(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-29
(54)【発明の名称】含浸装置及び含浸方法
(51)【国際特許分類】
B05B 13/02 20060101AFI20231121BHJP
B05B 12/00 20180101ALI20231121BHJP
【FI】
B05B13/02
B05B12/00 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023529084
(86)(22)【出願日】2021-11-18
(85)【翻訳文提出日】2023-05-16
(86)【国際出願番号】 DK2021050339
(87)【国際公開番号】W WO2022105977
(87)【国際公開日】2022-05-27
(32)【優先日】2020-11-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DK
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522394421
【氏名又は名称】インボックス プロテクション アクティーゼルスカブ
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【氏名又は名称】森本 有一
(74)【代理人】
【識別番号】100126848
【氏名又は名称】本田 昭雄
(72)【発明者】
【氏名】レニ マーガ
【テーマコード(参考)】
4F035
【Fターム(参考)】
4F035AA04
4F035BA02
4F035BA22
4F035BB02
4F035BB09
4F035BC05
4F035CA02
4F035CA05
4F035CB04
4F035CB27
4F035CB29
4F035CC01
(57)【要約】
本発明は、靴、ブーツ、バッグ、手袋等の物品に含浸剤や撥水剤などの表面処理を施す装置及び方法を開示するものであって、装置は、処理チャンバーの外から処理チャンバーにアクセスするための開閉可能なアクセス機能を備えた閉鎖処理チャンバーを備え、前記処理チャンバーの底部近傍には、ターンテーブルが設けられ、前記ターンテーブルは、x-y平面において平坦な表面を有し、さらに、前記ターンテーブルは、前記x-y平面と直交する軸Zの周りに回転可能である、処理チャンバーを備え、ターンテーブルに向かってミストを噴霧するために向けられた1つ以上のノズルが処理チャンバーの内側に配置され、前記1つ以上のノズルは制御ユニットに接続され、ターンテーブルの周辺に複数のマーカーが設けられ、処理チャンバー内にマーカーを記録するスキャナーが設けられ、スキャナーからの入力が制御ユニットへの入力として用いられ、予めプログラムされたシーケンス及び/又はスキャナーによって記録されたマーカーのカウントに従って1つ以上のノズルが作動して処理のミストを放出させる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品、特に靴、ブーツ、バッグ、手袋等に含浸剤又は撥水剤等の表面処理を施す装置であって、前記装置は、処理チャンバーの外部から処理チャンバーにアクセスするための開閉可能なアクセス機能を備えた閉鎖された処理チャンバーを備え、前記処理チャンバーの底部の近傍にターンテーブルが設けられており、前記ターンテーブルがx-y平面において平坦な表面を備え、さらに前記ターンテーブルが前記x-y平面に対して直交するZ軸の周りに回転可能である、装置であり、前記ターンテーブルに向かってミストを噴射するために向けられた1つ以上のノズルが前記処理チャンバー内に配置され、前記1つ以上のノズルは制御ユニットに接続され、前記ターンテーブルの周辺に複数のマーカーが設けられ、前記処理チャンバー内に前記マーカーを記録するスキャナーが設けられ、前記スキャナーからの入力が制御ユニットへの入力として用いられ、前記スキャナーが記録した前記マーカーの予めプログラムされたシーケンス及び/又はカウントに従って前記1つ以上のノズルが作動して処理のミストを放出させるようにされている、装置。
【請求項2】
前記処理チャンバー内に2つ以上のノズルが配置され、各ノズルが前記ターンテーブルの異なるセクションに向けられる、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
少なくとも1つのノズルが、前記ターンテーブルが回転する中心の軸へ半径方向内側に向けられ、少なくとも1つのノズルが、前記x-y平面に対して斜めの角度で配置されている、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記ターンテーブルの上方に少なくとも1つの昇降式プラトーが配置され、前記プラトーも前記x-y平面内に表面を有し、前記プラトーが前記ターンテーブルに接続され、前記ターンテーブルと前記プラトーが一体となって回転し、前記ターンテーブルの上面と前記プラトーの下面との間の距離が、処理対象物品を前記ターンテーブル上に置くことを可能にする請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記処理チャンバーが、前記ターンテーブル上と前記プラトー上面の両方に前記処理対象物品を配置できる大きさを有する、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
予めプログラムされたノズル作動シーケンスが、靴が1つ、2つ又はそれ以上の予めプログラムされたノズル作動シーケンスを有し、ブーツが靴用についての予めプログラムされたノズル作動シーケンスとは異なる1つ、2つ又はそれ以上の予めプログラムされたノズル作動シーケンスを有し、手袋が靴及びブーツについての予めプログラムされたノズル作動シーケンスとは異なる2つ以上の予めプログラムされたノズル作動シーケンスを有し、バッグは、靴、ブーツ、手袋についての予めプログラムされたノズル作動シーケンスとは異なる1つ、2つ又はそれ以上の予めプログラムされたノズル作動シーケンスを有し、その他の物品は、靴、ブーツ、手袋、バッグについての予めプログラムされたノズル作動シーケンスとは異なる1つ、2つ、又はそれ以上のプリプログラムされたノズル作動シーケンスを有する、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
関連する予めプログラムされたノズル作動シーケンスが、前記装置の外側に設けられた入力装置から選択可能であって、任意選択的に前記入力装置は、タッチ式スクリーンを備える、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
処理対象物品がチャンバー内のどこに置かれているかを認識するために、前記処理チャンバー内にカメラが設けられており、前記記録は、どのノズルがどの特定の時間又は間隔で作動するかを制御するための、制御ユニットへの入力として使用される、請求項1記載の装置。
【請求項9】
以下の1つ以上を変化させることにより、表面処理を処理ごとに変化させることができる、請求項1~8のうちいずれか1項に記載の装置:
a.前記ターンテーブルの回転速度;
b.前記ノズル内の圧力;
c.前記ノズルがミストを放出する時間持続時間
d.前記処理チャンバー内に複数のノズルが設けられており、どのノズルがどの時間又は時間間隔で作動するかを決定すること。
【請求項10】
含浸剤又は撥水剤又はその他の薬剤による処理前及び/又は処理中及び/又は処理後に、空気中の余剰含浸剤又は撥水剤又はその他の処理剤を前記処理チャンバーから排出するためのファン又はその他の排出手段が設けられている、請求項1~8のうちいずれか1項に記載の装置。
【請求項11】
含浸剤又は撥水剤又はその他の薬剤による処理後の処理された物品を乾燥させるために、前記処理チャンバー内に換気装置及び/又はファン及び/又は加熱源が設けられている、請求項1~10のうちいずれか1項に記載された装置。
【請求項12】
請求項1~11のうちいずれか1項に記載の装置を使用する方法であって、前記ターンテーブル及び/又はプラトーが設けられている場合には、その上に処理されるべき1つ以上の物品が配置され、その後、前記処理チャンバーへのアクセスが閉じられ、予めプログラムされた処理プログラムが選択され、前記プログラムは少なくとも以下を含む、方法:
a.含浸させる前記物品を前記ターンテーブル上で回転し、前記ターンテーブルの位置を記録すること;
b.処理対象物品の回転に伴い、前記1つ以上のノズルから前記処理対象物品に向けて処理剤のミストを放出すること;
c.前記1つ以上のノズルから処理剤を放出することを含む処理プログラムの一部が終了した後であること;
d.前記ターンテーブルの回転を維持したまま、乾燥サイクルを開始すること;
e.前記処理チャンバーへのアクセスが開かれ、現在処理されている物品が取り出された後であること。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品に含浸剤や撥水剤などの表面処理を施すための装置と、その装置で処理を行う方法に関するものである。物品は、一般的には、靴、ブーツ、バッグ、手袋等であり、共通的な参照では、小型の着用可能な物品と呼ばれることがあるであろう。
【背景技術】
【0002】
本発明の出願人は、長い間、小ぶりな着用物品、特に靴の含浸に携わっており、特許文献1及び特許文献2に公開されているような装置を開発した。これらの装置では、例えば靴のような被処理物品は、装置内の閉鎖可能なチャンバーに置かれる。ドアが閉じられると、被処理物品は閉じた処理チャンバーに入り、含浸工程が開始される。含浸工程は、チャンバー内に配置されたノズルから含浸液のミストを噴射することを含み、含浸液のミストは、効果的な含浸が達成される程度に靴に影響を与える。同時に、含浸処理は密閉された処理チャンバー内で行われるため、換気手段が設けられ、適切な濾過ユニットとともに、含浸液からの有害な又は危険な成分、例えば無機溶剤が適切に取り扱われ処理されることが保証され、これらの特許文献のいずれかによる装置での処理が周囲環境に有害でないことが保証され得る。
【0003】
特許文献3は、処理対象物品(通常は靴)が台の上に配置される含浸装置を開示する。台は回転させることができる。リザーバと液体接続するノズルは、処理対象物品に向かって含浸剤を噴霧するために配置される。被処理物品の反対側には、ノズルに対してスクリーンが配置されている。このスクリーンは、被処理物品に塗布されなかった含浸剤を受け止めるためのものである。ノズルは、スクリーンの上や横でスプレーしないように配置され、余剰の含浸剤がすべてスクリーンで受け止められるようになっている。
【0004】
同出願人の先行装置は大きな成功を収め、湿気や水などの侵入に対して靴を耐性にするために、多数の特に靴を含浸剤で処理することができる。しかしながら、全ての先行装置の1つの問題は、十分な処理を達成するために相当量の含浸剤を使用することであり、含浸剤の大部分は無駄になる、すなわち、靴の表面に塗布されず、最終的に排水口のフィルタ又はスクリーンの上に流れ着く。含浸剤の使用量が多すぎると、処理コストが高くなるという欠点に加えて、処理対象物品、特に靴の徹底した処理を実現するために、含浸剤を靴の表面に塗布してから靴を脱いで履けるように十分に乾燥させるまでの時間、すなわち乾燥工程が含浸剤の過剰使用によって長くなるという欠点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第2009/127214号
【特許文献2】国際公開第2014/135166号
【特許文献3】ロシア国特許出願公開第2684085号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、本発明の目的は、特に靴のような小ぶりな着用物品の処理が、非常に優れた含浸能力を達成し、同時に含浸剤を節約し、さらにまた、結果として、全体の処理サイクルを低減するように乾燥時間を短縮する装置及び方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、物品、特に靴、ブーツ、バッグ、手袋などに含浸剤又は撥水剤などの表面処理を施すための装置を提供することによってこの課題に対処するものであって、前記装置は、処理チャンバーの外側から処理チャンバーへのアクセスを提供する開放可能なアクセス機能を備える閉鎖処理チャンバーを備え、処理チャンバーの底部の近傍にターンテーブルが設けられ、前記ターンテーブルはx-y平面において平坦な表面を備え、さらに、ターンテーブルが前記x-y平面に対して直交するZ軸周りに回転可能であり、ターンテーブルに向かってミストを噴射するために向けられた1つ以上のノズルが処理チャンバー内に配置され、前記1つ以上のノズルは制御ユニットに接続され、ターンテーブルの周辺に複数のマーカーが設けられ、処理チャンバー内にマーカーを記録するスキャナーが設けられ、スキャナーからの入力が制御ユニットへの入力として用いられ、スキャナーによって記録されたマーカーの予めプログラムされたシーケンス(sequence)及び/又はカウント(count)に従って1つ以上のノズルが作動して処理のミストを放出するようになっていること。
【0008】
処理チャンバー内にターンテーブルを設けることで、処理対象物品、例えば靴を、処理ミストを噴出するノズルに対して回転させることができる。そのため、ノズルの前に被処理物のどの部分があっても、被処理物を均等に処理することができる。ノズルが静止している先行装置では、ノズルの角度と含浸ミストの供給が含浸処理の結果を定める上で決定的であった。ターンテーブルが回転する本装置では、物品がノズル(複数可)を通過する際に、物品がノズルに対して相対的に処理されることになる。処理対象物品がターンテーブル上で回転する処理工程中に死角がないように見えるという点で、好結果の処理を得るのは容易である。
【0009】
さらに、例えばドア付きの密閉型処理チャンバーや、引き出しの一部となっている密閉型処理チャンバーを使用することで、含浸剤や撥水剤が周囲に漏れることなく、処理チャンバー内で極めて集約的に処理することが可能である。
【0010】
ターンテーブルの外周に沿ってマーカーを設け、ターンテーブル上のマーカーを検出しカウントするためにスキャナーを配置することにより、ノズルに対するターンテーブルの正確な位置を特定することが可能である。さらに、例えば靴などの処理対象物品を、ターンテーブル上に靴の外形を設けるなどして決められた位置に配置することにより、マーカーとスキャナーとの相互作用により、周知であるように、靴の特定の部分が特定のノズルを通過するときに、ノズルを通過する靴の部分に反応してノズルを作動させることが可能となる。
【0011】
さらに、処理チャンバー内に2つ以上のノズルが設置されている実施形態では、様々な理由から、2つ以上のノズルを異なるタイミングで作動させることが有利である場合がある。理由の1つは、あるノズルが他のノズルよりも高い位置に配置され、靴のシャフトを処理するために使用されるべき場合、シャフトが靴上に存在し、シャフトがノズルに近接する場合にのみ、このノズルが起動されることであろう。これにより、高い方のノズルから噴出されるミストが、低い方のノズルから噴出されるミストや、処理チャンバー内の他の場所に配置されたノズルから噴出されるミストに干渉しない、という利点がさらにもたらされる。
【0012】
本発明のさらに有利な実施形態では、処理チャンバー内に2つ以上のノズルが配置され、各ノズルはターンテーブルの異なるセクションに向けられる。
【0013】
この実施形態では、ノズルが処理液、すなわち含浸剤又は撥水剤を異なる部分に塗布するように設計することが実現される。ターンテーブルが回転すると、靴などの被処理物品は、ノズルによって露出された異なる部分を通過し、それによって特定のノズルが意図する処理を受けることになる。さらに、ノズルが向けられるセクションが異なるだけでなく、上述のようにマーカーやスキャナーによって検出された特定の時間にノズルが作動するようにプログラムされている場合、あるノズルから出されたミストが他のノズルからのミストに干渉することが回避され得る。2つのノズルから同時に噴出されるミストが干渉すると、ミストの粒子が集まって液滴となり、被処理物物の処理に支障をきたす可能性/リスクがあることが、試験で示されている。
【0014】
さらに有利な実施形態では、少なくとも1つのノズルは、ターンテーブルが回転する軸に対して半径方向に向けられ、少なくとも1つのノズルは、x-y平面に対して斜めに配置されている。
【0015】
さらに有利な実施形態では、少なくとも1つの昇降式プラトーがターンテーブルの上方に配置され、前記プラトーもx-y平面内に表面を有し、プラトーは、ターンテーブルとプラトーが一体となって回転するようにターンテーブルに接続され、ターンテーブルの上面とプラトーの下面の間の距離によって処理対象物品をターンテーブルの上に置くことができる。このようにして、例えば、各レベルに1つの靴、すなわち、ターンテーブルに1つ、プラトーに1つの靴を持つ一対の靴を配置することが可能になる。ターンテーブルがかなりの直径、例えば40~60センチメートルを有する大型の装置では、各レベルに1つずつ、2組の靴を配置することが可能であろう。1つのノズルで両方のレベルで適切な処理を提供しようとすることによって処理を損なうことを避けるために、プラトー上に置かれた物品とターンテーブル上に置かれた物品に対する処理を実行するために、ターンテーブルのみを有する装置と比較して、通常、追加のノズルが配置されることになる。
【0016】
プラトーは、ミストが広がるゾーンを区切ることもでき、処理ゾーン、すなわち靴が置かれたターンテーブルの表面とプラトーの下面との間に、より濃厚なミストが発生するようにする。このようにすることで、ミスト、ミストの密度、処理ゾーンに存在させる処理液の量をコントロールすることが容易になる。
【0017】
本発明のさらに有利な実施形態では、予めプログラムされたノズル作動シーケンスは、靴が1つ、2つ又はそれ以上の予めプログラムされたノズル作動シーケンスを有し、ブーツが靴についての予めプログラムされたノズル作動シーケンスと異なる1つ、2つ又はそれ以上の予めプログラムされたノズル作動シーケンスを有するように、処理すべき種々の物品に特有のシーケンスを含んでおり、手袋は、靴とブーツについての予めプログラムされたノズル作動シーケンスと異なる2つ以上の予めプログラムされたノズル作動シーケンスを有し、バッグは、靴、ブーツ、手袋についての予めプログラムされたノズル作動シーケンスと異なる1つ、2つ又はそれ以上の予めプログラムされたノズル作動シーケンスを有し、その他の物品は、靴、ブーツ、手袋、バッグについての予めプログラムされたノズル作動シーケンスと異なる1つ、2つ、又はそれ以上の予めプログラムされたノズル作動シーケンスを有する。
【0018】
もちろん、ターンテーブルの位置が常に確認できるターンテーブルとノズルの制御を組み合わせれば、処理対象物品に応じて処理チャンバー内の処理形態を変えることが可能である。例えば、靴には多くの角度があり、1つの処理形態が必要であるが、例えばバッグには2つの大きな側面と2つの小さな側面しかない場合があり、靴と比較してバッグの処理を適合させる必要がある。
【0019】
この実施形態では、本装置で処理する物品の種類に応じて、処理計画を予めプログラムすることが可能になる。また、例えば、ブーツ、手袋、バッグを処理する場合、手袋をターンテーブル上に置いた場合に生じる可能性のある死角を避けるために、これらの物品に特別なサポートを提供することが可能である。ターンテーブルとの係合により、手袋の主要な表面が塞がれる傾向がある。これらの実施形態では、処理チャンバー内で処理される前に手袋が置かれる「モデルハンド」を提供することが考慮されてもよい。同様に、バッグについても、バッグが実質的に直立した位置にあるように、又はバッグの非常に小さな部分のみがターンテーブルによって隠される位置にあるような、バッグ用の支持体が使用され得る。
【0020】
これは、本発明のさらに有利な実施形態においてさらに改善され、関連する予めプログラムされたノズル作動シーケンスは、装置の外側に設けられた入力ユニットから選択することができ、入力ユニットは、任意に、タッチ式スクリーンを含んでいる。装置の外側に配置されたタッチ式スクリーンを使用することにより、ユーザは、プログラムを容易に選択することができ、それにより、ターンテーブル及びノズルによる処理計画を選択することができ、予めプログラムされた最適な処理が処理室内で実施されるようにする。
【0021】
さらに有利な実施形態では、処理対象物品がチャンバー内のどこに置かれているかを認識するために、処理チャンバー内にカメラが設けられ、前記記録事項は、どのノズルがどの特定の時間又は間隔で作動するかを制御するための制御ユニットへの入力として用いられる。カメラは、カメラの位置に対する被処理物の位置を認識することができ、それによって、ターンテーブル(すなわち、マーカーとスキャナー)の位置に加えて、カメラは、装置によって処理されるためにターンテーブル又はプラトー上に置かれる被処理物の位置と種類の光学的認識を提供する。さらに、カメラは、好結果の処理の制御を行っても良く、通常、含浸液などで処理対象物品は、処理直後に濡れたゾーンができる傾向があり、カメラは、濡れた表面と乾いた表面を区別できるはずである。この区別は、当然ながら、物品の全表面が十分に処理されているかどうかを示すことになる。
【0022】
さらなる有利な実施形態において、表面処理は、以下のうちの1つ以上を変化させることによって、処理ごとに変化させることができる:
a. ターンテーブルの回転速度;
b. ノズル内の圧力;
c. ノズルがミストを放出する時間持続時間
d. 処理チャンバー内に複数のノズルが設けられており、どのノズルがどの時間又は時間間隔で作動するかを決定すること。
【0023】
本発明はまた、上記のような装置を使用する方法をも対象とする。装置の特徴を参照して、既に上述した利点が、同様に方法によって全て達成されることは明らかである。
【0024】
次に、本発明は、添付の図面を参照して説明される:
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】
図1は、本装置の特徴のいくつかを極めて概略的に示す図である;
【
図2】
図2は、プラトーを有するターンテーブルの一実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1には、本発明による装置の特徴のいくつかが非常に概略的に示されている。
図1は、実際の実用的な装置を図示しようとするものではなく、主に装置の新規性及び発明的な特徴、及び本発明の一般的な原理を説明するためのものであることに留意する必要がある。
【0027】
装置10は、全般的に、ハウジング14の内部に配置された処理チャンバー12を備える。本実施形態におけるハウジングは、上壁、下壁、側壁、及び後壁を備える。装置の前面には、アクセスドア16が設けられており、ドア16を開くことによって、装置10の内部の処理チャンバー12にアクセスできるようになっている。
【0028】
本発明の様々な特徴を説明するために、側面及びドアは透明なものとして図示されているが、実際には、それらは透明であってもよいし、例えばスチール、プラスチックなどの固体材料から作られていてもよい。処理チャンバー12の内部には、ターンテーブル20が配置されており、このターンテーブルは、x-y平面内に表面を有し、x-y平面に直交する軸すなわちZ軸に対して平行な軸を中心に回転するように配置されてもよい。一般的には、ターンテーブル20の表面は、ターンテーブル上に置かれた物品がターンテーブル上に留まるように、実質的に水平であろう。
【0029】
ターンテーブルの周縁部22には、ターンテーブル20の周縁部に複数のマーカーが実質的に等間隔に設けられている。ターンテーブル20に隣接して、スキャナー26が配置されており、このスキャナー26は、スキャナー26の前を通過するマーカー24を検出し、カウント/記録することができる。このようにして、制御ユニット30は、ターンテーブルの正確な角度位置(当然、回転速度等も)を決定することができない。これは、処理剤の放出の予めプログラムされたシーケンスを決定することができるように、処理されるべき物品の正確な位置を決定するために重要である。
【0030】
さらに、処理チャンバー18の内部には、多数のノズルが設けられている。本実施形態では、2つのノズル30、32が設けられている。ノズルは、ターンテーブル20に向かってミストを発するように配置されているが、必ずしもターンテーブルの回転軸Zに向かって放射状に配置する必要はなく、ミストがターンテーブル20に対して多かれ少なかれ接線方向を持つように、斜めに配置してもよい。これに関連して、ノズル30、32によって放出される処理剤はミスト状になり、したがって、放射方向が放射状又は放射状でないという言及がある場合に参照されるのは、一般的な方向であることに留意されたい。
【0031】
スキャナー26とノズル30、32は制御ボックス30に接続されており、制御ボックスはノズル30、32を作動させることができ、スキャナー26からの入力を得ることができるようになっている。これに関連して、ノズルに処理剤を供給するために必要なすべての配管は図示されておらず、必要なポンプ、リザーバなども図示されていないことに留意されたい。電気接続部34、36、38は、いずれもノズル及びスキャナーを制御ボックス30に接続するものである。制御ボックス30の内部には、処理チャンバー12の内部でどの種類の物品が処理されるかに応じて、予めプログラムされた様々な処理サイクルが提供され得る。適切な処理プログラムを選択するために、制御ボックス30は、この実施形態では、タッチ式スクリーン40を備えており、ユーザが、例えば靴、ブーツ、バッグ又は手袋などの物品のタイプに対する処理のタイプを容易に選択できるようになっている。
【0032】
既に上述したように、処理されるべき物品は、ターンテーブル上に配置される。ターンテーブル20の上面には、処理されるべき物品とターンテーブル20の周縁部22上のマーカー24との間の関係が容易に相互に関連付けられるように、処理されるべき物品を正確に配置する場所の表示が設けられてもよく、したがって、処理の予めプログラムされたシーケンスが制御ボックス30から実施されるときに、スキャナー26から受信した入力は、多かれ少なかれ処理対象物品の100%完全な処理ができるだけ早く、できるだけ少ない処理剤で達成できるように、正確な時間且つ正確な用量で正確な方向に処理剤を放出するために、どのノズルをどの時間に作動させるべきかを決定するのに役立つであろう。
【0033】
図2では、ターンテーブル20’の更なる実施形態が図示されており、ターンテーブル20’は、
図1のターンテーブルの表面20と同等の表面を有する。さらに、プラトー21が設けられており、処理対象物品を置くために、実質的に2つの段がユーザに利用可能である。当然のことながら、ターンテーブルの表面とプラトーの表面との間のZ方向の距離は、処理対象物品を収容するのに十分な大きさでなければならない。
【0034】
一般的には、ターンテーブル上に2つ以上の段が設けられる実施形態では、任意の段に置かれた物品を十分に効果的な方法で処理できるように、複数のノズルが処理チャンバー内に設けられることになる。当然のことながら、物品が2つ以上の段に提供される場合、制御ボックス30に記憶された予めプログラムされた処理サイクルは、ユーザによってプログラムされ、選択される必要があるであろう。
【0035】
ノズル30、32及び任意のさらなるノズル(この実施形態に関しては図示せず)は、一方のノズルが処理されるべき物品に向かって処理剤のミストを放出しているときに他方のノズルが休止しているように、順次作動することができ、その逆もまた同様である。また、処理対象物品の様々な領域を同時に処理するために、いくつかのノズルを同時に作動してもよいことも考えられる。しかしながら、処理チャンバー12内に様々な位置に配置されたノズルから放出される処理ミストが干渉し、それによって物品の適切な処理サイクルが妨げられる可能性があることが示された。
【手続補正書】
【提出日】2023-05-19
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0030
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0030】
さらに、処理チャンバー18の内部には、多数のノズルが設けられている。本実施形態では、2つのノズル32、32’が設けられている。ノズルは、ターンテーブル20に向かってミストを発するように配置されているが、必ずしもターンテーブルの回転軸Zに向かって放射状に配置する必要はなく、ミストがターンテーブル20に対して多かれ少なかれ接線方向を持つように、斜めに配置してもよい。これに関連して、ノズル32、32’によって放出される処理剤はミスト状になり、したがって、放射方向が放射状又は放射状でないという言及がある場合に参照されるのは、一般的な方向であることに留意されたい。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0031
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0031】
スキャナー26とノズル32、32’は制御ボックス30に接続されており、制御ボックスはノズル32、32’を作動させることができ、スキャナー26からの入力を得ることができるようになっている。これに関連して、ノズルに処理剤を供給するために必要なすべての配管は図示されておらず、必要なポンプ、リザーバなども図示されていないことに留意されたい。電気接続部34、36、38は、いずれもノズル及びスキャナーを制御ボックス30に接続するものである。制御ボックス30の内部には、処理チャンバー12の内部でどの種類の物品が処理されるかに応じて、予めプログラムされた様々な処理サイクルが提供され得る。適切な処理プログラムを選択するために、制御ボックス30は、この実施形態では、タッチ式スクリーン40を備えており、ユーザが、例えば靴、ブーツ、バッグ又は手袋などの物品のタイプに対する処理のタイプを容易に選択できるようになっている。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0035
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0035】
ノズル32、32’及び任意のさらなるノズル(この実施形態に関しては図示せず)は、一方のノズルが処理されるべき物品に向かって処理剤のミストを放出しているときに他方のノズルが休止しているように、順次作動することができ、その逆もまた同様である。また、処理対象物品の様々な領域を同時に処理するために、いくつかのノズルを同時に作動してもよいことも考えられる。しかしながら、処理チャンバー12内に様々な位置に配置されたノズルから放出される処理ミストが干渉し、それによって物品の適切な処理サイクルが妨げられる可能性があることが示された。
なお、本発明の実施形態の態様として、以下に示すものがある。
[態様1]
物品、特に靴、ブーツ、バッグ、手袋等に含浸剤又は撥水剤等の表面処理を施す装置であって、前記装置は、処理チャンバーの外部から処理チャンバーにアクセスするための開閉可能なアクセス機能を備えた閉鎖された処理チャンバーを備え、前記処理チャンバーの底部の近傍にターンテーブルが設けられており、前記ターンテーブルがx-y平面において平坦な表面を備え、さらに前記ターンテーブルが前記x-y平面に対して直交するZ軸の周りに回転可能である、装置であり、前記ターンテーブルに向かってミストを噴射するために向けられた1つ以上のノズルが前記処理チャンバー内に配置され、前記1つ以上のノズルは制御ユニットに接続され、前記ターンテーブルの周辺に複数のマーカーが設けられ、前記処理チャンバー内に前記マーカーを記録するスキャナーが設けられ、前記スキャナーからの入力が制御ユニットへの入力として用いられ、前記スキャナーが記録した前記マーカーの予めプログラムされたシーケンス及び/又はカウントに従って前記1つ以上のノズルが作動して処理のミストを放出させるようにされている、装置。
[態様2]
前記処理チャンバー内に2つ以上のノズルが配置され、各ノズルが前記ターンテーブルの異なるセクションに向けられる、態様1に記載の装置。
[態様3]
少なくとも1つのノズルが、前記ターンテーブルが回転する中心の軸へ半径方向内側に向けられ、少なくとも1つのノズルが、前記x-y平面に対して斜めの角度で配置されている、態様2に記載の装置。
[態様4]
前記ターンテーブルの上方に少なくとも1つの昇降式プラトーが配置され、前記プラトーも前記x-y平面内に表面を有し、前記プラトーが前記ターンテーブルに接続され、前記ターンテーブルと前記プラトーが一体となって回転し、前記ターンテーブルの上面と前記プラトーの下面との間の距離が、処理対象物品を前記ターンテーブル上に置くことを可能にする態様1に記載の装置。
[態様5]
前記処理チャンバーが、前記ターンテーブル上と前記プラトー上面の両方に前記処理対象物品を配置できる大きさを有する、態様4に記載の装置。
[態様6]
予めプログラムされたノズル作動シーケンスが、靴が1つ、2つ又はそれ以上の予めプログラムされたノズル作動シーケンスを有し、ブーツが靴用についての予めプログラムされたノズル作動シーケンスとは異なる1つ、2つ又はそれ以上の予めプログラムされたノズル作動シーケンスを有し、手袋が靴及びブーツについての予めプログラムされたノズル作動シーケンスとは異なる2つ以上の予めプログラムされたノズル作動シーケンスを有し、バッグは、靴、ブーツ、手袋についての予めプログラムされたノズル作動シーケンスとは異なる1つ、2つ又はそれ以上の予めプログラムされたノズル作動シーケンスを有し、その他の物品は、靴、ブーツ、手袋、バッグについての予めプログラムされたノズル作動シーケンスとは異なる1つ、2つ、又はそれ以上のプリプログラムされたノズル作動シーケンスを有する、態様1に記載の装置。
[態様7]
関連する予めプログラムされたノズル作動シーケンスが、前記装置の外側に設けられた入力装置から選択可能であって、任意選択的に前記入力装置は、タッチ式スクリーンを備える、態様6に記載の装置。
[態様8]
処理対象物品がチャンバー内のどこに置かれているかを認識するために、前記処理チャンバー内にカメラが設けられており、前記記録は、どのノズルがどの特定の時間又は間隔で作動するかを制御するための、制御ユニットへの入力として使用される、態様1記載の装置。
[態様9]
以下の1つ以上を変化させることにより、表面処理を処理ごとに変化させることができる、態様1~8のうちいずれかの態様に記載の装置:
a.前記ターンテーブルの回転速度;
b.前記ノズル内の圧力;
c.前記ノズルがミストを放出する時間持続時間
d.前記処理チャンバー内に複数のノズルが設けられており、どのノズルがどの時間又は時間間隔で作動するかを決定すること。
[態様10]
含浸剤又は撥水剤又はその他の薬剤による処理前及び/又は処理中及び/又は処理後に、空気中の余剰含浸剤又は撥水剤又はその他の処理剤を前記処理チャンバーから排出するためのファン又はその他の排出手段が設けられている、態様1~8のうちいずれかの態様に記載の装置。
[態様11]
含浸剤又は撥水剤又はその他の薬剤による処理後の処理された物品を乾燥させるために、前記処理チャンバー内に換気装置及び/又はファン及び/又は加熱源が設けられている、態様1~10のうちいずれかの態様に記載された装置。
[態様12]
態様1~11のうちいずれかの態様に記載の装置を使用する方法であって、前記ターンテーブル及び/又はプラトーが設けられている場合には、その上に処理されるべき1つ以上の物品が配置され、その後、前記処理チャンバーへのアクセスが閉じられ、予めプログラムされた処理プログラムが選択され、前記プログラムは少なくとも以下を含む、方法:
a.含浸させる前記物品を前記ターンテーブル上で回転し、前記ターンテーブルの位置を記録すること;
b.処理対象物品の回転に伴い、前記1つ以上のノズルから前記処理対象物品に向けて処理剤のミストを放出すること;
c.前記1つ以上のノズルから処理剤を放出することを含む処理プログラムの一部が終了した後であること;
d.前記ターンテーブルの回転を維持したまま、乾燥サイクルを開始すること;
e.前記処理チャンバーへのアクセスが開かれ、現在処理されている物品が取り出された後であること。
【国際調査報告】