(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-30
(54)【発明の名称】マルチチャネル植毛機を装着する装着モジュール及びこれを備える自動植毛装置
(51)【国際特許分類】
A61B 34/35 20160101AFI20231122BHJP
A61F 2/10 20060101ALI20231122BHJP
A61B 17/34 20060101ALI20231122BHJP
【FI】
A61B34/35
A61F2/10
A61B17/34
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022515080
(86)(22)【出願日】2021-10-26
(85)【翻訳文提出日】2022-03-07
(86)【国際出願番号】 KR2021015094
(87)【国際公開番号】W WO2023063465
(87)【国際公開日】2023-04-20
(31)【優先権主張番号】10-2021-0135972
(32)【優先日】2021-10-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518419611
【氏名又は名称】オデ コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】OHDAE CORPORATION
【住所又は居所原語表記】2 Nongong-ro 117-gil, Nongong-eup, Dalseong-gun,Daegu, 42984 Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100121382
【氏名又は名称】山下 託嗣
(72)【発明者】
【氏名】キム,ビョン スル
(72)【発明者】
【氏名】キム,ジョン フン
(72)【発明者】
【氏名】オム,キ ヒョン
【テーマコード(参考)】
4C097
4C130
4C160
【Fターム(参考)】
4C097AA22
4C097BB01
4C130AA34
4C160FF47
(57)【要約】
本発明は、複数のアームと関節から構成されたロボットアームに装着可能な植毛機装着モジュールに関するものであって、一実施例において、ロボットアームに結合されるブラケットと、前記ブラケットに設置され、前記ブラケットに対して上下方向に摺動自在な第1摺動ブロックと、前記ブラケットに設置され、第1摺動ブロックの一側に並んで配置され、前記ブラケットに対して上下方向に摺動自在な第2摺動ブロックと、を含み、第1摺動ブロック(130)にマルチチャネル植毛機モジュールが着脱可能に装着されうる植毛機装着モジュールを開示する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のアームと関節から構成されたロボットアームに装着可能な植毛機装着モジュールであって、
ロボットアームに結合されるブラケット(100)と、
前記ブラケットに設置され、前記ブラケットに対して上下方向に摺動自在な第1摺動ブロック(130)と、
前記ブラケットに設置され、第1摺動ブロックの一側に並んで配置され、前記ブラケットに対して上下方向に摺動自在な第2摺動ブロック(140)と、
を含み、
第1摺動ブロック(130)にマルチチャネル植毛機モジュール(20)が着脱可能に装着されうることを特徴とする、植毛機装着モジュール。
【請求項2】
前記ブラケットに上下方向に所定の長さに形成されている第1レール(105)と、
第1摺動ブロック(130)に上下方向へと所定の長さに形成され、第1レールに噛み合って摺動自在に結合される第2レール(135)と、
を含むことを特徴とする、請求項1に記載の植毛機装着モジュール。
【請求項3】
前記マルチチャネル植毛機モジュール(20)が、
中心軸の周辺に放射状に配列されている複数の針を備えるマルチチャネル植毛機(30)と、
前記マルチチャネル植毛機の外周面の摺動取っ手(33)に着脱可能に結合される植毛機ホルダ(40)と、
を含むことを特徴とする、請求項1に記載の植毛機装着モジュール。
【請求項4】
第1摺動ブロック(130)に上下方向へと所定の長さの第3レール(136)が形成され、
前記植毛機ホルダ(40)は、植毛機ホルダ(40)の一側に形成され、第3レールに噛み合って上下方向に摺動自在に結合される第4レール(46)を含むことを特徴とする、請求項3に記載の植毛機装着モジュール。
【請求項5】
第1摺動ブロック(130)が、前記植毛機ホルダを向いた第1摺動ブロックの表面に形成されているホルダ係止突起(151)をさらに含み、
前記植毛機ホルダ(40)が、第1摺動ブロックを向いた前記植毛機ホルダの表面に形成され、前記ホルダ係止突起(151)を受け入れる細長い第1凹部(47)をさらに含み、
第1摺動ブロックの第3レール(136)と、前記植毛機ホルダの第4レール(46)とが噛み合った状態で前記ホルダ係止突起(151)が前記第1凹部(47)に嵌め込まれることで、前記マルチチャネル植毛機モジュール(20)が第1摺動ブロック(130)に装着されることを特徴とする、請求項4に記載の植毛機装着モジュール。
【請求項6】
第1摺動ブロック(130)の第3レール(136)の上部に設置され、第1摺動ブロック(130)に装着された前記植毛機ホルダ(40)を弾性力によって下方に加圧できるように構成されたプッシュバー(160)をさらに含むことを特徴とする、請求項4に記載の植毛機装着モジュール。
【請求項7】
前記マルチチャネル植毛機モジュール(20)が第1摺動ブロック(130)に装着された状態で、前記第2摺動ブロック(140)が前記マルチチャネル植毛機モジュールの上端部を加圧できるように構成されることを特徴とする、請求項1に記載の植毛機装着モジュール。
【請求項8】
植毛機を用いて患者の頭皮に毛髪を移植する植毛動作を自動で行うための自動植毛装置であって、
多関節ロボットアーム(50)に取り付けられた請求項1~7のいずれか一項による植毛機装着モジュール(10)と、
請求項1~7のいずれか一項によるマルチチャネル植毛機モジュール(20)を複数据え付けることができる1つ以上の据置台と、
前記ロボットアームと植毛機装着モジュールの動作を制御する制御部と、
を含み、
前記制御部の制御に応じて前記ロボットアームと植毛機装着モジュールが駆動し、据置台に据え付けられているマルチチャネル植毛機モジュール(20)を前記植毛機装着モジュール(10)に装着する動作、及び前記植毛機装着モジュール(10)に装着されているマルチチャネル植毛機モジュール(20)を前記据置台(60)に据え付ける動作を行うよう構成されることを特徴とする、自動植毛装置。
【請求項9】
前記据置台が、マルチチャネル植毛機モジュールをそれぞれ収容できる複数の植毛機据付部(610)と、前記植毛機据付部に隣接して設置されたレバー(620)と、を含み、
マルチチャネル植毛機モジュールを装着した植毛機装着モジュール(10)が下降する際、前記植毛機装着モジュールが前記レバー(620)の一端部を押し、前記レバーによって前記マルチチャネル植毛機モジュールが第1摺動ブロック(130)から脱着されることを特徴とする、請求項8に記載の自動植毛装置。
【請求項10】
前記1つ以上の据置台が第1据置台(60)及び第2据置台(60’)を含み、
第1据置台は、毛髪移植の施術に使用する前の1つ以上のマルチチャネル植毛機モジュールを据え付け、第2据置台は、毛髪移植の施術に使用した1つ以上のマルチチャネル植毛機モジュールを据え付けることを特徴とする、請求項8に記載の自動植毛装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は植毛機に関し、より詳しくは、植毛機を用いて患者の頭皮に植毛する動作を自動に行うことのできる自動植毛装置に関する。
【背景技術】
【0002】
毛髪移植は、頭皮の発毛領域から毛髪を採取し、脱毛された他の不毛領域の頭皮(不毛患者)にこれを植えて移植(transplant)することで、一般人のように多い量の頭髪を有することを可能にする毛髪施術法の1つである。
【0003】
毛髪移植の施術には、複数の毛髪植毛機(移植機)が使用されている。毛髪植毛機は、頭皮の発毛領域から毛髪を採取し、脱毛された他の不毛領域の頭皮(不毛患者)にこれを植えて移植(transplant)するための装備であって、従来に幅広く利用されている毛髪移植機は、1つの機体内にそれぞれ1つずつの移植針と、この移植針の内部に摺動自在に配置されている心軸を備えている。
【0004】
従来における毛髪植毛機を使用する場合、施術者が手で植毛機を取って、指でいちいち操作(押したり、引き上げるなど)して移植針と心軸を動作させるという構造により形成されている。
【0005】
しかし、このような従来における単発手動式である植毛機は、1つの植毛機で1つの毛根しか植毛できないことから、数多い毛根を植毛するためには、多数の植毛機を備えた状態で、施術するごとに機器をいちいち変えながら実行しなければならず、それだけでなく、植毛針と心軸を動作させるための施術者の指の操作が求められるという、極めて困難な作業である。
【0006】
即ち、従来における毛髪移植機を使用する場合、毛髪の移植工程を行う施術者(例えば医師)は、頭皮に移植針を刺して心軸を動作させる1回の施術を終了すると、すでに使用された植毛機を、別に備えられた作業台に乗せ、準備された他の植毛機を持って再び患者の頭皮に上記の過程を続けなければならない。一般に、毛髪移植の施術が、一回に1000回以上の回数と約3~5時間という長時間にわたって行われるため、毎回の施術ごとに移植針と心軸を動作させるために指を操作しなければならないという毛髪移植の作業のために、施術者の相当な労働力及び疲労が不可避であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】大韓民国公開特許第2008-0049793号(2008年6月4日公開)
【特許文献2】大韓民国公開特許第2019-0109321号(2019年9月25日公開)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記の従来における問題を解決するためのもので、複数の針(移植針)を備えるマルチチャネル植毛機を自動で装着し、患者に毛髪移植の作業を行って据置台に自動据置することで、毛髪移植の作業のほとんど全過程を自動で行うことのできる自動植毛装置を提供することを目的にする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一実施形態によると、複数のアームと関節から構成されたロボットアームに装着可能な植毛機装着モジュールであって、ロボットアームに結合されるブラケットと、前記ブラケットに設けられ、前記ブラケットに対して上下方向に摺動自在な第1摺動ブロックと、前記ブラケットに設けられ、第1摺動ブロックの一側に並んで配置され、前記ブラケットに対して上下方向に摺動自在な第2摺動ブロックとを含み、第1摺動ブロック130にマルチチャネル植毛機モジュールが脱着可能に装着されうる植毛機装着モジュール及びこれを備えた自動植毛装置を開示する。
【0010】
一実施形態において、前記ブラケットに上下方向に所定の長さに形成されている第1レールが備えられ、第1摺動ブロックに上下方向に所定の長さに形成され、第1レールに噛み合って摺動自在に結合される第2レールがそなえられることができる。
【0011】
一実施形態において、前記マルチチャネル植毛機モジュールが、中心軸の周辺に放射状で配列されている複数の針を備えるマルチチャネル植毛機と、前記マルチチャネル植毛機の外周面の摺動取っ手に脱着可能に結合される植毛機ホルダとを含むことができる。
【0012】
一実施形態において、第1摺動ブロックに上下方向に所定の長さの第3レールが形成され、前記植毛機ホルダは、植毛機ホルダの一側に形成され、第3レールに噛み合って上下方向に摺動自在に結合される第4レールを含むことができる。
【0013】
一実施形態において、第1摺動ブロックが、前記植毛機ホルダに向かう第1摺動ブロックの表面に形成されているホルダ係止突起をさらに含み、前記植毛機ホルダが、第1摺動ブロックに向かう前記植毛機ホルダの表面に形成され、前記ホルダ係止突起151を受け入れる第1凹部をさらに含むことができる。また、ここで、第1摺動ブロックの第3レールと前記植毛機ホルダの第4レールが噛み合った状態で前記ホルダ係止突起が前記第1凹部に挟まれることで、前記マルチチャネル植毛機モジュールが第1摺動ブロックに装着されることができる。
【0014】
一実施形態において、第1摺動ブロックの第3レールの上部に設けられ、第1摺動ブロックに装着された前記植毛機ホルダを弾性力によって下方に加圧できるように構成されたプッシュバーをさらに含むことができる。
【0015】
一実施形態において、第2摺動ブロックは、マルチチャネル植毛機モジュールが第1摺動ブロックに装着された状態で、前記マルチチャネル植毛機モジュールの上端部を加圧できるように構成されうる。
【0016】
本発明の一実施形態によると、植毛機を用いて患者の頭皮に毛髪を移植する植毛動作を自動に行うための自動植毛装置であって、多関節ロボットアームに付着された前述の植毛機装着モジュールと、前述のマルチチャネル植毛機モジュールを複数据え付けできる1つ以上の据置台と、前記ロボットアームと植毛機装着モジュールの動作を制御する制御部とを含み、前記制御部の制御に応じて前記ロボットアームと植毛機装着モジュールが駆動し、据置台に据え付けられているマルチチャネル植毛機モジュールを前記植毛機装着モジュールに装着する動作、及び前記植毛機装着モジュールに装着されているマルチチャネル植毛機モジュールを前記据置台に据え付ける動作を行うよう構成することができる。
【0017】
一実施形態において、前記据置台が、マルチチャネル植毛機モジュールをそれぞれ収容できる複数の植毛機据付部と、前記植毛機据付部に隣接して設けられたレバーとを含み、マルチチャネル植毛機モジュールを装着した植毛機装着モジュールが下降する際、前記植毛機装着モジュールが前記レバーの一端部を押して前記レバーによって前記マルチチャネル植毛機モジュールが第1摺動ブロックで脱着されうる。
【0018】
一実施形態において、前記1つ以上の据置台が第1据置台及び第2据置台を含み、第1据置台は、毛髪移植の施術に使用する前の1つ以上のマルチチャネル植毛機モジュールを据え付け、第2据置台は、毛髪移植の施術に使用した1つ以上のマルチチャネル植毛機モジュールを据え付けることができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明の一実施形態に係る植毛器装着モジュールは、装着された植毛器を把持し、上部キャップを押す動作をそれぞれ個別に制御して動作させ得るため、施術者が植毛器を持って植毛作業を行う動作を自動で行うことができるという利点がある
【0020】
また、本発明の一実施形態に係る自動植毛装置は、植毛機装着モジュールに植毛機を装着する装着動作、装着された植毛機を用いて患者の頭皮に毛髪を移植する植毛動作、及び装着された植毛機を据置台に据え付ける据え付け動作を自動で行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の一実施形態に係るマルチチャネル植毛機を用いた自動植毛装置の斜視図である。
【
図2】一実施形態に係るマルチチャネル植毛機及びこれを支持するホルダを説明する図である。
【
図3】マルチチャネル植毛機を装着した植毛機装着モジュールの斜視図(1)である。
【
図4】マルチチャネル植毛機を装着した植毛機装着モジュールの斜視図(2)である。
【
図5】マルチチャネル植毛機を装着していない状態の植毛機装着モジュールの斜視図(1)である。
【
図6】マルチチャネル植毛機を装着していない状態の植毛機装着モジュールの斜視図(2)である。
【
図7】一実施形態に係る植毛機据置台の斜視図である。
【
図8】植毛機モジュールを植毛機装着モジュールに装着する動作を説明する図である。
【
図9】装着モジュールに装着された植毛機モジュールを据置台に据置する動作を説明する図である。
【
図10】一実施形態に係るロボットアーム及び植毛機装着モジュールを備える全体自動植毛装置システムの例示的な構成を示す図である。
【
図11】は、ロボットアームの端部に装着された植毛機装着モジュールを拡大した図(1)である。
【
図12】は、ロボットアームの端部に装着された植毛機装着モジュールを拡大した図(2)である。
【
図13】システム本体の内部に配列された装備を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以上の本発明の目的、他の目的、特徴及び利点は、添付された図面に関連する以下の好適な実施形態によって容易に理解されるのであろう。しかし、本発明は、ここで説明される実施形態に限定されず、別の形態に具体化されてもよい。むしろ、ここで紹介される実施形態は、開示された内容が徹底かつ完全になり得るよう、そして当業者に本発明の思想が十分に伝達されるようにするために提供されるものである。
【0023】
本明細書において、いずれかの構成要素が他の構成要素の「上」(又は、「下」、「右」、又は、「左」)にあると言及されている場合、それは他の構成要素の上(又は、下、右、又は、左)に直接位置するか、又は、その間に第3の構成要素が介在することも可能であることを意味する。
【0024】
また、本明細書において、第1及び第2構成要素間の位置関係を説明するために使用される「上部」、「下部」、「左側」、「右側」、「前面」、「後面」などの表現は、第1構成要素に対する第2構成要素の相対的な位置を説明するための表現であってもよい。
【0025】
本明細書において、いずれかの構成要素が他の構成要素に連結(又は、結合、締結、付着など)されると言及している場合、それは他の構成要素に直接的に連結(又は、結合、締結、付着など)されたり、又はその間に第3の構成要素を介在して間接的に連結(又は、結合、締結、付着など)され得ることを意味する。また、本明細書の図面において、構成要素の長さ、厚さ、又は広さは、技術的な内容の効果的な説明のために誇張されたものであり、いずれか1つの構成要素と異なる構成要素の相対的な大きさも具体的な実施形態によって変わり得る。
【0026】
本明細書において、構成要素の単数形は文句で特に言及しない限り複数型も含む。明細書において使用される「~を含む」、「~から構成される」及び「~からなる」という表現は、言及された構成要素の他に1つ以上の他の構成要素の存在又は追加を排除しない。
【0027】
本明細書において、第1、第2などの用語が構成要素を記述するために使用されている場合、これらの構成要素がこのような用語によって限定されることはない。これらの用語は、単にいずれかの構成要素を他の構成要素とは区別させるために使用されているだけである。ここで説明されて例示される実施形態は、その相補的な実施形態も含む。
【0028】
以下、図面を参照して本発明を詳細に説明する。以下の特定の実施形態を記述するにおいて、様々な特定的な内容は発明をさらに具体的に説明して理解を助けるために作成された。しかし、本発明を理解できる程度でこの分野の知識を有する読者は、このような様々な特定的な内容がなくても使用され得ることを認知することができる。ある場合は、発明の記述において、周知で発明とは大きく関連のない部分は、本発明の説明において混沌を防ぐために記述しないことを予め言及しておく。
【0029】
図1は、本発明の一実施形態に係るマルチチャネル植毛機を用いた自動植毛装置の斜視図である。
図1を参照すると、一実施形態に係る自動植毛装置は、ロボットアーム50に取り付けられている植毛機装着モジュール10(以下、簡単に「装着モジュール」という)、装着モジュール10に着脱可能に装着される植毛機モジュール20と、植毛機モジュール20を据置する1つ以上の植毛機据置台60、60’を含む。一実施形態において、自動植毛装置は、患者の施術部位をスキャニングして3Dモデリングするスキャニング装置、実像(可視光)のイメージや赤外線イメージを撮影するカメラ、装着モジュール10と患者施術部位との距離や位置関係を測定して追跡するためのレーザセンサなどの装備をさらに備え、
図1では、このような装備が省略されていることが理解できる。
【0030】
ロボットアーム50は、複数の関節、各関節を動かすモータ、及び動きを検出するエンコーダなどからなり、6自由度又はそれ以上の自由度でロボットアーム端部51を精密に動かす装置であって、当業界で公知である。本発明において、植毛機装着モジュール10は、このような周知のロボットアーム50の端部51に装着されて設置されうる。
【0031】
一実施形態において、1つ以上の据置台は、第1据置台60と第2据置台60’を含む。第1据置台60と第2据置台60’は、同じ形状及び構造を有する据置台である。但し、第1据置台60は、毛髪移植の施術に使用する前の1つ以上のマルチチャネル植毛機モジュール20を据置し、第2据置台60’は、毛髪移植の施術に使用した1つ以上のマルチチャネル植毛機モジュール20を据置するよう、その用途が区分されている。しかし、これは例示的なものであり、代替案的な一実施形態として、1つの据置台に使用前/使用後の植毛機モジュール20を全て据置してもよく、3つ以上の据置台を使用してもよいのは勿論のことである。
【0032】
一実施形態において、植毛機装着モジュール10は、第1据置台60に据え付けられている植毛機モジュール20を把持して装着し、植毛機モジュール20を上下方向に動かしたり、植毛機モジュール20の上部キャップを押し下げたりして、植毛機の針内の毛髪を患者の頭皮に移植する植毛動作を行うことができる。また、植毛機装着モジュール10に装着されている、植毛機モジュール20による植毛動作が完了すれば、ロボットアーム50により、装着モジュール10を第2据置台60’の上部に移動させ、植毛機モジュール20を第2据置台60’に据置する動作を行うことができる。
【0033】
このような植毛機装着モジュール10の装着動作、植毛動作、及び据置動作は、ロボットアーム50及び植毛機装着モジュール10を制御する制御部(図示せず)によって実行され、制御部は、周知の技術のように、コンピュータ装置に格納されて実行されるコンピュータアルゴリズム、プログラム、及び/又はソフトウェアで実現され得ることが理解できる。
【0034】
図2は、一実施形態に係るマルチチャネル植毛機及びこれを支持するホルダを説明する図である。
図1及び
図2を参照すると、本発明の自動植毛装置に使用されている植毛機モジュール20は、マルチチャネル植毛機30(以下、簡単に「植毛機」という)及び植毛機20を収容して支持する植毛機ホルダ40から構成されている。
【0035】
植毛機30は、毛髪移植に使用される装置であって、例えば、植毛機30は、韓国公開特許第2019-0109321号の「マルチチャネル毛髪移植機」又はこれに類似の構成の植毛機であってもよい。
【0036】
一実施形態において、植毛機30は、(1)筒状の本体31、(2)その上方の上部キャップ35、(3)本体31の外周面を少なくとも部分的に取り囲むように配置され、本体31に対して上下方向に摺動できる摺動取っ手33、及び、(4)本体31の内部にて本体31の中心軸の周辺に、放射状をなすように配列され、1つずつ順次に本体31の下端部から突出される複数の針32などから構成されている。
【0037】
一実施形態において、植毛機30の摺動取っ手33の一方の側方へと手掛け部33aが突出形成されている。手掛け部33aは、ユーザが摺動取っ手33をとらえて上下に動かす際、取っ手33が手から滑らないようにするため、放射状の外側方向に突出形成されており、取っ手33のグリップ感を向上させて滑りを防止することができる。
【0038】
施術者がこのような植毛機30を用いて手動で植毛動作を行う場合、施術者が、例えば親指と中指でもって植毛機30の摺動取っ手33を捉えて、植毛機の針32を患者の頭皮に挿入する。その後、人差し指でもって上部キャップ35を押し下げて摺動取っ手33を上方へと動かすのであり、この過程で、針32の内部の毛嚢が患者の頭皮内部に挿入されて移植される。その後、植毛機30を上方へと動かして針32を患者の頭皮から完全に抜き取り、その後、施術部位に対して上記の動作を繰り返す。
【0039】
このように植毛機30を用いた植毛動作を、ロボットアーム50と植毛機装着モジュール10によって自動実行するためには、植毛機30を上下に動かす動作、摺動取っ手33を把持して上下に動かす動作、上部キャップ35を押し下げる動作などを行うための、複数の駆動手段(例えば、モータ又はアクチュエーターなど)を備え、これらの動作の範囲とタイミングを適切に制御しなければならない。
【0040】
本発明の一実施形態において、植毛機30を把持するために植毛機ホルダ40を使用する。植毛機ホルダ40は、概略円筒状の本体41、及び、本体41の一方の側方側から放射方向に突出形成されている側方突出部45から構成されている。本体41は、植毛機30の摺動取っ手33の外周を少なくとも部分的に取り囲む円筒状である。図示する実施形態の場合、植毛機ホルダ40は、手掛け部33aを受け入れるために本体41の一側面に貫通抜き部(孔または凹部)41aが形成されており、貫通抜き部41aを部分的に覆う側面カバー42がボルト又はクリップなどの締結手段43によって締結されている。これにより、まず、側面カバー42を植毛機ホルダ40から取り外し、植毛機30の手掛け部33aが貫通抜き部41aに載せ置かれるようにして植毛機30を植毛機ホルダ40に嵌め込み、側面カバー42を植毛機ホルダ40に再び嵌め込んでから締結手段43により締結することで、植毛機30と植毛機ホルダ40とが一体に結合されている植毛機モジュール20を組み立てることができる。
【0041】
図示する実施形態において、植毛機ホルダ40の側方突出部45の両側の稜線部にインナーレール46(inner rail)が形成されてもよい。インナーレール46は、後述する第1摺動ブロック(
図4に示す130)のアウタレール136(outer rail)と噛噛み合って、植毛機ホルダ40を第1摺動ブロック130に締結するための部材である。インナーレール46は、側方突出部45の両側の稜線部に長手方向(縦方向)に形成されている所定の凹凸構造であってもよい。
【0042】
このようなインナーレール-アウタレール構造は例示的なものであり、例えば、第1摺動ブロック130にインナーレールを形成し、植毛機ホルダ40にアウタレールを形成してもよく、その他に、LMガイドなどといった他の周知の構造により第1摺動ブロック130が植毛機ホルダ40をガイドできるのは勿論のことである。
【0043】
一実施形態において、側方突出部45の表面に、細長い第1凹部47、細長い第2凹部48、及び段掛部49が形成されうる。第1凹部47は、側方突出部45の表面に所定の深さで形成された凹んだ領域であり、第2凹部48は、第1凹部47の上側に形成された凹んだ領域であって、上部が開放されている。段掛部49は、第1凹部47と第2凹部48との間に位置し、第1及び第2凹部47,48の凹んでいる表面(底面)よりも高い(突出した)表面を有する。後述するが、第1摺動ブロック130のホルダ係止突起(
図5に示す151)が第1凹部47に嵌め込まれることで、植毛機ホルダ40が第1摺動ブロック130に装着されるのでありうる。また、ここで、第1摺動ブロック130のアウタレール136と、植毛機ホルダ40のインナーレール46とが噛み合って密着しているため、植毛機ホルダ40が第1摺動ブロック130に装着されれば、第1摺動ブロック130に対して上下方向又は左右方向に揺れることなく堅固に固定されうる。
【0044】
では、
図3~
図6を参照して一実施形態に係る植毛機装着モジュール10を説明する。
図3及び
図4は、それぞれ植毛機モジュール20を装着した植毛機装着モジュール10を互いに異なる角度から見た斜視図であり、
図5及び
図6は、植毛機モジュール20を装着していない状態の植毛機装着モジュール10を互いに異なる角度から見た斜視図である。
【0045】
図3~
図6を参照すると、一実施形態に係る植毛機装着モジュール10は、ブラケット100、第1駆動部110、第2駆動部120、第1摺動ブロック130、第2摺動ブロック140、及び回転部材150を含む。
【0046】
ブラケット100は、植毛機装着モジュール10のフレームを構成する部材であり、第1及び第2駆動部110,120、第1及び第2摺動ブロック130,140など、各種の構成要素を固定したり支持したりする役割を果たす。ブラケット100は、ロボットアーム50の端部51に着脱可能に連結されてもよい。
【0047】
第1駆動部110と第2駆動部120のそれぞれは、電気モータやアクチュエーターなどといった回転駆動又は直線往復駆動を生成する駆動源であってもよい。図示する実施形態において、第1及び第2駆動部110,120のそれぞれは電気モータで実現され、ブラケット100にそれぞれ固定設置される。
【0048】
第1駆動部110の駆動軸はギヤ部111に連結され、ギヤ部111は下方へとシャフト112に連結されており、したがって、第1駆動部110によってシャフト112が回転されうる。シャフト112には、第1摺動ブロック130が上下方向に摺動自在に結合されている。一例として、シャフト112が、表面にねじ山の形成されているスクリュシャフトであり、第1摺動ブロック130に、シャフト112が通過するねじ孔が形成されてもよく、シャフト112が左側又は右側に回転することで、第1摺動ブロック130が上下方向に動くことができる。しかし、このような、スクリュ構造によるシャフト112と、第1摺動ブロック130との結合方式は例示的なものであり、周知の他の結合方法に基づいて第1摺動ブロック130がシャフト112に摺動自在に結合され得るのは勿論のことである。
【0049】
第2駆動部120は、第1駆動部110に隣接している位置で第1駆動部110と並んで配置されている。第2駆動部120の駆動軸はギヤ部121に連結され、ギヤ部121は下方へとシャフト122に連結されていることから、第2駆動部120によってシャフト122が回転され得る。シャフト122には、第2摺動ブロック140が上下方向に摺動自在に結合されている。シャフト122と第2摺動ブロック140との結合構造も、シャフト112と第1摺動ブロック130との結合構造と同一であるか、周知の他の結合方式によって摺動自在に結合されうる。
【0050】
第1摺動ブロック130は、第1駆動部110により、ブラケット100に対して上下方向に動かすことができる。一方、本明細書において、各構成要素の運動方向に関して説明の便宜のために、特に特定の構成要素に対する運動方向であると明示しない限り、
図3に示した座標系を基準にして、X軸方向が前後方向、Y軸方向が左右方向、そして、Z軸方向が上下方向であると仮定して説明することにする。
【0051】
一実施形態において、第1摺動ブロック130をブラケット100に対して摺動しながらもブラケット100へ堅固に結合させるために、ブラケット100と第1摺動ブロック130をガイドレールで噛み合うよう構成することができる。例えば、
図4に示すように、第1摺動ブロック130に向かっているブラケット100の表面に上下方向のアウタレール105を形成し、ブラケット100に向かっている第1摺動ブロック130の表面に上下方向のインナーレール135を形成し、アウタレール105とインナーレール135とが互いに噛み合って摺動できるようにする。そのため、第1摺動ブロック130は、第1駆動部110により上下方向に動かすが、アウタレール-インナーレールの構造によりブラケット100へ堅固に結合されていることから、動かす際の揺れを防止できる。
【0052】
このようなインナーレール-アウタレール構造は例示的なもので、例えば、ブラケット100にインナーレールを形成し、第1摺動ブロック130にアウタレールを形成してもよく、その他に、例えば、LMガイドなどといった他の周知の構造でブラケット100が第1摺動ブロック130をガイドできるのも勿論のことである。
【0053】
一実施形態において、第1摺動ブロック130に植毛機モジュール20が着脱可能に装着されている。
図5及び
図6を参照すると、植毛機モジュール20の方を向いている第1摺動ブロック130の表面に、植毛機ホルダ40の側方突出部45を嵌め込むことのできるホルダ差込部133が形成されている。ホルダ差込部133は、図示の第1摺動ブロック130の表面に、細長い凹んだ形状の凹部として形成される。但し、下方は開放されているため、植毛機ホルダ40の側方突出部45がホルダ差込部133の下側から上側への方向に摺動してホルダ差込部133に嵌め込まれうる。
【0054】
ホルダ差込部133の左右両側にはアウタレール136が形成されてもよく、これに対応して、植毛機ホルダ40の側方突出部45における両側の稜線部の領域に、アウタレール136と噛み合って結合されるインナーレール46が形成されている。そのため、植毛機ホルダ40の側方突出部45が、ホルダ差込部133の下側から上側への方向へと動く際、インナーレール46とアウタレール136とが噛み合って嵌め込まれ、この状態で上方へさらに上昇してホルダ差込部133へ完全に嵌め込まれることになる。
【0055】
第1摺動ブロック130の下端部には、回転部材150が取り付けられてもよい。
図5及び
図6に示すように、回転部材150における水平方向の一方の端部に回転軸155が位置し、他方の端部にホルダ係止突起151が形成されている。ホルダ係止突起151は、水平前方へと突出しており、植毛機ホルダ40の第1凹部47に嵌め込まれ得るサイズ及び形状を有する。また、ホルダ係止突起151の下面は傾斜面152として形成されている。
【0056】
一実施形態において、回転部材150は、下方に延長形成されたレバー係止部153をさらに含む。レバー係止部153が据置台60のレバー(
図7に示す620)に引っ掛って回転部材150が回転しうるのであり、これにより回転部材150が閉鎖状態から開放状態に切り替えられうる。レバー係止部153とレバー620の動作については、
図8及び
図9を参照して後述することにする。
【0057】
回転部材150は、回転によって「閉鎖状態」と「開放状態」との間で切り替えることができる。「閉鎖状態」は、
図5又は
図6に示した状態として、回転部材150の係止突起151が、ホルダ差込部133のスロット133aを通過し、ホルダ差込部133の表面よりもさらに前方に(即ち、植毛機ホルダ40に向かって)突出している状態である。「開放状態」は、回転部材150が後方に(即ち、植毛機ホルダ40から遠ざかる方向に)回転してホルダ係止突起151がホルダ差込部133のスロット133aから抜け出ている状態である。一実施形態において、外部から回転部材150への力が加えられないとき、回転部材150は、閉鎖状態を保持するよう構成されている。例えば、バネなどの弾性手段を用いて、外部の力が加えられない状態で回転部材150が閉鎖状態にあるよう構成することができる。
【0058】
このような構成によれば、植毛機ホルダ40の側方突出部45のインナーレール46とホルダ差込部133のアウタレール136が噛み合った状態で、植毛機ホルダ40が上方に摺動するとき、「閉鎖状態」のホルダ係止突起151は、相対的に植毛機ホルダ40の側方突出部45の上方から下方に移動することになるが、ホルダ係止突起151が第2凹部48と段掛け部49を通過して第1凹部47に嵌め込まれて据え付けられることで、植毛機ホルダ40が、第1摺動ブロック130に装着されるようになる。このように装着された状態において、ホルダ係止突起151が第1凹部47に嵌め込まれており、左右両側にはインナーレール-アウタレールの構造によって、植毛機ホルダ40の側方突出部45がホルダ差込部133に嵌め込まれているため、植毛機ホルダ40は、第1摺動ブロック130における左右や上下に揺れることなく堅固に装着されうる。
【0059】
図示する一実施形態において、第1摺動ブロック130が、上下に動くプッシュバー160をさらに含んでもよい。プッシュバー160は棒状の部材であり、第1摺動ブロック130の前方の面に位置しており、好ましくは、
図5に示すように、プッシュバー160の下端の端部161が、ホルダ差込部133の空間に向かって下方に動くことができる。
【0060】
プッシュバー160は、バネなどの弾性部材により第1摺動ブロック130に結合され、外部からプッシュバー160に何らの力も加えられない場合、プッシュバー160は、
図5に示すように、下方に摺動して端部161がホルダ差込部133の空間へ突出した状態となる。
【0061】
図5を参照すると、第1摺動ブロック130は、側方へと延長形成された延長部137をさらに含み、これに対応して、ブラケット100は、前方に突出したストッパ107をさらに含んでもよい。延長部137とストッパ107は、互いに干渉される位置に配置される。したがって、第1摺動ブロック130が所定の距離以上に下降すれば、延長部137がストッパ107にぶつかることから、第1摺動ブロック130の下降の動きを制限することができる。
【0062】
一方、第2摺動ブロック140は、第1摺動ブロック130の一側に並んで配置され、第2駆動部120により、ブラケット100に対して上下方向に動かすように構成される。第2摺動ブロック140は、第1摺動ブロック130に隣接している位置に配置される。第2摺動ブロック130は、前方に向かって突出したキャップ加圧部141を備える。
【0063】
図3及び
図4に示すように、植毛機モジュール20が第1摺動ブロック130に装着された状態で、第2摺動ブロック140のキャップ加圧部141が植毛機30の上部キャップ35に密着し、第2摺動ブロック140が下方に動くことにより、キャップ加圧部141がキャップ35を加圧する。
【0064】
図7は、一実施形態に係る植毛機据置台60の斜視図である。
図1に示した第1据置台60と第2据置台60’が同じ構造を有しているため、以下では第1据置台60について説明し、「第1据置台」を単に「据置台」のように表現する。
【0065】
図7を参照すると、植毛機据置台60は、複数の植毛機据付部610を備える据置台ブロック600を含む。
図7に示すように、複数の据付部610が一列に配列されてもよく、植毛機の据付部610ごとに植毛機モジュール20を1つずつ収容してもよい。
【0066】
図7において、X軸方向を前後方向とすれば、据置台ブロック600の植毛機据付部610の前方側にレバー620が設けられる。レバー620は、据置台ブロック600の長手方向(即ち、Y軸方向)に全ての植毛機据付部610にかける長さを有する。しかし、代案的な一実施形態において、各据付部610の前方ごとにそれぞれ別個のレバー620が独立的に設けられてもよい。
【0067】
一実施形態において、マルチチャネル植毛機モジュール20を装着した植毛機装着モジュール10が据置台60の上側から下側へと下降する際、植毛機装着モジュール10がレバー620の一端部を押し、レバー620によってマルチチャネル植毛機モジュール20が第1摺動ブロック130から脱着されるように構成することができる。
【0068】
レバー620は、据置台ブロック600の長手方向に配置されているレバー軸623を中心に、上下方向(即ち、Z軸方向)に動いている第1回転部621及び第2回転部622から構成されている。第1回転部621はレバー軸623の前方に位置し、第2回転部622はレバー軸623の後方に位置する。図示する実施形態において、第2回転部622には、据付部610に据え付けられている植毛機20の第1凹部47と向き合う領域ごとに貫通口622aが形成されている。貫通口622aは、
図8を参照して後述する装着動作の際に、レバー係止部153と第2回転部622が干渉しないようにするために形成されたものである。
【0069】
では、
図8及び
図9を参照して据置台60に据え付けられている植毛機モジュール20を装着モジュール10に装着する動作、及び装着された植毛機モジュール20を据置台60に据え付ける動作について説明する。
【0070】
まず、
図8は、植毛機据置台60に据え付けられている植毛機モジュール20を、装着モジュール10に装着する動作を示す。
【0071】
図8(a)を参照すると、据置台60に植毛機モジュール20が据え付けられており、据置台60の上方に装着モジュール10が位置している。ここで、植毛機ホルダ40の側方突出部45のインナーレール46と第1摺動ブロック130のアウタレール136が、上下方向に整列(align)されている。また、
図8(a)において、ブラケット100に対して、相対的に第1摺動ブロック130と第2摺動ブロック140が上方向に移動した状態であり、したがって、ブラケット下端部103がレバー係止部153に比べて相対的に下方に下がっていることが分かる。
【0072】
このような配置状態において、ロボットアーム50の動作により装着モジュール10が据置台60に向かって下降する。装着モジュール10が下降するにつれて、
図8(b)に示すように、ブラケット下端部103がレバー620の第1回転部621を押すことで、第2回転部622が上方に上昇した位置で保持される。そして、装着モジュール10が引き続き下降するに伴い、植毛機ホルダ40のインナーレール46と、第1摺動ブロック130のアウタレール136とが噛み合い、閉鎖状態にある回転部材150のホルダ係止突起151が、植毛機ホルダ40の第2凹部48と段掛け部49を通過して下方に下降し第1凹部47に嵌め込まれて据え付けられ、植毛機モジュール20が装着モジュール10に装着される。
【0073】
ここで、レバー係止突起151が下降して第1凹部47に嵌め込まれる間に、レバー620の第2回転部622が
図8(b)に示すように、上方に上昇した位置にあり、第2回転部622に貫通口622aが形成されているため、レバー係止突起151が第2回転部622によって干渉されず、回転部材150は閉鎖状態を保持することができる。
【0074】
このように装着モジュール20に植毛機モジュール10を装着すれば、ロボットアーム50を動かして植毛機モジュール20を患者の施術部位に移動させ、制御部は、第1摺動ブロック130と第2摺動ブロック140をそれぞれ制御することで植毛機30の植毛動作を行うことができる。
【0075】
図9は、植毛機装着モジュール10に装着された植毛機モジュール20を植毛機据置台60に据え付ける動作を示す。
【0076】
図9(a)を参照すると、装着モジュール10に植毛機モジュール20が装着されており、据置台60における空いている植毛機据付部610の上方に、装着モジュール10が位置している。ここで、
図8(a)との比較から分かるように、
図9(a)では、第1摺動ブロック130がブラケット100に対して相対的に下方に移動した状態にあり、したがって、ブラケットの下端部103とレバー係止部153とが、互いに類似の高さに位置している。
【0077】
このような配置状態で、ロボットアーム50の動作により装着モジュール10が据置台60に向かって下降する。装着モジュール10の下降により、
図9(b)に示すように、ブラケット下端部103がレバー620の第1回転部621を押すことで第2回転部622が上方に上昇するのであり、この際、レバー係止部153が第2回転部622に引っかかって回転部材150が回転することになり、回転部材150は開放状態に切り替えられる。したがって、回転部材150のホルダ係止突起151が、植毛機ホルダ40の第1凹溝部47から抜け出ることになり、植毛機モジュール20は自重により下降して据置台60の据付部610に据え付けられる。
【0078】
一実施形態において、第1摺動ブロック130がプッシュバー160を備えている場合、プッシュバー160は、植毛機モジュール20の下降動作を補助することができる。プッシュバー160は、弾性により常に下方に動こうとするため、植毛機ホルダ40が第1摺動ブロック130に装着されている状態でもプッシュバー160の端部161は植毛機ホルダ40の側方突出部45の上面(即ち、
図2に示す45a)を常に加圧している。回転部材150が開放状態に切り替えられ、ホルダ係止突起151が植毛機ホルダ40の第1凹部47から抜け出ると、植毛機モジュール20の自重だけでなく、植毛機ホルダ40を下方へ押し出すプッシュバー端部161の加圧動作により、植毛機モジュール20が、第1摺動ブロック130の下方へ摺動して抜け出るということを確実に保障することができる。
【0079】
このように据置台60に植毛機モジュール10を据え付ければ、ロボットアーム50を動かして装着モジュール10を、据置台60における他の据付部610に据え付けられている植毛機モジュール20の上方に移動し、
図8に示したように、植毛機モジュール20を装着する動作を行うことができる。したがって、施術者の介入なしに、植毛機モジュール20を交換して患者に植毛する動作を自動に行うことができる。
【0080】
では、
図10~
図13を参照して一実施形態に係る自動植毛装置システムの例示的な構成を説明することにする。
【0081】
図10は、一実施形態に係るロボットアーム50及び植毛機装着モジュール10を備える、全体の自動植毛装置システムについての例示的な構成を概略的に示した。
図10を参照すると、一実施形態に係るシステムは、本体部200、及び、本体部200に設置されるロボットアーム50、ロボットアーム50に着脱可能に設置される植毛機装着モジュール10、並びに、3Dスキャナ70、本体部200の据付棒210に設置されているキーボード80及びディスプレイ90などを含んでもよい。一実施形態において、据付棒210に、キーボード80の他にマウス(図示せず)などの他の入力装置をさらに乗せて使用できるのは勿論のことであり、本発明は、キーボード80、マウスなど特定の入力装置に制限されないことを理解できるであろう。
【0082】
本体部200は、
図13を参照して後述する各種のコンピュータ装備と制御装備及び電源供給装置を備え、本体部200の上部にロボットアーム50が設置され、ロボットアーム50の先端に植毛機装着モジュール10が取り付けられうる。ロボットアーム50と植毛機装着モジュール10は、例えば、
図1~
図9を参照して説明したものと同一又は類似の装置であってもよい。
【0083】
本体部200は、ヒンジ構造の据付棒210を備え、据付棒210の端部にキーボード80とディスプレイ90が装着されてもよい。ユーザが、自動植毛装置システムを動作させるために、キーボード80やディスプレイ90などの入出力装置を介してユーザ命令を入力し、植毛装置の動作状況を制御することができる。
【0084】
3Dスキャナ70は、植毛機装着モジュール10に隣接してロボットアーム50の端部に設置されてもよい。3Dスキャナ70は、患者の施術部位をスキャニングして3Dモデリングしてもよい。代替案的な一実施形態において、図示する3Dスキャナ70の装備内に、実像(可視光)のイメージや赤外線イメージを撮影するカメラ及び/又は植毛機装着モジュール10と患者施術部位との距離や位置関係を測定して追跡するためのレーザセンサなどの装備をさらに備えることができる。
【0085】
図示する実施形態において、ロボットアーム50に沿って並ぶようにホース55が設置されてもよく、ホース55の内部に各種の電線が通過するよう構成してもよい。例えば、本体部200からの制御線や電源線を植毛機装着モジュール10及び/又は3Dスキャナ70に接続されなければならない場合、このような制御線や電源線を本体部200からホース55を介して延在させて、植毛機装着モジュール10及び/又は3Dスキャナ70に接続することができる。
【0086】
図11は、ロボットアーム50の端部に装着されている植毛機装着モジュール10と3Dスキャナ70を拡大した図であり、
図12は、カバー部材75の概略的な内部構造を示す図である。
【0087】
図11及び
図12を参照すると、ロボットアーム50の先端51に植毛機装着モジュール10が取り付けられ、また、カバー部材75がロボットアーム50の先端51に取り付けられるのであってもよい。カバー部材75は、植毛機装着モジュール10の上部と側面を少なくとも部分的に取り囲む形状を有する。そして、一実施形態において、カバー部材75の前面に3Dスキャナ70が設置されてもよい。
【0088】
図11及び
図12に図示していないが、ロボットアーム50の先端51までホース(
図10の55)が延びている。したがって、植毛機装着モジュール10の第1及び第2駆動部110,120からそれぞれ伸び出た制御線115,125がホース55の一端に入り、ホース55の内部を貫通してから本体部200まで連結されている。
【0089】
図13は、本体部200の内部に設置されている例示的な装備を概略的に示す。
図13において、本体部200は、内部に装備を設置できる内部空間200aを有する。図示する実施形態において、内部空間200aに、コンピュータ本体220、ロボットアーム制御装置230、駆動部制御装置240、及び電源供給装置250が設置されうる。
【0090】
コンピュータ本体220は、例えば、通常のPCコンピュータ本体であってもよく、システム全体を制御するプログラムを実行させるために使用されてもよい。例えば、コンピュータ本体220は、ロボットアーム制御装置230、駆動部制御装置240、3Dスキャナ70、キーボード80、及びディスプレイ90と無線又は有線で接続されている。
【0091】
ロボットアーム制御装置230は、ロボットアーム50を制御して動かす装置であり、例えば、コンピュータ本体220内で実行される自動植毛プログラムによるロボットアーム50の動作命令を受信し、この命令に応じて、ロボットアーム50内に設置されている複数のモータを駆動させてロボットアーム50が特定の動作を行うよう制御することができる。
【0092】
駆動部制御装置240は、植毛機装着モジュール10の第1及び第2駆動部110,120を制御する装置であって、例えば、
図11を参照して説明した制御線115,125に接続された装置である。例えば、駆動部制御装置240は、コンピュータ本体220内で実行される、自動植毛プログラムによる第1及び第2駆動部110,120の動作命令を受信し、この命令に応じて、第1及び第2駆動部110,120が駆動できるように第1及び第2駆動部110,120を制御することができる。
【0093】
電源供給装置250は、外部から供給される電源をコンピュータ本体220、制御装置230,240、ロボットアーム50、植毛機装着モジュール10など、各種装置に供給する装備であり、例えば、SMPSに実現されてもよい。
【0094】
上述したように本発明の属する分野で通常の知識を有する者であれば、上述した明細書の記載から様々な修正及び変形が可能である。したがって、本発明の範囲は、説明された実施形態に限定されて決定されることなく、後述する特許請求の範囲のみならず、この特許請求の範囲と均等のものなどによって決定されなければならない。
【符号の説明】
【0095】
10:植毛機装着モジュール 20:植毛機モジュール
30:マルチチャネル植毛機 40:植毛機ホルダ
50:ロボットアーム 60、60’:植毛機据置台
70:3Dスキャナ 80:キーボード
90:ディスプレイ 100:ブラケット
110、120:駆動部 130、140:摺動ブロック
150:回転部材 160:プッシュバー
200:システム本体部
【国際調査報告】