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▶ ヴェリリー ライフ サイエンシズ エルエルシーの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-30
(54)【発明の名称】前立腺がん転帰の人工知能予測
(51)【国際特許分類】
   G16H 50/50 20180101AFI20231122BHJP
   A61B 10/00 20060101ALI20231122BHJP
   G16H 50/30 20180101ALI20231122BHJP
   G01N 33/483 20060101ALI20231122BHJP
【FI】
G16H50/50
A61B10/00 T
G16H50/30
G01N33/483 C
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023520048
(86)(22)【出願日】2021-11-08
(85)【翻訳文提出日】2023-05-12
(86)【国際出願番号】 US2021072277
(87)【国際公開番号】W WO2022099309
(87)【国際公開日】2022-05-12
(31)【優先権主張番号】63/110,786
(32)【優先日】2020-11-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516035068
【氏名又は名称】ヴェリリー ライフ サイエンシズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100126480
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 睦
(72)【発明者】
【氏名】マーメル,クレイグ
(72)【発明者】
【氏名】リウ,ユン
(72)【発明者】
【氏名】マノジュ,ナレン
(72)【発明者】
【氏名】シモンズ,マシュー
(72)【発明者】
【氏名】シュトゥムペ,マーティン
(72)【発明者】
【氏名】ペン,リリー
(72)【発明者】
【氏名】ナグパル,クナル
(72)【発明者】
【氏名】ウルチン,エレリー
(72)【発明者】
【氏名】フート,デイビス
(72)【発明者】
【氏名】シュタイナー,デイビッド エフ.
(72)【発明者】
【氏名】チェン,ポ-シュアン キャメロン
【テーマコード(参考)】
2G045
5L099
【Fターム(参考)】
2G045AA26
2G045CB02
2G045FA19
5L099AA03
(57)【要約】
【課題】 腫瘍分析のための人工知能システム及び方法を提供することである。
【解決手段】 前立腺がん転帰のAI予測のための1つの例示の方法は、前立腺組織の画像を受信することと、人工知能グリーソングレーディングモデルを使用して、グリーソンパターン値を画像内の1つ以上の領域に割り当てることであって、モデルは、前立腺組織画像中のパッチ毎にグリーソンパターンを識別するよう訓練されている、割り当てることと、画像内のグリーソンパターンの相対面積比を決定することと、決定された相対面積比に基づいて、リスクスコア又はリスクグループ値のうちの少なくとも1つを画像に割り当てることと、リスクスコア又はリスクグループ値のうちの少なくとも1つを出力することと、を伴う。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前立腺がん患者の予後を評価するコンピュータ実装方法であって、
前立腺組織の画像を受信する工程と、
人工知能グリーソングレーディングモデルを使用して、グリーソンパターン値を前記画像内の1つ以上の領域に割り当てる工程であって、前記モデルが、前立腺組織画像中のパッチ毎にグリーソンパターンを識別するよう訓練されている、工程と、
前記画像内の前記グリーソンパターンの相対面積比を決定する工程と、
前記決定された相対面積比に基づいて、リスクスコア又はリスクグループ値のうちの少なくとも1つを前記画像に割り当てる工程と、
前記リスクスコア又は前記リスクグループ値のうちの少なくとも1つを出力する工程と、を含む、方法。
【請求項2】
前記割り当てることが、前記人工知能グリーソングレーディングモデルによるデータセット中の多数の画像に割り当てられたグリーソンパターンのセット又はその比率に当てはめられたCox比例ハザード回帰モデル、及び前記データセットに関連付けられた関連する生存データを使用することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記前立腺組織の前記画像が、前立腺摘除術又はコア針生検から得られた標本の画像を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記リスクスコア又は前記リスクグループ値のうちの少なくとも1つを、ワークステーションの表示装置上に提示することを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記ワークステーションから前記画像についてのグリーソングレードを受信することを更に含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記リスクグループ値をヒト由来グリーソングレードと組み合わせることを更に含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記リスクグループ値をヒト由来グリーソングレードと組み合わせることが、前記リスクグループ値及び前記ヒト由来グリーソングレードの平均を決定することを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記リスクグループ値が、1~5(両端を含む)の整数を含み、前記リスクグループ値の各々の生存確率が、それぞれ1~5(両端を含む)の整数を含むグリーソングレードを有する前立腺がん患者の生存確率にほぼ対応する、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前立腺組織を非前立腺組織と区別するよう訓練されたモデルを使用することを更に含み、前記画像を受信することが、前記モデルから前記画像の前立腺組織領域のみを受信することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前立腺がん患者の予後を評価するためのシステムであって、
非一時的コンピュータ可読媒体と、
前記非一時的コンピュータ可読媒体に通信可能に結合された1つ以上のプロセッサであって、前記1つ以上のプロセッサが、前記非一時的コンピュータ可読媒体に記憶されたプロセッサ実行可能命令を実行して、
前立腺組織の画像を受信し、
人工知能グリーソングレーディングモデルを使用して、グリーソンパターン値を前記画像内の1つ以上の領域に割り当て、前記モデルが、前立腺組織画像中のパッチ毎にグリーソンパターンを識別するよう訓練されており、
前記画像内の前記グリーソンパターンの相対面積比を決定し、
前記決定された相対面積比に基づいて、リスクスコア又はリスクグループ値のうちの少なくとも1つを前記画像に割り当て、かつ
前記リスクスコア又は前記リスクグループ値のうちの少なくとも1つを出力する、システム。
【請求項11】
前記1つ以上のプロセッサが、前記非一時的コンピュータ可読媒体に記憶された更なるプロセッサ実行可能命令を実行して、前記人工知能グリーソングレーディングモデルによるデータセット中の多数の画像に割り当てられたグリーソンパターンのセット又はその比率に当てはめられたCox比例ハザード回帰モデル、及び前記データセットに関連付けられた関連する生存データを使用するように構成されている、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記前立腺組織の前記画像が、前立腺摘除術又はコア針生検から得られた標本の画像を含む、請求項10に記載のシステム。
【請求項13】
前記1つ以上のプロセッサが、前記非一時的コンピュータ可読媒体に記憶された更なるプロセッサ実行可能命令を実行して、前記リスクスコア又は前記リスクグループ値のうちの少なくとも1つを、ワークステーションの表示装置上に提示するように構成されている、請求項10に記載のシステム。
【請求項14】
前記1つ以上のプロセッサが、前記非一時的コンピュータ可読媒体に記憶された更なるプロセッサ実行可能命令を実行して、前記ワークステーションからの前記画像についてのグリーソングレードを受信するように構成されている、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記1つ以上のプロセッサが、前記非一時的コンピュータ可読媒体に記憶された更なるプロセッサ実行可能命令を実行して、前記リスクグループ値をヒト由来グリーソングレードと組み合わせるように構成されている、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記1つ以上のプロセッサが、前記非一時的コンピュータ可読媒体に記憶された更なるプロセッサ実行可能命令を実行して、前記リスクグループ値及び前記ヒト由来グリーソングレードの平均を決定するように構成されている、請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記リスクグループ値が、1~5(両端を含む)の整数を含み、前記リスクグループ値の各々の生存確率が、それぞれ1~5(両端を含む)の整数を含むグリーソングレードを有する前立腺がん患者の生存確率にほぼ対応する、請求項10に記載のシステム。
【請求項18】
前記1つ以上のプロセッサが、前記非一時的コンピュータ可読媒体に記憶された更なるプロセッサ実行可能命令を実行して、前立腺組織を非前立腺組織と区別するように訓練されたモデルを使用するように構成されており、前記画像を受信することが、前記モデルから前記画像の前立腺組織領域のみを受信することを含む、請求項10に記載のシステム。
【請求項19】
プロセッサ実行可能命令を含む、非一時的コンピュータ可読媒体であって、1つ以上に、
前立腺組織の画像を受信させ、
人工知能グリーソングレーディングモデルを使用して、グリーソンパターン値を前記画像内の1つ以上の領域に割り当てさせ、前記モデルが、前立腺組織画像中のパッチ毎にグリーソンパターンを識別するよう訓練されており、
前記画像内の前記グリーソンパターンの相対面積比を決定させ、
前記決定された相対面積比に基づいて、リスクスコア又はリスクグループ値のうちの少なくとも1つを前記画像に割り当てさせ、かつ
前記リスクスコア又は前記リスクグループ値のうちの少なくとも1つを出力させる、非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項20】
前記1つ以上のプロセッサが、前記非一時的コンピュータ可読媒体に記憶された更なるプロセッサ実行可能命令を実行して、前記人工知能グリーソングレーディングモデルによるデータセット中の多数の画像に割り当てられたグリーソンパターンのセット又はその比率に当てはめられたCox比例ハザード回帰モデル、及び前記データセットに関連付けられた関連する生存データを使用するように構成されている、請求項19に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、「Artificial Intelligence-based assistant for concurrent review of needle core prostate biopsies」と題する、2020年3月30日に出願された米国仮特許出願第63/001,664号に関連する、「Artificial Intelligence Prediction Of Prostate Cancer Outcomes」と題する2020年11月6日に出願された米国仮特許出願第63/110,786号に対する優先権を主張し、それら各々の内容全体は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本出願は、概して、腫瘍分析のための人工知能システム及び方法に関し、より具体的には、前立腺がん転帰の人工知能予測に関する。
【背景技術】
【0003】
前立腺がんは、生涯において男性の9人に1人が罹患するが、がんの悪性度などの要因に基づいて、疾患の攻撃性及び予後は、個人間で大幅に異なる可能性がある。前立腺がんのグリーソン分類は、グリーソンパターンとして知られる異なる組織学的パターンを患者の腫瘍の各領域に割り当てることを伴う。これらのパターンの有病率に基づいて、5つのグリーソングレードグループ(GG)、すなわち、GG1、GG2、GG3、GG4、又はGG5のうちの1つが割り当てられる。グリーソングレードグループのグレードが増加すると、患者の予後は悪化する。結果として生じるGGは、前立腺がん患者の最大の予後因子のうちの1つであり、患者のリスク層別化のために、かつ患者を疾患進行のリスクに最も適した治療計画に適合するために使用される。
【0004】
グリーソンシステムは、前立腺がんの臨床管理における別個の時点で使用される。第一に、診断的生検を受ける患者については、腫瘍が識別された場合、GGは、監視療法と、前立腺の外科的除去又は放射線療法などの決定的治療選択肢との間の決定に影響を与える。前立腺の外科的切除(根治的前立腺摘除術)をその後に受ける患者については、GGは、放射線療法又はホルモン療法などの追加の治療に関する決定の1つの重要な要素である。大規模な臨床試験では、前立腺摘除術後の補助療法の使用は、一部の患者について無増悪生存期間の改善などの利点を実証してきたが、有害な副作用ももたらす可能性がある。これらの補助治療に対する潜在的な利点と毒性との間の相殺を所与として、補助治療から利益を得る可能性が最も高い患者を識別することは、前立腺がんケアにおける重要な研究領域であり続ける。
【発明の概要】
【0005】
前立腺がん転帰の人工知能予測のための様々な実施例が記載される。1つの例示の方法は、前立腺組織の画像を受信することと、人工知能グリーソングレーディングモデルを使用して、グリーソンパターン値を画像内の1つ以上の領域に割り当てることであって、モデルは、前立腺組織画像中のパッチ毎にグリーソンパターンを識別するよう訓練されている、割り当てることと、画像内のグリーソンパターンの相対面積比を決定することと、決定された相対面積比に基づいて、リスクスコア又はリスクグループ値のうちの少なくとも1つを画像に割り当てることと、リスクスコア又はリスクグループ値のうちの少なくとも1つを出力することと、を含む。
【0006】
前立腺がん患者の予後を評価するための1つの例示のシステムは、非一時的コンピュータ可読媒体と、非一時的コンピュータ可読媒体に通信可能に結合された1つ以上のプロセッサと、を含み、1つ以上のプロセッサは、非一時的コンピュータ可読媒体に記憶されたプロセッサ実行可能命令を実行して、前立腺組織の画像を受信し、人工知能グリーソングレーディングモデルを使用して、グリーソンパターン値を画像内の1つ以上の領域に割り当て、モデルは、前立腺組織画像中のパッチ毎にグリーソンパターンを識別するよう訓練されており、画像内のグリーソンパターンの相対面積比を決定し、決定された相対面積比に基づいて、リスクスコア又はリスクグループ値のうちの少なくとも1つを画像に割り当て、かつリスクスコア又はリスクグループ値のうちの少なくとも1つを出力するように構成されている。
【0007】
1つの例示の非一時的コンピュータ可読媒体は、プロセッサ実行可能命令を含み、1つ以上に、前立腺組織の画像を受信させ、人工知能グリーソングレーディングモデルを使用して、グリーソンパターン値を画像内の1つ以上の領域に割り当てさせ、モデルは、前立腺組織画像中のパッチ毎にグリーソンパターンを識別するよう訓練されており、画像内のグリーソンパターンの相対面積比を決定させ、決定された相対面積比に基づいて、リスクスコア又はリスクグループ値のうちの少なくとも1つを画像に割り当てさせ、かつリスクスコア又はリスクグループ値のうちの少なくとも1つを出力させるように構成されている。
【0008】
これらの例示的な実施例は、本開示の範囲を限定又は定義するものではないが、むしろその理解の一助として、実施例を提供するように言及される。例示的な実施例については、更なる説明を提供する「発明を実施するための形態」において記載する。様々な実施例によって提供される利点は、本明細書を精査することによって、更に理解され得る。
【図面の簡単な説明】
【0009】
本明細書に組み込まれ、その一部を構成する添付図面は、1つ以上の特定の実施例を例示し、実施例の説明とともに、特定の実施例の原則及び実施を説明する役割を果たす。
【0010】
図1】画像パッチ毎にデジタル前立腺サンプル画像についてのグリーソンパターン予測を生成する、AIグリーソングレーディングモデルの形態にある深層学習システムの開発を示す図である。
図2】(1)サンプルのセット(サンプルの各々についての画像データ及び生存データの両方を含む)、(2)図1のグリーソングレーディングモデル、並びに(3)セットからの生存データ及びグリーソンパターンパッチ予測を使用した、Cox比例ハザード回帰モデルからの、連続リスクスコア及び離散リスクグループを含む、我々の新しいAIリスクスコアパラダイムを生成するために使用した方法を示す図である。
図3】前立腺がん組織標本画像についてのリスクグループ値又はリスクスコアを生成する方法を示すフローチャートである。このリスクグループ値又はスコアは、スタンドアロン予測として、第2の読み取りとして(例えば、病理学者が割り当てた全体的なグリーソングレードの補助として)、又はリスクグループスコアが病理学者の全体的なグリーソングレード割り当てと統合される統合様式として実装され得る。
図4】AIリスクグループスコア(この実施例では4)が、臨床医、例えば、プライマリケア医師、腫瘍専門医、病理学者などが使用するワークステーション上で提示される方法の1つの可能な実施例の図である。
図5A-5C】検証セットのメンバーについて割り当てられたリスクグループの時間関数としての、生存確率のカプラン・マイヤー曲線である。
図6A-6E】各病理学者によって決定されたグリーソングレード内のリスクグループ1~2対3~5による、患者の部分層別化を示すカプラン・マイヤープロットである。
図7A-7E】異なる病理学者によって決定されたグリーソングレードについてのグリーソンパターン4及び5の割合のプロットであり、こうした割合についてのリスクグループの定義を示す。
図8】パッチ毎のグリーソンパターン、及び前立腺組織画像についての全体的なグリーソングレードを割り当てる、図1及び2の深層学習システムの1つの可能な実施形態の図である。
図9】前立腺がん転帰のAI予測のための例示のシステムを示す。
図10】前立腺がん転帰のAI予測のための例示の方法を示す。
図11】前立腺がん転帰のAI予測のための例示のシステム及び方法での使用に適した例示的な計算装置を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
例は、前立腺がん転帰の人工知能予測との関連で本明細書に記載される。当業者であれば、以下の説明は例示に過ぎず、いかなる方法でも限定することを意図するものではないことを理解するであろう。ここで、添付図面に図示する実施例の実施について詳細に説明する。同一の参照指標は、同一又は類似の要素を指し、図面全体及び以下の説明を通して使用される。
【0012】
明示目的で、本明細書記載の実施例の慣例的な特徴全てを示し、説明するわけではない。もちろん、このような実際の任意の実装の開発において、アプリケーションやビジネスに関連する制約へのコンプライアンスなど、開発者の具体的な目標を達成するために、実装に特有な決定を数多く行う必要があり、これらの具体的な目標は、実装毎に、また開発者毎に異なることを理解する必要がある。
【0013】
システムの複雑さ及び本質的な主観性により、グリーソングレーディングは、病理学者間の大きな不一致率(30~50%)に悩まされ、それによって変動性及び予後の不正確性の潜在的な原因をもたらす。しかしながら、専門家(泌尿器科のサブスペシャリティの訓練を受けている者など)によるグレードは、より一貫性があり、経験のより少ない病理学者によるグレードよりも正確なリスク層別化をもたらし、グレードの一貫性及び正確性を改善することによって、システムの臨床有用性を改善する機会を示唆している。この目的のために、グリーソングレーディングのためのいくつかのAIアルゴリズムが、専門家が提供したグリーソンスコアを使用して開発及び検証されている。例えば、Nagpal,K.et al. Development and validation of a deep learning algorithm for improving Gleason scoring of prostate cancer,NPJ Digit Med 2,48(2019)、及びNagpal,K.et al.,Development and Validation of a Deep Learning Algorithm for Gleason Grading of Prostate Cancer From Biopsy Specimens,JAMA Oncol(2020)を参照されたく、それらの両方の内容は、参照により本明細書に組み込まれる。しかしながら、アルゴリズムの予後値の評価、及び病理学者によって提供されるグリーソングレードの予後値との直接的な比較は、我々の知る限り実施されていない。生検並びに前立腺摘除術標本についてのGGは両方とも、重要な予後情報を提供するが、長期臨床転帰を評価するための後ろ向き研究は、生検単独の後に広く異なる治療経路を与えられた前立腺摘除術症例からより単純である。
【0014】
これらの問題に対処するために、連続人工知能(「AI」)リスクスコアを含む、新しい予後リスクスコアパラダイムが使用され得、次いで、これらのリスクスコアを新しいAI「リスクグループ」へと更に離散化する。所与の前立腺組織画像について、リスクスコア若しくはリスクグループ値、又は両方が報告され得る。こうしたAIリスクスコア又はAIリスクグループを生成するために前立腺組織の画像を分析するためのシステムの使用により、コア針生検又は前立腺摘除術標本などの前立腺がん標本のデジタル画像から直接、前立腺がん患者の予後を予測することが可能になる。更に、こうした技術は、スタンドアロン予測を、又は第2の読み取りとして、又はリスクスコア若しくはリスクグループ値が、病理学者自身の標本のグリーソングレード評価と組み合わされる統合システムにおいて、のいずれかを生成するために使用され得る。
【0015】
1つの例示の実装では、システムは、人工知能グリーソングレーディングモデルを使用して、グリーソンパターン分類(例えば、3、4、又は5)を、腫瘍細胞を含有する患者からの前立腺組織の画像の領域に割り当てることができ、モデルは、前立腺組織画像中のパッチ毎にグリーソンパターンを識別するように訓練されている。次いで、例えば、グリーソンパターン3、4、及び5にグレーディングされた腫瘍パッチの相対的サイズ又は面積などの、グリーソンパターン分類の割合など、相対面積比を決定することができる。
【0016】
次いで、システムは、決定された相対的比率を使用して、リスクスコア若しくはリスクグループ値、又は両方を画像に割り当てることができる。リスクスコア又はリスクグループ値は、患者の予後と相関している。更に、場合によっては、割り当てる工程は、AIグリーソングレーディングモデルによるデータセット中の多数の画像に割り当てられたグリーソンパターンスコア又はそれらの比率のセットに当てはめられたCox比例ハザード回帰モデル、及びデータセットに関連付けられた関連する生存データを使用することができる。
【0017】
好適なサンプルを提供するために、前立腺組織の画像は、前立腺摘除術から得られた標本の画像であり得るか、又はコア針生検から得られた標本の画像であり得る。こうした画像を生成するために、標本(又はその一部分)は、従来のように、組織スライド上に配置され、40倍又は10倍などの何らかの特定の倍率又は倍率の組み合わせで、デジタル全スライドスキャナを用いて撮像される。
【0018】
システムはまた、例えば、病理学者又は腫瘍専門医などの臨床医が使用するワークステーション上に、リスクスコア、リスクグループ値、又は両方を提示することができる。「ワークステーション」という用語は、表示装置、及びデスクトップコンピュータ、タブレット、スマートフォン、ラップトップコンピュータなどを含む、表示装置と相互作用するためのユーザインターフェースを有する、任意のコンピュータデバイスを包含するように広く解釈されよう意図されることに留意されたい。
【0019】
一実施形態では、ワークステーションは、病理学者又は腫瘍専門医が、例えば、顕微鏡による標本の目視検査の後、又は標本の拡大デジタル画像の研究によって、画像についてのヒト由来グリーソングレードを入力するための機能を提供するインターフェースを有する。この機能は、リスクスコア、リスクグループ値、又は両方をヒト由来グリーソングレードと比較するのを容易にすることができる。例えば、リスクグループ値は、1、2、3、4、又は5の値をとり、(それぞれ)少なくともおよそ1、2、3、4、及び5のGGに対応する。リスクグループ評価とグリーソングレードとの間に不一致がある場合、ユーザ(病理学者又は腫瘍専門医)は、患者の治療過程を計画するときに、自身のグリーソングレードグループ割り当てを再考するか、又はおそらく病理学者グリーソングレードグループ割り当てとともに、リスクグループ値を考慮するように動機付けられ得る。
【0020】
また、リスクグループ評価は、例えば、2つの値の平均を計算することを含むアンサンブル様式で、ヒト由来グリーソングレードと統合され得ることも想定される。
【0021】
上述したように、いくつかの実施例では、リスクグループ値は、1~5(両端を含む)の整数の形態をとることができる。リスクグループ値の各々の生存確率は、それぞれ、整数1~5(両端を含む)のグリーソングレードを有する前立腺がん患者の生存確率に近似する。しかしながら、本開示によるシステム及び方法に基づいて、AIリスクグループは、グリーソングレードグループによって提供される予後に近似するだけでなく、より複雑なグリーソンパターン閾値に基づいて、患者をより正確に分類するグループ化システムも提供することができる。特に、現在のグリーソングレードグループシステムは、「単純な」閾値を使用する(例えば、GG1対GG2対GG3は、本質的にはそれぞれ、0%超又は50%超のパターン4である)一方で、本開示による例示のシステムは、予後とより良好に相関するより正確なグループ化を提供し得る。
【0022】
更に別の態様では、前立腺がん患者の予後を予測するためのモデルを開発するための方法が記載され、これは、多数の前立腺がん組織画像、及び組織画像に関連付けられた前立腺がん患者についての関連する生存データを含む、データセットを取得することができるシステムを含む。次いで、人工知能グリーソングレーディングモデルを使用して、グリーソンパターンを、腫瘍細胞を含有する各画像の領域に割り当てることができ、モデルは、前立腺組織画像中のパッチ毎にグリーソンパターンを識別するように訓練されている。
【0023】
その後、システムは、人工知能グリーソングレーディングモデルによって割り当てられた画像の各々におけるグリーソンパターンの相対面積比を決定し、相対的比率及び生存データに対してCox比例ハザード回帰を実施して、データセット中の患者の予後に関連付けられた連続リスクスコアを生成する。次いで、連続リスクスコアから離散リスクグループ値を定義することができる。
【0024】
以下の説明から理解されるように、本方法は、処理ユニット及びプログラム命令を記憶する機械可読メモリを含む計算環境で実装され得る。計算環境は、ワークステーションの処理ユニット及びメモリ内で実行されるなど、臨床医にとってローカルであり得る。代替として、計算環境は、リモートサーバ又はクラウド環境にあり得、グリーソングレーディングモデルが、臨床医ワークステーションから離れたコンピュータで実装され、ネットワークを介して画像を受信し、画像中のグリーソンパターンを決定し、相対的比率を計算し、リスクスコア及び/又はリスクグループを画像に割り当て、次いで、グリーソングレーディングモデルによって決定される画像中の異なるグリーソンパターンを示す「ヒートマップ」を伴う画像のバージョンと併せての可能性がある、結果をワークステーションに戻す。
【0025】
更に別の態様では、前立腺組織画像中のパッチ毎にグリーソンパターンを識別するように訓練された人工知能グリーソングレーディングモデルによる、前立腺組織画像に割り当てられたグリーソンパターンスコアの相対的比率の形態にある入力から、前立腺がん患者の予後に関連付けられたリスクグループ値又はリスクグループスコアを計算するための手順を記憶する機械可読メモリが提供される。この手順は、多数の可能なグリーソンパターンスコア比(例えば、割合)を、有限数のリスクグループ値、例えば、5つのこうした値のうちの1つ、すなわち、グリーソングレードスコアにほぼ対応する1、2、3、4、5に相関させる表、数式、又はそれらの組み合わせの形態にあってもよい。図5及び6のプロットは、本発明のリスクスコアリングパラダイム下のリスクグループ値と予後との間の相関を示す。
【0026】
更に別の態様では、前立腺がん患者の予後を評価するためのシステムが提供される。システムは、患者の前立腺標本のデジタル画像を記憶するコンピュータメモリと、人工知能グリーソングレーディングモデルを使用して、グリーソンパターンスコアを画像の領域に割り当てるためのコードを含有するプログラムされたコンピュータと、を含み、モデルは、前立腺組織画像中のパッチ毎にグリーソンパターンを識別するように訓練されており、コンピュータは、グリーソンパターンスコアの相対的比率を計算するためのコードを用いて更にプログラムされており、コンピュータは、相対比を使用して、リスクスコア若しくはリスクグループ値、又は両方を画像に割り当てるための手順を用いて更にプログラムされている。
【0027】
これらの例示的な実施例は、本明細書で考察される一般的な主題に読者を紹介するために与えられ、本開示は、この実施例に限定されない。以下のセクションは、前立腺がん転帰の人工知能予測の様々な追加の非限定的な実施例及び実施例を記載する。
【0028】
ここで図1を参照すると、図1は、グリーソングレーディングモデル10(又は「モデル10」)と称される、訓練された深層学習システムを用いる例示のシステムを示す。この実施例のモデル10は、深層人工ニューラルネットワークであるが、他の実施例では、パターン認識装置又は任意の他の好適な深層学習モデルであってもよい。この例示のモデル10は、画像の開発セット12及び関連するグラウンドトゥルースを使用して開発された。モデル10は、補助モデル又は第2のモデル(図示せず)、例えば、訓練された畳み込みニューラルネットワーク又はパターン認識装置を有し、これは、前立腺組織と非前立腺組織とを区別して、グリーソングレーディングモデル10が、前立腺組織を実際に含有する画像の部分に対してのみ動作することを保証するように訓練されている。しかしながら、当然のことながら、補助モデルは、いくつかの実施例では用いられなくてもよい。
【0029】
グリーソングレーディングモデル10の詳細を図8に示し、関連する考察を以下に示す。このモデルは、パッチ毎にグリーソンパターン(例えば、グリーソン1、2、3、4、5)の予測を行うための、関連するグラウンドトゥルースを伴うサンプルの開発セット(前立腺標本の拡大デジタル画像)から訓練されている。訓練されると、モデル10を使用して、前立腺標本の入力デジタル画像14に基づいて、予測16を行うことができる。
【0030】
本方法は、上述し、図8に示すモデルを使用するが、パッチ毎にグリーソンパターン予測を行う他の深層学習モデルが使用され得、したがって、本文書に記載されるモデルは、限定ではなく一例として提供されることが理解されるであろう。
【0031】
ここで図9を参照すると、図9は、前立腺がん転帰のAI予測のための例示のシステム200を示す。例示のシステム200は、データ記憶部212へのアクセスを有し、かつネットワーク230を介してサーバ240及びそのデータ記憶部242に接続される、計算装置210を含む。この実施例では、計算装置210はまた、前立腺組織の画像を捕捉し、計算装置210に提供することができる、撮像システム250に接続されている。加えて、計算装置210は、データ記憶部212から前立腺組織のデジタル化画像にアクセスし、図1に関して上述したシステム100を使用するなど、分析のためにそれらをモデル220に提供することができる。分析が完了した後、モデル220は、結果を計算装置210に提供するか、例えば、医療従事者による後の検索のためにデータ記憶部222に結果を記憶するか、又は結果を表示装置214上に表示するか、又は任意の組み合わせを行う。
【0032】
この実施例では、計算装置210は、それ自体のデータ記憶部212から前立腺組織の画像を受信し、いくつかの実施例では、サーバ240から前立腺組織の画像を取得してもよく、サーバ240は、それ自体のデータ記憶部242にアクセスして、要求された病理組織画像を取得及び提供してもよい。いくつかの実施例では、計算装置210は、前立腺組織の画像を捕捉することができる顕微鏡に接続されてもよい。更に、計算装置210自体によって実行されるモデル220によって分析が実行されるが、いくつかの実施例では、モデル220は、サーバ240の一部であってもよく、計算装置210は、ネットワーク230を介して、分析のために前立腺組織の画像をサーバ240に提供し、後で結果を受信してもよく、結果は、データ記憶部212に記憶されてもよいか、又は表示装置214上に表示されてもよい。
【0033】
この実施例では、サーバ220は、例えば、病院又はラボなどの医療提供者によって維持され、一方で、計算装置210は、例えば、病理学者のオフィスなどの医局に常駐する。したがって、こうしたシステム200は、たとえ訓練されたモデル220を欠いていても、遠隔の場所での医療提供者が、前立腺がん転帰についての予測を得ることを可能にし得る。しかしながら、当然のことながら、本開示による例示的なシステムは、遠隔計算装置と通信することなく、分析自体を実行し得る計算装置210のみを含み得る。
【0034】
図2を参照すると、図2は、試料のセット20(試料の各々についての画像データ及び生存データの両方を含む)、図1のモデル10、並びにセット20からの生存データ及びグリーソンパターンパッチ予測を使用した、Cox回帰モデル30からの、連続リスクスコア及び離散リスクグループを含む、前立腺がん転帰のAI予測についての処理フローを示す図である。
【0035】
このサンプルのセット20の詳細は、前立腺標本のデジタル画像、及びサンプルを提供する患者についての関連する生存データの両方を含む。この実施例では、セット20は、オーストリアのMedical University of GrazのBioBankにおける1995~2014年からの前立腺摘除術症例の全てのアーカイブされたスライドからなった。スライドを拡大してスキャンし、デジタル化した。典型的には、症例/患者毎にいくつかのスライドが存在した。術後30日以内の死亡の9症例を除外した後、2,811症例が残った。追跡期間中央値は、13.1年であった(四分位範囲8.5~17.2)。この症例群を、表1に示す2つの検証セット:全症例(検証セット1)、及び病理学的診断時にグリーソングレーディングを実施した2000~2014年からの症例のサブセット(n=1,517症例、検証セット2)にグループ化し、表1は、各検証セットにおける全生存及び疾患特異的生存率を提供する。
【表1】
【0036】
表1では、検証セット1は、1995~2014年のBiobank Grazからの全ての前立腺摘除術症例を含有し、検証セット2は、検証セット1のサブセットであり、診断グレードグループを記録した2000~2014年の全ての前立腺摘除術症例を含有する。
【0037】
ブロック22で示すように、セット20内の画像を、モデル10に入力して、腫瘍組成を評価し、画像の各々の上にグリーソンパターンのパッチレベルの予測を生成した。次いで、3つの異なるグリーソンパターン3、4、及び5(GP3%、GP4%、GP5%)について、ブロック24で面積の割合を決定した。この実施例では、割合を、所与のグリーソンパターンのパッチのサイズ(ピクセルピッチ、倍率などを考慮に入れて)を決定し、そのサイズ(面積)を、グリーソンパターン3、4、又は5を有する腫瘍の総面積で割ることによって決定した。また、この実施例では、グリーソンパターン3、4、及び5についてのみ、面積の割合を計算したが、グリーソンパターン1~5のいずれもいくつかの実施例で使用され得る。更に、グリーソンパターンのうちのいくつかの割合のみを計算することによって、グリーソンパターンについての面積の割合の全てを決定することが可能であり得、例えば、グリーソンパターン4及び5についてのパーセントを決定した後、グリーソンパターン3についての割合は、1から、グリーソンパターン4及び5の統合された割合を引いたものである。例えば、グリーソン4の面積の割合が0.5(50パーセント)として計算され、グリーソン5の面積の割合が0.3(30パーセント)として計算される場合、グリーソン3の割合は、0.2(20パーセント)、すなわち、1-(0.5+0.3)=0.2である。
【0038】
1つの変化形では、代わりに腫瘍性である前立腺組織の面積パーセントを決定し、それをCox回帰モデルへの追加的又は代替的な入力として使用することができる。
【0039】
30で示すように、24で計算された割合を使用して、かつセット20からの生存データを使用して、システムは、これらの割合に直接Cox比例ハザード回帰モデルを当てはめて(これは、いくつかの実施例では、上述したように腫瘍の割合とともに増大し得る)、連続AIリスクスコア32を生成し、一つ抜き交差検証を使用して、楽観論を補正する。リスクスコアは、0~1の数であり、0は、最低リスク、最良の予後であり、1は、最高リスク、最悪の予後である。リスクスコアの計算方法を以下に説明する。検証セット1では、この連続リスクスコアは、以下の表2に示すように、0.83の一致指数(C指数)(95%信頼区間(CI)0.80~0.87)を達成した。事前に指定された一次分析において、検証セット2では、AIリスクスコアのC指数(0.87)は、病理学者GG(0.79)よりも有意に大きく、0.08(95%CI 0.01~0.15)の改善であった。
【表2】
【0040】
上の表2に関して、AIリスクスコアは、AIからのグリーソンパターンの割合へのCox回帰当てはめからの連続リスクスコアである。AIリスクグループは、AIリスクスコアの離散化バージョンである。離散化は、検証セット2における病理学者グレードグループの数及び頻度に一致するように行われた。検証セット2では、AIリスクスコアについてのc指数は、病理学者のグレードグループよりも統計的に有意に高かった(p<0.05、事前に指定された分析)。検証セット1についての病理学者グレードグループに関して、以前の期間からのものであることから、検証セット1の全ての症例に対して病理学者グレードグループが利用可能ではなかったため、データは利用可能ではなった。
【0041】
工程34で示すように、病理学者のグリーソングレードグループ(GG)分類と更に比較するために、我々はまた、これらのリスクスコアを「リスクグループ」に離散化した。これらのリスクグループは、1、2、3、4、及び5の数値からなり、これらは、リスクグループ当たりの症例数の観点からの病理学者グレードグループ(GG)分布に一致又は近似した(図5A~5C及び6A~6Eを参照されたい)。連続リスクスコアを離散化するための他のパラダイムが、他の実施例に従って使用されてもよい。
【0042】
図7A~7Eを参照すると、図7A~7Eは、モデル10を使用して、2つの独立した特徴(GP4及びGP5のパーセント)を、サンプルのセット内の各病理学者によって割り当てられたグリーソングレードについて、リスクグループ1~5に分類した一連のプロットを示す。プロットは、病理学者によって割り当てられたグリーソングレードが増加すると、画像中のグリーソンパターン4及び5の相対的な比率又は割合が変化することを示す。上述したように、グリーソンパターン3の割合の情報は、1に等しいグリーソンパターン3、4、及び5の割合の合計として、これらのプロットから抽出され得る。
【0043】
離散化リスクグループのC指数(0.85)も、病理学者GGよりも高い傾向にあり、0.07(95%CI 0.00~0.14)の改善であった(上記の表2を参照されたい)。カプラン・マイヤー分析はまた、両方の検証セットで有意なAIリスク層別化を示し(ログランク検定についてはp<0.001、図5も参照されたい)、多変量回帰モデルは、以下の表3に示すよりも高いGG及び高いリスクグループ値の両方とともに、ハザード比の増加の傾向を示した。
【表3】
【0044】
場合によっては、リスクグループと病理学者GGとの間に不一致がある可能性がある。第一に、以下の表4に示すように、リスクグループが病理学者GGよりも高い又は低いリスクであった症例について、10年の疾患特異的生存率を比較した。病理学者によって決定された各GG内で、AIがより低いリスク分類を提供した症例について、特に3以上のGGについて、10年生存率がより高かった。AIがより高いリスク分類を提供した場合、生存率もより低い傾向にあった。第二に、リスクグループ1~2対3~5によるリスク層別化は、病理学者によって決定された各GG内で有意なままであった(図6のプロットを参照されたい)。具体的に、GG3~5の患者間で、表4及び図6A~6Eに示すように、かなり大きいサブグループ(436名のうち182名、42%)が1~2のAIリスクグループに割り当てられ、これらの患者は、疾患特異的死亡事象を経験しなかった。
【表4】
【0045】
図2の開発研究が実施され、リスクスコア及びリスクグループの定義が決定された後、次いで、こうした定義が、例えば、表若しくは数式、又はそれらの組み合わせとしてメモリに記憶され、それにより、特定の前立腺組織サンプルについてのリスクスコア又はリスクグループ値を生成するために将来使用され得ることが理解されるであろう。本研究のために、方程式1を使用してリスクスコアを計算した。
方程式1:
リスクスコア=(log(HR_GP4)*%GP4+log(HR_GP5)*%GP5))/(100*log(HR_GP5))
【0046】
グリーソンパターン4及び5のハザード比(HR)は、Cox回帰モデルによって当てはめられる。モデルによって当てはめられた具体的なハザード比を、図5A~5Cに見ることができ、これらの値は、開発セット20のメンバーのサイズ、組成、及び臨床特性によって異なり得る。1つの具体的な実施形態では、リスクスコアは、方程式2に従ったグリーソンパターンパーセントから計算される。
方程式2. リスクスコア=0.0975*%GP4+0.10*%GP5
【0047】
我々のスコアリングパラダイムの1つの具体的な実施形態におけるリスクグループに対応するリスクスコアの範囲は、表5に示すとおりである。
【表5】
【0048】
実際には、上記の方程式(1)、又は方程式(2)、及び上記の表5の値、又は同等に、コード手順を記憶する表が、コンピュータメモリに記憶され、グリーソンパターン4及び5の面積の割合の計算(方程式1及び2の%GP4及び%GP5)から、図3の手順における所与のスライドについてのリスクスコア及び/又はリスクグループ値を生成するために使用される。
【0049】
ここで図3を参照すると、図3は、使用時に前立腺サンプルのデジタル画像50についてのリスクスコア又はリスクグループ値を生成するための例示のワークフローの図である。サンプルは、例えば、40倍などの所与の倍率で全スライドスキャナによって撮像され、画像50は、図1及び2のAIグリーソングレーディングモデル10に入力される。この実施例では、モデル10は最初に、画像の前立腺組織/非組織領域を決定し、次いで、組織部分について、ブロック52で示すスライドの腫瘍領域について、グリーソンパターン3、4、及び5を予測する。次いで、グリーソンパターン3、4、及び5の割合が、ブロック54で示すように決定される。ブロック56では、次いで、リスクスコア及び/又はリスクグループの定義が、ブロック54で決定された割合に適用され、結果として、画像についてのリスクスコア及び/又はリスクグループ値の割り当てが生成される。ブロック58では、次いで、例えば、表示装置102を有するワークステーション100を介して、リスクスコア及び/又はリスクグループ値の割り当てがユーザに提示され、その一例を図4に示す。標本画像50は、グリーソンパターン3、4、及び5の割合(X1、X2、及びX3の数値によって表される)とともに、かつリスクスコア(この実施例では、0~1のスケールで0.7であり、0は、最低リスク、良好な予後であり、1は、最高リスク、最悪の予後である)及び/又はここでは「4」の値であるリスクグループ値とともに、ユーザに提示される。
【0050】
図3及び4の方法は、前立腺がん転帰の予測のための自動化されたスタンドアロン方法として機能することができる。この方法の有用性を実証し、上記の図5A~5Cの別表及びカプラン・マイヤープロット、並びに表2の3及び4行目を参照されたい。
【0051】
図3及び4の方法はまた、第2の読み取りとして機能することができる。この1つの可能な例として、この実施形態におけるワークステーション100の「ユーザ」は、病理学者であり得る。例えば、病理学者は、ワークステーション表示装置上にダイアログボックスが提示されて、自身の画像の評価、例えば、グリーソングレード3を入力し得、表示装置は、AIリスクグループ値、例えば、「4」を提示する。病理学者は、この不一致を見て、画像を再評価し、画像に対する自身のグリーソングレード割り当てを再考するよう促され得る。この場合、リスクスコア及び/又はリスクグループの提示は、第2の読み取りとして機能する。この方法の有用性は、上記の図6A~6Eのカプラン・マイヤープロット及び表2で実証されている。
【0052】
病理学者によって決定されたグリーソングレード、並びにAIリスクスコア及び/又はリスクグループ値は、なお別の更なる可能な実装においてアンサンブル様式で統合され得る。このアプローチの有用性は、以下の表6の最後の行で実証されている。病理学者グリーソングレード及びAIリスクグループ値の数値は、いくつかの方法で、例えば、単純な平均化によって、又はAIシステムの予測における相対的信頼度、及び病理学者のグリーソングレード割り当てにおける病理学者の信頼度を反映する2つの数値の重み付けを使用して統合され得る。
【表6】
【0053】
更に、いくつかの実施例は、AIリスクグループ及び病理学者によって提供されたGGの算術平均を決定することによって、「アンサンブル」アプローチを用いることができ、結果として、上記の表6に示す、病理学者については0.79及びAIリスクグループについては0.85に対して、0.86(95%CI 0.80~91)のC指数を得た。アルゴリズム及び病理学者の不一致の定性分析は、アルゴリズムグレーディング及び病理学者グレーディングが相補的であり得るいくつかの方法を示唆し、これには、病理学者が可変的に過大評価し得るAIによる領域の一貫したグレーディング、又は図6Eに示すような、そうでなければ病理学者が見落とし得る、小さく、高悪性度の領域の識別が含まれる。
【0054】
別の実施例は、前立腺がん患者を治療する腫瘍専門医に、AIリスクグループ値又はリスクスコアを提示することを伴う。腫瘍専門医は、病理学者グリーソングレード割り当てとともに、AIリスクグループ値割り当て又はリスクスコアのいずれか又は両方が提示され得る。次いで、腫瘍専門医は、例えば、より早期の、より積極的ながんの治療を推奨するように、又は逆に、例えば、画像についてのAIリスクグループ値若しくはリスクスコア及び病理学者グリーソングレードの両方が低い場合、監視的待機療法を開始するように、両方の情報を使用して患者の治療を誘導することができる。
【0055】
ここで図8を参照すると、図8は、図1のグリーソングレードモデル10の例示の構成を示す。モデルは、2つの段階:グリーソンパターン(1、2、3、4、又は5)によって各スライド内の画像パッチを分類する畳み込みニューラルネットワーク(CNN)1100が含まれる。これらの予測は、予測ヒートマップ1102に変換され得、それから、色分けされたグリーソンスコアオーバーレイが、例えば、我々の過去の特許出願で説明したように、ワークステーション上のビューアで生成される。図8に示す構成では、この畳み込みニューラルネットワーク1100の後に、結果として生じたヒートマップ1102から抽出された特徴を使用して、生検/スライドの全グレードグループ(GG)を分類する、第2の機械学習モデル1104(一実装では、サポートベクトルマシン、又はSVM)が続く。しかしながら、この第2のモデル1104は、いくつかの実施例では省略されてもよい。更に、いくつかの実施例は、前立腺組織を非前立腺組織と区別するように訓練された第1の機械学習モデル(例えば、深層CNN)で強化され得、これにより、CNN1100は、前立腺組織に対してのみ動作する。例えば、前立腺摘除術「標本」からのいくつかのスライドは、精嚢などの非前立腺組織も含有する可能性がある。グリーソンモデル10が、これらの非前立腺組織タイプに対して、「偽」のグリーソンパターン予測を生成する場合は望ましくない。
【0056】
例えば、モデル開発のためのデータを収集するために、病理学者は、The Cancer Genome Atlas 40からの221枚のスライド、及びNavy Medical Center San Diego 8からの以前にデジタル化されたスライドにわたって、前立腺外組織及び精嚢領域を粗く概説するよう求められた。前立腺外組織及び精嚢の注釈を、1つの「前立腺外組織」クラスに統合した。追加の150枚のスライドを、グリーソングレーディングデータセットから無作為にサンプリングし(方法の「グリーソングレーディングモデル」を参照されたい)、任意の良性又はグリーソンパターン3、4、若しくは5の注釈を、「前立腺組織」クラスの一部とみなした。
【0057】
結果として生じた371枚のスライドを訓練及び調整分割に無作為に分割した。グリーソングレーディングモデルについて記載した同じアーキテクチャ、訓練方法、及びハイパーパラメータ調整方法を使用した畳み込みニューラルネットワークを、2値の「前立腺外組織」対「前立腺組織」タスクについて訓練し、結果として、調整セット上で0.99のAUCを得た。2値化のための閾値を、前立腺組織の97%の精度(84%の再現率で)を達成するために選択した。
【0058】
前立腺摘除術標本をグリーソングレーディングするのに適したアーキテクチャは、古典的な「開始」ニューラルネットワークアーキテクチャである、Nagpal,K.et al.Development and validation of a deep learning algorithm for improving Gleason scoring of prostate cancer.NPJ Digit Med 2,48(2019)に基づき得るか、又は生検標本をグリーソングレーディングするための第2のアーキテクチャは、カスタマイズされたニューラルネットワークアーキテクチャである、Nagpal,K.et al. Development and Validation of a Deep Learning Algorithm for Gleason Grading of Prostate Cancer From Biopsy Specimens. JAMA Oncol(2020)に基づき得る。これらのモデルを訓練するために、初期研究からの前立腺摘除術データセットを使用して、図8に示すように、第2の研究に導入されたカスタマイズされたニューラルネットワークアーキテクチャを使用して、新しいモデルを訓練した。訓練データセットは、本研究で使用した検証データから完全に独立した前立腺摘除術症例のセットからの、1億1,200万個の病理学者による注釈付きの「画像パッチ」を含有した。簡潔に述べると、システムは、512×512ピクセルの画像パッチ(10倍の倍率、ピクセル当たり1μmで)を入力として取り、各パッチを4つの分類:非腫瘍、グリーソンパターン3、4、又は5のうちの1つに分類する。このネットワークを訓練するために使用したハイパーパラメータを、50個の潜在的な設定にわたるランダムグリッドサーチを使用して決定し、以下の表7に示す。
【表7】
【0059】
Medical University of GrazのBioBank Grazで1995~2014年にアーカイブされた前立腺がん切除症例について入手可能な全てのスライドを読み出し、匿名化し、Leica Aperio AT2スキャナを使用して40倍の倍率(0.25μm/ピクセル)でスキャンした。グリーソンスコアを、病理学的TNM病期分類及び診断時の患者の年齢とともに、元の病理報告書から抽出した。疾患特異的生存(DSS)を、Statistik Austriaデータベースからの国際疾病分類(ICD)コードから推測した。前立腺がん関連死について考慮されたコードは、C61及びC68であった。匿名化されたスライド並びに関連する病理学的データ及び臨床データを使用したこの後ろ向き研究の、治験審査委員会の承認は、Medical University of Grazから取得された(プロトコル番号32-026 ex 19/20)。
【0060】
検証セット1は、上述したように、1995~2014年から入手可能な全ての症例を含んだ。Medical University of Grazにおけるグリーソンスコアリングが、2000年以降の通常の診療で採用されたため、検証セット2は、グリーソンスコアが利用可能であった2000年以降の全ての症例を含んだ。2000年以前の(グリーソンスコアリングが施設で日常的になる前の)グリーソングレードの包含に関する感度分析を、以下の表8に提示する。
【表8】
【0061】
全てのスライドは、21名の病理学者による手動でのレビューを受けて、染色タイプ及び組織タイプが確認された。簡潔に述べると、免疫組織化学染色されたスライドを、分析から除外し、主に前立腺組織を含有するスライドのみを含んだ。前立腺組織のみを含有するスライドは、その全体を含んだ。前立腺組織及び精嚢組織の両方を有するスライドを含んだが、グリーソングレーディングモデルに前立腺組織のみを提供することを意図して、前立腺組織モデルを使用して処理した。他の全てのスライドを分析から除外した。
【0062】
グリーソングレーディングモデルを、全ての前立腺組織パッチに対して、ストライド256で(10倍の倍率、ピクセル当たり1μmで)実行した。各パッチの非腫瘍、又はGP3、4、若しくは5への分類を、再び重み付けされた予測クラス確率についてargmaxを介して決定した。各症例について、グリーソンパターン3、4、及び5に属する前立腺腫瘍パッチの割合をその後に計算した。これらの症例レベルのグリーソンパターンの割合を入力として、かつ右側打ち切り転帰を事象として使用して、Cox回帰モデルを当てはめることによって、AIリスクスコアを計算した。正確なグリーソンパターン定量化の予後的重要性、並びにGG1(例えば、100%のGP3)及びGG4(例えば、100%のGP4)の分類をもたらすことがほとんどないAIグレーディングの網羅的な性質のため、このアプローチを最初に追求した(病理学者が行ったグリーソンパターン%(GP)のGGへの直接マッピングではなく)。%GPのGGへの直接マッピング及び時間分割法を含む、%GPからリスクグループを取得する別の方法を評価する感度分析は、定性的に類似した結果を実証し、以下の表9に提示する。
【表9】
【0063】
特徴間の線形依存性を回避するために、グリーソンパターン3%の割合を入力特徴から外した。Epstein et alで使用した10倍交差検証と類似する一つ抜き交差検証を使用して、楽観論を補正した。AIリスクグループを、検証セット2における病理学者GGの数及び頻度に一致するように、AIリスクスコアを離散化することによってAIリスクスコアから導出した。
【0064】
一次分析及び二次分析を、検証セットの評価前に事前に指定し、文書化した。一次分析は、表4に示す、病理学者GGとAIリスクスコアとの間のDSSについての一致(C)指数の比較からなった。二次分析は、病理学者GGのC指数と離散化されたAIリスクグループのC指数との間の比較からなった。他の全ての分析は、予備的であった。
【0065】
病理学者GG、AIリスクスコア、及びAIリスクグループ値の予後性能を、時間打ち切りデータについての受信者動作特性曲線下面積(AUC)の一般化である、ハレルのC指数を使用して測定した。AI及び病理学者のC指数の両方についての信頼区間、並びにそれらの間の差を、1000個のサンプルを用いたブートストラップ再サンプリングを介して計算した。
【0066】
病理学者GG及びAIリスクグループのカプラン・マイヤー分析では、多変量ログランク検定を使用して、群間の生存曲線の差を検定した。全生存分析を、Lifelines python package39(バージョン0.25.4)を使用して実施した。
【0067】
ここで図10を参照すると、図10は、前立腺がん転帰のAI予測のための例示の方法1000を示す。実施例は、図9に示すシステム200及び図1に示すモデル10に関して考察されるが、本開示による任意の好適なシステムが用いられてもよい。
【0068】
ブロック1010では、計算装置210は、前立腺組織の画像を取得する。この実施例では、計算装置210は、そのデータ記憶部212から画像を取得するが、いくつかの実施例では、撮像システム250から、又は遠隔サーバ240若しくはデータ記憶部242から画像を取得してもよい。
【0069】
ブロック1020では、モデル10は、グリーソンパターン値を画像内の1つ以上の領域に割り当てる。この実施例では、モデルは、図3に関して上述したように、スライドの腫瘍領域について3、4、及び5のグリーソン値を割り当てる。いくつかの実施例では、モデル10は最初に、画像の前立腺組織対非前立腺組織領域を決定してもよく、これは、モデル10が、前立腺組織についての予測のみを決定することを保証し得る。
【0070】
ブロック1030では、計算装置210は、概して図2のブロック24に関して上述したように、グリーソンパターンの相対面積比を決定する。
【0071】
ブロック1040では、計算装置210は、概して図2のブロック30又は図3の50に関して上述したように、面積比に基づいてリスクスコア又はリスクグループ値を決定し、これは、人工知能グリーソングレーディングモデルによるデータセット中の多数の画像に割り当てられたグリーソンパターン又はそれらの比率のセットに当てはめられたCox比例ハザード回帰モデル、及びデータセットに関連付けられた関連する生存データを伴い得る。
【0072】
ブロック1050では、計算装置210は、計算装置210のユーザから、画像に対応するグリーソングレードを受信する。例えば、ユーザは、グリーソングレードを提供するように促され得る。ユーザによって提供されたグリーソングレードは、概して図3及び4に関して上述したように、決定されたリスクスコア又はリスクグループ値と統合されてもよい。当然のことながら、ブロック1050の機能性は、いくつかの実施例では省略されてもよい。
【0073】
ブロック1060では、リスクスコア又はリスクグループ値が提供される。例えば、リスクスコア若しくはリスクグループ値(又はいくつかの実施例では、両方)は、表示装置214上に表示され得るか、データ記憶部212に記憶され得るか、データ記憶部242に記憶され得るか、又はそうでなければ病理学者、腫瘍専門医、若しくは他の医療専門家に伝達され得る。いくつかの実施例では、結合リスクスコア又はリスクグループ値が、いくつかの実施例ではブロック1050で生成され得るなど、提供され得る。
【0074】
ここで図11を参照すると、図11は、本開示による、前立腺がん転帰のAI予測のための例示のシステム又は方法での使用に適した例示の計算装置1200を示す。例示の計算装置1200は、1つ以上の通信バス1202を使用して、メモリ1220及び計算装置1200の他の構成要素と通信する、プロセッサ1210を含む。プロセッサ1210は、メモリ1220内に記憶されたプロセッサ実行可能命令を実行して、図10に関して上述した例示の方法1000の一部又は全てなど、異なる実施例に従って、前立腺がん転帰のAI予測のための1つ以上の方法を実施するように構成されている。この実施例では、メモリ1220は、図1、2、又は8に示す例示のモデル10などの深層学習システム1260を含む。加えて、計算装置1200はまた、ユーザ入力を受け入れるための、キーボード、マウス、タッチスクリーン、マイクなどの1つ以上のユーザ入力装置1250を含むが、いくつかの実施例では、計算装置1200は、遠隔サーバ又はクラウドサーバなど、こうしたユーザ入力装置がない場合がある。計算装置1200はまた、ユーザに視覚的出力を提供するための表示装置1240を含む。しかしながら、当然のことながら、ユーザ入力装置又は表示装置は、いくつかの実施例では任意であってもよい。
【0075】
計算装置1200はまた、通信インターフェース1240を含む。いくつかの実施例では、通信インターフェース1230は、ローカルエリアネットワーク(「LAN」)、インターネットなどのワイドエリアネットワーク(「WAN」)、メトロポリタンエリアネットワーク(「MAN」)、ポイントツーポイント又はピアツーピア接続などを含む、1つ以上のネットワークを使用して通信を可能にし得る。他の装置との通信は、任意の適切なネットワーキングプロトコルを使用して達成され得る。例えば、1つの適切なネットワーキングプロトコルは、インターネットプロトコル(以下、IP)、伝送制御プロトコル(以下、TCP)、ユーザデータグラムプロトコル(以下、UDP)、又はTCP/IP若しくはUDP/IPなどのそれらの組み合わせを含み得る。
【0076】
本明細書における方法及びシステムのいくつかの実施例は、様々な機械上で実行されるソフトウェアに関して記載されるが、方法及びシステムはまた、本開示による様々な方法を実行するために、特にフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)など、特別に構成されたハードウェアとして実装されてもよい。例えば、実施例は、デジタル電子回路、又はコンピュータハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、若しくはそれらの組み合わせで実装され得る。一実施例では、装置は、プロセッサを含んでもよい。プロセッサは、プロセッサに結合されたランダムアクセスメモリ(RAM)などのコンピュータ可読媒体を含む。プロセッサは、1つ以上のコンピュータプログラムを実行するなど、メモリ内に記憶されたコンピュータ実行可能プログラム命令を実行する。こうしたプロセッサは、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、及びステートマシンを含んでもよい。こうしたプロセッサは、PLC、プログラム可能割り込みコントローラ(PIC)、プログラマブル論理装置(PLD)、プログラマブル読み出し専用メモリ(PROM)、電子プログラマブル読み出し専用メモリ(EPROM又はEEPROM)、又はその他の類似の装置などのプログラマブル電子装置を更に含み得る。
【0077】
こうしたプロセッサは、プロセッサによって実行されたときに、プロセッサによって行われるか、又はプロセッサによって支援されるものとして、本開示による方法をプロセッサに実施させることができる、プロセッサ実行可能命令を記憶し得る、媒体(例えば、1つ以上の非一時的コンピュータ可読媒体)を含み得るか、又は媒体と通信し得る。非一時的コンピュータ可読媒体の実施例には、限定されるものではないが、プロセッサ実行可能命令を有するプロセッサなどのプロセッサをウェブサーバに提供することができる、電子、光学、磁気、又はその他の記憶装置が含まれ得る。非一時的コンピュータ可読媒体のその他の例には、以下に限定されないが、フロッピーディスク、CD-ROM、磁気ディスク、メモリチップ、ROM、RAM、ASIC、構成されたプロセッサ、全ての光学媒体、全ての磁気テープ若しくは他の磁気媒体、又はコンピュータプロセッサが読み取ることができる任意の他の媒体が含まれる。説明されるプロセッサ及び処理は、1つ以上の構造にあってもよく、1つ以上の構造を通して分散されてもよい。プロセッサは、本開示による方法(又は方法の一部)を実行するためのコードを含んでもよい。
【0078】
いくつかの実施例の前述の説明は、例示及び説明の目的にのみ提示されており、網羅的であるか、又は本開示の正確な形態を限定することを意図するものではない。本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく、その数多くの改変及び適合が当業者に明らかとなるであろう。
【0079】
本明細書における実施例又は実施への言及は、実施例に関連して記述される特定の特徴、構造、動作、又はその他の特性が、本開示の少なくとも1つの実装に含まれ得ることを意味する。本開示は、そのように記載される特定の実施例又は実装に限定されない。「1つの実施例での」、「ある実施例での」、「1つの実装での」、又は「ある実装では」語句の記載、若しくは本明細書の様々な箇所でのその変形例は、必ずしも同一の実施例又は実装を指すものではない。1つの実施例又は実装に関連して、本明細書に記述される任意の特定の特徴、構造、動作、又はその他の特性は、他の任意の実施例又は実装に関して記述される他の特徴、構造、動作、又はその他の特性と組み合わせられ得る。
【0080】
本明細書における用語「or(又は)」の使用は、包括的かつ排他的なOR条件を網羅することを意図する。言い換えれば、A又はB又はCは、特定の使用に適切な場合、以下の代替的な組み合わせ:A単独、B単独、C単独、A及びBのみ、A及びCのみ、B及びCのみ、並びにA及びB及びCのいずれか又は全てを含む。
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図6A
図6B
図6C
図6D
図6E
図7A-7B】
図7C-7D】
図7E
図8
図9
図10
図11
【国際調査報告】