(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-29
(54)【発明の名称】変化した周辺環境に対して検知および警告する方法
(51)【国際特許分類】
G08G 1/16 20060101AFI20231121BHJP
G08B 21/02 20060101ALI20231121BHJP
G08B 21/00 20060101ALI20231121BHJP
【FI】
G08G1/16 C
G08B21/02
G08B21/00 U
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023529995
(86)(22)【出願日】2021-11-24
(85)【翻訳文提出日】2023-05-17
(86)【国際出願番号】 DE2021200200
(87)【国際公開番号】W WO2022122090
(87)【国際公開日】2022-06-16
(31)【優先権主張番号】102020215463.5
(32)【優先日】2020-12-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】322007626
【氏名又は名称】コンチネンタル・オートナマス・モビリティ・ジャーマニー・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【氏名又は名称】中村 真介
(74)【代理人】
【識別番号】100221981
【氏名又は名称】石田 大成
(72)【発明者】
【氏名】フェルンコルン・ゲオルク
【テーマコード(参考)】
5C086
5H181
【Fターム(参考)】
5C086AA54
5C086BA22
5C086CA11
5C086CA28
5C086CB36
5C086FA01
5C086FA11
5C086FA18
5H181AA01
5H181AA21
5H181BB04
5H181CC03
5H181CC04
5H181CC11
5H181CC14
5H181LL01
5H181LL02
5H181LL04
5H181LL07
5H181LL08
5H181LL17
(57)【要約】
本発明は、車両の周辺環境の変化を認識する方法、それに対応する運転支援システムおよびこの運転支援システムを備える車両に関する。車両(2)が停止している間、周辺環境データセットを連続的に受信する。現在停止中に受信中の周辺環境データセットと、車両(2)の停止時に受信され、保存されたものである、保存周辺環境データセットとを連続的に比較することにより、現在の周辺環境変化Δtを連続的に計算する。計算された現在の周辺環境変化Δtが所定の変化閾値Δlimを超過する、Δt>Δlimである場合、変化警告信号を供給する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両(2)の周辺環境の変化を認識する方法において:
a)前記車両(2)が停止している間、周辺環境データセットを連続的に生成または受信するステップと;
b)前記現在停止中に生成中または受信中の周辺環境データセットと、前記車両(2)の停止時に生成または受信され、保存されたものである、保存周辺環境データセットとを連続的に比較することにより、現在の周辺環境変化Δtを連続的に計算するステップと;
c)前記計算された現在の周辺環境変化Δtが所定の変化閾値Δlimを超過する、Δt>Δlimである場合、変化警告信号を供給するステップとを備える方法。
【請求項2】
前記車両(2)の点火がスイッチオフされている間および/または前記車両(2)が施錠されている間、前記周辺環境データセットが受信され、前記現在の周辺環境変化Δtが計算される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記周辺環境データセットが、前記車両(2)の少なくとも1つの内部センサ(3)および/または少なくとも1つの外部エンティティ(4)により受信される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
d)前記変化警告信号が存在する場合、前記車両(2)の運転者に音響的および/または光学的および/または触覚的警告を出力するステップ;
e)前記変化警告信号が存在する場合、前記車両(2)の制動、特に、駐車制動をオンにし、および/または前記車両(2)のクルーズコントロール要素を少なくとも部分的にオフにするステップ;
f)前記変化警告信号が存在する場合、少なくとも、前記変化警告信号を誘因した物体(5)を、前記車両(2)のスクリーンに表示するステップのうちの少なくとも1つをさらに備える、請求項1~3の何れか1項に記載の方法。
【請求項5】
周辺環境データが、少なくとも、前記車両(2)の周り360°の周囲における物体(5)と前記車両(2)の車体との各略鉛直、水平距離を含む、請求項1~4の何れか1項に記載の方法。
【請求項6】
周辺環境データが、前記車両(2)に対する各々の位置を有する所定数の最近傍物体(5)を含む、請求項1~5の何れか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記保存周辺環境データセットにおける各物体(5)について、前記保存周辺環境データセットにおけるその各々の位置と前記現在受信中の周辺環境データセットにおけるその対応する位置とを比較することにより、距離変化Δdiを、前記現在の周辺環境変化として計算し;
ステップc)において、前記計算された距離変化Δdiのうちの1つが前記所定の周辺環境変化閾値Δlimを超過する、Δdi>Δlimである場合、前記変化警告信号を供給する、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
信頼区間が各々前記生成または受信周辺環境データセットに付加され、前記信頼区間が各前記周辺環境データセットおよび/またはその中に含まれる物体(5)の品質を評価する、請求項1~7の何れか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記現在受信中の周辺環境データセットにおいて、前記保存周辺環境データセットにはない少なくとも1つの別の物体(5)が含まれている場合、前記変化警告信号を追加で供給する、請求項6~8の何れか1項に記載の方法。
【請求項10】
g)前記車両(2)が停止している間または請求項2に記載の方法の場合には前記車両(2)の点火がスイッチオフされている間および/もしくは前記車両(2)が(外側から)施錠されている間、前記車両(2)の少なくとも1つの第1内部センサ(3)を用いて周辺環境データセットを連続的に決定するステップをさらに備える、請求項1~9の何れか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記計算された現在の周辺環境変化Δtが前記所定の変化閾値Δlimを超過する場合、前記周辺環境データセットを前記車両(2)の少なくとも1つの第2内部センサ(3)を追加で用いて、および/またはより高いサンプリングレートで決定する、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
h)周辺環境データセットを、前記車両(2)が停止する時点t=0における前記保存周辺環境データセットとして受信および保存するステップをさらに備える、請求項1~11の何れか1項に記載の方法。
【請求項13】
請求項1~12の何れか1項に記載の前記方法のステップを実行するための手段を備える、車両(2)の周辺環境の変化を認識する運転支援システム(1)。
【請求項14】
請求項13に記載の前記運転支援システム(1)を備える車両(2)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の周辺環境の変化を認識する方法、それに対応する運転支援システムおよびこの運転支援システムを備える車両に関する。
【背景技術】
【0002】
車両の駐車入退場は、全ての交通参加者にとって大きな危険を孕む。センサと運転支援システム(例えば、超音波センサ、バックカメラ、サラウンドビューカメラ、ディスタンスアラート等)を備える車両の装備比率は高いにもかかわらず、駐車入退場の際の死亡または負傷、物的損害を伴う事故の数はほぼ変わらずに高どまりしている。人間と動物の身体および生命そして重大な物的損害の危険に加えて、このことは、高いコスト要因をも意味している。
【0003】
搭載されているセンサの数が増加しているにもかかわらず、駐車入退場の際の事故の数は減少していないのは、一方では、運転者の挙動に起因するが、他方では、物体、例えば、他の車両、人間、動物等との衝突を運転者に対して警告するために、車両のセンサを用いてどのデータが運転支援システムにおいて利用可能であるかが問題でもあり、警告の仕方も問題である。
【0004】
一方では、車両の周りの視認できない領域、例えば、車両側方の死角、車両直前方の視認できない領域(この領域の大きさは車両の大きさと共に増大する)、車両直後方の視認できない領域(この領域の大きさは車両の大きさと共に増大する)、車両直下方の視認できない領域等は、運転者によって走行開始前にチェックされない。また、他方では、駐車中の車両に乗り込む前に周辺環境の点検が行われず、つまり走行開始前に周辺環境の点検が行われない。さらに、現在の運転支援システム(例えば、パークディスタンスコントロール)による警告は知覚されないかまたは考慮されていないのは、運転者は、自身の車両が狭い駐車箇所にある場合、運転者と車両が多様な物体と非常に近接していることが分かっていることから、運転支援システムによる、例えば、連続的な音響的警告には注意を払わないためである(この警告が既知の周辺環境により生成されたものに過ぎないことは分かっていると信じられているのである)。
【0005】
また、車両が停止している時間の間または車両のスイッチオフ状態の間には周知のセンサまたは運転支援システムにより物体との距離が認識されるに過ぎないため、車両の周辺環境のある種の変化は認識されない。例えば、車両を(リモートで)駐車入場させる場合(運転者は車両外におり、スマートフォン、スマートキー等を介して駐車プロセスをオンにする)、運転者、特に、運転者が手動で駐車退場する際の運転者も、車両自体も、車両の実際の周辺環境については認識していないのは、自律駐車車両は、駐車完了直後および駐車退場開始直前の周辺環境状態しか認識しないからである。運転が交代する場合、例えば、特に、カーシェアリングの場合には、他の運転者により駐車が行われた車両が使用され、以前の運転者による駐車プロセスの際に存在していた周辺環境は、新規運転者にとって、そして駐車退場時点においては車両自体にとっても未知である。
【0006】
多くの場合、車両周辺環境は運転者の不在の間または運転者交代の間に変化する可能性があり(例えば、周囲に位置する駐車車両の入れ替わり、移動物体、例えば、風により拒まれた物体および葉、または周囲に転がる/落下した物体、通過中/走行中の人間、動物、他の物体、(自)車両の移動等に起因する)、この周辺環境変化は認識されないため、依然として物体(特に、子供、動物、車椅子ユーザ等)は駐車退場の際に見落とされ、車両に巻き込まれてしまう。さらに、停止中に車両内に移動した物体(例えば、エンジンルーム内のテン)が、これまで既存のセンサによってはほとんど検知されていないのは、これらセンサは移動の時間経過を記録しないためである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って、現在も駐車入退場の際には多数の事故が発生しており、しかもその一部である巻き込みによる死亡事故(例えば、特に大きな危険に晒される交通参加者、例えば、子供、車椅子ユーザまたは動物が車にはねられることによる)は稀ではない。また、損害および損害によるコストが、車両上または車両内において、例えば、齧歯類の動物に起因して発生する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
従って、本発明の課題は、上記不利な点および問題を除去または少なくとも緩和することである。このために、本発明は、独立請求項1に係る車両の周辺環境の変化を認識する方法、ならびにさらなる独立請求項に係るそれに対応する運転支援システムおよびこの運転支援システムを備える車両を提供する。有利な構成と発展形態は、それに対応する従属請求項の主題である。
【0009】
本発明の第1態様によると、車両の周辺環境の変化を認識する方法は:
a)車両が停止している間、周辺環境データセットを連続的に生成または受信するステップと;
b)現在停止中に生成中または受信中の周辺環境データセットと、車両の停止時に生成または受信され、保存されたものである、保存周辺環境データセットとを連続的に比較することにより、現在の周辺環境変化Δtを連続的に計算するステップと;
c)計算された現在の周辺環境変化Δtが所定の変化閾値Δlimを超過する、Δt>Δlimである場合、変化警告信号を供給するステップとを備える。
【0010】
本方法のステップは、任意の有意義な順序で実行されてよい。この場合、本方法の個々のステップは、連続的に、つまり、共通のクロックレートでまたは各ステップについて異なる所定のクロックレートで反復的に実行されてよい。
【0011】
本発明の第2態様によると、車両の周辺環境の変化を認識する運転支援システムは、本発明の第1態様に係る方法のステップを実行するための手段を備える。
【0012】
運転支援システムは、データ処理装置として、例えば、マイクロコントローラ(μC)、集積回路、特定用途向け集積回路(Application-Specific Integrated Circuit, ASIC)、特定用途向け標準製品(Application-Specific Standard Product, ASSP)、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)、フィールドプログラマブル(ロジック)ゲートアレイ(Field Programmable Gate Arrays, FPGA)等として構成されてよい。運転支援システムは、特に、インタフェースモジュール、比較モジュールおよび変化警告モジュールを備えてよい。インタフェースモジュールは、車両が停止している間、周辺環境データセットを連続的に受信する(ステップa))ように構成されてよい。比較モジュールは、現在停止中に受信中の周辺環境データセットと、車両の停止時に生成または受信され、保存されたものである、保存周辺環境データセットとを連続的に比較することにより、現在の周辺環境変化を連続的に計算する(ステップb))ように構成されてよい。変化警告モジュールは、計算された現在の周辺環境変化が所定の変化閾値を超過する場合、変化警告信号を供給する(ステップc))ように構成されてよい。この場合、これらモジュールは、運転支援システムにより実行されるソフトウェアモジュール、互いに通信可能に接続されるデータ処理装置またはこの組み合わせであってよい。
【0013】
本発明の第3態様によると、車両は、本発明の第2態様に係る運転支援システムを備える。
【0014】
本発明に関して、連続的という概念は、動作が反復され、特に、所定のサンプリングレートまたはクロックレートで実行されることと理解される。つまり、「連続的に」という概念は、「複数の所定の時点に」として、特に、「各々所定の時間間隔後に」として理解される。従って、連続的に実行されるステップは、複数のある所定の時点に、または各々所定の時間間隔の経過後に、つまり所定のサンプリングレート/クロックレートで実行されるステップとして理解される。
【0015】
本発明を用いて、(自)車両が停止している間(例えば、スイッチオフ、駐車等)に、周囲の監視が行われる。このために、(自)車両の固有の車両センサ(内部センサ、例えば、超音波センサ、カメラ、LIDAR等)、追加的または代替的に、外部エンティティ、例えば、(インテリジェントな)インフラ(例えば、交通カメラ等)、交通ドローン、他の車両等のシームレスに(例えば、無線により)(自)車両に送信される外部情報を用いてよい。車両が停止している間に連続的に周辺環境データセットが受信される。受信周辺環境データセットは、(自)車両の環境または周囲に関する情報を含む。特に、(自)車両を取り巻く物体と(自)車両の車体との距離は、受信周辺環境データセットに含まれてよい。このようにして、受信周辺環境データセットは、(自)車両の周辺環境の様子に関する情報を含んでよい。この場合、水平面(前方向、後方向、左方向、右方向)、追加的または代替的に、垂直方向(下方向、上方向)における車両の周辺環境に関する情報が、受信周辺環境データセットに含まれてよい。例えば、受信周辺環境データセットは各々、複数の(自)車両を取り巻く物体(i)と車両の車体との各々の現在の(鉛直)距離(di
t)を含んでよい。
【0016】
停止中の車両の周辺環境を監視している際に受信中の周辺環境データセットは各々、車両の停止時点または駐車時点において作成された保存周辺環境データ(リファレンス)と、特に、車両の起動時または走行の開始時(例えば、駐車退場の開始時)に比較される。リファレンスとして保存された周辺環境データセットは、特に、第1メモリに保存されてよい一方、連続的に受信中の現在の周辺環境データセットは、第2メモリ、特に、リングバッファ(FIFOメモリ参照)に保存されてよい。現在受信中の周辺環境データ(例えば、(自)車両の車体と物体との複数の現在の鉛直距離)を保存周辺環境データセット(例えば、(自)車両の車体と物体との保存されている鉛直距離)に対して比較し、特に、減算することにより、現在の周辺環境変化Δtが計算される。現在の周辺環境変化Δtは、特に、停止時点と比較した場合の(自)車両の車体と複数の物体との現在の距離変化を含んでよい。
【0017】
場合によっては衝突の危険を示す(例えば、子供が車両のボンネットの直前に位置している)、停止時点(例えば、駐車入場の終了時点)からの周辺環境の顕著な変化が生じた場合、変化警告信号が供給される。変化警告信号は、他の警告信号、例えば、(自)車両のパークディスタンスコントロールの警告信号に依存しない。ここで、所定の変化閾値Δlimを用いて、いつから周辺環境変化が顕著であるかが設定される。計算された現在の周辺環境変化Δtが所定の変化閾値Δlimよりも大きい場合、変化警告信号が出力される。ここで、所定の変化閾値Δlimは、所定の長さ(例えば、30cm(センチメートル))、特に、各主要方向について所定の長さ(例えば、前方向および後方向については30cm、左方向および右方向については50cm)であってよい。従って、例えば、物体が、車両の停止時以来、車両、つまりその車体に対して所定の距離閾値(鉛直)よりも大きく接近すると、変化警告信号が供給される。変化警告信号は、通信信号であり、例えば、電気信号(インパルス、立ち上がり/立ち下がりエッジ、パルス幅変調(PWM)等)であってよく、これを用いて、例えば、(自)車両の制御部から、警告(例えば、光学的警告)を(自)車両の運転者に出力してよい。
【0018】
また、変化閾値は、状況に応じて選択されてよい。例えば、トレーラを使用する場合、後方向における距離閾値が大きくなるのは、この場合、バンパーの大幅に後方の領域も、トレーラにより巻き込まれる可能性があるためクリティカルであるからである。ここで、既存の運転支援システム(例えば、トレーラアシスト)を組み合わせることもでき、これにより、トレーラの存在が検知され、または、必要に応じて、トレーラアシストの入力変数としてそれに対応する操舵推奨の役に立つ。
【0019】
例えば、(自)車両を狭い駐車箇所に駐車入場させた結果、狭い駐車箇所と接している物体(例えば、前方車両)を理由にパークディスタンスコントロールが連続的な音響的警告を出力し、かつ、駐車退場の時点において新規物体(例えば、子供または動物)が(自車両)のボンネットの直前に位置している場合、パークディスタンスコントロールの連続的な音響的警告は変化しない。それにもかかわらず、運転者が気付いている近傍の物体(前方車両)しかボンネットの前に存在しないものと運転者が想定してしまい、前方に発進してしまうと、新規物体(子供/動物)との衝突が発生する。本発明によると、パークディスタンスコントロールによる連続的な音響的警告に加えて、駐車退場の際に変化警告信号が供給され、この変化警告信号に基づいて、別個の警告(例えば、光学的警告、他の音響的警告等)が運転者に出力され、このようにして、運転者は周辺環境変化に対して効果的に注意喚起される。
【0020】
変化閾値が車両の起動時までに再び超過されると、システムは、警告を発するか、駐車の時点と新規起動の時点との間に顕著な変化が発生し、この顕著な変化がある状況下においては依然として存在する可能性があるという信号を運転者に送るかの何れかを行う。このことは、物体が車両のエンジンルームに侵入してしまった場合に特に役に立つ。
【0021】
このようにして、本発明は、(自)車両の周辺環境の変化に対してではなく、(自)車両、つまりその車体と物体との距離が僅かであることのみに対して運転者を注意喚起する、例えば、パークディスタンスコントロール等の周知の運転支援システムに加えて、追加的な警告機能を提供する。従って、ブラインドスポットと車両周りの視認できない領域をより効果的に監視し、時宜を得つつ追加的な警告を、供給された変化警告信号に基づいて、運転者に出力することができる。また、技術的な制約(例えば、近場での超音波センサの分解能が低いこと)を解消または補償することができる。これにより、特に、駐車退場の際の事故を効果的に回避することができるのは、運転者自身によっては知覚されない(気付かれないまたは視認できない)危険または(技術的または構造的)制約から十分に検知することができない危険が認識されるからである。特に、運転者が車両を単にピックアップするカーシェアリングの際には、駐車時点における周辺環境の様子がどうであったか、駐車時点からの周辺環境の変化により危険が生じた可能性があるか否かが分からない。このために、利用可能な車両センサ、つまり(自)車両の周辺環境に関するその供給された情報が、より効果的に使用され、その後の機能性、例えば、自動扉が、より良好に支援される。
【0022】
本発明の発展形態によると、車両の点火がスイッチオフされている間、追加的にまたは代替的に、車両が(外側から)施錠されている間、(ステップa)において)周辺環境データセットが受信され、(ステップb)において)現在の周辺環境変化Δtが計算される。
【0023】
また、(自)車両が停止または駐車(速度=0)しスイッチオフされている間、つまり、その点火がスイッチオフされている間または車両が施錠されている間、周辺環境データセットは(連続的に)受信され、このようにして車両の周辺環境に関する情報が収集される。スイッチオフ/施錠されている(自)車両において受信中の周辺環境データセットは、その場合、保存周辺環境データセット(リファレンス)と比較され、その際、現在の周辺環境変化Δtが(連続的に)計算される。
【0024】
このようにして、まさに(自)車両の起動の際、つまりその点火のスイッチオンの際、または(運転者がまだ車両内に存在していない際の)車両の開錠の際においても、現在の周辺環境変化Δtが所定の変化閾値Δlimよりも大きい場合には変化警告信号を供給することができる。これにより、運転者に対して(自)車両の始動直後に、変化した車両周辺環境について警告できることが確実になる。
【0025】
本発明の発展形態によると、(ステップa)において)周辺環境データセットが、車両の少なくとも1つの内部センサにより、追加的または代替的に、少なくとも1つの外部エンティティにより受信される。
【0026】
周辺環境データセットは、(自)車両の少なくとも1つの内部センサ(例えば、超音波センサ、カメラ、LIDAR等)により受信される。少なくとも1つの内部センサは、(自)車両視点に基づく周辺環境に関する情報(例えば、(自)車両の車体に取り付けることができるセンサと物体との距離)を提供する。
【0027】
追加的または代替的に、周辺環境データセットは、少なくとも1つの外部エンティティにより、特に、協調型V2Xメッセージ(vehicle to everythingメッセージ)を用いてシームレスに受信される。少なくとも1つの外部エンティティは、インテリジェントなインフラ(例えば、交通カメラ等)、交通ドローン、他の車両等であってよい。少なくとも1つの外部エンティティは、(自)車両とは異なる視点のうちの1つに基づく周辺環境に関する情報(例えば、ある程度の離間間隔から観測される(自)車両の車体と物体との観測された距離であり、従って、観測された距離に基づく投影を用いて実際の距離を計算する必要がある)を提供する。
【0028】
ここで、(自)車両と1つまたは複数の外部エンティティ、例えば、外部車両との間で協調型調和が行われてよい。例えば、外部車両、つまりそのセンサが物体を認めた場合、(自)車両は、(自)車両もこの物体をそのセンサにより認めたか否かをチェックし、それに対応するフィードバックを外部車両に出力する。その後、(自)車両はこの場合には独自に、その固有のセンサを用いてこの物体をフォローする。同様に、(自)車両は、例えば、外部エンティティ(例えば、周囲の外部車両)に、物体がその(自)車両の周辺環境において追跡されたものの、最早その(自)車両の内部センサの視野外にあることを送信する。その場合、外部車両は、上記物体の追跡を所定の離間距離(危険空間)まで引き受ける。上記物体がその領域から離脱するとすぐ、この物体が所定の離間距離外に存在するというフィードバックが(自)車両に対して行われる。
【0029】
少なくとも1つの車両固有のセンサの周辺環境データセットを用いることにより、周辺環境データセットを迅速かつ簡単に検索することができる。少なくとも1つの外部エンティティの周辺環境データセットを用いることにより、センサを有していないか、センサがスイッチオフであるか、センサが故障している(自)車両にも、車両周辺環境の変化を供給することができ、または内部車両センサの周辺環境データセットを補完することができる。
【0030】
本発明の発展形態によると、本発明の第1態様に係る方法は、
d)変化警告信号が存在する場合、車両の運転者に音響的、追加的または代替的に、光学的、追加的または代替的に、触覚的警告を出力するステップ;
e)変化警告信号が存在する場合、車両の制動、特に、駐車制動をオンにし、追加的または代替的に、車両のクルーズコントロール要素を少なくとも部分的にオフにするステップ;
f)変化警告信号が存在する場合、少なくとも、変化警告信号を誘因した物体を、車両のスクリーンに表示するステップのうちの少なくとも1つをさらに備える。
【0031】
本方法の全てのステップは、任意の有意義な順序で実行されてよい。
【0032】
本発明のさらなる発展形態によると、運転支援システムは、警告モジュール、追加的または代替的に、制動モジュール、追加的または代替的に、表示モジュールをさらに備えてよい。警告モジュールは、車両の運転者に音響的、追加的または代替的に、光学的、追加的または代替的に、触覚的な警告を出力する(ステップd))ように構成されてよい。制動モジュールは、車両の制動、特に、駐車制動をオンにし、追加的または代替的に、車両のクルーズコントロール要素を少なくとも部分的にオフにする(ステップe))ように構成されてよい。表示モジュールは、少なくとも、変化警告信号を誘因した物体を、車両のスクリーンに表示する(ステップf))ように構成されてよい。
【0033】
警告モジュール、追加的または代替的に、制動モジュール、追加的または代替的に、表示モジュールは、変化警告モジュールと通信可能に接続されてよい。
【0034】
音響的、追加的または代替的に、光学的、追加的または代替的に、触覚的な警告は、(自)車両の要素または外部装置、例えば、携帯電話、スマートフォン、スマートキー等により運転者に出力されてよい。
【0035】
音響的警告は、変化警告信号が存在する場合に運転者に出力される、ビープ音であってよい。例えば、運転者に対する音響的警告として、警報音の出力、音響による通知(例えば、「周辺環境の変化に注意、周囲を確かめて下さい」)、音声メディア(ラジオ、ストリーミング等)の再生音量の変化(低下/増大)、自動通知を出力し、運転者を周辺環境変化に対して注意喚起する運転者のスマートフォンまたは(自)車両のテレマティクス装置に呼び出しを行ってよい。
【0036】
光学的警告は、変化警告信号が存在する場合に運転者に出力される、光源(例えば、LED等)の光信号であってよい。例えば、運転者に対する光学的警告として、(自)車両の警報灯、(自)車両のスクリーン上でのメッセージのオン、(自)車両の内部空間の車両コーナー部の照射(例えば、(自)車両外で顕著な周辺環境変化による危険が存在する、内部空間の箇所での環境照明を強化または有色化)、スイッチオンまたはパルス点灯による(自)車両の内部空間照明(例えば、リア部の読書灯、サンバイザー後方のメイクアップライト)のオン、例えば、ヘッドライトまたはテールランプ、ドアハンドルもしくはナンバープレート下の環境照明を用いるか、または(自)車両外で顕著な周辺環境変化による危険が存在する、内部空間の箇所での(自車両)のアウトサイドミラー下の環境照明を用いる)車両周辺環境の照射、および(静的または動的に仮想現実(VR)により)(自)車両のヘッドアップディスプレイでの警告のオーバーレイを行ってよい。
【0037】
触覚的警告は、特に、(自)車両の要素または外部装置(携帯電話/スマートフォン/スマートキー)による運転者に対する力、例えば、圧力、振動、パルス等の形態を有する力であってよい。例えば、運転者に対する触覚的警告は、(自)車両のクルーズコントロール要素(アクセラレータ、アクセルペダル、スロットルツイストグリップ、ハンドスロットル制御要素等)、シフトレバー、ステアリングホイール、シートベルト、
アームレスト、シート等が振動する、(自)車両のシートベルトがタイトになる等が行われてよい。
【0038】
ここで、音響的、追加的または代替的に、光学的、追加的または代替的に、触覚的な警告は、(自)車両の他の運転支援システム、特に、パークディスタンスコントロールの(音響的/光学的/触覚的)警告とは異なることが好ましい。このために、運転者に対する音響的、追加的または代替的に、光学的、追加的または代替的に、触覚的な警告は、(自)車両の要素と追加的または代替的に、1つまたは複数の外部装置、例えば、スマートフォン、携帯装置/「ウェアラブル」デバイス(例えば、スマートウォッチ、歩数計、スマートグラス、ヘッドフォン、電子タバコ)または(自)車両近傍のインテリジェントなインフラ(例えば、運転者が危険認識の確認を出力していない場合、駐車場入口でコネクテッドランプが点滅、ゲートまたは遮断物が開かない等)を用いて行われてよい。このようにして、運転者が、車両と周辺環境変化に対する責任を有する物体との間の衝突を引き起こす可能性がある周辺環境変化に気付かないことが防止される。
【0039】
追加的または代替的に、変化警告信号が存在する場合、(自)車両の制動、特に、駐車制動をオンにすることにより、(自)車両は移動できなくなり、従って、(自)車両の移動に起因する物体との衝突を発生させないことが可能である。運転者は、まず、能動的に(駐車)制動の解除を確認する(例えば、車両またはスマートフォンまたはスマートキーのスクリーン上でそれに対応する注意指示を確認する)または独自に(駐車)制動を解除する必要があり、その後、車両は移動可能、特に、駐車退場可能である。(自)車両が移動する前に、(駐車退場の際の)危険を示す顕著な周辺環境変化が認識される場合、例えば、駐車制動が再びオンになる。この場合、駐車制動は、手動でオフにされる(オーバーライドされる)必要があり、その後、運転者は(自)車両を動かすことができ、従って、運転者は顕著な周辺環境変化に対して注意喚起され、周辺環境変化に対する責任を有する物体との衝突が防止される。このようにして、運転者は、自身では気付かない周辺環境変化があるにもかかわらず車両を誤って移動させることがなく、周辺環境変化に対する責任を有するそれに対応する物体と(自)車両との衝突に至らないことが確実になる。
【0040】
追加的または代替的に、クルーズコントロール要素、専門用語では、自動車におけるアクセラレータまたはアクセルペダル、自動二輪車、軽車両および体の不自由な人に個別に適合された自動車におけるスロットルツイストグリップまたはハンドスロットル制御要素を少なくとも部分的にオフにする。この場合、例えば、クルーズコントロール要素の第1制御領域または制御領域全体をオフにしてよく、これにより、その領域において制御信号は車両のモータまたは制御装置に出力されない。このようにして、運転者によりクルーズコントロール要素が操作または調整される場合にも、車両は移動しない。運転者は、まず、能動的にクルーズコントロール要素を再びオンにする(例えば、車両またはスマートフォンまたはスマートキーのスクリーン上でそれに対応する注意指示を確認する)必要があり、その後、車両は移動可能、特に、駐車退場可能である。また、車両を移動させるために運転者がまず克服する必要がある、クルーズコントロール要素の操作方向に対する対抗力が適用されてよく、運転者は、クルーズコントロール要素を操作するのに必要な力が増大することにより、周辺環境変化に対して注意喚起される。このようにして、顕著な周辺環境変化が認識された場合、例えば、クルーズコントロール要素(アクセラレータ)を(部分的に)オフにしてよく、運転者がスクリーン上でメッセージを確認するか、または手動でアクセラレータを2回タップすることにより顕著な周辺環境変化に対する警告を理解したという信号を送信して初めて、クルーズコントロール要素は加速命令を送信する。このようにして、運転者が周辺環境変化に気付かず、車両が周辺環境変化に対する責任を有する物体と衝突することが防止される。
【0041】
追加的または代替的に、変化警告信号が存在する場合、変化警告信号を誘因した物体を、車両のスクリーンに、例えば、シンボルとしてまたはライブ画像として、好ましくは、鳥瞰図で表示する。これにより、運転者は、即時に周辺環境変化がどこに存在するか、車両を危険なく移動させることができるか否か、認識できる。これにより、運転者自身によっては知覚されなかった周辺環境変化を引き起こした物体を運転者が見落とすことなく、衝突を生じさせないことが確実になる。
【0042】
ステップd)、追加的または代替的に、ステップe)、追加的または代替的に、ステップf)は、まだ、車両が停止状態から動かされる前に、実行される。ステップd)、e)、f)のうちの1つまたは複数は、例えば、まだ、車両停止中に、追加的または代替的に、(自)車両の開錠の際または直後、追加的または代替的に、(自)車両の点火のスイッチオンの際または直後に、実行されてよく、これにより、運転者は、まだ、車両を動かす前に、顕著な周辺環境変化に関して情報を取得する。
【0043】
周辺環境変化に対する責任を有する物体について警告および表示することにより、運転者は効果的に周辺環境変化に対して注意喚起される。さらに、運転者は、(駐車)制動の解除もしくはクルーズコントロール要素の解除の確認により、または(駐車)制動の能動的解除もしはクルーズコントロール要素に適用される対抗力のオーバーライドにより、周辺環境変化に起因する通常的ではない新しい危険について注意指示され、特に駐車退場の際の事故が効果的に回避される。
【0044】
本発明の発展形態によると、周辺環境データが、少なくとも、車両の周り約360°の周囲における物体と車両の車体との各略鉛直、水平距離を含む。
【0045】
周辺環境データは、(自)車両の周辺環境における(自)車両の車体の外表面と物体との各略鉛直距離の情報を含む。鉛直距離は、周辺環境データセットにおいて、水平面、追加的または代替的に、垂直方向に存在してよい。例えば、周辺環境データセットは、前方向の最近傍物体と前側車体表面との距離、後方向の最近傍物体と後側車体表面との距離、左方向の最近傍物体と左側車体表面との距離、右方向の最近傍物体と右側車体表面との距離、下方向の最近傍物体と下側車体表面との距離を含んでよい。また、周辺環境データセットは、(自)車両の車体の水平範囲に沿い(例えば、水平範囲に沿う所定の距離において)、(自)車両の車体の下側表面に沿い(例えば、下側表面範囲に沿う所定の距離において)、各最近傍物体との各々の鉛直距離を含んでよい。特に、各物体について、(自)車両の車体の外表面との略鉛直、水平または垂直距離および任意で追加的に方向が周辺環境データセットに含まれる。
【0046】
(自)車両の周辺環境における物体と車体の鉛直距離を含む周辺環境データセットを用いて、顕著な周辺環境変化を特に確実かつ厳密に決定し、それに応じて運転者に対して警告することができる。
【0047】
本発明の発展形態によると、周辺環境データが、車両に対する各々の位置を有する所定数の最近傍物体を含む。
【0048】
車両に対する各々の位置を有する、(自車両)、つまりその車体の最も近傍に位置する好ましくは2~20個、さらに好ましくは4~16個、特に好ましくは8個の物体が周辺環境データにより把握される。特に、各物体について、(自)車両の車体の外表面との略鉛直、水平または垂直距離および任意で追加的に方向が周辺環境データセットに含まれる。
【0049】
有利な実施形態において、情報の成熟度を示す信頼区間を生成し格納してよい。
【0050】
例えば、周辺環境データは、(自)車両に対する各々の位置を有するか、または少なくとも、対応する方向における車体の表面との各々の鉛直距離を有する、1つの、複数のまたは各(主要)方向、つまり、前方向、後方向、左方向、右方向および下方向において各々1個、2個、3個、4個または5個の最近傍物体を含んでよい。周辺環境データにおいて、(自)車両、つまりその車体に対する物体の各々の位置は、例えば、極座標(角度/方向および径/距離)またはデカルト座標(x方向-前方向/後方向、y方向-左方向/右方向、z方向-下方向/(上方向))により示されてよい。
【0051】
ここで、有利な実施形態において、データを記録し、関連性がない場合には再び破棄するリングバッファが各々用いられてよい。周辺環境データセットが受信される各時点において、所定数の最近傍物体と少なくとも同数の記憶スペースを有するリングバッファ(FIFOメモリ参照)は、所定数の最近傍物体を含む新規周辺環境データセットにより完全に上書きされる。
【0052】
このようにして、(自)車両の周辺環境に関する、関連性を有する情報が、特に迅速かつ効率的にさらなる処理のために供給される。
【0053】
本発明の発展形態によると、(ステップb)において)保存周辺環境データセットにおける各物体について、保存周辺環境データセットにおけるその各々の位置と現在受信中の周辺環境データセットにおけるその対応する位置とを比較することにより、距離変化Δdiを、現在の周辺環境変化として計算する。さらに、(ステップc)において)計算された距離変化Δdiのうちの1つが所定の周辺環境変化閾値Δlimを超過する、Δdi>Δlimである場合、変化警告信号を供給する。
【0054】
例えば、各方向(前方向、後方向、左方向、右方向、下方向)において2個の物体(|i|=10)が(自)車両に対するその位置と共に保存されている場合、各受信周辺環境データセットについて10個の距離変化Δdiを計算する。含まれている10個の各物体について、保存周辺環境データセットにおけるその対応する位置と比較することにより、特に、(自)車両に対する現在の各々の相対位置または車体との現在の各々の鉛直距離を、保存周辺環境データセットからのそれに対応する相対位置またはその対応する鉛直距離から減算することにより、距離変化Δdiを計算する。
【0055】
このようにして、現在の周辺環境変化を特に迅速かつ効率的に計算することができ、従って、変化警告信号が特に迅速かつ効率的に供給することができる。
【0056】
本発明の発展形態によると、信頼区間が各々生成または受信周辺環境データセットに付加され、信頼区間が各周辺環境データセット、追加的または代替的に、その中に含まれる物体の品質を、信頼値を用いて評価する。
【0057】
信頼区間は、例えば、情報源の信頼水準の高さに基づいて導出されてよい。高い信頼値は、信頼水準の高い源からの周辺環境データセットに与えられ、低い信頼値は、信頼水準の高くない源からの周辺環境データセットに与えられる(例えば、固有のセンサによる周辺環境データセットには高い信頼値、外部、例えば、他の交通参加者またはインフラから供給された周辺環境データセットには低い信頼値が与えられる)。
【0058】
また、物体の信頼値の高さは、物体を検知するセンサの数、または物体を含む周辺環境データセットに依存してよい(例えば、超音波センサ、カメラおよび外部データによる物体認識からは高い信頼値が得られ、これにより、固有のセンサによる認識よりも高い信頼値となる)。
【0059】
このために、信頼区間または各信頼値に基づいて、各々それに対応する種類の警告が予め定義されてよい。
【0060】
本発明の発展形態によると、(ステップc)において)現在受信中の周辺環境データセットにおいて、保存周辺環境データセットにはない少なくとも1つの別の物体が含まれている場合、変化警告信号を追加で供給する。
【0061】
例えば、周辺環境データセットにおいて、(自)車両に対する各々の相対位置を有するか、または(自)車両の車体の表面との各々の鉛直距離を有する、10個の最近傍物体、つまり、前方向、後方向、左方向、右方向および下方向の5つの方向の各々において2個の物体が常に存在する際、(自)車両の停止時点に保存された周辺環境データセット(リファレンス)における10個の物体のうちの1つが、現在受信中の周辺環境データセットにおいて近傍に位置する別物体により置換されている場合には、変化警告信号を出力する。
【0062】
これにより、さらに迅速かつ効率的に変化警告信号を供給することができる。
【0063】
本発明の発展形態によると、本発明の第1態様に係る方法は、g)車両が停止している間または代替的に、車両の点火がスイッチオフされている間、追加的または代替的に、車両が施錠されている間、車両の少なくとも1つの第1内部センサを用いて周辺環境データセットを連続的に決定するステップをさらに備える。
【0064】
本方法の全てのステップは、任意の有意義な順序で実行されてよい。
【0065】
本発明のさらなる発展形態によると、本発明の第3態様に係る車両は、少なくとも1つの内部センサを備え、この少なくとも1つの内部センサは、運転支援システムと通信可能に、特に、インタフェースモジュールと通信可能に接続されており、車両が停止している間、または代替的に、車両がスイッチオフされている間、追加的または代替的に、車両が施錠されている間、車両の少なくとも1つの第1内部センサを用いて連続的に周辺環境データセットを決定するするように構成されている。
【0066】
(自)車両の少なくとも1つのセンサは、物体との距離を出力された超音波インパルスの持続時間分析に基づいて決定する超音波センサ、物体との距離を画像分析(例えば、三角測量)により決定するカメラ、物体との距離を出力されたレーザインパルスの持続時間に基づいて決定するLIDARセンサ、物理的な走査を用いて動作する触覚センサ等であってよい。また、無線通信により決定および位置認識するセンサを用いることもできる。このセンサを用いることにより、電波源、例えば、携帯電話/スマートフォン等を検知し位置認識することができる。これにより、(自)車両に対する、携帯電話/スマートフォンを携帯している人または携帯通信装置を備える車両の位置または距離を決定し、周辺環境データセットに統合することができる。
【0067】
少なくとも1つのセンサは、(自)車両、つまりその車体に対する物体の相対位置または鉛直距離を含む周辺環境データセットを連続的に決定する。連続的に決定された周辺環境データセットは、現在の周辺環境変化を決定する運転支援システムに転送されてよい。
【0068】
(自)車両の少なくとも1つの内部センサを用いることにより、(自)車両の周辺環境に関する、特に精度が高い情報を備える周辺環境データセットを決定することができる。
【0069】
本発明の発展形態によると、計算された現在の周辺環境変化Δtが所定の変化閾値Δlimを超過する場合、(ステップg)において)周辺環境データセットを車両の少なくとも1つの第2内部センサを追加で用いて、追加的または代替的に、より高いサンプリングレートまたはクロックレートで決定する。
【0070】
周辺環境データセットがより高いサンプリングレート/クロックレートで決定される(ステップg))場合、同様に、周辺環境データセットは、決定される際のサンプリングレート/クロックレート以上で受信されてよく(ステップa))、決定される際のサンプリングレート/クロックレート以上で現在の周辺環境変化Δtが計算されてよい。
【0071】
例えば、周辺環境データセットを、標準的に、各方向(前方向、後方向、左方向、右方向、下方向)において各々1つの超音波センサを用いて、例えば、0.2Hz(ヘルツ)のサンプリングレート/クロックレートで連続的に決定してよい。顕著な周辺環境変化(現在の周辺環境変化Δt>所定の変化閾値Δlim)が生じると、例えば、5Hzのより高いクロックレートで、追加的または代替的に、さらなるセンサ(例えば、さらなる超音波センサ、または追加的に他のセンサ、例えば、カメラまたはLIDARセンサ)をそれに対応する方向または全ての方向において用いて、周辺環境データセットを決定する。
【0072】
このようにして、一方では、顕著な周辺環境変化が生じない場合にはエネルギーを節約することができ、他方では、顕著な周辺環境変化が生じる場合には特に厳密な周辺環境データセットを決定することができる。従って、エネルギーを節約しつつも、精度高く、顕著な周辺環境変化に対して警告することができる。
【0073】
本発明の発展形態によると、本発明の第1態様に係る方法は、
h)周辺環境データセットを、車両が停止する時点t=0における保存周辺環境データセットとして受信および保存するステップをさらに備える。
【0074】
本発明のさらなる発展形態によると、インタフェースモジュールまたは比較モジュールは、周辺環境データセットを、車両が停止する時点t=0における保存周辺環境データセットとして受信および保存するように構成されてよい。
【0075】
車両が停止する時点t=0において、現在受信中の周辺環境データセットを永続的に、例えば、第1メモリに保存し、それ以降、リファレンスとして周辺環境変化を決定するために用いられる。上記時点t=0において保存された周辺環境データセットは、(自)車両が最早移動しなくなる時点における(自)車両の周りの周辺環境状態を示している。
【0076】
以下、本発明および技術的環境について図面に基づいてより詳細に説明する。本発明は記載される実施形態例により限定されるべきでないことに留意されたい。特に、別に明示されない限り、図面において説明される事項の一部の構成を抽出し、本明細書または図面から得られる別の構成部分および知識と組み合わせることも可能である。特に、図面および特に記載される寸法は概略的に過ぎないことに留意されたい。同じ参照符号は同じ対象物を示しているため、必要に応じて別の図面の説明を補足的に参照することができる。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【
図1】
図1は、車両の周辺環境の変化を認識する方法の例示的な実施形態の概略フロー図である。
【
図2】
図2は、車両の周辺環境の変化を認識する運転支援システムの例示的な実施形態の概略図である。
【
図3】
図3は、
図2の運転支援システムを備える車両の例示的な実施形態の概略図である。
【
図4】
図4は、異なる時点における車両の周辺環境の概略図である。
【
図5】
図5は、異なる時点における車両の周辺環境のさらなる概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0078】
図1は、本発明の第1態様に係る車両の周辺環境の変化を認識する方法の例示的な実施形態を概略的に示す。この方法は、連続的に受信するステップa)、連続的に計算するステップb)および供給するステップc)を備え、出力するステップd)、オンにするステップe)、表示するステップf)、連続的に決定するステップg)ならびに受信および保存するステップh)の各々を任意で備える。本方法のステップは、任意の有意義な順序で実行されてよい。連続的なステップは、各々相異なるサンプリングレートもしくはクロックレートでまたは共通のサンプリングレート/クロックレートで実行されてよい。
【0079】
任意のステップg)において、車両が停止している間または車両の点火がスイッチオフされている間、追加的または代替的に、車両が(外側から)施錠されている間、車両(2、
図3参照)の少なくとも1つの第1内部センサ(3、
図3参照)を用いて連続的に周辺環境データセットを(クロックレート/サンプリングレートの各時点において周辺環境データセットを)決定する。連続的に決定された周辺環境データは、少なくとも1つの第1センサにより運転支援システム(1、
図2および3参照)またはそのインタフェースモジュール(11、
図2)に転送され、第2メモリ(リングバッファ)に一時的に保存される。
【0080】
任意のステップh)において、車両が最早移動せず完全に停止する時点、車両の点火がスイッチオフされる時点または車両が施錠される時点である、時点t=0において決定された周辺環境データセットを、リファレンスとして保存する。この周辺環境データセットは、保存周辺環境データセットとして、運転支援システム、つまり、そのインタフェースモジュールまたは比較モジュール(12、
図2参照)により、第1メモリに保存される。
【0081】
ステップa)において、周辺環境データセットを(クロックレート/サンプリングレートの各時点において少なくとも1つの周辺環境データセットを)連続的に受信する。ここで、周辺環境データセットを、車両の少なくとも1つの内部センサを用いて、追加的または代替的に、外部エンティティ(4、
図3参照)、例えば、インテリジェントなインフラ(例えば、交通カメラ等)、交通ドローン、他の車両等を用いて受信していよい。この場合、周辺環境データセットは、車両の周辺環境に関する情報、特に、車両に対する物体(5、
図4および5参照)の各位置をそれぞれ含む。
【0082】
ステップb)において、現在の周辺環境変化Δtを連続的に(サンプリングレート/クロックレートの各時点において)計算する。これは、現在停止中または車両のスイッチオフ/施錠状態において受信中の周辺環境データセットと、車両(2)の停止時に受信され、保存されたものである、保存周辺環境データセットとを連続的に比較することにより行われる。運転支援システム、つまりその比較モジュールは、第1メモリに保存されている周辺環境データセット(リファレンス)を、現在第2メモリ(リングバッファ)に保存されている周辺環境データセットと比較することにより、現在の周辺環境変化Δtを計算する。このために、第2メモリ(リングバッファ)からの現在の周辺環境データセットを第1メモリからの保存周辺環境データセットから減算することにより、車両の周辺環境にある各物体について位置変化または車両との距離変化を計算する。
【0083】
計算された現在の周辺環境変化Δ
t(車両の周辺環境にある物体の各距離/位置変化)が所定の変化閾値Δ
lim(最大許容距離変化)を超過する場合、つまり、現在の周辺環境変化Δ
tが顕著である場合、ステップc)において変化警告信号を供給する。変化警告信号は、車両の運転者に警告を発してよい。現在の周辺環境変化Δ
tが顕著である場合、従って、運転者が気付いていない物体と車両が衝突する危険が存在する場合、運転支援システム、つまりその変化警告モジュール(13、
図2参照)は、例えば、運転支援システムの警告モジュール(14、
図2参照)、制動モジュール(15、
図2参照)もしくは表示モジュール(16、
図2参照)または外部装置(携帯電話、スマートフォン、スマートキー等)に変化警告信号を供給する。
【0084】
変化警告信号が存在する場合、任意のステップd)において、音響的、追加的または代替的に、光学的、追加的または代替的に、触覚的な警告を車両の運転者に出力する。この場合、運転者は、運転支援システム、つまりその警告モジュール(15、
図2参照)、追加的または代替的に、外部装置(携帯電話、スマートフォン、スマートキー等)を用いて、音響的/光学的/触覚的に、顕著な周辺環境変化に対して警告され、このようにして、運転者により認識されていない、変化した周辺環境の物体との衝突を回避する。
【0085】
変化警告信号が存在する場合、任意のステップe)において、車両の制動、特に、駐車制動をオンにする。追加的または代替的に、車両のクルーズコントロール要素(アクセラレータ、アクセルペダル、スロットルツイストグリップ、ハンドスロットル制御要素等)を少なくとも部分的にオフにする。顕著な周辺環境変化が認識されたために変化警告信号が存在する場合、運転支援システム、つまりその制動モジュールは、車両の(駐車)制動をオンにする。顕著な周辺環境変化が認識されたために変化警告信号が存在する場合、追加的または代替的に、運転支援システム、つまりその制動モジュールは、車両のクルーズコントロール要素を少なくとも部分的にオフにする。従って、運転者は、車両を停止状態から動かす前に、まず、(例えば、車両のスクリーン上でメッセージを確認することにより、またはクルーズコントロール要素を2回タップすることにより)(駐車)制動を有効化し、またはクルーズコントロール要素を再びオンにする必要がある。これにより、運転者は、一方で、顕著な周辺環境変化とそれにより生じる衝突危険性に対して注意喚起され、他方で、顕著な周辺環境変化に対する責任を有する物体との車両の衝突を回避する。
【0086】
変化警告信号が存在する場合、任意のステップf)において、少なくとも、変化警告信号を誘因した物体を、車両のスクリーンに(例えば、シンボルとしてまたはリアルタイムカメラ画像/ライブ画像として鳥瞰図で)表示する。
【0087】
図2は、本発明の第2態様に係る、車両の周辺環境の変化を認識する運転支援システム1の例示的な実施形態を概略的に示す。運転支援システム1は、
図1の方法のステップを実行するための手段(モジュール)を備える。特に、運転支援システム1は、インタフェースモジュール11、比較モジュール12および変化警告モジュール13を備え、警告モジュール14、制動モジュール15および表示モジュール16の各々を任意で備える。運転支援システム1のモジュールは、データ処理装置として構成される運転支援システム1において実装され、対応するステップを運転支援システム1に実行させるソフトウェアモジュール、または対応するステップを各々独立して実行する別個のハードウェアモジュールであってよい。
【0088】
インタフェースモジュール11は、ステップa)と、任意で、ステップh)を実行するように構成される。この場合、インタフェースモジュール11は、車両の少なくとも1つの第1センサと、追加的または代替的に、少なくとも1つの外部エンティティと通信可能に接続されており、受信中の現在の周辺環境データセットを第2メモリ(リングバッファ)に、車両の停止/スイッチオフ/施錠時点において受信した周辺環境データセットを保存周辺環境データセットとして第1メモリに保存することができる。
【0089】
比較モジュール12は、インタフェースモジュール11と通信可能に接続されており、受信中の現在の周辺環境データセットを、例えば、第2メモリ(リングバッファ)から各々取得する。比較モジュール12は、ステップb)を実行するように構成される。比較モジュール12は、車両の少なくとも1つの第1センサと、追加的または代替的に、少なくとも1つの外部エンティティと通信可能に接続されてよく、インタフェースモジュール11の代わりに、任意でステップh)を実行するように構成されてよく、比較モジュール12は、車両の停止/スイッチオフ/施錠時点において受信した周辺環境データセットを保存周辺環境データセットとして第1メモリに保存する。
【0090】
変化警告モジュール13は、比較モジュール12と通信可能に接続されており、ステップc)を実行するように構成される。
【0091】
任意の警告モジュール14は、変化警告モジュール13と通信可能に接続されており、ステップd)を実行するように構成される。
【0092】
任意の制動モジュール15は、変化警告モジュール13と通信可能に接続されており、ステップe)を実行するように構成される。
【0093】
任意の表示モジュール16は、変化警告モジュール13と通信可能に接続されており、ステップf)を実行するように構成される。
【0094】
図3は、
図2の運転支援システム1を備える、本発明の第3態様に係る車両2の例示的な実施形態を概略的に示す。車両2は、運転支援システム1および少なくとも1つの(ここでは例示的に3個の)第1センサを備える。少なくとも1つのセンサ3は、運転支援システム1と通信可能に接続されており、
図1の方法のステップg)を実行するように構成される。運転支援システム1は、少なくとも1つのセンサ3と追加的または代替的に、外部エンティティ4、例えば、インテリジェントなインフラ(例えば、交通カメラ等)、交通ドローン、他の車両等と通信可能に接続されてよく、これを用いて連続的に周辺環境データセットを受信してよい。
【0095】
図4は、2つの異なる時点における車両2の周辺環境を概略的に示す。車両2とその周辺環境は鳥瞰図により示されている。この図示を車両2のスクリーン上でも運転者に対してリアルタイムで表示することができる。左側には、車両2が最早移動せず完全に停止する時点、車両2の点火がスイッチオフされる時点または車両2が施錠される時点である、時点t=0における車両2の周辺環境が図示されている。右側には、車両2が依然として停止している時点、車両2の点火がスイッチオンされる時点または車両2が開錠される時点である、後の時点t=Tにおける車両2の周辺環境が図示されている。
【0096】
時点t=0において、車両2の周辺環境には3個の物体5が存在している。第1物体5.1は、x方向の車両2前方に距離d1
0をおいて存在している。第2物体5.2は、(負の)y方向の車両2右側に距離d2
0をおいて存在している。第3物体5.3は、(負の)x方向の車両2後方に距離d3
0をおいて存在している。従って、保存周辺環境データセットは、例えば、車両2(つまり、その車体の表面)との各水平、鉛直距離および方向を有する3個の物体5を含んでよい。
物体 方向 距離
1 +x d1
0
2 -y d2
0
3 -x d3
0
【0097】
時点t=Tにおいて、車両2の周辺環境には3個の物体5が存在している。第2物体5.2の距離d2
Tおよび第3物体5.3の距離d3
Tは変化しておらず、d2
T=d2
0; d3
T=d3
0である。従って、第2物体5.2および第3物体5.3については、時点t=Tにおいて周辺環境変化ΔTは生じていない。その一方、第1物体5.1は(負の)x方向の車両2に接近し、距離d1
0よりも小さい距離d1
T、d1
T<d1
0をおいて存在している。従って、現在の周辺環境データセットは、例えば、車両2(つまり、その車体の表面)との各水平、鉛直距離および方向を有する3個の物体5を含んでよい。
物体 方向 距離
1 +x d1
T
2 -y d2
T
3 -x d3
T
【0098】
このようにして、時点t=Tにおいて、周辺環境変化ΔTが生じ、この周辺環境変化ΔTは、時点t=0における第1物体5.1の距離と時点t=Tにおける第1物体5.1の距離との差分、つまり、ΔT=d1
0-d1
Tに対応する。従って、現在の周辺環境変化ΔTは、例えば、以下の値を有する場合がある。
ΔT
d1
0-d1
T
0
0
【0099】
この周辺環境変化ΔTが所定の変化閾値Δlim(例えば、30cm)よりも大きい場合、これは顕著な周辺環境変化に対応し、変化警告信号が供給され、運転者は、例えば、音響的/光学的/触覚的警告を用いて、または(駐車)制動をオンにすることにより、またはクルーズコントロール要素を(部分的に)オフにすることにより、または変化した周辺環境の第1物体をスクリーンに表示することにより、注意喚起されてよい。
【0100】
図5は、2つの異なる時点における車両2の周辺環境を概略的に示す。車両2とその周辺環境は鳥瞰図により示されている。この図示を車両2のスクリーン上でも運転者に対してリアルタイムで表示することができる。左側には、車両2が最早移動せず完全に停止する時点、車両2の点火がスイッチオフされる時点または車両2が施錠される時点である、時点t=0における車両2の周辺環境が図示されている。右側には、車両2が依然として停止している時点、車両2の点火がスイッチオンされる時点または車両2が開錠される時点である、後の時点t=Tにおける車両2の周辺環境が図示されている。
【0101】
時点t=0において、車両2の周辺環境には3個の物体5が存在している。第1物体5.1は、x方向の車両2前方に距離d1
0をおいて存在している。第2物体5.2は、(負の)y方向の車両2右側に距離d2
0をおいて存在している。第3物体5.3は、(負の)x方向の車両2後方に距離d3
0をおいて存在している。従って、保存周辺環境データセットは、例えば、両2(つまり、その車体の表面)との各水平、鉛直距離および方向を有する3個の物体5を含んでよい。
物体 方向 距離
1 +x d1
0
2 -y d2
0
3 -x d3
0
【0102】
時点t=Tにおいて、車両2の周辺環境には3個の物体5が存在している。その一方、さらに、車両2の周辺環境に、つまり、x方向の車両2前方に第4物体5.4が存在しており、この第4物体5.4は、車両2と第1物体5.1との間、つまり、第1物体5.1よりも車両2近傍に位置している。第1物体5.1の距離d1
T、第2物体5.2の距離d2
Tおよび第3物体5.3の距離d3
Tは変化しておらず、d1
T=d1
0;d2
T=d2
0;d3
T=d3
0である。従って、第1物体5.1、第2物体5.2および第3物体5.3については、時点t=Tにおいて周辺環境変化ΔTは生じていない。その一方、時点t=0においては車両の周辺環境にはまだ存在していなかった第4物体5.4は、同様に、車両2前方に第1物体の距離d1
Tよりも小さい距離d4
T、d4
T<d1
Tをおいて存在している。このようにして、時点t=Tにおける周辺環境データセットは、4つの物体を含むか、各方向において各々最近傍物体を1つのみ含む場合には3個の物体であって、そのうちの1つは新規である3個の物体を含むかの何れかである。従って、現在の周辺環境データセットは、例えば、車両2(つまり、その車体の表面)との各水平、鉛直距離および方向を有する4つの物体5の全てを含んでよい。
物体 方向 距離
1 +x d1
T
2 -y d2
T
3 -x d3
T
4 +x d4
T
【0103】
または、代替的に、例えば、車両2(つまり、その車体の表面)との各水平、鉛直距離および方向を有する、各方向において各々最近傍物体が1つのみである。
物体 方向 距離
4 +x d4
T
2 -y d2
T
3 -x d3
T
【0104】
このようにして、第1の場合(4つの物体)には、時点t=Tにおいて周辺環境変化ΔTは生じていない一方、変化警告が供給されるのは、保存周辺環境変化(T=0)と比べると新規物体が現在の周辺環境データセット(t=T)に存在し、これは顕著な周辺環境変化に対応するからである。第2の場合には、車両2前方に周辺環境変化ΔTが生じ、この周辺環境変化ΔTは、時点t=0における第1物体5.1の距離と時点t=Tにおける第4物体5.4の距離との差分、つまり、ΔT=d1
0-d4
Tに対応する。従って、現在の周辺環境変化ΔTは、例えば、以下の値を有する場合がある。
ΔT
d1
0-d4
T
0
0
【0105】
この周辺環境変化ΔTが所定の変化閾値Δlim(例えば、30cm)よりも大きい場合、つまり、顕著である場合、変化警告信号が供給され、運転者は、例えば、音響的/光学的/触覚的警告を用いて、または(駐車)制動をオンにすることにより、またはクルーズコントロール要素を(部分的に)オフにすることにより、または変化した周辺環境の第1物体をスクリーンに表示することにより、注意喚起されてよい。
【0106】
本開示では特定の実施形態について図示および説明したが、多数の代替形態および/または同等の実装形態が存在することは当業者には明らかである。例示的な設計または実施形態は例示に過ぎず、範囲、利用可能性または構成を何ら限定するものではないと認められる。むしろ、上記概要と詳細な説明は、少なくとも1つの好ましい実施形態を実装するために十分な指示を当業者に提供し、例示的な実施形態において記載される要素の機能および構成を様々に変更しても、添付の特許請求の範囲およびその法的に等価な記載の適用範囲から逸脱しないと理解される。一般に、本出願は、本開示において説明される特定の実施形態の全ての適合または変形を包含することが意図されている。
【0107】
上述した詳細な説明においては、開示を簡潔に保つために、様々な特徴を1つまたは複数の実施例に纏めている。上記説明は例示的であり限定的ではないと理解される。上記説明は、本発明の範囲内に含めることができる全ての代替、変更および等価物を包含する。当業者には、上記開示を研究すれば、多数の他の実施形態例が明らかである。
【0108】
本発明を包括的に理解することを可能にするために、特定の命名法が採用され、上記開示において用いられている。しかし、本開示に含まれる記載に照らせば、本発明を適用する際に特定の細部は必須ではないことは当業者には明らかである。このように、本発明の特定の実施形態の上記説明は、例示および説明を目的としてなされている。上記説明は、限定列挙であることまたは本発明をここで開示されるまさにその実施形態に限定することを意図しておらず、上記教示に鑑み多数の修正および変形が可能であることは明らかである。本発明の原理とその実際の適用を最も良く説明し、これにより、本発明および様々な実施形態を各適用に好適であると思われる様々な修正と共に最も良く適用するための選択肢を他の当業者に与えるために、実施形態は選択および記載されている。本明細書を通じて、「含む」および「~の場合」という語は、「備える」および「~において」という語と各々等価に用いられる。また、「第1」、「第2」、「第3」等の語は、指示として用いられているに過ぎず、対象に関する数的要件を課すことまたは特定の順序を予め規定することは意図していない。本明細書および特許請求の範囲に関して、「または」という接続詞は、包含的(「および/または」)として理解されるべきであり、排他的(「~か~かの何れか」)として理解されるべきでない。
【符号の説明】
【0109】
1 運転支援システム
2 車両
3 内部センサ
4 外部エンティティ
5 物体
11 インタフェースモジュール
12 比較モジュール
13 変化警告モジュール
14 警告モジュール
15 制動モジュール
16 表示モジュール
【国際調査報告】