IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ フォーカスウェスト ヘルス インコーポレイテッドの特許一覧

<>
  • 特表-超音波検査用撮像システム及び方法 図1
  • 特表-超音波検査用撮像システム及び方法 図2A
  • 特表-超音波検査用撮像システム及び方法 図2B
  • 特表-超音波検査用撮像システム及び方法 図2C
  • 特表-超音波検査用撮像システム及び方法 図2D
  • 特表-超音波検査用撮像システム及び方法 図3
  • 特表-超音波検査用撮像システム及び方法 図4
  • 特表-超音波検査用撮像システム及び方法 図5
  • 特表-超音波検査用撮像システム及び方法 図6
  • 特表-超音波検査用撮像システム及び方法 図7
  • 特表-超音波検査用撮像システム及び方法 図8
  • 特表-超音波検査用撮像システム及び方法 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-29
(54)【発明の名称】超音波検査用撮像システム及び方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 8/00 20060101AFI20231121BHJP
   A61B 8/15 20060101ALI20231121BHJP
【FI】
A61B8/00
A61B8/15
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023545744
(86)(22)【出願日】2021-10-19
(85)【翻訳文提出日】2023-06-26
(86)【国際出願番号】 US2021055635
(87)【国際公開番号】W WO2022098506
(87)【国際公開日】2022-05-12
(31)【優先権主張番号】17/089,263
(32)【優先日】2020-11-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/221,466
(32)【優先日】2021-04-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523170208
【氏名又は名称】フォーカスウェスト ヘルス インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】キヴィッツ、フィリップ
【テーマコード(参考)】
4C601
【Fターム(参考)】
4C601DD08
4C601EE11
4C601GA03
4C601GB03
4C601GC02
4C601GC10
4C601GC27
4C601HH35
4C601JC37
(57)【要約】
超音波検査用撮像装置は、上面に結合された少なくとも1つの可動パネルであって、パネルの移動により開口部の全体の大きさを変更する可動パネルと、開口部の下に配置され、被験者の身体の一部が開口部を通って槽によって画定される容積内に自由に突出することができるように容積を画定する槽と、末端部を有する少なくとも1つのロボットアームであって、末端部が槽によって画定される容積内の複数の位置に配置可能であるロボットアームと、末端部の近くに配置される少なくとも1つの高周波超音波トランスデューサと、を含む。被験者の組織の超音波検査画像を取得する関連する方法も記載されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
面内に開口部を有する上面を含む撮像ユニットと、
前記上面に結合された少なくとも1つの可動パネルであって、前記上面に平行な面内で前記可動パネルをスライド移動させることにより前記開口部の全体の大きさを変更する、少なくとも1つの可動パネルと、
前記開口部の下に配置され、流体を保持するための容積を画定する槽であって、使用時に、被験者の乳房が前記開口部を通って前記槽によって画定される前記容積内の前記流体の中に自由に突出することができる槽と、
独立して制御可能な少なくとも2つのロボットアームであって、各々が基端部と前記基端部の反対側の末端部とを有しかつ3以上の自由度を有し、前記独立して制御可能な少なくとも2つのロボットアームのうちの少なくとも1つのロボットアームの基端部は、前記槽の側面及び前記上面の一方に結合され、前記少なくとも1つのロボットアーム各々の末端部は、前記槽によって画定される前記容積内の複数の位置で複数の角度のいずれかで配置可能であり、前記乳房と前記乳房に関連する前記被験者の腋窩リンパ節との撮像を可能にする、独立して制御可能な少なくとも2つのロボットアームと、
前記独立して制御可能な少なくとも2つのロボットアームの前記末端部の近くに配置された少なくとも1つの高周波超音波トランスデューサと、
を備える超音波検査用撮像装置。
【請求項2】
前記槽内に配置された少なくとも1つのカメラをさらに備える、請求項1に記載の超音波検査用撮像装置。
【請求項3】
前記少なくとも2つのロボットアームは、3つ以上のロボットアームを備える、請求項2に記載の超音波検査用撮像装置。
【請求項4】
前記少なくとも2つのロボットアームは、少なくとも1つの蛇型ロボットアームを備える、請求項1に記載の超音波検査用撮像装置。
【請求項5】
前記少なくとも1つの可動パネルは、前記開口部の高さを変化させるスライドパネルを備える、請求項1に記載の超音波検査用撮像装置。
【請求項6】
前記少なくとも1つの可動パネルは、前記開口部の側部寸法を変化させるパネルを備える、請求項1に記載の超音波検査用撮像装置。
【請求項7】
前記槽内に低周波超音波トランスデューサアレイユニットをさらに備える、請求項1に記載の超音波検査用撮像装置。
【請求項8】
前記槽内に超音波受信機アレイをさらに備える、請求項1に記載の超音波検査用撮像装置。
【請求項9】
前記少なくとも2つのロボットアームのうちの第1のロボットアームの第1の送受信機は、動作時に、超音波放射の送信機となり、前記少なくとも2つのロボットアームのうちの第2のロボットアームの第2の送受信機は、動作時に、前記第1の送受信機によって送信された前記超音波放射の少なくとも一部の受信機となる、請求項1に記載の超音波検査用撮像装置。
【請求項10】
前記基端部は、前記上面の槽側で前記上面に結合されている、請求項1に記載の超音波検査用撮像装置。
【請求項11】
前記基端部は、前記上面の被験者側で前記上面に結合されている、請求項1に記載の超音波検査用撮像装置。
【請求項12】
乳房の内部組織が槽の容積内の流体中に存在する場合に、撮像ユニットの表面上に配置された被験者の拘束されていない乳房の組織の超音波検査画像を取得する方法であって、
1)前記乳房の内部組織を含む前記被験者の一部を収容し、前記被験者の拘束されていない乳房に関連する腋窩リンパ節の撮像を可能にするために、前記表面に平行な面内で可動パネルをスライドさせることにより、前記撮像ユニットの前記表面により画定される開口部の大きさを調節することと、
2)前記槽内の前記流体中に存在する低周波超音波トランスデューサアレイユニットを使用して、前記槽内の第1の位置における視点から、前記乳房の内部組織の低周波走査を実行することと、
3)局所的高周波超音波撮像の対象である前記内部組織の特定の組織を識別することと、
4)独立して制御可能な少なくとも2つのロボットアームのうちの少なくとも1つのロボットアームを、前記容積内の前記流体中において、X方向、Y方向、及びZ方向の組み合わせで同時に移動させることであって、
前記少なくとも1つのロボットアームは、遠位末端部と前記遠位末端部の反対側の基端部とを有し、前記基端部は前記槽の側面及び前記表面の一方に結合され、前記少なくとも2つのロボットアームの各々は、独立して3以上の自由度を有し、
前記少なくとも1つのロボットアームは、前記遠位末端部の近くに高周波送受信機を有し、前記槽内で、前記特定の組織に近くかつ前記低周波超音波トランスデューサアレイユニットの前記視点とは異なる第1の視点から前記特定の組織の局所的高周波超音波撮像を実行するのに適した新たな位置まで移動する、
少なくとも1つのロボットアームを同時に移動させることと、
5)前記高周波送受信機を使用して超音波検査データを取得することであって、前記超音波検査データから前記視点からの前記特定の組織の少なくとも1つの画像が生成され得る、超音波検査データを取得することと、
6)少なくとも高周波撮像の結果得られた前記超音波検査データを非一時的記憶装置に記憶することと、
を含む、方法。
【請求項13】
前記移動させることは、前記槽内の少なくとも1つのカメラからのビューに基づいて前記高周波送受信機を配置することをさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記少なくとも1つのカメラと共にマシンビジョンを使用して、前記配置することの少なくとも一部を実行することをさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記開口部の幅を変更するように、前記撮像ユニットの前記表面に平行な面内での移動を通じて、前記撮像ユニットの前記表面に結合された少なくとも1つのサイドパネルの位置を修正することをさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
前記少なくとも1つのロボットアームを、前記位置から、前記第1の視点及び前記低周波超音波トランスデューサアレイユニットの前記視点とは異なる新しい視点から前記特定の組織の局所的高周波撮像を行うのに適した新しい位置まで移動させることをさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項17】
前記少なくとも1つのロボットアームは、動作時に超音波送信機として動作する第1の送受信機を有する第1のロボットアームと、動作時に超音波受信機として動作する第2の送受信機を有する第2のロボットアームとを含み、
前記方法は
前記第1の送受信機及び前記第2の送受信機によって画定される平面が前記表面に平行ではなく、第1の方向における撮像中に、少なくとも一部の超音波放射が前記第1の送受信機から前記特定の組織を通過して前記第2の送受信機へ到達するように、前記第1の送受信機を前記特定の組織の一方の側の第1の位置に配置し、前記第2の送受信機を前記特定の組織の前記一方の側とは反対の側に配置することと、
前記第1の送受信機及び前記第2の送受信機を用いて、前記第1の位置に対する透過超音波検査データを前記超音波検査データとして取得することと、
をさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項18】
前記透過超音波検査データが第1の透過超音波検査データであり、
前記方法は、
前記特定の組織が、撮像のための新たな方向を画定する前記第1の送受信機と前記第2の送受信機との間にあるように、前記第1の位置とは異なる前記特定の組織に対する新たな位置に再配置し、前記第2の送受信機を、前記新たな位置とは反対の側に配置して、前記新たな方向における撮像中に、少なくとも一部の超音波放射が前記第1の送受信機から前記特定の組織を通って前記第2の送受信機へ到達するようにすることと、
前記第1の送受信機及び前記第2の送受信機を使用して前記新たな位置の透過超音波検査データを取得することと、
をさらに含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記再配置することは、前記槽内の少なくとも1つのカメラを使用して、前記第1の送受信機を前記第1の位置から前記新しい位置まで移動させることを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記被験者の位置決め点を、前記撮像ユニットの前記表面上の位置決め指標と位置合わせすることをさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項21】
前記開口部の前記大きさを調整することは、前記槽内の少なくとも1つのカメラからのビューに基づく、請求項12に記載の方法。
【請求項22】
前記開口部の前記大きさを調節することは、第1の方向では,前記被験者の鎖骨から前記被験者の乳房下ひだの少なくとも1cm下まで延び、かつ第2の方向では、前記乳房に関連する前記腋窩リンパ節の上腕三頭筋側から前記乳房の皮膚が胸壁に接する前記乳房の胸骨側まで延びる少なくとも1つの領域となるように行われる、請求項12に記載の方法。
【請求項23】
面内に開口部を有する上面を含む撮像ユニットと、
前記上面に結合された少なくとも1つの可動パネルであって、前記上面に平行な面内で前記可動パネルをスライド移動させることにより前記開口部の全体の大きさを変更する、少なくとも1つの可動パネルと、
前記開口部の下に配置され、流体を保持するための容積を画定する槽であって、使用時に、被験者の乳房が前記開口部を通って前記槽によって画定される前記容積内の前記流体の中に自由に突出することができる槽と、
独立して制御可能な少なくとも2つのロボットアームであって、各々が末端部を有しかつ3以上の自由度を有し、各々の末端部は、前記槽によって画定された前記容積内の複数の位置で複数の角度のいずれかで配置可能であり、前記乳房と前記乳房に関連する前記被験者の腋窩リンパ節の撮像を可能にする、独立して制御可能な少なくとも2つのロボットアームと、
前記独立して制御可能な少なくとも2つのロボットアームの前記末端部の近くに配置された少なくとも1つの高周波超音波トランスデューサと、
を備える超音波検査用撮像装置。
【請求項24】
前記槽内に配置された少なくとも1つのカメラをさらに備える、請求項23に記載の超音波検査用撮像装置。
【請求項25】
前記少なくとも2つのロボットアームは、3つ以上のロボットアームを備える、請求項24に記載の超音波検査用撮像装置。
【請求項26】
前記少なくとも2つのロボットアームは、少なくとも1つの蛇型ロボットアームを備える、請求項23に記載の超音波検査用撮像装置。
【請求項27】
前記少なくとも1つの可動パネルは、前記開口部の高さを変化させるスライドパネルを備える、請求項23に記載の超音波検査用撮像装置。
【請求項28】
前記少なくとも1つの可動パネルが、前記開口部の側部寸法を変化させるパネルを備える、請求項23に記載の超音波検査用撮像装置。
【請求項29】
前記槽内に低周波超音波トランスデューサアレイユニットをさらに備える、請求項23に記載の超音波検査用撮像装置。
【請求項30】
前記槽内に超音波受信機アレイをさらに備える、請求項23に記載の超音波検査用撮像装置。
【請求項31】
前記少なくとも2つのロボットアームのうちの第1のロボットアームの第1の送受信機は、動作時に、超音波放射の送信機となり、前記少なくとも2つのロボットアームのうちの第2のロボットアームの第2の送受信機は、動作時に、前記第1の送受信機によって送信された前記超音波放射の少なくとも一部の受信機となる、請求項23に記載の超音波検査用撮像装置。
【請求項32】
少なくとも乳房の内部組織が槽の容積内の流体中に存在する場合に、撮像ユニットの表面上に配置された被験者の拘束されていない前記乳房の組織の超音波検査画像を取得する方法であって、
1)前記乳房の内部組織を含む前記被験者の一部を収容し、前記被験者の乳房に関連する腋窩リンパ節の撮像を可能にするために、前記表面に平行な面内で可動パネルをスライドさせることにより、前記撮像ユニットの前記表面により画定される開口部の大きさを調節することと、
2)前記槽内の前記流体中に存在する低周波超音波トランスデューサアレイユニットを使用して、前記槽内の第1の位置における視点から、前記乳房の内部組織の低周波超音波撮像走査を実行することと、
3)前記低周波超音波撮像走査によって得られた超音波検査データから、局所的高周波超音波撮像の対象となる前記内部組織の特定の組織を識別することと、
4)独立して制御可能な少なくとも2つのロボットアームのうちの少なくとも1つのロボットアームの遠位末端部を、前記容積内の前記流体中において、X方向、Y方向、及びZ方向の組み合わせで同時に移動させることであって、
前記少なくとも2つのロボットアームの各々は、独立して3以上の自由度を有し、前記少なくとも1つのロボットアームは、前記遠位末端部の近くに高周波送受信機を有し、前記特定の組織に近くかつ前記低周波超音波トランスデューサアレイユニットの前記視点とは異なる第1の視点から前記特定の組織の局所的高周波超音波撮像を行うのに適した新たな位置まで移動する、少なくとも1つのロボットアームの遠位末端部を移動させることと、
5)前記高周波送受信機を使用して超音波検査データを取得することであって、前記超音波検査データから前記視点からの前記特定の組織の少なくとも1つの画像が生成され得る、超音波検査データを取得することと、
6)2)及び5)の少なくとも一方と関連して、撮像される前記乳房の内部組織に関連する前記腋窩リンパ節を撮像することと、
7)少なくとも高周波撮像の結果得られた前記超音波検査データを非一時的記憶装置に記憶することと、
を含む、方法。
【請求項33】
前記移動させることは、前記槽内の少なくとも1つのカメラからのビューに基づいて前記高周波送受信機を配置することをさらに含む、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記少なくとも1つのカメラと共にマシンビジョンを使用して、前記配置することの少なくとも一部を実行することをさらに含む、請求項32に記載の方法。
【請求項35】
前記開口部の幅を変更するように、前記撮像ユニットの前記表面に平行な面内で前記撮像ユニットの前記表面に対してスライド移動することによって、前記撮像ユニットの前記表面に結合された少なくとも1つの独立して移動可能なサイドパネルの位置を修正することを含む、請求項32に記載の方法。
【請求項36】
前記少なくとも1つのロボットアームを、前記位置から、前記第1の視点及び前記低周波超音波トランスデューサアレイユニットの前記視点とは異なる新しい視点から前記特定の組織の局所的高周波撮像を行うのに適した新しい位置まで移動させることをさらに含む、請求項32に記載の方法。
【請求項37】
前記少なくとも1つのロボットアームは、動作時に超音波送信機として動作する第1の送受信機を有する第1のロボットアームと、動作時に超音波受信機として動作する第2の送受信機を有する第2のロボットアームとを含み、
前記方法は
前記第1の送受信機及び前記第2の送受信機によって画定される平面が前記表面に平行ではなく、第1の方向における撮像中に、少なくとも一部の超音波放射が前記第1の送受信機から前記特定の組織を通過して前記第2の送受信機へ到達するように、前記第1の送受信機を前記特定の組織の一方の側の第1の位置に配置し、前記第2の送受信機を前記特定の組織の前記一方の側とは反対の側に配置することと、
前記第1の送受信機及び前記第2の送受信機を用いて、前記第1の位置に対する透過超音波検査データを前記超音波検査データとして取得することと、
をさらに含む、請求項32に記載の方法。
【請求項38】
前記透過超音波検査データが第1の透過超音波検査データであり、
前記方法は、
前記特定の組織が、撮像のための新たな方向を画定する前記第1の送受信機と前記第2の送受信機との間にあるように、前記第1の位置とは異なる前記特定の組織に対する新たな位置に再配置し、前記第2の送受信機を、前記新たな位置とは反対の側に配置して、前記新たな方向における撮像中に、少なくとも一部の超音波放射が前記第1の送受信機から前記特定の組織を通って前記第2の送受信機へ到達するようにすることと、
前記第1の送受信機及び前記第2の送受信機を使用して前記新たな位置の透過超音波検査データを取得することと、
をさらに含む、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記再配置することは、前記槽内の少なくとも1つのカメラを使用して、前記第1の送受信機を前記第1の位置から前記新しい位置まで移動させることを含む、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記被験者の位置決め点を、前記撮像ユニットの上面上の位置決め指標と位置合わせすることをさらに含む、請求項32に記載の方法。
【請求項41】
前記開口部の前記大きさを調節することは、前記槽内の少なくとも1つのカメラからのビューに基づく、請求項32に記載の方法。
【請求項42】
前記開口部の前記大きさを調節することは、第1の方向では,前記被験者の鎖骨から前記被験者の乳房下ひだの少なくとも1cm下まで延び、かつ第2の方向では、前記乳房に関連する前記腋窩リンパ節の上腕三頭筋側から前記乳房の皮膚が胸壁に接する前記乳房の胸骨側まで延びる少なくとも1つの領域となるように行われる、請求項32に記載の方法。
【請求項43】
前記低周波超音波トランスデューサアレイユニット及び前記高周波送受信機の少なくとも一方を使用して、前記被験者の乳房に関連する前記腋窩リンパ節を撮像することをさらに含む、請求項42に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は一般に撮像装置に関し、より詳細には、超音波を伴う医療用撮像システムに関する。
【背景技術】
【0002】
医療用撮像システムは、医学的状態の診断において重要なツールである。しかしながら、多くの場合、超音波検査(ultrasound sonography)は、撮像を実行するためにスキルを必要とすること、放射線科医が多数の画像を確認する必要があること、撮像システムの拘束装置によってもたらされる組織の歪みを考慮するために訓練及びスキルが必要であること、並びにコストを含む、様々な理由から、通常スクリーニングには採用されていない。これは、乳癌スクリーニングに使用される超音波検査に特に当てはまる。
【0003】
したがって、これらの問題の少なくともいくつかに積極的に対処し、それによって重要な医療診断ツールを改善することができる医療用撮像システムが依然として必要とされている。
【発明の概要】
【0004】
本開示の一態様は、面内に開口部を有する上面を含む撮像ユニットと、上面に結合された少なくとも1つの可動パネルであって、上面に平行な面内で可動パネルをスライド移動させることにより開口部の全体の大きさを変更する少なくとも1つの可動パネルと、開口部の下に配置され、流体を保持するための容積を画定する槽であって、使用時に、被験者の乳房が開口部を通って槽によって画定される容積内の流体の中に自由に突出することができる槽と、独立して制御可能な少なくとも2つのロボットアームであって、各々が末端部を有しかつ3以上の自由度を有し、各々の末端部は、槽によって画定された容積内の複数の位置で複数の角度のいずれかで配置可能であり、乳房と乳房に関連する被験者の腋窩リンパ節の撮像を可能にする独立して制御可能な少なくとも2つのロボットアームと、独立して制御可能な少なくとも2つのロボットアームの末端部の近くに配置された少なくとも1つの高周波超音波トランスデューサと、を有する超音波検査用撮像装置(sonographic imaging device)である。
【0005】
本開示の別の態様は、乳房の内部組織が槽の容積内の流体中に存在する場合に、撮像ユニットの表面上に配置された被験者の拘束されていない乳房の組織の超音波検査画像(sonographic images)を取得する方法であって、本方法は、1)乳房の内部組織を含む被験者の一部を収容し、被験者の拘束されていない乳房に関連する腋窩リンパ節の撮像を可能にするために、表面に平行な面内で可動パネルをスライドさせることにより、撮像ユニットの表面により画定される開口部の大きさを調節することと、2)槽内の流体中に存在する低周波超音波トランスデューサアレイユニットを使用して、槽内の第1の位置における視点(vantage point)から、乳房の内部組織の低周波走査を実行することと、3)局所的高周波超音波撮像の対象である内部組織の特定の組織を識別することと、4)独立して制御可能な少なくとも2つのロボットアームのうちの少なくとも1つのロボットアームの遠位末端部を、容積内の流体中において、X方向、Y方向、及びZ方向の組み合わせで同時に移動させることであって、前記少なくとも2つのロボットアームの各々は、独立して3以上の自由度を有し、前記少なくとも1つのロボットアームは、遠位末端部の近くに高周波送受信機を有し、特定の組織に近くかつ低周波超音波トランスデューサアレイユニットの視点とは異なる第1の視点から特定の組織の局所的高周波超音波撮像を行うのに適した新たな位置まで移動する、少なくとも1つのロボットアームの遠位末端部を移動させることと、5)高周波送受信機を使用して超音波検査データを取得することであって、超音波検査データから視点からの特定の組織の少なくとも1つの画像が生成され得る、超音波検査データを取得することと、6)少なくとも高周波撮像の結果得られた超音波検査データを非一時的記憶装置に記憶することと、を含む。
【0006】
本開示は、図面を参照して、以下の詳細な説明においてさらに説明される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本明細書の教示による、人体組織の撮像のための超音波検査撮像システムの例示的な実装形態(縮尺通りではない)を簡略化して示す外部斜視図である。
図2A図1の撮像ユニットと同様の例示的な撮像ユニットの上面の、代表的な2つの異なる例示的な実装形態(縮尺通りではない)を簡略化して示す部分上面図である。
図2B図1の撮像ユニットと同様の例示的な撮像ユニットの上面の、代表的な2つの異なる例示的な実装形態(縮尺通りではない)を簡略化して示す部分上面図である。
図2C図1の撮像ユニットと同様の例示的な撮像ユニットの上面の、代表的な2つの異なる例示的な実装形態(縮尺通りではない)を簡略化して示す部分上面図である。
図2D図1の撮像ユニットと同様の例示的な撮像ユニットの上面の、代表的な2つの異なる例示的な実装形態(縮尺通りではない)を簡略化して示す部分上面図である。
図3図2Bの撮像ユニットを簡略化して示す断面図である。
図4図3の撮像ユニットを簡略化して示す断面図であり、撮像ユニットの上面上に腹臥位で横たわる被験者(複数可)の一部の表現を伴う。
図5】この実施態様では、潜在的に複数のロボットアームのうちの1つが上面の下側に結合されていることを除いて、図4と同様の例示的な代替撮像ユニットの実装態様を簡略化して示す断面図である。
図6】本明細書の教示に従う動作を可能にするために既存の超音波装置の改造に使用することができる、例示的な改造キットの構成要素の代表例を簡略化して示す図である。
図7】本明細書の教示に従う動作を可能にするために既存の超音波装置の改造に使用することができる、例示的な改造キットの構成要素の代表例を簡略化して示す図である。
図8】本明細書の教示を採用する実装形態を使用して実行され得る、超音波検査用撮像プロセスの一例を示すフローチャートである。
図9】本明細書に記載される1つ以上の実施例に基づく教示に従って構築された例示的な超音波検査用撮像ユニットの一部を簡略化して示す図であり、腹臥位でその上に配置された被験者の簡略化された表現を伴う。
【発明を実施するための形態】
【0008】
<装置構造>
図1は、本明細書の教示による、人体組織の撮像(「超音波コンピュータ断層撮影」又は単に「超音波」とも呼ばれる。)のための超音波検査撮像システム(ultrasound sonographic imaging system:USIS)100の例示的な実装形態(縮尺通りではない)の外部斜視図を簡略化して示す。超音波検査撮像システム(USIS)100は、被験者(human subject)が腹臥位又は実質的に腹臥位で横たわるように意図された支持テーブル102を含む。特定の実装形態に応じて、支持テーブルの上面104は、平坦であってもよく、又は輪郭が形成されていてもよく、典型的には、撮像中に被験者の快適さを改善するために、何らかの形態のパッド(例えば、発泡体又は記憶性発泡体(memory foam))を含むことになろう。
【0009】
特定の実装形態に応じて、支持テーブル102は、任意選択で、支持テーブル102を地面108に対して上昇又は下降させ、それによって被験者による乗降を補助することができるように、ギア、サーボ、押圧ロッドなどの電気機械機構及び/又は油圧機構106をその中に含むことができる。さらに、いくつかの実装形態では、機構106は、任意選択で、上面104を水平面に対して傾斜させるために使用されるように構成され得る。
【0010】
追加的に又は代替的に、支持テーブル102は、配置換え又は移動を可能にする車輪110を含むことができる。
【0011】
超音波検査撮像システム(USIS)100は、さらに撮像ユニット112を含む。この撮像ユニット112は、特定の実装形態に応じて、支持テーブル102の一部であるか、又は支持テーブル102に堅固に取り付けられ得る。あるいは、撮像ユニット112は、図1に示すように、使用時には支持テーブルに当接又は近接する物理的に別個のユニットであってもよい。撮像ユニット112が物理的に別個のユニットであるいくつかの実装形態では、支持テーブル102は、単に従来の担架(gurney)又は検査台であり得る。
【0012】
超音波検査撮像システム(USIS)100は、例えば、表示画面又はモニタ116と、少なくとも1つの入力デバイス、例えば、キーボード118a、マウス118b、タッチパッド118c、スタイラス118dと、から構成されるオペレータコンソール114をさらに含み、又は場合によってはモニタが「タッチスクリーン」タイプのモニタである場合、入力デバイス118はモニタ116の一部とすることができる。オペレータコンソール114は、撮像ユニット112の近くに配置されてもよく、又はそこから離れた場所に配置されてもよい。
【0013】
オペレータコンソール114は、有線接続(例えば、イーサネット(登録商標)、同軸ケーブル、光ファイバケーブル、ツイストペア)又は近距離無線接続(例えば、WiFi、Bluetooth(登録商標)、LTE-A、LTE-M、NB-IoT、Sigfox、WiMAX、Wi-Sun、Z-Waveなど)のいずれかによって撮像ユニット112に接続され、本明細書で説明するように、技師が撮像ユニット112の動作の態様を制御することを可能にする。特定の実装形態では、オペレータコンソール114はまた、支持テーブル102に直接又は間接的に接続されて、そのような機能が存在する場合、支持テーブル102の動作、例えば、機構106を制御し得る。
【0014】
オペレータコンソール114は、それ自体が1つ以上のプロセッサ122を有するコンピュータ120を含んでいてもよいし、又は、各々が撮像ユニット112内に配置されるか、又は撮像ユニット112に関連する1つ以上のプロセッサ122を有する1つ以上のコンピュータ124のための端末として機能してもよい。特定の実装形態に応じて、プロセッサ122は、単一のコア又は複数のコアを有することができる。
【0015】
さらに、非一時的記憶装置123は、撮像プロセスの一部として得られた、又は撮像プロセスの結果として得られたデータを含むファイルを記憶する目的で、オペレータコンソール114及び/又は撮像ユニット112に結合され得る。
【0016】
任意選択で、特にオペレータコンソール114が撮像ユニット112から離れた場所にある場合、超音波検査撮像システム(USIS)102は、1つ以上のカメラ126を含んでいてもよい。1つ以上のカメラ126は、例えば、オペレータコンソール114の近くに位置する技師が、支持テーブル102の上に配置された被験者を見ることが可能にし、また以下でより詳細に説明するように、撮像ユニット112内部にある1つ以上の視点(perspectives)からの画像を見ることを可能にする。
【0017】
撮像ユニット112の上面128(上面128は、撮像されている被験者の快適さのために、輪郭付けされ及び/又はパッド付けされていてもよい)は、開口部130を含む。開口部130の範囲は、開口部の大きさが鎖骨付近から乳房下ひだ(乳房下皺とも呼ばれる)の直下まで撮像される被験者の高さを確実に包含することによって、腋窩リンパ節(「腋窩)」とも呼ばれる)の撮像を容易にするために、典型的にHmax以下の「高さ」の間で1つ以上のスライドパネル(複数可)132を移動させることによって変更され得る。典型的には、Hmaxは、約38cm(15インチ)である(すなわち、人体測定スケールで99.9%以上の範囲内にある人間をカバーする)が、その値は特定の集団に対してはより大きいか、又はより小さくなり得る。
【0018】
図2A図2Dは、図1の撮像ユニット112と同様の、例示的な撮像ユニット112a、112bの上面128の2つの異なる代表的な例示的実装形態の上面図(縮尺通りではない)の一部を簡略化して示す。
【0019】
図2A図2Bは、撮像ユニット112aの第1の例の上面128を上方から下方に見た図の一部を簡略化して示す。図示のように、上面128は、頭部部分202及び腰部部分204を有し、用語「頭部」及び「腰部」は、単に(説明のために)撮像中に被験者の対応する部分により近い上面128の部分を示す。
【0020】
腰部部分204は、撮像の目的のために、後述するように、被験者が位置合わせされる位置決め指標(registration indicator)206を含む。撮像ユニット112は、撮像される被験者の快適さのために、及び組織の歪みを防止するために、典型的には、撮像中に概ね30℃~38℃(すなわち、正常体温の約5℃~10℃以内)に維持される流体で満たされ得る槽208をさらに含む。流体は、撮像のための超音波の伝達を助ける液体であり、例えば、脱気水、又は超音波検査分野で知られている他の適切な流体が挙げられる。
【0021】
槽208は、腰部部分の上端部210、槽208の側壁212、及び頭部部分202のスライドパネル132の下端部214の位置によって画定される可変サイズの開口部209を介してアクセス可能である。図2Aに示すように、スライドパネル132は、完全に後退した位置にあり、Hmaxの高さを有する開口部209をもたらす。
【0022】
図示するように、槽208の側壁212と撮像ユニット112aの側壁218との間には、槽208からの流体のオーバーフロー/流出(displacement)を可能にするための空間216が任意に存在する。最後に、図2A図2Bに示すように、撮像ユニット112の上面128は、任意選択で、可動ロボットアーム(図示はしていないが、以下でより詳細に説明する)が任意選択で取り付けられ得る1つ以上の取り付け位置220を含むことができる。
【0023】
図2Bは、図2Aの撮像ユニット112aを簡略化して示しており、頭部部分202のスライドパネル132は、腰部部分204に向かって完全にスライド又は延長されており、それによって、開口部209の大きさを縮小している。
【0024】
図2C図2Dは、撮像ユニット112bの第2の例の上面128を上方から下方に見た図の一部を簡略化して示す。これらの図は、撮像ユニット112bが、開口部209の大きさをさらに縮小するように移動可能な少なくとも1つの、図示のように2つのサイドパネル222を含むことを除いて、図2A図2Bに示す撮像ユニットと同様である。図2Cに示すように、サイドパネル222及びスライドパネル128は完全に後退しており、図2Dでは、サイドパネル222及びスライドパネル128は完全に延長されている。
【0025】
図2A図2Dの各々における可変サイズの開口部209は一般には長方形であるが、代替的な実装形態では、完全に開いたときに任意の閉じた幾何学的形状である可変開口部を組み込むことができる。その可変開口部は、人体測定データに基づいて、最大ですべての被験者の99%以上の撮像を可能にするようにサイズ決定され、それによって、この特定の用途において、乳房領域全体及び関連する腋窩リンパ節(すなわち、典型的には、一方向では鎖骨付近から乳房下ひだの直下まで延び、他方向では理想的には三角筋/上腕三頭筋の外側付近から胸骨まで延びる領域)へのアクセスを提供する。
【0026】
特定の実装形態に応じて、開口部の大きさを調節するために移動され得るスライドパネルは、直線的な側面を有する必要はなく、むしろ、それらは代替的に湾曲させることができ、又は、円形若しくは楕円形の開口部の場合には、開口部の大きさは、虹彩のようなスライドパネルを使用して調整することができる。乳房撮像用途の場合、開口部は、被験者の配置を変更することなく、乳房及び関連する腋窩リンパ節の両方の撮像を可能にすることができることが重要である。
【0027】
図3は、図2Bの撮像ユニット112aの3-3断面図を簡略化して示す。図3から分かるように、部分的に延長されたスライドパネル132は、任意選択で、(プロセッサ124のうちの1つの制御下で)スライドパネル132をその可動範囲内で移動させることができ、それによって開口部209の高さを変化させることができる装置302(例えば、電気モータ、電気機械アクチュエータ、又はソレノイド)に結合される。
【0028】
図示するように、例示的な撮像ユニット112aは、槽208内で使用される流体306を収容するオーバーフロー/リザーバチャンバ304をさらに含む。しかしながら、撮像ユニット112aの一部としてこのようなオーバーフロー/リザーバチャンバ304を有することは任意選択であり、いくつかの実装形態では、流体306は撮像ユニット112aの一部ではないリザーバから供給され得るし、被験者が位置決めされ、自由に垂れ下がった乳房が槽208内の所望の位置にあると流体306の最終充填が起こるように、流体306の流入が制御され得ることを理解されたい。なお、簡略化のために、流体がそれを通って槽に出入りすることができる配管又は管は図示されていないが、存在すると理解されるべきである。
【0029】
撮像ユニット112aの一部としてリザーバチャンバ304を含む実装形態では、他の構成要素308、例えば、1つ以上のポンプ、加熱要素、熱電対又はサーモスタット、濾過及び/又は滅菌要素、UV滅菌ライトなども存在し得る。
【0030】
また、槽208は、任意選択で又は代替として、以下で説明するように、撮像される被験者の関連領域及び/又は1つ以上のロボットアーム(図示せず)の位置について、槽208の内部からのリアルタイムビューを提供するために、槽208の内部に配置された1つ以上のカメラ126を有していてもよい。そのような1つ以上のカメラ126の特定の配置は、そのような配置(複数可)が特定の実装形態の機能であり得るので、設計上の選択事項である。
【0031】
非限定的な例として、図3に示すように、1つのカメラ126は槽208の側面212の表面312に結合され、別のカメラは槽208の底面314に結合される。1つ以上のカメラの配置は、追加的に又は代替的に、カメラがロボットアーム上に配置され得ることを含めて、撮像を妨げない槽208内の任意の場所とされ得ることを理解されたい。特定の実装形態に応じて、そのようなロボットアームはカメラ専用とすることができ、又は、以下で説明するように、1つ以上のトランスデューサ(複数可)を有するアームのうちの1つとすることができる。
【0032】
また、任意選択で、槽208は、それに関連することができ、及び/又は1つ以上のロボットアームは、例えば、カメラの撮像、被験者の位置決め又は照明、ロボットアームの視覚的ナビゲーション/操作及び/又は位置決めを容易にする又は支援する目的で、1つ以上の照明要素(例えば、LED、光ファイバライトチューブ(複数可)、従来の電球など)を含むことができる。
【0033】
また、任意選択で、超音波トランスデューサアレイユニット310が、槽208の内部及び槽208の底部付近に配置され、これは、従来の方法において、開口部209内に配置され、図示される「D」未満の深さまで槽208内に延びる被験者の乳房の反射超音波撮像のために使用される。非限定的な例として、超音波トランスデューサアレイユニット310として機能し得る1つの代表的な装置は、米国特許第4,233,980号明細書の図3及び関連する説明に図示され、記載されているようなユニットであってもよい。
【0034】
超音波トランスデューサアレイユニット310は、特定の実装形態及びユニット310のタイプ及び構造、Aモード、Bモード、場合によってはCモード、及び/又はそれらのいくつかの組合せに応じて、撮像ユニット112の上面128に対して本質的に垂直な方向に被験者の乳房を撮像するために使用されて、胸筋によって画定される平面から乳頭/乳輪によって画定される平面まで延びる深さの超音波検査画像を取得する。
【0035】
一般に、低周波超音波トランスデューサアレイユニット310は、一連の走査中に、(1)1. 5MHz~10Mhzの範囲内の周波数、より典型的には2MHz~4MHzの周波数、最も一般的には2. 5MHzの周波数で低周波超音波を放射し、(2)反射された超音波を受信するように構成される。このタイプの超音波撮像装置及びアプローチは、それ自体は従来のものであるため、本明細書でさらに説明する必要はない。反射された超音波は、同様に受信され、従来の方法で、特定の深さ刻み(depth increments)で画像に変換される。
【0036】
本明細書で企図されるように、本明細書の教示に従って構築される撮像ユニット112は、典型的には、存在する小さな病変を確実に捉えるために、0.5mmの重複を有する2mm刻みの走査となるように構成される。しかしながら、特定の指定された走査刻み及び重複は要件ではなく、単に理解の目的のために説明されており、他の刻み及び重複量を使用することができ、場合によっては、オペレータコンソール114を介して指定され得ることを理解されたい。
【0037】
最後に、以下の図4図5に関連して説明するように、槽208は、有利には、その末端部上又は末端部付近に1つ以上の超音波トランスデューサを有する1つ以上の可動ロボットアーム(図3には図示せず)を含む。
【0038】
図4図3の撮像ユニット112aの断面図を簡略化して示すが、撮像ユニット112aの上面128上に腹臥位で横たわるように示される、様々な大きさ及び形状の乳房(複数可)402a~402eを有する被験者(複数可)400の一部を表しており、乳房(複数可)402a~402eは、拘束又は繋留(tethering)されることなく、槽208内の流体306中に浮遊可能に垂れ下がるようになっている。図4から分かるように、可変開口部209のおかげで、被験者400の腋窩リンパ節404を乳房と共に撮像することができる。
【0039】
上述のように、1つ以上のロボットアーム406も槽208内に存在する。ロボットアーム406は、ロボットアーム406の末端部410又はその付近に位置するトランスデューサ408をX方向、Y方向、及びZ方向の任意の組合せで移動させることを可能にする1つ以上の関節を含む。図示のように、ロボットアーム406は、関節によって結合された一連の剛性アームを備えるが、ワイヤ制御の蛇型ロボットアーム(すなわち、複数の個々の直列に接続されたセグメントから構成される)も同様に又は代替的に使用することができる。
【0040】
特定の実装形態に応じて、トランスデューサ408は、ロボットアーム406のサブパーツ412に堅固に結合され得るか、又はロボットアーム406の動きとは無関係にトランスデューサ408が旋回することを可能にする接続によって、末端部410に又はその近くに結合され得る。
【0041】
ここで、トランスデューサ408(実際には、単一のデバイス又は2つ以上の個々のトランスデューサアレイであり得る)が末端部410に又はその付近にあると言われるのは、いくつかの実装形態では、トランスデューサ408は3次元コンポーネントであり、末端部410から突き出ているのではなく、サブパーツ412の側にあってもよいからであることに留意されたい。一般に、トランスデューサの出力部は、末端部から5cm未満、理想的には末端部から1cm以内であるべきである。同様に、いくつかの実装形態では、カメラ136がロボットアーム上にも配置され、そのような実装形態では、典型的にはカメラ13は末端部又は末端部付近に配置され得る。
【0042】
さらに他の実装形態では、トランスデューサ408は、例えば、米国特許出願公開第2013/0096413号及び米国特許出願公開第2014/0275942号(これらの両方の全体は、参照により本明細書に組み込まれる)に記載されているように、光ファイバを通して超音波を発生させるために光音響原理を適用する1つ以上の光ファイバ超音波トランスミッタであるか、又はそれを含むことができる。
【0043】
ロボットアームを介したトランスデューサ408の移動は、所望の局所的な撮像のために適切な位置及び適切な距離でトランスデューサを方向付けるために、端末114のオペレータの制御下で、マシンビジョンを使用して自動化された方法で、又はそれらのいくつかの組合せを使用して行うことができる。
【0044】
上で簡単に述べたように、トランスデューサ408は、特に、関心領域内の内容物(典型的には何らかの形態の病変、異常組織、又は石灰化)のより鮮明でより詳細な画像を得るために、高周波(HF)超音波放射(典型的には10MHZ~80MHzの範囲)を放出するように選択された、単一周波数装置、多重周波数装置、又は単一若しくは多重周波数装置のアレイであってもよい。
【0045】
特定の実装形態に応じて、いくつかの実装形態では、トランスデューサ408は単一の中心周波数で超音波放射を放出するように構成されているが、他の実装形態では、トランスデューサ408は、複数の中心周波数で超音波放射を放出する可変トランスデューサであり得る。さらに他の実装形態では、トランスデューサ408は、(例えば、リニアアレイ又はフェーズドアレイとして配置された)複数の個々のトランスデューサから構成された補助トランスデューサアレイであり得る。
【0046】
特定の実装形態に応じて、ロボットアーム406の末端部410とは反対側の部分(本明細書では理解を簡単にするために、ロボットアーム406の「基部」414と呼ぶ)は、撮像を妨げない槽208容積内の任意の場所、例えば、槽208の任意の側面312、槽208の底面314、又は上面128の下側(図示せず)にさえ結合され得る。
【0047】
さらに、有利には、ロボットアーム406を有することにより、特定の関心領域は、同じ撮像手順の間に(より高い周波数のトランスデューサによって)より高い解像度で複数の角度から撮像することができ、多くの実装形態では、反射超音波放射を使用して関心領域の撮像を実行することができるだけでなく、一対の送受信機が2つ以上の別個のロボットアーム406上に存在する場合、有利には一対の送受信機が局所的な関心領域の両側に配置され、一方の送受信機が超音波放射を放出しかつ反射された超音波を無視し、関心領域の反対側に在る他方の送受信機が透過した超音波放射を受信すると、局所的な透過超音波撮像を同様に実行することができる。
【0048】
図5は、この実施態様では、潜在的に複数のロボットアーム406のうちの1つ(そのうちの1つだけが示されている)が上面128の下面502に結合されていることを除いて、図4と同様である例示的な代替撮像ユニット112の実装態様の断面図を簡略化して示す。また、少なくとも1つの超音波受信機アレイ504が槽内にあり、図示のように、槽208の側面312に結合されている。この構成では、透過型撮像の代替バージョンが任意選択で、又は代替的に実行され得る。
【0049】
最後に、有利には、本明細書の教示を使用することにより、本明細書に記載されるようなロボットアームは、撮像される被験者が流体で満たされた槽の上に横たわることになるいくつかの既存の乳房超音波装置に後付け(retrofit)され得ることが理解されよう。
【0050】
図6図7は、本明細書の教示に従って動作することを可能にするために既存の超音波装置を改造するために使用され得る2つの例示的な改造キット600、700の構成要素の代表例を簡略化して示す。もちろん、このようなロボットアームは、流体中に存在することになる関連部分が密封されるか、又は槽208中の流体によって悪影響を受けないか、又は危険(例えば、使用中の電気ショック)を引き起こさないタイプのものであるように構成されなければならない。
【0051】
図6の改造キット600は、図4図5のものと同様の1つ以上のロボットアーム602を含む。606は、特定のキットに応じて、シングルコアプロセッサ又はマルチコアプロセッサであり得る。ロボットアーム制御ユニット604はまた、RAM 608、ROM 610を含み得る。1つ以上のプロセッサ606からの命令に基づいてロボットアームを制御するために、ロボットアーム制御ユニット604は、動作中に、1つ以上のプロセッサ606(上述の汎用プロセッサ124又は専用プロセッサであってもよい)からの命令を、設置されたロボットアーム602の制御された動作をもたらす電気信号に変換する動作制御回路を含む。最後に、ロボットアーム制御ユニット604は、オペレータ制御ユニット114へのインターフェース(有線又は無線)を提供する通信(例えば、I/O)回路614を含む。
【0052】
改造キット600は、以下のいずれか1つ以上を記憶するために使用できる補助記憶装置616をさらに含むことができる。記憶されるデータとしては、生の送受信機データ、生の送受信機データから作成された画像データ(例えば、DICOM(Digital Imaging and Communications in Medicine)データ)、専用及び/又はサードパーティのソフトウェア/プログラミング618がある。ソフトウェア/プログラミング618としては、未加工の送受信機データをDICOMデータに変換するためのソフトウェア/プログラミング、及び/又は、例えば、OsiriX(www.osirix-viewer.com)、InVesalius(www.cti.gov.br/pt-br/invesalius)、3DSlicer(www.slicer.org)などを用いて、解析、視覚化、及び/又は3D印刷用のSTL又はOBJファイルのために、画像データを表示、解析、及び/又は他のフォーマットに変換/エクスポートするためのソフトウェア/プログラミングが挙げられる。そのようなプログラム(複数可)を使用して、画像データの一部又は全部に対応する組織の映像化及び/又は3D印刷を実行することができる。このようにして、例えば、特定の組織の3D画像を、例えば、検査及び/又は外科的処置の計画のために再現することができる。
【0053】
図7の改造キット700は、この改造キット700が、図示されるように、関節の幅広い変化を可能にする多数の自由度を提供する複数のセグメントから構成される蛇型ロボットアームである1つ以上のロボットアーム702と、それらの蛇型ロボットアーム702を制御するために必要な関連する動作制御回路712とを含むことを除いて、図6の改造キット600と同様である。
【0054】
様々な代表的な実装形態の構造を説明してきたが、そのような例示的な実装形態が使用される一般的なプロセスの例を以下に説明する。
【0055】
<撮像プロセス>
一般に、乳房組織及び関連する腋窩の両方が同じ手順内で撮像されることが意図されているが、これは必須条件ではない。また、被験者は、撮像される側の鎖骨から乳房下ひだの数センチメートル下までと、胸骨から肩関節まで延びる胴体の少なくとも一部分とを覆う衣服を脱いでいるものとする。
【0056】
さて、図8図9を参照しながら説明を続けるが、図8は本明細書の教示を採用する実装形態を使用して実行され得る超音波検査用の撮像プロセスの一例を示すフローチャート800であり、図9の図面は、本明細書で説明される例のうちの1つ以上に従って構成された例示的な超音波検査用の撮像ユニット112の一部900を、腹臥位でその上に配置された被験者902の簡略化された表現とともに簡略化して示す。
【0057】
図示するように、例示的な超音波撮像ユニット112は、撮像ユニット112の外部に取り付けられた、本明細書に記載されるタイプのうちの1つのタイプのロボットアームを含み、このロボットアームは、構成された撮像ユニット112の一部であるロボットアーム406であるか、又は本明細書に記載のように構成された撮像ユニット112に追加されたか、又は従来の超音波検査用の撮像システムに組み込まれた後付け型のロボットアーム602のいずれかである。
【0058】
より詳細には、図示されるように、ロボットアーム602は、本明細書に記載されるように構成された撮像ユニット112に追加されたものであり、槽208の外部の取り付け点220に取り付けられ、トランスデューサ408(図示せず)を有する部分は、開口部209を介して槽208内下方に延びている。
【0059】
プロセスは、被験者における位置決め点(registration point)の選択/識別から始まる(ステップ802)。位置決め点は、被験者上の点であり、理想的には、被験者の乳頭と垂直方向に一直線上にあり、乳房下ひだの下1cm~4cmの間で選択される。但し、有利にはロボットアームの可動性に起因して、極端な精度は必要とされない。しかしながら、目標は、最終的には、乳房が図3の超音波トランスデューサアレイユニット310の合理的な中心に位置し、撮像される乳房に関連する腋窩リンパ節(複数可)も開口部209の上に配置されるように、乳房を配置することである。
【0060】
特定の実装形態に応じて、位置決め点の選択/識別は、看護師、補助者、又は撮像技師にいって実行され得るし、有利には、それは被験者自身により実行され得る。さらに、いくつかのアプローチでは、生体適合性の除去可能な接着剤を有する「ステッカー」を使用して被験者に位置決め点をマークし、位置決め点を位置決め指標206と一致させることによって、被験者が自分自身の位置を決めることができるようにする。
【0061】
いくつかの更なるアプローチでは、位置決め点マーカを隆起させ、かつ位置決め指標206をわずかに凹ませることができ、その結果、被験者の配置を触覚的に行うことができ、より積極的に確実に行うことができる。さらに他の実装形態では、位置決め指標206は、半透明又は透明とすることができ、位置決め点マーカは、被験者が適切に配置されたことを判定するために、位置決め指標206を通してカメラ126のうちの1つで見ることができるタイプのマーカとすることができる。どのようなアプローチが使用されても、腹臥位の被験者の位置決め点は、撮像ユニット112上の位置決め指標206と位置合わせされる(ステップ804及び図9)。
【0062】
可変開口部209の大きさ(サイズ)は、乳房全体及び関連する腋窩リンパ節904を撮像するための十分なアクセスを確保するために、スライドパネル132(及び存在する場合、及び必要な場合、サイドパネル222)を移動させることにより、必要に応じて調整される(ステップ806)。
【0063】
特定の状況及び被験者に応じて、(例えば、パネル(複数可)132、222のその時点での調整設定が十分である場合)このステップは任意であってもよく、又は、(例えば、適切なサイズの開口部が配置前に知られている場合)ステップ802で被験者が配置される前に実行されてもよい。さらに、可変開口部209のサイズを必要とされるものに近づけるように事前に調整し、次いで、被験者902が適切に配置されると可変開口部209のサイズを微調整することが可能な、組み合わせアプローチも任意選択で使用することができる。
【0064】
上記が完了し、被験者902が配置されると、最初の低周波超音波撮像が実行される(ステップ808)。特定の実装形態に応じて、これは従来の方法で超音波トランスデューサアレイユニット310(存在する場合)を使用して実行することができ、又は、例えば、動作制御回路612、712を使用して効果的に行われる予め指定されたプログラミングに従ってロボットアーム(複数可)406、602のトランスデューサ(複数可)408を使用して実行することができ、又は、予め指定されたプログラミングとマシンビジョンとの組み合わせを使用して実行することができる。
【0065】
さらに、任意選択で、2つ以上の周波数での超音波検査を可能にするトランスデューサを組み込んだ超音波トランスデューサアレイユニットの場合、このステップは、低周波数範囲内の異なる周波数で複数の低周波走査を行うことを含むことができる。
【0066】
ステップ808の撮像に続いて、走査の結果得られた1つ以上の画像(複数可)が、オペレータコンソール114において表示画面116上でレビューされて、局所的高周波(HF)撮像の対象とすべき実際の又は潜在的に懸念される石灰化、嚢胞、病変又は他の異常の領域があるかどうかを判定することができる(ステップ810)。
【0067】
実際の又は潜在的に懸念される石灰化、嚢胞、病変又は他の異常の領域が識別された場合、ロボットアーム(複数可)406、602を使用して、より局所的で、徹底的な撮像が実行され得る。これは、ロボットアーム(複数可)を操縦及び操作して関心のある場所の近く及び/又はその周囲の位置に移動させて、ロボットアーム(複数可)406のトランスデューサを使用して、乳房及び/又は腋窩リンパ節内の局所領域の高周波(HF)超音波走査を実行することによって達成される(ステップ812)。
【0068】
次いで、さらなる撮像が望まれるすべての場所(複数可)が完了するまで、ステップ810からステップ814までを繰り返すことによって、すべての場所(複数可)の各々について高周波(HF)走査を行うことができる(ステップ814)。この高周波(HF)走査は異なる位置から反射走査を取得することを含み得るし、又は、少なくとも2つのロボットアーム406が存在するか又は超音波受信機アレイ504が存在する場合、ロボットアーム(複数可)406の適切な配向を通して透過撮像が実行され得る。この場合も、特定の実装形態に応じて、高周波(HF)撮像は、ロボットアーム406のトランスデューサ(複数可)408を方向付ける/向きを変えるために、マシンビジョンの使用及び/又はオペレータコンソール114における誰かのアクションを伴い得る。
【0069】
関連する位置のすべてが撮像された場合、又は局所的撮像を必要とする組織がない場合(ステップ810で「NO」)、結果として得られるデータ/画像は、関連する放射線科医及び/又は他の医療専門家による確認のために、1つ以上のファイルに記憶される(ステップ816)。
【0070】
この時点で、前述のプロセスは、一方の乳房及びそれに関連する腋窩リンパ節に適用可能であることに留意されたい。他方の乳房及び/又は関連する腋窩リンパ節の撮像が望まれる場合には、同じプロセスを他方の側に使用することができる。あるいは、両側について位置決め点の選択/識別(ステップ802)を同時に行うことができ、その後、一方の側の撮像が完了すると、被験者は単に体を移動させて、他方の側の位置決め点を位置決め指標206と位置合わせし(ステップ804)、プロセスは上述のように継続する。同様に、可変開口部209及び槽208が十分に大きく、ロボットアームが十分な可動範囲を有する場合、被験者の配置を変更することなく、両方の乳房が潜在的に配置されて撮像され得る。
【0071】
最後に、上記は人間の乳房組織及び関連する腋窩リンパ節の撮像に関連して説明されたが、本明細書の教示を採用するシステムは、関連する超音波トランスデューサ(複数可)を有する1つ以上のロボットアームを使用して、流体で満たされた槽内に配置される他の人体部分を撮像するために構築され得る。ここで、超音波トランスデューサは槽内にもあることに留意されたい。
【0072】
<有利な点>
上記から理解されるように、上記の異なる実装形態は、以下の利点のうちの1つ以上を提供することができ、多くの場合、以下の利点のうちの複数から多数を提供することができる。
【0073】
可変開口部の使用により、すべての体型(すなわち、身長、体重、乳房サイズ及び形状など)の99%以上にわたって、乳房全体及び腋窩リンパ節の全範囲の完全な撮像を行うことができる。
【0074】
ロボットアームを使用することにより、乳頭から胸壁まで延在する平面における乳房全体の全範囲の完全な撮像を行うことができる。
【0075】
ロボットアーム(複数可)の使用により、特定の組織の撮像を複数の方向及び複数の視点(vantage point)から行うことができる。
【0076】
2つ以上のロボットアーム(複数可)の存在は、複数の視点からの反射撮像及び透過撮像の両方を可能にする。
【0077】
ロボットアームを用いた撮像は、特定の場所に病変が存在する場合、病変の種類をより簡単に識別することを可能にする。
【0078】
ロボットアーム(複数可)に高周波送受信機を使用することで、関心のある特定の組織のより鮮明でより詳細な画像の取得が可能となり、良性石灰化と癌性組織石灰化とをより容易に鑑別することが可能になる。
【0079】
同様に、ロボットアーム(複数可)に高周波送受信機を使用することは、関心のある特定の組織のより正確な位置特定及び測定を可能にする。
【0080】
乳房撮像の場合、乳癌が最初に転移する場所である腋窩リンパ節の撮像を行うことができる。さらに、その撮像は、乳房撮像と同じ手順の一部として行うことができ、典型的には患者の配置を変更する必要さえない。
【0081】
乳房組織の拘束(例えば、乳房を円錐、スリーブ内、又はプレート間に入れることによる)又は繋留(tethering)は必要とされず、その結果、本明細書の教示を使用して得られた画像は、そのような拘束又は繋留によって歪められることがなく、それによって、マンモグラフィによって得られる画像と密接に対応し、両者の直接比較を容易にする。
【0082】
拘束又は繋留が必要とされず、歪みが無いことにより、取得されるデータは、そのデータを使用して3Dモデルを正確に再現するために使用され得る。
【0083】
最後に、被験者は自分自身の位置決め点を識別し、それを撮像ユニット上の位置決め指標と位置合わせすることができ、開口サイズ及びロボットアームの動きを遠隔制御することができるので、技師、オペレータ、看護師、又は医師/放射線技師が被験者に触れる必要がなく、又は被験者の近くに行く必要もなく、撮像を完全な社会的距離で行うことを可能にする。
【0084】
1つ以上の例を参照することによって本出願の原理を説明及び例示してきたが、実施形態(複数可)は本明細書に開示される原理から逸脱することなく構成及び詳細において構築及び/又は修正され得ること、並びに本出願が開示される主題の趣旨及び範囲に含まれる限り、そのようなすべての修正及び変形を含むものと解釈されることが意図されることは明らかであろう。
【0085】
前述の概要は、以下の詳細な説明がよりよく理解され得るように、本開示の教示に基づいて構成され得る1つ以上の実装形態の特徴及び技術的利点を一般的に説明するものである。しかしながら、本明細書で説明される利点及び特徴は、可能な変形実装形態の代表的な例から利用可能な多くの利点及び特徴のうちのほんの一部であり、理解を助けるためにのみ提示される。それらは、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明に対する限定、又は特許請求の範囲の均等物に対する限定と見なされるべきではないことを理解されたい。例えば、異なる変形例の利点又は態様のいくつかは、それらが単一の実施形態において同時に存在することができないという点で、相互に矛盾する。同様に、いくつかの特徴又は利点は、ある1つの態様に適用可能であり、他の態様には適用不可能であり得る。したがって、前述の特徴及び利点は、同等性を決定する際に重要視されるべきではない。追加の特徴及び利点は、詳細な説明、図面、及び特許請求の範囲の教示から明らかになるであろう。
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【手続補正書】
【提出日】2023-07-26
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
面内に開口部を有する上面を含む撮像ユニットと、
前記上面に結合された少なくとも1つの可動パネルであって、前記上面に平行な面内で前記可動パネルをスライド移動させることにより前記開口部の全体の大きさを変更する、少なくとも1つの可動パネルと、
前記開口部の下に配置され、流体を保持するための容積を画定する槽であって、使用時に、被験者の乳房が前記開口部を通って前記槽によって画定される前記容積内の前記流体の中に自由に突出することができる槽と、
独立して制御可能な少なくとも2つのロボットアームであって、各々が基端部と前記基端部の反対側の末端部とを有しかつ3以上の自由度を有し、前記独立して制御可能な少なくとも2つのロボットアームのうちの少なくとも1つのロボットアームの基端部は、前記槽の側面及び前記上面の一方に結合され、前記少なくとも1つのロボットアーム各々の末端部は、前記槽によって画定される前記容積内の複数の位置で複数の角度のいずれかで配置可能であり、前記乳房と前記乳房に関連する前記被験者の腋窩リンパ節との撮像を可能にする、独立して制御可能な少なくとも2つのロボットアームと、
前記独立して制御可能な少なくとも2つのロボットアームの前記末端部の近くに配置された少なくとも1つの高周波超音波トランスデューサと、
を備える超音波検査用撮像装置。
【請求項2】
前記基端部は、前記上面の槽側で前記上面に結合されている、請求項1に記載の超音波検査用撮像装置。
【請求項3】
前記基端部は、前記上面の被験者側で前記上面に結合されている、請求項1に記載の超音波検査用撮像装置。
【請求項4】
乳房の内部組織が槽の容積内の流体中に存在する場合に、撮像ユニットの表面上に配置された被験者の拘束されていない乳房の組織の超音波検査画像を取得する方法であって、
1)前記乳房の内部組織を含む前記被験者の一部を収容し、前記被験者の拘束されていない乳房に関連する腋窩リンパ節の撮像を可能にするために、前記表面に平行な面内で可動パネルをスライドさせることにより、前記撮像ユニットの前記表面により画定される開口部の大きさを調節することと、
2)前記槽内の前記流体中に存在する低周波超音波トランスデューサアレイユニットを使用して、前記槽内の第1の位置における視点から、前記乳房の内部組織の低周波走査を実行することと、
3)局所的高周波超音波撮像の対象である前記内部組織の特定の組織を識別することと、
4)独立して制御可能な少なくとも2つのロボットアームのうちの少なくとも1つのロボットアームを、前記容積内の前記流体中において、X方向、Y方向、及びZ方向の組み合わせで同時に移動させることであって、
前記少なくとも1つのロボットアームは、遠位末端部と前記遠位末端部の反対側の基端部とを有し、前記基端部は前記槽の側面及び前記表面の一方に結合され、前記少なくとも2つのロボットアームの各々は、独立して3以上の自由度を有し、
前記少なくとも1つのロボットアームは、前記遠位末端部の近くに高周波送受信機を有し、前記槽内で、前記特定の組織に近くかつ前記低周波超音波トランスデューサアレイユニットの前記視点とは異なる第1の視点から前記特定の組織の局所的高周波超音波撮像を実行するのに適した新たな位置まで移動する、
少なくとも1つのロボットアームを同時に移動させることと、
5)前記高周波送受信機を使用して超音波検査データを取得することであって、前記超音波検査データから前記視点からの前記特定の組織の少なくとも1つの画像が生成され得る、超音波検査データを取得することと、
6)少なくとも高周波撮像の結果得られた前記超音波検査データを非一時的記憶装置に記憶することと、
を含む、方法。
【請求項5】
面内に開口部を有する上面を含む超音波検査用撮像ユニットと、
前記上面に結合された少なくとも1つの可動パネルであって、前記上面に平行な面内で前記可動パネルをスライド移動させることにより前記開口部の全体の大きさを変更する、少なくとも1つの可動パネルと、
前記開口部の下に配置され、流体を保持するための容積を画定する槽であって、使用時に、被験者の乳房が前記開口部を通って前記槽によって画定される前記容積内の前記流体の中に自由に突出することができる槽と、
独立して制御可能な少なくとも2つのロボットアームであって、各々が末端部を有しかつ3以上の自由度を有し、各々の末端部は、独立して制御可能なロボットアームの少なくとも1つのロボットアームの末端部を、前記乳房と前記乳房に関連する前記被験者の腋窩リンパ節を撮像するための第1の位置に配置すると共に、前記乳房を撮像するための第2の位置に配置することを可能にするように、前記槽によって画定された前記流体を保持する前記容積内の複数の位置で複数の角度のいずれかで配置可能である、独立して制御可能な少なくとも2つのロボットアームと、
前記独立して制御可能な少なくとも2つのロボットアームの前記末端部の近くに配置された少なくとも1つの高周波超音波トランスデューサと、
を備える超音波検査用撮像装置。
【請求項6】
前記槽内に配置された少なくとも1つのカメラをさらに備える、請求項1又は請求項5に記載の超音波検査用撮像装置。
【請求項7】
前記少なくとも2つのロボットアームは、3つ以上のロボットアームを備える、請求項1又は請求項6に記載の超音波検査用撮像装置。
【請求項8】
前記少なくとも2つのロボットアームは、少なくとも1つの蛇型ロボットアームを備える、請求項1又は請求項5に記載の超音波検査用撮像装置。
【請求項9】
前記少なくとも1つの可動パネルは、前記開口部の高さを変化させるスライドパネルを備える、請求項1又は請求項5に記載の超音波検査用撮像装置。
【請求項10】
前記少なくとも1つの可動パネルが、前記開口部の側部寸法を変化させるパネルを備える、請求項1又は請求項5に記載の超音波検査用撮像装置。
【請求項11】
前記槽内に低周波超音波トランスデューサアレイユニットをさらに備える、請求項1又は請求項5に記載の超音波検査用撮像装置。
【請求項12】
前記槽内に超音波受信機アレイをさらに備える、請求項1又は請求項5に記載の超音波検査用撮像装置。
【請求項13】
前記少なくとも2つのロボットアームのうちの第1のロボットアームの第1の送受信機は、動作時に、超音波放射の送信機となり、前記少なくとも2つのロボットアームのうちの第2のロボットアームの第2の送受信機は、動作時に、前記第1の送受信機によって送信された前記超音波放射の少なくとも一部の受信機となる、請求項1又は請求項5に記載の超音波検査用撮像装置。
【請求項14】
少なくとも乳房の内部組織が槽の容積内の流体中に存在する場合に、撮像ユニットの表面上に配置された被験者の拘束されていない前記乳房の組織の超音波検査画像を取得する方法であって、
1)前記乳房の内部組織を含む前記被験者の一部を収容し、前記被験者の乳房に関連する腋窩リンパ節の撮像を可能にするために、前記表面に平行な面内で可動パネルをスライドさせることにより、前記撮像ユニットの前記表面により画定される開口部の大きさを調節することと、
2)前記槽内の前記流体中に存在する低周波超音波トランスデューサアレイユニットを使用して、前記槽内の第1の位置における視点から、前記乳房の内部組織の低周波超音波撮像走査を実行することと、
3)前記低周波超音波撮像走査によって得られた超音波検査データから、局所的高周波超音波撮像の対象となる前記内部組織の特定の組織を識別することと、
4)独立して制御可能な少なくとも2つのロボットアームのうちの少なくとも1つのロボットアームの遠位末端部を、前記容積内の前記流体中において、X方向、Y方向、及びZ方向の組み合わせで同時に移動させることであって、
前記少なくとも2つのロボットアームの各々は、独立して3以上の自由度を有し、前記少なくとも1つのロボットアームは、前記遠位末端部の近くに高周波送受信機を有し、前記特定の組織に近くかつ前記低周波超音波トランスデューサアレイユニットの前記視点とは異なる第1の視点から前記特定の組織の局所的高周波超音波撮像を行うのに適した新たな位置まで移動する、少なくとも1つのロボットアームの遠位末端部を移動させることと、
5)前記高周波送受信機を使用して超音波検査データを取得することであって、前記超音波検査データから前記視点からの前記特定の組織の少なくとも1つの画像が生成され得る、超音波検査データを取得することと、
6)2)及び5)の少なくとも一方と関連して、撮像される前記乳房の内部組織に関連する前記腋窩リンパ節を撮像することと、
7)少なくとも高周波撮像の結果得られた前記超音波検査データを非一時的記憶装置に記憶することと、
を含む、方法。
【請求項15】
前記移動させることは、前記槽内の少なくとも1つのカメラからのビューに基づいて前記高周波送受信機を配置することをさらに含む、請求項4又は請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記少なくとも1つのカメラと共にマシンビジョンを使用して、前記配置することの少なくとも一部を実行することをさらに含む、請求項6又は請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記開口部の幅を変更するように、前記撮像ユニットの前記表面に平行な面内で前記撮像ユニットの前記表面に対してスライド移動することによって、前記撮像ユニットの前記表面に結合された少なくとも1つの独立して移動可能なサイドパネルの位置を修正することを含む、請求項4又は請求項14に記載の方法。
【請求項18】
前記少なくとも1つのロボットアームを、前記位置から、前記第1の視点及び前記低周波超音波トランスデューサアレイユニットの前記視点とは異なる新しい視点から前記特定の組織の局所的高周波撮像を行うのに適した新しい位置まで移動させることをさらに含む、請求項4又は請求項14に記載の方法。
【請求項19】
前記少なくとも1つのロボットアームは、動作時に超音波送信機として動作する第1の送受信機を有する第1のロボットアームと、動作時に超音波受信機として動作する第2の送受信機を有する第2のロボットアームとを含み、
前記方法は
前記第1の送受信機及び前記第2の送受信機によって画定される平面が前記表面に平行ではなく、第1の方向における撮像中に、少なくとも一部の超音波放射が前記第1の送受信機から前記特定の組織を通過して前記第2の送受信機へ到達するように、前記第1の送受信機を前記特定の組織の一方の側の第1の位置に配置し、前記第2の送受信機を前記特定の組織の前記一方の側とは反対の側に配置することと、
前記第1の送受信機及び前記第2の送受信機を用いて、前記第1の位置に対する透過超音波検査データを前記超音波検査データとして取得することと、
をさらに含む、請求項4又は請求項14に記載の方法。
【請求項20】
前記透過超音波検査データが第1の透過超音波検査データであり、
前記方法は、
前記特定の組織が、撮像のための新たな方向を画定する前記第1の送受信機と前記第2の送受信機との間にあるように、前記第1の位置とは異なる前記特定の組織に対する新たな位置に再配置し、前記第2の送受信機を、前記新たな位置とは反対の側に配置して、前記新たな方向における撮像中に、少なくとも一部の超音波放射が前記第1の送受信機から前記特定の組織を通って前記第2の送受信機へ到達するようにすることと、
前記第1の送受信機及び前記第2の送受信機を使用して前記新たな位置の透過超音波検査データを取得することと、
をさらに含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記再配置することは、前記槽内の少なくとも1つのカメラを使用して、前記第1の送受信機を前記第1の位置から前記新しい位置まで移動させることを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記被験者の位置決め点を、前記撮像ユニットの上面上の位置決め指標と位置合わせすることをさらに含む、請求項4又は請求項14に記載の方法。
【請求項23】
前記開口部の前記大きさを調節することは、前記槽内の少なくとも1つのカメラからのビューに基づく、請求項4又は請求項14に記載の方法。
【請求項24】
前記開口部の前記大きさを調節することは、第1の方向では,前記被験者の鎖骨から前記被験者の乳房下ひだの少なくとも1cm下まで延び、かつ第2の方向では、前記乳房に関連する前記腋窩リンパ節の上腕三頭筋側から前記乳房の皮膚が胸壁に接する前記乳房の胸骨側まで延びる少なくとも1つの領域となるように行われる、請求項4又は請求項14に記載の方法。
【請求項25】
前記低周波超音波トランスデューサアレイユニット及び前記高周波送受信機の少なくとも一方を使用して、前記被験者の乳房に関連する前記腋窩リンパ節を撮像することをさらに含む、請求項4又は請求項24に記載の方法。
【国際調査報告】