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特表2023-549996電極アセンブリ、電池、電池モジュール、電池パック及び電力消費装置
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  • 特表-電極アセンブリ、電池、電池モジュール、電池パック及び電力消費装置 図1
  • 特表-電極アセンブリ、電池、電池モジュール、電池パック及び電力消費装置 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-30
(54)【発明の名称】電極アセンブリ、電池、電池モジュール、電池パック及び電力消費装置
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/451 20210101AFI20231122BHJP
   H01M 10/052 20100101ALI20231122BHJP
   H01M 10/054 20100101ALI20231122BHJP
   H01M 10/0587 20100101ALI20231122BHJP
   H01M 50/434 20210101ALI20231122BHJP
   H01M 50/443 20210101ALI20231122BHJP
   H01M 50/489 20210101ALI20231122BHJP
   H01M 50/454 20210101ALI20231122BHJP
   H01M 50/463 20210101ALI20231122BHJP
   H01M 10/36 20100101ALI20231122BHJP
   H01M 50/417 20210101ALI20231122BHJP
   H01M 50/437 20210101ALI20231122BHJP
   H01M 50/44 20210101ALI20231122BHJP
   H01M 10/04 20060101ALI20231122BHJP
【FI】
H01M50/451
H01M10/052
H01M10/054
H01M10/0587
H01M50/434
H01M50/443 M
H01M50/489
H01M50/454
H01M50/463 Z
H01M10/36 A
H01M50/417
H01M50/437
H01M50/44
H01M10/04 W
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023502991
(86)(22)【出願日】2021-10-20
(85)【翻訳文提出日】2023-01-16
(86)【国際出願番号】 CN2021125093
(87)【国際公開番号】W WO2023065178
(87)【国際公開日】2023-04-27
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513196256
【氏名又は名称】寧徳時代新能源科技股▲分▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Contemporary Amperex Technology Co., Limited
【住所又は居所原語表記】No.2,Xingang Road,Zhangwan Town,Jiaocheng District,Ningde City,Fujian Province,P.R.China 352100
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】黄 玉平
(72)【発明者】
【氏名】▲馬▼ 云建
(72)【発明者】
【氏名】林 明峰
(72)【発明者】
【氏名】李 彦▲輝▼
(72)【発明者】
【氏名】▲張▼ 建平
(72)【発明者】
【氏名】▲陳▼ 冰
(72)【発明者】
【氏名】▲劉▼ 雨蒙
(72)【発明者】
【氏名】夏 志▲ユ▼
【テーマコード(参考)】
5H021
5H028
5H029
【Fターム(参考)】
5H021AA00
5H021BB09
5H021CC02
5H021CC04
5H021CC17
5H021EE04
5H021EE21
5H021EE22
5H021EE31
5H021HH00
5H021HH01
5H021HH03
5H021HH10
5H028AA05
5H028AA06
5H028CC08
5H028CC12
5H028CC13
5H028HH05
5H029AJ05
5H029AJ12
5H029AK01
5H029AK03
5H029AK16
5H029AL06
5H029AL07
5H029AL08
5H029AL16
5H029AM00
5H029AM07
5H029BJ02
5H029BJ14
5H029CJ07
5H029CJ11
5H029DJ04
5H029DJ09
5H029DJ13
5H029DJ15
5H029DJ16
5H029EJ05
5H029EJ06
5H029EJ07
5H029EJ08
5H029EJ12
5H029HJ01
5H029HJ02
5H029HJ04
5H029HJ05
(57)【要約】
本出願は、電極アセンブリ、電池、電池モジュール、電池パック及び電力消費装置を提供する。前記電極アセンブリは、第1の極板と、第1の極板と逆極性の第2の極板と、前記第1の極板と前記第2の極板との間に設けられるセパレータとを含み、前記電極アセンブリは、第1の極板、第2の極板及びセパレータを巻回することで得られ、前記セパレータは、ベースフィルムと、前記ベースフィルムの表面の少なくとも一部に設けられるコーティングとを含み、前記コーティングは、水と反応して硬化できる水硬性無機材料を含む。本出願は、電極アセンブリと電池の中心孔の崩壊問題を解決し、電池の安全性能とサイクル性能を向上させることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電極アセンブリであって、
第1の極板と、
第1の極板と逆極性の第2の極板と、
前記第1の極板と前記第2の極板との間に設けられるセパレータとを含み、
ここで、
前記電極アセンブリは、第1の極板、第2の極板及びセパレータを巻回することで得られ、
前記セパレータは、ベースフィルムと、前記ベースフィルムの表面の少なくとも一部に設けられるコーティングとを含み、前記コーティングは、水と反応して硬化できる水硬性無機材料を含む、電極アセンブリ。
【請求項2】
前記水硬性無機材料は、式1で示す化合物を少なくとも一つ含み、
第1の酸化物・a 第2の酸化物・b 硫酸塩・c ハロゲン化物 式1
ここで、
0<a≦6、0≦b≦4、0≦c≦4であり、
第1の酸化物は、CaO、又はBaOを表し、
第2の酸化物は、成分1、成分2、又はそれらの組み合わせを表し、成分1は、SiO、Al、Fe、又はそれらのうちの二つ又は複数の組み合わせを表し、成分2は、FeO、MgO、BaO、KO、NaO、TiO、CuO、Cr、P、SO、又はそれらのうちの二つ又は複数の組み合わせを表し、任意選択的に、成分1と成分2の質量比は、(95~100):(0~5)であり、
硫酸塩は、CaSO、MgSO、BaSO、SrSO、ZnSO、Al(SO、FeSO、Fe(SO、又はそれらのうちの二つ又は複数の組み合わせを表し、
ハロゲン化物は、CaCl、CaF、又はそれらの組み合わせを表す、請求項1に記載の電極アセンブリ。
【請求項3】
前記水硬性無機材料は、式1-1から式1-8に示す化合物のうちの一つ又は複数を含み、
CaO・a1 SiO・b 硫酸塩・c ハロゲン化物 式1-1
CaO・a2 Al・b 硫酸塩・c ハロゲン化物 式1-2
CaO・a3 Fe・b 硫酸塩・c ハロゲン化物 式1-3
CaO・a4 Al・a5 SiO・b 硫酸塩・c ハロゲン化物 式1-4
CaO・a6 Al・a7 Fe・b 硫酸塩・c ハロゲン化物 式1-5
BaO・a8 SiO・b 硫酸塩・c ハロゲン化物 式1-6
BaO・a9 Al・b 硫酸塩・c ハロゲン化物 式1-7
BaO・a10 Al・a11 SiO・b 硫酸塩・c ハロゲン化物 式1-8
ここで、
0<a1≦6、
0<a2≦6、
0<a3≦6、
0<a4<6、0<a5<6であり、且つ0<a4+a5≦6、
0<a6<6、0<a7<6であり、且つ0<a6+a7≦6、
0<a8≦6、
0<a9≦6、
0<a10<6、0<a11<6であり、且つ0<a10+a11≦6、
0≦b≦4、
0≦c≦4であり、
硫酸塩は、CaSO、MgSO、BaSO、SrSO、ZnSO、Al(SO、FeSO、Fe(SO、又はそれらのうちの二つ又は複数の組み合わせを表し、
ハロゲン化物は、CaCl、CaF、又はそれらの組み合わせを表す、請求項1又は2に記載の電極アセンブリ。
【請求項4】
b=0であり、及び/又は、
c=0である、請求項2又は3に記載の電極アセンブリ。
【請求項5】
前記水硬性無機材料は、2CaO・SiO、3CaO・SiO、CaO・Al、CaO・2Al、3CaO・Al、6CaO・2Al、12CaO・7Al、CaO・Fe、2CaO・Fe、2CaO・Al・SiO、CaO・Al・2SiO、4CaO・Al・Fe、6CaO・Al・2Fe、3CaO・3Al・CaSO、3CaO・3Al・MgSO、3CaO・3Al・BaSO、3CaO・3Al・SrSO、3CaO・3Al・ZnSO、3CaO・3Al・Al(SO、3CaO・3Al・FeSO、3CaO・3Al・Fe(SO、2CaO・SiO・CaSO、11CaO・7Al・CaF、3CaO・3Al・CaF、CaO・3Al・3CaF、CaO・3Al・4CaF、2BaO・SiO、3BaO・SiO、BaO・Al、3BaO・Al、BaO・6Al、BaO・Al・SiO、BaO・Al・2SiOのうちの一つ又は複数を含み、
任意選択的に、前記水硬性無機材料は、2CaO・SiO、3CaO・SiO、3CaO・Al、4CaO・Al・Feのうちの一つ又は複数を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の電極アセンブリ。
【請求項6】
前記水硬性無機材料は、体積粒径Dv10が1μm~10μmである粒子であり、任意選択的に、3μm~5μmの粒子である、請求項1~5のいずれか一項に記載の電極アセンブリ。
【請求項7】
前記コーティングの総質量に対して、前記水硬性無機材料の質量百分率は、95%~100%であり、任意選択的に、97%~100%である、請求項1~6のいずれか一項に記載の電極アセンブリ。
【請求項8】
前記コーティングは、添加剤をさらに含み、前記添加剤は、減水剤、石膏、ポゾラン、フライアッシュ、スラグ、珪砂、石灰石、粘土のうちの一つ又は複数を含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の電極アセンブリ。
【請求項9】
前記コーティングの総質量に対して、前記添加剤の質量百分率≦5%であり、任意選択的に、≦3%である、請求項8に記載の電極アセンブリ。
【請求項10】
前記コーティングの総厚さは、0.5μm~5μmであり、任意選択的に、0.5μm~2μmであり、及び/又は、
前記ベースフィルムの厚さは、5μm~12μmであり、任意選択的に、6μm~7μmである、請求項1~9のいずれか一項に記載の電極アセンブリ。
【請求項11】
前記ベースフィルムは、ポリオレフィン多孔質膜、不織布、ガラス繊維から選択される一つ又は複数である、請求項1~10のいずれか一項に記載の電極アセンブリ。
【請求項12】
前記コーティングと水との反応の2日間内の水和熱は、300J/g~500J/gであり、及び/又は、
水と反応して硬化した後の前記コーティングの圧縮強度は、2500Pa~20000Paであり、任意選択的に、2500Pa~10000Paである、請求項1~11のいずれか一項に記載の電極アセンブリ。
【請求項13】
前記コーティングは、前記セパレータの巻回開始端から0cm~Lcmの領域内に位置し、10≦L≦20である、請求項1~12のいずれか一項に記載の電極アセンブリ。
【請求項14】
電極アセンブリと、電解液とを含む電池であって、前記電極アセンブリは、請求項1~13のいずれか一項に記載の電極アセンブリであり、前記電解液は、電解質塩と、水とを含む、電池。
【請求項15】
前記電池は、リチウムイオン電池、ナトリウムイオン電池、カリウムイオン電池、亜鉛イオン電池、カルシウムイオン電池、マグネシウムイオン電池、アルミニウムイオン電池、又はハイブリッドイオン電池である、請求項14に記載の電池。
【請求項16】
請求項14又は15に記載の電池を含む、電池モジュール。
【請求項17】
請求項14又は15に記載の電池と、請求項16に記載の電池モジュールとのうちの一つを含む、電池パック。
【請求項18】
請求項14又は15に記載の電池と、請求項16に記載の電池モジュールと、請求項17に記載の電池パックとのうちの少なくとも一つを含む、電力消費装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、電池技術分野に属し、具体的には電極アセンブリ、電池、電池モジュール、電池パック及び電力消費装置に関する。
【背景技術】
【0002】
充放電可能な電池は、エネルギー密度が高く、サイクル寿命が長く、作動性能が確実であり、汚染がなく、記憶効果がないなどの利点を有するため、広く用いられている。近年では、充放電可能な電池の様々な電子製品と新エネルギー自動車などの産業への応用及び普及に伴い、その安全性能は、ますます多くの注目を集めている。従来の電池は、角形電池と円柱形電池を含み、角形電池に比べて、円柱形電池は、構造安定性が高く、構成部材が少なく、製造プロセスが簡単であるなどの利点を有する。円柱形電池は、一般的には、巻回型電極アセンブリを使用し、ここで、巻回型電極アセンブリは、正極板、セパレータ及び負極板を巻回することで形成され、且つ巻回型電極アセンブリの中心部に中心孔が形成されている。しかしながら、円柱形電池の中心孔が崩壊しやすく、中心孔の崩壊は、電池の化成、サイクル充放電プロセスにおいて、中心孔が部分的に塞がれるか又は完全に塞がれるという現象を指す。中心孔の崩壊は、電池の排気が難しくなり、安全リスクが増加することを引き起こすことによって、電池のサイクル性能に大きく影響を及ぼす。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本出願は、電極アセンブリと電池の中心孔の崩壊問題を解決し、電池の安全性能とサイクル性能を向上させるための電極アセンブリ、電池、電池モジュール、電池パック及び電力消費装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本出願の第1の態様は、電極アセンブリを提供する。前記電極アセンブリは、第1の極板と、第1の極板と逆極性の第2の極板と、前記第1の極板と前記第2の極板との間に設けられるセパレータとを含み、前記電極アセンブリは、第1の極板、第2の極板及びセパレータを巻回することで得られ、前記セパレータは、ベースフィルムと、前記ベースフィルムの表面の少なくとも一部に設けられるコーティングとを含み、前記コーティングは、水と反応して硬化できる水硬性無機材料を含む。
【0005】
本出願は、ベースフィルムの表面に、水硬性無機材料を含むコーティングを設け、水硬性無機材料が水と反応して硬化できるという原理を利用して、セパレータの強度を著しく増加させ、電池の化成プロセス及びサイクル充放電プロセスにおいて変形しにくく、それによって中心孔の崩壊とデンドライトの成長を効果的に抑制し、電池の安全性能を向上させ、電池のサイクル寿命を延長することができる。
【0006】
本出願の任意の実施形態において、水硬性無機材料は、式1で示す化合物を少なくとも一つ含み、
第1の酸化物・a 第2の酸化物・b 硫酸塩・c ハロゲン化物 式1
ここで、0<a≦6、0≦b≦4、0≦c≦4であり、第1の酸化物は、CaO又はBaOを表し、第2の酸化物は、成分1、成分2、又はそれらの組み合わせを表し、成分1は、SiO、Al、Fe、又はそれらのうちの二つ又は複数の組み合わせを表し、成分2は、FeO、MgO、BaO、KO、NaO、TiO、CuO、Cr、P、SO、又はそれらのうちの二つ又は複数の組み合わせを表し、硫酸塩は、CaSO、MgSO、BaSO、SrSO、ZnSO、Al(SO、FeSO、Fe(SO、又はそれらのうちの二つ又は複数の組み合わせを表し、ハロゲン化物は、CaCl、CaF、又はそれらの組み合わせを表す。
【0007】
上記式1で示す化合物は、中心孔の崩壊とデンドライトの成長を効果的に抑制することができるとともに、電池の電気化学的性能に明らかな影響を及ぼさない。
【0008】
任意選択的に、成分1と成分2の重量比は、(95~100):(0~5)である。成分1と成分2の重量比が適切な範囲内にある場合、コーティングの圧縮強度と水和熱の調整に有利となり、水と反応した後のコーティングに、適切な圧縮強度を持たせるとともに、水と反応した後に過剰な熱を放出することがない。
【0009】
本出願の任意の実施形態において、水硬性無機材料は、式1-1から式1-8に示す化合物のうちの一つ又は複数を含み、
CaO・a1 SiO・b 硫酸塩・c ハロゲン化物 式1-1
CaO・a2 Al・b 硫酸塩・c ハロゲン化物 式1-2
CaO・a3 Fe・b 硫酸塩・c ハロゲン化物 式1-3
CaO・a4 Al・a5 SiO・b 硫酸塩・c ハロゲン化物 式1-4
CaO・a6 Al・a7 Fe・b 硫酸塩・c ハロゲン化物 式1-5
BaO・a8 SiO・b 硫酸塩・c ハロゲン化物 式1-6
BaO・a9 Al・b 硫酸塩・c ハロゲン化物 式1-7
BaO・a10 Al・a11 SiO・b 硫酸塩・c ハロゲン化物 式1-8
ここで、0<a1≦6、0<a2≦6、0<a3≦6、0<a4<6、0<a5<6であり、且つ0<a4+a5≦6、0<a6<6、0<a7<6であり、且つ0<a6+a7≦6、0<a8≦6、0<a9≦6、0<a10<6、0<a11<6であり、且つ0<a10+a11≦6、0≦b≦4、0≦c≦4であり、硫酸塩は、CaSO、MgSO、BaSO、SrSO、ZnSO、Al(SO、FeSO、Fe(SO、又はそれらのうちの二つ又は複数の組み合わせを表し、ハロゲン化物は、CaCl、CaF、又はそれらの組み合わせを表す。
【0010】
本出願の任意の実施形態において、b=0である。
【0011】
本出願の任意の実施形態において、c=0である。
【0012】
本出願の任意の実施形態において、b=0であり、且つc=0である。
【0013】
本出願の任意の実施形態において、水硬性無機材料は、2CaO・SiO、3CaO・SiO、CaO・Al、CaO・2Al、3CaO・Al、6CaO・2Al、12CaO・7Al、CaO・Fe、2CaO・Fe、2CaO・Al・SiO、CaO・Al・2SiO、4CaO・Al・Fe、6CaO・Al・2Fe、3CaO・3Al・CaSO、3CaO・3Al・MgSO、3CaO・3Al・BaSO、3CaO・3Al・SrSO、3CaO・3Al・ZnSO、3CaO・3Al・Al(SO、3CaO・3Al・FeSO、3CaO・3Al・Fe(SO、2CaO・SiO・CaSO、11CaO・7Al・CaF、3CaO・3Al・CaF、CaO・3Al・3CaF、CaO・3Al・4CaF、2BaO・SiO、3BaO・SiO、BaO・Al、3BaO・Al、BaO・6Al、BaO・Al・SiO、BaO・Al・2SiOのうちの一つ又は複数を含む。
【0014】
任意選択的に、水硬性無機材料は、2CaO・SiO、3CaO・SiO、3CaO・Al、4CaO・Al・Feのうちの一つ又は複数を含む。
【0015】
本出願の任意の実施形態において、水硬性無機材料は、体積粒径Dv10が1μm~10μmである粒子である。任意選択的に、水硬性無機材料は、体積粒径Dv10が3μm~5μmである粒子である。水硬性無機材料粒子の体積粒径Dv10が適切な範囲内にある場合、コーティングの一致性はより高い。
【0016】
本出願の任意の実施形態において、コーティングの総質量に対して、水硬性無機材料の質量百分率は、95%~100%である。任意選択的に、水硬性無機材料の質量百分率は、97%~100%である。
【0017】
本出願の任意の実施形態において、コーティングは、添加剤をさらに含み、添加剤は、減水剤、石膏、ポゾラン、フライアッシュ、スラグ、珪砂、石灰石、粘土のうちの一つ又は複数を含む。添加剤は、コーティングの圧縮強度を調整し、コーティングと水との反応の凝集速度を調整し、水和熱を低下させるという役割を果たすことができる。
【0018】
本出願の任意の実施形態において、コーティングの総質量に対して、添加剤の質量百分率≦5%である。任意選択的に、添加剤の質量百分率≦3%である。
【0019】
本出願の任意の実施形態において、コーティングの総厚さは、0.5μm~5μmである。任意選択的に、コーティングの総厚さは、0.5μm~2μmである。コーティングの総厚さが適切な範囲内にある場合、水と反応した後のコーティングは、適切な圧縮強度を有するとともに、水と反応した後に過剰な熱を放出することがない。
【0020】
本出願の任意の実施形態において、ベースフィルムの厚さは、5μm~12μmである。任意選択的に、ベースフィルムの厚さは、6μm~7μmである。
【0021】
本出願の任意の実施形態において、ベースフィルムは、ポリオレフィン多孔質膜、不織布、ガラス繊維から選択される一つ又は複数である。
【0022】
本出願の任意の実施形態において、コーティングと水との反応の2日間内の水和熱は、300J/g~500J/gである。水と反応した後のコーティングは、適切な放熱量を有し、一方では、電池の正負極の間での活性イオンの伝送速度を増加させ、電池のサイクル性能とレート性能を向上させることができ、他方では、電池の他の電気化学的性能に影響を及ぼさないことを確保する。
【0023】
本出願の任意の実施形態において、水と反応して硬化した後のコーティングの圧縮強度は、2500Pa~20000Paである。任意選択的に、水と反応して硬化した後のコーティングの圧縮強度は、2500Pa~10000Paである。水と反応した後のコーティングが高い圧縮強度を有するため、電池の化成プロセス及びサイクル充放電プロセスにおいて、セパレータは変形しにくく、中心孔の崩壊とデンドライトの成長を効果的に抑制し、電池の安全性能を向上させ、電池のサイクル寿命を延長することができる。
【0024】
本出願の任意の実施形態において、コーティングは、セパレータの巻回開始端から0cm~Lcmの領域内に位置し、10≦L≦20である。前記の、水硬性無機材料を含むコーティングは、セパレータの巻回開始端の部分領域内にのみ設けられることによって、中心孔の崩壊とデンドライトの成長を効果的に抑制することができるとともに、電池の質量エネルギー密度を著しく低下させない。
【0025】
本出願の第2の態様は、電池を提供する。前記電池は、電極アセンブリと、電解液とを含み、ここで、電極アセンブリは、本出願の第1の態様による電池の電極アセンブリであり、電解液は、電解質塩と、水とを含む。
【0026】
本出願の電解液が水を溶媒として用いるため、前記の、水硬性無機材料を含むコーティングに電解液を浸潤させた後、コーティングにおける水硬性無機材料は、溶媒である水と反応してコーティングを十分に硬化することができ、それによってセパレータの強度を著しく増加させる。そのため、電池の化成プロセス及びサイクル充放電プロセスにおいて、セパレータは変形しにくく、中心孔の崩壊とデンドライトの成長を効果的に抑制し、電池の安全性能を向上させ、電池のサイクル寿命を延長することができる。
【0027】
本出願の任意の実施形態において、電池は、リチウムイオン電池、ナトリウムイオン電池、カリウムイオン電池、亜鉛イオン電池、カルシウムイオン電池、マグネシウムイオン電池、アルミニウムイオン電池、又はハイブリッドイオン電池である。
【0028】
本出願の第3の態様は、本出願の第2の態様の電池を含む電池モジュールを提供する。
【0029】
本出願の第4の態様は、本出願の第2の態様の電池モジュールと、第3の態様の電池モジュールとのうちの一つを含む電池パックを提供する。
【0030】
本出願の第5の態様は、本出願の第2の態様の電池と、第3の態様の電池モジュールと、第4の態様の電池パックと、のうちの少なくとも一つを含む電力消費装置を提供する。
【0031】
本出願の電池モジュール、電池パック及び電力消費装置は、本出願による電池を含むため、少なくとも前記電池と同じ優位性を具備する。
【図面の簡単な説明】
【0032】
本出願の実施例の技術的解決手段をより明確に説明するために、以下では、本出願の実施例で使用する必要がある図面を簡単に説明する。明らかに、以下に記載の図面は本願のいくつかの実施形態に過ぎず、当業者にとって、創造的な労働を費やさない前提で、図面に基づいて他の図面を得ることができる。
図1】円柱形電池の中心孔が崩壊する前と崩壊した後の概略図である。
図2】本出願の電池を電源として含む電力消費装置の一実施形態の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下では、図面を適当に参照しながら、本出願の電極アセンブリ、電池、電池モジュール、電池パック及び電力消費装置を具体的に開示した実施形態を詳細に説明する。しかし、必要のない詳細な説明を省略する場合がある。例えば、周知の事項に対する詳細な説明、実際に同じである構造に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が必要以上に冗長になることを回避し、当業者に容易に理解させるためである。なお、図面及び以下の説明は、当業者に本出願を十分に理解させるために提供するものであり、特許請求の範囲に記載された主題を限定するためのものではない。
【0034】
本出願に開示される「範囲」は、下限と上限の形式で限定され、所与の範囲は、一つの下限と1つの上限を選択することによって限定され、選択された下限と上限は、特定の範囲の境界を限定する。このように限定される範囲は、端値を含むか又は含まないものであってもよく、任意の組合せが可能であり、即ち、任意の下限と任意の上限との組合せが一つの範囲を形成することができる。例えば、特定のパラメータについて60~120と80~110の範囲が列挙されている場合、60~110と80~120の範囲も予想されると理解される。なお、最小範囲値1と2が列挙される場合、及び最大範囲値3、4、及び5が列挙される場合、1~3、1~4、1~5、2~3、2~4及び2~5の範囲は、全て予想される。本出願において、特に断りのない限り、「a~b」という数値範囲は、a~bの任意の実数の組み合わせの短縮表現を表し、ここで、aとbはいずれも実数である。例えば、「0~5」という数値範囲は、本明細書において「0~5」の間の全ての実数を列挙していることを意味し、「0~5」は、これらの数値の組合せの短縮表現だけである。なお、あるパラメータが≧2の整数であると表記すると、そのパラメータが例えば整数2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12などであることを開示していることに相当する。
【0035】
特に説明しない場合、本出願の全ての実施形態及び任意選択的な実施形態は、互いに組み合わせて新な技術案を形成することができ、且つこのような技術案は、本出願で開示される内容に含まれると認められるべきである。
【0036】
特に説明しない場合、本出願の全ての技術的特徴及び任意選択的な技術的特徴は、互いに組み合わせて新な技術案を形成することができ、且つこのような技術案は、本出願で開示される内容に含まれると認められるべきである。
【0037】
特に説明しない場合、本出願の全てのステップは、順次行われてもよく、ランダムに行われてもよく、好ましくは、順次行われる。例えば、前記方法がステップ(a)と(b)とを含むことは、前記方法が順次行われるステップ(a)と(b)とを含んでもよく、順次行われるステップ(b)と(a)とを含んでもよいことを表す。例えば、以上に言及された前記方法がステップ(c)をさらに含むことは、ステップ(c)が任意の順で前記方法に追加されてもよいことを表し、例えば、前記方法は、ステップ(a)、(b)及び(c)を含んでもよく、ステップ(a)、(c)及び(b)を含んでもよく、ステップ(c)、(a)及び(b)などを含んでもよい。
【0038】
特に説明しない場合、本出願で言及された「含む」と「包含」は、開放型を表し、閉鎖型であってもよい。例えば、前記「含む」と「包含」は、リストアップされていない他の成分をさらに含み又は包含してもよく、リストアップされた成分のみを含み又は包含してもよいことを表してもよい。
【0039】
特に説明しない場合、本出願において、用語「又は」は包括的である。例えば、「A又はB」という用語は、「A、B、又はAとBの両方」を表す。より具体的には、Aが真(又は存在する)でありかつBが偽(又は存在しない)である条件と、Aが偽(又は存在しない)であり、Bが真(又は存在する)である条件と、また、AとBが共に真(又は存在する)である条件のいずれかも「A又はB」を満たしている。
【0040】
図1は、円柱形電池の中心孔が崩壊する前と崩壊した後の概略図である。図1に示すように、円柱形電池の中心部は、中心孔を有し、電池の化成、サイクル充放電プロセスにおいて、中心孔は、崩壊しやすい。中心孔が崩壊した後、電池内部隙間が増加する(例えば、正極板と負極板との間の隙間が増加する)ことによって、デンドライトが成長しやすく、電池の安全性に影響を及ぼすとともに、電池のサイクル寿命を低減させる。中心孔の崩壊は、電池の化成のガス発生速度、極板塗布重量、集電体の厚さ、極板の反発率などの因子による影響を受け、通常、極板塗布重量が大きく、電池の化成のガス発生速度が高いほど、中心孔が崩壊しやすくなり、集電体の厚さが薄く、極板の反発率が高いほど、中心孔が崩壊しやすくなる。そのため、中心孔の部分領域の極板、セパレータの耐性を増加させ、中心孔を変形しにくくすることで、中心孔の崩壊を抑制するという効果を達することができる。従来技術では、セパレータのベースフィルムの表面にセラミックスコーティングを設けることで、セパレータの硬度を一定の程度増加させることができるが、セパレータの硬度が依然として低く、中心孔の崩壊を効果的に抑制するという効果を果たすことができない。
【0041】
上記問題によれば、発明者らは、セパレータの構造に対して改良を行っており、中心孔の崩壊を効果的に抑制することができる電極アセンブリ及び電池を提案した。
【0042】
電極アセンブリ及び電池
本出願の電池は、ケースと、電極アセンブリと、エンドキャップと、電解液とを含み、電極アセンブリは、ケース内に設けられ、エンドキャップは、ケースに蓋設され、電解液は、電極アセンブリに浸潤し、正極と負極との間で活性イオンを伝導するという役割を果たす。電解液は、電解質塩と、水とを含み、電解質塩の種類は、具体的に限定されず、実際の需要に応じて選択されてもよい。ケースの材質は、具体的に限定されず、例えば、硬質プラスチックケース、アルミニウムケース、鋼製ケースなどであってもよい。
【0043】
説明すべきこととして、本出願の電池は、リチウムイオン電池、ナトリウムイオン電池、カリウムイオン電池、亜鉛イオン電池、カルシウムイオン電池、マグネシウムイオン電池、アルミニウムイオン電池、又はハイブリッドイオン電池であってもよい。本出願において、「ハイブリッドイオン電池」という用語は、電池の正負極間で二種以上の活性イオンの脱離反応が生じる電池を指し、通常、ハイブリッドイオン電池の電解液に、二種以上の活性イオンが含まれ、例えば、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、亜鉛イオン、カルシウムイオン、マグネシウムイオン、アルミニウムイオンのうちの二種以上が含まれる。例として、ハイブリッドイオン電池は、リチウムナトリウムハイブリッドイオン電池、ナトリウム亜鉛ハイブリッドイオン電池、ナトリウムカリウムハイブリッドイオン電池などを含んでもよい。
【0044】
本出願の電極アセンブリは、第1の極板と、第1の極板と逆極性の第2の極板と、前記第1の極板と前記第2の極板との間に設けられるセパレータとを含み、前記電極アセンブリは、第1の極板、第2の極板及びセパレータを巻回することで得られ、前記セパレータは、ベースフィルムと、前記ベースフィルムの表面の少なくとも一部に設けられるコーティングとを含み、前記コーティングは、水と反応して硬化できる水硬性無機材料を含む。
【0045】
発明者らは、ベースフィルムの表面に、水硬性無機材料を含むコーティングを設け、水硬性無機材料が水と反応して硬化できるという原理を利用して、セパレータの強度を著しく増加させ、電池の化成プロセス及びサイクル充放電プロセスにおいて変形しにくく、それによって中心孔の崩壊とデンドライトの成長を効果的に抑制し、電池の安全性能を向上させ、電池のサイクル寿命を延長することができることを予想外に発見した。
【0046】
本出願の電解液が水を溶媒として用いるため、前記の、水硬性無機材料を含むコーティングに電解液を浸潤させた後、コーティングにおける水硬性無機材料は、溶媒である水と反応してコーティングを十分に硬化することができ、それによってセパレータの強度を著しく増加させる。そのため、電池の化成プロセス及びサイクル充放電プロセスにおいて、セパレータは変形しにくく、中心孔の崩壊とデンドライトの成長を効果的に抑制し、電池の安全性能を向上させ、電池のサイクル寿命を延長することができる。
【0047】
本出願の電極アセンブリは、巻回型電極アセンブリであり、電極アセンブリの端面形状は、具体的に限定されず、実際の必要に応じて選択されてもよい。例えば、電極アセンブリの端面は、円形、楕円形、矩形などの規則的な形状であり、電極アセンブリの端面は、不規則な形状であってもよい。
【0048】
いくつかの実施例において、前記水硬性無機材料は、式1で示す化合物を少なくとも一つ含む。
【0049】
第1の酸化物・a 第2の酸化物・b 硫酸塩・c ハロゲン化物 式1
式1では、0<a≦6、0≦b≦4、0≦c≦4であり、第1の酸化物は、CaO又はBaOを表し、第2の酸化物は、成分1、成分2、又はそれらの組み合わせを表し、成分1は、SiO、Al、Fe3、又はそれらのうちの二つ又は複数の組み合わせを表し、成分2は、FeO、MgO、BaO、KO、NaO、TiO、CuO、Cr、P、SO3、又はそれらのうちの二つ又は複数の組み合わせを表し、硫酸塩は、CaSO、MgSO、BaSO、SrSO、ZnSO、Al(SO、FeSO、Fe(SO、又はそれらのうちの二つ又は複数の組み合わせを表し、ハロゲン化物は、CaCl、CaF、又はそれらの組み合わせを表す。
【0050】
式1で示す化合物と水との反応の生成物は、ゲル、水合物、Ca(OH)などのうちの一つ又は複数を含み、且つ式1で示す化合物は、水と反応した後に、適切な圧縮強度を有するとともに、水と反応した後に、過剰な熱を放出することがない。そのため、上記式1で示す化合物は、中心孔の崩壊とデンドライトの成長を効果的に抑制することができるとともに、電池の電気化学的性能に明らかな影響を及ぼさない。
【0051】
いくつかの実施例において、成分1と成分2の重量比は、(95~100):(0~5)である。成分1と成分2の重量比が適切な範囲内にある場合、コーティングの圧縮強度と水和熱の調整に有利となり、水と反応した後のコーティングに、適切な圧縮強度を持たせるとともに、水と反応した後に過剰な熱を放出することがない。
【0052】
いくつかの実施例において、第2の酸化物は、成分1のみを表す。
【0053】
いくつかの実施例において、b=0である。
【0054】
いくつかの実施例において、0<b≦4である。硫酸塩の含有量が適切である場合、コーティングの圧縮強度と水和熱の調整に有利となり、水と反応した後のコーティングに、適切な圧縮強度を持たせるとともに、水と反応した後に過剰な熱を放出することがない。
【0055】
いくつかの実施例において、c=0である。
【0056】
いくつかの実施例において、0<c≦4である。ハロゲン化物の含有量が適切である場合、コーティングの圧縮強度と水和熱の調整に有利となり、水と反応した後のコーティングに、適切な圧縮強度を持たせるとともに、水と反応した後に過剰な熱を放出することがない。
【0057】
いくつかの実施例において、b=0であり、且つc=0である。
【0058】
式1で示す化合物は、本分野の一般的な方法で製造されてもよく、例えば、高温固相反応法で製造される。例示的な製造方法は、以下の通りである。Ca源又はBa源、M1元素前駆体、任意選択的なSO、任意選択的なハロゲン前駆体を一定のモル比に応じて均一に混合し、高温焼成を行うことで、式1で示す化合物を得る。M1は、Si、Al、Fe、K、Na、Mg、Ba、Ti、Cu、Cr、Sr、Znなどから選択される一つ又は複数である。任意選択的に、焼成温度は、800℃~1600℃である。
【0059】
例として、Ca源は、CaO、CaCO、Ca(OH)のうちの一つ又は複数を含むが、それらに限らない。例として、Ba源は、BaO、BaCO、Ba(OH)のうちの一つ又は複数を含むが、それらに限らない。例として、M1元素前駆体は、M1元素の酸化物、水酸化化合物、硫酸化合物、塩酸化合物、硝酸化合物、炭酸化合物及び酢酸化合物のうちの一つ又は複数を含むが、それらに限らない。例えば、M1元素前駆体は、SiO、Al(OH)、Al、Fe、FeO、KO、NaO、MgO、BaO、TiO、CuO、Cr、SrO、ZnOのうちの一つ又は複数である。例として、ハロゲン前駆体は、フッ化アンモニウム、フッ化水素、塩化アンモニウム、塩化水素のうちの一つ又は複数を含む。
【0060】
いくつかの実施例において、前記水硬性無機材料は、式1-1で示す化合物を含み、硫酸塩、ハロゲン化物は、本明細書で定義されるとおりである。
【0061】
CaO・a1 SiO・b 硫酸塩・c ハロゲン化物 式1-1
式1-1では、0<a1≦6、0≦b≦4、0≦c≦4である。
【0062】
任意選択的に、0<a1≦3、b=0、c=0である。
【0063】
任意選択的に、0<a1≦3、0<b≦4、c=0である。
【0064】
任意選択的に、0<a1≦3、b=0、0<c≦4である。
【0065】
いくつかの実施例において、前記水硬性無機材料は、式1-2で示す化合物を含み、硫酸塩、ハロゲン化物は、本明細書で定義されるとおりである。
【0066】
CaO・a2 Al・b 硫酸塩・c ハロゲン化物 式1-2
式1-2では、0<a2≦6、0≦b≦4、0≦c≦4である。
【0067】
任意選択的に、0<a2≦3、b=0、c=0である。
【0068】
任意選択的に、0<a2≦3、0<b≦4、c=0である。
【0069】
任意選択的に、0<a2≦3、b=0、0<c≦4である。
【0070】
いくつかの実施例において、前記水硬性無機材料は、式1-3で示す化合物を含み、硫酸塩、ハロゲン化物は、本明細書で定義されるとおりである。
【0071】
CaO・a3 Fe・b 硫酸塩・c ハロゲン化物 式1-3
式1-3では、0<a3≦6、0≦b≦4、0≦c≦4である。
【0072】
任意選択的に、0<a3≦3、b=0、c=0である。
【0073】
任意選択的に、0<a3≦3、0<b≦4、c=0である。
【0074】
任意選択的に、0<a3≦3、b=0、0<c≦4である。
【0075】
いくつかの実施例において、前記水硬性無機材料は、式1-4で示す化合物を含み、硫酸塩、ハロゲン化物は、本明細書で定義されるとおりである。
【0076】
CaO・a4 Al・a5 SiO・b 硫酸塩・c ハロゲン化物 式1-4
式1-4では、0<a4<6、0<a5<6であり、且つ0<a4+a5≦6、0≦b≦4、0≦c≦4である。
【0077】
任意選択的に、0<a4≦2、0<a5≦2であり、且つ0<a4+a5≦3、b=0、c=0である。
【0078】
任意選択的に、0<a4≦2、0<a5≦2であり、且つ0<a4+a5≦3、0<b≦4、c=0である。
【0079】
任意選択的に、0<a4≦2、0<a5≦2であり、且つ0<a4+a5≦3、b=0、0<c≦4である。
【0080】
いくつかの実施例において、前記水硬性無機材料は、式1-5で示す化合物を含み、硫酸塩、ハロゲン化物は、本明細書で定義されるとおりである。
【0081】
CaO・a6 Al・a7 Fe・b 硫酸塩・c ハロゲン化物 式1-5
式1-5では、0<a6<6、0<a7<6であり、且つ0<a6+a7≦6、0≦b≦4、0≦c≦4である。
【0082】
任意選択的に、0<a6≦2、0<a7≦2であり、且つ0<a6+a7≦3、b=0、c=0である。
【0083】
任意選択的に、0<a6≦2、0<a7≦2であり、且つ0<a6+a7≦3、0<b≦4、c=0である。
【0084】
任意選択的に、0<a6≦2、0<a7≦2であり、且つ0<a6+a7≦3、b=0、0<c≦4である。
【0085】
いくつかの実施例において、前記水硬性無機材料は、式1-6で示す化合物を含み、硫酸塩、ハロゲン化物は、本明細書で定義されるとおりである。
【0086】
BaO・a8 SiO・b 硫酸塩・c ハロゲン化物 式1-6
式1-6では、0<a8≦6、0≦b≦4、0≦c≦4である。
【0087】
任意選択的に、0<a8≦3、b=0、c=0である。
【0088】
任意選択的に、0<a8≦3、0<b≦4、c=0である。
【0089】
任意選択的に、0<a8≦3、b=0、0<c≦4である。
【0090】
いくつかの実施例において、前記水硬性無機材料は、式1-7で示す化合物を含み、硫酸塩、ハロゲン化物は、本明細書で定義されるとおりである。
【0091】
BaO・a9 Al・b 硫酸塩・c ハロゲン化物 式1-7
式1-7では、0<a9≦6、0≦b≦4、0≦c≦4である。
【0092】
任意選択的に、0<a9≦6、b=0、c=0である。
【0093】
任意選択的に、0<a9≦6、0<b≦4、c=0である。
【0094】
任意選択的に、0<a9≦6、b=0、0<c≦4である。
【0095】
いくつかの実施例において、前記水硬性無機材料は、式1-8で示す化合物を含み、硫酸塩、ハロゲン化物は、本明細書で定義されるとおりである。
【0096】
BaO・a10 Al・a11 SiO・b 硫酸塩・c ハロゲン化物 式1-8
式1-8では、0<a10<6、0<a11<6であり、且つ0<a10+a11≦6、0≦b≦4、0≦c≦4である。
【0097】
任意選択的に、0<a10≦2、0<a11≦2であり、且つ0<a10+a11≦3、b=0、c=0である。
【0098】
任意選択的に、0<a10≦2、0<a11≦2であり、且つ0<a10+a11≦3、0<b≦4、c=0である。
【0099】
任意選択的に、0<a10≦2、0<a11≦2であり、且つ0<a10+a11≦3、b=0、0<c≦4である。
【0100】
いくつかの実施例において、前記水硬性無機材料は、式1-1から式1-8で示す化合物のうちの2種以上を含み、この時、コーティングの圧縮強度と水和熱の調整に有利となり、水と反応した後のコーティングに、適切な圧縮強度を持たせるとともに、水と反応した後に過剰な熱を放出することがない。
【0101】
いくつかの実施例において、例として、前記水硬性無機材料は、2CaO・SiO、3CaO・SiO、CaO・Al、CaO・2Al、3CaO・Al、6CaO・2Al、12CaO・7Al、CaO・Fe、2CaO・Fe、2CaO・Al・SiO、CaO・Al・2SiO、4CaO・Al・Fe、6CaO・Al・2Fe、3CaO・3Al・CaSO、3CaO・3Al・MgSO、3CaO・3Al・BaSO、3CaO・3Al・SrSO、3CaO・3Al・ZnSO、3CaO・3Al・Al(SO、3CaO・3Al・FeSO、3CaO・3Al・Fe(SO、2CaO・SiO・CaSO、11CaO・7Al・CaF、3CaO・3Al・CaF、CaO・3Al・3CaF、CaO・3Al・4CaF、2BaO・SiO、3BaO・SiO、BaO・Al、3BaO・Al、BaO・6Al、BaO・Al・SiO、BaO・Al・2SiOのうちの一つ又は複数を含む。
【0102】
任意選択的に、前記水硬性無機材料は、2CaO・SiO、3CaO・SiO、3CaO・Al、4CaO・Al・Feのうちの一つ又は複数を含む。
【0103】
いくつかの実施例において、前記水硬性無機材料は、体積粒径Dv10が1μm~10μmである粒子である。例えば、前記水硬性無機材料粒子の体積粒径Dv10は、1μm、2μm、3μm、4μm、5μm、6μm、7μm、8μm、9μm、10μm又はそれ以上の任意の数値で構成される範囲である。任意選択的に、前記水硬性無機材料は、体積粒径Dv10が3μm~5μmである粒子である。前記水硬性無機材料粒子の体積粒径Dv10が適切な範囲内にある場合、前記コーティングの一致性はより高い。
【0104】
いくつかの実施例において、前記コーティングの総質量に対して、前記水硬性無機材料の質量百分率は、95%~100%である。任意選択的に、前記水硬性無機材料の質量百分率は、97%~100%である。
【0105】
いくつかの実施例において、前記コーティングは、添加剤をさらに含み、添加剤は、コーティングの圧縮強度を調整し、コーティングと水との反応の凝集速度を調整し、水和熱を低下させるという役割を果たすことができる。例として、前記添加剤は、減水剤(Water-reducing admixture)、石膏、ポゾラン、フライアッシュ、スラグ、珪砂、石灰石、粘土のうちの一つ又は複数を含むが、それらに限らない。ここで、石膏は、天然二水石膏、硬石膏、半水石膏、リン石膏、脱硫石膏のうちの一つ又は複数を含む。前記添加剤の種類は、具体的に限定されず、実際の必要に応じて選択されてもよく、例えば、例として、減水剤は、ポリカルボン酸減水剤であってもよい。これらの添加剤は、一つのみを単独で用いてもよく、二つ以上を組み合わせて用いてもよい。前記コーティングの総質量に対して、前記添加剤の質量百分率≦5%である。例えば、前記添加剤の質量百分率≦4.5%、≦4%、≦3.5%、≦3%、≦2.5%、≦2%、≦1.5%、≦1%、≦0.5%であり、又は、0%である。
【0106】
いくつかの実施例において、前記ベースフィルムの厚さは、5μm~12μmである。任意選択的に、前記ベースフィルムの厚さは、6μm~7μmである。ベースフィルムの厚さが適切な範囲内にある場合、セパレータは、十分な圧縮強度を有するとともに、高いイオン伝導率をさらに有することができる。
【0107】
いくつかの実施例において、前記ベースフィルムの孔隙率は、30%~50%である。任意選択的に、前記ベースフィルムの孔隙率は、35%~50%である。ベースフィルムの孔隙率が適切な範囲内にある場合、セパレータは、十分な圧縮強度を有するとともに、高いイオン伝導率をさらに有することができる。
【0108】
いくつかの実施例において、前記ベースフィルムの種類に対して特に制限することはなく、よく知られている、良好な化学的安定性と機械的安定性を有する任意の多孔質構造フィルムを選択してもよい。任意選択的に、前記ベースフィルムは、ポリオレフィン多孔質膜、不織布、ガラス繊維から選択される一つ又は複数である。前記ベースフィルムは、単層フィルムであってもよいし、多層複合フィルムであってもよい。前記ベースフィルムが多層複合フィルムである場合、各層の材料は同一であるか又は異なっている。例として、前記ベースフィルムの材質は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイミド、ポリフッ化ビニリデン、フッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレートから選択される一つ又は複数であってもよい。
【0109】
ベースフィルムは、その厚さ方向において対向する二つの表面を有し、コーティングは、ベースフィルムの前記二つの表面のうちのいずれか一方又は両方上に設けられている。
【0110】
いくつかの実施例において、前記コーティングの総厚さは、0.5μm~5μmである。本出願において、「コーティングの総厚さ」という用語は、ベースフィルムの二つの表面上に設けられるコーティングの厚さの和を指す。コーティングがベースフィルムの前記二つの表面のいずれか一つに設けられる時、コーティングの厚さは、コーティングの総厚さであり、コーティングがベースフィルムの前記二つの表面の両方上に設けられる時、コーティングの厚さの和は、コーティングの総厚さである。
【0111】
例えば、前記コーティングの総厚さは、0.5μm、1.0μm、1.5μm、2.0μm、2.5μm、3.0μm、3.5μm、4.0μm、4.5μm、5.0μm又はそれ以上の任意の数値で構成される範囲である。任意選択的に、前記コーティングの総厚さは、0.5μm~2μmである。コーティングの総厚さが適切な範囲内にある場合、水と反応した後のコーティングは、適切な圧縮強度を有するとともに、水と反応した後に過剰な熱を放出することがない。
【0112】
いくつかの実施例において、前記コーティングと水との反応の2日間内の水和熱は、300J/g~500J/gである。例えば、前記コーティングと水との反応の2日間内の水和熱は、300J/g、310J/g、320J/g、330J/g、340J/g、350J/g、360J/g、370J/g、380J/g、390J/g、400J/g、410J/g、420J/g、430J/g、440J/g、450J/g、460J/g、470J/g、480J/g、490J/g、500J/g又はそれ以上の任意の数値で構成される範囲である。前記コーティングの構成、厚さなどを調整することで、水と反応した後の前記コーティングに、適切な放熱量を持たせることができ、一方では、電池の正負極の間での活性イオンの伝送速度を増加させ、電池のサイクル性能とレート性能を向上させることができ、他方では、電池の他の電気化学的性能に影響を及ぼさないことを確保する。
【0113】
いくつかの実施例において、水と反応して硬化した後の前記コーティングの圧縮強度は、2500Pa~20000Paである。例えば、水と反応して硬化した後の前記コーティングの圧縮強度は、2500Pa、3000Pa、4000Pa、5000Pa、6000Pa、7000Pa、8000Pa、9000Pa、10000Pa、11000Pa、12000Pa、13000Pa、14000Pa、15000Pa、16000Pa、17000Pa、18000Pa、19000Pa、20000Pa又はそれ以上の任意の数値で構成される範囲である。任意選択的に、水と反応して硬化した後の前記コーティングの圧縮強度は、2500Pa~18000Pa、2500Pa~16000Pa、2500Pa~14000Pa、2500Pa~12000Pa、2500Pa~10000Pa、2500Pa~9000Pa、2500Pa~8000Pa、2500Pa~7000Pa、2500Pa~6000Pa、又は2500Pa~5000Paである。前記コーティングの構成、厚さなどを調整することで、水と反応した後の前記コーティングに、高い圧縮強度を持たせることができ、それによって電池の化成プロセス及びサイクル充放電プロセスにおいて、セパレータは変形しにくく、中心孔の崩壊とデンドライトの成長を効果的に抑制し、電池の安全性能を向上させ、電池のサイクル寿命を延長することができる。
【0114】
水和熱は、本分野で公知の意味であり、本分野で既知の機器及び方法を採用して測定することができる。例えば、TAM Air熱活性マイクロ熱量計(米国TA機器から入手)を用いてコーティングの水和熱を測定する。例示的なテスト方法は、以下の通りである。つまり、新たに製造したセパレータを採取してテストを行い、セパレータのいずれか一つの領域においてコーティングに対してサンプリングを行い(例えば、ドクターブレードを用いて粉体を採取してサンプリングする)、収集した全てのサンプルの質量を秤量し、収集した全てのサンプルをアンプルに入れ、電動ミキサにおけるシリンジで、計量した水を採取し、さらに、電動ミキサをアンプルに挿入し、そして、アンプルと共に電動ミキサをマイクロサーモメータの測定位置に置き、最後にシリンジ内の水をアンプルに注入し、撹拌と記録を開始し、テスト周期内の総放熱量を得る。ここで、テスト周期は、48時間であり、テスト温度は、室温である。
【0115】
圧縮強度は、本分野で公知の意味であり、本分野で既知の機器及び方法を採用して測定することができる。テスト時、セパレータサンプルとして、新たに製造したセパレータを直接的に採取してもよく、又は、電池からセパレータを取得してもよい。
【0116】
新たに製造したセパレータを採取してテストを行う時、例示的なテスト方法は、以下の通りである。新たに製造した片面塗布セパレータサンプルを採取してテストを行い、両面塗布セパレータであれば、まず、その片面のコーティングを拭き取ってもよく、セパレータを脱イオン水に置き、コーティングを水と十分に反応させて硬化し、セパレータを脱イオン水から取り出し、十分に乾燥した後に、圧縮強度測定装置(例えば、YN-200-400マイクロコンピュータ圧縮強度測定装置)に置いてテストを行い、セパレータが破壊される場合の破壊荷重を得る。任意選択的に、加重速度は、0.4MPa/s~0.6MPa/sである。
【0117】
電池からセパレータを取得する場合、例示的なテスト方法は、以下の通りである。電池を満放電した後に、セパレータを取り外し、巻回開始端が十分に硬化されている領域を採取してテストを行い、両面塗布セパレータであれば、まず、その片面のコーティングを拭き取ってもよく、セパレータをオーブンに置いて十分に乾燥し(例えば、45℃、30min)、余分な電解液を除去した後、さらに、圧縮強度測定装置(例えば、YN-200-400マイクロコンピュータ圧縮強度測定装置)に置いてテストを行い、セパレータが破壊される場合の破壊荷重を得る。任意選択的に、加重速度は、0.4MPa/s~0.6MPa/sである。
【0118】
水と反応して硬化した後のコーティングの圧縮強度は、式p=P/Aに応じて算出され、pは、サンプルの圧縮強度を表し、Pは、サンプルの破壊荷重を表し、Aは、サンプルの面積を表す。
【0119】
いくつかの実施例において、前記コーティングは、前記セパレータの巻回開始端から0cm~Lcmの領域内に位置し、10≦L≦20である。前記の、水硬性無機材料を含むコーティングは、前記セパレータの巻回開始端の部分領域内にのみ設けられることによって、中心孔の崩壊とデンドライトの成長を効果的に抑制することができるとともに、電池の質量エネルギー密度を著しく低下させない。そのため、本出願の電極アセンブリは、高い安全性能と高いエネルギー密度を同時に有することができる。
【0120】
セパレータは、本分野の一般的な方法で製造されてもよい。例示的な製造方法は、以下の通りである。水硬性無機材料、任意選択的な添加剤を有機溶媒に溶解し、十分に撹拌混合し、均一なコーティングスラリーを形成し、コーティングスラリーをベースフィルムの表面に塗布し、乾燥を経た後、セパレータを得る。ここで、前記有機溶媒の種類は、具体的に限定されず、実際の必要に応じて選択されてもよい。例えば、前記有機溶媒は、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネートなどから選択される。
【0121】
いくつかの実施例において、電解液のpHは、5~9である。任意選択的に、電解液のpHは、7である。
【0122】
いくつかの実施例において、電解質塩の濃度は、0.5mol/L~2.0mol/Lであってもよい。任意選択的に、電解質塩の濃度は、1.0mol/Lである。
【0123】
いくつかの実施例において、例として、電解質塩は、LiSO、LiNO、LiCl、LiCFSO、NaSO、NaNO、NaCl、NaCFSO、KSO、KNO、KCl、KCFSO、ZnSO、Zn(NO、ZnCl、Zn(CFSO、Ca(NO、CaCl、Ca(CFSO、MgSO、Mg(NO、MgCl、Mg(CFSO、Sr(NO、SrCl、Sr(CFSO、Ba(NO、BaCl、Ba(CFSO、Al(SO、Al(NO、AlCl、Al(CFSOのうちの一つ又は複数を含むが、それらに限らない。
【0124】
いくつかの実施例において、電解液に、任意選択的に、添加剤がさらに含まれる。例えば、添加剤は、負極被膜形成添加剤を含んでいてもよいし、正極被膜形成添加剤を含んでいてもよいし、電池の何らかの性能を改善できる添加剤、例えば、電池の過充電性能を改善する添加剤、電池の高温性能を改善する添加剤、電池の低温性能を改善する添加剤などを含んでいてもよい。
【0125】
いくつかの実施例において、第1の極板は、正極板であり、第2の極板は、負極板である。いくつかの実施例において、第1の極板は、負極板であり、第2の極板は、正極板である。
【0126】
正極板は、正極集電体及び正極集電体の少なくとも一つの表面に設けられた正極膜層を含んでもよい。例として、正極集電体は、その厚さ方向において対向する二つの表面を有し、正極膜層は、正極集電体の前記二つの表面のいずれか一方又は両方上に設けられる。
【0127】
正極膜層は、通常、正極活物質と、任意選択的な導電剤と、任意選択的な接着剤とを含み、正極膜層は、通常、正極スラリーを正極集電体に塗布し、乾燥、冷間プレスを経た後に得られたものである。正極スラリーは、通常、正極活物質、任意選択的な導電剤、任意選択的な接着剤及び任意の他の成分を溶媒に分散させ、均一に撹拌することで形成されたものである。溶媒は、脱イオン水、N-メチルピロリドン(NMP)であってもよいが、それらに限らない。例として、正極膜層に用いられる接着剤は、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、フッ化ビニリデン-テトラフルオロエチレン-プロピレン三元共重合体、フッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロピレン-テトラフルオロエチレン三元共重合体、テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体、フッ素含有アクリレート樹脂、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ポリアクリル酸(PAA)、ポリアクリル酸ナトリウム(PAAS)、ポリアクリルアミド(PAM)、ポリビニルアルコール(PVA)、アルギン酸ナトリウム(SA)、ポリメタクリル酸(PMAA)及びカルボキシメチルキトサン(CMCS)のうちの一つ又は複数を含む。例として、正極膜層に用いられる導電剤は、超伝導カーボン、導電性黒鉛、アセチレンブラック、カーボンブラック、ケッチェンブラック、カーボンスポット、カーボンナノチューブ、グラフェン、カーボンナノファイバーのうちの一つ又は複数を含む。
【0128】
正極集電体は、金属箔シート又は複合集電体を採用してもよい。金属箔シートの例として、正極集電体は、アルミニウム箔を採用してもよい。複合集電体は、高分子材料基層と高分子材料基層の少なくとも一つの表面上に形成された金属材料層とを含んでもよい。例として、金属材料は、アルミニウム、アルミニウム合金、ニッケル、ニッケル合金、チタン、チタン合金、銀、銀合金のうちから選択される一つ又は複数であってもよい。例として、高分子材料基層は、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリスチレン(PS)、ポリエチレン(PE)などから選択されてもよい。
【0129】
負極板は、負極集電体と、負極集電体の少なくとも一つの表面に設けられた負極膜とを含んでもよい。例として、負極集電体は、その厚さ方向において対向する二つの表面を有し、負極膜は、負極集電体の前記二つの表面のいずれか一方又は両方上に設けられる。
【0130】
負極膜層は、通常、負極活物質と、任意選択的な接着剤と、任意選択的な導電剤と、他の任意選択的な助剤とを含み、負極膜層は、通常、負極スラリーを負極集電体に塗布し、乾燥、冷間プレスを経た後に得られたものである。負極スラリーは、通常、負極活物質、任意選択的な導電剤、任意選択的な接着剤及び任意の他の成分を溶媒に分散させ、均一に撹拌することで形成されたものである。溶媒は、脱イオン水、N-メチルピロリドン(NMP)であってもよいが、それらに限らない。例として、負極膜層に用いられる接着剤は、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、フッ化ビニリデン-テトラフルオロエチレン-プロピレン三元共重合体、フッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロピレン-テトラフルオロエチレン三元共重合体、テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体、フッ素含有アクリレート樹脂、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ポリアクリル酸(PAA)、ポリアクリル酸ナトリウム(PAAS)、ポリアクリルアミド(PAM)、ポリビニルアルコール(PVA)、アルギン酸ナトリウム(SA)、ポリメタクリル酸(PMAA)及びカルボキシメチルキトサン(CMCS)のうちの一つ又は複数を含む。例として、負極膜層に用いられる導電剤は、超伝導カーボン、導電性黒鉛、アセチレンブラック、カーボンブラック、ケッチェンブラック、カーボンスポット、カーボンナノチューブ、グラフェン、カーボンナノファイバーのうちの一つ又は複数を含む。例として、負極膜層に用いられる他の助剤は、増粘剤、例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC-Na)を含む。
【0131】
負極集電体は、金属箔シート又は複合集電体を採用してもよい。金属箔シートの例として、銅箔を採用してもよい。複合集電体は、高分子材料基層と高分子材料基層の少なくとも一つの表面上に形成された金属材料層とを含んでもよい。例として、金属材料は、銅、銅合金、ニッケル、ニッケル合金、チタン、チタン合金、銀、銀合金のうちから選択される一つ又は複数であってもよい。例として、高分子材料基層は、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリスチレン(PS)、ポリエチレン(PE)などから選択されてもよい。
【0132】
正極活物質と負極活物質は、本分野で公知の、リチウムイオン電池、ナトリウムイオン電池、カリウムイオン電池、亜鉛イオン電池、カルシウムイオン電池、マグネシウムイオン電池、アルミニウムイオン電池、又はハイブリッドイオン電池に用いられる材料を採用してもよい。
【0133】
正極活物質は、活性イオン(例えば、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、亜鉛イオン、カルシウムイオン、マグネシウムイオン、アルミニウムイオンなど)吸蔵電位が水の酸素発生電位よりも低い材料を選択する。負極活物質は、活性イオン(例えば、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、亜鉛イオン、カルシウムイオン、マグネシウムイオン、アルミニウムイオンなど)吸蔵電位が水の酸素発生電位よりも高い材料を選択する。
【0134】
例として、正極活物質は、遷移金属酸化物材料、ポリアニオン材料(例えば、オリビン構造、NASICON構造、Maricite構造、ピロリン酸塩、フルオロリン酸塩、硫酸塩など)、プルシアンブルー材料、有機ポリマー材料及びそれぞれの改質化合物のうちの一つ又は複数を含む。遷移金属酸化物材料の例として、NaMO(Mは、遷移金属であり、好ましくは、Mn、Fe、Ni、Co、V、Cu、Crから選択される一つ又は複数であり、0<x≦1である)、マンガン系酸化物、バナジウム系酸化物及びそれぞれの改質化合物のうちの一つ又は複数を含んでもよいが、それらに限らない。有機ポリマー材料の例として、ポリ2,2,6,6-テトラメチルピペリジンオキシ-4-ビニルエーテル(PTVE)を含んでもよいが、それらに限らない。本出願は、これらの材料に限定されず、電池の正極活物質として使用可能な従来の公知の他の材料を使用してもよい。これらの正極活物質は、一つのみを単独で用いてもよく、二つ以上を組み合わせて用いてもよい。
【0135】
任意選択的に、上記各正極活物質の改質化合物は、正極活物質に対してドーピング改質を施したもの、表面被覆改質を施したもの、ドーピング改質と表面被覆改質を同時に施したものであってもよい。
【0136】
例として、負極活物質は、人造黒鉛、天然黒鉛、ソフトカーボン、ハードカーボン、活性炭、遷移金属酸化物、有機ポリマー材料のうちの一つ又は複数を含む。有機ポリマー材料の例として、ポリイミド(PI)、キノン、例えば、ポリ(2-ビニルアントラキノン)(PVAQ)を含んでもよいが、それらに限らない。しかしながら、本出願は、それらの材料に限定されず、電池の負極活物質として使用可能な従来の公知の他の材料を使用してもよい。これらの負極活物質は、一つのみを単独で用いてもよく、二つ以上を組み合わせて用いてもよい。
【0137】
電池モジュール及び電池パック
本出願のいくつかの実施例において、本出願による電池は電池モジュールに組み立てることができ、電池モジュールに含まれる電池の数は複数であってもよく、具体的な数は電池モジュールの適用及び容量に基づいて調節することができる。
【0138】
電池モジュールにおいて、複数の電池は、電池モジュールの長手方向に沿って順に並べて設けられてもよい。無論、任意の他の方式に従って配置してもよい。さらに、この複数の電池を締め具で固定してもよい。
【0139】
任意選択的に、電池モジュールは、複数の電池を収容する収容空間を有する筐体をさらに備えていてもよい。
【0140】
本出願のいくつかの実施例において、上記電池モジュールはさらに電池パックに組み立てることができ、電池パックに含まれる電池モジュールの数は電池パックの適用及び容量に基づいて調節することができる。
【0141】
任意選択的に、電池パックは、電池ケースと、電池ケースに設けられた複数の電池モジュールとをさらに含んでもよい。電池ケースは上ケースと下ケースとを含み、上ケースは下ケースに蓋設され、電池モージュルを収容するための密閉空間を形成するためのものである。複数の電池モジュールは、任意の方式に従って電池ケースに配置されてもよい。
【0142】
電力消費装置
本出願の実施形態は、本出願の電池と、電池モジュールと、電池パックとのうちの少なくとも一つを含む電力消費装置をさらに提供する。前記電池、電池モジュール又は電池パックは、前記電力消費装置の電源として用いられてもよく、前記電力消費装置のエネルギー貯蔵ユニットとして用いられてもよい。前記電力消費装置は、移動体設備(例えば携帯電話、ノートパソコンなど)、電動車両(例えば純電気自動車、ハイブリッド電気自動車、プラグインハイブリッド電気自動車、電動自転車、電動スクーター、電動ゴルフカート、電動トラックなど)、電気列車、船舶と衛星、エネルギー貯蔵システムなどであってもよいが、それらに限らない。
【0143】
前記電力消費装置として、その使用上の需要に応じて電池、電池モジュール又は電池パックを選択してもよい。
【0144】
図2は、一例としての電力消費装置の概略図である。この電力消費装置は純電気自動車、ハイブリッド電気自動車、又はプラグインハイブリッド電気自動車などである。この電力消費装置の、高出力と高エネルギー密度の需要を満たすために、電池パック又は電池モジュールを採用してもよい。
【0145】
別の例としての電力消費装置は、携帯電話、タブレットコンピュータ、ノートパソコンなどであってもよい。この電力消費装置は、一般的には薄型化と軽量化が求められており、電源として電池を採用してもよい。
【0146】
実施例
下記実施例は、本出願に開示された内容をより具体的に記述するものであり、これらの実施例は、単に例示的な説明のためにのみ使用される。これは、本出願に開示された内容の範囲内で様々な修正及び変更が行われることが当業者にとって明らかであるためである。別段の宣言がない限り、以下の実施例で報告されるすべての部、パーセント、及び比率は、いずれも重量ベースであり、且つ実施例で使用されるすべての試薬は、いずれも市販又は従来の方法で合成して得られ、且つ処理することなく直接使用することができ、実施例で使用される器具は、市販されることができる。
【0147】
実施例1
正極板の製造
正極活物質Na0.44MnO、導電剤のカーボンブラック、接着剤PVAを96:2:2の質量比に従って適量の脱イオン水に十分に撹拌混合し、均一な正極スラリーを形成し、正極スラリーを正極集電体アルミニウム箔の二つの表面に塗布し、乾燥、冷間プレスを経た後、正極板を得た。
【0148】
負極板の製造
負極活物質のハードカーボン、導電剤のカーボンブラック、接着剤PVAを95:2.5:2.5の質量比に従って適量の脱イオン水に十分に撹拌混合し、均一な負極スラリーを形成し、負極スラリーを負極集電体銅箔の二つの表面に塗布し、乾燥、冷間プレスを経た後、負極板を得た。
【0149】
セパレータの製造
3CaO・SiO(Dv10が4.7μmである)をジメチルカーボネートに溶解し、コーティングスラリーを得、グラビアロールをスラリーに浸漬し、グラビアロールの回転に伴ってグラビアロールの表面の凹部にスラリーを満たし、グラビアロール表面のスラリーをドクターブレードで掻き取り、凹部におけるスラリーのみを残し、グラビアロールをベースフィルム(厚さ7μmの多孔質ポリエチレンフィルム)との接触位置まで回転し、プレスロールの作用で、凹部におけるスラリーをベースフィルムの一つの表面に移転した。ここで、スラリーの塗布長さは、約10μmであり、塗布厚さは、5μmであった。
【0150】
電解液の製造
NaSOを脱イオン水に均一に溶解し、pH=7の電解液を得て、NaSOの濃度が1mol/Lであった。
【0151】
電池の製造
上記製造した正極板、セパレータ、負極板を順次積層して巻回し、巻回型電極アセンブリを得て、巻回型電極アセンブリをアルミニウムケースに入れ、エンドキャップ溶接、注液、パッケージング、静置、化成などのプロセスを経た後、円柱形電池を得た。
【0152】
実施例2-19と比較例1-2
電池の製造方法は、実施例1と類似しており、相違点は、セパレータの製造パラメータが調整されていることであり、具体的には、詳細は表1に示すとおりである。
【0153】
【表1】
【0154】
性能テスト部分
(1)コーティングの水和熱テスト
新たに製造したセパレータを採取してテストを行い、セパレータのいずれか一つの領域においてコーティングから粉体を採取してサンプリングし、収集した全てのサンプルの質量を秤量し、収集した全てのサンプルをアンプルに入れ、電動ミキサにおけるシリンジで、計量した水を採取し、さらに、電動ミキサをアンプルに挿入し、そして、アンプルと共に電動ミキサをマイクロサーモメータの測定位置に置き、最後にシリンジ内の水をアンプルに注入し、撹拌と記録を開始し、テスト周期内の総放熱量を得た。コーティングの水和熱(J/g)=総放熱量(J)/サンプルの質量(g)であった。ここで、テスト周期は、48時間であり、テスト温度は、室温であり、マイクロサーモメータは、TAM Air 8チャネルマイクロサーモメータである。
【0155】
(2)コーティングの圧縮強度テスト
電池を満放電した後に、セパレータを取り外し、巻回開始端が十分に硬化されている領域を採取してテストを行い、セパレータを45℃オーブンに置いて30min乾燥し、余分な電解液を除去し、その後、セパレータをYN-200-400マイクロコンピュータ圧縮強度測定装置の下プラテンの中心位置に置き、機器を起動し、一定速度で連続的に、セパレータが破壊されるまで加重し、その時の破壊荷重を記録した。ここで、加重速度は、0.4MPa/s~0.6MPa/sである。
【0156】
コーティングの圧縮強度は、式p=P/Aに応じて算出され、pは、サンプルの圧縮強度を表し、Pは、サンプルの破壊荷重を表し、Aは、サンプルの面積を表す。
【0157】
(3)電池内部温度テスト
巻回型電極アセンブリの外表面に感温コードを貼り付けることにより電池内部の温度変化を監視し、電池内部の発熱の最高温度を記録した。温度検出器は、KSD301温度センサである。
【0158】
(4)レート性能テスト
25℃で、電池を1/3Cで2.0Vまで定電流充電し、引き続き、電流が0.05Cになるまで定電圧充電し、電池を5min静置した後、4Cで0.5Vまで定電流放電し、4Cレートの放電容量を記録した。
【0159】
(5)サイクル性能テスト
25℃で、電池を1/3Cで2.0Vまで定電流充電し、引き続き、電流が0.05Cになるまで定電圧充電し、この時、電流が満充電状態であり、この時の充電容量を1サイクル目の充電容量として記録し、電池を5min静置した後、4Cで0.5Vまで定電流放電し、これは、一つのサイクル充放電プロセスであり、この時の放電容量を1サイクル目の放電容量として記録した。電池を上記方法に従ってサイクル充放電テストし、各サイクル後の放電容量を記録した。
【0160】
電池の500サイクルの容量保持率(%)=500サイクル目の放電容量/1サイクル目の放電容量×100%であった。
【0161】
表2は、実施例1-19と比較例1-2の性能テスト結果を示す。
【0162】
【表2】
【0163】
表2のテスト結果から分かるように、本出願の水硬性無機材料を含むコーティングに電解液を浸潤させた後、コーティングにおける水硬性無機材料は、溶媒である水と反応してコーティングを十分に硬化することができ、それによってセパレータの引張強度を著しく増加させることができるため、電池の化成プロセス及びサイクル充放電プロセスにおいて、セパレータは変形しにくく、中心孔の崩壊とデンドライトの成長を効果的に抑制し、電池の安全性能とサイクル性能を向上させることができる。本出願の水硬性無機材料を含むコーティングに電解液を浸潤させた後、適量の熱を放出することもでき、それによって電池の正負極の間での活性イオンの伝送速度を増加させ、電池のレート性能を向上させる。
【0164】
比較例2において、ベースフィルムの表面にアルミナセラミックスコーティングを設けることで、セパレータの圧縮強度を一定の程度増加させることができるが、セパレータの圧縮強度が依然として低く、中心孔の崩壊を効果的に抑制できず、電池のサイクル性能に対する改善効果が小さい。
【0165】
以上の内容は、本願の具体的な実施形態に過ぎないが、本願の保護範囲はこれに限定されず、当業者であれば、本願に開示された技術的範囲内に、様々な等価な変更や置き換えを容易に想到でき、これらの変更や置き換えは、いずれも本願の保護範囲に属するものである。したがって、本願の保護範囲は、特許請求の範囲の保護範囲を基準とすべきである。
図1
図2
【国際調査報告】