(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-30
(54)【発明の名称】ミニマルリスクマニューバを遂行するための車両及び前記車両の作動方法
(51)【国際特許分類】
G08G 1/16 20060101AFI20231122BHJP
【FI】
G08G1/16 C
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023525947
(86)(22)【出願日】2021-10-20
(85)【翻訳文提出日】2023-04-26
(86)【国際出願番号】 KR2021014657
(87)【国際公開番号】W WO2022092682
(87)【国際公開日】2022-05-05
(31)【優先権主張番号】10-2020-0140550
(32)【優先日】2020-10-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591251636
【氏名又は名称】現代自動車株式会社
【氏名又は名称原語表記】HYUNDAI MOTOR COMPANY
【住所又は居所原語表記】12, Heolleung-ro, Seocho-gu, Seoul, Republic of Korea
(71)【出願人】
【識別番号】500518050
【氏名又は名称】起亞株式会社
【氏名又は名称原語表記】KIA CORPORATION
【住所又は居所原語表記】12, Heolleung-ro, Seocho-gu, Seoul, Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100217940
【氏名又は名称】三並 大悟
(72)【発明者】
【氏名】ヤン、ミンクク
(72)【発明者】
【氏名】パク、ジョンソン
(72)【発明者】
【氏名】ジャン、チャンジョン
(72)【発明者】
【氏名】ミン、ヨンビン
【テーマコード(参考)】
5H181
【Fターム(参考)】
5H181AA01
5H181BB04
5H181CC03
5H181CC04
5H181CC14
5H181EE13
5H181FF04
5H181FF27
5H181FF33
5H181FF35
5H181LL01
5H181LL02
5H181LL08
5H181LL09
5H181LL11
5H181MB07
(57)【要約】
ミニマルリスクマニューバを支援する車両が開示される。前記車両は、走行を遂行し、走行中に特定のイベントが発生した場合、ミニマルリスクマニューバを遂行し、ミニマルリスクマニューバの開始によって車両の危険を除去し、車両の危険が除去されればミニマルリスクマニューバを終了し、ミニマルリスクマニューバが終了した後に再び走行を遂行することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ミニマルリスクマニューバを遂行するための車両において、
前記車両の周辺環境を感知して関連データを生成するセンサ;
前記車両の状態をモニタリングして関連データを生成し、前記車両の自動運転を制御するプロセッサ;
前記プロセッサの制御により、前記車両の作動を制御するコントローラ;及び
前記プロセッサは、
前記車両の状態の中で少なくとも1つに異常があると判断した場合、前記車両のミニマルリスクマニューバの要請を生成し、
前記車両の状態をもとに、複数のタイプの中でいずれかのタイプをミニマルリスクマニューバタイプに決定し、
前記ミニマルリスクマニューバタイプの内容に従って、前記車両のミニマルリスクマニューバを遂行するように前記コントローラを制御する、
車両。
【請求項2】
前記複数のタイプは、
直進停止タイプ及び現在の車線停止タイプを含む、
請求項1に記載の車両。
【請求項3】
前記プロセッサは、
前記車両のステアリングが不可能な場合、前記直進停止タイプをミニマルリスクマニューバタイプに決定する、
請求項2に記載の車両。
【請求項4】
前記プロセッサは、
前記車両のステアリングが可能で、横車線の感知が不可能な場合、前記現在の車線停止タイプをミニマルリスクマニューバタイプに決定する、
請求項3に記載の車両。
【請求項5】
前記複数のタイプは、
車線変更プラス停止タイプをさらに含み、
前記プロセッサは、
前記車両のステアリングが可能で、横車線の感知が可能な場合、前記車線外停止タイプをミニマルリスクマニューバタイプに決定する、
請求項2に記載の車両。
【請求項6】
前記車線外停止タイプは、
車線変更プラス道路未離脱停止タイプ、路肩停止タイプ及び駐車線停止タイプを含む、
請求項5に記載の車両。
【請求項7】
前記センサは、
潜在的停止領域に関する情報をプロセッサに提供するようにさらに構成され、
前記プロセッサは、
前記潜在的停止領域に基づいてミニマルリスクマニューバタイプを決定するようにさらに構成される、
請求項6に記載の車両。
【請求項8】
前記プロセッサは、
前記潜在的停止領域がないか、又は前記車両が前記潜在的停止領域まで移動できない状態であると判断する場合、前記車線変更プラス道路未離脱停止タイプをミニマルリスクマニューバタイプに決定する、
請求項7に記載の車両。
【請求項9】
前記プロセッサは、
前記潜在的停止領域のうち駐車スペースがないか、又は前記車両が前記潜在的停止領域のうち駐車スペースまで移動できない状態であると判断し、前記潜在的停止領域のうち路肩まで移動できる状態であると判断する場合、前記路肩停止タイプをミニマルリスクマニューバタイプに決定する、
請求項8に記載の車両。
【請求項10】
前記プロセッサは、
前記車両が前記潜在的停止領域のうち駐車スペースまで移動できる状態であると判断する場合、前記駐車線停止タイプをミニマルリスクマニューバタイプに決定する、
請求項9に記載の車両。
【請求項11】
ミニマルリスクマニューバを遂行するための車両の作動方法において、
前記車両のミニマルリスクマニューバの要求を生成する第1段階;
前記車両の状態をモニタリングする第2段階;
前記車両の状態をもとに複数のタイプのうちいずれかのタイプをミニマルリスクマニューバタイプとして決定する第3段階;及び
前記ミニマルリスクマニューバタイプの内容に従って、前記車両のミニマルリスクマニューバを遂行する第4段階を含む、
方法。
【請求項12】
前記複数のタイプは、
直進停止タイプ及び現在の車線停止タイプを含む、
請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記第3段階は、
前記車両のステアリングが不可能な場合、直進停止タイプをミニマルリスクマニューバタイプに決定する段階を含む、
請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記第3段階は、
前記車両のステアリングが可能であり、横車線の感知が不可能な場合、現在の車線停止タイプをミニマルリスクマニューバタイプに決定する段階を含む、
請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記複数のタイプは、
車線変更プラス停止タイプをさらに含み、
前記第3段階は、
前記車両のステアリングが可能であり、横車線の感知が可能な場合、前記車線外停止タイプをミニマルリスクマニューバタイプに決定する段階を含む、
請求項12に記載の方法。
【請求項16】
前記車線外停止タイプは、
車線変更プラス道路未離脱停止タイプ、路肩停止タイプ及び駐車線停止タイプを含む、
請求項15に記載の方法。
【請求項17】
潜在的停止領域に関する情報を生成するステップをさらに含み、
前記第3段階は、
前記潜在的停止領域に基づいてミニマルリスクマニューバタイプを決定する段階を含む、
請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記第3段階は、
前記潜在的停止領域がないか、又は前記車両が前記潜在的停止領域まで移動できない状態であると判断する場合、前記車線変更プラス道路未離脱停止タイプをミニマルリスクマニューバタイプに決定する段階をさらに含む、
請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記第3段階は、
前記車両が前記潜在的停止領域のうち駐車スペースまで移動できる状態であると判断する場合、前記駐車線停止タイプをミニマルリスクマニューバタイプに決定する段階を含む、
請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記第3段階は、
前記潜在的停止領域のうち駐車スペースがないか、又は前記車両が前記潜在的停止領域のうち駐車スペースまで移動できない状態であると判断し、前記潜在的停止領域のうち路肩まで移動できる状態であると判断する場合、前記路肩停止タイプをミニマルリスクマニューバタイプに決定する段階を含む、
請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ミニマルリスクマニューバを遂行するための車両及び前記車両の作動方法に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、運転者の運転を支援するために、先進運転支援システム(Advanced Driver Assistance Systems)が開発されている。ADASは複数の下位技術分類を持っており、運転者に便宜を提供する。このようなADASは自動運転と呼ばれ、ADS(Automated Driving System)と呼ばれることもある。
【0003】
一方、車両が自動運転を遂行する場合、予測できなかった事故やイベントが発生することがあり、これらのイベントに対して適切な対処が行われない場合、車両は危険な状態に置かれることもある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示によれば、車両の走行中に発生するイベントによって、前記車両が危険に直面した場合、このような危険を除去(又は軽減)させるためのミニマルリスクマニューバ(MRM:Minimal Risk Maneuver)を遂行することができる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示による車両は、運転者の介入なしに自動運転を遂行し、自動運転中に特定のイベントが発生した場合、ミニマルリスクマニューバを遂行し、ミニマルリスクマニューバの開始によって車両のリスクを除去し、車両の危険が除去されればミニマルリスクマニューバを終了することで、最小危険状態(Minimal Risk Condition)に転換できる。
【発明の効果】
【0006】
本開示によると、車両が自動運転中に発生したイベントによって危険にさらされても、前記の危険を除去できるミニマルリスクマニューバを遂行することができる。これにより、前記の車両は危険から抜け出し、最小危険状態に転換でき、車両の走行安定性がさらに増大する効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図2】
図2は、本開示の第1実施例において、車両の状態を示すダイアグラムである。
【
図3】
図3は、本開示の第1実施例において、車両の作動を示すフローチャートである。
【
図4】
図4は、本開示の第1実施例において、ミニマルリスクマニューバの例示を示す。
【
図5】
図5は、本開示の第1実施例において、ミニマルリスクマニューバの例示を示す。
【
図6】
図6は、本開示の第1実施例において、ミニマルリスクマニューバの例示を示す。
【
図7】
図7は、本開示の第1実施例において、ミニマルリスクマニューバの例示を示す。
【
図8】
図8は、本開示の第1実施例において、ミニマルリスクマニューバの例示を示す。
【
図9】
図9は、本開示の第2実施例に従って、ミニマルリスクマニューバが行われる段階を説明するためのブロックダイアグラムである。
【
図10】
図10は、本開示の第2実施例において、MRM段階を説明するための図面である。
【
図11】
図11は、本開示の第2実施例において、MRMタイプを説明するための図面である。
【
図12】
図12は、本開示の第2実施例において、最小感知範囲を説明するための図面である。
【
図13】
図13は、本開示の第2実施例において、最小感知範囲を説明するための図面である。
【
図14】
図14は、本発明の第3実施例において、ミニマルリスクマニューバの種類を選択する方法を示すフローチャートである。
【
図15】
図15は、本開示の第4実施例において、ミニマルリスクマニューバにより安全地帯の停止動作を示すフローチャートである。
【
図16】
図16は、本出願の第5実施例において、緊急状況の判断及び前記緊急状況の処理を示すフローチャートである。
【
図17】
図17は、本開示の第6実施例において、ミニマルリスクマニューバによる報知を発生する方法を示すフローチャートである。
【
図18】
図18は、本開示の第7実施例において、制御権限を付与する方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付された図面を参照して、本開示を説明する。
【0009】
本開示で多数の実施例が説明される場合、各々の実施例は独立的な実施例でありうるが、二つ以上の実施例が混合されることもありうる。
【0010】
図1は、本開示の第1実施例による車両を示す。
図1を参照すると、車両100は自動運転(Automated Drive)を支援することができる。実施例によれば、車両100は運転者の操作なしで、ステアリング、加速、ブレーキ、変速又は駐車を遂行することができ、運転者の介入時には運転者の制御に従って走行することができる。例えば、車両100はSAE(Society of Automation Engineers)によるレベル3以上の水準に応じて自動運転が遂行できる車両を意味することができるが、本開示がこれに限定されるわけではない。
【0011】
例えは、本明細書で説明される自動運転は、PDCMS(Pedestrian Detection and Collision Mitigation System)、LCDAS(Lane Change Decision Aid System)、LDWS(Land Departure Warning System)、ACC(Adaptive Cruise Control)、 LKAS(Lane Keeping Assistance System)、RBDPS(Road Boundary Departure Prevention System)、CSWS(Curve Speed Warning System)、FVCWS(Forward Vehicle Collision Warning System)、LSF(Low Speed Following)などのADS機能の中で少なくとも一つを含めることができる。
【0012】
車両100は、センサ110、コントローラ120、プロセッサ130、ディスプレイ140及び通信回路150を含むことができる。
【0013】
センサ110は、車両100の周辺の環境を感知し、車両100の周辺に関連したデータを生成することができる。実施例によれば、センサ110は、カメラ、ライダ(Light Detection and Ranging(LIDAR))センサ、レーダ(Radio Detection and Ranging(RADAR))センサ及び位置センサの中で少なくとも一つを含むことができる。
【0014】
カメラは、車両100の周辺を撮影し、撮影結果によって車両100の周辺に対するイメージを生成することができる。カメラは、車両100の前方、後方及び/又は側方を感知し、感知結果によってイメージデータを生成することができる。例えば、カメラは、車両100の前方、後方及び/又は側方に位置する他の物体(例えば、他の車両、人、物体、車線、障害物)に対するイメージデータを生成することができる。
【0015】
実施例によれば、カメラは、イメージセンサ、イメージプロセッサ及びカメラMCUを含むことができる。例えば、レンズを通じて撮影された被写体のイメージをイメージセンサがセンシングし、イメージプロセッサがイメージセンサからそのデータを受信してプロセッシングし、カメラMCUはイメージプロセッサからそのデータを受信することができる。
【0016】
ライダセンサは、光(又はレーザ)を利用して、車両100の前方、後方及び/又は側方を感知し、感知結果によって感知データを生成することができる。例えば、ライダセンサは、車両100の前方、後方及び/又は側方に位置する他の物体(例えば、他の車両、人、物体、車線、障害物)を感知又は認識することができる。
【0017】
実施例によれば、ライダセンサは、レーザの送信モジュール、レーザの検出モジュール、信号収集及び処理モジュール、データの送受信モジュールで構成でき、レーザの光源は250nm~11μmの波長領域で波長を持ち、波長の変化が可能なレーザ光源が使用できる。また、ライダセンサは、信号の変調方式によって、TOF(Time of Flight)方式とphase shift方式に区分できる。
【0018】
レーダセンサは、電磁波(又は電波)を利用して、車両100の前方、後方及び/又は側方を感知し、感知結果によって感知データを生成することができる。例えば、レーダセンサは、車両100の前方、後方及び/又は側方に位置する他の物体(例えば、他の車両、人、物体、車線、障害物)を感知又は認識することができる。
【0019】
レーダセンサは、周波数変調搬送波(FMCW、Frequency Modulation Carrier Wave)又はパルス搬送波(Pulse Carrier)方式を利用して、水平角度30度の範囲で150m前方までの物体を感知することができる。レーダセンサは感知結果により生成されたデータをプロセッシングすることができ、このようなプロセッシングは、センシングした前方の物体を拡大したり、全体の視野領域の中で物体の領域にフォーカスを合わせたりすることを含むことができる。
【0020】
位置センサは、車両100の現在位置を測定することができる。実施例によれば、位置センサはGPSセンサを含むことができ、GPSセンサは衛星との通信を利用して車両100の位置、速度及び現在時間を測定することができる。実施例によれば、前記GPSセンサは、衛星から発射される電波の遅延時間を計測し、軌道からの距離における車両100の位置を求めることができる。
【0021】
コントローラ120は、プロセッサ130の制御によって車両100の動作を制御することができる。実施例によれば、コントローラ120は、車両100のステアリング、駆動、ブレーキ及び変速を制御することができる。例えば、コントローラ120は、車両100のステアリング、駆動、ブレーキ及び変速を遂行するための各構成要素を制御することができる。
【0022】
コントローラ120は、プロセッサ130の制御によって車両100のステアリングを制御することができる。実施例によれば、コントローラ120は、ステアリングホイールを駆動させる電動式パワーステアリングシステム(MDPS)に対する制御が遂行できる。例えば、コントローラ120は、車両の衝突が予想される場合に衝突を回避したり、被害の最小化ができる方向に車両のステアリングを制御したりすることができる。
【0023】
コントローラ120は、プロセッサ130の制御によって車両100の駆動を制御することができる。実施例によれば、コントローラ120は、車両100の減速、加速又はエンジンのオン/オフを遂行することができる。例えば、コントローラ120は、プロセッサ130の制御によって、加速又は減速を遂行でき、車両100の運行の開始又は終了時にエンジンのオン/オフを遂行することができる。
【0024】
また、コントローラ120は、運転者の制御なしに、車両100の走行を制御することができる。例えば、コントローラ120は、プロセッサ130の制御に従って車両100の自動運転を遂行することができる。
【0025】
コントローラ120は、プロセッサ130の制御によって車両100のブレーキを制御することができる。実施例によれば、コントローラ120は車両100のブレーキが動作するか否かを制御し、ブレーキの踏力を制御することができる。例えば、コントローラ120は衝突が予想される場合などに自動的に緊急ブレーキを作動させるように制御できる。
【0026】
プロセッサ130は、車両100の全般的な動作を制御することができる。実施例によれば、プロセッサ130は、車両100内の構成要素を統合的に制御できるECU(Electrical Control Unit)でありうる。例えば、プロセッサ130は、演算処理が遂行できるCPU(Central Processing Unit)又はMCU(Micro Processing Unit)を含むことができる。
【0027】
プロセッサ130は、車両100の制御に関する判断を遂行し、判断結果によってコントローラ120を制御することができる。実施例によれば、プロセッサ130は、センサ110からデータを受信し、受信されたデータに基づいてコントローラ120を制御するための制御命令を生成することができる。プロセッサ130は、制御命令をコントローラ120に転送することができる。また、プロセッサ130は、運転者の入力又は制御を受信し、運転者の入力に応じてコントローラ120を制御することができる。
【0028】
一方、以上ではコントローラ120とプロセッサ130とが分離された構成要素であることを仮定して説明したが、実施例によれば、コントローラ120とプロセッサ130とが一つの構成要素として統合できる。例えば、コントローラ120とプロセッサ130とは一つの装置として統合され、互いに連動することができる。
【0029】
ディスプレイ140は、車両100に関する情報を視覚的に表示することができる。実施例によれば、ディスプレイ140は、プロセッサ130の制御に従って、車両100の運転者に車両100に関する様々な情報を提供することができる。例えば、ディスプレイ140は、プロセッサ130の制御によって車両100の現状態を視覚的に表示することができる。
【0030】
通信回路150は、車両100の外部と通信することができる。実施例によれば、通信回路150は、プロセッサ130の制御に従って、車両100の外部からデータを受信し、又は車両100の外部にデータを伝送することができる。例えば、通信回路150は、無線通信プロトコル又は有線通信プロトコルを利用して通信を遂行することができる。
【0031】
例えば、車両100は、通信回路150を利用して、他の車両と通信し(Vehicle to Vehicle)、又はインフラと通信(Vehicle to Infra)することができる。
【0032】
図2は、本開示の第2実施例において、車両の状態を示すダイアグラムである。
図1及び
図2を参照すると、車両100の状態は
図2に示すダイアグラムによって変化(又は遷移)できる。
【0033】
車両100の状態は、走行状態S1、ミニマルリスクマニューバ(Minimal Risk Maneuver(MRM))の状態S2、最小危険条件状態S3及びミニマルリスクマニューバの終了状態S4の中でいずれかの一つでありうる。実施例によれば、状態S1~S4は、特定条件が達成される場合、他の状態に遷移することができる。
【0034】
走行状態S1は、車両100が走行中の状態を意味することができる。実施例によれば、走行状態S1における車両100は、プロセッサ130の制御に従って走行することができる。例えば、走行状態S1は、車両100が自動運転中の状態を意味することができる。
【0035】
ミニマルリスクマニューバの状態S2は、車両100がミニマルリスクマニューバの要請に応じてミニマルリスクマニューバを遂行する状態を意味することができる。実施例によれば、走行中の車両100は、ミニマルリスクマニューバが必要な場合、ミニマルリスクマニューバを開始することができる。すなわち、走行状態S1は、ミニマルリスクマニューバの状態S2に遷移することができる。
【0036】
ミニマルリスクマニューバの状態S2において、車両100は、車両100の危険を減少させるための操作を遂行することができる。実施例によれば、車両100は、様々な方法でミニマルリスクマニューバが必要であるか否かを判断し、前記ミニマルリスクマニューバが必要な場合、ミニマルリスクマニューバに対する要請を生成することができる。例えば、車両100は、ステアリング、減速、加速、車線変更及び緊急ブレーキの中で少なくとも一つを遂行してミニマルリスクマニューバを遂行することができる。ミニマルリスクマニューバは、車両100の他の安全機能(例えば、自動緊急ブレーキ、歩行者の衝突感知ブレーキ、自転車の衝突感知ブレーキなど)を抑制しない。すなわち、ミニマルリスクマニューバと車両100の他の安全機能は、並列的又は順次に遂行できる。
【0037】
ミニマルリスクマニューバが開始されれば、車両100は既存の走行より優先してミニマルリスクマニューバを遂行し、運転者の制御権限を持ち込むことができる。すなわち、車両100は、既存に設定された走行を取り消し又は中止し、ミニマルリスクマニューバを遂行することができる。
【0038】
車両100が自動運転を遂行する場合、このような自動運転が続くことを防止する特定のイベントが発生することがある。前記特定のイベントが発生した場合、車両100は、(予測できなかった)危険な状態に置かれることがある。このような危険な状態を解消(又は軽減)させるために、車両100に対するミニマルリスクマニューバを遂行することができる。例えば、車両100は、特定のイベントを自動的に感知し、前記特定のイベントの発生に応じて自動的にミニマルリスクマニューバを遂行することができる。
【0039】
前記特定のイベントとは、車両100の構成要素の故障、車両100の経路逸脱又は車両100の制御失敗などを含むことができる。
【0040】
実施例によれば、車両100は、自動運転、自動運転を遂行するための構成要素、又は他の車両100の構成要素が故障した場合にミニマルリスクマニューバを遂行することができる。
【0041】
また、実施例によれば、車両100が運行設計領域(Operational Design Domain(ODD))の境界に接近する場合に、ミニマルリスクマニューバを遂行することができる。前記運行設計領域は、車両100の自動運転を許容するために設計された走行可能な区間でありうる。例えば、車両100が運行設計領域の内部から前記運行設計領域の外側の境界に接近する場合、車両100はミニマルリスクマニューバを遂行することができる。
【0042】
また、実施例によれば、車両100は、運転者への車両100の制御権限の転換(take over)が失敗した場合、ミニマルリスクマニューバを遂行することができる。車両100は、自動運転モードから手動運転モードに変更される時(例えば、レベル3の自動運転の場合)、運転者が車両100の制御(例えば、SAEの動的運転タスク(Dynamic Driving Task(DDT))を失敗した場合、ミニマルリスクマニューバが開示されることがある。例えば、自動運転モードから手動運転モードに変更される時、車両100の運転者への制御権限の転換が失敗した場合、ミニマルリスクマニューバを開始することができる。すなわち、運転者による特定の制御動作(例えば、ブレーキ作動又はステアリングなど)が要求されるにもかかわらず、運転者が前記特定の制御動作を遂行しない場合、ミニマルリスクマニューバが開示されることができる。
【0043】
ミニマルリスクマニューバが行われない場合、車両100は(自動)運転の誤作動によって、他の車両、歩行者又は他の構造物と衝突する可能性があり、これにより運転者、搭乗者又は歩行者は負傷することがある。さらに、前記の誤作動により、車両100は道路の外に外れることもできる。すなわち、ミニマルリスクマニューバがない場合、車両100の自動運転は期待通りにうまく遂行されないこともある。このような、望まない特定のイベントの発生を避けるために、ミニマルリスクマニューバは必要である。
【0044】
ミニマルリスクマニューバの状態S2で、すなわちミニマルリスクマニューバが開始されれば、車両100は、車両100の周辺の危険が解消され、無危険状態が保障されるまで、車両100、車両100の運転者又は搭乗者の危険を最小化する動作を遂行することができる。
【0045】
実施例によれば、車両100は、ミニマルリスクマニューバの開始により、車両の停止、車両のステアリング制御、車線維持、視覚的、聴覚的及び触覚的報知の提供、車両の減速、車両の加速、自動運転の開始/終了、車両の始動のオフ、緊急信号の伝送、非常灯の制御、速度減少の警告、ブレーキ灯の制御、他の搭乗客への制御権限の委譲及び遠隔制御の中で少なくとも一つを遂行することができる。
【0046】
最小危険条件状態S3は、車両100の危険が除去されたり、減少されたりする状態を意味することができる。実施例によれば、車両100によるミニマルリスクマニューバが遂行されることにより、車両100の危険を除去することができる。すなわち、ミニマルリスクマニューバの状態S2は、最小危険条件状態S3に遷移することができる。例えば、最小危険条件は、車両100が安定した状態又は車両100が停止した場合を意味することができる。このような最小危険条件は、運転者の操作又は車両100自らによって達成できる。
【0047】
最小危険条件は、車両100の危険が除去された場合に達成することができる。言い換えれば、最小危険条件を達成するために、ミニマルリスクマニューバを遂行することができる。
【0048】
一方、最小危険条件が達成されなければ、車両100は、ミニマルリスクマニューバを継続することができる。この場合、ミニマルリスクマニューバの状態S2からの最小危険条件状態S3への遷移は発生しないことがある。例えば、車両100は、最小危険条件が達成されない場合、ミニマルリスクマニューバのための車両100の制御以外の制御は無視(ignore)できる。すなわち、ミニマルリスクマニューバが開始されれば、車両100は運転者の制御と関係なくミニマルリスクマニューバを継続して遂行する。
【0049】
ミニマルリスクマニューバの終了状態S4は、車両100のリスクが除去され(すなわち、最小危険条件の達成)、ミニマルリスクマニューバが終了した状態を意味することができる。すなわち、最小危険条件状態S3はミニマルリスクマニューバの終了状態S4に遷移することができる。
【0050】
実施例によれば、ミニマルリスクマニューバが遂行された後、車両100の最小危険条件が達成された場合、車両100はミニマルリスクマニューバを終了することができる。例えば、車両100が停止した場合、ミニマルリスクマニューバは中止又は終了することができる。
【0051】
実施例によれば、車両100は、ミニマルリスクマニューバの条件が達成され、基準時間が経過した場合、ミニマルリスクマニューバを終了することができる。例えば、車両100は、ミニマルリスクマニューバが行われ、車両100が停止された場合、前記停止状態が基準時間のあいだ維持されれば、ミニマルリスクマニューバを終了することができる。
【0052】
ミニマルリスクマニューバが終了した後、車両100は再び走行を開始することができる。実施例によれば、車両100は、ミニマルリスクマニューバが終了すると、運転者の操作又はプロセッサ130の制御に従って、新しい走行を開始したり、又は既存の走行を継続したりすることができる。
【0053】
総合的に、
図2のダイアグラムを参照すると、本開始による車両100は(自動)運転を遂行することができる(すなわち、走行状態S1)。車両100の走行中に特定のイベントが発生した場合、車両100はミニマルリスクマニューバを遂行することができる(すなわち、ミニマルリスクマニューバ状態S2)。ミニマルリスクマニューバが開始されれば、車両100の危険は除去される(すなわち、最小危険条件状態S3)。車両100の危険が除去された場合、ミニマルリスクマニューバは終了する(すなわち、ミニマルリスクマニューバの終了状態S4)。ミニマルリスクマニューバが終了した後、車両100は再び走行を遂行することができる。
【0054】
図3は、本開示の第1実施例において、車両の作動を示すフローチャートである。
図1ないし
図3を参照すると、ミニマルリスクマニューバの要請が発生する(S110)。実施例によれば、プロセッサ130は、車両100及び車両100の周辺の状態を感知し、検出結果に応じてミニマルリスクマニューバの要請を生成することができる。又は、車両100は、外部から伝達されるミニマルリスクマニューバの要請を認識することができる。前記ミニマルリスクマニューバの要請は、車両100にミニマルリスクマニューバを遂行させる任意の命令を意味することができる。
【0055】
車両100は、ミニマルリスクマニューバの要請があった場合、故障状態を判断することができる(S120)。実施例によれば、車両100は、車両100の構成要素の状態をモニタリングし、故障した構成要素を識別することができる。車両100は、車両100の構成要素のそれぞれの状態をリアルタイムでモニタリングできる。車両100はセンサ110のうち、現在に使用可能な(又は動作可能な)センサが何かを判断することができる。
【0056】
また、車両100は、故障状態及び前記故障状態の原因(又は状況)を判断することができる。例えば、車両100は、判断された故障状態を誘発した原因を追加的に判断することができる。
【0057】
車両100は、ミニマルリスクマニューバの種類を選択できる(S130)。実施例によれば、車両100は、故障状態の判断結果に基づいて、現在の故障状態に適したミニマルリスクマニューバの種類を選択することができる。
【0058】
前記ミニマルリスクマニューバの種類は、車両の停止、車両のステアリング制御、車線維持、視覚的、聴覚的及び触覚的報知の提供、車両の減速、車両の加速、自動運転の開始/終了、車両の始動のオフ、緊急信号の伝送、非常灯の制御、速度減少の警告、ブレーキ灯の制御、他の搭乗客への制御権限の移譲及び遠隔制御の中で少なくとも一つを含むことができる。
【0059】
車両100は、選択されたミニマルリスクマニューバの種類を利用して、ミニマルリスクマニューバを開始することができる(S140)。実施例によれば、車両100は、選択されたミニマルリスクマニューバの種類に応じて車両100を制御することができる。例えば、車両100のプロセッサ130は、選択されたミニマルリスクマニューバの種類に対応する制御命令をコントローラ120に転送し、コントローラ120は制御命令に従って車両100を制御することができる。
【0060】
図4は、本開示の第1実施例において、ミニマルリスクマニューバの例示を示す。
図1ないし
図4を参照すると、車線変更のないミニマルリスクマニューバと車線変更のあるミニマルリスクマニューバとが示されている。すなわち、車両100は、ミニマルリスクマニューバの開始により、車線変更なしに車両100に対するミニマルリスクマニューバを遂行でき、又は車線変更と共に車両100に対するミニマルリスクマニューバを遂行することができる。車線変更のないミニマルリスクマニューバは直進停止、現在の車線停止を含めることができ、車線外停止は隣接の車線停止及び路肩停止を含むことができる。車線変更プラス停止(Lane Change plus Stop)は車線外停止を意味することができる。
【0061】
車両100は、現在の故障状態及び使用可能なセンサの種類(センサの有効性)に基づいて、直進停止、現在の車線停止、車線外停止の中で少なくとも一つを遂行することができる。
【0062】
直進停止とは、車両100の側方向の制御なしに縦方向(すなわち、走行方向)の制御の遂行によって行われる停止を意味する。実施例によれば、車両100は、車両100のステアリング制御なしの減速を通じて直進停止を遂行することができる。例えば、車両100は、車両100のステアリングを制御せずに、減速(例えば、ブレーキ作動)することで直進停止を遂行することができる。
【0063】
車両100のブレーキ制御のみが可能で、他の制御機能が故障した場合、車両100のブレーキを制御したり、又は車両100の駆動力を除去したりすることによって、直進停止を遂行することができる。
【0064】
現在の車線停止とは、車両100がミニマルリスクマニューバの開始前に走行中の車線(すなわち、現在の車線)で行われる停止を意味する。実施例によれば、車両100は、現在の車線停止により、走行中の現在の車線の境界範囲内で停止することができる。例えば、車両100は、センサ110を利用して現在の車線を認識し、ステアリング機能を利用して現在の車線に沿って車両100のステアリングを制御することによって、前記現在の車線の境界内で停止することができる。
【0065】
実施例によれば、車両100は、横方向及び縦方向の制御、又は横方向の制御を通じて現在の車線停止を遂行することができる。
【0066】
例えば、車両100のステアリング及びブレーキ制御が可能であり、現在の車線の前方及び後方の感知が可能な場合、車両100は横方向及び縦方向の制御を通じて現在の車線を維持しながらスムーズな停止を遂行することによって、現在の車線停止を遂行することができる。
【0067】
例えば、車両100のステアリング制御が可能で、現在の車線の前方及び後方の感知が可能な場合、車両100は横方向の制御を通じて現在の車線を維持しながら急停止を遂行することによって、現在の車線停止を遂行することができる。この場合、ブレーキ制御が正常に作動しないことがありうる。
【0068】
車線外停止とは、車両100のミニマルリスクマニューバの開始前に走行中の車線(すなわち、現在の車線)の外で行われる停止を意味する。実施例によれば、車両100は、ステアリング制御機能を利用して走行中の現在の車線から外れて停止することができる。例えば、車両100は、現在の車線と隣接する他の車線の境界範囲内で停止し、又は路肩の範囲内で停止することができる。
【0069】
車両100は、センサ110を利用して現在の車線と隣接した他の車線を認識し、前記他の車線の境界内に停止することができる。このとき、車両100は、センサ110を利用して現在の走行車線から他の車線への車線変更を遂行することができる。
【0070】
車両100は、センサ110を利用して路肩を認識し、前記現在の路肩の境界内に停止することができる。このとき、車両100は、路肩を識別するための条件(例えば、実線車線)を適用して、隣接した車線が路肩であるか否かを判断することができる。
【0071】
実施例によれば、車両100は横方向及び縦方向の制御を通じて車線外停止を遂行することができる。
【0072】
例えば、車両100のステアリング及びブレーキ制御が可能であり、現在並びに横車線の前方及び後方の感知が可能な場合、車両100は横方向及び縦方向の制御を通じて、現在の車線を変更しながらスムーズな停止又は急停止を行うことにより車線外停止を遂行することができる。また、車両100はステアリングおおびブレーキ制御が可能であり、現在並びに横車線の前方及び後方の感知が可能な場合、車両100は横方向及び縦方向の制御を通じて、現在の車線を変更しながらスムーズな停止又は急停止を行うことにより路肩停止を遂行することができる。
【0073】
図5は、本開示の第1実施例において、ミニマルリスクマニューバの例示を示す。車両100は、
図5に示す例示に従ってミニマルリスクマニューバを遂行することができる。
図5を参照すると、車両100は、運転者(又は人)に関連した故障が発生したり、運行設計領域(ODD)を外れたり、又はやむを得ない外部的状況による故障が発生したりする場合、ミニマルリスクマニューバを遂行することができる。
【0074】
車両100は、運転者が車両100の制御を遂行しない場合、報知を発生(又は提供)することができる。実施例によれば、車両100は、能動運転者モニタリングを行って運転者の状態を感知し、感知結果によって運転者への制御権限の転換が準備されていない場合、報知の提供機能を利用して運転者に制御権限の転換の準備に対する報知を提供することができる。例えば、車両100は、視覚的、聴覚的又は触覚的報知を通じて運転者に制御権限の転換準備に対する報知を提供することができる。
【0075】
車両100は、運転者が応答しない場合、自動運転を遂行することができる。実施例によれば、車両100は、能動的運転者モニタリングを行って運転者の状態を感知し、感知結果によって運転者が制御権限の転換準備に対する応答がない場合(すなわち、制御権限の転換が不可能な場合)、運転者に制御権限を転換することなく自動運転を遂行することができる。
【0076】
車両100は、運行設計領域(ODD)を外れた場合、車両100の速度を減少させたり、車両100を停止させたりすることができる。実施例によれば、運行設計領域(ODD)から外れた場合、車両100は、ステアリング制御、加速制御、ブレーキ制御の中で少なくとも一つを利用して、車両100の速度を減少させるか、又は車両100を停止させることができる。
【0077】
車両100は、道路の形態(カーブ外れ、交差点又は回転交差点)、道路の表面状態(ポットホール(pot hole)、バンプ、凍った道、浸水(water))、天気(雨、霧、雪)、及びにその他(速度制限、交通渋滞など)の有無を感知して車両100が運行設計領域(ODD)から外れているか否かを判断し、判断結果によって、車両100の速度を減少させるか、又は車両100を停止させるかができる。
【0078】
車両100は、やむを得ない外部的状況による故障が発生した場合、車両100の速度を減少させたり、車線内停止を行ったり、又は(非常)路肩停止を遂行することができる。実施例によれば、やむを得ない外部的状況による故障が発生した場合、車両100はステアリング制御、加速制御及びブレーキ制御の中で少なくとも一つを利用して、車両100の速度を減少させるか、車線内停止を行うか、又は(非常)路肩停止を行うかを遂行することができる。
【0079】
車両100は、他の車両による衝突、又は車両の構成要素に故障が発生した場合(タイヤパンクなど)を判断し、判断結果によって、車両100の速度を減少させるか、車線内停止を遂行するか、又は(非常)路肩停止を遂行するかを行うことができる。
【0080】
図6は、本開示の第1実施例において、ミニマルリスクマニューバの例示を示す。車両100は、
図6に示す例示に従ってミニマルリスクマニューバを遂行することができる。
図6を参照すると、車両100は、制御システムに故障が発生した場合、ミニマルリスクマニューバを遂行することができる。
【0081】
車両100は、アクチュエイション(駆動)機能に故障が発生した場合、ミニマルリスクマニューバを遂行することができる。
【0082】
例えば、ステアリング機能に故障が発生すると、車両100は加速制御及びブレーキ制御の中で少なくとも一つを利用して、車線内停止を行うか、又は車両100の速度を減少させることができる。
【0083】
例えば、加速手段に故障が発生すると、車両100はステアリング制御及びブレーキ制御の中で少なくとも一つを利用して、車線内停止、減速、又は路肩停止を遂行することができる。
【0084】
例えば、減速手段に故障が発生すると、車両100はステアリング制御及び加速制御の中で少なくとも一つを利用して、路肩停止を遂行することができる。
【0085】
例えば、他の駆動手段に故障が発生した場合、車両100はステアリング制御、加速制御及びブレーキ制御の中で少なくとも一つを利用して、車線内停止、減速、又は路肩停止を遂行することができる。
【0086】
車両100は、自動運転機能に故障が発生した場合、ミニマルリスクマニューバを遂行することができる。
【0087】
例えば、車線感知機能に故障が発生した場合、車両100は前方の車両追従機能を利用して、車線内停止又は減速を遂行することができる。
【0088】
例えば、前方の物体感知機能に故障が発生すると、車両100はステアリング制御及びブレーキ制御の中で少なくとも一つを利用して、車線内停止を遂行することができる。
【0089】
例えば、後方及び側方の物体感知機能に故障が発生すると、車両100はステアリング制御及びブレーキ制御の中で少なくとも一つを利用して、車線内停止又は減速を遂行することができる。
【0090】
例えば、自動運転ECUに故障が発生した場合、車両100は代替の自動運転ECUを利用して、車線内停止又は減速を遂行することができる。
【0091】
例えば、車内ネットワークに故障が発生すると、車両100はネットワークリダンダンシー(Network Redundancy)を利用して、車線内停止又は減速を遂行することができる。すなわち、車内ネットワークに故障が発生しても、事前に確保されたリダンデンシーを利用してネットワーク上で命令を伝達することにより、車線内の停止又は減速を遂行することができる。
【0092】
例えば、コネクテッド自動運転(connected ADS)のための連結に故障が発生した場合、車両100はステアリング制御及びブレーキ制御の中で少なくとも一つを利用して、車線内停止、減速又は路肩停止を遂行することができる。
【0093】
図7は、本開示の第1実施例において、ミニマルリスクマニューバの例示を示す。車両100は、
図7に示す例示に従ってミニマルリスクマニューバを遂行することができる。
図7を参照すると、車両100は運転者(又は人)が誤って行動したり、又は制御システムに故障が発生したりする場合、ミニマルリスクマニューバを遂行することができる。
【0094】
車両100は、運転者(又は人)に関連する故障が発生した場合、運転者に報知を提供することができる。実施例によれば、車両100は能動運転者モニタリングを行って運転者の状態を感知し、運転者(又は人)に関連した故障が発生した場合、視覚的、聴覚的又は触覚的報知を運転者に提供することができる。例えば、車両100は速度減少の警告を運転者に提供することができる。
【0095】
車両100は、制御システムに故障が発生した場合、外部に報知を提供し、又は車両100の縦方向の制御を遂行することができる。
【0096】
例えば、制御システムに故障が発生した場合、車両100は点灯の制御を利用して、非常灯をターンオン又はターンオフしたり、通信制御機能(又はネットワークリダンデンシー)を利用して、緊急メッセージを交通管制センターに伝送したりすることができる。
【0097】
例えば、制御システムに故障が発生した場合、車両100はブレーキ制御機能を利用して、車両100の速度を減速させたり、電源制御機能を利用してエンジン(又は駆動手段)の電源をターンオフさせたり、又はステアリング及びブレーキ制御を利用して車線内停止を遂行することができる。
【0098】
図8は、本開示の第1実施例において、ミニマルリスクマニューバの例示を示す。車両100は、
図8に示す例示に従ってミニマルリスクマニューバを遂行することができる。
図8を参照すると、車両100は制御システムに故障が発生した場合、ミニマルリスクマニューバを遂行することができる。
【0099】
車両100は、制御システムに故障が発生した場合、車両100の縦方向の制御を遂行するか、又は制御権限を移譲(又は転換)することができる。
【0100】
例えば、制御システムに故障が発生した場合、車両100は、ステアリング機能、加速機能及びブレーキ機能の中で少なくとも一つを利用して、車両100の走行車線を維持したり、路肩停止を遂行したり、又は直前のステアリング角を維持することができる。
【0101】
例えば、制御システムに故障が発生した場合、車両100は、電源制御機能及び権限リダンダンシー機能を利用して、自動運転機能のターンオン/ターンオフを制御することができる。車両100は、車両100の始動をターンオフすることで自動運転機能をターンオフし、又は車両100の自動運転に対する権限を他の主体(例えば、運転者)に転換することで自動運転機能をターンオフすることができる。車両100は、これとは反対の方式で、自動運転機能をターンオンすることができる。
【0102】
例えば、制御システムに故障が発生した場合、車両100は権限リダンデンシー機能を利用して他の乗客への権限転換を遂行することができる。車両100は、制御権限を他の搭乗客に転換して手動運転モードに転換することができる。
【0103】
例えば、制御システムに故障が発生した場合、車両100は通信制御機能及び権限リダンデンシー機能の中で少なくとも一つを利用して遠隔制御を遂行することができる。車両100は、車両100の制御権限を外部に転換することで、車両100が遠隔制御されるように制御できる。
【0104】
図9は、本開示の第2実施例に従って、ミニマルリスクマニューバが遂行される段階を説明するためのブロックダイアグラムである。
【0105】
ADSによって自動運転が遂行されたいる間、自動運転が持続できないイベントが発生することがある。例えば、自動運転レベル3~5の自動運転システムの故障に該当するイベントが発生することがある。あるいは、自動運転レベル3又は4の自動運転車がODD(Operational Design Domain)制限に違反する危険に直面しているイベントがありうる。ODDとは、運行設計領域として道路の境界などを示すことができる。又は、自動運転レベル3~5のシステムにおいて、ADSが運転者の介入要請をしたにもかかわらず、運転者が運転権限を持ち込めないイベントが発生することもありうる。
【0106】
このような状況で、ADSはミニマルリスクマニューバを遂行することによって、車両搭乗客の安全を保障することができ、そのためにシステムは最も適切なMRMタイプを選択しなければならない。その選択に当たっては、当該車両の状態、周辺の交通状況などが考慮されることがある。ミニマルリスクマニューバが遂行されれば、車両は縦方向への停止を遂行するようになり、横方向への制御が可能な場合には横方向への制御も共に遂行できる。
【0107】
本開示は、以下の五つのMRMタイプを提示する。しかし、本開示の範囲はこれに限定されるものではなく、同一又は類似した形態の他のMRMタイプも含むことができる。
【0108】
MRMの第1タイプとして、直進停止は、縦方向の停止のみ遂行されるもので、縦方向の制御は伴わない。
【0109】
MRMの第2タイプとして、車線内停止(in Lane Stop)は、車両が既存に走行中であった車線の境界以内で停止するタイプである。
【0110】
MRMの第3タイプとして、車線変更プラス道路未離脱停止(Lane Change Plus Stop in Traffic Lane)は、複数の車線が存在する道路の境界以内でありながら、車線変更が伴って停止するタイプである。
【0111】
MRMの第4タイプとして、路肩停止(Shoulder Stop)は、車線変更が伴われ、道路の境界を外れて路肩に停止するタイプである。
【0112】
MRMの第5タイプとして、駐車線停止(Parking Lane Stop)は、車線変更が伴われ、道路の境界を離脱して駐車線内に停止するタイプである。
【0113】
本開示で言及される車両とは、自車両(Subject Vehicle)及びターゲット車両(Target Vehicle)を含むことができる。自車両とは、ミニマルリスクマニューバの対象となる車両を指し、ターゲット車両とは、自車両の周辺の車両として衝突の可能性がある車両を指す。
【0114】
また、本開示で言及される潜在的停止領域(potential stopping area)とは、自車両の現在位置から近接した領域として、自車両の停止が可能な領域を指す。例えば、HDマップのような位置情報、センサを通じて入力されるセンシング情報、通信装置を通じて入力される情報などを利用して潜在的停止領域が決定できる。
【0115】
また、本開示で言及される車線境界とは、視覚的に認識可能なマーキングによって決定でき、もし視覚的に認識可能なマーキングがない場合には、一時的に認識可能な道路の特徴が車線境界で決定されることもありうる。又は、GPSから受信する情報や通信装置から受信するV2V、V2I情報などを利用して車線境界が決定されることもできる。
【0116】
図9を参照すると、ADSが正常に動作する段階S910が図示される。この段階S910では、自動運転システム(ADS)が意図したことによって正常に機能を遂行する段階である。ADSは、ミニマルリスクマニューバが必要か否かを決定することができる。
【0117】
ADSの正常作動段階S910でイベントA1が発生した場合、MRMの遂行段階S920にトランジションが発生することがある。イベントA1は、ADSによってミニマルリスクマニューバが要請されることでありうる。
【0118】
ADSの正常作動段階S910でイベントA2が発生した場合、運転者の介入要請段階S950にトランジションが発生することがある。イベントA2は、自動運転レベル3段階の場合に、ADSによって運転者の介入要請(RTI:Request to Intervene)が要請されることでありうる。又は、イベントA2は、自動運転レベル4又はレベル5段階の場合に、ADSによって運転者に警告が発生することでありうる。このようなイベントA2は選択的でありうる。
【0119】
運転者の介入要請段階S950で、ADSは運転者に運転権限を受信するよう要請することができる。人間による運転が不可能な場合が存在することがあるため、本段階は特定のADSでのみ遂行できる(例えば、自動運転レベル3段階のADS)。具体的には、運転者の介入要請段階S950でイベントB1が発生した場合、MRMの遂行段階S920にトランジションが発生することがある。イベントB1は、運転者の介入要請(RTI)が発生した後、既設定された時間を超過することでありうる。又は、イベントB2が発生した場合、ADS待機又はADSオフ段階S940にトランジションが発生することがありうる。イベントB2は、運転者の介入が始まった場合(例えば、自動運転レベル3段階)又は警告が発せられた場合(例えば、自動運転レベル4又は5段階)でありうる。
【0120】
MRMの遂行段階S920において、ADSは自車両を制御することができる。具体的に、ADSはMRMの遂行段階S920で、ADSの状態をモニタリングし、MRMタイプを決定し、自車両の制御を遂行することができ、自車両の周辺の因子(例えば、周辺の車両)に危険を警告することができる。MRMの遂行段階S920でイベントC1が発生した場合、MRC(Minimal Risk Condition)段階S930にトランジションが発生することがある。イベントC1は、自車両の速度が0の場合、すなわち自車両が停止した場合でありうる。MRMの遂行段階S920でイベントC2が発生した場合、ADS待機又はADSオフ段階S940にトランジションが発生することがある。イベントC2は、MRMが実行される途中に運転者の介入が行われた場合でありうる。
【0121】
MRC段階S930において、自車両は停止した状態でありうる。本段階において、自車両は停止状態の管理を遂行することができ、これは停止されたところの路面の傾きに関係なく、車両を停止状態に維持させる車両制御を指すことができる。MRC段階S930でイベントD1が発生した場合、ADS待機又はADSオフ段階S940にトランジションが発生することがありうる。イベントD1は、運転者がADSをオフする場合、運転者が車両の制御権限を受信し、運転者が車両を制御する場合でありうる。
【0122】
ADS待機又はADSオフ段階S940では、ADSは終了することができる。この段階では、車両は自動運転をこれ以上遂行しないことができる。
【0123】
以上で言及された段階S910、S920、S930、S950はADSが活性化された状態であり、段階S940はADSが非活性化された状態でありうる。
【0124】
図10は、本開示の第2実施例において、MRM段階を説明するための図面である。
【0125】
MRMの要請が発生した場合(S1010)、システムの状態をモニタリングする(S1020)。具体的に、車両の構成要素の故障の程度を分析し、システムへの影響を確認し、システムのコンポーネントの状態を決定して自動運転の現在の性能を決定する。
【0126】
その後、MRMタイプを決定する(S1030)。具体的に、MRMが具現される時点における最も適したMRMタイプが決定できる。このような決定は、内部情報(例えば、システムや車両の状態)と外部情報(例えば、周辺の交通の混雑度、ODD)に基づいて決定される。このように決定されたMRMタイプは、特定のイベントが発生した場合には、他のMRMタイプにトランジションされることもありうる。
【0127】
その後、MRMの具現が実行される(S1040)。具体的に、車両の縦方向の制御及び/又は横方向の制御が入力され、これによる車両の制御が遂行されうる。
【0128】
MRMの具現段階S1040によってMRC状態になりうるし(S1050)、又はADS状態のモニタリング段階S1020に回帰されて段階S1020、S1030、S1040が繰り返されることもありうる。繰り返される時間は、システムによって事前に決定された時間でありうる。MRMが遂行される途中に運転者の介入(S1060)が発生した場合、MRMは終了することができる。
【0129】
図11は、本開示の第2実施例において、MRMタイプを説明するための図面である。
【0130】
前述したように、MRMタイプは、第1ないし第5の五つのタイプを含むことができる。
【0131】
MRMの第1タイプは、直進停止タイプであり、縦方向の減速制御のみ行われ、横方向の制御は行われない。MRMの第1タイプは、横方向の制御が不可能な場合であり、例えば車線の検出障害、横方向のアクチュエータ(ステアリング)の制御障害などの場合に決定できる。MRMの第1タイプによってMRMが遂行されれば、車両は車線の境界を離脱でき、又は道路の外部に離脱することができる。したがって、MRMの第1タイプでは車両を加速させる制御は許されないことがある。
【0132】
MRMの第2タイプは、車線内停止タイプであり、縦方向の減速制御及び横方向の制御の両方が遂行できる。このタイプでは、センサ、マップデータ、通信情報などの環境情報を活用して、前方のターゲット車両及び経路を判断することができる。MRMの第2タイプは、車線変更の制御は可能であるが、既設定された距離以上の走行が不可能な場合に決定されうる。
【0133】
MRMの第3タイプは、車線変更プラス道路未離脱停止タイプであり、縦方向の減速制御及び縦方向の加速制御が遂行でき、横方向の制御も遂行できる。このタイプでは、センサ、マップデータ、通信情報などの環境情報を活用して、前方のターゲット車両及び経路を判断することができる。MRMの第3タイプは、交通の流れから外れた潜在的停止領域まで移動できない場合に決定されうる。例えば、ADSは正常に動作しているが、潜在的停止領域が検出されない場合、又は時間的及び/又はシステム制限によりADSによって潜在的停止領域まで走行できない場合に決定されうる。安定した車線変更のためなら加速制御も遂行できる。車線を変更するか否か、又は変更しなければならない車線の個数は状況によって決定されうる。
【0134】
MRMの第4タイプは、路肩停止タイプであり、縦方向の加速制御及び縦方向の減速制御が遂行でき、横方向の制御も遂行できる。このタイプでは、センサ、マップデータ、通信情報などの環境情報を活用して、前方のターゲット車両及び経路を判断することができる。MRMの第4タイプは、高速道路の路肩まで走行できる場合及び路肩に障害物がない場合に決定されうる。路肩までの交通の流れに照らして必要と判断される場合には、加速制御も遂行できる。
【0135】
MRMの第5タイプは、駐車線停止タイプであり、縦方向の加速制御及び縦方向の減速制御が遂行でき、横方向の制御も遂行できる。このタイプでは、センサ、マップデータ、通信情報などの環境情報を活用して、前方のターゲット車両及び経路を判断することができる。MRMの第5タイプは、駐車スペースまで走行できる場合及び駐車スペースに障害物がない場合に決定されうる。駐車スペースまでの交通の流れに照らして必要と判断される場合には、加速制御も遂行できる。
【0136】
前述のようなMRMタイプのそれぞれは、予め決められた実行時間(Execution Time)内に遂行できる。このような実行時間とは、最小実行時間及び/又は最大実行時間を含むことができる。もし、MRMが既設定された実行時間以内に遂行されない場合には、MRMタイプは、直ちに遂行できる下位タイプにトランジションされうる。
【0137】
前述のようなMRMタイプを決定するために、車両の状態がモニタリングされることがある。例えば、システムの性能と制限がリアルタイムでモニタリングされうる。このようなモニタリングに基づいて、ADSは、与えられた状況下で最も適したMRMタイプを決定することができる。具体的に、ADSは車両内部の状態として機械的欠陥や電子的欠陥があるか否かをモニタリングすることができる。ADSは、センサ、アクチュエータのような車両の構成要素の故障をリアルタイムで、かつ持続的にモニタリングすることができる。また、このような状態はADSのオフ状態からADSのオン状態に転換される場合、又はその逆の場合にモニタリングすることができる。また、MRMタイプを決定するために、車両外部の環境状態もリアルタイムで、かつ持続的にモニタリングすることができる。例えば、車両外部の環境状態とは、外部条件が高速道路なのか、市内なのか、車線の状態が検出可能な状態なのか、タイヤ圧力が適切なのかなどを含むことができる。
【0138】
前述のように決定されたMRMタイプは、上位に向けて又は下位に向けてトランジションされうる。これについて、具体的に説明する。
【0139】
MRMタイプは、上位タイプにトランジションされうる。例えば、一時的な欠陥などの理由で低い水準のMRMタイプが決定されても、MRMの遂行中に欠陥が復旧された場合、より高い水準のMRMタイプに変更されうる。MRMタイプの上位に向けてのトランジションは、車両の構成要素の状態情報に基づいて決定できる。また、MRMタイプの上位に向けてのトランジションは、現在の車両速度及び/又は外部の環境情報を考慮して決定できる。例えば、低い水準のMRMタイプにおいて、MRMの遂行が予め決定された水準以上で遂行された場合には、MRMタイプが上位タイプにトランジションできるにもかかわらず、現在の低いMRMタイプに維持できる。又は、予め決められた水準で遂行されたにもかかわらず、周辺に車両が存在しないという環境情報に基づいて、高い水準のMRMタイプへの上位に向けてのトランジションもされうる。上位に向けて変更されるMRMタイプは、前述のような車両の構成要素の状態情報、車両速度、環境情報などに基づいて最も高い水準のタイプにトランジションされることが望ましい。
【0140】
MRMタイプは、下位タイプにトランジションされうる。例えば、MRMが遂行されたいる途中に車両の構成要素などの欠陥が発生した場合、発生した欠陥が悪化する場合、交通状況の変化により車線変更が不可能になった場合などには、高い水準のMRMタイプから低い水準のMRMタイプに下位に向けて変更されることができる。MRMタイプの下向トランジションは、車両の構成要素の状態情報に基づいて決定できる。また、MRMタイプの下位に向けてのトランジションは、現在の車両速度及び/又は外部の環境情報を考慮して決定することができる。例えば、高い水準のMRMタイプにおいて、MRMの遂行が予め決定された水準以上に遂行された場合には、MRMタイプが下位タイプにトランジションされなければならないにもかかわらず、現在の高いMRMタイプに維持できる。又は、予め決められた水準で遂行されたにもかかわらず、周辺に車両が存在するという環境情報に基づいて、低い水準のMRMタイプに下位に向けてトランジションされることもありうる。下位に向けて変更されるMRMタイプは、前述のような車両の構成要素の状態情報、車両速度、環境情報などに基づいて最も高い水準のタイプにトランジションされることが望ましい。
【0141】
具体的に例を挙げると、MRMの第1タイプからMRMの第2タイプへの上位に向けての修正は次のとおりである。前方の車線や前方の車両は認識されなかったが、このような認識の障害が解決される場合には、上位に向けての変更が遂行されることができる。
【0142】
MRMの第1又は第2タイプからMRMの第4、5タイプへの上位に向けての修正は次のとおりである。上位タイプを遂行できる内部条件が満足される場合(例えば、制御器の再活性化又は自車両の速度が既設定された速度(ex:60km/h)を満足する場合)、上位タイプを遂行できる外部条件が満足われる場合(例えば、渋滞区間が解消される場合)、低いタイプによって車両が停止したが、その停止位置が事故の危険性の高い場所であると判断される外部条件(例えば、高速道路の1車線、鉄道の線路上、分岐点など)及び車両の加速が可能な内部条件が満足する場合には上位に向けての修正が遂行できる。
【0143】
MRMの第3、4、5タイプからMRMの第1、2タイプへの下位に向けての変更は次のとおりである。上位タイプを遂行するには内部条件が満足されていない場合(例えば、MRMの遂行中に制御装置の故障、time-out、自車両の速度が既設定された速度以下の場合)、上位タイプを遂行できる外部条件が満足されない場合(渋滞区間が発生した場合)には下位に向けての変更を遂行できる。
【0144】
一方、MRMタイプによって、MRM作動条件となる自車両の速度が異なる場合がありうる。例えば、MRMの第1タイプ又はMRMの第2タイプの場合には、自車両の速度と関係なく(自車両の速度が低いか高いかを問わずに)決定することができる。これは、第1タイプと第2タイプの場合には低い水準のMRMが遂行されるために、すべての速度範囲でMRM機能が作動することが望ましいからである。MRMの第3ないし第5タイプの場合には、自車両の速度が既設定された速度以上の場合にのみ決定できる。ここで要求される既設定された速度とは、自動に車線変更のために要求される最小速度でありうる。すなわち、内部条件及び外部条件を評価した結果、高い水準のタイプ(第3ないし第5)のMRMが可能であるとしても、車両を迅速に移動させて停車させることが望ましいため、既設定された速度以下の場合には高い水準のタイプが決定できない。
【0145】
前述のように、高い水準のタイプ(第3ないし第5タイプ)のMRMが決定されるための既設定された速度を決定する因子は、車両の前後方センサの最大感知距離、最高制限速度、測定誤差を含むことができる。具体的に、最高制限速度及び相対速度の測定誤差を考慮して計算された認識距離値が、後側方レーダの最大感知距離より小さいように設定された速度を決定することができる。
【0146】
例えば、車線内の偏向走行及び車線変更の補助機能の認識対象となる車両の認識縦距離は、自車両のフロントバンパーを基準にして80mないし200mである。したがって、認識距離値(S_critical)は80m-10mの70mに決定できる。このような決定は、自車両の全長及びターゲット車両の全長を考慮したものである。MRMが決定されるための既設定された速度を60km/hとする場合、国内法上に最高制限速度110km/hに測定誤差5km/hを考慮すれば、認識距離値は61.68mが導出される。このような認識距離値(61.68m)は、後側方レーダの最大感知距離である70mより小さいから、MRMが決定されるための既設定された速度として60km/hは適合する。
【0147】
また、MRMを遂行する間、自車両の減速度は既設定された値より小さい値であることが望ましい。これは交通の流れを妨げることなく、他の車両との衝突の可能性を最小限に抑えるためである。このように既設定された減速度は、MRMタイプによって異なる場合もあり、MRMタイプとは関係なく一定の値であることもありうる(例えば、4m/s^2)。
【0148】
また、ミニマルリスクマニューバは、運転者の介入(RTI)又は運転者の作動(driver override)によって取り消されることもできる。
【0149】
ミニマルリスクマニューバが開始されれば、特定条件の達成以外には取り消されないことがありうる。例えば、ミニマルリスクマニューバは、開始以降、ミニマルリスクマニューバが完了してMRC状態になるか、又は承認された運転者の操作なしには取り消されないことがある。実施例において承認された運転者は、車両に登録された使用者として成人の運転者及び/又は運転者モニタリングカメラがある場合、状態が正常状態であると判断された運転者を含むことができる。
【0150】
また、ミニマルリスクマニューバを遂行するにあたって、搭乗者がいる場合には内部/外部的に報知を遂行することができる。例えば、ミニマルリスクマニューバに関する情報を内部/外部に表示することができる。もし、搭乗者がいない場合は外部的にのみ報知を遂行することができる。例えば、非常灯を点滅させることができる。
【0151】
自動運転システムは、ブレーキ制御を開始する時間を決定することができる。例えば、特定動作の遂行後、指定された時間の経過後にブレーキ制御を開始するよう決定することができる。好ましくは、非常灯の点滅のように外部に報知を表示した後、2.5秒後にブレーキ制御を開始することができる。これは後方の車両からの衝突を防止するためである。
【0152】
また、ミニマルリスクマニューバを遂行するにあたって、MRMタイプによっては、自車両の要求速度、最大減速度、最小感知範囲、ブレーキ制御、加速制御、横方向の制御、MRC位置、最大/最小実行時間の中で少なくとも一つが異なる場合がある
【0153】
例えば、MRMの第1タイプとして直進停止について説明する。
【0154】
MRMの第1タイプの場合、自車両の要求速度には制限がない。すなわち、自車両の速度に関係なく、MRMの第1タイプは決定できる。
【0155】
MRMの第1タイプの場合、最大減速度は4m/s^2以下であることが望ましい。
【0156】
MRMの第1タイプの場合、最小感知範囲は
図12に示すところを参照して説明する。MRM第1タイプの場合、自車両の少なくとも前方にある障害物を検出しなければならない。縦方向に対する最小感知距離(d
long,min)は、最大減速度及び自車両の速度に基づいて次のように決定できる。
【0157】
【0158】
また、横方向に対する最小感知距離(dlat,min)は、自車両の幅と同一に決定できる。
【0159】
このようなMRMタイプによる最小感知範囲は、MRMタイプが高いほどより広く設定されることが望ましい。高い水準のMRMタイプに行くほど、使用可能なセンサの種類及び個数がさらに増加するからであり、MRMタイプが高いほど、最小感知領域を広く設定することが安全上で望ましいからである。
【0160】
又は、MRMタイプによる最小感知範囲は、MRMタイプが低いほどより広く設定されることもありうる。これは低い水準のMRMほど周辺の車両との衝突の危険が増加するため、この水準が低いほど最小感知領域を広く設定する必要があるからである。
【0161】
MRMの第1タイプの場合、ブレーキ制御は、感知の可能距離が最小感知距離より低い場合、又は感知が不可能な場合には最大減速度を使用するブレーキ制御ができる。しかし、最小感知距離以内にある障害物を感知できる場合には、最大減速度より低い減速度でブレーキを制御することができる。すなわち、MRMの第1タイプの場合、車両が車線を侵犯する可能性があるので、最大減速を許容することが望ましい。例えば、周辺の感知が不可能な状況、急停車時に後方との追突が予想されない場合、道路が曲線道路の場合、前方に特定の距離以内に障害物が感知された場合など、MRMの第1タイプの場合、最大減速を遂行することができる。しかし、後述のように、MRM第2タイプの場合には、最大減速度より低い減速度で減速することが望ましい。
【0162】
MRMの第1タイプの場合、横方向の制御は行わない。また、横方向の制御は行われず、MRC位置は車線の境界から外れることができる。
【0163】
MRMの第1タイプの場合、最小/最大実行時間は次のとおりである。最小実行時間は、自車両が一定の最大減速度を使用して、平地条件でMRMの開始時点から終了時点までかかる時間より長い時間でありうる。最大実行時間は、自車両が中立ギアを使用して平地条件でMRMの開始時点から終了時点までかかる時間よりさらに短い時間でありうる。例えば、中立ギアを使用して、平地条件でMRMの開始時点から停止までかかる時間であるか、それよりさらに短い時間でありうる。
【0164】
他の例を挙げると、MRMの第2タイプとして、車線内停止について説明する。MRMの第2タイプの場合、自車両の要求速度には制限がない。すなわち、自車両の速度に関係なく、MRMの第2タイプは決定できる。
【0165】
MRMの第1タイプの場合、最大減速度は4m/s^2以下であることが望ましい。
【0166】
MRMの第1タイプの場合、最小感知範囲は
図13に示すところを参照して説明する。MRMの第2タイプの場合、自車両の少なくとも前方にいながら、同じ車線内にある障害物を検出しなければならない。縦方向に対する最小感知距離(d
long,min)は、最大減速度及び自車両の速度に基づいて次のように決定できる。
【0167】
【0168】
また、車線内停止の場合、車線が曲線である場合を考慮して、感知範囲は曲率が500mである場合までカバーしなければならない。
【0169】
【0170】
また、横方向に対する最小感知距離(dlat,min)は、曲率を勘案した車線幅と同一に決定できる。
【0171】
このようなMRMタイプによる最小感知範囲は、MRMタイプが高いほどより広く設定されることが望ましい。高い水準のMRMタイプに行くほど、使用可能なセンサの種類及び個数がさらに増加するからであり、MRMタイプが高いほど、最小感知領域を広く設定することが安全上で望ましいからである。
【0172】
又は、MRMタイプによる最小感知範囲は、MRMタイプが低いほどより広く設定されることもありうる。これは、低い水準のMRMほど周辺の車両との衝突の危険が増加するから、水準が低いほど最小感知領域を広く設定する必要があるからである。
【0173】
MRMの第2タイプの場合、ブレーキ制御は、感知の可能距離が最小感知距離より短い場合、又は感知の不可能な場合には最大減速度を使用するブレーキ制御ができる。しかし、最小感知距離以内にある障害物を感知できる場合には、最大減速度より低い減速度でブレーキを制御することができる。
【0174】
MRMの第2タイプの場合、横方向の制御は、自車両を同一車線内にあるように維持できる範囲で遂行できる。
【0175】
MRMの第1タイプの場合、最小/最大実行時間は次のとおりである。最小実行時間は、自車両が一定の最大減速度を使用して、平地条件でMRMの開始時点から終了時点までかかる時間よりさらに長い時間でありうる。最大実行時間は、自車両が中立ギアを使用して、平地条件でMRMの開始時点から終了時点までかかる時間よりさらに短い時間でありうる。
【0176】
図14は、本発明の第3実施例において、ミニマルリスクマニューバの種類を選択する方法を示すフローチャートである。
図14を参照すると、車両100は故障状態を判断することができる(S210)。実施例によれば、車両100はコントローラ120を利用して、又は車両100の構成要素からの応答を利用して、故障状態を判断することができる。ここで故障状態は、自動運転システムが車両を制御できる状態であるか否かを含む。例えば、ブレーキ、ステアリング、センサなどが故障状態ということは、自動運転システム(ADS)がこれらを制御できない状態を意味することができる。
【0177】
車両100は、車両100の減速及び加速機能が可能か否かを判断することができる(S220)。実施例によれば、車両100は、車両100のエンジンのような駆動部、加速ペダル、ブレーキ及びこれらに関連する構成要素が正常に作動するかを判断することができる。
【0178】
車両100の減速及び加速機能が可能なとき(S220のY)、車両100は、車両100のステアリング機能が可能か否かを判断することができる(S230)。実施例によれば、車両100は、車両100のステアリングホイール及びこれに関連する構成要素が正常に動作するか否かを判断することができる。
【0179】
車両100のステアリング機能が可能でないとき(S230のN)、車両100は、ミニマルリスクマニューバとして直進停止を遂行することができる。すなわち、車両100の減速及び加速機能だけが可能であれば、車両100はミニマルリスクマニューバとして直進停止を遂行する。
【0180】
車両100のステアリング機能が可能なとき(S230のY)、車両100は道路状況の感知が可能か否かを判断できる(S250)。実施例によれば、車両100はセンサ110及びそれらに関連する構成要素が正常に動作するか否かを判断することができる。
【0181】
車両100の道路状況の感知機能が可能でないとき(S250のN)、車両100はミニマルリスクマニューバとして直進停止又は現在の車線停止を遂行することができる(S260)。すなわち、車両100の減速及び加速機能、ステアリング機能が可能であり、道路状況の感知が不可能な場合、車両100はミニマルリスクマニューバとして直進停止を遂行するか、又は現在の車線停止を遂行することができる。
【0182】
実施例によれば、車両100はステアリング機能を利用して車線に沿って走行し、減速及び加速機能を利用して前記車線内で車両を停止することができる。
【0183】
車両100の道路状況の感知機能が可能なとき(S250のY)、車両100はミニマルリスクマニューバとして直進停止、現在の車線停止又は車線外停止を遂行することができる(S270)。すなわち、車両100の減速及び加速機能、ステアリング機能及び道路状況の感知機能が全て可能なとき、車両100はミニマルリスクマニューバとして直進停止を遂行するか、現在の車線外停止を遂行することができる。前記車線外停止は隣接の車線停止及び路肩停止を含むことができる。
【0184】
実施例によれば、車両100は道路状況の感知機能を利用して車両100の前後左右の状態を感知し、感知結果によってステアリング機能を利用して車線を変更し、減速及び加速機能を利用して前記車線の外側に車両を停止することができる。例えば、車両100は、車両100の周辺を含む関心領域(Region of Interest)を設定して車両100の前後左右の状態を感知することができる。前記関心領域の形態は円、楕円、四角形、三角形など多様な形態でありうる。
【0185】
図15は、本開示の第4実施例において、ミニマルリスクマニューバにより安全地帯の停止動作を示すフローチャートである。
図15を参照すると、車両100はミニマルリスクマニューバを遂行する時、車両100を安全地帯に停車することができる。本明細書において安全地帯とは、道路上の領域の中で車両100が安全に停車できる領域を意味するもので、例えば居眠り休憩所、路肩、使用中でない可変車線などを意味することができる。
【0186】
車両100はミニマルリスクマニューバを開始することができる(S210)。実施例によれば、車両100はミニマルリスクマニューバの要請に応じてミニマルリスクマニューバを開始することができる。
【0187】
車両100はナビゲーション情報を利用して安全地帯の存在有無を判断することができる(S220)。実施例によれば、車両100は、車両100の現在位置とナビゲーション情報を利用して、車両100の周辺の道路に安全地帯が存在するか否かを判断することができる。前記ナビゲーション情報は、車両100のメモリに保存されているか、又はネットワークを通じて受信できる。
【0188】
例えば、車両100はナビゲーション情報に基づいて、車両100の現在位置を中心に近くに位置する安全地帯が存在するか否かを判断することができる。
【0189】
車両100は、センサ110を利用して安全地帯が存在するか否かを判断することができる(S230)。実施例によれば、車両100は、カメラ、ライダセンサ及びレーダセンサの中で少なくとも一つを利用して、車両100の周辺の映像又はイメージを獲得し、前記映像を分析することで車両100の周辺に安全地帯が存在するか否かを判断することができる。例えば、車両100は、車両100の周辺の標識を認識し、認識された標識に安全地帯があることを指示するか否かを判断することができる。
【0190】
車両100は、インフラ通信を利用して安全地帯の存在有無を判断することができる(S250)。実施例によれば、車両100はインフラから車両100の周辺に位置する安全地帯に関する情報を獲得し、前記情報から車両100の周辺に安全地帯が存在するか否かを判断することができる。例えば、車両100はインフラとして車両100の現在位置を提供し、インフラから車両100の周辺に位置する安全地帯に関する情報を受信することができる。
【0191】
車両100は、判断(S220ないしS240)に基づいて安全地帯に停車することができる(S250)。実施例によれば、車両100は判断(S220~S240)のそれぞれによって指示される共通の安全地帯が存在する場合、前記共通の安全地帯に車両を停車することができる。例えば、車両100はナビゲーション情報に基づいて判断された第1安全地帯、センサを利用して判断された第2安全地帯及びインフラからの情報に基づいて判断された第3安全地帯が全て同一又は隣接して位置する場合、安全地帯が存在することを決定し、前記共通の安全地帯に車両100を走行させて停車することができる。
【0192】
判断(S220ないしS240)のそれぞれによって指示される共通の安全地帯が存在しない場合、車両100は安全地帯がないと判断し、停車なしで走行し続けることができる。
【0193】
また、実施例によれば、車両100は判断(S220~S240)のうち一部の判断が行われていない場合(例えば、故障により)、遂行された判断によって指示される共通の安全地帯が存在する場合、前記共通の安全地帯に車両を停車することができる。例えば、インフラから情報が受信されていない場合、車両100はナビゲーション情報に基づいて判断された第1安全地帯及びセンサを利用して判断された第2安全地帯が全て同一又は隣接して位置する場合、安全地帯が存在すると決定し、前記共通の安全地帯に車両100を走行させて停車することができる。すなわち、車両100は遂行された判断によって決定した安全地帯が共通しているか否かに基づいて安全地帯が存在すると決定できる。
【0194】
図16は、本出願の第5実施例において、緊急状況の判断及び前記緊急状況の処理を示すフローチャートである。
図16を参照すると、車両100は自動運転を遂行する(S210)。
【0195】
車両100は、車両100の状態を確認することができる(S220)。実施例によれば、車両100は、車両100の各構成要素及び機能の状態を確認することができる。
【0196】
車両100は、車両100のハードウエア構成及びソフトウエア構成の状態を確認することができる。実施例によれば、車両100は、車両100の構成要素及び機能の故障有無と故障位置とを判断することができる。例えば、車両100は、センサ110が故障したか否か並びに故障位置、ステアリング機能、減速機能、加速機能、ブレーキなど車両の駆動機能の故障有無、自動運転が可能か否か、物の認識機能の故障有無、外部衝撃の有無、破損有無などを判断することができる。
【0197】
車両100は、ミニマルリスクマニューバを遂行するか否かを判断することができる(S230)。実施例によれば、車両100は、判断された車両100の状態に基づいてミニマルリスクマニューバを遂行するか否かを判断することができる。例えば、車両100は、車両100の故障部分(すなわち、故障した構成要素及び故障した機能)の個数、故障部分の位置及び故障部分の種類の中で少なくとも一つに基づいて、現在車両100の状態の深刻度を算出し、算出された深刻度に基づいてミニマルリスクマニューバを遂行するか否かを判断することができる。
【0198】
車両100は、ミニマルリスクマニューバを遂行することが決まれば(S230のY)、ミニマルリスクマニューバを遂行することができる(S240)。実施例によれば、車両100は、判断された車両100の状態に基づいて、車両100の状態に対する深刻度を算出し、算出された深刻度が予め指定された程度を超える場合はミニマルリスクマニューバを遂行し、前記予め指定された程度を超過しない場合はミニマルリスクマニューバを遂行しないこともありうる。
【0199】
車両100は、ミニマルリスクマニューバを遂行しないことが決定されれば(S230のN)、診断機能を実行できる(S250)。実施例によれば、前記診断機能とは、車両100の構成要素及び機能を自己点検する機能であり、前記診断機能を通じて構成要素及び機能の一部の問題は解消(又は治癒)できる。前記診断機能はプロセッサ130によって遂行できる。
【0200】
本出願の実施例によれば、車両100の状態が深刻でない場合、ミニマルリスクマニューバを遂行せずに診断機能を実行することができる。これにより、ミニマルリスクマニューバの開始条件を正確に判断できるだけでなく、不要なミニマルリスクマニューバの開始を避けることで車両100の安定性を増大させる効果がある。
【0201】
車両100は、車両の状態が改善されたかを判断することができる(S260)。実施例によれば、車両100は、車両100の構成要素及び機能の故障又は問題が解決されたかを判断することができる。例えば、車両100は、車両100の状態をもう一度確認することができる。
【0202】
車両100の車両状態が改善された場合(S260のY)、車両100は自動運転を遂行することができる。すなわち、車両100は問題が解消された場合、自動運転を再開することができる。
【0203】
車両100の状態が改善されていない場合(S260のN)、車両100は手動運転に転換することができる。実施例によれば、車両100は診断機能の実行にもかかわらず、車両100に故障がある場合、手動運転に転換することができる。例えば、自動運転機能に問題があるにもかかわらず改善されない場合、車両100は自動運転を維持し続ける代わりに、運転者に制御権限を委譲することで手動運転を遂行することができる。
【0204】
実施例によれば、車両100は、車両100の状態が改善されていない場合、車両100の故障を報知する信号を伝送することができる。例えば、車両100は予め指定された管理センター(又はサーバー)に、車両100の故障を指示する信号を伝送することができる。
【0205】
図17は、本開示の第6実施例において、ミニマルリスクマニューバによる報知を発生する方法を示すフローチャートである。
図17を参照すると、車両100は走行を遂行することができる(S210)。実施例によれば、車両100は自動運転又は手動運転に応じて走行することができる。
【0206】
車両100は、ミニマルリスクマニューバを遂行することができる(S220)。実施例によれば、車両100は、走行中にミニマルリスクマニューバの要請が発生した場合、前記要請に応答してミニマルリスクマニューバを遂行することができる。
【0207】
ミニマルリスクマニューバが遂行され、車両100は報知を発生させることができる(S230)。実施例によれば、車両100はミニマルリスクマニューバに関する報知を発生させることができる。
【0208】
車両100は、ミニマルリスクマニューバの実行に関する報知を周辺の車両又は周辺の施設(例えば、インフラ、警察署、消防署、病院など)に提供することができる。実施例によれば、車両100は、車両100を中心に一定範囲の領域を設定し、前記領域に含まれた他の車両又は施設に報知を提供することができる。
【0209】
車両100は、特定情報を含む信号を伝送し、又は視覚的手段及び聴覚的手段を利用して前記報知を提供することができる。例えば、車両100は、ミニマルリスクマニューバに関する情報を含む信号を伝送したり、非常灯をオン/オフしたり、クラクションを発生させたりすることで、報知を提供することができる。
【0210】
実施例によれば、ミニマルリスクマニューバに係る情報とは、ミニマルリスクマニューバが実行されているか否か、ミニマルリスクマニューバの実行時点、ミニマルリスクマニューバを遂行した車両100の種類、位置及び状態に関する情報を含むことができるが、これに限定されるものではなく、ミニマルリスクマニューバに係る多様な情報を含むことができる。
【0211】
図18は、本開示の第7実施例において、制御権限を付与する方法を示すフローチャートである。
図18を参照すると、車両100は走行を遂行することができる(S210)。実施例によれば、車両100は、自動運転又は手動運転に応じて走行することができる。
【0212】
車両100は、ミニマルリスクマニューバを遂行することができる(S220)。実施例によれば、車両100は、走行中にミニマルリスクマニューバの要請が発生した場合、前記要請に応答してミニマルリスクマニューバを遂行することができる。
【0213】
車両100は、ミニマルリスクマニューバの制御権限の主体を判断することができる(S230)。実施例によれば、車両100は、ミニマルリスクマニューバの制御権限を車両100に付与するか、又は運転者に付与するかを判断することができる。本開示において制御権限とは、ミニマルリスクマニューバを制御するための権限を意味し、前記権限を持つ主体はミニマルリスクマニューバによる制御を遂行することができる。
【0214】
車両100は、ミニマルリスクマニューバが必要な原因に基づいて制御権限の主体を判断することができる。上述したように、車両100に対して特定のイベント(例えば、危険)が発生した場合、ミニマルリスクマニューバの要請が発生することができる。車両100は、ミニマルリスクマニューバを要請するイベントの特性に基づいて制御権限の主体を判断することができる。
【0215】
実施例によれば、車両100は、ミニマルリスクマニューバの要請の発生が運転者によって始まった場合、ミニマルリスクマニューバの制御権限の主体を運転者と判断することができる。例えば、車両100は、故障の原因が運転者である場合(例えば、運転未熟など)、ミニマルリスクマニューバの制御権限の主体を運転者と判断することができる。ミニマルリスクマニューバの要請の原因が運転者である場合、運転者の介入があっても、自動運転システムは制御権限を運転者に転換しないこともありうる。自動運転システムは、運転者の介入があっても、ミニマルリスクマニューバを継続して遂行することができる。
【0216】
実施例によれば、車両100は、ミニマルリスクマニューバの要請の発生が車両100によって始まった場合、ミニマルリスクマニューバの制御権限の主体を車両100と判断することができる。例えば、車両100は、故障の原因が車両100である場合(例えば、センサ110の故障又は機能の故障など)、ミニマルリスクマニューバの制御権限の主体を車両100と判断することができる。
【0217】
車両100は、制御権限の主体の判断結果に基づき、制御権限を車両100又は運転者に付与することができる(S240)。実施例によれば、制御権限の主体が車両100である場合、ミニマルリスクマニューバは車両100によって遂行され、制御権限の主体が運転者である場合、ミニマルリスクマニューバは運転者によって遂行することができる。
【0218】
制御権限の主体が車両100と判断された場合、車両100は、最小危険条件が達成されるまでミニマルリスクマニューバを遂行することができる。実施例によれば、最小危険条件が達成される前に運転者の制御への介入が存在しても、車両100は制御権限の移譲なしにミニマルリスクマニューバを遂行することができる。例えば、制御権限の主体が車両100と判断された場合、運転者によるステアリング、ブレーキ又は加速の操作があっても、ミニマルリスクマニューバは車両100によって引き続き遂行することができる。
【0219】
制御権限の主体が運転者と判断された場合、車両100は運転者の操作がある場合、ミニマルリスクマニューバの制御権限を運転者に移譲することができる。実施例によれば、ミニマルリスクマニューバの遂行中に運転者の操作がある場合、車両100はミニマルリスクマニューバを中止し、車両100は運転者の操作によって制御されることができる。例えば、車両100は、運転者によるステアリング、ブレーキ又は加速の操作がある場合、車両100によるミニマルリスクマニューバは中止され、車両100は運転者の操作によって制御できる。
【0220】
本開示によれば、ミニマルリスクマニューバの制御権限の主体を判断することができるので、非常状況における制御権限の不確定性による被害を予防することができ、定められた主体による制御を通じてミニマルリスクマニューバ中の車両の安定性が増大できる効果がある。
【0221】
本開示による車両の作動方法は、コンピューターで読み取り可能な記憶媒体に保存され、プロセッサによって実行するコマンドで具現されることができる。
【0222】
記憶媒体は、直接及び/又は間接的であれ、原始的状態、フォーマットされた状態、組織化された状態又は任意の他のアクセス可能な状態に関係なく、リレーショナルデータベース、非リレーショナルデータベース、インメモリ(in memory)データベース、又はデータを保存でき、ストレージコントローラを介してこれらのデータへのアクセスが許可できる他の適切なデータベースのように分散型を含むデータベースでありうる。また、記憶媒体は、一次ストレージ(Storage)、二次ストレージ、三次ストレージ、オフラインストレージ、揮発性ストレージ、不揮発性ストレージ、半導体ストレージ、磁気ストレージ、光学ストレージ、フラッシュストレージ、ハードディスクドライブストレージ、フロッピーディスクドライブ、磁気テープ又はその他の適切なデータ記憶媒体のような任意のタイプのストレージデバイスを含むことができる。
【0223】
本明細書において、命令語(コマンド)は、アセンブラコマンド、コマンドセットアーキテクチャ(Instruction-Set-Architecture、ISA)コマンド、マシンコマンド、マシン依存コマンド、マイクロコード、ファームウエアコマンド、ステータス設定データ、又はSmall Talk、C++などのオブジェクト指向プログラミング言語及び「C」プログラミング言語又は類似プログラミング言語のような従来の手続き型プログラミング言語を含む一つ以上のプログラミング言語の任意の組み合わせで作成されたソースコード又はオブジェクトコードのいずれかの一つでありうる。
【0224】
本開示は、図面で図示された実施例を参考に説明されたが、これは例示的なものに過ぎず、本技術分野の通常の知識を持つ者であれば、これから多様な変形及び均等な他の実施例が可能であるという点が理解できる。したがって、本開示の真の技術的保護範囲は、添付された請求範囲の技術的思想によって定められなければならない。
【国際調査報告】