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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-29
(54)【発明の名称】匂い感知システム
(51)【国際特許分類】
   G09B 19/00 20060101AFI20231121BHJP
【FI】
G09B19/00 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023549141
(86)(22)【出願日】2021-10-22
(85)【翻訳文提出日】2023-06-19
(86)【国際出願番号】 GB2021052754
(87)【国際公開番号】W WO2022084697
(87)【国際公開日】2022-04-28
(31)【優先権主張番号】2016810.0
(32)【優先日】2020-10-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(31)【優先権主張番号】2111060.6
(32)【優先日】2021-07-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ZIGBEE
(71)【出願人】
【識別番号】523150082
【氏名又は名称】オーウィジェット リミテッド
【氏名又は名称原語表記】OWIDGETS LTD.
【住所又は居所原語表記】Unit 1 Cambridge House Camboro Business Park Oakington Road, Girton Cambridge Cambridgeshire CB3 0QH (GB)
(74)【代理人】
【識別番号】100116850
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 隆行
(74)【代理人】
【識別番号】100165847
【弁理士】
【氏名又は名称】関 大祐
(72)【発明者】
【氏名】マッジョーニ,エマニュエラ
(72)【発明者】
【氏名】オブリスト,マリアンナ
(72)【発明者】
【氏名】ホッパー,リチャード
(72)【発明者】
【氏名】ウドレア,フローリン
(57)【要約】
本出願は、送達するための匂い送達装置(104)を含む匂い感知システム(100)に関するものである。嗅覚出力(110)を提供する。匂い伝達装置(104)は、物質(5a)をキャニスタ(5)から受け取るための伝達チャネル(3)を備えており、物質(5a)は、キャニスタ(5)から受け取られる。
物質(5a)は、嗅覚出力(114)を生成するように構成されている。匂い伝達装置(104)は、また、以下のものを含んで構成される。
物質(5a)が放出される出力部品(7)である。匂い伝達装置(104)はまた、1つまたは複数の気流発生要素(13)から構成される。
物質(5a)をキャニスタ(5)から出力構成要素に輸送するための気流を生成するように構成された生成要素(13)。
匂い感知システム(100)はまた、以下のものによって送達される嗅覚出力(110)を検出するための匂い感知装置(102)を構成している。
におい感知装置(102)は、少なくとも1つのガスセンサ(31、32)を備え、以下のことに応答するように構成される。
嗅覚出力(110)に応答して、嗅覚出力(110)に対応するセンサ情報(114)を生成する。匂い感知装置N(102)は、センサ情報(l14)をプロセッサ(106)に出力するように構成される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
嗅覚出力を送達するための匂い送達デバイスであって、
キャニスタから、嗅覚出力を生み出すよう構成される物質を受け取るための送達チャネルと、
前記物質が放出される出力コンポーネントと、
エアフローを生成して、前記物質を、前記キャニスタから前記出力コンポーネントに運ぶよう構成される1つ又は複数のエアフロー生成エレメントと、
を備える匂い送達デバイスと、
前記匂い送達デバイスにより送達される前記嗅覚出力を検出するための匂い感知デバイスであって、
前記嗅覚出力に応じて、前記嗅覚出力に対応するセンサ情報を生成するよう構成される少なくとも1つのガスセンサを備え、
前記センサ情報をプロセッサに出力するよう構成される匂い感知デバイスと、
を備える匂い感知システム。
【請求項2】
前記センサ情報は、前記嗅覚出力の存在、前記嗅覚出力の強度、前記嗅覚出力に関連付けられる匂い又は匂いのタイプの識別、前記嗅覚出力のパルス持続時間、前記嗅覚出力の後続パルス間の持続時間、前記嗅覚出力のベースライン、及び/又は前記嗅覚出力が静的なものであるか又は動的なものであるかの1つ又は複数のインジケーションを含む、請求項1に記載の匂い感知システム。
【請求項3】
前記匂い送達デバイスは、送達情報を、放出される前記物質に対応する前記プロセッサに出力するよう構成される、請求項1又は2に記載の匂い感知システム。
【請求項4】
前記送達情報は、前記物質の流量又は濃度、前記匂い送達デバイスの前記エアフロー生成エレメントのポンプの圧力、前記匂い送達デバイスの送達チャネルの選択、前記匂い送達デバイスの前記送達チャネルの弁の開度の選択、匂い又は匂いのタイプの識別、前記匂いのパルス持続時間、前記匂いの後続パルス間の持続時間、匂いベースライン、及び/又は前記匂いが静的なものであるか又は動的なものであるかの1つ又は複数を示す、請求項3に記載の匂い感知システム。
【請求項5】
前記匂い送達デバイスは、前記プロセッサから命令を受け取るよう構成され、前記匂い送達デバイスは、前記命令の受け取りに応じて、前記嗅覚出力の前記送達を調整するよう構成される、請求項1~4のいずれか1項に記載の匂い感知システム。
【請求項6】
前記匂い送達デバイスは、前記出力コンポーネントへの前記送達チャネルを通る前記物質の流量又は濃度を制御するためのフローコントローラをさらに備える、請求項1~5のいずれか1項に記載の匂い感知システム。
【請求項7】
前記嗅覚出力の前記送達を調整することは、前記フローコントローラを制御して、流量又は濃度を調整することを含む、請求項5に従属する場合の請求項6に記載の匂い感知システム。
【請求項8】
前記匂い送達デバイスは、キャニスタから、嗅覚出力を生み出すよう構成される物質を、それぞれが受け取るための複数の送達チャネルさらに備える、請求項1~7のいずれか1項に記載の匂い感知システム。
【請求項9】
前記嗅覚出力の前記送達を調整することは、1つ又は複数の送達チャネルを選択することを含む、請求項5に従属する場合の請求項8に記載の匂い感知システム。
【請求項10】
前記匂い送達デバイスは、前記複数の送達チャネルを制御するための複数の弁をさらに備える、請求項8又は9に記載の匂い感知システム。
【請求項11】
前記嗅覚出力の前記送達を調整することは、1つ又は複数の弁を開閉すること、又は、1つ又は複数の弁の開度を調整することを含む、請求項5に従属する場合の請求項10に記載の匂い感知システム。
【請求項12】
前記プロセッサをさらに備える、請求項1~11のいずれか1項に記載の匂い感知システム。
【請求項13】
前記プロセッサは、前記センサ情報を前記送達情報と相関させて、前記匂い送達デバイスによる前記匂いの前記送達の検証を判定するよう構成される、請求項12に記載の匂い感知システム。
【請求項14】
前記検証に基づき、前記プロセッサは、前記嗅覚出力の前記送達に対する調整を判定するよう構成され、前記プロセッサは、前記嗅覚出力の前記送達に対する前記調整に対応する命令を生成するよう構成され、前記プロセッサは、前記命令を前記匂い送達デバイスに与えるよう構成される、請求項13に記載の匂い感知システム。
【請求項15】
前記プロセッサは、機械学習、ニューラルネットワーク、及び/又は人工知能アルゴリズムを使用して、前記センサ情報を処理して、前記送達の前記検証を判定するよう構成される、請求項13に記載の匂い感知システム。
【請求項16】
前記プロセッサは、機械学習、ニューラルネットワーク、及び/又は人工知能アルゴリズムを使用して、前記センサ情報を処理して、前記送達に対する前記調整を判定するよう構成される、請求項14に記載の匂い感知システム。
【請求項17】
前記プロセッサは、ユーザ情報を受け取るよう構成される、請求項12~16のいずれか1項に記載の匂い感知システム。
【請求項18】
前記プロセッサは、前記送達の前記検証を判定する際に、前記センサ情報を前記ユーザ情報と相関させるよう構成される、請求項13又は15に従属する場合の請求項17に記載の匂い感知システム。
【請求項19】
前記プロセッサは、前記送達に対する前記調整を判定する際に、前記センサ情報を前記ユーザ情報と相関させるよう構成される、請求項14又は16に従属する場合の請求項17に記載の匂い感知システム。
【請求項20】
前記ユーザ情報は、特定のユーザについての、年齢、性別、民族性、他の人口統計学的情報、健康情報、及び/又は履歴センサ情報の1つ又は複数のインジケーションを含む、請求項17~19のいずれか1項に記載の匂い感知システム。
【請求項21】
前記プロセッサは、前記ユーザ情報を、前記匂い送達デバイス、前記匂い感知デバイス、及び/又は外部データベースから受け取るよう構成される、請求項17~20のいずれか1項に記載の匂い感知システム。
【請求項22】
前記匂い感知システムは、ユーザに関するユーザ情報を収集するよう構成される、請求項17~21のいずれか1項に記載の匂い感知システム。
【請求項23】
環境パラメータに応じて、前記環境パラメータに対応する環境情報を生成するよう構成される環境センサをさらに備え、前記環境センサは、前記環境情報を前記プロセッサに出力するよう構成される、請求項1~22のいずれか1項に記載の匂い感知システム。
【請求項24】
前記環境パラメータは、湿度、温度、圧力、汚染物質の識別又は強度、前記匂い感知デバイスと前記ユーザの鼻との間の位置、前記ユーザの呼吸の1つ又は複数である、請求項23に記載の匂い感知システム。
【請求項25】
前記環境センサは、前記匂い感知デバイスの少なくとも一部を含む、請求項23又は24に記載の匂い感知システム。
【請求項26】
前記プロセッサは、前記環境情報を受け取るよう構成される、請求項23~25のいずれか1項に記載の匂い感知システム。
【請求項27】
前記プロセッサは、前記送達の前記検証を判定する際に、前記送達情報を前記環境情報と相関させるよう構成される、請求項13又は15に従属する場合の請求項26に記載の匂い感知システム。
【請求項28】
前記プロセッサは、前記送達に対する前記調整を判定する際に、前記送達情報を前記環境情報と相関させるよう構成される、請求項14又は16に従属する場合の請求項26又は27に記載の匂い感知システム。
【請求項29】
前記嗅覚出力のユーザの知覚を示すユーザ入力の受け取りに応じて、前記嗅覚出力に対応するユーザ入力情報を生成するよう構成されるユーザ入力ユニットを備えるユーザフィードバックデバイスをさらに備え、前記ユーザフィードバックデバイスは、前記ユーザ入力情報を前記プロセッサに出力するよう構成される、請求項1~28のいずれか1項に記載の匂い感知システム。
【請求項30】
前記ユーザ入力は、前記嗅覚出力の存在、前記嗅覚出力の強度、前記嗅覚出力に関連付けられる匂い又は匂いのタイプの識別、前記嗅覚出力のパルス持続時間、前記嗅覚出力の後続パルス間の持続時間、及び/又は前記嗅覚出力が静的なものであるか又は動的なものであるかの1つ又は複数の前記ユーザの知覚のインジケーションを含む、請求項29に記載の匂い感知システム。
【請求項31】
前記ユーザ入力ユニットは、ユーザの応答を検出するための、ボタン、タッチスクリーン、及び/又は検出器の1つ又は複数を備える、請求項29又は30に記載の匂い感知システム。
【請求項32】
前記プロセッサは、前記ユーザ入力情報を受け取るよう構成される、請求項12又はそれに従属するいずれかの請求項に従属する場合の請求項29~31のいずれか1項に記載の匂い感知システム。
【請求項33】
前記プロセッサは、前記送達の前記検証を判定する際に、前記送達情報を前記ユーザ入力情報と相関させるよう構成される、請求項13又はそれに従属するいずれかの請求項に従属する場合の請求項32に記載の匂い感知システム。
【請求項34】
前記プロセッサは、前記送達に対する前記調整を判定する際に、前記送達情報を前記ユーザ入力情報と相関させるよう構成される、請求項14又はそれに従属するいずれかの請求項に従属する場合の請求項32に記載の匂い感知システム。
【請求項35】
前記プロセッサは、前記センサ情報を前記ユーザ入力情報と相関させて、前記嗅覚出力の前記ユーザの知覚の検証を判定するよう構成される、請求項32~34のいずれか1項に記載の匂い感知システム。
【請求項36】
前記プロセッサは、ユーザの匂いプロファイルを生成するよう構成される、請求項12又はそれに従属するいずれかの請求項に記載の匂い感知システム。
【請求項37】
前記ユーザの匂いプロファイルは、前記ユーザが知覚する嗅覚出力、前記ユーザが知覚する嗅覚出力の相対強度、前記ユーザが知覚する嗅覚出力の相対的な持続時間、前記ユーザが知覚する嗅覚出力への環境パラメータの影響、前記ユーザからの嗅覚出力のベースラインの1つ又は複数を示す、請求項36に記載の匂い感知システム。
【請求項38】
情報をユーザに出力するためのユーザ出力デバイスをさらに備える、請求項1~37のいずれか1項に記載の匂い感知システム。
【請求項39】
前記ユーザ出力デバイスは、前記プロセッサから命令を受け取るよう構成され、前記命令は、前記匂い送達デバイスによる前記匂いの前記送達の前記検証に対応する、請求項38に記載の匂い感知システム。
【請求項40】
前記ユーザ出力デバイスは、前記命令の受け取り応じて、前記送達の前記検証を前記ユーザに出力するよう構成される、請求項39に記載の匂い感知システム。
【請求項41】
前記ユーザ出力デバイスは、前記命令の受け取りに応じて、前記送達に対する前記調整を前記ユーザに出力するよう構成される、請求項39又は40に記載の匂い感知システム。
【請求項42】
前記プロセッサは、前記送達の前記検証に対応する命令を生成するよう構成され、前記プロセッサは、前記命令を前記ユーザ出力デバイスに与えるよう構成される、請求項13又はそれに従属するいずれかの請求項に従属する場合の請求項40に記載の匂い感知システム。
【請求項43】
前記プロセッサは、前記送達の前記調整に対応する命令を生成するよう構成され、前記プロセッサは、前記命令を前記ユーザ出力デバイスに与えるよう構成される、請求項14又はそれに従属するいずれかの請求項に従属する場合の請求項41に記載の匂い感知システム。
【請求項44】
嗅覚出力のユーザの知覚を検証するための匂い感知システムであって、
プロセッサと、
嗅覚出力を検出するための匂い感知デバイスであって、
前記嗅覚出力に応じて、前記嗅覚出力に対応するセンサ情報を生成するよう構成される少なくとも1つのガスセンサを備え、
前記センサ情報を前記プロセッサに出力するよう構成される匂い感知デバイスと、
前記嗅覚出力に応答するためのユーザフィードバックデバイスであって、
前記嗅覚出力のユーザの知覚を示すユーザ入力の受け取りに応じて、前記嗅覚出力に対応するユーザ入力情報を生成するよう構成されるユーザ入力ユニットを備え、
前記ユーザ入力情報を前記プロセッサに出力するよう構成されるユーザフィードバックデバイスと、
を備え、
前記プロセッサは、前記匂い感知デバイスからの前記センサ情報を、前記ユーザフィードバックデバイスからの前記ユーザ入力情報と相関させて、前記嗅覚出力の前記ユーザの知覚の検証を判定するよう構成される、
匂い感知システム。
【請求項45】
前記センサ情報は、前記嗅覚出力の存在、前記嗅覚出力の強度、前記嗅覚出力に関連付けられる匂い又は匂いのタイプの識別、前記嗅覚出力のパルス持続時間、前記嗅覚出力の後続パルス間の持続時間、前記嗅覚出力のベースライン、及び/又は前記嗅覚出力が静的なものであるか又は動的なものであるかの1つ又は複数のインジケーションを含む、請求項44に記載の匂い感知システム。
【請求項46】
前記匂い送達デバイスは、送達情報を、放出される前記物質に対応する前記プロセッサに出力するよう構成される、請求項44又は45に記載の匂い感知システム。
【請求項47】
前記送達情報は、前記物質の流量又は濃度、前記匂い送達デバイスの前記エアフロー生成エレメントのポンプの圧力、前記匂い送達デバイスの送達チャネルの選択、前記匂い送達デバイスの前記送達チャネルの弁の開度の選択、匂い又は匂いのタイプの識別、前記匂いのパルス持続時間、前記匂いの後続パルス間の持続時間、匂いベースライン、及び/又は前記匂いが静的なものであるか又は動的なものであるかの1つ又は複数を示す、請求項46に記載の匂い感知システム。
【請求項48】
前記匂い送達デバイスは、前記プロセッサから命令を受け取るよう構成され、前記匂い送達デバイスは、前記命令の受け取りに応じて、前記嗅覚出力の前記送達を調整するよう構成される、請求項44~47のいずれか1項に記載の匂い感知システム。
【請求項49】
前記匂い送達デバイスは、前記出力コンポーネントへの前記送達チャネルを通る前記物質の流量又は濃度を制御するためのフローコントローラをさらに備える、請求項44~48のいずれか1項に記載の匂い感知システム。
【請求項50】
前記嗅覚出力の前記送達を調整することは、前記フローコントローラを制御して、流量又は濃度を調整することを含む、請求項48に従属する場合の請求項49に記載の匂い感知システム。
【請求項51】
前記匂い送達デバイスは、キャニスタから、嗅覚出力を生み出すよう構成される物質を、それぞれが受け取るための複数の送達チャネルをさらに備える、請求項44~50のいずれか1項に記載の匂い感知システム。
【請求項52】
前記嗅覚出力の前記送達を調整することは、1つ又は複数の送達チャネルを選択することを含む、請求項48に従属する場合の請求項51に記載の匂い感知システム。
【請求項53】
前記匂い送達デバイスは、前記複数の送達チャネルを制御するための複数の弁をさらに備える、請求項51又は52に記載の匂い感知システム。
【請求項54】
前記嗅覚出力の前記送達を調整することは、1つ又は複数の弁を開閉すること、又は、1つ又は複数の弁の開度を調整することを含む、請求項48に従属する場合の請求項53に記載の匂い感知システム。
【請求項55】
前記プロセッサは、前記センサ情報を前記送達情報と相関させて、前記匂い送達デバイスによる前記匂いの前記送達の検証を判定するよう構成される、請求項44~54のいずれか1項に記載の匂い感知システム。
【請求項56】
前記検証に基づき、前記プロセッサは、前記嗅覚出力の前記送達に対する調整を判定するよう構成され、前記プロセッサは、前記嗅覚出力の前記送達に対する前記調整に対応する命令を生成するよう構成され、前記プロセッサは、前記命令を前記匂い送達デバイスに与えるよう構成される、請求項55に記載の匂い感知システム。
【請求項57】
前記プロセッサは、機械学習、ニューラルネットワーク、及び/又は人工知能アルゴリズムを使用して、前記センサ情報を処理して、前記送達の前記検証を判定するよう構成される、請求項55に記載の匂い感知システム。
【請求項58】
前記プロセッサは、機械学習、ニューラルネットワーク、及び/又は人工知能アルゴリズムを使用して、前記センサ情報を処理して、前記送達に対する前記調整を判定するよう構成される、請求項56に記載の匂い感知システム。
【請求項59】
前記プロセッサは、ユーザ情報を受け取るよう構成される、請求項44~58のいずれか1項に記載の匂い感知システム。
【請求項60】
前記プロセッサは、前記送達の前記検証を判定する際に、前記センサ情報を前記ユーザ情報と相関させるよう構成される、請求項55又はそれに従属するいずれかの請求項に従属する場合の請求項59に記載の匂い感知システム。
【請求項61】
前記プロセッサは、前記送達に対する前記調整を判定する際に、前記センサ情報を前記ユーザ情報と相関させるよう構成される、請求項56又はそれに従属するいずれかの請求項に従属する場合の請求項59又は60に記載の匂い感知システム。
【請求項62】
前記ユーザ情報は、特定のユーザについての、年齢、性別、民族性、他の人口統計学的情報、健康情報、及び/又は履歴センサ情報の1つ又は複数のインジケーションを含む、請求項59~61のいずれか1項に記載の匂い感知システム。
【請求項63】
前記プロセッサは、前記ユーザ情報を、前記匂い送達デバイス、前記匂い感知デバイス、及び/又は外部データベースから受け取るよう構成される、請求項59~62のいずれか1項に記載の匂い感知システム。
【請求項64】
前記匂い感知システムは、ユーザに関するユーザ情報を収集するよう構成される、請求項44~63のいずれか1項に記載の匂い感知システム。
【請求項65】
環境パラメータに応じて、前記環境パラメータに対応する環境情報を生成するよう構成される環境センサをさらに備え、前記環境センサは、前記環境情報を前記プロセッサに出力するよう構成される、請求項44~64のいずれか1項に記載の匂い感知システム。
【請求項66】
前記環境パラメータは、湿度、温度、圧力、汚染物質の識別又は強度、前記匂い感知デバイスと前記ユーザの鼻との間の位置、前記ユーザの呼吸の1つ又は複数である、請求項65に記載の匂い感知システム。
【請求項67】
前記環境センサは、前記匂い感知デバイスの少なくとも一部を含む、請求項65又は66に記載の匂い感知システム。
【請求項68】
前記プロセッサは、前記環境情報を受け取るよう構成される、請求項65~67のいずれか1項に記載の匂い感知システム。
【請求項69】
前記プロセッサは、前記送達の前記検証を判定する際に、前記送達情報を前記環境情報と相関させるよう構成される、請求項55又はそれに従属するいずれかの請求項に従属する場合の請求項68に記載の匂い感知システム。
【請求項70】
前記プロセッサは、前記送達に対する前記調整を判定する際に、前記送達情報を前記環境情報と相関させるよう構成される、請求項56又はそれに従属するいずれかの請求項に従属する場合の請求項68又は69に記載の匂い感知システム。
【請求項71】
前記ユーザ入力は、前記嗅覚出力の存在、前記嗅覚出力の強度、前記嗅覚出力に関連付けられる匂い又は匂いのタイプの識別、前記嗅覚出力のパルス持続時間、前記嗅覚出力の後続パルス間の持続時間、及び/又は前記嗅覚出力が静的なものであるか又は動的なものであるかの1つ又は複数の前記ユーザの知覚のインジケーションを含む、請求項44~70のいずれか1項に記載の匂い感知システム。
【請求項72】
前記ユーザ入力ユニットは、ユーザの応答を検出するための、ボタン、タッチスクリーン、及び/又は検出器の1つ又は複数を備える、請求項44~71のいずれか1項に記載の匂い感知システム。
【請求項73】
前記プロセッサは、前記ユーザ入力情報を受け取るよう構成される、請求項44~72のいずれか1項に記載の匂い感知システム。
【請求項74】
前記プロセッサは、前記送達の前記検証を判定する際に、前記送達情報を前記ユーザ入力情報と相関させるよう構成される、請求項55又はそれに従属するいずれかの請求項に従属する場合の請求項73に記載の匂い感知システム。
【請求項75】
前記プロセッサは、前記送達に対する前記調整を判定する際に、前記送達情報を前記ユーザ入力情報と相関させるよう構成される、請求項56又はそれに従属するいずれかの請求項に従属する場合の請求項73又は74に記載の匂い感知システム。
【請求項76】
前記プロセッサは、前記センサ情報を前記ユーザ入力情報と相関させて、前記嗅覚出力の前記ユーザの知覚の検証を判定するよう構成される、請求項73~75のいずれか1項に記載の匂い感知システム。
【請求項77】
前記プロセッサは、ユーザの匂いプロファイルを生成するよう構成される、請求項44~76のいずれか1項に記載の匂い感知システム。
【請求項78】
前記ユーザの匂いプロファイルは、前記ユーザが知覚する嗅覚出力、前記ユーザが知覚する嗅覚出力の相対強度、前記ユーザが知覚する嗅覚出力の相対的な持続時間、前記ユーザが知覚する嗅覚出力への環境パラメータの影響、前記ユーザからの嗅覚出力のベースラインの1つ又は複数を示す、請求項77に記載の匂い感知システム。
【請求項79】
情報をユーザに出力するためのユーザ出力デバイスをさらに備える、請求項44~78のいずれか1項に記載の匂い感知システム。
【請求項80】
前記ユーザ出力デバイスは、前記プロセッサから命令を受け取るよう構成される、請求項79に記載の匂い感知システム。
【請求項81】
前記ユーザ出力デバイスは、前記命令の受け取りに応じて、前記送達の前記検証を前記ユーザに出力するよう構成される、請求項55又はそれに従属するいずれかの請求項に従属する場合の請求項80に記載の匂い感知システム。
【請求項82】
前記ユーザ出力デバイスは、前記命令の受け取りに応じて、前記送達に対する前記調整を前記ユーザに出力するよう構成される、請求項56又はそれに従属するいずれかの請求項に従属する場合の請求項80又は81に記載の匂い感知システム。
【請求項83】
前記プロセッサは、前記送達の前記検証に対応する命令を生成するよう構成され、前記プロセッサは、前記命令を前記ユーザ出力デバイスに与えるよう構成される、請求項81に記載の匂い感知システム。
【請求項84】
前記プロセッサは、前記送達の前記調整に対応する命令を生成するよう構成され、前記プロセッサは、前記命令を前記ユーザ出力デバイスに与えるよう構成される、請求項82に記載の匂い感知システム。
【請求項85】
請求項1~84のいずれか1項に記載の 匂い感知システムを作動させる方法であって、
前記1つ又は複数のエアフロー生成エレメントを制御して、前記物質を前記キャニスタから前記出力コンポーネントに運び、前記嗅覚出力を送達することと、
前記少なくとも1つのガスセンサにより、前記嗅覚出力に応じて、前記嗅覚出力に対応するセンサ情報を生成することと、
前記匂い感知デバイスにより、前記センサ情報をプロセッサに出力することと、
を含む方法。
【請求項86】
匂いのユーザの知覚を検証するための処理デバイスであって、
匂い感知デバイスから、前記匂い感知デバイスにより検出される嗅覚出力に対応するセンサ情報を受け取るよう構成されるレシーバであって、
ユーザ入力ユニットを備えるユーザフィードバックデバイスから、前記嗅覚出力のユーザの知覚を示すユーザ入力に対応するユーザ入力情報を受け取るよう構成されるレシーバと、
前記匂い感知デバイスからの前記センサ情報を、前記ユーザフィードバックデバイスからの前記ユーザ入力情報と相関させて、前記匂いの前記ユーザの知覚の検証を判定するよう構成されるプロセッサと、
を備える処理デバイス。
【請求項87】
匂いのユーザの知覚を検証する方法であって、
少なくとも1つのガスセンサを備える匂い感知デバイスから、匂いに対応するセンサ情報を受け取ることと、
ユーザ入力ユニットを備えるユーザフィードバックデバイスから、前記匂いのユーザの知覚を示すユーザ入力に対応するユーザ入力情報を受け取ることと、
前記匂い感知デバイスからの前記センサ情報を、前記ユーザフィードバックデバイスからの前記ユーザ入力情報と相関させて、前記匂いの前記ユーザの知覚の検証を判定することと、
を含む方法。
【請求項88】
プロセッサにより実行されると、前記プロセッサに、請求項87に記載の方法を行わせる命令を含むコンピュータプログラム、コンピュータプログラム製品、又はコンピュータ可読媒体。
【請求項89】
請求項88に記載のコンピュータプログラム、コンピュータプログラム製品、又はコンピュータ可読媒体を含むコンピューティングデバイス。
【請求項90】
ユーザの臭覚を支援又は置換するための匂い支援システムであって、
嗅覚出力を検出するための匂い感知デバイスであって、
前記嗅覚出力に応じて、前記嗅覚出力に対応するセンサ情報を生成するよう構成される少なくとも1つのガスセンサを備え、
前記センサ情報をプロセッサに出力するよう構成され、
ユーザに、前記ユーザの鼻付近に配置されるよう取り付け可能である匂い感知デバイスと、
前記プロセッサから命令を受け取るよう構成されるユーザ出力デバイスであって、前記命令の受け取りに応じて、前記嗅覚出力に関連付けられる匂いの識別を前記ユーザに出力するよう構成されるユーザ出力デバイスと、
を備える匂い支援システム。
【請求項91】
前記識別は、前記匂いに関連する物体の表現を含む、請求項90に記載の匂い補助システム。
【請求項92】
前記ユーザ出力デバイスは、視覚出力を含み、前記識別は、前記視覚出力を介して出力される画像、テキスト、および/またはビデオを含む、請求項90または91に記載の匂い補助システム。
【請求項93】
前記ユーザ出力デバイスは、オーディオ出力を含み、前記識別は、前記オーディオ出力を介して出力されるオーディオを含む、請求項90~92のいずれか1項に記載の匂い補助システム。
【請求項94】
前記ユーザ出力デバイスは、触知出力を含み、前記識別は、前記触知出力を介して出力される触覚フィードバックを含む、請求項90~93のいずれか1項に記載の匂い補助システム。
【請求項95】
前記センサ情報は、前記嗅覚出力の存在、前記嗅覚出力の強度、前記嗅覚出力に関連する匂いまたは匂いの種類の識別、前記嗅覚出力のパルス持続時間、前記嗅覚出力の後続パルス間の持続時間、前記嗅覚出力のベースライン、および/または前記嗅覚出力が静的または動的であるかのうちの1つまたは複数の指標を含む、請求項90~94のいずれか1項に記載の匂い補助システム。
【請求項96】
前記プロセッサをさらに備える、請求項90~95のいずれか1項に記載の匂い補助システム。
【請求項97】
前記プロセッサは、前記センサ情報を処理して、前記ガスセンサによって検出された前記嗅覚出力に関連する匂いを識別するように構成され、前記プロセッサは、前記識別に対応する命令を生成するように構成され、前記プロセッサは、前記命令を前記ユーザ出力デバイスに提供するように構成される、請求項96に記載の匂い補助システム。
【請求項98】
前記プロセッサは、機械学習、ニューラルネットワーク、及び/又は人工知能アルゴリズムを使用して、前記センサ情報を処理して前記匂いを識別するように構成される、請求項96又は97に記載の匂い補助システム。
【請求項99】
前記プロセッサは、ユーザ情報を受信するように構成され、前記プロセッサは、前記センサ情報を前記ユーザ情報と相関させるように構成される、請求項96~98のいずれか1項に記載の匂い補助システム。
【請求項100】
前記ユーザ情報は、特定のユーザについて、年齢、性別、他の人口統計情報、健康情報、および/または履歴センサ情報のうちの1つまたは複数の指示を含む、請求項99に記載の匂い補助システム。
【請求項101】
前記プロセッサは、前記匂い検知デバイス、前記ユーザ出力デバイス、及び/又は外部データベースから前記ユーザ情報を受信するように構成される、請求項99又は100に記載の匂い補助システム。
【請求項102】
前記匂い補助システムは、ユーザに関するユーザ情報を収集するように構成されている、請求項90~101のいずれか1項に記載の匂い補助システム。
【請求項103】
環境パラメータに応答して、前記環境パラメータに対応する環境情報を生成するように構成された環境センサをさらに備え、前記環境センサは、前記環境情報を前記プロセッサに出力するように構成されている、請求項90~102のいずれか一項に記載の匂い補助システム。
【請求項104】
前記環境パラメータは、湿度、温度、圧力、汚染物質の識別または強度、前記匂い感知デバイスと前記ユーザの鼻との間の距離、前記ユーザの呼吸のうちの1つ以上である、請求項103に記載の匂い補助システム。
【請求項105】
前記環境センサが、前記匂い検知装置の少なくとも一部を含む、請求項103又は104に記載の匂い補助システム。
【請求項106】
前記プロセッサは、前記環境情報を受信するように構成され、前記プロセッサは、前記センサ情報を前記環境情報と相関させるように構成されている、請求項96またはそれに従属する任意の請求項に従属する場合に、請求項103~105のいずれか1項に記載の匂い補助システム。
【請求項107】
前記嗅覚出力のユーザ知覚を示すユーザ入力を受信することに応答して、ユーザ入力情報を生成するように構成されたユーザ入力ユニットを備えるユーザフィードバック装置をさらに備える、請求項90~106のいずれか1項に記載の匂い補助システム。
【請求項108】
前記ユーザフィードバック装置は、前記ユーザ入力情報を前記プロセッサに出力するように構成されている、装置。
【請求項109】
前記ユーザ入力は、前記嗅覚出力の存在、前記嗅覚出力の強度、前記嗅覚出力に関連する匂いまたは匂いの種類の識別、前記嗅覚出力のパルス持続時間、前記嗅覚出力の後続パルス間の持続時間、および/または前記嗅覚出力が静的または動的であるかどうか、のうちの1つまたは複数のユーザ知覚の指示を含む、請求項107に記載の匂い補助システム。
【請求項110】
前記ユーザ入力ユニットは、ボタン、タッチスクリーン、および/またはユーザ応答を検出するための検出器のうちの1つまたは複数を含む、請求項107または108に記載の匂い補助システム。
【請求項111】
前記ユーザフィードバック装置は、前記ユーザ出力装置の少なくとも一部を含む、請求項107~109のいずれか1項に記載の匂い補助システム。
【請求項112】
前記プロセッサは、前記ユーザ入力情報を受信するように構成され、前記プロセッサは、前記センサ情報を前記ユーザ入力情報と相関させるように構成される、請求項96またはそれに従属する任意の請求項に従属するときの、請求項107~110のいずれか1項に記載の匂い補助システム。
【請求項113】
前記プロセッサは、ユーザ匂いプロファイルを生成するように構成される、請求項111に記載の匂い補助システム。
【請求項114】
前記ユーザ臭プロファイルは、前記ユーザによって知覚される嗅覚出力、前記ユーザによって知覚される嗅覚出力の相対強度、前記ユーザによって知覚される嗅覚出力の相対持続時間、前記ユーザによって知覚される嗅覚出力に対する環境パラメータの影響、前記ユーザから出力される嗅覚出力のベースラインのうちの1つまたは複数を示す、請求項112に記載の匂い補助システム。
【請求項115】
前記プロセッサが、ローカルコンピューティングデバイスの少なくとも一部を含む、請求項96に記載の匂い補助システムまたはそれに依存するいずれかの請求項に記載の匂い補助システム。
【請求項116】
前記ユーザ出力デバイスはまた、前記ローカルコンピューティングデバイスの少なくとも一部を含む、請求項114に記載の匂い補助システム。
【請求項117】
前記プロセッサが、遠隔コンピューティングデバイスの少なくとも一部を含む、請求項96に記載の匂い補助システム、または請求項97~113のいずれか一項に記載の匂い補助システム。
【請求項118】
前記プロセッサは、前記センサ情報を無線で受信するための無線受信機を備える、請求項96に記載の匂い補助システム又はそれに依存する任意の請求項
及び/又は前記プロセッサが、前記命令を前記ユーザ出力装置に無線で送信するための無線送信機を含む、ことを特徴とする装置。
【請求項119】
前記匂い検出デバイスは、前記センサ情報を前記プロセッサに無線で送信する無線送信機を備える、請求項90~117のいずれか1項に記載の匂い補助システム。
【請求項120】
前記ユーザ出力デバイスは、前記プロセッサからの前記命令を無線で受信するための無線受信機を備える、請求項90~118のいずれか1項に記載の匂い補助システム。請求項90~119のいずれか1項に記載の匂い補助システムであって、前記匂い送出デバイスは、バッテリ動作であり、バッテリアキュムレータを備え、および/または太陽光発電であることを特徴とする匂い補助システム。
【請求項121】
前記匂い検知デバイスは、その後の出力のために前記センサ情報を記憶するためのメモリを含む、請求項90~120のいずれか1項に記載の匂い補助システム。
【請求項122】
前記ユーザフィードバック装置は、その後の出力のために前記ユーザ入力情報を記憶するメモリを備える、請求項90~121のいずれか1項に記載の匂い補助システム。
【請求項123】
前記匂い検出デバイスは、前記ユーザの身体部分に直接取り付け可能である、請求項90~122のいずれか1項に記載の匂い補助システム。
【請求項124】
前記匂い検出デバイスは、前記ユーザの前記頭部に取り付け可能である、請求項123に記載の匂い補助システム。
【請求項125】
前記匂い検出デバイスは、前記ユーザの前記鼻に取り付け可能である、請求項124に記載の匂い補助システム。
【請求項126】
請求項90~125のいずれか1項に記載の匂い補助システムであって、前記匂い検出デバイスは、前記ユーザまたは前記ユーザの衣服または眼鏡に取り付けるためのクリップを備える、匂い補助システム。
【請求項127】
前記匂い検出デバイスは、前記ユーザの衣服又は眼鏡を介して間接的にユーザに取り付け可能である、請求項90~126のいずれか1項に記載の匂い補助システム。
【請求項128】
前記匂い検知デバイスが、一対の眼鏡に取り付けられている、請求項127に記載の匂い補助システム。
【請求項129】
前記少なくとも1つのガスセンサが、少なくとも1つの揮発性有機化合物、VOC、センサを含む、請求項90~128のいずれか1項に記載の匂い補助システム。
【請求項130】
前記少なくとも1つのVOCセンサが、光イオン化、PID、ガスセンサ、金属酸化物、MOX、ガスセンサ、電気化学式ガスセンサ、ポリマーガスセンサ、及び/又は触媒式ガスセンサのうちの少なくとも1つを含む、請求項129に記載の匂い補助システム。
【請求項131】
前記少なくとも1つのガスセンサは、第1のガスセンサ及び第2のガスセンサを含み、前記第1のガスセンサは、前記第2のガスセンサを較正するように構成されている、請求項90~130のいずれか1項に記載の匂い補助システム。
【請求項132】
前記第1のガスセンサが、光イオン化、PID、センサを含む、請求項131に記載の匂い補助システム。
【請求項133】
請求項90~132のいずれか1項に記載の匂い支援システムを作動させる方法であって、
前記少なくとも1つのガスセンサにより、前記嗅覚出力に応じて、前記嗅覚出力に対応するセンサ情報を生成することと、
前記匂い感知デバイスにより、前記センサ情報をプロセッサに出力することと、
前記ユーザ出力デバイスにより、前記センサ情報に基づいて命令を前記プロセッサから受け取ることと、
前記ユーザ出力デバイスにより、前記命令の受け取りに応じて、前記嗅覚出力に関連付けられる匂いの識別を前記ユーザに出力することと、
を含む方法。
【請求項134】
嗅覚出力に関連付けられる匂いを識別するための処理デバイスであって、
匂い感知デバイスから、前記匂い感知デバイスにより検出される嗅覚出力に対応するセンサ情報を受け取るよう構成されるレシーバと、
前記センサ情報を処理して、前記嗅覚出力に関連付けられる匂いを識別するよう構成されるプロセッサであって、
前記嗅覚出力に関連付けられる前記匂いのレプリゼンテーションを選択するよう構成され、前記レプリゼンテーションは視覚的、聴覚的、及び/又は触覚的レプリゼンテーションであるプロセッサと、
命令をユーザ出力デバイスに送って、前記嗅覚出力に関連付けられる前記匂いの前記識別の前記レプリゼンテーションを出力するよう構成されるトランスミッタと、
を備える処理デバイス。
【請求項135】
嗅覚出力に関連付けられる匂いを識別する方法であって、
匂い感知デバイスから、前記匂い感知デバイスにより検出される嗅覚出力に対応するセンサ情報を受け取ることと、
前記センサ情報を処理して、前記嗅覚出力に関連付けられる匂いを識別することと、
命令をユーザ出力デバイスに送って、前記嗅覚出力に関連付けられる前記匂いの前記識別を出力することと、
を含む方法。
【請求項136】
プロセッサにより実行されると、前記プロセッサに、請求項135に記載の方法を行わせる命令を含むコンピュータプログラム、コンピュータプログラム製品、又はコンピュータ可読媒体。
【請求項137】
請求項136に記載のコンピュータプログラム、コンピュータプログラム製品、又はコンピュータ可読媒体を含むコンピューティングデバイス。
【請求項138】
キャニスタから、匂い等の嗅覚出力を生み出すよう構成される物質を受け取るための送達チャネルと、
前記物質が放出される出力コンポーネントと、
エアフローを生成して、前記物質を、前記キャニスタから前記出力コンポーネントに運ぶよう構成される1つ又は複数のエアフロー生成エレメントと、
前記出力コンポーネントへの前記送達チャネルを通る前記物質の流量又は濃度を制御するためのフローコントローラと、
を備える匂い送達デバイスであって、
前記フローコントローラは、
前記送達チャネルを通る前記物質の流量又は濃度を感知するよう構成されるセンサ、及び/又は
環境条件を感知するよう構成される環境センサ、及び/又は
ユーザからの入力を受け取るよう構成されるユーザフィードバックデバイス
の少なくとも1つからのフィードバックに応じて、前記送達チャネルから前記出力コンポーネントへの前記物質の流量又は濃度を制御するよう構成される、
匂い送達デバイス。
【請求項139】
前記フィードバックデバイスは、
前記嗅覚出力が、前記ユーザが感知できる/できないレベルにあるか否か、及び/又は
前記嗅覚出力に対する前記ユーザの情緒反応、及び/又は
前記嗅覚出力の前記ユーザの知覚/感覚の持続時間及び/又は強度、及び/又は
異なる嗅覚出力間の比較
を示す前記ユーザからの入力を受け取る、請求項138に記載の匂い送達デバイス。
【請求項140】
前記フィードバックデバイスは、前記ユーザが前記嗅覚出力を感知できないことを示す前記ユーザからの入力を受け取ると、前記フローコントローラにより流量が調節される、請求項139に記載の匂い送達デバイス。
【請求項141】
前記環境センサは、前記環境の温度、前記環境の湿度、前記環境の圧力、前記環境において存在する汚染物質の量/識別の少なくとも1つを感知するよう構成される、請求項138~140のいずれか1項に記載の匂い送達デバイス。
【請求項142】
前記環境又は前記送達デバイス内の位置での湿度が所定の閾値を超えている、
前記環境又は前記送達デバイス内の位置での温度が所定の閾値を超えている、及び/又は
前記環境又は前記送達デバイス内の位置での圧力が所定の閾値を超えている
のうちの1つの場合に、
前記フローコントローラは、前記物質の流量を調節するよう構成される、
請求項141に記載の匂い送達デバイス。
【請求項143】
汚染物質の量が特定の閾値を超えている場合は、前記ユーザの知覚が前記環境により変わるので、前記匂い送達デバイスは前記物質の流れを止める、請求項141又は142に記載の匂い送達デバイス。
【請求項144】
前記流量センサは、流量又は濃度の測定値を前記フローコントローラに伝えるよう構成され、前記測定された流量又は濃度が、意図する流量と異なる場合に、流量を、前記意図する流量に到達して安定するまで調節する、請求項138~143のいずれか1項に記載の匂い送達デバイス。
【請求項145】
前記センサは、流量センサ、圧力センサ、又は差圧センサの直接的又は間接的インジケーションを提供するよう構成され、
前記エアフロー生成エレメントは、1つ又は複数のポンプ又はマイクロポンプ、例えば、ピストン、ダイアフラム、又は圧電に基づくポンプを含み、
前記フローコントローラは、調整可能弁、フィルタ、電子デバイス、回路、メモリデバイス、マイクロコントローラ、又はマイクロプロセッサの1つ又は複数を含む、
請求項138~144のいずれか1項に記載の匂い送達デバイス。
【請求項146】
前記ユーザの位置までの前記出力の距離を判定する距離センサをさらに備え、前記判定された距離が伸びると、前記フローコントローラは流量を調節するよう構成されており、好ましくは、前記距離センサは、光学距離センサ、超音波距離センサ、又はCO2センサのうちの1つである、請求項138~145のいずれか1項に記載の匂い送達デバイス。
【請求項147】
第2の嗅覚出力を生み出す、又は、第1の物質に関連付けられる前記嗅覚出力を変えるよう構成される第2の物質を第2のキャニスタから受け取るための第2の送達チャネルと、
前記第2の物質が放出される第2の出力と、
をさらに備え、
前記フローコントローラは、
前記第2の送達チャネルに位置して、前記第2の送達チャネルを通る流量を感知するよう構成される第2のセンサ、及び/又は、
環境条件を感知するよう構成される前記環境センサ、及び/又は、
ユーザからの入力を受け取るよう構成される前記ユーザフィードバックデバイス
の少なくとも1つからのフィードバックに応じて、前記第2の送達チャネルから前記第2の出力への前記第2の物質の流量を制御するよう構成され、
好ましくは、前記第2の物質を保存するよう構成される前記第2のキャニスタをさらに備え、
好ましくは、前記フローコントローラは、フローコントローラの配列を含み、前記配列におけるフローコントローラはそれぞれ、前記第2の送達チャネルから前記第2の出力への前記第2の物質の流量又は濃度を制御するよう構成される、
請求項138~146のいずれか1項に記載の匂い送達デバイス。
【請求項148】
前記第1及び第2の出力が供給されるチャネルを形成する出力エクステンションと、遠位端にある単一のユーザ出力と、をさらに備え、及び/又は、前記第1の物質及び前記第2の物質が混ざり合い、前記第1の物質の前記嗅覚出力とは異なる嗅覚出力と、前記第2の物質の前記嗅覚出力との混合物を形成する、請求項147に記載の匂い送達デバイス。
【請求項149】
前記第1の送達チャネル及び前記第2の送達チャネルは互いに隔離されており、前記第1及び第2の送達チャネルの汚染を回避する、請求項147又は148に記載の匂い送達デバイス。
【請求項150】
前記匂い送達デバイスの作動を感じない又はあまり感じないようにするのに十分なノイズを生成するよう構成されるので、前記デバイスが使用中であるか否かについて前記ユーザが気づかない又は気づかないかもしれない、ノイズ生成エレメントをさらに備える、請求項138~149のいずれか1項に記載の匂い送達デバイス。
【請求項151】
前記エアフローは、前記物質の前記嗅覚出力が変わらないように、無臭であるよう構成され、好ましくは、前記匂い送達デバイスは、前記環境から空気を取り入れる空気入口エレメントと、前記空気から汚染物質を取り除く1つ又は複数のエアフィルタと、を備える、請求項138~150のいずれか1項に記載の匂い送達デバイス。
【請求項152】
第2のデバイスから命令を受け取るよう構成される通信ユニットをさらに備える、請求項138~151のいずれか1項に記載の匂い送達デバイス。
【請求項153】
嗅覚出力に関連付けられる物質を保存する保存容量を含むキャニスタであって、請求項138~152のいずれか1項に記載の匂い送達デバイスにより受容されるよう構成され、前記匂い送達デバイス内にいったん受容されると、前記物質を前記送達チャネル内に放出するよう構成される、キャニスタ。
【請求項154】
入力ユニットと、通信ユニットと、を備えるアダプティブシステムユニットであって、前記入力ユニットは、ユーザからの入力を受け取るよう構成され、前記通信ユニットは、請求項138~152のいずれか1項に記載の匂い送達デバイスと通信するよう構成され、前記匂い送達デバイスとの前記通信は、前記匂い送達デバイスにより放出される前記嗅覚出力に影響する命令を含み、好ましくは、前記入力ユニットは、ボタン及びスクリーンのうちの1つである、又は、ユーザの動き、例えば、ユーザの目の動きの検出である、アダプティブシステムユニット。
【請求項155】
請求項154に記載のアダプティブシステムユニットと、請求項138~152のいずれか1項に記載の匂い送達デバイスと、を備えるシステム。
【請求項156】
請求項138~152のいずれか1項に記載の匂い送達デバイスからユーザに匂いを送達する方法であって、
第1の物質であって、それに関連付けられる嗅覚出力、例えば、匂いを有する第1の物質のフローを放出する命令を受け取るステップと、
前記第1の物質の前記フローを第1の流量又は濃度にて開始するステップと、
前記第1の送達チャネルに位置して、前記送達チャネルを通る流量又は濃度を感知するよう構成される前記センサ、及び/又は
環境条件を感知するよう構成される前記環境センサ、及び/又は
ユーザからの入力を受け取るよう構成される前記ユーザフィードバックデバイス
の1つ又は複数から測定値を受け取るステップと、
前記測定値に応じて、前記第1の物質の流量又は濃度を変えるステップと、
を含む方法。
【請求項157】
前記測定値は前記ユーザフィードバックデバイスからのものであり、
前記ユーザが前記嗅覚出力を感知できるか否か、
前記嗅覚出力の前記ユーザの知覚の持続時間、
前記嗅覚出力に対する前記ユーザの情緒反応
のうちの少なくとも1つのインジケーションを含む、請求項156に記載の方法。
【請求項158】
前記測定値は前記環境センサからのものであり、
前記環境又は前記送達デバイス内の位置での湿度が所定の閾値を超えるか否かのインジケーション、
前記環境又は前記送達デバイス内の位置での温度が所定の閾値を超えるか否かのインジケーション、及び/又は
前記環境又は前記送達デバイス内の位置での圧力が所定の閾値を超えるか否かのインジケーション
のうちの少なくとも1つを含む、請求項156又は157に記載の方法。
【請求項159】
前記測定値は、前記第1の送達チャネルに位置する前記センサからのものであり、前記測定された流量が、意図する流量とは異なることのインジケーションを含み、これに応えて、前記意図する流量に到達して安定するまで流量が調節される、請求項156~158のいずれか1項に記載の方法。
【請求項160】
前記測定値は、前記デバイスからの前記ユーザの距離のインジケーションを含み、前記ユーザがさらに遠ければ、前記第1の物質の流量又は濃度が増やされる、請求項156~159のいずれか1項に記載の方法。
【請求項161】
請求項156~160のいずれか1項に記載の方法を行うよう構成されるプログラム命令を含むコンピュータプログラム製品。
【請求項162】
請求項161に記載のコンピュータプログラム製品を用いてプログラムされるプログラマブルデバイスであって、例えば、携帯電話、タブレット、ラップトップ、又はデスクトップコンピュータであるプログラマブルデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、嗅覚センシングシステムおよび関連する方法を提供する。本開示はまた、嗅覚補助システムおよび関連する方法を提供する。本開示はさらに、環境およびユーザの相互作用に応じて配信仕様を適応させる適応型嗅覚送達装置、システムユニット、および方法を提供する。本開示は、嗅覚トレーニングおよび嗅覚テスト、認知および嗅覚能力の維持および測定、教育、エンターテイメント、知的および自律システムの使用など、さまざまなアプリケーションにおける環境とユーザの相互作用に応じて配信仕様を適応させる嗅覚送達装置および独立したシステムユニットに関連する開示としている。
【0002】
多くの人々は嗅覚に関連する障害を抱えています。一部の人々にとって、これは永続的な状態や症状であり、他の人々にとっては一時的なものです。例えば、新型コロナウイルス感染症に苦しむ一部の人々は味覚や嗅覚の喪失を報告しています。また、主に高齢者の中には嗅覚喪失や嗅覚機能障害に特に影響を受ける人々もいます。すでに虚弱な人々(例:高齢者、長期的な病態を持つ人々)では、嗅覚のケアニーズを無視することによって、体重減少、筋肉の衰え、虚弱さの悪化から転倒や怪我に至るまでの連鎖的な欠損が起こる可能性があります。また、それはうつ病や不安症にもつながることがあります[Speth et al. Laryngoscope, 2020]。確立されていることですが、人々の嗅覚の知覚を信頼性を持って測定し、変化を検出することは、認知症などの変性疾患(アルツハイマー病やパーキンソン病を含む)の早期の発症段階を特定し、診断するのに役立ちます(10年以上前から)。診断においては、嗅覚喪失の重症度と性質を特定することが有用です。さらに、治療中に患者の嗅覚の改善を測定できると有利です。
【0003】
他の人々は、彼らの嗅覚の感度の高さのために特別に雇われています。例えば、ソムリエは通常、嗅覚の感度が高いです。そのため、個人の嗅覚能力を特徴づけ、訓練し、測定できることは有利です。
【0004】
更に、娯楽システムにおいては、嗅覚刺激をユーザーに提供することがあります。例えば、仮想現実ヘッドセットに接続されたシステム、またはヘッドセット自体が、特定の時点でユーザーに嗅覚刺激を発することで、より没入感があり、ユーザーにとってアクセスしやすい体験を提供することができます。したがって、上記のすべての応用において、嗅覚刺激の提供は有利です。
【0005】
環境を介して嗅覚刺激(香料、化学物質)を提供するためのいくつかのシステム、または直接的にユーザーの鼻やユーザーの頭空間に向けられたシステムが提案されています。嗅覚刺激の提供方法によって、嗅覚刺激のシステムは一般的に以下の2つの主要なカテゴリに分類されます:
(i)キャリアアプローチ:化学物質は流れを介して配信され、例えばガス(空気)や空気渦によってユーザーの鼻や頭空間に運ばれます。化学物質は通常、圧力がかかったキャリアガスからチャンバーから提供されます。
(ii)変換アプローチ:化学物質は閉じられた体積内で提示され、そのような化学物質の状態変化によって拡散されます。状態の変化は通常、アトマイザー(超音波トランスデューサーまたは圧電素子)、噴射拡散、または加熱による蒸発を介して行われます。
【0006】
変換アプローチの嗅覚刺激提供装置の例は、異なる出版物で見つけることができます。たとえば、Yossiらによる米国特許9,283,296(「香り生成装置」)では、香りを含んだリザーバーをアトマイズするための振動プレートの装置が提示されています。また、Dotyによる米国特許6,557,394(「嗅覚テスト装置」)では、デジタル噴射装置からデジタルジェッティングデバイスを介して揮発性のテスト液体を制御された量で供給し、ヘッドスペースの分解能で試験場所で液体を加熱して蒸発させるデジタル嗅覚計が提示されています。
【0007】
変換方法による嗅覚刺激の提供は、時間的な制御(遅延がある)および空間的な制御(鼻や頭空間への短距離カバレッジ)の精度が低く、チャンネル間のクロスコンタミネーションが起こりやすく、さらに重要なことには嗅覚の強度をリアルタイムで制御することができません。
【0008】
ヒューマンコンピュータインタラクションやユーザーインターフェースの応用において嗅覚(嗅覚)を活用するためには、キャリアアプローチがより適した方法です。なぜなら、ユーザーとシステム/インターフェースの相互作用において嗅覚の技術的パラメータ(強度、周波数、タイミング、嗅覚出力/配信の位置など)を操作することができるからです。ダイナミックなアプローチの中では、現在一般的な方法は、ファンによる空気の流れを生成する方法(例:Exhalia Diffuser SBi4)、空気キャノンによる渦流の生成方法(例:K. Murai、T. Serizawa、Y. Yanagida、’’Localized scent presentation to a walking person by using scent projectors,’’ 2011 IEEE International Symposium on VR Innovation, 2011, pp. 67-70)、または外部の加圧空気供給装置(例:缶や圧縮機)による方法(例:Schriever、V. A.、Korner、J.、Beyer、R.、Viana、S.、& Seo、H. S.(2011)。A computer-controlled olfactometer for a self-administered odor identification test. European archives of oto-rhino-laryngology, 268(9), 1293-1297)です。
【0009】
異なる提供方法とシステムは、それらが開発された応用の特定の要件を満たすために使用されてきました。例えば、J. HessabiによるWO 96/37248(「嗅覚刺激に基づく脳トレーニング方法および装置」)では、ファンベースのシステムが提案されており、部屋に均一な香りを放出するためのセットアップが特に年齢関連の障害に対抗するための脳のトレーニングに使用されますが、提供性能は時間的および空間的な嗅覚拡散の制御性が低いです。同様に、M. W. AlbersによるUS10610147B2(「嗅覚計を用いた神経変性疾患のスクリーニング」)では、コンピュータ制御された嗅覚刺激を提供するための嗅覚計に関するシステムと方法が提示されています。これは神経変性スクリーニングのための閾値計算に基づく嗅覚(匂い)識別テストのためにユーザーの入力を受け取ります。記載された嗅覚計は、Osmic Enterprisesがオハイオ州シンシナティで製造した商業的に入手可能な携帯デバイスである「OLFACT olfactometer」という名前で呼ばれています。この嗅覚計は、空間的および時間的な解像度において提供の正確性が高く、嗅覚刺激のチャンネル間でのクロスコンタミネーションがないですが、ユーザーの相互作用や環境要因に対するリアルタイムの空気流量調整が不足しており、嗅覚刺激の量の定量化がなく、提供の出力設定の柔軟性に欠けています。
【0010】
D. WookとK. AndoによるEP3142096B1(「嗅覚ディスプレイ」)では、複数のチャンバーに固形の香りが含まれている装置を使用して、風を発生させるブロワーファンシステムと圧電デバイスを使用して香りを放出します。この装置は、時間と空間の範囲内で、オーディオビジュアルコンテンツと同期して使用することを目指しています。しかし、この装置は提供される嗅覚刺激間のクロスコンタミネーション、遅い提供速度と周囲の環境での提供された嗅覚刺激の長い持続時間、およびオーディオビジュアルコンテンツとの同期性能の低さなどの問題があります。
【0011】
K. Okada, S. Kanzaki, S. HoriguchiによるUS10188767B2(「香り提示方法、香り提示装置、および嗅覚向上装置」)では、嗅覚能力を維持および向上させるための決定された提示条件に基づいてパルス噴射を用いた香りの提示方法が説明されています。このシステムは、嗅覚刺激のチャンネル間でのクロスコンタミネーションがあり、提供そのものの制御が不正確であり、したがってユーザーの嗅覚検出閾値を決定するための正確で信頼性のある提供が不足しています。
【0012】
D. Dmitrenko, C.T. Vi, and M. Obristによる「A Comparison of Scent-Delivery Devices and Their Meaningful Use for In-Car Olfactory Interaction」(Automotive’ UI Proceedings, ACM, 2016)では、自動車応用向けの商業的に利用可能な嗅覚刺激提供メカニズムとその性能、機能についてのレビューが行われています。同様に、E. Maggioniらによる「Smell-O-Message: Integration of Olfactory Notifications into a Messaging Application to Improve Users’ Performance」(Proceedings of the 20th ACM International Conference on Multimodal Interaction, pp. 45-54)では、嗅覚情報を通知効果に利用するために使用される配信デバイスのレビューが行われています。
【0013】
最先端の技術は、嗅覚刺激提供装置(いわゆる嗅覚計)において、提供パラメータの制御性に優れた効率的で正確な装置に焦点を当てています。化学物質(香料)を運搬するために圧力をかけた空気流を使用する技術があります。Lundstrom、J.N.らによるUS 8,899,095 Bでは、外部の空気供給装置に対応した空気作動型の嗅覚計が提案されています。この嗅覚計は、異なる材料構成と圧力空気のキャリアを持ち、外部供給元からの圧力空気を使用します。同様に、Lundstrom、J.N.らによる2010年の「Methods for building an inexpensive computer-controlled olfactometer for temporally-precise experiments」(International Journal of Psychophysiology, 78(2), pp.179-189)や、Johnson, B.N. and Sobel, N.による2006年の「Methods for building an olfactometer with known concentration outcomes」(Journal of neuroscience methods, 160(2), 231-245)では、高い精度を持つコンピュータ制御の嗅覚計が紹介されています。最後の2つの引用では、研究室や研究に基づく応用のための空気希釈型嗅覚計の詳細な構築手順が提示されています。これらの装置は、所定のキャリアガスを所定の流量で所定の香料のキャニスタを通じて流し、空間的および時間的な提供を正確に制御し、チャンネル間の汚染はありません。これらの装置は活性化された空気制御バルブと光イオン化検出器を使用して、提供されるガス中の香料の実際の濃度を測定します。外部の圧力供給空気によって、所望の流速、温度、湿度、圧力を設定することができますが、ユーザーの相互作用や環境要因に対応して理想的な提供パラメータを自動的に設定する適応型の自動システムは備わっていません。
【0014】
従来の嗅覚計は、前述の引用で示されているように、高い精度と刺激の定量化に向けた取り組みが行われていることで知られています。しかし、前述の引用で示されている嗅覚計やより正確には電気弁によって形成される香り提供装置は、実験室用の機器タイプに限定されており(例:かさばり、重く、高価であり、消費者向けや家庭用製品としては適していません)、空気流を生成するために圧縮空気の外部供給源(つまり、圧縮機や圧力タンク)が必要です。これらの装置では冷却システムの統合がしばしば必要とされ、高い電力需要があります。また、これらの装置は実験室の環境での異なる応用や、さまざまな消費者の人間インターフェース応用での使用が可能ではありません。したがって、消費者/医療や家庭介護の広範な応用において、高い精度と制御性を持つ、空間的および時間的な解像度が高く、嗅覚刺激のリアルタイム制御が可能で、さまざまなユーザーの相互作用や異なる環境に適応する嗅覚刺激の提供システムへの需要が増しています。
【0015】
現在の嗅覚刺激提供装置には、以下のような制限があります:
(I)特定の応用に特化した設計であり、一般化や利用性に制限があります。
(II)リアルタイムでの嗅覚刺激仕様の制御と適応性が限られており、動作の遅延が大きいです。
(III)化学物質の容器と配信チャネルの数が固定されており、モジュラーデザインのアプローチがありません。
(IV)標準化されたユーザーデータの記録を行わない、嗅覚刺激提供装置の使用設定が限られています。
(V)固定の嗅覚刺激出力の長さと位置があります。
(VI)高性能製品(嗅覚計)において正確かつ信頼性のある嗅覚刺激の提供とサイズ(かさばり)の間にトレードオフがあります。
(VII)高い精度と信頼性を持つ装置の場合、通常は圧縮空気を供給する外部ユニットが必要です。
【0016】
本開示の嗅覚刺激提供装置および方法は、従来の装置に比べて少なくとも以下の理由で優れています:
(I)化学物質の提供に対する高度な制御力、空間および時間の拡散の正確さ、リアルタイムのフィードバック制御が可能です。
(II)ユーザー間の知覚の変動、ユーザーの相互作用、異なる化学物質、環境要因に適応できます。
(III)クラウドコンピューティングプラットフォームを介した制御や設定など、さまざまな使用アプリケーションに適応可能です。
(IV)小型の単一ユニットおよびモジュラーな嗅覚刺激提供装置設計であり、呼吸可能な無臭の空気流を生成する内部ユニットを備えており、チャネル間の汚染はありません。
(V)各化学物質用のモジュール式および交換可能な容器であり、容器間の汚染はありません。
(VI)動作の遅延が低い(100-200ミリ秒)です。
(VII)ユーザーのデジタル記録をクラウドコンピューティングインフラストラクチャまたはローカルデータストレージでアクセス可能に保持し、異なるアプリケーション間で交換可能です。
(VIII)システムの接続性と設定性のさまざまなオプションがあります。
(IX)ユーザーの位置、鼻、または頭空間に応じて、柔軟な嗅覚刺激の出力長さと設定ソリューションがあります。
【0017】
本発明は、自律型デバイスとして使用されるか、適応型の匂い供給システムユニット内に組み込まれることができる匂い供給装置を提供する。システムの一部として使用される場合、クラウドコンピューティング構成を備え、匂い刺激またはそのような匂い刺激の混合物の正確な適応的な管理、低レイテンシ、刺激間のクロスコンタミネーションのない、リアルタイム制御により、正確かつ信頼性のある外部刺激を人の鼻または頭部空間に提供することができる。本発明によれば、適応型匂い供給装置または匂い供給システムユニットは、化学物質の構造に干渉せずに、流量パラメータ、使用者の知覚変動性、使用者のバイオフィードバック(例:心拍数、皮膚伝導度など)、および環境要因を通じて、化学物質の再現性を最適化し、測定する能力を有する。
【0018】
現在開示されているシステムユニットは、複数のデバイス間での匂い供給の同期を可能とし、プラットフォームを横断して、デジタルレコードや個人のユーザープロファイルを可能にします。
【0019】
本発明に記載されているような高精度かつ適応性のある匂い供給装置やシステムは、個別化された医療や精密医療の需要の増加、健康情報のデジタル化の進歩など、医療アプリケーションにおいて重要です。さらに、様々な消費者向けアプリケーションの新たな可能性を創出することがあります。
【0020】
従来の匂いセンシングデバイス(匂いセンサー)は、通常、匂いや風味を検出し、一定程度では人間の感覚を再現することを目的としています。匂いセンサーの感度と選択性を向上させるために、さまざまな技術が使用されてきました。ポリマーや金属酸化物センサーを基にしたセンサーアレイや、ニューラルネットワークやその他の機械学習技術に基づいたパターン認識ソフトウェアを使用したアルゴリズムが適用されてきました。
【0021】
一般的に、ガスセンサーや電子鼻は、有害または有毒なガスの識別に使用されてきました。例えば、室内や屋外の空気の品質、または異なる匂いの源(異なる種類のコーヒー、新鮮な牛乳など)の間の嗅覚感覚を再現または識別するために使用されます。その他の応用分野としては、飲料業界、農業・林業、医療・ヘルスケア、セキュリティシステムなどがあります。電子鼻とその応用についての最近のレビューは、Karakaya、D.、Ulucan、O.、Turkan、M.「Electronic Nose and Its Applications: A Survey」Int. J. Autom. Comput. 17、179-209(2020)にあります。
【0022】
ほとんどのガスセンサーや電子鼻は、MEMS(マイクロ電子機械システム)やCMOS(補完的金属酸化物半導体)などの固体技術、および/またはCMOS互換プラットフォームに基づいています。このような技術の最近のレビューは、Gary W. Hunterらによる「2020 J. Electrochem. Soc. 167 037570」で見つけることができます。
【0023】
本開示は、上記の問題の一つまたは複数を解決することを目指しています。
【0024】
独立請求項には発明の様相が記載されており、従属請求項にはオプションの特徴が記載されています。
【0025】
第一の側面において、以下の要素を備えたにおい供給装置が開示されています:
- 物質を受け取るための供給チャンネル。この物質は、におい(または匂い)として感知されるように構成されています。
- 物質が放出される出力部品。
- 物質を缶から出力部品に輸送するために気流を生成する1つ以上の気流生成要素。
- 物質の流量または濃度を供給チャンネルから出力部品への流れに制御する流量制御装置。
- フィードバック制御を実現するため、流量センサ、環境センサ、およびユーザフィードバックデバイスのいずれかのフィードバックから物質の流量または濃度を制御する流量制御装置。
物質の流量を直接または間接的に示すセンサ、環境センサ、およびユーザフィードバックデバイスは、装置の正確性と精度を向上させることが注目されます。例えば、供給チャンネルを通る物質の流量を感知するセンサは、流量または濃度を決定するために使用され、この情報はフィードバック制御システムで使用され、より多くまたは少ない物質が放出されるべきかを判断するために使用されることがあります。環境センサは、におい供給装置の出力を環境条件に応じて変更することができます。環境条件はにおいの知覚に影響を与えます(例えば、雷雨の直前には空気がわずかに変化し、においの感知にも差が生じます)。環境条件を測定することで、におい供給装置は供給チャンネルを介した物質の流量/濃度を変更することができます。これにより、ユーザのにおいの知覚の変化を補正することができます。これにより、ユーザの知覚の測定はあらゆる状況で公平なテストとなります。ユーザフィードバックデバイスは、ユーザが自身の知覚を示すことができます。これにより、におい供給装置の出力を調整して、精密に制御可能なテストを行うことができます。さらに、これらの3つのセンサは、互いに有利に組み合わせて使用することができます。例えば、ユーザフィードバックデバイスと環境センサは特に相互的な関係にあります。ユーザフィードバックは、ユーザが環境条件に特に影響を受けていることを示す場合、環境センサの測定に基づく修正を増幅することができます。3つのセンサをすべて使用すると、装置は特に正確で精密で制御可能となる場合があります。
【0026】
オプションとして、におい供給装置にはさらに物質を保存するために構成されたキャニスタが含まれる場合があります。
【0027】
オプションとして、フィードバックデバイスは、以下を示すユーザーからの入力を受け取ります:
- ユーザーが感じることができるかできないかに関する嗅覚の出力のレベル。
- ユーザーの嗅覚の出力への感情的な反応。
- ユーザーの嗅覚の出力に対する知覚/感覚の持続時間および/または強度。
- 異なる嗅覚の出力の比較。これらのフィードバックは、第一物質の流量/濃度の変更を決定する際に特に役立ちます。例えば、個人が嗅ぎ分けることができる最小のレベルを特定するための測定の目的がある場合、ユーザーが嗅ぎ分けることが始まる濃度/流量を見つけることが有益です。濃度/流量は、ユーザーがこのポイントに達するまで増加する場合があります。
【0028】
オプションとして、フィードバックデバイスがユーザーからの入力を受け取り、ユーザーが嗅覚の出力を感じることができないことを示す場合、フロー制御装置によって流量が変調されます。
【0029】
オプションとして、環境センサーは少なくとも以下のいずれかを検出するように構成されています:環境の温度、環境の湿度、環境の圧力、環境中に存在する汚染物質の量/識別。これらのいずれかを検出することは有益です。例えば、温度と湿度は物質の匂いに影響を与えることがよく知られていますし、圧力や汚染物質の量/識別も同様です。これらのパラメータを測定することで、第一の物質の流量/濃度を変調することが可能になります。
【0030】
オプションとして、以下のいずれかが該当する場合に、流量調節装置は物質の流量を変調するように構成されます:
- 環境または配送装置内の特定の場所における湿度が事前に定義された閾値を超える場合
- 環境または配送装置内の特定の場所における温度が事前に定義された閾値を超える場合
- 環境または配送装置内の特定の場所における圧力が事前に定義された閾値を超える場合
これにより、物質の流量を変化させることが可能です。
【0031】
オプションとして、汚染物質の量がある閾値を超える場合、匂い発生装置は物質の流れを停止します。なぜなら、環境によってユーザーの感知が変化するためです。これは特に、汚染物質の濃度がユーザーの嗅覚感知を公正にテストするには過度に高い場合に有利です。例えば、ある場所から一定の距離内に森林火災や湿地帯の火災がある場合、空気は燃えているような匂いがして、それが匂い発生装置から発せられる匂いを圧倒する可能性があります。
【0032】
オプションとして、流量センサーは流量の測定値を流量コントローラーに伝え、測定された値が意図した流量と異なる場合、流量が意図した値に達し安定するまで流量が調整されます。これにより、匂い発生装置の正確さと精度が確保されます。特に、物質の流量/濃度が設定された量から逸脱しないようにすることができます。
【0033】
オプションとして、流量または濃度を検出するためのセンサーは、次のいずれかである:
・流量センサー、圧力センサー、または差圧センサー
・気流生成要素は、1つ以上のポンプまたはマイクロポンプで構成されています
・流量制御装置は、調整可能なバルブ、フィルター、電子デバイス、回路、メモリデバイス、マイクロコントローラ、またはマイクロプロセッサのいずれかを含んでいます。
【0034】
オプションとして、匂い送達デバイスには、出力コンポーネントからユーザーの位置までの距離を測定するための距離センサーが追加されており、決定された距離が増加するにつれて流量制御装置は流量を変化させるように構成されています。好ましくは、距離センサーは光学的な距離センサー、超音波距離センサー、またはCO2センサーのいずれかです。ユーザーがデバイスから遠ざかるほど、匂い送達デバイスによって放出される物質はより広がります(ユーザーとデバイスの間の空気の体積が大きくなるため)。したがって、ユーザーが遠くにいる場合、ユーザーの距離を監視することでこの変数を考慮に入れることができます。これにより、匂い送達デバイスはよりシンプルで効率的になります。以前と同じく多くの変数を制御する必要がなくなるためです。
【0035】
オプションとして、匂い送達デバイスはさらに次の構成要素を含むことがあります:
- 第2の缶から第2の物質を受け取るための第2の送達チャンネル。第2の物質は第2の嗅覚出力を生成するか、第1の物質に関連する嗅覚出力を変化させるように構成されています。
- 第2の物質が放出されるための第2の出力コンポーネント。
- フロー制御装置は、次のいずれかのフィードバックに応じて、第2の物質の流量を第2の送達チャンネルから第2の出力コンポーネントに制御するように構成されています:
- 第2の送達チャンネル内に配置された第2のセンサーは、第2の送達チャンネルを通る流量を検知するように構成されています。
- 環境センサーは環境条件を検知するように構成されています。
- ユーザーフィードバックデバイスはユーザーからの入力を受け取るように構成されています。
- 好ましくは、第2の物質を保存するために第2の缶が追加されます。
- 好ましくは、フロー制御装置はフロー制御装置のアレイで構成されており、アレイ内の各フロー制御装置は第2の送達チャンネルから第2の出力コンポーネントへの第2の物質の流量または濃度を制御するように構成されています。
第2の物質を放出することは特に有利です。それにより、異なる匂いを混ぜ合わせて新しい匂いを生成したり、第1の物質によって引き起こされる匂いの強さを変えたりすることが可能になります。1つのデバイスで複数の匂いをテストすることができます。第2の送達チャンネルは、1つまたは複数の追加の送達チャンネルと呼ばれることがあります。
【0036】
オプションとして、匂い送達デバイスはさらに次の構成要素を含むことがあります:
- 第一出力と第二出力が供給されるチャネルを形成する匂い出力拡張部。このチャネルには、単一のユーザー出力が末端にあります。これにより、複数の出力が一箇所にまとまり、ユーザーにより直接的に提供されます。
- 第一物質と第二物質が混ざり合って、第一物質や第二物質の嗅覚出力とは異なる嗅覚出力を持つ混合物が形成されるというオプションも考えられます。
これらのオプションにより、異なる出力が結合されたり混合されたりすることで、新たな嗅覚出力が生成される可能性があります。また、ユーザーに提供される出力が一箇所に集約されるため、使用者は便利に利用することができます。
【0037】
オプションとして、第一の送達チャネルと第二の送達チャネルは互いに分離されており、第一と第二の送達チャネルの間での汚染を避けるようになっています。これにより、各チャネルの統合性が複数回の使用を通じて保持され、匂い送達デバイスの各使用時に意図した匂いが放出されることができるという利点があります。
【0038】
オプションとして、匂い送達デバイスは、デバイスの操作が気付かれない程度のノイズを生成するノイズ生成要素をさらに備えています。これにより、ユーザーはデバイスが使用中かどうかを意識することがありません。それ以外の場合、流量コントローラによって生成されるノイズに基づいて、匂い送達デバイスが物質を放出していることに気付くことができます。その結果、ユーザーは匂いを感知したと主張したり(または信じたり)するかもしれませんが、実際にはそうではありません。したがって、匂い送達デバイスが使用されている場合に公正なテストが行われるようになります。たとえば、臨床設定での使用時などに有用です。
【0039】
オプションとして、匂い送達デバイスは、1つ以上の空気流生成要素をさらに備えており、これらは物質をキャニスタから出力部品へと輸送するための空気流を生成します。これにより、拡散過程に頼るよりも、物質をユーザーに迅速に送ることができます。
【0040】
オプションとして、空気流は無臭であるように設定されており、物質の香りが変化しないようにされています。好ましくは、匂い送達デバイスには、環境から空気を取り込むための空気取り入れ要素と、空気中の汚染物質を除去するための1つ以上の空気フィルターが備わっています。
【0041】
オプションとして、匂い送達デバイスは、第二のデバイスからの指示を受け取るための通信ユニットをさらに備えています。これにより、医師など外部から匂い送達デバイスを制御することが可能になります。
【0042】
第二のアスペクトによれば、本開示では、物質が関連付けられた匂い出力を持つ貯蔵容積を備えたキャニスタが開示されています。ここで、キャニスタは第一のアスペクトの匂い送達デバイスによって受け入れられるように構成されており、一度デバイス内に受け入れられると、キャニスタは物質を送達チャネルに放出するように構成されています。キャニスタの着脱可能性は有利である可能性があります。なぜなら、キャニスタ内に最初に入っていた物質が使用された後に、匂い送達デバイスを補充することができるからです。これにより、デバイスのメンテナンスが行われ、デバイスによってより多くの種類の匂いがテストされることが保証されます。
【0043】
第三のアスペクトによれば、本開示では、適応型システムユニットが開示されており、入力ユニットと通信ユニットを備えています。入力ユニットは、ユーザーからの入力を受け取るように構成されており、通信ユニットは上記で説明した匂い送達デバイスと通信するように構成されています。匂い送達デバイスとの通信は、匂い送達デバイスが放出する匂い出力に影響を与えるための指示を含みます。入力ユニットは、ボタン、画面、またはユーザーの動き(例:ユーザーの目の動き)の検出のいずれかであることが好ましいです。適応型システムユニットは、上記で説明した匂い送達デバイスの出力を制御するために、匂い送達デバイスと通信することができる利点があります。
【0044】
第四のアスペクトによれば、本開示では、第三のアスペクトで述べられた適応型システムユニットと、第一のアスペクトで述べられた匂い送達デバイスを含むシステムが開示されています。
【0045】
第五のアスペクトによれば、第一のアスペクトで述べられた匂い送達デバイスからユーザーへ匂いを提供する方法が開示されています。この方法は以下の手順を含みます:
第一の物質の流れを発生させるための指示を受け取る。物質はそれに関連する嗅覚的な出力、例えば匂いを持っています。
第一の物質の流れを最初の流量または濃度で開始する。
次のいずれかからの測定値を受け取る:
第一の送達チャンネルに配置されたセンサーによる流量または濃度の測定値の検知。
環境センサーによる環境条件の検知。
ユーザーフィードバックデバイスによるユーザーからの入力の受け取り。
測定値に応じて、第一の物質の流量または濃度を変更する。測定値に基づいて物質の流量または濃度を変更することは、物質の流量や濃度を正確に制御することができるため、有益である場合があります。
【0046】
任意において、測定はユーザーフィードバックデバイスからのものであり、少なくとも以下のいずれかの指標を含みます:
ユーザーが嗅覚的な出力を感じることができるかどうか
ユーザーが嗅覚的な出力を感じる期間
ユーザーの嗅覚的な出力に対する感情的な反応
この情報は、テストの残りの部分で使用すべき第一の物質の流量や濃度を決定する際に役立つ場合があります。
【0047】
任意において、測定は環境センサーからのものであり、少なくとも以下のいずれかの指標を含みます:
環境の湿度が事前に定義された閾値を超えているかどうかの指標
環境の温度が事前に定義された閾値を超えているかどうかの指標
環境の圧力が事前に定義された閾値を超えているかどうかの指標
これらのいずれも有利です。例えば、温度と湿度は物質の香りに影響を与えることがよく知られており、圧力(降水量とも関連する)も同様です。これらのパラメータを測定することで、第一の物質の流量や濃度を調整することができます。
【0048】
任意において、測定は第一の配送チャネルに配置されたセンサーからのものであり、測定された流量が意図された流量と異なることを示す指標を含みます。この場合、流量が意図された流量に達し、安定するまで流量が調整されます。これは、匂い送達装置の正確さと精度を確保するために有利です。特に、物質の流量や濃度が設定された量から逸脱しないようにすることができます。
【0049】
任意において、測定はユーザーと装置の距離を示す指標を含みます。ユーザーがより遠くにいる場合、第一の物質の流量または濃度が増加します。ユーザーが装置から遠く離れているほど、匂い送達装置によって放出される物質はより広がります(ユーザーと装置の間に大量の空気が存在するため)。したがって、ユーザーが遠くにいる場合、ユーザーの距離を監視することでこの変数を考慮することができます。これにより、匂い送達装置はよりシンプルで効率的になります。以前ほど多くの変数を制御する必要がないためです。
【0050】
第六の側面によれば、第五の側面の方法を実行するために構成されたプログラム命令を含むコンピュータープログラム製品が開示されています。第七の側面によれば、第六の側面のコンピュータープログラム製品でプログラムされたプログラマブルデバイスが開示されています。例えば、プログラマブルデバイスはモバイル電話、タブレット、ノートパソコン、またはデスクトップコンピューターなどがあります。
【0051】
第八の側面によれば、ユーザーの嗅覚を支援および代替するための嗅覚支援システムが開示されています。このシステムは以下を含みます:
・嗅覚出力を検出するための嗅覚センシングデバイスであり、次の構成要素を含む:
- 少なくとも1つのガスセンサーであり、嗅覚出力に応答して嗅覚出力に対応するセンサー情報を生成する。
- 嗅覚センシングデバイスはセンサー情報をプロセッサに出力するように構成されている。
- 嗅覚センシングデバイスはユーザーに取り付けられ、ユーザーの鼻の近くに配置されるように構成されている。
・ユーザーへの出力デバイスであり、プロセッサからの指示を受け取り、指示を受け取った場合に嗅覚出力に関連する匂いの識別情報をユーザーに出力するように構成されている。
【0052】
嗅覚出力に関連する匂いの識別情報を出力することにより、このシステムはユーザーの嗅覚を支援または代替することができます。例えば、ユーザーの嗅覚が損なわれている場合(完全にまたは一部的に損なわれている場合)、匂いの識別情報は別のプラットフォームを介して出力されることができます。ガスセンサー(または電子鼻)は嗅覚出力を検出し、応答としてセンサー情報を生成します。これにより、嗅覚出力に関する情報が示され、匂いを識別するために使用することができます。嗅覚センシングデバイスがユーザーに取り付けられているため、デバイスはユーザーの鼻の近くに配置することができます。一部の例では、嗅覚センシングデバイスは身に着けることができるものです。つまり、嗅覚センシングデバイスはユーザーが身に着けることができます。嗅覚センシングデバイスは、例えば眼鏡やネックレス、服などのユーザーの身につけるものに配置することができます。配置は鼻に行われることもあり、ユーザーが匂いを検知できる嗅覚知覚の領域内に配置されることもあります。これにより、ガスセンサーの測定値は非常に正確であり、ユーザーの鼻が実際に受け取った嗅覚出力を示すことができます。これは、ユーザーから離れた位置にガスセンサーを配置するよりも正確です。
【0053】
したがって、嗅覚センシングデバイスをユーザーに取り付けることにより、嗅覚支援システムは嗅覚を支援または代替することができます。嗅覚センシングデバイスがユーザーの鼻の検知を模倣する位置にあるため、嗅覚センシングデバイスによる検知はユーザーの嗅覚の代表となる可能性があります。ユーザーの嗅覚が損なわれている場合、嗅覚センシングデバイスは正確に嗅覚を支援または代替することができます。例えば、ユーザー出力デバイスは、嗅覚センシングデバイスによって検知された匂いの存在や強度を識別することができます。デバイスがユーザーの鼻の近くに配置されるため、これは完全に機能する嗅覚を持つ場合にユーザーが感じるであろうものに正確に対応することができます。したがって、嗅覚支援デバイスは、例えばユーザーの鼻から離れた場所に配置されるよりも、ユーザーの嗅覚をより正確に表現するために使用することができます。また、ユーザーに取り付けることにより、嗅覚センシングデバイスはハンズフリーで使用することができ、操作の容易さと便利さが向上します。
【0054】
嗅覚センシングデバイスは、ユーザーに取り付けることができ、取り付けたまま使用することができます。例えば、嗅覚センシングデバイスには、ユーザーに取り付けるための取り付け手段が備わっている場合があります。例えば、取り付け手段はクリップであり、一部の場合ではユーザーの顔または鼻にクリップすることができます。一部の例では、取り付け手段は調整可能であり、嗅覚センシングデバイスを確実に固定するために調整することができます。例えば、取り付け手段は調整可能なクリップであり、ユーザーの鼻に合わせて調整して確実に固定することができます。
【0055】
嗅覚センシングデバイスは、ユーザーの顔近くに取り付けることができます。特に、嗅覚センシングデバイスはユーザーの顔に取り付けることができます。好ましいことに、嗅覚センシングデバイスはユーザーの鼻に取り付けることができます。嗅覚センシングデバイスは、ガスセンサーがユーザーの鼻の近くに配置されるようにユーザーに取り付けることができます。例えば、ガスセンサーがユーザーの鼻から10 cm未満の位置に配置される場合があります。この場合、ユーザーの鼻の任意の部分、特にユーザーの鼻孔に言及することができます。
【0056】
本文中で使用されている「嗅覚出力(olfactory output)」は、好ましくは「匂い(odour)」と理解されるべきです。嗅覚出力または匂いは、人間が嗅覚を通じて検知できるものです。特に、嗅覚出力は、人間の嗅覚能力の範囲内で、嗅覚が障害を受けていない場合に人間によって検知可能であるべきです。嗅覚出力は、他の表現として「香り」とも言及される場合があります。嗅覚出力は、揮発性有機化合物(VOC)の化学物質からなることがあり、それによって匂いが生じます。ガスセンサーの出力は、嗅覚出力の化学物質の匂いを示すものとなる場合があります。例えば、嗅覚出力は、ヒトの鼻(または他の嗅覚系を持つ動物)によって検知される場合に「匂い」として考えられることがあります。例えば、ラベンダーの花はラベンダーの匂いをヒトにもたらす嗅覚出力を放出する場合があります。また、嗅覚出力は、本文で開示されるような匂い提供装置によって提供される場合もあります。
【0057】
場合によっては、プロセッサがセンサー情報を処理し、その結果生成された指示に基づいて、ユーザー出力装置が指示を受け取ります。具体的には、プロセッサはセンサー情報を処理して指示を生成するため、匂いの識別情報を出力するための指示がセンサー情報に基づいている場合があります。
【0058】
好ましいことに、匂い検知装置はユーザーの鼻から1m以内に配置され、さらに好ましいことには50cm以内、さらに好ましいことには10cm以内、さらにさらに好ましいことには2cm以内に配置されます。ユーザーの鼻に対する近接性は、好ましくはユーザーの鼻の鼻孔に対する近接性を指します。好ましいことに、匂い検知装置はユーザーから取り外し可能であるとされます。
【0059】
したがって、匂い支援システムは、ユーザーの鼻の近くで検出された嗅覚の出力に基づいてユーザーに出力を提供するために使用できます。ユーザーの嗅覚が障害されている場合、出力はユーザーの嗅覚を補助または代替することができます。出力は、検出された匂いを識別してユーザーの嗅覚を補完するか、完全に代替することができます。
【0060】
任意において、識別は、匂いに関連する物体の表現を含むことができる。一部の例では、識別は匂いの表現を含むことがある。例えば、表現は匂いを生み出す物体の表現である場合があります。表現は、他の感覚モダリティ(例:音声、視覚、触覚、味覚)からの記述子やトリガーを含む場合があります。表現は、前述のように異なるプラットフォームを使用して行われることがあります。プラットフォームは、言葉による説明であるか、画像や動画、音声などの視覚的な形式であるかもしれません。プラットフォームは、スマートフォンやタブレットなどのスマートプログラム可能なデバイスに統合されている場合があります。例えば、特定の花の匂いは、スマートフォンに表示されるその花の写真で表現されることがあります。表現は、画像などの視覚的な表現と/またはテキスト表現のような視覚的な表現である場合があります。例えば、表現はレモンの匂いがする場合にレモンの画像であるかもしれません。匂いの識別は、匂いではないプラットフォームを介して出力される場合もあります。言い換えると、識別は匂いの形式ではない場合があります。例えば、前述のように、識別は視覚ベース、音声ベース、および/または触覚ベースである場合があります。表現は抽象的な場合もあります。例えば、特定の匂いは特定の音や抽象的なイメージと関連付けられる場合があります。
【0061】
プロセッサは、センサ情報を処理して匂いを識別することができます。これには、パターンマッチングや他のアルゴリズムを使用して、センサ情報と匂いを相関させる処理が含まれます。たとえば、プロセッサは、センサ情報と匂いの相関を持つデータベースにアクセスすることがあります。例えば、ある匂いがセンシングデバイスの電気出力信号の特定の形状(センサアレイ内の個々のセンサからの信号の形状など)に結果をもたらす場合、信号の形状を分析し、特定の匂いまたは匂いの組み合わせと一致させることができます。機械学習(ニューラルネットワークなどの人工知能プラットフォーム)を使用して、この分析を実行することができます。たとえば、ニューラルネットワークプラットフォームを使用することができます。さまざまな制御された匂い(異なる強度)や匂いの組み合わせは、匂い送達デバイスによってセンサアレイの出力信号の異なる形状を生成します。これらを使用してニューラルネットワークを訓練することができます。運用時には、未知の出力信号の形状が受信されると、ニューラルネットワークは匂いまたは匂いの組み合わせとその強度を識別することができます。
【0062】
プロセッサは、匂いの識別情報を選択することができます。たとえば、匂いを表す画像やテキストを選択することがあります。プロセッサは、匂いの表現を格納するデータベースにアクセスすることができます。その後、プロセッサは識別情報の表現を取得し、ユーザー出力デバイスに送信することができます。また、プロセッサは、ユーザー出力デバイスがアクセス可能なデータベースから、識別情報の特定の表現を取得するように指示を送信することもあります。
【0063】
匂いの識別情報は、ユーザーが自分の嗅覚を利用できない状況でも、その匂いを理解することができるようにするかもしれません。たとえば、ユーザーの嗅覚が障害を持っている場合、識別情報によってユーザーは匂いを理解することができます。
【0064】
一部の例では、識別情報には複数の匂いの組み合わせの識別も含まれる場合があります。たとえば、検出された嗅覚出力は、複数の嗅覚出力が混ざっている場合があります。これは意図的なものである場合もあります(例:テスト中)、または自然環境において匂いが混ざる場合もあります。例えば、識別情報は1つ以上の匂いを識別する場合があります。一部の例では、識別情報は1つ以上の匂いの強度を示すことができます。強度は相対的な強度または絶対的な強度であり、各成分匂いの強度を表すことができます。一部の例では、識別情報は主要な匂いを識別し、より弱い匂いを識別するかどうかは明示されない場合もあります。これは、ワインソムリエなどのユーザーが複雑な匂いを感知する必要がある香りのトレーニングに使用されます。単一の匂いがある場合でも、識別情報は匂いの強度を識別することができます。たとえば、これはユーザーが食品の安全性を判断する際に、匂いの強さ(例:牛乳の匂い)に基づいて判断するのに役立つことがあります。
【0065】
一部の例では、嗅覚支援システムは嗅覚テスト、嗅覚トレーニング、および没入体験に使用されます。嗅覚感知装置とユーザー出力装置の組み合わせにより、システムは異なる嗅覚出力を嗅ぎ分けるためのユーザーの能力をテストするために使用できます。嗅覚支援システムは、嗅覚トレーニングにも使用できます。ここでは、ガスセンサーがユーザーの嗅覚認識を確認することができます。また、ガスセンサーが放出される匂いを確認し、それによって視覚や音声環境の変化などのユーザー出力が生じる仮想現実(VR)や拡張現実(AR)のエンターテイメントなどの没入体験にも嗅覚支援システムを使用することができます。
【0066】
ユーザー出力装置は、システムを使用するユーザー自身に出力するように設定することができます。たとえば、これはユーザー入力装置を使用する同じユーザーに対しての出力である場合があります。ユーザー出力装置は、ユーザーに対してだけでなく、ユーザーの嗅覚テストを行う臨床家などの追加のユーザーにも出力することができます。
【0067】
オプションとして、ユーザー出力装置は視覚的な出力を備えており、識別子は画像、テキスト、および/またはビデオ形式で視覚的な出力を通じて出力されます。たとえば、視覚的な出力はディスプレイや画面である場合があります。識別子は、嗅覚出力と関連する香りの表現です。たとえば、ガスセンサーによって検出された嗅覚出力がレモンの香りであると判断された場合、識別子はレモンの画像、’’lemons’’という単語のテキスト、またはレモンのビデオなどを含むことがあります。香りの強度も、言葉や図表で表現することができます。このように、視覚的な出力はユーザーの嗅覚を補完し、ユーザーがこの嗅覚出力を嗅ぐのに困難がある場合に役立つことができます。
【0068】
オプションとして、ユーザー出力装置は音声出力を備えており、識別子は音声出力を通じて出力されます。たとえば、音声出力はスピーカーまたは他の音声発信器である場合があります。たとえば、ガスセンサーによって検出された嗅覚出力が特定の香りと判断された場合、識別子にはその香りに関連する音声クリップ、香りに関連する音楽、または香りを表現した声のクリップなどが含まれる場合があります。ユーザー出力装置は視覚的な出力と音声出力を備えており、視覚的な出力と音声出力を個別にまたは組み合わせて出力することができます。
【0069】
オプションとして、ユーザー出力装置は触覚出力を備えており、識別子は触覚フィードバックを通じて出力されます。たとえば、触覚出力は振動子や他の触覚ベースの発信器である場合があります。触覚出力はユーザーに取り付けられるため、ユーザーは触覚出力を感じることができます。たとえば、肌に対して振動することで触覚出力を感じることができます。ユーザー出力装置は触覚出力と視覚的な出力と/または音声出力を備えており、触覚出力と視覚的な出力と/または音声出力を個別にまたは組み合わせて出力することができます。
【0070】
一部の例では、ユーザー出力装置は味覚に関連する味の出力または嗅覚に関連する匂いの出力を備えています。一部の場合、ユーザーは嗅覚の出力を一部損なっており、嗅覚の出力を検知することができませんが、ユーザー出力装置はユーザーが検知できるレベルで味や匂いを出力することができます。ユーザー出力装置は、例えばここで開示されたような匂い放出装置を含む場合があります。これは、ユーザーの嗅覚を支援するために使用することができます。
【0071】
一部の例では、ユーザー出力装置は、指示を受け取った場合に、嗅覚の出力の強度を示す表示を出力するように設定されています。これにより、ユーザーに匂いの相対的な強さを知らせることができます。例えば、ユーザー出力装置はレモンの画像として識別情報を出力し、さらに同じ形式(画像やテキストなど)または異なる形式(音声など)で、数値(1から10までのスケールなど)による強度の指示を補完することができます。
【0072】
任意に、センサー情報は次のいずれかの指示を含む場合があります:嗅覚の出力の存在、嗅覚の出力の強度、嗅覚の出力に関連する匂いまたは匂いの種類の識別、嗅覚の出力のパルスの持続時間、連続するパルス間の期間、嗅覚の出力の基準線、嗅覚の出力が静的なのか動的なのかを示すかどうか。例えば、センサー情報には、基準線を表す背景の嗅覚の出力との比較によって、嗅覚の出力が検出されたかどうかを確認する情報が含まれる場合があります。センサー情報は、嗅覚の出力の強度を識別することがあります。例えば、電圧として表され、関連する強度の単位に変換されることがあります。これにより、異なる嗅覚の出力の相対的な強度や濃度を表すことができます。センサー情報は、嗅覚の出力の匂いまたは匂いの種類を識別することがあります(嗅覚センシングデバイスでそのような処理が可能な場合)。センサー情報には、パルスの持続時間が含まれる場合があります。これは、嗅覚の出力が検出されてから強度が基準線に戻るまでの時間、または連続するパルス間の期間です。センサー情報には、基準線に関連する情報が含まれる場合があります。これは、時間経過による背景の嗅覚の出力を表します。これにより、嗅覚の出力のパルスを分離し、背景効果を除去することができます。基準線は、環境の嗅覚の出力やユーザーの嗅覚の出力を示すこともあります。センサー情報には、嗅覚の出力が静的なのか動的なのかを示すことがあります。これは、嗅覚の出力が時間経過に伴ってどのように変化するか、または時間経過によって異なる匂いがあるかどうかを示します。これらの指示のいずれか、または組み合わせが提供される場合があります。センサー情報は、匂いの選択性を示すこともあります。センサー情報には、同期信号やその他の制御データが含まれる場合もあります。
【0073】
任意に、匂い支援システムはさらにプロセッサを含む場合があります。つまり、プロセッサは匂い支援システムの一部となる可能性があります。他の場合では、プロセッサは独立しており、匂い支援システムは別途提供され、プロセッサと組み合わせて使用される場合があります。
【0074】
任意に、プロセッサはセンサー情報を処理して、ガスセンサーによって検出された嗅覚出力に関連する匂いを特定するように設定されています。プロセッサは、特定の識別に対応する命令を生成するために設定されており、その命令をユーザー出力デバイスに提供するように設定されています。
【0075】
任意に、プロセッサは機械学習、ニューラルネットワーク、および/または人工知能アルゴリズムを使用して、センサー情報を処理して匂いを特定するように設定されています。例えば、モデルは入力と出力のデータを使用してトレーニングされ、精度を向上させることができます。さまざまな嗅覚出力と強度が提供される可能性があり、その結果のセンサー情報を使用してモデルをトレーニングすることができます。特定の出力(つまり、センサー情報)に対して、トレーニングされたモデルは入力(つまり、嗅覚出力)をより正確に推測することができます。これにより、嗅覚出力に対する選択性と感度が向上します。
【0076】
任意に、プロセッサはユーザー情報を受け取るように設定されており、センサー情報とユーザー情報を相関させるように設定されています。例えば、この相関は匂いの特定に使用されることがあります。ユーザー情報はセンサー情報と組み合わせてより正確な判断を行うために使用されることがあります。ユーザー情報は出力に影響を与えるためにも使用されます。例えば、ユーザー情報がユーザーの嗅覚能力の相対的なレベルを示している場合、出力に影響を与えることができます。例えば、ユーザー情報が特定の嗅覚を感知できるレベルを示している場合、システムは出力を異なる方法で行うことができます(例えば、より侵入的なオーディオ出力ではなく、画像のみを出力する)または特定の強度が閾値を超える場合、嗅覚出力を検知できることが知られているレベル以上の場合、識別を出力しない場合があります。
【0077】
任意に、ユーザー情報は特定のユーザーに関して次のいずれかを示すものである場合があります: 年齢、性別、その他の人口統計情報、健康情報、および/または過去のセンサー情報。この人口統計情報や健康情報は、嗅覚能力に関する特性を推測するために使用され、それが出力に影響する可能性があります。
【0078】
任意に、プロセッサはユーザー情報を嗅覚センシングデバイス、ユーザー出力デバイス、および/または外部データベースから受け取るように構成されています。例えば、嗅覚センシングデバイスと/またはユーザー出力デバイスは、ユーザー情報をプロセッサに送信するように構成されている場合があります。これは、ユーザー情報を保持するストレージを備えていることがあります。他の例では、プロセッサは外部データベースにアクセスし、ユーザー情報が含まれている可能性があります。
【0079】
任意に、嗅覚支援システムはユーザーに関連するユーザー情報を収集するように構成されています。例えば、ユーザーはユーザー情報を入力することがあります。それは後で使用するために、ユーザーの個人的なユーザー情報の一部として保存されるかもしれません。これは、他のユーザーからのユーザー情報と集計される場合もありますが、その場合は匿名化されることがあります。集計されたユーザー情報は、例えば人口統計情報によって選ばれたユーザーグループに関連するデータを提供する一般的なユーザー情報として使用できます。
【0080】
任意に、嗅覚支援システムは、環境パラメータに応じて環境情報に対応するように構成された環境センサをさらに含んでおり、環境センサは環境情報をプロセッサに出力するように構成されています。その後、環境情報を処理することができます。
【0081】
任意に、環境パラメータは次のいずれか、または複数の組み合わせであることがあります:湿度、温度、圧力、汚染物質の識別または強度、嗅覚感知装置とユーザの鼻との距離、ユーザの呼吸などです。さまざまな環境要因は嗅覚に影響を与える可能性があるため、これらを考慮することで精度を向上させることができます。湿度、温度、圧力、および汚染物質は、背景環境や検出される嗅覚出力に影響を与えることがあります。嗅覚感知装置とユーザの鼻との位置関係は、ガスセンサの検出結果がユーザが感知するものと比較してどれだけ正確であるかを判断するために使用できます。つまり、システムは嗅覚感知装置とユーザの鼻との距離を検出するための位置センサを含んでいる可能性があります。距離は、センサ情報を補正するために使用されることがあります。特に、センサが与えられた分離に対して補償を決定するためにキャリブレーションされている場合、距離を使用して補償できます。その結果、ユーザの鼻で感知される強度が求められます。ユーザの呼吸も検出される嗅覚出力に影響を与える可能性があります。センサは鼻の流量と方向、および呼吸のタイミングを検出することができます。たとえば、鼻の流量と方向は嗅覚出力の測定方法に影響を与える可能性があります。これを補正することで、測定精度を向上させることができます。つまり、システムはユーザの呼吸を検出するための呼吸センサを含んでいる可能性があります。環境情報は、嗅覚出力(化学刺激)に対するガスセンサの応答の特徴でもあり、それによって嗅覚の種類を示すことができます。たとえば、環境センサは温度センサおよび/または湿度センサである場合があります。
【0082】
任意に、環境センサは嗅覚感知装置の一部を構成することがあります。たとえば、環境センサは嗅覚感知装置に配置される場合があります。これにより、環境センサはユーザの鼻とガスセンサに近い位置に配置されるため、補償がより正確になります。たとえば、嗅覚感知装置は1つ以上のガスセンサおよび1つ以上の環境センサを含む場合があります。たとえば、嗅覚感知装置は1つ以上のガスセンサと温度および/または湿度センサを含む場合があります。1つ以上のガスセンサは、金属酸化物センサまたは金属酸化物センサとPIDセンサの組み合わせなど、ガスセンサのアレイである場合があります。異なる金属酸化物センサは異なる匂いを検知できますが、温度および湿度センサは湿度と温度の変化によるガスセンサ信号の歪みを補償することができます。
【0083】
任意に、プロセッサは環境情報を受信するように設定され、センサ情報と環境情報との相関を取るように設定されます。例えば、この相関は環境の匂い(または背景の匂い)の識別に使用されることがあります。環境パラメータは匂いの知覚に影響を与える可能性があるため、この情報を処理することにより、プロセッサはより正確に匂いを識別し、環境効果を補償することができます。例えば、湿度が匂いの検出に影響を与えるレベルである場合、センサ情報はそれを考慮に入れて補償されることがあります。
【0084】
一部の例では、プロセッサはセンサ情報と環境情報、およびユーザ情報を相関させるように設定されます。例えば、この相関は匂いの識別、または組み合わせた匂いや主要な匂い、匂いの強度の特定に使用されることがあります。これらの情報セットを組み合わせることで、センサ情報はユーザの過去のデータや好み、環境条件に基づいて補償され、より正確な識別が可能となります。出力にも影響が及ぶ場合もあります。例えば、湿度が匂いの検出に影響を与える場合、ユーザはユーザ出力装置を通じて警告を受けることがあります。また、出力は、例えば視覚的な応答を補完するために音声応答を出すように調整される場合もあります。一部の例では、プロセッサはセンサ情報、環境情報、および/またはユーザ情報のいずれか、または複数を相関させるように設定されます。一部の例では、プロセッサは環境情報とユーザ情報を相関させるように設定されます。
【0085】
オプションで、匂い支援システムは、ユーザフィードバック装置をさらに備えています。このユーザフィードバック装置には、ユーザの匂いの知覚を示すユーザ入力を受け取るユーザ入力ユニットが配置され、その結果として、匂いの出力に対応するユーザ入力情報を生成します。そして、ユーザフィードバック装置は、ユーザ入力情報をプロセッサに出力するように設定されます。ユーザ入力情報はその後、処理されることがあります。これにより、ユーザが匂いをどのように感じているかを確認し、ガスセンサの妥当性を検証するための手段として使用したり、ユーザに対する匂いの識別の出力に影響を与えたりすることができます。例えば、ユーザ入力情報がユーザが匂いを正しく感じることを示している場合、識別の出力は必要ないかもしれません。別の例では、誤ったユーザ入力は、嗅覚の問題を特定するために使用されたり、特定のレベルや特定の環境条件下でその特定の匂いを感じることができないことを示すために、環境センサからの出力と組み合わせて、ユーザ情報にフィードされたり、ユーザ出力装置を介してユーザに追加の警告が行われたりする場合があります。
【0086】
オプションで、ユーザ入力には、以下のいずれかの要素のユーザの知覚を示す指示が含まれることがあります:匂いの存在の有無、匂いの強度、匂いの識別または匂いの種類、パルスの継続時間、パルス間の時間間隔、および/または匂いの静的または動的性。ユーザ入力は、例えば、ユーザが匂いを検出できるか否かを示すことができます。これは、バイナリ入力の形式で表現される可能性があります。ユーザ入力は、強度に関連する場合があります。強度は、質的な(高、中、低)、数量的な(1から10まで)、または相対的な(以前の匂いと比較して高い、低い、同じ)形式で示されることがあります。ユーザ入力は、ユーザが匂いまたは匂いの一部の候補を明示的にまたは推測することを試みることを許可する場合があります。ユーザ入力は、一般的に肯定的な匂いか否か、好きか嫌いかを示す場合もあります。これは、ユーザ情報にフィードバックされることがあります。
【0087】
オプションで、ユーザ入力ユニットには、次のいずれかの要素が含まれることがあります:ボタン、タッチスクリーン、および/またはユーザの応答を検出する検出器。例えば、匂いのテストやキャリブレーション環境では、ユーザに異なる匂いの知覚を異なる強度で記録するためのユーザ入力ユニットが提供される場合があります。ユーザ入力ユニットは、ユーザが単純な応答やリストからの選択を示すために使用できるボタンである場合があります。ボタンは、キーボードのボタンやマウスクリックなどが該当します。ユーザ入力は、スタンドアロンデバイスやコンピュータ、スマートフォン、タブレットなどのコンピューティングデバイスを介してタッチスクリーンを通じて利用できる場合もあります。また、ユーザ入力ユニットは、ユーザの応答を検出する検出器で構成される場合もあります。検出器は、ユーザの目の動きや心拍数、血圧などの生体反応を検出することができます。ユーザ入力ユニットには、音声入力を許可するマイクも含まれる場合があります。音声入力は音声認識技術を使用して処理されることができます。
【0088】
オプションで、ユーザフィードバックデバイスは、ユーザ出力デバイスの少なくとも一部を構成します。一部の例では、ユーザフィードバックデバイスはユーザ出力デバイスに配置されます。これにより、システムを一体化することができます。例えば、ユーザ出力デバイスには、ビジュアルおよび/またはオーディオ出力を行うためのスクリーンおよび/またはスピーカーが含まれる場合があります。ユーザ出力デバイスには、ユーザフィードバックデバイスも含まれるため、ユーザは自身の応答を入力することができます。たとえば、タッチスクリーンやキーボード、マウスクリックなどの形式での入力が該当します。同じデバイスを使用することができ、スマートフォンやタブレットなどのスマートデバイスが該当します。スマートフォンやタブレットは、タッチスクリーンを提供し、スクリーンおよび/またはスピーカーを介してユーザ出力を行い、タッチスクリーンおよび/またはマイクを介してユーザ入力を可能にすることができます。
【0089】
オプションで、プロセッサはユーザ入力情報を受け取り、センサ情報との相関関係を取るように設定されています。相関関係は、匂いの特定に使用される場合があります。ユーザ入力情報は、センサ情報と組み合わせてより正確に匂いを特定するために使用されます。例えば、ユーザの匂いの知覚は、ガスセンサの読み取りを確認することができます。不正確なユーザの知覚は、出力を調整するために使用することもあります。たとえば、ユーザの嗅覚が潜在的に障害されていることを知らせることができます。ユーザフィードバックデバイスからの情報は、匂い感知デバイスによって提供される情報と同期させ、相関関係を取るか、評価するか、評価することができます。匂い感知デバイスによって提供される情報は、絶対的または定量的な形式(濃度レベル、匂いの強度、パルスの期間など)であり、より正確かもしれませんが、ユーザフィードバックデバイスを介してユーザによって提供される情報は相対的または質的なもの(匂いの低い、中程度、高いレベル、短いまたは長い期間、比較においてより強く、弱く、または同じなど)である場合があります。これは特に匂いのテストにおいて、ユーザの嗅覚のパフォーマンスや特定の匂いの異なる強度の区別能力を評価するために役立ちますが、匂いのトレーニングにおいても時間の経過に伴うパフォーマンスのモニタリングやトレーニング手順の異常の特定に役立ちます。言い換えると、センサ情報はユーザ入力情報と比較して、ユーザの匂いの知覚を検証するために使用されることがあります。
【0090】
一部の例では、プロセッサはセンサ情報、環境情報、ユーザ情報、および/またはユーザ入力情報のいずれかを相関させるように設定されています。一部の例では、プロセッサはセンサ情報をユーザ情報、環境情報、およびユーザ入力情報と相関させるように設定されています。
【0091】
その他のセンサーとしては、モーションセンサーや光学センサーなどが使用される場合があります。これらのセンサーからの情報は、前述の方法と同様にプロセッサに提供され、処理される可能性があります。そのような情報は、センサー情報、ユーザ情報、環境情報、および/またはユーザ入力情報と相関させることもできます。これは、ウェルビーイング、ヘルスケア、または医療アプリケーションにおいて利用される場合があります。
【0092】
任意では、プロセッサはユーザの嗅覚プロファイルを生成するように設定することができます。プロセッサは、センサー情報、ユーザ情報、環境情報、および/またはユーザ入力情報のいずれかを使用して、ユーザの嗅覚プロファイルを生成することがあります。ユーザの特定の詳細に基づいて、ユーザの嗅覚プロファイルを構築することができます。たとえば、デモグラフィック情報や健康情報などのユーザ情報を入力して、ユーザのプロファイルを構築することができます。また、ユーザが特定の匂いにどのように反応したか、特定の匂いを検出できるか、またはどのように出力を受け取るかなど、過去の嗅覚データも使用できます。ユーザの嗅覚プロファイルは、ユーザの異なる種類の匂いを識別/識別する能力や相対的な強度、または特定の匂いの特定の化学成分への障害を特定することもできます。匂いはさまざまな化学物質によって定義されるため、化学成分を知ることで、ユーザの受容体の障害が考えられる可能性のある化学成分を特定することができます。プロセッサは、ユーザが検出できない可能性のある化学成分に基づいて類似した匂いを特定することもできます。ユーザプロファイルには、ユーザの歴史的なデータが保持され、他のユーザプロファイルと比較されることができます(たとえば、ユーザの年齢や進行中の神経変性疾患に応じて)。センサー情報は、ユーザまたは背景環境からの匂い出力に基づいて、ユーザの基準となる嗅覚出力を提供するために使用することもできます。環境情報は、ユーザがシステムを使用する方法に依存する場合があるため、ユーザの平均値として温度や湿度などの典型的なパラメータを特定するためにも使用できます。たとえば、ユーザが主に自宅で使用する場合、環境パラメータは比較的静的であるため、ユーザの嗅覚プロファイルを使用して環境条件を予測することができます。アルゴリズムを使用して、環境条件や基準などを予測することができます。これらのアルゴリズムは、過去のデータに基づいて予測され、最近のデータや日付、時間、地理的位置などの一致基準に基づいて重み付けされる可能性があります。
【0093】
任意では、ユーザの嗅覚プロファイルは、次のいずれかを示す可能性があります:ユーザが感知した嗅覚出力、ユーザが感知した嗅覚出力の相対的な強度、ユーザが感知した嗅覚出力の相対的な期間、環境パラメータがユーザの嗅覚出力に与える影響、ユーザからの嗅覚出力の基準線。一部の例では、匂いの識別はユーザの嗅覚プロファイルに基づいて行われます。また、一部の例では、識別の出力もユーザの嗅覚プロファイルに基づいています。ユーザの嗅覚プロファイルは、センサー情報を補正したり、匂いの識別の出力に影響を与えるために使用される場合があります。たとえば、検出された嗅覚出力が、ユーザが十分に検出できない特定の匂いに対応する場合、ユーザがこの特定の匂いや匂いの種類に苦労していることが知られているため、システムは強度に関係なく、匂いの指示(例:画像)を出力する場合があります。
【0094】
任意では、プロセッサは少なくとも一部がローカルのコンピューティングデバイスに含まれます。つまり、プロセッサはローカルのコンピューティングデバイスの一部となる可能性があります。プロセッサはローカルのコンピューティングデバイスと一体化している場合があります。たとえば、プロセッサはローカルのコンピューティングデバイス上に配置されている場合があります。つまり、ローカルのコンピューティングデバイスはプロセッサを含んでいます。たとえば、プロセッサは物理的なハードウェア上に配置されている場合があります。ローカルのコンピューティングデバイスは、ユーザに近接しているという意味で、匂いセンシングデバイスまたはユーザ出力デバイスと直接またはローカルネットワークを介して接続される可能性があります。プロセッサは任意の場合には処理手段、処理ユニット、または処理装置と呼ばれる場合があります。
【0095】
任意では、ユーザ出力デバイスもローカルのコンピューティングデバイスの一部となる可能性があります。つまり、ユーザ出力デバイスはローカルのコンピューティングデバイスの一部となる場合があります。ローカルのコンピューティングデバイスは、プロセッサを含むものと同じものである場合もありますが、別々の場合もあります。ユーザ出力デバイスはローカルのコンピューティングデバイスと一体化している場合があります。たとえば、ユーザ出力デバイスはローカルのコンピューティングデバイス上にも配置されている場合があります。つまり、ユーザ出力デバイスはプロセッサと同じローカルのコンピューティングデバイス上に配置されている場合があります。そのため、システムは統合され、ユーザ出力と処理に同じデバイスが使用されることがあります。プロセッサはそれぞれの識別結果を出力し、別のエンティティに命令を送信する必要はありません。
【0096】
一部の例では、ローカルのコンピューティングデバイスはコンピュータ、スマートフォン、タブレット、または他のスマートデバイスとなることがあります。たとえば、ローカルのコンピューティングデバイスはスマートフォンであり、処理操作を実行するためのプロセッサと、視覚的な出力を行うためのタッチスクリーンインタフェースを備えている場合があります。ローカルのコンピューティングデバイスがスマートフォンであり、処理能力が制限される場合、一部の処理をクラウドなどのリモートの場所で実行する方が効率的かもしれません。この場合、ローカルのコンピューティングデバイスは一部の処理タスクをリモートの処理デバイスにオフロードし、処理に関する指示をリモートの処理デバイスに送信し、結果を受け取ってユーザ出力デバイスに識別結果の出力を指示することがあります。
【0097】
一部の例では、プロセッサはリモートのコンピューティングデバイスの一部となることがあります。つまり、プロセッサはリモートのコンピューティングデバイスに配置される可能性があります。たとえば、リモートのコンピューティングデバイスはクラウドベースのものである場合があります。たとえば、プロセッサはユーザに近い物理的なハードウェアに配置されているわけではありません。代わりに、プロセッサはリモートに配置されており、インターネットなどのリモートネットワークを介して接続されることがあります。臭気検知デバイスやユーザ出力デバイスは、リモート接続を介してプロセッサと通信する場合があります。たとえば、臭気検知デバイスやユーザ出力デバイスのいずれか、または両方には、インターネットなどのリモートネットワークを介したプロセッサとの通信に使用するネットワーク接続が含まれている場合があります。それ以外の場合は、通信はネットワーク接続を持つ中間デバイスを介して行われるかもしれません。
【0098】
任意に、プロセッサは無線受信機を含み、この無線受信機は匂いセンシング装置からセンサ情報を無線で受信するために使用され、プロセッサはまた無線送信機を含み、この無線送信機は指示をユーザ出力装置に無線で送信するために使用される。例えば、プロセッサは匂いセンシング装置とユーザ出力装置とをWi-Fi、モバイルブロードバンド、Bluetooth、Zigbee、その他の無線(RF)通信プラットフォームを介して無線通信することができる。特に、プロセッサは匂いセンシング装置とユーザ出力装置とをZigbee、より好ましくはBluetoothを介して無線通信することができる。そして、プロセッサは有線または無線接続を介してインターネットなどのネットワークに接続されることができる。例えば、プロセッサはWi-Fi接続を介してインターネットに接続され、そしてBluetooth接続を介して匂いセンシング装置とユーザ出力装置とに接続される。
【0099】
いくつかの例では、匂いセンシング装置は通信リンクを介してセンサ情報をプロセッサに出力するように構成されています。通信リンクは有線または無線である場合があります。例えば、匂いセンシング装置はセンサ情報をプロセッサに送信するための送信機を備えている場合があります。任意に、匂いセンシング装置はセンサ情報をプロセッサに無線で送信するための無線送信機を備えている場合もあります。任意に、ユーザ出力装置はプロセッサからの指示を無線で受信するための無線受信機を備えている場合があります。無線送信機は、配線の必要性を回避し、使用の容易さを向上させ、匂いセンシング装置とプロセッサを物理的に分離し、絡まったり束縛されることを避けるため、好ましいものです。例えば、無線送信機/受信機はWi-Fi、モバイルブロードバンド、Bluetooth、Zigbee、その他の無線(RF)通信プラットフォームである場合があります。無線送信機は、センサ情報をスマートデバイスやプログラマブルデバイスなどのコンピューティングデバイスに無線で送信するために使用される場合があります。また、匂いセンシング装置および/またはユーザ出力装置は、有線接続を介してコンピューティングデバイスおよび/またはプロセッサに接続する場合もあります。したがって、送信機は有線接続を介してプロセッサに信号を送信し、センサ情報をプロセッサに出力することができます。例えば、ケーブルが匂いセンシング装置とプロセッサを接続する場合があります。例えば、匂いセンシング装置はUSBコネクタなどの有線インターフェースを備えており、コンピューティングデバイスとしてのプロセッサに接続するために使用されます。有線接続は永久的なものである場合も一時的なものである場合もあります。たとえば、ワイヤがセンサ情報を転送するために匂いセンシング装置と/またはプロセッサに差し込まれる場合があります。匂いセンシング装置はユーザ出力装置との通信リンクを持つことがあります。例えば、匂いセンシング装置の送信機はユーザ出力装置と情報の送受信(無線または有線)を行うように構成されている場合があります。例えば、匂いセンシング装置はセンサ情報をユーザ出力装置に送信する場合があります。ユーザ出力装置はその後、センサ情報をプロセッサに処理するために送信することができます。または、プロセッサがユーザ出力装置にあり、センサ情報がユーザ出力装置のプロセッサによって処理される場合もあります。したがって、この例では、匂いセンシング装置からプロセッサへのセンサ情報の出力により、センサ情報がユーザ出力装置で利用可能になります。
【0100】
いくつかの例では、プロセッサはサーバーやクラウドベースのリソースなどのリモートデバイスである場合があります。このような場合、匂いセンシング装置はセンサ情報を直接プロセッサに送信することがあります(例:インターネットを介した無線通信)またはセンサ情報をユーザ出力装置を介して間接的に送信することがあります。例えば、匂いセンシング装置はセンサ情報をユーザ出力装置に送信する場合があります(例:有線接続またはBluetoothなどの無線通信を介して)。その後、ユーザ出力装置はセンサ情報をプロセッサに転送することができます(例:有線接続またはWi-Fiなどの無線通信を介して)。この例では、センサ情報は匂いセンシング装置からユーザ出力装置を介してプロセッサに出力されます。いくつかの例では、匂いセンシング装置は近くのスマートフォンなどのユーザ出力装置と通信するために低電力を必要とするBluetoothなどの短距離送信機を持つことができます。これにより、匂いセンシング装置の複雑さが減少し、サイズや重量が軽減されます。これは、匂いセンシング装置がユーザに取り付け可能な場合(例:ユーザの鼻にクリップされる場合など)に重要です。バッテリー寿命も改善され、コストも削減できます。他の例では、匂いセンシング装置はWi-Fi送信機などの長距離送信機を備えるか、3G、4G、5Gなどの他の無線またはモバイル技術を使用する場合があります。
【0101】
いくつかの例では、プロセッサはソフトウェアで構成されている場合があります。ソフトウェアは、コンピューティングデバイスにインストール可能なアプリケーションやプログラムの形式で提供される場合があります。例えば、システムには、処理機能を実行するためのソフトウェアを含むインストール可能なアプリケーションが搭載されたスマートデバイスやプログラマブルデバイス(例:スマートフォン)などのコンピューティングデバイスが含まれる場合があります。コンピューティングデバイスには、匂いやセンサ情報を特定するなどの情報を出力するためのユーザインターフェースが備わっている場合があります。
【0102】
いくつかの例では、匂い検知デバイスには、次のいずれか、または複数の構成要素が含まれる場合があります:検知回路、増幅回路、フィルタ回路、信号処理回路、読み出し回路、ロジック回路、アプリケーション固有の集積回路(ASIC)、および/またはメモリ。メモリは、センサ情報などのデータをローカルに保存するためのものです。これらの回路は、センサ情報などのデータを処理するために使用されます。たとえば、メモリはフラッシュメモリである場合があります。これらの回路は、信号対雑音比を向上させ、より正確な嗅覚出力の読み取り、異なる嗅覚出力の識別、およびクリーンな嗅覚出力の基準の確立に役立つことがあります。
【0103】
オプションとして、匂い放出デバイスはバッテリー駆動であり、バッテリー蓄積装置を備えている場合や太陽光発電によって動作する場合があります。そうでない場合は、匂い放出デバイスは電源に接続されるか、コンピュータデバイスからのケーブルで充電可能です。できれば、匂い放出デバイスは携帯可能なものです。バッテリーまたは蓄電器は、コンピュータデバイスに接続された際にケーブルで充電される場合があります。できれば、匂い放出デバイスはバッテリー駆動です。
【0104】
オプションとして、匂い検知デバイスは、センサ情報を後続の出力のために保存するためのメモリを備えています。一部の例では、ユーザフィードバックデバイスは、後続の出力のためにユーザ入力情報を保存するためのメモリを備えています。メモリは、センサ情報を一括で保存することができるため、例えば定期的にまたはプロセッサに接続された際に送信することができます。それ以外の場合、センサ情報は生成されると同時にリアルタイムに送信される可能性があります。
【0105】
一部の例では、匂い検知デバイスはプリント基板(PCB)上に組み立てられ、PCB上に配置されたトラックを介して接続された複数の個別の回路ブロックを含む場合があります。センサ情報などの情報は、匂い検知デバイスに組み込まれた増幅、フィルタリング、または信号処理回路、またはASICによって既に処理された形式で存在する可能性があります。情報は、プロセッサ内のソフトウェアまたはハードウェアによって事後処理される場合もあります。匂い検知デバイスは、環境の匂い出力や湿度などの環境条件に対して感度のある要素を露出するために、金属またはプラスチックの蓋を持つ場合があります。匂い検知デバイスは、チップオンボードアセンブリ、フリップチップ、スタックダイアセンブリ、またはウェハレベルパッケージングなどの最新の組立技術を使用する場合があります。また、匂い検知デバイスは、金属/プラスチック/セラミックパッケージ内のリードフレーム上に構築され、保護用の成形材または金属蓋が使用され、成形材または金属蓋には感度のある要素を露出するための穴が設けられている場合もあります。
【0106】
任意に、匂い検知デバイスはユーザーの体の一部に直接取り付けることができます。任意に、匂い検知デバイスはユーザーの頭部に直接取り付けることができます。任意に、匂い検知デバイスはユーザーの鼻に直接取り付けることができます。このようにして、匂い検知デバイスは体の一部に取り付けられ、できるだけ体と接触するようになります。例えば、匂い検知デバイスはユーザーの皮膚にクリップで固定されることがあります。これにより、デバイスはユーザーの鼻により近く配置されることができます。一部の例では、匂い検知デバイスはユーザーの衣服や眼鏡を介して間接的にユーザーに取り付けることができます。これにより、デバイスは衣服や眼鏡に取り付けられ、ユーザーの近くに配置されながら、容易に取り付けや取り外しができるようになります。一部の例では、匂い検知デバイスはユーザーの頭部に取り付けられることがあります。また、一部の例では、匂い検知デバイスはユーザーの顔に取り付けられることがあります。例えば、匂い検知デバイスはユーザーの顔や髪に取り付けられ、これによりガスセンサがユーザーの鼻に近づけられます。デバイスは調整可能であり、センサと鼻の間の距離を微調整することができます。一部の例では、匂い検知デバイスはユーザーの鼻に取り付けることができます。これにより、ガスセンサがユーザーの鼻にできるだけ近い位置に配置され、ユーザーの鼻が受け取った嗅覚の出力の読み取りがより代表的になります。
【0107】
任意に、匂い検知デバイスは、ユーザーまたはユーザーの衣服や眼鏡に取り付けるためのクリップを含んでいる場合があります。一部の例では、匂い検知デバイスは、ユーザーまたはユーザーの衣服や眼鏡に取り付けるためのクリップを含んでいます。クリップは、デバイスを必要に応じてユーザーに簡単に取り付けたり取り外したりすることができます。クリップは直接ユーザーに取り付けることもできます。例えば、クリップはデバイスをユーザーの鼻に取り付けることができます。また、クリップは衣服に取り付けることもでき、できるだけ目立たないように配置することもできます。または、便利さのために既存の眼鏡に取り付けることもできます。クリップは、デバイスをユーザーの鼻に近づけるように取り付けることもできます。
【0108】
任意に、匂い検知デバイスは、ユーザーの衣服や眼鏡を介して間接的にユーザーに取り付けることができます。任意に、匂い検知デバイスは眼鏡に取り付けられます。例えば、システムは匂い検知デバイスが配置された眼鏡を含んでいます。デバイスは眼鏡に永久的に取り付けられるか、固定されることがあります。眼鏡は眼鏡やゴーグルのような他の視力補正具として使用されることもあります。眼鏡はダミーのレンズのないものであるか、ユーザーに合わせて調整されたものである場合もあります。これにより、ユーザーは通常通り眼鏡を着用することができ、クリップの必要性を回避することができます。ガスセンサー、他のセンサー、プロセッサ、または送信機は、眼鏡の構造に組み込まれることができます。
【0109】
任意に、少なくとも1つのガスセンサは、少なくとも1つの揮発性有機化合物(VOC)センサを含んでいます。例えば、少なくとも1つのガスセンサは、複数のガスセンサを含んでいる場合があります。一般的に、ほとんどのにおいは揮発性有機化合物によって生成されるため、VOCセンサを使用してほとんどの嗅覚出力を検出することができます。好ましい場合、センサはCMOSまたはMEMS技術に基づいています。他の例では、ガスセンサは他のガスを検出することもあります。例えば、ガスセンサはアンモニアや硫化水素から生じるような嗅覚出力を検出することができます。これらは有機化合物ではありませんが、においを引き起こします。
【0110】
一部の例では、少なくとも1つのVOCセンサは、次のいずれかを含んでいます:フォトイオン化(PID)ガスセンサ、金属酸化物(MOX)ガスセンサ、電気化学ガスセンサ、ポリマーガスセンサ、および/または触媒ガスセンサ。
【0111】
フォトイオン化(PID)ガスセンサは、紫外線(UV)範囲で動作することがあります。動作原理は、においを発生させる化学物質(VOC)を高エネルギーの光子(通常はUV光源から)にさらし、それらを正イオンと電子に分割することに基づいています。この電荷の分離により、有用な電流が生じ、それが増幅されます。化学物質の濃度が高いほど(サブppbから数千ppmのレベルまで)、生じる電流も高くなります。この電流を測定することで、化学物質の濃度を検出することができます。PIDはリアルタイムの読み取りが可能であり、連続的またはパルスモードで動作することができます。非常に安定して信頼性があります。他のVOCセンサよりも高価でややかさばります。PIDセンサは特に選択性が高く、幅広い範囲のVOCをカバーします。PIDセンサは、源から放射される光子のエネルギーよりもイオン化エネルギーが等しいか低いすべてのVOCを検出することができます。ただし、これは、光源の光子エネルギーよりも高いイオン化エネルギーを持つVOCを検出することができないことも意味します。
【0112】
金属酸化物(MOX)センサは、金属酸化物材料からなる感知層の表面(または表面付近)で特定の温度で対象ガス(VOC)との物理/化学反応が起こります。感知層の抵抗の変化を監視することでガス濃度を測定します。MOXセンサは高温で動作することができ、消費電力を減らすためにパルスモードで動作するように設定することができます。MEMSまたはCMOS/MEMS技術において、絶縁膜上にサスペンドされたヒーター(またはマイクロヒーター)を備えることで、消費電力をさらに削減し、非常に高温(通常は200~500°C)で動作することができます。スズ酸化物、タングステン酸化物、酸化亜鉛、アルミナ酸化物など、さまざまな金属酸化物を使用することができます。また、MOX層には白金やパラジウムなどの異なる材料をドープして、電気抵抗を制御したり、感度や安定性を異なるガスに対して向上させたりすることもできます。MOXアレイ(モノリシックに統合されたものまたは離散的な形式)は、異なるガスや異なるVOCに対する選択性を向上させるために使用されることがあります。MOXセンサは温度と湿度の影響を受けるため、温度および湿度センサを使用してこれらの効果を補償することがあります。MOXセンサは高感度であり、比較的低コストで大量生産することができます。ただし、PIDセンサよりも安定性が低く、時間や温度によるドリフトが発生することがあります。基準線も不安定になることがあります。パフォーマンス、選択性、基準線または自己キャリブレーションの向上のために、アルゴリズムを実装することができます。例えば、ASICや他の種類のハードウェア/ソフトウェアを使用することがあります。
【0113】
電気化学センサは、電気化学反応に基づき、外部回路を介して増幅および監視される電流を生成します。電気化学センサは、ガス透過性の膜と作動電極(アクティブ電極)および対向電極(リファレンス電極)を特徴としています。電流の大きさは、対象ガス(VOC)の酸化または還元がどれだけ起こるかによって決まります。電気化学センサは良好な直線性を持ち、比較的高い感度を持っています。ただし、かさばりがちで寿命が短いという特徴があります。
【0114】
ポリマーセンサは、MOXセンサと同様の動作原理を持ちますが、一般的にはより低温で動作する必要があります。ポリマーセンサは小型で低消費電力にすることができます。ただし、MOXセンサよりも再現性が低く、時間や温度の安定性も劣る傾向があります。ナノ材料は、MOXやポリマーセンサの表面特性を向上させたり、感度、選択性、安定性を改善するために利用されることがあります。
【0115】
他の種類のガスセンサーまたはVOCセンサーは、触媒技術(例:ペリストール)、光学技術(非分散赤外線(NDIR)、フォトアコースティック)に基づくことがあります。触媒センサーは、高温下で触媒材料の存在下での化学反応(酸素の燃焼など)に基づいています。NDIR光学センサーは、目標ガスによる赤外線の吸収に基づいています。
【0116】
一部の例では、少なくとも1つのガスセンサーは、異なる感度を持つ異なる嗅覚出力を選択的に検知するように構成されたガスセンサーのアレイを含んでいます。1つ以上のセンサーはVOCセンサーである可能性があります。アレイは、個別にパッケージ化された離散デバイスまたは同じハウジング内に一緒にパッケージ化されたハイブリッドデバイス、または同じチップ内でモノリシックに統合されたデバイスで形成される場合があります。このようなセンサーは、マイクロホットプレート、膜構造、および化学感知層を含むことがあります。一部の例では、少なくとも1つのガスセンサーは、第1のガスセンサーと第2のガスセンサーを含んでいます。第1のガスセンサーはPIDセンサーである場合があります。第2のガスセンサーは、VOCセンサーであり、好ましくはMOXセンサーです。
【0117】
必要に応じて、少なくとも1つのガスセンサーには、第1のガスセンサーと第2のガスセンサーが含まれており、第1のガスセンサーは第2のガスセンサーをキャリブレーションするために構成されています。第1のガスセンサーは、第2のガスセンサーをキャリブレーションするために使用することができます。例えば、既知の嗅覚出力とその強度を使用して、最初に第2のガスセンサーをキャリブレーションすることができます。
【0118】
一部の例では、第1および第2のガスセンサーの両方がVOCセンサーである場合があります。必要に応じて、第1のガスセンサーにはPIDセンサーが含まれています。これは、PIDセンサーがより正確であるがしばしばより高価であるため、特に有利です。一部の例では、第2のガスセンサーにはコスト効果が高いMOXセンサーが含まれています。PIDセンサーは、MOXセンサーをキャリブレーションするために使用するか、ユーザーや環境の嗅覚を検出するために使用することができます。PIDセンサーは、総VOCを検出する参照センサーとして使用できますが、MOXセンサー(またはMOXセンサーのアレイ)は異なる化学物質を区別するために使用されます。MOXアレイは、1つまたは複数のマイクロホットプレート上に集積されており、異なる種類の金属酸化物材料を含んでいます。このような金属酸化物材料は、あるVOCに対して他よりも感度が高い場合があります。このようなMOX材料のアレイを持つことで、クラシカルまたはAIアルゴリズムと読み出し/処理回路を使用して、異なる嗅覚とその強度を識別することが可能です。
【0119】
嗅覚検知装置は、ここで開示されたような嗅覚供給装置と連携して動作するように構成およびキャリブレーションされる場合があります。例えば、キャリブレーションは、嗅覚供給装置の少なくとも1つのチャンネルからの供給情報(嗅覚出力の流量および強度など)に対して、嗅覚検知装置が正確な距離に配置され、嗅覚検知装置によって提供される信号をキャリブレートすることを含む場合があります。キャリブレーションされた嗅覚検知装置または基準嗅覚検知装置は、嗅覚供給装置のテストやキャリブレーション、および製造中の嗅覚供給装置の品質と仕様の評価にも使用できます。嗅覚検知装置は、嗅覚供給装置の故障や誤用を示す手段としても使用できます。また、嗅覚供給装置のカートリッジが化学物質で空になったか、または空になろうとしているかを示す手段としても使用できます。
【0120】
他の側面の特徴は、この側面に適用することができます。第8の側面の嗅覚支援システムは、特に第1の側面を含め、他の側面のいずれかの特徴を含む場合があります。特に、嗅覚支援システムは、第1の側面の嗅覚供給装置をさらに含み、嗅覚供給装置によって供給される嗅覚出力に基づいてユーザーに出力を提供するために使用できます。これは、嗅覚テスト、嗅覚トレーニング、没入型体験に特に適用される場合があります。
【0121】
本開示では、ユーザーの嗅覚を支援または代替するための嗅覚検知装置が開示されており、以下を含みます:
少なくとも1つのガスセンサーで構成され、嗅覚出力を検出することで、嗅覚出力に対応するセンサー情報を生成します。
プロセッサへのセンサー情報の出力を行うために構成されたトランスミッターを含みます。
嗅覚検知装置は、ユーザーに取り付け可能であり、ユーザーの鼻の近くに配置されるようになっています。
【0122】
本開示の嗅覚検知装置は、本開示の嗅覚支援システムの嗅覚検知装置の1つ以上の特徴を含む場合があります。一部の例では、トランスミッターはワイヤレストランスミッターであり、センサー情報をワイヤレスでプロセッサに送信するように構成されています。他の例では、トランスミッターは有線接続を含み、嗅覚検知装置が有線接続を介してセンサー情報をプロセッサに出力するように構成されています。たとえば、有線接続は一時的なものであり、定期的に嗅覚検知装置をプロセッサに接続してセンサー情報をダウンロードすることができます。一部の例では、プロセッサは本開示のユーザー出力装置に配置されている場合があります。たとえば、プロセッサはコンピューティングデバイスに配置されている場合があります。コンピューティングデバイスは、ユーザー出力装置を含むことがあります。ユーザー出力装置は、嗅覚出力に関連する嗅覚の識別情報をユーザーに出力するように構成されています。たとえば、ユーザー出力装置がセンサー情報を受信すると、プロセッサはセンサー情報を処理します。その後、プロセッサはセンサー情報の処理に応じて、嗅覚の識別情報を出力するようにユーザー出力装置に指示することができます。
【0123】
他の例では、プロセッサはユーザー出力装置とは別のものである場合があります。たとえば、プロセッサはサーバーやクラウドベースのリソースなどのリモートデバイスである場合があります。このような場合、嗅覚検知装置はセンサー情報を直接プロセッサに送信することができます(たとえば、インターネットを介してワイヤレスで)。または、嗅覚検知装置はセンサー情報をユーザー出力装置を介して間接的に送信することもできます。例えば、嗅覚検知装置はセンサー情報をユーザー出力装置に送信することができます(有線接続やBluetooth(登録商標)などのワイヤレス経由で)。その後、ユーザー出力装置はセンサー情報をプロセッサに転送することができます(有線接続やWi-Fiなどのワイヤレス経由で)。
【0124】
開示されているのは、ユーザーの嗅覚を支援または代替するためのユーザー出力装置であり、次の構成要素を含みます:
- プロセッサからの指示を受け取るためのレシーバー。指示は、プロセッサが嗅覚検知装置から受け取ったセンサー情報に応じて、プロセッサから受け取られます。
- ユーザー出力装置は、プロセッサからの指示を受け取ると、嗅覚出力に関連する香りの識別情報をユーザーに出力します。
【0125】
ユーザー出力装置は、開示されている香り支援システムのユーザー出力装置の1つ以上の特徴を含む場合があります。たとえば、ユーザー出力装置は表示装置を含んでおり、香りの視覚的な識別情報を出力することができます。ユーザー出力装置は、上記の嗅覚検知装置と組み合わせて使用され、ユーザーの嗅覚を支援または代替するために使用されます。嗅覚出力を検知し、香りの識別情報をユーザーに出力することにより、ユーザーの嗅覚を補完または代替することができます。たとえば、レモンの香りを検知した場合、レモンの画像を表示することができます。これにより、ユーザーの嗅覚が障害されている場合に香りを識別するのに役立ちます。
【0126】
上記で説明された嗅覚検知装置とユーザー出力装置は、相互に関連する製品として動作します。つまり、2つの別々のコンポーネントが互いに連携して使用されることを意図しています。嗅覚検知装置とユーザー出力装置は一緒に使用することが意図されており、共通の基本的な発明の概念を共有しています。
【0127】
第9の側面によれば、第8の側面の嗅覚支援システムの動作方法が開示されており、その方法は次の手順を含みます:
1. 少なくとも1つのガスセンサによって、嗅覚出力に応答してセンサ情報を生成する。センサ情報は嗅覚出力に対応しています。
2. 嗅覚検知装置によってセンサ情報をプロセッサに出力する。
3. ユーザー出力装置が、センサ情報に基づいてプロセッサからの指示を受信する。
4. ユーザー出力装置が、指示を受信したことに応じて、嗅覚出力に関連する香りの識別情報をユーザーに出力する。
以上が、第8の側面の嗅覚支援システムの動作方法の手順です。
【0128】
いくつかの例では、この方法は第8の側面の嗅覚支援システムに関連する操作を実行する場合があります。香りの識別情報は第8の側面と同様であり、香りの強度などをさらに示すことができます。他の側面で開示された特徴もこの方法に適用することができます。したがって、第8の側面のシステムに関連する開示された特徴は、第9の側面の方法に容易に適用することができます。具体的には、この方法はユーザー情報、環境情報、および/またはユーザー入力情報をプロセッサに出力することを含む場合があります。また、この方法はプロセッサを提供し、プロセッサが操作を実行することを含む場合もあります。例えば、この方法はプロセッサがセンサ情報を受信し、センサ情報を処理して香りを識別し、オプションで指示を生成してユーザー出力装置に提供することを含む場合があります。この方法はプロセッサがユーザー情報、環境情報、および/またはユーザー入力情報を受信することを含む場合もあります。この方法は、プロセッサがセンサ情報をユーザー情報、環境情報、および/またはユーザー入力情報と処理または関連付けることを含む場合もあります。そして、この方法は、プロセッサが処理または関連付けに基づいてユーザー出力装置に指示(例えば香りの識別)を生成して提供することを含む場合もあります。
【0129】
第10の側面によれば、嗅覚の出力に関連する香りを識別するための処理装置が開示されており、以下を含みます:
・嗅覚センシング装置から受信したセンサ情報に対応する、嗅覚の出力を検出したセンサ情報を受信するためのレシーバ。
・センサ情報を処理して、嗅覚の出力に関連する香りを識別するためのプロセッサ。
・プロセッサが、嗅覚の出力に関連する香りの表現を選択するように構成されており、その表現は視覚的な、音声的な、および/または触覚的な表現である。
・指示をユーザー出力装置に送信して、嗅覚の出力に関連する香りの識別の表現を出力するための送信機。
【0130】
第10の側面の処理装置は、第8の側面のシステムと相補的であることが認識されるでしょう。他の側面の特徴は、この側面に適用することができます。処理装置は、ここで開示されたプロセッサと同様の方法でさらに構成される場合があり、第8の側面のプロセッサの特徴を容易に第10の側面の処理装置に適用することができます。例えば、プロセッサは、上記で説明したように情報を相関させるか、機械学習や他のアルゴリズムを使用することができます。受信機と送信機は、ここで開示されたものと同様であり、受信および送信のために同じコンポーネントが構成されている場合や、別々のコンポーネントである場合があります。例えば、受信機と送信機は、嗅覚センシング装置やユーザー出力装置と無線で通信するためのものである場合があります。
【0131】
第11の側面によれば、嗅覚出力に関連付けられた匂いを特定する方法が開示されています。この方法は、以下の手順を含みます:
1. 嗅覚センシング装置からセンサー情報を受信する。このセンサー情報は、嗅覚センシング装置によって検出された嗅覚出力に対応しています。
2. センサー情報を処理して、嗅覚出力に関連付けられた匂いを特定する。
3. ユーザー出力装置に対して、匂いの特定を出力するための指示を送信する。
この方法によって、嗅覚出力と関連付けられた匂いを特定し、ユーザー出力装置に匂いの特定を出力することができます。
【0132】
任意に、この方法はコンピュータで実装されることがあります。この方法は、第8の態様に開示されるプロセッサや第10の態様の処理装置のようなプロセッサによって実行されるかもしれません。他の態様の特徴をこの態様に適用することができます。第8の態様の特徴は、第11の態様の方法に容易に適用することができます。プロセッサの方法の特徴は、ユーザー情報、環境情報、ユーザー入力情報などの他の情報の受信および処理、およびそのような処理に基づいて指示を送信するなど、第11の態様に容易に適用することができます。
【0133】
第12の態様によれば、コンピュータプログラム、コンピュータプログラム製品、またはコンピュータ可読媒体が開示されています。この中には、プロセッサによって実行されるときにプロセッサに指示を与え、第11の態様の方法を実行させる命令が含まれています。したがって、コンピュータプログラムは、ソフトウェアの形式である場合があります。他の態様の特徴をこの態様に適用することができます。第8の態様の特徴は、第12の態様に容易に適用することができます。
【0134】
第13の態様によれば、第12の態様のコンピュータプログラム、コンピュータプログラム製品、またはコンピュータ可読媒体を備えたコンピューティングデバイスが開示されています。例えば、これはコンピュータ(例:デスクトップ、ノートパソコン)、スマートフォン、タブレット、または他のスマートデバイス(例:スマートウォッチなど)であり、ソフトウェアアプリケーションの形式でコンピュータプログラムを格納しているものです。別の例では、コンピューティングデバイス内にコンピュータデータストレージ(例:ハードドライブ)などのコンピュータ可読媒体が提供されている場合もあります。他の態様の特徴をこの態様に適用することができます。第8の態様の特徴は、第13の態様に容易に適用することができます。
【0135】
第14の態様によれば、匂い検知システムが開示されています。このシステムは以下を含みます:
- 匂いを出力するための匂い供給装置であり、以下を備えるものです:
- キャニスタから物質を受け取るための供給チャネル。この物質は匂い出力を生成するように構成されています。
- 物質が放出される出力部品。
- 物質をキャニスタから出力部品まで輸送するために生成される1つ以上の気流生成要素。
- 匂い供給装置によって供給された匂い出力を検知するための匂い検知装置であり、以下を備えるものです:
- 匂い出力に応答して、匂い出力に対応するセンサ情報を生成する少なくとも1つのガスセンサ。
また、匂い検知装置はセンサ情報をプロセッサに出力するように構成されています。
【0136】
この匂い検知システムは、匂い供給装置と匂い検知装置を組み合わせて提供します。匂い検知装置は、匂い供給装置によって供給される匂い出力を検知するために構成されています。ガスセンサからのデータを処理するために、センサ情報はプロセッサに出力されることがあります。これにより、匂い供給装置の検証が可能となります。例えば、供給装置が正しく動作しているかどうかを検証することができます。匂い検知装置は、第8の態様の匂い検知装置と同じであり、ここで説明される特徴のいくつかを含む場合があります。匂い供給装置は、第1の態様の匂い供給装置と同じであり、ここで説明される特徴のいくつかを含む場合があります。
【0137】
一部の例では、匂い検知システムは匂いのテスト、訓練、および没入体験に使用されます。センサ情報をフィードバックすることで、システムは供給される匂いを検証し、これを使用してユーザーの嗅覚をテストまたはトレーニングすることができます。たとえば、匂い検知装置は、匂いの存在や強度を示すセンサ情報を生成し、これを使用して匂い供給装置の正しい機能を検証することができます。具体的な例として、レモンの匂いを含むキャニスタが匂い供給装置に挿入され、その匂いが供給された場合、匂い検知装置がレモンの匂いを示す場合、匂い供給装置の動作が確認できます。そうでない場合、装置の故障が示されるか、空のキャニスタが特定される場合があります。別の例では、匂い検知装置は匂いの存在や強度を示すことで、ユーザーの匂いの知覚を確認し、ユーザーの匂いの認識が正しかったかどうかを検証することができます。
【0138】
任意に、センサ情報は次のいずれかを示すことがあります:嗅覚出力の存在、嗅覚出力の強度、嗅覚出力に関連する匂いの識別または種類、嗅覚出力のパルスの長さ、連続するパルスの間の時間の長さ、嗅覚出力のベースライン、および/または嗅覚出力が静的か動的かどうか。センサ情報は、第8の側面のセンサ情報と同じである場合があります。たとえば、センサ情報には、嗅覚出力が検出されたかどうかを確認する情報が含まれる場合があります。これは、背景の嗅覚出力を表すベースラインとの比較によって行われます。センサ情報は、嗅覚出力の強度を示す場合があります。たとえば、電圧として表現され、関連する強度の単位に変換されることがあります。これは、異なる嗅覚出力の相対的な強さや濃度を表すことができます。センサ情報は、嗅覚出力の匂いや種類を識別する場合、嗅覚検知装置で利用可能な処理がある場合があります。センサ情報は、パルスの長さを含む場合があります。これは、嗅覚出力が検出されてから強度がベースラインに戻るまでの時間であり、または連続するパルスの間の時間の長さであることが望ましいです。センサ情報は、ベースラインに関連する情報を含む場合があります。これは、時間の経過に伴う背景の嗅覚出力を示すことができます。これにより、嗅覚出力のパルスを分離し、背景効果を取り除くことができます。ベースラインは、環境の嗅覚出力やユーザーの嗅覚出力も示す場合があります。センサ情報は、嗅覚出力が静的か動的かを示すことがあります。これは、嗅覚出力が時間の経過とともにどのように変化するか、または時間の経過とともに異なる匂いがあるかを示すものです。これらのいずれか、または組み合わせの形で、一つ以上提供されることがあります。センサ情報は、匂いの選択性を示すこともあります。また、センサ情報には同期信号やその他の制御データが含まれる場合もあります。
【0139】
任意に、匂いの供給装置は、放出される物質に対応するプロセッサへの供給情報を出力するように構成されています。供給情報は、嗅覚出力の出力に関連する情報を提供することがあります。これにより、匂いの識別や供給装置の性能に関する他の情報を取得することができます。たとえば、供給情報は、嗅覚検知装置による検証のために、キャニスタまたはキャニスタの匂いを識別する場合があります。これにより、嗅覚検知装置をキャリブレーションすることができます。なぜなら、匂いがどのようになるべきかの情報を提供することで、嗅覚検知装置による匂いの候補を絞り込んだり、予測された匂いを確認したりすることができるからです。言い換えると、供給情報はプロセッサが匂いを判断する際に使用されることがあります。それ以外の場合は、これは匂い検知装置の精度を検証するために使用されることがあります。言い換えると、供給情報は、プロセッサが匂いを判断する際に使用されない場合もあります。他の例では、これは匂いの供給装置の動作を検証するために使用されることがあります。なぜなら、匂いが検出されないが、供給情報が匂いが放出されたことを示している場合、これは匂いの供給装置の故障を示す可能性があるからです。
【0140】
任意に、供給情報は次のいずれか、または複数の情報を示す場合があります:
- 物質の流量または濃度
- 匂いの供給装置の空気流生成要素のポンプの圧力
- 匂いの供給装置の供給チャネルの選択
- 匂いの供給装置のバルブの選択または開度
- 匂いの識別または匂いの種類
- 匂いのパルスの持続時間
- 匂いの連続パルス間の時間間隔
- 匂いのベースライン
- 匂いが静的か動的かどうか
【0141】
任意に、匂いの供給装置はプロセッサからの指示を受け取るように設定されており、指示を受け取ることに応じて匂いの供給を調整するように設定されています。指示により、匂いの供給装置は匂いの供給を調整することがあります。例えば、指示により、匂いの供給装置が障害が発生したために物質の供給を停止することがあります。プロセッサは、匂いの供給装置から受け取ったセンサ情報に基づいて障害を判断することがあります。プロセッサは、センサ情報と供給情報を相関させることにより障害を判断することがあります。例えば、供給情報が匂いの供給を示しているが、匂いの検知装置が匂いの出力を検知しない場合、プロセッサは匂いの供給装置および/または匂いの検知装置の障害を判断することがあります。
【0142】
任意に、匂いの供給装置は、供給チャネルを通じて物質の流量または濃度を制御するためのフローコントローラをさらに備えています。フローコントローラは、前述の第一の側面で説明されたものと同じである場合があります。例えば、フローコントローラは、空気の流量を制御するためのポンプやファンであることがあります。これにより、匂いの供給の相対的な強度を調整することができます。異なる流量や濃度のレベルを提供することで、さまざまな組み合わせの匂いを生成し、ユーザーの嗅覚を異なる感度レベルでテストすることができます。
【0143】
任意に、匂いの供給の調整は、フローコントローラを制御して流量や濃度を調整することを含む場合があります。フローコントローラを制御して流量や濃度を調整することにより、匂いの供給を調整することができます。例えば、流量が高ければ、空気流と一緒に運ばれて供給される揮発性有機化合物(VOC)の量も増えます。したがって、フローコントローラの制御は、匂い感知装置からのセンサ情報に基づいて流量を調整することができます。このフィードバックにより、ガスセンサが予想よりも低いレベルを検出した場合に、流量を増やして匂いの強度を上げることができます。このフィードバックにより、匂いの供給が正確かつ予想どおりのものになります。
【0144】
任意に、匂いの供給装置は、各々がキャニスタから物質を受け取る複数の供給チャンネルをさらに含んでいます。これにより、複数の匂いを連続してまたは同時に供給することができ、異なる匂いの組み合わせを生成することが可能です。専用の供給チャンネルを提供することで、システムはモジュール化され、匂いの源を容易に分離することができます。
【0145】
任意に、匂いの供給調整は、1つ以上の供給チャンネルの選択を含みます。例えば、匂いの供給装置は特定の供給チャンネルを選択してそのチャンネルから物質を放出させる一方、他の供給チャンネルからの物質の放出を避けることができます。これにより、特定の匂いの供給が可能となります。他の例では、複数の供給チャンネルが異なる程度で選択され、物質の混合によって混合匂いの供給が生成されることがあります。例えば、匂いの供給装置は、挿入されていない(または空気や無臭ガスを含む)キャニスタがある供給チャンネルを選択し、他のキャニスタからの匂い物質と組み合わせることで、匂いの物質を空気で希釈することができます。これにより、センサー情報が高すぎる強度を示している場合に、匂いの物質の強度を低減することができます。
【0146】
任意に、匂いの供給装置は、複数の供給チャンネルを制御するための複数のバルブをさらに含んでいます。
【0147】
任意に、匂いの供給の調整は、1つまたは複数のバルブを開閉するか、バルブの開度を調整することで行われます。バルブは、チャンネルを通じた気流を制御するために調整され、それによって混合される物質を選択します。これにより、異なる匂いの相対的な量を正確に制御することが可能となります。また、個々の供給チャンネルの気流速度を調整することで、相対的な寄与を調整することもできます。
【0148】
任意に、匂い検知システムはさらにプロセッサを含んでいます。プロセッサは、第8の側面のプロセッサに関連する1つ以上の特徴を持つかもしれません。プロセッサは、匂い検知デバイス上、匂い供給デバイス上、または別の独立したデバイスとして配置される場合があります。
【0149】
任意に、プロセッサは、センサ情報と配信情報を相関させて、匂い供給デバイスによる匂いの配信の妥当性を判断するように構成されています。妥当性は、単純に配信が嗅覚物質を配信しているかどうかをチェックすることができます。これにより、配信デバイスが完全に故障しているか、またはキャニスタが空であるかを判断することができます。妥当性判断は、匂いの出力の強度を予想されるレベルと比較するなど、より複雑なものである場合もあります。一部の例では、プロセッサは妥当性判断を出力するように構成されているかもしれません。例えば、これにより、妥当性に関連する指示をユーザー出力デバイスに送信することがあります。これにより、ユーザー出力デバイスがエラーシグナルや警報(例:ライト)によって妥当性を出力することができます。
【0150】
任意に、妥当性に基づいて、プロセッサは匂いの配信の調整を決定するように構成されています。この調整に対応する指示を生成するため、プロセッサは匂いの配信デバイスに指示を提供するように構成されています。プロセッサは、配信を所望のレベルに回復するために必要な調整を決定することができます。例えば、強度が低すぎると判断された場合、指示により匂いの配信デバイスが流速を増加させるようになります。
【0151】
任意に、プロセッサは機械学習、ニューラルネットワーク、または人工知能アルゴリズムを使用して、センサ情報を処理し、配信の妥当性を決定するように構成されています。これにより、高度なデータ処理やパターン認識を活用して、匂いの配信の妥当性を評価することが可能です。
【0152】
任意に、プロセッサは機械学習、ニューラルネットワーク、または人工知能アルゴリズムを使用して、センサ情報を処理し、配信の調整を決定するように構成されています。先述の第8の側面で説明された分析手法は、ここでも調整や妥当性の判断に適用することができます。単純な閾値の比較を使用して異常を検出することもできますし、パターンマッチングのようなより複雑なアルゴリズムを使用して、匂いが正しいかどうかを確認することもできます。たとえば、検出された匂いが配信情報の匂いの種類と一致しない場合、誤ったカートリッジが挿入されている可能性があるため、エラーが出力されることがあります。
【0153】
任意に、プロセッサはユーザー情報を受け取るように構成されています。ユーザー情報は、先述の第8の側面で説明されたユーザー情報と同じものである可能性があります。
【0154】
任意に、プロセッサは、ユーザー情報をセンサー情報と関連付けて、配信の検証を決定するように構成されています。たとえば、センサー情報と配信情報との関連付けに加えて、ユーザー情報も処理されて検証を決定するために使用される可能性があります。言い換えると、プロセッサは、センサー情報と配信情報、およびユーザー情報との関連付けを行うように構成されているかもしれません。別の例では、プロセッサは、センサー情報または配信情報とユーザー情報とを関連付けるように構成されているかもしれません。たとえば、関連付けは匂いの識別に使用されることがあります。ユーザー情報はセンサー情報と組み合わせてより正確な判断を行うために使用されることがあります。ユーザー情報は、ユーザーへの出力に影響を与えるためにも使用されます。たとえば、ユーザー情報がユーザーの匂いの感知能力の相対レベルを識別する場合、出力に影響を与える可能性があります。たとえば、特定の匂いのある程度を認識できるというユーザー情報が識別された場合、システムは異なる方法で識別を出力する(たとえば、より侵襲的なオーディオ出力ではなく、画像のみを出力する)か、もしくはユーザーが匂いを検出できると分かっている閾値を上回る場合には識別を出力しないかもしれません。
【0155】
任意に、プロセッサは、センサー情報とユーザー情報を関連付けて、配信の調整を決定するように構成されています。たとえば、過去のユーザーデータに基づいて、プロセッサは特定の匂いを感知する能力が低いと判断することができ、それに応じて配信を調整して、ユーザーの補助のために匂いの強度を増加させることがあります。このような場合、プロセッサはセンサー情報とユーザー情報を組み合わせて、最適な配信調整を決定することができます。
【0156】
任意に、ユーザー情報は、特定のユーザーに関して以下のいずれかの指示を含んでいる可能性があります:年齢、性別、民族、他の人口統計情報、健康情報、および/または過去のセンサー情報。たとえば、過去のセンサー情報は、ユーザーが1つ以上の嗅覚出力を検知する能力に関連するものです。これにより、ユーザーが特定の嗅覚出力を検知できるか、またはおそらく検知できるかどうかを判断することができます。
【0157】
任意に、プロセッサは、ユーザー情報を嗅覚配信デバイス、嗅覚センシングデバイス、および/または外部データベースから受信するように構成されています。たとえば、嗅覚配信デバイスや嗅覚センシングデバイスには、ユーザー情報を含むデータストレージが存在したり、外部データベースからアクセスできる場合があります。その場合、ユーザー情報はプロセッサに転送されます。または、プロセッサはローカルまたはリモートのデータベースに直接アクセスしてユーザー情報を取得することも可能です。
【0158】
任意に、嗅覚センシングシステムは、ユーザーに関連するユーザー情報を収集するように構成されています。第8の側面と同様に、情報はそのユーザーの過去のデータとしてまとめられ、他のユーザーと組み合わせて一般的なユーザーデータとして使用される可能性があります。ユーザー情報は、プロセッサが受け取るユーザー情報と同じ種類の情報である場合があります。例えば、ユーザー情報は、ユーザーの過去のセンサー情報として使用されるために、ユーザーのセンサー情報を識別する場合があります。
【0159】
任意に、嗅覚センシングシステムは、環境パラメータに応じて環境情報を生成するために構成された環境センサーをさらに備えており、環境センサーは環境情報をプロセッサに出力するように構成されています。環境情報は、第8の側面の環境情報と同様のものである場合があります。
【0160】
任意に、環境パラメータは次のいずれか、または複数を含む: 湿度、温度、圧力、汚染物質の識別または強度、臭気センシングデバイスとユーザーの鼻との距離、ユーザーの呼吸。異なる環境要因は嗅覚に影響を与えるため、これらを考慮することで精度を向上させることができます。湿度、温度、圧力、および汚染物質は、背景環境と検出された嗅覚出力に影響を与えることができます。臭気センシングデバイスとユーザーの鼻との位置関係は、ガスセンサーの検出精度がユーザーによって知覚されるものと比較してどれだけ正確かを判断するために使用することができます。つまり、システムは臭気センシングデバイスとユーザーの鼻との距離を検出するための位置センサーを含む場合があります。距離は、特にセンサーが所与の分離に対する補償を決定するためにキャリブレートされる場合に、センサー情報を補償するためにも使用できます。その結果、ユーザーの鼻で感知される強度が決定されます。ユーザーの呼吸も検出された嗅覚出力に影響を与える場合があります。センサーは、鼻の流れの大きさと方向、および呼吸のタイミングを検出することができます。例えば、鼻の流れの大きさと方向は嗅覚出力の測定に影響を与えることができます。これを補償することで、測定精度を高めることができます。つまり、システムはユーザーの呼吸を検出するための呼吸センサーを含む場合があります。環境情報はまた、嗅覚出力(化学的刺激)に対するガスセンサーの応答の特徴である場合があります。例えば、環境センサーは温度センサーおよび/または湿度センサーである場合があります。
【0161】
任意に、環境センサーは臭気センシングデバイスの少なくとも一部を構成する場合があります。例えば、環境センサーは臭気センシングデバイス上に配置される場合があります。環境センサーは、臭気センシングデバイスと一体化しているか、または臭気センシングデバイスに取り付けられている場合があります。これにより、環境センサーはユーザーの鼻とガスセンサーに近い位置に配置されるため、ユーザーの鼻の環境をより正確に表すことができます。例えば、臭気センシングデバイスは1つ以上のガスセンサーと1つ以上の環境センサーを含む場合があります。例えば、臭気センシングデバイスは1つ以上のガスセンサーと温度および/または湿度センサーを含む場合があります。1つ以上のガスセンサーは、金属酸化物センサーや金属酸化物センサーとPIDセンサーの組み合わせなどのガスセンサーのアレイである場合があります。異なる金属酸化物センサーは異なる匂いを検知することができ、温度および湿度センサーは湿度と温度の変化によるガスセンサー信号の歪みを補償することができます。
【0162】
任意に、プロセッサは環境情報を受信するように設定されています。
【0163】
任意に、プロセッサはセンサー情報と環境情報を相関させ、送達の妥当性を判断するように設定されています。例えば、センサー情報と送達情報を相関させるだけでなく、環境情報もさらに処理して妥当性を判断することがあります。言い換えれば、プロセッサはセンサー情報と送達情報、および環境情報を相関させるように設定されている場合があります。別の例では、プロセッサはセンサー情報または送達情報を環境情報と相関させることができます。これにより、嗅覚出力の送達を評価する際に環境パラメータを考慮することができます。例えば、臭気センシングデバイスからは嗅覚出力の低い強度を示すセンサー情報が出力されますが、これを送達情報と相関させると送達にエラーがあることを示します。しかし、環境情報と組み合わせることで、プロセッサは強度の低下が温度や湿度などの環境パラメータに起因することを判断することができます。これらの情報を組み合わせることで、送達の妥当性をより正確に検証することができます。一部の例では、プロセッサはセンサー情報と送達情報、および環境情報を相関させることがあります。
【0164】
任意に、プロセッサはセンサー情報と環境情報を相関させ、送達の調整を決定するように設定されています。センサー情報と送達情報に基づいて送達を調整するのと同様に、送達は送達情報と環境情報の相関に基づいて調整されることがあります。例えば、特に高温または湿度に基づいて、強度の予測変化を補償するためにフローレートを調整することがあります。一部の例では、プロセッサは送達の調整を決定するために、送達情報と環境情報を相関させるように設定されています。
【0165】
一部の例では、プロセッサはセンサー情報をユーザー情報および環境情報と相関させ、送達の妥当性を判断するために設定される場合があります。また、一部の例では、プロセッサはセンサー情報をユーザー情報および環境情報と相関させ、送達の調整を決定するために設定される場合があります。例えば、プロセッサはセンサー情報を送達情報、環境情報、およびユーザー情報と相関させるように設定される場合があります。他の例では、プロセッサはセンサー情報、送達情報、環境情報、および/またはユーザー情報を相関させるように設定される場合があります。これらの情報を一緒に処理することで、結果の精度を向上させることができます。このような情報の相関に基づく妥当性および/または調整は、ユーザー出力デバイス(例えば妥当性の出力)および/または臭気送達デバイス(例えば送達の調整)に出力される場合があります。
【0166】
第15の側面によれば、嗅覚出力のユーザーの知覚を検証するための臭気感知システムが開示されており、以下を含んでいます:
・プロセッサ
・臭気出力を検出するための臭気センシングデバイスであり、以下を含む:
- 少なくとも1つのガスセンサーであり、嗅覚出力に応答して、嗅覚出力に対応するセンサー情報を生成するように設定されています。
- 臭気センシングデバイスはセンサー情報をプロセッサに出力するように設定されています。
・嗅覚出力に応答して、ユーザーの知覚を示すユーザー入力を受け取り、嗅覚出力に対応するユーザー入力情報を生成するユーザーフィードバックデバイスであり、以下を含む:
- ユーザーフィードバックデバイスはユーザー入力情報をプロセッサに出力するように設定されています。
・プロセッサは、臭気センシングデバイスからのセンサー情報とユーザーフィードバックデバイスからのユーザー入力情報を相関させ、嗅覚出力のユーザーの知覚の妥当性を判断するように設定されています。
【0167】
臭気センシングデバイスとユーザーフィードバックデバイスは、情報を相関させて、ユーザーの嗅覚出力の知覚の妥当性を判断するために共に使用することができます。例えば、ユーザーフィードバックデバイスは、嗅覚出力のユーザーの知覚に対応するユーザー情報を出力することができます(例:ユーザーが嗅ぎ取れるかどうかを示す情報)。また、臭気センシングデバイスは、嗅いだ匂いに対応するセンサー情報を出力することができます(例:匂いの存在を確認する情報)。その後、プロセッサはユーザーの嗅覚出力の知覚を検証し、ユーザーの知覚が正しいかどうかを判断することができます。例えば、ユーザーが嗅覚出力を検出できない場合でも、ガスセンサーが高い強度を検出する場合、プロセッサはユーザーの嗅覚出力の知覚が正しくないと判断することができます。その後、ユーザーに通知するなど、追加の処置が取られることがあります。また、これは匂いの識別の出力にも影響を与えることができます。例えば、ユーザーの入力情報が、ユーザーが嗅覚出力を正しく感知できることを示す場合、識別の出力は必要ないかもしれません。別の例では、不正確なユーザーの入力を使用して、嗅覚の問題を特定するか、特定の環境条件下でその特定の匂いを感知できないことを示すために、環境センサーからの出力と組み合わせてユーザー情報に反映させることができ、ユーザーにはユーザー出力デバイスを通じて追加の警告が行われる可能性があります。
【0168】
第15の側面は単独で提供される場合があります。他の側面の特徴は、この側面に適用することができます。第15の側面の臭気センシングデバイスは、第8の側面や第14の側面と同様であり、それらの側面の特徴を第15の側面に適用することができます。また、第15の側面は他の側面との組み合わせで提供される場合もあります。例えば、第15の側面は第14の側面の一部として提供される場合があります。
【0169】
したがって、オプションで、第14の側面の臭気感知システムは、ユーザーフィードバックデバイスをさらに含む場合があります。このユーザーフィードバックデバイスは、ユーザーの嗅覚出力の知覚を示すユーザーの入力を受け取ると、嗅覚出力に対応するユーザー入力情報を生成するように設定されたユーザー入力ユニットを含みます。ユーザーフィードバックデバイスは、ユーザー入力情報をプロセッサに出力するように設定されています。
【0170】
したがって、以下のユーザー入力に関するオプションの特徴は、第14の側面または第15の側面に容易に適用することができます。
【0171】
オプションで、ユーザーの入力には以下のいずれかの要素の知覚を示すものが含まれる場合があります:臭気出力の存在、臭気出力の強度、匂いの識別または臭気出力に関連する匂いの種類、臭気出力のパルスの期間、連続するパルス間の期間、そして/または臭気出力が静的か動的かを示すものです。ユーザーの入力の特徴は、他の側面(たとえば第8の側面)のユーザーの入力にも適用でき、逆もまた同様です。例えば、ユーザーの入力ユニットは、第8の側面のユーザーフィードバックデバイスのユーザーの入力ユニットである場合があります。
【0172】
オプションで、ユーザーの入力ユニットには、以下のいずれかまたは複数の要素が含まれる場合があります:ボタン、タッチスクリーン、および/またはユーザーの応答を検出するための検出器。
【0173】
オプションで、プロセッサはユーザーの入力情報を受け取るように設定されています。
【0174】
オプションで、プロセッサは、配信の検証において、配信情報とユーザーの入力情報を相関させるように設定されています。これは、センサー情報と同様の方法で使用され、配信の出力を検証するために利用されます。もしユーザーの入力情報が臭気出力が非常に低いことを示している一方、配信情報が高い流量を示している場合、エラーが発生する可能性があります。
【0175】
オプションで、プロセッサは、配信の調整において、配信情報とユーザーの入力情報を相関させるように設定されています。調整も行われる場合があります。たとえば、ユーザーの入力情報が臭気出力を検出できないことを示している場合、流量を増加させることができます。
【0176】
オプションで、プロセッサはセンサー情報とユーザーの入力情報を相関させ、ユーザーの臭気出力の知覚の検証を決定するように設定されています。ユーザーの入力をセンサー情報と比較することにより、プロセッサはユーザーが臭気出力を正しく検出できるかどうかを判断することができます。例えば、ガスセンサーが臭気出力の高い強度を検出しているが、ユーザーが臭気出力を嗅ぐことができないと示している場合、プロセッサはユーザーの知覚が正しくないと判断することができます。ユーザーへの出力などの是正措置が取られる場合があります。これは匂いのテストや匂いのトレーニングで使用されることがあり、ユーザーの嗅覚が検証されることがあります。
【0177】
いくつかの例では、配信情報はセンサー情報とユーザーの入力情報とも相関させる場合があります。たとえば、配信情報が高い流量を示しているが、ユーザーの入力情報が匂いの欠如または低い強度を示している場合、配信に問題があると仮定する代わりに、センサー情報が配信が正確であり、高い強度が検出されたことを検証することができます。それによって、ユーザーが匂いを検出できないことが推測されます。
【0178】
ユーザーの入力情報は、他の情報とも相関させる場合があります。たとえば、プロセッサは次のいずれか、または複数の情報を相関させるかもしれません:センサー情報、配信情報、ユーザー情報、環境情報、および/またはユーザーの入力情報です。
【0179】
オプションで、プロセッサはユーザーの嗅覚プロファイルを生成するように設定されています。ユーザーの嗅覚プロファイルは、先述のように、例えば第8の側面に記載されているものと同じである場合があります。
【0180】
オプションで、ユーザーの嗅覚プロファイルは、以下のいずれか、または複数を示すことがあります:
- ユーザーが感じる嗅覚の出力
- ユーザーが感じる嗅覚の出力の相対的な強度
- ユーザーが感じる嗅覚の出力の相対的な持続時間
- 環境パラメータがユーザーが感じる嗅覚の出力に与える影響
- ユーザーからの嗅覚の出力の基準線
【0181】
オプションで、嗅覚検知システムは、ユーザーに情報を出力するためのユーザー出力装置をさらに備えている場合があります。このユーザー出力装置は、第8の側面などの他の側面のユーザー出力装置と同じである場合があります。例えば、ユーザー出力装置には視覚的な出力や音声出力が含まれている場合があります。ユーザー出力装置は、システムを使用する同じユーザーに情報を出力する場合があります(例:ユーザー入力ユニットを使用して)。他の場合では、追加または代わりに、ユーザー出力装置は異なるユーザー(例:ユーザーに嗅覚テストを実施する臨床医)に情報を出力する場合があります。このような場合、テスト対象のユーザーが直接出力を受け取らないことが、いくつかの場合において有益である場合があります。
【0182】
オプションで、ユーザー出力装置は、プロセッサからの指示を受け取るように構成されています。これらの指示は、嗅覚送達装置による嗅覚の配信の検証に対応しています。指示は、ユーザー出力装置が出力を生成するようにすることがあります。
【0183】
オプションで、ユーザー出力装置は、指示を受け取った場合に応答して、配信の検証結果をユーザーに出力するように構成されています。例えば、これにより配信装置の動作が確認されるかどうかを確認することができます。
【0184】
オプションで、ユーザー出力装置は、指示を受け取った場合に応答して、配信の調整内容をユーザーに出力するように構成されています。例えば、流量の変更など、どのような調整が行われたかを確認することができます。
【0185】
オプションで、プロセッサは、配信の検証に対応する指示を生成するように構成されており、そして、プロセッサは、その指示をユーザー出力装置に提供するように構成されています。
【0186】
オプションで、プロセッサは、配信の調整に対応する指示を生成するように構成されており、そして、プロセッサは、その指示をユーザー出力装置に提供するように構成されています。
【0187】
このような場合、他の側面の特徴はこの側面に適用されるか、その逆もあります。たとえば、第15の側面のユーザー出力装置の特徴は、第8の側面などの他の側面に適用される可能性があります。
【0188】
嗅覚の出力は、本明細書の第1の側面に記載されたような嗅覚伝達装置によって提供されることがあります。また、他の嗅覚伝達装置や嗅覚源を使用することもできます。一部の例では、システムは伝達装置の代わりに嗅覚源を含んでいます。嗅覚源は、匂いを発する任意の物体/デバイス/システムであり、天然のものや有機物、人工物などが含まれます。例えば、異なる匂いを含む液体や固体を詰めた瓶やペンなどが使用されることがあります。一般的に認識できる匂いの例としては、ラベンダー、レモン、ローズ、ジンジャーなどがあります。また、異なる匂いや化学物質の混合物を使用することもできます。その場合、混合物は嗅覚の白色スペクトルの一部であり、支配的な化学物質はもはや識別できない場合があります。また、ユーザーは相対的な形で匂いを識別することもできます。この場合、強い、甘い、心地よい、軽い、酸っぱい、大きいなど、他の感覚領域でも一般的に使用される記述子や特徴を使用するか、物質や物体に関連付けられた匂い(例えば、コーヒー、牛乳、チーズなどの食品)との関連性を通じて識別することができます。
【0189】
以下に開示されるのは、嗅覚検知システムであり、以下を含んでいます:
- 嗅覚出力を放出するための嗅覚源
- 嗅覚伝達装置によって配信された嗅覚出力を検知するための嗅覚検知装置。この装置は、嗅覚出力に応答して少なくとも1つのガスセンサを用いて、嗅覚出力に対応するセンサ情報を生成します。さらに、嗅覚検知装置は、センサ情報をプロセッサに出力するように設定されています。
【0190】
その場合、嗅覚検知システムには、第14の側面などの他の側面の特徴も追加できます。これにより、嗅覚出力を放出する任意のオブジェクト(例えば、香料)に対して嗅覚検知装置と処理を行うことができます。嗅覚出力の既知の濃度を供給するなど、制御された状況で使用することもできます。また、制御されていない現実世界のシナリオ(例えば、牛乳の匂い)で使用することもできます。
【0191】
第14の側面の嗅覚検知システムを操作する方法として、以下の手順が開示されています(第16の側面):
- 気流生成要素の1つ以上を制御して、物質を缶から出力部品に輸送し、嗅覚出力を提供する。
- 少なくとも1つのガスセンサによって、嗅覚出力に応答して、嗅覚出力に対応するセンサ情報を生成する。
- 嗅覚検知装置によって、センサ情報をプロセッサに出力する。
【0192】
他の側面の特徴は、この側面に適用することができます。たとえば、第16の側面の方法には第14の側面の嗅覚検知システムの特徴が容易に適用されます。一部の例では、この方法は第14の側面の嗅覚検知システムに関連する操作を実行することも含まれます。特に、この方法においては、ユーザー情報、環境情報、および/またはユーザー入力情報をプロセッサに出力することが含まれる場合があります。また、この方法ではプロセッサを提供し、プロセッサが操作を実行することもあります。例えば、この方法ではプロセッサがセンサ情報を受信し、センサ情報を処理し、オプションで送達装置に対して指示を生成および提供することにより、送達を検証または調整することが含まれる場合があります。また、この方法ではプロセッサがユーザー情報、環境情報、および/またはユーザー入力情報を受信することが含まれる場合もあります。さらに、この方法ではプロセッサがセンサ情報を処理または相関させることが含まれる場合もあります。そして、この方法ではプロセッサが処理または相関させた結果に基づいて送達装置に対して指示(たとえば検証または調整)を生成および提供することが含まれる場合もあります。
【0193】
第17の側面によると、嗅覚のユーザー知覚を検証するための処理装置が開示されており、以下を含む:
- 受信機:嗅覚検知装置から受信するセンサ情報で構成され、センサ情報は嗅覚検知装置によって検出される嗅覚出力に対応しています。
- 受信機は、ユーザーフィードバックデバイスからユーザー入力情報を受信するように構成されており、ユーザー入力情報はユーザーが嗅覚出力のユーザー知覚を示すユーザー入力に対応しています。
- プロセッサ:嗅覚検知装置からのセンサ情報とユーザーフィードバックデバイスからのユーザー入力情報を相関させ、嗅覚のユーザー知覚の検証を決定するように構成されています。
【0194】
第17の側面の処理装置は、第14の側面のシステムと補完的であることが認識されるでしょう。他の側面の特徴は、この側面に適用することができます。処理装置は、ここで開示されたプロセッサと同様に構成することができ、第14の側面のプロセッサの特徴を第17の側面の処理装置に容易に適用することができます。例えば、プロセッサは、上記で説明したような情報の相関関係を決定するように構成することができ、またはここで開示された機械学習や他のアルゴリズムを使用することができます。受信機と送信機は、ここで開示されたものに類似しており、受信と送信のために同じコンポーネントを構成する場合もあれば、別々のコンポーネントである場合もあります。例えば、受信機と送信機は、嗅覚検知装置とユーザー出力装置との無線通信に使用されることがあります。
【0195】
第18の側面によれば、嗅覚のユーザー感知を検証する方法が開示されており、以下の手順を含みます:
1. 嗅覚検知装置によって検出された嗅覚出力に対応するセンサー情報を受信する。
2. ユーザーフィードバックデバイス(ユーザー入力ユニットを含む)からユーザーの嗅覚感知を示すユーザー入力情報を受信する。
3. 嗅覚検知装置からのセンサー情報とユーザーフィードバックデバイスからのユーザー入力情報を相関させ、ユーザーの嗅覚感知の検証を決定する。
この方法は、嗅覚検知装置によって検出された嗅覚出力と、ユーザーが入力した嗅覚感知に関する情報を相関させることで、ユーザーの嗅覚感知の妥当性を判断します。
【0196】
オプションで、この方法はコンピューターによって実装されます。この方法は、第8または第14の側面で開示されたプロセッサや第17の側面の処理装置などのプロセッサによって実行される可能性があります。他の側面の特徴はこの側面に適用することができます。第8または第14の側面の特徴は、第18の側面の方法に容易に適用することができます。プロセッサの方法的な特徴は、第11の側面に適用することができます。例えば、ユーザー情報、環境情報、ユーザー入力情報などの他の情報を受信および処理し、その処理に基づいて命令を送信するなどです。
【0197】
第19の側面によれば、コンピュータープログラム、コンピュータープログラム製品、またはコンピューター可読媒体が開示されています。この中には、プロセッサによって実行されると、プロセッサに第18の側面の方法を実行させる命令が含まれています。したがって、このコンピュータープログラムは、アプリケーション(アプリ)などのソフトウェアの形式で提供されることがあります。他の側面の特徴はこの側面に適用することができます。第8または第14の側面の特徴は、第19の側面に容易に適用することができます。
【0198】
第20の側面によれば、第19の側面のコンピュータープログラム、コンピュータープログラム製品、またはコンピューター可読媒体を備えたコンピューティングデバイスが開示されています。たとえば、これはコンピューター(デスクトップ、ノートパソコン)、スマートフォン、タブレット、または他のスマートデバイス(スマートウォッチなど)であり、ソフトウェアアプリケーションの形式でコンピュータープログラムを格納している場合があります。別の例では、コンピューティングデバイス内にコンピューターデータストレージ(ハードドライブなど)といったコンピューター可読媒体が提供される場合があります。他の側面の特徴はこの側面に適用することができます。第8または第14の側面の特徴は、第20の側面に容易に適用することができます。
【0199】
任意の側面の特徴は、容易に他の側面の特徴と組み合わせることができます。製品の特徴は容易に方法の特徴に適用することができ、逆もまた同様です。
【0200】
本発明における利点は、詳細な説明と付随する図面において提示されています。
【図面の簡単な説明】
【0201】
本発明の構成要素および動作に関する一部の詳細は、付随する図面に示されています。
【0202】
図1図1は、におい供給装置の第1の実施形態の概略図を示しています。図1に示されるにおい供給装置は、単一の気流チャネルを有しています。
【0203】
図2図2は、におい供給装置の第2の実施形態の概略図を示しています。図2に示されるにおい供給装置は、複数の気流チャネルを有しています。
【0204】
図3図3は、におい供給装置の実施形態の外観図を示しています。図3において、におい供給装置はユーザーまたはオペレーターの視点から見たものであり、におい供給装置の外部から見える特徴のみを示しています。
【0205】
図4図4は、第3の実施形態のにおい供給装置の断面図を示しています。図示は概略的なものです。
【0206】
図5図5は、さらなる実施形態におけるにおい供給装置の内部のエアフローシステムの実物に近い外観を、エア入力から出力までの爆発図で示しています。
【0207】
図6図6は、図5に示される実施形態に応じたにおい供給装置の外観を実物に近い形で示しています。
【0208】
図7図7は、さらなる実施形態に応じたにおい供給装置の外観を示しています。図3に基づいており、オプションの外部センサーや通信手段も追加されています。電源の入力、LCDの位置、可能な接続プラットフォームの例、および距離センサーの可能な位置など、外部のコンポーネントが表示されています。
【0209】
図8図8は、エアフロージェネレータから出力までのエアフローパスの概略の側面図を示しています。
【0210】
図9図9は、適応型臭気送達システムユニットのブロック図を示しています。臭気送達デバイス、ユーザー、ユーザーフィードバック、および適応システムユニットが表示されています。これらのユニット間の通信も表示されています。
【0211】
図10図10は、クラウドベースの構成に埋め込まれた適応型臭気送達システムユニットのブロック図を示しています。
【0212】
図11図11は、送達デバイスが異なる物理空間にあり、クライアント/サーバーアーキテクチャを使用してインターネットを介してリモートコンピュータに接続されるシステム構成を示しています。この例の構成は、さまざまなインターネット・オブ・シングス(IoT)アプリケーションに適用できるものです。
【0213】
図12図12は、送達デバイスがUSBポート(シリアル通信)、Bluetooth、Wi-Fi、RF技術などを介して、同じ物理的な場所にある他のデバイス(オーディオビジュアルスクリーン、VRセット、触覚デバイス、照明システムなど)と直接接続される、さらなるシステム構成を示しています。これにより、低遅延の統合が実現され、緻密で調整されたマルチセンサリー体験が提供されます。
【0214】
図13図13は、図10に示されるような送達デバイスが異なる方法で使用される、さらなるシステム構成を示しています。この構成では、オーケストレータがインターネットを介してリモートサーバーに接続し(情報の配信、指示の取得など)、送達デバイスがそれに接続して使用されます。
【0215】
図14図14は、送達デバイスがインターネットを介してクラウドまたは社内サーバーによって提供されるリモートコンピュータに接続され、ユーザーの入力を必要としない一般的な体験を提供する可能なシステム構成を示しています。
【0216】
図15図15は、独自の自動化された送達デバイス制御ユニット上で実行されるアプリケーションに基づいて、送達デバイスが独自に機能する別のシステム構成のブロック図を示しています。
【0217】
図16図16は、匂い送達デバイスから匂いを送信する方法を示しています。
【0218】
図17図17は、匂い送達方法のプロセスの最初の例を示すフローダイアグラムです。
【0219】
図18図18は、匂い送達方法のプロセスの2番目の例を示すフローダイアグラムです。
【0220】
図19図19は、匂い送達方法のプロセスの3番目の例を示すフローダイアグラムです。
【0221】
図20図20は、適応型匂い送達システムと匂いセンシングデバイスの例を示すブロックダイアグラムです。匂い送達デバイス、ユーザー、ユーザーフィードバック、および適応システムユニットが表示されています。また、ユーザーの近くに配置された匂いセンシングデバイスの独立ユニットも表示されています。これらのユニット間の通信も示されています。
【0222】
図21図21は、クラウドベースの構成に組み込まれた匂いセンシングデバイスの独立ユニットと、適応型匂い送達システムの例を示すブロックダイアグラムです。
【0223】
図22図22Aは、匂いのテストやトレーニングに関与するさまざまなコンポーネントの例を示す図表です。
【0224】
図22Bは、メガネに取り付けられた匂いセンシングデバイスの例を示しています。
【0225】
図22Cは、クリップオン式の匂いセンシングデバイスの例を示しています。
【0226】
図23図23は、プリント基板、マルチセンシングVOCセンサー、バッテリー、ASIC、およびインターフェースポートから構成される匂いセンシングデバイスの例の3Dの模式図を示しています。
【0227】
図24A図24Aは、例としての匂いセンシングデバイスに組み込まれたPIDセンサーからの匂いの瞬時信号を示しています。
【0228】
図24B図24Bは、匂い配信デバイスと匂いセンシングデバイスの間の距離の関数としての匂いの濃度の減衰を示しています。
【0229】
匂い配信装置は、缶詰から物質を受け取るための配送チャネル、物質が匂いなどの嗅覚的な出力を生成するように構成された出力部品、および物質を缶詰から出力部品に輸送するための1つ以上の空気流生成要素を備えています。フロー制御装置は、配送チャネルを介して出力部品への物質の流量または濃度を制御するように構成されています。フロー制御装置は、配送チャネルを通じた物質の流量または濃度を制御するために、少なくとも1つのセンサからのフィードバック、環境条件を感知するために構成された環境センサ、およびユーザからの入力を受け取るために構成されたユーザフィードバックデバイスのいずれかのフィードバックに応答しています。
【0230】
医療応用に使用される可能性のある匂い配信装置が開示されています。この匂い配信装置は、患者の嗅覚性能をテストしたり、ユーザの嗅覚知覚をトレーニングするために使用することができます。また、この主要な側面に基づく匂い配信装置は、エンターテイメントや消費者向け製品/サービスなどのアプリケーションにおいても使用され、装置周囲の環境において匂いを配信し制御することができます。
【0231】
この匂い送達デバイスは、匂い刺激またはそのような匂い刺激の混合物を正確かつ精密に提供するためのハードウェアソリューションであり、低遅延で刺激物間のクロスコンタミネーションがないものです。
【0232】
図1は本発明の一実施例を示しています。具体的には、図1は単一のキャニスタ5が存在し、したがって単一の空気流経路がある動作する実施例を示しています。匂い送達デバイスは、物質5aを含むキャニスタ5、送達チャネル3、送達チャネル3内の物質の流速/濃度を測定するセンサー15、出力部品7、フロージェネレーター13、フローコントローラー11、空気入口9、空気フィルター20、環境センサー17、およびユーザーフィードバックデバイス19を備えています。
【0233】
空気はフロージェネレーター13によって空気入口9に吸い込まれます。この実施例では、空気流は空気フィルター20、キャニスタ5、送達チャネル3を通り、最終的に出力部品7から外部に排出されます。送達チャネル3内の流速/濃度を測定するセンサー15は、送達チャネル3内に配置されています。環境センサー17は匂い送達デバイスの外部に配置されています。ユーザーフィードバックデバイス19は匂い送達デバイスのどこにでも配置されています。送達チャネル内の流速/濃度を測定するセンサー15、環境センサー17、およびユーザーフィードバックデバイス19は、すべてフローコントローラー11と通信するように構成されています。空気フローコントローラー11は、空気フロージェネレーター13によって生成される流速を制御します。ユーザーフィードバックデバイス19は、ユーザーからの入力を受け取るように構成されています。
【0234】
空気入口9は空気が匂い送達デバイス1に入るための入口となります。フロージェネレーター13によって空気が空気入口に引き込まれます。これにより、空気流がデバイス1に供給されます。空気流は空気入口9を通過した後、空気フィルター20に向けられます。これにより、空気から不純物を除去し、汚染を最小限に抑えます。
【0235】
その後、浄化された空気流に物質5aが添加されます。この具体的な実施形態では、キャニスタ5は物質5aで飽和したポリマービーズを含みます。この具体的な実施形態では、空気流はキャニスタ5を通過するように誘導され、空気がポリマービーズと接触することにより、物質5aの一部が空気流に引き込まれます。物質が空気流に引き込まれる量は、空気流の強さに基づいて予測可能です。
【0236】
物質5aを含む空気流は、それから配送チャンネル3を通り、出力部品7から外部へと流れ出ます。ユーザーは出力部品の近くに位置し、物質5aに関連する嗅覚的な出力(例:匂い)を経験することができます。
【0237】
空気流が配送チャンネル3を通る間、センサー15は配送チャンネル3内の物質の流量/濃度を測定します。それは次に、フローコントローラー11によって目標の流量/濃度と比較されます。測定された流量/濃度が目標より低い場合、フローコントローラー11はフロージェネレータ13に対して空気流を増加させるよう指示します。測定された流量/濃度が目標流量を超えている場合、フローコントローラー11はフロージェネレータ13に対して空気流を減少させるよう指示します。これにより、空気流は調整され、物質の正確な流量が維持されます。
【0238】
さらに、本発明の臭気送達装置1には環境センサー17も備わっています。この実施例では、環境センサー17は環境の湿度と温度を測定するように構成されています。使用中にこれらのパラメータのいずれかが変化すると、フローコントローラー11はフロージェネレータ13に指示を出して流量を調整します。例えば、湿度が増加すると、フローコントローラー11は流量を増加させることによって流量を調整する場合があります。これにより、物質の流量/濃度も調整されます。
【0239】
さらに、本発明の臭気送達装置1にはユーザーフィードバックデバイス19も備わっています。装置が動作している間、ユーザーからフィードバックが提供されます。例えば、この実施例では、装置1はユーザーがその匂いを感知できる濃度を決定するために使用されます。したがって、ユーザーフィードバックは匂いが感知されるかどうかの指標となります。低濃度/流量から始め、ユーザーは匂いを感知できないことをフィードバックします。その後、フローコントローラー11はフロージェネレータ13に指示を出して物質の流量/濃度を調整し、流量/濃度を増加させます。このようにして、流量/濃度はユーザーが匂いを感知するまで反復的に増加します。他の実施例では、流量/濃度が高いレベルで始まり、ユーザーが物質の匂いを感知できなくなるまで減少させる場合もあります。
【0240】
注意すべきは、キャニスタ5は交換可能な要素である場合があり、そのために臭気送達装置1はキャニスタ5がない状態で製造される場合もあることです。キャニスタ5自体は、物質が格納されている貯蔵容量を有し、その物質は嗅覚的な出力と関連付けられています。キャニスタ5は臭気送達装置1に受け入れられるように構成されており、一度臭気送達装置1に受け入れられると、キャニスタ5は物質を配送チャンネルに放出するように構成されています。例えば、キャニスタ5はばねで固定されて位置に収まり、クリック一つで取り外したり交換したりできる場合があります。また、キャニスタ5はスロットに嵌め込まれる場合もあります。
【0241】
注意すべきは、図1は単に動作する実施例の一例を示していることです。上記で説明された特定の機能は必須ではないことに留意してください。例えば、一部のアプリケーションでは、空気吸入口から吸い込まれる空気は十分に純度が高いため、空気フィルター20は必要ありません。さらに、空気吸入口9自体が不要である場合もあります。一部の実施例では、代わりに圧縮空気貯蔵装置が含まれる場合があります。このような実施例では、流量制御装置11は圧縮空気貯蔵装置からの圧縮空気の流量を制御します。また、ユーザーフィードバックデバイス19、環境センサー17、または配送チャンネル内の物質の流量/濃度を測定するためのセンサー15のいずれかが存在していることが必須であるとされています。また、キャニスタ5は交換可能な要素であることにも留意してください。したがって、臭気送達装置を製造・販売する際には、臭気送達装置にキャニスタ5が存在しない場合もあります。
【0242】
流量発生装置13は、オプションでポンプまたはバルブとすることができます。例えば、流量発生装置13は、ピエゾ素子やソレノイドを基にした比例バルブのようなものである可能性があります。また、流量発生装置はポンプである場合もありますが、その場合、ポンプの出力は制御可能です。例えば、ポンプはピエゾ素子、ピストン、またはダイアフラム型のものであり、ポンプの出力を制御できます。
【0243】
環境センサー17は、現地の環境の特性を測定する任意のセンサーで構成されることがあります。例えば、環境センサーは温度を測定するための温度計、圧力を測定するためのバロメータ、湿度を測定するための湿度計、または環境中の背景の汚染物質を識別するためのガスセンサーなどが含まれる場合があります。ガスセンサーの場合、環境中の汚染レベルが事前に設定された閾値を超える場合にシステムをシャットダウンすることがあります。
【0244】
センサー15、17、19は一定のサンプリングレートでサンプリングする場合もあります。また、センサーが閾値に近い測定値を検出した場合、サンプリングレートを高めて、事前に設定された閾値の違反が迅速に検出されるようにすることもあります。
【0245】
配送チャンネル内の物質の流量/濃度を測定するために使用されるセンサー15は、流量センサーまたは濃度センサーのいずれかを含んでいる場合があります。例えば、センサー15はガスセンサーを含むことがあります。ガスセンサーの種類には、金属酸化物、フォトイオン化、質量分析、イオン移動度分析、および電気化学などがあります。電子鼻を使用して異なる香りのタイプを識別することもできます。また、圧力センサーまたは応力/ひずみゲージを使用して、配送チャンネルを通る流量を監視することもあります。配送チャンネルを通る物質の流量の監視は、配送チャンネル全体の流量の監視となります。これは配送チャンネルを通る物質の流量を示すものです。また、さらに、キャニスタ5に含まれる物質の質量を監視し、これを使用して配送チャンネル3を通る物質の流量を決定することもできます。
【0246】
キャニスタ5は、嗅覚的な出力を提供する物質5aを含む任意のキャニスタ5である場合があります。例に示されているのは、物質5aで飽和したポリマービーズですが、他の構成も使用できます。例えば、キャニスタ5には、物質5aを含む液体、粉末、またはゲルが含まれている場合があります。粉末の場合、物質5aは空気流によって運ばれることがあります。また、代替の実施例では、物質5aをバルブによって蒸発させ、空気流に導入することもあります。
【0247】
図2は、さらにキャニスタが存在する実施例を示しています。図2では、センサーとフローコントローラー11の間の通信は簡単のために示されていません。図2の嗅覚送達デバイスは、複数のキャニスタ5、各キャニスタ5に含まれる物質5a、各キャニスタ5に関連付けられた送達チャネル3、各送達チャネル内の物質の流速/濃度を測定するセンサー15、マニホールドエレメント22、および複数のバルブ24を含んでいます。各バルブはそれぞれのキャニスタ5に関連付けられています。また、出力コンポーネント7、フロージェネレータ13、フローコントローラー11、エアインレット9、エアフィルタ20a、20b、環境センサ17、およびユーザーフィードバックデバイス19も含まれています。さらに、清潔な空気供給を制御する追加のバルブが存在し、物質の濃度を薄めることができます(これはオプションの機能です)。
【0248】
空気はフロージェネレータ13によって空気入口9に引き込まれます。この実施例では、空気の流れはその後エアフィルタ20aを通過します。その後、空気はフロージェネレータ13を通過し、マニホールド22に向かって誘導されます。マニホールド22は、複数の開口部を持つパイプまたはチャンバーです。この場合、各開口部はフローコントローラ11によって制御され、バルブ24となる場合があります。バルブ24はフローコントローラ11が空気の流れを誘導する場所に応じて開閉されます。これらのバルブはオン/オフ型であるか、または各チャンネルで流量を個別に制御するための比例バルブである場合があります。各バルブ24はそれぞれのキャニスタ5に関連付けられており、したがって、最初のバルブ24を通過する空気は最初のキャニスタ5を通り、2番目のバルブ24を通過する空気は2番目のキャニスタ5を通るなど、それぞれのキャニスタ5と関連付けられています。各キャニスタ5にはそれぞれ個別の配送チャンネル3があります。したがって、キャニスタ5を通過する空気はそれに対応する配送チャンネル3を通過します。これにより、各キャニスタに保管されている物質5aが互いに分離されることが保証されます。図2に示されるように、配送チャンネル3は出力部品7の直前で接続される場合があります。これにより、物質およびそれに関連する香りが混合され、新しい香りが形成される可能性があります。また、キャニスタの変更を覆い隠すことで、ユーザーが香りの変化を実際に感知しない限り、香りが変わったことに気付かないようにすることができます(ユーザーは新しい出力から空気が出ていることに気付き、それを香りの変化と結び付けるかもしれません)。配送チャンネルは個別であり、それぞれに独自の出力部品7を持つ場合があります。これらの部品は出力エクステンション26によって接続されることもあります。たとえば、出力エクステンションは患者が使用した後に交換可能なマスクで終了し、これにより衛生面が向上し、またユーザーによる知覚のバイアスを回避します。このような実施例では、放出される物質は出力エクステンション26で結合される可能性があります。環境センサ17は香りの供給装置1の外部に配置されています。ユーザーフィードバックデバイス19は香りの供給装置のどこにでも配置されます(図2には表示されていません)。配送チャンネル3における物質の流量/濃度を測定するためのセンサ15は、各配送チャンネル3に配置されています。配送チャンネルにおける流量/濃度を測定するためのセンサ15、環境センサ17、およびユーザーフィードバックデバイス19はすべてフローコントローラと通信するように構成されています。エアフローコントローラ11はエアフロージェネレータ13によって生成される流量を制御します。また、生成されるエアフローは一定であり、フローコントローラ11によってマニホールド22内のバルブ24の位置が制御され、配送チャンネル3を介した流量を制御することもあります。ユーザーフィードバックデバイス19はユーザーからの入力を受け取るように構成されています。
【0249】
単一のフロージェネレータ13が複数の配送チャンネルからの流れを生成するために使用されることがあります。ただし、各配送チャンネル3にはそれに関連付けられたフロージェネレータ13も存在する場合があります。同様に、単一のフローコントローラ11が使用されることもありますが、あるいは各配送チャンネル3には個別のフローコントローラ11が関連付けられる場合もあります。
【0250】
各キャニスタ5には物質5aが含まれている場合があります。一部の実施例では、これらの物質5aは互いに異なる場合があります。また、一部の実施例では、1つ以上のキャニスタ5が空であり、関連する配送チャンネル3からは空気のみが放出される場合があります(これは図2の第4のバルブに関連付けられたキャニスタの欠如で示されています)。これにより、臭気放出装置1から放出される物質5aの濃度をさらに変調することが可能となります。例えば、ある実施例では、第1の配送チャンネル3が第1の物質5aを放出している場合、この物質5aの出力の時間に対する濃度のグラフを正方形の形状にすることが有利である場合があります。第2の配送チャンネル3の出力をオンとオフに切り替えることにより、第2の配送チャンネルがオンの場合に物質5aの濃度を低くし、第2の配送チャンネルがオフの場合には濃度に影響を与えないようにすることができます。したがって、正方形の放出曲線が生成されることがあります。
【0251】
図2には、主要なシステムセンサーが配置される可能性のある位置も示されています。例えば、空気の流れる経路上やキャニスタアレイ内、または配信エンクロージャーの外部などです。装置は、少なくとも流量発生器13(またはポンプ)の圧力を読み取り、1つまたは複数の配送チャンネル3を通じた流量を制御する圧力センサー26によって情報を検出する場合があります。さらに、温度および湿度センサー17、空気流センサー15、およびガス検知センサー27が存在する場合もあります。ガスセンサーは非選択型(例:光イオン化センサーや金属酸化物センサーなど)であり、一連の匂いに反応する可能性があります。また、選択的なガスセンサー(例:電子鼻やイオン質量分析器など)を使用して、匂いの種類を区別することもできます。センサーの仕様とタイプは、アプリケーションの要件によって定義されますが、圧力および温度センサーはフィードバックループシステムの一部として特に有利である場合があります。フィードバックループシステムは、図2および図7に示されているハードウェアコンポーネントを制御し、配信装置制御ユニットの一部となる場合があります。
【0252】
カートリッジに使用される化学物質の特性を特定するためのセンサーは、最適なアプリケーションの性能を計算するためのデータを記録することがあります。このような化学物質の特性のセンサーは、アプリケーションの要件によって異なるタイプが決定されます。例えば、ガスセンサーや組み込みのPID(光イオン化検出器)や匂いセンサーなどがあります。
【0253】
配信装置1内および外部には、異なる場所にさまざまな種類のセンサーのアレイが含まれることがあります。統合するセンサーの具体的なタイプと数は、感度範囲、安定性、応答時間、サンプル頻度、および耐久性などの主要な要素を考慮して、特定のアプリケーション要件に関連して決定される可能性があります。
【0254】
各カートリッジ5に配置された少なくとも1つの重量センサー28によって、カートリッジ内の化学物質の消費性能と状態を監視することは有益である場合があります(図2参照)。重量センサー28は異なるタイプのものである可能性があり、例えばひずみゲージ、容量センサー、油圧センサー、または気圧センサーであることがあります。これらは物理的な力、圧力、または重さの変化を検出し、物理的な刺激に対応した出力を生成することができます。重量センサー28のタイプや仕様は、化学物質の性質(液体、ゲル、または粉末)やアプリケーション要件によって決定されることがあります。また、カートリッジの壁に配置された電極を介して、カートリッジ内の化学物質の誘電特性を検知し、化学化合物の使用状況の変化を示すこともできます。
【0255】
図3は、匂い供給装置の一実施例の外部視図を示しています。これは、ユーザーまたは操作者が装置を見る際の視点です。図3には匂い供給装置1への空気の入力口9と、化学物質(つまり、匂いの刺激物質)を輸送する空気流を放出する出力部品7が示されています。出力される空気流には、1つ以上のカートリッジ5からの物質が含まれており、これらの物質は異なる化学的状態(液体、粉末、ゲルなど)で存在する可能性があります。匂いの刺激物質は、化学物質を収容する容器(例:ボトルまたはカートリッジ)から空気の出力位置7まで輸送されます。また、囲いの壁30も示されています。
【0256】
図4は、匂い供給装置の潜在的な実施例に基づく断面図を示しています。図4には、異なる要件に基づいて決定されたさまざまなセンサー15、17、19、28の可能な位置と仕様が示されています。装置は以下の要素で構成されています:囲いの壁30(プラスチック、アルミニウムなど、さまざまな材料で作られる可能性があります)、少なくとも1つの穴を含む空気入口9(外部空気をシステム1に入力するため)、匂いの供給装置1(本開示で提示されるものは異なる形状と寸法を持つ場合があります)、空気の入力口1、囲いの壁30、カートリッジ5、第1フィルター20a、第2フィルター20b、第1の電子制御ユニット10、第2の電子制御ユニット8(これらは単一のフローコントローラー11に置き換えることもできます)、ポンプ13などの流体発生器、ファン32、バルブ24、圧力センサー15、温度および湿度を測定するための環境センサー17、カートリッジの重さを測定するための重量センサー28、そしてマニホールド22です。囲いの壁30は、装置の内部機能を囲み、ケーシングとしての役割を果たすために使用されることがあります。
【0257】
図4では、カートリッジ5が概略的に示されています。第1フィルター20aと第2フィルター20bは、活性炭フィルターであり、ポンプ13の前後に配置され、入ってくる空気を浄化し、異物を除去するためのものです。ポンプはフロージェネレータ13の一形態であり、他のフロージェネレータを代わりに使用することもあります。ファン32は、フロージェネレータ13やバルブ24などの装置の過熱を防止するために配置されています。圧力センサー15は、マニホールド22への入口および送達チャンネルでの圧力を検出し、バルブ24はマニホールド内の空気がカートリッジ5に転送されるかどうかを決定します。図4では出口は示されていません。図4の空気流路は、図2に示されているものと実質的に同じです。
【0258】
におい供給装置1は、環境からの空気取り入れ口9を備えたエンクロージャ30として定義されます。生成された流れは化学物質の基本的な担体となります。この流れは少なくとも1つのカートリッジ5と接続された少なくとも1つのバルブ24に向けて誘導されるべきです。バルブ24には少なくとも1つのにおい刺激のための空気出力部品7があります。空気出力部品7は、におい(化学物質/香り)を人の鼻や頭部空間に届けるための担体となります。におい出力7は、速度と空間分解能を定義するさまざまな形状や寸法を持つ場合があります。たとえば、直径1mmの円形のにおい出力部品7は、円錐状の軌道を模倣した高速な送達と正確な空間分解能と拡散を生成します。におい出力の意味合いは、最適な知覚ポイントとユーザーの距離や位置に対応するように機能する場合があります。これらの距離は、文脈や環境要因に基づいて計算される可能性があります。したがって、においの供給のタイミング、空気の流れ、および空気の圧力は、環境と使用される化学物質に合わせて計算および適応されることがあります。供給範囲は、選択された供給装置パラメータとフロージェネレータ13のタイプによって10~45cmの範囲内で変動する可能性があります。
【0259】
におい刺激のための空気出力部品7は、超知覚閾値刺激(つまり、最も弱い刺激を知覚することができる閾値よりも強い刺激)または亜知覚閾値刺激(つまり、最も弱い刺激を知覚することができる閾値よりも弱い刺激)である場合があります。知覚閾値刺激は、応用要件によって定義され、プロセッサによって計算される可能性があります。プロセッサは、におい供給システムと通信するための別のデバイス(たとえば、適応システムユニット)に配置されている場合があります。
【0260】
図示されている2つのカスタム制御ユニット(PCB-プリント基板)のうち、1つ目の電子制御ユニット10は、ポンプの動作を制御し、少なくとも1つのファン32を起動することがあります。このユニットは、少なくとも1つのチャネルに直接またはバイパスを介して接続された差圧/ゲージ圧力センサやフローセンサからの入力を受け取り、温度センサや湿度センサも備えています。2つ目の電子制御ユニット8は、センサからの出力を受け取り、バルブの動作を制御する役割を担います。このユニットは、ユーザーフィードバックデバイス(回答や好みなど)、化学物質情報(においアプリケーションソフトウェアに保存されたデータ)への入力、距離センサ34、重量センサ28からの入力を受け取ります。データの保存は、内部でアクセス可能なストレージカードやクラウドベースのデータベースストレージのいずれかに行われる可能性があります。個々のユーザープロファイルが生成され、異なるにおいアプリケーションソフトウェア(APP)に適応されることがあります(図10を参照)。
【0261】
図5は、においの送信装置のさらなる実施形態を示しており、以下の構成要素からなります(断面図):12個のカートリッジ5の並列アレイがあり、それぞれが3mmのコネクタでマニホールド22に接続され、それぞれ24個のソレノイドバルブ24が取り付けられたアルミニウムとプラスチックのエンクロージャ30(寸法:長さ25cm、幅18cm、高さ15cm、重さ7kg)、空気入力、フローコントローラ11、2つの炭素フィルタ(20a、20b)、ポンプまたはフロージェネレータ13、ファン32、および空気入力9です。図5は、本発明の一実施例がどのように見えるかをリアルな視点で示しています。小型で持ち運びが可能な性質が特に有利です。これは、図5に示されている配置を使用することで実現されます。特に、空気流は装置内を曲がって流れるように構成されており、においの送信装置のサイズを縮小することなく、空気流経路の長さを確保しています。カートリッジ5は、スペースを節約し、効率的にマニホールド22とカートリッジをバルブ24を介して接続するために、規則的なアレイにまとめられています。スペースをさらに節約し、マニホールド22の内部領域を最大限に活用するために、1つのマニホールドに2つのバンクのバルブ24が取り付けられています。
【0262】
図6は、図5に示されているにおいの送信装置の実際の外観を示しています。この例では、エンクロージャ30はプラスチック素材から形成され、構造用アルミニウムインサートを備えています。これには、ディスプレイ42(LEDディスプレイなど)のための可能なフレーム、磁気ノブ40を介して着脱可能な出力エクステンション26、および出力部品7が含まれます。これらは、専用のキー38によって交換することも可能です。磁気ノブ40は、出力エクステンションを固定するために使用されると同時に、必要に応じて簡単に取り外すこともできます。においの出力部品7は、24個の異なる送達チャンネル3を備えて表示されています。各カートリッジ5に対応する送達チャンネル1つが示されています。出力エクステンション26は、ユーザーの要求に応じて取り付けおよび取り外しが可能です。出力エクステンションは、出力部品に表示された24個の送達チャンネルから出力されるにおいを混合し、ユーザーが感じる前に組み合わせることができます。これにより、各カートリッジに関連する物質に関連するにおいを組み合わせることで、新しいにおいを作成したり希釈したりすることができます。専用のキーは、出力エクステンションを固定するために使用されます。専用のキーは、ネジのような部材であるか、または単にマウントで構成される場合もあります。
【0263】
図7は、においの送信装置1の外観の概略図を示しています。エンクロージャ30、空気入力9、カートリッジ5、および出力部品7が示されています(図3でも見られます)。ただし、さらに要素42、44、46が示されています。これらはオプションの機能であり、ディスプレイ42(LEDまたはLCDディスプレイなど)、外部電源ユニット46、および接続要素44から構成されます。外部電源ユニット46は、交換可能なバッテリーユニットであるか、またはプラグソケットで構成される場合があります。ディスプレイ42には、残りの充電量や次回の充電までの使用可能時間などが表示される場合があります。また、エラーメッセージやにおいのテストの結果なども表示される場合があります。接続要素44は、においの送信装置を他のデバイスに接続するために使用されます。接続要素44は、USBポートなどの物理的な接続である場合があります。また、BluetoothやWi-Fi、または他のRF技術などの既知の標準を使用してワイヤレスで接続することも可能です。
【0264】
距離センサーは、ユーザー48の位置を推測するために使用され、それに応じて配信パラメータを調整するための制御ユニットに情報を入力することができます。距離センサーの種類は、対象のアプリケーションに関連して定義されます。これらのセンサーには、光学的な距離センサー(LIDAR)、CO2センサー、または超音波センサーが含まれる可能性があります。たとえば、CO2センサーは、CO2レベルの検出により、デバイスの周囲にいる人数を推定することができます。
【0265】
図8は、バルブ24から密閉されたカートリッジ5への空気の流れ経路を示しています。この経路は、単独の孤立したチャネル3を通じて行われ、においの出力部品7に至ります。また、においの出力部品は、取り外し可能な出力エクステンション26を持つ場合もあります。このエクステンションは、異なる材料(例えばプラスチック、アルミニウム、コード)で覆われたPTFE-Fパイピングを介して、長さ45cmなどのさまざまな長さを持つことができます。例えば、直径4mm、内径2.4mmの単一のチャネルを持つ場合、エクステンションは3Dプリントされたサポートや他のタイプの材料とデザインで接続される可能性があります。エクステンション26は、単一のチャネルまたは複数のチャネルを含むことができ、個別のPTFE-Fパイピングの個別のエクステンションとなる場合もあります。単一のパイピングエクステンションは、送達デバイスのにおいの出力の異なる位置に接続することができます。たとえば、単一のパイピングセットアップでは、送達レンジは2m以上の長距離をカバーすることができます。単一のパイピングエクステンションは、ユーザーの頭空間や鼻方向の拡散のために、3Dプリントされたサポートに接続することができます。
【0266】
拡張部の長さやタイプは、アプリケーションの要件やシナリオによって定義される可能性があります。
【0267】
空気入力口9は、まず2つの連続性のある炭素空気フィルター20a、20bのうちの最初のフィルターを通過し、外部の環境の粒子や匂いを除去することがあります。デバイスは一般的なフロージェネレーター13(ポンプなど)を持ち、フィルターされた空気を供給するための空気流を生成および制御します。フロージェネレーターは、軸ピストン、膜ポンプ、マイクロポンプ、圧電ポンプなど、さまざまなタイプがあります。異なるアプリケーションや実装要件によって最適なフロージェネレーターのタイプが定義されます。
【0268】
ポンプシステムによって生成される空気流は、追加の粒子や匂いを除去するために、二次の連続性フィルター20bを介してフロージェネレーター13から二方向バルブ24(ソレノイドバルブや圧電式バルブなど)に封入されたパイプシステムを通じて伝送される可能性があります。二次フィルター後の生成された空気流は、無臭で粒子のない呼吸可能な空気流を生成します。
【0269】
同じポンプシステムから複数のソレノイドバルブには、複数の一方向バルブ24に対するモジュラーアクセスポイントを持つマニホールド構造22を介して供給される可能性があります。各バルブタイプのソレノイドは、完全に閉じられたり正確に開かれたり調整されたりして、フローの方向と速度を各単一のカートリッジ5に対して調整することができます。デバイスには少なくとも1つまたは複数のカートリッジ5があり、それぞれには質量変化を監視するための重量センサー28があります。図1および図2は、このプロセスに関与する主要なコンポーネントを示す、入力から出力までの空気流パスの概略図を示しています。
【0270】
配送装置のコンポーネントとフロージェネレータは過熱する可能性がありますので、少なくとも1つの軸流ファン(図4の32)を使用して内部の温度を低減することができます。ファンの動作は温度センサによって定義され、配送装置の制御ユニットによって制御されます(図7を参照)。ファンの動作は、内部温度範囲(40°C以上)および外部範囲(38°C以上)の範囲にシンプルに活性化されるか、または活性化時間や連続的な匂い刺激の配信回数に応じて定義される場合があります。
【0271】
空気流量は外部の流量計(1 SLM - 10 SLM、SLMは分速リットルを表します)によって計測されます。これはクランプオン式の超音波流量計や空気速度センサーといったデジタルタイプであるか、またはフローセンサーや空気速度センサーが組み込まれた匂い配信装置内に搭載されることがあります。フローセンサーの分解能は50 SCCM(SCCMは分速標準立方センチメートルを表します)です。空気流量はポンプやソレノイドの挙動によって調整され、精度の高い自動フィードバックループ制御が行われることがあります。各チャネルの空気流量は約0.2 L/minから約6 L/minの範囲に及び、流量生成器からの目標空気流量の範囲は約0-8 SLMです。この範囲は、アプリケーションシナリオに応じて定義されるため、流量生成器の種類の決定に影響します。
【0272】
全体の配送装置は、知覚研究や健康関連アプリケーションなどのユーザーのバイアス回避のために、低い聴覚的な機械的な騒音を持つ場合があります。聴覚的な騒音は、アプリケーションの要件に応じて定義され、適応されることがあります。健康ケアのアプリケーションでは、匂いのテストやトレーニングなどにおいて、振動板ポンプを使用する場合、騒音は40dB以下になります。一方、エンターテイメント用途では、騒音レベルの要件はそれほど重要ではなく、ピストンポンプが適用されることがあります。エンターテイメントアプリケーションでは、配送装置はユーザーから離れた場所に配置されるか、音響処理されたボックス内に配置される可能性があります。
【0273】
装置は、少なくとも1つの配送出力を持ち、少なくとも5 mLの容量を持つキャニスタと接続される可能性があります。このキャニスタは非多孔質で無臭のさまざまな材料で作られており、異なる形態の化学物質を含んでいます。化学物質は、アプリケーションの範囲と要件に応じて異なる形態で存在することがあります。例えば、臭気が飽和したプラスチックポリマービーズ(図1、3aを参照)や液体、ゲル、粉末の形態です。各キャニスタには、少なくとも1つのパイプを含む少なくとも1つのチャネルがあります。各配送出力は個別に制御可能な空気チャネルを持ち、香りのキャニスタに接続されます。すべてのチャネルと配管システムは、PTFE-Fなどの非多孔質で無臭および非吸収性の材料で作られることが好ましいです。装置には、少なくとも1つの化学物質容器があり、少なくとも1つの化学物質をヘッドスペースまたは少なくとも1つの匂いの出力を含むノズルに流すように誘導することができます。
【0274】
少なくとも1つの化学物質容器に接続された少なくとも1つのチャネルと通信する、非多孔質で非吸収性かつ無臭のさまざまな材料からなるノズルまたは匂いの出力があります。
【0275】
カートリッジはユーザーフレンドリーなスロットイン/アウトを持ち、1ユニットからnユニットまでのモジュラーデザインのソリューションが可能です。デバイスはチャネル間のクロスコンタミネーションがなく、完全なシールを必要とし、空気の流れの低下や匂いの漏れを避けます。
【0276】
図9は、適応型匂い送達システムユニットのブロックダイアグラムを示しています。匂い送達デバイス、ユーザー、ユーザーフィードバック、および適応システムユニットが表示されています。これらのユニット間の通信も示されています。
【0277】
適応システムユニットは、前述の匂い送達デバイスと通信するために構成された通信ユニットを介して匂い送達デバイスと通信します。適応システムユニットはさらに、ユーザーからの指示を受け取るために構成された入力ユニットを備えています。適応システムユニットはこれらのユーザー指示を処理し、流量の変更に関する匂い送達デバイスへの指示を決定する場合があります。または、適応システムユニットはユーザーの指示を直接匂い送達デバイスに送信する場合もあります。匂い送達デバイスは、ユーザーの指示から必要な流量の変更を自身で決定することができます。いずれの場合でも、通信ユニットは情報を匂い送達デバイスに送信します(ユーザーの指示または匂い送達デバイスへの直接的な指示の形で)。
【0278】
匂い送達デバイスは、ユーザーの指示に基づいて匂いの刺激を発生させます。これらの刺激はユーザーの近くで発生されます。その後、ユーザーはFigure 9に示されているように、適応システムユニットにさらなるフィードバックを提供します。このフィードバックはさらなるユーザーの指示となります。したがって、Figure 9に示されているプロセスは反復的なものとなります。
【0279】
さらに、匂い送達デバイスはエラーやその他の情報を適応システムユニットに送信することがあります。これらのエラーは、シャットダウンやプロセスの停止など、さらなる指示をトリガーする可能性があります。
【0280】
適応システムユニットは、図8に示すように独立して存在する場合もあります。また、図14に示すように、匂い送達デバイスに組み込まれることもあります。
【0281】
開示される適応システムユニットのタイプは、環境、化学物質、感覚的な要素を感知し計算するシステムを介して、匂い送達を適応的に制御および指示する匂いアプリケーションを組み込んでいます。
【0282】
図9は、総合的な適応システムアーキテクチャのブロックダイアグラムを示しており、1つまたは複数の匂いアプリケーション(匂いトレーニング、匂いテスト、オーディオビジュアルコンテンツ、仮想現実または拡張現実、ミックスドリアリティの実装など)に関連して、ユーザーからの入力を入力ユニットを介して統合および保存することができます。また、1つ以上のローカルおよび/または分散型送達デバイスは、ユーザーのアクティブまたは間接的な入力を感覚情報を介して受け、配信パラメータを適応させることができます。
【0283】
全体のシステムは、匂い送達デバイスを含むハードウェアコンポーネントで構成される場合があります。匂い送達デバイスは、上記で説明したものと同様になる場合があります。または、匂い送達デバイスは、少なくともフローコントローラー(任意で電子ユニット制御の形態である場合もあります)と、ポンプ-バルブのモジュール(またはその他のアクチュエータの形態)、送達チャンネルを持つキャニスタ、および少なくとも1つのセンサー(例:送達チャンネルを介したフローレートを決定するセンサー、環境センサー、ユーザーフィードバックデバイスなど)で構成される場合があります。電子制御ユニットは、マイクロコントローラーまたはマイクロプロセッサーまたは状態マシン回路を含み、電子ユニットとのインタフェースを行い、少なくとも1つのセンサーからの信号を解析し、バルブへの信号を制御することができます。
【0284】
制御ユニットは、さまざまな送達パラメーター(周波数、強度、活性化チャネル、ユーザー距離調整など)のセンシングと変調を駆動することができます。フロージェネレーターシステムとソレノイドバルブは、一定かつ安定した空気流を提供できる利点があり、同一の刺激を時間の経過にわたって複数のチャンネルで再現し、ユーザーの能力、化学物質の特性、および環境要因(相対位置など)に合わせて調整することができます。適応性は、ユーザーの情報と入力、および同期したセンサーの入力によって決定される場合があります。センサーの入力は、全体システムの挙動のセキュリティ制御フィードバックを表し、エラーや故障の検出を可能にします。
【0285】
装置は、バッテリーと電力管理技術を組み込むことで携帯可能なバージョンとなる場合や、外部電源を使用する非携帯のバージョンとなる場合があります。外部電源は例えば12Vであることがあります。システムに統合されたさまざまなセンサーは、異なる消費電力を持つ場合があります。例えば、空気流センサーは連続的な電力消費があり、10mW未満であることがあります。装置の合計消費電力は、好ましくは12Vで1-2A(12-24W)の範囲にあるものの、システムは他の実施形態では低消費電力のエレクトロニクスを備えることがあります。特に携帯用に設計された場合などです。
【0286】
他の図(例えば図7)に示されているように、香り送達システムには電力入力、接続入力、そして一部の実施形態ではLEDやLCDディスプレイなどの表示装置が含まれる場合があります。表示装置は香り送達装置の基本的な状態を伝えるために使用されます。
【0287】
調整システムの機能と方法を説明するために、図9は全体のコンポーネントのブロックダイアグラムを示しています。ユーザーインターフェース、APPデータ、およびユーザーの保存されたプロファイルは、香りアプリケーションソフトウェア(APPと呼ばれる)に共通するコンポーネントです。各APPには、アプリケーションロジックを持つ専用のコーディネータコンポーネントがある場合があります。
【0288】
ほとんどの応用およびAPPの実装では、デバイスによってユーザーの知覚プロファイルが推定される可能性があります。この特定の例では、香りの刺激はユーザーの知覚閾値レベルに合わせて調整される場合があります(例:香りのトレーニングまたは香りのテスト)。アプリケーションロジックは、配信デバイスによる香りの刺激の調整と、その香りの刺激に関連する質問と回答によるユーザーとの別個の対話を調整します。APPは、入力ユニットを介してユーザーと対話するか、ユーザーの生体フィードバック(心拍数、皮膚伝導度など)を示すデータを受け取り、グラフィカルにまたは他の形式で質問と回答を提示してユーザーの知覚特性と個人情報への応答をキャプチャします。これは動的なプロセスであり、ユーザーの質問はユーザーの回答に適応し、コーディネータがそれを配信指示に変換します。デバイス内の制御ユニットは、配信指示で表される動的なプロセスに合わせて配信刺激を調整する場合があります。同様に、制御ユニットはセンサーの入力を統合し、状態マシンのフィードバックに応じてそれらをAPPに送り返すことができます(例:エラー)。制御ユニットは、センサーを駆動するアルゴリズムと共に、機械およびソフトウェアコンポーネントを調整する役割を果たします。
【0289】
全体的なAPPは、図9に示されるようなデバイス(コンピューターシステム、モバイル、タブレットコンピューターなど)に配置される場合や、図10、11、13、14に示されるようなクラウドインフラストラクチャに展開される場合があります。クラウドベースのAPPの場合、ユーザーによって提供される情報および後で他のAPPで使用するためのユーザープロファイルは、ユーザーアクセスまたは合意された第三者の使用のためにクラウドに保存される場合があります。たとえば、香りのトレーニングのパフォーマンスや好み、香りのテストのスコアなどのデジタルレコードは、単一のユーザーや医療専門家、関係者(例:一般開業医、病院、クリニックなど)によってアクセス可能になる場合があります。香りの配信デバイスには、Bluetooth、イーサネット、USB、Wi-Fi、RF技術など、外部デバイスやシステムと直接または間接的に接続するための複数の接続メカニズムが含まれている場合があります。
【0290】
図10は、クラウドベースの構成に埋め込まれた適応型香り配信システムユニットのブロック図を示しています。この例では、適応型システムユニットは仮想マシンであり、実際の物理的なデバイスではありません。ユーザーは、彼らに提示された質問に答えることで自分の指示を提供します。このフィードバックはクラウドインフラストラクチャに伝えられます。クラウドインフラストラクチャは、ユーザーのフィードバック、認識、または生体フィードバックを使用して、香り配信デバイスへの指示を決定するための方法を実行する可能性があります。香り配信デバイスはエラーの表示やフィードバックをクラウドインフラストラクチャに送信することができます。
【0291】
この実施形態では、ユーザーはクラウドインフラストラクチャに接続されたタブレットなどの外部デバイスにフィードバックを提供することができます。
【0292】
多様な用途をサポートするために、配信デバイスはさまざまな設定に統合され、他のデバイス(コンピューター、スマートフォン、タブレット、PDA、触覚デバイス、VRヘッドセットなど)と連携し、それらのデバイスのいずれかに展開されるさまざまなソフトウェアアプリケーションによって操作されることがあります。これらのデバイスとの通信のために、香りの配信デバイスにはBluetooth、イーサネット、USB、Wi-Fi、RFなど、複数の接続メカニズムが含まれている場合があります。同じアプリケーションで1つまたは複数の香りの配信デバイスを使用したり、異なるアプリケーションで同期または非同期に実行したりすることができます。以下では、詳細に説明するさまざまな代替システム構成に従って、これらの選択肢が提示されます。
【0293】
利用ケースに応じて、香りの配信デバイスは、同じ物理的な空間にある他のデバイスとの低遅延の統合を有利に行うことがあります。また、複数の場所のユーザーから収集した情報をリモートのクラウド上のコンピュータに更新する必要がある分散型の配信デバイスも存在するかもしれません。
【0294】
本開示に関連する適応ユニットに関するさらなる側面では、さまざまな種類の組み込み設定が提供されます。ここでは、システムの可能な統合設定の例を説明します。図8に示されているように、香りの配信デバイスは、直接他の一般的なデバイス(コンピューター、モバイル、タブレットなど)に接続されることがあります(シリアル通信用のUSBポート、Bluetooth、Wi-Fi、RF技術などを介して)。
【0295】
図11は、配信デバイスが異なる物理的な場所にあり、インターネットを介して(クライアント/サーバーアーキテクチャを使用して)リモートコンピューター(クラウドインフラストラクチャまたは物理的なマシン)に接続されるシステム構成を示しています。この構成の例は、さまざまなインターネット・オブ・シングス(IoT)アプリケーションに適用できる可能性があります。
【0296】
香りの配信デバイスは、インターネットを介して(クライアント/サーバーアーキテクチャを使用して)リモートコンピューター(クラウドまたはオンプレミス)に接続されます。そのリモートコンピューターは、香りの配信デバイスと同じ場所にある第二のデバイス(コンピューター、モバイル、タブレットなど)に接続することができ、ユーザーインターフェースとして使用される場合があります。図11は、クラウドベースのインフラストラクチャとAPP(アプリ)を備えた例を示しており、クラウドストレージを使用して、ユーザーのプロファイルデータ、APPデータ、使用許可などの情報を保存することができます。APPは、専用プロトコルを使用した通信モジュールを介して香りの配信デバイスと通信する場合があります。香りの配信デバイスでは、このモジュールに対応するDDクライアントがリモートコンピューターとの通信を処理し、制御ユニットと対話することができます(図11)。APPとDDクライアントは、通信を解釈するための2つのモジュールであり、サーバーと香りの配信デバイスの間で通信を可能にするためのプロトコルのやり取りを可能にします。この構成の例は、数多くのインターネット・オブ・シングス(IoT)アプリケーションやデバイスに適用できる可能性があります。
【0297】
図12は、さらなるシステム構成を示しており、配信デバイスが直接接続されています(シリアル通信用のUSBポート、Bluetooth、Wi-Fi、RFテクノロジなどを介して)同じ物理的な場所にある他のデバイス(オーディオビジュアルスクリーン、VRセット、ハプティックデバイス、ライトシステムなど)との間で、低遅延の統合を実現し、緻密な連携されたマルチセンサリー体験を提供します。
【0298】
香りの配信デバイスは、USBポート(シリアル通信)、Bluetooth、Wi-Fi、RFテクノロジなどを介して、他のデバイスを制御するために直接接続されます。例えば、この中央デバイスは、同じ物理的な場所にある他のデバイス(オーディオビジュアルスクリーン、VRセット、ハプティックデバイス、ライトシステムなど)と対話し、制御することができます。これにより、低遅延の統合が実現され、連携したマルチセンサリー体験が提供されます。図12は、主要なコンポーネントの例を示したブロックダイアグラムです。
【0299】
図13は、さらなるシステム構成を示しており、図10に示されるように、配信デバイスが異なる方法で使用されています。この場合、中央デバイスはインターネットを介してリモートサーバーに接続し(情報の提供、指示の取得など)、その情報を利用します。
【0300】
この構成は、前述の図12に示される構成と同じですが、異なる点は、中央デバイスがインターネットを介してリモートサーバーに接続することです(情報の提供、指示の取得など)。図13にはコンポーネントが示されています。この構成の例は、さまざまなインターネット・オブ・シングス(IoT)のアプリケーションやデバイスに適用できる可能性があります。
【0301】
図14は、配信デバイスがインターネットを介してリモートコンピュータに接続される可能性のあるシステム構成を示しています。このリモートコンピュータはクラウドまたはインプレミスサーバによって提供され、ユーザーからの入力を必要としない一般的な体験を提供することができます。
【0302】
図14は、香りの配信デバイスがインターネットを介してクラウドまたはインプレミスサーバに接続し、ユーザーの入力やユーザープロファイルやAPP情報の取得を必要としない一般的な体験を提供する構成を示しています。主要なコンポーネントの例を示しています。
【0303】
図15は、さらなるシステム構成のブロック図を示しています。この構成では、香りの配信デバイスは自己の自動配信デバイス制御ユニットで実行されるアプリケーションに基づいて独立して機能します。そのため、図15では香りの配信デバイスはユーザーからのフィードバックを受け取らず、事前に設定されたプログラムを実行します。これは特にエンターテイメント業界の使用例で有用です。たとえば、バーチャルリアリティデバイスでは、全ての人の感覚がバーチャルリアリティデバイスによって刺激されるため、香りの配信デバイスもバーチャルリアリティデバイスに組み込まれる場合があります。そのため、バーチャルリアリティデバイスによって提供される香りは、ユーザーのフィードバックに依存するのではなく、ユーザーに表示されるバーチャルリアリティに依存する場合があります。したがって、この実施形態では、香りの配信デバイスは自身のマイクロプロセッサで実行されるアプリケーションに基づいて独立して機能します。これは、入力を必要とせず、香りの配信体験を予め定義されたものとすることができ、香りの配信デバイスのフローコントローラにローカルに保存されたユーザープロファイルやアプリケーション情報から情報を取得することができます。また、情報は香りの配信デバイス内の他の制御ユニットとの通信を介して取得することも可能です。このシンプルな構成は図15に示されています。
【0304】
図16は、香りの配信デバイスから香りを配信する方法を示しています。この方法は、まず第1ステップ161で、第1の物質の流出を指示する指示を受け取ります。この物質には嗅覚的な出力、つまり香りが関連付けられています。次に、第2ステップ162では、第1の物質の流出を第1の流量または濃度で開始します。その後、第3ステップ163では、以下のいずれかの測定値を受け取ります:第1の配信チャンネルに配置されたセンサーによって測定された流量または濃度、環境を感知するために設定された環境センサー、およびユーザーからの入力を受け取るために設定されたユーザーフィードバックデバイス。最後のステップ164は、測定値に応じて第1の物質の流量または濃度を変更するものです。
【0305】
適応システムユニットは、ユーザーまたはバイオフィードバックの指示を受け取り、その指示やフィードバックを処理してフロー指示を決定するように構成されています。フロー指示はフロージェネレータによって生成されるフローを調節するためのものです。このフロー指示は香りの配信デバイスに送信されます。香りの配信デバイスはフロー指示を受け取り、それに応じて第1の物質の流量または濃度を調節します。
【0306】
例えば、香りの配信デバイスの環境センサーは、現地の温度、湿度、または圧力を検出することができます。これはユーザーの香りの知覚に影響を与える可能性があります。たとえば、温度が非常に低い場合(例えば0度以下)、キャニスタに保存されている物質を含む分子の揮発性が低下する可能性があります。これにより、物質に関連する香りが低減されるため、より高い流量または濃度の物質が必要になる場合があります。したがって、香りの配信デバイスは応答としてフローを調節し、第1の物質の流量または濃度を増加させる場合があります。同様に、湿度が高い場合、ユーザーはカビ匂い香りを経験するかもしれません。そのため、この効果を克服するために、流量を増加させるか、または湿度に関連する匂いを隠すために別の物質も放出する必要があります。
【0307】
もし配送チャネルのセンサーが、必要な流量または濃度と異なる値を検知した場合、それをフィードバックしてフローコントローラーに流量または濃度を調節するよう伝えます。
【0308】
ユーザーのフィードバックも応答に影響を与えます。これは、ユーザーから提供されるフィードバックや、ユーザーに対して行われた質問に依存します。具体的なアプリケーションやユーザーが行っているテストによって異なる結果が得られます。
【0309】
図17は、実施形態の統合構成設定に基づいて実装された香りの配信方法のプロセスの例を示しています。図9、10、11、および12に示される基盤構成の例に基づいています。
【0310】
フローチャートでは、可能な香りのアプリケーション(APP)の例が説明されています。ST1では、APPがコンピュータデバイスによってロードおよび起動され、次のユーザー(またはユーザー)とのインタラクションの手順が決定される場合があります(ST2)。これにより、ユーザーとコンピュータデバイスの間で相互作用のループが開始され、相互作用を続けるための条件がST3で評価されます。香りの配信は定義されたパラメータでトリガーされます(ST4)し、その後、香りの配信デバイスによる環境および配送システム自体の検出(ST5)により、アルゴリズムは配信パラメータを調整してアクチュエータを制御し、必要に応じて空気の流れを変更します(ST6)。
【0311】
次のステップは、フィードバックループを生成する条件です。このフィードバックループでは、香りの配信/検出/配信パラメータの調整の繰り返しプロセスが目標の配信が達成されるまでトリガーされる可能性があります(ST7)。ST4からST7までのフィードバックループプロセス全体は、DDの制御ユニットによって実行される場合があります。
【0312】
香りを配信した後、ユーザーとの対話はユーザーに提示された質問(ST8)とそれらの回答を計算デバイスに提供することに基づいています(ST9)。この新しい情報に基づいてプログラムがどのように続行されるかを定義し、ST2に戻ることで、フローを戻します。この時点から、サイクル全体が繰り返される場合もありますし、ST2での決定に基づいて、ユーザーとの対話を続けずにアプリケーションの実行を終了することもあります。
【0313】
注意すべきは、図17の例では、APPが図9に示すようにデバイス内(例:コンピューターシステム、モバイル、タブレット)にある場合、または図12および13に示すようにオーケストレータにある場合、または図10および11に示すようにクラウドインフラストラクチャで実行される場合があるということです。
【0314】
図18は、図14および15のインフラストラクチャ設定の例に基づいて実装された、統合構成設定に応じた匂いの配信方法のフロープロセスを示すフローチャートです。
【0315】
フローチャートでは、匂いのアプリケーション(APP)の例が説明されています。ST1では、APPがコンピュータデバイスに読み込まれ、起動されます。次に、データストレージから配信指示(ST2)の次のステップが読み込まれ、実行されるべき配信指示が残っているかどうかに基づいて、相互作用のループが開始されます(ST3)。次の配信指示に基づいて、定義されたパラメータで匂いの配信がトリガされます(ST4)。その後、環境と配信システム自体からの情報を感知することで(ST5)、アルゴリズムは配信パラメータを調整し、アクチュエータコンポーネントを制御して必要に応じて気流を変更します(ST6)。
【0316】
次のステップは、フィードバックループを生成するための条件です。このフィードバックループでは、匂いの配信/感知/配信パラメータの調整の他のイテレーションのプロセスが、その特定の配信指示の目標が達成されるまでトリガされる可能性があります(ST7)。ST4からST7までのフィードバックループプロセス全体は、DD制御ユニットによって実行される場合があります。
【0317】
匂いを配信した後、フローはST3に戻り、さらなる指示の有無をチェックします。この時点から、全体のサイクルが繰り返されるか、もしくは、もう配信する指示がないためにアプリケーションの実行を終了するかを確認します。
【0318】
図18の例では、APPは図15に示されるように匂い配信装置内にローカルに保存される場合や、図14のようなクラウドインフラストラクチャで実行される場合がありますので、ご注意ください。
【0319】
図19は、図9、10、11、および12で示されるようなインフラストラクチャの設定の例に基づいて実装された匂い配信方法のプロセスを示したフローチャートです。
【0320】
フローチャートでは、可能な匂いアプリケーション(APP)の例が説明されています。ST1では、APPがコンピューティングデバイスに読み込まれ、起動されます。コンピューティングデバイスは特定のユーザーの匂い設定を要求するかもしれません(ST2)、これにより、相互作用のループが開始されます。ループを継続するための条件はST3で評価されます。匂い配信デバイスは定義されたパラメータでトリガされます(ST4)、そしてその後、環境および配信システム自体、具体的には空気の流れ、圧力、匂いの濃度を検知することによって、アルゴリズムはセンサーフィードバックを制御して、匂い源を介した配信の空気流量を調整します(ST5)。これにより、香りの濃度を制御します(ST6)。
【0321】
次のステップは、フィードバックループを生成するための条件です。このループでは、匂いの配信/検知/配信パラメータの調整の他の反復プロセスが、配信の目標が達成されるまでトリガされる可能性があります(ST7)。ST4からST7までのフィードバックループ全体のプロセスは、DDの制御ユニットによって実行される可能性があります。
【0322】
匂いの配信後、ユーザーとのインタラクションは質問(ST8)とその回答(ST9)に基づいて行われます。この新しい情報に基づいてプログラムがどのように継続するかを定義するために、フローはST3に戻ります。この時点から、サイクル全体が繰り返される可能性があります。または、ST3での決定に基づいて、ユーザーとのインタラクションを継続せずにアプリケーションの実行を終了することを決定することもあります。
【0323】
この例では、図19と同様に、APPは図9に示されるようにデバイス(例:コンピューターシステム、モバイル、タブレット)にローカルに存在するか、図12および13に示されるようにオーケストレータに存在するか、または図10および11に示されるようにクラウドインフラストラクチャで実行されることがあります。
【0324】
図20は、適応型の匂い配信システムユニットと匂いセンシングデバイスの例を示したブロック図です。この図は図9に類似していますが、追加の匂いセンシングデバイスが存在します。図20のシステムは、一つの実施形態に基づく匂い支援システム100に対応しています。図20のシステムは匂いセンシングシステムとも呼ばれ、一つの実施形態に基づく匂いセンシングシステム100にも対応しています。匂い支援システム100は、匂いセンシングデバイス102を含んでいます。匂いセンシングデバイス102の独立したユニットは、ユーザーの近くに配置することが理想的です。匂いセンシングデバイス102は、例えば鼻や顔の周り、またはユーザーの衣服に取り付けることができます。これは、匂いセンシングデバイス102が匂いの濃度や強度、匂いの持続時間を正確に表現し、ユーザーの知覚的な嗅覚感覚とリアルタイム(または非リアルタイム)で関連付けるためです。匂い支援システム100はまた、ユーザーインターフェース108を備えたコンピューティングデバイス106も含んでいます。言い換えれば、匂いセンシングシステム100は匂いセンシングデバイス102と匂い配信デバイス104を含んでいます。
【0325】
匂い配信デバイス104は、ガスセンサーのアレイを含んでいます。このアレイには、複数のMOXセンサーとキャリブレーションのためのPIDセンサーが含まれています。ガスセンサーは、嗅覚出力110に応答してセンサー情報を生成するように構成されています。図20では、嗅覚出力110は匂い配信デバイス104から放出されます。嗅覚出力は、ユーザーの鼻によって検出可能な匂い刺激を生じます(ユーザーの嗅覚が障害されていない場合を想定しています)。他の例では、嗅覚出力110は自然なものであるか、匂い配信デバイス104以外の匂い源によって放出されるため、システム100は匂い配信デバイス104なしでも提供できます。匂い配信デバイス104は、ラベンダーの匂い(または異なる強度での組み合わせの匂い)などの嗅覚出力110を出力します。その後、匂いセンシングデバイス102のガスセンサーによって嗅覚出力110(匂い刺激)が検出されます。嗅覚出力110はユーザーによっても検出される場合もありますが、一部の場合ではユーザーの嗅覚が障害されている可能性があります。
【0326】
匂いセンシングデバイス102は、センサー情報114をコンピューティングデバイス106に出力するように構成されています。センサー情報114には、匂いセンシングデバイス102のガスセンサーの出力が含まれています。センサー情報114には、匂いの強度、匂いの種類、匂いの持続時間、および/または匂いの識別情報が含まれる場合があります。この例では、匂いセンシングデバイス102はコンピューティングデバイス106とのワイヤレス接続を持っています。
【0327】
コンピューティングデバイス106は、コンピュータシステム、モバイルデバイス、またはタブレットなどの機器である可能性があります。たとえば、コンピューティングデバイス106はスマートフォンやタブレットなどのスマートデバイスである場合があります。この実施例では、コンピューティングデバイス106はローカルに配置されています。つまり、ユーザーに近い場所に配置されており、ユーザーがそれと対話できます。コンピューティングデバイス106は、匂い配信デバイス104や匂いセンシングデバイス102などのデバイスともローカルに対話することができます。この場合、ワイヤレス接続を介して行われる場合もありますが、他の場合は直接ワイヤによって行われます。コンピューティングデバイス106にはユーザーインターフェース108があります。ユーザーインターフェース108は、ユーザーの出力デバイスを形成します。ユーザーインターフェース108は、匂い出力110に関連する匂いの識別情報を出力することができます。たとえば、ユーザーインターフェース108は、ユーザーに情報118を出力することができます。これは、コンピューティングデバイス106の画面を通じて行われる場合があります。また、ユーザーインターフェース108は、ユーザーの入力情報116を受け取ることもできます。これは、匂い出力110に関連する匂いの知覚を示す情報や他の質問などです。この例では、ユーザーインターフェース108はタッチスクリーンですが、他の例では、ユーザー出力とは別のボタンなど異なる形態である場合もあります。
【0328】
コンピューティングデバイス106には、プロセッサも含まれています。この実施例では、コンピューティングデバイス106には処理を行うソフトウェアが実行されています。図9で説明された「Smell Application Software(APP)」は、匂いセンシングデバイス102からセンサ情報114を受け取ります。したがって、コンピューティングデバイス106には、匂いセンシングデバイス102からの有用なフィードバック(ライブ情報など)が含まれることがあります。センサ情報114には、匂いの強度、匂いのパルスの持続時間、匂いの種類、チャネルの選択などが含まれる場合があります。また、ユーザーやユーザー周辺の環境の背景匂い(ベースライン)の読み取りも含まれる場合があります。匂いセンシングデバイス102によっては、匂い信号の時間変動や匂いパルスの順序などの動的な情報も提供され、コンピューティングデバイス106で使用することができます。したがって、コンピューティングデバイス106は、ここで開示されたようにプロセッサとして機能します。コンピューティングデバイス106は、センサ情報114を処理し、ユーザーインターフェース108を介して匂いの識別情報をユーザーに出力することもできます。他の例では、プロセッサはユーザーインターフェース108とは別になる場合もあります。
【0329】
匂いセンシングデバイス102からのセンサ情報114は、さらに匂い配信デバイスによって生成される配信情報112と相関付けられます。配信情報112には、匂いの配信流量、チャネル選択、ポンプ圧力、電磁弁の開度などのデータや情報が含まれます。配信情報112は匂い配信デバイス104から受信されます。これにより、どのキャニスタがロードされているか、どの配信チャネルがアクティブであるか、どのバルブが開いているか、および各配信チャネルを通る流量などが示される場合があります。相関関係によって、匂い配信デバイス104が正常に機能し、予想される強度で予想される匂い出力110が放出されたことが、匂いセンシングデバイス102のセンサ情報114で確認されます。
【0330】
計算装置106は、センサ情報114と環境センサーからの環境情報とを相関させることもできます。環境センサーは温度、湿度、または周囲の圧力などの情報を提供し、この例では匂いセンシングデバイス102に配置されています。したがって、環境情報はこの場合、センサ情報114と一緒に計算装置106に送信される可能性があります。他の例では、環境センサーは匂い配信デバイス104や他の場所に配置される場合もあります。温度や湿度などのパラメータが嗅覚に影響を与えることが知られているため、温度や湿度を示す情報は、嗅覚出力110に対する環境の影響を判断するために使用される場合があります。例えば、センサ情報114からの嗅覚出力110に関連する情報は、環境情報に基づいて補償される場合があります。
【0331】
計算装置106は、センサ情報(および必要に応じて配信情報112および/または環境情報と)を、ユーザーフィードバックデバイスからのユーザー情報と相関させたり処理したりすることもできます。ユーザー情報116は、ユーザーの入力を受け取るように構成されたユーザーフィードバックデバイスから受信されます。ここでは、ユーザー情報116は、計算装置106のユーザーインタフェース108から受け取られます。計算装置106は、ユーザーフィードバックデバイスのユーザー入力ユニットとして機能します。ユーザーは、匂いの感知、感知される強度、および/または匂いの種類など、匂いに関する自分の感覚について入力情報を提供します。例えば、ユーザーは、強いラベンダーのにおいを感知すると入力することがあります。
【0332】
他の実施形態では、センサ情報114と配信情報112、環境情報、および/またはユーザ情報116とのさらなる相関付けは必要ありません。配信情報112、環境情報、および/またはユーザ入力情報116は必要ありません。
【0333】
その後、計算装置106のプロセッサは、センサ情報114と配信情報112、環境情報、および/またはユーザ情報116を相関付けて、嗅覚出力110の匂いを特定することができます。たとえば、嗅覚感知装置102からのセンサ情報114は処理され、その結果、プロセッサは嗅覚出力110から匂い(この場合はラベンダーの匂いなど)を特定することができます。これは、ニューラルネットワークなどのアルゴリズムに基づいて行われる場合があります(テストデータでトレーニングされたもの)。ガスセンサの信号を分析することにより、ガスセンサのアレイを使用して異なるVOC(揮発性有機化合物)を検出し、お互いをキャリブレーションすることができます。これらの組み合わせにより、嗅覚出力110の正確な特定が提供されます。
【0334】
環境の影響を補償するために、環境情報(例:温度や湿度)を処理して嗅覚出力110への影響を補正します。たとえば、温度や湿度が一定の閾値を超える場合にセンサ情報114を調整したり、温度や湿度に依存する公式を使用して調整したりすることがあります。計算装置106にはまた、ユーザ情報のユーザ保存プロファイル120があります。これは、希望される出力に関連するユーザの好みや、嗅覚の障害に関する過去の情報を示すことができます。これは、計算装置106のユーザインターフェース108を通じて出力を調整するために使用されます。たとえば、特定の匂いの識別を他の匂いよりも低い強度でユーザに通知するなど、ユーザの感知が他の匂いに比べて低い場合の出力を調整することができます。ユーザはまた、計算装置106のユーザインターフェース108を介して情報116を入力することもできます。ユーザインターフェース108は、ユーザからの質問116への回答118や、匂いの識別などのその他のフィードバック118など、出力を行うこともできます。計算装置106に入力されたユーザ情報は、ユーザ保存プロファイル120に保存されます。
【0335】
計算装置106が匂いを識別した後、ユーザインターフェース108(ユーザ出力装置)を介して識別情報を出力することができます。識別情報は嗅覚出力110の表現です。この実施例では、識別情報は匂いに関連するオブジェクトの画像であり、特に匂いを生み出すオブジェクトの画像です。この場合、計算装置106はユーザインターフェース108を介してラベンダーの画像を出力し、画面にラベンダーの画像が表示されます。ユーザはこれを見て匂いがラベンダーであることを理解することができます。ユーザの嗅覚が低下している場合でも、これによってユーザを支援したり、ユーザの感覚が弱い場合に確認することができます。
【0336】
計算装置106は、匂い配信装置104に配信指示122を送信します。この場合、配信指示122によって嗅覚出力110が調整され、匂いや強度、または複数の匂いの組み合わせが変更されます。嗅覚出力110の調整は、計算装置106による解析に基づいて行われます。たとえば、計算装置106は、匂い検知装置102のセンサ情報114などを考慮して、嗅覚出力110の強度が低すぎると判断します。これに基づいて、計算装置106は匂い配信装置104に強度を増加させるよう指示します。これは匂いのテストやトレーニングに使用することができます。この実施例の匂い配信装置104は、複数の配信チャネルを持ち、キャニスタから物質を受け取り、物質が放出される出力部品を備えています。物質は嗅覚出力110を生成し、それを匂い検知装置102が検知します。匂い配信装置104には、物質をキャニスタから出力部品まで輸送するための気流生成要素も備わっています。一部の実施例では、匂い配信装置104は、嗅覚出力の強度を変更するための流量制御装置を備えていますが、一部の実施例では必要ありません。異なる配信チャネルは異なる匂いに使用され、これらは各配信チャネルの流量制御装置やバルブを介してさまざまな濃度で組み合わせられ、合成された嗅覚出力を生成します。他の実施例では、匂い配信装置104は必要とされず、自然な匂いなど他の匂い源でシステム100を実装することもあります。
【0337】
図21は、可能なクラウドベースの構成での適応型匂い配信システムユニットと独立した匂い検知装置の例を示したブロック図です。特に、図21は匂い支援システム100に類似した匂い支援システム200の別の実施例を示していますが、以下に記載されている点を除きます。図21のシステムは、クラウドインフラストラクチャ内でリモートで処理される点を除いて、ユーザーに近い場所にある計算装置106で処理が実行される匂い支援システム100と類似しています。この図は図10に類似していますが、クラウド内の計算装置206と通信チャネルに匂い検知装置102が追加されています。クラウドは、インターネットなどのネットワークを介して利用可能な計算リソース(プロセッサやサーバ、データストレージ、データアクセス、および/またはソフトウェアなど)を指します。したがって、クラウドコンピューティングは、ローカルの計算装置ではなく、インターネットを介してデータとプログラムを保存およびアクセスすることを指すことがあります。
【0338】
この実施例では、計算装置206はリモートの計算装置であり、クラウドインフラストラクチャに配置されています。他の実施例では、複数の計算装置が提供され、処理が複数のデバイスやリソース間で共有されることがあります。一部の処理はクラウド内で行われる場合もありますが、一部は計算装置106などのローカルな計算装置でローカルに行われることもあります。計算装置206は、インターネットなどのリモート接続を介して匂い検知装置102および匂い配信装置104と同様にやり取りします。この実施例では、システム100にはクラウド内の計算装置206と通信するユーザーインターフェース208が含まれています。この実施例では、ユーザーインターフェース208はスマートデバイス(スマートフォンなど)です。ユーザーはスマートデバイスのユーザーインターフェース208を介してクラウド内の計算装置206と通信するために相互作用することができます。
【0339】
匂い検知装置102には、Bluetoothコンポーネントまたはワイヤレストランスミッターが備わっており、計算装置206とワイヤレスで接続されるか、直接ワイヤレスネットワークに接続されることがあります。匂い検知装置102からのセンサ情報114は、クラウド内の計算装置206でさらに処理され、異なるカテゴリの匂いとその強度をより正確に予測および区別するために使用されます。機械学習、ニューラルネットワーク、またはより高度な人工知能(AI)アルゴリズムが、計算装置206で使用されることがあります。クラウドサービスを使用する場合、ローカルデバイスと比較して計算能力が高くなるため、より複雑なアルゴリズムや強力なAIアルゴリズムなどのより高度なアルゴリズムを使用することができます。計算装置206はまた、ユーザーインターフェース208と通信して、ユーザーに情報118を出力し、ユーザーからの入力116を受け取ることができます。これにより、ユーザーは匂いの知覚に関する情報116を入力し、匂いを識別する出力118を受け取ることができます。ユーザーインターフェース208は、ユーザーへの出力デバイスとして、またユーザーフィードバックデバイスとして、ユーザーの入力ユニットとして機能します。
【0340】
言い換えると、システム200はシステム100と同様に操作可能であり、ただし処理はクラウド上で行われます。
【0341】
図22Aは、匂いのトレーニングや匂いのテストに関与する様々なコンポーネントの一例の概略図です。図22Aは、匂い支援システム100または200に類似した匂い支援システム300の一例の具体的な実施例を示しています。ただし、以下に記載されている点が異なります。図22のシステムは匂い検知システム300とも呼ばれることがあります。システム300には、匂い検知装置302、匂い発生装置104、および処理用のスマートデバイス306があります。スマートデバイス306はコンピューティングデバイスであり、ユーザーインターフェース308を備えています。システム300は図20または図21に類似しています。スマートデバイス306は、匂いの識別や匂いレベルなどの情報を出力することができるアプリを搭載したスマートフォンです。他の例では、スマートデバイス306はタブレットや他のスマートデバイスである場合もあります。アプリはまた、ユーザーの匂いの知覚などの入力を受け取ることもできます。匂い発生装置104は、ユーザーに向かって嗅覚の出力110を放射することによって匂いを提供します。
【0342】
匂い検知装置302は、ユーザーの鼻に近い位置に取り付けられています。ここでは、眼鏡のフレームに取り付けられた匂い検知装置302の位置が具体的に示されています。匂いは揮発性有機化合物(VOC)を介して匂い発生装置104によって提供されます。VOCは媒体(空気)を通じて拡散し、一部はユーザーに到達します。匂いの強度は、ユーザーに到達するVOCの濃度によって与えられます。これは、各チャンネルを通じて匂いが供給される流量の関数です。匂い検知装置302は、匂いの濃度、匂いの種類、匂いの持続時間(ユーザーの近くでの)、背景の匂い、および湿度や温度などの環境パラメータを検出します。この例では、匂い検知装置302にはガスセンサーと環境センサーが含まれています。
【0343】
匂い検知装置302は、スマートデバイス306にリアルタイムのフィードバックを提供します。匂い発生装置104には、BluetoothやWi-Fiなどの無線プロトコルを介してスマートデバイス306と通信するための無線送信機があります。匂い検知装置302からスマートデバイス306へ送信されるセンサ情報114には、匂い出力110へのセンサ応答の信号が含まれており、これは匂いの強度を示しています。また、匂い検知装置302からのデータには、環境センサーからの環境情報も含まれており、例えば温度や湿度を示す場合があります。
【0344】
情報はスマートデバイス306とフィードバックの嗅覚知覚と共にデータベース124と関連付けられます。ユーザーフィードバックは、ユーザーインターフェース308を介してスマートデバイス306に入力されることができます。ユーザーが匂いを感知する(または相対的な強度を示す)と示した場合、センサ情報114はこれを検証するために使用されることがあります。データベース124は、スマートデバイス306が背景の匂い出力パターンや過去のユーザーデータなどの歴史的データを参照するために使用できます。したがって、センサ情報114はユーザー情報とユーザー入力情報と関連付けられる可能性があります。ユーザーが匂い検出装置104から放出されたラベンダーの匂い(例えば)を感じることができないと示した場合、しかしセンサ情報114によってラベンダーの高い強度が示された場合、システム300が正常に動作していることが確認され、ユーザーの嗅覚に障害があることが示されます。過去のユーザー情報を処理することにより、スマートデバイス306はユーザーが過去にラベンダーの匂いを嗅ぐのに困難を抱えていたことを判断することができます。この情報は、この場合はスマートデバイス306のユーザーインターフェース308によってユーザーに出力されることができます。この実施例では、ユーザー出力デバイスはプロセッサとユーザー入力デバイスと同じデバイス(スマートデバイス306)ですが、他の例では別個に提供される場合もあります。この情報は、制御信号122を介して匂い発生装置104にもフィードバックされることがあります。
【0345】
スマートデバイス306は、チャネルの選択、流量、匂いの強度などを制御するために匂い発生装置104とも通信します。スマートデバイス306は、匂い発生装置104に対して指示を送信して嗅覚出力110を調整することができます。ユーザーが匂いを感知できないと示した場合、スマートデバイス306は匂い発生装置104に対して強度を増加させるよう指示し、流量を増加させることでユーザーが高い強度を感知できるかどうかを確認することができます。スマートデバイス306は、ワイヤレスネットワークやBluetoothを介して匂い発生装置104とワイヤレスで通信する場合があります。ユーザー情報は、ユーザーがラベンダーの匂いを感知できるレベルを示すことができるため、強度を変更してこのレベルを確認し、ユーザーの嗅覚能力の変化を検出することができます。
【0346】
この例では、スマートデバイス306はプロセッサであり、センサ情報114や配信情報を受け取り、指示122を送信して嗅覚出力110の配信を調整します。スマートデバイス306はまた、処理を実行し、識別や検証をユーザーインターフェース308を通じて出力します。つまり、処理はスマートデバイス306によってローカルで実行されます。他の例では、スマートデバイス306は通信デバイスとして機能し、処理はクラウドなど他のデバイスで実行される場合もあります。したがって、スマートデバイス306は情報を受け取るが、それをクラウド上のリモートコンピューティングデバイスに転送することができます。他の例では、システム300にはクラウドネットワーク内の処理能力が含まれる場合もあります。
【0347】
図22Bは、図22Aの一部を示しており、具体的には図22Aの例の嗅覚センシングデバイス302の要素が特別に設計された眼鏡350に取り付けられています。これらの眼鏡350は処方レンズ、クリアレンズ、ダミーレンズ、サングラスのレンズ、またはレンズがない場合などが考えられます。この例では、ワイヤレス送信機354が眼鏡350のフレームに取り付けられています。また、嗅覚センシングデバイス302のガスセンサー352(および必要に応じて他のセンサー、例えば環境センサー)からなるユニットは、鼻にクリップで留められていますが、他の場合では眼鏡350のフレームに接続されることもあります(図示されていません)。嗅覚センシングデバイス302は、眼鏡350に取り付け可能であり、後付けで装着することもできます。ガスセンサー352を保持するクリップは眼鏡350に取り付けることもできますが、必ずしも必要ではありません。
【0348】
図22Cは、嗅覚センシングデバイス402の例のクリップオンデバイスの簡略化された表示を示しています。ユーザーの鼻に近い位置に嗅覚配信デバイス402を配置することが好ましいです。これにより、ユーザーの嗅覚知覚に関するフィードバックとの関連性がより正確になります。この実施例では、嗅覚センシングデバイス402にはユーザーの鼻に取り付けるためのクリップが含まれています。また、ワイヤレス送信機もクリップオンデバイスに設けられており、眼鏡のフレームには設けられていません。一部の例では、重量を軽減するため、ワイヤレス送信機ではなく、センサー情報を格納するためのデータストレージが提供されています。これにより、コンピューティングデバイスに接続してセンサー情報を抽出し、処理デバイスで使用することができます。嗅覚センシングデバイス402により、ガスセンサーをユーザーの鼻の近くに配置することができるため、センサーの結果はユーザーが感じる嗅覚を示し、遠くに配置するよりもより正確です。これは、ユーザーの嗅覚を支援または代替するために使用することができます。
【0349】
図23は、嗅覚センシングデバイス29の例を示す3Dの図式表現です。このデバイスは、プリント基板(PCB)30、マルチセンシング揮発性有機化合物(VOC)センサー31, 32、環境センサー33、ASIC駆動および読み出し回路34、ワイヤレス送信機/Bluetooth35、バッテリー36、およびインターフェースポート39から構成されています。VOCセンサーの感知素子に嗅覚を拡散させるためのパッケージまたはリッドの開口部37が提供されています。周囲の条件(例:湿度レベル)へのアクセスのためにも開口部を設けることができます。PCB上の回路を相互接続するための金属リード38も図式的に示されています。VOCセンサー31はPIDセンサーであり、存在する全VOC(TVOC)の正確かつ安定した検出および基準値(背景の匂い)の信頼性のある読み取りを提供します。MOXセンサー32との組み合わせにより、特定の匂いのタイプに関する情報を提供するための選択性が改善されます。MOXセンサー32のアレイは異なる種類の匂いを区別することができます。これは、ローカルのASIC 34に実装されたソフトウェアアルゴリズムまたはセンサー情報を処理するスマートデバイスのアプリソフトウェアの一部として容易に実現されます。PID 31はまた、MOXセンサーアレイ32のキャリブレーションに使用されます。環境センサー33には温度と湿度センサーが含まれています。温度と湿度センサーは、VOCセンサー31, 32の出力に対する温度と湿度の寄生効果の補償に役立ちます。これらはまた、周囲のデータの一部として使用され、スマートデバイスへのフィードバックとして転送されることがあります。嗅覚センシングデバイス29は、嗅覚センシングデバイス102、302、または402で使用することができます。
【0350】
図23は、嗅覚センシングデバイスの単純な図式的実装例を示していますが、他の最先端の組み立て技術に基づく異なる実装も可能です(図示されていません)。嗅覚センシングデバイスは、システム・イン・パッケージ(SIP)の形態であり、フリップチップ、スタックダイ、チップオンボードアセンブリ、ウェハレベルパッケージングなどの技術を使用することができます。VOCセンサーは、例えばPCBを介さずにASICのチップ上に直接実装されることがあり、スタックダイ技術が使用されることがあります。湿度および温度センサーは、VOCセンサーと共に共包装される場合があり、デバイスのフォームファクタを縮小し、またはコストを削減するために使用される場合があります。
【0351】
図24Aは、嗅覚センシングデバイスに組み込まれた光イオン化検出器(PID)からの嗅覚の一時信号を示しています。この図は、時間の関数としての嗅覚送達デバイスの出力の一例を示しています。嗅覚の強度、嗅覚の持続時間、および嗅覚の基線が表示されています。嗅覚のパルス間には、嗅覚がバックグラウンドの嗅覚に戻る回復期間が存在します。PIDセンサーからの信号は電圧出力として示されています。ここでは、嗅覚送達デバイスによって提供される同一の嗅覚パルスが3つ存在しています。異なる強度や異なる種類の嗅覚を持つ嗅覚パルスの連続は、嗅覚テスト、嗅覚トレーニング、または嗅覚の没入体験の手順の一部として使用することができます。これにより、パターンマッチングや他のアルゴリズムを使用してプロセッサによって処理されるセンサー情報が形成され、嗅覚を識別するために使用されることがあります。例えば、信号をデータベース内の既知の信号と比較することができ、または機械学習、ニューラルネットワーク、またはAIの手法を実装して嗅覚を識別することができます。
【0352】
図24Bは、嗅覚送達デバイスと嗅覚センシングデバイスの間の距離の関数として嗅覚の濃度の減衰を示しています。この図は、嗅覚送達デバイスによって提供され、嗅覚センシングデバイスによって測定される嗅覚の強度が距離に非常に依存することを明示しています。この相関関係は、実験データとソフトウェアシミュレーションパッケージ(この例ではCOMSOLとして示されています)を使用したシミュレーションデータの両方で示されています。距離が近いほど、嗅覚の知覚が強くなります。嗅覚送達デバイスをユーザーの近く(ユーザーの鼻)に配置することは、VOCの濃度(嗅覚信号)をより正確に読み取るために望ましいです。嗅覚の強度はまた、カートリッジ内の化学物質の濃度と嗅覚送達デバイスの各チャネルを通る流量の関数でもあります。位置センサーを使用することで、嗅覚センシングデバイスとユーザーの鼻との距離を使用して、嗅覚センシングデバイスの読み取りを補正することができます。言い換えれば、距離がわかっている場合、キャリブレーション中の既知の相関関係に基づいてガスセンサーの強度の値を補正し、ユーザーの鼻での強度のより正確な値を提供することができます。
【0353】
上記の議論からは、図に示された実施形態は単なる例であり、本明細書およびクレームに記載されるように記載されるように一般化、削除、または置換可能な特徴を含むことが理解されるでしょう。一般的に図に関して、本明細書で説明されるシステムおよび装置の機能を示すために、模式的な機能ブロックダイアグラムが使用されることが理解されます。たとえば、フロー発生器が提供する機能は、全体または一部がバルブによって提供される場合があります。さらに、記載されたプロセス機能は、適応システムユニットによってサポートされるデバイスによっても提供される場合があります。ただし、機能は必ずしもこのように分割する必要はなく、以下に記載および主張される以外の特定のハードウェア構造を暗示するものではありません。図示された要素の一つまたは複数の機能はさらに細分化され、または開示の装置全体に分散させることができます。図示された要素の一つまたは複数の機能は、いくつかの実施形態では単一の機能ユニットに統合される場合があります。
【0354】
上記の実施形態は、説明的な例として理解されるものです。さらなる実施形態が予想されます。一つの実施形態に関連する任意の特徴は単独で使用されるか、または他の特徴と組み合わせて使用されることが理解されます。また、それらは他の実施形態の一つまたは複数の特徴とも組み合わせて使用される場合があります。さらに、上記に記載されていない同等物や変更も、本発明の範囲から逸脱せずに使用することができます。本発明の範囲は、添付のクレームで定義されています。
【0355】
一部の例では、1つ以上のメモリ要素がデータやプログラム命令を格納し、ここで説明された操作を実行するために使用されます。本開示の実施形態は、プログラム命令を含む具体的で非一時的な記憶媒体を提供し、これにより、記載された方法のいずれか一つ以上を実行するためにプロセッサをプログラムするか、または記載されたようなデータ処理装置を提供することができます。
【0356】
センサー、フローコントローラー、フロージェネレーター(およびここで説明されたアクティビティと装置のいずれか)およびそれらの構成要素は、論理ゲートのアセンブリやソフトウェアによるプログラマブルロジックなど、固定ロジックやプログラマブルロジックで実装される可能性があります。他の種類のプログラマブルロジックには、プログラマブルプロセッサ、プログラマブルデジタルロジック(たとえば、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、電気的に消去可能なプログラマブル読み出し専用メモリ(EPROM)、電気的に消去可能なプログラマブル読み出し専用メモリ(EEPROM)、アプリケーション固有集積回路(ASIC)など)、デジタルロジック、ソフトウェア、コード、電子的な命令、フラッシュメモリ、光ディスク、CD-ROM、DVD-ROM、磁気または光カード、電子的な命令を格納するのに適した他のタイプの機械可読メディア、またはそれらの適切な組み合わせが含まれます。このようなデータストレージメディアは、生成されたデータを格納するために、匂い送達システムとの組み合わせでデータストレージ手段を提供する場合もあります。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
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図10
図11
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図13
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図24A
図24B
【国際調査報告】