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▶ ウニベルシダ カルロス III デ マドリードの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-30
(54)【発明の名称】超広帯域相互接続プローブ
(51)【国際特許分類】
   H01P 5/02 20060101AFI20231122BHJP
   H01P 3/16 20060101ALI20231122BHJP
   G01R 1/073 20060101ALI20231122BHJP
【FI】
H01P5/02 601Z
H01P3/16 100
G01R1/073 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023528108
(86)(22)【出願日】2021-11-04
(85)【翻訳文提出日】2023-06-27
(86)【国際出願番号】 EP2021080652
(87)【国際公開番号】W WO2022096578
(87)【国際公開日】2022-05-12
(31)【優先権主張番号】20382960.1
(32)【優先日】2020-11-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523168157
【氏名又は名称】ウニベルシダ カルロス III デ マドリード
【氏名又は名称原語表記】UNIVERSIDAD CARLOS III DE MADRID
【住所又は居所原語表記】Calle Madrid 126 28903 Getafe Madrid Spain
(74)【代理人】
【識別番号】100141346
【弁理士】
【氏名又は名称】潮崎 宗
(74)【代理人】
【識別番号】100212082
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 貴康
(72)【発明者】
【氏名】カルピンテーロ デル バリオ,ギジェルモ
(72)【発明者】
【氏名】リベラ ラバド,アレハンドロ
(72)【発明者】
【氏名】ガルシア ムニョス,ルイス,エンリケ
(72)【発明者】
【氏名】アリ,ムシン
【テーマコード(参考)】
2G011
5J014
【Fターム(参考)】
2G011AA13
2G011AC32
2G011AF07
5J014HA01
(57)【要約】
第1の電子デバイス(101)の第1のアクセスポートと、第2の電子デバイス(102)の第2のアクセスポートとに接続可能な超広帯域相互接続プローブ(100)であって、前記第1のアクセスポートが、第1のテーパカプラ(101a)を備え、前記第2のアクセスポートが、第2のテーパカプラ(102a)を備え、前記超広帯域相互接続プローブ(100)が、マイクロ波範囲またはミリ波範囲の低カットオフ周波数fCLから始まる高周波数範囲で動作するハイパス特性相互接続を確立する誘電体導波管構造(120)を備え、前記誘電体導波管構造(120)が、前記第1のテーパカプラ(101a)を介して前記第1のアクセスポートに接続可能な第1のテーパ端(120a)、および、前記第2のテーパカプラ(102a)を介して前記第2のアクセスポートに接続可能な第2のテーパ端(120b)を備える、超広帯域相互接続プローブ(100)。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の電子デバイス(101)の第1のアクセスポート(P1)と、第2の電子デバイス(102)の第2のアクセスポート(P2)とに接続可能な超広帯域相互接続プローブ(100)であって、前記第1のアクセスポートが、第1のテーパカプラ(101a)を備え、前記第2のアクセスポートが、第2のテーパカプラ(102a)を備え、前記超広帯域相互接続プローブ(100)が、
マイクロ波範囲またはミリ波範囲の低カットオフ周波数fCLから始まる高周波数範囲で動作するハイパス特性相互接続を確立する誘電体導波管構造(120)を備え、
前記誘電体導波管構造(120)が、
前記第1のテーパカプラ(101a)を介して前記第1のアクセスポートに接続可能な第1のテーパ端(120a)、および
前記第2のテーパカプラ(102a)を介して前記第2のアクセスポートに接続可能な第2のテーパ端(120b)
を備える、
超広帯域相互接続プローブ(100)。
【請求項2】
前記誘電体導波管構造(120)が、矩形部を有する、請求項1に記載の超広帯域相互接続プローブ(100)。
【請求項3】
前記誘電体導波管構造(120)に取り付けられた基板(140)をさらに備える、
請求項1または2に記載の超広帯域相互接続プローブ(100)。
【請求項4】
前記基板(140)上の金属導波管構造(110)をさらに備え、前記金属導波管構造(110)が、
前記テーパカプラ(101a)および(102a)に接続された両端部にプローブチップ(110c’)を有し、DCから、前記ミリ波範囲の高カットオフ周波数fCHまでの低周波数範囲で動作するローパスフィルタ特性相互接続を確立するバイファイラ送信線(110c)を備える、
請求項3に記載の超広帯域相互接続プローブ(100)。
【請求項5】
電子デバイス(102)のアクセスポート(P1)に接続可能な超広帯域相互接続プローブ(300)であって、前記アクセスポートが、テーパカプラ(102a)を備え、前記超広帯域相互接続プローブ(300)が、
マイクロ波範囲またはミリ波範囲の低カットオフ周波数fCLから始まる高周波数範囲で動作するハイパス特性相互接続を確立する誘電体導波管構造(120)であって、
第1のテーパ端(120a)、および
前記テーパカプラ(102a)を介して前記電子デバイスの前記アクセスポートに接続可能な第2のテーパ端(120b)
を備える、誘電体導波管構造(120)と、
前記誘電体導波管構造(120)に取り付けられた基板(140)と、
前記基板(140)上の金属導波管構造(110)と
を備え、前記金属導波管構造(110)が、前記誘電体導波管構造(120)の前記第1のテーパ端(120a)の周囲にあるテーパスロットアンテナ「TSA」(TSA-1a)であるのが好ましいテーパカプラであって、アクセスポート(P)を画定するテーパカプラを画定する金属導波管パターン(110a)を備える、
超広帯域相互接続プローブ(300)。
【請求項6】
前記金属導波管構造(110)が、プローブチップ(110c’)を有し、DCから、前記ミリ波範囲のfCHまでの前記低周波数範囲で動作するローパス特性相互接続を確立するバイファイラ送信線(110c)をさらに備える、
請求項5に記載の超広帯域相互接続プローブ(300)。
【請求項7】
矩形導波管と、
請求項5または6に記載の超広帯域相互接続プローブ(300)と
を備える相互接続システム。
【請求項8】
マイクロ波範囲またはミリ波範囲の低カットオフ周波数fCLから始まる高周波数範囲で動作するハイパス特性相互接続を確立する誘電体導波管構造(120)であって、
第1のテーパ端(120a)、および
第2のテーパ端(120b)
を備える誘電体導波管構造(120)と、
DCから、ミリ波範囲の高カットオフ周波数fCHまでの低周波数範囲で動作するローパス特性相互接続を確立する金属導波管構造(110)であって、
前記第1のテーパ端(120a)の周囲にあるテーパスロットアンテナ「TSA」(TSA-1a)であるのが好ましい第1のテーパカプラを画定する第1の金属導波管パターン(110a)、および
前記第2のテーパ端(120b)の周囲にあるテーパスロットアンテナ「TSA」(TSA-1b)であるのが好ましい第2のテーパカプラを画定する第2の金属導波管パターン(110b)
を備える金属導波管構造(110)と、
前記金属導波管構造(110)および前記誘電体導波管構造(120)に接続された基板(140)と
を備える超広帯域相互接続プローブ(200)。
【請求項9】
前記金属導波管構造(110)が、前記第1のテーパ端(120a)の周囲にある超広ベースバンド動作用のテーパスロットアンテナ「TSA」(TSA-2a)であるのが好ましい第3のテーパカプラを画定する第3の金属導波管パターン(110d)をさらに備え、(TSA-1a)と(TSA-2a)とが電気的に接続される、
請求項8に記載の超広帯域相互接続プローブ(200)。
【請求項10】
前記金属導波管構造(110)が、少なくとも2つのプローブチップ(110c’)を有し、DCから、前記ミリ波範囲のfCHまでの前記低周波数範囲で動作するローパス特性相互接続を確立するバイファイラ送信線(110c)をさらに備える、請求項8または9に記載の超広帯域相互接続プローブ(200)。
【請求項11】
請求項1から10に記載の超広帯域相互接続プローブ(100、200、300)のアンテナとしての用途。
【請求項12】
請求項1から10に記載の超広帯域相互接続プローブ(100、200、300)の近接場カプラとしての用途。
【請求項13】
請求項1から10に記載の超広帯域相互接続プローブ(100、200、300)と、
送信器と
を備える信号送信器デバイス。
【請求項14】
前記送信器が、オプトエレクトロニック変換器(すなわち、フォトダイオードおよび光伝導アンテナなど)を備える、請求項13に記載の信号送信器デバイス。
【請求項15】
請求項1から10に記載の超広帯域相互接続プローブ(100、200、300)と、
受信器と
を備える信号受信器デバイス。
【請求項16】
前記受信器が、ショットキーゼロバイアスダイオード(ZBD)包絡線検出器を備える、請求項15に記載の信号受信器デバイス。
【請求項17】
第1のテーパカプラ(101a)を有する第1のアクセスポートを備える第1の電子デバイス(101)と、
第2のテーパカプラ(102a)を有する第2のアクセスポートを備える第2の電子デバイス(102)と、
請求項1から4に記載の超広帯域相互接続プローブ(100)と
を備える相互接続システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子信号のための超広帯域相互接続プローブ構造について言及し、この構造は、様々な材料基板上に作製され得る金属導波管素子に誘電体導波管素子を組み合わせるものである。この組合せに由来する相互接続構造は、超広帯域幅を提供し、動作周波数範囲は、0Hz(DC)からテラヘルツ範囲(300GHzから3000GHz)以上に至ることが可能である。
【背景技術】
【0002】
これまでに、電気信号についての様々な相互接続基準が規定されており、それらは、エレクトロニクス産業で、デバイスおよびデバイス特性についての計装試験機器において使用されており、かつ、通信から分光法に基づくセンサシステムに至る広範囲の応用分野で使用されている。ベクトルネットワークアナライザ(VNA)は、エレクトロニクスにおける位相敏感測定についての主な測定プラットフォームである。VNAは、業界で受け入れられた較正手順を標準化した唯一のプラットフォームを提供して、電子システムの周波数応答を特徴づけており、その範囲は、低周波数(数キロヘルツ)から、ミリメートル(MMW、30GHzから300GHz)およびテラヘルツ(THz、300GHzから3000GHz)に至る。VNAは、周波数領域で動作して、電子デバイスに干渉する信号の振幅および位相を測定し、ここでは、送信信号および反射信号の両方が同時に測定され、周波数が測定帯を通じて掃引されることで、周波数依存データが提供される。VNAシステムは、標準化同軸コネクタに嵌合されるベースバンドユニット(最大周波数67GHz未満)から構成される。これらのコネクタにより、同軸ケーブルを使用することで、最大周波数をより高い周波数に拡張することを可能にする周波数拡張ヘッドを接続することができる。モノリシックマイクロ波集積回路(MMIC)の作製では、著しい進歩が成し遂げられているが、現在の高周波電気相互接続技術の限界を、より高い周波数に押し上げるための新たな開発は不足している。
【0003】
この不足は、同軸コネクタインタフェースを使用するVNAブロードバンド周波数拡張ヘッドの制限の原因となる。それらをより高度なバージョンにしたものでは、0Hz(DC)から133GHz(1mm同軸基準を使用する場合)、または0Hzから220GHz(より高度な0.6mm同軸基準を使用する場合)の周波数範囲が対象にされている。これらのコネクタのコスト(1mm基準について単位当たり600ユーロ以上)は別として、主要な問題のうちの1つは、同軸コネクタが0.6mm同軸基準(与えられているこの寸法は、外部導体の最小内径を指す)で自体の物理的限界に達することである。最大動作周波数をさらに高めるためには、同軸コネクタ自体のサイズをさらに減らさなければならず、このことは、それらコネクタの脆さを高め、作製することのできる接点の数に直接的に影響する。より深刻なことは、測定の再現性に関する問題であり、有資格者がこれらの相互接続を実行する場合でさえも見られる問題である。
【0004】
同軸基準の最大周波数より上の周波数でVNAが測定を実行する必要がある場合には、他の制限も生じる。テラヘルツの周波数範囲に達する周波数拡張ヘッドは、標準化された矩形金属導波管相互接続を利用し、これらの相互接続は、重大な制限を導入する様々な導波管フランジサイズを規定する。2つのフランジ間の相互接続は、可能な限り完全に近くなければならず、なぜなら、こうした短い導波管では、フランジ接続に歪みがあると、それが信号品質を劣化させ、信号電力を減らすことになる望まれない反射を引き起こし得るからである。このことは、THzにおいてより重大であり、これは、より小さな寸法が要されるからである。同軸コネクタと同じように、周波数が高いほど、導波管のサイズは小さくなる。このことも、矩形金属導波管を、現在の技術水準での通常工業生産が及ばないものにしている。しかし、矩形金属導波管の最も重大な制限は、導波管サイズにより、カットオフ周波数の下限および上限が定められて、スペクトルが複数の周波数帯でスライスされることである。一例として、WR-2基準は325から500GHzで動作し、寸法は508μm×254μmである。これらの寸法は、WR-1については254μm×127μmに減り、750から1100GHzで動作する。これらの基準は、デバイスが動作する周波数範囲を、それらデバイスに提供されたWR基準のサブバンドに制限し、これにより、様々なサブバンドに渡って動作可能なシステムまたはデバイスが存在することが妨げられる。さらに、様々なWR基準に対して対策をとるためには、各サブバンドで、適当なマイクロ波拡張ヘッド対を用いて測定を行わなければならず、これにより、測定が遥かに困難になり、周波数範囲全体に渡る較正測定ができなくなる。
【0005】
本発明は、既存の接続インタフェースでの前述の制限を解消することを意図する。
【発明の概要】
【0006】
本発明は、電気信号についての新たなタイプの相互接続プローブに関し、この相互接続プローブは、切れ目のない超広域の動作周波数範囲を提供し、これにより、最大周波数が、現在の同軸コネクタ規格の限界を超えて、テラヘルツ範囲、および、それを超える範囲に高められる。さらに、この構造は、汎用性が高く、現在の高周波数相互接続基準の全てと整合するように使用することができ、これらの基準は、同軸、または、矩形導波管フランジのサイズのうちのいずれかであり、かつ、動作範囲内での周波数について広帯域送信器/受信器アンテナとして働く。
【0007】
本開示では、この新たな電気相互接続の多用性が実証され、この新規構造により可能になる様々な相互接続シナリオ、および、その構造を配置可能な様々な構成が説明される。
【0008】
本プローブの第1の態様は、それが、ハイパスフィルタ特性を有する誘電体導波管構造を備え、こうすることで、低カットオフ周波数(fCL)を超える周波数を有する信号について電気相互接続を確立することである。誘電体導波管は、好ましくは矩形である部分を有し、この部分は、第1の電子デバイスのアクセスポートに接続可能な第1のテーパ端を備え、このアクセスポートは、第1のテーパカプラを備える。誘電体導波管は、第2の電子デバイスのアクセスポートに接続可能な第2のテーパ端を備え、このアクセスポートは、第2のテーパカプラを備える。
【0009】
例えば、誘電体導波管構造は、マイクロ波範囲(すなわち、3GHzから30GHz)またはミリ波範囲(すなわち、30GHzから300GHz)での低カットオフ周波数(fCL)、例えば、60GHzの動作周波数から始まる範囲であり、テラヘルツ波範囲(すなわち、300から3000GHz)、および、それを超える範囲に至る広い周波数範囲を対象にして動作するように設計され得る。
【0010】
本広帯域相互接続プローブの第2の態様は、それが、ローパスフィルタ特性を有する金属導波管構造をさらに備え得ることであり、このローパスフィルタ特性は、2つの電子デバイスのアクセスポート間の金属電気接触を確立することを可能にし、この金属電気接触により、相互接続動作周波数範囲が低周波数から始まることが可能になる(すなわち、DC、0Hzから始まるのが好ましい)。これにより、0Hzからミリ波範囲での高カットオフ周波数(fCH)に至る信号の電気相互接続が可能になる。
【0011】
例えば、金属導波管構造は、0Hzから始まり、ミリ波範囲(すなわち、30GHzから300GHz、例えば、100GHzの動作周波数)に至る範囲で動作するように、設計され得る。広帯域動作についての好ましい一実施形態では、この金属導波管構造が、低周波数から始まり(すなわち、DC、0Hzから始まる)、誘電体導波管構造の低カットオフ周波数を上回る周波数範囲で動作する(fCH>fCL、例えば、先の例の60GHzを上回る)。
【0012】
広帯域相互接続プローブの1つの例の第3の態様は、金属導波管構造が、誘電体導波管のテーパ端に適合する少なくとも1つのテーパカプラ構造を備えることが可能であり、これにより、広帯域相互接続プローブに少なくとも1つのアクセスポートが提供されることである。テーパカプラの広い方の末端には、金属導波管構造とテーパカプラとの間の金属接点がある。これにより、金属導波管構造中の低周波数信号の相互接続および誘電体導波管中の高周波数の相互接続の確立が可能になる。
【0013】
誘電体導波管構造と金属導波管構造とを独立して使用して、それらの動作周波数範囲内で相互接続を確立することが可能である。さらに、本開示は、これら2つの構造を組み合わせて、DC(0Hz)からテラヘルツ周波数範囲、および、それを上回る範囲まで動作する相互接続プローブの広帯域動作を成し遂げることを可能にする。
【図面の簡単な説明】
【0014】
先の説明のより良い理解のために、また例を提供するだけの目的のために、実用的な実施形態を概略的に示した、限定を行わない幾つかの図面が含まれている。
図1A】誘電体導波管を備える提案された超広帯域プローブ構造の一例と、誘電体導波管のテーパ端に適合したテーパカプラを有するアクセスポートをそれぞれが備える2つの電子デバイスとの間の相互接続を示す。
図1B】誘電体導波管を備える提案された超広帯域プローブ構造の一例と、誘電体導波管のテーパ端に適合したテーパカプラを有するアクセスポートをそれぞれが備える2つの電子デバイスとの間の相互接続を示す。
図2A】2つの電子デバイス間の相互接続を確立する、本発明により提案された超広帯域相互接続プローブの他の例を示し、ここでは、誘電体導波管が基板材料に取り付けられている。
図2B】2つの電子デバイス間の相互接続を確立する、本発明により提案された超広帯域相互接続プローブの他の例を示し、ここでは、誘電体導波管が基板材料に取り付けられている。
図2C】金属導波管構造が画定された基板材料に取り付けられた誘電体導波管構造を備え、バイファイラ線設計を有する、提案された超広帯域プローブ構造の他の例を示す。
図3A】基板材料に取り付けられた誘電体導波管構造を備え、誘電体導波管のテーパ端に沿ってテーパカプラを画定する金属導波管パターンを含む、提案された超広帯域プローブ構造の他の例を示す。
図3B】テーパカプラと、コンタクトチップで終端されたバイファイラ線とを画定する金属導波管パターンを備える提案された超広帯域プローブ構造の他の例を示す。
図4A】提案された超広帯域相互接続プローブが誘電体導波管構造と、テーパカプラを画定する金属導波管パターンとを備える場合の、他の提案構造の関連電磁素子を示す。
図4B】提案された超広帯域相互接続プローブが誘電体導波管構造と、テーパカプラを画定する金属導波管パターンとを備える場合の、他の提案構造の関連電磁素子を示す。
図4C】提案された超広帯域相互接続プローブがテーパカプラおよびバイファイラ線を画定する金属導波管パターンを備える場合の、他の提案構造の関連電磁素子を示す。
図4D】提案された超広帯域相互接続プローブがテーパカプラおよびバイファイラ線を画定する金属導波管パターンを備える場合の、他の提案構造の関連電磁素子を示す。
図5図4Cおよび図4Dに示される提案構造の10GHzでのシミュレーション電界振幅の分布を示す。
図6図4Cおよび図4Dに示される提案構造の100GHzでのシミュレーション電界振幅の分布を示す。
図7図4Cおよび図4Dに示されるアクセスポートP1、P2間での提案構造のS-パラメータのシミュレーションを示す。
図8図4Cおよび図4Dに示される提案構造での340GHz(テラヘルツ範囲)でのシミュレーション電界振幅の分布を示す。
図9A】矩形金属導波管基準に接続した図3Bの提案構造を示す。
図9B図9Aとは異なる矩形金属導波管基準に接続した図3Bの提案構造を示す。
図10A】矩形金属導波管基準に結合した図2Cに示される提案構造のシミュレーション電界振幅分布を示す(WR-08、140GHz)。
図10B図10Aとは異なる矩形金属導波管基準に結合した図2Cに示される提案構造のシミュレーション電界振幅分布を示す(WR-04、220GHz)。
図11】他の誘電体構造に結合した図3Aまたは図3Bに示される構造の200GHzシミュレーション電界振幅分布を示す。
図12A】アンテナとして働く図3Aまたは図3Bの提案構造を示す。
図12B】アンテナとして働く図3Aまたは図3Bの提案構造の放射パターンを示す。
図13】提案構造への狭ベースバンドアクセスポートを示す。
図14】アクセスポートP1、P2、P3間での図13の提案構造のS-パラメータのシミュレーションを示し、P3は狭ベースバンドアクセスポートである。
図15】提案構造への広ベースバンドアクセスポートを示す。
図16】アクセスポートP1、P2、P3間での図15の提案構造のS-パラメータのシミュレーションを示し、P3は広ベースバンドアクセスポートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1Aは、基板(101b)に位置する第1の電子デバイス(101)および基板(102b)に位置する第2の電子デバイス(102)に接続する提案された超広帯域相互接続プローブ(100)の1つの例の模式的概要を示す。
【0016】
図1Bは、誘電体導波管構造(120)を備える提案された超広帯域相互接続プローブ(100)の詳細図を示す。誘電体導波管構造(120)は、ハイパスフィルタ特性を有し、低カットオフ周波数(fCL)を上回る高周波数範囲信号について相互接続を確立する。誘電体導波管構造(120)は、第1のテーパカプラ(101a)を介して電子デバイス(101)の第1のアクセスポート(P1)に接続可能な第1のテーパ端(120a)を備える。誘電体導波管構造(120)は、第2の電子デバイス(102)のアクセスポートの第2のテーパカプラ(102a)を介して第2の電子デバイス(102)の第2のアクセスポート(P2)に接続可能な第2のテーパ端(120b)を備える。
【0017】
この構造の好ましい実施形態では、誘電体導波管構造(120)の中央部が、矩形形状を有し、テーパ部またはテーパ端(120a)を伴った相互接続インタフェースにて終端され、電子デバイス(101)のアクセスポートが、誘電体導波管構造(120)の第1のテーパ端(120a)に適合したテーパカプラ(101a)構造を有する。図1Bに示されるように、相互接続インタフェースにおいて、電子デバイス(101)の電子デバイス基板(101b)上のテーパカプラ(101a)に誘電体導波管構造(120)を近づけることで、誘電体導波管中の高周波数について、電子デバイス(101)との超広帯域相互接続プローブ(100)の相互接続を確立することが可能になる。
【0018】
図2Aおよび図2Bは、提案されたプローブ(100)を備える相互接続システムを示し、プローブ(100)が、2つの電子デバイスまたは回路(101、102)を接続して、超ブロードバンド周波数相互接続を提供しており、プローブ(100)が、誘電体導波管構造(120)に接続された基板(140)をさらに備えている。こうした応用例では、超広帯域相互接続プローブ(100)を使用して、第1の電子デバイスまたは回路(101)を、第2の電子デバイスまたは回路(102)に接続する。誘電体導波管構造(120)を備えるプローブ(100)は、ハイパス特性相互接続を確立し、このハイパス特性相互接続は、同じ形状を両端部で、すなわち、図2Bに示される第1のテーパカプラ(101a)を介して、電子デバイス(101)の第1のアクセスポートに接続可能な第1のテーパ端(120a)、および、第2のテーパカプラ(102a)を介して、電子デバイス(102)の第2のアクセスポートに接続可能な第2のテーパ端(120b)を有している。本説明では、誘電体導波管構造(120)のテーパ端(120a、120b)が、簡略化のために対称になっているが、このことは、誘電体導波管構造(120)についての様々な形状を、本開示の形状に限定しない。
【0019】
高周波数での接続については、これは、誘電体導波管構造(120)のテーパ端(120a)と、電子デバイス(101、102)のテーパカプラ(101a、102a)の金属パターンとの間の近接場結合を通して、誘電体導波管構造(120)を用いて確立される。図2Aに示されるように、誘電体導波管(120)は連続基板(140)上に描かれており、この基板は、電子デバイス基板(101b)が後に続く誘電体導波管支持基板を表している。
【0020】
図2Cは、提案された超広帯域相互接続プローブ(100)の他の例の詳細図を示しており、金属導波管構造(110)が、その構造の末端にてプローブチップ(110c’)を用いて終端されたバイファイラ送信線(110c)を画定して、基板(101b)上に位置する電子デバイス(101)のアクセスポートのテーパカプラ(101a)との金属接触を確立し、これにより、高カットオフ周波数(fCH)より下の周波数を有する信号について、ローパス特性の相互接続が確立される。誘電体導波管構造(120)は、ハイパスフィルタ特性を有し、低カットオフ周波数(fCL)を上回る高周波数範囲信号について相互接続を確立する。他の実施形態では、バイファイラ送信線(110c)を、TSA(TSA-1a)と組み合わせることも可能である。
【0021】
金属導波管構造(110)により確立される接続は、低周波数について使用されるので、この相互接続の電気的および機械的要件は、2(グランド-信号、GS)または3導体(グランド-信号-グランド、GSG)接触プローブを通した既存の送信線相互接続と比較すると、緩和される。接点の寸法は、それに対応して、より大きくすることが可能である(既存のGSGプローブ上の接触面積は、本提案の設計では500μm×500μmであるのに対し、12μm×12μmである)。接触面積がより大きくなることで、このハイブリッド相互接続プローブ(100)を通じてデバイスに供給される電気的バイアス力を高めることも可能になる。さらに、そのことにより、繰返しの相互接続後の、または、未熟な使用をされた場合のハイブリッド相互接続プローブ(100)のアラインメントおよびサバイバビリティが促進される。
【0022】
高周波数での接続については、これは、誘電体導波管構造(120)を用いて、誘電体導波管構造(120)のテーパ端(120a)と、接続対象の電子デバイス(101)のアクセスポートのテーパカプラ(101a)との間の近接場結合を通して、確立される。
【0023】
図3Aは、誘電体導波管構造(120)および基板(140)を備える提案された超広帯域相互接続プローブ(300)の他の例を示し、ハイパス特性相互接続を確立する誘電体導波管構造(120)が、第1のテーパ端(120a)と、電子デバイス(102)のテーパカプラ(102a)を介してアクセスポートに接続可能な第2のテーパ端(120b)とを備える。
【0024】
プローブ(300)は、テーパカプラの形状を有する金属導波管パターン(110a)を画定する金属導波管構造を備え、そのテーパカプラは、誘電体導波管構造(120)の第1のテーパ端(120a)の周囲にあるテーパスロットアンテナ「TSA」(TSA-1a)であるのが好ましく、また、プローブ(300)にRFアクセスポート(P)を提供し、そのRFアクセスポートは、電子信号を供給または検出可能なポイントである。さらに、第2のテーパ端(120b)は、テーパカプラ(102a)を介して電子デバイス(102)のアクセスポートに接続可能である。
【0025】
図3Bは、誘電体導波管構造(120)と、基板(140)と、ローパスフィルタ特性の相互接続を確立するバイファイラ線プローブチップ(110c’)と、金属導波管パターン(110a)を画定する金属導波管構造とを備え、ローパスフィルタ特性相互接続が、DCから、ミリ波範囲の高カットオフ周波数fCHまでの低周波数範囲で動作する、プローブ(300)を示している。
【0026】
図4Aおよび図4Bは、ハイパス特性相互接続を確立する誘電体導波管構造(120)を備え、ハイパス特性相互接続が、マイクロ波範囲またはミリ波範囲の低カットオフ周波数fCLから始まる高周波数範囲で動作する、本発明による他の超広帯域プローブ(200)を示す。先のプローブ(100)同様に、誘電体導波管構造(120)は、第1のテーパ端(120a)および第2のテーパ端(120b)を備える。
【0027】
さらに、プローブ(200)は、第1のポート(P1)と第2のポート(P2)との間にあり、DCからミリ波範囲の高カットオフ周波数fCHまでの、低周波数範囲で動作するローパス特性相互接続を確立する金属導波管構造(110)を備える。
【0028】
プローブ(200)の金属導波管構造(110)は、第1のデバイス(101)に接続可能な第1のテーパカプラを画定する第1の金属導波管パターン(110a)(第1のテーパカプラは、誘電体導波管構造(120)の第1のテーパ端(120a)の周囲にあるテーパスロットアンテナ「TSA」(TSA-1a)であるのが好ましい)と、第2のデバイス(102)に接続可能な第2のテーパカプラを画定する第2の金属導波管パターン(110b)(第2のテーパカプラは、第2のテーパ端(120b)および基板(140)の周囲にあるテーパスロットアンテナ「TSA」(TSA-1b)であるのが好ましい)とを備える。
【0029】
図4Cおよび図4Dは、ハイブリッド相互接続プローブ(200)の他の実施形態を表す。図4Cおよび図4Dは、第1および第2の金属導波管パターン(110a、110b)を備える金属導波管構造(110)を示し、各パターンが、テーパカプラを規定しており、これらのテーパカプラは、中央の誘電体導波管構造(120)のテーパ端部(120a、120b)の両側にあるテーパスロットアンテナ「TSA」、(TSAー1a)および(TSAー1b)であるのが好ましい。金属導波管構造(110)は、プローブチップ(110c’)を有し、ローパス特性相互接続を確立するバイファイラ送信線(110c)をさらに備え、そのローパス特性相互接続は、DCからミリ波範囲の高カットオフ周波数fCHまでの、低周波数範囲で動作する。また、ハイブリッド相互接続プローブ(200)は、金属導波管構造(110)および誘電体導波管構造(120)に接続される基板(140)を備える。この送信線の好ましい励起モードでは、ハイブリッド相互接続プローブ(200)全域をシングルモードが伝搬する。図4Cは、シングルモード励起を実現することを可能にする、ハイブリッド相互接続プローブ(200)のランチャ部の詳細を示している。
【0030】
超広帯域相互接続プローブ(200)の末端には、信号アクセスポートが提供され、ポート(P1)および(P2)が、電子信号を供給または検出可能なポイントである。相互接続超広帯域相互接続プローブ(200)のブロードバンド特性を実証するために、ポート(P1)を使用して、信号が注入され(送信器ポート)、ポート(P2)を使用して、広範囲の周波数についての送信線として挙動する提案された超広帯域相互接続プローブ(200)を用いて相互接続される信号を観察する(受信器ポート)。
【0031】
1つの例では、積み重ねられる誘電体導波管素子の誘電率が同じであり得、同じ材料内で加工される。これは、各層の誘電材料がそれぞれ異なってもよい本開示を制限するものではない。図4では、第1および第2の金属導波管パターン(110a、110b)が位置する基板(140)が、誘電体導波管構造(120)についてのものと同じであっても、同じでなくてもよいが、基板の誘電率が誘電体導波管構造(120)のもの以下である場合に、この構造は、より低い挿入損失で、はるかに高い周波数で送信を行う。
【0032】
図4Cの超広帯域相互接続プローブ(200)では、バイファイラ送信線(110C)と誘電体導波管構造(120)との組合せが、バイファイラ送信線(110c)により低周波数範囲を広げることを可能にする。誘電体導波管構造(120)が低周波数範囲で信号を導く能力は乏しくなり得るので、低周波数での提案された超広帯域相互接続プローブ(200)の挙動は、バイファイラ送信線(110c)により支配される。低周波数での、この構造の挙動は、10GHzの動作周波数では、図4Cおよび図4Dに示される提案構造について、図5に示された電界振幅の分布を呈する。TSAアンテナ(TSA-1a、TSA-1b)は、中央のバイファイラ送信線(110c)の特性インピーダンスを、両端のポート(P1)および(P2)の特性インピーダンスに適応して、それらポート間での送信を最大にする。信号周波数が遷移周波数範囲まで高まると、信号は、近接場を通してTSAアンテナ(TSA-1a、TSA-1b)から誘電体導波管構造(120)に結合する。図6は、この状況を示しており、ここでは、図4Cおよび図4Dに示される提案構造について、信号が誘電体導波管構造中を移動する場合の、100GHzでの電界振幅分布が呈されている。
【0033】
1つの実施形態では、第1および第2の金属導波管パターン(110a、110b)と、誘電体導波管構造(120)のテーパ端(120a、120b)とを備える提案された超広帯域相互接続プローブ(200)を、アンテナとして実行可能である。これにより、各周波数での放射される電磁波の位相中心を規定して、TSAアンテナ(TSA-1a)および(TSA-1b)を画定する金属導波管構造と、それぞれの誘電体導波管テーパ端(120a)および(120b)との両構造間の結合を最適化することが可能になる。超ブロードバンド動作については、両構造上での電磁波の位相中心が、動作範囲内の全ての周波数にて重ならなければならない。これは、第1および第2の金属導波管パターン(110a、110b)と誘電体導波管構造(120)との両構造について同じタイプのテーパプロファイルを使用することで成し遂げることが可能である。両構造、すなわち、第1および第2の金属導波管パターン(110a、110b)およびそれぞれの誘電体導波管テーパ端(120a、120b)についての線形プロファイルが使用されている。これは、同じ開口角を用いた、簡略性および結合についての好ましい実施形態である。しかし、本開示は、このプロファイルに限定されず、様々なポートが様々なテーパリングプロファイルを有することができるケースを含めた他の構造も考えることができる。
【0034】
他の実施形態では、第1および第2の金属導波管パターン(110a、110b)と、誘電体導波管構造(120)のテーパ端(120a、120b)とを備える提案された超広帯域相互接続プローブ(100、200)を、近接場カプラとして実行可能である。
【0035】
広い帯域幅を考えると、超広帯域相互接続プローブ(100、200)は、高周波数では電力が大きく、これにより、より高次のモードが構造中を伝搬することが可能になる。全ての周波数で電磁波の位相中心が重なる構成により、より高次のモードの励起を抑制するか、または、少なくとも軽減するという追加の利点が成し遂げられる。マルチモード伝搬が起こると、様々な速度で伝搬して分散を導入するモード間での弱め合う干渉に起因して送信に信号降下が現れる。図7は、図4Cおよび図4Dに示されるプローブ(200)のシミュレーションSパラメータを示しており、S12およびS21は、ポート(P1)、(P2)間での送信を表している。図示のように、これらのパラメータは、0dB近くであり、降下がなく、これは、単一の基本モードでの無損失(または殆ど無損失)の送信を示す。したがって、提案された超広帯域相互接続プローブ(200)では、上記の上位モードを軽減可能であり、これは、非ヌルのS-パラメータ表現を評価することができる(すなわち、図7の0dBに近いパラメータ振幅S12およびS12)からである。dBで表されるS11およびS22の振幅は、可能な限り低いことが望まれる。
【0036】
超広帯域相互接続プローブ(200)について図7に示される結果を、10MHzから180GHzまでの狭帯域送信ヌルを除外するように、狭い周波数ステップでシミュレーションした。関連する計算コストに起因して、飛び飛びの周波数点が、構造のブロードバンド動作周波数範囲を実証するように、180GHzよりも上に示されている(220GHzのマーカm2、260GHzのマーカm3、300GHzのマーカm4、および、340GHzのドット)。明らかに、340GHzでは、基本モードが依然優勢であり、これは、図8が、図4Cおよび図4Dに示される提案構造について、340GHz(テラヘルツ範囲)(対数振幅尺)でのシミュレーション電界振幅の分布を表しているからである。具体的には、図8は、超広帯域相互接続プローブ(200)の中央部の詳細を示している。どのように電力の殆どが誘電体導波管構造(120)の内側で単一の基本的な進路を移動し得るかを知ることができる。これに伴って、本構造の最も高いカットオフ周波数が、シミュレーションでは達されずに、テラヘルツ範囲に拡張されることを実証可能である。
【0037】
図7では、5GHzから20GHzの周波数範囲が強調され、この例では、その範囲が、遷移周波数帯である。ここでは、超広帯域相互接続プローブ(200)が、超広帯域相互接続プローブ(200)の重なりに起因して、1dBから1.5dBの挿入損失および相当なリップルを呈して、バイファイラ送信線(110c)および誘電体導波管構造(120)として動作する。
【0038】
開示の相互接続プローブの他の利点は、提案された超広帯域相互接続プローブの極めて広く、切れ目のない動作周波数範囲に由来し、矩形導波管についてのIEEE規格を含めた、複数の矩形および円形導波管コネクタとの相互接続を確立する能力に関する。図9Aおよび図9Bは、図3Bに示される提案された相互接続超広帯域相互接続プローブ(100)をどのように使用して、異なる2つの矩形導波管基準フランジサイズにつなげることが可能かを示しており、提案された相互接続超広帯域相互接続プローブ(100)の修正を全く要さずに、また、追加の損失を全く起こさずに、フランジサイズに応じて、矩形導波管への誘電体導波管構造の差込みの深さを適応させている。導波管のテーパ端(120a)は、矩形導波管に入ったコネクタ内で基本モードを開始する。したがって、提案された超広帯域相互接続プローブ(100)では、誘電体導波管構造(120)の端部(120a、120b)を、矩形導波管(W1、W2)の開口に機械的に挿入して、伝搬場に結合することが可能である。このシナリオでは、動作周波数帯が、超広帯域相互接続プローブ(100)ではなく、矩形導波管基準により決まり得る。この相互接続は、提案構造(100)の様々な構成を用いて実現可能である。図12Aおよび図12Bは、140GHzでのWR-8(図9AのW1)および220GHzでのWR-4(図9BのW2)に結合された同一構造について、シミュレーション電界振幅の分布を示す。
【0039】
他の利点は、提案された超広帯域相互接続プローブ(100)が、他の誘電体構造に信号を結合可能であることに関する。同軸ケーブルおよび矩形導波管とは違い、提案された超広帯域相互接続プローブ(100)中を伝搬する電磁場は、その中に閉じ込められないので、誘電体導波管構造(120)は、他の誘電体構造への近接場結合のために使用可能である。一例として、図11は、図3Aまたは図3Bに示される誘電体導波管構造(120)の端部の200GHzシミュレーション電界振幅分布を示しており、電磁信号をトロイダル誘電体共振器(1200)に結合して、構造内にウィスパリングギャラリーモード(WGM)を生成している。
【0040】
他の利点は、提案された超広帯域相互接続プローブ(100、200)が、自由空間アンテナとして、超広帯域相互接続プローブ中を伝搬する電磁波を空気中に放射可能なことに関する。図12Aは、図3Aまたは図3Bの提案構造が、送信および受信の両シナリオで、150GHzで最適化される誘電体導波管アンテナのプロトタイプとして使用されるアンテナとして機能している様を示す。図12Bは、図示のアンテナとして150GHzで機能している図3Aまたは図3Bの提案構造の放射パターンを示す。信号が単一のメインローブ内で放射されるので、それを、ビームの空間指向性を有する無線周波数光学システムに統合することができる。
【0041】
超広帯域相互接続プローブ(100、200)をアンテナとみなすと、それは即座に、送信器または受信器デバイスを展開させることを可能して、超広帯域相互接続プローブ(100、200)の第1の金属導波管パターン(110a)のTSAアンテナにおける送信器(例えば、光混合器)または受信器(例えば、ショットキーダイオード)デバイスが、アンテナに加えられる。このシミュレーションでは、送信器のためのアクセスポート(P1)、および、受信器のためのアクセスポート(P2)(図4A図4B)における点源が想定される。考えられる一実施形態では、送信器側(図13)で、第1の金属導波管パターン(110a)のTSAアンテナの頂点にフォトダイオード(P3)が置かれる。
【0042】
上記デバイスにDCバイアスが必要な場合は、ベースバンド信号アクセスを提供する高インピーダンス線路を使用して、必要な接続を築く解決策が示される。このベースバンドの帯域幅は、直接検出受信器に対して最適化され得る。図13では、追加の(好ましくは低誘電率の)マイクロ波基板(140)が使用されている。バイファイラ送信線(110c)のない超広帯域相互接続プローブ(200)が示されている。フォトダイオードが、イメージ内に示されていない光ファイバにより照らされる。光学変調技術を使用することで、この構造を用いてブロードバンド信号を送信することが可能である。
【0043】
図14は、アクセスポートP1、P2、P3間での図13の提案構造のS-パラメータのシミュレーションを示し、P3は狭ベースバンドアクセスポートである。具体的には、図14は、シミュレーションから得られるSパラメータの振幅(dB)を示し、S13、S23、および、S21は、ポート(P1、P2、P3)間の送信を表している。ポート(P1)(例えば、直流電源)と(P3)(フォトダイオード)との間の送信は、送信器デバイスのバイアスを提供することが可能になる0から600MHzの帯域で起こる(S13=0dB)。超広帯域相互接続プローブ(100)を通した送信器ポートと受信器ポートとの間の無線周波数接続(P3からP2)が、55GHzを上回る周波数について起こる(0dBに近いS23)。バイアスポート(P1)と遠隔受信器(P2)との間で、良好な電気分離が成し遂げられる。
【0044】
受信器として使用される場合に、超広帯域相互接続プローブ(100、200)は、ショットキーゼロバイアスダイオード(ZBD)包絡線検出器または他のタイプの受信器素子を(P3)内に置くことを可能にする。ショットキーZBDを用いると、バイアス接続を通して、受信されるベースバンド信号を検出可能であり、ベースバンド帯域幅は、例えば、0から600MHzである。
【0045】
送信器または受信器構成内で上記ベースバンド帯域幅を増大するためには、広ベースバンドアクセスポートを有した図15の超広帯域相互接続プローブ(100)が提案され、ここでは、第3のテーパカプラを画定する第3の金属導波管パターン(110d)、好ましくは、追加のTSAアンテナ(TSA-2a)が、マイクロ波基板(140)に置かれて、誘電体導波管構造(120)の第1のテーパ端(120a)を囲み、この誘電体導波管構造は、低周波数でのポート(P1)、(P3)間の接続を保証する第1のTSA(TSA-1a)と電気的に接続する。両TSAアンテナ(TSA-1a、TSA-2a)のアーム同士は、それらの端部にて電気的に接続される(例えば、導電性インク、導電性エポキシ、ワイヤボンディング、または、異なる層同士の金属間の電気的接続を可能にする他の形態を通して)。図15に示される構造の実現の際には、0Hzから50GHzの帯域で動作する超ブロードバンドCPS-CPW遷移部が含まれる。この遷移部は、CPS線内の金属のうちの1つを、CPW線の導体中心に接合する導電ブリッジ(160)からなる。金属導波管構造(110)に結合する様々な導波管構造間での任意の導波管遷移を実現可能にすることができることが指摘される。
【0046】
この設計では、ポート(P2)が、誘電体導波管構造(120)(またはバイファイラ線(110c))を通して、(P3)に位置するダイオードに到達するマイクロ波信号(一般には変調されたキャリアであるので、特定の帯域幅からなる)のソースである。超広帯域相互接続プローブ(100)は、変調された信号のベースバンド変換を実行する。ベースバンド信号は、(TSA-2a)、CPS線、CPS-CPW遷移部を通してポート(P1)に送られる。図16は、アクセスポートP1、P2、P3間での図15の提案構造のS-パラメータを示し、P3は広ベースバンドアクセスポートである。この実施形態では、60GHzから最低でも340GHzの周波数について、(P2)ソースから(P3)ダイオードまでで低損失送信(0dB近くのS23)を見ることができる。ベースバンドポート(P1)へのダイオード接続(P3)(S13)により、-6dBのレベルで24.5GHzの帯域幅が成し遂げられる。ソースとベースバンドポートとの分離(S12)は、検討された周波数のうちのほとんどで15dBよりも良好であり、60GHzから70GHzの周波数範囲では10dBよりも良好である。
図1A
図1B
図2A
図2B
図2C
図3A
図3B
図4A
図4B
図4C
図4D
図5
図6
図7
図8
図9A
図9B
図10A
図10B
図11
図12A
図12B
図13
図14
図15
図16
【手続補正書】
【提出日】2023-08-29
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の電子デバイス(101)の第1のアクセスポート(P1)と、第2の電子デバイス(102)の第2のアクセスポート(P2)とに接続可能な超広帯域相互接続プローブ(100)であって、前記第1のアクセスポート(P1)が、第1のテーパカプラ(101a)を備え、前記第2のアクセスポート(P2)が、第2のテーパカプラ(102a)を備え、前記超広帯域相互接続プローブ(100)が、
マイクロ波範囲またはミリ波範囲の低カットオフ周波数fCLから始まる高周波数範囲で動作するハイパスフィルタ特性相互接続を確立する誘電体導波管構造(120)を備え、
前記誘電体導波管構造(120)が、
前記第1のテーパカプラ(101a)を介して前記第1のアクセスポート(P1)に接続可能な第1のテーパ端(120a)、および
前記第2のテーパカプラ(102a)を介して前記第2のアクセスポート(P2)に接続可能な第2のテーパ端(120b)
を備える、
超広帯域相互接続プローブ(100)。
【請求項2】
前記誘電体導波管構造(120)が、矩形部を有する、請求項1に記載の超広帯域相互接続プローブ(100)。
【請求項3】
前記誘電体導波管構造(120)に取り付けられた基板(140)をさらに備える、
請求項1または2に記載の超広帯域相互接続プローブ(100)。
【請求項4】
前記基板(140)上の金属導波管構造(110)をさらに備え、前記金属導波管構造(110)が、
前記第1のテーパカプラ(101a)および前記第2のテーパカプラ(102a)に接続された両端部に金属製プローブチップ(110c’)を有し、DCから、前記ミリ波範囲の高カットオフ周波数fCHまでの低周波数範囲で動作するローパスフィルタ特性相互接続を確立するバイファイラ送信線(110c)を備える、
請求項3に記載の超広帯域相互接続プローブ(100)。
【請求項5】
電子デバイス(102)のアクセスポート(P1)に接続可能な超広帯域相互接続プローブ(300)であって、前記アクセスポートが、テーパカプラ(102a)を備え、前記超広帯域相互接続プローブ(300)が、
マイクロ波範囲またはミリ波範囲の低カットオフ周波数fCLから始まる高周波数範囲で動作するハイパスフィルタ特性相互接続を確立する誘電体導波管構造(120)であって、
第1のテーパ端(120a)、および
前記テーパカプラ(102a)を介して前記電子デバイス(102)の前記アクセスポート(P1)に接続可能な第2のテーパ端(120b)
を備える、誘電体導波管構造(120)と、
前記誘電体導波管構造(120)に取り付けられた基板(140)と、
前記基板(140)上の金属導波管構造(110)と
を備え、前記金属導波管構造(110)が、前記誘電体導波管構造(120)の前記第1のテーパ端(120a)の周囲にあるテーパスロットアンテナ「TSA」(TSA-1a)であるのが好ましいテーパカプラであって、アクセスポート(P)を画定するテーパカプラを画定する金属導波管パターン(110a)を備える、
超広帯域相互接続プローブ(300)。
【請求項6】
前記金属導波管構造(110)が、金属製プローブチップ(110c’)を有し、DCから、前記ミリ波範囲の高カットオフ周波数CHまでの前記低周波数範囲で動作するローパスフィルタ特性相互接続を確立するバイファイラ送信線(110c)をさらに備える、
請求項5に記載の超広帯域相互接続プローブ(300)。
【請求項7】
矩形導波管と、
請求項5または6に記載の超広帯域相互接続プローブ(300)と
を備える相互接続システム。
【請求項8】
マイクロ波範囲またはミリ波範囲の低カットオフ周波数fCLから始まる高周波数範囲で動作するハイパスフィルタ特性相互接続を確立する誘電体導波管構造(120)であって、
第1のテーパ端(120a)、および
第2のテーパ端(120b)
を備える誘電体導波管構造(120)と、
DCから、ミリ波範囲の高カットオフ周波数fCHまでの低周波数範囲で動作するローパスフィルタ特性相互接続を確立する金属導波管構造(110)であって、
前記第1のテーパ端(120a)の周囲にあるテーパスロットアンテナ「TSA」(TSA-1a)であるのが好ましい第1のテーパカプラを画定する第1の金属導波管パターン(110a)、および
前記第2のテーパ端(120b)の周囲にあるテーパスロットアンテナ「TSA」(TSA-1b)であるのが好ましい第2のテーパカプラを画定する第2の金属導波管パターン(110b)
を備える金属導波管構造(110)と、
前記金属導波管構造(110)および前記誘電体導波管構造(120)に接続された基板(140)と
を備える超広帯域相互接続プローブ(200)。
【請求項9】
前記金属導波管構造(110)が、前記第1のテーパ端(120a)の周囲にある超広ベースバンド動作用のテーパスロットアンテナ「TSA」(TSA-2a)であるのが好ましい第3のテーパカプラを画定する第3の金属導波管パターン(110d)をさらに備え、前記テーパスロットアンテナ「TSA」(TSA-1a)と前記テーパスロットアンテナ「TSA」(TSA-2a)とが電気的に接続される、
請求項8に記載の超広帯域相互接続プローブ(200)。
【請求項10】
前記金属導波管構造(110)が、少なくとも2つの金属製プローブチップ(110c’)を有し、DCから、前記ミリ波範囲の高カットオフ周波数CHまでの前記低周波数範囲で動作するローパスフィルタ特性相互接続を確立するバイファイラ送信線(110c)をさらに備える、請求項8または9に記載の超広帯域相互接続プローブ(200)。
【請求項11】
請求項1から10に記載の超広帯域相互接続プローブ(100、200、300)のアンテナとしての用途。
【請求項12】
請求項1から10に記載の超広帯域相互接続プローブ(100、200、300)の近接場カプラとしての用途。
【請求項13】
請求項1から10に記載の超広帯域相互接続プローブ(100、200、300)と、
送信器と
を備える信号送信器デバイス。
【請求項14】
前記送信器が、オプトエレクトロニック変換器(すなわち、フォトダイオードおよび光伝導アンテナなど)を備える、請求項13に記載の信号送信器デバイス。
【請求項15】
請求項1から10に記載の超広帯域相互接続プローブ(100、200、300)と、
受信器と
を備える信号受信器デバイス。
【請求項16】
前記受信器が、ショットキーゼロバイアスダイオード(ZBD)包絡線検出器を備える、請求項15に記載の信号受信器デバイス。
【請求項17】
第1のテーパカプラ(101a)を有する第1のアクセスポートを備える第1の電子デバイス(101)と、
第2のテーパカプラ(102a)を有する第2のアクセスポートを備える第2の電子デバイス(102)と、
請求項1から4に記載の超広帯域相互接続プローブ(100)と
を備える相互接続システム。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電信号のための超広帯域相互接続プローブ構造について言及し、この構造は、様々な材料基板上に作製され得る金属導波管素子に誘電体導波管素子を組み合わせるものである。この組合せに由来する相互接続構造は、超広帯域幅を提供し、動作周波数範囲は、0Hz(DC:Direct Current)からテラヘルツ範囲(300GHzから3000GHz)以上に至ることが可能である。
【背景技術】
【0002】
これまでに、電気信号についての様々な相互接続基準が規定されており、それらは、エレクトロニクス産業で、デバイスおよびデバイス特性についての計装試験機器において使用されており、かつ、通信から分光法に基づくセンサシステムに至る広範囲の応用分野で使用されている。ベクトルネットワークアナライザ(VNA)は、エレクトロニクスにおける位相敏感測定についての主な測定プラットフォームである。VNAは、業界で受け入れられた較正手順を標準化した唯一のプラットフォームを提供して、電子システムの周波数応答を特徴づけており、その範囲は、低周波数(数キロヘルツ)から、ミリメートル(MMW、30GHzから300GHz)およびテラヘルツ(THz、300GHzから3000GHz)に至る。VNAは、周波数領域で動作して、電子デバイスに干渉する信号の振幅および位相を測定し、ここでは、送信信号および反射信号の両方が同時に測定され、周波数が測定帯を通じて掃引されることで、周波数依存データが提供される。VNAシステムは、標準化同軸コネクタに嵌合されるベースバンドユニット(最大周波数67GHz未満)から構成される。これらのコネクタにより、同軸ケーブルを使用することで、最大周波数をより高い周波数に拡張することを可能にする周波数拡張ヘッドを接続することができる。モノリシックマイクロ波集積回路(MMIC)の作製では、著しい進歩が成し遂げられているが、現在の高周波電気相互接続技術の限界を、より高い周波数に押し上げるための新たな開発は不足している。
【0003】
この不足は、同軸コネクタインタフェースを使用するVNAブロードバンド周波数拡張ヘッドの制限の原因となる。それらをより高度なバージョンにしたものでは、0Hz(DC)から133GHz(標準的な1mmコネクタを使用する場合)、または0Hzから220GHz(より高度な標準的な0.6mmコネクタを使用する場合)の周波数範囲が対象にされている。これらのコネクタのコスト(標準的な1mmコネクタの場合、1台当たり600ユーロ以上)は別として、主要な問題のうちの1つは、同軸コネクタが0.6mm同軸基準(与えられているこの寸法は、外部導体の最小内径を指す)で自体の物理的限界に達することである。最大動作周波数をさらに高めるためには、同軸コネクタ自体のサイズをさらに減らさなければならず、このことは、それらコネクタの脆さを高め、作製することのできる接点の数に直接的に影響する。より深刻なことは、測定の再現性に関する問題であり、有資格者がこれらの相互接続を実行する場合でさえも見られる問題である。
【0004】
同軸基準の最大周波数より上の周波数でVNAが測定を実行する必要がある場合には、他の制限も生じる。テラヘルツの周波数範囲に達する周波数拡張ヘッドは、標準化された矩形金属導波管相互接続を利用し、これらの相互接続は、重大な制限を導入する様々な導波管フランジサイズを規定する。2つのフランジ間の相互接続は、可能な限り完全に近くなければならず、なぜなら、こうした短い導波管では、フランジ接続に歪みがあると、それが信号品質を劣化させ、信号電力を減らすことになる望まれない反射を引き起こし得るからである。このことは、THzにおいてより重大であり、これは、より小さな寸法が要されるからである。同軸コネクタと同じように、周波数が高いほど、導波管のサイズは小さくなる。このことも、矩形金属導波管を、現在の技術水準での通常工業生産が及ばないものにしている。しかし、矩形金属導波管の最も重大な制限は、導波管サイズにより、カットオフ周波数の下限および上限が定められて、スペクトルが複数の周波数帯でスライスされることである。一例として、WR-2基準は325から500GHzで動作し、寸法は508μm×254μmである。これらの寸法は、WR-1については254μm×127μmに減り、750から1100GHzで動作する。これらの基準は、デバイスが動作する周波数範囲を、それらデバイスに提供されたWR基準のサブバンドに制限し、これにより、様々なサブバンドに渡って動作可能なシステムまたはデバイスが存在することが妨げられる。さらに、様々なWR基準に対して対策をとるためには、各サブバンドで、適当なマイクロ波拡張ヘッド対を用いて測定を行わなければならず、これにより、測定が遥かに困難になり、周波数範囲全体に渡る較正測定ができなくなる。
【0005】
本発明は、既存の接続インタフェースでの前述の制限を解消することを意図する。
【発明の概要】
【0006】
本発明は、電気信号についての新たなタイプの相互接続プローブに関し、この相互接続プローブは、切れ目のない超広域の動作周波数範囲を提供し、これにより、最大周波数が、現在の同軸コネクタ規格の限界を超えて、テラヘルツ範囲、および、それを超える範囲に高められる。さらに、この構造は、汎用性が高く、現在の高周波数相互接続基準の全てと整合するように使用することができ、これらの基準は、同軸、または、矩形導波管フランジのサイズのうちのいずれかであり、かつ、動作範囲内での周波数について広帯域送信器/受信器アンテナとして働く。
【0007】
本開示では、この新たな電気相互接続の多用性が実証され、この新規構造により可能になる様々な相互接続シナリオ、および、その構造を配置可能な様々な構成が説明される。
【0008】
本プローブの第1の態様は、それが、ハイパスフィルタ特性を有する誘電体導波管構造を備え、こうすることで、低カットオフ周波数(fCL)を超える周波数を有する信号について電気相互接続を確立することである。誘電体導波管は、好ましくは矩形である部分を有し、この部分は、第1の電子デバイスのアクセスポートに接続可能な第1のテーパ端を備え、このアクセスポートは、第1のテーパカプラを備える。誘電体導波管は、第2の電子デバイスのアクセスポートに接続可能な第2のテーパ端を備え、このアクセスポートは、第2のテーパカプラを備える。
【0009】
例えば、誘電体導波管構造は、マイクロ波範囲(すなわち、3GHzから30GHz)またはミリ波範囲(すなわち、30GHzから300GHz)での低カットオフ周波数(fCL)、例えば、60GHzの動作周波数から始まる範囲であり、テラヘルツ波範囲(すなわち、300から3000GHz)、および、それを超える範囲に至る広い周波数範囲を対象にして動作するように設計され得る。
【0010】
本広帯域相互接続プローブの第2の態様は、それが、ローパスフィルタ特性を有する金属導波管構造をさらに備え得ることであり、このローパスフィルタ特性は、2つの電子デバイスのアクセスポート間の金属電気接触を確立することを可能にし、この金属電気接触により、相互接続動作周波数範囲が低周波数から始まることが可能になる(すなわち、DC、0Hzから始まるのが好ましい)。これにより、0Hzからミリ波範囲での高カットオフ周波数(fCH)に至る信号の電気相互接続が可能になる。
【0011】
例えば、金属導波管構造は、0Hzから始まり、ミリ波範囲(すなわち、30GHzから300GHz、例えば、100GHzの動作周波数)に至る範囲で動作するように、設計され得る。広帯域動作についての好ましい一実施形態では、この金属導波管構造が、低周波数から始まり(すなわち、DC、0Hzから始まる)、誘電体導波管構造の低カットオフ周波数を上回る周波数範囲で動作する(fCH>fCL、例えば、先の例の60GHzを上回る)。
【0012】
広帯域相互接続プローブの1つの例の第3の態様は、金属導波管構造が、誘電体導波管のテーパ端に適合する少なくとも1つのテーパカプラ構造を備えることが可能であり、これにより、広帯域相互接続プローブに少なくとも1つのアクセスポートが提供されることである。テーパカプラの広い方の末端には、金属導波管構造とテーパカプラとの間の金属接点がある。これにより、金属導波管構造中の低周波数信号の相互接続および誘電体導波管中の高周波数の相互接続の確立が可能になる。
【0013】
誘電体導波管構造と金属導波管構造とを独立して使用して、それらの動作周波数範囲内で相互接続を確立することが可能である。さらに、本開示は、これら2つの構造を組み合わせて、DC(0Hz)からテラヘルツ周波数範囲、および、それを上回る範囲まで動作する相互接続プローブの広帯域動作を成し遂げることを可能にする。
【図面の簡単な説明】
【0014】
先の説明のより良い理解のために、また例を提供するだけの目的のために、実用的な実施形態を概略的に示した、限定を行わない幾つかの図面が含まれている。
図1A】誘電体導波管を備える提案された超広帯域プローブ構造の一例と、誘電体導波管のテーパ端に適合したテーパカプラを有するアクセスポートをそれぞれが備える2つの電子デバイスとの間の相互接続を示す。
図1B】誘電体導波管を備える提案された超広帯域プローブ構造の一例と、誘電体導波管のテーパ端に適合したテーパカプラを有するアクセスポートをそれぞれが備える2つの電子デバイスとの間の相互接続を示す。
図2A】2つの電子デバイス間の相互接続を確立する、本発明により提案された超広帯域相互接続プローブの他の例を示し、ここでは、誘電体導波管が基板材料に取り付けられている。
図2B】2つの電子デバイス間の相互接続を確立する、本発明により提案された超広帯域相互接続プローブの他の例を示し、ここでは、誘電体導波管が基板材料に取り付けられている。
図2C】金属導波管構造が画定された基板材料に取り付けられた誘電体導波管構造を備え、バイファイラ線設計を有する、提案された超広帯域プローブ構造の他の例を示す。
図3A】基板材料に取り付けられた誘電体導波管構造を備え、誘電体導波管のテーパ端に沿ってテーパカプラを画定する金属導波管パターンを含む、提案された超広帯域プローブ構造の他の例を示す。
図3B】テーパカプラと、コンタクトチップで終端されたバイファイラ線とを画定する金属導波管パターンを備える提案された超広帯域プローブ構造の他の例を示す。
図4A】提案された超広帯域相互接続プローブが誘電体導波管構造と、テーパカプラを画定する金属導波管パターンとを備える場合の、他の提案構造の関連電磁素子を示す。
図4B】提案された超広帯域相互接続プローブが誘電体導波管構造と、テーパカプラを画定する金属導波管パターンとを備える場合の、他の提案構造の関連電磁素子を示す。
図4C】提案された超広帯域相互接続プローブがテーパカプラおよびバイファイラ線を画定する金属導波管パターンを備える場合の、他の提案構造の関連電磁素子を示す。
図4D】提案された超広帯域相互接続プローブがテーパカプラおよびバイファイラ線を画定する金属導波管パターンを備える場合の、他の提案構造の関連電磁素子を示す。
図5図4Cおよび図4Dに示される提案構造の10GHzでのシミュレーション電界振幅の分布を示す。
図6図4Cおよび図4Dに示される提案構造の100GHzでのシミュレーション電界振幅の分布を示す。
図7図4Cおよび図4Dに示されるアクセスポートP1、P2間での提案構造のS-パラメータのシミュレーションを示す。
図8図4Cおよび図4Dに示される提案構造での340GHz(テラヘルツ範囲)でのシミュレーション電界振幅の分布を示す。
図9A】矩形金属導波管基準に接続した図3Bの提案構造を示す。
図9B図9Aとは異なる矩形金属導波管基準に接続した図3Bの提案構造を示す。
図10A】矩形金属導波管基準に結合した図2Cに示される提案構造のシミュレーション電界振幅分布を示す(WR-08、140GHz)。
図10B図10Aとは異なる矩形金属導波管基準に結合した図2Cに示される提案構造のシミュレーション電界振幅分布を示す(WR-04、220GHz)。
図11】他の誘電体構造に結合した図3Aまたは図3Bに示される構造の200GHzシミュレーション電界振幅分布を示す。
図12A】アンテナとして働く図3Aまたは図3Bの提案構造を示す。
図12B】アンテナとして働く図3Aまたは図3Bの提案構造の放射パターンを示す。
図13】提案構造への狭ベースバンドアクセスポートを示す。
図14】アクセスポートP1、P2、P3間での図13の提案構造のS-パラメータのシミュレーションを示し、P3は狭ベースバンドアクセスポートである。
図15】提案構造への広ベースバンドアクセスポートを示す。
図16】アクセスポートP1、P2、P3間での図15の提案構造のS-パラメータのシミュレーションを示し、P3は広ベースバンドアクセスポートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1Aは、基板(101b)に位置する第1の電子デバイス(101)および基板(102b)に位置する第2の電子デバイス(102)に接続する提案された超広帯域相互接続プローブ(100)の1つの例の模式的概要を示す。
【0016】
図1Bは、誘電体導波管構造(120)を備える提案された超広帯域相互接続プローブ(100)の詳細図を示す。誘電体導波管構造(120)は、ハイパスフィルタ特性を有し、低カットオフ周波数(fCL)を上回る高周波数範囲信号について相互接続を確立する。誘電体導波管構造(120)は、第1のテーパカプラ(101a)を介して第1の電子デバイス(101)の第1のアクセスポート(P1)に接続可能な第1のテーパ端(120a)を備える。誘電体導波管構造(120)は、第2の電子デバイス(102)のアクセスポートの第2のテーパカプラ(102a)を介して第2の電子デバイス(102)の第2のアクセスポート(P2)に接続可能な第2のテーパ端(120b)を備える。
【0017】
この構造の好ましい実施形態では、誘電体導波管構造(120)の中央部が、矩形形状を有し、テーパ部またはテーパ端(120a)を伴った相互接続インタフェースにて終端され、第1の電子デバイス(101)のアクセスポートが、誘電体導波管構造(120)の第1のテーパ端(120a)に適合した第1のテーパカプラ(101a)構造を有する。図1Bに示されるように、相互接続インタフェースにおいて、第1の電子デバイス(101)の基板(101b)上の第1のテーパカプラ(101a)に誘電体導波管構造(120)を近づけることで、誘電体導波管中の高周波数について、第1の電子デバイス(101)との超広帯域相互接続プローブ(100)の相互接続を確立することが可能になる。
【0018】
図2Aおよび図2Bは、提案された超広帯域相互接続プローブ(100)を備える相互接続システムを示し、超広帯域相互接続プローブ(100)が、2つの電子デバイス(101、102)または回路を接続して、超ブロードバンド周波数相互接続を提供しており、超広帯域相互接続プローブ(100)が、誘電体導波管構造(120)に接続された基板(140)をさらに備えている。こうした応用例では、超広帯域相互接続プローブ(100)を使用して、第1の電子デバイス(101)の路を、第2の電子デバイス(102)の路に接続する。誘電体導波管構造(120)を備える超広帯域相互接続プローブ(100)は、ハイパスフィルタ特性相互接続を確立し、このハイパスフィルタ特性相互接続は、同じ形状を両端部で、すなわち、図2Bに示される第1のテーパカプラ(101a)を介して、第1の電子デバイス(101)の第1のアクセスポートに接続可能な第1のテーパ端(120a)、および、第2のテーパカプラ(102a)を介して、第2の電子デバイス(102)の第2のアクセスポートに接続可能な第2のテーパ端(120b)を有している。本説明では、誘電体導波管構造(120)のテーパ端(120a、120b)が、簡略化のために対称になっているが、このことは、誘電体導波管構造(120)についての様々な形状を、本開示の形状に限定しない。
【0019】
高周波数での接続については、これは、誘電体導波管構造(120)のテーパ端(120a、120b)と、電子デバイス(101、102)のテーパカプラ(101a、102a)の金属パターンとの間の近接場結合を通して、誘電体導波管構造(120)を用いて確立される。図2Aに示されるように、誘電体導波管(120)は連続基板(140)上に描かれており、この基板は、電子デバイス基板(101b)が後に続く誘電体導波管支持基板を表している。
【0020】
図2Cは、提案された超広帯域相互接続プローブ(100)の他の例の詳細図を示しており、金属導波管構造(110)が、その構造の末端にて金属製プローブチップ(110c’)を用いて終端されたバイファイラ送信線(110c)を画定して、基板(101b)上に位置する第1の電子デバイス(101)のアクセスポートの第1のテーパカプラ(101a)との金属接触を確立し、これにより、高カットオフ周波数(fCH)より下の周波数を有する信号について、ローパスフィルタ特性の相互接続が確立される。誘電体導波管構造(120)は、ハイパスフィルタ特性を有し、低カットオフ周波数(fCL)を上回る高周波数範囲信号について相互接続を確立する。他の実施形態では、バイファイラ送信線(110c)を、テーパスロットアンテナ(以下、「TSA」と記載する)(TSA-1a)と組み合わせることも可能である。
【0021】
金属導波管構造(110)により確立される接続は、低周波数について使用されるので、この相互接続の電気的および機械的要件は、2(グランド-信号、GS)または3導体(グランド-信号-グランド、GSG)接触プローブを通した既存の送信線相互接続と比較すると、緩和される。接点の寸法は、それに対応して、より大きくすることが可能である(既存のGSGプローブ上の接触面積は、本提案の設計では500μm×500μmであるのに対し、12μm×12μmである)。接触面積がより大きくなることで、この超広帯域相互接続プローブ(100)を通じてデバイスに供給される電気的バイアス力を高めることも可能になる。さらに、そのことにより、繰返しの相互接続後の、または、未熟な使用をされた場合の超広帯域相互接続プローブ(100)のアラインメントおよびサバイバビリティが促進される。
【0022】
高周波数での接続については、これは、誘電体導波管構造(120)を用いて、誘電体導波管構造(120)の第1のテーパ端(120a)と、接続対象の第1の電子デバイス(101)のアクセスポートの第1のテーパカプラ(101a)との間の近接場結合を通して、確立される。
【0023】
図3Aは、誘電体導波管構造(120)および基板(140)を備える提案された超広帯域相互接続プローブ(300)の他の例を示し、ハイパスフィルタ特性相互接続を確立する誘電体導波管構造(120)が、第1のテーパ端(120a)と、第2の電子デバイス(102)の第2のテーパカプラ(102a)を介してアクセスポートに接続可能な第2のテーパ端(120b)とを備える。
【0024】
超広帯域相互接続プローブ(300)は、テーパカプラの形状を有する第1の金属導波管パターン(110a)を画定する金属導波管構造を備え、そのテーパカプラは、誘電体導波管構造(120)の第1のテーパ端(120a)の周囲にあるTA(TSA-1a)であるのが好ましく、また、超広帯域相互接続プローブ(300)にRF(Radio Frequency)アクセスポート(P)を提供し、そのRFアクセスポートは、電信号を供給または検出可能なポイントである。さらに、第2のテーパ端(120b)は、第2のテーパカプラ(102a)を介して第2の電子デバイス(102)のアクセスポートに接続可能である。
【0025】
図3Bは、誘電体導波管構造(120)と、基板(140)と、ローパスフィルタ特性の相互接続を確立するバイファイラ線の金属製プローブチップ(110c’)と、第1の金属導波管パターン(110a)を画定する金属導波管構造とを備え、ローパスフィルタ特性相互接続が、DCから、ミリ波範囲の高カットオフ周波数fCHまでの低周波数範囲で動作する、プローブ(300)を示している。
【0026】
図4Aおよび図4Bは、ハイパスフィルタ特性相互接続を確立する誘電体導波管構造(120)を備え、ハイパスフィルタ特性相互接続が、マイクロ波範囲またはミリ波範囲の低カットオフ周波数fCLから始まる高周波数範囲で動作する、本発明による他の超広帯域相互接続プローブ(200)を示す。先の超広帯域相互接続プローブ(100)同様に、誘電体導波管構造(120)は、第1のテーパ端(120a)および第2のテーパ端(120b)を備える。
【0027】
さらに、超広帯域相互接続プローブ(200)は、第1のアクセスポート(P1)と第2のアクセスポート(P2)との間にあり、DCからミリ波範囲の高カットオフ周波数fCHまでの、低周波数範囲で動作するローパスフィルタ特性相互接続を確立する金属導波管構造(110)を備える。
【0028】
超広帯域相互接続プローブ(200)の金属導波管構造(110)は、第1の電子デバイス(101)に接続可能な第1のテーパカプラを画定する第1の金属導波管パターン(110a)(第1のテーパカプラは、誘電体導波管構造(120)の第1のテーパ端(120a)の周囲にあるTA(TSA-1a)であるのが好ましい)と、第2の電子デバイス(102)に接続可能な第2のテーパカプラを画定する第2の金属導波管パターン(110b)(第2のテーパカプラは、第2のテーパ端(120b)および基板(140)の周囲にあるTA(TSA-1b)であるのが好ましい)とを備える。
【0029】
図4Cおよび図4Dは、超広帯域相互接続プローブ(200)の他の実施形態を表す。図4Cおよび図4Dは、第1および第2の金属導波管パターン(110a、110b)を備える金属導波管構造(110)を示し、各パターンが、テーパカプラを規定しており、これらのテーパカプラは、中央の誘電体導波管構造(120)のテーパ端(120a、120b)の両側にあるTA、(TSAー1a)および(TSAー1b)であるのが好ましい。金属導波管構造(110)は、金属製プローブチップ(110c’)を有し、ローパスフィルタ特性相互接続を確立するバイファイラ送信線(110c)をさらに備え、そのローパスフィルタ特性相互接続は、DCからミリ波範囲の高カットオフ周波数fCHまでの、低周波数範囲で動作する。また、超広帯域相互接続プローブ(200)は、金属導波管構造(110)および誘電体導波管構造(120)に接続される基板(140)を備える。この送信線の好ましい励起モードでは、超広帯域相互接続プローブ(200)全域をシングルモードが伝搬する。図4Cは、シングルモード励起を実現することを可能にする、超広帯域相互接続プローブ(200)のランチャ部の詳細を示している。
【0030】
超広帯域相互接続プローブ(200)の末端には、信号アクセスポートが提供され、アクセスポート(P1)および(P2)が、電信号を供給または検出可能なポイントである。超広帯域相互接続プローブ(200)のブロードバンド特性を実証するために、第1のアクセスポート(P1)を使用して、信号が注入され(送信器ポート)、第2のアクセスポート(P2)を使用して、広範囲の周波数についての送信線として挙動する提案された超広帯域相互接続プローブ(200)を用いて相互接続される信号を観察する(受信器ポート)。
【0031】
1つの例では、積み重ねられる誘電体導波管素子の誘電率が同じであり得、同じ材料内で加工される。これは、各層の誘電材料がそれぞれ異なってもよい本開示を制限するものではない。図4では、第1および第2の金属導波管パターン(110a、110b)が位置する基板(140)が、誘電体導波管構造(120)についてのものと同じであっても、同じでなくてもよいが、基板の誘電率が誘電体導波管構造(120)のもの以下である場合に、この構造は、より低い挿入損失で、はるかに高い周波数で送信を行う。
【0032】
図4Cの超広帯域相互接続プローブ(200)では、バイファイラ送信線(110C)と誘電体導波管構造(120)との組合せが、バイファイラ送信線(110c)により低周波数範囲を広げることを可能にする。誘電体導波管構造(120)が低周波数範囲で信号を導く能力は乏しくなり得るので、低周波数での提案された超広帯域相互接続プローブ(200)の挙動は、バイファイラ送信線(110c)により支配される。低周波数での、この構造の挙動は、10GHzの動作周波数では、図4Cおよび図4Dに示される提案構造について、図5に示された電界振幅の分布を呈する。TSA(TSA-1a、TSA-1b)は、中央のバイファイラ送信線(110c)の特性インピーダンスを、両端のアクセスポート(P1)および(P2)の特性インピーダンスに適応して、それらポート間での送信を最大にする。信号周波数が遷移周波数範囲まで高まると、信号は、近接場を通してTSA(TSA-1a、TSA-1b)から誘電体導波管構造(120)に結合する。図6は、この状況を示しており、ここでは、図4Cおよび図4Dに示される提案構造について、信号が誘電体導波管構造中を移動する場合の、100GHzでの電界振幅分布が呈されている。
【0033】
1つの実施形態では、第1および第2の金属導波管パターン(110a、110b)と、誘電体導波管構造(120)のテーパ端(120a、120b)とを備える提案された超広帯域相互接続プローブ(200)を、アンテナとして実行可能である。これにより、各周波数での放射される電磁波の位相中心を規定して、TSA(TSA-1a)および(TSA-1b)を画定する金属導波管構造と、それぞれの誘電体導波管テーパ端(120a)および(120b)との両構造間の結合を最適化することが可能になる。超ブロードバンド動作については、両構造上での電磁波の位相中心が、動作範囲内の全ての周波数にて重ならなければならない。これは、第1および第2の金属導波管パターン(110a、110b)と誘電体導波管構造(120)との両構造について同じタイプのテーパプロファイルを使用することで成し遂げることが可能である。両構造、すなわち、第1および第2の金属導波管パターン(110a、110b)およびそれぞれの誘電体導波管テーパ端(120a、120b)についての線形プロファイルが使用されている。これは、同じ開口角を用いた、簡略性および結合についての好ましい実施形態である。しかし、本開示は、このプロファイルに限定されず、様々なポートが様々なテーパリングプロファイルを有することができるケースを含めた他の構造も考えることができる。
【0034】
他の実施形態では、第1および第2の金属導波管パターン(110a、110b)と、誘電体導波管構造(120)のテーパ端(120a、120b)とを備える提案された超広帯域相互接続プローブ(100、200)を、近接場カプラとして実行可能である。
【0035】
広い帯域幅を考えると、超広帯域相互接続プローブ(100、200)は、高周波数では電力が大きく、これにより、より高次のモードが構造中を伝搬することが可能になる。全ての周波数で電磁波の位相中心が重なる構成により、より高次のモードの励起を抑制するか、または、少なくとも軽減するという追加の利点が成し遂げられる。マルチモード伝搬が起こると、様々な速度で伝搬して分散を導入するモード間での弱め合う干渉に起因して送信に信号降下が現れる。図7は、図4Cおよび図4Dに示される超広帯域相互接続プローブ(200)のシミュレーションSパラメータを示しており、S12およびS21は、アクセスポート(P1)、(P2)間での送信を表している。図示のように、これらのパラメータは、0dB近くであり、降下がなく、これは、単一の基本モードでの無損失(または殆ど無損失)の送信を示す。したがって、提案された超広帯域相互接続プローブ(200)では、上記の上位モードを軽減可能であり、これは、非ヌルのS-パラメータ表現を評価することができる(すなわち、図7の0dBに近いパラメータ振幅S12およびS21)からである。dBで表されるS11およびS22の振幅は、可能な限り低いことが望まれる。
【0036】
超広帯域相互接続プローブ(200)について図7に示される結果を、10MHzから180GHzまでの狭帯域送信ヌルを除外するように、狭い周波数ステップでシミュレーションした。関連する計算コストに起因して、飛び飛びの周波数点が、構造のブロードバンド動作周波数範囲を実証するように、180GHzよりも上に示されている(220GHzのマーカm2、260GHzのマーカm3、300GHzのマーカm4、および、340GHzのドット)。明らかに、340GHzでは、基本モードが依然優勢であり、これは、図8が、図4Cおよび図4Dに示される提案構造について、340GHz(テラヘルツ範囲)(対数振幅尺)でのシミュレーション電界振幅の分布を表しているからである。具体的には、図8は、超広帯域相互接続プローブ(200)の中央部の詳細を示している。どのように電力の殆どが誘電体導波管構造(120)の内側で単一の基本的な進路を移動し得るかを知ることができる。これに伴って、本構造の最も高いカットオフ周波数が、シミュレーションでは達されずに、テラヘルツ範囲に拡張されることを実証可能である。
【0037】
図7では、5GHzから20GHzの周波数範囲が強調され、この例では、その範囲が、遷移周波数帯である。ここでは、超広帯域相互接続プローブ(200)が、超広帯域相互接続プローブ(200)の重なりに起因して、1dBから1.5dBの挿入損失および相当なリップルを呈して、バイファイラ送信線(110c)および誘電体導波管構造(120)として動作する。
【0038】
開示の超広帯域相互接続プローブの他の利点は、提案された超広帯域相互接続プローブの極めて広く、切れ目のない動作周波数範囲に由来し、矩形導波管についてのIEEE規格を含めた、複数の矩形および円形導波管コネクタとの相互接続を確立する能力に関する。図9Aおよび図9Bは、図3Bに示される提案された超広帯域相互接続プローブ(100)をどのように使用して、異なる2つの矩形導波管基準フランジサイズにつなげることが可能かを示しており、提案された超広帯域相互接続プローブ(100)の修正を全く要さずに、また、追加の損失を全く起こさずに、フランジサイズに応じて、矩形導波管への誘電体導波管構造の差込みの深さを適応させている。導波管の第1のテーパ端(120a)は、矩形導波管に入ったコネクタ内で基本モードを開始する。したがって、提案された超広帯域相互接続プローブ(100)では、誘電体導波管構造(120)のテーパ端(120a、120b)を、矩形導波管(W1、W2)の開口に機械的に挿入して、伝搬場に結合することが可能である。このシナリオでは、動作周波数帯が、超広帯域相互接続プローブ(100)ではなく、矩形導波管基準により決まり得る。この相互接続は、提案構造(100)の様々な構成を用いて実現可能である。図12Aおよび図12Bは、140GHzでのWR-8(図9AのW1)および220GHzでのWR-4(図9BのW2)に結合された同一構造について、シミュレーション電界振幅の分布を示す。
【0039】
他の利点は、提案された超広帯域相互接続プローブ(100)が、他の誘電体構造に信号を結合可能であることに関する。同軸ケーブルおよび矩形導波管とは違い、提案された超広帯域相互接続プローブ(100)中を伝搬する電磁場は、その中に閉じ込められないので、誘電体導波管構造(120)は、他の誘電体構造への近接場結合のために使用可能である。一例として、図11は、図3Aまたは図3Bに示される誘電体導波管構造(120)の端部の200GHzシミュレーション電界振幅分布を示しており、電磁信号をトロイダル誘電体共振器(1200)に結合して、構造内にウィスパリングギャラリーモード(WGM)を生成している。
【0040】
他の利点は、提案された超広帯域相互接続プローブ(100、200)が、自由空間アンテナとして、超広帯域相互接続プローブ中を伝搬する電磁波を空気中に放射可能なことに関する。図12Aは、図3Aまたは図3Bの提案構造が、送信および受信の両シナリオで、150GHzで最適化される誘電体導波管アンテナのプロトタイプとして使用されるアンテナとして機能している様を示す。図12Bは、図示のアンテナとして150GHzで機能している図3Aまたは図3Bの提案構造の放射パターンを示す。信号が単一のメインローブ内で放射されるので、それを、ビームの空間指向性を有する無線周波数光学システムに統合することができる。
【0041】
超広帯域相互接続プローブ(100、200)をアンテナとみなすと、それは即座に、送信器または受信器デバイスを展開させることを可能して、超広帯域相互接続プローブ(100、200)の第1の金属導波管パターン(110a)のTSAにおける送信器(例えば、光混合器)または受信器(例えば、ショットキーダイオード)デバイスが、アンテナに加えられる。このシミュレーションでは、送信器のための第1のアクセスポート(P1)、および、受信器のための第2のアクセスポート(P2)(図4A図4B)における点源が想定される。考えられる一実施形態では、送信器側(図13)で、第1の金属導波管パターン(110a)のTSAの頂点にアクセスポートとしてのフォトダイオード(P)が置かれる。
【0042】
上記デバイスにDCバイアスが必要な場合は、ベースバンド信号アクセスを提供する高インピーダンス線路を使用して、必要な接続を築く解決策が示される。このベースバンドの帯域幅は、直接検出受信器に対して最適化され得る。図13では、追加の(好ましくは低誘電率の)マイクロ波基板(140)が使用されている。バイファイラ送信線(110c)のない超広帯域相互接続プローブ(200)が示されている。フォトダイオードが、イメージ内に示されていない光ファイバにより照らされる。光学変調技術を使用することで、この構造を用いてブロードバンド信号を送信することが可能である。
【0043】
図14は、アクセスポートP1、P2、P3間での図13の提案構造のS-パラメータのシミュレーションを示し、P3は狭ベースバンドアクセスポートである。具体的には、図14は、シミュレーションから得られるSパラメータの振幅(dB)を示し、S31、S23、および、S21は、アクセスポート(P1、P2、P3)間の送信を表している。アクセスポート(P)(例えば、直流電源)と(P)(例えば、フォトダイオード)との間の送信は、送信器デバイスのバイアスを提供することが可能になる0から600MHzの帯域で起こる(S31=0dB)。超広帯域相互接続プローブ(100)を通した送信器ポートと受信器ポートとの間の無線周波数接続(PからP2)が、55GHzを上回る周波数について起こる(0dBに近いS23)。バイアスポート(P)と遠隔受信器(P2)との間で、良好な電気分離が成し遂げられる。
【0044】
受信器として使用される場合に、超広帯域相互接続プローブ(100、200)は、ショットキーゼロバイアスダイオード(ZBD)包絡線検出器または他のタイプの受信器素子を(P)内に置くことを可能にする。ショットキーZBDを用いると、バイアス接続を通して、受信されるベースバンド信号を検出可能であり、ベースバンド帯域幅は、例えば、0から600MHzである。
【0045】
送信器または受信器構成内で上記ベースバンド帯域幅を増大するためには、広ベースバンドアクセスポートを有した図15の超広帯域相互接続プローブ(100)が提案され、ここでは、第3のテーパカプラを画定する第3の金属導波管パターン(110d)、好ましくは、追加のTSA(TSA-2a)が、マイクロ波基板(140)に置かれて、誘電体導波管構造(120)の第1のテーパ端(120a)を囲み、この誘電体導波管構造は、低周波数でのアクセスポート(P1)、(P3)間の接続を保証する第1のTSA(TSA-1a)と電気的に接続する。両TSA(TSA-1a、TSA-2a)のアーム同士は、それらの端部にて電気的に接続される(例えば、導電性インク、導電性エポキシ、ワイヤボンディング、または、異なる層同士の金属間の電気的接続を可能にする他の形態を通して)。図15に示される構造の実現の際には、0Hzから50GHzの帯域で動作する超ブロードバンドCPS-CPW遷移部が含まれる。この遷移部は、CPS線内の金属のうちの1つを、CPW線の導体中心に接合する導電ブリッジ(160)からなる。金属導波管構造(110)に結合する様々な導波管構造間での任意の導波管遷移を実現可能にすることができることが指摘される。
【0046】
この設計では、第2のアクセスポート(P2)が、誘電体導波管構造(120)(またはバイファイラ線(110c))を通して、(P)に位置するダイオードに到達するマイクロ波信号(一般には変調されたキャリアであるので、特定の帯域幅からなる)のソースである。超広帯域相互接続プローブ(100)は、変調された信号のベースバンド変換を実行する。ベースバンド信号は、(TSA-2a)、CPS線、CPS-CPW遷移部を通してアクセスポート(P)に送られる。図16は、アクセスポートP1、P2、P3間での図15の提案構造のS-パラメータを示し、P3は広ベースバンドアクセスポートである。この実施形態では、60GHzから最低でも340GHzの周波数について、(P2)ソースから(P)ダイオードまでで低損失送信(0dB近くのS2)を見ることができる。ベースバンドポート(P)へのダイオード接続(P)(S31)により、-6dBのレベルで24.5GHzの帯域幅が成し遂げられる。ソースとベースバンドポートとの分離(S32)は、検討された周波数のうちのほとんどで15dBよりも良好であり、60GHzから70GHzの周波数範囲では10dBよりも良好である。
【手続補正3】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図7
【補正方法】変更
【補正の内容】
図7
【手続補正4】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図14
【補正方法】変更
【補正の内容】
図14
【手続補正5】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図16
【補正方法】変更
【補正の内容】
図16
【国際調査報告】