対象と比較して上昇したI型インターフェロン遺伝子シグネチャ(IFNGS)を有する場合、処置のために対象を選択することを含み得る。健康な対象は、SLEに罹患していない対象であり得る。健康な対象は、SLEに罹患していない成人対象であり得る。
【0016】
上昇したIFNGSは、健康な対象からの試料と比較して、対象及び/又は複数の対象からの試料におけるIFI27、IFI44、IFI44L、IFI6及びRSAD2のうちの少なくとも4つのmRNAにおける少なくとも約4倍の増加を含み得る。上昇したIFNGSは、健康な患者からのプールされた試料と比較して、対象及び/又は複数の対象からの試料におけるIFI27、IFI44、IFI44L、IFI6及びRSAD2のうちの少なくとも4つのメッセンジャーRNA(mRNA)における少なくとも約4倍の増加を含み得る。mRNAは、試料中に存在する1つ又は複数の対照遺伝子のmRNAと比較して増加している。1つ又は複数の対照遺伝子は、ACTB、GAPDH及び18S rRNAから選択され得る。
【0017】
方法は、対象におけるIFI27、IFI44、IFI44L及びRSAD2のmRNA増加を検出することを含み得る。mRNAの増加を検出することは、試料中のmRNAレベルを測定するための当技術分野における日常的な技術、リアルタイム定量ポリメラーゼ連鎖反応(RT-qPCR)を含み得る。
【0018】
方法は、対象が10mg以上の用量でのOCSの投与を含む処置を受けている場合、処置について対象を選択することを含み得る。より高用量のOCSが投与される患者は、OCS使用に関連する有害事象のリスクがより高い。
【0019】
この方法をインビトロで実施することができる。換言すれば、方法は、ヒト又は動物の身体に対して実施されない方法であってもよい。
【0020】
本発明はまた、SLEを有する対象をI型IFN受容体(IFNR)阻害剤及びIL-10阻害剤による処置のために選択する方法であって、対象のIL-10血漿濃度が所定値より高い場合、処置のために対象を選択することを含み、処置が、対象におけるSLE疾患活動性を低下させる、方法に関する。IL-10は、平均SLE患者と比較して高レベルの血清IL-10を有する対象におけるI型IFN阻害剤に対する応答の欠如を補償し得る。
【0021】
本発明はまた、SLEの処置を必要とする対象においてSLEを処置する方法であって、処置有効量のIFNR阻害剤を投与することを含み、対象が、所定の値より低いIL-10血漿濃度を有すると特定され、処置が、SLE疾患活動性を低下させる、SLEの処置を必要とする対象においてSLEを処置する方法に関する。方法によって処置される対象は、健康な対象と比較してIFNGSが上昇していると同定され得る。方法によって処置される対象における上昇したIFNGSは、健康な対象からの試料と比較して、対象からの試料におけるIFI27、IFI44、IFI44L、IFI6及びRSAD2のうちの少なくとも4つのmRNAにおける少なくとも約4倍の増加を含み得る。上昇したIFNGSは、健康な患者からのプールされた試料と比較して、対象からの試料におけるIFI27、IFI44、IFI44L、IFI6及びRSAD2のうちの少なくとも4つのmRNAにおける少なくとも約4倍の増加を含み得る。mRNAは、試料中に存在する1つ又は複数の対照遺伝子のmRNAと比較して増加し得る。1つ又は複数の対照遺伝子は、ACTB、GAPDH及び18S rRNAから選択され得る。方法は、対象におけるIFI27、IFI44、IFI44L及びRSAD2のmRNA増加を検出することを含み得る。方法によって処置される対象は、IFNR阻害剤による処置前の10mg以上の用量でのOCSの投与を含む処置を受けている場合がある。
【0022】
本発明はまた、SLEの処置を必要とする対象においてSLEを処置する方法であって、処置有効量のIFNR阻害剤及びIL-10阻害剤を投与することを含み、対象が、所定の値より高いIL-10血漿濃度を有すると特定され、処置が、SLE疾患活動性を低減する、方法に関する。
【0023】
本発明はまた、抗BAFFモノクローナル抗体による処置のためにSLEを有する対象を選択する方法であって、対象のIL-10血漿濃度が所定の値より高い場合、処置のために対象を選択することを含み、処置が、対象におけるSLE疾患活動性を低下させる、方法に関する。抗BAFF抗体は、ベリムマブ又はその機能的バリアントであり得る。したがって、本発明はまた、組み合わされたベリムマブ及び抗IL-10抗体に対する応答のための予測バイオマーカーを使用するための方法に関する。
【0024】
本発明はまた、SLEの処置を必要とする対象においてSLEを処置する方法であって、処置有効量の抗BAFFモノクローナル抗体及び抗CD20抗体を投与することを含み、対象は、所定値より高いIL-10血漿濃度を有すると同定され、処置は、SLE疾患活動性を低下させる、方法に関する。抗CD20抗体はリツキシマブであり得、抗BAFF抗体はベリムマブであり得る。したがって、本発明はまた、組み合わせたベリムマブ及びリツキシマブに対する応答のための予測バイオマーカーを使用するための方法に関する。
【0025】
本発明の方法はまた、患者由来の試料中のIL-10濃度を決定することを含み得る。試料は、IL-10の血清レベルを評価するために使用され得る身体に関する採取された任意の試料であり得る。特に、試料は、血液、血清又は血漿試料であり得る。対象の血清中のIL-10レベルを決定するために、試料中のIL-10濃度を酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)又は当技術分野で公知の任意の他の技術によって決定することができる。
【0026】
所定の値は、約1~約3.5pg/mlであってもよい。所定の値は、約1.5~約2.5pg/mlであってもよい。所定値は、1.7~2.3pg/ml程度であってもよい。所定値は、約1.0、約1.1、約1.2、約1.3、約1.4、約1.5、約1.6、約1.7、約1.8、約1.9、約2.0、約2.1、約2.2、約2.3、約2.4、約2.5、約2.6、約2.7、約2.8、約2.9、約3.0、約3.1、約3.2、約3.3、約3.4、約3.5、約1、約2又は約3であり得る。所定値は、0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3.0、3.1、3.2、3.3、3.4、3.5、1、2又は3pg/mlのいずれかであり得る。
【0027】
所定の値は、特に約2pg/mlであり得る。所定値は、特に2pg/mlであり得る。所定の値は、a)SLEを有する対象の試料集団における対象のIL-10血漿中濃度を決定することと、b)SLEを有する対象の集団におけるIL-10濃度の中央値を決定することと、によって測定決定され、所定の値は、b)において決定される中央値である。
【0028】
対象が、処置前に10mg以上の用量のステロイドを投与される、前述の請求項のいずれか一項に記載の方法。
【0029】
対象におけるSLE疾患活動性の低下は、以下のいずれかの1つ又は複数を含み得る。
・対象におけるBILAGベースの総合狼瘡評価(BICLA)応答、
・対象におけるSRI(4)応答、
・対象の皮膚エリテマトーデス疾患領域及び重症度指数(CLASI)スコアの、処置前の対象のCLASIスコアと比較した引下げ、
・対象の圧痛関節数及び関節腫脹数の、処置前の対象の圧痛関節数及び関節腫脹数と比較した引下げ、
・対象が、処置後に1 BILAG-2004Bスコアの最大値を有すること、
・対象が、処置後にC又はそれよりも良いBILAG-2004スコアを有すること、
・対象に、処置前と比較した、少なくとも1つの患者報告アウトカム(PRO)の改善があること、並びに
・処置前の対象のフレア率と比較した、対象のSLEフレア率の引下げ。
【0030】
本発明の方法は、IFNAR阻害剤の投与の前と後に、対象のBILAGスコアを測定することを含んでもよい。BICLA応答は、少なくとも52週間、対象において持続し得る。方法は、IFNAR阻害剤の投与の前と後に、対象においてPROを測定することを含んでよい。PROは、対象の慢性疾病処置-疲労の機能評価(FACIT-F)、ShortForm36健康調査バージョン2(SF-36-v2)、精神構成要素サマリ(MCS)、及び/又はSF-36、物理的構成要素サマリ(PCS)スコアを含んでよい。
【0031】
BICLA応答は、対象のBILAG-2004A及びBドメインスコアの、それぞれB/C/D及びC/Dへの引下げを含んでよい。処置前の対象のCLASIスコアと比較して対象のCLASIスコアを引き下げることは、処置前の対象のCLASI-Aスコアと比較した対象のCLASI-Aスコアの引下げを含んでもよい。対象においてSLE疾患活動性を引き下げることは、対象において抗dsDNAレベルを引き下げることを含んでよい。対象におけるSLE疾患活動性の低下は、BILAGベースの総合狼瘡評価(BICLA)応答を含み得、方法はまた、対象に投与されるOCS用量を、対象の処置前に投与されるOCS用量と比較して低下させることを含む。
【0032】
OCSは、プレドニゾン、プレドニゾロン、及び/又はメチルプレドニゾロンを含む。
【0033】
対象においてSLE疾患活動性を引き下げることは、処置の少なくとも4週目までのBILAGベースの総合狼瘡評価(BICLA)応答を含んでよい。
【0034】
SLE疾患活動性を引き下げることは、処置の少なくとも8週目までのBILAGベースの総合狼瘡評価(BICLA)応答を含んでよい。対象においてSLE疾患活動性を引き下げることは、処置前の対象における圧痛関節数及び関節腫脹数の値と比較した、対象における圧痛関節数及び関節腫脹数の少なくとも50%の改善を含んでよい。対象のCLASIスコアの引下げは、処置の少なくとも8週目までに達成され得る。対象のCLASIスコアの引下げは、処置の12週後に達成され得る。対象においてSLE疾患活動性を引き下げることは、処置前の対象のCLASIスコアと比較した、対象のCLASIスコアの少なくとも50%の引下げを含んでよい。対象においてSLE疾患活動性を引き下げることは、処置の12週後の対象のCLASI-Aスコアの引下げを含んでよい。対象は、処置前のCLASI-Aスコアが≧10であってよい。対象においてSLE疾患活動性を引き下げることは、処置の24週後に、対象のBILAG-2004スコアがC又はそれよりも良いことを含んでよい。対象においてSLE疾患活動性を引き下げることは、対象が、処置の24週後に1 BILAG-2004Bスコアの最大値を有することを含んでよい。対象においてSLE疾患活動性を引き下げることは、処置前の対象のBILAGベースの年率換算したフレア率と比較した、対象のBILAGベースの年率換算したフレア率の引下げを含んでよい。対象においてSLE疾患活動性を引き下げることは、対象においてフレアを予防することを含んでよい。
【0035】
フレアは、1ヵ月以前の対象のスコアと比較した、≧1の新しいBILAG-2004Aドメインスコア又は≧2の新しい(悪化)BILAG-2004Bドメインスコアと定義されてよい。対象においてSLE疾患活動性を引き下げることは、処置前のフレア率と比較した、対象におけるフレア率の引下げを含んでよく、方法は、処置前の対象に投与されるOCS用量と比較して、対象へのOCS用量投与を引き下げることを含む。方法は、処置について対象を選択することを含んでよく、対象は、活動性SLEを患っていることについて選択される。対象は、中等度~重度のSLEを有することについて選択され得る。対象は、OCS処置に非応答性であるSLEを患っていることについて選択されてよい。
【0036】
対象は、成体であってよい。
【0037】
5.2I型IFN受容体阻害剤
I型IFN受容体阻害剤(IFNR、IFNAR、IFNAR1)は、静脈内又は皮下に投与され得る。I型IFN受容体阻害剤は、IFNAR1に特異的に結合する抗I型インターフェロン受容体抗体又はその抗原結合断片であってよい。抗体は、モノクローナル抗体であってよい。抗体は、アニフロルマブであってよい。
【0038】
IFN受容体阻害剤は、配列番号3のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域相補性決定領域1(HCDR1);配列番号4のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域相補性決定領域2(HCDR2);配列番号5のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域相補性決定領域3(HCDR3);配列番号6のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域相補性決定領域1(LCDR1);配列番号7のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域相補性決定領域2(LCDR2);及び/又は配列番号8のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域相補性決定領域3(LCDR3)を含み得る。
【0039】
IFN受容体阻害剤は、(a)配列番号1のアミノ酸配列を含むヒト重鎖可変領域;(b)配列番号2のアミノ酸配列を含むヒト軽鎖可変領域を含み得る。IFN阻害剤は、Kabatに示されるようなEUインデックスによってナンバリングされるL234Fのアミノ酸置換を含むFc領域を含み、且つ、抗体は、非修飾抗体と比較して、少なくとも1つのFcリガンドに対する低下した親和性を示し、任意選択的に、抗体は、Kabatに示されるようなEUインデックスによってナンバリングされるようなL234F、L235E及び/又はP331Sのアミノ酸置換をFc領域に含み得る。IFN受容体阻害剤は、(a)配列番号11のアミノ酸配列を含むヒト鎖、及び(b)配列番号12のアミノ酸配列を含むヒト軽鎖を含み得る。
【0040】
I型IFN受容体阻害剤は、シファリムマブを含み得る。
【0041】
方法は、抗IL-10抗体を対象に投与することを含み得る。抗IL-10抗体は、(a)配列番号18のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び(b)配列番号17のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含み得る。
【0042】
抗IL-10抗体は、配列番号22のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域相補性決定領域1(HCDR1);配列番号23のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域相補性決定領域2(HCDR2);配列番号24のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域相補性決定領域3(HCDR3);配列番号19のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域相補性決定領域1(LCDR1);配列番号20のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域相補性決定領域2(LCDR2);及び/又は配列番号21のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域相補性決定領域3(LCDR3)を含み得る。IL-10抗体は、BT-063又はその機能的等価物であり得る。
【0043】
方法は、アニフロルマブを投与することを含み得る。処置は、300mgのアニフロルマブを投与することを含み得る。アニフロルマブは、静脈内(IV)注入として投与され得る。アニフロルマブは、4週毎に投与されてよい。アニフロルマブは、150mg/mLの濃度にて溶液により提供されてよい。
【0044】
方法は、I型IFN受容体阻害剤及びIL-10阻害剤を投与することを含み得る。
【0045】
本発明は、SLEの処置を必要とする対象においてSLEを処置する方法において使用するための医薬組成物であって、処置方法が、処置有効量のIFNR阻害剤を投与することを含み、対象が、所定の値より低いIL-10血漿濃度を有すると同定され、処置が、SLE疾患活動性を低下させる、医薬組成物に関する。IFNR阻害剤は、アニフロルマブであり得る。医薬組成物は、150mg/mLの濃度にてアニフロルマブを含んでよい。医薬組成物は、150mg/mLのアニフロルマブ、50mMリジンHCl、130mMトレハロース二水和物、0.05%ポリソルベート80、25mMヒスチジン/ヒスチジンHClを含み得、ここで医薬組成物は5.9のpHである。
【0046】
5.3用量
方法は、静脈内用量のアニフロルマブ又はその機能的バリアントを対象に投与することを含んでもよい。静脈内用量は、≧300mgのアニフロルマブ又はその機能的バリアントであってもよい。静脈内用量は、≦1000mgであってもよい。静脈内用量は、約300mg、約900mg又は約1000mgであり得る。静脈内用量は、4週間毎に投与され得る(Q4W)。
【0047】
方法は、皮下用量のアニフロルマブ又はその機能的バリアントを投与することを含み得る。皮下用量は、>105mg及び<150mgのアニフロルマブ又はその機能的バリアントであり得る。皮下用量は、≦135mgのアニフロルマブ又はその機能的バリアントであり得る。皮下用量は約120mgであり得る。皮下用量は、単回投与工程で投与され得る。皮下用量は、6~8日の間隔で投与され得る。皮下用量は、1週間に1回投与され得る。皮下用量は、約0.5~約1mlの体積を有し得る。皮下用量は、約0.8mlの体積を有し得る。
【0048】
5.4キット
本発明はまた、本発明の任意の方法で使用するためのキットに関する。キットは、本発明の医薬組成物を含み得る。キットは、使用説明書を含み得る。使用説明書は、本発明の任意の方法を指定することができる。使用説明書は、SLEを有する対象をI型IFN受容体(IFNR)阻害剤による処置のために選択する方法であって、対象のIL-10血漿濃度が所定値より低い場合、処置のために対象を選択することを含み、処置が、対象におけるSLE疾患活動性を低下させる、方法を指定し得る。使用説明書は、SLEを有する対象をI型IFN受容体(IFNR)阻害剤及びIL-10阻害剤による処置のために選択する方法であって、対象のIL-10血漿濃度が所定値より高い場合、処置のために対象を選択することを含み、処置が、対象におけるSLE疾患活動性を低下させる、方法を使用し得る。使用説明書は、SLEの処置を必要とする対象においてSLEを処置する方法であって、処置有効量のIFNR阻害剤及びIL-10阻害剤を投与することを含み、対象が、所定の値より高いIL-10血漿濃度を有すると特定され、処置が、SLE疾患活動性を低下させる、方法を指定し得る。使用説明書は、本発明はまた、SLEの処置を必要とする対象においてSLEを処置する方法であって、処置有効量の抗BAFFモノクローナル抗体及び抗CD20抗体を投与することを含み、対象は、所定値より高いIL-10血漿濃度を有すると同定され、処置は、SLE疾患活動性を低下させる、方法を指定し得る。
【0049】
キットは、アニフロルマブ又はその機能的等価物を含み得る。キットは、抗IL-10抗体を含み得る。キットは、ベリムマブ又はその機能的等価物を含み得る。
【0050】
6定義
6.1インターロイキン-10(IL-10)
IL-10(サイトカイン合成阻害因子(CSIF)、T細胞増殖阻害因子(TGIF)としても知られる;UniProtKB P22301)は、TNFα、IL-1IL-1β、IL-6、IL-8、IL-10、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)及びIL-12等の炎症促進性サイトカインの発現を抑制することによってT細胞機能を阻害する主に抗炎症性サイトカインである。IL-10はまた、単球による抗原提示を減少させる。しかしながら、IL-10は、その抗炎症的役割に加えて、B細胞の生存、増殖、分化及び抗体産生も促進する
【0051】
小規模非盲検臨床試験では、皮膚及び関節症状を有する狼瘡患者の抗IL-10処置(抗IL-10マウスmAb(B-N10))は、3週間の処置計画の6ヶ月以内に6人中5人の患者において臨床的に不活性な疾患の改善をもたらした。
【0052】
6.2抗IL-10抗体
SCH708980は、内臓リーシュマニア症(NCT01437020)の処置のために調査された抗IL-10モノクローナル抗体である。SLEの処置のための抗IL-10モノクローナル抗体は、国際公開第2005047326号パンフレット及び国際公開第2011.064399号パンフレットに記載されている。
【0053】
BT-063は、抗IL-10抗体である。BT-063は、参照により本明細書に組み込まれる国際公開第2011064399号パンフレットに記載されている。BT-063の配列を表6-1に示す。
【0054】
【表1】
【0055】
6.3I型IFN遺伝子シグネチャ(IFNGS)
I型インターフェロン(IFN)シグナル伝達は、多くの自己免疫疾患、特に全身性エリテマトーデス(SLE)において病態を促進し、このシグナル伝達を、全血中に存在するI型IFN誘導性転写物を介して追跡することができ、上記転写物は、I型IFN遺伝子シグネチャをもたらす。例として、Yao et al.(Hum Genomics Proteomics 2009,pii:374312)は、IFNα/β21-遺伝子シグネチャの同定及びI型IFN関連疾患又は障害のバイオマーカーとしてのその使用を記載している。
【0056】
I型IFNはSLE疾患の病因において重要であると考えられており、この経路の阻害はアニフロルマブによって標的化される。I型IFNの発現と抗IFN療法に対する応答の間の関係を理解するため、対象の疾患がI型IFNの活性化によって駆動されるか否かを知ることは必要である。しかしながら、標的タンパク質の直接測定が課題のままである。そうしたことから、特定のmRNAマーカーのセットに対する標的タンパク質の過剰発現の効果を評価するため、転写物に基づくマーカーが開発された。これらのマーカーの発現は、全血中で容易に検出され、SLEにおける皮膚等の罹患組織における発現との相関を示す。SLE対象における転写物スコアの二峰性分布は、IFN試験の高い亜集団及び低い亜集団を定義することを支援する(図1)。
【0057】
したがって、IFN遺伝子シグネチャ(IFNGS)を使用して、低レベル又は高レベルのIFN誘導性遺伝子発現を有する患者を同定することができる。一部の実施形態では、IFNGSは、インターフェロンα誘導性タンパク質27(IFI27)、インターフェロン誘導性タンパク質44(IFI44)インターフェロン誘導性タンパク質44様(IFI44L)、及びラジカルS-アデノシルメチオニンドメイン含有2(RSAD2)を含む。IFNGSを含む遺伝子の上方調節又は過剰発現は、当該技術分野で周知の方法によって計算され得る。例えば、シグネチャの過剰発現は、IFI27、IFI44、IFI44L、及びRSAD2における平均Ct(サイクル閾値)と3つの対照遺伝子;18S、ACTB及びGAPDHの平均Ctの間の差として計算される。IFNGSの発現増加の程度は、IFNの高い患者及びIFNの低い患者を同定するための倍数変化カットオフの同定を可能にする。一実施形態では、カットオフは、少なくとも約2である。別の実施形態では、カットオフは、少なくとも約2.5である。別の実施形態では、カットオフは、少なくとも約3である。別の実施形態では、カットオフは、少なくとも約3.5である。別の実施形態では、カットオフは、少なくとも約4である。別の実施形態では、カットオフは、少なくとも約4.5である。別の実施形態では、カットオフは、少なくとも3.5、3.6、3.7、3.8、3.9、4.0、4.1、4.2、4.3、4.4、及び4.5から選択される。別の実施形態では、カットオフは、約2~約8の間である。IFNGSの発現増加の程度はまた、IFNの高い亜集団及びIFNの低い亜集団を同定するためのΔCtカットオフの同定を可能にする。
【0058】
I型IFN遺伝子シグネチャ(IFNGS)は、国際公開第2011/028933号パンフレットに記載されており、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0059】
6.4I型IFN遺伝子シグネチャにおける遺伝子
患者のI型IFN遺伝子シグネチャ(本明細書ではI型IFN又はIFNa誘導性PDマーカー発現プロファイルとも呼ばれる)に含まれる遺伝子の群は、(a)IFI27、IFI44、IFI44L、IFI6及びRSAD2;又は(b)IFI44、IFI44L、IFI6及びRSAD2;又は(c)IFI27、IFI44L、IFI6及びRSAD2;又は(d)IFI27、IFI44、IFI6及びRSAD2;又は(e)IFI27、IFI44、IFI44L、及びRSAD2;又は(f)IFI27、IFI44、IFI44L、及びIFI6である。
【0060】
具体的な実施形態において、患者のI型IFN又はIFNa誘導性PDマーカー発現プロファイルに含まれる遺伝子の群は、IFI27、IFI44、IFI44L、IFI6及びRSAD2を含む。別の具体的な実施形態において、患者のI型IFN又はIFNa誘導性PDマーカー発現プロファイルに含まれる遺伝子の群は、IFI27、IFI44、IFI44L、IFI6及びRSAD2からなる。更に具体的な実施形態において、患者のI型IFN又はIFNa誘導性PDマーカー発現プロファイルに含まれる遺伝子の群は、IFI27、IFI44、IFI44L、及びRSAD2を含む。別の具体的な実施形態において、患者のI型IFN又はIFNa誘導性PDマーカー発現プロファイルに含まれる遺伝子の群は、IFI27、IFI44、IFI44L、及びRSAD2からなる。
【0061】
発現プロファイルにおけるIFNa誘導性PDマーカーは、(a)IFI27、IFI44、IFI44L、IFI6及びRSAD2;又は(b)IFI44、IFI44L、IFI6及びRSAD2;又は(c)IFI27、IFI44L、IFI6及びRSAD2;又は(d)IFI27、IFI44、IFI6及びRSAD2;又は(e)IFI27、IFI44、IFI44L、及びRSAD2;又は(f)IFI27、IFI44、IFI44L、及びIFI6を含み得る。
【0062】
発現プロファイルにおけるIFNa誘導性PDマーカーは、(a)IFI27、IFI44、IFI44L、IFI6及びRSAD2;又は(b)IFI44、IFI44L、IFI6及びRSAD2;又は(c)IFI27、IFI44L、IFI6及びRSAD2;又は(d)IFI27、IFI44、IFI6及びRSAD2;又は(e)IFI27、IFI44、IFI44L、及びRSAD2;又は(f)IFI27、IFI44、IFI44L、及びIFI6からなり得る。
【0063】
遺伝子の検出に適したプライマー及びプローブは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる国際公開第2011028933号パンフレットに見出すことができる。
【0064】
IFN21遺伝子シグネチャ(IFNGS)は、I型IFNシグナル伝達の有効な薬力学的マーカーであり10、これは、SLE、狼瘡腎炎、筋炎、シェーグレン及び強皮症を含むI型IFN媒介疾患を有する患者において上昇する。
【0065】
IFI27、IFI44、IFI44L及びRSAD2発現の測定によって4遺伝子IFNGSスコアが計算される。IFI27、RSAD2、IFI44、IFI44L、IFI6発現の測定によって5遺伝子IFNGSスコアが計算される。表6-2に示される遺伝子の測定によって21遺伝子IFNGSスコアが計算される。遺伝子発現は、対象の全血又は組織中のmRNAを検出することによって測定され得る。IFNGS(4遺伝子、5遺伝子又は21遺伝子)スコアは、対象の血液又は組織におけるIFNGS遺伝子発現(例えばmRNA)を測定し、遺伝子発現レベルを、血液又は組織におけるハウスキーピング遺伝子又は対照遺伝子、例えば、ACTB、GAPDH及び18S rRNAの発現と比較することによって、対象において検出され得る。
【0066】
【表2】
【0067】
6.5上方制御
患者の発現プロファイルにおけるI型IFN又はIFNa誘導性PDマーカーの上方制御又は下方制御は、対照(患者の疾患組織ではない試料(例えば、乾癬患者の非病変皮膚)から、又は疾患若しくは障害に罹患していない健康な人からのものであり得る)からの試料のものと比較してどの程度であってもよく、又は、その発現が疾患によって変化しない患者からの遺伝子(いわゆる「ハウスキーピング」遺伝子)のものと比較してもよい。
【0068】
上方制御又は下方制御の程度は、対照又は対照試料の上方制御又は下方制御の少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも100%、少なくとも125%、少なくとも150%、又は少なくとも200%、又は少なくとも300%、又は少なくとも400%、又は少なくとも500%以上であり得る。
【0069】
I型IFN又はIFNa誘導性PDマーカー発現プロファイルは、PDマーカーに含まれる遺伝子セットの発現又は活性の平均増加倍数として計算され得る。I型IFN又はIFNa誘導性PDマーカー発現プロファイルはまた、4つの標的遺伝子についての平均Ct(サイクル閾値)と3つの対照遺伝子の平均Ctとの差として計算される場合がある。
【0070】
遺伝子セットの発現又は活性の平均増加倍数は、少なくとも約2~少なくとも約15、少なくとも約2~少なくとも約10、又は少なくとも約2~少なくとも約5であり得る。遺伝子のセットの発現又は活性の平均倍率増加は、少なくとも約2、少なくとも約2.5、少なくとも約3、少なくとも約3.5、少なくとも約4、少なくとも約4.5、少なくとも約5、少なくとも約5.5、少なくとも約6、少なくとも約6.5、少なくとも約7、少なくとも約8、少なくとも約9、又は少なくとも約10であり得る。
【0071】
発現の増加の程度により、自己免疫疾患に罹患しているシグネチャ陽性及びシグネチャ陰性患者を同定するための倍率変化カットオフの同定が可能になる。一実施形態では、カットオフは、少なくとも約2である。別の実施形態では、カットオフは、少なくとも約2.5である。別の実施形態では、カットオフは、少なくとも約3である。別の実施形態では、カットオフは、少なくとも約3.5である。別の実施形態では、カットオフは、少なくとも約4である。別の実施形態では、カットオフは、少なくとも約4.5である。別の実施形態では、カットオフは、少なくとも3.5、3.6、3.7、3.8、3.9、4.0、4.1、4.2、4.3、4.4、及び4.5から選択される。別の実施形態では、カットオフは、約2~約8の間である。一実施形態において、カットオフは、IFI27、IFI44、IFI44L、IFI6及びRSAD2のうちの少なくとも4つの増加した発現レベルの平均である。別の実施形態において、カットオフは、IFI27、IFI44、IFI44L、IFI6及びRSAD2のうちの少なくとも4つの増加した発現レベルの中央値である。
【0072】
発現の増加の程度はまた、自己免疫疾患に罹患しているシグネチャ陽性及びシグネチャ陰性患者を同定するためのデルタCtカットオフの同定を可能にする。一実施形態では、カットオフは、少なくとも約7.6である。別の実施形態では、カットオフは7.56である。倍数変化カットオフを使用して、適切なデルタCtカットオフ(例えば、倍数変化<3の1<log2は、8.65から6.56のデルタCt範囲に対応する)を決定することができる。したがって、別の実施形態において、デルタCtカットオフは、約6.56~約8.56である。
【0073】
更に、患者は、I型IFNサブタイプを、対照の少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも100%、少なくとも125%、少なくとも150%、又は少なくとも200%、又は少なくとも300%、又は少なくとも400%、又は少なくとも500%、過剰発現し得るか、又はそれを過剰発現する組織を有し得る。I型IFNサブタイプは、IFNαl、IFNa2、IFNa4、IFNa5、IFNa6、IFNa7、IFNa8、IFNalO、IFNal4、IFNal7、IFNa21、IFNp、又はIFNcoのいずれかであり得る。I型IFNサブタイプは、IFNal、IFNa2、IFNa8及びIFNal4の全てを含み得る。
【0074】
IFNa誘導性PDマーカー発現プロファイルにおける試料において、プローブによって、又は、キットにおけるプローブによって検出される任意の遺伝子の上方制御された発現又は活性は、対照細胞のベースラインレベルに対して、例えば、健康な志願者の細胞又は対照動物の細胞或いは培養中にIFNaに曝露されていない細胞の少なくとも1.2倍であり得るか、少なくとも1.25倍であり得るか、少なくとも1.3倍であり得るか、少なくとも1.4倍であり得るか、少なくとも1.5倍であり得るか、少なくとも2.0倍であり得るか、少なくとも2.25倍であり得るか、少なくとも2.5倍であり得るか、少なくとも2.75倍であり得るか、少なくとも3.0倍であり得るか、少なくとも3.5倍であり得るか、少なくとも4.0倍であり得るか、少なくとも4.5倍であり得るか、少なくとも5.0倍であり得るか、少なくとも6.0倍であり得るか、少なくとも7.0倍であり得るか、少なくとも8.0倍であり得るか、少なくとも9.0倍であり得るか、少なくとも10.0倍であり得るか、少なくとも15.0倍であり得るか、少なくとも20.0倍であり得るか、少なくとも25.0倍であり得るか、又は少なくとも50.0倍であり得る。IFNa誘導性PDマーカー発現プロファイルにおける遺伝子の全てが、上方制御された発現又は活性を同じ増加倍数で有し得る。或いは、PDマーカー発現プロファイル中の遺伝子は、様々なレベルの上方制御された発現又は活性を有し得る。
【0075】
6.6上方制御の測定
IFNa誘導性PDマーカーの遺伝子発現又は活性の上方制御又は下方制御を、この技術分野において知られているどのような手段によってであれ決定することができる。例えば遺伝子発現の上方又は下方制御は、mRNAレベルを測定することで検出し得る。mRNA発現は、ノーザンブロット法、スロットブロッティング、定量的逆転写酵素ポリメラーゼ連鎖反応、又は遺伝子チップハイブリダイゼーション技術によって判定してもよい。遺伝子チップハイブリダイゼーション技術における核酸アレイを作製する例として、米国特許第5,744,305号明細書及び米国特許第5,143,854号明細書を参照のこと。遺伝子発現を測定するために、TAQMAN(登録商標)法を使用してもよい7,8
【0076】
ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)において標的に選択的に結合するプライマーは、PCR反応においてハイブリダイズし、バックグラウドを超える標的を検出するのに十分なシグナルを生成する経験的に決定するプライマーに基づいて選択され得るか、又はManiatis et al.Molecular Cloning,Second Edition,Section 11.46,1989に記載のようにプライマー:標的二本鎖の融解温度を用いて予測され得る。同様に、TAQMAN(登録商標)又は関連方法においてPCR産物を検出するためのプローブは、経験的に選択又は予測され得る。かかるプライマー及びプローブ(集合的に「オリゴヌクレオチド」)は、10~30の間又はそれを超えるヌクレオチド長であってもよい。
【0077】
IFNa誘導性PDマーカーの遺伝子発現又は活性の上方制御又は下方制御が、タンパク質レベルを検出することによって決定され得る。タンパク質発現レベルを検出するための方法は、酵素結合免疫吸着アッセイ、ウエスタンブロッティング、タンパク質アレイ、及び銀染色等の免疫に基づくアッセイを含む。[0054]IFNa誘導性PDマーカー発現プロファイルは、タンパク質活性のプロファイルを含み得る。IFNa誘導性PDマーカーの遺伝子発現又は遺伝子活性の上方制御又は下方制御を、検出可能なリン酸化活性、脱リン酸化活性又は切断活性を含むがこれらに限定されないタンパク質の活性を検出することによって求められ得る。
【0078】
更に、IFNa誘導性PDマーカーの遺伝子発現又は活性の上方制御又は下方制御は、これらの遺伝子発現レベル又は活性の任意の組合わせを検出することによって決定され得る。
【0079】
6.7患者試料
試料はまた、本開示の方法において患者から得ることができる。試料としては、任意の体液又は生体組織、例えば、全血、唾液、尿、滑液、骨髄、脳脊髄液、鼻分泌物、喀痰、羊水、気管支肺胞洗浄液、末梢血単核球又は全白血球、リンパ節細胞、脾臓細胞、扁桃腺細胞、又は皮膚が挙げられる。試料は、当該技術分野で公知の任意の手段によって得ることができる。VI.疾患進行のモニタリング方法
【0080】
患者の疾患進行をモニタリングする方法では、患者からの試料は、薬剤、例えば、I型IFN若しくはIFNa活性に結合してこれを調節する薬剤、又はI型IFN若しくはIFNa活性に結合してこれを調節しない薬剤、又はI型IFN若しくはIFNa活性に結合してこれを調節する薬剤を含んでも含まなくてもよい薬剤の組み合わせの投与前及び投与後に得てもよい。I型IFN又はIFNa誘導性PDマーカー発現プロファイルは、(薬剤投与前後の)試料において得られる。試料におけるI型IFN又はIFNa誘導性PDマーカー発現プロファイルが比較される。比較は、試料中に存在するI型IFN若しくはIFNa誘導性PDマーカーの数であり得るか、又は試料中に存在するI型IFN若しくはIFNa誘導性PDマーカーの量、又はそれらの任意の組合わせであり得る。処置剤の投与後に得られた試料において、処置剤の投与前に得られた試料と比較して、上方制御されたI型IFN又はIFNa誘導性PDマーカーの数又はレベル(又はそれらの任意の組合わせ)が低下している場合、処置剤の有効性を示す変動が示され得る。上方制御されたI型IFN又はIFNa誘導性PDマーカーの数は、少なくとも1倍、少なくとも2倍、少なくとも3倍、少なくとも4倍、少なくとも5倍、少なくとも6倍、少なくとも7倍、少なくとも8倍、少なくとも9倍又は少なくとも10倍減少し得る。任意の所与の上方制御されたI型IFN又はIFNa誘導性PDマーカーのレベルは、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、又は少なくとも95%低下し得る。低下したレベルを有する上方制御されたI型IFN又はIFNa誘導性PDマーカーの数は、少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、又は少なくとも4であり得る。上方制御されたI型IFN又はIFNa誘導性PDマーカーの数の減少及びレベルの減少の任意の組合わせは、有効性を示し得る。処置剤の投与後に得られた試料において、処置剤の投与前に得られた試料と比較して、下方制御されたI型IFN又はIFNa誘導性PDマーカーの数又はレベル(又はそれらの任意の組合わせ)が低下している場合、処置剤の有効性を示す変動が示され得る。
【0081】
患者から得られる試料は、薬剤の初回投与の前に得ることができ、即ち、患者は薬剤に対してナイーブである。或いは、患者から得られる試料は、処置の過程において薬剤の投与後に生じ得る。例えば、薬剤は、モニタリングプロトコルの開始前に投与されていてもよい。薬剤の投与後、更なる試料を患者から得ることができ、試料中のI型IFN又はIFNa誘導性PDマーカーを比較する。試料は同じ又は異なるタイプであってもよく、例えば、得られた各試料は血液試料であってもよく、又は得られた各試料は血清試料であってもよい。各試料において検出されるI型IFN又はIFNa誘導性PDマーカーは、同じであり得るか、実質的に重複し得るか、又は類似し得る。
【0082】
試料は、処置剤の投与前及び投与後の任意の時点で得ることができる。処置剤の投与後に得られる試料は、処置剤の投与の少なくとも2日後、少なくとも3日後、少なくとも4日後、少なくとも5日後、少なくとも6日後、少なくとも7日後、少なくとも8日後、少なくとも9日後、少なくとも10日後、少なくとも12日後、又は少なくとも14日後に得ることができる。処置剤の投与後に得られる試料は、処置剤の投与の少なくとも2週間後、少なくとも3週間後、少なくとも4週間後、少なくとも5週間後、少なくとも6週間後、少なくとも7週間後、又は少なくとも8週間後に得ることができる。処置剤の投与後に得られる試料は、処置剤の投与の少なくとも2ヶ月後、少なくとも3ヶ月後、少なくとも4ヶ月後、少なくとも5ヶ月後、又は少なくとも6ヶ月後に得ることができる。
【0083】
追加の試料は、処置剤の投与後に患者から得ることができる。少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、少なくとも7つ、少なくとも8つ、少なくとも9つ、少なくとも10個、少なくとも12個、少なくとも15個、少なくとも20個、少なくとも25個の試料を患者から得て、疾患又は障害の進行又は後退を経時的にモニタリングすることができる。疾患の進行は、少なくとも1週間、少なくとも2週間、少なくとも3週間、少なくとも4週間、少なくとも5週間、少なくとも6週間、少なくとも7週間、少なくとも2ヶ月、少なくとも3ヶ月、少なくとも4ヶ月、少なくとも5ヶ月、少なくとも6ヶ月、少なくとも1年間、少なくとも2年間、少なくとも3年間、少なくとも4年間、少なくとも5年間、少なくとも10年間の期間にわたって、又は患者の生涯にわたってモニタリングされ得る。追加的な試料が、毎月、月2回、四半期毎、年2回、又は毎年の間隔等で、定期的に患者から得られ得る。試料は、薬剤を一定間隔で投与した後、患者から得ることができる。例えば、試料は、薬剤の各投与の1週間後、又は薬剤の各投与の2週間後、又は薬剤の各投与の3週間後、又は薬剤の各投与の1ヶ月後、又は薬剤の各投与の2ヶ月後に、患者から得ることができる。或いは、薬剤の各投与後に、患者から複数の試料を得ることができる。
【0084】
患者における疾患進行は、薬剤の投与の非存在下で同様にモニターされ得る。試料は、疾患又は障害を有する患者から定期的に得られ得る。I型IFN又はIFNa誘導性PDマーカーの数が、以前に得られた試料と比較して、後に得られた試料において増加する場合、疾患の進行が特定され得る。I型IFN又はIFNa誘導性PDマーカーの数は、少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、又は少なくとも10増加し得る。任意の所与の上方制御されたI型IFN又はIFNa誘導性PDマーカーのレベルが、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、又は少なくとも95%上昇する場合、疾患の進行が特定され得る。任意の所与の下方制御されたI型IFN又はIFNa誘導性PDマーカーのレベルが、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、又は少なくとも95%減少する場合、疾患の進行が特定され得る。上昇したレベルを有する上方制御されたI型IFN又はIFNa誘導性PDマーカーの数は、少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも25、少なくとも30、又は少なくとも35であり得る。減少したレベルを有する下方制御されたI型IFN又はIFNa誘導性PDマーカーの数は、少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも25、少なくとも30、又は少なくとも35であり得る。上方制御されたI型IFN又はIFNa誘導性PDマーカーの数の増加及びレベルの増加の任意の組合わせは、疾患進行を示し得る。或いは、又は組み合わせて、下方制御されたI型IFN又はIFNa誘導性PDマーカーの数の減少及びレベルの減少の任意の組合わせは、疾患進行を示し得る。疾患退縮はまた、薬剤によって処置されていない疾患又は障害を有する患者において特定され得る。この場合、I型IFN又はIFNa誘導性PDマーカーの数が、以前に得られた試料と比較して、後に得られた試料において減少するならば、回帰が特定される場合がある。I型IFN又はIFNa誘導性PDマーカーの数は、少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、又は少なくとも10減少し得る。任意の所与の上方制御されたI型IFN又はIFNa誘導性PDマーカーのレベルが、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、又は少なくとも95%減少する場合、疾患の退縮が特定され得る。任意の所与の下方制御されたI型IFN又はIFNa誘導性PDマーカーのレベルが、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、又は少なくとも95%増加する場合、疾患の退縮が特定され得る。減少したレベルを有する上方制御されたI型IFN又はIFNa誘導性PDマーカーの数は、少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも25、少なくとも30、又は少なくとも35であり得る。増加したレベルを有する下方制御されたI型IFN又はIFNa誘導性PDマーカーの数は、少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも25、少なくとも30、又は少なくとも35であり得る。疾患進行又は疾患退縮は、任意の間隔で任意の期間にわたって試料を得ることで、モニターし得る。疾患進行又は疾患退縮は、少なくとも1週間、少なくとも2週間、少なくとも3週間、少なくとも4週間、少なくとも5週間、少なくとも6週間、少なくとも7週間、少なくとも2ヶ月、少なくとも3ヶ月、少なくとも4ヶ月、少なくとも5ヶ月、少なくとも6ヶ月、少なくとも1年間、少なくとも2年間、少なくとも3年間、少なくとも4年間、少なくとも5年間、少なくとも10年間、又は患者の寿命にわたって試料を得ることでモニターし得る。疾患進行又は疾患退縮は、少なくとも毎月、月2回、四半期毎、年2回、又は毎年試料を得ることでモニターし得る。試料を厳密な間隔で得る必要はない。
【0085】
6.8キット及びプローブ
本開示はまた、キット及びプローブを包含する。プローブは、IFNa誘導性PDマーカー発現プロファイルに含まれ得る任意の遺伝子の任意の発現又は活性を検出する任意の分子であり得る。
【0086】
6.9対象
「対象」という用語は、ヒト及び非ヒト動物(特に哺乳類)を含むことが意図されている。対象は、成人患者であってよい。対象は、中程度から重度のSLEを患っている患者であってよい。
【0087】
6.10処置
本明細書で使用される場合、用語「処置」又は「処置する」は、処置的処置及び予防的(prophylactic)又は予防的(preventative)措置の両方を指す。処置を必要とする者として、SLEを患っている対象、及びSLEを患う傾向がある者又はSLEが予防されるべきである者が挙げられる。一部の実施形態において、本明細書中で開示される方法は、SLEを処置するのに用いることができる。
【0088】
6.11投与
本明細書で使用される場合、用語「投与」又は「投与すること」は、所望の効果を達成するのに適切なあらゆる経路により、化合物を提供すること、接触させること、及び/又は送達することを指す。投与は、限定はされないが、経口、舌下、非経口(例えば、静脈内、皮下、皮内、筋肉内、関節内、動脈内、関節滑液嚢内、胸骨内、くも膜下腔内、病変内、又は頭蓋内注射)、経皮、局所、頬側、直腸、膣、経鼻、点眼、吸入経由、及びインプラントを含んでもよい。
【0089】
6.12用量及び投与方法
方法は、静脈内用量のアニフロルマブ又はその機能的バリアントを対象に投与することを含んでもよい。静脈内用量は、≧300mgのアニフロルマブ又はその機能的バリアントであってもよい。静脈内用量は、≦1000mgであってもよい。静脈内用量は、約300mg、約900mg又は約1000mgであり得る。静脈内用量は、4週間毎に投与され得る(Q4W)。
【0090】
方法は、皮下用量のアニフロルマブ又はその機能的バリアントを投与することを含み得る。皮下用量は、>105mg及び<150mgのアニフロルマブ又はその機能的バリアントであり得る。皮下用量は、≦135mgのアニフロルマブ又はその機能的バリアントであり得る。皮下用量は約120mgであり得る。皮下用量は、単回投与工程で投与され得る。皮下用量は、6~8日の間隔で投与され得る。皮下用量は、1週間に1回投与され得る。皮下用量は、約0.5~約1mlの体積を有し得る。皮下用量は、約0.8mlの体積を有し得る。
【0091】
6.13医薬組成物
本明細書中で用いられる用語「医薬組成物」は、対象に適切に投与された場合に所望の処置効果を誘導することができる化合物又は組成物を指す。一部の実施形態では、本開示は、薬学的に許容できる担体及び処置有効量の少なくとも1つの本開示の抗体を含む医薬組成物を提供する。
【0092】
本明細書で使用される場合、用語「薬学的に許容される担体」又は「生理学的に許容される担体」は、本開示の1種又は複数種の抗体の送達を達成するのに又は増強するのに適した1種又は複数種の製剤材料を指す。
【0093】
6.14抗原結合断片
用語「抗原結合断片」は、抗原に特異的に結合する能力を保持する抗体の1つ以上の断片を指す。抗原結合断片の例として、以下が挙げられる:Fab断片、F(ab’)2断片、Fd断片、Fv断片、dAb断片、及びscFv。
【0094】
6.15全身性エリテマトーデス(SLE)
全身性エリテマトーデス(SLE)は、病因不明の慢性多臓器性身体障害性自己免疫リウマチ疾患である。全身性エリテマトーデスは主に、出産年齢の女性に影響を与え、最近の総説では、出産年齢における女性対男性比が約12:1であると報告されている。SLEの現在の発病率及び有病率に関する正確なデータは、大いに不足している。しかしながら、SLEは、非コーカソイドの集団においてより一般的であるという多数の指摘がある;例えば、米国(USA)において、SLEは、コーカソイドよりもアフリカ系アメリカ人、ヒスパニック系、及びアジア系に多く見られる。結果として、SLE有病率は、国によって変動する。また、国内のSLE有病率の変動性は、人種的な遺伝的差異、複雑な社会経済因子、及び年齢に依存していると思われる;女性における疾患の発病率は、通常、15~44歳の間で最も高い。
【0095】
SLEの臨床症状として、全身病徴、脱毛症及び発疹、漿膜炎、炎症性関節炎、腎疾患、全身性脈管炎、リンパ節腫脹、脾腫、溶血性貧血、認知機能不全、並びに他の中枢神経系(CNS)障害が挙げられ得る。これらの疾患徴候は、疾病の重大な負荷を生じさせて、身体機能の低下、失業、健康関連クオリティ・オブ・ライフ(HRQoL)の低下、及び寿命の約10年の短縮を引き起こす虞がある。入院、並びに慢性経口コルチコステロイド(OCS)が挙げられる薬物、及び他の免疫抑制処置の副作用の増加は、SLEにおける疾病負荷を増す。現時点では、円板状狼瘡及びSLEでの使用にヒドロキシクロロキンが承認されてから約50年において、ベリムマブだけが、食品医薬品局(FDA)によって承認されたSLE用の新しい処置である。その他の場合には、SLE(SOCSLE)の既存の標準処置処置は、適応外薬物からなる。全身性エリテマトーデス。
【0096】
6.16CLASI(皮膚エリテマトーデス疾患領域及び重症度指数)
CLASIは、疾患重症度、及び処置に対する応答を測定するのに用いられるツールである。CLASI活動性スコアにおける4ポイント又は20%の低下が、一般的に、処置に対する応答者として対象を分類するためのカットオフとして見られる。特定の実施形態において、アニフロルマブを用いる処置は、対象のベースラインスコアと比較して、対象のCLASIスコアを少なくとも50%引き下げる。
【0097】
CLASIは、SLEの皮膚病変を評価するのに用いられる証明された指数であり、2つの別個のスコアからなる:第1のスコアは、疾患の炎症活性を要約する;第2のスコアは、疾患によってできる損傷の尺度である。活動性スコアでは、紅斑、鱗屑/肥大、粘膜病変、最近の毛髪減少、及び非瘢痕性脱毛症が考慮される。損傷スコアは、色素沈着異常、瘢痕化/萎縮/脂肪織炎、及び頭皮の瘢痕化を表す。対象は、彼らの色素沈着異常が12ヶ月以上続いたか否かが尋ねられ、その場合、色素沈着異常スコアが疑われる。上記パラメータの各々は、13の異なる解剖学的位置で測定され、具体的には、それらが最も多くは皮膚エリテマトーデス(CLE)に関与することから含められる。各領域内の最も重度の病変が測定される。
【0098】
特定の実施形態において、アニフロルマブを用いる処置は、対象のCLASIスコアを、処置の少なくとも8週、12週、24週、36週、48週、又は52週目までに引き下げる。特定の実施形態において、アニフロルマブを用いる処置は、対象のCLASIスコアを、少なくとも8週目までに引き下げる。特定の実施形態において、アニフロルマブを用いる処置は、対象のCLASIスコアを、少なくとも12週目までに引き下げる。
【0099】
特定の実施形態において、本明細書中で提供されるのは、全身性エリテマトーデスの処置を必要とする対象において全身性エリテマトーデスを処置する方法であって、対象に、アニフロルマブの処置的に有効な量を投与することを含み、処置は、プラセボを受けた患者と比較して、皮膚エリテマトーデス疾患領域及び重症度指数(CLASI)スコアを引き下げる、方法である。
【0100】
6.17経口コルチコステロイド
経口コルチコステロイドとして、プレドニゾン、コルチゾン、ヒドロコルチゾン、メチルプレドニゾロン、プレドニゾロン、及びトリアムシノロンが挙げられる。
【0101】
特定の実施形態において、本明細書中で提供されるのは、全身性エリテマトーデスの処置を必要とする対象において全身性エリテマトーデスを処置する方法であって、対象は、経口コルチコステロイドで処置されており、対象に、アニフロルマブの処置的に有効な量を投与することを含み、処置は、対象における経口コルチコステロイド投薬を、少なくとも≦5.5mg/日、≦6.5mg/日、≦7.5mg/日、又は≦8.5mg/日に引き下げる、方法である。特定の実施形態において、対象における経口コルチコステロイド投薬の引下げは、少なくとも≦7.5mg/日に引き下げられる。特定の実施形態において、処置は、対象における経口コルチコステロイド投薬を、≧10mg/日から≦7.5mg/日に引き下げる。
【0102】
特定の実施形態において、本明細書中で提供されるのは、全身性エリテマトーデスの処置を必要とする対象において全身性エリテマトーデスを処置する方法であって、対象は、経口コルチコステロイドで処置されており、対象に、アニフロルマブの処置的に有効な量を投与することを含み、処置は、対象における経口コルチコステロイド投薬を、少なくとも≦5.5mg/日、≦6.5mg/日のプレドニゾン若しくはプレドニゾン等価用量、≦7.5mg/日のプレドニゾン若しくはプレドニゾン等価用量、又は≦8.5mg/日のプレドニゾン若しくはプレドニゾン等価用量に引き下げる、方法である。特定の実施形態において、対象における経口コルチコステロイド投薬の引下げは、少なくとも≦7.5mg/日に引き下げられる。特定の実施形態において、処置は、対象における経口コルチコステロイド投薬を、≧10mg/日から、≦7.5mg/日のプレドニゾン又はプレドニゾン等価用量に引き下げる。
【0103】
経口プレドニゾンの等価用量の例を表6-3に示す。
【0104】
【表3】
【0105】
6.18I型IFN阻害剤
6.18.1アニフロルマブ
I型インターフェロン(IFN)は、自然免疫と適応免疫との重大なリンクを形成するサイトカインであり、遺伝的感受性データによってSLEに関係していると示されており、大部分のSLE患者においてインターフェロン刺激遺伝子発現を上方制御する
【0106】
アニフロルマブ(MEDI-546,“ANI”、“anifro”)は、I型インターフェロン受容体(IFNAR)へのI型IFNの結合を阻害し、全てのI型IFNの生物学的活性を阻害する。アニフロルマブ(MEDI-546)は、I型インターフェロン受容体(IFNAR1)のサブユニット1に対するヒト免疫グロブリンG1カッパ(IgG1κ)モノクローナル抗体(mAb)である。これは、2つの同一の軽鎖及び2つの同一の重鎖で構成され、全体の分子量は約148kDaである。アニフロルマブに関する開示は、米国特許第7,662,381号明細書及び米国特許第9,988,459号明細書(参照により本明細書に組み込まれる)に見出すことができる。
【0107】
アニフロルマブは、IFNAR遮断(拮抗)抗体であり、受容体のリガンド、即ち、インターフェロンα及びインターフェロンβ等のI型インターフェロンの活性を遮断する。ゆえに、アニフロルマブは、IFNARシグナル伝達の下方制御、及びそれ故のIFN誘導性遺伝子の抑制を実現する。
【0108】
【表4】
【0109】
ゆえに、アニフロルマブは、配列番号3、配列番号4、及び配列番号5のそれぞれHCDR1、HCDR2、及びHCDR3(又はその機能的バリアント);並びに配列番号6、配列番号7、及び配列番号8のそれぞれLCDR1、LCDR2、及びLCDR3(又はその機能的バリアント)を含む抗体である。より詳細には、本明細書中で参照されるアニフロルマブは、配列番号1のVH及び配列番号2のVLを含む抗体(又はその機能的バリアント)である。
【0110】
本発明は、列挙されたCDR配列又は可変重鎖及び可変軽鎖配列(参照(アニフロルマブ)抗体)、並びにそれらの機能的バリアントを有する、本明細書で定義される抗体を包含する。「機能的バリアント」は、参照(アニフロルマブ)抗体と同じ標的抗原に結合する。機能的バリアントは、参照抗体と比較されるとき、標的抗原に対して異なる親和性を有してもよいが、実質的に同じ親和性が好ましい。
【0111】
一実施形態において、参照(アニフロルマブ)抗体の機能的バリアントは、対応する参照CDR配列と比較した場合、1つ以上のCDRでの配列変異を示す。したがって、抗体の機能的バリアントは、CDRの機能的バリアントを含んでもよい。「機能的バリアント」という用語がCDR配列との関連で使用される場合、これは、CDRが、対応する参照CDR配列と比較されるとき、最大で2つ、好ましくは最大で1つのアミノ酸差異を有し、残りの5つのCDR(又はそのバリアント)と組み合わされる場合、バリアント抗体が、参照(アニフロルマブ)抗体と同じ標的抗原に結合し、好ましくは、参照(アニフロルマブ)抗体と同じ標的抗原に対する親和性を示すことを可能にすることを意味する。
【0112】
理論によって拘束されることを望むものではないが、アニフロルマブがIFNARを標的化(例えば、ブロック又はアンタゴナイズ)するので、アニフロルマブは、I型インターフェロン(IFN)によって開始されるシグナル伝達をブロックすることによって疾患(例えばSLE)を処置すると考えられている。I型IFNは、(例えば、I型インターフェロン応答を協調させることによる)炎症の重要なドライバーであり、それ故、免疫系における中心的役割を担うことが知られている。しかしながら、I型IFN-シグナル伝達の調節不全は、異常な(例えば異常に高い)レベルの炎症及び自己免疫に至る虞がある。I型IFNインターフェロンのそのような調節不全は、多数の自己免疫疾患において報告されている、
【0113】
例えば、参照(アニフロルマブ)抗体のバリアントは、以下を含んでよい:
・配列番号3と比較した場合、多くとも2つのアミノ酸差異を有する重鎖CDR1;
・配列番号4と比較した場合、多くとも2つのアミノ酸差異を有する重鎖CDR2;
・配列番号5と比較した場合、多くとも2つのアミノ酸差異を有する重鎖CDR3;
・配列番号6と比較した場合、多くとも2つのアミノ酸差異を有する軽鎖CDR1;
・配列番号7と比較した場合、多くとも2つのアミノ酸差異を有する軽鎖CDR2;
・配列番号8と比較した場合、多くとも2つのアミノ酸差異を有する軽鎖CDR3;
ここで、バリアント抗体は、アニフロルマブ(例えばIFNAR)の標的に、好ましくは同じ親和性で結合する。
【0114】
好ましくは、参照(アニフロルマブ)抗体のバリアントは、以下を含んでよい:
・配列番号3と比較した場合、多くとも1つのアミノ酸差異を有する重鎖CDR1;
・配列番号4と比較した場合、多くとも1つのアミノ酸差異を有する重鎖CDR2;
・配列番号5と比較した場合、多くとも1つのアミノ酸差異を有する重鎖CDR3;
・配列番号6と比較した場合、多くとも1つのアミノ酸差異を有する軽鎖CDR1;
・配列番号7と比較した場合、多くとも1つのアミノ酸差異を有する軽鎖CDR2;
・配列番号8と比較した場合、多くとも1つのアミノ酸差異を有する軽鎖CDR3;
バリアント抗体は、アニフロルマブの標的(例えば、IFNAR(IFNAR1及びIFNRとも称される))に、好ましくは同じ親和性で結合する。
【0115】
一実施形態において、バリアント抗体は、対応する参照(アニフロルマブ)抗体と比較した場合、そのCDRにおいて総計多くとも5つ、4つ、又は3つのアミノ酸差異を有してよいが、CDR1つ当たりのアミノ酸差異は、多くとも2つ(好ましくは多くとも1つ)しか存在しないことを条件とする。好ましくは、バリアント抗体は、対応する参照(アニフロルマブ)抗体と比較した場合、そのCDRにおいて総計多くとも2つ(より好ましくは多くとも1つ)のアミノ酸差異を有するが、CDR1つ当たりのアミノ酸差異は、多くとも2つしか存在しないことを条件とする。より好ましくは、バリアント抗体は、対応する参照(アニフロルマブ)抗体と比較した場合、そのCDRにおいて総計多くとも2つ(より好ましくは多くとも1つ)のアミノ酸差異を有するが、CDR1つ当たりのアミノ酸差異は、多くとも1つしか存在しないことを条件とする。
【0116】
アミノ酸差異は、アミノ酸置換、挿入又は欠失であってもよい。一実施形態において、アミノ酸差異は、本明細書中に記載される保存的アミノ酸置換である。
【0117】
一実施形態において、バリアント抗体は、対応する参照(アニフロルマブ)抗体と比較した場合、そのフレームワーク領域において総計多くとも5つ、4つ、又は3つのアミノ酸差異を有してよいが、フレームワーク領域1つ当たりのアミノ酸差異は、多くとも2つ(好ましくは多くとも1つ)しか存在しないことを条件とする。好ましくは、バリアント抗体は、対応する参照(アニフロルマブ)抗体と比較した場合、そのフレームワーク領域において総計多くとも2つ(より好ましくは多くとも1つ)のアミノ酸差異を有するが、フレームワーク領域1つ当たりのアミノ酸差異は、多くとも2つしか存在しないことを条件とする。より好ましくは、バリアント抗体は、対応する参照(アニフロルマブ)抗体と比較した場合、そのフレームワーク領域において総計多くとも2つ(より好ましくは多くとも1つ)のアミノ酸差異を有するが、フレームワーク領域1つ当たりのアミノ酸差異は、多くとも1つしか存在しないことを条件とする。
【0118】
ゆえに、バリアント抗体は、本明細書中に記載される可変重鎖及び可変軽鎖を含んでよい:
・重鎖は、本明細書中の重鎖配列と比較した場合、多くとも14個のアミノ酸差異(各CDR中に多くとも2つのアミノ酸差異、及び各フレームワーク領域中に多くとも2つのアミノ酸差異)を有し;且つ
・軽鎖は、本明細書中の軽鎖配列と比較した場合、多くとも14個のアミノ酸差異(各CDR中に多くとも2つのアミノ酸差異、及び各フレームワーク領域中に多くとも2つのアミノ酸差異)を有し;
ここで、バリアント抗体は、参照(アニフロルマブ)抗体(例えばIFNAR)と同じ標的抗原に、好ましくは同じ親和性で結合する。
【0119】
バリアント重鎖又は軽鎖は、参照重鎖又は軽鎖の「機能的等価物」と称されてもよい。
【0120】
一実施形態において、バリアント抗体は、本明細書中に記載される可変重鎖及び可変軽鎖を含んでよい:
・重鎖は、本明細書中の重鎖配列と比較した場合、多くとも7つのアミノ酸差異(各CDR中に多くとも1つのアミノ酸差異、及び各フレームワーク領域中に多くとも1つのアミノ酸差異)を有し;且つ
・軽鎖は、本明細書中の軽鎖配列と比較した場合、多くとも7つのアミノ酸差異(各CDR中に多くとも1つのアミノ酸差異、及び各フレームワーク領域中に多くとも1つのアミノ酸差異)を有し;
ここで、バリアント抗体は、参照(アニフロルマブ)抗体(例えばIFNAR)と同じ標的抗原に、好ましくは同じ親和性で結合する。
【0121】
アニフロルマブの機能的バリアントは、アニフロルマブと同じ機能を実施する配列バリアントである。アニフロルマブの機能的バリアントは、アニフロルマブと同じ標的に結合し、アニフロルマブと同じエフェクター機能を有するバリアントである。機能的アニフロルマブバリアントは、アニフロルマブの抗原結合断片並びにアニフロルマブの抗体及び免疫グロブリン誘導体を含む。機能的バリアントは、バイオシミラー及び互換可能な産物を含む。バイオシミラー及び互換可能な産物という用語は、FDA及びEMAによって定義される。バイオシミラーという用語は、承認された(例えば、FDAで承認された)生物学的産物(参照産物、例えば、アニフロルマブ)と構造の観点で高度に類似し、且つ薬物動態、安全性及び有効性の観点で参照産物との臨床的に有意な差異を有しない生物学的産物を指す。バイオシミラーの臨床的に有意な差異の存在は、ヒト薬物動態(曝露)及び薬力学的(応答)試験並びに臨床免疫原性の評価において評価されてもよい。互換可能な産物は、任意の所与の患者において参照産物と同じ臨床結果をもたらすことが想定されるバイオシミラーである。
【0122】
したがって、一実施形態では、I型インターフェロン受容体阻害剤は、アニフロルマブ又はその機能的バリアントである。
【0123】
アニフロルマブの機能的バリアントには、参照により本明細書に組み込まれる国際公開第2018/023976号パンフレットに記載されている抗体が含まれる(表6-5)。
【0124】
【表5】
【0125】
機能的バリアントには、配列番号13のVHアミノ酸配列を含む抗体が含まれる。機能的バリアントには、配列番号16のVHアミノ酸配列を含む抗体が含まれる。機能的バリアントには、配列番号14のVLアミノ酸配列を含む抗体が含まれる。機能的バリアントには、配列番号15のVLアミノ酸配列を含む抗体が含まれる。機能的バリアントには、配列番号16のVLアミノ酸配列を含む抗体が含まれる。機能的バリアントには、配列番号13のVH配列及び配列番号16のVLアミノ酸配列を含む抗体が含まれる。機能的バリアントには、配列番号13のVH配列及び配列番号15のVLアミノ酸配列を含む抗体が含まれる。機能的バリアントには、配列番号16のVH配列及び配列番号15のVLアミノ酸配列を含む抗体が含まれる。機能的バリアントには、配列番号16のVH配列及び配列番号14のVLアミノ酸配列を含む抗体が含まれる。
【0126】
IFNAR阻害剤は、配列番号13のVHアミノ酸配列を含むモノクローナル抗体であり得る。抗IFNAR抗体は、配列番号16のVHアミノ酸配列を含み得る。抗IFNAR抗体は、配列番号14のVLアミノ酸配列を含み得る。抗IFNAR抗体は、配列番号15のVLアミノ酸配列を含み得る。抗IFNAR抗体は、配列番号16のVLアミノ酸配列を含み得る。抗IFNAR抗体は、配列番号13のVH配列及び配列番号16のVLアミノ酸配列を含み得る。抗IFNAR抗体は、配列番号13のVH配列及び配列番号15のVLアミノ酸配列を含み得る。抗IFNAR抗体は、配列番号16のVH配列及び配列番号15のVLアミノ酸配列を含み得る。抗IFNAR抗体は、配列番号16のVH配列及び配列番号14のVLアミノ酸配列を含み得る。
【0127】
6.18.2シファリムマブ
シファリムマブ(MEDI-545)は、大部分のIFN-αサブタイプに結合してこれを中和する完全ヒト免疫グロブリンG1κモノクローナル抗体である10。シファリムマブは、米国特許第7,741,449号に記載されており、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。中等度~重度の活動性全身性エリテマトーデス(SLE)を有する成人の第IIb相無作為化二重盲検プラセボ対照試験(NCT01283139)において、シファリムマブの有効性及び安全性を評価した。431名の患者を無作為化し、標準処置薬に加えて、毎月静脈内シファリムマブ(200mg、600mg又は1200mg)或いはプラセボを投与した。主な有効性エンドポイントは、52週目にSLE応答者指数応答を達成した患者の割合であった。プラセボと比較して、シファリムマブ(全ての投与量)を受けた患者のより大きな割合が主要エンドポイントを満たした(プラセボ:45.4%;200mg:58.3%;600mg:56.5%;1200mg 59.8%)。
【0128】
上昇したI型IFNシグネチャを有するSLE患者へのシファリムマブの投与は、IFNGSを中和する11、12
【0129】
6.19圧痛関節及び腫脹関節
関節腫脹数及び圧痛関節数は、左右の肩、肘、手首、中手指節関節(MCP)1、MCP2、MCP3、MCP4、MCP5、上肢の近位指節間(PIP)1、PIP2、PIP3、PIP4、PIP5関節、及び下肢の左右の膝に基づく。関節数評価用の能動関節は、圧痛及び腫脹がある関節と定義される。
【0130】
特定の実施形態において、本明細書中で提供されるのは、全身性エリテマトーデスの処置を必要とする対象において全身性エリテマトーデスを処置する方法であって、対象に、アニフロルマブの処置的に有効な量を投与することを含み、処置は、プラセボを受けた患者と比較して、圧痛関節数及び関節腫脹数のベースライン値から、少なくとも50%の改善をもたらす、方法である。
【0131】
6.20投与レジメン
患者に投与されることになるアニフロルマブの用量は、対象のサイズ(体重、体表面、又は器官サイズ)及び状態(年齢及び健康状態)に部分的に応じて変わり得る。
【0132】
特定の実施形態において、対象は、アニフロルマブの1回以上の固定用量が投与され、用量は、150mg、200mg、250mg、300mg、又は350mgである。一部の実施形態において、対象は、アニフロルマブの1回以上の固定用量が投与され、用量は300mgである。
【0133】
特定の実施形態において、アニフロルマブは、2週の処置期間にわたって、4週の処置期間にわたって、6週の処置期間にわたって、8週の処置期間にわたって、12週の処置期間にわたって、24週の処置期間にわたって、又は1年以上の処置期間にわたって投与される。特定の実施形態において、アニフロルマブは、3週の処置期間にわたって、6週の処置期間にわたって、9週の処置期間にわたって、12週の処置期間にわたって、24週の処置期間にわたって、又は1年以上の処置期間にわたって投与される。特定の実施形態において、アニフロルマブは、少なくとも52週間投与される。
【0134】
特定の実施形態において、アニフロルマブは、毎週、2週毎に、4週毎に、6週毎に、8週毎に、10週毎に、又は12週毎に投与される。
【0135】
6.21投与方法
インビボ投与に使用される場合には、本開示の製剤は、無菌であるべきである。本開示の製剤は、例えば、滅菌濾過又は放射線を含む様々な無菌化方法によって無菌化されてもよい。一実施形態では、製剤は、予め無菌化された0.22ミクロンフィルターによって濾過滅菌される。注射用の無菌組成物を、“Remington:The Science&Practice of Pharmacy,”21st ed.,Lippincott Williams&Wilkins,(2005)で説明されているような従来の薬務に従って製剤化し得る。
【0136】
一部の実施形態において、I型IFN阻害剤は、経口、経鼻、肺、局所(頬側及び舌下が挙げられる)、直腸、腟、及び/又は非経口投与等の特定の投与経路用に製剤化することができる。「非経口投与」及び「非経口的に投与される」という用語は、本明細書で使用される場合、経腸及び局所投与以外の、通常は注射による投与様式を指し、下記が挙げられるが、これらに限定されない:静脈内、筋肉内、動脈内、くも膜下腔内、嚢内、眼窩内、心臓内、皮内、腹腔内、経気管、皮下、表皮下、関節内、被膜下、くも膜下、脊髄内、硬膜外、及び胸骨内の注射及び注入。
【0137】
一部の実施形態において、アニフロルマブは、経口、経鼻、肺、局所(頬側及び舌下が挙げられる)、直腸、膣、及び/又は非経口投与等の特定の投与経路用に製剤化することができる。「非経口投与」及び「非経口的に投与される」という用語は、本明細書で使用される場合、経腸及び局所投与以外の、通常は注射による投与様式を指し、下記が挙げられるが、これらに限定されない:静脈内、筋肉内、動脈内、くも膜下腔内、嚢内、眼窩内、心臓内、皮内、腹腔内、経気管、皮下、表皮下、関節内、被膜下、くも膜下、脊髄内、硬膜外、及び胸骨内の注射及び注入。
【0138】
6.22製剤
製剤は、単位剤形で存在し得、当該技術分野で公知の任意の方法によって調製され得る。本開示の製剤中における活性成分の実際の投薬量レベルは、対象に対して毒性でない、特定の対象、組成物、及び投与方法に所望される処置応答を実現するのに有効な活性成分の量(例えば「処置有効量」)が達成されるように様々であり得る。用量はまた、(例えば、ポンプを介する)連続注入を介して投与され得る。投与用量はまた、投与経路に依存し得る。
【0139】
医薬組成物は、約150mg/mLアニフロルマブを含んでよい。医薬組成物は、50mMリシンHClを含んでよい。医薬組成物は、130mMトレハロース二水和物を含んでよい。医薬組成物は、0.05%ポリソルベート80を含んでよい。医薬組成物は、25mMヒスチジン/ヒスチジンHClを含んでよい。医薬組成物は、pHが5.9であってよい。
【0140】
6.23インターフェロン試験
I型IFNは、SLE疾患において重要な病因であると考えられ、この経路の阻害は、アニフロルマブによって標的化される。I型IFNの発現と抗IFN療法に対する応答の間の関係を理解するため、対象の疾患がI型IFNの活性化によって駆動されるか否かを知ることは必要である。しかしながら、標的タンパク質の直接測定が課題のままである。そうしたことから、特定のmRNAマーカーのセットに対する標的タンパク質の過剰発現の効果を評価するため、転写物に基づくマーカーが開発された。これらのマーカーの発現は、全血中で容易に検出され、SLEにおける皮膚等の罹患組織における発現との相関を示す。SLE対象における転写物スコアの二峰性分布は、IFN試験の高い亜集団及び低い亜集団を定義することを支援する(図1A)。I型IFN試験は、国際公開第2011028933A1号パンフレット(その全体が参照により本明細書に組み込まれる)に記載されている。
【0141】
6.24SRI(≧4の全身性エリテマトーデス応答者指数)
対象は、以下の基準の全てが満たされた場合、SRI(4)を達成する:
・SLEDAI-2Kにおける≧4ポイントのベースラインからの減少;
・1以上又は2以上のBILAG-2004Aによって定義される、新たな冒された臓器系がない
・BILAG-2004Bの項目がBILAG-2004を用いてベースラインと比較される;
・3ポイントのPGA VASでの≧0.30ポイントの増加によって定義される、対象の狼瘡疾患活動性におけるベースラインからの悪化なし。
【0142】
SRI(X)(X=5、6、7、又は8)は、以下の基準を満たす対象の割合によって定義される:
・SLEDAI-2Kにおける≧Xポイントのベースラインからの減少;
・1以上又は2以上のBILAG-2004Aによって定義される、新たな冒された臓器系がない、又は
・より多くのBILAG-2004Bの項目がBILAG-2004を用いてベースラインと比較される;
・3ポイントのPGA VASでの≧0.30ポイントの増加によって定義される、対象の狼瘡疾患活動性におけるベースラインからの悪化なし
【0143】
6.25BILAG-2004、British Isles Lupus Assessment Group-2004
BILAG-2004は、臨床症状の重症度の変化を捕捉することができる9つの器官系(全身、皮膚粘膜、神経精神病学、筋骨格、心肺、消化管、眼、腎臓、及び血液学)による変換指数である。それは、設計による順序尺度を有し、グローバルスコアを有せず;むしろ、直前4週をそれらに先行する4週と比較することによって、異なる臓器系を通じた疾患活動性を一目で分かるように記録する。それは、医師の処置意図の原則に基づき、疾患活動性をAからEにかけての5つの異なるレベルに大別する:
・グレードAは、免疫抑制薬及び/又は>20mg/日の用量のプレドニゾン若しくは等価物を必要とする非常に活動性の高い疾患を表す
・グレードBは、より低い用量のコルチコステロイド、局所ステロイド、局所免疫抑制剤、抗マラリア剤、又はNSAIDを必要とする中等度の疾患活動性を表す
・グレードCは、軽度安定状態を指す
・グレードDは、疾患活動性がないが、系が以前に罹患していることを意味する
・グレードEは、現在又は以前の疾患活動性がないことを示す
【0144】
BILAG-2004は、処置意図の原則に基づいて開発されたが、処置は、スコアリング指標に対する関連性を有しない。活動性徴候の存在のみがスコアリングに影響する。
【0145】
6.26BICLA:BILAGベースの総合狼瘡評価(BICLA)
BICLAは、疾患活動性指数の専門家コンセンサスによって最初に得られた複合指標である。BICLA応答は、(1)エントリー時、中等度又は重度の疾患活動性を有する全ての身体系におけるベースラインBILAGスコアの改善の少なくとも1つのグラデーション(例えば、全A(重度疾患)スコアのB(中等度)、C(軽度)、又はD(活動性なし)への減少及び全BスコアのC又はDへの減少);(2)新たなBILAG Aの不在又は2つ以上の新たなBILAG Bスコア;(3)全SLEDAIスコアのベースラインからの悪化なし;(4)医師のグローバル評価における有意な悪化なし(≦10%);及び(5)処置失敗(非プロトコル処置の開始)なしと定義される。
【0146】
特に、対象は、以下の基準が満たされる場合、BICLA応答者である:
・1つの新しいBILAG-2004A又は2つ以上の新しいBILAG-2004Bの項目によって定義される通り、全てのベースラインBILAG-2004AのB/C/Dへの減少、ベースラインBILAG-2004BのC/Dへの減少、及び他の臓器系におけるBILAG-2004の悪化なし;
・SLEDAI-2Kにおける>0ポイントのベースラインからの増加と定義される、SLEDAI-2Kにおけるベースラインからの悪化なし;
・3ポイントのPGA VASでの≧0.30ポイントの増加によって定義される、対象の狼瘡疾患活動性におけるベースラインからの悪化なし;
・治験薬の中断又は評価前のプロトコルで許容された閾値を超える制限付きの薬物療法の使用がない
【0147】
特定の実施形態において、アニフロルマブを用いる処置は、対象のBICLA応答率を、処置の少なくとも8週、12週、24週、36週、48週、又は52週目までに改善する。特定の実施形態において、アニフロルマブを用いる処置は、対象のBICLA応答率を、少なくとも8週目までに改善する。
【0148】
特定の実施形態において、対象は、BICLA応答の改善を示す一方、対象は、全身性エリテマトーデス応答者指数(SRI)4スコアの改善を示さない。
【0149】
特定の実施形態において、本明細書中で提供されるのは、全身性エリテマトーデスの処置を必要とする対象において全身性エリテマトーデスを処置する方法であって、対象に、アニフロルマブの処置的に有効な量を投与することを含み、処置は、プラセボを受けている患者と比較して、BILAGベースの総合狼瘡評価(BICLA)応答率の改善をもたらす、方法である。BILAG応答率の改善は、統計学的に有意であり得る。BILAG応答率の改善は、多重性調整の後に、統計学的に有意であり得る。BILAG応答率の改善は、統計学的に有意であり得、統計学上の有意性は、p<0.05又はp<0.005によって決定される。
【0150】
6.27抗BAFF抗体
6.27.1ベリムマブ
ベリムマブは、既に標準処置を受けている活動性自己抗体陽性疾患を有するSLE患者の処置のために承認された抗BAFF抗体である。ベリムマブは、可溶性ヒトBリンパ球刺激タンパク質(BLysSとしても知られるBAFF)に選択的に結合する。ベリムマブは、BLySに対する完全ヒトIgG1λ組換えモノクローナル抗体である。ベリムマブと可溶性BLySとの特異的結合は、BLysとその受容体との相互作用を妨げ、B細胞生存及び自己抗体の産生を減少させる。
【0151】
ベリムマブ配列を表6-6に示す。
【0152】
【表6】
【0153】
【表7】
【0154】
BLISS-52(NCT00424476)及び76(NCT00410384)は、それぞれ52週間及び76週間の処置を通してベリムマブの有効性及び安全性を評価するために行われた第III相ランダム化試験であった。全てのSLE患者がベリムマブ処置に応答しないわけではない。ベリムマブ処置に対するより良好な応答は、ベースラインでのより高いベースライン疾患活動性(SELENA-SLEDAI≧10)、抗dsDNA陽性、低補体レベル又はコルチコステロイド処置に関連している。血清BAFFのベースラインレベルは、臨床応答の予測因子として実証されなかった13
【0155】
ベリムマブは、10mg/kgの用量で、最初の3回の投与については2週間間隔で、その後は4週間間隔で、静脈内注入によって投与されるSLEの処置について承認されている。ベリムマブはまた、週に1回200mgの用量で皮下注射によって投与されるSLEの処置にも承認されている。ベリムマブ製剤は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許出願第20180289804号明細書に記載されている。ベリムマブは、0、14及び28日目に10mg/kgの用量で、その後4週間間隔で投与され得る。ベリムマブは、最初の3つの用量について2週間毎に10mg/kgで投与され、次いで4週間毎に投与され得る。ベリムマブの投与量情報を表6-7に示す。
【0156】
【表8】
【0157】
6.27.2タバルマブ
タバルマブ(LY2127399)は、可溶性且つ膜結合性のB細胞活性化因子(BAFF)に結合するヒトIgG4モノクローナル抗体である。タバルマブの有効性及び安全性は、中程度から重度のSLEを患っている2人の患者(ILLUMINATE-1及びILLUMINATE-2)による、52週、第III相、マルチセンター無作為化二重盲検プラセボ対照治験において評価した。プライマリエンドポイントは、52週目にSLE応答者率5(SRI-5)応答を達成した患者の割合であった。ILLUMINATE-1(NCT01196091)において、プライマリエンドポイントは満たされなかった。また、主要セカンダリ有効性エンドポイント(OCS節約効果(OCSsparing)、重篤なフレアまでの時間(timetosevereflare)、最後の24時間での最も激しい疲労(worstfatigue))は、タバルマブ生物活性の薬力学的証拠(抗dsDNA、総B細胞、及び免疫グロブリンの有意な低下)にもかかわらず、統計学的有意性を達成しなかった38。プライマリエンドポイントは、より高い用量群(2週毎に120mgタバルマブ)のILLUMINATE-2(NCT01205438)において満たされた。しかしながら、OCS節約効果が挙げられるセカンダリエンドポイントは満たされなかった39。ILLUMINATE-1及びILLUMINATE-2に従って、タバルマブ開発は、小さい効果の大きさ、及び他の主要臨床エンドポイントを満たせないことを考えると、保留された。用量情報を表6-8に示す。
【0158】
【表9】
【0159】
6.28患者報告アウトカム(PRO)
特定の実施形態において、アニフロルマブを用いる処置は、MCRに終わる。特定の実施形態において、アニフロルマブを用いる処置は、PCRに終わる。
【0160】
SF-36-v2(急性)は、健康の8つのドメインを測定する多目的36項目調査である:身体機能、身体的健康に起因する役割制限、身体の痛み、全体的健康感、活力、社会的機能、感情的な問題に起因する役割制限、及びメンタルヘルス。SF-36-v2(急性)は、これらの8つの健康ドメイン毎のスケールスコア、並びに身体的及び精神的な健康の集約尺度:物理的構成要素サマリ及び精神構成要素サマリをもたらす。
【0161】
FACIT-Fは、以前の7日にわたる疲労の影響を評価するための、対象が完成させる13項目のアンケートである。応答は、0(全くなし)から4(非常に多い)に及ぶ。最終スコアは、応答の合計であり、0から52に及ぶ;スコアが高いほど、良好なQoLを示す(Yellenetal,1997)。スコアの>3ポイントの変化は、臨床的に意味があると考えられる。
【0162】
PtGAは、疾病状態及び健康状態が現時点で患者に影響を及ぼし得る全てを考慮する単一項目の質問である。患者は、この質問に答えるとき、以前の週を考えるべきである。応答は、100mmVASについて、非常に良いから非常に悪いに及ぶ。医師及び対象は、互いに独立して、PGA及びPtGAをそれぞれ完了しなければならない。
【0163】
主要奏功(MCR)は、24週目にBICLAスコアがC又はそれよりも良く、24~52週の間、新しいAスコアも新しいBスコアもなしで維持されるものを含む。部分奏功(PCR)は、24週目に1 BICLAスコアの最大値を含み、これは52週目まで、新しいAドメインスコアも>1の新しいBドメインスコアもなしで維持される。
【0164】
疾患活動性の医師のグローバル評価(PGA)は、医師が、視覚アナログスケール(VAS)によって対象の乾癬性関節炎(PsA)のステータスを評価する評価を指す。対象は、現在の関節炎がどんな状態であるかに従って評価される。VASは、「非常に良い」から「非常に悪い」の口頭の記述子を主体としている。
【0165】
当該方法は、対象において、アニフロルマブの投与の前後にPROを測定することを含んでよい。PROは、対象の慢性疾病処置-疲労の機能評価(FACIT-F)、ShortForm36健康調査バージョン2(SF-36-v2)、精神構成要素サマリ(MCS)、及び/又はSF-36、物理的構成要素サマリ(PCS)スコアを含んでよい。
【実施例
【0166】
7実施例
以下の実施例は、本開示の具体的な実施形態、及びそれらの様々な使用を例示する。それらは、あくまで説明を目的として記載され、決して本開示の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【0167】
8実施例1:MUSE相IIb
試験1013(NCT01438489)は、SOC SLEに対する不十分な応答を伴う慢性の中程度から重度の活動性SLEを有する成人参加者における2つの静脈内(IV)処置レジメンの有効性及び安全性を評価するための第2相多国籍多施設無作為化二重盲検プラセボ対照並行群試験であった。治験薬(アニフロルマブ又はプラセボ)を4週間(28日間)ごとに固定用量として合計13用量投与した。
【0168】
試験1013では、307人の患者(1:1:1)をランダム化し、アニフロルマブ、300mg又は1000mgをプラセボと比較した。主要評価項目は、SLE応答者指数(SRI-4、複合エンドポイント)と、24週目に測定されたOCSの持続的減少(1週目に10mg/日未満及びOCS以下の用量、12週間持続)との複合評価であった。有意により高い割合のアニフロルマブ300mg処置患者がSRI-4応答及び持続的OCS減少を達成した(アニフロルマブ:プラセボ34%対18%)。British Isles Lupus Assessment Group based Composite Lupus Assessment(BICLA)によって測定された疾患活動性の事前特定分析は、52週目にアニフロルマブが53%、プラセボが25%であった。用量反応モデリング及び利益-リスクプロファイルは、その後の研究における300mg用量の評価を裏付けた。
【0169】
試験1145(NCT01753193)は、試験1013を完了した対象に対する非盲検延長(OLE)であった。特に、試験1145は、422日目までの追跡調査で試験1013から337日目にアニフロルマブ1000若しくは300mg又はプラセボによる無作為化処置を完了した中等度~重度のSLE(ACR分類基準ごとに、試験1013で評価)を有する成人における3年間の多国籍OLEであった。試験1145の全患者は、最初に4週間ごとに1000mgのアニフロルマブのIVを受けた(Q4W)。試験1013のデータが、300mgの用量がより良好な利益/リスクプロファイルを有することを示した後、試験1145の用量を300mgQ4Wに補正した。患者は、85日間の追跡調査を伴って156週間にわたってアニフロルマブQ4Wを受けた。主な目的は、長期の安全性/忍容性を評価することであった。有効性、薬力学、及び健康関連の生活の質(HRQoL)は、調査目的であった。各来院時に安全性を評価した;SLEDAI-2K及びSLICC損傷指数を、それぞれ3ヶ月及び6ヶ月毎に測定した。
【0170】
全血中のI型IFN誘導性シグネチャを、研究を通してその標的に対するアニフロルマブの生物学的効果を追跡するためのPDマーカーとして使用される21遺伝子アッセイによって評価した。21個のI型IFN誘導性遺伝子のmRNA発現レベルを評価するために全血を回収した(表6-2)。
【0171】
9実施例2:TULIPI及びTULIPII(ClinicalTrial.gov識別子:NCT02446912及びNCT02446899)
これらの研究の目的は、中程度から重度の活動性自己抗体陽性全身性エリテマトーデス(SLE)を有する成人対象において、2用量のアニフロルマブ対プラセボの静脈内処置レジメンの有効性及び安全性を評価することであった。試験は、標準処置(SOC)処置を受けながら、中程度から重度の活動性自己抗体陽性全身性エリテマトーデス(SLE)を有する対象において、プラセボと比較して2用量のアニフロルマブの静脈内処置レジメンの有効性及び安全性を評価するための第3相多施設、多国籍、無作為化、二重盲検、プラセボ対照試験であった。
【0172】
TULIPI及びIIは設計が類似しており、主要評価項目は、それぞれSRI-4及びBICLAによって測定された、52週で評価された疾患活動性の改善であった。両方の研究に含まれる共通の副次的有効性評価項目は、OCS減少の維持、皮膚紅斑性狼瘡疾患面積及び重症度指数(CLASI)によって測定される皮膚SLE活動性の改善、及び環状フレア率であった。関節活動性の改善の評価を、TULIP IIのセカンダリエンドポイントとして含めた。両方の試験で、アニフロルマブ300mg対プラセボの有効性を評価した。150mgの用量も、TULIP Iにおいて用量反応について評価した。
【0173】
患者の人口統計は、両方の試験で概ね類似していた。TULIPI及びIIにおいて、それぞれ92%及び93%が女性、71%及び60%が白人、14%及び12%が黒人/アフリカ系アメリカ人、5%及び17%がアジア系であった。両方の試験において、患者の72%が高い疾患活動性を有していた(SLEDAI-2Kスコア≧10)。TULIP I及びIIでは、それぞれ、48%及び49%が少なくとも1つの器官系で重度の疾患(BILAG A)を有し、患者の46%及び47%が少なくとも2つの器官系で中等度の疾患(BILAG B)を有していた。最も一般的に罹患した器官系(ベースラインのBILAGA又はB)は皮膚粘膜(TULIP I:87%、TULIP II:85%)及び筋骨格(TULIP II:89%、TULIP II:88%)システム;TULIPI及びIIではそれぞれ、患者の7.4%及び8.8%が心肺を有し、7.9%及び7.5%がベースラインで腎症状を有していた。
【0174】
TULIP I及びIIでは、患者の90%(両方の試験)が抗核抗体(ANA)に対して血清陽性であり、抗二本鎖DNA(抗dsDNA)抗体に対して45%及び44%が血清陽性であり、34%及び40%が低いC3を有し、21%及び26%が低いC4を有していた。患者の大部分は、ベースラインにおいてインターフェロン遺伝子シグネチャ試験-高として分類された(TULIP I:82%、TULIP II:83%)。ベースライン併用標準処置薬には、経口コルチコステロイド(TULP I:83%、TULIP II:81%)、抗マラリア薬(TULIPI:73%、TULIPII:70%)及び免疫抑制剤(TULIPI:47%、TULP:II.48%;アザチオプリン、メトトレキサート、ミコフェノラート及びミゾリビンを含む)。ベースラインでOCS(プレドニゾン又は同等物)を受けている患者については、平均1日用量はTULIP Iで12.3mg及びTULIP IIで10.7mgであった。8~40週目の間、ベースラインOCS≧10mg/日を有する患者は、疾患活動性の悪化がない限り、OCS用量を≦7.5mg/日に漸減させる必要があった。
【0175】
無作為化を、疾患重症度(ベースラインでのSLEDAI-2Kスコア、<10対≧10点)、1日目のOCS用量(<10mg/日対≧10mg/日のプレドニゾン又は同等物)及びインターフェロン遺伝子シグネチャ試験結果(高対低)によって層別化した。
【0176】
10実施例3:TULIP I(ClinicalTrial.gov識別子:NCT02446912)の結果
TULIP Iは、457人の患者を無作為に分けて、アニフロルマブ150mg、300mg又はプラセボ(1:2:2)を投与した。主要エンドポイントであるSRI4応答は、ベースラインと比較して52週目に以下の各基準を満たすと定義された:
・SLEDAI-2Kにおける≧4ポイントのベースラインからの減少;
・ベースラインと比較して1つ以上のBILAG A又は2つ以上のBILAG B項目によって定義されるような新たな器官系の影響を受けていない;
・3点PGA視覚アナログ尺度(VAS)で0.30点以上の増加によって定義される患者の狼瘡疾患活動性におけるベースラインからの悪化なし;
・処置の中止なし;
・プロトコルで許可された閾値を超えて制限された薬剤を使用しないこと。
【0177】
主要評価項目(52週目のSRI-4)については、アニフロルマブによる処置はプラセボと比較して統計学的に有意な改善をもたらさなかった(p値=0.455)。セカンダリエンドポイントは正式に試験されなかったが、プラセボを投与された患者と比較して、アニフロルマブ300mgを投与された患者では、BICLA応答、持続的OCS用量減少、CLASI応答、フレアレート及び関節応答における臨床的に意味のある改善が観察された。BICLA奏効率は、アニフロルマブ300mgについては47%(85/180)であったのに対して、プラセボについては30%(55/184)であった(差17%、95%CI7.2、26.8、公称p値<0.001)。
【0178】
11実施例4:TULIP I及びTULIP II(ClinicalTrial.gov識別子:NCT02446899)
TULIP IIは、アニフロルマブ300mg又はプラセボを投与された362名の患者(1:1)をランダム化した。主要評価項目である第52週でのBICLA応答を、ベースラインで中程度又は重度の活性を有する全ての臓器ドメインにおける改善として定義した:
・1個以上の新規BILAG A又は2個以上の新規BILAG Bによって定義されるような、全てのベースラインBILAG AのB/C/Dへの低下及びベースラインBILAG BのC/Dへの低下、並びに他の器官系におけるBILAGの悪化なし;
・SLEDAI-2Kでベースラインからの悪化なし、ここで、悪化は、SLEDAI-2Kで>0ポイントのベースラインからの増加として定義される;
・患者の狼瘡疾患活動性におけるベースラインからの悪化なし、ここで、悪化は、3ポイントPGAVASでの≧0.30ポイントの増加によって定義される;
・処置の中止なし;
・プロトコルで許可された閾値を超えて制限された薬剤を使用しないこと。
【0179】
主要評価項目を満たした;アニフロルマブ300mgは、プラセボと比較して、全疾患活動性において統計学的に有意で臨床的に有意な有効性を示した。プラセボと比較して、アニフロルマブについて、BICLA複合エンドポイントの全成分のより大きな改善が観察された(表11-1)。
【0180】
【表10】
【0181】
BICLA奏効率における臨床的に有意な差が8週目という早い時期に観察された。プラセボと比較して、アニフロルマブの臨床的利益は52週目まで維持された(図1B)。
【0182】
アニフロルマブによる処置は、BICLA応答が達成され、その後52週目まで(52週目を含む)持続した最初の来院までの時間を短縮した。試験中のいずれの時点においても、アニフロルマブで処置された患者は、プラセボを投与された患者と比較して、持続的なBICLA応答を達成する可能性が55%高かった(ハザード比=1.55、95%CI1.11、2.18)。処置アーム間の分離はおよそ4週目(図1C)に開始した。
【0183】
プラセボと比較したアニフロルマブの処置効果は、サブグループ間で一貫していた(年齢、性別、人種、民族、疾患重症度[ベースラインでのSLEDAI-2K]及びベースラインOCS使用による)。SRI-4によって測定された疾患活動性の事前に指定された分析は、BICLAによって測定された応答と一致した(SRI-4応答者率;アニフロルマブ56%対プラセボ37%;差18%[95%CI8.1、28.3])。
【0184】
11.1併用ステロイド処置に対する効果
ベースラインOCS使用が≧10mg/日である患者の47%において、アニフロルマブは、第40週に少なくとも25%~≦7.5mg/日のOCS使用の統計学的に有意で臨床的に意味のある減少を示し、第52週まで維持された(p値=0.004)。アニフロルマブ群の患者の52%(45/87)対プラセボの30%(25/83)がこのレベルのステロイド減少を達成した(差21%[95%CI6.8、35.7])。ベースラインOCS使用≧10mg/日を有する患者では、52週目での累積OCS用量の中央値(最小、最大)は、アニフロルマブ群及びプラセボ群についてそれぞれ3640mg(309,13265)と比較して3197mg(1745,10920)であった。
【0185】
11.2皮膚SLE活性に対する効果
ベースライン(CLASI活動スコア≧10;n=89)で中等度~重度の皮膚疾患を有する患者において、アニフロルマブは、12週目に皮膚狼瘡活性(CLASI応答:ベースラインと比較したCLASI活動性スコアの少なくとも50%の減少として定義される)の統計的に有意で臨床的に意味のある改善を示した(アニフロルマブ群及びプラセボ群に対する応答者率49%[24/49]及び25%[10/40];実測差24%[95%CI4.3、43.6]、p値=0.017)。プラセボと比較して、アニフロルマブの処置効果は52週目まで維持された。アニフロルマブを投与されたベースライン時に中等度~重度の皮膚疾患を有する患者は、プラセボを投与された患者と比較して、持続的なCLASI応答(試験中の任意の時点で達成され、その後52週目まで、それを含めて持続したCLASI応答として定義される)を達成する可能性が55%高かった(ハザード比=1.55、95%CI0.87、2.85)。
【0186】
11.3SLEフレアに対する効果
疾患フレアは、以前の来院と比較して、1つ以上の新しい器官系における重度の疾患活動性(BILAG A)、又は2つ以上の新しい器官系における中程度の疾患活動性(BILAG B)として定義された。アニフロルマブは、プラセボと比較して臨床的に有意な年間フレア率の33%の低下をもたらした(アニフロルマブ群及びプラセボ群それぞれの年間発生率0.43及び0.64;レート比0.67[95%CI0.48、0.94]、p値=0.020);多重比較の調整後、この差は統計的に有意ではなかった。TULIP IIでは、52週間の処置期間中に、アニフロルマブを投与された患者の69%(124/180)がSLEフレアを経験しなかったのに対して、プラセボを投与された患者の58%(105/182)がSLEフレアを経験した。最初のフレアまでの時間は、アニフロルマブ群でより長く、試験期間中のいずれの時点でも、患者はプラセボを投与された患者と比較して最初のフレアを経験するリスクが35%低かった(ハザード比=0.65[95%CI0.46、0.91])。
【0187】
11.4関節活動への影響
ベースライン時に、患者の44%が6以上の腫脹及び6以上の圧痛関節を有していた。応答は、52週目での腫脹/圧痛関節数の50%以上の改善として定義した。処置群間で関節反応に顕著な差はなかった(アニフロルマブ群とプラセボ群の奏効率42%[30/71]、38%[34/90]、実測差4.7%[95%CI-10.6、20.0]、p値=0.547)。
【0188】
12実施例5:患者サブグループにおける有効性
12.1目的
TULIP-1及びTULIP-2において、患者のプロトコル定義サブグループにおける52週目まで、そしてプールしたTULIP-1及びTULIP-2データの全体にわたって、アニフロルマブに対するBICLA応答をプラセボに対して比較すること。ベースライン特性を表12-1及び表12-2に示す。
【0189】
12.2結果
TULIP-1、TULIP-2、及びプールしたTULIPデータにおいて、事前指定したサブグループの全体にわたって、アニフロルマブによるロバストなBICLA応答率が52週目に観察された。人口統計学の効果サイズ(図43)、ベースライン疾患活動性(図44)、ベースラインOCS投与量(図45)、ベースラインI型IFNGS試験状態(図46A)に対する実質的な影響はなかった。アニフロルマブに対する応答率は、IFNGS試験(4遺伝子)-高患者及び-低患者において類似していた(図46B)。
【0190】
【表11】
【0191】
【表12】
【0192】
13実施例6:SLEの処置におけるアニフロルマブの定量的系薬理学モデリング
以前に記載されたように、MUSEフェーズIIb研究では、21遺伝子パネル(薬力学的[PD]マーカー)を使用した全血におけるI型IFN誘導性遺伝子の発現が、全血におけるベースライン陽性のI型IFNシグネチャを有する対象における全ての用量群についてアニフロルマブ投与後に減少した14。300mg及び1000mgの両方のアニフロルマブ用量は、遺伝子シグネチャの82~90%の中和を達成及び維持した。プラセボ群では、遺伝子シグネチャの中和(>6%)はいずれの時点においても観察されなかった。したがって、アニフロルマブは、SLE患者の全血における21遺伝子のI型IFN PDシグネチャを中和する(図2)。
【0193】
血清試料を、プラセボ及びアニフロルマブ処置群について処置前及び処置後のMUSE試験の患者から採取した。血清試料を、標準的なプロトコルに従ってLuminex(登録商標)又は超高感度Simoaイムノアッセイを使用してサイトカイン発現について分析した。SimoaアッセイのLLOQは0.037pg/mlである。アニフロルマブは多くの血清タンパク質レベルの変化を誘導することが示され、アニフロルマブが複数の細胞型に効果を及ぼすことが示された(表13-1)(図3及び図4)。
【0194】
【表13】
【0195】
アニフロルマブは、IL-10及びTNF-αの両方の長期下方制御を誘導することが見出された(図4A及び図4B)。
【0196】
14実施例7:ベースライン時に低IL-10又は高IL-10を有する患者におけるアニフロルマブの有効性
14.1IL-10及びSLEの疾患重症度
ベースラインIL-10は、ベースラインSLEDAI 2K総スコア(図10図23図29図30B)並びに抗dsDNA及び自己抗体のレベル(図11図24図25図28図30C)と相関した。抗dsDNAレベルは、IFN-高及びIL-10低患者において最も高かった(図12)。SLE患者におけるIL-10及び血中リンパ球レベルの負の関連があったが(図13図27A)、好中球レベルと相関しなかった(図27B)。したがって、IL-10高SLE患者は、ベリムマブによる処置に応答しない患者のサブグループを表し得、SLE患者におけるベリムマブ処置に対する非応答の理由を少なくとも部分的に説明し得る15。IL-10レベルはまた、IFN-高患者(図14図30A)並びに異常なC3及びC4を有する患者(図15図16図30D図31)においてより高かった。補体レベルを異常(C3<0.9gL-1;C4<0.1gL-1)又は正常(C3≧0.9gL-1;C4≧0.1gL-1)として分類し、中央検査室で測定した。IFNGS試験-高と健康な対照との間の中央値倍数差は2.5であった。ベースラインでの高IL-10もまた、高レベルのI型IFN(IFN1、IFN-α)と関連していた(図26)。
【0197】
【表14】
【0198】
14.2IL-10及びI型IFN阻害の有効性
驚くべきことに、ベースラインIL10レベルは、アニフロルマブ処置後365日目の臨床応答と関連していた(図32)。IFNGS試験-高及びIL-10患者は、アニフロルマブ処置に対する最良の応答者である(図33図35B)。300mg又は1000mgのいずれかのアニフロルマブを投与した後に同じ効果が見られ得る(図34)。IL10が中央値(2pg/mL)より低いIFNGS試験-高患者は、プラセボ処置よりも300mg又は1000mgのアニフロルマブ処置後の365日目の奏効者の割合がはるかに高いことを示した(図35A)。
【0199】
2pg/ml未満のIL-10のIL-10低カットオフを使用すると、プラセボと比較してIFNGS試験-高及びIL-10低プロファイルを有する対象において、アニフロルマブの投与が観察された後、より高い奏効率(プラセボと比較してステロイド漸減を伴うSRI4)が観察された(図5A)。IFNGS試験-高及びIL-10高患者における応答率(2pg/ml IL-10又はそれを超える)は、プラセボと同等であった(図4B)。IFN-高患者及びIL-10高患者のデータと比較して、IFN-高患者及びIL-10低患者における高いSRI応答率(4)が、TULIP I試験において確認された(図6)。
【0200】
したがって、本発明者らは、IFNGS/IL10及びステロイド使用が、アニフロルマブ処置後のSRI4応答状態の有意な予測因子であることを実証する(図35C)。更に、重回帰分析は、IFN-高及びIL10-低患者が、ステロイド使用量の調整後に他の患者よりも有意に高い奏効率を有することを実証した(図35D)。重要なことに、SLEDAI、抗dsDNA、C3、C4、性別及び年齢は、アニフロルマブ処置患者においてステロイド漸減を伴わないSRI4応答の有意な予測因子ではなかった(図35E)。
【0201】
これらの結果は、TULIP Iにおいて確認された。プラセボからの300mg群のデルタは、IL-10Hにおいて見られたレベルの二倍であった(図7)。患者における21-IFNGSを中和するアニフロルマブの能力は、ベースラインにおける患者におけるIL-10のレベルと相関していた(図9)。更に、より高いBICLA応答が、MUSE研究(図7)及びTULIP I(図8)の両方において、IFN-高及びIL-10高の患者と比較して、IFN-高及びIL-10低の患者においても認められた。
【0202】
14.3 IL-10レベルに対するI型IFN阻害の効果
MUSEでは、アニフロルマブ投与は、SLE患者のIL-10血漿レベルを有意に抑制した(図36)。重要なことに、IL-10レベルは、ベースラインにおいて、健康な対照よりもIFNGS試験-高患者において2.5倍高かったが(図37A)、アニフロルマブ誘発性のIL10抑制は、IFNGS試験-高患者において約20%であり、これは、IL10-高患者にとっては十分でないかもしれない(図38B)。どちらの臨床応答においても脱落者に基づく結論において経時的なバイアスの証拠はなかった(図39)。
【0203】
14.4 SLEにおけるIL-10の作用機序
治療に束縛されるものではないが、高いIL-10濃度は、SLEの主要な疾患推進因子、例えばI型IFN、自己抗体及び細胞傷害性細胞の過剰活性化をもたらし、これはアニフロルマブによって十分に補償することができないと考えられる(図18)。特に、IL-10は以下の効果を有し得る:
・樹状細胞によるI型IFN産生の増加をもたらす自己抗体(AB)のIL-10依存的増加(図19
・I型IFN、インターフェロン刺激遺伝子、IFNGS、細胞傷害性T細胞(図20及び図21)を含むいくつかの重要な疾患推進因子の過剰活性化をもたらす自己ABのIL-10依存的増加
【0204】
14.5概要
要約すると、本発明者らは、高いベースラインIL-10がSLE患者のより悪い臨床転帰に関連し、驚くべきことに、IFNGS試験-高及びIL10-低患者が他の患者よりもアニフロルマブ処置に対して良好に応答することを初めて開示する。したがって、I型IFN受容体阻害剤(例えば、アニフロルマブ)と抗IL10抗体との組合わせは、IL10-高患者にとって有益であると考えられる。IL-10低患者は更に、アニフロルマブによる処置に応答するであろうSLE患者の亜集団を表す。
【0205】
15実施例8.早期の持続応答
15.1概要
2つの第3相治験での活動性全身性エリテマトーデス(SLE)患者におけるアニフロルマブ処置による早期の持続応答
【0206】
15.2背景
SLEにおける第3相TULIP-2及びTULIP-1治験において、I型インターフェロン受容体抗体アニフロルマブによる処置により、52週目にBICLA応答があった患者のパーセンテージが、プラセボに対してより高くなり、差異は、それぞれ16.3%(プライマリエンドポイント;P=0.001、95%CI6.3~26.3)及び16.4%(セカンダリエンドポイント;95%CI6.7~26.2)であった。
【0207】
15.3目的
アニフロルマブに対するBICLA応答の時間経過をより十分に理解するために、発明者らは、TULIP-2及びTULIP-1において、応答を経時的に、プラセボと比較して調査した(到達から52週目まで持続したものを含む)。また、主要奏功(MCR)及び部分奏功(PCR)を、代替のアウトカム尺度として評価した。特に、TULIP-1、TULIP-2、及び早期の時点にてプールしたTULIPデータ、52週目まで持続する応答の開始までの時間、並びに主要奏効及び部分奏功における、アニフロルマブに対するBICLA応答をプラセボに対して経時的に比較すること。主要奏効は、24週目に全てのBILAG-2004スコアがC又はそれよりも良く、52週目まで、24~52週の間、新しいAスコアも新しいBスコアもなしで維持されるものと定義される。部分奏功は、24週目に1 BILAG-2004Bスコアの最大値と定義され、これは52週目まで、新しいAスコアも>1の新しいBドメインスコアもなしで、52週目まで維持される。
【0208】
15.4方法
TULIP-2及びTULIP-1無作為化二重盲検プラセボ対照治験は、標準処置処置を受けていた中程度から重度に活動性のSLEを患っている患者において、52週にわたってアニフロルマブ(300mg Q4W)の有効性及び安全性を評価した。到達から52週目まで持続するBICLA応答の開始までの時間を、Cox比例ハザードモデルを用いて評価した。MCRを、24週にて全てのBILAG-2004スコアがC又はそれよりも良く、24~52週の間、新しいAスコアもBスコアもなしで維持されるものと定義した。PCRを、24週目にてBILAG-2004Bスコアが≦1の、52週目まで新しいAドメインスコアも>1の新しいBドメインスコアもなしで維持されるものと定義した。TULIP-1について、BICLA応答率及びBICLA応答の開始までの時間を、補正した制限薬物規則を用いて分析した;MCR及びPCRを、事前指定した分析プランを用いて分析した。
【0209】
15.5結果
早期の時点から、プラセボに対して、アニフロルマブによるより多くのBICLA応答者が存在した(図39)。持続BICLA応答の開始までの時間は、アニフロルマブを支持した(図39図40図41A~F)。持続BICLA応答があった患者のパーセンテージ、並びにPCR及びMCRがあった患者のパーセンテージには、アニフロルマブを支持する、数字で表される差異が存在した(図42)。全体として、TULIP-2及びTULIP-1における各180人の患者が、プラセボアームにおける182人及び184人の患者とそれぞれ比較して、アニフロルマブを受けた。TULIP-2における最初の3つの評価(4、8、及び12週目)にて、プラセボ(21.3%、21.6%、及び31.8%)と比較して、アニフロルマブで処置した患者の数値的により大きなパーセンテージ(それぞれ、26.8%、35.3%、及び42.9%)を、BICLA応答があったと分類した。類似した傾向が、TULIP-1において、アニフロルマブ(23.3%、34.2%、及び36.5%)対プラセボ(18.3%、23.2%、及び27.5%)で観察された。開始から週52まで持続するBICLA応答の開始までの時間は、TULIP-2(HR1.55、95%CI1.11~2.18)及びTULIP-1(HR1.93、95%CI1.38~2.73)の双方において、アニフロルマブを支持した。TULIP-2において、アニフロルマブで処置した86人(47.8%)の患者は、BICLA応答が、プラセボ群における57人(31.3%)の患者と比較して、開始の時間から52週目まで持続した。TULIP-1において、アニフロルマブ処置アームにおける85人(47.2%)の患者は、BICLA応答が、プラセボ群における55人(29.9%)の患者と比較して、開始の時間から52週目まで持続した。TULIP-2及びTULIP-1において、MCRが、プラセボを受けた患者の10.9%及び15.8%と比較して、それぞれアニフロルマブで処置した患者の20.8%及び22.1%において観察された。PCRが、プラセボ群における38.4%及び40.2%と比較して、それぞれアニフロルマブ処置患者の46.8%及び45.4%において観察された。
【0210】
15.6結論
迅速であり、且つ耐久性のあるBICLA応答は、中程度から重度の活動性のSLEを患っている患者にとってのアニフロルマブの臨床的利益を支持する。2つの第3相研究において、より大きな割合の患者は、プラセボと比較して、アニフロルマブ処置により、開始から52週目まで持続するBICLA応答を達成した。アニフロルマブは、TULIP研究の全体にわたって52週目まで維持されるBICLA応答の開始までの時間の、数値的に有望な差異をもたらした。また、MCR及びPCRも、アニフロルマブを支持した。これらのデータは、活動性SLEの患者のアニフロルマブ処置に由来する臨床的利益の持続性を支持する。
【0211】
16実施例9:フレア評価
16.1背景
アニフロルマブ処置は、第3相TULIP-2及びTULIP-1治験において、全身性エリテマトーデス(SLE)の患者における、British Isles狼瘡評価群(BILAG)-ベースの総合狼瘡評価(BICLA)応答率の改善をもたらした。また、年率換算したフレア率は、プラセボと比較して、アニフロルマブで処置した群の間でより低かった
【0212】
16.2目的
TULIP-2及びTULIP-1データを分析して、52週の処置の間、SLEフレアの数及び最初のフレアまでの時間に及ぼすアニフロルマブの効果を評価した。
【0213】
16.3方法
無作為化二重盲検プラセボ対照TULIP-2及びTULIP-1治験は、標準処置処置にもかかわらず中程度から重度のSLEを患っている患者において、52週目に評価したプライマリエンドポイントにより、48週間の4週毎の静脈アニフロルマブ300mg対プラセボの有効性及び安全性を評価した。フレアを、以前の月の来院と比較した、≧1の新しいBILAG-2004A又は≧2の新しい(悪化する)BILAG-2004Bドメインスコアと定義した。最初のフレアまでの時間を、Cox比例ハザードモデルを用いて評価した。年率換算したフレア率を、ネガティブ二項回帰モデルを用いて分析した。
【0214】
16.4結果
TULIP-2(アニフロルマブ、n=180;プラセボ、n=182)及びTULIP-1(アニフロルマブ、n=180;プラセボ、n=184)において、プラセボ群(TULIP-2:42.3%、n=77;TULIP-1:43.5%、n=80;図20)と比較してより少人数の患者が、アニフロルマブ群において≧1のBILAG-2004フレアを経験した(TULIP-2:31.1%、n=56;TULIP-1:36.1%、n=65)。アニフロルマブを支持する結果を、双方の治験の全体にわたって、最初のフレアまでの時間(TULIP-2:ハザード比[HR]0.65、95%信頼区間[CI]0.46~0.91及びTULIP-1:HR0.76、95%CI0.55~1.06;図47)、及びBILAGベースの年率換算したフレア率(TULIP-2:調整した率の比0.67、95%CI0.48~0.94及びTULIP-1:率の比0.83、95%CI0.60~1.14)において観察した。年率換算したBILAGフレア率(対以前の来院)は、TULIP-2におけるプラセボ群と比較して、アニフロルマブ群において有意により低かった(図48図49)。少人数の患者が、TULIP-1、TULIP-2、及びプールしたTULIPにおいて、プラセボ群(それぞれ、43.5%、42.3%、及び42.9%;図50)と比較して、アニフロルマブ群(それぞれ、36.1%、31.1%、及び33.6%)において、以前の来院に対して≧1のBILAGフレアを経験した。
【0215】
16.5結論
2つの第3相試験の全体にわたって、発明者らは、プラセボと比較した、アニフロルマブ処置による、フレアの総数及び年率換算したフレア率の引下げ、並びに最初のフレアまでの時間の延長を観察した。これらの結果は、疾患活動性を引き下げ、且つフレアを減らして、SLEの患者に利益を与えるアニフロルマブの潜在性を支持している。TULIP治験の結果は、疾患活動性を引き下げるだけでなく、OCS漸減(SLEの患者の長期管理に不可欠である属性)の存在下でフレアを引き下げるアニフロルマブの能力を支持している。
【0216】
17実施例10:CLASIによって測定される皮膚疾患の重症度の早期の持続引下げ
17.1背景
皮膚は、SLEにおいて2番目によく巻き込まれる器官であり、患者の最大85%が皮膚疾患を経験している。皮膚エリテマトーデス疾患領域及び重症度指数(CLASI)は、活動性スコア(CLASI-A)が0(軽度)から70(重度)に及ぶ、皮膚疾患重症度を測定するための証明された指数である。CLASI-Aは、紅斑、スケール/肥大、粘膜病変、最近の脱毛、及び非瘢痕性脱毛症についての尺度を含む。SLE患者の第3相TULIP-1及び2治験において、ベースラインにてCLASI-Aが≧10の、より大きな割合の患者が、アニフロルマブにより、プラセボと比較して、12週目でのCLASI-Aの≧50%引下げを達成した。発明者らは更に、TULIP-1及び-2からのプールしたデータを用いて、アニフロルマブの、皮膚特異的SLE疾患活動性に及ぼす効果を評価した。
【0217】
17.2方法
TULIP-1及び-2は、標準処置処置にもかかわらず中程度から重度の活動性のSLEを患っている患者において、アニフロルマブ(48週間、4週毎の300mg IV)の有効性及び安全性を評価する52週無作為化二重盲検プラセボ対照治験であった。TULIP-1及び-2を、TULIP-2プロトコル通りに制限薬物規則を用いて別々に分析して、双方の治験由来のデータをプールした。発明者らは、アニフロルマブを受けている患者において、プラセボに対して、皮膚応答を経時的に比較した。CLASI-A応答を、CLASI-Aが≧10の患者についての、ベースラインからのCLASI-Aスコアの≧50%引下げと定義した。CLASI-A応答までの時間を、Cox比例ハザードモデルを用いて評価した。
【0218】
17.3結果
合計で360人の患者が、アニフロルマブ及び366の容認されているプラセボを受けた。ベースラインにて、平均(SD)CLASI-Aスコアは8.1(7.41)であった;患者の95.9%(696/726)は、ベースラインCLASI-Aが>0であり、そして27.7%(201/726)は、ベースラインCLASI-Aが≧10であった。ベースラインCLASI-Aが≧10の患者のサブグループにおいて、CLASI-A応答(≧50%引下げ)が、アニフロルマブを受けた患者の36.0%(38/107)について、プラセボを受けた患者の21.7%(21/94)に対して、8週目までに達成された(差異14.3;95%CI1.8%、26.9%)(図51)。アニフロルマブを支持する結果が、TULIP-1(ハザード比[HR]1.91;95%CI1.14、3.27)及びTULIP-2(HR1.55;95%CI0.87、2.85)において、52週目まで持続されるCLASI-A応答までの時間において観察された(図52)。ベースラインCLASI-Aが>0の患者のサブグループのより多くの患者数が、TULIP-1及び-2の双方において、アニフロルマブにおいて12週目までに、プラセボ群に対して、CLASI-A応答(≧50%引下げ)を達成した(名目上のP<0.05)(図53);類似した効果が、TULIP-1及び-2の双方において、ベースラインCLASI-Aが≧10の患者のサブグループにおいて観察された(名目上のP<0.05)。アニフロルマブ(300mg)による処置後の一患者の例を図54に示す。
【0219】
17.4結論
アニフロルマブ処置は、CLASIによって評価されるように、皮膚活性がベースラインにて軽度から重度の患者のサブグループにおいて、皮膚特異的SLE疾患活動性における、迅速であり、且つ耐久性のある改善と関連した。これらの発見は、中程度から重度に活動性のSLEを患っている患者において皮膚疾患活動性を引き下げるアニフロルマブの能力を実証している。
【0220】
18実施例11:BILCAの臨床関連性
18.1背景
British Isles狼瘡評価群ベースの総合狼瘡評価(BICLA)は、全身性エリテマトーデス(SLE)治験における処置応答の証明されたグローバル尺度である。臨床診療とのBICLAの関連性を理解するために、BICLA応答と、ルーチンのSLE評価と、患者報告アウトカム(PRO)との関係を調査した。
【0221】
BICLAを、SLE治験に用いた疾患活動性指数のエキスパートパネルレビューに従って開発した。BICLA応答は、BILAG-2004によって評価される、ベースラインにて影響される全てのドメインの改善(他のBILAG-2004ドメインの悪化なし、SLEDAI-2K及びPGAの双方のベースラインに対して悪化なし、非プロトコル処置の開始もプロトコル許可閾値を超える使用もなし、並びに治験薬の中断なし)を必要とする。ゆえに、SRIと対照的に、BICLAにおける有効性のドライバーは、BILAG-2004であるが、悪化は、BILAGに加えて、SLEDAI-2K及びPGAにより評価される。BILAG-2004ベースのBICLAは、器官系を等しく重み付けして、不活性疾患と、部分的な改善及び完全な改善と、疾患活動性の悪化との区別をするが、SLEDAI-2KベースのSRIは、器官系に重み付けを割り当てて、改善を捕捉するのに関わる器官系における疾患活動性の完全解消を必要とする。
【0222】
総合SLE評価は、臨床診療においてルーチン的に用いられない。ゆえに、このように評価される処置応答の関連性は、臨床医によって認識されない場合がある。したがって、発明者らは、BICLA応答と、実際の臨床診療において意味がある他のSLE疾患尺度(フレア、経口グルココルチコイドの毎日の投与及び持続される経口グルココルチコイド漸減、PRO、医学資源利用、並びにグローバルな器官特異的疾患の臨床的尺度及びラボ尺度が挙げられる)との関係を調査した。これらの関係を、処置群割当てを問わずに、アニフロルマブの第3相TULIP-1及びTULIP-2治験からのプールしたデータを用いて、BICLA応答者とBICLA非応答者との間で評価した。
【0223】
18.2方法
18.2.1患者及び研究設計
これは、第3相無作為化プラセボ対照二重盲検52週TULIP-1及びTULIP-2治験からのプールしたデータの事後分析であった。手短に言えば、資格がある患者は、18~70歳であり、SLEについてのAmericanCollegeofRheumatology修正分類基準を満たし(13)、そして標準処置処置にもかかわらず、血清反応陽性が中程度から重度のSLE患っていた。活動性の重度の狼瘡腎炎又は神経精神病学的SLEを患っている患者は、除外した。患者を、無作為に割り振って、標準処置処置に加えて、48週間、4週毎にプラセボ又はアニフロルマブの静注を受けさせた(TULIP-1:プラセボ、アニフロルマブ150mg、又はアニフロルマブ300mg[2:1:2];TULIP-2:プラセボ又はアニフロルマブ300mg[1:1])。プライマリエンドポイントを、52週目に評価した。他の処置は、経口グルココルチコイドを漸減させるプロトコル決定意図に由来する人々以外は、治験の全体を通して安定していた。ベースラインにて≧10mg/日の経口グルココルチコイドを受けている患者について、経口グルココルチコイドを≦7.5mg/日に漸減させる試みを、8週~40週の間に要した;また、漸減を、ベースラインにて<10mg/日の経口グルココルチコイドを受けている患者について容認した。安定した経口グルココルチコイド投薬量を、40週~52週の間に要した。
【0224】
18.2.2試験のエンドポイント及び評価
BICLA応答を、以下の全てと定義した:全てのベースラインBILAG-2004A及びBドメインスコアの、それぞれB/C/D及びC/Dへの引下げ、並びに≧1の新しいBILAG-2004Aドメインスコア又は≧2の新しいBILAG-2004Bドメインスコアによって定義した他のBILAG-2004器官系における悪化なし;SLEDAI-2Kスコアにおける(ベースラインからの)増加なし;PGAスコアの増加(ベースラインからの≧0.3ポイント)なし;治験薬の中断なし;及びプロトコル許可閾値を超える制限薬物の使用なし。プールしたデータを、応答者/非応答者を分類するために、TULIP-2制限薬物分析規則に従って分析した。
【0225】
臨床アウトカム尺度を、52週目のBICLA応答者とBICLA非応答者との間で、処置群割当てに関係なく比較した。結果を、著者間のコンセンサスによって同意された、臨床関連性の階層で示す。アウトカム尺度として、52週目までの、フレアを有する患者のパーセンテージ(以前の来院と比較した、1≧の新しいBILAG-2004A又は≧2の新しいBILAG-2004Bドメインスコアと定義した)、年率換算したフレア率、持続経口グルココルチコイド漸減を達成した患者のパーセンテージ(ベースラインにて≧10mg/日を受けた患者において、40週目までに達成され、且つ52週目まで持続される、≦7.5mg/日のプレドニゾン又は等価物への経口グルココルチコイド投薬量引下げと定義した)、及びベースラインから52週目までの1日経口グルココルチコイド投薬量の変化が挙げられる。慢性疾病処置-疲労の機能評価[FACIT-F]における応答(>3ポイント改善と定義した)、ShortForm36健康調査バージョン2[SF-36-v2][急性]物理的構成要素サマリ[PCS]及び精神構成要素サマリ[MCS]における応答(PCSにおける>3.4の、そしてMCSにおける>4.6の改善と定義した)、及び患者のグローバル評価[PtGA]におけるベースラインからの変化)が挙げられるPROの変化を、ベースラインから52週目まで評価した。また、医学資源利用(ヘルスケア来院、救急部[ED]使用、及び来院)を評価した。BICLA応答者とBICLA非応答者との間で比較した他の指数は、SLEDAI-2K、PGA、関節(能動関節、関節腫脹、圧痛関節)数の、ベースラインから52週目までの変化、並びに皮膚エリテマトーデス疾患領域及び重症度指数活性(CLASI-A)応答(ベースラインにてCLASI-Aスコアが≧10の患者の中での、CLASI-Aスコアの≧50%引下げと定義した)を含んだ。血清学(抗二本鎖DNA[抗dsDNA]抗体並びに補体C3及びC4)を評価した;抗dsDNA抗体レベルを、「ポジティブ」(>15U/mL)又は「ネガティブ」(≦15U/mL)と分類して、補体レベルを、「異常」(C3、<0.9g/L;C4、<0.1g/L)又は「正常」(C3、≧0.9g/L;C4、≧0.1g/L)と分類した。また、有害事象(AE)を評価した。
【0226】
18.2.3統計分析
TULIP-1研究及びTULIP-2研究の類似した設計により、結果をプールすることができた。試料サイズを、TULIP-1及びTULIP-2について選択して、十分に安全なデータベースサイズを得、そして主要セカンダリエンドポイントを評価した。TULIP-1及びTULIP-2において、180人の対象/アームは、それぞれ>99%及び88%の力を与えて、0.05の両側アルファ(2-sided alpha)を用いる仮説(プライマリエンドポイントの差異なし)を拒絶した。応答者対非応答者率を、スクリーニング時のSLEDAI-2Kスコアの階層化因子(<10又は≧10)、ベースライン経口グルココルチコイド投薬量(<10mg/日又は≧10mg/日)、及びスクリーニング時のI型IFNGS試験状況(試験-低又は試験-高)を含む、階層化コクラン-マンテル-ヘンツェルアプローチを用いて算出した。また、研究をモデルに含めた。全ての応答者分析について、患者は、評価の前に、プロトコル許可閾値を超える制限薬物を用いたならば、又は治験薬を中断したならば、非応答者と考えた。BICLA応答者とBICLA非応答者間のベースラインから52週目までの推定変化の比較を、スクリーニング時に用いたベースライン値、群、来院、研究、及び階層化因子について効果を固定した混合反復測定モデルを用いて評価した;来院による群(group-by-visit)の相互作用期間を用いた。そして来院は、モデルにおいて、反復変数であった。欠けているデータは、初回訪問における欠けているデータでの直近の観察の繰り越しを用いて補完され;欠けているデータを伴う後の訪問は、補完されなかった。応答者分析について、変数のあらゆるコンポーネントを、ミッシングデータにより導き出すことができなければ、患者は、その来院について非応答者と分類した。
【0227】
18.3結果
18.3.1試験集団
データを、TULIP-1における457人の患者及びTULIP-2における362人の患者についてプールした(N=819)。双方の治験の全体にわたって、360人の患者は、アニフロルマブ300mgを受け、93人の患者はアニフロルマブ150mgを受け、そして366人の患者はプラセボを受けた。処置群割当てに関係なく、318人のBICLA応答者及び501人のBICLA非応答者が52週目に存在した。患者デモグラフィック及びベースライン臨床的特徴を、全般的に、BICLA応答者及びBICLA非応答者の全体にわたってバランス調整した(表18-1及び表18-2)。大部分の患者は女性であり(92.5%、応答者;93.0%、非応答者)、平均(標準偏差[SD])年齢は、応答者について41.5(11.67)歳、そして非応答者について41.7(12.13)歳であった。BICLA応答者及びBICLA非応答者の類似した割合は、白人(67.0%対65.9%)、黒人/アフリカ系アメリカ人(14.2%対12.6%)、又はアジア人(9.1%対11.0%)であった。
【0228】
全体として、アウトカムの改善が、BICLA応答者において、BICLA非応答者に対して観察された。
【0229】
【表15】
【0230】
【表16】
【0231】
【表17】
【0232】
18.3.2フレア
BICLA応答者が、BICLA非応答者よりも多く、52週の処置期間にわたってフレアフリーであった(76.1%対52.2%)。このことは、BICLA応答者は、BICLA非応答者よりも少人数しか、52週の期間にわたって≧1フレアを経験しなかったことを意味する(23.9%対47.8%;差異-23.9%;95%信頼区間[CI]-30.4~-17.5-;名目上のP<0.001)(図55A)。少人数の患者しか、1、2、又は≧3フレアを経験せず、年率換算したフレア率は、BICLA応答者について、BICLA非応答者よりも低かった(率の比[RR]0.36、95%CI0.29~0.47;名目上のP<0.001)(表18-3)。
【0233】
【表18】
【0234】
18.3.3経口グルココルチコイド使用及びステロイド節約効果
類似したパーセンテージのBICLA応答者及びBICLA非応答者が、ベースラインにて、経口グルココルチコイドをあらゆる投薬量にて、且つ≧10mg/日にて受けていた。BICLA応答者は、BICLA非応答者に対して、ベースラインから52週目までの1日経口グルココルチコイド投薬量の引下げがより大きかった(最小二乗[LS]平均差異-4.29mg/日、95%CI -5.37~-3.20、名目上のP<0.001)(図55B)。ベースラインにて≧10mg/日の経口グルココルチコイドを受けていた患者での、≦7.5mg/日への持続経口グルココルチコイド投薬量引下げのセカンダリエンドポイントの達成は、BICLA応答者による方が、非応答者によるよりも多かった(79.2%対19.1%;差異60.1%、95%CI 52.1%~68.1%、名目上のP<0.001)(図55C)。52週目までの平均(SD)累積経口グルココルチコイド用量は、BICLA応答者において、BICLA非応答者よりも31.3%低かった(2159.20[1661.39]mg対3140.81[3081.19]mg)(図55D)。
【0235】
18.3.4PRO
FACIT-F、SF-36MCS、及びSF-36PCSスコアは、ベースラインにて、BICLA応答者及びBICLA非応答者について、類似していた(表18-4)。FACIT-Fの改善は、BICLA応答者において、非応答者におけるよりも多く報告された(55.6%対15.7%;差異40.0%、95%CI 33.6%~46.3%、名目上のP<0.001)(図56A)。同様に、BICLA応答者の方が、非応答者よりも多く、予め定義した閾値を上回る改善が、SF-36PCS(57.9%対12.8%;差異45.1%、95%CI38.9%~51.3%、名目上のP<0.001)及びSF-36MCS(42.6%対12.3%;差異30.3%、95%CI24.1%~36.5%、名目上のP<0.001)にあった(図56A図56C)。
【0236】
【表19】
【0237】
18.3.5PtGA
PtGAスコアは、ベースラインにて、BICLA応答者及びBICLA非応答者について類似していた。ベースラインから52週目までのPtGAスコアの改善は、BICLA応答者の方がBICLA非応答者よりも大きいことが報告された(LS平均差異-11.1、95%CI -14.9~-7.3、名目上のP<0.001)(図56D)。
【0238】
18.3.6医療資源の利用
52週の治験の間に、BICLA応答者は、BICLA非応答者よりも少人数しかヘルスケア来院がなかった(62.5%対70.7%;差異-8.3%、95%CI -14.9%~-1.6%、名目上のP=0.015)(表18-5)。BICLA応答者は、BICLA非応答者と比較して、少人数しか救急部(ED)来院を必要とせず(11.9%対21.8%;差異-9.9%、95%CI -15.2%~-4.5%、名目上のP=0.001)、そして少数のED来院は、SLE活性の増加に関連していた(2.6%対24.0%;差異-21.4%、95%CI -35.3%~-7.5%、名目上のP=0.003)。同様に、BICLA応答者は、BICLA非応答者よりも来院が少なく(4.5%対14.4%;差異-10.0%、95%CI -14.3%~-5.7%、名目上のP<0.001)、来院は、BICLA応答者では、BICLA非応答者の38.5%と比較して、SLE活性の増加に関連していなかった(差異-38.5%、95%CI-58.8%~-18.2%、名目上のP<0.001)。
【0239】
【表20】
【0240】
18.3.7SLEDAI-2K及びPGA
平均(SD)SLEDAI-2K及びPGAスコアは、ベースラインにて応答者と非応答者との間で類似していた(表1)。ベースラインから52週目まで、BICLA応答者について、BICLA非応答者についてよりも、総SLEDAI-2Kにおいて(LS平均差異-3.5、95%CI -4.1~-3.0、名目上のP<0.001)(図57A)、そしてPGAスコアにおいて(LS平均差異-0.59、95%CI -0.67~-0.51、名目上のP<0.001)(図57B)大きな改善が観察された。
【0241】
18.3.8CLASI活性
全体的に、BICLA応答者の32.4%及びBICLA非応答者の25.5%は、ベースラインCLASI-Aが≧10であった(表1)。これらの患者の間で、BICLA応答者は、52週目でのCLASI-Aにおいて、≧50%引下げを、BICLA非応答者よりも多く達成した(92.0%対23.2%;差異68.8%、95%CI59.2%~78.3%、名目上のP<0.001)(図31A)。
【0242】
18.3.9関節数
平均(SD)能動関節数(腫脹及び圧痛のある関節と定義した)は、ベースラインにて、BICLA応答者及び非応答者においてそれぞれ6.1(5.22)及び6.9(5.97)であった。平均(SD)関節腫脹数は、それぞれ6.5(5.27)及び7.4(6.08)であり、圧痛関節数は、それぞれ9.8(6.94)及び11.1(7.85)であった。ベースラインから52週目まで、関節数は、BICLA応答者の方がBICLA非応答者よりも、能動関節(LS平均差異-1.9、95%CI -2.4~-1.4、名目上のP<0.001)、圧痛関節(LS平均差異-3.6、95%CI -4.4~-2.8、名目上のP<0.001)、及び関節腫脹(LS平均差異-2.1、95%CI -2.7~-1.6、名目上のP<0.001)(図58B)について、多く改善した。
【0243】
18.3.10血清学
BICLA応答者とBICLA非応答者間の等しいパーセンテージの患者が、ベースラインにて抗dsDNA抗体ポジティブであった。ポジティブからネガティブへの抗dsDNA抗体状況\\の改善が、類似したパーセンテージのBICLA応答者及びBICLA非応答者において観察された(5.0%対4.4%)(表18-6)。
【0244】
【表21】
【0245】
ベースラインポジティブ抗dsDNA又は異常補体C3若しくはC4の患者のみを、分析に含める。変化パーセンテージ、差異、CI、及び名目上のP値を、ベースライン値、群、来院、研究、及び階層化因子についての効果が固定されている反復測定モデルを用いて算出した。群による来院(visit-by-group)の相互作用期間を用いて、群の全体にわたる様々な関係を説明した。来院は、モデルにおいて、反復変数であった。パーセンテージは、ミッシングデータにより、100%に等しくない。
【0246】
類似した割合のBICLA応答者及び非応答者の、ベースラインでのC3及びC4レベルが異常であった。ベースラインから52週目までの補体レベルの変化パーセンテージは、BICLA応答者と非応答者との間で、C3(LS平均差異2.82、95%CI -4.185~9.819、名目上のP=0.429)について、又はC4(LS平均差異-9.63、95%CI -25.174~5.910、名目上のP=0.223)について異ならなかった(表13)。BICLA応答者は、BICLA非応答者よりも多く、C3(10.4%対7.0%)及びC4(7.5%対4.8%)を異常から正常に改善した。
【0247】
18.3.10.1安全性
AE頻度は、BICLA応答者とBICLA非応答者との間で類似していた(83.6%及び85.2%)(表18-7)。軽度のAE及び中程度のAEが、類似したパーセンテージのBICLA応答者及びBICLA非応答者によって報告されたが、BICLA応答者は、BICLA非応答者よりも少人数しか、重度のAEを経験しなかった(3.8%対9.4%)。BICLA応答者において中断(DAE)に至るAEは、BICLA非応答者における8.2%DAEと比較して、存在しなかった。BICLA応答者は、BICLA非応答者よりも少人数しか、重篤なAEを経験しなかった(5.0%対19.0%)。BICLA応答者は、BICLA非応答者よりも少人数しか、重篤な非日和見感染がなかった(2.2%対6.8%)。帯状疱疹の患者のパーセンテージは、BICLA応答者及びBICLA非応答者において、インフルエンザ(1.9%対2.0%)又は悪性腫瘍(0.6%対1.0%)の患者のパーセンテージのように、類似していた(4.7%対3.6%)。
【0248】
【表22】
【0249】
18.4結論
BICLAは、器官ドメイン活性の変化に基づいて、応答者又は非応答者として患者を分類する二分SLEアウトカム尺度である。BICLAは主に治験状況において用いられるので、本研究の目的は、患者及び医師に関連するアウトカムに関するBICLA応答の有意味性を評価することであった。TULIP-1及びTULIP-2治験に登録した819人の患者から得た、プールしたデータの事後分析において、BICLA応答は、広範なSLE評価、主要なPRO、及び医学資源利用尺度の全体にわたる臨床アウトカムの改善と有意に関連した。
【0250】
フレアは、グルココルチコイド用量の増加があってもなくても、SLEの患者に有意なリスクを引き起こす。長期的に見て、疾患フレア、及び経口グルココルチコイド使用は双方とも、器官損傷につながった。これはそれ自体、死亡率リスクを増加させる。また、フレアは、健康関連クオリティ・オブ・ライフの引下げと関連し、フレア重症度及び経口グルココルチコイド使用は、ヘルスケアコストと相関する。したがって、主要なSLE処置の目標は、フレアを予防すると同時に、経口グルココルチコイド曝露を最小限にすることであり、これが今度は、医学資源利用を引き下げると期待される。発明者らは、BICLA応答者の疾患フレアが少ないほど、1日経口グルココルチコイド用量が低くなることを観察した。より大きいパーセンテージのBICLA応答者が、目標用量への持続経口グルココルチコイド引下げを達成した。また、非応答者よりも少ない人数しか入院及びED来院(SLE活性の増加に関連するものを含む)をしなかった。また、グローバルな組織特異的疾患活動性のより大きな改善が、PGA、SLEDAI-2K、CLASI-A、及び関節数によって測定されるように、非応答者に対して応答者において観察された。疾患活動性及び経口グルココルチコイド曝露における患者アウトカムの改善が、ヘルスケアコストの引下げと関連することが示されているので、BICLA応答者は、BICLA非応答者よりも低いヘルスケアコストしかかかり得ない。
【0251】
また、発明者らは、BICLA応答者及びBICLA非応答者において、有害事象を評価した。より低いフレア率、医学資源利用の引下げ、並びにより少ない、BICLA応答と関連するSLE関連ED来院及び入院と合致して、SAEは、BICLA非応答者に対してBICLA応答者においてより少なかった。治験薬の中断により、いかなる理由であれ、患者は、定義によってBICLA非応答者と分類したが、注目すべきは、BICLA非応答者は、AEに起因する中断傾向が、BICLA応答者よりも大きかった。
【0252】
PROを、ほぼ全てのSLE治験に組み込んだ。しかしながら、分析は多くの場合、臨床アウトカムとPROとの間で不一致をもたらした。これは、疾患活動性及び疾病の患者認識が、疲労及びクオリティ・オブ・ライフによってかなり影響されて、疾患活動性の公式尺度の結果によって捕捉されないためである。TULIP治験において、BICLA応答者は、SF-36健康調査の物理的構成要素及び精神構成要素、並びに疲労のFACIT評価を含む、証明されたPROの改善があった。SLE患者において一般的な病徴である疲労は、日常生活に干渉し、BICLA応答患者の半分超が、TULIP治験において、疲労の改善を経験した。PtGAスコア及びPGAスコアは、改善における一致を、そしてBICLA応答者間で、非応答者よりも大きな改善の程度を示した(表18-8)。発明者らの結果は、BICLA応答が、SLEの患者の肉体的且つ精神的な幸福感の全般的な改善に変換することを実証している。
【0253】
また、2つの第2b相治験(シファリムマブ及びアニフロルマブ)、及びベリムマブの2つの第3相治験からのプールしたデータにおける、SRI(4)応答の、臨床アウトカムに対する相関の調査は、非応答者と比較して、SRI(4)応答者における臨床アウトカムの改善を実証した。血清学的アウトカムの変化は、TULIP治験においてBICLA応答者とBICLA非応答者との間で有意に異ならなかったが、SRI(4)応答は、ベリムマブ第3相治験において、抗dsDNA抗体及び補体C3レベル(C4レベルではそうでない)の有意な改善と関連した。この不一致は、2つの評価した薬剤の異なる作用機序の反映であり得、且つ/又はBICLAの改善を測定するBILAG-2004が、そのスコアリング系に血清学を含まないためである。
【0254】
データは、治験エンドポイントとしてのBICLAの価値を、そしてBICLA応答が、毎日の実施における臨床医及び患者の双方の優先事項に共感する、広範な他のアウトカムの改善と相関することを確認する。
【0255】
【表23】
【0256】
19実施例12:フェーズ2b MUSE試験の12週間の追跡調査期間中にアニフロルマブに脱落したSLEを有する患者における疾患活動性
19.1導入
無作為化二重盲検第2b相MUSE試験では、アニフロルマブ処置は、中等度~重度の活動性SLE患者において複数のエンドポイントにわたってプラセボと比較して疾患活動性を低下させた。本発明者らは、MUSEにおける12週間(週)の追跡期間中に、アニフロルマブから脱落した患者における安全性及び有効性を初めて評価した。
【0257】
19.2方法
患者を1:1:1に無作為化して、プラセボ又はアニフロルマブ300若しくは1000mgを4週間ごとに投与した;最終試験用量はWk48であり、重要な有効性エンドポイントはWk52で評価した。患者は12週間の追跡期間を完了する必要があり、最終試験用量後4週間(±7日)ごとに来院した(図1)。SLEDAI-2K及びBILAG-2004を使用して疾患活動性を測定した。フレアは、≧1個の新しいBILAG-2004A項目又は≧2個の新しいBILAG-2004B項目のいずれかとして定義された。有害事象(AE)及び21遺伝子のI型IFN遺伝子シグネチャ(IFNGS)の変化も評価した。Wk52から追跡終了まで(Wk60)、全ての有効性及びIFNGS測定を評価した。安全性を、最終試験用量の12週間後のWk48又は試験中止時に評価した。21遺伝子のI型IFN遺伝子シグネチャ(IFNGS)を8週間から60週間にわたって評価した。安全性(有害[AE])を、48週目から60週目までの12週間にわたって、又は試験中止時に評価した。
【0258】
19.3結果
MUSEで無作為化した305名の患者のうち、229名がそれぞれ、アニフロルマブ群300mg、1000mg及びプラセボ群からの最後の研究来院(Wk52):86、75及び68を完了した。Wk52からWk60まで、IFNGS発現が、アニフロルマブ300mg群(平均中和率:55.6%~-81.8%)では1000mg群(71.7%~31.9%)に対してより急速に増加し、プラセボ群では無視できる程度の変化(-59.2%~-62.6%)を伴った。Wk52からフォローアップ期間の終わり(Wk60)まで、平均全体SLEDAI-2Kスコアは、アニフロルマブ300mg(4.3~5.0[平均変化:0.7])及び1000mg(3.8~4.1[0.3])から脱落した患者で増加したが、プラセボ群(5.9~5.8[-0.1])では増加しなかった。同様の傾向が、アニフロルマブ300mgから脱落した患者(6.0~8.5[2.4])対プラセボ(8.3~9.1[0.8])の平均全般BILAG-2004スコアにおいて観察された。
【0259】
皮膚粘膜は、アニフロルマブを中止した患者における悪化に関連する最も頻度の高い器官系であり、BILAG A/Bスコアに対するBILAG C/D/Eスコアを有する患者の割合のシフトを伴い、同様の傾向が筋骨格系でも観察された。悪化は、アニフロルマブから脱落した患者の皮膚粘膜ドメインで最も頻繁であり、BILAG-2004C/D/Eを有する患者のA/Bスコアに対する割合のシフトを伴っていた(図58C)。同様の傾向が筋骨格ドメインでも観察された。全体として、アニフロルマブ300又は1000mgから脱落した患者の15.2%及び6.7%は、追跡期間中に≧1のフレアを有し、これに対してプラセボでは2.0%であった。
【0260】
平均皮膚紅斑性狼瘡疾患面積及び重症度指数(CLASI)スコアは、アニフロルマブ300mg、1000mg及びプラセボ群にわたってWk52からWk60にわずかに増加した(それぞれ1.9~2.4、1.8~2.2及び3.5~4.0)(図59)。
【0261】
Wk52からWk60まで、IFNGS発現が、アニフロルマブ300mg群(平均中和率:55.6%~-81.8%)では1000mg群(71.7%~31.9%)に対してより急速に増加し、プラセボ群では無視できる程度の変化(-59.2%~-62.6%)を伴った。
【0262】
12週間の追跡期間中のAEは、アニフロルマブ300mg群と1000mg群との間でプラセボ群に対して類似していた(≧1AE:29.3%及び26.7%対24.8%;1以上の重篤なAE:3.0%及び3.8%対5.0%)。MDGAスコアを使用して測定した疾患活動性は、アニフロルマブ300mg群と1000mg群の両方で第52週と第60週との間に増加した;プラセボ群に変化はなかった。活性関節数は、アニフロルマブ300mg群、アニフロルマブ1000mg群及びプラセボ群にわたって第52週から第60週までわずかに増加した(図59A)。全体として、プラセボと比較して、アニフロルマブ300又は1000mgの処置を中止した患者の方が、52週目から60週目までに1回以上のBILAGフレアを有していた(図59B)。
【0263】
19.4結論
SLEDAI-2K及びBILAG-2004を使用したプラセボと比較して、アニフロルマブから脱落した患者の疾患活動性が悪化する顕著な傾向があった。これは、以前にアニフロルマブで処置された患者におけるIFNGSのリバウンドに関連しており、この効果は、1000mgに対して300mgでより明白であった。
【0264】
20REFERENCES
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図1
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【配列表】
2023549872000001.app
【国際調査報告】