(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-30
(54)【発明の名称】リチウムイオン電池
(51)【国際特許分類】
H01M 10/0587 20100101AFI20231122BHJP
H01M 10/052 20100101ALI20231122BHJP
【FI】
H01M10/0587
H01M10/052
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023503471
(86)(22)【出願日】2021-10-15
(85)【翻訳文提出日】2023-01-18
(86)【国際出願番号】 CN2021123970
(87)【国際公開番号】W WO2023060529
(87)【国際公開日】2023-04-20
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513196256
【氏名又は名称】寧徳時代新能源科技股▲分▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Contemporary Amperex Technology Co., Limited
【住所又は居所原語表記】No.2,Xingang Road,Zhangwan Town,Jiaocheng District,Ningde City,Fujian Province,P.R.China 352100
(74)【代理人】
【識別番号】100159329
【氏名又は名称】三縄 隆
(72)【発明者】
【氏名】郭 ▲鎖▼▲剛▼
(72)【発明者】
【氏名】付 成▲華▼
(72)【発明者】
【氏名】▲張▼ 辰辰
(72)【発明者】
【氏名】叶 永煌
【テーマコード(参考)】
5H029
【Fターム(参考)】
5H029AJ05
5H029AK03
5H029AL02
5H029AL07
5H029AL08
5H029AL11
5H029AM02
5H029BJ02
5H029BJ14
5H029DJ08
5H029EJ05
5H029EJ08
5H029HJ00
5H029HJ04
5H029HJ05
5H029HJ19
(57)【要約】
本出願は、負極板、セパレータ、正極板を巻回方向に巻回してなる巻回構造を含むリチウムイオン電池を提供し、前記巻回構造は、弧状の屈曲部を含み、前記負極板は、負極材料層を含み、屈曲部における、前記負極材料層の表面には、絶縁層及び前記絶縁層の表面に位置する反応層が設置されており、前記反応層はリチウム貯蔵材料を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リチウムイオン電池であって、
負極板、セパレータ、正極板を巻回方向に巻回してなる巻回構造を含み、前記巻回構造は、弧状の屈曲部を含み、
前記負極板は、負極材料層を含み、屈曲部における、前記負極材料層の表面には絶縁層及び前記絶縁層の表面に位置する反応層が設置されており、前記反応層は、リチウム貯蔵材料を含む、ことを特徴とするリチウムイオン電池。
【請求項2】
前記反応層の厚さdは、
【数1】
を満たし、
好ましくは、前記反応層の厚さdは、
【数2】
を満たし、
さらに好ましくは、前記反応層の厚さdは、
【数3】
を満たし、
ただし、h
1:単層負極材料層の厚さであり、単位はμmであり、
h
2:単層正極材料層の厚さであり、単位はμmであり、
h
3:セパレータの厚さであり、単位はμmであり、
x:屈曲部における負極材料層と正極材料層との間の距離であり、単位はμmであり、
q:屈曲部における単層負極活物質層の容量であり、単位はmAhであり、
a:屈曲部における単層負極活物質層の面積であり、単位はcm
2であり、
m
1:反応層のグラム容量であり、単位はmAh/gであり、
ρ:反応層の密度であり、単位はg/cm
3であり、
d:単位はμmである、ことを特徴とする請求項1に記載のリチウムイオン電池。
【請求項3】
前記リチウム貯蔵材料は、黒鉛、ケイ素単体、酸化ケイ素、一酸化ケイ素、酸化スズ、酸化銅、酸化亜鉛のうちの少なくとも一つを含む、ことを特徴とする請求項1又は2に記載のリチウムイオン電池。
【請求項4】
前記絶縁層は、アルミナ、ベーマイト、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化リチウム、酸化ケイ素、酸化コバルト、酸化ニッケル、酸化亜鉛、酸化ガリウム、酸化ゲルマニウム、酸化イットリウム、酸化ストロンチウム、酸化バリウム、酸化モリブデンのうちの少なくとも一つを含む、ことを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載のリチウムイオン電池。
【請求項5】
前記絶縁層の厚さは、1~10μmであり、好ましくは、2~4μmである、ことを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載のリチウムイオン電池。
【請求項6】
前記絶縁層のヤング率は、6GPa以上であり、好ましくは、6~30GPaである、ことを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載のリチウムイオン電池。
【請求項7】
前記反応層のグラム容量は、300~5000mAh/gであり、好ましくは、1000~4000mAh/gである、ことを特徴とする請求項1~6のいずれか一項に記載のリチウムイオン電池。
【請求項8】
前記反応層の粒子粒径は、0.1~6μmであり、好ましくは、0.1~2μmであり、
前記絶縁層の粒子粒径は、0.1~10μmであり、好ましくは、0.1~4μmである、ことを特徴とする請求項1~7のいずれか一項に記載のリチウムイオン電池。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか一項に記載のリチウムイオン電池を含む、ことを特徴とする電池モジュール。
【請求項10】
電池パックであって、
請求項9に記載の電池モジュールを含む、ことを特徴とする電池パック。
【請求項11】
電力消費装置であって、
請求項1~8のいずれか一項に記載のリチウムイオン電池、請求項9に記載の電池モジュール又は請求項10に記載の電池パックから選択される少なくとも一つを含む、ことを特徴とする電力消費装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、リチウム電池技術分野に関し、特にリチウムイオン電池、該リチウムイオン電池を含む電池モジュール、電池パック及び電力消費装置に関する。
【背景技術】
【0002】
リチウムイオン電池は、エネルギー密度が高く、サイクル性能が高く、電圧が高く、自己放電が低く、重量が軽いなどの利点を有し、ノートパソコン、デジタルカメラ、携帯電話と腕時計などの携帯型電子製品に広く適用されている。様々な携帯型電子製品の広範な適用に伴い、人々がリチウムイオン電池の性能に対する要求もますます高くなり、特にリチウムイオン電池のエネルギー密度とサイクル性能などに対する需要もますます高くなっている。
【0003】
現在のリチウムイオン電池は、一般的には、巻回構造で設計されている。電池のサイクル過程において、電池の正負極の間にリチウムイオンの吸蔵と放出が行われ、リチウムイオンが正極から負極へ移動する過程において、電池の巻回構造の制限のため、電池コアの屈曲部において、内輪に隙間があり、それにより電池の負極と正極との容量比は、電池コアの他の位置より低く、正極の過剰なリチウムイオンは負極に吸蔵されるが、負極にはリチウムイオンを吸蔵するのに十分な容量がないため、過剰なリチウムイオンは、内輪において、負極が正極に包まれる領域から析出し、負極でのリチウム析出は、電池のサイクル性能を厳重に低下させる。
【0004】
このように、析出したリチウムはデンドライト形態になり、セパレータを突き破って、正負極を繋げて、短絡を引き起こすことによって、重大な安全事故を引き起こす恐れがある。
【発明の概要】
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、巻回型電池コア極板、特に屈曲部に生成したリチウムデンドライトを解消し、電池コアの角部におけるリチウム析出の問題を改善し、リチウムイオン電池のサイクル性能と安全性を向上させることができるリチウムイオン電池を提供することを目的としている。
【0006】
上記目的を実現するために、本出願の第1の態様は、負極板、セパレータ、正極板を巻回方向に巻回してなる巻回構造を含むリチウムイオン電池を提供し、上記巻回構造は、弧状の屈曲部を含み、上記負極板は、負極材料層を含み、屈曲部における、上記負極材料層の表面には、絶縁層及び上記絶縁層の表面に位置する反応層が設置されており、上記反応層はリチウム貯蔵材料を含む。
【0007】
負極材料層の表面には絶縁層及び上記絶縁層の表面に位置する反応層が設置されていることによって、絶縁層は、リチウムデンドライトを物理的に隔離することができ、絶縁層がリチウムデンドライトに突き破られた場合にも、絶縁層の表面に位置する反応層は、リチウムデンドライトと反応することによって、リチウムデンドライトを解消することができる。
【0008】
いくつかの実施形態において、上記反応層の厚さdは、
【0009】
【0010】
を満たし、
好ましくは、上記反応層の厚さdは、
【0011】
【数2】
を満たし、
さらに好ましくは、上記前記反応層の厚さdは、
【0012】
【0013】
を満たし、
ただし、
h1:単層負極材料層の厚さであり、単位はμmであり、
h2:単層正極材料層の厚さであり、単位はμmであり、
h3:セパレータの厚さであり、単位はμmであり、
x:屈曲部における負極材料層と正極材料層との間の距離であり、単位はμmであり、
q:屈曲部における単層負極活物質層の容量であり、単位はmAhであり、
a:屈曲部における単層負極活物質層の面積であり、単位はcm2であり、
m1:反応層のグラム容量であり、単位はmAh/gであり、
ρ:反応層の密度であり、単位はg/cm3であり、
d:単位はμmである。
【0014】
反応層の厚さに上記関係式を満たさせることによって、反応層を、絶縁層を突き破って貫通するリチウムデンドライトと十分に反応させ、リチウムイオン電池のサイクル性能と安全性を向上させることができる。
【0015】
いくつかの実施形態において、上記リチウム貯蔵材料は、黒鉛(人造黒鉛又は天然黒鉛であってもよい)、ケイ素単体、酸化ケイ素、一酸化ケイ素、酸化スズ、酸化銅、酸化亜鉛のうちの少なくとも一つを含む。
【0016】
このような反応層を採用することによって、絶縁層がリチウムデンドライトに突き破られた場合に、このリチウムデンドライトは、反応層と良好に反応し、リチウムデンドライトを解消し、電池の安全性を向上させることができる。
【0017】
いくつかの実施形態において、上記絶縁層は、アルミナ、ベーマイト、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化リチウム、酸化ケイ素、酸化コバルト、酸化ニッケル、酸化亜鉛、酸化ガリウム、酸化ゲルマニウム、酸化イットリウム、酸化ストロンチウム、酸化バリウム、酸化モリブデンのうちの少なくとも一つを含む。
【0018】
このような絶縁層を採用することによって、物理的な作用によってバリアを形成し、リチウムデンドライトの成長を抑制することができる。
【0019】
いくつかの実施形態において、上記絶縁層の厚さは、1~10μmであり、好ましくは、2~4μmである。
【0020】
1μm以下の絶縁層厚さの実現は、プロセス上で困難である。絶縁層の厚さに対して特に制限することはなく、コストの面から考えると、上限を10μmに設定してもよく、この場合にリチウムデンドライトを物理的に隔離する役割を十分に果たすことができる。
【0021】
いくつかの実施形態において、上記絶縁層のヤング率は、6GPa以上であり、好ましくは、6~30GPaである。
【0022】
絶縁層のヤング率を6GPa以上にすることによって、リチウムデンドライトを物理的に隔離する役割を十分に果たすことができる。
【0023】
いくつかの実施形態において、上記反応層のグラム容量は、300~5000mAh/gであり、好ましくは、1000~4000mAh/gである。
【0024】
反応層のグラム容量を300~5000mAh/gにすることによって、リチウムデンドライトをより良く吸収し、且つ反応層が占める体積を減少させることができる。
【0025】
いくつかの実施形態において、上記反応層の粒子粒径は、0.1~6μmであり、好ましくは、0.1~2μmであり、上記絶縁層の粒子粒径は、0.1~10μmであり、好ましくは、0.1~4μmである。
【0026】
反応層の粒子粒径を0.1~6μm、絶縁層の粒子粒径を0.1~10μmにすることによって、各層を均一に形成することができ、それによって反応層と絶縁層のそれぞれのリチウム析出防止作用をより良く果たすことができる。
【0027】
本出願の第2の態様は、本出願の第1の態様のリチウムイオン電池を含む電池モジュールをさらに提供する。
【0028】
本出願の第3の態様は、本出願の第2の態様の電池モジュールを含む電池パックをさらに提供する。
【0029】
本出願の第4の態様は、本出願の第1の態様のリチウムイオン電池、本出願の第2の態様の電池モジュール又は本出願の第3の態様の電池パックから選択される少なくとも一つを含む電力消費装置をさらに提供する。
【0030】
本発明によれば、巻回構造の屈曲部にリチウムデンドライトが形成されるため、セパレータが突き破られ、電池の短絡と故障を引き起こすことを防止することができる。巻回構造の屈曲部にリチウムデンドライトが形成される場合、絶縁層は、物理的な作用によってバリアを形成して、リチウムデンドライトの成長を抑制することができ、リチウム析出量が大きすぎて、リチウムデンドライトがさらに成長して絶縁層を突き破る場合、反応層がそれと反応して、絶縁層を貫通する一部のリチウムデンドライトをアブレーションすることができるため、リチウムイオン電池のサイクル性能と安全性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】本出願の一実施形態によるリチウムイオン電池の巻回型電池アセンブリの概略図である。
【
図2】本出願の一実施形態による電池アセンブリの屈曲部を拡大して示す図である。
【
図3】本出願の一実施形態によるリチウムイオン電池の概略図である。
【
図4】
図3に示される本出願の一実施形態によるリチウムイオン電池の分解図である。
【
図5】本出願の一実施形態による電池モジュールの概略図である。
【
図6】本出願の一実施形態による電池パックの概略図である。
【
図7】
図6に示される本出願の一実施形態による電池パックの分解図である。
【
図8】本出願の一実施形態による、リチウムイオン電池が電源として用いられる電力消費装置の概略図である。
【
図9A】本出願の試験例1のリチウムイオン電池の500サイクル後の屈曲部の電子顕微鏡図である。
【
図9B】比較試験例1のリチウムイオン電池の500サイクル後の屈曲部の電子顕微鏡図である。
【
図10A】本出願の試験例2のリチウムイオン電池の1サイクル後の反応層と絶縁層部位をインサイチュー顕微鏡で観察する写真である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下では、図面を適当に参照しながら、本出願のリチウムイオン電池及びその製造方法、電池モジュール、電池パックと電力消費装置を具体的に開示した実施形態を詳細に説明する。しかし、必要のない詳細な説明を省略する場合がある。例えば、周知の事項に対する詳細な説明、実際に同じである構造に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に長くなることを回避し、当業者に容易に理解させるためである。なお、図面及び以下の説明は、当業者に本出願を十分に理解させるために提供するものであり、特許請求の範囲に記載された主題を限定するためのものではない。
【0033】
本出願に開示されている「範囲」は、下限と上限の形で限定され、所定の範囲は、特定の範囲の境界を限定する下限と上限を選択することによって限定される。このように限定される範囲は、両端値を含むか又は含まないものであってもよく、いずれかの組合せが可能であり、即ち、いずれかの下限といずれかの上限との組合せが一つの範囲を形成することができる。例えば、特定のパラメータに対して60~120と80~110の範囲が列挙されている場合、60~110と80~120の範囲も予想されていると理解する。なお、最小範囲値1と2、最大範囲値3、4と5が列挙されている場合、以下の範囲の1~3、1~4、1~5、2~3、2~4と2~5は全て予想されている。本出願において、特に説明されていない限り、数値範囲「a~b」は、a~bの間のいずれかの実数組み合わせの短縮表現を表し、ここで、aとbはいずれも実数である。例えば、数値範囲「0~5」は、本明細書には「0~5」の間の全ての実数が列挙されていることを表し、「0~5」はこれらの数値組み合わせの短縮表現に過ぎない。また、あるパラメータが≧2の整数であると表現する場合、この参数が例えば整数の2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12などであることを開示することになる。
【0034】
特に説明しない場合、本出願の全ての実施形態及び任意選択的な実施形態は、互いに組み合わせて新な技術案を形成することができる。
【0035】
特に説明しない場合、本出願の全ての技術的特徴及び任意選択的な技術的特徴は、互いに組み合わせて新な技術案を形成することができる。
【0036】
特に説明しない場合、本出願の全てのステップは、順次行われてもよく、ランダムに行われてもよく、好ましくは、順次行われる。例えば、前記方法がステップ(a)と(b)とを含むことは、表示前記方法が、順次行われるステップ(a)と(b)とを含んでもよく、順次行われるステップ(b)と(a)とを含んでもよいことを表す。例えば、以上に言及された前記方法がステップ(c)をさらに含むことは、ステップ(c)がいずれかの順で前記方法に追加されてもよいことを表し、例えば、前記方法は、ステップ(a)、(b)と(c)を含んでもよく、ステップ(a)、(c)と(b)を含んでもよく、ステップ(c)、(a)と(b)などを含んでもよい。
【0037】
特に説明しない場合、本出願で言及された「含む」と「包含」は、開放型を表し、閉鎖型であってもよい。例えば、前記「含む」と「包含」は、リストアップされていない他の成分をさらに含み又は包含してもよく、リストアップされた成分のみを含み又は包含してもよいことを表してもよい。
【0038】
特に説明しない場合、本出願において、用語「又は」は包括的である。例えば、「A又はB」という用語は、「A、B、又はAとBの両方」を表す。より具体的には、Aが真(又は存在する)でありかつBが偽(又は存在しない)である条件と、Aが偽(又は存在しない)であり、Bが真(又は存在する)である条件と、また、AとBが共に真(又は存在する)である条件のいずれかも「A又はB」を満たしている。
【0039】
本出願の第1の態様は、リチウムイオン電池を提供した。本出願のリチウムイオン電池は、負極板、セパレータ、正極板を巻回方向に巻回してなる巻回構造を含み、上記巻回構造は、弧状の屈曲部を含み、上記負極板は、負極材料層を含み、屈曲部における、上記負極材料層の表面には、絶縁層及び上記絶縁層の表面に位置する反応層が設置されており、上記反応層はリチウム貯蔵材料を含む。
【0040】
リチウムイオン電池が巻回構造を採用する場合、この巻回構造の弧状の屈曲部の隙間のため、リチウム析出が発生しやすく、このように析出したリチウムは、リチウムデンドライトを形成すると、過成長し、セパレータを突き破る恐れがある。本出願のリチウムイオン電池において、屈曲部における、負極材料層の表面に絶縁層を設置することによって、絶縁層は、リチウムデンドライトを物理的に隔離し、リチウムデンドライトの成長を抑制し、リチウムデンドライトがセパレータを突き破ることを防止することができる。上記絶縁層の表面に反応層をさらに設置することによって、リチウムデンドライトが過成長して絶縁層を突き破った場合、この反応層は、リチウムデンドライトと反応することによって、リチウムデンドライトを解消することができ、このように、リチウムデンドライトがセパレータを突き破ることをさらに防止することができる。
【0041】
上記反応層の厚さdは、
【0042】
【0043】
を満たし、
ここで、h1:単層負極材料層の厚さであり、単位はμmであり、
h2:単層正極材料層の厚さであり、単位はμmであり、
h3:セパレータの厚さであり、単位はμmであり、
x:屈曲部における負極材料層と正極材料層との間の距離であり、単位はμmであり、
q:屈曲部における単層負極活物質層の容量であり、単位はmAhであり、
a:屈曲部における単層負極活物質層の面積であり、単位はcm2であり、
m1:反応層のグラム容量であり、単位はmAh/gであり、
ρ:反応層の密度であり、単位はg/cm3であり、
d:単位はμmである。
【0044】
反応層の厚さに上記関係式を満たさせることによって、反応層を、絶縁層を突き破り且つ絶縁層を貫通するリチウムデンドライトと十分に反応させ、リチウムイオン電池のサイクル性能と安全性を向上させることができる。
【0045】
反応層の厚さdは、より好ましくは、
【0046】
【0047】
を満たし、
反応層の厚さdは、さらに好ましくは、
【0048】
【0049】
を満たす。
また、塗布プロセスとコストの面から考えると、好ましくは、反応層の厚さdの上限は200μmである。
【0050】
上記反応層における使用可能なリチウム貯蔵材料は、リチウムデンドライトと化学的に反応することによって、リチウムデンドライトがセパレータを突き破ることを防止することができる材料であればよく、例えば、負極材料層におけるものと同様な活物質を使用してもよい。リチウムデンドライトと反応できるこのような材料として、例えば、黒鉛、ケイ素単体、酸化ケイ素、一酸化ケイ素、酸化スズ、酸化銅、酸化亜鉛のうちの少なくとも一つが挙げられる。ここで、リチウムデンドライトと可逆的に反応できる材料が好ましく、例えば、好ましくは、黒鉛、ケイ素単体、酸化ケイ素、一酸化ケイ素を使用し、特に好ましくは、ケイ素単体又は一酸化ケイ素を使用する。また、絶縁層を突き破り且つ貫通して反応層によってアブレーションされたリチウムデンドライトを形成するリチウムイオンが電池全体における割合があまり高くないため、反応層は、リチウムデンドライトと不可逆的に反応する材料であっても、容量への影響も非常に小さい。このような不可逆的な材料として、例えば、酸化スズ、酸化銅、酸化亜鉛などが挙げられ、このような物質は、金属リチウムとLiM合金を形成することができ、リチウムのより良い堆積に寄与する。
【0051】
このような反応層を採用することによって、絶縁層がリチウムデンドライトに突き破られ、且つリチウムデンドライトが絶縁層を貫通する場合に、このリチウムデンドライトは、反応層と良好に反応し、リチウムデンドライトを解消し、電池の安全性を向上させることができる。
【0052】
本出願のリチウムイオン電池に使用可能な絶縁層として、アルミナ、ベーマイト、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化リチウム、酸化ケイ素、酸化コバルト、酸化ニッケル、酸化亜鉛、酸化ガリウム、酸化ゲルマニウム、酸化イットリウム、酸化ストロンチウム、酸化バリウム、酸化モリブデンのうちの少なくとも一つを含んでもよい。好ましくは、ベーマイト、アルミナ、酸化ジルコニウムを含む。
【0053】
このような絶縁層を採用することによって、物理的な作用によってバリアを形成し、リチウムデンドライトの成長を抑制し、電池使用中に生成したリチウムデンドライトがセパレータを突き破ることを防止することができ、リチウムイオン電池の安全性を向上させた。
【0054】
上記絶縁層の厚さは、1~10μmであり、好ましくは、2~4μmである。
【0055】
1μm以下の絶縁層厚さの実現は、プロセス上困難である。絶縁層の厚さに対して特に制限することはなく、コストの面から考えると、上限を10μmに設定してもよく、この場合にリチウムデンドライトを物理的に隔離する役割を十分に果たすことができる。
【0056】
上記絶縁層のヤング率は、6GPa以上であり、好ましくは、6~30GPaである。
【0057】
絶縁層のヤング率を6GPa以上にすることによって、リチウムデンドライトを物理的に隔離する役割を十分に果たすことができる。
【0058】
上記反応層のグラム容量は、300~5000mAh/gであり、好ましくは、1000~4000mAh/gである。
【0059】
反応層のグラム容量を300~5000mAh/gにすることによって、リチウムデンドライトとより良く反応し、リチウムデンドライトを解消し、且つ反応層が占める体積を減少させることができる。
【0060】
上記反応層の粒子粒径は、0.1~6μmであり、好ましくは、0.1~2μmであり、上記絶縁層の粒子粒径は、0.1~10μmであり、好ましくは、0.1~5μmである。
【0061】
反応層の粒子粒径を0.1~6μm、絶縁層の粒子粒径を0.1~10μmにすることによって、各層を均一に形成することができ、それによって反応層と絶縁層のそれぞれのリチウム析出防止作用をより良く果たすことができる。
【0062】
本出願の第2の態様は、本出願の第1の態様のリチウムイオン電池を含む電池モジュールをさらに提供する。
【0063】
本出願の第3の態様は、本出願の第2の態様の電池モジュールを含む電池パックをさらに提供する。
【0064】
本出願の第4の態様は、本出願の第1の態様のリチウムイオン電池、本出願の第2の態様の電池モジュール又は本出願の第3の態様の電池パックから選択される少なくとも一つを含む電力消費装置をさらに提供する。
【0065】
また、以下では、図面を適当に参照しながら、本出願のリチウムイオン電池、電池モジュール、電池パック及び電力消費装置を説明する。
【0066】
本出願の一実施形態において、リチウムイオン電池を提供する。
【0067】
リチウムイオン電池は、正極板と、負極板と、電解質と、セパレータとを含む。電池の充放電過程において、活性イオンは正極タブと負極タブとの間を往復して吸蔵し放出する。電解質は、正極タブと負極タブとの間でイオンを伝導する作用を奏する。セパレータは、正極タブと負極タブとの間に設けられ、主に正負極の短絡を防止する作用を奏するとともに、イオンを通過させることができる。
【0068】
[正極板]
正極板は、正極集電体と、正極集電体の少なくとも一つの表面に設置される正極材料層とを含む。
【0069】
一例として、正極集電体は、その自体の厚さ方向において対向する二つの表面を有し、正極材料は、正極集電体の対向する二つの表面のいずれか一方又は両方上に設けられている。
【0070】
いくつかの実施形態において、上記正極集電体は、金属箔シート又は複合集電体を採用してもよい。例えば、金属箔シートとして、アルミニウム箔を採用してもよい。複合集電体は、高分子材料基層と高分子材料基層の少なくとも一つの表面上に形成された金属層とを含んでもよい。複合集電体は、金属材料(アルミニウム、アルミニウム合金、ニッケル、ニッケル合金、チタン、チタン合金、銀及び銀合金など)を高分子材料基材(例えばポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリスチレン(PS)、ポリエチレン(PE)などの基材)上に形成することによって形成されてもよい。
【0071】
いくつかの実施形態において、正極材料層において、当分野でよく知られている電池用の正極活物質を採用してもよい。一例として、正極活物質は、オリビン構造のリチウム含有リン酸塩、リチウム遷移金属酸化物及びそれぞれの改質化合物のうちの少なくとも一つの材料を含んでもよい。しかし、本出願では、これらの材料に限定されず、さらに電池の正極活物質として使用可能な他の従来の材料を使用してもよい。これらの正極活物質は、一つのみを単独に使用してもよく、二つ以上を組み合わせて使用してもよい。ここで、リチウム遷移金属酸化物の例は、リチウムコバルト酸化物(例えば、LiCoO2)、リチウムニッケル酸化物(例えば、LiNiO2)、リチウムマンガン酸化物(例えば、LiMnO2、LiMn2O4)、リチウムニッケルコバルト酸化物、リチウムマンガンコバルト酸化物、リチウムニッケルマンガン酸化物、リチウムニッケルコバルトマンガン酸化物(例えば、LiNi1/3Co1/3Mn1/3O2(NCM333と略称されてもよい)、LiNi0.5Co0.2Mn0.3O2(NCM523と略称されてもよい)、LiNi0.5Co0.25Mn0.25O2(NCM211と略称されてもよい)、LiNi0.6Co0.2Mn0.2O2(NCM622と略称されてもよい)、LiNi0.8Co0.1Mn0.1O2(NCM811と略称されてもよい)、リチウムニッケルコバルトアルミニウム酸化物(例えば、LiNi0.85Co0.15Al0.05O2)及びその改質化合物などのうちの少なくとも一つを含んでもよいが、それらに限られない。オリビン構造のリチウム含有リン酸塩の例は、リン酸鉄リチウム(例えば、LiFePO4(LFPと略称されてもよい))、リン酸鉄リチウムと炭素との複合材料、リン酸マンガンリチウム(例えば、LiMnPO4)、リン酸マンガンリチウムと炭素との複合材料、リン酸マンガン鉄リチウム、リン酸マンガン鉄リチウムと炭素との複合材料のうちの少なくとも一つを含んでもよいが、それらに限られない。
【0072】
いくつかの実施形態において、正極材料層は、任意選択的に、接着剤をさらに含む。一例として、上記接着剤は、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、フッ化ビニリデン-テトラフルオロエチレン-プロピレン三元共重合体、フッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロピレン-テトラフルオロエチレン三元共重合体、テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体及び含フッ素アクリル酸エステル樹脂のうちの少なくとも一つを含んでもよい。
【0073】
いくつかの実施形態において、正極材料層は、任意選択的に、導電剤をさらに含む。一例として、上記導電剤は、超伝導性カーボン、アセチレンブラック、カーボンブラック、ケッチェンブラック、カーボンドット、カーボンナノチューブ、グラフェン、及びカーボンナノファイバーのうちの少なくとも一つを含んでもよい。
【0074】
いくつかの実施形態において、以下の方式で正極板を製造することができ、つまり、正極板を製造するための上記成分、例えば、正極活物質、導電剤、接着剤といずれかの他の成分を溶媒(例えば、N-メチルピロリドン)に分散させて、正極スラリーを形成し、正極スラリーを正極集電体に塗布し、乾燥、冷間加圧などのプロセスを経て、正極板が得られる。
【0075】
[負極板]
負極板は、負極集電体と、負極集電体の少なくとも一つの表面に設置される負極材料層とを含む。
【0076】
一例として、負極集電体は、その自体の厚さ方向において対向する二つの表面を有し、負極材料層は、負極集電体の対向する二つの表面のいずれか一方又は両方上に設けられている。
【0077】
屈曲部に位置する負極材料層の表面には、絶縁層及び上記絶縁層の表面に位置する反応層が設けられている。
【0078】
一例として、絶縁層と反応層は、巻回後に外側に向かう負極材料層の表面に位置する。
【0079】
いくつかの実施形態において、上記負極集電体は、金属箔シート又は複合集電体を採用してもよい。例えば、金属箔シートとして、銅箔を採用してもよい。複合集電体は、高分子材料基層と高分子材料基材の少なくとも一つの表面上に形成された金属層とを含んでもよい。複合集電体は、金属材料(銅、銅合金、ニッケル、ニッケル合金、チタン、チタン合金、銀及び銀合金など)を高分子材料基材(例えばポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリスチレン(PS)、ポリエチレン(PE)などの基材)上に形成することによって形成されてもよい。
【0080】
いくつかの実施形態において、負極材料層において、当分野でよく知られている電池用の負極活物質を採用してもよい。一例として、負極活物質は、人造黒鉛、天然黒鉛、ソフトカーボン、ハードカーボン、ケイ素系材料、錫系材料とチタン酸リチウムなどの材料のうちの少なくとも一つを含んでもよい。上記ケイ素系材料は、ケイ素単体、ケイ素酸化物(酸化ケイ素、一酸化ケイ素など)、ケイ素炭素複合体、ケイ素窒素複合体、及びケイ素合金のうちの少なくとも一つから選択されてもよい。上記スズ系材料は、スズ単体、スズ酸化物(酸化スズ)及びスズ合金のうちの少なくとも一つから選択されてもよい。しかし、本出願では、これらの材料に限定されず、さらに電池の負極活物質として使用可能な他の従来の材料を使用してもよい。これらの負極活物質は、一つのみを単独に使用してもよく、二つ以上を組み合わせて使用してもよい。
【0081】
いくつかの実施形態において、負極材料層は、任意選択的に、接着剤をさらに含む。上記接着剤は、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ポリアクリル酸(PAA)、ポリアクリル酸ナトリウム(PAAS)、ポリアクリルアミド(PAM)、ポリビニルアルコール(PVA)、アルギン酸ナトリウム(SA)、ポリメタクリル酸(PMAA)及びカルボキシメチルキトサン(CMCS)のうちの少なくとも一つから選択されてもよい。
【0082】
いくつかの実施形態において、負極材料層は、任意選択的に、導電剤をさらに含む。導電剤は、超伝導カーボン、アセチレンブラック、カーボンブラック、ケッチェンブラック、カーボンドット、カーボンナノチューブ、グラフェン及びカーボンナノファイバーのうちの少なくとも一つから選択されてもよい。
【0083】
いくつかの実施形態において、負極材料層は、任意選択的に、他の助剤、例えば、増粘剤(例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC-Na))などをさらに含む。
【0084】
いくつかの実施形態において、負極材料層を製造する時に、分散剤をさらに使用してもよい。分散剤は、分散均一性と塗布性を向上させるために用いられ、電池分野でよく使用される分散剤であってもよく、例えば重合体分散剤であってもよい。重合体分散剤は、ポリビニルアルコール、水酸基以外の官能基、例えばアセチル基、スルホ基、カルボキシル基、カルボニル基、アミノ基を有する改質ポリビニルアルコール、様々な塩によって改質され、その他がアニオン又はカチオンによって改質され、アルデヒド系によってアセタールの改質を行ったポリビニルアルコール系樹脂、又は様々な(メチル)アクリル酸系重合体、エチレン系不飽和炭化水素に由来する重合体、様々なセルロース系樹脂など、又はこれらの共重合体を使用することができるが、それらに限られない。重合体分散剤は、一つのみを単独で使用してもよく、又は二つ以上を組み合わせて使用してもよい。
【0085】
いくつかの実施形態において、反応層には、黒鉛、酸化ケイ素、一酸化ケイ素、酸化スズ、酸化銅、酸化亜鉛のうちの少なくとも一つの材料を使用することができる。
【0086】
いくつかの実施形態において、絶縁層は、アルミナ、ベーマイト、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化リチウム、酸化ケイ素、酸化コバルト、酸化ニッケル、酸化亜鉛、酸化ガリウム、酸化ゲルマニウム、酸化イットリウム、酸化ストロンチウム、酸化バリウム、酸化モリブデンのうちの少なくとも一つの材料を使用することができる。
【0087】
いくつかの実施形態において、以下の方式で負極板を製造することができ、負極板を製造するための上記成分、例えば、負極活物質、導電剤、接着剤といずれかの他の成分を溶媒(例えば、脱イオン水)に分散させて、負極材料層スラリーを形成し、絶縁層を形成する上記材料、及び分散剤、接着剤といずれかの他の成分を溶媒(例えば、脱イオン水)に分散させて、絶縁層用スラリーを形成し、ここで分散剤と接着剤は、上記挙げられた物質を使用してもよい。反応層を形成する上記材料、及び分散剤、接着剤といずれかの他の成分を溶媒(例えば、脱イオン水)に分散させて、反応層用スラリーを形成し、ここで分散剤と接着剤は、上記挙げられた物質を使用してもよい。負極スラリーを負極集電体に塗布して乾燥した後、巻回方式に基づいて計算された屈曲部位置に絶縁層用スラリーと反応層用スラリーを順次塗布し、乾燥、冷間加圧などのプロセスを経て、負極板が得られる。
【0088】
ここで、絶縁層用スラリーと反応層用スラリーの塗布は、一体成形塗布法又は二次塗布法を採用することができる。一次成形塗布法において、例えば、押圧塗布機に両グラビア塗布装置を取り付け、絶縁層用スラリーと反応層用スラリーを負極材料層用スラリーと共に塗布装置に入れ、負極材料層用スラリーに対して連続的押圧塗布、絶縁層用スラリーと反応層用スラリーに対して間欠的グラビア塗布の方式を使用して形成する。二次塗布法において、負極板に負極材料層を形成した後、屈曲部の位置を位置決めし、屈曲部を通過する時、二次グラビア塗布の方式を採用してグラビアローラを利用して塗布する。
【0089】
[電解質]
電解質は、正極タブと負極タブとの間でイオンを伝導する作用を奏する。本出願は、電解質の種類に対して具体的に限定せず、需要に応じて選択してもよい。例えば、電解質は、液体、ゲル状又は全固体であってもよい。
【0090】
いくつかの実施形態では、上記電解質は、電解液を採用する。上記電解液は、電解質塩と溶媒とを含む。
【0091】
いくつかの実施形態において、電解質塩は、ヘキサフルオロリン酸リチウム、テトラフルオロホウ酸リチウム、過塩素酸リチウム、ヘキサフルオロヒ酸リチウム、リチウムビスフルオロスルホンイミド、リチウムビストリフルオロメタンスルホンイミド、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム、ジフルオロリン酸リチウム、リチウムジフルオロ(オキサラト)ボレート、リチウムビス(オキサラト)ボレート、リチウムジフルオロ(オキサラト)ボレート及びリチウムテトラフルオロ(オキサラト)ホスフェートのうちの少なくとも一つから選択されてもよい。
【0092】
いくつかの実施形態において、溶媒は、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、炭酸エチルメチル、炭酸ジエチル、炭酸ジメチル、炭酸ジプロピル、炭酸メチルプロピル、炭酸エチルプロピル、炭酸ブチレン、炭酸フルオロエチレン、ギ酸メチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸プロピル、酪酸メチル、酪酸エチル、1,4-ブチロラクトンン、スルホラン、ジメチルスルホン、エチルメチルスルホン及びジエチルスルホンのうちの少なくとも一つから選択されてもよい。
【0093】
いくつかの実施形態において、上記電解液は、任意選択的に、添加剤をさらに含む。例えば、添加剤は、負極被膜形成添加剤と、正極被膜形成添加剤とを含んでいてもよいし、電池のいくつかの性能を改善できる添加剤、例えば、電池の過充電性能を改善する添加剤、電池の高温又は低温性能を改善する添加剤などをさらに含んでいてもよい。
【0094】
[セパレータ]
本出願において、リチウムイオン電池は、セパレータをさらに含み、ここで、正極板、負極板及びセパレータは、巻回プロセスによって巻回構造を有する電極アセンブリを製造する。本出願では、セパレータの種類に対して特に制限することはなく、よく知られている、良好な化学的安定性と機械的安定性を有する任意の多孔質構造のセパレータを選択してもよい。
【0095】
いくつかの実施形態において、セパレータの材質は、ガラス繊維、不織布、ポリエチレン、ポリプロピレン及びポリフッ化ビニリデンのうちの少なくとも一つから選択されてもよい。セパレータは、単層薄膜であってもよく、多層複合薄膜であってもよく、特に制限はない。セパレータが多層複合薄膜である場合、各層の材料は同じであってもよく、異なってもよく、特に制限はない。
【0096】
いくつかの実施形態では、リチウムイオン電池は外装を含んでもよい。この外装は、上記電極アセンブリと電解質のパッケージングに用いられてもよい。
【0097】
いくつかの実施形態では、リチウムイオン電池の外装は、硬質ケース、例えば硬質プラスチックケース、アルミニウムケース、鋼製ケースなどであってもよい。リチウムイオン電池の外装は、軟質バッグ、例えば袋式軟質バッグであってもよい。軟質バッグの材質はプラスチックであってもよく、プラスチックとして、ポリプロピレン、ポリブチレンテレフタレート、ポリブチレンサクシネートなどが挙げられる。
【0098】
図1は、本出願の一実施形態によるリチウムイオン電池の巻回型電池アセンブリの概略図である。
図1に示すように、負極板102、上記セパレータ103及び上記正極板101は、巻回方向に沿って巻回して巻回構造を形成し、巻回構造は、屈曲部Aと平面部Bとを含む。
図1において、屈曲部Aでは、負極材料層が外側に向かう負極板102の表面には絶縁層106が設置されており、絶縁層106の外側表面に反応層104が設置される。
【0099】
図2は、本出願の一実施形態による電池コアの屈曲部を拡大して示す図である。
図2に示すように、屈曲部において、負極材料層と、セパレータを挟んで負極材料層の外側に位置する正極材料層との間に隙間が存在し、この隙間はxで示される。
【0100】
本出願はリチウムイオン電池の形状に特に制限がなく、それは、円柱状、四角形又は他のいずれかの形状であってもよい。例えば、
図3は、一例としての四角形構造のリチウムイオン電池5である。
【0101】
いくつかの実施形態において、
図4を参照すると、外装は、筐体51およびカバープレート53を含むことができる。ここでは、筐体51は、底板と底板上に接続された側板とを含んでもよく、底板と側板とで取り囲んで収容キャビティを形成する。筐体51は収容キャビティに連通する開口を有し、蓋板53は、上記開口に蓋設して設けられることによって上記収容キャビティを閉鎖することができる。正極板と負極板とセパレータは、巻回プロセス又は積層プロセスによって電極アセンブリ52を形成することができる。電極アセンブリ52は、上記収容キャビティ内にパッケージングされる。電解液は、電極アセンブリ52に浸潤する。リチウムイオン電池5に含まれる電極アセンブリ52の数は一つ又は複数であってもよく、当業者は実際の具体的な需要に応じて選択してもよい。
【0102】
幾つかの実施形態では、リチウムイオン電池を電池モジュールに組み立てもよく、電池モジュールに含まれるリチウムイオン電池の数は一つ又は複数であってもよく、具体的な数は、当業者は電池モジュールの応用と容量に基づいて選択してもよい。
【0103】
図5は、一例としての電池モジュール4である。
図5を参照すると、電池モジュール4において、複数のリチウムイオン電池5は、電池モジュール4の長手方向に沿って順に並べて設けられてもよい。無論、任意の他の方式に従って配置してもよい。さらに、この複数のリチウムイオン電池5を締め具によって固定してもよい。
【0104】
任意選択的に、電池モジュール4は、収容空間を有するハウジングをさらに含んでもよく、複数のリチウムイオン電池5は、この収容空間に収容される。
【0105】
いくつかの実施形態において、上記電池モジュールは、さらに電池パックに組み立てられてもよく、電池パックに含まれる電池モジュールの数は、一つ又は複数であってもよく、具体的な数は、当業者は電池パックの応用と容量に基づいて選択してもよい。
【0106】
図6および
図7は、一例としての電池パック1である。
図6と
図7を参照すると、電池パック1には、電池ケースと電池ケースの中に設けられた複数の電池モジュール4が含まれてもよい。電池ケースは上ケース2と下ケース3とを含み、上ケース2は、下ケース3をカバーして設けられ、且つ電池モジュール4を収容するための密閉空間を形成することができる。複数の電池モジュール4は、任意の方式に従って電池ケースの中に配置されてもよい。
【0107】
また、本出願は、本出願によるリチウムイオン電池、電池モジュール、又は電池パックのうちの少なくとも一つを含む電力消費装置をさらに提供する。上記リチウムイオン電池、電池モジュール、又は電池パックは、上記電力消費装置の電源として用いられてもよいし、上記電力消費装置のエネルギー貯蔵ユニットとして用いられてもよい。上記電力消費装置は、移動体設備(例えば携帯電話、ノートパソコンなど)、電動車両(例えば純電気自動車、ハイブリッド電気自動車、プラグインハイブリッド電気自動車、電動自転車、電動スクーター、電動ゴルフカート、電動トラックなど)、電気列車、船舶と衛星、エネルギー貯蔵システムなどを含んでもよいが、それらに限られない。
【0108】
上記電力消費装置として、その使用上の需要に応じてリチウムイオン電池、電池モジュール又は電池パックを選択してもよい。
【0109】
図8は、一例としての電力消費装置である。この電力消費装置は、純電気自動車、ハイブリッド電気自動車、又はプラグインハイブリッド電気自動車などである。この電力消費装置の、リチウムイオン電池に対する高出力と高エネルギー密度の需要を満たすために、電池パック又は電池モジュールを採用してもよい。
【0110】
別の例としての装置は、携帯電話、タブレットコンピュータ、ノートパソコンなどであってもよい。この装置に、一般的には薄型化と軽量化が求められており、電源としてリチウムイオン電池を採用してもよい。
【0111】
実施例
以下では、本出願の実施例を説明する。以下に記述されている実施例は、例示的なもので、本出願を解釈することのみに用いられ、本出願を制限するものとして理解すべきではない。実施例において具体的な技術又は条件が明記されていないものは、当技術分野の文献に記述されている技術若しくは条件、又は製品説明書に従って実行する。使用する試薬又は機器について、製造メーカーが明記されていないものは、いずれも市販で購入できる一般的な製品である。
【0112】
実施例1-1
1.電池セルの製造
1)正極板の製造:
正極活物質のLiNi0.55Co0.05Mn0.4O2、導電剤としての超電導カーボンブラックSP及び接着剤としてのポリフッ化ビニリデン(PVDF)を、96:1.2:2.8の質量比で溶媒としてのN-メチルピロリドン(NMP)内に分散させて均一に混合して、正極スラリーを得て、正極スラリーを49μmの厚さで、正極集電体のアルミニウム箔に均一に塗布し、乾燥、冷間加圧、ストリップ、裁断を経て、正極板を得る。
【0113】
2)セパレータの製造:
10μmのポリエチレン膜をセパレータとして選択する。
【0114】
3)負極板の製造:
絶縁層に採用されるベーマイトスラリーは、粒径が0.5μmであるベーマイト、ポリビニルアルコール分散剤、ポリスチレン-アクリレートエマルジョン接着剤に対して、質量比96.5:0.5:3の比率でそれぞれの原料を取り、脱イオン水を溶媒として、撹拌機に入れて、撹拌と分散を行い、固体含有量が45%であるスラリーを得るという方法で製造される。
【0115】
反応層に採用される一酸化ケイ素スラリーは、粒径が1μmである一酸化ケイ素、ポリビニルアルコール分散剤、ポリスチレン-アクリレートエマルジョン接着剤に対して、質量比96.5:0.5:3の比率でそれぞれの原料を取り、脱イオン水を溶媒として、撹拌機に入れて、撹拌と分散を行い、固体含有量が45%であるスラリーを得るという方法で製造される。
【0116】
負極活物質の黒鉛、導電剤としての超電導カーボンブラックSP、接着剤としてのSBR及び増粘剤としてのCMC-Naを、96:1:1:2の質量比で溶媒としての脱イオン水内に分散させて均一に混合して、負極スラリーを得て、負極スラリーを65μmの厚さで負極集電体の銅箔に均一に塗布し、乾燥した後、負極材料層を有する極板を得る。
【0117】
次に、第1の内輪即ち最内輪の屈曲部の位置を算出、この位置において、製造されたベーマイトスラリーを採用してベーマイトコーティングの塗布を行い、塗布厚さは2μmであり、そして、製造された一酸化ケイ素スラリーを採用して一酸化ケイ素コーティングの塗布を行い、塗布厚さは27μmであり、乾燥、冷間加圧、ストリップ、裁断を経て、負極板を得る。ここで、反応層のグラム容量は2350mAh/gであり、反応層材料の密度は1.82g/cm3である。
【0118】
4)電解液の製造
炭酸エチレン(EC)、炭酸ジメチル(DMC)、炭酸ジエチル(DEC)を1:1:1の体積比で混合して有機溶媒を得て、次に十分に乾燥したリチウム塩LiPF6を混合した後の溶媒に溶解させ、濃度が1mol/Lである電解液を製造する。
【0119】
5)電池セルの製造:
上記正極板、セパレータ、負極板を順に積層することにより、セパレータは、正極板と負極板の間で隔離作用を奏し、巻回して電池コアを製造し、そして、ベアセルを外装筐体に入れ、乾燥した後に電解液を注入し、真空パッケージ、静置、化成、整形などのプロセスを経て、電池セルを得る。
【0120】
ここで、巻回後の負極材料層と正極材料層との間の隙間、屈曲部の負極材料層の容量、屈曲部の負極材料層の面積は表1に示すとおりである。
【0121】
2. 電池セルの性能試験
電池を製造した後に、電池に対して電池の自己放電状況を測定する。ここでは、電池の自己放電状況については、自己放電率で評価し、自己放電率は、1時間当たりの電池の電圧降下を指す。自己放電率によって電池の電池内部短絡状況を反映し、短絡が激しいほど、自己放電率の値は大きくなる。
具体的に言えば、実施例1-1で得られた電池セルに対して、25℃で、0.33Cで4.25Vまで定電流充電し、4.25Vで、0.05Cまで定電圧充電し、次に0.33Cで2.8Vまで定電流放電し、それを一つのサイクルとする。特定のサイクル数(本実施例において、それぞれ300サイクル、500サイクル、1000サイクル)に達した後、電池を4.25Vまで満充電し、24時間静置し、電池の脱分極を行い、24時間静置した後、電池の電圧V1を測定し、さらに48時間静置した後、電池のV2を試験する。
【0122】
電池の自己放電率(mV/h)=(V2-V1)/48
また、電池のサイクル中に発火又は発煙が発生した場合、電池が故障していると判定する。
【0123】
実施例1-2~実施例1-9
反応層の厚さを表1に示すように変え、それ以外は実施例1-1と同様に行われ、リチウムイオン電池を製造する。
【0124】
比較例1-1
絶縁層と反応層を設置しない以外、実施例1-1と同様に行われ、リチウムイオン電池を製造する。
【0125】
比較例1-2
反応層を設置しない以外、実施例1-1と同様に行われ、リチウムイオン電池を製造する。
【0126】
比較例1-3
絶縁層を設置しない以外、実施例1-1と同様に行われ、リチウムイオン電池を製造する。
【0127】
比較例1-4
反応層の厚さを表2に示すように変え、それ以外は実施例1-1と同様に行われ、リチウムイオン電池を製造する。
【0128】
上記実施例1-1~実施例1-8と比較例1-1~比較例1-4で得られたリチウムイオン電池に対して性能試験を行い、試験結果を表1と表2に併記する。
【0129】
【表1-2】
実施例2-1~実施例2-4と比較例2-1~比較例2-3
負極材料層と正極材料層との間の隙間を400μmにするとともに、反応層の厚さを表3に示すように変え、又は絶縁層及び/又は反応層を設置せず、それ以外は実施例1-1と同様に行われ、リチウムイオン電池を製造する。
【0130】
上記実施例2-1~実施例2-4と比較例2-1~比較例2-3で得られたリチウムイオン電池に対して性能試験を行い、試験結果を表3に併記する。
【0131】
【0132】
実施例3-1~実施例3-9
反応層及び/又は絶縁層の材料を表4に示すように変える以外、実施例1-1と同様に行われ、リチウムイオン電池を製造する。
【0133】
上記実施例3-1~実施例3-9で得られたリチウムイオン電池に対して性能試験を行い、試験結果を表4に併記する。
【0134】
【0135】
実施例4-1~実施例4-5
絶縁層の厚さを表5に示すように変える以外、実施例1-1と同様に行われ、リチウムイオン電池を製造する。
【0136】
上記実施例4-1~実施例4-5で得られたリチウムイオン電池に対して性能試験を行い、試験結果を表5に併記する。
【0137】
【0138】
実施例5-1~実施例5-3と比較例5
実施例5-1において、内輪から第1の屈曲部(表6において屈曲部1と記す)、第2の屈曲部(表6において屈曲部2と記す)及び第3の屈曲部(表6において屈曲部3と記す)に絶縁層と反応層をそれぞれ設置するとともに、負極材料層と正極材料層との間の隙間を表6に記載のように設定し、それ以外は実施例1-1と同様に行われ、リチウムイオン電池を製造する。
【0139】
実施例5-2において、第1の屈曲部と第2の屈曲部に絶縁層と反応層をそれぞれ設置し、それ以外は実施例5-1と同様に行われ、リチウムイオン電池を製造する。
【0140】
実施例5-3において、第1の屈曲部のみに絶縁層と反応層を設置し、それ以外は実施例5-1と同様に行われ、リチウムイオン電池を製造する。
【0141】
比較例5において、絶縁層と反応層を設置せず、それ以外は実施例5-1と同様に行われ、リチウムイオン電池を製造する。
【0142】
上記実施例5-1~実施例5-3と比較例5で得られたリチウムイオン電池に対して性能試験を行い、試験結果を表6に併記する。
【0143】
【0144】
試験例1と比較試験例1
上記実施例1-1と比較例1-1の製造方式によって、試験例1と比較試験例1のリチウムイオン電池をそれぞれ製造し、性能試験の条件に従って500サイクルを行った後、走査型電子顕微鏡によって屈曲部のリチウムデンドライトを観察する。
【0145】
図9Aに示すように、試験例1のリチウムイオン電池の屈曲部には、リチウムデンドライトがわずかに現れており、
図9Bに示すように、比較試験例1のリチウムイオン電池の屈曲部には、リチウムデンドライトが大量に現れた。
【0146】
試験例2
上記実施例1-1の製造方式によって、試験例2のリチウムイオン電池をそれぞれ製造し、性能試験の条件に従って充放電サイクルを行い、それぞれ1サイクル、10サイクル、100サイクルを行った後、インサイチュー顕微鏡を利用してリチウムデンドライトの生成状況を観察する。
【0147】
図10A~
図10Cにおける矢印に示すように、リチウムデンドライトが絶縁層を貫通した後、デンドライトの成長が進まないとともに、反応層の色が変化することから、リチウムデンドライトが反応層と反応したことが分かった。
【0148】
説明すべきことは、本出願は上記実施形態に限定されない。上記実施形態は例示に過ぎず、本出願の技術案の範囲内で、技術思想と実質的に同一の構成を有し、同様な作用と効果を奏する実施形態は、いずれも本出願の技術範囲内に含まれるものとする。なお、本出願の主旨から逸脱しない範囲内で、実施形態に対して当業者が想到し得る様々な変形を実施し、実施形態における一部の構成要素を組み合わせて構築される他の形態も、本出願の範囲内に含まれるものとする。
【符号の説明】
【0149】
A:屈曲部、B:平面部、101:正極板、102:負極板、103:セパレータ、104:反応層、106:絶縁層、x:屈曲部における負極材料層と正極材料層との間の距離、1:電池パック、2:上ケース、3:下ケース、4:電池モジュール、5:リチウムイオン電池、51:筐体、52:電極アセンブリ、53:トップカバーアセンブリ。
【手続補正書】
【提出日】2023-01-18
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リチウムイオン電池であって、
負極板、セパレータ、正極板を巻回方向に巻回してなる巻回構造を含み、前記巻回構造は、弧状の屈曲部を含み、
前記負極板は、負極材料層を含み、屈曲部における、前記負極材料層の表面には絶縁層及び前記絶縁層の表面に位置する反応層が設置されており、前記反応層は、リチウム貯蔵材料を含む
、リチウムイオン電池。
【請求項2】
前記反応層の厚さdは、
【数1】
を満たし、
好ましくは、前記反応層の厚さdは、
【数2】
を満たし、
さらに好ましくは、前記反応層の厚さdは、
【数3】
を満たし、
ただし、h
1:単層負極材料層の厚さであり、単位はμmであり、
h
2:単層正極材料層の厚さであり、単位はμmであり、
h
3:セパレータの厚さであり、単位はμmであり、
x:屈曲部における負極材料層と正極材料層との間の距離であり、単位はμmであり、
q:屈曲部における単層負極活物質層の容量であり、単位はmAhであり、
a:屈曲部における単層負極活物質層の面積であり、単位はcm
2であり、
m
1:反応層のグラム容量であり、単位はmAh/gであり、
ρ:反応層の密度であり、単位はg/cm
3であり、
d:単位はμmである
、請求項1に記載のリチウムイオン電池。
【請求項3】
前記リチウム貯蔵材料は、黒鉛、ケイ素単体、酸化ケイ素、一酸化ケイ素、酸化スズ、酸化銅、酸化亜鉛のうちの少なくとも一つを含む
、請求項1又は2に記載のリチウムイオン電池。
【請求項4】
前記絶縁層は、アルミナ、ベーマイト、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化リチウム、酸化ケイ素、酸化コバルト、酸化ニッケル、酸化亜鉛、酸化ガリウム、酸化ゲルマニウム、酸化イットリウム、酸化ストロンチウム、酸化バリウム、酸化モリブデンのうちの少なくとも一つを含む
、請求項1~3のいずれか一項に記載のリチウムイオン電池。
【請求項5】
前記絶縁層の厚さは、1~10μmであり、好ましくは、2~4μmである
、請求項1~4のいずれか一項に記載のリチウムイオン電池。
【請求項6】
前記絶縁層のヤング率は、6GPa以上であり、好ましくは、6~30GPaである
、請求項1~5のいずれか一項に記載のリチウムイオン電池。
【請求項7】
前記反応層のグラム容量は、300~5000mAh/gであり、好ましくは、1000~4000mAh/gである
、請求項1~6のいずれか一項に記載のリチウムイオン電池。
【請求項8】
前記反応層の粒子粒径は、0.1~6μmであり、好ましくは、0.1~2μmであり、
前記絶縁層の粒子粒径は、0.1~10μmであり、好ましくは、0.1~4μmである
、請求項1~7のいずれか一項に記載のリチウムイオン電池。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか一項に記載のリチウムイオン電池を含む
、電池モジュール。
【請求項10】
電池パックであって、
請求項9に記載の電池モジュールを含む
、電池パック。
【請求項11】
電力消費装置であって、
請求項1~8のいずれか一項に記載のリチウムイオン電池、請求項9に記載の電池モジュール又は請求項10に記載の電池パックから選択される少なくとも一つを含む
、電力消費装置。
【国際調査報告】