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特表2023-549952薬剤送達装置のためのねじりばね機構、および前記機構を含む薬剤送達装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-29
(54)【発明の名称】薬剤送達装置のためのねじりばね機構、および前記機構を含む薬剤送達装置
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/20 20060101AFI20231121BHJP
【FI】
A61M5/20 510
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023530703
(86)(22)【出願日】2021-11-15
(85)【翻訳文提出日】2023-07-19
(86)【国際出願番号】 EP2021081635
(87)【国際公開番号】W WO2022106333
(87)【国際公開日】2022-05-27
(31)【優先権主張番号】20208887.8
(32)【優先日】2020-11-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520011887
【氏名又は名称】エスエイチエル・メディカル・アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ヨアキム・リンドホルム
【テーマコード(参考)】
4C066
【Fターム(参考)】
4C066BB01
4C066CC01
4C066DD13
4C066EE14
4C066FF05
4C066HH03
(57)【要約】
機構(52)が、基部構造(54)と、長手軸(18)に沿って移動可能なプランジャロッド(56)と、長手軸周りに回転可能であり、プランジャロッドに係合する駆動部(58)と、駆動部におよび基部構造に接続されたねじりばね(60)であって、駆動部を回転駆動するように構成されている、ねじりばねと、横方向(32)においてねじりばねを支持するように構成された少なくとも1つの支持部分(66)と、を含み、この機構は、駆動部と基部構造との間に少なくとも1つの回転インターフェース(72a~72c)を含み、少なくとも1つの回転インターフェースはねじりばねの長さ(20)の0.5%と99.5%との間の位置に配置され、かつ/または少なくとも1つの回転インターフェースは、ねじりばねの長さの10%未満の位置に配置された第1の回転インターフェース(72a)と、ねじりばねの長さの90%を超える位置に配置された第2の回転インターフェース(72b)と、を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬剤送達装置(42)のための機構(52)であって、前記機構(52)は、
- 基部構造(54)と、
- 前記基部構造(54)に対して長手軸(18)に沿って移動可能なプランジャロッド(56)と、
- 前記基部構造(54)に対して前記長手軸(18)周りに回転可能であり、前記プランジャロッド(56)に係合する駆動部(58)と、
- 前記駆動部(58)に接続された回転可能端(62)と、前記基部構造(54)に接続された基端(64)と、を有するねじりばね(60)であって、前記駆動部(58)を回転駆動するように構成されている、ねじりばね(60)と、
- 前記長手軸(18)に対して横方向(32)において前記ねじりばね(60)を支持するように構成された少なくとも1つの支持部分(66)と、
を含み、
前記機構(52)は、前記駆動部(58)と前記基部構造(54)との間に少なくとも1つの回転インターフェース(72a~72c)を含み、
前記少なくとも1つの回転インターフェース(72a~72c)は、前記駆動部(58)から前記基部構造(54)までの前記長手軸(18)に沿った前記ねじりばね(60)の長さ(20)の0.5%と99.5%との間の位置に配置され、かつ/または
前記少なくとも1つの回転インターフェース(72a~72c)は、前記駆動部(58)から前記基部構造(54)までの前記長手軸(18)に沿った前記ねじりばね(60)の前記長さ(20)の10%未満の位置に配置された第1の回転インターフェース(72a)と、前記駆動部(58)から前記基部構造(54)までの前記長手軸(18)に沿った前記ねじりばね(60)の前記長さ(20)の90%を超える位置に配置された第2の回転インターフェース(72b)と、を含む、
機構(52)。
【請求項2】
前記ねじりばね(60)はねじりコイルばねである、請求項1に記載の機構(52)。
【請求項3】
前記駆動部(58)は前記プランジャロッド(56)に螺合する、請求項1または2に記載の機構(52)。
【請求項4】
前記少なくとも1つの支持部分(66)は、第2の部分(70)と、前記基部構造(54)に対しておよび前記第2の部分(70)に対して前記長手軸(18)周りに回転可能な第1の部分(68)と、を含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の機構(52)。
【請求項5】
前記第1の部分(68)は前記駆動部(58)に固定されている、請求項4に記載の機構(52)。
【請求項6】
前記第2の部分(70)は前記基部構造(54)に固定されている、請求項4または5に記載の機構(52)。
【請求項7】
前記長手軸(18)に沿った前記第1の部分(68)の長さ(78)が、前記長手軸(18)に沿った前記第2の部分(70)の長さ(80)とは20%未満異なる、請求項4から6のいずれか一項に記載の機構(52)。
【請求項8】
前記少なくとも1つの支持部分(66)は、前記第1の部分(68)と前記第2の部分(70)との間に配置された少なくとも1つの中間部分(76a、76b)をさらに含み、前記少なくとも1つの中間部分(76a、76b)は前記第1の部分(68)および前記第2の部分(70)のそれぞれに対して前記長手軸(18)周りに回転可能である、請求項4から7のいずれか一項に記載の機構(52)。
【請求項9】
前記長手軸(18)に沿った前記少なくとも1つの中間部分(76a、76b)の長さ(82a、82b)が、前記長手軸(18)に沿った前記第1の部分(68)の長さ(78)および前記長手軸(18)に沿った前記第2の部分(70)の長さ(80)のそれぞれとは20%未満異なる、請求項8に記載の機構(52)。
【請求項10】
前記少なくとも1つの支持部分(66)は、前記横方向(32)に関して前記ねじりばね(60)の内側に配置されている、請求項1から9のいずれか一項に記載の機構(52)。
【請求項11】
前記少なくとも1つの支持部分(66)のそれぞれが円筒形である、請求項1から10のいずれか一項に記載の機構(52)。
【請求項12】
前記少なくとも1つの支持部分(66)のそれぞれが前記長手軸(18)と同心である、請求項1から11のいずれか一項に記載の機構(52)。
【請求項13】
前記回転可能端(62)は、前記駆動部(58)に接続されて前記横方向(32)に延在する第1の脚(88)を含み、かつ/または前記基端(64)は、前記基部構造(54)に接続された、オーバーセンターの第2の脚(86)を含む、請求項1から12のいずれか一項に記載の機構(52)。
【請求項14】
前記回転可能端(62)は前記駆動部(58)に固定され、かつ/または前記基端(64)は前記基部構造(54)に固定されている、請求項1から13のいずれか一項に記載の機構(52)。
【請求項15】
請求項1から14のいずれか一項に記載の機構(52)、および薬剤容器(44)を含む薬剤送達装置(42)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は概して薬剤送達装置のための機構に関する。特に、ねじりばねと、ねじりばねを横方向において支持するための少なくとも1つの支持部分と、を含む、薬剤送達装置のための機構、およびこのような機構を含む薬剤送達装置が提供される。
【背景技術】
【0002】
自動注射器のようないくつかの薬剤送達装置は、ねじりばねを含む機構によって動力が供給される。ねじりばねは、長手方向に互いに整列した複数のコイルを備えたねじりコイルばねとすることができ、ねじりばねは、一端が基部構造に接続され、一端が駆動部に接続されている。変形した状態でねじりばねを解放すると、ねじりばねは駆動部を基部構造に対して回転駆動する。駆動部のこの回転によりプランジャロッドが駆動されて薬剤を薬剤容器から排出することができる。このような機構において、ねじりばねは動作中に大きく座屈する傾向がある。座屈を回避するため、この機構は、ねじりばねの座屈を制限する、ねじりばねの内側に配置されるガイドロッド、またはねじりばねの外側に配置されるガイドチューブを含むことができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ガイドロッドはねじりばねに対して静的な構成要素とすることができるが、ガイドロッドはねじりばねの座屈を防止するように構成されているため、ねじりばねの内面または外面は動作中にガイドロッドに接触することになる。ガイドロッドは静止しているため、ガイドロッドとねじりばねの内面または外面との間の接触により摩擦が発生し、したがってねじりばねの動作の効率が失われる。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は添付の請求項によって定義され、これに対してここで参照が行われるべきである。
【0005】
本開示において、「遠位方向」という用語が使用されるとき、これは、薬剤送達装置の使用中に用量送達部位から離れる方向を指す。「遠位部分/端」という用語が使用されるとき、これは、薬剤送達装置の使用中に用量送達部位から最も遠くに配置されている、送達装置の部分/端、またはその部材の部分/端を指す。対応して、「近位方向」という用語が使用されるとき、これは、薬剤送達装置の使用中に用量送達部位に向かう方向を指す。「近位部分/端」という用語が使用されるとき、これは、薬剤送達装置の使用中に用量送達部位に最も近く配置されている、送達装置の部分/端、またはその部材の部分/端を指す。
【0006】
さらに、「長手方向の」、「長手方向に」、「軸方向に」または「軸方向の」という用語は、典型的には装置および/またはその構成要素の最長伸長の方向において装置または構成要素に沿って、近位端から遠位端まで延在する方向を指す。
【0007】
同様に、「横方向」、「横方向の」および「横方向に」という用語は、長手方向に対してほぼ垂直な方向を指す。
【0008】
さらに、「周方向」、「周方向の」、「周方向に」、「径方向の」、「径方向に」、「回転」、「回転式」、および「回転式に」という用語は、長手方向に対してほぼ垂直であり、長手方向の周りに少なくとも部分的に延在する方向を指す。
【0009】
一態様によれば、薬剤送達装置のための機構が提供され、この機構は、基部構造と、基部構造に対して長手軸に沿って移動可能なプランジャロッドと、基部構造に対して長手軸周りに回転可能であり、プランジャロッドに係合する駆動部と、駆動部に接続された回転可能端と、基部構造に接続された基端と、を有するねじりばねであって、駆動部を回転駆動するように構成されている、ねじりばねと、長手軸に対して横方向においてねじりばねを支持するように構成された少なくとも1つの支持部分と、を含み、この機構は、駆動部と基部構造との間に少なくとも1つの回転インターフェースを含み、少なくとも1つの回転インターフェースは、駆動部から基部構造までの長手軸に沿ったねじりばねの長さの0.5%と99.5%との間の位置に配置され、かつ/または少なくとも1つの回転インターフェースは、駆動部から基部構造までの長手軸に沿ったねじりばねの長さの10%未満の位置に配置された第1の回転インターフェースと、駆動部から基部構造までの長手軸に沿ったねじりばねの長さの90%を超える位置に配置された第2の回転インターフェースと、を含む。
【0010】
この機構はしたがってよりエネルギー効率的とすることができ、摩擦損失を低くすることができる。
【0011】
駆動部が回転すると、回転可能端は駆動部と同じ速度で回転する。基端は静止していることができる。ねじりばねの回転速度はこのとき基部構造から駆動部まで長手軸に沿って実質的に直線的に増加することができる。
【0012】
ねじりばねの長さの0.5%と99.5%との間の位置に配置された少なくとも1つの回転インターフェース、またはねじりばねの長さの0%から10%の位置に配置された第1の回転インターフェースおよび90%から100%の位置に配置された第2の回転インターフェースによって、この機構は、ねじりばねと支持部分との間の最大相対回転速度が実質的に100%未満である、ねじりばねの分割型支持を提供する。このように、この機構は、ねじりばねを横方向において支持するための先行技術の解決策と比較して摩擦損失を大きく低減する。
【0013】
また、この機構のいくつかの変形例において、回転可能端は駆動部に枢動可能に接続され、基端は基部構造に枢動可能に接続されている。回転可能端はこれによって、長手軸に対して垂直な軸周りに駆動部に対して枢動することができ、基端はこれによって、長手軸に対して垂直な軸周りに基部構造に対して枢動することができる。これによってねじりばねと枢動接続部に隣接する少なくとも1つの支持部分との間に余分な擦れが発生する(たとえばねじりばねの最初のコイルに接続する点で、および最後のコイルに接続する点で)。少なくとも1つの回転インターフェースをねじりばねの長さの10%と90%との間の位置に、または第1の回転インターフェースをねじりばねの長さの0%から10%の位置に、第2の回転インターフェースをねじりばねの長さの90%から100%の位置に設けることによって、この機構は、ねじりばねと少なくとも1つの支持部分との間の局所的な相対回転速度を低減することを可能にする。この機構によりしたがって、駆動部へのおよび基部構造へのねじりばねの枢動接続を使用しながら、依然として摩擦損失を低下させることが可能になる。この機構の設計はしたがって簡素でコスト効果的とすることができる。このような枢動接続を提供するため、ねじりばねは、駆動部に係合する第1のフックと、基部構造に係合する第2のフックと、を含むことができる。
【0014】
この機構のいくつかの変形例を次のようにさらに説明している。
【0015】
少なくとも1つの支持部分はねじりばねのためのガイドロッドを形成することができる。少なくとも1つの支持部分が、2つの支持部分と、駆動部から基部構造までの長手軸に沿ったねじりばねの長さの50%の位置に配置された回転インターフェースと、を含む場合、この機構は、半分に分割されたガイドロッドを含むと言える。
【0016】
少なくとも1つの回転インターフェースが、ねじりばねの長さの10%未満の位置にある第1の回転インターフェースと、ねじりばねの長さの90%を超える位置にある第2の回転インタフェースェイスと、を含む場合、少なくとも1つの支持部分は1つのみの支持部分を含むことができる。第1の回転インターフェースはこのとき駆動部と単一の支持部分との間に設けられることになり、第2の回転インターフェースはこのとき単一の支持部分と基部構造との間に設けられることになる。駆動部が100%の速度で回転すると、この単一の支持部分はこのとき駆動部の速度の約50%で回転することになる。
【0017】
少なくとも1つの支持部分は複数の支持部分を含むことができる。たとえば、少なくとも1つの支持部分は、固有の速度で回転するようにそれぞれ構成された10の支持部分を含むことができる。支持部分の数を増やすことによって、各支持部分とその支持部分に隣接するねじりばねとの間の相対回転速度を低減することができる。ねじりばねと支持部分との間の摩擦損失をこれによって低下させることができる。しかしながら、支持部分の数が多すぎると、組み立ておよび/または製造がより煩雑になる可能性がある。一変形例によれば、少なくとも1つの支持部分は1から10の支持部分を含む。少なくとも1つの支持部分が複数の支持部分を含む場合、各支持部分は、長手軸に沿って実質的に等しい、または等しい長さを有することができる。
【0018】
基部構造はたとえば薬剤送達装置のハウジングの一部とすることができる。基部構造は機構の動作中に静止していることができる。基部構造は、長手軸と実質的に同心、または同心とすることができる。
【0019】
プランジャロッドは、長手軸と実質的に同心、または同心とすることができる。プランジャロッドは横方向に関して駆動部の内側に配置することができる。
【0020】
駆動部は、長手軸と実質的に同心、または同心とすることができる。駆動部は、長手軸周りの回転によって近位方向にプランジャロッドを駆動するように構成することができる。
【0021】
ねじりばねは、長手軸と実質的に同心、または同心とすることができる。回転可能端はねじりばねの近位端とすることができる。ねじりばねの基端はねじりばねの遠位端とすることができる。
【0022】
横方向は長手軸に対する径方向とすることができる。本明細書で使用されるとき、回転インターフェースは、異なる速度で回転する2つの構成要素間のインターフェースである。各回転インターフェースはそれぞれの構成要素間に隙間を含むことができる。
【0023】
この機構は、ボタンのような作動要素をさらに含むことができる。この場合、ねじりばねは、作動要素の作動時に駆動部を回転駆動するように構成することができる。
【0024】
ねじりばねはねじりコイルばねとすることができる。ねじりコイルばねは略円筒形状を有することができる。
【0025】
駆動部はプランジャロッドに螺合することができる。可能な一代替例として、駆動部は、カムプロファイルと、カムプロファイルに追従するように構成されたカムフォロワと、を含む変速機を介してプランジャロッドに係合することができる。カムプロファイルをプランジャロッドに設け、カムフォロワを駆動部に設けることができ、またその逆も可能である。
【0026】
少なくとも1つの支持部分は、第2の部分と、基部構造に対しておよび第2の部分に対して長手軸周りに回転可能な第1の部分と、を含むことができる。この場合、この機構は第1の部分と第2の部分との間に1つのみの回転インターフェースを含むことができる。
【0027】
第1の部分は駆動部に固定することができる。代わりに、または加えて、第2の部分は基部構造に固定することができる。第1の部分が駆動部に固定され、第2の部分が基部構造に固定される場合、この機構は、駆動部から基部構造までの長手軸に沿ったねじりばねの長さの40%から60%の位置に、たとえば50%の位置に1つのみの回転インターフェースを含むことができる。
【0028】
一例によれば、少なくとも1つの支持部分は第1の部分および第2の部分を含み、第1の部分は駆動部に対して回転可能であり、第2の部分は基部構造に対して回転可能である。この場合、この機構は3つの、すなわち駆動部と第1の部分との間、第1の部分と第2の部分との間、および第2の部分と基部構造との間の回転インターフェースを含む。
【0029】
長手軸に沿った第1の部分の長さは長手軸に沿った第2の部分の長さとは20%未満異なっていてもよい。第1の部分および第2の部分はしたがって、長手軸に沿って実質的に等しい、または等しい長さを有することができる。
【0030】
少なくとも1つの支持部分は、第1の部分と第2の部分との間に配置された少なくとも1つの中間部分をさらに含むことができる。この場合、少なくとも1つの中間部分は第1の部分および第2の部分のそれぞれに対して長手軸周りに回転可能とすることができる。各中間部分は、ねじりばねを横方向において支持するように構成することができる。この場合、この機構は少なくとも2つの、すなわち第1の部分と少なくとも1つの中間部分との間、および少なくとも1つの中間部分と第2の部分との間の回転インターフェースを含む。1つまたは複数のさらなる回転インターフェースを任意選択で、たとえば駆動部と第1の部分との間、少なくとも1つの中間部分の2つの間、および/または第2の部分と基部構造との間に設けることができる。
【0031】
長手軸に沿った少なくとも1つの中間部分の長さは、長手軸に沿った第1の部分の長さおよび長手軸に沿った第2の部分の長さのそれぞれとは20%未満異なっていてもよい。第1の部分、各中間部分および第2の部分はしたがって、長手軸に沿って実質的に等しい、または等しい長さを有することができる。
【0032】
少なくとも1つの支持部分は横方向に関してねじりばねの内側に配置することができる。この場合、少なくとも1つの支持部分は分割型ガイドロッドを構成することができる。
【0033】
代わりに、または加えて、少なくとも1つの支持部分は横方向に関してねじりばねの外側に配置することができる。この場合、少なくとも1つの支持部分は分割型ガイドチューブを構成することができる。一例によれば、この機構は、ねじりばねの横方向内側の分割型ガイドロッドとねじりばねの横方向外側の分割型ガイドチューブとの両方を含む。
【0034】
少なくとも1つの支持部分のそれぞれは円筒形とすることができる。代わりに、または加えて、少なくとも1つの支持部分のそれぞれは、長手軸と実質的に同心、または同心とすることができる。
【0035】
回転可能端は、駆動部に接続されて横方向に延在する第1の脚を含むことができる。代わりに、または加えて、基端は、基部構造に接続されたオーバーセンターの第2の脚を含むことができる。第1の脚および第2の脚によって、ねじりばねの座屈を低減することができる。結果として、この機構の摩擦損失をさらに低減することができる。第1の脚はオーバーセンターの脚であってもなくてもよい。
【0036】
回転可能端は駆動部に固定することができる。代わりに、または加えて、基端は基部構造に固定することができる。回転可能端を駆動部に、そして基端を基部構造に固定することによって、回転可能端および基端のそれぞれが純粋なモーメントをねじりばねに伝達することができ、回転端および基端のそれぞれが、長手軸に対して垂直な軸周りに枢動することが防止される。枢動によるねじりばねと少なくとも1つの支持部分との間の余分な擦れがこれによって回避される。結果として、この機構の摩擦損失をさらに低減することができる。
【0037】
さらなる一態様によれば、本開示による機構と、薬剤容器と、を含む薬剤送達装置が提供される。プランジャロッドは、駆動部の回転によって駆動されると、薬剤容器から薬剤を押し出すように構成することができる。
【0038】
薬剤送達装置は薬剤送達部材をさらに含むことができる。薬剤送達部材はたとえば注射針またはノズルとすることができる。
【0039】
本開示のさらなる詳細、利点および態様は、図面と併せて次の説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0040】
図1】ねじりばねおよび支持部分を有する機構を含む薬剤送達装置の斜視図を概略的に表す。
図2】薬剤送達装置の側断面図を概略的に表す。
図3】ねじりばねおよび支持部分を有する機構のさらなる一例を含む薬剤送達装置のさらなる一例の側断面図を概略的に表す。
図4】ねじりばねおよび支持部分を有する機構のさらなる一例を含む薬剤送達装置のさらなる一例の側断面図を概略的に表す。
図5】ねじりばねおよび支持部分を有する機構のさらなる一例を含む薬剤送達装置のさらなる一例の側断面図を概略的に表す。
図6A図1から図3における機構の側断面図を概略的に表す。
図6B図6Aにおける駆動部および支持部分の回転速度、ならびにねじりばねと支持部分との間の相対回転速度を概略的に表す。
図7A図4における機構の側断面図を概略的に表す。
図7B図7Aにおける駆動部および支持部分の回転速度、ならびにねじりばねと支持部分との間の相対回転速度を概略的に表す。
図8A図5における機構の側断面図を概略的に表す。
図8B図8Aにおける駆動部および支持部分の回転速度、ならびにねじりばねと支持部分との間の相対回転速度を概略的に表す。
図9A】ねじりばねおよび単一の支持部分を含む薬剤送達装置のための機構のさらなる一例を概略的に表す。
図9B図9Aにおける駆動部および支持部分の回転速度、ならびにねじりばねと支持部分との間の相対回転速度を概略的に表す。
図10A】近位方向における薬剤送達装置のさらなる一例の図を概略的に表す。
図10B】遠位方向における図10Aにおける薬剤送達装置の断面図を概略的に表す。
【発明を実施するための形態】
【0041】
以下において、ねじりばねと、ねじりばねを横方向において支持するための少なくとも1つの支持部分と、を含む、薬剤送達装置のための機構、およびこのような機構を含む薬剤送達装置を説明する。同じまたは同様の参照番号を使用して同じまたは同様の構造的特徴を示す。
【0042】
図1は薬剤送達装置42の斜視図を概略的に表す。図1は、近位方向22と、近位方向22とは反対の遠位方向24と、をさらに示す。薬剤送達装置42は薬剤容器44を含む。この特定の例の薬剤送達装置42は、注射針46、近位ハウジング48および遠位ハウジング50をさらに含む。
【0043】
薬剤送達装置42は長手軸18をさらに含む。図1は、長手軸18に対する横方向32をさらに示す。横方向32は長手軸18に対して垂直である。この例において、横方向32は径方向でもある。
【0044】
図2図1における薬剤送達装置42の側断面図を概略的に表す。薬剤送達装置42は機構52を含む。機構52は、基部構造54、プランジャロッド56、駆動部58およびねじりばね60を含む。
【0045】
基部構造54はここで遠位ハウジング50の遠位部分によって構成されている。基部構造54は長手軸18と同心である。
【0046】
プランジャロッド56は基部構造54に対して長手軸18に沿って近位方向22に移動可能である。このように、薬剤を薬剤容器44から注射針46を通して押し出すことができる。この例のプランジャロッド56は雄ねじを含み、駆動部58を通過している。プランジャロッド56は長手軸18と同心である。
【0047】
駆動部58は基部構造54に対して長手軸18周りに回転可能である。駆動部58はプランジャロッド56に係合する。この例において、駆動部58は、プランジャロッド56の雄ねじに係合するように構成された雌ねじを含む。駆動部58とプランジャロッド56との間の係合により、駆動部58が長手軸18周りに回転すると、駆動部58はプランジャロッド56を近位方向22に移動させる。駆動部58は長手軸18と同心である。
【0048】
この例のねじりばね60は、長手軸において互いに連続的に整列した複数のコイルによって形成される螺旋コイル状のねじりばねである。ねじりばね60はしたがって略円筒形状を有し、長手軸18と同心である。ねじりばね60は、その近位端に回転可能端62と、その遠位端に基端64と、を含む。回転可能端62は駆動部58に接続されている。基端64は基部構造54に接続されている。ねじりばね60は、駆動部58および基部構造54に接続するための第1の脚および第2の脚を含み、第1の脚および第2の脚についての例は後で提供される。第1の脚および第2の脚はそれぞれねじりばね60の最初のコイルおよびねじりばね60の最後のコイルから延在している。ねじりばね60の最初のコイルは、ねじりばね60の他のコイルより駆動部58または回転可能端62に最も近いコイルとすべきであり、ねじりばね60の最後のコイルは、ねじりばね60の他のコイルより基部54または基端64に最も近いコイルとすべきである。
【0049】
図6Aは駆動部58と基部構造54との間の長手軸18に沿ったねじりばね60の長さ20を示す。ねじりばね60の長さ20は、ねじりばね60の最初のコイルの近位端からねじりばね60の最後のコイルの遠位端まで測定された長さによって定義されるべきである。ねじりばね60の第1の脚および第2の脚がねじりばね60の最初のコイルおよび最後のコイルより遠く(遠位方向または近位方向に)延在すれば、第1の脚および/または第2の脚がさらに延在するいかなる長さも本発明におけるねじりばね60の長さ20として数えられるべきではない。
【0050】
機構52は複数の支持部分66をさらに含む。複数の支持部分66は、ねじりばね60を囲む、またはねじりばね60内に配置されるように構成されている。この特定の例において、機構52は、2つの支持部分66、すなわち第1の部分68および第2の部分70を含む。各支持部分66は、ねじりばね60を横方向32において支持するように構成されている。また、各支持部分66は円筒形であり、長手軸18と同心である。
【0051】
図2において、第1の部分68は駆動部58に固定され、第2の部分70は基部構造54に固定されている。第1の部分68は、第2の部分70に対して長手軸18周りで回転するように構成されている。回転インターフェース72aが第1の部分68と第2の部分70との間に設けられている。回転インターフェース72aはこれによって駆動部58と基部構造54との間にも設けられている。図2に示すように、回転インターフェース72aは駆動部58と基部構造54との間の中心にある。すなわち、第1の部分68および第2の部分70は長手軸18に沿って等しい長さであり、この場合、回転インターフェース72aは駆動部58から基部構造54までの長手軸18に沿ったねじりばね60の長さ20の50%の位置に配置されている。回転可能端62に近いねじりばね60の部分はより大きな回転速度を含むことになり、ねじりばね60の基端64はそれほど大きくない回転速度を含むことになり、または基部58のように静止することさえある。この場合、第1の部分68が回転すると、第1の部分と回転可能端62に近いねじりばね60の部分との間の摩擦を低減することができ、同様に、第2の部分70は基部54のように静止することができ、または第1の部分68より遅い速度で回転し、第2の部分と基端64に近いねじりばね60の部分との間の摩擦も低減することができるようになっている。
【0052】
別の一例において、回転インターフェース72aは、ねじりばね60の最初のコイルが第1の部分68によって支持されてさえいれば、駆動部58から基部構造54までの長手軸18に沿ったねじりばね60の長さ20の任意の他のパーセンテージの位置に配置され、すなわち、回転インターフェース72aは、駆動部58までの長手方向距離が、長手方向に測定されたねじりばね60の最初のコイルの長さの少なくとも半分に等しく配置されるべきである。好ましい一例において、駆動部58から基部構造54までの長手軸18に沿ったねじりばね60の長さ20に対する回転インターフェース72aの場所は、0.5/ねじりばね60のコイルの総数(%)とすることができ、たとえば、ねじりばねが50のコイルを含めば、回転インターフェースは、駆動部58から基部構造54までの長手軸18に沿ったねじりばねの長さの1%(0.5/50%)の場所に配置することができる。最初のコイルが最も大きなトルクを含むため、最も大きな摩擦は通常、最初のコイルと支持部分との間に発生し、そのため最初のコイルと支持部分との間に相対回転がない、またはわずかな相対回転しかない場合、最初のコイルを支持する支持部分が最初のコイルと一緒に回転することを意味し、このとき最も大きな摩擦を低減することができる。複数の支持体66が第1の部分68および第2の部分70のみを含む例において、駆動部58から基部構造54までの長手軸18に沿ったねじりばね60の長さ20に対して1つのみの回転インターフェース72aが配置されることになるということを意味する。一例において、回転インターフェース72aは、駆動部58から基部構造54までの長手軸18に沿った、ねじりばね60の長さ20の0.5%と99.5%との間の位置に配置され、すなわち回転インターフェース72aは、駆動部58から基部構造54までの長手軸18に沿った、ねじりばね60の長さ20の0.5%または10%または12%または15%または30%または45%または65%の位置、または駆動部58から基部構造54までの長手軸18に沿った、ねじりばね60の長さ20の0.5%と99.5%との間に配置される任意の他の位置に配置することができる。
【0053】
好ましい一実施形態において、回転インターフェース72aは、駆動部58から基部構造54までの長手軸18に沿った、ねじりばね60の長さ20の0.5%と75%との間の位置に配置される。さらに好ましい一実施形態において、回転インターフェース72aは、駆動部58から基部構造54までの長手軸18に沿った、ねじりばね60の長さ20の0.5%と50%との間の位置に配置される。
【0054】
回転インターフェース72aは第1の部分68と第2の部分70との間の接触点上に形成することができ、すなわち、第1の部分68は、回転インターフェース72aを画定する点で第2の部分70に隣接することが留意されるべきである。しかしながら、回転インターフェース72aは、第2の部分70に隣接する第1の部分68の間の隙間とすることができる。ねじりばね60を支持するため、第1の部分68と第2の部分70との間の距離、またすなわち回転インターフェース72aの長手方向長さは、たとえばねじりばね60の3つまたは2つのコイルの長手方向長さ以下に制限されるべきである。
【0055】
第1の部分68および第2の部分70は横方向32に関してねじりばね60の内側に配置されている。第1の部分68および第2の部分70はこれによってねじりばね60のための分割型ガイドロッドを形成する。
【0056】
駆動部58および第1の部分68は第1のセグメントを構成し、第2の部分70および基部構造54は第2のセグメントを構成する。第1のセグメントおよび第2のセグメントは、異なる速度で回転するように構成されている。
【0057】
薬剤送達装置42は、ねじりばね60を回転変形させることによって準備することができる。この目的のため、ねじりばね60に張力が加えられて張力が保持されるように、遠位ハウジング50を近位ハウジング48に対して手動で回転させることができる。たとえば作動要素によって、薬剤送達装置42を作動させると、ねじりばね60におけるばね力が解放され、駆動部58が長手軸18周りに回転し、これによってプランジャロッド56を長手軸18に沿って駆動する。ねじりばね60はこのように、駆動部58を回転駆動するように配置されている。
【0058】
図3は、ねじりばね60および支持部分66を有する機構52のさらなる一例を含む薬剤送達装置42のさらなる一例の側断面図を概略的に表す。主に図1および図2に対する違いを説明する。図3における薬剤送達装置42は近位端でカバー74を含む。カバー74は注射針46を覆う。薬剤送達装置42は、カバー74を注射部位に対して押し付けることによって作動させることができる。図3における機構52は図1および図2と同じタイプのものである。
【0059】
図4は、ねじりばね60および支持部分66を有する機構52のさらなる一例を含む薬剤送達装置42のさらなる一例の側断面図を概略的に表す。主に図3に対する違いを説明する。図4における機構52において、第1の部分68および第2の部分70は横方向32に関してねじりばね60の外側に配置されている。第1の部分68および第2の部分70はこれによってねじりばね60のための分割型ガイドチューブを形成する。
【0060】
図5は、ねじりばね60および支持部分66を有する機構52のさらなる一例を含む薬剤送達装置42のさらなる一例の側断面図を概略的に表す。主に図3に対する違いを説明する。図5における機構52は4つの支持部分66を含む。第1の部分68および第2の部分70に加えて、4つの支持部分66は第1の中間部分76aおよび第2の中間部分76bを含む。第1の中間部分76aおよび第2の中間部分76bのそれぞれは、ねじりばね60を横方向32において支持するように構成されている。
【0061】
図2から図4における機構52と同様に、第1の部分68は駆動部58に固定され、第2の部分70は基部構造54に固定されている。第1の中間部分76aは第1の部分68と第2の中間部分76bとの間に配置されている。第2の中間部分76bは第1の中間部分76aと第2の部分70との間に配置されている。第1の中間部分76aおよび第2の中間部分76bのそれぞれは、長手軸18周りに独立して回転するように構成されている。
【0062】
図5における機構52は、第1の部分68と第1の中間部分76aとの間の第1の回転インターフェース72a、第1の中間部分76aと第2の中間部分76bとの間の第2の回転インターフェース72b、および第2の中間部分76bと第2の部分70との間の第3の回転インターフェース72cを含む。第1の回転インターフェース72a、第2の回転インターフェース72bおよび第3の回転インターフェース72cのそれぞれは、駆動部58と基部構造54との間に配置されている。第1の回転インターフェース72a、第2の回転インターフェース72bおよび第3の回転インターフェース72cは、それぞれ、駆動部58から基部構造54までの長手軸18に沿ったねじりばね60の長さの25%、50%および75%の位置に配置されている。したがって、各支持部分66は長手軸18に沿って同じ長さを有する。
【0063】
同様に、第1の回転インターフェース72aおよび第2の回転インターフェース72bは、第1の部分68と第1の中間部分76aとの間、そして第3の回転インターフェース72cは、第2の中間部分76bと第2の部分70との間の接触点上に形成することができる。あるいは、第1の回転インターフェース72aおよび第2の回転インターフェース72bは、第1の部分68と第1の中間部分76aとの間、そして第3の回転インターフェース72cは、第2の中間部分76bと第2の部分70との間の隙間とすることができる。ねじりばね60を支持するため、第1の部分68と第1の中間部分76aとの間の距離、および第2の中間部分76bと第2の部分70との間の第3の回転インターフェース72c、またすなわち第1の回転インターフェース72a、および第2の回転インターフェース72bの長手方向長さは、たとえばねじりばね60の3つまたは2つのコイルの長手方向長さ以下に制限されるべきである。
【0064】
図6Aは、図1から図3における機構52の側断面図を概略的に表し、図6Bは、図6Aにおける駆動部58および支持部分66の回転速度38、ならびにねじりばね60と支持部分66との間の相対回転速度40を概略的に表す。
【0065】
図6Aは、長手軸18に沿った第1の部分68の長さ78、および長手軸18に沿った第2の部分70の長さ80を示す。図6Bに示すように、機構52の動作中、駆動部58および第1の部分68の回転速度38は100%であり、第2の部分70および基部構造54の回転速度38は0%である。
【0066】
ねじりばね60の回転速度は、近位方向22において基部構造54に隣接する0%から駆動部58に隣接する100%まで長手軸18に沿って実質的に直線的に増加している。平均して、ねじりばね60の回転速度は駆動部58の回転速度の50%である。長手軸18に沿ったねじりばね60の中心も駆動部58の回転速度の約50%で回転する。ねじりばね60の近位半分は平均して駆動部58の回転速度の75%で回転する。第1の部分68は駆動部58の回転速度の100%で回転するため、ねじりばね60と第1の部分68との間の最大相対回転速度40は50%である。
【0067】
ねじりばね60の遠位半分は平均して駆動部58の回転速度の25%で回転する。第2の部分70は静止しているため、ねじりばね60と第2の部分70との間の最大相対回転速度40は50%である。ねじりばね60と支持部分66のいずれかとの間の最大相対回転速度40はこの例において約50%であるため、摩擦損失が実質的に減少する。図6Aにおける分割型支持部分66ではこれによって静的ガイドロッドの半分の摩擦しか発生しない。
【0068】
図7Aは、図4における機構52の側断面図を概略的に表し、図7Bは、図7Aにおける駆動部58および支持部分66の回転速度38、ならびにねじりばね60と支持部分66との間の相対回転速度40を概略的に表す。図4および図7Aによる支持部分66の配置でも、ねじりばね60と支持部分66のいずれかとの間の最大相対回転速度40は約50%である。摩擦損失がしたがって実質的に減少する。
【0069】
図8Aは、図5における機構52の側断面図を概略的に表し、図8Bは、図8Aにおける駆動部58および支持部分66の回転速度38、ならびにねじりばね60と支持部分66との間の相対回転速度40を概略的に表す。図8Aは長手軸18に沿った第1の中間部分76aの長さ82aおよび長手軸18に沿った第2の中間部分76bの長さ82bをさらに示す。
【0070】
図8Bに示すように、第1の中間部分76aおよび第2の中間部分76bの回転速度38は、それぞれ、駆動部58の回転速度38の約67%および33%である。支持部分66の数を増やすことによって、各支持部分66とねじりばね60との間の相対回転速度40をさらに低減することができる。図8bに示すように、第1の部分68とねじりばね60との間の最大相対回転速度40は約25%であり、第1の中間部分76aとねじりばね60との間の最大相対回転速度40は約12.5%であり、第2の中間部分76bとねじりばね60との間の最大相対回転速度40は約12.5%であり、そして第2の部分70とねじりばね60との間の最大相対回転速度40は約25%である。
【0071】
図9Aは、ねじりばね60を含む薬剤送達装置42のための機構52のさらなる一例を概略的に表す。図9Aにおいて、少なくとも1つの支持部分66は単一の支持部分84によって構成されている。機構52は、駆動部58と単一の支持部分84との間の第1の回転インターフェース72aと、単一の支持部分84と基部構造54との間の第2の回転インターフェース72bと、を含む。第1の回転インターフェース72aは駆動部58から基部構造54までの長手軸18に沿ったねじりばね60の長さ20の0%の位置に配置されている。第2の回転インターフェース72bは駆動部58から基部構造54までの長手軸18に沿ったねじりばね60の長さ20の100%の位置に配置されている。
【0072】
図9Bは、図9Aにおける駆動部58および単一の支持部分84の回転速度38、ならびにねじりばね60と単一の支持部分84との間の相対回転速度40を概略的に表す。駆動部58が100%の速度で回転するとき、単一の支持部分84の回転速度38は駆動部58の回転速度38の約50%である。図9Bに示すように、単一の支持部分84とねじりばね60との間の最大相対回転速度40は約50%である。したがって、図9Aにおける機構52によっても、摩擦損失を実質的に低減することができる。
【0073】
図10Aは薬剤送達装置42のさらなる一例の近位方向22における図を概略的に表し、図10B図10Aにおける薬剤送達装置42の遠位方向24における断面図を概略的に表す。図10Aおよび図10Bを参照して、主に図1および図2における薬剤送達装置42に対する違いを説明する。図10Aに示すように、ねじりばね60の基端64は第2の脚を含み、この例において、第2の脚はオーバーセンターの第2の脚86である。第2の脚86は真っ直ぐであり、長手軸18を横切って横方向32に延在する。図10Bに示すように、ねじりばね60の回転可能端62は第1の脚88を含む。第1の脚88は真っ直ぐであり、長手軸18に向かって横方向32に延在する。長手軸18に対して横にそれぞれ延在する第1の脚88および第2の脚86によって、ねじりばね60の座屈を低減することができる。その結果、ねじりばね60と少なくとも1つの支持部分66との間の摩擦損失をさらに低減することができる。
【0074】
また、第2の脚86は基部構造54に固定され、第1の脚88は駆動部58に固定されている。基端64および回転可能端62のそれぞれがこれによってそれ自体の力結合を提供することができる。このように、枢動による、ねじりばね60の近位コイルと隣接する支持部分66との間の擦れ、およびねじりばね60の遠位コイルと隣接する支持部分66との間の擦れをこれによって回避することができる。このように、ねじりばね60と少なくとも1つの支持部分66との間の摩擦損失をさらに低減することができる。
【0075】
例示的な実施形態を参照して本開示を説明してきたが、本発明は、上述したものに限定されないことが理解されるであろう。たとえば、部分の寸法は必要に応じて変更することができるということが理解されるであろう。したがって、本発明は、添付の特許請求の範囲によってのみ限定され得ることが意図されている。
【符号の説明】
【0076】
18 長手軸
20 長さ
22 近位方向
24 遠位方向
32 横方向
38 回転速度
40 相対回転速度
42 薬剤送達装置
44 薬剤容器
46 注射針
48 近位ハウジング
50 遠位ハウジング
52 機構
54 基部構造
56 プランジャロッド
58 駆動部
60 ねじりばね
62 回転可能端
64 基端
66 支持部分
68 第1の部分
70 第2の部分
72a 第1の回転インターフェース
72b 第2の回転インターフェース
72c 第3の回転インターフェース
74 カバー
76a 第1の中間部分
76b 第2の中間部分
78 長さ
80 長さ
82a 長さ
82b 長さ
84 単一の支持部分
86 第2の脚
88 第1の脚
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7A
図7B
図8A
図8B
図9A
図9B
図10A
図10B
【国際調査報告】