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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-30
(54)【発明の名称】家具用目視されないヒンジ
(51)【国際特許分類】
   E05D 3/14 20060101AFI20231122BHJP
【FI】
E05D3/14 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023517353
(86)(22)【出願日】2021-11-05
(85)【翻訳文提出日】2023-05-19
(86)【国際出願番号】 EP2021080795
(87)【国際公開番号】W WO2022106223
(87)【国際公開日】2022-05-27
(31)【優先権主張番号】102020000027942
(32)【優先日】2020-11-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517220911
【氏名又は名称】アルトゥーロ・サリチェ・ソチエタ・ペル・アツィオーニ
【氏名又は名称原語表記】ARTURO SALICE S.P.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 博史
(74)【代理人】
【識別番号】100113170
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 和久
(74)【代理人】
【識別番号】100224616
【弁理士】
【氏名又は名称】吉村 志聡
(72)【発明者】
【氏名】サリチェ,セルジオ
(57)【要約】
家具のヒンジ(1)は、実質的に平坦な形状を有する固定部(2)と、可動部(5)と、を備え、固定部(2)は、家具の水平壁(4)の厚さ内に設けられた座部(3)に挿入されるように構成され、可動部(5)は、扉(7)に接続可能であり、ヒンジ(1)は、ヒンジ(1)の閉鎖/開放動作を制御する動作制御装置(43,47)と、動作制御装置(43,47)を駆動する駆動部材(44,48)と、を備える。動作制御装置(43,47)は、完全にヒンジの固定部(2)又は可動部(5)のうちの一方内に配置され、駆動部材(44,48)は、動作制御装置(43,47)が配置された固定部(2)又は可動部(5)のうちの前記一方に可動に支持され、且つ、ヒンジの固定部(2)又は可動部(5)のうちの他方に作動可能に接続されるか又は前記他方によって作動され、ヒンジの関節装置(11-14、54)から独立して動作制御装置(43、47)と協働する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
家具の扉用のヒンジ(1)であって、
実質的に平坦な形状を有する固定部(2)と、可動部(5)と、を備え、
前記固定部(2)は、
前記家具の水平壁(4)の厚さ内に設けられ、前記水平壁(4)の前方側で開いている座部(3)に挿入されるように構成され、
前記可動部(5)は、扉(7)に接続可能であり、
前記固定部(2)と前記可動部(5)とは、少なくとも関節軸(11-14、54)を含む関節装置によって互いに回動可能に接続され、
前記ヒンジ(1)は、前記ヒンジ(1)の閉鎖/開放動作を制御する動作制御装置(43、47)と、前記動作制御装置(43、47)を駆動する駆動部材(44、48)とを更に備え、
前記動作制御装置は、具体的にはヒンジの閉鎖及び/又は開放動作を減衰させるための制動装置(43、47)として、又はヒンジ(1)を開くためのばね開放装置として構成され、
前記動作制御装置(43、47)は、完全に前記ヒンジの前記固定部(2)と前記可動部(5)とのうちの一方の内部に配置され、
前記駆動部材(44、48)は、前記動作制御装置(43、47)が配置された前記ヒンジの前記固定部(2)と前記可動部(5)とのうちの前記一方によって可動に支持され、
前記駆動部材(44、48)は、前記ヒンジの前記固定部(2)又は前記可動部(5)のうちの他方に作動可能に接続されるか又は前記他方によって作動され、前記関節装置(11-14、54)から独立して前記動作制御装置(43、47)と協働する、
家具の扉用のヒンジ(1)。
【請求項2】
前記動作制御装置(43)は、前記ヒンジの前記可動部(5)に配置され、前記駆動部材(44)は、前記ヒンジの前記可動部(5)に可動に配置及び支持され、且つ、前記ヒンジの前記固定部(2)に作動可能に接続されるか又は前記ヒンジの前記固定部(2)によって作動可能である、
請求項1に記載の家具の扉用のヒンジ(1)。
【請求項3】
前記駆動部材(44)は、前記ヒンジの前記可動部(5)に回動可能に接続されたレバーであって、前記動作制御装置(43)に接触するように配置された第1のアーム(44')と、前記ヒンジの閉鎖及び/又は開放動作の少なくとも一部の間に、前記固定部(2)の一部に接触するように配置された第2のアーム(44'')とを有する、
請求項2に記載の家具の扉用のヒンジ(1)。
【請求項4】
前記動作制御装置(47)は、前記ヒンジの前記固定部(2)に配置され、
前記駆動部材(48)は、前記ヒンジの前記固定部(2)に可動に配置及び支持され、且つ、前記ヒンジの前記可動部(5)に作動可能に接続されるか又は前記ヒンジの前記可動部(5)によって作動可能である、
請求項1に記載の家具の扉用のヒンジ(1)。
【請求項5】
前記駆動部材(48)は、スライダ(48)であって、
前記スライダ(48)は、前記ヒンジの前記固定部(2)にスライド可能に支持され、伝達機構によって前記動作制御装置(47)に作動可能に接続され、
前記スライダ(48)は、前記ヒンジの前記固定部(2)から突出し、前記ヒンジの閉鎖動作の少なくとも一部の間に、前記ヒンジの前記可動部(5)によって押圧される、
請求項4に記載の家具の扉用のヒンジ(1)。
【請求項6】
前記駆動部材は、前記動作制御装置に作動可能に接続されるか又は少なくとも1つの中間伝達要素によって直接的又は間接的に前記動作制御装置を作動する、
請求項1に記載の家具の扉用のヒンジ(1)。
【請求項7】
前記動作制御装置は、前記ヒンジ(1)の閉鎖及び/又は開放動作を減衰させるための制動装置(43、47)を備え、
前記ヒンジは、前記ヒンジを閉じるためのばね手段を更に備えるか、
又は、
前記動作制御装置は、前記ヒンジを開くためのばね開放装置を備える、
請求項1から6のいずれか1項に記載の家具の扉用のヒンジ(1)。
【請求項8】
前記ヒンジの前記固定部(2)は、少なくとも1つの前記関節軸(11-14、54)に直交する平面に従って延びる平坦な形状を有する、
請求項1から7のいずれか1項に記載の家具の扉用のヒンジ(1)。
【請求項9】
前記固定部(2)は、
一部品で作られた、又は、いくつかの部品から作られた箱形の本体を有する、
請求項1から8のいずれか1項に記載の家具の扉用のヒンジ(1)。
【請求項10】
所定の厚さを有する少なくとも1つの水平壁(4)を備え、
前記水平壁は、
前記厚さ内に設けられ、少なくとも前記水平壁(4)の前方側で開いている少なくとも1つの座部(3)を備え、
前記家具は、少なくとも扉(7)を更に備え、
前記家具は、請求項1から9のいずれか1項に記載の前記家具の扉用のヒンジ(1)を更に備え、
前記ヒンジ(1)は、実質的に平坦な形状を有する前記固定部(2)が前記座部(3)に嵌入され、前記可動部(5)が前記扉(7)に接続されている、
家具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、家具の扉など用の目視されないヒンジに関し、具体的には、家具の実質的に水平な壁の厚さ内に設けられた座部に挿入されるように適合された固定部又はウィング(wing)を有するヒンジに関する。
【背景技術】
【0002】
家具の分野において、家具の扉を支えて回動させるために、固定部又はウィングと、可動部と、を備えるヒンジが一般に使用される。固定部又はウィングは、家具の本体に接続することができ、可動部は、扉に接続できる箱状の本体で構成される。固定部又はウィングと可動部とは、少なくとも1つの回転軸を介して、より好ましくは、関節軸及び連接ロッカーを含む関節運動システムを介して、回動可能に互いに関節連結される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
扉を閉鎖位置となるようにして、その閉鎖位置に保持するために、ヒンジはまた、ヒンジ自体を閉じる方向に付勢するように設計された適切な弾性手段を含む。
【0004】
これらの弾性手段の存在により、扉は、閉鎖位置に対応して、家具の本体に当たって、望ましくない騒音を引き起こす。
【0005】
この問題を解決するために、減速装置、例えば、様々な直線型又は回転型減速装置の採用が提案され、これらの減速装置は、ヒンジの部品のうちの1つに関連して、ヒンジ自体の閉鎖動作を減速させる。
【0006】
家具のデザインの継続的な進化の一環として、完全に目視されないヒンジが提案された。このようなヒンジにおいて、固定部は、家具の上壁又は下壁の厚さ内で得られる座部に挿入される平坦な形態を有し、また、ロッカーも平坦な形態を有し、固定部が配置される平面に従って延在する。
【0007】
このような完全に目視されないタイプのヒンジを減速させるためには、例えば、ヒンジの固定部の延長部上に、外付けに取り付けられる減速装置を設けることが提案されている。当該減速装置は、家具の前方側に突出する作動部分、例えば、緩衝装置ロッド(shock absorber rod)に接続された先端を有することで、ヒンジの可動部によって直接作動される。しかしながら、この解決策は、外部緩衝装置の存在により、ヒンジの固定部の全体寸法が大きくなることに加えて、閉鎖動作の最後の段階のみにおいて、ヒンジの可動部が減速装置の作動部分と接触するため、機能的に不十分である。したがって、扉の閉鎖動作を効果的に減速することはできない。
【0008】
これらの課題を克服するために、国際出願WO2016174071において別の解決策が提案された。この解決策では、減速装置は、ヒンジの固定部の内部に収容され、2つのロッカーのうちの1つによって、直接的に又は伝達機構を介して間接的に作動される。
【0009】
しかしながら、このような解決策は、ロッカーの形状上の制約を伴い、ヒンジの開放動作における制限を伴う場合がある。
【0010】
更に、ヒンジがロッカーを含まない場合、例えば、ヒンジの固定部と可動部との間の唯一の接続手段として1つの関節軸を有するヒンジでは、この解決策は適用できない。
【0011】
これらの問題は、ハンドルのない家具において、減速装置の代わりに、扉を開くために使用される弾性手段を備えるヒンジの場合にも存在する。実際に、このような既知のヒンジにおいても、弾性開放手段は、直接的に又はヒンジのロッカーによって間接的に作動される。
【0012】
したがって、本発明の目的は、家具の扉など用の目視されないヒンジを提供することであって、当該ヒンジは、家具の実質的に水平な壁の厚さ内に形成された座部に挿入されるように成形された固定部又はウィングを有する。また、当該ヒンジは、減速装置又は弾性開放手段を有し、当該減速装置又は弾性開放手段は、ヒンジの関節ロッカーの介入なしに、簡便且つ汎用的に作動することができ、どの場合にも効果的に作動できる。
【課題を解決するための手段】
【0013】
種々の一般的な実施形態によれば、上記目的は、固定部と可動部とを備える家具の扉用のヒンジによって達成することができる。固定部は、実質的に平坦な形態を有し、家具の水平な壁の厚さ内に形成され、当該壁自体の前方側で開いている座部に挿入可能に構成される。可動部は、扉に接続でき、固定部と可動部とは、少なくとも1つの関節軸を含む関節装置によって互いに回動可能に接続されている。ヒンジはまた、ヒンジの開閉動作を制御するための動作制御装置と、当該動作制御装置用の駆動部材とを備える。前記動作制御装置は、具体的には、ヒンジの開閉動作を減速させるための減速装置の形態であるか、又はヒンジを開くための弾性装置の形態である。前記動作制御装置は、ヒンジの前記固定部と前記可動部とのうちの一方に完全に内蔵され、前記駆動部材は、前記ヒンジの前記固定部と前記可動部とのうちの一方によって可動に支持されて、且つ、ヒンジの前記固定部と前記可動部とのうちの一方自体によって、又はヒンジの前記固定部と前記可動部とのうちの他方によって、作動可能に接続されるか又は作動可能であり、前記駆動部材は、前記関節装置から独立して前記動作制御装置と協働する、ことを特徴とする。
【0014】
本発明の特徴は、特許請求の範囲において具体的に規定される。
【0015】
更に、本発明の特徴及び利点は、添付の図面を参照して、家具の扉用のヒンジのいくつかの優先的であるが非限定的な実施形態についての以下の説明からより明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】第1の実施形態に係るヒンジの斜視図であって、家具の本体と、ヒンジの固定部と可動部とを挿入するためのそれぞれの座部を備えた扉とを概略的に示す図である。
図2】閉鎖位置にある図1のヒンジの上面図であって、説明のために固定部が上部において開かれているように示す図である。
図3】開放位置にある図2のヒンジを示す図である。
図4】閉鎖位置にある第2の実施形態に係るヒンジの上面図であって、説明のために固定部が上部において開かれているように示す図である。
図5】開放位置にある図4のヒンジを示す図である。
図6】閉鎖位置にある第3の実施形態に係るヒンジの部分断面上面図であって、説明のために固定部が上部において開かれているように示す図である。
図7図6のヒンジを示す図であって、説明のためにロッカーの1つを外して示す図である。
図8】開放位置にある図6のヒンジを示す図である。
図9】閉鎖位置にある第4の実施形態に係るヒンジの部分断面上面図であって、説明のために固定部が上部において開かれているように示す図である。
図10図9のヒンジを示す図であって、説明のためにロッカーの1つを外して示す図である。
図11】開放位置にある図9のヒンジを示す図である。
図12】閉鎖位置にある第5の実施形態に係るヒンジの上面図であって、説明のために固定部が上部において開かれているように示す図である。
図13】開放位置にある図12のヒンジを示す図である。
図14】閉鎖位置にある第6の実施形態に係るヒンジの上面図であって、説明のために固定部が上部において開かれているように示す図である。
図15】開放位置にある図14のヒンジを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1から図3は、第1の実施形態に係る家具など用のヒンジを、全体として参照符号1で示している。ヒンジ1は、固定部又はウィング2と可動部5とを備えている。固定部又はウィング2は、家具の実質的に水平な壁、例えば、家具の上壁又は下壁4の厚さ内に設けられ、当該壁自体の前方側で開いている座部3に挿入されるように成形される。ヒンジの可動部5は、家具の扉7に規定された座部6に挿入されるように成形され、又は、扉7自体の表面8に固定されるように成形される。
【0018】
ヒンジはまた、固定部2を、ヒンジの可動部5に回動可能に接続する関節装置を備え、当該関節装置は、例えば、図14及び図15の実施形態に示されるように、単一の関節軸を含むことができ、又は、より好ましくは、例えば、図1から図13に示されるように、少なくとも1つのロッカー及び複数の関節軸を含む関節システムを備えることができる。
【0019】
図1から図13の好ましい実施形態では、関節システムは、第1ロッカー9及び第2ロッカー10と、4つの関節軸11、12、13、14とを備え、これらは、ヒンジの固定部2に対して、可動部5の関節運動を可能にするように、四関節動的機構を規定するように適合されている。
【0020】
家具の上壁又は下壁4に設けられた座部3に挿入するために、ヒンジの固定部2は、好ましくは、関節システムの関節軸11-14に直交する平面に沿って延在する平坦な形態を有する。そして、ロッカー9、10もまた、平坦な形態を有し、又は平らなU字形断面を有し、又は、いずれの場合にも、関節軸11-14の方向において延長が少なく、優先的に関節軸11-14に直交する平面に沿って延在し、ヒンジの平坦な形状の固定部2が延在する平面と平行するか又は一致することによって、ヒンジの固定部2自体に少なくとも部分的に収容することができる。
【0021】
このような構成によって、ヒンジは完全に隠され、ヒンジの固定部2と可動部5とを挿入するための座部3と座部6から突き出ているヒンジの部品はロッカー9及びロッカー10のみであって、ロッカー9及びロッカー10は、キャビネットの扉が開いているときに、目視される状態のままである。
【0022】
ヒンジはまた、ヒンジを閉じるための弾性手段を含み、当該弾性手段は、ヒンジの固定部2と可動部5との間で作用し、例えば、関節システムのロッカー9とロッカー10とのうちの1つに作動可能に接続される。以下に説明するように、ハンドルのない扉を備える家具に適用するようにヒンジが構成される場合には、そのような弾性閉鎖手段は設けられない。
【0023】
図1から図3に示す実施形態では、弾性手段は、図示されていないが、螺旋タイプの、又は別の適切なタイプの少なくとも1つのばねを備える。少なくとも1つのばねは、固定部2の座部に摺動可能に配置されたスラスト部材15を付勢し、当該スラスト部材15は、ロッカー9の側方接触面又はカム9'に作用するように配置されたローラー16を回転可能に支持する。これによって、ロッカー9自体にトルクを発生させて、ヒンジに対して閉鎖位置に向かって応力を加える。
【0024】
好ましくは、ヒンジは、ヒンジの固定部2と可動部5との間の相対位置を、横方向、前方向、及び垂直方向のうちの少なくとも1つにおいて調整するための調整手段を更に備える。
【0025】
例えば、ヒンジ、そして、扉7の垂直方向の調整を実現するために、可動部5は、好ましくは、扉7に固定することができる箱形の第1の部分5’と、第1の部分5'に接続され、垂直方向に摺動可能な第2の部分5''と、第1の部分5'と第2の部分5''との間の相対位置を規定することを可能にする偏心調整部材17とを備える。
【0026】
他の調整を実現するために、ロッカー9,10は、好ましくは、固定部2に可動かつ調整可能に配置された少なくとも1つの支持要素、例えば、それぞれの回転軸11,13を介して、第1の平坦要素又はプレート18に接続される。要素18はまた、支持体19を支え、支持体19内は、弾性閉鎖手段用のハウジング座部が規定される。
【0027】
平坦要素18及び支持体19は、第2の下部平坦要素20によって横方向において可動に支持され、第2の下部平坦要素20は、前方向において可動に固定部2に収容されている。
【0028】
固定部2は、好ましくは、1つ以上の側面に1つ以上の開口部を有する一部品で作られた箱形の本体を有するか、又は、好ましくは、いくつかの部品から作られ、例えば、ハーフシェル又は上部ケーシング21とハーフシェル又は下部ケーシング22とによって構成される。
【0029】
前述した部品間の調整位置を規定するために、前部調整手段23を設けることができる。前部調整手段23は、好ましくはネジ型であって、上部ケーシング21又は下部ケーシング22に対して平坦要素18の位置を規定する。同様に、側方調整手段24を設けることができる。側方調整手段24は、好ましくは偏心型であって、平坦要素20に対して平坦要素18の横方向の位置を規定するように設けられる。
【0030】
調整手段17,23,24は、便利的には、作動可能な制御手段を備える。作動可能な制御手段は、例えば、スクリュータイプのノッチの形であって、ユーザによってヒンジが取り付けられている家具の前面からアクセスできることで、簡単に調整することができる。
【0031】
ヒンジ1は、ヒンジの開閉動作を制御するための少なくとも1つの装置を更に備える。当該装置は、図示の実施形態では、ヒンジの開閉動作の少なくとも一部を減速させる制動装置の形態である。また、当該装置は、動作制御装置を制御するための駆動部材も備える。
【0032】
本発明によれば、動作制御装置は、ヒンジの固定部2又は可動部5のうちの一方に完全に内蔵されている。駆動部材は、ヒンジの固定部又は可動部のうちの一方によって可動に支持され、且つ、ヒンジの固定部と可動部とのうちの一方自体によって、又はヒンジの固定部と可動部とのうちの他方によって、作動可能に接続されるか又は作動可能である。これによって、駆動部材は、関節装置から独立して動作制御装置と協働することができる。
【0033】
図1から3に示す実施形態では、具体的には、制動装置25がヒンジの固定部2に設けられている。駆動部材26は、ヒンジの可動部5によって回動するように支持され、ピボット27によって可動部5自体に作動可能に接続されている。
【0034】
しかし、要素の逆配置も可能である。具体的には、制動装置はヒンジの可動部に配置することができ、駆動部材はヒンジの固定部によって回動可能に支持され、固定部自体に作動可能に接続することができる。
【0035】
好ましくは、制動装置25はリニアオイルダンパーの形態であるが、別のタイプのダンパー、例えば、空気又はグリースによるダンパーを使用する可能性、又は、異なる動作、例えば回転動作を有する可能性は排除されない。
【0036】
リニアダンパー25は、例えば、固定部2の後方側に、固定部2自体の前面と平行に配置される。しかしながら、ヒンジの固定部2におけるダンパーの異なる配置も排除されない。
【0037】
駆動部材26は、好ましくは、レバー26の形態であって、前述したように、ヒンジの可動部5に回動可能に接続される。駆動部材26は、動作制御装置25と作動可能に接続されるか、又は少なくとも1つの中間伝達要素を介して直接的に又は間接的に動作制御装置25に作用することができる。
【0038】
動作制御装置25の直接的な接続又は作動は、例えば、制御レバー26が案内されてヒンジの固定部2内に入り込み、レバー26自体の端部又はくさび形状の部分によって動作制御装置に作用することで行うことができる。
【0039】
一方、図1から図3の実施形態では、少なくとも1つの中間伝達要素による間接的な接続又は作動が示されている。具体的には、中間伝達要素は、伝達レバー28の形態で設けられ、伝達レバー28は、ヒンジの固定部2に回動可能に支持され、例えば、ピボット29によって平坦要素18に接続され、ピボット30によって制御レバー26に接続されている。
【0040】
伝達レバー28はスラスト面又はカム31を有し、スラスト面又はカム31は、ダンパー25のシリンダーの一端又はダンパーの作動ロッドと接触することができ、これによって、ヒンジの閉鎖動作及び/又は開放動作の少なくとも一部の間にダンパーを圧縮することができる。例えば、図示の実施形態の場合、扉7が閉じているとき、制御レバー26は、前述したように、ヒンジの可動部5に接続され、少なくとも閉鎖運動の終盤の間に、ダンパー25を圧縮するように、伝達レバー28の回転を引き起こす。
【0041】
このようにして、ダンパーの制御手段は解放されて、関節装置から独立することができる。したがって、ロッカーを設ける場合、ロッカーを自由に構成及び/又は連結することが可能であり、又は単一の関節軸でヒンジを構成することができる。
【0042】
図4及び図5は、第2の実施形態を示し、第1の実施形態と同じ参照符号を用いて、類似又は同等の構成要素を示している。
【0043】
この実施形態においても、ヒンジの固定部2に配置された制動装置32と、可動部5によって可動に支持され、ピボット34によって可動部5自体に作動可能に接続されている駆動部材33とが設けられている。しかし、要素の逆配置も可能である。具体的には、制動装置はヒンジの可動部に配置することができ、駆動部材はヒンジの固定部によって回動可能に支持され、固定部自体に作動可能に接続することができる。
【0044】
レバーの形態の駆動部材33は、動作制御装置32に作動可能に接続されるか、又は少なくとも1つの中間伝達要素を介して間接的に動作制御装置に作用する。
【0045】
中間伝達要素は、ヒンジの固定部2内を、例えば、その片側に沿って摺動するスライダ35の形態であって、ピボット36によって制御レバー33に接続される。スライダ35は、ヒンジの閉鎖及び/又は開放動作の少なくとも一部に沿ってダンパーを圧縮するように、ダンパーに作用するように成形及び配置される。
【0046】
好ましくは、スライダ35は、ダンパーの接触面38に対して作用するように成形されたスラスト面37を有する。図示のように、ダンパー32とスライダ35とは、互いに直交するように配置されて移動可能であり、スラスト面37と接触面38とのうちの一方又は両方が傾斜し、及び/又はくさび形状である。
【0047】
しかしながら、ダンパーとスライダを有する駆動部材との間の異なる位置決め及び異なる往復運動は排除されない。
【0048】
図6から図8は、第3の実施形態を示し、第1の実施形態と同じ参照符号を用いて、類似又は同等の構成要素を示している。
【0049】
この実施形態では、制動装置39は、ヒンジの固定部2に設けられ、駆動部材40が設けられ、駆動部材40は、ヒンジの可動部5に可動に支持され、そして、ヒンジの固定部2に作動可能に接続されるか、又はヒンジの固定部2によって作動可能である。しかし、要素の逆配置も可能である。具体的には、制動装置はヒンジの可動部に配置することができ、駆動部材はヒンジの固定部によって回動可能に支持され、ヒンジの可動部5に作動可能に接続されるか、又は可動部5によって作動可能であるように構成することもできる。
【0050】
特に、ダンパー39は、好ましくは、固定部2の一方の側面に平行に配置される。これによって、ヒンジの開放位置に対応して、図8に示すように、ダンパー39の一端又はその接触面41が固定部2の前面と同一平面になるか、又は、どの場合にも作動のためにアクセスできるように配置される。
【0051】
駆動部材40は、好ましくは、ピボット42によってヒンジの可動部5に回動可能に接続されたレバーの形態であって、ダンパー39の端面41と接触するように構成された第1のアーム40'と、固定部2の一部と接触するように構成された第2のアーム40''とを有する。例えば、ヒンジの閉鎖及び/又は開放動作の少なくとも一部の間に、例えば、閉鎖位置での移動の円弧に沿って、ロッカー9,10を支持する平坦要素18の突出部分に接触することで、ダンパーを作動して、ヒンジの閉鎖動作を減衰させる。
【0052】
しかしながら、ダンパー39と制御レバー40との間の異なる位置決め及び異なる往復運動は排除されない。
【0053】
更に、制御ユニットは、例示のように、動作制御装置に作動可能に接続するか、又は、動作制御装置に直接的に作用するか、又は、少なくとも1つの中間伝達要素を介して動作制御装置に間接的に作用することができる。
【0054】
図9から図11は、第4の実施形態を示し、第1の実施形態と同じ参照符号を用いて、類似又は同等の構成要素を示している。
【0055】
この実施形態では、制動装置43が設けられ、制動装置43は、ヒンジの可動部5に配置される。また、駆動部材44が設けられ、駆動部材44は、ヒンジの可動部5に可動に配置及び支持され、ヒンジの固定部2に作動可能に接続されるか、又は固定部2によって作動可能である。
【0056】
具体的には、ダンパー43は、好ましくは、ヒンジの可動部5に、例えば、可動部5の側方延長部又はロッカー9、10に隣接する可動部5の内側に配置され、駆動部材44により作動されるために、アクセス可能な端部又は接触面45を有する。
【0057】
駆動部材44は、好ましくは、ピボット46によってヒンジの可動部5に回動可能に接続されたレバーの形態であって、ダンパー43の端面45と接触するように構成された第1のアーム44'と、固定部2の一部と接触するように構成された第2のアーム44''とを有する。例えば、ヒンジの閉鎖及び/又は開放動作の少なくとも一部の間に、例えば、閉鎖位置での移動の円弧に沿って、ロッカー9,10を支持する平坦要素18の突出部分に接触することで、ダンパーを作動して、ヒンジの閉鎖動作を減衰させる。
【0058】
しかしながら、ダンパー43と制御レバー44との間の異なる位置決め及び異なる往復運動は排除されない。
【0059】
更に、駆動部材は、例示のように、動作制御装置に作動可能に接続するか、又は、動作制御装置に直接的に作用するか、又は、少なくとも1つの中間伝達要素を介して動作制御装置に間接的に作用することができる。
【0060】
図12及び図13は、第5の実施形態を示し、第1の実施形態と同じ参照符号を用いて、類似又は同等の構成要素を示している。
【0061】
この実施形態では、ダンパー47が設けられ、ダンパー47は、ヒンジの固定部2に配置される。また、駆動部材48が配置され、駆動部材48は、ヒンジの固定部2に可動に支持され、ヒンジの可動部5に作動可能に接続されるか、又は可動部5によって作動可能である。
【0062】
具体的には、ダンパー47は、好ましくは、固定部2の後壁に対応して配置され、一方、駆動部材48は、好ましくは、固定部2の一方の側面に配置されたスライダ48の形態であって、伝達機構によってダンパー47に作動可能に接続される。伝達機構は、例えば、伝達レバー49であって、伝達レバー49は、第1ピボット51を介してダンパー47のロッド上の先端に回動可能に接続され、第2ピボット52を介してスライダ48の一端に回動可能に接続される。
【0063】
ヒンジが開くときに、スライダ48は固定部2から突出し、ヒンジの閉鎖動作の少なくとも一部の間、例えば、閉鎖位置での移動の円弧に沿って、ヒンジの可動部5によって押圧されることで、ダンパーを作動して、ヒンジの閉鎖動作を減衰させる。
【0064】
しかしながら、ダンパー47と駆動部材48との間の異なる位置決め及び異なる往復運動は排除されない。
【0065】
図14及び図15は、第6の実施形態を示し、第1の実施形態と同じ参照符号を用いて、類似又は同等の構成要素を示している。
【0066】
この実施形態では、関節装置は、ヒンジの可動部5に配置された関節軸54のみを提供し、当該関節軸54は、ヒンジの可動部5を、固定部2に、例えば、固定部2の平坦要素18の延長部53に回動可能に接続する。
【0067】
図示の例示的な実施形態では、制動装置55がヒンジの固定部2に設けられ、駆動部材56がヒンジの可動部5によって回動可能に支持され、ピボット57によって可動部5自体に作動可能に接続される。
【0068】
リニアダンパー55は、例えば、固定部2自体の前面と平行に、固定部2の後方側に配置される。しかしながら、ヒンジの固定部2におけるダンパーの異なる配置は排除されない。
【0069】
駆動部材56は、好ましくは、レバー56の形態であって、当該レバー56は、前述したように、ヒンジの可動部5に回動可能に接続され、動作制御装置55に作動可能に接続されるか、又は、動作制御装置55に直接的に作用するか、又は、少なくとも1つの中間伝達要素を介して動作制御装置55に間接的に作用することができる。
【0070】
この実施形態では、少なくとも1つの中間伝達要素による間接的な接続又は作動が示されている。具体的には、中間伝達要素は、ヒンジの固定部2に回動可能に支持された伝達レバー58の形態で提供され、伝達レバー58は、例えば、ピボット59によって平坦要素18に接続され、ピボット60によって制御レバー56に接続される。
【0071】
伝達レバー58はスラスト面又はカム61を有し、スラスト面又はカム61は、ヒンジの閉鎖動作及び/又は開放動作の少なくとも一部の間にダンパーを圧縮するために、ダンパー55のシリンダーの一端又はダンパー55の作動ロッドと接触するように構成される。例えば、図示の実施形態の場合、扉を閉じるとき、前述した、ヒンジの可動部5に接続されている制御レバー56は、少なくとも閉鎖動作の終盤の間に、ダンパー55を圧縮するように、伝達レバー58の回転を引き起こす。
【0072】
また、この場合、ダンパーの制御手段が解放され、関節装置から独立しているため、単一の関節軸でヒンジを構成することが可能である。
【0073】
伝達レバー58はまた、弾性閉鎖手段のスラスト部材15によって支持されるローラー16が作用する作動面又はカム58'を有する。
【0074】
しかしながら、制動装置及び駆動部材の異なる配置、並びに駆動部材自体の異なる移動及び/又は作動は、例えば、前述した実施形態の説明によるものは排除されない。
【0075】
図示の実施形態は、閉鎖/開放動作制御装置及びその制御機構の位置決め及び作動のいくつかの例である。しかしながら、本発明の範囲に含まれる動作制御装置及び駆動部材の位置決め及び作動の可能な更なる組み合わせ及び変形は排除されない。
【0076】
前述した実施形態では、動作制御装置は、ヒンジを開くための弾性装置として構成することもできる。弾性装置は、例えば、コイルばね及び他の適切な弾性手段の形であって、制動装置に設けられた同じような座部に配置され、制動装置に設けられた同じような制御要素によって作動することができる。これらの実施形態では、前述したように、弾性閉鎖手段は設けられない。
【0077】
前述により、本発明による目視されないヒンジは、知られている解決策とは異なり、関節装置から解放されて独立している動作制御装置用の制御手段を有することによって、制御装置を作動する役割に関連する形状的な制約なしに、自由な形状の関節ロッカーを提供することができる。
【0078】
更に、動作制御装置を作動するためのこれらの解決策は、ヒンジがロッカーを含まない場合でも、特に、ヒンジの固定部と可動部との間の唯一の接続手段として関節軸を有するヒンジにおいても適用可能である。
【0079】
本発明によるヒンジは、本発明の概念の範囲内の修正及び変形が可能である。更に、構造の詳細は、技術的に同等の要素によって置き換えることができる。
【0080】
本発明は家具にも関する。前記家具は、所定の厚さを有する少なくとも1つの水平壁4を備える。前記水平壁4は、前記厚さで得られ、少なくとも水平壁4自体の前方側で開いている少なくとも1つの座部3を備える。
【0081】
前記家具はまた、少なくとも1つの扉7を含む。
【0082】
前記家具は、前述した実施形態のいずれか1つに規定された少なくとも1つのヒンジ1を更に備える。
【0083】
前記ヒンジ1は、固定部2と可動部5とを備え、実質的に平坦な形状を有する固定部2は、前記座部3に収容され、前記可動部5は、前記扉7に接続される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
【国際調査報告】